(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】製造のシミュレーションを用いる偏位の補正
(51)【国際特許分類】
A61C 13/00 20060101AFI20240918BHJP
A61C 13/003 20060101ALI20240918BHJP
A61C 8/00 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
A61C13/00 A
A61C13/00 Z
A61C13/003
A61C8/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513703
(86)(22)【出願日】2022-08-31
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 EP2022074174
(87)【国際公開番号】W WO2023031256
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521402398
【氏名又は名称】エクソキャド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ゲルト,マイク
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159AA01
4C159AA41
4C159JJ15
4C159RR08
(57)【要約】
本発明は、歯科補綴アセンブリの製造方法に関する。歯科補綴アセンブリは、第一構成要素および第二構成要素を有する。第一構成要素は、第二構成要素が有する第二接続部分の突起を受納することにより第一構成要素と第二構成要素との間の機械的接続を確立するように構成されたレセプションを有する第一接続部分を有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科補綴アセンブリを製造する方法であって、前記歯科補綴アセンブリは第一および第二構成要素を有しており、
前記第一構成要素は、前記第二構成要素が有する第二接続部分の突起を受納することにより前記第一および第二構成要素間の機械的接続を確立するように構成されたレセプションを有する第一接続部分を有しており、
前記第一構成要素の第一3Dデジタルモデルを第一テンプレートとして提供し、前記第二構成要素の第二3Dデジタルモデルを第二テンプレートとして提供する工程と、
前記第一テンプレートを用いて、前記第一構成要素の第一物理的コピーの製造をシミュレーションする工程であって、第一シミュレーション結果を得る工程と、
前記第二テンプレートを用いて、前記第二構成要素の第二物理的コピーの製造をシミュレーションする工程であって、第二シミュレーション結果を得る工程と、
前記機械的接続を確立するため、前記第一および第二シミュレーション結果を用いて、前記第一および第二テンプレートを置き換える際に、1つ以上の適合基準を逸脱する前記機械的接続の逸脱を決定する工程と、
前記1つ以上の逸脱した適合基準を満たすため、前記決定された機械的接続の偏位を補正する工程であって、前記補正が、以下、すなわち、
前記第一3Dデジタルモデルを修正し、前記修正された第一3Dデジタルモデルによって、前記第一テンプレートとして、前記第一3Dデジタルモデルを置き換える工程と、
前記第二3Dデジタルモデルを修正し、前記修正された第二3Dデジタルモデルによって、前記第二テンプレートとして、前記第二3Dデジタルモデルを置き換える工程とのうちの少なくとも1つを有する工程と、
前記第一テンプレートを用いて、前記第一構成要素の前記第一物理的コピーを製造し、前記第二テンプレートを用いて、前記第二構成要素の前記第二物理的コピーを製造する工程とを有するものである
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記第一および第二物理的コピーは機械加工を用いて製造され、前記製造のシミュレーションは、機械加工されるブランク内部における、機械加工工具の機械加工経路のシミュレーション工程を有するものである方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記製造のシミュレーションは、機械加工装置特有のシミュレーションである方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記第一および第二物理的コピーは3D印刷を用いて製造され、前記製造のシミュレーションは、印刷装置によって適用される印刷素材の印刷経路をシミュレーションする工程を有するものである方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記製造のシミュレーションは、機械加工装置特有のシミュレーションである方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、前記機械的接続は、確立されると、前記第一構成要素に対する前記第二構成要素の相対位置を画成し、前記適合基準は、前記画成された相対位置からの前記第二構成要素の偏位に関する第一最大値を有するものである方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、前記機械的接続は、確立されると、前記第一構成要素に対する前記第二構成要素の相対方向を画成し、前記適合基準は、前記画成された相対方向からの前記第二構成要素の偏位に関する第二最大値を有するものである方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、前記機械的接続の偏位の決定は、以下、すなわち、前記第一接続部分の1つ以上の選択された第一セクション群および前記第二接続部分の1つ以上の選択された第二セクション群のうちの1つ以上を有する、前記機械的接続の選択されたセクションに限定されるものである方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記選択された1つ以上の第一セクションは、前記第一接続部分全体をカバーするものである方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法において、前記選択された1つ以上の第一セクションは、前記第一接続部分の1つ以上の小分け部分をカバーし、前記第一接続部分の1つ以上の小分け部分はカバーされないままである方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法において、前記選択された1つ以上の第二セクションは、前記第二接続部分全体をカバーするものである方法。
【請求項12】
請求項8に記載の方法において、前記選択された1つ以上の第二セクションは、前記第二接続部分の1つ以上の小分け部分をカバーし、前記第二接続部分の1つ以上の小分け部分はカバーされないままである方法。
【請求項13】
請求項8に記載の方法において、前記選択された第一および第二セクションはペアで選択され、各ペアの前記第一および第二セクションは、対向する第一および第二表面を有するものである方法。
【請求項14】
請求項8に記載の方法において、前記第一および第二セクションの選択には画像パターン認識が使用され、前記画像パターン認識は、以下、すなわち2D画像パターン認識、3D画像パターン認識のうちの1つである方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法において、前記機械的接続は、確立される際、前記第一および第二接続部分間のクリアランスを画成し、前記適合基準は、前記クリアランスの最小値を有するものである方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、前記クリアランスに対する前記機械的接続の偏位は、前記テンプレートの選択された第一および第二セクション間で決定されるものである方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法において、前記適合基準は、前記クリアランスの最大値を更に有するものである方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法において、前記適合基準は、前記第一テンプレートからの第一シミュレーション結果の偏位に関して第一最大値を更に画成し、前記適合基準によって画成された前記第一最大値を逸脱する、前記第一テンプレートからの第一シミュレーション結果の偏位を決定する工程を更に有するものである方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、前記第一最大値を逸脱する偏位の決定は、前記第一テンプレートの1つ以上の選択された第三セクションに限定されるものである方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、前記第三セクションの選択には画像パターン認識が使用され、前記画像パターン認識は、以下、すなわち2D画像パターン認識、3D画像パターン認識のうちの1つである方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法において、前記1つ以上の第三セクションは、前記1つ以上の第一セクション群から選択されるものである方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法において、前記適合基準は、前記第二テンプレートからの第二シミュレーション結果の偏位に関して第二最大値を更に画成し、前記適合基準によって画成された前記第二最大値を逸脱する、前記第二テンプレートからの第二シミュレーション結果の偏位を決定する工程を更に有するものである方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、前記第二最大値を逸脱する偏位の決定は、前記第二テンプレートの1つ以上の選択された第四セクションに限定されるものである方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法において、前記第四セクションの選択には画像パターン認識が使用され、前記画像パターン認識は、以下、すなわち2D画像パターン認識、3D画像パターン認識のうちの1つである方法。
【請求項25】
請求項23に記載の方法において、前記1つ以上の第四セクションは、前記1つ以上の第二セクション群から選択されるものである方法。
【請求項26】
請求項1に記載の方法において、前記適合基準の1つ以上が、位置に依存するものである方法。
【請求項27】
請求項1に記載の方法において、前記第一および第二接続部分が、前記第一および第二接続部分の隆起部分、切れ目、縁、端、穴のうちの1つ以上を有するものである方法。
【請求項28】
請求項1に記載の方法において、前記偏位の決定は、前記第一および第二テンプレートへの、前記第一および第二シミュレーション結果の登録を有するものである方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法において、画像パターン認識が、前記第一および第二テンプレートへの、前記第一および第二シミュレーション結果の登録に使用され、前記画像パターン認識は、以下、すなわち2D画像パターン認識、3D画像パターン認識のうちの1つである方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法において、前記第一および第二シミュレーション結果は、前記第一および第二テンプレートに直接登録されるものである方法。
【請求項31】
請求項29に記載の方法において、前記第一および第二シミュレーション結果は、前記第一および第二テンプレートに間接的に登録されるものであり、患者の歯列の少なくとも一部の第三3Dデジタルモデル内に、前記テンプレートの位置を画成する工程と、前記第三3Dデジタルモデル内の予め画成された位置において、前記シミュレーション結果を前記第三3Dデジタルモデル内に配置する工程とを有するものである方法。
【請求項32】
請求項29に記載の方法において、前記第一および第二テンプレートはマーカーを有しており、前記第一および第二シミュレーション結果はマーカーを有しており、前記マーカーは、前記シミュレーション結果の前記テンプレートへの登録に使用されるものである方法。
【請求項33】
請求項1に記載の方法において、前記第二構成要素は橋脚歯であり、前記第一構成要素は、以下、すなわち歯冠、ブリッジの橋脚歯、可撤式局部義歯の橋脚歯うちの1つである方法。
【請求項34】
請求項1に記載の方法において、前記第二構成要素はバーであり、前記第一構成要素は、以下、すなわちバー義歯、バー義歯の一部のうちの1つである方法。
【請求項35】
歯科補綴アセンブリを製造するためのコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は第一および第二構成要素を有しており、
前記第一構成要素は、前記第二構成要素が有する第二接続部分の突起を受納することにより前記第一および第二構成要素間の機械的接続を確立するように構成されたレセプションを有する第一接続部分を有しており、
前記コンピュータプログラム製品は、組み込まれたプログラム命令を含むコンピュータ読み取り可能記憶媒体を有しており、前記プログラム命令は、製造システムのコンピュータ装置のプロセッサによって、前記コンピュータ装置に前記製造システムを制御させるように実行可能であり、その結果、
前記第一構成要素の第一3Dデジタルモデルを第一テンプレートとして提供し、前記第二構成要素の第二3Dデジタルモデルを第二テンプレートとして提供する工程と、
前記第一テンプレートを用いて、前記第一構成要素の第一物理的コピーの製造をシミュレーションする工程であって、第一シミュレーション結果を得る工程と、
前記第二テンプレートを用いて、前記第二構成要素の第二物理的コピーの製造をシミュレーションする工程であって、第二シミュレーション結果を得る工程と、
前記機械的接続を確立するため、前記第一および第二シミュレーション結果を用いて、前記第一および第二テンプレートを置き換える際に、1つ以上の適合基準を逸脱する前記機械的接続の逸脱を決定する工程と、
前記1つ以上の逸脱した適合基準を満たすため、前記決定された機械的接続の偏位を補正する工程であって、前記補正が、以下、すなわち、
前記第一3Dデジタルモデルを修正し、前記修正された第一3Dデジタルモデルによって、前記第一テンプレートとして、前記第一3Dデジタルモデルを置き換える工程と、
前記第二3Dデジタルモデルを修正し、前記修正された第二3Dデジタルモデルによって、前記第二テンプレートとして、前記第二3Dデジタルモデルを置き換える工程とのうちの少なくとも1つを有する工程と、
前記第一テンプレートを用いて、前記第一構成要素の前記第一物理的コピーを製造し、前記第二テンプレートを用いて、前記第二構成要素の前記第二物理的コピーを製造する工程とを実行するものである
コンピュータプログラム製品。
【請求項36】
歯科補綴アセンブリを製造するための製造システムであって、前記製造システムは第一および第二構成要素を有しており、
前記第一構成要素は、前記第二構成要素が有する第二接続部分の突起を受納することにより前記第一および第二構成要素間の機械的接続を確立するように構成されたレセプションを有する第一接続部分を有しており、
前記製造システムは、コンピュータ装置および1つ以上の製造装置を有しており、前記コンピュータ装置はプロセッサおよび前記プロセッサによって実行可能なプログラム命令を記憶するメモリを有しており、前記プロセッサによる前記プログラム命令の実行により、前記コンピュータ装置は前記製造装置を用いて前記製造システムを制御可能であり、その結果、
前記第一構成要素の第一3Dデジタルモデルを第一テンプレートとして提供し、前記第二構成要素の第二3Dデジタルモデルを第二テンプレートとして提供する工程と、
前記第一テンプレートを用いて、前記第一構成要素の第一物理的コピーの製造をシミュレーションする工程であって、第一シミュレーション結果を得る工程と、
前記第二テンプレートを用いて、前記第二構成要素の第二物理的コピーの製造をシミュレーションする工程であって、第二シミュレーション結果を得る工程と、
前記機械的接続を確立するため、前記第一および第二シミュレーション結果を用いて、前記第一および第二テンプレートを置き換える際に、1つ以上の適合基準を逸脱する前記機械的接続の逸脱を決定する工程と、
