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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】光学センサを用いた多次元信号検出
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/03 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
A61B5/03
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512027
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(85)【翻訳文提出日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 US2022041252
(87)【国際公開番号】W WO2023028073
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/236,610
(32)【優先日】2021-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】520196081
【氏名又は名称】ディープサイト テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】DeepSight Technology, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ダンファ
(72)【発明者】
【氏名】チュー,ジャンガン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ラン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ジョン マシュー
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA01
4C017AA16
4C017AB04
4C017AC28
4C017BC11
(57)【要約】
本明細書では、複数の物理的特徴を検出するためのシステム及び方法が記載される。方法は、測定領域に近接する単一の光学センサからセンサ信号を受信することと、センサ信号からの複数のセンサ応答を判定することと、複数のセンサ応答から複数の測定信号を生成することと、を含み得る。測定信号の各々は、測定領域の異なるそれぞれの物理信号に対応し得る。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多次元感知のための方法であって、
測定領域に近接する単一の光学センサからセンサ信号を受信することと、
前記センサ信号からの複数のセンサ応答を判定することと、
前記複数のセンサ応答から複数の測定信号を生成することであって、前記測定信号の各々が、前記測定領域の異なるそれぞれの物理信号に対応する、生成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記複数のセンサ応答のセンサ応答が、モードシフト、ベースラインドリフト、モード分割、モード拡大、及びそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センサ応答が、共振周波数の変化、深度の変化、及び形状の変化のうちの1つ以上を含むモードシフトを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
環境の前記物理信号が、前記環境の温度、圧力、及び音響波のうちの2つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の測定信号を生成することが、前記物理信号の少なくとも一部分を分離することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記物理信号の少なくとも一部分を分離することが、
第1の期間の前記複数のセンサ応答の第1のセンサ応答を分析することと、
前記第1のセンサ応答に基づいて、前記第1の期間の第1の測定信号を生成することと、
第2の期間の前記複数のセンサ応答の第2のセンサ応答を分析することと、
前記第2のセンサ応答に基づいて、前記第2の期間の第2の測定信号を生成することと、を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第3の期間の前記複数のセンサ応答の第3のセンサ応答を分析することと、
前記第3のセンサ応答に基づいて、前記第3の期間の第3の測定信号を生成することと、を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のセンサ応答が、モードシフトを含み、前記第1の測定信号が、温度に対応し、前記第2のセンサ応答が、ベースラインシフトを含み、前記第2の測定信号が、圧力に対応する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記物理信号の少なくとも一部分を分離することが、標的物理信号に基づいて前記環境を選択的に変更することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記物理信号の少なくとも一部分を分離することが、前記標的物理信号とは異なる前記物理信号のうちの1つ以上を抑制することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記物理信号のうちの1つ以上を抑制することは、前記標的物理信号とは異なる前記1つ以上の物理信号が前記光学センサの第1の感度信号領域内にあるように、前記環境を調整することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上の物理信号を抑制することが、前記環境の温度、圧力、及び音響特性のうちの1つ以上を修正することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記物理信号の少なくとも一部分を分離することが、前記標的物理信号に対する前記光学センサの感度を増加させることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記光学センサの前記感度を増加させることは、前記標的物理信号が前記第1の感度信号領域とは異なる前記光学センサの第2の感度信号領域内にあるように、前記光学センサの環境を調整することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記感度を増加させることが、
前記第1の感度信号領域に関連付けられた第1の期間の前記複数のセンサ応答の第1のセンサ応答を分析することと、
前記標的物理信号に対応する第1の測定信号を生成することと、を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の測定信号を生成することが、前記複数のセンサ応答の第1のセンサ応答を第1の物理信号に関連付けることと、前記複数のセンサ応答の第2のセンサ応答を第2の物理信号に関連付けることと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の測定信号を生成することが、信号変換関数を前記複数のセンサ応答に適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記信号変換関数が、信号変換行列を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記光学センサが、光学センサのアレイの第1の光学センサを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記センサ信号が、第1のセンサ信号を含み、前記複数のセンサ応答が、第1の複数のセンサ応答を含み、前記方法が、
前記光学センサのアレイの第2の光学センサから第2のセンサ信号を受信することと、
前記第2の光学センサからの第2の複数のセンサ応答を判定することと、
第1の物理信号を示す第1の測定信号を生成することであって、前記第1の測定信号が、前記第1の光学センサに対する前記第1の複数のセンサ応答、前記第2の光学センサに対する前記第2の複数のセンサ応答、並びに前記第1及び第2の光学センサの前記第1の物理信号及び第2の物理信号に対する感度に基づいている、生成することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記複数の測定信号が、基準センサからの基準信号に少なくとも部分的に基づいて生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記光学センサが、干渉ベースの光学センサを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記光学センサが、光学共振器又は光学干渉計を備える、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記光学センサが、ウィスパリングギャラリーモード(WGM)共振器を備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記光学センサが、マイクロバブル光学共振器、微小球共振器、マイクロトロイド共振器、マイクロリング共振器、及びマイクロディスク光学共振器のうちの1つ以上を備える、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
測定領域の多次元感知のためのシステムであって、
光学センサと、
信号プロセッサであって、
前記光学センサからセンサ信号を受信すること、
前記センサ信号からの複数のセンサ応答を判定すること、及び
前記複数のセンサ応答から複数の測定信号を生成することであって、各測定信号が、前記測定領域の異なるそれぞれの物理信号に対応する、生成することを行うように構成された信号プロセッサと、を備える、システム。
【請求項27】
前記複数のセンサ応答のセンサ応答が、モードシフト、ベースラインドリフト、モード分割、及びモード拡大のうちの1つ以上からなる群から選択される、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記センサ応答が、共振周波数の変化、深度の変化、及び形状の変化のうちの1つ以上を含むモードシフトを含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
環境の前記物理信号が、前記環境の温度、圧力、及び音響波のうちの2つ以上を含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
前記光学センサが、干渉ベースの光学センサを備える、請求項26に記載のシステム。
【請求項31】
前記光学センサが、光学共振器又は光学干渉計を備える、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記光学センサが、ウィスパリングギャラリーモード(WGM)共振器を備える、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記光学センサが、マイクロバブル共振器、微小球共振器、マイクロトロイド共振器、マイクロリング共振器、マイクロボトル共振器、マイクロシリンダ、及びマイクロディスク光学共振器のうちの1つ以上を備える、請求項31に記載のシステム。
【請求項34】
前記光学センサが、円、レーストラック、及び楕円の断面形状のうちの1つ以上を含むマイクロリング共振器を備える、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記光学センサが、光学センサのアレイの第1の光学センサを備え、前記システムが、前記光学センサのアレイを更に備える、請求項26に記載のシステム。
