IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニコン エスエルエム ソルーションズ アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特表-倍率オフセット補正手順 図1
  • 特表-倍率オフセット補正手順 図2
  • 特表-倍率オフセット補正手順 図3
  • 特表-倍率オフセット補正手順 図4
  • 特表-倍率オフセット補正手順 図5
  • 特表-倍率オフセット補正手順 図6
  • 特表-倍率オフセット補正手順 図7
  • 特表-倍率オフセット補正手順 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】倍率オフセット補正手順
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/85 20210101AFI20240918BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20240918BHJP
   B22F 10/366 20210101ALI20240918BHJP
   B22F 12/90 20210101ALI20240918BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240918BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240918BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20240918BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20240918BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20240918BHJP
   B23K 26/34 20140101ALI20240918BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20240918BHJP
   B23K 26/064 20140101ALI20240918BHJP
【FI】
B22F10/85
B22F10/28
B22F10/366
B22F12/90
B33Y30/00
B33Y50/02
B29C64/153
B29C64/268
B29C64/393
B23K26/34
B23K26/21 Z
B23K26/064 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509412
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 EP2022066095
(87)【国際公開番号】W WO2023020731
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】102021121335.5
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523394734
【氏名又は名称】ニコン エスエルエム ソルーションズ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ルーカス マティゼク
(72)【発明者】
【氏名】ヤン パブリタ
(72)【発明者】
【氏名】カルステン ノイマン
【テーマコード(参考)】
4E168
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4E168BA35
4E168BA81
4E168CA02
4E168CA05
4E168CA06
4E168CA13
4E168CB04
4E168CB24
4E168DA02
4E168DA28
4E168DA32
4E168DA37
4E168EA12
4E168EA15
4E168EA17
4E168FB03
4F213AC04
4F213AP06
4F213AP11
4F213AQ01
4F213AR07
4F213AR12
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL76
4F213WL85
4F213WL92
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
レーザ光を方向づけるための少なくとも1つの光学ユニットを備える装置にてレーザ光の位置を較正するための方法を提供する。少なくとも1つの光学ユニットは複数の光学素子を備える。この方法は、少なくとも1つの光学ユニットの複数の光学素子に対して第1の光学構成を設定し、それによって、第1の焦点スポットサイズで測定面上にレーザ光を方向づけるステップと、第1の光学構成で生成されたレーザ光の測定面内の第1の位置を測定するステップと、少なくとも1つの光学ユニットの複数の光学素子に対して第2の光学構成を設定し、それによって、第1の焦点スポットサイズとは異なる第2の焦点スポットサイズでレーザ光を測定面上に方向づけるステップと、第2の光学構成で生成されたレーザ光の測定面内の第2の位置を測定するステップと、測定された第1の位置及び測定された第2の位置に基づいて少なくとも1つの補正値を決定するステップと、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置(10)にてレーザ光(2)の位置を較正するための方法であって、前記装置(10)は、前記レーザ光(2)を方向づけるための少なくとも1つの光学ユニット(20)を具備し、前記少なくとも1つの光学ユニット(20)は、複数の光学素子(34、36)を具備し、前記方法は、
前記少なくとも1つの光学ユニット(20)の前記複数の光学素子(34、36)に対して第1の光学構成を設定し、それによって、第1の焦点スポットサイズ(44)で測定面(42)上に前記レーザ光(2)を方向づけるステップ(52)と、
前記第1の光学構成で生成された前記レーザ光(2)の前記測定面(42)内の第1の位置を測定するステップ(54)と、
前記少なくとも1つの光学ユニット(20)の前記複数の光学素子(34、36)の第2の光学構成を設定し、それによって、前記第1の焦点スポットサイズ(44)とは異なる第2の焦点スポットサイズ(46)で前記レーザ光(2)を前記測定面(42)上に方向づけるステップ(56)と、
前記第2の光学構成で生成された前記レーザ光(2)の前記測定面(42)内の第2の位置を測定するステップ(58)と、
前記測定された第1の位置及び前記測定された第2の位置に基づいて少なくとも1つの補正値を決定するステップ(60)と、を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光学ユニット(20)の前記複数の光学素子(34、36)に対して前記第1の光学構成を設定するステップ(52)及び/又は前記少なくとも1つの光学ユニット(20)の前記複数の光学素子(34、36)に対して前記第2の光学構成を設定するステップ(56)は、前記レーザ光(2)を前記測定面(42)上に集束させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記測定された第1の位置に基づいて第1の位置データセットを保存するステップと、
前記測定された第2の位置に基づいて第2の位置データセットを保存するステップと、をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法において、
前記決定するステップ(60)は、前記第1の位置データセット及び前記第2の位置データセットに基づいて前記少なくとも1つの補正値を決定するステップを含む、方法。
【請求項4】
前記第1の光学構成での前記レーザ光の位置と前記第2の光学構成での前記レーザ光の位置との間の関係が既知のものであるように、前記装置(10)の使用中に前記少なくとも1つの補正値を適用するステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの補正値に基づいて補間又は外挿を実施することにより、第3の光学構成に対して少なくとも1つの補正値を決定するステップをさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの光学ユニット(20)の前記複数の光学素子(34、36)に対して前記第2の光学構成を設定するステップは、少なくとも2つの光学素子(34、36)、特に、少なくとも2つのレンズ(34、36)の位置を変更するステップを含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の光学構成にある間、第1の照射パターンに従って前記測定面(42)を照射するステップと、
前記第2の光学構成にある間、第2の照射パターンに従って前記測定面(42)を照射するステップと、をさらに含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の照射パターン及び前記第2の照射パターンは、前記測定面(42)に位置決めされた少なくとも1つのセンサ上に照射される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の照射パターン及び前記第2の照射パターンは、前記測定面(42)に位置決めされた箔もしくはプレート又は粉末層上に投影されるか焼き付けられる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の位置を測定する前記ステップの前及び前記第2の位置を測定する前記ステップの前に、前記第1の照射パターン及び前記第2の照射パターンをヒトの眼で観察し、その観察に基づいて、前記第1の位置を測定する前記ステップ(52)及び前記第2の位置を測定する前記ステップ(58)を実施するべきであると決定するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の照射パターンは第1の円を含み、前記第2の照射パターンは前記第1の円と同心の第2の円を含む、請求項7から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記装置(10)は複数の光学ユニットを具備し、同心円のセットを前記光学ユニットのそれぞれに対して照射する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の焦点スポットサイズ(46)は、前記第1の焦点スポットサイズ(44)よりも少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍又は少なくとも8倍大きい、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記装置(10)は、選択的レーザ焼結及び/又は選択的レーザ溶融によって3次元ワークピース(8)を生成するための装置であり、前記方法は、