前記1つ以上の逸脱した適合基準を満たすため、前記決定された機械的接続の偏位を補正する工程であって、前記補正が、以下、すなわち、
前記第一3Dデジタルモデルを修正し、前記修正された第一3Dデジタルモデルによって、前記第一テンプレートとして、前記第一3Dデジタルモデルを置き換える工程と、
前記第二3Dデジタルモデルを修正し、前記修正された第二3Dデジタルモデルによって、前記第二テンプレートとして、前記第二3Dデジタルモデルを置き換える工程とのうちの少なくとも1つを有する工程と、
前記第一テンプレートを用いて、前記第一構成要素の前記第一物理的コピーを製造し、前記第二テンプレートを用いて、前記第二構成要素の前記第二物理的コピーを製造する工程とを実行するものである
製造システム。
【請求項37】
請求項36に記載の製造システムにおいて、以下、すなわち、機械加工装置、3D印刷装置のうちの1つ以上を有するものである製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科技術の分野に関する。特に、本発明は、歯科補綴アセンブリの製造方法に関する。本発明は、更に、コンピュータプログラム製品および歯科補綴アセンブリを製造するための製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科技術において、相互に正確に適合されなければならない構成要素を含むいくつかのタイプの歯科補綴アセンブリが存在する。斯かるアセンブリは、例えば、正確に予め画成された方法で、橋脚歯などの土台に適合させなければならない上部構造(歯冠など)を有していてもよい。斯かるアセンブリを製造する場合、特にラピッドプロトタイピング技術が使用される場合、製造の不正確さにより偏位が生じる場合がある。斯かる偏位により、例えば、土台に押し込まれた際の上部構造の遮断、上部構造と土台との位置ずれ、土台による上部構造の不十分な支持による適合不足が生じる場合がる。斯かる製造上の不正確さは、例えば、土台並びに上部構造を製造する際に生じ易い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
歯科補綴アセンブリを製造する方法、製造システム、およびコンピュータプログラム製品を提供するのが、本発明の目的である。
【0004】
1つの態様において、本発明は、歯科補綴アセンブリを製造する方法に関する。歯科補綴アセンブリは、第一および第二構成要素を有している。第一構成要素は、第二構成要素が有する第二接続部分の突起を受納することにより第一構成要素と第二構成要素との間の機械的接続を確立するように構成されたレセプションを有する第一接続部分を有している。
【0005】
当該方法は、第一構成要素の第一3Dデジタルモデルを第一テンプレートとして提供し、第二構成要素の第二3Dデジタルモデルを第二テンプレートとして提供する工程を有する。第一構成要素の第一物理的コピーの製造は、第一シミュレーション結果に基づく第一テンプレートを用いてシミュレーションされる。第二構成要素の第二物理的コピーの製造は、第二シミュレーション結果に基づく第二テンプレートを用いてシミュレーションされる。機械的接続を確立するために、第一および第二シミュレーション結果によって第一および第二テンプレートを置き換える際、1つ以上の適合基準を逸脱する機械的接続の偏位が決定される。決定された機械的接続の偏位は、1つ以上の逸脱した適合基準を満たすように補正される。補正は、以下、すなわち第一3Dデジタルモデルを修正し、第一テンプレートとして、修正第一3Dデジタルモデルによって第一3Dデジタルモデルを置き換える工程および第二テンプレートとして、修正第二3Dデジタルモデルによって第二3Dデジタルモデルを置き換える工程のうちの少なくとも1つを有する。第一構成要素の第一物理的コピーは第一テンプレートを用いて製造され、第二構成要素の第二物理的コピーは第二テンプレートを用いて製造される。
【0006】
斯かる例は、製造される2つの物理的コピー間の正確な機械的接続を確実なものにするのに、修正決定用の物理的コピーの製造シミュレーション分析を用いるという有益な効果をもたらすであろう。両物理的コピーのシミュレーションを用いることにより、両物理的コピーの製造不正確さの影響、特にその相互依存性が考慮できる。例えば、2つの物理的コピーの製造不確かさは相互に悪化させるものであるかもしれないし、あるいは相互に補正し合うものであるかもしれない。従って、両物理的コピーにシミュレーション結果を用いることにより、両物理的コピーに依存する機械的接続への両物理的コピーの影響が評価できる。斯かる評価に基づいて、適合基準を逸脱する偏位が補正できる。
【0007】
偏位次第(例えば、偏位の大きさ、形状、および/または位置次第)ではあるが、適合基準を逸脱すると決定された偏位を補正するのに、第一および/または第二テンプレートが修正されてもよい。1つの修正テンプレートが提供される場合、各テンプレートを用いて製造される物理的コピーが、その修正テンプレートを用いて修正されてもよい。2つの修整テンプレートが使用される場合、斯かる2つの修整テンプレートが、両方の製造された物理的コピーを修正するのに使用されてもよい。
【0008】
第一および第二3Dデジタルモデルの提供は、第一構成要素の第一3Dデジタルモデルを第一テンプレートとして生成し、第二構成要素の第二3Dデジタルモデルを第二テンプレートとして生成する工程を有してもよい。
【0009】
コンピュータ支援設計(CAD)が、歯科補綴アセンブリのデジタル3Dモデルを生成、修正、分析、および/または最適化するのに使用されてもよい。デジタル3Dモデルは、物体の幾何学的形状、例えば斯かる3D物体の表面を画成してもよい。更に、CADを用いて画成されるデジタル3Dモデルの物理的コピーを製造するにあたり、コンピュータ支援製造(CAM)が、製造装置(例えば、機械加工装置および/または3D印刷装置)を制御し、テンプレートとして使用されるデジタル3Dモデルによって画成される物理的コピーを製造するのに使用されてもよい。
【0010】
例えば、人工知能(AI)機能が、決定された機械的接続の偏位を補正するのに使用されてもよい。AI機能は、例えば、訓練された機械学習モデルを有していてもよい。斯かる訓練された機械学習は、機械的接続の偏位を補正するのに提供されてもよい。補正は、物理的コピーの製造をシミュレーションするのに使用される1つ以上のテンプレートを修正する工程を有してもよい。
【0011】
訓練された機械学習モデルは、物理的コピーの製造シミュレーションに使用される1つ以上のテンプレートに関して、1つ以上の逸脱適合基準が満たされるような予測をするように構成されていてもよい。
【0012】
物理的コピーの製造シミュレーションの結果並びに物理的コピーの製造シミュレーションに使用されるテンプレートが、訓練された機械学習モデルへの入力として提供されてもよい。入力の提供へ応答して、物理的コピーの製造に使用される1つ以上の修正テンプレートの予測が、出力として、訓練された機械学習モデルから受信されてもよい。斯かる出力(すなわち、1つ以上の修正テンプレート)が、各物理的コピーの製造に使用されてもよい。
【0013】
機械的接続の偏位を補正するのに、訓練された機械学習を提供するため、訓練されていない機械学習モデルが訓練されてもよい。訓練されていない機械学習モデルの訓練は、各訓練されていない機械学習モデルを提供する工程を有していてもよい。複数の訓練データ群を有する訓練データ群が提供されてもよい。各訓練データ群は、訓練入力および訓練出力を有していてもよい。各訓練入力は、物理的コピーの製造のシミュレーションの結果および物理的コピーの製造のシミュレーションに使用されたテンプレートを有していてもよい。各訓練出力は、入力に提供される1つ以上のテンプレートの修正を有していてもよい。訓練されていない機械学習は、各訓練データ群の訓練入力の受信に応答して、補正予測として訓練出力を提供し、それにより訓練モデルを作成するように、訓練データを用いて訓練される。訓練された機械学習は、その後、本明細書記載の第二物理的コピーを製造するため、修正テンプレートの予測をするように提供されてもよい。
【0014】
「機械学習」(ML)と言う用語は、自動化された方法で確率的モデル(機械学習モデルまたは予測モデルと呼ばれる)を構築することにより、訓練データ群から有益な情報を抽出するのに使用されるコンピュータアルゴリズムを意味する。機械学習アルゴリズムは、タスクを行うのに明白なプログラムを実行されることなく予測または決定を行うため、「訓練データ」として知られるサンプルデータに基づいて数学モデルを構築する。機械学習は、教師あり学習または教師なし学習などの学習アルゴリズムを用いて実行されてもよい。機械学習は、クラスタリング、クラシフィケーション、線形回帰、強化、自己学習、サポートベクターマシン、ニューラルネットワークなどの種々の技術に基づいていてもよい。機械学習モデルは、例えば、ニューラルネットワーク、特に畳み込みニューラルネットワーク、サポートベクターマシン、デシジョンツリー、ベイジアンネットワークなどのデータ構造またはプログラムであってもよい。機械学習モデルは、未測定値、例えば、他の既知の値(例えば、シミュレーション結果およびシミュレーションに用いられたテンプレート)から、製造対象の歯科補綴アセンブリの構成要素用の1つ以上のテンプレートの修正を予測するように適合されてもよい。1つの例では、機械学習はディープラーニングモデルである。
【0015】
例えば、1つ以上の適合基準から逸脱した機械的接続の偏位を決定するのに、人工知能(AI)機能が更に使用されてもよい。AI機能は、例えば、訓練された機械学習を有していてもよい。1つ以上の適合基準から逸脱した機械的接続の偏位を決定するのに、斯かる訓練された機械学習モデルが提供されてもよい。
【0016】
訓練された機械学習は、1つ以上の適合基準を逸脱する偏位の予測を行うように構成されてもよい。シミュレーションの結果が、訓練された機械学習モデルに入力として提供されてもよい。1つ以上の適合基準を逸脱する偏位の予測が、入力の提供に応答して、出力として、訓練された機械学習モデルから受信されてもよい。斯かる出力、すなわち1つ以上の適合基準を逸脱する偏位の決定は、シミュレーションに基づいて決定された偏位を補正するため、テンプレートの修正に使用されてもよい。
【0017】
適合基準を逸脱する偏位を決定するのに訓練された機械学習モデルを提供するため、訓練されていない機械学習が訓練されてもよい。訓練されていない機械学習モデルの訓練は、各訓練されていない機械学習モデルを提供する工程を有していてもよい。複数の訓練データ群を有する訓練データ群が提供されてもよい。各訓練データ群は、訓練入力および訓練出力を有していてもよい。各訓練入力は、物理的コピーの製造のシミュレーション結果を有していてもよい。各訓練出力は、適合基準を逸脱する機械的接続の偏位の決定を有していてもよい。訓練されていない機械学習は、各訓練データ群の訓練入力の受信に応答して適合基準を逸脱した予測として訓練出力を提供し、それにより訓練モデルを作成するように、訓練データを用いて訓練される。訓練された機械学習は、その後、本明細書に記載されるように、適合基準を逸脱する機械的接続の偏位を予測するのに提供されてもよい。
【0018】
従って、機械学習モデルは、他の既知の値(例えば、シミュレーション結果)から、値(例えば、適合基準を逸脱する偏位)を決定するように適合されてもよい。1つ例において、機械学習モデルはディープラーニングモデルである。
【0019】
例えば、シミュレーション結果およびシミュレーションに使用されたテンプレートの受信(入力として)に応答して、1つ以上のテンプレートの修正を出力として予測する場合、1つ以上の適合基準を逸脱する1つ以上の偏位の決定が、機械学習モデルによって実行されてもよい。
【0020】
例えば、物理的コピーの製造をシミュレーションするのに、人工知能(AI)機能が更に使用されてもよい。AI機能は、例えば、訓練された機械学習を有していてもよい。1つ以上の適合基準から逸脱した機械的接続の偏位を決定するのに、斯かる訓練された機械学習モデルが提供されてもよい。
【0021】
訓練された機械学習モデルは、物理的コピーの製造シミュレーション結果の予測(すなわち、物理的コピーの製造の結果予測)を実行するように構成されてもよい。物理的コピーの製造用に提供されるテンプレートは、訓練された機械学習モデルへの入力として提供されてもよい。入力の提供へ応答して、物理的コピーの製造のシミュレーション結果の予測が、出力として、訓練された機械学習モデルから受信されてもよい。斯かる出力(すなわち、シミュレーション結果)が、1つ以上の適合基準を逸脱する機械的接続の偏位を決定するのに使用されてもよい。
【0022】
第二物理的コピーの製造のシミュレーション結果を提供するのに、訓練された機械学習モデルを提供するため、訓練されていない機械学習モデルが訓練されてもよい。訓練モデルを提供するための訓練されていない機械学習モデルの訓練は、各訓練されていない機械学習モデルを提供する工程を有していてもよい。複数の訓練データ群を有する訓練データ群が提供されてもよい。各訓練データ群は、訓練入力および訓練出力を有していてもよい。各訓練入力は、物理的コピーを製造するためのテンプレートを有していてもよい。各訓練出力は、入力として提供されるテンプレートを用いて、第二物理的コピーの製造の結果を有していてもよい。訓練されていない機械学習は、訓練データを用いて、製造結果の予測として(すなわち、物理的コピーの製造のシミュレーションとして)訓練出力を提供するように訓練される。訓練された機械学習モデルは、その後、本明細書記載のシミュレーション結果の予測をするように提供されてもよい。
【0023】
従って、機械学習モデルは、他の既知の値(例えば、テンプレート)から、値(例えば、シミュレーション結果)を決定するように適合されてもよい。1つの例では、機械学習モデルはディープラーニングモデルである。
【0024】
例えば、テンプレートを入力として受信するのに応答して、1つ以上のテンプレートの修正を出力として予測する際、物理的コピーの製造のシミュレーションおよび2つ以上の適合基準を逸脱する1つ以上の偏位の決定が、機械学習モデルによって実行されてもよい。
【0025】
例えば、第一および第二物理的コピーが、機械加工を用いて製造される。製造のシミュレーションは、機械加工されるブランク内の機械加工工具の機械加工経路のシミュレーションを有する。斯かる例は、ブランクの機械加工、従って、機械加工によってもたらされる物理的コピーがシミュレーションできるという有益な効果をもたらすであろう。斯かるシミュレーションに基づいて、例えば、製造不正確さによる偏位が予測できる。予測された偏位は、製造される構成要素間の正確な機械的接続が確実なものとなるように、物理的コピー製造用のテンプレートを(必要ならば)修正するのに使用されてもよい。
【0026】
例えば、機械加工のシミュレーションは、機械加工装置特有のシミュレーションである。例えば、異なるシミュレーションパラメータが、異なる機械加工装置用に提供されてもよい。従って、機械加工装置特有のシミュレーションは、製造シミュレーション対象の構成要素を製造するのに使用される機械加工装置の個々の特徴を考慮に入れて実行されてもよい。斯かる例は、正確かつ現実的なシミュレーション結果が、種々の機械加工装置に提供できるという有益な効果をもたらすであろう。
【0027】
例えば、シミュレーションは、利用可能な種々の機械加工装置で実行できるし、歯科補綴アセンブリの構成要素を製造するのに、最少および/または最小の偏位が決定される機械加工装置が選択されてもよい。
【0028】
例えば、製造のシミュレーションは、機械加工素材および/またはブランク特有のシミュレーションであってもよい。例えば、種々の機械加工素材用に、種々のシミュレーションパラメータが提供されてもよい。従って、機械加工素材特有のシミュレーションは、 製造シミュレーション対象の構成要素を製造するのに使用される機械加工素材および/またはブランクの個々の特徴を考慮に入れて実行されてもよい。斯かる例は、正確かつ現実的なシミュレーション結果が、種々の機械加工素材および/またはブランクに提供できるという有益な効果をもたらすであろう。
【0029】
