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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】照射装置及び照射方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/12 20060101AFI20240918BHJP
   C02F 1/32 20230101ALI20240918BHJP
   A61L 2/10 20060101ALN20240918BHJP
【FI】
B01J19/12 C
C02F1/32
A61L2/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513436
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 US2022042438
(87)【国際公開番号】W WO2023034558
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】17/466,251
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520038585
【氏名又は名称】アクイセンス テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【弁理士】
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【弁理士】
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】ペイガン、ジェニファー ゴッドウィン
(72)【発明者】
【氏名】ピュー、スティーブン フランクリン
(72)【発明者】
【氏名】シモンズ、リチャード マーク
【テーマコード(参考)】
4C058
4D037
4G075
【Fターム(参考)】
4C058AA20
4C058BB06
4C058KK02
4C058KK14
4C058KK46
4D037AB03
4D037BA18
4D037BB01
4D037BB02
4G075AA02
4G075AA37
4G075AA61
4G075AA65
4G075BB10
4G075CA33
4G075DA02
4G075EB01
4G075EB31
4G075EC13
(57)【要約】
照射対象の物質を含有する流体を照射するための装置及び方法であって、少なくとも1つの入口ポートを有する少なくとも1つの照射チャンバと;前記流体と接触する少なくとも1つのUV透過性窓を介して、前記照射チャンバ内の前記流体に光学的に結合された前記照射チャンバの内部にある1つ以上のUV放射線源と;前記流体から前記放射線源を保護するために、前記放射線源に隣接して配置された1つ以上のシール又はガスケットと;前記放射線源に、かつ前記流体に熱的に結合された照射チャンバの内部にある少なくとも1つの熱交換機構と;を含む、装置及び方法。前記UV放射線源及び前記少なくとも1つの熱交換機構は、前記照射チャンバ内の前記流体中に少なくとも部分的に沈められている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射対象の物質を含有する流体のための少なくとも1つの照射チャンバと、
前記少なくとも1つの照射チャンバの内部にある1つ以上のUV放射線源と、
1つ以上のシール又はガスケットと、
前記少なくとも1つの照射チャンバの内部にある少なくとも1つの熱交換機構と
を備える照射装置であって、
前記照射チャンバは、前記照射チャンバに流入する流体流のための少なくとも1つの入口ポートを有し、
前記UV放射線源は、前記照射チャンバ内の前記流体と接触する少なくとも1つのUV透過性窓を介して、前記照射チャンバ内の前記流体に光学的に結合され、
前記シール又はガスケットは、前記照射チャンバ内の前記流体から前記放射線源を保護するために、前記放射線源に隣接して配置され、
前記熱交換機構は、前記放射線源に、かつ前記照射チャンバ内の前記流体に熱的に結合され、
前記1つ以上のUV放射線源及び前記少なくとも1つの熱交換機構が、前記照射チャンバ内の前記流体中に少なくとも部分的に沈められている、照射装置。
【請求項2】
前記熱交換機構が、プリント回路基板、金属コアプリント回路基板、熱電冷却デバイス、蒸気チャンバ、ヒートシンク、放熱構造体、熱伝達材料、流体に熱的に結合された材料のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の照射装置。
【請求項3】
前記熱交換機構が、ヒートシンク若しくは熱伝達材料、又はそれらの組み合わせである、請求項2に記載の照射装置。
【請求項4】
1つ以上のセンサの測定値に基づいて、前記1つ以上のUV放射線源へのパワーを動的に制御するために使用される当該1つ以上のセンサを更に含む、請求項1に記載の照射装置。
【請求項5】
前記1つ以上のUV放射線源のステータスをモニタリングし、フィードバックをモニタリング回路へと提供する回路を更に含む、請求項1に記載の照射装置。
【請求項6】
前記1つ以上のUV放射線源が、1つ以上のUV-C放射線源、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の照射装置。
【請求項7】
前記1つ以上のUV放射線源が、アレイ状に配置された複数の放射線源を含む、請求項1に記載の照射装置。
【請求項8】
前記1つ以上のUV放射線源の1つ以上の波長が動的に調節可能である、請求項1に記載の照射装置。
【請求項9】
前記1つ以上のUV放射線源の1つ以上の波長が、前記照射対象の物質中のコンタミナントの特定に基づいて選択される、請求項1に記載の照射装置。
【請求項10】
前記1つ以上のUV放射線源が、前記照射対象の物質に、前記照射対象の物質中に蛍光を誘導する1つ以上の波長を伝え、もって、前記照射対象の物質中の前記コンタミナントの特定を可能にする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項11】
前記1つ以上のUV放射線源が、前記照射対象の物質に複数の波長の組み合わせを伝える、請求項1に記載の照射装置。
【請求項12】
前記1つ以上のUV放射線源が、マイクロプラズマランプを含む、請求項1に記載の照射装置。
【請求項13】
複数のUV放射線源及び複数の照射チャンバを含み、当該複数の照射チャンバ各々が少なくとも1つの入口ポート及び1つの出口ポートを有し、当該複数のUV放射線源のすべてが、当該複数の照射チャンバに熱的に結合されている、請求項1に記載の照射装置。
【請求項14】
前記1つ以上の放射線源からの放射線の一部が、1つ以上の照射チャンバの表面に伝達され、当該表面へのバイオフィルム形成が阻害される、請求項1に記載の照射装置。
【請求項15】
照射チャンバ内に配置された照射対象の物質を含有する流体の照射方法であって、当該照射方法が、
(1)照射装置を用意する工程であって、当該照射装置が、
照射対象の物質を含有する流体のための少なくとも1つの照射チャンバと、
前記少なくとも1つの照射チャンバの内部にある1つ以上のUV放射線源と、
1つ以上のシール又はガスケットと、
前記少なくとも1つの照射チャンバの内部にある少なくとも1つの熱交換機構と
を備え、
前記照射チャンバは、前記照射チャンバに流入する流体流のための少なくとも1つの入口ポートを有し、
前記UV放射線源は、前記照射チャンバ内の前記流体と接触する少なくとも1つのUV透過性窓を介して、前記照射チャンバ内の前記流体に光学的に結合され、
前記シール又はガスケットは、前記照射チャンバ内の前記流体から前記放射線源を保護するために、前記放射線源に隣接して配置され、
前記熱交換機構は、前記放射線源に、かつ前記照射チャンバ内の前記流体に熱的に結合され、
前記1つ以上のUV放射線源及び前記少なくとも1つの熱交換機構が、前記少なくとも1つの照射チャンバ内の前記流体中に少なくとも部分的に沈められている、工程と、
(2)前記照射装置を使用して、照射対象の物質を含有する流体を照射する工程と
を含む、照射方法。
【請求項16】