3次元ワークピース(8)の層の輪郭を前記第1の焦点スポットサイズ(44)で照射するステップと、
前記輪郭内の前記3次元ワークピース(8)のコア部を、前記第1の焦点スポットサイズ(44)より大きい前記第2の焦点スポットサイズ(46)で照射するステップと、をさらに含み、
前記輪郭及び前記コア部の少なくとも一方を照射する前記レーザ光(2)の位置を、前記少なくとも1つの補正値によって補正する、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
レーザ光(2)を生成するための少なくとも1つの光学ユニット(20)であって、前記少なくとも1つの光学ユニット(20)は複数の光学素子(34、36)を具備する、少なくとも1つの光学ユニット(20)を具備する装置(10)のプロセッサによって実施されるときに、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法を実施するように装置(10)に命令する、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を生成するための少なくとも1つの光学ユニットを備える装置にてレーザ光の位置を較正するための方法に関する。少なくとも1つの光学ユニットは複数の光学素子を備える。この装置は、限定するものではないが、選択的レーザ焼結及び/又は選択的レーザ溶融などの粉末床溶融結合のための装置であってもよい。
【背景技術】
【0002】
粉末床溶融結合は、粉末原料、特に、金属原料及び/又はセラミック原料を複雑な形状の3次元ワークピースに加工することができる積層プロセスである。そのために、原料粉末層を担体上に塗布し、製造されるワークピースの所望の形状に応じて部位選択的な方法で放射線(例えば、レーザ又は粒子放射線)を同層に照射する。粉末層に浸透する放射線は加熱を引き起こし、その結果、原料粉末粒子が溶融するか焼結する。次いで、ワークピースが所望の形状及びサイズになるまで、すでに放射線処理を受けた担体上の層にさらに原料粉末層を連続的に塗布する。粉末床溶融結合は、CADデータに基づいて、プロトタイプ、工具、交換部品、高価値部品又は、例えば、歯科用補綴物又は整形外科用補綴物などの医療用補綴物の製造に採用される場合がある。粉末床溶融技術の例には、選択的レーザ溶融及び選択的レーザ焼結が挙げられる。
【0003】
上記技術に従って1つ又は複数のワークピースを製造する装置が知られている。例えば、特許文献1(欧州特許出願公開第2961549号明細書)及び特許文献2(欧州特許出願公開第2878402号明細書)にはそれぞれ、選択的レーザ溶融技術に従って3次元ワークピースを製造するための装置が記載されている。上記の特許文献に記載されている一般原則はこのほか、本開示の技術に適用される場合がある。
【0004】
少なくとも1つのレーザ光を含む粉末床溶融結合技術によってワークピースを生成する場合、装置の1つの特定の光学ユニットを用いて、意図された使用例に応じて、異なるレーザスポットサイズのレーザスポットを生成することが望ましい場合がある。例えば、レーザスポットサイズが大きくなると、迅速に照射して固化するワークピースの領域が大きくなる可能性がある。それとは対照的に、レーザスポットサイズが小さくなると、ワークピースの重要な部分、特に、ワークピースの輪郭(シェルとも呼ばれる)の凝固をさらに微細なものにする可能性がある。このため、コアよりも小さなレーザスポットサイズでワークピースのシェルを照射することが知られている。コアは典型的には、例えば、平行走査ベクトルを含むいわゆるハッチパターンで照射される。異なるレーザスポットサイズでワークピースのシェルとコアを凝固させる上記の方法はこのほか、シェル-コア法と呼ばれる。
【0005】
このほか、異なるレーザスポットサイズを提供する上記の目的のために、単純にレーザ光の焦点をぼかすことが知られている(即ち、焦点スポットを、x-y平面にある粉体層(粉末床?)に直交するz方向に沿って移動し、その結果、焦点位置は粉体層のz位置に対応しなくなる)。これはこのほか、正確に焦点を合わせた(ビームウエストに対応する)スポット位置でのスポットサイズと比較して、スポットサイズが広がることにつながる。
【0006】
しかし、本開示は、レーザスポットの焦点位置での焦点スポットサイズの実際の差異を対象とする。以下でさらに詳細に説明するように、この焦点スポットサイズは、光学ユニットの少なくとも2つの光学素子(例えば、少なくとも2つのレンズ)を動かすことを含むズーム光学系を採用することによって調整することができる。このため、本開示が「焦点スポットサイズ」に言及する場合、その焦点位置でのレーザ光のスポットサイズを意味する(ビームウエストとも呼ばれる)。
【0007】
投影面(例えば、測定面)での投影ビームスポットサイズは、焦点スポットサイズと、レーザ光の焦点ボケ(即ち、投影面に関してz方向に沿った焦点位置)と、に依存する場合がある。焦点スポットサイズが変更され、同時に焦点ボケが変更されると、投影面内の投影ビームスポットサイズが同じサイズになることさえある場合がある。このため、投影されたビームスポットのサイズは、焦点スポットサイズに関する情報を提供することがない。
【0008】
さまざまな焦点スポットサイズを有するレーザスポットが生成されるとき、光学素子のさまざまな光学構成により、レーザスポットが方向づけられる平面(例えば、粉末床内部にあるか粉末床に平行なx-y平面)内のさまざまな横方向焦点スポット位置が生じる可能性がある。
【0009】
しかし、この横方向オフセット(即ち、x-y面内のオフセット)は、第1の焦点スポットサイズで照射された部分と第2の焦点スポットサイズで照射された部分のオフセットを引き起こす可能性がある。特に、上記で考察したシェル-コア法では、これにより、生成されるワークピースの層のシェルとコアとの間にオフセットが生じる可能性がある。このオフセットが大きすぎる場合、ワークピースに欠陥が生じ、使用できなくなる可能性がある。
【0010】
当業者は、レーザスポットのさまざまな横方向位置に関する上記の問題がこのほか、粉末床溶融用の装置とは異なるレーザ加工装置に問題を引き起こす可能性があることを理解するであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2961549号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2878402号明細書
【発明の概要】
【0012】
このため、本発明は、レーザ光を生成するための少なくとも1つの光学ユニットを備えた装置でのレーザ光の位置を較正するための方法を提供することを目的とする。少なくとも1つの光学ユニットは複数の光学素子を備える。この方法は、上記の問題又は関連する問題の少なくとも1つを回避するか低減する。特に、全く同一の光学ユニットによって生成される、さまざまな焦点スポットサイズを有するレーザスポットの焦点位置の横方向オフセットを回避することが望ましい。
【0013】
この目的は、請求項1に記載の方法のほか、請求項15に記載のコンピュータプログラム製品によって対処される。
【0014】
第1の態様によれば、レーザ光を方向づけるための少なくとも1つの光学ユニットを備える装置にてレーザ光の位置を較正するための方法を提供する。少なくとも1つの光学ユニットは複数の光学素子を備える。この方法は、少なくとも1つの光学ユニットの複数の光学素子に対して第1の光学構成を設定し、それによって、第1の焦点スポットサイズで測定面上にレーザ光を方向づけるステップと、第1の光学構成で生成されたレーザ光の測定面内の第1の位置を測定するステップと、少なくとも1つの光学ユニットの複数の光学素子に対して第2の光学構成を設定し、それによって、第1の焦点スポットサイズとは異なる第2の焦点スポットサイズでレーザ光を測定面上に方向づけるステップと、第2の光学構成で生成されたレーザ光の測定面内の第2の位置を測定するステップと、測定された第1の位置及び測定された第2の位置に基づいて少なくとも1つの補正値を決定するステップと、を含む。
【0015】
この装置は、粉末溶融技術に従って3次元ワークピースを生成するための装置であってもよい。さらに正確には、この装置は、選択的レーザ焼結及び/又は選択的レーザ溶融によって3次元ワークピースを生成するための装置であってもよい。この場合、レーザ光の位置を較正する方法の後に、選択的レーザ溶融又は選択的レーザ焼結などの粉末床溶融技術の一般的なステップが続いてもよい。特に、この方法は、原料粉末の第1の層を装置の担体上に堆積させるステップを伴ってもよい。第1の層(のほか、後続の層)は、所定の層厚さを有してもよい。ここで、層厚さは、使用される粉末堆積技術の種類に応じて、層ごとに調整されても、固定されてもよい。粉末層は、任意の適切な技術によって堆積されてもよい。ここで、当技術分野では、原料粉末層を生成するためのいくつかの方法及び装置が知られている。第1の原料粉末層を堆積した後、製造されるワークピース及び/又は支持構造体のCADデータに従って、粉末の所定の領域がレーザ光によって照射される。このようにして、生成されるワークピースの第1の層が照射され、それによって、担体上で直接固化されても、担体に接合された支持構造上で直接固化されてもよい。次のステップでは、原料粉末の第2の層が堆積され、その層の所定の領域が照射されて固化される。このようにして、ワークピースは層ごとに生成される。
【0016】
光学ユニットは、少なくとも1つのミラー、少なくとも1つのレンズ、少なくとも1つの格子などの複数の光学素子を備えてもよい。光学ユニットは、レーザ源を含んでもよく、あるいはレーザ源が外部に設けられてもよい。レーザ放射は、光学素子に、少なくとも1つのファイバを介して導かれても、空気又は真空を通して導かれてもよい。この点に関して、厳密な意味では、光学ユニットは(対応するレーザ源を備えるという意味で)必ずしもレーザ光を「生成」する必要はなく、むしろレーザ光を「方向づける」ものである。レーザ光を方向づけるステップは、測定面上の所定の場所にレーザ光を方向づけるステップを含んでもよい。この目的のために、光学ユニットは、例えば、ガルバノミラーなどの一対の可動の(特に、傾斜可能な)ミラーを含むスキャナユニットを備えてもよい。スキャナユニットのミラーは、平坦であるか、集束特性(即ち、正の屈折力)を有している場合がある。少なくとも1つの音響光学偏向器、少なくとも1つの圧電駆動ミラーなど、レーザ光を所望の場所に走査するための他の技術を追加又は代替として採用してもよい。
