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特表2024-534855放射性同位体を生成するための材料及びプロセス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】放射性同位体を生成するための材料及びプロセス
(51)【国際特許分類】
   G21G 4/08 20060101AFI20240918BHJP
   G21K 1/00 20060101ALI20240918BHJP
   C25D 11/26 20060101ALI20240918BHJP
   C25D 11/04 20060101ALI20240918BHJP
   C01G 25/02 20060101ALN20240918BHJP
   C01G 35/00 20060101ALN20240918BHJP
【FI】
G21G4/08
G21K1/00 R
C25D11/26 301
C25D11/26 302
C25D11/26 303
C25D11/26 Z
C25D11/04
C01G25/02
C01G35/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024513317
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 AU2022050958
(87)【国際公開番号】W WO2023023731
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】2021902649
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524069916
【氏名又は名称】アドバンセル アイソトープス プロプライエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ケリー,ジュリアン フレデリック
【テーマコード(参考)】
4G048
【Fターム(参考)】
4G048AA02
4G048AB01
4G048AD02
(57)【要約】
本開示は、概して、放射性同位体を生成するための材料、プロセス、生成器、及び/又はシステムに関する。本開示はまた、概して、放射性同位体発生器での使用に好適な放射性同位体を含むセラミック材料に関する。本開示はまた、概して、放射性同位体を製造し、捕捉するためのプロセス、生成器、及び/又はシステムに関する。本開示はまた、概して、放射性薬学及び/又は他の臨床用途で使用するための放射性同位体溶液の調製に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活性セラミック基板であって、気体状中間体放射性同位体を介して親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して医学的に有用な線量の娘放射性同位体を生成するのに有効な量で前記不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された前記親放射性同位体を含み、
前記固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、放射性同位体表面層として前記不活性セラミック基板の表面上又はその付近に結合されて、前記不活性セラミック基板から前記気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にする、不活性セラミック基板。
【請求項2】
前記固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、熱処理された放射性同位体表面層として前記不活性セラミック基板の表面上又はその付近に結合される、請求項1に記載の不活性セラミック基板。
【請求項3】
前記不活性セラミック基板の表面上又はその付近への前記固定化された親放射性同位体の前記結合が、使用中に、娘放射性同位体の活性と比較して、活性という用語で表される約5%未満の親放射性同位体の汚染物質レベルを有する前記娘放射性同位体の集団の捕捉を可能にするようなものである、請求項1又は2に記載の不活性セラミック基板。
【請求項4】
前記不活性セラミック基板が、約10未満の多孔性(前記不活性セラミック基板の総体積に基づく体積%)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板。
【請求項5】
前記親放射性同位体が、アルファ放出放射性同位体である、請求項1~4のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板。
【請求項6】
前記親放射性同位体が、トリウム-227(227Th)又はトリウム-228(228Th)から選択されるトリウム放射性同位体である、請求項1~5のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板。
【請求項7】
前記娘放射性同位体が、鉛-211(211Pb)又は鉛-212(212Pb)のうちの少なくとも1つから選択される鉛放射性同位体である、請求項1~6のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板。
【請求項8】
前記固定化された親放射性同位体が、約1~約1500の(不活性セラミック基板表面1cm当たりのMBqでの)活性を提供するのに有効な量で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板。
【請求項9】
前記放射性同位体表面層を形成する前記固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、前記不活性セラミック基板の前記表面内の放射性同位体ドープ層として提供される、請求項1~8のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板。
【請求項10】
前記放射性同位体表面層を形成する前記固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、前記不活性セラミック基板の前記表面上に結合された前記放射性同位体の1つ以上の固体化合物相として提供される、請求項1~9のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板。
【請求項11】
前記放射性同位体の前記固体化合物相の少なくともいくつかが、前記不活性セラミック基板の前記表面上に結合された前記放射性同位体の1つ以上の結晶相を含む、請求項10に記載の不活性セラミック基板。
【請求項12】
前記放射性同位体の前記固体化合物相の少なくともいくつかが、前記不活性セラミック基板の前記表面上に結合された放射性同位体の1つ以上のアモルファス相として提供される、請求項10又は11に記載の不活性セラミック基板。
【請求項13】
前記固体化合物相、結晶相又はアモルファス相のうちの1つ以上が、前記不活性セラミック基板の前記表面上に結合された別個の粒子として提供される、請求項10~12のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板。
【請求項14】
前記固体化合物相、結晶相又はアモルファス相のうちの1つ以上が、前記不活性セラミック基板の前記表面上に結合された層として提供される、請求項10~13のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板。
【請求項15】
前記放射性同位体の前記固体化合物相、結晶相又はアモルファス相のうちの1つ以上が、前記放射性同位体の酸化物、窒化物、リン酸塩、フッ化物、炭化物、硫化物、ケイ酸塩、又はそれらの組み合わせを含む、請求項10~14のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板。
【請求項16】
前記放射性同位体の前記固体化合物相、結晶相又はアモルファス相のうちの1つ以上が、二酸化トリウム(ThO)及び/又は非化学量論的酸化トリウム(ThO(2+/-x))を含み、xが、0より大きいが0.15より小さい、請求項10~15のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板。
【請求項17】
前記放射性同位体表面層、熱処理された放射性同位体表面層、放射性同位体ドープ層、固体化合物相、結晶相又はアモルファス相が各々独立して、約0.1nm~約1000nmの厚さを有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板。
【請求項18】
前記不活性セラミック基板が、ディスク又はスラブとして提供される、請求項1~17のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板。
【請求項19】
前記不活性セラミック基板が、約0.001μm~約1000μmの厚さを有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板。
【請求項20】
前記不活性セラミック基板が、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物、金属リン酸塩、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板。
【請求項21】
前記不活性セラミック基板が、金属酸化物基板である、請求項1~20のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板。
【請求項22】
前記金属酸化物基板が、タンタル、ニオブ、タングステン、モリブデン、バナジウム、ジルコニウム、チタン若しくはアルミニウムの酸化物、又はそれらの混合酸化物である、請求項21に記載の不活性セラミック基板。
【請求項23】
前記金属酸化物基板が、五酸化タンタル(Ta)又は二酸化ジルコニウム(ZrO)である、請求項22に記載の不活性セラミック基板。
【請求項24】
前記不活性セラミック基板が、タンタル、ニオブ、タングステン、ハフニウム、モリブデン、バナジウム、ジルコニウム、チタン若しくはアルミニウム、又はそれらの合金から選択される金属基板上の層として提供される、請求項1~23のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板。
【請求項25】
前記不活性セラミック基板が、前記金属基板の前記表面を酸化的に前処理することによって製造される、請求項1~24のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板。
【請求項26】
気体状中間体放射性同位体を介して親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して医学的に有用な線量の娘放射性同位体を生成するのに有効な量で不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された前記親放射性同位体を含む前記不活性セラミック基板を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、
a)不活性セラミック基板の前記表面上に親放射性同位体種を含む溶液を堆積させるステップと、
b)前記不活性セラミック基板を、熱処理された放射性同位体表面層を形成する前記不活性セラミック基板の表面上又はその付近に前記親放射性同位体の少なくともいくつかを結合するのに有効な温度まで加熱して、前記不活性セラミック基板から前記気体状娘放射性同位体が効果的に放射されることを可能にするステップと、を含む、プロセス。
【請求項27】
前記プロセスが、請求項1~25のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板を調製するためのものである、請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
ステップa)における前記溶液が、水溶液又はアルコール性溶液である、請求項26又は27に記載のプロセス。
【請求項29】
前記水溶液が、前記水溶液の総体積に基づいて約20%v/v~50%v/vの量でアルコール溶媒を含む、請求項28に記載のプロセス。
【請求項30】
前記水溶液が、非イオン性界面活性剤を含む、請求項28又は29に記載のプロセス。
【請求項31】
沈殿剤が、ステップb)での前記加熱の間に、前記放射性同位体溶液に添加され、前記溶液からの前記放射性同位体の沈殿を誘導する、請求項26~30のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項32】
前記沈殿剤が、シュウ酸、又は水酸化物塩、又はハロゲン化物塩である、請求項31に記載のプロセス。
【請求項33】
前記放射性同位体種が、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、アンモニウム化合物、及びアニオン性オキソメタレート化合物のうちの1つ以上から選択される水溶性塩又はその水和物として提供される、請求項26~32のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項34】
前記放射性同位体種が、トリウム種である、請求項26~33のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項35】
前記トリウム種が、硝酸塩又はその水和物である、請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
前記放射性同位体種が、約0.0001M~0.5Mの濃度で前記溶液中に提供される、請求項26~35のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項37】
ステップb)での前記加熱が、約100℃~約650℃の温度で、好ましくは、約10分間~約24時間の期間である、請求項26~36のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項38】
娘放射性同位体の集団を製造し、捕捉するためのチャンバを画定する放射性同位体生成器であって、前記チャンバが、前記チャンバ内に請求項1~25のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板を収容するように構成される、放射性同位体生成器。
【請求項39】
前記チャンバが、収集表面を備え、前記不活性セラミック基板を前記チャンバ内に収容するように構成され、前記放射性同位体表面層が、放射された気体状中間体放射性同位体の少なくともいくつかを、娘放射性同位体に崩壊するのに有効な期間収集するために、前記収集表面に面している、請求項38に記載の放射性同位体生成器。
【請求項40】
前記放射性同位体表面層が、前記収集表面とともに照準線内にある、請求項39に記載の放射性同位体生成器。
【請求項41】
前記放射性同位体表面が、前記収集表面上の前記放射された気体状中間体放射性同位体の少なくともいくつかの重力支援型収集を可能にするように実質的に下を向いている、請求項39又は40に記載の放射性同位体生成器。
【請求項42】
前記収集表面上の前記不活性セラミック基板からの放射された気体状中間体放射性同位体の搬送を容易にするようにキャリアガスを前記チャンバに導入するように構成されたキャリアガス入口ポートを更に備える、請求項39~41のいずれか一項に記載の放射性同位体生成器。
【請求項43】
高減圧を適用し、前記収集表面上の前記不活性セラミック基板からの放射された気体状中間体放射性同位体の搬送を容易にするように前記チャンバを排気するように構成された高減圧ポンプを更に備える、請求項39~41のいずれか一項に記載の放射性同位体生成器。
【請求項44】
前記収集表面から娘放射性同位体を収集するように収集流体を前記チャンバに導入するように構成された流体送達システムを更に備える、請求項39~42のいずれか一項に記載の放射性同位体生成器。
【請求項45】
娘放射性同位体を含む前記収集流体を前記チャンバから搬送するように構成された収集流体出口ポートを更に備える、請求項44に記載の放射性同位体生成器。
【請求項46】
娘放射性同位体の集団を製造し、捕捉するためのシステムであって、
a)娘放射性同位体の集団を製造し、捕捉するためのチャンバを画定する放射性同位体生成器と、
b)前記チャンバ中に収容された請求項1~25のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板と、を含む、システム。
【請求項47】
請求項38~45のいずれか一項に記載の放射性同位体生成器を備える、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
娘放射性同位体の集団を製造し、捕捉するためのプロセスであって、
a)請求項1~25のいずれか一項に記載の不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して生成された気体状中間体放射性同位体の放射を可能にすることと、
b)前記気体状中間体放射性同位体の少なくともいくつかを、娘放射性同位体に崩壊するのに有効な期間収集することと、を含む、プロセス。
【請求項49】
請求項38~45のいずれか一項に記載の放射性同位体生成器、又は請求項46若しくは47に記載のシステムを含む、請求項48に記載のプロセス。
【請求項50】
前記プロセスが、前記娘放射性同位体の少なくともいくつかを回収するステップを更に含む、請求項49に記載のプロセス。
【請求項51】
前記回収された娘放射性同位体が、放射性リガンド療法で使用するための標的化分子にコンジュゲートされる、請求項50に記載のプロセス。
【請求項52】
前記親放射性同位体が、アルファ放出放射性同位体である、請求項49~51のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項53】
前記親放射性同位体が、トリウム-227(227Th)及びトリウム-228(228Th)のうちの少なくとも1つから選択されるトリウム放射性同位体である、請求項49~52のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項54】
前記気体状中間体放射性同位体が、ラドン-219(219Rn)及びラドン-220(220Rn)のうちの少なくとも1つから選択されるラドン放射性同位体である、請求項49~53のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項55】
前記娘放射性同位体が、鉛-211(211Pb)又は鉛-212(212Pb)のうちの少なくとも1つから選択される鉛放射性同位体である、請求項49~54のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、放射性同位体を生成するための材料、プロセス、生成器、及び/又はシステムに関する。本開示はまた、概して、放射性同位体発生器での使用に好適な放射性同位体を含むセラミック材料に関する。本開示はまた、概して、放射性同位体を製造し、捕捉するためのプロセス、生成器、及び/又はシステムに関する。本開示はまた、概して、放射性薬学及び/又は他の臨床用途で使用するための放射性同位体溶液の調製に関する。
【背景技術】
【0002】
放射性同位体は、例えば、放射性同位体が周囲の健康な組織への巻き添え損傷をほとんど伴わずに致死的な放射線をがん細胞に直接効果的に送達することができる、放射性医薬品としての医療用途を含む様々な用途を有する。しかしながら、この形態の療法の臨床的取り込みは、適切な放射性同位体の利用可能性によって制限されており、様々な製造上の制約に起因して、世界的な供給は限られており、世界中のアルファ放出放射性同位体の現在の供給は、年間約2000名の患者を治療するのに十分なものにすぎない。更に、現在の方法によって生成される放射性同位体は、多くの場合、所望の放射性同位体から濾過又は除去することが困難である放射性化学不純物を含む不純物で汚染され、これが臨床的応用を妨げる可能性がある。
【0003】
少数の放射性同位体、例えば、両方ともがん標的分子に標識され得るルテチウム-177(177Lu)及びアクチニウム-225(225Ac)が、療法/臨床試験用途のために製造される。しかしながら、これらの同位体を臨床的に有用な量で生成することは、例えば、大型粒子加速器又は核反応器を含む複雑な操作を必要とする。したがって、これらの放射性同位体のサプライチェーンは、扱いにくく、高価であるため、世界中のごくわずかの製造施設に限定されている。
【0004】
鉛-212(212Pb)は、放射性リガンド療法のための優れたアルファ放出放射性同位体である。鉛-212(212Pb)を製造するための現在の生成器は、比較的短い半減期を有する親放射性同位体、例えば、ラジウム-224(224Ra)を使用するカラムベースの生成器であり、樹脂系のイオン交換材料又は無機吸着剤塩の上に結合された親放射性同位体から212Pbを溶出する。そのような樹脂系のイオン交換及び無機吸着剤ベースの生成器は、著しい放射線分解性の損傷を受け、これが全体的な耐久性を制限し、臨床的応用を制限する可能性がある。更に、そのような樹脂系のイオン交換及び吸着剤ベースの生成器から単離された212Pb放射性同位体の抽出は、多くの場合、かなりの量の洗浄流体を必要とし、したがって、後続の放射性標識化学プロセスを複雑化し、長引かせる。追加的に、ほとんどの212Pb生成器は、親放射性同位体を固定化し、これを収容するために使用されるステアリン酸バリウムなどの有機材料の放射線分解性の破壊に起因して、経時的に顕著な収率低下を経験し、かつ/又はユーザを顕著な放射線量に曝露する可能性がある親放射性同位体を固定化するための過度に複雑な充填手順を必要とする。
【0005】
したがって、臨床的に有用な線量の治療用同位体の製造を可能にし得る治療用放射性同位体を生成するための改善された材料及びプロセスが必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
本願発明者らは、放射性同位体を生成するための材料及びプロセスの研究開発に着手した。
【0007】
具体的には、本願発明者らは、娘放射性同位体を生成するための供給源として使用することができる放射性同位体を固定化するように構成することができるセラミック材料を開発した。本願発明者らは、セラミック基板の上又は内部に親放射性同位体を固定化することで、固定化された親放射性同位体から崩壊し、放射されるときの気体状中間体放射性同位体の有効な分離を可能にし、それによって、例えば、親放射性同位体による娘放射性同位体の汚染物質の減少を含む下流の利点を提供することが特定された。
【0008】
一態様では、不活性セラミック基板であって、気体状中間体放射性同位体を介して親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して医学的に有用な線量の娘放射性同位体を生成するのに有効な量で不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含み、固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、放射性同位体表面層として不活性セラミック基板の表面上又はその付近に結合されて、不活性セラミック基板から気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にする、不活性セラミック基板が提供される。
【0009】
別の態様では、気体状中間体放射性同位体を介して親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して医学的に有用な線量の娘放射性同位体を生成するのに有効な量で不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含む不活性セラミック基板を調製するためのプロセスであって、本プロセスが、a)不活性セラミック基板の表面上に親放射性同位体種を含む溶液を堆積させるステップと、b)不活性セラミック基板を、熱処理された放射性同位体表面層を形成する不活性セラミック基板の表面上又はその付近に親放射性同位体の少なくともいくつかを結合するのに有効な温度まで加熱して、不活性セラミック基板から気体状娘放射性同位体が効果的に放射されることを可能にするステップと、を含む、プロセスが提供される。
【0010】
本願発明者らはまた、娘放射性同位体の集団を捕捉するための放射性同位体生成器及びシステムを開発した。放射性同位体生成器は、本明細書に記載の不活性セラミック基板を収容するように構成することができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態又は例によれば、本明細書に記載の不活性セラミック基板の内部に固定化される親放射性同位体からの気体状中間体放射性同位体の有効な放射は、最小限の汚染で娘放射性同位体の「照準線内」重力支援型収集を可能にする放射性同位体生成器の開発を可能にした。
【0011】
別の態様では、娘放射性同位体の集団を捕捉するためのチャンバを画定する放射性同位体生成器であって、チャンバが、チャンバ内に本明細書に記載の不活性セラミック基板を収容するように構成される、放射性同位体生成器が提供される。別の態様では、娘放射性同位体の集団を製造し、捕捉するためのシステムであって、本システムであるa)娘放射性同位体の集団を捕捉するためのチャンバを画定する放射性同位体生成器、及びb)チャンバ中に収容された本明細書に記載の不活性セラミック基板が提供される。システムは、本明細書に記載の放射性同位体生成器を備えていてもよい。
【0012】
本願発明者らはまた、娘放射性同位体の集団を捕捉するためのプロセスを開発した。別の態様では、娘放射性同位体の集団を捕捉するためのプロセスであって、a)本明細書に記載の不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して生成された気体状中間体放射性同位体の放射を可能にすることと、b)気体状中間体放射性同位体の少なくともいくつかを、娘放射性同位体に崩壊するのに有効な期間収集することと、を含む、プロセスが提供される。プロセスは、本明細書に記載の放射性同位体生成器又はシステムを備えていてもよい。
【0013】
本開示に関連する他の態様及び実施形態が、本明細書に記載される。別段の具体的な記載がない限り、本明細書に記載される本開示の各々の例、態様、及び実施形態は、それぞれ及びあらゆる他の例、態様、及び実施形態に類推適用されることが理解されるであろう。例えば、本明細書に記載の不活性セラミック基板の各々の例、態様、及び実施形態は、本明細書に記載の生成器、システム又はプロセスのうちの1つ以上に等しく適用されてもよく、その逆も同様であり得る。本開示は、例示のみの目的を意図する本明細書に記載される特定の実施例によって範囲が限定されるべきではない。機能的に同等の製品、組成物、及びプロセスは、明らかに本明細書に記載される本開示の範囲内にある。
【0014】
本開示の実施形態は、添付の図面を参照して、単なる例として、以下のように更に説明され、図示される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】固定化された放射性同位体を含む不活性セラミック基板の一実施形態の概略図。
図2】固定化された放射性同位体を含む不活性セラミック基板の別の実施形態の概略図。
図3】A)本明細書に記載のプロセスによって調製された表面上に固定化されたトリウム放射性同位体を含むTa基板のSEM画像。B)四角で囲われた領域から得られた基板の表面のEDXスペクトル。Ta基板の表面上で、微細に分散した酸化トリウムの証拠が検出された。
図4】A)本明細書に記載のプロセスによって調製された表面上に固定化されたトリウム放射性同位体を含むTa基板のSEM画像。B)円形領域から得られた基板の表面のEDXスペクトル。Ta基板の表面上で、微細に分散した酸化トリウムの証拠が検出された。
図5】A)本明細書に記載のプロセスによって調製された表面上に固定化されたトリウム放射性同位体を含むZrO基板のSEM画像。B)四角で囲われた領域から得られた基板の表面のEDXスペクトル。ZrO基板の表面上で、微細に分散した酸化トリウムの証拠が検出された。
図6】A)本明細書に記載のプロセスによって調製された表面上に固定化されたトリウム放射性同位体を含むTa基板のSEM画像。B)トリウム分布のEDXスペクトル及び空間マップ。Ta基板の表面上で、微細に分散した酸化トリウムの証拠が検出された。
図7】いくつかの実施形態では本開示の放射性同位体を含むトリウム-228(228Th)についての放射性崩壊系列。
図8】娘放射性同位体の集団を生成し、捕捉するために使用される生成器の一実施形態の図。
図9】放射された気体状中間体放射性同位体をソースチャンバから収集チャンバへと搬送するための、また娘放射性同位体生成物を収集するための例示的なバルブ操作パラメータ。
図10】3000秒の期間にわたるソースチャンバにおける放射性同位体トリウム-228(228Th)、ラジウム-224(224Ra)、及びラドン-220(220Rn)のシミュレーションされた活性。
図11】ソースチャンバ中に保持された(ラジウム-224(224Ra)と平衡状態にある)200MBqの228Thを有する、3000秒間にわたる収集チャンバ中の放射性同位体ラドン-220(220Rn)及び鉛-212(212Pb)のシミュレーションされた対応する活性。時点は、図10に示す時点と直接的に相関する。
図12】ソースチャンバから収集チャンバへの気体状ラドン-220(220Rn)の連続的な搬送の間の時間間隔に基づく、収集チャンバ中の鉛-212(212Pb)のシミュレーションされた合計収率を示すプロット。異なる線は、ソースチャンバから収集チャンバへと気体状ラドン-220(220Rn)を駆動するための異なる構成を示す。
図13】ソースチャンバから収集チャンバへの気体状ラドン-220(220Rn)の連続的な搬送の間の時間間隔に基づく、鉛-208/鉛-212(208Pb/212Pb)のシミュレーションされた比を示すプロット。異なる線は、ソースチャンバから収集チャンバへと気体状ラドン-220(220Rn)を駆動するための異なる構成を示す。
図14A】ラドン-220(220Rn)のガス搬送事象の数(圧力駆動型ガス搬送事象:高減圧駆動型ガス搬送事象の5:1の比で操作する)と、搬送事象間の間隔との間の関係を示すシミュレーションプロット。
図14B】ラドン-220(220Rn)のガス搬送事象の数(圧力駆動型ガス搬送事象:高減圧駆動型ガス搬送事象の5:1の比で操作する)と、収集チャンバ中の鉛-212(212Pb)の合計収率(MBq)との間の関係を示すシミュレーションプロット。
図14C】最適な気体状ラドン-220(220Rn)搬送間隔に基づいて、生成器操作の合計時間と、収集チャンバ中の鉛-212の(MBqでの)合計収率との間の関係を示すシミュレーションプロット。
図15】本明細書に記載の固定化されたトリウム-228(228Th)放射性同位体を含む酸化タンタル(Ta)基板を収容する生成器を使用して捕捉された212Pbのガンマスペクトル。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、放射性同位体を生成するための材料、プロセス、生成器、デバイス、及び/又はシステムを開発するために行われる調査に関連する、以下の様々な非限定的な実施形態を説明する。驚くべきことに、スケール変更可能なプロセスと生成器を提供して、娘放射性同位体を信頼性高く製造することができることがわかった。
【0017】
用語
以下の説明では、本明細書の一部を形成する添付図面が参照され、図示として、いくつかの実施形態が示される。本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用されてもよく、構造的変更が行われてもよいことを理解されたい。
【0018】