例えば、製造のシミュレーションは、機械加工工具特有のシミュレーションであってもよい。機械加工工具は、例えば、種々のサイズの種々の機械加工を有してもよい。例えば、種々の機械加工工具用に、種々のシミュレーションパラメータが提供されてもよい。従って、機械加工工具特有のシミュレーションは、 製造シミュレーション対象の構成要素を製造するのに使用される機械加工工具の個々の特徴を考慮に入れて実行されてもよい。斯かる例は、正確かつ現実的なシミュレーション結果が、種々の機械加工工具に提供できるという有益な効果をもたらすであろう。
【0030】
例えば、第一および第二物理的コピーが、3D印刷を用いて製造される。製造のシミュレーションは、印刷装置によって適用される印刷素材の印刷経路をシミュレーションする工程を有する。斯かる例は、印刷および印刷によって生じる物理的コピーがシミュレーションされるという有益な効果をもたらすであろう。斯かるシミュレーションに基づいて、例えば、製造不正確さによる偏位が予測できる。予測された偏位は、製造される構成要素間の正確な機械的接続が確実なものとなるように、物理的コピー製造用のテンプレートを(必要ならば)修正するのに使用されてもよい。
【0031】
例えば、製造のシミュレーションは、印刷装置特有のシミュレーションであってもよい。例えば、種々の印刷装置用に、種々のシミュレーションパラメータが提供されてもよい。従って、印刷装置特有のシミュレーションは、製造シミュレーション対象の構成要素を製造するのに使用される印刷装置の個々の特徴を考慮に入れて実行されてもよい。斯かる例は、正確かつ現実的なシミュレーション結果が、種々の印刷装置に提供できるという有益な効果をもたらすであろう。
【0032】
例えば、シミュレーションは、利用可能な種々の印刷装置で実行できるし、歯科補綴アセンブリの構成要素を製造するのに、最少および/または最小の偏位が決定される印刷装置が選択されてもよい。
【0033】
例えば、製造のシミュレーションは、印刷素材特有のシミュレーションであってもよい。例えば、種々の印刷素材用に、種々のシミュレーションパラメータが提供されてもよい。従って、印刷素材特有のシミュレーションは、製造シミュレーション対象の構成要素を製造するのに使用される印刷素材の個々の特徴を考慮に入れて実行されてもよい。斯かる例は、正確かつ現実的なシミュレーション結果が、種々の印刷素材に提供できるという有益な効果をもたらすであろう。
【0034】
例えば、製造のシミュレーションは、印刷工具特有のシミュレーションであってもよい。印刷工具は、例えば、種々の直径の種々の印刷ノズルを有してもよい。例えば、種々の印刷工具用に、種々のシミュレーションパラメータが提供されてもよい。従って、印刷工具特有のシミュレーションは、製造シミュレーション対象の構成要素を製造するのに使用される印刷工具の個々の特徴を考慮に入れて実行されてもよい。斯かる例は、正確かつ現実的なシミュレーション結果が、種々の印刷工具に提供できるという有益な効果をもたらすであろう。
【0035】
例えば、機械的接続は、確立される際、第一構成要素に対する第二構成要素の相対位置を画成する。適合基準は、画成された相対位置からの第二構成要素の偏位に関して第一最大値を有する。
【0036】
斯かる例は、第二および/または第一テンプレートを修正することにより、歯科補綴アセンブリの2つの構成要素間の相対位置が、相対位置のいずれの偏位も所定の範囲内にあるように調整されるという有益な効果をもたらすであろう。2つの構成要素間の相対位置は、例えば、歯科補綴アセンブリを配置する際に、患者の口内の構成要素の少なくとも1つの位置(特に見える位置)を画成してもよい。例えば、橋脚歯および歯冠の場合、橋脚歯および歯冠間の相対位置が、橋脚歯および橋脚歯が置かれているインプラントを有する患者の口内の歯冠の位置を、基準点として画成してもよい。
【0037】
例えば、機械的接続は、確立される際、第一構成要素に対する第二構成要素の相対方向を画成する。適合基準は、画成された相対方向からの第二構成要素の偏位に関して第二最大値を有する。
【0038】
斯かる例は、第二および/または第一テンプレートを修正することにより、歯科補綴アセンブリの2つの構成要素間の相対方向が、相対方向のいずれの偏位も所定の範囲内にあるように調整されるという有益な効果をもたらすであろう。2つの構成要素間の相対方向は、例えば、歯科補綴アセンブリを配置する際に、患者の口内の構成要素の少なくとも1つの方向(特に見える方向)を画成してもよい。例えば、橋脚歯および歯冠の場合、橋脚歯および歯冠間の相対方向が、橋脚歯および橋脚歯が置かれているインプラントを有する患者の口内の歯冠の方向を、基準点および/または方向として画成してもよい。
【0039】
例えば、機械的接続の偏位の決定は、以下、すなわち、第一接続部分の1つ以上の選択された第一セクション群および第二接続部分の1つ以上の選択された第二セクション群のうちの1つ以上を有する、機械的接続の選択されたセクションに限定される。
【0040】
斯かる例は、偏位の分析、従って修正に関して、機械的接続の選択されたセクションだけを考慮するという有益な効果をもたらすであろう。従って、選択されるセクション次第ではあるが、分析は、例えば、より迅速に実行され、機械的接続に影響を及ぼすセクション、例えば、接続された構成要素の相対位置および/または方向に最も集中できる。例えば、突起をレセプションに挿入する際、突起の上部セクションは、レセプションの内部表面に面する突起の側面および/または突起の底部の周りに延伸し、レセプション内部の突起の挿入深さを画成する縁ほどには関連性を有していない。
【0041】
例えば、選択された1つ以上の第一セクションが、第一接続部分全体をカバーする。斯かる例は、適合基準を逸脱する偏位が決定される際、第一接続部分全体が考慮されるという有益な効果をもたらすであろう。
【0042】
例えば、選択された1つ以上の第一セクションが、第一接続部分の1つ以上の小分け部分をカバーし、第一接続部分の1つ以上の小分け部分はカバーされないままで残る。斯かる例は、適合基準を逸脱する偏位が決定される際、第一接続部分の一部だけが考慮されるという有益な効果をもたらすであろう。
【0043】
例えば、選択された1つ以上の第二セクションが、第二接続部分全体をカバーする。斯かる例は、適合基準を逸脱する偏位が決定される際、第二接続部分全体が考慮されるという有益な効果をもたらすであろう。
【0044】
例えば、選択された1つ以上の第二セクションが、第二接続部分の1つ以上の小分け部分をカバーし、第二接続部分の1つ以上の小分け部分はカバーされないままで残る。斯かる例は、適合基準を逸脱する偏位が決定される際、第一接続部分の一部だけが考慮されるという有益な効果をもたらすであろう。
【0045】
選択された第一および第二セクションはペアで選択される。各ペアの第一および第二セクションは、互いに面する第一および第二表面を有する。斯かる例は、適合基準を逸脱する偏位が決定される際に、互いに面する2つの構成要素表面の相対的影響、例えば、相対的位置および/または相対的方向が考慮されるという有益な効果をもたらすであろう。例えば、互いに向かい合う面のセクションだけが考慮できる。
【0046】
例えば、第一および第二セクションを選択するのに、画像パターン認識が使用される。画像パターン認識は、以下、すなわち2D画像パターン認識、3D画像パターン認識のうちの1つである。斯かる例は、画像パターン認識を用いることにより、シミュレーション結果の特定の表面および/またはセクションが特定できるという有益な効果をもたらすであろう。従って、シミュレーション結果の表面に面する第一シミュレーション結果の表面が決定できる。
【0047】
例えば、機械的接続は、確立される際、第一および第二接続部分間のクリアランスを画成する。適合基準は、クリアランスの最小値を有する。斯かる例は、少なくとも接続部分の選択されたセクションで、十分大きいクリアランスが確保できるという有益な効果をもたらすであろう。十分なクリアランスは、第一構成要素が第一構成要素に適合するのを保証する。十分なクリアランスは、クリアランス内に挿入される接着剤(歯科用セメントなど)用に十分な空間が提供されるのを更に保証する。斯かる接着剤は、構成要素間に結合を提供するのに使用できる。
【0048】
機械的接続は、例えば、歯科補綴アセンブリの第一構成要素から非破壊的に取り外し可能な接続であってもよい。機械的接続を確立するのに接着剤を使用する場合でも、第二構成要素は、適切な手段を用いて、歯科補綴アセンブリの第一構成要素から取り外し可能であってもよい。
【0049】
例えば、クリアランスに対する機械的接続の偏位は、テンプレートの選択された第一および第二セクション間で決定される。斯かる例は、選択されたセクション間だけのクリアランスが考慮されるという有益な効果をもたらすであろう。重要性が少ないセクションまたは誤りの生じる可能性が小さいセクションにおいては、クリアランスの最小サイズは、適合基準として考慮されなくてもよい。
【0050】
例えば、適合基準は、クリアランスの最大値を更に有する。斯かる例は、クリアランスは、確実に大きくなり過ぎないという有益な効果をもたらすであろう。大き過ぎるクリアランスは、第二構成要素上の第一構成要素の適合を緩くする(すなわち、第二構成要素による第一構成要素の支持が不十分となる)。
【0051】
例えば、適合基準は、第一テンプレートからの第一シミュレーション結果の偏位に関して、第一最大値を画成する。斯かる方法は、第一テンプレートからの第一シミュレーション結果に関し、適合基準によって画成される第一最大値を逸脱する偏位を決定する工程を更に有してもよい。
【0052】
斯かる例は、シミュレーションに従って製造される第一物理的コピーが、所定の範囲内(すなわち、第一最大値まで)の第一テンプレートからの偏位しか含まないことが確認されるという有益な効果をもたらすであろう。従って、製造される第一物理的コピーは、第一スキャン結果を第一テンプレートと比較することにより確認できる、所定の閾値(すなわち、第一最大値)を超える偏位の場合、第一テンプレートは、斯かる偏位を補正するように修正される。
【0053】
例えば、第一最大値を逸脱する偏位の決定は、第一テンプレートの1つ以上の選択された第三セクションに限定される。
【0054】
斯かる例は、第一テンプレートの関連セクション(すなわち、1つ以上の選択された第四セクション)に関してのみ、シミュレーション結果の偏位が所定の範囲内であるか否かが確認されるという有益な効果をもたらすであろう。
【0055】
例えば、第三セクションの選択に、画像パターン認識が使用される。画像パターン認識は、以下、すなわち、2D画像パターン認識、3D画像パターン認識のうちの1つである。
【0056】
斯かる例は、画像パターン認識を使用することにより、第一シミュレーション結果の特定の表面および/またはセクションが特定できるという有益な効果をもたらすであろう。従って、第一シミュレーションによって画成される関連した表面が特定できる。
【0057】
例えば、1つ以上の第三セクションが、1つ以上の第一セクション群から選択される。斯かる例は、第一テンプレートからの第一シミュレーション結果の偏位の確認において、機械的接続セクションだけを考慮するという有益な効果をもたらすであろう。従って、選択された第三セクションは、機械的接続に関連したセクションであることが確認できる。
【0058】
例えば、適合基準は、第二テンプレートからの第二シミュレーション結果の偏位に関して、第二最大値を画成する。斯かる方法は、第二テンプレートからの第二シミュレーション結果に関し、適合基準によって画成される第二最大値を逸脱する偏位を決定する工程を有してもよい。
【0059】
斯かる例は、シミュレーションに従って製造される第二物理的コピーが、所定の範囲内(すなわち、第二最大値まで)の第二テンプレートからの偏位しか含まないことが確認されるという有益な効果をもたらすであろう。従って、製造される第二物理的コピーは、第二スキャン結果を第二テンプレートと比較することにより確認できる、所定の閾値(すなわち、第二最大値)を超える偏位の場合、第二テンプレートは、斯かる偏位を補正するように修正される。
【0060】
例えば、第二最大値を逸脱する偏位の決定は、第二テンプレートの1つ以上の選択された第四セクションに限定される。
【0061】
斯かる例は、第二テンプレートの関連セクション(すなわち、1つ以上の選択された第四セクション)に関してのみ、シミュレーション結果の偏位が所定の範囲内であるか否かが確認されるという有益な効果をもたらすであろう。
【0062】
例えば、第四セクションの選択に、画像パターン認識が使用される。画像パターン認識は、以下、すなわち、2D画像パターン認識、3D画像パターン認識のうちの1つである。
【0063】
斯かる例は、画像パターン認識を使用することにより、第二シミュレーション結果の特定の表面および/またはセクションが特定できるという有益な効果をもたらすであろう。従って、第二シミュレーションによって画成される関連した表面が特定できる。
【0064】
例えば、1つ以上の第四セクションが、1つ以上の第二セクション群から選択される。斯かる例は、第二テンプレートからの第二シミュレーション結果の偏位の確認において、機械的接続セクションだけを考慮するという有益な効果をもたらすであろう。従って、選択された第四セクションは、機械的接続に関連したセクションであることが確認できる。
【0065】
例えば、1つ以上の適合基準は、位置に依存するものである。
【0066】
斯かる例は、適合基準のタイプおよび/またはサイズが位置に依存するという有益な効果をもたらすであろう。第一および/または第二構成要素の特定の位置において、例えば、大きい偏位が許容されるかもしれないが、他の位置では、小さい偏位でさえも、第一および第二物理的コピー間の機械的接続に大きい影響を及ぼすかもしれない。従って、いくつかの位置では、他の位置よりも、更に厳格な閾値が偏位に対して適用されるかもしれない。異なる位置では、異なるタイプの適合基準が適用されるかもしれない。いくつかの位置では、例えば、最小および最大閾値が適用され、他の位置では、例えば、最小または最大閾値が適用されるかもしれない。
【0067】
例えば、第一および第二接続部分が、第一および第二接続部分の隆起部分、切れ目、縁、端、穴のうちの1つ以上を有する。
【0068】
突起および/またはレセプションは、隆起部分、切れ目、縁、端、および/または穴を含む構造を有する、あるいは斯かる構造により限定される。斯かる構造は、例えば、第一および第二物理的コピー間の相対位置および/または相対方向を制御するのに使用されてもよい。
【0069】
偏位の決定は、第一および第二シミュレーション結果を第一および第二テンプレートに登録する工程を有する。
【0070】
斯かる例は、シミュレーション結果を第一物理的コピーの製造に使用したテンプレートに登録することにより、各テンプレートは、シミュレーション結果によって画成される機械的接続上の製造不正確さの影響を決定するため、全体的にまたは少なくとも部分的に、シミュレーション結果によって置き換え可能であるという有益な効果をもたらすであろう。
【0071】
第一および第二シミュレーション結果を第一および第二テンプレートに登録するのに、画像パターン認識が使用される。画像パターン認識は、以下、すなわち、2D画像パターン認識、3D画像パターン認識のうちの1つである。斯かる例は、画像パターン認識を使用することにより、シミュレーション結果およびテンプレートの対応する表面および/またはセクションが特定できるという有益な効果をもたらすであろう。
【0072】
第一テンプレートへの第一シミュレーション結果の登録は、ICP登録(すなわち、反復最近接点アルゴリズムを用いて、2つの点群の差を最小化する登録)であってもよい。例えば、第二テンプレートへの第二シミュレーション結果の登録は、ICP登録であってもよい。
【0073】
ICPの代替方法として、座標系の同期化は、座標軸および座標中心に関する個々の工程段階およびアルゴリズムをトラック&トレースすることにより達成されてもよい。個々の座標系の変更を復帰させることにより、最終シミュレーションが、元のCAD座標系に自動的に配置され、シミュレーション結果とテンプレートとの比較が可能となる。このプロセスは、適切な設計が達成されるまで反復されてよい。例えば、第一構成要素の第一物理的コピーの製造シミュレーション中に生じる座標系の変更が記録されてもよい。記録された座標系の変更は、結果的に生じる第一シミュレーション結果用に復帰されてもよい。従って、第一シミュレーション結果は、元のCAD座標系に配置される。例えば、第二構成要素の第二物理的コピーの製造シミュレーション中に生じる座標系の変更が記録されてもよい。記録された座標系の変更は、結果的に生じる第二シミュレーション結果用に復帰されてもよい。従って、第二シミュレーション結果は、元のCAD座標系に配置される。