【0017】
光学ユニットは、レーザ光をz軸に沿った所望の場所に集束させるための光学素子をさらに備えてもよい。z軸はデカルト座標系に従って定義され、測定面はx-y面に平行であり、z軸はこのx-y面に直交して延びる。
【0018】
光学ユニットは、焦点スポットサイズ(即ち、焦点位置でのビームウエスト)を変更することを可能にするズーム光学系をさらに備えてもよい。このような機能(即ち、焦点位置の変更及び焦点サイズの変更)は、1つ又は複数の可動レンズ(さらに正確には、光軸に沿って移動可能なレンズ)などの全く同一の光学部品によって少なくとも部分的に採用されてもよい。
【0019】
本明細書で使用する「光学構成」という表現は、光学ユニット内の光学素子の所定の位置を含む。換言すれば、第1の光学構成では、光学ユニット内の少なくとも1つの光学素子が、第2の光学構成とは異なる位置を有する。ここで、位置は、光学ユニット内の基準位置に関して決定されてもよい。ここで、基準位置は光学ユニットのハウジングに関して固定されてもよい。特に、異なる位置は、光軸に沿った1つ又は複数の光学素子の異なる位置を指してもよい。
【0020】
換言すれば、光学ユニットを第1の光学構成から第2の光学構成にするために、複数の光学素子のうちの少なくとも1つを光軸に沿って移動させてもよい。例えば、光学ユニットを第1の光学構成から第2の光学構成にするために、複数の光学素子のうちの少なくとも2つを光軸に沿って移動させてもよい。この開示によれば、光軸は、光学ユニット内の光学素子によって形成された光学系の光軸である。
【0021】
装置は、複数(例えば、2個、4個、8個又は12個)の光学ユニットを備えてもよい。ここで、光学ユニットのそれぞれは、レーザ光を測定面に方向づけるように構成される。この場合、複数の光学ユニットのそれぞれは、上記で考察した光学素子のうちの1つ又は複数を含んでもよい。特に、各光学ユニットは、スキャナユニット、集束光学系及びズーム光学系を有してもよい。
【0022】
光学ユニットは、第1の光学構成に設定されると、測定面内に焦点スポットを生成する。測定面は、x-y平面に平行である。測定面は、装置によって塗布された原料粉末の最上層(いわゆる構築面)と同一であってもよい。この場合、原料粉末は較正のために照射されてもよい。これとは別に、測定面は、構築面、即ち、3次元ワークピースの構築中に原料粉末の最上層が配置される場所に位置決めされてもよい。この場合、センサ、箔又はプレートを装置の担体上に位置決めしてもよく、センサ、箔又はプレートが所望の測定面内に位置決めされるように、担体はz軸に沿って位置決めされる。これとは別に、測定面は、同じ平面内であるが原料粉末の最上層の隣に(例えば、装置の処理チャンバの底部領域内に)位置決めされてもよい。さらに、測定面はx-y面と平行でなくてもよく、例えば、較正を実施するために、レーザ光は可動ミラーによって処理チャンバの側部領域に偏向されてもよい。この場合、測定面は、例えば、装置のz軸に平行であってもよい(例えば、x-z面又はy-z面)。
【0023】
好ましい実施形態では、焦点スポットは、第1の光学構成では、測定面内にあり、第1の焦点スポットサイズを有する。第1の焦点スポットサイズは、焦点スポットの直径によって決定されてもよい。レーザ光の焦点位置が測定面内にあるため、第1の焦点スポットサイズはレーザ光のビームウエストによって決定されてもよい。同じことが、第2の光学構成での焦点スポットサイズにも当てはまる。第2の焦点スポットは測定面内に位置し、そのサイズは焦点スポットの直径によって決定されてもよい。レーザ光の焦点位置が測定面内にあるため、第2の焦点スポットサイズはレーザ光のビームウエストによって決定されてもよい。
【0024】
第1の位置及び第2の位置は、測定面に位置決めされたセンサ(例えば、CCDセンサ又はCMOSセンサ)によって測定されてもよい。さらに、位置は、レーザ光の焦点位置では、苛性測定装置によって測定されてもよい。位置はこのほか、カメラによって測定されてもよい。カメラは、装置の処理チャンバの上部領域に位置決めされてもよく、カメラの視野が、例えば、測定面全体であってもよい。カメラは、レーザ光が測定面に向けられるときの位置を測定してもよい。これに加えて、あるいはこれとは別に、レーザ光を使用して、照射パターン(マーク)を粉末(粉末を溶融して固化構造を生成することを意味する)、箔又は板(例えば、感光性箔又は陽極酸化アルミニウム)に焼き付けてもよい。この場合、照射パターンは、レーザ光の位置を決定するために、カメラによって検出されてもよい。特に、照射パターンは、レーザ光が粉末、箔又はプレートへの照射を完了した後に、カメラによって検出されてもよい。さらに、レーザ光は、照射パターン(即ち、マーク)を粉末、箔又はプレートに焼き付けてもよく、その後、構造、箔又は板は装置から除去され、外部装置、例えば、カメラによって観察される。この場合、このカメラは第1の位置と第2の位置を決定する。第1及び第2の位置を測定するために使用されるカメラが、レーザ光の光路を少なくとも部分的に使用してもよい。この場合、カメラは光学ユニット内に配置されてもよい。
【0025】
この技術は、(第1の光学構成について)1つの第1の位置のみと、(第2の光学構成について)1つの第2の位置のみと、を測定することに限定されないことに留意されたい。代わりに、複数の第1の位置及び/又は複数の第2の位置を測定してもよい。特に、照射パターンが第1の光学構成及び/又は第2の光学構成でレーザ光によって照射される場合、この照射パターンの複数の位置が測定されてもよい。
【0026】
走査光学系(例えば、光学系の中心)の偏向を変更せずに第1の位置及び第2の位置が測定される場合、1つのオフセットが決定され、「視野」全体がそれぞれの倍率値に対してずらされる。しかし、改良された方法によれば、測定は(光学ユニットの走査範囲内の)複数の場所で実施されてもよい。この場合、1つの特定の倍率値に対して決定されるオフセット値はもはや1つだけではなく、複数のオフセット値が決定され、走査範囲(格子点)上に分散される。このような格子点の間では、オフセット値を補間することができる(即ち、格子点間の位置に対応するオフセット値を、格子点のオフセット値に基づいて補間することができる)。この技術は、各倍率値に対する像面補正と考えられる場合がある。補間を、特定の倍率値の間で実施するだけでなく、倍率値の走査光学系の異なる偏向(その結果、走査範囲内の異なる公称x-y位置が生じる)に関しても実施してもよい。1つの特定の倍率値に対して複数の偏向/位置を決定するために、走査範囲の異なる公称位置(即ち、円の中心が異なる公称位置を有する)で複数の同心円を照射してもよい。それぞれの位置(ひいては、オフセット値)は、例えば、軸上又は軸外のカメラシステムを用いて検出されてもよい。
【0027】
センサセットが機械内に配置されてもよく、例えば、構築面全体又は構築面の特定の領域のみを観察してもよい。これとは別に、センサがこのほか、装置の光学ユニット上又は光学ユニット内に設けられてもよく、レーザ光の光路を部分的に使用してもよい。この場合、スキャナユニットを介して観察領域も移動可能である。使用されるセンサは、特に、光学センサであってもよい。光学センサは、広い波長スペクトルに感受性があっても、所定のスペクトル、特に、レーザ光のスペクトル又は赤外線(IR)放射(レーザ波長がセンサの検出可能なスペクトル内にある場合にはレーザの波長を遮断するフィルタを任意選択で使用)のみに感受性があってもよい。
【0028】
補正値は、測定された第1の位置、特に、第1の位置データセットと、測定された第2の位置、特に、第2の位置データセットと、に基づいて決定される。少なくとも1つの補正値は、光学ユニットのスキャナユニットが同じ位置に留まるときの第1の光学構成と第2の光学構成との間のレーザ光の(x-y平面内での)横ズレを示してもよい。換言すれば、少なくとも1つの補正値は、その横ズレを示すx座標及びy座標を含んでもよい。
【0029】
上述したように、第1の光学構成についての複数の第1の位置と、第2の光学構成についての複数の第2の位置とを決定してもよい。この場合、複数の第1の位置のそれぞれについて補正値を決定してもよい。複数の第1の位置に対応しない場所については、複数の第1の位置の補正値に基づいて補正値を補間しても、外挿してもよい。
【0030】
補正値は、以下に説明するように、装置使用中の横ズレを解消するために使用されてもよい。
【0031】
少なくとも1つの光学ユニットの複数の光学素子について第1の光学構成を設定するステップ及び/又は少なくとも1つの光学ユニットの複数の光学素子について第2の光学構成を設定するステップは、レーザ光を測定面上に集束させるステップを含んでもよい。
【0032】
このため、第1の態様の「第1の焦点スポットサイズで測定面上にレーザ光を方向づける」という表現は、「第1の焦点スポットサイズで測定面上にレーザ光を集束させる」と置き換えられてもよい。さらに、第1の態様の「第2の焦点スポットサイズで測定面上にレーザ光を方向づける」という表現は、「第2の焦点スポットサイズで測定面上にレーザ光を集束させる」と置き換えられてもよい。このため、測定面内のレーザ光の少なくとも1つの測定値が、測定面内の焦点スポットサイズに関するものであってもよい。
【0033】
この方法は、測定された第1の位置に基づいて第1の位置データセットを保存するステップと、測定された第2の位置に基づいて第2の位置データセットを保存するステップとをさらに含んでもよい。ここで、決定するステップは、第1の位置データセット及び第2の位置データセットに基づいて少なくとも1つの補正値を決定するステップを含む。
【0034】
第1の位置データセット及び第2の位置データセットは、装置のメモリに保存されてもよい。例えば、第1の位置データセットは、測定面内のレーザ光のx位置及びy位置を示してもよい。例えば、測定面内の基準点(ゼロ点)を定義してもよい。その基準点からx座標とy座標を決定する。
【0035】
方法は、第1の光学構成でのレーザ光の位置と第2の光学構成でのレーザ光の位置との間の関係が既知のものであるように、装置の使用中に少なくとも1つの補正値を適用するステップをさらに含んでもよい。
【0036】
