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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】X線撮像における対象可視化
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/08 20060101AFI20240918BHJP
   A61B 6/00 20240101ALI20240918BHJP
   A61B 6/46 20240101ALI20240918BHJP
【FI】
A61B6/08 501
A61B6/00 520M
A61B6/46 506B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513416
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2022073633
(87)【国際公開番号】W WO2023031001
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】21194588.6
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ヤング スチュワート マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ビストロフ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】クローンケ‐ヒレ スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ブリュック ハイナー マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴォン ベルグ ジェンス
(72)【発明者】
【氏名】ハーダー ティム フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ゴッセン アンドレ
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA17
4C093DA03
4C093EB12
4C093EB13
4C093EB17
4C093EE16
4C093FA35
4C093FF35
4C093FF37
(57)【要約】
X線撮像システム100は、対象160に対してX線撮像動作を実行するための検査領域150によって隔てられたX線源110とX線検出器120とを備える。プロセッサ140は、対象160の3次元表面170を表す深度センサデータと、対象160内の1つ又は複数の内部構造180を含む解剖学的モデルとの比較に基づいて、1つ又は複数の内部構造180を特定する(S120)。プロセッサ140はまた、深度センサデータと、特定された1つ又は複数の内部構造180とを使用して、X線源110の視点から、対象160の3次元表面170上の1つ又は複数の内部構造の表面投影190を計算し(S130)、対象160の3次元表面170上にオーバーレイとして表示するために表面投影190の画像表現を出力する(S140)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線源と、
X線検出器と、
深度センサと
プロセッサと
を備えるX線撮像システムであって、
前記X線源と前記X線検出器とは、対象が検査領域内に受け入れられたとき前記対象に対してX線撮像動作を実行するための前記検査領域によって隔てられ、
前記深度センサは、前記対象が前記検査領域内に受け入れられたときに、前記対象の3次元表面を表す深度センサデータを生成し、
前記プロセッサが、
前記深度センサデータを受信することと、
前記深度センサデータと、前記対象内の1つ又は複数の内部構造を含む解剖学的モデルとの比較に基づいて、前記1つ又は複数の内部構造を特定することと、
前記深度センサデータと、特定された前記1つ又は複数の内部構造とを使用して、前記X線源の視点から、前記対象の前記3次元表面上の前記1つ又は複数の内部構造の表面投影を計算することと、
前記対象の前記3次元表面上にオーバーレイとして表示するために前記表面投影の画像表現を出力することと
を行う、X線撮像システム。
【請求項2】
前記X線撮像システムはディスプレイをさらに備え、前記プロセッサが、さらに、前記表面投影の前記画像表現と、前記対象の前記3次元表面を表す前記深度センサデータとを含むオーバーレイ画像を前記ディスプレイに出力する、請求項1に記載のX線撮像システム。
【請求項3】
前記X線撮像システムはディスプレイをさらに備え、前記深度センサが、さらに、前記対象の2次元表面を表す光学画像データを生成し、前記プロセッサが、さらに、前記表面投影の前記画像表現と、前記対象の前記2次元表面を表す前記光学画像データとを含むオーバーレイ画像を前記ディスプレイに出力する、請求項1又は2に記載のX線撮像システム。
【請求項4】
プロジェクタをさらに備え、前記プロセッサが、さらに、前記対象の前記表面上にオーバーレイとして表示するために前記表面投影の前記画像表現を前記プロジェクタに出力する、請求項1から3のいずれか一項に記載のX線撮像システム。
【請求項5】
前記X線撮像システムはディスプレイをさらに備え、前記プロセッサが、さらに、
前記表面投影の前記画像表現と、前記対象の前記3次元表面を表す前記深度センサデータとを表すオーバーレイ画像データを生成することと、
前記X線源の視点から、前記オーバーレイ画像データを前記X線検出器の放射受光面上に投影することと、
前記深度センサの視点からの、前記X線検出器の前記放射受光面上の投影された前記オーバーレイ画像データの画像表現を生成することと、
投影された前記オーバーレイ画像データの生成された前記画像表現を前記ディスプレイに出力することと
を行う、請求項1に記載のX線撮像システム。
【請求項6】
前記対象内の1つ又は複数の内部構造を特定する動作と、前記1つ又は複数の内部構造の表面投影を計算する動作とが、機械学習アルゴリズムを使用して実行される、請求項1に記載のX線撮像システム。
【請求項7】
前記プロセッサが、さらに、
前記対象内の特定された前記1つ又は複数の内部構造の実際の姿勢を前記1つ又は複数の内部構造の望ましい姿勢と比較することと、
前記実際の姿勢と前記望ましい姿勢との間の差を低減するために1つ又は複数の修正アクションを計算することと、
前記修正アクションを出力することと
を行う、請求項1に記載のX線撮像システム。
【請求項8】
ディスプレイ及び/又はプロジェクタをさらに備え、前記プロセッサが、さらに、
1つ又は複数の修正アクションを前記ディスプレイに出力し、及び/又は、前記対象上に表示するために前記1つ又は複数の修正アクションを前記プロジェクタに出力する、請求項1に記載のX線撮像システム。
【請求項9】
前記1つ又は複数の修正アクションが1つ若しくは複数の平行移動及び/又は1つ若しくは複数の回転を表し、前記1つ又は複数の修正アクションが大きさ及び/又は方向を含む、請求項7又は8に記載のX線撮像システム。
【請求項10】
前記解剖学的モデルが、前記対象を表す複数のX線画像と、前記対象を表すコンピュータ断層撮影画像と、前記対象を表す磁気共鳴画像とのうちの1つ又は複数によって与えられる、請求項1から9のいずれか一項に記載のX線撮像システム。
【請求項11】
前記プロセッサが、さらに、
前記対象を表す解剖学的モデルのデータベースから又は解剖学的アトラスから、前記解剖学的モデルを選択することと、
選択された前記解剖学的モデルを、前記対象の前記3次元表面を表す前記深度センサデータに位置合わせすることと
を行う、請求項1から10のいずれか一項に記載のX線撮像システム。
【請求項12】
前記深度センサデータを受信する動作、前記対象内の1つ又は複数の内部構造を特定する動作、及び前記1つ又は複数の内部構造の表面投影を計算する動作、前記表面投影の画像表現を出力する動作が、少なくとも第1の反復及び第2の反復において実行され、
前記第1の反復において、前記解剖学的モデルが、前記対象を表す解剖学的モデルのデータベースから又は解剖学的アトラスから選択され、選択された前記解剖学的モデルが前記対象に位置合わせされ、前記第1の反復が、前記対象を表すX線画像を生成することをさらに含み、
前記第2の反復において、前記解剖学的モデルが、前記第1の反復中に生成された前記X線画像によって与えられる、請求項1から11のいずれか一項に記載のX線撮像システム。
【請求項13】
X線源とX線検出器と深度センサとを使用して画像表現を生成するコンピュータ実装方法であって、前記X線源と前記X線検出器とは、対象が検査領域内に受け入れられたとき前記対象に対してX線撮像動作を実行するための前記検査領域によって隔てられ、前記深度センサは、前記対象が前記検査領域内に受け入れられたときに、前記対象の3次元表面を表す深度センサデータを生成し、前記コンピュータ実装方法は、
前記深度センサデータを受信するステップと、
前記深度センサデータと、前記対象内の1つ又は複数の内部構造を含む解剖学的モデルとの比較に基づいて、前記1つ又は複数の内部構造を特定するステップと、
前記深度センサデータと、特定された前記1つ又は複数の内部構造とを使用して、前記X線源の視点から、前記対象の前記3次元表面上の前記1つ又は複数の内部構造の表面投影を計算するステップと、
前記対象の前記3次元表面上にオーバーレイとして表示するために前記表面投影の画像表現を出力するステップと
を有する、コンピュータ実装方法。
【請求項14】
1つ又は複数のプロセッサによって実行されたときに、前記1つ又は複数のプロセッサに、X線源とX線検出器と深度センサとを使用して画像表現を生成する方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラムであって、前記X線源と前記X線検出器とは、対象が検査領域内に受け入れられたとき前記対象に対してX線撮像動作を実行するための前記検査領域によって隔てられ、前記深度センサは、前記対象が前記検査領域内に受け入れられたときに、前記対象の3次元表面を表す深度センサデータを生成し、前記方法は、
前記深度センサデータを受信するステップと、
前記深度センサデータと、前記対象内の1つ又は複数の内部構造を含む解剖学的モデルとの比較に基づいて、前記1つ又は複数の内部構造を特定するステップと、
前記深度センサデータと、特定された前記1つ又は複数の内部構造とを使用して、前記X線源の視点から、前記対象の前記3次元表面上の前記1つ又は複数の内部構造の表面投影を計算するステップと、
前記対象の前記3次元表面上にオーバーレイとして表示するために前記表面投影の画像表現を出力するステップと
を有する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、X線撮像中に対象を可視化することに関する。X線撮像システム、コンピュータ実装方法、及びコンピュータプログラム製品が開示されている。
【背景技術】
【0002】
X線撮像システムはX線源とX線検出器とを備える。X線源とX線検出器とは検査領域によって隔てられる。対象は、対象に対してX線撮像動作を実行するための検査領域内に配置される。X線撮像を繰り返す必要と、X線線量の関連する増加とを回避するためには、撮像されるべき対象がX線撮像システムに対して適正に位置決めされることが重要である。
【0003】
一例として、ひざ又は足関節の骨格撮像において、X線が関節の所望の部分を通ることを保証することが重要である。さらなる検討事項は、関節と、潜在的には他の解剖学的構造とが、得られた画像中で所望の形で整合させられるように、X線が所望の角度範囲内で関節を通ることである。