【0074】
第一および第二シミュレーション結果が、第一および第二テンプレートに直接登録される。斯かる例は、シミュレーション結果およびテンプレートの対応表面および/またセクションが特定でき、それに基づいて、直接登録が実行できるという有益な効果をもたらすであろう。
【0075】
例えば、第一および第二シミュレーション結果は、第一および第二テンプレートに間接的に登録される。間接的登録は、患者の歯列の少なくとも一部の第三3Dデジタルモデル内にテンプレートの位置を画成する工程を有する。シミュレーション結果は、第三3Dデジタルモデル内の予め画成された位置において、第三3Dデジタルモデル内に配置される。
【0076】
斯かる例は、追加モデルが、シミュレーション結果の位置付け用に参照として使用できるという有益な効果をもたらすであろう。テンプレート用に画成される位置にシミュレーション結果を位置付けることにより、間接登録が実行できる。
【0077】
例えば、第一および第二テンプレートはマーカーを有する。第一および第二シミュレーション結果は、マーカーを有する。マーカーは、シミュレーション結果のテンプレートへの登録に使用される。
【0078】
斯かる例は、マーカーを用いることにより、登録が単純化されるという有益な効果をもたらすであろう。マーカーの使用により、例えば、画像パターン認識は全く必要ない、あるいはマーカーに限定された画像パターン認識のみが要求される。
【0079】
例えば、人工知能(AI)機能が、登録、特に画像パターン認識ベースの登録に更に使用されてもよい。AI機能は、例えば、訓練された機械学習モデルを有してもよい。斯かる訓練された機械学習モデルは、デジタル画像またはモデルを登録するのに提供されてもよい。デジタル画像またはモデルは、例えば、2Dまたは3Dデジタル画像またはモデルであってもよい。
【0080】
訓練された機械学習モデルは、第一デジタル画像またはモデルを第二デジタル画像またはモデルに登録するのを予測するように構成されてもよい。第一デジタル画像またはモデルは、訓練された機械学習モデルへの入力として提供されてもよい。入力の提供に応答して、第一デジタル画像またはモデルの第二デジタル画像またはモデルへの登録予測が、出力として、訓練された機械学習モデルから受信されてもよい。斯かる出力(すなわち、第一デジタル画像またはモデルの第二デジタル画像またはモデルへの登録)は、本明細書記載の歯科補綴アセンブリの製造に使用されてもよい。
【0081】
第一デジタル画像またはモデルの第二デジタル画像またはモデルへの登録に、訓練された機械学習モデルを提供するため、訓練されていない機械学習モデルが訓練されてもよい。訓練モデルを提供するための訓練されていない機械学習モデルの訓練は、各訓練されていない、機械学習モデルを提供する工程を有していてもよい。複数の訓練データ群を有する訓練データ群が提供されてもよい。各訓練データ群は、第一および第二デジタル画像またはモデルを有していてもよい。各訓練入力は、第一デジタル画像またはモデルの第二デジタル画像またはモデルへの登録の定義を有していてもよい。訓練されていない機械学習は、訓練データを用いて、各訓練データセットの訓練入力の受信に応答して、第一デジタル画像またはモデルの第二デジタル画像またはモデルへの登録の予測として訓練出力を提供し、それによって訓練モデルを作成するように訓練される。訓練された機械学習モデルは、その後、本明細書記載の登録の予測をするように提供されてもよい。
【0082】
従って、機械学習モデルは、他の既知の値(例えば、第一および第二デジタル画像またはモデル)から、値(例えば、第一デジタル画像またはモデルの第二デジタル画像またはモデルへの登録)を決定するように構成されてもよい。1つの例では、機械学習モデルはディープラーニングモデルである。
【0083】
例えば、第二構成要素は橋脚歯であり、第一構成要素は、以下、すなわち、歯冠、ブリッジの橋脚歯、可撤式局部義歯の橋脚歯のうちの1つである。従って、歯科補綴アセンブリは、橋脚歯を使用して固定されるように構成される歯冠、ブリッジ、または可撤式局部義歯を有してもよい。
【0084】
例えば、第二構成要素はバーであり、第一構成要素は、以下、すなわち、バー義歯、バー義歯の一部のうちの1つである。従って、歯科補綴アセンブリは、バーを使用して固定されるように構成されるバー義歯またはバー義歯の一部を有してもよい。
【0085】
1つの態様において、本発明は、歯科補綴アセンブリを製造するためのコンピュータプログラム製品に関する。歯科補綴アセンブリは、第一および第二構成要素を有する。第一構成要素は、第二構成要素が有する第二接続部分の突起を受納することにより第一構成要素と第二構成要素との間の機械的接続を確立するように構成されたレセプションを有する第一接続部分を有している。コンピュータプログラム製品は、組み込まれたプログラム命令を含むコンピュータ読み取り可能記憶媒体を有している。
【0086】
プログラム命令は、製造システムのコンピュータ装置のプロセッサによって、コンピュータ装置に製造システムを制御させるように実行可能であり、その結果、第一構成要素の第一3Dデジタルモデルを第一テンプレートとして提供し、第二構成要素の第二3Dデジタルモデルを第二テンプレートとして提供する。第一構成要素の第一物理的コピーの製造は、第一テンプレートを用いてシミュレーションされ、第一シミュレーション結果を得る。第二構成要素の第二物理的コピーの製造は、第二テンプレートを用いてシミュレーションされ、第二シミュレーション結果を得る。機械的接続を確立するため、第一および第二シミュレーション結果によって、第一および第二テンプレートを置き換える際に、1つ以上の適合基準を逸脱する機械的接続の偏位が決定される。決定された機械的接続の偏位は、1つ以上の逸脱した適合基準を満たすように補正される。補正は、以下、すなわち第一3Dデジタルモデルを修正し、第一テンプレートとして、修正第一3Dデジタルモデルによって第一3Dデジタルモデルを置き換える工程および第二テンプレートとして、修正第二3Dデジタルモデルによって第二3Dデジタルモデルを置き換える工程のうちの少なくとも1つを有する。第一構成要素の第一物理的コピーは第一テンプレートを用いて製造され、第二構成要素の第二物理的コピーは第二テンプレートを用いて製造される。
【0087】
コンピュータプログラム製品のコンピュータ読み取り可能プログラム命令は、歯科補綴アセンブリの製造方法に関する上述の例のいずれかを実行するように構成されてよい。
【0088】
第一および第二3Dデジタルモデルの提供は、第一構成要素の第一3Dデジタルモデルを第一テンプレートとして生成し、第二構成要素の第二3Dデジタルモデルを第二テンプレートとして生成する工程を有してもよい。
【0089】
1つの態様において、本発明は、歯科補綴アセンブリを製造するための製造システムに関する。歯科補綴アセンブリは、第一および第二構成要素を有する。第一構成要素は、第二構成要素が有する第二接続部分の突起を受納することにより第一構成要素と第二構成要素との間の機械的接続を確立するように構成されたレセプションを有する第一接続部分を有している。製造システムは、コンピュータ装置および1つ以上の製造装置を有する。コンピュータ装置は、プロセッサおよびプロセッサによって実行可能な命令を記憶するメモリを有する。
【0090】
プロセッサによるプログラム命令の実行により、コンピュータ装置は、製造装置を用いて製造システムを制御し、第一構成要素の第一物理的コピーを第一テンプレートとして、第二構成要素の第二物理的コピーを第一テンプレートとして提供する。第一構成要素の第一物理的コピーの製造は、第一テンプレートを用いてシミュレーションされ、第一シミュレーション結果を得る。第二構成要素の第二物理的コピーの製造は、第二テンプレートを用いてシミュレーションされ、第二シミュレーション結果を得る。機械的接続を確立するため、第一および第二シミュレーション結果によって、第一および第二テンプレートを置き換える際に、1つ以上の適合基準を逸脱する機械的接続の偏位が決定される。決定された機械的接続の偏位は、1つ以上の逸脱した適合基準を満たすように補正される。補正は、以下、すなわち第一3Dデジタルモデルを修正し、第一テンプレートとして、修正第一3Dデジタルモデルによって第一3Dデジタルモデルを置き換える工程および第二テンプレートとして、修正第二3Dデジタルモデルによって第二3Dデジタルモデルを置き換える工程のうちの少なくとも1つを有する。第一構成要素の第一物理的コピーは第一テンプレートを用いて製造され、第二構成要素の第二物理的コピーは第二テンプレートを用いて製造される。
【0091】
製造システムは、歯科補綴アセンブリの製造方法に関する上述の例のいずれかを実行するように構成されてよい。
【0092】
第一および第二3Dデジタルモデルの提供は、第一構成要素の第一3Dデジタルモデルを第一テンプレートとして生成し、第二構成要素の第二3Dデジタルモデルを第二テンプレートとして生成する工程を有してもよい。
【0093】
例えば、製造装置は、以下、すなわち、機械加工装置、3D印刷装置のうちの1つ以上を有する。機械加工装置は、1つ以上の機械加工工具を用いて、機械加工により、ブランクから素材を除去するように構成されてもよい。3D印刷装置は、物理的コピーを層毎に印刷するように構成されてもよい。
【0094】
上述の例および実施形態は、相互に排除的でない限り、自由に組み合わせることができる。
【0095】
以下、本発明の実施形態がより詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【
図1】
図1は、歯科補綴アセンブリを製造するための例示的方法を示すフローチャートである。
【
図2】
図2は、歯科補綴アセンブリを製造するための例示的方法を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、機械加工によって製造される例示的橋脚歯である。
【
図4】
図4は、機械加工によって製造される例示的橋脚歯である。
【
図5】
図5は、機械加工によって製造される例示的橋脚歯である。
【
図6】
図6は、橋脚歯および歯冠を有する例示的歯科補綴アセンブリを示す。
【
図7】
図7は、ねじを用いてインプラントに配置されるように構成された例示的歯科補綴アセンブリを示す。
【
図8】
図8は、歯科補綴アセンブリを製造するための例示的コンピュータシステムを示す。
【
図9】
図9は、歯科補綴アセンブリを製造するための例示的コンピュータシステムを示す。
【
図10】
図10は、歯科補綴アセンブリを製造するための例示的システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0097】
以下の記載において、類似の特徴は同一符号によって示される。
【0098】
図1は、歯科補綴アセンブリを製造するための例示的方法を示すフローチャートである。製造対象の歯科補綴アセンブリは、少なくとも2つの構成要素(すなわち、第一および第二構成要素)を有している。第一構成要素は、レセプションを有する第一接続部分を有しており、第二構成要素は、突起を有する第二接続部分を有する。第一および第二接続部分は、第一および第二構成要素間に機械的接続を確立するように構成される。機械的接続は、突起を受納するレセプションによって確立される。例えば、第一構成要素は、橋脚歯の形態の第二構成要素の上に置かれる歯冠であってもよい。従って、機械的接続は、橋脚歯の突起を歯冠によって提供されるレセプションに挿入することにより、歯冠と橋脚歯との間に確立されてもよい。
【0099】
斯かる歯科補綴アセンブリを製造する例示的方法は、製造対象の構成要素用にテンプレートを提供するブロック200を有してもよい。テンプレートの提供は、各テンプレートの生成工程を有してもよい。第一構成要素の第一3Dデジタルモデルが第一テンプレートとして生成され、第二構成要素の第二3Dデジタルモデルが第二テンプレートとして生成されてもよい。3Dデジタルモデルはゼロから生成されてもよいし、あるいは個々の患者の口腔内状態用に調整された予め画成されたモデルが提供されてもよい。例えば、橋脚歯は、橋脚歯に配置される歯冠形態で提供される種々の人工歯用の種々の橋脚歯を提供する橋脚歯ライブラリによって提供されてもよい。例えば、歯冠は、人工歯群を提供する歯ライブラリから選択されてもよい。
【0100】
例えば、患者の口腔内構造の3Dデジタルモデルが提供されてもよい。例えば、患者の歯列の3Dデジタルモデルが提供されてもよい。患者の口腔内構造の3Dデジタルモデルは、スキャンデータを用いて生成されてもよい。スキャンデータは、患者の口腔の柔組織および/または硬組織を直接および/または間接にスキャンしたものであってもよい。直接のスキャンは、患者の口の口腔内スキャン、すなわち患者の口腔の柔組織および/または硬組織のスキャンであってもよい。間接スキャンは、患者の口腔の柔組織および/または硬組織の印象のスキャン、あるいは斯かる印象を用いて生成された物理的モデル(例えば、石膏鋳造モデル)のスキャンであってもよい。歯科補綴アセンブリの第一および第二構成要素の3Dデジタルモデルは、患者の要求事項を満足させるように生成されてよい。例えば、橋脚歯および歯冠の場合、患者の顎骨の1つにインプラントが挿入されるように計画される。インプラントの位置を計画するため、患者の顎骨の内部構造に関する情報を提供する追加のスキャンデータ、例えば、X線スキャナおよび/またはコーンビーム計算断層撮影(CBCT)スキャナなどの断層撮影スキャナを用いて取得されたスキャンデータが提供されてもよい。患者の歯列に挿入される人工歯の望ましい設計が画成され、橋脚歯および歯冠が当該望ましい設計を模倣するように調整されてよい。
【0101】
ブロック202において、歯科補綴アセンブリの構成要素の物理的コピーの製造が、ブロック200で提供されるテンプレートを用いてシミュレーションされる。例えば、第一構成要素の第一物理的コピーの製造が、第一テンプレートを用いてシミュレーションされる。例えば、第二構成要素の第二物理的コピーの製造が、第二テンプレートを用いてシミュレーションされる。斯かるシミュレーション用に、1つ以上の製造装置によって実行される製造プロセスを記載するデータが提供されてもよい。製造プロセスを記載するデータは、特定の装置によって実行される製造プロセスを画成する装置特有のデータであってもよい。製造プロセスを記載するデータは、特定の設定で製造装置によって実行される製造プロセスを画成する設定特有のデータであってもよい。設定は、例えば、各製造装置を制御するのに使用される1つ以上の制御パラメータ群を記載してもよい。製造プロセスを記載するデータは、各物理的モデル製造用の特定のブランクおよび/または素材を用いて製造装置によって実行される製造プロセス画成用の、ブランクおよび/または素材特有のデータであってもよい。製造装置は、例えば、機械加工装置であってもよく、シミュレーションされた製造は、ブランクのデジタル3Dモデルのシミュレーションされた機械加工であってもよい。シミュレーションは、機械加工されるブランク内における、機械加工装置によって使用される機械加工工具の機械加工経路のシミュレーション工程を有してもよい。製造装置は、例えば、3D印刷であってもよく、シミュレーションされた製造は、シミュレーションされた3D印刷であってもよい。シミュレーションは、3D印刷装置によって適用される印刷素材の印刷経路をシミュレーションする工程を有してもよい。
【0102】
ブロック204において、シミュレーションに使用されたテンプレートをシミュレーション結果によって置き換える際、ブロック202におけるシミュレーションの結果が、1つ以上の適合基準を逸脱する機械的接続の偏位を決定するのに使用される。シミュレーション結果によって画成される義歯補綴アセンブリの構成要素間の機械的接続を確立する(すなわち、シミュレーションする)シミュレーション結果が、ブロック204で検査される。適合基準を逸脱する偏位が全く決定されない場合は、工程はブロック210へ進む。ブロック210において、ブロック200で提供されるテンプレートを用いて、歯科補綴アセンブリの両構成要素の物理的コピーが製造される。第一構成要素の第一物理的コピーが第一テンプレートを用いて製造され、第二構成要素の第二物理的コピーが第二テンプレートを用いて製造される。構成要素は、シミュレーションが実行されるCAM方法を用いて製造されてもよい。CAM方法は、例えば、機械加工および/または3D印刷を有してもよい。橋脚歯および歯冠を有する歯科補綴アセンブリの場合、例えば、橋脚歯の3Dデジタルモデルを用いた橋脚歯がテンプレートとして、並びに歯冠の3Dデジタルモデルを用いた歯冠がテンプレートとして製造される。両構成要素は、同一の製造方法を用いて製造されてもよい、あるいは両構成要素は、異なる製造方法を用いて製造されてもよい。
