(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】多層光データ記憶媒体を読み取るための読み取りヘッド及び方法
(51)【国際特許分類】
G11B 7/005 20060101AFI20240918BHJP
G11B 7/135 20120101ALI20240918BHJP
【FI】
G11B7/005 Z
G11B7/135
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513792
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 US2022041947
(87)【国際公開番号】W WO2023034239
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】314015767
【氏名又は名称】マイクロソフト テクノロジー ライセンシング,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,ヒュー
(72)【発明者】
【氏名】レッグトチェンコ,セルゲイ・アナトリエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】カンケル,ウィリアム・ミンスター,ザ・フォース
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス・ディアス,アリエル
(72)【発明者】
【氏名】ウェインマン,フィリップ・アゼルスタン
(72)【発明者】
【氏名】ブラック,リチャード・ジョン
【テーマコード(参考)】
5D090
5D789
【Fターム(参考)】
5D090AA01
5D090AA03
5D090AA04
5D090CC04
5D090FF05
5D090FF11
5D789AA22
5D789BB13
5D789DA05
5D789EA03
5D789KA03
(57)【要約】
ボクセルの層が内部に埋め込まれた透明基板を備える多層光データ記憶媒体を読み取るための読み取りヘッド及び方法が提供される。読み取りヘッドは、ボクセル群の画像をキャプチャするための撮像システムであって、読み取りヘッドが、撮像システムを多層光データ記憶媒体内の可変深度に焦点合わせするように構成されている、撮像システムと、光データ記憶媒体内の区域をサンプリングすることによって、多層光データ記憶媒体内のボクセルの深度位置を識別するための自動焦点システムと、を備える。自動焦点システムは、区域を照射するための光源と、多層光データ記憶媒体を透過した光源からの光を検出するための検出器と、を備える。多層光記憶媒体からデータを読み取る方法は、撮像システムを使用して、第1のトラック内のセクタの画像をキャプチャするステップを含む。多層光データ記憶媒体及び撮像システムは、画像のキャプチャ中、固定水平方向位置に保持される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層光データ記憶媒体を読み取るための読み取りヘッドであって、前記多層光データ記憶媒体は、ボクセルの層が内部に埋め込まれた透明基板を備え、その読み取りヘッドは、
コントローラと、
ボクセル群の画像をキャプチャするための、前記コントローラに動作可能に接続された撮像システムであって、前記読み取りヘッドは、前記撮像システムを多層光データ記憶媒体内の可変深度に焦点を合わせるように構成されている、撮像システムと、
前記多層光データ記憶媒体内の区域をサンプリングすることによって、前記多層光データ記憶媒体内のボクセルの深度位置を識別するための、前記コントローラに動作可能に接続された自動焦点システムと
を備え、前記自動焦点システムは、
前記区域を照射するための光源と、
前記多層光データ記憶媒体を透過した前記光源からの光を検出するための検出器と
を備え、前記コントローラは、
前記自動焦点システムを使用して、前記多層光データ記憶媒体内のボクセル群の深度位置を判定し、
前記判定に応じて、前記撮像システムに、前記ボクセル群の画像をキャプチャさせるように構成されている、
多層光データ記憶媒体を読み取るための読み取りヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載の読み取りヘッドであって、
i)前記自動焦点システムは、前記自動焦点システムの焦点深度を変化させるための可変焦点光学系を更に備え、かつ/又は
ii)前記自動焦点システムは、前記光源からの光を偏光するための偏光子を更に備え、かつ/又は、
iii)前記自動焦点システムは、前記自動焦点システムによってサンプリングされる前記区域を移動させるための走査光学系を更に備え、かつ/又は、
iv)前記撮像システムは、前記撮像システムの焦点深度を変化させるための可変焦点光学系を含む、
読み取りヘッド。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の読み取りヘッドであって、
i)前記読み取りヘッドは、所定のサイズのセクタ内に前記ボクセルが配置されている多層光データ記憶媒体を読み取るためのものであり、前記撮像システムは、前記所定のサイズ以上の面積を有する視野の画像をキャプチャするためのものであり、かつ/又は
ii)前記自動焦点システムは、前記撮像システムの視野のサイズの10%以下、任意選択で、1%以下のサイズを有する区域をサンプリングするように構成されている、
読み取りヘッド。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の読み取りヘッドであって、前記多層光データ記憶媒体と前記撮像システム及び自動焦点システムの一方又は双方との間の相対移動を引き起こすように構成された少なくとも1つのアクチュエータを更に備え、
任意選択で、前記少なくとも1つのアクチュエータは、前記撮像システム及び前記自動焦点システムの一方又は双方の前記焦点を変化させるように、前記多層光データ記憶媒体と前記撮像システム及び前記自動焦点システムの一方又は双方との間の相対移動を垂直方向に引き起こすように構成されている、
読み取りヘッド。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の読み取りヘッドであって、前記撮像システムは、
前記撮像システムの視野を偏光された光で照射するための第2の光源及び偏光光学系と、
前記多層光データ記憶媒体を透過した前記第2の光源からの偏光された光をキャプチャするための少なくとも1つの画像センサと、
を含む、読み取りヘッド。
【請求項6】
請求項5に記載の読み取りヘッドであって、前記第2の光源及び偏光光学系は、複数の異なる偏光を有する光を提供するように構成されており、前記撮像システムは、前記複数の異なる偏光のそれぞれの偏光の光をキャプチャするための複数の撮像センサを含む、読み取りヘッド。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の読み取りヘッドであって、前記コントローラは、
前記ボクセル群の前記深度位置を判定することが、前記自動焦点システムを使用して焦点深度の範囲を走査することを含む
ように構成されており、前記コントローラは、前記読み取りヘッドに、
焦点深度の前記範囲にわたって前記撮像システムの焦点深度を走査することと、
前記撮像システムの前記焦点深度が前記ボクセル群の前記深度位置に対応するとき、画像を選択的にキャプチャすることと、
を行わせるように構成されており、
任意選択で、前記コントローラは、前記自動焦点システムによって実行される前記走査と前記撮像システムによって実行される前記走査とが異なる位相を有するように構成されており、前記位相は、前記範囲内の焦点深度が前記撮像システムよりも先に前記自動焦点システムによって走査されるように選択される、
読み取りヘッド。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の読み取りヘッドであって、前記読み取りヘッドは、少なくとも1つのアクチュエータを含み、前記コントローラは、前記撮像システムに、前記多層光データ記憶媒体の領域内のボクセルの各層の画像をキャプチャさせ、次いで、続いて、前記読み取りヘッドを前記多層光データ記憶媒体の異なる領域と位置合わせするように前記少なくとも1つのアクチュエータを制御するように構成されている、読み取りヘッド。
【請求項9】
多層光データ記憶媒体からデータを読み取る方法であって、前記多層光データ記憶媒体は、ボクセルの層が内部に埋め込まれた透明基板を備え、その方法は、
自動焦点システムを使用して前記多層光データ記憶媒体をサンプリングすることによって、前記多層光データ記憶媒体内のボクセル群の深度位置を判定するステップと、
前記深度位置に対応する焦点深度を有する撮像システムを使用して、前記ボクセル群の画像をキャプチャするステップと、
を含み、前記自動焦点システムは、
前記多層光データ記憶媒体上の区域を照射するための光源と、
前記多層光データ記憶媒体を透過した前記光源からの光を検出するための検出器と
を備える、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記ボクセル群の前記深度位置を判定するステップは、前記自動焦点システムを使用して深度範囲の走査を実行するステップを含み、
前記撮像システムは、焦点深度の範囲の走査を実行し、
前記撮像システムは、前記撮像システムの前記焦点深度がボクセル群の深度位置に対応するとき、画像を選択的にキャプチャし、
任意選択で、前記撮像システムによって実行される前記走査と前記自動焦点システムによって実行される前記走査とは、位相差だけ異なるそれぞれの位相を有し、前記位相差は、前記範囲内の各焦点深度が前記撮像システムよりも先に前記自動焦点システムによって走査されるように選択される、
方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記多層光データ記憶媒体の領域内のボクセルの層の画像を第1の深度方向に順次キャプチャするステップと、
続いて、前記撮像システムを前記多層光データ記憶媒体の更なる領域と位置合わせするステップと、
