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  • 特表-白色の自動車コーティング組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】白色の自動車コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 17/00 20060101AFI20240918BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20240918BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20240918BHJP
【FI】
C09D17/00
C09D201/00
C09D7/61
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513819
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2022074118
(87)【国際公開番号】W WO2023031224
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】21193784.2
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D-48165 Muenster,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】コルニー,ゼノン ポール
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ダニエル ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チンリン
(72)【発明者】
【氏名】ウィークス,フィリス エー
(72)【発明者】
【氏名】ブルーメンタール,アブラハム トーマス
【テーマコード(参考)】
4J037
4J038
【Fターム(参考)】
4J037AA22
4J037DD24
4J037EE28
4J037FF03
4J038CG121
4J038DA162
4J038DG001
4J038DG302
4J038HA166
4J038HA546
4J038KA08
4J038MA08
4J038MA10
4J038MA14
4J038NA01
4J038PB07
4J038PC02
4J038PC08
(57)【要約】
本発明は、好ましくは、25℃で6.2~7.8の範囲のpH値を有し、二酸化チタン粒子(このチタン粒子は、動的光散乱によって決定される30nm~220nmの範囲のZ平均粒径、及び0.7~1.5の範囲の粒径分布スパン[(D90-D10)/(D50)]を有する);二酸化チタン粒子に結合する基を含む1種以上の分散剤;1種以上の有機溶媒;及び必要に応じて1種以上のpH値調整化合物を含む水性コロイド状二酸化チタン分散液に関する。本発明はさらに、そのような分散液の調製方法、そのような分散液の成分を含有するコーティング組成物、そのような分散液でコーティングされた基材及び基材をコーティングする方法、及びコーティング組成物の製造におけるこの分散液の使用方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i.
a.動的光散乱によって決定される、30nm~220nmの範囲のZ平均粒径、及び
b.0.7~1.5の範囲の粒径分布スパン[(D90-D10)/(D50)]
を有する二酸化チタン粒子、
ii.前記二酸化チタン粒子に結合する基を含む1種以上の分散剤;及び
iii.必要に応じて、1種以上のpH値調整化合物
を含む水性コロイド状二酸化チタン分散液であって、
前記1種以上の分散剤が、少なくとも部分的に中和されたカルボン酸基を含有することを特徴とする、水性コロイド状二酸化チタン分散液。
【請求項2】
前記二酸化チタン粒子が、150nm未満の体積ベースのD10値、220nm未満の体積ベースのD50値、及び350nm未満の体積ベースのD90値を有し、但し、D90値がD50値より高く、D50値はD10値より高いことを特徴とする、請求項1に記載の水性コロイド状二酸化チタン分散液。
【請求項3】
動的光散乱によって決定されたZ平均粒径が80nm~190nmの範囲であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水性コロイド状二酸化チタン分散液。
【請求項4】
粒径分布スパン[(D90-D10)/(D50)]が0.8~1.2の範囲であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の水性コロイド状二酸化チタン分散液。
【請求項5】
前記1種以上の分散剤が、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカルボキシレートエーテル、及びエチレン性不飽和モノマーから形成されるポリマーからなる群から選択されるポリマー分散剤であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の水性コロイド状二酸化チタン分散液。
【請求項6】
前記1種以上の分散剤が、少なくとも部分的に中和された(マレイン酸)/(ビニルポリエーテル)コポリマーであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項項に記載の水性コロイド状二酸化チタン分散液。
【請求項7】
前記分散液が、好ましくはアルカノール、グリコール、ジグリコール、グリコールエーテル、ジグリコールエーテル、グリコールエステル、ジグリコールエステル、グリコールエーテルエステル及びジグリコールエーテルエステルからなる群から選択される1種以上の有機溶媒をさらに含有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の水性コロイド状二酸化チタン分散液。
【請求項8】
前記分散液のpH値が6.2~7.8の範囲であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の水性コロイド状二酸化チタン分散液。
【請求項9】
A.以下の成分
a.
i.動的光散乱によって決定される、220nmを超えるZ平均粒径、及び/又は
ii.1.5を超える粒径分布スパン[(D90-D10)/(D50)]
を有する、1種以上の二酸化チタン顔料、
b.前記1種以上の二酸化チタン顔料に結合する基を含む1種以上の分散剤;及び
iii.必要に応じて、1種以上のpH値調整化合物
を含むプレミックスを形成する工程と、
B.動的光散乱によって決定される30nm~220nmの範囲のZ平均粒径、及び0.7~1.5の範囲の粒径分布スパン[(D90-D10)/(D50)]を有する二酸化チタン粒子が得られるまで、工程Aで得られた前記プレミックスをビーズミル又はシェーカーミルで粉砕する工程と、
C.必要に応じて、1種以上のpH値調整化合物を使用してpH値を調整する工程と
を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の水性コロイド状二酸化チタン分散液を製造する方法。
【請求項10】
前記プレミックスが、請求項7に定義される1種以上の有機溶媒をさらに含む、請求項9に記載の水性コロイド状二酸化チタン分散物を製造する方法。
【請求項11】
A)少なくとも1種のフィルム形成ポリマー(A1)、及び(A1)が外部架橋性である場合には、少なくとも1種の架橋剤(A2);
(B)請求項1から9のいずれか一項で定義した水性コロイド状二酸化チタン分散液の成分;
(C)好ましくは、少なくとも1種の着色剤及び/又は充填剤であって、前記着色剤が染料及び顔料からなる群から選択され、前記顔料が着色顔料及び/又は効果顔料から選択される少なくとも1種の着色剤及び/又は充填剤
を含む、二酸化チタン含有コーティング組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の二酸化チタン含有コーティング組成物から形成された乾燥及び/又は硬化したコーティング層を含むコーティングされた基材。
【請求項13】
請求項11で定義した二酸化チタン含有コーティング組成物を基材上に適用して、コーティング層を形成し、その後コーティング層を乾燥及び/又は硬化させる工程を含む、請求項12で定義したコーティングされた基材を調製する方法。
【請求項14】
多層コーティングされた基材であり、少なくとも1つのコーティング層が、請求項11に記載の二酸化チタン含有コーティング組成物から形成された乾燥及び/又は硬化したコーティング層である、請求項12で定義したコーティングされた基材。
【請求項15】
請求項14で定義した多層コーティングされた基材を調製する方法であって、請求項11で定義した二酸化チタン含有コーティング組成物を基材に適用し、コーティング層を乾燥及び/又は硬化する工程を含み、前記基材が、少なくとも1つのコーティング組成物でプレコーティングされた基材であり、及び/又は請求項11で定義した二酸化チタン含有コーティング組成物を適用し、乾燥及び/又は硬化させることによって形成されたコーティング層が、少なくとも1つのコーティング組成物によってポストコーティングされた基材である、方法。
【請求項16】
コーティング組成物、好ましくは自動車用コーティング組成物の製造における、請求項1から8のいずれか一項に記載のコロイド状二酸化チタン分散液の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にコーティング組成物における使用のための、好ましくは多層配置における、好ましくは自動車コーティングに好適な、水性コロイド状酸化チタン分散液、そのような分散液を製造する方法、そのような分散液を含有するコーティング組成物、及びそのようなコーティングによって得られるコーティング層及びコーティングされた基材に関する。本発明はさらに、コーティング組成物、特にベースコート組成物、例えば自動車ベースコート組成物の製造のためのそのような分散液の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、白色は世界で最も人気のある色であり、生産されたすべての自動車の3分の1以上が白色の領域に属している。自動車塗料の分野で最も一般的に使用されている白色顔料は二酸化チタンである。したがって、自動車コーティングの製造に使用できる二酸化チタン配合物を提供したいという要望は、継続的であり、さらに増加している。
【0003】
しかしながら、一般的に使用される二酸化チタン顔料は、非鏡面反射に近い角度範囲では特徴的な黄色がかった黄金色を呈し、非鏡面反射から遠い角度範囲では青みがかった色合いを呈する。フロップ角度での青みがかった色合いは一般的に望まれているが、非鏡面反射に近いビューでの黄色がかった金色は、純白の外観を妨げ、幅広いパステルカラーを作り出す可能性を制限する。
【0004】
この問題は、白色コーティング組成物自体が他の顔料で着色され、例えばパステルカラーを作り出す場合に生じるだけでなく、従来の白色コーティング組成物から形成されるそのような層が、全体的な色の印象に寄与する複数の着色層のうちの1つでしかない場合にも可能性を制限する。
【0005】
特定の用途でニュートラルな白色が望ましい場合、二酸化チタン顔料の黄色の色合いは既知の問題である。
【0006】
黄色の色合いにはいくつかの原因がある。例え、チタン顔料はほとんどの場合、いわゆる硫酸塩又は塩化物ルートで製造される。硫酸塩グレードの酸化チタン顔料は一般的に塩化物グレードの酸化チタン顔料よりも黄色味が強く、これは硫酸塩グレードのチタニアの結晶格子中の他の金属イオンによる不純物に起因すると考えられている。
【0007】
色合いにさらに影響を与えるのは、二酸化チタン顔料の粒子である。粒径分布が粗いと、赤色と緑色の光が優先的に散乱される。この場合、波長の短い青色光は材料を通過する距離が長くなるため、より大きく吸収され、黄色っぽく見える。特に、青味がかったグレーは、黄色がかったグレーよりも鮮やかに見える。したがって、黄色がかった色、特にグレーの色は、「汚れた」外観になる。
【0008】
一方、粒径が細かいと、ある時点で長波長に対する散乱力が失われ、それによって隠蔽力が低下する。
【0009】
また、平均粒径が100nm未満のナノ二酸化チタンも多数存在し、これらは異なる方法、特にチタン-IV-アルコキシレート、チタニルスルフェート又は四塩化チタンの中和及び/又は加水分解を利用する方法によって製造される。しかしながら、それらはむしろUV吸収剤として使用されている。
【0010】
US 4,753,829では、二酸化チタン分散液を使用して乳白色の自動車塗料組成物を製造し、塗料組成物の製造に使用されるマイクロ二酸化チタンはミルベースの形態で採用されている。マイクロ二酸化チタン粒子の説明は約20nmの一次粒子径を指しているが、この一次粒子の粒径はそのようなマイクロ二酸化チタン粉末の測定粒子径と混同されるべきではなく、それは粉砕前の凝集物及び凝集体の存在によりはるかに高い。したがって、US 4,753,829の実施例1では、20nmの一次粒子の粒径を有するマイクロ二酸化チタンは、サンドミル粉砕機で10μm未満の粒子の粒径まで分散される。これはやはり、DIN 53(パート1):1972年8月の意味において、多量の凝集物及び凝集体の存在を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】US 4,753,829
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、好ましくは水性コーティング組成物に使用されるのに適した水性酸化チタン分散液を提供し、コーティング組成物に白色を与え、それによって得られるコーティング層に、よりニュートラルな白色、すなわち黄色の色合いが少ない白色を与える。
【0013】
さらなる目的は、従来の二酸化チタン顔料からこのような水性二酸化チタン分散液を機械的手順のみで製造する簡単な方法を提供することであった。
【0014】
二酸化チタン分散液は、金属効果顔料含有コーティング組成物及び/又は真珠光沢顔料、例えば雲母顔料含有コーティング組成物などの効果顔料含有コーティング組成物における使用にさらに適しているべきである。
【0015】
さらに、本発明の目的は、水性二酸化チタン分散液を含有する水性コーティング組成物から得られる硬化コーティング層、及び少なくとも1つの硬化コーティング層が水性二酸化チタン分散液を含有する水性コーティング組成物から得られる多層コーティングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の目的は、
i.