【請求項36】
前記光学センサのアレイが、第2の光学センサを備え、前記第1の光学センサが、第1の物理信号に対して、前記第2の光学センサよりも高い感度を有し、前記第2の光学センサが、第2の物理信号に対して、前記第1の光学センサよりも高い感度を有し、前記第1の物理信号が、前記第2の物理信号とは異なる、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記第1の光学センサの環境が、前記第1の物理信号を強化するように構成されているか、又は前記第2の光学センサの環境が、前記第1の物理信号を抑制するように構成されている、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記第1の光学センサの環境が、前記第2の物理信号を抑制するように構成されているか、又は前記第2の光学センサの環境が、前記第2の物理信号を強化するように構成されている、請求項36に記載のシステム。
【請求項39】
前記測定領域の前記物理信号のうちの1つ以上に対応する基準信号を提供するように構成された基準センサを更に備える、請求項26に記載のシステム。
【請求項40】
前記基準センサが、光学センサを備える、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記基準センサが、非光学センサを備える、請求項39に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年8月24日に出願された米国仮特許出願第62,236,610号の利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載のデバイス、システム、及び方法は、光学センサに関する。
【背景技術】
【0003】
多くの用途では、複数の種類の物理パラメータを検出することが望ましい。例えば、医療技術の分野では、複数の異なる物理パラメータを(例えば、リアルタイム又はほぼリアルタイムで同時に)感知することができるセンサを備えた医療デバイスを有することが有利であり得る。例えば、心血管処置のための焼灼カテーテルは、処置された組織の温度を測定するための温度センサ及び心臓焼灼中に動脈壁に加えられた力を測定するための力センサを含み得る。複数の異なる種類のパラメータを監視するために、複数の種類のセンサを単一のデバイスに一緒に組み込むことが可能であり得る。しかしながら、例えば、複数のセンサをデバイスの所望のフォームファクタに適合させることがより困難であり得るため、追加のセンサを含むことがより困難であり得る。追加的又は代替的に、より多くのセンサを含むことは、異なるセンサの各々の適切な機能を可能にするために、追加の構成要素(例えば、機械的、電気的、電力)及び接続を収容することにおいてより多くの困難をもたらし得る。したがって、複数の物理パラメータを感知するように構成された光学センサを提供することが望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0004】
光学センサを用いた多次元感知のための方法及びシステムが、本明細書に記載される。いくつかの変形例では、多次元感知のための方法は、測定領域に近接する単一の光学センサからセンサ信号を受信することと、センサ信号からの複数のセンサ応答を判定することと、複数のセンサ応答から複数の測定信号を生成することと、を含み得る。測定信号の各々は、測定領域の異なるそれぞれの物理信号に対応し得る。
【0005】
いくつかの変形例では、複数のセンサ応答のセンサ応答は、モードシフト、ベースラインドリフト、モード分割、モード拡大、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。いくつかの変形例では、センサ応答は、共振周波数、深度の変化、形状の変化、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上の変化を含むモードシフトであり得る。いくつかの変形例では、環境の物理信号は、環境の温度、圧力、及び音響波のうちの少なくとも2つであり得る。
【0006】
いくつかの変形例では、複数の測定信号を生成することは、物理信号の少なくとも一部分を分離することを更に含み得る。物理信号の少なくとも一部分を分離することは、第1の期間の複数のセンサ応答の第1のセンサ応答を分析することを含み得る。第1の期間の第1の測定信号は、第1のセンサ応答に基づいて生成され得る。複数のセンサ応答の第2のセンサ応答は、第2の期間にわたって分析され得る。第2の期間の第2の測定信号は、第2のセンサ応答に基づいて生成され得る。いくつかの変形例では、方法は、第3の期間の第3のセンサ応答を分析し、第3のセンサ応答に基づいて、第3の期間の第3の測定信号を生成することを更に含み得る。いくつかの変形例では、第1の応答は、モードシフトを含み得、第1の測定信号は、温度に対応し得る。第2のセンサ応答は、ベースラインシフトを含み得、第2の測定信号は、圧力に対応し得る。
【0007】
いくつかの変形例では、物理信号の少なくとも一部分を分離することは、標的物理信号に基づいて環境を選択的に変更することを含み得る。いくつかの変形例では、物理信号の少なくとも一部分を分離することは、標的物理信号とは異なる物理信号のうちの1つ以上を抑制することを含み得る。いくつかの変形例では、物理信号のうちの1つ以上を抑制することは、標的物理信号とは異なる1つ以上の物理信号が光学センサの第1の感度信号領域内にあるように、環境を調整することを含み得る。いくつかの変形例では、1つ以上の物理信号を抑制することは、環境の温度、圧力、及び音響特性のうちの少なくとも1つを修正することを含み得る。
【0008】
いくつかの変形例では、物理信号の少なくとも一部分を分離することは、標的物理信号に対する光学センサの感度を増加させることを含み得る。いくつかの変形例では、光学センサの感度を増加させることは、標的物理信号が第1の感度信号領域とは異なる光学センサの第2の感度信号領域内にあるように、センサの環境を調整することを含み得る。例えば、第2の感度信号領域は、第1の感度信号領域よりも高くてもよい。いくつかの変形例では、感度を増加させることは、第1の感度信号領域に関連付けられた第1の期間の複数のセンサ応答の第1のセンサ応答を分析することと、標的物理信号に対応する第1の測定信号を生成することと、を含み得る。
【0009】
いくつかの変形例では、複数の測定信号を生成することは、複数のセンサ応答の第1のセンサ応答を第1の物理信号に関連付けることと、複数のセンサ応答の第2のセンサ応答を第2の物理信号に関連付けることと、を含み得る。いくつかの変形例では、複数の測定信号を生成することは、信号変換関数を複数のセンサ応答に適用することを含み得る。信号変換関数は、信号変換行列を含み得る。
【0010】
いくつかの変形例では、光学センサは、光学センサのアレイ内の第1の光学センサを備え得る。いくつかの変形例では、センサ信号は、第1のセンサ信号を含み得、複数のセンサ応答は、第1の複数のセンサ応答を含み得、方法は、光学センサのアレイ内の第2の光学センサから第2のセンサ信号を受信することと、第2の光学センサからの第2の複数のセンサ応答を判定することと、第1の物理信号を示す第1の測定信号を生成することと、を更に含み得る。第1の測定信号は、第1の光学センサに対する第1の複数のセンサ応答、第2の光学センサに対する第2の複数のセンサ応答、並びに第1及び第2の光学センサの第1の物理信号及び第2の物理信号に対する感度に基づいてもよい。
【0011】
いくつかの変形例では、複数の測定信号は、基準センサからの基準信号に少なくとも部分的に基づいて生成され得る。いくつかの変形例では、光学センサは、干渉ベースの光学センサを備え得る。いくつかの変形例では、光学センサは、光学共振器又は光学干渉計を備え得る。いくつかの変形例では、光学センサは、ウィスパリングギャラリーモード(whispering gallery mode、WGM)共振器を備え得る。いくつかの変形例では、光学センサは、マイクロバブル光学共振器、微小球共振器、マイクロトロイド共振器、マイクロリング共振器、及びマイクロディスク光学共振器のうちの1つ以上を備え得る。
【0012】
また、本明細書では、測定領域の多次元感知のためのシステムが記載されている。システムは、光学センサ、及び信号プロセッサを備え得る。信号プロセッサは、光学センサからセンサ信号を受信し、センサ信号からの複数のセンサ応答を判定し、複数のセンサ応答から複数の測定信号を生成するように構成され得る。各測定信号は、測定領域の異なるそれぞれの物理信号に対応し得る。
【0013】
いくつかの変形例では、複数のセンサ応答のセンサ応答は、モードシフト、ベースラインドリフト、モード分割、モード拡大、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択され得る。いくつかの変形例では、センサ応答は、共振周波数の変化、深度の変化、形状の変化、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含むモードシフトであり得る。
【0014】
いくつかの変形例では、環境の物理信号は、環境の温度、圧力、及び音響波のうちの2つ以上を含み得る。いくつかの変形例では、光学センサは、干渉ベースの光学センサを備え得る。いくつかの変形例では、光学センサは、光学共振器又は光学干渉計を備え得る。いくつかの変形例では、光学センサは、ウィスパリングギャラリーモード(WGM)共振器を備え得る。いくつかの変形例では、光学センサは、マイクロバブル共振器、微小球共振器、マイクロトロイド共振器、マイクロリング共振器、マイクロボトル共振器、マイクロシリンダ、又はマイクロディスク光学共振器のうちの1つ以上を備え得る。いくつかの変形例では、光学センサは、円、レーストラック、及び楕円の断面形状のうちの1つ以上を含むマイクロリング共振器を備え得る。
【0015】
いくつかの変形例では、光学センサは、光学センサのアレイの第1の光学センサを備え得、システムは、光学センサのアレイを更に備え得る。いくつかの変形例では、光学センサのアレイは、第2の光学センサを備え得る。第1の光学センサは、第1の物理信号に対して、第2の光学センサよりも高い感度を有し得、第2の光学センサは、第2の物理信号に対して、第1の光学センサよりも高い感度を有し得る。第1及び第2の物理信号は、異なる場合がある。
【0016】
いくつかの変形例では、第1の光学センサの環境は、第1の物理信号を強化するように構成され得るか、又は第2の光学センサの環境は、第1の物理信号を抑制するように構成され得るか、又はその両方である。いくつかの変形例では、第1の光学センサの環境が、第2の物理信号を抑制するように構成され得るか、又は第2の光学センサの環境は、第2の物理信号を強化するように構成され得るか、又はその両方である。いくつかの変形例では、システムは、測定領域の物理信号のうちの1つ以上に対応する基準信号を提供するように構成された基準センサを更に備え得る。いくつかの変形例では、基準センサは、光学センサを備え得る。いくつかの変形例では、基準センサは、非光学センサを備え得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ウィスパリングギャラリーモード(WGM)微小球共振器の例示的な変形例を示す。
図2】温度及び圧力などの物理信号を測定するように構成された光学センサを備えるシステムの例示的な変形例の概略ブロック図である。
図3】複数の物理信号を感知するためのシステムの例示的な変形例の概略ブロック図である。
図4】単一の光学センサを使用して複数の物理信号を感知する方法の例示的な変形例のフローチャートである。
図5】複数の物理信号を感知するための光学センサの例示的な変形例の概略図である。
図6A-6C】それぞれ、光学センサに近接する測定領域における公称条件、圧力変化、及び温度変化に応答する例示的な光学センサ信号を示す。
