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特表2024-534864高血圧患者を治療するためのシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】高血圧患者を治療するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20240918BHJP
   A61N 1/378 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/378
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513476
(86)(22)【出願日】2022-08-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2022073833
(87)【国際公開番号】W WO2023031056
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/073893
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】2250220-7
(32)【優先日】2022-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
2.BLUETOOTH
3.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】517409413
【氏名又は名称】インプランティカ・パテント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】フォーセル,ペーター
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ02
4C053JJ03
4C053JJ18
4C053JJ21
4C053KK10
(57)【要約】
本発明は、高血圧患者を治療するためのシステムであり、このシステムは、腎平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるために、患者の腎動脈の壁部分に電気刺激信号を送達するように構成された電極配置を含む刺激装置と、動脈と刺激装置に動作可能に接続された制御ユニットとを含み、制御ユニットは、電気刺激信号が腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御するように構成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高血圧患者を治療するためのシステムであって、腎動脈の壁部分および腎を神経支配する副交感神経のうちの少なくとも1つに電気刺激信号を送達することができるように構成された電極配置を含む刺激装置を備えるシステムであって、
患者の動脈、腎動脈の平滑筋組織の血管運動神経の緊張に影響を与え、電極配置にエネルギーを与えるように構成された埋め込み型のエネルギー源と、
刺激装置に動作可能に接続される制御ユニット
を備え、
前記制御ユニットは、電気刺激信号が腎動脈の制御された血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御するように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記電極配置が複数の電極要素を備え、各電極要素が腎動脈の壁部分または腎動脈を支配する神経に係合して電気刺激するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電極配置が支持構造の表面部分に配置され、前記表面部分が腎動脈の壁部分または腎動脈を支配する神経上に配置されるように構成されている、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記支持構造が、腎動脈または腎動脈を支配する神経の壁部分の周りに少なくとも部分的に配置されるように構成されたカフ部分を備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記電極配置は、前記カフ部分の内面上に配置される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記電極配置は、仙骨神経を電気的に刺激するように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御ユニットが、腎動脈の平滑筋組織の血管運動神経の緊張に影響を及ぼすためのパルス電気刺激信号を生成するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記電気刺激信号は、30Hz以下、例えば5~25Hz、例えば10~20Hzの周波数を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記電気刺激信号は、0.01~1msのパルス幅を含む、請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記電気刺激信号は、1~15mAのパルス振幅を含む、請求項7~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記刺激装置と脊髄との間の位置で、前記副交感神経に配置されるように構成された信号減衰装置をさらに備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記信号減衰装置が、電気減衰信号を副交感神経に送達するように構成された電極配置を備え、前記電気減衰信号が、前記電気刺激信号によって生成される電気刺激信号を少なくとも部分的に打ち消すように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記信号減衰装置が、前記信号減衰装置で受信された前記電気刺激信号を測定し、前記受信された電気刺激信号に基づいて前記電気減衰信号を生成するように構成された信号処理手段をさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御ユニットは、無線遠隔制御装置に通信可能に接続されるように構成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記制御ユニットは、外部信号送信機との間で通信信号を送受信するように構成された内部信号送信機を備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記患者の血圧を示す信号を生成するように構成された血圧センサーをさらに備える、請求項1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記血圧センサーは、腎動脈内の局所血圧を測定するように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記血圧センサーが全身血圧を測定するように構成されている、請求項16または17に記載のシステム。
【請求項19】
前記制御ユニットは、前記血圧センサーによって生成された信号を受信するように構成されている、請求項16または17に記載のシステム。
【請求項20】
前記制御ユニットは、受信した前記信号に基づいて前記刺激装置の動作を制御するように構成されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記エネルギー源が皮下に埋め込まれるように構成されている、請求項1~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記エネルギー源は、一次電池および二次電池のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記制御ユニットは、前記エネルギー源の機能状態を示すように構成されている、請求項1~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記機能状態は、前記エネルギー源の充電レベルを示す、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記制御ユニットが、エネルギー源、壁部分、および腎動脈を流れる血液のうちの少なくとも1つの温度を示すように構成される、請求項1~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記刺激装置、前記埋め込み型エネルギー源、および前記制御ユニットのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの表面上に配置された第1のコーティング(760)をさらに含む、請求項1~25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1のコーティングは、生体材料の少なくとも1つの層を含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記生体材料が、抗血栓特性および/または抗菌特性および/または抗血小板特性を有する少なくとも1つの薬物または物質を含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記生体材料がフィブリンベースである、請求項27または28に記載のシステム。
【請求項30】
前記第1のコーティングの上に配置された第2のコーティング(760b)をさらに備える、請求項27~29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記第2のコーティングは、前記第1のコーティングとは異なる生体材料である、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記第1のコーティングは、前記表面に化学的に付着したパーフルオロカーボンの層を含み、前記第2のコーティングは、液体のパーフルオロカーボン層を含む、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記コーティングが、多孔質材料に封入された薬物を含む、請求項27~32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記表面が金属を含む、請求項27~33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
前記金属は、チタン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、錫および鉛のうちの少なくとも1つを含む、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記表面がマイクロパターンを含む、請求項27~35のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項37】
前記マイクロパターンは、身体への挿入前に前記表面にエッチングされる、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記マイクロパターンの上にコーティングされた生体材料の層をさらに備える、請求項36または37に記載のシステム。
【請求項39】
表示装置と請求項1~38のいずれか一項に記載のシステムとの間の通信を可能にする通信システムであって、
表示装置、サーバ、および外部装置を備え、
表示装置は、
サーバからインプラント制御インターフェースを無線で受信するように構成された無線通信ユニットを備え、インプラント制御インターフェースは、外部デバイスによって提供され、無線通信ユニットはさらに、インプラント制御のユーザ入力を、外部デバイスに向けてサーバに無線で送信するように構成され、
受信したインプラント制御インターフェースを表示するためのディスプレイ、およびユーザからのインプラント制御入力を受信するための入力装置を備え、
サーバは、
外部装置からインプラント制御インターフェースを無線で受信し、インプラント制御インターフェースをディスプレイ装置に無線で送信するように構成された無線通信ユニットを備え、無線通信ユニットは、さらにディスプレイからインプラント制御のユーザ入力を無線で受信するように構成され、インプラント制御ユーザ入力を外部装置に無線で送信し、
外部装置は、
制御コマンドを埋込型装置に無線送信するように構成され、サーバと無線通信するように構成される、無線通信ユニットと、
埋め込み型デバイスの動作のための制御コマンドを作成するための制御ソフトウェアを実行し、ディスプレイ デバイスに向けて制御インターフェースをサーバに送信し、ディスプレイ デバイスで生成されたインプラント制御ユーザ入力をサーバから受信し、ユーザ入力を埋め込み型デバイスへの無線送信のための制御コマンド変換するための制御ユニットを備える、
システム。
【請求項40】
前記刺激装置が、副交感神経系を刺激し、それによって血管拡張を引き起こし、患者の血圧を低下させるように適合されており、前記刺激装置がさらに、 少なくとも脊髄10番の枝において、椎骨S2~S4、好ましくはS4から始まる尾骨神経に沿った副交感神経を刺激する、請求項1~39のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項41】
前記壁部分の血管運動緊張が腎動脈内の流れを規定し、それによって間接的に血圧を誘導する、請求項1~40のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高血圧に罹患している患者を治療する技術に関し、より具体的には、腎動脈に電気的に誘導された血管拡張を引き起こすシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に「高血圧」と呼ばれる高血圧は、血圧が持続的に上昇する病状である。高血圧に罹患している人の多くは、心拍出量は正常であるにもかかわらず、血流に対する抵抗の増大が高血圧の原因となっている。循環系を通して血液を押し出し、流れを作るために克服しなければならない抵抗の増加は、血管抵抗または全身血管抵抗と呼ばれることがある。血管抵抗を変化させる要因は数多く知られている。血管コンプライアンスは中膜の平滑筋組織の筋緊張と弾性線維の弾力性によって決定される。しかし、筋緊張は、血圧と血流を基準範囲内に保つために血管拡張と血管収縮を誘導するホルモンと細胞シグナル伝達分子によって恒常的に変化する。
【0003】
高血圧は、世界中で早死にの重要な予防可能な危険因子として認識されている。高血圧は虚血性心疾患、脳卒中、末梢血管疾患、心不全、大動脈瘤、慢性腎臓病などの心血管疾患のリスクを高める。
【0004】
高血圧の治療には、β遮断薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬、レニン阻害薬などの降圧薬や、減量、運動、塩分摂取量の減少、健康的な食事などの生活習慣の改善が一般的である。
【0005】
しかし、高血圧を患う人口が増加の一途をたどっているため、改善された代替治療が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、高血圧を治療するための改良された技術および方法を提供することである。これは、独立請求項に定義される主題によって達成される。有利な実施形態は従属請求項に定義される。
【0007】
一実施形態によれば、高血圧症の患者を治療するためのシステムであって、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるために、電気刺激信号を特許の腎動脈の壁部分に送達するように構成された電極配置を含む刺激装置と、電極配置に通電するように構成された植え込み可能なエネルギー源と、刺激装置に動作可能に接続された制御ユニットとを備えるシステムが提供される。制御ユニットは、電気刺激信号が腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御するように構成されている。
【0008】
実施形態によれば、医療装置が提供され、この医療装置は、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるために患者の腎動脈の壁部分に電気刺激信号を送達するように構成された電極配置体と、電極配置体に動作可能に接続され、電気刺激信号が腎動脈の血管拡張を引き起こすように電気刺激信号を生成するように構成された遠隔ユニットとを備える。遠隔ユニットは、患者の組織壁に固定されるように構成され、患者の組織壁の第1の側に植え込まれるように構成された第1のユニットと、組織壁の第2の側に植え込まれるように構成された第2のユニットと、組織壁を通って延びるように配置され、第1のユニットおよび第2のユニットに機械的に取り付けられるように構成された接続ユニットとを備える。第1のユニットおよび第2のユニットは、組織壁を通過するのを妨げる形状およびサイズを備える。
【0009】
一実施形態によれば、高血圧を患う患者を治療するためのシステムが提供される。このシステムは、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるために患者の腎動脈の壁部分に電気刺激信号を送達するように構成された電極配置を含む刺激装置と、患者の血圧を示す信号を生成するように構成された植え込み可能なセンサと、刺激装置およびセンサ装置に通信可能に接続された制御ユニットとを備える。制御装置は、電気刺激信号が腎動脈の血管拡張を引き起こすように、センサ装置によって生成された信号に基づいて、刺激装置の動作を制御するように構成されている。
【0010】
ある実施例では、電極配置は複数の電極要素からなり、各電極要素は腎動脈の壁部分または腎動脈を支配する神経に係合して電気的に刺激するように構成されている。
【0011】
一実施例では、電極配置は支持構造体の表面部分に配置され、表面部分は腎動脈の壁部分または腎動脈を支配する神経上に配置されるように構成される。
【0012】
一例では、支持構造は、腎動脈の壁部または腎動脈を支配する神経の周囲に少なくとも部分的に配置されるように構成されたカフ部分からなる。
【0013】
一例として、電極配置はカフの内面に配置される。
【0014】
一例として、電極配置は仙骨神経を電気的に刺激するように構成されている。
【0015】
一実施例では、制御ユニットは、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるためのパルス電気刺激信号を生成するように構成されている。
【0016】
一例として、電気刺激信号は30Hz以下、例えば5~25Hz、例えば10~20Hzの周波数からなる。
【0017】
一例として、電気刺激信号は0.01~1msのパルス幅からなる。
【0018】
一例では、電気刺激信号は1~15mAのパルス振幅からなる。
【0019】
ある実施例では、システムは、副交感神経の、刺激装置と脊髄との間の位置に配置されるように構成された信号減衰装置をさらに備える。
【0020】
一実施例では、信号減衰装置は、電気減衰信号を副交感神経に供給するように構成された電極配置を備え、電気減衰信号は、刺激装置によって生成された電気刺激信号を少なくとも部分的に打ち消すように構成される。
【0021】
一実施例において、信号減衰装置は、信号減衰装置で受信された電気刺激信号を測定し、受信された電気刺激信号に基づいて電気減衰信号を生成するように構成された信号処理手段をさらに備える。
【0022】
一例として、制御ユニットは無線リモコンと通信可能に接続されるように構成されている。
【0023】
ある実施例では、制御ユニットは、外部信号送信機から/外部信号送信機へ通信信号を受信および送信するように構成された内部信号送信機を備える。
【0024】
一例として、センサーは患者の血管内に配置されるように構成された圧力センサーからなる。
【0025】
一例として、センサーは患者の血管の外壁に配置されるように構成されている。
【0026】
一例として、センサーは血流から血管外壁に伝わる圧脈波を測定するように構成されている。
【0027】
一例として、センサーは血管外壁のひずみに感応するひずみゲージからなる。
【0028】
一例として、センサーは血管外壁と圧力センサー間の押圧力に感応する接触圧力センサーからなる。
【0029】
一例として、センサーは血管内の血圧を測定するように構成されたドップラーレーダーセンサーからなる。
【0030】
一例として、センサーは光源と光センサーから構成され、信号は光源と光センサー間の光結合効率に基づく。
【0031】
一例として、センサーは患者の循環系の一部における血管抵抗を示す信号を生成するように構成されている。
【0032】
一例として、センサーは血管を通る流れを示す信号を生成するように構成されたフローセンサーである。
【0033】
一例として、システムは、患者の血圧を示す信号を生成するように構成された血圧センサーをさらに備える。
【0034】
一例として、血圧センサーは腎動脈の局所血圧を測定するように構成されている。
【0035】
一例として、血圧センサーは全身血圧を測定するように構成されている。
【0036】
一例として、制御ユニットは血圧センサーによって生成された信号を受信するように構成されている。
【0037】
ある実施例では、制御ユニットは、受信信号に基づいて刺激装置の動作を制御するように構成されている。
【0038】
一実施例では、制御ユニットは、センサーによって生成された信号に基づいて推定血圧を決定するように構成され、決定された血圧は、腎動脈の局所血圧または全身血圧である。
【0039】
一実施例では、制御ユニットは、推定血圧と所定の限界値とを比較し、推定血圧が限界値未満であることに応答して、腎動脈の血管収縮を引き起こすように刺激装置の動作を制御するように構成され、そして、推定血圧が限界値を超えたことに応答して、腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御する。
【0040】
ある実施例では、制御ユニットは、センサによって生成された信号に基づいて推定された血圧を経時的に監視するように構成される;および、前記推定血圧が経時的に下降するのに応答して、前記刺激装置の動作を制御して前記腎動脈の血管収縮を引き起こし、前記推定血圧が経時的に上昇するのに応答して、前記刺激装置の動作を制御して前記腎動脈の血管拡張を引き起こす。
【0041】
ある実施例では、制御ユニットは、外部信号送信機から/外部信号送信機へ通信信号を受信および送信するように構成された内部信号送信機を備える。
【0042】
一実施例では、第1のユニットは、第1の平面における第1の断面積を有し、組織部分の第1の側の第1の組織表面に係合するように構成された第1の表面からなり、第2のユニットは、第2の平面における第2の断面積を有し、組織部分の第2の側の第2の組織表面に係合するように構成された第2の表面からなり、連結ユニットは、第3の平面における第3の断面積を有し、第3の断面積は、第1のユニットおよび第2のユニットが組織壁を通って移動するのを阻止するように、第1の断面積および第2の断面積よりも小さい。
【0043】
一例として、接続ユニットは円形の断面を持つ。
【0044】
一例として、連結ユニットは中空である。
【0045】
一例として、第1ユニットと第2ユニットの少なくとも一方は、接続ユニットにねじ込まれるように構成されている。
【0046】
一例として、第1ユニットと第2ユニットは、連結ユニットとボルトジョイントを形成する。
【0047】
一例として、連結ユニットは弾性である。
【0048】
一例として、信号減衰装置は、第1ユニット、第2ユニット、および接続ユニットの少なくとも1つに配置される。
【0049】
一例として、センサーは第一ユニット、第二ユニット、接続ユニットの少なくとも一つに配置される。
【0050】
一例として、エネルギー源は、第1のユニット、第2のユニット、および接続ユニットの少なくとも1つに配置される。
【0051】
一実施例では、第1のユニット、第2のユニット及び接続ユニットの少なくとも1つは、患者の体外から送信されるエネルギーを受信するように構成された無線受信機を備える。
【0052】
一実施例では、第1のユニット、第2のユニット及び接続ユニットの少なくとも1つは、外部装置と無線通信するための無線トランシーバを備える。
【0053】
一例として、遠隔ユニットは、以下の少なくとも1つの一部を形成する組織壁に移植されるように構成されている:
横隔膜、
左右の下腿部、
内側または外側の弧状靭帯、
大腰筋、
腰方形筋、
腹横壁、
小腰筋、
内腹斜壁、
腸骨と、
大腰筋。
【0054】
一実施形態によれば、高血圧症の患者を治療するためのシステムであって、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を及ぼすように患者の腎動脈の壁部分に電気刺激信号を送達するように構成された第1の電極配置を含む刺激装置と、患者の組織に電気減衰信号を送達するように構成された第2の電極配置を含む信号減衰装置と、刺激装置および信号減衰装置に動作可能に接続された制御ユニットとを備えるシステムが提供される。制御装置は、電気刺激信号が腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御し、刺激装置によって送達される電気刺激信号を減衰または妨害するように信号減衰装置の動作を制御するように構成される。
【0055】
ある実施例では、第2の電極配置は、神経における電気刺激信号の伝達を減衰または減少させるために、腎動脈を神経支配する神経に電気減衰信号を送達するように構成される。
【0056】
一例では、第二の電極配置は、第一の電極配置と患者の脊髄との間の位置で電気ダンピング信号を供給するように構成されている。
【0057】
一実施例では、第1および第2の電極配置の少なくとも一方は複数の電極要素からなり、各電極要素は腎動脈の壁部分または腎動脈を神経支配する神経に係合して電気的に刺激するように構成されている。
【0058】
一実施例では、第1および第2の電極配置の少なくとも一方は、支持構造体の表面部分に配置され、表面部分は、腎動脈の壁部分または腎動脈を神経支配する神経上に配置されるように構成される。
【0059】
一例では、支持構造は、腎動脈の壁部または腎動脈を支配する神経の周囲に少なくとも部分的に配置されるように構成されたカフからなる。
【0060】
一例として、第1および第2の電極配置の少なくとも一方は、カフの内面に配置される。
【0061】
一例として、刺激装置と信号減衰装置のそれぞれは、電気刺激信号と電気減衰信号をそれぞれ副交感神経に送るように構成されている。
【0062】
一実施例では、制御ユニットは、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるためのパルス電気刺激信号を生成するように構成されている。
【0063】
一例として、電気刺激信号は30Hz以下、例えば5~25Hz、例えば10~20Hzの周波数からなる。
【0064】
一例として、電気刺激信号は0.01~1msのパルス幅からなる。
【0065】
一例として、電気刺激信号は1~15mAのパルス振幅からなる。
【0066】
ある実施例では、制御ユニットは、電気刺激信号に基づいて電気減衰信号を生成するように構成されている。
【0067】
一例として、電気ダンピング信号は電気刺激信号と位相がずれている。
【0068】
ある実施例では、電気刺激信号と電気減衰信号はパルス信号であり、電気減衰信号の周波数は電気刺激信号の周波数より高い。
【0069】
一例として、電気ダンピング信号の周波数は、電気刺激信号の周波数の少なくとも2倍である。
【0070】
一実施例では、信号減衰装置は、信号減衰装置を通過する電気刺激信号を妨害するための電気スクランブル信号を送出するように構成される。
【0071】
一実施例では、システムは、信号減衰装置で受信された電気刺激信号を測定し、受信された電気刺激信号に基づいて電気減衰信号を生成するように構成された信号処理手段をさらに備える。
【0072】
一例として、制御ユニットは無線リモコンと通信可能に接続されるように構成されている。
【0073】
ある実施例では、制御ユニットは、外部信号送信機から/外部信号送信機へ通信信号を受信および送信するように構成された内部信号送信機を備える。
【0074】
一実施例では、システムは、第1及び/又は第2の電極配置に通電するためのエネルギー源をさらに備える。
【0075】
一例として、エネルギー源は皮下に埋め込むように構成されている。
【0076】
一例として、エネルギー源は一次電池と二次電池の少なくとも一方からなる。
【0077】
一例として、制御ユニットは、エネルギー源の機能状態を示すように構成されている。
【0078】
一例として、機能状態はエネルギー源の充電レベルを示す。
【0079】
一実施例では、制御部は、エネルギー源、神経、及び神経に隣接する組織の少なくとも一つの温度を示すように構成されている。
【0080】
一例において、上記実施形態のいずれかによるシステムは、刺激装置、減衰装置、および制御ユニットの少なくとも1つの少なくとも1つの表面上に配置されたコーティングをさらに含み得る。
【0081】
一例として、コーティングは少なくとも1層の生体材料からなる。
【0082】
一例として、生体材料は、抗血栓性および/または抗菌性および/または抗血小板特性を有する少なくとも1つの薬物または物質を含む。
【0083】
一例として、生体材料はフィブリン系である。
【0084】
一例として、このシステムは、第一のコーティング上に配置された第二のコーティングをさらに含む。
【0085】
一例として、第二のコーティングは、前記第一のコーティングとは異なる生体材料である。
【0086】
一例として、第一のコーティングは表面に化学的に付着したパーフルオロカーボン層からなり、第二のコーティングは液状のパーフルオロカーボン層からなる。
【0087】
一例として、コーティングは多孔質材料に封入された薬剤からなる。
【0088】
一例として、表面は金属からなる。
【0089】
一例として、金属はチタン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、スズ、鉛のうち少なくとも一つからなる。
【0090】
一例として、表面はマイクロパターンからなる。
【0091】
一例として、マイクロパターンは体内に挿入する前に表面にエッチングされる。
【0092】
一例として、このシステムは、マイクロパターン上にコーティングされた生体材料の層をさらに含む。
【0093】
一実施形態によれば、高血圧症の患者を治療するためのシステムであって、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるために、電気刺激信号を特許の腎動脈の壁部分に送達するように構成された電極配置を含む刺激装置を備えるシステムが提供される。このシステムは、電極配置に通電するように構成された植え込み可能なエネルギー受信機と、エネルギー受信機にエネルギーを無線で伝達するように構成されたエネルギー源と、刺激装置に作動可能に接続された制御ユニットとをさらに備える。制御ユニットは、電気刺激信号が腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御するように構成されている。
【0094】
一例として、エネルギー源は患者に植え込まれるように構成されている。
【0095】
一例として、エネルギー源は、患者の体外から無線で転送されるエネルギーによって充電されるように構成されている。
【0096】
前記制御ユニットは、前記刺激装置の動作を制御するための制御命令を生成し、前記制御命令を患者の体外から前記刺激装置に無線送信するように構成されている、前記請求項のいずれかに記載のシステム。
【0097】
一実施形態によれば、高血圧症の患者を治療するためのシステムであって、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるために、電気刺激信号を特許の腎動脈の壁部分に送達するように構成された電極配置を含む刺激装置を備えるシステムが提供される。このシステムは、電極配置に通電するように構成されたエネルギー源と、刺激装置に作動可能に接続された制御ユニットとをさらに備える。制御ユニットは、電気刺激信号が腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御するための制御命令を生成し、制御命令を刺激装置に無線送信するように構成される。
【0098】
一実施例では、制御ユニットは、患者の体外に配置されるように構成された体外部品と、患者に植え込まれるように構成された体内部品とからなり、体内部品と体外部品は互いに無線通信するように構成されている。
【0099】
一例として、内部部品と外部部品は、高周波信号または誘導信号によって互いに通信するように構成されている。
【0100】
一実施形態によれば、表示装置と上記いずれかの実施形態によるシステムとの間の通信を可能にする通信システムが提供される。通信システムは、表示装置と、サーバと、外部装置とを備える。表示装置は、サーバからインプラント制御インターフェースを無線で受信するように構成された無線通信ユニットを備え、インプラント制御インターフェースは外部装置によって提供され、無線通信ユニットはさらに、外部装置を宛先とするインプラント制御ユーザ入力をサーバに無線で送信するように構成されている。さらに、表示装置は、受信したインプラント制御インターフェースを表示するためのディスプレイと、ユーザからのインプラント制御入力を受信するための入力装置とを備える。サーバは、外部装置からインプラント制御インターフェースを無線受信し、インプラント制御インターフェースを表示装置に無線送信するように構成された無線通信ユニットを備え、無線通信ユニットはさらに、表示装置からインプラント制御ユーザ入力を無線受信し、インプラント制御ユーザ入力を外部装置に無線送信するように構成されている。外部装置は、制御コマンドをシステムに無線送信するように構成され、サーバーと無線通信するように構成された無線通信ユニットと、演算ユニットとを備える。コンピューティングユニットは、システムの操作のための制御コマンドを作成するための制御ソフトウェアを実行するように構成され、ディスプレイ装置宛の制御インターフェースをサーバーに送信する、
ディスプレイ装置で生成されたインプラント制御ユーザー入力をサーバーから受信し、ユーザー入力をシステムに無線送信するための制御コマンドに変換する。
【0101】
一実施形態によれば、高血圧症の患者を治療するためのシステムであって、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるために、特許文献1の腎動脈の壁部分に電気刺激信号を送達するように構成された電極配置体と、電極配置体に通電するように構成されたエネルギー源と、刺激装置に動作可能に接続された制御ユニットと、細長い保持装置とを備える刺激装置が提供される。細長い保持装置は、保持装置の長さ方向が腎動脈の流れ方向に沿って延びるように腎動脈の外壁に取り付けられるように構成されている。保持装置はさらに、電極配置が壁部分に電気刺激信号を送達できるように電極配置を支持するように構成されている。制御装置は、電気刺激信号が腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御するように構成されている。
【0102】
一例では、電極配置は保持装置の表面部分に取り付けられ、腎動脈の外壁に当たるように構成されている。
【0103】
一実施例では、システムは、保持装置を腎動脈に固定するように構成された取り付け装置をさらに備える。
【0104】
一例では、取り付け装置は、腎動脈に縫合されるように構成された縫合糸と、腎動脈を少なくとも部分的に包囲するように構成されたクランプ装置の少なくとも一方からなる。
【0105】
ある実施例では、取り付け器具は、保持器具と腎動脈の外側の組織部分とに取り付けられるように構成されている。
【0106】
一例として、保持装置は可撓性である。
【0107】
一実施例では、エネルギー源と制御装置の少なくとも一方が保持装置に収容されている。
【0108】
一実施形態によれば、高血圧を患う患者を治療するためのシステムが提供される。このシステムは、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を及ぼすために、患者の腎動脈の壁部分に電気刺激信号を送達するように構成された電極配置と、電極配置に通電するように構成されたエネルギー源と、を備える刺激装置を備える、刺激装置に作動可能に接続され、電気刺激信号が腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の作動を制御するように構成された制御装置と、電極配置が壁部分に電気刺激信号を送達することを可能にするように腎動脈の外壁で電極配置を支持するように構成された保持装置とを備える。保持装置は、腎動脈が通過する通路を少なくとも部分的に画定し、通路の幅が血管拡張の増大とともに増大し、血管拡張の減少とともに減少するように、通路の幅が腎動脈の幅の変化に追従するように構成される。
【0109】
一実施例では、保持装置は、腎動脈の外壁に対して静止し、血管拡張に応じて腎動脈の幅が変化する際に外壁の動きに追従するように構成された可撓性部分を含んでいる。
【0110】
一例では、保持装置は、腎動脈を少なくとも部分的に包囲するように配置されたカフからなる。
【0111】
一実施例では、カフは、体積が変化し、腎動脈の外壁部分に対して静止するように構成された少なくとも1つのアバットメント要素を備える。
【0112】
ある実施例では、アバットメント要素は、血管拡張に伴って変化する腎動脈の幅に対応してその容積を変化させるように構成された膨張可能要素からなる。
【0113】
一例として、アバットメント要素は、調節可能な容積を有する空気圧または液圧要素からなる。
【0114】
一例として、システムは流体リザーバを備え、空気圧または液圧エレメントは流体リザーバに流体接続されている。
【0115】
一実施例において、システムは、保持装置と腎動脈の外壁との間の接触圧力を示す信号を発生するように感知するように配置された圧力センサー装置を さらに備え、制御ユニットは、保持装置の通路の幅を圧力センサーからの信号に基づいて変化させるようにさらに構成される。
【0116】
一実施例では、制御装置は、血管拡張によって腎動脈の幅が変化しても、保持装置と外壁との間の接触圧を実質的に一定に保つように保持装置を作動させるように構成されている。
【0117】
ある実施例では、制御装置は、センサー装置によって生成された信号に基づいて刺激装置の動作を制御するように構成されている。
【0118】
一実施形態によれば、高血圧症の患者を治療するためのシステムであって、患者の腎動脈内に植え込まれるように構成された加熱部材を有する刺激装置と、刺激装置に通電するように構成された植え込み可能なエネルギー源と、刺激装置に動作可能に接続された制御ユニットとを備えるシステムが提供される。制御ユニットは、加熱部材と腎動脈の壁部分との間で熱が交換されて腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御するように構成されている。
【0119】
一例では、エネルギー源は腎動脈内に移植されるか、加熱部材に内蔵されるように構成されている。
【0120】
一例では、エネルギー源は、腎動脈外から無線で伝達されるエネルギーなど、腎動脈外から伝達されるエネルギーによって充電されるように構成されている。
【0121】
一例として、加熱部材は、例えば有線接続によって腎動脈の外部から伝達されるエネルギーによって加熱されるように構成されている。
【0122】
一例では、加熱部材は腎動脈外から伝達されるエネルギーによって誘導加熱されるように構成されている。
【0123】
一実施例では、加熱部材は、腎動脈の内表面に対して静止するように構成された外表面を有する管状形状を有する。
【0124】
一実施例において、加熱部材は、腎動脈の血流が通過可能な通路を画定し、加熱部材は、通路の幅が血管拡張の増加とともに増加し、血管拡張の減少とともに減少するように、腎動脈の幅の変化に追従するように構成される。
【0125】
一例では、加熱部材は、加熱部材が腎動脈の幅の変化に追従できるように構成された可撓性部分を含んでいる。
【0126】
ある実施例では、加熱部材は、加熱部材の温度の変化に応答して通路の幅を変化させるように構成された形状記憶材料からなり、それによって加熱部材が腎動脈の幅の変化に追従することを可能にする。
【0127】
一例として、加熱部材は、その上で線維組織の成長を促進するように構成された生体適合性材料からなる。
【0128】
ある実施例では、加熱部材は、腎動脈に留置されたとき、少なくとも部分的に線維組織に包まれるように構成されている。
【0129】
一例では、加熱部材は腎動脈の内表面に固定されるように構成されている。
【0130】
一例では、加熱部材は縫合糸またはステープルによって内面に固定されるように構成されている。
【0131】
一実施形態によれば、高血圧症の患者を治療するためのシステムが提供される。このシステムは、患者の腎動脈内に植え込まれ、腎動脈の内周面の少なくとも一部に係合するように構成された拡張部材を有する拡張装置を備え、拡張部材は、腎動脈の幅を増大させるように拡張可能である。このシステムは、拡張装置に通電するように構成された植え込み可能なエネルギー源と、拡張装置に作動可能に接続された制御ユニットとをさらに備える。制御ユニットは、腎動脈の血管拡張を誘導するために拡張装置の動作を制御するように構成されている。
【0132】
一例では、エネルギー源は、拡張部材に組み込まれるなどして、腎動脈内に移植されるように構成されている。
【0133】
一例では、エネルギー源は、腎動脈外から無線で転送されるなど、腎動脈外から転送されるエネルギーによって充電されるように構成されている。
【0134】
一例では、拡張部材は、例えば有線接続によって、または誘導的に腎動脈外から伝達されるエネルギーによって動力を供給されるように構成されている。
【0135】
一例として、膨張部材は、機械的、液圧的、または熱的作用によって作動するように構成されている。
【0136】
一実施例では、システムは、膨張部材の動作を制御するように構成された操作装置を さらに備える。操作装置は、膨張部材と流体連通している液圧リザーバから構成されてもよい。
【0137】
一例として、膨張部材は、膨張部材の温度の変化に応答して膨張部材の形状を変化させるように構成された形状記憶材料からなる。
【0138】
ある実施例では、拡張部材は、腎動脈の内表面に対して静止するように構成された外表面を有する管状形状を有する。
【0139】
一実施例では、拡張部材は、腎動脈の血流が通過可能な通路を画定し、拡張部材は、通路の幅を増大させることによって血管拡張を引き起こすように構成される。
【0140】
一例では、拡張部材は、その上で線維組織の成長を促進するように構成された生体適合性材料からなる。
【0141】
ある実施例では、拡張部材は、腎動脈に留置されたとき、少なくとも部分的に線維組織に包まれるように構成されている。
【0142】
一例では、拡張部材は腎動脈の内面に固定されるように構成されている。
【0143】
一例では、拡張部材は縫合糸またはステープルによって内面に固定されるように構成されている。
【0144】
任意の実施形態、実施形態の一部、例、方法、または方法の一部を、添付の特許請求の範囲の条項の範囲内で、適用可能な任意の方法で組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
次に、添付図面を参照しながら、一例として本発明の概念を説明する:
図1A図1Aは、ヒト患者の腎臓と、腎臓に血液を供給する血管の例を示している。
図1B図1Bは、ヒト患者の腎臓と、腎臓に血液を供給する血管の例を示している。
図2図2は腎臓につながる腎動脈の神経支配の一例を示している。
図3A図3Aは血管における血管収縮と血管拡張のメカニズムを示している。
図3B図3Bは血管における血管収縮と血管拡張のメカニズムを示している。
図4図4は、腎動脈に電気的またはその他の方法で血管拡張を誘導するために植え込まれる医療機器のさまざまな例を示している。
図5A図5Aは、腎動脈に電気的またはその他の方法で血管拡張を誘導するために植え込まれる医療機器のさまざまな例を示している。
図5B図5Bは、腎動脈に電気的またはその他の方法で血管拡張を誘導するために植え込まれる医療機器のさまざまな例を示している。
図5C図5Cは、腎動脈に電気的またはその他の方法で血管拡張を誘導するために植え込まれる医療機器のさまざまな例を示している。
図5D図5Dは、腎動脈に電気的またはその他の方法で血管拡張を誘導するために植え込まれる医療機器のさまざまな例を示している。
図5E図5Eは、腎動脈に電気的またはその他の方法で血管拡張を誘導するために植え込まれる医療機器のさまざまな例を示している。
図5F図5Fは、腎動脈に電気的またはその他の方法で血管拡張を誘導するために植え込まれる医療機器のさまざまな例を示している。
図5G図5Gは、腎動脈に電気的またはその他の方法で血管拡張を誘導するために植え込まれる医療機器のさまざまな例を示している。
図5H図5Hは、腎動脈に電気的またはその他の方法で血管拡張を誘導するために植え込まれる医療機器のさまざまな例を示している。
図5I図5Iは、腎動脈に電気的またはその他の方法で血管拡張を誘導するために植え込まれる医療機器のさまざまな例を示している。
図5J図5Jは、腎動脈に電気的またはその他の方法で血管拡張を誘導するために植え込まれる医療機器のさまざまな例を示している。
図6図6は、腎動脈に電気的またはその他の方法で血管拡張を誘導するために植え込まれる医療機器のさまざまな例を示している。
図7A図7Aは、腎動脈に電気的またはその他の方法で血管拡張を誘導するために植え込まれる医療機器のさまざまな例を示している。
図7B図7Bは、腎動脈に電気的またはその他の方法で血管拡張を誘導するために植え込まれる医療機器のさまざまな例を示している。
図8図8は、腎動脈に電気的またはその他の方法で血管拡張を誘導するために植え込まれる医療機器のさまざまな例を示している。
図9A図9Aは電極の様々な例を示している。
図9B図9Bは電極の様々な例を示している。
図9C図9Cは電極の様々な例を示している。
図9D図9Dは電極の様々な例を示している。
図10A図10Aは、本発明の概念に適用される信号減衰信号を示す図である。
図10B図10Bは、本発明の概念に適用される信号減衰信号を示す図である。
図10C図10Cは、本発明の概念に適用される信号減衰信号を示す図である。
図11図11は、患者の血圧に影響を与えるシステムの概略図である。
図12A図12Aはセンサーの様々な例である。
図12B図12Bはセンサーの様々な例である。
図12C図12Cはセンサーの様々な例である。
図12D図12Dはセンサーの様々な例である。
図13A図13Aはセンサーの様々な例である。
図13B図13Bはセンサーの様々な例である。
図14図14は動脈に植え込まれた電気刺激装置とセンサーを示す。
図15図15は電気刺激信号を示す図である。
図16図16は電気刺激信号を示す図である。
図17A図17Aは、フィブリン形成の背後にあるメカニズムを示している。
図17B図17Bは、フィブリン形成の背後にあるメカニズムを示している。
図17C図17Cは、フィブリン形成の背後にあるメカニズムを示している。
図18図18は、フィブリン形成の背後にあるメカニズムを示している。
図19A図19Aは、フィブリン形成の背後にあるメカニズムを示している。
図19B図19Bは、フィブリン形成の背後にあるメカニズムを示している。
図19C図19Cは、フィブリン形成の背後にあるメカニズムを示している。
図19D図19Dは、フィブリン形成の背後にあるメカニズムを示している。
図20図20は、コーティングの様々な例を示している。
図21図21は、コーティングの様々な例を示している。
図22図22は、コーティングの様々な例を示している。
図23A図23Aは、コーティングの様々な例を示している。
図23B図23Bは、コーティングの様々な例を示している。
図24A図24Aは、本発明の概念のいくつかの実施例によるシステムを示している。
図24B図24Bは、本発明の概念のいくつかの実施例によるシステムを示している。
図24C図24Cは、本発明の概念のいくつかの実施例によるシステムを示している。
図24C)】図24C’は、本発明の概念のいくつかの実施例によるシステムを示している。
図24D図24Dは、本発明の概念のいくつかの実施例によるシステムを示している。
図24E図24Eは、本発明の概念のいくつかの実施例によるシステムを示している。
図24F図24Fは、本発明の概念のいくつかの実施例によるシステムを示している。
図25A図25Aは、本発明の概念のいくつかの実施例によるシステムを示している。
図25A)】図25A’は、本発明の概念のいくつかの実施例によるシステムを示している。
図25B図25Bは、本発明の概念のいくつかの実施例によるシステムを示している。
図25C図25Cは、本発明の概念のいくつかの実施例によるシステムを示している。
図25D図25Dは、本発明の概念のいくつかの実施例によるシステムを示している。
図25E図25Eは、本発明の概念のいくつかの実施例によるシステムを示している。
図25F図25Fは、本発明の概念のいくつかの実施例によるシステムを示している。
図25G図25Gは、本発明の概念のいくつかの実施例によるシステムを示している。
図25H図25Hは、本発明の概念のいくつかの実施例によるシステムを示している。
図26図26は、患者の体内に植え込まれた場合の遠隔ユニットを示す。
図27図27は、いくつかの実施例による遠隔ユニットを示している。
図28図28は、いくつかの実施例による遠隔ユニットを示している。
図29A図29Aは、いくつかの実施例による遠隔ユニットを示している。
図29B図29Bは、いくつかの実施例による遠隔ユニットを示している。
図29C図29Cは、いくつかの実施例による遠隔ユニットを示している。
図30A図30Aは、遠隔ユニットの接続部分の様々な例を示している。
図30B図30Bは、遠隔ユニットの接続部分の様々な例を示している。
図31A図31Aは、遠隔ユニットの接続部分の様々な例を示している。
図31B図31Bは、遠隔ユニットの接続部分の様々な例を示している。
図32A図32Aは、遠隔ユニットの接続部分の様々な例を示している。
図32B図32Bは、遠隔ユニットの接続部分の様々な例を示している。
図33図33は、植え込み可能な医療機器を組み立てるためのキットを示している。
図34図34は、いくつかの実施例による植込み型遠隔ユニットを示す。
図35図35は、いくつかの実施例による植込み型遠隔ユニットを示す。
図36図36は、いくつかの実施例による植込み型遠隔ユニットを示す。
図37図37は、いくつかの実施例による植込み型遠隔ユニットを示す。
図38A図38Aは、実施例による遠隔ユニットの断面図である。
図38B図38Bは、実施例による遠隔ユニットの断面図である。
図39A図39Aは、遠隔ユニットの第2のユニットに対する第1のユニットの向きの様々な例を示す。
図39B図39Bは、遠隔ユニットの第2のユニットに対する第1のユニットの向きの様々な例を示す。
図39C図39Cは、遠隔ユニットの第2のユニットに対する第1のユニットの向きの様々な例を示す。
図39D図39Dは、遠隔ユニットの第2のユニットに対する第1のユニットの向きの様々な例を示す。
図40図40は、植え込まれた状態の遠隔ユニットを示している。
図41図41は、植え込まれた状態の遠隔ユニットを示している。
図42図42は、遠隔ユニットの異なる寸法の例を示している。
図43図43は、遠隔ユニットの異なる寸法の例を示している。
図44A図44Aは、組織部分に遠隔ユニットを挿入する手順を示している。
図44B図44Bは、組織部分に遠隔ユニットを挿入する手順を示している。
図44C図44Cは、組織部分に遠隔ユニットを挿入する手順を示している。
図45図45は、少なくとも1つのコイルからなる遠隔ユニットの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0146】
詳細説明
以下では、添付の図面を参照して本発明の実施形態の詳細な説明を行う。図面は例示のためのものであり、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を何ら制限するものではないことが理解されよう。従って、「上」や「下」のような方向への言及は、図に示された方向への言及に過ぎない。同じ参照数字を有する特徴は、一般に同じ機能を有する可能性があることに留意すべきである。従って、ある実施形態の特徴は、明らかに矛盾しない限り、同じ参照数字を有する他の実施形態の特徴と交換され得る。従って、同じ参照数字を有する特徴の説明は、特徴の基本的な考え方を説明する上で互いに補完し合い、それによって特徴の汎用性を示すものと見なすべきである。
【0147】
血管の血管拡張、すなわち血管の血流通路の拡張は、血管の内部空間の断面積を増大させる操作として理解される。腎動脈は、血液のような体液で満たされ、および/または体液の流れを伝えることができる血管、または管腔臓器の一例である。
【0148】
本出願の文脈において、「腎動脈」という用語は、腎臓に血液を(主に)供給するあらゆる血管として理解され得る。移植腎または人工腎の場合、しばしば腸骨窩のような元の腎臓とは異なる場所に設置されるが、腎動脈は外腸骨動脈に接続されることがある。したがって、本発明の概念は、このような血管にも適用することができる。
【0149】
制御装置またはコントローラは、刺激装置または信号減衰装置のような電気的に作動する装置の作動を制御することができる任意の植え込み可能なユニットとして理解される。制御装置は、刺激装置および信号減衰装置を作動させるための電源または別の作動装置を含み得る。また、制御装置は、データの記憶や処理、信号の生成などの様々な機能を実行するように構成された回路からなる要素として理解され得る。制御ユニットは、有線チャネル又は無線チャネルを介して刺激装置に制御指示を送信するように構成されてもよい。さらに、制御ユニットは、患者の体外に配置されるように構成された体外部品と、患者に植え込まれるように構成された体内部品とから構成されてもよい。内部部品及び外部部品は、例えば高周波信号又は誘導信号によって互いに無線通信するように構成することができる。
【0150】
制御信号とは、例えば刺激装置を直接的又は間接的に制御できるような、情報及び/又は電力を伝達できるあらゆる信号として理解される。
【0151】
植え込み可能な操作装置は、コントローラとも呼ばれることがあるが、さらに、能動インプラントを操作することができるあらゆる装置またはシステムとして理解することができる。操作装置またはコントローラは例えば、例えば液圧ポンプまたは液圧シリンダを含む液圧アクチュエータのようなアクチュエータ、またはインプラントを直接または間接的に押したり引いたりすることによってインプラントを作動させる機械的要素のような機械的アクチュエータ、またはインプラントを直接または間接的に押したり引いたりする電気モータまたはソレノイドのような電気機械的アクチュエータであり得る。操作装置は、上述したような制御ユニット、および/またはそのような機能を実行するように構成された回路を含んでいてもよい。
【0152】
血圧は一般に、血管壁に対する循環血液の圧力と呼ばれる。この圧力のほとんどは、心臓が循環系を通して血液を送り出すことによって生じる。一般的に「血圧」という用語は、太い動脈の圧力を指すことが多い。血圧は通常、収縮期血圧(1心拍中の最高血圧)と拡張期血圧(2心拍間の最低血圧)で表される。血圧は心拍出量、全身血管抵抗、および動脈硬化の影響を受けると理解することができ、状況、感情状態、活動、および相対的な健康状態/疾患状態によって変化する。
【0153】
血圧が低すぎる状態を低血圧、常に高すぎる状態を高血圧、正常な状態を正常血圧という。長期にわたる高血圧は、脳卒中、心疾患、腎不全など多くの疾患の危険因子である。欧州心臓病学会(ESC)と欧州高血圧学会(ESH)の動脈性高血圧管理タスクフォースは、高血圧の定義を以下のように定めている:
心血管系疾患のリスクは、115/75mmHgを超えると徐々に増加すると考えられている。これ以下ではエビデンスは限られている。
【0154】
血管抵抗とは、循環系を通して血液を押し出し、流れを作り出すために克服しなければならない抵抗のことである。全身循環による抵抗は全身血管抵抗(SVR)として知られている。血管収縮(血管内径の減少)はSVRを増加させ、血管拡張(血管内径の増加)はSVRを減少させる。
【0155】
高血圧におけるSVRの上昇を説明するために、多くのメカニズムが提唱されてきた。ほとんどのエビデンスは、腎臓の塩分と水分の取り扱い障害(特に腎内レニン-アンジオテンシン系(RAS)の異常)か交感神経系の異常のいずれかが関与していることを示唆している。これらのメカニズムは相互に排他的ではなく、高血圧では両者がある程度寄与していると考えられる。食事中のナトリウム過多やカリウム不足は、細胞内のナトリウムを過剰にし、血管平滑筋組織を収縮させ、血流を制限して血圧を上昇させる可能性がある。
【0156】
レニン-アンジオテンシン系(RAS)は、血圧と全身の血管抵抗を調節するホルモン系である。出血や脱水などで 腎血流量が減少すると、腎臓の糸球体細胞が前駆体であるプロレニン(すでに血中に存在する)をレニンに変換し、直接循環中に分泌する。これが連鎖反応を起こし、最終的にアンジオテンシンIIが放出される。アンジオテンシンIIは強力な血管収縮ペプチドであることが示されており、血管を狭窄させ、それに伴って血圧を上昇させる可能性がある。アンジオテンシンIIはまた、体内の細胞外液の増加にも関与することが知られており、これも血圧を上昇させる。
【0157】
本発明は、腎動脈の電気的に誘導された血管拡張を引き起こすことにより、全身血管抵抗の減少を引き起こす反応が誘発され得るという認識に基づいている。腎動脈の電気的誘導血管拡張は、腎動脈を支配する神経を刺激するように、および/または腎動脈の平滑筋組織に直接的または間接的な刺激を与えるように配置された刺激装置によって達成され得る。
【0158】
刺激装置は、腎動脈の平滑筋細胞の血管運動緊張を変化させ、細胞を弛緩させるように適合させることができる。交感神経刺激(ノルエピネフリン)は、標的細胞(すなわち平滑筋細胞)がα-アドレナリン受容体かβ-アドレナリン受容体かによって、ある血管は収縮し、他の血管は拡張することが観察されている。交感神経系はまた、発火頻度を変えるだけで、血管を収縮させたり拡張させたりすることもできる。発火頻度を上げると平滑筋が収縮して血管を収縮させ、逆に発火頻度を下げると平滑筋細胞が弛緩して血圧が血管を拡張させる。
【0159】
本発明者は、電気刺激装置が平滑筋細胞の血管運動緊張に作用して管腔を弛緩させ、全身血管抵抗の減少を誘発する目的で採用され得ることに気付いた。したがって、電気刺激装置は、高血圧患者を治療するためのシステムの一部を構成することができる。
【0160】
本出願の焦点は、全身血圧を低下させる身体反応を誘発するために血管拡張を誘導することに置かれているかもしれないが、腎動脈の血管運動緊張に影響を与えるために電気刺激を利用するという本発明の概念は、全身血圧を上昇させる反応を誘発するためにも採用され得ることが理解されよう。したがって、本発明の概念は、低血圧に罹患している患者の治療にも適用することができる。本明細書における態様、実施形態および実施例は、電気刺激により血管収縮を誘発する実施態様と組み合わせることができる。血管収縮は、腎動脈の収縮が達成されるように電気刺激信号を制御することによって達成され得る。
【0161】
本発明者はさらに、電気的に誘導される血管拡張の制御または調節は、患者の血圧を示す信号を生成することができるセンサーまたはセンサー装置を提供することによって達成され得ることに気付いた。センサーからの出力信号は、センサーによって生成された信号に基づいて刺激装置の動作を制御するように構成された制御ユニットに供給される。制御ユニットは、いくつかの実施例において、センサからの信号を、刺激を開始及び/又は停止することを示すトリガ信号として利用することができる。さらなる例では、制御ユニットは、センサーからの信号をフィードバック制御信号として利用することができ、好ましくは、システム(したがって、血管拡張または全身血圧さえも)を所望の状態(正常血圧など)に駆動する。このような任意のセンサーを使用する例示的な実施形態、効果、利点については、図12から図14に関連してさらに詳しく説明する。
【0162】
さらに、腎動脈を弛緩させるために使用される電気刺激信号は、不注意に大動脈および/または脊髄に向かって進行する可能性があり、それによって患者に望ましくない副作用および不快な経験を引き起こす危険性がある。したがって、本発明の概念のいくつかの実施態様によれば、電気刺激信号を減衰させ、妨害し、または少なくとも部分的にキャンセルすることによって電気刺激信号の影響を緩和し、それによって患者の身体の他の部分への電気刺激信号の拡散を制限する信号減衰装置を提供することができる。信号減衰アプローチの例示的な実施形態については、図6~8、10および11を参照して後述する。
【0163】
本発明の概念を適用することができる分野への導入として、腎動脈の神経生理学の例示的な説明を以下に記載する。腎動脈の血管収縮に影響を及ぼす神経生理学的メカニズムに関する以下の説明は、例示的なものであり、必要に応じて簡略化したものであり、当技術分野における現在の知見に基づくものであることに留意されたい。身体機能および反応に関する以下の例示的な説明の目的は、主として本発明概念を限定または定義することではなく、本発明概念の例示的な技術的/生理学的背景および文脈を与えることである。
【0164】
図1aおよびbは、成人のヒト患者の腎臓の概略図である。正常なヒトは2つの腎臓10を有するのが普通であり、それぞれの腎臓10は、心臓から大動脈22を介して腎臓10に血液を運ぶ腎動脈20と、腎臓10を排出し下大静脈32に接続する腎静脈30によって循環系に接続されている。
【0165】
図2は、腎臓10および主腎動脈(MRA)20を示しており、これらの動脈は、大動脈22から発生し、その分岐スプリットで終わる腎臓主血液供給動脈として同定される。本願の図には、それぞれの腎臓10を接続する単一の腎動脈20が示されているが、本発明の概念は、腎臓が大動脈22に別個の起源を有する可能性のある複数の腎動脈によって供給される患者にも同様に適用可能である。複数の腎動脈がある場合、電気刺激は腎動脈の少なくとも1本、例えば直径が最も大きい血管(これは結果的にMRAと呼ばれることがある)に供給されることがある。
【0166】
腎神経24は、腎神経叢を形成する太陽神経叢の神経節、または脾神経集 合から発生する繊維構造として同定されることがある。したがって、腎神経叢は、腎10と同様に腎動脈20を支配する神経線維24のネットワークとして理解することができる。神経の大部分は交感神経であるが、腎神経叢は副交感神経で構成されていることもある。有益なことに、刺激装置は、少なくとも10番を伝達する脊髄の枝において、椎骨S2~S4、好ましくはS4に由来する尾骨神経に沿って、副交感神経に電気刺激を与えるように配置することができる。
【0167】
図3aおよびbは血管収縮と血管拡張の概念を示している。図3aおよびbに示す腎動脈20のような血管によって形成される内腔の開断面は、平滑筋細胞の血管運動緊張によって決定される可能性がある。腎動脈20の壁の平滑筋細胞は、例えば交感神経線維24のような 神経線維24によって神経支配されている可能性がある。交感神経刺激は、平滑筋細胞がα-アドレナリン受容体を有するかβ-アドレナリン受容体を有するかによって、ある血管を収縮させ、他の血管を拡張させることが観察されている。前述のように、交感神経系は神経線維24の活動電位の周波数を変えるだけで、血管を収縮させたり拡張させたりすることもできる。本図では、活動電位頻度(パルス26で示される)の増加が平滑筋組織を収縮させ、図3aに示されるような血管収縮をもたらす可能性がある例を示している。活動電位頻度26を減少させると、平滑筋組織が弛緩し、図3bに示されるように血管拡張をもたらす可能性がある。本発明の概念による刺激装置は、平滑筋組織の弛緩を引き起こすように活動電位周波数を変更するために採用されてもよい。別の言い方をすれば、血管の平滑筋組織の血管運動トーンを変化させるために刺激装置を作動させることができる。電気刺激は、腎動脈20の外壁に直接供給してもよいし、腎動脈20の壁を支配する神経線維24に供給してもよい。
【0168】
図4は、腎臓10を大動脈22に接続する腎動脈20を示し、これは図1~3に開示された腎動脈20と同様であり得る。高血圧を治療するために、刺激装置110を患者に植え込むことができる。刺激装置110は、患者の組織に電気刺激信号を供給し、それによって腎動脈20の壁部分の組織を弛緩させ、腎動脈20の血流通路を拡張させるように構成された第1の電極配置112などの電極配置を含んでいてもよい。本実施例では、第1の電極配置112は腎動脈20の外壁に取り付けられて、腎動脈壁22の平滑筋組織に電気刺激信号を供給するように構成されている。このようにして、平滑筋組織は血管拡張を引き起こす電気刺激を受けることができる。
【0169】
第1の電極配置112は、例えば、複数の電気電極112a、112bから構成されてもよく、その各々は、腎動脈20の壁に係合するように配置されるように構成された接触部分すなわち電極要素112aと、接触部分112aを刺激装置110の制御ユニット114に電気的に接続するリード部分112bとを有する。第1の電極配置部112の接触部分112aは、例えば、縫合によって腎動脈20の壁に取り付けられてもよく、例えば、接触部分112aが壁の外面上の組織に少なくとも部分的に挿入されることを可能にする。さらなる実施例では、接触部分112aはパッチ(図示せず)のような表面部分上に配置されてもよく、このパッチは腎動脈20の壁の組織上に配置されてもよい。
【0170】
制御ユニット114は、接触部112aに電気刺激信号を供給するために、電極配置112に電気的に接続されるように構成され得る。従って、制御ユニット114は、制御ユニット144及び電極配置112に通電する電源に作動的に接続されるか、又は電源から構成されてもよい。さらに、この装置は、いくつかの実施形態によれば、中央制御ユニットとも呼ばれる追加の制御ユニットを含んでいてもよく、この制御ユニットは、体内に植え込まれていてもよいし、体外に配置された遠隔ユニットであってもよい。さらに、制御ユニット114は、いくつかの例では、制御指示を刺激装置に無線で送信するように構成されていてもよい。
【0171】
電気刺激信号を平滑筋組織に供給できる接触点の数は、所望の応答と使用する刺激信号の特性に基づいて選択することができる。接触点の数を増やすと、例えば、筋組織の所望の応答(すなわち、弛緩)を発生させるのに必要な信号振幅を小さくすることができる。逆に、信号振幅を大きくすれば、接触点の数を減らすことができる。さらに、接触部112aの一部または全部は、刺激信号に関して個々に制御することができ、刺激信号を選択的かつ制御可能にその時点で接触点の1つまたはいくつかに送達することができることが理解されよう。異なる接触点における選択的適用は、例えば、制御ユニット114によって可能にすることができる。
【0172】
全身血管抵抗の減少が所望される場合、刺激装置110は、制御ユニット114からリード線112bを介して、電気刺激信号を腎動脈20の壁の筋肉組織に送達する接触部分すなわち電極要素112bに伝達される電気刺激信号を生成するように作動させることができる。電気刺激信号は、例えば電圧、電流または周波数に関して、腎動脈の血管拡張反応を誘発するように構成され得る。血管拡張は、上述したように、全身的な反応をもたらす。
【0173】
図5A~Hは、先の図に開示された腎動脈と同様であり得る腎動脈20を示す。図5A~Dはさらに、図4に関連して開示されたものと同様に構成され得る刺激装置を開示しており、従って、腎動脈20の血管運動緊張に影響を及ぼすための電気刺激信号を供給するように構成された電極配置112a、112bから構成され得る。刺激装置は、電気刺激信号を組織に伝達するために、腎動脈20の一部の外壁の組織と機械的に係合するように構成された、または組織に対して静止するように配置された複数の接触部分112a、または電極要素112aを含んでいてもよい。図5Aの例では、電極要素112aは、腎動脈20の周囲に少なくとも部分的に配置されるように構成されたカフ部分116の内面に配置されている。カフ部分116は、リード線112bによって刺激装置110の制御ユニット114に電気的に接続される。さらなる構成が図5b~dに開示されており、電極要素112aは、電極要素112aを腎動脈20の壁の所望の位置に維持するように配置された細長いホルダ116によって支持されている。保持装置116とも呼ばれるホルダ116は、ホルダ116の長さ方向Lが動脈20の流れ方向に沿って延びるように腎動脈の外壁に取り付けられるように構成された細長い装置として形成されている。さらに、ホルダ116を腎動脈20に固定するのを補助するための取付け装置が設けられていてもよい。この取付け具は、例えば、図5cに示すように、電極要素112aの少なくとも一部で形成されてもよく、この電極要素112aは、腎動脈20を少なくとも部分的に包囲するように配置され、それによって、ホルダ116を動脈20に固定するためのクランプとして機能する。別法として、または追加的に、取り付け装置は、ホルダ116の固定を補助するために動脈に縫合されるように構成された縫合糸(図示せず)から構成されてもよい。図5dに示す構成のようなさらなる実施例では、取り付け装置は腎動脈20の外部の組織部分に取り付けられるように構成される。これは、ホルダ116から延び、例えば縫合糸またはステープルによって腎動脈20または腎臓10を取り囲む組織に取り付けられるように適合された支持ロッド116'またはレバーによって実現され得る。有益なことに、支持ロッド116'は、最終的には、ホルダ116および電極配置112aを正しい位置に維持するのを補助する線維組織によって埋め込まれるか、または包まれる。
【0174】
ホルダ116は、植え込まれたときに刺激装置110のいくらかの動きを許容するように可撓性であってもよいことが理解されよう。この動きは、例えば、患者が動くことによって、または動脈20の血管拡張によって引き起こされる。さらに、システムのエネルギー源および制御ユニットの少なくとも一方がホルダ116に収容されてもよい。
【0175】
以上、神経の電気刺激による血管拡張について述べてきた。しかし、腎動脈を拡張または収縮させるための代替的または付加的な機構は可能であり、本願で開示した発明概念と有益に組み合わせることができる。このようなメカニズムの2つの例、すなわち熱的に誘導される血管拡張と機械的に誘導される血管拡張について、図5E~Iを参照して説明する。
【0176】
図5eは、複数の加熱部材117を有する刺激装置110が植え込まれた図5A~Dの腎動脈20の一部を示す。この実施形態では、制御ユニット114、124は、加熱部材117と腎動脈20の壁部分との間で熱が交換されてその血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御するように構成されている。熱エネルギーは、例えば加熱部材に一体化されて腎動脈20の内部に植え込まれたエネルギー源から供給されてもよいし、腎動脈20の外部から伝達されてもよい。後者の場合、エネルギーは、有線接続によって伝達されてもよいし、誘導式などの無線で伝達されてもよい。
【0177】
本図では、加熱部材117が動脈の内部に取り付けられた電極の形状をしているが、血管内への挿入および場合によっては取り付けを容易にするために、外面が動脈の内面に対して構成または静止した管状形状を有するか、またはそのような管状構造に取り付けられてもよいことが理解されよう。このような構成の一例が図5fに開示されており、この図では、第1および第2のカテーテル118が動脈壁を通して動脈20内に挿入され、加熱部材117が動脈20の内部側と熱接触するように配置されている。
【0178】
さらに別の実施例では、加熱部材117は、腎動脈20の血流が通過する通路を画定することができる。従って、加熱部材117は動脈の内面に接するステントに適合する形状を有することができる。有益には、加熱部材117は、通路の幅が血管拡張の増加に伴って増加し、血管拡張の減少に伴って減少するように、加熱部材117が動脈20の幅の変化に追従できるように構成された可撓性部分または拡張可能部分を含んでいてもよい。加熱部材117は、加熱部材の変化する温度に応答して通路の幅を変化させるように構成された形状記憶材料から構成されてもよい。さらに、加熱部材は、その上に特に、図5Fに示すカテーテル118の外部部分のような動脈の外側に配置された部分上に線維性組織の成長を促進するように構成された生体適合性材料から構成されてもよい。好ましくは、加熱部材は、動脈の内表面に固定されるように構成され、移植されたときに線維化組織によって少なくとも部分的に包まれる。代替的に、または追加的に、加熱部材は縫合糸またはステープルによって内表面に固定されてもよい。
【0179】
幾つかの実施例における加熱部材117は、動脈を狭窄するために腎動脈20の壁を冷却することを可能にする冷却能力を有し得ることが理解されよう。従って、加熱部材117は、壁に熱を伝達するおよび/または壁から熱を伝達する能力を有する熱部材とも呼ばれ得る。熱部材の作動機構は抵抗加熱、またはペルチェ効果に基づいてもよい。さらなる例では、熱は、動脈20の壁に熱を加えたり、壁から熱を取り除いたりするように配置された、水などのキャリア流体によって伝達される場合がある。
【0180】
動作中、制御ユニット114、124は、熱部材117が加熱されるように刺激装置110を動作させることができ、それにより、熱部材117の位置において局所的に腎動脈20を加熱する。その結果、血管20の拡張が達成され、血液が腎動脈20内をより自由に流れ、それによって腎臓10内の血圧を上昇させることができる。
【0181】
次に、機械的に誘導される血管拡張について図5G~Hを参照して説明するが、この場合、腎動脈20は動脈内に植え込まれた拡張部材212を有する拡張装置によって拡張され得る。拡張部材212は腎動脈20の内周面の少なくとも一部と係合し、腎動脈20の壁に拡張圧力を及ぼして血管拡張を補助するように構成されている。従って、拡張部材212は、上述した熱刺激装置または電気刺激装置の代わりに、またはそれらのいずれかと組み合わせて使用することができる。先の刺激装置と同様に、拡張装置の動作は制御ユニット112、124によって制御され、先に論じたエネルギー源と同様に構成されたエネルギー源によって通電されてもよい。従って、エネルギー源は、腎動脈内に植え込まれるように構成されてもよく、拡張部材に一体化されてもよく、腎動脈の外側に配置されてもよい。後者の場合、エネルギーは、誘導式などの無線で伝達されてもよいし、有線接続によって伝達されてもよい。さらに、エネルギー源は、腎動脈の外側から無線で伝達されるエネルギー、例えば、体内の他の場所に植え込まれるか患者の体外に配置される可能性のある体外エネルギー源から伝達されるエネルギーによって充電される可能性がある。
【0182】
膨張部材212は、血管拡張を引き起こすように制御可能に膨張および/または収縮することが可能な、動脈内への植え込みに適した装置として理解され得る。膨張は、例えば、以下に説明するように、機械的、水力的または熱的作用によって引き起こされ得る。さらに、拡張部材は、腎動脈20の内面に対して静止するように構成された外面を有する管状形状からなることができる。拡張部材212は、例えば、腎動脈20の血流が通過する通路を画定することができる。拡張部材212は縫合糸またはステープルによって、および/または拡張部材212を少なくとも部分的に覆うかまたは包む線維組織によってその位置に固定することができる。好ましくは、拡張部材212は、線維組織の成長を促進する生体適合性材料からなる。
【0183】
図5gに示す例では、拡張部材は、動脈20の内壁内に嵌め込まれるように構成されたステント状構造体などの管状構造体であってもよい。管状構造は網状構造によって形成されてもよく、好ましくは温度によって形状が変化する形状記憶材料によって形成される。これによって、拡張部材によって画定される通路が温度によってその断面積を変化させることができ、管状構造の加熱によって構造が拡張し、それによって腎動脈20の血管拡張が誘導され得る。これに対応して、管状構造体を冷却すると、構造体が収縮し、動脈壁にかかる圧力が減少し、再び収縮することができる。
【0184】
加熱は、例えば、形状記憶材料の抵抗加熱によって、直接的または間接的に、あるいは追加の加熱要素(図5E~Dに関連して開示されたものなど)によって達成することができる。
【0185】
膨張部材212の別の作動原理が図5H~Iに示されており、この膨張部材212は、膨張部材212にその円周を増大させるように作動可能な少なくとも1つの液圧膨張手段すなわちベローズ214から構成されている。本実施例では、拡張部材212は円筒形または少なくともリング形であり、動脈20の内面に対して静止するように配置されるように構成された第1および第2のアバットメント要素213からなる。アバットメント要素213は第1および第2のベローズ214によって相互に連結されており、これらのベローズは液圧リザーバ(図示せず)を介して液圧作動され、第1および第2のアバットメント要素213に動脈壁を拡張させる。液圧リザーバは腎動脈とは異なる位置に移植することができ、モーターまたはポンプを採用してベローズとリザーバとの間で液圧流体を移動させて膨張および収縮を制御することができる。モーターまたはポンプは、上述したように制御ユニット114、124によって制御することができる。
【0186】
ベローズ214の代わりに機械的膨張手段を用いるなど、他の動作原理も可能である。このような機械的膨張手段としては、ねじ切りされた回転ボルトが一例として挙げられ、このボルトをナットに対して進退させることにより、膨張部材212の幅を拡大または縮小させることができる。
【0187】
図5iは、腎動脈20に移植されたときの図5hの液圧拡張部材212を示し、一方、図5jは、移植されたときの図5gのステント状拡張部材212を示す。
【0188】
図6は、図5a~jと同様の腎動脈20を示し、この腎動脈20の一部を少なくとも部分的に囲むように信号減衰装置120が移植されている。信号減衰装置120は、刺激装置110によって生成された電気刺激信号を減衰または妨害するための電気信号を供給するように構成された第2の電極配置122a、122bを含んでいてもよく、これは図4および図5に開示されたものと同様であってもよい。あるいは、信号減衰装置120は、例えば、腎動脈の一部を接地または少なくとも低電位に接続することにより、電気刺激信号を迂回させるように構成され、電気刺激信号が患者の脊髄に向かうのではなく、低下した電位に向かって移動することを可能にする。減衰装置120は、腎動脈20以外の身体の部分に対する電気刺激信号の影響を低減する目的で設けられ、作動することができる。