本明細書で提供される定義に関して、特に明記されない限り、又は文脈から暗示されない限り、定義される用語及び句は、提供される意味を含む。特に明示的に記載されていない限り、又は文脈から明らかでない限り、以下の用語及び句は、その用語又は句が関連技術分野の当業者によって獲得された意味を排除しない。その定義は、特定の実施形態を説明するのを助けるために提供され、本発明の範囲が特許請求の範囲によってのみ限定されるため、特許請求される発明を限定することを意図しない。更に、文脈によって別段の必要がない限り、単数形の用語は、複数形を含み、複数形の用語は、単数形を含むものとする。
【0019】
本明細書で考察及び/又は参照される全ての刊行物は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0020】
本明細書に含まれている文書、行為、材料、デバイス、物品などの何らかの説明は、本開示の文脈を提供することのみを目的としている。これらの事項のいずれか又は全てが、先行技術の基礎の一部を形成していること、又は本出願の各請求項の優先日より前に存在した本開示に関連する分野における一般的な一般的知識であったことを認めると解釈すべきではない。
【0021】
本開示を通して、別様に具体的に述べられていない限り、又は文脈が別様に要求しない限り、単一のステップ、物質の組成物、ステップの群又は物質の組成物の群への言及は、それらのステップ、物質の組成物、ステップの群又は物質の組成物の群のうちの1つ及び複数(すなわち、1つ以上)を包含するように解釈されなければならない。したがって、本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明示的に別様に示さない限り、複数の態様を含む。例えば、「a」に対する参照は、単一のものだけでなく2つ以上を含み、「an」に対する参照は、単一のものだけでなく2つ以上を含み、「the」に対する参照は、単一のものだけでなく2つ以上を含むなどである。
【0022】
当業者であれば、本明細書の開示が、具体的に記載のもの以外の変形及び改変の影響を受けやすいことを理解するであろう。本開示がそのような全ての変形及び修正を含むことを理解されたい。本開示はまた、本明細書で個別に又は集合的に言及又は示される、例、ステップ、特徴、方法、組成物、コーティング、プロセス、及びコーティングされた基板の全て、並びに任意の及び全ての組み合わせ、又は任意の2つ以上の前記ステップ又は特徴を含む。
【0023】
例及び実施形態を説明する際に、本明細書では、明確化のために特定の用語が使用される。説明の目的のため、特定の用語は、同様の結果を達成するために同様の方法で機能する技術的及び機能的等価語を少なくとも含むことが意図されている。追加的に、特定の実施形態又は例が複数のシステム要素又は方法ステップを含むいくつかの場合では、それらの要素又はステップは、単一の要素又はステップに置き換えられてもよい。同様に、単一の要素又はステップは、同じ目的を果たす複数の要素又はステップに置き換えられてもよい。
【0024】
「及び/又は」という用語は、例えば、「X及び/又はY」は、「X及びY」又は「X又はY」のいずれかを意味すると理解され、両方の意味又はいずれかの意味を明示的に支持するように解釈されるものとする。
【0025】
特に明記しない限り、「第1の」、「第2の」などの用語は、単にラベルとして本明細書で使用され、これらの用語が言及する項目に順序的、位置的、又は階層的要件を課すことを意図するものではない。更に、「第2の」項目への言及は、より低い番号の項目(例えば、「第1の」項目)及び/又はより高い番号の項目(例えば、「第3の」項目)の存在を必要とせず、又は排除しない。
【0026】
方法/プロセスが引用される場合、及びステップ/段階が特定の順序で引用される場合(参照を容易にするために追加される順序付けされた先行文字の有無にかかわらず)、そのステップ/段階は、用語及び句によって別段の指定又は暗示がされない限り、それらが引用される順序に時間的に制限されるものとは解釈されない。
【0027】
本明細書で使用される場合、「~のうちの少なくとも1つ」という語句は、ある項目のリストとともに使用されるとき、列挙された項目の1つ以上の異なる組み合わせが使用されてもよく、リスト内の項目のうちの1つのみが必要とされ得ることを意味する。項目は、特定の物体、物、又はカテゴリであってもよい。言い換えれば、「~のうちの少なくとも1つ」は、項目の任意の組み合わせ又は項目の数がリストから使用され得ることを意味するが、リスト内の全てのアイテムが必要とされ得るわけではない。例えば、「項目A、項目B、及び項目Cのうちの少なくとも1つ」は、項目A、項目A及び項目B、項目B、項目A、項目B、及び項目C、又は項目B及び項目Cを意味し得る。いくつかの場合では、「項目A、項目B、及び項目Cのうちの少なくとも1つ」は、例えば、限定されないが、項目Aのうちの2つ、項目Bのうちの1つ、及び項目Cのうちの10つ、項目Bのうちの4つ、及び項目Cのうちの7つ、又はいくつかの他の適切な組み合わせを意味し得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、矛盾するように記載されない限り、典型的には、指定された値の±10%、例えば、±5%を指す。
【0029】
様々な特性又は他の値のパラメータが、例又は実施形態について本明細書で指定される場合、これらのパラメータ又は値は、別途指定されない限り、1/100、1/50、1/20、1/10、1/5、1/3、1/2、2/3、3/4、4/5、9/10、19/20、49/50、99/100などまで上下に調整することができ(又は1、2、3、4、5、6、8、10、20、50、100倍などまで上に調整することができ)、又はその丸められた概算値によって、又は上に指定された変動のいずれかに対して上若しくは下にある範囲の指定されたパラメータの範囲内に調整することができる(例えば、指定された100のパラメータ及び1/00の変動について、パラメータの値は0.99~1.01の範囲であってもよい)。
【0030】
別個の実施形態の文脈で本明細書に記載される特定の特徴は、明確にするために、単一の実施形態で組み合わせて提供されてもよいことが理解されるだろう。逆に、単一の実施形態の文脈で記載される様々な特徴はまた、簡潔にするために、別個に、又は任意のサブコンビネーションで提供されてもよい。
【0031】
本明細書全体を通して、本発明の様々な態様及び構成要素を範囲形式で提示することができる。範囲形式は便宜上含まれており、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではない。したがって、範囲の説明は、具体的に示されない限り、その範囲内の全ての可能な部分範囲及び個々の数値を具体的に開示しているとみなされるべきである。例えば、1~5などの範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~5、3~5などの具体的に開示された部分範囲、並びに引用された範囲内の個々の及び部分的な数字、例えば、1、2、3、4、4.5、及び5などを有するとみなされるべきであるが、ただし、整数が必要な場合又は文脈から暗示されている場合を除く。これは、開示された範囲の幅に関係なく適用される。具体的な値が必要な場合、これらは本明細書に示される。
【0032】
本明細書全体にわたって、「含む(comprise)」という語、又は「含む(comprises)」若しくは「含むこと(comprising)」などの変形語は、述べられた要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群を包含するが、任意の他の要素、整数若しくはステップ、又は要素、整数若しくはステップの群を除外しないことを暗に示すことが理解されるであろう。「~からなる」という語句は、列挙された要素を意味し、他の要素を意味しない。
【0033】
本明細書で使用される場合、「崩壊する」という用語は、放射性核種がその娘核種、又はその「崩壊生成物」と呼ばれる異なる核種に自然に変換されることを指す。娘核種は、安定であってもよく、又はそれ自体が放射性であってもよく、したがって、異なる娘核種への更なる自発的な崩壊を受ける。これらの放射性崩壊プロセスは、人間の介入を必要とせずに自然に発生することが理解される。
【0034】
放射性同位体を固定化するためのセラミック基板
本願発明者らは、放射性同位体を固定化するように構成することができるセラミック材料を開発した。放射性同位体は、212Pbなどの図2の崩壊系列で提供されるものを含む、1つ以上の有用な娘放射性同位体の親である親放射性同位体であってもよい。親放射性同位体を、気体状中間体放射性同位体源として使用することができ、これを次いで、本明細書に記載のプロセス及び生成器を使用して、娘放射性同位体の生成源として捕捉し、使用することができる。
【0035】
少なくとも本明細書に記載のいくつかの実施形態又は例によれば、セラミック基板の上又は内部に親放射性同位体を固定化することで、固定化された親放射性同位体から放射されるときの気体状中間体放射性同位体の有効な分離を可能にし、それによって、例えば、親放射性同位体による娘放射性同位体の汚染物質の減少を含む下流の利点を提供することが見出された。一実施形態では、不活性セラミック基板の上又は内部に、例えば、不活性セラミック基板の表面の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含む不活性セラミック基板が提供される。
【0036】
一実施形態又は例では、不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含む不活性セラミック基板が提供される。
【0037】
一実施形態又は例では、不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含む不活性セラミック基板であって、固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、放射性同位体表面層として不活性セラミック基板の表面上又はその付近に結合されて、不活性セラミック基板から気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にする、不活性セラミック基板が提供される。
【0038】
一実施形態又は例では、不活性セラミック基板は、気体状中間体放射性同位体を介して親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して医学的に有用な線量の娘放射性同位体を生成するのに有効な量で不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含み、固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、放射性同位体表面層として不活性セラミック基板の表面上又はその付近に結合されて、不活性セラミック基板から気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にする。
【0039】
別の実施形態又は例では、不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含む不活性セラミック基板であって、固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、熱処理された放射性同位体表面層として不活性セラミック基板の表面上又はその付近に結合されて、不活性セラミック基板から気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にする、不活性セラミック基板が提供される。
【0040】
別の実施形態又は例では、不活性セラミック基板であって、気体状中間体放射性同位体を介して親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して医学的に有用な線量の娘放射性同位体を生成するのに有効な量で不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含み、固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、熱処理された放射性同位体表面層として不活性セラミック基板の表面上又はその付近に結合されて、不活性セラミック基板から気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にする、不活性セラミック基板が提供される。
【0041】
別の実施形態又は例では、不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含む不活性セラミック基板であって、固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、約0.1nm~約1000nmの厚さを有する放射性同位体表面層として不活性セラミック基板の表面上又はその付近に結合されて、不活性セラミック基板から気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にする、不活性セラミック基板が提供される。
【0042】
別の実施形態又は例では、不活性セラミック基板であって、気体状中間体放射性同位体を介して親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して医学的に有用な線量の娘放射性同位体を生成するのに有効な量で不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含み、固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、約0.1nm~約1000nmの厚さを有する放射性同位体表面層として不活性セラミック基板の表面上又はその付近に結合されて、不活性セラミック基板から気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にする、不活性セラミック基板が提供される。
【0043】
別の実施形態又は例では、不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含む不活性セラミック基板であって、固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、放射性同位体表面層として不活性セラミック基板の表面上又はその付近に結合されて、不活性セラミック基板から気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にし、不活性セラミック基板が、約10、5、2、1、0.1、又は0.01未満の多孔性(不活性セラミック基板の総体積に基づく体積%)を有する、不活性セラミック基板が提供される。
【0044】
別の実施形態又は例では、不活性セラミック基板であって、気体状中間体放射性同位体を介して親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して医学的に有用な線量の娘放射性同位体を生成するのに有効な量で不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含み、固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、放射性同位体表面層として不活性セラミック基板の表面上又はその付近に結合されて、不活性セラミック基板から気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にし、不活性セラミック基板が、約10、5、2、1、0.1、又は0.01未満の多孔性(不活性セラミック基板の総体積に基づく体積%)を有する、不活性セラミック基板が提供される。
【0045】
別の実施形態又は例では、金属酸化物基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含む金属酸化物基板であって、固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、放射性同位体表面層として金属酸化物基板の表面上又はその付近に結合されて、不活性セラミック基板から気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にする、金属酸化物基板が提供される。
【0046】
別の実施形態又は例では、金属酸化物基板であって、気体状中間体放射性同位体を介して親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して医学的に有用な線量の娘放射性同位体を生成するのに有効な量で金属酸化物基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含み、固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、放射性同位体表面層として金属酸化物基板の表面上又はその付近に結合されて、不活性セラミック基板から気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にする、金属酸化物基板が提供される。
【0047】
別の実施形態又は例では、金属酸化物基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含む金属酸化物基板であって、固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、放射性同位体表面層として不活性セラミック基板の表面上又はその付近に結合されて、不活性セラミック基板から気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にし、金属酸化物基板が、タンタル、ニオブ、タングステン、モリブデン、バナジウム、ジルコニウム、チタン若しくはアルミニウムの酸化物、又はそれらの混合酸化物である、金属酸化物基板が提供される。
【0048】
別の実施形態又は例では、金属酸化物基板であって、気体状中間体放射性同位体を介して親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して医学的に有用な線量の娘放射性同位体を生成するのに有効な量で金属酸化物基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含み、固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、放射性同位体表面層として不活性セラミック基板の表面上又はその付近に結合されて、不活性セラミック基板から気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にし、金属酸化物基板が、タンタル、ニオブ、タングステン、モリブデン、バナジウム、ジルコニウム、チタン若しくはアルミニウムの酸化物、又はそれらの混合酸化物である、金属酸化物基板が提供される。
【0049】
一実施形態では、固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、熱処理された放射性同位体表面層として不活性セラミック基板の表面上又はその付近に結合されて、不活性セラミック基板から気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にする。一実施形態では、固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、約0.1nm~約1000nmの厚さを有する放射性同位体表面層として不活性セラミック基板の表面上又はその付近に結合されて、不活性セラミック基板から気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にする。一実施形態では、不活性セラミック基板は、約10、5、2、1、0.1、又は0.01未満の多孔性(不活性セラミック基板の総体積に基づく体積%)を有する。
【0050】
放射性同位体の種類
任意の好適な親放射性同位体が使用され得る。一実施形態では、親放射性同位体は、アルファ放出放射性同位体であり、すなわち、アルファ粒子(すなわち、ヘリウム核)を放出することができ、それによって、4減少する質量数及び2減少する原子番号を有する異なる原子核に変換される。
【0051】
一実施形態では、親放射性同位体は、トリウム若しくはラジウムの同位体、又はそれらの組み合わせである。一実施形態では、親放射性同位体は、トリウム放射性同位体である。トリウム放射性同位体は、トリウム-227(227Th)、トリウム-228(228Th)、及びトリウム-232(232Th)のうちの少なくとも1つ、又はそれらの組み合わせから選択されてもよい。一実施形態では、親放射性同位体は、ラジウムである。ラジウム放射性同位体は、224Ra及び228Raのうちの少なくとも1つ、又はそれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0052】
一実施形態では、親放射性同位体は、228Thである。228Thは、ほぼ2年の半減期を有し、市販されている。228Thのこれらの特性及び他の特性は、アルファ放出医療用同位体として212Pbを製造するための親放射性同位体として望ましいものにする。本明細書に記載の不活性セラミック基板の上又は内部に固定化されると、いくつかの実施形態又は例によれば、228Thを、生産性がわずかに徐々に消失しつつ212Pb生成器において1年以上親放射性同位体として使用することができる。一実施形態では、気体状中間体放射性同位体は、ラドン放射性同位体である。ラドン放射性同位体は、ラドン-219(219Rn)又はラドン-220(220Rn)のうちの少なくとも1つから選択されてもよい。一実施形態では、娘放射性同位体は、鉛放射性同位体である。鉛放射性同位体は、鉛-211(211Pb)又は鉛-212(212Pb)のうちの少なくとも1つから選択されてもよい。
【0053】
一実施形態では、親放射性同位体は、気体状中間体同位体の自然崩壊の系列を介して医学的に有用な線量の娘放射性同位体を生成するのに有効な量で不活性セラミック基板の上又は内部に固定化される。本明細書で使用される場合、「医学的に有用な」という用語は、娘放射性同位体の線量と関連して、放射性リガンド療法などの放射性薬学用途のための製品として使用することができる娘放射性同位体(例えば、212Pb)の量を指す。親放射性同位体は、医学的に有用な量(例えば、前臨床的及び/又は臨床的に有用な量)の娘放射性同位体を生成するのに有効な量で提供されてもよい。一実施形態では、親放射性同位体は、約1~約1,000MBqの医学的線量の娘放射性同位体(例えば、212Pb)を生成するのに有効な量で不活性セラミック基板の上又は内部に固定化されてもよい。一実施形態では、親放射性同位体は、少なくとも約1、2、5、10、50、60、90、120、150、200、250、300、400、500、600、700、800、900又は1,000MBqの医学的線量の娘放射性同位体(例えば、212Pb)を生成するのに有効な量で不活性セラミック基板の上又は内部に固定化されてもよい。別の実施形態では、親放射性同位体は、約1,000、900、800、700、600、500、400、300、250、200、150、120、90、60、50、10、5、2又は1未満の医学的線量の娘放射性同位体(例えば、212Pb)を生成するのに有効な量で不活性セラミック基板の上又は内部に固定化されてもよい。一実施形態では、親放射性同位体は、少なくとも約50、70、100、120、140、160、180又は200MBqの医学的線量の娘放射性同位体(例えば、212Pb)を生成するのに有効な量で不活性セラミック基板の上又は内部に固定化されてもよい。親放射性同位体は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約50MBq~約200MBqの医学的線量の娘放射性同位体(例えば、212Pb)を生成するのに有効な量で不活性セラミック基板の上又は内部に固定化されてもよい。
【0054】
一実施形態では、不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体は、約1~約1500の(不活性セラミック基板表面1cm当たりのMBqでの)活性を提供するのに有効な量で存在する。親放射性同位体は、少なくとも約0.01、0.05、1、2、5、10、20、50、70、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1200、又は1500の(不活性セラミック基板表面1cm当たりのMBqでの)活性を提供するのに有効な量で不活性セラミック基板の上又は内部に固定化されてもよい。親放射性同位体は、約1500、1200、1000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、70、50、20、10、5、2、1、0.05又は0.01未満の(不活性セラミック基板表面1cm当たりのMBqでの)活性を提供するのに有効な量で不活性セラミック基板の上又は内部に固定化されてもよい。親放射性同位体は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約100~約1500、約10~約1000、又は約50~約500、例えば、約100の活性を提供するのに有効な量で不活性セラミック基板の上又は内部に固定化されてもよい。不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体の活性は、適切な放射活性測定装置を使用して、又は基板からある距離で収集された娘放射性同位体の量からの推論によって測定されてもよい。活性は、本明細書に記載の実施例に沿って、好適なシミュレーション及びモデリングを介して得ることもできる。
【0055】
親放射性同位体の固定化
放射性同位体は、不活性セラミック基板の上又は内部に固定化される。一実施形態では、親放射性同位体は、不活性セラミック基板の表面の上又は内部に固定化される。例えば、親放射性同位体は、不活性セラミック基板の上に固定/結合されてもよい。一実施形態では、不活性セラミック基板は、不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含む。固定化された親放射性同位体は、不活性セラミック基板の上又は内部に散在してもよい。固定化された親放射性同位体は、不活性セラミック基板の格子内部に散在してもよい。固定化された親放射性同位体は、不活性セラミック基板に表面結合している放射性同位体を含んでいてもよい。親放射性同位体は、不活性セラミック基板の表面の内部に組み込まれてもよく、若しくは埋め込まれてもよく、又は不活性セラミック基板の表面の上に層として提供されてもよい。不活性セラミック基板の上又は内部に、例えば、不活性セラミック基板の表面の上又は内部に親放射性同位体を固定化することによって、気体状である中間体娘放射性同位体は、基板から放射させ、拡散させ、固定化された親放射性同位体からの放射された娘放射性同位体の有効な分離を提供することができる。
【0056】
一実施形態では、固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、放射性同位体表面層として不活性セラミック基板の表面上又はその付近に結合されて、不活性セラミック基板から気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にする。
【0057】
一実施形態では、固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、熱処理された放射性同位体表面層として不活性セラミック基板の表面上又はその付近に結合されて、不活性セラミック基板から気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にする。本明細書で使用される場合、「熱処理された」放射性同位体表面層という用語は、熱処理(すなわち加熱)して、表面上又はその付近で親放射性同位体を化学的及び/又は物理的に結合させた、不活性セラミック基板の表面の一部を指す。熱処理された放射性同位体表面層は、a)不活性セラミック基板の表面上に親放射性同位体種を含む溶液を堆積させることと、b)不活性セラミック基板を、不活性セラミック基板の表面上又はその付近に親放射性同位体の少なくともいくつかを結合するのに有効な温度まで加熱して、それによって、熱処理された放射性同位体表面層を形成して、不活性セラミック基板から気体状娘放射性同位体が効果的に放射されることを可能にすることと、を含むプロセスによって得ることができるだろう。
【0058】
熱処理された放射性同位体表面層は、「固定化された放射性同位体を含む不活性セラミック基板を調製するためのプロセス」というセクション見出しで本明細書に記載されるプロセスによって得ることができるだろう。本明細書に記載のいくつかの実施形態又は例によれば、本願発明者らは、熱処理された放射性同位体表面層の内部の固定化された親放射性同位体が、その下にある不活性セラミック基板の表面上又はその付近に密に結合し、そのような熱処理が、不活性セラミック基板の表面又はその付近の原子格子の内部の放射性同位体の化学交換を容易にすることができ、不活性セラミック基板の表面上又はその付近に放射線分解性の薄く密に結合した層を形成することを特定した。そのような熱処理は、格子が不活性セラミック基板から放射されるときの気体状中間体放射性同位体と同時に放射する親放射性同位体がほとんどないか、又は全くないことを可能にする。言い換えれば、熱処理された放射性同位体表面層の内部の親放射性同位体は、不活性セラミック基板の表面又はその付近(すなわち、熱処理された放射性同位体表面層)の上の密に結合した親放射性同位体から放射する気体状中間体放射性同位体に自然に崩壊する。
【0059】
一実施形態では、不活性セラミック基板の表面上又はその付近への固定化された親放射性同位体の結合は、使用中に、娘放射性同位体の活性と比較して、活性という用語で表される約5、2、1、0.1、0.01又は0.001%未満の親放射性同位体の汚染物質レベルを有する娘放射性同位体の集団の捕捉を可能にするようなものである。汚染物質の一例は、不活性セラミック基板を使用して製造された212Pb中の228Thである。例えば、放射性同位体表面層が、放射性同位体生成器の内部の収集表面(例えば、収集チャンバの内壁)と接触する場合であっても、親放射性同位体表面層が密に結合しているため、親放射性同位体の交差汚染はほとんど起こらないか、又は全く起こらない。
【0060】
放射性同位体表面層は、層内に均一に分布する固定化された親放射性同位体を含んでいてもよい。放射性同位体表面層は、不活性セラミック基板の表面上の任意の場所に位置してもよい。放射性同位体表面層は、基板の表面上の連続層であってもよい。代替的に、放射性同位体表面層は、不活性基板表面全体に対して非連続であってもよく、例えば、層が不活性セラミック基板の表面を均一かつ完全に覆わない場合、2つ以上のセクションを含んでいてもよい。このような非連続的な層形態は、本開示の目的のために依然として表面層とみなされることが理解されるであろう。例えば、固定化された親放射性同位体は、不活性セラミック基板の表面上又はその付近に装飾(例えば、散在)されてもよく、放射性同位体表面層を形成して、不活性セラミック基板から気体状娘放射性同位体が効果的に放射されることを可能にしてもよい。
【0061】
一実施形態又は例では、不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含む不活性セラミック基板であって、固定化された親放射性同位体が、放射性同位体表面層として不活性セラミック基板の表面上又はその付近に装飾され、不活性セラミック基板から気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にする、不活性セラミック基板が提供される。
【0062】
