(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】電源抑制機能を有するLDO回路、チップおよび通信端末
(51)【国際特許分類】
G05F 1/56 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
G05F1/56 310C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510610
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 CN2022107152
(87)【国際公開番号】W WO2023005806
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】202110867707.2
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522185416
【氏名又は名称】唯捷創芯(天津)電子技術股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VANCHIP (TIANJIN) TECHNOLOGY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【氏名又は名称】駒井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】高 晨陽
(72)【発明者】
【氏名】林 升
【テーマコード(参考)】
5H430
【Fターム(参考)】
5H430BB01
5H430BB09
5H430BB11
5H430EE06
5H430FF02
5H430FF13
5H430GG04
5H430HH03
5H430HH05
5H430JJ07
(57)【要約】
本発明は、電源抑制機能を有するLDO回路、チップおよび通信端末を開示する。このLDO回路は、IFゼロ点調整ユニットを備えるバンドギャップ基準モジュール、IFゼロ点生成ユニットを備えた増幅モジュールおよび電力出力モジュールを備え、バンドギャップ基準モジュールは増幅モジュールに接続され、増幅モジュールは電力出力モジュールに接続される。本発明は、IFにおける電源抑制に対して、バンドギャップ基準モジュールのIFゼロ点調整ユニットとLDO回路のIFゼロ点生成ユニットの調整を合せることによって、IF電源抑制性能をより最適化することができる。このIF電源抑制のLDO回路をRFチップの電圧バイアス回路として使用することにより、IF信号に対するRFチップ電源の抑制能力を高めることができ、さらに、RFチップの動作性能を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源抑制機能を有するLDO回路であって、IFゼロ点調整ユニットを備えたバンドギャップ基準モジュール、IFゼロ点生成ユニットを備えた増幅モジュール、および電力出力モジュールを備え、
前記バンドギャップ基準モジュールは前記増幅モジュールに接続され、
前記増幅モジュールは前記電力出力モジュールに接続され、
前記バンドギャップ基準モジュールは、前記IFゼロ点調整ユニットにより調整されたIFゼロ点の周波数を用いて、予め設定された温度係数を有する基準電圧を生成して前記増幅モジュールに出力し、そのうち、前記基準電圧は、前記IFゼロ点生成ユニットによって生成されたゼロ点と合わせて前記LDO回路の基準電圧として機能し、前記ゼロ点はIFの周波数を有し、IFにおける前記LDO回路の電源抑制を調整する、
ことを特徴とする電源抑制機能を有するLDO回路。
【請求項2】
前記バンドギャップ基準モジュールは、起動ユニット、PTAT電流生成ユニット、出力ユニット、およびIFゼロ点調整ユニットを備え、
前記起動ユニットと前記IFゼロ点調整ユニットの出力端は、前記PTAT電流生成ユニットの入力端に接続され、
前記PTAT電流生成ユニットの出力端は、前記出力ユニットの入力端に接続され、
前記出力ユニットの出力端は前記増幅モジュールの入力端に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電源抑制機能を有するLDO回路。
【請求項3】
前記起動ユニットは、第1のPMOS管、第2のPMOS管、第1の抵抗、第2の抵抗、第1のNMOS管、第2のNMOS管、第3のPMOS管、第4のPMOS管、第3のNMOS管および第4のNMOS管を備え、
前記第1のPMOS管と前記第2のPMOS管のソースは電源電圧に接続され、
前記第2のPMOS管のドレインは前記第1の抵抗の一端に接続され、
前記第1の抵抗の他端は前記第1のPMOS管のドレイン、前記第4のPMOS管のゲートおよび前記第2の抵抗の一端に接続され、
前記第2の抵抗の他端は前記第1のNMOS管のゲートとドレインに接続され、
前記第4のPMOS管のドレインは前記第3のNMOS管のゲートとドレインおよび前記第4のNMOS管のゲートに接続され、
前記第4のNMOS管のドレイン、前記第4のPMOS管のソースと前記第3のPMOS管のドレインは互いに接続され、また前記第2のPMOS管のゲートと共に前記PTAT電流生成ユニットに接続され、
前記第1のPMOS管、前記第2のNMOS管および前記第3のPMOS管のゲートは、外部のイネーブル信号に接続され、
前記第1のPMOS管、前記第2のPMOS管および前記第3のPMOS管のソースは電源電圧に接続され、
前記第2のNMOS管、前記第3のNMOS管および前記第4のNMOS管のソースは接地される、
ことを特徴とする請求項2に記載の電源抑制機能を有するLDO回路。
【請求項4】
前記PTAT電流生成ユニットは、第5のPMOS管、第6のPMOS管、第7のPMOS管、第8のPMOS管、第9のPMOS管、第3の抵抗、第4の抵抗、第5のNMOS管、第6のNMOS管、第7のNMOS管、第8のNMOS管、第5の抵抗、第1のバイポーラ・トランジスタおよび第2のバイポーラ・トランジスタを備え、