前記多層光データ記憶媒体の前記更なる領域内のボクセルの層の画像を、前記第1の深度方向とは反対の第2の深度方向に順次キャプチャするステップと
を含む方法。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか一項に記載の方法であって、
前記ボクセルは、セクタ内に配置されており、前記セクタは、垂直方向トラック内に配置されており、
判定する前記ステップは、第1のトラック内のセクタの垂直方向位置を判定するステップを含み、
キャプチャする前記ステップは、前記撮像システムを使用して、第1のトラック内のセクタの画像をキャプチャするステップを含み、
前記多層光データ記憶媒体及び撮像システムは、前記画像の前記キャプチャ中、固定水平方向位置に保持されており、
前記画像は、判定された前記垂直方向位置で選択的にキャプチャされ、
任意選択で、前記セクタの前記画像をキャプチャするステップは、異なる偏光の光を使用して前記セクタの複数の画像をキャプチャするステップを含む、
方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記画像をキャプチャした後、前記撮像システム及び多層光データ記憶媒体の一方又は双方を水平方向に移動させることによって、前記撮像システムを更なるトラックと位置合わせするステップと、
前記撮像システムの焦点変更方向を逆転させるステップと、
前記更なるトラック内のセクタの画像を、前記逆転された方向に順次キャプチャするステップと
を更に含む方法。
【請求項14】
請求項12又は請求項13に記載の方法であって、あるトラック内のセクタの前記垂直方向位置に少なくとも部分的に基づいて、別のトラック内のセクタの垂直方向位置を推測するステップを更に含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記セクタの前記垂直方向位置を判定するステップは、
前記多層光データ記憶媒体の特徴部の垂直方向位置を検出するステップと、
前記特徴部の前記垂直方向位置及び所定の光データ記憶媒体の外形に基づいて、前記セクタの前記垂直方向位置を推測するステップと
を含み、
任意選択で、前記特徴部は、前記多層光データ記憶媒体の表面と、前記多層光データ記憶媒体の表面上のマーカーと、前記光データ記憶媒体内に埋め込まれたマーカーと、前記光データ記憶媒体内の1つ又は複数のボクセルとから選択される、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
データストレージに対する大きな需要がある。近い将来、クラウド・ストレージ・プロバイダは、ゼタバイト級のデータストレージ容量を必要とするであろうと推定される。なお、ゼタバイトは1兆ギガバイト(1021バイト)である。データの多くは長期間記憶される必要がある。現在広く使用されているデータストレージ技術の例としては、ハードディスクドライブ、磁気テープ、フラッシュメモリ、及び光ディスクが挙げられる。これらの技術のすべては、データが交換用媒体に定期的にコピーされる必要があるという欠点を有する。これは、エネルギー使用量とハードウェア要件との両方の点でコストがかかる。
【0002】
ハードドライブ及び磁気テープなどの磁気記憶媒体は、徐々の減磁を受ける。フラッシュメモリは、特定のフラッシュセルから繰り返し読み出すことが周囲のフラッシュセルに障害を引き起こす、読み取りディスターブの影響を受ける。DVDなどの光媒体のデータストレージに使用される反射材は、時間の経過とともに化学的に劣化する。
【0003】
これらの欠点の解決策として、多層光データ記憶媒体が提案されている。多層光データ記憶媒体は、石英ガラス基板などの透明基板を備える。データは、基板内に形成された三次元ナノ構造に符号化される。これらのナノ構造は、ボクセルと呼ばれる。
【0004】
ボクセルは、周囲のバルク基板の特性とは異なる光学特性を有する。特に、ボクセルは複屈折性であり得る。換言すれば、ボクセルは、入射光の偏光及び/又は方向に応じて異なる屈折率を示し得る。ボクセルの光学特性は、ボクセルが基板に書き込まれるときに制御され得る。ボクセルの光学特性は、データを符号化するために使用される。
【0005】
多層光データ記憶媒体及びそれらの製造については、例えば、Andersonら、Glass: A New Media for a New Era? 10th USENIX Workshop on Hot Topics in Storage and File Systems (HotStorage 18)、2018(ガラス:新時代の新しいメディア?ストレージ及びファイルシステムのホットな話題に関する第10回USENIXワークショップ(HotStorage18)、2018年)によって、及びUS10,236,027B1において記載されている。
【0006】
多層光データ記憶媒体からデータを取り出すことは、撮像システムを使用してボクセルの画像をキャプチャし、次いで、画像を処理してデータを復号することを伴い得る。単位体積あたりに記憶され得るデータの量は、撮像システムがボクセルにどれだけ正確に焦点合わせされ得るかによって決まる。
【0007】
データ取り出しに対する1つのアプローチは、記憶媒体に書き込むときにボクセルの位置の記録を保持し、次いで、それらの位置から読み取ることである。これは、通常、光データ記憶媒体が高い位置再現性で読み書きされることを必要とし、これは、実験室規模でのみ実用的である。
【0008】
別のアプローチは、多くの所定の深度で画像をキャプチャすることである。このアプローチの制限は、焦点が外れている画像から復元され得るデータが、あったとしてもごくわずかであることである。したがって、通常は、画像の大部分が使用可能でなくなる。画像センサは有限のデータレートを有し、大量の画像をキャプチャする必要性は、データが取り出され得る速度を制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
多層光データ記憶媒体からデータを効率的に読み取るための装置及び方法に対する必要性が依然として残っている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、多層光データ記憶媒体を読み取るための読み取りヘッドが提供される。多層光データ記憶媒体は、ボクセルの層が内部に埋め込まれた透明基板を備える。読み取りヘッドは、ボクセル群の画像をキャプチャするための撮像システムであって、読み取りヘッドが、撮像システムを多層光データ記憶媒体内の可変深度に焦点合わせするように構成されている、撮像システムと、光データ記憶媒体内の区域をサンプリングすることによって、多層光データ記憶媒体内のボクセルの深度位置を識別するための自動焦点システムと、を備える。自動焦点システムは、区域を照射するための光源と、多層光データ記憶媒体を透過した光源からの光を検出するための検出器と、を備える。
【0011】
別の態様では、多層光データ記憶媒体からデータを読み取る方法が提供される。多層光データ記憶媒体は、ボクセルの層が内部に埋め込まれた透明基板を備える。方法は、自動焦点システムを使用して、多層光データ記憶媒体をサンプリングすることによって、多層光データ記憶媒体内のボクセル群の深度位置を識別するステップと、識別された深度位置に対応する焦点深度を有する撮像システムを使用して、ボクセル群の画像をキャプチャするステップと、を含む。自動焦点システムは、多層光データ記憶媒体上の区域を照射するための光源と、多層光データ記憶媒体を透過した光源からの光を検出するための検出器と、を備える。
【0012】
また更なる態様は、多層光記憶媒体からデータを読み取る方法を提供する。多層光データ記憶媒体は、ボクセルの層が内部に埋め込まれた透明基板を備え、ボクセルは、セクタ内に配置され、セクタは、垂直方向トラック内に配置されている。方法は、撮像システムを使用して、第1のトラック内のセクタの画像をキャプチャするステップを含む。多層光データ記憶媒体及び撮像システムは、画像のキャプチャ中、固定水平方向位置に保持される。
【0013】
この発明の概要は、以下の発明の詳細な説明において更に説明される概念の選択を簡単な形で紹介するために提供される。この発明の概要は、特許請求に係る主題の主要な特徴又は本質的な特徴を特定するようには意図されておらず、特許請求に係る主題の範囲を限定するよう使用されることも意図されていない。特許請求に係る主題は、本明細書で指摘される欠点のいずれか又はすべてを解決する実装形態にも限定されない。
【0014】
本開示の実施形態の理解を助け、そのような実施形態がどのように実施され得るかを示すために、単なる例示によって添付の図面への参照を行う。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】多層光記憶媒体の一実施例の概略断面図である。
【
図3】読み取りヘッドの撮像システムを通る光の経路を示す、読み取りヘッドの概略図である。
【
図4】読み取りヘッドの自動焦点システムを通る光の経路を示す、
図3の読み取りヘッドの概略図である。
【
図5】コントローラを含む読み取りヘッドの一実施例のブロック図である。
【
図6】多層光データ記憶媒体からデータを読み取る方法の概要を示すフロー図である。
【
図7】
図6の方法の例示的な実装形態における自動焦点システム及び撮像センサトリガから受信した信号のタイミングを示すプロット図である。
【
図8】多層光データ記憶媒体を走査する方法の概要を示すフロー図である。
【
図9】
図8による方法の例示的な実装形態における、多層光データ記憶媒体を通る走査経路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で使用される場合、動詞「備える」は、「含める又はからなる」の簡便な表現として使用される。換言すれば、動詞「備える」は、開いた用語であることを意図しているが、この用語を閉じた語「からなる」で置き換えることが、明示的に企図されている。
【0017】
「頂部」、「底部」、「左」、「右」、「上」、「下」、「水平」、及び「垂直」などの方向の用語は、説明の簡便さのために本明細書で使用される。光データ記憶媒体の「頂部」及び「底部」は、ボクセルの層に平行な面であると見なされる。あらゆる疑義を回避するために、この用語は、外部基準系における向きを制限することを意図していない。
