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特表2024-534844病原体又は遺伝的変異を特定するためのスクリーニングシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】病原体又は遺伝的変異を特定するためのスクリーニングシステム
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/02 20060101AFI20240918BHJP
   G01N 21/78 20060101ALI20240918BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20240918BHJP
   C12Q 1/6827 20180101ALI20240918BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
C12Q1/02
G01N21/78 C
G01N21/78 Z
G01N35/02 G
C12Q1/6827 Z
C12M1/34 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024513100
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 AU2022051036
(87)【国際公開番号】W WO2023023808
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】2021221694
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523141541
【氏名又は名称】アヴィセナ・システムズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・マルカム・スティーヴンズ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ワット
(72)【発明者】
【氏名】ポール・オステルゴー
(72)【発明者】
【氏名】タチアナ・ハインリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・デューハースト
【テーマコード(参考)】
2G058
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
2G058BB03
2G058BB11
2G058BB15
2G058CB15
2G058GA01
4B029AA07
4B029BB01
4B029BB20
4B029FA15
4B063QA17
4B063QA18
4B063QQ01
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR35
4B063QS36
4B063QS39
4B063QX01
(57)【要約】
本開示は、病原体又は遺伝的変異を特定するためのシステムを提供する。システムは第一スクリーニングモード及び第二スクリーニングモードを有し、複数のサンプルを照らすための電磁放射線の源を備えている。前記電磁放射線の源は選択的な照射特性を有している。システムは複数のサンプルを通じて、又は複数のサンプルによって伝送される電磁放射線を検出するためのディテクタを備えている。ディテクタは選択的な検出特性を有している。システムは第一モード及び第二モードで同時に動作するように構成されている。第一スクリーニングモードは蛍光スクリーニングモードであってもよく、第二の任意のスクリーニングモードは比色分析スクリーニングモードであってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
病原体又は遺伝的変異を特定するためのスクリーニングシステムであって、第一スクリーニングモード及び第二スクリーニングモードを有し、
複数のサンプルを照らすための電磁放射線の源であって、選択的な照射特性を有している、電磁放射線の源と、
前記複数のサンプルを通じて伝送される、又は前記複数のサンプルによって発せられる、前記電磁放射線を検出するためのディテクタであって、選択的な検出特性を有している、ディテクタと、
前記サンプルをインキュベートするためのインキュベータと、
を備え、
前記インキュベータ内の前記サンプルをインキュベートする間、前記第一スクリーニングモード及び前記第二スクリーニングモードで動作するように構成されているシステム。
【請求項2】
前記第一スクリーニングモード及び前記第二スクリーニングモードで同時又は準同時に動作するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
病原体又は遺伝的変異を特定するためのスクリーニングシステムであって、第一スクリーニングモード及び第二スクリーニングモードを有し、
複数のサンプルを照らすための電磁放射線の源であって、選択的な照射特性を有している、電磁放射線の源と、
前記複数のサンプルを通じて伝送される、又は前記複数のサンプルによって発せられる、前記電磁放射線を検出するためのディテクタであって、選択的な検出特性を有している、ディテクタと、
前記サンプルをインキュベートするためのインキュベータと、を備え、
前記第一スクリーニングモード及び前記第二スクリーニングモードで同時に動作するように構成されている、
システム。
【請求項4】
前記インキュベータ内で前記サンプルをインキュベートする間、前記第一スクリーニングモード及び前記第二スクリーニングモードで動作するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第一スクリーニングモードは蛍光分析スクリーニングであり、前記第二スクリーニングモードは第二蛍光分析スクリーニングモード又は比色分析スクリーニングモードである、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
個々のサンプル又は個々のサンプル群は異なる条件を用いて同時にスクリーニングすることができるように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記インキュベータは、ヒーター及び個々のサンプル又は個々のサンプル群の加熱の個々の制御を可能にする一つ以上のコントローラを備えている、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記サンプルを受け取るための一つ以上のキャビティを含んでいるサンプル容器を備えている、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記サンプルを受け取るためのキャビティが一定量の鉱油を含んでいる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記キャビティは前記サンプルのスクリーニング及び/又は処理に必要な化学物質をさらに含み、前記キャビティはシールされている、請求項8又は9に記載のシステム。
【請求項11】
前記サンプルの積み下ろしのためのロボットシステムを備え、
前記システムは、個々のサンプル又は個々のサンプル群のためにスクリーニング及び/又は処理が完了するのかどうか、またいつ完了するのかを特定するように構成され、
前記ロボットシステムは、
空いているサンプルホルダ又はサンプルホルダ群を残している前記インキュベータからの個々のサンプル又はサンプル群を取り除き、前記サンプル又はサンプル群は、前記スクリーニング及び/又は処理が完了していないサンプル又はサンプル群によって囲まれる、又は隣接する場所から取り除かれ、その後、
新鮮なサンプル又はサンプル群を獲得し、その後、
前記インキュベータ内の空きの位置を前記新鮮なサンプルで満たすように構成されることによって前記システムがサンプルの連続的なスループットに適している、
請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記電磁放射線の源が、蛍光分析モードのための光源と、比色分析モードのための光源と、を備えている、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記電磁放射線の源が、前記サンプルの直接の照射のための各サンプルホルダに位置している複数のフィルタを備えている個々の光学素子を備えている、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記電磁放射線の源は、個々の光学素子が結合され、前記第一スクリーニングモード及び/又は前記第二スクリーニングモードにおける前記サンプルのスクリーニングのために前記サンプルを照らすための拡散光を生成するように構成されているディフューザーを備えている、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記電磁放射線の源と個々のサンプルホルダ又はサンプルホルダ群との間に光学ファイバを備え、前記光学ファイバは、個々のサンプルホルダ又はサンプルホルダ群に対して、前記サンプルを処理するための装置の一部を通じて導かれる、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記ディテクタは、波長の特定の情報を提供する異なる波長で前記電磁放射線を検出するために構成されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記ディテクタは複数のディテクタのうちの一つであり、少なくとも2つのディテクタはモノクロームディテクタである、請求項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
各ディテクタがフィルタを備え、前記フィルタを備える第一ディテクタが蛍光分析モードで動作するように構成され、前記フィルタを備える第二ディテクタが比色分析モードにおいて同時に動作するように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記ディテクタと個々のサンプルホルダのそれぞれ又はサンプルホルダ群との間に光学ファイバを備え、前記光学ファイバは、前記サンプルからの放射線を受け取り、受け取られた放射線を適切なディテクタに向けるように位置している、請求項1~18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記電磁放射線の源が前記光学ファイバを介して個々の前記サンプルにもまた光学的に結合され、前記ディテクタ及び前記電磁放射線の源の両方がダイクロイックコンバイナ/スプリッタを用いて同じ光学ファイバの一部に結合されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記ディテクタは、個々のサンプル又は個々のサンプル群の近くの場所で前記電磁放射線を検出するように移動可能であり、前記ディテクタの移動はコントローラによって制御可能である、請求項1~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
病原体又は遺伝的変異を特定するためのスクリーニングシステムであって、第一スクリーニングモード及び第二スクリーニングモードを有し、
複数のサンプルを照らすための電磁放射線の源であって、選択的な照射特性を有している電磁放射線の源と、
前記複数のサンプルを通じて伝送される、又は前記複数のサンプルによって発せられる、前記電磁放射線を検出するためのディテクタであって、選択的な検出特性を有している、ディテクタと、
前記サンプルをインキュベートするためのインキュベータと、を備え、
前記ディテクタの検出特性及び前記電磁放射線の源の照射特性のうち少なくとも一つを選択することにより前記第一スクリーニングモードと前記第二スクリーニングモードとの間で移行するように構成されている、
システム。
【請求項23】
前記第一スクリーニングモード及び前記第二スクリーニングモードのうちの一つにおける動作の直後に、前記第一スクリーニングモード及び前記第二スクリーニングモードのうちのもう一つにおける動作を可能にする、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記第一スクリーニングモードは蛍光分析スクリーニングモードであり、前記第二スクリーニングモードは比色分析スクリーニングモードである、請求項22又は23に記載のシステム。
【請求項25】
個々のサンプル又は個々のサンプル群が異なる条件を用いてスクリーニングされるように構成されている、請求項22~24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記サンプルを処理するための装置が、ヒーター及び個々のサンプル又は個々のサンプル群の加熱の個々の制御を可能にする一つ以上のコントローラを備えている、請求項22~25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記サンプルを受け取るための一つ以上のキャビティを含んでいるサンプル容器を備えている、請求項1~26のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記サンプルを受け取るための前記キャビティが一定量の鉱油を含んでいる、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記キャビティが前記サンプルのスクリーニング及び/又は処理に必要な化学物質をさらに含み、前記キャビティはシールされている、請求項27又は28に記載のシステム。
【請求項30】
前記電磁放射線の源及び/又は前記ディテクタは関連する固定された光学フィルタを有している、請求項1~29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記サンプルの積み下ろしのためのロボットシステムを備え、
前記システムは、個々のサンプル又は個々のサンプル群のためにスクリーニング及び/又は処理が完了するのかどうか、またいつ完了するのかを特定するように構成され、
前記ロボットシステムは、
空いているサンプルホルダ又はサンプルホルダ群を残している前記インキュベータからの個々の前記サンプル又は前記サンプル群を取り除き、前記サンプル又はサンプル群は、前記スクリーニング及び/又は処理が完了していないサンプル又はサンプル群によって囲まれる、又は隣接する場所から取り除かれ、その後、