【0189】
信号減衰装置120の利用は、腎動脈20を不注意に弛緩させるために使用される電気刺激信号が脊髄大動脈22および/または脊髄に向かって進行する可能性があり、それによって患者に望ましくない副作用および不快な経験を引き起こす危険性があるという洞察に依存している。したがって、信号減衰装置120は、腎動脈20および腎臓10から離れる途中の電気刺激信号を減衰させ、妨害し、または少なくとも部分的にキャンセルすることによって、電気刺激信号の影響を緩和するために設けられることがある。したがって、信号減衰装置120は、電気刺激信号が組織を通って大動脈22/脊髄に向かって進行する間に、少なくとも部分的に遮断するように配置することができる。これらのメカニズムについては、例えば図10a~cに関連して、以下でさらに詳細に説明する。
【0190】
電気刺激信号を発生する医療装置110の機能、すなわち、制御ユニット124および電極配置112a、112bは、刺激装置110とも呼ばれ得る。したがって、刺激装置110および信号減衰装置120は、高血圧を治療するために同時に、または同時に操作されてもよい。刺激装置110は、刺激信号を送達して血管拡張を引き起こすように作動させることができ、一方、信号減衰装置120は、電気刺激が望ましくない組織に向かって伝搬する刺激信号を減衰させるか妨害するように作動させる。
【0191】
信号減衰装置120は、刺激装置110を腎臓10と信号減衰装置120との間に配置できる位置で、腎動脈20の組織、または腎動脈20を支配する神経に係合するように配置することができる。この配置により、信号減衰装置120は、電気刺激信号が神経または腎動脈20の「上流」、すなわち脊髄または大動脈に向かって伝播するのを防止するか、または少なくとも部分的に妨げるように採用することができる。
【0192】
本実施例では、刺激装置110は、腎動脈20の壁に係合するように構成された複数の電極要素112aからなる第1の電極配置112を含んでいてもよい。電極要素112aは、電気リード部分112bによって制御ユニット114に接続され、制御ユニット114によって生成された電気刺激信号を送出するように構成されてもよい。接触部分112aは、例えば、ステッチによって腎動脈20の壁に取り付けられてもよく、例えば、接触部分112aが壁の外表面の組織に少なくとも部分的に挿入されることを可能にするか、または、パッチ(図示せず)のような表面部分上に配置されてもよく、このパッチは、今度は、腎動脈20の壁の組織上に配置されてもよい。
【0193】
信号減衰装置120は、電気刺激信号を組織に伝達するために、腎動脈20の一部と機械的に係合するように構成された複数の接触部分122a、すなわち電極要素122aを備えることができる。本実施例では、電極要素122aは、少なくとも部分的に腎動脈20の周囲に配置されるように構成されたカフ部分126の内面に配置される。カフ部分126は、リード線122bによって刺激装置110の制御ユニット124に電気的に接続される。
【0194】
動作中、血圧、または全身血管抵抗の減少が望まれる場合、信号減衰装置120は、腎動脈20に送達される刺激信号の伝搬を防止するか、または減少させる電気的減衰信号を送達するようにしてもよい。電気的減衰装置120は、例えば、刺激信号によって発生し得る活動電位を打ち消すかまたは減衰させるように構成されてもよく、それによって信号減衰装置120の電極要素122aの近傍の筋肉細胞または神経細胞からの反応を減少させる。さらに、または代替的に、電気ダンピングデバイス120は、振幅キャンセルによって、または信号を(例えば、周波数内容に関して)スクランブルして、筋肉組織または神経組織によって「読み取る」ことができないシグネチャにすることによって、電気刺激信号をキャンセルまたはダンピングするように構成された電気ダンピング信号を送達するように構成され得る。言い換えれば、電気刺激信号は組織への影響を軽減するように変更することができる。組み合わせが考えられる:信号減衰装置120は、平滑筋細胞や神経細胞などの組織に影響を与える活動電位を打ち消すか減衰させるように、また電気刺激信号が信号減衰装置120の電極要素122bを通過して伝搬する前に減衰させるか妨害するように配置することができる。
【0195】
図7A~Bは、患者の組織に電気信号を送達するための装置の断面図である。装置は、例えば、図4図6を参照して上述した実施形態のいずれかと同様に構成された刺激装置110または信号減衰装置120とすることができる。図7Aの以下の説明では、装置は信号減衰装置120として例示される。しかしながら、この説明は、刺激装置110にも同様に適用され得ることが理解されよう。
【0196】
本実施例では、信号減衰装置120は、例えばカフ126のような支持構造体126から構成されてもよく、この支持構造体126は、互いに蝶番状に連結され、支持構造体126が腎動脈20の周囲に配置されるように可動である2つ以上の支持要素に形成されてもよい。従って、支持構造126は、移植されたときに支持構造126の内表面部分が腎動脈20の外壁面に面するか、またはこれに接するように、少なくとも部分的に、または完全に、腎動脈20を取り囲むように配置することができる。支持構造体126は、例えば、支持構造体126が腎動脈20の周囲に位置決めされるとき、外科医が2つ以上の相互連結支持要素を互いに取り付けることによって位置決めされ得る。支持構造体126の内周は、腎動脈20の周囲にぴったり合うように適合させることができ、例えば、腎動脈20への取り付け時に支持構造体126を形成する要素の重なりを変化させるか、または(複数の異なる支持構造体の中から)適切な外周を有する支持構造体126を選択することによって、調節可能である。
【0197】
内面は、電気的減衰信号を腎動脈20の組織に送達するため、または、電気刺激信号を組織から低電位に転換するために、腎動脈20の組織をアースのような低電位に接続するために、1つまたはいくつかの電極要素、または接触部分122aを支持するように適合され得る。このようにして、信号減衰装置120は、電気刺激信号が信号減衰装置120を越えて伝搬するのを防止することができるか、または、少なくとも、信号減衰装置120の近傍または上流の組織に及ぼす電気刺激信号の影響を減少させることができる。電極要素122aは、電気リード線122bによって、接地電位、または少なくとも低い電位に電気的に接続され得る。あるいは、電気リード線122bは、上述のように、電極要素122aを、電気刺激信号を減衰または妨害するための信号を生成するように構成された制御ユニット124に接続する。
【0198】
電極要素122aは、好ましくは、支持構造126と組織との間の界面または接触面に配置され得る。電極要素122aは、例えば、組織との接触を形成する板状の部分からなる板状電極であってもよい(既に述べたように、これは、信号減衰装置にも刺激装置にも適用される)。他の例では、電極要素122aは、支持構造126の内面に取り付けられ、組織と電気的に接触させることができる導電性ワイヤで形成されたワイヤ電極またはリードであってもよい。さらなる例は、支持構造体126の内面から突出し、壁の組織内に挿入され得る点を端部に有する、針状またはピン状の電極を含み得、この点で、信号減衰装置120または刺激装置110が静止するように配置され得る。
【0199】
制御ユニット124は、腎動脈20の組織に供給される電気減衰(または刺激)信号を 制御するために、電極要素122aに動作可能に接続されてもよい。制御ユニット124は、例えば図6に示す刺激装置に構造的に一体化されてもよく、刺激装置110によって生成された電気刺激信号を感知または測定するように配置されたセンサからの入力を受け取るように構成されてもよい。いくつかの実施例では、センサーは制御ユニット124と一体化されていてもよい。
【0200】
センサ(図7には示されていない)は、電極要素122aが腎動脈20の組織に接触する腎動脈20の部分の近傍に配置されてもよい。これは有利には、制振装置がより効率的に制振信号または打ち消し信号を発生できるように、信号制振装置の位置の近くで電気刺激信号の特性を決定することを可能にし得る。
【0201】
さらなる構成では、刺激装置110および/または信号減衰装置120のカフ126は、腎動脈20の外表面との一定の接触または付勢を維持するように、その形状、より具体的にはその内部断面を血管拡張に適合させるように構成することができる。これは例えば、動脈20とカフ126との間の接触圧を実質的に一定に維持するように構成された液圧式または空気圧式に作動するカフ126によって、あるいは血管拡張に応じてカフ126の内周を調節するように構成された機械的に作動する調節機構によって実現することができる。
【0202】
実施例が図7Bに示されており、動脈の外壁部18で電極配置122aを支持し、動脈が通過する通路を画定するように構成されたカフなどの保持装置126が開示されている。カフ126は、変化する容積を有し、動脈の外壁部分18に対して静止するように構成された複数のアバットメント要素127をさらに備える。容積が変化することにより、動脈が通過する通路の幅が、血管拡張が増加するにつれて増加し、血管拡張が減少するにつれて減少する。図7Bに示す例では、アバットメント要素は、動脈の幅が変化するのに応じてその容積を変化させる膨張可能な要素127からなる。アバットメント要素127は流体リザーバ128に流体接続された液圧または空気圧要素である。制御ユニット124は、膨張可能要素127の容積、ひいては接触圧力を適宜制御するように、保持装置126と動脈の外壁18との間の接触圧力に基づいて、流体リザーバ128と膨張可能要素127との間で流体を輸送させるように構成され得る。接触圧力は、制御ユニット124に通信可能に接続された圧力センサによって決定することができる。さらに、いくつかの実施例では、制御ユニット124は、センサ装置によって生成された信号に基づいて、刺激装置の動作、したがって血管拡張を引き起こす電気刺激信号を制御するように構成される。
【0203】
図8は、腎動脈20の支配の一例を模式的に示す図であり、腎臓10、大動脈22および両者を連結する腎動脈20を示している。上述したように、腎動脈20は、太陽神経叢の神経節または脾神経集簇から発生し、腎動脈20および腎神経叢を形成する腎臓10を連結する腎交感神経線維24によって支配されている可能性がある。腎神経叢の大部分は交感神経24で構成されていると考えられるが、副交感神経の存在も排除できない。
【0204】
上記の実施例における刺激装置110および信号減衰装置120は、電気刺激信号および電気減衰信号のような電気信号を腎動脈20の壁の組織に直接送達するように構成されるものとして説明されているが、電気刺激装置20および信号減衰装置120はまた、代わりに(または追加的に)神経に作用するように配置されてもよいことが理解されよう。したがって、刺激装置110は、いくつかの実施例では、腎動脈20を支配する神経24に係合して電気的に刺激してその血管拡張を引き起こし、それによって全身血管抵抗の減少を促進するように構成されることがある。電気刺激装置110は、先の図を参照して上述した刺激装置のいずれかと同様に構成することができ、例えば、神経24に直接取り付けることができるか、または神経24を少なくとも部分的に包囲する神経に取り付けることができるカフなどの支持構造体上に配置される1つまたは数個の電極要素112aまたは接触部分から構成することができる。従って、刺激電極素子は、神経支配された筋肉組織と、神経が起始しうる脊髄20との間の位置で、神経に直接取り付けることができる。電極素子は、例えばパッチや縫合によって腎動脈の壁に直接取り付けることができるが、代わりに神経に係合できるようにするには、電極素子をわずかに異なる構成にする必要があることが理解されよう。主に腎動脈と神経の直径の違いによる。後者の場合、電極素子はカフのような支持具の内面に配置することができ、この支持具は神経の周囲にぴったりフィットするような寸法になっている。このように、壁、または血管全体を電気刺激する場合には、電極素子を壁に配置する必要があるかもしれないが、神経刺激が望まれる場合には、電極素子を神経の周囲に配置してもよい。いくつかの実施例では、電極要素112aは、神経24の起点となりうる太陽神経叢または脾神経集合体の神経節よりも、神経支配される組織に近い位置に配置される。本図では、交感神経腎線維24がそれぞれの電極要素112aによって2つの位置で刺激され、それぞれがリード線112bによって制御ユニット124に接続されている例示的な構成が示されている。
【0205】
神経24に電気刺激信号を送るとき、刺激されるべきでない周囲の組織に信号が伝播する危険性がある。例えば、刺激信号が(刺激されるべき)腎動脈壁だけでなく、神経24の起始部である神経節に向かって「上流」に伝播する可能性がある。これは神経系の他の部分に望ましくない反応を引き起こし、患者に不快な経験をさせる可能性がある。この問題に対処するために、信号減衰装置120を、刺激装置110と神経24の起始部である神経節との間の位置で、刺激装置110の上流で神経24に係合するように配置することができる。本図では、信号減衰装置120は、刺激装置110の電極要素112aの「上流」の2つの異なる位置で神経124と係合するように配置されている。信号減衰装置120は、先の図を参照して上述した信号減衰装置のいずれかと同様に構成することができ、例えば、神経24に直接取り付けることができる1つまたは複数の電極要素122aまたは接触部分から構成することができ、または、神経24を少なくとも部分的に包囲する神経に取り付けることができるカフなどの支持構造体上に配置することができる。したがって、刺激電極素子は、刺激装置110の電極素子112aと神経24の起点となる脊髄20との間の位置で、神経に直接取り付けることができる。信号減衰装置120は、刺激装置110の電極要素112aから伝搬する電気信号を妨げ、減衰させ、またはスクランブルするように構成することができる。あるいは、信号減衰装置120は、伝搬する刺激信号を接地などの低電位に迂回させるように構成してもよい。
【0206】
電気刺激信号の意図しないまたは不要な伝播に起因する潜在的な問題に対処するための代替的な、または追加のアプローチは、電気刺激信号が伝播する組織に追加の信号を供給し、それによって刺激信号に対する組織の反応を低減するか、または少なくとも部分的に打ち消すことを含むことができる。このようなアプローチは、信号の位相キャンセルに関する機構に頼ることができ、この場合、信号減衰装置120は、電気信号を腎動脈20の筋肉組織または神経24の神経組織に供給するために採用されることができ、この電気信号は、電気刺激装置110の電極要素112aから伝播した電気刺激信号の振幅をキャンセルするか、または少なくとも減少させるように構成される。一般に、筋細胞は神経線維の活動電位波形に反応するように適合されており、その自然状態では、ミリ秒オーダーの持続時間で二相性(負-正)である。わずかに位相がずれた、または反転した信号減衰信号を筋肉組織に加えることによって、信号減衰信号は、刺激装置110から伝搬する刺激信号に由来する活動電位の正のピークの時間に、その負のピークが位置するようにタイミングを合わせることができる。正しいタイミングにより、活動電位波形の大幅な位相キャンセルと低下が達成され、筋細胞からの応答が減少する可能性がある。
【0207】
図9A~Dは、いくつかの実施形態による電極配置の例を示しており、これらは、例えば図4~8に関連して上述した信号減衰装置および刺激装置のいずれにも実装され得る。
【0208】
図9Aは、腎動脈20の外壁の組織または腎動脈20を支配する神経組織24に接するように配置され得る複数の接触部122aを有する第1および第2の電極要素E1、E2からなる双極電極配置の例である。電極配置は、第1および第2の電極要素E1、E2を異なる電位に接続することによって、双極電極配置として操作され得る。したがって、第1の電極要素E1は陽極として、第2の電極要素E2は陰極として作動させることができる。電極要素E1、E2は、上記に例示したように、支持構造体またはカフ126の内面など、刺激装置または信号減衰装置の表面に直接取り付けることができる。いくつかの例では、電極要素E1、E2は、可撓性パッチなどの支持体上に配置されてもよく、この支持体は、腎動脈の外壁または神経124などの組織に取り付けられるように構成されてもよい。電極配置は、(図7に開示されているような)支持構造126と組織との間に配置することができ、ある実施例では、別個の物理的に異なるアイテムとして提供され、他の実施例では、支持構造126に一体化される。電極配置は、植え込まれたときに電極と組織との間の接触面を増加させるための1つまたはいくつかの接触パッド、または接触部分122aを含んでいてもよい。動作中、電気刺激信号を減衰、妨害、または打ち消すように(信号減衰装置に配置される場合)、および筋肉細胞の収縮を刺激するように(電気刺激装置に配置される場合)、電気減衰信号(または適用可能な場合、電気刺激信号)が第1および第2の電極要素E1、E2によって組織に送達され得る。
【0209】
図9Bは、上述した電気刺激装置110または信号減衰装置120の電極配置の別の例である。本実施例では、電極配置は、単極電極素子として、または双極電極配置として動作させることができる。電極配置は、電極要素E1、E2と組織との間の接触面を増加させるために、平坦なコイル構造に配置されたワイヤまたは電気リードで形成され得る第1の電極要素E1および第2の電極要素E2からなる。さらに、コイル状の構成は、電極要素E1、E2が血管収縮および血管拡張中に組織に追従することができるように、電極要素E1、E2の一定の機械的柔軟性を可能にし、これにより、電極要素E1、E2が腎動脈20と直接係合するのに特に適している。
【0210】
図9cは、針状またはピン状の電極要素E1、E2の末端部分を示しており、電極要素E1、E2の活性部分は、電極要素E1、E2の末端部分に裸電極表面123として設けられている。したがって、組織に移植されたとき、電極要素E1、E2の活性な裸の電極表面123は、組織との金属-組織界面を形成することができ、界面は、比較的大きな接触表面を提供するように、電極要素E1、E2の端部を取り囲むことができる。本実施例は、組織内に挿入することができ、それによって平滑筋組織のある深さでの選択的な刺激が可能になるという点で有利である。電極要素E1、E2は、例えば、図9aおよびbのパッチのような支持構造体の表面、および例えば図6および7に示されるようなカフの内面から直交して突出するように配置され得る。
【0211】
図9dは、図9cのものと同様の電極要素E1、E2を示すが、本電極要素E1、E2は、長期間の植え込み中に電極材料を劣化から保護し、組織への容量性電流伝達を促進するために、誘電体材料123'で覆われた活性先端部分からなる点が異なる。誘電体材料123'は、例えば、電気化学的に析出された酸化タンタルであってもよく、これは、電荷が界面を通過することを可能にするが、電極の腐食、ガス形成および代謝物反応のリスクを低減する。
【0212】
使用される電極のタイプに関係なく、ファラデー的メカニズムと容量性メカニズムの両方が同時に存在しうることが理解されよう。したがって、容量性電荷移動は、金属-組織界面を形成する裸電極にも存在し、ファラデー性電荷移動は、誘電体-組織界面を形成する被覆電極にも存在する。電気信号のパルスの持続時間を短くすることで、筋肉組織に供給される電流のファラデー性部分を減少させるか、あるいはなくすことができることがわかった。パルスの持続時間を短くすることは、ファラデー電流ではなく、容量性電流として界面を通過できる信号の部分を増加させる効率的な方法であることが判明した。その結果、短いパルスは電極や組織へのダメージを少なくすることができる。
【0213】
電流の容量性部分は、電気信号の電流パルスの振幅を減少させることにより、ファラデー性部分に対してさらに増加させることができる。振幅を小さくすることにより、電極と組織との界面における化学反応を低減または抑制することができ、それによって、そのような反応によって生成される化合物およびイオンによって引き起こされる可能性のある潜在的な損傷を低減することができる。
【0214】
一例として、電気刺激は、電気信号の正のパルスに続いて負のパルス(または、別の言い方をすれば、第1の極性のパルスに続いて第2の逆極性のパルス)が、好ましくは同じ振幅および/または持続時間で続くように制御することができる。有利なことに、後続の負(または逆)パルスは、第一の正パルスに応答して界面で起こる化学反応または変化を逆転させるか、少なくとも中程度に抑えるために使用することができる。逆パルスを発生させることで、電極と筋肉組織の界面における電極および/または組織の劣化のリスクを低減することができる。
【0215】
図10aは、いくつかの実施形態による信号減衰機構、または位相キャンセル機構を示す図である。図10aは、一連の正のパルスPL1からなる電気刺激信号と、一連の負のパルスPL2からなる電気減衰信号とを概略的に示している。刺激信号は、腎動脈20に血管拡張を引き起こすように配置された刺激装置110から発信されることがあり、一方、電気減衰信号は、体外に配置されるかまたは体内に植え込まれることがある制御ユニットを含む信号減衰装置120によって生成されることがある。制御ユニットは、1本または数本のリード線によって電極配置に作動的に接続されてもよい。電極配置は、腎動脈壁20の筋肉組織、腎動脈の筋肉組織の近傍の組織、または腎動脈を神経支配する神経に取り付けられた複数の電極要素から構成され、電極要素が減衰信号を前記組織に伝達するようにすることができる。本図に示す電気信号は、刺激装置および信号減衰装置でそれぞれ生成される信号、または組織に送達される信号のいずれかを反映することができる。本実施例では、電気信号は矩形波PL1,PL2からなるパルス信号である。しかし、これは理想的な信号を表すと考えられ、他の形状のパルスも提供され得ることが理解される。パルス信号は、図示のように周期的であってもよいし、断続的(すなわち、パルスのない期間で区切られた複数の一連のパルス)であってもよい。パルスは振幅A1、A2を有し、これはボルト、アンペアなどで測定することができる。信号の各パルスは、パルス幅D1、D2を有することができる。同様に、信号が周期的である場合、パルス信号は、信号の周波数に対応する周期F1、F2を有してもよい。さらに、パルスは、基準に対して正または負のいずれかであってもよい。本実施例では、伝播刺激信号に由来する信号が正のパルスPL1からなるのに対し、減衰信号は負のパルスPL2からなる場合がある。
【0216】
本実施例では、電気刺激信号は、0.01~150ヘルツの範囲の周波数を有する矩形波からなるパルス信号であってもよい。パルス持続時間は0.01~100ミリ秒(ms)、例えば0.1~20ms、好ましくは1~6msの範囲内である。自然な筋活動電位は約2~4ms持続することがいくつかの研究で観察されているため、組織を刺激して弛緩させる際には、その範囲を模倣したパルス持続時間を使用するのが有利な場合がある。
【0217】
刺激信号の振幅は、例えば1~15ミリアンペア(mA)、例えば0.5~5mAの範囲内である。
【0218】
好ましい具体例では、刺激装置120によって供給される電気刺激は、それゆえ、10Hzのパルス周波数、3msのパルス持続時間および3mAの振幅を有するパルス信号を用いて実行され得る。図10Aに示すパルス信号(実線)は、腎動脈20の組織内を伝搬しているときのこのような刺激信号の特性を表していると考えることができる。
【0219】
減衰信号(破線で示す)は、刺激信号に対する組織の応答を打ち消す、または緩和するように設計することができる。本図に示す例では、これは例えば、刺激信号に由来する信号のパルスPL1に対して反転した極性を有する一連のパルスPL2を提供することによって達成され得る。さらに、減衰信号は、正のパルスに関連して位相がシフトされてもよい。従って、信号のタイミングは、図10aに示されるように、負のパルスPL2が正のピークPL1の時間に配置されるか、または正のピークPL1に対してわずかに遅れるように選択され得る。負パルスPL2は、細胞が正パルスによって与えられた刺激に反応する時間がないうちに、正パルスの直後に組織に供給されることがある。別の言い方をすれば、減衰信号は細胞分極の変化の開始時に細胞に送出され、それによって細胞分極を減少させるかキャンセルすることができる。負パルスPL2は正パルスPL1によって与えられる刺激を打ち消す、あるいはキャンセルするように作用し、それによって細胞が収縮するのを防ぐか、少なくとも正パルスPL1によって誘発される収縮を減少させる。
【0220】
上記の例に示された信号は概略的かつ理想的なものであり、必ずしも組織に送られる実際の信号を忠実に表現したものではないことを理解すべきである。実際の信号は、より複雑な周波数組成を有し、様々な程度のノイズを含んでいる可能性がある。図10aの図示は、刺激信号が刺激の主要な標的ではない身体の他の部分に伝播する際に、その影響を打ち消すか低減するために減衰信号を適用するという本発明の概念を解明するのに役立つように、意図的に単純化されている。したがって、減衰または打ち消されるべき信号を測定するセンサーを設け、センサーからの入力に基づいて減衰信号を設計することが有利である。これにより、刺激信号が経時的に変化する場合や、推定やモデルが困難な場合にも減衰信号を生成することができる。このようなフィードバックループにより、より柔軟なダンピングを提供することができる。
【0221】
上述したように、信号は必ずしもパルスまたは矩形波で形成される必要はない。図10bは、別の(やはり簡略化された)例を示しており、刺激信号に由来する信号は正弦波として形成され、減衰信号は対応する形状を有し、刺激信号を相殺またはキャンセルするように位相シフトされる。しかし、矩形波、三角波、のこぎり波、およびそれらの組み合わせを含む他の信号形状も同様に可能である。
【0222】
さらなる例が図10cに示されており、この例では、減衰信号は、刺激装置110の電極要素112aから離れた位置に配置された組織に対する効果が減少するように、刺激装置110から発信される信号を妨害または「スクランブル」するように構成されている。減衰信号は、例えば、刺激装置110からの信号の周波数よりも高い周波数を含んでいてもよく、その結果、個々の組織細胞に到達する重畳された信号は、平滑筋組織細胞の収縮または神経組織細胞による刺激信号の伝達を誘発するのに適していない。これは、周波数が一定の間隔を外れると、刺激信号が細胞に与える影響が減少するという観察に基づいている。別の言い方をすれば、組織への刺激は周波数が高いほど効率が悪くなる可能性があり、それに応じて周波数を上げるためにダンピング信号を適用することができる。
【0223】
図11は、高血圧患者を治療するための装置またはシステムの概略図である。このシステムは、植え込み可能な刺激装置110と、任意選択で、植え込み可能な信号減衰装置120とから構成されてもよく、これらは、先の実施例に関連して上述した刺激装置および信号減衰装置と同様に構成されてもよい。システムは、刺激装置110および信号減衰装置120に通電し、電気刺激信号および電気減衰信号を生成するのに必要な電気エネルギーを供給するための植え込み可能なエネルギー源、またはエネルギー貯蔵ユニット130をさらに含んでいてもよい。さらに、システムは、刺激信号および/または減衰信号の生成を制御するように構成された制御ユニットまたはコントローラ150と、減衰信号の生成に使用可能な入力を生成するように構成されたセンサとを含んでいてもよい。
【0224】
エネルギー貯蔵ユニット130、センサー140、およびコントローラー150などの上記の要素のいずれか、またはその一部は、図26~45に関連して議論されるように、保持装置によって身体の組織壁に取り付けられるように構成され得る。
【0225】
エネルギー貯蔵ユニット130は、例えば、一次電池のような非充電式タイプであってもよいし、二次電池のような充電式タイプであってもよい。エネルギー貯蔵ユニット130は、体外から伝達されるエネルギー、外部のエネルギー貯蔵ユニットからのエネルギーによって再充電可能であってもよいし、必要なときに手術によって交換されてもよい。
【0226】
制御装置150は、刺激信号および/または減衰信号に対する電気パルスを生成するための電気パルス発生器を含んでいてもよい。コントローラ150は、エネルギー貯蔵ユニット130と一体化されていてもよいし、体内に植え込まれるように構成されていてもよいし、体外から動作するように構成されていてもよい、物理的に別個のユニットとして提供されていてもよい。後者の場合、外部の制御ユニットが、例えば、より一般的な制御装置(図示せず)の通信ユニットによって制御装置150と無線通信できるようにすると有利である。外部コントローラは、例えば、ワイヤレスリモコンであってもよく、このような場合、コントローラは、有利には、外部信号送信機から/外部信号送信機へ通信信号を受信および送信するように構成された内部信号トランシーバから構成されてもよい。より詳細な実施例は、図24a~fおよび図25に関連して開示されている。
【0227】
幾つかの実施例では、制御装置150は、例えば充電レベル又はエネルギー源130の温度など、エネルギー源130の機能状態を示す信号を生成するように構成され得る。更に、制御装置150は、幾つかの実施例において、刺激装置110、信号減衰装置120、及び刺激装置110又は信号減衰装置120に隣接する組織の少なくとも一つの温度を示すように構成され得る。
【0228】
場合によっては、システムは、身体および/または植え込み可能な装置の物理的パラメータを感知するように構成され得るセンサ140を備える。センサーは、図12A~D、図13A~Bおよび図14に関連して後述するセンサーと同様に構成することができる。センサ140は、例えば、腎動脈20の外壁の伸張または収縮を感知または検出するために採用されてもよく、それによって、腎動脈20の血管収縮および血管拡張を監視することができる。センサ140はこの実施例では腎動脈20の外壁のひずみを示すように構成されたひずみゲージで構成され得る。一実施例では、血管の弛緩がセンサ140によって確認され、それに応じて刺激装置110が制御され得る。刺激装置110は、例えば、刺激信号に対する筋肉の反応に係るセンサー140からのフィードバックに基づいて刺激信号を修正することができ、これにより、有利には、腎動脈20の血管拡張を改善または増加させるように刺激信号を修正することができる。さらなる実施例では、センサ140は、腎動脈20内の圧力を示す信号を発生するように構成された圧力センサを含んでいてもよい。血管内の圧力を示す信号は、例えば、制御装置150に送られ、腎動脈20の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を及ぼす電気刺激信号を調整するための入力として使用され得る。
【0229】
さらなる実施例では、センサ140は、刺激信号によって刺激されるべきではない身体の領域に向かって伝播する信号のような、刺激装置110から伝播する信号の電気的特性を示す信号を生成するように構成され得る。このような部位の例としては、例えば、大動脈22や、腎動脈を神経支配する神経が由来する神経節が挙げられる。センサ140は、例えば、電圧センサ及び/又は電流センサを含むことができ、刺激装置110の電極素子112aから伝播する信号の例えば電圧、振幅及び周波数に係る情報をコントローラ150に配信するように構成されることができる。
【0230】
制御装置150は、この情報を使用して、例えば、大動脈との分岐部に近い腎動脈の組織に供給可能な減衰信号を生成するように構成されてもよく、または、少なくとも、伝播された刺激信号に対する組織の筋応答を低減するように構成されてもよい。センサーは、例えば、信号減衰装置120と構造的に一体化されていてもよいし、構造的に別個のユニットとして提供されていてもよい。いくつかの例では、センサーは、刺激装置からの信号が通過する神経組織または筋肉組織と係合するように配置され得る1つまたはいくつかの電極要素または電気プローブから構成され得る。
【0231】
いくつかの例では、センサー140は、筋組織に伝達される活動電位を感知または検出するように構成されることがある。活動電位はセンサ140によって登録され、活動電位に関連する情報がコントローラ150に送信される。コントローラ150は、電気刺激信号が伝播した組織に対する電気刺激信号の影響を低減するように信号減衰装置120を制御する際に、受信した情報を使用することができる。
【0232】
図11に関連して上述したように、図4~8に開示された配置のような上記の実施形態のいずれもが、患者の血圧(または血管抵抗)を示す信号を生成するように構成されたセンサを含み得ることが理解されよう。このようなセンサの例を、図12~14を参照して以下に説明する。従って、以下に説明するセンサーの様々な例および実施形態は、腎動脈に電気的に誘導された血管拡張を引き起こすための上記の開示されたシステムおよび装置のいずれかと組み合わせることができ、そのようなシステムおよび装置の説明は、従って、以下では繰り返さない。
【0233】
本発明の概念は、エネルギーがある形態から別の形態に変換される変換器タイプのセンサーを利用することができる。従って、センサーは、圧力信号(血液中で直接測定されるか、血管壁などの中間媒体を介して間接的に測定される)を、例えば、圧力の関数と考えられる電気信号に変換するように構成することができる。
【0234】
センサーは、圧力を経時的に捕捉または監視し、各測定点ごとに(またはセンサーの種類によっては連続的に)圧力を示す信号を生成するように構成された動的タイプのものであってもよい。信号が送信される制御ユニットは、次に信号を分析し、腎動脈の刺激を開始または停止する決定を行うことができる。あるいは、センサーは特定の圧力でオンまたはオフになるように構成されたスイッチタイプであってもよい。例えば、センサーは血圧がある閾値を上回った場合(または、別の構成では血圧がある閾値を下回った場合)にトリガー信号を生成するように構成することができる。このような場合、制御ユニットはその信号をトリガー信号またはON信号として扱い、腎動脈の筋肉組織の刺激を開始するように構成することができる。言い換えれば、センサーからの信号の値は(実質的に)連続的(測定された量の変化を実質的に忠実に表現する)か、または測定された量が所定の限界値を上回るか下回るか示す2値であるかのいずれかである。
【0235】
センサーは、完全真空などの基準圧力に対する相対的な圧力を測定するように構成されることがある。この種のセンサーは絶対圧センサーと呼ばれることもある。センサーはまた、差圧センサーである場合もあり、血管外の圧力と比較した血管内の圧力や大気圧など、2つの圧力の差を測定するように構成されている。この種のセンサーはゲージ圧センサーと呼ばれることもある。
【0236】
圧力センサーは、力コレクター(ダイアフラム、ピストン、ブルドン型、またはベローズなど)を使用して、面積(圧力)にわたって加えられた力によるひずみ(またはたわみ)を測定する力コレクタータイプのものであってもよい。センサーは、例えば圧電効果やピエゾ抵抗効果を利用して加えられた圧力によるひずみを検出したり、可変キャパシタ技術を採用して圧力が例えばダイアフラムを変形させる際に信号を生成したりする。センサーの要素(または患者の身体の一部)の圧力による変位は、インダクタンス、ホール効果、渦電流などの変化によって測定することもできる。さらなる実施例では、電気伝導性のひずみゲージを、加えられた圧力によって動く部位に取り付け、その部位の動きを示す信号を生成するために使用することができる。さらに別の例では、センサーは、加えられた圧力または光結合によるひずみを検出するために光ファイバーの物理的変化を使用することを含む、光学技術に基づいて動作することができる。あるいは、あるいは追加的に、血流の変化は、例えばレーダー効果やドップラー効果を含む光学的方法を用いて、あるいは血管を通過する光の光結合効率をモニターすることによって測定することができる。これらの原理は、光が血液中の圧力によって異なる挙動を示すという観察を利用することができる。以下、非限定的な詳細および実施例についてさらに詳しく説明する。
【0237】
センサーは腎動脈、好ましくは電気的筋組織刺激が適用されるものと同じ腎動脈に配置することができる。この配置の利点は、センサーが腎動脈の血管拡張に起因する圧力変化を示す信号を供給し、したがって刺激プロセスにより直接的なフィードバックを提供すると考えられることである。別の言い方をすれば、電気刺激を受けている血管と同じ血管から得られるフィードバックデータを利用する制御ループが達成される可能性がある。
【0238】
別法として、または追加的に、センサを別の場所、すなわち電気刺激される腎動脈から離れた場所に配置してもよい。そのため、1つまたは複数のセンサーを患者の体の他の部分の血管、例えば大動脈、腹部または体の四肢の動脈に配置して、患者の全身血圧を示す信号を生成することができる。腎動脈よりもアクセスしやすい位置にセンサーを配置することで、より複雑で侵襲的でない外科的手順でセンサーを埋め込むことができる。
【0239】
センサーは、交換や物理的なアクセスを必要とすることなく、数ヶ月または数年間動作することが期待される長期植え込み、または永久植え込み用に構成することができる。これにより、刺激装置の作動中、センサーを連続的に作動させることができる。あるいは、センサーは、例えば刺激装置が較正される短期間の間など、一時的な使用のために構成することもできる。このように、センサーは、例えば刺激装置のセットアップまたは較正の間、数時間、数日または数週間埋め込むことができ、その後センサーを取り外すことができる。
【0240】
いくつかの実施形態によれば、センサは血管内の圧力を直接測定するように配置することができる。これは例えば、腎動脈、または橈骨動脈、大腿動脈、足背動脈、上腕動脈などの別の動脈などの血管内にプローブを配置することによって達成することができる。このようにして、プローブに作用する圧力を示す信号を生成するためにプローブを使用することができ、それによって血圧の指示を与えることができる。
【0241】
いくつかの実施形態によれば、圧力センサーは患者の血管の外壁に配置することができる。センサは、例えば、血管を少なくとも部分的に囲むカフとして形成されるか、または外壁の少なくとも一部に接するように配置される。このように配置することで、センサーは、血液によって血管壁に伝達される脈波を測定するように構成することができる。壁を通して伝達される脈波は、圧力パルスによって壁部分に誘導されるひずみに反応するひずみゲージによって、または外壁部分とセンサーとの間の接触圧力に反応または監視するように構成された接触圧力センサーによって、電気信号などの信号に変換することができる。したがって、血液を介して伝達される脈波は、血管の外壁と圧力センサーとの間の押圧力の増加を生じさせ、圧力センサーは、増加した押圧力を上述の技術に従って圧力を示す信号に変換するように構成することができる。
【0242】
いくつかの実施形態によれば、センサーは、血管の壁部分を通してなど、血液中に光を入力するように構成された光源と、光源から透過された光を受光するように構成された光センサーとを備えることができる。光センサーは、例えば、血管の外側で、光源に対向する側に配置することができる。これは光センサーと呼ばれることがあり、いくつかの実施例では、血管を通る光結合効率に基づいて圧力測定を行うことがある。光結合効率は、例えば、光源と血管の壁部分との間の接触圧力、及び/又は、光センサーと血管の壁部分との間の接触圧力の関数であることがあり、したがって、心拍によって生成される圧力パルスの特性を示すために使用することができる。光学的方法はまた、血管内を進行する圧脈波に応じて血管の壁部分の偏向すなわち移動を測定するために使用することもできる。このような光学的方法は、例えばドップラーレーダー効果を利用して、血管の壁部分の動きを引き起こす脈波を監視することができる。
【0243】
いくつかの実施形態によれば、センサーは聴診原理に従って作動することができる。この原理では、収縮素子または狭窄装置が血管の周囲に配置され、血管が閉塞してその中の血流が停止するまで血管を狭窄するように作動する。その後、収縮を徐々に解除し、収縮圧を血流の戻りの関数として記録する。一例として、狭窄装置はオシロメトリック法に使用され、血流、すなわち脈拍の振動によって生じる収縮圧の振動が測定される。例えば、狭窄装置を最初は収縮期動脈圧を超える圧力まで作動させ、その後拡張期動脈圧以下まで低下させることができる。血流が実質的にない場合(収縮期圧を超える収縮圧)、または実質的に妨げられていない場合(拡張期圧以下の収縮圧)、収縮圧は実質的に一定であってもよい。血流が存在するが制限されている場合、センサーによってモニターされる収縮圧力は、血管の周期的な拡張と収縮に同期して周期的に変化する、すなわち振動する。収縮圧力が減少する解放期間にわたって、記録された圧力波形は、バンドパスフィルターを使用してオシロメトリックパルスを抽出することができる信号を形成することができる。抽出されたオシロメトリックパルスは、オシロメトリック波形(OMW)と呼ばれる信号を形成することがあり、この信号は、収縮期圧、拡張期圧、および平均動脈圧を推定するために分析および処理することができる。
【0244】
センサは、患者の血管の血管抵抗を示す信号を生成するように構成される場合もある。血圧は(特に)血管抵抗の関数として理解することができるため、血圧を推定する際にこの測定値を使用することができる。センサは、例えば、血管内の血液の流れを測定し、血管の血管拡張または血管収縮を測定し、および/または血管のサイズ(内径または外径または断面サイズなど)を測定するように構成することができる。血管を通る血流は、例えば、血液の組成をモニターして血液の流れを推定する、上記に示したようなライトカップリング法によってモニターすることができる。これには例えば、単位時間当たりにある領域または体積を通過する赤血球の数を観察または推定することが含まれる。血流の増加は血管抵抗の減少を示し、血流の減少は血管抵抗の増加を示す。
【0245】
次に、図12A~D、図13A~Bおよび図14を参照して、上記のように動作し得るセンサーの様々な例について説明する。以下のセンサーは、腎動脈の電気的誘導血管拡張を引き起こすために、例えば図4~8に開示された上記の配置のいずれかと組み合わせてもよいことが理解されよう。このようなシステムおよび装置の説明は、以下では繰り返さない。
【0246】
図12A~Dは、患者の血管20における血圧、血管流量、または血管抵抗を示す信号を生成するためのセンサ140の例を示す。血管20は、例えば、患者の腎動脈であってもよいし、橈骨動脈、大腿動脈、足背動脈、上腕動脈などの別の動脈であってもよい。いくつかの例では、血管は静脈であってもよい。センサ140は、例えば、圧力信号を、血管20内の圧力を示す電気信号などの別の信号に変換するように構成されていてもよい。この信号は、本開示において先に説明したように、刺激装置の動作を制御するように構成された制御ユニット(図示せず)に送信されてもよい。センサ140と制御ユニットとの間の伝送は、例えば、制御ユニットとセンサとを相互接続する1つまたは複数の電気リード線で形成され得る有線または無線の通信チャネルを介して行われ得る。
【0247】
図12Aは、血管20内の圧力を直接測定するように構成されたセンサ140の例を示している。センサ140は、それゆえ、血管20の壁部を貫通し、血管20の内部によって画定される内腔すなわち血液通路内に配置されるように構成されたプローブ142から構成されてもよい。センサは、血管20の外側に配置されるように構成された本体部分をさらに含んでいてもよい。本体部は、例えば、壁の外面に取り付けまたは固定されるように構成されていてもよい。プローブ142は、本体部が血管20の壁部に取り付けられたときにプローブが血管20の内部に延びることができるように、本体部の下側に設けられていてもよい。
【0248】
図12Bは、血管20の壁を透過する血圧パルスを測定するための光センサ140の例を示す。センサ140は、光源141と、光源141からの光が血管20およびそこを流れる血液を透過できるように血管の反対側に配置されるように構成された光センサ143とから構成することができる。一例では、光は、光源141から光透過体141'を介して血管20に向かって透過される。光透過体141'、または導光体141'は、血管20の外壁に向かって湾曲している凸面から構成されてもよい。湾曲面は、血管20と光透過体141'との間の界面に接触領域が設けられるように、外壁に接するように配置されてもよい。接触面積の大きさは、血管20と光透過体141'との間の接触力(すなわち、血管20と光透過体141'との表面が互いに突き当たる力)によって変化し、血管20の壁が光透過体141'に押し付けられると接触面積の増大が達成され、血管の壁と光透過体141'との間の接触力が低下すると接触面積の減少が達成されることが観察されている。センサ140を血管20の壁の外側に接するように配置することにより、両者の接触面積を血管20を伝わる圧脈波の大きさに応じて変化させることができる。さらに、例えばセンサ143によって登録される光源141によって生成された光の割合として測定される、血管20を通る光結合効率は、光透過体141'と血管20の壁との間の接触面積の大きさによって変化し得ることが観察されている。したがって、光センサ143における信号の変動を解析して、接触圧の対応する変動を計算し、その結果、血管20内の圧力の指標を得ることができる。本図に示されるように、代替的に、または追加的に、光センサ側に配置された光透過体143'が提供されてもよく、この光透過体143'は、上記と同様に構成され、機能してもよい。
【0249】
光透過体141'、143'は、いくつかの実施例では、接触面積の変動が、光透過体141'、143'が変形するのではなく、血管20の壁が変形することによって引き起こされるように、剛性であってもよい。さらなる実施例では、光透過体141'、143'は可撓性であってもよく、血管と光透過体141'、143'との間に加えられる接触力によって変形することを可能にする。
【0250】
センサ140は、血管20を少なくとも部分的に囲み、光透過体(または本体)141'、143'を血管20の外壁に押し付けるように構成された、カフ144などの保持構造を含んでいてもよい。保持構造は、図5~7に関連して開示したものと同様に構成することができる。
【0251】
図12Bに図示されたものと同様であり得る別の実施形態は、光学原理の代わりに音響波に基づいて動作し得る。このようなセンサ140は、したがって、光源141の代わりに音響変換器を、光センサ143の代わりに音響センサを構成することができる。それでも、血管を通る結合効率は、センサ140と血管20の外壁との間の変化する接触面積の関数として決定することができ、血管20を通る脈波を示す信号を生成することができる。上記の光学的バージョンと同様に、音の結合効率は、脈波が通過するにつれて、接触面積が増加するにつれて増加し、接触面積が減少するにつれて減少する可能性がある。
【0252】
図12Cは、ドップラーレーダーの原理によって動作するセンサー140の例を示しており、電磁波(または音響波)のビームが送信器147から送信され、血管の外壁から反射される。パルス波が血管を通過する際に血管の半径方向に沿って壁がわずかに前後に動くと仮定すると、反射波の周波数のわずかな変化に基づいてその動きを決定することができる。これらの変化は送信器147によって観察され、血管20内の圧力を示す信号を生成するための基礎として使用される。
【0253】
図12Dは、センサ140のさらなる例を示しており、このセンサ140は、患者の脈拍によって引き起こされる圧力変動によって壁に誘発されるひずみに応答して信号を生成するひずみセンサとして構成されてもよい。センサ140は、例えば、容量原理に基づいて動作することができ、この場合、2つの電極145、146間の静電容量は、電極145、146間の構造寸法を変化させることによって変化することができる。電極145、146は、例えば、血管20の壁に誘導されるひずみによって変化し得る分離を有する、第1および第2の相互誘導された指電極から構成され得る。電極145、146間の分離の増大は、壁における歪みの増大を示すキャパシタンスの減少として観察されることがあり、一方、分離の減少は、壁における歪みの減少を示すキャパシタンスの増大として観察されることがある。さらに、歪みセンサー140は、血管20における血管拡張および/または血管収縮を測定するために使用することができる。
【0254】
図13AおよびBは、血管20を少なくとも部分的に狭窄する、または少なくとも血管20の外壁に押し当てるように構成された狭窄装置で形成されたセンサ140の例を示す。センサ140は、血管が閉塞し、血流が実質的に停止するまで血管を狭窄することによって血圧を測定する聴診原理に従って作動する例もあれば、狭窄装置(したがって、必ずしも血流通路を完全に閉鎖するように作動する必要はない)によって加えられる収縮圧力の振動を測定するオシロメトリック法に従って作動する例もある。
【0255】
したがって、図13Aの狭窄装置140は、腎動脈または移植処置のためにアクセスしやすい別の動脈などの血管20の壁部分を狭窄するように構成され得る。狭窄装置116は、植え込まれたときに血管20を取り囲むように配置された周縁部を有する周囲構造体すなわち支持構造体を構成することができる。周囲構造体は、血管20の外壁に接するように、周囲構造体の対向壁に向かって内側に膨張し、それによって血管内の血圧によって誘導される圧力パルスが狭窄要素に伝達されるように構成された1つまたは複数の狭窄要素を支持するように構成されてもよい。さらに、いくつかの実施例では、狭窄要素は、聴診原理を使用して血圧を測定できるように、血管を通る通路を閉じるように動作可能であってもよい。
【0256】
本図に示す例では、周囲構造は、周囲構造を形成するために互いに接続された2つの支持要素64a、64bからなる。第1の支持要素64aは、第1の操作可能な液圧絞り要素601aおよび第2の操作可能な液圧絞り要素601bを支持するように構成されていてもよい。第2の支持要素604bは、第3の操作可能な液圧絞り要素601cおよび第4の操作可能な液圧絞り要素601dを支持するように構成されていてもよい。第1、第2、第3および第4の操作可能な液圧狭窄要素101a~dは、流れを制限するために血管20を狭窄するように構成され、所望のときに収縮を解除するように構成され得る。
【0257】
第1および第2の支持要素64a、64bはそれぞれ、圧力センサ140が配置される血管20の部分の曲率に追従するように適合された曲率Cからなり、圧力センサ140が血管20の周囲にぴったりと適合し、操作可能な液圧狭窄要素604a~dが血管20に当接するか、あるいは血管20を狭窄するために拡張する必要のある距離が減少するようになっている。
【0258】
第1および第2の支持要素64a、64bは、周囲構造の周縁部が開くことが可能であり、それによって周囲構造が血管20の周囲に配置されることを可能にするように、互いに蝶番状に接続されてもよい。第1および第2の支持要素64a、64bの第1の端部は、ヒンジ66から構成されてもよく、一方、第1および第2の支持要素64a、64bの他の端部は、ロック部材67'、67''の部分から構成されてもよく、それぞれ、第1および第2の支持要素64a、64bに材料的に一体化され、周囲構造の周縁部を閉じるためにスナップ結合されるように構成された突出スナップロック部材から構成され、それによって、周囲構造が血管20を部分的にまたは完全に包囲することを可能にする。
【0259】
狭窄エレメントは、血管を通る圧力パルスによって狭窄エレメントに誘導される圧力パルスを登録するように構成された圧力センサーに液圧で接続されていてもよい。登録された圧力パルスは、血管内の血圧を示す信号に変換され、上述したように制御ユニットに送信される。
【0260】
図13Aに示す実施形態では、第1および第2の支持要素64a、64bの各々は、支持要素64a、64bに部分的に一体化された流体導管609a~dからなる。第1の支持要素64aにおいて、第1の導管609aは、第1の支持要素64aに固定された、または第1の支持要素64aと物質的に一体化されたチューブ固定部65aに入る第1のチューブの形態の第1の部分からなる。チューブ固定部65aにおいて、流体導管109aは、第一支持要素24aの第一統合チャネル23aに移送される。第1の支持要素64aは、センサ140が植え込まれたときに血管20の壁に面するように構成された内面68aを含むことができる。第1の支持要素64aの内面68aは、第1および第2の操作可能な液圧狭窄要素601a、601bを固定するための固定面を構成することができる。固定面はまた、第1の一体型チャネル63aから第1の操作可能な液圧狭窄要素601aへの出口を構成し、第1の操作可能な液圧狭窄要素601aを拡張するために、流体を第1のチューブから第1の一体型チャネル63aへ、および第1の操作可能な液圧狭窄要素601aへ移送することができるようになっている。
【0261】
第2の流体導管609bの第2のチューブは、第1の支持要素64aに固定された、または第1の支持要素64aと物質的に一体化されたチューブ固定部65aに入ることもできる。チューブ固定部65aにおいて、第2の流体導管609bは、第1の支持要素64aの第2の一体化チャネル63bに移送される。固定面はまた、第2の統合流路63bから第2の操作可能な液圧絞り要素601bへの出口を構成し、第2の操作可能な液圧絞り要素601bを拡張するために、流体を第2のチューブから第2の統合流路63bへ、および第2の操作可能な液圧絞り要素601bへ移送できるようになっている。
【0262】
第2の支持要素64bは、第1の支持要素64aと同様に、第1および第2の狭窄要素601a、601bを参照して上に図示したように、第3および第4の流体導管609c、609dによって供給される流体によって作動する第3および第4の作動可能な液圧狭窄要素601c、601dを固定するための固定面を構成することができる。
【0263】
流体導管109a-dのチューブ部分は、好ましくは、シリコーンおよび/またはポリウレタンなどの生体適合性材料から作られる。
【0264】
流体導管(単数または複数)を支持要素(単数または複数)内に一体化することにより、操作可能な液圧狭窄要素601a~dへの流体入口を支持要素(単数または複数)により保護し、封入することが可能になり、これにより、狭窄装置116が占有する空間を減少させることができる。さらに、突出部分の量を減少させることができ、それによって、それが植え込まれる血管20の組織を損傷する危険性を減少させることができる。
【0265】
第1、第2、第3および第4の操作可能な液圧式狭窄要素601a~dは、血管の壁に対する付勢ならびに血流通路の潜在的な狭窄が、狭窄要素601a~dへのおよび狭窄要素601a~dからの液圧流体の圧送によって調節され得るように、共有の液圧システムに接続され得る。あるいは、例えば第1および第3の液圧式構築要素601a、601cが第1の液圧システムを共有し、第2および第4の液圧式狭窄要素601b、601dが第1の液圧システムとは別の第2の液圧システムを共有するように、液圧式狭窄要素601a~dの1つまたはいくつかが個別に制御可能である。これにより有利なことに、第2および第4の狭窄要素601b、601dが収縮するのと同時に、第1および第3の狭窄要素601a、601cを膨張させることができる。さらに、液圧式狭窄要素の1つまたはいくつかは、血管20内の脈波によって引き起こされる狭窄要素内の圧力変動を測定するための液圧式圧力センサに接続することができる。
【0266】
第1および第3の狭窄要素601a、601cは、第2および第4の狭窄要素601b、601dのそれぞれの体積よりも大きいそれぞれの体積を有してもよい。図13AおよびBの実施形態では、第1および第3の狭窄要素601a、601cは、第2および第4の狭窄要素601b、601dのそれぞれの体積よりも1.5倍以上大きいそれぞれの体積を有してもよい。しかしながら、第1および第3の狭窄要素601a、601cが、第2および第4の狭窄要素601b、601dの体積の2倍を超えるそれぞれの体積を有することも考えられる。
【0267】
図12A~Dおよび図13A~Bに示すセンサーは、患者の腎動脈に電気的に誘導される血管拡張を引き起こすための刺激装置110に接続されるか、またはその一部を形成することができる。このような実施例が図14に示されており、図4を参照して説明したものと同様の刺激装置110が、図13A~Bに関連して開示したものと同様のセンサー140とともに移植されている。図14に示すように、刺激装置110とセンサー140の両方は患者の腎動脈20に作用するように配置することができ、刺激装置110は腎動脈20の壁部分の平滑筋組織を電気的に刺激するように構成され、センサー140は腎動脈20を少なくとも部分的に囲むカフとして配置される。カフは腎動脈の外壁に接するように配置された少なくとも2つの膨張可能な要素からなる。膨張可能な要素は、膨張可能な要素と腎動脈との間の接触圧力を変化させるための操作装置148に接続されている。操作装置148は、例えば、膨張を調節するために膨張可能要素との間で作動流体を移動させるように構成された液圧装置であってもよい。センサ140は、腎動脈20内の圧力を示す信号を制御ユニット114に提供するために、刺激装置110の制御ユニットすなわちコントローラ114に通信可能に接続されていてもよい。この信号は、腎動脈20の刺激ひいては血管拡張を制御するために制御ユニット114によって使用され得る。
【0268】
以下では、上記腎動脈20のような組織を電気的に刺激して、組織を運動させ、それによって長期間の植え込み条件を改善する技術について詳細に説明する。インプラントが異物であるため、また、インプラントが身体の組織と機械的に相互作用するため、身体は医療用インプラントに反応する傾向がある。組織がインプラントと長期間接触したり、インプラントからの圧力にさらされたりすると、細胞から酸素や栄養が奪われ、組織の劣化、萎縮、最終的には壊死につながる可能性がある。また、インプラントと組織との相互作用により、インプラントが少なくとも部分的に線維組織に包まれる線維症が生じることもある。したがって、細胞を刺激または運動させて血流を促し、インプラントからの圧力に対する組織の耐性を高めることが望ましい。
【0269】
以下では、長期間の移植条件を改善するために組織を運動させるための電気信号の使用について説明する。例えば図4~7に関連して上述した電気刺激信号(信号減衰信号も同様)と、長期間の移植条件を改善するために送達される電気信号との間には違いがあり得ることに留意すべきである。前者の信号は、血管拡張を誘発するための筋肉反応を誘発するように特別に適合させることができるが、後者の信号は、組織の劣化、ひいては腎動脈の組織の壊死を防止することを主目的として提供されることがある。組織の劣化を予防または軽減するためには、血管拡張を誘導するために必要なのと同程度の反応を引き起こす刺激が必ずしも必要ではない。それどころか、血管内の流路抵抗に実質的な影響を与えることなく、組織刺激(すなわち運動反応)を誘発する電気信号を送達することが有利な場合もある。したがって、血管拡張を引き起こす刺激と、血管の劣化を防ぐための組織の「運動」を組み合わせることができ、好ましくは血管拡張サイクルの間に運動サイクルが行われるように循環させることができる。このように血管拡張とは効果または筋応答が異なる運動は、例えば図4~7を参照して説明した刺激装置および/または減衰装置の電極配置を介して組織に運動信号を送ることによって行うことができる。筋肉組織の運動を、図5および図7に示すカフ116や図12A~D、13A~Bおよび14のセンサのような支持構造からなる医療器具と組み合わせることが特に有利である。これらは、(例えば図4に示した電極アタッチメントと比較して)それらが配置される組織と比較的大きな接触面を形成する可能性があるため、組織の健康に悪影響を及ぼすリスクが増大する。
【0270】
したがって、以下に説明する電気電極配置および運動方法は、このような医療機器またはインプラントに接触する組織を運動させる目的で、上述の刺激装置、信号減衰装置、およびセンサーの実施形態のいずれにも実施することができる。
【0271】
筋組織は一般に、筋フィラメントと呼ばれる筋原線維収縮タンパク質の組織化された規則的な繰り返しの配列の有無によって、それぞれ筋原線維または平滑筋となる組織で結合した筋細胞から形成される。筋組織はさらに、骨格筋組織と心筋組織に分類される。骨格筋組織は通常、意識的な制御を受け、腱によって骨に固定されている。心筋組織は一般的に心臓に存在し、自発的なコントロールは受けない。筋組織の第三のタイプは、いわゆる平滑筋組織であり、一般的に筋組織構造でも随意制御下でもない。平滑筋組織は、先に述べたように、腎動脈20の壁に見られる。
【0272】
筋組織の収縮は、神経系とホルモンの相互作用によって活性化される。筋の種類や部位によって、神経伝達物質や内分泌物質に対する反応が異なる。
【0273】
神経は軸索と呼ばれる神経線維の束で、個々の神経細胞やニューロンの延長である。軸索は、その膜を横切る電圧勾配の維持により電気的に興奮しやすく、活動電位と呼ばれる電気化学的神経インパルスの共通経路を提供する。活動電位は、膜を横切る電圧が短い間隔で十分に大きく変化した場合に、軸索が発生させるオール・オア・ナッシングの電気化学的パルスとして理解することができる。活動電位はシナプスを通過することで、あるニューロンから別のニューロンへと伝わり、そこでメッセージが電気的なものから化学的なものへと変換され、また電気的なものへと戻る。
【0274】
軸索の遠位端は軸索終末と呼ばれ、神経伝達物質を貯蔵するシナプス小胞からなる。軸索終末は、神経伝達物質を軸索と筋細胞の間の界面または接合部に放出するよう特化されている。放出された神経伝達物質は、筋細胞の細胞膜上のレセプターに短時間結合した後、シナプス内にある酵素によって解離・加水分解される。この酵素は筋肉への刺激を素早く減少させるので、筋収縮の程度とタイミングを微妙に調節することができる。
【0275】
正常な骨格筋細胞の活動電位はニューロンの活動電位に似ており、通常-90mV程度である。活性化すると、細胞膜に内在するナトリウム/カリウムチャネルが開き、ナトリウムが流入し、カリウムが流出する。その結果、細胞膜は極性を反転させ、ナトリウムが侵入すると、細胞膜の電圧は-90mVの静止膜電位から+75mVまで急速に跳ね上がる。筋活動電位の持続時間はおよそ2~4ms、絶対不応期はおよそ1~3ms、筋に沿った伝導速度はおよそ5m/sである。この極性の変化によって、今度は筋細胞が収縮する。
【0276】
平滑筋細胞の収縮と弛緩は通常、自発的な電気活動、神経やホルモンの入力、化学組成の局所的変化、伸張などの複数の入力の影響を受ける。これとは対照的に、骨格筋や心筋細胞の収縮活動は、単一の神経入力に依存している。平滑筋細胞の種類によっては、活動電位を自発的に発生させることができ、それは通常、ペースメーカー電位または徐波電位に続いて起こる。しかし、収縮の速度と強さは、自律神経系からの外部入力によって調節することができる。自律神経ニューロンは、平滑筋組織を通して運動単位を形成する、静脈瘤と呼ばれる一連の軸索様膨隆を構成することがある。小胞は、筋細胞に信号を伝達するための神経伝達物質を含む小胞からなる。自律神経ニューロンは、例えば、腎動脈壁の筋肉反応を誘発し、腎動脈の流路抵抗に影響を与える収縮または弛緩を引き起こす。交感神経刺激(ノルエピネフリン)は、標的細胞(すなわち平滑筋細胞)がα-アドレナリン受容体を持つかβ-アドレナリン受容体を持つかによって、ある血管は収縮し、他の血管は拡張することが観察されている。交感神経系はまた、活動電位の発火頻度を変えるだけで、血管を収縮させたり拡張させたりすることができる。発火頻度を上げると平滑筋が収縮して血管を収縮させ、逆に発火頻度を下げると平滑筋細胞が弛緩して血圧が血管を拡張させる。
【0277】
上述した筋肉細胞、すなわち心筋細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞は、電極による電気刺激のような外部刺激に反応することが知られている。神経を介した刺激と筋組織への直接的な電気刺激とは区別することができる。神経を介した刺激の場合、実際の筋組織から離れた位置で神経に電気信号を供給することもできるし、体内の神経のアクセス性や伸張性に応じて筋組織で電気信号を供給することもできる。刺激装置110、120、および例えば図4~7に関連して上述した信号減衰装置は、血管運動緊張に影響を与えるために、筋肉組織への直接刺激と神経を介して伝達される刺激の両方を採用することができる。
【0278】
筋肉組織を直接刺激する場合、電気信号は腎動脈20の細胞と直接または密着して配置された電極によって筋肉細胞に供給される可能性がある。しかし、繊維組織や神経などの他の組織が電極と筋肉組織との間の界面に存在することももちろんあり、その結果、他の組織も電気刺激の対象となることがある。
【0279】
本出願の文脈において、様々な態様および実施形態に関連して議論される電気刺激は、植え込み可能な医療装置と直接または間接的に接触する組織に提供され得る。好ましくは、電気刺激は、植え込み可能な狭窄装置と組織との間の界面または接触面に配置された1つまたは複数の電極要素によって提供される。したがって、組織を運動させるための電気刺激は、本開示の観点からは、組織への直接刺激とみなすことができる。特に、間接刺激または神経刺激と呼ばれ得る、神経によって距離を越えて伝達される刺激と対照的である。
【0280】
以下では、植え込まれた電極素子と身体の組織との間の相互作用について説明する。この議論は、腎動脈20の血管拡張を誘導するための電気刺激と、長期間の植え込み医療機器の存在によって引き起こされる劣化の影響を軽減するために組織を運動させるための信号減衰、電気感知、電気刺激の両方に適用することができる。
【0281】
植え込まれた電極素子と身体の組織との間の相互作用は、組織と電極素子との接合部における特性によって、かなりの程度まで決定されることが観察されている。電極要素(他の材料も同様に考えられるが、以下では「金属」と呼ぶ)の活性導電性表面は、金属-組織界面(図9cに開示されているような)をもたらす被覆されていないか、ある種の誘電材料(図9dに開示されているような)で絶縁されているかのいずれかである。電極素子の被覆されていない金属表面は、裸電極と呼ばれることもある。組織との電気的相互作用はこの界面を介して伝達されるため、電極素子と組織との間の界面は電極素子の挙動に影響を与える可能性がある。実際の組織や接合部に存在する可能性のある電解質など、電極素子を取り囲む生体媒体では、電流は荷電イオンによって運ばれ、電極素子の材料では、電流は電子によって運ばれる。従って、連続的な電流を流すためには、これら2つのキャリア間で電荷を移動させる何らかのメカニズムが必要である。
【0282】
いくつかの例では、電極素子は裸電極であり、刺激される筋組織内または筋組織に植え込まれたとき、金属が周囲の生物学的媒体に露出することがある。この場合、電極素子と組織との間の金属-電解質界面で電荷移動が起こる可能性がある。金属と電解質の間の熱力学的平衡が自然に保たれようとするため、界面を横切って電圧が確立され、電解質からイオンが引き寄せられ、秩序化されることがある。金属表面のこの帯電したイオンの層は「二重層」と呼ばれ、物理的に電極の静電容量の一部を占めることがある。
【0283】
したがって、電極素子では容量性ファラデーシス過程の両方が起こる可能性がある。ファラデー過程では、金属-電解質界面を横切る荷電粒子の移動が、主な電流移動メカニズムであると考えられる。したがって、ファラデー的プロセスでは、一定の電流を流した後、電極の電荷、電圧、組成は一定の値になる傾向がある。その代わり、容量性(非ファラデーシス)プロセスでは、電荷は金属表面に徐々に蓄積され、電流移動は一般的に界面を充電することで通過できる量に制限される。
【0284】
いくつかの例では、電極素子は、裸の電極部分、すなわち、電極素子が移植されたときに電極素子と組織との間に導体-組織界面が提供されるように、組織に面する被覆されていない表面部分を有する電極から構成され得る。これにより、主にファラデー的な電荷移動プロセスによって電気信号が組織に伝達される。ファラデー的な電荷移動プロセスは容量的な電荷移動プロセスよりも効率的である傾向があるため、裸電極は電力消費の観点から有利であると考えられる。したがって、裸電極を使用することで、所定の消費電力に対して組織に伝達される電流を増加させることができる。
【0285】
いくつかの例では、電極素子は、電極が植え込まれたときに筋組織と誘電体-組織界面を形成するように、少なくとも一部が誘電体材料で覆われている部分を含んでいてもよい。このタイプの電極素子は、電気信号の筋組織への伝達を、主に容量性、すなわち非ファラディックにすることができる。ファラデー的な電荷移動にはいくつかの問題があるため、これは裸の電極に関連するファラデー的なプロセスよりも有利な場合がありる。ファラデー的電荷移動に関連する問題の例としては、金属の酸化、水の電気分解、生理食塩水の酸化、有機物の酸化などの望ましくない化学反応がある。水の電気分解はガスを発生させるため、ダメージを与える可能性がある。生理食塩水の酸化は、さまざまな化合物を生成する可能性があり、中には有毒なものもある。金属の酸化は、金属イオンや塩を組織内に放出する可能性があり、危険である。最後に、電極素子が直接組織を刺激している状況での有機物の酸化は、有毒な化学生成物を生成する可能性がある。
【0286】
誘電体材料で少なくとも部分的に覆われた電極を使用することによって達成することができる。好ましくは、誘電体材料はできるだけ高い静電容量を持つように選択され、界面を流れる電流を主に容量性に制限する。
【0287】
本開示では、いくつかのタイプの電極素子を組み合わせることができる。電極要素は、例えば、組織との界面を形成する板状の活性部分からなる、図9aに示すような板状電極とすることができる。他の例では、電極は、組織と電気的に接触させることができる導電性ワイヤで形成された、図9bに示されるようなワイヤ電極であり得る。さらなる例としては、図8cおよびdに示すような針状またはピン状の電極が挙げられ、筋組織に取り付けられるか、筋組織内に挿入されることができる先端を有している。電極は、例えば、電気的絶縁と保護のためにエポキシ樹脂で包まれ、筋組織と接触するための金線または接触パッドで構成される。
【0288】
好ましくは、電極は、医療用インプラントによって及ぼされる機械的な力によって影響を受ける、または受けるおそれのある組織の部分に電気信号を伝達するように配置される。したがって、電極素子は、植え込まれた装置と、植え込まれたときに装置が静止するように配置された組織との間に配置されていると考えることができる。
【0289】
医療機器または電極配置の操作中、電気信号が筋細胞に収縮と弛緩を繰り返させることがある。このような細胞の働きは運動と呼ばれ、組織の劣化や損傷を防ぐという点で良い影響を与える可能性がある。さらに、この運動は、医療用インプラントが発生させる圧力や機械的な力に対する組織の耐性を高めるのに役立つ可能性がある。しかし、収縮の程度または振幅は、腎動脈20の流れ抵抗に実質的な影響を及ぼさないレベルまで減少させることができる。したがって、運動目的で誘発される収縮および弛緩は、血圧に影響を与える目的で誘発される血管拡張よりも小さくてもよい。あるいは、あるいは追加的に、運動は比較的高い頻度で収縮と弛緩を行い、血管が再び弛緩する前に血管内の血管抵抗に影響を与える程度まで収縮するのを妨げることができる。
【0290】
組織を運動させるための電気信号は、図11に関連して上述した制御装置150などの制御装置によって生成されてもよい。制御装置150は、組織が一連の電気パルスによって刺激されるように電気刺激を制御するように構成され得る。パルスは、第1の極性のパルスに続いて第2の極性を反転させたパルスからなる場合があり、生成されるパルス状の電気刺激信号は、0.01~150Hzのパルス周波数からなる。一例として、電気刺激信号は0.01~100msのパルス持続時間と1~15mAのパルス振幅からなる。組織を運動させるための電気信号の特性例については、図15図16を参照して後述する。
【0291】
コントローラは、刺激を制御するため、または植え込み可能な医療装置の長期植え込み条件を改善するために筋肉組織を運動させるための刺激ルーチンをプログラミングするために、直接または植え込み可能なコントローラの受信機を介して、無線遠隔制御からの入力を受信するように構成することができる。刺激ルーチンのプログラミングは、例えば、刺激の周波数のプログラミング、刺激の電流および/または電圧のプログラミングであり得る。
【0292】
使用される電極のタイプや提供される刺激のタイプ(すなわち、血管収縮/血管拡張、信号減衰、または組織を運動させる目的)に関係なく、ファラデー的メカニズムと容量性メカニズムの両方が同時に存在する可能性があることが理解されよう。したがって、容量性電荷移動は金属-組織界面を形成する裸電極にも存在し、ファラデー性電荷移動は誘電体-組織界面を形成する被覆電極にも存在する。電気信号のパルスの持続時間を短くすることで、筋肉組織に供給される電流のファラデー性部分を減少させるか、あるいはなくすことができることがわかった。パルスの持続時間を短くすることは、ファラデー電流ではなく、容量性電流として界面を通過できる信号の部分を増加させる効率的な方法であることが判明した。その結果、短いパルスは電極や組織へのダメージを少なくすることができる。
【0293】
電流の容量性部分は、電気信号の電流パルスの振幅を減少させることにより、ファラデー性部分に対してさらに増加させることができる。電流を減少させることにより、電極と組織との間の界面における化学反応を減少または抑制することができ、それによって、そのような反応によって生成される化合物およびイオンによって引き起こされる可能性のある潜在的な損傷を減少させることができる。
【0294】
一例として、電気刺激は、電気信号の正のパルスに続いて負のパルス(または、別の言い方をすれば、第1の極性のパルスに続いて第2の逆極性のパルス)が、好ましくは同じ振幅および/または持続時間で続くように制御することができる。有利なことに、後続の負(または逆)パルスは、第一の正パルスに応答して界面で起こる化学反応または変化を逆転させるか、少なくとも中程度に抑えるために使用することができる。逆パルスを発生させることで、電極と筋肉組織の界面における電極および/または組織の劣化のリスクを低減することができる。
【0295】
図15は、上述したように、電極-組織インターフェースを介して筋肉組織を電気的に刺激し、それによって筋肉組織を運動させるために電極に印加されるパルス電気信号の例を示す。電気信号は、(図11を参照して説明したように)体外に配置されたコントローラまたは体内に埋め込まれたコントローラによって生成することができる。電気信号の特性は、電極-組織界面における電気的特性および組織の実際の反応に基づいて選択および変化させることができる。筋細胞に与えられる電気刺激は、組織における電極素子の構成や配置、界面における繊維性物質の存在、界面における電解質の組成、電極表面における非導電性物質の蓄積など、いくつかの要因に依存する可能性がある。したがって、本図に示すような電気信号の特性を、被刺激組織からの観察されたまたは推定された応答に基づいて選択し、変化させることが提案される。
【0296】
本実施例では、電気信号は矩形波PL1、PL2、PL3、PL4からなるパルス信号である。しかし、他の形状のパルスを採用してもよい。パルス信号は、図示のように周期的であってもよいし、断続的(すなわち、パルスのない期間で区切られた複数の一連のパルス)であってもよい。パルスは振幅Aを持つことがあり、これはボルト、アンペアなどで測定することができる。同様に、信号が周期的である場合、パルス信号は信号の周波数に対応する周期Fを有する。さらに、パルスは、基準に対して正または負のいずれかであってもよい。
【0297】
パルス周波数は、例えば、0.01~150ヘルツの範囲内にある。より具体的には、パルス周波数は0.1~1ヘルツ、1~10ヘルツ、10~50ヘルツ、50~150ヘルツの範囲の少なくとも1つに含まれる。平滑筋組織のペースメーカー細胞に関連する徐波電位を模倣または増強するために、比較的低いパルス周波数を採用することができることが観察されている。したがって、このような用途には、0.01~0.1Hzや1Hz以下の周波数、数Hzといった比較的低いパルス周波数を使用するのが有利であろう。
【0298】
パルス持続時間は例えば0.01~100ミリ秒、例えば0.1~20ミリ秒(ms)、好ましくは1~5msの範囲内である。自然な筋活動電位は約2~4msであることがいくつかの研究で観察されているので、その範囲を模倣したパルス持続時間を使用するのが有利である。
【0299】
振幅は例えば1~15ミリアンペア(mA)の範囲内にあり、例えば0.5~5mAの範囲では、いくつかの研究で特に良好な筋収縮反応が観察されている。
【0300】
好ましい具体例では、パルス周波数10Hz、パルス時間3ms、振幅3mAのパルス信号を用いて電気刺激を行う。
【0301】
図16はパルス信号の一例を示しており、振幅が徐々に増加するビルドアップ期間X1、筋組織が収縮刺激信号に曝される刺激期間X2、振幅が徐々に減少するランプダウン期間X3、および新たなビルドアップ期間が開始される前の刺激休止期間X4からなる。ビルドアップ期間は例えば0.01~2秒、刺激期間は1~60秒、ランプダウン期間は0.01~2秒、刺激休止期間は0.01~60秒とすることができる。パルス周波数は例えば1~50Hz、パルス持続時間は0.1~10ミリ秒、刺激期間中の振幅は1~15ミリアンペアとすることができる。骨格筋組織への刺激は、例えば周波数50Hz、持続時間100μ秒のパルスを用いて行うことができる。電流振幅は1、2.5、7.5または10mAである。特に、0.5~5.0mAの範囲で所望の筋収縮反応が実験的に観察されている。本実施例では、コイル状電極を陰極として使用することができる。別の設計例としては、らせん状に配置された多撚り線がある。これらは、腎動脈20のような管腔臓器の筋壁に植え込むことができ、任意の所望のパターンで刺激することができる。刺激パラメータは、例えば、3~5mA/cm2の電流密度で、0.1~5ms持続する、10~40Hzの二相性パルスとすることができる。
【0302】
次に、医療用インプラントと患者の組織または流れる血液との接触によって生じるフィブリン生成を緩和するための技術を、図18~21を参照して説明する。以下において言及される「医療用インプラント」または「植え込み可能な医療用デバイス」とは、図1~17に関連して上述したデバイスのいずれかを意味する。したがって、以下に説明するフィブリン生成を緩和するためのコーティングは、図4、5、6、8に開示されるような刺激装置110、図6、7、8に開示されるような信号減衰装置120、および図12A~D、13、14に開示されるようなセンサー、本明細書に開示されるような高血圧に罹患している患者を治療するためのシステムの他の要素または一部に実施することができる。