a.動的光散乱によって決定される、30nm~220nmの範囲のZ平均粒径、及び
b.0.7~1.5の範囲の粒径分布スパン[(D90-D10)/(D50)]
を有する二酸化チタン粒子、
ii.前記二酸化チタン粒子に結合する基を含む1種以上の分散剤;及び
iii.必要に応じて、1種以上のpH値調整化合物
を含む水性コロイド状二酸化チタン分散液を提供することによって達成された。
【0017】
前述の水性コロイド状二酸化チタン分散液及びその好ましい実施形態は、以下「本発明のコロイド状二酸化チタン分散液」とも呼ばれる。
【0018】
本発明のさらなる主題は、
A.以下の成分
a.
i.動的光散乱によって決定される、220nmを超えるZ平均粒径、及び/又は
ii.1.5を超える粒径分布スパン[(D90-D10)/(D50)]
を有する、1種以上の二酸化チタン顔料、
b.前記1種以上の二酸化チタン顔料に結合する基を含む1種以上の分散剤;及び
iii.必要に応じて、1種以上のpH値調整化合物
を含むプレミックスを形成する工程と、
B.動的光散乱によって決定される30nm~220nmの範囲のZ平均粒径、及び0.7~1.5の範囲の粒径分布スパン[(D90-D10)/(D50)]を有する二酸化チタン粒子が得られるまで、工程Aで得られた前記プレミックスをビーズミル又はシェーカーミルで粉砕する工程と、
C.必要に応じて、1種以上のpH値調整化合物を使用してpH値を調整する工程と
を含む、本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液を製造する方法である。
【0019】
本発明の水性コロイド状酸化チタン分散液の前記製造方法は、以下で本発明のコロイド状二酸化チタン分散液の調製方法と表記される。
【0020】
本発明のさらに別の目的は、
(A)少なくとも1種のフィルム形成ポリマー(A1)、及び(A1)が外部架橋性である場合には、少なくとも1種の架橋剤(A2);
(B)上記で定義した本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液の成分;
(C)好ましくは、少なくとも1種の着色剤及び/又は充填剤であって、前記着色剤が染料及び顔料からなる群から選択され、前記顔料が着色顔料及び/又は効果顔料から選択される少なくとも1種の着色剤及び/又は充填剤
を含む、二酸化チタン含有コーティング組成物である。
【0021】
前述の二酸化チタン含有コーティング組成物及びその好ましい実施態様は、以下で本発明によるコーティング組成物と表記される。
【0022】
本発明の別の目的は、本発明によるコーティング組成物から形成された乾燥及び/又は硬化したコーティング層を含むコーティングされた基材、及び本発明のコーティング組成物を基材上に適用してコーティング層を形成し、その後コーティング層を乾燥及び/又は硬化させる工程を含む、そのようなコーティングされた基材を調製する方法である。このコーティング層は、多層コーティングの一部であってもよい。
【0023】
本発明のさらなる目的は、コーティング組成物、好ましくは自動車用コーティング組成物の製造における本発明のコロイド状二酸化チタン分散液の使用方法である。
【0024】
本発明において、特徴に対して定義された必須範囲の他に、好ましい範囲及びさらに好ましい範囲が定義されている場合、それぞれの範囲の下限のいずれかを、それぞれの範囲の上限のいずれかと組み合わせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、多角度測定のジオメトリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
水性コロイド状二酸化チタン分散液
二酸化チタン
分散液は、動的光散乱によって決定される、30nm~220nmの範囲、好ましくは60nm~200nmの範囲、より好ましくは70~190nmの範囲、さらにより好ましくは80~185nmの範囲のZ平均粒径を有する二酸化チタン粒子を含有する。
【0027】
さらに、粒子は狭い粒径分布を有し、これは体積ベース粒径分布スパン[(D90-D10)/(D50)]が0.7~1.5の範囲、好ましくは0.8~1.3の範囲、より好ましくは0.85~1.2の範囲であることによって表すことができる。
【0028】
体積ベース粒径分布スパンは、動的光散乱によっても得られる体積ベースのD10、D50、D90値から計算される。D10は、直径がこの値より小さい粒子の割合が10%であることを定義する。D50は、直径がこの値より小さい粒子の割合が50%であることを定義し、中央値直径としても知られている。D90は、直径がこの値より小さい粒子の割合が90%であることを定義する。
【0029】
好ましくは、D10値は<150nmであり、より好ましくは<135nmであり、さらにより好ましくは<120nmであり、最も好ましくは<105nm、例えば<100nmである。好ましくは、D10値は、50nm~150nm、より好ましくは60~140nm、最も好ましくは60~110nmの範囲である。
【0030】
D50値は、D10値よりも高く、好ましくは<220nmであり、より好ましくは<200nmであり、さらにより好ましくは<180nmであり、最も好ましくは<130nm、例えば<120nmである。
【0031】
D90値は、D50値よりも高く、好ましくは<350nmであり、より好ましくは<330nmであり、さらにより好ましくは<300nmであり、最も好ましくは<250nm、例えば<200nmである。
【0032】
Z平均粒径とD値(D10、D50、D90)の両方は、本明細書の実験部分で詳細に説明されているように、Malvern Zetasizerを用いて決定することができる。
【0033】
さらに、水性コロイド状二酸化チタン分散液は、好ましくはミクロンサイズの二酸化チタン粒子を本質的に含まない。これは、本明細書の実験部分に記載されているように、ヘグマンゲージの使用によって決定することができる。
【0034】
コロイド状二酸化チタン分散液は、二酸化チタン顔料、特にD50中央値顔料粒径がミクロン範囲、好ましくは1~100μmの範囲、例えば5~80μm又は10~50μmの範囲にあるような顔料をダウンサイズすることによって得られる。マイクロ二酸化チタンのダウンサイズは、小さなビーズを使用することによって、粉砕時間及び/又は粉砕媒体の表面積(例えば、ビーズの表面)を延長することによって最適化することができる。
【0035】
これらの二酸化チタン顔料の多くは表面処理されている。表面処理としては、それぞれアルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、及びチタンの酸化物又は水酸化物が広く使用されている。後処理の量は、通常、表面処理工程で配備されたチタニアの量に基づく酸化物の質量パーセントで示される。そのため、例えば、表面処理として「3%のAl」と表示されることがあるが、実際には、アルミニウムは酸化物と水酸化物の混合物として存在し、最終製品に基づいて、表面処理中のAlは3%未満である。表面処理は、1段階又は2段階以上で行うことができる。
【0036】
典型的な試薬は、NaAlO、Al(SO、ZrOSO及びTiOSOである。金属ハロゲン化物は腐食性があるため、表面処理薬品としては通常あまり好ましくない。塩基性と酸性の前駆体溶液を混合することにより、Al(SOとNaSiOのような2つの異なる無機表面処理を同時に沈殿させ、例えばケイ酸アルミニウムを形成させることが可能である。
【0037】
本明細書で使用する二酸化チタン顔料という用語は、このような表面処理された二酸化チタン顔料を包含することを強調する。
【0038】
コロイド化学、すなわち凝集安定化に関して、酸化アルミニウム及び/又は酸化ジルコニウムの表面処理を施した二酸化チタンは、二酸化ケイ素をベースとする表面処理を施したものとは異なる挙動を示す。これらもすべて、純粋な未処理のTiOとは異なる。
【0039】
したがって、本発明の水性コロイド状チタン分散液の製造に採用される二酸化チタン顔料の可能な表面処理の性質及び6.2~7.8の25℃での好ましいpH範囲に応じて、分散剤を選択しなければならない。
【0040】
分散剤
水性コロイド状二酸化チタン分散液は、好ましくは6.2~7.8の25℃での好ましいpH範囲で二酸化チタン粒子に結合する基を含む1種以上の分散剤(本明細書では、湿潤分散剤、湿潤分散添加剤又は単に分散添加剤とも呼ばれる)を含有する。
【0041】
目的とするpH範囲における二酸化チタンの表面電荷が正である場合には、アニオン性分散剤が好ましい。好ましいpH範囲における二酸化チタンの表面電荷が負である場合には、カチオン性分散剤が好ましい。
【0042】
水性分散液中の二酸化チタンの表面電荷を決定するために、pH値に依存するゼータ電位を既知の方法で決定することができる。ゼータ電位がゼロになるpH値は等電点とも呼ばれ、これは粒子がその剪断面内で同数の正電荷と負電荷を持っているため、帯電していないように見えるからである。等電点より低いpH値では粒子は正に帯電し、高いpH値では負に帯電する。
【0043】
純二酸化チタンは通常4.5~6.5の等電点を有する。塩化プロセスによって得られる二酸化チタンは、粒子の表面上に部分的に存在するかなり多量の酸化アルミニウムがドーピングされているため、通常6.5~7の等電点を有する。上記で説明したように、例えば酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、二酸化ジルコニウムなどの無機層で顔料表面を修飾すると、等電点が変化する。例えば、酸化アルミニウム(等電点≒9)は等電点をより高いpH値にシフトさせるのに対し、他の物質は通常、等電点をより低いpH値に下げる傾向がある(二酸化ケイ素の等電点≒2、二酸化ジルコニウムの等電点≒4)。
【0044】
本発明で使用される分散剤による安定化は、好ましくは静電安定化の原理に従う。したがって、分散剤は好ましくは静電安定剤と考えられる。
【0045】
多くの好適な分散剤が市販されている。特に好ましいのは、ポリマー湿潤分散剤であり、より好ましくは、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカルボキシレート、及びアクリルモノマー又はメタクリルモノマーなどのエチレン性不飽和モノマー、ビニルモノマー及び/又はエチレン性不飽和ジカルボン酸又はその無水物から形成されるポリマーの群から選択される。前述のポリマーの中でも、カルボン酸基及び/又はその塩を含むものが特に好ましい。
【0046】
特に好ましいのは、二酸化チタン顔料の分散に一般的に推奨される分散剤である。
【0047】
最も好ましい湿潤分散剤は、(メタ)アクリルモノマーを含むポリマー、及びビニルモノマーとエチレン性不飽和ジカルボン酸又はその無水物を含むポリマーである。前述のポリマーの中でも、ビニルポリエーテルとエチレン性不飽和ジカルボン酸又はその無水物、例えばマレイン酸及びその塩を含むコポリマーがさらにより好ましい。典型的には、ビニルポリエーテルのポリエーテル部分は、親水性の、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド又はポリ(エチレン/プロピレン)オキシドである。マレイン酸-ビニルポリエーテルコポリマーは、例えば、Tego(登録商標)Dispers 752 Wの商品名で市販されている。別の好適な市販の湿潤分散剤は、アクリルポリマーに属し、Borchers Americas Inc.(Westlake,Ohio)から入手可能である。
【0048】
有機溶媒
