(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】β-カリオフィレンおよびスタチンの組成物、およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/015 20060101AFI20240918BHJP
A61K 31/366 20060101ALI20240918BHJP
A61K 31/404 20060101ALI20240918BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20240918BHJP
A61K 31/22 20060101ALI20240918BHJP
A61K 31/47 20060101ALI20240918BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20240918BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20240918BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240918BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20240918BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
A61K31/015
A61K31/366
A61K31/404
A61K31/505
A61K31/22
A61K31/47
A61K31/05
A61P19/00
A61P43/00 121
A61P19/08
A61P19/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510261
(86)(22)【出願日】2022-08-17
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 IL2022050898
(87)【国際公開番号】W WO2023021514
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524062076
【氏名又は名称】オーソトリート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】マロム,ヒリク
(72)【発明者】
【氏名】バール,タミ エーマン
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA17
4C086BC13
4C086BC28
4C086BC42
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
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4C086MA55
4C086NA14
4C086ZA96
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206BA03
4C206CA19
4C206DB03
4C206DB56
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA72
4C206MA75
4C206NA14
4C206ZA96
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、いくつかの実施形態では、β-カリオフィレンおよびスタチンを含む医薬組成物、および骨関連疾患またはそれに伴う障害に罹患している対象を治療するための方法におけるなどの、その使用に関する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要としている対象における、骨関連疾患またはそれに伴う障害の治療または改善における使用のための、β-カリオフィレンおよびスタチンを含む医薬組成物。
【請求項2】
10:1(重量/重量)~1:10(重量/重量)の範囲の重量当りの重量の比(重量/重量)で前記β-カリオフィレンおよび前記スタチンを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記スタチンは、親水性スタチンまたは親油性スタチンである、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記スタチンは、ロバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記スタチンは、ロバスタチンまたはシンバスタチンである、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記β-カリオフィレンは、大麻の高度に精製された抽出物として前記医薬組成物中に存在する、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記β-カリオフィレンは、合成的にまたは半合成的に産生される、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
カンナビジオール(CBD)をさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記骨関連疾患またはそれに伴う障害は、骨折を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記対象は、歯科用サイナスリフト、歯科用骨移植、および両方のいずれか1つを必要としている、請求項1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
骨関連疾患またはそれに伴う障害に罹患している対象を治療する方法であって、β-カリオフィレンおよびスタチンを含む医薬組成物の治療的有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項12】
前記骨関連疾患またはそれに伴う障害は、骨折を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記治療することは、前記対象の骨の、骨幅当りの骨折の長さを低減すること、最大荷重を増大させること、堅さを増大させること、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記治療することは、前記対象において、骨増殖細胞の数、骨細胞増殖速度、または両方を増大させることを含む、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記治療することは、前記対象の骨において、骨内膜および骨膜の増殖、骨欠損充填、骨品質、またはこれらの任意の組み合わせを増大させることを含む、請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記投与することは、局所的に投与することを含む、請求項11~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記投与することは、術中投与を含む、請求項11~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記医薬組成物は、10:1(重量/重量)~1:10(重量/重量)の範囲の重量/重量比で前記β-カリオフィレンおよび前記スタチンを含む、請求項11~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記スタチンは、親水性スタチンまたは親油性のスタチンである、請求項10~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記スタチンは、ロバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項11~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記スタチンは、ロバスタチンまたはシンバスタチンである、請求項11~20のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月18日に出願された、「COMPOSITION OF β-CARYOPHYLLENE AND A STATIN,AND METHODS OF USING SAME」と題する米国仮特許出願第63/234,423号の優先権の利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
発明の分野
本発明は、整形外科の分野であり、それを必要としている対象における骨治癒過程の改善における使用のための、β-カリオフィレンおよび1種または複数のスタチンを含む医薬組成物に特に関する。
【背景技術】
【0002】
全てのタイプの骨折は、世界中で全ての年齢および男女の数百万人の人に影響を与える最も一般的な傷害の1つである。骨折の治癒は、複数の環境的、全身性、局所的、および薬理学的因子により影響を受ける。骨折治癒は、骨折治癒、炎症、修復および再構築の3つの主要段階を含む、損傷を受けた骨を骨折前の状態に回復させるための複雑で連続的な一連のイベントを伴う。
【0003】
HMG-CoA(3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-CoA)レダクターゼ阻害剤としても知られるスタチンは、数十年間にわたり心臓血管疾患(CVD)用として広く使用されてきた。それにもかかわらず、いくつかの研究は、スタチンが、骨同化作用を発揮し、骨粗鬆症の治療に役立ち得ることを示している。いくつかの実験は、スタチンにより調節される骨同化作用の機序を分析した。相当な量の臨床試験データが、男性および女性の両方におけるスタチンの安全性および有効性を示している。
【0004】
(-)-β-カリオフィレン(β-カリオフィレン)は、多くの精油、特にチョウジノキ(クローブ)の茎および花由来の油、大麻およびホップ油の精油の構成成分である、天然の二環式セスキテルペンである。β-カリオフィレンは、シクロブタン環、ならびに9員環中にトランス二重結合を有する(両方とも天然では珍しい)ことで注目されている。カリオフィレンは、黒胡椒の芳香の一因である、化学化合物の1種である。
【0005】