図7A】感度領域を有するセンサ応答曲線を示す例示的なプロットである。
図7B】不感領域を有するセンサ応答曲線を示す例示的なプロットである。
図8】センサによって検出された個々の物理信号を分離することによって多次元感知を実行するためのシステムの例示的な変形例の概略ブロック図である。
図9】光学センサの環境を変更することによって、光学センサによって検出された個々の物理信号を分離することによって多次元感知を実行するためのシステムの例示的な変形例の概略ブロック図である。
図10】センサの感度を調整するためにセンサの環境を変更するように構成されたシステムの例示的な変形例の概略ブロック図を示す。
図11】センサによって検出された複数の物理信号を区別することによって多次元感知を実行するためのシステムの例示的な変形例の概略図である。
図12】センサの複数のセンサ応答を組み合わせることによって多次元感知を実行するためのシステムの例示的な変形例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の種々の態様及び変形例の非限定的な例が本明細書に記載され、添付の図面に示される。
【0019】
本明細書では、複数の物理信号(例えば、温度、圧力)を感知(例えば、検出、測定、判定)するためのシステム及び方法を説明する。例えば、単一の光学センサは、例えば、単一のセンサを使用して実質的に同時に複数の物理信号の正確な測定を可能にし得る、複数の物理信号を検出するように構成され得る。物理信号は、物理システムの状態に関連付けられた物理的特性又は特徴に対応し得る。
【0020】
複数の物理信号を測定するように構成されたセンサは、様々な用途に有用であり得る。例えば、心血管治療、心血管監視及び診断、患者監視並びに診断、外科的処置などのいくつかの医療デバイスは、2つ以上の物理信号の検出を必要とし得る。同様に、消費者(例えば、スマートホーム)、組織(例えば、ヘルスケア、輸送)、及び産業(例えば、製造)におけるアプリケーションを有するモノのインターネット(Internet of Things、IoT)デバイスは、多くの場合、2つ以上の物理信号の測定を必要とする。
【0021】
従来、デバイス及びシステムは、様々な物理信号を検出するために複数の異なるセンサを組み込み、各センサは、別個のそれぞれの物理信号を検出するように構成されている。例えば、デバイスは、温度を測定するための温度センサと、圧力を測定するための別個の圧力センサとを組み込んでもよい。しかしながら、異なる物理信号を検出するために別個のセンサを有することは、別個のセンサがパッケージ化のためにより多くの物理容積を必要とし、別個の電子機器及び接続を必要とし得るため、デバイスをよりかさばらせ、かつ/又は設計上の課題を引き起こさせる可能性がある。別個のセンサを有することはまた、損傷及び故障の影響を受けやすい追加の構成要素があるため、デバイスの信頼性を低下させる可能性がある。
【0022】
したがって、デバイス又はシステムが、多次元感知を実行できる(例えば、複数の異なる物理信号をリアルタイム又はほぼリアルタイムで実質的に同時に測定する)単一のセンサを有することが有利であり得る。本明細書では、そのような多次元感知のためのシステム及び方法について説明する。これは、デバイス及び/又はシステムのサイズ、エネルギー要件、信号干渉、及びコストのうちの1つ以上を低減し得る。
【0023】
光学センサシステム
複数の物理信号を測定するように構成された光学センサシステムは、一般に、モードシフト(例えば、周波数、深度、応答の形状の変化)、ベースラインドリフト、モード分割、及びモード拡大などのセンサ応答を分析することによって、光学センサ(例えば、単一のセンサ)を使用して、温度、圧力、音響波などの複数の物理信号を検出し得る1つ以上の光学センサを含み得る。本明細書に記載される光学センサは、有利には、従来のセンサと比較して高感度かつ広帯域幅を有し得る。
【0024】
いくつかの変形例では、光学センサは、光学干渉計、光学共振器などの干渉ベースの光学センサを含み得る。光学干渉計の例は、マッハツェンダー干渉計、マイケルソン干渉計、ファブリペロー干渉計、サニャック干渉計などを含み得る。例えば、マッハツェンダー干渉計は、2つのほぼ同一の光路(例えば、ファイバ、オンチップシリコン導波路)を含み得る。その2つの光路は、音響波の存在又は大きさを検出するためのマッハツェンダー干渉計の出力における光パワーを分布するように構成された(例えば、音響波によって引き起こされる物理的な動き、音響波によって引き起こされる屈折率の調整によって)微調整された音響波を含み得る。
【0025】
一般に、光学共振器は、閉ループ透明媒体を含み得、この閉ループ透明媒体は、所定の周波数の光が閉ループ内を連続的に伝搬することを可能にし、かつ閉ループ内に所定の周波数の光の光エネルギーを蓄積することを可能にし得る。例えば、光学共振器は、ウィスパリングギャラリーモード(WGM)共振器を備え得、WGM共振器は、共振器の円周に沿って循環する所定の周波数に対応する光学共振器の凹面を移動するウィスパリングギャラリーモード(WGM)(例えば、波)の伝搬を可能にするように構成され得る。WGM共振器の各モードは、所定の周波数の光からの周波数の光の伝搬に対応し得る。所定の光の周波数及び光学共振器のQ値は、光学共振器の幾何学的パラメータのセット、透明媒体の屈折率、及び光学共振器を取り囲む環境の屈折率のセットに少なくとも部分的に基づき得る。
【0026】
いくつかの変形例では、WGM共振器は、実質的に湾曲した部分(例えば、球状部分、トロイド形状部分、リング形状部分)を含み得る。実質的に湾曲した部分は、ステム部分(例えば、結合された、取り付けられた、統合された)によって支持され得る。WGM共振器の形状(例えば、WGM共振器の実質的に湾曲した部分の形状)は、任意の好適な形状であり得る。例えば、WGM共振器の形状は、球状(すなわち、中実球)、バブル形状(すなわち、キャビティを有する球状)、円筒形、楕円形、リング、ディスク、トロイドなどであり得る。WGM共振器の一部の非限定的な例としては、マイクロリング共振器(例えば、円形マイクロリング共振器、レーストラックの形状を有する共振器などの非円形マイクロリング共振器、楕円)、マイクロボトル共振器、マイクロバブル共振器、マイクロスフェア共振器、マイクロシリンダ共振器、マイクロディスク共振器、マイクロトロイド共振器、それらの組み合わせなどが挙げられる。
【0027】
図1は、WGM微小球共振器102の例示的な変形例である。WGM微小球共振器102は、実質的に湾曲した部分102a(例えば、球状部分)を含み得る。実質的に湾曲した部分102aは、ステム部分102bによって支持することができる。いくつかの変形例では、WGM微小球共振器102の実質的に湾曲した部分102aは、WGM微小球共振器102のステム部分102bの端部に結合されるか、又は統合されてもよい。
【0028】
上記で考察されたように、WGM微小球共振器102は、光の周波数の所定のセットを捕捉(例えば、ホールド、キャプチャ、保持)するように構成され得る。光の周波数の所定のセットは、WGM微小球共振器102の実質的に湾曲した部分102a内を循環するように構成され得、それによって、WGM微小球共振器102の表面に沿った(例えば、実質的に湾曲した部分102aの円周に沿った)ウィスパリングギャラリーモードの伝搬を可能にする。いくつかの変形例では、WGM微小球共振器102によって伝搬されるWGMの各セットは、WGM微小球共振器102内の1つ以上の平面に閉じ込めることができる。
【0029】
図1に示すWGM微小球共振器は球状を有しているが、実質的に湾曲した部分102aは、任意の好適な形状であり得る。一般に、WGM共振器102の性能特徴のうちの1つ以上は、その形状に依存し得る。例えば、概して、より球状の微小球は、WGMをWGM共振器内に閉じ込める際により効果的であり得る。WGM微小球共振器102の一部の好適な変形例は、(例えば、約0~約0.9などのある程度の偏心を有する)楕円形であり、かつ本明細書に記載されてもよい。
【0030】
光学センサを使用して光を効率的に感知するために、入射光と共振光との間の位相整合が必要とされ得る。いくつかの変形例では、位相整合を提供するように構成された光導波路は、光を光学センサに結合するために使用され得る。光導波路は、光学センサの感知能力を効率的に利用し得る制御可能かつロバストな光を提供すように構成され得る。したがって、いくつかの変形例では、センサシステムは、少なくとも1つの光導波路及び1つ以上の光学センサを含み得る。
【0031】
いくつかの変形例では、光導波路及び光学センサの少なくとも一部分は、ポリマー構造内に埋め込まれ、それによって、光導波路及び光学センサを封入することができる。ポリマー構造は、光学センサが特に壊れやすく、物理的損傷を受けやすい可能性がある物理的損傷から光学センサ及び光導波路を保護し得る。いくつかの変形例では、ポリマーコーティングの屈折率は、光学センサの効果的な屈折率よりも低くてもよい。これにより、パッケージ化された光学センサが、広範囲の周波数に応答することが可能となり得る。
【0032】
多次元感知に使用され得る光学システムの更なる例(例えば、光学センサのタイプ、光学センサの製造及びパッケージ化)は、国際特許出願第PCT/US2020/064094号、国際特許出願第PCT/US2021/022412号、及び国際特許出願第PCT/US2021/039551号に記載されており、その各々が参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
図2は、複数の物理信号を感知するためのシステム200の例示的な変形例の概略図である。システム200は、光学センサ202、光導波路204、光源206、光検出器208、温度プロセッサ210、圧力プロセッサ212、及び任意選択のディスプレイ214を備え得る。いくつかの変形例では、光学センサ202は、測定領域内又は測定領域に近接して、温度及び圧力などの複数の物理信号を測定するように構成され得る。図2に見られるように、光学センサ202(例えば、WGM共振器などの光学共振器)は、光源206(例えば、レーザ)及び光検出器208(例えば、光検出器、光放出)に、1つ以上の光導波路204(例えば、光ファイバ、スラブ導波路)を介して光結合(例えば、光通信)されるように構成され得る。例えば、光源206は、光導波路204を介して光を光学センサ202に伝送するように構成され得る。光検出器208は、光導波路204を介して光学センサ202から変調された光信号を受信し、光学センサ202から受信された光信号(例えば、センサ信号)を電気信号に変換するように構成され得る。以下で更に詳細に説明されるように、光検出器208は、光検出器208からの電気信号から複数のセンサ応答(例えば、測定データ)を判定するように構成された1つ以上のプロセッサ(例えば、温度データを判定するための温度プロセッサ210、圧力データを判定するための圧力プロセッサ212)に通信可能に結合され得る。プロセッサは、ディスプレイ214、メモリデバイス(図示せず)などのデータ(例えば、入力/出力デバイス)を処理するための構成要素に通信可能に結合され得る。
【0034】
いくつかの変形例では、光学センサ202は、上記のような任意の好適な光学センサ(例えば、WGMを伝搬するように構成されたWGM共振器)を備え得る。いくつかの変形例では、光学センサ202は、例えば、約200μm未満の直径を含み得る。
【0035】
単一の光学センサ202が図2に示されているが、いくつかの変形例では、システム200は、光学センサアレイを含み得、光学センサ202のうちの少なくとも1つは、複数の物理信号に対応する複数の測定信号を生成するために使用されるセンサ信号を生成するように構成され得ることを理解されたい。したがって、アレイは複数の光学センサを含み得るが、アレイ内の各(又は少なくとも1つの)光学センサは、アレイ内の他の光学センサから独立してかつ単独で、複数の物理信号を測定することができる多次元センサとして機能し得る。
【0036】
