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特表2024-534824操作された抗HER2二重特異性タンパク質
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】操作された抗HER2二重特異性タンパク質
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/46 20060101AFI20240918BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240918BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240918BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240918BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240918BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240918BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20240918BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240918BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240918BHJP
【FI】
C07K16/46 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K38/02
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P35/04
A61P15/00
A61K47/64
A61K39/395 V
A61K45/00
A61K39/395 T
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024511978
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 US2022041471
(87)【国際公開番号】W WO2023038803
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/237,071
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518086619
【氏名又は名称】デナリ セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Denali Therapeutics Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ボンドパッダエ アビラ
(72)【発明者】
【氏名】クレメンス アリサ ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】キム ド ジン
(72)【発明者】
【氏名】ピゾ ミシェル イー.
(72)【発明者】
【氏名】シャン ルー
(72)【発明者】
【氏名】セオリス ジュニア リチャード
(72)【発明者】
【氏名】トン レイモンド カ ハン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA41
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA81
4C084ZB26
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC22
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
1つの態様では、ヒトHER2のサブドメインII及びヒトHER2のサブドメインIVの両方に特異的に結合する能力を有する二重特異性タンパク質を提供する。別の態様では、ヒトHER2のサブドメインII及びサブドメインIVに特異的に結合する二重特異性タンパク質を使用した、がんを処置するまたはがんの脳転移を処置する方法を提供する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
(a)FabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)単鎖可変断片(scFv)とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、前記第一及び前記第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、前記第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために前記(a)に記載のFd部分と対になる軽鎖ポリペプチド
を含む、タンパク質であって、
前記Fabが、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、かつ前記scFvが、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、または、前記Fabが、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、かつ前記scFvが、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、かつ
前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、独立して、EUナンバリングに従ってS239D及び/またはI332Eの置換を含む、
前記タンパク質。
【請求項2】
前記S239D及び/または前記I332Eの置換を独立して含む前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、HER2媒介エフェクター機能を増強することが可能である、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項3】
(a)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(b)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(c)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(d)EUナンバリングに従って、前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(e)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(f)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(g)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(h)EUナンバリングに従って、前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(i)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、
(j)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、
(k)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、
(l)EUナンバリングに従って、前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、
(m)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(n)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、または
(o)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、
請求項1に記載のタンパク質。
【請求項4】
(a)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(b)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(c)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(d)EUナンバリングに従って、前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(e)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、または
(f)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
請求項3に記載のタンパク質。
【請求項5】
(a)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換及び239位にセリンを含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含む、
(b)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含む、
(c)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換及び239位にセリンを含む、
(d)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、239位にセリン及び332位にイソロイシンを含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換及び239位にセリンを含む、
(e)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、または
(f)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換及び239位にセリンを含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、239位にセリン及び332位にイソロイシンを含む、
請求項4に記載のタンパク質。
【請求項6】
前記Fabが、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、かつ前記scFvが、ヒトHER2のサブドメインIVに結合する、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項7】
前記Fabが、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、かつ前記scFvが、ヒトHER2のサブドメインIIに結合する、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項8】
前記第二のFcポリペプチドが、第一のリンカーを介して前記scFvと融合している、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項9】
前記第一のリンカーが、1~20アミノ酸長を有する、請求項8に記載のタンパク質。
【請求項10】
前記第一のリンカーが、GGSGGGSGGGSGGGSGGGSG(配列番号116、(GGSG))、GGGGS(配列番号117、GS)、GGGGSGGGGS(配列番号118、(GS))、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号119、(GS))、GGGGSGGGGSGGGG(配列番号120、(GS)-G)、GGGGSGGGGSGG(配列番号121)、GGGGGSGGGGS(配列番号122)、及びGGGGGSGGGGGSGGGGS(配列番号123)のいずれか1つの配列を含む、請求項8に記載のタンパク質。
【請求項11】
前記scFvが、第二のリンカーを介して接続されているV領域及びV領域を含む、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項12】
前記第二のリンカーが、1~20アミノ酸長を有する、請求項11に記載のタンパク質。
【請求項13】
前記第二のリンカーが、GGSGGGSGGGSGGGSGGGSG(配列番号116、(GGSG))、GGGGS(配列番号117、GS)、GGGGSGGGGS(配列番号118、(GS))、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号119、(GS))、GGGGSGGGGSGGGG(配列番号120、(GS)-G)、GGGGSGGGGSGG(配列番号121)、GGGGGSGGGGS(配列番号122)、及びGGGGGSGGGGGSGGGGS(配列番号123)のいずれか1つの配列を含む、請求項11に記載のタンパク質。
【請求項14】
前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、トランスフェリン受容体(TfR)に特異的に結合する、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項15】
前記第一のFcポリペプチド及び前記第二のFcポリペプチドが各々、ヘテロ二量体化を促進する修飾を含む、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項16】
EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、T366Wの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、T366S、L368A、及びY407Vの置換を含む、請求項15に記載のタンパク質。
【請求項17】
EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、T366S、L368A、及びY407Vの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、T366Wの置換を含む、請求項15に記載のタンパク質。
【請求項18】
前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、独立して、TfR媒介エフェクター機能を低下させる修飾を含む、請求項14に記載のタンパク質。
【請求項19】
前記エフェクター機能を低下させる修飾が、EUナンバリングに従ってL234A及びL235Aの置換である、請求項18に記載のタンパク質。
【請求項20】
前記第一のFcポリペプチドが、TfRに特異的に結合し、かつL234A及びL235Aの置換を含む、請求項19に記載のタンパク質。
【請求項21】
前記第一のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従ってP329GまたはP329Sの置換をさらに含む、請求項20に記載のタンパク質。
【請求項22】
前記第二のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って234位及び235位にLeu、ならびに329位にプロリンを含む、請求項21に記載のタンパク質。
【請求項23】
前記第二のFcポリペプチドが、TfRに特異的に結合し、かつL234A及びL235Aの置換を含む、請求項19に記載のタンパク質。
【請求項24】
前記第二のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従ってP329GまたはP329Sの置換をさらに含む、請求項23に記載のタンパク質。
【請求項25】
前記第一のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って234位及び235位にLeu、ならびに329位にプロリンを含む、請求項24に記載のタンパク質。
【請求項26】
ヒンジ領域またはその一部分が、前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドのN末端に連結されている、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項27】
前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、独立して、配列番号131~149及び183~196からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項28】
前記第一のFcポリペプチドまたは前記第二のFcポリペプチドが、配列番号133及び183~185から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項27に記載のタンパク質。
【請求項29】
前記第一のFcポリペプチドまたは前記第二のFcポリペプチドが、配列番号137及び186~196から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項27に記載のタンパク質。
【請求項30】
前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、独立して、EUナンバリングに従って384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号135~139及び186~196から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項31】
前記第一のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って234位にAla、235位にAla、366位にTrp、384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号137の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、かつ
前記第二のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って366位にSer、368位にAla、及び407位にValを含み、かつ配列番号133の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
請求項1に記載のタンパク質。
【請求項32】
前記第一のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って366位にSer、368位にAla、及び407位にValを含み、かつ配列番号133の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、かつ
前記第二のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って234位にAla、235位にAla、366位にTrp、384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号137の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
請求項1に記載のタンパク質。
【請求項33】
以下:
(a)(i)配列番号1の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号159の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(b)(i)配列番号164の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号173の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(c)(i)配列番号164の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号174の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(d)(i)配列番号166の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号173の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(e)(i)配列番号165の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号173の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(f)(i)配列番号165の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号174の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(g)(i)配列番号167の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号173の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(h)(i)配列番号164の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号175の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(i)(i)配列番号164の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号176の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(j)(i)配列番号166の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号175の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(k)(i)配列番号165の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号175の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(l)(i)配列番号165の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号176の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(m)(i)配列番号167の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号175の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド
を含む、タンパク質。
【請求項34】
(a)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号1の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号159の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(b)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号164の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号173の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(c)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号164の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号174の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(d)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号166の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号173の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(e)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号165の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号173の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(f)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号165の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号174の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(g)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号167の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号173の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(h)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号164の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号175の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(i)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号164の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号176の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(j)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号166の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号175の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(k)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号165の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号175の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(l)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号165の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号176の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(m)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号167の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号175の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、
請求項33に記載のタンパク質。
【請求項35】
以下:
(a)FabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、前記第一及び前記第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、前記第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド
を含む、タンパク質であって、
前記(a)及び/または前記(b)におけるFd部分が、scFvとN末端で融合しており、
前記Fabが、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、かつ前記scFvが、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、または、前記Fabが、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、かつ前記scFvが、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、かつ
前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、独立して、EUナンバリングに従ってS239D及び/またはI332Eの置換を含む、
前記タンパク質。
【請求項36】
前記S239D及び/または前記I332Eの置換を独立して含む前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、HER2媒介エフェクター機能を増強することが可能である、請求項35に記載のタンパク質。
【請求項37】
(a)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(b)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(c)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(d)EUナンバリングに従って、前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(e)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(f)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(g)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(h)EUナンバリングに従って、前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(i)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、
(j)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、
(k)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、
(l)EUナンバリングに従って、前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、
(m)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(n)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、または
(o)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、
請求項35に記載のタンパク質。
【請求項38】
(a)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(b)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(c)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(d)EUナンバリングに従って、前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(e)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、または
(f)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
請求項37に記載のタンパク質。
【請求項39】
(a)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換及び239位にセリンを含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含む、
(b)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含む、
(c)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換及び239位にセリンを含む、
(d)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、239位にセリン及び332位にイソロイシンを含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換及び239位にセリンを含む、
(e)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、または
(f)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換及び239位にセリンを含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、239位にセリン及び332位にイソロイシンを含む、
請求項38に記載のタンパク質。
【請求項40】
前記Fabが、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、かつ前記scFvが、ヒトHER2のサブドメインIVに結合する、請求項35に記載のタンパク質。
【請求項41】
前記Fabが、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、かつ前記scFvが、ヒトHER2のサブドメインIIに結合する、請求項35に記載のタンパク質。
【請求項42】
前記(a)または前記(b)におけるFd部分が、前記scFvとN末端で融合している、請求項35に記載のタンパク質。
【請求項43】
前記(a)及び/または前記(b)におけるFd部分が、第一のリンカーを介して前記scFvと融合している、請求項35に記載のタンパク質。
【請求項44】
前記第一のリンカーが、1~20アミノ酸長を有する、請求項43に記載のタンパク質。
【請求項45】
前記第一のリンカーが、GGSGGGSGGGSGGGSGGGSG(配列番号116、(GGSG))、GGGGS(配列番号117、GS)、GGGGSGGGGS(配列番号118、(GS))、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号119、(GS))、GGGGSGGGGSGGGG(配列番号120、(GS)-G)、GGGGSGGGGSGG(配列番号121)、GGGGGSGGGGS(配列番号122)、及びGGGGGSGGGGGSGGGGS(配列番号123)のいずれか1つの配列を含む、請求項43に記載のタンパク質。
【請求項46】
前記scFvが、第二のリンカーを介して接続されているV領域及びV領域を含む、請求項35に記載のタンパク質。
【請求項47】
前記第二のリンカーが、1~20アミノ酸長を有する、請求項46に記載のタンパク質。
【請求項48】
前記第二のリンカーが、GGSGGGSGGGSGGGSGGGSG(配列番号116、(GGSG))、GGGGS(配列番号117、GS)、GGGGSGGGGS(配列番号118、(GS))、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号119、(GS))、GGGGSGGGGSGGGG(配列番号120、(GS)-G)、GGGGSGGGGSGG(配列番号121)、GGGGGSGGGGS(配列番号122)、及びGGGGGSGGGGGSGGGGS(配列番号123)のいずれか1つの配列を含む、請求項46に記載のタンパク質。
【請求項49】
前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、トランスフェリン受容体(TfR)に特異的に結合する、請求項35に記載のタンパク質。
【請求項50】
前記第一のFcポリペプチド及び前記第二のFcポリペプチドが各々、ヘテロ二量体化を促進する修飾を含む、請求項35に記載のタンパク質。
【請求項51】
EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、T366Wの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、T366S、L368A、及びY407Vの置換を含む、請求項50に記載のタンパク質。
【請求項52】
EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、T366S、L368A、及びY407Vの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、T366Wの置換を含む、請求項50に記載のタンパク質。
【請求項53】
前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、独立して、TfR媒介エフェクター機能を低下させる修飾を含む、請求項49に記載のタンパク質。
【請求項54】
前記エフェクター機能を低下させる修飾が、EUナンバリングに従ってL234A及びL235Aの置換である、請求項53に記載のタンパク質。
【請求項55】
前記第一のFcポリペプチドが、TfRに特異的に結合し、かつL234A及びL235Aの置換を含む、請求項54に記載のタンパク質。
【請求項56】
前記第一のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従ってP329GまたはP329Sの置換をさらに含む、請求項55に記載のタンパク質。
【請求項57】
前記第二のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って234位及び235位にLeu、ならびに329位にプロリンを含む、請求項56に記載のタンパク質。
【請求項58】
前記第二のFcポリペプチドが、TfRに特異的に結合し、かつL234A及びL235Aの置換を含む、請求項54に記載のタンパク質。
【請求項59】
前記第二のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従ってP329GまたはP329Sの置換をさらに含む、請求項58に記載のタンパク質。
【請求項60】
前記第一のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って234位及び235位にLeu、ならびに329位にプロリンを含む、請求項59に記載のタンパク質。
【請求項61】
ヒンジ領域またはその一部分が、前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドのN末端に連結されている、請求項35に記載のタンパク質。
【請求項62】
前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、独立して、配列番号131~149及び183~196からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項35に記載のタンパク質。
【請求項63】
前記第一のFcポリペプチドまたは前記第二のFcポリペプチドが、配列番号133及び183~185から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項62に記載のタンパク質。
【請求項64】
前記第一のFcポリペプチドまたは前記第二のFcポリペプチドが、配列番号137及び186~196から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項62に記載のタンパク質。
【請求項65】
前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、独立して、EUナンバリングに従って384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号135~139及び186~196から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、請求項35に記載のタンパク質。
【請求項66】
前記第一のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って234位にAla、235位にAla、366位にTrp、384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号137の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、かつ
前記第二のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って366位にSer、368位にAla、及び407位にValを含み、かつ配列番号133の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
請求項35に記載のタンパク質。
【請求項67】
前記第一のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って366位にSer、368位にAla、及び407位にValを含み、かつ配列番号133の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、かつ
前記第二のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って234位にAla、235位にAla、366位にTrp、384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号137の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
請求項35に記載のタンパク質。
【請求項68】
以下:
(a)(i)配列番号6の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号160の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(b)(i)配列番号6の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号161の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(c)(i)配列番号6の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号162の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(d)(i)配列番号169の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号177の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(e)(i)配列番号169の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号178の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(f)(i)配列番号171の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号177の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(g)(i)配列番号170の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号177の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(h)(i)配列番号170の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号178の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(i)(i)配列番号172の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号177の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(j)(i)配列番号169の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号179の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(k)(i)配列番号169の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号180の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(l)(i)配列番号171の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号179の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(m)(i)配列番号170の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号179の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(n)(i)配列番号170の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号180の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(o)(i)配列番号172の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号179の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(p)(i)配列番号169の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号181の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(q)(i)配列番号169の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号182の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(r)(i)配列番号171の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号181の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(s)(i)配列番号170の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号181の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(t)(i)配列番号170の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号182の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(u)(i)配列番号172の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号181の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド
を含む、タンパク質。
【請求項69】