【0303】
人体に移植されたすべての異物は、必然的に炎症反応を引き起こす。つまり、このプロセスは、移植された医療器具が即座に自発的に宿主タンパク質の層を獲得することから始まる。血液タンパク質で修飾された表面は、細胞の接着を可能にし、単球とマクロファージが医療用移植片の表面で相互作用することを可能にする。マクロファージは線維化を調節するタンパク質を分泌し、異物の周囲に線維化カプセルを形成する。実際には、線維化カプセルは過剰な線維性結合組織の密な層である。腹部に留置された医療機器では、線維化カプセルは一般的に約0.5mm~2mmの厚さに成長し、実質的に非弾性で密度が高い。
【0304】
インプラントが異物であるため、またインプラントが身体の組織および/または体内を流れる血液と機械的に相互作用するため、身体は医療用インプラントに反応する傾向がある。患者の組織に医療機器や生体材料を埋め込むと、身体の異物反応(FBR)が誘発されることがある。FBRは、異物巨細胞の形成とインプラントを包む線維性カプセルの発達をもたらす。インプラントを宿主から隔離する高密度の線維性カプセルの形成は、インプラント失敗の一般的な根本原因である。血流中に医療機器や生体材料を埋め込むと、血流中の特定の細胞が引き寄せられるため、線維性カプセルが形成されることもある。
【0305】
インプラントは、フィブリン形成により血液凝固を引き起こし、患者に合併症を引き起こす可能性がある。インプラントが血液と接触したり、体内に留置されたりすると、細菌感染を引き起こす可能性もある。
【0306】
血栓ができるのを防ぐ一般的な方法のひとつは、さまざまな種類の血液希釈剤を使うことである。よく使われる血液サラサラ薬のひとつにヘパリンがある。しかし、ヘパリンには望ましくない副作用がある。
【0307】
フィブリンは、出血に反応して部分的に産生される不溶性タンパク質で、血栓の主成分である。フィブリンは、肝臓で産生され血漿中に存在する可溶性タンパク質であるフィブリノゲンによって形成される。組織の損傷により出血が起こると、フィブリノゲンは傷口で凝固酵素であるトロンビンの作用によりフィブリンに変換される。フィブリンは血小板とともに、創傷部位の上に止血栓または血栓を形成する。
【0308】
フィブリノゲンからフィブリンが形成される過程は、血小板が引き寄せられることから始まる。血小板はその表面にトロンビン受容体を持っており、血清トロンビン分子と結合する。これらの分子は可溶性フィブリノゲンをフィブリンに変換する。フィブリンはその後、血小板に結合した丈夫で不溶性のタンパク質の長い鎖を形成する。フィブリンはその後架橋され、硬化し収縮する。これは、ヒトの血液中に存在する酵素である第XIII因子によって可能になる。
【0309】
図17A~Cは血管が損傷したときに起こる反応を説明する。血管700が損傷し、傷710が現れる。血液には多くの異なる細胞や粒子、例えば赤血球720や血小板730が含まれている。傷710が現れると、赤血球720と血小板730が傷710に集まり始める。血小板730の表面にあるトロンビン受容体により、フィブリン鞘740が形成され始め、最終的に出血を止める血栓が形成される。
【0310】
異物反応によってフィブリンが生成されることもある。体内に異物が検出されると、免疫系はその異物に引き付けられ、分解しようとする。この分解がうまくいかないと、線維芽細胞の包皮が作られ、身体を異物から隔離するための物理的バリアが形成される。異物がインプラントの場合、これがインプラントの機能を阻害する可能性がある。
【0311】
インプラントは体内に埋め込まれると、流れる血液と接触する可能性がある。そのため、インプラントの表面に血小板が付着することがある。血小板は、血液中のフィブリノーゲンをフィブリンに変換させ、インプラントの上や周囲に鞘を作ることがある。これにより、インプラントが適切に機能しなくなる可能性があり、また、患者にとって危険な血栓が生じる可能性もある。図12Aのセンサー140のプローブ142は、体内に植え込まれたときに流れる血液と接触するインプラントの一例である。
【0312】
流れる血液に接触していないインプラントでも、フィブリンが生成されることによって誤作動を起こすことがある。この場合、異物反応が誤作動の根本的な要因である可能性がある。さらに、人体への異物の移植は炎症反応を引き起こすことがある。この反応は一般に、異物が線維性結合組織の比較的密な層に包まれるまで持続し、人体を異物から保護する。このプロセスは、インプラントが即座に、そして自然に宿主タンパク質の層を獲得することから始まるかもしれない。血液タンパク質で修飾された表面は、細胞が表面に付着することを可能にし、単球とマクロファージがインプラント表面で相互作用することを可能にする。マクロファージは線維化を調節するタンパク質を分泌し、異物、すなわちインプラントの周囲に線維化カプセルを形成する。実際には、線維化カプセルは過剰な線維性結合組織の緻密な層で形成されることがある。線維化カプセルの非弾性的な特性は、インプラントの硬化、締め付け、変形、歪みを引き起こし、ひどい場合には再手術に至ることもある。
【0313】
体内に植え込まれるあらゆるインプラントがフィブリン鞘の形成を誘発する可能性がある。フィブリン鞘の形成を誘発する可能性のあるインプラントの一例は、図12aに示すセンサー140のプローブ142であり、このプローブ142については、図18~19dに関連して一例として説明する。しかしながら、プローブ142は、流れる血液に接触しているか、または流れる血液に接触していない、任意の植え込み可能な医療機器であってもよい。
【0314】
センサ140は、腎動脈または他の血管などの血管内に配置され、血管内の圧力および/または血流を測定することができる。血流中に配置されたセンサ140の一部(本図では参照数字100で示す)の表面には、血栓が形成される可能性がある。この危険性は、センサー100が流れる血液と接触することから生じ、またCVKを配置する際に静脈に生じる外傷に起因することもある。図18は、センサ10の一部およびその周囲に形成されたフィブリン鞘740を有する血管700内に配置されたセンサ140であるインプラント100を示す。鞘740は、インプラント100の誤作動を引き起こし、さらに患者に有害な血栓を形成する可能性がある。血栓の形成には、図19a~19dに描かれているように、いくつかの段階があり得る。図19aは、図14に示す腎動脈20のような血管700内のセンサプローブ140上に形成されたフィブリン鞘740を示す。図19bでは、鞘はさらに管腔内血栓740に発達している。図19cでは、血栓は血管の片側につながって壁血栓740を形成している。そして図19dでは、血栓は血栓症740に達している。
【0315】
前述のように、センサプローブ140が例として用いられている。フィブリンシース740は、任意の植え込み可能な医療器具100上に作成することができ、その後、器具10の機能を阻害する器具100の特定の必要な部分を覆うことができる。
【0316】
体内に挿入されるインプラントや生体材料もまた、様々な種類の感染症を引き起こす可能性がある。インプラントに関連した感染症につながる細菌のコロニー形成は、多くの種類のインプラントで知られている問題である。例えば、皮膚常在菌であるブドウ球菌や黄色ブドウ球菌は、インプラントのような異物に定着する傾向があり、感染症を引き起こす可能性がある。黄色ブドウ球菌の問題点は、インプラント周囲にバイオフィルムを形成し、外部環境から細菌のニッチを封じ込めることである。このため、宿主の防御システムが細菌を処理することが難しくなる。インプラントによる感染を引き起こす細菌とそのプロセスの例は他にもある。
【0317】
図20は、インプラント表面750と、表面750上に配置されたコーティング760とを備える植え込み可能な医療装置またはインプラント100を示す。コーティング760は抗菌性および/または抗血栓特性を有するように構成することができる。植え込み可能な医療器具の用途によっては、これらの効果の一方または両方が有利な場合がある。コーティング760は、植込み型医療装置100が挿入される宿主体との直接接触から表面750を遮蔽するように表面750上に配置することができる。
【0318】
植え込み型医療装置100は、例えば、図4~6および11に示す刺激装置110、図6,7および11に示す信号減衰装置120、および図11~14に示すセンサー140のような、高血圧を治療するためのシステムの要素または一部であってもよい。そして、コーティング760は、好ましくは腎動脈などに面する、または血流と接触する(血管内に配置される場合のセンサー140など)これらの装置のいずれかの表面に配置することができる。
【0319】
コーティング760は、生体材料の少なくとも1つの層を含んでもよい。コーティング760は、抗血栓性の材料から構成されてもよい。コーティング760はまた、抗菌性を有する材料から構成されてもよい。コーティング760は、表面750に化学的に付着させることができる。
【0320】
図21は、少なくとも部分的に中空のインプラント本体100からなる例示的な植え込み可能医療装置またはインプラント100を示す。本体100は、例えば、図12aに示すセンサー140のプローブ142、または図5~7または13A~Bに示すカフなどの保持構造を形成することができる。インプラント100の複数の表面は流れる血液と接触する可能性があるため、第1のコーティング760aおよび第2のコーティング760bで構成することができる。コーティング760aおよび760bは類似していてもよいし、異なる特性を有していてもよい。インプラント100がどのように配置されるかに応じて、コーティング760aおよび760bは、体内の異なる部分または液体と接触する可能性があり、したがって、類似の材料または異なる特性を有する材料のいずれかで構成される可能性がある。あるいは、例えば腎動脈の外側に配置される場合、内側表面は腎動脈の外壁に接し、外側表面は腎動脈の周囲組織と接触することがある。
【0321】
図22は、表面750を有する例示的な植え込み可能医療装置またはインプラント100を示す。植え込み可能な医療装置100は、表面上に配置された複数のコーティング760a、760b、760cからなる。インプラント100は、任意の数のコーティングからなることができ、図22の特定の実施形態は、3層のコーティング760a、760b、760cを開示している。第2のコーティング760bは、第1のコーティング760a上に配置されている。異なるコーティング760a、760b、760cは、フィブリン鞘形成または細菌が表面750に集まることのいずれかを防止するために、異なる特徴を有する異なる材料から構成され得る。一例として、第1のコーティング760aは、表面に化学的に付着したパーフルオロカーボンの層で構成されてもよい。第2の被膜760bは、第1の被膜760a上に配置された液状のパーフルオロカーボン層から構成されてもよい。パーフルオロカーボンは、様々な分野で医薬用途に使用されており、コーティング層として使用するのに有利であると考えられる。
【0322】
コーティングは、抗血栓性、抗血小板性、抗菌性を有するあらゆる種類の物質からなることができる。このような物質には、ソルターゼA、パーフルオロカーボンなどがある。
【0323】
図に関連して示したコーティングは、抗菌性または抗血栓性のある特定の材料からなる植え込み可能な医療器具と組み合わせることもできる。例えば、ある種の金属は抗菌性を示す。インプラント、または少なくともインプラントの表面がそのような金属でできている場合、細菌感染を減らすために有利である。医療用インプラントまたはインプラントの表面は、他の適切な金属または材料で作られていてもよい。例えば、表面は、以下の金属のいずれか、または以下の金属の組み合わせからなることがある:チタン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、スズまたは鉛。
【0324】
植え込み可能な医療器具は、フィブリン鞘の形成や細菌の炎症を防ぐために、徐放性の抗線維化薬や抗菌薬でコーティングすることもできる。フィブリンや炎症の発生を防ぐために、薬物や医薬品を表面にコーティングし、インプラントからゆっくりと放出されるように配置することもできる。また、薬剤を体内に投与し、フィブリンの生成を防ぐために、薬剤をゆっくりと崩壊する多孔性または可溶性の材料で覆うこともできる。薬物は、従来の抗線維化薬や抗菌薬であってもよい。
【0325】
図23aおよび23bは、インプラントの表面750上の異なるマイクロパターンを示す。組織または血液の適合性を改善するために、インプラント材料の物理的構造を変更または制御することができる。インプラントの表面750に特定のトポグラフィーを形成することで、フィブリンの生成や炎症反応を抑制することができる。図23aはシャークスキンの特徴を模倣したマイクロパターンの例である。マイクロパターンは、インプラント100の表面750に多くの異なる形状、多くの異なるくぼみまたは凹みの深さを有することができ、他のコーティングを補完するか、または単独で使用することができる。図23bには、マイクロパターンの別の例が開示されている。
【0326】
マイクロパターンは、例えば、体内に挿入する前に植え込み可能な医療装置100の表面750に刻印またはエッチングすることができる。植え込み可能な医療装置100の表面は、例えば金属で構成されていてもよい。これは例えば、刺激装置110および信号減衰装置120の電極要素の場合である。表面は、例えば、以下の金属のいずれか、または以下の金属の組み合わせから構成されてもよい:チタン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、スズまたは鉛。これらの金属は抗菌性が証明されており、宿主の体内に挿入されたときにインプラントがより確実に機能するという点で有利である可能性がある。
【0327】
上述したように、システムは、電極配置に通電し、それによって腎動脈が電気刺激信号によって刺激されるようにするために必要なエネルギーを供給するためのエネルギー源を含んでいてもよい。図24Aは、電極配置に通電するように構成された植え込み可能なエネルギー受信機241と、エネルギー受信機241にワイヤレスでエネルギーを伝達するように構成されたエネルギー源242とを備えるシステムの図示例を示す。このシステムは、図4~8または11のいずれかに開示されたシステムのような、高血圧を患う患者を治療するための上述のシステムのいずれかと同様に構成することができる。したがって、図24Aは、腎動脈20を示し、この腎動脈20には、腎動脈20の血管運動調子に影響を及ぼすように動作可能な電極配置112a、122aからなる刺激装置110が取り付けられている。刺激装置110は、電気刺激信号を組織に伝達するために、腎動脈20の一部の外壁の組織と機械的に係合するように構成された、または組織に対して静止するように配置された、複数の接触部分112a、122a'、または電極要素から構成され得る。電極要素122a、122a'は、図5に示すものと同様のカフ部分126の内面上に配置されてもよいし、外壁上に直接取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、電極要素122a、122a'の一部は、刺激信号を送達することが望まれない身体の一部に刺激信号が伝播するのを妨げるために、上記で概説したように、減衰信号を送達するように構成されてもよい。さらに、図24Aに示されるように、システムは、刺激装置110に動作可能に接続され、電極配置112a、122a'によって送達される電気刺激信号(および、任意に、減衰信号)が所望の血管拡張を引き起こすように刺激装置110の動作を制御するように構成された制御ユニットを含んでいてもよい。
【0328】
エネルギー受信器241は、例えば、エネルギーを誘導的に受信するように構成されたコイル配置から構成されてもよく、患者の体内に植え込まれてもよい。図24Aの本実施例では、エネルギー受信機241は、制御ユニット114、124の一方または両方に統合されていてもよい。しかしながら、他の配置も可能であり、その場合、例えばエネルギー受信器241は、制御ユニット114、124とは異なる位置に植え込むことができる別個の素子として配置される。後者の場合、受信されたエネルギーは、エネルギー受信器241と制御ユニット/電極配置との間に延びる有線接続によって、制御ユニット114、124または電極配置112a、122a'に伝送され得る。
【0329】
エネルギー源242は、体内に埋め込み可能であってもよいし、体外に配置されていてもよい。エネルギー受信機241と同様に、エネルギー源242は、エネルギー源242からエネルギー受信機241に無線でエネルギーが伝達される誘導ベースで作動するように構成されてもよい。したがって、エネルギー源は、エネルギー受信機241への誘導結合を可能にするコイル配置を含んでいてもよい。エネルギ源242はさらに、要求に応じて転送するための電気エネルギを蓄積するための、一次電池または二次電池などのエネルギ蓄積部を含んでいてもよいことが理解されよう。エネルギー源242が体内に埋め込まれている場合、非充電式電池は交換のために外科的処置を必要とする可能性があるが、充電式電池は体外に配置された充電源から無線/誘導的に充電することができる。有益なことに、後者では、外科的処置を必要とせずにエネルギー源242を再充電することができる。
【0330】
さらに、又は代替的に、システムは、制御指示を刺激装置110に無線送信するように構成された制御ユニットを含んでいてもよい。制御ユニットは、患者の体外に配置されるように構成された体外部242と、患者に植え込まれるように構成された体内部241とを備えることができる。内部部品241及び外部部品242は、例えば高周波信号又は誘導信号によって互いに無線通信するように構成されていてもよい。図24aに示された内部部品241ならびに外部部品242は、以前の実施形態に関連して上述されたものと同様の制御ユニットを形成してもよく、いくつかの実施形態では、それらが上述されたエネルギー受信器241およびエネルギー源242に構造的に一体化されてもよいことが理解されよう。内部外部部品241から外部部品242へのデータの無線送信は、例えば、インプラントまたは患者の機能パラメータまたは状態パラメータを示すセンサ値に関する場合がある。このようなパラメータの例としては、例えば、植え込まれたエネルギー源の温度、または植え込まれたシステムの別の部分もしくは患者の身体が挙げられる。さらなる例には、腎動脈の血管拡張、患者の血圧、または刺激装置110によって供給される電気刺激信号によって引き起こされる神経反応を示す情報が含まれる。内部及び外部部品241、242はさらに、充電容量、充電状態など、システムの植え込まれたエネルギー源の状態に関連するデータを送信するように構成されてもよい。
【0331】
例えば図24aおよび図11に関連して述べたように、植え込み可能な装置を制御するために、制御装置すなわち制御ユニット140が設けられることがある。制御は、植え込み可能な装置および機能との間および/または植え込み可能な装置および機能からの、センサ値、動作パラメータおよび同上命令などのデータの伝送を必要とする場合がある。以下では、このような通信の様々な態様および例について説明する。次に、このようなコントローラの機能および効果を、図24a図24fを参照して説明する。図24a図24fを参照して説明されるコントローラの特徴は、本明細書で開示される植込み型装置の実施形態のいずれにも実装され、組み合わせることができる。その特徴は、例えば、図4~6、8および11に示す刺激装置110、図6~8および11に示す信号減衰装置120、160、および図13A~Bに示すセンサ140に実装され、またはこれらと組み合わされてもよい。
【0332】
先の図に示した制御ユニットなどのコントローラは、プロセッサとも呼ばれる内部演算ユニットで構成される場合がある。また、コントローラは、以下に説明するように、通信ユニットと、データの検証、認証、および暗号化を含む通信機能を実行するための回路とを含んでいてもよい。
【0333】
コントローラは、有線トランシーバ、無線トランシーバ、エネルギー蓄積ユニット、エネルギー受信機、演算ユニット、メモリ、またはフィードバックユニットなどの通信関連サブユニットの集合体から構成されてもよい。コントローラのサブユニットは、互いに協力してもよいし、異なる目的で独立して動作してもよい。コントローラのサブユニットは、接頭辞「internal」を継承する場合がある。これは、植え込まれたコントローラと外部装置の両方に同様のサブユニットが存在する可能性があるため、これらのサブユニットを外部装置のサブユニットと区別するためである。外部装置のサブユニットも同様に、接頭辞「external」を継承する場合がある。
【0334】
ワイヤレストランシーバは、ワイヤレス送信機とワイヤレス受信機の両方から構成される場合がある。無線トランシーバは、第1の無線トランシーバと第2の無線トランシーバから構成されることもある。この場合、無線トランシーバは、(第1の無線トランシーバを使用する)第1の通信システムおよび(第2の無線トランシーバを使用する)第2の通信システムの一部であってもよい。
【0335】
一部の実施形態では、例えばインプラントの1つの無線トランシーバと、例えば外部装置の1つの無線トランシーバ(すなわち、インプラントの1つのアンテナと外部装置の1つのアンテナ)を使用して2つの通信システムを実施することができるが、例えば、外部装置からインプラントへのデータ伝送に使用されるネットワークプロトコルは、インプラントから外部装置へのデータ伝送に使用されるネットワークプロトコルとは異なるため、2つの別個の通信システムが実現される。
【0336】
代替的に、ワイヤレストランシーバは、ワイヤレストランシーバの双方向通信機能を必要としないため、本明細書で議論されるセキュアワイヤレス通信のすべての実施形態がワイヤレストランシーバの双方向通信機能を必要とするわけではないので、ワイヤレストランシーバは、ワイヤレス送信機またはワイヤレス受信機のいずれかとして参照され得る。ワイヤレストランシーバは、ワイヤレス接続を介してワイヤレス通信を送信または受信することができる。無線トランシーバは、インプラントおよび外部装置、すなわち患者に植え込まれていない装置の両方に接続することができる。
【0337】
無線接続は、無線周波数識別(RFID)、近距離電荷(NFC)、ブルートゥース、ブルートゥース低エネルギー(BLE)、または無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)に基づいてもよい。無線接続はさらに、1G、2G、3G、4G、または5Gなどのモバイル電気通信レジームに基づいてもよい。無線接続はさらに、振幅変調(AM)、周波数変調(FM)、位相変調(PM)、直交振幅変調(QAM)などの変調技術に基づいてもよい。ワイヤレス接続は、時分割多重アクセス(TDMA)、周波数分割多重アクセス(FDMA)、または符号分割多重アクセス(CDMA)などの技術をさらに備えてもよい。無線接続は、赤外線(IR)通信に基づくこともできる。無線接続は、高周波数帯域(HF)、超高周波数帯域(VHF)、超高周波数帯域(UHF)、および本質的に電磁波通信に適用可能な他の任意の帯域の無線周波数を特徴としてもよい。無線接続はまた、電磁波に依存しない少なくとも1つの例を挙げると、超音波通信に基づいてもよい。
【0338】
有線トランシーバーは、有線送信機と有線受信機の両方で構成されることがある。有線トランシーバーという表現は、無線トランシーバーと区別することを目的としている。一般に、有線トランシーバーは導電性トランシーバーとみなされる。有線トランシーバーは、導電性接続を介して導電性通信を送受信することができる。導電接続は、電気接続または有線接続と呼ばれることもある。しかし、有線という表現は、通信を行うために物理的なワイヤが必要であることを意味するものではない。患者の身体組織を電線とみなしてもよい。導電性接続では、患者の身体を導体として使用することができる。導電性接続でも、少なくともある程度は金属などのオーミック導体を使用することができ、より具体的には、有線トランシーバーと選択された導体との間の界面で使用することができる。
【0339】
通信は、伝導性であれ無線であれ、デジタルまたはアナログと理解される。アナログ通信では、メッセージ信号はアナログ形式、すなわち連続時間信号である。デジタル通信では、通常はデジタルデータ、すなわち情報を含む離散的な時間信号が送信される。
【0340】
コントローラは、感覚ジェネレータで構成される。感覚発生器は、感覚を発生させる装置またはユニットである。生成される感覚は、患者が装置、接続または通信を認証するための行動をとることができるように、患者が体験できるように構成されることがある。感覚発生器は、単一の感覚又は複数の感覚構成要素を発生するように構成されることがある。感覚又は感覚構成要素は、振動(例えば、一定周波数の機械的振動)、音(例えば、一定周波数の機械的振動の重ね合わせ)、光信号(例えば、赤外線パルスなどの非可視光パルス)、光信号(例えば、可視光パルス)、電気信号(例えば、電流パルス)又は熱信号(例えば、熱パルス)から構成されてもよい。感覚発生器は、植え込み型であってもよいし、患者の皮膚に接触して装着するように構成されていてもよいし、ビープ音アラームのように患者と物理的に接触することなく感覚を発生させることができるものであってもよい。
【0341】
感覚発生器により発生される感覚は、触覚、圧力、痛み、熱さ、冷たさ、味覚、嗅覚、視覚、聴覚の中から、患者の感覚機能または感覚によって体験できるように構成することができる。感覚は、患者の感覚の変化に適応するように、パワーや力を変化させて発生させることができる。患者が感覚を経験できるようになるまで、パワーや力を徐々に増加させてもよい。パワーや力の変化はフィードバックによって制御することができる。感覚の強さまたは力は、安全マージン内に収まるように構成することができる。感覚発生装置はインプラントに接続されていてもよい。感覚ジェネレーターはインプラントに内蔵されていても、別個のユニットであってもよい。
【0342】
患者の体内の身体機能を制御するための能動装置またはインプラントのユニットなどのモーターは、振動または音を発生させる感覚発生器としての副次的な機能を提供することがある。モータの振動または音の発生は、モータを特定の周波数で作動させることにより達成される。感覚を発生させるように機能する場合、モーターは、身体の物理的機能を制御する周波数の通常の範囲外で作動することがある。感覚を発生させるように動作するときのモーターのパワーや力も、身体の物理的機能を制御するための通常の範囲から変化することがある。
【0343】
外部装置とは、インプラントが埋め込まれている患者の外部にある装置である。外部装置は、異なる外部装置を互いに分離するために列挙(第1、第2、第3など)することもできる。つ以上の外部装置は、例えばIP(インターネットプロトコル)、またはLAN(ローカルエリアネットワーク)を介して、上述したような有線または無線通信によって接続することができる。有線または無線通信は、任意の適切なIPプロトコル(IPv4、IPv6)またはワイヤレスローカルエリアネットワーク(IEEE 802.11)、ブルートゥース、NFC、RFIDなどの標準ネットワークプロトコルを使用して行われる。有線または無線通信は、独自のネットワークプロトコルを使用してもよい。任意の外部装置もまた、上記に従って有線または無線通信を使用してインプラントと通信することができる。このように、インプラント装置との通信は、有線接続または無線の無線周波数(RF)遠隔測定で達成することができる。インプラントとの通信には、光や超音波を含む他の無線通信方法を使用してもよい。あるいは、体内通信の概念を無線通信に使用してもよく、この場合、身体の導電特性を利用して信号を伝送する、すなわち、インプラントとの導電(容量性またはガルバニック)通信を行う。外部装置とインプラントとの間の導電性通信のための手段は、外部装置とインプラントとの間の「電気的接続」と呼ばれることもある。導電性通信は、外部装置の導電性部材を患者の皮膚に接触させることによって達成することができる。こうすることで、外部装置および/またはインプラントは、他の装置と直接電気的に接続されていることを保証することができる。この概念は、人体に固有の導電性または電気的特性を利用することに依存している。信号は好ましくは、身体または身体機能に最小限の影響を与えるように構成される。導電性通信の場合、これは低電流を使用することを意味する。電流は、外部装置からインプラントへ流れることもあれば、その逆もある。また、導電性通信の場合、各装置は電流を送信または受信するためのトランシーバ部を有することができる。これらは、少なくとも受信した電流を増幅するための増幅器で構成されることがある。電流は、例えば、認証入力、インプラントの操作指示、またはインプラントの操作に関する情報を伝達する信号を含むか、または伝達することができる。
【0344】
あるいは、導電性通信は電気的通信、オーミック通信、抵抗性通信と呼ばれることもある。
【0345】
導電性部材は、外部装置の一体型部品(例えば、装着者の手首に接触するように意図されたスマートウォッチの表面)であってもよいし、スマートフォンの充電ポートやヘッドフォンポートのように、導電性インターレースを使って外部装置に接続できる別個の装置であってもよい。
【0346】
導電性部材は、導電性の体組織を介してインプラントとデータ通信を行うために設置されたあらゆる装置または構造物とみなすことができる。インプラントへのデータ通信は、例えば、導電性部材から患者の体を通して電流パルスを送信し、インプラントの受信機で受信することによって実現することができる。当技術分野で知られている任意の適切な符号化方式を採用することができる。導電性部材は、電池のようなエネルギー貯蔵ユニットを構成してもよいし、接続された外部装置などからエネルギーを受け取ってもよい。
【0347】
導電性インターフェースという用語は、導電性部材と外部装置との間のデータ交換のために構成された任意の適切なインターフェースを表す。導電性部材は、代替的な構成において、無線インターフェース、NFCなどを介して外部装置との間でデータを受信および送信することができる。
【0348】
外部装置は、インプラントと、例えば第2、第3、または他の外部装置などの遠隔装置との間の通信の中継として機能することができる。一般に、外部装置を介して通信を中継する方法は、多数の理由から好ましい場合がある。インプラントの伝送能力が低減され、技術的複雑さ、物理的寸法、およびインプラントが植え込まれる患者への医学的影響が低減される場合がある。また、遠隔装置からインプラントとの直接通信、すなわち中継装置なしの通信は、異なる媒体と異なる通信手段の異なる減衰率を考慮して、より高いエネルギー伝送を必要とする場合があるため、通信がより効率的になる場合がある。より低い送信エネルギーでの遠隔通信は、通信が全く目立たない可能性のある空間領域または容積をより小さくすることができるため、通信の安全性を高めることもできる。このような中継システムを利用することにより、インプラントとの通信と遠隔装置との通信に、それぞれの媒体に最適化された異なる通信手段を使用することがさらに可能になる。
【0349】
外部装置は、インプラントの安全な操作を提供し、患者または他の利害関係者(介護者、配偶者、雇用主など)にインプラントからの情報およびフィードバックを提供するために必要な方法および機能を実行する処理能力またはプロセッサを有する任意の装置であり得る。フィードバックパラメータには、電池の状態、制御装置のエネルギーレベル、液圧構造装置またはセンサーの液位、刺激装置が行った操作の回数、腎動脈の血圧、患者の全身血圧、植え込み可能装置の機能性に関するバージョン番号などが含まれ得る。外部装置は、例えば、患者又は他の関係者が取り扱うスマートフォン、スマートウォッチ、タブレット等の端末であってもよい。外部装置は、患者または他の関係者が扱うサーバまたはパーソナルコンピュータであってもよい。外部装置は、クラウドベースであってもよいし、仮想マシンであってもよい。図面において、患者が取り扱う外部装置は、スマートウォッチ、又は患者の手首に患者が装着するように適合された装置として示されることが多い。これは単なる例示であり、文脈に応じて他のタイプの外部装置も同様に適用可能である。
【0350】
第2の外部装置、第3の外部装置、または別の外部装置など、複数の外部装置が存在してもよい。上記の外部装置は、例えば、インプラントが植え込まれた患者、患者の介護者、患者の医療専門家、患者の信頼できる親族、患者の雇用者または職業上の上司、インプラントまたはその関連機能の供給者または製造者が利用可能であり、制御可能である。外部装置を制御することにより、例えば、インプラントの機能の制御または保護、インプラントの機能の監視、患者のパラメータの監視、インプラントのソフトウェアの更新または修正等のためのオプションを提供することができる。
【0351】
インプラントの供給業者または製造業者による制御下にある外部装置は、制御プログラムの更新および/または指示に関連するデータを含むデータベースに接続されることがある。このようなデータベースは、インプラントの新しい機能性または改善された機能性を提供するため、またはインプラントの以前に検出されなかった欠陥を緩和するために、定期的に更新されることがある。インプラントの制御プログラムの更新が予定される場合、更新された制御プログラムは、データベースからプッシュモードで送信され、任意選択で、植え込まれた制御装置によって受信される前に、1つまたは複数のさらなる外部装置を介してルーティングされることがある。別の実施形態では、更新は、例えば、インプラントを体内に埋め込んでいる患者の制御下にある外部装置からの要求(プルモード)によってデータベースから受信される。
【0352】
外部装置は、他の外部装置またはインプラントと通信して操作するために認証を 必要とする場合がある。パスワード、多要素認証、生体認証(指紋、虹彩スキャナー、顔認識など)、またはその他の認証方法を採用することができる。
【0353】
外部装置は、入力を受け取り、ユーザから/ユーザへの情報/フィードバックを表示するためのユーザインタフェース(UI)を有することができる。UIは、グラフィカルUI(GUI)、音声コマンドインターフェース、スピーカー、バイブレーター、ランプなどであってもよい。
【0354】
外部装置間、または外部装置とインプラント間の通信は暗号化されていてもよい。対称暗号化または非対称暗号化など、任意の適切なタイプの暗号化を採用することができる。暗号化は、単一鍵暗号化であってもよいし、多鍵暗号化であってもよい。複数鍵暗号化では、暗号化されたデータを復号化するために複数の鍵が必要となる。複数の鍵は、第一の鍵、第二の鍵、第三の鍵など、あるいは鍵の第一部分、鍵の第二部分、鍵の第三部分などと呼ばれることがある。複数の鍵は、(暗号化方式や使用ケースに応じて)任意の適切な方法で組み合わされ、復号に使用できる結合鍵が導出される。場合によっては、結合鍵の導出とは、データを復号するために各鍵を1つずつ使用し、最終的な鍵を使用したときに復号されたデータが得られることを意味する。
【0355】
また、複数の鍵を組み合わせることで、データを復号化する「マスター鍵」が1つになる場合もある。言い換えれば、これは秘密共有の一形態であり、秘密がパーツに分割され、各参加者(外部デバイス、内部デバイス)に独自のパーツが与えられる。元のメッセージを再構築(復号化)するには、最小数の部分(鍵)が必要である。閾値方式では、この数は部品の総数よりも少ない(例えば、データを復号化するには、インプラントの鍵と2つの外部装置のうちの1つの鍵が必要である)。他の実施形態では、データを復号化することができる結合鍵を達成するために、元の秘密を再構築するためにすべての鍵が必要とされる。
【0356】
復号化のための鍵の生成者が、最終的に別の装置に鍵を送り、その装置で使用される必要がないことに注意すべきである。場合によっては、鍵の生成者は単に暗号化/復号化の促進者であり、他の装置/ユーザに代わって作業を行うだけである。
【0357】
検証ユニットは、検証ユニットを構成する、または検証ユニットに接続されたユニット、例えば外部デバイスの使用(すなわち、ユーザ認証)を検証または認証するための任意の適切な手段を構成することができる。たとえば、検証ユニットは、ユーザからの認証入力を受信するためのインタフェース(UI、GUI)を構成するか、またはインタフェースに接続することができる。検証ユニットは、検証ユニットを構成するデバイスに接続された(外部デバイスとは別の)デバイスから認証データを受信するための通信インタフェースを含んでいてもよい。認証入力/データは、コード、キー、指紋、手のひら静脈構造、画像認識、顔認識、虹彩認識、網膜スキャン、手の形状、ゲノム比較などの任意の適切な技術に基づくバイオメトリクスデータから構成されてもよい。検証/認証は、検証ユニットにインストールされた、または検証ユニットに関連してインストールされた、サードパーティアプリケーションを使用して提供することができる。
【0358】
検証ユニットは、2 部構成の認証手順の1 部として使用することができる。もう1つの部分は、例えば、導電性通信認証、センセーション認証、またはパラメータ認証で構成される。
【0359】
検証ユニットは、スマートカードを読み取るためのカードリーダで構成することができる。スマートカードは、通常、暗号鍵の生成、保存、および操作に使用される安全なマイクロコントローラである。スマート・カード認証は、認証のためにスマート・カード・デバイスをユーザに提供する。ユーザーは、スマート・カードを検証ユニットに接続する。検証ユニット上のソフトウェアは、スマートカードに格納された鍵材料やその他の秘密と対話し、ユーザーを認証する。スマート・カードを作動させるために、ユーザはユーザ暗証番号(user-PIN) を使ってスマート・カードのロックを解除する必要がある。スマート・カードは、非常に強力な認証形式と考えられている。なぜなら、カードに格納されている暗号鍵やその他の秘密は、物理的にも論理的にも非常によく 保護されており、そのため盗みにくいからである。
【0360】
検証ユニットは、例えばパスポートや運転免許証に匹敵する個人用 e-ID で構成することができる。e-IDシステムは、検証ユニットにインストールされたセキュリティ・ソフトウェアと、信頼できるプロバイダのウェブサイトからダウンロードされるか、信頼できるプロバイダからスマートカードを介して提供されるe-IDで構成される。
【0361】
検証ユニットは、SMS ベースの二要素認証用ソフトウェアで構成される場合がある。その他の二要素認証システムを使用してもよい。二要素認証は、認証を受けるために2つのものを必要とする。すなわち、あなたが知っているもの(パスワード、コードなど)と、あなたが持っているもの(モバイルデバイス(SMS、e-IDなど)からの追加のセキュリティコード、またはスマートカードなどの物理的トークン)である。
【0362】
その他の認証方式を採用してもよい。たとえば、有線通信や無線を使用した無線通信の代わりに、可視光を使用して外部装置と通信する検証ユニットなどである。検証ユニットの光源は、秘密鍵などを外部デバイスに送信し(例えば、異なるパターンで点滅させる)、外部デバイスは受信したデータを使用してユーザを検証したり、データを復号化したり、その他の手段で認証を実行したりすることができる。光は、電波よりも盗聴敵から遮断したり隠したりするのが容易であるため、この文脈では有利である。同様の実施形態では、検証データを外部デバイスに送信するために、可視光の代わりに電磁放射線が使用される。
【0363】
インプラントの機能性に関するパラメータは、例えば、バッテリ残量、制御プログラムのバージョン、インプラントの特性、インプラントのモータの状態、インプラント(バッテリまたは制御ユニットなど)の温度などのインプラントの状態インジケータで構成することができる。
【0364】
インプラントに送信される操作指示を構成するデータは、新規または更新された制御プログラム、インプラントの特定の構成に関するパラメータ等から構成されることがある。このようなデータは、例えば、刺激装置または減衰装置の電極配置のような植え込み可能装置の身体係合部分の操作方法の指示、患者データの収集の指示、フィードバックの送信の指示等から構成されることがある。
【0365】
インプラントと外部装置との間の電気的接続を確認する」または「インプラントと外部装置との間の接続を認証する」、あるいは同様の表現は、接続が侵害されていないことを確認する、または合理的に確認するための方法およびプロセスを包含することを意図している。無線通信プロトコルの弱点により、デバイスがデータを「盗聴」し、インプラントから送信される機密情報、例えば患者に関する個人データを取得することは簡単な作業であり、さらには、悪意のあるコマンドまたはデータをインプラントに送信することによって、インプラントを侵害(ハッキング)しようとすることも可能である。暗号化は、セキュリティ対策として必ずしも十分でない場合があり(暗号化スキームは予測可能である場合がある)、インプラントに接続されている外部装置を確認または認証する他の手段が必要な場合がある。
【0366】
通信プロトコルは、通信システムの2つ以上のエンティティが、あらゆる種類の物理量の変化を介して情報を伝送することを可能にするルールのシステムである。プロトコルは、通信のルール、構文、セマンティクス、同期、可能なエラー回復方法を定義する。プロトコルは、ハードウェア、ソフトウェア、またはその両方の組み合わせによって実装される。通信プロトコルは、関係者によって合意されなければならない。この分野では、"標準"と"独自"という用語が明確に定義されている。通信プロトコルは、標準化団体の承認を得ることによって、プロトコル標準に発展させることができる。承認を得るためには、ペーパー・ドラフトが標準化プロセスに入り、成功裏に完了する必要がある。これが完了すると、ネットワーク・プロトコルは「標準ネットワーク・プロトコル」または「標準通信プロトコル」と呼ばれるようになる。標準プロトコルは業界全体で合意され、受け入れられている。標準プロトコルはベンダーに依存しません。標準プロトコルは、前述のように、異なる組織の専門家の共同作業によって開発されることが多い。
【0367】
一方、プロプライエタリ・ネットワーク・プロトコルは、通常、1つの企業が、その企業が製造するデバイス(またはオペレーティング・システム)用に開発したものである。プロプライエタリ・ネットワーク・プロトコルは、単一の組織または個人が所有する通信プロトコルである。プロプライエタリ・プロトコルの仕様は公開されている場合とされていない場合があり、実装は自由に配布されません。そのため、プロプライエタリ・ネットワーク・プロトコルを使用するライセンスと、プロプライエタリ・ネットワーク・プロトコルの仕様に関する知識がなければ、どのデバイスもプロプライエタリ・ネットワーク・プロトコルを使用して他のデバイスと通信することはできません。このように、単一の組織による所有は、所有者にプロトコルの使用に制限を加え、一方的にプロトコルを変更する能力を与える。
【0368】
制御プログラムは、インプラントを制御するために使用されるあらゆるソフトウェアを定義することを意図している。このようなソフトウェアは、インプラントのオペレーティングシステム、オペレーティングシステムの一部、またはインプラントの特定の機能(例えば、インプラントのアクティブユニット、インプラントのフィードバック機能、インプラントのトランシーバ、インプラントのエンコード/デコード機能など)を制御するソフトウェアなど、インプラント上で実行されるアプリケーションで構成される。したがって、制御プログラムは、インプラントの医療機能、例えば、装置によって加えられる圧力や電気刺激装置の電力を制御することができる。代替的に、または追加的に、制御プログラムは、エネルギー使用、トランシーバ機能など、インプラントの内部ハードウェア機能を制御することができる。
【0369】
本明細書で開示したシステムおよび方法は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの組み合わせとして実装することができる。ハードウェアの実装では、上記の説明で言及した機能ユニット間のタスクの分割は、必ずしも物理ユニットへの分割に対応しない。それどころか、1つの物理コンポーネントが複数の機能を有することもあり、1つのタスクが複数の物理コンポーネントによって協調して実行されることもある。特定の構成要素またはすべての構成要素は、デジタル信号プロセッサまたはマイクロプロセッサによって実行されるソフトウェアとして実装されてもよいし、ハードウェアまたは特定用途向け集積回路として実装されてもよい。このようなソフトウェアは、コンピュータ記憶媒体(または非一過性媒体)および通信媒体(または一過性媒体)からなるコンピュータ可読媒体上で配布することができる。当業者にはよく知られているように、コンピュータ記憶媒体という用語は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法または技術で実装された、揮発性および不揮発性、取り外し可能および取り外し不可能な媒体の両方を含む。コンピュータ記憶媒体には、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶装置、または所望の情報を記憶するために使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる他の媒体が含まれるが、これらに限定されない。さらに、通信媒体は、通常、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータを、搬送波などの変調されたデータ信号または他のトランスポートメカニズムに具現化し、任意の情報配信媒体を含むことは、当業者には周知である。
【0370】
次に、本明細書の実施形態のいずれかによる植え込み可能な装置を制御し、患者の体外の装置および/または植え込み可能なセンサと通信するためのコントローラについて、図24b図24dを参照して説明する。図24bは、制御装置300を含む高血圧治療用の植え込み可能な装置100が植え込まれたときの患者を示す。植え込み可能な装置100は、例えば、図4~6、図8および図11のいずれか1つに記載された刺激装置110、図6~8および図11のいずれかに記載された信号減衰装置120、または図11~14を参照して記載されたセンサ140であってもよい。植え込み可能な装置100は、1つまたは複数の操作装置を構成する植え込み可能な装置の部分である能動ユニット302を含んでいてもよく、この能動ユニットは、図13A~Bに示すように、センサ装置140を操作するための液圧、空気圧、または機械的作用を提供する手段であってもよい。能動ユニットは、血管20内の血圧を示す信号を生成するためにセンサを血管20の外側に接触させるために、患者の身体に直接または間接的に接続されることがある。あるいは、能動ユニット302は、先に説明したように、腎動脈の血管拡張を誘導するため、または刺激信号の拡がりを減少させるための電気刺激および/または減衰信号を生成する植え込み可能な装置の機能であってもよい。能動ユニット302は、そのような実施例では、電池のようなエネルギー源から構成されるか、そのようなエネルギー源に接続されることがあり、さらなる実施例では、前記信号を発生する制御ユニットから構成されることがある。アクティブユニット302は、電気接続C2を介してコントローラ300に接続されてもよい。コントローラ300(図24cを参照してさらに説明する)は、外部装置320(図24dを参照してさらに説明する)と通信するように構成される。コントローラ300は、無線接続WL1を介して、および/または電気接続C1を介して、外部装置320と無線通信することができる。
【0371】
ここで図24Cを参照すると、制御装置300の一実施形態がより詳細に説明される。制御装置300は、例えば図4~8、図11および図14に関連して説明した制御ユニット114、124、150のいずれか1つと同様であってもよいが、植込み型装置100によって実行される機能を制御するように構成された内部演算ユニット306を含んでいてもよい。演算ユニット306は、その上にプログラムを記憶するように構成された内部メモリ307を含んでいる。図24cに記載された実施形態では、内部メモリ307は、植込み型装置100の機能を制御することができる第1の制御プログラム310を含んでいる。第1の制御プログラム310は、第2の制御プログラム312の更新中にのみ植込み型装置で実行される最小限の機能を有するプログラムと見なすことができる。植え込み可能な装置が第1の制御プログラム310で実行されているとき、植え込み可能な装置は、機能が低下したセーフモードで実行されていると見なすことができる。例えば、第1の制御プログラム310が実行されている間、植込み型装置にセンサデータが保存されないか、または第1の制御プログラム310が実行されている間、植込み型装置からフィードバックが送信されないことになる可能性がある。複雑度の低い第1の制御プログラムを有することにより、植込み型装置のメモリが節約され、第2の制御プログラム312の更新中に植込み型装置が故障するリスクが低減される。
【0372】
第2の制御プログラム312は、通常時に植込み型装置を制御するプログラムであり、植込み型装置に完全な機能および特徴を提供する。
【0373】
メモリ307は、更新可能な第2の制御プログラム312をさらに含むことができる。更新可能という用語は、プログラムがそのコードに対する漸進的または反復的な更新を受けるように構成されているか、またはコードの新しいバージョンによって置き換えられるように構成されていると解釈される。更新は、コードの以前の欠陥を修正するだけでなく、インプラントに新しいおよび/または改善された機能を提供することができる。演算ユニット306は、コントローラ300を介して第2の制御プログラム312の更新を受信することができる。更新は、無線WL1または電気接続C1を介して受信することができる。図24Cに示すように、コントローラ300の内部メモリ307は、第3のプログラム314を記憶することができる。第3のプログラム314は、植込み型装置100の機能を制御することができ、演算ユニット306は、第2のプログラム312を第3のプログラム314に更新するように構成され得る。第3のプログラム314は、第2のプログラム312の元の状態を再起動するときに利用することができる。したがって、第3のプログラム314は、コントローラ300の工場出荷時のリセット(例えば、工場出荷時の設定に戻す)を提供すると見なすことができる。このように、第3のプログラム314は、コントローラ300に見られるソフトウェア(第2の制御プログラム312)を元の製造者設定にリセットするために使用されるように、メモリ307の安全な部分にインプラント300に含まれることができる。
【0374】
制御装置300は、内部演算ユニット306に接続されるか、内部演算ユニット306の一部であるか、または当該内部演算ユニット306に送信されるリセット機能316を含んでいてもよい。リセット機能316は、内部演算ユニット306に、第2の制御プログラム312の実行から第1の制御プログラム310への切り替えを行わせるように構成される。リセット機能316は、内部演算ユニット306にメモリ307から第2制御プログラム312を削除させるように構成され得る。リセット機能316は、患者の皮膚を触診したり、押したり/圧迫したりすることによって操作することができる。これは、インプラントにボタンを設けることによって行うことができる。あるいは、リセット機能316は、タイマーまたはリセットモジュールを介して呼び出すことができる。触診を感知するために、温度センサーおよび/または圧力センサーを利用することができる。リセット機能316は、患者の皮膚を貫通することによっても作動させることができる。リセット機能316が磁気的手段によって操作され得ることはさらにもっともである。これは、磁気センサを利用し、体外から磁力を加えることによって実行され得る。リセット機能316は、2秒などの制限を超える時間だけ加えられる磁力にのみ反応するように構成され得る。制限時間は、同様に5秒、10秒、またはそれ以上とすることも可能である。このような場合、インプラントはタイマーを構成することができる。したがって、リセット機能316は、このような磁力を感知するためのセンサーを含むか、またはセンサーに接続されることができる。
【0375】
上述のリセット機能に加えてまたはその代替として、インプラントは、植込み型装置の機能を制御するための第2の制御プログラム312と、リセット機能318とを含む内部演算ユニット306(内部プロセッサを含む)を備えることができる。リセット機能318は、i.リセット機能318のタイマーがリセットされていない、またはii.第1の制御プログラム310の誤動作に応答して、前記第2の制御プログラム312を再起動またはリセットするように構成され得る。
【0376】
リセット機能318は、例えば、内部コンピューティングユニット306に接続された適切に動作するコンピュータ、COP、機能から構成されるような、第1のリセット機能から構成されてもよい。第1のリセット機能は、第2のリセット機能を用いて第1または第2の制御プログラム312を再起動またはリセットするように構成されてもよい。第1のリセット機能はタイマーで構成され、第1の制御プログラムまたは第2の制御プログラムは定期的にタイマーをリセットするように構成される。
【0377】
リセット機能318は、内部演算ユニットおよび第2のリセット機能に接続された第3のリセット機能をさらに含んでもよい。第3のリセット機能は、一例として、第1の制御プログラム310または第2の制御プログラム312を修正するための修正機能をトリガするように構成されてもよく、第2のリセット機能は、修正機能がトリガされた後しばらくしてから第1の制御プログラム310または第2の制御プログラム312を再起動するように構成される。修正機能は、ソフトリセットまたはハードリセットであってもよい。
【0378】
第2または第3のリセット機能は、例えば、リセット・パルスを生成するように構成された内部または外部のパルス発生器を作動させることによってハードウェア・リセットをトリガすることによって、ハードウェア・リセットを呼び出すように構成され得る。あるいは、第2または第3のリセット機能は、ソフトウェアによって実装されてもよい。
【0379】
コントローラ300は、内部無線トランシーバ308をさらに含んでもよい。トランシーバ308は、無線接続W1を介して外部装置320と無線通信する。トランシーバは、無線接続WL2またはWL4を介して外部装置320、300とさらに通信してもよい。トランシーバは、接続C1、WL1、WL2、WL4のいずれかを介してデータの送信と受信の両方を行うことができる。任意選択で、外部装置320、300は、存在する場合、例えば無線接続WL3を介して互いに通信してもよい。
【0380】
コントローラ300は、さらに、外部装置320と電気的に接続C1され、患者の身体を導体として使用して通信することができる。したがって、コントローラ300は、電気的接続C1のために、有線トランシーバ303または内部トランシーバ303を構成することができる。
【0381】
電気的接続の確認/認証は、本明細書の確認および/または認証の項に記載されているように行うことができる。これらの場合、植え込み可能な装置および/または外部装置(単数または複数)320は、このような確認/認証を実行するために必要な特徴および機能(本明細書のそれぞれの節に記載)を備える。これらの態様に従って認証を行うことにより、悪意のある第三者が患者の過渡的な生理学的パラメータを知ること、またはアクセスすること、または患者においてもしくは患者内で発生するランダム化された感覚を検出することのいずれかを必要とする可能性があるため、認証の安全性が高まる可能性がある。
【0382】
図24b~24dでは患者は人間であるが、他の哺乳類も同様に妥当である。通信が誘導手段によって行われるのももっともである。また、通信が中間的な手段や機能を介さずに直接行われるのももっともである。
【0383】
図24cによる植込み型装置100の制御装置300は、フィードバックユニット349をさらに備える。フィードバックユニット349は、第2の制御プログラム312から第1の制御プログラム310への切り替えに関連するフィードバックを提供する。フィードバックは、例えば、ソフトウェアすなわち第2の制御プログラム312の更新がいつ開始され、いつ更新が終了したかの情報を表し得る。このフィードバックは、例えば外部装置320上のディスプレイを介して患者に視覚的に伝えることができる。このディスプレイは、時計、電話、またはコントローラ300に結合された他の外部装置320に配置され得る。好ましくは、フィードバックユニット349は、このフィードバック信号を無線WL1で外部装置320に提供する。可能性として、「更新開始」、または「更新終了」という単語、または同じ意味を有する類似の用語が、患者に表示され得る。例えば、緑色は更新が終了したことを意味し、赤色または黄色は更新が進行中であることを意味する。もちろん、どのような色でも同様に妥当であり、ユーザーは個人的な好みに応じてこれらを選択することができる。もう1つの可能性は、外部デバイス320に光を点滅させることである。この場合、外部デバイス320は必要な発光デバイスで構成される。このような光は、例えばLEDである。異なる色は、やはり、プログラム更新の状態を表すことができる。更新が進行中であり、まだ終了していないことを表す1つの方法は、光を点滅させること、すなわち光を点灯させたり消灯させたりすることである。ライトの点滅が止まれば、患者は更新が終了したことを認識できる。フィードバックはまた、可聴にすることもでき、植込み型装置300によって直接、または外部装置320によって提供される。その場合、植込み型装置100および外部装置320は、音声を提供する手段を備える。フィードバックはまた、例えば、使用者が感知できる振動の形態で、触覚的であることもできる。その場合、植え込み可能な装置100または外部装置320のいずれかは、振動および/またはバイブレータなどの触覚を提供するための手段を備える。
【0384】
図24Cに見られるように、コントローラ300は、第1のエネルギー貯蔵ユニット40Aをさらに備えることができる。第1のエネルギー貯蔵ユニット40Aは、第1の制御プログラム310を実行する。コントローラ300は、第2の制御プログラム312を実行する第2のエネルギー貯蔵ユニット40Bをさらに備える。これは、第1の制御プログラム310がそれ自身の別個のエネルギー貯蔵ユニット40Aを有するので、更新中のセキュリティをさらに高めることができる。第1の電源40Aは、第1のエネルギー貯蔵器304aおよび/または第1のエネルギー受信器305aから構成され得る。第2のエネルギー貯蔵ユニット40Bは、第2のエネルギー貯蔵器304bおよび/または第2のエネルギー受信器305bから構成することができる。エネルギーは、誘導手段または導電手段によって無線で受け取ることができる。外部エネルギー貯蔵ユニットは、例えば、内部コイル(図示せず)に電圧を誘導する外部コイルを利用することによって、患者の体内のエネルギー受信器305a、305bにワイヤレスエネルギーの量を転送することができる。第1のエネルギー受信器305aがRFIDパルスを介してエネルギーを受信することはもっともである。フィードバックユニット349は、RFIDパルスを介して受信されたエネルギーの量に関連するフィードバックを提供することができる。受信されるRFIDパルスのエネルギー量は、満足できるレベルに達するまでパルス周波数を連続的に上げるように、フィードバックに基づいて調整することができる。
【0385】
図24cによる植え込み可能な装置100の制御装置300は、フィードバックユニットである電気スイッチ309をさらに備える。電気スイッチ309は、患者の身体部分に力を及ぼすように構成された植え込み可能要素に機械的に接続され得、患者の身体部分に及ぼされた力が閾値を超えた結果として切り替えられるように構成される。スイッチ309は、例えば、刺激及び/又は信号減衰装置の電極要素に電力を供給する装置として理解され得る操作装置、又はその動作を制御するように構成された制御装置に電気的に接続され得、供給された電流が閾値を超えた結果として切り替えられるように構成される。スイッチ309は、例えば、図13A~Bに示されるセンサ装置140を作動させるための液圧ポンプまたはモータに接続され得、電流が閾値を超えた場合に切り替えられるように構成される。このようなスイッチは、例えば、例えばモータへの電流の流れによって生じる熱によって切り替えられるバイメタルスイッチのような、閾値を超える温度にさらされた場合に切り替えられるように構成されたスイッチ309であり得る。別の方法として、閾値を超える温度に曝された場合に切り替わるように構成されたスイッチ309を、植え込み可能な装置100の別の位置に配置して、温度を超えた場合に切り替わるようにすることもでき、それによって、植え込み可能な装置が、組織の損傷を引き起こす可能性のある過熱から妨げられる。
【0386】
スイッチ309は、操作デバイスへの電力をカットするように構成されるか、または植え込み型コントローラ300のプロセッサ306に制御信号を生成するように構成され、コントローラ300が、電力を低減する、または操作デバイスをオフにするなどの適切な行動をとることができる。
【0387】
図24dに外部装置320を示す。外部装置320は、患者の身体のどこにでも、好ましくは便利で快適な場所に配置することができる。外部装置320はリストバンドである可能性があり、および/または腕時計の形状を有する可能性がある。また、外部装置が携帯電話や患者に直接取り付けられていない他の装置であることももっともである。図24dに示すような外部装置は、有線トランシーバ323とエネルギー貯蔵装置324とから構成される。また、無線トランシーバ328とエネルギー送信器325から構成されている。さらに、演算ユニット326とメモリ327から構成されている。外部装置320内のフィードバックユニット322は、演算ユニット326に関連するフィードバックを提供するように構成されている。フィードバックユニット322によって提供されるフィードバックは、視覚的であり得る。外部装置320は、そのような視覚的フィードバックを患者に示すディスプレイを有し得る。フィードバックが可聴であり、外部装置320が音声を提供する手段を備えることも同様にもっともらしい。フィードバックユニット322によって与えられるフィードバックは、振動のような触覚であることもできる。フィードバックは、無線信号WL1、WL2、WL3、WL4の形で提供することもできる。
【0388】
第2、第3または第4の通信方法WL2、WL3、WL4は、無線通信の形態であってもよい。第2、第3または第4の通信方法WL2、WL3、WL4は、好ましくは、電磁波または無線に基づく通信の形態であってもよい。第2、第3、第4の通信方式WL2、WL3、WL4は、電気通信方式に基づくものであってもよい。第2、第3または第4の通信方法WL2、WL3、WL4は、以下のリストの項目から構成されるか、またはこれらに関連し得る:無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、ブルートゥース、ブルートゥース5、BLE、GSMまたは2G(第2世代セルラー技術)、3G、4Gまたは5G。
【0389】
外部装置320は、本体を導体として使用して、植え込み可能な装置100と電気的接続C1になるように適合させることができる。この場合、電気接続C1は、外部装置320と植込み型装置100との間の導電性通信に使用される。
【0390】
一実施形態では、通信方式WL2、WL3、WL4、C1のいずれかを介したコントローラ300と外部装置320との間の通信は、公開鍵および/または秘密鍵で暗号化および/または復号化される場合がある。たとえば、コントローラ300は、秘密鍵および対応する公開鍵で構成される場合があり、外部デバイス320は、秘密鍵および対応する公開鍵で構成される場合がある。
【0391】
コントローラ320と外部デバイス320は、公開鍵を交換し、公開鍵暗号化を使用して通信を実行することができる。当業者は、鍵を交換するための公知の方法を利用することができる。
【0392】
コントローラは、外部デバイス320に対応する公開鍵を使用して、外部デバイス320に送信するデータを暗号化してもよい。暗号化されたデータは、有線、無線、または電気通信チャネルC1、WL1、WL2、WL3を介して外部装置に送信される。外部デバイス320は、暗号化されたデータを受信し、外部デバイス320に構成された秘密鍵(データが暗号化された公開鍵に対応する秘密鍵)を使用して復号してもよい。外部装置320は、暗号化されたデータをコントローラ300に送信してもよい。外部装置320は、コントローラ300の秘密鍵に対応する公開鍵を使用して、送信するデータを暗号化することができる。外部装置320は、有線、無線、または電気接続C1、WL1、WL2、WL3、WL4を介して、直接または間接的に、暗号化されたデータをインプラントのコントローラに送信することができる。コントローラは、データを受信し、コントローラ300に含まれる秘密鍵を使用してデータを復号化することができる。
【0393】
図24b図24dを参照して説明した公開鍵暗号化の代替手段では、植込み型装置100のコントローラ300と外部装置320、330との間、または外部装置320、330とコントローラ300との間で送信されるデータは署名されてもよい。埋め込み型装置100のコントローラ300と外部装置320、330との間、または外部装置320、330とコントローラ300との間で送信されるデータは、署名されてもよい。コントローラ300から外部装置320、330にデータを送信する方法において、コントローラ300から送信されるデータは、コントローラ300の秘密鍵を使用して署名されてもよい。データは、通信チャネルまたは接続C1、WL1、WL2、WL3、WL4を介して送信されてもよい。外部デバイス320、330は、メッセージを受信し、コントローラ300の秘密鍵に対応する公開鍵を使用して、データの真正性を検証することができる。このようにして、外部装置320、330は、データの送信者が、他の装置またはソースからではなく、コントローラ300から送信されたことを判断することができる。
【0394】
次に、外部装置320と植込み型装置100の制御装置300との間で複合キーを用いて通信を行う方法について、図24b図24dを参照して説明する。24b~24dを参照して説明する。この方法の第1のステップは、インプラントにおいて、無線伝送WL1、WL2、WL3、WL4などによって、外部装置320、330から第1のキーを受信することからなる。本方法はさらに、インプラントにおいて、無線伝送WL1、WL2、WL3によって第2の鍵を受信することを含む。第2の鍵は、外部装置320、330とは別の第2の外部装置によって生成されてもよいし、第2の外部装置320、330に代わって第2の鍵の生成者である別の外部装置によって生成されてもよい。第二の鍵は、外部装置320、第二の外部装置330、および第二の鍵の生成者のいずれから もインプラントで受け取ることができる。第2の外部装置は、管理人、または他の利害関係者によって制御されてもよい。前記別の外部装置は、インプラントの製造者、または医療スタッフ、管理人などによって制御されてもよい。
【0395】
コントローラ300が外部デバイス320から第2のキーを受信している場合、これは、第2の外部デバイス330から、または別の外部デバイス(ジェネレータ)から、第2のキーが外部デバイスを介してルーティングされることを意味する。ルーティングは、本明細書において第10の態様で説明するように実行されてもよい。これらの場合、インプラントおよび/または外部装置は、そのようなルーティングを実行するために必要な特徴および機能(本書の各セクションに記載)を備えている。患者からの確認の有無にかかわらず、外部装置320を中継として使用することは、外部装置320が復号化された情報を保存または他の方法で取り扱う必要がない可能性があるため、追加のセキュリティ層を提供する可能性がある。そのため、外部装置320は、復号化された情報を失うことなく紛失する可能性がある。コントローラ300は、第1の鍵および第2の鍵と、コントローラ300が保持する第3の鍵(たとえば、コントローラ300のメモリ307)とを結合することにより、結合鍵を導出するように構成された演算ユニット306を備える。第3の鍵は、例えば、インプラントのライセンス番号またはインプラント装置のチップ番号である。組み合わされた鍵は、外部装置320からコントローラ300へ無線伝送WL1によって伝送される暗号化されたデータを、演算ユニット306によって復号化するために使用され得る。任意選択で、復号化されたデータは、演算ユニット306によって植込み型装置の動作を変更するために使用されてもよい。植え込み可能な装置の動作を変更することは、植え込みの能動ユニット302を制御または切り替えることを含んでよい。いくつかの実施形態では、本方法はさらに、復号化されたデータに基づいて、制御装置300で実行されている制御プログラムを更新し、復号化されたデータ内の動作命令を使用して植込み型装置100を動作させるステップの少なくとも1つを含む。
【0396】
次に、外部装置320とコントローラ300との間の暗号化通信の方法について説明する。これらの方法は、以下を含むことができる:
外部デバイス320において、無線トランシーバ328によって、第1の鍵を受信し、第1の鍵は、外部デバイス320とは別の第2の外部デバイス330によって、または第2の外部デバイス330に代わって第2の鍵の生成者である別の外部デバイスによって生成され、第1の鍵は、第2の外部デバイス330および第2の鍵の生成者のいずれかから受信される、
無線トランシーバ328によって外部装置320で、コントローラ300からの第2のキーを受信する、
外部デバイス320のコンピューティング・ユニット326が、第1の鍵および第2の鍵と、外部デバイス320が保持する(例えばメモリ307内の)第3の鍵とを結合することにより、結合鍵を導出する、
インプラントから外部装置へ暗号化されたデータを送信し、無線トランシーバ328によって外部装置で暗号化されたデータを受信する、
計算ユニット326は、外部デバイス320内の暗号化されたデータを、結合されたキーを使用して復号化する。
【0397】
上述したように、データを復号化するにはさらなる鍵が必要な場合がある。その結果、無線トランシーバ328は、以下のように構成される:
第3の外部装置から第4のキーを受信する、
ここで、演算ユニット326は、以下のように構成される:
前記第1、第2および第4の鍵と、前記外部装置が有する第3の鍵とを結合することにより、結合鍵を導出する、
結合されたキーを使って暗号化されたデータを復号する。
【0398】
これらの実施形態は、通信におけるセキュリティをさらに高める。演算ユニット326は、インプラントと外部装置との間の通信を確認するように構成されてもよく、確認は、以下を備える:
外部装置320によって患者のパラメータを測定する、
植込み型装置100から患者の測定パラメータを受信する、
植込み型装置100によって測定されたパラメータと外部装置320によって測定されたパラメータとを比較する、
比較に基づいて接続を確認する、
確認の結果、暗号化されたデータは、外部デバイスで、結合されたキーを使用して復号化される。
【0399】
本セクションで説明する鍵は、一部の実施形態では、第12または第13の態様で説明するセンサによって検知されたデータに基づいて生成してもよい。シードとは、乱数生成プロセスを開始するために擬似乱数生成器に供給される初期値である。このため、シードは、その基となる患者の生理学的パラメータへのアクセスや知識がなくても予測しにくいものとすることができ、生成される鍵にさらなる安全性を提供することができる。
【0400】
さらに、外部装置と植込み型装置との間の通信の安全性が向上する。
【0401】
次に、植え込み可能な装置100が患者に植え込まれ、外部装置320が患者の身体の外部に配置される場合の、外部装置320と植え込み可能な装置100との間の通信方法について、図24b図24dを参照して説明する。外部装置320は、身体を導体として使用して、コントローラ300と電気接続C1になるように適合される。電気接続C1は、外部装置320と植込み型装置100との間の導電性通信に使用される。植込み型装置100は、制御装置300から構成される。コントローラ300と外部装置320の両方は、コントローラ300と外部装置320との間の無線通信C1のための無線トランシーバ308、208を備える。コントローラ300に含まれる)ワイヤレストランシーバ308は、いくつかの実施形態では、外部装置320および他の外部装置からデータを受信するためのサブトランシーバから構成されてもよく、例えば、異なる周波数帯域、変調方式などを使用する。
【0402】
方法の第1のステップでは、コントローラ300と外部装置320との間の電気的接続C1が確認され、したがって認証される。インプラントおよび/または外部装置は、このような認証を実行するために必要な特徴および機能(本開示に記載)を備えていてもよい。このような認証によって、悪意のある第三者が患者の過渡的な生理学的パラメータを知ることまたはアクセスすること、または患者においてまたは患者内で発生するランダム化された感覚を検出することのいずれかを必要とする可能性があるため、認証の安全性が高まる可能性がある。
【0403】
インプラントは、身体を導体として外部装置と電気的接続C1になるように構成された第1のトランシーバ303を含んでいてもよい。インプラントは、身体を導体としてインプラントと電気的接続C1になるように構成された第1の外部送信機203と、コントローラ300に無線通信W1を送信するように構成された無線送信機208とを含んでいてもよい。外部装置320の第1の送信機323は、有線であっても無線であってもよい。第1のトランスミッタ323と無線トランスミッタ208は、同じトランスミッタであってもよいし、別々のトランスミッタであってもよい。コントローラ300の第1のトランシーバ303は、有線であっても無線であってもよい。第1のトランシーバ303と無線トランシーバ102とは、同じトランシーバであってもよいし、別々のトランシーバであってもよい。
【0404】
コントローラ300は、外部装置320と内部トランシーバ303との間の電気的接続を確認し、確認に基づいて外部装置320からの(データの)無線通信WL1を受け入れるように構成された演算ユニット306を含んでもよい。
【0405】
データは、コントローラ300および外部装置320のそれぞれの無線トランシーバ308、208を使用するなどして、外部装置320からコントローラ300に無線で送信される。データは、代わりに、電気接続C1を介して送信されてもよい。確認の結果、受信されたデータは、植込み型装置100を指示するために使用されてもよい。例えば、制御装置300内で実行されている制御プログラム310が更新されてもよく、制御装置300は、受信したデータ内の操作命令を使用して操作されてもよい。これは、演算装置306によって処理されてもよい。
【0406】
この方法は、暗号化されたデータを外部装置320からコントローラ300に無線で送信することからなる場合がある。暗号化されたデータを復号化するために(例えば、コンピューティングユニット306を使用して)、いくつかの方法を使用することができる。
【0407】
一実施形態では、確認された導電性通信路C1(すなわち、電気的接続)を使用して、外部装置320からコントローラ300にキーが送信される。鍵は、コントローラで(第1の内部トランシーバ303によって)受信される。その後、暗号化されたデータを復号化するために鍵が使用される。
【0408】
ある実施形態では、暗号化されたデータを復号するには鍵だけで十分である。他の実施形態では、データを復号化するためにさらなる鍵が必要である。一実施形態では、確認された導電性通信チャネルC1(すなわち、電気的接続)を使用して、外部装置320からコントローラ300に鍵が送信される。鍵は、コントローラ300で(第1の内部トランシーバ303によって)受信される。第2のキーは、無線通信WL1を使用して外部装置320から(無線トランシーバ208によって)送信され、無線トランシーバ308によってコントローラ300で受信される。そして、演算装置306は、鍵と第2の鍵とから結合鍵を導出し、これを用いて暗号化データを復号化する。
【0409】
さらに他の実施形態では、確認された導電性通信路C1(すなわち、電気的接続)を使用して、外部装置320からコントローラ300にキーが送信される。鍵は、コントローラで(第1の内部トランシーバ303によって)受信される。第3のキーは、外部装置320とは別の第2の外部装置330からインプラントWL2へ無線送信される。第3のキーは、第2の外部装置330からの無線通信WL2を受信するように構成されたコントローラ300の第2の無線受信機(無線トランシーバ308の一部)によって受信される場合がある。
【0410】
第1および第3の鍵は、演算ユニット306によって結合鍵を導出するために使用され得、次いで、演算ユニット306は、暗号化されたデータを復号化する。復号化されたデータは、次に、上述のように植込み型装置100に指示するために使用される。
【0411】
第2の外部装置330は、例えば介護者によって制御され、コントローラ300によって送信および復号化されるデータのセキュリティおよび妥当性をさらに高めることができる。
【0412】
いくつかの実施形態では、外部装置は、第2の外部装置330から二次無線通信WL2を受信し、二次無線通信WL2から受信したデータを植込み型装置に送信するようにさらに構成されることに留意されたい。データのこのルーティングは、無線トランシーバ308、208を使用して(すなわち、無線接続WL1を使用して、またはコントローラ300と外部装置320との間のさらなる無線接続WL4を使用して)達成され得る。これらの場合、インプラントおよび/または外部装置は、そのようなルーティングを実行するために必要な特徴および機能を備える。その結果、いくつかの実施形態では、第3の鍵は、第2の外部装置330によって生成され、暗号化データの復号化に使用される第3の鍵をコントローラ300にルーティングする外部装置320にWL2送信される。言い換えれば、外部装置とは別の第2の外部装置からインプラントに第3の鍵を無線送信するステップは、外部装置320を介して第3の鍵をルーティングすることからなる。患者からの検証の有無にかかわらず、外部装置320を中継として使用することにより、外部装置320が復号化された情報を保存またはその他の方法で取り扱う必要がなくなるため、セキュリティの層がさらに厚くなる可能性がある。そのため、復号化された情報を失うことなく外部装置320を紛失することができる。
【0413】