【0004】
X線撮像システムに対する対象の位置決めは、従来、目で、又は、対象の可視像又は赤緑青「RGB」カメラ画像を表示するモニタを介して実行される。対象上の、X線源によって放出されたX線の及ぶ範囲は、しばしば、X線源のコリメーションウィンドウを示す光照射野(light field)を対象上に投影することによって示される。X線検出器の放射感受性領域は、一般に、マーキングとして検出器の放射受光面上に示される。使用中に、オペレータは、検出器の表面上の光照射野とマーキングとを使用して、目で、又はモニタを介してX線検出器に対して対象を位置決めする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、X線撮像システムに対して対象を位置決めするための従来の手法には欠点がある。特に、骨格特徴(skeletal feature)など、内部構造の位置は隠れている。解剖学的形態の所望の部分が撮像されることを保証するために、オペレータは、一般に、そのような骨格特徴のロケーションを確認するために患者を触診する。しかしながら、触診は時間がかかり、ワークフローを妨げる。オペレータはまた、患者の初期X線画像を収集し、その初期画像を使用して患者のより最適な位置決めを決定する。しかしながら、このようにしてX線画像の収集を繰り返すことにより、患者に対するX線線量が増加する。
【0006】
したがって、X線撮像システムに対して対象を位置決めするやり方を改善する必要がある。
【0007】
文献、米国特許出願公開第2019/0183439(A1)号は、ラジオグラフィシステムによるラジオグラフィ収集のために患者の身体領域を位置決めするための方法を開示している。その方法は、身体領域のための検査要件を与えるステップと、ラジオグラフィ収集のためにラジオグラフィシステム中の身体領域を事前位置決めするステップと、ラジオグラフィ収集のためにラジオグラフィシステムの収集ユニットを事前位置決めするステップと、3Dカメラシステムを使用して身体領域の3次元位置決め収集情報を生成するステップと、3次元位置決め収集情報からプレビュー画像を生成するステップであって、3次元位置決め収集情報から患者モデルが生成され、患者モデルからプレビュー画像が生成され、プレビュー画像が、採用された事前位置決めにおいて意図されているようにラジオグラフィシステムの収集ユニットを使用して行われたかのような表現を示す、プレビュー画像を生成するステップと、プレビュー画像と、プレビュー画像に基づく位置決め情報とのうちの少なくとも1つを出力するステップとを有する。装置及びコンピュータ可読媒体も開示されている。
【0008】
別の文献、米国特許出願公開第2016/0213329(A1)号は、撮像のために使用されるビームを生成するためのX線エミッタと、ビームの光線の減衰を決定するための2次元又は3次元記録ジオメトリをもつ撮像X線検出器と、X線エミッタとX線検出器との間のX線記録システムの記録領域中の患者のための患者支持及び/又は位置決めデバイスとを含んでいる、X線記録システムを開示している。患者の輪郭を確定するためのタイムオブフライト(TOF)カメラが構成され、メモリと、それの中に記憶されたソフトウェアとをもつコンピュータが存在し、そのコンピュータユニットは、動作中に、TOFカメラによって記録された患者の輪郭から、それの中に配置された関節ロケーションとともに、患者の3次元ワイヤモデルを生成し、ワイヤモデルに対してスケーリングされた少なくとも1つの解剖学的構造をシミュレート及び表示するように実施される。
【0009】
別の文献、米国特許出願公開第2020/0029919(A1)号は、X線撮像システム中の患者の適切な位置決めが、一方では、X線画像中でキャプチャされる必要がある重要な解剖学的態様のサイズが小さいために、他方では、一般的な患者によって示される視野中の動きが大きいために、医療専門家に困難を生じさせることがあることを開示している。その文献は、初期X線画像が取得されたのとほぼ同じ時間に視野中の患者の位置の画像を取得することを提案している。更新された視野設定(例えばコリメーションパラメータ)をもつ後続のX線画像を取得することが必要であることが分かった場合、第2の画像を撮るポイントにおける患者の動きが、更新された視野設定の提供に入れられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様によれば、X線撮像システムが提供される。本X線撮像システムは、X線源と、X線検出器と、深度センサと、プロセッサとを備える。X線源とX線検出器とは、対象が検査領域内に受け入れられたとき対象に対してX線撮像動作を実行するための検査領域によって隔てられる。深度センサは、対象が検査領域内に受け入れられたときに、対象の3次元表面を表す深度センサデータを生成する。プロセッサは、
深度センサデータを受信することと、
深度センサデータと、対象内の1つ又は複数の内部構造を含む解剖学的モデルとの比較に基づいて、それらの1つ又は複数の内部構造を特定することと、
深度センサデータと、特定された1つ又は複数の内部構造とを使用して、X線源の視点から、対象の3次元表面上の1つ又は複数の内部構造の表面投影を計算することと、
対象の3次元表面上にオーバーレイとして表示するために表面投影の画像表現を出力することと
を行う。
【0011】
内部構造の表面投影はX線源の視点から与えられる。内部構造の表面投影は、したがって、X線の下で撮像されるべきである内部構造を位置決めする際に正確な案内を与えるために使用される。結果として、X線画像を撮り直す必要が低減され、それにより、対象に対するX線線量が制限される。
【0012】
本開示のさらなる態様、特徴、及び利点は、添付の図面を参照しながら行われる、例示の以下の説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示のいくつかの態様による、X線源110とX線検出器120とを含む例示的なX線撮像システム100の第1の視点を示す概略図である。
図2】本開示のいくつかの態様による、X線源110とX線検出器120とを含む例示的なX線撮像システム100の第2の視点を示す概略図である。
図3】本開示のいくつかの態様による、内部構造180を含む解剖学的モデル250の一例を示す概略図である。
図4】本開示のいくつかの態様による、X線源110と、X線検出器120と、深度センサ130と、プロセッサ140とを含む例示的な構成を示す概略図である。
図5】本開示のいくつかの態様による、X線源110の視点からの、対象160の表面170上の、内部構造180の表面投影190の一例を示す概略図である。
図6】本開示のいくつかの態様による、対象160の表面上にオーバーレイとして表示された表面投影190の第1の例を示す概略図である。
図7】本開示のいくつかの態様による、対象160の表面上にオーバーレイとして表示された表面投影190の第2の例を示す概略図である。
図8】本開示のいくつかの態様による、実際の姿勢Pと望ましい姿勢Pとを有する内部構造180を含む解剖学的モデルの一例を示す概略図である。
図9】本開示のいくつかの態様による、画像表現を生成する方法の一例を示すフローチャートである。
図10】本開示の態様の第2のセットによる、X線源310とX線検出器320とを含む例示的なX線撮像システム300の第1の視点を示す概略図である。
図11】本開示の態様の第2のセットによる、X線源310とX線検出器320とを含む例示的なX線撮像システム300の第2の視点を示す概略図である。
図12】本開示の態様の第2のセットによる、画像表現を生成する方法の一例を示すフローチャートである。
図13】本開示の態様の第2のセットによる、内部構造380を含む解剖学的モデル430の一例を示す概略図である。
図14】本開示の態様の第2のセットによる、画像表現を生成する方法の一例を示す概略図である。
図15】本開示の態様の第2のセットによる、X線源310と、X線検出器320と、プロセッサ340とを含む例示的な構成を示す概略図である。
図16】本開示の態様の第2のセットによる、X線源310の視点からの、推定された対象表面450上の、内部構造380の表面投影390の一例を示す概略図である。
図17】本開示の態様の第2のセットによる、実際の姿勢Pと望ましい姿勢Pとを有する内部構造380を含む解剖学的モデルの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の例は、以下の説明及び図を参照しながら与えられる。この説明では、説明の目的で、いくつかの例の多数の具体的な詳細が記載されている。本明細書中の「例」、「実装」又は同様の文言に対する言及は、その例に関して説明した特徴、構造、又は特性が少なくともその1つの例中に含まれることを意味する。また、1つの例に関係して説明される特徴は別の例においても使用され得ること、及び、簡潔のために、すべての特徴が必ずしも各例において繰り返されるとは限らないことを理解されたい。例えば、X線撮像システムに関係して説明される特徴は、対応する様式で、コンピュータ実装方法において、及びコンピュータプログラム製品において実装され得る。
【0015】
以下の説明では、X線撮像システムを参照する。X線撮像システムは、例えば、Philips Healthcare,Best,The Netherlandsによって販売されているDigitalDiagnost C90である。代替的に、X線撮像システムは別のタイプのX線撮像システムであり得る。いくつかの例では、X線撮像システムのX線源はガントリー(gantry)を介してシーリングに取り付けられ、対応するX線検出器は、スタンドに取り付けられ、垂直位置に保持され得る。しかしながら、本開示の例はこの特定の構成に限定されず、X線源及びX線検出器は、代替的に、異なる様式で取り付けられ、また、異なる位置に保持され得ることを理解されたい。
【0016】
以下の説明では、プロセッサ、すなわちコンピュータによって実装される様々な方法を参照する。本明細書で開示するコンピュータ実装方法は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されたときに、その少なくとも1つのプロセッサに本方法を実行させる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記憶されたコンピュータ可読命令を含む当該非一時的コンピュータ可読記憶媒体として与えられ得ることに留意されたい。言い換えれば、本コンピュータ実装方法はコンピュータプログラム製品において実装され得る。コンピュータプログラム製品は、専用のハードウェア、又は、適切なソフトウェアに関連してソフトウェアを動作させることが可能なハードウェアによって与えられ得る。プロセッサによって与えられるとき、本方法において実行される動作は、単一の専用プロセッサによって、又は単一の共有プロセッサによって、又はそれらのうちのいくつかが共有され得る複数の個々のプロセッサによって与えられ得る。本方法において実行される動作は、例えば、クライアント/サーバアーキテクチャ、インターネット、又はクラウドなど、ネットワーク化処理アーキテクチャ内で共有されるプロセッサによって与えられる。
【0017】