一実施形態又は例では、不活性セラミック基板であって、気体状中間体放射性同位体を介して親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して医学的に有用な線量の娘放射性同位体を生成するのに有効な量で不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含み、固定化された親放射性同位体が、放射性同位体表面層として不活性セラミック基板の表面上又はその付近に装飾され、不活性セラミック基板から気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にする、不活性セラミック基板が提供される。
【0063】
いくつかの実施形態では、放射性同位体表面層を形成する固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、不活性セラミック基板の表面内の放射性同位体ドープ層として提供される。一実施形態では、固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、不活性セラミック基板の原子格子の上又は内部に結合され、不活性セラミック基板の表面内に放射性同位体ドープ層を形成する。
【0064】
放射性同位体ドープ層は、層内に均一に分布し得る固定化された親放射性同位体イオンを含んでいてもよい。放射性同位体ドープ層は、不活性セラミック基板の表面の内分の任意の場所に位置してもよい。放射性同位体ドープ層は、基板の表面の内部の連続層であってもよい。代替的に、放射性同位体ドープ層は、不活性基板表面全体に対して非連続であってもよく、例えば、層が不活性セラミック基板の表面を均一かつ完全に覆わない場合、2つ以上のセクションを含んでいてもよい。放射性同位体ドープ層は、不活性セラミック基板に結合された放射性同位体イオンを含んでいてもよい。一実施形態では、固定化された親放射性同位体イオンの少なくともいくつかが、不活性セラミック基板の内部に散在され、不活性セラミック基板の表面上に放射性同位体ドープ層を形成する。一実施形態では、固定化された親放射性同位体イオンの少なくともいくつかが、不活性セラミック基板の原子格子の内部に散在され、不活性セラミック基板の表面上に放射性同位体ドープ層を形成する。一実施形態では、放射性同位体ドープ層は、不活性セラミック基板に結合された親放射性同位体表面を含む。典型的には、親放射性同位体は、多くの場合に不活性セラミック基板の表面からの放射性同位体の濃度及び/又は浸透度によって媒介される、放射性同位体ドープ層全体にわたって(例えば、層の深さ全体にわたって)濃度勾配が存在するように分布する。この例では、親放射性同位体の濃度は、放射性同位体ドープ層の外側表面の方でより高く、不活性セラミック基板の内部の深さが増加するにつれて、放射性同位体ドープ層にわたって低下し得ることが理解されるだろう。
【0065】
一実施形態では、放射性同位体表面層を形成する固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、不活性セラミック基板の表面上に結合された放射性同位体の1つ以上の固体化合物相として提供される。放射性同位体の固体化合物相が結合しているその下の表面は、本明細書に記載の放射性同位体ドープ層を含んでいてもよい。放射性同位体に関連して「固体化合物相」という用語は、放射性同位体が安定性して存在し得る任意の固体形態を意味すると理解される。固体化合物相は、結晶相若しくはアモルファス相、又はそれらの組み合わせを含んでいてもよい。
【0066】
一実施形態では、放射性同位体の固体化合物相の少なくともいくつかが、不活性セラミック基板の表面上に結合された放射性同位体の1つ以上の結晶相を含んでいてもよい。放射性同位体の結晶化合物相が結合しているその下の表面は、本明細書に記載の放射性同位体ドープ層を含んでいてもよい。放射性同位体に関連して「結晶相」という用語は、全ての方向に延びる結晶格子、例えば、酸化物を形成する顕微鏡的構造内に存在する放射性同位体を意味すると理解される。例えば、固定化された親放射性同位体は、別個の結晶格子へと組み立てられ、不活性セラミック基板の表面上に結合された1つ以上の結晶相を形成してもよい。代替的に、放射性同位体イオンの1つ以上の結晶相が表面上に存在してもよく、1つ以上の多結晶性放射性同位体相、すなわち、放射性同位体ドープされたセラミック基板の結晶領域又はアモルファス領域によって、及び/又は放射性同位体を含まない不活性セラミック基板の領域(すなわち、ドープされていない領域)によって分離された複数の別個の結晶相を含む放射性同位体表面層をもたらす。一実施形態では、固定化された親放射性同位体は、放射性同位体ドープ層の表面上に結合された1つ以上の結晶相として提供される。結晶相は、例えば、ナノメートルスケールで(例えば、走査型電子顕微鏡で観察されるように)、放射性同位体ドープ層の上又は内部に均一に分布していてもよい。親放射性同位体の1つ以上の結晶相は、不活性セラミック基板の格子に結合されてもよい。
【0067】
代替的に、又は追加的に、放射性同位体の固体化合物相の少なくともいくつかは、不活性セラミック基板の表面上に結合された放射性同位体の1つ以上のアモルファス相として提供されてもよい。放射性同位体のアモルファス相が結合しているその下の表面は、本明細書に記載の放射性同位体ドープ層を含んでいてもよい。放射性同位体に関連する「アモルファス相」という用語は、任意の規則的な延長された原子配置を有さずに(すなわち、画定された結晶構造を有さずに)顕微鏡的構造の内部に存在する放射性同位体を意味すると理解される。一実施形態では、固定化された親放射性同位体は、不活性セラミック基板の表面上に結合された親放射性同位体の1つ以上のアモルファス相として提供される。放射性同位体の1つ以上のアモルファス相は、例えば、ナノメートルスケールで(例えば、走査型電子顕微鏡で観察されるように)、不活性セラミック基板の表面上に均一に分布していてもよい。親放射性同位体の1つ以上のアモルファス相は、不活性セラミック基板の格子に結合されてもよい。
【0068】
一実施形態では、固体化合物相、結晶相又はアモルファス相のうちの1つ以上が、不活性セラミック基板の表面上に結合された別個の粒子として提供される。別個の粒子が結合しているその下の表面は、本明細書に記載の放射性同位体ドープ層を含んでいてもよい。別個の粒子は、不活性セラミック基板の表面上に結合された複数の「島」として記載されてもよい。代替的に、又は追加的に、固体化合物相、結晶相又はアモルファス相のうちの1つ以上が、不活性セラミック基板の表面上に結合された層として提供される。
【0069】
いくつかの実施形態では、親放射性同位体の1つ以上の結晶相は、不活性セラミック基板又は放射性同位体ドープ層の表面に結合された複数の別個の結晶粒子として提供される。代替的に、又は追加的に、親放射性同位体の1つ以上の結晶相は、不活性セラミック基板又は放射性同位体ドープ層の表面に結合された結晶層として提供される。いくつかの実施形態では、別個の粒子及び/又は層は、その下にある放射性同位体ドープ層又は不活性セラミック基板の表面に結合されてもよく、例えば、不活性セラミック基板又は放射性同位体ドープ層の表面に存在する1つ以上の結晶化合物相とマッチする密な格子を有してもよい。放射性同位体の別個の結晶粒子又は結晶層と、その下にある不活性セラミック基板又は放射性同位体イオンドープ層との間の格子のミスマッチは、約10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1%未満であってもよい。
【0070】
存在する場合、固体化合物相、結晶相又はアモルファス相の層は、不活性セラミック基板の表面上の任意の場所に位置してもよい。固体化合物相、結晶相又はアモルファス相の層は、基板の表面上の連続層であってもよい。代替的に、固体化合物相、結晶相又はアモルファス相の層は、不活性基板表面全体に対して非連続であってもよく、例えば、層が不活性セラミック基板の表面を均一かつ完全に覆わない場合、2つ以上のセクションを含んでいてもよい。
【0071】
一実施形態では、親放射性同位体の1つ以上の固体化合物相、結晶相、又はアモルファス相は、本明細書に記載の放射性同位体の酸化物、水酸化物、シュウ酸塩、窒化物、炭化物、硫化物、ケイ酸塩、金属間化合物、又はそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、親放射性同位体の1つ以上の固体化合物相、結晶相、又はアモルファス相は、本明細書に記載の放射性同位体の酸化物、水酸化物、フッ化物、シュウ酸塩、リン酸塩、窒化物、炭化物、硫化物、ケイ酸塩、金属間化合物、又はそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、親放射性同位体の1つ以上の固体化合物相、結晶相、又はアモルファス相は、本明細書に記載の放射性同位体の酸化物、窒化物、フッ化物、リン酸塩、炭化物、硫化物、ケイ酸塩、又はそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、親放射性同位体の1つ以上の固体化合物相、結晶相、又はアモルファス相は、本明細書に記載の放射性同位体の酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、ケイ酸塩、又はそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、親放射性同位体の1つ以上の固体化合物相、結晶相、又はアモルファス相は、本明細書に記載の放射性同位体の酸化物、リン酸塩、窒化物、炭化物、硫化物、又はそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、親放射性同位体の1つ以上の固体化合物相、結晶相、又はアモルファス相は、本明細書に記載の放射性同位体の酸化物若しくは水酸化物、又はそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、親放射性同位体の1つ以上の固体化合物相、結晶相、又はアモルファス相は、本明細書に記載の放射性同位体の酸化物である。
【0072】
一実施形態では、親放射性同位体の1つ以上の固体化合物相、結晶相又はアモルファス相は、二酸化トリウム(ThO)及び/又は非化学量論的酸化トリウム(ThO(2+/-x))を含み、xが、0より大きいが0.15より小さい。
【0073】
放射性同位体表面層、熱処理された放射性同位体表面層、放射性同位体ドープ層、固体化合物相、結晶相、又はアモルファス相の厚さは、例えば、不活性セラミック基板の表面上にロードされる親放射性同位体の量に応じて変動し得る。放射性同位体表面層、熱処理された放射性同位体表面層、放射性同位体ドープ層、固体化合物相、結晶相、又はアモルファス相は、各々独立して、例えば、約1~約1500の上述の(不活性セラミック基板表面1cm当たりのMBqでの)活性を提供するのに有効な量で放射性同位体の濃度を提供するのに有効な厚さを有していてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、放射性同位体表面層、熱処理された放射性同位体表面層、放射性同位体ドープ層、固体化合物相、結晶相又はアモルファス相は、各々独立して、約0.1nm~約1,000,000nm(すなわち、1mm)、約0.1nm~約100,000nm(すなわち、100μm)、又は約0.1nm~約1,000nm(すなわち、1μm)の厚さを有していてもよい。放射性同位体表面層、熱処理された放射性同位体表面層、放射性同位体ドープ層、固体化合物相、結晶相又はアモルファス相は、各々独立して、少なくとも約0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、30、50、100、150、200、300、400、500、700、900、1,000、10,000、100,000、又は1,000,000の(nmでの)厚さを有していてもよい。放射性同位体表面層、熱処理された放射性同位体表面層、放射性同位体ドープ層、固体化合物相、結晶相又はアモルファス相は、各々独立して、約1,000,000、100,000、10,000、1,000、900、700、500、400、300、200、150、100、50、30、20、18、16、14、12、10、9、8、7、6、5、4、3.5、3、2.5、2、1.8、1.6、1.4、1.2、1、0.8、0.6、0.4、0.2又は0.1未満の(nmでの)厚さを有していてもよい。放射性同位体表面層、熱処理された放射性同位体表面層、放射性同位体ドープ層、固体化合物相、結晶相又はアモルファス相は、各々独立して、少なくとも約0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18又は20の(nmでの)厚さを有していてもよい。放射性同位体表面層、熱処理された放射性同位体表面層、放射性同位体ドープ層、固体化合物相、結晶相又はアモルファス相は、各々独立して、約20、18、16、14、12、10、9、8,、7、6、5、4、3.5、3、2.5、2、1.8、1.6、1.4、1.2、1、0.8、0.6、0.4又は0.2nm未満の(nmでの)厚さを有していてもよい。厚さは、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約0.1nm~約1,000,000nm、約0.1nm~約100,000nm、約0.1nm~約1,000nm、約0.1nm~約100nm、約1nm~約100nm、又は約1nm~約20nmであってもよい。本明細書に記載のいくつかの実施形態又は例によれば、本明細書に記載の薄い放射性同位体表面層(本明細書に記載の不活性セラミック基板の上に熱処理された放射性同位体表面層/放射性同位体ドープ層/固体化合物相、結晶相又はアモルファス相を含む)は、不活性セラミック基板から気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にする。
【0075】
いくつかの実施形態では、放射性同位体表面層は、約0.1nm~約1,000,000nm(すなわち、1mm)、約0.1nm~約100,000nm(すなわち、100μm)、又は約0.1nm~約1,000nm(すなわち、1μm)の厚さを有していてもよい。放射性同位体表面層は、少なくとも約0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、30、50、100、150、200、300、400、500、700、900、1,000、10,000、100,000、又は1,000,000の(nmでの)厚さを有していてもよい。放射性同位体表面層は、約1,000,000、100,000、10,000、1,000、900、700、500、400、300、200、150、100、50、30、20、18、16、14、12、10、9、8、7、6、5、4、3.5、3、2.5、2、1.8、1.6、1.4、1.2、1、0.8、0.6、0.4、0.2又は0.1未満の(nmでの)厚さを有していてもよい。放射性同位体表面層は、少なくとも約0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18又は20の(nmでの)厚さを有していてもよい。放射性同位体表面層は、約20、18、16、14、12、10、9、8,、7、6、5、4、3.5、3、2.5、2、1.8、1.6、1.4、1.2、1、0.8、0.6、0.4又は0.2nm未満の(nmでの)厚さを有していてもよい。厚さは、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約0.1nm~約1,000,000nm、約0.1nm~約100,000nm、約0.1nm~約1,000nm、約0.1nm~約100nm、約1nm~約100nm、又は約1nm~約20nmであってもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、熱処理された放射性同位体表面層は、約0.1nm~約1,000,000nm(すなわち、1mm)、約0.1nm~約100,000nm(すなわち、100μm)、又は約0.1nm~約1,000nm(すなわち、1μm)の厚さを有していてもよい。熱処理された放射性同位体表面層は、少なくとも約0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、30、50、100、150、200、300、400、500、700、900、1,000、10,000、100,000、又は1,000,000の(nmでの)厚さを有していてもよい。熱処理された放射性同位体表面層は、約1,000,000、100,000、10,000、1,000、900、700、500、400、300、200、150、100、50、30、20、18、16、14、12、10、9、8、7、6、5、4、3.5、3、2.5、2、1.8、1.6、1.4、1.2、1、0.8、0.6、0.4、0.2又は0.1未満の(nmでの)厚さを有していてもよい。熱処理された放射性同位体表面層は、少なくとも約0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18又は20の(nmでの)厚さを有していてもよい。熱処理された放射性同位体表面層は、約20、18、16、14、12、10、9、8,、7、6、5、4、3.5、3、2.5、2、1.8、1.6、1.4、1.2、1、0.8、0.6、0.4又は0.2nm未満の(nmでの)厚さを有していてもよい。厚さは、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約0.1nm~約1,000,000nm、約0.1nm~約100,000nm、約0.1nm~約1,000nm、約0.1nm~約100nm、約1nm~約100nm、又は約1nm~約20nmであってもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、放射性同位体ドープ層は、約0.1nm~約1,000,000nm(すなわち、1mm)、約0.1nm~約100,000nm(すなわち、100μm)、又は約0.1nm~約1,000nm(すなわち、1μm)の厚さを有していてもよい。放射性同位体ドープ層は、少なくとも約0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、30、50、100、150、200、300、400、500、700、900、1,000、10,000、100,000、又は1,000,000の(nmでの)厚さを有していてもよい。放射性同位体ドープ層は、約1,000,000、100,000、10,000、1,000、900、700、500、400、300、200、150、100、50、30、20、18、16、14、12、10、9、8、7、6、5、4、3.5、3、2.5、2、1.8、1.6、1.4、1.2、1、0.8、0.6、0.4、0.2又は0.1未満の(nmでの)厚さを有していてもよい。放射性同位体ドープ層は、少なくとも約0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18又は20の(nmでの)厚さを有していてもよい。放射性同位体ドープ層は、約20、18、16、14、12、10、9、8,、7、6、5、4、3.5、3、2.5、2、1.8、1.6、1.4、1.2、1、0.8、0.6、0.4又は0.2nm未満の(nmでの)厚さを有していてもよい。厚さは、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約0.1nm~約1,000,000nm、約0.1nm~約100,000nm、約0.1nm~約1,000nm、約0.1nm~約100nm、約1nm~約100nm、又は約1nm~約20nmであってもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、固体化合物相、結晶相又はアモルファス相は、各々独立して、約0.1nm~約1,000,000nm(すなわち、1mm)、約0.1nm~約100,000nm(すなわち、100μm)、又は約0.1nm~約1,000nm(すなわち、1μm)の厚さを有していてもよい。固体化合物相、結晶相又はアモルファス相は、各々独立して、少なくとも約0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、30、50、100、150、200、300、400、500、700、900、1,000、10,000、100,000、又は1,000,000の(nmでの)厚さを有していてもよい。固体化合物相、結晶相又はアモルファス相は、各々独立して、約1,000,000、100,000、10,000、1,000、900、700、500、400、300、200、150、100、50、30、20、18、16、14、12、10、9、8、7、6、5、4、3.5、3、2.5、2、1.8、1.6、1.4、1.2、1、0.8、0.6、0.4、0.2又は0.1未満の(nmでの)厚さを有していてもよい。固体化合物相、結晶相又はアモルファス相は、各々独立して、少なくとも約0.2、0.4、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、1.8、2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18又は20の(nmでの)厚さを有していてもよい。固体化合物相、結晶相又はアモルファス相は、各々独立して、約20、18、16、14、12、10、9、8,、7、6、5、4、3.5、3、2.5、2、1.8、1.6、1.4、1.2、1、0.8、0.6、0.4又は0.2nm未満の(nmでの)厚さを有していてもよい。厚さは、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約0.1nm~約1,000,000nm、約0.1nm~約100,000nm、約0.1nm~約1,000nm、約0.1nm~約100nm、約1nm~約100nm、又は約1nm~約20nmであってもよい。
【0079】
放射性同位体を固定化するための不活性セラミック基板の特性
本明細書に記載の親放射性同位体は、不活性セラミック基板の上又は内部に固定化される。「不活性」という用語は、セラミック基板が実質的に化学的に不活性であり、例えば、基板の上又は内部に散在された固定化された放射性同位体と著しい程度まで化学的に反応しないことを意味すると理解されるであろう。不活性セラミック基板はまた、大気中の酸素及び水と実質的に反応しない場合がある。追加的に、不活性セラミック基板は、その中に固定化された親放射性同位体が娘放射性同位体へと崩壊するときに被る放射線損傷(すなわち、構造的損傷)を受けにくくする特定の強固なセラミック材料を含んでいてもよい。例えば、不活性セラミック基板の結晶学的特性に起因して、放射線損傷に対するある程度の強固性が提供される。
【0080】
一実施形態又は例では、不活性セラミック基板は、本願発明者らが、放射線損傷に対する感受性が減少しており、屈強かつ強固なものとして特定した、不活性金属酸化物である。強固である一方で、不活性セラミック基板はまた、不活性セラミック基板が崩壊するときに不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体からの気体状娘放射性同位体の放射を著しい程度まで防止せず、それによって、放射された娘放射性同位体を固定化された放射性同位体から有効に分離することを提供する材料から構成される。
【0081】
不活性セラミック基板は、任意の好適なセラミック材料から形成されてもよい。例えば、不活性セラミック基板は、親放射性同位体が固定化されるための化学的親和性を有し得る、例えば、親放射性同位体イオンとセラミック格子のイオンとの交換を支持する、適切なセラミック材料を含む。いくつかの実施形態では、不活性セラミック基板は、放射性同位体の1つ以上の結晶化合物相を支持するように構成されている。
【0082】
不活性セラミック基板は、放射性同位体生成器に、例えば、本明細書に記載されるソースチャンバに挿入するのに適した形態を有していてもよい。一実施形態では、不活性セラミック基板は、別個のユニット、例えば、ディスク、プレート、フィルム、プラテン、スラブ、チューブ、チューブセクション、又はモノリスとして提供されてもよい。ユニットは、球形又は半球形を含むがこれらに限定されない任意の所望の形状を有していてもよい。一実施形態では、不活性セラミック基板は、ディスクである。ディスクは、放射性同位体生成器に挿入されるように構成されてもよい。ディスクが幾何学的に実質的に平面である限り、ディスクは、任意の特定の断面形状(すなわち、球形、長方形など)であることに限定されない。
【0083】
一実施形態では、不活性セラミック基板は、1.0より大きく約10.0まで、例えば、少なくとも約2.0、2.5 3.0.3.5.4.0.5.0.6.0.7.0.8.0.9.0又は10.0のアスペクト比(すなわち、幅に対する長さの比、ここで、長さ及び幅は、互いに垂直に測定され、長さは、最も長い線形距離を指す)を有する。本明細書に記載のいくつかの実施形態又は例によれば、より高いアスペクト比(例えば、2.0より大きい)を有する不活性セラミック基板は、気体状中間体放射性同位体の有効な放射のためのより大きな放射性同位体表面層面積を提供する平面幾何学を提供する。
【0084】
不活性セラミック基板は、ある量の親放射性同位体の固定化を可能にするのに有効な多孔度を有するが、それでも不活性セラミック基板表面からの気体状娘放射性同位体の効果的な放射を可能にし、それによって、固定化された親放射性同位体からの放射された娘放射性同位体の有効な分離を提供する。多孔度は、不活性セラミック基板の表面でより大きくてもよい。多孔度は、実質的な量の親放射性同位体の固定化を容易にし得る。本明細書で使用される場合、「多孔性」という用語は、材料中の空隙空間の尺度であり、0体積%~100体積%の割合としての総体積にわたる空隙の体積の分率である。
【0085】
いくつかの実施形態では、不活性セラミック基板は、不活性セラミック基板の総体積に基づいて、約0.01体積%~約30体積%の多孔性を有する。不活性セラミック基板は、(不活性セラミック基板の総体積に基づく体積%で)少なくとも約0.01、0.1、1、2、5、10、20、又は30の多孔性を有していてもよい。不活性セラミック基板は、(不活性セラミック基板の総体積に基づく体積%で)約30、20、10、5、2、1、0.1、又は0.01未満の多孔性を有していてもよい。一実施形態では、不活性セラミック基板は、(不活性セラミック基板の総体積に基づく体積%で)約10、5、2、1、0.1、又は0.01未満の多孔性を有する。多孔性は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約10体積%~約30体積%、又は約0.01体積%~約5体積%であってもよい。体積%の多孔性は、例えば、不活性セラミック基板の断片の標準的な水銀ポロシメトリ方法及び/又は光学的若しくは電子顕微鏡分析を使用するものを含む、当業者に既知の任意の適切な技術によって測定することができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態又は例によれば、低い多孔性を有する不活性セラミック基板は、娘同位体の高い収率を含む1つ以上の利点を提供し得る。例えば、低い多孔性を有し、いくつかの場合には実質的に非多孔性(例えば、約1、0.1又は0.01体積%未満)である形態を有する不活性セラミック基板は、放射性同位体表面層からの気体状中間体同位体のより効果的かつ実質的に妨げられない放射を可能にする。
【0086】
多孔性に関連して、不活性セラミック基板は、低い表面積を有していてもよく、例えば、(m/gで)約200、100、50、20、10、5、4、3、2、1又は0.5未満の表面積を有していてもよい。表面積は、標準的なASTM C1274を使用するか、又は77Kでの0.05~0.20P/Pの相対圧力範囲にわたって適用されるBrunauer-Emmett-Teller(BET)理論によるN吸着を用いて、測定することができる。
【0087】
不活性セラミック基板密度は、例えば、ある程度の強固性を提供するために、適切な密度を有する。いくつかの実施形態では、不活性セラミック基板は、約2.0g/cm~約15g/cmの密度を有する。不活性セラミック基板は、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15の密度(g/cm)を有していてもよい。不活性セラミック基板は、約15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3又は2未満の密度(g/cm)を有していてもよい。密度は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約4~13g/cmであってもよい。
【0088】
不活性セラミック基板は、適切な厚さを有する。いくつかの実施形態では、不活性セラミック基板は、(μmで)約0.001~約100,000、約0.001~約10,000、約0.001~約1000、約0.01~約100、約0.01~約10、又は約0.1~約10、又は約0.005~約0.5の厚さを有する。不活性セラミック基板は、(μmで)少なくとも約0.001、0.002、0.005、0.01、0.015、0.02、0.05、0.1、0.5、1、5、10、50、100、200、500、700、1000、5000、10,000又は100,000の厚さを有していてもよい。不活性セラミック基板は、(μmで)約10,000、10,000、5000、1000、700、500、200、100、50、10、5、1、0.5、0.1、0.05、0.02、0.015、0.01、0.005、0.002、又は0.001未満の厚さを有していてもよい。厚さは、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約0.01μm~約500μmであってもよい。別の実施形態では、不活性セラミック基板は、(nmで)少なくとも約5、10、15、20、25、30、40、50、80、100、150、200、250、300、400又は500の厚さを有していてもよい。不活性セラミック基板は、(nmで)約500、400、300、250、200、150、100、80、50、40、30、25、20、15、10又は5未満の厚さを有していてもよい。厚さは、これらの上側値又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約15nm~約100nmであってもよい。一実施形態では、放射性同位体表面層の厚さは、その下にある不活性セラミック基板の厚さ未満である。
【0089】
不活性セラミック基板は、粗面加工又はテクスチャ加工された表面を有していてもよい。本明細書に記載のいくつかの実施形態又は例によれば、粗面加工又はテクスチャ加工された表面が、不活性セラミック基板の上又は内部に放射性同位体をロードし、固定化するのを容易にすることができる増強された表面積を提供することが見出された。そのような粗面加工又はテクスチャ加工は、基板の表面が操作され(すなわち、粗面加工又はテクスチャ加工され)、天然の「真っ平らである(dead-flat)」か、又は何らかの形態の顕微鏡的粗さを有し得る研磨された金属を包含しないことを意味することが理解されることが認識されるであろう。言い換えれば、表面粗面加工は、例えば、振動テーブル上の研磨粉末(例えば、炭化タングステン)を使用して表面を研磨することによって、基板表面のいくつかの物理的処理又は機械的処理によって達成される。表面粗さは、角度パターンを含んでいてもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、不活性セラミック基板は、約5μm~約150μmの表面粗さ(R)(すなわち、粗面加工によって生成された1つ以上の角ばったピークのトラフに対するピークの高さ)を有する。粗面加工された表面は、180ピーク/cm未満のピークカウント(Rpc)を有していてもよい。表面粗さは、業界標準のASTM D7127を使用して、例えば、研磨処理後に測定されてもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、不活性セラミック基板の粗面加工された表面は、対応する粗面加工されていない「真っ平らな」基板と比較して、増加した表面積%を有する(例えば、表面積の少なくとも1、2、5、10、15又は20%の増加)。