本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液は、任意に有機溶媒を含有することができる。有機溶媒が本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液に含有される場合、それらは、好ましくは、水以外の共溶媒として水性コロイド状分散液において通常使用されるものである。このような有機溶媒は、好ましくは、水性分散液に採用される量において水溶性である。
【0049】
好ましい溶媒は、アルカノール、グリコール、ジグリコール、グリコールエーテル、ジグリコールエーテル、グリコールエステル、ジグリコールエステル、グリコールエーテルエステル及びジグリコールエーテルエステルからなる群から選択される。前述の有機溶媒の中では、グリコールモノエーテル及びジグリコールモノエーテルがさらにより好ましい。最も好ましいのは、アルキルジアルキレングリコール、例えばC~C-アルキルジエチレングリコール及びC~C-アルキルジプロピレングリコール;及びアルキレングリコールモノアルキルエーテル、例えばエチレングリコールモノC -C14 -アルキルエーテル及びプロピレングリコールモノC~C-アルキルエーテルである。好適な有機溶媒の例としては、例えば、ブチルジグリコール及びプロピレングリコールn-ブチルエーテルが挙げられる。
【0050】
pH値調整化合物
水性コロイド状二酸化チタン分散液は、好ましくは、25℃において、6.2~7.8、好ましくは6.4~7.6、より好ましくは6.5~7.5、さらにより好ましくは6.6~7.4、最も好ましくは6.8~7.2の範囲のpH値を有する。
【0051】
一般に、本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液のpH値を調整するために、あらゆる有機又は無機のpH調整化合物を使用することができる。好ましくは、アミン、例えば3級アミン、例えばN,N-ジアルキルエタノールアミン、例えばN,N-ジメチルエタノールアミンを使用することができる。
【0052】
粉砕用樹脂
粉砕用樹脂又は粉砕用ポリマーは、粉砕手順の間にミルベースで使用される樹脂又はポリマーである。典型的な粉砕用樹脂は、対象システム、すなわち、水性コロイド状二酸化チタン分散液が採用されるコーティング組成物において、フィルム形成ポリマー(A1)(以下に定義する)としても使用されるものである。
【0053】
水性コロイド状二酸化チタン分散液のさらなる安定化のために、1種以上のいわゆる粉砕用樹脂(粉砕用ポリマーとも呼ばれる)を採用することができる。粉砕用樹脂は通常、分散剤よりも多量に使用される。
【0054】
粉砕用樹脂は、好ましくは、水性コロイド状二酸化チタン分散液を立体的に安定化させる役割を果たし、好ましくは、分散剤に典型的に見られるような静電的安定剤として作用するのではなく、立体的安定剤として考慮される。
【0055】
本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液の調製における粉砕用樹脂の使用は必須ではなく、任意である。本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液を製造する方法において使用される粉砕用樹脂は、一般に、本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液が採用されるコーティング組成物に含まれる1種以上の樹脂と少なくとも相溶性があるか、又は好ましい場合には同一である。したがって、粉砕用樹脂の使用は、そのような相溶性が達成される対象システムの数を制限する可能性がある。したがって、典型的には、粉砕用樹脂を使用しないミルベースの調製が好ましい。しかしながら、場合によっては、分散剤のみによる水性コロイド状二酸化チタン分散液の安定化が困難な場合に、粉砕用樹脂/ポリマーが使用される。
【0056】
二酸化チタンは樹脂/ポリマーの官能基と強い極性相互作用、特に水素結合を示す。立体安定化は単独で、又は静電安定化と組み合わせて効果を発揮する。この例としては、中和されたカルボキシル基を持つ水溶性粉砕用樹脂がある。しかしその場合、負に帯電したカルボキシル基は、顔料表面へのアンカー基として機能するよりも、むしろ溶液中に伸びる。
【0057】
粘度
水性コロイド状二酸化チタン粒子含有分散液は、好ましくは1~300cPsの範囲、より好ましくは1~220cPsの範囲、さらにより好ましくは1~200cPsの範囲、最も好ましくは1~100又は1~50cPsの範囲、特に好ましくは1~10cPsの範囲の、#10スピンドルを用いるBrookfield Cap 1000+粘度計を使用して、25℃及び500秒の剪断速度で決定した粘度を有する。詳細は、本発明の実験セクションに記載されている。
【0058】
水性コロイド状二酸化チタン分散液の調製方法
水性コロイド状二酸化チタン分散液の調製方法は、上記のように構成されたプレミックスを形成する工程と、目標のZ平均粒径及び粒径分布スパンが得られるまでプレミックスを粉砕する工程と、必要に応じて、目標のpH範囲になるようにpH値を調整する工程とを含む。
【0059】
プレミックスの形成
1種以上の二酸化チタン顔料、好ましくは1種の二酸化チタン顔料は、1種以上の二酸化チタン顔料と結合する基を含む1種以上の分散剤、任意に1種以上の粉砕用樹脂、任意に1種以上の有機溶媒、及び必要に応じて1種以上のpH調整化合物と予め混合される。
【0060】
二酸化チタン顔料としては、動的光散乱によって決定されるZ平均粒径>220nmであり、及び/又は粒径分布スパン[(D90-D10)/(D50)]が>1.5であるような二酸化チタン顔料が使用される。したがって、本方法において使用される二酸化チタン顔料は、本発明による方法によって製造される水性コロイド状二酸化チタン分散液中のコロイド状二酸化チタン粒子よりも大きく、及び/又は、より広い、すなわち1.5よりも大きい粒径分布スパンを有する。
【0061】
本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液の製造方法において使用される二酸化チタン顔料は、典型的には、粉砕後のそれぞれの二酸化チタン粒子と比較して、より大きな平均粒径(特にZ平均粒径及びD50値)を有し、典型的にはより大きな粒径分布スパンを有する。これは、本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散物の製造方法において使用される二酸化チタン顔料が、一次粒子だけではなく、かなりの量の凝集物及び凝集体も含有するためである。多くの場合、本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液を製造するために使用されるこのような市販の二酸化チタン顔料の技術データシートに報告されている粒径は、一次粒径又は平均一次粒径を挙げるだけであり、本発明において決定される全体的な粒径を反映していない。したがって、本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液の製造方法において使用される二酸化チタン顔料は、好ましくはミクロン範囲、好ましくは0.5~100μmの範囲、例えば1~80μm又は5~50μmの範囲のD50中央値顔料粒径を有する。
【0062】
二酸化チタン顔料は、純二酸化チタン顔料又は表面処理された二酸化チタン顔料であってもよい。表面処理としては、それぞれアルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、及びさらにチタンの酸化物又は水酸化物が好ましい。表面改質剤として最も好ましいのは、アルミニウム及び/又はジルコニウムの酸化物及び/又は水酸化物である。改善された耐光性が望ましい場合、典型的な光化学的に活性な二酸化チタンを、特に二酸化ケイ素又は酸化ジルコニウムで表面処理することが好ましい。
【0063】
表面処理に使用される典型的な試薬は、NaAlO、Al(SO、ZrOSO及びTiOSOである。金属ハロゲン化物は腐食性があるため、表面処理薬品としては通常あまり好ましくない。塩基性と酸性の前駆体溶液を混合することにより、Al(SOとNaSiOのような2つの異なる無機表面処理を同時に沈殿させ、例えばケイ酸アルミニウムを形成させることが可能である。
【0064】
1種以上の二酸化チタン顔料と結合する基を含む1種以上の分散剤、任意に1種以上の粉砕用樹脂、任意に1種以上の有機溶媒、及び1種以上のpH調整化合物は、既に上述したものと同じである。
【0065】
成分の予め混合は、従来の混合装置、例えば3枚又は4枚羽根の軸流インペラを備えた撹拌ブレード、ボア混合流インペラブレード(通常又はハイピッチ)、及びディゾルバーブレード、例えばCowlesブレード又はConnブレードを使用することによって実施することができる。好適な混合は、エアミキサー又は電気ミキサーでも達成できる。
【0066】
プレミックスの粉砕
第2工程では、ビーズミル又はシェーカーミルを使用して、動的光散乱によって決定されるZ平均粒径が30nm~220nmの範囲であり、粒径分布スパン[(D90-D10)/(D50)]が0.7~1.5の範囲であり、又はZ平均粒径及び粒径分布スパンのさらに好ましい範囲のいずれかになるまで、予め混合工程で得られたプレミックスを粉砕する。
【0067】
粉砕工程は、分散液の有害な過熱を避けるため、好ましくは冷却下で行われる。
【0068】
本発明の意味におけるビーズミルの最も単純な形態は、ビーズが充填された容器であり、ここで、粉砕プロセス中にビーズをかき混ぜる。かき混ぜの非常に単純な形態は、ビーズを振ったり攪拌したりすることである。
【0069】
この工程で使用される好ましいビーズミルは、高エネルギーボールミル、例えばLau GmbHのRed Devilシェーカーミル又はSkandexシェーカーミルである。
【0070】
粉砕プロセスで使用されるビーズは、好ましくは球状であり、好ましくは酸化イットリウムで安定化した酸化ジルコニウムビーズ、例えばTosoh Corporation、Saint Gobain又はFox Industriesから入手可能なYTZ(登録商標)粉砕ビーズである。好ましいビーズサイズ(直径)は、好ましくは0.05mm~5mmの範囲、より好ましくは0.1mm~3mm及び0.2mm~2mmの範囲、最も好ましくは0.3mm~1mmの範囲である。
【0071】
粉砕工程は、1つ以上の個別のサブ工程で実施することができる。粉砕が2つ以上のサブ工程で実施される場合、各工程で使用されるビーズのサイズは、各工程で減少することが好ましい。最初のサブ工程で使用されるビーズの初期サイズは、典型的には、本方法で採用される二酸化チタン粒子のサイズに依存する。例えば、二酸化チタン顔料が約30μmの平均粒径を有する場合、プレミックスは、第1粉砕サブ工程において1mmの直径を有するビーズを使用することによって粉砕され、ビーズを分離した後、得られた1回粉砕されたプレミックスは、第2サブ工程において、より小さいサイズのビーズ、例えば0.3mmの直径を有するビーズを用いて粉砕されてもよい。
【0072】
与えられたプレミックス配合物に対して、使用されるビーズミル、ビーズのサイズ、及び粉砕時間は、分散液中の水性コロイド状二酸化チタンの結果として得られるパラメーター、例えばZ平均粒径、及び粒径分布スパンを計算するために必要なD値を決定する。一般的には、ビーズサイズが小さいほど、また粉砕時間が長いほど、得られる二酸化チタン粒子は小さくなり、粒径分布スパンは狭くなる。
【0073】
pH値の調整
粉砕工程中、典型的にはpH値はわずかに高いpH値に変化する。本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液をさらに安定化させるために必要であれば、pH調整化合物、例えばアミン、好ましくはN,N-ジメチルエタノールアミンなどの3級アミンを使用することができる。
【0074】
水性コロイド状二酸化チタン分散液中の成分の量