新鮮なサンプル又はサンプル群を獲得し、その後、
前記インキュベータ内の空きの位置を前記新鮮なサンプルで満たすように構成されることによって前記システムが前記サンプルの連続的なスループットに適している、
請求項22~30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記検出特性は、前記ディテクタによって検出可能な電磁放射線の源の波長又は波長範囲である、
請求項22~31のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記ディテクタは第一フィルタ及び第二フィルタを備えているモノクロームディテクタであり、
前記第一フィルタは蛍光分析モードに必要な波長範囲における前記電磁放射線の伝送を可能にし、前記第二フィルタは、比色分析モードに必要な波長範囲での前記電磁放射線の伝送を可能にし、
前記システムは、前記比色分析モードにおいては、前記第一フィルタと前記第二フィルタとの間で移行することによって前記蛍光分析モードと前記比色分析モードとの間での移行のために構成されている、
請求項22~32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記ディテクタは、蛍光分析スクリーニングモードに必要な波長範囲での電磁放射線の伝送、及び比色分析モードに必要な波長範囲での電磁放射線の伝送を可能にするパスウインドウを有しているマルチパスフィルタを備えているモノクロームディテクタであり、比色分析に適した照射と蛍光分析に適した照射の間での移行によって、前記蛍光分析モードと前記比色分析モードとの間での移行のために構成されている、
請求項22~33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記電磁放射線の源が前記蛍光分析モードのための光源及び前記比色分析モードのための光源を備えている、
請求項22~34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項36】
前記電磁放射線の源は、前記サンプルの直接の照射のために各々のサンプルホルダに位置しているフィルタを備えた個々の光素子を備えている、
請求項22~35のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項37】
前記照射源は、個々の光素子が結合され、前記第一スクリーニングモード及び/又は前記第二スクリーニングモードでの前記サンプルのスクリーニングのための前記サンプルの照射のための拡散光を生成するように構成されているディフューザーを備えている、
請求項22~36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
前記電磁放射線の源と個々のサンプルホルダ又はサンプルホルダ群との間に、光学ファイバを備え、前記光学ファイバが前記個々のサンプルホルダに対して又は前記サンプルホルダ群に対して、前記サンプルを処理するための装置の一部を通じて導かれる、
請求項22~37のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項39】
前記ディテクタと各々の個々のサンプルホルダ又はサンプルホルダ群との間に、光学ファイバを備え、前記光学ファイバは前記サンプルから放射線を受け取り、受け取られた前記放射線を適切なディテクタに向けるように位置している、
請求項22~38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項40】
前記電磁放射線の源は、前記光学ファイバを介して個々の前記サンプルにもまた光学的に結合され、前記ディテクタ及び前記電磁放射線の源の両方がダイクロイックコンバイナ/スプリッタを用いて同じ光学ファイバの一部に結合されている、
請求項39に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は病原体又は遺伝的変異を特定するためのスクリーニングシステムに関し、遺伝子のDNA又はRNA、又は遺伝子発現プロファイリングのどちらかにおける遺伝的変異の検出のためのシステムに特に関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
特にCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)だけでなく、他のパンデミック又は伝染病もまた、ウイルスを運ぶと予想される無症状の個人から採取される多数のサンプルのスクリーニング、又はウイルスのキャリアを特定するために無症状の個人の日常的な監視スクリーニングを必要とする。様々な手動のスクリーニング手順が知られているが、多数のサンプルの監視テストを可能にするために、サンプルの高いスループットを可能にするスクリーニングシステムがますます重要になっている。
【0003】
複数の高感度診断技術又は分子診断技術が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、等温増幅法、及びレビューのために「Habli, Z., Saleh, S., Zaraket, H. & Khraiche, M. L. COVID-19 in-vitro Diagnostics: State-of-the-Art and Challenges for Rapid, Scalable, and High-Accuracy Screening. Frontiers in Bioengineering and Biotechnology 8, (2021)」に参照されている方法、に基づいたCRISPRを含む、核酸増幅及び検出システムの領域を用いてSARS-coV2等の病原体の検出のために存在する。
【0004】
以下の文献に開示されている技術を含むがそれらに限定されない、より新しい分子テストの領域が明らかになる。
【0005】
Loop Mediated Isothermal Amplification(LAMP)は、[Moehling, T. J., Choi, G., Dugan, L. C., Salit, M. & Meagher, R. J. LAMP Diagnostics at the Point-of-Care: Emerging Trends and Perspectives for the Developer Community. Expert Rev Mol Diagn 21, 1-19 (2021)]で包括的に検討されている。
【0006】
MD-LAMP [Becherer, L. et al. Simplified Real-Time Multiplex Detection of Loop-Mediated Isothermal Amplification Using Novel Mediator Displacement Probes with Universal Reporters. Anal Chem 90, 4741-4748 (2018)]
【0007】
DETECTR [Broughton, J. P. et al. CRISPR-Cas12-based detection of SARS-CoV-2. Nat Biotechnol 38, 870-874 (2020)]
【0008】
miSHERLOCK [Puig, H. de et al. Minimally instrumented SHERLOCK (miSHERLOCK) for CRISPR-based point-of-care diagnosis of SARS-CoV-2 and emerging variants. Sci Adv 7, eabh2944 (2021)]
【0009】
SPOT. [Xun, G., Lane, S. T., Petrov, V. A., Pepa, B. E. & Zhao, H. A rapid, accurate, scalable, and portable testing system for COVID-19 diagnosis. Nat Commun 12, 2905 (2021)]
【0010】
RTF-EXPAR [Carter, J. G. et al. Ultrarapid detection of SARS-CoV-2 RNA using a reverse transcription-free exponential amplification reaction, RTF-EXPAR. Proc National Acad Sci 118, (2021)]
【0011】
NACT [Moitra, P., Alafeef, M., Dighe, K., Frieman, M. B. & Pan, D. Selective Naked-Eye Detection of SARS-CoV 2 Mediated by N Gene Targeted Antisense Oligonucleotide Capped Plasmonic Nanoparticles. Acs Nano 14, 7617-7627 (2020); Alafeef, M., Moitra, P., Dighe, K. & Pan, D. RNA-extraction-free nano-amplified colorimetric test for point-of-care clinical diagnosis of COVID-19. Nat Protoc 16, 3141-3162 (2021)]
【0012】
当業者は、これらの分子診断アッセイの反応生成物が、(照射された光の吸収率、反射率又は透過率の差によって検出される)色の変化、発光、燐光又は蛍光を通じて検出され得るということを認識することとなる。
【0013】
サンプルにおける分子署名のスクリーニングのために用いられる一つの有望な技術は、いわゆる「Loop Mediated Isothermal Amplification (LAMP)」技術である。スクリーニング処理は、(唾液、痰、前鼻棘、中鼻甲介又は鼻咽頭ぬぐい液及び咽頭ぬぐい液などだが、これに限定されない)生体サンプルを採取することと、LAMP処理のために用いられる化学薬品とともに、サンプルを試験管の中に設置することと、を含む。この場合サンプルはインキュベートされ、比色分析又は蛍光分析検出技術がスクリーニング処理の結果を決定するのに用いられ得る。LAMPはインキュベーション及び検出プロセスがわずか20分~30分しかかからないという利点を有している。スクリーニングシステムはサンプルの平行処理及びスクリーニングのために用いられ得、それによって手作業のLAMP手順と比較してスループットを高めることができる。
【0014】
しかしながら、現在までのところ、上で開示されている分子診断方法は、超高スループットスケールで動作する実現可能で経済的な手段なしで、低スループットのポイントオブケア方式で、又は中程度の方式で現状では実行されている。これは上で開示されている分子診断のための標準的なアプローチが、超高スループットスクリーニング方法、特に1時間当たり数千回のテストでの連続的な動作を支持する超高スループットスクリーニング方法には、適用されないことを意味する。例えば、たとえ高価であっても、Roche Cobas 6800, the Abbott Alinity, the Quiagen QIAstat-Dx, NeuMoDx又はthe Hologic Panther instruments等の高スループット分子診断機器や、より連続的なフローローディングモードを支持するいくつかは、固有のデザインの制限により連続的な超高スループット動作のための経済的なスケーリングを可能にするような方法で構成されている。
【0015】
小さな分子アッセイデバイス及び/又はスマートフォンに関係付けられたポイントオブケアソリューションは、IDの検証可能性、インテグレーション及び人口規模での実装のための手ごろなコストにおいて、又はバイオセキュリティの監視の適用において、それら自身の制限も有している。
【0016】
従って、パンデミックに関連付けられている非常に大量のサンプルを迅速に検査する又は最小限のタイムフレームでの人口レベルにおける遺伝的変異のために経済的に検査する能力は、超高スループットでサンプルを平行処理することだけでなく、スループットと多用途性を高めるためのさらなる技術的なソリューションも必要とし、スケーラブルランダムアクセスや、連続的なフローローディングなどだが、これらに限定されない、容量のテストにおける変動のための柔軟な適応を可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
実施形態は様々な明確なモード(例えば蛍光分析及び比色分析のモード)におけるスクリーニングのための構成を可能にする技術に関し、パンデミックにおけるサプライチェーンの制限の影響をより受けにくい安価な構成要素を用いる。
【0018】
発明者らは標準的な分子診断アプローチを超高スループットスクリーニングに適用することの鍵となる制限が、複雑で高価な同期アプローチを避ける一方で、連続的なスキャニング蛍光分析検出システムにおいて励起フィルタ及び発光フィルタの組み合わせの迅速な変化のための要件であることを発見した。従って、高スループットスクリーニングのために用いられる既存のアプロ―チ及び構成は超高スループットスクリーニングに当てはまらない。例えば、診断蛍光プローブからの発光を検出し、前記したようなフィルタを励起源に同期させるためのフィルタを変化させる必要性が、複雑性とコストを増加させ、スループット速度を1時間当たり数千サンプル(例えば1時間あたり1000サンプル以下)に制限する。本明細書で用いられるように「超高スループット」の用語は1時間あたり少なくとも2000サンプルの連続的な動作とともにスクリーニングすることができるシステムを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は第一態様において病原体又は遺伝的変異を特定するためのスクリーニングシステムを提供し、前記システムは、第一スクリーニングモード及び/又は第二スクリーニングモードを支持するために構成されていてもよく、複数のサンプルを照らすための電磁放射線の源であって、選択可能な照射特性を有している電磁放射線の源と、複数のサンプルを通じて伝送される、又は複数のサンプルによって発せられる電磁放射線を検出するためのディテクタであって、選択可能な検出特性を有しているディテクタと、サンプルをインキュベートするためのインキュベータと、を備えていてもよく、前記システムはインキュベータ内のサンプルをインキュベートする間に第一スクリーニングモード及び第二スクリーニングモードで動作するように構成されている。