さらに他の実施形態では、確認された導電性通信チャネルC1(すなわち、電気的接続)を使用して、外部装置320からコントローラ300にキーが送信される。キーはインプラントで(第1の内部トランシーバ303によって)受信される。第2のキーは、外部装置320からコントローラ300に無線WL1で送信され、コントローラ300で受信される。第3の鍵は、外部装置320とは別の第2の外部装置からコントローラ300に無線WL4で送信される。外部機器320からコントローラ300に送信された暗号化データは、鍵、第2の鍵、および第3の鍵から導出された複合鍵を使用して復号化される。外部装置は、ウェアラブル外部装置であってもよい。
【0414】
外部機器320は、ハンドセットであってもよい。第2の外部装置330は、ハンドセットであってもよい。第2の外部装置330はサーバであってもよい。第2の外部装置330は、クラウドベースであってもよい。
【0415】
いくつかの実施形態では、外部装置320とコントローラ300との間の電気的接続C1は、外部装置200と接続されるように構成された導電性部材201を、インプラントとの導電性通信C1のために患者の皮膚と電気的に接続するように配置することによって達成される。このような場合、インプラントおよび/または外部装置は、このような導電性通信を実行するために必要な特徴および機能(本書のそれぞれのセクションに記載)を備えている。したがって、通信は、外部装置320、導電性部材201、導電性接続C1、コントローラ300などの導電経路に電気的に閉じ込められることによって、暗号化に加えて、さらなるセキュリティ層が提供される可能性があり、これは、通信が、患者と物理的に接触していない、または少なくとも患者に近接していない第三者によって傍受されることが過度に困難であることを意味する。
【0416】
本セクションで説明する鍵は、一部の実施形態では、本セクションで説明するセンサ ーによって検知されたデータに基づいて生成することができる。シードとは、乱数生成プロセスを開始するために擬似乱数生成器に供給される初期値である。したがって、シードは、その基となる患者の生理学的パラメータへのアクセスや知識がなくても予測しにくいものとすることができ、生成される鍵にさらなる安全性を提供することができる。
【0417】
外部装置とインプラント間の通信の安全性を高めることができる。24b~24dを参照して説明する。
【0418】
これらの実施形態では、外部装置320と植え込み型コントローラ300との間の通信方法が提供される。コントローラ300に含まれる)無線トランシーバ308は、いくつかの実施形態では、外部装置320および他の外部装置330から、例えば、異なる周波数帯域、変調方式などを使用してデータを受信するためのサブトランシーバを構成することができる。
【0419】
本方法の第1のステップは、インプラントにおいて、無線伝送WL1などにより、外部装置320から第1のキーを受信することからなる。本方法はさらに、インプラントにおいて、無線伝送WL1、WL2、WL3によって第2の鍵を受信することを含む。第2の鍵は、外部装置320とは別の第2の外部装置330によって生成されてもよいし、第2の外部装置330に代わって第2の鍵の生成者である別の外部装置によって生成されてもよい。第2の鍵は、外部装置320、第2の外部装置330、および第2の鍵の生成者のいずれ かからインプラントで受信してもよい。第2の外部装置330は、管理人、または他の利害関係者によって制御されてもよい。前記別の外部装置は、インプラントの製造者、または医療スタッフ、管理人などによって制御されてもよい。
【0420】
インプラントが外部装置320から第2の鍵を受信する場合、第2の鍵は、第2の外部装置330から、または別の外部装置(ジェネレータ)から、外部装置を介してルーティングされることを意味する。このような場合、インプラントおよび/または外部装置は、このようなルーティングを実行するために必要な特徴および機能(本書の各セクションに記載)を備えている。患者からの検証の有無にかかわらず、外部装置320を中継として使用することにより、外部装置320が復号化された情報を保存またはその他の方法で取り扱う必要がなくなるため、セキュリティの層がさらに厚くなる可能性がある。そのため、復号化された情報を失うことなく外部装置320を紛失することができる。
【0421】
コントローラ300は、第1の鍵および第2の鍵と、コントローラ300が、例えばコントローラのメモリ307に保持する第3の鍵とを結合することにより、結合鍵を導出するように構成された演算ユニット306を備える。結合鍵は、外部デバイス320からコントローラ300に無線伝送WL1によって伝送される暗号化データを、演算ユニット306によって復号化するために使用される。任意選択で、復号化されたデータは、演算ユニット306によって、植込み型装置100の動作を変更するために使用されてもよい。植え込み可能な装置の動作を変更することは、植え込みのアクティブユニット302を制御または切り替えることを含んでよい。いくつかの実施形態では、本方法は、復号化されたデータに基づいて、インプラント内で実行されている制御プログラムを更新する、復号化されたデータ内の動作命令を使用して植込み型装置100を動作させるステップとのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0422】
一部の実施形態では、コントローラ100で受信した暗号化データを復号化するための結合 鍵を導出するために、さらなる鍵が必要である。これらの実施形態では、第1および第2の鍵は、上述のように受信される。さらに、本方法は、インプラントにおいて、第3の外部装置から第4の鍵を受信することを含み、第3の外部装置は、外部装置とは別個のものであり、第1、第2および第4の鍵と、コントローラ300が保持する第3の鍵とを組み合わせることによって、複合鍵を導出することと、コントローラ300において、複合鍵を使用して、暗号化データを復号化することとを含む。任意選択で、復号化されたデータは、上述のように、演算ユニット306によって、インプラントの動作を変更するために使用され得る。いくつかの実施形態では、第4の鍵は、第3の外部装置から外部装置を介してルーティングされる。
【0423】
いくつかの実施形態では、コンピューティングユニット306によって植込み型装置の動作を変更するために復号化されたデータを使用する前に、さらなるセキュリティ対策が必要である。例えば、植込み型装置と外部装置320との間の電気的接続C1は、身体を導体として使用し、復号化されたデータの有効性をさらに検証するために使用することができる。電気的接続C1は、外部装置と接続するように構成された導電性部材201を、インプラントとの導電性通信C1のために患者の皮膚と電気的に接続するように配置することによって達成することができる。このように、通信は、外部装置320、導電性部材201、導電性接続C1、コントローラ300などの導電経路に電気的に閉じ込められることによって、暗号化に加えて、さらなるセキュリティ層が提供される可能性があり、これは、通信が、患者と物理的に接触していない、または少なくとも患者に近接していない第三者によって傍受されることが過度に困難であることを意味する。
【0424】
したがって、いくつかの実施形態では、本方法は、コントローラ300と外部装置320との間の電気的接続を確認することと、確認の結果として、復号化されたデータに基づいて植込み型装置の動作を変更することとを含む。電気的接続の確認および認証は、本明細書の一般的特徴の項に記載されているように実行することができる。このような場合、植込み型装置および/または外部装置320は、このような認証を実行するために必要な特徴および機能(本明細書のそれぞれのセクションに記載されている)を備えている。これらの態様に従って認証を行うことにより、悪意のある第三者が患者の過渡的な生理学的パラメータを知ること、またはアクセスすること、または患者においてもしくは患者内で発生するランダム化された感覚を検出することのいずれかを必要とする可能性があるため、認証の安全性が高まる可能性がある。
【0425】
いくつかの実施形態では、電気的接続の確認は、例えば植込み型装置100のセンサによって患者のパラメータを測定することと、外部装置320によって患者のパラメータを測定することと、植込み型装置によって測定されたパラメータと外部装置320によって測定されたパラメータとを比較することと、比較に基づいて接続を認証することとを備える。上述のように、確認の結果、復号化されたデータに基づいて植込み型装置の動作が変更される可能性がある。
【0426】
外部装置320と植込み型装置100との間の暗号化通信のためのさらなる方法が提供される。これらの方法は以下からなる:
無線トランシーバ328によって外部装置320で、第1の鍵を受信する。第1の鍵は、外部装置320とは別の第2の外部装置330によって、または第2の外部装置320に代わって第2の鍵の生成者である別の外部装置によって生成され、第1の鍵は、第2の外部装置330および第2の鍵の生成者のいずれからも受信される、
無線トランシーバ328によって外部装置320で、コントローラ300からの第2のキーを受信する、
外部デバイス320のコンピューティング・ユニット326が、第1の鍵および第2の鍵と、外部デバイス320が保持する(例えばメモリ327内の)第3の鍵とを結合することにより、結合鍵を導出する、
インプラントから外部装置へ暗号化されたデータを送信し、無線トランシーバ328によって外部装置で暗号化されたデータを受信する、
計算ユニット326は、外部デバイス320内の暗号化されたデータを、結合されたキーを使用して復号化する。
【0427】
上述したように、データを復号化するにはさらなる鍵が必要な場合がある。その結果、無線トランシーバ328は、以下のように構成される:
第3の外部装置から第4のキーを受信する、
ここで、演算ユニット326は、以下のように構成される:
前記第1、第2および第4の鍵と、前記外部装置が有する第3の鍵とを結合することにより、結合鍵を導出する、
結合されたキーを使って暗号化されたデータを復号する。
【0428】
一部の実施形態では、データを復号化する前に、コントローラ300と外部装置320との間の通信を確認(認証)する必要がある。このような場合、インプラントおよび/または外部装置は、このような認証を実行するために必要な特徴および機能(本書の各セクションに記載)を備える。
【0429】
これらの実施形態は、通信におけるセキュリティをさらに高める。これらの実施形態では、演算ユニット326は、インプラントと外部装置との間の通信を確認するように構成され、確認は、以下を備える:
外部装置320によって患者のパラメータを測定する、
植込み型装置100から患者の測定パラメータを受信する、
植込み型装置320によって測定されたパラメータと外部装置320によって測定されたパラメータとを比較する、
比較に基づいて接続を確認する、
確認の結果、暗号化されたデータは、外部デバイスで、結合されたキーを使用して復号化される。
【0430】
第1、第2および第3のキーの1つ以上は、バイオメトリクス・キーで構成される。
【0431】
本セクションで説明する鍵は、一部の実施形態では、センサーが感知したデータに基づいて生成することができる。例えば、感知したデータを生成鍵のシードとして使用する。シードとは、乱数生成プロセスを開始するために擬似乱数生成器に供給される初期値のことである。したがって、シードは、その基となる患者の生理学的パラメータへのアクセスや知識がなくても予測しにくいものとすることができ、生成される鍵にさらなる安全性を提供することができる。
【0432】
さらに、図24b図24dを参照して説明するように、外部装置320、330とインプラントとの間の通信のためのセキュリティの向上が提供される。患者に植え込まれた外部装置320とコントローラ300との間の通信のためのシステムである。このシステムは、外部装置と接続(電気/伝導性または無線など)されるように構成された導電性部材321を備え、導電性部材321は、植込み型装置100との伝導性通信C1のために患者の皮膚と電気的に接続されるように配置されるように構成される。本明細書で定義されるような導電性部材321を使用することにより、外部装置とインプラントとの間の通信の安全性を高めることができる。例えば、コントローラ300の制御プログラムの機密性の高い更新が行われる場合、または患者の身体的パラメータに関する機密性の高いデータが外部装置320に送信される場合(またはそれ以外の場合)、導電性部材321は、患者がそのような通信を確実に認識し、通信が行われる可能性があることの検証に積極的に参加することができる。導電性部材は、患者の皮膚に関連して配置されることにより、データ伝送に使用される外部装置とコントローラとの間の導電性通信チャネルC1を開くことができる。
【0433】
このような、または他の実施形態の下で説明されるような電気的または導電的通信は、無線通信のような無線通信に関連して、遠隔から検出することが非常に困難であるか、または少なくとも比較的困難である可能性がある。直接的な電気通信は、植込み型装置100と外部装置320との間の接続を、電磁妨害、すなわち周波数範囲内の他の通信をかき消すことを目的とした他の広範な無線周波数の高出力送信からさらに保護する可能性がある。電気的通信または導電性通信は、患者と物理的に接触していない、または少なくとも患者に近接していない第三者によって傍受されることが過度に困難であり、通信に特別な安全レベルを提供する。
【0434】
いくつかの実施形態では、導電性部材は、導電性部材を外部装置に接続するための導電性インターフェースを備える。
【0435】
いくつかの実施形態では、導電性部材201は、外部装置200に差し込まれる装置であり、患者による簡便な使用のために容易に視認可能で識別可能である。他の実施形態では、導電部材321は、例えば、患者の皮膚と電気的に接続されるように構成された容量性領域を含む外部装置320のケースの形態で、外部装置320とより高度に一体化される。一例では、ケースは、携帯電話用の携帯電話ケース(スマートフォンケース)であるが、他の実施形態では、ケースは、パーソナルコンピュータ用のケース、又は身体装着カメラ、又は本明細書で説明するような任意の他の適切なタイプの外部装置であってもよい。ケースは、例えば、ケースからのワイヤを使用して携帯電話に接続され、携帯電話のヘッドホンポートまたは充電ポートに接続されてもよい。
【0436】
導電性通信C1は、コントローラ300と外部装置320との間の通信のいずれかまたは両方向に使用することができる。その結果、いくつかの実施形態によれば、外部装置320は、導電性部材321を介してコントローラ300に導電性通信(導電性データ)を送信するように構成される。
【0437】
いくつかの実施形態によれば、コントローラ300は、外部装置320に導電性通信を送信するように構成される。これらの実施形態は、外部装置320と接続するように構成された導電部材321を、コントローラ300との導電通信C1のために患者の皮膚と電気的に接続するように配置することから始まる。外部装置320とコントローラ300との間の導電通信は、例えば、外部装置320、導電部材321、導電接続部C1、コントローラ300からなる電気的/導電的に限定された経路をたどることができる。
【0438】
外部装置320がコントローラにデータを送信する場合の実施形態では、通信は、外部装置320がコントローラ300に導電性通信を送信することから構成され得る。
【0439】
送信されたデータは、植え込み可能な装置100を操作するための命令を含んでいてもよい。その結果、いくつかの実施形態は、制御装置300の内部演算ユニット306による、操作命令を使用して植え込み可能な装置100を操作することを含んでおり、導電性通信C1は、植え込み可能な装置100を操作するための命令を含んでいる。操作指示は、例えば、植込み型装置100の電気刺激信号を提供する制御ユニットの(例えば、特性または機能性の)調整または設定を含むことができる。
【0440】
送信されたデータは、コントローラ300のメモリ307に記憶された制御プログラム310を更新するための命令を含んでいてもよい。その結果、いくつかの実施形態は、インプラントの内部コンピューティングユニット306によって、コントローラ300内で実行されている制御プログラム310を更新することを含んでおり、導電性通信は、制御プログラム310を更新するための命令を含んでいる。
【0441】
コントローラ300が外部装置320にデータを送信する場合の実施形態について、通信は、コントローラ300が外部装置320に導電性通信C1を送信することからなる場合がある。導電性通信は、フィードバックパラメータを含んでいてもよい。フィードバックパラメータは、電池の状態、制御装置におけるエネルギーレベル、液圧狭窄装置またはセンサの流体レベル、刺激装置が実行した操作の回数、植え込み可能装置100の機能性に関する特性、温度、バージョン番号などを含み得る。他の実施形態では、導電性通信C1は、血圧等の患者の少なくとも1つの生理学的パラメータに関連するデータからなる。生理学的パラメータは、コントローラ300のメモリ307に記憶されてもよいし、導電性通信C1を送信する前に(リアルタイムまたは遅延して)感知されてもよい。その結果、いくつかの実施形態では、植え込み可能な装置100は、患者の少なくとも1つの生理学的パラメータを感知するためのセンサ140を備え、導電性通信は、患者の前記少なくとも1つの生理学的パラメータを備える。
【0442】
コントローラ300と外部装置320との間の通信のセキュリティをさらに高めるために、異なるタイプの認証、検証、および/または暗号化を採用することができる。いくつかの実施形態では、外部装置320は、検証ユニット340を備える。検証ユニット340は、インプラントと外部装置との間の導電性通信を認証するために、ユーザの検証に適した任意のタイプのユニット、すなわちユーザから認証入力を受信するように構成されたユニットであってよい。一部の実施形態では、検証ユニットおよび外部装置は、ユーザ(患者である場合もない場合もある)から認証入力を収集するための手段を備える。このような手段は、指紋読取装置、網膜スキャナ、カメラ、コード入力用GUI、マイク、採血するように構成された装置などで構成することができる。従って、認証入力は、コードから構成されてもよいし、指紋、掌静脈構造、画像認識、顔認識、虹彩認識、網膜スキャン、手の形状、およびゲノム比較のリストから選択されるバイオメトリック技術に基づくものであってもよい。認証入力を収集する手段は、代替的に、指紋リーダーまたは他のタイプのバイオメトリックリーダーのような、上記の機能例のいずれかを構成する導電性部材の一部であってもよい。
【0443】
いくつかの実施形態では、外部装置320の検証ユニット340によってユーザから認証入力を受信し、認証入力を使用してコントローラ300と外部装置との間の導電性通信を認証することによって、セキュリティを高めることができる。認証が肯定されると、導電性通信チャネルC1は、外部装置320によるコントローラ300への導電性通信の送信、および/またはコントローラ300による外部装置320への導電性通信の送信を構成するために使用される。他の実施形態では、受信した導電性通信に基づいて植え込み可能な装置100を動作させる前、および/または上述のようにコントローラ300内で実行されている制御プログラムを更新する前に、肯定的な認証が必要とされる。
【0444】
図24b図24dはさらに、患者に植え込まれ、感覚発生器381に接続された植え込み型装置100を示している。
【0445】
感覚発生器381は、感覚を発生するように構成されていてもよい。感覚発生器381は、植え込み可能な装置100内に含まれていてもよいし、別個のユニットであってもよい。感覚発生器381は植え込まれてもよい。また、感覚発生器381は、そのように植え込まれないが、患者のみが発生した感覚を経験することができるように、患者と接続されるように配置されてもよい。コントローラ300は、感覚発生器381によって発生された感覚に関連する認証データを記憶するように構成されている。
【0446】
コントローラ300は、外部装置320から入力認証データを受信するようにさらに構成される。生成された感覚に関連する認証データは、コントローラ300のメモリ307によって記憶されてもよい。認証データは、接続、通信、または装置を認証するために、入力認証データと比較するなどして分析することができるように、生成された感覚に関する情報を含むことができる。入力認証データは、患者が外部装置320に入力することによって生成される情報に関連する。入力認証データは、実際の患者入力であっても、外部装置320によって符号化された患者入力の符号化バージョンであってもよい。認証データおよび入力認証データは、多数の感覚または感覚成分から構成される場合がある。
【0447】
認証データは、タイムスタンプを含むことができる。入力認証データは、患者からの入力のタイムスタンプから構成されてもよい。タイムスタンプは、感覚発生装置381による感覚の発生や、患者による入力認証データの作成などのイベントの時刻であってもよい。タイムスタンプは符号化されていてもよい。タイムスタンプは、実際の時刻ではなく、任意の時間単位を特徴としてもよい。タイムスタンプは、コントローラ300の内部クロック360および外部装置320の外部クロック362によって提供される場合がある。クロック360、362は、互いに同期していてもよい。クロック360、362は、外部デバイス320およびそのそれぞれのクロック362からコントローラ300およびそのそれぞれのクロック360へ同期データを通信するための導電接続C1または無線接続WL1を使用することによって同期される場合があり、その逆も同様である。クロック360、362の同期は、連続的に実行されてもよく、安全な通信に依存しなくてもよい。
【0448】
接続の認証は、感覚のタイムスタンプと患者からの入力のタイムスタンプとの間の時間差を計算することと、時間差が閾値未満であると判定した場合に接続を認証することとを含むことができる。閾値の一例は1秒である。解析はまた、通常の人間の応答時間よりも速い患者からの入力をフィルタリングするために、低い閾値を含むこともある。低い閾値は例えば50msである。
【0449】
認証データは、感覚発生器が感覚を発生させた回数からなり、入力認証データは、患者が感覚を検出した回数に関する患者からの入力からなる。そして、接続を認証することは、認証データと入力認証データの回数が等しいと判断したときに、接続を認証することからなる。
【0450】
患者に植え込まれた植え込み可能な装置100と、それに応じた外部装置320との間の接続を認証する方法は、以下のステップを含む。
【0451】
感覚発生器381により、患者の感覚により検出可能な感覚を発生させる。感覚は、複数の感覚成分から構成されることがある。感覚または感覚成分は、振動(例えば、一定周波数の機械的振動)、音(例えば、一定周波数の機械的振動の重ね合わせ)、光信号(例えば、赤外線パルスなどの非可視光パルス)、光信号(例えば、可視光パルス)、電気信号(例えば、電流パルス)、または熱信号(例えば、熱パルス)から構成されてもよい。感覚発生器は、植え込み型、患者の皮膚に接触して装着するように構成されたもの、または、ビープ音アラームのように患者と物理的に接触することなく感覚を発生させることができるものであってもよい。
【0452】
感覚は、患者の内部生物学的プロセスに危害を与えたり、影響を与えたりする危険を冒すことなく、患者の感覚によって一貫して感じられるように構成することができる。
【0453】
感覚発生器381は、コントローラ300内に含まれていてもよいし、コントローラ300に接続された別体であってもよい。感覚は、植え込み可能な装置100のモータ(本明細書に示すいくつかの実施形態ではMと示す)によって生成されてもよく、モータが感覚発生器381である。感覚は、振動であってもよいし、モータを作動させることによって生じる音であってもよい。感覚発生器381は、患者の皮膚に近接して配置されることがあり、従って、皮膚の感覚受容器にも近接して配置されることがある。それにより、信号の種類によっては強度が低下することがある。
【0454】
コントローラ300は、生成されたセンセーションに関連する認証データを保存する。
【0455】
患者による外部装置への入力により、入力認証データが得られる。入力は、例えば、電気スイッチの作動、バイオメトリック入力センサーの使用、外部装置320上で実行されるデジタルインターフェースへの入力などで構成される。
【0456】
入力された認証データを外部機器からコントローラ300に送信する。ステップを実行した場合、制御装置300によって解析が実行されてもよい。
【0457】
植込み型装置100から外部装置320に認証データを送信する。ステップが実行された場合、外部装置320によって解析が実行されてもよい。認証データまたは入力認証データの送信には、無線接続WL1または導電接続C1が使用されてもよい。
【0458】
入力された認証データと認証データの分析に基づいて接続を認証する。例えば、生成および経験された感覚の数を比較したり、認証データと入力された認証データのタイムスタンプを比較したりする。ステップが実行された場合、解析は植込み型装置100によって実行されてもよい。
【0459】
肯定的な認証に続いて、コントローラ300と外部装置320との間でさらなるデータを通信する。無線接続WL1または導電接続C1を使用して、さらなるデータを通信することができる。さらなるデータは、コントローラ300内で実行されている制御プログラム310を更新するためのデータ、または植込み型装置100を操作するための操作指示からなる場合がある。また、さらなるデータは、コントローラ300に接続されたセンサ140によって感知されたデータであってもよい。
【0460】
解析がコントローラ300によって実行された場合、外部装置320は、コントローラ300と外部装置320との間の接続の認証ステータスの情報を継続的に要求または受信し、外部装置320において、接続が認証されたと判断すると、外部装置320からコントローラ300にさらなるデータを送信することができる。
【0461】
解析が外部装置320によって実行された場合、コントローラ300は、コントローラ300と外部装置320との間の接続の認証ステータスの情報を、継続的に要求または受信することができ、コントローラ300において、接続が認証されたと判断すると、コントローラ300から外部装置320にさらなるデータを送信する。
【0462】
この方法に従って接続を認証する主な利点は、患者のみが感覚を体験できることである。従って、患者のみが、感覚の発生に対応する認証入力を提供することにより、接続を認証することができる。
【0463】
感覚発生器381、感覚、感覚構成要素、認証データ、入力認証データ、およびさらなるデータは、本明細書でさらに説明することができる。これらの場合、植え込み可能な装置100および/または外部装置(複数可)は、必要な特徴および機能性(本明細書のそれぞれのセクションに記載)を構成する。さらなる情報および定義は、他の態様と併せて本書に記載されている。
【0464】
本方法は、コントローラ300と外部装置との間でさらなるデータを送信することをさらに含み得、さらなるデータは、接続の認証が実行された後にのみ、使用または作用される。
【0465】
分析または分析するステップは、比較または比較するステップと理解してもよい。
【0466】
ある方法では、外部装置と植え込み型コントローラとの間の通信のセキュリティが向上する。図24b図24dは、システムを形成し得るコントローラ300および外部装置320からなる植込み型装置100を示す。
【0467】
コントローラ300は、外部装置320、すなわち対応するトランシーバ328、323との接続を確立するように構成されたトランシーバ308、303を備える。接続は、トランシーバ303、323を使用する電気接続C1であっても、トランシーバ308、328を使用する無線接続WL1であってもよい。コントローラ300は、外部装置320からトランシーバ308、303で受信した命令の真正性を検証するように構成された演算ユニット306をさらに備える。この態様では、現在送信されている命令を検証するために、以前に送信された命令を使用するという概念が採用される。その結果、送信ノード(この場合、外部装置)は、インプラントに送信された以前の指示を認識する必要があり、これにより、悪意のある装置がその権限を持たずにインプラントに指示するリスクを低減することができる。
【0468】
一実施形態では、演算ユニット306は、トランシーバによって受信された第1の組み合わされた命令セットから以前に送信された命令セットを抽出することによって、トランシーバ308、303で受信された命令の真正性を検証するように構成される。したがって、外部装置320は、次のように構成されたコンピューティングユニット326を含む外部装置を構成することができる:第1の命令セットと以前に送信された命令セットとを結合し、結合された命令セットを形成し、結合された命令セットをインプラントに送信する。以前に送信された一連の指示またはその表現は、外部装置320のメモリ327に格納されることがある。
【0469】
結合された命令セットは、このような抽出を容易にするデータ形式を有していてもよく、例えば、結合された命令セット内の以前に送信された命令セットに関連するデータを識別するメタデータを含む。いくつかの実施形態では、結合された命令セットは、第1の命令セットと、以前に送信された命令セットの暗号ハッシュとから構成される。その結果、本方法は、外部装置において、第1の命令セットと以前に送信された命令セットとを結合し、第1の結合命令セットを形成することを含む。暗号ハッシュ関数は、暗号での使用に適した特定の特性を持つ特殊なハッシュ関数である。任意のサイズのデータを固定サイズのビット列(ハッシュ)にマッピングする数学的アルゴリズムで、一方向性関数、つまり逆変換が不可能な関数として設計されている。例としては、MD5、SHA1、SHA256などがある。こうしてセキュリティが向上する。
【0470】
次に、第1の組み合わせ命令セットは、インプラントされたコントローラ300に送信され、そこで、例えばトランシーバ303、308によって受信される。第1の組み合わされた命令セットは、独自のネットワークプロトコルを使用してインプラントに送信されてもよい。第1の組み合わされた命令セットは、標準ネットワークプロトコルを使用してコントローラ300に送信されてもよい。これらの場合、コントローラ300および/または外部装置は、データの送信を実行するために必要な特徴および機能(本明細書のそれぞれのセクションに記載されている)を備える。外部装置320で、コントローラ300との通信と第2の外部装置330との通信に異なる通信プロトコルを使用することにより、コントローラ300と外部装置320との間の通信が、遠隔の第三者から直接アクセスしにくくなるため、セキュリティ層が追加される。
【0471】
コントローラ300において、演算ユニット306は、受信された第1の複合命令セットの真正性を、第1の複合命令セットから以前に送信された命令セットを抽出し、抽出された以前に送信された命令セットをインプラントに記憶された以前に受信された命令と比較することによって検証する。
【0472】
抽出された以前に送信された命令セットが、コントローラ300に記憶された以前に受信された命令と等しいと判定されると、受信された第1の組み合わせられた命令セットの真正性が有効であると判定される場合があり、その結果、第1の命令セットは、コントローラ300で安全に実行される場合があり、第1の組み合わせられた命令セットは、コントローラ300のメモリ307に記憶され、後続の受信された命令セットの検証に使用される場合がある。
【0473】
いくつかの実施形態では、抽出された以前に送信された命令セットが、コントローラ300に記憶された以前に受信された命令と異なると内部コンピューティングユニット306によって判定されると、植え込み可能な装置10を指示する不正な試みに関するフィードバックが提供されてもよい。例えば、トランシーバ308、303は、例えば外部装置320または他の接続された装置に遭難信号を発信してもよい。また、制御装置300は、例えば振動や音声によって、患者に異常があることを知らせることができる。植え込み可能な装置100は、コントローラ300のメモリ307に記憶され、例えば植え込み可能な装置100を指示するために特定の符号化を必要とすることによって、これらの状況のために特別に設定された事前設定された制御プログラムを使用して、安全モードで実行されてもよく、または植え込み可能な装置100を指示するために所定の装置(例えば製造業者によって提供される)のみを許可してもよい。いくつかの実施形態では、外部装置320でこのようなフィードバックを受信すると、外部装置320は、不正な試みが実際には送信エラー(送信中に組み合わされた命令セットのビットが失われる)である可能性があり、植込み型装置100を指示する試みが実際に許可されている場合には、最初の組み合わされた命令セットを再度送信する。
【0474】
抽出された以前に送信された命令セットを、コントローラ300に記憶された以前に受信された命令と比較するステップは、異なる方法で行うことができる。たとえば、抽出された以前に送信された命令セットと、コントローラ300に記憶された以前に受信された命令とを比較するステップは、抽出された以前に送信された命令セットと、コントローラ300に記憶された以前に受信された命令との間の差分を計算することと、差分を閾値と比較することとを含み、差分値が閾値を超えない場合、抽出された以前に送信された命令セットは、コントローラ300に記憶された以前に受信された命令と等しいと判定される。この実施形態は、受信された命令がクリアテキストまたはその表現でコントローラ300に格納され、外部デバイスから送信される結合された命令セットにも、そのような以前に送信された命令の表現が含まれる場合に使用され得る。この実施形態は、情報のビットが失われるか、または他の方法である。クランブルされる送信中のエラーに対してロバストである可能性がある。
【0475】
他の実施形態では、組み合わされた命令セットは、第1の命令セットと、以前に送信された命令セットの暗号ハッシュとを含み、方法は、コントローラ300において、コントローラ300に格納された以前に受信された命令の暗号ハッシュを計算することと、計算された暗号ハッシュを、第1の組み合わされた命令セットに含まれる暗号ハッシュと比較することとをさらに含む。この実施形態は、暗号ハッシュが解読または偽造が困難であるため、セキュリティが向上する。
【0476】
コントローラ300で受信した命令の真正性を検証する上記の方法は、さらなる命令セットに対して繰り返し採用することができる。
【0477】
セキュリティをさらに向上させるために、コントローラ300に記憶され、後続の組み合わせ命令のセットを検証するための、第1の命令のセットの送信が実行されることがあり、受信された組み合わせ命令の各セットは、何らかの形で、第1の命令のセットを表すか、または第1の命令のセットに基づくデータから構成される。
【0478】
一例では、外部装置320は、2つの別個の通信方法を使用してコントローラ300と通信するように適合される場合がある。第1の通信方法WL1の通信範囲は、第2の通信方法WL2の通信範囲よりも小さくてもよい。方法は、第1の通信方法WL1を使用して、外部装置320からコントローラ300にキーの第1の部分を送信すること、第2の通信方法WL2を使用して、外部装置320からコントローラ300にキーの第2の部分を送信することを含んでもよい。本方法は、コントローラ300において、鍵の第1の部分と鍵の第2の部分とから結合鍵を導出することと、コントローラ300において、結合鍵を使用して暗号化データを復号化することとをさらに含んでもよい。暗号化されたデータは、第2の通信方法WL2を使用して、外部装置320からコントローラ300に送信されることもある。その後、本方法は、コントローラ300と外部装置320との間の電気的接続C1を確認し、確認の結果、コントローラ300において暗号化されたデータを復号化し、復号化されたデータをコントローラ300への指示に使用することをさらに含んでもよい。
【0479】
本方法はまた、外部装置320と接続されるように構成された導電性部材321を、コントローラ300との導電性通信のために患者の皮膚と電気的に接続するように配置することを含んでいてもよい。電気的接続により、潜在的なハッカーが植込み型装置100の動作にアクセスしたり影響を与えたりするためには患者と接触していなければならないため、セキュリティの層が追加される。
【0480】
複数の通信方法を使用すると、植込み型装置100または通信にアクセスするために、権限のないエンティティによって複数の通信チャネルがハッキングまたはハイジャックされる必要がある可能性があるため、認証および植込み型装置100との通信の安全性が高まる可能性がある。
【0481】
導電性部材321の電気的接続C1および導電性通信については、本明細書の一般的定義の項でさらに説明することができる。これらの場合、コントローラ300および/または外部装置320は、必要な特徴および機能(本明細書のそれぞれの節に記載)を構成する。
【0482】
また、コントローラ300において暗号化されたデータを復号化し、復号化されたデータを植込み型装置100への指示のために使用するために、第1および第2の通信方法WL1、WL2のいずれか1つを確認する必要があり得ることに留意すべきである。
【0483】
本方法は、コントローラ300において、第2の外部デバイス330から鍵の第3の部分を無線受信するステップをさらに含んでもよい。この場合、結合鍵は、鍵の第1の部分、鍵の第2の部分、および鍵の第3の部分から導出することができる。
【0484】
第1の通信手段WL1は、無線形式の通信であってもよい。第1の通信手段WL1は、好ましくは、電磁または無線ベースの通信形態であってもよいが、他の通信形態を排除するものではない。第1の通信手段WL1は、以下のリストの項目で構成されるか、またはそれに関連することができる:無線識別(RFID)、ブルートゥース、ブルートゥース5、ブルートゥース低エネルギー(BLE)、近距離無線通信(NFC)、NFC-V、赤外線(IR)ベースの通信、超音波ベースの通信。
【0485】
RFID通信は、RFIDアクセス/キーや支払いカードにあるようなパッシブ受信回路の使用を可能にする。IRベースの通信は、光ファイバー通信とIRダイオードで構成される。IRダイオードは、テレビのリモコン装置など、ファイバーを使わずに直接使用することもできる。超音波ベースの通信は、哺乳類の胎児の発育をモニターするなどの医療目的で使用されている、非侵襲的な超音波イメージングに基づくことができる。
【0486】
第1の通信手段WL1は、特定の周波数帯域を使用してもよい。第1の通信手段WL1の周波数帯域は、中心周波数が13.56MHzまたは27.12MHzであってもよい。これらの帯域は、ISM(Industrial, Science and Medical)無線帯域と呼ばれる場合がある。ここで言及されていない他のISMバンドも、通信方式WL1、WL2に利用することができる。13.56MHzを中心とした帯域幅は14kHz、27.12MHzを中心とした帯域幅は326kHzとすることができる。
【0487】
第1の通信手段WL1の通信範囲は、10メートル未満であってもよく、好ましくは2メートル未満であり、より好ましくは1メートル未満であり、最も好ましくは20センチメートル未満である。第1の通信手段WL1の通信範囲は、通信の周波数および/または位相を調整することによって制限されてもよい。異なる周波数は、異なる減衰率を有する場合がある。第1の通信手段の短い通信範囲を実施することにより、外部装置が患者の制御下にある(外部装置をインプラントの近くに保持している)ことが保証されるか、またはその可能性が高くなるため、セキュリティが向上する可能性がある。
【0488】
第1の通信手段WL1の通信範囲は、患者の体、組織、骨などが伝搬媒体となると仮定して評価する必要がある。このような伝搬媒質は、空気で満たされた大気や真空の自由空間と比較して、異なる減衰率を示す可能性がある。
【0489】
通信範囲を制限することにより、植え込みコントローラ300と通信する外部装置が、実際に患者の上にあるか、または少なくとも患者の近傍にあることが立証される可能性がある。これにより、通信にさらなる安全性が付加される可能性がある。
【0490】
第2の通信手段WL2は、無線形式の通信であってもよい。第2の通信方法WL2は、好ましくは、電磁または無線に基づく通信の形態であってもよい。第2の通信方法WL2は、電気通信方式に基づくものであってもよい。第2の通信方法WL2は、以下のリストの項目で構成されるか、またはそれらに関連し得る:無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、ブルートゥース、ブルートゥース5、BLE、GSMまたは2G(第2世代携帯電話技術)、3G、4G、5G。
【0491】
第2の通信手段WL2は、第1の通信手段WL1について上述したISMバンドを利用することができる。
【0492】
第2の通信手段WL2の通信範囲は、第1の通信手段WL1の通信範囲よりも長くてもよい。第2の通信手段WL2の通信範囲は、好ましくは10mより長くてもよく、より好ましくは50mより長くてもよく、最も好ましくは100mより長くてもよい。
【0493】
暗号化されたデータは、植え込み可能な装置100で実行されている制御プログラム310を更新するための命令を含んでいてもよい。暗号化されたデータはさらに、植込み型装置100を操作するための命令を含んでいてもよい。
【0494】
一実施形態では、植え込み可能な装置100は、図24b図24dを参照して説明したように、暗号化の追加層を追加して第2の外部装置330にデータを送信することができる外部装置320にデータを送信することができる。24b~24dを参照して説明する。外部装置に暗号化の追加レイヤを追加させることにより、コントローラ300は、暗号化されていないデータまたは安全性の低いまたは暗号化を必要とするコンピューティングリソースの少ないデータを使用して暗号化されたデータを送信することができるため、植え込まれたコントローラ300に必要とされるコンピューティングリソースが少なくなる可能性がある。このようにしても、データを第3の装置に比較的安全に送信することができる。データの送信は、以下に説明する方法またはシステムに加えて、本明細書に説明する方法のいずれかを使用して実行することができる。
【0495】
したがって、実施形態では、システムが提供される。このシステムは、例えば図4図11に開示された先行実施形態のいずれかによる植え込み可能な装置100であって、患者の身体から外部装置320にデータを送信するように構成されたコントローラ300と、送信されるデータを暗号化するための暗号化ユニット382とを備える。システムはさらに、コントローラ300によって送信されたデータを受信し、第1の鍵を用いて受信データを暗号化し、暗号化された受信データを第3の外部装置330に送信するように構成された外部装置320を備える。暗号化は、上述または後述する鍵のいずれかを使用して実行することができる。一部の実施形態では、外部装置320は、データを暗号化して送信する前に、コントローラ300から受信したデータを復号化するように構成される。あるいは、外部装置320は、コントローラ300から受信したデータを最初に復号化せずに、暗号化して送信することもできる。
【0496】
一例では、暗号化ユニット382は、第2の鍵を使用して送信されるデータを暗号化するように構成される。第1の鍵または第2の鍵は、例えば、植込み型装置100に固有の情報、外部装置320に関連する秘密鍵、植込み型装置100の識別子、またはコントローラ300の識別子であり得る。第2の鍵は、外部装置320からコントローラ300に送信される鍵であり得る。いくつかの例では、第2の鍵は、コントローラ300が外部装置320から受信した第3の鍵を含む複合鍵である。
【0497】
第1の鍵は、第4の鍵を含む複合鍵であってもよく、第4の鍵は、第4のデバイスから外部デバイ ス320によって受信される。第4のデバイスは、外部デバイスに内蔵されるか、外部デバイスの外部に接続される検証ユニットである。検証ユニットは、指紋センサなどの検証用センサ350を備えていてもよい。これに関する詳細は後述する。あるいは、検証ユニットは、上述したように、ジェネレータであってもよい。
【0498】
システムは、感知されたパラメータを使用してデータを送信する方法を実行するように構成されてもよい。この方法は、外部装置320によって測定されたパラメータを外部装置320からコントローラ300に送信することを含んでいてもよい。この場合、外部装置320によって測定された患者のパラメータと、コントローラ300によって測定された患者のパラメータとの比較は、コントローラ300によって実行されてもよい。植え込み可能な装置 、植え込み可能な装置100において患者のパラメータを測定するための第1のセンサ140を含んでいてもよい。外部装置320は、外部装置320において患者のパラメータを測定するための外部センサ350を含んでいてもよい。
【0499】
コントローラ300と外部装置320との間の接続の認証は、ユーザまたは患者からの入力、認証、または検証がなくても自動的に実行される場合がある。これは、内部および外部センサ351、350それぞれによって内部および外部で測定されたパラメータの比較で、接続を認証するのに十分な場合があるためである。これは、患者のパラメータが、例えば患者の脈拍のような、患者の自動的に発生する生理学的機能に関連している場合に典型的に起こり得る。しかし、認証の種類によっては、患者に特定の動作をさせるなど、患者の動作を必要とする場合がある。
【0500】
本明細書に記載される実施形態では、コントローラ300は、上述のように感覚発生器381を構成するか、または感覚発生器381に接続されてもよい。リセット、再起動、新たな指示の受信、新たな構成または更新の受信、新たな指示または構成または更新のインストールまたは起動などのインプラント内の事象に応答して、コントローラ300は、感覚発生器381に、植込み型装置100が植え込まれた患者によって検出可能な感覚を発生させるように構成されてもよい。いくつかの例では、ユーザは、例えば外部装置320のユーザインターフェースを介して、感覚後に動作を確認することができる。
【0501】
植え込み型装置100は、コントローラ300から送信されるデータのセキュリティを向上させるための方法をさらに実施することができる。この方法は、患者の体内に植え込まれたときのコントローラ300と外部装置320との間の暗号化通信のための方法であって、コントローラ300またはコントローラ300に構成されるか接続されたプロセッサ306によって、植え込み可能な装置100またはその動作に関するデータを符号化または暗号化することを備える;制御装置300によって、データを送信すること、外部装置320を構成する第2の通信ユニットによって、データを受信すること、外部装置320によって、暗号化キーを使用してデータを暗号化し、暗号化データを得るステップと、暗号化データを第3の外部装置330に送信することを含む。このようにして、外部装置320は、コントローラ300によって送信されるデータに、暗号化を追加または交換する、または暗号化の追加レイヤを追加することができる。コントローラ300が送信するデータを暗号化する場合、送信前にデータを暗号化しないか、または軽量暗号化のみを使用するように構成することができる。
【0502】
コントローラ300による暗号化は、第2の鍵を使用してデータを暗号化することからなる場合がある。第2の鍵を使用する暗号化は、第2の鍵を使用して外部デバイスによって実行される暗号化よりも軽量な暗号化、すなわち、外部デバイス320によって実行される暗号化ほどコンピューティングリソースを必要としない暗号化であってもよい。
【0503】
第1または第2の鍵は、暗号化および認証を参照して上述したように交換される秘密鍵で構成されてもよいし、第1または第2の鍵は、植込み型装置100に固有の情報、外部装置に関連する秘密鍵、植込み型装置100の識別子、またはコントローラ300の識別子で構成されてもよい。これらは、本明細書で説明されるように、組み合わされた鍵であってもよく、鍵の内容、鍵の任意の組み合わせ、および鍵または鍵の交換は、暗号化および/または認証のセクションで説明される。
【0504】
図24B~Dを参照して説明した一実施形態によれば、通信ユニット102または内部コントローラ102または制御ユニット102は、外部装置と無線通信するための無線トランシーバ108、セキュリティモジュール189、および、本明細書では演算ユニット106とも呼ばれる中央ユニット(同等と見なされる)から構成されている。中央ユニット106は、無線トランシーバ108、セキュリティモジュール189、および植え込み型医療装置または能動ユニット101と通信するように構成されている。無線トランシーバ108は、植込み型医療装置100に対する少なくとも1つの命令を含む外部装置200からの通信を受信し、受信した通信を中央ユニットまたは演算ユニット106に送信するように構成されている。中央ユニットまたは演算ユニット106は、外部装置200からの受信通信から導出されたセキュア通信をセキュリティモジュール189に送信するように構成され、セキュリティモジュール189は、セキュア通信の少なくとも一部を復号化し、セキュア通信の真正性を検証するように構成される。セキュリティモジュールはさらに、応答通信を中央ユニットまたはコンピューティングユニット106に送信するように構成され、中央ユニットまたはコンピューティングユニットは、少なくとも1つの命令をアクティブユニット101に通信するように構成される。図24b図24dに示す実施形態では、少なくとも1つの命令は、応答通信、または応答通信と外部装置200からの受信通信の組み合わせに基づいている。
【0505】
図24b~24dに示す実施形態では、セキュリティモジュール189は、中央ユニットまたはコンピューティングユニット106からの通信を受け入れるための規則のセットから構成される。図24B~24Dに示される実施形態では、無線トランシーバ108は、無線トランシーバ108によって無線通信が送受信されないオフモードに置かれ得るように構成される。一連の規則は、無線トランシーバ108がオフモードに置かれているときにのみ、中央ユニットまたは演算ユニット106からセキュリティモジュール189またはアクティブユニット101への通信が受け入れられることを規定する規則からなる。
【0506】
図24B~Dに示す実施形態では、一連のルールは、無線トランシーバ108が特定の時間オフモードに置かれている場合にのみ、中央ユニットまたはコンピューティングユニット106からの通信を受け付けることを規定するルールで構成される。
【0507】
図24b~24dに示す実施形態では、中央装置または演算装置106は、外部装置200からの受信通信のデジタル署名を検証するように構成されている。デジタル署名は、患者または医療専門家からのバイオメトリック署名に基づくハッシュベースのデジタル署名であり得る。規則のセットはさらに、受信した通信のデジタル署名が中央装置106によって検証された場合にのみ、中央装置106からの通信が受け入れられることを規定する規則を含んでいる。検証は、例えば、デジタル署名またはデジタル署名の一部を、中央ユニット106に記憶された以前に検証されたデジタル署名と比較するステップを含み得る。中央装置106は、外部装置からの受信した通信のサイズを検証するように構成され得、規則のセットは、受信した通信のサイズが中央装置106によって検証された場合にのみ、中央装置106からの通信が受け入れられることを規定する規則を含み得る。したがって、中央装置は、指定されたサイズ範囲を超える通信または下回る通信が拒否されることを規定する規則を有することができる。
【0508】
図24B~24Dに示す実施形態では、無線トランシーバは、少なくとも第1層と第2層の暗号化で暗号化された外部装置200からのメッセージを受信するように構成されている。中央装置106は、第1層の暗号化を復号化し、第2層の暗号化を構成するメッセージの少なくとも一部をセキュリティモデル189に送信する。次に、セキュリティ・モジュール189は、第2層の暗号化を復号化し、セキュリティ・モジュール189によって復号化されたメッセージの一部に基づいて、応答通信をセントラル・ユニット106に送信する。
【0509】
図24B~24Dに示す実施形態では、中央装置106は、デジタル署名を構成するメッセージの一部を復号化するように構成され、デジタル署名は中央装置106によって検証されることができ、また、中央装置106は、メッセージ・サイズ情報を構成するメッセージの一部を復号化するように構成され、メッセージ・サイズは中央装置106によって検証されることができる。
【0510】
図24B~24Dに示す実施形態では、中央装置106は、メッセージの第1部分と第2部分を復号化するように構成され、第1部分は、第2部分の真正性を検証するためのチェックサムからなる。
【0511】
図24B~24Dに示す実施形態では、セキュリティ・モジュール189から送信される応答通信はチェックサムを含んでおり、中央装置106は、受信したチェックサムを用いて、すなわち中央装置106によって復号化されたメッセージの一部を加算し、その合計をチェックサムと比較することによって、中央装置106によって復号化されたメッセージの少なくとも一部の真正性を検証するように構成されている。
【0512】
図24C~24Dに示す実施形態では、規則セットはさらに、中央ユニット106とセキュリティ・モジュール189との間のデータ転送速度に関連する規則を含んでいる。この規則では、データ転送速度が設定された最大データ転送速度を超えた場合に通信を拒否または中止すべきであると規定することができ、これにより、権限のない者が医療用インプラントに悪意のあるコードまたは命令を注入することを困難にすることができる。
【0513】
図24B~24Dに示す実施形態では、セキュリティ・モジュール189は、デジタル署名がセキュリティ・モジュール189によって検証され得るように、第2層の暗号化で暗号化されているデジタル署名を含むメッセージの一部を復号化するように構成されている。次に、セキュリティモジュール189は、検証の結果に基づいて、中央ユニット106に応答通信を送信し、この応答通信は、中央ユニット106によって、メッセージのさらなる復号化のために、または、メッセージ内の命令がアクティブユニット101に通信されるべきかどうかを決定するために使用することができる。
【0514】
図24B~24Dに示す実施形態では、中央ユニット106は、無線トランシーバ108がオフモードに置かれているときにのみ、外部装置200からの受信通信の一部を復号化することができる。代替案として、または追加のセキュリティ層として、中央ユニット106は、無線トランシーバ108がオフモードに置かれているときにのみ、植込み型医療装置100のアクティブユニット101に命令を通信することができるように制限されてもよい。これにより、中央ユニット106がアクティブユニット101と通信している間は攻撃が行われないようにすることができる。
【0515】
図24B~24Dに示す実施形態では、植え込み可能なコントローラ102は、無線トランシーバ108を使用して、第1の暗号化されていない部分と第2の暗号化された部分とを含む外部装置200からのメッセージを受信するように構成されている。次に、植え込み可能なコントローラ102(例えば、中央ユニット106またはセキュリティモジュール189)は、暗号化された部分を復号化し、復号化された部分を使用して、暗号化されていない部分の真正性を検証する。このように、通信全体を暗号化するのではなく、メッセージの残りの部分(チェックサムおよび/またはデジタル署名など)を認証するために必要な部分のみを暗号化することによって、演算処理能力およびそれによるエネルギーを節約することができる。
【0516】
図24B~24Dに示す実施形態では、中央装置106は、暗号化された部分をセキュリティ・モジュール189に送信し、暗号化された部分に含まれる情報がセキュリティ・モジュールによって復号化されることに基づいて、セキュリティ・モジュール189から応答通信を受信するように構成されている。その後、中央装置106は、応答通信を使用して、暗号化されていない部分の真正性を検証するように構成される。暗号化されていない部分は、植込み型医療装置106に対する少なくとも1つの命令の少なくとも一部を構成し得る。
【0517】
図24B~24Dに示す実施形態では、植込み型コントローラ102は、無線トランシーバ108を使用して、患者の生理学的パラメータおよび植込み型医療装置100の物理的パラメータのうちの少なくとも1つに関連する情報を含む外部装置200からのメッセージを受信し、受信した情報を使用してメッセージの真正性を検証するように構成されている。患者の生理的パラメータは、体温、心拍数、および飽和値のうちの1つ以上に基づくパラメータのようなパラメータであり得る。
【0518】
植え込み型医療装置100の物理的パラメータは、植え込み型医療装置100の現在の設定値または値、植え込み型医療装置100に送信された事前の指示、または植え込み型医療装置100のIDの少なくとも1つから構成され得る。
【0519】
患者の生理学的パラメータおよび/または植え込まれた医療装置100の物理的または機能的パラメータに関連する情報を含むメッセージの部分は暗号化され得、中央ユニット106は、暗号化された部分をセキュリティモジュール189に送信し、セキュリティモジュール189によって復号化された情報に基づいて、セキュリティモジュール189から応答通信を受信するように構成され得る。
【0520】
図24B~24Dに示す実施形態では、セキュリティモジュール189は、少なくとも1つのハードウェアベースの鍵からなるハードウェアセキュリティモジュールである。セキュリティ・モジュール189は、改ざんの可視的な兆候またはロギングおよび警告などの改ざん証拠を提供する機能を有することができる。また、セキュリティモジュール189が、改ざんが検出された場合にセキュリティモジュール189を動作不能にする「改ざん耐性」を有するようにしてもよい。例えば、改ざんへの対応として、改ざんが検知された場合、鍵を削除することが考えられる。セキュリティモジュール189は、1つ以上のセキュアな暗号プロセッサチップで構成される。セキュリティモジュール189のハードウェアベースの鍵は、外部デバイス200に配置可能な 対応するハードウェアベースの鍵を有しうる。対応する外部のハードウェアベースの鍵は、外部デバイス 200に接続可能なキーカード上に配置することができる。
【0521】
代替実施形態では、セキュリティ・モジュール189は、少なくとも1つのソフトウェア・ベースの鍵を含むソフトウェア・セキュリティ・モジュール、またはハードウェア・ベースのセキュリティ・モジュールとソフトウェア・ベースの鍵の組み合わせである。ソフトウェアベースの鍵は、外部装置200のソフトウェアベースの鍵に対応してもよい。ソフトウェアベースの鍵は、外部装置200に接続可能なキーカード上のソフトウェアベースの鍵に対応してもよい。
【0522】
図24B~24Dに示す実施形態では、外部装置200は携帯型外部装置であるが、代替実施形態では、外部装置は遠隔外部装置またはクラウドベースの外部装置であってもよい。
【0523】
図24B~24Dに示す実施形態では、植込み型医療装置100に対する少なくとも1つの指示は、植込み型医療装置100の動作状態を変更するための指示を含んでいる。
【0524】
図24B~24Dに示す実施形態では、無線トランシーバ108は、100kHz以下、より具体的には40kHz以下の周波数の電磁波を用いて外部機器200と無線通信するように構成されている。このように、無線トランシーバ108は、「超低周波」通信(VLF)を用いて外部装置200と通信するように構成されている。VLF信号は、植込み型医療装置100のチタン製ハウジングを貫通する能力を有し、植込み型医療装置100の電子機器をチタン製ハウジング内に完全に封入することができる。
【0525】
無線トランシーバ108は、第1の通信プロトコルを使用して外部装置200と無線通信するように構成され、中央装置106は、第2の異なる通信プロトコルを使用してセキュリティ・モジュール189と通信するように構成される。これにより、中央装置106内の電子回路および/またはソフトウェアにセキュリティ構造が組み込まれ、第1の通信プロトコルから第2の通信プロトコルへの転送が可能になるため、セキュリティの層が追加される。無線トランシーバ108は、RFID型プロトコル、WLAN型プロトコル、ブルートゥース(BT)型プロトコル、BLE型プロトコル、NFC型プロトコル、3G/4G/5G型プロトコル、およびGSM型プロトコルのうちの1つであり得る標準ネットワークプロトコルを使用して外部装置と無線通信するように構成され得る。代替案として、または組み合わせとして、無線トランシーバ108は、独自のネットワークプロトコルを使用して外部デバイス200と無線通信するように構成され得る。無線トランシーバ108は、超広帯域(UWB)トランシーバで構成され得、したがって、植込み型コントローラ102と外部装置200との間の無線通信は、UWBに基づき得る。UWB技術の使用により、植え込み型医療装置100が、外部装置200が植え込み型医療装置100および/または患者が正しいと認めることができる位置、例えば、患者の手の届く範囲内および/または植え込み型医療装置100から1または2メートル以内など、医療装置100および/または患者に直接近接した位置にあることを確定する方法として使用することができる遠隔制御320''の位置決めが可能になる。代替案として、UWBとBTを組み合わせて使用することも可能であり、この場合、BTを使用した方が大きなデータセットの転送が容易であるため、UWB通信をBT通信の認証に使用することができる。
【0526】
図24B~24Dを参照して説明した一実施形態によれば、植込み型医療装置100の通信ユニット102またはコントローラは、経皮的に伝達されるエネルギーを受信するように構成されたコイル192(具体的には図113B'に示す)からなる受信ユニット105またはエネルギー受信器105を備える。受信ユニットはさらに、コイル192によって受信されたエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成された測定ユニット194と、コイル192に電気的に接続された可変インピーダンス193とを備える。受信ユニット105は、可変インピーダンス193とコイル192との間の電気的接続をオフにするために、可変インピーダンス193とコイル192との間に配置されたスイッチ195aをさらに備える。通信ユニット102またはコントローラ102は、インピーダンスを変化させるために可変インピーダンス193を制御し、それによって、測定されたパラメータに基づいてコイル192を調整するように構成される。通信ユニット102またはコントローラ102はさらに、測定されたパラメータが閾値を超えたことに応答して、可変インピーダンス193とコイル192との間の電気的接続をオフにするためにスイッチ195aを制御するように構成される。コントローラ102は、さらに、測定されたパラメータが閾値を超えたことに応答して可変インピーダンスを変化させるように構成されていてもよい。このように、受信エネルギー量が過剰になった場合、受信エネルギー量を低減するようにコイルを調整またはオフにすることができる。測定ユニット194は、時間にわたってコイル192によって受信されるエネルギーに関連するパラメータを測定するように構成され、および/または、例えば受信エネルギーの時間微分を測定することによって、コイル192によって受信されるエネルギーの変化に関連するパラメータを測定するように構成される。可変インピーダンス193は、図24c'に示す実施形態では、コイル192と直列に配置されている。しかし、別の実施形態では、可変インピーダンスをコイル 192 と並列に配置することも考えられる。
【0527】
第1のスイッチ195aはコイル192の第1の端部分192aに配置され、植込み型医療装置100は、コイル192が植込み型医療装置100の他の部分から完全に切り離され得るように、コイル192の第2の端部分に配置された第2のスイッチ195bをさらに備える。受信ユニット105は、経皮的に伝達されるエネルギーをパルスパターンに従ってパルスで受信するように構成されている。測定ユニット194は、図24c'に示す実施形態では、パルスパターンに関連するパラメータを測定するように構成されている。制御装置102は、パルスパターンが予め定義されたパルスパターンから逸脱することに応答して可変インピーダンスを制御するように構成されている。コントローラ102は、パルスパターンが予め定義されたパルスパターンから逸脱することに応答して、可変インピーダンス193とコイル192との間の電気的接続をオフにするためのスイッチ195aを制御するように構成される。測定ユニットは、植込み型医療装置100内または患者の体内の温度を測定するように構成され、コントローラ102は、測定された温度に応答して第1および第2のスイッチ195a,195bを制御するように構成される。
【0528】
可変インピーダンス193は、抵抗器とコンデンサ、および/または、抵抗器とインダクタ、および/または、インダクタとコンデンサから構成されてもよい。可変インピーダンス193は、デジタル同調コンデンサまたはデジタルポテンショメータで構成されてもよい。可変インピーダンス193は、可変インダクタで構成されてもよい。第1および第2のスイッチは、MOSFETなどの半導体で構成される。インピーダンスの変動は、受信ユニットによって受信される有効電力を低下させるように構成される。図24c'に見られるように、可変インピーダンス193、第1および第2のスイッチ195a,195b、ならびに測定ユニット194は、通信ユニット/コントローラ102に接続されており、受信ユニット105は、蓄電ユニット10が受信ユニット105によって受信されたエネルギーを蓄積できるように、蓄電ユニット10に接続されている。
【0529】
一実施形態では、植込み型装置100は、図24b図24dを参照して説明したように、患者の少なくとも1つの生理学的パラメータまたは植込み型装置100の機能パラメータを感知するための少なくとも1つのセンサを備える。24b~24dを参照されたい。センサ351は、例えば、圧力センサ、電気センサ、時計、温度センサ、運動センサ、光学センサ、音波センサ、超音波センサであってもよい。センサ351は、周期的にパラメータを感知するように構成され、コントローラ300は、感知されたパラメータが所定の閾値以上であることに応答して、感知されたパラメータに関連する情報を無線ブロードキャストするように構成される。コントローラ300は、無線周波数型プロトコル、RFID型プロトコル、WLAN型プロトコル、Bluetooth型プロトコル、BLE型プロトコル、NFC型プロトコル、3G/4G/5G型プロトコル、またはGSM型プロトコルなどの短距離から中距離の送信プロトコルを使用して情報をブロードキャストするように構成され得る。
【0530】
インプラントのコントローラは、センサー351に接続され、情報を送信する前に匿名化するように構成される場合がある。データの送信は、データのブロードキャストと呼ばれることもある。
【0531】
検知されたパラメータが所定の閾値以上である場合にデータを送信することに加えて、またはその代替として、コントローラ300は、情報を定期的にブロードキャストするように構成されてもよい。コントローラ300は、第2のパラメータが所定の閾値以上であることに応答して、情報をブロードキャストするように構成されてもよい。第2のパラメータは、例えば、空きメモリまたは空き記憶領域パラメータ、またはバッテリ状態パラメータなど、コントローラ300自体に関連するものであってもよい。植え込み可能な装置100が植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニットとエネルギー貯蔵ユニットインジケータとを備える場合、エネルギー貯蔵ユニットインジケータは植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニットの機能ステータスを示すように構成され、その表示は送信されたデータに含まれていてもよい。機能状態は、植え込み可能エネルギー貯蔵ユニットの充電レベルおよび温度の少なくとも1つを示すことができる。
【0532】
いくつかの実施形態では、外部デバイス320は、ブロードキャストされた情報を受信し、暗号化キーを使用して受信情報を暗号化し、暗号化された受信情報を送信するように構成される。このようにして、外部装置320は、暗号化の追加レイヤを追加したり、コントローラ300によって実行される暗号化を交換したりすることができる。
【0533】
一実施形態では、コントローラ300は、患者の身体を導体C1として使用してデータを送信するように構成され、外部装置320は、身体を介してデータを受信するように構成される。別法として、または組み合わせて、インプラントのコントローラ300は、データを外部装置WL2に無線送信するように構成される。
【0534】
したがって、コントローラ300は、プロセッサ306を備えるコントローラ300からデータを送信するための方法を実施することができ、その方法は、コントローラ300に接続されるかまたはコントローラ300に構成されるセンサ140を介してセンサ測定データを取得することであって、センサ測定は、患者の少なくとも1つの生理学的パラメータまたは植え込み可能な装置100の機能パラメータに関連する、ことと、センサ測定が所定の閾値以上であることに応答して、コントローラ300によってセンサ測定データを送信することであって、センサ140は、パラメータを周期的に感知するように構成される、こととを備える。本方法は、外部装置320によって受信されるように、センサ測定データをブロードキャストすることをさらに含んでもよい。送信またはブロードキャストは、無線周波数型プロトコル、RFID型プロトコル、WLAN型プロトコル、ブルートゥース型プロトコル、BLE型プロトコル、NFC型プロトコル、3G/4G/5G型プロトコル、またはGSM型プロトコルのうちの少なくとも1つを使用することを含んでよい。
【0535】
本方法は、プロセッサ306において、送信前に、プロセッサによって、センサ測定データを匿名化すること、または、送信前に、処理ユニット306に構成される暗号化器382を用いて、センサ測定データを暗号化することをさらに含んでもよい。データの送信は、送信前にデータを符号化することをさらに含んでいてもよい。エンコードの種類は、通信チャネルまたは送信に使用されるプロトコルに依存する場合がある。
【0536】
送信は、周期的に、または、例えば、センサー140のような植込み型装置100の内部部分によって、または、外部装置320によって、プロセッサによって受信された信号に応答して実行され得る。
【0537】
パラメータは、例えば、植え込み可能な装置100の機能パラメータ(バッテリパラメータ、空きメモリパラメータ、温度、圧力、エラーカウント、制御プログラムのいずれかの状態、またはこの説明で言及される他の任意の機能パラメータなど)または患者に関するパラメータ(温度、血圧、またはこの説明で言及される他の任意のパラメータなど)の少なくとも1つである。一実施例では、植え込み可能な装置10は植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット40とエネルギー貯蔵ユニットインジケータ304cとを備え、エネルギー貯蔵ユニットインジケータ304cは植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット40の機能状態を示すように構成され、センサ測定はエネルギー貯蔵ユニットインジケータに関連するデータからなる。
【0538】
一実施例では、送信は、インプラント100が植え込まれた患者によって検出可能な感覚を感覚発生器381に起こさせるように構成された内部プロセッサ306にセンサ測定値を送信することからなる。
【0539】
本方法は、例えば図4~11に示すようなインプラント100と外部装置320とを含むシステムにおいて実施することができ、外部装置320においてセンサ測定データを受信することと、外部装置320において、鍵を用いてセンサ測定データを暗号化して暗号化データを得ることと、暗号化データを送信することとをさらに含む。送信は、例えば、無線WL3または導電C1で行うことができる。
【0540】
植え込み可能な装置100からまたは植え込み可能な装置100にデータを送信する例または実施形態では、図24図24cを参照して説明した、データの完全性を検証するために以下の方法を植え込むことができる。24b~24cを参照して説明する。データの完全性を検証することによって、外部装置320またはコントローラ300に構成されるプロセッサ306は、データが送信中に破損または改ざんされていないことを検証することができる。一部の例では、コントローラ300と外部デバイス320との間、または外部デバイス320とコントローラ300との間で通信されるデータの整合性は、巡回冗長検査を使用して実行される場合がある。
【0541】
このように、第1の実施例では、患者に植え込まれたコントローラ300のパラメータを評価する方法を説明する。コントローラ300は、プロセッサ306と、パラメータを測定するためのセンサ140とを備える。この方法は、センサ140を使用して、機能パラメータを測定して測定データを得ることと、内部コントローラ300と、インプラントからデータを受信するように構成された外部装置320との間の接続を確立することと、プロセッサ306によって、測定データに関連し、外部装置320が受信データの整合性を検証するために使用するように適合された暗号化ハッシュまたはメタデータを決定することと、暗号化ハッシュまたはメタデータを送信することと、コントローラ300から測定データを送信することとを備える。
【0542】
パラメータは、例えば、温度、圧力、バッテリステータスインジケータ、時間期間の長さ、狭窄装置における圧力、括約筋における圧力などのコントローラ300のパラメータ、または脈拍、血圧、温度などの患者の生理学的パラメータであってもよい。いくつかの例では、複数のパラメータを使用することができる。
【0543】
本方法は、機能パラメータに関する測定データを評価することをさらに含んでもよい。評価するとは、パラメータが所定値を超えているか、または所定値未満であるかを判定すること、測定データから別のパラメータを抽出すること、別のパラメータを所定値と比較すること、または別のパラメータをユーザに表示することを意味する場合がある。例えば、本方法は、外部装置320において、評価することに基づいて、植込み型装置100が正しく機能していると判定すること、または、評価することに基づいて、植込み型装置100が正しく機能していないと判定することをさらに含むことができる。
【0544】
植え込み可能な装置100が正しく機能していないと判定された場合、この方法は、外部装置320から制御装置300に是正コマンドを送信することと、制御装置300で是正コマンドを受信することと、是正コマンドを実行することによって、是正コマンドに従って植え込み可能な装置100の機能を是正することとをさらに含み得る。
【0545】
本方法は、外部デバイス320において、送信された暗号ハッシュまたはメタデータを受信することと、測定データを受信することと、暗号ハッシュまたはメタデータを使用して測定データの完全性を検証することとをさらに含むことができる。暗号ハッシュアルゴリズムは、任意のタイプのハッシュアルゴリズム、すなわち、任意の長さの入力データを入力として有し、固定長のハッシュ値を生成するように構成された一方向性関数からなるアルゴリズムである。例えば、暗号ハッシュアルゴリズムは、MD5、SHA1、SHA 256などである。
【0546】
一部の例では、暗号ハッシュは、コントローラ300の秘密鍵を使用して得られる署名であり、外部装置320による検証は、秘密鍵に対応する公開鍵を使用して署名を検証することからなる。
【0547】
暗号ハッシュを使用する場合、本方法は、受信した測定データに対して、プロセッサと同じ暗号ハッシュアルゴリズムを使用して第2の暗号ハッシュを計算することと、暗号ハッシュと第2の暗号ハッシュが等しい(すなわち同じ値を有する)ことに基づいて、測定データが正しく受信されたと判定することとをさらに含むことができる。
【0548】
メタデータを使用する場合、データの完全性を検証することは、機能パラメータに関連する受信された測定データに対する第2のメタデータを取得することと、そのメタデータと第2のメタデータとが等しいことに基づいて、データが正しく受信されたことを判定することとを含んでよい。メタデータは、例えば、データの長さやタイムスタンプであってもよい。いくつかの例では、測定データは複数のデータパケットで送信される。これらの例では、暗号ハッシュまたはメタデータは、各々がそれぞれのデータパケットに対応する複数の暗号ハッシュまたはメタデータから構成され、各暗号ハッシュまたはメタデータの送信は、対応するデータパケットの各々に対して実行される。
【0549】
同様の方法を、外部装置320から患者に植え込まれたコントローラ300への命令の通信に利用することができる。この方法は、外部装置320とコントローラ300との間に第1の接続を確立することと、第2の外部装置330とコントローラ300との間に第2の接続を確立することと、外部装置320から、第1の接続を介してコントローラ300に第1の命令セットを送信することと、第2の外部装置330から、第1の命令セットに対応する第1の暗号化ハッシュまたはメタデータを送信することと、を備える、第2の外部装置330から、第1の命令セットに対応する第1の暗号化ハッシュまたはメタデータをコントローラ300に送信し、コントローラ300で、第1の暗号化ハッシュまたはメタデータに基づいて、第1の命令セットおよび第1の暗号化ハッシュまたはメタデータの整合性を検証する。外部デバイス320は、第2の外部デバイス330とは別個であってもよい。
【0550】
第1の接続は、コントローラ300と外部通信ユニット323のトランシーバとの間で確立されてもよい。いくつかの例では、第2の接続を使用する通信は、第1の通信チャネルを使用する通信に使用されるプロトコルとは異なるプロトコルを使用して実行される。いくつかの例では、第1の接続は無線接続であり、第2の接続は電気接続である。第2の接続は、例えば、患者の身体を導体として使用する(321を使用する)電気的接続であってもよい。プロトコル及び通信方法は、C1、及びWL1~WL4を参照して本明細書で説明した任意の通信プロトコルであってよい。第1及び第2の接続の確立は、第1及び第2の接続の各々に使用される通信プロトコルに従って実行される。
【0551】
暗号ハッシュを使用する場合、第1の命令セットの完全性を検証することは、プロセッサ306と同じ暗号ハッシュアルゴリズムを使用して、受信された第1の命令セットに対する第2の暗号ハッシュを計算することと、暗号ハッシュと第2の暗号ハッシュとが等しいことに基づいて、第1の命令セットが正しく受信されたと判定することとを含んでよい。暗号ハッシュは、例えば、埋め込み可能なデバイス100の秘密鍵を使用して得られる署名であってもよく、検証することは、秘密鍵に対応する公開鍵を使用して署名を検証することからなる。いくつかの例では、暗号ハッシュは、植込み型装置100の秘密鍵を使用して得られた署名であり、検証は、秘密鍵に対応する公開鍵を使用して署名を検証することからなる。本明細書では、秘密鍵および公開鍵、ならびに鍵の交換または送信について説明した。あるいは、外部装置320とコントローラ300との間で鍵の送信または交換を行うために、他の周知の方法を使用することもできる。