前記熱交換機構が、プリント回路基板、金属コアプリント回路基板、熱電冷却デバイス、蒸気チャンバ、ヒートシンク、放熱構造体、熱伝達材料、流体に熱的に結合された材料のうちの1つ以上を含む、請求項15に記載の照射方法。
【請求項17】
前記熱交換機構が、水、医療用材料又は食品用安全材料でコーティングされている、請求項15に記載の照射方法。
【請求項18】
1つ以上のセンサの測定値に基づいて、前記1つ以上のUV放射線源へのパワーを動的に制御するために使用される当該1つ以上のセンサを更に含む、請求項15に記載の照射方法。
【請求項19】
前記1つ以上のUV放射線源のステータスをモニタリングし、フィードバックをモニタリング回路へと提供する回路を更に含む、請求項15に記載の照射方法。
【請求項20】
前記1つ以上のUV放射線源が、1つ以上のUV-C放射線源、又はそれらの組み合わせを含む、請求項15に記載の照射方法。
【請求項21】
前記1つ以上のUV放射線源が、アレイ状に配置された複数の放射線源を含む、請求項15に記載の照射方法。
【請求項22】
前記1つ以上のUV放射線源の1つ以上の波長が動的に調節可能である、請求項15に記載の照射方法。
【請求項23】
前記1つ以上のUV放射線源の1つ以上の波長が、前記照射対象の物質中のコンタミナントの特定に基づいて選択される、請求項15に記載の照射方法。
【請求項24】
前記1つ以上のUV放射線源が、前記照射対象の物質に、前記照射対象の物質中に蛍光を誘導する1つ以上の波長を伝え、もって、前記照射対象の物質中の前記コンタミナントの特定を可能にする、請求項15に記載の照射方法。
【請求項25】
前記1つ以上のUV放射線源が、前記照射対象の物質に複数の波長の組み合わせを伝える、請求項15に記載の照射方法。
【請求項26】
前記1つ以上のUV放射線源が、マイクロプラズマランプを含む、請求項15に記載の照射方法。
【請求項27】
複数のUV放射線源及び複数の照射チャンバを含み、当該複数の照射チャンバ各々が少なくとも1つの入口ポート及び1つの出口ポートを有し、当該複数のUV放射線源のすべてが、当該複数の照射チャンバに熱的に結合されている、請求項15に記載の照射方法。
【請求項28】
前記1つ以上の放射線源からの放射線の一部が、1つ以上の照射チャンバの表面に伝達され、当該表面へのバイオフィルム形成が阻害される、請求項15に記載の照射方法。
【請求項29】
照射対象の物質を含有する流体のための少なくとも1つの照射チャンバと、
前記少なくとも1つの照射チャンバの内部にある1つ以上のUV放射線源と、
1つ以上のシール又はガスケットと、
前記少なくとも1つの照射チャンバの内部にある少なくとも1つの熱交換機構と
を備える照射装置であって、
前記照射チャンバは、前記照射チャンバに流入する流体流のための少なくとも1つの入口ポートを有し、
前記UV放射線源は、前記照射チャンバ内の前記流体と接触する少なくとも1つのUV透過性窓を介して、前記照射チャンバ内の前記流体に光学的に結合され、
前記シール又はガスケットは、前記照射チャンバ内の前記流体から前記放射線源を保護するために、前記放射線源に隣接して配置され、
前記熱交換機構は、前記放射線源に、かつ前記照射チャンバ内の前記流体に熱的に結合され、
前記1つ以上のUV放射線源及び前記少なくとも1つの熱交換機構が、前記照射チャンバ内の前記流体中に少なくとも部分的に沈められており、UVランプモジュールアセンブリが、循環しないタンクボリュームを混合するために対流性の流れを優先的に発生させるような方法で構築されている、照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、放射線照射によって流体を消毒するための装置及び方法に関する。より具体的には、本発明は、1つ以上のUV放射線源を使用して、照射対象の物質を含有する流体を消毒するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体や気体などの流体を消毒する目的のための紫外(UV)放射線の使用はよく知られている。流体内の微生物コンタミナントを不活性化させるために紫外放射線を使用するプロセスは、紫外線殺菌照射(UVGI)と称される。紫外放射線は、促進酸化プロセス(AOP)と呼ばれる、流体中の有機物質及び無機物質を酸化するためにも使用され、多くの商業的なAOPシステムが今日使用されている。UVGI及びAOPを利用するシステムは、予測可能な方法でUV放射線を流体に伝達する能力に依存している。
【0003】
AOP及びUVGIはいずれもUV源を使用する。実用的な目的のために、UV源の出力放射照度は、UV源の使用寿命にわたって予測可能な方法で維持され、かつ減衰されるべきである。これにより、UV源の交換サイクル及びシステムの全体的な性能についての予測が可能となる。いくつかのNSF及びEPA制御は、予測されるランプ寿命の終了(EOLL)時の光学的出力パワーで作動するUV源によってUV消毒システムを試験する必要がある。予測される期間にわたるUV消毒システム性能の仕様を忠実に守るために、UV源は、予測可能な方法で減衰されるべきである。より長いシステム寿命及び/又はUV源の交換間隔をもたらす、より長いEOLLを有する商業的な利点も存在する。
【0004】
多くの種類のUV源が存在する。歴史的に、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、及びアマルガムランプが、消毒用途のためのUV源として使用されてきた。他のUV源としては、重水素ランプ、発光ダイオード(LED)、レーザ、マイクロプラズマ源及び固体状態電界効果リン光デバイスが挙げられる。マイクロプラズマランプは、大きなガス放電ランプと同じ原理で作動するが、UV放射(発光)の小さな局在化ポケットを生成する平面電極を有する。LEDなどの固体状態のUV源は、キャリア注入が半導体ヘテロ構造のアノード及びカソードに適用される活性層における電荷再結合を介して、半導体材料において光を発生させる。これらのUV源の全ては、UV出力の流束及び/又は寿命が最大化される異なる最適作動温度を有する。ほとんどのガス放電ランプは、非常に低い周囲温度では、低下した水銀蒸気圧のため、作動することが困難である。これとは逆に、固体状態のUV源は、水銀ランプの周囲温度よりも低い周囲温度で、最大化された出力を有する。例えば、低圧水銀ランプの出力パワーは、40℃の周囲温度でピークに達し得るが、265nmのLEDの光学出力パワーは、周囲温度と直線関係を示す。LED曲線の傾きは、デバイスの設計ごとに異なっていてもよいが、その傾向は同じであり、より低い周囲温度で、より大きな光学出力パワーがみられる。
【0005】
全てのUV源は、廃熱を生成し、UV LEDのウォールプラグ効率は、例えば、現在のところ10%より低い。このことは、デバイスへの入力パワーの90%超が、UV光子に変換されず、廃熱に変換されていることを意味する。より成熟した技術(例えば、水銀ランプ)でさえ、効率は40%未満であり、このことは、技術開発サイクル全体で、廃熱の管理が依然として重要であることを示している。使用のために光源を封入する際に、廃熱を取り扱うための対策が施されなければならない。このことは、空気中の受動対流によって達成可能である。しかしながら、ランプの内側で使用されるLEDのパワー及び数が増加するにつれて、熱負荷は、LEDの適度な作動にとって大き過ぎるものになる場合がある。あるいは、LEDの温度を下げる際に有効な受動対流にとって、周囲温度が高すぎる場合がある。
【0006】
