IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アーコニック インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-534793締結カラー、マルチピース締結具、及び締結方法
<>
  • 特表-締結カラー、マルチピース締結具、及び締結方法 図1
  • 特表-締結カラー、マルチピース締結具、及び締結方法 図2
  • 特表-締結カラー、マルチピース締結具、及び締結方法 図3
  • 特表-締結カラー、マルチピース締結具、及び締結方法 図4A
  • 特表-締結カラー、マルチピース締結具、及び締結方法 図4B
  • 特表-締結カラー、マルチピース締結具、及び締結方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】締結カラー、マルチピース締結具、及び締結方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/04 20060101AFI20240918BHJP
   F16B 19/08 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
F16B5/04 Z
F16B19/08 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509435
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 IB2022000485
(87)【国際公開番号】W WO2023021333
(87)【国際公開日】2023-02-23
(31)【優先権主張番号】2108785
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】63/234,817
(32)【優先日】2021-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504162062
【氏名又は名称】ハウメット エアロスペース インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アルノー・ブリュネ
【テーマコード(参考)】
3J001
3J036
【Fターム(参考)】
3J001FA18
3J001GC02
3J001GC12
3J001JB02
3J001JD02
3J001KA03
3J001KB01
3J036AA01
3J036BA02
3J036CA01
(57)【要約】
本開示は、締結カラー、マルチピース締結具、及び締結方法に関する。締結カラーは、第一のカラー端部、第二のカラー端部、及び第一のカラー端部と第二のカラー端部の中間にあり、締結カラーの長手方向軸を画定する、細長い部分を備える。細長い部分は、外側カラー表面と、カラー空洞を画定する内側カラー表面と、外側カラー表面及び内側カラー表面のうち少なくとも1つ上の溝と、を備える。溝は、長手方向軸に沿って、第一の距離だけ延在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結カラーであって、
第一のカラー端部と、
第二のカラー端部と、
前記第一のカラー端部及び前記第二のカラー端部の中間にあり、前記締結カラーの長手方向軸を画定する細長い部分であって、前記細長い部分が、
外側カラー表面と、
カラー空洞を画定する内側カラー表面と、
前記外側カラー表面及び前記内側カラー表面の少なくとも1つ上の溝であって、前記長手方向軸に沿って第一の距離だけ延在する溝と、を備える、細長い部分と、を備える、締結カラー。
【請求項2】
前記溝が、前記細長い部分の少なくとも前記外側カラー表面上にある、請求項1に記載の締結カラー。
【請求項3】
前記溝が、前記細長い部分の少なくとも前記内側カラー表面上にある、請求項1に記載の締結カラー。
【請求項4】
前記溝における前記細長い部分の壁厚が、前記細長い部分の平均壁厚よりも少なくとも10%小さい、請求項1に記載の締結カラー。
【請求項5】
前記溝における前記細長い部分の壁厚が、前記細長い部分の平均壁厚よりも少なくとも20%小さい、請求項1に記載の締結カラー。
【請求項6】
前記溝が、環状である、請求項1に記載の締結カラー。
【請求項7】
前記第一の距離が、前記締結カラーの全長の少なくとも5%である、請求項1に記載の締結カラー。
【請求項8】
前記溝が、前記第二のカラー端部から前記締結カラーの全長の少なくとも5%オフセットされる、請求項1に記載の締結カラー。
【請求項9】
前記細長い部分が、前記長手方向軸に沿って第二の距離だけ延在するフランジ部分を更に備える、請求項1に記載の締結カラー。
【請求項10】
前記締結カラーが、概して円筒形である、請求項1に記載の締結カラー。
【請求項11】
前記締結カラーが、金属、金属合金、及び複合材料の少なくとも1つを備える、請求項1に記載の締結カラー。
【請求項12】
マルチピース締結具であって、
請求項1に記載の締結カラーと、
前記締結カラーのカラー空洞内に、少なくとも部分的に受容されるように構成されるピンと、を備える、マルチピース締結具。
【請求項13】
前記溝が、取付中に、前記ピンのシャンクの実質的に滑らかな領域と係合するように構成される、請求項12に記載のマルチピース締結具。
【請求項14】
前記ピンが、環状ショルダー、溝、ねじ領域、及び実質的に滑らかな領域の少なくとも1つを備えるシャンクを備える、請求項12に記載のマルチピース締結具。
【請求項15】
前記マルチピース締結具が、航空機用部品又は構成要素、自動車用部品又は構成要素、輸送用部品又は構成要素、並びに建築及び建設用の部品又は構成要素の少なくとも1つとして構成される構造内の孔内へと取付けられるように構成される、請求項12に記載のマルチピース締結具。
【請求項16】
前記ピンが、0.06インチ~4インチの範囲であるシャンク直径を備える、シャンクを備える、請求項12に記載のマルチピース締結具。
【請求項17】
前記ピンが、ヘッド部分を更に備える、請求項12に記載のマルチピース締結具。
【請求項18】
前記マルチピース締結具が、ロックボルト及びブラインド締結具のうちの少なくとも1つである、請求項12に記載のマルチピース締結具。
【請求項19】
締結するための方法であって、
マルチピース締結具であって、
締結カラーであって、
第一のカラー端部と、
第二のカラー端部と、
前記第一のカラー端部及び前記第二のカラー端部の中間にあり、前記締結カラーの長手方向軸を画定する細長い部分であって、前記細長い部分が、
外側カラー表面と、
カラー空洞を画定する内側カラー表面と、
前記外側カラー表面及び前記内側カラー表面の少なくとも1つ上の溝であって、前記長手方向軸に沿って第一の距離だけ延在する溝と、を備える、細長い部分と、を備える、締結カラーと、
前記カラー空洞によって少なくとも部分的に受容されるように構成されたピンであって、前記ピンが、
概して滑らかな領域と、
環状ショルダー、溝、及びねじ領域の少なくとも1つを備える第二の領域と、を備えるシャンクを備える、ピンと、を備えるマルチピース締結具を提供するステップと、