前記第5のPMOS管のゲートは外部のイネーブル信号に接続され、
前記第5のPMOS管のドレイン、前記第6のPMOS管、前記第7のPMOS管は、
前記第2のPMOS管のゲート、前記第9のPMOS管のドレイン、前記第3の抵抗の一端および前記出力ユニットとの間で互いに接続され、
前記第6のPMOS管のドレインは前記第8のPMOS管のソースに接続され、
前記第7のPMOS管のドレインは前記第9のPMOS管のソースに接続され、
前記第8のPMOS管は、前記第9のPMOS管のゲート、前記第3のPMOS管のドレイン、前記第4のPMOS管のソース、前記第3の抵抗の他端、前記第7のNMOS管のドレインおよび前記出力ユニットとの間で互いに接続され、
前記第8のPMOS管のドレインは、前記第4の抵抗の一端、前記第5のNMOS管および前記第7のNMOS管のゲートに接続され、
前記第4の抵抗の他端は、前記第5のNMOS管のドレイン、前記第6のNMOS管および前記第8のNMOS管のゲートに接続され、
前記第5のNMOS管のソースは前記第6のNMOS管のドレインに接続され、前記第7のNMOS管のソースは前記第8のNMOS管のドレインに接続され、
前記第6のNMOS管のソースは、前記第1のバイポーラ・トランジスタのエミッタに接続され、
前記第8のNMOS管のソースは、前記第5の抵抗を介して前記第2のバイポーラ・トランジスタのエミッタに接続され、
前記第5のPMOS管、前記第6のPMOS管、前記第7のPMOS管のソースは電源電圧に接続され、
前記第1のバイポーラ・トランジスタと前記第2のバイポーラ・トランジスタのベースおよびコレクタはいずれも接地される、
ことを特徴とする請求項3に記載の電源抑制機能を有するLDO回路。
【請求項5】
前記出力ユニットは、第10のPMOS管、第11のPMOS管、第6の抵抗、第3のバイポーラ・トランジスタ、第12のPMOS管および第13のPMOS管を備え、
前記第10のPMOS管と前記第12のPMOS管のゲートは前記第9のPMOS管のドレインと前記IFゼロ点調整ユニットに接続され、
前記第10のPMOS管のドレインは前記第11のPMOS管のソースに接続され、
前記第12のPMOS管のドレインは前記第13のPMOS管のソースに接続され、
前記第11のPMOS管と前記第13のPMOS管のゲートは前記第3の抵抗の他端と前記IFゼロ点調整ユニットに接続され、
前記第11のPMOS管のドレインと前記第6の抵抗の一端は前記増幅モジュールに接続され、
前記第6の抵抗の他端は前記第3のバイポーラ・トランジスタのエミッタに接続され、
前記第13のPMOS管のドレインは前記増幅モジュールに接続され、
前記第10のPMOS管と前記第12のPMOS管のソースは前記電源電圧に接続され、前記第3のバイポーラ・トランジスタのベースとコレクタは接地される、
ことを特徴とする請求項4に記載の電源抑制機能を有するLDO回路。
【請求項6】
前記IFゼロ点調整ユニットは、第1のコンデンサと第2のコンデンサを備え、前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサの一端は前記電源電圧に接続され、
前記第1のコンデンサの他端は、前記第6のPMOS管、前記第7のPMOS管、前記第10のPMOS管および前記第12のPMOS管のゲートに接続され、
前記第2のコンデンサの他端は、前記第8のPMOS管、前記第9のPMOS管、前記第11のPMOS管および前記第13のPMOS管のゲートに接続される、
ことを特徴とする請求項5に記載の電源抑制機能を有するLDO回路。
【請求項7】
前記増幅モジュールは、第1段の増幅ユニット、第2段の増幅ユニットおよび前記第1段の増幅ユニットと前記第2段の増幅ユニットとの間に設けられた前記IFゼロ点生成ユニットを備え、
前記第1段の増幅ユニットは、
前記第2段の増幅ユニットと前記電力出力モジュールに接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電源抑制機能を有するLDO回路。
【請求項8】
前記IFゼロ点生成ユニットは、グラウンドに直列に接続された第10の抵抗と第4のコンデンサで構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電源抑制機能を有するLDO回路。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の電源抑制機能を有するLDO回路を備える、
ことを特徴とする集積回路チップ。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の電源抑制機能を有するLDO回路を備える、
ことを特徴とする通信端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源抑制機能を有するLDO回路に関すると共に、該LDO回路を備える集積回路チップおよび対応する通信端末に関し、RF集積回路の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
通信技術の発展に伴い、通信端末におけるチップの応用環境は益々複雑になっている。通常、ひとつの通信端末には、CPU、電源管理チップ、メモリチップ、クロックチップ、周辺回路およびRFチップなどが含まれ、且つ一部は同じ電源で給電される。そのうち、CPU、電源管理チップ、メモリチップ、クロックチップおよび周辺回路などは、いくつかのIF信号(100KHz~10MHz)を発生し、これらのIF信号は電源を介してRFチップの電圧バイアス回路に入り、さらに、干渉してRFチップの変調スペクトル、スイッチングスペクトルおよびノイズなどの性能を劣化させ、RF通信技術の発展の大きな制約となっている。
【0003】
