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特表2024-534838NKp46結合ポリペプチド及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】NKp46結合ポリペプチド及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20240918BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240918BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240918BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240918BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240918BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240918BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240918BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240918BHJP
   C12P 21/00 20060101ALI20240918BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240918BHJP
   C12N 15/20 20060101ALN20240918BHJP
   C12N 15/24 20060101ALN20240918BHJP
【FI】
C07K16/28
C12N15/13 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/00 C
C07K19/00
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P35/02
A61P31/00
A61P31/04
A61P31/10
A61P31/12
C12N15/20
C12N15/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024512984
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 US2022075581
(87)【国際公開番号】W WO2023034740
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/238,429
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514199744
【氏名又は名称】インヒブルクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティマー ジョン シー.
(72)【発明者】
【氏名】エッケルマン ブレンダン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】パンディット ラジェイ エー.
(72)【発明者】
【氏名】クラゴ ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】スルツマイアー フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】キンケード ヘザー
(72)【発明者】
【氏名】カーン ナジャ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG03
4B064AG05
4B064AG08
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE10
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA88X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB42
4C085BB50
4C085DD62
4C085EE03
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA21
(57)【要約】
本明細書では、NKp46に結合するVHH含有ポリペプチドが提供される。VHH含有ポリペプチドの使用も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NKp46に結合し、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号18、配列番号19、配列番号20、又は配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、又は配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR3を含む少なくとも1つのVHHドメインを含むポリペプチド。
【請求項2】
少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項4】
少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項5】
少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項6】
少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項7】
少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項8】
少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項9】
少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項10】
少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項11】
少なくとも1つのVHHドメイン又は各VHHドメインは、ヒト化されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項12】
少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号1~配列番号16のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、又は少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項13】
少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号1~配列番号16のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項14】
少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号11又は配列番号15のアミノ酸配列を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項15】
2つのVHHドメインを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項16】
3つのVHHドメインを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項17】
免疫細胞活性化サイトカイン又はその機能部分を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項18】
前記免疫細胞活性化サイトカインは、NKp46に結合するVHHドメインのN末端又はC末端に融合している、請求項17に記載のポリペプチド。
【請求項19】
前記免疫細胞活性化サイトカインは、IL-2、IL-15、IL-7、IL-6、IL-12、IFNα、IFNβ、若しくはIFNγ、又はそれらの弱毒化型若しくは改変型である、請求項17又は18に記載のポリペプチド。
【請求項20】
NKp46以外の抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項21】
腫瘍抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含む、請求項20に記載のポリペプチド。
【請求項22】
1-92-LFA-3、5T4、α4インテグリン、αVインテグリン、α4β1インテグリン、α4β7インテグリン、AGR2、抗ルイスY、アペリンJ受容体、APRIL、B7-H3、B7-H4、B7-H6、BAFF、BCMA、BTLA、補体C5、C-242、CA9、CA19-9、(ルイスa)、炭酸脱水酵素9、CD2、CD3、CD6、CD9、CD11a、CD19、CD20、CD22、CD24、CD25、CD27、CD28、CD30、CD33、CD38、CD39、CD40、CD40L、CD41、CD44、CD44v6、CD47、CD51、CD52、CD56、CD64、CD70、CD71、CD73、CD74、CD80、CD81、CD86、CD95、CD117、CD123、CD125、CD132、(IL-2RG)、CD133、CD137、CD138、CD166、CD172A、CD248、CDH6、CEACAM5(CEA)、CEACAM6(NCA-90)、クローディン3、クローディン4、cMet、コラーゲン、Cripto、CSFR、CSFR-1、CTLA-4、CTGF、CXCL10、CXCL13、CXCR1、CXCR2、CXCR4、CYR61、DL44、DLK1、DLL3、DLL4、DPP-4、DSG1、EDA、EDB、EGFR、EGFRviii、エンドセリンB受容体(ETBR)、ENPP3、EpCAM、EPHA2、EPHB2、ERBB3、RSVのFタンパク質、FAP、FAS、FcRH5、FGF-2、FGF8、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FLT-3、葉酸受容体α(FRα)、GAL3ST1、G-CSF、G-CSFR、GD2、GITR、GLUT1、GLUT4、GM-CSF、GM-CSFR、GP IIb/IIIa受容体、Gp130、GPIIB/IIIA、GPNMB、GPRC5D、GRP78、HAVCAR1、HER2/neu、HER3、HER4、HGF、hGH、HVEM、ヒアルロニダーゼ、ICOS、IFNα、IFNβ、IFNγ、IgE、IgE受容体(FceRI)、IGF、IGF1R、IL1B、IL1R、IL2、IL11、IL12、IL12p40、IL-12R、IL-12Rβ1、IL13、IL13R、IL15、IL17、IL18、IL21、IL23、IL23R、IL27/IL27R(wsx1)、IL29、IL-31R、IL31/IL31R、IL2R、IL4、IL4R、IL6、IL6R、インスリン受容体、Jaggedリガンド、Jagged 1、Jagged 2、KISS1-R、LAG-3、LIF-R、ルイスX、LIGHT、LRP4、LRRC26、Ly6G6D、LyPD1、MCSP、メソテリン、MICA、MICB、MRP4、MUC1、ムチン16(MUC16、CA-125)、Na/K ATPアーゼ、NGF、ニカストリン、NKG2A、Notch受容体、Notch 1、Notch 2、Notch 3、Notch 4、NOV、OSM-R、OX-40、PAR2、PDGF-AA、PDGF-BB、PDGFRα、PDGFRβ、PD-1、PD-L1、PD-L2、ホスファチジルセリン、P1GF、PSCA、PSMA、PSGR、RAAG12、RAGE、SLC44A4、スフィンゴシン-1-リン酸、STEAP1、STEAP2、TAG-72、TAPA1、TEM-8、TGFβ、TGFβ受容体1(TGFBR1)、TGFβ受容体2(TGFBR2)、TIGIT、TIM-3、TLR2、TLR4、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TMEM31、TNFα、TNFR、TNFRS12A、TRAIL-R1、TRAIL-R2、トランスフェリン、トランスフェリン受容体、TRK-A、TRK-B、TROP-2、uPAR、VAP1、VCAM-1、VEGF、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、VISTA、WISP-1、WISP-2、及びWISP-3から選択される抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含む、請求項20又は21に記載のポリペプチド。
【請求項23】
NKp46以外の抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメインは、VHHドメインである、請求項20~22のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項24】
NKp46以外の抗原に結合する各抗原結合ドメインは、VHHドメインである、請求項23に記載のポリペプチド。
【請求項25】
NKp46以外の抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメインは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、請求項20~22のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項26】
NKp46以外の抗原に結合する各抗原結合ドメインは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、請求項25に記載のポリペプチド。
【請求項27】
前記ポリペプチドの各VHHドメインは、NKp46に結合する、請求項1~22のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項28】
各VHHドメインは、同じCDR1、CDR2、及びCDR3アミノ酸配列を含む、請求項27に記載のポリペプチド。
【請求項29】
各VHHドメインは、同じVHH配列を含む、請求項27に記載のポリペプチド。
【請求項30】
前記NKp46は、ヒトNKp46である、請求項1~29のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項31】
前記ヒトNKp46は、配列番号29の配列を含む、請求項30に記載のポリペプチド。
【請求項32】
Fc領域を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項33】
前記Fc領域は、配列番号53~配列番号89から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項32に記載のポリペプチド。
【請求項34】
生理学的条件下で二量体を形成する、請求項32又は33に記載のポリペプチド。
【請求項35】
前記Fc領域のC末端に融合した免疫細胞活性化サイトカインを含む、請求項32~34のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項36】
第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとを含む複合体であって、前記第1のポリペプチドは、請求項1~35のいずれか一項に記載のポリペプチドであり、前記第1のポリペプチドは、第1のFc領域を含み、前記第2のポリペプチドは、第2のFc領域を含み、前記第1のFc領域及び前記第2のFc領域は、同じか又は異なる、複合体。
【請求項37】
前記第2のポリペプチドは、NKp46に結合する少なくとも1つのVHHドメイン、少なくとも1つの免疫細胞活性化サイトカイン、及び/又はNKp46以外の抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含む、請求項36に記載の複合体。
【請求項38】
NKp46以外の抗原に結合する前記抗原結合ドメインが重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含む場合、前記重鎖可変領域は、前記第2のFc領域を含む重鎖定常領域に融合する、請求項37に記載の複合体。
【請求項39】
前記第2のポリペプチドは、TGFβ受容体1、TGFβ受容体2、及びNKG2Aから選択されるNKp46以外の抗原に結合する抗原結合ドメインを含む、請求項37又は38に記載の複合体。
【請求項40】
前記第2のポリペプチドは、腫瘍抗原に結合する少なくとも1つの結合ドメインを含む、請求項37~39のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項41】
前記第2のポリペプチドは、1-92-LFA-3、5T4、α4インテグリン、αVインテグリン、α4β1インテグリン、α4β7インテグリン、AGR2、抗ルイスY、アペリンJ受容体、APRIL、B7-H3、B7-H4、B7-H6、BAFF、BCMA、BTLA、補体C5、C-242、CA9、CA19-9、(ルイスa)、炭酸脱水酵素9、CD2、CD3、CD6、CD9、CD11a、CD19、CD20、CD22、CD24、CD25、CD27、CD28、CD30、CD33、CD38、CD39、CD40、CD40L、CD41、CD44、CD44v6、CD47、CD51、CD52、CD56、CD64、CD70、CD71、CD73、CD74、CD80、CD81、CD86、CD95、CD117、CD123、CD125、CD132、(IL-2RG)、CD133、CD137、CD138、CD166、CD172A、CD248、CDH6、CEACAM5(CEA)、CEACAM6(NCA-90)、クローディン3、クローディン4、cMet、コラーゲン、Cripto、CSFR、CSFR-1、CTLA-4、CTGF、CXCL10、CXCL13、CXCR1、CXCR2、CXCR4、CYR61、DL44、DLK1、DLL3、DLL4、DPP-4、DSG1、EDA、EDB、EGFR、EGFRviii、エンドセリンB受容体(ETBR)、ENPP3、EpCAM、EPHA2、EPHB2、ERBB3、RSVのFタンパク質、FAP、FAS、FcRH5、FGF-2、FGF8、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FLT-3、葉酸受容体α(FRα)、GAL3ST1、G-CSF、G-CSFR、GD2、GITR、GLUT1、GLUT4、GM-CSF、GM-CSFR、GP IIb/IIIa受容体、Gp130、GPIIB/IIIA、GPNMB、GPRC5D、GRP78、HAVCAR1、HER2/neu、HER3、HER4、HGF、hGH、HVEM、ヒアルロニダーゼ、ICOS、IFNα、IFNβ、IFNγ、IgE、IgE受容体(FceRI)、IGF、IGF1R、IL1B、IL1R、IL2、IL11、IL12、IL12p40、IL-12R、IL-12Rβ1、IL13、IL13R、IL15、IL17、IL18、IL21、IL23、IL23R、IL27/IL27R(wsx1)、IL29、IL-31R、IL31/IL31R、IL2R、IL4、IL4R、IL6、IL6R、インスリン受容体、Jaggedリガンド、Jagged 1、Jagged 2、KISS1-R、LAG-3、LIF-R、ルイスX、LIGHT、LRP4、LRRC26、Ly6G6D、LyPD1、MCSP、メソテリン、MICA、MICB、MRP4、MUC1、ムチン16(MUC16、CA-125)、Na/K ATPアーゼ、NGF、ニカストリン、Notch受容体、Notch 1、Notch 2、Notch 3、Notch 4、NOV、OSM-R、OX-40、PAR2、PDGF-AA、PDGF-BB、PDGFRα、PDGFRβ、PD-1、PD-L1、PD-L2、ホスファチジルセリン、P1GF、PSCA、PSMA、PSGR、RAAG12、RAGE、SLC44A4、スフィンゴシン-1-リン酸、STEAP1、STEAP2、TAG-72、TAPA1、TEM-8、TGFβ、TIGIT、TIM-3、TLR2、TLR4、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TMEM31、TNFα、TNFR、TNFRS12A、TRAIL-R1、TRAIL-R2、トランスフェリン、トランスフェリン受容体、TRK-A、TRK-B、TROP-2、uPAR、VAP1、VCAM-1、VEGF、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、VISTA、WISP-1、WISP-2、及びWISP-3から選択される抗原に結合する少なくとも1つの結合ドメインを含む、請求項37~40のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項42】
前記第2のポリペプチドの少なくとも1つのVHHドメイン又は各VHHドメインは、ヒト化されている、請求項36~41のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項43】
前記第1のFc領域は、ノブ突然変異を含み、前記第2のFc領域は、ホール突然変異を含むか、又は前記第1のFc領域は、ホール突然変異を含み、前記第2のFc領域は、ノブ突然変異を含む、請求項36~42のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項44】
前記第1のFc領域は、T366W突然変異を含み、前記第2のFc領域は、T366S、L368A、及びY407V突然変異を含むか、又は前記第1のFc領域は、ホール突然変異を含み、前記第2のFc領域は、ノブ突然変異を含む、請求項43に記載の複合体。
【請求項45】
T366S、L368A、及びY407V突然変異を含む前記Fc領域は、H435R又はH435K突然変異を含む、請求項44に記載の複合体。
【請求項46】
前記ポリペプチドは、生理学的条件下で二量体であるか、又は前記複合体は、生理学的条件下で形成される、請求項36~45のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項47】
請求項1~35のいずれか一項に記載のポリペプチド又は請求項36~46のいずれか一項に記載の複合体と、細胞傷害性物質とを含む免疫複合体。
【請求項48】
前記細胞傷害性物質は、カリケアマイシン、アウリスタチン、ドラスタチン、ツブリシン、メイタンシノイド、クリプトフィシン、ズオカルマイシン、エスペラミシン、ピロロベンゾジアゼピン、及びエンジイン抗生物質から選択される、請求項47に記載の免疫複合体。
【請求項49】
前記免疫複合体は、請求項36~46のいずれか一項に記載の複合体を含み、第2のポリペプチドは、CD3、T細胞受容体(TCR)α、TCRβ、CD28、CD16、CD32A、CD64、CD89、又はNKG2Dに結合する少なくとも1つの結合ドメインを含む、請求項47又は48に記載の免疫複合体。
【請求項50】
請求項1~35のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項36~46のいずれか一項に記載の複合体、又は請求項47~49のいずれか一項に記載の免疫複合体と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
【請求項51】
請求項1~35のいずれか一項に記載のポリペプチド又は請求項36~46のいずれか一項に記載の複合体をコードする分離された核酸。
【請求項52】
請求項51に記載の核酸を含むベクター。
【請求項53】
請求項51に記載の核酸又は請求項52に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項54】
請求項1~35のいずれか一項に記載のポリペプチド又は請求項36~46のいずれか一項に記載の複合体を発現する宿主細胞。
【請求項55】
請求項1~35のいずれか一項に記載のポリペプチド又は請求項36~46のいずれか一項に記載の複合体を生産する方法であって、前記ポリペプチド又は複合体の発現に適した条件下で請求項53又は54に記載の宿主細胞をインキュベートすることを含む、方法。
【請求項56】
前記ポリペプチド又は複合体を単離することを更に含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
NK細胞の増殖又は活性化を増加させる方法であって、NK細胞を請求項1~35のいずれか一項に記載のポリペプチド又は請求項36~46のいずれか一項に記載の複合体と接触させることを含む、方法。
【請求項58】
前記NK細胞は、in vitroで存在する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記NK細胞は、in vivoで存在する、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
癌を治療する方法であって、癌又は感染性疾患を伴う被験体に請求項1~35のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項36~46のいずれか一項に記載の複合体、請求項47~49のいずれか一項に記載の免疫複合体、又は請求項50に記載の医薬組成物を薬学的有効量、投与することを含む、方法。
【請求項61】