「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用は、もっぱら、ソフトウェアを動作させることが可能なハードウェアを指すものとして解釈されるべきでなく、限定はしないが、デジタル信号プロセッサ「DSP」ハードウェア、ソフトウェアを記憶するための読取り専用メモリ「ROM」、ランダムアクセスメモリ「RAM」、不揮発性記憶デバイスなどを暗黙的に含み得る。さらに、本開示の例は、コンピュータ使用可能記憶媒体、又はコンピュータ可読記憶媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態をとることができ、そのコンピュータプログラム製品は、コンピュータ又は任意の命令実行システムによって、或いはコンピュータ又は任意の命令実行システムとともに使用するためのプログラムコードを与える。この説明の目的で、コンピュータ使用可能記憶媒体又はコンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって、或いはそれらとともに使用するためのプログラムを含み、記憶し、通信し、伝搬し、又は移送することができる任意の装置であり得る。媒体は、電子媒体、磁気媒体、光媒体、電磁媒体、赤外媒体、又は半導体システム若しくはデバイス若しくは伝搬媒体であり得る。コンピュータ可読媒体の例としては、半導体メモリ又はソリッドステートメモリ、磁気テープ、リムーバブルコンピュータディスク、ランダムアクセスメモリ「RAM」、読取り専用メモリ「ROM」、剛性磁気ディスク及び光ディスクがある。光ディスクの現在の例は、コンパクトディスク-読取り専用メモリ「CD-ROM」、コンパクトディスク-読取り/書込み「CD-R/W」、Blu-Ray(商標)及びDVDを含む。
【0018】
上述のように、X線撮像を繰り返す必要と、X線線量の関連する増加とを回避するためには、撮像されるべき対象がX線撮像システムに対して適正に位置決めされることが重要である。
【0019】
図1は、本開示のいくつかの態様による、X線源110とX線検出器120とを含む例示的なX線撮像システム100の第1の視点を示す概略図である。X線撮像システム100はまた、深度センサ130とプロセッサ140とを含む。X線源110とX線検出器120とは、対象が検査領域内に受け入れられたとき対象160に対してX線撮像動作を実行するための検査領域150によって隔てられる。X線源及びX線検出器は、一般に、撮像動作中に静止位置に維持される。対象は、例えば、人体の一部分、又は実際には、任意の対象であり得る。図示の例では、X線源110はガントリーを介してシーリングに取り付けられ、X線検出器120は、スタンドに取り付けられ、垂直位置に保持される。X線源110及びX線検出器120の代替的な配置、取付け構成、及び位置も使用され得る。
【0020】
図2は、本開示のいくつかの態様による、X線源110とX線検出器120とを含む例示的なX線撮像システム100の第2の視点を示す概略図である。図1と比較すると、図2に示されている視点はX線源110と深度センサ130との位置をより明確に示している。また、図2において、患者の形態の例示的な対象160は、患者に対してX線撮像動作を実行するために検査領域150内に受け入れられている。図2では、胸部X線撮像動作が患者に対して実行されるところである。図1及び図2中のX線源110とX線検出器120との間に延びる実線は、X線源110によって放出されるX線ビームと、X線検出器120のX線放射感受性領域との間の重複部分のボリューム範囲を示しており、それの内部でX線画像データが生成される。この重複部分のボリューム範囲は検査領域150を画定する。X線検出器120のX線放射感受性領域230の外周は、図1に示されているように、X線検出器の放射受光面上にマーキングされる。X線検出器120は、X線線量データを生成するための1つ又は複数の放射線量測定センサをも含み得る。放射線量測定センサの位置はX線検出器120の放射受光面上に放射線量測定領域240として示される。放射線量測定センサは自動露光制御「AEC」チャンバと呼ばれることもある。使用中に、放射線量測定センサは、検出された放射線量に基づいてX線照射の露光時間を制限するように働く。図1中の示されている例では、5つの放射線量測定領域240があり、これらは円形形状を有する。他の例では、放射線量測定領域240は異なる形状を有し得、異なる数のそのような領域があるか、又は全くないことさえある。
【0021】
使用中に、図2に示されている対象160がX線撮像システムに対して適正に位置決めされることが望ましい。より詳細には、対象は、X線検出器120のX線放射感受性領域230及び/又は1つ又は複数の放射線量測定領域240と、X線源110とに対して適正に位置決めされることが望ましい。図1及び図2に示されている例では、このことは深度センサ130を使用すると容易になる。
【0022】
一般に、深度センサは、深度センサと深度センサの視野内の対象の表面上の複数のポイントとの間の範囲を表す深度センサデータを生成する。様々なタイプの深度センサが知られている。これらは、タイムオブフライト又はライダー(LIDAR)原理を採用する深度カメラ、構造化光原理を採用する深度カメラ、及び両眼立体視(binocular stereo vision)原理を採用する深度カメラを含む。図1及び図2に示されている例において使用するために、そのような深度センサのうちの1つ又は複数の使用が企図される。いくつかの例では、単一の深度センサが、検査領域を観測するために使用され、それによって単一の視点からの深度センサデータを与える。しかしながら、複数の深度センサの使用も企図される。複数の深度センサが、検査領域を観測するために配置され、このようにして異なる視点からの深度センサデータを与える。異なる視点からの深度センサデータはまた、単一の視点からの深度センサデータを与えるために組み合わせられ得、これは、個々の深度センサの視点とは異なる視点でさえあり得る。
【0023】
タイムオブフライト又はライダー原理では、放出された光パルスが、シーン中のカメラの位置から対象まで進行し、戻って来るのにかかる時間を使用して、対象の表面までの距離を表す画像データの形態の深度センサデータを生成する。Azure Kinect DK深度カメラ、及びIntel RealSense(商標)LiDAR Camera L515は、この原理を採用する深度カメラの例である。構造化光原理では、シーン内の対象の表面上に光学パターンが投影され、元の投影されたパターンと、対象の表面によって変形したパターンとの間の視差が1つ又は複数のカメラによって撮像される。両眼立体視原理では、シーンの異なるビューを使用して、シーンを表す深度マップの形態の深度センサデータを与える。いくつかの深度カメラは、対象の表面の2次元画像を表す光学画像データ、並びに深度センサデータを生成することが可能である。そのようなカメラは、しばしばRGB-Dカメラと呼ばれる。光学画像データは光スペクトルの可視又は赤外部分を表す。以下でより詳細に説明するように、図1及び図2に示されているシステムにおいて、そのようなRGB-Dカメラの使用も企図される。
【0024】
図1及び図2に示されている例示的なシステム100において、深度センサ130は、それの最小範囲が点線によって示されている視野を有する。一般に、深度センサ130の視野はX線検出器を含み、また、検査領域150の一部分と重複する。図1及び図2において、深度センサ130は、検査領域150内に受け入れられた対象160の共通の表面がX線源110及び深度センサ130の両方の視野内にあるように配置される。そうすることで、図1及び図2に示されている深度センサ130は、対象が検査領域150内に受け入れられたときに、対象160の3次元表面170を表す深度センサデータを生成するように構成される。
【0025】
図1及び図2に示されている例示的な構成において、深度センサ130はX線源110に機械的に結合されている。深度センサ130はまた、X線源110と、X線検出器120の中心とを通る軸に対してオフセットされている。しかしながら、深度センサ130は、代替的に、対象160が検査領域150内に受け入れられたときに、対象160の3次元表面170を表す深度センサデータを生成するために、異なって位置決めされ得ることに留意されたい。例えば、深度センサ130は、X線撮像システム100が位置する部屋の壁又はシーリングに機械的に結合され得る。代替的に、深度センサ130は、室内の床置き型スタンドに機械的に結合され得る。深度センサは、代替的に、移動式であり得る。いくつかの例では、深度センサは、したがって、X線撮像システム100がそれの中に位置する部屋のあちこちに動かすことが可能である。
【0026】
図1及び図2に示されているプロセッサ140は、深度センサデータを受信するように構成される。プロセッサ140は任意の形態のデジタル通信を介して深度センサデータを受信する。プロセッサ140は深度センサ130から直接的又は間接的に深度センサデータを受信する。プロセッサ140及び深度センサ130は、例えば、図1及び図2中のこれらの部材を接続する矢印によって示されているように、電気ケーブル又はイーサネットなど、直接的なワイヤード又はワイヤレス通信経路、或いは、Bluetoothなど、ワイヤレス赤外又はRF通信経路を介して互いと通信している。代替的に、深度センサ130とプロセッサ140との間の通信経路は間接的であり得る。例えば、深度センサ130及びプロセッサ140は、インターネットを介して、クラウドを介して、又はコンピュータ可読記憶媒体を介して互いに通信している。
【0027】
その上、図1及び図2に示されているプロセッサ140はまた、
深度センサデータと、対象160内の1つ又は複数の内部構造180を含む解剖学的モデルとの比較に基づいて、1つ又は複数の内部構造180を特定すること(S120)と、
深度センサデータと、特定された1つ又は複数の内部構造180とを使用して、X線源110の視点から、対象160の3次元表面170上の1つ又は複数の内部構造の表面投影190を計算すること(S130)と、
対象160の3次元表面170上にオーバーレイとして表示するために表面投影190の画像表現を出力すること(S140)と
を行う。
【0028】
プロセッサによって実行される動作は、本開示のいくつかの態様による、画像表現を生成する方法の一例を示すフローチャートである、図9に示されている。これらの動作の結果として、X線源の視点から与えられた内部構造の表面投影が得られる。表面投影は、X線の下で撮像されるべきである内部構造を位置決めする際に正確な案内を与えるために使用される。結果として、X線画像を撮り直す必要が低減され、それにより、対象に対するX線線量が制限される。
【0029】
プロセッサ140によって実行される動作について、図1図9を参照しながら以下でより詳細に説明する。
【0030】
動作S120において、深度センサデータと、対象160内の1つ又は複数の内部構造180を含む解剖学的モデルとの比較に基づいて、1つ又は複数の内部構造180が特定される。図3は、本開示のいくつかの態様による、内部構造180を含む解剖学的モデル250の一例を示す概略図である。例示的な解剖学的モデル250は、ひざを表し、内部骨構造180を含む。しかしながら、一般に、解剖学的モデルは人体の任意の部分を表し得る。解剖学的モデルは、例えば、肢、胴、手などを表す。内部構造180は、一般に、骨と、器官、筋肉、腱、靭帯などの軟組織などとを含む、任意のタイプの内部構造であり得る。解剖学的モデル250は、解剖学的モデルの表面を画定する周囲組織260を含む。周囲組織は、例えば、筋肉、脂肪、及び皮膚を含む。深度センサデータは対象160の3次元表面170を表し、動作S120において、深度センサデータによって表された対象160の3次元表面170を、解剖学的モデルの表面と比較すること、又は言い換えれば、深度センサデータによって表された対象160の3次元表面170を解剖学的モデルの表面に適合させることによって、内部構造180が特定される。
【0031】
いくつかの例では、解剖学的モデル250は3つ以上の次元を含む。解剖学的モデルは、例えば3つの空間次元を含む。解剖学的モデルは3つの空間次元と第4の時間次元とを含み得る。いくつかの例では、解剖学的モデルは1つ又は複数のキネマティックジョイント(kinematic joint)を含み、解剖学的モデルは少なくとも1つの自由度を含む。キネマティックジョイントは回転及び摺動など自由度を有し得る。