骨折後に、血腫は、死細胞およびデブリの領域を取り除くために動員される多形核好中球(PMN)のための足場として作用し、マクロファージを引き寄せるために、ケモカイン、特にCCL2(ケモカインリガンド2)およびIL-6を分泌する。これらのPMNは、それらの効果を発揮した後で、すぐに死滅する。骨組織のマクロファージおよび動員されたマクロファージは、それぞれ、膜内および軟骨内の骨形成に重要である。マクロファージの分極(M1/M2表現型)後に、リンパ球は、骨折部位に移動し、適応免疫応答を開始し、IL-1、IL-6、腫瘍壊死因子α(TNFα)および核内転写因子カッパBリガンド受容体活性化因子(RANKL)などの炎症促進性のサイトカインを分泌する。この炎症の段階の阻害は、骨形成を破壊し、偽関節のリスクを高める。他方で、関節リウマチ、糖尿病、多発外傷または敗血症の患者で観察される、全身性炎症は、骨形成を促進するIL-4、IL-10、およびIL-13などの抗炎症性サイトカインの欠乏にまた起因して、骨折治癒時間を長引かせ、偽関節を含む合併症の発生率を高めることがよく知られている。さらに、炎症期間の間、骨折領域への血流が妨げられる。
【0006】
β-カリオフィレンは、腫瘍壊死因子α(TNFα)の発現および活性を調節し、ここでTNFαは、放出される状況に応じて、逆の作用を発揮する。TNFα産生に関与する分子シグナル伝達経路の刺激は、インビトロで間葉系幹細胞の骨芽細胞分化を誘導し、一方でTNFαを抑制するシグナルは、骨芽細胞分化を低減する。TNFαは、TNFα腫瘍壊死因子受容体TNFR1(骨組織中に常に存在)およびTNFR2(骨傷害後にのみ発現)に対する2つの細胞表面受容体を介して、骨芽細胞と破骨細胞の両方の分化および機能を調節する。実際に、TNFαシグナル伝達は、正常なおよびTNFR1欠損のマウスにおける骨形成を促進し、一方で逆の効果がTNFR2欠損細胞で観察され、ここでTNFαシグナル伝達は、破骨細胞の分化および骨吸収を刺激した。
【0007】
β-カリオフィレンは、脳損傷および化学物質誘導性の発作に対し保護効果を有する。β-カリオフィレンは、カタラーゼ(CAT)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、およびグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)の活性を回復し、カンナビノイド受容体2(CB2)およびペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)経路を活性化し、APP/PS1マウスにおけるアルツハイマー様表現型を防止する。
依然として、優れたまたは改善された骨治癒特性を有する医薬組成物、およびそれを使用する方法に対する大きなニーズが存在する。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様により、それを必要とする対象における、骨関連疾患またはそれに伴う障害の治療または回復における使用のための、β-カリオフィレンおよびスタチンを含む医薬組成物が、提供される。
【0009】
別の態様により、骨関連疾患またはそれに伴う障害に罹患している対象を治療する方法が提供され、方法は、β-カリオフィレンおよびスタチンを含む医薬組成物の治療的に有効な量を対象に投与することを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、10:1(重量/重量)~1:10(重量/重量)の範囲の重量当りの重量の比(重量/重量)でβ-カリオフィレンおよびスタチンを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、スタチンは、親水性スタチンまたは親油性スタチンである。
いくつかの実施形態では、スタチンは、ロバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチン、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
いくつかの実施形態では、スタチンは、ロバスタチンまたはシンバスタチンである。
【0012】
いくつかの実施形態では、β-カリオフィレンは、大麻の高度に精製された抽出物として医薬組成物中に存在する。
いくつかの実施形態では、β-カリオフィレンは、合成的に、または半合成的に産生される。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、カンナビジオール(CBD)をさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、骨関連疾患またはそれに伴う障害は、骨折を含む。
いくつかの実施形態では、対象は、歯科用サイナスリフト、歯科用骨移植、および両方のいずれか1種を必要としている。
【0014】
いくつかの実施形態では、治療することは、対象の骨の、骨幅当りの骨折の長さを減らすこと、最大荷重を高めること、堅さを高めること、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、治療することは、対象において、骨増殖細胞の数、骨細胞増殖速度、または両方を増加させること、を含む。
いくつかの実施形態では、治療することは、対象の骨において、骨内膜および骨膜増殖、骨欠損充填、骨品質を高めること、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、投与することは、局所的に投与することを含む。
いくつかの実施形態では、投与することは、術中投与を含む。
【0015】
別に定めのない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語および/または科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または同等である方法および材料を本発明の実施形態の実施または試験に使用できるが、例示的な方法および/または材料が下で記載される。矛盾する場合には、定義を含めて、本特許明細書が優先する。加えて、材料、方法および実施例は例示にすぎず、限定する意図は全くない。
【0016】
本発明のさらなる実施形態および適用性の全範囲は、以下に与えられる詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の趣旨および範囲内で様々な変更および修正がこの詳細な説明から当業者に明らかになるので、詳細な説明および具体的例は、本発明の好ましい実施形態を示すと同時に、例示としてのみ与えられると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】ロバスタチンおよびβ-カリオフィレン(1:10;重量当りの重量(重量/重量))(以降では群1(G1)と呼ぶ)による大腿部骨折の35日治療後の低減された骨折の長さを示す縦棒グラフである。
【
図2】シンバスタチン(S)およびβ-カリオフィレン(B;1:10重量/重量)(以降では群2(G2)と呼ぶ)による大腿部骨折の35日治療後の低減された骨折の長さを示す縦棒グラフである。
【
図3】シンバスタチンおよびカンナビジオール(CBD;1:10重量/重量)(以降では群3(G3)と呼ぶ)による大腿部骨折の35日治療後の低減された骨折の長さを示す縦棒グラフである。
【
図4】ロバスタチンおよびCBD(1:10重量/重量)(以降では群4(G4)と呼ぶ)による大腿部骨折の35日治療後の低減された骨折の長さを示す縦棒グラフである。
【
図5】大腿部骨折の35日治療後の骨最大荷重における最大の増加が、ロバスタチン(L)およびβ-カリオフィレン(B)、即ち、G1により達成されたことを示す縦棒グラフである。CBD-C;シンバスタチン-S。
【
図6】大腿部骨折の35日治療後の骨の堅さにおける最大の増加が、ロバスタチン(L)およびβ-カリオフィレン(B)、即ち、G1により達成されたことを示す縦棒グラフである。
【
図7】脱石灰後のβ-カリオフィレンによる大腿部骨折の35日治療後の骨増殖を示す縦棒グラフである。R(T)-治療される右脚;L-治療されない左脚。
【
図8】β-カリオフィレンによる大腿部骨折の35日治療(脱石灰なし)後に評価された、骨内膜および骨膜増殖、骨欠損充填、および骨品質を示す縦棒グラフである。
【
図9】大腿部骨折の35日治療後の最大荷重(mj)に対するエネルギーの増加が、ロバスタチン(L)およびβ-カリオフィレン(B)、即ち、G1、またロバスタチン(L)およびCBD(C)、即ち、G3により達成されたことを示す縦棒グラフである。
【
図10A-10B】骨芽細胞/破骨細胞およびMUTZ-3細胞における細胞傷害性試験のためのプレートのレイアウトである。毒性効果を、示される濃度でのPBS、β-カリオフィレン、またはロバスタチンの存在下で(10A)、またはPBSまたはロバスタチンおよびβ-カリオフィレンの存在下で(10B)試験した。
【
図11A-11D】0、1、10および100μMの濃度のロバスタチンと共に0~6,561μMの範囲のβ-カリオフィレン濃度での骨芽細胞培養で、24時間(11A)および96時間(11B)後に、およびMUTZ-3培養で24時間(11C)および96時間(11D)後に測定した光強度(485~500nm
Ex/520~530nm
Emでの蛍光強度)を示すグラフである。
【
図12】骨芽細胞へのヒト間葉系幹細胞(hMSC)の分化を測定するための非限定的なプレートのレイアウトの図である。
【
図13】Maeda et al.,2018,Journal of Biomechanicsに従う、マウス脛骨由来の骨外植片を得るための方法を示す非限定的なスキームである。
【
図14】培養中の骨検体の石灰化に対するβ-カリオフィレンおよびロバスタチンの効果を評価するための非限定的なプレートのレイアウトの図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
医薬組成物
いくつかの実施形態でにより、それを必要とする対象における、骨関連疾患またはそれに伴う障害の治療または回復における使用のための、β-カリオフィレンおよびスタチンを含む医薬組成物が提供される。