前記ピンの第一のピン端部を、構造及び前記カラー空洞の孔に挿入するステップであって、前記溝が、前記概して滑らかな領域の上に位置付けられる、挿入するステップと、
前記締結カラーの前記細長い部分を、取付ツールの接触面と強制的に接触させ、それによって、前記構造を前記締結カラーの前記第二のカラー端部と強制的に接触させ、前記溝を変形させることを含む、前記細長い部分を前記ピンの前記シャンク上に変形させるステップとを、含む、方法。
【請求項20】
前記シャンク上に前記細長い部分を変形させるステップが、前記取付ツールのアンビルでスエージ加工を施すことを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、締結カラー、マルチピース締結具、及び締結方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両フレーム、ストレージラック、ソーラーパネルサブ構造、航空機部品、及びその他の構造は、多数の機械的締結具を備える場合がある。例えば、機械的締結具は、構造用構成要素の孔に取付けて、部品を共に固定することができる。機械的締結具を孔に適切に取付けることは、現在、困難な場合がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示の非限定的な一態様によると、締結カラーは、第一のカラー端部、第二のカラー端部、及び第一のカラー端部と第二のカラー端部との中間にあり、締結カラーの長手方向軸を画定する、細長い部分を備える。細長い部分は、外側カラー表面と、カラー空洞を画定する内側カラー表面と、外側カラー表面及び内側カラー表面のうち少なくとも1つ上の溝と、を備える。溝は、長手方向軸に沿って、第一の距離だけ延在する。
【0004】
本開示の非限定的な別の態様によると、マルチピース締結具が提供される。マルチピース締結具は、締結カラー及びピンを備える。締結カラーは、第一のカラー端部、第二のカラー端部、及び第一のカラー端部と第二のカラー端部との中間にあり、締結カラーの長手方向軸を画定する、細長い部分を備える。細長い部分は、外側カラー表面と、カラー空洞を画定する内側カラー表面と、外側カラー表面及び内側カラー表面のうち少なくとも1つ上の溝と、を備える。溝は、長手方向軸に沿って、第一の距離だけ延在する。ピンは、締結カラーのカラー空洞内に、少なくとも部分的に受容されるように構成される。
【0005】
本開示の非限定的な更に別の態様によると、締結するための方法が提供される。方法は、マルチピース締結具を提供するステップを含む。マルチピース締結具は、締結カラー及びピンを備える。締結カラーは、第一のカラー端部、第二のカラー端部、及び第一のカラー端部と第二のカラー端部との中間にあり、締結カラーの長手方向軸を画定する、細長い部分を備える。細長い部分は、外側カラー表面と、カラー空洞を画定する内側カラー表面と、外側カラー表面及び内側カラー表面のうち少なくとも1つ上の溝と、を備える。溝は、長手方向軸に沿って、第一の距離だけ延在する。ピンは、第一のピン端部と、概して滑らかな領域を備えるシャンクと、を備える。ピンは、締結カラーのカラー空洞内に、少なくとも部分的に受容されるように構成される。方法は、ピンの第一のピン端部を、構造の孔に挿入するステップを含む。締結カラーの細長い部分は、取付ツールの接触面と強制的に接触し、それによって、構造を締結カラーの第二のカラー端部と強制的に接触させ、細長い部分をピンのシャンク上に変形させる(シャンクの概して滑らかな領域上で溝を変形させることを含む)。
【0006】
本明細書において開示及び記載される発明が、本概要で要約した態様に限定されないことは、理解されよう。本明細書による様々な非限定的かつ非網羅的な態様に関する以下の詳細な説明を考慮することにより、読者は、上記の詳細と、他の詳細と、を理解するであろう。
【0007】
添付図面と併せて以下の説明を参照することによって、実施例の特徴及び利点、並びにそれらを達成する方法は、より明瞭となり、実施例は、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示による締結カラーの、非限定的な実施形態の側面図である。
図2図2は、図1の締結カラーの断面側面図である。
図3図3は、本開示によるマルチピース締結具の、非限定的な実施形態の部分断面側面図である。
図4A図4Aは、構造内に取付られたマルチピース締結具、及び第一の構成の取付ツールの、非限定的な実施形態の部分断面側面図である。
図4B図4Bは、構造内のマルチピース締結具、及び第二の構成の図4Aの取付ツールの断面側面図である。
図5図5は、本開示による締結のための方法に関する、非限定的な実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
対応する参照符号は、複数の図面にわたって、対応する構成要素を示している。本明細書に記載する例示は、一形態における特定の非限定的な実施形態を例示するものであり、そのような例示は、いかなる態様においても、添付の特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0010】
開示される締結カラー、マルチピース締結具、及び締結方法の、構造、機能、及び使用に関する全体的な理解を提供するために、様々な実施例が、本明細書において説明され例示されている。本明細書において説明され例示されている様々な実施例は、非限定的かつ非網羅的である。よって、本発明は、本明細書において開示される様々な非限定的なかつ非網羅的な実施例の記載によって、限定されるものではない。むしろ、本発明は、特許請求の範囲によってのみ規定される。様々な実施例に関連して例示及び/又は記載される特徴及び特性は、他の実施例の特徴及び特性と組合されてもよい。そのような修正及び変形は、本明細書の範囲内に含まれることが意図される。よって、特許請求の範囲は、本明細書に明示的若しくは本質的に記載される、又はさもなければ本明細書によって明示的若しくは本質的に支持される、任意の特徴若しくは特性を記述するように修正されてもよい。更に、出願人は、先行技術内に存在し得る特徴又は特性を肯定的に否認するために、特許請求の範囲を修正する権利を留保する。本明細書に開示及び記載される様々な実施形態は、本明細書に様々に記載される特徴及び特性を含み得、それらからなり得、又は本質的にそれらからなり得る。
【0011】
本明細書で使用される「中間」とは、参照された要素が2つの要素の間に配置されているが、必ずしもそれら要素と接触していないことを意味する。したがって、本明細書において他に記載されていない限り、第一の要素と第二の要素との「中間」に位置した要素は、第一の要素及び/又は第二の要素に対して、隣接していても隣接していなくてもよく、接触していても接触していなくてもよく、他の要素が、中間に位置した構成要素と、第一の要素及び/又は第二の要素と、の間に配置されていてもよい。
【0012】
締結カラーを含むマルチピース締結具を構造内に取付ける間、マルチピース締結具が構造に印加するクランプ力を増加させることが、いくつかの用途では望ましい場合がある。しかしながら、温度が広く変化するなど、特定の用途に対して高いクランプ力値が望ましくない場合がある。例えば、航空宇宙エンジンの動作中、取付けられたマルチピース締結具によって印加される高いクランプ力値は、温度に応じて広く変化し得、これは、マルチピース締結具の性能の変化をもたらし得る。高温が関与する一部の用途では、高いクランプ力は達成できない場合があり、かつ/又は下にある構造を損傷する場合がある。更に、クランプ力を低減することは、典型的には、構造内に取付けられたマルチピース締結具の引張強さも低減する。