【0018】
本明細書で使用される場合、構成要素の「焦点深度」は、構成要素が焦点合わせされる光データ記憶媒体の頂部から底部までの(z)軸上の点である。
【0019】
「セクタ」は、撮像システムによって同時に撮像され得るボクセル群である。セクタは多くの場合、ボクセルの実質的に平面の2Dアレイであり、xy平面上に配置されている。湾曲したセクタも企図される。
【0020】
「トラック」は、セクタの垂直方向のスタックである。
【0021】
「透明」基板は、基板内のボクセルを撮像するのに適した1つ又は複数の波長の光に対して透明な基板である。透明基板は、赤外、可視、及び/若しくは紫外の範囲の光、又は任意の他の波長範囲の光に対して透明であり得る。
【0022】
本明細書で使用される場合、「広視野」は、少なくとも100μm2の面積、任意選択で、125μm2~4mm2の範囲内の面積を有する視野である。用語「狭視野」は、具体的には、10μm2以下、任意選択で、2μm2以下の面積を有する視野を指す。
【0023】
本明細書では、ボクセルの層の位置を検出するための自動焦点システムを含む、多層光データ記憶媒体用の読み取りヘッドについて説明する。自動焦点システムは、光データ記憶媒体をサンプリングして、ボクセルの深度位置を判定する。これは、ボクセルの位置に対応する深度で画像を選択的にキャプチャすることを可能にすることによって、撮像システムの使用がより効率的になされることを可能にし得る。
【0024】
まず、
図1~
図2を参照して、多層光データ記憶媒体の一実施例の構造を説明する。
図1は、多層光データ記憶媒体の概略断面図であり、
図2は、多層光データ記憶媒体の概略平面図である。
【0025】
データ記憶媒体100は、透明基板110を備える。透明基板110は、ガラスのブロック、具体的には、溶融石英であり得る。溶融石英は、シリカガラスと呼ばれることもある。
【0026】
透明基板110内には、複数のボクセル120が配置されている。ボクセルは、層状に配置され、各層は、複数のボクセルを含む。ボクセルは、高強度レーザービーム、例えばフェムト秒レーザーを基板110内の位置に集束させることによって取得可能であり得る。レーザーは、基板110の構造に対して、その位置で物理的変化を引き起こす。
【0027】
ボクセルは、一連の座標x、y、zによって記述され得る位置を有する。ボクセルは、異なる偏光の光に対して異なる屈折率を示し得る。ボクセルは、光の偏光角の変化を引き起こし得る。ボクセルは、リターダンスを有し、リターダンスは、光がボクセルと相互作用するときの光の電場の成分間のシフトの大きさの尺度である。
【0028】
位置、リターダンス、及び偏光角の変化は、ボクセルの書き込みに使用されるレーザー光の偏光、エネルギー、タイミング、及び/又はパルス数を変調することによって制御され得る。ボクセルのこれらの特性の任意の組み合わせが、デジタルデータを符号化するために使用され得る。例えば、所与のボクセルは、1~4ビットのバイナリデータを記憶し得る。
【0029】
データがバイナリのゼロを含む場合、通常、ゼロはボクセル内で符号化される。換言すれば、ゼロは、ボクセルの欠如によって表現されるのではなく、記憶媒体に明示的に書き込まれる。したがって、ゼロのアレイを記憶するボクセル群は、ブランクの基板材料から区別可能である。
【0030】
基板110は、高い透明性を有する。
図1の図は、2つのボクセルの層を示す。実際には、ボクセルの層の数は特に限定されない。例えば、層の数は1~300の範囲にあり得、少なくとも10であることが一般的である。基板は、10mmまで、任意選択で、5mmまで、更に任意選択で、200μm~2mmの厚さを有し得る。以下に更に詳細に説明するように、小さい表面区域に多数の層を提供することによって、光データ記憶媒体100が読み取られ得る速度が高められ得る。
【0031】
隣接する層は、距離Λだけ互いに離間する。一例として、Λは、5μm~20μmの範囲にあり得る。ボクセルの層は、1μm~5μmの範囲の厚さtを有し得る。ボクセルの各層の厚さと層間間隔との比率は、デューティと呼ばれる。
【0032】
【数1】
デューティは、15~25%の範囲に、任意選択で、約20%であり得る。
【0033】
図2は、多層光データ記憶媒体100の平面図を示す。図示するように、層内のボクセルは、セクタ130a~130f内に配置され得る。セクタは、ボクセルのアレイである。この実施例では、セクタは、長方形のアレイである。他の形状も可能である。光データ記憶媒体は、セクタの垂直方向スタックを含み得る。セクタの垂直方向スタックは、本明細書では「トラック」と呼ばれる。
【0034】
ボクセルの画像をキャプチャし、次いで、画像を処理してデータを復号することによって、データが多層光データ記憶媒体から読み取られ得る。ボクセルに書き込まれたデータのうち復元され得る割合は、撮像システムがボクセルにどれだけ正確に焦点合わせされ得るかによって決まる。可能な限り小さい深度公差内で、撮像システムをボクセルに焦点合わせすることが望ましい。±1μm以下の公差が望ましい場合がある。
【0035】
図2は、広視野撮像システムの視野140を示す。広視野撮像システムは、一度に1つのボクセルを読み取るのではなく、複数のボクセルの画像を並行してキャプチャし得る。広視野撮像システムは、通常、ピクセルの2Dアレイを有する画像センサを含む。撮像システムの視野は、単一セクタの区域よりも広い区域をカバーし得る。このことは、セクタが視野の中心にない場合でも、セクタは読み取り可能なままであり得るため、撮像システムに対する光データ記憶媒体の水平方向の位置決めにおいて誤差範囲を許容する。任意選択で、光データ記憶媒体は、セクタ間にマージンを含み得る。垂直方向トラック内の1つの目標セクタ又は複数の目標セクタを撮像した後、撮像システム及び/又は記憶媒体は、撮像システムを別のトラックと位置合わせするために移動し得る。
【0036】
光データ記憶媒体がトラック間にマージンを含む実装形態では、トラック内のセクタ間の垂直方向間隔は、隣接するトラック間の水平方向の間隔よりも小さくなり得る。マージンのサイズは、視野が一度に1つのトラックと位置合わせされるように選択され得る。トラック内の個々のセクタは、可変焦点光学系を使用して、又は撮像システムと光データ記憶媒体との間の相対的な垂直方向の移動によって、撮像システムの焦点を変化させることにより、又は撮像システムと光データ記憶媒体との間の相対的な垂直方向の移動によって読み取られ得る。トラック間の水平方向の間隔は、各画像内に1つのセクタのみのボクセルが表示されるように選択され得る。2つ以上のセクタのボクセルを含む画像と比較して、単一のセクタの画像からデータを復元する方が容易な場合がある。
【0037】
図示の例におけるボクセルの層は、平面である。他の外形も可能である。
【0038】
例示的な光データ記憶媒体は、透過型である。透過型光データ記憶媒体を読み取るために、撮像システムの光源と撮像システムの画像センサとは、データ記憶媒体の対向する側に配置される。反射媒体も企図される。反射型多層光データ記憶媒体は、ボクセルの下に反射層を含む。反射型記憶媒体を読み取るとき、読み取り光は記憶媒体を通過し、反射層で反射され、次いで、データ記憶媒体の光源と同じ側にある画像センサに到達する。
【0039】
次に、多層光データ記憶媒体310を読み取るための読み取りヘッド300の一実施例について、
図3及び
図4を参照して説明する。
図3及び
図4は、読み取りヘッドと、読み取りヘッドに取り付けられた光データ記憶媒体310と、を示す概略図である。光データ記憶媒体310は、読み取りヘッドが使用されていないときは取り外され得る。
【0040】
読み取りヘッド300は、ボクセル群の画像をキャプチャするための撮像システムと、ボクセルの深度位置を識別するための自動焦点システムと、撮像システム及び自動焦点システムに対してデータ記憶媒体を移動させるためのアクチュエータと、を含む。
図3は、撮像システムを通る光RPの経路を示す。
図4は、自動焦点システムを通る光AFPの経路を示す。
【0041】
アクチュエータ320は、データ記憶媒体310を保持する。アクチュエータ320は、データ記憶媒体310を移動させるのに有用である。アクチュエータは、データ記憶媒体310を水平方向に移動させて、データ記憶媒体の異なるセクタを撮像システムと位置合わせするために使用され得る。水平方向の移動は、直線移動及び/又は回転移動であり得る。アクチュエータ320は、データ記憶媒体を垂直方向に移動させるために使用され得、これは、異なる深度を自動焦点システム及び/又は撮像システムに焦点合わせするのに有用であり得る。
【0042】
読み取りヘッド300の撮像システムは、ボクセル群の画像をキャプチャするためのものである。撮像システムは、広視野撮像システムであり得る。撮像システムは、データ記憶媒体310の少なくとも1つのセクタの画像をキャプチャするように構成され得る。
【0043】
撮像システムは、光源330と、撮像ユニット340と、を含む。光源330は、セクタの面積以上のデータ記憶媒体310の区域を照射するように構成され得る。光源330の性質は、特に限定されない。高放射輝度光源、つまり少なくとも3W/mm2.srの放射輝度を提供する光源の使用は、ボクセルのより信頼性の高い撮像を可能にし得る。
【0044】
撮像ユニット340は、照射区域内のボクセルの画像をキャプチャするための少なくとも1つの画像センサを備える。画像センサは、画像を生成することができ、すなわち、個々のボクセルを一度に1つずつ走査するのではなく、複数のボクセルを並行して読み取ることができる。画像センサの例としては、CCDセンサ及びCMOSセンサが挙げられる。画像データを処理するためのプロセッサを組み込んだスマート画像センサが、使用され得る。画像センサは、本明細書ではカメラと呼ばれることもある。撮像ユニット340は、広視野を有し得、すなわち、少なくとも100μm2、任意選択で、125μm2~4mm2の範囲の面積を有する視野を有し得る。視野は、少なくとも光データ記憶媒体のセクタのサイズと同じ大きさであり得、好ましくは、セクタのサイズ及びセクタの周囲のマージンに対応する。