前記癌は、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜癌、子宮頸癌、絨毛癌、結腸直腸癌、結合組織癌、消化器系癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(胃腸癌を含む)、膠芽腫、肝癌、肝細胞癌、上皮内新生物、腎臓癌又は腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(口唇、舌、口腔、及び咽頭)、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃部癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮又は子宮内膜癌、泌尿器系癌、外陰癌、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大病変NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、有毛細胞白血病、並びに慢性骨髄芽球性白血病から選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
追加の療法剤を投与することを更に含む、請求項60又は61に記載の方法。
【請求項63】
前記追加の療法剤は、抗癌剤である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記抗癌剤は、化学療法剤、抗癌生物製剤、放射線療法薬、CAR-T療法薬、及び腫瘍溶解性ウイルスから選択される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記追加の療法剤は、抗癌生物製剤である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記抗癌生物製剤は、腫瘍抗原に結合する結合ドメインを含む抗体である、請求項64又は65に記載の方法。
【請求項67】
癌細胞に対するNK細胞媒介性細胞傷害応答をリダイレクトする方法であって、癌を伴う被験体に請求項22~35のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項36~46のいずれか一項に記載の複合体、請求項47~49のいずれか一項に記載の免疫複合体、又は請求項50に記載の医薬組成物を薬学的有効量、投与することを含む、方法。
【請求項68】
感染性疾患を治療する方法であって、感染性疾患を伴う被験体に請求項1~46のいずれか一項に記載のポリペプチド若しくは複合体、請求項47~49のいずれか一項に記載の免疫複合体、又は請求項50に記載の医薬組成物を薬学的有効量、投与することを含む、方法。
【請求項69】
前記感染性疾患は、細菌感染、ウイルス感染、又は真菌感染である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
追加の療法剤を投与することを更に含む、請求項68又は69に記載の方法。
【請求項71】
前記追加の療法剤は、抗生物質、抗ウイルス剤、又は抗真菌剤である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
病原体に対するナチュラルキラー媒介性細胞傷害応答をリダイレクトする方法であって、該病原体によって引き起こされる感染性疾患を伴う被験体に請求項1~46のいずれか一項に記載のポリペプチド若しくは複合体、請求項47~49のいずれか一項に記載の免疫複合体、又は請求項50に記載の医薬組成物を薬学的有効量、投与することを含む、方法。
【請求項73】
前記ポリペプチド、複合体、又は免疫複合体は、前記病原体によって発現される抗原に結合する少なくとも1つの結合ドメインを含む、請求項68~72のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年8月30日付で出願された米国仮出願第63/238,429号の優先権の利益を主張し、その全体があらゆる目的で引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
[配列表の参照による援用]
本願は、2022年8月18日に作成された、01202-0029-00PCT_ST26と題する、本願とともに電子フォーマットで提出された99.1キロバイトのサイズの配列表を参照により援用する。
【0003】
本発明は、NKp46結合ポリペプチド、及びNKp46結合ポリペプチドを使用してNKp46の生物学的活性を調節する方法に関する。そのような方法には、限定されるものではないが、癌及び感染性疾患を治療する方法が含まれる。幾つかの実施の形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、NKp46結合ポリペプチドと、免疫細胞活性化サイトカイン、及び/又はNKp46以外の抗原に結合するポリペプチドとを含む融合ポリペプチドである。
【背景技術】
【0004】
CD335、LY94ホモログ、又はNCR1としても知られるNKp46は、ナチュラルキラー(NK)細胞上で発現される活性化細胞表面受容体である。NKp46は、自然細胞傷害性受容体(NCR)ファミリーの一部であり、一般にウイルス感染細胞、真菌細胞、又は癌細胞上に提示されるストレスリガンドの受容体として機能する。NKp46のライゲーション及びクラスター化は、共受容体FcεRI及びCD3ζを含む免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を介して活性化シグナルを駆動し、インターフェロン-γの発現及びNK媒介性細胞傷害を誘導する。NKp46の発現は、NK細胞に限定され、CD4+又はCD8+T細胞、B細胞、単球、又は顆粒球上では発現されない。NKp46遺伝子は、ヒトからカニクイザル、ラット、及びマウスまで保存されており、これらの動物における発現パターンもヒトと同様にNK細胞に限定される。この発現パターン及び種の保存から、NKp46は、NKを標的とする治療薬の理想的なNK特異的マーカーであり、NK媒介性細胞傷害を駆動する強力なNK活性化受容体でもある。
【0005】
NK細胞は、事前に感作することなくウイルス感染細胞及び癌細胞を死滅させ、サイトカインシグナル及びケモカインシグナルを介して樹状細胞、T細胞、及びB細胞の適応免疫応答を増強することができる重要な免疫細胞である(非特許文献1)。NK細胞は、標的細胞を認識し、死滅させる幾つかの機構を有する。ストレスリガンドは、NKG2D、NKp30、NKp44、NKp46、及びDNAM-1等の自然細胞傷害性受容体(NCR)を介してNK細胞の脱顆粒に関与し、これを活性化する。MHCクラスIの消失は、多くのウイルスに共通する免疫回避戦略であり、ヒト癌においても観察される。NK細胞は、KIR及びNKG2Aからの抑制シグナルの遮断により、MHCクラスIを発現していない細胞を認識し、死滅させることができる(非特許文献2)。抗体によるウイルス抗原又は癌抗原の抗体オプソニン化は、NK細胞上のCD16aをアゴナイズし、NK細胞傷害の強力な活性化を誘導する。NK細胞の脱顆粒は、細胞傷害性タンパク質だけでなく、インターフェロン-γ及びTNF-α等の免疫刺激性サイトカイン、並びにCCL3、CCL4、CCL5、XCL1、及びXCL2のような免疫増強ケモカインを放出する(非特許文献3及び非特許文献4)。これらの分泌因子は、効率的な適応免疫応答を調整するためにDC、T細胞、及びB細胞を活性化し、動員する。
【0006】
多数の刺激性シグナル及び抑制性シグナルが、NK細胞の全体的な活性化状態を調整し、応答の閾値及び規模を制御する。ウイルス感染細胞のNK媒介死滅に理想的な条件は、インターロイキン-2(IL-2)又はインターロイキン-15(IL-15)等のサイトカインからの支持を必要とする。IL-2及びIL-15は、CD122及びCD132から構成される共通のヘテロ二量体シグナル伝達受容体を介してT細胞及びNK細胞の増殖を刺激する強力なサイトカインである。また、IL-2は、CD25を含むヘテロ三量体高親和性形態の受容体に連結することができる。IL-2及びIL-15は、NK細胞の生存及び増殖を増強することに加えて、グランザイム-B、パーフォリン、及びインターフェロン-γ等のエフェクター分子を発現するようにNK細胞をプライミングすることができ、これらは脱顆粒時に放出され、標的細胞を破壊するように作用する。感染又は癌に起因する病的炎症は、NK細胞を疲弊し、効果のない状態にする可能性がある。IL-2又はIL-15による刺激は、疲弊したNK細胞を再活性化し、抑制性の免疫シグナルを克服することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Vidal et al. Curr Opin Virol 1(6):497-512 (2011)
【非特許文献2】Raulet and Vance Nat Rev Immunol 6(7):520-531 (2006)
【非特許文献3】Fauriat et al. Blood 115(11):2167-2176 (2010)
【非特許文献4】Bottcher et al. Cell 172(5):1022-1037 (2018)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
活性化分子等の分子をNK細胞に特異的に標的化し、NK細胞応答の効力及び選択性を増大させることができるNKp46結合ポリペプチドが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
NKp46結合ポリペプチド、及びNKp46結合ポリペプチドを使用して、例えば癌又は感染性疾患を治療する方法が本明細書で提供される。幾つかの実施の形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、NKp46に結合する少なくとも1つのVHHドメインを含む。幾つかの実施の形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、1つ以上の付加的な結合ドメイン及び/又はサイトカイン配列を含む。
【0010】
幾つかの実施の形態を以下に提示する。
【0011】
実施の形態1. NKp46に結合し、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号18、配列番号19、配列番号20、又は配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、又は配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR3を含む少なくとも1つのVHHドメインを含むポリペプチド。
【0012】
実施の形態2. 少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、実施の形態1に記載のポリペプチド。
【0013】
実施の形態3. 少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号19のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、実施の形態1に記載のポリペプチド。
【0014】
実施の形態4. 少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号20のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、実施の形態1に記載のポリペプチド。
【0015】
実施の形態5. 少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号21のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、実施の形態1に記載のポリペプチド。
【0016】
実施の形態6. 少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号23のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、実施の形態1に記載のポリペプチド。
【0017】
実施の形態7. 少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号24のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、実施の形態1に記載のポリペプチド。
【0018】
実施の形態8. 少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号25のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、実施の形態1に記載のポリペプチド。
【0019】
実施の形態9. 少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号26のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、実施の形態1に記載のポリペプチド。
【0020】
実施の形態10. 少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号17のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号18のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号27のアミノ酸配列を含むCDR3を含む、実施の形態1に記載のポリペプチド。
【0021】
実施の形態11. 少なくとも1つのVHHドメイン又は各VHHドメインは、ヒト化されている、実施の形態1~10のいずれか一形態に記載のポリペプチド。
【0022】
実施の形態12. 少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号1~配列番号16のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、又は少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む、実施の形態1~11のいずれか一形態に記載のポリペプチド。
【0023】
実施の形態13. 少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号1~配列番号16のいずれか1つのアミノ酸配列を含む、実施の形態1~12のいずれか一形態に記載のポリペプチド。
【0024】
実施の形態14. 少なくとも1つのVHHドメインは、配列番号11又は配列番号15のアミノ酸配列を含む、実施の形態1~13のいずれか一形態に記載のポリペプチド。
【0025】
実施の形態15. 2つのVHHドメインを含む、実施の形態1~14のいずれか一形態に記載のポリペプチド。
【0026】
実施の形態16. 3つのVHHドメインを含む、実施の形態1~14のいずれか一形態に記載のポリペプチド。
【0027】
実施の形態17. 免疫細胞活性化サイトカイン又はその機能部分を含む、実施の形態1~16のいずれか一形態に記載のポリペプチド。
【0028】
実施の形態18. 前記免疫細胞活性化サイトカインは、NKp46に結合するVHHドメインのN末端又はC末端に融合している、実施の形態17に記載のポリペプチド。
【0029】
実施の形態19. 前記免疫細胞活性化サイトカインは、IL-2、IL-15、IL-7、IL-6、IL-12、IFNα、IFNβ、若しくはIFNγ、又はそれらの弱毒化型若しくは改変型である、実施の形態17又は18に記載のポリペプチド。
【0030】
実施の形態20. NKp46以外の抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含む、実施の形態1~19のいずれか一形態に記載のポリペプチド。
【0031】
実施の形態21. 腫瘍抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含む、実施の形態20に記載のポリペプチド。
【0032】
実施の形態22. 1-92-LFA-3、5T4、α4インテグリン、αVインテグリン、α4β1インテグリン、α4β7インテグリン、AGR2、抗ルイスY、アペリンJ受容体、APRIL、B7-H3、B7-H4、B7-H6、BAFF、BCMA、BTLA、補体C5、C-242、CA9、CA19-9、(ルイスa)、炭酸脱水酵素9、CD2、CD3、CD6、CD9、CD11a、CD19、CD20、CD22、CD24、CD25、CD27、CD28、CD30、CD33、CD38、CD39、CD40、CD40L、CD41、CD44、CD44v6、CD47、CD51、CD52、CD56、CD64、CD70、CD71、CD73、CD74、CD80、CD81、CD86、CD95、CD117、CD123、CD125、CD132、(IL-2RG)、CD133、CD137、CD138、CD166、CD172A、CD248、CDH6、CEACAM5(CEA)、CEACAM6(NCA-90)、クローディン3、クローディン4、cMet、コラーゲン、Cripto、CSFR、CSFR-1、CTLA-4、CTGF、CXCL10、CXCL13、CXCR1、CXCR2、CXCR4、CYR61、DL44、DLK1、DLL3、DLL4、DPP-4、DSG1、EDA、EDB、EGFR、EGFRviii、エンドセリンB受容体(ETBR)、ENPP3、EpCAM、EPHA2、EPHB2、ERBB3、RSVのFタンパク質、FAP、FAS、FcRH5、FGF-2、FGF8、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FLT-3、葉酸受容体α(FRα)、GAL3ST1、G-CSF、G-CSFR、GD2、GITR、GLUT1、GLUT4、GM-CSF、GM-CSFR、GP IIb/IIIa受容体、Gp130、GPIIB/IIIA、GPNMB、GPRC5D、GRP78、HAVCAR1、HER2/neu、HER3、HER4、HGF、hGH、HVEM、ヒアルロニダーゼ、ICOS、IFNα、IFNβ、IFNγ、IgE、IgE受容体(FceRI)、IGF、IGF1R、IL1B、IL1R、IL2、IL11、IL12、IL12p40、IL-12R、IL-12Rβ1、IL13、IL13R、IL15、IL17、IL18、IL21、IL23、IL23R、IL27/IL27R(wsx1)、IL29、IL-31R、IL31/IL31R、IL2R、IL4、IL4R、IL6、IL6R、インスリン受容体、Jaggedリガンド、Jagged 1、Jagged 2、KISS1-R、LAG-3、LIF-R、ルイスX、LIGHT、LRP4、LRRC26、Ly6G6D、LyPD1、MCSP、メソテリン、MICA、MICB、MRP4、MUC1、ムチン16(MUC16、CA-125)、Na/K ATPアーゼ、NGF、ニカストリン、NKG2A、Notch受容体、Notch 1、Notch 2、Notch 3、Notch 4、NOV、OSM-R、OX-40、PAR2、PDGF-AA、PDGF-BB、PDGFRα、PDGFRβ、PD-1、PD-L1、PD-L2、ホスファチジルセリン、P1GF、PSCA、PSMA、PSGR、RAAG12、RAGE、SLC44A4、スフィンゴシン-1-リン酸、STEAP1、STEAP2、TAG-72、TAPA1、TEM-8、TGFβ、TGFβ受容体1(TGFBR1)、TGFβ受容体2(TGFBR2)、TIGIT、TIM-3、TLR2、TLR4、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TMEM31、TNFα、TNFR、TNFRS12A、TRAIL-R1、TRAIL-R2、トランスフェリン、トランスフェリン受容体、TRK-A、TRK-B、TROP-2、uPAR、VAP1、VCAM-1、VEGF、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、VISTA、WISP-1、WISP-2、及びWISP-3から選択される抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含む、実施の形態20又は21に記載のポリペプチド。
【0033】
実施の形態23. NKp46以外の抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメインは、VHHドメインである、実施の形態20~22のいずれか一形態に記載のポリペプチド。
【0034】
実施の形態24. NKp46以外の抗原に結合する各抗原結合ドメインは、VHHドメインである、実施の形態23に記載のポリペプチド。
【0035】
実施の形態25. NKp46以外の抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメインは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、実施の形態20~22のいずれか一形態に記載のポリペプチド。
【0036】
実施の形態26. NKp46以外の抗原に結合する各抗原結合ドメインは、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、実施の形態25に記載のポリペプチド。
【0037】
実施の形態27. 前記ポリペプチドの各VHHドメインは、NKp46に結合する、実施の形態1~22のいずれか一形態に記載のポリペプチド。
【0038】
実施の形態28. 各VHHドメインは、同じCDR1、CDR2、及びCDR3アミノ酸配列を含む、実施の形態27に記載のポリペプチド。
【0039】
実施の形態29. 各VHHドメインは、同じVHH配列を含む、実施の形態27に記載のポリペプチド。
【0040】
実施の形態30. 前記NKp46は、ヒトNKp46である、実施の形態1~29のいずれか一形態に記載のポリペプチド。
【0041】
実施の形態31. 前記ヒトNKp46は、配列番号29の配列を含む、実施の形態30に記載のポリペプチド。
【0042】
実施の形態32. Fc領域を含む、実施の形態1~31のいずれか一形態に記載のポリペプチド。
【0043】
実施の形態33. 前記Fc領域は、配列番号53~配列番号89から選択されるアミノ酸配列を含む、実施の形態32に記載のポリペプチド。
【0044】
実施の形態34. 生理学的条件下で二量体を形成する、実施の形態32又は33に記載のポリペプチド。
【0045】
実施の形態35. 前記Fc領域のC末端に融合した免疫細胞活性化サイトカインを含む、実施の形態32~34のいずれか一形態に記載のポリペプチド。
【0046】
実施の形態36. 第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとを含む複合体であって、前記第1のポリペプチドは、実施の形態1~35のいずれか一形態に記載のポリペプチドであり、前記第1のポリペプチドは、第1のFc領域を含み、前記第2のポリペプチドは、第2のFc領域を含み、前記第1のFc領域及び前記第2のFc領域は、同じか又は異なる、複合体。
【0047】
実施の形態37. 前記第1又は第2のポリペプチドは、NKp46に結合する少なくとも1つのVHHドメイン、少なくとも1つの免疫細胞活性化サイトカイン、及び/又はNKp46以外の抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含む、実施の形態36に記載の複合体。
【0048】
実施の形態38. NKp46以外の抗原に結合する前記抗原結合ドメインが重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含む場合、前記重鎖可変領域は、前記第1又は第2のFc領域を含む重鎖定常領域に融合する、実施の形態37に記載の複合体。
【0049】
実施の形態39. 前記第1又は第2のポリペプチドは、TGFβ受容体1、TGFβ受容体2、及びNKG2Aから選択されるNKp46以外の抗原に結合する抗原結合ドメインを含む、実施の形態37又は38に記載の複合体。
【0050】
実施の形態40. 前記第1又は第2のポリペプチドは、腫瘍抗原に結合する少なくとも1つの結合ドメインを含む、実施の形態37~39のいずれか一形態に記載の複合体。
【0051】