【0013】
これらの問題を考慮して、本発明者らは、締結カラー、マルチピース締結具、及びマルチピース締結具の望ましい引張強さを達成しながら、取付中及び/又は取付後にクランプ力値を制御できる締結方法を提供してきた。
【0014】
図1図2を参照すると、本開示による締結カラー102の非限定的な実施形態は、第一のカラー端部104、第二のカラー端部106、第一のカラー端部104及び第二のカラー端部106の中間の細長い部分108、内側カラー表面116、並びに外側カラー表面118を含んでもよい。細長い部分108は、締結カラー102の長手方向軸Aを画定し得る。内側カラー表面116は、第一のカラー端部104から第二のカラー端部106まで延在する。内側カラー表面116は、第一のカラー端部104から第二のカラー端部106まで、細長い部分108を通って延在する、カラー空洞110を画定し得る。細長い部分108は、マルチピース締結具取付ツール(例えば、図4A図4Bを参照として記載された、マルチピース締結具取付ツール440)の接触面に適合するように、構成され得る。
【0015】
細長い部分108は、外側カラー表面118及び内側カラー表面116の少なくとも1つ上に溝を含んでもよい。例えば、図1図2に示すように、溝112が、外側カラー表面118上に提供される。溝112は、図4図4Bを参照して以下に更に論じるように、取付中に締結カラー102によって発生するクランプ力を制御できるように、細長い部分108の壁厚を減少させた領域である。特定の実施形態では、溝112における細長い部分の壁厚tは、細長い部分108の平均壁厚tよりも少なくとも10%小さく、例えば、細長い部分108の平均壁厚tよりも、少なくとも20%小さく、少なくとも25%小さく、少なくとも30%小さく、少なくとも40%、又は少なくとも50%小さくし得る。例えば、溝112の細長い部分は、細長い部分108の平均壁厚tの30%~90%の範囲の壁厚、例えば、細長い部分108の平均壁厚tの、40%~80%、40%~70%、又は50%~75%の壁厚を備え得る。
【0016】
溝112は、長手方向軸Aに沿って、第一の距離dだけ延在する。第一の距離dは、長手方向軸Aに沿って測定されると、例えば、締結カラー102の全長dの、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも12%、又は少なくとも15%など、締結カラー102の全長dの少なくとも2%であり得る。例えば、第一の距離dは、長手方向軸Aに沿って測定されると、締結カラー102の全長dの2%~30%の範囲、例えば、長手方向軸Aに沿って測定されると、締結カラー102の全長dの、2%~25%、5%~25%、5%~15%、又は5%~20%などであり得る。様々な非限定的な実施形態では、第一の距離dは、0.1ミリメートル(mm)~10mmの範囲内、例えば、0.1mm~5mm、0.2mm~2.5mm、0.5mm~4mm、又は0.5mm~2mmなどであり得る。
【0017】
特定の実施形態では、溝112は、環状であり得る。溝が少なくとも外側カラー表面118上に画定される、様々な非限定的な実施形態では、溝112は、外側カラー表面118の外周の少なくとも一部分の周りに延在し得るか、又は他の実施形態では、外側カラー表面118の外周全体の周りに延在し得る。溝212が少なくとも内側カラー表面116上に画定される、特定の非限定的な実施形態では、溝212は、内側カラー表面116の内周の少なくとも一部分の周りに延在し得るか、又は他の実施形態では、内側カラー表面116の内周全体の周りに延在し得る。
【0018】
本発明者らは、締結カラー102全体の平均壁厚tを減少させることにより、締結カラー102を取付けるために必要な力を減少させることができるが、これはまた、締結カラー102を含むマルチピース締結具の引張強さを不必要に減少させ得ると判断した。本発明者らは、溝112のサイズ及び/又は形状を調整することにより、締結カラー102を取付けるために必要な力、及び/又は結果として構造に印加されるクランプ力を調整することができる一方で、構造内のマルチピース締結具の望ましい引張強さを達成することができると判断した。締結カラー102を固定しながら、マルチピース締結具の望ましい引張強さを達成することによって生成されるクランプ力を制御することで、マルチピース締結具の作動寿命を改善することができる。例えば、締結カラー102は、従来の締結カラーよりも温度変動によるクランプ荷重の変化に対してより耐性があり、かつ/又は動作中に強化された引張強さを達成することができる。
【0019】
特定の非限定的な実施形態では、細長い部分108は、少なくとも2つの溝(図示せず)又は少なくとも3つの溝を備え得る。溝は、同一であっても異なっていてもよい。個別に、各溝又は集合的にすべての溝は、溝112に従って構成され得る。溝は、締結カラー102を取付けるために必要な力、及び/又は結果として構造に印加されるクランプ力を調整する一方で、構造内のマルチピース締結具の望ましい引張強さを達成するように構成され得る。
【0020】
図1図2に示される実施形態に例示するように、溝112は、0.1mm~10mmの範囲、例えば、0.1mm~5mm、0.2mm~2.5mm、又は0.5mm~2mmなどであり得る、曲率半径rを有する半円の断面形状を備え得る。様々な他の非限定的な実施形態では、溝112は、例えば、三角形形状、長方形形状、異なる多角形形状、及び/又は湾曲形状などの、異なる断面形状を備え得る。
【0021】
マルチピース締結具のクランプ力は、締結カラー102の材料を構造に対して付勢することによって生成され得る。本発明者らは、溝112内など、構造に対して近位の領域で、細長い部分108の壁厚を減少させることによって、構造へのクランプ力の発生の代わりに、溝112内への変形及び/又は局所的な圧縮を可能にすることができると判断した。溝112は、第二の距離dだけ、第二のカラー端部106からオフセットされ得る。第二の距離dは、長手方向軸Aに沿って測定されると、例えば、締結カラー102の全長dの、少なくとも10%、少なくとも15%、又は少なくとも25%など、締結カラー102の全長dの少なくとも5%であり得る。特定の非限定的な実施形態では、第二の距離dは、締結カラー102の全長dの5%~50%、例えば、締結カラー102の全長dの、5%~40%、5%~30%、又は5%~25%の範囲内であり得る。
【0022】
細長い部分108は、長手方向軸Aに沿って第三の距離dだけ延在してもよいフランジ部分114を備え得る。第三の距離dは、長手方向軸Aに沿って測定されると、例えば、締結カラー102の全長dの、少なくとも10%、少なくとも15%、又は少なくとも25%など、締結カラー102の全長dの少なくとも5%であり得る。様々な非限定的な実施形態では、第三の距離dは、0.1mm~10mmの範囲、例えば、0.1mm~5mm、0.2mm~2.5mm、又は0.5mm~2mmなどであり得る。
【0023】