【0032】
いくつかの例では、動作S120において使用される解剖学的モデル250は、対象を表す複数のX線画像によって与えられる。それらの画像は対象の異なるビューを表す。他の例では、解剖学的モデル250は、対象を表すコンピュータ断層撮影画像によって、又は対象を表す磁気共鳴画像によって与えられる。言い換えれば、複数のX線画像、コンピュータ断層撮影画像、及び磁気共鳴画像は検査領域中の対象から生成されたか、又は、それらの画像は、検査領域中の対象と同じタイプの対象から生成された。前者の場合、X線画像、コンピュータ断層撮影画像、及び磁気共鳴画像は、対象に対する過去の撮像手順から入手可能である。そのような画像は、一般に、解剖学的形態の表面を示すものを含む。そのような画像は、対象に対する過去の撮像手順から入手可能である。これらの例では、解剖学的モデルは、動作S120において、対象160の3次元表面170を表す深度センサデータに位置合わせされる。より詳細には、深度センサデータと解剖学的モデルとの比較は、解剖学的モデルを、対象160の3次元表面170を表す深度センサデータに位置合わせすることを含む。位置合わせは剛体(rigid)位置合わせ又は非剛体(elastic)位置合わせであり得る。位置合わせは、したがって、解剖学的モデルを深度センサデータに適合させるために、解剖学的モデルを平行移動すること、回転すること、及び解剖学的モデルのサイズをスケーリングすることなどの動作を含む。解剖学的モデルは、モデル中の対象表面の一部分と、深度センサデータ中の対象表面の対応する部分との間の最良の適合が見つけられるように適合させられる。
【0033】
動作S120において使用される解剖学的モデル250は、対象を表す解剖学的モデルのデータベースから又は解剖学的アトラスから選択される。解剖学的モデルは、検査領域150中の対象の性別又は寸法など、様々な対象パラメータに基づいて選択される。解剖学的モデルは、自動的に、又はオペレータによって選択される。例えば、解剖学的モデルは、対象の寸法を決定するために深度センサデータを分析し、決定された寸法を使用して解剖学的モデルを選択することによって、自動的に選択される。選択されたモデルはまた、コンピュータ断層撮影画像によって与えられる解剖学的モデル250の例について上記で説明したように、動作S120において、対象160の3次元表面170を表す深度センサデータに対して位置合わせされる。
【0034】
一例では、対象内の1つ又は複数の内部構造を特定する動作S120、及び1つ又は複数の内部構造の表面投影190を計算する動作S130は、機械学習アルゴリズムを使用して実行される。この例では、機械学習アルゴリズムは、対象の表面を表すデータから内部構造の表面投影を予測するためにトレーニングされる。この例におけるトレーニングデータは磁気共鳴画像から合成的に与えられる。例えば、グランドトゥルース(ground truth)データは、深度センサの位置からの対象の表面のビューに対応する合成深度センサデータと、X線源の位置から見た、磁気共鳴画像からの内部構造を対象の表面上に投影することによって生成された合成表面投影データとを含み得る。
【0035】
そうすることで、動作S120の結果として、対象の表面の目視検査だけでは見えない内部構造が特定される。
【0036】
動作S130において、対象160の表面170上の、1つ又は複数の内部構造の表面投影190は、深度センサデータと、X線源110の視点からの特定された1つ又は複数の内部構造180とを使用して計算される。この動作について、本開示のいくつかの態様による、X線源110と、X線検出器120と、深度センサ130と、プロセッサ140とを含む例示的な構成を示す概略図である図4を参照しながら説明する。図4に示されている構成は、図1及び図2に示されている概略図を通る断面図に対応し、さらに、対象160内の内部構造180を含む。内部構造180は、例えば、骨、又は別のタイプの内部構造を表し得る。図4に示されている構成では、図1及び図2におけるように、X線源とX線検出器とが検査領域150によって隔てられる。X線源110及びX線検出器120は、検査領域150内に配置された対象160に対してX線撮像動作を実行するために同様に使用される。X線源110は、立体角Ωによって画定されたボリュームビーム内にX線放射を生成し、そのX線放射は、X線画像データを生成するためにX線検出器120によって検出される。X線源110と、X線検出器120の中心とを通る軸に対するオフセット位置に深度センサ130が位置する。深度センサ130は、それの最小範囲が点線と立体角Ωdsとによって示されている視野を有する。図1及び図2に関して上記で説明したように、深度センサ130は、対象が検査領域150内に受け入れられたときに、対象160の3次元表面170を表す深度センサデータを生成するように構成される。
【0037】
図4を参照すると、動作S130において、X線源110の視点からの1つ又は複数の内部構造180の表面投影190は、モデル中で特定された内部構造180の位置を、X線源110によって放出されたX線の仮想経路に沿って、深度センサデータによって与えられた対象160の3次元表面170上に逆投影することによって計算される。この投影は、数学的な意味で実行され、図4中のX線源110に向かって収束する矢印線として示されており、矢印線はX線の仮想経路を表す。一例では、深度センサ130のX線源に対するオフセット位置の修正も適用される。この例では、表面投影は、深度センサ130とX線源110とX線検出器120との相対位置に関係する変換にさらに基づいて計算される。これらの相対位置の決定について以下でより詳細に説明する。
【0038】
図5は、本開示のいくつかの態様による、X線源110の視点からの、対象160の表面170上の内部構造180の表面投影190の一例を示す概略図である。図5に示されている表面投影190は、図4に示されている構成によって生成される。したがって、図4において図面の平面内に延びる2つの内部構造180は、対象160の表面170上に投影されたときに、図5において水平の帯として見える。
【0039】
X線源の視点からの表面投影を与えることの効果は、X線源110から見た、内部構造が対象の表面上に見えるような、内部構造の正確な描写を与えることである。このタイプのビューは、X線源によって放出されるビームの視点からの投影された内部構造のビューを与えるので、ビームアイビュー(beam eye view)と呼ばれることもある。表面投影190は、第1に、対象をX線にさらす前に、適正な内部構造がX線撮像システムの視野内にあることを検証するために使用される。第2に、表面投影190は、内部構造が適正な様式で整合していることを検証するために使用される。例えば、オペレータは、図4中の2つの内部構造180が離れているかどうか、又はそれらの表面投影が互いに重複することを防ぐために、対象180を回転させるべきであるかどうかが、図5中の表面投影190から容易に分かる。両方の場合において、表面投影は、したがって、X線画像を撮り直す必要を減じることによって、対象に対するX線線量を制限するために使用される。
【0040】
動作S140において、対象160の表面170上にオーバーレイとして表示するために、表面投影190の画像表現が出力される。画像表現190は、例えば、ディスプレイに、又はプロジェクタに出力される。
【0041】
一例では、図1図2及び図4に示されているX線撮像システム100はディスプレイ200をさらに含み、プロセッサ140は、さらに、表面投影190の画像表現と、対象の表面を表す深度センサデータとを含むオーバーレイ画像をディスプレイに出力するように構成される。表面投影190の画像表現と、深度センサデータとをもつオーバーレイ画像を与えることにより、対象の表面上の内部特徴のトポグラフィ画像が与えられ、オペレータに与えられる、X線撮像システムに対する対象の位置決めについての理解が改善し得る。オーバーレイ画像は、2つの画像のうちの一方のピクセル値を半透明に設定し、2つの画像中の対応するピクセル値を組み合わせることなどの技法によって生成される。代替的に、一方の画像中のピクセル値を他方の画像中の対応するピクセル値と置き換えることによって、画像中の対応するピクセル値が組み合わせられる。
【0042】
別の例では、図1図2及び図4に示されているX線撮像システム100はディスプレイ200をも含む。この例では、深度センサ130は、さらに、対象の2次元表面を表す光学画像データを生成するように構成される。深度センサ130は、例えば、対象の3D表面を表す深度データ、並びに対象の2次元表面を表す光学画像データを与える、RGB-Dカメラである。この例では、プロセッサ140は、さらに、表面投影190の画像表現と、対象の2次元表面を表す光学画像データとを含むオーバーレイ画像をディスプレイに出力するように構成される。この例は、画像表現を3D表現として表示するのではなく、それが2D表現として表示されるという点で、前の例とは異なる。2D表現は、より解釈しやすい患者のビューを与える。
【0043】
別の例では、図1図2及び図4に示されているX線撮像システム100はプロジェクタ210をも含む。この例では、プロセッサ140は、さらに、対象の表面上にオーバーレイとして表示するために表面投影190の画像表現をプロジェクタに出力するように構成される。例えば、Sony Europe,B.V,Weybridge,UKによって販売されているVPLlaserプロジェクタなど、様々な光学画像プロジェクタがこの目的で使用され得る。この例について、本開示のいくつかの態様による、対象160の表面上にオーバーレイとして表示された表面投影190の第1の例を示す概略図である図6を参照しながら説明する。図7に示されている例では、対象160は患者であり、内部構造は患者の胴内の骨である。表面投影190は、したがって、肋骨、脊椎の一部分、及び肩甲骨を含み、これらは患者の胴の上に投影される。図示の例では、表面投影190はグレースケールで与えられているが、他の例では、異なる内部構造を示すために1つ又は複数の色が使用される。
【0044】
いくつかの例では、X線撮像システムに対して対象160を整合させるオペレータにさらなる案内を与えるために、追加の情報も表面投影190に含められる。この追加の情報は、上記で説明したディスプレイ200に又はプロジェクタ210に出力され得る。例えば、X線検出器の放射線量測定領域240の画像表現及び/若しくは放射感受性領域230の画像表現、並びに/又はコリメーションウィンドウの画像表現も出力される。例として、図7は、本開示のいくつかの態様による、対象160の表面上にオーバーレイとして表示された表面投影190の第2の例を示す概略図である。この例では、放射感受性領域230と放射線量測定領域240の両方の画像表現が患者の表面上に投影される。対象が検査領域150中に配置されたときに、対象は、一般に、これらの領域の範囲を示すX線検出器120の表面上のマーキングを覆い隠すので、この追加の情報を与えることは有用である。したがって、図7中の肋骨など、所望の内部構造が後続のX線撮像動作中に撮像されることが保証される。
【0045】
上記の例では、内部構造の表面投影はX線源110の視点から与えられる。このタイプのビューは、X線源によって放出されるビームの視点からのビューを与えるので、ビームアイビューと呼ばれることもある。しかしながら、このタイプのビューは、特に、X線源とX線検出器120の中心とを通る軸に対してオフセットされたカメラによって生成された画像上のオーバーレイ画像としてディスプレイに出力されたときには、直観的でないように見える。より直観的なビューは、深度センサ130の視点からの投影されたオーバーレイ画像データ220の画像表現を生成することによって与えられる。したがって、一例では、図1図2及び図4において上記で示されたX線撮像システム100は、ディスプレイ200とプロセッサ140とをさらに含み、さらに、