本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液中の二酸化チタンの好ましい量は、水性コロイド状二酸化チタン分散液の総質量に基づいて、10~30質量%、より好ましくは15~25質量%、最も好ましくは17~23質量%の範囲である。
【0075】
本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液中の分散剤の好ましい量は、水性コロイド状二酸化チタン分散液の総質量に基づいて、1~30質量%、より好ましくは2~20質量%、最も好ましくは5~15質量%の範囲である。
【0076】
本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液中の有機溶媒の好ましい量は、存在する場合、水性コロイド状二酸化チタン分散液の総質量に基づいて、1~15質量%、より好ましくは2~10質量%、最も好ましくは2~8質量%の範囲である。
【0077】
好ましくは、水性コロイド状二酸化チタン分散液中の水の量は、水性コロイド状二酸化チタン分散液中の他の成分の量よりも多い。より好ましくは、水性コロイド状二酸化チタン分散液中の水の量は、水性コロイド状二酸化チタン分散液の総質量に基づいて、30~89質量%、さらにより好ましくは40~80質量%、最も好ましくは50~75質量%、例えば60~70質量%の範囲である。
【0078】
好ましくは、水性コロイド状二酸化チタン分散液は、水、二酸化チタン、1種以上の分散添加剤、任意に1種以上の有機溶媒、及び任意に1種以上のpH調整化合物の他に、水性コロイド状二酸化チタン分散液の総質量に基づいて、好ましくは10質量%未満のさらなる化合物、より好ましくは5質量%未満のさらなる化合物、最も好ましくは2質量%未満のさらなる化合物、例えば0質量%のさらなる化合物を含有する。
【0079】
コーティング組成物
本発明のさらなる目的は、
(A)少なくとも1種のフィルム形成ポリマー(A1)、及び(A1)が外部架橋性である場合には、少なくとも1種の架橋剤(A2);
(B)上記で定義した本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液の成分;
(C)好ましくは、少なくとも1種の着色剤及び/又は充填剤であって、前記着色剤が染料及び顔料からなる群から選択され、前記顔料が着色顔料及び/又は効果顔料から選択される少なくとも1種の着色剤及び/又は充填剤
を含む、二酸化チタン含有コーティング組成物である。
【0080】
本発明のコーティング組成物は、好ましくは水性コーティング組成物である。さらに、本発明のコーティング組成物は、好ましくはベースコート組成物であり、さらにより好ましくは水性ベースコート組成物(以下、水性ベースコート組成物とも呼ばれる)である。好ましくは、コーティング組成物は、一液型(one-pack)水性ベースコート組成物である。
【0081】
「ベースコート」という用語は当技術分野で知られており、例えば、Roempp Lexikon,「Lacke und Druckfarben」(「塗料」と「印刷インキ」),Georg Thieme Verlag,1998,第10版,57頁で定義されている。したがって、ベースコートは、中間コーティング組成物としてベースコートを使用することにより、着色及び/又は光学的効果を付与するために、特に自動車用コーティング及び一般工業用塗料の着色において使用される。ベースコート組成物は、一般に金属又はプラスチック基材に適用され、任意に前処理及び/又はプライマー及び/又はフィラーでプレコートされ、プラスチック基材の場合にはプラスチック基材上に直接適用されることもあり、金属基材の場合には金属基材上に適用された電着コーティング層上、又は既にプライマー及び/又はフィラー及び/又は電着コーティングが施された金属基材上、又は再塗装用途の場合には既に存在するコーティング上に適用され、これらは基材としても機能し得る。特に環境影響からベースコート層を保護するために、少なくとも1つの追加のクリアコート層がそれに適用される。少なくとも3層を含む多層コーティングにおいて、ベースコート組成物は、フィラー層又はグランドコート層などの少なくとも1つのコーティング層上に適用され、クリアコート層などの少なくとも1つの更なる層で覆われる場合、ミッドコート層を形成するミッドコート組成物とも呼ばれる。
【0082】
本発明の一般的な文脈において、特に本発明によるコーティング組成物に関連して、「含む」という用語は、「からなる」よりもむしろ「含有する」の意味を有する。特に、「含む」とは、成分(A1)、(A2)、(B)及び(C)に加えて、1種以上の後述の他の成分が、任意に本発明によるコーティング組成物中に含有されてもよいことを意味する。全ての成分は、後述するそれらの好ましい実施形態に従って、それぞれの場合に存在し得る。
【0083】
本発明によるコーティング組成物中の全ての成分(A1)、(A2)、(B)及び(C)、及びさらに任意に存在する成分のwt.-%(すなわち、質量%)での割合及び量は、コーティング組成物の総質量に基づいて、合計100質量%となる。
【0084】
本発明によるベースコート又はミッドコートコーティング組成物の固形分は、好ましくは、それぞれの場合においてベースコート又はミッドコートコーティング組成物の総質量に基づいて、>16質量%又は>18質量%又は>20質量%又は>22質量%である。固形分、すなわち不揮発分含有量の決定は、本発明の方法セクションで後述する方法に従って実施される。
【0085】
本発明のコーティング組成物の固形分は、コーティング組成物のサンプル(約1g)を110℃で60分間乾燥させることにより決定する。乾燥残留物の質量をサンプルの質量で除したものに100を乗じたものが、固形分(質量%)である。
【0086】
好ましくは、本発明によるベースコート又はミッドコートコーティング組成物の固形分は、それぞれの場合において、ベースコート又はミッドコートコーティング組成物の総質量に基づいて、15~30質量%、より好ましくは16~27質量%、最も好ましくは17~25質量%、特に18~22質量%の範囲である。
【0087】
本発明のコーティング組成物がグランドコートコーティング組成物である場合、固形分は、それぞれの場合において、グランドコートコーティング組成物の総質量に基づいて、好ましくは>33質量%又は>35質量%である。
【0088】
好ましくは、本発明によるグラウンドコートコーティング組成物の固形分は、それぞれの場合において、グラウンドコートコーティング組成物の総質量に基づいて、25~40質量%、より好ましくは27~37質量%、最も好ましくは30~37質量%、特に33~36質量%の範囲である。
【0089】
コーティング組成物の調製は、慣用的かつ公知の調製及び混合方法、及び混合ユニットを用いて、又は慣用的なディゾルバー及び/又は撹拌機を用いて実施することができる。
【0090】
フィルム形成ポリマー(A1)
本発明のコーティング組成物は、コーティング組成物のフィルム形成バインダー(A1)として、少なくとも1種のフィルム形成ポリマーを含む。
【0091】
本発明の目的のために、用語(A1)は、添加剤、特にさらなる添加剤(E)を除いた、フィルム形成に関与するコーティング組成物の不揮発性成分であると理解される。好ましくは、少なくとも1種のポリマー(A1)のうちの少なくとも1種のポリマーが、コーティング組成物の主バインダーである。本発明における主バインダーとして、好ましくは、コーティング組成物中に他のバインダー成分が存在しない場合に、コーティング組成物の総質量に基づいてより高い割合で存在するバインダー成分を指す。
【0092】
「ポリマー」という用語は、当業者には公知であり、本発明の目的のためには、重付加物及び重合物及び重縮合物を包含する。「ポリマー」という用語は、ホモポリマー及びコポリマーの両方を含む。
【0093】
成分(A1)として使用される少なくとも1種のポリマーは、物理的乾燥性、自己架橋性又は外部架橋性であってよい。成分(A1)として使用できる好適なポリマーは、例えば、EP 0 228 003 A1、DE 44 38 504 A1、EP 0 593 454 B1、DE 199 48 004 A1、EP 0 787 159 B1、DE 40 09 858 A1、DE 44 37 535 A1、WO 92/15405 A1及びWO 2005/021168 A1に記載されている。
【0094】
成分(A1)として使用される少なくとも1種のポリマーは、好ましくは、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート及び/又は前記ポリマーの構造単位のコポリマー、特にポリウレタン-ポリ(メタ)アクリレート及び/又はポリウレタンポリウレアからなる群から選択される。成分(A1)として使用される少なくとも1種のポリマーは、特に好ましくは、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート及び/又は前記ポリマーの構造単位のコポリマーからなる群から選択される。本発明の文脈における「(メタ)アクリル」又は「(メタ)アクリレート」という用語は、それぞれの場合において、「メタクリル」及び/又は「アクリル」、又は「メタクリレート」及び/又は「アクリレート」の意味を含む。
【0095】
好ましいポリウレタンは、例えば、ドイツ特許出願DE 199 48 004 A1、4頁19行目から11頁29行目(ポリウレタンプレポリマーB1)、欧州特許出願EP 0 228 003 A1、3頁24行目から5頁40行目、欧州特許出願EP 0 634 431 A1、3頁38行目から8頁9行目、及び国際特許出願WO 92/15405、2頁35行目から10頁32行目に記載されている。
【0096】
好ましいポリエステルは、例えば、DE 4009858 A1の第6欄第53行目から第7欄第61行目及び第10欄第24行目から第13欄第3行目及び実施例D;又はWO 2014/033135 A2、2頁24行目から7頁10行目及び28頁13行目から29頁13行目に記載されている。同様に、ポリエステルは、例えばWO 2008/148555 A1に記載されているように、樹枝状構造を有してもよい。
【0097】
好ましいポリウレタン-ポリ(メタ)アクリレートコポリマー(例えば、(メタ)アクリル化ポリウレタン))及びそれらの調製は、例えば、WO 91/15528 A1、3頁21行目から20頁33行目、及びDE 4437535 A1、2頁27行目から6頁22行目に記載されている。
【0098】
好ましいポリ(メタ)アクリレートは、水及び/又は有機溶媒中で、オレフィン性不飽和モノマーの多段フリーラジカル乳化重合によって調製できるものである。例えば、シード-コア-シェルポリマー(SCSポリマー)が特に好ましい。このようなポリマー又はこのようなポリマーを含有する水性分散体は、例えば、WO 2016/116299 A1から知られている。
【0099】
好ましいポリウレタン-ポリウレアコポリマーは、ポリウレタン-ポリウレア粒子、好ましくは40~2000nmの平均粒径を有するものであり、ポリウレタン-ポリウレア粒子は、それぞれ反応した形態で、アニオン性基及び/又はアニオン性基に変換することができる基を含有する少なくとも1種のイソシアネート基含有ポリウレタンプレポリマーと、2つの1級アミノ基及び1つ又は2つの2級アミノ基を含有する少なくとも1種のポリアミンとを含有する。好ましくは、そのようなコポリマーは水性分散液の形態で使用される。このようなポリマーは、原則として、例えばポリイソシアネートとポリオール及びポリアミンとの従来の重付加によって調製することができる。
【0100】