フランジ部分114は、締結カラー102が構造の孔に入るのを阻止し、かつ/又は構造との表面積接触を増加させ得る。例えば、フランジ部分114は、細長い部分108の平均外径Φよりも大きい外径Φ、例えば、細長い部分108の平均外径Φよりも、少なくとも5%大きい、少なくとも10%大きい、又は少なくとも15%大きい、外径Φを備え得る。
【0024】
細長い部分108のカラー空洞110は、例えば、図3に示されるマルチピース締結具300のピン320などの、マルチピース締結具のピンを、少なくとも部分的に受容するように構成され得る。他の非限定的な実施形態(図示せず)では、本開示によるマルチピース締結具は、3つ以上の構成要素を備え得る。様々な非限定的な実施形態では、マルチピース締結具300は、例えば、締結カラー102とピン320とを含む二部材アセンブリからなり得る。特定の非限定的な実施形態では、マルチピース締結具300は、ロックボルト及び/又はブラインド締結具を備えてもよい。ロックボルトを含むマルチピース締結具300の、特定の非限定的な実施形態では、ロックボルトは、例えば、構造用リベット、構造用ボルト、又は構造用スタッドなどの、構造用ロックボルト締結具であり得る。
【0025】
図3を参照すると、ピン320は、第一のピン端部328、第二のピン端部330、及びシャンク322を備え得る。シャンク322は、締結カラー102のカラー空洞110内に受容されるのに適した形状を備え得る。様々な非限定的な実施形態では、シャンク322は、概して円筒の形状を有する。シャンク322は、第一のピン端部328と第二のピン端部330との中間に位置することができ、シャンク322は、カラー空洞110内へ挿入され得るように、そして、カラー空洞110内へ少なくとも部分的に延在し得るように、寸法決めし得る。シャンク322がカラー空洞110内へと挿入された時には、第一のピン端部328は、第一のカラー端部104に隣接して配置され得て、また、第二のピン端部330のヘッド部分336は、第二のカラー端部106に隣接して配置され得る。
【0026】
締結カラー102のカラー空洞110は、ピン320のシャンク322を少なくとも部分的に受容するように構成され得る。例えば、カラー空洞110は、ピン320のシャンク322を少なくとも部分的に受容するのに適した形状を備え得る。内側カラー表面116備える締結カラー102は、シャンク322上に少なくとも部分的に変形されるように構成され得る。例えば、シャンク322をカラー空洞110に導入する間及び/又は後、内側カラー表面116の少なくとも一部分を含む細長い部分108は、締結カラー102とマルチピース締結具取付ツールとの間の強制的な接触に応答して、シャンク322上に少なくとも部分的に変形(例えば、スエージ加工)され得る。細長い部分108の変形は、締結カラー102をピン320のシャンク322に固定し、構造内の孔内にマルチピース締結具300を固定し得る。
【0027】
様々な非限定的な実施形態では、ピン320は、構造内の孔内へのマルチピース締結具300の取付時に、破断して、ピン320から引張領域(図示せず)の全部又は一部を分離するように構成された、ブレークネック溝(図示せず)を備えてもよい。特定の他の非限定的な実施形態では、ピン320は、ブレークネック溝を備えないものの、マルチピース締結具300の取付時に、ピン320の引張領域が破断するよう、1つ又は複数の他の特徴を備えるように構成される。マルチピース締結具300の、様々な非限定的な実施形態では、ピン320は、マルチピース締結具300の取付時に破断するように構成された、ブレークネック溝又は他の特徴を備えず、引張領域は、取付後も維持されたままである。よって、本開示によるマルチピース締結具の、様々な非限定的な実施形態は、ブレークネック溝又は他の特徴物を破断することなく、構造に取付けられてもよく、あるいは、締結具は、構造へのマルチピース締結具の取付時に破断する、ブレークネック溝又は他の特徴を備えてもよい。
【0028】
様々な非限定的な実施形態では、第二のピン端部330は、ピン320が所定の距離を超えて構造の孔を通して移動することを阻止するように構成されたヘッド部分336を備え得る。シャンク322は、概して、滑らかな領域、環状ショルダー、溝、ねじ山、及び/又は締結カラー102の内側カラー表面116と係合するように構成された1つ又は複数の他の特徴の、少なくとも1つを備え得る。例えば、図3に図示するように、シャンクは、実質的に滑らかな領域324及び第二の領域326を備え得る。第二の領域326は、例えば、内側カラー表面116と係合するように構成される、図3に図示した溝328などの、環状ショルダー、溝、及び/又はねじ山を備える。
【0029】
締結カラー102及び/又はピン320は、取付後のマルチピース締結具300の機械的安定性を増加させるように、サイズ設定され得る。例えば、実質的に滑らかな領域324及び溝112は、マルチピース締結具300の取付中に溝112が実質的に滑らかな領域324と係合するように、シャンク322及び締結カラー102各々上に、サイズ設定及び構成され得る。取付中に溝112が実質的に滑らかな領域324の上に位置付けられる、様々な非限定的な実施形態では、マルチピース締結具300は、取付中に、溝112が第二の領域326の上に位置付けられる実施形態と比較して、強化された機械的安定性を有し得る。
【0030】
更に、マルチピース締結具100は、意図される用途に適切なサイズ設定をし得る。例えば、特定の非限定的な実施形態では、シャンク322は、0.06インチ~4インチの範囲のシャンク直径を備えることができ、締結カラー102は、シャンク322を受容するようにサイズ設定し得る。
【0031】
さまざまな非限定的な実施形態では、シャンク322は、構造内の孔にマルチピース締結具300を取付ける時に、マルチピース締結具取付ツール(図示せず)によって係合されるように構成された、引張領域を備え得る。引張領域は、軸方向の長さを備えることができ、また、様々な非限定的な実施形態では、引張領域は、テーパを備え得る。様々な非限定的な実施形態では、引張領域は、概して、滑らかな領域、環状ショルダー、溝、ねじ山、及び/又はマルチピース締結具取付ツールによって係合されるように構成された1つ以上の他の特徴の、少なくとも1つを備え得る。特定の非限定的な実施形態では、マルチピース締結具取付ツールは、プラーツール又はスクイザーツールであり得る。
【0032】
締結カラー102及びピン320を備えるマルチピース締結具300は、例えば、金属、金属合金、ポリマー、又は別の適切な材料などの、任意の適切な材料を備え得る。例えば、様々な非限定的な実施形態では、マルチピース締結具300は、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、鉄合金、及び炭素繊維複合材料の少なくとも1つを備え得る。
【0033】