例えば、光学ユニットが第2の構成にある場合には装置の制御ユニットが補正値を適用する場合があるが、光学ユニットが第1の構成にある場合には補正値を適用しない。同じように、光学ユニットが第1の構成にある場合には装置の制御ユニットが補正値を適用する場合があるが、光学ユニットが第2の構成にある場合には補正値を適用しない。このような選択肢は、補正値が第1の構成と第2の構成との間の測定面内のレーザ光の横ズレを示す場合に使用されてもよい。しかし、測定面内の基準点に関して、第1の光学構成及び第2の光学構成について補正値を計算してもよい。この場合、第1の光学構成と第2の光学構成の両方に補正値を適用してもよい。いずれの場合でも、補正値は、第1の光学構成と比較して第2の光学構成でのレーザ光の位置を決定するために使用することができ、その結果、レーザ光は、それぞれの光学構成に対して、x-y平面内の所望の場所に方向づけることができる。
【0037】
少なくとも1つの補正値は、3次元ワークピースの生成時に装置の制御ユニットによって適用されてもよい。例えば、スキャナミラーに提供された位置データ及び/又はステアリングデータは、少なくとも1つの補正値が考慮されるように適合されてもよい。しかし、このほか、少なくとも1つの補正値を考慮するために、ワークピースの構築データを修正してもよい。この場合、修正は外部装置(例えば、コンピュータ)によって実施されてもよい。
【0038】
さらに、少なくとも1つの光学素子を(例えば、光軸に沿って、及び/又は光軸に直交して)移動させることによって、少なくとも1つの光学素子を、光軸に直交する1つ又は複数の軸周りで回転させることによって、及び/又は装置の構築面に関して光学ユニットを移動させることによって、横方向オフセットの補正を達成してもよい。
【0039】
第1及び第2の光学構成に加えて、少なくとも第3の光学構成を考慮してもよく、それぞれの位置を測定してもよい。このようにして、例えば、光学ユニットの少なくとも4個、少なくとも6個、少なくとも8個又は少なくとも10個の光学構成を考慮してもよい。光学構成ごとに、補正値を保存してもよい。光学構成のそれぞれは、焦点スポットサイズの倍率を表してもよい。例えば、レーザスポットの位置を、複数の整数倍率値(1、2、3、4、5、6、7及び8など)又は非整数倍率値について測定してもよい。
【0040】
考慮された光学構成(即ち、それぞれの焦点スポットサイズについて測定された位置)に対応しない場所では、以下で考察するように補間されても、外挿されてもよい。
【0041】
方法は、少なくとも1つの補正値に基づいて補間又は外挿を実施することによって、第3の光学構成に対する少なくとも1つの補正値を決定するステップをさらに含んでもよい。
【0042】
線形補間及び/又は線形外挿を適用してもよい。さらに正確には、2つの既知の補正値の間には、焦点スポットサイズ(例えば、倍率)とx-y平面内の横ズレとの間に線形依存性が存在すると仮定してもよい。さらに、これより高次の補間及び/又は外挿を考慮してもよい。
【0043】
補間及び/又は外挿を、焦点スポットサイズ(例えば、倍率)の変化に基づいて適用してもよい。これとは別に、光学素子の位置の変化(例えば、移動距離)に基づいて補間及び/又は外挿を適用してもよい。
【0044】
少なくとも1つの光学ユニットの複数の光学素子に対して第2の光学構成を設定するステップは、少なくとも2つの光学素子、特に、少なくとも2つのレンズの位置を変更するステップを含んでもよい。
【0045】
換言すれば、光学ユニットを第1の構成から第2の構成にするために、少なくとも2つの光学素子を移動させてもよい。特に、少なくとも2つのレンズを光軸に沿って移動させてもよい。2つのレンズのそれぞれは、正の屈折力を有してもよい。移動する少なくとも2つのレンズは、望遠鏡配置であってもよい。さらに、光学ユニットは、3つ以上のレンズ、例えば、4つのレンズを備えてもよい。4つのレンズは、二重望遠鏡配置で配置されてもよい。この場合、光学ユニットを第1の光学配置から第2の光学配置にするために、例えば、少なくとも4つのレンズを移動させてもよい。
【0046】
方法は、第1の光学構成にある間、第1の照射パターンに従って測定面を照射するステップと、第2の光学構成にある間、第2の照射パターンに従って測定面を照射するステップとをさらに含んでもよい。
【0047】
このため、レーザ光の位置を測定するステップは、照射パターンの位置を測定するステップ及び/又は照射パターン内の1つ又は複数の所定の点の位置を測定するステップの一部であってもよい。例えば、照射パターンが2つの交差する線(例えば、十字)を含む場合、交点の位置を決定してもよい。一般に、第1及び/又は第2の位置を測定するステップは、対応する照射パターンの2本の線の交点を測定するステップを含んでもよい。
【0048】
第1の照射パターン及び第2の照射パターンは、測定面に位置決めされた少なくとも1つのセンサ上に照射されてもよい。
【0049】
センサは、センサ上の照射位置を示す電気信号を提供してもよく、この電気信号は、装置の制御ユニットによってさらに評価されてもよい。例えば、センサは、それぞれの位置を決定するために制御ユニットによってさらに評価され得る2次元画像データを提供してもよい。センサは、CCDセンサ又はCMOSセンサなどの2次元センサであってもよい。
【0050】
第1の照射パターン及び第2の照射パターンは、測定面に位置決めされた箔又はプレート又は粉末層上に投影されても、焼き付けられてもよい。
【0051】
測定面にセンサを位置決めする代わりに、粉末、箔又はプレートを測定面に位置決めしてもよい。照射パターンは、粉末、箔又はプレート上に投影され、その結果、照射パターンは、例えば、投影中のカメラ又はヒトの眼によって、観察することができる。念のために言っておくが、レーザ放射を照射するということは、粉末、箔又はプレートに永久的に変化が起こらないことを意味する。
【0052】
測定面にセンサを位置決めする代わりに、粉末、箔又はプレートを測定面に位置決めしてもよい。照射パターンは、粉末、箔又はプレートに焼き付けられ、その結果、照射パターンは、照射が停止した後に見えるようになる。換言すれば、レーザ光は、例えば、変色構造、可視構造又は触覚構造を介して、粉末、箔又はプレートに視覚的に検出可能なパターンを残す。例えば、レーザが箔と反応して変色を引き起こすという意味で、箔は感光性であってもよい。これとは別に、レーザは、照射パターンが1つ又は複数の穴を含むように、箔に穴を焼き付けてもよい。プレートは被覆されても、メッキされていてもよく、レーザ光は、例えば、被覆又はメッキを焼くことによって、被覆又はメッキにマークを残す。レーザ光を較正するために使用されるそのような箔又はプレートが、当技術分野で周知である。粉末材料の1つ又は複数の層の照射により、構造体を生成してもよい。
【0053】
方法は、第1の位置を測定するステップの前かつ第2の位置を測定するステップの前に、第1の照射パターン及び第2の照射パターンをヒトの眼で観察し、その観察に基づいて、第1の位置を測定するステップと、第2の位置を測定するステップとを実施するべきと決定するステップをさらに含んでもよい。
【0054】
例えば、箔又はプレートは視覚的に観察されてもよい。観察者が照射パターンの異常を検知した場合にのみ、第1の位置と第2の位置を測定する。観察者が異常を検出しなかった場合、光学ユニットは較正されていると考えられ、追加の調査(即ち、それぞれの光学構成でのレーザ光の正確な位置を測定することによる調査)は必要ない。例えば、観察者は、照射パターンの非対称性を識別した場合に、第1及び第2の位置を測定するステップを実施するべきと決定してもよい。これとは別に、迅速に照射され、ヒトの眼で容易に観察することができる照射パターンを先ず照射する。追加の測定が必要であると観察者が判定した場合は、コンピュータ支援による詳細な評価用に最適化された照射パターンを照射する。
【0055】
第1の照射パターンは第1の円を含んでもよく、第2の照射パターンは第1の円と同心の第2の円を含んでもよい。
【0056】
この照射パターンは場所を取らないものである場合がある。さらに、異なる光学構成間の偏差(ある円の別の円に対するズレ又は変形)を、ヒトの眼が簡単に判定する場合がある。照射パターンは、光学構成ごとに1つの円を含んでもよい。ここで、円は同心であり、少なくとも3つの光学構成(例えば、9つの光学構成)が考慮される。
【0057】
装置は複数の光学ユニットを備えてもよく、光学ユニットのそれぞれに対して一組の同心円を照射してもよい。
【0058】
このため、光学ユニットごとに、例えば、目視検査及び/又はカメラによる検査のために、一組の同心円を粉末、箔又はプレート上に投影しても、焼き付けてもよい。
【0059】
第2の焦点スポットサイズは、第1の焦点スポットサイズより少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍又は少なくとも8倍大きくてもよい。
【0060】
焦点スポットサイズは、その焦点での焦点スポットの直径によって決定されてもよい。換言すれば、焦点スポットサイズはビームウエストに対応してもよい。測定面に投影されたビームスポットサイズは、レーザ光の焦点スポットサイズと焦点ボケに依存する可能性がある。
【0061】
装置は、選択的レーザ焼結及び/又は選択的レーザ溶融によって3次元ワークピースを生成するための装置であってもよい。
【0062】
この場合、装置は、処理チャンバ、粉末塗布装置、構築シリンダ内でz軸に沿って移動可能な担体など、そのような機械の典型的な要素を備えてもよい。
【0063】
方法は、3次元ワークピースの層の輪郭を第1の焦点スポットサイズで照射するステップと、輪郭内の3次元ワークピースのコア部を、第1の焦点スポットサイズより大きい第2の焦点スポットサイズで照射するステップとをさらに含んでもよい。少なくとも1つの補正値により、輪郭及びコア部のうちの少なくとも1つを照射するレーザ光の位置を補正してもよい。
【0064】
この場合、輪郭(シェル)内のエリアを、第2の焦点スポットサイズを有するレーザ光によって完全に固化することを確実なものにすることができる。
【0065】
第1の態様による方法の方法ステップは、示した順序で実施されてもよい。しかし、各ステップの順序は、示した順序に限定されるものではない。例えば、方法は、第1の光学構成を設定し、第2の光学構成を設定し、第1の位置を測定し、第2の位置を測定し、少なくとも1つの補正値を決定するという順序に従って実施されてもよい。上記のステップの順序は、照射パターンを箔又はプレートに焼き付ける場合に特に有用であってもよい。この場合、最初に、照射ステップを実施してもよく、続いて測定ステップを実施する。別の例では、対応する位置の測定は、光学構成の設定中又はその直後に実施されてもよい。
【0066】
測定が(光学ユニットの走査範囲内の)複数の場所で実施される場合、第1の態様による方法は、示した順序である場所にて、次の場所でその方法を実施する前に、実施されてもよい。これとは別に、方法は、第2の光学構成が設定され、第2の位置が一連の場所又はあらゆる場所で測定される前に、第1の光学構成が設定され、第1の位置が一連の位置又はすべての位置で測定されるという順序で実施されてもよい。