【0092】
不活性セラミック基板は、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物、又はそれらの組み合わせから選択される。不活性セラミック基板は、金属酸化物、金属リン酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物、又はそれらの組み合わせから選択される。他の好適なセラミック材料としては、不活性金属間化合物、例えば、金属ケイ化物、金属ホウ化物、又は金属セレン化物が挙げられる。一実施形態では、不活性セラミック基板は、金属酸化物である。
【0093】
一実施形態では、不活性セラミック基板は、金属酸化物基板である。金属酸化物基板は、耐火性金属又は別の遷移金属の酸化物であってもよい。金属酸化物基板は、タンタル、ニオブ、タングステン、モリブデン、バナジウム、ジルコニウム、チタン若しくはアルミニウム、又はそれらの合金の酸化物であってもよい。金属酸化物基板は、タンタル、ニオブ、タングステン、モリブデン、バナジウム、ジルコニウム、チタンの酸化物であってもよい。一実施形態では、不活性金属酸化物基板は、酸化タンタル(Ta)である。他の金属も想定される。
【0094】
一実施形態では、不活性セラミック基板は、層(例えば、その下にある基材上に担持されたフィルム)として提供される。一実施形態では、不活性セラミック基板は、金属基板上の層として提供されてもよい。不活性セラミック基板層は、金属基板上に担持されていてもよい。金属基板は、放射線遮蔽を含む、本明細書に記載のいくつかの実施形態又は例による更なる利点を提供し得る。追加的に、いくつかの実施形態又は例によれば、金属基板は、本明細書に記載のソースチャンバ中で、例えば、キャリアガスと接触すると、より薄い不活性セラミック基板のための安定した固着を提供することができる。
【0095】
金属基板は、生成器に、例えば、本明細書に記載されるソースチャンバに挿入するのに適した形態を有していてもよい。一実施形態では、金属基板は、別個のユニット、例えば、ディスク、プレート、フィルム、プラテン、スラブ、チューブ、チューブセクション、又はモノリスとして提供されてもよい。金属基板は、球形又は半球形を含むがこれらに限定されない任意の所望の形状を有していてもよい。一実施形態では、金属基板は、ディスク又はスラブである。ディスクは、放射性同位体生成器に挿入されるように構成されてもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、金属基板は、約1mm~約30mmの厚さを有する。金属基板は、(mmで)少なくとも約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20、25、30の厚さを有していてもよい。金属基板は、(mmで)約30、25、20、15、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0.5未満の厚さを有していてもよい。厚さは、これらの上側値又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約1mm~約10mm、例えば、約6mmであってもよい。金属基板は、不活性セラミック基板に平坦な表面を提供するのに有効な厚さを有していてもよい。いくつかの実施形態では、より厚い金属基板は、例えば、基材から未使用の放射性同位体をより安全かつより容易に除去することを可能にする、リサイクル/再調整/再使用に更に適していてもよい。追加的に、より厚い金属基板は、いくつかの実施形態又は例に従って、本明細書に記載されるように、均一な粗面加工された表面を作成することがより容易なものとなり得る。一実施形態では、不活性セラミック基板の厚さは、その下にある金属基板の厚さ未満である。
【0097】
一実施形態では、不活性セラミック酸化物基板層を含む金属基板の表面は、約0.125cm~約50cmの表面積を有する。不活性セラミック酸化物基板層を含む金属基板は、(cmで)少なくとも約0.125、0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50の表面積を有していてもよい。不活性セラミック酸化物基板層を含む金属基板は、(cmで)約50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、4、3、2、1.5、1、0.75、0.5、0.25又は1.25未満の表面積を有していてもよい。範囲は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供されてもよい。
【0098】
一実施形態では、金属基板と不活性セラミック基板(例えば、金属基板の表面上の)の金属は、同じである。一実施形態では、不活性セラミック基板は、金属酸化物基板であり、金属基板及び金属酸化物基板の金属は、同じである。
【0099】
一実施形態では、金属基板は、耐火性又は他の遷移金属である。金属基板は、タンタル、ニオブ、タングステン、モリブデン、バナジウム、ジルコニウム、チタン若しくはアルミニウム、又はそれらの合金であってもよい。金属基板は、タンタル、ニオブ、タングステン、モリブデン、バナジウム、ジルコニウム、若しくはチタン、又はそれらの合金であってもよい。一実施形態では、不活性セラミック基板は、金属酸化物であり、タンタル、ニオブ、タングステン、モリブデン、バナジウム、ジルコニウム、チタン若しくはアルミニウム、又はそれらの合金から選択される金属基板又はその電極上の層(例えば、表面層)として提供される。
【0100】
一実施形態では、金属基板は、アノード酸化可能な金属である。アノード酸化可能な金属基板又はその電極は、タンタル、ニオブ、チタン若しくはアルミニウム、又はそれらの合金から選択されてもよい。アノード酸化可能な金属基板又はその電極は、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、チタン若しくはアルミニウム、又はそれらの合金から選択されてもよい。
【0101】
一実施形態では、不活性金属酸化物基板は、金属基板の表面を酸化的に前処理することによって製造される。一例又は実施形態では、不活性セラミック基板は、アノード酸化可能な金属基板の表面のアノード分極によって製造された金属酸化物を含む金属酸化物基板層である。この例又は実施形態では、金属基板は、金属電極である。金属基板又はその電極のアノード分極が本明細書に記載される。
【0102】
代替的に、別の例では、不活性セラミック基板は、金属基板の表面の酸化(例えば、パッシブ又は天然酸化)によって生存された金属酸化物を含む金属酸化物層である。酸化はまた、酸素雰囲気中で金属基板を熱的に酸化することによって、及び/又は金属基板をより攻撃的な酸化環境(例えば、酸素レベルが上昇した雰囲気)に供することによって誘導されてもよい。
【0103】
金属基板は、粗面加工又はテクスチャ加工された表面を有していてもよい。不活性セラミック基板の粗面加工又はテクスチャ加工された表面に関して上述した実施形態は、金属基板の粗面加工又はテクスチャ加工された表面に等しく適用される。本明細書に記載のいくつかの実施形態又は実施例によれば、金属基板の粗面加工又はテクスチャ加工された表面が、金属基板の表面上にテクスチャ加工された金属酸化物層を生成し、これらが放射性同位体のロード及び固定化を容易にする増強された表面積及び濡れ性を有することが見出された。いくつかの実施形態では、粗い不活性セラミック基板(例えば、粗い金属酸化物基板)は、例えば、パッシブ酸化によって、金属基板の粗面加工された表面上に天然に形成される。代替的に、粗い不活性セラミック基板(例えば、粗い金属酸化物基板)は、本明細書に記載されるように、アノード分極を介して、粗面加工された金属基板又はその電極の表面上に生成される。
【0104】
例として、固定化された放射性同位体を含む不活性セラミック基板の概略図を図1に提供する。不活性セラミック基板は、金属基板(101)と、金属基板上の金属酸化物層(102)と、を含む。一例では、金属酸化物層は、最初に金属基板/電極のアノード酸化によって調製される。放射性同位体の少なくともいくつかは、放射性同位体表面層(例えば、103、104、105、及び107のうちのいずれか1つ以上)として、金属酸化物の表面上又はその付近に結合されている。一例では、放射性同位体表面層を形成する固定化された放射性同位体のいくつかは、不活性金属酸化物の表面の上及び/又は内部に放射性同位体ドープ層(103)として提供され、放射性同位体(104)は、金属酸化物の表面の内部に散在する。代替的に、又は追加的に、放射性同位体表面層を形成する固定化された放射性同位体のいくつかは、金属酸化物の表面上に結合された1つ以上の固体化合物相(例えば、放射性同位体の結晶酸化物相(105))として、又は不活性金属酸化物の表面の上又は内部に結合された放射性同位体のアモルファス相(107)として提供され、いくつかの場合では、放射性同位体ドープ層(103)の上及び/又は内部に結合されてもよい。
【0105】
別の例では、放射性同位体表面層は、図2に提供されるように、不活性セラミック基板の表面上に結合された放射性同位体の1つ以上の固体化合物相として提供され、放射性同位体表面層を形成する固定化された放射性同位体は、金属酸化物の表面上に結合された1つ以上の固体化合物相(例えば、放射性同位体の結晶酸化物相(105))として、又は不活性金属酸化物の表面の上又は内部に結合された放射性同位体のアモルファス相(107)として提供される。
【0106】
放射性同位体表面層は、不活性セラミック基板(101)の金属酸化物表面(102)の表面全体を覆う連続した均一層である必要はないことが理解されるであろう。例えば、図1を参照すると、金属酸化物表面の1つ以上の小さなセクション(106)は、不均一に覆われた結果として、放射性同位体ドープ層(103)を通って突出していてもよい。代替的に、放射性同位体表面層は、不活性セラミック基板の表面上に装飾された親放射性同位体の1つ以上の固体化合物相、例えば、不活性金属酸化物の表面の上又は内部に結合された放射性同位体の1つ以上の結晶酸化物相(105)として、又は放射性同位体のアモルファス相(107)として含んでいてもよい。両方の場合では、金属酸化物層は、固定化された親放射性同位体が連続層を形成するか、又は不活性セラミック基板の表面を装飾する1つ以上の相/セクションを形成するかにかかわらず、依然として本明細書に記載の放射性同位体表面層を含むとみなされる。
【0107】
固定化された放射性同位体を含む不活性セラミック基板を調製するためのプロセス。
本開示はまた、不活性セラミック基板の上又は内部に親放射性同位体を固定化するためのプロセスを提供する。一態様又は実施形態では、不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含む不活性セラミック基板を調製するためのプロセスであって、本プロセスが、a)不活性セラミック基板の表面上に親放射性同位体種を含む溶液を堆積させるステップと、b)不活性セラミック基板を、不活性セラミック基板の上又は内部に親放射性同位体を固定化するのに有効な温度まで加熱するステップと、を含むプロセスが提供される。
【0108】
一実施形態又は例では、不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含む不活性セラミック基板を調製するためのプロセスであって、本プロセスが、a)不活性セラミック基板の表面上に親放射性同位体種を含む溶液を堆積させるステップと、b)不活性セラミック基板を、熱処理された放射性同位体表面層を形成する不活性セラミック基板の表面上又はその付近に親放射性同位体の少なくともいくつかを結合するのに有効な温度まで加熱して、不活性セラミック基板から気体状娘放射性同位体が効果的に放射されることを可能にするステップと、を含む、プロセスが提供される。
【0109】
関連する実施形態又は例では、不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含む不活性セラミック基板を調製するためのプロセスであって、本プロセスが、a)不活性セラミック基板の表面上に親放射性同位体種を含む溶液を堆積させるステップと、b)不活性セラミック基板を、熱処理された放射性同位体表面層を形成する不活性セラミック基板の表面上又はその付近に親放射性同位体の少なくともいくつかを結合するのに有効な温度まで加熱して、不活性セラミック基板から気体状娘放射性同位体が効果的に放射されることを可能にするステップと、を含む、プロセスが提供される。
【0110】
関連する実施形態又は例では、気体状中間体放射性同位体を介して親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して医学的に有用な線量の娘放射性同位体を生成するのに有効な量で不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含む不活性セラミック基板を調製するためのプロセスであって、本プロセスが、a)不活性セラミック基板の表面上に親放射性同位体種を含む溶液を堆積させるステップと、b)不活性セラミック基板を、熱処理された放射性同位体表面層を形成する不活性セラミック基板の表面上又はその付近に親放射性同位体の少なくともいくつかを結合するのに有効な温度まで加熱して、不活性セラミック基板から気体状娘放射性同位体が効果的に放射されることを可能にするステップと、を含む、プロセスが提供される。
【0111】
不活性セラミック基板の酸化的前処理
親放射性同位体種を含む溶液を、不活性セラミック基板の表面上に堆積させる。不活性セラミック基板の表面は、放射性同位体溶液の堆積の前に不活性セラミック基板を酸化的に前処理することによって提供されてもよい。一実施形態では、本プロセスは、本明細書に記載の酸化的前処理によって事前に調製された表面を有する不活性セラミック基板を提供するステップを含む。
【0112】
不活性セラミック基板は、金属の表面上の層であってもよい。一実施形態では、不活性セラミック基板層は、金属の表面上の金属酸化物層である。金属酸化物層は、金属の表面改質によって調製されてもよい。一実施形態では、金属酸化物層は、金属を酸化すること(すなわち、電子が除去される反応)によって調製され、金属の表面上に金属酸化物層を調製してもよい。金属の表面の酸化は、パッシブ(すなわち、空気中で自然に発生する)であり、それによって、金属上に天然の金属酸化物表面層を形成してもよく、又は金属表面の酸化的前処理によってエネルギー的に駆動されてもよい。例えば、金属の表面の酸化は、金属上の表面酸化物層として不活性セラミック基板を形成するために、酸化剤との化学反応を含んでいてもよい。
【0113】
一実施形態では、金属は、熱酸化(すなわち、酸素環境下での加熱)を受けて、金属酸化物層を生成してもよい。別の実施形態では、金属は、アノード分極(アノード酸化とも呼ばれる)を受けて、金属酸化物層を生成してもよい。金属はまた、本明細書に記載されるように、金属基板と呼ばれてもよく、本明細書に記載される酸化は、金属基板の表面上に金属酸化物層を製造することができる。したがって、一実施形態では、不活性セラミック基板は、金属基板の表面上の金属酸化物層である。金属酸化物層は、熱酸化又はアノード分極によって形成されてもよい。
【0114】
熱酸化は、金属(そのゼロ酸化状態)がその表面で大気中の酸素と反応して、金属酸化物化合物の画定可能な層を生成する、十分に理解されているプロセスである。この反応は、既存の薄い表面酸化物フィルムの亀裂に沿って、又はそのようなフィルムを通る拡散によって、金属表面に移動する酸素に依存する。酸素拡散は、温度によって容易になるため、金属を加熱すると、金属の表面上に生成された金属酸化物層の反応速度及び厚さの両方が増加する。金属酸化物層は、変動する化学量論量を有していてもよく、最初に(画定された格子構造を有しない)アモルファス材料として形成されてもよい。
【0115】
一実施形態では、金属は、金属の表面上に金属酸化物(例えば、不活性セラミック基板)の層を形成するのに有効な温度まで、酸素の存在下で加熱される。一実施形態では、金属は、酸素の存在下で、約100℃~約900℃の温度まで加熱される。金属は、酸素の存在下で、(℃で)少なくとも約100、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850又は900の温度で加熱されてもよい。金属は、酸素の存在下で、(℃で)約900、850、800、750、700、650、600、550、500、450、400、380、360、340、320、300、280、260、240、220、200又は100未満の温度で加熱されてもよい。加熱温度は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約200℃~約900℃、又は約300℃~約800℃であってもよい。
【0116】
金属は、酸素の存在下で、室温から所望の加熱温度まで、少なくとも1、1.5、2、2.5、2、3.5、3、4、4.5、5、6、7、8、9又は10℃/分の速度で加熱されてもよい。加熱速度は、これらの下側値の任意の2つによって提供される範囲であってもよい。
【0117】
金属は、金属の表面上に金属酸化物(例えば、不活性セラミック基板)の層を形成するのに有効な期間、酸素の存在下で加熱されてもよい。金属は、約1分間~約24時間の期間、酸素の存在下で加熱されてもよい。金属は、酸素の存在下で、少なくとも約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、又は90(分間)、2、3、4、5、6、8、10、12、14、16、18、20、22又は24時間の期間、加熱されてもよい。金属は、酸素の存在下で、約24、22、20、18、16、14、12、10、8、6、5、4、3、2(時間)、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、又は1(分間)未満の期間、加熱されてもよい。加熱時間は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約10分間~約6時間であってもよい。より長い加熱時間を含む、本明細書に引用されるものに対する他の加熱温度及び時間も想定される。
【0118】
金属は、熱酸化ステップの前にテクスチャ加工された表面を提供するために表面粗面加工ステップに供されてもよい。粗面加工された表面は、不活性セラミック基板に関連して本明細書に記載される。表面粗面加工は、本明細書に記載されるように、金属電極を研磨材料、例えば、炭化タングステンで研磨することによって達成され得る。
【0119】
アノード分極は、制御された厚さを有する金属酸化物層を生成するために使用される電気化学プロセスである。アノード酸化された金属酸化物層は、水性電解質中の正極(アノード)として金属を電気的に分極させ、アノード-電解質界面を横切って直流を通過させることによって成長する。金属酸化物層は、電解質界面から、既に存在する薄い酸化物層を通ってその下にある金属へと拡散する酸素イオンによって形成される。得られる金属酸化物層の厚さは、この輸送を駆動する電圧に依存する。酸化物層の多孔性及び密度などの他の特性を、多くの場合、制御することができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態又は例によれば、本願発明者らは、金属電極のアノード分極を介して調製された不活性セラミック基板が、放射性同位体をその上又はその内部に固定化するための強く強固な基材を提供し、それによって、不活性セラミック基板に密に結合された固定化された放射性同位体から放射された気体状娘放射性同位体の効果的な分離を可能にすることを特定した。
【0120】
一実施形態では、本プロセスは、対向電極の存在下で、電解質溶液中の金属電極をアノード酸化して、アノード酸化可能な金属電極の表面上に金属酸化物基板層を形成することを含む。したがって、一実施形態では、金属酸化物基板は、アノード酸化可能な金属電極の表面のアノード分極によって調製された表面層であってもよい。
【0121】
金属は、金属表面をアノード酸化する前にテクスチャ加工された表面を提供するために表面粗面加工ステップに供されてもよい。粗面加工された表面は、不活性セラミック基板に関連して本明細書に記載される。表面粗面加工は、金属電極を研磨材料、例えば、炭化タングステンで研磨することによって達成され得る。
【0122】
金属又はそのアノードは、例えば、タンタル、ニオブ、チタン、バナジウム、ジルコニウム若しくはアルミニウム、又はそれらの合金を含む、不活性セラミック基板に関連して本明細書に記載されるようなアノード酸化可能な金属であってもよい。一実施形態では、アノード酸化可能な金属基板又はその電極は、タンタルであり、金属酸化物基板層は、本明細書に記載されるように、アモルファス酸化タンタル、Ta、又はその化学量論量未満のバリアントである。
【0123】
アノード酸化は、金属電極の表面を酸化して金属酸化物基板層を形成するのに有効な電圧で実行されてもよい。アノード酸化は、約5V~約120Vの間の電圧で実行されてもよく、これは、同じ電解質溶液中の白金又はタンタル対向電極に関して測定されてもよく、ここで水素に対する水の発生反応が進行するか、又はここで別の電解質種の還元反応が進行する(例えば、約10V~約100V)。アノード酸化は、少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100又は120Vの電圧で実行されてもよい。アノード酸化ステップは、約120、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10又は5V未満の電圧で実行されてもよい。アノード酸化は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約10V~約50Vの電圧で実行されてもよい。アノード酸化は、約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100又は120Vの電圧で実行されてもよい。
【0124】
アノード酸化は、金属電極の表面を酸化して金属酸化物基板層を形成するのに有効な所与の電圧で、ある期間実行されてもよい。アノード酸化は、約15分間~約180分間の期間にわたって実行されてもよい。アノード酸化は、(分間で)少なくとも約5、10、15、30、45、60、75、90、105、120、135、150、165又は180の期間にわたって実行されてもよい。アノード酸化は、(分間で)約180、165、150、135、120、105、90、75、60、45、30、15、10又は5未満の期間にわたって実行されてもよい。アノード酸化は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約15分間~約120分間の期間にわたって実行されてもよい。
【0125】
金属のアノード酸化は、上述のように、2つ以上の電圧で金属電極を分極することを含む段階的なアノード酸化プロセスであってもよい。段階的なアノード酸化プロセスは、約30分間~から約120分間の期間にわたって電圧を約5V~約120Vに増加させることを含んでいてもよい。他の好適な電圧及び時間は、アノード酸化ステップに関連して本明細書に記載される。例えば、アノード酸化シーケンスは、(i)約5V~約15Vの第1の電圧で金属電極をアノード酸化することと、次いで(ii)約15V~約25Vの第2の電圧で金属電極をアノード酸化することと、(iii)約25V~約80V、又は約20V~約40Vの第3の電圧で金属電極をアノード酸化することと、を含んでいてもよい。ステップ(i)は、約10分間~約20分間の期間、実行されてもよい。ステップ(ii)は、約20分間~約40分間の期間にわたって実行されてもよい。ステップ(iii)は、約20分間~約40分間の期間にわたって実行されてもよい。電圧を段階的な様式で増加させることで、不活性金属酸化物基板層の十分に制御された厚さなどの更なる利点を提供してもよい。
【0126】
金属電極は、任意の好適な電解質溶液中でアノード酸化されてもよい。例えば、電解質溶液は、無機酸、例えば、リン酸(HPO)を含む水溶液、又は有機酸、例えば、クエン酸、酒石酸、乳酸、酢酸、マロン酸を含む水溶液、又はそれらの混合物であってもよい。
【0127】
他の実施形態では、金属基板は、酸化的前処理ステップに供されてもよい。
【0128】
不活性セラミック基板を使用して、娘放射性同位体の集団を捕捉する際に使用するために、本明細書に記載される生成器の内部に親放射性同位体を固定化してもよい。
【0129】
一実施形態では、本プロセスは、不活性セラミック基板の表面上に親放射性同位体種を含む溶液を堆積させる前に、不活性セラミック基板の表面を界面活性剤を含む水溶液と接触させることを含み、これにより、堆積された溶液が不活性セラミック基板の表面と十分に低い接触角を有するように、堆積された溶液の表面張力を低下させ、物理的な撹拌を必要とすることなく、表面全体にわたって容易に濡れ、広がることを可能にすることができる。アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はそれらの混合物などの任意の好適な界面活性剤を使用してもよい。
【0130】
放射性同位体溶液の調製及び堆積
本プロセスは、不活性セラミック基板の表面上に親放射性同位体種を含む溶液を堆積させることを含む。この溶液は、親放射性同位体種を溶液中に保持するのに有効な任意の液体を含み、不活性セラミック基板の表面上の親放射性同位体種の効率的なロード及び分散を可能にし得る。
【0131】
一実施形態では、溶液は、水溶液又はアルコール溶液である。水溶液が、ある量の水を含むことが理解されるだろう。例えば、水溶液は、水及び1つ以上の水混和性溶媒、例えばアルコール溶媒を含んでいてもよい。アルコール溶液が、ある量のアルコールを含むことが理解されるだろう。
【0132】
一実施形態では、水溶液は、アルコール溶媒を含む(すなわち、水性アルコール溶液である)。水溶液は、水溶液の総体積に基づいて約20%v/v~50%v/vの量でアルコール溶媒を含んでいてもよい。水溶液は、(水溶液の総体積に基づいて%v/vで)少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65又は70の量でアルコール溶媒を含んでいてもよい。水溶液は、(水溶液の総体積に基づいて%v/vで)約70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10又は5未満の量でアルコール溶媒を含んでいてもよい。水溶液は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、水溶液の総体積に基づいて約20%v/v~50%v/vでアルコール溶媒を含んでいてもよい。アルコール溶媒は、極性溶媒であってもよい。極性溶媒は、放射性同位体と化学的に錯体化することが可能であってもよい。アルコール溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、n-ブタノール、及びそれらの混合物から選択されてもよい。本明細書に記載される適切な溶媒の使用は、その溶液が不活性セラミック基板の表面と十分に低い接触角を有するように、その溶液の表面張力を低下させ、物理的な撹拌を必要とすることなく、表面全体にわたって容易に濡れ、広がることを可能にすることができることが理解されるだろう。
【0133】
水溶液は、本明細書に記載のいくつかの実施形態又は例によれば、その溶液が不活性セラミック基板の表面と十分に低い接触角を有するように、その溶液の表面張力を低下させ、物理的な撹拌を必要とすることなく、表面全体にわたって容易に濡れ、広がることを可能にすることができる界面活性剤を更に含んでもよい。一実施形態では、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はそれらの混合物を含んでいてもよい。一実施形態では、界面活性剤は、ポリエトキシル化脂肪酸エステル又はエトキシル化脂肪族アルコールである。水溶液は、水溶液の総体積に基づいて、約1%v/v~約10%v/vの量で界面活性剤を含んでいてもよい。水溶液は、(水溶液の総体積に基づいて%v/vで)少なくとも約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、5、6、7、8、9又は10の量で界面活性剤を含んでいてもよい。水溶液は、(水溶液の総体積に基づいて%v/vで)約10、9、8、7、6、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、1又は0.5未満の量で界面活性剤を含んでいてもよい。水溶液は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、水溶液の総体積に基づいて約1%v/v~5%v/vで界面活性剤を含んでいてもよい。
【0134】
放射性同位体種は、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩、アンモニウム化合物、及びアニオン性オキソメタレート化合物のうちの1つ以上から選択される水溶性塩又はその水和物として提供されてもよい。一実施形態では、放射性同位体種は、溶媒和又は錯体化されたカチオン形態で提供される。一実施形態では、放射性同位体種は、アニオン性オキソメタレート形態(例えば、[ThO(HPO(HPO)]5-)で提供される。
【0135】
一実施形態では、放射性同位体種は、トリウム化合物若しくはラジウム化合物、又はそれらの組み合わせであってもよい。一実施形態では、放射性同位体種は、トリウム種である。トリウム放射性同位体種は、227Th、228Th及び232Thのうちの少なくとも1つ、又はそれらの組み合わせから選択されてもよい。一実施形態では、放射性同位体種は、硝酸塩又はその水和物として提供されるトリウム種、例えば、硝酸トリウム(Th(NO)である。一実施形態では、放射性同位体種は、ラジウム種である。ラジウム放射性同位体種は、224Ra及び228Raのうちの少なくとも1つ、又はそれらの組み合わせから選択されてもよい。一実施形態では、放射性同位体種は、硝酸塩又はその水和物として提供されるラジウム種、例えば、硝酸ラジウムである。ラジウム放射性同位体種は、その水和カチオン、例えば、水和ラジウム二価カチオン(Ra(HO) 2+)として提供されてもよい。
【0136】
一実施形態では、放射性同位体種は、溶液中に、約0.00001M(mol/L)~約1M、約0.00001M~約0.5M、又は約0.0001M~約0.5Mの濃度で提供される。放射性同位体種は、溶液中に、少なくとも約0.00001、0.0001、0.001、0.002、0.004、0.006、0.008、0.01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.8又は1の濃度で提供されてもよい。放射性同位体種は、溶液中に、(Mで)約1、0.8、0.5、0.45、0.4、0.35、0.3、0.25、0.2、0.15、0.1、0.05、0.01、0.008、0.006、0.004、0.002 0.001、0.0001又は0.00001未満の濃度で提供されてもよい。放射性同位体種の濃度は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約0.005M~約0.05Mであってもよい。
【0137】
本プロセスは、沈殿剤を放射性同位体溶液に添加することを更に含んでいてもよい。沈殿剤は、不活性セラミック基板の表面上に溶液を堆積させる前に、放射性同位体溶液に添加され得る。代替的に、沈殿剤は、放射性同位体溶液が不活性セラミック基板の表面上に堆積された後、かつステップb)の加熱の前に、放射性同位体溶液に添加されてもよい。沈殿剤は、ステップb)の加熱の前に、例えば、放射性同位体種の固体アモルファス化合物として、例えば、放射性同位体種の水酸化物として、溶液からの放射性同位体の沈殿を誘導する。
【0138】