図4A図4Bに示す非限定的な実施形態に図示するように、マルチピース締結具300は、構造444の孔446内に取付けられ得る。図示するように、孔446は、構造444の第一の側面458から第二の側面460へと、構造444を貫通して延在し得る。構造444は、例えば、金属、金属合金、複合材料、又は他の適切な材料の少なくとも1つを備え得る。例えば、特定の非限定的な実施形態では、構造444は、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、鉄合金、及び炭素繊維複合材料の1つ以上を備え得る。様々な非限定的な実施形態では、マルチピース締結具300が内部に取付けられる構造444は、アルミニウム、及び/又は、例えば、7075アルミニウム合金などの、アルミニウム合金を備える。様々な実施形態では、本開示によるマルチピース締結具300が内部に取付けられ得る構造444は、航空機用部品若しくは構造、自動車用部品若しくは構造、輸送用部品若しくは構造、建築及び建設用部品若しくは構造体、又は他の部品若しくは構造の少なくとも1つとして、又は少なくとも1つの一部分若しくは領域として、構成され得る。
【0034】
構造444は、単層の材料、又は二層以上の材料を備え得る。例えば、図4A図4Bに図示するように、構造444は、同一の材料であってもよい又は異なる材料であり得て、第一の層444a及び第二の層444bを備えてもよい。第一の層444aは、マルチピース締結具300が取付けられる時に、第二の層444bと締結カラー102との中間に位置付けられ得る。様々な非限定的実施形態では、第一の層444aは、締結カラー102に隣接している、又は接触している。
【0035】
更に、様々な非限定的な実施形態では、第一のピン端部328は、ピン320と孔446との配列を容易にするように、サイズ設定及び構成されてもよく、それによって、第一のピン端部328が、孔446内へ、孔446を通って容易に移動することが可能となる。様々な非限定的な実施形態では、ヘッド部分336は、ピン320が所定距離を超えて孔446内へと移動することを阻止するように、サイズ設定及び構成され得る。
【0036】
図4Aに図示するように、ピン320の第一のピン端部328は、孔446の第二の側面460と整列するように位置付けられており、孔446を通して挿入される。締結カラー102は、第一のピン端部328の上方に位置付けられ、第一のピン端部328は、締結カラー102のカラー空洞110内へ、カラー空洞110を通して挿入される。図4Aに示される配列では、締結カラー102は、ピン320の周囲でまだ変形していない。
【0037】
図4Aを参照すると、マルチピース締結具技術分野の当業者によって理解されるように、マルチピース締結具取付ツール440は、ピン320のヘッド部分336と締結カラー102とを、周囲に閉じ、強制的に係合し得る。マルチピース締結具取付ツール440は、ヘッド部分336を締結カラー102に向かって、及び締結カラー102をヘッド部分336に向かって付勢するクランプ力を印加し得る。クランプ力が印加されると、マルチピース締結具取付ツール440のアンビル448は、軸方向の力で締結カラー102に強制的に接触させ、締結カラー102を、ピン320に沿って第一のピン端部328から離れる方向に付勢することができる。締結カラー102の移動は、存在する場合、構造444の第一の層444aと第二の層444bとの間のギャップの幅を減少させ、締結カラー102を構造444と強制的に接触させることができる。
【0038】
図4Aに図示されるように、アンビル448は、細長い部分108と係合し、締結カラー102の第二のカラー端部106は、構造444の第一の側面458と係合する。図4Bを参照すると、マルチピース締結具取付ツール440のアンビル448が締結カラー102に十分な力を与えると、細長い部分108は、ピン320上に少なくとも部分的に変形(例えば、スエージ加工)される。例えば、内側カラー表面116は、第一の層444a及び第一のピン端部328の中間の、ピン320のシャンク322上に変形され得る。細長い部分108の変形は、締結カラー102をピン320に固定し、それによって、マルチピース締結具300を構造444の少なくとも一部分に固定し得る。このようにして、例えば、構造444の第一の層444a及び第二の層444bは、一緒に固定される。マルチピース締結具300を構造444内に取付けた後、締結カラー102及びピン320のヘッド部分336は、構造444にクランプ力を印加する。
【0039】
溝112は、取付及び形状の変更後に変形され得る。例えば、溝112は、取付前に、図4Bに図示されるように局所的に圧縮されてもよく、図4Aの溝と比較してサイズが減少され得る。締結カラー102の細長い部分108からの材料は、構造444に印加されるクランプ力が、溝112を有さない類似の締結カラーと比較して低減され得るように、溝112内に付勢され得る。様々な非限定的な実施形態では、マルチピース締結具300を取付けるためのクランプ力は、溝112を有さない類似の締結カラーと比較して、少なくとも10%、例えば、溝112を有しない類似の締結カラーと比較して、少なくとも15%低減され、少なくとも20%低減され、少なくとも25%低減され、又は少なくとも30%低減され得る。溝112のサイズ及び/又は位置は、所望のクランプ力を達成するように調整され得る。
【0040】
マルチピース締結具300は、締結カラー102の減少した壁厚が溝112に局所的に維持されるため、望ましい極限引張強さを達成し得る。様々な非限定的な実施形態では、取付後、マルチピース締結具は、少なくとも500デカニュートン(daN)、例えば、少なくとも600daN、少なくとも700daN、少なくとも800daN、少なくとも900daN、又は少なくとも1,000daNなどの、極限引張強さを示し得る。
【0041】
図4Bに図示されるように、ピン320は、構造444への取付後に破断しなくてもよい。あるいは、ピン320は、プラーツールとして構成されたマルチピース締結具取付ツールによってピン320に印加された力の結果として、構造444への取付後に破断(図示せず)してもよい。例えば、ピン320は、存在する場合、構造444への取付後に、ブレークネック溝に沿って破断してもよい。
【0042】
本開示によるマルチピース締結具の実施形態は、構造を締結するための方法において、使用され得る。図5は、そのような方法の非限定的な実施形態のステップを図示している。図5に図示する方法は、本開示によるマルチピース締結具300の第一のピン端部328を、構造444の孔446に挿入するステップを含み得る(ステップ502)。第一のピン端部328を構造444に挿入した後、第一のピン端部328を締結カラー102のカラー空洞110に挿入し得る(ステップ504)。第一のピン端部328をカラー空洞110に挿入するのに続いて、特定の非限定的な実施形態では、締結カラー102は、マルチピース締結具取付ツール440のアンビル448と強制的に接触させてもよく、締結カラー102を、第一のピン端部328から離れる方向にピン320に沿って移動するように付勢し得る(ステップ506)。締結カラー102の内側カラー表面116は、ピン320のシャンク322上に変形されてもよく、それによって、ピン320を締結カラー102に固定し、構造444内にマルチピース締結具300の少なくとも一部分を保持する(ステップ508)。細長い部分108の変形は、溝112が形状を変化させることができるように、溝112を変形させることを含んでもよい。
【0043】
本開示による発明の非限定的な実施形態の様々な態様は、以下の番号付きの条項に列挙された態様を含むが、これらに限定されるものではない。
【0044】
条項1.