実施の形態41. 前記第1又は第2のポリペプチドは、1-92-LFA-3、5T4、α4インテグリン、αVインテグリン、α4β1インテグリン、α4β7インテグリン、AGR2、抗ルイスY、アペリンJ受容体、APRIL、B7-H3、B7-H4、B7-H6、BAFF、BCMA、BTLA、補体C5、C-242、CA9、CA19-9、(ルイスa)、炭酸脱水酵素9、CD2、CD3、CD6、CD9、CD11a、CD19、CD20、CD22、CD24、CD25、CD27、CD28、CD30、CD33、CD38、CD39、CD40、CD40L、CD41、CD44、CD44v6、CD47、CD51、CD52、CD56、CD64、CD70、CD71、CD73、CD74、CD80、CD81、CD86、CD95、CD117、CD123、CD125、CD132、(IL-2RG)、CD133、CD137、CD138、CD166、CD172A、CD248、CDH6、CEACAM5(CEA)、CEACAM6(NCA-90)、クローディン3、クローディン4、cMet、コラーゲン、Cripto、CSFR、CSFR-1、CTLA-4、CTGF、CXCL10、CXCL13、CXCR1、CXCR2、CXCR4、CYR61、DL44、DLK1、DLL3、DLL4、DPP-4、DSG1、EDA、EDB、EGFR、EGFRviii、エンドセリンB受容体(ETBR)、ENPP3、EpCAM、EPHA2、EPHB2、ERBB3、RSVのFタンパク質、FAP、FAS、FcRH5、FGF-2、FGF8、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FLT-3、葉酸受容体α(FRα)、GAL3ST1、G-CSF、G-CSFR、GD2、GITR、GLUT1、GLUT4、GM-CSF、GM-CSFR、GP IIb/IIIa受容体、Gp130、GPIIB/IIIA、GPNMB、GPRC5D、GRP78、HAVCAR1、HER2/neu、HER3、HER4、HGF、hGH、HVEM、ヒアルロニダーゼ、ICOS、IFNα、IFNβ、IFNγ、IgE、IgE受容体(FceRI)、IGF、IGF1R、IL1B、IL1R、IL2、IL11、IL12、IL12p40、IL-12R、IL-12Rβ1、IL13、IL13R、IL15、IL17、IL18、IL21、IL23、IL23R、IL27/IL27R(wsx1)、IL29、IL-31R、IL31/IL31R、IL2R、IL4、IL4R、IL6、IL6R、インスリン受容体、Jaggedリガンド、Jagged 1、Jagged 2、KISS1-R、LAG-3、LIF-R、ルイスX、LIGHT、LRP4、LRRC26、Ly6G6D、LyPD1、MCSP、メソテリン、MICA、MICB、MRP4、MUC1、ムチン16(MUC16、CA-125)、Na/K ATPアーゼ、NGF、ニカストリン、Notch受容体、Notch 1、Notch 2、Notch 3、Notch 4、NOV、OSM-R、OX-40、PAR2、PDGF-AA、PDGF-BB、PDGFRα、PDGFRβ、PD-1、PD-L1、PD-L2、ホスファチジルセリン、P1GF、PSCA、PSMA、PSGR、RAAG12、RAGE、SLC44A4、スフィンゴシン-1-リン酸、STEAP1、STEAP2、TAG-72、TAPA1、TEM-8、TGFβ、TIGIT、TIM-3、TLR2、TLR4、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TMEM31、TNFα、TNFR、TNFRS12A、TRAIL-R1、TRAIL-R2、トランスフェリン、トランスフェリン受容体、TRK-A、TRK-B、TROP-2、uPAR、VAP1、VCAM-1、VEGF、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、VISTA、WISP-1、WISP-2、及びWISP-3から選択される抗原に結合する少なくとも1つの結合ドメインを含む、実施の形態37~40のいずれか一形態に記載の複合体。
【0052】
実施の形態42. 前記第2のポリペプチドの少なくとも1つのVHHドメイン又は各VHHドメインは、ヒト化されている、実施の形態36~41のいずれか一形態に記載の複合体。
【0053】
実施の形態43. 前記第1のFc領域は、ノブ突然変異を含み、前記第2のFc領域は、ホール突然変異を含むか、又は前記第1のFc領域は、ホール突然変異を含み、前記第2のFc領域は、ノブ突然変異を含む、実施の形態36~42のいずれか一形態に記載の複合体。
【0054】
実施の形態44. 前記第1のFc領域は、T366W突然変異を含み、前記第2のFc領域は、T366S、L368A、及びY407V突然変異を含むか、又は前記第1のFc領域は、ホール突然変異を含み、前記第2のFc領域は、ノブ突然変異を含む、実施の形態43に記載の複合体。
【0055】
実施の形態45. T366S、L368A、及びY407V突然変異を含む前記Fc領域は、H435R又はH435K突然変異を含む、実施の形態44に記載の複合体。
【0056】
実施の形態46. 前記ポリペプチドは、生理学的条件下で二量体であるか、又は前記複合体は、生理学的条件下で形成される、実施の形態36~45のいずれか一形態に記載の複合体。
【0057】
実施の形態47. 実施の形態1~35のいずれか一形態に記載のポリペプチド又は実施の形態36~46のいずれか一形態に記載の複合体と、細胞傷害性物質とを含む免疫複合体。
【0058】
実施の形態48. 前記細胞傷害性物質は、カリケアマイシン、アウリスタチン、ドラスタチン、ツブリシン、メイタンシノイド、クリプトフィシン、ズオカルマイシン、エスペラミシン、ピロロベンゾジアゼピン、及びエンジイン抗生物質から選択される、実施の形態47に記載の免疫複合体。
【0059】
実施の形態49. 前記免疫複合体は、実施の形態36~46のいずれか一形態に記載の複合体を含み、第2のポリペプチドは、CD3、T細胞受容体(TCR)α、TCRβ、CD28、CD16、CD32A、CD64、CD89、又はNKG2Dに結合する少なくとも1つの結合ドメインを含む、実施の形態47又は48に記載の免疫複合体。
【0060】
実施の形態50. 実施の形態1~35のいずれか一形態に記載のポリペプチド、実施の形態36~46のいずれか一形態に記載の複合体、又は実施の形態47~49のいずれか一形態に記載の免疫複合体と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
【0061】
実施の形態51. 実施の形態1~35のいずれか一形態に記載のポリペプチド又は実施の形態36~46のいずれか一形態に記載の複合体をコードする分離された核酸。
【0062】
実施の形態52. 実施の形態51に記載の核酸を含むベクター。
【0063】
実施の形態53. 実施の形態51に記載の核酸又は実施の形態52に記載のベクターを含む宿主細胞。
【0064】
実施の形態54. 実施の形態1~35のいずれか一形態に記載のポリペプチド又は実施の形態36~46のいずれか一形態に記載の複合体を発現する宿主細胞。
【0065】
実施の形態55. 実施の形態1~35のいずれか一形態に記載のポリペプチド又は実施の形態36~46のいずれか一形態に記載の複合体を生産する方法であって、前記ポリペプチド又は複合体の発現に適した条件下で実施の形態53又は54に記載の宿主細胞をインキュベートすることを含む、方法。
【0066】
実施の形態56. 前記ポリペプチド又は複合体を単離することを更に含む、実施の形態55に記載の方法。
【0067】
実施の形態57. NK細胞の増殖又は活性化を増加させる方法であって、NK細胞を実施の形態1~35のいずれか一形態に記載のポリペプチド又は実施の形態36~46のいずれか一形態に記載の複合体と接触させることを含む、方法。
【0068】
実施の形態58. 前記NK細胞は、in vitroで存在する、実施の形態57に記載の方法。
【0069】
実施の形態59. 前記NK細胞は、in vivoで存在する、実施の形態57に記載の方法。
【0070】
実施の形態60. 癌を治療する方法であって、癌又は感染性疾患を伴う被験体に実施の形態1~35のいずれか一形態に記載のポリペプチド、実施の形態36~46のいずれか一形態に記載の複合体、実施の形態47~49のいずれか一形態に記載の免疫複合体、又は実施の形態50に記載の医薬組成物を薬学的有効量、投与することを含む、方法。
【0071】
実施の形態61. 前記癌は、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜癌、子宮頸癌、絨毛癌、結腸直腸癌、結合組織癌、消化器系癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(胃腸癌を含む)、膠芽腫、肝癌、肝細胞癌、上皮内新生物、腎臓癌又は腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(口唇、舌、口腔、及び咽頭)、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃部癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮又は子宮内膜癌、泌尿器系癌、外陰癌、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大病変NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、有毛細胞白血病、並びに慢性骨髄芽球性白血病から選択される、実施の形態60に記載の方法。
【0072】
実施の形態62. 追加の療法剤を投与することを更に含む、実施の形態60又は61に記載の方法。
【0073】
実施の形態63. 前記追加の療法剤は、抗癌剤である、実施の形態62に記載の方法。
【0074】
実施の形態64. 前記抗癌剤は、化学療法剤、抗癌生物製剤、放射線療法薬、CAR-T療法薬、及び腫瘍溶解性ウイルスから選択される、実施の形態63に記載の方法。
【0075】
実施の形態65. 前記追加の療法剤は、抗癌生物製剤である、実施の形態64に記載の方法。
【0076】
実施の形態66. 前記抗癌生物製剤は、腫瘍抗原に結合する結合ドメインを含む抗体である、実施の形態64又は65に記載の方法。
【0077】
実施の形態67. 癌細胞に対するNK細胞媒介性細胞傷害応答をリダイレクトする方法であって、癌を伴う被験体に実施の形態22~35のいずれか一形態に記載のポリペプチド、実施の形態36~46のいずれか一形態に記載の複合体、実施の形態47~49のいずれか一形態に記載の免疫複合体、又は実施の形態50に記載の医薬組成物を薬学的有効量、投与することを含む、方法。
【0078】
実施の形態68. 感染性疾患を治療する方法であって、感染性疾患を伴う被験体に実施の形態1~46のいずれか一形態に記載のポリペプチド若しくは複合体、実施の形態47~49のいずれか一形態に記載の免疫複合体、又は実施の形態50に記載の医薬組成物を薬学的有効量、投与することを含む、方法。
【0079】
実施の形態69. 前記感染性疾患は、細菌感染、ウイルス感染、又は真菌感染である、実施の形態68に記載の方法。
【0080】
実施の形態70. 追加の療法剤を投与することを更に含む、実施の形態68又は69に記載の方法。
【0081】
実施の形態71. 前記追加の療法剤は、抗生物質、抗ウイルス剤、又は抗真菌剤である、実施の形態70に記載の方法。
【0082】
実施の形態72. 病原体に対するナチュラルキラー媒介性細胞傷害応答をリダイレクトする方法であって、該病原体によって引き起こされる感染性疾患を伴う被験体に実施の形態1~46のいずれか一形態に記載のポリペプチド若しくは複合体、実施の形態47~49のいずれか一形態に記載の免疫複合体、又は実施の形態50に記載の医薬組成物を薬学的有効量、投与することを含む、方法。
【0083】
実施の形態73. 前記ポリペプチド、複合体、又は免疫複合体は、前記病原体によって発現される抗原に結合する少なくとも1つの結合ドメインを含む、実施の形態68~72のいずれか一形態に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1図1A図1Jは、フローサイトメトリーによって評価したNKp46結合VHHドメインとFcドメインとを含むポリペプチドの結合を示す図である。図1A及び図1B、並びに図1Iは、ヒトNKp46でトランスフェクションしたHEK-293F細胞への結合を示す。図1C及び図1Dは、カニクイザルNKp46でトランスフェクションしたHEK-293F細胞への結合を示す。図1E及び図1Fは、マウスNKp46でトランスフェクションしたHEK-293F細胞への結合を示す。トランスフェクションしていないHEK-293F細胞への結合は、図1G及び図1H、並びに図1Jに示す。図1I及び図1Jは、二価VHHとホモ二量体Fcとを含むポリペプチドとしてフォーマットされたNKp46標的化VHHドメインの結合を示す。
図2図2A図2Iは、CD56dimCD16NK細胞(図2A及び図2B)、CD56brightCD16-NK細胞(図2C及び図2D)、全NK細胞(図2G)、及びCD4T細胞(図2E及び図2F、並びに図2H)上でのヘテロ二量体FcのC末端に融合したIL-2変異体と、NKp46結合VHHドメインとを含むポリペプチド(hz5D7v12-Fc xELL-ホール及びhz5D7v12-Fc xELL-ノブ-突然変異体IL-2、又はhz5D7v17-Fc xELL-ホール及びhz5D7v17-Fc xELL-ノブ-突然変異体IL-2)、ヘテロ二量体Fc及びNKp46標的化VHHドメインを含み、IL-2を含まないポリペプチド(hz5D7v12-Fc xELL-ホール及びhz5D7v12-Fc xELL-ノブ)、ヘテロ二量体FcのC末端に融合したIL-2変異体と、標的化されていないVHHとを含むポリペプチド(標的化されていないVHH-Fc xELL-ホール及び標的化されていないVHH-Fc xELL-ノブ-突然変異体IL-2)、並びに野生型組換えIL-2の細胞内STAT5リン酸化レベルによって測定される活性を示す図である。シグナル伝達活性の特異性は、NK細胞(図2A図2D、及び図2G)において示され、野生型組換えIL-2のみがCD4図2E及び図2F、並びに図2H)又はCD8T細胞(図2I)に対して活性を有する。
図3】最適用量のセツキシマブ(20nM)の活性と比べた、最適以下の用量のセツキシマブ(0.2nM)と組み合わせた、ヘテロ二量体FcのC末端に融合したIL-2変異体と、NKp46標的化VHHドメインとを含むポリペプチド(hz5D7v12-Fc xELL-ホール及びhz5D7v12-Fc xELL-ノブ-突然変異体IL-2)、ヘテロ二量体FcのC末端に融合したIL-2変異体と、標的化されていないVHHとを含むポリペプチド(標的化されていないVHH-Fc xELL-ホール及び標的化されていないVHH-Fc xELL-ノブ-突然変異体IL-2)、及び野生型組換えIL-2のADCC活性を示す図である。
図4図4A及び図4Bは、リツキシマブの配列類似体である抗CD20抗体、又はその脱フコシル化変異体と組み合わせた場合の、ヘテロ二量体FcのC末端に融合したIL-2変異体と、NKp46標的化VHHドメインとを含むポリペプチド(hz5D7v17-KiH Fc突然変異体IL-2)によるRaji B細胞リンパ腫細胞株に対するNK細胞ADCC活性の増強を示す図である。図4Aは、抗CD20抗体の滴定を示し、図4Bは、1nMの抗CD20抗体の存在下でNK細胞対標的細胞(Raji)の比率を変化させることの影響を示す。
図5図5A図5Dは、5nMのダラツムマブの配列類似体である抗CD38抗体、又は5nMの抗BCMA抗体と組み合わせる場合には多発性骨髄腫細胞株NCI-H929(図5A);10nMのタファシタマブの配列類似体である抗CD19 Fc改変抗体、又は1nMのオビヌツズマブの配列類似体である抗CD19 Fc改変抗体と組み合わせる場合にはB細胞リンパ腫細胞株Raji(図5B);5nMの抗EGFR抗体セツキシマブ、又は50nMの抗HER2抗体トラスツズマブと組み合わせる場合には肺癌細胞株A549(図5C)又は乳癌細胞株SKBR3(図5D)に対する、ヘテロ二量体FcのC末端に融合したIL-2変異体と、NKp46標的化VHHドメインとを含むポリペプチド(hz5D7v17-KiH Fc突然変異体IL-2)によるNK細胞ADCC活性の増強を示す図である。ここでは、様々なNK細胞対標的細胞の比率を比較した。cx11314は、全ての組合せ条件において1nMで使用した。
図6図6A図6Cは、カニクイザルにおけるNKp46結合VHHドメインと、ヘテロ二量体Fc領域と、Fc領域のC末端に融合したIL-2変異体とを含むポリペプチド(hz5D7v12-KiH Fc突然変異体IL-2)の0.3mg/kg、1mg/kg、又は3mg/kgでの単回投与の活性を示す図である。動物の末梢血における亜集団の増加は、投与の10日後(図6A)及び14日後(図6B)に示される。図4Cは、投与の4日後及び10日後のグランザイムB発現の増加を示す。
図7】皮下Raji腫瘍異種移植マウスモデルにおけるヘテロ二量体Fcを含むsdAbのC末端に融合したIL-2変異体と、NKp46標的化VHHドメインとを含むポリペプチド(hz5D7v17-KiH Fc突然変異体IL-2)によって誘導される腫瘍体積の変化によって測定される抗腫瘍効力を示す図である。hz5D7v17-KiH Fc突然変異体IL-2は、矢印によって示されるように週1回で3回投与し、単剤として又はリツキシマブ類似体と組み合わせて静脈内投与した。コントロール群には、ビヒクルのみ又はリツキシマブ類似体単独による処理が含まれていた。
図8図8A及び図8Bは、NKp46結合VHHドメインと、ヘテロ二量体Fcと、Fc領域のC末端に融合したIL-2変異体とを含むポリペプチド(hz5D7v17-KiH Fc突然変異体IL-2)による化学療法誘導NK細胞欠陥の回復を示す図である。図8Aは、単独での又はレナリドミド及び/又はhz5D7v17-KiH Fc突然変異体IL-2と組み合わせたデキサメタゾンによる3日間の処理後のフローサイトメトリーによって決定されるヒト末梢血中のNK細胞数に対する効果を示す。図8Bは、ダラツムマブの配列類似体(抗hCD38-hIgG1)と組み合わせた場合の多発性骨髄腫標的細胞株(MM1S)に対する単独での又はhz5D7v17-KiH Fc突然変異体IL-2と組み合わせた化学療法薬(デキサメタゾン及びレナリドミド)で前処理したNK細胞のADCC活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0085】
本明細書にて提供される実施形態は、NKp46結合ポリペプチド、及び例えば癌又は感染性疾患を治療する様々な方法におけるその使用に関する。
【0086】
本明細書においてNKp46結合ポリペプチドが提供される。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、NKp46に結合する少なくとも1つのVHHを含む。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、NK標的化サイトカイン活性のための操作されたサイトカインを含む。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、別の抗原にも結合する、例えば別の抗原に結合するVHHドメインを含む。幾つかのかかる実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは二重特異性である。この二重特異性NKp46結合ポリペプチドは、ポリペプチドによって標的化された他の抗原を発現する細胞へとNK媒介性細胞傷害をリダイレクトし得る。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、NKp46及び別の抗原に結合する三機能性ポリペプチドであり、操作されたサイトカインを含む。この三機能性ポリペプチドは、NK細胞に対するサイトカイン活性に焦点を当て得る一方で、第2の標的化ドメインは、ポリペプチドを特定の細胞型、例えば癌細胞に標的化する。
【0087】
定義及び様々な実施形態
本明細書に使用されるセクションの見出しは編成のみを目的とし、記載される主題を限定すると解釈されるものではない。
【0088】
特許出願、特許公報、及びGenbankアクセッション番号を含む本明細書で引用される全ての参考文献は、各個別の参考文献が、引用することによりその全体が本明細書の一部をなすと具体的かつ個別に示されているかのように、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0089】
本明細書に記載又は参照される技術及び手順は、一般に十分に理解されており、通常、例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual 3rd. edition (2001) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.、CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY (F. M. Ausubel, et al. eds., (2003))、the series METHODS IN ENZYMOLOGY (Academic Press, Inc.)、PCR 2: A PRACTICAL APPROACH (M. J. MacPherson, B. D. Hames and G. R. Taylor eds. (1995))、Harlow and Lane, eds. (1988) ANTIBODIES, A LABORATORY MANUAL、及びANIMAL CELL CULTURE (R. I. Freshney, ed. (1987))、Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait, ed., 1984)、Methods in Molecular Biology, Humana Press、Cell Biology: A Laboratory Notebook (J. E. Cellis, ed., 1998) Academic Press、Animal Cell Culture (R. I. Freshney, ed., 1987)、Introduction to Cell and Tissue Culture (J. P. Mather and P. E. Roberts, 1998) Plenum Press、Cell and Tissue Culture Laboratory Procedures (A. Doyle, J. B. Griffiths, and D. G. Newell eds., 1993-8) J. Wiley and Sons、Handbook of Experimental Immunology (D. M. Weir and C. C. Blackwell, eds.)、Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (J. M. Miller and M. P. Calos, eds., 1987)、PCR: The Polymerase Chain Reaction, (Mullis et al., eds., 1994)、Current Protocols in Immunology (J. E. Coligan et al., eds., 1991)、Short Protocols in Molecular Biology (Wiley and Sons, 1999)、Immunobiology (C. A. Janeway and P. Travers, 1997)、Antibodies (P. Finch, 1997)、Antibodies: A Practical Approach (D. Catty., ed., IRL Press, 1988-1989)、Monoclonal Antibodies: A Practical Approach (P. Shepherd and C. Dean, eds., Oxford University Press, 2000)、Using Antibodies: A Laboratory Manual (E. Harlow and D. Lane, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1999)、The Antibodies (M. Zanetti and J. D. Capra, eds., Harwood Academic Publishers, 1995)、及びCancer: Principles and Practice of Oncology (V. T. DeVita et al., eds., J.B. Lippincott Company, 1993)並びにそれらの最新版に記載される広く利用されている方法論等の当業者による慣例的な方法論を用いて使用される。
【0090】
別段の規定がない限り、本開示に関連して使用される科学用語及び技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈により別段の要求がない限り、又は明白に特段の指示がない限り、単数名辞は複数を含み、複数名辞は単数を含むものとする。様々な出典又は参考文献の間での定義の矛盾については、本明細書に示される定義が優先される。
【0091】
一般に、免疫グロブリン重鎖における残基の番号付けは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)でのようなEUインデックスの番号付けである。「KabatでのようなEUインデックス」は、ヒトIgG1 EU抗体の残基番号付けを指す。
【0092】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、「からなる(consisting)」実施形態及び/又は「から本質的になる(consisting essentially of)」実施形態を含むと理解される。本明細書で使用される場合に、単数形("a", "an", and "the")は、特段の指示がない限り複数の参照を含む。本明細書での「又は」という用語の使用は、選択肢が互いに排他的であることを意味すると解釈されない。
【0093】
本出願では、「又は」の使用は、明白に特段の指定がない限り又は当業者によって理解されない限り、「及び/又は」を意味する。多項従属請求項の文脈では、「又は」の使用は、2項以上の先行する独立請求項又は従属請求項を引用する。
【0094】
「参照試料」、「参照細胞」、又は「参照組織」という語句は、少なくとも1つの未知の特徴を有する試料との比較として使用され得る少なくとも1つの既知の特徴を有する試料を示す。幾つかの実施形態においては、参照試料は、陽性又は陰性の指標として使用され得る。参照試料を使用することで、未知の特徴を有する試料中に存在するタンパク質及び/又はmRNAのレベルに対して、例えば、健康な組織中に存在するタンパク質及び/又はmRNAのレベルを確立することができる。幾つかの実施形態においては、参照試料は、同じ被験体に由来するが、試験される部分とは異なる被験体の部分に由来する試料である。幾つかの実施形態においては、参照試料は、癌を取り囲む又は癌に隣接する組織領域に由来する試料である。幾つかの実施形態においては、参照試料は、試験される被験体に由来するものではなく、対象の障害(例えば、特定の癌)を有する又は有しないことが既知の被験体に由来する試料である。幾つかの実施形態においては、参照試料は、同じ被験体に由来するものであるが、被験体が癌を発症する前の時点での試料である。幾つかの実施形態においては、参照試料は、同じ被験体又は異なる被験体からの良性癌試料に由来する試料である。比較のために陰性参照試料が使用される場合に、陰性参照試料における対象の分子の発現レベル又は量は、当業者が本開示を考慮して、該分子が存在しない及び/又は低いレベルの該分子が存在することを認識するレベルを示す。比較のために陽性参照試料が使用される場合に、陽性参照試料における対象の分子の発現レベル又は量は、当業者が本開示を考慮して、或るレベルの該分子が存在することを認識するレベルを示す。