任意の好適な沈殿剤が使用され得る。一実施形態では、沈殿剤は、シュウ酸、水酸化物塩基(例えば、NaOH、NHOH、LiOH)、又はハロゲン化物塩である。一実施形態では、沈殿剤は、シュウ酸である。沈殿剤(例えば、シュウ酸)の濃度は、約0.01mM(ミリモル/L)~約100mMであってもよい。沈殿剤の濃度は、(mMで)少なくとも約0.01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.5、1、2、3、5、10、15、20、30、50、60、80 or 100、150、200、250、300、350、400、450又は500であってもよい。沈殿剤の濃度は、(mMで)約500、450、400、350、300、250、200、150、100、80、60、50、30、20、15、10、5、3、2、1、0.5、0.45、0.4、0.35、0.3、0.25、0.2、0.15、0.1、0.05、又は0.01未満であってもよい。沈殿剤濃度は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲であってもよい。
【0139】
本プロセスは、放射性同位体溶液のpHを、よりアルカリ性のpHに上昇させることを更に含んでもよい。溶液のpHを上昇させることによって、本明細書に記載のいくつかの実施形態又は例によれば、可溶性放射性同位体種/イオンは、アモルファス水酸化物へと合体し、不活性セラミック基板の上又は内部への改善された結合及び固定化を提供することができる。この例では、アモルファス水酸化物は、その後、本明細書に記載されるように、加熱すると、放射性同位体の酸化物相に変換される。pHを上昇させるために使用される好適な添加剤の例としては、例えば、水酸化アンモニウム水溶液を含む1つ以上のアルカリ性化合物が挙げられる。他の固体アミン化合物、例えばヘキサメチレンテトラミンを使用することができる。溶液のpHを、不活性セラミック基板の加熱の前に、例えば、不活性セラミック基板の表面上の堆積した放射性同位体溶液の上に適切な溶液(例えば、水酸化アンモニウム溶液)を滴下することによって、上昇させてもよい。代替的に、放射性同位体溶液は、より高いpH(例えば、放射性同位体溶液のpHよりもよりアルカリ性のpH)を有する溶液が事前に堆積されている不活性セラミック基板の表面上に堆積されてもよい。代替的に、放射性同位体溶液のpHは、不活性セラミック基板の表面上に堆積する前に上昇させてもよい。
【0140】
他の実施形態では、本プロセスは、放射性同位体溶液のpHを、より酸性のpHに低下させることを更に含んでもよい。本明細書に記載のいくつかの実施形態又は実施例によれば、溶液のpHを低下させることによって、可溶性放射性同位体種/イオンは、十分に溶媒和されたままであり、不活性セラミック基板の表面にわたって実質的に凝集することなく分散させることができる。この例では、放射性同位体は、その後、本明細書に記載されるように、セラミック基板化合物の格子イオンと交換する。pHを低下させるために使用される好適な添加剤の例としては、例えば、硝酸水溶液、過塩素酸、トリフルオロ酢酸を含む、1つ以上の酸性化合物が挙げられる。
【0141】
放射性同位体種を含む溶液を、任意の好適な手段によって、例えば、滴下又はマイクロピペッティングによって、不活性セラミック基板の表面上に堆積させてもよい。堆積されると、不活性セラミック基板を、本明細書に記載されるように加熱してもよい(例えば、エクスサイチュ堆積及び加熱)。代替的に、不活性セラミック基板は、親放射性同位体溶液中に浸漬/浸されてもよく、次いで、本明細書に記載されるように加熱してもよい(例えば、エクスサイチュ堆積及び加熱)。溶液の量は、例えば、娘同位体生成物の出力を最大化するために、不活性セラミック基板表面のサイズに応じて改変することができることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、不活性セラミック基板は、堆積した放射性同位体溶液の拡散及び/又は本明細書に記載の沈殿剤及び/又はアルカリ性及び/又は酸性添加剤の混合を容易にするように撹拌される。
【0142】
不活性セラミック基板の熱処理
本プロセスは、不活性セラミック基板を、不活性セラミック基板の表面上又はその付近に親放射性同位体の少なくともいくつかを結合するのに有効な温度まで加熱することを含む。不活性セラミック基板を加熱すると、次いで、不活性セラミック基板の表面上に堆積された溶液を加熱することが理解されるだろう。
【0143】
一実施形態では、不活性セラミック基板の加熱は、不活性セラミック基板の表面上に熱処理された放射性同位体表面層を形成する。一実施形態では、不活性セラミック基板の加熱は、不活性セラミック基板の表面の内部に放射性同位体ドープ層を形成する。一実施形態では、不活性セラミック基板の加熱は、不活性セラミック基板の表面上に結合された放射性同位体の1つ以上の固体化合物相、結晶相又はアモルファス相を形成する。不活性セラミック基板、放射性同位体表面層、熱処理された放射性同位体表面層、固体化合物相、結晶相、及びアモルファス相を本明細書に記載する。
【0144】
加熱するステップは、可溶化された放射性同位体種及び/又は沈殿した放射性同位体種を含む溶液の熱処理とみなされてもよく、放射性同位体種は、親放射性同位体に熱的に分解され、これが不活性セラミック基板の上又は内部に固定化され、したがって、不活性セラミック基板の上又は内部に密に結合する。更に、熱処理は、本明細書に記載されるように、不活性セラミック基板の原子格子の内部での放射性同位体イオンの交換、及びイオンの移動及び散乱を容易にし、それによって表面上に層を形成することができる。
【0145】
ステップb)における不活性セラミック基板は、不活性セラミック基板の表面上又はその付近に放射性同位体を結合するのに有効な温度まで加熱されてもよい。加熱は、溶液中の放射性同位体種(例えば、溶解及び/又は沈殿された放射性同位体種)を、不活性セラミック基板の上又はその内部で交換又は他の方法で化学的に相互作用し、固定化される可動性の親放射性同位体に変換するのに有効な温度であってもよい。溶液の加熱はまた、不活性セラミック基板を加熱することを含み得ることが理解されるであろう。温度は、放射性同位体種に応じて選択されてもよい。一実施形態では、ステップb)での加熱は、約100℃~約650℃の温度である。ステップb)での加熱は、(℃で)少なくとも約100、200、220、240、260、280、300、320、325、340、360、380、400、450、500、550、600又は650の温度であってもよい。ステップb)での加熱は、(℃で)約650、600、550、500、450、400、380、360、340、325、320、300、280、260、240、220、200又は100未満の温度であってもよい。加熱温度は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約200℃~約650℃、又は約300℃~約500℃、例えば、約325℃であってもよい。
【0146】
加熱温度は、少なくとも1、1.5、2、2.5、2、3.5、3、4、4.5、5、6、7、8、9又は10℃/分の加熱速度で得られてもよい。加熱温度は、10、9、8、7、6、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5又は1℃/分未満の加熱速度で得られてもよい。加熱速度は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲であってもよい。
【0147】
ステップb)における不活性セラミック基板は、不活性セラミック基板の表面上又はその付近に放射性同位体を結合するのに有効な期間、加熱されてもよい。加熱は、溶液中の放射性同位体種を、不活性セラミック基板の表面の上又はその内部で交換又は他の方法で化学的に相互作用し、固定化される可動性の親放射性同位体に(例えば、不活性セラミック基板に密に結合された放射性同位体イオンを含む放射性同位体表面層として、例えば、1つ以上の固体化合物相(例えば、不活性セラミック基板の原子格子との放射性同位体の好ましい化学交換に続いて形成され得るアモルファス及び/又は結晶相)として)変換するのに有効な期間であってもよい。
【0148】
一実施形態では、ステップb)での加熱は、約10分間~約24時間の期間である。ステップb)での加熱は、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、又は90(分間)、2、3、4、5、6、8、10、12、14、16、18、20、22又は24時間の期間であってもよい。ステップb)での加熱は、約24、22、20、18、16、14、12、10、8、6、5、4、3、2(時間)、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15又は10(分間)未満の期間であってもよい。加熱時間は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約10分間~約6時間、又は約1時間~約3時間であってもよい。一実施形態では、ステップb)での加熱は、約10分間~約180分間の期間であってもよい。ステップb)での加熱は、(分間で)少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100、120、150又は180の期間であってもよい。ステップb)での加熱は、(分間で)約180、150、120、100、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15又は10未満の期間であってもよい。加熱時間は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲であってもよい。より長い加熱時間を含む、本明細書に引用されるものに対する他の加熱温度及び時間も想定される。
【0149】
ステップb)での加熱は、2ステップの加熱プロセスであってもよい。一実施形態では、ステップb)での加熱は、(i)不活性セラミック基板及び堆積した溶液を、(例えば、水溶液又はアルコール性溶液を取り除く/除去する/蒸発させるために)第1の温度で、不活性セラミック基板の表面上で溶液を乾燥させるのに有効な期間加熱することと、次いで(ii)残留放射性同位体を含む不活性セラミック基板を、親放射性同位体イオンが不活性セラミック基板と交換し、及び/又はそれと化学的に相互作用するのに有効な期間、第2の温度まで加熱することと、を含む。
【0150】
ステップ(i)について、不活性セラミック基板を、約60℃~約130℃の第1の温度まで加熱してもよい。ステップ(i)における不活性セラミック基板を、(℃で)少なくとも約50、60、80、100、110、120、130、140又は150の第1の温度まで加熱してもよい。ステップ(i)における不活性セラミック基板を、(℃で)約150、140、130、120、110、100、80、60又は50未満の第1の温度まで加熱してもよい。ステップ(i)における不活性セラミック基板を、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約50℃~約150℃、又は約80℃~約120℃、例えば、約85℃の第1の温度まで加熱してもよい。ステップ(ii)について、不活性セラミック基板を、約200℃~約650℃の第2の温度まで加熱してもよい。ステップ(ii)における不活性セラミック基板を、(℃で)少なくとも約200、220、240、260、280、300、320、325、340、360、380又は400の第2の温度まで加熱してもよい。ステップ(ii)における不活性セラミック基板を、(℃で)約400、380、360、340、325、320、300、280、260、240、220又は200未満の第2の温度まで加熱されてもよい。ステップ(ii)における不活性セラミック基板を、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約300℃~約500℃、例えば、約325℃の第2の温度まで加熱してもよい。他の加熱温度も想定される。
【0151】
ステップ(i)の場合、不活性セラミック基板を、(分間で)少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、及び60の期間、温度で加熱されてもよい。ステップ(i)での加熱は、(分間で)約60、55、50、45、40、35、30、25、20、15又は10未満の期間であってもよい。ステップ(i)での加熱時間は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約10分間~約60分間、例えば、約30分間であってもよい。ステップ(ii)の場合、不活性セラミック基板を、少なくとも約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、又は90(分間)、2、3、4、5、6、8、10、12、14、16、18、20、22又は24時間にわたって、ある温度に加熱してもよい。ステップ(ii)での加熱は、約24、22、20、18、16、14、12、10、8、6、5、4、3、2(時間)、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15又は10(分間)未満の期間であってもよい。ステップ(ii)での加熱時間は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約10分間~約6時間、約1時間~約3時間、又は約10分間~約180分間であってもよい。より長い加熱時間を含む、ステップ(i)及びステップ(ii)について本明細書に引用されるものに対する他の加熱温度及び時間も想定される。
【0152】
加熱は、好適な炉(例えば、マッフル炉)、窯、オートクレーブ、マイクロ波反応器、又はホットプレートを使用して実施されてもよい。代替的に、加熱は、表面不活性セラミック基板上に堆積した溶液の噴霧熱分解又は噴霧乾燥を使用して実行されてもよい。
【0153】
一実施形態では、ステップb)での加熱は、不活性セラミック基板を加圧下、例えば、密封された容器(例えば、オートクレーブ又はマイクロ波反応器)中で、溶液が加熱中に実質的に蒸発しないように加熱することを含む。一実施形態では、不活性セラミック基板を、約100℃~約240℃の温度で、加圧下で加熱する。不活性セラミック基板を、少なくとも約100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、240、260、280又は300の温度(℃)で、加圧下で加熱してもよい。不活性セラミック基板を、約300、280、260、240、220、210、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110又は100未満の温度(℃)で、加圧下で加熱してもよい。範囲は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供されてもよく、例えば、約100~約220であってもよい。一実施形態では、不活性セラミック基板を、2時間~約24時間の期間、加圧下で加熱してもよい。不活性セラミック基板を、(時間で)少なくとも約0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、8、10、12、14、16、18、20、22又は24の期間、加圧下で加熱してもよい。不活性セラミック基板を、(時間で)約24、22、20、18、16、14、12、10、8、6、5、4、3、2、1、0.5又は0.1未満の期間、加圧下で加熱してもよい。範囲は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって、例えば、0.1時間~約18時間提供されてもよい。いくつかの実施形態では、溶液が高温で蒸発するのを防ぐために実質的な過圧が必要であることが理解される。
【0154】
加圧下での不活性セラミック基板の加熱は、例えば、(i)加圧下、第1の温度で、放射性同位体イオンと不活性セラミック基板のイオンとの間のイオン交換を引き起こすのに有効な期間、不活性セラミック基板及び堆積した溶液を加熱すること、次いで、(ii)加圧下、親放射性同位体が不活性セラミック基板との更なる交換及び/又は化学的な相互作用を受けるのに有効な期間、不活性セラミック基板及び放射性同位体種を第2の温度まで加熱することといった2段階プロセスであってもよい。いくつかの実施形態又は例では、ステップ(i)における加圧下での加熱は、不活性セラミック基板の表面上の中間体固体放射性同位体化合物の小さな領域を生成してもよく、これが(ii)における加圧下での加熱の間に熱分解し、不活性セラミック基板上に結合された放射性同位体の1つ以上の結晶相を形成する。ステップ(i)及び/又はステップ(ii)における圧力下での加熱はまた、セラミック基板表面との放射性同位体イオン交換を容易にし得る。
【0155】
固定化された親放射性同位体を含む不活性セラミック基板を使用して、以下に記載のプロセス、システム及び生成器を使用して、娘放射性同位体を生成することができる。
【0156】
放射性同位体生成器
本開示はまた、娘放射性同位体の集団を捕捉するための放射性同位体生成器を提供する。一態様又は実施形態では、娘放射性同位体の集団を捕捉するためのチャンバを画定する放射性同位体生成器であって、チャンバが、本明細書に記載の任意の態様、実施形態又は例に係る不活性セラミック基板を収容するように構成される、放射性同位体生成器が提供される。本明細書に記載されるように、チャンバの内部に収容された不活性セラミック基板は、気体状中間体放射性同位体を介して親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して医学的に有用な線量の娘放射性同位体を生成する(すなわち、製造する)のに有効な量で不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体を含んでいてもよい。したがって、不活性セラミック基板を収容するチャンバは、娘放射性同位体の集合を製造し(すなわち、生成し)、捕捉することが理解されるだろう。
【0157】
一実施形態では、チャンバは、収集表面を備え、不活性セラミック基板をチャンバ内に収容するように構成され、放射性同位体表面層が、収集表面上の放射された気体状中間体放射性同位体の少なくともいくつかを、娘放射性同位体に崩壊するのに有効な期間収集するために、収集表面に面している。
【0158】
収集表面は、放射された気体状中間体放射性同位体を収集し、保持することが可能な任意の表面、例えば、取り外し可能な皿/トレイ/容器であってもよい。収集表面は、任意の好適な材料を含んでいてもよい。一実施形態では、収集表面は、セルロース材料(例えば、セルロース濾紙)、ポリマー材料(例えば、PTFE)、又はガラスを含んでもよく、又はそれらからなっていてもよい。代替的に、収集表面は、本明細書に記載の収集チャンバの内壁であってもよい。
【0159】
一実施形態では、チャンバは、不活性セラミック基板を収容するように構成されてもよく、放射性同位体表面層は、収集表面とともに照準線内にある。「照準線内」の連通は、放射された気体状中間体放射性同位体の効率的な搬送を可能にするために、その間に障害物(閉じたバルブ又は格納可能な密封部)が存在せず、収集表面及び放射性同位体表面層がチャンバ内で互いにある時点で視界に入っている構成を指すと理解されるだろう。いくつかの実施形態では、チャンバは、例えば、娘放射性同位体が収集表面から抽出されるときに、不活性セラミック基板を収集表面から一時的に物理的に隔離/分離するように構成された1つ以上のバルブ、密封部、及び/又は閉鎖部を備えて構成されてもよい。収集表面からの不活性セラミック基板のそのような物理的な分離は、照準線内の連通を一時的に妨害するが、放射された放射性同位体の収集を行っている場合、チャンバは、ある時点で放射性同位体表面層と収集表面との間の照準線内の連通を提供するように構成されることが理解されるであろう。言い換えれば、そのような照準線内構成は、例えば、娘放射性同位体が収集表面から抽出されているときに、不活性セラミック基板を収集表面から一時的に物理的に隔離/分離するためにチャンバ中に存在する1つ以上の閉鎖部、密封部及び/又はバルブの存在を排除しない。
【0160】
関連する実施形態では、チャンバは、不活性セラミック基板を収容するように構成されてもよく、放射性同位体表面は、収集表面上の放射された気体状中間体の少なくともいくつかの重力支援型収集を可能にするように実質的に下を向いている。例えば、チャンバは、収集面の上に不活性セラミック基板を収容するように構成されてもよい。ここでも再び、このことは、例えば、娘放射性同位体が収集表面から抽出されたときに、不活性セラミック基板を収集表面から物理的に隔離/分離するためにチャンバ中に存在する1つ以上の閉鎖部、密封部又はバルブの存在を排除しない。
【0161】
一実施形態では、放射性同位体生成器は、収集表面上の不活性セラミック基板からの放射された気体状中間体放射性同位体の搬送を容易にするようにキャリアガスをチャンバに導入するように構成されたキャリアガス入口ポートを更に備える。
【0162】
一実施形態では、放射性同位体生成器は、高減圧を適用し、収集表面上の不活性セラミック基板からの放射された気体状中間体放射性同位体の搬送を容易にするようにチャンバを排気するように構成された高減圧ポンプを更に備える。
【0163】
一実施形態では、放射性同位体生成器は、収集表面から娘放射性同位体を収集するように収集流体をチャンバに導入するように構成された流体送達システムを更に備える。いくつかの実施形態では、放射性同位体生成器は、チャンバは、例えば、娘放射性同位体が収集表面から抽出されたときに、不活性セラミック基板をチャンバ内の収集表面から物理的に隔離/分離するように構成された1つ以上のバルブ、密封部、及び/又は閉鎖部を備える。関連する実施形態では、放射性同位体生成器は、娘放射性同位体を含む収集流体をチャンバから搬送するように構成された収集流体出口ポートを更に備える。
【0164】
放射性同位体生成器は、適切な収集流体を使用して、収集表面からの娘放射性同位体生成物を生成物容器内に洗浄するためのシステムを更に備えていてもよい。例えば、生成器は、収集表面上に堆積された娘放射性同位体を収集するように収集流体をチャンバに導入するように構成された流体送達システムを更に備えていてもよい。流体送達システムは、収集流体をチャンバ内に導入するための収集流体入口バルブを介して収集流体入口ポートに連結された収集流体リザーバを備えていてもよい。流体送達システムは、収集流体入口ポートを通って収集流体の一連のパルスをチャンバに導入するように断続的に開放するように操作可能に構成された収集流体入口バルブによって制御されてもよい。
【0165】
生成器は、娘放射性同位体を含む収集流体をチャンバから、例えば、生成物容器に搬送するように構成された収集流体出口ポートを更に備えていてもよい。収集流体出口ポートは、娘放射性同位体を含む収集流体をチャンバから抽出するために断続的に開くように操作可能に構成された収集流体出口バルブ及び/又はポンプによって制御されてもよい。
【0166】
一実施形態では、生成器は、使用中に、24時間の期間内に少なくとも1回の医学的(例えば、臨床的又は全臨床的)線量の娘放射性同位体、例えば、24時間の期間内に少なくとも1、2、3、4又は5回の医学的線量の娘放射性同位体を製造するように構成される。
【0167】
一実施形態では、生成器は、使用中に、少なくとも約1、2、5、10、50、60、90、120、150、200、250、300、400、500、600、700、800、900又は1,000MBqの少なくとも1回の医学的線量の娘放射性同位体(例えば、212Pb)を製造するように構成されてもよい。別の実施形態では、生成器は、使用中に、約1,000、900、800、700、600、500、400、300、250、200、150、120、90、60、50、10、5、2又は1未満の少なくとも1回の医学的線量の娘放射性同位体(例えば、212Pb)を製造するように構成されてもよい。一実施形態では、生成器は、使用中に、少なくとも約50、70、100、120、140、160、180又は200MBqの少なくとも1回の医学的線量の娘放射性同位体(例えば、212Pb)を製造するように構成されてもよい。生成器は、使用中に、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲で、例えば、約50MBq~約200MBqの少なくとも1回の医学的線量の娘放射性同位体(例えば、212Pb)を製造するように構成されてもよい。
【0168】
いくつかの実施形態又は例では、チャンバは、不活性セラミック基板を収容するように構成された本明細書に記載のソースチャンバと、収集表面を含む本明細書に記載の収集チャンバと、を備えていてもよい。チャンバは、ソースチャンバと収集チャンバとを分離する1つ以上の閉鎖部、密封部、及び/又はバルブを更に備えていてもよい。一実施形態又は例では、親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して生成された娘放射性同位体の集団を捕捉するための放射性同位体生成器であって、本生成器が、a)崩壊して気体状中間体放射性同位体を放射する親放射性同位体を固定化するように構成されたソースチャンバと、b)ソースチャンバから放射された気体状中間体放射性同位体を収集するように構成され、娘放射性同位体に崩壊するのに有効な期間、気体状中間体放射性同位体を保持する、収集チャンバと、c)ソースチャンバから収集チャンバへと放射された気体状中間体放射性同位体を搬送するように操作可能に構成されるソースチャンバと収集チャンバを分離する任意選択的なチャンバ間搬送バルブと、含む生成器が提供される。
【0169】
一実施形態では、親放射性同位体は、本明細書に記載の不活性セラミック基板の上又は内部に固定化される。例えば、ソースチャンバは、本明細書に記載されるように、固定化された放射性同位体を含む不活性セラミック基板を収容するように構成されてもよい。
【0170】
生成器は、例えば、ソースチャンバを加圧してソースチャンバと収集チャンバとの間の圧力差を提供するために、ソースチャンバからチャンバ間搬送バルブを通って収集チャンバへの放射された気体状中間体放射性同位体の搬送を容易にするようにキャリアガス流をソースチャンバに導入するように構成されたキャリアガス入口ポートを更に備えていてもよい。キャリアガス入口ポートは、キャリアガスを一連のパルスとしてソースチャンバに導入するように断続的に開放するように操作可能に構成されたキャリアガス入口バルブによって制御されてもよい。
【0171】
生成器は、収集チャンバの高減圧を適用して収集チャンバを排気して、ソースチャンバからチャンバ間搬送バルブを通って収集チャンバへの放射された気体状中間体放射性同位体の搬送を容易にして、例えば、収集チャンバを高減圧になるまで排気して、収集チャンバとソースチャンバとの間の圧力差を提供するように構成された高減圧ポンプを更に備えていてもよい。収集チャンバの排気はまた、収集流体リザーバから収集チャンバへの収集流体の導入も容易にし得る。収集チャンバの高減圧になるまでの排気は、高減圧を収集チャンバに適用するために断続的に開放するように操作可能に構成された高減圧バルブによって制御されてもよい。
【0172】
生成器は、d)適切な収集流体を使用して、収集チャンバからの娘放射性同位体生成物を生成物容器内に洗浄するためのシステムを更に備えていてもよい。例えば、生成器は、収集チャンバの内壁上に堆積された娘放射性同位体を収集するように収集流体を収集チャンバに導入するように構成された流体送達システムを更に備えていてもよい。流体送達システムは、収集流体を収集チャンバ内に導入するための収集流体入口バルブを介して収集流体入口ポートに連結された収集流体リザーバを備えていてもよい。流体送達システムは、収集流体入口ポートを通って収集流体の一連のパルスを収集チャンバに導入するように断続的に開放するように操作可能に構成された収集流体入口バルブによって制御されてもよい。
【0173】
生成器は、娘放射性同位体を含む収集流体を収集チャンバから、例えば、生成物容器に搬送するように構成された収集流体出口ポートを更に備えていてもよい。収集流体出口ポートは、娘放射性同位体を含む収集流体を収集チャンバから抽出するために断続的に開くように操作可能に構成された収集流体出口バルブ及び/又はポンプによって制御されてもよい。
【0174】
「娘放射性同位体を生成するためのプロセス」及び「娘放射性同位体の収集」の見出しの下に記載された態様、例及び実施形態を含む、生成器の特徴は、例えば図8及び本明細書の関連する記載を含め、本明細書に記載される。
【0175】
システム
本開示はまた、親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して生成された娘放射性同位体の集団を製造し、捕捉するためのシステムであって、本システムが、a)生成器と、b)本明細書に記載の任意の態様、実施形態又は例に係る不活性セラミック基板と、を含むシステムを提供する。
【0176】
一態様又は実施形態では、親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して生成された娘放射性同位体の集団を製造し、捕捉するためのシステムであって、本システムが、a)娘放射性同位体の集団を製造し、捕捉するためのチャンバを画定する放射性同位体生成器と、b)チャンバに収容された本明細書に記載の任意の態様、実施形態又は例に係る不活性セラミック基板と、を含むシステムが提供される。
【0177】
不活性セラミック基板は、本明細書に記載の任意の態様、実施形態、又は例に係る不活性セラミック基板であってもよい。放射性同位体生成器は、本明細書に記載の任意の態様、実施形態、又は例に係る生成器であってもよい。
【0178】
一実施形態では、放射性同位体生成器は、ソースチャンバ及び収集チャンバを含むチャンバを画定し、それらの各々は本明細書に記載される。
【0179】
本明細書に記載される放射性同位体生成器、プロセス及び/又は不活性セラミック基板の任意の態様、実施形態又は例は、システムの1つ以上の態様、実施形態又は例を形成し得ることが理解されるだろう。
【0180】
娘放射性同位体を生成するためのプロセス
本開示はまた、娘放射性同位体の集団を捕捉するためのプロセスに関する。本明細書に記載のプロセスによって製造された娘放射性同位体は、気体状中間体放射性同位体を介して親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して生成される。本開示に関連する自然放射性崩壊系列の一例を図7に提供し、228Th崩壊系列を示している。
【0181】
一実施形態又は例では、娘放射性同位体の集団を捕捉するためのプロセスであって、a)本明細書に記載の態様、例又は実施形態に係る不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して生成された気体状中間体放射性同位体の放射を可能にすることと、b)気体状中間体放射性同位体の少なくともいくつかを、娘放射性同位体に崩壊するのに有効な期間収集することと、を含む、プロセスが提供される。
【0182】
本プロセスは、本明細書に記載の任意の態様、実施形態又は例に係る放射性同位体生成器、又は本明細書に記載の任意の態様、実施形態又は例に係るシステムを含んでいてもよい。
【0183】
いくつかの実施形態又は例では、本プロセスは、親放射性同位体をソースチャンバ中に固定化することと、気体状中間体放射性同位体を別個の収集チャンバに搬送し、そこで娘放射性同位体に自然に崩壊することと、を含む。具体的には、本願発明者らは、そのような分離が、親放射性同位体による娘の放射性同位体の汚染を最小限に抑え、より純粋な臨床的生成物などの下流の利点を提供することを特定した。
【0184】
別の態様又は実施形態では、親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して生成された娘放射性同位体の集団を捕捉するためのプロセスであって、本プロセスが、
a)崩壊して気体状中間体放射性同位体を放射する親放射性同位体をソースチャンバ内に固定化するステップと、
b)気体状中間体放射性同位体の少なくともいくつかを、ソースチャンバからチャンバ間搬送バルブを通って収集チャンバへと搬送するステップであって、気体状中間体放射性同位体が、娘放射性同位体に崩壊するのに有効な期間、収集チャンバ中に保持される、搬送するステップと、を含む、プロセスが提供される。