上記のように、光源206は、光学センサに光を伝送するように構成され得る。光源206は、例えば、光ファイバなどの光導波路を介して、連続波又はパルスレーザエネルギーをセンサに放射するレーザを含み得る。光学センサがWGM共振器である変形例では、光源206からの光は、WGM共振器の周囲の表面(例えば、壁)の周りにWGMの第1のセットを伝搬し得る。WGMの第1のセットの伝搬により、WGMの第1のセットの共振周波数に対応する光信号の第1のセットが生成され得る。WGM共振器に近接する測定領域内の温度及び/又は圧力が変化すると、WGM共振器の半径及び/又は屈折率に対する変化のセット及び/又はWGM共振器に近接する環境の屈折率が誘発され得る。いくつかの変形例では、これらの変化のセットにより、WGM共振器の周囲の壁の周りにWGMの第2のセットを伝搬することができる。WGMの第2のセットの伝搬により、WGMの第2のセットの共振周波数に対応する光信号の第2のセットが生成され得る。いくつかの変形例では、光信号の第1のセット及び光信号の第2のセットは、光導波路204内で光検出器208に伝搬するように構成され得、光検出器208は次いで、光信号をセンサ応答に処理する(例えば、光信号の第1のセットを電気信号の第1のセットに変換し、光信号の第2のセットを電気信号の第2のセットに変換する)。
【0037】
いくつかの変形例では、光検出器208は、センサ信号(例えば、光検出器208からの電気信号)から判定された複数のセンサ応答に基づいて、複数の物理信号に対応する測定信号を生成するように構成された1つ以上のプロセッサに結合され得る。いくつかの変形例では、プロセッサのうちの1つ以上は、図3に関して以下で説明されるものなどの信号プロセッサの一部であり得る。
【0038】
例えば、図2に示されるように、光検出器208は、温度プロセッサ210及び圧力プロセッサ212に結合され得る。温度プロセッサ210は、電気信号の第1のセット及び/又は電気信号の第2のセット(例えば、センサ信号)から判定された1つ以上のセンサ応答を特徴付け、温度に対応する測定信号(複数可)を生成するように構成され得る。いくつかの変形例では、温度プロセッサ210は、電気信号の第1及び第2のセットの間のセンサ応答に基づいて、温度の変化及び/又は温度の絶対値を示す測定信号(複数可)を生成し得る。例えば、モードシフト(例えば、光信号の第1のセットのWGMの共振周波数の第1のセットから光信号の第2のセットのWGMの共振周波数の第2のセットへの変化)は、測定領域の温度に対応するか、又は測定領域の温度を示し得る。したがって、温度プロセッサ210は、モードシフトを分析することによって、測定領域の温度情報を生成するように構成され得る。同様に、ベースラインドリフト(例えば、光信号の第1のセットの光信号の第2のセットに対するベースライン信号値(複数可)の変化)は、測定領域の圧力に対応し得るか、又は測定領域の圧力を示し得る。したがって、圧力プロセッサ212は、ベースラインドリフトを分析することによって、測定領域の圧力情報を生成するように構成され得る。いくつかの変形例では、モードシフトは、共振周波数のシフトを含み得る。しかしながら、モードシフトは、周波数のシフト、波高のシフト(例えば、深度の変化)、及び波の形状のシフト(例えば、形状の変化)のうちの1つ以上を含み得ることを理解されたい。
【0039】
いくつかの変形例では、複数の物理信号(例えば、温度情報及び圧力情報)に対応する複数の測定信号は、例えば、測定領域のリアルタイム監視のためにディスプレイ214に伝送され得る。いくつかの変形例では、ディスプレイ214は、インタラクティブなユーザインターフェース(例えば、タッチスクリーン)を含み得、コマンドのセット(例えば、一時停止、再開など)を光源206に伝送するように構成され得る。いくつかの変形例では、撮像システム200は、撮像システム200に情報を入力するために、又は撮像システム200から情報を出力するために使用される補助デバイスのセット(図示せず)を更に含み得る。いくつかの変形例では、補助デバイスのセットは、例えば、キーボード、マウス、モニタ、ウェブカメラ、マイクロフォン、タッチスクリーン、プリンタ、スキャナ、仮想現実(VR)ヘッドマウントディスプレイ、ジョイスティック、バイオメトリックリーダなどのうちの1つ以上を含み得る。追加的又は代替的に、いくつかの変形例では、システム200は、1つ以上の記憶デバイス(例えば、ローカル又はリモートメモリデバイス(複数可))を含むか、又は1つ以上の記憶デバイス(例えば、ローカル又はリモートメモリデバイス)に通信可能に結合され得る。
【0040】
図2は、2つの別個のプロセッサ(すなわち、温度を測定するための温度プロセッサ210及び圧力を測定するための圧力プロセッサ212)を示すが、いくつかの変形例では、単一のプロセッサを使用して、温度情報及び圧力情報を抽出することができることを容易に理解されたい。更に、いくつかの変形例では、複数のプロセッサを使用して温度情報を抽出し得、かつ/又は複数のプロセッサを使用して圧力情報を抽出し得る(例えば、異なる測定信号を平均化する目的で)。言い換えれば、測定された物理信号に対するプロセッサのn:mの比率があり得、nはmに等しいか、又はnはm未満か、又はnはmより大きい。更に、プロセッサ(複数可)は、異なる物理信号に対応する他の種類の測定データを判定するように構成され得る。例えば、いくつかの変形例では、第3のプロセッサ(図示せず)は、音響波に対応するセンサ応答から測定データを判定するように構成され得る(例えば、超音波撮像)。
【0041】
図3は、複数の物理信号を感知するためのシステム300の例示的な変形例の概略図である。いくつかの変形例では、システム300は、光学センサ302に近接する測定領域316と、信号プロセッサ312と、を備える光学センサ302(例えば、WGM共振器)を含み得る。光学センサ302は、図2に関して説明したものと同様に、光検出器(図3には図示せず)を介して信号プロセッサ312に通信可能に結合され得る。例えば、上述したものと同様に、光学センサ302は、光学検出器に光学的に結合され得る。次に、光検出器は、ネットワークを介して、信号プロセッサ312に通信可能に結合され得る。
【0042】
光学センサ302は、任意の好適な光学センサであってもよく、本明細書に記載される光学共振器(例えば、WGM共振器)のうちのいずれかを含んでもよい。測定領域316は、WGM共振器をパッケージ化するポリマー構造を含み得る。
【0043】
いくつかの変形例では、信号プロセッサ312は、1つ以上のプロセッサ(例えば、CPU)(例えば、図2に関して上述されたプロセッサに類似したもの)を含み得る。プロセッサ(複数可)は、命令又はコードのセットを動作させ、かつ/又は実行するように構成された任意の好適な処理デバイスであり得、1つ以上のデータプロセッサ、画像プロセッサ、グラフィック処理ユニット、デジタル信号プロセッサ、及び/又は中央処理ユニットを含み得る。プロセッサは、例えば、汎用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)などであり得る。プロセッサ(複数可)は、アプリケーションプロセス及び/又はシステム300に関連付けられた他のモジュール、プロセス及び/又は機能を動作させ、かつ/又は実行するように構成され得る。
【0044】
いくつかの変形例では、信号プロセッサ312は、アプリケーションプロセス及び/又は他のモジュールを動作させ、かつ/又は実行し得る。プロセッサによって実行された場合、これらのプロセス及び/又はモジュールは、特定のタスクを実行するように構成され得る。これらの特定のタスクは、集合的に、信号プロセッサ312がセンサ応答を分析して、複数の測定信号を生成することを可能にし得、その各々は、物理信号を示し得る。例えば、これらの特定のタスクは、信号プロセッサ312が、測定領域316内の温度、圧力、音響波などの変化によって引き起こされる光学センサ302のセンサ応答に基づいて、複数の物理信号を正確に検出することを可能にし得る。
【0045】
いくつかの変形例では、アプリケーションプロセス及び/又は他のモジュールは、ソフトウェアモジュールであり得る。ソフトウェアモジュール(ハードウェア上で実行される)は、C、C++、Java(登録商標)、Python、Ruby、Visual Basic(登録商標)、及び/又は他のオブジェクト指向、手続き型、若しくは他のプログラミング言語及び開発ツールを含む、様々なソフトウェア言語(例えば、コンピュータコード)で表現され得る。コンピュータコードの例は、マイクロコード又はマイクロ命令、コンパイラによって生成されるなどの機械命令、ウェブサービスを生成するために使用されるコード、及びインタプリタを使用してコンピュータによって実行される高レベル命令を含むファイルを含むが、これらに限定されない。コンピュータコードの追加の例は、制御信号、暗号化されたコード、及び圧縮されたコードを含むが、これらに限定されない。
【0046】
いくつかの変形例では、信号プロセッサ312は、データ及び/又は情報を格納するように構成されたメモリを備え得る。いくつかの変形例では、メモリは、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、静的RAM(static RAM、SRAM)、動的RAM(dynamic RAM、DRAM)、メモリバッファ、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(erasable programmable read-only memory、EPROM)、電気的に消去可能な読み取り専用メモリ(electrically erasable read-only memory、EEPROM)、読み取り専用メモリ(read-only memory、ROM)、フラッシュメモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、それらの組み合わせなどのうちの1つ以上を備え得る。本明細書に記載されるいくつかの変形例は、様々なコンピュータ実装動作を実行するための命令又はコンピュータコードをその上に有する非一時的なコンピュータ可読媒体(非一時的なプロセッサ可読媒体とも称される場合がある)を有するコンピュータストレージ製品に関する場合がある。コンピュータ可読媒体(又はプロセッサ可読媒体)は、それ自体が一時的な伝搬信号(例えば、空間又はケーブルなどの伝送媒体上の情報を伝搬する伝搬電磁波)を含まないという意味で非一時的である。メディア及びコンピュータコード(コード又はアルゴリズムとも称される場合がある)は、特定の目的又は複数の目的のために設計され、かつ構築されたものであり得る。
【0047】
測定領域316の変化に応答して、光学センサ302は、1つ以上のセンサ信号(例えば、モードシフト、ベースラインドリフト、モード分割、モード拡大)を光信号として光検出器に送信するように構成され得る。光検出器は、光信号を複数のセンサ応答(例えば、電気信号)に変換するように構成され得る。センサ応答を示す電気信号は、信号プロセッサ312に伝送され得る。いくつかの変形例では、光検出器(図3には図示せず)は、コンピューティングデバイス及び/又はネットワーク(図3には図示せず)を介して、信号プロセッサ312に通信可能に結合され得る。
【0048】
いくつかの変形例では、信号プロセッサ312は、以下に説明するような方法を使用して(例えば、個々の物理信号を分離するか、又はそうでなければ区別することによって、かつ/又は個々の物理信号を判定するために、複数のセンサ応答を集合的に分析することによって)センサ応答を分析するように構成され得る。信号プロセッサ312は、個々の物理信号に対応し(例えば、個々の物理信号を示し)得る測定信号を生成するように更に構成され得る。このようにして、信号プロセッサ312は、複数の物理信号を検出するように構成され得る。
【0049】
複数の物理信号を検出する方法