成分(A1)として使用されるポリマーは、好ましくは架橋反応を可能にする反応性官能基を有する。当業者に公知の任意の一般的な架橋可能な反応性官能基が存在することができる。好ましくは、成分(A1)として使用されるポリマーは、1級アミノ基、2級アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボキシル基及びカルバメート基からなる群から選択される少なくとも1種の反応性官能基を有する。好ましくは、成分(A1)として使用されるポリマーは、官能性ヒドロキシル基を有する。
【0101】
好ましくは、成分(A1)として使用されるポリマーはヒドロキシ官能性であり、より好ましくは10~500mg KOH/g、より好ましくは40~200mg KOH/gの範囲のOH価を有する。
【0102】
成分(A1)として使用されるポリマーは、特に好ましくは、ヒドロキシ官能性ポリウレタン-ポリ(メタ)アクリレートコポリマー、ヒドロキシ官能性ポリエステル及び/又はヒドロキシ官能性ポリウレタン-ポリウレアコポリマーである。
【0103】
さらに、本発明のコーティング組成物は、それ自体公知の少なくとも1種の典型的な架橋剤を含有することができる。架橋剤は、コーティング組成物のフィルム形成の不揮発性成分に含まれ、したがって「バインダー」の一般的な定義に含まれる。したがって、架橋剤は成分(A)に包含される。
【0104】
架橋剤(A2)
(A1)が外部架橋可能である場合、架橋のために架橋剤(A2)が必要であり、この架橋剤は、好ましくは少なくとも1種のアミノプラスト樹脂及び/又は少なくとも1種のブロック化又は遊離の、好ましくはブロック化ポリイソシアネートであり、最も好ましくはアミノプラスト樹脂である。アミノプラスト樹脂の中でも、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂などのメラミン樹脂が特に好ましい。
【0105】
水性コロイド状二酸化チタン分散液の成分(B)
コーティング組成物はさらに、水性コロイド状二酸化チタン分散液の成分、すなわ、ち(B1)水;(B2)本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液について記載されている二酸化チタン粒子;(B3)本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液について記載されている二酸化チタン粒子に結合する基を含む1種以上の分散剤;(B4)任意に、本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液について記載される1種以上の粉砕用樹脂;(B5)任意に、本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液について記載される1種以上の有機溶媒;及び必要に応じて、(B6)1種以上のpH値調整化合物を含む。前述の成分(B1)~(B6)及びそれらの好ましい実施形態は、本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液について上述したものと同じである。
【0106】
着色剤及びフィラー(C)
本発明のコーティング組成物は、好ましくは、着色剤及び/又はフィラーをさらに含み、着色剤は、染料(C1)及び顔料(C2)からなる群から選択され、顔料は、着色顔料及び/又は効果顔料から選択される。
【0107】
「染料」(C1)(染料とも呼ばれる)という用語は、顔料とは逆に、周囲の媒体に可溶な着色剤を示す。好適な染料は有機又は無機である。
【0108】
「顔料」(C2)という用語は、粉末状又はプレートレット状の着色剤を示し、染料とは逆に、周囲の媒体に本質的に不溶性である。この用語には、着色顔料及び効果顔料が含まれる。当業者であれば、効果顔料という用語に精通している。対応する定義は、例えば、Roempp Lexikon,Lacke und Druckfarben,Georg Thieme Verlag,1998,第10版,176頁及び471頁に見出すことができる。
【0109】
当業者は着色顔料の概念に精通している。「着色用顔料」と「着色顔料」という用語は交換可能である。着色顔料として、無機顔料及び/又は有機顔料を使用することができる。好ましくは、着色顔料は無機着色顔料である。使用される特に好ましい着色顔料は、白色顔料、着色用顔料及び/又は黒色顔料である。白色顔料の例は、二酸化チタン顔料、亜鉛白、硫化亜鉛及びリトポンである。黒色顔料の例は、カーボンブラック、鉄マンガンブラック及びスピネルブラックである。着色用顔料の例としては、酸化クロム、酸化クロム水和物グリーン、コバルトグリーン、ウルトラマリングリーン、コバルトブルー、ウルトラマリンブルー、マンガンブルー、ウルトラマリンバイオレット、コバルト及びマンガンバイオレット、酸化鉄レッド、モリブデン酸レッド及びウルトラマリンレッド、酸化鉄ブラウン、ミックスブラウン、スピネル及びコランダム相及びクロムオレンジ、酸化鉄イエロー、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、硫化カドミウム、硫化カドミウム亜鉛、クロムイエロー、バナジン酸ビスマスが挙げられる。
【0110】
効果顔料は、好ましくは、光学的効果又は色及び光学的効果を有する顔料である。効果顔料の例としては、プレートレット状金属効果顔料、例えばプレートレット状アルミニウム顔料、ゴールドブロンズ、火色ブロンズ及び/又は酸化鉄-アルミニウム顔料、真珠光沢顔料及び/又は金属酸化物でコーティングした雲母顔料が挙げられる。
【0111】
「金属効果顔料」という用語は、EN ISO 18451-1:2019(顔料、染料及びエクステンダー-用語-第1部)に従って使用される。金属効果顔料は、金属からなるプレートレット状顔料として定義される。本発明において、「金属からなる」という用語は、金属効果顔料の表面修飾、例えば二酸化ケイ素層のような付加的な酸化物層の存在を除外しない。「金属効果顔料」という用語で使用される「金属」という用語は、同様に金属及び金属合金を含む。既に上記で挙げた金属効果顔料は、平行に配向させることができ、フレークでの光の反射により金属光沢を示す。
【0112】
金属効果顔料に使用される典型的な金属及び合金は、アルミニウム及びその合金である。本発明において最も好適かつ好ましいのは、プレートレット状のアルミニウム効果顔料であり、これらはコーティングされていてもコーティングされていなくてもよく、特に好ましいアルミニウム顔料の場合には、水性ベースコート組成物中の水との反応を抑制するためにコーティングされていることが好ましい。このような抑制は、例えば、有機リン安定化の使用;アルミニウム顔料を、例えばクロメート処理による化成処理層で不動態化;ポリマーコーティング又はシリカコーティングのような保護層でカプセル化することにより達成することができる(Peter Wissling,「Metallic Effect Pigments」,Vincentz Network 2006,85-89頁)。このようなアルミニウム効果顔料は、例えば、STAPA(登録商標)Hydroxal(安定化)、STAPA(登録商標)Hydrolux(クロメート)及びSTAPA(登録商標)Hydrolan(シリカでカプセル化)の商品名でECKART GmbH(ドイツ)から市販されている。顔料表面のさらなる修飾、例えば、いわゆるセミリーフ効果をもたらすアルキル基のような非極性基による修飾も可能である。
【0113】
金属効果顔料、特にアルミニウム効果顔料は、シリカ層のような酸化物層でコーティングされていてもよく、この酸化物層は、機械的衝撃に対する顔料の安定化にさらに役立ち、特に循環ラインの安定性を向上させる。本発明では、シリカでカプセル化したアルミニウム金属効果顔料が最も好ましい。好ましくは、そのような好ましいアルミニウム効果顔料中のアルミニウムとシリカの量の合計に基づくシリカの量は、3~15質量%、より好ましくは5~12質量%、最も好ましくは6~10質量%の範囲である。しかしながら、「金属効果顔料」という用語は、このようなコーティングされた顔料を包含し、このようなコーティングされた金属効果顔料の総質量は、金属効果顔料の質量であると理解される。したがって、質量はコーティングされた材料を含む。
【0114】
「フィラー」(C3)という用語は、例えばDIN 55943(日付:2001年10月)から当業者に公知である。本発明の目的のために、「フィラー」とは、適用媒体、例えば本発明によるコーティング組成物中に本質的に不溶性であり、特に体積を増加させるために使用される物質を意味すると理解される。本発明の文脈において、「フィラー」は、好ましくは、その屈折率によって「顔料」とは異なり、フィラーの場合は<1.7であるが、顔料の場合は≧1.7である。好適なフィラーの例としては、カオリン、ドロマイト、方解石、チョーク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、ケイ酸、特にパイロジェンケイ酸、水酸化物、例えば水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウム、ガラスフレークなど、又は有機フィラー、例えば織物繊維、セルロース繊維及び/又はポリエチレン繊維が挙げられ;さらに、Roempp Lexikon,Lacke und Druckfarben,Georg Thieme Verlag,1998,255頁,「フィラー」を参照してください。
【0115】
本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液及び本発明のコーティング組成物中に含まれるコロイド状二酸化チタン粒子は、本発明の文脈において、着色剤(C1)及び(C2)にも、フィラー(C3)にも属さない。
【0116】
本発明のコーティング組成物、好ましくはベースコート組成物中の(C)の量は、コーティング組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.5~10質量%の範囲、より好ましくは1~8質量%の範囲、最も好ましくは1.5~6質量%の範囲である。
【0117】
さらなる溶媒(D)
本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液を介して導入される水及び有機溶媒の他に、本発明コーティング組成物は、成分(D)として、さらなる量の水及び/又はさらなる量の1種以上の有機溶媒を含む。有機溶媒のさらなる量は、本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液において使用されるのと同じ有機溶媒から選択することができ、又はそれとは異なることができる。
【0118】
コーティング組成物中に存在する水及び/又は有機溶媒の総量は、組成物の総質量とその固形分との差である。
【0119】
本発明コーティング組成物が揮発性成分として主に水を含む場合、それは水性組成物又は水性組成物と呼ばれる。この特に好ましい場合には、それは有機溶剤をわずかな割合で含むコーティング組成物である。
【0120】
当業者に知られている従来の有機溶媒はすべて、本発明のコーティング組成物の調製のための有機溶媒として使用することができる。「有機溶媒」という用語は、特に1999年3月11日のCouncil Directive 1999/13/ECから当業者に公知である。好ましくは、1種以上の有機溶媒は、一価又は多価アルコール、例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、エチレングリコール、エチルグリコール、プロピレングリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール、1,2-プロパンジオール及び/又は1,3-プロパンジオール;エーテル、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル;脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、例えばトルエン及び/又はキシレン;ケトン、例えばアセトン、N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン;エステル、例えばメトキシプロピルアセテート、エチルアセテート及び/又はブチルアセテート;アミド、例えばジメチルホルムアミド、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0121】