【0185】
一実施形態では、チャンバ間搬送バルブは、断続的に開かれて、ソースチャンバから収集チャンバへの放射された気体状中間体放射性同位体の搬送の非連続的な搬送を生成する。
【0186】
本明細書に記載のプロセスは、放射性同位体生成器を使用して実行することができる。図8を参照すると、娘放射性同位体の集団を単離し、捕捉するための生成器(300)の1つの例示的な実施形態が示されている。生成器は、その中に含まれる固定化された親放射性同位体源(302)、例えば、228Thを収容するように構成されるソースチャンバ(301)を備えている。ソースチャンバ(301)は、気体状中間体放射性同位体を生成することが可能になり、その場所で親放射性同位体が固定化され(302)、ソースチャンバ(301)の基部の内部に放射されるように構成される。放射された気体状中間体放射性同位体は、純粋なガスであってもよく、又はキャリアガス入口バルブ(308)を開くことによって制御されたキャリアガス入口ポートを通ってソースチャンバ(301)に導入された(実線の矢印を参照)キャリアガス(307)の中にあってもよい。一例では、放射された気体状中間体放射性同位体は、220Rnである。キャリアガス(307)は、放射された気体状中間体放射性同位体の捕捉を容易にすることができる。
【0187】
生成器は、ソースチャンバ(301)とは別個の構成要素として収集チャンバ(306)を備える。チャンバ間搬送バルブ(304)を使用して、放射された気体状中間体放射性同位体(303)をソースチャンバ(301)から収集チャンバ(306)に搬送することができる。チャンバ間搬送バルブ(304)は、放射された気体状中間体放射性同位体(303)をソースチャンバから収集チャンバ(306)に搬送するために開放されたままであるか、又は例えば、非連続的な流れ(例えば、一連のパルス)として、断続的に開放されるように構成される。チャンバ間搬送バルブ(304)が断続的に開放されると、収集チャンバ(306)がソースチャンバ(301)と実質的に気体連通していない(すなわち、互いに実質的に隔離されている)閉じた状態と、収集チャンバ(306)とソースチャンバが互いに気体連通している開放状態との間を移動することが理解されるだろう。
【0188】
チャンバ間搬送バルブ(304)を通る気体状中間体放射性同位体の搬送は、本明細書に記載されるように、圧力差によって駆動されてもよい。圧力差は、キャリアガス(307)をソースチャンバ(301)に導入することによって生成されてもよい。追加的に、又は代替的に、圧力差は、高減圧ポンプ(309)を使用して収集チャンバ(306)を排気することによって生成されてもよく、高減圧ポンプ(309)は、高減圧バルブ(310)によって制御することができる(破線の矢印を参照)。
【0189】
収集チャンバ(306)は、放射された気体状中間体放射性同位体を、娘放射性同位体(305)(例えば、収集チャンバ(306)の内壁上に蓄積する高純度の212Pb生成物放射性同位体)に崩壊するのに有効な期間保持するように構成される。娘放射性同位体(305)は、例えば、収集チャンバ(306)に導入される収集流体(311)を用いて容易に収集することができる。収集流体入口バルブ(312)を使用して、収集チャンバ(306)への収集流体(311)の導入を制御することができ、例えば、これを断続的に開放して、収集流体(311)の一連のパルス(点線の矢印を参照)を収集チャンバ(306)に導入することができる。収集チャンバは、収集流体及び娘放射性同位体を抽出するように構成された収集流体出口ポートを備える。収集流体出口バルブを通る収集流体の抽出は、流体出口バルブによって制御することができる。
【0190】
チャンバ間搬送バルブ(304)、キャリアガス入口バルブ(308)、高減圧バルブ(310)、収集流体入口バルブ(312)及び/又は流体出口バルブ(図示せず)は、電子的に制御されたソレノイドバルブであってもよい。様々なコンピュータ制御されたデバイスを利用して、本明細書に記載の1つ以上のバルブの開放のタイミングを自動化し、制御して、放射性同位体製造の任意の適切な態様を自動化し、各生成サイクルで一貫した製造結果を提供することができる。
【0191】
親放射性同位体を収容するソースチャンバ
ソースチャンバは、固定化された親放射性同位体を収容するように構成され、親放射性同位体が崩壊して、気体状中間体放射性同位体を放射する。ソースチャンバはまた、中間体気体状放射性同位体の収集を容易にするようも構成される。親放射性同位体は、基板上に固定化されてもよく、基板は、ソースチャンバ内に収容される。一実施形態では、親放射性同位体は、本明細書に記載の不活性セラミック基板の上又は内部に固定化される。例えば、ソースチャンバは、本明細書に記載されるように、固定化された放射性同位体を含む不活性セラミック基板を収容するように構成されてもよい。
【0192】
一実施形態では、親放射性同位体は、アルファエミッタであり、すなわち、アルファ粒子(すなわち、ヘリウム核)を放出することによって崩壊し、それによって、4減少する質量数及び2減少する原子番号を有する異なる原子核に変換される。
【0193】
気体状中間体放射性同位体を介して崩壊する限り、任意の親放射性同位体を使用してもよいが、一実施形態では、親放射性同位体は、トリウム若しくはラジウムの同位体、又はそれらの組み合わせである。一実施形態では、親放射性同位体は、トリウム放射性同位体である。トリウム放射性同位体は、227Th及び228Thのうちの少なくとも1つ、又はそれらの組み合わせから選択されてもよい。一実施形態では、親放射性同位体放射性同位体は、ラジウムである。ラジウム放射性同位体は、224Ra及び228Raのうちの少なくとも1つ、又はそれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0194】
固定化された親放射性同位体は、後続の崩壊及び(生成物としての)娘放射性同位体の収集のための気体状中間体放射性同位体を生成するのに有効な量で提供されてもよい。親放射性同位体イオンは、医学的に有用な量(例えば、前臨床的及び/又は臨床的に有用な量)の娘放射性同位体を生成するのに有効な量で提供されてもよい。例えば、親放射性同位体イオンは、少なくとも約50、70、100、120、140、160、180又は200MBqの医学的線量の娘放射性同位体(例えば、212Pb)を生成するのに有効な量で提供されてもよい。
【0195】
ソースチャンバは、その中に固定化された親放射性同位体を収容することができる任意の適切なサイズ又は構成であってもよい。ソースチャンバは、ガンマ放射線、又は放射された気体状中間体放射性同位体、例えば、タングステン、タンタル、鉛、ステンレス鋼などの1つ以上の金属材料(それらを含む合金及び/又はサーメット材料を含む)によって影響を受けないように放射線分解性の破壊を受けない材料で構築されてもよい。ソースチャンバはまた、キュービックジルコニアなどの1つ以上のセラミック材料、又は高レベルの放射線耐性を有するポリマー(例えば、ポリアミド)で構築されてもよい。そのような材料は、放射線分解的に安定であり、固定化された親放射性同位体の崩壊中に放出されたアルファ粒子と接触するとき、又は気体状中間体放射性同位体によって、又は関連するガンマ光子流束によって、実質的に損傷を受けない。
【0196】
気体状中間体放射性同位体の非連続的な搬送
本明細書に記載のプロセスは、親放射性同位体をソースチャンバ中に固定化することと、気体状中間体放射性同位体を別個の収集チャンバに搬送し、そこで娘放射性同位体に自然に崩壊することと、を含む。少なくとも本明細書に記載のいくつかの実施形態又は例によれば、そのような分離は、親放射性同位体による娘放射性同位体の汚染を最小限に抑え、より安全かつ/又はより活性の高い臨床的生成物などの下流の利点を提供する。
【0197】
気体状中間体放射性同位体は、チャンバ間搬送バルブを介してソースチャンバから収集チャンバに搬送される。一実施形態では、チャンバ間搬送バルブは、放射された気体状放射性同位体をソースチャンバから収集チャンバに搬送するのに有効な期間、断続的に開放されてもよい。
【0198】
本明細書に記載の1つ以上のバルブの動作に関連して、「断続的に開放された」及び「断続的に開放する」という用語は、バルブを何度も開閉して、バルブを通る媒体(例えば、気体又は液体)の非連続的な流れを生成することを指す。言い換えれば、バルブは、閉じた状態と開放状態との間を何度も移動する。例えば、チャンバ間搬送バルブの断続的な開放に関連して、バルブは、通常の閉じた位置で構成されてもよく、何度も繰り返し開放され、ソースチャンバから収集チャンバへの放射された気体状中間体放射性同位体の中断された非連続的な搬送を提供する。バルブの断続的な開放は、任意の回数、例えば、収集チャンバからの娘放射性同位体の抽出及び収集の前に、少なくとも2、5、10、20、30、40、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3400、3800、4200、4600、5000、5400、5800、6200、7000、8000、9000又は10,000回のバルブ開放を含んでいてもよい。
【0199】
少なくとも本明細書に記載のいくつかの実施形態又は例によれば、本願発明者らは、チャンバ間搬送バルブが断続的に開放され、ソースチャンバから収集チャンバへの気体状中間体放射性同位体の非連続的な搬送を行う場合、収集された娘放射性同位体の放射性化学的純度及び/又は活性収率を改善することができることを見出した。
【0200】
チャンバ間搬送バルブが各々の開放状態にあるとき、バルブは、ソースチャンバから収集チャンバに気体状中間体放射性同位体を搬送するのに有効な期間、開放される。一実施形態では、チャンバ間搬送バルブは、約10ミリ秒から約500ミリ秒の期間、各々の開放状態にある。各々の開放状態にあるチャンバ間搬送バルブは、(ミリ秒で)少なくとも約10、20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、240、260、280、300、350、400、450又は500の期間、開放されてもよい。チャンバ間搬送バルブは、(ミリ秒で)約500、450、400、350、300、280、260、240、200、180、160、140、120、100、80、60、40、20又は10未満の期間、開放されてもよい。各々の開放状態にあるチャンバ間搬送バルブは、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約20ミリ秒~約90ミリ秒の期間、開放されてもよい。
【0201】
チャンバ間搬送バルブの断続的な開放は、気体状中間体放射性同位体の最適な非連続的な搬送を達成するために、任意の適切な間隔で行われてもよい。例えば、チャンバ間搬送バルブの各々の開放間の間隔は、気体状中間体放射性同位体が各々の開放の間にソースチャンバ中の濃度で成長するのに十分な時間を可能にするように構成されてもよい。
【0202】
一実施形態では、チャンバ間搬送バルブは、前のバルブ開放の後に約3秒間~約10分間の間隔で断続的に開放され、ソースチャンバから収集チャンバへの放射された気体状放射性同位体の非連続的な搬送を提供してもよい。チャンバ間搬送バルブは、前のバルブ開放の後に少なくとも約3、4、5、6、8、10、15、30、60秒間、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5又は10分間の間隔で断続的に開放されてもよい。チャンバ間搬送バルブは、前のバルブ開放の後に約10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5分間、60、30、15、10、8、6、5、4又は3秒間未満の間隔で断続的に開放されてもよい。前のバルブ開放後の間隔は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約10秒間~約10分間、約1分間~約10分間、約1分間~約5分間、例えば、約2分間であってもよい。
【0203】
チャンバ間搬送バルブの断続的な開放は、任意の回数のバルブ開放を含んでいてもよい。一実施形態では、チャンバ間搬送バルブは、収集チャンバからの娘放射性同位体の抽出及び収集の前に、50回~10,000回断続的に開放されてもよい。チャンバ間搬送バルブは、収集チャンバからの娘放射性同位体の抽出及び収集の前に、少なくとも50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3400、3800、4200、4600、5000、5400、5800、6000、6200、7000、8000、9000又は10,000回断続的に開放されてもよい。チャンバ間搬送バルブは、収集チャンバからの娘放射性同位体の抽出及び収集の前に、10,000、9000、8000、7000、6000、6200、5800、5400、5000、4600、4200、3800、3400、3000、2800、2600、2400、2200、2000、1900、1800、1700、1600、1500、1400、1300、1200、1000、900、800、700、600、500、400、300、200、100又は50未満の回数断続的に開放されてもよい。チャンバ間搬送バルブは、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲の回数開放されてもよい。
【0204】
本明細書に記載のいくつかの実施形態又は例によれば、本願発明者らは、チャンバ間搬送バルブが断続的に開放される間隔を調整することによって、娘放射性同位体の全体的な収率を最適化することができることを特定した。例えば、本明細書に記載のチャンバ間搬送バルブの断続的な開放は、ソースチャンバからの気体状中間体放射性同位体の「ショット状の(shot-wise)」搬送、及び収集チャンバへの「段階状の(step-wise)」蓄積を可能にする。気体状中間体放射性同位体のこの「ショット状の」搬送の利点としては、例えば、気体状中間体放射性同位体が分布し、そこから娘放射性同位体生成物が収集されなければならない更に少ない表面積を有していてもよく、したがって、樹脂ベースのイオン交換ソースチャンバからの気体状中間体放射性同位体の連続的な搬送及び捕捉に依存する、より大きな生成器と比較して、生成器の全体的なサイズ/フットプリントを減少させる。少なくとも本明細書に記載のいくつかの実施形態又は例によれば、一連のパルスとしての220Rn(例えば、放射された気体状中間体放射性同位体)の非連続的な搬送は、低レベルの安定した娘同位体208Pb(228Th/212Pbの天然崩壊における最終娘同位体である、図7を参照)を有する212Pbの単離及び収集も可能にする。220Rnのショット状の蓄積及び搬送は、収集チャンバ内に有用な臨床用量を蓄積するのにかかる時間が少なく、次いで、チャンバ間搬送バルブの断続的な開放によって可能になるため、212Pb生成物中の208Pbのレベルを下げることができる。208Pbから212Pbを化学的に分離することは不可能であるため、208Pbよりも多くの212Pbを有する生成物を捕捉することで、標的化リガンドのより有効な放射線標識、より高い比活性線量、及び最終的には放射線薬学(例えば、放射線リガンド療法)で使用するためのより有効かつより安全な治療薬をもたらすことができる。
【0205】
チャンバ間搬送バルブは、(MBqで)約20~約500の活性を有する収集チャンバ中の娘放射性同位体を提供するのに有効な間隔で断続的に開放されてもよい。チャンバ間搬送バルブは、(MBqで)少なくとも約20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280、300、340、380、420、460又は500の活性を有する収集チャンバ中の娘放射性同位体を提供するのに有効な間隔で断続的に開放されてもよい。チャンバ間搬送バルブは、(MBqで)約500、460、420、380、340、300、280、260、240、220、200、180、160、140、120、100、80、60、40、又は20未満の活性を有する収集チャンバ中の娘放射性同位体を提供するのに有効な間隔で断続的に開放されてもよい。範囲は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供されてもよい。
【0206】
一実施形態では、ソースチャンバ中の気体状中間体放射性同位体の活性は、チャンバ間搬送バルブの開放の前に、親放射性同位体の活性の約5%~99%である。ソースチャンバ中の気体状中間体放射性同位体の活性は、チャンバ間搬送バルブの開放の前に、親放射性同位体の活性の少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90又は99%であってもよい。ソースチャンバ中の気体状中間体放射性同位体の活性は、チャンバ間搬送バルブの開放の前に、親放射性同位体の活性の99、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10又は5%未満であってもよい。活性%は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲であってもよい。
【0207】
一実施形態では、ソースチャンバ中の気体状中間体放射性同位体の活性は、チャンバ間搬送バルブの開放の前に、約10kBq~約1,000,000kBqである。ソースチャンバ中の気体状中間体放射性同位体の活性は(kBqで)、チャンバ間搬送バルブの開放の前に、少なくとも約10、100、1000、10,000、100,000、200,000、300,000、400,000、500,000、600,000、700,000、800,000、900,000又は1,000,000であってもよい。ソースチャンバ中の気体状中間体放射性同位体の活性は(kBqで)、チャンバ間搬送バルブの開放の前に、1,000,000、900,000、800,000、700,000、600,000、500,000、400,000、300,000、200,000、100,000、10,000、1000、100又は10未満であってもよい。活性は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約100kBq~約500,000kBqであってもよい。活性は、本明細書に記載される、不活性セラミック基板上の親放射性同位体の活性から導出可能な理論的な長期平衡活性から推定されてもよい。
【0208】
一実施形態では、チャンバ間搬送バルブは、a)気体状中間体放射性同位体の活性が、ソースチャンバ中の気体状中間体放射性同位体の最大成長速度の約20%~約80%である成長速度であるか、又はそれに近い(すなわち、チャンバ間搬送バルブが、ソースチャンバから気体状中間体放射性同位体を搬送するように開放される時点が、親放射性同位体からの気体状中間体放射性同位体の一時的な成長曲線の最も勾配が急な部分の約20%~約80%である点であるか、又はそれに近い、図10を参照)場合に、開放される。代替的に、又は追加的に、チャンバ間搬送バルブは、b)先行する搬送の後に収集チャンバ中に保持された気体状中間体放射性同位体が、親放射性同位体からの気体状中間体放射性同位体の一時的な成長曲線の最も勾配が急な部分の約20%~約80%である点まで崩壊する場合に、開放される。
【0209】
本明細書に記載のいくつかの実施形態又は例によれば、ソースチャンバ中の気体状中間体放射性同位体の最適な活性に対応する間隔でのみチャンバ間搬送バルブを開放し、最大成長速度の観点で、娘放射性同位体に崩壊することを可能にする最適な期間、収集チャンバ中に前に搬送された気体状中間体放射性同位体を保持することとのバランスを取ることによって、娘放射性同位体の全体的な収率が増加する。ソースチャンバ中の気体状放射性同位体活性の最大成長速度を利用する間隔の一例は、前のバルブ開放の後にチャンバ間移送バルブを約1分間~約5分間、例えば、約2分間開放することである。
【0210】
圧力駆動型及び高減圧駆動型の気体搬送事象
一実施形態では、放射された気体状中間体放射性同位体のチャンバ間搬送バルブを通る搬送は、ソースチャンバと収集チャンバとの間の圧力差によって駆動される。圧力差は、ソースチャンバに適用される正圧、及び/又は収集チャンバに適用される負圧(すなわち、高減圧)によって提供されてもよい。
【0211】
一実施形態では、圧力差は、ソースチャンバをキャリアガスで加圧することによって生成され、チャンバ間搬送バルブを開放すると、ソースチャンバから収集チャンバへの放射された気体状中間体放射性同位体を含むキャリアガスの高圧駆動型ガス搬送事象を提供する。この実施形態では、チャンバ間搬送バルブを開放すると、圧力差が、放射された気体状中間体放射性同位体をソースチャンバからチャンバ間搬送バルブを通って収集チャンバに「押し出す」。
【0212】
一実施形態では、ソースチャンバは、各々の高圧駆動型ガス搬送事象の前に、キャリアガスによって加圧されてもよい(例えば、各々の高圧駆動型ガス搬送事象の前に、ソースチャンバが加圧される)。代替的に、ソースチャンバ中で生成された圧力は、2つ以上の高圧駆動型ガス搬送事象(例えば、ソースチャンバの単一の加圧の後の2つ以上の高圧駆動型ガス搬送事象)を提供するのに有効な場合がある。
【0213】
一実施形態では、キャリアガスは、キャリアガス入口ポートを介して、流れとしてソースチャンバに導入される。一実施形態では、ソースチャンバへのキャリアガスの導入は、ソースチャンバへのキャリアガスの非連続的な流れを導入するために断続的に開放されるキャリアガス入口バルブによって制御される。一実施形態では、キャリアガスは、キャリアガス入口ポートを介してソースチャンバに導入される。一実施形態では、ソースチャンバへのキャリアガスの導入は、ソースチャンバへのキャリアガスの非連続的な流れを導入するために断続的に開放されるキャリアガス入口バルブによって制御される。ソースチャンバは、断続的に開放されたキャリアガス入口バルブを介してキャリアガスをソースチャンバに導入するように構成されたキャリアガス入口ポートに接続される。キャリアガスのソースチャンバへの導入はまた、ソースチャンバを加圧してもよい。
【0214】
キャリアガスは、放射性同位体(すなわち、親、中間体及び/若しくは娘放射性同位体)及び/又は生成器の成分である構成要素と反応しない任意の不活性ガスを含んでいてもよい。一実施形態では、キャリアガスは、アルゴン、ヘリウム、窒素、又はそれらの混合物を含む。一実施形態では、キャリアガスは、アルゴンを含む。
【0215】
一実施形態では、ソースチャンバは、チャンバ間搬送バルブを開放する前に、約0.5bar~約8bar(ゲージ)の圧力までキャリアガス(307)によって加圧して、ソースチャンバから収集チャンバへの放射された気体状中間体放射性同位体を含むキャリアガスの高圧駆動型ガス搬送事象を提供してもよい。ソースチャンバは、チャンバ間搬送バルブを開放する前に、(barで)少なくとも約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、又は8までの圧力までキャリアガスによって加圧して、ソースチャンバから収集チャンバへの放射された気体状中間体放射性同位体を含むキャリアガスの高圧駆動型ガス搬送事象を提供してもよい。ソースチャンバは、チャンバ間搬送バルブを開放する前に、(barで)約8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5、1又は0.5未満の圧力までキャリアガスによって加圧して、ソースチャンバから収集チャンバへの放射された気体状中間体放射性同位体を含むキャリアガスの高圧駆動型ガス搬送事象を提供してもよい。圧力は、チャンバ間搬送バルブを開放する前に、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約0.5bar~約5bar、約0.75bar~約4bar、又は約1bar~約2.5barであってもよく、ソースチャンバから収集チャンバへの放射された気体状中間体放射性同位体を含むキャリアガスの高圧駆動型ガス搬送事象を提供してもよい(例えば、約1.7bar)。
【0216】
キャリアガス入口バルブ(308)が各々の開放状態にあるとき、バルブは、キャリアガス流でソースチャンバを加圧するのに有効な期間、例えば、約10ミリ秒から約300ミリ秒開放される。各々の開放状態にあるキャリアガス入口バルブは、(ミリ秒で)少なくとも約10、20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、240、260、280又は300の期間、開放されてもよい。各々の開放状態にあるキャリアガス入口バルブは、(ミリ秒で)約300、280、260、240、200、180、160、140、120、100、80、60、40、20又は10未満の期間、開放されてもよい。各々の開放状態にあるキャリアガス入口バルブは、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約80ミリ秒~約140ミリ秒、例えば、約120ミリ秒の期間、開放されてもよい。
【0217】
別の実施形態では、圧力差は、収集チャンバを高減圧になるまで排気することによって生成され、チャンバ間搬送バルブを開放すると、ソースチャンバから収集チャンバへの放射された気体状中間体放射性同位体の高減圧駆動型ガス搬送事象を提供する。この実施形態では、チャンバ間搬送バルブを開放すると、圧力差が、放射された気体状中間体放射性同位体をソースチャンバからチャンバ間搬送バルブを通って収集チャンバに「引っ張る」。
【0218】
一実施形態では、収集チャンバは、各々の高減圧駆動型ガス搬送事象の前に、高減圧になるまで排気されてもよい(例えば、各々の高減圧駆動型ガス搬送事象の前に、収集チャンバが排気される)。代替的に、ソースチャンバ中で生成された高減圧は、2つ以上の高減圧駆動型ガス搬送事象(例えば、収集チャンバの単一の排気の後の2つ以上の高減圧駆動型ガス搬送事象)を提供するのに有効な場合がある。
【0219】
収集チャンバの高減圧になるまでの排気は、圧力差を作成するために収集チャンバに高減圧を適用して排気するように構成された高減圧ポンプ(309)によって提供されてもよい。収集チャンバに適用される高減圧は、収集チャンバを排気し、圧力差を生成するために断続的に開放される高減圧バルブ(310)によって制御されてもよい。
【0220】
収集チャンバは、ソースチャンバと収集チャンバとの間の圧力差を生成するのに有効な高減圧になるまで排出されてもよい。一実施形態では、収集チャンバは、チャンバ間搬送バルブを開放する前に、約1mbar~約400mbarの高減圧になるまで排気され、ソースチャンバから収集チャンバへの放射された気体状中間体放射性同位体の高減圧駆動型ガス搬送事象を提供する。収集チャンバは、チャンバ間搬送バルブを開放する前に、(mbarで)少なくとも約1、2、5、10、20、40、60、80、100、150、100、200、250、300、350又は400の高減圧になるまで排気され、ソースチャンバから収集チャンバへの放射された気体状中間体放射性同位体の高減圧駆動型ガス搬送事象を提供してもよい。収集チャンバは、チャンバ間搬送バルブを開放する前に、(mbarで)400、350、300、250、200、150、100、80、60、40、20、10、5、2又は1未満の高減圧になるまで排気され、ソースチャンバから収集チャンバへの放射された気体状中間体放射性同位体の高減圧駆動型ガス搬送事象を提供してもよい。高減圧は、チャンバ間搬送バルブを開放する前に、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約5mbar~約80mbarであってもよく、ソースチャンバから収集チャンバへの放射された気体状中間体放射性同位体の高減圧駆動型ガス搬送事象を提供してもよい。
【0221】
一実施形態では、収集チャンバは、チャンバ間搬送バルブを開放する前に、約0.5秒~約20秒の期間、高減圧になるまで排気されてもよい。収集チャンバは、チャンバ間搬送バルブを開放する前に、(秒で)少なくとも約0.5、1、2、3、4、6、8、10、12、14、16、18又は20の期間、高減圧になるまで排気されてもよい。収集チャンバは、チャンバ間搬送バルブを開放する前に、(秒で)約20、18、16、14、12、10、8、6、4、3、2、1又は0.5未満の期間、高減圧になるまで排気されてもよい。排気時間は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約0.8秒間~約3秒間であってもよい。
【0222】
一実施形態では、チャンバ間搬送バルブの断続的な開放は、ガス搬送事象の少なくとも1つのシーケンスを含み、ガス搬送事象の少なくとも1つのシーケンスは、ソースチャンバから収集チャンバへの気体状中間体放射性同位体の少なくとも1つの高圧駆動型ガス搬送事象及び少なくとも1つの高減圧駆動型ガス搬送事象を含む。1つの高圧駆動型ガス搬送事象及び少なくとも1つの高減圧駆動型ガス搬送事象は、任意の順序で行うことができる。ガス搬送事象のシーケンスはまた、本明細書に記載されるように、「サイクル」又は「生成サイクル」と呼ばれてもよい。
【0223】
一実施形態では、ガス搬送事象の少なくとも1つのシーケンスは、高減圧駆動型ガス搬送事象の前又は後に、2~20回の高圧駆動型ガス搬送事象からなる。ガス搬送事象の少なくとも1つのシーケンスは、高減圧駆動型ガス搬送事象の前又は後に、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20回の高圧駆動型ガス搬送事象からなっていてもよい。ガス搬送事象の少なくとも1つのシーケンスは、高減圧駆動型ガス搬送事象の前又は後に、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3又は2回未満の高圧駆動型ガス搬送事象からなっていてもよい。シーケンス中の高減圧駆動型ガス搬送事象の前又は後の高圧駆動型ガス搬送事象の数は、高減圧駆動型ガス搬送事象の前又は後に、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、2~10、2~8、2~6、又は2~5回の高圧駆動型ガス搬送事象であってもよい。本明細書に記載のいくつかの実施形態又は例によれば、図11に示されるように、高減圧駆動型ガス搬送事象の前又は後の2つ以上の高圧駆動型ガス搬送事象からなるガス搬送事象のシーケンスは、収集チャンバ中の娘放射性同位体の最適な収率を達成することができる。
【0224】
あらゆる高減圧駆動型ガス搬送事象についての高圧駆動型ガス搬送事象の数は、比として提供することもできる。一実施形態では、ガス搬送事象の少なくとも1つのシーケンスは、1:1~20:1の高減圧駆動型ガス搬送事象に対する高圧駆動型ガス搬送事象の比を有する。ガス搬送事象の少なくとも1つのシーケンスは、少なくとも約1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1 16:1 17:1 18:1、19:1又は20:1の高減圧駆動型ガス搬送事象に対する高圧駆動型ガス搬送事象の比を有していてもよい。ガス搬送事象の少なくとも1つのシーケンスは、20:1、19:1、18:1、17:1、16:1、15:1、14:1、13:1、12:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1又は1:1未満の高減圧駆動型ガス搬送事象に対する高圧駆動型ガス搬送事象の比を有していてもよい。高減圧駆動型ガス搬送事象に対する高圧駆動型ガス搬送事象の比は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、1:1~20:1、例えば、1:1~10:1、1:1~8:1、1:1~6:1、又は1:1~5:1、例えば、1:1~10:1、1:1~8:1、1:1~6:1、又は1:1~5:1であってもよい。
【0225】
ガス搬送事象のシーケンスは、任意の回数繰り返されてもよい。一実施形態では、本明細書に記載のガス搬送事象のシーケンスは、収集チャンバからの娘放射性同位体の抽出及び収集の前に、10回~2000回繰り返されてもよい。本明細書に記載のガス搬送事象のシーケンスは、少なくとも10、50、100、150、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900又は2000繰り返されてもよい。