(a)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号6の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号160の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(b)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号6の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号161の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(c)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号6の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号162の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(d)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号169の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号177の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(e)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号169の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号178の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(f)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号171の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号177の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(g)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号170の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号177の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(h)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号170の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号178の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(i)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号172の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号177の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(j)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号169の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号179の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(k)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号169の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号180の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(l)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号171の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号179の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(m)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号170の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号179の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(n)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号170の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号180の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(o)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号172の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号179の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(p)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号169の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号181の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(q)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号169の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号182の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(r)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号171の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号181の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(s)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号170の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号181の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(t)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号170の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号182の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(u)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号172の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号181の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、
請求項68に記載のタンパク質。
【請求項70】
請求項1に記載のタンパク質と、医薬的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項71】
請求項1に記載のタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項72】
請求項71に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項73】
請求項71に記載のポリヌクレオチドまたは請求項72に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項74】
対象におけるがんを処置するまたはがんの脳転移を処置するための方法であって、前記対象に対して、治療有効量の請求項1に記載のタンパク質または請求項70に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項75】
前記タンパク質が、化学療法または放射線療法と組み合わせて投与される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記がんが、転移がんである、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記がんが、乳がんである、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
前記がんが、HER2陽性がんである、請求項74に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月25日に出願された米国仮特許出願第63/237,071号に対する優先権を主張する。当該仮出願の開示は、すべての目的のため、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
乳がん等のがんの脳転移の処置は、現在のところ、大変な臨床的難題となっている。乳がん患者では、脳転移の発生率は、50%の高さである。臨床データにより、HER2陽性乳がんは、脳に転移する傾向があることが示されている。特に、抗HER2療法は、頭蓋外腫瘍の制御に有用であることが証明されているが、頭蓋内病変についてはそうではない。HER2陽性乳がんの脳転移等の転移性病変を制御するこれらの療法の失敗は、主に、治療薬が血液脳関門(BBB)を越えて脳実質にアクセスできないことに起因する。
【発明の概要】
【0003】
概要
1つの態様では、本開示は、以下を含むタンパク質を提供する:
(a)FabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)単鎖可変断片(scFv)とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために該(a)に記載のFd部分と対になる軽鎖ポリペプチド、
ここで、該Fabは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、かつ該scFvは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、または、該Fabは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、かつ該scFvは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、かつ
該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従ってS239D及び/またはI332Eの置換を含む。
【0004】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強することが可能である。
【0005】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従ってS239D及び/またはI332Eの置換を含む。他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。
【0006】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、
(a)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む、
(b)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む、
(c)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む、
(d)EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む、
(e)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む、
(f)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む、
(g)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む、
(h)EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む、
(i)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む、
(j)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む、
(k)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む、
(l)EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む、
(m)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む、
(n)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む、または
(o)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。
【0007】
本タンパク質のある特定の実施形態では、
(a)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む、
(b)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む、
(c)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む、
(d)EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む、
(e)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む、または
(f)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0008】
本タンパク質の特定の実施形態では、
(a)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換及び239位にセリンを含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含む、
(b)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含む、
(c)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換及び239位にセリンを含む、
(d)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、239位にセリン及び332位にイソロイシンを含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換及び239位にセリンを含む、
(e)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む、または
(f)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換及び239位にセリンを含み、該第二のFcポリペプチドは、239位にセリン及び332位にイソロイシンを含む。
【0009】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該Fabは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、該scFvは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合する。他の実施形態では、該Fabは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、該scFvは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合する。
【0010】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該第二のFcポリペプチドは、第一のリンカーを介して該scFvと融合している。該第一のリンカーは、1~20アミノ酸長、例えば、GGSGGGSGGGSGGGSGGGSG(配列番号116、(GGSG))、GGGGS(配列番号117、GS)、GGGGSGGGGS(配列番号118、(GS))、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号119、(GS))、GGGGSGGGGSGGGG(配列番号120、(GS)-G)、GGGGSGGGGSGG(配列番号121)、GGGGGSGGGGS(配列番号122)、及びGGGGGSGGGGGSGGGGS(配列番号123)のいずれか1つの配列を有することができる。
【0011】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該scFvは、第二のリンカーを介して接続されているV領域及びV領域を含む。該第二のリンカーは、1~20アミノ酸長、例えば、GGSGGGSGGGSGGGSGGGSG(配列番号116、(GGSG))、GGGGS(配列番号117、GS)、GGGGSGGGGS(配列番号118、(GS))、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号119、(GS))、GGGGSGGGGSGGGG(配列番号120、(GS)-G)、GGGGSGGGGSGG(配列番号121)、GGGGGSGGGGS(配列番号122)、及びGGGGGSGGGGGSGGGGS(配列番号123)のいずれか1つの配列を有し得る。
【0012】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、トランスフェリン受容体(TfR)に特異的に結合し、例えば、TfR結合部位を創出する本明細書に記載の配列修飾のいずれかを含む。いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び該第二のFcポリペプチドは各々、ヘテロ二量体化を促進する修飾を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従ってT366Wの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、T366S、L368A、及びY407Vの置換を含む。他の実施形態では、該第一のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従ってT366S、L368A、及びY407Vの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、T366Wの置換を含む。
【0013】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、TfR媒介エフェクター機能を低下させる修飾を含む。ある特定の実施形態では、該エフェクター機能を低下させる修飾は、EUナンバリングに従ってL234A及びL235Aの置換である。一例として、該第一のFcポリペプチドは、TfRに特異的に結合しかつEUナンバリングに従ってL234A及びL235Aの置換を含んでもよく、該第一のFcポリペプチドはさらに、P329GまたはP329Sの置換を含んでもよく、該第二のFcポリペプチドは、234位及び235位にLeuならびに329位にプロリンを含んでもよい。別の例として、該第二のFcポリペプチドは、TfRに特異的に結合しかつEUナンバリングに従ってL234A及びL235Aの置換を含んでもよく、該第二のFcポリペプチドはさらに、P329GまたはP329Sの置換を含んでもよく、該第一のFcポリペプチドは、234位及び235位にLeuならびに329位にプロリンを含んでもよい。
【0014】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、ヒンジ領域またはその一部分は、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドのN末端に連結される。
【0015】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、配列番号131~149及び183~196からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、配列番号133及び183~185から選択される配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。ある特定の他の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、配列番号137及び186~196から選択される配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0016】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号135~139及び186~196から選択される配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0017】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って234位にAla、235位にAla、366位にTrp、384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号137の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って366位にSer、368位にAla、及び407位にValを含み、かつ配列番号133の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0018】
本タンパク質の他の実施形態では、該第一のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って366位にSer、368位にAla、及び407位にValを含み、かつ配列番号133の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って234位にAla、235位にAla、366位にTrp、384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号137の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0019】
別の態様では、本開示は、以下を含むタンパク質を提供する:
(a)(i)配列番号1の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号159の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(b)(i)配列番号164の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号173の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(c)(i)配列番号164の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号174の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(d)(i)配列番号166の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号173の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(e)(i)配列番号165の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号173の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(f)(i)配列番号165の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号174の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(g)(i)配列番号167の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号173の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(h)(i)配列番号164の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号175の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(i)(i)配列番号164の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号176の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(j)(i)配列番号166の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号175の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(k)(i)配列番号165の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号175の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(l)(i)配列番号165の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号176の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(m)(i)配列番号167の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号175の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド。
【0020】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該第一の重鎖ポリペプチドは、TfR結合部位、ヘテロ二量体化を促進する修飾、HER2媒介エフェクター機能を増強する修飾、及び/または第一の重鎖ポリペプチド配列に存在するTfR媒介エフェクター機能を低下させる修飾を含み、該第一の重鎖ポリペプチド配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。本タンパク質の他の実施形態では、該第二の重鎖ポリペプチドは、TfR結合部位、ヘテロ二量体化を促進する修飾、HER2媒介エフェクター機能を増強する修飾、及び/または第二の重鎖ポリペプチド配列に存在するTfR媒介エフェクター機能を低下させる修飾を含み、該第二の重鎖ポリペプチド配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0021】
さらに別の態様では、本開示は、以下を含むタンパク質を提供する:
(a)FabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該(a)及び/または(b)におけるFd部分が、該scFvとN末端で融合しており、
ここで、該Fabは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、かつ該scFvは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、または、該Fabは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、かつ該scFvは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、かつ
該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従ってS239D及び/またはI332Eの置換を含む。
【0022】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強することが可能である。
【0023】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従ってS239D及び/またはI332Eの置換を含む。他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。
【0024】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、
(a)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む、
(b)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む、
(c)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む、
(d)EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む、
(e)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む、
(f)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む、
(g)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む、
(h)EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む、
(i)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む、
(j)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む、
(k)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む、
(l)EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む、
(m)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む、
(n)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む、または
(o)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。
【0025】
本タンパク質のある特定の実施形態では、
(a)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む、
(b)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む、
(c)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む、
(d)EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む、
(e)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む、または
(f)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0026】
本タンパク質の特定の実施形態では、
(a)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換及び239位にセリンを含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含む、
(b)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含む、
(c)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換及び239位にセリンを含む、
(d)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、239位にセリン及び332位にイソロイシンを含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換及び239位にセリンを含む、
(e)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む、または
(f)EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換及び239位にセリンを含み、該第二のFcポリペプチドは、239位にセリン及び332位にイソロイシンを含む。
【0027】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該Fabは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、該scFvは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合する。他の実施形態では、該Fabは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、該scFvは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合する。
【0028】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該(a)及び/または(b)におけるFd部分は、該scFvとN末端で融合している。
【0029】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該(a)及び/または(b)におけるFd部分は、第一のリンカーを介して該scFvと融合している。ある特定の実施形態では、該第一のリンカーは、1~20アミノ酸長、例えば、GGSGGGSGGGSGGGSGGGSG(配列番号116、(GGSG))、GGGGS(配列番号117、GS)、GGGGSGGGGS(配列番号118、(GS))、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号119、(GS))、GGGGSGGGGSGGGG(配列番号120、(GS)-G)、GGGGSGGGGSGG(配列番号121)、GGGGGSGGGGS(配列番号122)、及びGGGGGSGGGGGSGGGGS(配列番号123)のいずれか1つの配列を有する。
【0030】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該scFvは、第二のリンカーを介して接続されているV領域及びV領域を含む。いくつかの実施形態では、該第二のリンカーは、1~20アミノ酸長、例えば、GGSGGGSGGGSGGGSGGGSG(配列番号116、(GGSG))、GGGGS(配列番号117、GS)、GGGGSGGGGS(配列番号118、(GS))、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号119、(GS))、GGGGSGGGGSGGGG(配列番号120、(GS)-G)、GGGGSGGGGSGG(配列番号121)、GGGGGSGGGGS(配列番号122)、及びGGGGGSGGGGGSGGGGS(配列番号123)のいずれか1つの配列を有する。
【0031】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、トランスフェリン受容体(TfR)に特異的に結合し、例えば、TfR結合部位を創出する本明細書に記載の配列修飾のいずれかを含む。いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び該第二のFcポリペプチドは各々、ヘテロ二量体化を促進する修飾を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従ってT366Wの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、T366S、L368A、及びY407Vの置換を含む。他の実施形態では、該第一のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従ってT366S、L368A、及びY407Vの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、T366Wの置換を含む。
【0032】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、TfR媒介エフェクター機能を低下させる修飾を含む。ある特定の実施形態では、該エフェクター機能を低下させる修飾は、EUナンバリングに従ってL234A及びL235Aの置換である。一例として、該第一のFcポリペプチドは、TfRに特異的に結合しかつEUナンバリングに従ってL234A及びL235Aの置換を含んでもよく、該第一のFcポリペプチドはさらに、P329GまたはP329Sの置換を含んでもよく、該第二のFcポリペプチドは、234位及び235位にLeuならびに329位にプロリンを含んでもよい。別の例として、該第二のFcポリペプチドは、TfRに特異的に結合しかつEUナンバリングに従ってL234A及びL235Aの置換を含んでもよく、該第二のFcポリペプチドはさらに、P329GまたはP329Sの置換を含んでもよく、該第一のFcポリペプチドは、234位及び235位にLeuならびに329位にプロリンを含んでもよい。
【0033】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、ヒンジ領域またはその一部分は、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドのN末端に連結される。
【0034】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、配列番号131~149及び183~196からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、配列番号133及び183~185から選択される配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。ある特定の他の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、配列番号137及び186~196から選択される配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0035】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号135~139及び186~196から選択される配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0036】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って234位にAla、235位にAla、366位にTrp、384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号137の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って366位にSer、368位にAla、及び407位にValを含み、かつ配列番号133の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0037】
本タンパク質の他の実施形態では、該第一のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って366位にSer、368位にAla、及び407位にValを含み、かつ配列番号133の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って234位にAla、235位にAla、366位にTrp、384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号137の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0038】
さらなる態様では、本開示は、以下を含むタンパク質を提供する:
(a)(i)配列番号6の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号160の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(b)(i)配列番号6の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号161の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(c)(i)配列番号6の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号162の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(d)(i)配列番号169の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号177の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(e)(i)配列番号169の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号178の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(f)(i)配列番号171の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号177の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(g)(i)配列番号170の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号177の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(h)(i)配列番号170の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号178の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(i)(i)配列番号172の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号177の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(j)(i)配列番号169の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号179の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(k)(i)配列番号169の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号180の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(l)(i)配列番号171の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号179の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(m)(i)配列番号170の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号179の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(n)(i)配列番号170の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号180の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(o)(i)配列番号172の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号179の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(p)(i)配列番号169の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号181の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(q)(i)配列番号169の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号182の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(r)(i)配列番号171の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号181の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(s)(i)配列番号170の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号181の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(t)(i)配列番号170の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号182の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(u)(i)配列番号172の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号181の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド。
【0039】
本タンパク質のいくつかの実施形態では、該第一の重鎖ポリペプチドは、TfR結合部位、ヘテロ二量体化を促進する修飾、HER2媒介エフェクター機能を増強する修飾、及び/または第一の重鎖ポリペプチド配列に存在するTfR媒介エフェクター機能を低下させる修飾を含み、該第一の重鎖ポリペプチド配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。本タンパク質の他の実施形態では、該第二の重鎖ポリペプチドは、TfR結合部位、ヘテロ二量体化を促進する修飾、HER2媒介エフェクター機能を増強する修飾、及び/または第二の重鎖ポリペプチド配列に存在するTfR媒介エフェクター機能を低下させる修飾を含み、該第二の重鎖ポリペプチド配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0040】
本開示の別の態様では、本開示は、本明細書に記載のタンパク質のいずれかと、医薬的に許容される担体とを含む、医薬組成物を提供する。
【0041】
本開示の別の態様では、本開示は、本明細書に記載のタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0042】
本開示の別の態様では、本開示は、先行する態様のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0043】
本開示の別の態様では、本開示は、該ポリヌクレオチドまたは該ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0044】
本開示の別の態様では、本開示は、対象におけるがんを処置するまたはがんの脳転移を処置するための方法を提供し、該方法は、該対象に対して、治療有効量の本明細書に記載のタンパク質またはその医薬組成物を投与することを含む。
【0045】
該方法のいくつかの実施形態では、該タンパク質は、化学療法または放射線療法と組み合わせて投与される。
【0046】
該方法のいくつかの実施形態では、該がんは、転移がんである。いくつかの実施形態では、該がんは、乳がんである。いくつかの実施形態では、該がんは、HER2陽性がんである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1A】「Fab-Fcポリペプチド/scFv-Fcポリペプチド」構造を有する例示的な二重特異性タンパク質を示す概略図であり、ここでは、scFvは、TfR結合部位(星印)及びノブの変異を有するFcポリペプチドのN末端とヒンジまたは部分的なヒンジ領域を介して融合しており、他方のFcポリペプチドは、ホールの変異を有する。
図1B】「Fab-Fcポリペプチド/scFv-Fcポリペプチド」構造を有する例示的な二重特異性タンパク質を示す概略図であり、ここでは、scFvは、Fcポリペプチドのホールの変異のN末端とヒンジまたは部分的なヒンジ領域を介して融合しており、他方のFcポリペプチドは、TfR結合部位(星印)及びノブの変異を有する。