いくつかの変形例では、複数の物理信号を検出する方法は、測定領域に近接する単一の光学センサからセンサ信号を受信することを含み得る。複数のセンサ応答は、センサ信号から判定され得る。複数の測定信号は、複数のセンサ応答から生成され得、各測定信号は、測定領域の異なる物理信号を示し得る。これらの複数の測定信号は、以下で更に説明されるように、個々の物理信号を分離すること及び/又は個々の物理信号を判定するために複数のセンサ応答を集合的に分析することなどの様々な技術によって生成され得る。
【0050】
図4は、単一の光学センサを使用して複数の物理信号を検出する方法400の例示的な変形例のフローチャートである。方法400は、測定領域に近接する単一の光学センサからセンサ信号を受信すること(402)と、センサ信号から複数のセンサ応答を判定すること(404)と、複数のセンサ応答から複数の測定信号を生成すること(406)と、を含み得る。各測定信号は、測定領域の異なるそれぞれの物理信号を示し得る。方法は、例えば、測定領域に近接する単一の光学センサ(例えば、図1の光学センサ102、図2の光学センサ202、又は図3の光学センサ302に構造的に、かつ/又は機能的に類似する)からセンサ信号を受信し得る信号プロセッサ(例えば、図3の信号プロセッサ312に構造的に、かつ/又は機能的に類似する)によって実行され得る。
【0051】
図5は、複数の物理信号を検出するための光学センサ502の例示的な変形例の概略図を示す。光学センサ502に近接する測定領域の物理的特徴は、光学センサ502のセンサ応答に反映され得る。例えば、光学センサ502は、音響波(例えば、反射された音響波)、温度、及び圧力などの測定領域の物理的特徴(例えば、物理信号)を検出するように構成され得る。これらの特徴は、物理信号521a、521b、521nなど(一般に、物理信号521と称される)として示される。物理信号に応答して、光学センサ502は、モードシフト、ベースラインドリフト、モード分割、モード拡大などの1つ以上のセンサ応答を含むセンサ信号525を生成し得る。これらのセンサ応答は、センサ応答523a、523b、523mなど(一般に、センサ応答523と称される)として示される。センサ信号525は、光学センサ502によって出力された全てのセンサ応答523a、523b、523mなどを含んでよい。
【0052】
光学センサ502による複数の物理信号の検出は、以下として記される:
=T(x,x,…x),i=1,2,…m(1)
式中、{x}は、物理信号を表し、{y}は、センサ応答を表し、{T}は、システム変換を表す。一般に、x又はyのいずれかは、時間の関数であり得るが、単純変数でもあり得る。Tは、線形か、又は非線形のいずれかであり得る。
【0053】
いくつかの変形例では、各センサ応答523は、所定の物理信号521に関連付けられてもよい(例えば、所定の物理信号521に対してより感度が高くてもよいか、又は所定の物理信号521に応答してもよい)。例えば、センサ応答523aは、物理信号521aに対してより感度が高くてもよく、一方、センサ応答523bは、物理信号521bに対してより感度が高くてもよい(例えば、より密接に関連付けられてもよい)。いくつかの変形例では、複数のセンサ応答は、所定の物理信号に関連付けられ得る。
【0054】
異なるセンサ応答が異なる物理信号にどのように関連付けられ得るかの例示的な例として、図6A~6Cは、測定領域の異なる物理信号(温度及び圧力)に応答して例示的なWGM共振器によって生成される3つの例示的なセンサ信号を示すプロットを示す。各プロットの横軸は、nm単位の波長を表し、縦軸は、WGM共振器光学出力の振幅を表す。
【0055】
図6Aは、温度T=t及び圧力P=pの測定領域の条件下でのセンサ信号を示す。このプロットに見られるように、センサ信号は、共振周波数に関するもの、及びベースライン値に関するものの2つのセンサ応答を有し得る。例えば、センサ信号は、約932nm、約935.3nm、約938.7nm、及び約942nmの場所における4つの共振周波数を表す第1のセンサ応答を有し得、第2のセンサ応答は、約590単位の振幅のベースラインを表す。
【0056】
図6Bは、測定領域における圧力変化に応答するセンサ信号を示す:P=p+Δp。このプロットに見られるように、ベースライン(例えば、センサ応答)は、図6Aに示されるベースライン振幅に対して約540単位の振幅に有意にシフトされる。しかしながら、共振周波数は、図6Aに示されるものと比較してほとんど減少していない。したがって、図6Bは、ベースラインシフトが、モードシフトよりも圧力に対してより感度が高いセンサ応答であることを示す。言い換えれば、WGM共振器応答のベースラインは、圧力変動を検出するためにより好適であり得る。いくつかの変形例では、センサ応答(例えば、ベースライン)は、圧力が変化するときのセンサ応答の変化のパーセンテージとして表され得る。例えば、ベースラインは、P=pからP=p+Δpへのベースラインの変化のパーセンテージとして表され得る。
【0057】
図6Cは、測定領域の温度変化に応答するセンサ信号を表す:T=t+Δt。図6Cでは、共振周波数は各々、図6Aに示されるものと比較して0.7nm超(例えば、少なくとも約0.007%)有意に減少するが、ベースラインは、図6Aに示されるものと比較して約600単位の振幅に非常にわずかに増加するだけである。したがって、図6Cは、モードシフトが、ベースラインシフトよりも温度に対してより感度が高いセンサ応答であることを示す。言い換えれば、共振周波数シフトは、温度変動を検出するためにより好適であり得る。いくつかの変形例では、センサ応答(例えば、周波数シフト)は、圧力が変化するときのセンサ応答の変化のパーセンテージとして表され得る。例えば、モードシフトは、T=tからT=t+Δtへのモードシフトの変化のパーセンテージとして表され得る。
【0058】
特定の物理信号に対してより感度が高いことに加えて、センサ応答は、物理信号の変化に応答して(所定の勾配閾値に対して)センサ応答が特に急速に変化する領域を有し得るという点で、その物理信号に対して少なくとも1つの感度領域を有し得る。図7Aは、感度領域を有する例示的なセンサ応答曲線を示す例示的なプロットである。図7Aに見られるように、値Aを下回る物理信号のより低い値では、センサ応答は、物理信号の増加とともにゆっくりと増加する。しかしながら、光学センサの感度領域(物理信号のパラメータ値A及びBに対応する2つの垂直バーによって示されるセンサ応答曲線のセグメント)では、センサ応答曲線の傾きが急激になり、物理信号の値AとBとの間の物理信号の単位増加ごとにセンサ応答がより急速に増加することを示す。値Bを上回る物理信号のより高い値では、センサ応答は、物理信号の増加とともに再びゆっくりと増加する。
【0059】
追加的又は代替的に、センサ応答は、物理信号の変化に応答してセンサ応答が比較的ゆっくりと変化する領域を有し得るという点で、物理信号のための少なくとも1つの不感領域を有し得る。図7Bは、不感領域を有する例示的なセンサ応答曲線を示す例示的なプロットである。図7Bに見られるように、値Cを下回る物理信号のより低い値では、センサ応答は、物理信号の増加とともに急速に増加する。しかしながら、光学センサの不感領域(センサ応答曲線のセグメントは、物理信号のパラメータ値C及びDに対応する2つの垂直バーによって示される)において、センサ応答曲線の勾配は約ゼロであり、センサ応答が物理信号の単位増加当たりほとんど又はまったく変化しないことを示す。値Dを上回る物理信号のより高い値では、センサ応答は、物理信号の増加とともに再びより急速に増加する。
【0060】
したがって、上記のように、多次元感知のための方法は、センサ応答から測定信号を生成することを含み得、これらの測定信号の各々は、それぞれの物理信号を示し得る。例えば、信号プロセッサは、共振周波数シフト(例えば、モードシフト)に少なくとも部分的に基づいて、温度測定信号を生成し得、ベースラインドリフトに少なくとも部分的に基づいて、圧力測定信号を生成し得る。以下で更に詳細に説明するのは、個々の物理信号を分離すること、及び/又は個々の物理信号を判定するために複数のセンサ応答を集合的に分析することを含む、センサ応答から測定信号を生成することの例示的な変形例である。
【0061】
個々の物理信号の分離
上記で考察されたように、各センサ応答は、所定の物理信号に対して比較的感度が高くてもよい。したがって、いくつかの変形例では、異なる物理信号の測定信号は、個々の物理信号を分離することによって生成され得、分離することは、所定の期間の各センサ応答を分析し、そのセンサ応答に最も相関する物理信号の測定信号を生成することを含み得る。このように、分離された物理信号は、互いに区別され得、分離された(例えば、分離された)センサ応答を分析することによって、別々に分析され得る。
【0062】
更に、上述のように、センサ応答は、特定の物理信号に対して比較的感度が高くてもよい(例えば、モードシフトは温度に対して感度が高くてもよく、ベースラインドリフトは圧力に対してより感度が高くてもよい)。したがって、複数の物理信号を感知する方法は、1つのセンサ応答を1つの物理信号に関連付けることを含み得る。例えば、方法は、モードシフトを温度測定値に相関させ、ベースラインドリフトを圧力測定値に相関させることを含み得る。この関連付けに続いて、センサ応答(光学センサの出力)は、分析されるセンサ応答が標的物理信号(例えば、光検出器への入力)に相関するように、処理するために選択され得る。
【0063】
例えば、図8は、個々の物理信号を分離するためのシステム800の例示的な概略図である。システム800は、信号プロセッサ812に通信可能に結合された(例えば、図3の信号プロセッサ312に構造的に、かつ/又は機能的に類似している)光学センサ802(例えば、図1の光学センサ102、図2の光学センサ202、又は図3の光学センサ302に構造的に、かつ/又は機能的に類似している)を備え得る。
【0064】
システムはまた、センサ応答のセット(例えば、集合的にセンサ応答と称される)から信号プロセッサ812への1つ以上のセンサ応答の選択及び出力を制御するように構成されたマルチプレクサ828を含み得る。いくつかの変形例では、マルチプレクサ828は、時分割マルチプレクサを備え得る。したがって、マルチプレクサ828は、期間ごとに個々のセンサ応答チャネルを信号プロセッサ812に選択的に接続するように構成され得る。例えば、マルチプレクサ828及び信号プロセッサ812は、第1の期間中に第1のセンサ応答、及び第2の期間中に第2のセンサ応答を出力するように構成され得る。信号プロセッサ812は、第3の期間中に第3のセンサ応答を出力するように追加的に構成され得る。
【0065】
したがって、光学センサ802は、複数のセンサ応答を生成するように構成され得るが、マルチプレクサ828に起因して、信号プロセッサ812は、任意の所与の時点で1つのセンサ応答のみを処理するように構成され得る。例えば、図8では、信号プロセッサ812は、時間t~tのセンサ応答823a、時間t~tのセンサ応答823b、及び時間tm-1~tのセンサ応答823を処理するように構成され得る。センサ応答823aが物理信号821aに対して最も感度が高くてもよく、センサ応答823bが物理信号821bに対して最も感度が高くてもよく、センサ応答823mが物理信号821nに対して最も感度が高くてもよいことを考慮する。したがって、信号プロセッサ812は、時間t~tにわたって物理信号821aの測定信号、時間t~tにわたって物理信号821bの測定信号、及び時間tm-1~tにわたって823の測定信号を生成するように構成され得る。いくつかの変形例では、センサ応答の各々が所定の期間にわたって少なくとも1回処理された後、信号プロセッサ812は、第1のセンサ応答823aを再び処理し、分離プロセスが終了するまで応答を分析し続けるように構成され得る。いくつかの変形例では、信号プロセッサ812は、連続モード/エンドレスモード又は有限持続時間モードの少なくとも2つのモードのうちの1つでセンサ応答を処理するように構成され得る。連続モードでは、センサ応答の各々は、信号プロセッサ812、光学センサ802、及び/又はシステム800が(例えば、ユーザによって)シャットダウンされるまで、少なくとも一度、及び繰り返し処理され得る(例えば、連続して、又は任意の好適な一連で、繰り返された一連のセンサ応答823a~823m)。有限持続時間モードでは、信号プロセッサ812は、センサ応答を所定の時間の量にわたって分析するように構成され得る。例えば、センサ応答の全てが少なくとも1回処理されてもよく、信号プロセッサ812は、第1の応答823aを再び処理し、所定の時間の量(例えば、追加的又は代替的に各センサ応答が処理される所定の回数として表されてもよい2時間又は他の好適な期間)が経過するまで応答を分析し続けるように構成され得る。このようにして、信号プロセッサ812は、時分割多重化を使用して個々の物理信号を分離するように構成され得る。マルチプレクサの十分に高いスイッチング速度を考慮すると、情報を失うことなく、リアルタイム又はほぼリアルタイムで複数の物理信号を検出することが可能であり得る。