コーティング組成物のさらなる任意成分(E)
本発明コーティング組成物は、任意に、成分(A1)、(A2)、(B)、(C)及び(D)のそれぞれとは異なる1種以上の成分を含むことができる。
【0122】
本発明のコーティング組成物は、所望の用途に応じて、1種以上の一般的に使用される添加剤(E)を含有することができる。例えば、コーティング組成物は、反応性希釈剤、例えばポリプロピレンジオール、光安定剤、酸化防止剤、脱気剤、乳化剤、スリップ添加剤、重合抑制剤、可塑剤、フリーラジカル重合の開始剤、接着促進剤、流動制御剤、フィルム形成助剤、たるみ抑制剤(SCA)、難燃剤、腐食防止剤、乾燥剤、殺生物剤及び/又は艶消し剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を含むことができる。これらは公知かつ慣用の割合で使用することができる。好ましくは、それらの含有量は、本発明によるコーティング組成物の総質量に基づいて、0.01~25質量%、より好ましくは0.05~20質量%、特に好ましくは0.1~15質量%、最も好ましくは0.1~10質量%、特に0.1~7質量%、最も好ましくは0.1~5質量%である。
【0123】
添加剤の中で、本発明によるコーティング組成物は、任意に少なくとも1種の増粘剤又はレオロジー剤を含有することができる。そのような増粘剤の例としては、無機増粘剤、例えば層状ケイ酸塩のような金属ケイ酸塩、及び有機増粘剤、例えばポリ(メタ)アクリル酸増粘剤及び/又は(メタ)アクリル酸(メタ)アクリレートコポリマー増粘剤、ポリウレタン増粘剤及びポリマーワックスが挙げられる。金属ケイ酸塩は、好ましくはスメクタイトの群から選択される。スメクタイトは、特に好ましくは、モンモリロナイト及びヘクトライトの群から選択される。特に、モンモリロナイト及びヘクトライトは、アルミニウム-マグネシウムケイ酸塩、ナトリウム-マグネシウム及びナトリウム-マグネシウムフッ素-リチウムフィロケイ酸塩からなる群から選択される。これらの無機フィロケイ酸塩は、例えばLaponite(登録商標)の商標で販売されている。ポリ(メタ)アクリル酸をベースとする増粘剤及び(メタ)アクリル酸(メタ)アクリレートコポリマー増粘剤は、任意に架橋され、又は好適な塩基で中和される。このような増粘剤の例としては、「アルカリ膨潤性エマルション」(ASE)、及び疎水的に修飾されたその変種である「疎水的に修飾されたアルカリ膨潤性エマルション」(HASE)が挙げられる。好ましくは、これらの増粘剤はアニオン性である。Rheovis(登録商標)AS 1130などの対応製品が市販されている。ポリウレタンをベースとする増粘剤(例えば、ポリウレタン会合性増粘剤)は、任意に架橋され、及び/又は好適な塩基で中和される。Rheovis(登録商標)PU 1250などの対応製品が市販されている。好適なポリマーワックスの例は、エチレン-ビニルアセテートコポリマーをベースとする任意に修飾されたポリマーワックスである。対応製品は、例えばAquatix(登録商標)8421の商品名で市販されている。
【0124】
本発明によるコーティング組成物中に少なくとも1種の増粘剤が存在するが、それは、それぞれの場合においてコーティング組成物の総質量に基づいて、好ましくは最大10質量%、より好ましくは最大8質量%、最も好ましくは最大4質量%、特に最大2質量%の量、最も好ましくは最大1質量%の量で存在する。増粘剤の最小量は、好ましくは、それぞれの場合においてコーティング組成物の総質量に基づいて、0.1質量%である。
【0125】
コーティング組成物中の成分の量
本発明のコーティング組成物の総質量に基づいて、コーティング組成物は、好ましくは、
20~40質量%、より好ましくは26~36質量%のフィルム形成ポリマー(A1);
3.5~8.5質量%、より好ましくは4.5~6.5質量%の架橋剤(A2);
0.15~2.00質量%、より好ましくは0.3~0.8質量%の、動的光散乱法によって決定される30nm~220nmの範囲のZ平均粒径、及び0.7~1.5の範囲の粒径分布スパン[(D90-D10)/(D50)]を有する、二酸化チタン粒子(B2);
0.10~2.00質量%、より好ましくは0.15~0.80質量%の、二酸化チタン粒子に結合する基を含む1種以上の分散剤(B3);及び任意に1種以上の有機溶媒(B5)
を含む。
【0126】
コーティングされた基材の調製方法、及びそのようなコーティングされた基材
本発明のさらなる目的は、本発明の二酸化チタン含有コーティング組成物を基材上に適用してコーティング層を形成し、その後、コーティング層を乾燥及び/又は硬化させる工程を含む、コーティングされた基材を調製する方法である。
【0127】
より好ましくは、コーティングされた基材を調製する方法は、
(a)本発明のコーティング組成物、好ましくはベースコート組成物を、任意にプレコートされた基材の少なくとも1つの表面上に少なくとも部分的に適用して、基材の表面上にコーティング層を形成する工程;及び
(b)工程(a)を行った後に得られたコーティング層を乾燥及び/又は硬化させて、基材の表面にコーティングを形成する工程
を含む。
【0128】
この方法は、好ましくは、多層コーティング基材を調製するために使用され、その際、基材上に本発明のコーティング組成物を適用し、コーティング層を乾燥及び/又は硬化させる工程を含み、これにより、基材は、少なくとも1つのコーティング組成物でプレコーティングされた基材であり、及び/又は本発明コーティング組成物を適用し、乾燥及び/又は硬化させることにより形成されたコーティング層は、少なくとも1つのコーティング組成物によりポストコーティングされてトップコート層を形成する。トップコート層は、好ましくはクリアコート層であり、より好ましくは2成分ポリウレタンクリアコート層である。多層コーティングは、焼成又は非焼成プライマー層を含むことができる。
【0129】
本発明水性コロイド状二酸化チタン分散液及び本発明コーティング組成物、及びそれらの好ましい実施形態に関連して上記で本明細書に記載される全ての好ましい実施形態は、コーティングされた又は多層コーティングされた基材を調製する本発明の方法の好ましい実施形態でもある。
【0130】
本発明コーティング組成物が(好ましくは水性の)ベースコートコーティング組成物である場合、工程(a)及び(b)は、基材が金属基材である場合、好ましくはプレコート基材の少なくとも1つの表面上に実施される。したがって、前記金属基材は、好ましくは、プレコート層としてプライマー層及び/又は電着コーティング、及び/又は前処理として化成コーティング層を有する。
【0131】
基材がプラスチック(ポリマー)基材である場合、それは、例えば、プライマーコーティングを有するプレコート基材であってもよく、その必要はない。使用される基材とは無関係に、工程(a)又は工程(a)及び(b)を実施した後、好ましくは、本発明のコーティング組成物を使用して形成されたベースコートコーティング上にクリアコート組成物を適用する。
【0132】
本発明コーティング組成物は、スプレーコーティング、滴下コーティング、浸漬コーティング、ロールコーティング、カーテンコーティング、及び他の技術を含む、当該技術分野で周知の多数の技術によって物体上にコーティングすることができる。好ましくは、本発明のコーティング組成物はスプレーコーティングにより、より好ましくは空気圧又は静電スプレーコーティングにより適用される。ウェットオンウェットで適用することもできるが、その必要はない。
【0133】
使用される基材は、プラスチック基材、すなわちポリマー基材であり得る。好ましくは、熱可塑性ポリマーがそのような基材として使用される。好適なポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリレート、例えばポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリビニリデンフルオリド、ポリビニルクロリド、ポリエステル、例えばポリカーボネート及びポリビニルアセテート、ポリアミド、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びまたポリブタジエン、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、ポリアクリロニトリル-エチレン-プロピレン-ジエン-スチレンコポリマー(A-EPDM)、ASA(アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステルコポリマー)及びABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー)、ポリエーテルイミド、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、例えばTPU、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。ポリカーボネート及びポリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。基材はまた、複合基材、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、又はポリアミド繊維のようなポリマー繊維を含有する繊維強化基材であることもできる。また、基材は複数のポリマー層からなることもできる。
【0134】
また、使用される基材は、金属、例えばスチール、亜鉛メッキスチール、アルミニウム、又はこれらの合金であることもできる。さらに、使用される基材は、ガラス又は織物、特にガラスであることもできる。
【0135】
コーティングされた基材、又は多層にコーティングされた基材
本発明のさらなる主題は、コーティングされた基材又は好ましくは多層にコーティングされた基材を製造するための前述の方法の1つによって得ることができる、少なくとも部分的にコーティングされた基材である。
【0136】
本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液及びコーティング組成物、及び本発明の方法及びその好ましい実施形態に関連して上記で本明細書に記載される全ての好ましい実施形態は、本発明のコーティングされた基材又は多層にコーティングされた基材の好ましい実施形態でもある。
【0137】
コーティングされた基材は、好ましくは自動車車体及びその部品である。
【0138】
水性コロイド状二酸化チタン分散液の使用方法
本発明のさらなる主題は、コーティング組成物、好ましくは水性コーティング組成物、例えば水性ベースコート組成物、特に水性自動車用ベースコート組成物を調製するための本発明水性コロイド状二酸化チタン分散液の使用方法である。
【0139】
本発明の水性コロイド状二酸化チタン分散液及びコーティング組成物、及び本発明の方法、及びコーティングされた基材又は多層にコーティングされた基材、及びそれらの好ましい実施形態に関連して上記で本明細書に記載される全ての好ましい実施形態は、本発明の使用方法の好ましい実施形態でもある。
【実施例
【0140】
以下では、特に明記しない限り、すべての量は質量部であり、すべてのパーセンテージ値は質量%である。
【0141】
顔料ペーストA及びB