表面投影190の画像表現と、対象160の3次元表面170を表す深度センサデータとを表すオーバーレイ画像データを生成することと、
X線源110の視点から、オーバーレイ画像データをX線検出器120の放射受光面上に投影することと、
深度センサ130の視点からの、X線検出器120の放射受光面上の投影されたオーバーレイ画像データ220の画像表現を生成することと、
投影されたオーバーレイ画像データ220の生成された画像表現をディスプレイ200に出力することと
を行う。
【0046】
この例に関係する動作について、図4を参照しながらより詳細に説明する。この例では、オーバーレイ画像データを生成する第1のステップは、深度センサデータを表面投影190と組み合わせることを伴う。このオーバーレイ画像データは、図4中の対象160の表面上の太い屈曲した黒線として可視化することができる。第2のステップは、検出器120の表面上の太い真っ直ぐな黒線を与えるためのX線検出器の表面上への太い屈曲した黒線の投影として可視化することができる。第3のステップは、深度センサの視点からの太い真っ直ぐな黒線の画像表現として可視化することができる。これらの投影は、数学的な意味で実行され、深度センサ130とX線源110とX線検出器120との相対位置に基づいて計算される。
【0047】
深度センサ130とX線源110とX線検出器120との相対位置は、較正データから決定されるか、又は代替的に、それらは位置センサデータから決定される。較正データは、深度センサ130、X線源110、及びX線検出器120の各々の離散的な位置を表す。離散的な位置は選択可能である。例えば、X線検出器の高さは、整数個の固定された機械的な位置のうちの1つから選択可能であり、センサは、それらの位置のうちのどれが現在選択されているかを示す。代替的に、深度センサ130とX線源110とX線検出器120との相対位置を表す位置センサデータを与えるために、様々なタイプの位置センサが使用され得る。例えば、光追跡技法、無線周波数「RF」追跡技法、又は超音波追跡技法を採用する位置センサが使用される。好適な位置センサの例は、X線源110とX線検出器120と深度センサ130とのうちの1つ又は複数の上に配設された基準マーカの位置を追跡するように構成された、回転及び並進位置エンコーダ、レーザベースの光学式レンジファインダ、RF及び超音波測距トランスポンダ、及び光学カメラを含む。位置センサの別の例は、X線源110とX線検出器120と深度センサ130とのうちの1つ又は複数の位置を追跡するように構成された深度カメラである。
【0048】
別の例では、図1図2及び図4を参照しながら上記で説明したシステム100は、対象内の構造の望ましい姿勢を取得するためにオペレータを案内するための修正アクションを出力する。このことは、オペレータが、対象をX線撮像システムに対してより正確に位置決めすることを可能にし、したがって、X線画像を撮り直す必要を減じるのを助ける。この例では、プロセッサ140は、さらに、
対象160内の特定された1つ又は複数の内部構造の実際の姿勢を1つ又は複数の内部構造の望ましい姿勢と比較することと、
実際の姿勢と望ましい姿勢との間の差を低減するために1つ又は複数の修正アクションを計算することと、
修正アクションを出力することと
を行う。
【0049】
この例について、本開示のいくつかの態様による、実際の姿勢Pと望ましい姿勢Pとを有する内部構造180を含む解剖学的モデルの一例を示す概略図である、図8を参照しながら説明する。図8には、実際の姿勢、すなわち、解剖学的モデルの内部構造180の現在の位置及び向きが示されており、Pは、X線源とX線検出器120の中心とを通る軸を表す。この例では、実際の姿勢は、適合された解剖学的モデル中の1つ又は複数の内部構造の位置から決定される。内部構造180の実際の姿勢は6自由度「6DOF」解剖学的モデルのパラメータによって表され、軸は、基準向きとしてのX線源と、基準位置としての検出器の中心とを通る。同様に、望ましい姿勢Pは、解剖学的モデルの内部構造の望ましい位置及び向きとして表される。望ましい姿勢Pは、臨床勧告に基づいて、又は対象の前のX線画像に基づいて決定される。対象の部分についての望ましい姿勢は、ルックアップテーブル中に記憶され、X線撮像手順中にオペレータによって選択される。図示の例では、望ましい姿勢Pは、図8に示されている角Θ及び角Φにわたって解剖学的モデルの向きを調整することによって取得される。
【0050】
この例では、対象160内の特定された1つ又は複数の内部構造の実際の姿勢を、望ましい姿勢と比較する動作は、それらの現在位置における内部構造180の6DOFモデルのパラメータを、それらの望ましい位置における内部構造の6DOFモデルのパラメータと比較することを含む。実際の姿勢と望ましい姿勢との間の差を低減するための1つ又は複数の修正アクションを計算する動作は、モデルによって表された自由度の1つ又は複数の差を決定することを含む。これらは、内部構造の平行移動及び/若しくは回転並びに/又は屈曲角の変更を含み、後者は図8中のシンボルδによって表されている。平行移動及び/又は回転は、関連する大きさ及び/又は方向をも含む。これらの変換は、次いで、修正アクションとして出力される。例えば、変換は、「X軸の周りを10度回転する」、「Y軸に沿って20センチメートル平行移動する」などの修正アクションを含む。実際の姿勢を比較する動作、1つ又は複数の修正アクションを計算する動作、及び修正アクションを出力する動作は1回実行されることもあり、それらは複数回実行されることもある。例えば、これらの動作は、実際の姿勢と望ましい姿勢との間の差が所定の値の範囲内になるまで繰り返し実行される。
【0051】
上述のように、いくつかの例では、図1図2及び図4を参照しながら上記で説明したシステム100はプロジェクタを含み、他の例では、システム100はディスプレイを含む。修正アクションはディスプレイに及び/又はプロジェクタに出力され得る。修正アクションはテキスト形式で及び/又は図式形式で出力され得る。図式形式の修正アクションは、例えば、修正アクションの方向を示す矢印を生成することを含み、矢印のサイズは修正アクションの大きさを示す。図式形式の修正アクションはまた、アニメーションの形態で与えられ得る。修正アクションをディスプレイ又はプロジェクタに出力することの代わりに、或いは、修正アクションをディスプレイ又はプロジェクタに出力することに加えて、修正アクションはオーディオ形式で出力され得る。一例では、1つ又は複数の修正アクションは、対象160上に表示するためにプロジェクタに出力される。この例では、プロジェクタは、X線撮像システムと、したがって対象と整合させられ、それにより、修正アクションが対象自体の上に表示されることになる。これにより、対象を再位置決めする際により直観的な案内がオペレータに与えられる。
【0052】
一例では、対象の位置決めは、対象を表すX線画像を使用して繰り返し実行される。この例では、深度センサデータを受信する動作S110、対象160内の1つ又は複数の内部構造180を特定する動作S120、1つ又は複数の内部構造の表面投影190を計算する動作S130、及び表面投影190の画像表現を出力する動作S140が、少なくとも第1の反復及び第2の反復において実行される。第1の反復において、対象に対応する解剖学的モデルが、対象160を表す、解剖学的アトラスから、又は解剖学的モデルのデータベースから選択され、選択された解剖学的モデルが対象160に位置合わせされ、第1の反復は、対象160を表すX線画像を生成することをさらに含む。第2の反復において、解剖学的モデルが、第1の反復中に生成されたX線画像によって与えられる。
【0053】
この例では、第2の反復において使用されるX線画像は、上記で説明したように、対象に位置合わせされる。この例では、第2の反復は内部構造をより正確に示すものをもたらす。したがって、この例によってより正確な案内が与えられ、そのことは、さらに、対象の所望のX線画像を取得するために最終的に収集されるX線画像の総数を制限するのを助ける。これにより、したがって、対象に対するX線線量が減じられ、ワークフローも改善される。
【0054】
他の例によれば、コンピュータ実装方法及びコンピュータプログラム製品も提供される。例示的な方法について、本開示のいくつかの態様による、画像表現を生成する方法の一例を示すフローチャートである、図9を参照しながら説明する。
【0055】
図9を参照すると、X線源110とX線検出器120と深度センサ130とを使用して画像表現を生成するコンピュータ実装方法であって、X線源110とX線検出器120とは、対象が検査領域内に受け入れられたとき対象160に対してX線撮像動作を実行するための検査領域150によって隔てられ、深度センサ130は、対象160が検査領域150内に受け入れられたときに、対象160の3次元表面170を表す深度センサデータを生成する、コンピュータ実装方法が提供される。本コンピュータ実装方法は、
深度センサデータを受信するステップS110と、
深度センサデータと、対象160内の1つ又は複数の内部構造180を含む解剖学的モデルとの比較に基づいて、1つ又は複数の内部構造180を特定するステップS120と、
深度センサデータと、特定された1つ又は複数の内部構造180とを使用して、X線源110の視点から、対象160の3次元表面170上の1つ又は複数の内部構造の表面投影190を計算するステップS130と、
対象160の3次元表面170上にオーバーレイとして表示するために表面投影190の画像表現を出力するステップS140と
を有する。
【0056】
図9を引き続き参照すると、1つ又は複数のプロセッサによって実行されたときに、その1つ又は複数のプロセッサに、X線源110とX線検出器120と深度センサ130とを使用して画像表現を生成する方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラムであって、X線源110とX線検出器120とは、対象が検査領域内に受け入れられたとき対象160に対してX線撮像動作を実行するための検査領域150によって隔てられ、深度センサ130は、対象160が検査領域150内に受け入れられたときに、対象160の3次元表面170を表す深度センサデータを生成する、コンピュータプログラムも提供される。本方法は、
深度センサデータを受信するステップと、
深度センサデータと、対象160内の1つ又は複数の内部構造180を含む解剖学的モデルとの比較に基づいて、1つ又は複数の内部構造180を特定するステップと、
深度センサデータと、特定された1つ又は複数の内部構造180とを使用して、X線源110の視点から、対象160の3次元表面170上の1つ又は複数の内部構造180の表面投影190を計算するステップと、
対象160の3次元表面170上にオーバーレイとして表示するために表面投影190の画像表現を出力するステップと
を有する。
【0057】
次に、本開示の態様の第2のセットについて説明する。これらは、以下に列挙される実施例1~12に関する。態様の第2のセットは、対象をX線撮像システムに対して位置決めする方法を改善するための代替的なシステムに関し、本システムについて、図10図17を参照しながら以下でより詳細に説明する。態様のこの第2のセットでは、内部構造の表面投影も生成される。上記で説明した例とは対照的に、この表面投影は深度センサの必要なしに生成される。
【0058】
実施例1.