多くのLED製造業者は、作動中に超えてはならない最大ジャンクション温度を規定する。LEDジャンクション温度は、LEDのn型半導体層及びp型半導体層の間に挟まれた活性層の温度である。最大定格ジャンクション温度を超えると、LEDの寿命又は他の特徴の劣化を引き起こす場合がある。単純化されたモデルにおいて、LEDは、一連の熱抵抗として表すことができる。例えば、UV LEDパッケージは、回路基板(ボード)上に取り付けられた表面実装デバイス(SMD)であってよく、それ自体はヒートシンク又は他の冷却デバイス上に取り付けられる。ヒートシンクは、パッシブヒートシンク、ペルティエ素子、アクティブエアフロー、ヒートパイプなどの任意の熱交換器又は冷却方法であってもよい。LEDは、プリント回路基板(PCB)、金属コアプリント回路基板(MCPCB)、又はチップオンボード(COB)などの種々の電気伝導性及び熱伝導性の回路基板上に取り付けられてもよい。LED自体のジャンクションから周囲環境へのジャンクションの各ポイントは、それに関連する温度勾配を有する。これらには、LEDのジャンクション温度、回路基板におけるLEDパッケージ間の温度、回路基板とヒートシンクとの間の温度、及び周囲温度が含まれる。ジャンクションの各ポイントにおいて、RJSが表面実装LEDパッケージの熱抵抗、RSBが回路基板の熱抵抗、RBAがヒートシンク又は冷却方法の熱抵抗となるように、熱抵抗(℃/W)をモデリングしてもよい。LEDジャンクション温度は、各熱抵抗にデバイス内の熱に対するパワー損失を乗じたものの合計を周囲温度に加えたものとしてモデリングすることができる。この関係を式1に示す。
J(LED)=T周囲+Σ(R×P) 式1
【0007】
LEDは、ほとんどのUV源の中で、UV発光の大部分を担うという側面と対比して、電力に電気的に接続されたチップの側面を通して熱が除去されるという点で特殊である。このことは、石英スリーブを通る発光と同じ方向に主に熱放出を有し、アーク放電管と同様のプラズマを含有する機能も有する水銀ランプとは対照的である。LEDは、半導体の活性層から直接的に光を発するため、石英窓を必要とせず、光は、エピタキシャル層及び基板層を通って伝達され、周囲へと出ていく。しかしながら、LEDは、LEDの電気接触及び半導体の性能を劣化させ得る、静電放電、モイスチャー、及び酸素又は窒素などの周囲気体に感受性であり得る。この理由のため、石英窓がLEDのSMDパッケージ表面上に配置されることが多い。LEDが窓を介して流体から保護されるUVGIシステムにおいて、SMD表面上の窓は、上述した環境の影響が軽減され得る場合には、不要なものとなる。窓が、消毒システムのための圧力容器の一部分として、LEDを流体から隔離するために機能し得るように、1つ以上のLEDを備える基板上の単一の窓を、当該LEDが基板と窓との間で密封される場合、流体消毒システムのための光学窓として使用することができる。エポキシ又はシリコーンなどのポッティング化合物を、基板と窓との間に使用して、これを達成することができる。LEDの周囲の空間の同様の密封は、ガスケット又は他の機械的シールの適切な使用により達成され得る。ポッティングは、低い相対湿度環境で行われるか、又は更には乾燥空気若しくは不活性気体をパージして、LEDと窓との間の任意の空隙が、その内部に望ましくないモイスチャー又は気体を有さないことを確保してもよい。これにより、光が、2つの石英窓と対比して1つの石英窓を通過し得るため、LEDの出力パワーも増加させ得る。この種の単一窓ランプパッケージの更なる利点は、窓に大量の熱を伝達する水銀蒸気UV源とは対照的に、LEDが窓をほとんど加熱しないということである。より低い窓の温度は、窓のより少ない汚染と相関している。窓の汚染は、窓の全体的なUV透過率を下げ、ひいては、UVGI及びAOPシステムの性能を下げる。したがって、UV源を利用する頑強な製品設計において、熱移動を考慮することによる、作動中のUV源の温度が考慮される。そのような方法によって、UV源の寿命及び出力パワーは、より良好に制御され得る。加えて、UV源を二次パッケージングへと組み立てる方法を使用して、UV源の出力パワー、寿命、及び有効な性能を向上させることができる。
【0008】
UV源は、UVGIシステムの重要な構成要素であるが、全体的なシステム効率において、唯一の構成要素である。システム効率は、リアクターの効率とUV源の効率との積として表すことができる。UV放射照度に対する流体の露光時間(多くの場合、「滞留時間」と呼ばれる)を最大化し、それによって、流体が出会う線量を最大化することは、UVGIシステムの設計において、良好な実践である。リアクターの効率は、滞留時間の効率と光学効率の組み合わせである。リアクターの光学効率は、リアクターがUV源からの光子をどのように効率的に使用して、流体中の微生物コンタミナント汚染が光子を吸収する確率を増加させるかの尺度である。この確率を増加させる1つの方法は、リアクター内を最初に通過する間にUV源からの光子が吸収されない場合に、当該光子が反射され得るように、リアクター内で反射性材料を使用する方法である。流体内に吸収剤が少なく、リアクター内の材料の反射性が高い場合に、光子は、リアクターの内側で複数回反射され得る。反射性材料を使用すること、及びその結果、反応チャンバを複数回通過することは、流体の照射の均一性を改善するという追加の利点を有する。これは、同様に、反応チャンバ内の微生物コンタミナントが光子を吸収し得る確率としてとらえることができる。なぜならば、反応チャンバ全体の照射の均一性(フルエンス率)が高まると、標的微生物が体験し得る光子の流束における空間的変動及び時間的変動が抑制されるためである。
【0009】
微生物は、環境において繁殖性であり、増殖し、更にはバイオフィルムを形成する場合があり、これらのいずれも双方が、ヒトの健康上の危険を生じさせるか、又は意図されたプロセスを妨害する可能性がある。コーヒーメーカー、水サーバー、及び冷却(水)タンクなどの製品は、人による消費又は他のプロセス(例えば、製造における)のための水を保存するための容器(reservoirs)を使用する。飲料水又は濾過水が詰め込まれている場合であっても、容器には、微生物増殖及びバイオフィルム成長に十分な栄養素が含まれる場合がある。更に、詰め込み前のタンク又は飲料水の中にコンタミネーションが存在している場合があり、又はコンタミネーションは周囲の汚染源又はその他から後日導入される場合がある。殺生物剤は、多くの場合、処理水に使用され、保存タンク及び分配ライン内でバイオフィルム及び微生物コンタミナントが繁殖するのを阻害する。多くの公共飲料水分配システムは、塩素化を使用して、水を化学的に消毒し、その結果物が提供される。しかし、殺生物剤は、経時的にその有効性が失われ、補充する必要がある場合があり、水保存容器は微生物増殖を受けやすい状態にある。継続的な適用及びモニタリングを行う場合であっても、無菌性は稀にしか達成されず、実験室、手術装置、及び医薬の製造などのいくつかの専門的なケース以外では期待はできない。したがって、微生物コンタミネーションは、つくられた環境及び天然の環境にわたって常に存在する関心事である。
【0010】
表面、気体、ゲル、液体、及び他の流体又は固体に対して殺菌効果を提供する小型の紫外線源は、ミリワット未満から数ワットまでの範囲の光学出力パワーでますます市販されている。したがって、このような紫外線源のアレイは、ミリワットからキロワット超の出力から形成され得る。発光ダイオード(LED)、プラズマランプ、及び固体状態エミッターを含むこれらの紫外線源の利用可能性は、様々な製品における病原体不活性化のためのそのようなデバイスの使用を増加させてきた。LEDに基づく紫外線源は、それらの低いDC電圧要求、電力適用による即時のオン/オフ作動、及び小型化したサイズゆえに特に有用である。保存タンクの消毒及びバイオフィルム阻害のための紫外線源の使用は望ましいが、実現には多くの課題がある。
【0011】
課題の1つは、流体を消毒するために使用される容器の中の当該流体から紫外線源を保護可能とするように紫外線源をパッケージングすることである。ガスケット及びシールを使用して、UV放射線が容器の流体及び/又は表面に暴露されることを可能とするためのUV透過性の領域を維持しつつ、流体からの保護を提供することができる。これらの紫外線源を、様々なレベルの侵入からの保護になるまでパッケージングし、UV源の電気的構成要素及び電子的構成要素を、タンクを潜在的に損傷する環境(水及び他の液体、湿度、蒸気、気体、粉塵及び破片など)から分離することができる。
【0012】