【0045】
撮像ユニット340は、複数の画像センサ、例えば、2~5個の画像センサを含み得る。画像センサは、異なる偏光の光から画像を生成するように構成され得る。多層光記憶媒体からデータを読み取るのに有用な技法の1つは、異なる偏光の光を同時に使用して複数の画像をキャプチャし、次いで、画像間の光強度の差を判定することである。差に基づいてデータが復元され得る。
【0046】
読み取りヘッド300は、光を撮像ユニット340上に集束させるための光学系を更に含む。光学系はレンズ342で示されている。この例では、光学系342は、撮像ユニット340の焦点を変化させるように、すなわち、光データ記憶媒体310のZ軸上の異なる位置に対応する異なる焦点深度に焦点を設定するように動作可能である。これは、様々な層のボクセルの画像がキャプチャされることを可能にする。固定焦点光学系は、アクチュエータが撮像ユニット340と光データ記憶媒体310との間の相対的な垂直方向の移動を引き起こすように構成される実装形態で使用され得る。
【0047】
光源330は、光をデータ記憶媒体310上に集束させるための光学系332と関連付けられる。
【0048】
通常、ボクセルの撮像を可能にするために複屈折効果が使用される。読み取りヘッド300は、データ記憶媒体310が偏光で照射されるように、光源330に関連付けられた偏光子336を含む。例えば、データ記憶媒体310は、複数の異なる偏光を有する光で照射され得る。
【0049】
撮像ユニット340は、偏光子346とも関連付けられる。撮像ユニット340が複数の画像センサを含む実装形態では、各画像センサに、それぞれの偏光フィルタが提供され得る。
【0050】
ボクセルを撮像するための光は、光源330から読み取り経路RPに沿って光データ記憶媒体310を通って撮像ユニット340まで進む。読み取りヘッド300は、読み取り経路RPを画定するための補助光学系352、354、356を更に含む。補助光学系の性質は特に限定されず、適宜選択され得る。この実施例では、補助光学系は、ビームスプリッタ352、356と、ミラー354と、を含む。
【0051】
読み取りヘッド300は、自動焦点システムを更に含む。自動焦点システムは、光データ記憶媒体をサンプリングして、多層光データ記憶媒体310内のボクセルの深度位置を識別するためのものである。次いで、自動焦点システムからの出力に基づいて、撮像システムの焦点が選択され得る。あるいは、ある範囲の深度にわたって撮像システムの焦点が走査され得、自動焦点システムからの出力に基づいて、走査において選択された点で画像がキャプチャされ得る。
【0052】
自動焦点システムは、光源360と、検出器370と、を含む。
図4には、自動焦点システムを通る光AFPの経路が示されている。
【0053】
自動焦点システムの検出器370の性質は特に限定されないが、自動焦点システムがボクセルに焦点合わせされるときに、自動焦点システムがバルク材料に焦点合わせされるときと比較して、検出器が異なる信号を提供することが条件である。
【0054】
検出器370は、必ずしも画像をキャプチャするように構成されているわけではなく、光検出器又は点走査器であり得る。検出器は、通常、狭い視野を有する。例えば、検出器370は、2μm2以下の区域をサンプリングするように構成され得る。
【0055】
検出器370は、カメラであり得る。このような実装形態では、検出器370は、撮像システムの撮像ユニット340よりも小さい視野及び/又は低い解像度を有する。例えば、検出器は、撮像ユニット340の視野の面積の10%以下、任意選択で、5%以下、更に任意選択で、1%以下の面積を有する視野をサンプリングし得る。視野及び/又は解像度を制限することは、検出器370が、光データ記憶媒体内の異なる深度の位置を比較的迅速にサンプリングすることを可能にする。画像センサは有限のデータレートで動作するため、データの復元に適した高解像度の画像をキャプチャするのは比較的時間がかかる。
【0056】
この実施例では、自動焦点システムは、検出器を使用してサンプリングされるべきデータ記憶媒体310上の区域を照射するように構成される光源360を含む。自動焦点システムの光源360は、データ記憶媒体310上の小さい区域を照射する狭視野光源であり得、区域は、セクタよりも小さいサイズを有する。例えば、光源360は、2μm2以下の区域を照射し得る。光源360は、レーザーを備え得る。
【0057】
この実施例の自動焦点システムは、光源360に関連付けられたレンズ362及び検出器370に関連付けられたレンズ372によって表される集束光学系を更に含む。集束光学系は、可変焦点光学系であり得る。あるいは、固定焦点光学系が使用され得、光データ記憶媒体と検出器370との間の距離を変更することによって、光データ記憶媒体の異なる深度に焦点合わせされ得る。
【0058】
自動焦点システム及び撮像システムは、使用前に校正され得る。例えば、校正標準として、既知の深度位置にボクセルを有する光データ記憶媒体が使用され得る。
【0059】
ボクセルのより容易な検出を可能にするために、この実施例の自動焦点システムは、光源360に関連付けられた偏光子364を更に含む。代替的又は追加的に、検出器370は、偏光フィルタと関連付けられ得る。偏光された光の使用は、ボクセルの複屈折効果を使用してボクセルの存在を検出することを可能にする。
【0060】
この実施例の自動焦点システムは、走査光学系366を更に含む。走査光学系366は、1つ又は複数の微小電気機械走査ミラーを備え得る。走査光学系の包含は、自動焦点システムによってサンプリングされる領域の位置が変化させられることを可能にする。このことは、狭視野検出器を使用してより大きな有効区域がサンプリングされることを可能にし得る。この実施例では、走査光学系は、光源370からの光を受け取る光記憶媒体上の領域の位置を変更する。
【0061】
例示的な読み取りヘッドに対して、様々な変更がなされ得る。
【0062】
アクチュエータ320の構成は特に限定されず、適宜選択され得る。図示の実施例は、単一のアクチュエータを有する。任意の数のアクチュエータが存在し得る。1つ又は複数のアクチュエータは、アクチュエータの位置を検出するためのセンサを更に備える、ロボットシステムの一部を形成し得る。1つ又は複数のアクチュエータは、水平(x及び/若しくはy)方向並びに/又は垂直(z)方向に制御可能に移動可能であり得る。アクチュエータは、直線移動及び/又は回転移動を提供するように構成され得る。アクチュエータは、データ記憶媒体を傾けるように構成され得る。
【0063】
図示のアクチュエータは、光データ記憶媒体を保持する。代替的又は追加的に、読み取りヘッドは、撮像システム及び/若しくは自動焦点システムを移動させるため、又は自動焦点システムの検出器及び/若しくは撮像システムの画像センサを移動させるためのアクチュエータを含み得る。
【0064】
可変焦点光学系の包含は、任意選択である。アクチュエータが垂直(z)方向に可動である実装形態では、アクチュエータは、光データ記憶媒体と撮像システムとの間の距離を変化させることによって、ボクセルの層を撮像システムに焦点合わせするために使用され得る。同様に、自動焦点システムが焦点合わせされる位置は、光データ記憶媒体に対する自動焦点システムの相対移動によって変化し得る。
【0065】
特に光記憶媒体が単一のトラックを有する場合、アクチュエータの包含は、任意選択である。
【0066】
この実施例は、レンズの1つの例示的な配置を示す。レンズの数及び構成は特に限定されず、適宜変化し得る。
【0067】
補助光学系の性質及び構成は特に限定されず、これらの構成要素は、適宜選択され得る。
【0068】
走査光学系の包含は、特に自動焦点システムの検出器がカメラである実装形態では任意選択である。
【0069】
この実施例は、撮像システム用の光源と、自動焦点システム用の光源と、を含む。変形例では、単一の光源が撮像と自動焦点との両方に使用される。
【0070】
図示の例では、自動焦点システムの検出器は、撮像システムの撮像ユニットとは別個である。変形例では、検出器と撮像ユニットとが互いに独立して動作可能であれば、検出器と撮像ユニットとは、同じ回路基板上に又は更には同じ集積回路上に収容され得る。
【0071】
図示の例は、光データ記憶媒体を読み取るように構成されている。他の実装形態は、光データ記憶媒体にデータを書き込むための書き込みシステムを更に含み得る。書き込みシステムは、透明基板内にボクセルを形成するように構成されたレーザーを少なくとも含み、通常、関連付けられた光学系も含む。書き込みシステムは、光学構成要素を読み取りシステム及び/又は自動焦点システムと共有し得る。
【0072】
読み取りヘッドの動作は、コントローラによって制御され得る。コントローラは、読み取りヘッドと一体化され得るか、又は読み取りヘッドと通信する別個のデバイスであり得る。コントローラ510に動作可能に接続された読み取りヘッド500のブロック図が
図5に示されている。
【0073】
コントローラ510は、処理装置512と、データストレージ514と、を備える。
【0074】
処理装置512は、1つ又は複数の地理的サイトにおいて1つ又は複数のダイ、IC(集積回路)パッケージ、及び/又はハウジングに実装される1つ又は複数の処理ユニットを含む。
【0075】
1つ又は複数の処理ユニットの各々は、当該技術分野で知られている任意の好適な形態、例えば、汎用中央処理ユニット(CPU)、又はコプロセッサ若しくはアクセラレータプロセッサ、例えば、グラフィックス処理ユニット(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)などの専用形態をとり得る。1つ又は複数の処理ユニットの各々は、1つ又は複数のコアを備え得る。
【0076】
処理ユニットは、1つ又は複数のデジタル処理ユニットに加えて、1つ又は複数のアナログ処理ユニットを含み得る。1つ又は複数のアナログ処理ユニットは、アナログ信号処理、例えば、電子フィルタリング又は信号調整を実行するように構成され得る。アナログ処理ユニットは、自動焦点システムからの信号を処理するのに有用であり得る。
【0077】
コンピュータプログラムが処理装置上で実行されると述べる場合、これは、処理装置512を構成する任意の1つ又は複数の処理ユニットによる実行を意味し得る。