X線源(310)と、
X線検出器(320)と、
プロセッサ(340)と
を備える、X線撮像システム(300)であって、
X線源(310)とX線検出器(320)とは、対象(360)が検査領域(350)内に受け入れられたとき対象(360)に対してX線撮像動作を実行するための検査領域(350)によって隔てられ、
プロセッサ(340)が、
X線画像データを受信すること(S310)であって、X線画像データは、対象(360)が検査領域(350)内に受け入れられたときの対象(360)内の1つ又は複数の内部構造(380)を表す、X線画像データを受信すること(S310)と、
対象(360)を表す解剖学的モデル(430)を受信すること(S320)であって、解剖学的モデルが、1つ又は複数の内部構造(380)と、解剖学的モデルの表面を画定する周囲組織(440)とを含む、対象(360)を表す解剖学的モデル(430)を受信すること(S320)と、
解剖学的モデル(430)の表面が、X線画像データ中に表された1つ又は複数の内部構造(380)についての推定された対象表面(450)を与えるように、解剖学的モデル(430)からの1つ又は複数の内部構造(380)を、X線画像データ中に表された1つ又は複数の対応する内部構造(380)にマッピングすること(S330)と、
解剖学的モデル(430)を使用して、X線源(310)の視点から、推定された対象表面(450)上の1つ又は複数の内部構造(380)の表面投影(390)を計算すること(S340)と、
対象(360)の表面(370)上にオーバーレイとして表示するために表面投影(390)の画像表現を出力すること(S350)と
を行う、X線撮像システム(300)。
【0059】
実施例2.プロジェクタ(410)をさらに備え、プロセッサ(340)が、さらに、対象(360)の表面(370)上にオーバーレイとして表示するために表面投影(390)の画像表現をプロジェクタに出力する、実施例1に記載のX線撮像システム。
【0060】
実施例3.X線撮像システム(100)は、さらに、
カメラ(330)と、
ディスプレイ(400)と
を備え、
カメラ(330)は、対象(360)が検査領域(350)内に受け入れられたときに、対象(360)の2次元表面(370)を表す光学画像データを生成し、
プロセッサ(340)が、さらに、表面投影(390)の画像表現と、対象(360)の2次元表面(370)を表す光学画像データとを含むオーバーレイ画像をディスプレイ(400)に出力する、実施例1又は実施例2に記載のX線撮像システム。
【0061】
実施例4.1つ又は複数の内部構造をマッピングする動作(S330)と、1つ又は複数の内部構造の表面投影を計算する動作(S340)とが、機械学習アルゴリズムを使用して実行される、実施例1に記載のX線撮像システム。
【0062】
実施例5.プロセッサ(340)が、さらに、
対象(360)内の特定された1つ又は複数の内部構造(380)の実際の姿勢を1つ又は複数の内部構造の望ましい姿勢と比較することと、
実際の姿勢と望ましい姿勢との間の差を低減するために1つ又は複数の修正アクションを計算することと、
修正アクションを出力することと
を行う、実施例1に記載のX線撮像システム。
【0063】
実施例6.ディスプレイ(400)及び/又はプロジェクタ(410)をさらに備え、プロセッサ(340)が、さらに、
1つ又は複数の修正アクションをディスプレイ(400)に出力し、及び/又は、対象(160)上に表示するために1つ又は複数の修正アクションをプロジェクタ(410)に出力する、実施例5に記載のX線撮像システム。
【0064】
実施例7.1つ又は複数の修正アクションが1つ若しくは複数の平行移動及び/又は1つ若しくは複数の回転を表し、1つ又は複数の修正アクションが大きさ及び/又は方向を含む、実施例5又は6に記載のX線撮像システム。
【0065】
実施例8.解剖学的モデルが3つ以上の次元を含む、実施例1から7のいずれか1つに記載のX線撮像システム。
【0066】
実施例9.解剖学的モデルが1つ又は複数のキネマティックジョイントを含み、解剖学的モデルが少なくとも1つの自由度を含む、実施例8に記載のX線撮像システム。
【0067】
実施例10.解剖学的モデル(430)が、対象を表すコンピュータ断層撮影画像と、対象を表す磁気共鳴画像とのうちの1つ又は複数によって与えられる、実施例1から9のいずれか1つに記載のX線撮像システム。
【0068】
実施例11.プロセッサ(340)が、さらに、対象を表す、解剖学的アトラスから、又は解剖学的モデルのデータベースから、解剖学的モデルを選択する、実施例1から9のいずれか1つに記載のX線撮像システム。
【0069】
上述のように、X線撮像を繰り返す必要と、X線線量の関連する増加とを回避するためには、撮像されるべき対象がX線撮像システムに対して適正に位置決めされることが重要である。
【0070】
図10は、本開示の態様の第2のセットによる、X線源310とX線検出器320とを含む例示的なX線撮像システム300の第1の視点を示す概略図である。X線撮像システム300はプロセッサ340をも含む。X線源310とX線検出器320とは、対象が検査領域350内に受け入れられたとき対象160に対してX線撮像動作を実行するための検査領域350によって隔てられる。X線源及びX線検出器は、一般に、撮像動作中に静止位置に維持される。対象は、例えば、人体の一部分、又は実際には、任意の対象であり得る。図示の例では、X線源310はガントリーを介してシーリングに取り付けられ、X線検出器320は、スタンドに取り付けられ、垂直位置に保持される。X線源310及びX線検出器320の代替的な配置、取付け構成、及び位置も使用され得る。
【0071】
図11は、本開示の態様の第2のセットによる、X線源310とX線検出器320とを含む例示的なX線撮像システム300の第2の視点を示す概略図である。図10と比較すると、図11に示されている視点は患者の形態の例示的な対象360をも含む。患者は、患者に対してX線撮像動作を実行するために検査領域350内に受け入れられている。図11では、胸部X線撮像動作が患者に対して実行されるところである。図10及び図11中のX線源310とX線検出器320との間に延びる実線は、X線源310によって放出されるX線ビームと、X線検出器320のX線放射感受性領域との間の重複部分のボリューム範囲を示しており、それの内部でX線画像データが生成される。この重複部分のボリューム範囲は検査領域350を画定する。X線検出器320のX線放射感受性領域530の外周は、図10に示されているように、X線検出器の放射受光面上にマーキングされる。X線検出器320は、X線線量データを生成するための1つ又は複数の放射線量測定センサをも含み得る。放射線量測定センサの位置はX線検出器320の放射受光面上に放射線量測定領域540として示される。放射線量測定センサは自動露光制御「AEC」チャンバと呼ばれることもある。使用中に、放射線量測定センサは、検出された放射線量に基づいてX線照射の露光時間を制限するように働く。図10中の示されている例では、5つの放射線量測定領域540があり、これらは円形形状を有する。他の例では、放射線量測定領域540は異なる形状を有し得、異なる数のそのような領域があるか、又は全くないことさえある。
【0072】
使用中に、図11に示されている対象360がX線撮像システムに対して適正に位置決めされることが望ましい。より詳細には、対象は、X線検出器320のX線放射感受性領域530及び/又は1つ又は複数の放射線量測定領域540と、X線源310とに対して適正に位置決めされることが望ましい。図10及び図11に示されている例では、このことはX線画像データと解剖学的モデルとを使用すると容易になる。図10及び図11を参照すると、プロセッサ340は、
X線画像データを受信すること(S310)であって、X線画像データは、対象360が検査領域350内に受け入れられたときの対象360内の1つ又は複数の内部構造380を表す、X線画像データを受信すること(S310)と、
対象360を表す解剖学的モデル430を受信すること(S320)であって、解剖学的モデルが、1つ又は複数の内部構造380と、解剖学的モデルの表面を画定する周囲組織440とを含む、対象360を表す解剖学的モデル430を受信すること(S320)と、
解剖学的モデル430の表面が、X線画像データ中に表された1つ又は複数の内部構造380についての推定された対象表面450を与えるように、解剖学的モデル430からの1つ又は複数の内部構造380を、X線画像データ中に表された1つ又は複数の対応する内部構造380にマッピングすること(S330)と、
解剖学的モデル430を使用して、X線源310の視点から、推定された対象表面450上の1つ又は複数の内部構造380の表面投影390を計算すること(S340)と、
対象360の表面370上にオーバーレイとして表示するために表面投影390の画像表現を出力すること(S350)と
を行う。
【0073】
プロセッサによって実行される動作は、本開示の態様の第2のセットによる、画像表現を生成する方法の一例を示すフローチャートである図12に示されている。
【0074】
図12を参照すると、動作S310において、X線画像データが受信される。X線画像データは、対象360が検査領域350内に受け入れられたときの対象360内の1つ又は複数の内部構造380を表す。X線画像データはX線撮像システム300を使用して生成される。X線画像データは、したがって、X線撮像システム300から受信される。代替的に、X線画像データは、数時間前、数日前、数週前、数ヶ月前、又はさらには数年前に対象について生成された、事前記録されたX線画像によって与えられ得る。したがって、X線画像データはデータベースから受信され得る。X線画像データがX線撮像システム300を使用して生成される例では、X線画像データは、後続の所望のX線画像をどのように生成するかに関する案内を与えるために生成されるスカウト走査(scout scan)によって与えられる。スカウト走査は、後続の画像のために使用されるよりも低いX線線量を用いて生成され得る。代替的に、X線画像データは、代替的に、標準的な放射線量を用いたX線画像によって与えられ、オペレータは、そのX線画像データから、改善されたX線画像を与えようとする。
【0075】
図12を参照すると、動作S320において、対象を表す解剖学的モデルが受信される。図13は、本開示の態様の第2のセットによる、内部構造380を含む解剖学的モデル430の一例を示す概略図である。例示的な解剖学的モデル430は、ひざを表し、内部骨構造380を含む。しかしながら、一般に、解剖学的モデルは人体の任意の部分を表し得る。解剖学的モデルは、例えば、肢、胴、手などを表す。内部構造380は、一般に、骨と、器官、筋肉、腱、靭帯などの軟組織などとを含む、任意のタイプの内部構造であり得る。解剖学的モデル430は、解剖学的モデルの表面を画定する周囲組織440を含む。周囲組織は、例えば、筋肉、脂肪、及び皮膚を含む。
【0076】