【0095】
療法剤の投与から恩恵を受ける又は療法剤の投与に応答するという文脈において本明細書で使用される「便益」、「臨床的便益」、「応答性」、及び「治療的応答性」という用語は、様々なエンドポイント、例えば、減速及び完全な停止を含む疾患進行の或る程度の抑止、疾患エピソード及び/又は症状の数の減少、病変サイズの縮小、隣接する末梢器官及び/又は末梢組織内への疾患細胞浸潤の抑止(すなわち、減少、減速、又は完全な停止)、病気蔓延の抑止(すなわち、減少、減速、又は完全な停止)、障害に関連する1つ以上の症状の或る程度の軽減、治療後の無病提示、例えば無増悪生存期間の長さの増加、全生存期間の延長、より高い奏効率、及び/又は治療後の所与の時点での死亡率の低下を評価することによって推し量ることができる。「非応答性」又は「応答しない」被験体又は癌は、「応答する」という上記の条件を満たさないものである。
【0096】
「核酸分子」、「核酸」、及び「ポリヌクレオチド」という用語は、区別なく使用され、ヌクレオチドのポリマーを指し得る。そのようなヌクレオチドのポリマーは、天然及び/又は非天然のヌクレオチドを含み、限定されるものではないが、DNA、RNA、及びPNAを含み得る。「核酸配列」は、核酸分子又はポリヌクレオチドに含まれるヌクレオチドの線状配列を指す。
【0097】
「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために区別なく使用され、最小の長さに限定されない。そのようなアミノ酸残基のポリマーは、天然又は非天然のアミノ酸残基を含み、限定されるものではないが、ペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸残基の二量体、三量体、及び多量体を含み得る。この定義には、完全長タンパク質及びその断片の両方が含まれる。これらの用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、シアル化、アセチル化、リン酸化等を含む。さらに、本開示の目的で、「ポリペプチド」は、タンパク質が所望の活性を維持する限り、天然配列に対する欠失、付加、及び置換等の修飾(一般に性質について保存的)を含むタンパク質を指す。これらの修飾は、部位特異的突然変異誘発によるような意図的なものであり得る、又はタンパク質を産生する宿主の突然変異若しくはPCR増幅によるエラーによるような偶発的なものであり得る。
【0098】
本明細書で使用される「NKp46」は、細胞内でのNKp46前駆体のプロセシングから生ずるあらゆる天然の成熟NKp46を指す。この用語は、特段の指示がない限り、霊長類(例えば、ヒト及びカニクイザル又はアカゲザル)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)等の哺乳動物を含むあらゆる脊椎動物起源からのNKp46を含む。この用語はまた、スプライス変異体又はアレル変異体等のNKp46の天然に存在する変異体を含む。非限定的な例示的なヒトNKp46アミノ酸配列は、例えば、UniProtアクセッション番号O76036に示されている。配列番号29を参照されたい。非限定的な例示的な成熟ヒトNKp46配列は、配列番号29のアミノ酸22~304であり得る。幾つかの実施形態においては、NKp46は、NK細胞上で発現されるが、CD4+若しくはCD8+T細胞、B細胞、単球、又は顆粒球上では発現されない。NKp46は、NK細胞を活性化し、エフェクター機能を誘発する役割を果たし得る。
【0099】
「ナチュラルキラー細胞媒介性細胞傷害」又は「NK媒介性細胞傷害」という用語は、NK細胞からの細胞傷害性分子の放出による標的細胞の死滅を指す。これらの細胞傷害性分子、例えばグランザイム及びパーフォリンは、標的細胞と相互作用した場合にNK細胞からエキソサイトーシスによって放出される分泌型リソソーム(溶解性顆粒としても知られる)に貯蔵されることがある。NK細胞の例示的な内因性標的は、ウイルス感染細胞又は腫瘍原性細胞である。NK細胞による分泌型リソソームのエキソサイトーシスは、無差別な細胞傷害を回避するように調節される。
【0100】
本明細書で使用される場合に、「リダイレクトされたNK媒介性細胞傷害」は、NK細胞による標的細胞の細胞傷害を指し、標的細胞は、NK細胞によって内因的に標的化されない。言い換えると、リダイレクトされたNK媒介性細胞傷害は、通常はNK細胞の標的ではない細胞に向けられたNK細胞傷害を指す。リダイレクトされたNK媒介性細胞傷害は、標的細胞に対する内因性NK応答と比較して、この標的細胞に対するNK細胞による細胞傷害がより大きいことを指す場合もある。リダイレクトされたNK媒介性細胞傷害は、NK細胞を標的細胞にリダイレクトすることが可能な作用物質、例えばNKp46に結合する少なくとも1つのVHHドメインと、標的細胞上の抗原に結合する少なくとも1つのVHHとを含むポリペプチドによって媒介され得る。このように、NKp46に結合する少なくとも1つのVHHドメインと、標的細胞上の抗原に結合する少なくとも1つのVHHとを含むポリペプチドは、NK細胞を標的細胞に指向させ、標的細胞に対するNK媒介性細胞傷害を刺激するために使用することができる。
【0101】
本明細書で使用される場合に、「サイトカイン」は、細胞によって放出された小さな非抗体タンパク質であり、このタンパク質が別の細胞に対する作用を媒介する。本明細書で使用される場合に、「操作されたサイトカイン」は、固有の特性を有するように天然のサイトカインアミノ酸配列から変化させたサイトカインを指す。例えば、操作されたサイトカインは、弱毒化サイトカインであり得る。本明細書で使用される場合に、「弱毒化サイトカイン」は、その受容体に対する親和性が低下し、活性のためにその受容体への標的化を必要とするサイトカインである。例示的なサイトカインとしては、IL-2及びIL-5が挙げられる。
【0102】
本明細書で使用される場合に、「NKp46結合ポリペプチド」及び「NKp46標的化ポリペプチド」は、NKp46に結合する、例えば特異的に結合する結合ドメインを含むポリペプチドを指すために区別なく使用される。
【0103】
抗原又はエピトープに「特異的に結合する」という用語は、当該技術分野で十分に理解されている用語であり、そのような特異的な結合を決定する方法も当該技術分野で十分に知られている。別の細胞又は物質と反応又は会合するよりも特定の細胞又は物質とより頻繁に、より迅速に、より長い持続時間及び/又はより高い親和性で反応又は会合する場合に、分子は「特異的な結合」又は「優先的な結合」を示すと言及される。シングルドメイン抗体(sdAb)又はVHH含有ポリペプチドは、他の物質に結合するよりも高い親和性、アビディティーで、より容易に、及び/又はより長い持続時間で結合する場合に、標的に「特異的に結合」又は「優先的に結合」する。例えば、NKp46エピトープに特異的に又は優先的に結合するsdAb又はVHH含有ポリペプチドは、他のNKp46エピトープ又は非NKp46エピトープに結合するよりも高い親和性、アビディティーで、より容易に、及び/又はより長い持続時間でこのエピトープに結合するsdAb又はVHH含有ポリペプチドである。また、この定義を解釈することにより、例えば、第1の標的に特異的又は優先的に結合するsdAb又はVHH含有ポリペプチドが、第2の標的に特異的又は優先的に結合し得る又は結合し得ないことも理解される。したがって、「特異的な結合」又は「優先的な結合」は、排他的な結合を(含み得るものの)必ずしも必要としない。一般に、必ずしもそうとは限らないが、結合への言及は優先的な結合を意味する。「特異性」は、結合性タンパク質が抗原に選択的に結合する能力を指す。
【0104】
「抑止」又は「抑止する」という用語は、任意の表現型特徴の減少若しくは停止、又はその特徴の発生率、程度、若しくは可能性の減少若しくは停止を指す。「低減する」又は「抑止する」とは、参照と比較して、活性、機能、及び/又は量を減少させる、低減する、又は停止することである。幾つかの実施形態においては、「低減する」又は「抑止する」とは、10%以上の全体的な減少を引き起こす能力を意味する。幾つかの実施形態においては、「低減する」又は「抑止する」とは、50%以上の全体的な減少を引き起こす能力を意味する。幾つかの実施形態においては、「低減する」又は「抑止する」とは、75%、85%、90%、95%以上の全体的な減少を引き起こす能力を意味する。幾つかの実施形態においては、上記の量は、或る期間にわたって、同じ期間にわたるコントロールに対して抑止又は減少される。
【0105】
本明細書で使用される場合に、「エピトープ」という用語は、抗原結合分子(例えば、sdAb又はVHH含有ポリペプチド)が結合する標的分子(例えば、タンパク質、核酸、炭水化物、又は脂質等の抗原)上の部位を指す。エピトープは、しばしば、アミノ酸、ポリペプチド、又は糖側鎖等の分子の化学的に活性な表面編成物を含み、特定の三次元構造的特徴及び特定の電荷特徴を有する。エピトープは、標的分子の連続残基及び/又は並置された非連続残基(例えば、アミノ酸、ヌクレオチド、糖、脂質部分)の両方から形成され得る。連続残基(例えば、アミノ酸、ヌクレオチド、糖、脂質部分)から形成されるエピトープは、通常、変性溶剤への曝露で保持されるが、三次フォールディングにより形成されるエピトープは、通常、変性溶剤による処理で失われる。エピトープは、限定されるものではないが、少なくとも3個、少なくとも5個、又は8個~10個の残基(例えば、アミノ酸又はヌクレオチド)を含み得る。幾つかの実施形態においては、エピトープは、20残基(例えば、アミノ酸又はヌクレオチド)未満、15残基未満、又は12残基未満の長さである。2つの抗体は、それらが抗原に対して競合的結合を示す場合に、抗原内の同じエピトープに結合し得る。幾つかの実施形態においては、エピトープは、抗原結合分子上のCDR残基との或る特定の最小距離によって特定され得る。幾つかの実施形態においては、エピトープは、上記距離によって特定され得て、抗原結合分子の残基と抗原残基との間の結合(例えば、水素結合)に関与するそれらの残基に更に限定され得る。エピトープは、様々なスキャンによっても同様に特定され得る。例えば、アラニンスキャン又はアルギニンスキャンは、抗原結合分子が相互作用し得る1つ以上の残基を示すことができる。明示的に示されない限り、エピトープとしての残基のセットは、特定の抗原結合分子に対するエピトープの一部であることから他の残基を除外するものではない。むしろ、そのようなセットの存在は、最小のエピトープの列(又は種類のセット)を示す。したがって、幾つかの実施形態においては、エピトープとして特定された残基のセットは、抗原上のエピトープについての残基の排他的リストではなく、抗原に関連する最小のエピトープを示す。
【0106】
「非線状エピトープ」又は「立体構造エピトープ」は、エピトープに特異的な抗原結合分子が結合する抗原性タンパク質内の非連続的なポリペプチド、アミノ酸及び/又は糖を含む。幾つかの実施形態においては、少なくとも1つの残基がエピトープの他の示された残基と非連続的であるが、1つ以上の残基が他の残基と連続的である場合もある。
【0107】
「線状エピトープ」は、エピトープに特異的な抗原結合分子が結合する抗原性タンパク質内の連続的なポリペプチド、アミノ酸及び/又は糖を含む。幾つかの実施形態においては、線状エピトープ内の残基の全てが、抗原結合分子によって直接的に結合される(又は結合に関与する)必要があるわけではないことに留意されたい。幾つかの実施形態においては、線状エピトープは、事実上線状エピトープの配列からなるペプチドによる免疫化に由来し得る、又はタンパク質の残部から相対的に分離されたタンパク質の構造区間に由来し得る(こうして、抗原結合分子は、少なくとも主として、まさにその配列区間と相互作用し得る)。
【0108】
「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、限定されるものではないが、慣例的な抗体(典型的には、少なくとも1つの重鎖及び少なくとも1つの軽鎖を含む)、シングルドメイン抗体(sdAb、少なくとも1つのVHHドメイン及びFc領域を含む)、VHH含有ポリペプチド(少なくとも1つのVHHドメインを含むポリペプチド)、及び所望の抗原結合活性を示す限り上述のいずれかのフラグメントを含む抗体様抗原結合ドメインを含む様々なポリペプチドを包含する。幾つかの実施形態においては、抗体は二量体化ドメインを含む。そのような二量体化ドメインとしては、限定されるものではないが、重鎖定常ドメイン(C1、ヒンジ、C2、及びC3を含み、C1は典型的には、軽鎖定常ドメインCLと対をなす一方で、C3及び/又はヒンジは二量体化を介在する)及びFc領域(ヒンジ、C2、及びC3を含み、C3及び/又はヒンジは二量体化を介在する)が挙げられる。
【0109】
抗体という用語には、限定されるものではないが、キメラ抗体、ヒト化抗体、及びラクダ(ラマを含む)、サメ、マウス、ヒト、カニクイザル等の様々な種の抗体も含まれる。
【0110】
本明細書で使用される「抗原結合ドメイン」という用語は、抗原に結合するのに十分な抗体の部分を指す。幾つかの実施形態においては、慣例的な抗体の抗原結合ドメインは、3つの重鎖CDR及び3つの軽鎖CDRを含む。したがって、幾つかの実施形態においては、抗原結合ドメインは、CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3と、抗原への結合を維持するのに必要とされるFR1及び/又はFR4の任意の部分とを含む重鎖可変領域、並びにCDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3と、抗原への結合を維持するのに必要とされるFR1及び/又はFR4の任意の部分とを含む軽鎖可変領域を含む。幾つかの実施形態においては、sdAb又はVHH含有ポリペプチドの抗原結合ドメインは、VHHドメインの3つのCDRを含む。したがって、幾つかの実施形態においては、sdAb又はVHH含有ポリペプチドの抗原結合ドメインは、CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3と、抗原への結合を維持するのに必要とされるFR1及び/又はFR4の任意の部分とを含むVHHドメインを含む。
【0111】
本明細書で使用される「VHH」又は「VHHドメイン」又は「VHH抗原結合ドメイン」という用語は、ラクダ抗体又はサメ抗体等のシングルドメイン抗体の抗原結合部分を指す。幾つかの実施形態においては、VHHは、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4と表される3つのCDRと4つのフレームワーク領域とを含む。幾つかの実施形態においては、VHHは、VHHが実質的に抗原結合及び特異性を維持する限り、部分的なFR1及び/又はFR4のみを含むように又はそれらのフレームワーク領域の一方若しくは両方を欠くように、N末端又はC末端で切断されていてもよい。
【0112】
「シングルドメイン抗体」及び「sdAb」という用語は、軽鎖及びFc領域を有しないVHHドメイン等の少なくとも1つの単量体ドメインを含む抗体を指すために、本明細書において区別なく使用される。幾つかの実施形態においては、sdAbは、それぞれのポリペプチドが少なくとも1つのVHHドメイン及びFc領域を含む2つのポリペプチドの二量体である。本明細書で使用される場合に、「シングルドメイン抗体」及び「sdAb」という用語は、多重VHHドメインを含むポリペプチド、例えば、構造VHH-VHH-Fc又はVHH-VHH-VHH-Fcを有し、ここで、VHH、VHH、及びVHHが同じか又は異なる場合があるポリペプチドを包含する。
【0113】
「VHH含有ポリペプチド」という用語は、少なくとも1つのVHHドメインを含むポリペプチドを指す。幾つかの実施形態においては、VHHポリペプチドは、2つ、3つ、又は4つ以上のVHHドメインを含み、ここで、各VHHドメインは、同じ又は異なっていてもよい。幾つかの実施形態においては、VHH含有ポリペプチドは、Fc領域を含む。幾つかのそのような実施形態においては、VHH含有ポリペプチドは、sdAbと称され得る。さらに、幾つかのそのような実施形態においては、VHHポリペプチドは、二量体を形成し得る。sdAbとも称されるVHH含有ポリペプチドの非限定的な構造としては、VHH-Fc、VHH-VHH-Fc、及びVHH-VHH-VHH-Fcが挙げられ、ここで、VHH、VHH、及びVHHは、同じ又は異なっていてもよい。そのような構造の幾つかの実施形態においては、或るVHHは、リンカーによって別のVHHに連結され得る、又は或るVHHは、リンカーによってFcに連結され得る。幾つかのそのような実施形態においては、リンカーは、1個~20個のアミノ酸、好ましくは、主にグリシン及び任意にセリンから構成される1個~20個のアミノ酸を含む。幾つかの実施形態においては、リンカーは、Gly-Gly-Gly-Gly(配列番号45)、Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Ser(配列番号46)、及び/又はGly-Gly-Ser-Ser-Gly-Ser(配列番号47)を含む。幾つかの実施形態においては、VHH含有ポリペプチドがFcを含む場合に、それは二量体を形成する。したがって、構造VHH-VHH-Fcは、それが二量体を形成する場合に、四価であるとみなされる(すなわち、二量体は4つのVHHドメインを有する)。同様に、構造VHH-VHH-VHH-Fcは、それが二量体を形成する場合に、六価であるとみなされる(すなわち、二量体は6つのVHHドメインを有する)。
【0114】
「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体集団の抗体(sdAb又はVHH含有ポリペプチドを含む)を指す。すなわち、集団を構成する個々の抗体は、少量で存在し得る天然に生じる可能性のある突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は非常に特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。さらに、典型的には、異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対する抗体である。したがって、モノクローナル抗体の試料は、抗原上の同じエピトープに結合することができる。「モノクローナル」という修飾成句は、抗体の実質的に均一な集団から得られる抗体の性質を示し、何らかの特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein, 1975, Nature 256:495により最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得る、又は米国特許第4,816,567号に記載されるような組換えDNA法によって作製され得る。モノクローナル抗体はまた、例えば、McCafferty et al., 1990, Nature 348:552-554に記載される技術を使用して作製されたファージライブラリーから単離され得る。
【0115】
「CDR」という用語は、少なくとも1つの当業者に対する特定様式によって定義される相補性決定領域を示す。幾つかの実施形態においては、CDRは、Chothia番号付けスキーム、Kabat番号付けスキーム、KabatとChothiaとの組合せ、AbM定義、及び/又は接触定義(contact definition)のいずれかに従って定義され得る。VHHは、CDR1、CDR2、及びCDR3と表される3つのCDRを含む。幾つかの実施形態においては、CDRは、AbM定義に従って定義される。
【0116】
本明細書で使用される「重鎖定常領域」という用語は、少なくとも3つの重鎖定常ドメイン、すなわち、C1、ヒンジ、C2、及びC3を含む領域を指す。当然ながら、ドメイン内の機能を変えない欠失及び改変は、特段の指定がない限り、「重鎖定常領域」という用語の範囲内に含まれる。非限定的な例示的な重鎖定常領域としては、γ、δ、及びαが挙げられる。非限定的な例示的な重鎖定常領域としては、ε及びμも挙げられる。それぞれの重鎖定常領域は、1つの抗体アイソタイプに対応する。例えば、γ定常領域を含む抗体はIgG抗体であり、δ定常領域を含む抗体はIgD抗体であり、α定常領域を含む抗体はIgA抗体である。さらに、μ定常領域を含む抗体はIgM抗体であり、ε定常領域を含む抗体はIgE抗体である。或る特定のアイソタイプは、更にサブクラスに細分化され得る。例えば、IgG抗体としては、限定されるものではないが、IgG1(γ定常領域を含む)抗体、IgG2(γ定常領域を含む)抗体、IgG3(γ定常領域を含む)抗体、及びIgG4(γ定常領域を含む)抗体が挙げられ、IgA抗体としては、限定されるものではないが、IgA1(α定常領域を含む)抗体及びIgA2(α定常領域を含む)抗体が挙げられ、IgM抗体としては、限定されるものではないが、IgM1及びIgM2が挙げられる。
【0117】
本明細書で使用される「Fc領域」は、C2及びC3を含む重鎖定常領域の一部を指す。幾つかの実施形態においては、Fc領域は、ヒンジ、C2、及びC3を含む。幾つかの実施形態においては、Fc領域は、ヒンジを含まない。様々な実施形態において、Fc領域がヒンジを含む場合に、ヒンジ及び/又はC3は、2つのFc含有ポリペプチド間の二量体化を介在する。様々な実施形態において、Fc領域がヒンジを含まない場合に、C3は、2つのFc含有ポリペプチド間の二量体化を介在する。Fc領域は、本明細書で論じられる任意の抗体重鎖定常領域アイソタイプのものであり得る。幾つかの実施形態においては、Fc領域は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4である。
【0118】
本明細書で使用される「アクセプターヒトフレームワーク」は、本明細書で論じられるように、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに由来する重鎖可変ドメイン(V)フレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークに由来するアクセプターヒトフレームワークは、その同じアミノ酸配列を含むことができる、又はアミノ酸配列の変化を含み得る。幾つかの実施形態においては、アミノ酸の変化の数は、VHH等の単一の抗原結合ドメイン内の全てのヒトフレームワークにわたって10個未満、又は9個未満、又は8個未満、又は7個未満、又は6個未満、又は5個未満、又は4個未満、又は3個未満である。
【0119】
「親和性」は、分子(例えば、sdAb等の抗体又はVHH含有ポリペプチド)の単一の結合部位及びその結合相手(例えば、抗原)の間の非共有結合的相互作用の合計の強さを指す。分子Xのその相手Yに対する親和性又は見かけの親和性は、一般に、それぞれ解離定数(K)又はKd(見かけ)によって表すことができる。親和性は、本明細書に記載されている方法を含む、当該技術分野で既知の通常の方法(例えば、ELISA K、KinExA、フローサイトメトリー、及び/又は表面プラズモン共鳴デバイス等)によって測定され得る。このような方法としては、限定されるものではないが、BIAcore(商標)、Octet(商標)、又はフローサイトメトリーを要する方法が挙げられる。
【0120】
本明細書で使用される「K」という用語は、抗原結合分子/抗原相互作用の平衡解離定数を指す。本明細書で「K」という用語が使用される場合に、それには、K及びKd(見かけ)が含まれる。
【0121】
幾つかの実施形態においては、抗原結合分子のKは、フローサイトメトリーによって、抗原発現細胞系統を使用し、各抗体濃度で測定された平均蛍光を非線形1サイト結合方程式(graphpad社のPrism Software)にフィッティングして測定される。幾つかのそのような実施形態においては、KはKd(見かけ)である。
【0122】
「生物学的活性」という用語は、分子の任意の1つ以上の生物学的特性(in vivoで見られるように天然に存在するか、又は組換え手段によって提供される若しくは可能となるかどうか)を指す。生物学的特性としては、限定されるものではないが、リガンドの結合、細胞増殖(NK細胞増殖等)の誘導又は増加、細胞活性化(NK細胞活性化等)の誘導又は増加、及びサイトカインの発現の誘導又は増加が挙げられる。
【0123】
「アゴニスト」抗体又は「活性化」抗体は、標的抗原の生物学的活性を増加及び/又は活性化する抗体である。幾つかの実施形態においては、アゴニスト抗体は、抗原に結合し、その生物学的活性を少なくとも約20%、40%、60%、80%、85%以上増加させる。
【0124】
「アンタゴニスト」抗体、「ブロッキング」抗体、又は「中和」抗体は、標的抗原の生物学的活性を抑止、低下及び/又は不活性化する抗体である。幾つかの実施形態においては、中和抗体は、抗原に結合し、その生物学的活性を少なくとも約20%、40%、60%、80%、85%、90%、95%、99%以上低下させる。
【0125】
「親和性成熟」sdAb又はVHH含有ポリペプチドは、sdAb又はVHH含有ポリペプチドの抗原に対する親和性に改善をもたらす改変を有しない親sdAb又はVHH含有ポリペプチドと比較して1つ以上のCDRに1つ以上のそのような改変を有するsdAb又はVHH含有ポリペプチドを指す。