【0019】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1,000:1(重量/重量)~1:1,000(重量/重量)、800:1(重量/重量)~1:800(重量/重量)、700:1(重量/重量)~1:700(重量/重量)、600:1(重量/重量)~1:600(重量/重量)、500:1(重量/重量)~1:500(重量/重量)、350:1(重量/重量)~1:350(重量/重量)、200:1(重量/重量)~1:200(重量/重量)、150:1(重量/重量)~1:150(重量/重量)、100:1(重量/重量)~1:100(重量/重量)、80:1(重量/重量)~1:80(重量/重量)、70:1(重量/重量)~1:70(重量/重量)、60:1(重量/重量)~1:60(重量/重量)、50:1(重量/重量)~1:50(重量/重量)、35:1(重量/重量)~1:35(重量/重量)、20:1(重量/重量)~1:20(重量/重量)、15:1(重量/重量)~1:15(重量/重量)、10:1(重量/重量)~1:10(重量/重量)、9:1(重量/重量)~1:9(重量/重量)、8:1(重量/重量)~1:8(重量/重量)、7:1(重量/重量)~1:7(重量/重量)、6:1(重量/重量)~1:6(重量/重量)、5:1(重量/重量)~1:5(重量/重量)、4:1(重量/重量)~1:4(重量/重量)、3:1(重量/重量)~1:3(重量/重量)、または2:1(重量/重量)~1:2(重量/重量)の範囲の重量当りの重量(重量/重量)比率でβ-カリオフィレンおよびスタチンを含む。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0020】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1,000:1(m/m)~1:1,000(m/m)、800:1(m/m)~1:800(m/m)、700:1(m/m)~1:700(m/m)、600:1(m/m)~1:600(m/m)、500:1(m/m)~1:500(m/m)、350:1(m/m)~1:350(m/m)、200:1(m/m)~1:200(m/m)、150:1(m/m)~1:150(m/m)、100:1(m/m)~1:100(m/m)、80:1(m/m)~1:80(m/m)、70:1(m/m)~1:70(m/m)、60:1(m/m)~1:60(m/m)、50:1(m/m)~1:50(m/m)、35:1(m/m)~1:35(m/m)、20:1(m/m)~1:20(m/m)、15:1(m/m)~1:15(m/m)、10:1(m/m)~1:10(m/m)、9:1(m/m)~1:9(m/m)、8:1(m/m)~1:8(m/m)、7:1(m/m)~1:7(m/m)、6:1(m/m)~1:6(m/m)、5:1(m/m)~1:5(m/m)、4:1(m/m)~1:4(m/m)、3:1(m/m)~1:3(m/m)、または2:1(m/m)~1:2(m/m)の範囲のモル当たりのモル(m/m)比率でβ-カリオフィレンおよびスタチンを含む。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0021】
いくつかの実施形態では、スタチンは、親水性スタチンまたは親油性スタチンである。
いくつかの実施形態では、スタチンは、ロバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、ロスバスタチン、プラバスタチン、ピタバスタチン、またはこれらの任意の組み合わせより選択される。
いくつかの実施形態では、スタチンは、ロバスタチンである。いくつかの実施形態では、スタチンは、シンバスタチンである。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、β-カリオフィレンおよびロバスタチンを含む。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、β-カリオフィレンおよびシンバスタチンを含む。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、複数のスタチンを含む。
【0022】
本明細書で使用される、用語「複数」は、2以上の任意の整数を指す。
いくつかの実施形態では、複数のスタチンは、少なくとも1種の親水性スタチンおよび少なくとも1種の親油性スタチンを含む。
いくつかの実施形態では、複数のスタチンは、複数の異なるタイプの親水性スタチンを含む。
いくつかの実施形態では、複数のスタチンは、複数の異なるタイプの親油性のスタチンを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、β-カリオフィレンは、大麻の高度に精製された抽出物として医薬組成物中に存在する。
いくつかの実施形態では、β-カリオフィレンは、合成的にまたは半合成的に産生された。
一実施形態では、β-カリオフィレンは、植物または植物性物質から抽出される。一実施形態では、β-カリオフィレンは、大麻植物または大麻物質から抽出される。一実施形態では、β-カリオフィレンは化学的に合成される。一実施形態では、β-カリオフィレンは、生物学的に合成されるおよび/または生合成β-カリオフィレンである。
【0024】
本明細書で使用される、用語「生合成β-カリオフィレン」は、微生物により、例えば、限定されないが、発酵により産生されるβ-カリオフィレンを指す。
本明細書で使用される、用語「カリオフィレン」および「β-カリオフィレン」は、天然二環式セスキテルペンを指す。いくつかの実施形態では、β-カリオフィレンは、α-カリオフィレン(フムレン)を含むまたはそれからなる。いくつかの実施形態では、β-カリオフィレンは、イソカリオフィレンを含むまたはそれからなる。
いくつかの実施形態では、β-カリオフィレンは、炎症促進性サイトカイン、腫瘍壊死因子α(TNFα)の分泌、およびカンナビノイド受容体2(CB2)の特異的アゴニスト活性の組み合わされた調節を含む、またはこれにより特徴づけられる。
いくつかの実施形態では、β-カリオフィレンは、炎症促進性サイトカインの分泌の調節を含む、またはこれにより特徴づけられる。
いくつかの実施形態では、β-カリオフィレンは、TNFαの調節を含むまたはこれにより特徴づけられる。
いくつかの実施形態では、β-カリオフィレンは、CB2の特異的アゴニスト活性を含むまたはこれにより特徴づけられる。
【0025】
本明細書で使用される、用語「調節する」または「調節」は、物質、物質群、一連の進行およびイベント(例えば、シグナル伝達)またはこれらの任意の組み合わせの発現および/または効力および/または有効性を高めるまたは低減する能力を指す。
【0026】
いくつかの実施形態では、β-カリオフィレンは、水溶性β-カリオフィレンである。いくつかの実施形態では、β-カリオフィレンは、油の形態である。いくつかの実施形態では、β-カリオフィレンは、水中油型の形態である。いくつかの実施形態では、β-カリオフィレンは、結晶の形態である。
いくつかの実施形態では、β-カリオフィレンは、誘導体が本明細書で開示されるようなβ-カリオフィレンの活性を含む、またはそれにより特徴づけられる限り、β-カリオフィレンの任意の誘導体、または任意の複数のそれらを含む。
用語「誘導体」は、天然のカリオフィラン、合成のカリオフィラン、天然のフムラン、合成のフムランおよび本明細書で開示されるようなβ-カリオフィレンの活性を有する任意のその機能性類似体のいずれか1種を意味すると意図される。
【0027】
本明細書で使用される、用語「スタチン」は、任意の3-ヒドロキシ-3-グルタリルコエンザイムA(HMG-CoA)レダクターゼ阻害剤を包含する。
【0028】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、カンナビノイドをさらに含む。いくつかの実施形態では、カンナビノイドは、カンナビジオール(CBD)である、またはこれを含む。
一実施形態では、β-カリオフィレンは、植物または植物性物質から抽出される。一実施形態では、CBDは、大麻植物または大麻物質から抽出される。一実施形態では、CBDは化学的に合成される。一実施形態では、CBDは生物学的に合成されるおよび/または生合成CBDである。
本明細書で使用される、用語「生合成CBD」は、微生物により、例えば、限定されないが、発酵により産生されるCBDを指す。
【0029】
本明細書で使用される、用語「担体」、「賦形剤」、または「補助剤」は、活性薬剤ではない医薬組成物の任意の成分を指す。本明細書で使用される、用語「薬学的に許容可能な担体」は、非毒性で、不活性な固体の、半固体の液体の任意のタイプの充填剤、希釈剤、封入材料、製剤補助剤、または生理食塩水などの、単なる無菌の水性媒体を指す。薬学的に許容可能な担体として機能し得る物質のいくつかの例は、ラクトース、ブドウ糖およびスクロースなどの糖類;コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体;粉末状トラガント;麦芽;ゼラチン;滑石;ココアバターおよび坐剤ワックスなどの賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールポリエチレングリコールなどのグリコール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱性物質非含有水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝液、ならびに医薬製剤に使用される他の非毒性の相溶性物質である。本明細書において担体として機能し得る物質のいくつかの非限定例は、糖、デンプン、セルロースおよびその誘導体、トラガント粉末、麦芽、ゼラチン、滑石、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、硫酸カルシウム、植物油、ポリオール、アルギン酸、発熱物質を含まない水、等張生理食塩水、リン酸緩衝液、ココアバター(坐剤基剤)、乳化剤(例えば、カルボマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム)ならびに他の医薬製剤で使用される他の非毒性の医薬適合性物質を含む。ラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤および滑剤、ならびに着色料、香味剤、賦形剤、安定剤、抗酸化剤、および保存剤も存在し得る。任意の非毒性で、不活性な、および有効な担体が、本明細書で意図される組成物を製剤化するために使用され得る。好適な薬学的に許容可能な担体、賦形剤および希釈剤はこの関連で、当業者には周知であり、例えば、The Merck Index,Thirteenth Edition,Budavari et al.,Eds.,Merck & Co.,Inc.,Rahway,N.J.(2001);the CTFA(Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association)International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,Tenth Edition(2004);およびthe “Inactive Ingredient Guide,” U.S.Food and Drug Administration(FDA)Center for Drug Evaluation and Research(CDER)Office of Managementに記載されるものである。これらの全ての内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本組成物において有用な薬学的に許容可能な賦形剤、担体および希釈剤の例は、蒸留水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、ハンクス液、およびDMSOを含む。