図2A】「mAb/HCのN末端またはC末端scFv」構造を有する例示的な二重特異性タンパク質を示す概略図であり、ここでは、scFvは、ホールの変異を有するFcポリペプチドのC末端と融合しており、他方のFcポリペプチドは、TfR結合部位(星印)及びノブの変異を有する。
図2B】「mAb/HCのN末端またはC末端scFv」構造を有する例示的な二重特異性タンパク質を示す概略図であり、ここでは、scFvは、Fd部分のN末端とリンカーを介して融合している。該scFvは、ホールの変異を有するFcポリペプチドを含む重鎖のFd部分と融合しており、他方のFcポリペプチドは、TfR結合部位(星印)及びノブの変異を有する。
図2C】「mAb/HCのN末端またはC末端scFv」構造を有する例示的な二重特異性タンパク質を示す概略図であり、ここでは、2つのscFvは各々、重鎖のFd部分のN末端とリンカーを介して融合している。FcポリペプチドのTfR結合部位は、星印で示されている。
図2D】「mAb/HCのN末端またはC末端scFv」構造を有する例示的な二重特異性タンパク質を示す概略図であり、ここでは、2つのscFvは各々、重鎖のFcポリペプチドのC末端とリンカーを介して融合している。FcポリペプチドのTfR結合部位は、星印で示されている。
図3A】「mAb/LCのN末端またはC末端scFv」構造を有する例示的な二重特異性タンパク質を示す概略図であり、ここでは、scFvは、軽鎖のC末端とリンカーを介して融合している。FcポリペプチドのTfR結合部位は、星印で示されている。
図3B】「mAb/LCのN末端またはC末端scFv」構造を有する例示的な二重特異性タンパク質を示す概略図であり、ここでは、scFvは、軽鎖のN末端とリンカーを介して融合している。FcポリペプチドのTfR結合部位は、星印で示されている。
図3C】「mAb/LCのN末端またはC末端scFv」構造を有する例示的な二重特異性タンパク質を示す概略図であり、ここでは、2つのscFvは各々、軽鎖のN末端とリンカーを介して融合している。FcポリペプチドのTfR結合部位は、星印で示されている。
図3D】「mAb/LCのN末端またはC末端scFv」構造を有する例示的な二重特異性タンパク質を示す概略図であり、ここでは、2つのscFvは各々、軽鎖のC末端とリンカーを介して融合している。FcポリペプチドのTfR結合部位は、星印で示されている。
図4】「mAb/HC及びLCのN末端V」構造を有する例示的な二重特異性タンパク質を示す概略図であり、ここでは、2つのV領域は、各々、重鎖のFd部分のN末端と融合しており、2つのV領域は、各々、軽鎖のN末端と融合している。V領域及びV領域は、Fv断片を形成する。FcポリペプチドのTfR結合部位は、星印で示されている。
図5】「mAb/HCのC末端V」構造を有する例示的な二重特異性タンパク質を示す概略図であり、ここでは、V領域は、ホールの変異を有するFcポリペプチドのC末端と融合しており、V領域は、TfR結合部位(星印)及びノブの変異を有するFcポリペプチドのC末端と融合している。V領域及びV領域は、Fv断片を形成する。
図6A】「Fab-Fcポリペプチド/scFv-Fcポリペプチド」構造を有する二重特異性タンパク質による、BT474細胞の増殖阻害アッセイにおける6日目のがん細胞の増殖阻害を示す。
図6B】「Fab-Fcポリペプチド/scFv-Fcポリペプチド」構造を有する二重特異性タンパク質による、OE19細胞の増殖阻害アッセイにおける3日目のがん細胞の増殖阻害を示す。
図7】C57/BL6マウスにおける抗HER2二重特異性タンパク質及び抗HER2対照の血漿PKプロファイルを示すプロットである。
図8A】抗HER2二重特異性タンパク質または抗HER2対照を静脈内投与したTfRmu/huKIマウスにおける網状赤血球の定量化を示すプロットである。
図8B】TfRmu/huKIマウスにおける抗HER2二重特異性タンパク質及び抗HER2対照の血漿PKプロファイルを示すプロットである。
図8C】TfRmu/huKIマウスにおける抗HER2二重特異性タンパク質及び抗HER2対照の脳内PKプロファイルを示すプロットである。
図8D】TfRmu/huKIマウスにおける抗HER2二重特異性タンパク質及び抗HER2対照の脳対血漿濃度のパーセンテージを示すプロットである。
図9A】抗HER2二重特異性タンパク質及び抗HER2対照によるNRG1を用いたBT474細胞の増殖阻害アッセイを示す。
図9B】抗HER2二重特異性タンパク質及び抗HER2対照によるNRG1を用いたBT474細胞の増殖阻害アッセイを示す。
図9C】抗HER2二重特異性タンパク質及び抗HER2対照によるNRG1を用いたBT474細胞の増殖阻害アッセイを示す。
図9D】抗HER2二重特異性タンパク質及び抗HER2対照によるNRG1を用いないBT474細胞の増殖阻害アッセイを示す。
図9E】抗HER2二重特異性タンパク質及び抗HER2対照によるNRG1を用いないBT474細胞の増殖阻害アッセイを示す。
図9F】抗HER2二重特異性タンパク質及び抗HER2対照によるNRG1を用いないBT474細胞の増殖阻害アッセイを示す。
図9G】抗HER2二重特異性タンパク質及び抗HER2対照によるOE19細胞の増殖阻害アッセイを示す。
図9H】抗HER2二重特異性タンパク質及び抗HER2対照によるOE19細胞の増殖阻害アッセイを示す。
図9I】抗HER2二重特異性タンパク質及び抗HER2対照によるOE19細胞の増殖阻害アッセイを示す。
図9J】抗HER2二重特異性タンパク質及び抗HER2対照によるZR75細胞の増殖阻害アッセイを示す。
図9K】抗HER2二重特異性タンパク質及び抗HER2対照によるZR75細胞の増殖阻害アッセイを示す。
図9L】抗HER2二重特異性タンパク質及び抗HER2対照によるZR75細胞の増殖阻害アッセイを示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
詳細な説明
I.緒言
1つの態様では、ヒトHER2のサブドメインII及びヒトHER2のサブドメインIVの両方に結合することができる二重特異性タンパク質を提供する。該二重特異性タンパク質は、一般に、軽鎖の誤対合やステアリングなしで生成され得る。いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、ヒトHER2の各標的サブドメインに、一価様に結合する。いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、ヒトHER2の1つの標的サブドメインに一価様に結合し、ヒトHER2の他の標的サブドメインに二価様に結合する(例えば、サブドメインIIに一価様に及びサブドメインIVに二価様に、またはサブドメインIVに一価様に及びサブドメインIIに二価様に)。いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、ヒトHER2の各標的サブドメインに二価様に結合する。二重特異性タンパク質の様々な構造は、本明細書でさらに詳細に説明されている。
【0049】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、ヒトHER2のサブドメインII(またはサブドメインIV)に結合するscFv及びヒトHER2のサブドメインIV(またはサブドメインII)に結合するFabを含む(例えば、セクションIIIの「Fab-Fcポリペプチド/scFv-Fcポリペプチド」構造参照)。いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、該二重特異性タンパク質の重鎖のN末端またはC末端に接続された1つ以上のscFvを含み、該scFvは、ヒトHER2のサブドメインII(またはサブドメインIV)に結合し、該二重特異性タンパク質のFabは、ヒトHER2のサブドメインIV(またはサブドメインII)に結合する(例えば、セクションIIIの「mAb/HCのN末端またはC末端scFv」構造参照)。いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、該二重特異性タンパク質の軽鎖のN末端またはC末端に接続された1つ以上のscFvを含み、該scFvは、ヒトHER2のサブドメインII(またはサブドメインIV)に結合し、該二重特異性タンパク質のFabは、ヒトHER2のサブドメインIV(またはサブドメインII)に結合する(例えば、セクションIIIの「mAb/HCのN末端またはC末端scFv mAb/LCのN末端またはC末端scFv」構造参照)。いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、該重鎖のN末端に接続されたFv断片のV領域(またはV領域)及び該軽鎖のN末端に接続されたFv断片のV領域(またはV領域)を含み、該Fv断片は、ヒトHER2のサブドメインII(またはサブドメインIV)に結合し、該二重特異性タンパク質のFabは、ヒトHER2のサブドメインIV(またはサブドメインII)に結合する(例えば、セクションIIIの「mAb/HC及びLCのN末端V」構造参照)。さらに他の実施形態では、該二重特異性タンパク質は、該二重特異性タンパク質の2つの重鎖のうちの1つのC末端に接続されたFv断片のV領域(またはV領域)及び該2つ重鎖のうちの他方のC末端に接続されたFv断片のV領域(またはV領域)を含み、該Fv断片は、ヒトHER2のサブドメインII(またはサブドメインIV)に結合し、該二重特異性タンパク質のFabは、ヒトHER2のサブドメインIV(またはサブドメインII)に結合する(例えば、セクションIIIの「mAb/HCのC末端V」構造参照)。
【0050】
主に治療薬が血液脳関門(BBB)を通過すること及び脳実質にアクセスすることができないことから、先行する治療は、HER2陽性乳がんの脳転移の制御に失敗した。従って、BBBを越え、脳実質においてHER2を標的とすることができる新しい治療薬に対する必要性がある。本発明者らは、トランスフェリン受容体(TfR)の発現が脳内皮細胞で高度に発現され、受容体を介したトランスサイトーシスによってBBB送達を可能にすることができることから、脳内皮を通過するBBB送達を可能にする方法として、TfR結合の使用をすでに記載した。興味深いことに、TfRは、HER2陽性乳がんを含めた様々ながんで高度に発現している。がん細胞が増加したTfR発現を獲得するメカニズムは、腫瘍細胞増殖と、鉄の取り込み等の代謝要求の増加に関連する可能性がある。実際、公開されているマイクロアレイデータセットにより、TfRの発現と乳がんの予後の相関関係が実証された(Miller et al.,Cancer Res.71:6728,2011)。様々なタイプのがんの薬理学的標的としてのTfRの使用に関するいくつかの報告も存在する。
【0051】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、BBB受容体、例えば、TfRに特異的に結合する1つ以上の修飾Fcポリペプチド(すなわち、TfR結合Fcポリペプチド)を含む。いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、BBBを横断して輸送することが可能である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のHER2及びTfRの両方に結合する抗HER2二重特異性タンパク質は、高レベルのTfRも発現するHER2陽性腫瘍細胞に結合する際に、HER2のみに結合する他の治療薬と比較して、さらなる抗腫瘍効果をもたらし得る。具体的には、これらのタンパク質は、TfRとHER2の両方に同時に結合することができるため、その効力及び/または有効性を高めることができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、TfRに特異的に結合する修飾Fcポリペプチド二量体を含み、TfRに結合した際にエフェクター機能(例えば、ADCCもしくはCDC)が低下するが、HER2に結合した際にはエフェクター機能(例えば、ADCCもしくはCDC)を維持するか、または増強する。
【0053】
II.定義
本明細書で使用される、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、内容が別段明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば、「抗体」への言及は、2つ以上のかかる分子等の組み合わせを任意に含む。
【0054】
本明細書で使用される、「約」及び「およそ」という用語は、数値または範囲で指定された量を修正するために使用される場合、その数値及び当業者に公知の値からの妥当な偏差、例えば、±20%、±10%または±5%が、記載された値の意図する意味の範囲内であることを示す。
【0055】
本明細書で使用される、「抗体」という用語は、免疫グロブリンフォールドを有するタンパク質を指し、その可変領域を介して抗原と特異的に結合する。該用語は、インタクトなポリクローナル抗体、インタクトなモノクローナル抗体、一本鎖抗体、二重特異性抗体等の多重特異性抗体、単一特異性抗体、一価抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、及びヒト抗体を包含する。本明細書で使用される、「抗体」という用語はまた、Fab、F(ab’)、Fv、scFv、及び二価scFvが挙げられるがこれらに限定されない抗原結合特異性を保持する抗体断片も含む。抗体は、カッパまたはラムダのいずれかに分類される軽鎖を含み得る。抗体は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンに分類される重鎖を含む場合があり、これらは同様に、それぞれ、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgEという免疫グロブリンクラスを定義する。
【0056】
例示的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、四量体を含む。各四量体は、各対が1つの「軽」鎖(約25kD)及び1つの「重」鎖(約50~70kD)を有する、2つの同一の対のポリペプチド鎖から構成される。各鎖のN末端は、抗原認識を主に担う約100~110個またはそれを超えるアミノ酸の可変領域を画定する。「可変軽鎖」(V)及び「可変重鎖」(V)という用語は、それぞれ、これらの軽鎖及び重鎖を指す。
【0057】
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、生殖系列可変(V)遺伝子、多様性(D)遺伝子、または結合(J)遺伝子に由来し(かつ定常(Cμ及びCδ)遺伝子セグメントには由来しない)、抗体に抗原と結合する特異性を与える、抗体重鎖または軽鎖中のドメインを指す。通常、抗体の可変領域は、3つの超可変「相補性決定領域」が散在する4つの保存された「フレームワーク」領域を含む。
【0058】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、軽鎖及び重鎖可変領域によって確立された4つのフレームワーク領域を中断する各鎖における3つの超可変領域を指す。CDRは、抗原のエピトープへの抗体結合を主として担う。各鎖のCDRは、通常、N末端から順番にナンバリングしてCDR1、CDR2及びCDR3と称され、通常、特定のCDRが位置する鎖によっても識別される。従って、V CDR3またはCDR-H3は、それが見出される抗体重鎖の可変領域に位置する一方、V CDR1またはCDR-L1は、それが見出される抗体軽鎖の可変領域に由来するCDR1である。
【0059】
異なる軽鎖または重鎖の「フレームワーク領域」または「FR」は、種内で比較的保存されている。抗体のフレームワーク領域、すなわち、構成要素である軽鎖及び重鎖のフレームワーク領域を組み合わせたものは、CDRを3次元空間に配置し整列させるように機能する。フレームワーク配列は、生殖系列抗体の遺伝子配列を含む公共のDNAデータベースまたは公開されている参照文献から得ることができる。例えば、ヒト重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子の生殖系列DNA配列は、ヒト及びマウス配列に関する「VBASE2」生殖系列可変遺伝子配列データベースに見出すことができる。
【0060】
CDR及びフレームワーク領域のアミノ酸配列は、当技術分野で周知の様々な定義、例えば、Kabat、Chothia、国際ImMunoGeneTicsデータベース(IMGT)、AbM、及び観察された抗原接触(「Contact」)を使用して決定され得る。いくつかの実施形態では、CDRは、Contactの定義に従って決定される。MacCallum et al.,J.Mol.Biol.,262:732-745,1996を参照されたい。いくつかの実施形態では、CDRは、Kabat、Chothia、及び/またはContactのCDR定義の組み合わせによって決定される。
【0061】
「Fd部分」という用語は、免疫グロブリン重鎖のN末端部分を指す。通常、Fd部分は、重鎖可変(VH)領域及び重鎖定常(CH1)領域を含む。
【0062】
「Fab」という用語は、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域、重鎖可変領域、及び重鎖CH1定常領域からなる抗原結合断片を指す。
【0063】
「単鎖可変断片」または「scFv」という用語は、ペプチドリンカーを介して連結された重鎖可変領域及び軽鎖可変領域からなる抗原結合断片を指す。scFvは、定常領域を欠く。
【0064】
「Fv断片」という用語は、一緒になって抗原に対する結合部位を形成する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域からなる抗原結合断片を指す。
【0065】
「エピトープ」という用語は、分子、例えば、抗体のCDRが特異的に結合する抗原の領域(area)または領域(region)を指し、数個のアミノ酸、または数個のアミノ酸の部分、例えば、5個もしくは6個、もしくはそれより多く、例えば、20個以上のアミノ酸、またはそれらのアミノ酸の部分を含み得る。場合によっては、該エピトープは、例えば、炭水化物、核酸、または脂質に由来する非タンパク質成分を含む。場合によっては、該エピトープは、3次元部分である。従って、例えば、該標的がタンパク質の場合、該エピトープは、連続するアミノ酸からなることもあれば(例えば、線状エピトープ)、タンパク質フォールディングによって近接した状態になるタンパク質の異なる部分のアミノ酸からなることもある(例えば、不連続または高次構造エピトープ)。
【0066】
本明細書で使用される、「エピトープを認識する」という表現は、抗体に関して使用する場合、抗体のCDRが、その抗原と、そのエピトープもしくはそのエピトープを含む抗原の一部分で相互作用するか、または特異的に結合することを意味する。
【0067】
「ヒト化抗体」は、CDR外の非ヒト免疫グロブリンに由来する最低限の配列を含む非ヒト供給源(例えば、マウス)に由来するキメラ免疫グロブリンである。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ(例えば、2つ)の可変ドメインを含み、そのCDR領域は、非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に実質的に相当し、そのフレームワーク領域は、ヒト免疫グロブリン配列のフレームワーク領域に実質的に相当する。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのある特定のフレームワーク領域の残基を、例えば、特異性、親和性、及び/または血清半減期を改善するために、非ヒト種由来の対応する残基に置き換えることができる。ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、通常はヒト免疫グロブリン配列のものを含み得る。抗体のヒト化方法は、当技術分野で既知である。
【0068】
「ヒト抗体」または「完全ヒト抗体」は、ヒト重鎖配列及び軽鎖配列を有する抗体であり、通常は、ヒト生殖細胞系列遺伝子に由来する。いくつかの実施形態では、該抗体は、ヒト細胞によって、ヒト抗体レパートリーを利用した非ヒト動物(例えば、ヒト抗体配列を発現するように遺伝子操作されたトランスジェニックマウス)によって、またはファージディスプレイプラットフォームによって産生される。
【0069】
「特異的に結合する」という用語は、分子(例えば、Fab、scFv、または修飾Fcポリペプチド(またはその標的結合部分)が、サンプル中のエピトープまたは標的に対して、別のエピトープまたは非標的化合物(例えば、構造的に異なる抗原)に結合するよりも、高い親和性で、高い結合力で、及び/または長い期間、当該エピトープまたは標的に結合することを指す。いくつかの実施形態では、エピトープまたは標的に特異的に結合するFab、scFv、または修飾Fcポリペプチド(またはその標的結合部分)とは、他のエピトープまたは非標的化合物よりも、少なくとも5倍高い親和性で、例えば、少なくとも6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、25倍、50倍、100倍、1000倍、10,000倍、またはそれを超える親和性で、当該エピトープまたは標的に結合する、Fab、scFv、または修飾Fcポリペプチド(またはその標的結合部分)である。本明細書で使用される、特定のエピトープまたは標的に対する「特異的結合」、「特異的に結合する」、または「特異的である」という用語は、例えば、それが結合するエピトープまたは標的に対する平衡解離定数Kが、例えば、10-4M以下、例えば、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、または10-12Mである分子によって示され得る。当業者には、1つの種に由来する標的に特異的に結合するFabまたはscFvはまた、その標的のオルソログにも特異的に結合し得ることが認識されよう。
【0070】
「結合親和性」という用語は、本明細書では、2つの分子間、例えば、FabもしくはscFvと抗原との間、または修飾Fcポリペプチド(もしくはその標的結合部分)と標的との間の非共有結合性相互作用の強さを指すために使用される。従って、例えば、該用語は、特に指定のない限り、または文脈から明らかな場合を除き、FabもしくはscFvと抗原間、または修飾Fcポリペプチド(もしくはその標的結合部分)と標的間の1:1の相互作用を指し得る。結合親和性は、平衡解離定数(K)を測定することにより定量化することができ、これは、結合速度定数(k、時間-1-1)で除した解離速度定数(k、時間-1)を指す。Kは、複合体形成及び解離の反応速度を、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)法(例えば、Biacore(商標)システム)、KinExA(登録商標)等の結合平衡除外法、及びBioLayer干渉法(例えば、ForteBio(登録商標)Octetプラットフォームを使用するもの)を使用して測定することにより決定され得る。本明細書で使用される、「結合親和性」には、正式な結合親和性、例えば、FabもしくはscFvと抗原間、または修飾Fcポリペプチド(もしくはその標的結合部分)と標的間の1:1相互作用を反映するものだけでなく、強い結合を反映し得るKが計算される見かけの親和性も含まれる。
【0071】
本明細書で使用される、「トランスフェリン受容体」または「TfR」とは、トランスフェリン受容体タンパク質1を指す。ヒトトランスフェリン受容体1ポリペプチド配列は、配列番号150で規定される。他の種に由来するトランスフェリン受容体タンパク質1の配列も知られている(例えば、チンパンジー、アクセッション番号XP_003310238.1、アカゲザル、NP_001244232.1、イヌ、NP_001003111.1、畜牛、NP_001193506.1、マウス、NP_035768.1、ラット、NP_073203.1、及びニワトリ、NP_990587.1)。「トランスフェリン受容体」という用語はまた、例示的な参照配列、例えば、トランスフェリン受容体タンパク質1染色体座における遺伝子によってコードされるヒト配列の対立遺伝子バリアントも包含する。完全長トランスフェリン受容体タンパク質は、短いN末端細胞内領域、膜貫通領域、及び大きな細胞外ドメインを含む。該細胞外ドメインは、3つのドメイン、すなわち、プロテアーゼ様ドメイン、ヘリカルドメイン、及びアピカルドメインによって特徴づけられる。
【0072】
本明細書で使用される、「Fcポリペプチド」という用語は、構造ドメインとしてのIgフォールドを特徴とする天然に存在する免疫グロブリン重鎖ポリペプチドのC末端領域を指す。Fcポリペプチドは、少なくともCH2ドメイン及び/またはCH3ドメインを含む定常領域配列を含み、ヒンジ領域の少なくとも一部を含んでもよいが、可変領域は含まない。
【0073】
「修飾Fcポリペプチド」とは、野生型免疫グロブリン重鎖Fcポリペプチド配列に照らして、少なくとも1つの変異、例えば、置換、欠失、または挿入を有するが、天然のFcポリペプチドの全般的なIgフォールドまたは構造を保持するFcポリペプチドを指す。
【0074】
本明細書で使用される、「FcRn」とは、胎児性Fc受容体を指す。FcポリペプチドのFcRnへの結合は、Fcポリペプチドのクリアランスを低下させ、血清半減期を延長する。ヒトFcRnタンパク質は、主要組織適合(MHC)クラスIタンパク質と同様のサイズ約50kDaのタンパク質及びサイズ約15kDaのβ2-ミクログロブリンからなるヘテロ二量体である。
【0075】
本明細書で使用される、「FcRn結合部位」とは、FcRnに結合するFcポリペプチドの領域を指す。ヒトIgGでは、EUインデックスでナンバリングされるFcRn結合部位には、L251、M252、I253、S254、R255、T256、M428、H433、N434、H435、及びY436が含まれる。これらの位置は、配列番号130の21~26、198、及び203~206位に相当する。
【0076】
本明細書で使用される、「天然のFcRn結合部位」とは、FcRnに結合するポリペプチドの領域でありかつFcRnに結合する天然に存在するFcポリペプチドの領域と同じアミノ酸配列を有するFcポリペプチドの領域を指す。
【0077】
本明細書で使用される、「CH3ドメイン」及び「CH2ドメイン」という用語は、免疫グロブリン定常領域ドメインのポリペプチドを指す。本出願の目的で、CH3ドメインのポリペプチドとは、EUナンバリングスキームに従ってナンバリングされるほぼ341位からほぼ447位のアミノ酸のセグメントを指し、CH2ドメインのポリペプチドとは、EUナンバリングスキームに従ってナンバリングされるほぼ231位からほぼ340位のアミノ酸のセグメントを指し、ヒンジ領域の配列を含まない。CH2及びCH3ドメインのポリペプチドはまた、IMGT(ImMunoGeneTics)ナンバリングスキームによってもナンバリングされる場合があり、この場合、IMGT Scientific chartのナンバリング(IMGTウェブサイト)によれば、CH2ドメインのナンバリングは1~110であり、CH3ドメインのナンバリングは1~107である。CH2及びCH3ドメインは、免疫グロブリンのFc領域の一部である。Fc領域とは、EUナンバリングスキームに従ってナンバリングされるほぼ231位からほぼ447位のアミノ酸のセグメントを指すが、本明細書で使用される場合、抗体のヒンジ領域の少なくとも一部を含むことができる。例示的なヒンジ領域の配列は、ヒトIgG1ヒンジ配列EPKSCDKTHTCPPCP(配列番号127)である。
【0078】
CH3またはCH2ドメインに関して使用される、「野生型」、「天然」、及び「天然に存在する」という用語は、天然に存在する配列を有するドメインを指す。
【0079】
本明細書で使用される、変異ポリペプチドまたは変異ポリヌクレオチドに関して使用される場合の「変異体」という用語は、「バリアント」と交換可能に使用される。所与の野生型CH3またはCH2ドメインの参照配列に関するバリアントは、天然に存在する対立遺伝子バリアントを含むことができる。「非自然」発生CH3またはCH2ドメインとは、細胞に天然には存在せず、天然のCH3ドメインもしくはCH2ドメインポリヌクレオチドまたはポリペプチドの、例えば、遺伝子操作技術または突然変異誘発技術を用いた遺伝子改変によって産生されるバリアントまたは変異体ドメインを指す。「バリアント」には、野生型に関して少なくとも1つのアミノ酸の変異を含む任意のドメインが含まれる。変異には、置換、挿入、及び欠失が含まれ得る。
【0080】
核酸またはタンパク質に関して使用される、「単離された」という用語は、該核酸またはタンパク質が、自然状態でそれが会合している他の細胞成分が本質的にないことを示す。それは均質状態であることが好ましい。純度及び均一性は、通常、分析化学技術、例えば、電気泳動(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動)またはクロマトグラフィー(例えば、高速液体クロマトグラフィー)を用いて測定される。いくつかの実施形態では、単離された核酸またはタンパク質は、少なくとも85%の純度、少なくとも90%の純度、少なくとも95%の純度、または少なくとも99%の純度である。
【0081】
「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸及び合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣体を指す。天然に存在するのは、遺伝暗号によってコードされるもの、ならびに後に修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、及びO-ホスホセリンである。天然に存在するα-アミノ酸としては、アラニン(Ala)、システイン(Cys)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、フェニルアラニン(Phe)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、アルギニン(Arg)、リジン(Lys)、ロイシン(Leu)、メチオニン(Met)、アスパラギン(Asn)、プロリン(Pro)、グルタミン(Gln)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、バリン(Val)、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、及びそれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。天然に存在するα-アミノ酸の立体異性体としては、D-アラニン(D-Ala)、D-システイン(D-Cys)、D-アスパラギン酸(D-Asp)、D-グルタミン酸(D-Glu)、D-フェニルアラニン(D-Phe)、D-ヒスチジン(D-His)、D-イソロイシン(D-Ile)、D-アルギニン(D-Arg)、D-リジン(D-Lys)、D-ロイシン(D-Leu)、D-メチオニン(D-Met)、D-アスパラギン(D-Asn)、D-プロリン(D-Pro)、D-グルタミン(D-Gln)、D-セリン(D-Ser)、D-トレオニン(D-Thr)、D-バリン(D-Val)、D-トリプトファン(D-Trp)、D-チロシン(D-Tyr)、及びそれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。「アミノ酸類似体」とは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基に結合したα炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。かかる類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。「アミノ酸模倣体」とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが、天然に存在するアミノ酸と同様に機能する化合物を指す。アミノ酸は、本明細書では、一般に知られている3文字記号またはIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionが推奨する1文字記号のいずれかで言及され得る。
【0082】
「ポリペプチド」及び「ペプチド」という用語は、本明細書では交換可能に使用され、一本の鎖におけるアミノ酸残基のポリマーを指す。該用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的模倣体であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマー及び非天然に生じるアミノ酸ポリマーに適用される。アミノ酸ポリマーは、完全にL-アミノ酸、完全にD-アミノ酸、またはLアミノ酸及びDアミノ酸の混合物を含み得る。
【0083】
本明細書で使用される、「タンパク質」という用語は、ポリペプチドまたは一本鎖ポリペプチドの二量体(すなわち、2つ)もしくは多量体(すなわち、3つ以上)のいずれかを指す。タンパク質の一本鎖ポリペプチドは、共有結合、例えば、ジスルフィド結合によって、または非共有相互作用によって結合され得る。
【0084】
本明細書で使用される、「リンカー」という用語は、2つのペプチドまたはポリペプチド(例えば、FcポリペプチドとscFv間)を連結して(例えば、共有結合的に連結して)、ペプチドまたはポリペプチドを接続または融合させる部分を指す。いくつかの実施形態では、リンカーは、化学結合を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、1つ以上のアミノ酸残基の長さを有するペプチドを含む。ペプチドまたはポリペプチドを接続または融合させるのに適したリンカーは、リンカーの特性、例えば、リンカーの長さ、疎水性、柔軟性、剛性、または開裂性に基づいて選択され得る。
【0085】
「ポリヌクレオチド」及び「核酸」という用語は、交換可能に、任意の長さのヌクレオチド鎖を指し、DNA及びRNAを含む。該ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、及び/またはそれらの類似体、あるいは、DNAまたはRNAポリメラーゼによって鎖の中に組み込むことができる任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えば、メチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体を含み得る。本明細書で企図されるポリヌクレオチドの例としては、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖及び二本鎖RNA、ならびに一本鎖ならびに二本鎖DNA及びRNAの混合物を有するハイブリッド分子が挙げられる。
【0086】
「保存的置換」または「保存的変異」という用語は、あるアミノ酸を、同様の特徴を有するとして分類され得る別のアミノ酸で置換することになる変更を指す。このようにして定義される保存的アミノ酸群の分類の例としては、Glu(グルタミン酸またはE)、Asp(アスパラギン酸またはD)、Asn(アスパラギンまたはN)、Gln(グルタミンまたはQ)、Lys(リジンまたはK)、Arg(アルギニンまたはR)、及びHis(ヒスチジンまたはH)を含めた「荷電/極性群」、Phe(フェニルアラニンまたはF)、Tyr(チロシンまたはY)、Trp(トリプトファンまたはW)、及び(ヒスチジンまたはH)を含めた「芳香族群」、ならびにGly(グリシンまたはG)、Ala(アラニンまたはA)、Val(バリンまたはV)、Leu(ロイシンまたはL)、Ile(イソロイシンまたはI)、Met(メチオニンまたはM)、Ser(セリンまたはS)、Thr(トレオニンまたはT)、及びCys(システインまたはC)を含めた「脂肪族群」を挙げることができる。各群内で、下位群もまた識別され得る。例えば、荷電または極性アミノ酸の群は、Lys、Arg、及びHisを含む「正に荷電した下位群」、Glu及びAspを含む「負に荷電した下位群」、ならびにAsn及びGlnを含む「極性下位群」を含めた下位群に分割され得る。別の例では、該芳香族または環状群は、Pro、His、及びTrpを含む「窒素環下位群」、ならびにPhe及びTyrを含む「フェニル下位群」を含めた下位群に分割され得る。別のさらなる例では、該脂肪族群は、下位群、例えば、Val、Leu、Gly、及びAlaを含む「脂肪族非極性下位群」ならびにMet、Ser、Thr、及びCysを含む「脂肪族微極性下位群」に分割され得る。保存的変異の分類の例としては、上記下位群内のアミノ酸、例えば、限定されないが、正の荷電が維持され得るようにLysをArgで、またはその逆、負の荷電が維持され得るように、GluをAspで、またはその逆、遊離の-OHが維持され得るように、SerをThrで、またはその逆、及び遊離の-NHが維持され得るように、GlnをAsnで、またはその逆のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、疎水性アミノ酸は、天然に存在する疎水性アミノ酸と、例えば、活性部位で置き換わり、疎水性を保存する。
【0087】
2つ以上のポリペプチド配列との関連で「同一」または「同一性」パーセントという用語は、同じであるか、または特定のパーセンテージのアミノ酸残基を有する、例えば、比較ウィンドウ上で最大の一致が得られるように比較及び整列させた場合に特定の領域にわたって、または指定された領域にわたって、配列比較アルゴリズムを用いて、または手作業でのアラインメントと目視検査によって測定して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、もしくは少なくとも95%、またはそれ以上同一である、2つ以上の配列または部分列を指す。
【0088】
ポリペプチドの配列比較の場合、通常は1つのアミノ酸配列が参照配列の役割を果たし、それに対して候補配列が比較される。アラインメントは、当業者に利用可能な様々な方法、例えば、視覚によるアラインメントを用いて、または既知のアルゴリズムを用いた公開されているソフトウェアを用いて行い、最大のアラインメントを達成することができる。かかるプログラムとしては、BLASTプログラム、ALIGN、ALIGN-2(Genentech,South San Francisco,Calif.)、またはMegalign(DNASTAR)が挙げられる。最大のアラインメントを達成するためにアラインメントに使用されるパラメータは、当業者によって決定され得る。本出願の目的で、ポリペプチド配列の配列比較に関しては、2種のタンパク質配列をデフォルトのパラメータで整列させるためのBLASTPアルゴリズム標準タンパク質BLASTが使用される。
【0089】
ポリペプチド配列における所与のアミノ酸残基の特定との関連で使用される場合の「~に対応する」、「~に準拠して決められる」、または「~に準拠してナンバリングされる」という表現は、該所与のアミノ酸配列が最大に整列され、当該参照配列と比較される場合の特定の参照配列の残基の位置を指す。従って、例えば、修飾Fcポリペプチドにおけるアミノ酸残基は、該残基が配列番号130に対して最適に整列された際に配列番号130のアミノ酸と一致した場合に、配列番号130のアミノ酸「に対応する」。参照配列に整列されるポリペプチドは、該参照配列と同じ長さである必要はない。
【0090】
本明細書において交換可能に使用される、「対象」、「個体」、及び「患者」という用語は、哺乳類を指し、これに含まれるのは、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類(例えば、ラット、マウス、及びモルモット)、ウサギ、ウシ、ブタ、ウマ、及び他の哺乳類種であるが、これらに限定されない。1つの実施形態では、該患者はヒトである。
【0091】
「処置」、「処置すること」等の用語は、本明細書では、一般に所望の薬理作用及び/または生理作用を得ることを意味するために使用される。「処置すること」または「処置」は、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病もしくは本明細書に記載の別の神経変性疾患)の処置または改善における成功の任意の徴候を指す場合があり、これに含まれるのは、任意の客観的または主観的なパラメータ、例えば、軽減、緩和、患者生存率の改善、生存期間もしくは生存率の増加、症状の軽減もしくは患者が疾患をより許容できるようにすること、悪化もしくは低下速度の減速、または患者の心身の健康の改善である。症状の処置または改善は、客観的または主観的パラメータに基づくことができる。処置の効果は、その処置を受けていない個体もしくは個体のプールと、または、処置前もしくは処置中の異なる時点での同じ患者と比較することができる。
【0092】
「医薬的に許容される賦形剤」という用語は、ヒトまたは動物での使用に対して生物学的に、または薬理学的に適合する非活性薬剤成分、例えば、限定されないが、緩衝剤、担体、または保存料を指す。
【0093】
本明細書で使用される、薬剤(例えば、本明細書に記載のタンパク質のいずれか)の「治療量」または「治療有効量」とは、対象における疾患を処置する該薬剤の量である。
【0094】
「投与する」という用語は、所望の生物作用点に薬剤、化合物、または組成物を送達する方法を指す。これらの方法としては、局所送達、非経口送達、静脈内送達、皮内送達、筋肉内送達、髄腔内送達、結腸送達、直腸送達、または腹腔内送達が挙げられるがこれらに限定されない。1つの実施形態では、本明細書に記載のタンパク質は、静脈内投与される。
【0095】
III.抗HER2二重特異性タンパク質
1つの態様では、ヒトHER2のサブドメインII及びヒトHER2のサブドメインIVの両方に特異的に結合する能力を有する二重特異性タンパク質を提供する。いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質のFcポリペプチドの一方または両方は、修飾Fcポリペプチド(例えば、TfR結合を促進する及び/またはFcポリペプチドのヘテロ二量体化を向上するように修飾されたもの)である。
【0096】
Fab-Fcポリペプチド/scFv-Fcポリペプチド
いくつかの実施形態では、二重特異性タンパク質は、Fab及びscFvの一部分と融合しているFcポリペプチドを含む。かかる二重特異性タンパク質の概略図を図1A及び1Bに示す。いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)FabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)単鎖可変断片(scFv)とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために該(a)に記載のFd部分と対になる軽鎖ポリペプチド、
ここで、該Fabは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、かつ該scFvは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合する、または、該Fabは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、かつ該scFvは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合する。いくつかの実施形態では、該タンパク質のFabは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、該scFvは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合する。他の実施形態では、該タンパク質のFabは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、該scFvは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合する。
【0097】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従ってS239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従ってS239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0098】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。
【0099】
該Fabは、該第一のFcポリペプチドのN末端と融合しているFabのFd部分の軽鎖との対合から形成される。いくつかの実施形態では、ヒトHER2のサブドメインIIに特異的に結合するFabは、配列番号108の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するV領域を含む。いくつかの実施形態では、ヒトHER2のサブドメインIVに特異的に結合するFabは、配列番号109の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するV領域を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質の第二のFcポリペプチドは、N末端でscFv断片と融合している。いくつかの実施形態では、該第二のFcポリペプチドは、N末端で該scFv断片と第一のリンカーを介して融合している。いくつかの実施形態では、該第一のリンカーは、約1~約50アミノ酸、例えば、約1~約40、約1~約30、約1~約25、約1~約20、約1~約15、約1~約10、約2~約40、約2~約30、約2~約20、約2~約10、約5~約40、約5~約30、約5~約25、または約5~約20アミノ酸長を有する。いくつかの実施形態では、該第一のリンカーは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、または50アミノ酸長を有する。様々なリンカーが本明細書でさらに詳細に記載されている。いくつかの実施形態では、該第一のリンカーは、GGSGGGSGGGSGGGSGGGSG(配列番号116、(GGSG))、GGGGS(配列番号117、GS)、GGGGSGGGGS(配列番号118、(GS))、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号119、(GS))、GGGGSGGGGSGGGG(配列番号120、(GS)-G)、GGGGSGGGGSGG(配列番号121)、GGGGGSGGGGS(配列番号122)、及びGGGGGSGGGGGSGGGGS(配列番号123)のいずれか1つの配列を含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質のscFvは、第二のリンカーを介して接続されているV領域及びV領域を含む。いくつかの実施形態では、該scFvのV領域及びV領域の配向は、(N末端)-V領域-V領域-(C末端)であり、該scFvのC末端は、該FcポリペプチドのN末端に該第一のリンカーを介して結合される。他の実施形態では、該scFvのV領域及びV領域の配向は、(N末端)-V領域-V領域-(C末端)であり、該scFvのC末端は、該FcポリペプチドのN末端に該第一のリンカーを介して結合される。
【0102】
いくつかの実施形態では、該scFvのV領域及びV領域は、第二のリンカーを介して接続される。いくつかの実施形態では、該第二のリンカーは、約10~約25アミノ酸、例えば、約10~約20、約12~約25、約12~約20、約14~約25、または約14~約20アミノ酸長を有する。いくつかの実施形態では、該第二のリンカーは、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25アミノ酸長を有する。いくつかの実施形態では、該第二のリンカーは、柔軟性リンカーを含む。様々なリンカーが本明細書でさらに詳細に記載されている。いくつかの実施形態では、該第二のリンカーは、GGSGGGSGGGSGGGSGGGSG(配列番号116、(GGSG))、GGGGS(配列番号117、GS)、GGGGSGGGGS(配列番号118、(GS))、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号119、(GS))、GGGGSGGGGSGGGG(配列番号120、(GS)-G)、GGGGSGGGGSGG(配列番号121)、GGGGGSGGGGS(配列番号122)、及びGGGGGSGGGGGSGGGGS(配列番号123)のいずれか1つの配列を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、該scFvのV領域及びV領域は、両方ともCys置換を含む。いくつかの実施形態では、該V領域及び該V領域におけるCys置換は、ジスルフィド結合を形成して、該scFvの構造の安定化に役立ち得る。いくつかの実施形態では、該scFvは、Kabatの可変ドメインナンバリングに従って、V44及びV100位の各々でシステインを含む。いくつかの実施形態では、該scFvは、V44及びV100位のシステイン間にジスルフィド結合を含む。
【0104】
例えば、抗HER2DIIのV領域は、配列番号110の100位でGlnからCysへの置換を有し得る。特定の実施形態では、該Cys置換を含む抗HER2DIIのV領域は、配列番号114の配列を有し得る。いくつかの実施形態では、抗HER2DIVのV領域は、配列番号111の100位でGlnからCysへの置換を有し得る。特定の実施形態では、該Cys置換を含む抗HER2DIVのV領域は、配列番号115の配列を有し得る。
【0105】
例えば、抗HER2DIIのV領域は、配列番号108の44位でGlyからCysへの置換を有し得る。特定の実施形態では、該Cys置換を含む抗HER2DIIのV領域は、配列番号112の配列を有し得る。いくつかの実施形態では、抗HER2DIVのV領域は、配列番号109の44位でGlyからCysへの置換を有し得る。特定の実施形態では、該Cys置換を含む抗HER2DIVのV領域は、配列番号113の配列を有し得る。