いくつかの例では、解剖学的モデル430は3つ以上の次元を含む。解剖学的モデルは、例えば3つの空間次元を含む。解剖学的モデルは3つの空間次元と第4の時間次元とを含み得る。いくつかの例では、解剖学的モデルは1つ又は複数のキネマティックジョイントを含み、解剖学的モデルは少なくとも1つの自由度を含む。キネマティックジョイントは回転及び摺動など自由度を有し得る。いくつかの例では、解剖学的モデルは、対象を表すコンピュータ断層撮影画像によって与えられる。他の例では、解剖学的モデルは、対象を表す磁気共鳴画像によって与えられる。言い換えれば、コンピュータ断層撮影画像及び磁気共鳴画像は検査領域中の対象から生成されたか、又は、それらの画像は、検査領域中の対象と同じタイプの対象から生成された。前者の場合、コンピュータ断層撮影画像及び磁気共鳴画像は、対象に対する過去の撮像手順から入手可能である。
【0077】
いくつかの例では、プロセッサ340はまた、対象を表す、解剖学的アトラスから、又は解剖学的モデルのデータベースから解剖学的モデル430を選択するように構成される。解剖学的モデルは、検査領域350中の対象の性別又は寸法など、様々な対象パラメータに基づいて選択される。解剖学的モデルは、受信されたX線画像データに基づいて選択され得る。例えば、X線画像データは、X線画像データ中に表された内部構造のうちの1つ又は複数の寸法を決定するために分析され、解剖学的モデルは、決定された寸法を使用して選択される。これらの例では、解剖学的モデルは自動的に選択される。しかしながら、他の例では、モデルはユーザ入力に基づいて選択される。例えば、オペレータは、対象の事前収集されたコンピュータ断層撮影画像又は磁気共鳴画像が使用されるべきであることを指定し得る。
【0078】
図12を参照すると、動作S330において、解剖学的モデル430からの1つ又は複数の内部構造380が、X線画像データ中に表された1つ又は複数の対応する内部構造380にマッピングされる。動作S330において実行されるマッピングは剛体位置合わせ又は非剛体位置合わせの使用を含む。位置合わせは、したがって、解剖学的モデル中の内部構造がX線画像データ中の対応する構造に適合させられるように、解剖学的モデルに対する1つ又は複数の平行移動、回転、又はスケーリング動作を実行することを含む。マッピングは、解剖学的モデル中の内部構造と、X線画像データ中に表された解剖学的構造との間の最良の適合が見つけられるように実行される。そうすることで、解剖学的モデル中の骨が、例えば、X線画像データ中の対応する骨に適合させられる。
【0079】
動作S330について、本開示の態様の第2のセットによる、画像表現を生成する方法の一例を示す概略図である、図14を参照しながら説明する。図14に概略的に示されている動作は図12のフローチャート中の動作に対応する。図14中の動作S330において、図14の上側部分にある解剖学的モデル430の内部構造380が、図14の左側に示されているX線画像データ中の対応する内部構造380に適合させられる。この結果として、図14の下側中央部分に示されている適合させられた解剖学的モデルが得られる。このマッピング動作を実行することによって、解剖学的モデルの表面は、X線画像データ中に表された1つ又は複数の内部構造についての推定された対象表面450を与える。推定された対象表面450は図14の下側中央部分に一点鎖線で示されている。
【0080】
図14及び図12を引き続き参照すると、動作S340において、推定された対象表面450上の、1つ又は複数の内部構造380の表面投影390が、解剖学的モデル430を使用して計算される。表面投影390はX線源310の視点から計算される。表面投影390の一例が図14の右側部分に示されており、表面投影390は実線の輪郭を用いて示されている。また、動作S340について、本開示の態様の第2のセットによる、X線源310と、X線検出器320と、プロセッサ340とを含む例示的な構成を示す概略図である図15を参照しながら説明する。図15に示されている構成は、図10及び図11に示されている概略図を通る断面図に対応し、さらに、対象360内の内部構造380を含む。内部構造380は、例えば、骨と、器官、筋肉、腱、靭帯などの軟組織などとを表す。図15に示されている構成では、図10及び図11の場合と同様に、X線源とX線検出器とが検査領域350によって隔てられる。X線源310及びX線検出器320は、検査領域350中に配置された対象360に対してX線撮像動作を実行するために同様に使用される。X線源310は、立体角Ωによって画定された容積ビーム内にX線放射を生成し、そのX線放射は、X線画像データを生成するためにX線検出器320によって検出される。
【0081】
図15を参照すると、動作S340において、X線源310の視点からの、推定された対象表面450上の、1つ又は複数の内部構造380の表面投影390が計算される。表面投影390は、モデル中の内部構造380の位置を、X線源310によって放出されたX線の仮想経路に沿って、解剖学的モデル430によって与えられた推定された対象表面450上に逆投影することによって計算される。この投影は、数学的な意味で実行され、図15中のX線源310に向かって収束する矢印線として示されており、矢印線はX線の仮想経路を表す。推定された対象表面450は、太い破線の屈曲した黒線として示されており、図15中の対象360の周囲の細い黒線として示されている対象の実際の表面370と一致する。
【0082】
この例では、X線検出器の平面が、動作S310において使用されるX線画像から知られており、解剖学的モデルのX線画像に対する位置が、動作S330において実行される適合プロセスから知られており、X線源の容積ビームの立体角ΩもX線検出器から知られているので、X線の仮想経路を追跡することができる。
【0083】
図16は、本開示の態様の第2のセットによる、X線源310の視点からの推定された対象表面450上の内部構造380の表面投影390の一例を示す概略図である。図16に示されている表面投影390は、図15に示されている構成によって生成される。したがって、図15において図面の平面内に延びる2つの内部構造180は、推定された対象表面450上に投影されたときに、図16において水平の帯として見える。
【0084】
X線源310の視点からの表面投影390を与えることの効果は、X線源310から見た、推定された対象表面450上に見えるような、内部構造の正確な描写を与えることである。このタイプのビューは、X線源によって放出されるビームの視点からの投影された内部構造のビューを与えるので、ビームアイビューと呼ばれることもある。表面投影390は、第1に、対象をX線にさらす前に、適正な内部構造がX線撮像システムの視野内にあることを検証するために使用される。第2に、表面投影390は、内部構造が適正な様式で整合していることを検証するために使用される。例えば、オペレータは、図15中の2つの内部構造380が離れているかどうか、又はそれらの表面投影が互いに重複することを防ぐために、対象380を回転させるべきであるかどうかが、図16中の表面投影390から容易に分かる。両方の場合において、表面投影は、したがって、X線画像を撮り直す必要を減じることによって、対象に対するX線線量を制限するために使用される。
【0085】
動作S350において、対象360の表面370上にオーバーレイとして表示するために、表面投影390の画像表現が出力される。画像表現190は、例えば、ディスプレイに、又はプロジェクタに出力される。内部構造の表面投影は、対象の所望のX線画像を取得するための案内をオペレータに与える。結果として、X線画像を撮り直す必要が減じられ、それにより、対象に対するX線線量が制限される。
【0086】
一例では、図10図11、及び図15を参照しながら説明したシステム300はプロジェクタ410をさらに含む。この例では、プロセッサ340は、さらに、対象360の表面370上にオーバーレイとして表示するために表面投影390の画像表現をプロジェクタ410に出力するように構成される。例えば、Sony Europe,B.V,Weybridge,UKによって販売されているVPLlaserプロジェクタなど、様々な光学画像プロジェクタがこの目的のために使用され得る。いくつかの例では、表面投影はグレースケールで与えられる。しかしながら、他の例では、1つ又は複数の色を使用することが企図される。例えば、異なる内部構造を示すために異なる色が使用される。
【0087】
一例では、1つ又は複数の内部構造をマッピングする動作S330、及び1つ又は複数の内部構造の表面投影を計算する動作S340は、機械学習アルゴリズムを使用して実行される。この例では、機械学習アルゴリズムは、X線画像データからの内部構造の表面投影を予測するためにトレーニングされる。この例におけるトレーニングデータはコンピュータ断層撮影画像又は磁気共鳴画像から合成的に与えられる。グランドトゥルースデータは、X線源の位置から見た、コンピュータ断層撮影画像又は磁気共鳴画像からの内部構造を仮想X線検出器表面上と対象の表面上とに投影することによってそれぞれ生成された、合成X線投影データと合成表面投影データとを含み得る。
【0088】
一例では、図10図11及び図15に示されているシステム300はカメラ330とディスプレイ400とをさらに含む。この例では、カメラ330は、対象360が検査領域350内に受け入れられたときに、対象360の2次元表面370を表す光学画像データを生成するように構成される。プロセッサ340は、さらに、表面投影390の画像表現と、対象360の2次元表面370を表す光学画像データとを含む、オーバーレイ画像をディスプレイ400に出力するように構成される。
【0089】
この例では、カメラ330は視野を有し、視野の最小範囲は、図10図11及び図15に点線によって示されており、また図15に立体角Ωcamによって示されている。一般に、カメラ330の視野は、X線検出器を含み、また、検査領域350の一部分と重複する。図10図11及び図15において、カメラ330は、検査領域350内に受け入れられた対象360の共通の表面がX線源310とカメラ330の両方の視野内にあるように配置される。そうすることで、図10図11、及び図15に示されているカメラ330は、対象360が検査領域350内に受け入れられたときに、対象360の2次元表面370を表す光学画像データを生成するように構成される。
【0090】
図10及び図11に示されている例示的な構成において、カメラ330はX線源310に機械的に結合される。カメラ330はまた、X線源310とX線検出器320の中心とを通る軸に対してオフセットされている。しかしながら、カメラ330は、代替的に、光学画像データを生成するために異なって位置決めされ得ることに留意されたい。例えば、カメラ330は、X線源110の経路中に鏡を挿入することによって、X線源と同軸であるビューを与えるように構成される。代替的に、カメラ330は、X線撮像システム300がそれの中に位置する部屋の壁に又はシーリングに機械的に結合される。代替的に、カメラ330は室内の床置き型スタンドに機械的に結合され得る。カメラ330は、代替的に、移動式であり得る。いくつかの例では、カメラは、したがって、X線撮像システム300がそれの中に位置する部屋のあちこちに動かすことが可能である。
【0091】