これらの追加の不活性成分、ならびに効果的配合および投与手順は、当該技術分野において周知であり、Goodman and Gillman’s:The Pharmacological Bases of Therapeutics,8th Ed.,Gilman et al.Eds.Pergamon Press(1990);Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.(1990);およびRemington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Ed.,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,Pa.,(2005)などの、標準的教科書に記載されている。これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ここで記載される組成物は、人工的に作成された構造物、例えばリポソーム、ISCOMS、徐放粒子、および血清中でペプチドまたはポリペプチドの半減期を延長する他のビークルに含有されてもよい。リポソームは、エマルション、フォーム、ミセル、不溶性単分子膜、液晶、リン脂質分散物およびラメラ層などを含む。本明細書に記載されるペプチドとの使用のためのリポソームは、中性および負電荷のリン脂質およびコレステロールなどのステロールを通常含む、標準的なビークル形成脂質から形成される。脂質の選択は通常、リポソームのサイズおよび血液中の安定性などを考慮して決定される。種々の方法を、例えば、Coligan,J.E.et al,Current Protocols in Protein Science,1999,John Wiley & Sons,Inc.,New Yorkにより概説されるように、リポソームを調製するために利用できる。さらに、米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号、同第4,837,028号および同第5,019,369号も参照されたい。
担体は、全体で、本明細書で提示される医薬組成物の約0.1重量%~約99.99999重量%を構成し得る。
経口投与用の本明細書で記載される組成物の単位剤形の調製に適する薬学的に許容可能なキャリアは、当技術分野で公知である。
【0030】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、結合剤(例えば、アカシア、コーンスターチ、ゼラチン、カルボマー、エチルセルロース、グアーガム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸、二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グアーガム、デンプングリコール酸ナトリウム)、表面への吸収を防ぐためのアルブミンまたはゼラチンなどの添加剤、界面活性剤(例えば、ツイーン20、ツイーン80、プルロニックF68、胆汁酸塩)、プロテアーゼ阻害剤、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、透過促進剤、可溶化剤(例えば、グリセロール、ポリエチレングリセロール)、安定化剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、増粘剤(例えば、カルボマー、コロイド状二酸化ケイ素、エチルセルロース、グアーガム)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、流動助剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、可塑剤(例えば、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル)、ポリマーコーティング(例えば、ポロキサマーまたはポロキサミン)、および/またはコーティング剤およびフィルム形成剤(例えば、エチルセルロース、アクリレート、ポリメタクリレート)をさらに含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、有効量または用量の調製は、最初はインビトロアッセイから推定できる。一実施形態では、用量は、動物モデルにおいて処方でき、そのような情報を用いて、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定できる。
【0032】
一実施形態では、本明細書に記載される有効成分の毒性および治療効力は、インビトロ、細胞培養、または実験動物において、標準的医薬手順により決定できる。一実施形態では、これらのインビトロおよび細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトでの使用のための様々な投与量を処方するのに用いることができる。一実施形態では、投与量は、用いられる剤形および利用される投与経路に応じて変わる。一実施形態では、正確な処方、投与経路および投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師により選択できる[例えば、Fingl,et al.,(1975)”The Pharmacological Basis of Therapeutics”,Ch.1 p.1、を参照されたい]。
【0033】
いくつかの実施形態では、開示される組成物は、経口投与用に処方される。経口適用のために、組成物は、タブレット、カプレットまたはカプセルの形態であってよく、これらは、本明細書で前述の成分または化合物のいずれかを含み得る。投与単位剤形がカプセルである場合、それは、上記タイプの材料に加えて、脂肪油などの液体担体を含み得る。加えて、単位剤形は、投与単位の物理的形態を変える種々の他の材料を含み得る。開示される組成物を含むタブレットはさらに、膜被覆され得る。いくつかの実施形態では、組成物の経口適用は、チュアブル錠などの食用製品の形態であってよい。
いくつかの実施形態では、組成物は、栄養補助食品組成物、医薬組成物、機能性化粧品組成物、健康補助食品、またはこれらの任意の組み合わせとして処方される。
非限定例として、組成物は、栄養補助食品の乾燥配合物中に組み込まれ、ジェルカプセル、タブレット、サッシェなどにパッケージされる。さらに別の例では、産物は、液体形態で、または軟カプセル中にパッケージして利用できる。
【0034】
治療の方法
いくつかの実施形態によれば、骨関連疾患またはそれに伴う障害に罹患している対象を治療する方法が提供され、方法は、β-カリオフィレンおよびスタチンを含む医薬組成物の治療的有効量を対象に投与することを含む。
【0035】
本明細書で使用される、用語「骨関連疾患またはそれに伴う障害」は、骨形成、沈着、または再吸収が異常な任意の疾患または障害を包含する。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される骨関連疾患は、過剰血管新生により特徴づけられる、またはそれを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される、骨関連疾患は、関節関連疾患または障害を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書で使用される、骨関連疾患は、歯科関連疾患または障害を含む。
いくつかの実施形態では、骨関連疾患またはそれに伴う障害は、骨組織、関節組織、歯科組織、またはこれらの任意の組み合わせの炎症を含む、またはこれらにより特徴づけられる。
いくつかの実施形態では、骨関連疾患またはそれに伴う障害は、骨折を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、治療することは、対象の骨の、骨幅当りの骨折の長さを減らすこと、最大荷重を高めること、堅さを高めること、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
【0037】
骨幅当りの骨折の長さ、骨最大荷重、骨堅さを測定するための方法は、よく知られており、当業者には明らかであろう。このような方法の非限定例は、限定されないが、定量的CT(コンピュータ断層撮影)、高解像度末梢骨定量的CT、マイクロCT、HRMRI(高解像度磁気共鳴画像法)、HRpQCT(高解像度末梢骨定量的コンピュータ断層撮影)、NMR(磁気共鳴画像法)、qBEI(定量的反射電子像)、QCT(定量的コンピュータ断層撮影)、RPI(基準点インデンテーション)、SAXS(小角X線散乱)、SEM(走査電子顕微鏡)、TGA(熱重量分析)、XRD(X線回折)、マイクロビーム試験、マイクロインデンテーションおよびナノインデンテーションを含み、これらのいくつかは、本明細書の以降で例示される。
【0038】
いくつかの実施形態では、治療することは、対象の骨中の、骨増殖細胞の数、骨細胞増殖速度、または両方を増大させることを含む。
細胞増殖を測定するための方法は、よく知られており、当業者には明らかであろう。このような方法の非限定例としては、限定されないが、細胞増殖のバイオマーカー、例えばフローサイトメトリー、免疫細胞化学、などで利用されるKi67を用いる免疫アッセイ法が挙げられる。
いくつかの実施形態では、治療することは、対象の骨において、骨内膜および骨膜増殖、骨欠損充填、骨品質を高めること、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
【0039】
骨内膜および骨膜増殖、骨欠損充填、骨品質を測定するための方法は、よく知られており、当業者には明らかであろう。このような方法のための非限定例は、限定されないが、染色;脱石灰、標識および顕微鏡的観察ならびに遺伝子およびタンパク質発現を含み、これらのいくつかは、本明細書の以降で例示される。
【0040】
いくつかの実施形態では、治療することは、骨炎症、関節炎症、または両方を低減することを含む。いくつかの実施形態では、治療することは、対象における骨芽細胞の数、増殖速度、分化速度、活性化速度、活性、またはこれらの任意の組み合わせを増大させることを含む。
【0041】
本明細書で使用される、用語「骨芽細胞活性」は、骨細胞外マトリックスのコラーゲン性前駆物質を合成する、骨を形成するためのマトリックスの石灰化(例えば、骨形成および石灰化)を調節する骨芽細胞の細胞活性、ならびに骨リモデリングおよび再構成におけるそれらの機能を指す。骨の石灰化は、I型コラーゲンおよび種々の非コラーゲン性のタンパク質からなる細胞外マトリックス中の炭酸塩化ヒドロキシアパタイト結晶の沈着により起こる。