【0078】
処理装置512は、通常、ランダムアクセスメモリ及び/又は1つ又は複数の処理ユニット内の1つ又は複数のメモリキャッシュなどの作業メモリを更に備える。
【0079】
データストレージ514は、1つ又は複数の地理的サイトにおける1つ又は複数のハウジング内の1つ又は複数のメモリ媒体に実装された1つ又は複数のメモリユニットを備える。データストレージ514は、処理装置512によって実行されると、読み取りヘッドに、動作、例えば
図6~
図9のいずれかを参照して説明した方法を実行させる、コンピュータ実行可能命令を記憶する。
【0080】
データストレージ514は、光データ記憶媒体内のボクセルの位置を表す所定の外形を更に記憶し得る。これは、ボクセルの1つ又は複数の層の位置が、光データ記憶媒体の他の特徴部の測定された位置に基づく推測によって判定される実装形態において有用であり得る。
【0081】
1つ又は複数のメモリユニットの各々は、当技術分野で知られている任意の好適な記憶媒体、例えば、磁気記憶媒体、例えば、ハードディスクドライブ、磁気テープドライブなど、又は、電子記憶媒体、例えば、ソリッドステートドライブ(SSD)、フラッシュメモリ、若しくは電気的に消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)などを使用し得る。
【0082】
コントローラ510は、撮像システムによってキャプチャされた画像を復号して、光データ記憶媒体に記憶されたデータを復元するように構成され得る。画像を処理して、記憶されているバイナリデータを復元するために、様々なコンピュータビジョン技法が使用され得る。例えば、畳み込み人工ニューラルネットワークが使用され得る。ニューラルネットワークの訓練データは、光データ記憶媒体の画像を含み得る。訓練データ内の各画像のラベルは、画像内で符号化されることが知られているデータに対応し得る。ニューラルネットワークの損失関数は、データ復元プロセスにおけるエラーの尺度を提供するために選択され得る。コントローラ510は、エラーチェックを実行する、及び/又は読み取れないデータを復元するためにパリティデータを利用するようにも構成され得る。
【0083】
あるいは、コントローラ510は、復号のために画像を別のデバイスに送信するように構成され得る。また更なる可能性は、復号動作がコントローラ510と更なるデバイスとの間で分散されることである。このような実施例では、コントローラは、画像の正規化、フィルタリング、及び/又はプーリングなどの前処理動作を画像に対して実行し得る。
【0084】
図に示すように、コントローラ510は、自動焦点システム520、撮像システム530、及び1つ又は複数のアクチュエータ540と通信する。コントローラは、任意の好適な手段、例えば、有線若しくは無線接続、又は光ファイバによって、撮像システムの自動焦点システム及び1つ又は複数のアクチュエータに接続され得る。
【0085】
次に、本明細書で定義される読み取りヘッドを使用して、多層光データ記憶媒体からデータを読み取る方法について、
図6を参照して説明する。
図6は、方法の概要を示すフロー図である。
【0086】
ブロック601において、多層光データ記憶媒体内のボクセル群(例えば、セクタ)の深度位置が、自動焦点システムを使用して識別される。
【0087】
この動作は、光源360を使用して自動焦点システムの検出器370の視野を照射することと、視野内の異なる深度に焦点合わせすることによって視野内の異なる深度をサンプリングすることと、検出器からの出力信号に基づいてボクセルが存在するかどうかを判定することと、を含み得る。例えば、焦点深度が深度位置に対応するとき、検出器によって生成される電気信号に変化が生じる場合がある。
【0088】
狭視野光源は高放射輝度を有し得、これは、ボクセルのより容易な検出を可能にし得る。狭視野検出器は広視野撮像ユニットよりも少ないデータを収集するため、サンプリングのレートは、データ収集の最大レートによる制約が少なくなる。
【0089】
自動焦点システムが焦点合わせされる深度は、可変焦点光学系を使用して変更され得る。あるいは、自動焦点システムは固定焦点光学系を有し得、垂直方向の光データ記憶媒体の相対移動が、データ記憶媒体内の異なる深度をサンプリングするために使用され得る。
【0090】
自動焦点システムは、好ましくは、ボクセルの位置を直接検出する。あるいは、自動焦点システムは、マーカーの位置又は光データ記憶媒体の表面を検出し得る。そのような実装形態では、ボクセルの位置は、検出されたマーカーの位置及び所定の光データ記憶媒体の外形に基づいて推測され得る。
【0091】
ブロック602において、ボクセル群(例えば、セクタ)の画像が、撮像システムを使用してキャプチャされる。群内のすべてのボクセルは、上で説明した広視野撮像センサを使用して、同時に読み取られる。
【0092】
この動作は、異なる偏光の光を使用して複数の画像をキャプチャすることを含み得る。画像は、複数の画像センサを並行して使用することによって、同時にキャプチャされ得る。あるいは、同じ画像センサを使用して複数の偏光の画像をキャプチャすることを可能にするために、異なる偏光の画像が連続してキャプチャされ得る。
【0093】
撮像システムの焦点は、撮像システムの焦点深度が自動焦点システムによって検出されたボクセルの層の深度位置に対応するように調整され得る。あるいは、焦点深度の範囲にわたって撮像システムの焦点が連続的に変化させられ得、焦点深度がボクセルの層の深度位置に対応するとき、画像が選択的にキャプチャされ得る。焦点は、可変焦点光学系の使用、光データ記憶媒体の相対移動、又はそれらの組み合わせによって調整され得る。
【0094】
自動焦点システムを使用してボクセルの位置を識別することによって、画像キャプチャプロセスは、より効率的に行われ得る。ボクセルの位置は自動焦点システムを使用して検出され得るため、撮像システムに対するデータ記憶媒体の絶対的な位置決めは必要とされない。同時に、画像キャプチャは選択的であり得、ボクセルが焦点合わせされていない焦点深度で画像を撮影する必要はない。これは、撮像センサのより効率的な使用がなされることを可能にし得る。撮像センサは、有限のフレームレートを有し、画像が収集され得る速度は、センサの最大データレートによって制約を受ける。
【0095】
ブロック602の後、1つ又は複数の更なるボクセル群の画像がキャプチャされ得る。ブロック601の動作は、読み取りヘッドを校正するのに役立ち得る。自動焦点システムを校正した後、後続のボクセル群の位置は、所定の光データ記憶媒体の外形に基づいて推測され得る。ブロック601の動作は、読み取りヘッドを再校正するために選択的に繰り返され得る。
【0096】
例えば、複数のトラック内に配置されるセクタを読み取ることが望ましい場合がある。読み取りヘッドをトラックと位置合わせすることは、通常、データ記憶媒体と読み取りヘッドとの間の相対的な水平方向の移動を含む。ブロック601の動作は、各水平方向の移動の後に、例えば、少なくとも各トラック内の第1のセクタが読み取られるように、繰り返され得る。あるいは、ブロック601の動作は、第1のトラック内のセクタに対して実行され、次いで、所定数の後続のトラックが読み取られた後に繰り返され得る。
【0097】
更に別の可能性は、画像の質を監視し、画像の質が所定の閾値を下回った場合に、ブロック601を繰り返すことである。画質を監視することは、画像が焦点合わせされているかどうかを判定することを含み得る。画質を監視することは、所定の閾値以上のデータ量を画像から復元できるかどうかを判定する(例えば、人工ニューラルネットワークの損失関数の出力に基づいて)ことを含み得る。
【0098】
推測の使用は任意選択であり、ブロック601の動作は、撮像される各ボクセル群に対して繰り返され得る。
【0099】
図6に概要を示した方法は、様々な方式で実施され得る。次に、
図7を参照して1つの例示的なアプローチを説明する。
【0100】
自動焦点システムは、焦点深度の範囲を走査するために使用され得る。同時に、その範囲にわたって、撮像システムの焦点が走査され得る。撮像システムによる画像キャプチャは、撮像システムがボクセルの層の深度位置に対応する焦点深度で焦点合わせされたときに、選択的にトリガされ得る。
【0101】
走査は、異なる位相を有し得る。位相間の差は、撮像システムの焦点がその深度に到達する前に、自動焦点システムによって任意の所与の深度が走査されるように選択され得る。換言すれば、自動焦点システムは、撮像システムの先を見ている。
【0102】
自動焦点システムがある深度でボクセルを検出すると、撮像システムがその深度に到達した時点で、撮像システムが画像をキャプチャさせられる。撮像システムは、2つの走査間の位相差に対応する時間遅延の後に画像をキャプチャする。
【0103】
位相差は、自動焦点システム、コントローラ、及び撮像システムの間の通信のあらゆる遅延、並びに/又はコントローラによる信号の処理のあらゆる遅延を考慮して選択され得る。位相差は、撮像システムの最大キャプチャレートを考慮し得る。
【0104】
図7は、自動焦点信号及び画像キャプチャトリガを示すプロット図である。見てわかるように、画像キャプチャは、ボクセルの層の検出直後に行われる。走査のレートを選択することによって、撮像システムの最大フレームレートに近づくフレームレートで画像をキャプチャすることが可能であり得る。
【0105】
この方法は、光データ記憶媒体内のトラックの効率的な読み取りを可能にし得る。
【0106】
多層光データ記憶媒体を走査するための別の方法を
図8のフロー図に示す。
図9は、
図8の方法による走査経路を示す。この方法は、本明細書で説明する読み取りヘッドを使用して実行され得るが、他のタイプの読み取りヘッドとも互換性がある。
図8の方法は、任意選択で、
図6の方法と組み合わせて使用され得る。
【0107】
ブロック801において、撮像システムを使用して、第1のトラック内のセクタの画像がキャプチャされる。画像は、深度方向に順次キャプチャされる。多層光データ記憶媒体及び撮像システムは、画像のキャプチャ中、固定水平方向位置に保持される。この動作は、