低ドロップアウト・リニアレギュレータ(略称:LDO)は、RFチップに一般的に使用される電圧バイアス回路であり、その主な機能は、RFチップに直流電圧作動点を提供することである。通信端末内部のIF信号がRFチップに与える干渉を低減し、IF信号に対する電源の抑制能力を高めるためには、高性能のIF電源抑制(略称:PSR)のLDO回路を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする主要な課題は、電源抑制機能を有するLDO回路を提供することである。
【0005】
本発明が解決しようとする他の課題は、電源抑制機能を有するLDO回路を備えるチップおよび通信端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は次の技術的解決策を採用する。
【0007】
本発明の実施例の第1の態様により、IFゼロ点調整ユニットを備えるバンドギャップ基準モジュール、IFゼロ点生成ユニットを備える増幅モジュールおよび電力出力モジュールを備える電源抑制機能を有するLDO回路を提供し、前記バンドギャップ基準モジュールは前記増幅モジュールに接続され、前記増幅モジュールは前記電力出力モジュールに接続され、前記バンドギャップ基準モジュールは、前記IFゼロ点調整ユニットにより調整されたIFゼロ点の周波数を用いて、予め設定された温度係数を有する基準電圧を生成して前記増幅モジュールに出力し、そのうち、前記基準電圧は、前記IFゼロ点生成ユニットによって生成されたゼロ点と合わせて前記LDO回路の基準電圧として機能し、前記ゼロ点はIFの周波数を有し、IFにおける前記LDO回路の電源抑制を調整する。
【0008】
好ましくは、前記バンドギャップ基準モジュールは、起動ユニット、PTAT電流生成ユニット、出力ユニット、およびIFゼロ点調整ユニットを備え、前記起動ユニットと前記IFゼロ点調整ユニットの出力端は、前記PTAT電流生成ユニットの入力端に接続され、前記PTAT電流生成ユニットの出力端は、前記出力ユニットの入力端に接続され、前記出力ユニットの出力端は前記増幅モジュールの入力端に接続される。
【0009】
好ましくは、前記起動ユニット、第1のPMOS管、第2のPMOS管、第1の抵抗、第2の抵抗、第1のNMOS管、第2のNMOS管、第3のPMOS管、第4のPMOS管、第3のNMOS管および第4のNMOS管を備える。
前記第1のPMOS管と前記第2のPMOS管のソースは電源電圧に接続され、前記第2のPMOS管のドレインは前記第1の抵抗の一端に接続され、前記第1の抵抗の他端は前記第1のPMOS管のドレイン、前記第4のPMOS管のゲートおよび前記第2の抵抗の一端に接続される。
前記第2の抵抗の他端は前記第1のNMOS管のゲートとドレインに接続され、前記第4のPMOS管のドレインは前記第3のNMOS管のゲートとドレインおよび前記第4のNMOS管のゲートに接続され、前記第4のNMOS管のドレイン、前記第4のPMOS管のソースと前記第3のPMOS管のドレインは互いに接続され、また、前記第2のPMOS管のゲートと共に前記PTAT電流生成ユニットに接続される。
前記第1のPMOS管、前記第2のNMOS管および前記第3のPMOS管のゲートは、外部のイネーブル信号に接続され、前記第1のPMOS管、前記第2のPMOS管および前記第3のPMOS管のソースは電源電圧に接続され、前記第2のNMOS管、前記第3のNMOS管および前記第4のNMOS管のソースは接地される。
【0010】
好ましくは、前記PTAT電流生成ユニットは、第5のPMOS管、第6のPMOS管、第7のPMOS管、第8のPMOS管、第9のPMOS管、第3の抵抗、第4の抵抗、第5のNMOS管、第6のNMOS管、第7のNMOS管、第8のNMOS管、第5の抵抗、第1のバイポーラ・トランジスタおよび第2のバイポーラ・トランジスタを備える。
前記第5のPMOS管のゲートは外部のイネーブル信号に接続され、前記第5のPMOS管のドレイン、前記第6のPMOS管、前記第7のPMOS管は、前記第2のPMOS管のゲート、前記第9のPMOS管のドレイン、前記第3の抵抗の一端および前記出力ユニットとの間で互いに接続される。
前記第6のPMOS管のドレインは前記第8のPMOS管のソースに接続され、前記第7のPMOS管のドレインは前記第9のPMOS管のソースに接続される。
前記第8のPMOS管は、前記第9のPMOS管のゲート、前記第3のPMOS管のドレイン、前記第4のPMOS管のソース、前記第3の抵抗の他端、前記第7のNMOS管のドレインおよび前記出力ユニットとの間で互いに接続され、前記第8のPMOS管のドレインは、前記第4の抵抗の一端、前記第5のNMOS管および前記第7のNMOS管のゲートに接続される。
前記第4の抵抗の他端は、前記第5のNMOS管のドレイン、前記第6のNMOS管および前記第8のNMOS管のゲートに接続され、前記第5のNMOS管のソースは前記第6のNMOS管のドレインに接続され、前記第7のNMOS管のソースは前記第8のNMOS管のドレインに接続される。
前記第6のNMOS管のソースは前記第1のバイポーラ・トランジスタのエミッタに接続され、前記第8のNMOS管のソースは、前記第5の抵抗を介して前記第2のバイポーラ・トランジスタのエミッタに接続される。
前記第5のPMOS管、前記第6のPMOS管、前記第7のPMOS管のソースは電源電圧に接続され、前記第1のバイポーラ・トランジスタと前記第2のバイポーラ・トランジスタのベースおよびコレクタはいずれも接地される。
【0011】
好ましくは、前記出力ユニットは、第10のPMOS管、第11のPMOS管、第6の抵抗、第3のバイポーラ・トランジスタ、第12のPMOS管および第13のPMOS管を備える。
前記第10のPMOS管と前記第12のPMOS管のゲートは前記第9のPMOS管のドレインと前記IFゼロ点調整ユニットに接続され、前記第10のPMOS管のドレインは前記第11のPMOS管のソースに接続される。