別の課題は、多くの紫外線源が最適な作動温度範囲を有することである。紫外線LED(UVLED)は、例えば、より低い温度で光学出力が最大化し、LEDをより高温で作動させると、所与の期間にわたって最適な出力パワーの低下がより大きくなる。このことは、UVLEDの許容される特性であり、ほとんどのLED製造業者は、それらのデバイスについて超えるべきではない最大LEDソルダー温度又はジャンクション温度を規定している。蒸気放出ランプは、当該ランプのアークの周囲にあるガラスエンベロープを通って熱を発するが、UVLEDなどの半導体UV源は、アノード及びカソードの電気的接続がなされるデバイスの部分を通って熱を発する。典型的には、これは、電気的接続を介して、表面実装デバイスパッケージに作製されたか、又は回路基板上に実装されたLEDを有することによって直接的に作製されたものである。このことは、UV光子がLEDの周囲全体から発せられるが、LEDへの電気的接続が典型的には不透明又は曖昧であるため、光子の大部分が、180°以下の放射(発光)角度から生じることを意味する。これより示唆されることは、熱の大部分が、LEDの電気的接続を通って伝導されるのに対し、UV発光の大部分はその反対方向を通るということである。したがって、熱の管理は、典型的には、LEDのジャンクション温度に最も大きな影響を与えるLEDランプの非発光側を通して行われる。熱の管理は、任意の有益な設計の鍵となる基準である。
【0013】
容器を効果的に消毒するためにUV放射線を使用することの更に別の課題は、水ボリューム(water volume)を通るUV放射線の効果的な分配である。相対的に、UV源からの光子がほとんど通過しない、シャドー領域及び「ダークスポット」は、長い露光期間の後であっても、十分な消毒を達成することができない場合があり、全体的なシステム有効性を顕著に制限してしまう場合がある。UVGI装置における「ダークスポット」の負の影響(これにより、当該装置は標的媒体の一部分に対する限定された効果を有する)、ならびに殺菌用途における有効性及び効率に対する影響が、文献で報告されている。タンク内の流体が、長期間にわたって循環しない場合があるため、微生物は、流体が混合されないために、シャドー領域内で成長し得る。その内部にシャドー領域を有する、又は不均一なUV放射線を有する容器内の流体を混合することは、全ボリュームを確実に消毒するための1つの手段である。これは、バイオフィルム制御のための手段として十分ではない場合があるが、流体ボリューム(fluid volume)における微生物負荷を最小限に抑えることによって、バイオフィルムの形成を遅らせ得る。理論的な設計の他に、標的ボリュームにわたるUVGIの不均一性は、そのようなシステムの避けられない特性であり、有効性に負の影響を与える。そのような流体を適切かつ効果的に混合することは、「ダークスポット」から、より高い露光の領域へと照射対象の物質を循環させることができ、そのため、処理有効性を増加させるための手段である。
【0014】
タンクシステム内のUVGIの伝達及び分配を優先的に変えるための1つの手段は、窓を通って伝達される放射線が、特定の標的領域に向かって優先的に導かれるような、又は全体にわたって不均一性を減らすための、UV源の慎重な位置決めによるものである。反応チャンバの壁からのUV源の移動は、この能力を向上させる場合があり、ステム支持体の使用によって達成され得る。そのような突出部は、流体が熱移動表面の周囲を流れる能力に影響を与えることによって、熱移動効率を更に向上させ得る。三次元流体ボリューム内におけるUV源の最適な位置決めは、消毒目的(例えば、チャンバ表面にわたるバイオフィルム阻害、タンク内の流体のバルク消毒、流体の一部分を標的とする処理)、照射チャンバの幾何形状、内部表面の反射性、熱管理についての考慮事項、及び他の作動についての考慮事項に基づいて変動する。
【0015】
米国特許出願公開第2014/0161664A1号及び米国特許第10,500,295号は、放射線照射による流体の消毒に有用な様々な装置、材料、及び方法を開示し、これらの開示事項は上記文献を参照することにより本明細書に組み込まれる。しかしながら、コンパクトな設置面積を維持しつつ、良好な効率及び熱管理を提供する、様々な流体ハウジング又はフローセル、特に飲料水タンクにおいて微生物品質を処理又は維持するのに有用な照射装置及び照射方法の必要性が継続して存在する。本発明は、例えば、自然な流体の流れ(流体流)が、遅くなるか、断続的であるか、又は全流体ボリュームの混合において効果的ではなくなり得る飲料水保存タンクの処理において、より汎用化された照射装置への組み込みの需要に対処するものである。
【発明の概要】
【0016】
一実施形態において、本発明は、照射装置に関し、当該照射装置は、照射対象の物質を含有する流体のための少なくとも1つの照射チャンバであって、当該チャンバが、当該チャンバに流入する流体流のための少なくとも1つの入口ポートを有する、当該少なくとも1つの照射チャンバと;照射チャンバ内の流体と接触する少なくとも1つのUV透過性窓を介して、少なくとも1つの照射チャンバ内の流体に光学的に結合された、少なくとも1つの照射チャンバの内部にある1つ以上のUV放射線源と;照射チャンバ内の流体から1つ以上の放射線源を保護するために、1つ以上の放射線源に隣接して配置された、1つ以上のシール又はガスケットと;1つ以上の放射線源に、かつ少なくとも1つの照射チャンバ内の流体に熱的に結合された、少なくとも1つの照射チャンバの内部にある少なくとも1つの熱交換機構と;を備え、1つ以上のUV放射線源及び少なくとも1つの熱交換機構が、照射チャンバ内の流体中に少なくとも部分的に沈められていることを特徴とする。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、照射チャンバ内に配置された照射対象の物質を含有する流体の照射方法に関し、当該照射方法は、(1)照射装置を用意する工程であって、当該照射装置が、照射対象の物質を含有する流体のための少なくとも1つの照射チャンバであって、当該チャンバが、当該チャンバに流入する流体流のための少なくとも1つの入口ポートを有する、当該少なくとも1つの照射チャンバと;照射チャンバ内の流体と接触する少なくとも1つのUV透過性窓を介して、少なくとも1つの照射チャンバ内の流体に光学的に結合された、少なくとも1つの照射チャンバの内部にある1つ以上のUV放射線源と;照射チャンバ内の流体から1つ以上の放射線源を保護するために、1つ以上の放射線源に隣接して配置された、1つ以上のシール又はガスケットと;1つ以上の放射線源に、かつ少なくとも1つの照射チャンバ内の流体に熱的に結合された、少なくとも1つの照射チャンバの内部にある少なくとも1つの熱交換機構と;を備え、1つ以上のUV放射線源及び少なくとも1つの熱交換機構が、照射チャンバ内の流体中に少なくとも部分的に沈められている、工程と、(2)前記照射装置を使用して、照射対象の物質を含有する流体を照射する工程とを含むことを特徴とする。
【0018】
本発明を、いくつかの図面を参照しつつ本明細書に説明する。本明細書において、同じ符号は、装置における同じ構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の照射装置の1つの例示的な実施形態を示す平面側面図である。
図2】線2-2に沿って切断された図1の装置の断面図である。
図3】線2-2に沿って切断された図1の装置の断面図であり、照射装置内の流体において誘導される対流性の冷却流を示す。
図4図3に示される照射装置の一部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、照射対象の物質を含有する流体のための少なくとも1つの照射チャンバと、流体と接触する少なくとも1つのUV透過性窓を介して、照射チャンバ内の流体に光学的に結合された、照射チャンバの内部にある1つ以上のUV放射線源と、を含む、UV照射装置、消毒システム及び方法を提供する。1つ以上のシール又はガスケットは、照射チャンバ内の流体から放射線源を保護するために、放射線源に隣接して配置される。照射チャンバの内部にある少なくとも1つの熱交換機構は、放射線源に、かつ照射チャンバ内の流体に熱的に結合されている。UV放射線源及び熱交換機構は、照射チャンバ内の流体中に少なくとも部分的に沈められている。場合により、熱交換機構は、人が消費するための流体と接触するのに適した材料の熱交換機構でなくてもよく、又は医療プロセスに使用される流体に適した材料の熱交換機構でなくてもよい。この場合、流体に曝される熱交換機構の部分は、飲料水、食物の接触又は医療用材料適合性のために承認された材料でコーティングされていてもよい。
【0021】