【0106】
いくつかの実施形態では、「Fab-Fcポリペプチド/scFv-Fcポリペプチド」の構造を有する二重特異性タンパク質の(a)部分では、該第一のFcポリペプチドは、N末端で該FabのFd部分とヒンジ領域または部分的なヒンジ領域を介して融合している。いくつかの実施形態では、「Fab-Fcポリペプチド/scFv-Fcポリペプチド」の構造を有する二重特異性タンパク質の(b)部分では、該第二のFcポリペプチドは、N末端で該scFvとヒンジ領域または部分的なヒンジ領域を介して融合している。例示的なヒンジ領域の配列は、ヒトIgG1ヒンジ配列EPKSCDKTHTCPPCP(配列番号127)である。部分的なヒンジ領域とは、配列番号127の配列の一部分、例えば、DKTHTCPPCP(配列番号128)の配列を有する部分的なヒンジ領域を指す。
【0107】
さらなる実施形態では、「Fab-Fcポリペプチド/scFv-Fcポリペプチド」の構造を有する二重特異性タンパク質の(b)部分では、ヒンジ領域(例えば、配列番号127)または部分的なヒンジ領域(例えば、配列番号128)は、該第二のFcポリペプチドのN末端で融合している。ある特定の実施形態では、ヒンジ領域が該第二のFcポリペプチドのN末端で融合している場合、該ヒンジ領域は、配列番号127の配列に対して、5位でCysからSerへの変異を含み得る。例えば、CysからSerへの変異を有するヒンジ領域は、EPKSSDKTHTCPPCP(配列番号129)の配列を有し得る。
【0108】
「Fab-Fcポリペプチド/scFv-Fcポリペプチド」の構造を有する二重特異性タンパク質では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、トランスフェリン受容体に特異的に結合することができる(例えば、TfR結合Fcポリペプチド)。異なるFcポリペプチド及びその修飾を、本明細書でさらに詳細に記載する。いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び該第二のFcポリペプチドは各々、ヘテロ二量体化を促進する修飾を含み得る。例えば、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、T366Wの置換を含むことができ、該第二のFcポリペプチドは、T366S、L368A、及びY407Vの置換を含むことができる。別の例では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、T366S、L368A、及びY407Vの置換を含むことができ、該第二のFcポリペプチドは、T366Wの置換を含むことができる。さらに、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、TfR媒介エフェクター機能を低下させる、すなわち、TfRの結合によりエフェクター機能を低下させる修飾を含み得る。例えば、該TfR媒介エフェクター機能を低下させる修飾は、EUナンバリングに従って、(i)L234A及びL235Aの置換または(ii)L234A及びL235Aの置換ならびにP329GまたはP329Sの置換である。
【0109】
「Fab-Fcポリペプチド/scFv-Fcポリペプチド」の構造を有する二重特異性タンパク質の特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチド(または該第二のFcポリペプチド)は、EUナンバリングに従って、T366Wの置換、L234A及びL235Aの置換(任意に、P329GまたはP329Sの置換を含む)、ならびに任意に、S239D及び/またはI332Eの置換を含むTfR結合Fcポリペプチドであり、該第二のFcポリペプチド(または該第一のFcポリペプチド)は、EUナンバリングに従って、T366S、L368A、及びY407Vの置換ならびに任意に、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。例えば、該第一のFcポリペプチド(または該第二のFcポリペプチド)は、配列番号137及び186~196のいずれか1つの配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含むことができ、該第二のFcポリペプチド(または該第一のFcポリペプチド)は、配列番号133及び183~185のいずれか1つの配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含むことができる。
【0110】
ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドは、TfR結合Fcポリペプチドであり、かつEUナンバリングに従って、L234A及びL235Aの置換を含み(任意に、P329GまたはP329Sの置換を含み)、該第二のFcポリペプチドは、L234Aの置換もL325Aの置換も(または、該第一のFcポリペプチドに存在する場合は、P329Gの置換もP329Sの置換も)含まない。ある特定の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、L234Aの置換もL325Aの置換も(または、該第二のFcポリペプチドに存在する場合は、P329Gの置換もP329Sの置換も)含まず、該第二のFcポリペプチドは、TfR結合Fcポリペプチドであり、かつL234A及びL235Aの置換を含む(任意に、P329GまたはP329Sの置換を含む)。
【0111】
例示的な二重特異性「Fab-Fcポリペプチド/scFv-Fcポリペプチド」タンパク質
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIIに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)ヒトHER2のサブドメインIVに結合する単鎖可変断片(scFv)とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために該(a)に記載のFd部分と対になる軽鎖ポリペプチド。
【0112】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0113】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0114】
1つの例では、(a)は、配列番号1の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号159の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号164の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号173の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号164の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号174の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号166の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号173の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号165の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号173の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号165の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号174の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号167の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号173の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号164の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号175の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号164の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号176の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号166の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号175の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号165の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号175の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号165の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号176の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号167の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号175の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0115】
別の例では、(a)は、配列番号1の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号21または22の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号2の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号20の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号3の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号19の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号4または5の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号18の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0116】
さらに別の例では、(a)は、配列番号1の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号23の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。さらに別の例では、(a)は、配列番号5の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号24の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。これらの例の両方において、該scFv部分は、GlnからCysへの置換を有する抗HER2DIVのV領域(配列番号115)及びGlyからCysへの置換を有する抗HER2DIVのV領域(配列番号113)を含む。また、両構築物において、(b)のヒンジ領域は、5位でCysからSerへの変異を有する(EPKSSDKTHTCPPCP(配列番号129))。
【0117】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIVに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)ヒトHER2のサブドメインIIに結合する単鎖可変断片(scFv)とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために該(a)に記載のFd部分と対になる軽鎖ポリペプチド。
【0118】
1つの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0119】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0120】
1つの例では、(a)は、配列番号6の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号15、16、または17の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号7の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号14の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号8の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号13の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号9または10の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号11または12の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0121】
上記二重特異性タンパク質のいくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、234位及び235位にLeuを含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、234位及び235位にLeuを含む。ある特定の実施形態では、該タンパク質は、以下に記載のcis-LALAコンフィギュレーションを含む。
【0122】
上記二重特異性タンパク質のいくつかの実施形態では、該Fcポリペプチドの一方または両方は、そのC末端のリジン(例えば、EUナンバリングに従って、該Fcポリペプチドの447位のLys残基)が除去され得る。いくつかの実施形態では、該FcポリペプチドのC末端のリジンの除去により、該二重特異性タンパク質の安定性が改善され得る。
【0123】
mAb/HCのN末端またはC末端scFv
いくつかの実施形態では、二重特異性タンパク質は、ヒトHER2のサブドメインIIまたはIVに特異的に結合するFabと各N末端で融合しているFcポリペプチドを含み、一方または両方のFcポリペプチドは、ヒトHER2のサブドメインIIまたはIVに特異的に結合するscFvとC末端で融合している。いくつかの実施形態では、二重特異性タンパク質は、ヒトHER2のサブドメインIIまたはIVに特異的に結合するFabと各N末端で融合しているFcポリペプチドを含み、一方または両方のFabは、ヒトHER2のサブドメインIIまたはIVに特異的に結合するscFvとN末端で融合している。かかる二重特異性タンパク質の概略図を図2A~2Dに示す。いくつかの実施形態では、二重特異性タンパク質は以下を含む:
(a)FabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、scFvとC末端で融合しているか、または
該(a)及び/または(b)におけるFd部分は、scFvとN末端で融合しているか、または
該第一のFcポリペプチドもしくは該第二のFcポリペプチドは、scFvとC末端で融合しており、該(a)もしくは(b)におけるFd部分は、scFvとN末端で融合しており、
該Fabは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、かつ該scFvは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合する、または、該Fabは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、かつ該scFvは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合する。いくつかの実施形態では、該Fabは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、該scFvは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合する。他の実施形態では、該Fabは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、該scFvは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合する。
【0124】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0125】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、ヒトHER2のサブドメインIIに特異的に結合するFabは、配列番号108の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するV領域を含む。いくつかの実施形態では、ヒトHER2のサブドメインIVに特異的に結合するFabは、配列番号109の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するV領域を含む。
【0127】
ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、該scFvとC末端で融合している。特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、該scFvとC末端で融合している。特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び該第二のFcポリペプチドの各々は、該scFvとC末端で融合している。ある特定の実施形態では、該(a)及び/または(b)におけるFd部分は、該scFvとN末端で融合している。特定の実施形態では、該(a)または(b)におけるFd部分は、該scFvとN末端で融合している。特定の実施形態では、該(a)及び(b)におけるFd部分の各々は、該scFvとN末端で融合している。さらなる実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、該scFvとC末端で融合しており、該(a)または(b)におけるFd部分は、該scFvとN末端で融合している。
【0128】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び該第二のFcポリペプチドが該scFvと各々C末端で融合している場合、該2つのscFvは、同一の配列を含み得る。いくつかの実施形態では、該(a)におけるFd部分及び該(b)におけるFd部分が該scFvと各々N末端で融合している場合、該2つのscFvは、同一の配列を含み得る。いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドが、該scFvとC末端で融合しており、該(a)または(b)におけるFd部分が、該scFvとN末端で融合している場合、該2つのscFvは、同一の配列を含み得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、C末端で該scFvと第一のリンカーを介して融合している。他の実施形態では、該(a)におけるFd部分及び/または該(b)におけるFd部分は、N末端で該scFvと第一のリンカーを介して融合している。いくつかの実施形態では、該第一のリンカーは、約1~約50アミノ酸、例えば、約1~約40、約1~約30、約1~約25、約1~約20、約1~約15、約1~約10、約2~約40、約2~約30、約2~約20、約2~約10、約5~約40、約5~約30、約5~約25、または約5~約20アミノ酸長を有する。いくつかの実施形態では、該第一のリンカーは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、または50アミノ酸長を有する。様々なリンカーが本明細書でさらに詳細に記載されている。ある特定の実施形態では、該第一のリンカーは、GGSGGGSGGGSGGGSGGGSG(配列番号116、(GGSG))、GGGGS(配列番号117、GS)、GGGGSGGGGS(配列番号118、(GS))、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号119、(GS))、GGGGSGGGGSGGGG(配列番号120、(GS)-G)、GGGGSGGGGSGG(配列番号121)、GGGGGSGGGGS(配列番号122)、及びGGGGGSGGGGGSGGGGS(配列番号123)のいずれか1つの配列を含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質のscFvは、第二のリンカーを介して接続されているV領域及びV領域を含む。いくつかの実施形態では、該scFvのV領域及びV領域の配向は、(N末端)-V領域-V領域-(C末端)であり、該scFvのC末端は、該(a)または(b)におけるFd部分のN末端に該第一のリンカーを介して結合される。他の実施形態では、該scFvのV領域及びV領域の配向は、(N末端)-V領域-V領域-(C末端)であり、該scFvのC末端は、該(a)または(b)におけるFd部分のN末端に該第一のリンカーを介して結合される。いくつかの実施形態では、該scFvのV領域及びV領域の配向は、(N末端)-V領域-V領域-(C末端)であり、該scFvのN末端は、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドのC末端に該第一のリンカーを介して結合される。他の実施形態では、該scFvのV領域及びV領域の配向は、(N末端)-V領域-V領域-(C末端)であり、該scFvのN末端は、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドのC末端に該第一のリンカーを介して結合される。
【0131】
いくつかの実施形態では、該scFvのV領域及びV領域を接続する第二のリンカーは、約10~約25アミノ酸、例えば、約10~約20、約12~約25、約12~約20、約14~約25、または約14~約20アミノ酸長を有する。いくつかの実施形態では、該第二のリンカーは、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25アミノ酸長を有する。いくつかの実施形態では、該第二のリンカーは、柔軟性リンカーを含む。様々なリンカーが本明細書でさらに詳細に記載されている。いくつかの実施形態では、該第二のリンカーは、GGSGGGSGGGSGGGSGGGSG(配列番号116、(GGSG))、GGGGS(配列番号117、GS)、GGGGSGGGGS(配列番号118、(GS))、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号119、(GS))、GGGGSGGGGSGGGG(配列番号120、(GS)-G)、GGGGSGGGGSGG(配列番号121)、GGGGGSGGGGS(配列番号122)、及びGGGGGSGGGGGSGGGGS(配列番号123)のいずれか1つの配列を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、該scFvのV領域及びV領域は、両方ともCys置換を含む。いくつかの実施形態では、該V領域及び該V領域におけるCys置換は、ジスルフィド結合を形成して、該scFvの構造の安定化に役立ち得る。いくつかの実施形態では、該scFvは、Kabatの可変ドメインナンバリングに従って、V44及びV100位の各々でシステインを含む。いくつかの実施形態では、該scFvは、V44及びV100位のシステイン間にジスルフィド結合を含む。
【0133】
例えば、抗HER2DIIのV領域は、配列番号110の100位でGlnからCysへの置換を有し得る。特定の実施形態では、該Cys置換を含む抗HER2DIIのV領域は、配列番号114の配列を有し得る。いくつかの実施形態では、抗HER2DIVのV領域は、配列番号111の100位でGlnからCysへの置換を有し得る。特定の実施形態では、該Cys置換を含む抗HER2DIVのV領域は、配列番号115の配列を有し得る。
【0134】
例えば、抗HER2DIIのV領域は、配列番号108の44位でGlyからCysへの置換を有し得る。特定の実施形態では、該Cys置換を含む抗HER2DIIのV領域は、配列番号112の配列を有し得る。いくつかの実施形態では、抗HER2DIVのV領域は、配列番号109の44位でGlyからCysへの置換を有し得る。特定の実施形態では、該Cys置換を含む抗HER2DIVのV領域は、配列番号113の配列を有し得る。
【0135】
いくつかの実施形態では、「mAb/HCのN末端またはC末端scFv」の構造を有する二重特異性タンパク質の(a)部分では、該第一のFcポリペプチドは、N末端で該FabのFd部分とヒンジ領域または部分的なヒンジ領域を介して融合している。いくつかの実施形態では、「mAb/HCのN末端またはC末端scFv」の構造を有する二重特異性タンパク質の(b)部分では、該第二のFcポリペプチドは、N末端で該FabのFd部分とヒンジ領域または部分的なヒンジ領域を介して融合している。例示的なヒンジ領域の配列は、ヒトIgG1ヒンジ配列EPKSCDKTHTCPPCP(配列番号127)である。部分的なヒンジ領域とは、配列番号127の配列の一部分、例えば、DKTHTCPPCP(配列番号128)の配列を有する部分的なヒンジ領域を指す。
【0136】
「mAb/HCのN末端またはC末端scFv」の構造を有する二重特異性タンパク質では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、トランスフェリン受容体に特異的に結合することができる(例えば、TfR結合Fcポリペプチド)。異なるFcポリペプチド及びその修飾を、本明細書でさらに詳細に記載する。いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び該第二のFcポリペプチドは各々、ヘテロ二量体化を促進する修飾を含み得る。例えば、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、T366Wの置換を含むことができ、該第二のFcポリペプチドは、T366S、L368A、及びY407Vの置換を含むことができる。別の例では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、T366S、L368A、及びY407Vの置換を含むことができ、該第二のFcポリペプチドは、T366Wの置換を含むことができる。さらに、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、TfR媒介エフェクター機能を低下させる、すなわち、TfRの結合によりエフェクター機能を低下させる修飾を含み得る。例えば、該TfR媒介エフェクター機能を低下させる修飾は、EUナンバリングに従って、(i)L234A及びL235Aの置換または(ii)L234A及びL235Aの置換ならびにP329GまたはP329Sの置換である。
【0137】
「mAb/HCのN末端またはC末端scFv」の構造を有する二重特異性タンパク質の特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチド(または該第二のFcポリペプチド)は、EUナンバリングに従って、T366Wの置換、L234A及びL235Aの置換(任意に、P329GまたはP329Sの置換を含む)、ならびに任意に、S239D及び/またはI332Eの置換を含むTfR結合Fcポリペプチドであり、該第二のFcポリペプチド(または該第一のFcポリペプチド)は、EUナンバリングに従って、T366S、L368A、及びY407Vの置換ならびに任意に、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。例えば、該第一のFcポリペプチド(または該第二のFcポリペプチド)は、配列番号137及び186~196のいずれか1つの配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含むことができ、該第二のFcポリペプチド(または該第一のFcポリペプチド)は、配列番号133及び183~185のいずれか1つの配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含むことができる。
【0138】
ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドは、TfR結合Fcポリペプチドであり、かつEUナンバリングに従って、L234A及びL235Aの置換を含み(任意に、P329GまたはP329Sの置換を含み)、該第二のFcポリペプチドは、L234Aの置換もL325Aの置換も(または、該第一のFcポリペプチドに存在する場合は、P329Gの置換もP329Sの置換も)含まない。ある特定の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、L234Aの置換もL325Aの置換も(または、該第二のFcポリペプチドに存在する場合は、P329Gの置換もP329Sの置換も)含まず、該第二のFcポリペプチドは、TfR結合Fcポリペプチドであり、かつL234A及びL235Aの置換を含む(任意に、P329GまたはP329Sの置換を含む)。
【0139】
例示的な二重特異性「mAb/HCのN末端またはC末端scFv」タンパク質
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIIに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合するscFvとC末端で融合している。
【0140】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0141】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0142】
該二重特異性タンパク質の1つの例では、(a)は、配列番号27または28の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号4または5の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号29の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号3の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号30の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号2の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。さらに別の例では、(a)は、配列番号31または32の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号1の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIVに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合するscFvとC末端で融合している。
【0144】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0145】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0146】
該二重特異性タンパク質の1つの例では、(a)は、配列番号33または34の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号9または10の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号35の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号8の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号36の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号7の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。さらに別の例では、(a)は、配列番号37、38、または39の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号6の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIIに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該第一のFcポリペプチド及び該第二のFcポリペプチドの各々は、ヒトHER2のサブドメインIVに結合するscFvとC末端で融合している。
【0148】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0149】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0150】
該二重特異性タンパク質の1つの例では、(a)は、配列番号27または28の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号31または32の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号29の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号30の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIVに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該第一のFcポリペプチド及び該第二のFcポリペプチドの各々は、ヒトHER2のサブドメインIIに結合するscFvとC末端で融合している。
【0152】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0153】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0154】
該二重特異性タンパク質の1つの例では、(a)は、配列番号33または34の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号37、38、または39の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号35の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号36の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIIに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該(a)または(b)におけるFd部分は、ヒトHER2のサブドメインIVに結合するscFvとN末端で融合している。
【0156】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0157】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0158】
該二重特異性タンパク質の1つの例では、(a)は、配列番号40の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号4または5の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号41の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号3の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号42の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号2の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。さらに別の例では、(a)は、配列番号43または44の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号1の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIVに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該(a)または(b)におけるFd部分は、ヒトHER2のサブドメインIIに結合するscFvとN末端で融合している。
【0160】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0161】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0162】
該二重特異性タンパク質の1つの例では、(a)は、配列番号6の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号160の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号6の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号161の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号6の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号162の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号169の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号177の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号169の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号178の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号171の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号177の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号170の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号177の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号170の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号178の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号172の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号177の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号169の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号179の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号169の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号180の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号171の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号179の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号170の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号179の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号170の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号180の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号172の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号179の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号169の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号181の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号169の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号182の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号171の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号181の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を
含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号170の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号181の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号170の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号182の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号172の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号181の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0163】
該二重特異性タンパク質の別の例では、(a)は、配列番号45または46の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号9または10の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号47の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号8の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号48の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号7の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。さらに別の例では、(a)は、配列番号49または50の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号6の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0164】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIIに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該(a)及び(b)におけるFd部分の各々は、ヒトHER2のサブドメインIVに結合するscFvとN末端で融合している。
【0165】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0166】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0167】
該二重特異性タンパク質の1つの例では、(a)は、配列番号40の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号43または44の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号41の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号42の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIVに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該(a)及び(b)におけるFd部分の各々は、ヒトHER2のサブドメインIIに結合するscFvとN末端で融合している。
【0169】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0170】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0171】
該二重特異性タンパク質の1つの例では、(a)は、配列番号45の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号49または50の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号47の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号48の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIIに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合するscFvとC末端で融合しており、該(a)または(b)におけるFd部分は、該scFvとN末端で融合している。
【0173】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0174】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0175】
該二重特異性タンパク質の1つの例では、(a)は、配列番号40の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号31または32の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号41の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号30の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号42の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号29の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号43または44の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号27または28の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0176】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIVに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合するscFvとC末端で融合しており、該(a)または(b)におけるFd部分は、該scFvとN末端で融合している。
【0177】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0178】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0179】