【0103】
適合基準を逸脱する1つ以上の偏位が決定される場合、工程はブロック206へ進み、1つ以上の逸脱した適合基準が満たされるように、決定された機械的接続の偏位が補正される。補正は、第一物理的コピーおよび/または第二物理的コピーの製造をシミュレーションするのに使用された1つ以上のテンプレートを修正する工程を有してもよい。例えば、両テンプレートが修正されてもよい。
【0104】
例えば、機械的接続は、それが確立されると、第一構成要素に対する第二構成要素の相対位置を画成してもよい。適合基準は、画成された相対位置からの第二構成要素の偏位に関して第一最大値を有してもよい。従って、第一構成要素に対する位置からの第二構成要素の偏位が第一最大値を超えたならば、機械的接続が確立された場合に、第一構成要素に対する第二構成要素の相対位置が調整され、残りの全ての偏位が第一最大値以下になるように、第一および/または第二物理的コピーの形態が調整されてもよい。
【0105】
例えば、機械的接続は、それが確立されると、第一構成要素に対する第二構成要素の相対方向を画成する。適合基準は、画成された相対方向からの第二構成要素の偏位に関して第二最大値を有してもよい。従って、第一構成要素に対する方向からの第二構成要素の偏位が第二最大値を超えたならば、機械的接続が確立された場合に、第一構成要素に対する第二構成要素の相対方向が調整され、残りの全ての偏位が第二最大値以下になるように、第一および/または第二物理的コピーの形態が調整されてもよい。
【0106】
機械的接続の偏位の決定は、機械的接続の選択されたセクションに限定されてもよい。例えば、第一および第二セクションがペアで選択されてもよい。各ペアの第一および第二セクションは、対向する第一および第二表面を有する。従って、偏位は、例えば、対向する第一および第二表面に関して分析されてもよい。
【0107】
例えば、機械的接続は、確立される際、第一および第二接続部分間のクリアランスを画成する。クリアランスは、例えば、歯科補綴アセンブリの2つの構成要素を接合するため、2つの構成要素間に接着剤を挿入するのに必要である。適合基準は、クリアランスの十分な最小寸法を保証するため、クリアランスの最小値を必要としてもよい。クリアランスに対する機械的接続の偏位は、例えば、テンプレートの選択された第一および第二セクション間で決定されてもよい。
【0108】
例えば、適合基準は、クリアランスが大きくなり過ぎないように、クリアランスの最大値を更に有していてもよい。
【0109】
例えば、適合基準を逸脱する機械的接続の偏位だけが決定されるのではない。加えて、製造された第一および/または第二物理的コピー自体に、1つ以上の適合基準が画成されてもよい。従って、例えば、第一物理的コピーの製造に使用されたテンプレートからの製造済第一物理的コピーの偏位(斯かる適合基準の逸脱)が決定されてもよい。例えば、第二物理的コピーの製造に使用されたテンプレートからの製造済第二物理的コピーの偏位(斯かる適合基準の逸脱)が決定されてもよい。斯かる適合基準は、例えば、第一テンプレートからの製造済第一物理的コピーの偏位に関して最大値および/または第二テンプレートからの製造済第二物理的コピーの偏位に関して最大値を有してもよい。
【0110】
例えば、適合基準は、位置に依存するものであってもよい。従って、第一および/または第二構成要素の異なる位置で、異なる適合基準が画成されてもよい。特に、異なる位置で、異なる閾値が適合基準によって画成されてもよい。
【0111】
従って、シミュレーションされた第一および第二物理的コピーの適合性が検査されてもよい。適合が不十分な場合、すなわち製造の不正確さにより第一および/または第二物理的コピーの偏位がそれ自体、または第二および/または第一物理的コピーの偏位と合わさって適合基準を超えた場合、第一および/または第二物理的コピーは、適合基準が満たされるように修正されてもよい。
【0112】
例えば、ブロック202に関して上述された物理的モデルの製造の追加シミュレーションが、ブロック206で提供される1つ以上の修正テンプレートを用いて行われてもよい。ブロック206で1つの修正テンプレートが提供される場合、受け入れ可能な修正テンプレート用の歯科補綴アセンブリの構成要素に関して、製造の再シミュレーションが行われてもよい。再シミュレーションには、修正テンプレートが使用されてもよい。ブロック206で両方の構成要素の修正テンプレートが提供される場合、修正テンプレート用の歯科補綴アセンブリの構成要素に関して、製造の再シミュレーションが行われてもよい。従って、再シミュレーションには、両方の修正テンプレートが使用されてもよい。再シミュレーションの結果は、ブロック204で上述したような検査、すなわち適合基準を逸脱する偏位が依然存在するか否かの検査に使用されてもよい。適合基準を逸脱する偏位が全く無い場合には、1つ以上の修正テンプレートが、ブロック210で上述されたような物理的コピーの製造に使用されてもよい。再シミュレーションの結果に基づき、適合基準を逸脱する偏位が依然存在する場合、ブロック206で上述したような残存偏位を補正するため、1つ以上のテンプレートの更なる修正が行われてもよい。1つ以上の更に修正されたテンプレートは、物理的コピーを製造するのに使用されてもよい。斯かる追加のシミュレーションは、例えば、適合基準を逸脱する偏位が全く存在しなくなるまで反復されてよい。
【0113】
ブロック210において、歯科補綴アセンブリの両構成要素の物理的コピーが、ブロック06で提供された1つ以上の修正テンプレートを用いて製造される。修正テンプレートがブロック06で提供されていない歯科補綴アセンブリの構成要素の製造には、ブロック200で提供される未修正テンプレートが使用される。構成要素は、シミュレーションが実行されるCAM方法を用いて製造されてもよい。CAM方法は、例えば、機械加工または3D印刷を有してもよい。歯科補綴アセンブリが橋脚歯および歯冠を有する場合、例えば、橋脚歯の3Dデジタルモデルを用いる橋脚歯をテンプレートとして、歯冠の3Dデジタルモデルを用いる歯冠をテンプレートとして製造される。両構成要素は同一の製造方法を用いて製造されてもよいし、あるいは、両構成要素は異なる製造方法を用いて製造されてもよい。
【0114】
例えば、更に、製造された第一および第二物理的コピーのスキャンデータが取得されてもよい。例えば、製造された第一および第二物理的コピーのスキャンデータは、3Dスキャナ(例えば、光学3Dスキャナ)を用いてスキャンされる。スキャンデータは、製造された第一物理的コピーの少なくとも一部の第一3Dデジタルスキャンモデルおよび製造された第二物理的コピーの少なくとも一部の第二3Dデジタルスキャンモデルを提供するのに使用されてもよい。3Dデジタルスキャンモデルは、例えば、それぞれ、製造された第一物理的コピーおよび第二物理的コピー全体を有してもよい。第一3Dデジタルスキャンモデルは、例えば、製造された第一物理的コピーの一部(すなわち、小分け部分)だけを有してもよい。例えば、第一構成要素が歯冠の場合、第一3Dデジタルスキャンモデルは、レセプションを有する第一接続部分を有してもよい。第二3Dデジタルスキャンモデルは、例えば、製造された第二物理的コピーの一部(すなわち、小分け部分)だけを有してもよい。例えば、第二構成要素が橋脚歯の場合、第二3Dデジタルスキャンモデルは、突起を有する第二接続部分を有してもよい。
【0115】
スキャンモデルは、1つ以上の適合基準を逸脱する製造済物理的コピーの機械的接続の偏位を決定するのに使用されてもよい。従って、製造済物理的コピーが、シミュレーションに基づいて予測されるように、適合基準を満たすか否かが検査できる。適合基準を逸脱する偏位が全く決定されない場合、製造済第一および第二物理的コピーは受け入れられてよい。例えば、2つの物理的コピーの受け入れを示す受け入れ信号が生成および提供されてもよい。受け入れ信号の提供は、例えば、可視および/または音声形式の各信号の出力を有してもよい。受け入れ信号の出力には、出力装置が使用されてもよい。例えば、可視出力装置(ディスプレイなど)が、可視形式で受け入れ信号を出力するのに使用されてもよい。例えば、音声出力装置(スピーカーなど)が、音声形式で受け入れ信号を出力するのに使用されてもよい。
【0116】
適合基準を逸脱する1つ以上の偏位が決定される場合、決定された機械的接続の偏位は、斯かる適合基準の1つ以上の逸脱が満たされるように補正されてよい。補正は、少なくとも、第一物理的コピーを製造するのに使用されたテンプレートまたは第二物理的コピーを製造するのに使用されたテンプレートを更に修正する工程を有してもよい。例えば、両テンプレートが修正されてもよい。
【0117】
例えば、機械的接続は、確立された際に、第一構成要素に対する第二構成要素の相対位置を画成してもよい。適合基準は、画成された相対位置からの第二構成要素の偏位に関して第一最大値を有してもよい。従って、第一構成要素に対する位置からの第二構成要素の偏位が第一最大値を超えたならば、機械的接続が確立された場合に、第一構成要素に対する第二構成要素の相対位置が調整され、残りの全ての偏位が第一最大値以下になるように、第一および/または第二物理的コピーの形態が再調整される。
【0118】
例えば、機械的接続は、確立された際に、第一構成要素に対する第二構成要素の相対方向を画成してもよい。適合基準は、画成された相対方向からの第二構成要素の偏位に関して第二最大値を有してもよい。従って、第一構成要素に対する方向からの第二構成要素の偏位が第二最大値を超えたならば、機械的接続が確立された場合に、第一構成要素に対する第二構成要素の相対方向が調整され、残りの全ての偏位が第二最大値以下になるように、第一および/または第二物理的コピーの形態が再調整される。
【0119】
機械的接続の偏位の決定は、機械的接続の選択されたセクションに限定されてもよい。例えば、第一および第二セクションがペアで選択されてもよい。各ペアの第一および第二セクションは、対向する第一および第二表面を有する。従って、偏位は、例えば、対向する第一および第二表面に関して分析されてもよい。
【0120】
例えば、機械的接続は、確立される際、第一および第二接続部分間のクリアランスを画成する。クリアランスは、例えば、歯科補綴アセンブリの2つの構成要素を接合するため、2つの構成要素間に接着剤を挿入するのに必要である。適合基準は、クリアランスの十分な最小寸法を保証するため、クリアランスの最小値を必要としてもよい。クリアランスに対する機械的接続の偏位は、例えば、テンプレートの選択された第一および第二セクション間で決定されてもよい。
【0121】
例えば、適合基準は、クリアランスが大きくなり過ぎないように、クリアランスの最大値を更に有していてもよい。
【0122】
例えば、適合基準を逸脱する機械的接続の偏位だけが決定されるのではない。加えて、製造された第一および/または第二物理的コピー自体に、1つ以上の適合基準が画成されてもよい。従って、例えば、第一物理的コピーの製造に使用されたテンプレートからの製造済第一物理的コピーの偏位(斯かる適合基準の逸脱)が決定されてもよい。例えば、第二物理的コピーの製造に使用されたテンプレートからの製造済第二物理的コピーの偏位(斯かる適合基準の逸脱)が決定されてもよい。斯かる適合基準は、例えば、第一テンプレートからの製造済第一物理的コピーの偏位に関して最大値および/または第二テンプレートからの製造済第二物理的コピーの偏位に関して最大値を有してもよい。
【0123】
例えば、適合基準は、位置に依存するものであってもよい。従って、第一および/または第二構成要素の異なる位置で、異なる適合基準が画成されてもよい。特に、異なる位置で、異なる閾値が適合基準によって画成されてもよい。
【0124】
従って、製造された第一および第二物理的コピーの適合性が同様に検査されてもよい。適合が不十分な場合、すなわち製造の不正確さにより第一および/または第二物理的コピーの偏位がそれ自体、または第二および/または第一物理的コピーの偏位と合わさって適合基準を超えた場合、第一および/または第二物理的コピーは、適合基準が満たされるように修正されてもよい。
【0125】
更なる修正テンプレートを用いて、修正された第一および/または第二物理的コピーが提供されてもよい。例えば、第一および/または第二物理的コピーが修正されてもよい。更なる修正テンプレートに従って修正された第一および/または第二物理的コピーを提供することにより、全ての適合基準が確実に満たされる。例えば、第一物理的コピーは、更なる第一修正テンプレートに従って修正されてもよい。例えば、第二物理的コピーは、更なる第二修正テンプレートに従って修正されてもよい。
【0126】
1つ以上の修正物理的コピーの提供は、例えば、テンプレートが修正された製造済物理的コピーの少なくとも1つの再製造工程を有してもよい。斯かる再製造には、各更なる修正テンプレートが使用される。
【0127】
1つ以上の修正物理的コピーの提供は、テンプレートが修正された製造済物理的コピーの少なくとも1つの後続の機械加工に関して、機械加工パラメータを決定する工程を有してもよい。機械加工パラメータは、各更なる修正パラメータを用いて決定される。製造済物理的コピーの少なくとも1つを修正するため、決定された機械加工パラメータを用いて、各物理的コピーの後続の機械加工が行われてもよい。製造済物理的コピーの少なくとも1つの後続の機械加工には、例えば、各物理的コピーの製造に関して、同じ機械加工工具が使用されてもよい。あるいは、例えば、各物理的コピーの製造に使用された機械加工工具と比較して減少サイズの異なる機械加工工具が使用されてもよい。減少サイズの機械加工工具の使用は、より正確な機械加工が可能であるという特長を有する。物理的コピーの製造に大型サイズの機械加工工具を使用するならば、より迅速な機械加工が可能であるという特長を有する。しかし、大型の機械加工工具の使用は、同時に、機械加工による1つ以上の適合基準を逸脱する潜在的偏位のリスクを増大させるかもしれない。各物理的コピーの製造に大型の機械加工工具を使用し、適合基準を逸脱する偏位を補正する(必要だと決定された場合のみ)ため、後続の機械加工に小型の機械加工工具を使用するならば、迅速な機械加工が可能で、それと同時に、全ての適合基準が確実に満たされるという特長が得られるかもしれない。
【0128】
図2は、別の歯科補綴アセンブリを製造するための更なる例示的方法を示すフローチャートである。
図2のブロック300~306は、
図1の200~206に対応する。適合基準を逸脱する偏位の場合、ブロック306の修正およびブロック307のシミュレーションが反復され、適合基準を逸脱する偏位が残らなくなるまで、シミュレーションの結果がブロック304で検査される。その後、工程はブロック300に進む。ブロック300において、歯科補綴アセンブリの構成要素の物理的コピーが、(例えばブロック210で)上述されたように製造される。ブロック300で提供されるテンプレートに関して、適合基準を逸脱する偏位が全く決定されない場合、ブロック300で提供されるテンプレートが、ブロック308で、物理的コピーの製造に使用される。適合基準を逸脱する偏位を回避するため、1つ以上のテンプレートが修正された場合には、ブロック306で提供される各修正テンプレートが、ブロック308で、物理的コピーの製造に使用される。ブロック304で決定された適合基準を逸脱する偏位を補正する際、ブロック300で提供される1つ以上のテンプレートが未修正で残る場合、ブロック300で提供される各未修正テンプレートは、ブロック308で、物理的コピーの製造に使用される。更に、
図1で選択的特徴として上述されたように、製造された第一および第二物理的コピーの適合性が検査されてもよい。
【0129】
図3は、機械加工によって製造される歯科補綴アセンブリの例示的構成要素104を示す。