図9の矢印Aに対応し、矢印Aは、セクタ910a、910b、910cのトラックに沿って進む走査を示す。
【0108】
光データ記憶媒体内の異なる深度位置を撮像システムに焦点合わせするために、光データ記憶媒体と撮像システムとの相対的な垂直方向位置が変更させられ得る。あるいは、撮像システムをトラック内の異なるセクタに焦点合わせするために、可変焦点光学系が使用され得る。
【0109】
図示の例では、深度方向は、下方向である。
【0110】
複数の異なる偏光で画像をキャプチャするために単一の撮像センサが使用される実装形態では、走査は、第1の偏光を使用して第1の深度方向に実行され得る。続いて、偏光が変更され得、走査の方向が逆転し得る。これらの動作は、所望の偏光の各々において画像のセットがキャプチャされるまで、各反復において走査の方向を逆転させながら繰り返され得る。
【0111】
第1のトラック内のセクタを撮像した後、ブロック802において、撮像システムは、更なるトラックと位置合わせされ得る。この動作は、
図9の矢印Bに対応する。
【0112】
動作802は、光データ記憶媒体及び/又は撮像システムを水平方向に移動させることを含む。例えば、光データ記憶媒体は、ステージ上に取り付けられ得、ステージは、光データ記憶媒体を撮像システムに対して直線的に移動させ得るか、又は光データ記憶媒体を回転させ得る。代替的又は追加的に、撮像システムは、光データ記憶媒体に対して撮像システムを移動させるための可動アーム又はガントリに取り付けられ得る。他のタイプのアクチュエータが使用され得る。
【0113】
垂直方向軸の走査方向は、各セクタに対して逆転する。逆転及び水平方向の移動は、同時に発生し、矢印Bで示すように、走査がほぼU字型の経路をたどるようにし得る。
【0114】
ブロック803において、更なるトラック内のボクセルの層の画像がキャプチャされる。この動作は
図9の矢印Cで示されており、矢印Cは、上方向に進む走査を示す。
【0115】
第2のトラックの走査は、直前の走査の方向とは反対の垂直方向に進む。図示の例では、各トラックは、1回撮像され、第1のトラックは、下方向に走査され、第2のトラックは、上方向に走査される。前述したように、トラックを撮像することは、複数の異なる偏光で画像をキャプチャするために単一のカメラが使用される実装形態では、そのトラックの複数の走査を含み得る。
【0116】
スタックの走査を交互の方向に実行することによって、1つのトラックの走査の完了と次のトラックの走査の開始との間の遅延が少なくなるため、走査プロセスはより効率的になり得る。このタイプの走査は、蛇行経路をたどると記載されることがある。
【0117】
ブロック801~803の動作は、所望のデータがすべて読み取られるまで繰り返され得る。これは、
図9の矢印D及びEで示されている。
【0118】
光データ記憶媒体及び/又は撮像システムの水平方向の移動の範囲は、トラックの走査間で可能な限り小さく保たれることが望ましい。例えば、光データ記憶媒体が行及び列に配置された複数のトラックを有し、媒体の内容全体を読み取ることが望まれる場合、方法の各反復で選択されるトラックは、直前の反復において走査されたトラックにすぐ隣接し得る。走査は、スタックの1つの行に沿って+x方向に進み、次いで、次の行に移動して-x方向に進み、同様に続き得る。走査は、xz平面では蛇行パターン、xy平面では蛇行経路をたどり得る。
【0119】
上記の実施形態は、単なる例として説明されたものであることが理解されよう。より一般的には、本明細書に開示される一態様によれば、多層光データ記憶媒体を読み取るための読み取りヘッドが提供され、多層光データ記憶媒体は、ボクセルの層が内部に埋め込まれた透明基板を備える。読み取りヘッドは、ボクセル群の画像をキャプチャするための撮像システムであって、読み取りヘッドが、撮像システムを多層光データ記憶媒体内の可変深度に焦点合わせするように構成されている、撮像システムと、多層光データ記憶媒体内のボクセルの深度位置を識別するための自動焦点システムと、を備える。自動焦点システムは、多層光データ記憶媒体上の区域を照射するための光源と、多層光データ記憶媒体を透過した光源からの光を検出するための検出器と、を備える。自動焦点システムは、ボクセルの深度位置の検出を可能にし、それによって、撮像システムを選択的に使用してボクセルに焦点合わせされる画像をキャプチャすることを可能にする。
【0120】
自動焦点システムは、自動焦点システムの焦点深度を変化させるための可変焦点光学系を更に備え得る。撮像システムは、撮像システムの焦点深度を変化させるための可変焦点光学系を含み得る。
【0121】
撮像システムは、多層光データ記憶媒体と撮像システム及び/又は自動焦点システムとの間に相対移動を引き起こすように構成された少なくとも1つのアクチュエータを含み得る。
【0122】
撮像システムは、少なくとも100μm2、任意選択で、125μm2~4mm2の範囲の面積の視野を有する広視野撮像システムであり得る。自動焦点システムは、10μm2以下、任意選択で、2μm2以下の面積を有する狭い視野をサンプリングするように構成され得る。
【0123】
少なくとも1つのアクチュエータは、水平成分を有する移動を引き起こすように構成され得る。光データ記憶媒体は、トラック内に配置されたボクセルを備え得る。水平方向の移動を引き起こすように構成されるアクチュエータは、撮像システムが選択されたトラックと位置合わせされることを可能にし得る。
【0124】
少なくとも1つのアクチュエータは、垂直成分を有する移動を引き起こすように構成され得る。これは、アクチュエータを使用して、撮像システム及び/又は自動焦点システムを、多層光データ記憶媒体内の可変深度位置、例えば、トラック内のセクタに焦点合わせすることを可能にし得る。
【0125】
少なくとも1つのアクチュエータは、多層データ記憶媒体を撮像システム及び自動焦点システムに対して移動させるように構成され得る。移動は、直線成分及び/又は回転成分を含み得る。
【0126】
少なくとも1つのアクチュエータは、多層データ記憶媒体に対して検出器を移動させるように構成され得る。少なくとも1つのアクチュエータは、撮像システムの撮像センサを多層データ記憶媒体に対して移動させるように構成され得る。
【0127】
自動焦点システムは、撮像システムの視野の面積の10%以下、任意選択で、撮像システムの視野の面積の1%以下の面積を有する視野を有し得る。例えば、自動焦点システムによってサンプリングされる区域は、点であり得る。点は、2μm2以下の面積を有する領域であり得る。限られた区域をサンプリングすることは、より速いサンプリングを可能にし得る。
【0128】
検出器は、多層光データ記憶媒体内のボクセルを検出するように構成され得る。換言すれば、自動焦点システムの検出器は、ボクセル自体を検出することによって、ボクセルの位置を識別し得る。
【0129】
代替的又は追加的に、多層光データ記憶媒体には、ボクセルの深度位置をマークするためのマーカーが提供され得、検出器は、そのようなマーカーを検出するように構成され得る。
【0130】
代替的又は追加的に、自動焦点システムは、多層光データ記憶媒体の表面の位置を検出するように構成され得る。
【0131】
自動焦点システムは、サンプリングされる区域を移動するための走査光学系を更に備え得る。光データ記憶媒体上で走査することは、より大きな有効領域をサンプリングすることを可能にし、これは、ボクセルのより信頼性の高い検出を可能にし得る。
【0132】
自動焦点システムの光源は、レーザーであり得る。光源は、少なくとも3W/mm2.stの放射輝度を提供するように構成され得る。高強度の光源を使用することは、ボクセルのより容易な検出を可能にし得る。自動焦点システムの光源は、例えば、レーザーであり得る。
【0133】
ボクセルは、複屈折を示し、偏光された光が使用され得る。例えば、自動焦点システムは、光源からの光を偏光するための偏光子を更に備え得る。代替的又は追加的に、検出器は、偏光フィルタを含み得る。
【0134】
検出器は、光検出器であり得、任意選択で、偏光フィルタが提供され得る。
【0135】
読み取りヘッドは、ボクセルが所定のサイズのセクタ内に配置される多層光データ記憶媒体を読み取るためのものであり得る。このような実装形態では、撮像システムは、所定のサイズ以上のサイズを有する区域の画像をキャプチャするための広視野撮像システムであり得る。対象セクタの周囲にマージンを含む画像をキャプチャすることは、水平方向の位置合わせの公差を提供し得る。代替的又は追加的に、光データ記憶媒体がボクセルの位置をマークするためのマーカーを含む実装形態では、セクタよりも大きい画像をキャプチャすることは、マーカーがマージン内に配置されることを可能にする。
【0136】
撮像システムは、一度に1つのセクタの画像をキャプチャするように構成され得る。
【0137】
撮像システムは、多層光データ記憶媒体の領域を偏光された光で照射するための第2の光源及び偏光光学系と、多層光データ記憶媒体を透過した光源からの偏光された光をキャプチャするための少なくとも1つの撮像センサと、を含み得る。撮像システムの光源及び偏光光学系は、複数の異なる偏光を有する光を提供し得る。
【0138】
撮像システムは、偏光のそれぞれの偏光の光をキャプチャするための複数の撮像センサを含み得る。複数の撮像センサを提供することによって、所与のボクセル群の複数の画像が同時にキャプチャされ得る。異なる偏光の光を使用してキャプチャされた画像間の差を判定することは、光データ記憶媒体に記憶されたデータを復号するのに有用であり得る動作の1つである。
【0139】
撮像システムが単一の撮像センサを含む実装形態では、異なる偏光の複数の画像が連続的にキャプチャされ得る。
【0140】
読み取りヘッドは、撮像システム及び自動焦点システムに動作可能に接続されたコントローラを更に備え得る。コントローラは、読み取りヘッドに、本明細書で定義される方法を実行させるのに有用であり得る。
【0141】
コントローラは、自動焦点システムを使用して、多層データ記憶媒体上又は多層データ記憶媒体内の特徴部の深度位置を判定するように構成され得る。特徴部は、多層光データ記憶媒体の表面、多層光データ記憶媒体の表面上のマーカー、光データ記憶媒体内に埋め込まれたマーカー、及び光データ記憶媒体内の1つ又は複数のボクセルから選択され得る。好ましくは、特徴部は、1つ又は複数のボクセルである。