【0552】
メタデータを使用する場合であって、データの完全性を検証することは、受信された第1の命令セットに対する第2のメタデータを取得することと、そのメタデータと第2のメタデータとが等しいことに基づいて、第1の命令セットが正しく受信されたことを判定することとを含み得る。メタデータは、例えば、送信されるデータ(この例では、第1の命令セット)に関連する任意のタイプのデータであってよい。例えば、メタデータは、送信されるデータの長さ、データが送信または取得または取得されたタイムスタンプ、サイズ、パケット数、またはパケット識別子であってもよい。
【0553】
いくつかの例では、コントローラ300は、受信したデータが正しいことを検証するために、データ情報に関連するデータを外部装置320に送信してもよい。したがって、本方法は、コントローラ300によって、受信した第1の命令セットに関連する情報を送信することと、外部装置320によって、情報を受信することと、外部装置320によって、情報が、外部装置320によって送信された第1の命令セットに対応することを検証することと、をさらに含んでもよい。情報は、例えば、第1の命令セットの長さを含んでもよい。
【0554】
本方法は、コントローラ300において、i.第1の命令セットに対して第2の暗号ハッシュを計算すること、ii.第2の暗号ハッシュを第1の暗号ハッシュと比較すること、iii.第2の暗号ハッシュが第1の暗号ハッシュと等しいことに基づいて、第1の命令セットが真正であると判定すること、および第1の命令セットの真正性が検証されると、コントローラ300においてそれらを格納することによって、第1の命令セットの真正性を検証することをさらに含み得る。
【0555】
いくつかの例では、第1の命令セットは、本明細書の他の部分で説明するように、以前の命令セットに対応する暗号ハッシュから構成される。
【0556】
いくつかの例では、第一の一連の指示は、本明細書の他の部分に記載されているように、認証のための身体の患者に関する測定値を含んでいてもよい。
【0557】
次に、外部装置320とインプラント100との間の指示または制御信号の通信のためのシステムおよび方法について、図24b~cを参照して説明する。
【0558】
図24B~Cに示すシステムは、植込み型装置100、第1の外部装置320、および第2の外部装置330から構成される。植え込みは、制御装置300と、センサのような植え込み可能な狭窄装置302とを備える。制御装置300は、通信チャネルWL1、C1を介して外部装置320から命令を受信し、インプラント100の機能など、インプラント100の機能を制御するために命令を実行するように適合されている。通信チャネルWL1、C1は、本明細書で説明する無線接続WL1または導電接続C1などの任意のタイプの通信チャネルであってよい。例えば、無線接続は、以下のプロトコルのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい:無線周波数型プロトコル、RFID型プロトコル、WLAN型プロトコル、Bluetooth型プロトコル、BLE型プロトコル、NFC型プロトコル、3G/4G/5G/6G型プロトコル、GSM型プロトコル、および/またはBluetooth 5。
【0559】
第1の外部装置320は、ユーザインターフェースを介するなどして、インプラント100に送信すべき命令を受信するか、または決定するように適合されている。命令の決定は、例えば、測定データまたはバッテリ状態や空きメモリ状態などのインプラントの状態に関するデータなど、インプラント装置100からの受信データに基づいてもよい。第1の外部装置320は、インプラントに情報を送信することができ、植え込み可能な装置100に送信する命令を決定または受信することができる任意のタイプの装置であってよい。好ましい実施形態では、第1の外部装置320は、患者または介護者などのユーザからの指示を受信するためのユーザインターフェースを有する、患者が扱うスマートフォン、スマートウォッチ、タブレットなどの携帯型装置である。
【0560】
第1の外部装置320はさらに、通信チャネルWL3を介して第2の外部装置330に命令を送信するように適合されている。第2の外部装置320は、命令を受信し、暗号化キーを使用して命令を暗号化し、暗号化された命令を植え込み可能な装置100に送信するように適合されている。植え込み可能な装置100は、コントローラ300で命令を受信するように構成されている。したがって、コントローラ300は、命令を受信するための有線トランシーバまたは無線トランシーバから構成される。植込み型装置100は、受信した命令を復号化するように構成されている。復号化は、暗号化キーに対応する復号化キーを用いて実行することができる。暗号化キー、復号化キー、および暗号化/復号化およびキーの交換のための方法は、「特徴の一般的定義」で説明したように、または図24b~cを参照して説明したように実行されてもよい。さらに、当業者であれば、本実施例で使用可能であると理解するであろう、データを暗号化するための多くの既知の方法が存在する。
【0561】
第2の外部デバイス330は、上述のようにデータを受信、暗号化、および送信することができる任意のコンピューティングデバイスであってよい。例えば、第2の外部デバイス320は、ネットワークサーバなどのネットワークデバイスであってもよいし、第1の外部デバイスと通信可能に結合された暗号化デバイスであってもよい。
【0562】
命令は、植え込み可能な装置100において特定の機能または方法を実行するための単一の命令、植え込み可能な装置100のパラメータの値、または植え込みに構成されたコントローラ300によって実行されるサブステップのセットである可能性がある。
【0563】
このようにして、植込み型装置100の機能を制御するための命令を第1の外部装置320で受信し、第2の外部装置330を介して植込み型装置100に送信することができる。第2の外部装置330が植え込み可能な装置100に送信する前に命令を暗号化することによって、命令は第2の外部装置330によって検証され、第1の外部装置320は命令を中継するように機能することができる。いくつかの代替案では、第2の外部装置330は、植え込み可能な装置100に直接命令を送信してもよい。これにより、植込み型装置100に送信された指示が、例えば、植込み型装置100を担当する医療専門家によって管理される専有装置である可能性のある第2の外部装置330によって検証される可能性があるため、セキュリティが向上する可能性がある。さらに、第2の医療機器330が指示を検証し暗号化することによって、指示の真正性および/または正しさの責任は第2の外部機器330にある可能性があり、これは、第1の外部機器320が植込み型装置100の指導者と見なされない可能性があるため、規制目的にとって有益である可能性がある。
【0564】
さらに、第2の外部装置330は、命令を暗号化または署名して植え込み可能な装置100に送信する前に、命令が正しいことを検証してもよい。第2の外部装置330は、例えば、命令を所定の命令セットと比較することによって命令が正しいことを検証し、命令が所定の命令セットに含まれる場合、命令が正しいと判断することができる。命令が複数のサブステップから構成される場合、第2の外部装置330は、全てのサブステップが所定の命令セットに含まれる場合、命令が正しいと判定してもよい。指示が植え込み可能な装置100のパラメータの値を含んでいる場合、第2の外部装置330は、値がパラメータの所定の範囲内にあることを検証することができる。このように、第2の外部装置320は、内部メモリまたは外部メモリに記憶された所定の命令セット、またはパラメータの値に対する所定の間隔または閾値から構成されることがある。
【0565】
第2の外部装置330は、命令の検証が失敗することになる場合、命令を拒絶する、すなわち命令を暗号化して植込み可能な装置100に送信しないように構成され得る。例えば、命令または命令の任意のサブステップが所定の命令セットに含まれていないと第2の外部装置330が判断した場合、またはパラメータの値が所定の間隔内にない場合、第2の外部装置330は、検証が失敗したと判断することができる。
【0566】
いくつかの実施形態では、植え込み可能な装置100は、命令を検証するように構成されてもよい。命令の検証は、図24b~cを参照して説明したのと同様の方法で実行されてもよい。命令または命令の任意のサブステップを所定の命令セットと比較することによって検証が実行される場合、コントローラ300は、所定の命令セットを含んでいてもよい。所定の命令セットは、例えば、コントローラ300の内部メモリに格納されてもよい。同様に、コントローラ300は、設定可能な任意のパラメータについて所定の基準間隔を記憶していてもよく、コントローラ300は、パラメータの受信値をこのような所定の基準間隔と比較するように構成されていてもよい。命令の検証が失敗する場合、コントローラ300は、命令を拒否する、すなわち命令を実行しないように構成される場合がある。
【0567】
命令を暗号化および復号化する代わりに、命令は、暗号ハッシュを使用して第2の外部デバイス330によって署名されてもよく、コントローラ300は、命令を実行する前に署名が正しいことを検証するように構成されてもよい。
【0568】
次に、指示を送信するための対応する方法を図24b~cを参照して説明する。命令は、植え込み可能な装置の機能、例えば、植え込み可能な装置の機能または方法を実行する命令、または植え込み可能な装置のパラメータの値を設定する命令など、植え込み可能な装置の機能に関連することがある。この方法は、第1の外部装置300から第2の外部装置320に植え込み可能な装置の命令を送信するステップであって、命令は植え込み可能な装置100の機能に関連する、ステップと、第2の外部装置330において、第1の暗号化キーを使用して、命令を暗号化された命令に暗号化すること、第2の外部装置330から植え込み可能な装置100に暗号化された命令を送信すること、植え込み可能な装置において、第1の暗号化キーに対応する第2の暗号化キーを使用して、命令を復号化することを含む。植え込み可能な装置によってまたは植え込み可能な装置において実行されるステップは、コントローラ300によって実行されてもよい。
【0569】
命令は、植え込み可能な装置の機能を制御するための任意のタイプの命令であってよい。例えば、命令は、植え込み可能な装置100またはコントローラ300の機能または方法を実行するための命令、コントローラ300において実行される複数のサブステップからなる命令、またはコントローラ300におけるパラメータの値であってもよい。第1の外部装置320は、例えば、第1の外部装置320に表示された、または第1の外部装置320に接続されたユーザインターフェースを介して、ユーザから命令を受信することができる。別の例では、第1の外部装置320は、測定データなどの植込み型装置100から受信したデータ、または別の外部装置から受信したデータに応答して命令を決定してもよい。したがって、いくつかの例では、本方法は、第1の外部装置320において、植え込み可能な装置100に送信されるべき命令を受信することをさらに含んでよい。本方法は、命令を受信するためのユーザーインターフェースを表示することをさらに含んでいてもよい。別の実施例では、本方法は、第1の外部装置320において、植え込み可能な装置100に送信されるべき命令を決定することを含んでいる。
【0570】
いくつかの実施形態では、第2の外部装置330から植え込み可能な装置100への暗号化された命令の送信は、第2の外部装置330から第1の外部装置320に暗号化された命令を送信することと、第1の外部装置320から植え込み可能な装置100のコントローラ300に暗号化された命令を送信することとを備える。言い換えれば、第1の外部装置320は、第2の外部装置330からの暗号化された命令を、好ましくは、送信する前に命令を復号化することなく、コントローラ300に中継することができる。
【0571】
本方法は、コントローラ300において、命令を実行すること、または命令を実行することをさらに含んでよい。命令の実行は、コントローラ300に構成された内部コンピューティングユニットまたはプロセッサ306によって実行されてもよく、例えば、内部コンピューティングユニットまたはプロセッサ306に、植え込み可能な狭窄装置302に動作を実行するように指示させることができる。
【0572】
本方法はさらに、第2の外部装置330において、指示が正しいことを検証することを含んでいてもよい。検証は、対応するシステムを参照して上述したように実行することができる。
【0573】
本方法は、コントローラ300において、命令が正しいことを検証することをさらに含んでよい。検証は、対応するシステムを参照して上述したように実行することができる。
【0574】
本方法は、暗号化された命令が伝送される第1の外部装置320とコントローラ300との間の接続を認証することをさらに含むことができる。認証は、本明細書で説明するように実行することができる。
【0575】
上述したように、コントローラ300の制御プログラムは、更新可能、構成可能、または交換可能であってもよい。次に、コントローラ300の制御プログラムを更新または構成するためのシステムおよび方法を、図24b図24dを参照して説明する。24b~24dを参照して説明する。コントローラは、植え込み可能な装置100の機能を制御するように構成された内部演算ユニット306を備えることができ、内部演算ユニット306は、i.内部演算ユニットを制御するための第1の制御プログラム310と、ii.植え込み可能な装置100の前記機能を制御するための、予め定義されたプログラムステップを有する、設定可能または更新可能な第2の制御プログラム312と、iii.第2の制御プログラム312を更新するための予め定義されたプログラムステップのセットとを記憶するように構成された内部メモリ307を備える。制御装置300は、外部装置320と通信するように構成されている。内部演算ユニット306は、コントローラ300を介して第2の制御プログラム312の更新を受信するように構成されており、コントローラ300の、コントローラ300に接続された、またはコントローラ300に送信された検証機能を受信するように構成されている。検証機能は、第2の制御プログラム312に対する受信された更新が、予め定義されたプログラムステップのセットに構成されたプログラムステップからなることを検証するように構成される。このようにして、第2の制御プログラムの更新またはプログラミングは、予め定義されたプログラムステップを使用して実行することができ、これにより、新しい制御プログラムまたは更新された制御プログラムが不正確であったり、ウイルス、スパイウェア、マルウェアなどの悪意のあるソフトウェアを含んでいたりするリスクを低減することができる。
【0576】
予め定義されたプログラムステップは、圧力、時間、最低温度または最高温度、電流、電圧、強度、周波数、電気刺激の振幅、フィードバックモード(sensoricsまたはその他)、術後モードまたは通常モード、カテーテルモード、線維組織モード(例えば半開放)、排尿後の開放時間、就寝前の排尿後の開放時間、血圧低下モードに関する変数を設定することからなる。
【0577】
検証機能は、予め定義されたプログラムステップのセットに含まれていないプログラムステップを含む更新に応答して、更新を拒否するように構成され、および/または、予め定義されたプログラムステップのセットに含まれているプログラムステップのみを含む更新に応答して、更新を許可するように構成され得る。
【0578】
内部コンピューティングユニット306は、例えば、外部デバイスを使用するユーザによる、ユーザによって押されたボタンまたは同様のものによる、または別の外部信号による、肯定的な検証に応答して、アップデートをインストールするように構成され得る。
【0579】
インプラントと外部装置間の通信の認証または検証については、上述した。
【0580】
コントローラ300の制御プログラムを更新する場合、ユーザまたは外部の装置またはシステムに確認を送信することが有益な場合がある。このような方法について、図24b図24cを参照して説明する。24b~24cを参照して説明する。
【0581】
本明細書のいずれかの実施形態による植込み型装置100に構成されたコントローラ300の制御プログラムを更新する方法である。コントローラ300は、第1の外部装置320および第2の外部装置330との通信に適合され、内部演算ユニットによって、第1の外部装置から制御プログラムに対する更新または構成を受信すること(更新は、第1の通信チャネルを使用して受信される);内部演算ユニット306によって、更新をインストールすること;を含み得る;および、内部コンピューティングユニットによって、更新または構成の受信に関連するロギングデータおよび/または更新のインストールに関連するロギングデータを、第2の通信チャネルを使用して第2の外部デバイス330に送信し;ここで、第1の通信チャネルおよび第2の通信チャネルは、異なる通信チャネルである。第1および第2の通信チャネルを使用することにより、1つの通信チャネルのみを使用する場合と比較して、制御プログラムを更新しようとする試みが第2の通信チャネルを介して記録されるため、更新のセキュリティが向上する可能性があり、したがって、不正または悪意のある更新の試みを発見する可能性が増加する。
【0582】
更新またはコンフィギュレーションは、制御プログラムのための命令のセットを構成し、例えば、上述のように、予め定義されたプログラムステップのセットを構成することができる。設定または更新は、所定のパラメータの値で構成されてもよい。
【0583】
いくつかの例では、本方法は、受信したロギングデータに基づいて、更新または構成が正しいことを、ユーザまたは外部制御装置によって確認することをさらに含む。
【0584】
ロギングデータは、更新または構成の受信に関連する場合があり、コントローラ300は、ロギングデータが正しい命令セットに関連することの確認の受信に応答して、更新または構成をインストールするように構成される。このように、コントローラ300は、データを受信し、受信に関連するロギングエントリを送信し、データがインストールされるべきであるという肯定的な確認に応答してデータをインストールすることができる。
【0585】
別の例では、又は上述の例と組み合わせて、ロギングデータは、インストール又は更新若しくは構成に関連する。この例では、ロギングデータは情報目的のためだけであり、インストールに影響を与えないか、または方法は、更新または構成が正しいことの確認に応答してインストールをアクティブにすることをさらに含むことができる。
【0586】
更新または構成が1つまたは複数のステップでコントローラ300に送信される場合、上述したような検証は、各ステップに対して実行することができる。
【0587】
本方法は、ロギングデータを第2の外部装置に送信した後、第2の通信チャネルを介した第2の外部装置330からの確認を介して更新を検証することをさらに含み得る。
【0588】
図24b図24dを参照すると、植え込み型コントローラ300がさらに提供される場合がある。コントローラ300はセンサ351に接続されており、センサ351は音響信号を記録するように構成された少なくとも1つのマイクロホンセンサ351である。例えば、コントローラ300は、患者の身体機能および植え込み可能な装置100の機能のうちの少なくとも1つに関連する音を登録するように構成され得る。コントローラ300は、登録された身体機能に関連する音から、患者の排尿に関連する情報など、患者の脈拍の少なくとも一方を導出するように構成された演算ユニット306を備える。代替案として、制御装置300は、登録された音から、モータの回転数など、植込み型装置100の機能状態に関連する情報を導出するように構成され得る。この目的のために、演算ユニット306は、患者の身体機能または植込み型装置100の機能に関連する上述の情報のいずれかを導出するように、登録された音に対して(例えば、登録された音を表すデジタル信号またはアナログ信号に対して)信号処理を実行するように構成され得る。信号処理は、マイクロホンセンサ351の登録音信号をフィルタリングすることからなる場合がある。
【0589】
植え込み可能なコントローラは、流体に対して密閉するための植え込み可能なハウジング内に配置され、マイクロホンセンサ351は、ハウジングの内部に配置される。したがって、移植時にコントローラおよびマイクロホンセンサ351が体液に接触することはなく、コントローラおよびマイクロホンセンサ351の適切な動作が保証される。
【0590】
いくつかの実施態様では、演算ユニット306は、植込み型装置100の機能に関連する登録された音から、植込み型装置100の能動ユニット302の機能状態に関連する情報を導出するように構成されている。したがって、演算ユニット306は、植込み型装置100の機能に関連する登録された音から、植込み型装置100の能動ユニット302のモーター、ポンプ、およびトランスミッションのうちの少なくとも1つの機能状態に関連する情報を導出するように構成され得る。
【0591】
コントローラは、トランシーバ303、308を使用して、少なくとも1つのマイクロホンセンサ351によって登録された音に由来するパラメータを送信するように構成されたトランシーバ303、308を含んでもよい。例えば、トランシーバ303、308は、パラメータを導電性303で外部デバイス320に送信するか、または無線308で外部デバイス320に送信するように構成されたトランシーバである。
【0592】
植込み型装置100、外部装置320、または外部装置320と植込み型装置100との間の通信信号もしくはデータストリームを認証する方法も、図24b図24dを参照して説明する。24b~24dを参照して説明する。本方法は、コントローラ300に接続された少なくとも1つのマイクロホンセンサ351を用いて、身体機能および植込み型装置100の機能の少なくとも一方に関連する音を登録するステップを含む。この方法は、第1の認証実施形態において、トランシーバ303、308を使用して、登録された音に由来する信号を送信すること、受信機323、328を使用して、外部装置320において信号を受信すること、外部装置320において、演算ユニット306を使用して、受信された信号に由来するパラメータを基準パラメータと比較することを含み得る。方法は、第2の認証実施形態において、トランシーバ323、328を使用して、外部デバイス320から、コントローラ300において信号を受信すること、コントローラ300の演算ユニット306を使用して、受信された信号から基準パラメータを導出すること、コントローラ300の演算ユニット306を使用して、コントローラ300において、受信された信号から導出されたパラメータを、導出された基準パラメータと比較することを含み得る。方法は、比較に基づいて、植え込み型コントローラ300が外部装置320を認証するステップ、または外部装置320が植え込み型コントローラ300を認証するステップをさらに含む。登録された音は、例えば、患者の脈拍または患者の排尿に関連し得る。
【0593】
次に、スリープモードおよびアクティブモードを有するプロセッサ306を有するコントローラ300を有する植込み型装置100に関する実施形態を、図24eを参照して説明する。インプラント、内部通信ユニットおよび外部装置は、図24b図24dを参照して上述した特徴を有することができる。24b~24dを参照されたい。
【0594】
コントローラ300が、スリープモードとアクティブモードとを有する処理装置306を備える実施形態では、コントローラ300は、センサ140と、スリープモードとアクティブモードとを有する処理装置306とを備えるか、または接続される。センサ140は、患者の身体的パラメータを周期的に測定するように構成され、コントローラ300はさらに、所定値に先行するセンサ測定値に応答して、処理ユニット306をアクティブモードに設定するように構成される。すなわち、コントローラ300は、例えば身体からの測定値に応答して、「ウェイクアップ」またはアクティブモードに設定され得る。患者の身体パラメータは、例えば、腎動脈などの血管内の圧力、または血管内の血管(流れ)抵抗、局所または全身の温度、飽和/酸素化、全身の血圧、または乳酸などの虚血マーカーに関連するパラメータであり得る。
【0595】
スリーピングモードとは、処理ユニット306で使用されるバッテリ消費および/または処理電力が少ないモードを意味し、「アクティブモード」とは、処理ユニット306の処理が制限されないことを意味する場合がある。
【0596】
センサ140は、例えば、圧力センサであってもよい。圧力センサは、腎動脈のような患者の器官内の圧力、または当該動脈の血管拡張もしくは血管収縮を測定するように適合させることができる。圧力センサはさらに、インプラントのリザーバまたは能動ユニット302の狭窄装置内の圧力を測定するように構成されていてもよい。センサ140は、アナログセンサまたはデジタルセンサ、すなわち、部分的にソフトウェアで実装されたセンサ140であってもよい。いくつかの例では、センサは、植込み型装置100の電池またはエネルギー貯蔵状態および植込み型装置100の温度のうちの1つ以上を測定するように適合されている。このようにして、センサ140は、植込み型装置100または患者の圧力を周期的に感知し、測定された圧力が所定の値以上である場合に、処理ユニット306をアクティブモードに設定することができる。従って、より少ない電力、すなわち、例えばインプラント内に構成されたバッテリまたはエネルギー貯蔵のより少ない電力が使用される可能性があり、これにより、植込み型装置100の寿命が延びるか、または植込み型装置100の充電機会間の時間が長くなる。
【0597】
いくつかの例では、プロセッサ306は、アクティブモードに設定されているとき、植え込み可能な装置100に構成された、または外部装置320、330に構成された、植え込みに接続された感覚発生器381に、患者の感覚によって検出可能な感覚を発生させてもよい。例えば、プロセッサは、測定された電池の状態、例えば、電池が所定のレベル以上または以下であること、測定された圧力が所定のレベル以上または以下であること、または別の測定されたパラメータが異常な値、すなわち、所定の間隔またはレベル未満またはレベルを超えていることに応答して、感覚発生器に感覚を発生させることができる。センセーション・ジェネレーターについては、本明細書で先にさらに詳しく説明した。
【0598】
処理ユニット306は、測定値が所定レベル以下または所定レベル以上であることに応答して、修正動作を実行するように構成され得る。このような是正処置は、例えば、圧力の増加または減少、電気刺激の増加または減少、電力の増加または減少 、信号減衰機能の調整などである。
【0599】
コントローラ300は、処理ユニットに接続された信号送信機320を含んでもよく、処理ユニットは、コントローラ300のトランシーバ308または追加の内部信号送信機392を介して測定に関するデータを送信するように構成される。送信されたデータは、外部装置320によって受信されてもよい。
【0600】
外部装置は、外部通信ユニット390を備えていてもよい。外部装置320は、コントローラ300にウェイク信号を提供するための信号プロバイダ380を備える場合がある。一部の例では、信号プロバイダは、磁気ウェイク信号を提供するためのコイルまたは磁石371で構成される。
【0601】
コントローラ300は、患者に植え込まれたときに植え込み可能な装置100を制御するための対応する方法を実施することができる。この方法は、コントローラ300に接続されるかまたはコントローラ300に構成されるコントローラ300のセンサを用いて、患者の生理学的パラメータまたは植え込み可能な装置100のパラメータを測定することと、異常値を有するセンサ測定値に応答して、コントローラ300によって、コントローラ300のプロセッサ306をスリープモードからアクティブモードに設定することとを備える。測定は定期的に実施されてもよい。異常値」とは、測定値が所定値を超える、または所定値未満であること、または測定値が所定間隔外であることを意味する場合がある。本方法はさらに、上述の感覚発生器381を用いて、患者によって検出可能な感覚を発生させることを含んでいてもよい。いくつかの例では、生成は、プロセッサによって、感覚発生器381に感覚を発生するように要求することからなる。
【0602】
本方法は、好ましくは、処理ユニットがアクティブモードに設定された後に、異常値を有するセンサー測定値に応答して医療介入を実行することをさらに含むことができる。
【0603】
次に、スリープモードとアクティブモードとを有するコントローラ300を有する植え込み可能な装置100を含むシステムについて、図24eを参照して説明する。一実施形態では、コントローラ300は、磁場を検出するように適合されたセンサ140と、スリープモードおよびアクティブモードを有する処理ユニット306とを備える。24b~24dを参照して説明する。外部制御ユニット320は、内部センサ140によって検出可能な磁場を提供するように適合された信号プロバイダ380を備える。制御装置300はさらに、検出された磁界が所定値を超えたことに応答して、処理ユニット306をアクティブモードに設定するように構成される。このようにして、外部装置320は、スリープ状態のコントローラ300または処理装置306を「ウェイクアップ」させることができる。
【0604】
センサ140は、例えば、ホール効果センサ、フラックスゲートセンサ、超高感度磁界センサ、磁気抵抗センサ、AMRまたはGMRセンサであってもよいし、センサが鉄心を有する第3のコイルで構成されていてもよい。
【0605】
磁界供給装置380は、磁界を供給しないオフ状態と、磁界を供給するオン状態とを有することができる。例えば、磁場提供装置380は、磁石371、コイル371、コア371を有するコイル、または永久磁石371から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、磁場提供装置380は、磁石371または永久磁石371がオフ状態で磁場を提供するのを防止するための遮蔽手段から構成されてもよい。実質的に均等な磁場を提供するために、磁場提供装置は、互いに垂直に配置された第1コイルおよび第2コイルから構成されてもよい。
【0606】
処理ユニット306がアクティブモードに設定された後、すなわち処理ユニット306がウェークアップされたとき、インプラントは、コントローラ300と外部装置320との間のさらなる通信のための周波数を決定してもよい。したがって、コントローラ300は、コントローラ300と第2の通信ユニット390との間の通信のための周波数を検出するための周波数検出器391を備えることができる。周波数検出器391は、例えば、アンテナである。外部装置320は、周波数を示す信号を送信するための周波数インジケータ372を含んでいてもよい。周波数インジケータ372は、例えば、特定の周波数を有する磁界を送信することができる磁界プロバイダであってもよい。いくつかの実施例では、周波数インジケータは磁場プロバイダ371内に構成されるか、または磁場プロバイダ371と同じに構成される。このようにして、周波数信号はセンサーとは別の手段を用いて検出され、例えばチップ上のピンを用いて検出することができる。
【0607】
あるいは、コントローラ300と外部装置320は、コントローラ300と外部装置320との間の通信に使用される所定のプロトコルに従って、所定の周波数または所定の方法によって定義された手段によって検出された周波数を使用して通信してもよい。
【0608】
いくつかの実施形態では、センサ140を通信に使用してもよい。これらの実施形態において、通信は、コイルによって生成される磁場の周波数が9~315kHzであるように、またはコイルによって生成される磁場が125kHz以下、好ましくは58kHz以下であるように実行されてもよい。また、チタンボックスを通して送信可能なように、周波数は50Hz以下、好ましくは20Hz以下、より好ましくは10Hz以下であってもよい。
【0609】
いくつかの実施形態では、コントローラ300は受信ユニット392を備え、内部制御ユニットおよび外部制御ユニットは、磁気誘導によって受信ユニット392を介してデータを送信および/または受信するように構成される。受信ユニット392は、高感度磁界検出器で構成されてもよく、または受信ユニットは、磁気誘導を受信するための第4のコイルで構成されてもよい。
【0610】
本システムは、患者に植え込まれた医療用インプラントを制御するための方法を実施することができる。この方法は、アクティブユニット302に通信可能に結合されたコントローラ300に構成されたセンサ140による信号を監視することと、外部装置320に構成された信号プロバイダ380からウェイク信号を提供することと、外部装置320が患者の体外に配置されるように適合されていることと、コントローラ300によって、検出されたウェイク信号WSに応答して、内部制御ユニットに構成された処理ユニット306のモードをスリープモードからアクティブモードに設定することとを含んでいる。
【0611】
本方法はまた、周波数検出器391を使用して、コントローラ300と外部装置320に関連付けられた第2の通信ユニット390との間のデータ通信の周波数を検出することを含み得る。周波数検出器391は、コントローラ300または外部装置320に通信可能に結合される。検出は、周波数を検出するための検出シーケンスを用いて実行されてもよい。この検出シーケンスは、例えば、コントローラ300と第2の通信ユニット390との間の通信に使用されるプロトコルで定義される検出シーケンスであってもよい。コントローラ300と外部装置320との間の通信に使用される可能性のあるプロトコルは、本明細書において先に説明した。したがって、本方法は、周波数検出器391を使用して、データ通信のための周波数を決定することと、コントローラ300と第2の通信ユニット390との間でデータ通信を開始することとを含み得る。データ通信は、例えば、外部装置320から送信される植込み可能な装置100を制御するための1つまたは複数の制御命令からなることができ、または、例えば、植込み可能な装置100の動作に関連するデータからなり、制御装置300から送信されることができる。
【0612】
いくつかの実施例では、医療用インプラントは、植込み型装置100に電力を供給するための電源装置で構成されるか、または電源装置に接続されることがある。これについては図24fを参照して説明する。医療用インプラント、内部制御ユニット、および外部装置は、図24a図24dおよび図24eを参照して上述したすべての要素から構成されてもよい。24a~24dおよび図24eを参照して上述したすべての要素で構成することができる。いくつかの実施例では、電源は、図24aに関連して上述したように、エネルギー受信機241およびエネルギー源242から構成されてもよい。したがって、電源は、(たとえばエネルギー受信機241を介して)医療用インプラントにエネルギーを供給するための植え込み可能なまたは外部エネルギー貯蔵ユニット242、40と、植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット40に接続され、植え込み可能な装置100のエネルギー消費部に接続されたエネルギー供給装置397と、を備えることができ、エネルギー供給装置397は、エネルギー消費部にエネルギーのバーストを供給するためにエネルギーを貯蔵するように構成され、エネルギー供給装置397は、植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット40によって充電され、エネルギー消費部の起動中にエネルギー消費部に電力を供給するように構成される。エネルギー消費部は、例えば、制御装置または制御ユニット、刺激装置の電極配置または信号減衰装置を含むことができる。
【0613】
あるいは、植え込み可能な装置100は、植え込み可能な装置100のエネルギー消費部にエネルギーを供給するための第1の植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット40と、植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット40に接続され、エネルギー消費部に接続された第2の植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット397とを備えることができ、第2の植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット397は、植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット40によって充電され、エネルギー消費部の起動中にエネルギー消費部に電力を供給するように構成されている。第2の植え込み可能エネルギー貯蔵ユニット397は、第1の植え込み可能エネルギー貯蔵ユニット40よりも高いエネルギー密度を有する。より高いエネルギー密度」を有するということは、第2の植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット397が第1の植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット40よりも時間単位当たりの最大エネルギー出力が高いことを意味することがある。第2のエネルギー貯蔵装置397は、後述するようにエネルギー供給装置であってもよい。
【0614】
エネルギー消費部は植え込み可能装置100のどの部分であってもよく、例えば、液圧ポンプに電力を供給するためのモータ、バルブ、処理ユニットまたは演算ユニット、通信ユニット、患者の身体の組織部分に電気刺激を与えるための装置、情報を暗号化するためのCPU、外部ユニットと通信するための送信ユニットおよび/または受信ユニット(図面ではエネルギー消費部の一部として示されていない、すなわち、通信ユニットは、エネルギー貯蔵ユニット40およびエネルギー供給装置397に接続されていてもよい)、測定ユニットまたはセンサ、データ収集ユニット、ソレノイド、圧電素子、記憶金属ユニット、バイブレータ、医療用インプラントに構成された弁を操作するように構成された部品、またはフィードバックユニット。
【0615】
このようにして、迅速な始動を必要とするエネルギー消費部品や、始動に高レベルまたはバーストエネルギーを必要とするエネルギー消費部品に、十分なエネルギーを供給することができる。これは、アイドル状態の部品がエネルギーを使用する代わりに、部品を完全にオフにし、必要なときに素早くオンにすることができるため、有益であると考えられる。さらに、これにより、すでに使用されているときはエネルギー消費が少ない一方で、起動のためにエネルギーのバーストを必要とするエネルギー消費部品の使用が可能になる可能性がある。このようにして、起動に必要な余分なエネルギーがエネルギー供給装置から供給されるため、より遅い放電を有する(または、より遅い放電が電池の寿命または健康に有益である)電池またはエネルギー貯蔵装置をインプラントに使用することができる。
【0616】
電池またはエネルギー貯蔵ユニットの放電が速すぎると、インプラントの電池またはエネルギー貯蔵ユニットにエネルギー損失が生じることがある。このようなエネルギー損失は、例えば熱の形態であることがあり、電池またはエネルギー貯蔵ユニットを損傷する可能性がある。これらの実施例に記載された装置により、電池またはエネルギー貯蔵ユニットに損傷を与えない方法で電池またはエネルギー貯蔵ユニットからエネルギーが供給され、電池またはエネルギー貯蔵ユニットの寿命が向上し、それにより医療用インプラントの寿命が向上する可能性がある。
【0617】
いくつかの実施例では、エネルギー消費部の始動中の植え込み可能エネルギー貯蔵ユニット40からの放電は、エネルギー消費部の始動に必要なエネルギーよりも遅い、すなわち、植え込み可能エネルギー貯蔵ユニット40は、エネルギー消費部の始動に必要なエネルギーよりも遅い放電を有するように構成されている。すなわち、エネルギー消費部が必要とするエネルギーと植え込み可能エネルギー貯蔵ユニット40が植え込み可能エネルギー貯蔵ユニット40を損傷することなく供給できるエネルギーとの間には差がある。換言すれば、エネルギー消費部の最大エネルギー消費量は、植え込み可能エネルギー貯蔵ユニットに損傷を与えることなく植え込み可能エネルギー貯蔵ユニット40によって供給可能な最大エネルギーよりも高くてもよく、エネルギー供給装置397は、必要なエネルギー消費量と植え込み可能エネルギー貯蔵ユニット40によって供給可能な最大エネルギーとの間の差に対応するエネルギーバーストを供給するように適合されてもよい。植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット40は、エネルギー・バースト・プロバイダー397よりも実質的に大量のエネルギーを貯蔵するように構成されてもよいが、充電が遅くなる可能性がある。
【0618】
植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット40は、再充電可能な電池または塩化チオニル電池などの固体電池など、植え込みに適した任意のタイプのエネルギー貯蔵ユニットであってよい。植え込み可能エネルギー貯蔵ユニット40は、エネルギー消費部に接続され、エネルギー供給装置397を使用してエネルギー消費部が始動された後に、エネルギー消費部に電力を供給するように構成されてもよい。
【0619】
エネルギ供給部397は、エネルギ消費部にエネルギのバーストを提供するように構成された任意のタイプの部品であってよい。いくつかの例では、エネルギー供給装置397は、スタートコンデンサ、ランコンデンサ、デュアルランコンデンサまたはスーパーキャパシタなどのコンデンサである。エネルギー供給装置397は、植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット40に接続され、植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット40を使用して充電されるように適合されてもよい。いくつかの例では、エネルギー供給装置は、植え込み可能エネルギー貯蔵ユニット40によって充電され、エネルギー消費部に電気エネルギーを供給するように構成された第2のエネルギー供給装置397であってもよい。植え込み可能な装置100は、キャパシタの温度を感知するための温度センサをさらに備えてもよく、温度センサは、感知された温度が植え込み可能な装置100を制御するための入力として、または外部装置320に送信されるフィードバックとして使用され得るように、コントローラ300に統合または接続されてもよい。
【0620】
医療用インプラントに電力を供給するための対応する方法も考えられる。この方法は、インプラントのエネルギー消費部302を開始するステップであって、エネルギー消費部は植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット40に接続されている、ステップと、植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット40およびエネルギー消費部302に接続されたエネルギー供給装置397を使用してエネルギー消費部にエネルギーの初期バーストを提供するステップであって、エネルギー供給装置397はエネルギー消費部にエネルギーのバーストを提供するように適合されている、ステップと、その後、植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット40を使用してエネルギー消費部302に電力を供給することを含む。
【0621】
いくつかの実施例では、エネルギー消費部の最大エネルギー消費量は、植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット40に損傷を与えることなく植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット40によって供給可能な最大エネルギーよりも高く、エネルギー供給部397は、必要なエネルギー消費量と植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット40によって供給可能な最大エネルギーとの間の差に対応するエネルギーバーストを供給するように適合されている。エネルギー消費部は、例えば、電気刺激または減衰を制御する制御ユニット、センサー、またはトランシーバーであってもよい。
【0622】
この方法は、植え込み可能エネルギー貯蔵ユニット40を使用してエネルギー供給装置397を充電するステップをさらに含むことができる。
【0623】
エネルギー消費部302を開始させることは、医療用インプラントの制御ユニットをスリープモードから動作モードまたはアクティブモードに移行させることからなる場合がある。
【0624】
植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット40は、無線充電されるように適合されてもよく、植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニットは、外部充電器396を介して外部装置320から無線エネルギーを受信するための内部充電器395に接続されてもよく、方法は、植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニット40を無線充電することからなってもよい。いくつかの例では、本方法は、内部充電器395における外部エネルギー貯蔵ユニットからの電力の受信を制御することを備える。内部エネルギー貯蔵ユニット40は、内部充電器395による外部エネルギー貯蔵ユニット396からの電力の送信の受信を介して充電されてもよい。
【0625】
図25aは、移植システム100のコントローラ300を充電し、プログラミングし、通信するためのシステムの一実施形態を示す。図25aはさらに、患者が保持し操作する装置、医療提供者(HCP)が保持し操作する装置、または例えば植込み型医療装置100または外部装置320'、320''、320'''の製造業者によるインフラストラクチャ供給者である専用データインフラ(DDI)である可能性がある異なる外部装置間の通信および相互作用を説明する。図25aの実施形態のシステムは、コントローラ300と通信可能な3つの外部装置320'、320''、320'''から構成される。
【0626】
基本的な考え方は、異なるレベルの権限を持つ3つの外部装置320'、320''、320''''を持つことによって、システム100との通信およびシステム100の操作のセキュリティを確保することである。最も低いレベルの権限は、患者が操作するリモコン320''に与えられる。外部装置320''とも呼ばれる遠隔制御は、患者の入力に基づいて、植込み型制御装置300を介して植込み型システム100の機能を操作する権限を有する。リモートコントロール320''はさらに、コントローラ300から必要なデータを取得する権限を有する。リモートコントロール320''は、コントローラ300上で現在実行されているソフトウェアと、そのソフトウェアの現在の設定で通信することによってのみ、コントローラ300を操作することができる。次のレベルの権限は、患者外部質問装置(P-EID)320'''に与えられ、これは、患者によって保持されるが、医療提供者(HCP)(通常は、植え込まれたシステム1の助けを借りて治療を提供する診療所の医師)によって部分的に遠隔操作され得る充電および通信ユニットである。P-EID320''は、植込み型システム100のコントローラ300上で動作するソフトウェアまたはハードウェアの予めプログラムされたステップを選択することによって設定変更を行う権限を有する。P-EIDはHCPによって遠隔操作され、DDIを介してHCPから入力を受ける。
【0627】
最高レベルの権限は、HCP-EID320'とそのコントローラ(HCP専用表示装置(DDD)と呼ばれる)に与えられる。HCP-EID320'は、HCPの診療所に物理的に設置される充電・通信ユニットである。HCP-EID320'は、患者がHCPの診療所に物理的にいるときに、コントローラ300上で実行されているソフトウェアを自由に変更または交換する権限を与えられてもよい。HCP-EID320'は、HCP-EIDから「ウェブビュー」ポータルで動作するか、またはHCP-EIDを制御し、HCP-EIDと通信する以外の活動(インターネット接続の不在を含む場合がある)に対して閉鎖されたデバイスであるHCPDDDによって制御される。ウェブビューポータルは、必ずしもインターネットベースやHTMLプロトコルを意味するものではなく、ブルートゥースなどの他の通信プロトコルや他のタイプの標準プロトコルや独自プロトコルで通信することもできる。また、HCPDDDは、ローカルネットワーク上で、あるいはブルートゥースや他の標準プロトコルや専有プロトコルを介して、HCP-EIDと通信することもできる。
【0628】
最も低いレベルの権限から始めて、患者遠隔制御外部装置320''は、有益には、植え込みシステム100と通信するための無線トランシーバ328で構成され得る。遠隔制御装置320''は、植え込みシステム1の予め設定された機能を制御することによって、例えば、植え込みシステム1の意図された機能を実行するために植え込みシステム100の能動部分を動作させるために、制御装置300を介して植え込みシステム100の動作を制御することができる。遠隔制御320''は、その目的のために設計された任意の標準プロトコルまたは専有プロトコルを用いて植込み型システム100と通信することができる。図25Aに示す実施形態では、無線トランシーバ328はブルートゥース(BT)トランシーバからなり、リモートコントロール320''は、BTを使用して植え込まれたシステム100と通信するように構成されている。代替的な構成では、遠隔制御320''は、超広帯域(UWB)無線通信とBTとの組み合わせを使用して移植システム100と通信する。UWB技術の使用により、植え込まれたシステム100が、植え込まれたシステム100および/または患者が正しいと認めることができる位置、例えば、患者の手の届く範囲内および/または植え込まれたシステム1から1メートルまたは2メートル以内など、医療装置100および/または患者に直接近接した位置に遠隔制御320''があることを確定する方法として使用することができる遠隔制御320''の位置決めが可能になる。
【0629】
UWB通信は、特定の時間間隔で無線エネルギーを発生させ、大きな帯域幅を占有することにより、パルス位置変調または時間変調を可能にする。また、パルスの極性、振幅をエンコードすることによって、および/または直交パルスを使用することによって、UWB信号(パルス)に情報を変調することもできる。UWB無線システムは、様々な周波数で送信の「飛行時間」を決定するために使用することができる。これはマルチパス伝搬を克服するのに役立つ。周波数によっては見通し軌道を持つが、他の間接経路は遅延が長いからである。協力的な対称型双方向測光技術により、距離を高分解能・高精度で測定することができる。UWBはリアルタイムの位置情報システムに有用であり、その高精度能力と低消費電力により、ヘルスケア環境などの高周波に敏感な環境に適している。
【0630】
BTおよびUWB技術の組み合わせが使用される実施形態では、UWB技術は、遠隔制御320''の位置ベースの認証のために使用され、一方、通信および/またはデータ転送は、BTまたはUWBとは異なる他の通信方法を使用して行われ得る。UWB信号は、いくつかの実施形態では、コントローラ300のウェイクアップ信号、またはBTトランシーバのウェイクアップ信号としても使用され得、移植システム100のBTトランシーバは、使用されていないときにオフにされ得、これにより、BTが傍受されるリスク、または移植システム100のコントローラ300がBT通信によってハッキングされるリスクが排除される。BT(またはその代替)/UWBの組み合わせが使用される実施形態では、UWB接続はデータの送信にも使用され得る。代替案として、UWB接続は、データの機密部分などのデータの一部の送信のため、またはBTを介して送信される暗号化通信のロックを解除するための鍵の送信のために使用され得る。
【0631】
遠隔制御装置320''は、植え込まれたシステム1と通信するためのソフトウェアアプリケーションを実行するように構成されたコンピューティングユニット326を備える。演算ユニット326は、遠隔制御装置320''上に配置された制御ボタン335から直接入力を受け取ることもできるし、患者によって操作される患者ディスプレイ装置334上に表示された制御インターフェース334iから入力を受け取ることもできる。リモコン320''が、患者によって操作される患者ディスプレイ装置334上に表示された制御インターフェース334iから入力を受信する実施形態では、リモコン320''は、制御インターフェース334iをウェブビューポータルの形態、すなわち、患者のディスプレイ装置334上のサンドボックス環境で実行されるリモートインターフェースで送信することができる。サンドボックス環境は、ディスプレイ装置334上で実行されるが、遠隔制御から提示されるものだけを表示し、ネットワークアクセスだけでなく、ストレージおよびメモリ空間などの、厳密に制御されたコマンドおよびリソースのセットだけを使用するものとして理解される。そのため、ホストシステムを検査したり、表示装置334に接続された他の入力装置から読み書きしたりする能力は、極めて制限される可能性がある。患者用ディスプレイ装置によって生成される動作またはコマンドは、ウェブページを制御するのと同様である。全ての動作ソフトウェアは、その制御インターフェースを患者用表示装置に表示するだけの遠隔制御装置上に配置することができる。
【0632】
コンピューティングユニット326はさらに、患者ディスプレイ装置334に送信する前に制御インターフェースを暗号化し、植込み型システム1に送信する前に制御コマンドを暗号化するように構成され得る。演算ユニット326はさらに、受信したユーザー入力を植込み型システム1に無線送信するための制御コマンドに変換するように構成されている。
【0633】
患者の表示装置334は、例えば、携帯電話、タブレット又はスマートウォッチであり得る。図25Aに示す実施形態では、患者の表示装置334は、BTによって遠隔制御装置320''と通信する。ウェブビューポータルの形態の制御インターフェース334iは、BTを介して遠隔制御装置320''から患者の表示装置334に送信される。患者から制御インターフェース334iへの入力形式の制御コマンドは、患者の表示装置334からリモコン320''に送信され、制御ボタン335を使用して提供され得る入力と同等の入力をリモコン320''に提供することができる。患者の表示装置334内で作成された制御コマンドは、患者の表示装置334内で暗号化され、BT又は他の通信プロトコルを使用して遠隔制御320'に送信される場合がある。
【0634】
リモコンは通常、DDIまたはインターネットに接続されない可能性があり、それによってセキュリティが向上する。さらに、一実施形態では、リモコン320''は、それ自身の秘密鍵を有していてもよい。具体的な実施形態では、リモートコントロール320''は、患者の秘密鍵によって一定時間起動されてもよい。これにより、患者の表示装置の機能と、遠隔制御によって患者の表示装置に供給される遠隔ウェッジビュー表示ポータルとが起動される場合がある。
【0635】
患者の秘密鍵は、一定期間インプラント100と通信する許可を有効にするために、リモートコントロール320''の近くに挿入または提供されるスマートカードを損なう患者秘密鍵デバイスに供給されることがある。
【0636】
患者の表示装置334は(表示装置334が携帯電話又はタブレットの場合)、Wi-Fi又はモバイル接続(例えば、3G、4G又は5G規格に基づく)などの補助無線接続を提供するための補助無線送信機を含んでいてもよい。リモコン320''との通信を可能にするには、補助無線接続を切断する必要がある場合がある。補助無線接続を切断することにより、患者の表示装置334に表示される制御インターフェース334iの完全性が損なわれるリスク、または患者の表示装置334に表示される制御インターフェース334iが権限のない装置またはエンティティによって遠隔制御されるリスクが低減される。
【0637】
代替実施形態では、制御コマンドは、患者のディスプレイ装置によって生成され、暗号化されて、DDI330に送信される。DDI330は、リモコン320''に送信するために制御コマンドをさらに暗号化する前に、生成された制御コマンドをリモコン320''によって読み取り可能なコマンドに変更するか、制御コマンドをリモコン320''に送信する前に単に暗号化の余分な層を追加するか、または単に制御コマンドを患者のディスプレイ装置334からリモコン320''に中継するためのルータとして機能することができる。DDI330が、植え込まれたシステム1に向けられたエンドツーエンドの暗号化の層を追加して、植え込まれたシステム100だけが制御コマンドを解読して、患者が意図したコマンドを実行できるようにすることも考えられる。上記の実施形態では、患者の遠隔ディスプレイ装置334がDDIと通信しているとき、患者のディスプレイ装置334は、DDIの一部によって提供されるウェブビューポータルのみを表示し、それと対話するように構成することができる。ウェブビューポータルは、DDI330上に提供されるバックエンドのビューであり、そのような実施形態では、患者が患者のディスプレイ装置334上の制御インターフェースと相互作用することは、患者がDDI330の領域と相互作用することと等価であることが考えられる。
【0638】
患者のディスプレイ装置334は、植え込まれたシステム1に関連する第1および第2のアプリケーションを有し得る。第1のアプリケーションは、植え込まれたシステム1を制御するための制御インターフェース334iを表示する制御アプリケーションであり、一方、第2のアプリケーションは、植え込まれたシステム100の状態またはDDI330もしくはHCPからの情報の一般的な情報を患者に提供するための一般的なアプリケーションであり、または、患者の一般的な健康状態、患者のライフスタイル、または植え込まれたシステム1の機能に関する患者からの一般的な入力に関連する一般的な入力をDDI330もしくはHCPに提供するためのインターフェースを患者に提供するための一般的なアプリケーションである。遠隔制御320''および/または植え込まれたシステム100に入力を提供しない第2のアプリケーションは、したがって、機密性の低いデータを扱う。そのため、一般的なアプリケーションは、すべての補助無線接続が作動しているときにも機能するように構成することができるが、より機密性の高い制御コマンドおよび植込み型システム100との通信を扱う制御アプリケーションに切り替えるには、補助無線接続を一時的に解除する必要がある。制御アプリケーションが一般アプリケーション内で実行されるサブアプリケーションであることも考えられ、その場合、一般アプリケーション内のサブアプリケーションとしての制御アプリケーションの起動には、補助無線接続の一時的な解除が必要となる可能性がある。図25Aに示す実施形態では、制御アプリケーションへのアクセスには、ハードウェアキー333'の光学的手段および/またはNFC手段を患者のディスプレイ装置への生体認証入力と組み合わせて使用する必要があるが、一般アプリケーションへのアクセスには、患者のディスプレイ装置への生体認証入力および/またはピンコードのみが必要である。一例として、一般アプリケーションおよび/または制御アプリケーションへのアクセスには、ピンコードと組み合わせたデジタルキーなどの二要素認証ソリューションを使用することができる。
【0639】
一般に、移植システム1を制御するための制御インターフェース334iを表示する遠隔制御装置320''のウェブビューポータルを制御するために、患者用表示装置334を一定時間作動させるにはハードウェアキーが必要な場合がある。
【0640】
患者用ディスプレイ装置334が、システム内の別のユニットによって提供されるウェブビューを表示して対話するようにのみ構成される実施形態では、ウェブビューポータルがDDI330上に提供されるバックエンドのビューであることが考えられ、そのような実施形態では、患者が患者用ディスプレイ装置上の制御インターフェースと対話することは、患者がDDI330の領域と対話することと等価である。
【0641】
次に、P-EID320'''に移る。P-EID320''は、移植システム1と通信し、充電するように構成された、患者によって使用される外部装置、患者外部装置である。P-EID320'''は、HCPによって遠隔操作され、植え込まれたシステム1から情報を読み取ることができる。P-EID320'''は、植え込まれたシステム1の動作を制御し、植え込まれたシステム1の充電を制御し、予め定義された予めプログラムされたステップを変更することによって、および/または、定義された範囲内で予め定義されたパラメータを選択することによって、植え込まれたシステム100のコントローラ300上の設定を調整するように適合される。
【0642】
リモートコントロール320''と同様に、P-EID320''は、BT通信またはUWB通信、あるいは他の独自の通信方法または標準的な通信方法を使用して、インプラントシステム100と通信するように構成することができる。この装置はインプラントの充電に使用される可能性があるため、充電信号と通信が組み合わされる可能性がある。遠隔制御320''と同様に、P-EID320''が、植え込まれたシステム100および/または患者および/またはHCPが正しいと認めることができる位置、例えば、正しい患者および/または正しいシステム1に直接近接した位置にあることを確立する方法として、P-EID320''の位置決めを可能にするために、UWB無線通信とBTの組み合わせを使用することも可能である。遠隔制御320''と同様に、BTとUWB技術の組み合わせが使用される実施形態では、UWB技術がP-EID320''の位置ベースの認証に使用され、一方、通信および/またはデータ転送はBTを使用して行われる可能性がある。P-EID320''は、通信用のワイヤレス送受信機328から構成され、また、エネルギーをワイヤレスで転送するように構成されたワイヤレス送信機325から構成され、このワイヤレス送信機325は、磁界の形態であってもよいし、電磁、無線、光、音などの他の信号の形態であってもよく、埋め込まれたシステム1のワイヤレス受信機395にエネルギーをワイヤレスで転送する。植え込み型システム100の無線受信機395は、磁場の形態のエネルギーを受信し、植え込み型エネルギー貯蔵ユニット40における貯蔵のため、および/または植え込み型システム100のエネルギー消費部(操作装置、制御装置300など)における消費のために、エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成される。P-EID320'''で発生し、植込み型システム100で受信される磁界は、充電信号と表記される。P-EID320'''から植込み型システム1へのエネルギーの無線転送を可能にすることに加えて、充電信号は通信手段としても機能し得る。例えば、送信の周波数、および/または信号の振幅の変動は、P-EID320'''から植え込まれたシステム1への一方向、またはP-EID320'''と植え込まれたシステム1との間の両方向の通信を可能にするための信号伝達手段として使用することができる。図25Aに示す実施形態における充電信号は、10~65kHzまたは115~140kHzの範囲の信号であり、通信は独自の通信信号プロトコルに従う、すなわち、オープンスタンダードに基づくものではない。代替実施形態では、BTを充電信号を用いた通信と組み合わせたり、充電信号を用いた通信をUWB信号と組み合わせたりすることができる。また、エネルギー信号を通信信号の搬送信号として使用することもできる。
【0643】
リモートコントロール320''と同様に、いくつかの実施形態では、UWB信号は、コントローラ300のウェイクアップ信号として、またはBTトランシーバのウェイクアップ信号として使用されることも可能であり、これにより、移植システム100内のBTトランシーバは、使用されていないときにオフにすることができ、BTが傍受されるリスク、または移植システム100のコントローラ300がBT通信によってハッキングされるリスクを排除することができる。いくつかの例では、充電信号は必ずしもそれほど遠くまで移動しないので、充電信号をBTのウェイクアップ信号として使用することができる。また、位置ベースの認証の手段として、充電信号またはRSSIの影響を移植システム100内のコントローラ300によって評価し、送信機が定義された範囲内にあることを確立することもできる。BT/UWBの組み合わせにおいて、UWBは、データの送信にも使用され得る。いくつかの実施形態では、UWBおよび/または充電信号は、データの機密部分などのデータの一部の送信のため、またはBTによって送信された暗号化通信を解除するための送信キーのために使用され得る。ウェイクアップは、他の信号でも実行できる。
【0644】
UWBは、充電信号の送信をウェイクアップしたり、エネルギーの無線転送を開始したり、充電信号を使用して通信を開始したりするためにも使用できる。エネルギー伝送用の信号は、通常の無線通信信号と比較して非常に高い効果を持つため、エネルギー伝送用の信号を常時アクティブにすることはできません。
【0645】
P-EID320'''は、VPNなどのセキュアな通信によって、インターネット上でHCPと通信することができる。HCPとP-EID320'''との間の通信は、好ましくは暗号化される。好ましくは、通信はDDIを介して送信され、DDIは情報を中継するだけでよい。HCPから植え込みシステム100への通信は、エンドツーエンドの暗号化を用いて実行されてもよく、その場合、通信はP-EID320'''によって復号化できない。このような実施形態では、P-EID320'''はルータとして機能し、HCPから植込み型システム100のコントローラ300への暗号化された通信のみを(完全な復号化なしで)渡す。この解決策では、情報を復号化するための鍵がHCPと植込みシステム1だけにあるため、セキュリティがさらに向上し、暗号化されていない信号が権限のない装置によって傍受されるリスクが低減する。P-EID320'''は、特にセキュリティ上の理由から、独自の暗号化または情報を追加することができる。P-EID320''は独自の秘密鍵を保持し、患者の秘密鍵からの確認に基づいてインプラント100との通信を許可される場合があり、この秘密鍵はP-EID320''のスロットに挿入されるスマートカードとして提供されるか、またはP-EID320''によって読み取られるようにそれに近接して保持される場合がある。この例では、スマートカード上の患者のハードウェアキーが起動し、それによってシステム1に関連して行われる通信とアクションが可能になる可能性があるため、これら2つのキーは、植え込みシステム100とP-EID320'''との間で行われる通信に高レベルのセキュリティを追加する。P-EID320'''は、前述のように、治療の可能性の予めプログラムされたステップを選択することによって、システム100の治療設定を変更することができる。そのような予めプログラムされた治療オプションは、例えば、変更することを含むことができる:
液圧、機械的、電気的刺激装置の収縮レベル、圧力、位置の少なくとも1つ、
腎動脈に配置されたカフを調整するために使用される操作可能な容積充填装置の容積、
体外のデータベースと通信するインプラントのパラメータ(キーのハンドシェイク、新しいキーのペアリング、信号振幅など)、
体外からプログラム可能なインプラントのパラメータ、
体外からワイヤレス信号でプログラム可能なインプラントのパラメータ、
植込み型医療装置100が、P-EID320'''を介して、HCPによって遠隔制御および/または更新される場合、HCP専用装置(DD)332は、予め定義されたプログラムステップまたは設定値がHCPに提示されるインターフェースを表示する。HCPは、プログラム・ステップの選択、設定値および/または値の変更、あるいは事前に定義されたプログラム・ステップを実行する順序の変更によって、HCPDD332に入力を提供する。遠隔操作のためにHCPDD332に入力された命令/パラメータは、図25Aに示す実施形態では、DDI330を介してP-EID 320'''にルーティングされる。DDI330は、作成された命令のパッケージ内の命令を後でP-EID320'''に転送するために、命令を一定期間保存することができる。DDI330によってパッケージに暗号化の追加レイヤが提供されることも考えられる。暗号化の追加レイヤは、P-EID 330によって復号化される暗号化のレイヤであってもよいし、インプラントシステム1のコントローラ300によってのみ復号化され得る暗号化のレイヤであってもよく、これにより、暗号化されていない命令またはパッケージが権限のないデバイスによって傍受されるリスクが低減される。指示/パラメータは、次にP-EID 320''に提供され、P-EID 320''は、本明細書に開示された信号転送手段(無線または導電性)のいずれかを使用して、植込み型システム100への次の充電/エネルギー転送中に指示/パラメータをロードする。
【0646】
医療従事者EID(HCP EID)320'は、P-EID320''と同じ機能を有し、P-EID320''と同じ代替方法(および代替方法の組み合わせ)で植込みシステム100と通信することができる。しかしながら、加えて、HCP EID 320'は、HCPが、植え込まれたシステム1のコントローラ300を自由に再プログラムすることも可能にし、これには、コントローラ300で実行されているプログラムコード全体を置き換えることも含まれる。HCP EID 320'は常にHCPの手元にあり、そのため、HCP EID 320'を使用したプログラムコードの更新または植込みシステム100からのデータの検索はすべて、HCPおよび患者が存在する状態(すなわち、遠隔ではない状態)で実行される。HCPの物理的な存在は、植え込みシステム1の機能にとって重要である可能性のあるこれらの更新のための追加的なセキュリティ層である。
【0647】
図25Aに示す実施形態では、HCPは、HCP EID 320'を制御し、HCP EID 320'と通信するための制御インタフェースを構成するHCP表示装置であるHCP専用表示装置332(HCP DDD)を用いて、HCP EID 320'と通信する。HCP EID 320'は常にHCPの診療所に物理的に留まるので、HCP EID 320'とHCP DDD332との間の通信はインターネットを介して送信される必要はない。その代わりに、HCP DDD332とHCP EID320'は、BT、独自の無線通信チャネル、または有線接続のうちの1つ以上を使用して通信することができる。そして、プログラミングの変更は、HCP EID 320'を介して直接植え込みシステム100に送信される。HCP EID 320'による直接操作のためにHCP DDD 332に入力することは、HCP EID 320'に直接入力することと同じであり、HCP EID 320'はその指示を植込み型システム1に直接転送する。
【0648】
図25Aに示す実施形態では、患者とHCPの両方が、組み合わされたハードウェア鍵 333'、333''を持つ。結合鍵333'、333''は、固有の回路(最高レベルのセキュリティを提供する)、特定のコ ードを送信するための無線NFCトランスミッタ339(中レベルのセキュリティを提供する)、およびカ ードを光学的に認識するための印刷されたQRコード344(最低レベルのセキュリティを提供す る)からなるハードウェア・コンポーネントで構成される。HCP秘密鍵は、HCP秘密鍵デバイス333''用の読み取りスロットまたは同等のもの、HCP EID 320'とHCP DDD 332の両方に対するRFID通信またはその他の近距離無線起動通信(使用される場合)の少なくとも1つを介して、HCP EID外部デバイスに提供されるように適合されたHCP秘密鍵デバイス333''によって供給される。HCP DDD332は、このようなHCP秘密鍵デバイス333''によって起動され、このデバイスは、例えば、スマートカード、キー・リング・デバイス、腕時計、腕または手首のバンド、ネックレス、または任意の形状のデバイスの少なくとも1つで構成される。
【0649】
HCP EID外部装置は、以下の少なくとも1つで構成される;
HCP秘密鍵デバイス用の読み取りスロットまたは同等のもの、
RFID通信と
その他の近距離無線起動通信手段
HCP外部装置320'は、第1のネットワークプロトコルを介してデータインフラストラクチャサーバDDIと通信するように構成された少なくとも1つの無線トランシーバ328をさらに含むことができる。
【0650】
専用データインフラストラクチャサーバDDIは、一実施形態では、前記HCP外部装置320'からコマンドを受信するように適合され、患者外部装置320''に向けられた前記コマンドを開くことなく、受信されたコマンドに依存するように適合され得、DDI330は、前記患者外部装置320''と通信するように構成された1つの無線トランシーバを備える。
【0651】
患者EID外部装置320''は、一実施形態では、DDIによって中継されたコマンドを受信するように適合され、さらに、これらのコマンドを植込み型医療装置100に送信するように適合され、植込み型医療装置100は、植込み型システム1の予めプログラムされた治療ステップを変更するために、DDI330を介してHCP(医療提供者)からコマンドを受信するように適合されている。患者EIDは、患者が患者秘密鍵デバイス333'を提供することによって起動され、認証され、コマンドの実行が許可されるように適合される。患者秘密鍵デバイスは、一実施形態では、患者秘密鍵デバイス333'用の読み取りスロットまたは同等のもの、RFID通信または他の近距離無線起動通信の少なくとも1つを介して、患者によって患者外部デバイスに提供されるように適合されている。
【0652】
患者EID外部装置は、1つ以上の実施形態において、以下の少なくとも1つを備える;
HCP秘密鍵デバイス用の読み取りスロットまたは同等のもの、
RFID通信
その他の近距離無線起動通信
患者EID外部装置は、1つまたは複数の実施形態において、第2のネットワークプロトコルを介して植え込みシステム100と通信するように構成された少なくとも1つの無線トランシーバを備えることができる。
【0653】
患者のキー333'は、図25Aに示す実施形態では、P-EID 320''と通信するためのインタフェースを有するキー・カードの形態であり、キー・カードがP-EID 320''のキー・カード・スロットに挿入されるようになっている。NFCトランスミッタ339および/または印刷されたQRコード344は、ディスプレイ装置334の制御インターフェース334iにアクセスするための手段として使用することができる。さらに、ディスプレイ装置334は、ピンコードおよび/または顔認識や指紋認識などの生体認証を必要とする場合がある。
【0654】
HCPの鍵333''は、図25Aに示す実施形態では、HCP-EID320'と通信するためのインタフェー スを有するキーカードの形態であり、一実施形態では、キーカードはHCP-EID320'のキ ーカードスロットに挿入される。NFCトランスミッタ339および/または印刷されたQRコード344は、HCP DDD332の制御インターフェースにアクセスするための手段として使用することができる。さらに、HCP DDD 332は、ピンコードおよび/または顔認識や指紋認識などの生体入力を必要とする場合がある。
【0655】
しかし、代替実施形態では、ハードウェア・キー・ソリューションが、PIN コードや生体認証入力(顔認証や指紋認証など)と組み合わせたデジタル・キーな どの二要素認証ソリューションに置き換わることも考えられる。鍵は、スウェーデンの銀行 ID がその好例であるような、同様の事前鍵機能を保持するソフ トウェア鍵であることも可能である。
【0656】
図25Aに示す実施形態では、インターネットを介した通信は、クラウドサービス上で動作する専用データ基盤(DDI)330を介して行われる。この場合のDDI330は、HCP DDD332とP-EID320'''との間の通信を処理する。しかし、より可能性の高いシナリオは、制御アプリケーションの必要な機能のみがHCP DDD332上で機能できるように、HCP DDD332が閉鎖されることである。閉鎖された実施形態では、HCP DDD332は、P-EID320''を介してインプラント100の予めプログラムされた治療ステップをさらに更新するために必要なコマンドをHCP EID320'に与えることができるのみであり、直接接触、またはより可能性が高いのは、DDI332を介した間接接触である。患者が現地にいる場合、HCP EIDは患者のインプラントと直接通信し、行動することができる。しかし、インプラントによって何かが受け入れられる前に、最大限のセキュリティのために、患者の秘密鍵デバイス333'がP EID 320''またはHCP EID 320'に提示されなければならない。
【0657】
DDI330は、インプラントからP-EID320'''に供給されるインプラントフィードバックデータを介して、HCPとリモートコントロール320'''との間の接触情報をロギングしている。HCPと患者のディスプレイ装置334との間、およびHCPと補助装置336(例えば血圧計など患者の治療をフォローアップするためのツール)との間で生成されたデータは、DDI330によって記録される。可能性は低いが、いくつかの実施形態では、HCP DDD332は、患者の表示装置334と遠隔制御320''との間の通信も処理することができる。図25Aでは、補助装置336もP-EIDに接続されており、したがって、補助装置336からの入力をP-EIDに提供することができ、この入力をP-EIDが治療の変更またはフォローアップのために使用することができる。
【0658】
すべての例において、HCPからP-EID 320''、遠隔制御装置320''、患者用表示装置334及び補助装置336への通信は、エンドツーエンドの暗号化を用いて実行することができる。エンドツーエンドの暗号化を用いた実施形態では、通信はDDI330によって復号化できない。このような実施形態では、DDI330はルータとして機能し、HCPから様々なデバイスに暗号化された通信を渡すだけである。このソリューションでは、情報を復号化するための鍵がHCPと、通信を送信または受信するデバイスにしかないため、セキュリティがさらに向上し、暗号化されていない信号が権限のないデバイスによって傍受されるリスクが低減する。P-EID 320''は暗号化された情報のみを伝えることもできる。