【0126】
本明細書で使用される「ヒト化VHH」は、1つ以上のフレームワーク領域が実質的にヒトフレームワーク領域で置き換えられたVHHを指す。幾つかの場合には、ヒト免疫グロブリンの或る特定のフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。さらに、ヒト化VHHは、当初のVHHにもヒトフレームワーク配列にも見られないが、sdAb又はVHH含有ポリペプチドの性能を更に改良及び最適化するために含まれる残基を含み得る。幾つかの実施形態においては、ヒト化sdAb又はVHH含有ポリペプチドは、ヒトFc領域を含む。理解されるように、ヒト化配列は、その一次配列によって特定され得て、必ずしも抗体が作製された過程を示すわけではない。
【0127】
「エフェクター陽性Fc領域」は、天然配列のFc領域の「エフェクター機能」を有する。例示的な「エフェクター機能」としては、Fc受容体結合、Clq結合及び補体依存性細胞傷害作用(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞介在性細胞傷害作用(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方調節、並びにB細胞活性化等が挙げられる。このようなエフェクター機能は、一般に、Fc領域を結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と組み合わせることを要し、様々なアッセイを使用して評価することができる。
【0128】
「天然配列のFc領域」は、天然に見られるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。天然配列のヒトFc領域としては、天然配列のヒトIgG1 Fc領域(非Aアロタイプ及びAアロタイプ)、天然配列のヒトIgG2 Fc領域、天然配列のヒトIgG3 Fc領域、及び天然配列のヒトIgG4 Fc領域、並びにそれらの天然に存在する変異体が挙げられる。
【0129】
「変異型Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾により天然配列のFc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、「変異型Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾により天然配列のFc領域のアミノ酸配列とは異なるが、天然配列のFc領域の少なくとも1つのエフェクター機能を保持するアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、変異型Fc領域は、天然配列のFc領域又は親ポリペプチドのFc領域と比較して、天然配列のFc領域又は親ポリペプチドのFc領域において、少なくとも1個のアミノ酸置換、例えば、約1個~約10個のアミノ酸置換、好ましくは、約1個~約5個のアミノ酸置換を有する。幾つかの実施形態においては、本明細書の変異型Fc領域は、天然配列のFc領域及び/又は親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の配列同一性、それらと少なくとも約90%の配列同一性、それらと少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有する。
【0130】
「Fc受容体」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を記載している。幾つかの実施形態においては、FcγRは、天然のヒトFcRである。幾つかの実施形態においては、FcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合するものであり、FcγRIサブクラス、FcγRIIサブクラス、及びFcγRIIIサブクラスの受容体であって、これらの受容体のアレル変異体及び選択的スプライシングされた形態を含む受容体を含む。FcγRII受容体には、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)が含まれ、これらは同様のアミノ酸配列を有するが、主にその細胞質ドメインが異なる。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含む。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)を含む(例えば、Daeron, Annu. Rev. Immunol. 15:203-234 (1997)を参照されたい)。FcRは、例えば、Ravetch and Kinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991)、Capel et al., Immunomethods 4:25-34 (1994)、及びde Haas et al., J. Lab. Clin. Med. 126:330-41 (1995)でレビューされている。将来特定されるものを含む他のFcRは、本明細書では「FcR」という用語によって包含される。例えば、「Fc受容体」又は「FcR」という用語はまた、胎児性受容体FcRnを含み、これは、母体のIgGの胎児への移動(Guyer et al., J. Immunol. 117:587 (1976)及びKim et al., J. Immunol. 24:249 (1994))及び免疫グロブリンの恒常性の調節の役割を担う。FcRnへの結合を測定する方法は既知である(例えば、Ghetie and Ward, Immunol. Today 18(12):592-598 (1997)、Ghetie et al., Nature Biotechnology, 15(7):637-640 (1997)、Hinton et al., J. Biol. Chem. 279(8):6213-6216 (2004)、国際公開第2004/92219号(Hintonら)を参照されたい)。
【0131】
本明細書で使用される「実質的に同様」又は「実質的に同じ」という用語は、当業者が2つ以上の値の間の差を、上記値によって測定される生物学的特徴の文脈内で生物学的意義及び/又は統計学的有意性が殆どない又は全くないとみなすような、2つ以上の数値の間の十分に高度な類似性を示す。幾つかの実施形態においては、2つ以上の実質的に同様の値は、5%、10%、15%、20%、25%、又は50%のいずれか1つの概数以下だけ異なる。
【0132】
ポリペプチド「変異体」とは、配列をアラインメントし、必要に応じてギャップを導入して最大パーセントの配列同一性を達成した後に、配列同一性の部分として保存的置換を一切考慮せずに、天然配列のポリペプチドと少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する生物学的に活性なポリペプチドを意味する。そのような変異体としては、例えば、ポリペプチドのN末端又はC末端で1つ以上のアミノ酸残基が付加又は欠失されているポリペプチドが挙げられる。幾つかの実施形態においては、変異体は、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する。幾つかの実施形態においては、変異体は、少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性を有する。幾つかの実施形態においては、変異体は、天然配列のポリペプチドと少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有する。
【0133】
本明細書で使用される場合に、ペプチド配列、ポリペプチド配列、又は抗体配列に関する「パーセント(%)のアミノ酸配列同一性」及び「ホモロジー」は、配列をアラインメントし、必要に応じてギャップを導入して最大パーセントの配列同一性を達成した後に、配列同一性の部分として保存的置換を一切考慮せずに、特定のペプチド配列又はポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。パーセントのアミノ酸配列同一性を決定するためのアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMEGALIGN(商標)(DNASTAR社)ソフトウェア等の公的に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、当業者の技能の範囲内である様々な方法で達成され得る。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメーターを決定することができる。
【0134】
アミノ酸置換には、限定されるものではないが、ポリペプチド中の或るアミノ酸を別のアミノ酸により置き換えることが含まれ得る。例示的な置換を表1に示す。アミノ酸置換を対象の抗体に導入し、産物を所望の活性、例えば、抗原結合の保持/改善、免疫原性の減少、又はADCC若しくはCDCの改善についてスクリーニングすることができる。
【0135】
【表1】
【0136】
共通の側鎖特性に従ってアミノ酸をグループ分けすることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile、
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、
(3)酸性:Asp、Glu、
(4)塩基性:His、Lys、Arg、
(5)鎖の配向に影響する残基:Gly、Pro、
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0137】
非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスに交換することを伴う。
【0138】
「ベクター」という用語は、宿主細胞内で増殖され得る、クローニングされたポリヌクレオチド(単数又は複数)を含むように操作することができるポリヌクレオチドを記載するために使用される。ベクターは、以下のエレメントのうちの1つ以上を含み得る:複製起点、対象のポリペプチドの発現を調節する1つ以上の調節配列(例えば、プロモーター及び/又はエンハンサー等)、及び/又は1つ以上の選択可能なマーカー遺伝子(例えば、抗生物質耐性遺伝子及び比色アッセイで使用することができる遺伝子、例えば、β-ガラクトシダーゼ等)。「発現ベクター」という用語は、宿主細胞において対象のポリペプチドを発現するために使用されるベクターを指す。
【0139】
「宿主細胞」は、ベクター又は単離されたポリヌクレオチドのレシピエントであり得る又はレシピエントであった細胞を指す。宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞であり得る。例示的な真核細胞としては、霊長類動物細胞又は非霊長類動物細胞等の哺乳動物細胞、酵母等の真菌細胞、植物細胞、及び昆虫細胞が挙げられる。非限定的な例示的な哺乳動物細胞としては、限定されるものではないが、NSO細胞、PER.C6(商標)細胞(Crucell社)、並びに293細胞及びCHO細胞、並びにそれらの派生物、例えば293-6E細胞、CHO-DG44細胞、CHO-K1細胞、CHO-S細胞、及びCHO-DS細胞が挙げられる。宿主細胞には、単一の宿主細胞の子孫が含まれるが、自然突然変異、偶発突然変異、又は意図的突然変異のため、子孫は必ずしも当初の親細胞と完全に同一(形態又はゲノムDNA相補において)であるとは限らない。宿主細胞には、本明細書で提供されるポリヌクレオチド(複数の場合もある)と共にin vivoでトランスフェクションされた細胞も含まれる。
【0140】
本明細書で使用される「単離された」という用語は、典型的に天然に一緒に見出される又は一緒に産生される成分の少なくとも幾つかから分離された分子を指す。例えば、ポリペプチドは、それを産生した細胞の成分の少なくとも一部から分離される場合に、「単離された」と称される。ポリペプチドが発現後に細胞によって分泌される場合に、ポリペプチドを含む上清を、それを産生した細胞から物理的に分離することは、ポリペプチドを「単離する」とみなされる。同様に、ポリヌクレオチドは、それが典型的に天然に見られるより大きなポリヌクレオチド(例えば、DNAポリヌクレオチドの場合に、ゲノムDNA又はミトコンドリアDNA等)の一部ではない場合に、又は例えば、RNAポリヌクレオチドの場合に、それを産生した細胞の成分の少なくとも一部から分離される場合に、「単離された」と称される。したがって、宿主細胞内のベクターに含まれるDNAポリヌクレオチドは、「単離された」と称され得る。
【0141】
「個体」及び「被験体」という用語は、動物、例えば哺乳動物を指すために本明細書では区別なく使用される。幾つかの実施形態においては、限定されるものではないが、ヒト、齧歯類、サル、ネコ、イヌ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、哺乳動物実験動物、哺乳動物家畜、哺乳動物競技用動物(sport animals)、及び哺乳動物ペットを含む哺乳動物を治療する方法が提供される。幾つかの例では、「個体」又は「被験体」は、疾患又は障害の治療を必要とする個体又は被験体を指す。幾つかの実施形態においては、治療を受ける被験体は、被験体が治療に関連する障害を有する又は障害を患う十分なリスクがあると特定されたことを表す患者であり得る。
【0142】
本明細書で使用される「疾患」又は「障害」は、治療が必要とされる及び/又は所望される状態を指す。
【0143】
「腫瘍細胞」、「癌細胞」、「癌」、「腫瘍」、及び/又は「新生物」という用語は、特段の指定がない限り、本明細書では区別なく使用され、身体器官及び系の正常な機能を妨げる制御不能な増殖及び/又は異常な細胞生存の増加及び/又はアポトーシスの阻害を示す細胞(又は複数の細胞)を指す。この定義には、良性及び悪性の癌、白血病、リンパ腫及び多発性骨髄腫等の血液癌、ポリープ、過形成、並びに潜伏腫瘍又は微小転移が含まれる。
【0144】
「癌」及び「腫瘍」という用語は、固形癌及び血液癌/リンパ腺癌を包含するとともに、異形成等の悪性腫瘍、前悪性腫瘍、及び良性腫瘍も包含する。例示的な癌としては、限定されるものではないが、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜癌、子宮頸癌、絨毛癌、結腸直腸癌、結合組織癌、消化器系癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌(胃腸癌を含む)、膠芽腫、肝癌、肝細胞癌、上皮内新生物、腎臓癌又は腎癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、及び肺扁平上皮癌)、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(唇、舌、口、及び咽頭)、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃部癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮又は子宮内膜癌、泌尿器系癌、外陰癌、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫、並びにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大病変NHLを含む)、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、及びワルデンストレームマクログロブリン血症、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病、並びにその他の癌腫及び肉腫、並びに移植後リンパ増殖性障害(PTLD)、並びに母斑症、浮腫(脳腫瘍に関連する浮腫等)及びメイグス症候群に関連する異常血管増殖が挙げられる。
【0145】
本明細書で使用される「非腫瘍細胞」という用語は、正常な細胞又は組織を指す。例示的な非腫瘍細胞としては、限定されるものではないが、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、樹状細胞、単球、マクロファージ、上皮細胞、線維芽細胞、肝細胞、間質性腎臓細胞、線維芽細胞様滑膜細胞、骨芽細胞、及び乳房、骨格筋、膵臓、胃、卵巣、小腸、胎盤、子宮、精巣、腎臓、肺、心臓、脳、肝臓、前立腺、結腸、リンパ器官、骨に位置する細胞、及び骨由来の間葉系幹細胞が挙げられる。本明細書で使用される「末梢に位置する細胞又は組織」という用語は、腫瘍細胞の近く及び/又は腫瘍微小環境内に位置しない非腫瘍細胞を指す。
【0146】
本明細書で使用される「腫瘍微小環境内の細胞又は組織」という用語は、腫瘍細胞を取り囲む及び/又は腫瘍細胞に栄養を与える細胞、分子、細胞外マトリックス及び/又は血管を指す。例示的な腫瘍微小環境内の細胞又は組織としては、限定されるものではないが、腫瘍血管系、腫瘍浸潤リンパ球、線維芽細網細胞、内皮前駆細胞(EPC)、癌関連線維芽細胞、周皮細胞、他の間質細胞、細胞外マトリックス(ECM)の成分、樹状細胞、抗原提示細胞、T細胞、制御性T細胞(Treg細胞)、NK細胞、マクロファージ、好中球、骨髄由来抑制細胞(MDSC)及び腫瘍の近位に位置する他の免疫細胞が挙げられる。腫瘍細胞及び/又は腫瘍微小環境内に位置する細胞/組織を特定する方法は、本明細書で以下に記載されるように当該技術分野で十分に知られている。
【0147】
「感染性疾患」という用語は、本明細書で使用される場合に、病原性ウイルス、細菌、又は真菌によって引き起こされる疾患を指す。
【0148】
幾つかの実施形態においては、「増加」又は「減少」は、それぞれ、統計学的に有意な増加又は減少を指す。当業者に明らかであるように、「調節」はまた、試験作用物質が存在することを除き同じ条件と比較した、標的又は抗原のそのリガンド、結合相手、ホモ多量体形若しくはヘテロ多量体形へと会合する相手又は基質の1つ以上に対する親和性、アビディティー、特異性及び/又は選択性の変化(増加又は減少のいずれかであり得る)を引き起こすこと、標的又は抗原が存在する培地又は環境における1つ以上の条件(pH、イオン強度、補因子の存在等)に対する標的又は抗原の感受性の変化(増加又は減少のいずれかであり得る)を引き起こすこと、及び/又は細胞増殖若しくはサイトカイン産生を含み得る。これは、関与する標的に応じて、それ自体が既知の又は本明細書に記載される任意の適切な方法で及び/又は任意の適切なアッセイを使用して決定され得る。
【0149】
本明細書で使用される場合に、「免疫応答」は、疾患(例えば、癌又は癌転移)の発症を抑止若しくは未然防止する又はその症状を改善するのに十分である細胞性免疫応答及び/又は体液性免疫応答を包含することが意図される。「免疫応答」は、自然免疫系及び適応免疫系の両方の側面を包含し得る。
【0150】
本明細書で使用される場合に、「治療」は、有益な又は所望の臨床結果を得るための手法である。本明細書で使用される「治療」は、ヒトを含む哺乳動物における疾患用の療法薬の任意の投与又は適用を対象とする。本開示の目的では、有益な又は所望の臨床結果としては、限定されるものではないが、1つ以上の症状の緩和、疾患の程度の減少、疾患の進展(例えば、転移、例えば肺又はリンパ節への転移)の未然防止又は遅延、疾患の再発の未然防止又は遅延、疾患の進行の遅延又は減速、疾患状態の改善、疾患又は疾患の進行の抑止、疾患又はその進行の抑止又は減速、その発達の阻止、及び寛解(部分的でも全体的でも)のいずれか1つ以上が挙げられる。「治療」には、増殖性疾患の病理学的結果の軽減も含まれる。本明細書で提供される方法は、治療のこれらの側面のいずれか1つ以上を企図している。上記に従って、治療という用語は、障害の全ての側面を100パーセント除去する必要はない。
【0151】
「改善」とは、療法剤を投与しない場合と比べて、1つ以上の症状が軽減又は向上することを意味する。「改善」には、症状の持続期間が短縮又は減少することも含まれる。
【0152】
「抗癌剤」という用語は、本明細書では、その最も広い意味で、1つ以上の癌の治療に使用される作用物質を指すために使用される。そのような作用物質の例示的なクラスとしては、限定されるものではないが、化学療法剤、抗癌生物製剤(サイトカイン、受容体細胞外ドメイン-Fc融合物、及び抗体等)、放射線療法薬、CAR-T療法薬、治療用オリゴヌクレオチド(アンチセンスオリゴヌクレオチド及びsiRNA等)、及び腫瘍溶解性ウイルスが挙げられる。
【0153】
「生体試料」という用語は、生きている生き物又はかつて生きていた生き物からの或る量の物質を意味する。そのような物質としては、限定されるものではないが、血液(例えば、全血)、血漿、血清、尿、羊水、滑液、内皮細胞、白血球、単球、他の細胞、器官、組織、骨髄、リンパ節、及び脾臓が挙げられる。
【0154】
「コントロール」又は「参照」という用語は、分析物を含まないことが既知の組成物(「ネガティブコントロール」)又は分析物を含むことが既知の組成物(「ポジティブコントロール」)を指す。ポジティブコントロールは、既知の濃度の分析物を含み得る。
【0155】
本明細書で使用される場合に、「疾患の発症を遅延させる」とは、疾患(癌等)の発症を遅らせる、妨げる、減速させる、遅滞させる、安定化させる、抑制する、及び/又は引き延ばすことを意味する。この遅延は、疾患の病歴及び/又は治療される個体に応じて、様々な長さの時間となり得る。当業者に明らかであるように、十分な又は大幅な遅延は、事実上、個体が疾患を発症しないという点で未然防止を包含し得る。例えば、転移の発生等の末期癌を遅延させることができる。
【0156】
本明細書で使用される「未然防止」は、疾患の素因を有し得るが、まだ疾患と診断されていない被験体における疾患の発生又は再発に対する予防をもたらすことを含む。特段の指示がない限り、「低減する」、「抑止する」、又は「未然防止する」という用語は、全期間にわたる完全な未然防止を示すのではなく又は必要とするのではなく、測定される期間だけにわたる未然防止を示す又は必要とする。
【0157】
物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストの「治療有効量」は、個体の疾患状態、年齢、性別、及び体重、並びに物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストが個体において所望の応答を誘発する能力等の要因によって変動し得る。治療有効量はまた、治療的に有益な作用が物質/分子、アゴニスト又はアンタゴニストの任意の有毒作用又は有害作用を上回る量である。治療有効量は、1回以上の投与で送達され得る。治療有効量は、必要な投与量で必要な時間にわたって、所望の治療的結果及び/又は予防的結果を達成するのに有効な量を指す。
【0158】
「医薬製剤」及び「医薬組成物」という用語は、区別なく使用され、有効成分(複数の場合もある)の生物学的活性が有効になることを可能にするような形態であり、製剤を投与する被験体に対して許容不可能なほど有毒な追加の成分を含まない調製物を指す。そのような製剤は滅菌され得る。
【0159】
「薬学的に許容可能な担体」は、被験体に投与するための「医薬組成物」を一緒に含む療法剤とともに使用される当該技術分野において慣用の非毒性の固体、半固体又は液体の充填剤、希釈剤、カプセル化材料、製剤補助剤、又は担体を指す。薬学的に許容可能な担体は、使用される投与量及び濃度でレシピエントに対して無毒であり、製剤の他の成分と適合性がある。薬学的に許容可能な担体は、使用される製剤にとって適切である。
【0160】
1つ以上の更なる療法剤と「組み合わせて」の投与には、同時(併用)投与及び任意の順序での連続投与が含まれる。
【0161】
「併用して」という用語は、本明細書では、2つ以上の療法剤の投与であって、投与の少なくとも一部が時間的に重複する、又は1つの療法剤の投与が他の療法剤の投与に対して短い期間に含まれる、又は両方の療法剤の治療効果が少なくとも或る期間にわたり重複する、投与を指すために使用される。
【0162】
「連続的に」という用語は、本明細書では、2つ以上の療法剤の投与であって、時間的に重複しない、又は療法剤の治療効果が重複しない、投与を指すために使用される。
【0163】
本明細書で使用される場合に、「~と組み合わせて」は、或る治療法の施与に別の治療法を加えることを指す。したがって、「~と組み合わせて」は、或る治療法を、個体に他の治療法を施す前、その間、又はその後に施すことを指す。
【0164】
「添付文書」という用語は、治療製品の市販パッケージに通例含まれる使用説明書であって、そのような治療製品の使用に関する指示、使用法、投与量、投与、併用療法、禁忌及び/又は警告に関する情報を含む、使用説明書を指すために使用される。
【0165】
「製造品」は、少なくとも1つの試薬、例えば、疾患若しくは障害(例えば、癌)の治療用の医薬、又は本明細書に記載されるバイオマーカーを特異的に検出するプローブを含む任意の製造物(例えば、パッケージ又は容器)又はキットである。幾つかの実施形態においては、製造物又はキットは、本明細書に記載される方法を実施するユニットとして宣伝、配送、又は販売される。
【0166】