前記第12のPMOS管のドレインは前記第13のPMOS管のソースに接続され、前記第11のPMOS管と前記第13のPMOS管のゲートは前記第3の抵抗の他端と前記IFゼロ点調整ユニットに接続される。
前記第11のPMOS管のドレインと前記第6の抵抗の一端は前記増幅モジュールに接続され、前記第6の抵抗の他端は前記第3のバイポーラ・トランジスタのエミッタに接続される。
前記第13のPMOS管のドレインは前記増幅モジュールに接続され、前記第10のPMOS管と前記第12のPMOS管のソースは前記電源電圧に接続され、前記第3のバイポーラ・トランジスタのベースとコレクタは接地される。
【0012】
好ましくは、前記IFゼロ点調整ユニットは、第1のコンデンサと第2のコンデンサを備える。前記第1のコンデンサと前記第2のコンデンサの一端は前記電源電圧に接続され、前記第1のコンデンサの他端は、前記第6のPMOS管、前記第7のPMOS管、前記第10のPMOS管および前記第12のPMOS管のゲートに接続される。
前記第2のコンデンサの他端は、前記第8のPMOS管、前記第9のPMOS管、前記第11のPMOS管および前記第13のPMOS管のゲートに接続される。
【0013】
好ましくは、前記増幅モジュールは、第1段の増幅ユニット、第2段の増幅ユニットおよび前記第1段の増幅ユニットと前記第2段の増幅ユニットとの間に設けられた前記IFゼロ点生成ユニットを備え、前記第1段の増幅ユニットは、前記第2段の増幅ユニットと前記電力出力モジュールに接続される。
【0014】
好ましくは、前記IFゼロ点生成ユニットは、グラウンドに直列に接続された第10の抵抗と第4のコンデンサで構成される。
【0015】
本発明の実施例の第2の態様により、上記の電源抑制機能を有するLDO回路を備える集積回路チップを提供する。
【0016】
本発明の実施例の第3の態様により、上記の電源抑制機能を有するLDO回路を備える通信端末を提供する。
【0017】
本発明の電源抑制機能を有するLDO回路は、IFにおける電源抑制に対して、バンドギャップ基準モジュールのIFゼロ点調整ユニットとLDO回路のIFゼロ点生成ユニットの調整を合せることによって、IF電源抑制性能をより最適化することができる。このIF電源抑制のLDO回路をRFチップの電圧バイアス回路として使用することにより、IF信号に対するRFチップ電源の抑制能力を高めることができ、さらに、RFチップの動作性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施例によって提供される電源抑制機能を有するLDO回路を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施例によって提供される電源抑制機能を有するLDO回路において、バンドギャップ基準モジュールの回路を示す概略図である。
【
図3】本発明の実施例によって提供される電源抑制機能を有するLDO回路において、増幅モジュールと電力出力モジュールの回路を示す概略図である。
【
図4】バンドギャップ基準モジュールの基準電圧出力端の電源抑制に対するシミュレーション結果の対比図である。
【
図5】LDO回路の電圧出力端VOUTの電源抑制に対するシミュレーション結果の対比図である。
【
図6】該電源抑制機能を有するLDO回路を用いる通信端末を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図と具体的な実施例を用いて、本発明の技術内容について詳細に説明する。
【0020】
複雑な応用環境におけるIF信号に対するRFチップの干渉防止能力を向上させ、さらに、RFチップの動作性能を向上させるために、
図1に示すように、本発明の実施例によって提供される電源抑制機能を有するLDO回路は、IFゼロ点調整ユニット109を備えるバンドギャップ基準モジュール101、IFゼロ点生成ユニット105を備える増幅モジュール102および電力出力モジュール103を備える。バンドギャップ基準モジュール101は増幅モジュール102に接続され、増幅モジュール102は電力出力モジュール103に接続される。
【0021】
バンドギャップ基準モジュール101は、IFゼロ点調整ユニット109によりIFゼロ点の周波数を調整し、予め設定された温度係数を有し、且つIF電源制御を有する基準電圧を生成して、増幅モジュール102に出力し、LDO回路の基準電圧として、LDO回路のIF電源抑制性能を向上させるために、IFゼロ点生成ユニット105によって生成されたIFにおける増幅モジュール102の周波数応答を変更するための周波数はIFのゼロ点と合わせる。
【0022】
図1に示すように、バンドギャップ基準モジュール101は、起動ユニット106、PTAT(Proportional To Absolute Temperature、絶対温度に比例する)電流生成ユニット107、出力ユニット108およびIFゼロ点調整ユニット109を備える。起動ユニット106とIFゼロ点調整ユニット109の出力端は、PTAT電流生成ユニット107の入力端に接続され、PTAT電流生成ユニット107の出力端は出力ユニット108の入力端に接続され、出力ユニット108の出力端は増幅モジュール102に接続される。
【0023】
本発明において、主に、バンドギャップ基準モジュール101が、予め設定された温度係数(一般的には、ゼロ温度係数)を増幅モジュール102に提供し、またIF電源抑制を有する基準電圧VREFの実現過程について詳細に説明するが、バンドギャップ基準モジュール101が、バイアス電流を増幅モジュール102に提供することは既存の公知技術であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0024】
具体的には、起動ユニット106は、PTAT電流生成ユニット107に電流が0となるシンプレックス点を回避させ、このPTAT電流生成ユニット107が正常に起動し、安定することを保証する。