UV照射装置、消毒システム、及び方法は、1つ以上の放射線源からの放射線の少なくとも一部が、少なくとも1つの照射チャンバの表面に伝達され、消毒効果を提供し、表面上の微生物コンタミナントの伝播を阻害するように設計される。照射装置の表面への微生物付着(以下、「バイオフィルム」形成という)は、そのような表面を通過して流れる流体へのそのようなコンタミナントのあり得る移動に起因して、健康へのリスクを高める可能性がある。コンタミナントの移動としては、自然な移動もあり得る。UV照射のプロセスは、処理される流体に残留殺生物剤を付与しないため、消毒システム内におけるバイオフィルムの阻害が望ましい。一実施形態において、UV源によって放射される放射線のほんの一部が、処理装置及びシステムの表面を照射するように方向が変えられてもよい。リアクターの流体接触表面が静止しているため、任意のセグメントの照射期間は、UV源が照射する全期間に等しい。したがって、一時的な照射のために、例えば、リアクターチャンバを通って流れる流体のために必要であり得る放射照度よりも、バイオフィルム阻害を達成するのに必要な放射照度は、はるかに低い。低い放射照度及び比較的低いUVパワーを必要とすることによって、UV源によって照射されるパワーのうちのほんのわずかが、リアクターの流体消毒性能に顕著な影響を与えることなく、バイオフィルム阻害のために集められ(scavenged)得る。したがって、1つ以上の放射線源からの放射線の一部が、1つ以上の照射チャンバの表面に伝達され、その上のバイオフィルム形成を阻害することができる。
【0022】
上の考慮事項は、UV透過性窓及び少なくとも1つの熱交換機構が両方とも液体(意図された照射標的流体であってもよく、又はそうでなくてもよい)によって濡らされるようにUV放射線源を取り付けるためのシステムの設計の動機づけとなる。水タンクの消毒の具体的なケースにおいて、UV源及び保護ハウジングは、少なくとも部分的に水中に沈められ、標的流体に対するUV源の良好な光学的結合及び熱的結合の両方を提供する。しかし、水ボリューム内又は照射チャンバ自体の構造内のUV源の位置は、消毒に十分なUV放射線曝露を受けない水ボリュームの一部分ということになり得る。有利なことに、UV源によって生成(発生)された熱、及びUV源に熱的に接続された任意の材料は、その他の循環しないタンクにおける流体ボリューム内の対流性の流れを誘導し得る。これらの流れは、それらがより均一かつ効果的な消毒効果をもたらすように、UVが遮断された(occluded)領域から、より多くのUVが曝露された領域へと流体を循環させてもよい。更に、環境からのUV源の保護が意図されたUV源の構成要素は、対流性の冷却及び流体ボリュームの混合を向上させるような方法で設計され得る。UV源のハウジングに、対流を優先的に向かわせるか、対流の速度を増加させるための構造体が加えられてもよい。このことは、本発明において、流れが水中で誘導される点を除き、熱煙突が、空気を含む建築物中でどのように働くかと概念的に類似している。本発明の一実施形態において、この対流効果は、図3中の静止したタンクにおける流れの速度のモデルに示される。
【0023】
UV放射線源(又は複数のUV放射線源)は、1つ以上のUV-C放射線源、又はそれらの組み合わせを含み得る。UV放射線源(又は複数のUV放射線源)は、典型的には、少なくとも1つの照射チャンバの内部の支持構造体に結合されている。支持構造体は、照射対象の物質が配置される照射チャンバの内部へとUV放射線を選択的に向かわせる(導く)ように、UV放射線源を保持する。ピーク波長は(動的に)選択及び/又は調整されてもよく、また所与の生物の作用スペクトルを標的とし得るように複数の波長を利用してもよく、これらにより、消毒効率が改善される。例えば、1つ以上のUV放射線源の1つ以上の波長は、照射対象の物質中のコンタミナントの特定に基づいて選択され得る。1つ以上のUV放射線源は、照射対象の物質に、1つ以上の波長、又はこれら波長の組み合わせを伝えてもよい。波長は、照射対象の物質中に蛍光を誘導してもよく、それによって、照射対象の物質中のコンタミナントの特定を可能にする。任意選択的に、照射対象の物質は、n型の単一の結晶性半導体に隣接して配置され、消毒のためのバンドギャップ電子光励起を介して、半導体表面で過酸化水素を生成し得る。
【0024】
UV放射線源に接触した、熱交換機構、例えば、プリント回路基板、金属コアプリント回路基板、熱電冷却デバイス、蒸気チャンバ、ヒートシンク、放熱構造体、熱伝達材料、及び流体に熱的に結合された材料のうちの1つ以上を使用して、照射装置内の熱が管理され、場合により回復される。照射装置は、支持構造体内に結合及び/又は配置されたモイスチャーシールを使用して、モイスチャー耐性にされてもよい。照射アセンブリは、流量、水質、ユーザ入力、センサ測定値、又は他の作動条件に基づいて、照射対象の物質へのUV放射線の伝達を動的に制御するためのモニタリング/検出機構及び制御回路を含み得る。最後に、関連する性能データは、オンボードで、又は外部データ保存ユニットに保存され、これを使用して、シグナルをモニタリング回路にフィードバックし、システムステータスを伝えてもよい。システムステータスは、見ることができる又は聞くことができるアラームにリンクした電流又は電圧シグナルによって示すことができる。
【0025】
本発明の種々の実施形態において、単一のLED、又はマトリックス若しくはアレイ状に配置された複数のLED「ダイス」を有するUV放射線源パッケージを含む、モジュール式の半導体UV LED実装配置が提供され得る。LEDダイスは、約200nm~約800nmのUV及び可視光双方の放射線スペクトルにおいて複数の波長を提供するように選択することができる。例示的な一実施形態において、マトリックス又はアレイは、ヌクレオカプシドの吸収メカニズム(約280nmを中心とするピーク発光を有する)を満たす(saturate)ために、同時に、約250~280nmに及ぶそのピーク発光波長を有する核酸のピーク吸収を標的とするために、約200~320nmの範囲の波長を発光するLEDダイスを含む。別の例示的な実施形態において、様々な細菌及びウイルスを標的とするために使用される低圧又は中圧のHg系UVランプの光学出力スペクトルを模倣することを意図して、LEDダイスのマトリックス又はアレイは、約240~260nm、約260~344nm、約350~380nm、約400~450nm、又は約500~600nmのうちの少なくとも1つを含む、複数の波長を利用する。更なる例示的な実施形態は、TiO、NiO、又はSnOなどのn型半導体の結晶性膜に近接する水中の病原体又はコンタミナントの光触媒的酸化を可能にするために、約350nm~400nmの範囲の波長を発光するLEDダイスと組み合わせた、約250nm~300nmの範囲の殺菌波長を発光するLEDダイスのマトリックス又はアレイである。なお更なる例示的な実施形態は、生体由来の粒子のNADH、及びトリプトファンの蛍光スペクトルを可能にするための、マトリックス又はアレイ状に配置された約250~320nm及び約320~400nmの波長を発光する複数のLEDダイスを含有するモジュール式の実装配置である。別の例示的な実施形態において、市販のSETi UV CleanTM LEDパッケージが使用される。The Bergquist Company(商標)から入手可能なものなどの熱伝導性金属コア回路(MCPCB)に結合された個々のLEDダイス又は単一のダイを使用してもよい。
【0026】
パッケージングされたUV LED、又は複数のUV LEDのマトリックス若しくはアレイは、ヒートシンクに取り付けられていてもよい。複数のUV波長を使用して、特定の微生物に対する効果を最適化することができる。バックサイド熱抽出は、熱電冷却(TEC)及び/又は蒸気チャンバによって補助され得る。加えて、UV LEDパッケージは、ダイヤモンドナノ粒子が含浸されたシリコーンポリマー(単一結晶性構造であってもよい)などの高度に熱伝導性の被覆層を通る伝導によってトップサイド冷却されてもよい。
【0027】