図3は、例えば、機械加工のシミュレーションに起因する例示的構成要素104の3Dデジタルモデル(すなわち、シミュレーション結果)を示す。例示的構成要素104は、例えば、橋脚歯であってもよい。例えば、ブランク76が提供され、1つ以上の機械加工工具72を用いて、テンプレートによって画成される機械加工パラメータに従って、それが機械加工される。テンプレートは、機械加工工具72を用いてブランク76から素材を除去することにより製造される橋脚歯104の3D形態を画成してもよい。橋脚歯104は、突起114および縁105を有してもよい。突起114は、例えば、歯冠が橋脚歯104に配列される際に、歯冠のレセプション内に挿入されるように構成されてもよい。従って、機械的接続が、橋脚歯104と例えば歯冠との間に確立される。機械的接続は、橋脚歯104の突起114を受納する歯冠の受け入れによって確立されてもよい。橋脚歯104の突起114の挿入深さは、縁105によって制限されてもよい。
【0130】
図4は、別の観点から見た
図3の例示的橋脚歯104を示す。橋脚歯104は、底面110を有してもよい。斯かる底面110は、インプラントとの接続用に構成されてもよい。例えば、ねじ穴が、橋脚歯104および底面110を通して延伸してもよい。ねじ穴は、橋脚歯104をインプラントに接続するためのねじを受納するように構成されてもよい。底面並びにねじ穴は、橋脚歯104と例えば歯冠との間の機械的接続に何らの影響も及ぼさない。従って、底面110並びにねじ穴は、機械的接続の潜在的偏位の決定において無視してよい。ソフトウェアは、無視領域(例えば、ねじ穴)が、例えば橋脚歯104の製造シミュメーション用のテンプレートとして使用される3Dデジタルモデルのどこに存在するかを正確に知っているので、無視領域がシミュレーション結果のどこに存在するかを自動的に検出できる。検出は、テンプレートとして使用される3Dデジタルモデルに、シミュレーション結果の2つのデジタル対象物を登録する工程を有してもよい。登録は、例えば、ICP登録(すなわち、反復最近接点アルゴリズムを用いて、2つの点群の差を最小化する登録)であってもよい。
【0131】
ICPの代替方法として、座標系の同期化は、座標軸および座標中心に関する個々の工程段階およびアルゴリズムをトラック&トレースすることにより達成されてもよい。個々の座標系の変更を復帰させることにより、最終シミュレーションが、元のCAD座標系に自動的に配置され、シミュレーション結果とテンプレートとの比較が可能となる。このプロセスは、適切な設計が達成されるまで反復されてよい。例えば、第一構成要素の第一物理的コピーの製造シミュレーション中に生じる座標系の変更が記録されてもよい。記録された座標系の変更は、結果的に生じる第一シミュレーション結果用に復帰されてもよい。従って、第一シミュレーション結果は、元のCAD座標系に配置される。例えば、第二構成要素の第二物理的コピーの製造シミュレーション中に生じる座標系の変更が記録されてもよい。記録された座標系の変更は、結果的に生じる第二シミュレーション結果用に復帰されてもよい。従って、第二シミュレーション結果は、元のCAD座標系に配置される。
【0132】
更に、検出は、テンプレートにおいて無視されるように画成された部分への幾何学的閾値距離を用いて、シミュレーション結果で無視される部分を選択する工程を有してもよい。テンプレートの無視可能部分への幾何学的閾値距離以下の距離を有するシミュレーション結果の部分は、無視されてよい。底面は、
図4でブランク面として示されているが、橋脚歯104と例えば歯冠との間の機械的接続の潜在的偏位を決定する目的で、ブランク面と考えられてよい。例えば、斯かる偏位を決定するにあたり、橋脚歯104の縁105および突起114だけが考慮されてよい。縁105に関しては、縁105の歯冠に対向する面だけが考慮されてよい。
【0133】
図5は、橋脚歯104のシミュレーションされた物理的コピーにおける、橋脚歯104テンプレートからの偏位を有する、
図3の例示的橋脚歯104を示している。
図5に示される橋脚歯104は、例えば、各橋脚歯104の製造シミュレーションの結果であってもよい。例えば、機械加工がシミュレーションされてもよい。
図5に示される偏位は、橋脚歯104のシミュレーションされた製造結果と製造のシミュレーションに用いられたテンプレートとの間の偏位であってもよい。例えば、橋脚歯104が歯冠に挿入される方向に面する縁105の面は、予め画成された閾値を超える、テンプレートによって画成された形態からの偏位115を有していてもよい。予め画成された閾値を超える縁105の偏位115は、適合基準を逸脱する橋脚歯104と例えば歯冠との間の機械的接続の偏位をもたらす。斯かる橋脚歯104の偏位115による機械的接続の偏位は、例えば、歯冠用のテンプレートを修正することにより補正されてもよい。歯冠用のテンプレートを修正することにより、橋脚歯104と歯冠との間、特に縁105と歯冠との間の機械的接続が、予め画成された適合基準を逸脱する偏位が全く残らないように調整できる。歯冠は、各修正テンプレートを用いて製造されてもよい。
【0134】
図6は、橋脚歯104(例えば、
図3~5に示される橋脚歯104)並びに歯冠102を有する例示的歯科補綴アセンブリ100を示す。橋脚歯104は、歯冠102のレセプションに挿入されるように構成された突起114を有している。橋脚歯104と歯冠102との間の機械的接続を確立するため、歯冠102は、歯冠102が橋脚歯104を受納するように橋脚歯104上に配置される。歯冠102内への橋脚歯104の挿入深さは、橋脚歯104の縁105によって制限されてよい。
【0135】
図7は、インプラント108に配置される例示的歯科補綴アセンブリ100の例示的構成要素102、104を示す。インプラント108は、患者の顎骨に移植されるように構成されてもよい。歯科補綴アセンブリ100は、ねじ106を用いてインプラントに配置されるように構成されてもよい。ねじ106は、例えば咀嚼中にねじが緩むのを避けるため、歯科用トルクレンチで、所定のトルクにしっかりと固定されてもよい。歯冠102は、橋脚歯104の突起114に歯冠102のレセプション112を挿入することにより、橋脚歯104上に配置されてもよい。例えば、ねじは、橋脚歯104と歯冠102との間の機械的接続の確立(すなわち、橋脚歯102上への歯冠102の配置)の前または後に、橋脚歯104をインプラント108に固定するのに使用されてもよい。ねじ106が機械的接続の確立後に固定される場合、歯冠102は、ねじ回し(例えば、歯科用トルクレンチ)、および/またはねじ106を挿入するように構成されたチャネルを有していてもよい。機械的接続は、それが確立される際、歯冠102と橋脚歯104との間にクリアランスを有してもよい。斯かるクリアランスは、例えば咀嚼中に歯冠が緩むのを避けるため、接着剤(例えば、歯科用セメント)を受納するように構成されてもよい。従って、歯冠102と橋脚歯との間の永久的結合が確立できる。
【0136】
図8は、歯科補綴アセンブリの製造に使用可能な例示的コンピュータシステム10の概略図を示している。コンピュータシステム10は、種々の他の汎用または専用コンピューティングシステム環境または構成と一緒に操作可能である。コンピュータシステム10は、コンピュータシステム10で実行可能なコンピュータシステム実行可能命令(例えば、実行可能プログラム命令を有するプログラムモジュール)の一般的文脈で記載可能である。一般的に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行する、あるいは特定の抽象データタイプを実施するルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、論理、データ構造などを有していてもよい。コンピュータシステム10は、タスクが通信ネットワークにより接続された遠隔処理装置で実行される、分散コンピューティング環境で実施されてもよい。分散コンピューティング環境においては、プログラムモジュールは、ローカル/遠隔両方のコンピューティングシステム記憶媒体(メモリ記憶装置を含む)に配置されてもよい。
【0137】
図9において、コンピュータシステム10は、汎用コンピューティング装置の形態で示されている。コンピュータシステム10の構成要素は、限定されないが、1つ以上のプロセッサまたは処理装置16、システムメモリ28,およびシステムメモリ28を含む種々のシステム構成要素をプロセッサ16に接続するバス18を有していてもよい。バス18は、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バス、アクセラレイティッドグラフィックポート、および種々のバスアーキテクチャのいずれかを用いるプロセッサまたはローカルバスを含む、数種類のバス構造のうちの1つ以上を表している。例えば、限定されないが、斯かるアーキテクチャには、Industry Standard Architechture(ISA)バス、Micro Channel Architechture(MCA)バス、Enhanced ISA(EISA)バス、Video Electronics Standards Association(VESA)ローカルバス、Peripheral Component Interconnect(PCI)バスなどが含まれる。
【0138】
コンピュータシステム10は、種々のコンピュータシステム読み取り可能記憶媒体を有していてもよい。斯かる媒体は、コンピュータシステム10によってアクセス可能な任意の記憶媒体であってよく、揮発性および不揮発性記憶媒体並びに取り外し可能および取り外し不能記憶媒体がそれに含まれる。
【0139】
システムメモリ28は、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/またはキャッシュメモリなど、揮発性メモリ形態のコンピュータシステム読み取り可能記憶媒体を有していてもよい。コンピュータシステム10は、他の取り外し可能/取り外し不能、揮発性/不揮発性コンピュータシステム記憶媒体を更に有していてもよい。例えば、記憶システム34は、ハードドライブとも呼ばれる取り外し不能/不揮発性磁気媒体からの読み取りおよびそれへの書き込み用に提供されてもよい。例えば、取り外し可能/不揮発性磁気ディスク(例えば、フロッピディスク)からの読み取りおよびそれへの書き込み用の磁気ディスクドライブ並びに取り外し可能/不揮発性光学ディスク(CD-ROM、DVD-ROM、または他の光学記憶媒体)からの読み取りおよびそれへの書き込み用の光学ディスクドライブが提供されてもよい。斯かる例において、各記憶媒体は、1つ以上のデータ媒体インターフェースによってバス18に接続されていてもよい。メモリ28は、プログラムモジュール群を有する少なくとも1つのプログラム製品、例えば歯科補綴アセンブリの製造方法の1つ以上の工程を実行するように構成された少なくとも1つのプログラムモジュールを有していてもよい。各プログラムモジュールは、例えば、物理的コピーの製造をシミュレーションしたり、歯科補綴アセンブリの構成要素の製造された物理的コピーのデジタル3Dスキャンモデルを提供したり、1つ以上の適合基準を逸脱している歯科補綴アセンブリ構成要素間の機械的接続の偏位を決定したり、テンプレートを修正することにより適合基準を逸脱する偏位を補ったりするように構成されてもよい。各プログラムモジュールは、例えば、歯科補綴アセンブリの構成要素の製造済物理的コピーのデジタル3Dモデルを提供するように更に構成されてもよい。
【0140】
プログラム40は、1つ以上のプログラムモジュール42群を有してもよく、例えば、メモリ28に記憶されていてもよい。プログラムモジュール42は、オペレーティングシステム、1つ以上のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、および/またはプログラムデータを有していてもよい。オペレーティングシステム、1つ以上のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、およびプログラムデータ、またはそれらのいくつかの組み合わせが、ネットワーキング環境の実施を有していてもよい。1つ以上のプログラムモジュール42が、歯科補綴アセンブリの製造方法の1つ以上の工程の実行を可能にする。
【0141】
コンピュータシステム10は、ユーザーとコンピュータシステム10との間の相互関係を可能にする1つ以上の外部装置14、例えば、キーボード、マウスなどのポインティングデバイス、およびディスプレイ24と更に通信してもよい。斯かる通信は、入出力(I/O)インターフェース22を通して可能となる。コンピュータシステム10は、ネットワークアダプタ20を通して、ローカルエリアネットワーク(LAN)、一般的な広域ネットワーク(WAN)、および/またはインターネットなどの公共ネットワークなどの1つ以上のネットワークと更なる通信を行ってもよい。ネットワークアダプタ20は、バス18を通して、コンピュータシステム10の他の構成要素と通信してもよい。図示はされていないが、コンピュータシステム10と一緒に他のハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素も使用可能であることは理解されたい。
【0142】
図8に示されるコンピュータシステム10は、歯科補綴アセンブリの製造方法の1つ以上の工程を実行するように構成されていてもよい。各コンピュータシステム10は、例えば、歯科補綴アセンブリの構成要素の3Dデジタルモデルを提供(例えば、生成)したり、物理的コピーの製造をシミュレーションしたり、1つ以上の適合基準を逸脱している歯科補綴アセンブリ構成要素間の機械的接続の偏位を決定したり、テンプレートを修正することにより適合基準の逸脱偏位を補ったりするように構成されてもよい。各コンピュータシステム10は、歯科補綴アセンブリの構成要素の製造済物理的コピーのデジタル3Dモデルを提供するように更に構成されてもよい。制御パラメータは、例えば、1つ以上の製造装置、例えば1つ以上の機械加工装置および/または1つ以上の3D印刷装置を制御するように、コンピュータシステム10によって使用されてもよい。各コンピュータシステム10は、歯科補綴アセンブリの構成要素の物理的コピーのスキャンデータを取得するように構成された1つ以上のスキャン装置を制御するように更に構成されてもよい。コンピュータシステム10は、ローカルインターフェースを通して処理されるデータを受け取るネットワーク接続を一切有しない独立型コンピュータであってもよい。コンピュータシステム10が受け取るデータは、例えば、歯科補綴アセンブリの構成要素の3Dデジタルモデルおよび/または歯科補綴アセンブリの構成要素の物理的コピーのスキャンデータを有していてもよい。例えば、コンピュータシステム10は、歯科補綴アセンブリの構成要素の3Dデジタルモデルを生成するのに使用されてもよい。しかし、斯かる操作は、通信ネットワークおよび/またはコンピューティングネットワークなどのネットワークに接続されたコンピューターネットワークを用いて実行されるのが通常である。
【0143】
図9は、歯科補綴アセンブリ100の製造方法の工程を実行するためのコンピュータシステム10を有する例示的システム11を示している。コンピュータシステム10は、例えば、
図12に示されるように構成されてもよい。コンピュータシステム10は、1つ以上のプロセッサを含むハードウェア構成要素並びにマシン実行可能プログラム命令を記憶するメモリを有していてもよい。1つ以上のプロセッサによるプログラム命令の実行により、当該1つ以上のプロセッサは、歯科補綴アセンブリ100の製造方法の1つ以上の工程を実行するように、コンピュータシステム10を制御してもよい。歯科補綴アセンブリ100は、第一および第二構成要素102、104を有していてもよい。歯科補綴アセンブリ100の第一構成要素102の例として、
図9は歯冠を示している。歯科補綴アセンブリ100の第二構成要素102の例として、
図9は橋脚歯を示している。第一構成要素102は、第二構成要素104が有する第二接続部分の突起を受納することにより第一および第二構成要素102、104間の機械的接続を確立するように構成されたレセプションを有する第一接続部分を有してもよい。
【0144】