図2に示すように、起動ユニット106は、第1のPMOS管201、第2のPMOS管202、第1の抵抗203、第2の抵抗204、第1のNMOS管205、第2のNMOS管206、第3のPMOS管207、第4のPMOS管208、第3のNMOS管209および第4のNMOS管210を備える。起動ユニット106の各部の接続関係は以下の通りである。
第1のPMOS管201および第2のPMOS管202のソースは電源電圧VDDに接続され、第2のPMOS管202のドレインは第1の抵抗203の一端に接続される。
第1の抵抗203の他端は第1のPMOS管201のドレイン、第4のPMOS管208のゲートおよび第2の抵抗204の一端に接続され、第2の抵抗204の他端は第1のNMOS管205のゲートとドレインに接続される。
第4のPMOS管208のドレインは第3のNMOS管209のゲートとドレイン、第4のNMOS管210のゲートに接続され、第4のNMOS管210のドレイン、第4のPMOS管208のソースおよび第3のPMOS管207のドレインは互いに接続され、且つ第2のPMOS管202のゲートと共にPTAT電流生成ユニット107の対応する位置に接続される。
第1のPMOS管201、第2のNMOS管206および第3のPMOS管207のゲートは、外部のイネーブル信号ENに接続され、第1のPMOS管201、第2のPMOS管202および第3のPMOS管207のソースは電源電圧VDDに接続され、第2のNMOS管206、第3のNMOS管209および第4のNMOS管210のソースは接地される。
【0025】
PTAT電流生成ユニット107は、
【0026】
【数1】
原理によって温度に比例した電流を生成する。
図2に示すように、PTAT電流生成ユニット107は、第5のPMOS管211、第6のPMOS管212、第7のPMOS管213、第8のPMOS管214、第9のPMOS管215、第3の抵抗216、第4の抵抗217、第5のNMOS管218、第6のNMOS管219、第7のNMOS管220、第8のNMOS管221、第5の抵抗222、第1のバイポーラ・トランジスタ223および第2のバイポーラ・トランジスタ224を備える。
PTAT電流生成ユニット107の各部の接続関係は以下の通りである。第5のPMOS管211のゲートは外部のイネーブル信号に接続され、第5のPMOS管211のドレイン、第6のPMOS管212、第7のPMOS管213は、第2のPMOS管202のゲート、第9のPMOS管215のドレイン、第3の抵抗216の一端および出力ユニット108の対応する位置との間で互いに接続される。
第6のPMOS管212のドレインは第8のPMOS管214のソースに接続され、第7のPMOS管213のドレインは第9のPMOS管215のソースに接続される。
第8のPMOS管214は、第9のPMOS管215のゲート、第3のPMOS管207のドレイン、第4のPMOS管208のソース、第3の抵抗216の他端、第7のNMOS管220のドレインおよび出力ユニット108の対応する位置との間で互いに接続される。
第8のPMOS管214のドレインは、第4の抵抗217の一端、第5のNMOS管218および第7のNMOS管220のゲートに接続され、第4の抵抗217の他端は第5のNMOS管218のドレイン、第6のNMOS管219および第8のNMOS管221のゲートに接続される。
第5のNMOS管218のソースは第6のNMOS管219のドレインに接続され、第7のNMOS管220のソースは第8のNMOS管221のドレインに接続される。
第6のNMOS管219のソースは第1のバイポーラ・トランジスタ223のエミッタに接続され、第8のNMOS管221のソースは第5の抵抗222を介して第2のバイポーラ・トランジスタ224のエミッタに接続される。
第5のPMOS管211、第6のPMOS管212、第7のPMOS管213のソースは、電源電圧VDDに接続され、第1のバイポーラ・トランジスタ223と第2のバイポーラ・トランジスタ224のベースおよびコレクタはいずれも接地される。
【0027】
ここで、第1のPMOS管201、第2のNMOS管206、第3のPMOS管207と第5のPMOS管211はイネーブルコントロール管として、バンドギャップ基準モジュール101の開閉をコントロールする。
イネーブル信号ENが低レベルである場合、第1のPMOS管201、第3のPMOS管207と第5のPMOS管211は導通され、第2のNMOS管206は遮断され、バンドギャップ基準モジュール101は閉じられる。
イネーブル信号ENが低レベルから高レベルになると、第1のPMOS管201、第3のPMOS管207と第5のPMOS管211は遮断され、第2のNMOS管206は導通される。
第2のPMOS管202、第1の抵抗203、第2の抵抗204、第1のNMOS管205、第2のNMOS管206からなる分岐は導通され、ノードAにおける電圧VAは降下され、第4のPMOS管208は導通され、電流を生成する。
第3のNMOS管209と第4のNMOS管210はカレントミラーを構成し、第4のNMOS管210は導通され、ノードBにおける電圧VBは降下され、第8のPMOS管214と第9のPMOS管215は導通を開始するため、PTAT電流生成ユニット107は、電流が0となるシンプレックス点を回避して起動を開始し、それが安定すると、ノードAにおける電圧VAはノードBにおける電圧VBよりも大きくなり、第4のPMOS管208は遮断され、PTAT電流生成ユニット107は起動を完了する。
第5のPMOS管211、第6のPMOS管212、第7のPMOS管213、第8のPMOS管214、第9のPMOS管215、第3の抵抗216、第4の抵抗217、第5のNMOS管218、第6のNMOS管219、第7のNMOS管220および第8のNMOS管221は、コモンソース、コモンゲートのカレントミラー・ブートストラップ回路を構成し、左右の2分岐の電流は等しく、ノードCとノードDのクランプを実現し、ノードCにおける電圧VCとノードDにおける電圧VDをほぼ等しくする。