本明細書で使用される、「骨芽細胞」は、間葉系骨前駆体細胞由来の骨形成細胞であり、骨性マトリックスを形成し、その中でそれは骨細胞として封入されるようになる。成熟した骨芽細胞は、インビボで骨細胞外マトリックスを形成できる細胞であり、細胞外マトリックスの生成を反映する石灰化された結節を形成するその能力によりインビトロで特定できる。未成熟な骨芽細胞は、インビトロで石灰化された結節を形成できない。
いくつかの実施形態では、治療することは、対象において破骨細胞の数、増殖速度、分化速度、活性化速度、活性、またはこれらの任意の組み合わせを低減させることを含む。
本明細書で使用される、「破骨細胞」は、造血幹細胞由来の豊富な好酸性の細胞質を有する大きな多核化細胞であり、骨組織の吸収および除去において機能する。破骨細胞は、副甲状腺ホルモンの存在下で高活性になり、増大した骨吸収および細胞外液中への骨塩(リンおよび、特に、カルシウム)の放出を生じさせる。破骨細胞はまた、再吸収の間のアクチン環構造および極細胞体(polar cell body)の形成、およびカルシトニンに応答した収縮に基づき特定される。成熟した破骨細胞は、酵素:酒石酸耐性酸フォスファターゼ(TRAP)の分泌に基づき特定できるが、その前駆細胞は特定できない。
いくつかの実施形態では、治療することは、対象において破骨細胞に対する骨芽細胞の比率を増大させることを含む。いくつかの実施形態では、治療することは、対象において活性破骨細胞に対する活性骨芽細胞の比率を増大させることを含む。いくつかの実施形態では、治療することは、対象において分化および/または活性化破骨細胞に対する分化および/または活性化骨芽細胞の比率を増大させることを含む。
いくつかの実施形態では、治療することは、骨治癒を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、骨芽細胞、破骨細胞、またはそれらの両方の数、増殖速度、分化速度、活性化速度、活性、またはこれらの任意の組み合わせのいずれかが、対象において、本明細書で開示の治療を必要としている部位で、例えば、損傷を受けた:骨組織、関節組織、または歯科組織で測定される。
いくつかの実施形態では、測定することは、対象から得た試料または対象由来の試料中である。いくつかの実施形態では、測定することは、インビトロまたはエクスビボで実施される。
いくつかの実施形態では、骨は、対象の大腿骨である。
【0043】
いくつかの実施形態では、投与することは、局所的に投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される医薬組成物は、局所投与用に処方される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される医薬組成物は、制御放出または徐放用に処方される。いくつかの実施形態では、投与することは、術中投与を含む。いくつかの実施形態では、投与することは、対象の手術または外科治療中(即ち、術中)に本明細書で開示される医薬組成物を局所的に投与することを含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、対象は、哺乳類対象である。いくつかの実施形態では、対象は、ヒト対象である。いくつかの実施形態では、対象は、骨関連疾患またはそれに伴う障害に罹患している、またはそれを発症するリスクが高まっている。いくつかの実施形態では、対象は、歯科用サイナスリフト、歯科用骨移植、または両方を必要としている。いくつかの実施形態では、対象は、骨折している。
【0045】
いくつかの実施形態では、減少、減少させること、抑制、または抑制することは、対照に比べて、少なくとも、5%、10%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または100%の、またはこれらの間の任意の値および範囲の減少または抑制である。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
いくつかの実施形態では、増大、増大させること、強化、または強化することは、対照に比べて、少なくとも、5%、10%、35%、50%、80%、100%、150%、270%、400%、650%、800%、または1,000%の、またはそれらの間の任意の値もしくは範囲の増大である。それぞれの可能性は、本発明の別の実施形態を表す。
【0046】
本明細書で使用される、疾患、障害、または状態の「治療」または「治療すること」という用語は、その少なくとも1つの症状の軽減、その重症度の減少、またはその進行の抑制を包含する。治療は、疾患、障害、または状態が完全に治癒すされることを意味する必要はない。効果的な治療であるためには、本明細書における有用な組成物は、疾患、障害、もしくは状態の重症度を減少させる、それに関連する症状の重症度を減少させる、または患者もしくは対象の生活の質の改善を提供することのみを必要とする。
本明細書で使用される、「治療すること」は、改善することおよび/または防止することを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、β-カリオフィレンおよび1種または複数のスタチンの組み合わせは本出願では、「組み合わせ」および/または「製剤」および/または「医薬有効成分」および/または「予防的または治療的薬剤」と呼ばれる場合がある。
【0048】
いくつかの実施形態では、方法は、改善された骨治癒および再生のための、賦形剤を含むまたは含まない、予防的または治療的薬剤としてのβ-カリオフィレンおよび1種または複数のスタチンの局所のまたは全身の送達を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、賦形剤を含みまたは含まずに、少なくとも1種の追加の有効成分をさらに含む。
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、血管新生特性を含むまたは有することにより特徴づけられる少なくとも1種の成分をさらに含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の追加の血管新生成分は、一酸化窒素ドナーを含む。いくつかの実施形態では、一酸化窒素ドナーは、アルギニンを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1種の追加の血管新生成分は、本明細書で開示されるように、スタチンの溶解度を改善する。
【0050】
いくつかの実施形態では、β-カリオフィレンは、スタチンと補完的な相乗的効果を有する。いくつかの実施形態では、β-カリオフィレンおよび少なくとも1種の追加の活性薬剤は、補完的な相乗的効果を有する。
【0051】
いくつかの実施形態では、方法は、β-カリオフィレンおよびスタチンを含む医薬組成物の相乗的に有効な量を対象に投与することを含む。
いくつかの実施形態では、骨関連疾患またはそれに伴う障害を治療するための方法が提供され、方法は、β-カリオフィレンの治療的有効量およびスタチンの治療的有効量をそれを必要としている対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、β-カリオフィレンは、第1の医薬組成物中で処方され、およびスタチンは、第2の医薬組成物中で処方される。いくつかの実施形態では、第1の医薬組成物および第2の医薬組成物は、同時にまたは順次に投与される。
【0052】
いくつかの実施形態では、骨関連疾患またはそれに伴う障害の治療における使用のために、β-カリオフィレンおよびスタチンの組み合わせが提供される。
いくつかの実施形態では、β-カリオフィレンは、第1の医薬組成物内で処方され、およびスタチンは、第2の医薬組成物内で処方される。
いくつかの実施形態では、それを必要としている対象において、β-カリオフィレンおよび/またはスタチンの生物学的利用度を高めるための方法が提供される。
いくつかの実施形態では、それを必要としている対象において、β-カリオフィレンの治療作用を高めるための方法が提供され、方法は、スタチンの治療的におよび/または相乗的に有効な量を対象に投与することを含む。
いくつかの実施形態では、それを必要としている対象において、スタチンの治療活性を高めるための方法が提供され、方法は、β-カリオフィレンの治療的におよび/または相乗的に有効な量を対象に投与することを含む。
本発明のさらなる実施形態は、骨および関節疾患、状態、または症状を治療するまたは予防する方法、および特に、骨折または歯科用サイナスリフトおよび/または歯科用骨移植後の骨治癒および再生に関する。
【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるβ-カリオフィレンとスタチンの相乗的組み合わせは、個別に提供される場合のβ-カリオフィレンおよびスタチンのいずれか1種の治療的有効量を効果的に低減する。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される医薬組成物および/または製剤のいずれか1種は、対象に1種または複数の追加の有効成分と共投与される。共投与は、同時投与(例えば、個別に同時に提供される)または逐次投与(例えば、異なる時点で提供される)を含む。
【0054】
組成物、またはそれぞれの成分は、非経口、癌化細胞の近くに、経粘膜的、経皮的、筋肉内、静脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、頭蓋内、腟内または腫瘍内、などの当業者に既知のいずれかの方法により、対象、ヒトまたは動物に、投与され得る。
組成物、またはそれぞれの成分は、外科治療中に別々にまたはいずれかの埋め込み型装置またはシステムの一部として、当業者に既知のいずれかの方法により、対象、ヒトまたは動物に、投与され得る。
いくつかの実施形態では、組成物、またはそれぞれの成分は、骨折の中に、または歯科用骨移植片に直接投与される。
【0055】
いくつかの実施形態では、組成物、またはそれぞれの成分は、食品に添加され得る。いくつかの実施形態では、食品は、ペット食品である。いくつかの実施形態では、食品は、グミなどの食用品である。
組成物、またはそれぞれの成分は、リポソームまたは乳剤、ナノ粒子またはミセル中に充填され得る。
成分の吸収は、不利な生物物理学的環境の使用を浸透剤の使用と組み合わせることにより、増大され得る。
【0056】
本発明の組成物は、生理学的に活性ではないが最終組成物の性質を向上させる働きをする成分である、追加の補助剤を含み得る。例えば、本発明の組成物は、賦形剤を含み得る。本発明の組成物は、潤滑剤、湿潤剤、乳化剤、および懸濁化剤または保存剤を含み得る。
【0057】
本発明の組成物は、有効成分と有害に相互作用しない任意の薬学的に許容可能なビークル中で処方され得る。本発明の組成物は、水性または油性ビークル中で処方され得る。