【0659】
通信の仲介者またはルーターとして機能することに加えて、DDI330は、治療および患者に関連する、植え込まれた医療装置100に関するデータを収集する。データは、暗号化された形式、匿名化された形式、またはオープンな形式で収集されることがある。収集されるデータの形式は、データの機密性またはデータが収集されるソースに依存する場合がある。図25Aに示す実施形態では、DDI330は患者のディスプレイ装置334に質問票を送信する。アンケートは、患者の一般的な健康に関連する、患者の生活様式に関連する、または植え込まれたシステム100によって提供される治療(例えば痛みを測定するための視覚的アナログスケールなど)に特に関連する、患者への質問で構成され得る。DDI330は、複数のソースからの入力を編集および/または結合し、その入力をHCPに伝達することができ、HCPは提供された情報を使用して、DDI330を介して送り返される様々な装置への指示を作成することができる。DDI330によって実行されるデータ収集は、システム内のユニット間のすべての通信がバックトレースできることを確認するために、ログの形にすることもできる。通信をログに記録することで、ソフトウェアまたはソフトウェアの設定に対するすべての変更、ならびに植え込まれたシステム100の周波数および動作を確実に追跡することができる。通信を追跡することにより、DDI330またはHCPが治療を追跡し、通信中の何かが治療が意図した結果を提供しないことを示す場合、またはシステム内のコンポーネントのいずれかに何か問題があるように見える場合に対応することができる。患者表示装置334からの患者のフィードバックが、インプラントの新しい治療ステップが必要であることを示す場合、そのような情報は、HCPと患者の間の直接接触によって確認されなければならない。
【0660】
図25Aに開示された具体的な実施形態では、異なるユニット間の無線接続は以下の通りである。補助装置336とDDI330との間の無線接続411は、WiFiまたはモバイル通信方式に基づくか、またはP-EID320'''を介してDDI330に送信されてもよく、補助装置336と患者の表示装置334との間の無線接続411は、BTまたは本明細書に開示される他の通信経路に基づく。患者のディスプレイ装置334とDDI330との間の無線接続412は、WiFiまたはモバイル通信体制に基づいている。患者のディスプレイ装置334と遠隔制御装置320''との間の無線接続413は、BTまたは本明細書に開示される他の通信経路に基づく。患者の遠隔制御装置320''と移植システム100との間の無線接続414は、BTおよびUWB、または本明細書に開示される他の通信経路に基づく。遠隔制御装置320''とDDI330との間の無線接続415は、使用されない可能性が高く、使用される場合は、WiFiまたはモバイル通信体制に基づく。P-EID320'''と植込みシステム100との間の無線接続416は、BT、UWB、充電信号、または本明細書に開示された他の通信または通電経路に基づく。P-EID320'''とDDI330との間の無線接続417は、WiFiまたは移動通信体制に基づいている。HCP-EID 320''と植込みシステム100との間の無線接続418は、BT、UWB、および充電信号のうちの少なくとも1つに基づいている。P-EID320''とHCP DD332との間の無線接続419は、BTまたは本明細書に開示される他の通信経路に基づく。HPC-EID 320'とDDI 330との間のワイヤレス接続420は、WiFiまたはモバイル通信体制に基づいている。HPC DD 332 とDDI 330 との間の無線接続421は、通常は閉じており、使用されず、使用される場合は、WiFiまたはモバイル通信レジームに基づく。HCP-EID320'とHCP DD 332との間の無線接続422は、BT、UWB、ローカル・ネットワーク、または本明細書に開示される他の通信経路の少なくとも1つに基づく。
【0661】
しかし、図25Aに示す実施形態で特に説明した無線接続は、無線周波数識別(RFID)、近距離無線通信(NFC)、ブルートゥース、ブルートゥース・ロー・エネルギー(BLE)、または無線ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)に基づく無線接続によって置き換えられるか、または補助される可能性がある。モバイル通信方式は、例えば、1G、2G、3G、4G、または5Gである。無線接続はさらに、振幅変調(AM)、周波数変調(FM)、位相変調(PM)、直交振幅変調(QAM)などの変調技術に基づいてもよい。無線接続は、時分割多重アクセス(TDMA)、周波数分割多重アクセス(FDMA)、または符号分割多重アクセス(CDMA)などの技術をさらに特徴とすることができる。無線接続は、赤外線(IR)通信に基づくこともできる。無線接続は、高周波数帯域(HF)、超高周波数帯域(VHF)、超高周波数帯域(UHF)、および本質的に電磁波通信に適用可能な他の任意の帯域の無線周波数を特徴としてもよい。無線接続はまた、電磁波に依存しない少なくとも1つの例を挙げると、超音波通信に基づいてもよい。
【0662】
図25a'はまた、新しい秘密鍵デバイスの発行を可能にするマスター秘密鍵333''デバイスを開示し、HCPまたはHCP管理者は、HCP EID外部デバイス320'を介して、新しい患者秘密鍵333'デバイスまたはHCP秘密鍵デバイス333''をシステムに交換し、ペアリングできるように適合されたかかるマスター秘密鍵333''デバイスを有する。
【0663】
患者に植え込まれた植え込み型システム1の予めプログラムされた治療設定を、患者に対して離れた遠隔地から変更するように構成されたシステムについて、以下に説明する。
【0664】
図25a'は、少なくとも1つの医療提供者(HCP)外部装置320'が、植え込まれたシステム1の前記予めプログラムされた治療設定を変更するために、HCPからコマンドを受信するように適合され、さらに、HCP秘密鍵装置333''を提供するHCPによって起動され、認証され、前記コマンドの実行を許可されるように適合されたシナリオを開示する。HCP EID外部装置320'は、第1のネットワークプロトコルを介して患者EID外部装置320''と通信するように構成された少なくとも1つの無線トランシーバ328をさらに備える。本システムは、患者EID外部装置320'''を備え、患者EID外部装置320'''は、前記HCP外部装置320'からコマンドを受信し、前記コマンドを修正することなく、受信したコマンドを移植システム1に中継するように適合されている。患者EID外部装置320'''は、無線トランシーバ328を備える。患者EID320''は、移植システム1にコマンドを送信し、HCPから移植システム1の前記予めプログラムされた治療設定を変更するコマンドを受信し、さらに、患者が患者秘密鍵からなる患者秘密鍵333'装置を提供することによって起動され、認証され、前記コマンドの実行を許可されるように適合されている。
【0665】
図25a'を参照して開示した実施形態では、主に無線通信について説明したが、外部機器間の無線通信は、有線通信に代えてもよい。25a'外部装置間の無線通信は、有線通信に置き換えてもよい。また、外部装置と植え込みシステム100との間の無線通信の一部または全部を、人体の一部を導体として使用する導電性通信に代えることもできる。
【0666】
図25bは、特定のシナリオを概説するために構成要素の一部を省略した図25aの一部を示す。図25bに概略を示すシナリオでは、システムは、患者に植え込まれた植込み型システム1の予めプログラムされた治療設定を、患者に対して離れた遠隔地から変更するように構成されている。図25bのシステムは、植え込み型システム1の前記予めプログラムされた治療設定を変更するためにHCPからコマンドを受信するように適合された少なくとも1つのHCP EID320'外部装置を備える。HCP EID 320'外部装置はさらに、HCP EID外部装置320'に提供されるように適合されたHCP秘密鍵装置333''を提供するHCPによって起動され、認証され、前記コマンドの実行が許可されるように適合されている。秘密鍵デバイス333''は、HCP秘密鍵デバイス333''用の読み取りスロットまたは同等のもの、およびRFID通信または他の近距離無線起動通信の少なくとも1つを介して、HCP EID外部デバイス320'に提供されるように適合される。
【0667】
HCP EID外部デバイス320'は、HCP秘密鍵デバイス333''用の読取スロットまたは同等のもの、RFID通信、その他の近距離無線起動通信または電気的直接接触の少なくとも1つから構成される。HCP EID外部デバイス320'は、第1のネットワーク・プロトコルを介して、専用データ・インフラストラクチャ・サーバ(DDI)330と通信するように構成された少なくとも1つの無線トランシーバ328をさらに備える。本システムは、前記HCP EID外部装置320'からコマンドを受信するように適合され、前記コマンドを修正することなく受信したコマンドを患者EID外部装置320''に中継するように適合された専用データインフラストラクチャサーバ(DDI)330をさらに備える。前記専用データインフラストラクチャサーバ(DDI)330は、前記患者外部装置と通信するように構成された無線トランシーバ328をさらに備える。本システムは、専用データインフラストラクチャサーバ(DDI)330によって中継されたコマンドを受信するように適合され、インプラントシステム100にコマンドを送信するようにさらに適合され、インプラントシステム1の前記予めプログラムされた治療設定を変更するために、専用データインフラストラクチャサーバ(DDI)330を介してHCP EID外部装置320'からコマンドを受信するようにさらに適合された患者EID外部装置320'''をさらに備える。患者EID外部装置320'''はさらに、患者が患者秘密鍵装置333'を提供することによって起動および認証され、前記コマンドの実行が許可されるように適合されてもよく、この患者秘密鍵装置333'は、患者によって患者EID外部装置320'''に、患者秘密鍵装置333'の読み取りスロットまたは同等のもの、RFID通信または他の近距離無線起動通信、または電気的な直接接触のうちの少なくとも1つを介して提供されるように適合されてもよい。患者EID外部デバイス320'''は、HCP秘密鍵デバイス用の読取スロットまたは同等のもの、RFID通信、その他の近距離無線起動通信または電気的直接接触の少なくとも1つをさらに備える。患者EID外部装置320'''は、第2のネットワークプロトコルを介して植え込まれたシステム100と通信するように構成された少なくとも1つの無線トランシーバ328をさらに備える。植え込まれたシステム100は、順に、患者を治療するか、または身体機能を実行するように構成される。
【0668】
図25bを参照して説明したシナリオは、代替実施形態では、追加のユニットや通信接続で補完することも、図25c図25eを参照して説明したシナリオのいずれかと組み合わせることもできる。
【0669】
図25cは、特定のシナリオを概説するために構成要素の一部を省略した図25aの一部を示す。図25cに概略を示したシナリオでは、植込み型システム100の予めプログラムされた治療設定を変更するように構成されたシステムが開示されている。予めプログラムされた治療設定の変更は、患者の物理的な立会いのもとで、医療提供者(HCP)によって実行される。このシステムは、植え込み可能なシステム1が植え込まれたときに、植え込み可能なシステム1のステップにおける前記予めプログラムされた治療設定を変更するために、直接または間接的に、HCPからコマンドを受信するように適合された少なくとも1つのHCP EID外部装置320'を備える。HCP EID外部装置320'は、さらに、HCP秘密鍵からなるHCP秘密鍵装置333''を提供するHCPによって起動され、認証され、前記コマンドの実行が許可されるように適合されている。図25cの実施形態におけるHCP秘密鍵デバイスは、スマート・カード、キーホルダー・デバイス、腕時計、腕またはリスト・バンド、ネックレス、および任意の形状のデバイスのうちの少なくとも1つで構成される。HCP EID外部装置320'は、インプラント100から情報を受信すること、患者遠隔外部装置336から情報を受信すること、植え込まれたシステム1を作動させること、予めプログラムされた設定を変更すること、および植え込まれたときに植え込まれたシステム1のソフトウェアを更新することのうちの少なくとも1つに関与するように適合されている。HCP EID外部装置320'は、患者によっても起動され、認証され、前記コマンドの実行が許可されるように適合され、システムは、患者秘密鍵からなる患者秘密鍵装置333'を備える。患者秘密鍵デバイス333'は、スマートカード、キーホルダーデバイス、時計、腕またはリストバンド、ネックレス、および任意の形状のデバイスの少なくとも1つから構成 される。HCP秘密鍵333''および患者秘密鍵は、植込み型システム100が植え込まれたときに、HCP EID外部装置320'が、植込み型システム100から情報を受信すること、患者遠隔外部装置336から情報を受信すること、植込み型システム1を作動させること、予めプログラムされた設定を変更すること、および植込み型システム1のソフトウェアを更新することのうちの少なくとも1つの前記動作を実行するために必要とされ得る。
【0670】
図25cはまた、システムが、患者に植え込まれたときに、医療提供者(HCP)により、植え込み可能な医療機器のステップにおける事前にプログラムされた治療設定を変更するために構成されるシナリオの概要を示している。本システムは、HCPから、直接または間接的に、植え込み型医療装置のステップにおける前記予めプログラムされた治療設定を変更するためのコマンドを受信するように適合された少なくとも1つのHCP EID外部装置320'をさらに備え、HCP EID外部装置320'は、HCPによって起動され、認証され、前記コマンドの実行が許可されるように適合される。植え込み型医療装置100が植え込まれたときに、植え込み型医療装置100の予めプログラムされた設定を変更し、植え込み型医療装置100のソフトウェアを更新するためのHCP EID外部装置320'による動作は、HCP秘密鍵装置333''および患者秘密鍵装置333'によって認証されるように適合されている。
【0671】
図25cを参照して説明したシナリオは、代替実施形態では、追加のユニットや通信接続で補完したり、図25b図25d図25eを参照して説明したシナリオのいずれかと組み合わせたりすることができる。
【0672】
図25dは、特定のシナリオを概説するために構成要素の一部を省略した図25aの一部を示す。図25dに概略を示すシナリオでは、患者からの指令によって植込み型システム100の予めプログラムされ予め選択された治療動作を変更するように構成されたシステムについて説明する。このシステムは、植え込み可能なシステム1と、患者遠隔外部装置320''と、システム100が植え込まれたときに、第2のネットワークプロトコルを介して植え込み可能なシステム1と通信するように構成された無線トランシーバ328とを備える。システムはさらに、患者遠隔外部装置320''から配信されるコンテンツを受信し、患者遠隔外部装置320''を介して患者による植込み型システム100の機能を作動させる意思を表明するためのボタンを公開するように構成された遠隔表示ポータルインターフェース334iを備える。遠隔外部装置320''はさらに、患者表示装置334上に表示ポータルを遠隔表示するように構成されており、患者は、患者表示装置334上に可視化された患者遠隔外部装置320''の表示ポータルを通じて移植システム100の機能を作動させることができる。図25dでは、患者遠隔外部装置320''と患者EID外部装置320'''との間にさらなる無線接続423が設けられている。このさらなる無線接続423は、本明細書に記載される無線信号伝達方法およびプロトコルのいずれか1つに従う無線接続であり得、通信は暗号化され得る。
【0673】
図25dを参照して説明したシナリオは、代替実施形態では、追加のユニットや通信接続で補完することも、図25b、25c、25eを参照して説明したシナリオのいずれかと組み合わせることもできる。
【0674】
図25eは、特定のシナリオを概説するために構成要素の一部を省略した図25aの一部を示している。図25eに概略を示すシナリオでは、患者に植え込まれた植え込み可能な医療システム1から、患者に対して離れた遠隔位置から情報を提供するように構成されたシステムが説明される。このシステムは、インプラント100から情報を受信し、そのような情報をさらにサーバまたは専用データインフラ(DDI)330に送信するように適合された少なくとも1つの患者EID外部装置320'''を備える。患者EID外部装置320'''は、さらに、患者が秘密鍵を提供することによって、インプラントされたシステム100から前記情報を受信することができるように起動され、認証されるように適合されている。患者秘密鍵デバイスは、患者EID外部デバイス320'''に、患者秘密鍵デバイス用の読取スロットまたは同等のもの、RFID通信または他の近距離無線起動通信、または直接電気的接続のうちの少なくとも1つを介して提供されるように適合された秘密鍵から構成される。患者EID外部装置320'''は、第1のネットワークプロトコルを介してDDI330と通信するように構成された少なくとも1つの無線トランシーバ328をさらに備える。
【0675】
図25eを参照して説明したシナリオは、代替実施形態において、追加のユニットや通信接続で補完することも、図25b図25dを参照して説明したシナリオのいずれかと組み合わせることもできる。
【0676】
図25fは、特定のシナリオを概説するために構成要素の一部が省略された図25aの一部を示す。図25fに概略を示したシナリオでは、患者に植え込まれた植込み型システム1のステップにおいて、医療提供者(HCP)が、患者の物理的な存在下で、または遠隔地から患者と一緒に、あらかじめプログラムされた治療設定を変更するように構成されたシステムが説明されている。このシステムは、植え込み可能なシステム1のステップにおいて、植え込まれたときに、前記予めプログラムされた治療設定を変更するために、HCPから直接または間接的にコマンドを受信するように適合された少なくとも1つのHCP EID外部装置320'を備え、HCP EID外部装置320'はさらに、HCP秘密鍵からなるHCP秘密鍵装置を提供するHCPによって起動され、認証され、前記コマンドの実行を許可されるように適合されている。HCP秘密鍵は、スマートカード、キーホルダー装置、時計、腕またはリストバンド、ネックレス、および任意の形状の装置の少なくとも1つから構成される。本システムはさらに、スマートカード、キーホルダー、時計、腕または手首のバンド、ネックレス、および任意の形状のデバイスのうちの少なくとも1つからなる患者秘密鍵を含む患者秘密鍵デバイスを備える。HCPおよび患者秘密鍵の両方は、植え込み可能システム100が植え込まれたときに、植え込み可能システム100内の予めプログラムされた設定を変更し、植え込み可能システム1のソフトウェアを更新するために、HCP EID外部装置320'による前記動作を実行するために必要である。患者秘密鍵は、HCP EID外部装置を介して、または患者EID外部装置320'を介してアクションがリモートで実行される場合に、HCPによって提供される前記コマンドを起動し、認証され、実行できるように適合される。図25fに示す実施形態では、通信はDDIサーバー330を介してルーティングされる。
【0677】
図25fを参照して説明したシナリオは、代替実施形態において、追加のユニットや通信接続で補完することも、図25b図25eを参照して説明したシナリオのいずれかと組み合わせることもできる。
【0678】
図25gは、図25aを参照して説明したものと同様のシステムの実施形態の概要を示すが、HCP EIDとHCP DDDが単一の装置に統合されている点が異なる。
【0679】
図25hは、図25aを参照して説明したのと同様のシステムの実施形態の概要を示すが、異なる点は、HCP EID外部装置320'''とHCP DDD332が単一の装置に組み合わされ、P-EID外部装置320'''と患者遠隔制御外部装置320'''が単一の装置に組み合わされていることである。
【0680】
通信システムの1つの可能性のあるシナリオ/設計は、患者に植え込まれた植え込み可能な医療装置の予めプログラムされた治療設定を、患者に対して離れた遠隔地から変更することを目的とするものである。このシステムは、植え込み型システム1の前記予めプログラムされた治療設定を変更するためのHCPからのコマンドを受信するように適合された少なくとも1つの医療提供者(HCP)外部装置320'を備える。HCP外部装置320'はさらに、HCPがHCP秘密鍵装置333''を提供することによって起動され、認証され、前記コマンドの実行が許可されるように適合されており、この秘密鍵装置は、HCP秘密鍵装置用の読み取りスロットまたは同等のもの、RFID通信または他の近距離無線起動通信のうちの少なくとも1つを介してHCP EID外部装置に提供されるように適合され得る。HCP EID外部デバイスは、HCP秘密鍵デバイス用の読取スロットまたは同等のもの、RFID通信、その他の近距離無線起動通信または電気的な直接接触のうちの少なくとも1つから構成される。前記HCP EID外部装置は、第1のネットワーク・プロトコルを介して、患者EID外部装置と通信するように構成された少なくとも1つの無線トランシーバをさらに備え、前記システムは前記患者EID外部装置を備え、前記患者EID外部装置は、前記HCP外部装置からコマンドを受信し、前記コマンドを修正することなく、受信したコマンドを植込み型医療装置に中継するように適合されている。前記患者EID外部装置は、前記患者外部装置と通信するように構成された1つの無線トランシーバを含み前記患者EIDは、前記植込み型医療装置にコマンドを送信するように適合され、前記植込み型医療装置の前記予めプログラムされた治療設定を変更するための前記HCPからのコマンドを受信するように適合され、さらに、患者が患者秘密鍵からなる患者秘密鍵装置を提供することによって起動され、認証され、前記コマンドの実行を許可されるように適合される。
【0681】
図25b図25hに概説された様々なシナリオは、特定のユニット及び信号伝達方法を用いて説明されているが、これらのシナリオは、互いに組み合わせたり、追加のユニットや通信接続で補完したりすることが大いに可能である。本明細書で説明する実施形態は、有利に組み合わせることができる。
【0682】
内部コンピューティングユニットまたは外部デバイスの、または内部コンピューティングユニットまたは外部デバイス上で実行されるように適合されたコンピュータプログラム製品も提供され、これは、内部コンピューティングユニットおよび/または外部デバイスに、上記の任意の実施形態または実施例で説明したような動作を実行させるように適合された命令を有する、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体から構成される。
【0683】
図26は、図4~8に示した電気刺激装置110および/または信号減衰装置120、あるいは図11に示したシステム全体、またはシステムの一部など、上述した実施形態のいずれかに従った医療装置100が植え込まれたときの患者の腹部の正面図である。しかしながら、これは実施形態の一例に過ぎず、本明細書に開示された医療装置の実施形態のいずれもが、図26を参照して説明した方法で植え込まれ、接続され得ることは明らかである。医療装置100は、図26に示す実施形態では、図24a~fおよび図25に関連して上述した実施形態の遠隔ユニット140に対応し得る遠隔ユニット140によって操作される。しかし、これは医療装置100を操作するための遠隔ユニットの一例に過ぎず、本明細書に開示された遠隔ユニットの実施形態のいずれもが、図26を参照して説明した方法で植え込まれ、接続され得ることは明らかである。
【0684】
遠隔ユニット140は、第1のユニット141´と、第2のユニット141''と、第1及び第2のユニット141',141''を機械的に接続する接続部142とから構成することができる。第1のユニット141´は、図26に示す実施形態では、患者の腹壁AWの筋肉組織MTの内側に配置され、一方、第2のユニット141''は、腹壁AWの筋肉組織MTの外側、皮下組織STに配置される。このように、連結部分142は、筋肉組織MTの筋肉に形成された穴、または筋肉組織MTの筋肉の間の自然のオリフィスを通って移動する。筋肉組織MTの延長線上の平面における、連結部分142の断面積は、連結部分142の断面積に平行な、第1および第2のユニット141',141''の断面積よりも小さい。また、第1および第2のユニット141',141''の断面積は、連結部分142が配置される、形成された穴または自然のオリフィスよりも大きい。そのため、第1および第2のユニット141',141''は、形成された穴または自然のオリフィスを通過することができず、腹壁の筋肉組織MTに固定される。これにより、遠隔ユニット140を腹壁AWの筋肉組織MTに吊り下げ固定することができる。
【0685】
図26に示す実施形態では、連結部分142、は、円形の断面を有し、第1のユニット141'から第2のユニット141''まで延びる軸方向ADを有する連結部分142である。筋肉組織MTの延在方向における平面は、図26の実施形態では、第1のユニット141'から第2のユニット141''まで延在する連結部分142の軸方向ADに対して垂直である。
【0686】
図26を参照してさらに説明されるように、コントローラは第1のユニット141'内に配置されてよく、植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニットは第2のユニット141''内に配置される。制御装置と植え込み可能なエネルギー貯蔵ユニットとは、接続部分142内を走るリード線によって互いに電気的に接続されており、電気エネルギーと通信とが第2のユニット141''から第1のユニット141'に伝達され、その逆も可能である。図26の実施形態では、第2のユニット141''は、植え込み型エネルギー貯蔵ユニットを充電するためおよび/または医療装置100に電力を供給するための無線エネルギーを受信するための無線エネルギー受信機と、体外との間で無線信号を受信および/または送信するためのトランシーバとをさらに備えることができる。コントローラおよび植え込み型エネルギー貯蔵ユニットのさらなる特徴および機能については、図24A~Fおよび図25を参照してさらに上述する。24A~Fおよび25を参照されたい。
【0687】
腹壁AWは一般に、皮膚、脂肪/筋膜、筋肉、腹膜の層からなる。腹壁AWの最も深い層は腹膜PTで、大腸や小腸など多くの腹部臓器を覆っている。腹膜PTは、薄い結合組織に支えられた中皮の層からなる漿膜で、腹部臓器の血管、リンパ管、神経の通り道となっている。腹膜PTに囲まれた腹部の領域は腹腔内腔と呼ばれる。腹腔内の組織や臓器は「腹腔内」と呼ばれる(胃や腸など)。腹腔内腔の後方に位置する腹腔内の組織や臓器は「後腹膜」(腎臓など)と呼ばれ、腹腔内腔以下に位置する組織や臓器は「腹膜下」または「腹膜下」(膀胱など)と呼ばれる。
【0688】
腹膜PTは腹膜外脂肪EFの層につながっており、この層は横筋膜TFにつながっている。腹壁AWの切片が採取される部位で横筋膜TFに接続されているのは、深筋膜DFの層によって分離された筋肉組織MTである。筋層間の深筋膜DFは、横筋膜TFおよび筋組織MTの外側に配置されたスカルパ筋膜SFよりも薄い。横筋膜TFもスカルパ筋膜SFも、比較的固い膜状のシートである。腹壁AWの切片を採取した部位では、筋組織MTは腹横筋TM(腹横筋)、内腹斜筋IM(内腹斜筋)、外腹斜筋EM(外腹斜筋)から構成されている。腹壁AWの他の部位では、筋組織は腹直筋と錐体筋で構成されることもある。
【0689】
筋肉組織MTの外側、患者の皮膚SKの下にある層は皮下組織STと呼ばれ、皮下組織、皮下真皮、皮下筋膜または表在性筋膜とも呼ばれる。皮下組織STの主要部分は、主に緩い結合組織と脂肪からなるカンペ筋膜で構成されている。一般的に、皮下組織STは、皮膚に見られるものよりも太い血管と神経を含んでいる。
【0690】
遠隔ユニット140を腹部の領域に配置することは、遠隔ユニット140が感覚的または視覚的に患者にあまり影響を与えることなく、遠隔ユニット140のための十分なスペースを作るために腸が容易に変位するので有利である。また、遠隔ユニット140を腹部の領域に配置することにより、遠隔ユニット140を所定の位置にしっかりと保持する取り付け部を形成するために、遠隔ユニット140を腹部の筋肉組織MTに固定することが可能になる。図26に示す実施形態では、遠隔ユニット140の第1のユニット141'は、腹膜PTと筋肉組織MTとの間の患者の左側に配置される。第2のユニット141''は、筋肉組織MTと患者の皮膚SKとの間の皮下組織STに配置される。第2のユニット141''を皮下に配置することにより、例えば、第2のユニット141''内に配置された無線トランシーバを用いた無線通信、第2のユニット141''内に配置された無線エネルギーレシーバを用いた植え込み可能な記憶装置の無線充電、第2のユニット141''内に配置された例えばプッシュボタンの手動操作、または第2のユニット141''の皮膚SKの小さな切開を介した第2のユニット141''の保守または交換のために、第2のユニット141''に容易にアクセスすることが可能になる。
【0691】
図26に示す実施形態では、保護カバー136の内側を走る電気リード線135は、前述したように、遠隔ユニット140から、例えば腎動脈に配置された医療装置100の主部分Mに、電力および/または電気刺激信号、電気減衰信号、またはセンサ信号などの電気信号を伝送する。電気リード線135は、リード線135が医療装置100の主要部分Mの高さに達するまで、腹膜PTと筋肉組織MTとの間を垂直に走ることができる。この高さで、リード線135は腹膜PTに入り、医療装置100の主要部分Mまで実質的に水平に移動することができる。このように、リード135は、可能な限り短い距離だけ腹腔内に配置され、これにより、移植された、異物、要素が腹腔内器官を妨害する危険性が低減され、器官への損傷の危険性が低減され、異物要素がイレウスを引き起こす危険性が低減される。
【0692】
図26に示す実施形態では、連結部142は、筋肉組織MTの3つの層、すなわち腹横筋TMの組織、内腹斜筋IMおよび外腹斜筋EMの組織であるが、第1および第2のユニット141',141''を連結している。しかし、代替実施形態では、第1のユニット141'が、腹横筋TM、内腹斜筋IMの組織間、または内腹斜筋IMと外腹斜筋EMの組織間など、筋肉の層間に配置されることが考えられる。このように、代替実施形態では、連結部分142が、筋肉組織MTの2つの層を介して、または筋肉組織MTの1つの層を介して、第1および第2のユニット141',141''を連結することが考えられる。
【0693】
代替の実施形態では、第2の部分141''が、外腹斜筋EMと内腹斜筋IMの組織の間、または内腹斜筋IMと腹横筋TMの間のような、筋肉の層の間に配置されることがさらに考えられる。
【0694】
医療装置が液圧的に遠隔操作可能である実施形態(図13A~13Bのセンサを参照してさらに説明するような)では、図26に示す遠隔ユニット140から主要部分Mへ直線的な機械的力を伝達するための保護カバー136の内側を通る可撓性ワイヤ135を設けることができる。26は、遠隔ユニット140に配置された液圧操作装置の一部から医療装置100の主部分Mに配置された操作装置の一部へ力を液圧的に伝達するための液圧流体を導通させるための導管(図13A~13Bの609a~d)に置き換えられる。
【0695】
図27および図28は、本明細書に開示された液圧操作可能な医療装置のいずれかと組み合わせて使用することができる遠隔ユニット140の実施形態を示す。遠隔ユニット140は、患者の組織部分610によって定位置に保持されるように構成されている。遠隔ユニット140は、組織部分610の第1の側面612に配置されるように構成された第1の部分141'を備え、第1の部分141'は、第1の平面P1において第1の断面積A1を有し、組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面616に面するように構成された第1の表面614を備える。遠隔ユニット140は、組織部分610の第2の側面618に配置されるように構成された第2の部分141''をさらに備え、第2の側面618は、第1の側面612に対向し、第2の部分141''は、第2の平面P2において第2の断面積A2を有し、組織部分610の第2の側面618の第2の組織表面622に係合するように構成された第2の表面620を備える。遠隔ユニット140は、組織部分610の第1および第2の側面612、618の間に延びる組織部分610の穴を通して配置されるように構成された連結部分142をさらに備える。ここでの連結部分142は、第3の平面P3における第3の断面積A3と、第4の平面P4における第4の断面積A4と、組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面616に係合するように構成された第3の表面624とを有する。連結部分142は、第1の部分141'を第2の部分141''に連結するように構成されている。
【0696】
従って、連結部分142は、組織部分610の穴を通して適合するような大きさおよび形状を有する部分を有し、そのような部分は、第3の断面積A3を有する。さらに、連結部分142は、組織部分610の穴を通って適合しないような大きさおよび形状にされた別の部分を有してもよく、そのような部分は、第4の断面積A4を有する。同様に、第2の部分141''は、組織部分610の穴を通って嵌らないような大きさおよび形状にされた部分を有してもよく、そのような部分は、第2の断面積A2を有する。したがって、連結部分142は、第2の部分141''と協働して、装置を組織部分610の穴の所定の位置に保つことができる。
【0697】
図27に示される実施形態では、第1の部分141'は、機械的機構および/または磁気的機構によって、接続部分142に着脱可能に接続、すなわち可逆的に接続されるように構成されている。図示の実施形態では、機械的機構が使用されており、この機構では、第1の部分141'が連結部分142に挿入されると、1つまたは複数のバネ付き球状要素601が連結部分142の溝603の所定の位置にロックされる。対応するねじ山や溝、自己ロック要素、ツイストロック継手など、他のロック機構も想定される。
【0698】
遠隔ユニット140は、移植されるとき、第1の部分141'が第2の部分141''よりも患者の外側に近い位置に配置されるように構成されている。さらに、いくつかの移植手順では、遠隔ユニット140は、第2の部分を越えて、すなわち組織部分610の第2の側面618を越えて空間が利用可能になるように移植されることがあるが、組織部分の第1の側面612には同じだけの空間が存在することがある。さらに、組織および/または皮膚は、組織部分610に向かって第1の部分141''に力を及ぼし、第2の部分141''が組織部分の孔を通って組織部分の第1の側612に向かって移動しないことを提供することができる。したがって、遠隔ユニット140が、第1の部分141''が組織部分612の穴を通って組織部分610の第2の側面618に向かって移動するのを防止するように主に構成されていれば好ましい。
【0699】
第1の部分141'は、接続部分142を介して第2の部分141''にエネルギーおよび/または通信信号を伝達するための1つまたは複数の接続部605をさらに備えることができる。図示の実施形態における接続部605は、第1の部分141'の突出部607の円周の周りに対称的に配置され、接続部分142の内面に配置された対応する接続部609と係合するように配置される。突出部607は、中央部分142の中央延長部C1に延在していてもよい。第2の部分141''はまた、第1の部分141'の接続部605と同様に配置および構成され得る1つまたはいくつかの接続部611を含んでいてもよい。例えば、1つまたはいくつかの接続部611は、第1の部分141'からエネルギーおよび/または通信信号を受信するために、接続部分142の接続部609と係合してもよい。図27には突出部607が別個に図示されているが、突出部607は第1の部分141'と一体に形成されてもよいことを理解されたい。
【0700】
突出部607の円周の周りに非対称に配置された接続部など、接続部の他の配置も想定される。また、第1の部分141'の第1の表面614上に1つまたはいくつかの接続部が配置されてもよく、接続部は、接続部の対向表面613上に配置された対応する接続部と係合するように配置されることが想定される。対向表面613上のそのような接続部は、接続部609と比較して比較的大きな面積をカバーすることができ、したがって、より大きな接触面積と、エネルギーおよび/または通信信号の伝達のより高い速度および/または信号強度とを可能にする。さらに、第1の部分141'、接続部分142、および第2の部分141''間の物理的接続は、本開示の他の部分でさらに説明されるように、無線配置に置き換えられるか、または無線配置を伴ってよいことが想定される。
【0701】
第1の部分141'の第1の表面614、第2の部分141'の第2の表面620、連結部分142の第3の表面624、および連結部分142の対向する表面613のいずれかは、遠隔ユニット140が組織部分によって定位置に保持されることを容易にするため、および/または装置の異なる部分が相互の定位置に保持されることを容易にするために、リブ、バーブ、フック、摩擦を高める表面処理、および摩擦を高める材料のうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0702】
連結部分142の対向面613および第1の部分141'の第1の面614は、第1の部分141'を連結部分142に着脱可能に連結するための連結機構を、全部または部分的に提供することができる。このような接続機構は、本開示において先に説明されており、対向面613および第1面614の一方または両方に配置することができ、ここではこれ以上説明しない。
【0703】
対向面613は、第1の部分141'の少なくとも一部を収容するように構成された凹部を備えてもよい。特に、かかる凹部は、第1の表面614を含む第1の部分141'の少なくとも一部を受容するように構成されてもよい。同様に、第1の表面614は、連結部分142の少なくとも一部を収容するように構成された凹部を備えてもよい。特に、このような凹部は、連結部分142の少なくとも一部を受容するように構成されてもよく、いくつかの実施形態では、このような凹部は、少なくとも1つの突出要素またはフランジを少なくとも部分的に囲むために、少なくとも1つの突出要素を受容するように構成されてもよい。
【0704】
図示の実施形態では、第1の部分141'は、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aと、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aに接続された1つまたは複数の処理ユニットからなるコントローラ300aとを備える。第1のエネルギー貯蔵ユニット304aは、エネルギーの無線転送によって再充電可能であってもよい。いくつかの実施形態では、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aは、非充電可能であってもよい。そのような第1のエネルギー貯蔵の寿命が尽きると、新しい第1のエネルギー貯蔵ユニットを含む交換用の第1の部分が、消耗した第1のエネルギー貯蔵ユニットを有する第1の部分の代わりに単に交換されてもよい。第2の部分141''は、1つまたは複数の処理ユニットからなるコントローラ300bをさらに備えることができる。
【0705】
本開示の他の部分で説明されるように、第1の部分141'および第2の部分141''は、受信機、送信機、トランシーバ、制御ユニット、処理ユニット、センサ、エネルギー蓄積ユニット、センサなどの1つまたは複数の機能部分から構成され得る。
【0706】
リモート・ユナイト140は非膨張性であってもよい。
【0707】
図28に見られるように、第1、第2、第3および第4の平面P1、P2、P3およびP4は、互いに平行である。さらに、図示された実施形態では、第3の断面積A3は、第1の断面積A1、第2の断面積A2および第4の断面積A4よりも小さく、第1の部分141'、第2の部分141''および連結部分142が、第1の平面P1、第2の平面P2および第3の平面P3に垂直な方向に組織部分610の穴を通って移動することが妨げられるようになっている。これにより、第2の部分141''および連結部分142は、第1の部分141'が連結部分142から切り離されたときにも、患者の組織部分610によって所定の位置に保持され得る。
【0708】
図示された平面P1、P2、P3およびP4は、そのような平面が遠隔ユニット140とどのように交差し得るかの単なる例であることを理解されたい。上記の条件が満たされる限り、すなわち、部分が断面積を有し、第3の平面P3における第3の断面積が第1、第2および第4の断面積よりも小さく、平面P1、P2、P3およびP4が互いに平行である限り、平面の他の配置も可能である。
【0709】
図28に図示された連結部分142は、フランジ626からなる連結部分142として定義することができる。従って、フランジ626は、第1、第2および第3の平面P1、P2およびP3に垂直な方向に組織部分610の孔を通って移動することが阻止されるように、第4の断面積A4を構成する。フランジ626は、第1、第2、第3および第4の平面P1、P2、P3およびP4に平行な方向に突出してもよい。この方向は、連結部分142の中心延長部C1に対して垂直である。
【0710】
しかしながら、連結部142はフランジに限定されるものではない。他の突出要素を追加的または代替的に連結部分142に組み込んでもよい。このように、連結部分142は、第4の断面積A4を構成する少なくとも1つの突出要素を含んでいてもよく、このような少なくとも1つの突出要素は、第1の部分141'が連結部分142から切り離されたときにも、第2の部分141''および連結部分142が患者の組織部分610によって定位置に保持され得るように、組織部分610の穴を通って移動することが阻止される。少なくとも1つの突出要素は、第1、第2、第3および第4の平面P1、P2、P3およびP4に平行な方向に突出することができる。この方向は、連結部分142の中心延長部C1に対して垂直である。このように、少なくとも1つの突出要素はまた、組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面616に係合するように構成された第3の表面を構成する。
【0711】
連結部分142は、中空部分628を含んでいてもよい。中空部分628は、第1および第2の部分141'、141''間の通路を提供することができる。特に、中空部分628は、第1の部分141'から第2の部分141''へ流体を移送するための導管を収容してもよい。中空部分628はまた、第1の部分141'と第2の部分141''との間でエネルギーおよび/または通信信号を伝達するための1つまたはいくつかの接続部または電気リード線を構成または収容することができる。
【0712】
次に、遠隔ユニット140のいくつかの相対寸法を、図28および図29a図29cを参照して説明する。しかし、これらの寸法は、遠隔ユニット140の他の実施形態にも適用され得ることを理解されたい。少なくとも1つの突出要素626は、第4の平面に垂直な方向における高さHFが、当該方向における第1の部分141'の高さH1よりも小さくてもよい。高さHFは、代替的に、前記方向における第1の部分141'の前記高さH1の半分未満、前記方向における第1の部分141'の前記高さH1の4分の1未満、または前記方向における第1の部分141'の前記高さH1の10分の1未満であってもよい。
【0713】
第1の平面に垂直な方向における第1の部分141'の高さH1は、前記方向における第2の部分141''の高さH2よりも小さくてもよく、例えば、前記方向における第2の部分141''の前記高さH2の半分未満、前記方向における第2の部分141''の前記高さH2の4分の1未満、または前記方向における第2の部分141''の前記高さH2の10分の1未満である。
【0714】
少なくとも1つの突出要素626は、第4の平面における直径DFが、第1の平面における第1の部分141'の直径D1よりも小さい、第1の平面における第1の部分141'の直径D1と等しい、および第1の平面における第1の部分141'の直径D1よりも大きい、のうちの1つであることを有してもよい。同様に、第4の平面における少なくとも1つの突出要素626の断面積は、第1の平面における第1の部分の断面積よりも小さくてもよく、等しくてもよく、大きくてもよい。
【0715】
少なくとも1つの突出要素626は、第4の平面に垂直な方向における高さHFが、当該方向における連結部分142の高さHCよりも小さくてもよい。ここで、連結部分142の高さHCは、連結部分142の一部を形成する少なくとも1つの突出要素を除いた高さとして定義される。高さHFは、代替的に、前記方向における連結部分142の前記高さHCの半分未満、前記方向における連結部分142の前記高さHCの4分の1未満、または前記方向における連結部分142の前記高さHCの10分の1未満であってもよい。
【0716】
図29A~Cに示すように、少なくとも1つの突出要素626は、円板形状などの環状形状を有することができる。しかしながら、楕円形、細長いおよび/または他の多面体または不規則な形状も可能である。図示された実施形態では、少なくとも1つの突出要素626は、連結部分142の中心軸の周りを一回転して延びている。しかしながら、少なくとも1つの突出要素626が部分円セクタを構成する他の配置も可能である。複数の突出要素の場合、そのような複数の突出要素が複数の部分円セクタを構成してもよい。
【0717】
図30A~B、図31A~Bおよび図32A~Bに示すように、連結部分142は、少なくとも2つの突出要素626、627から構成されてもよい。例えば、連結部分142は、少なくとも3つ、4つ、5つ、固定、7つ、8つ、9つ、10つの突出要素から構成されてもよい。そのような実施形態において、少なくとも2つの突出要素626、627は、一緒になって第4の断面積を構成してもよく、したがって、第1の部分および第2の部分が組織部分の穴を通って移動するのを防止するために必要な断面積を提供する。
【0718】
少なくとも2つの突出要素626、627は、図31A~Bに示すように、連結部分の中心軸に関して対称に配置されてもよく、図32A~Bに示すように、連結部分の中心軸に関して非対称に配置されてもよい。特に、少なくとも2つの突出要素626、627は、図32A~Bに示すように、連結部分142の一方の側に向かって位置するように非対称に配置されてもよい。突出要素の配置により、遠隔ユニット140、特に接続部分142を、1つ以上の方向においてスペースが制限されている患者の領域に配置することができる。
【0719】
第1の部分141'は、遠隔ユニット140にエネルギーを供給するための第1のエネルギー貯蔵ユニットを構成することができる。
【0720】
植え込み可能な遠隔ユニット140の1つのタイプまたは実施形態は、ほとんどの患者に適合し得るが、植え込み可能な遠隔ユニット140または植え込み可能な遠隔ユニット140に組み立てられる部分の選択を提供することが必要な場合がある。例えば、患者によっては、個々の解剖学的構造に応じて異なる長さ、形状、サイズ、幅または高さを必要とする場合がある。さらに、植え込み可能な遠隔ユニット140のいくつかの部品または部分は、植え込み可能な通電式医療装置のいくつかの異なるタイプまたは実施形態の間で共通である可能性がある一方で、他の部品または部分は、交換可能または交換可能である可能性がある。このような部品または部分には、エネルギー貯蔵装置、通信装置、流体接続、機械的接続、電気的接続などが含まれる。
【0721】
柔軟性を提供し、使い勝手を向上させるために、部品のキットが提供されてもよい。キットは、好ましくは、1つまたは複数の第1の部分のグループ、1つまたは複数の第2の部分のグループ、および1つまたは複数の連結部分のグループからなり、第1の部分、第2の部分、および連結部分は、本開示全体を通して記載されるように具体化される。グループの少なくとも1つは、前記それぞれの部分の少なくとも2つの異なるタイプからなる。用語「タイプ」によって、本明細書では、前記それぞれの部分の品種、クラス、または実施形態が意味される。
【0722】
キットのいくつかの実施形態では、1つまたは複数の第1の部分のグループ、1つまたは複数の第2の部分のグループ、および1つまたは複数の連結部分のグループは、完全な植え込み可能な通電式医療装置に組み立てることができる別個の部分を構成する。したがって、植え込み可能な通電式医療装置は、第1の部分、第2の部分、および/または連結部分が、それぞれの部分の別のタイプと交換可能であるという点で、モジュール式であると言うことができる。
【0723】
いくつかの実施形態では、連結部分は第一部分または第二部分の一部を形成する。
【0724】
図33を参照すると、植え込み可能な通電式医療装置を組み立てるためのキットは、1つまたは複数の第1の部分141'のグループ650、図示の例では1つの第1の部分141'のグループ、1つまたは複数の連結部分142のグループ652、図示の例では3つの連結部分142のグループ、および1つまたは複数の第2の部分141''のグループ654、図示の例では2つの第2の部分141''のグループからなる。簡単のため、第1の部分、第2の部分および連結部分のすべての種類および組み合わせは、詳細に図示または説明しない。
【0725】
したがって、1つまたは複数の連結部分142のグループ652は、3つの異なるタイプの連結部分142から構成される。ここで、異なる種類の連結部分142は、異なる高さを有する連結部分142a、142b、142cからなる。さらに、1つ以上の第2部分141''のグループ654は、2つの異なる種類の第2部分141''からなる。
【0726】
ここで、異なるタイプの第2の部分141''は、本開示の他の部分に記載されているように、第1の端部および第2の端部を有する、接続部分に偏心して接続するように構成されている第2の部分141''aからなり、第2の部分141''aの第2の端部は、装置が組み立てられたときに、患者における植え込み可能な通電式医療装置の位置から尾部方向に位置するインプラントに接続するための少なくとも1つの接続部を構成するか、またはそのように構成されている。図示の図では、少なくとも1つの接続部は、リード線またはワイヤとして視覚化されている。しかしながら、第2の端部が、電力、流体、および/または信号の伝送のためのポート、コネクタ、または他のタイプの接続要素から構成されることを含む、他の実施形態も可能である。
【0727】
さらに、異なるタイプの第2の部分141''は、本開示の他の部分に記載されているように、第1の端部および第2の端部を有する、接続部分に偏心して接続するように構成されている第2の部分141''bを含んでおり、第2の部分141''bの第1の端部は、患者の胃壁を伸張させるための植え込み可能な医療装置に接続するための少なくとも1つの接続部を含んでいるか、または構成されており、装置が組み立てられたときに、患者内の植え込み可能な通電可能な医療装置の位置から頭蓋方向に位置している。図示の図では、少なくとも1つの接続部は、リード線またはワイヤとして視覚化されている。しかしながら、第1の端部が、電力、流体、および/または信号の伝送のためのポート、コネクタ、または他のタイプの接続要素から構成されることを含む、他の実施形態も可能である。
【0728】
したがって、植え込み可能な通電医療装置はモジュール式であってもよく、グループ652、654、656のそれぞれから第1の部分141'、連結部分142、および第2の部分141''を選択して組み合わせることにより、異なるタイプの装置を実現することができる。
【0729】
図示された実施例では、第1の部分141'、連結部分142a、および第2の部分141''aの選択によって第1の遠隔ユニット140aが実現される。このような遠隔ユニット140aは、連結部分142aが、第1の部分141'と第2の部分141''aとを連結するために、厚い組織の層を通って延びることができるという点で特に有利であり得る。別の遠隔ユニット140bは、第1の部分141'、連結部分142c、および第2の部分141''bの選択によって実現される。このような装置は、接続部分142cが接続部分142aよりも小さいフットプリントを有する、すなわち患者においてより小さいスペースを占有するという点で特に有利であり得る。遠隔ユニット140aおよび140bのモジュール特性により、開業医または外科医は、患者の解剖学的構造を評価した上で、必要に応じて適切な接続部分を選択することができる。さらに、遠隔ユニット140aおよび140bは、共通タイプの第1の部分141'を共有するので、第2の部分141''a、141''bの場合のように、第2の部分の第1の端部または第2の端部にそれぞれ配置された異なる接続部を有する装置を実現するためだけに、開業医または外科医が異なる第1の部分の在庫(または、完全な組み立てられた装置の在庫)を維持する必要はない。
【0730】
図33に示された実施例は、単にモジュール式植え込み可能遠隔ユニット140のアイデアを表示するために例示したに過ぎない。つまたは複数の第1の部分141'のグループ650は、第1のエネルギー貯蔵ユニットを有するかまたは有さない第1の部分、外部の無線エネルギー送信機によって無線送信されるエネルギーを受信するための第1の無線エネルギー受信ユニットを有するかまたは有さない第1の部分、内部の無線エネルギー送信機を有するかまたは有さない第1の部分、および/または本開示全体を通して説明されるような他の特徴など、さまざまな異なる特徴を含んでいてもよい。他の特徴には、第1の部分の異なる高さ、幅、または長さが含まれる。このような特徴を1つ以上有する第1の部分は、特定の形状または寸法と組み合わされて、様々な第1の部分を実現することができることを理解されたい。連結部分および第2部分についても同様である。
【0731】
図34を参照して、植え込み型遠隔ユニット140の一実施形態を説明する。遠隔ユニット140は、患者の組織部分610によって定位置に保持されるように構成されている。遠隔ユニット140は、組織部分610の第1の側に配置されるように構成された第1の部分141'を備え、第1の部分141'は、第1の平面における第1の断面積を有し、組織部分610の第1の側の第1の組織表面に面するおよび/または係合するように構成された第1の表面を備える。装置140は、組織部分610の第2の側に配置されるように構成された第2の部分141''をさらに備え、第2の側は、第1の側に対向し、第2の部分141''は、第2の平面における第2の断面積を有し、組織部分610の第2の側の第2の組織表面に係合するように構成された第2の表面を備える。遠隔ユニット140は、組織部分610の第1の側面と第2の側面との間に延びる組織部分610の穴を通して配置されるように構成された連結部分142をさらに備える。ここでの連結部分142は、第3の平面における第3の断面積を有する。連結部分142は、第1の部分141'を第2の部分141''に連結するように構成されている。ここで、第1の部分141'は、外部の無線エネルギ送信器によって無線送信されたエネルギを受信するための第1の無線エネルギ受信器308aと、第2の部分にエネルギを無線送信するように構成された内部の無線エネルギ送信器308aとを備える。さらに、ここでの第2の部分は、内部ワイヤレスエネルギー送信機308aによってワイヤレス送信されたエネルギーを受信するように構成された第2のワイヤレスエネルギー受信機308bからなる。
【0732】
受信機および送信機は、本開示において別々に議論され、図示されることがあるが、受信機および/または送信機は、トランシーバ内に構成されてもよいことを理解されたい。さらに、第1の部分141'および第2の部分141''それぞれの受信器および/または送信器は、データを含むエネルギー信号および/または通信信号を受信または送信するように構成された単一の受信ユニットまたは送信ユニットの一部を形成してもよい。さらに、内部ワイヤレスエネルギー送信機および/または第1のワイヤレス通信受信機/送信機は、本開示の他の部分において第1の部分141'の近位端と呼ばれる、接続部分142および第2の部分141''に近い、第1の部分141'の下側部分に配置された別個のユニット308cであってもよい。このような配置は、ユニット308cによって送信されるエネルギーおよび/または通信信号が、第2の部分141''に送信されるときに第1の部分141'の内部構成要素によって減衰されないことを提供し得る。そのような内部構成要素は、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aを含み得る。
【0733】
ここで、第1の部分141'は、第1の無線エネルギー受信機308aに接続された第1のエネルギー貯蔵ユニット304aからなる。第2の部分は、第2の無線エネルギー受信機308bに接続された第2のエネルギー蓄積ユニット304bからなる。このようなエネルギー貯蔵ユニットは、塩化チオニル電池のような固体電池であってもよい。
【0734】
いくつかの実施形態において、第1のワイヤレスエネルギー受信機308aは、外部ワイヤレスエネルギー送信機によってワイヤレス送信されたエネルギーを受信し、受信したエネルギーを第1のエネルギー蓄積ユニット304aに蓄積するように構成される。さらに、内部ワイヤレスエネルギー送信器308aは、第1のエネルギー蓄積ユニット304aに蓄積されたエネルギーを第2のワイヤレスエネルギー受信器308bにワイヤレス送信するように構成され、第2のワイヤレスエネルギー受信器308bは、内部ワイヤレスエネルギー送信器308aによってワイヤレス送信されたエネルギーを受信し、受信したエネルギーを第2のエネルギー蓄積ユニット305bに蓄積するように構成される。
【0735】
第1のエネルギー貯蔵ユニット304aは、第2のエネルギー貯蔵ユニット304bよりも少ないエネルギーを貯蔵するように構成されてもよく、および/または第2のエネルギー貯蔵ユニット304bよりも速く充電されるように構成されてもよい。これにより、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aの充電は比較的速く行われ、一方、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aから第2のエネルギー貯蔵ユニット304bへのエネルギーの移動は比較的遅く行われることがある。したがって、ユーザは、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aを迅速に充電することができ、そのような充電の間、例えば特定の場所で外部の無線エネルギー送信機に接続されることによって長時間制限されることはない。第1のエネルギー貯蔵ユニット304aを充電した後、第1の無線エネルギー送信機308a,cと第2の無線エネルギー受信機308bを介して、エネルギーが第1のエネルギー貯蔵ユニット304aから第2のエネルギー貯蔵ユニット304bにゆっくりと移動する間、使用者は自由に移動することができる。
【0736】
第1の部分は、少なくとも1つの処理ユニット306aを含む第1のコントローラを構成することができる。第2の部分は、少なくとも1つの処理ユニット306bを含む第2のコントローラから構成されてもよい。第1および第2の処理ユニット306a、306bの少なくとも一方は、外部装置と無線通信するための無線トランシーバ308a、b、cに接続されていてもよい。
【0737】
第1のコントローラは、外部装置からおよび/または第2の部分141''内の無線通信送信機308bから無線通信を受信するために、第1の部分141'内の第1の無線通信受信機308a,cに接続されてもよい。さらに、第1のコントローラは、第2の部分141''内の第2のワイヤレス通信受信機308bにワイヤレス通信を送信するために、第1の部分141'内の第1のワイヤレス通信送信機308a,cに接続されてもよい。第2のコントローラは、第1の部分141'からの無線通信を受信するために、第2の無線通信受信機308bに接続されてもよい。第2のコントローラはさらに、第1の部分141'に無線通信を送信するための第2の無線通信送信機308bに接続されてもよい。
【0738】
いくつかの実施形態では、図45に示すように、第1のワイヤレスエネルギー受信機308aは第1のコイルからなり、ワイヤレスエネルギー送信機308a,cは第2のコイルからなる。
【0739】
本装置は、第1および第2のコントローラの少なくとも一方に入力を提供するための少なくとも1つのセンサ(図示せず)をさらに含んでもよい。このようなセンサデータは、第1のワイヤレス通信送信機308aおよび/または第2のワイヤレス通信送信機308bを介して外部装置に送信されてもよい。センサは、デバイス140の物理的パラメータを感知するように構成されたセンサであってもよいし、センサから構成されてもよい。センサはまた、遠隔ユニット140の温度、高血圧を治療するための植え込み可能なデバイスの温度、デバイスの電力消費に関するパラメータ、患者の組織を刺激するかまたはそのような刺激信号を減衰させるための植え込み可能なデバイスの電力消費に関するパラメータ、第1および第2のエネルギー貯蔵ユニット304a、304bの少なくとも一方の状態に関するパラメータ、患者の身体の外部のソースからのエネルギーの無線転送に関するパラメータ、および液圧の少なくとも1つを感知するように構成されたセンサであるか、またはそのようなセンサで構成されてもよい。センサはまた、患者の生理学的パラメータ、例えば、患者の嚥下に関するパラメータ、局所温度、全身温度、血液飽和度、血液酸素化、血圧、虚血マーカーに関するパラメータ、pH、腎動脈内の圧力、または血管内の血管抵抗のうちの少なくとも1つを感知するように構成されたセンサであるか、またはそのようなセンサで構成されてもよい。患者の嚥下に関連するパラメータを感知するように構成されたセンサーは、運動性センサー、音波センサー、光学センサー、および歪みセンサーのうちの少なくとも1つで構成される場合がある。pHを感知するように構成されたセンサーは、胃内の酸性度を感知するように構成されてもよい。
【0740】
センサは、デバイスの動作中、またはデバイスを使用する外部インプラントの動作中、またはデバイス140内のエネルギー貯蔵ユニットの充電中に、デバイスに接続された組織が過度に加熱されるのを回避するために、デバイス140の温度を感知するように構成され得る。また、過度の加熱は、装置および/またはエネルギー貯蔵ユニットを損傷する可能性がある。過度の加熱はまた、装置に異常があることを示す指標となる可能性があり、患者または医師に警告を発するためのアラーム機能のトリガに使用される可能性がある。センサはまた、装置140のエネルギー貯蔵ユニットを消耗および/または損傷させる可能性のある過剰な電力消費を回避するために、装置140の電力消費または装置140によって電力供給される外部インプラントの電力消費に関連するパラメータを感知するように構成されてもよい。過剰な電力消費はまた、装置140に異常があることを示す指標となる可能性があり、患者または医師に警告を発するためのアラーム機能を起動するために使用される可能性がある。
【0741】
図35および図38A~Bを参照して、植え込み可能な遠隔ユニット140の一実施形態を説明する。遠隔ユニット140は、患者の組織部分610によって定位置に保持されるように構成されている。遠隔ユニット140は、組織部分610の第1の側面612に配置されるように構成された第1の部分141'を備え、第1の部分141'は、第1の平面P1において第1の断面積A1を有し、組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面616に面するおよび/または係合するように構成された第1の表面614を備える。遠隔ユニット140は、組織部分610の第2の側面618に配置されるように構成された第2の部分141''をさらに備え、第2の側面618は、第1の側面612に対向し、第2の部分141''は、第2の平面P2における第2の断面積A2を有し、組織部分610の第2の側面618の第2の組織表面622に係合するように構成された第2の表面620を備える。遠隔ユニット140は、組織部分610の第1および第2の側面612、618の間に延びる組織部分610の穴を通して配置されるように構成された連結部分142をさらに備える。ここでの連結部分142は、第3の平面P3における第3の断面積A3を有する。連結部分142は、第1の部分141'を第2の部分141''に連結するように構成されている。図示の実施形態では、連結部分142と第2の部分141''との間の連結界面630は、第2の部分141''に対して偏心している。
【0742】
第1の部分141'は、図35の図示の実施形態では細長い形状を有する。同様に、第2の部分141''は細長い形状を有する。しかしながら、第1の部分141'及び/又は第2の部分141''は、例えば、高さよりも大きい幅及び長さを有する平坦な円盤、球体、楕円体、又は任意の他の多面体形状若しくは不規則形状などの他の形状を有してもよく、これらのいくつかは図35図37に例示されている。
【0743】
図に示されるように38a~bに示されるように、連結部分142と第2の部分141''との間の連結界面630は、第1の方向631において第2の部分141''に対して偏心していてもよいが、第1の方向に垂直な第2の方向633においては偏心していなくてもよい。第1の方向631は、ここでは、線A-A、第2の平面P2、および第2の部分141''の長さに平行である。第2の方向633は、ここでは、線B-Bに平行であり、第2の平面P2に平行であり、第2の部分141''の幅に平行である。接続部分142と第2の部分141''との間の接続界面が、第2の部分141''に対して、第1の方向631だけでなく、第1の方向631に垂直な第2の方向633においても偏心していることも可能である。
【0744】
同様に、接続部分142と第1の部分141'との間の接続界面は、第1の部分141'に対して第1の方向631、および/または第2の方向633に偏心していてもよい。
【0745】
第1の部分141'、連結部分142および第2の部分141''は、構造的に1つの一体的なユニットを形成することができる。しかしながら、第1の部分141'および連結部分142が構造的に1つの一体的なユニットを形成し、一方、第2の部分141''が別個のユニットを形成すること、または、第2の部分141''および連結部分142が構造的に1つの一体的なユニットを形成し、一方、第1の部分141'が別個のユニットを形成することも可能である。
【0746】
さらに、または代替的に、第2の部分141''は、取り外し可能および/または交換可能な部分639を含んでよい。いくつかの実施形態において、取り外し可能部分639は、本開示の他の部分でさらに説明される遠位領域の一部を形成してもよい。取り外し可能な部分はまた、近位領域の一部を形成してもよい。したがって、第2の部分141''は、少なくとも2つの取り外し可能な部分を含んでよく、各々は、第2の部分141''のそれぞれの端部に配置される。取り外し可能部分639は、本開示の他の部分に記載されているように、ギア、モータ、接続部、リザーバなどの遠隔ユニット140の1つまたはいくつかの機能部品を収容、保持、または構成することができる。このような取り外し可能部分639を有する実施形態は、特定の患者の状況に応じて必要に応じて変更することができる。
【0747】
第1部分141'、連結部分142、および第2部分141''が構造的に1つの一体型ユニットを形成する場合、連結部分142と第2部分141''との間の偏心連結界面は、第2部分141''に対して、遠隔ユニット140が組織部分の穴に挿入されることができるようにする。遠隔ユニット140は、例えば、第2の部分141''の大部分または全部が孔を通過できるように、第2の部分141''の残りの部分が孔を通過できるように角度を付けられ、回転され、および/または枢動される前に、第2の部分141''の大部分または全部が孔を通過できるように、靴に足を挿入する方法と同様に、孔に斜めに挿入され、遠隔ユニット140が意図された位置になるようにすることができる。
【0748】
図35図37に示されるように図35図37に示されるように、第1の部分141'は、長円形、平らな円盤形、球形、または他の任意の多面体または不規則な形状など、様々な形状をとることができる。同様に、第2の部分141''は、長円形、平らな円盤形、球形、または他の任意の多面体または不規則な形状などの様々な形状を想定することができる。第1および第2の部分141'、141''の提案された形状は、図示された実施形態に例示されていない実施形態を形成するために混合され、組み合わされてもよい。例えば、第1および第2の部分141'、141''の一方または両方は、平坦な長円形状を有してもよい。この文脈において、「平坦」という用語は、第1または第2の部分141'、141''の高さ、すなわち、連結部分142の中心延長部C1に平行な方向における高さに関連する。長円形」という用語は、第1または第2の部分141'、141''の長さに関連する。このような長さの定義は、本開示の他の部分でさらに議論される。
【0749】
図38A~Bを参照すると、第2の部分141''は、第1の端部632と、第1の端部632に対向する第2の端部634とを有する。第2の部分141''の長さは、第1の端部632と第2の端部634との間の長さとして定義される。第2の部分141''の長さは、さらに、連結部分142の中心延長部C1とは異なる方向に延びている。第1の端部632と第2の端部634とは、第2の平面P2に平行な方向に離間している。同様に、第1の部分141'は、第1の端部と第2の端部との間の長さを有し、その長さは、接続部分142の中心延長部C1とは異なる方向に延びている。
【0750】
第2の部分141''はその長さに沿って湾曲していてもよい。例えば、第2の部分141''の一端または両端は、第2の平面P2とは実質的に異なる方向、すなわち、移植されたときに組織部分から離れる方向または組織部分に向かって湾曲する方向を向いていてもよい。いくつかの実施形態では、第2の部分141''は、第2の平面P2内で、排他的に、または他の平面での湾曲と組み合わせて湾曲する。第2の部分141''はまた、複数の方向、すなわち、その長さに沿っておよびその幅に沿って湾曲することができ、幅は長さに垂直な方向に延びる。
【0751】
第2の部分141''の第1および第2の端部632、634は、それぞれ楕円形の点を構成してもよい。例えば、第1および第2の端部632、634は、それぞれ半球状のエンドキャップを構成してもよい。第1の部分141'の第1および第2の端部もそのような特徴を有してよいことを理解されたい。
【0752】
第2の部分141''は、図35に示されるように、第1の端部632と第2の端部634との間の長さに沿って少なくとも1つの円形断面を有することができる。しかしながら、第2の部分141''が、第1の端部632と第2の端部634との間の長さに沿って、少なくとも1つの楕円形断面または少なくとも1つの楕円形断面を有することも可能である。このような断面形状は、第2の部分141''の幅方向における端部間にも存在し得る。同様に、このような断面形状は、第1の部分141'の長さ方向及び/又は幅方向における端部間にも存在し得る。
【0753】
以下の段落では、第2部分141''のいくつかの特徴及び特性について説明する。しかしながら、これらの特徴及び特性は、第1の部分141'にも適用され得ることを理解されたい。
【0754】
第2の部分141''は、近位領域636、中間領域638、および遠位領域640を有する。近位領域636は、第1の端部632から連結部分142と第2の部分141''との間の界面まで延び、中間領域638は、連結部分142と第2の部分141''との間の連結界面630によって画定され、遠位領域640は、連結部分142と第2の部分141''との間の連結界面630から第2の端部634まで延びる。近位領域636は、第2部分の長さに関して、すなわち長さ方向631に関して、遠位領域640よりも短い。したがって、第2の部分141''には、かかと(近位領域)とつま先(遠位領域)とが存在する。
【0755】
組織部分610の第2の側面618の第2の組織表面622と係合するように構成された第2の表面620は、近位領域636および遠位領域640の一部である。第2の部分141''の長さをxと定義し、第2の部分141''の幅を、互いに垂直であり第2の平面P2に実質的に平行であるそれぞれの長さ方向および幅方向631、633に沿ってyと定義すると、接続部分142と第2の部分141''との間の接続界面は、x>0からx<x/2まで、および/またはy>0からy<y/2まで延びる領域内に含まれ、xおよびyと0とは、前記長さ方向および幅方向に沿った第2の部分141''のそれぞれの端点である。換言すれば、連結部分142と第2の部分141''との間の連結界面は、第2の部分141''に対して少なくとも一方向に偏心しており、第2の部分141''にヒールとトウとが形成されるようになっている。
【0756】
組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面616に面しかつ/または係合するように構成された第1の表面614は、実質的に平坦であってよい。換言すれば、第1の部分141'は、組織部分610の方を向いた実質的に平坦な面を含んでよい。さらに、組織部分610から離れる方を向いた第1の部分141'の対向面は、実質的に平坦であってもよい。同様に、組織部分610の第2の側面618の第2の組織表面622に係合するように構成された第2の表面620は、実質的に平坦であってよい。換言すれば、第2の部分141''は、組織部分610の方を向いた実質的に平坦な面を含んでよい。さらに、組織部分610から離れる方を向いた第2の部分141''の対向面は、実質的に平坦であってもよい。
【0757】
第2の部分141''は、第1の端部632から第2の端部634に向かってテーパ状であってもよく、したがって、第2の部分141''に、第2の部分141''の長さに沿って異なる高さおよび/または幅を与える。第2の部分はまた、第1の端部632および第2の端部634のそれぞれから、第2の部分141''の中間領域638に向かってテーパ状であってもよい。
【0758】
次に、第1の部分141'、第2の部分141''および連結部分142のいくつかの寸法を開示する。以下の数値間隔の開示のいずれは、当該間隔の端点を含んでも含まなくてもよい。
【0759】
第1部分141'は、最大寸法が10~60mmの範囲、例えば10~30mmの範囲、例えば10~40mmの範囲、例えば10~25mmの範囲、例えば15~40mmの範囲、例えば15~35mmの範囲、例えば15~30mmの範囲、例えば15~25mmの範囲にあることを有することができる。最大寸法」という用語は、あらゆる方向における最大の寸法を意味する。
【0760】
第1の部分141'は、10~60mmの範囲内、例えば10~30mmの範囲内、例えば10~40mmの範囲内、例えば10~25mmの範囲内、例えば15~40mmの範囲内、例えば15~35mmの範囲内、例えば15~30mmの範囲内、例えば15~25mmの範囲内である直径を有することができる。
【0761】
連結部142は、第3の平面P3における最大寸法が、2~20mmの範囲、例えば2~15mmの範囲、例えば2~10mmの範囲、例えば5~10mmの範囲、例えば8~20mmの範囲、例えば8~15mmの範囲、例えば8~10mmの範囲であってもよい。
【0762】
第2の部分141''は、最大寸法が30~90mmの範囲内、例えば30~70mmの範囲内、例えば30~60mmの範囲内、例えば30~40mmの範囲内、例えば35~90mmの範囲内、例えば35~70mmの範囲内、例えば35~60mmの範囲内、例えば35~40mmの範囲内であることを有することができる。
【0763】
第1の部分は第1の高さH1を有し、第2の部分は第2の高さH2を有し、両方の高さは第1および第2の平面P1,P2に垂直な方向である。第1の高さは第2の高さよりも小さくてもよい。しかしながら、図38A~38Bに示される実施形態では、第1の高さH1は、第2の高さH2と実質的に等しい。他の高さ比も可能であり、例えば、第1の高さH1は、第2の高さH2の2/3未満、例えば、第2の高さH2の1/2未満、例えば、第2の高さH2の1/3未満、例えば、第2の高さH2の1/4未満、例えば、第2の高さH2の1/5未満、例えば、第2の高さH2の1/10未満であってもよい。
【0764】
図38A~Bに示されるように、近位領域636は、遠位領域640の長さ646よりも短い長さ642を有する。中間領域638は、長さ644、および幅648を有する。いくつかの実施形態において、中間領域638の長さ644は、幅648よりも長い。換言すれば、接続部分142と第2の部分141''との間の接続界面は、より長い寸法(例示的な場合には、長さ)とより短い寸法(例示的な場合には、幅)とを有する細長いものであってもよい。中間領域638の長さ644が中間領域638の幅648よりも短いことも可能である。
【0765】
遠位領域640の長さ646は、好ましくは、中間領域638の長さ644よりも長いが、しかし、等しく長い遠位領域640および中間領域638、または中間領域638よりも短い遠位領域640も可能である。近位領域636の長さ642は、中間領域638の長さ644よりも短くてもよく、中間領域638の長さ644と等しくてもよく、中間領域638の長さ644よりも長くてもよい。
【0766】
中間領域638の長さ644は、好ましくは、第2の部分141''の長さの半分未満、すなわち、近位領域636、中間領域638、および遠位領域630の組み合わせられた長さの半分未満である。いくつかの実施形態において、中間領域638の長さ644は、第2の部分141''の長さの3分の1未満、例えば、第2の部分141''の長さの4分の1未満、5分の1未満、または10分の1未満である。
【0767】
接続部分は、第3の平面P3に平行な平面において、楕円形の断面、細長い断面、および円形の断面のうちの1つを有することができる。特に、連結部分は、中央延長部C1において、その長さに沿って複数の異なる断面形状を有してもよい。
【0768】