すなわち、VC=VD、且つVC=VBE_223(第1のバイポーラ・トランジスタ223のベース・エミッタ電圧)であり、VD=VBE_224+V222(第2のバイポーラ・トランジスタ224のベース・エミッタ電圧と第5の抵抗222の両端の電圧降下の和)であり、第1のバイポーラ・トランジスタ223と第2のバイポーラ・トランジスタ224のベース・エミッタ間の電圧差はΔVBE=InN*VTである。
ここで、Nは並列に接続された第1のバイポーラ・トランジスタ223と第2のバイポーラ・トランジスタ224の数の比であり、VTはバイポーラ・トランジスタの熱電圧であり、VTの式は
【0028】
【数2】
である。ここで、kはボルツマン定数であり、qは電子電荷であり、Tは絶対温度である。すなわち、
【0029】
【0030】
【数4】
は定数であり、したがって、第1のバイポーラ・トランジスタ223と第2のバイポーラ・トランジスタ224のベース・エミッタ間の電圧差ΔV
BEは、絶対温度Tに比例する。
第5の抵抗222の両端の電圧降下はV
222=ΔV
BEであり、コモンソース、コモンゲートのカレントミラー・ブートストラップ回路の左右の2分岐の電流は、
【0031】
【数5】
であり、この電流は絶対温度Tに比例し、すなわち、PTAT電流である。
【0032】
出力ユニット108は、PTAT電流生成ユニット107によって生成された温度に比例する電流に基づいて、基準電圧VREFと基準電流IBIASを生成する。
図2に示すように、出力ユニット108は、第10のPMOS管227、第11のPMOS管228、第6の抵抗229、第3のバイポーラ・トランジスタ230、第12のPMOS管231および第13のPMOS管232を備える。出力ユニット108の各部の接続関係は以下の通りである。
第10のPMOS管227と第12のPMOS管231のゲートは、第9のPMOS管215のドレインとIFゼロ点調整ユニット109に接続され、第10のPMOS管227のドレインは第11のPMOS管228のソースに接続される。
第12のPMOS管231のドレインは第13のPMOS管232のソースに接続され、第11のPMOS管228と第13のPMOS管232のゲートは、第3の抵抗216の他端とIFゼロ点調整ユニット109に接続される。
第11のPMOS管228のドレインと第6の抵抗229の一端は、基準電圧VREFを増幅モジュール102に供給するように、増幅モジュール102に接続され、第6の抵抗229の他端は第3のバイポーラ・トランジスタ230のエミッタに接続される。
第13のPMOS管232のドレインは、基準電流IBIASを増幅モジュール102に伝送して、バイアス電流をそれに供給するように、増幅モジュール102に接続され、第10のPMOS管227と第12のPMOS管231のソースは電源電圧VDDに接続され、第3のバイポーラ・トランジスタ230のベースとコレクタは接地される。
【0033】
第10のPMOS管227および第11のPMOS管228、第12のPMOS管231および第13のPMOS管232を利用して、それぞれカレントミラーを形成し、PTAT電流生成ユニット107のPTAT電流を複製して基準電流IBIASを得、これをバイアス電流として増幅モジュール102に供給する。基準電圧VREFは
【0034】
【数6】
に表示することができる。ここで、V
BEは第3のバイポーラ・トランジスタ230のベース・エミッタ電圧である。この電圧は負の温度係数の電圧であり、したがって、第5の抵抗222と第6の抵抗229の比を調整することにより、基準電圧VREFは、増幅モジュール102に基準電圧として供給するためのゼロ温度の電圧とすることができる。
【0035】
IFゼロ点調整ユニット109は、バンドギャップ基準モジュール101のIF電源抑制性能を向上させるように、バンドギャップ基準モジュール101のIFゼロ点の周波数を調整するために用いられる。
図2に示すように、IFゼロ点調整ユニット109は、第1のコンデンサ225と第2のコンデンサ226を備え、第1のコンデンサ225と第2のコンデンサ226の一端は電源電圧VDDに接続される。
第1のコンデンサ225の他端は、第6のPMOS管212、第7のPMOS管213、第10のPMOS管227および第12のPMOS管231のゲートに接続され、第2のコンデンサ226の他端は、第8のPMOS管214、第9のPMOS管215、第11のPMOS管228および第13のPMOS管232のゲートに接続される。
【0036】
バンドギャップ基準モジュール101において、電源電圧VDDは、第1のコンデンサ225と第2のコンデンサ226の他端に接続される各PMOS管を通過し、そのゲートの寄生コンデンサCgs、Cgdは基準電圧出力端までの分岐を有し、分岐にゼロ点が生成される。
このゼロ点の周波数は、この分岐における抵抗(PMOS管の抵抗)とコンデンサの積によって決定され、そのコンデンサを変更することによって、さらにゼロ点の周波数を変更することで、IFにおけるバンドギャップ基準モジュール101の電源抑制を最適化する。
ここで、第1のコンデンサ225と第2のコンデンサ226の容量の大小および両者の比率の大小は、共にこのIFゼロ点の周波数を決定し、IFにおける電源抑制に対して第1のコンデンサ225と第2のコンデンサ226の容量の大小と比率の大小を調整することで、より好ましい最適化効果に達成することができ、具体的には、以下の式によって実現される。
【0037】
【0038】