【0066】
いくつかの変形例では、信号プロセッサによる処理のために個々のセンサ応答を選択するシーケンスは、予め判定され得る。例えば、信号プロセッサは、2つのセンサ応答の間で交互に切り替わってもよく、又は同じ連続した順序で3つ以上のセンサ応答を繰り返し処理してもよい。別の例として、本質的により遅い変化率を有することが知られている特定の物理信号は、処理のために低レートでサンプリングされ得る(例えば、特定の種類の測定領域のいくつかのアプリケーションでは、測定領域の変化の温度が圧力と同じくらい速く変動することができないことが知られ得る)。別の例として、いくつかのアプリケーションでは、測定のためにより重要な物理信号に優先順位を付けるために、値をリアルタイムで測定することがより重要である特定の物理信号を、より重要でない物理信号と比較して、処理のためにより高いレートでサンプリングし得る。
【0067】
追加的又は代替的に、各センサ応答が信号プロセッサによって処理される期間(例えば、分析の持続時間)は、予め判定され得る。例えば、全てのセンサ応答が等しい期間にわたって処理され得ることが予め判定され得る。別の例として、本質的により遅い変化速度を有することが知られている、又は(少なくともいくつかのアプリケーションでは)それほど重要ではない特定の物理信号は、より短い期間にわたって処理されてもよい。
【0068】
追加的又は代替的に、信号プロセッサによる処理のための個々のセンサ応答を選択するシーケンス、及び/又は各センサ応答が処理され得る時間の量は、少なくとも時々、信号プロセッサ812によってリアルタイムで判定され得る。いくつかの変形例では、センサ応答が処理されるシーケンス及び/又は各センサ応答が処理される時間の量は、少なくとも部分的に閉ループアルゴリズムに基づく場合がある。例えば、特定の期間にわたる物理信号の変化率を閉ループアルゴリズムに供給して、その物理信号に対応するセンサ応答を信号プロセッサが処理する周波数、及び/又はその物理センサに対応するセンサ応答を信号プロセッサが処理する全体的な時間の量を動的に調整し得る。例えば、最近急速に変化し始めた物理信号に応答して、信号プロセッサは、その物理信号をリアルタイムにより密接に監視するために、その物理信号に対応するセンサ応答をより頻繁に、かつ/又はより長期間にわたって処理し得る。
【0069】
図11は、物理信号間を区別するためのシステム1100の別の例示的な変形例である。システム1100は、信号プロセッサ1112に通信可能に結合された(例えば、図3の信号プロセッサ312に構造的に、かつ/又は機能的に類似している)光学センサ1102(例えば、図1の光学センサ102、図2の光学センサ202、又は図3の光学センサ302に構造的に、かつ/又は機能的に類似している)を備え得る。
【0070】
システムはまた、複数のマルチプレクサ、例えば、第1のマルチプレクサ1128(例えば、マルチプレクサ828と構造的に、かつ/又は機能的に類似する)、及び第2のマルチプレクサ1130を含み得る。いくつかの変形例では、マルチプレクサは、同期され得る。例えば、測定される対象の物理信号が温度である場合、次いで、第2のマルチプレクサ1130が温度を検出するように切り替えられ得、第1のマルチプレクサ1128が第2のマルチプレクサ1130と同期されて、処理/分析のためのセンサ応答モードシフトを選択し得る。ただし、標的物理信号が圧力で測定される場合、第2のマルチプレクサ1130が圧力を検出するように切り替えられ得、第1のマルチプレクサ1128が第2のマルチプレクサ1130と同期されて、処理/分析のためのセンサ応答ベースラインドリフトを選択し得る。このようにして、センサ応答を物理信号に相関させ、マルチプレクサを使用して標的物理信号及び標的センサ応答を選択することは、他の物理信号からの干渉を低減し、かつ/又は最小化し、システム1100が標的物理信号を正確に測定することを可能にし得る。
【0071】
いくつかの変形例では、センサ応答は、少なくとも部分的に他の既知の情報に基づいて物理信号に相関され得る。例えば、いくつかの変形例では、複数の可能な物理信号が特定のセンサ応答に寄与し得るが、それらの物理信号に対する光学センサの相対感度は既知であり得、異なる物理信号を区別又は差別化するのを助けるために使用され得る。例えば、光学センサは、温度及び音響波の両方に対するセンサ応答(例えば、モードシフト)を本質的に有し得るが、センサの周りの環境の性質により、これらの物理信号の各々に対する既知の感度が異なる。温度信号は、例えば、センサ応答の変化率及びセンサの温度及び圧力に対する相対感度に基づいて、音響波信号から差別化されてもよい。例えば、光学センサが熱絶縁環境に配置され、それによって温度変化にやや不感である場合、次いで、モードシフトへの急速な変化は、温度信号よりも音響波信号をより示し得る。対照的に、光学センサが減衰材料に隣接しているか、又は減衰材料に埋め込まれている場合、モードシフトへの急速な変化は、音響波信号よりも温度信号をより示し得る。
【0072】
追加的又は代替的に、いくつかの変形例では、異なる物理信号を区別するのを助けるために使用される他の既知の情報は、センサ応答の典型的な周波数範囲を含み得る。例えば、センサ応答の周波数の1つ以上の所定の閾値を使用して、異なる物理信号を区別するのを助け得る。例示的な例として、上述したように、光学センサは、温度及び音響波の両方に対するセンサ応答(例えば、モードシフト)を本質的に有し得る。したがって、いくつかの変形例では、所定の閾値を上回る(例えば、約500kHzを上回る)周波数を伴うモードシフト(例えば、周波数シフト、深度の変化、形状の変化)は、温度信号よりも音響波信号をより示し得る。対照的に、所定の閾値未満(例えば、約500kHz未満)の周波数を伴うモードシフトは、音響波信号よりも温度信号をより示し得る。いくつかの変形例では、単一の所定の閾値を使用して、物理信号を区別してもよい(例えば、閾値を上回る特徴を有するセンサ応答は、第1の物理信号に対応するか、又は第1の物理信号を示し、同じ閾値を下回る特徴を有するセンサ応答は、第2の物理信号に対応するか、又は第2の物理信号を示す)。代替的に、いくつかの変形例では、複数の所定の閾値を使用して、物理信号を区別することができる。例えば、第1の閾値を上回る特徴を有するセンサ応答は、第1の物理信号に対応し(例えば、第1の物理信号を示し)得、第1の閾値よりも低い第2の閾値を下回る特徴を有するセンサ応答は、第2の物理信号を示し得る。しかしながら、第1の閾値と第2の閾値との間の特徴を有するセンサ応答は、第1の物理信号又は第2の物理信号のいずれかを示すものとして扱われ得、更なる分析(例えば、本明細書に記載の他の方法のうちの1つ)を使用して、第1の物理信号と第2の物理信号との間を更に区別し得る。
【0073】
いくつかの変形例では、個々の物理信号を分離することは、追加的又は代替的に、標的物理信号に関連付けられたセンサ応答の顕著性を選択的に高めるために、光学センサに近接する環境を変更することを含み得、これは、環境を標的物理信号に対してより感度を高くすることによって、又は標的物理信号以外の全ての物理信号に対してより感度を低くすることのいずれかによって行われる。図9は、光学センサの環境を変更することによって、個々の物理信号を分離するためのシステム900の例示的な変形例である。システム900は、環境916(例えば、ポリマーパッケージ化、他の周囲のパッケージ化)内にあり、信号プロセッサ912(例えば、図3の信号プロセッサ312に構造的に、かつ/又は機能的に類似している信号プロセッサを含む)に通信可能に結合されている光学センサ902(例えば、図1の光学センサ102、図2の光学センサ202、又は図3の光学センサ302に構造的に、かつ/又は機能的に類似している)を備え得る。光学センサ902は、環境916に近接していてもよい(例えば、図3の測定領域316に構造的に、かつ/又は機能的に類似していてもよい)。
【0074】
図9では、信号プロセッサ912の信号プロセッサは、まず、物理信号に対応する全てのセンサ応答を処理し、これらのセンサ応答を分析し、少なくとも1つの標的物理信号の同一性に基づいて、環境の1つ以上の物理的特性を変更するための環境制御信号を生成し得る。例えば、信号プロセッサ912は、標的物理信号とは異なる1つ以上の物理信号が抑制されるように、環境916を変更する命令をシステムに提供し得る。例えば、物理信号の抑制は、(測定のために標的にされていない)物理信号が光学センサの比較的低い感度信号領域内にあるように、環境を調整することを含み得る。次いで、信号プロセッサは、変更された環境からのセンサ応答を処理して、標的とされていない物理信号(複数可)の抑制を考慮してより顕著である標的物理信号(複数可)の測定信号を生成し得る。
【0075】
例えば、より正確な温度測定を可能にするために、温度に関する物理信号をより顕著にするために、センサ環境916における望ましくない圧力変動を低減するか、又は排除することによって、圧力に関する物理信号を抑制することが有利であり得る。環境圧力変化の低減又は排除は、例えば、現在の圧力を検出し、次いで、信号プロセッサ912を使用して、フィードバック様式でそれに応じて環境圧力を調整する(例えば、環境圧力レベルを、光学センサのベースラインセンサ応答の不感領域内に移動させる)ことによって実行され得る。環境圧力が不感領域にあるとき、信号プロセッサは、温度(例えば、モードシフト)に関連付けられたセンサ応答に基づいて測定信号を生成し得る。環境圧力の変調の方法は、センサパッケージの構造に依存し得る。例えば、いくつかの変形例では、光学センサは、キャビティ内(又は2つのプレートの間)に配設されてもよく、流体(ガス、液体)は、1つ以上の制御可能な流体弁及び/又は1つ以上の加圧源(例えば、正ポンプ、真空ポンプ)を使用して、キャビティから選択的に導入され、かつ/又は引き抜かれてもよい。この例では、環境圧力は、キャビティに追加の流体を導入することによって増加されてもよく、かつ/又はキャビティからの流体の引き抜きによって低減されてもよい。別の例として、いくつかの変形例では、光学センサは、キャビティ内(又は2つのプレートの間)に配設され、流体(ガス、液体)に囲まれてもよく、キャビティ容積は、1つ以上のアクチュエータによって調整可能である。この例では、環境圧力は、キャビティ容積の低減(例えば、キャビティ壁を内側に移動させること、変形可能なキャビティを圧縮すること)によって増加され得、かつ/又はキャビティ容積を増加させること(例えば、キャビティ壁を外側に移動させること)によって減少され得る。
【0076】