【0020】
本発明は第一態様において病原体又は遺伝的変異を特定するためのスクリーニングシステムを提供し、前記システムは第一スクリーニングモード及び/又は第二スクリーニングモードを支持するために構成されていてもよく、複数のサンプルを照らすための電磁放射線の源であって、選択可能な照射特性を有している電磁放射線の源と、複数サンプルを通じて伝送される、又は複数のサンプルによって発せられる電磁放射線を検出するためのディテクタであって、選択可能な検出特性を有しているディテクタと、サンプルをインキュベートするためのインキュベータと、を備えていてもよく、前記システムはインキュベータ内のサンプルをインキュベートする間に第一スクリーニングモード及び第二スクリーニングモードで動作するように構成されている。
【0021】
システムは第一モード及び第二モードで同時又は準同時で動作するように構成されていてもよい。
【0022】
本発明は第二態様において病原体又は遺伝的変異を特定するためのスクリーニングシステムを提供し、前記システムはスクリーニングモード及び第二スクリーニングモードのために構成されていてもよく、複数のサンプルを照らすための電磁放射線の源であって、選択可能な照射特性を有している電磁放射線の源と、複数サンプルを通じて伝送される、又は複数のサンプルによって発せられる電磁放射線を検出するためのディテクタであって、選択可能な検出特性を有しているディテクタと、を備え、前記システムは第一モード及び第二モードにおいて同時に動作するように構成されている。
【0023】
システムはサンプルを処理するための装置を備えていてもよく、すなわちそれはインキュベータであってもよい。
【0024】
システムは一般にインキュベータ内でのサンプルのインキュベーションの間に第一スクリーニングモード及び/又は第二スクリーニングモードで動作するように構成されている。
【0025】
以下の実施形態は本発明の第一の態様又は第二の態様に従ってシステムの任意の特徴の例を導入している。
【0026】
一実施形態において、システムは超高スループットシステムである。一実施形態では、システムは一時間当たり少なくとも2000サンプルを処理するように構成されている。例えば、システムは一時間に少なくとも2500サンプル、3000サンプル、3500サンプル、4000サンプル、4500サンプル、5000サンプル、5500サンプル、6000サンプル、6500サンプル、7000サンプル、7500サンプル、8000サンプル、8500サンプル、9000サンプル、9500サンプル、又は10000サンプルを処理するように構成されてもよい。一実施形態において、システムは一時間当たり約4000サンプルから約10000サンプルまで処理するように構成されていてもよい。
【0027】
一実施形態において第一スクリーニングモードは蛍光分析スクリーニングモードであり第二スクリーニングモードは比色分析スクリーニングモードである。代わりに、第一モード又は第二モードは発光スクリーニングモード又は燐光スクリーニングモードであってもよい。一実施形態において第一スクリーニングモードは第一蛍光分析スクリーニングモードであり第二スクリーニングモードは第二蛍光分析スクリーニングモードである。システムは第三又はより高次のスクリーニングモードを含んでもよい。例えば、システムは第一スクリーニングモード、第二スクリーニングモード及び第三スクリーニングモードを備えていてもよい。スクリーニングモードの数に関係なく、複数のモードは同時又は準同時に動作するように構成されている。
【0028】
一実施形態において、電磁放射線の源及び/又はディテクタは関連した固定された単一又は複数の光学フィルタを有している。一実施形態において、電磁放射線の源及びディテクタに関連した光学システムの構成要素はシステムの使用時に静的又は固定されたままであるように構成されている。例えば、一実施形態において、光学システムで用いられる光学フィルタはシステムの使用中固定されたままである。別の言い方をすれば、一実施形態において、システムの使用中の光学フィルタの調整又は変更のための必要条件はない。これは、電磁放射線の源及びディテクタを同期させる必要性を減らす又はなくすのに役立つことができ、システムの複雑性とコストを削減することを助け、スループット速度を上昇させるのに役立つことができる、比較すると、高スループットシステム(つまり、単位時間あたり1000サンプル以上を処理するシステム)は一般に光学フィルタのスイッチング及び同期を要求し、資本コストを追加し、実現可能なスループット速度を低下させ、複雑性を増加させ、及びランニングコストを増加させる。
【0029】
スクリーニング条件が、コントローラによって変調され得るあらかじめ定められたスクリーニングプロトコルに従って又は自動的に変化し得るように、システムは構成されてもよい。スクリーニング条件の変化は、電磁放射線の源の照射特性及びディテクタの検出特性のうち少なくとも一つを選択することにより影響され得る。
【0030】
さらに、個々のサンプル又は個々のサンプル群は様々な条件を用いて同時又は準同時にスクリーニングされるように構成されてもよい。例えば、同時又は準同時に第二の個々のサンプル又は第二の個々のサンプル群が比色分析スクリーニングモードなどの第二スクリーニングモードを用いてスクリーニングされ得る一方で、第一の個々のサンプル又は第一の個々のサンプル群は第一スクリーニングモードを用いてスクリーニングされ得る。
【0031】
一実施形態においてサンプルを処理するための構成は、(熱処理、照射条件、検出条件のうち一つ以上などの)様々な条件を用いてサンプル群を処理する及び/又はスクリーニングすることを可能にする。より具体的には、サンプルを処理するための構成は第一(例えば蛍光分析)スクリーニングモード又は第二(例えば比色分析)スクリーニングモードのために必要な条件のような様々な条件を用いて、個々のサンプル又はサンプル群を照らすことを可能にし得る。
【0032】
サンプルを処理するための装置は、数百又は数千サンプルのような大量のサンプルを保持し処理するのに適し得る。サンプルを処理するための装置は個々のサンプルホルダを備えていてもよく、1-12個、12-24個、24-28個、48-96、又はそれ以上の個々のサンプルホルダのグループ、組み合わせ又はアレイなどの、個々のサンプルホルダの群又はアレイを備えていてもよい。サンプルを処理するための装置は、1-4個、4-8個、8-12個、12-16個、16-20個、20-24個、又はそれ以上の、任意の適切な数のサンプルホルダのグループを備えていてもよい。
【0033】
システムはサンプル容器をさらに含んでいてもよく、サンプルを受け取るための一つ以上のキャビティを含んでいてもよい。サンプル容器の一例は、サンプルを受け取るために、及びサンプルのスクリーニング及び/又は処理のために必要な化学薬品を含んでいてもよい、(透明な材料のラックに保持されてもよい)毛細管又はチューブ、及び96キャビティのようなキャビティを備えるマイクロプレートを含んでいる。
【0034】
ある特定の実施形態において、サンプル容器のキャビティは、パラフィン(例えば鉱油又はパラフィンワックス)が備えられている、又は代わりにシリコンワックスが備えられている、一定量の油又は低融点ワックスを含んでいる。発明者らは、キャビティ内の油の存在がサンプルのスクリーニング及び処理のための利点を有していることに気づいた。(各サンプル上の油層などの)油の存在は、比色分析及び蛍光分析RT-LAMP反応からの結果の質を高め得、反応混合物の望まないエアレーションを阻止するシールをサンプルに提供してもよく、それによって、インキュベーションの間反応混合物の蒸発を避けるのと同様に、貯蔵の間反応混合物が自発的に酸性化するのを避け、本発明の実施形態に従ってサンプルをスクリーニングする際、偽陽性の可能性を減少させ得る。任意のワックス層の融点は、装置内での動作のためにワックスのこの層が液化することを確実にするために調整されてもよい。
【0035】
さらに、サンプルを処理するための装置は複数のヒーター、及び個々のサンプル又は個々のサンプル群の加熱を個々に制御することを可能にする一つ以上のコントローラを備えていてもよい。
【0036】
当業者は、(RT-LAMPなどの化学反応に適した)一定温度で動作する、等温加熱ユニットを備えていてもよく、(PCRなどの化学反応に適した)サーマルサイクラーユニットを代わりに又はともに備えていてもよいことを認識することになる。
【0037】
さらに、当業者は、ヒーターの個々の制御が、反応(例えばRT-LAMP反応)の一部のための機器の一温度領域から、(明確に異なる温度での追加のインキュベーションのため又は溶融/再アニーリングカイネティクス測定のための)別の活動のための別の温度領域への、マイクロプレートなどのサンプル容器の温度変化又は温度伝達を可能にすることを理解することとなる。この特徴は、2つの異なるインキュベーション温度を組み込む技術に基づいたCRISPRにとって理想的である。
【0038】
システムはさらにサンプルの積み下ろしのためのロボットシステムを備えていてもよい。病原体のスクリーニングのためのシステムは、個々のマイクロプレート内のサンプルなどの、個々のサンプル又はサンプル群のためにスクリーニング及び/又は処理が完了するのかどうか、またいつ完了するのかを特定するために、一般に構成される。その際ロボットシステムは個々のサンプル又はサンプルの集団(又は、マイクロプレート内のウェルの内部に含まれているサンプルを備えるマイクロプレートなどの、サンプルを収容するサンプル容器)を除去し、サンプルを処理するための装置の内部でランダムな位置を取り得、スクリーニング及び/又は処理がまだ完了していないサンプル(又はサンプルを備えるマイクロプレートなどのサンプルを備えるサンプル容器)によって囲まれてもよく、又は隣接していてもよく、それによってサンプルを処理するための装置内で空いている位置が生成される。ロボットシステムはその際、例えばサンプル待機ステーションから、新鮮なサンプル又は新鮮なサンプル群(又は新鮮なサンプルを備えたマイクロプレート)を得るため、及び新鮮なサンプルを備えた、サンプルを処理するための装置内の空いている位置を満たすために構成される。このように、本発明に従った病原体又は遺伝的変異をスクリーニングするためのシステムは、バッチ処理技術では不可能な非常に高いスループット動作を可能にする、サンプルの連続的なスループットに適している。この連続的なスループットデザインは、大きな載積容量でのみ経済的である高スループット動作での以前の試みよりも、より経済的な動作もまた提供する。対照的に、本明細書で説明されるスクリーニングシステムは、最小限の機器の積載サイクル時間よりも大きな任意の間隔での複数のサンプルと同様に、(96又ウェルマイクロプレート又は384ウェルマイクロプレートなどの)単一ユニットのサンプルが均等に積載され得る。最小積載サイクル時間は約2分であってもよい。最小積載サイクル時間は約1分であってもよい。最小積載サイクル時間は1分未満であってもよい。
【0039】
本明細書で開示されているシステムの柔軟性は、RT-LAMP反応が機器のインキュベーション領域の一部で実行中である間、例えば機器のインキュベーション領域の別の一部で実行中であるRT-PCRなど、平行して実行される完全に個々の化学物質の反応を可能にする。
【0040】
一例において照射特性は光強度及び/又は電磁放射線の波長又は波長範囲である。電磁放射線の源は、主としてモノクローム電磁放射線を発するためのいくつかの源の部品を備えてもよく、一つ以上の以下のもの、すなわち発光ダイオード(LED)、波長可変レーザー、光学フィルタ及び/又はミラー、及びダイクロイックフィルタを含んでいてもよい。電磁放射線の源が異なる波長で光を発するように構成される場合、前記放射線の光源の部品は、電磁放射線の源によって発される電磁放射線の波長又は波長範囲を選択するように選択及び/又は調整され得る。
【0041】
一実施形態において、電磁放射線の源は(LED又はレーザーなどの)蛍光分析モードのための光源及び比色分析モードのための光源を備えている。一実施形態において、電磁放射線の源は第一蛍光分析モードのための第一光源及び第二蛍光分析モードのための第二光源を備えている。電磁放射線の源は適切なフィルタを有し得、及び比色分析モードでの照射に適し得る広帯域光源を備えてもよい。電磁放射線の源は、サンプルよりも上(サンプルの上)又は下の位置から、又は水平方向からのサンプルの照射のために構成されてもよい。
【0042】
一例において、電磁放射線の源は複数のLEDなどの個々の光学素子を備え、個々のLED及びフィルタを備えたLEDのグループは、サンプルへの直接の照射のための各々のサンプルホルダに位置していてもよい。代わりに、又は追加で、照射光源は、フィルタを備えたLEDのような個々の光学素子が結合され、第一スクリーニングモード及び/又は第二スクリーニングモードでサンプルをスクリーニングするためのサンプルを照らすための拡散光を生成するために構成される、ディフューザを備えていてもよい。
【0043】
代わりに又は追加で、システムは電磁放射線の源と個々のサンプルホルダ又はサンプルホルダ群との間に光学ファイバも備えていてもよい。光学ファイバは、個々のサンプルホルダ又はサンプルホルダ群に対して、例えばサンプルを処理するためのコリメータ素子を通じるなど、装置の一部を通じて導かれてもよい。一実施形態において、光源は、コリメータ素子を介して、サンプルホルダ又はサンプルホルダ群に連結された光学ファイババンドルと連結された、一つ以上の切り替え可能な可変レーザー光源であってもよい。
【0044】
一例において、検出特性はディテクタによって検出可能な電磁放射線の波長又は波長範囲であり、フィルタを選択することによって選択可能である。
【0045】
ディテクタは、(色を表示するカラーカメラなどの)波長固有の情報信号を提供する様々な波長(又は波長範囲)で電磁放射線を検出するために装置されてもよい。ディテクタは、カラーカメラ、モノクロームカメラなどのモノクロームディテクタ、又はフォトダイオード又は光電子増倍管のスキャンアレイを例えば備えている。ディテクタはマルチパスフィルタ又はバンドパスフィルタを含んでいてもよい。
【0046】