ここで、Rbgはバンドギャップ基準モジュール101のIFゼロ点分岐における抵抗であり、Cbgはバンドギャップ基準モジュール101のIFゼロ点分岐におけるコンデンサであり、rds_227は第10のPMOS管227のドレイン・ソース間の等価交流抵抗であり、rds_228は第11のPMOS管228のドレイン・ソース間の等価交流抵抗であり、Cgs1_227は第10のPMOS管227のゲート・ソース間の寄生コンデンサであり、C225は第1のコンデンサ225の容量であり、Cgd1_227は第10のPMOS管227ゲート・ドレイン間の寄生コンデンサであり、Cgs2_228は第11のPMOS管228のゲート・ソース間の寄生コンデンサであり、C226は第2のコンデンサ226の容量であり、Cgd2_228は第11のPMOS管228のゲート・ドレイン間の寄生コンデンサであり、//は回路における並列接続を示す符号である。
【0039】
図3に示すように、増幅モジュール102は、第1段の増幅ユニット110、第2段の増幅ユニット111および第1段の増幅ユニット110と第2段の増幅ユニット111との間に設けられたIFゼロ点生成ユニット105を備え、第1段の増幅ユニット110は第2段の増幅ユニット111と電力出力モジュール103に接続される。電力出力モジュール103は、電力管312、第16のNMOS管320、第3のコンデンサ315、第7の抵抗316および第8の抵抗Rf1と第9の抵抗Rf2からなるフィードバック抵抗網112を備え、電力管312のゲートは、第16のNMOS管320のドレイン、第3のコンデンサ315の一端および第2段の増幅ユニット111に接続され、第3のコンデンサ315の他端は第7の抵抗316の一端に接続され、第7の抵抗316の他端は、電力管312のドレイン、第8の抵抗Rf1の一端に接続され、第8の抵抗Rf1の他端は、第9の抵抗Rf2の一端、第1段の増幅ユニット110に接続され、第9の抵抗Rf2の他端は接地される。
電力管312および第16のNMOS管320のソースは電源電圧VDDに接続され、第16のNMOS管320のゲートは外部のイネーブル信号に接続される。
【0040】
図3に示すように、第1段の増幅ユニット110は、インバーター301、第9のNMOS管302、第10のNMOS管303、第11のNMOS管304、第12のNMOS管305、第13のNMOS管306、第14のNMOS管307、第14のPMOS管308、第15のPMOS管309および第16のPMOS管319を備える。第1段の増幅ユニット110の各部の接続関係は以下の通りである。
インバーター301の入力端は、外部のイネーブル信号に接続され、インバーター301の出力端は第12のNMOS管305のゲートに接続され、第9のNMOS管302と第16のPMOS管319のゲートは外部のイネーブル信号に接続される。
第9のNMOS管302のドレインは出力ユニット108における第13のPMOS管232のドレインに接続され、第9のNMOS管302のソースは、第10のNMOS管303のゲートとドレイン、第11のNMOS管304のゲート、第2段の増幅ユニット111および第12のNMOS管305のドレインに接続される。
第11のNMOS管304のドレインは第13のNMOS管306と第14のNMOS管307のソースに接続され、第13のNMOS管306のゲートは、出力ユニット108の第11のPMOS管228のドレインおよび第6の抵抗229の一端に接続される。
第13のNMOS管306のドレインは、第14のPMOS管308のゲートとドレイン、第15のPMOS管309のゲートおよび第16のPMOS管319のドレインに接続され、第15のPMOS管309のドレインは、第14のNMOS管307のドレイン、IFゼロ点生成ユニット105および第2段の増幅ユニット111に接続される。
第14のNMOS管307のゲートは電力出力モジュール103に接続され、第14のPMOS管308、第15のPMOS管309および第16のPMOS管319のソースは電源電圧VDDに接続され、第10のNMOS管303、第11のNMOS管304および第12のNMOS管305のソースはいずれも接地される。
【0041】
図3に示すように、第2段の増幅ユニット111は、第15のNMOS管310と第17のPMOS管311を備え、第15のNMOS管310のゲートは第11のNMOS管304のゲートに接続され、第15のNMOS管310のドレインは第17のPMOS管311のドレインと電力出力モジュール103に接続される。
第17のPMOS管311のゲートは第14のNMOS管307のドレインとIFゼロ点生成ユニット105に接続され、第17のPMOS管311のソースは電源電圧VDDに接続され、第15のNMOS管310のソースは接地される。
【0042】
図3に示すように、IFゼロ点生成ユニット105は、第10の抵抗317と第4のコンデンサ318を備え、第10の抵抗317の一端は、第15のPMOS管309のドレインと第17のPMOS管311のゲートに接続され、第10の抵抗317の他端は第4のコンデンサ318の一端に接続され、第4のコンデンサ318の他端は接地される。
【0043】
ここで、第1段の増幅ユニット110は、第2段の増幅ユニット111、電力管312、第8の抵抗Rf1と第9の抵抗Rf2と負フィードバックループを構成することによって、LDO回路の出力電圧VOUTが電源電圧や負荷抵抗の変化の影響を受けないようにする。
【0044】
具体的には、イネーブル信号ENは、インバーター301を介してイネーブル信号ENBを得、イネーブル信号ENとENBは、イネーブル管である第9のNMOS管302、第12のNMOS管305、第16のPMOS管319および第16のNMOS管320の導通と遮断を制御することで、第1段の増幅ユニット110と第2段の増幅ユニット111の開閉をコントロールする。
バンドギャップ基準モジュール101は、第1段の増幅ユニット110にバイアス電流を供給する。
第10のNMOS管303および第11のNMOS管304、第10のNMOS管303および第15のNMOS管310はそれぞれカレントミラーを構成し、基準電流IBIASを第1段の増幅ユニット110と第2段の増幅ユニット111に複製してバイアス電流を供給するために使用される。