【0226】
本明細書に記載のいくつかの実施形態又は例によれば、本願発明者らは、高圧駆動型ガス搬送事象及び高減圧駆動型ガス搬送事象の組み合わせを使用した断続的に開放されるチャンバ間搬送バルブを介して気体状中間体放射性同位体を搬送することで、収集チャンバ中の娘放射性同位体の全体的な収率を増加させることができることを特定した。例えば、a)生成器非常に高いガス圧力を管理するように操作される必要はなく、かつ/又はb)大量の気体状中間体同位体が、高減圧駆動型ガス搬送事象の間に高減圧系に失われず、娘同位体収集チャンバ中に保持されることを含む、1つ以上の利点は、高圧駆動型ガス搬送事象及び高減圧駆動型ガス搬送事象の組み合わせを使用することによって提供することができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態又は例によれば、高減圧駆動型ガス搬送事象に対する高圧駆動型ガス搬送事象の比を増加させることで、図11に示されるように、収集チャンバ中の全体的な娘放射性同位体の活性を増加させることができる。
【0227】
各々のガス搬送事象の間の間隔は、前のガス搬送事象の後に約3秒間~約10秒間であってもよく、ソースチャンバから収集チャンバへの放射された気体状放射性同位体の非連続的な搬送を提供してもよい。断続的な開放の各々のガス搬送事象の間の間隔は、前のガス搬送事象の後に、少なくとも約3、4、5、6、8、10、15、30、60秒間、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5又は10分間であってもよい。断続的な開放の各々のガス搬送事象の間の間隔は、前のガス搬送事象の後に、約10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、1.5分間、60、30、15、10、8、6、5、4又は3秒間未満であってもよい。断続的な開放の各々のガス搬送事象の間の間隔は、前のガス搬送事象の後に、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約10秒間~約10分間、約1分間~約10分間、約1分間~約5分間、例えば、約2分間であってもよい。
【0228】
本明細書に記載のいくつかの実施形態又は例によれば、チャンバ間搬送バルブが開放されるたびに、高圧駆動型ガス搬送事象又は高減圧駆動型ガス搬送事象が1回だけ起こることが理解されるであろう。単なる例として、断続的な開放は、高減圧駆動型ガス搬送事象の前又は後に、5回の高圧駆動型ガス搬送事象からなるガス搬送事象の少なくとも1つのシーケンスを含んでいてもよく、各々のガス搬送事象は、2分間の間隔によって分離される。この例では、チャンバ間搬送バルブのあらゆる6回目の開放が、高減圧駆動型ガス搬送事象であり、チャンバ間搬送バルブの各々の開放が、前のバルブ開放の2分後に起こる。次いで、シーケンスは、収集チャンバ中の娘放射性同位体の所望な活性に達するまで、任意の回数繰り返されてもよく、その後、それを収集し、抽出することができる。
【0229】
本明細書に記載されるように、親放射性同位体が崩壊して、気体状中間体放射性同位体を放射する。気体状中間体放射性同位体は、ラドン-219(219Rn)、ラドン-220(220Rn)、又はそれらの混合物であってもよい。一実施形態では、気体状中間体放射性同位体は、220Rnである。
【0230】
娘放射性同位体の捕捉
ソースチャンバから収集チャンバに搬送されると、気体状中間体放射性同位体は、娘放射性同位体に自然に崩壊するのに有効な期間、収集チャンバ中に保持される。崩壊期間中に製造される娘放射性同位体の量は、医療用途に有用な場合がある。収集チャンバは、本開示の「放射性同位体抽出」の態様及び実施形態の下でを含め、本明細書に記載される。
【0231】
一実施形態では、本明細書に記載のプロセスは、ソースチャンバ中に固定化された親放射性同位体の約5%~約80%の活性を有する収集チャンバ中の娘放射性同位体を生成する。本明細書に記載のプロセスは、24時間以内に、親放射性同位体活性の少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70又は80%の活性を有する収集チャンバ中の娘放射性同位体を生成してもよい。本プロセスは、親放射性同位体活性の約80、70、60、50、40、30、20、10又は5%未満の活性を有する収集チャンバ中の娘放射性同位体を生成してもよい。活性パーセント範囲は、これらの上限及び/又は下限値のいずれか2つによって提供されてもよい。
【0232】
娘放射性同位体は、本明細書に記載の気体状中間体放射性同位体の任意の崩壊生成物であってもよく、ソースチャンバ中に固定化された親放射性同位体に依存するが、いくつかの実施形態では、娘放射性同位体は、鉛放射性同位体若しくはビスマス放射性同位体、又はそれらの混合物、例えば、鉛-211(211Pb)及び/又はビスマス-211(211Bi)、鉛-212(212Pb)及び/又はビスマス-212(212Bi)、又はそれらの混合物であり、それらの娘放射性同位体を含む。一実施形態では、娘放射性同位体は、212Pb若しくは211Pb、又はそれらの混合物である。
【0233】
娘放射性同位体は、放射性標識薬物用途において治療用放射性同位体として使用することができる。娘放射性同位体は、臨床的に関連する量で収集チャンバ中で生成することができる。したがって、娘放射性同位体は、本明細書に記載されるように、収集チャンバから抽出され、収集され、使用され得る生成物であってもよいことが理解されるだろう。
【0234】
一実施形態では、プロセスは、24時間の期間内に少なくとも1回の医学的(例えば、臨床的又は全臨床的)線量の娘放射性同位体、例えば、24時間の期間内に少なくとも1、2、3、4又は5回の医学的線量の娘放射性同位体を生成する。本プロセスは、少なくとも約50、70、100、120、140、160、180又は200MBqの医学的線量の娘放射性同位体(例えば、212Pb)を生成してもよい。
【0235】
一実施形態では、本プロセスは、例えば、本明細書に記載の収集表面又はチャンバから娘放射性同位体の少なくともいくつかを回収するステップを更に含む。娘放射性同位体の少なくともいくつかの回収は、本開示の態様及び実施形態の「放射性同位体抽出」の下でを含め、本明細書に記載される。娘放射性同位体は、必要な回数のガス搬送事象シーケンスのサイクルが実行された後、及び/又は収集チャンバ中の娘放射性同位体の活性が所望なレベルに達したら、収集チャンバから回収されてもよい。
【0236】
一実施形態では、回収された娘放射性同位体は、放射線薬学において使用することができる。例えば、回収された娘放射性同位体は、放射性リガンド療法などの放射性薬剤としての使用のために標的化分子にコンジュゲートされてもよい。本開示の「用途」の態様及び実施形態の下でを含む、回収された娘放射性同位体の様々な用途及び使用が本明細書に記載されている。
【0237】
本プロセスで使用/生成される親放射性同位体、気体状中間体放射性同位体、及び娘放射性同位体が本明細書に記載される。本プロセスに関連する一実施形態では、親放射性同位体は、トリウム-227(227Th)及びトリウム-228(228Th)のうちの少なくとも1つから選択されるトリウム放射性同位体である。本プロセスに関連する一実施形態では、気体状中間体放射性同位体は、ラドン-219(219Rn)及びラドン-220(220Rn)のうちの少なくとも1つから選択されるラドン放射性同位体である。本プロセスに関連する一実施形態では、娘放射性同位体は、鉛-211(211Pb)又は鉛-212(212Pb)のうちの少なくとも1つから選択される鉛放射性同位体である。
【0238】
娘放射性同位体の収集
本願発明者らは、収集表面が本明細書に記載の収集チャンバの内壁である場合を含む、本明細書に記載の収集表面上で成長し、蓄積した(例えば、捕捉/収集された)娘放射性同位体を回収するためのプロセスを開発した。(気体状中間体放射性同位体の自然崩壊の結果として)収集表面上に蓄積した娘放射性同位体を集めるための収集流体を導入することにより、娘放射性同位体は、例えば、放射性リガンド療法などの臨床放射線薬学用途において、生成物として容易に使用することができる流体中の収集表面から抽出することができる。
【0239】
一態様又は実施形態では、放射性同位体生成器のチャンバ中の収集表面から娘放射性同位体の集団を回収するためのプロセスであって、本プロセスが、
a)収集流体を収集流体入口ポートを通ってチャンバに導入して、収集表面上に堆積した娘放射性同位体を収集するステップと、
b)収集流体出口ポートを通ってチャンバから娘放射性同位体を含む収集流体を抽出して、娘放射性同位体を回収するステップと、を含む、プロセスが提供される。
【0240】
一態様又は実施形態では、収集チャンバ中に捕捉された娘放射性同位体の集団を回収するためのプロセスであって、本プロセスが、
a)収集流体を収集流体入口ポートを通って収集チャンバに導入して、収集チャンバの内壁上に堆積した娘放射性同位体を収集するステップと、
b)収集流体出口ポートを通って収集チャンバから娘放射性同位体を含む収集流体を抽出して、娘放射性同位体を回収するステップと、を含む、プロセスが提供される。
【0241】
図8を参照すると、娘放射性同位体(305)は、例えば、収集流体入口ポートを通って収集チャンバ(306)に導入される収集流体(311)を用いて容易に収集することができる。収集流体入口バルブ(312)を使用して、収集チャンバ(306)への収集流体(311)の導入を制御することができ、例えば、これを断続的に開放して、収集流体(311)の一連のパルスを収集チャンバ(306)に導入することができる。
【0242】
娘放射性同位体を保持する収集チャンバ
収集チャンバは、例えば、本明細書に記載のチャンバ間搬送バルブを介してソースチャンバから搬送された気体状中間体放射性同位体を捕捉するように構成される。気体状中間体放射性同位体は、娘放射性同位体に自然に崩壊するのに有効な期間、収集チャンバ中に保持される。収集チャンバは、放射された気体状中間体放射性同位体及び娘放射性同位体を収集するための収集表面(例えば、収集チャンバの内壁)を備える。娘放射性同位体は、例えば、小さな粒子として、収集チャンバの収集表面(例えば、内壁)上に堆積してもよい。
【0243】
収集チャンバは、娘放射性同位体を捕捉し、保持することができる任意の適切な材料から作製されてもよい。いくつかの実施形態では、収集チャンバは、不活性金属又は金属合金(例えば、ステンレス鋼又はアノード酸化されたチタン合金)、非フッ素化ポリマー(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK))、ガラス(例えば、ホウケイ酸ガラス)、又はフルオロポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニレデン)から作製される。一実施形態では、収集チャンバは、透明である。
【0244】
収集チャンバは、収集チャンバの一端に、例えば、チャンバの基部に位置する収集流体出口ポートを備える。この実施形態では、娘放射性同位体を含む収集流体は、収集チャンバの基部にプールされ、収集流体出口ポートを開放することによって重力を使用して、又はポンプを使用して流体出口ポートを通して流体を能動的に引き出すことによって、収集チャンバから抽出することができる。
【0245】
収集チャンバの内壁は、本明細書に記載の収集表面などの表面を備える。一実施形態では、収集チャンバの内壁は、疎水性表面を備える。疎水性内面と接触すると、収集流体は、疎水性内壁表面上に高い接触角(すなわち、120°より大きい)を有する複数の液滴を形成する。それらが内壁表面と高い接触角を形成するため、収集流体の液滴は、重力に起因して内壁表面を容易に下に転がり、そうすることで、液滴は、収集チャンバの内壁上に堆積した娘放射性同位体(例えば、粒子)を収集する。
【0246】
収集チャンバの疎水性表面は、(°で)90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、又は175°より大きな収集流体との接触角を提供してもよい。収集チャンバの疎水性表面は、(°で)175、170、165、160、155、150、145、140、135、130、125、120、115、110、105、100、95又は90より小さな収集流体との接触角を提供してもよい。接触角は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲であってもよい。
【0247】
いくつかの実施形態では、収集チャンバの内壁の表面は、収集チャンバの基部にある収集流体出口ポートへの収集流体の流れを最適化するように構成される。例えば、収集チャンバの内壁の表面は、収集流体出口ポートに向かう収集流体の下向きの流れを容易にする様式で物理的にテクスチャ加工及び/又は化学修飾されてもよい。そのような物理的なテクスチャ加工は、収集チャンバ内の内部3Dプロファイリング、例えば、溝付き又はネジ状の配置を刻むことを含んでいてもよく、これにより、収集流体の下向きの流れを容易にすることができる。
【0248】
娘放射性同位体は、本明細書に記載の気体状中間体放射性同位体の任意の崩壊生成物であってもよく、いくつかの実施形態では、娘放射性同位体は、鉛放射性同位体若しくはビスマス放射性同位体、又はそれらの混合物、例えば、鉛-211(211Pb)及び/又はビスマス-211(211Bi)、鉛-212(212Pb)及び/又はビスマス-212(212Bi)、又はそれらの混合物であり、それらの娘放射性同位体を含む。一実施形態では、娘放射性同位体は、212Pb若しくは211Pb、又はそれらの混合物である。
【0249】
娘放射性同位体は、放射性標識薬物用途において治療用放射性同位体として使用することができる。娘放射性同位体は、臨床的に関連する量で収集チャンバから抽出することができる。したがって、娘放射性同位体は、本明細書に記載されるように、収集チャンバから抽出され、収集され、使用され得る生成物であってもよいことが理解されるだろう。
【0250】
一実施形態では、娘放射性同位体は、本開示の「放射性同位体の生成及び捕捉」の態様及び実施形態の下でを含む、本明細書に記載のプロセスによって収集チャンバ内で捕捉される。
【0251】
収集流体
本プロセスは、収集流体を収集流体入口ポートを通ってチャンバ(例えば、収集チャンバ)に導入して、収集表面(例えば、収集チャンバの内壁)上に堆積した娘放射性同位体を収集することを含む。収集流体は、収集表面から娘放射性同位体を収集することができる任意の好適な媒体を含む。いくつかの実施形態では、収集流体は、娘放射性同位体と実質的に反応しない。「流体」という用語は、液体又はその気体状態にある流体、例えば、水又は蒸気を包含することが理解されるであろう。
【0252】
一実施形態では、収集流体は、液体又は凝縮性蒸気として収集チャンバ内に導入される。
【0253】
収集流体は、水溶液を含んでいてもよい。水溶液は、生物学的に適合性の水溶液であってもよい。水溶液は、例えば、放射性同位体が標識されるタンパク質(例えば、PSMAリガンド)と適合性である、水、生理食塩水又は他のpH中性溶出液を含んでいてもよい。そのような生物学的に適合性のある水溶液を使用することで、娘放射性同位体を回収し、放射性リガンド療法などの放射線薬学用途で直接利用することができる。他の好適な生物学的に適合する水溶液としては、例えば、等張溶液、緩衝溶液、例えば、酢酸緩衝液、炭酸塩/HEPES緩衝液、尿素溶液、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0254】
本明細書に記載の少なくともいくつかの実施形態又は例によれば、生物学的に適合性のある水溶液を使用して娘放射性同位体を収集することで、従来技術では、連続搬送樹脂ベースのイオン交換生成器から捕捉された娘放射性同位体を回収するために必要とされる塩酸などの濃縮酸性溶液の必要性を排除することができる。例えば、酸性溶液を使用して抽出された娘放射性同位体は、放射線薬学用途での直接使用には適しておらず、臨床的使用又は前臨床的使用に投入される前に適切なpHレベルにしなければならない。
【0255】
一実施形態では、水溶液は、約6~約10のpHを有していてもよい。水溶液は、少なくとも約6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5又は10のpHを有していてもよい。水溶液は、約10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5又は6未満のpHを有していてもよい。pHは、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲であってもよい。
【0256】
一実施形態では、収集流体は、水である。水は、蒸気、凝縮性水蒸気及び/又は液体の水として収集チャンバに導入することができる。
【0257】
娘放射性同位体を収集するための収集流体の導入
収集流体は、収集流体入口ポートを介して収集チャンバに導入される。一実施形態では、収集流体入口ポートは、収集流体入口バルブを介して収集流体リザーバに接続される。収集流体リザーバは、収集チャンバに導入するための収集流体を収容する。収集流体リザーバは、収集流体を収容することができる任意の適切な材料、例えばPTFEから作製されてもよい。収集流体リザーバ、収集流体入口ポート、及び収集流体入口バルブは、まとまって、収集流体送達システムを形成してもよい。
【0258】
収集流体は、収集流体を(例えば、加圧下で)収集チャンバに噴霧するように構成された開口部を介して収集チャンバに導入されてもよい。代替的に、収集流体は、自動化された噴霧ノズルなどの噴霧ノズルを介して導入されてもよい。収集流体を収集チャンバに導入する手段は、任意の1つの特定の開口部に限定されないことが理解されるであろう。
【0259】
収集流体入口ポートを介する収集チャンバへの収集流体の導入は、収集流体入口バルブによって制御されてもよい。収集流体入口バルブは、一連のパルスとして収集流体を収集チャンバに導入するために断続的に開放されてもよい。
【0260】
収集流体入口バルブが各々の開放状態にあるとき、バルブは、約10ミリ秒~約300ミリ秒の期間、開放されてもよい。各々の開放状態にある収集流体入口バルブは、(ミリ秒で)少なくとも約10、20、30 40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、240、260、280又は300の期間、開放されてもよい。収集流体入口バルブは、(ミリ秒で)約300、280、260、240、200、180、160、140、120、100、90、80、70、60、50、40、30、20又は10未満の期間、開放されてもよい。各々の開放状態にある収集流体入口バルブは、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約20ミリ秒~約100ミリ秒、又は約30ミリ秒~約90ミリ秒の期間、開放されてもよい。
【0261】
収集流体入口バルブの断続的な開放によって提供される一連のパルスは、収集流体出口ポートを通って収集流体を抽出する前に、任意の回数のバルブ開放を含んでもよい。例えば、収集流体入口バルブは、収集チャンバからの収集流体の抽出の前に、1~20回断続的に開放される。収集流体入口バルブは、収集チャンバからの収集流体の抽出の前に、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18又は20回断続的に開放されてもよい。収集流体入口バルブは、収集チャンバからの収集流体の抽出の前に、20、18、16、14、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1回未満断続的に開放されてもよい。収集流体入口バルブが開放され得る回数は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、収集チャンバからの収集流体の抽出の前に、1~10回、1~8回、又は1~5回であってもよい。
【0262】
収集流体入口バルブの断続的な開放は、収集流体の一連のパルス(すなわち、非連続的な流れ)を生成するために、任意の適切な間隔で起こってもよい。一実施形態では、収集流体入口バルブは、前のバルブ開放の後に約0.5秒間~60秒間の間隔で開放され、収集チャンバへの収集流体の非連続的な搬送を提供してもよい。収集流体入口バルブは、前のバルブ開放の後に(秒で)少なくとも約0.5、1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55又は60の間隔で断続的に開放され、収集チャンバへの収集流体の非連続的な搬送を提供してもよい。収集流体入口バルブは、前のバルブ開放の後に(秒で)60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、2、1又は0.5未満の間隔で断続的に開放され、収集チャンバへの収集流体の非連続的な搬送を提供してもよい。範囲は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供されてもよい。
【0263】
一実施形態では、収集流体の導入は、収集流体入口バルブを横切る圧力差によって駆動される。収集流体入口バルブを横切る圧力差は、収集流体入口バルブを通って収集流体を駆動する収集流体リザーバ中の正圧によって作成されてもよい。代替的に、又は追加的に、収集流体入口バルブを横切る圧力差は、収集チャンバ内の負圧によって作成される。収集流体入口バルブを横切る圧力差は、収集流体リザーバ中の正圧及び収集チャンバ中の負圧によって作成されてもよい。
【0264】
収集流体リザーバ中の正圧は、収集流体リザーバを加熱して、収集流体リザーバ中に正圧を提供するのに有効な蒸気圧を有する高温収集流体を生成することによって作成されてもよい。収集流体リザーバは、収集流体リザーバ内に所望の圧力を生成するのに有効な温度まで加熱されてもよい。一実施形態では、収集流体リザーバは、約100℃~約140℃の温度まで加熱される。
【0265】
収集流体リザーバ中の正圧は、約15kPa~約400kPa、又は約15kPa~約250kPa(ゲージ)であってもよい。収集流体リザーバ中の正圧は、(kPa)で少なくとも約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、300、350又は400であってもよい。収集流体リザーバ中の正圧は、(kPa)で約400、350、300、250、240、230、220、210、200、190、180、170、160、150、140、130、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20又は15未満であってもよい。収集流体リザーバ中の正圧は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約60kPa~約200kPaであってもよい。
【0266】
収集チャンバ中の負圧は、収集流体入口バルブの断続的な開放の前に収集チャンバを高減圧になるまで排気することによって生成されてもよい。収集チャンバの高減圧になるまでの排気は、本明細書に記載されるように圧力差を作成するために収集チャンバに高減圧を適用して排気するように構成された高減圧ポンプ(309)及び高減圧バルブ(310)によって提供されてもよい。
【0267】
一実施形態では、収集チャンバは、収集流体入口バルブの開放の前に、約1mbar~約200mbarの高減圧になるまで排気される。収集チャンバは、収集流体入口バルブの開放の前に、(mbarで)少なくとも約1、2、5、10、20、40、50、60、80、100、150、100、又は200の高減圧になるまで排気されてもよい。収集チャンバは、収集流体入口バルブの開放の前に、(mbarで)200、150、100、80、60、50、40、20、10、5、2又は1未満の高減圧になるまで排気されてもよい。高減圧は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約5mbar~約50mbarであってもよい。
【0268】
収集流体入口バルブを横切る圧力差は、約15kPa~約340kPaであってもよい。収集流体入口バルブを横切る圧力差は、(kPaで)少なくとも約15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330又は340であってもよい。収集流体入口バルブを横切る圧力差は、(kPaで)約340、330、320、310、300、290、280、270、260、250、240、230、220、210、200、190、180、170、160、150、140、130、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20又は15未満であってもよい。収集流体入口バルブを横切る圧力差は、これらの上側値及び/又は下側値の任意の2つによって提供される範囲、例えば、約50kPa~約240kPaであってもよい。kPaでの圧力は、bar(すなわち、1kPa=約0.01bar)で提供することもできることが理解されるであろう。他の圧力差が想定される。
【0269】
一実施形態では、収集チャンバは、高減圧になるまで排出された後、本明細書に記載の収集流体入口ポートを通って収集流体を導入する。収集流体は、収集チャンバが高減圧になるまで排気された後、0.5~10秒間で収集チャンバに導入されてもよい。
【0270】
一実施形態では、収集チャンバへの収集流体の導入は、(i)プライミングシーケンスと、(ii)洗浄シーケンスと、を含んでいてもよい。代替的に、収集チャンバへの収集流体の導入は、単一の洗浄シーケンスを含んでいてもよい。
【0271】
ステップ(i)について、プライミングシーケンスは、収集流体入口バルブの最初の開放を含み、収集流体入口バルブ(例えば、流体ボーラス)の背後に、ある量の収集流体を(例えば、高温凝縮物として)蓄積する。収集流体入口ポートのプライミングシーケンスは、収集流体入口バルブを1~5回断続的に開放することを含んでいてもよい。収集流体入口バルブは、上述したように、ある期間(ミリ秒で)開放されてもよい。
【0272】
ステップ(ii)について、洗浄シーケンスは、収集流体入口バルブを断続的に開放して、収集流体入口バルブの背後及び流体収集リザーバ中の収集流体を、一連のパルスとして収集チャンバに導入することを含む。
【0273】
収集チャンバへの収集流体の導入は、流体ボーラスが有意な運動量を保有し、内壁に衝撃を与えた後、収集チャンバの内壁の表面全体を効果的に覆うように行われる。洗浄シーケンスは、例えば、収集チャンバからの収集流体の抽出の前に1~20回、上述のように収集流体入口バルブを断続的に開放することを含んでいてもよい。収集流体入口バルブは、上述したように、ある期間(ミリ秒で)開放されてもよい。
【0274】
一実施形態では、収集流体は、凝縮性蒸気である。凝縮性蒸気は、収集チャンバの内壁上で(例えば、多数の小さな液滴として)凝縮することができ、収集チャンバの内壁上に堆積した娘放射性同位体を、例えば、重力下で内側チャンバの壁を下に転がることによって収集し、その間に、最小限の娘放射性同位体粒子を収集する。一実施形態では、収集チャンバは、例えば、多数の小さな液滴として、収集チャンバの内壁上の凝縮性蒸気を凝縮させるのに有効な温度まで冷却される。
【0275】
一実施形態では、収集流体は液体であり、加圧されたキャリアガスは、収集流体入口ポートを介して収集流体とともに導入され、複数の液滴を含むエアロゾルを形成する(複数の液滴は、重力に起因して内壁表面を下に容易に転がり、収集チャンバの内壁上に堆積された娘放射性同位体を収集する)。
【0276】
本明細書に記載の少なくともいくつかの実施形態又は例によれば、本明細書に記載の娘放射性同位体の抽出は、収集チャンバから娘放射性同位体を効果的に抽出するために必要な収集流体の総体積を最小限に抑えることができ、したがって、高い比活性(すなわち、放射性同位体濃度)を有する娘放射性同位体溶液を提供することができる。
【0277】
別の実施形態では、収集流体は、開口部、例えば、小さなオリフィスを介して収集チャンバに噴霧される液体である。
【0278】
収集チャンバ内に導入された収集流体の量は、収集流体を収集チャンバに導入するために使用された収集流体入口バルブの開放の回数(例えば、洗浄シーケンスにおけるバルブ開放の回数)に応じて変化し得る。収集流体を収集チャンバ内に駆動する圧力を含む、必要とされる収集流体の量に影響を及ぼし得る他の要因。一実施形態では、約0.1mL~約10mL、約0.1mL~約5mL、又は約1mL~約3mLの収集流体を、抽出前に収集チャンバに導入する。
【0279】
収集流体及び娘放射性同位体の抽出
本明細書に記載の娘放射性同位体を回収するためのプロセスは、収集流体出口ポートを通って収集チャンバから娘放射性同位体を含む収集流体を抽出して、娘放射性同位体を回収することを含む。一実施形態では、収集流体出口ポートを通る収集流体の抽出は、収集チャンバから娘放射性同位体を含む収集流体を抽出するために断続的に開放される収集流体出口バルブによって制御される。収集流体出口バルブは、電子的に制御されたソレノイドバルブであってもよい。
【0280】
一実施形態では、収集された娘放射性同位体を含む収集流体は、収集流体出口ポートの上の収集チャンバの下部領域/基部に蓄積する。この例では、収集流体出口バルブを開放すると、重力を介して収集流体を抽出することができる。代替的に、収集流体は、ポンプ、例えば、蠕動流体ポンプを使用して収集流体出口ポートを介して抽出されてもよい。
【0281】
収集流体排出バルブ及び/又はポンプは、意図された治療用途のために収集流体及び娘放射性同位体を回収するために周期的に開放されてもよい。例えば、娘放射性同位体を含む収集流体は、放射性化学検査室又は放射性薬学への輸送に好適な容器に抽出されてもよい。例えば、収集流体出口ポートは、抽出された収集流体を、画分収集器、ガラスバイアルなどの様々な収集システムに搬送するように構成されてもよい。収集流体出口バルブ及び/又はポンプは、例えば、下流の医療用途のための212Pbの所望の活性に応じて、所定の体積の収集流体及び娘放射性同位体を抽出するように制御することができる。
【0282】
用途
本技術の用途には、例えば、がんを治療するための放射性薬剤を含む、医療、治療、及び診断分野における様々な用途が含まれる。例えば、核医学分野は、特定のがん細胞上に発現される抗原に高い特異性で結合する抗体などの巨大分子の放射性標識を提供する。アルファ粒子エミッタ(本明細書に記載されるように生成、捕捉、及び収集される娘放射性同位体を含む)は、そのような標的化された分子ビヒクル上の短距離細胞傷害性ペイロードとして特に有効であり、したがって、周囲の健康な組織への影響を最小限に抑えて、がん細胞破壊を可能にする。
【0283】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の生成器及びプロセスを使用して製造された娘放射性同位体(例えば、212Pb)は、高い放射化学的純度及び高い比活性(例えば、本明細書に記載の生成器及びプロセスを使用した結果として低い208Pb含有量に起因する)を有するため、がん標的化分子に結合するのに十分に適している。本明細書に記載の生成器及びプロセスを使用して高純度の娘放射性同位体(例えば、高純度212Pb)を生成することは、広い地理的分布で大規模にこの治療用同位体を製造することを可能にする。
【0284】
本明細書に記載のプロセス及び生成器を使用して生成された娘放射性同位体、例えば212Pbは、放射性リガンド療法などの放射線薬学用途で使用するための標的化分子/リガンドへのコンジュゲーションを含む、様々な臨床用途で直接利用することができる。標的化分子/リガンドの例としては、抗体及び/又はペプチド、例えば、前立腺特異的膜抗原(PSMA)リガンドが挙げられる。
【0285】
本出願は、2021年8月23日に出願されたAU2021/902649からの優先権を主張し、その全容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0286】