ディテクタは検出光の強度の関数として信号を各々提供する単一の検出部品又は複数の検出部品を備えていてもよい。ディテクタはまた、複数のディテクタのうちいずれか一つであってもよい。一実施形態において、モノクロームカメラなどの、少なくとも2つのディテクタ(「モノクロームディテクタ」)は、所与の波長範囲内で電磁放射線の波長に主として依存しない信号を生成するように装置されている。この例において、他の波長範囲で電磁放射線の透過を少なくとも部分的に遮断する一方で、ディテクタの各々は、選択された波長範囲で電磁放射線の透過を可能にするフィルタなどの、動作中に任意選択で固定されたままであり得る一つ以上の選択可能なフィルタを備えてもよく、それによって(使用されるフィルタの特性が既知であるため)様々な波長又は波長範囲で電磁放射線を検出することができる。蛍光分析モード又は比色分析モードに関連した電磁放射線を検出するためにモノクロームディテクタを使用することが結果として可能になる。例えば、適切なロングパスフィルタ又はバンドパスフィルタ又はマルチパスフィルタはこの目的のために用いられてもよい。この例において第一ディテクタは蛍光分析モードにおいて動作するように装置されてもよく、第二ディテクタは比色分析モードにおいて自発的に又は立て続けに動作するように装置されてもよい。別の例において、システムが第一、第二及び第三蛍光分析スクリーニングモードで動作する場合、第一カラーカメラ又はモノクロームカメラは第一蛍光分析スクリーニングモードからの発光を検出するのに用いられてもよく、第二カラーカメラ又はモノクロームカメラは第二蛍光分析スクリーニングモードからの発光を検出するのに用いられてもよく、第三カラーカメラ又はモノクロームカメラは第三蛍光分析スクリーニングモードからの発光を検出するために用いられてもよい。第一カメラ、第二カメラ及び第三カメラは「スタック」を形成するようにともにグループ化されてもよく、互いに独立して動作してもよい。
【0047】
特定の一実施形態において、システムはディテクタと、サンプルを受け取るための個々のサンプルホルダ又はサンプルホルダ群との各々の間に光学ファイバを備えている。光学ファイバは、(蛍光分析スクリーニングのための励起蛍光放射線、又は比色分析スクリーニングのための透過放射線又は反射放射線などの)サンプルからの放射線を受け取るように、及び(コンピュータ制御カメラなどの)適切な検出素子に受け取られた放射線を向けるように、位置していてもよい。この実施形態の一変形例では、電磁放射線の源は光学ファイバを介して個々のサンプルに光学的にも結合され、ディテクタ及び電磁放射線の源の両方がダイクロイックコンバイナ/スプリッタを用いる同じ光学ファイバの部分に結合されてもよい。
【0048】
ディテクタは個々のサンプル又は個々のサンプル群の近くの場所で電磁放射線を検出するように移動可能であってもよい。ディテクタの移動はコントローラによって制御されてもよい。
【0049】
本発明は第三態様において病原体又は遺伝的変異を特定するためのスクリーニングシステムを提供し、前記システムは第一スクリーニングモード及び第二スクリーニングモードを有し、複数のサンプルを照らすための電磁放射線の源であって、選択可能な照射特性を有している電磁放射線の源と、複数のサンプルを介して透過され、又は複数のサンプルによって発せられる電磁放射線を検出するためのディテクタであって、選択可能な検出特性を有しているディテクタと、サンプルを処理するための装置と、を備え、前記システムは、ディテクタの検出特性及び電磁放射線の源の照射特性のうち少なくとも一つを選択することによって第一スクリーニングモードと第二スクリーニングモードとの間で移行するために構成されている。
【0050】
第一モード及び第二モードのうち一方における動作のすぐ後、及び一般にインキュベーション中に、システムは第一モード及び第二モードのうちのもう一つのモードにおいて動作を可能にしてもよい。
【0051】
一実施形態において、第一スクリーニングモードは蛍光分析スクリーニングモードであり、第二スクリーニングモードは比色分析スクリーニングモードである。代わりに、第一モード又は第二モードは発光スクリーニングモード又は燐光スクリーニングモードであってもよい。この第一スクリーニングモード及び第二スクリーニングモードは第一蛍光分析スクリーニングモード及び第二蛍光分析スクリーニングモードであってもよい。
【0052】
サンプルを処理するための装置は一般にサンプルをインキュベートするための装置であってもよい。
【0053】
コントローラによって制御され得る予め定められたスクリーニングプロトコルに従って、又は自動化された方法で、スクリーニング条件が変化し得るように、システムは装置されてもよい。スクリーニング条件の変化は、電磁放射線の源の照射特性及びディテクタの検出特性のうち少なくとも一つを選択することにより影響され得る。
【0054】
さらに、個々のサンプル又は個々のサンプル群が様々な条件を用いてスクリーニングされるように、システムは装置され得る。例えば、第二サンプル又は個々の第二サンプル群が比色分析スクリーニングモードなどの第二スクリーニングモードを用いてスクリーニングされる一方で、個々の第一サンプル又は個々の第一サンプル群は、蛍光分析スクリーニングモードなどの第一スクリーニングモードを用いてスクリーニングされてもよい。
【0055】
一実施形態において、サンプルを処理するための装置は、(熱処理、照射条件、検出条件のうち一つ以上のものなどの)様々な条件を用いてサンプル群の処理及び/又はスクリーニングを可能にする。より具体的には、サンプルを処理するための装置は、照射が自発的又は立て続けに起こり得る、蛍光分析スクリーニングモード又は比色分析スクリーニングモードに必要な条件などの様々な条件を用いて個々のサンプル又はサンプル群を照らすことを可能にする。
【0056】
サンプルを処理するための装置は、数百又は数千のサンプルのような大量のサンプルを保持する又は処理するのに適し得る。サンプルを処理するための装置は個々のサンプルホルダを備えていてもよく、1-12個、12-24個、24-28個、48-96個、又はそれ以上の個々のサンプルホルダのグループまたはアレイなどの、個々のサンプルホルダのグループ又はアレイを備えていてもよい。サンプルを処理するための装置は、1-4個、4-8個、8-12個、12-16個、16-20個、20-24個、又はそれ以上の、任意の適切な数の個々のサンプルホルダを備えていてもよい。
【0057】
システムは、サンプルを受け取るための一つ以上のキャビティを含み得る、サンプル容器をさらに含んでいてもよい。サンプル容器の例は、サンプルを受け取るための毛細管又はチューブ(透明な物質のラックに保持され得る)や、96個のキャビティなどのキャビティを備えるマイクロプレートであり、サンプルをスクリーニング及び/又は処理するのに必要な化学物質を含んでいてもよい。サンプル容器のキャビティはシールされていてもよい。特定の一実施形態において、サンプル容器のキャビティは、鉱油などの一定量の油を含んでいる。発明者らは、キャビティ内の油の存在がサンプルのスクリーニング及び処理に有利であることに気づいた。(反応容器内の反応ウェルの各々の上の油層などの)油の存在は、比色分析及び蛍光分析RT-LAMP反応からの結果の質を高め得、反応混合物の望まないエアロゾル汚染又は蒸発を阻止するサンプルにシールを提供してもよく、それによって、反応混合物がより濃縮されることを避け、本発明の実施形態に従ってサンプルをスクリーニングする際、偽陽性の可能性を減少させ得る。
【0058】
さらに、サンプル反応を処理するための装置は、ヒーター、及び個々の反応物又は個々の反応物のグループの加熱を個々に制御することを可能にする一つ以上のコントローラを備えてもよい。
【0059】
当業者は、例えばペルチェ効果又は磁気誘導温度上昇法を介して、(RT-LAMPなどの化学的方法に適した)一定温度で動作する等温加熱ユニット又は温度を迅速に変化させることができる(PCRなどの化学的方法に適した)サーマルサイクラーユニットを備えていてもよいことを認識することとなる。
【0060】
さらに、当業者は、例えば、(溶融/再アニーリングカイネティクス測定のための)別の活動のため、またはDNAシーケンス、すなわちLAMPseqの場合のために、ヒーターの個々の制御が、反応(例えばRT-LAMP反応)の一部のための機器の一温度領域からのマイクロプレートなどのサンプル容器の温度変化又は温度伝達を可能にすることを理解することとなる。
【0061】
システムはさらに反応機器へのサンプルの迅速な積み下ろしのためのロボットシステムを備えていてもよい。病原体をスクリーニングするためのシステムは、個々のマイクロプレート内のサンプルなどの個々のサンプルの反応物又は反応物のグループのためにスクリーニング及び/又は処理が完了するのかどうか、またいつ完了するのかを特定するために、一般に構成される。その際ロボットシステムは、個々の反応物又は反応物のグループ(又はサンプルを備えたマイクロプレートなどのサンプルを備えたサンプル容器)を除去し、サンプルを処理するための装置の内部でランダムな位置を取り得、スクリーニング及び/又は処理がまだ完了していないサンプル(又はサンプルを備えるマイクロプレートなどのサンプルを備えるサンプル容器)によって囲まれてもよく、又は隣接していてもよく、それによってサンプルを処理するための装置内で空いている位置が生成される。ロボットシステムはその際、例えばサンプル待機ステーションから、新鮮なサンプル及び反応容器又は新鮮なサンプルの集団(及び/又は新鮮なサンプルを備えたマイクロプレート)を得るため、及び新鮮なサンプルを備えた、サンプルを処理するための装置内の空いている位置を満たすために構成される。このように、本発明の態様に従った病原体をスクリーニングするためのシステムは、バッチ処理技術では不可能な非常に高いスループット動作を可能にする、サンプルの積載の連続的なスループット、又は最小限の積載サイクル時間以内でのランダムな間隔での半連続積載に適している。個々のサンプルの反応物を独立して取り扱うことの重要な結果は、他のサンプル反応物の多様なアレイとともにインキュベートされ、スキャンされるにも関わらず、それらのサンプル反応物が個々にインキュベートされ、スキャンされ、及び分析されることができ、前記結果はそれらのサンプル反応物の起源に関してその後デコンボリュートされるということである。
【0062】
検出モダリティの一例において、検出特性は、ディテクタによって検出可能な電磁放射線の波長又は波長範囲である。ディテクタは例えばカラーカメラ、モノクロームカメラなどのモノクロームディテクタ、又はフォトダイオード又は光電子増倍管のスキャンアレイを備えていてもよい。
【0063】
ディテクタは、検出光の強度の関数としての信号を各々提供する単一の検出素子又は複数の検出素子を備えていてもよい。
【0064】
特定の一実施形態において、ディテクタは、モノクロームカメラなどの(「モノクロームディテクタ」)として、所与の波長範囲で電磁放射線の波長について主に独立している信号を生成するように構成されている。この例において、他の波長範囲で電磁放射線の透過を少なくとも部分的に遮断する一方で、ディテクタは、選択された波長範囲で電磁放射線の透過を可能にするフィルタなどの、一つ以上の選択可能なフィルタを備えてもよく、それによって様々な波長又は波長範囲で電磁放射線を検出することができ、モノクロームディテクタを用いて(使用されるフィルタの特性が既知であるため)色を特定することができる。例えば、適切なロングパスフィルタ又はバンドパスフィルタ又はマルチパスフィルタが用いられてもよい。代わりに、又は追加で、ディテクタは様々な波長又は波長範囲で自発的に電磁放射線を検出するために構成されてもよく、(特定の色のスペクトルを検出するカラーカメラ又は光電子増倍管アレイ経由などで)波長の特定の情報を提供する。
【0065】
一実施形態において、ディテクタはモノクロームディテクタであり、蛍光分析モード又は比色分析モードのいずれかのために電磁放射線の透過を可能にするフィルタを備えるが、別の波長範囲における他の放射線を遮断する。例えば、第一フィルタは特定の波長範囲で蛍光放射線の透過を可能にしてもよく、第二フィルタは比色分析モードに必要な波長範囲で電磁放射線の透過を可能にしてもよい。第一フィルタと第二フィルタとの間で移行することにより、システムは蛍光分析モードと比色分析モードとの間で移行されてもよく、蛍光分析測定及び比色分析測定は順序通りに可能である。第一フィルタと第二フィルタとの間の移行は短期間で行われるため、システムは蛍光分析モードと比色分析モードとの間の迅速な移行を可能にする。
【0066】
上述した実施形態の変形例において、ディテクタは、別の波長範囲で他の放射線を遮断する一方で、第一波長範囲が一蛍光分析モードでの検出に適し得、及び第二波長範囲が別の蛍光分析モードでの検出に適し得る、電磁放射線の伝送を可能にするマルチパスフィルタを備えている。一蛍光分析モードに適した照射と他の蛍光分析モードに適した照射との間で移行することで、システムは明確に異なる蛍光分析モードの間で移行され得、様々な蛍光分析測定が順序通りに可能である。一(蛍光分析)モードに適した照射及び他の蛍光分析モードに適した照射間での移行は短期間で行うことができるため、システムは明確に異なる蛍光分析モード間での迅速な移行を可能にする。当業者は、当該多重検出性能が、同様のインキュベーション容器に互いに存在するいくつかの明確な反応生成物を区別するのに用いることができることを認識することとなる。
【0067】
さらに、モノクロームディテクタはレシオメトリックの強度測定のために構成されていてもよい。例えば、レシオメトリック強度測定は第一波長範囲及び第二波長範囲でサンプルの照射を必要とし得る。第一波長範囲での照射及び第二波長範囲でのその後の照射を選択し、モノクロームディテクタを用いる各々の光強度を検出することにより、レシオメトリックの強度測定はモノクロームディテクタを用いることを可能にする。
【0068】
一例において照射特性は光強度及び/又は電磁放射線の波長又は波長範囲である。電磁放射線の源は、様々な波長で光を発するように構成され、及び電磁放射線の源によって発せられる電磁放射線の波長又は波長範囲を選択するように選択可能であり得る、発光ダイオード(LED)などの、モノクローム電磁放射線を主に発するためのいくつかの光源の部品を備えていてもよい。
【0069】