締結カラーであって、
第一のカラー端部と、
第二のカラー端部と、
第一のカラー端部及び第二のカラー端部の中間にあり、締結カラーの長手方向軸を画定する細長い部分であって、
外側カラー表面と、
カラー空洞を画定する内側カラー表面と、
外側カラー表面及び内側カラー表面のうち少なくとも1つ上の溝であって、長手方向軸に沿って第一の距離だけ延在する、溝と、を備える、細長い部分と、を備える、締結カラー。
【0045】
条項2.
溝が、細長い部分の少なくとも外側カラー表面上にある、条項1に記載の締結カラー。
【0046】
条項3.
溝が、細長い部分の少なくとも内側カラー表面上にある、条項1又は~2に記載の締結カラー。
【0047】
条項4.
溝における細長い部分の壁厚が、細長い部分の平均壁厚よりも少なくとも10%小さい、条項1~3のいずれかに記載の締結カラー。
【0048】
条項5.
溝における細長い部分の壁厚が、細長い部分の平均壁厚よりも少なくとも20%小さい、条項1~3のいずれかに記載の締結カラー。
【0049】
条項6.
溝が、環状である、条項1~5のいずれかに記載の締結カラー。
【0050】
条項7.
第一の距離が、締結カラーの全長の少なくとも5%である、条項1~6のいずれかに記載の締結カラー。
【0051】
条項8.
溝が、第二のカラー端部から締結カラーの全長の少なくとも5%オフセットされる、条項1~7のいずれかに記載の締結カラー。
【0052】
条項9.
細長い部分が、長手方向軸に沿って第二の距離だけ延在するフランジ部分を更に備える、条項1~8のいずれかに記載の締結カラー。
【0053】
条項10.
締結カラーが、概して円筒形である、条項1~9のいずれかに記載の締結カラー。
【0054】
条項11.
締結カラーが、金属、金属合金、及び複合材料の少なくとも1つを備える、条項1~10のいずれかに記載の締結カラー。
【0055】
条項12.
マルチピース締結具であって、
条項1~11のいずれかに記載の締結カラーと、
締結カラーのカラー空洞内に少なくとも部分的に受容されるように構成されるピンと、を備える、マルチピース締結具。
【0056】
条項13.
溝が、取付中にピンのシャンクの実質的に滑らかな領域と係合するように構成される、条項12に記載のマルチピース締結具。
【0057】
条項14.
ピンが、環状ショルダー、溝、ねじ領域、及び実質的に滑らかな領域の少なくとも1つを備えるシャンクを備える、条項12又は13に記載のマルチピース締結具。
【0058】
条項15.
マルチピース締結具が、航空機用部品又は構成要素、自動車用部品又は構成要素、輸送用部品又は構成要素、並びに建築及び建設用の部品又は構成要素の少なくとも1つとして構成される構造内への孔内へと取付けられるように構成される、条項12~14のいずれかに記載のマルチピース締結具。
【0059】
条項16.
ピンが、0.06インチ~4インチの範囲であるシャンク直径を備えるシャンクを備える、条項12~15のいずれかに記載のマルチピース締結具。
【0060】
条項17.
ピンが、ヘッド部分を更に備える、条項12~16のいずれかに記載のマルチピース締結具。
【0061】
条項18.
マルチピース締結具が、ロックボルト及びブラインド締結具の少なくとも1つである、条項12~17のいずれかに記載のマルチピース締結具。
【0062】
条項19.
締結するための方法であって、
マルチピース締結具であって、
条項1~11のいずれかに記載の締結カラーと、
締結カラーのカラー空洞内に、少なくとも部分的に受容されるように構成されるピンであって、
概して滑らかな領域を備えるシャンクと、
環状ショルダーと、
溝、及びねじ領域の少なくとも1つを備える第二の領域と、を備える、ピンと、を備える、マルチピース締結具を提供するステップと、
ピンの第一のピン端部を、構造及びカラー空洞の孔に挿入するステップであって、溝が、概して滑らかな領域の上に位置付けられる、ステップと、
締結カラーの細長い部分を、取付ツールの接触面と強制的に接触させ、それによって、構造を締結カラーの第二のカラー端部と強制的に接触させ、シャンクの概して滑らかな領域上に前記溝を変形させることを含む、細長い部分をピンのシャンク上に変形させるステップと、を含む、方法。
【0063】
条項20.