【0067】
第2の態様によれば、コンピュータプログラム製品を提供する。このコンピュータプログラム製品は、レーザ光を生成するための少なくとも1つの光学ユニットを備える装置であって、少なくとも1つの光学ユニットは複数の光学素子を備える、装置のプロセッサによって実施されるときに、第1の態様による方法を実施するように装置に命令する。
【0068】
コンピュータプログラム製品は、コンピュータ可読担体に保存されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
本発明の好ましい実施形態を、添付の概略図を参照してさらに詳細に説明する。
図1図1は、本明細書に記載の実施形態による方法を実施するために使用され得る、3次元ワークピースを製造するための装置の概略図を示す。
図2図2は、本開示の実施形態に従って使用され得る光学ユニットの2つの例示的な光学構成を示す。
図3図3は、異なる光学構成に対する光学ユニットの2つのレンズのレンズ位置を示す図を示す。
図4図4は、1つの光学ユニットに関する図を示す。この図では、異なる光学構成に対するそれぞれのレーザ光の位置の横方向オフセットを示す。
図5図5は、本開示の一実施形態による方法のフローチャートを示す。
図6図6は、1つの光学ユニットに関する図を示す。この図では、少なくとも1つの補正値が適用された後の異なる光学構成に対するそれぞれのレーザ光の位置の横方向オフセットを示す。
図7図7は、同心円を有する例示的な照射パターンの図を示す。この図では、各円は1つの光学構成を表す。
図8図8(a)、(b)は、較正前の12個の光学ユニットを較正するための照射パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1は、本開示による方法を実施するのに適した、3次元ワークピース8を製造するための装置10の概略図を示す。しかし、本開示は、まさに図1の装置によって実施される方法に限定されるものではない。この方法は、任意の適切な装置によって実施されてもよい。例えば、そのような装置は、選択的レーザ溶融のための装置又は選択的レーザ焼結のための装置であってもよい。ここで、原料粉末の後続の層を選択的に照射し固化するために1つ又は複数のレーザ光を使用してもよい。さらに、本開示の較正技術は、粉末床溶融結合のための装置に限定されない。当業者は、本開示で考察する較正技術を、異なる焦点スポットサイズを有するレーザ光を生成する光学ユニットを備える装置を伴うさまざまなレーザ加工技術に適用することができることを理解するであろう。
【0071】
本開示では、粉末床溶融結合の技術は当業者に周知のものであると想定されているため、このような技術の詳細については詳細に考察しない。以下に説明する選択的レーザ溶融のプロセスを実施するための装置10は、一例として機能してもよい。粉末床溶融結合の典型的な特徴は、製造されるワークピースの1つの層を生成するために、原料粉末が層状に塗布され、各層が選択的に照射されて固化されることである。余分な粉末を除去し、後処理の任意選択のステップ(例えば、1つ又は複数の支持構造体の除去)を経た後、最終的なワークピースが得られる。
【0072】
図1は、選択的レーザ溶融によって3次元ワークピース8を製造するための装置10を示す。装置10は処理チャンバ12を備える。処理チャンバ12は、周囲雰囲気、即ち、処理チャンバ12の周囲の環境に対して密閉可能である。処理チャンバ12内に配置された粉末塗布装置14が、原料粉末を担体16上に塗布するように機能する。垂直移動ユニット32が設けられており、その結果、担体16を垂直方向に変位させることができ、ワークピース8の構築高さが増加するにつれて、ワークピース8が担体16上の原料粉末から層状に積み上げられるにつれて、担体16は垂直方向下方に移動することができる。
【0073】
垂直移動ユニット32による担体16の移動可能性は、選択的レーザ溶融の分野では周知であるため、ここでは詳細に説明しない。可動担体16の代替として、担体16は、(特に、垂直z方向に関して)静止(又は固定)担体として提供されてもよい。ここで、照射ユニット20(以下を参照)及び処理チャンバ12は、構築プロセス中に(即ち、ワークピース8の構築高さが増加するにつれて)上方に移動するように構成されている。さらに、担体16と照射ユニット20の両方は、z方向に沿って個別に移動可能であってもよい。
【0074】
担体16の担体表面が水平面(x-y平面)を形成する。ここで、この平面に直交する方向を垂直方向又は構築方向(z方向)として定義する。このため、原料粉末の各最上層28は、上記で定義した水平面(x-y平面)に平行な面内に延在する。
【0075】
この装置は、不活性ガス(例えば、アルゴン)を処理チャンバ12内に供給するためのガス入口6をさらに備える。(図示しない)ガス出口を設けて、ガス回路を実装することによって処理チャンバ12を通してガスの連続流を生成してもよい。
【0076】
さらに、動作中に光学ユニット20によって粉末床に向けて照射されるレーザ光2を観察するため及び/又はレーザ光2による照射後の照射領域を観察するために、カメラ4を処理チャンバ12内に配置する。さらに、それぞれの光学フィルタでレーザ光2の波長を遮断することによって、生成された溶融プールの熱放射のみを観察してもよい。カメラ4は、溶融プール観察装置の一部であってもよい。図1に示す実施形態では、カメラ4は、原料粉末の最上層28の画像を生成するように構成された独自の光学システムを有する。このため、カメラ4は、集束光学系及び/又はズーム光学系を含んでもよい。特に、図1に示す実施形態では、カメラ4は、測定面42のレーザ光2の位置を決定するために使用される。測定面42は、担体16上に配置された原料粉末の最上層28の面に相当する。
【0077】
装置10は、担体16上に塗布された原料粉末の最上層28にレーザ光2を選択的に照射するための光学ユニット20(照射ユニットとも呼ばれる)をさらに備える。光学ユニット20によって、担体16上に塗布された原料粉末は、製造されるワークピース8の所望の形状に応じて、部位選択的な方法でレーザ放射を受けてもよい。
【0078】
光学ユニット20は、担体16上に塗布された原料粉末にレーザ光2を選択的に照射するように構成された走査ユニット22を備える。走査ユニット22は、装置10の(図示しない)制御ユニットによって制御される。走査ユニット22は、2つの直交する軸に関して傾斜可能な1つのミラーを備えてもよい。これとは別に、走査ユニット22は、対応する軸に関してそれぞれが傾斜するように構成された2つの傾斜可能なミラーを備えてもよい。傾斜可能なミラーは、例えば、ガルバノミラーであってもよい。
【0079】
光学ユニット20には、レーザ光源18からレーザ光が供給される。レーザ光源18は、図1に示すように、光学ユニット20の内部に設けられても、光学ユニット20の外部に設けられてもよい。光学ユニット20の外部に設けられる場合、レーザ光はレーザ光源18によって生成され、光ファイバ24を介して光学ユニット20に導かれる。これとは別に、レーザ光は、例えば、1つ又は複数のミラーを使用することによって、空気又は真空を通して光学ユニット20内に導かれてもよい。
【0080】
レーザ光源18からレーザ光は走査ユニット22に方向づけられる。レーザ光源18は、例えば、約1070~1080nmの波長でレーザ光を放射するダイオード励起イッテルビウムファイバレーザを備えてもよい。
【0081】
光学ユニット20は、レーザ光2をz軸に沿った所望の焦点位置38に集束するように構成された2つのレンズ34及び36をさらに備える。図1に示す実施形態では、両方のレンズ34及び36が正の屈折力を有する。光路のさらに上流にあるレンズ34は、平行又は実質的に平行なレーザ光が生成されるように、ファイバ24によって放射されたレーザ光を平行にするように構成されている。光路のさらに下流のレンズ36は、平行化された(又は実質的に平行化された)レーザ光を所望のz位置に集束させるように構成されている。
【0082】
この点に関して、レンズ36は、光路に沿ったレンズ36の移動がz軸に関して焦点位置38のズレをもたらすため、焦点レンズとして考えられてもよい。レンズ34は、光路に沿ったレンズ34の移動により焦点位置38での焦点スポットサイズが変化するため、ズームレンズとして考えられてもよい。しかし、図2に関してさらに詳細に考察するように、焦点位置38の位置を維持しながら焦点スポットサイズを変更するには、両方のレンズ34及び36の移動が必要である。
【0083】
図1に示すレンズ34及び36の配置は、光学ユニット内の光学配置の多くの可能な例のうちの1つにすぎないことにさらに留意されたい。例えば、図1に示す単一望遠鏡配置の代わりに、各望遠鏡当たり2つのレンズを備えた二重望遠鏡配置を提供してもよい。このため、光学ユニット20は、固定又は可動、例えば、光軸に沿って可動であり得るレンズなどの任意の数の光学部品を備え得ることに留意されたい。しかし、上記のように、集束機能及びズーム機能を果たすために、少なくとも2つのレンズが可動に設けられる。
【0084】
最上層28内で生成されたレーザスポットの直径の変化がこのほか、非集束ビームが層28に入射するように、焦点位置38を層28の外に移動させることによって達成されることがあり得ることにさらに留意されたい。換言すれば、層28内に生成されたレーザスポットの直径の変化がこのほか、「単に」焦点をぼかすことによって、即ち、ズームレンズ34を移動させずに単に焦点レンズ36を移動させることによって達成されることがあり得る。この状況を図1に示している。ここで、焦点がぼかされたレーザ光2が層28に衝突し、レーザ光2は焦点ボケ40によって焦点がぼかされる。換言すれば、レーザ光2の焦点位置38が層28内にない。この状況では、レーザ光2は層28上に「集束されて」いない。測定面42が層28内に位置決めされている場合、レーザ光2は測定面42上に集束されない。
【0085】
本開示は、むしろ、焦点位置38での焦点スポットサイズが実際に変化する状況、即ち、集束レーザ光2のビームウエストが変化する状況を対象とする。好ましい実施形態では、焦点位置は測定面42内に留まる。これを達成するために、少なくとも2つのレンズが移動する、即ち、2つのレンズ34及び36が移動する。さらに、スポットサイズはこのほか、ビームウエスト(焦点スポットサイズ)と焦点位置(焦点ボケ)の変更の組み合わせによって変更される場合もある。
【0086】
さまざまな焦点スポットサイズの光学構成の詳細をさらに図2に示す。
【0087】