特定の一実施形態において、電磁放射線の源は、(LED又はレーザーなどの)蛍光分析モードのための狭いスペクトルの光源及び白色光などのより広い波長バンドに亘り得る比色分析モードのための光源を備えている。電磁放射線の源は、適切なフィルタ及び/又は回折格子及び/又はプリズムを有し得、蛍光分析及び/又は比色分析スクリーニングの両方に適し得る、広帯域光源を備えていてもよい。電磁放射線の源はサンプルの下又は上の位置から、又は水平方向からのサンプルの照射のために構成されてもよい。
【0070】
一例において電磁放射線の源は、LEDなどの個々の光素子、及びサンプルの直接の照射のためのサンプルホルダの各々に位置し得るフィルタを備える個々のLED又はLEDのグループを備えている。代わりに、照射光源は、一つ以上のフィルタを備えるLEDなどの、個々の光素子が結合され、第一スクリーニングモード及び/又は第二スクリーニングモードにおけるサンプルのスクリーニングのための少なくともサンプル群を照らすための拡散光を生成するように構成される、ディフューザを備えていてもよい。
【0071】
代わりに又は追加で、スクリーニングシステムは電磁放射線の源と、個々のサンプルホルダ又はサンプルホルダとの間に光学ファイバもまた備えていてもよい。光学ファイバは、個々のサンプルホルダ又はサンプルホルダ群に対してサンプルを処理するための装置の一部を通して導かれてもよい。
【0072】
特定の一実施形態において、システムは、ディテクタと、サンプルを受け取るための個々のサンプルホルダ又はサンプルホルダ群との間に光学ファイバを備えていてもよい。光学ファイバは(蛍光分析スクリーニングのための励起蛍光放射線又は比色分析スクリーニングのための透過放射線などの)サンプルからの放射線を受け取り、受け取られた放射線を(コンピュータ制御カメラなどの)適切な検出素子に向けるように位置していてもよい。当該実施形態の一変形例において、電磁放射線の源は光学ファイバを介して個々のサンプルにもまた結合され、ディテクタ及び電磁放射線の源の両方が、コリメータ素子とともに任意の組み合わせにおいてダイクロイックコンバイナ/スプリッタを用いて同一の光学ファイバに光学的に結合されていてもよい。
【0073】
さらに、別の実施形態において、カラーカメラなどのカラーディテクタはレシオメトリックの強度測定のために構成されていてもよい。例えば、レシオメトリックの強度測定は第一波長範囲及び第二波長範囲でのサンプルの照射を必要とし得る。第一波長範囲での照射を選択し、その後第二波長範囲での照射を選択し、カラーディテクタを用いて各々の光強度を検出することにより、カラーディテクタを用いてレシオメトリックの強度測定が可能である。
【0074】
第一態様及び/又は第二態様の電磁放射線の源及びディテクタは第三態様に用いられてもよい。
【0075】
ディテクタは個々のサンプル又は個々のサンプル群に隣接した場所で電磁放射線を検出するように移動可能であってもよい。ディテクタの移動はコントローラによって制御されてもよい。
【0076】
第一スクリーニングモード及び第二スクリーニングモードを用いて病原体又は遺伝的変異を特定するための方法であって、複数のサンプルをインキュベートすることと、選択的な照射特性を有している電磁放射線の源で複数のサンプルを照らすこと及び選択的な検出特性を有しているディテクタで複数のサンプルを通じて透過される又は放出される電磁放射線を検出することにより、インキュベーション中に第一スクリーニングモード及び第二スクリーニングモードを用いることと、を備える方法が開示されている。
【0077】
第一スクリーニングモード及び第二スクリーニングモードはインキュベーション中に同時又は準同時で用いられてもよい。インキュベーション中に照らすこと及び検出することは、サンプルのスループット速度を上昇させるのに役立つことができる。電磁放射線の源は様々な電磁放射線の源を含んでいてもよい。電磁放射線の源は、第一態様、第二態様及び/又は第三態様において上記したようであってもよい。選択的な検出特定を有しているディテクタは様々なディテクタを含んでいてもよい。ディテクタは第一態様、第二態様及び/又は第三態様において上記したようであってもよい。ある実施形態において、電磁放射線の源及び/又はディテクタと関連した光学フィルタは固定されたままである。方法はそれ以外の場合には第一態様、第二態様及び/又は第三態様のシステムの使用のために上記したように実行されてもよい。
【0078】
本発明は、本発明の特定の実施形態の以下の説明からより十分に理解されることとなる。当該説明は、添付の非限定的な図面を参照して提供される。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1】本発明の実施形態に従って病原体又は遺伝的変異を特定するためのシステムをスクリーニングするシステムの概略を表している。
図2】本発明の実施形態に従って病原体又は遺伝的変異を特定するためのシステムをスクリーニングするシステムの概略図を表している。
図3】本発明の実施形態に従って病原体又は遺伝的変異を特定するためのシステムをスクリーニングするシステムの概略図を表している。
図4】本発明の実施形態に従って病原体又は遺伝的変異を特定するためのシステムをスクリーニングするシステムの概略図を表している。
図5】本発明の実施形態に従った病原体又は遺伝的変異を特定するためのシステムをスクリーニングするシステムの概略図を表している。
図6】本発明のある実施形態に従ったサンプルを保持及びインキュベートするための装置の構成要素である。
図7(a)】本発明の一実施形態に従った電磁放射線の源である。
図7(b)】本発明の一実施形態に従った光学ファイババンドルの断面を表している。
図8】本発明の実施形態に従った、システムを用いてサンプルを処理するためのインキュベーション時間の関数としての偽陽性のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0080】
本発明の実施形態は病原体又は遺伝的変異を特定するためのスクリーニングシステムに関する。システムは高度に構成可能であり、同時、準同時、又は連続的な方法で高スループットな病原体の比色分析スクリーニング及び/又は蛍光分析スクリーニングを可能にする。スクリーニングは望ましいテストプロトコル及び自動化された方法で検出されている病原体によって要求されるようなテストパラメータに従って行われ得る。
【0081】
システムはサンプル処理装置と、説明される実施形態においていくつかのサンプル群においてグループ化された数百又は数千サンプルのような大量のサンプルを保持及び処理(してインキュベートする)ためのインキュベータと、を有している。サンプルの処理は、各々のサンプル群の加熱が個々に制御され得るような方法で制御される。さらに、システムはディテクタ及び光源を備え、照射特性における変化及び/又は検出特性における変化が、蛍光分析スクリーニングモードと比色分析スクリーニングとの間で、又は明確に異なる蛍光分析スクリーニングモード間で、システム(又はシステムの一部)を移行することができるように構成されている。次に、システムの特定の実施形態は図1を参照して説明されることとなる。
【0082】
図1は病原体又は遺伝的変異を特定するためのスクリーニングシステム100を示している。システム100はサンプルを処理するための装置を備え、この実施形態においてインキュベータ102の形式で提供される。インキュベータ102はサンプルホルダを含み、(不図示の)ロボットシステムによってサンプルとともに積み下ろしされる。
【0083】
この例において各々のサンプル群は個々の96個のサンプルを保持するための個々の96個のサンプルホルダを有している。この実施形態においてインキュベータ102は個々の96個のサンプルの一つの群を保持するために各々構成されるサンプルホルダブロックを含んでいる。サンプルホルダブロックは図6に示され、さらに以下で詳細にさらに検討されることとなる。当業者は、代わりにサンプル処理装置が任意の適切ないくつかのサンプルホルダを各々有している任意の他のいくつかのサンプルホルダブロックを含んでもよいことを認めることとなる。
説明される実施形態において、システム100は(不図示の)サンプルを備えたシールされたマイクロプレートを備えている。
【0084】
当業者は、代わりにシステム100がマイクロプレートに代えて、(透明材料のラックに保持され得る)毛細管又はチューブなどの他の種のサンプル容器を備えていてもよい。
【0085】
システム100はさらにインキュベータ102の中へ及び外へサンプルを積み下ろしするためのロボットシステム103を備えている。ロボットシステム103はコンピュータ114によって制御され、システム100はこの実施形態において個々のサンプル又はサンプル群(又はサンプルを備えたマイクロプレート)のためにスクリーニング及び/又は処理が完了するかどうか及びいつ完了するかを特定するように構成されている。その際ロボットシステム103は個々のサンプル又はサンプル群(又はサンプルを備えたマイクロプレート)を取り除き、インキュベータ102の内部でランダムな位置を取り得、スクリーニング及び/又は処理がまだ完了していないサンプルによって包囲され得、それによってインキュベータ内で空きの位置が生まれる。その後、ロボットシステム103は、例えば(不図示の)サンプル待機ステーションのために、新鮮なサンプル又はサンプル群(又は新鮮なサンプルを備えたマイクロプレート)を得て、新鮮なサンプルでインキュベータ102内の前記空きの位置を満たす。このようにシステム100はサンプルの連続的なスループットを可能にし、バッチ処理技術では不可能な非常に高いスループットを促進する。
【0086】
システム100は、電磁放射線の源を備え、この実施形態において光源106の形で提供される。光源106は蛍光分析スクリーニングのための光を提供し、サンプルによる蛍光発光の発光を終わらせるために必要な波長を有している光を提供する複数のLEDを有している。説明される実施形態の変形例において、光源106は代替の蛍光分析測定又は比色分析測定のための照射を提供するように追加で又は代わりに構成されていてもよい。
【0087】
光源106は光学ファイババンドル108を用いてサンプルに結合されている。光学ファイババンドル108の光学ファイバは光源106からの光を個々のサンプルホルダ又は個々のサンプルへ結合させる。インキュベータ102はこの例においてサンプルを運搬する各々の96サンプルホルダを各々有している32サンプルホルダブロックを備えている。光源106は、図7(a)及び図7(b)を参照して、構成可能であり、以下でさらに詳細に説明されることとなる。
【0088】
図示された実施形態においてシステム100は更なる電磁放射線の源を備え、光源110の形で提供される。光源110は広帯域光源であり、比色分析スクリーニング及び/又は補助的な比色分析スクリーニングに必要な光を提供する。光源110はフィルタを備え、サンプルの下の位置からサンプルを照らす。説明される実施形態の変形例において光源110もまたサンプルの上の位置から又は水平方向からサンプルを照らしてもよい。
【0089】
システム100は様々な形で提供され得るディテクタ112を備えていてもよい。一実施形態においてディテクタ112は適切なカラーCCDカメラなどのカラーカメラである。カラーカメラはコンピュータ114によって制御され、この実施形態においてインキュベータ102のサンプルホルダブロックの上を移動可能である。ディテクタ112の移動はコンピュータ114によってもまた制御され、スクリーニングは一連のシールされたサンプルホルダブロックのために行われてもよい。
【0090】
ディテクタ112は集光レンズ116及び適切なフィルタ118を備えている。ディテクタ112は光源110からサンプルを通じて伝送される光を受け取るように構成され、それゆえに比色分析測定に用いられ得る。レンズ116はディテクタ112の画像平面上のサンプルに焦点を合わせ、適切な画像処理ソフトウェアルーチンを用いてサンプルの場所と比色分析スクリーニングの結果を相関させることができる。さらに、ディテクタ112は光源106から受け取られる励起光に応じてサンプルによって発せられる蛍光の光を検出する。加えて、サンプルの場所と蛍光分析スクリーニングの結果を相関させることが可能である。このように比色分析測定及び蛍光分析測定を同時に行うことが可能である。さらに、光源106が構成可能である場合、蛍光分析スクリーニングはいくつかのサンプル又はサンプルホルダブロックのためにのみ実行される。
【0091】
別の実施形態においてディテクタ112はモノクロームディテクタの形で提供される。加えて、ディテクタ112は適切なフィルタを有している。第一フィルタは比色分析スクリーニングと関連した光の透過を可能にし得、第二フィルタは蛍光放射線の検出を可能にする。フィルタの特性は既知であるため、モノクロームディテクタを用いて比色分析スクリーニング及び/又は蛍光分析スクリーニングのいずれか一方を行うことができる。ディテクタは最小限の時間でフィルタの変化を可能にするフィルタホイールを有している。ディテクタ及びフィルタホイールはコンピュータ114によって制御され、モノクロームディテクタを用いてほぼ連続して蛍光分析測定及び比色分析測定を行うことができる。フィルタは適切なロングパスフィルタ又はバンドパスフィルタであってもよい。
【0092】
上述の実施形態の変形例においてディテクタ112はモノクロームディテクタであってもよく、比色分析モード検出に必要な波長範囲での光の透過を可能にする第一パスバンド及び蛍光分析モードにおいての検出に必要な波長範囲での光の検出を可能にする第二パスバンドを有している、マルチパスフィルタを(フィルタホイールの代わりに)備えている。比色分析モードに適した照射と蛍光分析モードに適した照射との間で移行することにより、システムは(例えば光源106を用いる)蛍光分析モードと(例えば光源110を用いる)比色分析モードとの間で移行され得、マルチパスフィルタとともにディテクタを用いて、連続して蛍光分析測定及び比色分析測定が可能である。
【0093】
説明される実施形態の更なる変形例は、2つの異なる蛍光分析スクリーニングモードにおける検出に関する。ディテクタ112はモノクロームディテクタまたカラーディテクタであってもよく、適切なロングパスフィルタ又はバンドパスフィルタを備えていてもよい。2つの異なる蛍光分析スクリーニングモードのための色素分子は第一波長及び第二波長の各々で励起光を必要とし得るが、ディテクタのバンドパスフィルタのパスバンド内で、又はディテクタのロングパスフィルタの波長の閾値を超えて存在する、蛍光発光を有していてもよい。この実施形態において、第一波長で励起光を提供する光源と第二波長で励起光を提供する光源との間で切り替えることにより、蛍光分析検出モードの両方の間で移行することができる。モノクロームディテクタによってキャプチャされる結果の画像は第一波長及び第二波長によって励起される色素分子を分けるように時間分解されてもよい。