別の例として、より正確な圧力測定を可能にするために、圧力に関する物理信号をより顕著にするために、センサ環境における望ましくない温度変動を低減するか、又は排除することによって、温度に関する物理信号を抑制することが有利であり得る。望ましくない温度変動は、例えば、環境916を調整して、その温度レベルを、信号プロセッサ912を備えた光学センサのモードシフトセンサ応答の不感領域に移動させることによって、排除され、かつ/又は低減され得る。例えば、信号プロセッサ912は、温度レベルが不感領域に移動されてもよいように、環境を変更するためのフィードバック/命令を提供してもよい。温度レベルが不感領域に到達すると、信号プロセッサは、圧力を測定し、かつ/又は圧力に相関するセンサ応答(例えば、ベースラインドリフト)から圧力に関連する情報を抽出し得る。環境温度の変調の方法は、センサパッケージの構造に依存し得る。例えば、いくつかの変形例では、センサの周囲環境の温度は、周囲環境を断熱することによって(例えば、ガラス繊維、ミネラルウール、ポリウレタンなどの断熱材料を使用することによって、又はセンサと接触する、若しくはセンサの近くに熱絶縁特性を有する流体を通過させることによって)低減され得る。別の例として、いくつかの変形例では、周囲環境の温度は、周囲環境のために熱伝導性材料(例えば、銅、グラファイト、又はセンサと接触するか、若しくはセンサの近くで熱伝導性特性を有する流体を通過させることによって)を使用することによって増加され得る。
【0077】
別の例として、いくつかの変形例では、音響波(例えば、測定領域から反射された音響波)に関連する物理信号が抑制されるように、センサの環境の音響特性を変更することが有利であり得、これは、別の標的物理信号(例えば、温度、圧力)をより正確に測定することを可能にし得る。例えば、好適なアクチュエータは、そうでなければ検出されるであろう入射音響波が代わりに減衰される(例えば、抑制される)ように、減衰材料を光学センサに向かって、又は光学センサの近くに移動させ得る。
【0078】
追加的又は代替的に、特定の入力物理信号に対する光学センサの感度を増加させることが可能であり得る(例えば、光学センサを標的物理信号に「チューニング」する)。例えば、標的物理信号に対する光学センサの感度は、標的物理信号が光学センサの比較的高い感度信号領域にあるように、センサの環境を調整することによって、少なくとも部分的に増加され得る。
【0079】
例えば、圧力検出の感度は、環境916の圧力レベルがベースラインドリフト曲線の感度領域内に入るように、環境916を調整することによって増加され得る。上記で考察されたように、いくつかの変形例では、ベースラインドリフトは、圧力の変化に最も感度が高いセンサ応答である。したがって、信号プロセッサ912は、環境内の圧力レベルがセンサの応答曲線の感度領域内に入るように変更されるように、フィードバック/命令を提供し得る。環境圧力の変調の方法は、センサパッケージの構造に依存し得る。例えば、上記の技術(例えば、センサを含むキャビティ内及び/又はキャビティ外の流体の制御、センサを含む流体充填キャビティの体積の制御)のうちのいずれかは、環境圧力が光学センサの感度領域内にあり、光学センサがより高い感度で測定領域の圧力を測定するようにチューニングされるように、環境圧力を変調するように実装されてもよい。したがって、圧力レベルが感度領域に入ると、信号プロセッサは、圧力を測定し、かつ/又は(例えば、ベースラインドリフトからの圧力に関連する)情報を抽出し得る。
【0080】
図10は、環境の圧力を調整することによって環境を変更するためのシステム1000の例示的な変形例を示している。いくつかの変形例では、システム1000は、光学センサ1002と、信号プロセッサ1012と、デジタル-アナログ変換器1037と、電圧-圧力変換器1033と、を備え得る。(例えば、図1の光学センサ102、図2の光学センサ202、又は図3の光学センサ302に構造的に、かつ/又は機能的に類似している)光学センサ1002は、(例えば、図3の信号プロセッサ312に構造的に、かつ/又は機能的に類似している)信号プロセッサ1012に通信可能に結合され得る。光学センサ1002は、環境内の圧力変化を検出した後にセンサ信号を生成するように構成され得、センサ信号を信号プロセッサ1012に伝送し得る。いくつかの変形例では、信号プロセッサ1012は、センサ信号を処理して、デジタル制御命令を生成するように構成され得る。いくつかの変形例では、デジタル制御命令は、正確な圧力又は温度測定のために光学センサ1002の感度を増加させるか、又は減少させるように圧力レベルを調整することによって環境を変更する命令を含み得る。デジタル-アナログ変換器1037は、デジタル制御命令をアナログ電圧信号に変換するように構成され得る。アナログ電圧信号は、電圧-圧力変換器1033に伝送され得る。いくつかの変形例では、電圧-圧力変換器1033は、正確な圧力又は温度測定のために光学センサ1002の感度を増加させるか、又は減少させるように、所望の圧力(例えば、デジタル制御命令に含まれる標的圧力)を生成するように構成され得る。
【0081】
上記で考察されたように、システム1000が温度の正確な感知を必要とするアプリケーションに組み込まれている場合、不感領域内の圧力を調整することが有利であり得る。しかしながら、システム1000が圧力の正確な感知を必要とするアプリケーションに組み込まれている場合、感度領域内の圧力を調整することが有利であり得る。例えば、感度を高めて、感度領域内の圧力を調整するために、圧力は、圧力変化と同じ方向に増加され得る。例えば、環境内の圧力が100KPaから101KPaに増加する場合、感度領域内に圧力が入るように、環境内の圧力に更に2KPaの圧力を加えて、103KPaの圧力を生成してもよい。しかしながら、感度が、圧力が不感領域内にあるように変化する場合、圧力は、圧力変化の方向に従うように低減され得る。例えば、環境中の圧力が100KPaから98KPaに減少する場合、環境中の圧力に追加の1KPaの圧力が追加されて、99KPaの圧力が生成されてもよい。いくつかの変形例では、環境内の圧力は、一定の100KPaに保たれ得る。
【0082】
同様に、別の例として、図9を再度参照すると、環境の温度がモードシフト曲線の感度領域内にあるように環境916を調整することによって、温度検出の感度を増加させ得る。上記で考察されたように、いくつかの変形例では、モードシフトは、温度の変化に最も感度が高いセンサ応答である。したがって、信号プロセッサ912は、環境の温度がセンサの応答曲線の感度領域内にあるように変更されるようにフィードバック/命令を提供するように構成され得る。温度の変調の様式は、センサパッケージの構造に依存し得る。例えば、上記のシステム又は技術のいずれかを使用して、センサの感度領域に向かって(例えば、断熱材料又は熱伝導性材料を使用して)センサ環境を加熱するか、又は冷却してもよい。
【0083】
追加的又は代替的に、いくつかの変形例では、環境の1つ以上の音響特性が改善されるか、又は最適化されるように環境を調整することによって、音響波の検出が選択的に強化され得る。例えば、いくつかの変形例では、好適なアクチュエータは、光学センサに向かって、又は光学センサの近くで音響マッチング材料を移動させて、そうでなければ検出が難しい可能性がある入射音響波の透過を改善し、かつ/又は減衰を低減するように構成され得る。
【0084】
したがって、分離は、測定される標的物理信号に基づいて環境を選択的に変更することを含み得る。上記で考察されたように、環境を変更することは、不感領域内で抑制される物理信号を調整することによって、標的物理信号ではない物理信号を抑制することを含み得る。代替的に、環境を変更することは、標的物理信号の感度を増加させることを含み得る。換言すれば、環境は、標的物理信号が感度領域内にあり得るように調整され得る。
【0085】
複数のセンサ応答の集合的な分析
いくつかの変形例では、複数のセンサ応答を集合的に分析して、個々の物理信号の測定信号を判定し得る。図12は、複数のセンサ応答を集合的に分析して、個々の物理信号を判定するためのシステム1200の例示的な変形例の概略ブロック図である。システムは、信号プロセッサ1212に通信可能に結合された(例えば、図3の信号プロセッサ312に構造的に、かつ/又は機能的に類似している)光学センサ1202(例えば、図1の光学センサ102、図2の光学センサ202、又は図3の光学センサ302に構造的に、かつ/又は機能的に類似している)を備え得る。信号プロセッサ1212は、パラメータ推定器1250に結合されてもよいか、又は信号プロセッサ1212に含まれてもよい。
【0086】
いくつかの変形例では、光学センサ1202は、上述したように、n個の入力物理信号をm個の異なる出力応答信号に変換し得る。信号プロセッサ1212は、センサ信号の増幅、アナログ-デジタル変換、及びフィルタリングを含む一連の信号処理ステップを実行するように構成され得る。パラメータ推定器1250は、理論モデル又は経験モデルのいずれかを使用して、標的物理信号パラメータのセットを推定するように構成され得る。
【0087】
例えば、センサ応答yを使用して物理信号xを解く。式中、x及びyは、式1によって関連付けられており、複数の応答を組み合わせるプロセスを表し得る。代替的に、物理信号xは、次のように解くことができる:
=T -1(y,y,…y),i=1,2,…n(2)
式中、T -1は、逆システム変換を表す。
【0088】
いくつかの変形例では、x及びの両方が単純変数であるが、実変数又は複素変数であり得ると仮定することができる。追加的に、図5の式1によって説明されるシステムは線形であると仮定することができる。
【0089】
第1の仮定は、全ての信号が定数又は低速変動関数であることに基づいている。しかしながら、高速変動関数についても、時間間隔が十分に短い場合、仮定は依然として有効である。第2の仮定は、システム1200が安定であり、全ての信号の範囲が線形性を確保するのに十分に小さいことに基づく。広い範囲の信号の場合、広い非線形範囲は、いくつかの小さな線形領域に分割され得る。
【0090】
上記の2つの仮定を用いて、式1は、次のように書き換えることができる:
【数1】
(3)
式中、ijは、多次元センサによって判定された係数である。式3は、次のエレガントな行列式を使用することによって更に単純化することができる:
y=Ax(4)
ここで、xはn次元ベクトルであり、yはm次元ベクトルであり、Aはm×n行列である。
【0091】
式4を解くには、mとnの値に応じて、3つの異なるシナリオがある。各シナリオは異なるアプローチを必要とし、異なる結果につながる。
【0092】
シナリオ1:劣決定系。この場合、n>mか、又は方程式よりも多くの未知数がある。劣決定系は、解を持たないか、又は無限に多くの解を有する。したがって、このシナリオは、実用的なアプリケーションのために有用な結果を得ることができないため、更に考慮されない場合がある。
【0093】
シナリオ2:臨界系。この場合、n=m、又は未知数の数と同じ数の方程式がある。全ての方程式が互いに完全に独立している場合、臨界系には常に独自の解があることが数学的に証明され得る。重要なシステムへの解は、以下により得られ得る:
x=A-1y(5)
式中、A-1はAの逆数である。ただし、少なくとも2つの従属方程式が存在する場合、臨界系は劣決定系に還元される。
【0094】
シナリオ3:優決定系。この場合、n<mか、又は未知数よりも多くの方程式がある。線形システム理論によれば、優決定系は、一般に解を持たないが、場合によっては解を有し得、例えば、方程式のいくつかは完全に独立していない。優決定系は、それが含む従属方程式の数に応じて、臨界系又は劣決定系のいずれかになり得る。
【0095】
ほとんどの実際の優決定系のための正確な解は存在しないが、近似解は、いくつかの異なる方法で得ることができる。例えば、最小二乗法を使用して、以下により近似解を得ることができる:
x=(AA)-1y(6)
式中、Aは、Aの転置である。
【0096】
上記の考察に基づいて、物理信号又はパラメータの検出は、本質的に、行列A、A-1、A、及び(AA)-1を判定することであり得る。行列は、理論的又は経験的のいずれかで計算され得る。
【0097】
理論的アプローチは、3つのステップを含み得る。第1に、物理的又は理論的モデルが開発され得る。第2に、方程式のセットは、モデルを使用して導出され得る。第3に、これらの方程式は、線形化され得る。
【0098】
経験的アプローチはまた、3つのステップを含み得る。第1に、一般的な線形システムモデルが構築され得る。第2に、実験は、データ生成のために実施され得る。第3に、システム方程式の係数は、実験データを使用して推定され得る。