図2では、実線は第1の光学構成を表すのに対し、点線は第2の光学構成を表す。第1の光学構成では、第2の光学構成よりも小さなレーザスポットが生成される。さらに正確には、第1の光学構成での焦点スポットサイズ44が、第2の光学構成での焦点スポットサイズ46よりも小さい。どちらの構成でも、レーザ光2は測定面42(例えば、図1の最上層28)上に集束される。光学ユニット20を第1の光学構成から第2の光学構成にするには、両方のレンズ34及び36を光軸方向に沿って移動させる必要がある。上記を考慮すると、所望の測定面42内で所望の焦点スポットサイズを提供するための両方のレンズ34及び36の位置を、事前に定義し、両方のレンズ34及び36の動きを制御するように構成された制御ユニットのメモリに保存することができる(図3も参照)。
【0088】
図2は、焦点位置38を同じ測定面42内に維持しながら焦点スポットサイズを変更したときに発生し得る問題をさらに示している。
【0089】
レンズ34及び36は、光軸に関して完全に位置合わせされていない場合がある。換言すれば、以下の考察では、図2のx軸に沿った光軸を考慮する場合がある。ここで、この光軸はファイバ18の向きによって定義される。しかし、レンズ34及び36は、この光軸に関して完全に位置合わせされていない可能性がある。このため、「光軸に沿った」レンズ34及び36の動きも光軸と完全に平行ではないことになる。このため、レンズ34及び36を「光軸に沿って」移動させることによって、焦点位置38は、(必要に応じて)z方向に関して変更されるだけでなく、x-y平面に関して、即ち、測定面42内でも変更される。換言すれば、焦点位置38の横ズレが発生する。この問題は、図2にて、最適値に関する誤差角度48によって示されている。理想的な場合では、誤差角度48はゼロとなり、全光学素子は光軸が一致して完全に位置決めされるであろう。
【0090】
上記の効果に加えて、熱効果(例えば、熱レンズ)が、焦点位置38の横ズレの影響に寄与する可能性がある。
【0091】
結果として生じる横ズレは、参照符号50によって示される。
【0092】
例えば、倍率値1(最小レーザ焦点サイズ)に関連する光学構成について光学配置が最適化される場合、(これより高い倍率値に関連する)他の全光学構成によって引き起こされる横ズレを、倍率値1でのレーザ光2の位置に関して考慮してもよい。
【0093】
このため、倍率値1について光学構成からのレンズ34、36の移動が大きくなるほど、(第1の光学構成でのレーザ位置に関して)横方向オフセット50も大きくなると予想される。これは、横方向オフセット50を決定するためのゼロ点が倍率値1の光学構成に対して定義されているためである。
【0094】
図3は、ズームレンズ34及び焦点レンズ36の移動を示す。ここで、レンズ位置は倍率1に対してゼロに正規化されている。図3では、上の曲線はズームレンズ34のレンズ位置を示し、下の曲線は焦点レンズ36のレンズ位置を示し、いずれも任意の単位で示している。図3からわかるように、両方のレンズの最大移動は倍率2付近で発生する。
【0095】
図4には、装置10の1つの例示的な光学ユニット20について、対応する測定された横方向オフセットを示している。x-y平面(測定平面)内の横方向オフセットは、x軸に沿った成分とy軸に沿った成分に分割される。さらに、倍率値1に対応する光学構成のオフセットはゼロに正規化される。
【0096】
図4から、(異なる光学構成に対応する)異なる倍率値が光学ユニットに設定されると、それぞれの光学ユニットが焦点位置の横ズレの上記の問題を呈することがわかる。図3に示すレンズ位置に関する上記の考察から予想することができるように、横方向オフセット(x方向とy方向の両方)は、倍率値が約2のときに最大となり、その値付近の両方のレンズの移動が最大になる。
【0097】
以下では、図4に示す横方向オフセットを除去するか、少なくとも軽減することを目的とした方法について考察する。
【0098】
図5は、本開示の一実施形態による、レーザ光2を方向づけるための少なくとも1つの光学ユニット20を備える装置10でのレーザ光2の位置を較正する方法を示す。少なくとも1つの光学ユニット20は、複数の光学素子(レンズなど)を備える。一例として、図1に関して考察した装置10は、図5の方法を実施するために使用されてもよい。
【0099】
第1のステップ52によれば、この方法は、少なくとも1つの光学ユニット20の複数の光学素子に対して第1の光学構成を設定し、それによって、第1の焦点スポットサイズ44でレーザ光2を測定面42上に方向づける(特に、集束させる)ステップを含む。第2のステップ54によれば、この方法は、第1の光学構成で生成されたレーザ光2の測定面42内の第1の位置を測定し、好ましくは、測定された第1の位置に基づいて第1の位置データセットを保存するステップを含む。第3のステップ56によれば、この方法は、少なくとも1つの光学ユニット20の複数の光学素子に対して第2の光学構成を設定し、それによって、第1の焦点スポットサイズ44とは異なる第2の焦点スポットサイズ46でレーザ光2を測定面42上に方向づける(特に、集束させる)ステップを含む。第4のステップ58によれば、この方法は、第2の光学構成で生成されたレーザ光2の測定面42内の第2の位置を測定し、好ましくは、測定された第2の位置に基づいて第2の位置データセットを保存するステップを含む。第5のステップ60によれば、この方法は、測定された第1の位置及び測定された第2の位置に基づいて少なくとも1つの補正値を決定するステップを含む。
【0100】
この方法のステップ52~60は、上記で示した順序で実施されてもよい。このため、対応する光学構成が設定され、対応するレーザ光が照射された後、毎回レーザ光の位置を測定してもよい。しかし、この方法はこのほか、最初に光学構成が設定されて測定面42が照射され、次に位置が測定されるように実施されてもよい。この場合、ステップの順序が52、56、54、58及び60であってもよい。
【0101】
本較正技術によれば、レーザ光2を測定面42に照射することができる方法及び位置を決定することができる方法にはさまざまなものがある。
【0102】
第1の例によれば、レーザ光2は最上粉末層28に照射され、レーザ光の位置(即ち、第1及び第2の位置)は、図1のカメラ4などのカメラによって決定される。この場合、位置は、レーザ光2が粉末層28を照射するときに(エネルギー密度が粉末を溶融するのに充分なほど高いか、粉末を一時的に加熱するのに充分なほど高いか、粉末に影響を及ぼさないほど低い状態で)決定されても、レーザスポット2が粉末層28に所定の照射パターンを焼き付けた後に決定されてもよい。
【0103】
第2の例によれば、センサを、測定面42内、例えば、装置10の構築プロセス中に最上粉末層28が照射される面内、あるいは粉末層の平面の上方又は下方に一定のオフセットを有する平行面内に位置決めする。この目的のために、センサは、担体16上に位置決めされ、最上部の粉末層28の平面内に位置決めされるまで上方又は下方に移動させられてもよい。センサは、CCDセンサ又はCMOSセンサなどの2次元センサであってもよい。このほか、センサを使用する場合に、センサは現在の照射の位置情報を直接出力しても、2次元画像データを出力してもよい。2次元画像データに基づいて、照射後の位置を求める。
【0104】
第3の例によれば、レーザ光2は、測定面42を形成する箔又はプレートに照射される。箔又はプレートは平面内に位置決めされてもよい。ここで、装置10の構築プロセス中に最上部の粉末層28が照射される。この目的のために、箔又はプレートは、担体16上に位置決めされ、最上部の粉末層28の平面内に位置決めされるまで上方又は下方に移動させられてもよい。箔は感光性箔であってもよい。プレートは、例えば、陽極酸化アルミニウムを含んでもよい。好ましい場合では、レーザ光2は、箔又はプレート上に照射される照射パターンに従って、箔又はプレートに目に見えるマークを残す。照射後、照射パターンはヒトの眼及び/又はカメラによって観察されてもよい。これとは別に、レーザは、箔又はプレートに投影されるのみで、例えば、投影中にカメラによって観察されてもよい。
レーザ光2の位置は、コンピュータの支援を受けて、即ち、画像解析ソフトウェアの支援を受けて決定されてもよい。
【0105】
第4の例によれば、センサ又は箔もしくはプレートは、レーザ光2が可動ミラーによって偏向される、処理チャンバ12の側部領域に位置決めされてもよい。測定と較正を実施するには、可動ミラーをレーザ光2内に移動させる。測定及び較正が終了すると、可動ミラーを再びレーザ光2から遠ざけてもよい。この場合、測定面はx-y面に平行ではなく、例えば、z軸に平行であってもよい。例えば、測定面は、x-z面又はy-z面であってもよい。
【0106】
第5の例によれば、センサ又は箔もしくはプレートは、原料粉末の最上層28の隣、即ち、処理チャンバ12の底部領域の地面に位置決めされてもよい。センサ又は箔もしくはプレートが配置される平面が、最上層28の平面に対応してもよい。
【0107】
以下では、図5の方法のステップを図1に示す実施形態の装置10によってどのように実施することができるかを説明する。以下に説明する実施形態によれば、この方法は、ステップ52、56、54、58及び60の順序で実施される。
【0108】
ステップ52:レーザ光2が測定面42上に集束されるように、光学ユニット20内のレンズ34及び36の第1の光学構成を設定することが好ましい。光学構成は、光軸に沿ったレンズ34及び36の所定の位置を指す。光学構成を設定するために、レンズは、装置10の制御ユニットによって制御される対応するアクチュエータによって移動されてもよい。レンズ34及び36の位置は、例えば、ルックアップテーブルの形式で制御ユニットに保存される。レンズ34、36の位置を設定するために、所望の倍率値(例えば、倍率値1)を選択してもよく、対応するレンズ位置はルックアップテーブルから読み取られてもよい。例えば、図3は、所望の倍率値とレンズ34及び36の対応するレンズ位置との関係を示す。レンズ34及び36の位置情報は、例えば、焦点スポット位置38及び/又は倍率値の較正が実施された後に更新されてもよい。しかし、この較正の詳細が当業者には周知であるため、本明細書ではこれ以上詳しく説明しない。
【0109】
上記で示したように、特にレーザ光2の位置を測定する方法に関して、この方法を実施するさまざまな可能性が存在する。以下では、上記の第3の例に従って、感光性箔を使用した例に焦点を当てる。しかし、当業者には理解されるであろうように、第1から第5の例による他の可能性も、図1の装置10を用いて実現することができる。
【0110】
光学構成は、好ましくは、レーザ焦点位置38が装置10の構築プロセス中に原料の最上層28が提供される位置で形成される測定面42内にあるように、設定される。このため、感光性箔は担体16上に載置され、担体は箔が所望の測定面42に位置するまで(上方又は下方に)移動する。
【0111】