【0094】
同様の方法でレシオメトリック測定が可能である。例えば、レシオメトリックの強度測定は第一波長範囲及び第二波長範囲でのサンプルの照射を必要とし得る。第一波長範囲での照射を選択し、その後(例えば光源110のための適切なフィルタを選択することによって)第二波長範囲での照射を選択し、モノクロームディテクタを用いる光強度の各々を検出することによって、ディテクタがたとえモノクロームディテクタであってもレシオメトリックの強度測定が可能である。
【0095】
次に図2に戻ると、本発明の更なる実施形態に従って病原体又は遺伝的変異を特定するためのスクリーニングシステムが示されている。図2は病原体又は遺伝的変異をスクリーニングするためのシステム200を示している。図2に示されているシステム200は図1に示されているシステム100に関連し、同様の構成要素は同様の参照符号が与えられる。しかしながら、システム100とは対照的に、システム200はこの2つ(又はそれ以上)の例においてディテクタ112を有している。一変形例においてディテクタ112はカラーカメラである。ディテクタ112の各々はインキュベータの様々な領域に関連付けられてもよく、同時に様々なサンプルをスクリーニングしてもよい。もし比較的多数のディテクタが用いられる場合、複数のディテクタ112は必ずしも移動可能でなくてもよいが、(例えば)インキュベータ102のサンプルホルダブロックにそれぞれ関連して静止していてもよい。ディテクタ112の各々は同時の比色分析スクリーニング及び蛍光分析スクリーニングのために構成されてもよく、又は同時に一つ以上のディテクタ112が他のスクリーニングモードのために構成されている一方で一つ以上のディテクタは一スクリーニングモードのために構成されてもよい。
【0096】
代わりに、複数のディテクタ112のうち少なくとも一つ又は各々のディテクタ112はモノクロームディテクタであってもよい。特定の一実施形態において、システム200は一組のモノクロームディテクタを備えていてもよい。この例において複数のモノクロームディテクタのうちの一つは比色分析スクリーニングのために選択されたフィルタを備え、その他は蛍光分析スクリーニングのために選択されたフィルタを有し、それによって同じサンプル又は(ディテクタの位置に依存した)様々なサンプルのどちらか一方のために同時に蛍光分析スクリーニング及び比色分析スクリーニングを実行することができる。任意選択で、この例において、複数のモノクロームディテクタのうち一つは第一蛍光スクリーニングモードのために選択されるフィルタを有し、その他は第二蛍光分析スクリーニングモードのために選択されるフィルタを有し、それによって(ディテクタの位置に依存して)同じサンプル又は異なるサンプルのどちらか一方のために、第一及び第二蛍光分析比色分析スクリーニングを同時に実行することができる。
【0097】
ディテクタが構成可能であるように、ディテクタは比色分析スクリーニングモードと蛍光分析スクリーニングモードとの間で移行され得る。一組のディテクタは(例えば)連続して様々なサンプルホルダブロックにおいてサンプルをスクリーニングするように移動可能であってもよい。代わりに、比較的多数のディテクタ112が用いられ、ディテクタ112は必ずしも移動可能でなくてもよいが、(例えば)インキュベータ102のサンプルホルダブロックに各々関連して静止していてもよい。
【0098】
図3は本発明の別の実施形態に従った病原体又は遺伝的変異を特定するためのスクリーニングシステムを示している。システム300は図2に示されているシステム200に関連し、同様の構成要素は同様の符号が与えられる。システム300は、光学ファイバ108を介して光源304及びディテクタ306をサンプルに光学的に結合するダイクロイックコンバイナ/スプリッタ302を備えている。この例において、光源304は複数のLED308を備えたプリント回路基板と、集光レンズ310と、励起フィルタ312と、を備えている。例えばカメラなどのディテクタ306は、この例においてCMOSカメラであり、マクロレンズ314及びロングパスフィルタ316を介して光を受け取る。光学ファイバ108は二重の機能を果たす。複数の光学ファイバは光源304及びダイクロイックコンバイナ/スプリッタからインキュベータ102内のサンプルに(例えば蛍光分析検出のための)光を導き、ダイクロイックコンバイナ/スプリッタ302を介して再びディテクタ306にサンプルからの蛍光を導く。任意選択で、システム300は、図1に示される(レンズ116、フィルタ118とともに、及びコンピュータ114に結合される)ディテクタ112などの(不図示の)更なるディテクタと、同時比色分析スクリーニングのために用いられ得る光源110などの、インキュベータの下に位置している更なる光源と、を備えていてもよい。
【0099】
図4は本発明の更なる実施形態に従った病原体又は遺伝的変異を特定するためのスクリーニングシステムを示している。システム400はシステム100に関連し、同様の構成要素は同様の参照符号が与えられる。システム400はこの実施形態においてサンプルを受け取るためのサンプルホルダに位置している複数のLED402を備えている。図示される実施形態において一つのLEDは個々のサンプルホルダの各々に位置しているが、図示される実施形態の変形例においてLEDの各々はサンプルホルダ群ともまた関連付けられ得、2つ以上のLEDはサンプルホルダの各々に位置し得る。複数のLEDはLEDドライバ404によって制御され、複数のLEDによって発せられる光の発光波長バンドをさらに狭めるように構成されている適切なフィルタとともに各々設けられる。この実施形態において複数のLED402は蛍光分析スクリーニングのために蛍光発光を励起するための光を生成するのに用いられ、蛍光発光はディテクタ112によって検出される。同時比色分析スクリーニング又は補助的な蛍光分析スクリーニングは光源110を用いて可能である。説明される実施形態の変形例において、システム400は図2に関して上述されるように2つ以上の(モノクローム又はカラー)ディテクタもまた備えていてもよい。
【0100】
図5は本発明の更なる実施形態に従った病原体又は遺伝的変異を特定するためのスクリーニングシステムを示している。システム500はシステム400に関連し、同様の構成要素は同様の参照符号が与えられる。システム500は複数のLEDによって発せられる光の発光波長バンドをさらに狭めるように構成される光ディフューザ504及びフィルタ506を備えている。LED光源502はディフューザ504に光学的に結合される。複数のLEDが光をディフューザ504の中に発することができるように、LED光源502は、ディフューザ504の一つ以上のマイナーサイド(端)、又はディフューザ504の下側に結合される複数のLEDを備えている。複数のLEDはLEDドライバ(不図示)によって制御される。この実施形態において光源502の複数のLEDは蛍光分析スクリーニングのために蛍光発光を励起するための光を生成するのに用いられ、蛍光発光はディテクタ112によって検出される。説明される実施形態の変形例においてシステム400は図2を参照して上記されるように2つ以上の(モノクローム又はカラー)ディテクタもまた備えていてもよい。
【0101】
図1図5に図示される実施形態は、開示されるスクリーニングシステム100、200、300、400及び500が動作し得る様々な方法及び構成があることを示している。これらの様々な方法及び構成は様々なスクリーニングモードの使用を可能にする。以下は、単独または組み合わせのいずれかで用いられ得るスクリーニングモードのいくつかの例である。
【0102】
(態様1)
蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)は、一般に多重化LAMPスクリーニングで用いられる。例えば、あるFRET染色システムは青色波長に対してより短い紫外線で励起されることができ、緑色の波長における発光を検出することができる。第二FRET染色システムは緑色の波長で励起され得、対応する蛍光発光はスペクトルの黄色の領域で測定される。同様に、スペクトルの黄色―オレンジ色の領域における第三FRET蛍光体の励起は、赤色から遠赤色波長で検出することができる発光を促すことができる。一実施形態において、Syto-9などの単一FRETドナーが用いられ、明確な発光スペクトルを除いた重複する発光スペクトルを備える複数のFRETアクセプタを用いることができる。例えば、単一FRETドナーは、第一FRETアクセプタが黄色波長で発光し、第二FRETアクセプタがオレンジ色の波長で発光し、第三FRETアクセプタが赤色波長で発光する、緑色波長で各々が励起する第一、第二及び第三FRETアクセプタとともに用いられ得る。
【0103】
LAMP FRETのためのこの態様と互換性がある多重化染色システムは、モレキュラービーコン、DARQ及びMD-LAMPを用いるシステムを含んでいる。
【0104】
(態様2)
この態様は、二本鎖核酸に非特異的に一度だけ結合されて強く蛍光を発する第一非特異的蛍光体を用いている。ある実施形態において、前記結合はマイナーグルーブバインダーとなることを通じて、紫色に対する紫外線及び/又は青色波長に対するインディゴで励起され、緑色又はオレンジ色のスペクトル内などでより長い波長で光を放出する。この第一の一連の非特異的「ドナー」染色の例は緑色蛍光マイナーグルーブバインダー染色Syto-9、又は代わりにオレンジ色蛍光非特異的染色Syto-82を含んでいる。この第一の非特異的染色は各々の場合でエネルギードナーとしてはたらく。
【0105】
第二の染色(FRETアクセプタ)蛍光は、第一の非特異的染色からの多重化(例えばSyto-9の場合緑色、Syto-82の場合オレンジ色)発光スペクトルからのFRETエネルギー伝送を介して励起される。この第二配列特異的FRETアクセプタプローブが取り込む蛍光体は、第一ドナー蛍光体(例えば、FRETドナーとしてSyto-9と対にするときにスペクトルの黄色の領域で発光する)からより長い発光波長の発光を有するように選択され、蛍光体が増幅生成物の蓄積として蛍光を発し、ディテクタを用いる検出を可能にするために、アクセプタ染料に対してより近接してより多くのマイナーグルーブ結合染料をもたらすように、(好ましくは5’末端で)核酸増幅反応の配列特異的オリゴヌクレオチドプライマーに取り込まれる。この場合における第二染料は、例えば、Dy-Light 509/590, 6-ROX (6-カルボキシ-X-ローダミン)、Dy-515-LS、Dy-521-LS、Alexafluor 594, Dy-594, Texas Red, Star Orange, iFluor594, eFluor-610を含んでいてもよい。
【0106】
代わりに又は追加で、アクセプタ蛍光体が増幅生成物の蓄積としての蛍光体を可能にするようにFRETによって十分に励起されるのみであり、アクセプタ染料に近接してより多くのマイナーグルーブ結合染料をもたらし、FRETを介して活性化を可能にし、スペクトルの赤色領域で蛍光体をもたらすように、別のマイナーグルーブ結合染料であるSyto-64、Syto-82、またはSytox-Orangeが、直接の照射によって又はスペクトルの青色又は緑色の領域で染料の近位の蛍光体によって励起されてもよく、(好ましくは5’末端で)核酸増幅反応の配列特異的オリゴヌクレオチドプライマーに取り込まれた、(マイナーグルーブDNA結合染料の黄色/オレンジ色発光周波数に重なる励起波長)アクセプタ蛍光に、FRETを介してそのエネルギーを送ってもよい。黄色/オレンジ色スペクトル範囲に重なるFRET励起スペクトルを備える適切な赤色発光蛍光体アクセプタ染料の例は、NovaFluor 685, Cy5c, Cy5.5c, LC Red 640e, CAL Fluor Red 635, LC Red 670e, Quasar 670, Oyster 645d, LC Red 705e, Y578, Alexofluor-647 Alexafluor 660, Atto-655, Sytox-DeepRed, Atto 665, HiLight647を含む。
【0107】
当業者はこの態様のために選択されたFRET染料が、FRETドナー発光波長とFRETアクセプタ励起波長との間で(好ましくは30%以上の)適切な重複が存在することを確実にするようにマッチする必要があることを理解することとなる。(例えばドナー分子及びアクセプタ分子が互いに10nm以内である)近接条件は、アクセプタに近いいくつかのドナー染料分子のランダムな非特異的の取り込みによって満たされる。上記のリストから染料の各組の選択を支配する原理は、Bajar, B. T., Wang, E. S., Zhang, S., Lin, M. Z. & Chu, J. A Guide to Fluorescent Protein FRET Pairs. Sensors 16, 1488 (2016)で検討される。
【0108】
この態様の利点は、態様1の追加の特異的FRET染料システムを設計する必要なしで共通染料/プローブを用いて動作し得ることである。例えば、FRETアクセプタ染料は自己消光染料である必要もなく、LAMPアンプリコン生成物を置換する必要もない。その代わりに、FRETアクセプタ染料は、単純に一つ以上の標準LAMPプライマーのラベル化された形式であり得る。
【0109】
例えば、緑色の非特異的FRETドナー染料Syto-9は、狭い黄色蛍光スペクトルで、配列特異的プローブとペアにすることができる。同様に、オレンジ色の非特異的染料Syto-64又はSyto-82は、NovaFluor 685などの、遠赤スペクトルで蛍光発光する染料と対にすることができる。
【0110】
(態様3)
近赤外/赤外/遠赤外で励起されるが、黄赤色波長にアップコンバートされる発光を有している蛍光体とともに染料を使用する。発光を検出するのに用いられるディテクタは、励起に用いられる波長を遮断する近赤外/赤外/遠赤外フィルタを用いることとなる。近赤外/赤外/遠赤外フィルタはカラーカメラ又はモノクロームカメラに統合され得る。
【0111】
(態様4)