当該方法は、第一テンプレートとして第一構成要素102の第一3Dデジタルモデルおよび第二テンプレートとして第二構成要素104の第二3Dデジタルモデルを提供(例えば、生成)する工程を有してもよい。第一構成要素102の第一物理的コピーの製造は、第一テンプレートを用いてシミュレーションされてもよく、その結果、第一シミュレーション結果が得られる。第二構成要素104の第二物理的コピーの製造は、第二テンプレートを用いてシミュレーションされてもよく、その結果、第二シミュレーション結果が得られる。機械的接続を確立するために、第一および第二シミュレーション結果によって第一および第二テンプレートを置き換える際、1つ以上の適合基準を逸脱する機械的接続の偏位が決定される。決定された機械的接続の偏位は、1つ以上の逸脱した適合基準を満たすように補正される。補正は、以下、すなわち第一3Dデジタルモデルを修正し、第一テンプレートとして、修正第一3Dデジタルモデルによって第一3Dデジタルモデルを置き換える工程および第二テンプレートとして、修正第二3Dデジタルモデルによって第二3Dデジタルモデルを置き換える工程のうちの少なくとも1つを有する。第一構成要素102の第一物理的コピーは第一テンプレートを用いて製造され、第二構成要素104の第二物理的コピーは第二テンプレートを用いて製造される。
【0145】
コンピュータシステム10は、ユーザーとコンピュータシステム10との間の相互関係が可能となるように、キーボード54やマウス56などの1つ以上の入力装置を更に有していてもよい。更に、コンピュータシステム10は、制御構成要素52を有するグラフィカルユーザーインターフェース50(例えば、GUI構成要素)を提供するディスプレイ24などの1つ以上の出力装置を有していてもよく、その結果、ユーザーにとって、歯科補綴アセンブリ100の構成要素102、104の3Dデジタルモデルの生成および/または歯科補綴アセンブリ100の構成要素102、104の製造が可能となる。
【0146】
図10は、第一構成要素102(例えば、歯冠)および第二構成要素104(例えば、橋脚歯)を有する歯科補綴アセンブリ100製造用の例示的システム11を示している。システム11は、義歯の歯列弓の歯を製造するように構成されてもよい。製造された人工歯肉は、義歯のデジタル3Dモデルの人工歯肉の物理的コピーであってもよい。システム11は、
図13のコンピュータシステム10を有していてもよい。コンピュータシステム10は、1つ以上の製造装置60、70を制御するように更に構成されていてもよい。例えば、システム11は、コンピュータシステム10によって制御される機械加工装置70形態の機械加工装置を有していてもよい。機械加工装置70は、1つ以上の機械加工工具72を用いてブランク76を機械加工するように構成されていてもよい。素材78のブランク76が保持装置74を用いて提供され、制御された素材除去プロセス実行用の1つ以上の機械加工工具72を用いて、製造対象の歯科構成要素(例えば、歯科補綴アセンブリ100の第一および/または第二構成要素102、104)の望ましい最終形状およびサイズに切断されてもよい。機械加工工具72は、例えば、フライス工具であってもよい。デジタル3Dモデル(例えば、第一および/または第二構成要素102、104)は、機械加工装置70を用いて製造される歯科構成要素(例えば、歯科補綴アセンブリ100の第一および/または第二構成要素102、104)のテンプレートを提供してもよい。
【0147】
例えば、システム11は、3D印刷装置60形態の製造装置を有していてもよい。3D印刷装置60は、コンピュータシステム10によって制御され、製造対象の1つ以上の歯科構成要素(例えば、歯科補綴アセンブリ100の第一および/または第二構成要素102、104)を印刷するように構成されてもよい。3D印刷装置60は、第一および/または第二構成要素102、104のような各歯科構成要素を層毎に印刷するように構成された印刷構成要素62を有してもよい。デジタル3Dモデル101(例えば、第一および/または第二構成要素102、104)は、3D印刷装置60を用いて製造される歯科構成要素(例えば、歯科補綴アセンブリ100の第一および/または第二構成要素102、104)のテンプレートを提供してもよい。
【0148】
更に、システム11は、システム11を用いて製造される歯科補綴アセンブリの構成要素102、104の物理的コピーのスキャンデータを取得するように構成された1つ以上のスキャン装置(すなわちスキャナ)を有していてもよい。スキャンデータ、例えば構成要素102、104の物理的コピーのスキャンデータが、構成要素102、104の各物理的コピーの少なくとも一部の3Dデジタルモデルを提供するのに使用されてもよい。構成要素102、104の各物理的コピーを製造するのに使用されるテンプレートは、スキャンモデルによって少なくとも部分的に置き換えられ、そのスキャンモデルを用いて、1つ以上の適合基準を逸脱する機械的接続の偏位が決定されてもよい。斯かるスキャナ80は、例えば、歯科補綴アセンブリ100の製造済構成要素102、104の表面の光学スキャンを実行するように構成された光学式スキャナを有していてもよい。スキャン装置80は、例えば、歯科補綴アセンブリ100の製造済構成要素102、104のスキャンデータを取得するのに適した別のタイプのスキャナを有していてもよい。スキャン装置80は、例えば、X線スキャナを有していてもよい。
【0149】
本発明は、図面および前述の記載で詳細に図示および記載がなされているが、斯かる図示および記載は例示的なものであり、限定的ではないことを理解されたい。本発明は、開示されている実施形態に制限されるものではない。
【0150】
開示された実施形態の他の変形も、図面、開示、および添付の特許請求の範囲の研究から、請求項に係る発明の実践において、当業者により理解され、実践可能である。請求項において、「有する」と言う用語は、他の構成要素または工程を除外するものではなく、不定冠詞「a」または「an」は複数形を排除するものでもない。特定の基準が相互に異なる従属項において記載されていたとしても、斯かる基準の組み合わせの有効使用はないという意味ではない。請求項におけるいずれの引用符号も、発明の範囲を制限するように解釈されるべきではない。
【0151】
単一のプロセッサまたは他の装置が、請求項に記載されるいくつかの項目の機能を達成してもよい。コンピュータプログラムが、他のハードウェアと一緒またはその一部として提供される光学記憶媒体または固体媒体などの適切な媒体に記憶/分散されてもよいが、それは、他の形式、例えば、インターネットまたは他の有線あるいは無線通信システムを通して分散されてもよい。
【0152】
当業者には理解されるであろうが、本発明の態様は、装置、方法、コンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品として具体化されてもよい。従って、本発明の態様は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフト,マイクロコードなどを含む)、またはソフトウェアとハードウェアを組み合わせた実施形態を採用でき、これらは、本明細書では、一般的に全て「回路」、「モジュール」、または「システム」と呼ばれる。更に、本発明の態様は、コンピュータ実行可能コードを組み込んだ1つ以上のコンピュータ読み取り可能媒体(複数も可)に組み込まれたコンピュータプログラムを採用してもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータ実行可能または「プログラム命令」を有している。
【0153】
1つ以上のコンピュータ読み取り可能媒体の任意の組み合わせが利用可能である。コンピュータ読み取り可能媒体は、コンピュータ読み取り可能信号媒体またはコンピュータ読み取り可能記憶媒体であってもよい。本明細書で使用される場合、「コンピュータ読み取り可能記憶媒体」は、コンピュータ装置のプロセッサによって実行可能な命令を記憶できる任意の有形記憶媒体を含む。コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能非一時的記憶媒体と呼ばれてもよい。コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、有形コンピュータ読み取り可能媒体と呼ばれてもよい。いくつかの実施形態において、コンピュータ読み取り可能記憶媒体は、コンピュータ装置のプロセッサによってアクセス可能なデータを記憶できてもよい。コンピュータ読み取り可能記憶媒体の例としては、限定されないが、フロッピディスク、磁気ハードディスクドライブ、固体ハードディスク、フラッシュメモリ、USBサムドライブ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、光学ディスク、光磁気ディスク、およびプロセッサのレジスタファイルが挙げられる。光学ディスクの例としては、コンパクトディスク(CD)、デジタル汎用ディスク(DVD)、例えば、CD-ROM、CD-RW、CD-R、DVD-ROM、DVD-RW、またはDVD-Rディスクが挙げられる。光学ディスクの更なる例はブルーレイディスクである。コンピュータ読み取り可能記憶媒体と言う用語は、ネットワークまたは通信リンクを通してコンピュータ装置によってアクセス可能な種々のタイプの記録媒体も意味する。例えば、データは、モデム、インターネット、またはローカルエリアネットワークを通して検索されてもよい。コンピュータ読み取り可能媒体に組み込まれたコンピュータ実行可能コードは、限定されないが、無線、有線、光ファイバケーブル、RFなど、またはそれらの任意の適切な組み合わせを含む任意の適切な媒体を通して通信されてもよい。
【0154】
コンピュータ読み取り可能信号媒体としては、例えば、ベースバンドまたは搬送波の一部として、コンピュータ実行可能を組み込んだ伝播データ信号が挙げられる。斯かる伝播信号は、限定されないが、電磁気、光学、またはそれらの任意の適切な組み合わせを含む種々の形態を採用してもよい。コンピュータ読み取り可能信号媒体は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体ではないが、命令実行システム、機器、または装置によってまたはそれらとの関連で使用されるプログラムを通信、伝播、伝送可能な任意のコンピュータ読み取り可能媒体であってよい。
【0155】
「コンピュータメモリ」または「メモリ」は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体の一例である。コンピュータメモリは、プロセッサに直接アクセス可能な任意のメモリである。「コンピュータ記憶装置」または「記憶装置」は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体の更なる例である。コンピュータ記憶装置は、任意の非揮発性コンピュータ読み取り可能記憶装置である。いくつかの実施形態において、コンピュータ記憶装置はコンピュータメモリであってもよく、コンピュータメモリはコンピュータ記憶装置であってもよい。
【0156】
本明細書で使用される場合、「プロセッサ」は、プログラム、マシン実行可能命令、またはコンピュータ実行可能コードを実行可能な電子構成要素を含む。「プロセッサ」を有するコンピュータ装置への言及は、2つ以上のプロセッサまたは処理コアが含まれている可能性があると解釈されるべきである。プロセッサは、例えば、マルチコアプロセッサであってもよい。プロセッサは、単一のコンピュータシステム内あるいは複数のコンピュータシステム間で分散されたプロセッサ群を意味してもよい。コンピュータ装置と言う用語は、各々プロセッサ(複数も可)を有するコンピュータ装置群またはそのネットワークを意味する可能性があると解釈されるべきである。コンピュータ実行可能コードは、同一のコンピュータ装置内または複数のコンピュータ装置間に分散された複数のプロセッサによって実行されてもよい。
【0157】
コンピュータ実行可能コードは、マシン実行可能命令、またはプロセッサが本発明の態様を実行できるようにするプログラムを有していてもよい。本発明の態様の操作を実行するためのコンピュータ実行可能コードは、Java、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語および「C」プログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語または類似のプログラミング言語を含む1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで記載され、マシン実行可能命令にコンパイルされていてもよい。いくつかの例では、コンピュータ実行可能コードは、高級言語形式または予めコンパイルされた形式であってもよく、早急にマシン実行可能命令を生成するインタープリタと一緒に使用されてもよい。
【0158】
コンピュータ実行可能コードは、独立型ソフトウェアパッケージとして、完全にユーザーのコンピュータ上で、部分的にユーザーのコンピュータ上で、部分的にユーザーのコンピュータ上および部分的に遠隔コンピュータ上で、あるいは完全に遠隔コンピュータまたはサーバー上で実行されてもよい。後者の場合、遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)を含む任意タイプのネットワークを通してユーザーのコンピュータに接続されていてもよく、あるいは(例えば、インターネットサービスプロバイダを通して)外部コンピュータに接続されていてもよい。
【0159】
一般的に、プログラム命令は、1つのプロセッサ上またはいくつかのプロセッサ上で実行可能である。複数のプロセッサの場合、クライアント、サーバーなどのいくつかの異なる実体間で分散できる。各プロセッサは、全体用に命令の一部を実行してもよい。従って、複数の実体を含むシステムまたはプロセスへ言及される場合、コンピュータプログラムまたはプログラム命令は、各全体に関連する/関係するプロセッサによって実行されるように適合されていると理解されたい。
【0160】
本明細書で使用される場合、「ユーザーインターフェース」とは、ユーザーまたはオペレータがコンピュータまたはコンピュータシステムと相互作用できるようにするインターフェースである。「ユーザーインターフェース」は「ヒューマンインターフェースデバイス」と呼ばれてもよい。ユーザーインターフェースは、情報またはデータをオペレータへ提供してもよく、および/またはオペレータから情報またはデータを受信してもよい。ユーザーインターフェースは、オペレータからの入力をコンピュータが受信できるようにしてもよいし、コンピュータからの出力をユーザーに提供してもよい。言い換えると、ユーザーインターフェースにより、オペレータはコンピュータを制御または操作できるし、コンピュータはオペレータの制御または操作の効果を示すことができる。ディスプレイまたはグラフィカルユーザーインターフェース上のデータまたは情報の表示は、情報をオペレータに提供する場合の例である。キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、ポインティングスティック、グラフィックテーブル、ジョイスティック、ゲームパッド、ウェブカム、ヘッドセット、ギアスティック、ステアリングホイール、ペダル、ワイヤグローブ、ダンスパッド、遠隔制御、1つ以上のスイッチ、1つ以上のボタン、およびアクセレロメータを通したデータ受信の場合、これらは全てオペレータからの情報またはデータの受信を可能にするユーザーインターフェース構成要素の例である。
【0161】
GUI構成要素はデータオブジェクトであり、その属性のいくつかがグラフィカルユーザーインターフェースに表示される領域(例えば、画面)の形状、レイアウト、および/または行動を特定するものである。GUI構成要素は、標準的なGUI構成要素、例えば、ボタン、テキストボックス、タブ、アイコン、テキストフィールド、ペイン、チェックボックスアイテムまたはアイテムグループなどであってもよい。GUI構成要素は、同様に、画像、英数字文字、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。表示されたGUI構成要素の特性の少なくともいくつかは、そのGUI構成要素が表すデータオブジェクト群に集積したデータ値に依存する。
【0162】
本発明の態様は、本発明の実施態様に基づく方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品に関するフローチャート、図および/またはブロック図を参照して記載される。フローチャート、図、および/またはブロック図の各ブロックまたはブロックの一部は、適切な場合、コンピュータ実行可能コード形式のコンピュータプログラム命令によって実行可能であることは理解されたい。異なるフローチャート、図、および/またはブロック図が、それらが相互に除外的でない場合、組み合わせ可能であることも更に理解されたい。斯かるコンピュータプログラム命令は、マシン製造のため、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供されてもよく、その結果、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサを通して実施される斯かる命令により、フローチャートおよび/またはブロック図のブロック(複数も可)に特定された機能/行動を実行するための手段が作成できる。