細長い部分をシャンク上に変形させるステップが、取付ツールのアンビルでスエージ加工を施すことを含む、条項19に記載の方法。
【0064】
当業者であれば、本明細書で説明した、締結カラー、マルチピース締結具、構造、方法、操作/作用、及び対象物、並びにそれらに付随する説明が、概念を明確にするために、非限定的な実施例として示されていること、そして、様々な構成的改変が想定されていることを認識するであろう。したがって、本明細書で使用される場合、記載される特定の例/実施形態、及び付随する考察は、そのより一般的なクラスを代表することが意図される。一般に、任意の特定の実施例を使用することは、そのクラスの代表であることを意図しており、特定の構成要素、デバイス、装置、動作/作用、及び対象物が含有されていないことを、限定として解釈されるべきではない。本開示は、本開示の様々な態様及び/又はその潜在的な用途を例示する目的で、様々な特定の態様に関する説明を提供するけれども、当業者であれば、変形及び改変が行われることは理解されよう。したがって、本明細書に記載される発明(複数可)は、少なくともそれらが特許請求されているのと同じくらいに広範であり、本明細書に提供される特定の例示的な態様によってより狭く定義されるものではないことが理解されるべきである。
【0065】
本明細書中の「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「1つの実施形態」、「一実施形態」、「非限定的実施形態」、又は類似の語句への任意の言及は、例に関連して記載される特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、本明細書における「様々な実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「一実施形態では」、「実施形態では」、「非限定的な実施形態では」、又は同種の表現の出現は、必ずしも同じ非限定的な実施形態を指すとは限らない。更に、特定の記載される特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態で、任意の好適な様式で組み合わせられてもよい。したがって、1つの実施形態に関連して図示又は説明される特定の特徴、構造、又は特性は、全体的又は部分的に限定されることなく、1つ以上の他の実施形態の特徴、構造、又は特性と組み合わされてもよい。そのような修正及び変形は、本実施形態の範囲内に含まれることが意図される。
【0066】
本明細書において、別段の示唆が無い限り、全ての数値パラメータは、全ての場合において、数値パラメータが、パラメータの数値を決定するために使用される基礎となる測定技術の固有の変動特性を有する、用語「約」によって、前置きされ、かつ修正されていると理解されるべきである。少なくとも、均等物の教義の適用を特許請求の範囲に限定する試みとしてではなく、本明細書に記載された各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁の数に照らして、かつ通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0067】
また、本明細書に記述された任意の数値範囲は、記述された範囲内に包含される全ての部分範囲を含む。例えば、「1~10」という範囲は、記述された1という最小値と、記述された10という最大値と、の間の(及び、それらを含む)全ての部分範囲を含む、すなわち、1以上の最小値と10以下の最大値とを有する全ての部分範囲を含む。本明細書に記述された任意の最大数値制限は、その中に包含される全てのより低い数値限定を含むことが意図され、本明細書に記述される任意の最小数値限定は、その中に包含される全てのより高い数値限定を含むことが意図される。したがって、出願人は、明示的に記述された範囲内に包含される部分範囲を明示的に記述するために、特許請求の範囲を含み、本明細書を修正する権利を留保する。全てのこのような範囲は、本明細書に本質的に記載される。
【0068】
文法上の冠詞「a」、「an」、及び「the」は、本明細書で使用されるとき、別段の示唆がない限り、たとえ特定の場合において「少なくとも1つ」又は「1つ以上」が明示的に使用される場合であっても、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を含むことが意図される。よって、上記の文法的冠詞は、本明細書では、特定の識別された構成要素の1つ又は2つ以上(すなわち、「少なくとも1つ」)を指すために使用される。さらに、文脈から他の意味に解釈すべき場合を除いて、単数形名詞の使用は、複数形を含み、複数形名詞の使用は、単数形を含む。
【符号の説明】
【0069】
102 締結カラー、104 第一のカラー端部、106 第二のカラー端部、108 細長い部分、110 カラー空洞、112 溝、116 内側カラー表面、118 外側カラー表面、300 マルチピース締結具、320 ピン、322 シャンク、324 滑らかな領域、326 第二の領域、336 ヘッド部分、440 取付ツール、444 構造、448 アンビル
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-02-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチピース締結具であって、
締結カラーであって、
第一のカラー端部と、
第二のカラー端部と、
前記第一のカラー端部及び前記第二のカラー端部の中間にあり、前記締結カラーの長手方向軸を画定する細長い部分であって、前記細長い部分が、
外側カラー表面と、
カラー空洞を画定する内側カラー表面と、
前記外側カラー表面及び前記内側カラー表面の少なくとも1つ上の溝であって、前記長手方向軸に沿って第一の距離だけ延在する溝と、を備える、細長い部分と、を備える、締結カラーと、
前記締結カラーの前記カラー空洞内に、少なくとも部分的に受容されるように構成されるピンと、
を備え、
前記溝が、取付中に、前記ピンのシャンクの実質的に滑らかな領域と係合するように構成される、マルチピース締結具
【請求項2】
前記溝が、前記細長い部分の少なくとも前記外側カラー表面上にある、請求項1に記載のマルチピース締結具
【請求項3】
前記溝が、前記細長い部分の少なくとも前記内側カラー表面上にある、請求項1に記載のマルチピース締結具
【請求項4】
前記溝における前記細長い部分の壁厚が、前記細長い部分の平均壁厚よりも少なくとも10%小さい、請求項1に記載のマルチピース締結具
【請求項5】
前記溝における前記細長い部分の壁厚が、前記細長い部分の平均壁厚よりも少なくとも20%小さい、請求項1に記載のマルチピース締結具
【請求項6】
前記溝が、環状である、請求項1に記載のマルチピース締結具
【請求項7】
前記第一の距離が、前記締結カラーの全長の少なくとも5%である、請求項1に記載のマルチピース締結具
【請求項8】
前記溝が、前記第二のカラー端部から前記締結カラーの全長の少なくとも5%オフセットされる、請求項1に記載のマルチピース締結具
【請求項9】
前記細長い部分が、前記長手方向軸に沿って第二の距離だけ延在するフランジ部分を更に備える、請求項1に記載のマルチピース締結具
【請求項10】
前記締結カラーが、概して円筒形である、請求項1に記載のマルチピース締結具
【請求項11】
前記締結カラーが、金属、金属合金、及び複合材料の少なくとも1つを備える、請求項1に記載のマルチピース締結具