異なる励起波長であるが、類似する発光波長を有している2つ(又はそれ以上の)染料/プローブを用いる。この態様は異なる励起波長を提供する一つ以上の電磁放射線の源を用いる。例えば、電磁放射線の単一の多波長源は第一励起波長及び第二励起波長を提供するマルチパスフィルタと組み合わせて用いられ得る。任意選択で、固定の励起波長を備えた2つの異なる電磁放射線の源が用いられ得る。前記発光波長は類似しているため、単一のディテクタが検出のために用いられてもよく、システムの複雑性を減らすのに役立つことができる。発光波長と励起源を相関させるため、つまり、どの染料/プローブのデータが得られているのかと相関付けるために、ディテクタによって得られるデータは時間分間されて、発光データと関連の染料/プローブとを相関させる。例えば、第一励起波長は第一染料を励起するために提供され、当該第一染料からの発光がキャプチャされ、その後、第二波長が、当該第二染料からの発光がキャプチャされる第二染料を励起されるために提供される。励起波長は第一励起波長と第二励起波長との間で切り替えられる。
【0112】
この態様で用いられる染料/プローブは、異なる励起波長を利用する態様1又は態様2などの、別の態様の染料/プローブであってもよい。
【0113】
(態様5)
同一又は類似する波長で励起するが、異なる波長で発光する2つ(又はそれ以上の)染料/プローブを使用する。この態様で用いられるディテクタは異なる発光波長を検出するように構成されることとなる。ディテクタはモノクロームディテクタであってもよく、多波長ディテクタであってもよい。
【0114】
(態様6)
例えば自己消光する、一度ハイブリダイゼーションが発生すると発光するだけの単一の励起/発光染料などの標準LAMPプローブを用いる。
【0115】
(態様の組み合わせ)
上の態様は第一スクリーニングモード及び/又は第二スクリーニングモードとして機能することができる。上のモードは組み合わせてもまた用いられ得る。例えば、態様1(又は態様2)及び態様3は同時に実行され得る。例えば、紫外線光は態様1又は態様2のための電磁放射線の源として用いられ得、近赤外/赤外/遠赤外光は態様3のための電磁放射線の源として用いられ得る。異なる染料/プローブの発光の波長が異なる場合、カラーカメラなどの単一のディテクタが発光波長を検出するのに用いられ得、又は各々の発光波長を検出するように構成されている別々のディテクタが用いられ得る。しかしながら、複数の発光波長が(態様4に従って)類似又は同じである場合、単一のディテクタはモノクロームカメラのように用いられ得るが、励起源はオンとオフで切り替わることとなり、ディテクタによって収集されるデータは各々の励起源とともに時間分解される。単一の励起光源又はディテクタを用いることはシステムの複雑性を減らすのに役立つことができ、スループット速度を上昇させることができる。しかしながら、光学フィルタの調整など、光学特性を変化させることよりもむしろ、オンとオフを切り替えることを要求する複数の励起源を用いることでさえも、既存のシステムと比較してスループット速度における上昇を提供することができる。
【0116】
態様5の利点は単一の電磁放射線の源のみが必要であることである。例えば緑色における一染料からの一発光及び赤色における別の染料からの別の発光といった、態様5で用いられる発光波長が一定である場合、カラーカメラなどの単一のディテクタが用いられ得、又は緑色又は赤色のどちらか一方を検出するための2つの別々のモノクロームカメラが用いられ得る。モノクロームカメラを用いることは、フィルタの必要性を削減することを助け、複雑性を減らし、スループット速度を上昇させるのに役立つ。
【0117】
複数のモノクロームカメラは共にグループ化され得、又は単一のディテクタを形成するように「積層される」。積層されたディテクタの利点は、フィルタを起動する又は切り替える必要がなく、その代わりに、より高いスループット速度及び削減された複雑性につながり得る例えば参照符号114のコンピュータによって任意の切り替えが電気的に実行され得る。
【0118】
態様1~6で用いられる電磁放射線の源は固定波長源、又は多波長源であってもよい。固定波長源又は多波長源の組み合わせが用いられてもよい。複数の波長源は、可変波長レーザー、様々なLED、光学フィルタ及びミラーの仕様、及び/又はダイクロイックフィルタの使用を含んでいてもよい。
【0119】
同様に、ディテクタは固定波長ディテクタ、又は多波長ディテクタであってもよい。固定波長ディテクタはモノクロームカメラを含む。多波長ディテクタはマルチパスフィルタ、赤色、緑色、及び青色用の別々のカメラ等の同時に作動する複数のカメラ、フォトダイオードアレイ、シングルパスフィルタ、及び/又はカラーカメラの使用を含んでいてもよい。一実施形態において、複数のサンプルの各々のウェルは独自のディテクタを有している。例えば、96ウェルプレートにおいて、別々のフォトダイオードアレイなどの96ディテクタは、各々のウェルで発光を検出するのに用いられる。当該実施形態はソリッドステート連続モニタリングにおいて用いられ得る。複数のフォトダイオードアレイは各々のウェルに関連付けられ得る。光電子増倍管などのフォトダイオードアレイの利点は、前記フォトダイオードアレイが、フィルタの追加の必要性を取り除くことができる組み込みフィルタを有することができることであり、データキャプチャとフィルタリングを同期する必要がないため、複雑性を減らし、スループット速度を上昇させるのを助ける。
【0120】
単一の電磁放射線の源が用いられる、又は単一のディテクタが用いられる実施形態において、例えば参照符号114のコンピュータは、電磁放射線の源ディテクタから結果として生じる発光データ又は比色分析データを時間分解するために電磁放射線の源又はディテクタを制御する。
【0121】
一実施形態において、例えばカメラなどのディテクタ112は個々のウェルをイメージングするよりもむしろプレート全体の画像をキャプチャする。インキュベータ102内の視覚的な参照データムは、キャプチャされたプレートの画像をプレートの方向に対して配向するのに用いられ得、それによって個々のウェルの場所を特定することを確実にする。
【0122】
既存のハイスループットシステムに伴う問題点は、前記既存のハイスループットシステムが、フィルタなどの切り替え可能/移動可能の部品の使用に依存し、同様に発光波長等の検出に用いられる電磁放射線等の励起源及び/又は検出器とともに同期される必要がある。この切り替え及び同期は、最大限のスループット速度が、一時間当たり約1000サンプルに限定されることを意味している。さらに、切り替え可能なフィルタ及び同期のための要件は、システムが複雑及び高価であることを意味する。例えば、任意の機械的な動作が要求され、機械的な動作のために必要な時間は数百倍から数千倍であり、それらはスループット速度において重大な影響を与え得る。
【0123】
対照的に、本開示の実施形態は切り替え可能なフィルタに依存しない。例えば、上の態様1~6を利用する実施形態は、検出のためのモノクロームカメラを用いるように、固定フィルタとともに動作し得、ディテクタ及び/又は電磁放射線の源と関連付けられる光学システムが、システムの使用中に「急いで」調整することを必要としないことを意味する。発明者らは、切り替え可能なフィルタの代わりに、固定フィルタを用いること、及び同期の除去又は削減が、1時間あたり4000サンプルのように、少なくとも1時間あたり2000サンプルにまで、スループット速度を上昇させることができる。フィルタの最低限の使用は、より複雑でなくなるシステムを可能にし、より簡単であり及びより安く動作できる、より堅牢なシステムにつながる。
【0124】
図6に戻り、インキュベータ102のサンプルホルダブロックの実施形態はさらに詳細に次に説明される。インキュベータ102は複数のサンプルホルダブロック600を備え、各サンプルホルダブロック600は、各サンプルホルダブロック600の加熱が個々に制御されることができるように、図1及び図2に示される温度コントローラ104に接続されている。例えば、サンプルホルダブロックはサマルサイクリングヒーターを含んでもよく、又は一定温度で加熱するように構成されてもよい。サンプルホルダブロック600はサンプルを受け取るために個々の96サンプルホルダ602を備えている。グルーブ604に対してスルーホールが個々のサンプルホルダの各々の下にある。各スルーホールは光学ファイバを受け取るように構成され、グルーブ604は光学ファイバのバンドルを受け取るように構成され、図1図2及び図3に示されている光源106に向けられている。光学ファイバは使用中に蛍光分析スクリーニングのために蛍光遷移の励起のための光を放出する。代わりに、光学ファイバは使用中に比色分析スクリーニングのための光を個々のサンプルホルダに発してもよい。
【0125】
図7(a)に戻ると、本発明の実施形態に従って光源700が示されている。光源700は図1及び図2に示されている光源106に対応する。光源700はハウジング702及び複数のLED704を備えている。複数のLEDは、蛍光分析スクリーニング及び比色分析スクリーニングによって必要な波長で光を発するように構成されている。複数のLEDによって発せられる光は、LEDが動作する選択によって選択可能である。LED光は、コリメータ708及びフィルタ710を用いる光学ファイバに結合されている。光学ファイバのバンドルは、この実施形態において個々の96光学ファイバを備え、フェルール712によってある位置に保持される。挿入図7(b)は光学ファイババンドルの断面を表す。
【0126】
上述されるシステム100、200及び300の実施形態は、96サンプルを受け取るための、及びサンプルのスクリーニング及び/又は処理に必要な化学物質を含む、96キャビティなどのキャビティを備えているマイクロプレートの形で提供されるサンプル容器を含んでいる。マイクロプレートのキャビティはシールされている。特定の一実施形態において、キャビティは一定の量の鉱油を含んでいる。発明者らは、図8に関して以下に説明されることとなるように、キャビティ内の鉱油の存在が、サンプルのスクリーニング及び処理のための重要な実用的な利点を有していることを発見した。図8は、インキュベーション時間の関数としての偽陽性のグラフである。グラフは、2つの異なるRT-LAMPの化学的方法、すなわちNew England Biolabs (油層を備えた802及び油層を備えていない804)及びHayat Genetics chemicals (油層を備えた806及び油層を備えていない808)、を用いて、96サンプルを備えたマイクロプレートの各キャビティ(ウェル)内のサンプルへの鉱油層の影響を示している。油層(802、806)を備えるサンプルのためのグラフは、油層により偽陽性が(Hayat Genetics chemicalsを用いて)完全に避けられ得るか、又は一般的な30分のRT-LAMP反応時間の間に(New England Biolabs chemicalsを用いて)少なくとも大部分が避けられ得るかのどちらかである。
【0127】
発明者らは、非常に高い濃度の場合、RT-LAMPプライマー間の非特異的反応と関連していることがどちらも知られている、プライマー及び塩のような成分の濃度を高める反応間の蒸発を、油層が減らすということを結論付けた。油層を用いることで、偽陽性が発生する「危険領域」に移動する前に、(真の陽性が現れるのにより多くの時間を与える)RT-LAMP反応のためのインキュベーション期間をより長く延長することが結果的に可能となる。
【0128】
要約すると、RT-LAMP反応における鉱油層の使用は以下の(更なる)利点を有している。
蛍光信号の密度及び品質における予期しない改善。発明者らは、これが油滴の「レンズ」効果によるものであり得るということを推測した。
RT-LAMP反応のために(例えば、Hayat Genetics chemistryのための65度のインキュベーションの最初の30分以内に削除される)インキュベーション期間内に早々に生じる偽陽性の周期を回避又は削減する。
比色分析RT-LAMP反応のために、空気への過度の露出が(炭酸を作る溶存二酸化炭素から)自発的に酸性化する比色分析RT-LAMP反応を引き起こすことができるように、油が反応混合物の望まないエアレーションを阻止するシールを提供する。この現象は、(pHの酸性化をモニタする)反応の読み出しを攪乱させる。
【0129】
さらに、(例えば)マイクロプレートの各キャビティにおける油層の使用は(キャビティ内のサンプルを処理するための化学物質を備える)マイクロプレートを、(例えば20℃で)輸送及び貯蔵のためにより安定的にすることができる。さらに、油層は比色分析及び蛍光分析RT-LAMP反応からの結果の品質を向上させ、偽陽性の割合を減少させる。
【0130】
当業者は、説明される実施形態の変形例が可能であることを理解することとなる。例えば、インキュベータは任意の数のサンプルホルダブロックを備えていてもよい。さらに、各サンプルホルダブロックは任意の数のサンプルホルダを備えていてもよい。別の変形例において、インキュベータは必ずしもサンプルホルダブロックを備えていなくてもよく、個々のサンプルホルダは任意の他の適切な方法で構成されていてもよい。さらに、システムは任意の数のサンプルを処理するために適していてもよく、任意の数のディテクタ及び電磁放射線の源を備えていてもよい。システムは代わりに、発光スクリーニングモード及び燐光スクリーニングモードなどの他のモードを用いるスクリーニングのためにもまた構成されてもよい。
【0131】
先行技術文献に対してなされる参照は、先行技術文献がオーストラリア又は他の国における当業者の一般常識の一部であることを認めるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-07-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
病原体又は遺伝的変異を特定するためのスクリーニングシステムであって、第一スクリーニングモード及び第二スクリーニングモードを有し、
複数のサンプルを照らすための電磁放射線の源であって、選択的な照射特性を有している、電磁放射線の源と、
前記複数のサンプルを通じて伝送される、又は前記複数のサンプルによって発せられる、前記電磁放射線を検出するためのディテクタであって、選択的な検出特性を有している、ディテクタと、
前記サンプルをインキュベートするためのインキュベータと、
前記サンプルの積み下ろしのためのロボットシステムと、
を備え、
前記システムは、個々のサンプル又は個々のサンプル群のためにスクリーニング及び/又は処理が完了するのかどうか、またいつ完了するのかを特定するように構成され、
前記ロボットシステムは、