「標識」及び「検出可能な標識」という用語は、例えば、抗体又は抗原に結合されて、特異的結合ペアのメンバー間の反応(例えば、結合)を検出可能にする部分を意味する。特異的結合ペアの標識されたメンバーは、「検出可能に標識された」と称される。したがって、「標識された結合性タンパク質」という用語は、結合性タンパク質の特定をもたらす標識が組み込まれたタンパク質を指す。幾つかの実施形態においては、標識は、視覚的に又は機器的手段により検出可能なシグナルを生成し得る検出可能なマーカー、例えば、放射性標識されたアミノ酸の組み込み又はマーキングされたアビジン(例えば、蛍光マーカー又は光学的方法若しくは比色法により検出され得る酵素活性を含むストレプトアビジン)によって検出され得るビオチニル部のポリペプチドへの結合である。ポリペプチドの標識の例としては、限定されるものではないが、放射性同位体又は放射性核種(例えば、H、14C、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I、177Lu、166Ho、又は153Sm)、色素原、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド蛍光体)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光マーカー、ビオチニル基、二次レポーターによって認識される予め決められたポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパーペア配列、二次抗体のための結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)、及びガドリニウムキレート等の磁性剤が挙げられる。イムノアッセイに通常使用される標識の代表的な例としては、光を発する部分、例えば、アクリジニウム化合物、及び蛍光を発する部分、例えば、フルオレセインが挙げられる。この点について、その部分自体は検出可能に標識されていない場合もあるが、更に別の部分と反応すると検出可能になり得る。
【0167】
例示的なNKp46結合ポリペプチド
NKp46結合ポリペプチドが本明細書で提供される。様々な実施形態において、NKp46結合ポリペプチドは、NKp46に結合する少なくとも1つのVHHドメインを含む。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、NKp46とウイルスヘマグルチニンタンパク質との結合を阻害する。幾つかの実施形態においては、本明細書で提供されるNKp46結合ポリペプチドは、NKp46に結合する1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、又は8つのVHHドメインを含む。幾つかの実施形態においては、本明細書で提供されるNKp46結合ポリペプチドは、NKp46に結合する1つ、2つ、3つ、又は4つのVHHドメインを含む。そのようなNKp46結合ポリペプチドは、NKp46以外の1つ以上の標的タンパク質に結合する1つ以上の付加的なVHHドメインを含んでいてもよく、及び/又はサイトカイン配列等の1つ以上の付加的なポリペプチド配列を含んでいてもよい。
【0168】
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、NKp46に結合する少なくとも1つのVHHドメインとFc領域とを含む。幾つかの実施形態においては、本明細書で提供されるNKp46結合ポリペプチドは、NKp46に結合する1つ、2つ、3つ、又は4つのVHHドメインとFc領域とを含む。幾つかの実施形態においては、Fc領域は、生理学的条件でNKp46結合ポリペプチドの二量体化を介在し、こうして二量体が形成されることにより、NKp46結合部位の数が2倍となる。例えば、NKp46に結合する3つのVHHドメインとFc領域とを含むNKp46結合ポリペプチドは、単量体としては三価であるが、生理学的条件では、Fc領域が二量体化を介在することができ、こうしてNKp46結合ポリペプチドは、そのような条件下で六価の二量体として存在する。
【0169】
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、少なくとも2つのVHHドメインを含み、ここで、第1のVHHドメインは、NKp46の第1のエピトープに結合し、第2のVHHドメインは、NKp46の第2のエピトープに結合する。NKp46結合ポリペプチドが、NKp46の第1のエピトープに結合するVHHドメインと、NKp46の第2のエピトープに結合するVHHドメインとを含む場合に、NKp46結合ポリペプチドは、「二重エピトープ性」又は「二重特異性」と称され得る。
【0170】
非限定的な例示的なNKp46結合ポリペプチドを表2に示す。指定のシングルドメイン抗体の配列は、本明細書の或る特定の配列の表に示す。
【0171】
【表2】
【0172】
様々な実施形態において、NKp46に結合するVHHドメインは、配列番号17のCDR1配列と、配列番号18、配列番号19、配列番号20、及び配列番号21から選択されるCDR2配列と、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、及び配列番号27から選択されるCDR3配列とを含む。様々な実施形態において、NKp46に結合するVHHドメインは、配列番号17、配列番号18、及び配列番号22;配列番号17、配列番号19、及び配列番号22;配列番号17、配列番号20、及び配列番号22;配列番号17、配列番号21、及び配列番号22;配列番号17、配列番号18、及び配列番号23;配列番号17、配列番号18、及び配列番号24;配列番号17、配列番号18、及び配列番号25;配列番号17、配列番号18、及び配列番号26;並びに配列番号17、配列番号18、及び配列番号27から選択されるCDR1配列、CDR2配列、及びCDR3配列を含む。様々な実施形態において、VHHドメインは、ヒト化されている。
【0173】
幾つかの実施形態においては、NKp46に結合するVHHドメインは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、及び配列番号16から選択されるアミノ酸配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、NKp46に結合するVHHドメインは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、及び配列番号16から選択されるアミノ酸配列を含む。幾つかの実施形態においては、NKp46に結合するVHHドメインは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、及び配列番号16から選択されるアミノ酸配列を含み、ここで、VHHドメインは、K125D、K125E、又はK125R突然変異を含む。
【0174】
様々な実施形態において、NKp46結合ポリペプチドは、NKp46に結合する1つ、2つ、3つ、又は4つのVHHドメインを含む。
【0175】
様々な実施形態において、NKp46結合ポリペプチドは、NKp46に結合する少なくとも1つのVHHドメインと、NKp46以外の抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメインとを含む。幾つかの実施形態においては、NKp46以外の抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメインは、VHHドメインである。例えば、幾つかの実施形態においては、NKp46以外の抗原に結合する少なくとも1つのVHHドメインは、T細胞抗原、NKp46ではないナチュラルキラー細胞抗原、又は腫瘍抗原に結合する。
【0176】
幾つかのこのような実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、多重特異性抗体と称されることがある。多重特異性とは、NKp46結合ポリペプチドが、NKp46に加えて1つ以上の他の抗原に結合し得ることを意味する。
【0177】
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、2つ以上の生物学的機能を媒介することがあり、ここで、1つの生物学的機能がNKp46への結合である。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、二機能性(2つの機能を有する)又は三機能性(3つの機能を有する)である。例えば、下記のように、NKp46結合ポリペプチドは、別の抗原(腫瘍抗原等)に結合し、サイトカイン活性も有し得る。
【0178】
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、癌細胞に結合する少なくとも1つの結合ドメインを含む。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、腫瘍抗原に結合する少なくとも1つの結合ドメインを含む。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、1-92-LFA-3、5T4、α4インテグリン、αVインテグリン、α4β1インテグリン、α4β7インテグリン、AGR2、抗ルイスY、アペリンJ受容体、APRIL、B7-H3、B7-H4、B7-H6、BAFF、BCMA、BTLA、補体C5、C-242、CA9、CA19-9、(ルイスa)、炭酸脱水酵素9、CD2、CD3、CD6、CD9、CD11a、CD19、CD20、CD22、CD24、CD25、CD27、CD28、CD30、CD33、CD38、CD39、CD40、CD40L、CD41、CD44、CD44v6、CD47、CD51、CD52、CD56、CD64、CD70、CD71、CD73、CD74、CD80、CD81、CD86、CD95、CD117、CD123、CD125、CD132、(IL-2RG)、CD133、CD137、CD138、CD166、CD172A、CD248、CDH6、CEACAM5(CEA)、CEACAM6(NCA-90)、クローディン3、クローディン4、cMet、コラーゲン、Cripto、CSFR、CSFR-1、CTLA-4、CTGF、CXCL10、CXCL13、CXCR1、CXCR2、CXCR4、CYR61、DL44、DLK1、DLL3、DLL4、DPP-4、DSG1、EDA、EDB、EGFR、EGFRviii、エンドセリンB受容体(ETBR)、ENPP3、EpCAM、EPHA2、EPHB2、ERBB3、RSVのFタンパク質、FAP、FAS、FcRH5、FGF-2、FGF8、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FLT-3、葉酸受容体α(FRα)、GAL3ST1、G-CSF、G-CSFR、GD2、GITR、GLUT1、GLUT4、GM-CSF、GM-CSFR、GP IIb/IIIa受容体、Gp130、GPIIB/IIIA、GPNMB、GPRC5D、GRP78、HAVCAR1、HER2/neu、HER3、HER4、HGF、hGH、HVEM、ヒアルロニダーゼ、ICOS、IFNα、IFNβ、IFNγ、IgE、IgE受容体(FceRI)、IGF、IGF1R、IL1B、IL1R、IL2、IL11、IL12、IL12p40、IL-12R、IL-12Rβ1、IL13、IL13R、IL15、IL17、IL18、IL21、IL23、IL23R、IL27/IL27R(wsx1)、IL29、IL-31R、IL31/IL31R、IL2R、IL4、IL4R、IL6、IL6R、インスリン受容体、Jaggedリガンド、Jagged 1、Jagged 2、KISS1-R、LAG-3、LIF-R、ルイスX、LIGHT、LRP4、LRRC26、Ly6G6D、LyPD1、MCSP、メソテリン、MICA、MICB、MRP4、MUC1、ムチン16(MUC16、CA-125)、Na/K ATPアーゼ、NGF、ニカストリン、NKG2A、Notch受容体、Notch 1、Notch 2、Notch 3、Notch 4、NOV、OSM-R、OX-40、PAR2、PDGF-AA、PDGF-BB、PDGFRα、PDGFRβ、PD-1、PD-L1、PD-L2、ホスファチジルセリン、P1GF、PSCA、PSMA、PSGR、RAAG12、RAGE、SLC44A4、スフィンゴシン-1-リン酸、STEAP1、STEAP2、TAG-72、TAPA1、TEM-8、TGFβ、TGFβ受容体1(TGFBR1)、TGFβ受容体2(TGFBR2)、TIGIT、TIM-3、TLR2、TLR4、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TMEM31、TNFα、TNFR、TNFRS12A、TRAIL-R1、TRAIL-R2、トランスフェリン、トランスフェリン受容体、TRK-A、TRK-B、TROP-2、uPAR、VAP1、VCAM-1、VEGF、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、VISTA、WISP-1、WISP-2、又はWISP-3に結合する少なくとも1つの結合ドメインを含む。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、細胞表面上にウイルスタンパク質を発現しているウイルス感染細胞に結合する少なくとも1つの結合ドメインを含む。
【0179】
幾つかの実施形態においては、NK細胞ではない細胞に結合する、NKp46結合ポリペプチドに含まれる結合ドメインは、「二次標的化ドメイン」と称されることがある。このように、二次標的化ドメインは、NKp46結合ポリペプチドを対象の細胞に標的化し、二次標的化ドメインに結合することが可能な抗原を発現するこの細胞に対してNK媒介性細胞傷害をリダイレクトすることができる。例えば、NKp46結合ポリペプチドの二次標的化ドメインは、腫瘍抗原に対する抗体であってもよく、NKp46結合ポリペプチドと腫瘍抗原を発現する癌細胞との結合は、この癌細胞に対してNK媒介性細胞傷害をリダイレクトする。幾つかの実施形態においては、二次標的化ドメインは、VHH、シングルドメイン抗体、scFv、Fab、又は任意の他のタイプの抗体である。幾つかの実施形態においては、二次標的化ドメインは、抗体ではない。幾つかの実施形態においては、二次標的化ドメインは、天然の同族結合パートナー、操作された細胞外結合、Anticalin(操作されたリポカリン)、Darpin、Fynomer、Centyrin(操作されたフィブロネクチンIII型ドメイン)、シスチンノットドメイン、Affilin、Affibody、又は操作されたC3ドメインである。
【0180】
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、TGFβ受容体1、TGFβ受容体2、又はNKG2Aに結合するVHHドメイン等の結合ドメインを含む。
【0181】
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、二次標的化を目的としない機能ドメインを含む。この機能ドメインは、様々な目的を果たすことができる。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、サイトカイン又はその機能部分を含む。幾つかの実施形態においては、サイトカインは、操作されたサイトカインである。幾つかの実施形態においては、操作されたサイトカインは、弱毒化サイトカインである。
【0182】
IL-2及びIL-5は、NKp46結合ポリペプチドに含まれ得る例示的なサイトカインである。IL-2及びIL-5は、NK細胞の増殖を刺激し、グランザイム-B、パーフォリン、及びインターフェロン-γ等のエフェクター分子を発現するようにNK細胞をプライミングすることができる。IL-2及びIL-5はまた、NK細胞を再活性化し、免疫抑制シグナルを克服することができる。これらの方法においては、IL-2及びIL-5は、リダイレクトされたNK媒介性細胞傷害によって標的化された細胞に対するNK応答を増強する役割を果たし得る。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、IL-2又はIL-5の全て又は一部を含む。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、弱毒化IL-2又はIL-5の全て又は一部を含む。
【0183】
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、(i)癌細胞によって発現される腫瘍抗原を標的とする二次標的化ドメインと、(ii)サイトカイン又はその機能部分とを含む。
【0184】
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、Fc領域に融合した本明細書に記載される少なくとも1つのVHHドメインを含む。幾つかの実施形態においては、Fc領域は、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、配列番号57、配列番号58、配列番号59、配列番号60、配列番号61、配列番号62、配列番号63、配列番号64、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72、配列番号73、配列番号74、配列番号75、配列番号76、配列番号77、配列番号78、配列番号79、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、配列番号84、配列番号85、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、及び配列番号89から選択される配列を有する。幾つかのこのような実施形態においては、Fc領域は、C末端リジンを更に含む。幾つかの実施形態においては、Fc領域のC末端アミノ酸は、リジン以外のアミノ酸である。
【0185】
幾つかの実施形態においては、NKp46に結合するVHHドメインはヒト化される。ヒト化抗体(sdAb又はVHH含有ポリペプチド等)は、治療分子として有用である。それというのも、ヒト化抗体は、抗体療法薬に対する免疫応答をもたらして療法薬の有効性を低下させ得る非ヒト抗体に対するヒト免疫応答を低減又は排除するからである。一般に、ヒト化抗体は、CDR(又はその一部)が非ヒト抗体に由来し、FR(又はその一部)がヒト抗体配列に由来する1つ以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体はまた、任意に、ヒト定常領域の少なくとも一部を含む。幾つかの実施形態においては、ヒト化抗体における幾つかのFR残基は、例えば、抗体の特異性又は親和性を回復又は改善するために、非ヒト抗体(例えば、CDR残基の元となる抗体)からの対応する残基で置換される。
【0186】
ヒト化抗体及びその作製方法は、例えば、Almagro and Fransson, (2008) Front. Biosci. 13: 1619-1633においてレビューされており、例えば、Riechmann et al., (1988) Nature 332:323-329、Queen et al., (1989) Proc. Natl Acad. Sci. USA 86: 10029-10033、米国特許第5,821,337号、米国特許第7,527,791号、米国特許第6,982,321号、及び米国特許第7,087,409号、Kashmiri et al., (2005) Methods 36:25-34、Padlan, (1991) Mol. Immunol. 28:489-498(「リサーフェイシング(resurfacing)」を記載している)、Dall'Acqua et al., (2005) Methods 36:43-60(「FRシャッフリング(FR shuffling)」を記載している)、並びにOsbourn et al., (2005) Methods 36:61-68及びKlimka et al., (2000) Br. J. Cancer, 83:252-260(FRシャッフリングに対する「ガイド選択(guided selection)」アプローチを記載している)で更に記載されている。
【0187】
ヒト化に使用され得るヒトフレームワーク領域としては、限定されるものではないが、「ベストフィット(best-fit)」法を使用して選択されたフレームワーク領域(例えば、Sims et al. (1993) J. Immunol. 151 :2296を参照されたい)、重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285、及びPresta et al. (1993) J. Immunol, 151:2623を参照されたい)、ヒト成熟(体細胞突然変異した)フレームワーク領域又はヒト生殖細胞系フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson, (2008) Front. Biosci. 13:1619-1633を参照されたい)、及びFRライブラリーのスクリーニングから得られるフレームワーク領域(例えば、Baca et al., (1997) J. Biol. Chem. 272: 10678-10684、及びRosok et al., (1996) J. Biol. Chem. 271 :22611-22618を参照されたい)が挙げられる。典型的には、VHHのFR領域をヒトFR領域と置き換えることで、ヒト化VHHが作製される。幾つかの実施形態においては、ヒトFRの或る特定のFR残基を置き換えることで、ヒト化VHHの1つ以上の特性が改善される。そのような置き換えられた残基を有するVHHドメインも、本明細書では更に「ヒト化」と称される。
【0188】
様々な実施形態において、NKp46結合ポリペプチドに含まれるFc領域は、ヒトFc領域であるか、又はヒトFc領域に由来する。
【0189】
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドに含まれるFc領域は、ヒトFc領域に由来し、IgG1 E233、L234、及びL235に対応する3つのアミノ酸欠失を下部ヒンジに含み、本明細書で「Fc xELL」と称される。Fc xELLポリペプチドはFcγRと結合しないため、「エフェクターサイレント」又は「エフェクターヌル」と称されるが、幾つかの実施形態においては、xELL Fc領域はFcRnに結合するため、半減期の延長及びFcRn媒介性リサイクリング(FcRn mediated recycling)と関連したトランスサイトーシスを伴う。
【0190】
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドに含まれるFc領域は、ヒトFc領域に由来し、突然変異M252Y及びM428Vを含み、本明細書で「Fc-YV」と称される。幾つかの実施形態においては、そのような突然変異は、エンドソームの酸性pH(6.5近く)でFcRnへの結合を増強するのに対し、中性pH(約7.2)では検出可能な結合が失われることから、FcRn媒介性リサイクリングの増強及び半減期の延長が可能となる。
【0191】
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドに含まれるFc領域は、ヒトFc領域に由来し、ヘテロ二量体化のために設計された突然変異を含み、本明細書において「ノブ」及び「ホール」と称される。本明細書で使用される場合に、「ノブインホール」及び「KiH」は、このようなヘテロ二量体Fc領域を指す。幾つかの実施形態においては、「ノブ」Fc領域は、突然変異T366Wを含む。幾つかの実施形態においては、「ホール」Fc領域は、突然変異T366S、L368A、及びY407Vを含む。幾つかの実施形態においては、ヘテロ二量体化に使用されるFc領域は、ヘテロ二量体Fcペアの第1のメンバー上の突然変異S354C等の追加の突然変異を含み、この突然変異は、ヘテロ二量体Fcペアの第2のメンバー上の対応する突然変異Y349Cと非対称ジスルフィドを形成する。幾つかの実施形態においては、ヘテロ二量体Fcペアの一方のメンバーは、修飾H435R又はH435Kを含むことで、FcRn結合を維持しつつプロテインAの結合を妨げる。幾つかの実施形態においては、ヘテロ二量体Fcペアの一方のメンバーは、修飾H435R又はH435Kを含むのに対して、ヘテロ二量体Fcペアの第2のメンバーは、H435で修飾されていない。様々な実施形態において、ホールFc領域は、修飾H435R又はH435Kを含むが(修飾がH435Rである場合に、場合によっては「ホール-R」と称される)、ノブFc領域はそれを含まない。幾つかの場合には、ホール-R突然変異は、存在し得るホモ二量体ホールFc領域に対するヘテロ二量体の精製を改善する。
【0192】
NKp46結合ポリペプチドで使用され得る非限定的な例示的なFc領域としては、配列番号53~配列番号89のアミノ酸配列を含むFc領域が挙げられる。
【0193】
NKp46結合ポリペプチドの例示的な活性
様々な実施形態において、本明細書で提供されるNKp46結合ポリペプチドは、in vitro及び/又はin vivoでNK細胞を刺激する。in vitro及び/又はin vivoでのNK細胞の刺激又は活性は、幾つかの実施形態においては、本明細書の実施例に示される方法を使用して決定され得る。
【0194】
幾つかの実施形態においては、本明細書で提供されるNKp46結合ポリペプチドは、免疫細胞活性化サイトカイン、及び/又はNKp46以外の抗原に結合し、NK細胞を刺激する抗原結合ドメインを含む。幾つかの実施形態においては、免疫細胞活性化サイトカイン、及び/又はNKp46以外の抗原に結合する抗原結合ドメインのNK細胞刺激活性は、単独で使用する場合よりも増加し、及び/又はNKp46結合VHHに融合した場合に、より特異的に細胞傷害性NK細胞に標的化される。幾つかの実施形態においては、免疫細胞活性化サイトカイン、及び/又はNKp46以外の抗原に結合する抗原結合ドメインの毒性は、NK細胞に特異的に標的化することによって減少する。
【0195】
幾つかの実施形態においては、本明細書で提供される免疫細胞活性化サイトカイン、及び/又はNKp46以外の抗原に結合する抗原結合ドメインを含むNKp46結合ポリペプチドは、in vitro及び/又はin vivoでのNK細胞増殖を増加させる。
【0196】