顔料ペーストA及びBは、水性コロイド状二酸化チタン粒子含有分散液である。
【0142】
ペーストA
ペーストAの成分を表1に示している。微粉化二酸化チタンは、Tayca Corporation(日本)からTayca MT 500 HDとして購入できる、酸化ジルコニウム及び酸化アルミニウムで表面処理された市販品である。分散剤Aは、Byk Chemie GmbH(Wesel、ドイツ)からDisperbyk 184として購入できる顔料-アフィン基を有する市販のブロックコポリマーである。ポリウレタン粉砕用樹脂は、表6で使用されているポリウレタンEである。
【0143】
【表1】
【0144】
240mLのガラス瓶(直径72mm×高さ89mm)に、前述の成分(表1)の予備混合分散液175g(エアミキサー;4枚羽根の軸流インペラを使用して混合)を入れた。その後、直径1.0mm(0.9~1.1mm)のイットリウム安定化酸化ジルコニウム「YTZ」粉砕ビーズ(Tosoh Corporationから入手可能)350gを添加した。
【0145】
第1工程では、予備混合した分散液を冷却下でビーズと4時間振とうしてペーストA 4/0を得、又は10時間振とうしてペーストA 10/0を得、それぞれの時間後にビーズを濾別し、こうして得られた分散液を次の第2工程で使用するか、又はコーティング組成物に直接使用した。
【0146】
第2工程では、ペーストA 4/0を洗浄したガラス瓶に再移送し、その後、直径0.3mmのイットリウム安定化酸化ジルコニウム「YTZ」ミリングビーズ(Tosoh Corporationから入手可能)350gを添加した。ペーストA 4/0を冷却下で直径0.3mmのビーズとさらに4時間振とうしてペーストA 4/4を得、又はさらに10時間振とうしてペーストA 4/10を得た。その後、コーティング組成物にペーストを使用する前に、ビーズを濾別した。
【0147】
ペーストAの一般的な名前は以下の通りである:
ペーストA(第1工程で1mmのYTZビーズを用いて振とうした時間数)/(第2工程で0.3mmのYTZビーズを用いて振とうした時間数)。
【0148】
ペーストB
ペーストBの成分を表2に示している。微粉化二酸化チタンは、Tayca Corporation(日本)からTayca MT 500 HD(平均粒径30μm)として購入できる市販品である。分散剤Bは、Evonik(ドイツ)からTego(登録商標)Disperse 752Wとして市販されているアニオン性分散湿潤剤である。これは透明な二酸化チタンの水性、バインダーフリーのミルベースへの使用を提案する。
【0149】
【表2】
【0150】
240mLのガラス瓶(直径72mm×高さ89mm)に、前述の成分(表2)の予備混合分散液175g(エアミキサー;4枚羽根の軸流インペラを使用して混合)を入れた。その後、直径1.0mm(0.9~1.1mm)のイットリウム安定化酸化ジルコニウム「YTZ」粉砕ビーズ(Tosoh Corporationから入手可能)350gを添加した。
【0151】
第1工程では、予備混合した分散液を冷却下でビーズと4時間振とうしてペーストB 4/0を得、又は10時間振とうしてペーストB 10/0を得、それぞれの時間後にビーズを濾別し、こうして得られた分散液を次の第2工程で使用するか、又はコーティング組成物に直接使用した。
【0152】
第2工程で、ペーストB 4/0を洗浄したガラス瓶に再移送し、その後、直径0.3mmのイットリウム安定化酸化ジルコニウム「YTZ」ミリングビーズ(Tosoh Corporationから入手可能)350gを添加した。ペーストB 4/0を冷却下で直径0.3mmのビーズとさらに4時間振とうしてペーストB 4/4を得、又はさらに6時間振とうしてペーストB 4/6を得、又はさらに10時間振とうしてペーストB 4/10を得た。その後、コーティング組成物にペーストを使用する前に、ビーズを濾別した。
【0153】
ペーストBの一般的な名前は以下の通りである:
ペーストB(第1工程で1mmのYTZビーズを用いて振とうした時間数)/(第2工程で0.3mmのYTZビーズを用いて振とうした時間数)。
【0154】
顔料ペーストの特性
粒径パラメータ
ペーストA及びBの顔料粒子の粒径パラメータは、以下で詳しく説明する以下のものを使用して決定した、
a.0~50μmスケールのヘグマン粉砕ゲージ、
b.Malvern Zetasizer(Malvern製,S90ユニット,Nanoseries Model ZEN 1690 mfg 5/2017)、及び
c.Haze-guard i装置(Byk-Gardner GmbH製,ドイツ,カタログ番号4775)。
【0155】
ヘグマン細さ
ドローダウンは、ペーストをステンレス製のヘグマン粉砕ゲージに適用した後、フィルムが濡れている間に直ちに調査した。粒子の均一なパターンが始まるミクロン値を記録した。測定されたヘグマン細さはすべて0μmであった。
【0156】
粒径分布及びZ平均粒径
前述のパラメータは、上記のMalvern Zetasizerを使用し、動的光散乱を用いて決定した。測定を実施するために、ペーストは、ユニットを7のアッテネーター設定に置いたときの光子計数率が約300~500カウントを超えないように脱イオン水で希釈した。動作温度を25±1℃に維持し、サンプルサイズは約10~15mL(角型ガラスキュベット)であった。
【0157】
手順は以下の通りであった:
典型的には、20質量%の顔料を含有するペースト0.07gをまず15.0gの脱イオン水に希釈し、その後にこの溶液5滴を再び15.0gの脱イオン水に希釈する場合、光子計数率は上記の範囲になる。顔料ペーストが20質量%超又は20質量%未満の顔料を含有する場合は、0.07gの初期量をそれに応じて増減する。
【0158】
このように2回希釈したペーストを用いて、体積基準のD10、D50、D90値、及びZ平均粒径を決定した。各サンプルについて2回の測定を行い、平均した。D10は、直径がこの値より小さい粒子の割合が10%であることを定義します。D50は、この値より小さい直径の粒子の割合が50%であることを定義し、中央値直径としても知られている。D90は、直径がこの値より小さい粒子の割合を90%であることを定義する。
【0159】
ヘイズ
ペーストのヘイズを測定するために、撹拌下でペーストを脱イオン水で希釈し、それぞれ透過率値が50%及び75%になるようにした。測定には、厚さ0.5mmのフローギャップを有するHellma社のガラスキュベットスライド(137.067-05)を有する前述のHaze-guard i装置を使用した。
【0160】
pH値
ペーストA及びBのpH値(粉砕前及び粉砕後)は、pH7.0及びpH10.0の標準溶液で校正したOhaus model ST300 pHメーターを用いて決定した。pHの測定は、示された配合物の100%で実施した。
【0161】
粘度
ペーストA及びBの粘度(単位:センチポイズ;cPs)は、#10スピンドルを使用したBrookfield Cap 1000+粘度計を用いて決定した。10秒間保持した後、25℃で500秒-1のせん断速度で45秒測定した。
【0162】
表3に、上記で得られたパラメータをまとめた。
【0163】
【表3】
【0164】
コーティング組成物及び多層コーティングの調製
前述のペーストA及びBを、2層コーティングのベースコート組成物に使用し、この2層コーティングは、ベースコート層及びクリアコート層を含む。さらに、ペーストA及びBを、3層コーティング(すなわち、トリコート)のミッドコート組成物に使用し、この3層コーティングは、グランドコート層、ミッドコート層(ベースコート層)及びクリアコート層を含む。
【0165】
ベースコート組成物及び2層コーティングの調製
ベースコート組成物の成分を表4に示している。ベースコート組成物は水性一液型ベースコート組成物であり、それぞれ、ペーストA又はBの一方(表3に示すように、1回、2回、及び/又は異なる期間で粉砕)、及び金属アルミニウム効果顔料(Alu Stapa IL Hydrolan 2156(イソプロパノール中60質量%のAl)、Eckart GmbH、ドイツ製)を含む。
【0166】
ベースコート組成物をESTAベル適用で、電気塗装と下塗り(23~30μm)を施したスチールパネル(10×30×0.76cm)に適用して、約10~18μmの乾燥層厚を有するベースコート層を得た。所望の全体的な膜構造になるまで、ベースコートをウェットオンウェットで2回適用した。クリアコートでコーティングする前に、3~5分間の加熱フラッシュ(63℃)を行った。クリアコートを適用したパネルを、5~10分間フラッシュし、その後、130℃で25分間硬化させた。クリアコートは、ESTAベルで30~50μmの乾燥膜厚に適用した2液型ポリウレタンクリアコートであった。

【0167】
【表4】
【0168】
ミッドコート組成物、グランドコート組成物、及び三層コーティングの調製
ミッドコート組成物(すなわち、3層コーティングにおけるベースコート組成物)の成分を表5に示している。ミッドコート組成物は、表5に示すような水性一液型ミッドコート組成物であり、それぞれ、ペーストA又はBの一方、及び二酸化チタンでコーティングされた雲母効果顔料(CQVからのAutomotive Rutile Micro White A-901-F OPB)を含む。
【0169】
グランドコート組成物の成分を表7に示している。グランドコート組成物は、表6に示すような、着色顔料分散液を含む水性一液型グランドコート組成物である。
【0170】
グランドコート組成物を、ESTAベル適用で、電気塗装とプリベーク済み溶剤系白色プライマー(25~33μm)でプレコートしたスチールパネル(10×30×0.76cm)に適用して、約10~25μmの乾燥層厚を有するグランドコート層を得た。
【0171】
グランドコート層の上に、1~3分間のフラッシュ後、ESTAベル適用でミッドコート組成物をウェットオンウェットで適用して、約6~8μmの乾燥層厚を有するミッドコート(すなわち、ベースコート)層を形成した。
【0172】
ミッドコートをクリアコートでウェットオンウェットによってコーティングする前に、3~5分間の加熱フラッシュ(63℃)を行った。クリアコートを適用したパネルを、5~10分間フラッシュし、その後、130℃で25分間硬化させた。クリアコートは、ESTAベルで30~50μmの乾燥膜厚に適用した2液型ポリウレタンクリアコートであった。
【0173】
【表5】
【0174】
【表6】
【0175】
【表7】
【0176】
結果
Byk Mac i装置(ドイツ、Byk Gardner GmbH製)を用いて、2層コーティング及び3層コーティングのカラーデータを決定した。照明はD65照明(観察者角度10°)であった。多角度(-15°、15°、25°、45°、75°、110°)測定のジオメトリを図1に示す。110°の角度は「フロップ角」とも呼ばれる。
【0177】
前述の装置を用いて、2層コーティング及び3層コーティングのL、a、b値を決定した。Cは以下の式で算出した:C=(a+b0.5、h=arctan(b/a)。
【0178】
CIELAB式は、緑から赤に伸びるa軸、青から黄色に伸びるb軸、及び他の2つに垂直な明度軸Lによって特徴付けられる色空間を定義している。bの負の値は青みがかった色を意味し、bの正の値はより黄色がかった色を意味する。L(すなわち明度)の値が高いほど明るい色を表し、Lの値が低いほど暗い色を表す。
【0179】
以下では、ペーストA及びBをそれぞれベースコート層に含有する2層コーティングについて;及びペーストA及びBをそれぞれミッドコート層に含有し、後者では他の着色顔料をグランドコート層に含有する3層コーティングについて、それぞれの色値及び色空間におけるこれらの値の差ΔL、Δa及びΔbを示す。
【0180】
ベースコートにペーストAを有する2層コーティング