【0099】
光学センサのアレイ
上述のように、いくつかの変形例では、多次元感知のためのシステムは、2つ以上の多次元光学センサのアレイを含み得、その各々は、本明細書で説明されるように多次元感知を実行することができる。本明細書に開示される方法は、単一の光学センサから光学センサのアレイに拡張することができる。
【0100】
いくつかの変形例では、光学センサのアレイ内の各センサは、同じタイプの光学センサであり得る。例えば、アレイ内の各センサは、他のタイプの物理信号よりも1つのタイプの物理信号(例えば、温度、圧力、音響波)に対してより感度が高くてもよい光学センサであり得る。そのようなシナリオでは、センサのアレイ全体は、より高い精度又は正確性で1つの物理信号を測定するように構成され得る。例えば、センサのアレイ全体が、より高い精度で温度を測定するように構成され得るか、又はセンサのアレイ全体が、より高い精度で圧力を測定するように構成され得る。いくつかの変形例では、同じ物理信号の測定値を標的にするように構成された2つ以上の光学センサを有することは、類似のセンサ信号を一緒に組み合わせて、センサ信号及び/又はシステム冗長性(例えば、センサ障害の場合、フォールトトレランス)を「ブースト」するために有利であり得る。
【0101】
代替的に、センサのアレイ内のいくつかのセンサは、センサのアレイ内の残りのセンサとは異なる物理信号の測定を標的にするように構成され得る(例えば、上記のように、そのようなセンサを取り囲む環境を構成することによってなど、様々な物理信号に対して異なる感度を有する)。例えば、光学センサの第1の部分は、第1の物理信号(例えば、温度)に対してより感度が高いように構成され得るが、一方、光学センサの第2の部分は、第2の物理信号(例えば、圧力)に対してより感度が高いように構成され得る。更に、アレイの任意の好適な数の部分は、任意の好適な物理信号に対してより感度が高いように構成され得る(例えば、追加的に、光学アレイの第3の部分は、第3の物理信号に対してより感度が高くてもよい)。
【0102】
同じ物理信号に対する感度が高い少なくともいくつかの光学センサは、一緒にグループ化されてもよい(例えば、アレイ内のセンサの1つのライン又はクラスタは、第1の物理信号に対する感度が高くてもよく、アレイ内のセンサの第2のライン又はクラスタは、第2の物理信号に対する感度が高くてもよい)。追加的又は代替的に、同じ物理信号に対する感度が高い光学センサのうちの少なくともいくつかは、等しく又は不均等に(例えば、散在又は交互の配置、又はランダムに分散)分散され得、これにより、例えば、各物理信号について感知カバレッジのより大きな領域を可能にし得る。
【0103】
光学センサの感度は、各光学センサを取り囲む環境の構成など、本明細書に記載されるものを含む任意の好適な様式で変調されて、その光学センサの1つ又は様々な物理信号に対する感度をチューニングすることができる(例えば、物理信号に対してより感度が高い、又はより感度が低い)。環境のそのような構成は、動的であってもよいか(例えば、所望の測定又は感知機能に従ってリアルタイムで動的に調整されてもよいか)、又はアレイの設計に恒久的に組み込まれてもよい(例えば、光学センサの第1の部分は、常に第1の物理信号に対してより感度が高いように構成され、光学センサの第2の部分は、常に第2の物理信号に対してより感度が高いように構成され得る)。
【0104】
いくつかの変形例では、光学センサのうちの少なくともいくつかは、それらの光学センサによって測定される物理信号を強化する周囲環境に隣接し得る(例えば、埋め込まれ得る、又はそうでなければ近接し得る)。例えば、少なくともいくつかのセンサの周囲環境は、これらのセンサが温度に対してより感度が高いように、周囲環境の温度が感度領域内に入るように、熱絶縁及び/又は熱伝導性にされ得る。
【0105】
いくつかの変形例では、アレイ内のいくつかのセンサ(例えば、同じタイプのセンサ又は異なるタイプのセンサのアレイ)は、それらの光学センサによって測定される物理信号以外の1つ以上の物理信号を抑制する周囲環境を有し得る。例えば、いくつかのセンサは、圧力変化から遮蔽され得るように、剛性バリアで遮蔽され得、そのようなセンサは、例えば、温度信号に対してより感度が高くてもよい。別の例として、いくつかのセンサは、センサを音響波から遮蔽するために減衰バリアで遮蔽されてもよく、そのようなセンサは、例えば、圧力信号に対してより感度が高くてもよい。
【0106】
いくつかの変形例では、システムは、基準センサ信号を提供するように構成された1つ以上の基準センサを含み得る。例えば、基準センサは、光学アレイ内の光学センサ(例えば、同じタイプのセンサ又は異なるタイプのセンサのアレイ)であり得る、又は非光学センサ(例えば、熱電対、力トランスデューサ、圧電素子)であり得る。基準センサは、異なる物理信号間の差別化に役立ち得る。例えば、基準センサは、関心のある特定の物理信号(例えば、圧力、温度、音響波、それらの組み合わせなど)に対する所定の又は既知の感度を有し得る。したがって、基準センサは、光アレイ内の1つ以上の光学センサを較正するために、かつ/又は光アレイ内の他の光学センサの感度を検証するために使用され得る。例えば、基準センサが所定の周波数範囲の温度に対してより感度が高い場合、基準センサの出力を分析して、その所定の周波数範囲内のセンサ応答を評価し得る。基準センサに類似していてもよいセンサは、基準センサのセンサ応答に基づいて較正されてもよい。
【0107】
いくつかの変形例では、2つ以上のセンサを使用することは、2つの物理信号間の差別化に役立ち得る。例えば、第1の光学センサを有する光学アレイは、第1のセンサ信号(及び第1の複数のセンサ応答)を提供するように構成され得、第2の光学センサは、第2のセンサ信号(及び第2の複数のセンサ応答)を提供するように構成され得る。いくつかの変形例では、第1の光学センサ及び第2の光学センサは、異なる物理信号に対して異なる感度を有し得る。そのような光学アレイを使用して、多次元感知の方法は、第1の物理信号(例えば、標的物理信号)を示す第1の測定信号を生成することであって、第1の測定信号が、(i)第1の光学センサに対する第1の複数のセンサ応答、(ii)第2の光学センサに対する第2の複数のセンサ応答、並びに(iii)第1及び第2の光学センサの第1の物理信号及び第2の物理信号に対する感度に基づいている、生成することを更に含み得る。更に、方法は、(i)、(ii)、及び(iii)を使用して、第2の物理信号を示す第2の測定信号を生成することを含み得る。
【0108】
例示的な例として、圧力信号と温度信号の両方に応答し得る第1の光学センサを検討する。第1のセンサのセンサ信号は、1単位温度の変化(温度感度S1T=1)に応答して1単位だけ変化してもよく、また、1単位圧力の変化(圧力感度S1P=1)に応答して1単位だけ変化してもよい。そのようなシナリオでは、第1のセンサのセンサ信号が2単位変化する場合、その変化が、温度の2単位の変化、圧力の2単位の変化、又は温度及び圧力の各々の1単位の変化によって完全に引き起こされたかどうかを識別することは困難であり得る。しかしながら、第1のセンサの2倍の温度に対する応答(温度感度S2T=2)を有するが、第1のセンサと併せて、第1のセンサと同じ圧力に対する応答(圧力感度S2P=1)を有する第2のセンサを使用することで、温度及び圧力を逆畳みし得る。これは、以下の表に更に示されている。
【表1】
【0109】
上記の表に見られるように、1単位の温度変化及び1単位の圧力変化に応答して、第1のセンサの総出力は、第2のセンサの総出力とは異なる。温度の変化は、例えば、以下の方程式のシーケンスによって判定され得る。最初に、第1のセンサ及び第2のセンサの出力は、それぞれ式(7)及び(8)として表され得る。
=S1T*ΔT+S1P*ΔP(7)
=S2T*ΔT+S2P*ΔP(8)
式(7)及び(8)から:
ΔP=(O-S1T*ΔT)/S1P(9)
ΔP=(O-S2T*ΔT)/S2P(10)
式(9)及び(10)を等式化することによって、温度の変化は、以下のように導出され得る:
(O-S2T*ΔT)/S2P=(O-S1T*ΔT)/S1P(11)
1P(O-S2T*ΔT)=S2P(O-S1T*ΔT)(12)
1P-S1P2T*ΔT=S2P-S2P1T*ΔT(13)
1P-S2P=S1P2T*ΔT-S2P1T*ΔT=(S1P2T-S2P1T)*ΔT(14)
ΔT=(S1P-S2P)/(S1P2T-S2P1T)(15)
【0110】
同様に、圧力の変化は、以下の式のシーケンスによって判定され得る。上記の式(7)及び(8)から:
ΔT=(O-S1P*ΔP)/S1T(16)
ΔT=(O-S2P*ΔP)/S2T(17)
式(15)及び(16)を等式化することによって、圧力の変化は、以下のように導出され得る:
(O-S2P*ΔP)/S2T=(O-S1P*ΔP)/S1T(18)
1T(O-S2P*ΔP)=S2T(O-S1P*ΔP)(19)
1T-S1T2P*ΔP=S2T-S2T1P*ΔP(20)
1T-S2T=S1T2P*ΔP-S2T1P*ΔP=(S1T2P-S2T1P)*ΔP(21)
ΔP=(S1T-S2T)/(S1T2P-S2T1P)(22)
【0111】
式(15)及び(22)は、第1の光学センサ及び第2の光学センサが、式(15)及び(22)の分母が非ゼロであるように、異なる感度を有するときに可解である(S1T2P≠S2T1P)。言い換えれば、異なる感度を有する複数のセンサを使用する差分検出は、例えば、(i)第1の物理信号に対する第1のセンサの感度の積と、第2の物理信号に対する第2のセンサの感度と、(ii)第1の物理信号に対する第2のセンサの感度の積と、第1の物理信号に対する第2のセンサの感度の積が、(i)と(ii)が互いに等しくないような場合に可能であり得る。したがって、式(15)が可解である場合、ΔTの測定信号は、センサ応答から生成され得、式(22)が可解である場合、ΔPの測定信号は、センサ応答から生成され得る。同様のアプローチを使用して、他の物理信号を差別化することもできる。
【0112】
上記の方程式では、S1Tは、第1のセンサの温度に対する感度を表し、S1Pは、第1のセンサの圧力に対する感度を表し、S2Pは、第2のセンサの圧力に対する感度を表し、S2Tは、第2のセンサの温度に対する感度を表し、Oは、第1のセンサの出力を表し、Oは、第2のセンサの出力を表す。ΔTは、温度の変化を表す。圧力の変化を表現するΔPは、ΔTと同様の様式で計算され得る。
【0113】
このようにして、本明細書に記載のシステム及び方法は、単一の光学センサを使用して、複数の物理信号の正確な測定を可能にする。本明細書に記載の技術は、例えば、手術又は他の医療処置中のデバイスで使用され得る。例えば、本明細書に記載の技術は、患者の安全性を確保するために、心臓手術中に患者の複数のバイタルサインをリアルタイムで監視するなど、温度及び圧力の変化を同時に検出する必要があるアプリケーションで使用され得る。
【0114】
前述の記載は、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために特定の命名法が使用された。しかしながら、本発明を実施するために特定の詳細が必要とされないことは当業者には明らかであろう。したがって、本発明の特定の実施形態の前述の記載は、例示及び記載の目的で提示されている。それらは、網羅的であること、又は本発明を開示された正確な形態に限定することが企図されるものではなく、明らかに、上記の教示を考慮すると、多くの修正及び変形例が可能である。実施形態は、本発明の原理及びその実際の用途を説明するために選択及び記載され、それにより、当業者が、企図される特定の使用に適した様々な修正を加えて本発明及び様々な実施形態を利用することを可能にする。以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物が本発明の範囲を定義することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】