1つの例では、(a)は、配列番号45の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号37、38、または39の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号47の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号36の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号48の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号35の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。さらに別の例では、(a)は、配列番号49または50の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号33または34の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0180】
上記二重特異性タンパク質のいくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、234位及び235位にLeuを含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、234位及び235位にLeuを含む。ある特定の実施形態では、該タンパク質は、以下に記載のcis-LALAコンフィギュレーションを含む。
【0181】
上記二重特異性タンパク質のいくつかの実施形態では、該Fcポリペプチドの一方または両方は、そのC末端のリジン(例えば、EUナンバリングに従って、該Fcポリペプチドの447位のLys残基)が除去され得る。いくつかの実施形態では、該FcポリペプチドのC末端のリジンの除去により、該二重特異性タンパク質の安定性が改善され得る。
【0182】
mAb/LCのN末端またはC末端scFv
いくつかの実施形態では、二重特異性タンパク質は、ヒトHER2のサブドメインIIまたはIVに特異的に結合するscFvとN末端及び/またはC末端で融合している軽鎖を含む。かかる二重特異性タンパク質の概略図を図3A~3Dに示す。いくつかの実施形態では、二重特異性タンパク質は以下を含む:
(a)FabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該軽鎖ポリペプチドの一方もしくは両方は、scFvとN末端で融合しているか、または
該軽鎖ポリペプチドの一方もしくは両方は、scFvとC末端で融合しているか、または
第一の軽鎖ポリペプチドは、scFvとN末端で融合しており、第二の軽鎖ポリペプチドは、scFvとC末端で融合しており、
該Fabは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、かつ該scFvは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合する、または、該Fabは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、かつ該scFvは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合する。
【0183】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0184】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、ヒトHER2のサブドメインIIに特異的に結合するFabは、配列番号108の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するV領域を含む。いくつかの実施形態では、ヒトHER2のサブドメインIVに特異的に結合するFabは、配列番号109の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するV領域を含む。
【0186】
ある特定の実施形態では、該軽鎖ポリペプチドの一方または両方は、該scFvとN末端で融合している。特定の実施形態では、該軽鎖ポリペプチドの一方は、該scFvとN末端で融合している。特定の実施形態では、該2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、該scFvとN末端で融合している。ある特定の実施形態では、該軽鎖ポリペプチドの一方または両方は、該scFvとC末端で融合している。特定の実施形態では、該軽鎖ポリペプチドの一方は、該scFvとC末端で融合している。特定の実施形態では、該2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、該scFvとC末端で融合している。さらなる実施形態では、第一の軽鎖ポリペプチドは、該scFvとN末端で融合しており、第二の軽鎖ポリペプチドは、該scFvとC末端で融合している。
【0187】
いくつかの実施形態では、軽鎖ポリペプチドの両方が各々、該scFvとC末端で融合している場合、該2つのscFvは、同一の配列を含み得る。いくつかの実施形態では、軽鎖ポリペプチドの両方が各々、該scFvとN末端で融合している場合、該2つのscFvは、同一の配列を含み得る。
【0188】
いくつかの実施形態では、該軽鎖ポリペプチドの一方または両方は、該scFvと第一のリンカーを介して融合している。いくつかの実施形態では、該第一のリンカーは、約1~約50アミノ酸、例えば、約1~約40、約1~約30、約1~約25、約1~約20、約1~約15、約1~約10、約2~約40、約2~約30、約2~約20、約2~約10、約5~約40、約5~約30、約5~約25、または約5~約20アミノ酸長を有する。いくつかの実施形態では、該第一のリンカーは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、または50アミノ酸長を有する。様々なリンカーが本明細書でさらに詳細に記載されている。ある特定の実施形態では、該第一のリンカーは、GGSGGGSGGGSGGGSGGGSG(配列番号116、(GGSG))、GGGGS(配列番号117、GS)、GGGGSGGGGS(配列番号118、(GS))、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号119、(GS))、GGGGSGGGGSGGGG(配列番号120、(GS)-G)、GGGGSGGGGSGG(配列番号121)、GGGGGSGGGGS(配列番号122)、及びGGGGGSGGGGGSGGGGS(配列番号123)のいずれか1つの配列を含む。
【0189】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質のscFvは、第二のリンカーを介して接続されているV領域及びV領域を含む。いくつかの実施形態では、該scFvのV領域及びV領域の配向は、(N末端)-V領域-V領域-(C末端)であり、該scFvのC末端は、該軽鎖ポリペプチドのN末端に該第一のリンカーを介して結合される。他の実施形態では、該scFvのV領域及びV領域の配向は、(N末端)-V領域-V領域-(C末端)であり、該scFvのC末端は、該軽鎖ポリペプチドのN末端に該第一のリンカーを介して結合される。いくつかの実施形態では、該scFvのV領域及びV領域の配向は、(N末端)-V領域-V領域-(C末端)であり、該scFvのN末端は、該軽鎖ポリペプチドのC末端に該第一のリンカーを介して結合される。他の実施形態では、該scFvのV領域及びV領域の配向は、(N末端)-V領域-V領域-(C末端)であり、該scFvのN末端は、該軽鎖ポリペプチドのC末端に該第一のリンカーを介して結合される。
【0190】
いくつかの実施形態では、該scFvのV領域及びV領域を接続する第二のリンカーは、約10~約25アミノ酸、例えば、約10~約20、約12~約25、約12~約20、約14~約25、または約14~約20アミノ酸長を有する。いくつかの実施形態では、該第二のリンカーは、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25アミノ酸長を有する。いくつかの実施形態では、該第二のリンカーは、柔軟性リンカーを含む。様々なリンカーが本明細書でさらに詳細に記載されている。いくつかの実施形態では、該第二のリンカーは、GGSGGGSGGGSGGGSGGGSG(配列番号116、(GGSG))、GGGGS(配列番号117、GS)、GGGGSGGGGS(配列番号118、(GS))、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号119、(GS))、GGGGSGGGGSGGGG(配列番号120、(GS)-G)、GGGGSGGGGSGG(配列番号121)、GGGGGSGGGGS(配列番号122)、及びGGGGGSGGGGGSGGGGS(配列番号123)のいずれか1つの配列を含む。
【0191】
いくつかの実施形態では、該scFvのV領域及びV領域は、両方ともCys置換を含む。いくつかの実施形態では、該V領域及び該V領域におけるCys置換は、ジスルフィド結合を形成して、該scFvの構造の安定化に役立ち得る。いくつかの実施形態では、該scFvは、Kabatの可変ドメインナンバリングに従って、V44及びV100位の各々でシステインを含む。いくつかの実施形態では、該scFvは、V44及びV100位のシステイン間にジスルフィド結合を含む。
【0192】
例えば、抗HER2DIIのV領域は、配列番号110の100位でGlnからCysへの置換を有し得る。特定の実施形態では、該Cys置換を含む抗HER2DIIのV領域は、配列番号114の配列を有し得る。いくつかの実施形態では、抗HER2DIVのV領域は、配列番号111の100位でGlnからCysへの置換を有し得る。特定の実施形態では、該Cys置換を含む抗HER2DIVのV領域は、配列番号115の配列を有し得る。
【0193】
例えば、抗HER2DIIのV領域は、配列番号108の44位でGlyからCysへの置換を有し得る。特定の実施形態では、該Cys置換を含む抗HER2DIIのV領域は、配列番号112の配列を有し得る。いくつかの実施形態では、抗HER2DIVのV領域は、配列番号109の44位でGlyからCysへの置換を有し得る。特定の実施形態では、該Cys置換を含む抗HER2DIVのV領域は、配列番号113の配列を有し得る。
【0194】
いくつかの実施形態では、「mAb/LCのN末端またはC末端scFv」の構造を有する二重特異性タンパク質の(a)部分では、該第一のFcポリペプチドは、N末端で該FabのFd部分とヒンジ領域または部分的なヒンジ領域を介して融合している。いくつかの実施形態では、「mAb/LCのN末端またはC末端scFv」の構造を有する二重特異性タンパク質の(b)部分では、該第二のFcポリペプチドは、N末端で該FabのFd部分とヒンジ領域または部分的なヒンジ領域を介して融合している。例示的なヒンジ領域の配列は、ヒトIgG1ヒンジ配列EPKSCDKTHTCPPCP(配列番号127)である。部分的なヒンジ領域とは、配列番号127の配列の一部分、例えば、DKTHTCPPCP(配列番号128)の配列を有する部分的なヒンジ領域を指す。
【0195】
「mAb/LCのN末端またはC末端scFv」の構造を有する二重特異性タンパク質では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、トランスフェリン受容体に特異的に結合することができる(例えば、TfR結合Fcポリペプチド)。異なるFcポリペプチド及びその修飾を、本明細書でさらに詳細に記載する。いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び該第二のFcポリペプチドは各々、ヘテロ二量体化を促進する修飾を含み得る。例えば、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、T366Wの置換を含むことができ、該第二のFcポリペプチドは、T366S、L368A、及びY407Vの置換を含むことができる。別の例では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、T366S、L368A、及びY407Vの置換を含むことができ、該第二のFcポリペプチドは、T366Wの置換を含むことができる。さらに、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、TfR媒介エフェクター機能を低下させる、すなわち、TfRの結合によりエフェクター機能を低下させる修飾を含み得る。例えば、該TfR媒介エフェクター機能を低下させる修飾は、EUナンバリングに従って、(i)L234A及びL235Aの置換または(ii)L234A及びL235Aの置換ならびにP329GまたはP329Sの置換である。
【0196】
「mAb/HCのN末端またはC末端scFv」の構造を有する二重特異性タンパク質の特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチド(または該第二のFcポリペプチド)は、EUナンバリングに従って、T366Wの置換、L234A及びL235Aの置換(任意に、P329GまたはP329Sの置換を含む)、ならびに任意に、S239D及び/またはI332Eの置換を含むTfR結合Fcポリペプチドであり、該第二のFcポリペプチド(または該第一のFcポリペプチド)は、EUナンバリングに従って、T366S、L368A、及びY407Vの置換ならびに任意に、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。例えば、該第一のFcポリペプチド(または該第二のFcポリペプチド)は、配列番号137及び186~196のいずれか1つの配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含むことができ、該第二のFcポリペプチド(または該第一のFcポリペプチド)は、配列番号133及び183~185のいずれか1つの配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含むことができる。
【0197】
ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドは、TfR結合Fcポリペプチドであり、かつEUナンバリングに従って、L234A及びL235Aの置換を含み(任意に、P329GまたはP329Sの置換を含み)、該第二のFcポリペプチドは、L234Aの置換もL325Aの置換も(または、該第一のFcポリペプチドに存在する場合は、P329Gの置換もP329Sの置換も)含まない。ある特定の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、L234Aの置換もL325Aの置換も(または、該第二のFcポリペプチドに存在する場合は、P329Gの置換もP329Sの置換も)含まず、該第二のFcポリペプチドは、TfR結合Fcポリペプチドであり、かつL234A及びL235Aの置換を含む(任意に、P329GまたはP329Sの置換を含む)。
【0198】
例示的な二重特異性「mAb/LCのN末端またはC末端scFv」タンパク質
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIIに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該軽鎖ポリペプチドの一方は、ヒトHER2のサブドメインIVに結合するscFvとC末端で融合している。
【0199】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0200】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0201】
該二重特異性タンパク質の1つの例では、(a)は、配列番号1の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号4または5の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第一の軽鎖ポリペプチドは、該scFvとC末端で融合しており、配列番号52の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第二の軽鎖ポリペプチドは、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号2の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号3の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第一の軽鎖ポリペプチドは、該scFvとC末端で融合しており、配列番号52の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第二の軽鎖ポリペプチドは、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0202】
いくつかの実施形態では、二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIVに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該軽鎖ポリペプチドの一方は、ヒトHER2のサブドメインIIに結合するscFvとC末端で融合している。
【0203】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0204】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0205】
該二重特異性タンパク質の1つの例では、(a)は、配列番号6の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号9または10の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第一の軽鎖ポリペプチドは、該scFvとC末端で融合しており、配列番号53または54の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第二の軽鎖ポリペプチドは、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含む。さらに別の例では、(a)は、配列番号7の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号8の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第一の軽鎖ポリペプチドは、該scFvとC末端で融合しており、配列番号53または54の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第二の軽鎖ポリペプチドは、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0206】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIIに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、ヒトHER2のサブドメインIVに結合するscFvとC末端で融合している。
【0207】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0208】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0209】
1つの例では、(a)は、配列番号1の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号4または5の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、該2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、該scFvとC末端で融合しており、配列番号52の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号2の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号3の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、該2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、該scFvとC末端で融合しており、配列番号52の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0210】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
いくつかの実施形態では、二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIVに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、ヒトHER2のサブドメインIIに結合するscFvとC末端で融合している。
【0211】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0212】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0213】
1つの例では、(a)は、配列番号6の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号9または10の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、該2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、該scFvとC末端で融合しており、配列番号53または54の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。さらに別の例では、(a)は、配列番号7の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号8の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、該2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、該scFvとC末端で融合しており、配列番号53または54の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0214】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIIに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該軽鎖ポリペプチドの一方は、ヒトHER2のサブドメインIVに結合するscFvとN末端で融合している。
【0215】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0216】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0217】
該二重特異性タンパク質の1つの例では、(a)は、配列番号1の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号4または5の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第一の軽鎖ポリペプチドは、該scFvとN末端で融合しており、配列番号55の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第二の軽鎖ポリペプチドは、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号2の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号3の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第一の軽鎖ポリペプチドは、該scFvとN末端で融合しており、配列番号55の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第二の軽鎖ポリペプチドは、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0218】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIVに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該軽鎖ポリペプチドの一方は、ヒトHER2のサブドメインIIに結合するscFvとN末端で融合している。
【0219】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0220】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0221】
1つの例では、(a)は、配列番号6の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号9または10の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第一の軽鎖ポリペプチドは、該scFvとN末端で融合しており、配列番号56または57の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第二の軽鎖ポリペプチドは、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号7の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号8の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第一の軽鎖ポリペプチドは、該scFvとN末端で融合しており、配列番号56または57の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第二の軽鎖ポリペプチドは、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIIに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、ヒトHER2のサブドメインIVに結合するscFvとN末端で融合している。
【0223】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0224】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0225】
該二重特異性タンパク質の1つの例では、(a)は、配列番号1の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号4または5の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、該2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、該scFvとC末端で融合しており、配列番号55の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号2の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号3の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、該2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、該scFvとC末端で融合しており、配列番号55の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIVに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、ヒトHER2のサブドメインIIに結合するscFvとN末端で融合している。
【0227】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0228】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0229】
該二重特異性タンパク質の1つの例では、(a)は、配列番号6の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号9または10の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、該2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、該scFvとC末端で融合しており、配列番号56または57の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号7の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号8の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、該2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、該scFvとC末端で融合しており、配列番号56または57の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0230】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIIに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、第一の軽鎖ポリペプチドは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合するscFvとN末端で融合しており、第二の軽鎖ポリペプチドは、該scFvとC末端で融合している。
【0231】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0232】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0233】
該二重特異性タンパク質の1つの例では、(a)は、配列番号1の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号4または5の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第一の軽鎖ポリペプチドは、該scFvとN末端で融合しており、配列番号55の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第二の軽鎖ポリペプチドは、該scFvとC末端で融合しており、配列番号52の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号2の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号3の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第一の軽鎖ポリペプチドは、該scFvとN末端で融合しており、配列番号55の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第二の軽鎖ポリペプチドは、該scFvとC末端で融合しており、配列番号52の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0234】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIVに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、第一の軽鎖ポリペプチドは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合するscFvとN末端で融合しており、第二の軽鎖ポリペプチドは、該scFvとC末端で融合している。
【0235】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0236】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0237】
該二重特異性タンパク質の1つの例では、(a)は、配列番号6の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号9または10の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第一の軽鎖ポリペプチドは、該scFvとN末端で融合しており、配列番号56または57の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含み、第二の軽鎖ポリペプチドは、該scFvとC末端で融合しており、配列番号53または54の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。さらに別の例では、(a)は、配列番号7の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号8の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第一の軽鎖ポリペプチドは、該scFvとN末端で融合しており、配列番号56または57の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%)の同一性を有する配列を含み、第二の軽鎖ポリペプチドは、該scFvとC末端で融合しており、配列番号53または54の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0238】
上記二重特異性タンパク質のいくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、234位及び235位にLeuを含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、234位及び235位にLeuを含む。ある特定の実施形態では、該タンパク質は、以下に記載のcis-LALAコンフィギュレーションを含む。
【0239】
上記二重特異性タンパク質のいくつかの実施形態では、該Fcポリペプチドの一方または両方は、そのC末端のリジン(例えば、EUナンバリングに従って、該Fcポリペプチドの447位のLys残基)が除去され得る。いくつかの実施形態では、該FcポリペプチドのC末端のリジンの除去により、該二重特異性タンパク質の安定性が改善され得る。
【0240】
mAb/HC及びLCのN末端V
いくつかの実施形態では、二重特異性タンパク質は、2つの重鎖の各々のN末端で融合したV領域(またはV領域)及び2つの軽鎖の各々のN末端で融合したV領域(またはV領域)を含む。かかる二重特異性タンパク質の概略図を図4に示す。いくつかの実施形態では、二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)FabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該(a)及び(b)におけるFd部分の各々は、N末端でFv断片のV領域またはV領域と融合しており、
該2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、N末端で該Fv断片のV領域またはV領域の他方と融合しており、
該V領域及び該V領域は、一緒になって該Fv断片を形成し、
該Fabは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、かつ該Fv断片は、ヒトHER2のサブドメインIVに結合する、または、該Fabは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、かつ該Fv断片は、ヒトHER2のサブドメインIIに結合する。
【0241】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0242】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。
【0243】
該二重特異性タンパク質のいくつかの実施形態では、該(a)及び(b)におけるFd部分の各々は、N末端でFv断片のV領域と融合しており、該2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、N末端で該Fv断片のV領域と融合している。他の実施形態では、該(a)及び(b)におけるFd部分の各々は、N末端でFv断片のV領域と融合しており、該2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、N末端で該Fv断片のV領域と融合している。
【0244】
いくつかの実施形態では、ヒトHER2のサブドメインIIに特異的に結合するFabは、配列番号108の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するV領域を含む。いくつかの実施形態では、ヒトHER2のサブドメインIVに特異的に結合するFabは、配列番号109の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するV領域を含む。
【0245】
いくつかの実施形態では、第一のリンカーは、V領域またはV領域を、該(a)及び(b)におけるFd部分の各々のN末端に接続する。いくつかの実施形態では、第二のリンカーは、V領域またはV領域を、該2つの軽鎖ポリペプチドの各々のN末端に接続する。いくつかの実施形態では、該第一のリンカーまたは該第二のリンカーは、約1~約50アミノ酸、例えば、約1~約40、約1~約30、約1~約25、約1~約20、約1~約15、約1~約10、約2~約40、約2~約30、約2~約20、約2~約10、約5~約40、約5~約30、約5~約25、または約5~約20アミノ酸長を有する。いくつかの実施形態では、該第一のリンカーは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、または50アミノ酸長を有する。様々なリンカーが本明細書でさらに詳細に記載されている。ある特定の実施形態では、該第一のリンカーは、ASTKGPSVF(配列番号125)の配列を含む。ある特定の実施形態では、該第二のリンカーは、RTVAAPSVFI(配列番号126)の配列を含む。
【0246】
いくつかの実施形態では、「mAb/HC及びLCのN末端V」の構造を有する二重特異性タンパク質の(a)部分では、該第一のFcポリペプチドは、N末端で該FabのFd部分とヒンジ領域または部分的なヒンジ領域を介して融合している。いくつかの実施形態では、「mAb/HC及びLCのN末端V」の構造を有する二重特異性タンパク質の(b)部分では、該第二のFcポリペプチドは、N末端で該FabのFd部分とヒンジ領域または部分的なヒンジ領域を介して融合している。例示的なヒンジ領域の配列は、ヒトIgG1ヒンジ配列EPKSCDKTHTCPPCP(配列番号127)である。部分的なヒンジ領域とは、配列番号127の配列の一部分、例えば、DKTHTCPPCP(配列番号128)の配列を有する部分的なヒンジ領域を指す。
【0247】
「mAb/HC及びLCのN末端V」の構造を有する二重特異性タンパク質では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、トランスフェリン受容体に特異的に結合することができる(例えば、TfR結合Fcポリペプチド)。異なるFcポリペプチド及びその修飾を、本明細書でさらに詳細に記載する。いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び該第二のFcポリペプチドは各々、ヘテロ二量体化を促進する修飾を含み得る。例えば、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、T366Wの置換を含むことができ、該第二のFcポリペプチドは、T366S、L368A、及びY407Vの置換を含むことができる。別の例では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、T366S、L368A、及びY407Vの置換を含むことができ、該第二のFcポリペプチドは、T366Wの置換を含むことができる。さらに、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、TfR媒介エフェクター機能を低下させる、すなわち、TfRの結合によりエフェクター機能を低下させる修飾を含み得る。例えば、該TfR媒介エフェクター機能を低下させる修飾は、EUナンバリングに従って、(i)L234A及びL235Aの置換または(ii)L234A及びL235Aの置換ならびにP329GまたはP329Sの置換である。
【0248】
「mAb/HC及びLCのN末端V」の構造を有する二重特異性タンパク質の特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチド(または該第二のFcポリペプチド)は、EUナンバリングに従って、T366Wの置換、L234A及びL235Aの置換(任意に、P329GまたはP329Sの置換を含む)、ならびに任意に、S239D及び/またはI332Eの置換を含むTfR結合Fcポリペプチドであり、該第二のFcポリペプチド(または該第一のFcポリペプチド)は、EUナンバリングに従って、T366S、L368A、及びY407Vの置換ならびに任意に、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。例えば、該第一のFcポリペプチド(または該第二のFcポリペプチド)は、配列番号137及び186~196のいずれか1つの配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含むことができ、該第二のFcポリペプチド(または該第一のFcポリペプチド)は、配列番号133及び183~185のいずれか1つの配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含むことができる。
【0249】
ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドは、TfR結合Fcポリペプチドであり、かつEUナンバリングに従って、L234A及びL235Aの置換を含み(任意に、P329GまたはP329Sの置換を含み)、該第二のFcポリペプチドは、L234Aの置換もL325Aの置換も(または、該第一のFcポリペプチドに存在する場合は、P329Gの置換もP329Sの置換も)含まない。ある特定の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、L234Aの置換もL325Aの置換も(または、該第二のFcポリペプチドに存在する場合は、P329Gの置換もP329Sの置換も)含まず、該第二のFcポリペプチドは、TfR結合Fcポリペプチドであり、かつL234A及びL235Aの置換を含む(任意に、P329GまたはP329Sの置換を含む)。
【0250】
例示的な二重特異性「mAb/HC及びLCのN末端V」タンパク質
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIIに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該(a)及び(b)におけるFd部分の各々は、ヒトHER2のサブドメインIVに結合するFv断片のV領域とN末端で融合しており、
該2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、N末端で該Fv断片のV領域の他方と融合しており、
該V領域及び該V領域は、一緒になって該Fv断片を形成する。
【0251】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0252】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0253】
1つの例では、該二重特異性タンパク質は、N末端で、該Fv断片のV領域と融合した(a)及び配列番号58の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む第一のポリペプチド、N末端で該Fv断片のV領域と融合した(b)及び配列番号61または62の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む第二のポリペプチド、ならびにN末端で該Fv断片のV領域と融合した軽鎖ポリペプチドを各々含みかつ配列番号78の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を各々含む第三及び第四のポリペプチドを含む。別の例では、該二重特異性タンパク質は、N末端で該Fv断片のV領域と融合した(a)及び配列番号59の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む第一のポリペプチド、N末端で該Fv断片のV領域と融合した(b)及び配列番号60の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む第二のポリペプチド、ならびにN末端で該Fv断片のV領域と融合した軽鎖ポリペプチドを各々含みかつ配列番号78の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を各々含む第三及び第四のポリペプチドを含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIVに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該(a)及び(b)におけるFd部分の各々は、ヒトHER2のサブドメインIIに結合するFv断片のV領域とN末端で融合しており、
該2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、N末端で該Fv断片のV領域の他方と融合しており、
該V領域及び該V領域は、一緒になって該Fv断片を形成する。
【0255】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0256】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0257】
1つの例では、該二重特異性タンパク質は、N末端で該Fv断片のV領域と融合した(a)及び配列番号63の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む第一のポリペプチド、N末端で該Fv断片のV領域と融合した(b)及び配列番号66または67の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む第二のポリペプチド、ならびにN末端で該Fv断片のV領域と融合した軽鎖ポリペプチドを各々含みかつ配列番号79の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を各々含む第三及び第四のポリペプチドを含む。別の例では、第一のポリペプチドは、N末端で該Fv断片のV領域と融合した(a)及び配列番号64の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第二のポリペプチドは、N末端で該Fv断片のV領域と融合した(b)及び配列番号65の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、第三及び第四のポリペプチドは、各々が、N末端で該Fv断片のV領域と融合した軽鎖ポリペプチドを含み、かつ各々が、配列番号79の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIIに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該(a)及び(b)におけるFd部分の各々は、ヒトHER2のサブドメインIVに結合するFv断片のV領域とN末端で融合しており、
該2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、N末端で該Fv断片のV領域の他方と融合しており、
該V領域及び該V領域は、一緒になって該Fv断片を形成する。
【0259】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0260】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0261】
1つの例では、該二重特異性タンパク質は、N末端で該Fv断片のV領域と融合した(a)及び配列番号68の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む第一のポリペプチド、N末端で該Fv断片のV領域と融合した(b)及び配列番号71または72の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む第二のポリペプチド、ならびにN末端で該Fv断片のV領域と融合した軽鎖ポリペプチドを各々含みかつ配列番号80の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を各々含む第三及び第四のポリペプチドを含む。別の例では、該二重特異性タンパク質は、N末端で該Fv断片のV領域と融合した(a)及び配列番号69の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む第一のポリペプチド、N末端で該Fv断片のV領域と融合した(b)及び配列番号70の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む第二のポリペプチド、ならびにN末端で該Fv断片のV領域と融合した軽鎖ポリペプチドを各々含みかつ配列番号80の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を各々含む第三及び第四のポリペプチドを含む。