図10図11及び図15に示されているプロセッサ340は、カメラによって生成された光学画像データを受信するように構成される。プロセッサ340は任意の形態のデジタル通信を介して光学画像データを受信する。プロセッサ340はカメラ330から直接的に又は間接的に光学画像データを受信する。プロセッサ340及びカメラ330は、例えば、図10及び図11中のこれらの部材を接続する矢印によって示されているように、電気ケーブル又はイーサネットなど、直接的なワイヤード又はワイヤレス通信経路、或いは、Bluetoothなど、ワイヤレス赤外又はRF通信経路を介して互いと通信している。代替的に、カメラ330とプロセッサ340との間の通信経路は間接的であり得る。例えば、カメラ330及びプロセッサ340は、インターネットを介して、クラウドを介して、又はコンピュータ可読記憶媒体を介して互いと通信している。
【0092】
この例では、オーバーレイ画像は表面投影390の表現と光学画像データとを含む。オーバーレイ画像は、2つの画像のうちの一方のピクセル値を半透明に設定し、2つの画像中の対応するピクセル値を組み合わせることなどの技法によって生成される。代替的に、一方の画像中のピクセル値を他方の画像中の対応するピクセル値と置き換えることによって、画像中の対応するピクセル値が組み合わせられる。
【0093】
いくつかの例では、X線撮像システムに対して対象360を整合させるオペレータにさらなる案内を与えるために、追加の情報も表面投影390に含められる。この追加の情報は、上記で説明したディスプレイ400に又はプロジェクタ410に出力され得る。例えば、X線検出器の放射線量測定領域540の画像表現及び/若しくは放射感受性領域530の画像表現、並びに/又はコリメーションウィンドウの画像表現も出力される。対象が検査領域350中に配置されたときに、対象は、一般に、これらの領域の範囲を示すX線検出器320の表面上のマーキングを覆い隠すので、この追加の情報を与えることは有用である。したがって、所望の内部構造が後続のX線撮像動作中に撮像されることが保証される。
【0094】
別の例では、修正アクションの形態の追加の情報が出力される。修正アクションはディスプレイ400に又はプロジェクタ410に出力され得る。代替的に、修正アクションはオーディオ命令として出力される。一例では、修正アクションは、対象内の構造の望ましい姿勢を得るための案内をオペレータに与える。これは、オペレータが、対象をX線撮像システムに対してより正確に位置決めすることを可能にし、したがって、X線画像を撮り直す必要を減じるのを助ける。この例では、プロセッサ340は、さらに、
対象360内の特定された1つ又は複数の内部構造380の実際の姿勢を1つ又は複数の内部構造の望ましい姿勢と比較することと、
実際の姿勢と望ましい姿勢との間の差を低減するための1つ又は複数の修正アクションを計算することと、
修正アクションを出力することと
を行う。
【0095】
この例について、本開示の態様の第2のセットによる、実際の姿勢Pと望ましい姿勢Pとを有する内部構造380を含む解剖学的モデルの一例を示す概略図である、図17を参照しながら説明する。図17には、解剖学的モデルの内部構造180の実際の、すなわち現在の位置及び向きが示されており、Pは、X線源とX線検出器320の中心とを通る軸を示す。この例では、実際の姿勢は、X線画像データ中の内部構造を検出することによって決定される。内部構造380の実際の姿勢は6自由度「6DOF」解剖学的モデルのパラメータによって表され、軸は、基準向きとしてのX線源と、基準位置としての検出器の中心とを通る。同様に、望ましい姿勢Pは、解剖学的モデルの内部構造の望ましい位置及び向きとして表される。望ましい姿勢Pは、臨床勧告に基づいて、又は対象の前のX線画像に基づいて決定される。対象の部分についての望ましい姿勢は、ルックアップテーブルに記憶され、X線撮像手順中にオペレータによって選択される。図示の例では、望ましい姿勢Pは、図17に示されている角Θ及び角Φにわたって解剖学的モデルの向きを調整することによって取得される。
【0096】
この例では、対象360内の特定された1つ又は複数の内部構造の実際の姿勢を望ましい姿勢と比較する動作は、それらの現在位置における内部構造380の6DOFモデルのパラメータを、それらの望ましい位置における内部構造の6DOFモデルのパラメータと比較することを含む。実際の姿勢と望ましい姿勢との間の差を低減するための1つ又は複数の修正アクションを計算する動作は、モデルによって表される自由度の1つ又は複数の差を決定することを含む。これらは、内部構造の平行移動及び/若しくは回転並びに/又は屈曲角の変更を含み、後者は図8中のシンボルδによって表される。平行移動及び/又は回転は、関連する大きさ及び/又は方向をも含む。これらの変換は、次いで、修正アクションとして出力される。例えば、変換は、「X軸の周りを10度回転する」、「Y軸に沿って20センチメートル平行移動する」などの修正アクションを含む。実際の姿勢を比較する動作、1つ又は複数の修正アクションを計算する動作、及び修正アクションを出力する動作は1回実行されることもあり、それらは複数回実行されることもある。例えば、これらの動作は、実際の姿勢と望ましい姿勢との間の差が所定の値の範囲内になるまで繰り返し実行される。
【0097】
上述のように、いくつかの例では、図10図11及び図15を参照しながら上記で説明したシステム300はプロジェクタ410を含み、他の例では、システム300はディスプレイ400を含む。修正アクションはディスプレイに及び/又はプロジェクタに出力され得る。修正アクションはテキスト形式で及び/又は図式形式で出力され得る。図式形式の修正アクションは、例えば、修正アクションの方向を示す矢印を生成することを含み、矢印のサイズは修正アクションの大きさを示す。図式形式の修正アクションはまた、アニメーションの形態で与えられ得る。修正アクションをディスプレイ又はプロジェクタに出力することの代わりに、或いは、修正アクションをディスプレイ又はプロジェクタに出力することに加えて、修正アクションはオーディオ形式で出力され得る。一例では、1つ又は複数の修正アクションは、対象360上に表示するためにプロジェクタに出力される。この例では、プロジェクタは、X線撮像システムと、したがって対象と整合させられ、それにより、修正アクションが対象自体の上に表示されることになる。これにより、対象を再位置決めする際により直観的な案内がオペレータに与えられる。
【0098】
他の実施例によれば、コンピュータ実装方法及びコンピュータプログラム製品も提供される。
【0099】
例示的な方法について図12を参照しながら説明する。図12を参照すると、X線源310とX線検出器320とを使用して画像表現を生成するコンピュータ実装方法であって、X線源110とX線検出器120とは、対象が検査領域内に受け入れられたとき対象160に対してX線撮像動作を実行するための検査領域150によって隔てられる、コンピュータ実装方法が提供される。本コンピュータ実装方法は、
X線画像データを受信するステップS310であって、X線画像データが、対象360が検査領域350内に受け入れられたときの対象360内の1つ又は複数の内部構造380を表す、X線画像データを受信するステップS310と、
対象360を表す解剖学的モデル430を受信するステップS320であって、解剖学的モデルが、1つ又は複数の内部構造380と、解剖学的モデルの表面を画定する周囲組織440とを含む、対象360を表す解剖学的モデル430を受信するステップS320と、
解剖学的モデル430の表面が、X線画像データ中に表された1つ又は複数の内部構造380についての推定された対象表面450を与えるように、解剖学的モデル430からの1つ又は複数の内部構造380を、X線画像データ中に表された1つ又は複数の対応する内部構造380にマッピングするステップS330と、
解剖学的モデル430を使用して、X線源310の視点から、推定された対象表面450上の1つ又は複数の内部構造380の表面投影390を計算するステップS340と、
対象360の表面370上にオーバーレイとして表示するために表面投影390の画像表現を出力するステップS350と
を有する。
【0100】
図12を引き続き参照すると、1つ又は複数のプロセッサによって実行されたときに、その1つ又は複数のプロセッサに、X線源310とX線検出器320とを使用して画像表現を生成する方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラムであって、X線源110とX線検出器120とは、対象が検査領域内に受け入れられたとき対象160に対してX線撮像動作を実行するための検査領域150によって隔てられる、コンピュータプログラムも提供される。本方法は、
X線画像データを受信するステップS310であって、X線画像データが、対象360が検査領域350内に受け入れられたときの対象360内の1つ又は複数の内部構造380を表す、X線画像データを受信するステップS310と、
対象360を表す解剖学的モデル430を受信するステップS320であって、解剖学的モデルが、1つ又は複数の内部構造380と、解剖学的モデルの表面を画定する周囲組織440とを含む、対象360を表す解剖学的モデル430を受信するステップS320と、
解剖学的モデル430の表面が、X線画像データ中に表された1つ又は複数の内部構造380についての推定された対象表面450を与えるように、解剖学的モデル430からの1つ又は複数の内部構造380を、X線画像データ中に表された1つ又は複数の対応する内部構造380にマッピングするステップS330と、
解剖学的モデル430を使用して、X線源310の視点から、推定された対象表面450上の1つ又は複数の内部構造380の表面投影390を計算するステップS340と、
対象360の表面370上にオーバーレイとして表示するために表面投影390の画像表現を出力するステップS350と
を有する。
【0101】
上記の例は、本開示を例示するものとして理解されるべきであり、限定的なものとして理解されるべきでない。さらなる例も企図される。例えば、X線撮像システムに関して説明した例はまた、対応する様式で、コンピュータ実装方法によって、又はコンピュータプログラム製品によって、又はコンピュータ可読記憶媒体によって与えられる。いずれか1つの例に関して説明した特徴は、単独で、又は他の説明した特徴と組み合わせて使用され得、別の例又は他の例の組合せの1つ又は複数の特徴と組み合わせて使用され得ることを理解されたい。さらに、上記で説明していない等価物及び改変も、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲から逸脱することなく採用され得る。特許請求の範囲において、「備える/有する」という単語は他の要素又は動作を除外せず、単数形の要素は複数を除外しない。いくつかの特徴が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの特徴の組合せを有利に使用することができないことを示さない。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、それらの範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
図1
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【国際調査報告】