【0142】
コントローラは、判定された深度位置及び多層データ記憶媒体の所定の外形に基づいて、ボクセル群の深度位置を推測するように構成され得る。あるいは、撮像される各ボクセル群の位置は、自動焦点システムを使用して検出され得る。
【0143】
コントローラは、自動焦点システムを使用して、多層光データ記憶媒体内のボクセル群の深度位置を判定し、判定に応じて、撮像システムに、ボクセル群の画像をキャプチャさせるように構成され得る。
【0144】
コントローラは、ボクセル群の深度位置を判定することが、自動焦点システムを使用して焦点深度の範囲を走査することを含むように構成され得る。コントローラは、焦点深度の範囲にわたって撮像システムの焦点深度を走査し、ボクセル群の深度位置に対応する焦点深度で画像を選択的にキャプチャするように構成され得る。
【0145】
コントローラは、自動焦点システムによって実行される走査と撮像システムによって実行される走査とが、異なる位相を有するように構成され得、位相は、範囲内の各焦点深度が撮像システムよりも先に自動焦点システムによって走査されるように選択される。これは、撮像システムのより効果的な使用を可能にし得、なぜなら、撮像センサは有限の最大データキャプチャレートを有するためである。例えば、ボクセル群の画像のキャプチャレートは、撮像システムの最大フレームレートに近くなり得る。
【0146】
読み取りヘッドが少なくとも1つのアクチュエータ及びコントローラを含む実装形態では、コントローラは、撮像システムに、多層光データ記憶媒体の領域内の1つ又は複数の目標セクタ又はボクセルの層の画像をキャプチャさせ、次いで、続いて、アクチュエータを使用して、読み取りヘッドを多層光データ記憶媒体の異なる領域と位置合わせし、キャプチャ動作を繰り返すように構成され得る。異なる領域は、すぐ隣接する領域であり得る。コントローラが焦点深度の走査を実行するように構成されているとき、走査の方向は各領域に対して交互になり得る。例えば、走査は、第1の領域では下方向に進み、第2の領域では上方向に進み得る。これは、撮像システム及び自動焦点システムの焦点を各領域に対してゼロ点にリセットする必要性を回避することによって、データがより速く読み取られることを可能にし得る。
【0147】
コントローラは、画像データを、画像に基づいてバイナリデータを復元するように構成されたデコーダに送信するように更に構成され得る。コントローラは、事前復号動作を実行し得る。コントローラは、画像の正規化、フィルタリング、及び/又はプーリングを実行し得る。例えば、複数の画像がキャプチャされる実装形態では、コントローラは、複数の画像間の差に対応する画像データを計算し得る。
【0148】
あるいは、コントローラ自体が、光データ記憶媒体に記憶されたバイナリデータを復元するために画像を復号するように構成され得る。
【0149】
別の態様では、多層光データ記憶媒体からデータを読み取る方法が提供される。方法は、上で説明した読み取りヘッドを使用して実施され得る。読み取りヘッドを参照して説明したすべての特徴は、方法の文脈で実装され得ることを理解されたい。
【0150】
方法は、自動焦点システムを使用して、多層光データ記憶媒体内のボクセル群の深度位置を識別するステップと、識別された深度位置に対応する焦点深度を有する撮像システムを使用して、ボクセル群の画像をキャプチャするステップと、を含む。自動焦点システムは、多層光データ記憶媒体上の点を照射するための光源と、多層光データ記憶媒体を透過した光源からの光を検出するための検出器と、を備える。自動焦点システムの使用は、撮像システムのより効率的な利用を可能にし得る。自動焦点システムはより小さい視野及び/又はより低い解像度を有し得るため、撮像システムからのデータの読み取りは、自動焦点システムによる走査と比較して比較的遅い場合がある。
【0151】
自動焦点システムは、自動焦点システムの焦点深度を変化させるための可変焦点光学系を更に備え得る。
【0152】
ボクセル群の深度位置を識別することは、自動焦点システムを使用して深度範囲の走査を実行することを含み得る。
【0153】
撮像システムは、焦点深度の範囲の走査を実行し得る。撮像システムは、撮像システムの焦点深度がボクセル群の深度位置に対応するとき、画像を選択的にキャプチャし得る。
【0154】
撮像システムによって実行される走査及び自動焦点システムによって実行される走査は、位相差だけ異なるそれぞれの位相を有し得る。位相差は、撮像システムの焦点がその深さに到達する前に、範囲内の各焦点深度が自動焦点システムによって走査されるように選択され得る。
【0155】
方法は、多層光データ記憶媒体の領域内のボクセルの層の画像を第1の深度方向に順次キャプチャするステップと、続いて、撮像システムを多層光データ記憶媒体の領域と位置合わせするステップと、多層光データ記憶媒体の更なる領域内のボクセルの層の画像を、第1の深度方向とは反対の第2の深度方向において順次キャプチャするステップと、を含み得る。走査を上向きと下向きとに交互に行うことによって、自動焦点システム及び画像キャプチャシステムの焦点を各領域のゼロ点に戻すことを回避することによって画像キャプチャがより効率的になされ得る。
【0156】
更に別の態様では、多層光記憶媒体からデータを読み取る方法が提供される。方法は、任意選択で、前述の態様の方法と組み合わせて使用されてよく、本明細書で定義される読み取りヘッドを使用して実行され得る。
【0157】
方法は、撮像システムを使用して、第1のトラック内のボクセルの層の画像をキャプチャするステップを含み、多層光データ記憶媒体及び撮像システムは、画像のキャプチャ中、固定水平方向位置に保持される。
【0158】
セクタの画像をキャプチャすることは、異なる偏光の光を使用して各セクタの複数の画像をキャプチャすることを含み得る。
【0159】
方法は、画像をキャプチャした後、撮像システム及び/又は多層光データ記憶媒体を水平方向に移動させることによって、撮像システムを更なるトラックと位置合わせするステップと、撮像システムの焦点変更方向を逆転させるステップと、逆転させた方向で更なるトラック内のセクタの画像を順次キャプチャするステップと、を更に含み得る。更なるトラックは、第1のトラックにすぐ隣接し得る。
【0160】
方法は、第1のトラック内のセクタの垂直方向位置を判定するステップを更に含み得る。画像は、判定された垂直方向位置で選択的にキャプチャされ得る。
【0161】
撮像システムは、垂直方向位置を判定するために使用され得る。あるいは、セクタの垂直方向位置は、ボクセルの位置を検出する自動焦点システムを使用して判定され得る。自動焦点システムは、本明細書で説明される読み取りヘッドの自動焦点システムであり得る。判定は、本明細書に記載する方法に従って実行され得る。
【0162】
セクタの垂直方向位置を判定するステップは、多層光データ記憶媒体の特徴部の垂直方向位置を検出することと、特徴部の垂直方向位置及び所定の光データ記憶媒体の外形に基づいて、セクタの垂直方向位置を推測することと、を含み得る。特徴部は、多層光データ記憶媒体の表面、多層光データ記憶媒体の表面上のマーカー、光データ記憶媒体内に埋め込まれたマーカー、及び光データ記憶媒体内の1つ又は複数のボクセルから選択され得る。具体的に、特徴部は、1つ又は複数のボクセルである。1つ又は複数の特徴部の垂直方向位置を検出することによって読み取りヘッドが校正されると、光データ記憶媒体内のセクタの位置は、光データ記憶媒体の所定の外形から推測され得る。これは、データのより速い取り出しを可能にし得る。
【0163】
例えば、方法は、あるトラック内のセクタの垂直方向位置に少なくとも部分的に基づいて、別のトラック内のセクタの垂直方向位置を推測するステップを更に含み得る。
【0164】
複数のトラックが、読み取られ得る。第1のトラックは第1の深度方向、例えば下向きに読み取られ得、第2のトラックは、第2の深度方向、例えば上向きに読み取られ得る。交互の方向に走査を実行することによって、各トラックを読み取る前に撮像システムの焦点を基準点にリセットする必要性を回避することによって、データをより迅速に取り出すことが可能になり得る。
【0165】
本開示は、下記の条項を提供する。
【0166】
条項1.多層光データ記憶媒体を読み取るための読み取りヘッドであって、多層光データ記憶媒体が、ボクセルの層が内部に埋め込まれた透明基板を備え、その読み取りヘッドが、
ボクセル群の画像をキャプチャするための撮像システムであって、読み取りヘッドが、撮像システムを多層光データ記憶媒体内の可変深度に焦点合わせするように構成されている、撮像システムと、
多層光データ記憶媒体内の区域をサンプリングすることによって、多層光データ記憶媒体内のボクセルの深度位置を識別するため自動焦点システムであって、
区域を照射するための光源と、
多層光データ記憶媒体を透過した光源からの光を検出するための検出器と、
を備える、自動焦点システムと
を備える多層光データ記憶媒体を読み取るための読み取りヘッド。
【0167】
条項2.条項1に記載の読み取りヘッドであって、自動焦点システムが、自動焦点システムの焦点深度を変化させるための可変焦点光学系を更に備える、読み取りヘッド。
【0168】
条項3.条項1又は条項2に記載の読み取りヘッドであって、撮像システムが、撮像システムの焦点深度を変化させるための可変焦点光学系を含む、読み取りヘッド。
【0169】
条項4.条項1から3のいずれか1つに記載の読み取りヘッドであって、自動焦点システムが、撮像システムの視野のサイズの10%以下、任意選択で、1%以下のサイズを有する区域をサンプリングするように構成されている、読み取りヘッド。
【0170】
条項5.条項1から4のいずれか1つに記載の読み取りヘッドであって、検出器が、多層光データ記憶媒体内のボクセルを検出するように構成されている、読み取りヘッド。
【0171】
条項6.条項1から5のいずれか1つに記載の読み取りヘッドであって、自動焦点システムが、自動焦点システムによってサンプリングされる区域を移動させるための走査光学系を更に備える、読み取りヘッド。
【0172】
条項7.条項1から6のいずれか1つに記載の読み取りヘッドであって、光源が、レーザーである、読み取りヘッド。