【0262】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIVに結合するFabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、該第一及び第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該(a)及び(b)におけるFd部分の各々は、ヒトHER2のサブドメインIIに結合するFv断片のV領域とN末端で融合しており、
該2つの軽鎖ポリペプチドの各々は、N末端で該Fv断片のV領域の他方と融合しており、
該V領域及び該V領域は、一緒になって該Fv断片を形成する。
【0263】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0264】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0265】
1つの例では、該二重特異性タンパク質は、N末端で該Fv断片のV領域と融合した(a)及び配列番号73の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む第一のポリペプチド、N末端で該Fv断片のV領域と融合した(b)及び配列番号76または77の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む第二のポリペプチド、ならびにN末端で該Fv断片のV領域と融合した軽鎖ポリペプチドを各々含みかつ配列番号81の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を各々含む第三及び第四のポリペプチドを含む。別の例では、該二重特異性タンパク質は、N末端で該Fv断片のV領域と融合した(a)及び配列番号74の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む第一のポリペプチド、N末端で該Fv断片のV領域と融合した(b)及び配列番号75の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む第二のポリペプチド、ならびにN末端で該Fv断片のV領域と融合した軽鎖ポリペプチドを各々含みかつ配列番号81の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を各々含む第三及び第四のポリペプチドを含む。
【0266】
上記二重特異性タンパク質のいくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、234位及び235位にLeuを含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、234位及び235位にLeuを含む。ある特定の実施形態では、該タンパク質は、以下に記載のcis-LALAコンフィギュレーションを含む。
【0267】
上記二重特異性タンパク質のいくつかの実施形態では、該Fcポリペプチドの一方または両方は、そのC末端のリジン(例えば、EUナンバリングに従って、該Fcポリペプチドの447位のLys残基)が除去され得る。いくつかの実施形態では、該FcポリペプチドのC末端のリジンの除去により、該二重特異性タンパク質の安定性が改善され得る。
【0268】
mAb/HCのC末端V
いくつかの実施形態では、二重特異性タンパク質は、該2つのFcポリペプチドの一方のC末端で融合したV(またはV領域)及び該2つのFcポリペプチドの他方のC末端で融合したV領域(またはV領域)を含む。かかる二重特異性タンパク質の概略図を図5に示す。いくつかの実施形態では、二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)FabのFd部分とN末端で融合しており、Fv断片のV領域またはV領域とC末端で融合している、第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合しており、(a)に記載のV領域またはV領域の他方とC末端で融合している、第二のFcポリペプチドであって、
該V領域及び該V領域は、一緒になって該Fv断片を形成し、該第一及び第二のFcポリペプチドが、Fc二量体を形成する、該第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド、
ここで、該Fabは、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、かつ該Fv断片は、ヒトHER2のサブドメインIVに結合する、または、該Fabは、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、かつ該Fv断片は、ヒトHER2のサブドメインIIに結合する。
【0269】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0270】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。
【0271】
該二重特異性タンパク質のいくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチドは、該Fv断片のV領域と融合しており、該第二のFcポリペプチドは、該Fv断片のV領域と融合している。いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチドは、該Fv断片の V領域と融合しており、該第二のFcポリペプチドは、該Fv断片のV領域と融合している。
【0272】
いくつかの実施形態では、ヒトHER2のサブドメインIIに特異的に結合するFabは、配列番号108の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するV領域を含む。いくつかの実施形態では、ヒトHER2のサブドメインIVに特異的に結合するFabは、配列番号109の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有するV領域を含む。
【0273】
いくつかの実施形態では、第一のリンカーは、該V領域またはV領域を、該FcポリペプチドのC末端に接続する。いくつかの実施形態では、該第一のリンカーまたは該第二のリンカーは、約1~約50アミノ酸、例えば、約1~約40、約1~約30、約1~約25、約1~約20、約1~約15、約1~約10、約2~約40、約2~約30、約2~約20、約2~約10、約5~約40、約5~約30、約5~約25、または約5~約20アミノ酸長を有する。いくつかの実施形態では、該第一のリンカーは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、または50アミノ酸長を有する。様々なリンカーが本明細書でさらに詳細に記載されている。いくつかの実施形態では、該第一のリンカーは、GGSGGGSGGGSGGGSGGGSG(配列番号116、(GGSG))、GGGGS(配列番号117、GS)、GGGGSGGGGS(配列番号118、(GS))、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号119、(GS))、GGGGSGGGGSGGGG(配列番号120、(GS)-G)、GGGGSGGGGSGG(配列番号121)、GGGGGSGGGGS(配列番号122)、及びGGGGGSGGGGGSGGGGS(配列番号123)のいずれか1つの配列を含む。
【0274】
いくつかの実施形態では、「mAb/HCのC末端V」の構造を有する二重特異性タンパク質の(a)部分では、該第一のFcポリペプチドは、N末端で該FabのFd部分とヒンジ領域または部分的なヒンジ領域を介して融合している。いくつかの実施形態では、「mAb/HCのC末端V」の構造を有する二重特異性タンパク質の(b)部分では、該第二のFcポリペプチドは、N末端で該FabのFd部分とヒンジ領域または部分的なヒンジ領域を介して融合している。例示的なヒンジ領域の配列は、ヒトIgG1ヒンジ配列EPKSCDKTHTCPPCP(配列番号127)である。部分的なヒンジ領域とは、配列番号127の配列の一部分、例えば、DKTHTCPPCP(配列番号128)の配列を有する部分的なヒンジ領域を指す。
【0275】
「mAb/HCのC末端V」の構造を有する二重特異性タンパク質では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、トランスフェリン受容体に特異的に結合することができる(例えば、TfR結合Fcポリペプチド)。異なるFcポリペプチド及びその修飾を、本明細書でさらに詳細に記載する。いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び該第二のFcポリペプチドは各々、ヘテロ二量体化を促進する修飾を含み得る。例えば、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、T366Wの置換を含むことができ、該第二のFcポリペプチドは、T366S、L368A、及びY407Vの置換を含むことができる。別の例では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、T366S、L368A、及びY407Vの置換を含むことができ、該第二のFcポリペプチドは、T366Wの置換を含むことができる。さらに、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、TfR媒介エフェクター機能を低下させる、すなわち、TfRの結合によりエフェクター機能を低下させる修飾を含み得る。例えば、該TfR媒介エフェクター機能を低下させる修飾は、EUナンバリングに従って、(i)L234A及びL235Aの置換または(ii)L234A及びL235Aの置換ならびにP329GまたはP329Sの置換である。
【0276】
「mAb/HCのN末端V」の構造を有する二重特異性タンパク質の特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチド(または該第二のFcポリペプチド)は、EUナンバリングに従って、T366Wの置換、L234A及びL235Aの置換(任意に、P329GまたはP329Sの置換を含む)、ならびに任意に、S239D及び/またはI332Eの置換を含むTfR結合Fcポリペプチドであり、該第二のFcポリペプチド(または該第一のFcポリペプチド)は、EUナンバリングに従って、T366S、L368A、及びY407Vの置換ならびに任意に、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。例えば、該第一のFcポリペプチド(または該第二のFcポリペプチド)は、配列番号137及び186~196のいずれか1つの配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含むことができ、該第二のFcポリペプチド(または該第一のFcポリペプチド)は、配列番号133及び183~185のいずれか1つの配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含むことができる。
【0277】
ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドは、TfR結合Fcポリペプチドであり、かつEUナンバリングに従って、L234A及びL235Aの置換を含み(任意に、P329GまたはP329Sの置換を含み)、該第二のFcポリペプチドは、L234Aの置換もL325Aの置換も(または、該第一のFcポリペプチドに存在する場合は、P329Gの置換もP329Sの置換も)含まない。ある特定の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、L234Aの置換もL325Aの置換も(または、該第二のFcポリペプチドに存在する場合は、P329Gの置換もP329Sの置換も)含まず、該第二のFcポリペプチドは、TfR結合Fcポリペプチドであり、かつL234A及びL235Aの置換を含む(任意に、P329GまたはP329Sの置換を含む)。
【0278】
例示的な二重特異性「mAb/HCのC末端V」タンパク質
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIIに結合するFabのFd部分とN末端で融合しており、ヒトHER2のサブドメインIVに結合するFv断片のV領域とC末端で融合している、第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合しており、該Fv断片のV領域とC末端で融合している、第二のFcポリペプチド。
【0279】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0280】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0281】
該二重特異性タンパク質の1つの例では、(a)は、配列番号82または83の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号99、100、または101の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖の各々は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号84の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号98の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖の各々は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号85の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号97の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖の各々は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。さらに別の例では、(a)は、配列番号86、87、または88の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号95または96の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖の各々は、配列番号25の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0282】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、以下を含む:
(a)ヒトHER2のサブドメインIVに結合するFabのFd部分とN末端で融合しており、ヒトHER2のサブドメインIIに結合するFv断片のV領域とC末端で融合している、第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合しており、該Fv断片のV領域とC末端で融合している、第二のFcポリペプチド。
【0283】
いくつかの実施形態では、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の実施形態では、該第一のFcポリペプチドまたは該第二のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。ある特定の他の実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及び/またはI332Eの置換を含む。特定の実施形態では、該S239D及び/または該I332Eの置換を独立して含む第一のFcポリペプチド及び/または第二のFcポリペプチドは、HER2媒介エフェクター機能を増強すること、すなわち、HER2の結合によりエフェクター機能を増強することが可能である。
【0284】
いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、S239Dの置換を含み、該第二のFcポリペプチドは、S239D及びI332Eの置換を含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、I332Eの置換を含む。
【0285】
該二重特異性タンパク質の1つの例では、(a)は、配列番号89または90の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号105、106、または107の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖の各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号91の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号104の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖の各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。別の例では、(a)は、配列番号92の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号103の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖の各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。さらに別の例では、(a)は、配列番号93または94の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(b)は、配列番号102の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含み、(c)の2つの軽鎖の各々は、配列番号26の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0286】
上記二重特異性タンパク質のいくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチドは、234位及び235位にLeuを含む。いくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第二のFcポリペプチドは、234位及び235位にLeuを含む。ある特定の実施形態では、該タンパク質は、以下に記載のcis-LALAコンフィギュレーションを含む。
【0287】
上記二重特異性タンパク質のいくつかの実施形態では、該Fcポリペプチドの一方または両方は、そのC末端のリジン(例えば、EUナンバリングに従って、該Fcポリペプチドの447位のLys残基)が除去され得る。いくつかの実施形態では、該FcポリペプチドのC末端のリジンの除去により、該二重特異性タンパク質の安定性が改善され得る。
【0288】
IV.Fcポリペプチド及びその修飾
いくつかの態様では、本明細書に記載の抗HER2二重特異性タンパク質のいずれかは、Fcポリペプチド二量体を含み、該二量体の一方または両方のFcポリペプチドは、野生型Fcポリペプチドと比較してアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態では、Fcポリペプチド(例えば、修飾Fcポリペプチド)におけるアミノ酸修飾により、Fcポリペプチド二量体のBBB受容体(例えば、TfR)への結合をもたらすこと、該二量体の2つのFcポリペプチドのヘテロ二量体化を促進すること、エフェクター機能を調節すること、血清半減期を延長すること、グリコシル化に影響を与えること、及び/またはヒトにおける免疫原性を低下させることができる。いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質に存在するFcポリペプチドは、独立して、対応する野生型Fcポリペプチド(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のFcポリペプチド)に対して少なくとも約85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性を有する。修飾Fcポリペプチド(例えば、TfR結合Fcポリペプチド)の例及び説明は、例えば、参照により全体として本明細書に組み込まれる国際特許公開第WO2018/152326号に見出すことができる。
【0289】
BBB受容体結合のためのFcポリペプチド修飾
本明細書に提供するのは、BBBを横断して輸送することが可能な抗HER2二重特異性タンパク質である。かかるタンパク質は、BBB受容体に結合する、修飾Fcポリペプチドを含む。BBB受容体は、BBB内皮、ならびに他の細胞型及び組織型で発現される。いくつかの実施形態では、該BBB受容体は、TfRである。TfRに結合する修飾Fcポリペプチドは、TfR結合部位を有するとも表現される。
【0290】
様々なFc修飾において指定されるアミノ酸残基は、BBB受容体、例えば、TfRに結合する修飾Fcポリペプチド中に導入されるものを含め、本明細書において、EUインデックスナンバリングを使用してナンバリングされる。任意のFcポリペプチド、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4のFcポリペプチドは、本明細書に記載の1つ以上の位置に、修飾、例えば、アミノ酸置換を有し得る。いくつかの実施形態では、BBB(例えば、TfR)受容体結合活性のために修飾されるドメインは、ヒトIgのCH3ドメイン、例えば、IgG1のCH3ドメインである。該CH3ドメインは、任意のIgGサブタイプ、すなわちIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4からのものであり得る。IgG1抗体との関連において、CH3ドメインとは、EUナンバリングスキームに従ってナンバリングして、ほぼ341位~ほぼ447位のアミノ酸のセグメントを指す。
【0291】
いくつかの実施形態では、TfRに特異的に結合する修飾Fcポリペプチドは、TfRのアピカルドメインに結合し、かつトランスフェリンのTfRへの結合を遮断することも阻害することもなく、TfRに結合し得る。いくつかの実施形態では、トランスフェリンのTfRへの結合は、実質的に阻害されない。いくつかの実施形態では、トランスフェリンのTfRへの結合は、約50%未満(例えば、約45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、または5%未満)阻害される。
【0292】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質に存在するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、1つ以上の、少なくとも1つ、2つ、または3つの置換を含み、いくつかの実施形態では、EUナンバリングスキームに従って、266、267、268、269、270、271、295、297、298及び299位を含むアミノ酸位置で、少なくとも4、5、6、7、8、9、または10個の置換を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質に存在するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、少なくとも1つ、2つ、または3つの置換を含み、いくつかの実施形態では、EUナンバリングスキームに従って、274、276、283、285、286、287、288、289、及び290位を含むアミノ酸位置で、少なくとも4、5、6、7、8、または9個の置換を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質に存在するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、少なくとも1つ、2つ、または3つの置換を含み、いくつかの実施形態では、EUナンバリングスキームに従って、268、269、270、271、272、292、293、294、296、及び300位を含むアミノ酸位置で、少なくとも4、5、6、7、8、9、または10個の置換を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質に存在するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、少なくとも1つ、2つ、または3つの置換を含み、いくつかの実施形態では、EUナンバリングスキームに従って、272、274、276、322、324、326、329、330、及び331位を含むアミノ酸位置で、少なくとも4、5、6、7、8、または9個の置換を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質に存在するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、少なくとも1つ、2つ、または3つの置換を含み、いくつかの実施形態では、EUナンバリングスキームに従って、345、346、347、349、437、438、439、及び440位を含むアミノ酸位置で、少なくとも4、5、6、または7個の置換を含む。
【0293】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質に存在するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、少なくとも1つ、2つ、または3つの置換を含み、いくつかの実施形態では、EUナンバリングスキームに従って、アミノ酸位置384、386、387、388、389、390、413、416、及び421で、少なくとも4、5、6、7、8、または9個の置換を含む。
【0294】
いくつかの実施形態では、BBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、以下の通り、配列番号130と比較して置換を有する位置を少なくとも1つ含む:384位でのLeu、Tyr、Met、もしくはVal、386位でのLeu、Thr、His、もしくはPro、387位でのVal、Pro、もしくは酸性アミノ酸、388位での芳香族アミノ酸、例えば、TrpもしくはGly(例えば、Trp)、389位でのVal、Ser、もしくはAla、413位での酸性アミノ酸、Ala、Ser、Leu、Thr、もしくはPro、416位でのThrもしくは酸性アミノ酸、または421位でのTrp、Tyr、His、もしくはPhe。いくつかの実施形態では、BBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、当該組の1つ以上の位置における特定のアミノ酸の保存的置換、例えば、同じ荷電分類、疎水性分類、側鎖環構造分類(例えば、芳香族アミノ酸)、もしくはサイズ分類、及び/または極性もしくは非極性分類のアミノ酸を含み得る。従って、例えば、Ileは、384位、386位、及び/または413位に存在し得る。いくつかの実施形態では、387、413、及び416位の1つ、2つまたは各々の位置における酸性アミノ酸は、Gluである。他の実施形態では、387、413、及び416位の1つ、2つまたは各々の酸性アミノ酸は、Aspである。いくつかの実施形態では、384、386、387、388、389、413、416、及び421位の2、3、4、5、6、7、または8個すべては、本段落に規定されるアミノ酸置換を有する。
【0295】
いくつかの実施形態では、アミノ酸位置384、386、387、388、389、390、413、416、及び/または421に修飾を有するFcポリペプチドは、390位に天然のAsnを含む。いくつかの実施形態では、該Fcポリペプチドは、390位にGly、His、Gln、Leu、Lys、Val、Phe、Ser、Ala、またはAspを含む。いくつかの実施形態では、該Fcポリペプチドは、さらに、380、391、392、及び415位を含む位置に、1つ、2つ、3つ、または4つの置換を含む。いくつかの実施形態では、Trp、Tyr、Leu、またはGlnが380位に存在し得る。いくつかの実施形態では、Ser、Thr、Gln、またはPheが391位に存在し得る。いくつかの実施形態では、Gln、Phe、またはHisが392位に存在し得る。いくつかの実施形態では、Gluが415位に存在し得る。
【0296】
ある特定の実施形態では、該Fcポリペプチドは、以下から選択される2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の位置を含む:380位のTrp、LeuもしくはGlu、384位のTyrもしくはPhe、386位のThr、387位のGlu、388位のTrp、389位のSer、Ala、ValもしくはAsn、390位のSerもしくはAsn、413位のThrもしくはSer、415位のGluもしくはSer、416位のGlu、及び/または421位のPhe。いくつかの実施形態では、該Fcポリペプチドは、以下の11個の位置すべてを含む:380位のTrp、LeuもしくはGlu、384位のTyrもしくはPhe、386位のThr、387位のGlu、388位のTrp、389位のSer、Ala、ValもしくはAsn、390位のSerもしくはAsn、413位のThrもしくはSer、415位のGluもしくはSer、416位のGlu、及び/または421位のPhe。
【0297】
ある特定の実施形態では、該BBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、384位にLeuもしくはMet、386位にLeu、His、もしくはPro、387位にVal、388位にTrp、389位にValもしくはAla、413位にPro、416位にThr、及び/または421位にTrpを含む。いくつかの実施形態では、該Fcポリペプチドは、さらに、391位にSer、Thr、Gln、またはPheを含む。いくつかの実施形態では、該Fcポリペプチドは、さらに、380位にTrp、Tyr、Leu、もしくはGln及び/または392位にGln、Phe、もしくはHisを含む。いくつかの実施形態では、Trpが380位に存在し、及び/またはGlnが392位に存在する。いくつかの実施形態では、BBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、380位にTrpを有さない。
【0298】
他の実施形態では、BBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、384位にTyr、386位にThr、387位にGluもしくはVal、388位にTrp、389位にSer、413位にSerまたはThr、416位にGlu、及び/または421位にPheを含む。いくつかの実施形態では、該BBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、390位に天然のAsnを含む。ある特定の実施形態では、該Fcポリペプチドは、さらに、380位にTrp、Tyr、Leu、もしくはGln及び/または415位にGlnを含む。いくつかの実施形態では、該Fcポリペプチドは、さらに、380位にTrp及び/または415位にGluを含む。
【0299】
いくつかの実施形態では、該BBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、以下の置換の1つ以上を含む:380位にTrp、386位にThr、388位にTrp、389位にVal、413位にSerまたはThr、415位にGlu、及び/または421位にPhe。
【0300】
さらなる実施形態では、該BBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、さらに、以下から選択される1、2、または3つの位置を含む:414位がLys、Arg、Gly、またはProであり、424位がSer、Thr、Glu、またはLysであり、426位がSer、Trp、またはGlyである。
【0301】
いくつかの実施形態では、該BBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、配列番号135の配列を有する。本明細書に記載の二重特異性タンパク質のいくつかの実施形態では、該Fcポリペプチド二量体の2つのFcポリペプチドの一方は、配列番号135の配列を有するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドであり得ると同時に、該Fcポリペプチド二量体の他方のFcポリペプチドは、野生型Fcポリペプチド(例えば、配列番号130)の配列を有し得る。本明細書に記載の二重特異性タンパク質の他の実施形態では、該Fcポリペプチド二量体のFcポリペプチドは両方とも、配列番号135の配列を有するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドであり得る。
【0302】
本明細書に記載の二重特異性タンパク質のいくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号135~139及び186~196から選択される配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0303】
本明細書に記載の二重特異性タンパク質のいくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該Fcポリペプチド二量体の2つのFcポリペプチドの一方は、384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含みかつ配列番号135の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含むBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドであり得ると同時に、該Fcポリペプチド二量体の他方のFcポリペプチドは、野生型Fcポリペプチド(例えば、配列番号130)の配列を有し得る。
【0304】
本明細書に記載の二重特異性タンパク質のいくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該第一のFcポリペプチド及び/または該第二のFcポリペプチドは、独立して、384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にAla、413位にThr、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号140~144から選択される配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)の同一性を有する配列を含む。
【0305】
本明細書に記載の二重特異性タンパク質のいくつかの実施形態では、EUナンバリングに従って、該Fcポリペプチド二量体の2つのFcポリペプチドの一方は、384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にAla、413位にThr、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含みかつ配列番号140の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含むBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドであり得ると同時に、該Fcポリペプチド二量体の他方のFcポリペプチドは、野生型Fcポリペプチド(例えば、配列番号130)の配列を有し得る。
【0306】
いくつかの実施形態では、該BBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、配列番号140の配列を有する。本明細書に記載の二重特異性タンパク質のいくつかの実施形態では、該Fcポリペプチド二量体の2つのFcポリペプチドの一方は、配列番号140の配列を有するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドであり得ると同時に、該Fcポリペプチド二量体の他方のFcポリペプチドは、野生型Fcポリペプチド(例えば、配列番号130)の配列を有し得る。本明細書に記載の二重特異性タンパク質の他の実施形態では、該Fcポリペプチド二量体のFcポリペプチドは両方とも、配列番号140の配列を有するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドであり得る。
【0307】
いくつかの実施形態では、該BBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドは、配列番号145の配列を有する。本明細書に記載の二重特異性タンパク質のいくつかの実施形態では、該Fcポリペプチド二量体の2つのFcポリペプチドの一方は、配列番号145の配列を有するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドであり得ると同時に、該Fcポリペプチド二量体の他方のFcポリペプチドは、野生型Fcポリペプチド(例えば、配列番号130)の配列を有し得る。本明細書に記載の二重特異性タンパク質の他の実施形態では、該Fcポリペプチド二量体のFcポリペプチドは両方とも、配列番号145の配列を有するBBB(例えば、TfR)受容体結合Fcポリペプチドであり得る。
【0308】
ヘテロ二量体化のためのFcポリペプチド修飾
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の二重特異性タンパク質に存在するFcポリペプチドは、ノブとホールの変異を含んで、ヘテロ二量体形成を促進し、ホモ二量体形成を妨げる。一般に、該修飾は、突起が空洞内に配置されてヘテロ二量体形成を促進し、ひいてはホモ二量体形成を妨げることができるように、第一のポリペプチドの界面で突起(「ノブ」)を導入し、第二のポリペプチドの界面で対応する空洞(「ホール」)を導入する。突起は、該第一のポリペプチドの界面の小さいアミノ酸側鎖をより大きな側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)で置き換えることによって構築される。該突起と等しいまたは同様のサイズの埋め合わせとなる空洞は、該第二のポリペプチドの界面に、大きなアミノ酸側鎖をより小さいもの(例えば、アラニンまたはトレオニン)と置き換えることによって形成される。いくつかの実施形態では、かかるさらなる変異は、BBB受容体、例えば、TfRへの該ポリペプチドの結合に悪影響を与えないFcポリペプチドの位置である。
【0309】
二量体化のためのノブとホールの方法の1つの例示的な実施形態では、該二重特異性タンパク質に存在するFcポリペプチドの一方の366位(EUナンバリングスキームに従ってナンバリングされる)は、天然のトレオニンの代わりにトリプトファンを含む。当該二量体の他方のFcポリペプチドは、407位(EUナンバリングスキームに従ってナンバリングされる)に天然のチロシンの代わりにバリンを有する。他方のFcポリペプチドはさらに置換を含んでよく、この場合、366位(EUナンバリングスキームに従ってナンバリングされる)の天然のトレオニンがセリンで置換され、368位(EUナンバリングスキームに従ってナンバリングされる)の天然のロイシンがアラニンで置換される。従って、本明細書に記載の二重特異性タンパク質のFcポリペプチドの一方は、T366Wのノブの変異を有し、他方のFcポリペプチドは、Y407Vの変異を有し、これは、通常、T366S及びL368Aのホールの変異を伴う。
【0310】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質に存在するFcポリペプチドの一方または両方はまた、ヘテロ二量体化のための他の修飾、例えば、天然に荷電したCH3-CH3界面内の接触残基の静電的操作または疎水性パッチ修飾を含むように操作される場合がある。
【0311】
例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質は、Fcポリペプチド二量体を含む場合があり、これは、T366Wのノブの変異及び配列番号131の配列に対して少なくとも90%(例えば、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)の同一性を有する1つのFcポリペプチドならびにT366S、L368A、及びY407Vのホールの変異ならびに配列番号133の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する他のFcポリペプチドを有する。ある特定の実施形態では、該Fcポリペプチド二量体の一方または両方のFcポリペプチドは、TfR結合Fcポリペプチドであり得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質は、Fcポリペプチド二量体を含む場合があり、これは、(i)配列番号133の配列を有する第一のFcポリペプチド、及び(ii)配列番号136の配列を有する第二のFcポリペプチドを有する。特定の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質は、Fcポリペプチド二量体を含む場合があり、これは、(i)配列番号133の配列を有する第一のFcポリペプチド、及び(ii)配列番号141の配列を有する第二のFcポリペプチドを有する。特定の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質は、Fcポリペプチド二量体を含む場合があり、これは、(i)配列番号133の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する第一のFcポリペプチド、及び(ii)配列番号146の配列を有する第二のFcポリペプチドを有する。
【0312】
エフェクター機能を調節するためのFcポリペプチド修飾
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の二重特異性タンパク質に存在するFcポリペプチドの一方または両方は、TfRの結合によりTfR媒介エフェクター機能を低下させる、すなわち、エフェクター機能を媒介するエフェクター細胞で発現するFc受容体に結合した後、ある特定の生物学的機能を誘導する能力を低下させる修飾を含み得る。抗体のエフェクター機能の例としては、C1q結合及び補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞媒介性食作用(ADCP)、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御、及びB細胞活性化が挙げられるがこれらに限定されない。エフェクター機能は、抗体のクラスによって異なる場合がある。例えば、天然のヒトIgG1及びIgG3抗体は、免疫系細胞に存在する適切なFc受容体に結合するとADCC及びCDC活性を誘発することができ、天然のヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4は、免疫細胞に存在する適切なFc受容体に結合すると、ADCP機能を誘発することができる。
【0313】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質に存在するFcポリペプチドの一方または両方は、TfR媒介エフェクター機能を低下させる、または除去する修飾を含んでもよい。TfR媒介エフェクター機能を低下させる例示的なFcポリペプチド変異としては、CH2ドメインにおける、例えば、EUナンバリングスキームに従う234位及び235位での置換が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、一方または両方のFcポリペプチドは、234位及び235位にアラニン残基を含むことができる。従って、一方または両方のFcポリペプチドは、L234A及びL235A(本明細書では「LALA」とも呼ばれる)置換を有し得る。
【0314】
エフェクター機能を調節するさらなるFcポリペプチドの変異としては、以下が挙げられるがこれに限定されない:329位は、プロリンがグリシン、アラニン、セリン、もしくはアルギニン、または、Fcのプロリン329とFcγRIIIのトリプトファン残基Trp87及びTrp110の間に形成されるFc/Fcγ受容体界面を破壊するのに十分な大きさのアミノ酸残基で置換される変異を有し得る。さらなる例示的な置換としては、EUナンバリングスキームに従うS228P、E233P、L235E、N297A、N297D、及びP331Sが挙げられる。複数の置換もまた存在する場合がある。例えば、EUナンバリングスキームに従って、ヒトIgG1のFc領域のL234A及びL235A、ヒトIgG1のFc領域のL234A、L235A、及びP329G、ヒトIgG4のFc領域のS228P及びL235E、ヒトIgG1のFc領域のL234A及びG237A、ヒトIgG1のFc領域のL234A、L235A、及びG237A、ヒトIgG2のFc領域のV234A及びG237A、ヒトIgG4のFc領域のL235A、G237A、及びE318A、ならびにヒトIgG4のFc領域のS228P及びL236E。いくつかの実施形態では、一方または両方のFcポリペプチドは、ADCCを調節する1つ以上のアミノ酸置換、例えば、EUナンバリングスキームに従う298、333、及び/または334位での置換を有し得る。いくつかの実施形態では、一方または両方のFcポリペプチドは、EUナンバリングスキームに従って、L234A、L235A、及びP329GまたはP329Sの置換を有し得る。
【0315】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質に存在するFcポリペプチドの一方または両方は、HER2の結合によりHER2媒介エフェクター機能を増強することが可能な、すなわち、エフェクター機能を媒介するエフェクター細胞で発現するFc受容体に結合した後、ある特定の生物学的機能を誘導する能力を向上させる修飾を含み得る。抗体エフェクター機能の例は、上に記載されている。HER2媒介エフェクター機能を増強することが可能な例示的なFcポリペプチド変異としては、CH2ドメインにおける、例えば、EUナンバリングスキームに従う239位及び/または332位での置換が挙げられるがこれらに限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、一方または両方のFcポリペプチドは、239位にアスパラギン酸及び/または332位にグルタミン酸を含むことができる。従って、一方または両方のFcポリペプチドは、EUナンバリングに従って、S239D及び/またはI332Eの置換を有し得る。
【0316】
「cis-LALA」コンフィギュレーション
本明細書に記載の任意の二重特異性タンパク質のいくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質の2つのFcポリペプチドの一方のみ(Fcポリペプチドの両方ではない)が、TfRの結合によりTfR媒介エフェクター機能を低下させるように修飾される。他方のFcポリペプチドは、TfR結合部位もエフェクター機能を低下させる修飾も含まない。該2つのFcポリペプチドのうちの一方のみが、TfR結合部位及びTfRに結合した際にFcγR結合を低下させる修飾(例えば、LALA置換)の両方を含み、他方のFcポリペプチドがTfR結合部位もFcγR結合を低下させるいかなる修飾も含まない二重特異性タンパク質におけるFcポリペプチド二量体は、cis-LALAコンフィギュレーションを有すると表現される。
【0317】
例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質は、該cis-LALAコンフィギュレーションを有するFcポリペプチド二量体を含む場合があり、これは、(i)TfR結合部位及びLALA置換の両方、ならびにノブの修飾を有する配列番号137の配列を有する第一のFcポリペプチド、ならびに(ii)配列番号133の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する、ホールの修飾のみを有する第二のFcポリペプチドを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質は、該cis-LALAコンフィギュレーションを有するFcポリペプチド二量体を含む場合があり、これは、(i)TfR結合部位及びLALA置換の両方、ならびにノブの修飾を有する配列番号142の配列を有する第一のFcポリペプチド、ならびに(ii)配列番号133の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する、ホールの修飾のみを有する第二のFcポリペプチドを有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質は、該cis-LALAコンフィギュレーションを有するFcポリペプチド二量体を含む場合があり、これは、(i)TfR結合部位及びLALA置換の両方、ならびにノブの修飾を有する配列番号147の配列を有する第一のFcポリペプチド、ならびに(ii)配列番号133の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する、ホールの修飾のみを有する第二のFcポリペプチドを有する。