本発明の組成物は、約3~約8のpHを有し得る。
【0058】
いくつかの実施形態により、組成物は、経口投与され、使用される単位剤形は、錠剤、カプセル剤、ロゼンジ剤、チュアブル錠剤、懸濁液、乳剤、などを含み得る。このような単位剤形は、安全で有効な量の所望の化合物、または複数化合物を含む。経口投与用の単位剤形の調製に適する許容可能な担体は、当技術分野で公知である。
【0059】
投与される剤形は、所定の放出プロファイルを含み得る。一実施形態では、本発明の投与される剤形は、持続放出製剤である。本発明の投与される剤形は、徐放手段を含み得る。本発明の投与される剤形は、即放性手段を含み得る。投与される剤形は、当業者に既知の、有効成分の所望される放出プロファイルに従い処方され得る。
組成物は、溶液、乳剤、懸濁液などを含み得る。このような組成物の調製のために適切な薬学的に許容可能な担体は、当該分野で周知である。
本発明の方法での使用のための組成物は、溶液または乳剤を含み得、これらは、いくつかの実施形態では、安全で有効な量のβ-カリオフィレンおよびスタチン、および必要に応じて、他の化合物類を含む水性の溶液または乳剤である。
【0060】
一般
本明細書中で使用される用語「約」は、±10%を指す。
用語「含む(comprises、comprising、includes、including)」、「有する(having)」、およびそれらの同根語は、「含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。
用語「からなる(consisting of)」は、「含み、それらに限定される(including and limited to)」ことを意味する。
用語「から本質的になる(consisting essentially of)」は、さらなる成分、工程および/または部分が、主張される組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変化させない場合にのみ、組成物、方法または構造がさらなる成分、工程および/または部分を含み得ることを意味する。
「例示的」という語は、本明細書において、「実施例、例、または例証としての役割を果たすこと」を意味するために使用される。「例示的」であると本明細書に記載されるあらゆる実施形態は必ずしも、他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではなく、および/または他の実施形態からの特徴の組み込みを排除するものではない。
語句「必要に応じ」は、本明細書では、「いくつかの実施形態では、提供され、他の実施形態では、提供されない」ことを意味するために使用される。本発明のあらゆる特定の実施形態は、このような特徴が矛盾しない限り、複数の「任意の」特徴を含み得る。
本明細書中で使用される、単数形(「a」、「an」および「the」)は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照物を包含する。例えば、用語「化合物(a compound)」または用語「少なくとも1種の化合物」は、その混合物を含み、複数の化合物を包含し得る。
本出願を通して、本発明の様々な実施形態が範囲形式で提示される場合がある。範囲形式での記載は単に便宜上および簡潔化のためであり、本発明の範囲に対する柔軟でない限定として解釈すべきでないことを理解されたい。従って、範囲の記載は、具体的に開示される可能なすべての部分範囲、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値を有すると見なさなければならない。例えば、1~6などの範囲の記載は、具体的に開示される部分範囲(例えば、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6など)、ならびに、その範囲に含まれる個々の数値(例えば、1、2、3、4、5および6)を有すると見なさなければならない。このことは、範囲の広さにかかわらず、当てはまる。
数値範囲が本明細書中で示される場合には常に、示される範囲に含まれる任意の言及される数字(分数または整数)を含むことが意図される。第1の示される数字および第2の示される数字「の範囲である/の間の範囲」という語句、および、第1の示される数字「から」第2の示される数「に及ぶ/までの範囲」という語句は、同義に使用され、第1の示される数字と、第2の示される数字と、その間のすべての分数および整数を含むことが意図される。
本明細書中で使用される用語「方法」は、所与の課題を達成するための様式、手段、技術および手順を意味し、これは、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の技術分野の実施者に知られているそのような様式、手段、技術および手順、または、知られている様式、手段、技術および手順から、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の技術分野の実施者によって容易に開発されるそのような様式、手段、技術および手順を含むが、それらに限定されない。
明確にするために別個の実施形態の文脈で説明される、本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供されてよいということが理解される。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明される本発明の各種の特徴はまた、別個にまたは適切な副組合せで、あるいは本発明の他の記載される実施形態において適切なように提供されてよい。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに動作不能である場合を除き、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。
本発明の様々な実施形態の説明は、例示のために提示されるが、開示された実施形態を網羅、または限定することを意図しない。記載された実施形態の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの改変や変更が行えることは当業者に明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実用化または市場で見出される技術に対する技術改善、あるいは当業者が本明細書に開示された実施形態を理解するために最もよく説明するために選択されたものである。
上で説明されかつ以下の特許請求の範囲で請求される本発明の様々な実施形態および態様は、以下の実施例において実験的に裏付けられる。
【0061】
本明細書で使用される、用語「相乗効果」または「相乗的」または「相乗効果」は、同義であり、それらの相加効果を越える2種の活性剤の組み合わされた効果を指す。相乗作用はまた、2種の活性剤の組み合わされた効果のない投与量により有効な効果を生成することにより達成できる。
【0062】
本明細書で使用される、他の用語は、当該技術分野におけるそれらのよく知られた意味により定義されると意図される。
本発明の追加の目的、利点、および新規の特徴は、限定的であることを意図されない、以下の実施例を考察することにより、当業者に明らかになるであろう。さらに、上で説明されおよび下の特許請求の範囲のセクションで請求される、本発明の様々な実施形態および態様の各々は、以下の実施例において実験的に裏付けられる。
明確にするために別個の実施形態の文脈で説明される本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供することもできることが理解される。逆に、簡潔にするため単一の実施形態で説明される本発明の各種の特徴は、別個にまたは適切な副組み合わせにより、あるいは本発明の任意の他の記載される実施形態において好適なように提供されてもよい。種々の実施形態の文脈において記載される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしに機能しない場合を除き、それらの実施形態の不可欠な特徴であると見なされるべきではない。
【0063】
実施例
一般に、本明細書で使用される命名法および本発明で利用される実験手順は、分子の、生化学の、微生物学のおよび組換えDNAの技術を含む。このような技術は、文献で十分に説明されている。例えば、以下の文献を参照されたい。A laboratory Manual” Sambrook et al.,(1989);”Current Protocols in Molecular Biology” Volumes I-III Ausubel,R.M.,ed.(1994);Ausubel et al.,”Current Protocols in Molecular Biology”,John Wiley and Sons,Baltimore,Maryland(1989);Perbal,”A Practical Guide to Molecular Cloning”,John Wiley & Sons,New York(1988);Watson et al.,”Recombinant DNA”,Scientific American Books,New York;Birren et al.(eds.)”Genome Analysis:A Laboratory Manual Series”,Vols.1-4,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(1998);以下に示された方法論:米国特許第4,666,828号、同第4,683,202号、同第4,801,531号、同第5,192,659号および同第5,272,057号;”Cell Biology:A Laboratory Handbook”,Volumes I-III Cellis,J.E.,ed.(1994);”Culture of Animal Cells-A Manual of Basic Technique” by Freshney,Wiley-Liss,N.Y.(1994),Third Edition;”Current Protocols in Immunology” Volumes I-III Coligan J.E.,ed.(1994);Stites et al.(eds),”Basic and Clinical Immunology”(8th Edition),Appleton & Lange,Norwalk,CT(1994);Mishell and Shiigi(eds),”Selected Methods in Cellular Immunology”,W.H.Freeman and Co.,New York(1980);利用可能な免疫アッセイは、特許および科学文献に広範に記載されており、例えば、米国特許第3,791,932号、同第3,839,153号、同第3,850,752号、同第3,850,578号、同第3,853,987号、同第3,867,517号、同第3,879,262号、同第3,901,654号、同第3,935,074号、同第3,984,533号、同第3,996,345号、同第4,034,074号、同第4,098,876号、同第4,879,219号、同第5,011,771号および同第5,281,521号;”Oligonucleotide Synthesis” Gait,M.J.,ed.