空いているサンプルホルダ又はサンプルホルダ群を残している前記インキュベータからの個々のサンプル又はサンプル群を取り除き、前記サンプル又はサンプル群は、前記スクリーニング及び/又は処理が完了していないサンプル又はサンプル群によって囲まれる、又は隣接する場所から取り除かれ、その後、
新鮮なサンプル又はサンプル群を獲得し、その後、
前記インキュベータ内の空きの位置を前記新鮮なサンプルで満たすように構成されることによって前記システムがサンプルの連続的なスループットに適し、
前記システムは、前記インキュベータ内の前記サンプルをインキュベートする間、前記第一スクリーニングモード及び前記第二スクリーニングモードで動作するように構成されているシステム。
【請求項2】
前記第一スクリーニングモード及び前記第二スクリーニングモードで同時又は準同時に動作するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
病原体又は遺伝的変異を特定するためのスクリーニングシステムであって、第一スクリーニングモード及び第二スクリーニングモードを有し、
複数のサンプルを照らすための電磁放射線の源であって、選択的な照射特性を有している、電磁放射線の源と、
前記複数のサンプルを通じて伝送される、又は前記複数のサンプルによって発せられる、前記電磁放射線を検出するためのディテクタであって、選択的な検出特性を有している、ディテクタと、
前記サンプルをインキュベートするためのインキュベータと、
前記サンプルの積み下ろしのためのロボットシステムと、
を備え、
前記システムは、個々のサンプル又は個々のサンプル群のためにスクリーニング及び/又は処理が完了するのかどうか、またいつ完了するのかを特定するように構成され、
前記ロボットシステムは、
空いているサンプルホルダ又はサンプルホルダ群を残している前記インキュベータからの個々のサンプル又はサンプル群を取り除き、前記サンプル又はサンプル群は、前記スクリーニング及び/又は処理が完了していないサンプル又はサンプル群によって囲まれる、又は隣接する場所から取り除かれ、その後、
新鮮なサンプル又はサンプル群を獲得し、その後、
前記インキュベータ内の空きの位置を前記新鮮なサンプルで満たすように構成されることによって前記システムがサンプルの連続的なスループットに適し、
前記システムは、前記インキュベータ内で前記サンプルをインキュベートする間、前記第一スクリーニングモード及び前記第二スクリーニングモードで同時に動作するように構成されている、
システム。
【請求項4】
前記インキュベータ内で前記サンプルをインキュベートする間、前記第一スクリーニングモード及び前記第二スクリーニングモードで動作するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第一スクリーニングモードは蛍光分析スクリーニングであり、前記第二スクリーニングモードは第二蛍光分析スクリーニングモード又は比色分析スクリーニングモードである、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
個々のサンプル又は個々のサンプル群は異なる条件を用いて同時にスクリーニングすることができるように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記インキュベータは、ヒーター及び個々のサンプル又は個々のサンプル群の加熱の個々の制御を可能にする一つ以上のコントローラを備えている、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記サンプルを受け取るための一つ以上のキャビティを含んでいるサンプル容器を備えている、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記サンプルを受け取るためのキャビティが一定量の鉱油を含んでいる、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記キャビティは前記サンプルのスクリーニング及び/又は処理に必要な化学物質をさらに含み、前記キャビティはシールされている、請求項8又は9に記載のシステム。
【請求項11】
前記電磁放射線の源が、蛍光分析モードのための光源と、比色分析モードのための光源と、を備えている、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記電磁放射線の源が、前記サンプルの直接の照射のための各サンプルホルダに位置している複数のフィルタを備えている個々の光学素子を備えている、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記電磁放射線の源は、個々の光学素子が結合され、前記第一スクリーニングモード及び/又は前記第二スクリーニングモードにおける前記サンプルのスクリーニングのために前記サンプルを照らすための拡散光を生成するように構成されているディフューザーを備えている、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記電磁放射線の源と個々のサンプルホルダ又はサンプルホルダ群との間に光学ファイバを備え、前記光学ファイバは、個々のサンプルホルダ又はサンプルホルダ群に対して、前記サンプルを処理するための装置の一部を通じて導かれる、請求項1~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記ディテクタは、波長の特定の情報を提供する異なる波長で前記電磁放射線を検出するために構成されている、請求項1~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記ディテクタは複数のディテクタのうちの一つであり、少なくとも2つのディテクタはモノクロームディテクタである、請求項1~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
各ディテクタがフィルタを備え、前記フィルタを備える第一ディテクタが蛍光分析モードで動作するように構成され、前記フィルタを備える第二ディテクタが比色分析モードにおいて同時に動作するように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記ディテクタと個々のサンプルホルダのそれぞれ又はサンプルホルダ群との間に光学ファイバを備え、前記光学ファイバは、前記サンプルからの放射線を受け取り、受け取られた放射線を適切なディテクタに向けるように位置している、請求項1~17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記電磁放射線の源が前記光学ファイバを介して個々の前記サンプルにもまた光学的に結合され、前記ディテクタ及び前記電磁放射線の源の両方がダイクロイックコンバイナ/スプリッタを用いて同じ光学ファイバの一部に結合されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記ディテクタは、個々のサンプル又は個々のサンプル群の近くの場所で前記電磁放射線を検出するように移動可能であり、前記ディテクタの移動はコントローラによって制御可能である、請求項1~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
病原体又は遺伝的変異を特定するためのスクリーニングシステムであって、第一スクリーニングモード及び第二スクリーニングモードを有し、
複数のサンプルを照らすための電磁放射線の源であって、選択的な照射特性を有している電磁放射線の源と、
前記複数のサンプルを通じて伝送される、又は前記複数のサンプルによって発せられる、前記電磁放射線を検出するためのディテクタであって、選択的な検出特性を有している、ディテクタと、
前記サンプルをインキュベートするためのインキュベータと、
前記サンプルの積み下ろしのためのロボットシステムと、
を備え、
前記システムは、個々のサンプル又は個々のサンプル群のためにスクリーニング及び/又は処理が完了するのかどうか、またいつ完了するのかを特定するように構成され、
前記ロボットシステムは、
空いているサンプルホルダ又はサンプルホルダ群を残している前記インキュベータからの個々の前記サンプル又は前記サンプル群を取り除き、前記サンプル又はサンプル群は、前記スクリーニング及び/又は処理が完了していないサンプル又はサンプル群によって囲まれる、又は隣接する場所から取り除かれ、その後、
新鮮なサンプル又はサンプル群を獲得し、その後、
前記インキュベータ内の空きの位置を前記新鮮なサンプルで満たすように構成されることによって前記システムが前記サンプルの連続的なスループットに適し、
前記システムは、前記インキュベータ内で前記サンプルをインキュベートする間、前記ディテクタの検出特性及び前記電磁放射線の源の照射特性のうち少なくとも一つを選択することにより前記第一スクリーニングモードと前記第二スクリーニングモードとの間で移行するように構成されている、
システム。
【請求項22】
前記第一スクリーニングモード及び前記第二スクリーニングモードのうちの一つにおける動作の直後に、前記第一スクリーニングモード及び前記第二スクリーニングモードのうちのもう一つにおける動作を可能にする、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記第一スクリーニングモードは蛍光分析スクリーニングモードであり、前記第二スクリーニングモードは比色分析スクリーニングモードである、請求項21又は22に記載のシステム。
【請求項24】
個々のサンプル又は個々のサンプル群が異なる条件を用いてスクリーニングされるように構成されている、請求項21~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記サンプルを処理するための装置が、ヒーター及び個々のサンプル又は個々のサンプル群の加熱の個々の制御を可能にする一つ以上のコントローラを備えている、請求項21~24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記サンプルを受け取るための一つ以上のキャビティを含んでいるサンプル容器を備えている、請求項1~25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記サンプルを受け取るための前記キャビティが一定量の鉱油を含んでいる、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記キャビティが前記サンプルのスクリーニング及び/又は処理に必要な化学物質をさらに含み、前記キャビティはシールされている、請求項26又は27に記載のシステム。
【請求項29】
前記電磁放射線の源及び/又は前記ディテクタは関連する固定された光学フィルタを有している、請求項1~28のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
前記検出特性は、前記ディテクタによって検出可能な電磁放射線の源の波長又は波長範囲である、
請求項21~29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記ディテクタは第一フィルタ及び第二フィルタを備えているモノクロームディテクタであり、
前記第一フィルタは蛍光分析モードに必要な波長範囲における前記電磁放射線の伝送を可能にし、前記第二フィルタは、比色分析モードに必要な波長範囲での前記電磁放射線の伝送を可能にし、
前記システムは、前記比色分析モードにおいては、前記第一フィルタと前記第二フィルタとの間で移行することによって前記蛍光分析モードと前記比色分析モードとの間での移行のために構成されている、
請求項21~30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記ディテクタは、蛍光分析スクリーニングモードに必要な波長範囲での電磁放射線の伝送、及び比色分析モードに必要な波長範囲での電磁放射線の伝送を可能にするパスウインドウを有しているマルチパスフィルタを備えているモノクロームディテクタであり、比色分析に適した照射と蛍光分析に適した照射の間での移行によって、前記蛍光分析モードと前記比色分析モードとの間での移行のために構成されている、
請求項21~31のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
前記電磁放射線の源が前記蛍光分析モードのための光源及び前記比色分析モードのための光源を備えている、
請求項21~32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記電磁放射線の源は、前記サンプルの直接の照射のために各々のサンプルホルダに位置しているフィルタを備えた個々の光素子を備えている、
請求項21~33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記照射源は、個々の光素子が結合され、前記第一スクリーニングモード及び/又は前記第二スクリーニングモードでの前記サンプルのスクリーニングのための前記サンプルの照射のための拡散光を生成するように構成されているディフューザーを備えている、
請求項21~34のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項36】
前記電磁放射線の源と個々のサンプルホルダ又はサンプルホルダ群との間に、光学ファイバを備え、前記光学ファイバが前記個々のサンプルホルダに対して又は前記サンプルホルダ群に対して、前記サンプルを処理するための装置の一部を通じて導かれる、
請求項21~35のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項37】
前記ディテクタと各々の個々のサンプルホルダ又はサンプルホルダ群との間に、光学ファイバを備え、前記光学ファイバは前記サンプルから放射線を受け取り、受け取られた前記放射線を適切なディテクタに向けるように位置している、
請求項21~36のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項38】
前記電磁放射線の源は、前記光学ファイバを介して個々の前記サンプルにもまた光学的に結合され、前記ディテクタ及び前記電磁放射線の源の両方がダイクロイックコンバイナ/スプリッタを用いて同じ光学ファイバの一部に結合されている、
請求項37に記載のシステム。
【国際調査報告】