【0318】
特定の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質は、該cis-LALAコンフィギュレーションを有するFcポリペプチド二量体を含む場合があり、これは、(i)EUナンバリングに従って、234位にAla、235位にAla、366位にTrp、384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号137の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、第一のFcポリペプチド、ならびに(ii)EUナンバリングに従って、366位にSer、368位にAla、及び407位にValを含み、かつ配列番号133の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、第二のFcポリペプチドを有する。
【0319】
特定の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質は、該cis-LALAコンフィギュレーションを有するFcポリペプチド二量体を含む場合があり、これは、(i)EUナンバリングに従って、366位にSer、368位にAla、及び407位にValを含み、かつ配列番号133の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、第一のFcポリペプチド、ならびに(ii)EUナンバリングに従って、234位にAla、235位にAla、366位にTrp、384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号137の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、第二のFcポリペプチドを有する。
【0320】
特定の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質は、該cis-LALAコンフィギュレーションを有するFcポリペプチド二量体を含む場合があり、これは、(i)EUナンバリングに従って、234位にAla、235位にAla、366位にTrp、384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にAla、413位にThr、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号142の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、第一のFcポリペプチド、ならびに(ii)EUナンバリングに従って、366位にSer、368位にAla、及び407位にValを含み、かつ配列番号133の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、第二のFcポリペプチドを有する。
【0321】
特定の実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質は、該cis-LALAコンフィギュレーションを有するFcポリペプチド二量体を含む場合があり、これは、(i)EUナンバリングに従って、366位にSer、368位にAla、及び407位にValを含み、かつ配列番号133の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、第一のFcポリペプチド、ならびに(ii)EUナンバリングに従って、234位にAla、235位にAla、366位にTrp、384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にAla、413位にThr、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号142の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、第二のFcポリペプチドを有する。
【0322】
血清半減期を延長するためのFcポリペプチド修飾
いくつかの実施形態では、血清半減期を延長するための修飾が、本明細書に記載の任意の二重特異性タンパク質に導入され得る。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質に存在するFcポリペプチドの一方または両方は、EUナンバリングスキームに従ってナンバリングして、252位にチロシン、254位にトレオニン、及び256位にグルタミン酸を含み得る。従って、一方または両方のFcポリペプチドは、M252Y、S254T、及びT256Eの置換を有し得る。代替的に、一方または両方のFcポリペプチドは、EUナンバリングスキームに従ってナンバリングして、M428L及びN434Sの置換を有し得る。代替的に、一方または両方のFcポリペプチドは、N434SまたはN434Aの置換を有し得る。
【0323】
C末端リジン残基が除去されたFcポリペプチド
本明細書に記載の二重特異性タンパク質のいくつかの実施形態では、該Fcポリペプチドの一方または両方は、そのC末端のリジン(例えば、EUナンバリングに従って、該Fcポリペプチドの447位のLys残基)が除去され得る。該C末端のリジン残基は多くの種にわたる免疫グロブリンで高度に保存されており、タンパク質産生の過程で細胞機構によって完全にまたは部分的に除去される可能性がある。いくつかの実施形態では、該FcポリペプチドのC末端のリジンの除去により、該二重特異性タンパク質の安定性が改善され得る。
【0324】
V.リンカー
本明細書に記載の通り、二重特異性タンパク質は、1つ以上のリンカーを含み得る。リンカーとは、該二重特異性タンパク質の2つの要素間(すなわち、V領域とV領域間、scFvとFcポリペプチド間、scFvとFd部分間、scFvと軽鎖間、V領域またはV領域とFd部分間、V領域またはV領域と軽鎖間、またはV領域またはV領域とFcポリペプチド間)の結合を指す。いくつかの実施形態では、リンカーは、空間及び/または柔軟性を提供するために該二重特異性タンパク質の2つの要素を連結することができるペプチドリンカーであり得る。
【0325】
いくつかの実施形態では、リンカーは、1~100アミノ酸(例えば、1~90、1~80、1~70、1~90、1~60、1~50、1~40、1~30、1~20、1~10、1~8、1~6、1~4、5~100、10~100、15~100、20~100、30~100、40~100、50~100、60~100、70~100、80~100、90~100、10~90、10~80、10~70、10~60、10~50、10~40、10~30、10~25、10~20、または10~15アミノ酸)を含み得る。いくつかの実施形態では、2つのFcドメインモノマー間のリンカーは、1~30アミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30アミノ酸)を含むアミノ酸スペーサである。リンカーは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、またはそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、該リンカーは、例えば、Gly、Asn、Ser、Thr、Ala等のアミノ酸を含む柔軟性リンカーであり得る。かかるリンカーは、既知のパラメータを使用して設計することが可能であり、任意の長さのものでよく、任意の長さの繰り返し単位(例えば、Gly及びSer残基の繰り返し単位)を任意の数含み得る。例えば、該リンカーは、リピート、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上のGGGGS(配列番号117)、GGSG(配列番号151)、GSGG(配列番号152)、もしくはSGGG(配列番号153)リピートまたは単一のGGGGS(配列番号117)、GGSG(配列番号151)、GSGG(配列番号152)、もしくはSGGG(配列番号153)を有し得る。Gly及びSer残基を含む柔軟性リンカーの例としては、GGSGGGSGGGSGGGSGGGSG(配列番号116、(GGSG))、GGGGS(配列番号117、GS)、GGGGSGGGGS(配列番号118、(GS))、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号119、(GS))、GGGGSGGGGSGGGG(配列番号120、(GS)-G)、GGGGSGGGGSGG(配列番号121)、GGGGGSGGGGS(配列番号122)、及びGGGGGSGGGGGSGGGGS(配列番号123)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0326】
いくつかの実施形態では、リンカーはまた、グリシン及びセリン以外のアミノ酸、例えば、GGGGSEPKSS(配列番号124)、ASTKGPSVF(配列番号125)、またはRTVAAPSVFI(配列番号126)を含み得る。他のリンカーの例もまた、当技術分野で説明されている。例えば、Chen et al.Adv.Drug Deliv Rev.65(10):1357-1369,2013を参照されたい。
【0327】
VI.二重特異性タンパク質の調製
本明細書に記載の二重特異性タンパク質の調製については、当技術分野で既知の多くの技術を使用することができる。いくつかの実施形態では、目的の抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子は、細胞、例えば、ハイブリドーマからクローニングすることができる。モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子ライブラリも、ハイブリドーマまたは形質細胞から作成することができる。別の方法として、ファージまたは酵母提示技術を用いて、選択された抗原に特異的に結合する抗体及びFab断片を特定することができる。
【0328】
二重特異性タンパク質は、原核細胞及び真核細胞発現系を含めたいくつもの発現系を用いて産生することができる。いくつかの実施形態では、該発現系は、哺乳類細胞の発現系、例えば、ハイブリドーマ、またはCHO細胞の発現系である。多くのかかる系が商業的な業者から広く入手可能である。いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、単一のベクターを用いて、例えば、ジシストロニックな発現単位で、または、異なるプロモーターの制御下で発現され得る。他の実施形態では、該二重特異性タンパク質を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、別々のベクターを用いて発現され得る。
【0329】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の二重特異性タンパク質を含むポリペプチドのいずれかをコードする核酸配列を含む単離された核酸、かかる核酸を含むベクター、ならびに核酸の複製及び/または二重特異性タンパク質の発現に使用される核酸が導入された宿主細胞を提供する。
【0330】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチド(例えば、単離されたポリヌクレオチド)は、本明細書に開示する二重特異性タンパク質(例えば、上記セクションIIIに記載されているもの)を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、該ポリヌクレオチドは、以下の非公式配列表に開示する1つ以上のアミノ酸配列(例えば、重鎖配列、軽鎖配列及び/またはFcポリペプチド配列)をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、該ポリヌクレオチドは、以下の非公式配列表に開示する配列に対して少なくとも85%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、異種核酸、例えば、異種プロモーターに作動可能に連結される。
【0331】
本開示の抗体、またはその断片をコードするポリヌクレオチドを含む適切なベクターとしては、クローニングベクター及び発現ベクターが挙げられる。選択されるクローニングベクターは、使用される予定の宿主細胞によって異なり得るが、有用なクローニングベクターは一般に、自己複製する能力を有し、特定の制限エンドヌクレアーゼに対する単一の標的を有することがあり、及び/または該ベクターを含むクローンの選択に使用することができるマーカーの遺伝子を有することがある。例としては、プラスミド及び細菌ウイルス、例えば、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBS SK+)及びその誘導体、mpl8、mpl9、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにシャトルベクター、例えば、pSA3及びpAT28が挙げられる。これら及び他の多くのクローニングベクターは、BioRad、Strategene、及びInvitrogen等の商業的業者から入手可能である。
【0332】
発現ベクターは一般に、本開示の核酸を含む複製可能なポリヌクレオチド構築物である。該発現ベクターは、宿主細胞において、エピソームとして、または染色体DNAの不可欠な部分として複製し得る。適切な発現ベクターとしては、限定されないが、プラスミド、ウイルスベクターが挙げられ、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、及び任意の他のベクターが含まれる。
【0333】
本明細書に記載のポリヌクレオチドまたはベクターをクローニングまたは発現するために適切な宿主細胞としては、原核細胞または真核細胞が挙げられる。いくつかの実施形態では、該宿主細胞は、原核細胞である。いくつかの実施形態では、該宿主細胞は、真核細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ系細胞である。いくつかの実施形態では、該宿主細胞は、ヒト細胞、例えば、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞である。
【0334】
別の態様では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質の作製方法を提供する。いくつかの実施形態では、該方法は、本明細書に記載の宿主細胞(例えば、本明細書に記載のポリヌクレオチドまたはベクターを発現する宿主細胞)を当該二重特異性タンパク質の発現に適した条件下で培養することを含む。いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、その後、該宿主細胞(または宿主細胞の培地)から回収される。いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、例えば、クロマトグラフィーによって精製される。
【0335】
VII.治療方法
いくつかの態様では、本明細書に提供するのは、対象に対して、治療有効量の本明細書に記載の任意の二重特異性タンパク質またはそれを含む医薬組成物を投与することを含む、該対象におけるがん(例えば、HER2陽性がん)を処置するまたはがん(例えば、HER2陽性がん)の脳転移を処置するための方法である。同様に本明細書に提供するのは、内皮を横切ってHER2(例えば、ヒトHER2)またはその抗原結合断片に結合することができる抗体可変領域のトランスサイトーシスの方法である。いくつかの実施形態では、該方法は、該内皮を、本明細書に記載の二重特異性タンパク質を含む組成物と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、該内皮は、血液脳関門(BBB)である。
【0336】
本明細書に提供する方法に従って処置され得るHER2陽性がんの非限定的な例としては、HER2陽性乳がん、卵巣がん、膀胱がん、唾液腺がん、子宮内膜がん、膵臓がん、及び非小細胞肺がん(NSCLC)、ならびにHER2陽性胃腺癌及び/またはHER2陽性食道胃接合部腺癌が挙げられる。いくつかの実施形態では、該HER2陽性がんは、HER2陽性乳がんである。いくつかの実施形態では、該HER2陽性がんは、HER2陽性胃腺癌及び/またはHER2陽性食道胃接合部腺癌である。いくつかの実施形態では、該HER2陽性がんは、転移がんである。
【0337】
さらに他の態様では、本明細書に提供するのは、がん(例えば、HER2陽性がん)の転移を処置するための方法である。いくつかの実施形態では、該方法は、本明細書に記載の治療有効量の抗HER2二重特異性タンパク質を該対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該転移は、上記のHER2陽性がんの脳転移である。いくつかの実施形態では、該転移は、HER2陽性乳がんの脳転移である。いくつかの実施形態では、該転移は、HER2陽性胃腺癌及び/またはHER2陽性食道胃接合部腺癌の脳転移である。
【0338】
いくつかの実施形態では、その治療的有用性は、腫瘍増殖の減少もしくは減速、腫瘍サイズ(例えば、体積)の減少、腫瘍細胞生存率の減少、転移性病変の数の減少、がん(例えば、HER2陽性がん)の1つ以上の徴候もしくは症状の改善、及び/または患者の生存率の増加を含み得る。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞生存率、腫瘍増殖、腫瘍サイズ、及び/または転移性病変の数は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上減少する。
【0339】
いくつかの実施形態では、該抗HER2二重特異性タンパク質は、HER2活性に拮抗する。いくつかの実施形態では、HER2活性は阻害される(例えば、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、またはそれ以上)。
【0340】
本明細書に記載の抗HER2二重特異性タンパク質の投与経路は、経口、腹腔内、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、髄腔内、吸入、局所、病巣内、直腸、気管支内、経鼻、経粘膜、腸内、眼もしくは耳への送達、または当技術分野で既知の任意の他の方法であり得る。いくつかの実施形態では、該抗HER2二重特異性タンパク質は、経口投与、静脈内投与、または腹腔内投与される。
【0341】
VIII.医薬組成物及びキット
他の態様では、本開示による抗HER2二重特異性タンパク質を含む医薬組成物及びキットを提供する。
【0342】
医薬組成物
本開示に使用するための製剤を調製するための指針は、当業者に既知の医薬品及び製剤についての多くのハンドブックに見出すことができる。
【0343】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の抗HER2二重特異性タンパク質を含み、さらに、1つ以上の医薬的に許容される担体及び/または賦形剤を含む。医薬的に許容される担体としては、任意の溶媒、分散媒、またはコーティングが挙げられ、これらは、当該活性薬剤と生理学的に適合し、該活性薬剤の活性を妨害しないか、または阻害しない。
【0344】
いくつかの実施形態では、該二重特異性タンパク質は、注射による非経口投与用に製剤化され得る。通常、インビボ投与に使用する医薬組成物は、例えば、加熱滅菌、蒸気滅菌、滅菌濾過、または照射滅菌等の無菌である。
【0345】
本明細書に記載の医薬組成物の用量及び所望の薬物濃度は、想定される特定の使用に応じて異なり得る。
【0346】
キット
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の二重特異性タンパク質を含む、がん(例えば、HER2陽性がん)の処置に使用するためのキットを提供する。いくつかの実施形態では、該キットはさらに、1つ以上のさらなる治療薬を含む。例えば、いくつかの実施形態では、該キットは、本明細書に記載の二重特異性タンパク質を含み、さらに、がんの処置に使用するための1つ以上のさらなる治療薬を含む。いくつかの実施形態では、該キットはさらに、本明細書に記載の方法を実施するための指示(すなわち、プロトコル)を含む説明資料(例えば、二重特異性タンパク質を投与するためのキットの使用説明書)を含む。該説明資料は通常、書かれた資料または印刷物を含むが、それに限定されない。かかる説明を保存し、それらをエンドユーザーに伝えることが可能な任意の媒体が、本開示によって企図される。かかる媒体としては、電子記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学媒体(例えば、CD-ROM)等が挙げられるがこれらに限定されない。かかる媒体は、かかる説明資料を提供するインターネットサイトのアドレスを含む場合がある。
【実施例
【0347】
IX.実施例
本発明を、具体例を通してより詳細に説明する。以下の実施例は、例示の目的で提供するに過ぎず、いかなる方法によっても本発明を限定することを意図するものではない。
【0348】
実施例1.二重特異性タンパク質の生成
本明細書に記載の二重特異性タンパク質の構造を有し、図1~5に示す操作されたタンパク質を、ヒトHER2のサブドメインII及びヒトHER2のサブドメインIVを標的とするために生成した。いくつかの構築物では、FcポリペプチドのC末端のリジンを除去した。いくつかの構築物では、Fd部分(V+CH1)を、Fcポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクターにクローニングした。いくつかの実施形態では、Fcポリペプチドを、TfR結合部位を有するように操作した。これら構築物のいくつかの実施形態では、Fcポリペプチドの一方は、TfR結合部位及び「ノブ」(T366W)の変異(例えば、配列番号137)を含み、他方のFcポリペプチドは、「ホール」(T366S/L368A/Y407V)の変異(例えば、配列番号133)を含んでいた。さらに、一方または両方のFcポリペプチドは、FcγR結合を減弱するL234A/L235Aの変異も含んでいた。
【0349】
ベクターを、ExpiCHOまたはExpi293細胞に、対応する軽鎖ベクターとともに、ノブ:ホール:軽鎖比1:1:2で共トランスフェクトした。発現されたタンパク質を馴化培地から、プロテインAカラムに上清をロードすることによって精製した。そのカラムを、10カラム容量のPBS、pH7.4で洗浄した。そのタンパク質を、150mMのNaClを含む50mMのクエン酸ナトリウム、pH3.0で溶出し、直ちに200mMのアルギニン、137mMのコハク酸、pH5.0で中和した。このタンパク質を、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)(GE Superdex200)により、200mMのアルギニン、137mMのコハク酸、pH5.0をランニング緩衝液として使用してさらに精製した。精製したタンパク質を、インタクトマスLC/MSで確認し、95%を超える純度を、SDS-PAGE及び分析用HPLC-SECで確認した。未修飾のヒトIgG1定常領域を含む抗HER2二重特異性タンパク質が生成された。以下の表1は、これらの抗HER2二重特異性タンパク質及び2つの対照抗HER2抗体の配列を示す。
【0350】
【表1】
【0351】
実施例2.二重特異性タンパク質のBiacore評価
二重特異性タンパク質の親和性を、SPRにより、Biacore T200またはBiacore 8Kを使用して測定した。Biacore(商標)シリーズS CM5センサーチップは、HER2の親和性測定用のモノクローナルマウス抗ヒトIgG(Fc)抗体、またはTfRの親和性測定用のマウス抗ヒトFab(GE Healthcare製ヒト抗体またはFabキャプチャーキット)で固定化した。連続3倍希釈の分析物(組み換えHER2細胞外ドメインまたは組み換えTfRアピカルドメイン)を、流量30μL/分で注入した。各サンプルを、HER2細胞外ドメイン結合に関しては、3分間の結合及び10分間の解離を使用し、ヒトTfRアピカルドメイン結合に関しては、40秒間の結合及び3分間の解離で分析した。各注入後、チップを3MのMgClまたは50mMのグリシンをpH2.0で使用して再生した。結合反応は、無関係のIgGを同様の密度でキャプチャーしたフローセルからRUを差し引くことで補正した。kon及びkoffの同時フィッティングの1:1Languirモデルを反応速度分析に用いた。構築物「抗HER2_DIV/DII_scFv_1」のKは2.3nMであり、構築物「抗HER2_DIV/DII_scFv_2」のKは1.9nMである。これら2つの構築物を以下に説明する。
【0352】
両構築物「抗HER2_DIV/DII_scFv_1」及び「抗HER2_DIV/DII_scFv_2」は、「Fab-Fcポリペプチド/scFv-Fcポリペプチド」構造を有する。構築物「抗HER2_DIV/DII_scFv_1」では、(a)は、配列番号1の配列(ノブLALAを有するCH3C.35.23.4のN末端とヒンジ領域を介して融合した抗HER2DIIのFab)を含み、(b)は、配列番号23の配列(ホールの変異を有するFcポリペプチドのN末端とヒンジ領域を介して融合した抗HER2DIVのscFv)を含み、(c)は、配列番号25の配列を含む。構築物「抗HER2_DIV/DII_scFv_2」では、(a)は、配列番号5の配列(ホールの変異を有するFcポリペプチドのN末端とヒンジ領域を介して融合した抗HER2DIIのFab)を含み、(b)は、配列番号24の配列(ノブLALAを有するCH3C.35.23.4のN末端とヒンジ領域を介して融合した抗HER2DIVのscFv)を含み、(c)は、配列番号25の配列を含む。両構築物において、そのscFv部分は、100位でGlnからCysへの置換を有する抗HER2DIVのV領域(配列番号115)及び44位でGlyからCysへの置換を有する抗HER2DIVのV領域(配列番号113)を含む。また、両構築物において、(b)のヒンジ領域は、5位でCysからSerへの変異を有する(EPKSSDKTHTCPPCP(配列番号129))。
【0353】
以下の表2は、抗HER2二重特異性タンパク質のHER2結合に関するK及びTfR結合に関するKをさらに示す。
【0354】
【表2】
【0355】
実施例3.TfRならびにHER2サブドメインII及びIVの同時標的指向
多くの腫瘍細胞及び腫瘍細胞株、例えば、BT474及びOE19は、HER2及びTfRの両方を発現する。HER2サブドメインIVを標的とする抗体が、いくつかのHER2細胞株において腫瘍細胞の増殖を阻害し腫瘍細胞の生存を低減することができることは、十分に確立されている一方で、本発明者らは、HER2サブドメインIV及びTfRを同時標的指向することにより、細胞の殺傷が高まるかどうかを理解しようとした。
【0356】
「Fab-Fcポリペプチド/scFv-Fcポリペプチド」構造を有する2つの構築物を使用した。構築物「抗HER2_DIV/DII_scFv_1」及び構築物「抗HER2_DIV/DII_scFv_2」は、先の実施例に記載されている。
【0357】
本発明者らは、最初に、抗HER2療法に感受性のあるHER2腫瘍細胞株BT474を用いた増殖阻害アッセイにおいて両構築物と対照のモノクローナル抗HER2抗体を比較した。BT474細胞を、96ウェルプレートにて10,000細胞/ウェルで終夜プレーティングし、目的の分子の166nM(25,000ng/mL)で始まる1:3段階希釈液60μLで処置した。培地(RPMI)及び薬物を3日目に補充した。6日目に、細胞増殖を、50μLの増殖培地において5μLのWST-1試薬(Sigma Aldrich)を使用して測定した。このプレートをWST-1試薬の存在下で4時間インキュベートし、440nmの吸光度を測定した。増殖阻害/増殖のパーセントを、A440nMに基づいて算出し、未処置の対照に対して正規化した。図6Aに示す通り、抗HER2-DIV及び抗HER2-DIIの組み合わせは、対照と比較してBT474細胞の生存率を低下させ、最大阻害は約87%であった。同様に、抗HER2_DIV/DII_scFv_1及び抗HER2_DIV/DII_scFv_2は、抗HER2-DIV及び抗HER2-DIIと比較して、同様の最大増殖阻害を示した(図6A)。
【0358】
次に、本発明者らは、これら2つの構築物及び対照のモノクローナル抗HER2抗体を、抗HER2処置に耐性がある別のHER2がん細胞株OE19と比較した。図6Bに示すように、2つの抗HER2_DIV/DII_scFv構築物及び抗HER2-DIVと抗HER2-DIIの組み合わせの最大増殖阻害効果に差がなかったBT474とは異なり、OE19細胞株は、抗HER2_DIV/DII_scFv_1及び抗HER2_DIV/DII_scFv_2処置後に約80%の最大阻害を有した一方、これらの細胞は、抗HER2-DIVと抗HER2-DIIの組み合わせに最小限に反応した。これらの結果は、HER2サブドメインIV、HER2サブドメインII、及びTfRを標的指向することにより、HER2サブドメインのみを標的指向することと比較して、抗HER2耐性細胞株において細胞増殖阻害の向上をもたらすことができたことを示唆する。注目すべきことに、細胞株がすでに抗HER2療法に感受性がある場合、いかなる向上もマスクされる可能性がある。
【0359】
実施例4.抗HER2二重特異性タンパク質のインビボ薬物動態特性
TfR結合がない場合の抗HER2二重特異性タンパク質のインビボ血漿薬物動態を評価するため、C57BL/6マウスに、10mg/kgの抗HER2二重特異性タンパク質を静脈内投与した。血液を、単回投与後30分、1日、4日、及び7日で採取し、血漿まで処理し、分析まで-80℃で保存した。血漿中の二重特異性タンパク質の全治療濃度を、抗ヒトIgGサンドイッチELISA(図7)を使用し、標準として適切な投与溶液を使用して定量化した。プレートを抗ヒトIgGで終夜コーティングした後、洗浄緩衝液で3回洗浄した。標準及び適切に希釈したサンプルを、室温で2時間撹拌しながらインキュベートした。インキュベーション後、プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄した。検出抗体をブロッキング緩衝液で希釈し、プレートを室温で1時間撹拌しながらインキュベートした。最後の3回の洗浄後、TMB基質を添加してプレートを発色させ、5~10分間インキュベートした。反応をクエンチし、450nMの吸光度(Biotekプレートリーダー)を使用して読み取った。すべての抗HER2二重特異性タンパク質は、正常なIgGの範囲内のクリアランス値を示した。
【0360】
実施例5.抗HER2二重特異性タンパク質のインビボでの脳への取り込み
抗HER2二重特異性タンパク質のインビボでの脳への取り込みを評価するため、TfRmu/huKIマウスに、50mg/kgの抗HER2二重特異性タンパク質を静脈内投与した。投与の約24時間後、心穿刺により全血をEDTA被覆チューブに採取し、次いで動物を氷冷PBSで灌流した。臨床血液化学及び網状赤血球の定量化(図8A)を、新鮮な全血を使用して評価し、別のアリコートを血漿まで処理した。ほとんどの抗HER2二重特異性タンパク質は、対照で処置したマウスと比較して、正常範囲内の網状赤血球値を示した。
【0361】
その血漿及び新鮮な脳をドライアイス上で急速冷凍し、-80℃で保存した。Qiagen Tissue Lyser IIを使用して、プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤を含むPBSの1%NP40緩衝液の組織重量の10倍体積で脳をホモジナイズした。上清を-80℃で保存した。抗HER2二重特異性タンパク質の血漿(図8B)及び脳溶解物(図8C)濃度を、サンドイッチELISAを使用して定量化した。血漿濃度は、予想されるTfRを介した薬物動態を示した。抗HER2二重特異性タンパク質の脳内濃度は、脳内で約15nM~52nMに及び、これらの分子が血液脳関門のTfRに結合し、脳に輸送される能力を実証した。得られた脳対血漿濃度のパーセンテージは、約1~2%(図8D)であり、TfRまたは他の受容体媒介トランスサイトーシス標的指向化を欠く抗体に関して予想されるより約10倍高かった。このデータは、本明細書に記載の異なる構造の多数の抗HER2二重特異性タンパク質が脳浸透性であることを実証し、裏付ける。
【0362】
実施例6.抗HER2二重特異性タンパク質のインビトロ増殖阻害
抗HER2二重特異性タンパク質及び既存の抗HER2療法のインビトロ増殖阻害効果を、抗HER2療法に対して感受性がある様々なHER2腫瘍細胞株(BT474(図9A~9F)、OE19(図9G~9I)、及びZR75(図9J~9L))で評価した。腫瘍細胞を、96ウェルプレートにて10,000細胞/ウェルで終夜プレーティングし、目的の分子の166nM(25,000ng/mL)で始まる1:3段階希釈液60μLで処置した。培地(RPMI)及び薬物を3日目に補充した。ニューレグリン1(NRG1)処置BT474群(図9D~9F)に関しては、細胞を50ng/mlのNRG1の存在下でインキュベートした。6日目に、細胞増殖を、50μLの増殖培地において5μLのWST-1試薬(Sigma Aldrich)を使用して測定した。このプレートをWST-1試薬の存在下で4時間インキュベートし、440nmの吸光度を測定した。増殖阻害/増殖のパーセントを、A440nMに基づいて算出し、未処置の対照に対して正規化した。以下の表3は、3つの異なるHER2細胞株における抗HER2二重特異性タンパク質及び抗HER2対照の増殖阻害効果をさらに示す。図9A~9L及び表3は、全体的な抗HER2二重特異性タンパク質が、野生型Fcを用いた抗HER2DIV対照及び抗HER2DII対照と同等またはそれらより優れた増殖阻害を示すことを示している。ある特定の抗HER2二重特異性タンパク質によるいくつかの細胞株では、おそらくはある特定のコンフィギュレーションでの結合部位の競合が原因で、野生型Fcを使用した抗HER2DIV対照または抗HER2DII対照と比較して増殖阻害が減少した。
【0363】
【表3】
【0364】
実施例7.さらなる二重特異性タンパク質の生成
組み換え二重特異性タンパク質バリアントの発現及び精製
(i)TfR結合部位及びノブ(T366W)の変異を含む重鎖ポリペプチド、(ii)ホール(T366S/L368A/Y407V)の変異を含む重鎖ポリペプチド、ならびに(iii)表4及び表5における組み合わせに従う軽鎖からなる発現プラスミドを、Expi293またはExpiCHO細胞に共トランスフェクトする。続いて、組み換え二重特異性タンパク質バリアントを馴化培地から、プロテインAカラム(GE Mab Select SuRe)に上清をロードすることによって精製する。そのカラムを、10カラム容量のPBS、pH7.4で洗浄する。そのタンパク質を、150mMのNaClを含む50mMのクエン酸ナトリウム、pH3.0で溶出し、直ちに200mMのアルギニン、137mMのコハク酸、pH5.0で中和する。このタンパク質を、サイズ排除クロマトグラフィー(GE Superdex200)により、200mMのアルギニン、137mMのコハク酸、pH5.0をランニング緩衝液として使用してさらに精製する。精製したタンパク質を、インタクトマスLC/MSで確認し、95%を超える純度を、SDS-PAGE及び分析用HPLC-SECで確認する。
【0365】
【表4】
【0366】
【表5】
【0367】
重鎖を、細胞培養の産生の過程で、そのC末端のリジン残基が除去されるようにさらに処理してもよい。従って、上記の表4及び表5に列挙した二重特異性タンパク質は、未処理の(すなわち、C末端のリジン残基を含む)重鎖を含むタンパク質分子を指す場合も、処理された(すなわち、C末端のリジン残基を含まない)1つ以上の重鎖を含むタンパク質分子を指す場合も、処理された及び/または未処理の重鎖を有するタンパク質分子の混合物を指す場合もある。
【0368】
実施例8.抗HER2二重特異性タンパク質のインビトロADCC/ADCP
表6における組み合わせに従う二重特異性抗体のヒトFcγRIIIaの活性化を評価するためにヒトADCCレポーターバイオアッセイ、Vバリアントキット(Promega G7018)を使用し、ヒトFcγRIIaレポーターの活性化を測定するためにヒトFcgRIIa ADCPレポーターバイオアッセイキット(Promega G9995)を使用した。このキットは、以下に記載の成分のすべてを含む。HER2及びTfRの発現レベルが異なるいくつかの細胞株を試験した。細胞SKBR3(ATCC HTB-30)、ZR-75-30(ATCC CRL-1504)、BT-474(ATCC HTB-20)、OE-19(Sigma 96071721)、CHO-KI+ヒトTfR(ChemPartner CRO契約)を、10%FBS(Hycloneウシ血清SH30080.03)及び1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Life Technologies 15140-122)を補充したRPMI(Liffe Technologies 61870-036)中で対数期まで培養し、PBSで2回洗浄し、10%FBS及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMIに、1.0x10細胞/mLで再懸濁した。白色96ウェル高結合Nuncプレート(ThermoFisher)を、ウェルあたり、50,000細胞を含む培地25μLでコーティングした。
【0369】
抗体のタイトレーションは、4%低IgG血清を含むRPMIで調製し、ウェルあたり25μlをプレートに加えて細胞をオプソニン化した後、蓋をし、37℃、5%COにて30分間インキュベートした。抗体オプソニン化の間に、3.5mLの培地を37℃に予熱し、FcγRレポーター細胞を反転せずに37℃のウォーターバスで素早く解凍し、15mLのコニカルチューブにて予熱した培地に穏やかに混合しながら加えた。30分間のオプソニン化後、FcγRレポーター細胞株を各プレートにウェルあたり25μl添加し、37℃、5%COにて6時間(SKBR3、ZR-75-30、BT-474に関するhFcγRIIIa及びhFcγRIIaの活性化)または16時間(CHO-KI+huTfRに関するhFcγRIIIa及びhFcγRIIa)インキュベートした。インキュベーション後、プレートを室温に慣らし、ウェルあたり75μLのBio-Gloルシフェラーゼ基質懸濁液(Promega)を加え、Perkin Elmer Envisionリーダーにて発光を測定した。結果を表7に示す。
【0370】
【表6】
【0371】
【表7】
【0372】
目的は、対照及び/またはFc1と比較して、TfR媒介ADCCを増加させず、また、対照と同等のレベルのHER2媒介ADCC及び/またはFc1と比較して改善されたレベルのHER2媒介ADCCレベルを有するFcバリアントを開発することであった。上記の表7に示すように、Fc1、Fc41、Fc5、Fc45、Fc42、Fc52、Fc44、Fc50、Fc68、Fc7、Fc8、Fc2、Fc34、及びFc4はすべて、TfRを過剰発現するCHO細胞において対照と同等のレベルのTfR媒介ADCCを有した。Fc50及びFc52は、TfR媒介ADCCの活性化を増加させることなく、試験したすべてのHER2を過剰発現する細胞株にわたって最も高レベルのHER2媒介ADCCを示した。
【0373】
Fc1、Fc41、Fc5、Fc45、Fc42、Fc52、Fc44、及びFc50バリアントのADCPレベルもまた表7に、HER2を過剰発言する細胞株、すなわち、OE19、ZR-75-30、及びSKBR3にわたって対象と比較して示されている。
【0374】
実施例9 抗HER2二重特異性タンパク質のインビトロ増殖阻害
増殖阻害アッセイを使用して、異なる抗体で異なる期間処置した後の細胞の生存率を特定する。HER2及びTfRの発現レベルが異なるいくつかの細胞株を試験する。細胞SKBR3(ATCC HTB-30)、ZR-75-30(ATCC CRL-1504)、BT-474(ATCC HTB-20)、OE-19(Sigma 96071721)、CHO-KI+ヒトTfR(ChemPartner CRO契約)を、10%FBS(Hycloneウシ血清SH30080.03)及び1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Life Technologies 15140-122)を補充したRPMI(Liffe Technologies 61870-036)中で対数期まで培養する。PBSで洗浄した後、これらの細胞を10%FBS及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを補充したRPMIに、1.0x10細胞/mLで再懸濁する。黒色のポリ-D-リジンプレート(Corning 354640)を、ウェルあたり、10,000細胞を含む細胞培地100ulでコーティングする。これらのプレートを、37℃、5%COのインキュベータ内で24時間インキュベートする。
【0375】
抗体のタイトレーションは、10%FBS血清及び1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含むRPMIで調製する。抗体を、各プレートに、ウェルあたり65μlで加えた後、蓋をし、37℃、5%COにて72時間(OE-19細胞株のみ)インキュベートする。BT-474及びZR-75-30細胞株の場合、72時間後にさらに65μlの抗体を加え、その後37℃、5%COでさらに72時間インキュベートした。
【0376】
7日目に、細胞増殖を、50μLの増殖培地において5μLのWST-1試薬(Sigma Aldrich)を使用して測定する。このプレートをWST-1試薬の存在下で4時間インキュベートし、440nmの吸光度を測定する。増殖阻害/増殖のパーセントを、A440nMに基づいて算出し、未処置の対照に対して正規化する。
【0377】
X.例示的な実施形態
本開示の主題に従って提供される例示的な実施形態には、特許請求の範囲及び以下の実施形態が含まれるがこれらに限定されない。
【0378】
1.以下:
(a)FabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)単鎖可変断片(scFv)とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、前記第一及び前記第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、前記第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために前記(a)に記載のFd部分と対になる軽鎖ポリペプチド
を含む、タンパク質であって、
前記Fabが、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、かつ前記scFvが、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、または、前記Fabが、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、かつ前記scFvが、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、かつ
前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、独立して、EUナンバリングに従ってS239D及び/またはI332Eの置換を含む、
前記タンパク質。
【0379】
2.前記S239D及び/または前記I332Eの置換を独立して含む前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、HER2媒介エフェクター機能を増強することが可能である、実施形態1に記載のタンパク質。
【0380】
3.(a)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(b)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(c)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(d)EUナンバリングに従って、前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(e)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(f)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(g)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(h)EUナンバリングに従って、前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(i)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、
(j)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、
(k)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、
(l)EUナンバリングに従って、前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、
(m)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(n)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、または
(o)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、
実施形態1または2に記載のタンパク質。
【0381】
4.(a)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(b)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(c)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(d)EUナンバリングに従って、前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(e)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、または
(f)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
実施形態3に記載のタンパク質。
【0382】
5.(a)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換及び239位にセリンを含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含む、
(b)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含む、
(c)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換及び239位にセリンを含む、
(d)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、239位にセリン及び332位にイソロイシンを含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換及び239位にセリンを含む、
(e)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、または
(f)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換及び239位にセリンを含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、239位にセリン及び332位にイソロイシンを含む、
実施形態4に記載のタンパク質。
【0383】
6.前記Fabが、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、かつ前記scFvが、ヒトHER2のサブドメインIVに結合する、実施形態1~5のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0384】
7.前記Fabが、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、かつ前記scFvが、ヒトHER2のサブドメインIIに結合する、実施形態1~5のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0385】
8.前記第二のFcポリペプチドが、第一のリンカーを介して前記scFvと融合している、実施形態1~7のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0386】
9.前記第一のリンカーが、1~20アミノ酸長を有する、実施形態8に記載のタンパク質。
【0387】
10.前記第一のリンカーが、GGSGGGSGGGSGGGSGGGSG(配列番号116、(GGSG))、GGGGS(配列番号117、GS)、GGGGSGGGGS(配列番号118、(GS))、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号119、(GS))、GGGGSGGGGSGGGG(配列番号120、(GS)-G)、GGGGSGGGGSGG(配列番号121)、GGGGGSGGGGS(配列番号122)、及びGGGGGSGGGGGSGGGGS(配列番号123)のいずれか1つの配列を含む、実施形態8または9に記載のタンパク質。