本開示がより明確に理解され得るように、本発明の特定の実施形態は、以下の非限定的な実験材料、方法論、及び実施例を参照することによって、以下に更に詳細に記載される。
【0287】
実施例1:不活性セラミック基板の上又は内部への親放射性同位体のロード
熱酸化による不活性セラミック基板表面の調製
タンタル金属上にコーティングされた五酸化タンタル(Ta)で構成された不活性セラミック基板を、以下の温度プログラムを使用して、マッフル炉内でタンタル金属のディスク(直径30mm、厚さ6mm)を加熱することによって調製した。100分間で室温から575℃まで、575℃で45分間保持、次いでゆっくりとした自然冷却をした。加熱する前に、タンタル金属ディスクを、240グリッドサンドペーパー(Al研磨剤)で均一に研磨して加工痕を除去し、次いで脱イオン水ですすぎ、圧縮窒素を使用して乾燥させた。
【0288】
ジルコニウム金属上にコーティングされたニ酸化ジルコニウム(ZrO)で構成された不活性セラミック基板を、以下の温度プログラムを使用して、マッフル炉内でジルコニウム金属のディスク(直径30mm、厚さ6mm)を加熱することによって調製した。120分間で室温から750℃まで、750℃で300分間保持、次いでゆっくりとした自然冷却をした。加熱する前に、ジルコニウム金属ディスクを、240グリッドサンドペーパー(Al研磨剤)で均一に研磨して加工痕を除去し、次いで脱イオン水ですすぎ、圧縮窒素を使用して乾燥させた。
【0289】
アノード分極による不活性セラミック基板表面の調製
タンタル金属ディスクを、240グリッドサンドペーパー(Al研磨剤)で均一に研磨して加工痕を除去し、次いで脱イオン水ですすぎ、圧縮窒素を使用して乾燥させた。次に、研磨されたタンタル金属ディスクを、その研磨された表面が水平であり、脱イオン水中の0.5Mクエン酸の電解質溶液で覆われるように、アノード酸化セルに取り付け、その背面を銅線に電気的に接続した。白金対向電極を、タンタルディスクの上の(ではあるが接触しない)クエン酸溶液内に配置した。2つの電極を、タンタル電極をアノード(正極性を有する)、白金電極をカソード(負極性を有する)としてDC電源に接続した。30ミリアンペアの定電流を2つの電極セルに15分間適用し、次いで電源を30分間10ボルトで定電圧モードに切り替え、その後、電圧を更に30分間で20ボルトに、次いで更に30分間で30ボルトに増加させた。次いで、タンタル上のTa表面を含むアノード酸化ディスク(すなわち、タンタル/Taディスク)を溶液から取り出し、脱イオン水で洗浄し、風乾させた。
【0290】
親放射性同位体を含む水溶液の調製
不活性セラミック基板の上又は内部に固定化するものをロードするために親放射性同位体を含む水溶液を調製するために、0.5~100ミリモル/リットル(mM)の範囲の濃度を有する232Th4+の溶液を、適切な量(0.5~15mL)の0.001~5モル/リットル(M)の範囲の濃度を有するHNOを2~150mgの固体硝酸トリウム五水和物[232Th(NO.5HO]に添加することによって、硝酸水溶液中で作成した。
【0291】
別の実施例では、228Th4+の硝酸(200~600μL)溶液を、0.001~5モル/リットル(M)の範囲の濃度を有する硝酸水溶液を2~25mgの固体硝酸トリウム五水和物[228Th(NO.5HO]に添加することによって調製した。
【0292】
不活性セラミック基板表面上への放射性同位体水溶液の堆積
硝酸トリウム溶液を、各々のTa又はZrOディスク表面上に液体(典型的には50~500μL)をマイクロピペットで滴下することによって、新たに調製された基板表面に適用した。堆積したTh4+溶液を、酸化物基板上で一定期間(例えば、45分間)、室温で乱さないように放置した。Ta及びZrO表面の濡れ性は、基板表面を完全に液体で確実に覆うために最小限の撹拌又は撹拌しないことが必要とされるようなものであった。代替的に、Ta及びZrOディスク基板を、例えば、マイクロ波反応器中で、上述のトリウム溶液に浸してもよく、次いで、以下に記載されるように加熱してもよい。
【0293】
親放射性同位体溶液への沈殿剤水溶液の任意選択的な添加
いくつかの場合には、Ta又はZrO表面とTh4+溶液との間の指定された接触期間の後、基板ディスクの表面上に堆積した水溶液に沈殿剤を添加した。一例では、40μLの15mMシュウ酸水[(COOH)]溶液を、Ta表面上のトリウム溶液に添加した。溶液を適切な期間(例えば、5分間)放置した後、ディスク表面上の液体を、ホットプレート上にディスクを置くことによって蒸発させた(例えば、85℃で15分)。他の場合では、50μLの5mMフッ化アンモニウム水(NHF)溶液を、ZrO表面上又はTa基板上のトリウム溶液に添加した。溶液を適切な期間(例えば、5分間)放置した後、ディスク表面上の液体を、ホットプレート上にディスクを置くことによって蒸発させた(例えば、85℃、15分)。
【0294】
不活性セラミック基板を放射性同位体水溶液に対して加熱する
トリウムをロードしたタンタル/Ta及びジルコニウム/ZrOディスク基板を、マッフル炉内の平坦な耐火物トレイ上に配置し、残留した硝酸トリウム及びトリウム(及び存在する場合、他のトリウム沈殿物塩)を二酸化トリウム(ThO)に変換した。炉を周囲温度から325℃まで150分間かけ、次いで325℃で150分間保持した後、自然に冷却させた。代替的に、Ta又はZrOディスク基板が、マイクロ波反応器に配置され、上述のトリウム溶液に浸されている場合、津で、基板を適切な過圧で、所定期間(例えば、約2時間~約24時間)にわたって適切な温度(例えば、約100℃~約300℃)まで加熱した後、溶液から取り出し、冷却し、洗浄してもよい。
【0295】
実施例2:固定化された親放射性同位体を含む不活性セラミック基板の特性決定
走査型電子顕微鏡を用いたエネルギー分散型X線分光法を使用して、処理されたTa基板表面及び処理されたZrO基板表面の両方の表面上に微細に分散された酸化トリウムの証拠を検出した。
【0296】
図3は、本明細書に記載の熱処理によって調製されたそのような研磨された酸化物表面の典型的なテクスチャを示すTa基板の拡大画像である。この画像はまた、フッ化アンモニウム(NHF)が二次電子検出の下で暗い領域として見られる沈殿剤として使用されるときのトリウム堆積のパッチごとの性質を示し、そのようなパッチは、おそらく、オキシフッ化物相を含む。EDXスペクトルは、より暗い領域からの明瞭なトリウムx線シグナルを示し、これは、著しくは、画像の約0.8μmの空間分解能よりも大きい任意の粒子様の特徴又は相、又は酸化物表面との弱い接続性を有する可能性のある任意の特徴に関連付けられていない。
【0297】
図4は、トリウム堆積プロセス中にNHFが沈殿剤として使用されたTa基板の拡大画像である。EDX分析のためにサンプリングされた領域は、得られたX線スペクトルとともに示される。明瞭なトリウムx線シグナルは明らかであるが、依然として、画像の約0.4μmの空間分解能よりも大きい任意の粒子様の特徴又は相、又は酸化物表面との弱い接続性を有する可能性のある任意の特徴に関連付けられていない。
【0298】
図5は、EDX分析のためにサンプリングされた領域及び得られたスペクトルとともに、非常に高い倍率で研磨された酸化物表面を示すZrO基板の画像である。明瞭なトリウムシグナルは明らかであるが、依然として、画像の約0.08μmの空間分解能よりも大きい任意の粒子様の特徴又は相、又は酸化物表面との弱い接続性を有する可能性のある任意の特徴に関連付けられていない。
【0299】
図6は、トリウム堆積プロセス中にシュウ酸(C)が沈殿剤として使用されたTa基板の拡大画像である。このサンプルでは、EDX分析のために画像領域全体をサンプリングし、トリウムシグナルの空間マップも作成した。明瞭なトリウムシグナルがこれらから明らかであり、そこから、堆積したトリウムは、基板表面に十分に結合されているように見えるサブミクロンの不規則な形状の結晶を含む、異なる形態を有する基板表面上の異なる固体に会合していることが明らかである。
【0300】
実施例3:不活性セラミック基板を使用した212Pbの生成
実施例1に従って調製された固定化された228Thを含む酸化タンタル基板は、ベンチ表面より上の反転構成で不活性セラミック基板を保持するタングステンシュラウド(厚さ50mm、ガンマシールド目的のため)を含む放射性同位体生成器内に収容された。PTFE収集表面を、基板のトリウム化された表面が収集表面とともに照準線内にあるように、不活性セラミック基板のすぐ下に配置し、所定の期間(例えば、1時間、4時間、12時間)放置して、212Pb放射性同位体を収集した。次いで、収集された212Pb放射性同位体を、その後、PTFE表面から希HClによって洗い流し、洗浄流体バイアルに入れた。次に、収集された212Pb放射性同位体を含む洗浄流体バイアルをイオンチャンバ装置内に配置し、収集された212Pb放射性同位体の活性を測定した。「照準線内」の生成器において実施例1のトリウム化された不活性セラミック基板を使用して製造された212Pb放射性同位体に対する化学アッセイ及び放射線測定アッセイでは、図15に示されるように、非常に低いレベルの親同位体による汚染物質(トリウム及びラジウム)を示した。
【0301】
実施例4:ソースチャンバから収集チャンバへの気体状中間体の搬送のシミュレーション
気体状中間体放射性同位体の各搬送間の最適なタイミングを決定するために、228Th崩壊系列を記述する組み合わされた微分Bateman方程式に数値解を使用して、一連のシミュレーションを構築し(図7を参照)、特定の条件セット下での任意の時点での系列内の各同位体の活性を計算した。
【0302】
以下の2つのシステムを並行してモデル化した。a)一方は、228Thが、その完全な崩壊系列とともに長期間平衡状態にあったソースチャンバを包含しており、b)他方は、220Rnがその子孫に崩壊した収集チャンバを包含していた。ソースチャンバ中の長期的な平衡が確立された後(すなわち、一定の224Ra集団が存在した後)、ソースチャンバ中に存在する全ての220Rnを周期的に除去し、収集チャンバに搬送し、そこですぐにその種々の娘への崩壊が始まった。このプロセスを、220Rn搬送の60の異なる時間間隔で10~1500回シミュレーションした。ソースチャンバ及び収集チャンバのそれぞれの崩壊系列における同位体の計算された活性を図5及び6に示す。
【0303】
最適搬送時間及び最適搬送事象の構成(すなわち、高減圧駆動型ガス搬送事象に対する高圧駆動型ガス搬送事象の数)を決定するために、連続する220Rn搬送事象間の時間間隔の関数として、収集チャンバ内の計算された212Pb活性をプロットした。各シミュレーションでは、高圧駆動型ガス搬送事象は、次の搬送事象の開始後に収集チャンバ内で220Rnの損失がないと仮定した。高減圧駆動型ガス搬送事象の場合、高減圧駆動型ガス搬送事象の開始時に収集チャンバ中に存在する全ての220Rnが系から失われると仮定した。搬送時間の関数としての212Pbの収率を図11に示す。加えて、シミュレーションは、搬送間隔が短いほど、より低い208Pb含有量の212Pbが生成することを示した(図12)。
【0304】
実施例5:放射性同位体の生成
放射性同位体を生成し、捕捉するために利用される生成器の一実施形態が提供され、図3に示されている。
【0305】
実施例1の固定化された228Thを含む不活性セラミック基板は、212Pbの集団を生成し、捕捉するために親放射性同位体として使用することができる。不活性セラミック基板を、228Thが(224Raを介して)不活性セラミック基板から放射され、分離する220Rnに自然崩壊するソースチャンバ内に密封することができる。
【0306】
放射された220Rnは、十分に定義された時間間隔で断続的に開放されるチャンバ間搬送バルブを介して、ソースチャンバから収集チャンバに搬送することができる。その間隔は、ソースチャンバ中の220Rnの活性を含むいくつかの要因に基づいて選択され得る。この実施例では、212Pbの最適な収率を達成するために、生成器は、高減圧駆動型ガス搬送事象によって放射された220Rnを搬送することによって操作させることができ、その後、定義された時間間隔で一連の高圧駆動型ガス搬送事象が続く。
【0307】
チャンバ間搬送バルブ及び高減圧バルブの開放及び閉鎖のシーケンスのタイミングを改変して、212Pbの収率を最適化することができる。例えば、各々の高圧駆動型搬送事象の間に、ソースチャンバ中で220Rnが成長するのに十分な時間が許されなければならない。同様に、高減圧駆動型ガス搬送事象を生成するときに収集チャンバに高減圧を適用する前に、収集された220Rnが収集チャンバ内で崩壊するのに十分な時間が許されなければならない。
【0308】
212Pbの最適な収率をために、ソースチャンバから収集チャンバへの220Rnの搬送は、所定の時間間隔で一連の(例えば、2つ以上の)高圧駆動型ガス搬送事象を含むチャンバ間搬送バルブの断続的な開放を利用し、その後、例えば、5:1の比で、生成器内の圧力を再平衡化させるための高減圧駆動型ガス搬送事象を利用する。
【0309】
実施例6:鉛放射性同位体の抽出
蓄積された212Pb(又は211Pb)生成物同位体を、少しの体積(5mL未満)の金属を含まない水で収集チャンバから回収することは、以下の実施例によって示すことができる。
【0310】
洗浄流体リザーバの調製。
90cmの脱イオン水を、PTFE蓋の1/4インチ(BSP)ネジ付きポートを介して、シリンジによってPTFE水リザーバに添加した。次いで、120℃の温度定格ポリマーTピースを、雄ネジ上のPTFEテープを使用してポートにねじ込み、確実に密に密封した。Tピースの上部は、PTFEダイヤフラムシール(Stubbe)を介して取り付けられたアナログ圧力計を支持した。Tピースのサイドアームは、約70mmの長さのシリコーンチューブ(8mmOD|6mmID)の短いセグメントに接続された。その他端では、このチューブセグメントは、ポリマープッシュインフィッティングを使用して洗浄流体ソレノイドバルブと連結された。ソレノイドバルブは、フルオロポリマー(PVDF本体/PTFEシール)で作られた全ての湿潤部品を有するタイプ(Gemu-52)であった。
【0311】
シミュレーションされた収集チャンバの調製、及びこれをソレノイドバルブを介した洗浄流体リザーバへと接続する。
ホウケイ酸ガラスから作られたシミュレーションされたラドン収集チャンバは、(不透明な)フルオロポリマーから作られた収集チャンバと非常に似た内部寸法でカスタム構築されたため、内部チャンバ壁の洗浄を視覚化することが可能になった。ガラスチャンバは、約70mmの長さのシリコーンチューブ(4mmOD|2.5mmID)の短いセグメントでGemu-52セレノイドバルブに接続された。ガラスチャンバはまた、ポリウレタンチューブ(4mmOD|2.5mmID)を使用して第2のセレノイドバルブを介して高減圧ラインに接続され、カスタム構築されたデジタル圧力計がこのラインに組み込まれた。いくつかの場合では、少量の水溶性染料(Evans Blue)を、マイクロピペットを使用して特定の位置でガラスチャンバに導入し、ヒートガンで加熱することによって、内部ガラス壁上で染料を乾燥させた。これにより、様々な水搬送条件下での洗浄の有効性のより良い視覚化及び評価が可能になった。
【0312】
洗浄水を加熱し、加圧する。
リザーバを、PTFE水リザーバを囲む加熱床中の温度計によって測定される場合、110℃~120℃の公称温度まで加熱したが、主要なプロセスパラメータは、アナログゲージに示される内部圧力であった。試験を、(大気圧に対して)35kPa~230kPaの範囲の圧力で実行した。
【0313】
加圧下で洗浄水を収集チャンバに搬送するためのバルブ開放のシーケンスを実行する。
高減圧ラインソレノイドバルブ及び純水ラインソレノイドバルブは、PCにインターフェース接続されたArduinoマイクロコントローラに基づいてカスタム構築された電子制御ユニットに接続された。バルブの開/閉コマンド及びその相対的なタイミングは、Arduinoソフトウェア及びコンパイラを使用して決められた。水搬送シーケンスは、高減圧ライン上のセレノイドバルブを2~5秒間開放することによって、ガラスチャンバを約80mbarまで排気すると開始することができる。次いで、高減圧バルブを閉じ、1~5秒後、いくつかの短い水搬送バルブ(Gemu-52)の開放を行った。
【0314】
約75kPa未満のリザーバ圧力の場合、洗浄サイクルは、60~90ミリ秒の2回又は3回の開放をプライミングシーケンスから始まり、洗浄流体をプライミングし、搬送バルブの背後にある高温の凝縮水の量を構築し、その後、30~50ミリ秒の2~4回の開放を含む洗浄シーケンスを行い、高温の水及び蒸気のパルスがガラスチャンバへと迅速に移動するという2つの別個のシーケンスから構成されていた。約75kPaを超えるリザーバ圧力の場合、洗浄サイクルは、50~75ミリ秒の3~6回のバルブ開放の単一のシーケンスから構成されていた。水/蒸気パルスは、駆動圧力が約35kPaを超える場合、全ての内面を完全に覆うのに十分な運動量を有していた。最適なシーケンシングは、初期リザーバ圧力及び利用可能な加熱電力に依存する。一般に、150kPaを超えるリザーバ圧力を使用した水の搬送は、より一貫性があり、再現性があった。ガラスチャンバに搬送される水の総体積は、初期リザーバ圧力にも依存し、より高い場合には、より多くの水蒸気搬送につながるが、このことは、より短いバルブ開放を使用することによっていくらか減少させることができる。
【0315】
収集チャンバの出口ポートからの同位体を含む洗浄流体の抜き取り
ガラスチャンバの下部領域に蓄積された洗浄水の典型的な体積は、特定の試験の洗浄シーケンスで使用された水搬送バルブ開放の回数に応じて、1.5~3.0mLであり、例えば、2.0mLは、200kPa(g)のリザーバ圧力で、4回の60ミリ秒の開放のシーケンスによって送達された。流体は、近位のミニ蠕動ポンプに流入するシリコーンチューブを運ぶbarbedポート上に配置され、蠕動ポンプが作動するたびにこのポートを通過することができた。
【0316】
実施例7:収集された娘放射性同位体を、放射線薬学で使用するための標的化分子/リガンドにコンジュゲートする
収集された212Pbを、1,4,7,10-テトラアザ-1,4,7,10-テトラ(2-カルバモイルメチル)シクロドデカン(TCMC)などの放射性金属キレート剤の使用によって、抗体、抗体断片又はペプチドなどの生体分子にコンジュゲートすることができる。例えば、TCMC官能化リガンドを、pH5で80μLの0.4M NaOAc緩衝液中に1mMの最終濃度になるまで溶解させた。リガンド溶液を、20%アスコルビン酸を含有するpH5の4mLの0.4M NaOAc緩衝液中で製剤化された200MBqの212PbClに添加した。混合物を70℃で30分間加熱し、続いて、Pb特異的樹脂を使用して、任意の結合していない212Pb又は208Pbから精製した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-06-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活性セラミック基板であって、気体状中間体放射性同位体を介して親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して医学的に有用な線量の娘放射性同位体を生成するのに有効な量で前記不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された前記親放射性同位体を含み、
前記固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、放射性同位体表面層として前記不活性セラミック基板の表面上又はその付近に結合され、前記不活性セラミック基板から前記気体状中間体放射性同位体が効果的に放射されることを可能にし、
前記不活性セラミック基板が、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物、金属リン酸塩、又はそれらの組み合わせから選択される、不活性セラミック基板。
【請求項2】
前記固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、熱処理された放射性同位体表面層として前記不活性セラミック基板の表面上又はその付近に結合される、請求項1に記載の不活性セラミック基板。
【請求項3】
前記不活性セラミック基板の表面上又はその付近への前記固定化された親放射性同位体の前記結合が、使用中に、娘放射性同位体の活性と比較して、活性という用語で表される約5%未満の親放射性同位体の汚染物質レベルを有する前記娘放射性同位体の集団の捕捉を可能にするようなものである、請求項1又は2に記載の不活性セラミック基板。
【請求項4】
前記不活性セラミック基板が、約10未満の多孔性(前記不活性セラミック基板の総体積に基づく体積%)を有する、請求項1又は2に記載の不活性セラミック基板。
【請求項5】
前記親放射性同位体が、アルファ放出放射性同位体である、請求項1又は2に記載の不活性セラミック基板。
【請求項6】
前記親放射性同位体が、トリウム-227(227Th)又はトリウム-228(228Th)から選択されるトリウム放射性同位体である、請求項1又は2に記載の不活性セラミック基板。
【請求項7】
前記娘放射性同位体が、鉛-211(211Pb)又は鉛-212(212Pb)のうちの少なくとも1つから選択される鉛放射性同位体である、請求項1又は2に記載の不活性セラミック基板。
【請求項8】
前記固定化された親放射性同位体が、約1~約1500の(不活性セラミック基板表面1cm当たりのMBqでの)活性を提供するのに有効な量で存在する、請求項1又は2に記載の不活性セラミック基板。
【請求項9】
前記放射性同位体表面層を形成する前記固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、前記不活性セラミック基板の前記表面内の放射性同位体ドープ層として提供される、請求項1又は2に記載の不活性セラミック基板。
【請求項10】
前記放射性同位体表面層を形成する前記固定化された親放射性同位体の少なくともいくつかが、前記不活性セラミック基板の前記表面上に結合された放射性同位体の1つ以上の固体化合物相として提供される、請求項1又は2に記載の不活性セラミック基板。
【請求項11】
前記放射性同位体の前記固体化合物相の少なくともいくつかが、前記不活性セラミック基板の前記表面上に結合された前記放射性同位体の1つ以上の結晶相を含む、請求項10に記載の不活性セラミック基板。
【請求項12】
前記放射性同位体の前記固体化合物相の少なくともいくつかが、前記不活性セラミック基板の前記表面上に結合された放射性同位体の1つ以上のアモルファス相として提供される、請求項10に記載の不活性セラミック基板。
【請求項13】
前記固体化合物相、結晶相又はアモルファス相のうちの1つ以上が、前記不活性セラミック基板の前記表面上に結合された別個の粒子として提供される、請求項10に記載の不活性セラミック基板。
【請求項14】
前記固体化合物相、結晶相又はアモルファス相のうちの1つ以上が、前記不活性セラミック基板の前記表面上に結合された層として提供される、請求項10に記載の不活性セラミック基板。
【請求項15】
前記放射性同位体の前記固体化合物相、結晶相又はアモルファス相のうちの1つ以上が、前記放射性同位体の酸化物、窒化物、リン酸塩、フッ化物、炭化物、硫化物、ケイ酸塩、又はそれらの組み合わせを含む、請求項10に記載の不活性セラミック基板。
【請求項16】
前記放射性同位体の前記固体化合物相、結晶相又はアモルファス相のうちの1つ以上が、二酸化トリウム(ThO)及び/又は非化学量論的酸化トリウム(ThO(2+/-x))を含み、xが、0より大きいが0.15より小さい、請求項10に記載の不活性セラミック基板。
【請求項17】
前記放射性同位体表面層、熱処理された放射性同位体表面層、放射性同位体ドープ層、固体化合物相、結晶相又はアモルファス相が各々独立して、約0.1nm~約1000nmの厚さを有する、請求項1又は2に記載の不活性セラミック基板。
【請求項18】
前記不活性セラミック基板が、ディスク又はスラブとして提供される、請求項1又は2に記載の不活性セラミック基板。
【請求項19】
前記不活性セラミック基板が、約0.001μm~約1000μmの厚さを有する、請求項1又は2に記載の不活性セラミック基板。
【請求項20】
前記不活性セラミック基板が、金属酸化物基板である、請求項1又は2に記載の不活性セラミック基板。
【請求項21】
記金属酸化物基板が、タンタル、ニオブ、タングステン、モリブデン、バナジウム、ジルコニウム、チタン若しくはアルミニウムの酸化物、又はそれらの混合酸化物である、請求項20に記載の不活性セラミック基板。
【請求項22】
前記金属酸化物基板が、五酸化タンタル(Ta )又は二酸化ジルコニウム(ZrO である、請求項21に記載の不活性セラミック基板。
【請求項23】
前記不活性セラミック基板が、タンタル、ニオブ、タングステン、ハフニウム、モリブデン、バナジウム、ジルコニウム、チタン若しくはアルミニウム、又はそれらの合金から選択される金属基板上の層として提供される、請求項1又は2に記載の不活性セラミック基板。
【請求項24】
前記不活性セラミック基板が、金属基板の前記表面を酸化的に前処理することによって製造される、請求項1又は2に記載の不活性セラミック基板。
【請求項25】
気体状中間体放射性同位体を介して親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して医学的に有用な線量の娘放射性同位体を生成するのに有効な量で不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された前記親放射性同位体を含む前記不活性セラミック基板を調製するためのプロセスであって、前記プロセスが、
a)不活性セラミック基板の表面上に親放射性同位体種を含む溶液を堆積させるステップであって、前記不活性セラミック基板が、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物、金属リン酸塩、又はそれらの組み合わせから選択される、堆積させるステップと、
b)前記不活性セラミック基板を、熱処理された放射性同位体表面層を形成する前記不活性セラミック基板の表面上又はその付近に前記親放射性同位体の少なくともいくつかを結合するのに有効な温度まで加熱して、前記不活性セラミック基板から気体状娘放射性同位体が効果的に放射されることを可能にするステップと、を含む、プロセス。
【請求項26】
ロセスが、請求項1又は2に記載の不活性セラミック基板を調製するためのものである、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
ステップa)における前記溶液が、水溶液又はアルコール性溶液である、請求項25に記載のプロセス。
【請求項28】
前記水溶液が、前記水溶液の総体積に基づいて約20%v/v~50%v/vの量でアルコール溶媒を含む、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
前記水溶液が、非イオン性界面活性剤を含む、請求項27に記載のプロセス。
【請求項30】
沈殿剤が、ステップb)での前記加熱の間に、放射性同位体溶液に添加され、前記溶液からの放射性同位体の沈殿を誘導する、請求項25に記載のプロセス。
【請求項31】
前記沈殿剤が、シュウ酸、又は水酸化物塩、又はハロゲン化物塩である、請求項30に記載のプロセス。
【請求項32】
射性同位体種が、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、アンモニウム化合物、及びアニオン性オキソメタレート化合物のうちの1つ以上から選択される水溶性塩又はその水和物として提供される、請求項25に記載のプロセス。
【請求項33】
射性同位体種が、トリウム種である、請求項25に記載のプロセス。
【請求項34】
前記トリウム種が、硝酸塩又はその水和物である、請求項33に記載のプロセス。
【請求項35】
射性同位体種が、約0.0001M~0.5Mの濃度で前記溶液中に提供される、請求項25に記載のプロセス。
【請求項36】
ステップb)での前記加熱が、約100℃~約650℃の温度で、好ましくは、約10分間~約24時間の期間である、請求項25に記載のプロセス。
【請求項37】
娘放射性同位体の集団を製造し、捕捉するためのチャンバを画定する放射性同位体生成器であって、前記チャンバが、前記チャンバ内に請求項1に記載の不活性セラミック基板を収容するように構成される、放射性同位体生成器。
【請求項38】
前記チャンバが、収集表面を備え、前記不活性セラミック基板を前記チャンバ内に収容するように構成され、前記放射性同位体表面層が、放射された気体状中間体放射性同位体の少なくともいくつかを、娘放射性同位体に崩壊するのに有効な期間収集するために、前記収集表面に面している、請求項37に記載の放射性同位体生成器。
【請求項39】
前記放射性同位体表面層が、前記収集表面とともに照準線内にある、請求項38に記載の放射性同位体生成器。
【請求項40】
射性同位体表面が、前記収集表面上の前記放射された気体状中間体放射性同位体の少なくともいくつかの重力支援型収集を可能にするように実質的に下を向いている、請求項38に記載の放射性同位体生成器。
【請求項41】
前記収集表面上の前記不活性セラミック基板からの放射された気体状中間体放射性同位体の搬送を容易にするようにキャリアガスを前記チャンバに導入するように構成されたキャリアガス入口ポートを更に備える、請求項38に記載の放射性同位体生成器。
【請求項42】
高減圧を適用し、前記収集表面上の前記不活性セラミック基板からの放射された気体状中間体放射性同位体の搬送を容易にするように前記チャンバを排気するように構成された高減圧ポンプを更に備える、請求項38に記載の放射性同位体生成器。
【請求項43】
前記収集表面から娘放射性同位体を収集するように収集流体を前記チャンバに導入するように構成された流体送達システムを更に備える、請求項38に記載の放射性同位体生成器。
【請求項44】
娘放射性同位体を含む前記収集流体を前記チャンバから搬送するように構成された収集流体出口ポートを更に備える、請求項43に記載の放射性同位体生成器。
【請求項45】
娘放射性同位体の集団を製造し、捕捉するためのシステムであって、
a)娘放射性同位体の集団を製造し、捕捉するためのチャンバを画定する放射性同位体生成器と、
b)前記チャンバ中に収容された請求項1に記載の不活性セラミック基板と、を含む、システム。
【請求項46】
請求項37に記載の放射性同位体生成器を備える、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
娘放射性同位体の集団を製造し、捕捉するためのプロセスであって、
a)請求項1に記載の不活性セラミック基板の上又は内部に固定化された親放射性同位体からの自然崩壊の系列を通して生成された気体状中間体放射性同位体の放射を可能にすることと、
b)前記気体状中間体放射性同位体の少なくともいくつかを、娘放射性同位体に崩壊するのに有効な期間収集することと、を含む、プロセス。
【請求項48】
請求項37に記載の放射性同位体生成器、又は請求項45に記載のシステムを含む、請求項47に記載のプロセス。
【請求項49】
前記プロセスが、前記娘放射性同位体の少なくともいくつかを回収するステップを更に含む、請求項48に記載のプロセス。
【請求項50】
前記回収された娘放射性同位体が、放射性リガンド療法で使用するための標的化分子にコンジュゲートされる、請求項49に記載のプロセス。
【請求項51】
前記親放射性同位体が、アルファ放出放射性同位体である、請求項48に記載のプロセス。
【請求項52】
前記親放射性同位体が、トリウム-227(227Th)及びトリウム-228(228Th)のうちの少なくとも1つから選択されるトリウム放射性同位体である、請求項48に記載のプロセス。
【請求項53】
前記気体状中間体放射性同位体が、ラドン-219(219Rn)及びラドン-220(220Rn)のうちの少なくとも1つから選択されるラドン放射性同位体である、請求項48に記載のプロセス。
【請求項54】
前記娘放射性同位体が、鉛-211(211Pb)又は鉛-212(212Pb)のうちの少なくとも1つから選択される鉛放射性同位体である、請求項48に記載のプロセス。
【国際調査報告】