バンドギャップ基準モジュール101は、第1段の増幅ユニット110に基準電圧を供給する。
第1段の増幅ユニット110は一般的な5管増幅器であり、ここで、第13のNMOS管306と第14のNMOS管307は、第1段の増幅ユニット110の入力増幅ペア管であり、第14のPMOS管308、第15のPMOS管309は、第1段の増幅ユニット110のカレントミラー負荷である。
第2段の増幅ユニット111は、コモンソース増幅器であり、ここで第17のPMOS管311は第2段の増幅ユニット111の増幅管である。第3のコンデンサ315と第7の抵抗316はミラー補償を構成する。
第8の抵抗Rf1と第9の抵抗Rf2は、フィードバック抵抗網33を構成し、基準電圧VREFと共にLDO回路の出力電圧の大きさを決定する。この出力電圧は、
【0045】
【数8】
である。第10の抵抗317と第4のコンデンサ318は、グラウンドに直列に接続されIFゼロ点生成ユニット105を構成し、周波数がIFであるゼロ点を生成する機能を有する。
このゼロ点は、増幅モジュール102がIFにおける周波数応答を変更することによって、LDO回路におけるIFの電源抑制性能を向上させる。
ここで、第10の抵抗317と第4のコンデンサ318の積によりこのゼロ点の周波数を決定し、このゼロ点の周波数は、具体的に
【0046】
【数9】
に示される。IFにおける電源抑制に対して、バンドギャップ基準モジュール101のIFゼロ点の周波数とIFゼロ点生成ユニットにより生成されるIFゼロ点の周波数の調整と合せることで、より良い最適化効果が達成できる。
【0047】
図4は、バンドギャップ基準モジュールにおけるバンドギャップ電圧出力端の電源抑制(PSR)に対するシミュレーション結果の対比図である。
ここで、曲線1は、IFゼロ点調整ユニットにバンドギャップ基準モジュールを加える前の電源抑制のシミュレーション結果であり、曲線2は、IFゼロ点調整ユニットにバンドギャップ基準モジュールを加えた後の電源抑制のシミュレーション結果である。図には、周波数300KHzにおける電源抑制が示されており、シミュレーション結果により、IFゼロ点調整ユニットにバンドギャップ基準モジュールを加えた後、周波数300KHzにおける電源抑制は11.2dB最適化されていることが分かる。
【0048】
図5は本発明によって提供されるLDO回路の電圧出力端VOUTの電源抑制(PSR)に対するシミュレーション結果の対比図である。ここで、曲線3は、IFゼロ点生成ユニットにLDO回路を加える前の電源抑制のシミュレーション結果であり、曲線4は、IFゼロ点生成ユニットにLDO回路を加えた後の電源抑制のシミュレーション結果である。図には、周波数300KHzにおける電源抑制が示されており、シミュレーション結果により、IFゼロ点ユニットにLDO回路を加えた後、周波数300KHzにおける電源抑制は11.1dB最適化されていることが分かる。
【0049】
そして、本発明によって提供される電源抑制機能を有するLDO回路は、集積回路チップに適用することができる。この集積回路チップにおける電源抑制機能を有するLDO回路の具体的な構造について、本明細書では詳細に説明しない。
【0050】
上記の電源抑制機能を有するLDO回路は、RF集積回路の重要な構成部分として通信端末に適用されてもよい。ここで言及される通信端末は、モバイル環境で使用可能で、携帯電話、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、車載ネットワーク端末などを含む、GSM、EDGE、TD_SCDMA、TDD_LTE、FDD_LTEなど様々な通信規格に対応した装置を指す。さらに、本発明によって提供される技術的解決策は、通信基地局、インテリジェント・ネットワーク車両などの他のRF集積回路アプリケーションにも適用可能である。
【0051】
図6に示すように、この通信端末は、少なくともプロセッサとメモリを備え、さらに、実際の需要に基づいて、通信コンポーネント、センサコンポーネント、電源コンポーネント、マルチメディアコンポーネントおよび入力/出力インターフェースを含んでもよい。
そのうち、メモリ、通信コンポーネント、センサコンポーネント、電源コンポーネント、マルチメディアコンポーネントおよび入力/出力インターフェースは、いずれもこのプロセッサに接続される。
メモリは、スタティック・ランダム・アクセスメモリ(SRAM)、電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)、読み出し専用メモリ(ROM)、磁気メモリ、フラッシュメモリなどであり、プロセッサは、中央演算処理装置(CPU)、グラフィックス・プロセッサ(GPU)、フィールド・プログラマブル論理ゲート・アレイ(FPGA)、特殊用途集積回路(ASIC)、デジタル信号処理(DSP)チップなどである。その他の通信コンポーネント、センサコンポーネント、電源コンポーネント、マルチメディアコンポーネントなどは、いずれも汎用部品を採用することにより実現でき、ここでは具体的な説明を略する。
【0052】
従来の技術に比べ、本発明の電源抑制機能を有するLDO回路は、IFにおける電源抑制に対して、バンドギャップ基準モジュールのIFゼロ点調整ユニットとLDO回路のIFゼロ点生成ユニットとの調整を合わせることによって、IF電源抑制性能をより最適化することができる。このIF電源抑制のLDO回路をRFチップの電圧バイアス回路として使用することにより、IF信号に対するRFチップ電源の抑制能力を高めることができ、さらに、RFチップの動作性能を向上させることができる。
【0053】
以上、本発明によって提供される電源抑制機能を有するLDO回路、チップおよび通信端末について詳細に説明した。当業者にとって、本発明の本質から逸脱することなく本発明に対して行われたいかなる明白な変更は、いずれも本発明の特許権の保護範囲に含まれる。
【国際調査報告】