【0388】
11.前記scFvが、第二のリンカーを介して接続されているV領域及びV領域を含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0389】
12.前記第二のリンカーが、1~20アミノ酸長を有する、実施形態11に記載のタンパク質。
【0390】
13.前記第二のリンカーが、GGSGGGSGGGSGGGSGGGSG(配列番号116、(GGSG))、GGGGS(配列番号117、GS)、GGGGSGGGGS(配列番号118、(GS))、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号119、(GS))、GGGGSGGGGSGGGG(配列番号120、(GS)-G)、GGGGSGGGGSGG(配列番号121)、GGGGGSGGGGS(配列番号122)、及びGGGGGSGGGGGSGGGGS(配列番号123)のいずれか1つの配列を含む、実施形態11または12に記載のタンパク質。
【0391】
14.前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、トランスフェリン受容体(TfR)に特異的に結合する、実施形態1~13のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0392】
15.前記第一のFcポリペプチド及び前記第二のFcポリペプチドが各々、ヘテロ二量体化を促進する修飾を含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0393】
16.EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、T366Wの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、T366S、L368A、及びY407Vの置換を含む、実施形態15に記載のタンパク質。
【0394】
17.EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、T366S、L368A、及びY407Vの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、T366Wの置換を含む、実施形態15に記載のタンパク質。
【0395】
18.前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、独立して、TfR媒介エフェクター機能を低下させる修飾を含む、実施形態14~17のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0396】
19.前記エフェクター機能を低下させる修飾が、EUナンバリングに従ってL234A及びL235Aの置換である、実施形態18に記載のタンパク質。
【0397】
20.前記第一のFcポリペプチドが、TfRに特異的に結合し、かつL234A及びL235Aの置換を含む、実施形態19に記載のタンパク質。
【0398】
21.前記第一のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従ってP329GまたはP329Sの置換をさらに含む、実施形態20に記載のタンパク質。
【0399】
22.前記第二のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って234位及び235位にLeu、ならびに329位にプロリンを含む、実施形態21に記載のタンパク質。
【0400】
23.前記第二のFcポリペプチドが、TfRに特異的に結合し、かつL234A及びL235Aの置換を含む、実施形態19に記載のタンパク質。
【0401】
24.前記第二のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従ってP329GまたはP329Sの置換をさらに含む、実施形態23に記載のタンパク質。
【0402】
25.前記第一のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って234位及び235位にLeu、ならびに329位にプロリンを含む、実施形態24に記載のタンパク質。
【0403】
26.ヒンジ領域またはその一部分が、前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドのN末端に連結されている、実施形態1~25のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0404】
27.前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、独立して、配列番号131~149及び183~196からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、実施形態1~26のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0405】
28.前記第一のFcポリペプチドまたは前記第二のFcポリペプチドが、配列番号133及び183~185から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、実施形態27に記載のタンパク質。
【0406】
29.前記第一のFcポリペプチドまたは前記第二のFcポリペプチドが、配列番号137及び186~196から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、実施形態27に記載のタンパク質。
【0407】
30.前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、独立して、EUナンバリングに従って384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号135~139及び186~196から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、実施形態1~29のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0408】
31.前記第一のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って234位にAla、235位にAla、366位にTrp、384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号137の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、かつ
前記第二のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って366位にSer、368位にAla、及び407位にValを含み、かつ配列番号133の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
実施形態1~30のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0409】
32.前記第一のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って366位にSer、368位にAla、及び407位にValを含み、かつ配列番号133の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、かつ
前記第二のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って234位にAla、235位にAla、366位にTrp、384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号137の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
実施形態1~30のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0410】
33.以下:
(a)(i)配列番号1の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号159の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(b)(i)配列番号164の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号173の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(c)(i)配列番号164の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号174の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(d)(i)配列番号166の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号173の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(e)(i)配列番号165の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号173の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(f)(i)配列番号165の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号174の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(g)(i)配列番号167の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号173の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(h)(i)配列番号164の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号175の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(i)(i)配列番号164の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号176の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(j)(i)配列番号166の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号175の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(k)(i)配列番号165の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号175の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(l)(i)配列番号165の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号176の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド、または
(m)(i)配列番号167の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号175の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号25の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む軽鎖ポリペプチド
を含む、タンパク質。
【0411】
34.(a)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号1の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号159の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(b)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号164の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号173の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(c)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号164の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号174の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(d)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号166の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号173の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(e)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号165の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号173の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(f)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号165の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号174の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(g)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号167の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号173の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(h)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号164の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号175の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(i)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号164の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号176の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(j)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号166の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号175の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(k)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号165の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号175の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(l)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号165の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号176の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、または
(m)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号167の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号175の配列を含み、かつ(iii)前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列を含む、
実施形態33に記載のタンパク質。
【0412】
35.以下:
(a)FabのFd部分とN末端で融合している第一のFcポリペプチド、
(b)FabのFd部分とN末端で融合している第二のFcポリペプチドであって、前記第一及び前記第二のFcポリペプチドがFc二量体を形成する、前記第二のFcポリペプチド、ならびに
(c)Fabを形成するために(a)及び(b)に記載の各Fd部分と各々対になる2つの軽鎖ポリペプチド
を含む、タンパク質であって、
前記(a)及び/または前記(b)におけるFd部分が、scFvとN末端で融合しており、
前記Fabが、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、かつ前記scFvが、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、または、前記Fabが、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、かつ前記scFvが、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、かつ
前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、独立して、EUナンバリングに従ってS239D及び/またはI332Eの置換を含む、
前記タンパク質。
【0413】
36.前記S239D及び/または前記I332Eの置換を独立して含む前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、HER2媒介エフェクター機能を増強することが可能である、実施形態35に記載のタンパク質。
【0414】
37.(a)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(b)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(c)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(d)EUナンバリングに従って、前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(e)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(f)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(g)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(h)EUナンバリングに従って、前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(i)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、
(j)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、
(k)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、
(l)EUナンバリングに従って、前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、
(m)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(n)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、または
(o)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、
実施形態35または36に記載のタンパク質。
【0415】
38.(a)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(b)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含む、
(c)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(d)EUナンバリングに従って、前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
(e)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、または
(f)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換を含む、
実施形態37に記載のタンパク質。
【0416】
39.(a)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換及び239位にセリンを含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含む、
(b)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含む、
(c)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換及び239位にセリンを含む、
(d)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、239位にセリン及び332位にイソロイシンを含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、I332Eの置換及び239位にセリンを含む、
(e)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、S239Dの置換及び332位にイソロイシンを含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、S239D及びI332Eの置換を含む、または
(f)EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、I332Eの置換及び239位にセリンを含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、239位にセリン及び332位にイソロイシンを含む、
実施形態38に記載のタンパク質。
【0417】
40.前記Fabが、ヒトHER2のサブドメインIIに結合し、かつ前記scFvが、ヒトHER2のサブドメインIVに結合する、実施形態35~39のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0418】
41.前記Fabが、ヒトHER2のサブドメインIVに結合し、かつ前記scFvが、ヒトHER2のサブドメインIIに結合する、実施形態35~39のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0419】
42.前記(a)または前記(b)におけるFd部分が、前記scFvとN末端で融合している、実施形態35~41のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0420】
43.前記(a)及び/または前記(b)におけるFd部分が、第一のリンカーを介して前記scFvと融合している、実施形態35~42のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0421】
44.前記第一のリンカーが、1~20アミノ酸長を有する、実施形態43に記載のタンパク質。
【0422】
45.前記第一のリンカーが、GGSGGGSGGGSGGGSGGGSG(配列番号116、(GGSG))、GGGGS(配列番号117、GS)、GGGGSGGGGS(配列番号118、(GS))、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号119、(GS))、GGGGSGGGGSGGGG(配列番号120、(GS)-G)、GGGGSGGGGSGG(配列番号121)、GGGGGSGGGGS(配列番号122)、及びGGGGGSGGGGGSGGGGS(配列番号123)のいずれか1つの配列を含む、実施形態43または44に記載のタンパク質。
【0423】
46.前記scFvが、第二のリンカーを介して接続されているV領域及びV領域を含む、実施形態35~45のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0424】
47.前記第二のリンカーが、1~20アミノ酸長を有する、実施形態46に記載のタンパク質。
【0425】
48.前記第二のリンカーが、GGSGGGSGGGSGGGSGGGSG(配列番号116、(GGSG))、GGGGS(配列番号117、GS)、GGGGSGGGGS(配列番号118、(GS))、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号119、(GS))、GGGGSGGGGSGGGG(配列番号120、(GS)-G)、GGGGSGGGGSGG(配列番号121)、GGGGGSGGGGS(配列番号122)、及びGGGGGSGGGGGSGGGGS(配列番号123)のいずれか1つの配列を含む、実施形態46または47に記載のタンパク質。
【0426】
49.前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、トランスフェリン受容体(TfR)に特異的に結合する、実施形態35~48のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0427】
50.前記第一のFcポリペプチド及び前記第二のFcポリペプチドが各々、ヘテロ二量体化を促進する修飾を含む、実施形態35~49のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0428】
51.EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、T366Wの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、T366S、L368A、及びY407Vの置換を含む、実施形態50に記載のタンパク質。
【0429】
52.EUナンバリングに従って、前記第一のFcポリペプチドが、T366S、L368A、及びY407Vの置換を含み、かつ前記第二のFcポリペプチドが、T366Wの置換を含む、実施形態50に記載のタンパク質。
【0430】
53.前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、独立して、TfR媒介エフェクター機能を低下させる修飾を含む、実施形態49~52のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0431】
54.前記エフェクター機能を低下させる修飾が、EUナンバリングに従ってL234A及びL235Aの置換である、実施形態53に記載のタンパク質。
【0432】
55.前記第一のFcポリペプチドが、TfRに特異的に結合し、かつL234A及びL235Aの置換を含む、実施形態54に記載のタンパク質。
【0433】
56.前記第一のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従ってP329GまたはP329Sの置換をさらに含む、実施形態55に記載のタンパク質。
【0434】
57.前記第二のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って234位及び235位にLeu、ならびに329位にプロリンを含む、実施形態56に記載のタンパク質。
【0435】
58.前記第二のFcポリペプチドが、TfRに特異的に結合し、かつL234A及びL235Aの置換を含む、実施形態54に記載のタンパク質。
【0436】
59.前記第二のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従ってP329GまたはP329Sの置換をさらに含む、実施形態58に記載のタンパク質。
【0437】
60.前記第一のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って234位及び235位にLeu、ならびに329位にプロリンを含む、実施形態59に記載のタンパク質。
【0438】
61.ヒンジ領域またはその一部分が、前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドのN末端に連結されている、実施形態35~60のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0439】
62.前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、独立して、配列番号131~149及び183~196からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、実施形態35~61のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0440】
63.前記第一のFcポリペプチドまたは前記第二のFcポリペプチドが、配列番号133及び183~185から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、実施形態62に記載のタンパク質。
【0441】
64.前記第一のFcポリペプチドまたは前記第二のFcポリペプチドが、配列番号137及び186~196から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、実施形態62に記載のタンパク質。
【0442】
65.前記第一のFcポリペプチド及び/または前記第二のFcポリペプチドが、独立して、EUナンバリングに従って384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号135~139及び186~196から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、実施形態35~64のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0443】
66.前記第一のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って234位にAla、235位にAla、366位にTrp、384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号137の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、かつ
前記第二のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って366位にSer、368位にAla、及び407位にValを含み、かつ配列番号133の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
実施形態35~65のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0444】
67.前記第一のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って366位にSer、368位にAla、及び407位にValを含み、かつ配列番号133の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、かつ
前記第二のFcポリペプチドが、EUナンバリングに従って234位にAla、235位にAla、366位にTrp、384位にTyr、386位にThr、387位にGlu、388位にTrp、389位にSer、413位にSer、415位にGlu、416位にGlu、及び421位にPheを含み、かつ配列番号137の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む、
実施形態35~65のいずれか1つに記載のタンパク質。
【0445】
68.以下:
(a)(i)配列番号6の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号160の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(b)(i)配列番号6の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号161の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(c)(i)配列番号6の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号162の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(d)(i)配列番号169の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号177の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(e)(i)配列番号169の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号178の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(f)(i)配列番号171の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号177の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(g)(i)配列番号170の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号177の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(h)(i)配列番号170の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号178の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(i)(i)配列番号172の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号177の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(j)(i)配列番号169の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号179の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(k)(i)配列番号169の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号180の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(l)(i)配列番号171の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号179の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(m)(i)配列番号170の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号179の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(n)(i)配列番号170の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号180の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(o)(i)配列番号172の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号179の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(p)(i)配列番号169の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号181の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(q)(i)配列番号169の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号182の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(r)(i)配列番号171の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号181の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(s)(i)配列番号170の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号181の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(t)(i)配列番号170の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号182の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド、または
(u)(i)配列番号172の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第一の重鎖ポリペプチド、(ii)配列番号181の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を含む第二の重鎖ポリペプチド、及び(iii)配列番号26の配列に対して少なくとも90%の同一性を有する配列を各々含む2つの軽鎖ポリペプチド
を含む、タンパク質。
【0446】
69.(a)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号6の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号160の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(b)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号6の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号161の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(c)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号6の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号162の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(d)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号169の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号177の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(e)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号169の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号178の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(f)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号171の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号177の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(g)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号170の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号177の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(h)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号170の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号178の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(i)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号172の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号177の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(j)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号169の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号179の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(k)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号169の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号180の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(l)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号171の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号179の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(m)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号170の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号179の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(n)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号170の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号180の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(o)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号172の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号179の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(p)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号169の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号181の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(q)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号169の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号182の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(r)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号171の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号181の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(s)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号170の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号181の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(t)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号170の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号182の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、または
(u)(i)前記第一の重鎖ポリペプチドが、配列番号172の配列を含み、(ii)前記第二の重鎖ポリペプチドが、配列番号181の配列を含み、かつ(iii)前記2つの軽鎖ポリペプチドが各々、配列番号26の配列を含む、
実施形態68に記載のタンパク質。
【0447】
70.実施形態1~69のいずれか1つに記載のタンパク質と、医薬的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
【0448】
71.実施形態1~69のいずれか1つに記載のタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
【0449】
72.実施形態71に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【0450】
73.実施形態71に記載のポリヌクレオチドまたは実施形態72に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【0451】
74.対象におけるがんを処置するまたはがんの脳転移を処置するための方法であって、前記対象に対して、治療有効量の実施形態1~69のいずれか1つに記載のタンパク質または実施形態70に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【0452】
75.前記タンパク質が、化学療法または放射線療法と組み合わせて投与される、実施形態74に記載の方法。
【0453】
76.前記がんが、転移がんである、実施形態74または75に記載の方法。
【0454】
77.前記がんが、乳がんである、実施形態74~76のいずれか1つに記載の方法。
【0455】
78.前記がんが、HER2陽性がんである、実施形態74~77のいずれか1つに記載の方法。
【0456】
本明細書に記載の実施例及び実施形態は、例示目的のためのみであり、それらを考慮した様々な修正または変更が当業者に提案され、本出願の趣旨及び範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれるべきであることが理解される。本明細書に引用される配列アクセッション番号の配列は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0457】
非公式配列表
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図9I
図9J
図9K
図9L
【手続補正書】
【提出日】2024-06-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2024534824000001.xml
【国際調査報告】