走査ユニット22は、照射ユニット20が第1の光学構成にある間に、所定の第1の照射パターンが箔上に照射されるように制御される。可能な照射パターンの例を図7及び図8を参照して説明する。例えば、第1の光学構成の照射パターンは、第1の半径を有する第1の円であってもよい。
【0112】
ステップ56:第1の光学構成の照射パターンが完了した後、第2の光学構成を光学ユニット20に設定する。例えば、第2の倍率値(倍率値5など)を選択してもよく、レンズ34及び36は、(例えば、図3に示すデータに基づいて)所望の倍率値の所定の位置に移動する。レーザ焦点位置38は、測定面42内に維持されてもよい。換言すれば、図2に示すように、レーザ光2の「ズーム」のみを変更してもよく、その焦点位置38を変更しなくてもよい。焦点位置38、ひいてはビームウエストは測定面42にとどまる可能性がある。これとは別に、ビームウエストと焦点位置の変更を組み合わせることにより、所望の倍率を達成してもよい。
【0113】
この第2の光学構成では、第2の照射パターンが照射され、それによって箔に焼き付けられる。第2の照射パターンは、第1の円と同心であるが異なる(例えば、これより大きい)半径を有する第2の円であってもよい。
【0114】
以下の任意選択のステップでは、追加の光学構成が設定され、対応する照射パターンが箔に(例えば、同心円として)焼き付けられる。
【0115】
さらに、装置10が複数の光学ユニット20を備える場合、他の光学ユニットは、上記で考察したのと同じステップを光学ユニット20に対して同時に実施するか、次々に実施してもよい。
【0116】
上記で考察したステップ52及び56の後に、任意選択のステップが続いてもよい。この任意選択のステップでは、箔は人(例えば、装置10の操作者)のヒトの眼によって検査される。照射された照射パターンに任意の不規則性(例えば、非対称性、予期せぬ線の太さ、予期せぬ程度の変色など)を人が検出した場合、上記で考察したようにレーザ位置の詳細な測定を実施することによって箔をさらに検査することが決定される。しかし、人が視覚的に知覚できる任意の不規則性を検出しない場合には、装置の光学ユニット20は充分に較正されていると判断され、それ以上の測定は実施されない。この場合、3次元ワークピースの構築プロセスを開始することができる。発明者らは、同心円を含む照射パターンがヒトの眼による検査に有利であり、不規則性は、例えば、平行なストライプのパターンよりもはるかに容易に検出することができることを発見した。
【0117】
ステップ54:箔はカメラ、例えば、装置10のカメラ4又は外部カメラで観察され、2次元画像が生成される。2次元画像に基づいて、第1の照射パターンの位置が、例えば、箔上の基準点に関して(例えば、箔の角に関して、あるいは箔に焼き付けられた1つ又は複数の基準マークに関して)決定される。このようにして、レーザ光2が第1の光学構成で箔に照射されたときのレーザ光2の位置が決定される。この位置を測定するプロセスは、画像解析ソフトウェアによって完全に自動的に実施されても、操作者が記録された画像を検査して、2次元画像データにそれぞれのマーカーを設定してもよい。第1の位置を示す第1の位置データセットを保存する。
【0118】
ステップ58:第1の光学構成の第1の位置の測定と同じように、第2の照射パターンの位置を測定することによって、第2の光学構成の第2の位置を測定する。第1の照射パターンと第2の照射パターンの相互の位置を(箔上の「グローバル」基準点に関してではなく)測定するだけで充分であり得ることに留意されたい。この場合、較正を実施して、例えば、第1の光学構成に対して正規化してもよい。第2の位置を示す第2の位置データセットを保存する。
【0119】
第1及び第2の光学構成以上のものを考慮するべき場合にはこのほか、追加の照射パターンの位置を決定する。
【0120】
ステップ60:全光学構成の位置が測定されると、第1及び第2の位置データセットに基づいて少なくとも1つの補正値を決定する。例えば、横方向オフセット(x-y平面内)を、第1の光学構成での予想されたレーザ位置と第2の光学構成での予想されたレーザ位置との間で決定する。例えば、予想されたレーザ位置は、それぞれの照射パターンに対応する円の中心であってもよい。オフセットは、x値とy値で示されてもよい。オフセットは、装置10の制御ユニットのメモリに保存される。例えば、オフセット値を、第1の光学構成の位置に関して保存してもよい。この場合、第1の光学構成を使用するときには、オフセットは適用されない。しかし、第2の光学構成のレーザ光が照射されるとき、オフセットは、x-y平面(測定面42)内のレーザ光2の所望の位置が照射位置に対応するように、スキャナユニット22に提供された位置データに適用される。同じように、他の光学構成(例えば、第3の光学構成、第4の光学構成など)のオフセット値を制御ユニットに保存してもよい。
【0121】
これとは別に、箔上の(ひいては、測定面42内の)グローバル基準点を使用してもよく、基準点に関するオフセット値を全光学構成に(即ち、第1の光学構成にも)適用してもよい。
【0122】
さらに、光学構成を照射用に設定しているが、この光学構成に対して対応するオフセット(補正値)をメモリに保存していない場合、補間により補正値を決定してもよい。例えば、倍率値とオフセットとの間の線形依存性を仮定してもよい。
【0123】
図6は、補正値が適用された後の光学ユニット20についての図を示す。この図は、(較正前の状況を示している)図4とほぼ同じである。図6からわかるように、光学ユニット20については、異なる倍率値に対する横方向オフセットを(不可避のノイズは別として)ほぼ完全に除去することがあり得る。
【0124】
図7は、装置10の1つの光学ユニット20に対する照射パターンの一例を示す。照射パターンは、光学ユニット20の9つの異なる光学構成によって照射されている。まず、十字を形成する縦線と横線を倍率1で書く。このほか、第1の半径を有する円を倍率値1で書く。ここでは、円の中心が縦線と横線の交点に対応する。その後、続いて、各光学構成について円を照射する。ここでは、あらゆる円が第1の円に関して同心である。図7の例では、個々の円に使用された倍率値は、1、1.3、1.5、1.8、2、2.5、3、6及び8に対応する。
【0125】
図からわかるように、図7の例での不規則性の存在はヒトの眼で容易に観察することができ、さらに詳細な測定の必要性を示している。
【0126】
各光学構成の補正値は、図7に示す照射パターンに基づいて、倍率値1の光学構成の下に記した円と横線及び縦線との交点の位置を比較することによって、容易に求めることができる。
【0127】
図8(a)は12個の光学ユニットの照射パターンを示す。ここで、図7に関して上記で考察したように、各光学ユニットに同心円のセットを提供している。詳細な測定を実施していなくても図8(a)から直接わかるように、円のうちのいくつかは完全に同心ではなく、x-y平面内でずれているように見える。このため、対応する光学ユニットには横方向オフセットが存在するため、較正する必要がある。
【0128】
図8(b)は、較正後の照射パターンを示す。ここで、同心円のセットでの不規則性は視覚的に認識可能ではない。
【0129】
図8(a)及び図8(b)に示すパターンは、ボックスをさらに含む。ボックスは、屈折力の差(又は焦点ボケ)を観察するために、対応する光学ユニット20からのハッチパターンで満たされている。このような白いボックスのうちの1つ又は複数が他のボックスとは異なる程度の変色を有する場合、これは、対応する光学ユニット20のレーザ出力(又は焦点位置)がずれていることの示唆である。
【0130】
図8(a)及び図8(b)に示すパターンは、直線及び曲線のセットをさらに含む。ここで、各線は装置10の1つの光学ユニット20によって書き込まれる。このため、個々のラインが1つの連続したラインを形成していない場合でも、光学ユニット間の不一致(即ち、x-y平面内の横ずれ)を簡単に検出して補正することができる。
【0131】
上記の測定は、装置10の測定モードにて、装置10の設定中又は装置10のメンテナンス中に実施することができる。測定中、装置10は、雰囲気の酸素含有量、温度などの所定のプロセスパラメータに設定することができる。特に、測定は構築条件下で実施することができる(装置10は加熱され、光学素子は加熱され、ガスが構築プロセス中のように流れる)。
【0132】
上記で考察した技術によれば、光学ユニットを異なる光学構成に設定した場合に発生し得る横ズレを容易に較正することができる可能性がある。このようにして、生産されるワークピースの品質を向上させることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-04-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0132
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0132】
上記で考察した技術によれば、光学ユニットを異なる光学構成に設定した場合に発生し得る横ズレを容易に較正することができる可能性がある。このようにして、生産されるワークピースの品質を向上させることができる。
上述の実施形態は下記のようにも記載され得るが下記には限定されない。
[構成1]
装置(10)にてレーザ光(2)の位置を較正するための方法であって、前記装置(10)は、前記レーザ光(2)を方向づけるための少なくとも1つの光学ユニット(20)を具備し、前記少なくとも1つの光学ユニット(20)は、複数の光学素子(34、36)を具備し、前記方法は、
前記少なくとも1つの光学ユニット(20)の前記複数の光学素子(34、36)に対して第1の光学構成を設定し、それによって、第1の焦点スポットサイズ(44)で測定面(42)上に前記レーザ光(2)を方向づけるステップ(52)と、
前記第1の光学構成で生成された前記レーザ光(2)の前記測定面(42)内の第1の位置を測定するステップ(54)と、
前記少なくとも1つの光学ユニット(20)の前記複数の光学素子(34、36)の第2の光学構成を設定し、それによって、前記第1の焦点スポットサイズ(44)とは異なる第2の焦点スポットサイズ(46)で前記レーザ光(2)を前記測定面(42)上に方向づけるステップ(56)と、
前記第2の光学構成で生成された前記レーザ光(2)の前記測定面(42)内の第2の位置を測定するステップ(58)と、
前記測定された第1の位置及び前記測定された第2の位置に基づいて少なくとも1つの補正値を決定するステップ(60)と、を含む、方法。
[構成2]