(1984);“Nucleic Acid Hybridization” Hames,B.D.,and Higgins S.J.,eds.(1985);”Transcription and Translation” Hames,B.D.,and Higgins S.J.,eds.(1984);”Animal Cell Culture” Freshney,R.I.,ed.(1986);”Immobilized Cells and Enzymes” IRL Press,(1986);”A Practical Guide to Molecular Cloning” Perbal,B.,(1984)and ”Methods in Enzymology” Vol.1-317,Academic Press;”PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications”,Academic Press,San Diego,CA(1990);Marshak et al.,”Strategies for Protein Purification and Characterization-A Laboratory Course Manual” CSHL Press(1996)を参照されたい。これらの全ては、参照により本明細書に組み込まれる。他の一般的な参考文献は、本明細書全体を通して記載される。
【0064】
実施例1
処方
14種の異なる毎日の処方が、表1に詳述されるように調製され得る。
【表1】
処方はまた、改善された生物学的利用度のための、および成分の放出時間を制御するための不活性成分からなる。
CBDおよびβ-カリオフィレンを含む処方では、半分の投与量もまた試験される。ロバスタチンおよびシンバスタチンを含む処方では、半分の投与量もまた試験される。
【0065】
実施例2
反復される腹腔内投与
内在性カンナビノイド系の活性化剤として、18mg/kg/日のβ-カリオフィレンまたはCBD、および4.5mg/kg/日の1種のスタチン(ロバスタチンまたはシンバスタチンのどちらか一方)を含む組成物の毒性を、14日間にわたり測定した。有害事象は観察されなかった(データは示さず)。
【0066】
実施例3
成分比率の最適化
試験は、医薬有効成分;即ち、β-カリオフィレン、ロバスタチン、シンバスタチン、CBD、およびこれらの組み合わせ、の6種の異なる比率に対する約6匹の動物の群を含んだ。
試験を、実施例2に記載されるように実施する(急性経口投与)。
試験を、スプラーグドーリーオスラットで実施する(n=3匹/群)。
単一用量を、t=0にて経口(PO)で、静脈内(IV)に、または骨膜に投与する。
有効成分の薬物動態(Pk)を、単剤投与の1、4、8および12時間後に調査する。
目標は、種々の医薬有効成分の比率を最適化すること、かつ潜在的な毒性または不耐容性を評価することである。
【0067】
実施例4
経口長期投与
試験を、欠損前十字靭帯を修復するための整形外科的処置を、脛骨粗面前進術(TTA)モデルを用いてスプラーグドーリーオスラット(n=12匹/群、一方の性;>12週齢;>250g)に対し実施する。前十字靭帯(CrCL)は、膝関節(後膝関節)を安定化し、脛骨が前方にスライドするのを制限する。
表1の各処方の単一用量を、POで、静脈内(IV)に、または骨膜にt=0で、および24時間毎に30日間にわたり投与する。試験は、56日間続く。
試験の目的は、経口投与される際の、候補試験品の骨治癒に対する効果を測定することである。
動物の全身状態の記録を含む身体検査を、試験へのエントリーの前に実施する。全ての動物は、試験参加の許可を得る前に、身体検査により測定されるように、明らかな一般的な健康状態にある。剖検の前に、類似の身体検査を、試験を完了する全ての動物に対し繰り返す。
【0068】
通常の吸入麻酔下でかつ厳格な無菌技術を利用して、大腿骨の外側面に対し、切開を、その全長に沿って延在して、形成する。周囲組織を注意深く解剖して、それを完全に露出させる。ポリアセタール中和プレートを、骨に適合させ、テンプレートとして使用してネジ穴のための位置を決める(およびマークする)。バイコーティカルパイロット穴、1.1mm直径、を各ネジのために作成する。プレートを、骨上に再配置し、1.5mm直径、10mm長さのタッピングネジ、316Lステンレス鋼コルティカルスクリューを用いて、大腿骨にプレートを確実に固定する。プレートを固定した後で、骨切り術を、1.1mm切断穿子を用いてプレートのスパン中央で行う。無菌灌漑溶液による持続的灌漑を、骨切除の間に使用して、組織に対する熱損傷を回避する。デブリを、灌漑溶液洗浄および吸引により骨切り部位から除去する。プレートをその後、取り外し、TAを適用して骨切り部を取り囲み、プレートを次に、再適用する。創傷を、適切な寸法の縫合材料を単純な連続的パターンで用いて、シールするまたは層内に閉じ込める。皮膚を、表皮下パターンで配置される、適切なサイズの縫合材料により閉じる。同一の手順を次に、相対する大腿骨に対し実施する。
【0069】
大腿骨のX線撮影を、術後可能な限り速やかに得る(例えば、事実上術後に)。臨床観察を、最初の14日間毎日、次いで毎週実施する。
手術したおよび手術されない大腿骨のX線撮影画像を、術後3日以内、および14、28、42および56±3日目に各動物から取得する。ラットを、腹背[VD、別名前後方向(AP)]および側面投影像で検査する。各投影像は、治癒のX線検査の評価のための密度較正を提供するために、組み込み型(embedded)階段くさび密度計測スケールを含む。下に提示する採点システムを、欠損の治癒を定性的に評価するために使用する。
X線撮影採点システムを、表2に詳細に示す。
【表2】
【0070】
全ての動物を安楽死させ、移植大腿骨を、術後56日目に組織評価のために採取する。安楽死後、手術した肢を、股関節および膝で注意深く関節をはずす。筋組織を、仮骨および欠損部位の破壊を回避しながら、注意深く解剖する。大腿骨を、試験のために処理する前に、少なくとも4日間の期間中10%中性緩衝ホルマリン中に置く。
β-カリオフィレン、ロバスタチンおよびシンバスタチン、ならびにCBDの血漿中濃度を、最初の投与の8および12時間後、およびその後、試験の終わりまで4日毎に検査する。
試験を、医薬有効成分、即ち、β-カリオフィレン、ロバスタチン、シンバスタチン、およびCBD、の種々の濃度および比率で繰り返す。
【0071】
実施例5
局所投与
この試験の目的は、外科的に誘導した疑似骨折の治癒に対する4つの試験群の有効性を測定することであった。疑似骨折を、皮質の一方側を通る大腿骨骨幹軸の1つの表面上にトラフを作製することにより作成した。組成物を、毎日の注射により局所的に投与した。動物:未処理オススプラーグドーリーラット(SDラット)、12週齢、約350g。右脚を治療し、一方で左脚は対照(ビークル)としての役割を果たす。群は、次記を含んだ:β-カリオフィレン:ロバスタチン(G1-B+L);β-カリオフィレン:シンバスタチン(G2-B+S)、CBD:ロバスタチン(G3-C+L)およびCBD:シンバスタチン(G4-C+S)。全ての組み合わせは、10:1の重量当たりの重量比率でロバスタチンまたはシンバスタチンに対しβ-カリオフィレンまたはCBDを含んだ。
【0072】
動物の体重は、試験の間、大きくは変化しなかった。全ての群で、改善された治癒が、ビークル単独に比べて観察された。最大の改善は、β-カリオフィレンおよびロバスタチンで治療した骨折について観察された;11日目に約12%、22日目に約51%、および35日目に約45%(
図1)。大きな改善は、β-カリオフィレンおよびシンバスタチンで治療した骨折について観察された;11日目に約14%、22日目に約29%、および35日目に約26%(
図2)。顕著に少ない改善は、CBDを含む組成物について観察された。CBDとロバスタチンで改善された治癒:11日目に約18%、22日目に約40%、および35日目に約23%、ならびにCBDとシンバスタチンで改善された治癒:11日目に約21%、22日目に約27%、および35日目に約15%(それぞれ、
図3~4)。
【0073】
実施例6
局所投与のための用量
臨床試験を、医薬有効成分;即ち、CBD、β-カリオフィレン、ロバスタチンおよびシンバスタチンの組み合わせについて用量範囲を決定するために行う。
骨折している50人の(50)ヒト患者を、実施例3(比率)および実施例5(局所投与)の結果に従い異なる局所用量範囲で治療する。用量を、外科治療で投与する。
術後検査を、実施例4で詳述されたように実施する。
【0074】
実施例7
大腿部骨折の35日の治療後の最大荷重(N)
大腿部骨折の35日の治療後の最大荷重(N)を、4つの群:β-カリオフィレンおよびロバスタチン(G1-B+L)、β-カリオフィレンおよびシンバスタチン(G2-B+S)、CBDおよびロバスタチン(G3-C+L)、ならびにCBDおよびシンバスタチン(G4-C+S)、において測定した:約27%の改善が、ビークル治療に比べて、G1-B+L治療群について観察された(
図5)。
【0075】
実施例8
大腿部骨折の35日の治療後の堅さ(N/mm)
大腿部骨折の35日の治療後の骨堅さ(N/mm)を、4つの群:β-カリオフィレンおよびロバスタチン(G1-B+L)、β-カリオフィレンおよびシンバスタチン(G2-B+S)、CBDおよびロバスタチン(G3-C+L)、ならびにCBDおよびシンバスタチン(G4-C+S)、において測定した:約19%の改善が、ビークル治療に比べて、B+L治療群について観察された(
図6)。
【0076】
実施例9
大腿部骨折の35日の治療後の最大荷重に対するエネルギー(mj)
大腿部骨折の35日の治療後の最大荷重に対する骨エネルギーを、4つの群:β-カリオフィレンおよびロバスタチン(G1-B+L)、β-カリオフィレンおよびシンバスタチン(G2-B+S)、CBDおよびロバスタチン(G3-C+L)、ならびにCBDおよびシンバスタチン(G4-C+S)、において測定した:約14%の改善が、ビークル治療に比べて、B+L治療群について観察された(
図9)。C+L治療もまた、ビークル治療群に比べて、大幅な改善をもたらした。
【0077】
実施例10
骨品質
骨品質を、35日の治療後に検査した。G1-B+L群について、細胞増殖は、治療されない骨に比べて、>44%改善された。細胞増殖における変化は、脱石灰後に、G2-B+S群について観察されなかった(