幾つかの実施形態においては、本明細書で提供されるNKp46結合ポリペプチドは、本明細書で提供されるNKp46結合VHHと免疫細胞活性化サイトカインとを含む。幾つかのそのような実施形態において、免疫細胞活性化サイトカインは、IL-2、IL-15、IL-7、IL-6、IL-12、IFNα、IFNβ、又はIFNγである。幾つかのそのような実施形態において、免疫細胞活性化サイトカインは、野生型免疫細胞活性化サイトカインである。幾つかの実施形態においては、免疫細胞活性化サイトカインは、野生型サイトカインの活性と比べて免疫細胞活性化サイトカインの活性を弱める突然変異を含む。幾つかの実施形態においては、免疫細胞活性化サイトカインを含むNKp46結合ポリペプチドは、in vivoでNK細胞の活性化及び増殖を刺激する。幾つかの実施形態においては、免疫細胞活性化サイトカインを含むNKp46結合ポリペプチドは、癌又は感染性疾患を治療する方法に使用される。
【0197】
活性化NK細胞の増殖の増加は、当該技術分野における任意の方法によって決定され得る。非限定的な例示的なアッセイは以下の通りである。NK細胞を1人以上の健康なヒトドナー、及び/又は特定の疾患若しくは障害を有する1人以上のヒトドナーから分離することができる。NK細胞を染色し、次いでサイトカインを含むポリペプチド、例えばサイトカインを含むNKp46結合ポリペプチドと接触させた後、FACSによって分析する。染色の喪失は増殖を示す。幾つかの実施形態においては、NK細胞の増殖の増加は、例えば、異なるヒトドナーから分離されたNK細胞の増殖を測定することによって、一連の実験又はプールされたNK細胞からの平均として決定される。幾つかの実施形態においては、NK細胞の増殖の増加は、少なくとも5人若しくは少なくとも10人の異なる健康なドナーからのNK細胞を使用して実施される実験からの、又は少なくとも5人若しくは少なくとも10人の異なる健康なドナーからのNK細胞のプールからの平均として決定される。幾つかの実施形態においては、NK細胞の増殖の増加は、特定の疾患若しくは障害を有する少なくとも5人若しくは少なくとも10人の異なるドナーからのNK細胞を使用して実施される実験からの、又は特定の疾患若しくは障害を有する少なくとも5人若しくは少なくとも10人の異なるドナーからのNK細胞のプールからの平均として決定される。
【0198】
ポリペプチドの発現及び産生
NKp46結合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む核酸分子が提供される。幾つかの実施形態において、核酸分子はまた、NKp46結合ポリペプチドの分泌を指示するリーダー配列もコードすることができ、そのリーダー配列は、典型的には、これが分泌されたポリペプチド中に存在しないように切断される。リーダー配列は、天然の重鎖(又はVHH)リーダー配列であり得る、又は別の異種リーダー配列であり得る。
【0199】
核酸分子は、当該技術分野で慣用の組換えDNA技術を使用して構築され得る。幾つかの実施形態においては、核酸分子は、選択された宿主細胞における発現に適した発現ベクターである。
【0200】
本明細書に記載されるNKp46結合ポリペプチドをコードする核酸を含むベクターが提供される。そのようなベクターとしては、限定されるものではないが、DNAベクター、ファージベクター、ウイルスベクター、レトロウイルスベクター等が挙げられる。幾つかの実施形態においては、CHO細胞若しくはCHO由来細胞等の所望の細胞型、又はNSO細胞におけるポリペプチドの発現のために最適化されたベクターが選択される。例示的なそのようなベクターは、例えば、Running Deer et al., Biotechnol. Prog. 20:880-889 (2004)に記載されている。
【0201】
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、細菌細胞等の原核細胞において、又は真菌細胞(酵母等)、植物細胞、昆虫細胞、及び哺乳類細胞等の真核細胞において発現され得る。そのような発現は、例えば、当該技術分野で既知の手順に従って実施され得る。ポリペプチドの発現に使用され得る例示的な真核細胞としては、限定されるものではないが、COS7細胞を含むCOS細胞、293-6E細胞を含む293細胞、CHO-S、DG44、Lec13 CHO細胞及びFUT8 CHO細胞を含むCHO細胞、PER.C6(商標)細胞(Crucell社)、並びにNSO細胞が挙げられる。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、酵母において発現され得る。例えば、米国特許出願公開第2006/0270045号を参照されたい。幾つかの実施形態においては、特定の真核宿主細胞は、ポリペプチドに対して所望の翻訳後修飾を行うその能力に基づいて選択される。例えば、幾つかの実施形態においては、CHO細胞は、293細胞で産生される同じポリペプチドよりも高レベルのシアリル化を有するポリペプチドを産生する。
【0202】
所望の宿主細胞への1つ以上の核酸(ベクター等)の導入は、限定されるものではないが、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、感染等を含むあらゆる方法によって達成され得る。非限定的な例示的な方法は、例えばSambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 3rd ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)に記載されている。核酸は、任意の適切な方法に従って、所望の宿主細胞に一過的又は安定的にトランスフェクションされ得る。
【0203】
本明細書に記載される核酸又はベクターのいずれかを含む宿主細胞も提供される。幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されるNKp46結合ポリペプチドを発現する宿主細胞が提供される。宿主細胞で発現されたNKp46結合ポリペプチドは、任意の適切な方法によって精製され得る。そのような方法としては、限定されるものではないが、親和性マトリックス又は疎水性相互作用クロマトグラフィーの使用が挙げられる。適切なアフィニティーリガンドとしては、ROR1 ECD及びFc領域に結合する作用物質が挙げられる。例えば、プロテインA、プロテインG、プロテインA/G、又は抗体アフィニティーカラムを使用して、Fc領域に結合することで、Fc領域を含むNKp46結合ポリペプチドを精製することができる。疎水性相互作用クロマトグラフィー、例えば、ブチルカラム又はフェニルカラムもまた、抗体等の幾つかのポリペプチドを精製するのに適切であり得る。イオン交換クロマトグラフィー(例えば、陰イオン交換クロマトグラフィー及び/又は陽イオン交換クロマトグラフィー)もまた、抗体等の幾つかのポリペプチドを精製するのに適切であり得る。混合モードクロマトグラフィー(例えば、逆相/陰イオン交換、逆相/陽イオン交換、親水性相互作用/陰イオン交換、親水性相互作用/陽イオン交換等)も、抗体等の幾つかのポリペプチドを精製するのに適切であり得る。ポリペプチドを精製する多くの方法が当該技術分野で知られている。
【0204】
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、無細胞系において産生される。非限定的な例示的な無細胞系は、例えば、Sitaraman et al., Methods Mol. Biol. 498: 229-44 (2009)、Spirin, Trends Biotechnol. 22: 538-45 (2004)、Endo et al., Biotechnol. Adv. 21: 695-713 (2003)に記載されている。
【0205】
幾つかの実施形態においては、上記の方法によって作製されたNKp46結合ポリペプチドが提供される。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、宿主細胞において作製される。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、無細胞系において作製される。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは精製される。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドを含む細胞培養培地が提供される。
【0206】
幾つかの実施形態においては、上記の方法によって作製された抗体を含む組成物が提供される。幾つかの実施形態においては、該組成物は、宿主細胞において作製されたNKp46結合ポリペプチドを含む。幾つかの実施形態においては、該組成物は、無細胞系において作製されたNKp46結合ポリペプチドを含む。幾つかの実施形態においては、該組成物は、精製されたNKp46結合ポリペプチドを含む。
【0207】
NKp46結合ポリペプチドを使用して疾患を治療する例示的な方法
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドを投与することを含む、個体における疾患を治療する方法が提供される。このような疾患としては、NK細胞の増殖及び活性化の増加から恩恵を受けるあらゆる疾患が挙げられる。幾つかの実施形態においては、個体における癌又は感染性疾患を治療する方法が提供される。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドを投与することを含む、個体におけるNK細胞の増殖を増加させる方法が提供される。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドを治療用抗体と組み合わせて投与することを含む、個体における治療用抗体のADCC活性を増強する方法が提供される。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドを単独で又は治療用抗体と組み合わせて投与することを含む、個体におけるNK細胞の細胞傷害能を増強する方法が提供される。幾つかの実施形態においては、化学療法剤による治療の前、治療中、又は治療後にNKp46結合ポリペプチドを投与することを含む、個体におけるNK細胞活性の化学療法抑制を克服する方法が提供される。幾つかの実施形態においては、化学療法剤による治療の前、治療中、又は治療後にNKp46結合ポリペプチドを治療用抗体と組み合わせて投与することを含む、化学療法を受けている個体における治療用抗体のADCC活性を増強する方法が提供される。
【0208】
上記方法は、本明細書で提供されるNKp46結合ポリペプチドを有効量、個体に投与することを含む。
【0209】
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、NK媒介性細胞傷害をリダイレクトするために使用される。幾つかのこのような実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、細胞傷害性T細胞又は別のNK細胞抗原に結合する結合ドメインも含む。幾つかのこのような実施形態においては、結合ドメインは、CD3、T細胞受容体(TCR)α、TCRβ、CD28、CD16、CD32A、CD64、CD89、又はNKG2Dに結合する。結合ドメインは、幾つかの実施形態においては、VHHドメイン、又はVH/VL、scFv、Fabフラグメント等の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む抗体結合ドメイン等であってもよい。
【0210】
幾つかのこのような実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、癌細胞に結合する結合ドメインも含む。癌細胞に結合する結合ドメインは、「標的化ドメイン」又は「二次標的化ドメイン」と称されることがある。幾つかの実施形態においては、癌細胞に結合する結合ドメインは、癌細胞に対してNK媒介性細胞傷害をリダイレクトする。
【0211】
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、サイトカインに連結される。幾つかの実施形態においては、サイトカインは、IL-2又はIL-5である。
【0212】
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、免疫複合体を形成するために細胞傷害性物質に連結される。免疫複合体に使用される様々な細胞傷害性物質が当該技術分野で既知であり、カリケアマイシン、アウリスタチン、ドラスタチン、ツブリシン、メイタンシノイド、クリプトフィシン、ズオカルマイシン、エスペラミシン、ピロロベンゾジアゼピン、及びエンジイン抗生物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0213】
本明細書で提供されるNKp46結合ポリペプチドを使用して治療することができる非限定的な例示的な癌としては、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系癌、乳癌、腹膜癌、子宮頸癌、絨毛癌、結腸直腸癌、結合組織癌、消化器系癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頸部癌、胃癌、胃腸癌、膠芽腫、肝癌、肝細胞癌、上皮内新生物、腎臓癌又は腎癌、喉頭癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、呼吸器系癌、唾液腺癌、肉腫、皮膚癌、扁平上皮癌、胃部癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮又は子宮内膜癌、泌尿器系癌、並びに外陰癌、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞NHL、巨大病変NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病が挙げられるが、これらに限定されない。
【0214】
NKp46結合ポリペプチドは、必要に応じて被験体に投与され得る。投与の頻度の決定は、治療される病態、治療される被験体の年齢、治療される病態の重症度、治療される被験体の全般的健康状態等の考慮に基づいて、主治医等の当業者によって行われ得る。幾つかの実施形態においては、有効用量のNKp46結合ポリペプチドが被験体に1回以上投与される。幾つかの実施形態においては、有効用量のNKp46結合ポリペプチドが、被験体に毎日、週に2回、毎週、2週間ごとに、月に1回等で投与される。有効用量のNKp46結合ポリペプチドが被験体に少なくとも1回投与される。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドの有効用量は、少なくとも1ヶ月、少なくとも6ヶ月、又は少なくとも1年間にわたる複数回を含む複数回で投与され得る。
【0215】
幾つかの実施形態においては、医薬組成物は、癌若しくは感染性疾患を治療し(予防を含む)、NK細胞の細胞傷害能を増強させ、NK細胞の増殖若しくは活性化を増加させ、及び/又はNK細胞活性の化学療法抑制を克服するのに有効な量で投与される。治療有効量は、典型的には、治療される被験体の体重、その被験体の身体的状態若しくは健康状態、治療される病態の広範さ、又は治療される被験体の年齢に依存する。一般に、抗体は、用量当たり約0.05mg/kg(体重)~約100mg/kg(体重)の範囲の量で投与され得る。
【0216】
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、限定されるものではないが、静脈内、動脈内、非経口、腹腔内、又は皮下を含む様々な経路によってin vivoで投与され得る。意図される用途に応じて、適切な製剤及び投与経路を選択することができる。
【0217】
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドを使用する治療的処置は、NK細胞の増殖及び/又は活性化を増加させることによって、及び/又はNK細胞を癌細胞に接触させることによって達成される。幾つかの実施形態においては、NK細胞の増殖及び/又は活性化の増加は、癌の成長を抑止する。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドを使用する治療的処置は、NK細胞の増殖及び/又は活性化を増加させることによって達成される。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドを使用する治療的処置は、NK細胞の細胞傷害能を増加させることによって達成される。
【0218】
医薬組成物
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドを含む組成物は、多種多様な薬学的に許容可能な担体を含む製剤で提供される(例えば、Gennaro, Remington: The Science and Practice of Pharmacy with Facts and Comparisons: Drugfacts Plus, 20th ed. (2003)、Ansel et al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 7th ed., Lippencott Williams and Wilkins (2004)、Kibbe et al., Handbook of Pharmaceutical Excipients, 3rd ed., Pharmaceutical Press (2000)を参照されたい)。賦形剤、アジュバント、及び希釈剤を含む様々な薬学的に許容可能な担体が利用可能である。さらに、pH調整剤及び緩衝剤、張性調整剤、安定剤、湿潤剤等の様々な薬学的に許容可能な補助物質も利用可能である。非限定的な例示的な担体としては、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0219】
幾つかの実施形態においては、医薬組成物は、少なくとも10mg/mLの濃度でNKp46結合ポリペプチドを含む。
【0220】
併用療法
NKp46結合ポリペプチドは、単独で又は他の抗癌剤等の他の治療方式と組み合わせて投与され得る。NKp46結合ポリペプチドは、他の治療方式の前、実質的にそれと同時に、又はその後に供給され得る(すなわち、同時に又は連続的に)。幾つかの実施形態においては、本明細書に記載される治療方法は、放射線療法、化学療法、ワクチン接種、標的腫瘍療法、CAR-T療法、腫瘍溶解性ウイルス療法、癌免疫療法、サイトカイン療法、外科的切除、クロマチン修飾、切除、冷却療法、腫瘍標的に対するアンチセンス剤、腫瘍標的に対するsiRNA剤、腫瘍標的に対するマイクロRNA剤若しくは抗癌剤/抗腫瘍剤、又は抗体、サイトカイン若しくは受容体細胞外ドメイン-Fc融合物等の生物製剤を施すことを更に含み得る。
【0221】
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、化学療法剤による治療の前、治療中、又は治療後に投与される。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、腫瘍抗原に結合する結合ドメインを含む抗体と組み合わせて投与され、このようなドメインが結合し得る腫瘍抗原の非限定的な例が本明細書に提供される。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、腫瘍抗原BCMA、CD19、CD20、CD38、CD70、EGFR、又はHER2に結合する結合ドメインを含む抗体と組み合わせて投与される。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチドは、腫瘍抗原BCMA、CD19、CD20、CD38、CD70、EGFR、又はHER2に結合する結合ドメインを含む抗体と組み合わせて投与され、このような投与は、化学療法剤による治療の前、治療中、又は治療後である。
【0222】
幾つかの実施形態においては、本明細書で提供されるNKp46結合ポリペプチドは、免疫刺激剤、例えば腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRSF)のメンバー又はB7ファミリーのメンバーのアゴニストと同時に与えられる。免疫刺激性TNFRSFメンバーの非限定的な例としては、OX40、GITR、41BB、CD27、及びHVEMが挙げられる。B7ファミリーメンバーの非限定的な例としては、CD28及びICOSが挙げられる。したがって、幾つかの実施形態においては、本明細書で提供されるNKp46結合ポリペプチドは、OX40、GITR、41BB、CD27、HVEM、CD28、及び/又はICOSのアゴニスト、例えばアゴニスト抗体と同時に与えられる。
【0223】
幾つかの実施形態においては、本明細書で提供されるNKp46結合ポリペプチドは、1つ以上の化学療法剤、CAR-T療法薬、腫瘍溶解性ウイルス療法薬、サイトカイン療法薬、及び/又はVISTA、gpNMB、B7H4、HHLA2、CD73、CTLA4、TIGIT等の他のチェックポイント分子を標的とする作用物質等と同時に与えられる。
【0224】
幾つかの実施形態においては、本明細書で提供されるNKp46結合ポリペプチド又は操作された細胞は、PD-1/PD-L1療法薬と同時に与えられる。PD-1/PD-L1療法薬の例としては、ニボルマブ(BMS)、ピディリズマブ(CureTech、CT-011)、ペンブロリズマブ(Merck)、デュルバルマブ(Medimmune/AstraZeneca)、アテゾリズマブ(Genentech/Roche)、アベルマブ(Pfizer)、AMP-224(Amplimmune)、BMS-936559、AMP-514(Amplimmune)、MDX-1105(Merck)、TSR-042(Tesaro/AnaptysBio、ANB-011)、STI-A1010(Sorrento Therapeutics)、STI-A1110(Sorrento Therapeutics)、及びプログラム死-1(PD-1)又はプログラム死リガンド1(PD-L1)に対する他の作用物質が挙げられる。
【0225】
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチド及び付加的な作用物質は、単一の治療用組成物に配合され、NKp46結合ポリペプチド及び付加的な作用物質は、同時に投与される。代替的には、NKp46結合ポリペプチド及び付加的な作用物質は、互いに別個であり、例えば、それぞれが別個の治療用組成物に配合され、NKp46結合ポリペプチド及び付加的な作用物質は、同時に投与されるか、又はNKp46結合ポリペプチド及び付加的な作用物質は、治療レジメン中の異なる時点で投与される。例えば、NKp46結合ポリペプチドは、付加的な作用物質の投与前に投与されるか、NKp46結合ポリペプチドは、付加的な作用物質の投与後に投与されるか、又はNKp46結合ポリペプチド及び付加的な作用物質は、交互に投与される。NKp46結合ポリペプチド及び付加的な作用物質は、単回投与又は複数回投与で投与してもよい。
【0226】
幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチド及び付加的な作用物質(複数の場合もある)は、同時に投与される。例えば、NKp46結合ポリペプチド及び付加的な作用物質(複数の場合もある)は、単一の組成物に配合するか、又は2つ以上の別個の組成物として投与することができる。幾つかの実施形態においては、NKp46結合ポリペプチド及び付加的な作用物質(複数の場合もある)は、順次投与されるか、又はNKp46結合ポリペプチド及び付加的な作用物質は、治療レジメン中の異なる時点で投与される。
【0227】
診断及び治療の非限定的な例示的な方法
幾つかの実施形態においては、本明細書に記載される方法は、被験体及び/又は被験体(例えば、癌患者)からの検体を評価するのに有用である。幾つかの実施形態においては、評価は、診断、予後診断、及び/又は治療への奏効のうちの1つ以上である。
【0228】
幾つかの実施形態においては、本明細書に記載される方法は、タンパク質の存在、非存在、又はレベルを評価することを含む。幾つかの実施形態においては、本明細書に記載される方法は、核酸の存在、非存在、又は発現のレベルを評価することを含む。これらの測定に本明細書に記載される組成物を使用することができる。例えば、幾つかの実施形態においては、本明細書に記載される方法は、腫瘍の検体又は腫瘍から培養された細胞を、本明細書に記載される療法剤と接触させることを含む。
【0229】
幾つかの実施形態においては、評価により、治療(本明細書に記載される抗体による治療を含む)が指示され得る。幾つかの実施形態においては、評価により、切除後の補助療法を使用する又は差し控えることが指示され得る。補助治療とも呼ばれる補助療法は、一次治療、主治療、又は初回治療に加えてなされる治療である。非限定的な例として、補助療法は、全ての検出可能な疾患が取り除かれたが、潜在疾患のため再燃の統計的リスクが残っている場合に、通常は手術後になされる追加の治療であり得る。幾つかの実施形態においては、上記ポリペプチドは、癌の治療における補助療法薬として使用される。幾つかの実施形態においては、上記ポリペプチドは、癌の治療における単独補助療法薬として使用される。幾つかの実施形態においては、本明細書に記載されるポリペプチドは、癌の治療における補助療法薬としては差し控えられる。例えば、患者が本明細書に記載される抗体に応答する可能性が低い又は最小限の応答しか有しない場合に、生活の質のために、及び無効な化学療法による不必要な毒性を避けるために、治療を施さなくてもよい。このような場合に、緩和ケアが使用される場合がある。
【0230】