前記少なくとも1つの光学ユニット(20)の前記複数の光学素子(34、36)に対して前記第1の光学構成を設定するステップ(52)及び/又は前記少なくとも1つの光学ユニット(20)の前記複数の光学素子(34、36)に対して前記第2の光学構成を設定するステップ(56)は、前記レーザ光(2)を前記測定面(42)上に集束させるステップを含む、構成1に記載の方法。
[構成3]
前記測定された第1の位置に基づいて第1の位置データセットを保存するステップと、
前記測定された第2の位置に基づいて第2の位置データセットを保存するステップと、をさらに含む、構成1又は2に記載の方法において、
前記決定するステップ(60)は、前記第1の位置データセット及び前記第2の位置データセットに基づいて前記少なくとも1つの補正値を決定するステップを含む、方法。
[構成4]
前記第1の光学構成での前記レーザ光の位置と前記第2の光学構成での前記レーザ光の位置との間の関係が既知のものであるように、前記装置(10)の使用中に前記少なくとも1つの補正値を適用するステップをさらに含む、構成1から3のいずれか1項に記載の方法。
[構成5]
前記少なくとも1つの補正値に基づいて補間又は外挿を実施することにより、第3の光学構成に対して少なくとも1つの補正値を決定するステップをさらに含む、構成1から4のいずれか1項に記載の方法。
[構成6]
前記少なくとも1つの光学ユニット(20)の前記複数の光学素子(34、36)に対して前記第2の光学構成を設定するステップは、少なくとも2つの光学素子(34、36)、特に、少なくとも2つのレンズ(34、36)の位置を変更するステップを含む、構成1から5のいずれか1項に記載の方法。
[構成7]
前記第1の光学構成にある間、第1の照射パターンに従って前記測定面(42)を照射するステップと、
前記第2の光学構成にある間、第2の照射パターンに従って前記測定面(42)を照射するステップと、をさらに含む、構成1から6のいずれか1項に記載の方法。
[構成8]
前記第1の照射パターン及び前記第2の照射パターンは、前記測定面(42)に位置決めされた少なくとも1つのセンサ上に照射される、構成7に記載の方法。
[構成9]
前記第1の照射パターン及び前記第2の照射パターンは、前記測定面(42)に位置決めされた箔もしくはプレート又は粉末層上に投影されるか焼き付けられる、構成7に記載の方法。
[構成10]
前記第1の位置を測定する前記ステップの前及び前記第2の位置を測定する前記ステップの前に、前記第1の照射パターン及び前記第2の照射パターンをヒトの眼で観察し、その観察に基づいて、前記第1の位置を測定する前記ステップ(52)及び前記第2の位置を測定する前記ステップ(58)を実施するべきであると決定するステップをさらに含む、構成9に記載の方法。
[構成11]
前記第1の照射パターンは第1の円を含み、前記第2の照射パターンは前記第1の円と同心の第2の円を含む、構成7から10のいずれか1項に記載の方法。
[構成12]
前記装置(10)は複数の光学ユニットを具備し、同心円のセットを前記光学ユニットのそれぞれに対して照射する、構成11に記載の方法。
[構成13]
前記第2の焦点スポットサイズ(46)は、前記第1の焦点スポットサイズ(44)よりも少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍又は少なくとも8倍大きい、構成1から12のいずれか1項に記載の方法。
[構成14]
前記装置(10)は、選択的レーザ焼結及び/又は選択的レーザ溶融によって3次元ワークピース(8)を生成するための装置であり、前記方法は、
3次元ワークピース(8)の層の輪郭を前記第1の焦点スポットサイズ(44)で照射するステップと、
前記輪郭内の前記3次元ワークピース(8)のコア部を、前記第1の焦点スポットサイズ(44)より大きい前記第2の焦点スポットサイズ(46)で照射するステップと、をさらに含み、
前記輪郭及び前記コア部の少なくとも一方を照射する前記レーザ光(2)の位置を、前記少なくとも1つの補正値によって補正する、構成1から13のいずれか1項に記載の方法。
[構成15]
レーザ光(2)を生成するための少なくとも1つの光学ユニット(20)であって、前記少なくとも1つの光学ユニット(20)は複数の光学素子(34、36)を具備する、少なくとも1つの光学ユニット(20)を具備する装置(10)のプロセッサによって実施されるときに、構成1から14のいずれか1項に記載の方法を実施するように装置(10)に命令する、コンピュータプログラム製品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置(10)にてレーザ光(2)の位置を較正するための方法であって、前記装置(10)は、前記レーザ光(2)を方向づけるための少なくとも1つの光学ユニット(20)を具備し、前記少なくとも1つの光学ユニット(20)は、複数の光学素子(34、36)を具備し、前記方法は、
前記少なくとも1つの光学ユニット(20)の前記複数の光学素子(34、36)に対して第1の光学構成を設定し、それによって、第1の焦点スポットサイズ(44)で測定面(42)上に前記レーザ光(2)を方向づけるステップ(52)と、
前記第1の光学構成で生成された前記レーザ光(2)の前記測定面(42)内の第1の位置を測定するステップ(54)と、
前記少なくとも1つの光学ユニット(20)の前記複数の光学素子(34、36)の第2の光学構成を設定し、それによって、前記第1の焦点スポットサイズ(44)とは異なる第2の焦点スポットサイズ(46)で前記レーザ光(2)を前記測定面(42)上に方向づけるステップ(56)と、
前記第2の光学構成で生成された前記レーザ光(2)の前記測定面(42)内の第2の位置を測定するステップ(58)と、
前記測定された第1の位置及び前記測定された第2の位置に基づいて少なくとも1つの補正値を決定するステップ(60)と、を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光学ユニット(20)の前記複数の光学素子(34、36)に対して前記第1の光学構成を設定するステップ(52)及び/又は前記少なくとも1つの光学ユニット(20)の前記複数の光学素子(34、36)に対して前記第2の光学構成を設定するステップ(56)は、前記レーザ光(2)を前記測定面(42)上に集束させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記測定された第1の位置に基づいて第1の位置データセットを保存するステップと、
前記測定された第2の位置に基づいて第2の位置データセットを保存するステップと、をさらに含
前記決定するステップ(60)は、前記第1の位置データセット及び前記第2の位置データセットに基づいて前記少なくとも1つの補正値を決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の光学構成での前記レーザ光の位置と前記第2の光学構成での前記レーザ光の位置との間の関係が既知のものであるように、前記装置(10)の使用中に前記少なくとも1つの補正値を適用するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの補正値に基づいて補間又は外挿を実施することにより、第3の光学構成に対して少なくとも1つの補正値を決定するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの光学ユニット(20)の前記複数の光学素子(34、36)に対して前記第2の光学構成を設定するステップは、少なくとも2つの光学素子(34、36)、特に、少なくとも2つのレンズ(34、36)の位置を変更するステップを含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記第1の光学構成にある間、第1の照射パターンに従って前記測定面(42)を照射するステップと、
前記第2の光学構成にある間、第2の照射パターンに従って前記測定面(42)を照射するステップと、をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記第1の照射パターン及び前記第2の照射パターンは、前記測定面(42)に位置決めされた少なくとも1つのセンサ上に照射される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の照射パターン及び前記第2の照射パターンは、前記測定面(42)に位置決めされた箔もしくはプレート又は粉末層上に投影されるか焼き付けられる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の位置を測定する前記ステップの前及び前記第2の位置を測定する前記ステップの前に、前記第1の照射パターン及び前記第2の照射パターンをヒトの眼で観察し、その観察に基づいて、前記第1の位置を測定する前記ステップ(52)及び前記第2の位置を測定する前記ステップ(58)を実施するべきであると決定するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の照射パターンは第1の円を含み、前記第2の照射パターンは前記第1の円と同心の第2の円を含む、請求項7記載の方法。
【請求項12】
前記装置(10)は複数の光学ユニットを具備し、同心円のセットを前記光学ユニットのそれぞれに対して照射する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の焦点スポットサイズ(46)は、前記第1の焦点スポットサイズ(44)よりも少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍又は少なくとも8倍大きい、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記装置(10)は、選択的レーザ焼結及び/又は選択的レーザ溶融によって3次元ワークピース(8)を生成するための装置であり、前記方法は、
3次元ワークピース(8)の層の輪郭を前記第1の焦点スポットサイズ(44)で照射するステップと、
前記輪郭内の前記3次元ワークピース(8)のコア部を、前記第1の焦点スポットサイズ(44)より大きい前記第2の焦点スポットサイズ(46)で照射するステップと、をさらに含み、
前記輪郭及び前記コア部の少なくとも一方を照射する前記レーザ光(2)の位置を、前記少なくとも1つの補正値によって補正する、請求項1記載の方法。
【請求項15】
レーザ光(2)を生成するための少なくとも1つの光学ユニット(20)であって、前記少なくとも1つの光学ユニット(20)は複数の光学素子(34、36)を具備する、少なくとも1つの光学ユニット(20)を具備する装置(10)のプロセッサによって実施されるときに、請求項1記載の方法を実施するように装置(10)に命令する、コンピュータプログラム製品。
【国際調査報告】