図7)。
骨内膜および骨膜増殖、骨欠損充填、および骨品質を、β-カリオフィレンによる大腿部骨折の35日の治療(脱石灰なし)後に評価した。大幅な改善が、骨内膜および骨膜増殖、骨欠損充填、および骨品質において観察された(
図8)。
【0078】
実施例11
インビトロ細胞傷害性
インビトロ細胞傷害性および増殖アッセイ(基底)を、ヒト骨芽細胞および幹細胞単層に対し実施する。
ヒト一次骨芽細胞を、5%CO
2雰囲気の37℃加湿インキュベーター中で維持する。細胞を、一次骨芽細胞培養サプリメントおよび1%のペニシリン/ストレプトマイシンストック溶液を含む一次骨芽細胞培地中で培養する。
ヒト一次破骨細胞は増殖できないので、破骨細胞分化のためのヒト細胞株モデルである、MUTZ-3をまた使用する。MUTZ-3細胞を、5%CO
2雰囲気の37℃加湿インキュベーター中で維持する。細胞を、10%の胎児の仔ウシ血清および1%のペニシリンストレプトマイシンストック溶液を補充したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)中で培養する。プレートのレイアウトを、
図10に示す。
光強度(485~500nm
Ex/520~530nm
Emでの蛍光強度)を、24時間後(
図11A)および96時間後(
図11B)に、0、1、10および100μMの濃度のロバスタチンと共に0~6,561μMのβ-カリオフィレン濃度を含む骨芽細胞培養で測定した。ロバスタチンの添加は、すべての濃度で、β-カリオフィレンの細胞傷害性に影響しなかった。β-カリオフィレンは、最大で約27μMの濃度について、大きな細胞毒性効果を示さない。
光強度(485~500nm
Ex/520~530nm
Emでの蛍光強度)を、24時間後(
図11C)および96時間後(
図11D)に、0、1、10および100μMの濃度のロバスタチンと共に0~6,561μMのβ-カリオフィレン濃度を含むMUTZ-3培養で測定した。ロバスタチンの添加は、すべての濃度で、β-カリオフィレンの細胞傷害性に影響をしなかった。β-カリオフィレンは、最大で約27μMの濃度について、大きな細胞毒性効果を示さない。
【0079】
実施例12
骨芽細胞へのhMSC(ヒト間葉系幹細胞)の分化
ヒト間葉系幹細胞(hMSC)を、5%CO
2雰囲気の37℃加湿インキュベーター中で維持する。細胞を、一次間葉系幹細胞培養サプリメント、および1%のペニシリンストック溶液を含む一次間葉系幹細胞無血清培地および一次骨芽細胞培地(増殖培地)中で培養する。hMSCの骨芽細胞への分化を、OriCell(登録商標)ヒト関連幹細胞骨芽細胞分化キット(Cyagen,China;osteogenic medium)により誘導した。
5,000個の(5,000)hMSC/ウェルを、増殖培地と共に24-ウェル培養プレートに播種して、好適な密度に増殖させる。細胞を、PBS(リン酸緩衝食塩水)で洗浄し、これを続いて、特定の炎症性サイトカインを含む骨形成培地に交換する。培地を、21日間にわたり週2回交換する。候補サイトカインは、インターロイキン-1β(IL-1β)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、インターフェロンγ(IFNγ)、IL-6、IL-17A、IL-10、IL-8、形質転換増殖因子ベータ1(TGFβ1)および血管内皮細胞増殖因子(VEGF-A)を含む。
分化の効果を、マトリックス石灰化により評価し、アリザリンレッド染色により測定しおよび定量化する。最良の炎症性のカクテルを、ほとんどのマトリックス石灰化を誘導する単一の炎症性サイトカインまたはそれらの組み合わせとして定義する。
最良の炎症性カクテル下で、Cbfa-1、コラーゲンI、OCN、OPN、オステオネクチン、Runx2、ALP、およびBMP-4を含む、骨芽細胞マーカー遺伝子の発現レベルを評価する。発現レベルを、定量的PCR(qPCR)により測定する。同時に、促進性/抗抗炎症タンパク質の分泌プロファイルおよびIFN-γ、IL-8、プロスタグランジンE2(PGE2)、IL-10、TGF-β(形質転換増殖因子)、IL-1RA、KGF(角化細胞成長因子)/FGF-7(繊維芽細胞増殖因子)、ANG-1およびTSG-6(腫瘍壊死因子-誘導性遺伝子6タンパク質)を含む、成長因子発現を、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により測定する。
プレートのレイアウト(
図12)は、試験経過を表す。最良のサイトカインカクテルを決定するための24ウェルプレートでの炎症性サイトカインを試験する、第1ラウンドのhMSC分化。6ウェルプレートでの最良サイトカインカクテル刺激後の第2のラウンド、細胞ペレットを採取してqPCRを行い、および上清を採取してELISAを行う。β-カリオフィレンおよびロバスタチンの組み合わせは、サイトカインおよびそれらの発現の調節を示す。
【0080】
実施例13
エクスビボ観察:骨スライスの石灰化
骨外植片を、マウス脛骨から取得する(
図13、Maeda et al.,2018,Journal of Biomechanicsに従って)。動物を、CO
2ガスを使って屠殺する。左脚および右脚の両方を、70%のエタノールで滅菌し、脛骨を、クリーンベンチ内で切開する。約3mmの厚さを有する骨スライスを、脛骨軸に垂直な面から、脛骨の近位端から約3~7mmの距離で切り出す。スライスを直ちに、パラフィン中に埋め込み、リン酸緩衝食塩水(PBS)で満たされたマイクロスライサーのホルダー中に置く。約200~2,000μmの厚さを有する、薄いスライスを、外植片の中央部から切り出す。薄いスライスを、10%のペニシリン-ストレプトマイシンを補充したPBS中で5秒間洗浄し、10%のウシ胎仔血清、10%のペニシリン-ストレプトマイシン、75μg/mlのアスコルビン酸、5mMのグリセロホスフェートおよび10
-7Mのデキサメタゾンを補充したBGJbからなる培地中でのその後の培養実験まで保持する。
最大で35日齢に、脛骨の外縁中に既に存在する薄層の石灰化組織があり、これは、平均で脛骨の断面積の約10~40%を占める。
培養の間の骨検体の石灰化に対するβ-カリオフィレンおよびロバスタチンの影響を評価するために、骨検体を、ウェル中に置き、β-カリオフィレン(0~216mM)およびロバスタチン(0~2mM)とインキュベートした(
図14)。50μg/mLのインスリン(これは、インスリン様成長因子1(IGF-1)受容体の活性化を通して骨新形成を刺激することが知られている)は、対照としての役割を果たす。骨検体を、アリザリンレッドS染色または類似品を用いて分析する。
得られた石灰化領域を、約30日まで、24時間毎に評価する。低いβ-カリオフィレンおよびロバスタチン濃度でインキュベートされた骨検体中の石灰化領域は、未延伸対照試料のレベルで残存し、一方で中程度のβ-カリオフィレンおよびロバスタチン濃度中の領域は、未延伸試料のものより著しく大きかったが、高濃度ではより狭かった。領域は、時間と共に成長し、より速い石灰化速度が、最大で10日観察される。
【0081】
実施例14
エクスビボ観察:生存率の定量的評価
試験される時間枠にわたる骨検体の生存率を監視するために、培養上清中の乳酸脱水素酵素(LDH)の濃度を、分析する。LDHは、細胞膜損傷に応答して放出され、光学密度値の顕著な増大を示す。骨組織中の細胞の細胞損傷および細胞生存の程度を定量的に評価するために、LDHを、インキュベーション後の0日目の1時間後および2日置きに測定する。試験の終わりに、骨検体を、1%(体積/体積)のトリトンX-100で処理して、残留細胞を溶解させそれらのLDH含量を測定する。LDHアッセイを、製造業者の説明書に従い実施する。試料を、反応混合物を含む96ウェルプレートに移し、490nm波長での光学密度を、測定する。LDHの初期ピークが、おそらく骨組織の外植プロセス、ならびに切断および穴あけプロセスに起因して、観察されるであろう。後期では、LDH濃度は、試験された時間枠中で、低いレベルで定常状態に達する。
骨芽細胞作用の指標としてのアルカリフォスファターゼ活性(ALP)を、経時的に骨検体の上清中で測定する。ALPアッセイを実施して、試験全体を通して骨組織の骨形成活性を評価する。ALP活性を、ALPアッセイキットを用いて測定する。測定を、製造業者の説明書に従い実施し、光学密度を、Tecan Infinite(登録商標)200 PROを用いて測定する。測定を、技術的重複実験で実施する。
LDHについての観察と類似して、ALP活性は、第1週の間、顕著に増大され、続いて減少され、最終的に試験の終わりまで安定なままであった。初期時点でのALPの増大レベルは、モデルの設定に使用した骨組織処理方法と関連しているように見える。
【0082】
実施例15
エクスビボ観察:DNAの定量
骨検体中の細胞の数を定量化するために、培養後7日目および28日目のDNAの量を、分析した。骨円柱を、培養の7日および28日後に、骨スライスから切り出す。各円柱を2mLのエッペンドルフチューブ中に置いた後、1mLのヌクレアーゼ不含水を加え、円柱を、-80℃と室温で、3回の凍結および解凍サイクルに供する。その後チューブを、12ミクロンの振幅を用いて20kHzで15分間2回超音波処理する。超音波処理後に試料を、使用までエッペンドルフチューブ中で-20℃で貯蔵する。試料を、製造業者の説明書に従いQuant-iT PicoGreen dsDNAアッセイキットを用いて定量する。測定を、Tecan Infinite(登録商標)200 PROを用いて実施した。DNAの定量を、以前の実施例で詳述したように、β-カリオフィレンおよびロバスタチンとのインキュベーション後に実施する。
DNA量は、7日目から28日目に顕著に増大され、この時間枠にわたる骨切片内での細胞数および初期状態の再生プロセスの増大を伴う。
【0083】
実施例16
エクスビボ観察:細胞形態
カルセイン-AM染色した骨検体の共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)画像を、7日目および28日目に取得して、三次元骨切片中の細胞形態に対するより深い洞察を得る。CLSM画像は、7日目に比べて28日目の生細胞のより高い密度を実証する。
【0084】
実施例17
エクスビボ観察:細胞形態
骨検体を、ヘキスト核染色で染色して、骨切片中の全ての細胞を示す。重ね合わせ画像は、7日目の多数の生細胞および28日目の増大した数の細胞を示す。
本発明を詳細に記載してきたが、当業者は、多数の変更および改良をなし得ることを理解するであろう。従って、本発明は、特に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、本発明の範囲および概念は、次記の特許請求の範囲を参照することによりより容易に理解されるであろう。
【国際調査報告】