幾つかの実施形態では、遠位領域640は、遠隔ユニット140が植え込まれたとき、立った患者の下方、すなわち尾骨方向に向けられるように構成されている。図39A~Dに示されているように、第1の部分141'に対する第2の部分141''の異なる向きが可能である。いくつかの実施形態では、第1の部分141'と接続部分142との間の接続、または第2の部分141''と接続部分142との間の接続は、複数の異なる接続方向を可能にすることができる。例えば、第1の部分141'と接続部分142との間(または第2の部分141''と接続部分142との間)の接続機構は、第2の部分141'が第1の部分141に対して4つの異なる位置に設定されることを可能にするために、90度の回転対称性を有していてもよく、各々が他と90度異なる。もちろん、30度、45度、60度、120度、180度など、他の度数の回転対称性も可能である。他の実施形態では、第1の部分141'、連結部分142、および第2の部分141''のいずれの間にも連結機構は存在せず(すなわち、部分は一体的なユニットとして作られる)、そのような場合、装置140の異なる変形を製造中に実現することができる。他の実施形態では、第1の部分141'と連結部分142との間(又は第2の部分141''と連結部分142との間)の連結機構は非可逆的であり、すなわち、第1の部分141'及び第2の部分141''は、当初は別個の部品として取り扱うことができるが、第1の部分141'に対する第2の部分141''の向きは、一旦選択され、連結部分142を介して部品が連結されると、変更することができない。
【0769】
第1の部分141'に対する第2の部分141''の異なる向きは、第2の部分141''の長さ方向が第1の部分141'の長さ方向に対して関係または角度を有するものとして定義することができる。このような角度は、15度、30度、45度、60度、75度90度、105度、120度、135度、150度、165度、180度、195度、210度、225度、240度、255度、270度、285度、300度、315度、330度、345度、または360度であってよい。特に、第1の部分141'と第2の部分141''との間の角度は、遠隔ユニット140が植え込まれたときに、平面P1およびP2における角度として、または組織部分610に平行な平面における角度として定義され得る。図39A~Dに示される実施形態では、第2の部分141''の長さ方向は、第1の部分141'の長さ方向に対して0度、90度、180度、および270度だけ角度が付けられている。
【0770】
第2の部分141''の第2の端部634は、患者における植え込み可能な通電医療装置の位置から尾部方向に位置するインプラントに接続するための1つまたは複数の接続部を構成することができる。これにより、遠隔ユニット140が患者に植え込まれるとき、好ましくは、遠位領域640および第2の端部634が、立っている患者において下方を向いているとき、第1の端部632が頭蓋方向を向いているのに対して、第2の端部634が尾部方向を向いているため、接続部はインプラントに近くなる。第2の部分141''の第2の端部634がインプラントに接続するように構成されることも可能であり、すなわち、第2の端部634は、電力、流体、および/または信号を伝送するためのポート、コネクタ、または他のタイプの接続要素を構成することができる。
【0771】
同様に、第2の部分141''の第1の端部632は、患者における植え込み可能な通電医療装置の位置から頭蓋方向に位置するインプラントに接続するための1つまたは複数の接続部を構成することができる。これにより、遠隔ユニット140が患者に植え込まれるとき、好ましくは、遠位領域640および第2の端部634が、立っている患者において下方を向いているとき、第1の端部632が頭蓋方向を向いているのに対し、第2の端部634が尾骨方向を向いているため、接続部はインプラントに近くなる。第2の部分141''の第1の端部632がインプラントに接続するように構成されることも可能であり、すなわち、第1の端部632は、電力、流体、および/または信号を伝送するためのポート、コネクタ、または他のタイプの接続要素を構成することができる。
【0772】
図40および図41を参照して、植込み型遠隔ユニット140の実施形態を説明する。図40および図41を参照して、植え込み可能な遠隔ユニット140の一実施形態について説明する。遠隔ユニット140は、患者の組織部分610によって定位置に保持されるように構成されている。遠隔ユニット140は、組織部分610の第1の側面612に配置されるように構成された第1の部分141'を備え、第1の部分141'は、第1の平面における第1の断面積を有し、組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面616に面するおよび/または係合するように構成された第1の表面614を備える。遠隔ユニット140は、組織部分610の第2の側面618に配置されるように構成された第2の部分141''をさらに備え、第2の側面618は、第1の側面612に対向し、第2の部分141''は、第2の平面における第2の断面積を有し、組織部分610の第2の側面618の第2の組織表面622に係合するように構成された第2の表面620を備える。遠隔ユニット140は、組織部分610の第1および第2の側面612、618の間に延びる組織部分610の穴を通して配置されるように構成された連結部分142をさらに備える。ここでの連結部分142は、第3の平面における第3の断面積を有する。連結部分142は、第1の部分141'を第2の部分141''に連結するように構成されている。
【0773】
図42を参照すると、第1の断面積は、第1の断面距離CD1aと第2の断面距離CD2aとを有し、第1および第2の断面距離CD1a,CD2aは互いに垂直であり、第1の断面距離CD1aは第2の断面距離CD2aよりも長い。さらに、第2の断面積は、第1の断面距離CD1bおよび第2の断面距離CD2bを有し、第1および第2の断面距離CD2a、CD2bは互いに垂直であり、第1の断面距離CD1bは第2の断面距離CD2bよりも長い。第1の断面積の第1の断面距離CD1aおよび第2の断面積の第1の断面距離CD1bは、組織部分の穴を通して第2の部分141''の挿入を容易にするために、45°を超える角度で互いに対して回転変位する。図42に示される実施形態では、回転変位は90°である。
【0774】
第1の部分141'および第2の部分141''の回転変位は、十字のような構造を形成し、組織部分610の孔を通る挿入が容易になり、組織部分610の孔に一旦位置決めされると、確実な位置が達成され得るという点で特に有利である。特に、第2の部分141''が、その第1の断面距離CD1bが組織部分610の穴611の長さの延長に沿って延びるように遠隔ユニット140が配置される場合、穴611を通る第2のポーション141''の挿入が容易になり得る。さらに、第1の部分141'の第1の断面距離CD1aが穴611の長さの延長線に対して変位するように、第1の部分141'が第2の部分141''に対して変位する場合、第1の部分141'は、組織部分の穴611を通って移動することを防止され得る。このような場合、組織部分の穴611が長円形、楕円形、または少なくとも一方向の寸法が他方向の寸法よりも長いと特に有利である。組織部分におけるこのような長円形の孔は、例えば、繊維方向を有する組織において形成され得、孔の最長寸法は、繊維方向と整列され得る。
【0775】
図40に示される実施形態では、第1の部分141'の第1の表面614は平坦であり、したがって、第1の組織表面616に対してより大きな接触面を提供し、その結果、組織部分に対する圧力がより小さくなる。平坦な表面によって、より安定した位置も達成され得る。また、第2の部分141''の第2の表面620は、平坦であってもよい。しかしながら、本開示の他の部分に記載されているような他の形状も可能である。
【0776】
図42に示すように、連結部分142は、第3平面において細長い断面を有することができる。連結部分142が幅648よりも長い長さ644を有し、前記長さ644が第2の部分141''の長さ方向と同じ方向に、すなわち第2の部分141''の伸長方向と同じ方向に延びていると、特に有利であり得る。これにより、連結部分142の伸びは、組織部分の穴の伸びと同じ方向に走ることができる。
【0777】
図43を参照すると、第1の断面積の第1の断面距離と第2の断面積の第1の断面距離の回転変位が、ここでは約45°の角度で示されている。したがって、第1の部分141'の長さ方向633と第2の部分141''の長さ方向631との間に、第1、第2および第3の平面において、回転変位が存在する。回転変位の他の角度、例えば、60°、75°、90°、105°、120°、135°などが可能である。
【0778】
遠隔ユニット140は、第1の部分141'および第2の部分141''の回転変位に関して、いくつかの異なる配置を想定することができる。特に、これは、第1の部分141'及び/又は第2の部分141''が、相互接続部分142に着脱可能に接続されるように構成されている場合に可能である。例えば、第1の部分141'と連結部分142との間、または第2の部分141''と連結部分142との間の接続機構は、第1の部分141'を連結部分142に対して異なる位置に設定し、拡張して第2の部分141''に対しても異なる位置に設定することを可能にする回転対称性を有することができる。同様に、このような回転対称性は、第2の部分142''が、連結部分142に対して異なる位置に設定され、また第1の部分141'に対して伸長するように設定されることを可能にし得る。
【0779】
図44A~Cを参照して、組織部分610における遠隔ユニット140の挿入手順について説明する。遠隔ユニット140は、第2の部分141''の長さ方向631が穴611の中に下方を向くように方向付けられることができる。好ましくは、第2の部分141''は、穴611の縁の近くに挿入されるように配置される。次に、第2の部分141''は、第1の部分141'が第1の組織表面616に接する点まで、孔611を通って部分的に挿入され得る。ここで、上述のように、第1の部分141'と第2の部分141''との間に90°の回転変位を与えることにより、第1の部分141'が第1の組織表面616に突き当たる前に、第2の部分141''の比較的大きな部分を挿入することができる。その後、遠隔ユニット140を回動させて、第2の部分141''の残りの部分を孔611を通してスライドさせるか、または挿入することができる。第2の部分141''の残りの部分を挿入する間、組織は、第2の部分141''に道を譲るために自然に撓み、動くことができる。第2の部分141''が完全に組織部分610の反対側に位置するように、孔611を通して第2の部分141''を完全に挿入すると、組織は自然に撓んで戻ることができる。
【0780】
図45を参照して、本開示の他の部分において遠隔ユニットと呼ばれることがある植え込み可能な遠隔ユニット140の実施形態を説明する。遠隔ユニット140は、患者の組織部分610によって所定の位置に保持されるように構成されている。遠隔ユニット140は、組織部分610の第1の側面612に配置されるように構成された第1の部分141'を備え、第1の部分141'は、第1の平面における第1の断面積を有し、組織部分610の第1の側面612の第1の組織表面に面するおよび/または係合するように構成された第1の表面614を備える。遠隔ユニット140は、組織部分610の第2の側面618に配置されるように構成された第2の部分141''をさらに備え、第2の側面618は、第1の側面612に対向し、第2の部分141''は、第2の平面における第2の断面積を有し、組織部分610の第2の側面618の第2の組織表面に係合するように構成された第2の表面620を備える。遠隔ユニット140は、組織部分610の第1および第2の側面612、618の間に延びる組織部分610の穴を通して配置されるように構成された連結部分142をさらに備える。ここでの連結部分142は、第3の平面における第3の断面積を有する。連結部分142は、第1の部分141'を第2の部分141''に連結するように構成されている。
【0781】
第1の部分および第2の部分の少なくとも一方は、セラミック材料に埋め込まれた少なくとも1つのコイルからなり、少なくとも1つのコイルは、無線で送信されるエネルギーの受信、エネルギーの無線送信、無線通信の受信、および無線通信の送信の少なくとも1つのために構成される。図示の実施形態では、第1の部分141'は、第1のコイル658および第2のコイル660からなり、第2の部分141''は、第3のコイル662からなる。コイルはセラミック材料664に埋め込まれている。
【0782】
本開示の他の部分で議論されるように、第1の部分141'は、外部のワイヤレスエネルギー送信機からワイヤレスで送信されるエネルギーを受信するように構成された第1のワイヤレスエネルギー受信機を含んでもよく、さらに第1の部分141'は、第1のワイヤレス通信受信機を含んでもよい。第1のワイヤレスエネルギー受信機および第1のワイヤレス通信受信機は、第1のコイルを構成してもよい。従って、第1のコイルは、エネルギーを無線で受信し、及び/又は通信を無線で受信するように構成されてもよい。
【0783】
コイルからなる受信機/送信機」という表現により、前記コイルが受信機/送信機の一部を構成することがあることを理解されたい。
【0784】
第1の部分141'は、遠位端665と近位端666とからなり、ここでは、接続部分142に関して定義される。特に、近位端665は、遠隔ユニット140が組み立てられるとき、接続部分142により近く、第2の部分141''より近くに配置される。図示された実施形態では、第1のコイル658は、遠位端665に配置される。
【0785】
第1の部分141'は、内部ワイヤレスエネルギー送信機、およびさらに第1のワイヤレス通信送信機を構成することができる。幾つかの実施形態では、内部ワイヤレスエネルギー送信機及び/又は第1のワイヤレス通信送信機は、第1のコイル658から構成される。しかしながら、幾つかの実施形態では、内部ワイヤレスエネルギー発信器及び/又は第1のワイヤレス通信発信器は、第2のコイル660から構成される。第2のコイル660は、ここでは、第1の部分141'の近位端665に配置される。第2のコイル660のこのような配置は、第2のコイル660によって送信されるエネルギーおよび/または通信信号が、第2の部分141''に送信されるときに第1の部分141'の内部構成要素によって減衰されないことを提供し得る。
【0786】
いくつかの実施形態では、第1の無線エネルギー受信器および内部無線エネルギー送信器は、セラミック材料に埋め込まれた単一のコイルで構成される。したがって、単一のコイルは、エネルギーを無線で受信し、エネルギーを無線で送信するように構成されてもよい。同様に、第1の無線通信受信機および第1の無線通信送信機は、セラミック材料に埋め込まれた単一のコイルから構成されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、単一のコイルは、エネルギーを無線で受信および送信するため、ならびに通信信号を無線で受信および送信するために構成されてもよい。
【0787】
本明細書で論じるコイルは、好ましくは、組織部分610に実質的に平行に延びる平面内に配置される。
【0788】
第2の部分141''は、第2のワイヤレスエネルギー受信機、および/または第2のワイヤレス通信受信機を構成することができる。いくつかの実施形態では、第2の部分141''内の第3のコイル662は、第2のワイヤレスエネルギー受信機および/または第2のワイヤレス通信受信機を構成する。
【0789】
第2の部分141''は、遠位端668と近位端670とからなり、ここでは、接続部分142に対して規定される。特に、近位端668は、遠隔ユニット140が組み立てられるとき、接続部分142により近く、第1の部分141'より近くに配置される。図示された実施形態では、第3のコイル662は、第2の部分141''の近位端668に配置される。第3のコイル662のこのような配置は、第3のコイル662によって受信されるエネルギーおよび/または通信信号が、第1の部分141'から受信されるときに第2の部分141''の内部構成要素によって減衰されないことを提供し得る。
【0790】
第1の部分141'は、第1のコイル658、第2のコイル660、および/または第3のコイル662に接続された第1のコントローラ300aから構成されてもよい。第2の部分141''は、第1のコイル658、第2のコイル660、および/または第3のコイル662に接続された第2のコントローラ300bから構成されてもよい。
【0791】
図示の実施形態では、第1の部分141'は、第1のワイヤレスエネルギー受信機308a、すなわち第1のコイル658に接続された第1のエネルギー蓄積ユニット304aからなる。第2の部分は、第2のワイヤレスエネルギー受信機308b、すなわち第3のコイル662に接続された第2のエネルギー蓄積ユニット304bからなる。このようなエネルギー貯蔵ユニットは、塩化チオニル電池のような固体電池であってもよい。
【0792】
いくつかの実施形態では、第1のコイル658は、外部の無線エネルギー送信機によって無線送信されたエネルギーを受信し、受信したエネルギーを第1のエネルギー蓄積ユニット304aに蓄積するように構成される。さらに、第1のコイル658および/または第2のコイル660は、第1のエネルギー蓄積ユニット304aに蓄積されたエネルギーを第3のコイル662に無線送信するように構成されてもよく、第3のコイル662は、第1のコイル658および/または第2のコイル660によって無線送信されたエネルギーを受信し、受信したエネルギーを第2のエネルギー蓄積ユニット305bに蓄積するように構成されてもよい。
【0793】
第1のエネルギー貯蔵ユニット304aは、第2のエネルギー貯蔵ユニット304bよりも少ないエネルギーを貯蔵するように構成されてもよく、および/または第2のエネルギー貯蔵ユニット304bよりも速く充電されるように構成されてもよい。これにより、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aの充電は比較的速く行われ、一方、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aから第2のエネルギー貯蔵ユニット304bへのエネルギーの移動は比較的遅く行われることがある。したがって、ユーザは、第1のエネルギー貯蔵ユニット304aを迅速に充電することができ、そのような充電の間、例えば特定の場所で外部の無線エネルギー送信機に接続されることによって長時間制限されることはない。第1のエネルギー貯蔵ユニット304aを充電した後、エネルギーが第1のエネルギー貯蔵ユニット304aから第2のエネルギー貯蔵ユニット304bへ、第1および/または第2のコイルと第3のコイルを介してゆっくりと移動する間、使用者は自由に移動することができる。
【0794】
以下では、本発明概念の番号付き態様グループ378SE、379SE1、379SE2、380SE、381SE1、381SE2、382SE1、382SE2、382SE3、404SE、405SE、406SE、407SE、408SEおよび409SEが提供される。異なる態様にはグループ内で個別に番号が付されており、他の態様への言及は主に同じグループ内の態様に関するものである。しかしながら、保護範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0795】
態様グループ378SE:皮下_コントロール_ポップリベット2_腹膜外側
1.動力式医療機器を移植する方法であって、該方法は以下を含む:
腹膜と腹壁の筋組織層との間に遠隔ユニットの第1のユニットを配置する、
遠隔ユニットの第2のユニットを患者の皮膚と腹壁の筋肉組織の層との間に配置し、ここで、第1および第2のユニットは、腹壁の筋肉組織の少なくとも1つの層を通って延びる連結部分によって連結されるように構成される、
動力式医療装置の身体係合部を、動力式医療装置によって影響を受ける患者の組織または臓器に関連して配置する、
エネルギーおよび力の少なくとも一方を第1のユニットから身体係合部に伝達するように構成された伝達部材を、腹膜と腹壁の筋組織層との間に少なくとも部分的に配置し、伝達部材の長さの少なくとも1/3が腹膜の外側に配置されるようにする。
【0796】
2.前記伝達部材は、前記第1のユニットから前記身体係合部に電気エネルギ力を伝達するように構成されている、任意の態様1に記載の方法。
【0797】
3.前記転送部材は、前記第1のユニットと前記身体係合部との間でデータを転送するように構成されている、態様1または2に記載の方法。
【0798】
4.移送部材を配置するステップが、移送部材の長さの少なくとも1/2が患者の腹膜の外側に配置されるように、移送部材を腹膜と腹壁の筋肉組織の層との間に少なくとも部分的に配置することを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0799】
5.移送部材を配置するステップが、移送部材の長さの少なくとも2/3が患者の腹膜の外側に配置されるように、移送部材を腹膜と腹壁の筋肉組織の層との間に少なくとも部分的に配置することを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0800】
6.移送部材を配置するステップが、移送部材を患者の腹膜の完全に外側に配置することを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0801】
7.移送部材を配置するステップが、移送部材を、第1のユニットから腹膜の外側で患者の胸郭と腹膜との間の領域まで延びるように配置することを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0802】
8.移送部材を配置するステップが、移送部材が第1のユニットから患者の胃と胸部横隔膜との間の領域まで延びるように移送部材を配置することを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0803】
9.移送部材を配置するステップが、移送部材が第1のユニットから後腹膜腔まで延びるように移送部材を配置することを含む、前記態様のいずれか1つに記載の方法。
【0804】
10.移送部材を配置するステップが、移送部材を第1のユニットから腎臓の領域まで延びるように配置することを含む、態様9に記載の方法。
【0805】
11.移送部材を配置するステップが、第1のユニットから腎動脈まで延びるように移送部材を配置することを含む、態様10による方法。
【0806】
12.移送部材を配置するステップが、移送部材を、腹膜の外側で、第1のユニットから腹膜下腔まで延びるように配置することを含む、態様1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0807】
13.遠隔ユニットの第1のユニットを腹膜と腹壁の筋肉組織の層との間に配置するステップが、腹壁の筋肉組織の第1および第2の層の間に第1のユニットを配置することを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0808】
14.第1のユニットを配置するステップが、エネルギー貯蔵ユニットを含む第1のユニットを配置することを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0809】
15.第1のユニットを配置するステップが、エネルギーおよび通信の少なくとも1つを無線で受信するための受信機を含む第1のユニットを配置することを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0810】
16.第2のユニットを配置するステップが、エネルギーおよび通信の少なくとも1つを無線で送信するための送信機を含む第2のユニットを配置することを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0811】
17.第1のユニットを配置するステップが、動力式医療装置の制御に関与するコントローラを構成する第1のユニットを配置することを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0812】
18.第1のユニットが細長く、第1のユニットの細長い方向に実質的に延びる長さ軸を有し、第1のユニットを配置するステップが、長さ軸が患者の頭蓋-尾骨軸と実質的に平行になるように第1のユニットを配置することを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0813】
19.第1のユニットが細長く、第1のユニットの細長い方向に実質的に延びる長さ軸を有し、第1のユニットを配置するステップが、長さ軸が患者の頭蓋-尾骨軸と実質的に垂直になるように第1のユニットを配置することを含む、態様1~17のいずれか1つに記載の方法。
【0814】
20.第1のユニットが細長く、実質的に第1のユニットの細長い方向に延びる長さ軸を有し、第1のユニットを配置するステップが、胃壁の筋肉組織の層に第1の部分の長さ軸の方向に穴を入れることと、穴が入った後に第1の部分を枢動させるかまたは角度を付けることとを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0815】
21.遠隔ユニットの第2のユニットを患者の皮膚と腹壁の筋肉組織の層との間に配置するステップが、第2のユニットを皮下組織に配置することを含む、前記態様のいずれか1つに記載の方法。
【0816】
22.遠隔ユニットの第2ユニットを患者の皮膚と腹壁の筋肉組織の層との間に配置するステップが、第2ユニットを腹壁の筋肉組織の第1層と第2層との間に配置することを含む、態様1~20のいずれか1項に記載の方法。
【0817】
23.前記第2のユニットを配置するステップは、エネルギー蓄積ユニットを含む第2のユニットを配置することを含む、前記態様のいずれか1つに記載の方法。
【0818】
24.第2のユニットを配置するステップが、エネルギーおよび通信の少なくとも1つを無線で受信するための受信機を含む第2のユニットを配置することを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0819】
25.第2のユニットを配置するステップが、エネルギーおよび通信の少なくとも1つを無線で送信するための送信機を含む第2のユニットを配置することを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0820】
26.第2のユニットを配置するステップが、動力式医療装置の制御に関与するコントローラを含む第2のユニットを配置することを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0821】
27.第2のユニットが細長く、第2のユニットの細長い方向に実質的に延びる長さ軸を有し、第2のユニットを配置するステップが、長さ軸が患者の頭蓋-尾骨軸と実質的に平行になるように第2のユニットを配置することを含む、前記態様のいずれか1つに記載の方法。
【0822】
28.第2のユニットが細長く、第2のユニットの細長い方向に実質的に延びる長さ軸を有し、第2のユニットを配置するステップが、長さ軸が患者の頭蓋-尾骨軸と実質的に垂直になるように第2のユニットを配置することを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0823】
29.前記第1のユニットが細長く、前記第1のユニット第2のユニットの伸長方向に実質的に延びる第1のユニット長軸を有し、前記第2のユニットが細長く、前記第2のユニットの伸長方向に実質的に延びる第2のユニット長軸を有し、前記第1および第2のユニットを配置するステップが、前記第1のユニット長軸と前記第2のユニット長軸とが、互いに対して30°を超える角度で配置されるように、前記第1および第2のユニットを配置することを含む、前記態様のいずれか1つに記載の方法。
【0824】
30.第1ユニット及び第2ユニットを配置するステップは、第1ユニット長軸及び第2ユニット長軸が互いに対して45°を超える角度で配置されるように第1ユニット及び第2ユニットを配置することを含む、態様29に記載の方法。
【0825】
31.腹壁の筋肉組織の少なくとも1つの層を通して連結部分を配置するステップをさらに含む、前記態様のいずれか1つに記載の方法。
【0826】
32.前記第1のユニット、前記第2のユニット及び前記連結部分は、単一のユニットの一部である、前記態様のいずれか1つに記載の方法。
【0827】
33.第1の部分を連結部分にその場で連結するステップをさらに含む、態様1~31のいずれか1つに記載の方法。
【0828】
34.その場で、第2の部分を連結部分に連結するステップをさらに含む、態様1~31のいずれか1つに記載の方法。
【0829】
35.移送部材を第1のユニットに接続するステップをさらに含む、前記態様のいずれか1つに記載の方法。
【0830】
36.移送部材を身体係合部に連結するステップをさらに含む、前記態様のいずれか1つに記載の方法。
【0831】
37.身体係合部が植え込み可能な狭窄装置を備える、先行する態様のいずれかに記載の植え込み可能な装置。
【0832】
38.植え込み可能な狭窄装置が、患者の血管を狭窄するための植え込み可能な狭窄装置を備える、態様37に記載の植え込み可能な装置。
【0833】
39.患者の血管を狭窄するための植え込み可能な狭窄装置が、腎動脈の血流を収縮させて患者の全身血圧に影響を与えるように構成されている、態様38に記載の植え込み可能な装置。
【0834】
40.前記身体係合要素は、患者の組織部分を電気的に刺激するための要素を備える、前記態様のいずれか1つに記載の植え込み可能装置。
【0835】
態様グループ 379SE1:高血圧_局所治療2
1.高血圧患者を治療するためのシステムであって、以下のものを含む:
腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるために、患者の腎動脈の壁部および腎動脈を支配する副交感神経の少なくとも一方に電気刺激信号を送達することができるように構成された電極配置を含む刺激装置、
電極配置に通電するように構成された植え込み可能なエネルギー源;および
刺激装置に操作可能に接続された制御ユニット;
ここで、制御ユニットは、電気刺激信号が腎動脈の制御された血管拡張を引き起こすように、刺激装置の動作を制御するように構成される。
【0836】
2.電極配置が複数の電極要素からなり、各電極要素が腎動脈の壁部分または腎動脈を神経支配する神経に係合して電気的に刺激するように構成されている、態様1に記載のシステム。
【0837】
3.電極配置が支持構造体の表面部分に配置され、表面部分が腎動脈の壁部分または腎動脈を神経支配する神経上に配置されるように構成されている、態様1または2に記載のシステム。
【0838】
4.支持構造が、腎動脈の壁部分または腎動脈を支配する神経の周囲に少なくとも部分的に配置されるように構成されたカフ部分を備える、態様3に記載のシステム。
【0839】
5.電極配置がカフの内面に配置されている、態様4によるシステム。
【0840】
6.電極配置が、仙骨神経を電気的に刺激するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0841】
7.前記制御ユニットが、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるためのパルス電気刺激信号を生成するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0842】
8.電気刺激信号が、30Hz以下、例えば5~25Hz、例えば10~20Hzの周波数を含む、態様7に記載のシステム。
【0843】
9.電気刺激信号が0.01~1msのパルス幅を含む、態様7または8に記載のシステム。
【0844】
10.電気刺激信号が1~15mAのパルス振幅からなる、態様7から9のいずれかに記載のシステム。
【0845】
11.刺激装置と脊髄との間の位置で、副交感神経に配置されるように構成された信号減衰装置をさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0846】
12.信号減衰装置が、電気減衰信号を副交感神経に送達するように構成された電極配置を備え、電気減衰信号が、刺激装置によって生成された電気刺激信号を少なくとも部分的に打ち消すように構成される、態様11に記載のシステム。
【0847】
13.信号減衰装置が、信号減衰装置で受信された電気刺激信号を測定し、受信された電気刺激信号に基づいて電気減衰信号を生成するように構成された信号処理手段をさらに備える、態様12に記載のシステム。
【0848】
14.前記制御ユニットは、無線遠隔制御装置と通信可能に接続されるように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0849】
15.外部信号送信機から/外部信号送信機へ通信信号を受信し送信するように構成された内部信号送信機を制御ユニットが備える、態様14に記載のシステム。
【0850】
16.患者の血圧を示す信号を生成するように構成された血圧センサをさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0851】
17.血圧センサーが、腎動脈の局所血圧を決定するように構成されている、態様16に記載のシステム。
【0852】
18.血圧センサーが全身血圧を決定するように構成されている、態様16または17によるシステム。
【0853】
19.制御ユニットが、血圧センサーによって生成された信号を受信するように構成されている、態様16~17のいずれかに記載のシステム。
【0854】
20.制御ユニットは、受信信号に基づいて刺激装置の動作を制御するように構成されている、態様19に記載のシステム。
【0855】
21.エネルギー源が皮下に植え込まれるように構成されている、先の態様のいずれかに記載のシステム。
【0856】
22.エネルギー源が、一次電池と二次電池の少なくとも一方からなる、先行する態様のいずれかに記載のシステム。
【0857】
23.前記制御ユニットは、エネルギー源の機能状態を示すように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0858】
24.機能ステータスが、エネルギー源の充電レベルを示す、態様23に記載のシステム。
【0859】
25.制御ユニットが、エネルギー源、壁部分、および腎動脈を流れる血液のうちの少なくとも1つの温度を示すように構成されている、態様1~22のいずれかに記載のシステム。
【0860】
26.刺激装置、植え込み可能なエネルギー源、および制御ユニットのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの表面上に配置されたコーティング(760)をさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0861】
27.コーティングが生体材料の少なくとも1つの層を含む、態様26に記載のシステム。
【0862】
28.生体材料が、抗血栓性および/または抗菌性および/または抗血小板特性を有する少なくとも1つの薬物または物質を含む、態様27に記載のシステム。
【0863】
29.生体材料がフィブリンベースである、態様27または28に記載のシステム。
【0864】
30.第1のコーティング上に配置された第2のコーティング(760b)をさらに含む、態様27~29のいずれかに記載のシステム。
【0865】
31.第2のコーティングが、前記第1のコーティングとは異なる生体材料である、態様30に記載のシステム。
【0866】
32.第1のコーティングが、表面に化学的に付着したパーフルオロカーボン層からなり、第2のコーティングが、液体パーフルオロカーボン層からなる、態様31に記載のシステム。
【0867】
33.コーティングが、多孔性材料中にカプセル化された薬物を含む、態様27~32のいずれか1つに記載のシステム。
【0868】
34.表面が金属からなる、態様27~33のいずれか1つに記載のシステム。
【0869】
35.金属が、チタン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、スズおよび鉛のうちの少なくとも1つを含む、態様34に記載のシステム。
【0870】
36.表面がマイクロパターンを含む、態様27~35のいずれかに記載のシステム。
【0871】
37.マイクロパターンが、身体への挿入前に表面にエッチングされる、態様36に記載のシステム。
【0872】
38.マイクロパターン上にコーティングされた生体材料の層をさらに含む、態様36または37によるシステム。
【0873】
39.ディスプレイ装置と、前述のいずれかの態様によるシステム(100)との間の通信を可能にするための通信システムであって、該通信システムは、以下を備える:
ディスプレイ装置、
サーバー、
外部機器、
ここで、ディスプレイ装置は、以下を備える:
サーバーからインプラント制御インターフェースを無線で受信するように構成された無線通信ユニットであって、インプラント制御インターフェースは外部装置によって提供され、無線通信ユニットはさらに、外部装置向けのインプラント制御ユーザー入力をサーバーに無線で送信するように構成されている、
受信したインプラント制御インターフェースを表示するためのディスプレイと、
ユーザーからのインプラント制御入力を受け付ける入力装置;
ここで、サーバーは以下を備える:
外部装置からインプラント制御インターフェースを無線受信し、インプラント制御インターフェースをディスプレイ装置に無線送信するように構成された無線通信ユニットであって、該無線通信ユニットはさらに、ディスプレイ装置からインプラント制御ユーザー入力を無線受信し、インプラント制御ユーザー入力を外部装置に無線送信するように構成された無線通信ユニット、
ここで、外部装置は、以下を備える:
前記植込み型装置に制御コマンドを無線送信するように構成され、前記サーバと無線通信するように構成された無線通信ユニットと、
以下のように構成されたコンピューティングユニット:
植込み型装置の操作のための制御コマンドを作成するための制御ソフトウェアを実行する、
ディスプレイ装置向けの制御インターフェースをサーバーに送信する、
前記ディスプレイ装置で生成されたインプラント制御ユーザ入力を前記サーバから受信する、
ユーザー入力を植込み型装置に無線送信するための制御コマンドに変換する。
【0874】
40.刺激装置が、副交感神経系を刺激するように適合され、それによって血管拡張を引き起こし、患者の血圧を低下させる、前記態様のいずれかに記載の高血圧患者を治療するためのシステムであって、刺激装置が、少なくとも、10番を伝達する脊髄の分枝において、椎骨S2~S4、好ましくはS4に由来する尾骨神経に沿って、副交感神経を刺激するようにさらに適合される、システム。
【0875】
41.壁部分の血管運動性緊張が腎動脈の流れを規定し、それによって間接的に血圧を規定する、先行する態様のいずれかに記載のシステム。
【0876】
態様グループ 379SE2:高血圧_局所治療_2
1.高血圧患者を治療するためのシステムであって、以下のものを含む:
腎動脈を支配する神経を介して腎動脈の壁部の拡張、収縮、または収縮および拡張を直接的または間接的に制御し、腎動脈の血管運動調子に影響を与えるために、自律神経系に電気刺激信号を送達できるように構成された電極配置を含む刺激装置;
電極配置に通電するように構成された植え込み可能なエネルギー源;および
刺激装置に操作可能に接続された制御ユニット;
ここで、制御ユニットは、電気刺激信号が、腎動脈の血管拡張、収縮、または血管拡張と収縮との間の交互のうちの少なくとも1つを引き起こして、腎動脈の壁のトーヌスを制御するように、刺激装置の動作を制御するように構成される。
【0877】
2.壁部の血管運動性緊張が腎動脈の流れを規定し、それによって間接的に血圧を規定する、態様1に記載のシステム。
【0878】
3.副交感神経が、脊髄伝達神経番号10の枝と、尾骨神経椎体S2-S4、好ましくはS4からなる、態様2によるシステム。
【0879】
3.電極配置が複数の電極要素からなり、各電極要素が、腎動脈の壁部分または腎動脈を神経支配する神経に係合して電気的に刺激するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0880】
4.電極配置が支持構造体の表面部分上に配置され、表面部分が腎動脈の壁部分上または腎動脈を神経支配する神経上に配置されるように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0881】
5.支持構造が、腎動脈の壁部分または腎動脈を支配する神経の周囲に少なくとも部分的に配置されるように構成されたカフ部分を備える、態様4に記載のシステム。
【0882】
6.電極配置がカフの内面に配置されている、態様5に記載のシステム。
【0883】
7.電極配置が、仙骨神経を電気的に刺激するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0884】
8.前記制御ユニットが、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるためのパルス電気刺激信号を生成するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0885】
9.電気刺激信号が、30Hz以下、例えば5~25Hz、例えば10~20Hzの周波数を含む、態様8に記載のシステム。
【0886】
10.電気刺激信号が0.01~1msのパルス幅を含む、態様8または9に記載のシステム。
【0887】
11.電気刺激信号が1~15mAのパルス振幅からなる、態様8から10のいずれかに記載のシステム。
【0888】
12.刺激装置と脊髄との間の位置で、副交感神経に配置されるように構成された信号減衰装置をさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0889】
13.信号減衰装置が、電気減衰信号を副交感神経に送達するように構成された電極配置を備え、電気減衰信号が、刺激装置によって生成された電気刺激信号を少なくとも部分的に打ち消すように構成されている、態様12によるシステム。
【0890】
14.信号減衰装置が、信号減衰装置で受信された電気刺激信号を測定し、受信された電気刺激信号に基づいて電気減衰信号を生成するように構成された信号処理手段をさらに備える、態様13に記載のシステム。
【0891】
15.前記制御ユニットは、無線遠隔制御装置と通信可能に接続されるように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0892】
16.態様15によるシステムであって、制御ユニットは、外部信号送信機から/外部信号送信機へ通信信号を受信および送信するように構成された内部信号送信機を備える。
【0893】
17.患者の血圧を示す信号を生成するように構成された血圧センサーをさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0894】
18.血圧センサーが、腎動脈の局所血圧を決定するように構成されている、態様17に記載のシステム。
【0895】
19.血圧センサーが全身血圧を決定するように構成されている、態様17または18によるシステム。
【0896】
20.制御ユニットが、血圧センサーによって生成された信号を受信するように構成されている、態様17~18のいずれかに記載のシステム。
【0897】
21.制御装置が、受信信号に基づいて刺激装置の動作を制御するように構成されている、態様20に記載のシステム。
【0898】
22.エネルギー源が皮下に植え込まれるように構成されている、先の態様のいずれかに記載のシステム。
【0899】
23.エネルギー源が、一次電池と二次電池の少なくとも一方からなる、先行する態様のいずれかに記載のシステム。
【0900】
24.前記制御ユニットは、エネルギー源の機能状態を示すように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0901】
25.機能ステータスが、エネルギー源の充電レベルを示す、態様24によるシステム。
【0902】
26.制御ユニットが、エネルギー源、壁部分、および腎動脈を流れる血液のうちの少なくとも1つの温度を示すように構成されている、態様1~23のいずれかに記載のシステム。
【0903】
27.刺激装置、植え込み可能なエネルギー源、および制御ユニットのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの表面に配置されたコーティングをさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0904】
28.コーティングが少なくとも1層の生体材料を含む、態様27に記載のシステム。
【0905】
29.生体材料が、抗血栓性および/または抗菌性および/または抗血小板特性を有する少なくとも1つの薬物または物質を含む、態様28に記載のシステム。
【0906】
30.生体材料がフィブリンベースである、態様28または29に記載のシステム。
【0907】
31.第1のコーティング上に配置された第2のコーティングをさらに含む、態様28~30のいずれかに記載のシステム。
【0908】
32.第2のコーティングが、前記第1のコーティングとは異なる生体材料である、態様31に記載のシステム。
【0909】
33.第1のコーティングが、表面に化学的に付着したパーフルオロカーボンの層からなり、第2のコーティングが、液体パーフルオロカーボン層からなる、態様32に記載のシステム。
【0910】
34.コーティングが、多孔性材料中にカプセル化された薬物を含む、態様28~33のいずれか1つに記載のシステム。
【0911】
35.表面が金属からなる、態様28~34のいずれか1つに記載のシステム。
【0912】
36.金属が、チタン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、スズおよび鉛のうちの少なくとも1つを含む、態様35に記載のシステム。
【0913】
37.表面がマイクロパターンからなる、態様28~36のいずれかに記載のシステム。
【0914】
38.マイクロパターンが、身体への挿入前に表面にエッチングされる、態様37に記載のシステム。
【0915】
39.マイクロパターン上にコーティングされた生体材料の層をさらに含む、態様37または38に記載のシステム。
【0916】
40.ディスプレイ装置と、前述のいずれかの態様によるシステム(100)との間の通信を可能にするための通信システムであって、該通信システムは、以下を備える:
ディスプレイ装置、
サーバー、
外部機器、
ここで、ディスプレイ装置は、以下を備える:
サーバーからインプラント制御インターフェースを無線で受信するように構成された無線通信ユニットであって、インプラント制御インターフェースは外部装置によって提供され、無線通信ユニットはさらに、外部装置向けのインプラント制御ユーザー入力をサーバーに無線で送信するように構成されている、
受信したインプラント制御インターフェースを表示するためのディスプレイと、
ユーザーからのインプラント制御入力を受け付ける入力装置;
ここで、サーバーは、以下を備える:
外部装置からインプラント制御インターフェースを無線受信し、インプラント制御インターフェースをディスプレイ装置に無線送信するように構成された無線通信ユニットであって、無線通信ユニットは、ディスプレイ装置からインプラント制御ユーザー入力を無線受信し、インプラント制御ユーザー入力を外部装置に無線送信するようにさらに構成されている、無線通信ユニット、
ここで、外部装置は、以下を備える:
前記植込み型装置に制御コマンドを無線送信するように構成され、前記サーバと無線通信するように構成された無線通信ユニット、
以下のように構成されたコンピューティングユニット:
植込み型装置の操作のための制御コマンドを作成するための制御ソフトウェアを実行する、
ディスプレイ装置向けの制御インターフェースをサーバーに送信する、
前記ディスプレイ装置で生成されたインプラント制御ユーザ入力を前記サーバから受信する、
ユーザー入力を植込み型装置に無線送信するための制御コマンドに変換する。
【0917】
態様・グループ380SE:高血圧_地域_治療_保有者
1. 以下を備える医療機器:
腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるために、患者の腎動脈の壁部および腎動脈を支配する副交感神経の少なくとも一方に電気刺激信号を送達することができるように構成された電極配置、
電極配置に動作可能に接続され、電気刺激信号が腎動脈の制御された血管拡張を引き起こすように電気刺激信号を生成するように構成された遠隔ユニット、
ここで、遠隔ユニットは、患者の組織壁に固定されるように構成されている;
ここで、遠隔ユニットは、以下を備える:
患者の組織壁の第1の側に植え込まれるように構成された第1のユニット;
組織壁の第2の側に移植されるように構成された第2のユニット;および
組織壁を貫通して延びるように配置され、第1のユニットおよび第2のユニットに機械的に取り付けられるように構成された連結ユニット;
ここで、第1のユニットおよび第2のユニットは、組織壁を通過するのを妨げる形状およびサイズを備える。
【0918】
2.電極配置が複数の電極要素からなり、各電極要素が腎動脈の壁部分または腎動脈を神経支配する神経に係合して電気的に刺激するように構成されている、態様1に記載の装置。
【0919】
3.電極配置が支持構造体の表面部分に配置され、表面部分が腎動脈の壁部分または腎動脈を神経支配する神経上に配置されるように構成されている、態様2に記載の装置。
【0920】
4.支持構造が、腎動脈の壁部分または腎動脈を支配する神経の周囲に少なくとも部分的に配置されるように構成されたカフ部分を備える、態様3に記載の装置。
【0921】
5.電極配置がカフの内面に配置されている、態様4による装置。
【0922】
6.電極配置が、仙骨神経を電気的に刺激するように構成されている、前記態様のいずれかに記載の装置。
【0923】
7.リモートユニットが、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるためのパルス電気刺激信号を生成するように構成されている、前記態様のいずれかに記載の装置。
【0924】
8.電気刺激信号が、30Hz以下、例えば5~25Hz、例えば10~20Hzの周波数を含む、態様7に記載の装置。
【0925】
9.電気刺激信号が0.01~1msのパルス幅からなる、態様7または8に記載の装置。
【0926】
10.電気刺激信号が1~15mAのパルス振幅からなる、態様7から9のいずれかに記載の装置。
【0927】
11.電極配置と脊髄との間の位置で、腎動脈を神経支配する神経に配置されるように構成された信号減衰装置をさらに含む、前記態様のいずれかに記載の装置。
【0928】
12.信号減衰装置が、神経に電気減衰信号を送達するように構成され、電気減衰信号が、電極配置によって送達される電気刺激信号に少なくとも部分的に対抗するように構成される、態様11に記載の装置。
【0929】
13.信号減衰装置が、信号減衰装置で受信された電気刺激信号を測定し、受信された電気刺激信号に基づいて電気減衰信号を生成するように構成された信号処理手段をさらに備える、態様12に記載の装置。
【0930】
14.前記遠隔ユニットは、無線制御と通信可能に接続されるように構成されている、前記態様のいずれかに記載の装置。
【0931】
15.態様14によるシステムであって、遠隔ユニットが、外部信号送信機から/外部信号送信機へ通信信号を受信および送信するように構成された内部信号送信機を備える、システム。
【0932】
16.患者の血圧を示す信号を生成するように構成された血圧センサをさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0933】
17.血圧センサーが、腎動脈の局所血圧を決定するように構成されている、態様16に記載の装置。
【0934】
18.血圧センサーが、全身血圧を決定するように構成されている、態様16または17に記載の装置。
【0935】
19.遠隔ユニットが、血圧センサーによって生成された信号を受信するように構成されている、態様16~17のいずれかに記載の装置。
【0936】
20.遠隔ユニットが、受信信号に基づいて電気刺激信号を生成するように構成されている、態様19に記載の装置。
【0937】
21.電極配置に通電するように構成されたエネルギー源をさらに含む、先の態様のいずれかに記載の装置。
【0938】
22.エネルギー源が第2のユニット内に配置されている、態様21に記載の装置。
【0939】
23.皮下に植え込まれるように構成されたエネルギー源である、態様21に記載の装置。
【0940】
24.エネルギー源が、一次電池と二次電池の少なくとも一方からなる、態様21~23のいずれかに記載の装置。
【0941】
25.遠隔ユニットは、エネルギー源の機能状態を示すように構成されている、態様21~24のいずれかに記載の装置。
【0942】
26.機能ステータスが、エネルギー源の充電レベルを示す、態様25に記載の装置。
【0943】
27.遠隔ユニットが、エネルギー源、壁部分、および腎動脈を流れる血液の少なくとも1つの温度を示すように構成されている、態様21~26のいずれかに記載の装置。
【0944】
28.先行する態様のいずれかに記載の装置であって、ここで
前記第1のユニットは、第1の平面における第1の断面積を有し、前記ティッシュ部分の第1の側の第1のティッシュ表面に係合するように構成された第1の表面を備える;
該第2のユニットは、該第2の平面における第2の断面積を有し、該ティッシュ部分の該第2の側の第2のティッシュ表面と係合するように構成された第2の表面を備える;
前記接続ユニットは、第3の平面における第3の断面積を有し、かつ
第三の断面積は、第一および第二の断面積よりも小さく、第一のユニットおよび第二のユニットが組織壁を通って移動するのを妨げる。
【0945】
29.接続ユニットが円形の断面を有する、先行する態様のいずれかに記載の装置。
【0946】
30.接続ユニットが中空である、先行する態様のいずれかに記載の装置。
【0947】
31.第1および第2のユニットの少なくとも一方が、連結ユニットにねじ込まれるように構成されている、先行する態様のいずれかに記載の装置。
【0948】
32.第1ユニットおよび第2ユニットが、連結ユニットとボルト接合されたジョイントを形成する、先行する態様のいずれかに記載の装置。
【0949】
33.接続ユニットが弾性である、先行する態様のいずれかに記載の装置。
【0950】
34.コーティングをさらに含む、前記態様のいずれかに記載の装置。
【0951】
35.コーティングがシリコーンを含む、態様34に記載の装置。
【0952】
36.信号減衰装置が、第1のユニット、第2のユニット、および接続ユニットのうちの少なくとも1つに配置されている、態様11~13のいずれかに記載の装置。
【0953】
37.第1ユニット、第2ユニット、および接続ユニットの少なくとも1つにセンサーが配置されている、態様16~20のいずれかに記載の装置。
【0954】
38.エネルギー源が、第1のユニット、第2のユニット、および接続ユニットのうちの少なくとも1つに配置されている、態様21~27のいずれかに記載の装置。
【0955】
39.第1のユニット、第2のユニット、および接続ユニットのうちの少なくとも1つが、患者の体外から送信されるエネルギーを受信するように構成された無線受信機を備える、先行する態様のいずれかに記載の装置。
【0956】
40.第1のユニット、第2のユニット、および接続ユニットの少なくとも1つが、外部装置と無線通信するための無線トランシーバを備える、先行する態様のいずれかに記載の装置。
【0957】
41.遠隔ユニットが、以下のうちの少なくとも1つの一部を形成する組織壁に移植されるように構成されている、先行する態様のいずれかに記載の装置:
横隔膜
左右の下腿部、
内側または外側の弧状靭帯、
大腰筋、
腰方形筋、
腹横壁、
小腰筋、
内腹斜壁、
腸骨、
大腰筋。
【0958】
42.電極配置体および遠隔ユニットの少なくとも一方の少なくとも一方の表面に配置されたコーティング(760)をさらに含む、前記態様のいずれかに記載の医療装置。
【0959】
43.コーティングが生体材料の少なくとも1つの層を含む、態様42に記載の医療器具。
【0960】
44.生体材料が、抗血栓性および/または抗菌性および/または抗血小板特性を有する少なくとも1つの薬物または物質を含む、態様43に記載の医療器具。
【0961】
45.生体材料がフィブリンベースである、態様43または44に記載の医療器具。
【0962】
46.第1のコーティング上に配置された第2のコーティング(760b)をさらに含む、態様42~45のいずれかに記載の医療器具。
【0963】
47.第2のコーティングが、前記第1のコーティングとは異なる生体材料である、態様46に記載の医療器具。
【0964】
48.第1のコーティングが、表面に化学的に付着したパーフルオロカーボン層からなり、第2のコーティングが、液体パーフルオロカーボン層からなる、態様47に記載の医療用デバイス。
【0965】
49.コーティングが、多孔性材料にカプセル化された薬物を含む、態様43~48のいずれか1つに記載の医療用デバイス。
【0966】
50.表面が金属からなる、態様43~49のいずれか1つに記載の医療器具。
【0967】
51.金属が、チタン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、スズおよび鉛のうちの少なくとも1つを含む、態様50に記載の医療器具。
【0968】
52.表面がマイクロパターンからなる、態様43~51のいずれかに記載の医療器具。
【0969】
53.マイクロパターンが、体内への挿入前に表面にエッチングされる、態様52に記載の医療器具。
【0970】
54.マイクロパターン上にコーティングされた生体材料の層をさらに含む、態様52または53に記載のシステム。
【0971】
55.前記態様のいずれかに記載の表示装置と医療機器との間の通信を可能にするための通信システムであって、該通信システムは、以下を含む:
ディスプレイ装置、
サーバー、
外部機器、
ここで、ディスプレイ装置は、以下を備える:
サーバーからインプラント制御インターフェースを無線で受信するように構成された無線通信ユニットであって、インプラント制御インターフェースは外部装置によって提供され、無線通信ユニットはさらに、外部装置向けのインプラント制御ユーザー入力をサーバーに無線で送信するように構成されている、
受信したインプラント制御インターフェースを表示するためのディスプレイと、
ユーザーからのインプラント制御入力を受け付ける入力装置;
ここで、サーバーは、以下を備える:
外部装置からインプラント制御インターフェースを無線受信し、インプラント制御インターフェースをディスプレイ装置に無線送信するように構成された無線通信ユニットであって、該無線通信ユニットはさらに、ディスプレイ装置からインプラント制御ユーザー入力を無線受信し、インプラント制御ユーザー入力を外部装置に無線送信するように構成された無線通信ユニットと
ここで、外部装置は、以下を備える:
医療機器に制御コマンドを無線送信するように構成され、サーバと無線通信するように構成された無線通信ユニットと
以下のように構成されたコンピューティングユニット:
医療機器の操作のための制御コマンドを作成するための制御ソフトウェアを実行する、
ディスプレイ装置向けの制御インターフェースをサーバーに送信する、
前記ディスプレイ装置で生成されたインプラント制御ユーザ入力を前記サーバから受信する、
ユーザー入力を医療機器に無線送信するための制御コマンドに変換する。
【0972】
56.血管運動緊張が、腎動脈の壁の平滑筋組織に影響される、先行する態様のいずれかに記載の医療機器。
【0973】
態様グループ 381SE1:高血圧_局所_治療_自動
1.高血圧に罹患している患者を治療するためのシステムであって、以下のものを含む:
腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるために、患者の腎動脈の壁部および腎動脈を支配する副交感神経の少なくとも一方に電気刺激信号を送達することができるように構成された電極配置を含む刺激装置;
患者の血圧を示す信号を生成するように構成された植え込み可能なセンサー;
刺激装置およびセンサー装置に通信可能に接続された制御ユニット;
ここで、制御装置は、電気刺激信号が腎動脈の制御された血管拡張を引き起こすように、センサー装置によって生成された信号に基づいて、刺激装置の動作を制御するように構成される。
【0974】
2.センサーが、患者の血管内に配置されるように構成された圧力センサーからなる、態様1に記載のシステム。
【0975】
3.センサが患者の血管の外壁に配置されるように構成されている、態様1に記載のシステム。
【0976】
4.センサーが、血流から血管外壁に伝達される圧脈波を測定するように構成されている、態様3に記載のシステム。
【0977】
5.センサーが、血管外壁のひずみに感応するひずみゲージからなる、態様4によるシステム。
【0978】
6.センサーが、血管の外壁と圧力センサーとの間の押圧力に感応する接触圧力センサーからなる、態様4または5によるシステム。
【0979】
7.センサーが、血管内の血圧を測定するように構成されたドップラーレーダーセンサーからなる、態様3に記載のシステム。
【0980】
8.センサーが光源と光センサーからなり、信号が光源と光センサー間の光結合効率に基づく、態様1に記載のシステム。
【0981】
9.センサが、患者の循環系の一部における血管抵抗を示す信号を生成するように構成されている、態様1に記載のシステム。
【0982】
10.センサーが、血管を通る流れを示す信号を発生するように構成された流量センサーである、態様9によるシステム。
【0983】
11.前記制御ユニットは、以下のように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム:
センサーによって生成された信号に基づいて推定血圧を決定する;
ここで、決定された血圧は、腎動脈の局所血圧または全身血圧である。
【0984】
12.制御ユニットは、以下のように構成される、態様11に記載のシステム:
推定血圧を所定の限界値と比較する、
推定血圧が限界値未満であることに応答して、腎動脈の血管収縮を引き起こすように刺激装置の動作を制御する、
推定血圧が限界値を超えたことに応答して、腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御する。
【0985】
13.態様11に記載のシステムであって、制御ユニットは、以下のように構成される:
センサによって生成された信号に基づいて推定された血圧を経時的に監視する、
推定された血圧の経時的低下に応答して、腎動脈の血管収縮を引き起こすように刺激装置の動作を制御し;そして
推定血圧の経時的上昇に応答して、腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御する。
【0986】
14.前記制御ユニットが、外部信号送信機から/外部信号送信機へ通信信号を受信および送信するように構成された内部信号送信機を備える、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0987】
15.電極配置が複数の電極要素からなり、各電極要素が、腎動脈の壁部分または腎動脈を神経支配する神経に係合して電気的に刺激するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0988】
16.電極配置が支持構造体の表面部分上に配置され、表面部分が腎動脈の壁部分上または腎動脈を神経支配する神経上に配置されるように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0989】
17.支持構造が、腎動脈の壁部分または腎動脈を支配する神経の周囲に少なくとも部分的に配置されるように構成されたカフ部分を備える、態様16に記載のシステム。
【0990】
18.電極配置がカフの内面に配置されている、態様17によるシステム。
【0991】
19.電極配置が、仙骨神経を電気的に刺激するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0992】
20.前記制御ユニットが、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるためのパルス電気刺激信号を生成するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0993】
21.電気刺激信号が、30Hz以下、例えば5~25Hz、例えば10~20Hzの周波数を含む、態様20に記載のシステム。
【0994】
22.電気刺激信号が0.01~1msのパルス幅を含む、態様20または21に記載のシステム。
【0995】
23.電気刺激信号が1~15mAのパルス振幅からなる、態様20から22のいずれかに記載のシステム。
【0996】
24.刺激装置と脊髄との間の位置で、腎動脈を神経支配する神経に配置されるように構成された信号減衰装置をさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【0997】
25.信号減衰装置が、神経に電気減衰信号を送達するように構成された電極配置を備え、電気減衰信号が、刺激装置によって生成された電気刺激信号を少なくとも部分的に打ち消すように構成されている、態様24に記載のシステム。
【0998】
26.信号減衰装置が、信号減衰装置で受信された電気刺激信号を測定し、受信された電気刺激信号に基づいて電気減衰信号を生成するように構成された信号処理手段をさらに備える、態様25に記載のシステム。
【0999】
27.信号減衰装置が、信号減衰装置を通過する電気刺激信号を妨害するための電気スクランブル信号を送出するように構成されている、態様24に記載のシステム。
【1000】
28.刺激装置、センサー、および制御ユニットのうちの少なくとも1つに通電するように構成されたエネルギー源をさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1001】
29.エネルギー源が制御ユニット内に配置されている、態様28に記載のシステム。
【1002】
30.エネルギー源が皮下に移植されるように構成されている、態様28に記載のシステム。
【1003】
31.エネルギー源が、一次電池と二次電池の少なくとも一方からなる、態様28~30のいずれかに記載のシステム。
【1004】
32.制御ユニットは、エネルギー源の機能状態を示すように構成されている、態様28~31のいずれかに記載のシステム。
【1005】
33.機能状態は、エネルギー源の充電レベルを示す、態様32に記載のシステム。
【1006】
34.制御ユニットが、エネルギー源、壁部分、および腎動脈を流れる血液のうちの少なくとも1つの温度を示すように構成されている、態様28~33のいずれかに記載のシステム。
【1007】
35.刺激装置、センサー、および制御ユニットのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの表面上に配置されたコーティング(760)をさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1008】
36.コーティングが少なくとも1層の生体材料を含む、態様35に記載のシステム。
【1009】
37.生体材料が、抗血栓性および/または抗菌性および/または抗血小板特性を有する少なくとも1つの薬物または物質を含む、態様36に記載のシステム。
【1010】
38.生体材料がフィブリンベースである、態様36または37に記載のシステム。
【1011】
39.第1のコーティング上に配置された第2のコーティング(760b)をさらに含む、態様36~39のいずれかに記載のシステム。
【1012】
40.第2のコーティングが、前記第1のコーティングとは異なる生体材料である、態様39に記載のシステム。
【1013】
41.第1のコーティングが、表面に化学的に付着したパーフルオロカーボン層からなり、第2のコーティングが、液体パーフルオロカーボン層からなる、態様40に記載のシステム。
【1014】
42.コーティングが、多孔性材料中にカプセル化された薬物を含む、態様36~41のいずれか1つに記載のシステム。
【1015】
43.表面が金属からなる、態様36~42のいずれか1つに記載のシステム。
【1016】
44.金属が、チタン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、スズおよび鉛のうちの少なくとも1つを含む、態様43に記載のシステム。
【1017】
45.表面がマイクロパターンからなる、態様36~44のいずれかに記載のシステム。
【1018】
46.マイクロパターンが、身体への挿入前に表面にエッチングされる、態様45によるシステム。
【1019】
51.マイクロパターン上にコーティングされた生体材料の層をさらに含む、45または46に記載のシステム。
【1020】
52.ディスプレイデバイスと、前述のいずれかの態様によるシステムとの間の通信を可能にするための通信システムであって、該通信システムは、以下を含む:
ディスプレイ装置、
サーバーと、
外部機器、
ここで、ディスプレイ装置は、以下を備える:
サーバーからインプラント制御インターフェースを無線で受信するように構成された無線通信ユニットであって、インプラント制御インターフェースは外部装置によって提供され、無線通信ユニットはさらに、外部装置向けのインプラント制御ユーザー入力をサーバーに無線で送信するように構成されている、
受信したインプラント制御インターフェースを表示するためのディスプレイと
ユーザーからのインプラント制御入力を受け付ける入力装置;
ここで、サーバーは、以下を備える:
外部装置からインプラント制御インターフェースを無線受信し、インプラント制御インターフェースをディスプレイ装置に無線送信するように構成された無線通信ユニットであって、該無線通信ユニットはさらに、ディスプレイ装置からインプラント制御ユーザー入力を無線受信し、インプラント制御ユーザー入力を外部装置に無線送信するように構成された無線通信ユニットと
ここで、外部装置は、以下を備える:
システムに制御コマンドを無線送信するように構成され、サーバと無線通信するように構成された無線通信ユニットと、
以下のように構成されたコンピューティングユニット:
システム操作のための制御コマンドを作成するための制御ソフトウェアを実行する、
ディスプレイ装置向けの制御インターフェースをサーバーに送信する、
前記ディスプレイ装置で生成されたインプラント制御ユーザ入力を前記サーバから受信する、
ユーザー入力をシステムに無線送信するための制御コマンドに変換する。
【1021】
態様グループ 381SE2:高血圧_局所_治療_自動
1.高血圧に罹患している患者を治療するためのシステムであって、以下のものを含む:
腎動脈を拡張させるために、患者の腎動脈の壁部分に影響を及ぼす副交感神経に電気刺激信号を送達することができるように構成された電極配置を含む刺激装置であって、副交感神経が、少なくとも脊髄伝達神経番号10の枝からの副交感神経、および椎骨S2~S4、好ましくはS4から発生する尾骨神経の少なくとも1つからなる、;
患者の血圧を示す信号を生成するように構成された植え込み可能なセンサー;および
刺激装置およびセンサー装置に通信可能に接続された制御ユニット;
ここで、制御装置は、センサ装置によって生成された信号に基づいて、電気刺激信号が腎臓の血圧調節に影響を与える腎動脈の制御された血管拡張を引き起こし、一般的な血圧を低下させ、それによって患者の高血圧を間接的に制御するように、刺激装置の動作を制御するように構成される。
【1022】
2.センサーが、患者の血管内に配置されるように構成された圧力センサーからなる、態様1に記載のシステム。
【1023】
3.センサが患者の血管の外壁に配置されるように構成されている、態様1に記載のシステム。
【1024】
4.センサが、血流から血管外壁に伝達される圧脈波を測定するように構成されている、態様3に記載のシステム。
【1025】
5.センサーが、血管外壁のひずみに感応するひずみゲージからなる、態様4によるシステム。
【1026】
6.センサーが、血管の外壁と圧力センサーとの間の押圧力に感応する接触圧力センサーからなる、態様4または5によるシステム。
【1027】
7.センサーが、血管内の血圧を測定するように構成されたドップラーレーダーセンサーからなる、態様3に記載のシステム。
【1028】
8.センサーが光源と光センサーからなり、信号が光源と光センサー間の光結合効率に基づく、態様1に記載のシステム。
【1029】
9.センサが、患者の循環系の一部における血管抵抗を示す信号を生成するように構成されている、態様1に記載のシステム。
【1030】
10.センサーが、血管を通る流れを示す信号を発生するように構成された流量センサーである、態様9によるシステム。
【1031】
11.前記制御ユニットは、以下のように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム:
センサーによって生成された信号に基づいて推定血圧を決定する;
ここで、決定された血圧は、腎動脈の局所血圧または全身血圧である。
【1032】
12.制御ユニットは、以下のように構成される、態様11に記載のシステム:
推定血圧を所定の限界値と比較する、
推定血圧が限界値未満であることに応答して、腎動脈の血管収縮を引き起こすように刺激装置の動作を制御する、
推定血圧が限界値を超えたことに応答して、腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御する。
【1033】
13.態様11に記載のシステムであって、制御ユニットは、以下のように構成される:
センサによって生成された信号に基づいて推定された血圧を経時的に監視する、
推定された血圧の経時的低下に応答して、腎動脈の血管収縮を引き起こすように刺激装置の動作を制御する、
推定血圧の経時的上昇に応答して、腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御する。
【1034】
14.前記制御ユニットが、外部信号送信機から/外部信号送信機へ通信信号を受信および送信するように構成された内部信号送信機を備える、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1035】
15.電極配置が複数の電極要素からなり、各電極要素が、腎動脈の壁部分または腎動脈を神経支配する神経に係合して電気的に刺激するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1036】
16.電極配置が支持構造体の表面部分上に配置され、表面部分が腎動脈の壁部分上または腎動脈を神経支配する神経上に配置されるように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1037】
17.支持構造が、腎動脈の壁部分または腎動脈を支配する神経の周囲に少なくとも部分的に配置されるように構成されたカフ部分を備える、態様16に記載のシステム。
【1038】
18.電極配置がカフの内面に配置されている、態様17によるシステム。
【1039】
19.電極配置が、仙骨神経を電気的に刺激するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1040】
20.前記制御ユニットが、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるためのパルス電気刺激信号を生成するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1041】
21.電気刺激信号が、30Hz以下、例えば5~25Hz、例えば10~20Hzの周波数を含む、態様20に記載のシステム。
【1042】
22.電気刺激信号が0.01~1msのパルス幅を含む、態様20または21に記載のシステム。
【1043】
23.電気刺激信号が1~15mAのパルス振幅からなる、態様20から22のいずれかに記載のシステム。
【1044】
24.刺激装置と脊髄との間の位置で、腎動脈を神経支配する神経に配置されるように構成された信号減衰装置をさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1045】
25.信号減衰装置が、神経に電気減衰信号を送達するように構成された電極配置を備え、電気減衰信号が、刺激装置によって生成された電気刺激信号を少なくとも部分的に打ち消すように構成されている、態様24に記載のシステム。
【1046】
26.信号減衰装置が、信号減衰装置で受信された電気刺激信号を測定し、受信された電気刺激信号に基づいて電気減衰信号を生成するように構成された信号処理手段をさらに備える、態様25に記載のシステム。
【1047】
27.信号減衰装置が、信号減衰装置を通過する電気刺激信号を妨害するための電気スクランブル信号を送出するように構成されている、態様24に記載のシステム。
【1048】
28.刺激装置、センサー、および制御ユニットのうちの少なくとも1つに通電するように構成されたエネルギー源をさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1049】
29.エネルギー源が制御ユニット内に配置されている、態様28に記載のシステム。
【1050】
30.エネルギー源が皮下に移植されるように構成されている、態様28に記載のシステム。
【1051】
31.エネルギー源が、一次電池と二次電池の少なくとも一方からなる、態様28~30のいずれかに記載のシステム。
【1052】
32.制御ユニットは、エネルギー源の機能状態を示すように構成されている、態様28~31のいずれかに記載のシステム。
【1053】
33.機能ステータスが、エネルギー源の充電レベルを示す、態様32に記載のシステム。
【1054】
34.制御ユニットが、エネルギー源、壁部分、および腎動脈を流れる血液のうちの少なくとも1つの温度を示すように構成されている、態様28~33のいずれかに記載のシステム。
【1055】
35.刺激装置、センサー、および制御ユニットのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの表面上に配置されたコーティング(760)をさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1056】
36.コーティングが少なくとも1層の生体材料を含む、態様35に記載のシステム。
【1057】