【0173】
条項8.条項1から7のいずれか1つに記載の読み取りヘッドであって、自動焦点システムが、光源からの光を偏光するための偏光子を更に備える、読み取りヘッド。
【0174】
条項9.条項1から8のいずれか1つに記載の読み取りヘッドであって、多層光データ記憶媒体と撮像システム及び/又は自動焦点システムとの間の相対移動を引き起こすように構成された少なくとも1つのアクチュエータを更に備える、読み取りヘッド。
【0175】
条項10.条項9に記載の読み取りヘッドであって、少なくとも1つのアクチュエータが、撮像システム及び/又は自動焦点システムの焦点を変化させるように、多層光データ記憶媒体と撮像システム及び/又は自動焦点システムとの間の相対移動を垂直方向に引き起こすように構成されている、読み取りヘッド。
【0176】
条項11.条項1から10のいずれか1つに記載の読み取りヘッドであって、読み取りヘッドが、所定のサイズのセクタ内にボクセルが配置されている多層光データ記憶媒体を読み取るためのものであり、撮像システムが、所定のサイズ以上の面積を有する視野の画像をキャプチャするためのものである、読み取りヘッド。
【0177】
条項12.条項1から11のいずれか1つに記載の読み取りヘッドであって、撮像システムが、
撮像システムの視野を偏光された光で照射するための第2の光源及び偏光光学系と、
多層光データ記憶媒体を透過した第2の光源からの偏光された光をキャプチャするための少なくとも1つの画像センサと、
を含む、読み取りヘッド。
【0178】
条項13.条項12に記載の読み取りヘッドであって、第2の光源及び偏光光学系が、複数の異なる偏光を有する光を提供するように構成されており、撮像システムが、複数の異なる偏光のそれぞれの偏光の光をキャプチャするための複数の撮像センサを含む、読み取りヘッド。
【0179】
条項14.条項1から13のいずれか1つに記載の読み取りヘッドであって、撮像システム及び自動焦点システムに動作可能に接続されたコントローラを更に備え、コントローラが、
自動焦点システムを使用して、多層光データ記憶媒体内のボクセル群の深度位置を判定し、かつ
判定に応じて、撮像システムに、ボクセル群の画像をキャプチャさせる
ように構成されている、読み取りヘッド。
【0180】
条項15.条項14に記載の読み取りヘッドであって、コントローラは、
ボクセル群の深度位置を判定することが、自動焦点システムを使用して焦点深度の範囲を走査することを含む
ように構成されており、かつ
コントローラは、読み取りヘッドに、
焦点深度の範囲にわたって撮像システムの焦点深度を走査することと、
撮像システムの焦点深度がボクセル群の深度位置に対応するとき、画像を選択的にキャプチャすることと、
を行わせるように構成されている、読み取りヘッド。
【0181】
条項16.条項15に記載の読み取りヘッドであって、コントローラは、自動焦点システムによって実行される走査と撮像システムによって実行される走査とが、異なる位相を有するように構成されており、位相は、範囲内の焦点深度が撮像システムよりも先に自動焦点システムによって走査されるように選択される、読み取りヘッド。
【0182】
条項17.条項14から16のいずれか1つに記載の読み取りヘッドであって、読み取りヘッドが、少なくとも1つのアクチュエータを含み、コントローラが、撮像システムに、多層光データ記憶媒体の領域内のボクセルの各層の画像をキャプチャさせ、次いで、続いて、読み取りヘッドを多層光データ記憶媒体の異なる領域と位置合わせするように、少なくとも1つのアクチュエータを制御するように構成されている、読み取りヘッド。
【0183】
条項18.条項14から17のいずれか1つに記載の読み取りヘッドであって、コントローラが、画像に基づいてバイナリデータを復元するように構成されたデコーダに画像を送信するように更に構成されている、読み取りヘッド。
【0184】
条項19.多層光データ記憶媒体からデータを読み取る方法であって、多層光データ記憶媒体は、ボクセルの層が内部に埋め込まれた透明基板を備え、その方法が、
自動焦点システムを使用して多層光データ記憶媒体をサンプリングすることによって、多層光データ記憶媒体内のボクセル群の深度位置を判定するステップと、
深度位置に対応する焦点深度を有する撮像システムを使用して、ボクセル群の画像をキャプチャするステップと、を含み、
自動焦点システムが、
多層光データ記憶媒体上の区域を照射するための光源と、
多層光データ記憶媒体を透過した光源からの光を検出するための検出器と、
を備える、多層光データ記憶媒体からデータを読み取る方法。
【0185】
条項20.条項19に記載の方法であって、自動焦点システムが、自動焦点システムの焦点深度を変化させるための可変焦点光学系を更に備える、方法。
【0186】
条項21.条項19又は条項20に記載の方法であって、ボクセル群の深度位置を判定するステップが、自動焦点システムを使用して深度範囲の走査を実行することを含む、方法。
【0187】
条項22.条項21に記載の方法であって、撮像システムが、焦点深度の範囲の走査を実行し、撮像システムが、撮像システムの焦点深度がボクセル群の深度位置に対応するとき、画像を選択的にキャプチャする、方法。
【0188】
条項23.条項22に記載の方法であって、撮像システムによって実行される走査と自動焦点システムによって実行される走査とが、位相差だけ異なるそれぞれの位相を有し、位相差は、範囲内の各焦点深度が撮像システムよりも先に自動焦点システムによって走査されるように選択される、方法。
【0189】
条項24.条項19から23のいずれか1つに記載の方法であって、
多層光データ記憶媒体の領域内のボクセルの層の画像を第1の深度方向に順次キャプチャするステップと、
続いて、撮像システムを多層光データ記憶媒体の更なる領域と位置合わせするステップと、
多層光データ記憶媒体の更なる領域内のボクセルの層の画像を、第1の深度方向とは反対の第2の深度方向に順次キャプチャするステップと、
を含む、方法。
【0190】
条項25.多層光記憶媒体からデータを読み取る方法であって、多層光データ記憶媒体が、ボクセルの層が内部に埋め込まれた透明基板を備え、ボクセルが、セクタ内に配置され、セクタが、垂直方向トラック内に配置され、方法が、
撮像システムを使用して、第1のトラック内のセクタの画像をキャプチャするステップを含み、
多層光データ記憶媒体及び撮像システムが、画像のキャプチャ中、固定水平方向位置に保持される、多層光記憶媒体からデータを読み取る方法。
【0191】
条項26.条項25に記載の方法であって、セクタの画像をキャプチャするステップが、異なる偏光の光を使用してセクタの複数の画像をキャプチャすることを含む、方法。
【0192】
条項27.条項25又は条項26に記載の方法であって、
画像をキャプチャした後、撮像システム及び/又は多層光データ記憶媒体を水平方向に移動させることによって、撮像システムを更なるトラックと位置合わせするステップと、
撮像システムの焦点変更方向を逆転させるステップと、
更なるトラック内のセクタの画像を、逆転された方向に順次キャプチャするステップと、
を更に含む、方法。
【0193】
条項28.条項27に記載の方法であって、更なるトラックが、第1のトラックにすぐ隣接している、方法。
【0194】
条項29.条項25から28のいずれか1つに記載の方法であって、第1のトラック内のセクタの垂直方向位置を判定するステップを更に含む、方法。
【0195】
条項30.条項29に記載の方法であって、画像が、判定された垂直方向位置で選択的にキャプチャされる、方法。
【0196】
条項31.条項29に記載の方法であって、撮像システム(530)が、垂直方向位置を判定するために使用される、方法。
【0197】
条項32.条項29に記載の方法であって、セクタの垂直方向位置を判定することが、自動焦点システムを使用して位置を検出することを含む、方法。
【0198】
条項33.条項29から30のいずれか1つに記載の方法であって、セクタの垂直方向位置を判定することが、
多層光データ記憶媒体の特徴部の垂直方向位置を検出することと、
特徴部の垂直方向位置及び所定の光データ記憶媒体の外形に基づいて、セクタの垂直方向位置を推測することと、
を含む、方法。
【0199】
条項34.条項29から33のいずれか1つに記載の方法であって、
あるトラック内のセクタの垂直方向位置に少なくとも部分的に基づいて、別のトラック内のセクタの垂直方向位置を推測するステップ
を更に含む、方法。
【0200】
条項35.条項33又は条項34のいずれか1つに記載の方法であって、特徴部が、多層光データ記憶媒体の表面、多層光データ記憶媒体の表面上のマーカー、光データ記憶媒体内に埋め込まれたマーカー、及び光データ記憶媒体内の1つ又は複数のボクセルから選択される、方法。
【0201】
また本明細書では、多層光データ記憶媒体を読み取るための読み取りヘッドが提供され、多層光データ記憶媒体は、ボクセルの層が内部に埋め込まれた透明基板を備える。読み取りヘッドは、コントローラと、自動焦点システムと、カメラと、を備える。自動焦点システムとカメラとは、コントローラに動作可能に接続されている。自動焦点システムは、多層光データ記憶媒体内の区域を照射するように構成された光源と、多層光データ記憶媒体を透過した光源からの光を検出するように配置された光検出器と、を備える。コントローラは、プロセッサと、プログラム命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体と、を備え、プログラム命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
自動焦点システムの検出器の出力に基づいて、多層光データ記憶媒体内のボクセル群の深度位置を判定することと、判定に応じて、カメラを使用してボクセル群の画像をキャプチャすることと、を行わせる。
【0202】
開示された手法の他の変形又は使用事例が、本明細書における開示を与えられると当業者に明らかになり得る。本開示の範囲は、記載された実施形態により限定されるものでなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【国際調査報告】