【0163】
斯かるコンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、他の装置を特定の方法で機能させるようにするコンピュータ読み取り可能媒体に記憶させてもよく、その結果、コンピュータ読み取り可能媒体に記憶させた命令により、フローチャートおよび/またはブロック図のブロック(複数も可)に特定された機能/行動を実行するための製品(命令を含む)が製造できる。
【0164】
コンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他の装置に配置され、斯かるコンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他の装置上で一連の操作工程を実施させ、コンピュータ実行プロセスを作成してもよく、その結果、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置で実行される命令により、フローチャートおよび/またはブロック図のブロック(複数も可)に特定された機能/行動を実行するためのプロセスが提供できる。
【0165】
有益な可能性のある実施形態は、以下の機能の組み合わせを有するものである。
【0166】
1.歯科補綴アセンブリを製造する方法であって、当該歯科補綴アセンブリは第一および第二構成要素を有しており、
第一構成要素は、第二構成要素が有する第二接続部分の突起を受納することにより第一および第二構成要素間の機械的接続を確立するように構成されたレセプションを有する第一接続部分を有しており、
第一構成要素の第一3Dデジタルモデルを第一テンプレートとして提供し、第二構成要素の第二3Dデジタルモデルを第二テンプレートとして提供する工程と、
第一テンプレートを用いて、第一構成要素の第一物理的コピーの製造をシミュレーションする工程であって、第一シミュレーション結果を得る工程と、
第二テンプレートを用いて、第二構成要素の第二物理的コピーの製造をシミュレーションする工程であって、第二シミュレーション結果を得る工程と、
機械的接続を確立するため、第一および第二シミュレーション結果を用いて、第一および第二テンプレートを置き換える際に、1つ以上の適合基準を逸脱する機械的接続の逸脱を決定する工程と、
1つ以上の逸脱した適合基準を満たすため、決定された機械的接続の偏位を補正する工程であって、当該補正が、以下、すなわち、
第一3Dデジタルモデルを修正し、修正された第一3Dデジタルモデルによって、第一テンプレートとして、第一3Dデジタルモデルを置き換える工程と、
第二3Dデジタルモデルを修正し、修正された第二3Dデジタルモデルによって、第二テンプレートとして、第二3Dデジタルモデルを置き換える工程とのうちの少なくとも1つを有する工程と、
第一テンプレートを用いて、第一構成要素の第一物理的コピーを製造し、第二テンプレートを用いて、第二構成要素の第二物理的コピーを製造する工程とを有するものである方法。
【0167】
2.機能の組み合わせ1記載の方法において、第一および第二物理的コピーは機械加工を用いて製造され、製造のシミュレーションは、機械加工されるブランク内部における、機械加工工具の機械加工経路のシミュレーション工程を有するものである方法。
【0168】
3.機能の組み合わせ2記載の方法において、製造のシミュレーションは、機械加工装置特有のシミュレーションである方法。
【0169】
4.機能の組み合わせ1記載の方法において、第一および第二物理的コピーは3D印刷を用いて製造され、製造のシミュレーションは、印刷装置によって適用される印刷素材の印刷経路をシミュレーションする工程を有するものである方法。
【0170】
5.機能の組み合わせ4記載の方法において、製造のシミュレーションは、機械加工装置特有のシミュレーションである方法。
【0171】
6.機能の組み合わせ1~5のいずれか一項記載の方法において、機械的接続は、確立されると、第一構成要素に対する第二構成要素の相対位置を画成し、適合基準は、画成された相対位置からの第二構成要素の偏位に関する第一最大値を有するものである方法。
【0172】
7.機能の組み合わせ1~6のいずれか一項記載の方法において、機械的接続は、確立されると、第一構成要素に対する第二構成要素の相対方向を画成し、適合基準は、画成された相対方向からの第二構成要素の偏位に関する第二最大値を有するものである方法。
【0173】
8.機能の組み合わせ1~7のいずれか一項記載の方法において、機械的接続の偏位の決定は、以下、すなわち、第一接続部分の1つ以上の選択された第一セクション群および第二接続部分の1つ以上の選択された第二セクション群のうちの1つ以上を有する、機械的接続の選択されたセクションに限定されるものである方法。
【0174】
9.機能の組み合わせ8記載の方法において、選択された1つ以上の第一セクションは、第一接続部分全体をカバーするものである方法。
【0175】
10.機能の組み合わせ8記載の方法において、選択された1つ以上の第一セクションは、第一接続部分の1つ以上の小分け部分をカバーし、第一接続部分の1つ以上の小分け部分はカバーされないままである方法。
【0176】
11.機能の組み合わせ8~10のいずれか一項記載の方法において、選択された1つ以上の第二セクションは、第二接続部分全体をカバーするものである方法。
【0177】
12.機能の組み合わせ8~10のいずれか一項記載の方法において、選択された1つ以上の第二セクションは、第二接続部分の1つ以上の小分け部分をカバーし、第二接続部分の1つ以上の小分け部分はカバーされないままである方法。
【0178】
13.機能の組み合わせ8~12のいずれか一項記載の方法において、選択された第一および第二セクションはペアで選択され、各ペアの第一および第二セクションは、対向する第一および第二表面を有するものである方法。
【0179】
14.機能の組み合わせ8~13のいずれか一項記載の方法において、第一および第二セクションの選択には画像パターン認識が使用され、画像パターン認識は、以下、すなわち2D画像パターン認識、3D画像パターン認識のうちの1つである方法。
【0180】
15.機能の組み合わせ1~14のいずれか一項記載の方法において、機械的接続は、確立される際、第一および第二接続部分間のクリアランスを画成し、適合基準は、クリアランスの最小値を有するものである方法。
【0181】
16.機能の組み合わせ15記載の方法において、クリアランスに対する機械的接続の偏位は、テンプレートの選択された第一および第二セクション間で決定されるものである方法。
【0182】
17.機能の組み合わせ15または16記載の方法において、適合基準は、クリアランスの最大値を更に有するものである方法。
【0183】
18.機能の組み合わせ1~17のいずれか一項記載の方法において、適合基準は、第一テンプレートからの第一シミュレーション結果の偏位に関して第一最大値を更に画成し、適合基準によって画成された第一最大値を逸脱する、第一テンプレートからの第一シミュレーション結果の偏位を決定する工程を更に有するものである方法。
【0184】
19.機能の組み合わせ18記載の方法において、第一最大値を逸脱する偏位の決定は、第一テンプレートの1つ以上の選択された第三セクションに限定されるものである方法。
【0185】
20.機能の組み合わせ19記載の方法において、第三セクションの選択には画像パターン認識が使用され、画像パターン認識は、以下、すなわち2D画像パターン認識、3D画像パターン認識のうちの1つである方法。
【0186】
21.機能の組み合わせ19記載の方法において、1つ以上の第三セクションは、1つ以上の第一セクション群から選択されるものである方法。
【0187】
22.機能の組み合わせ1~21のいずれか一項記載の方法において、適合基準は、第二テンプレートからの第二シミュレーション結果の偏位に関して第二最大値を更に画成し、適合基準によって画成された第二最大値を逸脱する、第二テンプレートからの第二シミュレーション結果の偏位を決定する工程を更に有するものである方法。
【0188】
23.機能の組み合わせ22記載の方法において、第二最大値を逸脱する偏位の決定は、第二テンプレートの1つ以上の選択された第四セクションに限定されるものである方法。
【0189】
24.機能の組み合わせ23記載の方法において、第四セクションの選択には画像パターン認識が使用され、画像パターン認識は、以下、すなわち2D画像パターン認識、3D画像パターン認識のうちの1つである方法。
【0190】
25.機能の組み合わせ23記載の方法において、1つ以上の第四セクションは、1つ以上の第二セクション群から選択されるものである方法。
【0191】
26.機能の組み合わせ1~25のいずれか一項記載の方法において、適合基準の1つ以上が、位置に依存するものである方法。
【0192】
27.機能の組み合わせ1~26のいずれか一項記載の方法において、第一および第二接続部分が、第一および第二接続部分の隆起部分、切れ目、縁、端、穴のうちの1つ以上を有するものである方法。
【0193】
28.機能の組み合わせ1~27のいずれか一項記載の方法において、偏位の決定は、第一および第二テンプレートへの、第一および第二シミュレーション結果の登録を有するものである方法。
【0194】
29.機能の組み合わせ28記載の方法において、画像パターン認識が、第一および第二テンプレートへの、第一および第二シミュレーション結果の登録に使用され、画像パターン認識は、以下、すなわち2D画像パターン認識、3D画像パターン認識のうちの1つである方法。
【0195】
30.機能の組み合わせ29記載の方法において、第一および第二シミュレーション結果は、第一および第二テンプレートに直接登録されるものである方法。
【0196】
31.機能の組み合わせ29記載の方法において、第一および第二シミュレーション結果は、第一および第二テンプレートに間接的に登録されるものであり、患者の歯列の少なくとも一部の第三3Dデジタルモデル内に、テンプレートの位置を画成する工程と、第三3Dデジタルモデル内の予め画成された位置において、シミュレーション結果を第三3Dデジタルモデル内に配置する工程とを有するものである方法。
【0197】
32.機能の組み合わせ29~31のいずれか一項記載の方法において、第一および第二テンプレートはマーカーを有しており、第一および第二シミュレーション結果はマーカーを有しており、マーカーは、シミュレーション結果のテンプレートへの登録に使用されるものである方法。
【0198】
33.機能の組み合わせ1~32のいずれか一項記載の方法において、第二構成要素は橋脚歯であり、第一構成要素は、以下、すなわち歯冠、ブリッジの橋脚歯、可撤式局部義歯の橋脚歯うちの1つである方法。
【0199】
34.機能の組み合わせ1~33のいずれか一項記載の方法において、第二構成要素はバーであり、第一構成要素は、以下、すなわちバー義歯、バー義歯の一部のうちの1つである方法。
【0200】
35.歯科補綴アセンブリを製造するためのコンピュータプログラム製品であって、当該コンピュータプログラム製品は第一および第二構成要素を有しており、
第一構成要素は、第二構成要素が有する第二接続部分の突起を受納することにより第一および第二構成要素間の機械的接続を確立するように構成されたレセプションを有する第一接続部分を有しており、
コンピュータプログラム製品は、組み込まれたプログラム命令を含むコンピュータ読み取り可能記憶媒体を有しており、プログラム命令は、製造システムのコンピュータ装置のプロセッサによって、コンピュータ装置に製造システムを制御させるように実行可能であり、その結果、
第一構成要素の第一3Dデジタルモデルを第一テンプレートとして提供し、第二構成要素の第二3Dデジタルモデルを第二テンプレートとして提供する工程と、
第一テンプレートを用いて、第一構成要素の第一物理的コピーの製造をシミュレーションする工程であって、第一シミュレーション結果を得る工程と、
第二テンプレートを用いて、第二構成要素の第二物理的コピーの製造をシミュレーションする工程であって、第二シミュレーション結果を得る工程と、
機械的接続を確立するため、第一および第二シミュレーション結果を用いて、第一および第二テンプレートを置き換える際に、1つ以上の適合基準を逸脱する機械的接続の逸脱を決定する工程と、
1つ以上の逸脱した適合基準を満たすため、決定された機械的接続の偏位を補正する工程であって、当該補正が、以下、すなわち、
第一3Dデジタルモデルを修正し、修正された第一3Dデジタルモデルによって、第一テンプレートとして、第一3Dデジタルモデルを置き換える工程と、
第二3Dデジタルモデルを修正し、修正された第二3Dデジタルモデルによって、第二テンプレートとして、第二3Dデジタルモデルを置き換える工程とのうちの少なくとも1つを有する工程と、
第一テンプレートを用いて、第一構成要素の第一物理的コピーを製造し、第二テンプレートを用いて、第二構成要素の第二物理的コピーを製造する工程とを実行するものである
コンピュータプログラム製品。
【0201】
36.歯科補綴アセンブリを製造するための製造システムであって、当該製造システムは第一および第二構成要素を有しており、
第一構成要素は、第二構成要素が有する第二接続部分の突起を受納することにより第一および第二構成要素間の機械的接続を確立するように構成されたレセプションを有する第一接続部分を有しており、
製造システムは、コンピュータ装置および1つ以上の製造装置を有しており、コンピュータ装置はプロセッサおよびプロセッサによって実行可能なプログラム命令を記憶するメモリを有しており、プロセッサによるプログラム命令の実行により、コンピュータ装置は製造装置を用いて製造システムを制御可能であり、その結果、
第一構成要素の第一3Dデジタルモデルを第一テンプレートとして提供し、第二構成要素の第二3Dデジタルモデルを第二テンプレートとして提供する工程と、
第一テンプレートを用いて、第一構成要素の第一物理的コピーの製造をシミュレーションする工程であって、第一シミュレーション結果を得る工程と、
第二テンプレートを用いて、第二構成要素の第二物理的コピーの製造をシミュレーションする工程であって、第二シミュレーション結果を得る工程と、
機械的接続を確立するため、第一および第二シミュレーション結果を用いて、第一および第二テンプレートを置き換える際に、1つ以上の適合基準を逸脱する機械的接続の逸脱を決定する工程と、
1つ以上の逸脱した適合基準を満たすため、決定された機械的接続の偏位を補正する工程であって、補正が、以下、すなわち、
第一3Dデジタルモデルを修正し、修正された第一3Dデジタルモデルによって、第一テンプレートとして、第一3Dデジタルモデルを置き換える工程と、
第二3Dデジタルモデルを修正し、修正された第二3Dデジタルモデルによって、第二テンプレートとして、第二3Dデジタルモデルを置き換える工程とのうちの少なくとも1つを有する工程と、
第一テンプレートを用いて、第一構成要素の第一物理的コピーを製造し、第二テンプレートを用いて、第二構成要素の第二物理的コピーを製造する工程とを実行するものである製造システム。
【0202】
37.機能の組み合わせ36記載の製造方法において、以下、すなわち、機械加工装置、3D印刷装置のうちの1つ以上を有するものである製造システム。
【符号の説明】
【0203】
10:コンピュータシステム
11:システム
14:外部装置
16:処理装置
18:バス
20:ネットワークアダプタ
22:I/Oインターフェース
24:ディスプレイ
28:メモリ
30:RAM
32:キャッシュ
34:記憶システム
40:プログラム
42:プログラムモジュール
50:ユーザーインターフェース
52:制御要素
54:ハードウェア装置
56:キーボード
58:マウス
60:3D印刷装置
62:印刷構成要素
70:加工装置
72:加工工具
74:保持装置
76:ブランク
78:素材
80:スキャン装置
100:歯科補綴アセンブリ
102:歯冠
104:橋脚歯
105:縁
106:ねじ
108:インプラント
110:無視表面
112:レセプション
114:突起
116:偏位
【国際調査報告】