幾つかの実施形態においては、切除前に術前補助療法薬として上記ポリペプチドが投与される。幾つかの実施形態においては、術前補助療法薬は、任意の手術の前に腫瘍を縮小及び/又はダウングレードする療法薬を指す。幾つかの実施形態においては、術前補助療法薬は、手術前に癌患者に投与される化学療法薬を意味する。幾つかの実施形態においては、術前補助療法薬は、手術前に癌患者に投与される抗体を意味する。術前補助化学療法薬が通常考慮される癌型としては、例えば、乳癌、結腸直腸癌、卵巣癌、子宮頸癌、膀胱癌、及び肺癌が挙げられる。幾つかの実施形態においては、上記ポリペプチドは、癌の治療における術前補助療法薬として使用される。幾つかの実施形態においては、その使用は切除前である。
【0231】
幾つかの実施形態においては、本明細書に記載される方法で企図される腫瘍微小環境は、腫瘍血管系、腫瘍浸潤リンパ球、線維芽細網細胞、内皮前駆細胞(EPC)、癌関連線維芽細胞、周皮細胞、他の間質細胞、細胞外マトリックス(ECM)の成分、樹状細胞、抗原提示細胞、T細胞、制御性T細胞、NK細胞、マクロファージ、他のリンパ系細胞、好中球、及び腫瘍の近位に位置する他の免疫細胞の1つ以上であるか、又はそれらの1つ以上を含む。
【0232】
キット
本明細書に記載されるNKp46結合ポリペプチドのいずれか及び適切な包装を含む製造品及びキットも提供される。幾つかの実施形態においては、本発明は、(i)NKp46結合ポリペプチドと、(ii)該キットを使用してNKp46結合ポリペプチドを個体に投与するための使用説明書とを備えるキットを含む。
【0233】
本明細書に記載される組成物に適切な包装は、当該技術分野で知られており、例えば、バイアル(例えば、密封バイアル)、容器、アンプル、ボトル、広口瓶、フレキシブルな包装(例えば、密封マイラー又はプラスチックバッグ)等が含まれる。これらの製造品は、更に滅菌及び/又は密封され得る。本明細書に記載される組成物を含む単位剤形も提供される。これらの単位剤形は、単回又は多回単位剤形で適切な包装内で保存され得て、更に滅菌及び密封もされ得る。本発明のキットに提供される使用説明書は、典型的には、ラベル又は添付文書(例えば、キットに含まれる紙シート)に書かれた指示であるが、機械可読の指示(例えば、磁気記憶ディスク又は光学記憶ディスクに保持された指示)も許容可能である。抗体の使用に関する使用説明書は一般に、意図された治療又は工業的使用のための投与量、投与スケジュール、及び投与経路に関する情報を含む。キットは、個々の適切な治療を選択することの説明を更に含み得る。
【0234】
容器は、単位用量、バルク包装(例えば、多回用量包装)又はサブユニット用量であり得る。例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、8週間、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月以上のいずれかの概数の期間等の長期間にわたって個体に効果的な治療をもたらすのに十分な用量の本明細書に開示される分子を含むキットも提供され得る。キットはまた、多回単位用量の分子及び使用説明書を含むことができ、薬局、例えば、病院薬局及び調剤薬局での保存及び使用に十分な量で包装され得る。幾つかの実施形態においては、キットは、再構成、再懸濁、又は再水和することで、一般的に抗体の安定な水性懸濁液を形成することができる乾燥(例えば、凍結乾燥)組成物を含む。
【実施例
【0235】
以下で論じられる実施例は、本発明を純粋に例示することが意図され、決して本発明を限定するとみなされるべきではない。これらの実施例は、以下の実験が、実施された全て又は唯一の実験であることを表すとは意図されない。使用される数値(例えば、量、温度等)に関して正確さを保証するための努力がなされたが、幾らかの実験誤差及び偏差が考慮に入れられるべきである。特段の指示がない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏温度であり、圧力は大気圧であるか又は近大気圧である。
【0236】
実施例1:NKp46シングルドメイン抗体
ヒトNKp46を標的とするシングルドメイン抗体を、ヒトNKp46細胞外ドメインの組換え型によるラマ及びアルパカの免疫化によって生成した。NKp46 VHHドメインのアミノ酸配列は、以下に提示される或る特定の配列の表に示される。開示されるVHHドメインのいずれかの残基125のリジン(K125)がアスパラギン酸(K117D)、グルタミン酸(K125E)、又はアルギニン(K125R)で置換されていてもよいことが示される。hz5D7v17と命名されたVHH(配列番号15)は、残基125にアルギニン(R)を含む(或る特定の配列の表において太字及び下線で示す)。
【0237】
VHH-Fc融合タンパク質としてフォーマットされたNKp46結合ポリペプチドの結合をフローサイトメトリーによって評価した。ヒンジを欠くIgG1-Fc、又はホモ二量体Fc(図1I及び図1J)を使用した(ヒンジを欠くFcは、Fcと注釈される)。HEK293F細胞を、完全長ヒトNKp46、カニクイザルNKp46、又はマウスNKp46に続いてIRES及びGFPをコードするプラスミドで一過的にトランスフェクションした。NKp46及びGFPを発現するトランスフェクション細胞を用いて、ポリペプチドの結合を測定した。トランスフェクションした細胞をFACSバッファー(PBS、1%BSA、0.1%NaN、pH7.4)中、1ウェル当たり30000個の細胞で96ウェルプレートにプレーティングした。トランスフェクションしていないHEK293F細胞をNKp46ネガティブコントロールとして使用し、別のプレートに1ウェル当たり30000個の細胞でプレーティングした。次いで、試験ポリペプチドを最終濃度1000nMの2倍に希釈し、3倍、4倍、及び5倍の段階希釈を行った。最後のカラムには、二次のみのコントロールとしてFACSバッファーのみを残した。被験物質の希釈物を等容量の細胞に添加し、アッセイプレートを4℃で30分間インキュベートした。1ウェル当たり150μLのFACSバッファーで2回洗浄した後、1000倍~2000倍希釈したα-hFc-647二次を含むFACSバッファーに細胞を再懸濁した。次いで、アッセイプレートを4℃で20分間~30分間インキュベートした。150μLのFACSバッファーで更に1回洗浄した後、結合した抗体をフローサイトメトリーによって検出した。フローサイトメトリー検出は、IntellicytのiQue Plus又はAccuri iQueで行った。NKp46トランスフェクション細胞は、GFP陽性としてゲーティングされ、ポリペプチド結合は、647nmでの蛍光中央値として測定した。GraphPad Prism分析ソフトウェアを用いてデータをプロット及び分析し、結果を以下の表及び図1に示す。
【0238】
【表3】
【0239】
【表4】
【0240】
【表5】
【0241】
【表6】
【0242】
【表7】
【0243】
【表8】
【0244】
【表9】
【0245】
図1A及び図1B図1I並びに表3、表4及び表9に示されるように、NKp46結合ポリペプチドは、1nM未満の親和性でヒトNKp46に結合した。図1C及び図1D、並びに表5及び表6は、NKp46結合ポリペプチドが2nM未満の親和性でカニクイザルNKp46に結合したことを示す。図1E及び図1F、並びに表7及び表8は、ほぼ全てのNKp46標的化ポリペプチドが2nM未満の親和性でマウスNKp46に結合したことを示す。図1G及び図1H、並びに図1Jは、ポリペプチドが、トランスフェクションしていないHEK-293F細胞に結合しなかったことを示す。
【0246】
実施例2:NKp46結合VHHとIL-2変異体とを含むポリペプチドによって誘導される特異的IL-2シグナル伝達
NKp46結合VHHドメイン(hz5D7v12又はhz5Dv12)と、ヘテロ二量体ノブインホールFc領域(「KiH Fc」)と、Fc領域のC末端に融合した弱毒化IL-2突然変異体とを含むポリペプチドのNKp46標的化IL-2活性をホスホ-STAT5アッセイにおいて評価した。以下の表に示されるように、コントロールタンパク質には、hz5D7v12及びヘテロ二量体ノブインホールFc領域を含み、IL-2を含まないポリペプチド、標的化されていないVHHと、ヘテロ二量体ノブインホールFc領域のC末端に融合した弱毒化IL-2突然変異体とを含むポリペプチド、並びに野生型組換えIL-2が含まれていた。リン酸化STAT5(pSTAT5)のレベルの増加は、IL-2受容体連結及びシグナル伝達の近接読み出し値として細胞内フローサイトメトリーによって測定した。ヒトPBMCを完全増殖培地(RPMI、10%FBS、1%anti-anti)中、1ウェル当たり1000000個の細胞で96ウェルプレートにプレーティングした。次いで、試験ポリペプチドを最終濃度100nMの2倍に希釈し、5倍の段階希釈を行った。段階希釈物を細胞に添加し、37℃で15分間インキュベートした。次いで、細胞を100μLのCytofix固定バッファー(BD)中にて4℃で30分間固定した。次いで、細胞を200μLのFACSバッファー中で1回洗浄し、Perm buffer III(BD Phosflow)中にて4℃で30分間透過処理した。透過処理した細胞を1倍Permeabilization Buffer(eBioscience)中で合計3回洗浄した後、CD4(OKT4、1:100)、CD3(SP34-2、1:50)、CD16(3G8、1:1000)、pSTAT5(SRBCZX、1:70)、CD56(NCAM16.2、1:500)、及びCD8(RPA-T8、1:4000)に対する蛍光標識抗体を含有する1倍Permeabilization Buffer中にて4℃で一晩インキュベートした。翌日、細胞を150μLのFACSバッファーで洗浄し、ACEA BiosciencesのNovocyte-Quanteonフローサイトメーターを用いて分析した。IL-2シグナル伝達は、NK細胞(CD3-CD56dimCD16+若しくはCD3-CD56brightCD16-、又は全NK細胞)又はCD4 T細胞(CD3+CD4+)、又はCD8(CD3+CD8+)上のpSTAT5を検出する蛍光標識抗体の頻度及び蛍光強度レベルの中央値の増加によって定量化した。GraphPad Prism分析ソフトウェアを用いてデータをプロットし、分析した。
【0247】
図2に示されるように、hz5D7v12又はhz5D7v17と、ヘテロ二量体ノブインホールFc領域のC末端に融合した弱毒化IL-2突然変異体とを含むポリペプチドは、CD56dimCD16+NK細胞(図2A及び図2B)及び全NK細胞(図2G)上にて0.4nM未満のEC50で濃度依存的にpSTAT5のレベルの増加を誘導し、これは野生型組換えIL-2の活性よりも低かった。CD56brightCD16-NK細胞では、EC50は0.08nM未満であり(図2C及び図2D)、これは野生型組換えIL-2のおよそ0.06nMのEC50と同様であった。CD4又はCD8 T細胞上でのpSTAT5の検出可能な増加は、NKp46標的化変異体IL-2によって誘導されなかった(図2E及び図2F図2H及び図2I)。コントロールポリペプチドのいずれも、試験した細胞型のいずれにおいてもpSTAT5レベルの検出可能な増加を誘導せず、弱毒化IL-2がIL-2受容体シグナル伝達活性を達成するために結合ドメインを介した細胞への標的化を必要とすることが示された。
【0248】
【表10】
【0249】
実施例3:NKp46結合VHHとIL-2変異体とを含むポリペプチドによって誘導される抗体依存性細胞傷害作用の増強
NKp46結合VHHドメインhz5D7v12又はhz5D7v17と、ヘテロ二量体ノブインホールFc領域と、Fc領域のC末端に融合した弱毒化IL-2突然変異体とを含むポリペプチド(hz5D7v12-Fc xELL-ホール及びhz5D7v12-Fc xELL-ノブ-突然変異体IL-2、本明細書において「hz5D7v12-KiH Fc突然変異体IL-2」とも称される)のNKp46標的化IL-2活性の活性を、ADCC活性を示す抗EGFR抗体セツキシマブと組み合わせた抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)アッセイにおいて更に評価した。標的化されていないVHHと、ヘテロ二量体ノブインホールFc領域のC末端に融合した弱毒化IL-2突然変異体とを含むポリペプチド(標的化されていないVHH-Fc xELL-ホール及び標的化されていないVHH-Fc xELL-ノブ-突然変異体IL-2)、及び野生型組換えIL-2をコントロールとして使用した。A431細胞をCYTO-ID red長期細胞トレーサー(Enzo)で標識した後、100μL中1ウェル当たり10000個の細胞で96ウェル平底プレートにプレーティングし、4時間接着させた。ヒトドナーから得られたPBMCを解凍し、フローサイトメトリーによってNK細胞頻度について試験した。25μLの培地について最終希釈率2000倍のIncucyte(商標) Caspase-3/7 Green Dye for Apoptosis(Sartorius)25μL、又は25μLの培地について最終濃度20nM若しくは0.2nMのセツキシマブ、最終濃度1nMの野生型組換えIL-2、又は最終濃度1nMのIL-2変異体融合ポリペプチド、及びA431細胞1個当たり10個のNK細胞の濃度に調整したヒトPBMC 25μLを各ウェルに添加した。細胞を室温で10分間沈降させた後、プレートを37℃のIncucyteイメージャーに24時間入れ、30分毎に画像を取得した。Caspase-3/7及びCYTO-ID redの重なりによってA431の死滅を決定し、20nMセツキシマブを使用した場合に観察されたレベルによって最大死滅を規定した。GraphPad Prism分析ソフトウェアを用いてデータをプロットし、分析した。
【0250】
図3に示されるように、0.2nMセツキシマブを使用した場合、セツキシマブのADCC活性は、最大活性のおよそ65%まで低下した。この最適以下のセツキシマブ用量の死滅活性は、弱毒化IL-2変異体と、ヘテロ二量体Fcと、標的化されていないVHHとを含むポリペプチド(標的化されていないVHH-Fc xELL-ホール及び標的化されていないVHH-Fc xELL-ノブ-突然変異体IL-2)によっては増強されなかったが、野生型組換えIL-2、及びヘテロ二量体FcのC末端に融合した弱毒化IL-2変異体と、NKp46標的化VHHドメインとを含むポリペプチド(hz5D7v12-Fc xELL-ホール及びhz5D7v12-Fc xELL-ノブ-突然変異体IL-2)はどちらも、最大死滅が達成されるように0.2nMセツキシマブの活性を増強することができた。
【0251】
付加的な研究において、標的細胞の死滅を、PBMC ADCCバイオアッセイ(Promega)を用いて評価した。このキットには、細胞溶解時に放出され、相補的ポリペプチドLgBiTとの結合により発光シグナルを生成するHiBit融合タンパク質を発現する標的細胞が含まれる。このアッセイにおいては、標的細胞を指定の被験物質(単独の又はcx11314と組み合わせた抗BCMA抗体、セツキシマブ(抗EGFR)、トラスツズマブ(抗HER2)、以下の配列類似体:リツキシマブ(抗CD20)、リツキシマブの脱フコシル化変異体(抗CD20)、ダラツムマブ(抗CD38)、タファシタマブ(抗CD19)、オビヌツズマブ(抗CD19))及びヒトPBMCの比で96ウェル白色U型底プレートにおいて混合した。次いで、アッセイプレートを37℃のインキュベーター内で5時間インキュベートした。続いて、ポリペプチドLgBiTを含有する検出試薬を各ウェルに添加し、プレートリーダーで発光を読み取った。PBMC及び標的細胞を含むウェルに100μg/mLジギトニンを添加した最大溶解コントロール、並びに非処理コントロールを各実験に含めた。特異的溶解%は、非処理コントロール及びジギトニンコントロールと比べた各試料の相対光単位に基づいて算出した。
【0252】
図4及び図5に示されるように、ヘテロ二量体FcのC末端に融合したIL-2変異体と、NKp46標的化VHHドメインとを含むNKp46結合ポリペプチド(hz5D7v12-KiH Fc突然変異体IL-2)は、CD20(図4A及び図4B、並びに図5B)、CD19(図5B)、CD38(図5A)、BCMA(図5A)、HER2(図5C及び図5D)、及びEGFR(図5C及び図5D)を含む細胞表面抗原を標的とする様々な抗体のADCC活性を大幅に増強した。
【0253】
実施例4:NKp46結合VHHとIL-2変異体とを含むポリペプチドによって誘導されるカニクイザルPBMC亜集団の細胞増加
NKp46結合VHHドメインhz5D7v12と、ヘテロ二量体Fc領域と、Fc領域のC末端に融合した弱毒化IL-2突然変異体とを含むポリペプチド(hz5D7v12-Fc xELL-ホール及びhz5D7v12-Fc xELL-ノブ-突然変異体IL-2)のin vivo細胞増加に対する影響を非ヒト霊長類において試験した。カニクイザルに0.3mg/kg、1mg/kg、又は3mg/kgのポリペプチドを静脈内ボーラス注射した。投与の前並びに投与の4日後、10日後、及び14日後に研究動物から全血試料を採取した。各時点のPBMCを、Lymphoprep(STEMCELL Technologies)にて密度遠心分離を用いて単離し、細胞を蛍光標識細胞型特異的抗体の組合せで染色した。T細胞は、B細胞マーカーCD20を発現しないCD3細胞として分類された。制御性T細胞(「Treg」)は、CD25も発現し、CD127のレベルが低下したCD4T細胞として定義された。NK細胞は、NKG2Aを発現するCD3非T及び非B細胞として定義され、CD16には陽性又は陰性のいずれかであった。CD20陽性染色集団は、B細胞として分類された。投与10日後の全血1mL当たりの細胞数を投与前の全血1mL当たりのベースライン数で除算することによって倍率変化を算出した。グランザイムB発現を、上記のPBMC亜集団において付加的な固定、透過処理、及び染色工程を用いて測定した。簡潔に述べると、細胞を細胞表面マーカーについて蛍光標識細胞型特異的抗体の組合せで染色した後、FoxP3 Transcription Factor Staining Buffer Set(eBioscience)を用いて固定し、透過処理した。次いで、グランザイムBを特異的蛍光標識抗体で検出した。フローサイトメトリー検出は、ACEA BiosciencesのNovocyte-Quanteonフローサイトメーターで行った。GraphPad Prism分析ソフトウェアを用いてデータをプロットし、分析した。4日目及び10日目のグランザイムB蛍光中央値をベースライン(投与前)のNK細胞の蛍光中央値で除算することによって倍率変化を算出した。結果を表11及び図6A図6Cに示す。
【0254】
【表11】
【0255】
図6A及び図6B、並びに表11に示されるように、NKp46結合VHHドメインhz5D7v12と、ヘテロ二量体Fc領域と、Fc領域のC末端に融合した弱毒化IL-2変異体とを含むポリペプチドの単回投与は、用量依存的なNK細胞増加をもたらし、0.3mg/kg及び1mg/kgの用量では10日目、3mg/kgの用量では14日目により高い増加が生じた。CD16及びCD16の両方のNK細胞コンパートメントにおいて、試験した全ての用量レベルで2倍超の増加が見られ、3mg/kgの用量で最大の倍率増加が見られた。T細胞、B細胞、及びTreg細胞集団を含む非NK細胞集団では増加は見られなかった。図6Cは、NKp46結合VHHドメインhz5D7v12と、ヘテロ二量体Fc領域と、Fc領域のC末端に融合した弱毒化IL-2変異体とを含むポリペプチドの単回投与による処理も、細胞傷害性の代理マーカーであるグランザイムBの上方調節によって実証されるように、NK細胞死滅能の増加をもたらしたことを示す。グランザイムBの発現は、投与の4日後にピークに達したが、投与の10日後に投与前レベルより上昇したままであった。グランザイムB発現の最大増加は、0.3mg/kg、1mg/kg、及び3mg/kgの群においてそれぞれ3.9倍、4.1倍、及び5.1倍であった。これらのデータから、NKp46結合VHHドメイン(例えば、hz5D7v12)と、ヘテロ二量体Fc領域と、Fc領域のC末端に融合した弱毒化IL-2変異体とを含むポリペプチドがNK細胞集団の細胞増殖及び活性をin vivoで特異的に誘導したことが示される。
【0256】
実施例5:NKp46結合VHHとIL-2変異体とを含むポリペプチドによりヒト異種移植腫瘍マウスモデルにおいて誘導される抗腫瘍効力
NKp46結合VHHドメイン(hz5D7v17)と、ヘテロ二量体Fc領域と、Fc領域のC末端に融合した弱毒化IL-2突然変異体とを含むポリペプチド(hz5D7v17-Fc xELL-ホール及びhz5D7v17-Fc xELL-ノブ-突然変異体IL-2、本明細書において「hz5D7v17-KiH Fc突然変異体IL-2」とも称される)のin vivo抗腫瘍活性を異種移植マウスモデルにおいて試験した。7週齢の雌性BALB-Scidマウス(1群当たり8匹)に、100μLのHBSS中3.5×10個のRaji細胞を皮下接種した。腫瘍量が平均100mmに達した時点で、動物に1mg/kgのhz5D7v17-KiH Fc突然変異体IL-2、5mg/kgの治療用抗体リツキシマブの配列類似体、両方のレジメンの組合せ、又はビヒクルコントロールのいずれかを投与した。全ての処理を3週間連続して週1回行った。hz5D7v17-KiH Fc突然変異体IL-2及びビヒクルは静脈内投与し、リツキシマブ類似体は腹腔内投与した。腫瘍体積は、皮下腫瘤の長さ及び幅を週3回測定することによって決定した。腫瘍体積は、式V=L×W×W/2を用いて算出した。GraphPad Prism分析ソフトウェアを用いてデータをプロットし、分析した。
【0257】
図5に示されるように、hz5D7v17-KiH Fc突然変異体IL-2を用いた単剤療法は、ビヒクルコントロールと比較して、BALB-ScidマウスにおけるRaji異種移植片の成長を遅延させる。Raji腫瘍細胞上のCD20を認識し、腫瘍細胞を認識し、死滅させるようにNK細胞を含むエフェクター細胞をリダイレクトすることができる治療用抗体リツキシマブの類似体は、顕著な抗腫瘍応答を誘導し、腫瘍体積が再び増加し始めるまでおよそ3週間持続する腫瘍の停滞をもたらす。併用療法においては、hz5D7v17-KiH Fc突然変異体IL-2は、リツキシマブ類似体の活性を更に増強し、7/8匹の動物で腫瘍の完全かつ持続的な消失をもたらす。これらのデータから、NKp46結合VHHドメイン(例えば、hz5D7v17)と、ヘテロ二量体Fc領域と、Fc領域のC末端に融合した弱毒化IL-2変異体とを含むポリペプチドが、単剤としての抗腫瘍活性につながるin vivo機能的応答を誘導し、リツキシマブのような治療用抗体の抗腫瘍応答を強力に増強することが示される。
【0258】
実施例6:NKp46結合VHHとIL-2変異体とを含むポリペプチドによるNK細胞の健康及び抗腫瘍活性の化学療法によって誘導される欠陥のレスキュー
NKp46結合VHHドメインhz5D7v17と、ヘテロ二量体Fc領域と、Fc領域のC末端に融合した弱毒化IL-2突然変異体とを含むポリペプチド(hz5D7v17-KiH Fc突然変異体)の活性を、標準治療の化学療法試薬であるデキサメタゾン及びレナリドミドと組み合わせて更に評価した。ヒトドナーから得られたPBMCを解凍し、500nMデキサメタゾン、2μMレナリドミド、及び5nM hz5D7v17-KiH Fc突然変異体の組合せで3日間処理した。全ての前処理条件には、NK細胞生存を支持する2ng/mL IL-2も含まれていた。各処理PBMC試料におけるNK細胞頻度をフローサイトメトリーによって定量化し、培地のみのコントロールに対して正規化した。前処理したPBMCからのNK細胞の抗体依存性細胞傷害(ADCC)能を評価するために、NK細胞を富化し、NK細胞10対MM1S細胞1の比率でのCellTrace(商標) Violet標識MM1S(多発性骨髄腫)標的細胞及び1nMのダラツムマブ配列類似体(抗hCD38-hIgG1)とともに18時間共培養した。前処理条件は共培養中にわたって継続した。MM1Sの死滅は、生/死染色Zombie Aqua及び/又はアポトーシスマーカーApotracker greenで陽性に染色されたMM1S細胞の割合を定量化することでフローサイトメトリーによって決定した。
【0259】
図8Aに示されるように、標準治療薬であるデキサメタゾン及びレナリドミドによるヒトPBMCの処理は、培地単独による処理と比較して、3日後におよそ50%少ないNK細胞数をもたらす。hz5D7v17-KiH Fc突然変異体と化学療法レジメンとの共処理は、NK細胞の生存能力及び/又は増殖を回復させ、培地コントロールと同程度又はそれより多いNK細胞数をもたらす。図8Bは、細胞をデキサメタゾン及びレナリドミドで前処理した場合に、ダラツムマブ類似体(抗hCD38-hIgG1)の存在下でのNK細胞のADCC活性がおよそ20%低下することを示す。しかしながら、hz5D7v17-KiH Fc突然変異体を前処理レジメンに加えることで、ADCC活性がレスキューされるか、又は更には増加する。これらのデータから、NKp46結合VHHドメインhz5D7v17と、ヘテロ二量体Fc領域と、Fc領域のC末端に融合した弱毒化IL-2突然変異体とを含むポリペプチドが、デキサメタゾン及びレナリドミドのような標準治療の化学療法薬によるNK細胞の抑制を克服し得ることが示される。
【0260】
本開示は、本発明の趣旨又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化され得る。したがって、上述の実施形態は、全ての点で例示としてみなされるべきであって、本開示を限定するものとはみなされない。したがって、本開示の範囲は、上述の詳細な説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示されるため、特許請求の範囲の意味及び均等の範囲内にある全ての変更は、本明細書に含まれることが意図される。
【0261】
【表12】
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
【配列表】
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【国際調査報告】