UV放射線源の電気及び/又は電子制御のための構成要素は、場合により、先に記載したような密封(シール)されたユニット内に含まれてもよく、その結果、これらの構成要素は、先に記載したようにエルミート性(hermiticity)、乾燥剤の使用、又はそれらの組み合わせによる外部環境からの保護を維持しつつ、UV放射線源上で作用してもよい。更に、これらの構成要素のMCPCB又はその他のものの上のコロケーション、及びその後の熱交換機構に対する熱ユニオンを使用して、例えば、パワー変換構成要素によって発生する熱を抽出してもよい。加えて、これらの電気及び/又は電子構成要素は、UV照射源の作動条件及びステータスを決定し得るセンサ、例えば、限定されないが、フォトダイオード、熱電対、サーミスタ、音響センサ、ホールプローブ、電流プローブなどを含んでいてもよい。
【0028】
放射線エミッターモジュールは、モイスチャー及び湿度に対抗するために、任意選択的に取り付けられた電子機器及び乾燥材料を含む、ユーザが交換可能なユニットであってもよい。取り付けられた電子機器は、個々の識別番号及びテレメトリトラッキング、並びにより大きなシステムから容易に切断するためのインターコネクタを含んでいてもよい。
【0029】
UV放射線は、LEDダイスから透過性窓、ポリマー、空気、及び/又は開口部を通って照射チャンバ内へと伝達され得る。透過性窓は、使用されるLEDの選択に適した透過スペクトルを有する(例えば、UV-C範囲)。
【0030】
溶融シリカ、溶融石英、又は類似のガラスは、UV安定性シリコーン(例えば、DOW Silastic、LEDiL VIOLET)と同様に、この目的のために一般的に使用される。したがって、これらの窓材料は、光学結合システムの一部を構成し、放射線源から標的媒体へと光を移動させるためのその効率は、全体的なシステム効率に影響を与え得る。フレネルの式は、屈折率境界にわたって透過効率のそれらの記述において、十分に理解されている。UV源が、窓が「乾燥」しているように、すなわち、保存タンクの水ボリュームと接触しないように位置する場合に、UV放射線は、3つの大きな屈折率境界(空気-石英-空気-水)を通過しなければならず、その後、透過されたパワーの3つのかなりの損失(反射された部分に起因する)を受ける。そのような空気-石英-空気-水系について、放射線源によって放射されるUV放射線の最大9.8%が、水標的ボリュームに到達しない(屈折率についての文献値を使用して、一連の平面屈折率境界上の垂直入射光を考慮して、280nmでの単色性放射線について行われた計算)。しかし、石英窓が、標的水ボリュームによって濡らされる場合、この損失は、ちょうど4.1%まで低下する。したがって、UV窓などのUV源を位置決めし、設計するための光学的結合が、標的水ボリュームによって濡らされることが有益である。
【0031】
照射チャンバの内部表面は、典型的には、UV源からのUV放射線を主に反射し、UV放射線を最小限に伝達するか、又は吸収する材料から構築される。
【0032】
別の実施形態において、UV源は、熱伝達材料、例えば、金属コアプリント回路基板(MCPCB)、プリント回路基板(PCB)又は他の誘電体材料に電気的及び熱的に接続するLEDである。熱伝達材料は、冷却チャンバ2内の流体と直接接触し、LEDと流体との間の熱流路を提供する。この場合、流体(例えば、水)の温度がジャンクション温度よりも低い場合、流体は、LEDに対する冷却を提供する。熱伝達材料は、放射線源に、かつ冷却チャンバ内の流体に熱的に接続又は結合された熱交換機構として機能する。
【0033】
別の実施形態において、UV源は、熱伝達材料、例えば、金属コアプリント回路基板(MCPCB)、プリント回路基板(PCB)又は他の誘電体材料に電気的及び熱的に接続するLEDであり、これが照射チャンバ1内の流体と直接接触する別個の第2の熱伝達材料と接触し、LEDと流体との間の熱流路を提供する。この場合、流体(例えば、水)の温度がジャンクション温度よりも低いと、流体は、LEDに対する冷却を提供する。第2の熱伝達材料は、金属、誘電体、半導体、プラスチック又は任意の他の熱伝導性材料であってもよい。熱伝達材料は、放射線源に、かつ冷却チャンバ内の流体に熱的に接続又は結合された熱交換機構として機能する。
【0034】
UV透過性窓を通って照射チャンバの表面に伝達される放射線は、表面上のバイオフィルム形成及び装置の下流領域における潜在的微生物コンタミネーションを阻害する。装置が、照射チャンバ内の1つ以上のポートホール若しくは他の開口部によって、又はチャンバの材料を通る部分的な透過を介して、直接的な照射によって、照射チャンバに光学的に結合された流体出口構造を有する場合、出口構造の表面を、その上のバイオフィルム形成を阻害するように照射してもよい。UV放射線を、組み込まれたUV消毒装置、システム及び方法内のバイオフィルム阻害剤として使用してもよい。これは、スタグネーション(非循環、よどみ)期間中の周期的な「オンサイクル」を伴う装置、システム、及び方法のインテリジェント制御を含んでもよく、その結果、一定の静菌効果が付与されてもよい。UV源ステータスのオンボード検知は、任意選択的に、サーミスタ、フォトダイオード、又は電圧検出スキームなどであってよい。一実施形態において、これらのセンサを使用して、UV源の寿命又は作動品質を予測することができる。一実施形態において、照射チャンバと1つ以上の追加のチャンバとの間の光学的結合は、照射チャンバの内部を通る少なくとも1つの小さなポートホールを介して達成され、UV放射線が追加のチャンバに入るのを可能にしてもよい。ポートホールはまた、追加のチャンバに流体接続し、チャンバ間の流体連通を増加させてもよい。ポートホールを通り、及び/又はチャンバの材料を通る部分的な透過を介して追加のチャンバの表面に伝達される放射線は、追加のチャンバの表面上のバイオフィルム形成及び装置の下流領域における潜在的微生物コンタミネーションを阻害し得る。
【0035】
別の実施形態において、UV放射線源は、照射チャンバの内部へと放射線を提供する。UV放射線源は、照射チャンバ内の流体への熱的接続を有する。この熱的接続は、UV放射線源に、かつ照射チャンバ内の流体に熱的に接続又は結合された少なくとも1つの熱交換機構の後側及び/又は前側の間の接続である。一実施形態において、熱交換機構は、ヒートシンクである。単一の石英光学窓は、UV放射線源の上(表面)に位置し、照射チャンバ内の流体からUV放射線源を保護する。窓がUV放射線源を照射チャンバ内の流体から隔離するように機能するように、UV放射線源は、熱交換機構と窓との間で密封(シール)される。照射チャンバは、UV源からのUV放射線を主に反射し、UV放射線を最小限に伝達するか、又は吸収する材料から構築される。
【0036】
別の実施形態において、UV放射線源は、照射チャンバの内側の内部に部分的若しくは完全に結合されるか、又はそれに取り付けられる熱伝達材料に熱的に接続される。熱伝達材料は、チャンバの内部を介する、UV源から照射チャンバ内の流体への伝導性熱移動を提供する。一実施形態において、UV源は、熱伝達材料、例えば、金属コアプリント回路基板(MCPCB)、プリント回路基板(PCB)又は他の誘電体材料に電気的及び熱的に接続するLEDである。熱伝達材料は、照射チャンバ内の流体と直接接触し、LEDと流体との間の熱流路を提供する。この場合に、流体(例えば、水)の温度がジャンクション温度よりも低い場合、流体は、LEDに対する冷却を提供する。熱伝達材料は、放射線源に、かつ冷却チャンバ内の流体に熱的に接続又は結合された熱交換機構として機能する。
【0037】
別の実施形態において、UV源は、熱伝達材料、例えば、金属コアプリント回路基板(MCPCB)、プリント回路基板(PCB)又は他の誘電体材料に電気的及び熱的に接続するLEDであり、これが照射チャンバ内の流体と直接接触する別個の熱伝達材料と接触し、LEDと流体との間の熱流路を提供する。この場合に、流体(例えば、水)の温度がジャンクション温度よりも低い場合、流体は、LEDに対する冷却を提供する。熱伝達材料は、金属、誘電体、半導体、プラスチック又は任意の他の熱伝導性材料であってもよい。熱伝達材料は、放射線源に、かつ冷却チャンバ内の流体に熱的に接続又は結合された熱交換機構として機能する。
【0038】