【請求項12】
前記ピンが、環状ショルダー、溝、ねじ領域、及び実質的に滑らかな領域の少なくとも1つを備えるシャンクを備える、請求項に記載のマルチピース締結具。
【請求項13】
前記マルチピース締結具が、航空機用部品又は構成要素、自動車用部品又は構成要素、輸送用部品又は構成要素、並びに建築及び建設用の部品又は構成要素の少なくとも1つとして構成される構造内の孔内へと取付けられるように構成される、請求項に記載のマルチピース締結具。
【請求項14】
前記ピンが、0.06インチ~4インチの範囲であるシャンク直径を備える、シャンクを備える、請求項に記載のマルチピース締結具。
【請求項15】
前記ピンが、ヘッド部分を更に備える、請求項に記載のマルチピース締結具。
【請求項16】
前記マルチピース締結具が、ロックボルト及びブラインド締結具のうちの少なくとも1つである、請求項に記載のマルチピース締結具。
【請求項17】
締結するための方法であって、
マルチピース締結具であって、
締結カラーであって、
第一のカラー端部と、
第二のカラー端部と、
前記第一のカラー端部及び前記第二のカラー端部の中間にあり、前記締結カラーの長手方向軸を画定する細長い部分であって、前記細長い部分が、
外側カラー表面と、
カラー空洞を画定する内側カラー表面と、
前記外側カラー表面及び前記内側カラー表面の少なくとも1つ上の溝であって、前記長手方向軸に沿って第一の距離だけ延在する溝と、を備える、細長い部分と、を備える、締結カラーと、
前記カラー空洞によって少なくとも部分的に受容されるように構成されたピンであって、前記ピンが、
概して滑らかな領域と、
環状ショルダー、溝、及びねじ領域の少なくとも1つを備える第二の領域と、を備えるシャンクを備える、ピンと、を備えるマルチピース締結具を提供するステップと、
前記ピンの第一のピン端部を、構造及び前記カラー空洞の孔に挿入するステップであって、前記溝が、前記概して滑らかな領域の上に位置付けられる、挿入するステップと、
前記締結カラーの前記細長い部分を、取付ツールの接触面と強制的に接触させ、それによって、前記構造を前記締結カラーの前記第二のカラー端部と強制的に接触させ、前記溝を変形させることを含む、前記細長い部分を前記ピンの前記シャンク上に変形させるステップであって、前記溝が、前記ピンの前記シャンクの前記概して滑らかな領域と係合する、変形させるステップとを、含む、方法。
【請求項18】
前記シャンク上に前記細長い部分を変形させるステップが、前記取付ツールのアンビルでスエージ加工を施すことを含む、請求項17に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチピース締結具であって、
締結カラーであって、
第一のカラー端部と、
第二のカラー端部と、
前記第一のカラー端部及び前記第二のカラー端部の中間にあり、前記締結カラーの長手方向軸を画定する細長い部分であって、前記細長い部分が、
外側カラー表面と、
カラー空洞を画定する内側カラー表面と、
前記外側カラー表面及び前記内側カラー表面の少なくとも1つ上の溝であって、前記長手方向軸に沿って第一の距離だけ延在する溝と、を備える、細長い部分と、を備える、締結カラーと、
前記締結カラーの前記カラー空洞内に、少なくとも部分的に受容されるように構成されるピンと、
を備え、
前記溝が、取付中に、前記ピンのシャンクの滑らかな領域と係合するように構成される、マルチピース締結具。
【請求項2】
前記溝が、前記細長い部分の少なくとも前記外側カラー表面上にある、請求項1に記載のマルチピース締結具。
【請求項3】
前記溝が、前記細長い部分の少なくとも前記内側カラー表面上にある、請求項1に記載のマルチピース締結具。
【請求項4】
前記溝における前記細長い部分の壁厚が、前記細長い部分の平均壁厚よりも少なくとも10%小さい、請求項1に記載のマルチピース締結具。
【請求項5】
前記溝における前記細長い部分の壁厚が、前記細長い部分の平均壁厚よりも少なくとも20%小さい、請求項1に記載のマルチピース締結具。
【請求項6】
前記溝が、環状である、請求項1に記載のマルチピース締結具。
【請求項7】
前記第一の距離が、前記締結カラーの全長の少なくとも5%である、請求項1に記載のマルチピース締結具。
【請求項8】
前記溝が、前記第二のカラー端部から前記締結カラーの全長の少なくとも5%オフセットされる、請求項1に記載のマルチピース締結具。
【請求項9】
前記細長い部分が、前記長手方向軸に沿って第二の距離だけ延在するフランジ部分を更に備える、請求項1に記載のマルチピース締結具。
【請求項10】
前記締結カラーが、円筒形である、請求項1に記載のマルチピース締結具。
【請求項11】
前記締結カラーが、金属、金属合金、及び複合材料の少なくとも1つを備える、請求項1に記載のマルチピース締結具。
【請求項12】
前記ピンが、環状ショルダー、溝、ねじ領域、及び滑らかな領域の少なくとも1つを備えるシャンクを備える、請求項1に記載のマルチピース締結具。
【請求項13】
前記マルチピース締結具が、航空機用部品又は構成要素、自動車用部品又は構成要素、輸送用部品又は構成要素、並びに建築及び建設用の部品又は構成要素の少なくとも1つとして構成される構造内の孔内へと取付けられるように構成される、請求項1に記載のマルチピース締結具。
【請求項14】
前記ピンが、0.06インチ~4インチの範囲であるシャンク直径を備える、シャンクを備える、請求項1に記載のマルチピース締結具。
【請求項15】
前記ピンが、ヘッド部分を更に備える、請求項1に記載のマルチピース締結具。
【請求項16】
前記マルチピース締結具が、ロックボルト及びブラインド締結具のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のマルチピース締結具。
【請求項17】
締結するための方法であって、
マルチピース締結具であって、
締結カラーであって、
第一のカラー端部と、
第二のカラー端部と、
前記第一のカラー端部及び前記第二のカラー端部の中間にあり、前記締結カラーの長手方向軸を画定する細長い部分であって、前記細長い部分が、
外側カラー表面と、
カラー空洞を画定する内側カラー表面と、
前記外側カラー表面及び前記内側カラー表面の少なくとも1つ上の溝であって、前記長手方向軸に沿って第一の距離だけ延在する溝と、を備える、細長い部分と、を備える、締結カラーと、
前記カラー空洞によって少なくとも部分的に受容されるように構成されたピンであって、前記ピンが、
らかな領域と、
環状ショルダー、溝、及びねじ領域の少なくとも1つを備える第二の領域と、を備えるシャンクを備える、ピンと、を備えるマルチピース締結具を提供するステップと、
前記ピンの第一のピン端部を、構造及び前記カラー空洞の孔に挿入するステップであって、前記溝が、前記滑らかな領域の上に位置付けられる、挿入するステップと、
前記締結カラーの前記細長い部分を、取付ツールの接触面と接触させ、それによって、前記構造を前記締結カラーの前記第二のカラー端部と接触させ、前記溝を変形させることを含む、前記細長い部分を前記ピンの前記シャンク上に変形させるステップであって、前記溝が、前記ピンの前記シャンクの前記滑らかな領域と係合する、変形させるステップとを、含む、方法。
【請求項18】
前記シャンク上に前記細長い部分を変形させるステップが、前記取付ツールのアンビルでスエージ加工を施すことを含む、請求項17に記載の方法。
【国際調査報告】