37.生体材料が、抗血栓性および/または抗菌性および/または抗血小板特性を有する少なくとも1つの薬物または物質を含む、態様36に記載のシステム。
【1058】
38.生体材料がフィブリンベースである、態様36または37に記載のシステム。
【1059】
39.第1のコーティング上に配置された第2のコーティング(760b)をさらに含む、態様36~39のいずれかに記載のシステム。
【1060】
40.第2のコーティングが、前記第1のコーティングとは異なる生体材料である、態様39に記載のシステム。
【1061】
41.第1のコーティングが、表面に化学的に付着したパーフルオロカーボン層からなり、第2のコーティングが、液体パーフルオロカーボン層からなる、態様40に記載のシステム。
【1062】
42.コーティングが、多孔性材料中にカプセル化された薬物を含む、態様36~41のいずれか1つに記載のシステム。
【1063】
43.表面が金属からなる、態様36~42のいずれか1つに記載のシステム。
【1064】
44.金属が、チタン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、スズおよび鉛のうちの少なくとも1つを含む、態様43に記載のシステム。
【1065】
45.表面がマイクロパターンからなる、態様36~44のいずれかに記載のシステム。
【1066】
46.マイクロパターンが、身体への挿入前に表面にエッチングされる、態様45によるシステム。
【1067】
51.マイクロパターン上にコーティングされた生体材料の層をさらに含む、45または46に記載のシステム。
【1068】
52.ディスプレイデバイスと、前述のいずれかの態様によるシステムとの間の通信を可能にするための通信システムであって、該通信システムは、以下を含む:
ディスプレイ装置、
サーバー、
外部機器、
ここで、ディスプレイ装置は、以下を備える:
サーバーからインプラント制御インターフェースを無線で受信するように構成された無線通信ユニットであって、インプラント制御インターフェースは外部装置によって提供され、無線通信ユニットはさらに、外部装置向けのインプラント制御ユーザー入力をサーバーに無線で送信するように構成されている、
受信したインプラント制御インターフェースを表示するためのディスプレイとm
ユーザーからのインプラント制御入力を受け付ける入力装置;
ここで、サーバーは、以下を備える:
外部装置からインプラント制御インターフェースを無線受信し、インプラント制御インターフェースをディスプレイ装置に無線送信するように構成された無線通信ユニットであって、該無線通信ユニットはさらに、ディスプレイ装置からインプラント制御ユーザー入力を無線受信し、インプラント制御ユーザー入力を外部装置に無線送信するように構成された無線通信ユニットと
ここで、外部装置は、以下を備える:
システムに制御コマンドを無線送信するように構成され、サーバと無線通信するように構成された無線通信ユニットと、
以下のように構成されたコンピューティングユニット:
システム操作のための制御コマンドを作成するための制御ソフトウェアを実行する、
ディスプレイ装置向けの制御インターフェースをサーバーに送信する、
前記ディスプレイ装置で生成されたインプラント制御ユーザ入力を前記サーバから受信する、
ユーザー入力をシステムに無線送信するための制御コマンドに変換する。
【1069】
態様グループ 382SE1:高血圧_局所治療_中止
1.高血圧患者を治療するためのシステムであって、以下のものを含む:
腎動脈の血管運動緊張に影響を与えるために、患者の腎動脈の壁部および腎動脈を支配する副交感神経の少なくとも一方に電気刺激信号を送達することができるように構成された第1の電極配置を含む刺激装置;
患者の組織に電気ダンピング信号を供給するように構成された第2の電極配置を含む信号ダンピング装置;
刺激装置および信号減衰装置に動作可能に接続された制御ユニットであって、電気刺激信号が腎動脈の制御された血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御し、刺激装置によって送達される電気刺激信号を減衰または妨害するように信号減衰装置の動作を制御し、それによって電気刺激の後方伝播および前方伝播の少なくとも一方を減少させるように、制御ユニットが構成されている、制御ユニット。
【1070】
2.第2の電極配置が、神経における電気刺激信号の伝達を減衰または低減するために、腎動脈を神経支配する神経に電気減衰信号を送達するように構成されている、態様1に記載のシステム。
【1071】
3.第2の電極配置が、第1の電極配置と患者の脊髄との間の位置で電気ダンピング信号を供給するように構成されている、態様2に記載のシステム。
【1072】
4.第1および第2の電極配置の少なくとも一方が複数の電極要素からなり、各電極要素が、腎動脈の壁部分または腎動脈を神経支配する神経に係合して電気的に刺激するように構成されている、態様1に記載のシステム。
【1073】
5.第1および第2の電極配置の少なくとも一方が、支持構造体の表面部分上に配置され、表面部分が、腎動脈の壁部分上または腎動脈を神経支配する神経上に配置されるように構成される、態様1に記載のシステム。
【1074】
6.支持構造が、腎動脈の壁部分または腎動脈を支配する神経の周囲に少なくとも部分的に配置されるように構成されたカフを備える、態様5に記載のシステム。
【1075】
7.第1および第2の電極配置の少なくとも一方が、カフの内面に配置されている、態様6に記載のシステム。
【1076】
8.刺激装置および信号減衰装置の各々が、それぞれ、電気刺激信号および電気減衰信号を副交感神経に送達するように構成されている、先の態様のいずれかに記載のシステム。
【1077】
9.前記制御ユニットが、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるためのパルス電気刺激信号を生成するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1078】
10.電気刺激信号が、30Hz以下、例えば5~25Hz、例えば10~20Hzの周波数を含む、態様9に記載のシステム。
【1079】
11.電気刺激信号が0.01~1msのパルス幅からなる、態様9または10に記載のシステム。
【1080】
12.電気刺激信号が1~15mAのパルス振幅からなる、態様9から11のいずれかに記載のシステム。
【1081】
13.前記制御ユニットは、前記電気刺激信号に基づいて前記電気減衰信号を生成するように構成されている場合、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1082】
14.電気ダンピング信号が電気刺激信号と位相がずれている、態様13によるシステム。
【1083】
15.電気刺激信号および電気減衰信号がパルス信号であり、電気減衰信号の周波数が電気刺激信号の周波数よりも高い、態様13に記載のシステム。
【1084】
16.電気ダンピング信号の周波数は、電気刺激信号の周波数の少なくとも2倍である、態様15によるシステム。
【1085】
17.信号減衰装置が、信号減衰装置を通過する電気刺激信号を妨害するための電気スクランブル信号を送出するように構成されている、態様13に記載のシステム。
【1086】
18.信号減衰装置で受信された電気刺激信号を測定し、受信された電気刺激信号に基づいて電気減衰信号を生成するように構成された信号処理手段をさらに備える、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1087】
19.前記制御ユニットは、無線遠隔制御装置と通信可能に接続されるように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1088】
20.制御ユニットが、外部信号送信機から/外部信号送信機へ通信信号を受信および送信するように構成された内部信号送信機を備える、態様19に記載のシステム。
【1089】
21.前記第1および第2の電極配置に通電するためのエネルギー源をさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1090】
22.エネルギー源が皮下に移植されるように構成されている、態様21に記載のシステム。
【1091】
23.エネルギー源が、一次電池と二次電池の少なくとも一方からなる、態様21または22に記載のシステム。
【1092】
24.制御ユニットは、エネルギー源の機能状態を示すように構成されている、態様21から23のいずれかに記載のシステム。
【1093】
25.機能ステータスが、エネルギー源の充電レベルを示す、態様24によるシステム。
【1094】
26.制御ユニットが、エネルギー源、神経、及び神経に隣接する組織の少なくとも一つの温度を示すように構成されている、態様21~25のいずれかに記載のシステム。
【1095】
27.患者の血圧を示す信号を生成するように構成された血圧センサーをさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1096】
28.血圧センサーが、腎動脈の局所血圧を決定するように構成されている、態様27に記載のシステム。
【1097】
29.血圧センサーが全身血圧を決定するように構成されている、態様27または28によるシステム。
【1098】
30.制御ユニットが、血圧センサーによって生成された信号を受信するように構成されている、態様27~29のいずれかに記載のシステム。
【1099】
31.制御装置が、受信信号に基づいて刺激装置の動作を制御するように構成されている、態様30に記載のシステム。
【1100】
32.刺激装置、減衰装置、および制御ユニットのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの表面上に配置されたコーティング(760)をさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1101】
33.コーティングが少なくとも1層の生体材料を含む、態様32に記載のシステム。
【1102】
34.生体材料が、抗血栓性および/または抗菌性および/または抗血小板特性を有する少なくとも1つの薬物または物質を含む、態様33に記載のシステム。
【1103】
35.生体材料がフィブリンベースである、態様33または34に記載のシステム。
【1104】
36.第1のコーティング上に配置された第2のコーティング(760b)をさらに含む、態様33~36のいずれかに記載のシステム。
【1105】
37.第2のコーティングが、前記第1のコーティングとは異なる生体材料である、態様36に記載のシステム。
【1106】
38.第1のコーティングが、表面に化学的に付着したパーフルオロカーボン層からなり、第2のコーティングが、液体パーフルオロカーボン層からなる、態様37に記載のシステム。
【1107】
39.コーティングが、多孔性材料中にカプセル化された薬物を含む、態様36~38のいずれか1つに記載のシステム。
【1108】
40.表面が金属からなる、態様33~39のいずれか1つに記載のシステム。
【1109】
41.金属が、チタン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、スズおよび鉛のうちの少なくとも1つを含む、態様40に記載のシステム。
【1110】
42.表面がマイクロパターンからなる、態様33~41のいずれかに記載のシステム。
【1111】
43.マイクロパターンが、体内への挿入前に表面にエッチングされる、態様42によるシステム。
【1112】
44.マイクロパターン上にコーティングされた生体材料の層をさらに含む、態様42または43に記載のシステム。
【1113】
45.ディスプレイ・デバイスと、前述のいずれかの態様によるシステムとの間の通信を可能にするための通信システムであって、該通信システムは、以下を含む:
ディスプレイ装置、
サーバー、
外部機器、
ここで、ディスプレイ装置は、以下を備える:
サーバーからインプラント制御インターフェースを無線で受信するように構成された無線通信ユニットであって、インプラント制御インターフェースは外部装置によって提供され、無線通信ユニットはさらに、外部装置向けのインプラント制御ユーザー入力をサーバーに無線で送信するように構成されている、
受信したインプラント制御インターフェースを表示するためのディスプレイと、
ユーザーからのインプラント制御入力を受け付ける入力装置;
ここで、サーバーは、以下を備える:
外部装置からインプラント制御インターフェースを無線受信し、インプラント制御インターフェースをディスプレイ装置に無線送信するように構成された無線通信ユニットであって、該無線通信ユニットはさらに、ディスプレイ装置からインプラント制御ユーザー入力を無線受信し、インプラント制御ユーザー入力を外部装置に無線送信するように構成された無線通信ユニットと、
ここで、外部装置は、以下を備える:
システムに制御コマンドを無線送信するように構成され、サーバと無線通信するように構成された無線通信ユニットと、
以下のように構成されたコンピューティングユニット:
システム操作のための制御コマンドを作成するための制御ソフトウェアを実行する、
ディスプレイ装置向けの制御インターフェースをサーバーに送信する、
前記ディスプレイ装置で生成されたインプラント制御ユーザ入力を前記サーバから受信する、
ユーザー入力をシステムに無線送信するための制御コマンドに変換する。
【1114】
態様グループ382SE2:脊髄伝達神経の刺激
1.脊髄伝達神経を刺激して患者を治療するシステムであって、以下のものを含む:
脊髄伝達神経のいずれかが罹患する疾患を治療するために、患者の少なくとも1つの脊髄伝達神経に電気刺激信号を送達するように構成された第1の電極配置を備える刺激装置;
患者の脳に逆行する方向に分配される刺激を減衰させるための電気減衰信号を供給するように構成された第2の電極配置を含む信号減衰装置;
刺激装置および信号減衰装置に動作可能に接続された制御ユニットであって、電気刺激信号が腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御し、刺激装置によって送達される電気刺激信号を減衰または妨害するように信号減衰装置の動作を制御するように、制御ユニットが構成されている、制御ユニット。
【1115】
2.第2の電極配置が、同じ神経に電気ダンピング信号を送出するように構成され、神経の後方方向への電気刺激信号の伝達を減衰または低減し、脳への刺激を防止する、態様1に記載のシステム。
【1116】
3.第2の電極配置が、第1の電極配置と、刺激される少なくとも1つの脊髄伝達神経の近位位置との間の位置で、電気ダンピング信号を送達するように構成されている、態様2に記載のシステム。
【1117】
4.第1および第2の電極配置の少なくとも一方が複数の電極要素からなり、各電極要素が神経に係合して電気的に刺激するように構成されている、態様1に記載のシステム。
【1118】
5.第1および第2の電極配置の少なくとも一方が、支持構造体の表面部分に配置され、表面部分が、少なくとも1つの脊髄伝達神経上またはその近傍に配置されるように構成されている、態様1に記載のシステム。
【1119】
6.態様5によるシステムであって、支持構造が、少なくとも1つの脊髄伝達神経の周囲に少なくとも部分的に配置されるように構成されたカフを備える、システム。
【1120】
7.第1および第2の電極配置の少なくとも一方が、カフの内面に配置されている、態様6に記載のシステム。
【1121】
8.刺激装置および信号減衰装置の各々が、それぞれ、電気刺激信号および電気減衰信号を、副交感神経および少なくとも1つの脊髄伝達神経のうちの少なくとも1つに送達するように構成されている、先行する態様のいずれかに記載のシステム。
【1122】
9.前記制御ユニットは、副交感神経および少なくとも1つの脊髄伝達神経の少なくとも一方に影響を与えるためのパルス電気刺激信号を生成するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1123】
10.電気刺激信号が、30Hz以下、例えば5~25Hz、例えば10~20Hzの周波数を含む、態様9に記載のシステム。
【1124】
11.電気刺激信号が0.01~1msのパルス幅からなる、態様9または10に記載のシステム。
【1125】
12.電気刺激信号が1~15mAのパルス振幅からなる、態様9から11のいずれかに記載のシステム。
【1126】
13.前記制御ユニットは、前記電気刺激信号に基づいて前記電気減衰信号を生成するように構成されている場合、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1127】
14.電気ダンピング信号が電気刺激信号と位相がずれている、態様13によるシステム。
【1128】
15.電気刺激信号および電気減衰信号がパルス信号であり、電気減衰信号の周波数が電気刺激信号の周波数よりも高い、態様13に記載のシステム。
【1129】
16.電気ダンピング信号の周波数は、電気刺激信号の周波数の少なくとも2倍である、態様15によるシステム。
【1130】
17.信号減衰装置が、信号減衰装置を通過する電気刺激信号を妨害するための電気スクランブル信号を送出するように構成されている、態様13に記載のシステム。
【1131】
18.信号減衰装置で受信された電気刺激信号を測定し、受信された電気刺激信号に基づいて電気減衰信号を生成するように構成された信号処理手段をさらに備える、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1132】
19.前記制御ユニットは、無線遠隔制御装置と通信可能に接続されるように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1133】
20.態様19に記載のシステムであって、制御ユニットは、外部信号送信機から/外部信号送信機へ通信信号を受信および送信するように構成された内部信号送信機を備える、システム。
【1134】
21.前記第1および第2の電極配置に通電するためのエネルギー源をさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1135】
22.エネルギー源が皮下に移植されるように構成されている、態様21に記載のシステム。
【1136】
23.エネルギー源が、一次電池と二次電池の少なくとも一方からなる、態様21または22に記載のシステム。
【1137】
24.制御ユニットは、エネルギー源の機能状態を示すように構成されている、態様21から23のいずれかに記載のシステム。
【1138】
25.機能ステータスが、エネルギー源の充電レベルを示す、態様24によるシステム。
【1139】
26.制御ユニットが、エネルギー源、神経、及び神経に隣接する組織の少なくとも一つの温度を示すように構成されている、態様21~25のいずれかに記載のシステム。
【1140】
27.患者の血圧を示す信号を生成するように構成された血圧センサーをさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1141】
28.血圧センサーが、腎動脈の局所血圧を決定するように構成されている、態様27に記載のシステム。
【1142】
29.血圧センサーが全身血圧を決定するように構成されている、態様27または28によるシステム。
【1143】
30.制御ユニットが、血圧センサーによって生成された信号を受信するように構成されている、態様27~29のいずれかに記載のシステム。
【1144】
31.制御装置が、受信信号に基づいて刺激装置の動作を制御するように構成されている、態様30に記載のシステム。
【1145】
32.刺激装置、減衰装置、および制御ユニットのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの表面上に配置されたコーティング(760)をさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1146】
33.コーティングが少なくとも1層の生体材料を含む、態様32に記載のシステム。
【1147】
34.生体材料が、抗血栓性および/または抗菌性および/または抗血小板特性を有する少なくとも1つの薬物または物質を含む、態様33に記載のシステム。
【1148】
35.生体材料がフィブリンベースである、態様33または34に記載のシステム。
【1149】
36.第1のコーティング上に配置された第2のコーティング(760b)をさらに含む、態様33~36のいずれかに記載のシステム。
【1150】
37.第2のコーティングが、前記第1のコーティングとは異なる生体材料である、態様36に記載のシステム。
【1151】
38.第1のコーティングが、表面に化学的に付着したパーフルオロカーボン層からなり、第2のコーティングが、液体パーフルオロカーボン層からなる、態様37に記載のシステム。
【1152】
39.コーティングが、多孔性材料中にカプセル化された薬物を含む、態様36~38のいずれか1つに記載のシステム。
【1153】
40.表面が金属からなる、態様33~39のいずれか1つに記載のシステム。
【1154】
41.金属が、チタン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、スズおよび鉛のうちの少なくとも1つを含む、態様40に記載のシステム。
【1155】
42.表面がマイクロパターンからなる、態様33~41のいずれかに記載のシステム。
【1156】
43.マイクロパターンが、体内への挿入前に表面にエッチングされる、態様42によるシステム。
【1157】
44.マイクロパターン上にコーティングされた生体材料の層をさらに含む、態様42または43に記載のシステム。
【1158】
45.ディスプレイ・デバイスと、前述のいずれかの態様によるシステムとの間の通信を可能にするための通信システムであって、該通信システムは、以下を含む:
ディスプレイ装置、
サーバー、
外部機器、
ここで、ディスプレイ装置は、以下を備える:
サーバーからインプラント制御インターフェースを無線で受信するように構成された無線通信ユニットであって、インプラント制御インターフェースは外部装置によって提供され、無線通信ユニットはさらに、外部装置向けのインプラント制御ユーザー入力をサーバーに無線で送信するように構成されている、
受信したインプラント制御インターフェースを表示するためのディスプレイと、
ユーザーからのインプラント制御入力を受け付ける入力装置;
ここで、サーバーは、以下を備える:
外部装置からインプラント制御インターフェースを無線受信し、インプラント制御インターフェースをディスプレイ装置に無線送信するように構成された無線通信ユニットであって、該無線通信ユニットはさらに、ディスプレイ装置からインプラント制御ユーザー入力を無線受信し、インプラント制御ユーザー入力を外部装置に無線送信するように構成された無線通信ユニット、
ここで、外部装置は、以下を備える:
システムに制御コマンドを無線送信するように構成され、サーバと無線通信するように構成された無線通信ユニットと、
以下のように構成されたコンピューティングユニット:
システム操作のための制御コマンドを作成するための制御ソフトウェアを実行する、
ディスプレイ装置向けの制御インターフェースをサーバーに送信する、
前記ディスプレイ装置で生成されたインプラント制御ユーザ入力を前記サーバから受信する、
ユーザー入力をシステムに無線送信するための制御コマンドに変換する。
【1159】
46.態様1~45のいずれかに記載のシステムであって、神経刺激を送出する脊髄が、食物通路および関連器官、ならびに体内の他の器官および機能、たとえば以下の少なくとも1つに関連する問題の少なくとも1つを治療するように適合されている、システム:
例えば、眼球、涙腺、粘膜、顎下腺、舌下腺、耳下腺、心臓、気管、気管支、食道、胃、腸、腹部血管、肝臓および胆管、膵臓、副腎、直腸、ならびに尾骨神経を介して腎臓、膀胱、生殖腺、外性器。
【1160】
47.脊髄伝達神経刺激が、高血圧、肥満、泌尿器機能障害、腸機能障害、ホルモンバランスなどを含む多数の疾患を治療するように適合されている、態様1~46のいずれかに記載のシステム。
【1161】
態様グループ382SE3:脊髄神経の刺激
1.脊髄伝達神経を刺激して患者を治療するシステムであって、以下のものを含む:
脊髄伝達神経のいずれかが罹患する疾患を治療するために、患者の少なくとも1つの脊髄伝達神経に電気刺激信号を送達するように構成された第1の電極配置を備える刺激装置;
患者に悪影響を与える可能性のある逆行方向に分布する刺激を患者の脳まで減衰させる電気減衰信号を供給するように構成された第2の電極配置を含む信号減衰装置;
刺激装置および信号減衰装置に動作可能に接続された制御ユニットであって、電気刺激信号が腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御し、刺激装置によって送達される電気刺激信号を減衰または妨害するように信号減衰装置の動作を制御するように、制御ユニットが構成されている、制御ユニット。
【1162】
2.第2の電極配置が、同じ神経に電気ダンピング信号を送出するように構成され、神経の後方方向への電気刺激信号の伝達を減衰または低減し、脳への刺激を防止する、態様1に記載のシステム。
【1163】
3.第2の電極配置が、第1の電極配置と、刺激される少なくとも1つの脊髄伝達神経の近位位置との間の位置で、電気ダンピング信号を送達するように構成されている、態様2に記載のシステム。
【1164】
4.第1および第2の電極配置の少なくとも一方が複数の電極要素からなり、各電極要素が神経に係合して電気的に刺激するように構成されている、態様1に記載のシステム。
【1165】
5.第1および第2の電極配置の少なくとも一方が、支持構造体の表面部分に配置され、表面部分が、少なくとも1つの脊髄伝達神経上またはそれに近接して配置されるように構成されている、態様1に記載のシステム。
【1166】
6.態様5によるシステムであって、支持構造が、少なくとも1つの脊髄伝達神経の周囲に少なくとも部分的に配置されるように構成されたカフを備える、システム。
【1167】
7.第1および第2の電極配置の少なくとも一方が、カフの内面に配置されている、態様6に記載のシステム。
【1168】
8.刺激装置および信号減衰装置の各々が、それぞれ、電気刺激信号および電気減衰信号を、副交感神経および少なくとも1つの脊髄伝達神経の少なくとも一方に送達するように構成されている、先行する態様のいずれかに記載のシステム。
【1169】
9.前記制御ユニットは、副交感神経および少なくとも1つの脊髄伝達神経の少なくとも一方に影響を与えるためのパルス電気刺激信号を生成するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1170】
10.電気刺激信号が、30Hz以下、例えば5~25Hz、例えば10~20Hzの周波数を含む、態様9に記載のシステム。
【1171】
11.電気刺激信号が0.01~1msのパルス幅からなる、態様9または10に記載のシステム。
【1172】
12.電気刺激信号が1~15mAのパルス振幅からなる、態様9から11のいずれかに記載のシステム。
【1173】
13.前記制御ユニットは、前記電気刺激信号に基づいて前記電気減衰信号を生成するように構成されている場合、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1174】
14.電気ダンピング信号が電気刺激信号と位相がずれている、態様13によるシステム。
【1175】
15.電気刺激信号および電気減衰信号がパルス信号であり、電気減衰信号の周波数が電気刺激信号の周波数よりも高い、態様13に記載のシステム。
【1176】
16.電気ダンピング信号の周波数は、電気刺激信号の周波数の少なくとも2倍である、態様15によるシステム。
【1177】
17.信号減衰装置が、信号減衰装置を通過する電気刺激信号を妨害するための電気スクランブル信号を送出するように構成されている、態様13に記載のシステム。
【1178】
18.信号減衰装置で受信された電気刺激信号を測定し、受信された電気刺激信号に基づいて電気減衰信号を生成するように構成された信号処理手段をさらに備える、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1179】
19.前記制御ユニットは、無線遠隔制御装置と通信可能に接続されるように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1180】
20.態様19に記載のシステムであって、制御ユニットは、外部信号送信機から/外部信号送信機へ通信信号を受信および送信するように構成された内部信号送信機を備える、システム。
【1181】
21.前記第1および第2の電極配置に通電するためのエネルギー源をさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1182】
22.エネルギー源が皮下に移植されるように構成されている、態様21に記載のシステム。
【1183】
23.エネルギー源が、一次電池と二次電池の少なくとも一方からなる、態様21または22に記載のシステム。
【1184】
24.制御ユニットは、エネルギー源の機能状態を示すように構成されている、態様21から23のいずれかに記載のシステム。
【1185】
25.機能ステータスが、エネルギー源の充電レベルを示す、態様24によるシステム。
【1186】
26.制御ユニットが、エネルギー源、神経、及び神経に隣接する組織の少なくとも一つの温度を示すように構成されている、態様21~25のいずれかに記載のシステム。
【1187】
27.患者の血圧を示す信号を生成するように構成された血圧センサーをさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1188】
28.血圧センサーが、腎動脈の局所血圧を決定するように構成されている、態様27に記載のシステム。
【1189】
29.血圧センサーが全身血圧を決定するように構成されている、態様27または28によるシステム。
【1190】
30.制御ユニットが、血圧センサーによって生成された信号を受信するように構成されている、態様27~29のいずれかに記載のシステム。
【1191】
31.制御装置が、受信信号に基づいて刺激装置の動作を制御するように構成されている、態様30に記載のシステム。
【1192】
32.刺激装置、減衰装置、および制御ユニットのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの表面上に配置されたコーティング(760)をさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1193】
33.コーティングが少なくとも1層の生体材料を含む、態様32に記載のシステム。
【1194】
34.生体材料が、抗血栓性および/または抗菌性および/または抗血小板特性を有する少なくとも1つの薬物または物質を含む、態様33に記載のシステム。
【1195】
35.生体材料がフィブリンベースである、態様33または34に記載のシステム。
【1196】
36.第1のコーティング上に配置された第2のコーティング(760b)をさらに含む、態様33~36のいずれかに記載のシステム。
【1197】
37.第2のコーティングが、前記第1のコーティングとは異なる生体材料である、態様36に記載のシステム。
【1198】
38.第1のコーティングが、表面に化学的に付着したパーフルオロカーボン層からなり、第2のコーティングが、液体パーフルオロカーボン層からなる、態様37に記載のシステム。
【1199】
39.コーティングが、多孔性材料中にカプセル化された薬物を含む、態様36~38のいずれか1つに記載のシステム。
【1200】
40.表面が金属からなる、態様33~39のいずれか1つに記載のシステム。
【1201】
41.金属が、チタン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、スズおよび鉛のうちの少なくとも1つを含む、態様40に記載のシステム。
【1202】
42.表面がマイクロパターンからなる、態様33~41のいずれかに記載のシステム。
【1203】
43.マイクロパターンが、体内への挿入前に表面にエッチングされる、態様42によるシステム。
【1204】
44.マイクロパターン上にコーティングされた生体材料の層をさらに含む、態様42または43に記載のシステム。
【1205】
45.ディスプレイ・デバイスと、前述のいずれかの態様によるシステムとの間の通信を可能にするための通信システムであって、該通信システムは、以下を含む:
ディスプレイ装置、
サーバー、
外部機器、
ここで、ディスプレイ装置は、以下を備える:
サーバーからインプラント制御インターフェースを無線で受信するように構成された無線通信ユニットであって、インプラント制御インターフェースは外部装置によって提供され、無線通信ユニットはさらに、外部装置向けのインプラント制御ユーザー入力をサーバーに無線で送信するように構成されている、
受信したインプラント制御インターフェースを表示するためのディスプレイと、
ユーザーからのインプラント制御入力を受け付ける入力装置;
ここで、サーバーは、以下を備える:
外部装置からインプラント制御インターフェースを無線受信し、インプラント制御インターフェースをディスプレイ装置に無線送信するように構成された無線通信ユニットであって、該無線通信ユニットはさらに、ディスプレイ装置からインプラント制御ユーザー入力を無線受信し、インプラント制御ユーザー入力を外部装置に無線送信するように構成された無線通信ユニット、
ここで、外部装置は、以下を備える:
システムに制御コマンドを無線送信するように構成され、サーバと無線通信するように構成された無線通信ユニットと、
以下のように構成されたコンピューティングユニット:
システム操作のための制御コマンドを作成するための制御ソフトウェアを実行する、
ディスプレイ装置向けの制御インターフェースをサーバーに送信する、
前記ディスプレイ装置で生成されたインプラント制御ユーザ入力を前記サーバから受信する、
ユーザー入力をシステムに無線送信するための制御コマンドに変換する。
【1206】
46.前記脊髄伝達神経刺激が、食物通路および関連器官、ならびに体内の多くの器官および機能の少なくとも1つに関連する問題の少なくとも1つを治療するように適合されている、前記態様aのいずれかに記載のシステム;眼球、涙腺、粘膜、顎下腺、舌下腺、耳下腺、心臓、気管、気管支、食道、胃、腸、腹部血管、肝臓と胆管、膵臓、副腎、直腸、および尾骨神経:腎臓、膀胱、生殖腺、外性器。
【1207】
47.脊髄伝達神経刺激が、高血圧、肥満、泌尿器機能障害、腸機能障害、ホルモンバランスなどを含む多数の疾患を治療するために適応される、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1208】
態様グループ404SE:高血圧_局所治療_活性化
1.高血圧患者を治療するためのシステムであって、以下のものを含む:
腎動脈の拡張に影響を与えるために、患者の腎動脈の壁部および腎動脈を支配する副交感神経の少なくとも一方に電気刺激信号を送達することができるように構成された電極配置を含む刺激装置;
電極配置に通電するように構成された植え込み可能エネルギー受信機;
エネルギー受信機にワイヤレスでエネルギーを伝送するように構成されたエネルギー源;および
刺激装置に操作可能に接続された制御ユニット;
ここで、制御ユニットは、電気刺激信号が腎動脈の制御された血管拡張を引き起こすように、刺激装置の動作を制御するように構成される。
【1209】
2.エネルギー受信機が、エネルギー源から無線送信されたエネルギーを受信するように構成された誘導コイル配置を備える、態様1に記載のシステム。
【1210】
3.エネルギー源が患者の体外に配置されるように構成されている、態様1または2に記載のシステム。
【1211】
4.エネルギー源が患者に植え込まれるように構成されている、態様1又は2に記載のシステム。
【1212】
5.エネルギー源が、患者の体外から無線で転送されるエネルギーによって充電されるように構成されている、態様4によるシステム
6.制御ユニットが、刺激装置の動作を制御するための制御命令を生成し、制御命令を患者の体外から刺激装置に無線送信するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1213】
7.制御ユニットが、患者の体外に配置されるように構成された体外部品と、患者に植え込まれるように構成された体内部品とを備え、体内部品と体外部品とが互いに無線通信するように構成されている、態様6に記載のシステム。
【1214】
8.内部部品と外部部品が、高周波信号または誘導信号によって互いに通信するように構成されている、態様7に記載のシステム。
【1215】
9.さらに以下のものを含む、先行する態様のいずれかに記載のシステム:
腎動脈の血管拡張を示す信号を生成するように構成されたセンサー;
ここで、前記制御ユニットは、前記センサデバイスと通信可能に接続されており、センサー装置によって生成された信号に基づいて刺激装置の動作を制御するように構成される。
【1216】
10.センサーが、壁部分の電気刺激に応答して、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張の変化を測定するように構成されている、態様9に記載のシステム。
【1217】
11.センサーが、腎動脈の血管拡張の程度を測定するように構成されている、態様9に記載のシステム。
【1218】
12.センサーが、腎動脈を通る血液の流れを測定するように構成されている、態様9に記載のシステム。
【1219】
13.センサーが患者の血圧を測定するように構成されている、態様9によるシステム。
【1220】
14.センサーが、患者の血管内に配置されるように構成された圧力センサーからなる、態様9によるシステム。
【1221】
15.センサーが患者の血管の外壁に配置されるように構成されている、態様9によるシステム。
【1222】
16.センサーが、血流から血管外壁に伝達される圧脈波を測定するように構成されている、態様15によるシステム。
【1223】
17.センサーが、血管外壁のひずみに感応するひずみゲージからなる、態様15によるシステム。
【1224】
18.センサーが、血管の外壁と圧力センサーとの間の押圧力に感応する接触圧力センサーからなる、態様15または16によるシステム。
【1225】
19.センサーが光源と光センサーからなり、信号が光源と光センサー間の光結合効率に基づく、態様15に記載のシステム。
【1226】
20.センサが、患者の循環系の一部における血管抵抗を示す信号を生成するように構成されている、態様9に記載のシステム。
【1227】
21.態様9~20のいずれかに記載のシステムであって、制御ユニットは、以下のように構成される、
センサーによって生成された信号に基づいて推定血圧を決定する;
ここで、決定された血圧は、腎動脈の局所血圧または全身血圧である。
【1228】
22.態様21に記載のシステムであって、制御ユニットは、以下のように構成される、
推定血圧を所定の限界値と比較する、
推定血圧が限界値未満であることに応答して、腎動脈の血管収縮を引き起こすように刺激装置の動作を制御する、
推定血圧が限界値を超えたことに応答して、腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御する。
【1229】
23.態様21に記載のシステムであって、制御ユニットは、以下のように構成される:
センサによって生成された信号に基づいて推定された血圧を経時的に監視する、
推定された血圧の経時的低下に応答して、腎動脈の血管収縮を引き起こすように刺激装置の動作を制御する、
推定血圧の経時的上昇に応答して、腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御する。
【1230】
24.電極配置が複数の電極要素からなり、各電極要素が、腎動脈の壁部分または腎動脈を神経支配する神経に係合して電気的に刺激するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1231】
25.電極配置が、仙骨神経を電気的に刺激するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1232】
26.前記制御ユニットが、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるためのパルス電気刺激信号を生成するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1233】
27.電気刺激信号が、以下の少なくとも1つを含む、態様26に記載のシステム:
周波数30Hz以下、例えば5~25Hz、例えば10~20Hz、
0.01~1msのパルス幅、
1~15mAのパルス振幅。
【1234】
28.刺激装置と脊髄との間の位置で、副交感神経に配置されるように構成された信号減衰装置をさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1235】
29.信号減衰装置が、電気減衰信号を副交感神経に送達するように構成された電極配置を備え、電気減衰信号が、刺激装置によって生成された電気刺激信号を少なくとも部分的に打ち消すように構成されている、態様28に記載のシステム。
【1236】
30.信号減衰装置が、信号減衰装置で受信された電気刺激信号を測定し、受信された電気刺激信号に基づいて電気減衰信号を生成するように構成された信号処理手段をさらに備える、態様29に記載のシステム。
【1237】
31.刺激装置が、副交感神経系、例えば、脊椎骨S2~S4、好ましくはS4に由来する脊髄伝達神経番号10および尾骨神経の少なくとも枝を刺激するように適合されている、先行する態様のいずれかに記載のシステム。
【1238】
32.刺激装置が、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を及ぼすように適合されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1239】
態様グループ405SE:高血圧_地域治療_コミュニケーション
1.高血圧患者を治療するためのシステムであって、以下のものを含む:
腎動脈の血管運動緊張に影響を与えるために、患者の腎動脈の壁部および腎動脈を支配する副交感神経の少なくとも一方に電気刺激信号を送達することができるように構成された電極配置を含む刺激装置;
電極配置に通電するように構成されたエネルギー源;および、
刺激装置に操作可能に接続された制御ユニット;
ここで、制御ユニットは、以下のように構成される:
電気刺激信号が腎動脈の制御された血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御するための制御命令を生成する、
制御指示を無線で刺激装置に送信する。
【1240】
2.制御ユニットが、患者の体外に配置されるように構成された体外部品と、患者に植え込まれるように構成された体内部品とを備え、体内部品と体外部品とが互いに無線通信するように構成されている、態様1に記載のシステム。
【1241】
3.内部部品と外部部品が、高周波信号または誘導信号によって互いに通信するように構成されている、態様2に記載のシステム。
【1242】
4.エネルギー源は、患者の体外に配置され、エネルギーを電極配置に無線で伝達することによって電極配置に通電するように構成されている、先の態様のいずれかに記載のシステム。
【1243】
5.エネルギー源から無線で転送されるエネルギーを受信し、受信したエネルギーを電極配置に送信するように構成された植え込み可能エネルギー受信機をさらに含む、態様4に記載のシステム。
【1244】
6.植え込み可能エネルギー受信機が、エネルギー源から無線送信されたエネルギーを受信するように構成された誘導コイル配置を備える、態様5に記載のシステム。
【1245】
7.エネルギー源が患者に植え込まれるように構成されている、態様1に記載のシステム。
【1246】
8.エネルギー源が、患者の体外から無線で転送されるエネルギーによって充電されるように構成されている、態様7に記載のシステム。
【1247】
9.患者の体外から無線で転送されるエネルギーを受信し、受信したエネルギーを患者に植え込まれたエネルギー源に送信するように構成された植え込み可能なエネルギー受信機をさらに含む、態様8によるシステム。
【1248】
10.態様9に記載のシステムであって、植え込み可能なエネルギー受信部は、無線送信されたエネルギーを受信するように構成された誘導コイル配置を備える、システム。
【1249】
11.さらに、以下のものを含む、先行する態様のいずれかに記載のシステム:
腎動脈の血管拡張を示す信号を生成するように構成されたセンサー;
ここで、前記制御ユニットは、前記センサデバイスと通信可能に接続されており、センサー装置によって生成された信号に基づいて刺激装置の動作を制御するように構成される。
【1250】
12.センサーが、壁部分の電気刺激に応答して、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張の変化を測定するように構成されている、態様11に記載のシステム。
【1251】
13.センサーが、腎動脈の血管拡張の程度を測定するように構成されている、態様11に記載のシステム。
【1252】
14.センサーが、腎動脈を通る血液の流れを測定するように構成されている、態様11に記載のシステム。
【1253】
15.センサが患者の血圧を測定するように構成されている、態様11によるシステム。
【1254】
16.センサーが、患者の血管内に配置されるように構成された圧力センサーからなる、態様11によるシステム。
【1255】
17.センサが患者の血管の外壁に配置されるように構成されている、態様11によるシステム。
【1256】
18.センサーが、血流から血管外壁に伝達される圧脈波を測定するように構成されている、態様17によるシステム。
【1257】
19.センサーが、血管外壁のひずみに感応するひずみゲージからなる、態様17によるシステム。
【1258】
20.センサーが、血管の外壁と圧力センサーとの間の押圧力に感応する接触圧力センサーからなる、態様19または20によるシステム。
【1259】
21.センサーが光源と光センサーからなり、信号が光源と光センサー間の光結合効率に基づく、態様11に記載のシステム。
【1260】
22.センサが、患者の循環系の一部における血管抵抗を示す信号を生成するように構成されている、態様11に記載のシステム。
【1261】
23.制御ユニットは、以下のように構成される、態様11~22のいずれかに記載のシステム:
センサーによって生成された信号に基づいて推定血圧を決定する;
ここで、決定された血圧は、腎動脈の局所血圧または全身血圧である。
【1262】
24.態様23に記載のシステムであって、制御ユニットは、以下のように構成される、システム:
推定血圧を所定の限界値と比較する、
推定血圧が限界値未満であることに応答して、腎動脈の血管収縮を引き起こすように刺激装置の動作を制御する、
推定血圧が限界値を超えたことに応答して、腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御する。
【1263】
25.態様23に記載のシステムであって、制御ユニットは、以下のように構成される、システム:
センサによって生成された信号に基づいて推定された血圧を経時的に監視する、
推定された血圧の経時的低下に応答して、腎動脈の血管収縮を引き起こすように刺激装置の動作を制御する、
推定血圧の経時的上昇に応答して、腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御する。
【1264】
26.電極配置が複数の電極要素からなり、各電極要素が、腎動脈の壁部分または腎動脈を神経支配する神経に係合して電気的に刺激するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1265】
27.電極配置が、仙骨神経を電気的に刺激するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1266】
28.前記制御ユニットが、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるためのパルス電気刺激信号を生成するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1267】
29.電気刺激信号が、以下の少なくとも1つを含む、態様28に記載のシステム:
周波数30Hz以下、例えば5~25Hz、例えば10~20Hz、
0.01~1msのパルス幅、
1~15mAのパルス振幅。
【1268】
30.刺激装置と脊髄との間の位置で、副交感神経に配置されるように構成された信号減衰装置をさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1269】
31.信号減衰装置が、電気減衰信号を副交感神経に送達するように構成された電極配置を備え、電気減衰信号が、刺激装置によって生成された電気刺激信号を少なくとも部分的に打ち消すように構成されている、態様30によるシステム。
【1270】
32.信号減衰装置が、信号減衰装置で受信された電気刺激信号を測定し、受信された電気刺激信号に基づいて電気減衰信号を生成するように構成された信号処理手段をさらに備える、態様31に記載のシステム。
【1271】
33.刺激装置が、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を及ぼすように構成されている、先行する態様のいずれかに記載のシステム。
【1272】
態様・グループ 406SE:高血圧症_長期化_保持
1.高血圧患者を治療するためのシステムであって、以下のものを含む:
腎動脈の血管運動緊張に影響を与えるために、患者の腎動脈の壁部および腎動脈を支配する副交感神経の少なくとも一方に電気刺激信号を送達することができるように構成された電極配置を含む刺激装置;
電極配置に通電するように構成されたエネルギー源;
刺激装置に動作可能に接続された制御ユニットと
保持装置の長さ方向が腎動脈の流れ方向に沿って延びるように、腎動脈の外壁に取り付けられるように構成された細長い保持装置であって、保持装置が、電極配置が壁部分に電気刺激信号を送達することを可能にするように電極配置を支持するようにさらに構成されている、保持装置;
ここで、制御ユニットは、電気刺激信号が腎動脈の制御された血管拡張を引き起こすように、刺激装置の動作を制御するように構成される。
【1273】
2.電極配置が、保持装置の表面部分に取り付けられ、腎動脈の外壁に対して静止するように構成されている、態様1に記載のシステム。
【1274】
3.保持装置を腎動脈に固定するように構成された取り付け装置をさらに含む、態様1または2に記載のシステム。
【1275】
4.付属装置が、腎動脈に縫合されるように構成された縫合糸と、腎動脈を少なくとも部分的に包囲するように構成されたクランプ装置との少なくとも一方を備える、態様3に記載のシステム。
【1276】
5.付属装置が、保持装置および腎動脈の外側の組織部分に取り付けられるように構成されている、態様3に記載のシステム。
【1277】
6.保持装置が可撓性である、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1278】
7.エネルギー源および制御ユニットの少なくとも一方が、保持装置に収容されている、先行する態様のいずれかに記載のシステム。
【1279】
8.電極配置が複数の電極要素からなり、各電極要素が、腎動脈の壁部分または腎動脈を神経支配する神経に係合して電気的に刺激するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1280】
9.電極配置が、仙骨神経を電気的に刺激するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1281】
10.前記制御ユニットが、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるためのパルス電気刺激信号を生成するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1282】
11.電気刺激信号が以下の少なくとも1つを含む、態様10に記載のシステム:
周波数30Hz以下、例えば5~25Hz、例えば10~20Hz、
0.01~1msのパルス幅、
1~15mAのパルス振幅。
【1283】
12.刺激装置と脊髄との間の位置で、副交感神経に配置されるように構成された信号減衰装置をさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1284】
13.信号減衰装置が、電気減衰信号を副交感神経に送達するように構成された電極配置を備え、電気減衰信号が、刺激装置によって生成された電気刺激信号を少なくとも部分的に打ち消すように構成されている、態様12によるシステム。
【1285】
14.信号減衰装置が、信号減衰装置で受信された電気刺激信号を測定し、受信された電気刺激信号に基づいて電気減衰信号を生成するように構成された信号処理手段をさらに備える、態様13に記載のシステム。
【1286】
15.患者の血圧を示す信号を生成するように構成された血圧センサーをさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1287】
16.制御ユニットは、信号に基づいて刺激装置の動作を制御するように構成されている、態様15に記載のシステム。
【1288】
17.前記刺激装置が、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を及ぼすように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム
態様・グループ 407SE:高血圧_対応_カフ
1.高血圧に罹患している患者を治療するためのシステムであって、以下のものを含む:
腎動脈の血管運動緊張に影響を与えるために、患者の腎動脈の壁部および腎動脈を支配する副交感神経の少なくとも一方に電気刺激信号を送達することができるように構成された電極配置を含む刺激装置;
電極配置に通電するように構成されたエネルギー源;
刺激装置に動作可能に接続され、電気刺激信号が腎動脈の制御された血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御するように構成された制御ユニット;および
前記電極配置が前記壁部分に電気刺激信号を送達できるように、前記電極配置を前記腎動脈の外壁で支持するように構成された保持装置、
ここで、保持装置は、腎動脈が通る通路を少なくとも部分的に画定するように構成されている;および
ここで、保持装置は、通路の幅が、血管拡張が増加するにつれて増加し、血管拡張が減少するにつれて減少するように、腎動脈の幅の変化に追従するように構成される。
【1289】
2.保持装置が、腎動脈の外壁に対して静止し、血管拡張に応答して腎動脈の幅が変化する際に外壁の動きに追従するように構成された可撓性部分を備える、態様1に記載のシステム。
【1290】
3.保持装置が、腎動脈を少なくとも部分的に包囲するように配置されたカフを備える、態様1に記載のシステム。
【1291】
4.カフが、変化する容積を有し、腎動脈の外壁部分に対して静止するように構成された少なくとも1つのアバットメント要素を備える、態様3に記載のシステム。
【1292】
5.アバットメント要素が、血管拡張に伴って変化する腎動脈の幅に応答してその容積を変化させるように構成された膨張可能要素を備える、態様4に記載のシステム。
【1293】
6.アバットメント要素が、調節可能な容積を有する空気圧または液圧要素からなる、態様4または5に記載のシステム。
【1294】
7.流体リザーバをさらに備え、空気圧要素または液圧要素が流体リザーバに流体接続されている、態様6に記載のシステム。
【1295】
8.保持装置と腎動脈の外壁との間の接触圧力を示す信号を発生するように感知するように配置された圧力センサー装置をさらに含み、制御ユニットが、保持装置の通路の幅を圧力センサーからの信号に基づいて変化させるようにさらに構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1296】
9.制御装置が、血管拡張によって腎動脈の幅が変化しても、保持装置と外壁との間の接触圧を実質的に一定に維持するように保持装置を操作するように構成されている、態様8に記載のシステム。
【1297】
10.制御装置が、センサー装置によって生成された信号に基づいて刺激装置の動作を制御するように構成されている、態様8に記載のシステム。
【1298】
11.患者の血圧を示す信号を生成するように構成されたセンサーをさらに含み;制御装置が、センサー装置によって生成された信号に基づいて刺激装置の動作を制御するように構成されている、態様1に記載のシステム。
【1299】
12.センサーが保持装置に内蔵されている、態様11によるシステム。
【1300】
13.センサーが、腎動脈内の血流から腎動脈の外壁に伝達される圧脈波を測定するように構成されている、態様12に記載のシステム。
【1301】
14.センサーが、腎動脈の外壁と圧力センサーとの間の押圧力に感応する接触圧力センサーからなる、態様12または13によるシステム。
【1302】
15.センサーが、腎動脈の外壁のひずみに感応するひずみゲージからなる、態様11~13のいずれかに記載のシステム。
【1303】
16.センサーが光源と光センサーからなり、信号が光源と光センサー間の光結合効率に基づく、態様11~15のいずれかに記載のシステム。
【1304】
17.センサーが、腎動脈を通る流れを示す信号を発生するように構成された流量センサーである、態様11に記載のシステム。
【1305】
18.センサが、患者の循環系の一部における血管抵抗を示す信号を生成するように構成されている、態様11に記載のシステム。19.制御ユニットが、以下のように構成されている、態様11~18のいずれかに記載のシステム:
センサーによって生成された信号に基づいて推定血圧を決定する;
ここで、決定された血圧は、腎動脈の局所血圧または全身血圧である。
【1306】
20.態様19に記載のシステムであって、制御ユニットは、以下のように構成される、システム:
推定血圧を所定の限界値と比較する、
推定血圧が限界値未満であることに応答して、腎動脈の血管収縮を引き起こすように刺激装置の動作を制御する、
推定血圧が限界値を超えたことに応答して、腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御する。
【1307】
21.態様19に記載のシステムであって、制御ユニットは、以下のように構成される:
センサによって生成された信号に基づいて推定された血圧を経時的に監視する、
推定された血圧の経時的低下に応答して、腎動脈の血管収縮を引き起こすように刺激装置の動作を制御し;そして
推定血圧の経時的上昇に応答して、腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御する。
【1308】
22.前記制御ユニットが、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えるためのパルス電気刺激信号を生成するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1309】
23.電気刺激信号が、以下の少なくとも1つを含む、態様22に記載のシステム:
周波数30Hz以下、例えば5~25Hz、例えば10~20Hz、
0.01~1msのパルス幅、
1~15mAのパルス振幅。
【1310】
24.刺激装置と脊髄との間の位置で、腎動脈を神経支配する神経に配置されるように構成された信号減衰装置をさらに含む、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1311】
25.信号減衰装置が、神経に電気減衰信号を送達するように構成された電極配置を備え、電気減衰信号が、刺激装置によって生成された電気刺激信号を少なくとも部分的に打ち消すように構成されている、態様24に記載のシステム。
【1312】
26.信号減衰装置が、信号減衰装置で受信された電気刺激信号を測定し、受信された電気刺激信号に基づいて電気減衰信号を生成するように構成された信号処理手段をさらに備える、態様25によるシステム。
【1313】
27.前記刺激装置が、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を及ぼすように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム
態様・グループ408SE:高血圧症_暖房器具
1.高血圧患者を治療するためのシステムであって、以下のものを含む:
患者の腎動脈内に植え込まれるように構成された加熱部材を有する刺激装置であって
刺激装置に通電するように構成された植え込み可能なエネルギー源;および
刺激装置に操作可能に接続された制御ユニット;
ここで、制御ユニットは、加熱部材と腎動脈の壁部分との間で熱が交換され、腎動脈の制御された収縮を引き起こすように、刺激装置の動作を制御するように構成される。
【1314】
2.エネルギー源が腎動脈内に移植されるように構成されている、態様1に記載のシステム。
【1315】
3.エネルギー源が加熱部材に組み込まれている、態様2に記載のシステム。
【1316】
4.エネルギー源が、腎動脈の外部から伝達されるエネルギーによって充電されるように構成されている、態様2または3に記載のシステム。
【1317】
5.エネルギー源が、腎動脈外から無線で伝達されるエネルギーによって充電されるように構成されている、態様4に記載のシステム。
【1318】
6.加熱部材が、腎動脈の外部から伝達されるエネルギーによって加熱されるように構成されている、態様1に記載のシステム。
【1319】
7.加熱部材が、有線接続によって腎動脈の外部から伝達されるエネルギーによって加熱されるように構成されている、態様6に記載のシステム。
【1320】
8.加熱部材が、腎動脈の外部から伝達されるエネルギーによって誘導加熱されるように構成されている、態様6に記載のシステム。
【1321】
9.加熱部材が、腎動脈の内面に対して静止するように構成された外面を有する管状形状を有する、先行する態様のいずれかに記載のシステム。
【1322】
10.加熱部材が、腎動脈の血流が通過させられる通路を画定し、加熱部材が、通路の幅が血管拡張の増加に伴って増加し、血管拡張の減少に伴って減少するように、腎動脈の幅の変化に追従するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1323】
11.加熱部材が、加熱部材が腎動脈の幅の変化に追従できるように構成された可撓性部分を備える、態様10に記載のシステム。
【1324】
12.加熱部材が、加熱部材の変化する温度に応答して通路の幅を変化させるように構成された形状記憶材料からなり、それによって加熱部材が腎動脈の幅の変化に追従することを可能にする、態様10によるシステム。
【1325】
13.加熱部材が、その上で線維性組織の成長を促進するように構成された生体適合性材料からなる、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1326】
14.加熱部材が、腎動脈に移植されたときに、少なくとも部分的に線維組織によって封入されるように構成されている、態様13に記載のシステム。
【1327】
15.加熱部材が、腎動脈の内表面に固定されるように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1328】
16.加熱部材が、縫合糸またはステープルによって内面に固定されるように構成されている、態様15に記載のシステム。
【1329】
17.さらに以下のものを含む、先行する態様のいずれかに記載のシステム:
腎動脈の血管拡張を示す信号を生成するように構成されたセンサー;
ここで、前記制御ユニットは、前記センサデバイスと通信可能に接続されており、センサー装置によって生成された信号に基づいて刺激装置の動作を制御するように構成される。
【1330】
18.センサーが、腎動脈を通る血液の流れを測定するように構成されている、態様17に記載のシステム。
【1331】
19.センサが患者の血圧を測定するように構成されている、態様17によるシステム。
【1332】
20.センサーが、患者の血管内に配置されるように構成された圧力センサーからなる、態様17によるシステム。
【1333】
21.センサーが患者の血管の外壁に配置されるように構成されている、態様17によるシステム。
【1334】
22.センサーが、血流から血管外壁に伝達される圧脈波を測定するように構成されている、態様21に記載のシステム。
【1335】
23.センサーが、血管外壁のひずみに感応するひずみゲージからなる、態様21によるシステム。
【1336】
24.センサーが、血管の外壁と圧力センサーとの間の押圧力に感応する接触圧力センサーからなる、態様21または22によるシステム。
【1337】
25.センサーが光源と光センサーからなり、信号が光源と光センサーの間の光結合効率に基づく、態様17によるシステム。
【1338】
26.センサが、患者の循環系の一部における血管抵抗を示す信号を生成するように構成されている、態様17に記載のシステム。
【1339】
27.態様17~26のいずれかに記載のシステムであって、制御ユニットは、以下のように構成される、
センサーによって生成された信号に基づいて推定血圧を決定する;
ここで、決定された血圧は、腎動脈の局所血圧または全身血圧である。
【1340】
28.態様27に記載のシステムであって、制御ユニットは、以下のように構成される:
推定血圧を所定の限界値と比較する、
推定血圧が限界値未満であることに応答して、腎動脈の血管収縮を引き起こすように刺激装置の動作を制御する、
推定血圧が限界値を超えたことに応答して、腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御する。
【1341】
29.態様27に記載のシステムであって、制御ユニットは、以下のように構成される:
センサによって生成された信号に基づいて推定された血圧を経時的に監視する、
推定された血圧の経時的低下に応答して、腎動脈の血管収縮を引き起こすように刺激装置の動作を制御する、
推定血圧の経時的上昇に応答して、腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御する。
【1342】
態様・グループ409SE:高血圧症_管腔内拡張
1.高血圧患者を治療するためのシステムであって、以下のものを含む:
患者の腎動脈内に植え込まれ、腎動脈の内周面の少なくとも一部に係合するように構成された拡張部材を有する拡張装置であって、拡張部材は、腎動脈の幅を広げるように拡張可能である、拡張装置;
拡張装置に通電するように構成された植え込み可能なエネルギー源;および
拡張装置に操作可能に接続された制御ユニット;
ここで、制御ユニットは、腎動脈の制御された血管拡張を誘導するために拡張装置の動作を制御するように構成される。
【1343】
2.エネルギー源が腎動脈内に移植されるように構成されている、態様1に記載のシステム。
【1344】
3.エネルギー源が膨張部材に内蔵されている、態様2に記載のシステム。
【1345】
4.エネルギー源が、腎動脈の外部から伝達されるエネルギーによって充電されるように構成されている、態様2または3に記載のシステム。
【1346】
5.エネルギー源が、腎動脈外から無線で伝達されるエネルギーによって充電されるように構成されている、態様4に記載のシステム。
【1347】
6.拡張部材が、腎動脈の外部から伝達されるエネルギーによって動力を供給されるように構成されている、態様1に記載のシステム。
【1348】
7.拡張部材が、有線接続によって腎動脈の外部から伝達されるエネルギーによって電力を供給されるように構成されている、態様6に記載のシステム。
【1349】
8.拡張部材が、腎動脈の外部から伝達されるエネルギーによって誘導的に動力を与えられるように構成されている、態様6に記載のシステム。
【1350】
9.膨張部材が、機械的、液圧的、または熱的作用によって作動するように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1351】
10.拡張部材の動作を制御するように構成された操作装置をさらに備える、態様9に記載のシステム。
【1352】
11.操作装置が、膨張部材と流体連通する液圧リザーバを備える、態様10に記載のシステム。
【1353】
12.膨張部材が、膨張部材の温度の変化に応答して膨張部材の形状を変化させるように構成された形状記憶材料を含む、態様9に記載のシステム。
【1354】
13.拡張部材が、腎動脈の内面に対して静止するように構成された外面を有する管状形状を有する、先行する態様のいずれかに記載のシステム。
【1355】
14.拡張部材が、腎動脈の血流が通過させられる通路を画定し、拡張部材が、通路の幅を増大させることによって血管拡張を引き起こすように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1356】
15.拡張部材が、その上で線維性組織の成長を促進するように構成された生体適合性材料からなる、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1357】
16.拡張部材が、腎動脈に移植されたときに、少なくとも部分的に線維組織によって封入されるように構成されている、態様15に記載のシステム。
【1358】
17.拡張部材が、腎動脈の内面に固定されるように構成されている、前記態様のいずれかに記載のシステム。
【1359】
18.拡張部材が、縫合糸またはステープルによって内面に固定されるように構成されている、態様17に記載のシステム。
【1360】
19.さらに以下のものを含む、先行する態様のいずれかに記載のシステム:
腎動脈の血管拡張を示す信号を生成するように構成されたセンサー;
ここで、前記制御ユニットは、前記センサデバイスと通信可能に接続されており、センサー装置によって生成された信号に基づいて刺激装置の動作を制御するように構成される。
【1361】
20.センサーが、腎動脈を通る血液の流れを測定するように構成されている、態様19に記載のシステム。
【1362】
21.センサが患者の血圧を測定するように構成されている、態様19によるシステム。
【1363】
22.センサーが、患者の血管内に配置されるように構成された圧力センサーからなる、態様18によるシステム。
【1364】
23.センサーが患者の血管の外壁に配置されるように構成されている、態様18によるシステム。
【1365】
24.センサーが、血流から血管外壁に伝達される圧脈波を測定するように構成されている、態様23によるシステム。
【1366】
25.センサーが、血管外壁のひずみに感応するひずみゲージからなる、態様23によるシステム。
【1367】
26.センサーが、血管の外壁と圧力センサーとの間の押圧力に感応する接触圧力センサーからなる、態様23または24によるシステム。
【1368】
27.センサーが光源と光センサーからなり、信号が光源と光センサーの間の光結合効率に基づく、態様19によるシステム。
【1369】
28.センサが、患者の循環系の一部における血管抵抗を示す信号を生成するように構成されている、態様19に記載のシステム。
【1370】
29.制御ユニットは、以下のように構成される、態様19~28のいずれかに記載のシステム:
センサーによって生成された信号に基づいて推定血圧を決定する;
ここで、決定された血圧は、腎動脈の局所血圧または全身血圧である。
【1371】
30.態様29に記載のシステムであって、制御ユニットは、以下のように構成される、
推定血圧を所定の限界値と比較する、
推定血圧が限界値未満であることに応答して、腎動脈の血管収縮を引き起こすように刺激装置の動作を制御する、
推定血圧が限界値を超えたことに応答して、腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御する。
【1372】
31.態様29に記載のシステムであって、制御ユニットは、以下のように構成される:
センサによって生成された信号に基づいて推定された血圧を経時的に監視する、
推定された血圧の経時的低下に応答して、腎動脈の血管収縮を引き起こすように刺激装置の動作を制御する、
推定血圧の経時的上昇に応答して、腎動脈の血管拡張を引き起こすように刺激装置の動作を制御する。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図5g
図5h
図5i
図5j
図6
図7a
図7b
図8
図9a
図9b
図9c
図9d
図10a
図10b
図10c
図11
図12a
図12b
図12c
図12d
図13a
図13b
図14
図15
図16
図17a
図17b
図17c
図18
図19a
図19b
図19c
図19d
図20
図21
図22
図23a
図23b
図24a
図24b
図24c
図24c)】
図24d
図24e
図24f
図25a
図25a)】
図25b
図25c
図25d
図25e
図25f
図25g
図25h
図26
図27
図28
図29a
図29b
図29c
図30a
図30b
図31a
図31b
図32a
図32b
図33
図34
図35
図36
図37
図38a
図38b
図39a
図39b
図39c
図39d
図40
図41
図42
図43
図44a
図44b
図44c
図45
【手続補正書】
【提出日】2024-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高血圧患者を治療するためのシステムであって、
患者の腎動脈を支配する副交感神経に電気刺激信号を送り、腎動脈の平滑筋組織の血管運動緊張に影響を与えることができるように構成された電極配置を含む刺激装置、
電極配置に通電するように構成された移植可能なエネルギー源;および
刺激装置に操作可能に接続された制御ユニット;
を備え、
制御ユニットは、電気刺激信号が副交感神経系を刺激し、それによって腎動脈の血管拡張を引き起こし、患者の血圧を低下させるように、刺激装置の動作を制御するように構成される
システム。
【請求項2】
刺激装置が、少なくとも、10番を伝達する脊髄の枝において、椎骨S2~S4、好ましくはS4に由来する尾骨神経に沿って、副交感神経を刺激するように適合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
電極配置が複数の電極要素からなり、各電極要素が腎動脈を神経支配する神経に係合して電気的に刺激するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
電極配置が支持構造体の表面部分に配置され、表面部分が腎動脈を神経支配する神経の壁部分に配置されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
支持構造が、腎動脈の壁部分または腎動脈を支配する神経の周囲に少なくとも部分的に配置されるように構成されたカフ部分を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
電極配置がカフの内面に配置されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
電気刺激信号が、30Hz以下、例えば5~25Hz、例えば10~20Hzの周波数を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
電気刺激信号が0.01~1msのパルス幅からなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
電気刺激信号が1~15mAのパルス振幅からなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
副交感神経の、刺激装置と脊髄との間の位置に配置されるように構成された信号減衰装置をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
信号減衰装置が、電気減衰信号を副交感神経に供給するように構成された電極配置を備え、電気減衰信号が、刺激装置によって生成された電気刺激信号を少なくとも部分的に打ち消すように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
信号減衰装置が、信号減衰装置で受信された電気刺激信号を測定し、受信された電気刺激信号に基づいて電気減衰信号を生成するように構成された信号処理手段をさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
患者の血圧を示す信号を発生するように構成された血圧センサをさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載システム。
【請求項14】
血圧センサーが、腎動脈の局所血圧を決定するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
血圧センサーが患者の全身血圧を決定するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記制御ユニットは、無線リモコンと通信可能に接続されるように構成されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムにおいて、前記制御ユニットは、外部信号送信機から/外部信号送信機へ通信信号を受信および送信するように構成された内部信号送信機を備えることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項1~9のいずれか1項に記載のシステムにおいて、前記制御ユニットは、前記エネルギー源の機能状態を示すように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項19】
機能ステータスが、エネルギー源の充電レベルを示す、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記制御ユニットが、前記エネルギー源、前記壁部分、および前記腎動脈を流れる血液のうちの少なくとも1つの温度を示すように構成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【国際調査報告】