図1~4は、本発明の1つの例示的な実施形態を示す。照射装置Aは、三次元照射チャンバ1を備え、照射対象の物質を含有する流体(本実施形態においては水5)の流れの上記チャンバ内への流入のための入口ポート4を有する。照射チャンバは、チャンバに流入する流体の流れ(流体流)のための1つ以上の追加の入口ポート、及び/又は、チャンバから流出する流体の流れ(流体流)のための1つ以上の出口ポートを有し得る。照射チャンバ内の1つ以上のUV放射線源、例えば、UV放射線源17(図4)は、照射チャンバの内部へと放射線を提供する。放射線源は、UV透過性の石英光学窓16を介して、照射チャンバ内の水に光学的に結合し(図4)、UV透過性の石英光学窓16は、UV放射線源の表面上(over)に置かれ、照射チャンバ内の窓と接触する流体からUV放射線源を保護する。ガスケット15は、放射線源に隣接して配置され、放射線源を照射チャンバ内の流体から保護する。ガスケット15は、冷却プレート熱交換機構12と窓16との間にあるUV放射線源17を密封する。エンドキャップ14は、UVランプモジュールアセンブリ6を一体にしっかりと保持し(図2)、流体がUV放射線源と接触するのを防ぐ。
【0039】
図2~4は、照射チャンバ内の空気2及び水面3を示し、UV放射線源及び熱交換機構は、照射チャンバ内の水中に部分的に沈められている。熱交換機構は、照射チャンバ内の放射線源及び水に熱的に結合されている。図2は、支持ステム10を介してナット8及びシーリングOリング9を保持することによって照射チャンバ1の内部に固定されたUVランプモジュールアセンブリ6を示す。ステム10の内側のパワーワイヤ7は、UV放射線源17に電流を提供する。
【0040】
UV放射線源17によって発生した熱は、照射チャンバ内の水の内部に対流性の流れ11を誘導する(図3)。これらの流れは、UVが遮断された領域から、より多くのUVが曝露された領域へと水を循環させ、より均一かつ効果的な消毒効果をもたらす。UVランプモジュールアセンブリ6の設計は、水ボリュームの対流性の冷却及び混合を向上させる。本発明は、液体を保護し、UV源を冷却するための、UV源を遮蔽(shadowing)し、パッケージするという課題に対する解決手段を提示する。
【0041】
別の実施形態において、UV源は、リアクターの照射チャンバ内の流体と直接接触し、ランプと流体との間の直接的な熱流路を提供するマイクロプラズマランプである。この場合、流体は、ランプに対する冷却を提供する。マイクロプラズマランプUV放射線源は、照射チャンバの内部に放射線を提供する。マイクロプラズマランプは、照射チャンバ内の流体と直接接触しているため、ランプと流体との間の直接的な熱流路を提供し、それによって、ランプを冷却する。一実施形態において、マイクロプラズマランプは、照射チャンバ内の流体と直接接触する熱伝達材料と熱的に接続しており、ランプと流体との間に熱流路を提供する。熱伝達材料は、金属、誘電体、半導体、プラスチック、又は任意の他の熱伝導性材料であってもよい。熱伝達材料は、ランプからのUV放射線の一部を反射してもよい。別の実施形態において、熱伝達材料は、照射チャンバ内の流体と直接接触する別個の熱伝達材料と接触し、ランプと流体との間に熱流路を提供する。これらの場合に、流体は、ランプに対する冷却を提供する。そのように、本実施形態を、本明細書に示され、記載される他の照射装置内の照射チャンバとして使用してもよい。
【0042】
別の実施形態において、本発明は、各々が少なくとも1つの入口ポート及び1つの出口ポートを有する、複数のUV放射線源及び複数の照射チャンバを提供する。各UV放射線源は、主に、単一の照射チャンバに光学的に結合される。全ての照射チャンバは、任意の照射チャンバを通って流れる全ての流体が、他の照射チャンバも通って流れるように、流体的に結合される。このように、照射チャンバを通る流体の流束は、全ての照射チャンバを通る流体の流束の合計に等しい。加えて、全てのUV源は、照射チャンバの内部を介して流体の流束に熱的に結合される。
【0043】
別の実施形態において、本発明は、各々が少なくとも1つの入口ポート及び1つの出口ポートを有する、複数のUV放射線源及び複数の照射チャンバを提供する。各UV放射線源は、主に、単一の照射チャンバに光学的に結合される。全てのUV放射線源は、全ての照射チャンバに熱的に結合される。1つ以上の照射チャンバは、流体接続しており、1つのチャンバの出口は、別のチャンバのための入口である。
【0044】
上記の実施形態において、複数の照射チャンバは、任意の照射チャンバを通って流れる全ての流体が、他の照射チャンバも通って流れるように、流体的に結合される。複数の照射チャンバが流体的に結合され、単一のユニットを形成し得るのと同じように、これらの個々のユニットのセットは、並列又は直列の組み合わせで配列されてもよく、各ユニットへの入口は、合計入口流(並列の場合)若しくは全流(直列の場合)の一部、又は各ユニットの直列及び並列の配置のブレンドから構成される。
【0045】
別の実施形態において、UV源から流体の流束への熱の移動は、チャンバの表面に組み込まれ、そのチャンバ内の流体の流束と熱的に接触した、名目上平坦な表面を通る導電性熱移動を介して達成される。例えば、図1~4に示される実施形態において、照射チャンバ内のUV源から流体への熱の移動は、そのチャンバ内の流体の流束と熱的に接触した、照射チャンバの外側表面及びチャンバの内側表面に組み込まれたヒートシンクの名目上平坦な表面を通る導電性熱移動を介して達成される。
【0046】
別の実施形態において、UV源から流体の流束への熱の移動は、流体の流束のいくつか又は全ての流路内に置かれた多孔性構造を通る導電性熱移動を介して達成される。多孔性構造は、流体の流束への効率的な導電性熱移動が提供されるように表面積が最大化されるように設計され得る。導電性熱移動を最大化するために使用される多孔性構造はまた、流体の流束の乱流混合及び/又は流体の流束における層流特性を促進し得る。
【0047】
更に別の実施形態において、2つの三次元チャンバは、チャンバに流入する流体の流れ(流体流)及びチャンバから流出する流体の流れ(流体流)のための少なくとも1つの入口ポート及び少なくとも1つの出口ポートを有する。UV源は、両方の側からUV放射線を放射する、マイクロプラズマランプなどの平面源である。UV源は、照射チャンバの間に位置し、両方のチャンバに放射線を提供する。一実施形態において、2つのチャンバは、流体接続しており、一方のチャンバの入口は、他方のチャンバのための出口である。別の実施形態において、平面UV源の各々の側は、各チャンバの側壁の一部分として機能する。
【0048】
別の実施形態において、照射装置は、2つの三次元照射チャンバを含み、各々がチャンバに流入する流体の流れ及びチャンバから流出する流体の流れのための入口ポート及び出口ポートを有する。照射チャンバは、流体接続しており、流体連通しており、一方のチャンバのための出口ポート及び他方の照射チャンバのための入口ポートとして機能するポートを有する。UV放射線源は、両方の照射チャンバの内部に放射線を提供するマイクロプラズマランプである。UV源は、照射チャンバの間に位置し、両方のチャンバに放射線を提供する。平面UV源の各々の側は、各チャンバの側壁の一部分として機能する。UV放射線源は、その側面の各々を覆う石英スリーブ又は光学窓を有し、UV放射線源を照射チャンバ内の流体から保護する。窓が、消毒システムのための圧力容器の一部分として機能し、UV放射線源を照射チャンバ内の流体から隔離するように、UV放射線源は、窓間で密封される。
【0049】
本発明の別の実施形態において、本明細書に記載のUV源は、金属コアプリント回路基板などの熱伝達材料又は導体とUV透過性窓との間のUVエミッターを部分的又は完全に閉じ込める環境的に密封されたハウジングの内側に埋め込まれたUVエミッターを含み得る。別の実施形態において、密封されたハウジングは、主にUV透過性窓及びヒートシンク(例えば、主に熱伝導性のカップ)を含み、これを組み合わせて、回路基板上の1つ以上のUV LEDが配置され、かつカップに熱的接続している、閉じられたボリュームを形成する。ポッティング化合物は、熱伝導性カップと窓との間の空隙を充填し、LEDの周囲付近の小さなキープアウトエリアがより少なくなる。一実施形態において、熱伝導性カップは、単一の金属シートの変形によって作成される。熱伝導性カップは、液体ポッティング化合物の電気接続入口及び/又は出口のための、及び/又は液体ポッティング化合物の注入のための、1つ以上のポートを有し得る。別の実施形態において、熱伝導性カップは、主にUVエミッターへ/からの熱移動を意図する少なくとも1つの面を含む。
【0050】
本開示の他の実施形態において、光透過性窓は、石英又はサファイア、又は主にUV透過性ポリマーから作製される。ポッティング化合物は、熱伝導性カップ内に光学的に透過性の窓を主に保持し、アセンブリに対して構造的構成要素として機能し得る。UVエミッターは、基板上に実装された制御システムを有する当該基板上に実装されたUV放射線源を含み得る。UV放射線源は、LED、プラズマ放出源、又は固体状態電界効果リン光デバイス、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含み得る。基板は、プリント回路基板を含み得る。基板は、UV放射線源と外部熱容器との間の効率的な熱流路を発生させるように設計されてもよい。基板は、ポッティング化合物とUV放射線源との間の接触を予防する手段として提供されてもよい。基板は、UV放射線源及び光学的に透過性の窓の相対的な位置を固定するための手段を提供してもよい。制御システムは、定流源又は定流シンクを含んでいてもよい。
【0051】
本発明は、多くの潜在的用途を有する。主に、本発明は、飲料水タンクを処理するか、又はその微生物品質を維持するための手段として考慮されてもよい。しかし、用途の幅は、はるかにずっと広い。水及び他の液体の保存は、限定されないが、作物灌漑、冷却剤循環及び注入システム、グレーウォーター、洗浄流体、加湿機、除湿機、フラッシング及び冷却システム、廃水処理、食物の処理及び分配、医薬製造などを含む多くのプロセスにとって必要である。そのような用途において、目的は、疾患を避ける目的のために、又は審美性、目詰まり、腐食、腐敗、消化などの細菌又はカビの成長の他の望ましくない影響を避けるために、微生物コンタミネーションを制御することであってもよい。更に、タンク内消毒システムの用途は、例えば、タンクが標的液体で満たされている場合には名目上の作動中に望ましい場合があり、又は、タンク表面自体が主な消毒標的となり得る場合には休止中の運転即応性を維持する手段として望ましい場合がある。
【0052】
本発明は、その特定の実施形態及び例を参照しつつ本明細書に示され、かつ記載されるが、当業者にとって、他の実施形態及び例が同様の機能を発揮し、及び/又は同様の結果を達成し得ることが容易に明らかであろう。同様に、開示される技術の他の用途が可能であることが明らかであろう。全てのそのような等価な実施形態、例、及び用途は、本発明の趣旨及び範囲内であり、以下の特許請求の範囲によって包含されることを意図している。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-02-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射対象の流体所定量含有するための容器を含む少なくとも1つの照射チャンバと、
少なくとも1つのUVランプモジュールアセンブリと
を備える照射装置であって、
前記UVランプモジュールアセンブリは、
(i)前記少なくとも1つの照射チャンバの内部にある1つ以上のUV放射線源と、
(ii)1つ以上のシール又はガスケットと、
(iii)前記容器の内部にある少なくとも1つの熱交換機構と
を備え、
前記容器は、前記容器に流入する流体流のための少なくとも1つの入口ポートを有し、
前記UV放射線源は、前記容器内の前記流体と接触する少なくとも1つのUV透過性窓を介して、前記照射チャンバ内の前記流体に光学的に結合され、
前記シール又はガスケットは、前記容器内の前記流体から前記放射線源を保護するために、前記放射線源に隣接して配置され、
前記熱交換機構は、前記放射線源に、かつ前記容器内の前記流体に熱的に結合され、
前記UVランプモジュールアセンブリは、前記照射装置の内部に配置され、
前記1つ以上のUV放射線源及び前記少なくとも1つの熱交換機構が、前記照射チャンバ内の前記流体中に少なくとも部分的に沈められており
前記UV放射線源によって生成された熱が、前記照射チャンバ内の前記流体中に対流性の流れを発生させ、前記流体を混合することを特徴とする、照射装置。
【請求項2】
前記UVランプモジュールアセンブリは、照射装置の内部の、前記入口ポートの高さより低い位置に配置されてなる、請求項1に記載の照射装置。
【請求項3】
前記照射チャンバの壁からUV源を移動させるためのステム支持体をさらに備える、請求項1に記載の照射装置。
【請求項4】
前記熱交換機構が、プリント回路基板、金属コアプリント回路基板、熱電冷却デバイス、蒸気チャンバ、ヒートシンク、放熱構造体、熱伝達材料、流体に熱的に結合された材料のうちの1つ以上を含好ましくは、ヒートシンク若しくは熱伝達材料、又はそれらの組み合わせである、請求項1に記載の照射装置。
【請求項5】
1つ以上のセンサの測定値に基づいて、前記1つ以上のUV放射線源へのパワーを動的に制御するために使用される当該1つ以上のセンサ、および場合により、前記1つ以上のUV放射線源のステータスをモニタリングし、フィードバックをモニタリング回路へと提供する回路を更に含む、請求項1に記載の照射装置。
【請求項6】
前記1つ以上のUV放射線源が、1つ以上のUV-C放射線源、又はそれらの組み合わせ、およびアレイ状に配置された複数の放射線源から選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載の照射装置。
【請求項7】
前記1つ以上のUV放射線源が、マイクロプラズマランプを含む、請求項1に記載の照射装置。
【請求項8】
複数のUV放射線源及び複数の照射チャンバを含み、当該複数の照射チャンバ各々が少なくとも1つの入口ポート及び1つの出口ポートを有し、当該複数のUV放射線源のすべてが、当該複数の照射チャンバに熱的に結合されている、請求項1に記載の照射装置。
【請求項9】
前記1つ以上の放射線源からの放射線の一部が、1つ以上の照射チャンバの表面に伝達され、当該表面へのバイオフィルム形成が阻害される、請求項1に記載の照射装置。
【請求項10】
照射チャンバ内に配置された照射対象の物質を含有する流体の照射方法であって、当該照射方法が、
(1)照射装置を用意する工程であって、当該照射装置が、
照射対象の物質を含有する流体のための少なくとも1つの照射チャンバと、
前記少なくとも1つの照射チャンバの内部にある1つ以上のUV放射線源と、
1つ以上のシール又はガスケットと、
前記少なくとも1つの照射チャンバの内部にある少なくとも1つの熱交換機構と
を備え、
前記照射チャンバは、前記照射チャンバに流入する流体流のための少なくとも1つの入口ポートを有し、
前記UV放射線源は、前記照射チャンバ内の前記流体と接触する少なくとも1つのUV透過性窓を介して、前記照射チャンバ内の前記流体に光学的に結合され、
前記シール又はガスケットは、前記照射チャンバ内の前記流体から前記放射線源を保護するために、前記放射線源に隣接して配置され、
前記熱交換機構は、前記放射線源に、かつ前記照射チャンバ内の前記流体に熱的に結合され、
前記1つ以上のUV放射線源及び前記少なくとも1つの熱交換機構が、前記少なくとも1つの照射チャンバ内の前記流体中に少なくとも部分的に沈められている、工程と、
(2)前記照射装置を使用して、照射対象の物質を含有する流体を照射する工程と
を含む、照射方法。
【請求項11】
前記熱交換機構が、プリント回路基板、金属コアプリント回路基板、熱電冷却デバイス、蒸気チャンバ、ヒートシンク、放熱構造体、熱伝達材料、流体に熱的に結合された材料のうちの1つ以上を含む、請求項10に記載の照射方法。
【請求項12】
前記熱交換機構が、水、医療用材料又は食品用安全材料でコーティングされている、請求項10に記載の照射方法。
【請求項13】
前記1つ以上のUV放射線源の1つ以上の波長が動的に調節可能である、請求項10に記載の照射方法。
【請求項14】
前記1つ以上のUV放射線源の1つ以上の波長が、前記照射対象の物質中のコンタミナントの特定に基づいて選択される、請求項10に記載の照射方法。
【請求項15】
前記1つ以上のUV放射線源が、前記照射対象の物質に、前記照射対象の物質中に蛍光を誘導する1つ以上の波長を伝え、もって、前記照射対象の物質中の前記コンタミナントの特定を可能にする、請求項10に記載の照射方法。
【国際調査報告】