表8-1及び表8-2では、2つの2コート層コーティングを比較した。1つ目(CE1)は、粉砕用樹脂及び分散添加剤の存在下で1mmのYTZ(登録商標)ビーズで4時間1回粉砕したペーストAを含有するベースコート層を使用したものであり(詳細は上記参照)、2つ目(E1)では、ペーストAを同様に処理したが、10時間処理した(上記参照)。
【0181】
【表8】
【0182】
非鏡面反射に近い範囲(-15°~+15°)では、b値が高いため、両方の2層コーティングにおいても顕著な黄色味を帯びている。非鏡面反射から遠い範囲(+75°及び110°)では、両方の2層コーティングにおいてもb値が比較的高く、負の値であるため、顕著な青みがかった色合いを呈する。
【0183】
【表9】
【0184】
色値の差(Δ)、特にΔbは、4時間と比較して10時間という長い粉砕時間後でさえ、非鏡面反射に近い範囲における黄色味の低減が達成されなかったことを示している。理論に束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、ペーストA(本明細書でベースコートにおいて上記で採用したもの)の両方における二酸化チタン粒子のZ平均粒径、及びこれらの二酸化チタン粒子の粒径分布スパンが高すぎると考えている。
【0185】
表9-1及び表9-2では、3つの2コート層コーティングを比較した。1つ目(CE1)は、粉砕用樹脂を使用せずに分散添加剤を使用して1mmのYTZ(登録商標)ビーズで4時間粉砕したペーストAを含有するベースコート層を使用したものであり(詳細は上記参照);2つ目(E2)では、ペーストAを同様に処理したが、その後に0.3mmのYTZ(登録商標)ビーズでの第2粉砕工程を4時間行い(上記参照);3つ目(E3)では、ペーストAをE2で使用したペーストAと同様に処理したが、第2粉砕工程を10時間行った。表8-1及び表9-1では、同一のコーティング組成で同一のペーストAを使用しているにもかかわらず、CE1の色値が異なっていることに注目されたい。これは、表8-1及び表9-1で調製されたサンプルが、異なるスプレーブースで異なる日にわずかに異なる条件で調製された異なる試験シリーズに属するためである。したがって、本明細書のここと以下のすべての表において、色彩値の比較は同一試験シリーズ内でのみ行われる。
【0186】
【表10】
【0187】
非鏡面反射に近い範囲(-15°~+15°)では、b値が高いため、3つの2層コーティングとも顕著な黄色味を帯びている。非鏡面反射から遠い範囲(+75°及び110°)では、両方の2層コーティングにおいてもb値が比較的高く、負の値であるため、顕著な青みがかった色合いを呈する。
【0188】
【表11】
【0189】
色値の差(Δ)、特にΔbは、0.3mmのYTZ(登録商標)ビーズを用いてペーストAで第2粉砕工程を4時間行った後でも、非鏡面反射に近い範囲における黄色味の低減にはつながらないことを示している。0.3mmのYTZ(登録商標)ビーズを用いて第2粉砕工程を10時間行った後でのみ、非鏡面反射に近い範囲(-15°及び+15°)でわずかに低い黄色味へのシフトが観察された。
【0190】
要約すると、ペーストAを使用したベースコート組成物のほとんどは、異なるサイズのYTZ(登録商標)ビーズ(それぞれ1mmと0.3mm)を用いて異なる時間、1回又は2回粉砕しても、非鏡面反射に近い範囲では黄色味を低減できない。しかし、0.3mmのYTZ(登録商標)ビーズを用いた10時間の第2段階の粉砕では、黄色の色合いが少なくともわずかに減少した。これは、1mmのYTZ(登録商標)ビーズを用いた4時間の1段階のみの粉砕工程と比較して(Z平均粒径が250nm)、Z平均粒径が230nmに減少し、粒径分布スパンが減少したためと考えられる。
【0191】
ベースコートにペーストBを使用した2層コーティング
表10-1及び10-2では、2つの2コート層コーティングを比較した。1つ目(CE2)は、粉砕用樹脂を使用せず、分散添加剤を使用して、1mmのYTZ(登録商標)で4時間1回粉砕しただけのものである、ペーストBを含有するベースコート層を使用したものであり(詳細は上記参照)、2つ目(E1)は、ペーストBを同様に処理したが、10時間処理した(上記参照)。
【0192】
【表12】
【0193】
非鏡面反射に近い範囲(-15°~+15°)では、b値が比較的高いため、特に2層コーティングCE2では、若干の黄色味を帯びている。2層コーティングE2の非鏡面反射に近い範囲では、それほど顕著ではない黄色がかった色合いが見られる。非鏡面反射から遠い範囲(+75°及び110°)では、両方の2層コーティングにおいてもb値が比較的高く、負の値であるため、顕著な青みがかった色合いを呈する。
【0194】
【表13】
【0195】
色値の差(Δ)、特にΔbは、粉砕用樹脂を使用しない場合の4時間と比較して10時間という長い粉砕時間によって、非鏡面反射に近い範囲での黄色味が著しく減少していることを示しているが、それでもなお、非鏡面反射から遠い範囲では所望の顕著な青みがかった色合いが得られている。
【0196】
要約すると、ペーストBを使用したベースコート組成物は、1mmのYTZ(登録商標)ビーズで10時間1回粉砕すると、1mmのYTZ(登録商標)ビーズで4時間1回粉砕した場合と比較して、非鏡面反射に近い範囲での黄色味を大幅に低減することができる。これは、Z平均粒径が181nm(1mmのYTZ(登録商標)ビーズを用いた4時間の粉砕)から150nm(1mmのYTZ(登録商標)ビーズを用いた10時間の粉砕)に減少し、粒径分布スパンが減少したためと考えられる。
【0197】
以下の表11-1及び表11-2では、4つの2コート層コーティングを比較した。1つ目(CE2)は、粉砕用樹脂の非存在下、分散添加剤の存在下1mmのYTZ(登録商標)ビーズで4時間粉砕しただけであるペーストBを含有するベースコート層を使用したものであり(詳細は上記参照)、;2つ目(E5)では、ペーストBを同様に処理したが、その後に0.3mmのYTZ(登録商標)ビーズでの第2粉砕工程を4時間行い(上記参照);3つ目(E6)では、ペーストBをE5で使用したペーストBと同様に処理したが、第2粉砕工程を6時間行い;4つ目(E7)では、ペーストBをE5で使用したペーストBと同様に処理したが、第2粉砕工程を10時間行った。
【0198】
【表14】
【0199】
非鏡面反射に近い範囲(-15°~+15°)では、b値が高いため、特に2層コーティングCE2において黄色味を帯びている。E5、E6、E7の順に、非鏡面反射に近い範囲では黄色味が減少している。非鏡面反射から遠い範囲(+75°及び110°)では、すべての2層コーティングにおいてもb値は比較的高く、負の値であるため、所望の顕著な青みを帯びている。
【0200】
【表15】
【0201】
色値の差(Δ)、特にΔbは、0.3mmのYTZ(登録商標)ビーズ用いてペーストBで第2粉砕工程を4時間行った後、非鏡面反射に近い範囲における黄色味が著しく減少することを示している。0.3mmのYTZ(登録商標)ビーズ用いてペーストBで第2粉砕工程を6時間、又は10時間まで延長すると、Δbはさらに良好になり、非鏡面反射に近い範囲での黄色味はかなり減少し、非鏡面反射から遠い範囲では良好な青味を呈することを示している。
【0202】
要約すると、異なるサイズのYTZ(登録商標)ビーズ(第1段階:1mm、第2段階:0.3mm)を用いて異なる時間、2回粉砕したペーストBを使用するベースコート組成物はすべて、非鏡面反射に近い範囲では黄色味を低減する傾向がある。0.3mmのYTZ(登録商標)ビーズを用いた第2段階の粉砕時間が長いほど(4時間、6時間、10時間)、非鏡面反射に近い範囲での黄色味の低減が顕著であった。これは、1mmのYTZ(登録商標)ビーズ(Z平均粒径:181nm)を用いた4時間の1段階粉砕工程のみと比較して、116nmから100nmの範囲のZ平均粒径が減少し、粒径分布スパンが減少したためと考えられる。
【0203】
ミッドコートにペーストAを使用した3層コーティング
表12-1及び12-2では、3つの3層コーティングを比較した。1つ目(CE3)は、粉砕用樹脂及び分散添加剤を使用して1mmのYTZ(登録商標)ビーズで4時間粉砕したペーストAを含有するミッドコート層を使用したものであり(詳細は上記参照);2つ目(E8)では、ペーストAを同様に処理したが、その後に0.3mmのYTZ(登録商標)ビーズでの第2粉砕工程を4時間行い(上記参照);3つ目(E9)では、ペーストAをE8で使用したペーストAと同様に処理したが、第2粉砕工程を10時間行った。
【0204】
【表16】
【0205】
【表17】
【0206】
色値の差(Δ)、特にΔbは、0.3mmのYTZ(登録商標)ビーズを用いてペーストAで第2粉砕工程を4時間又は10時間行った後でも、非鏡面反射に近い範囲における黄色味の低減にはつながらないことを示している。
【0207】
ミッドコートにペーストBを使用した3層コーティング
表13-1及び13-2では、4つの3層コーティングを比較した。1つ目(CE4)は、粉砕用樹脂を使用せず、分散添加剤を使用して、1mmのYTZ(登録商標)ビーズで4時間粉砕しただけのものであるペーストBを含有するミッドコート層を使用したものであり(詳細は上記参照);2つ目(E10)では、ペーストBを同様に処理したが、その後に0.3mmのYTZ(登録商標)ビーズでの第2粉砕工程を4時間行い(上記参照);3つ目(E11)では、ペーストBをE10で使用したペーストBと同様に処理したが、第2粉砕工程を6時間行い、4つ目(E12)では、ペーストBをE10で使用したペーストBと同様に処理したが、第2粉砕工程を10時間行った。
【0208】
【表18】
【0209】
【表19】
【0210】
色値の差(Δ)、特にΔbは、0.3mmのYTZ(登録商標)ビーズを用いてペーストBで第2粉砕工程を4時間、6時間、10時間行った後、非鏡面反射に近い範囲における黄色味が著しく減少したことを示している。
【0211】
要約すると、異なるサイズのYTZ(登録商標)ビーズ(第1段階:1mm、第2段階:0.3mm)を用いて異なる時間、2回粉砕したペーストBを使用するミッドコート組成物はすべて、非鏡面反射に近い範囲では黄色味を著しく低減する傾向がある。0.3mmのYTZ(登録商標)ビーズを用いた第2段階の粉砕時間が長いほど(4時間、6時間、10時間)、非鏡面反射に近い範囲での黄色味の低減が顕著であった。これは、1mmのYTZ(登録商標)ビーズ(Z平均粒径:181nm)を用いた4時間の1段階粉砕工程のみと比較して、116nmから100nmの範囲のZ平均粒径が減少し、粒径分布スパンが減少したためと考えられる。
【0212】
上記の実験から得られた重要な発見は、動的光散乱によって決定される30nm~220nmの範囲のZ平均粒径、及び0.7~1.5の範囲の粒径分布スパン[(D90-D10)/(D50)]を有する二酸化チタン粒子を含有する、そのような水性コロイド状二酸化チタン分散液を使用して製造するコーティング組成物について、非鏡面反射に近い範囲における黄色味の低減及び非鏡面反射から遠い範囲における青味の増加に関する最良の結果が達成されることであった。両要件のうちの一方のみが満たされる場合、特に前記粒径分布スパンの要件のみが満たされる場合、ペースト(すなわち、水性コロイド状二酸化チタン分散液)は、依然として、非鏡面反射に近い範囲において望ましくない高い黄色味を有し、及び/又は非鏡面反射から遠い範囲において青味を有する色合いが改善されないことがある。また、水性コロイド状二酸化チタン分散液が、主なポリマー物質として分散剤を含有する場合、微粉化二酸化チタン粒子(凝集物/凝集体)の製粉/粉砕によるZ平均粒径の減少及び粒径分布スパンの減少が著しく改善されることが見出された。ペーストA中のポリウレタン粉砕用樹脂Eのような粉砕用樹脂とペーストA中の分散剤Aのような分散剤との従来の混合物を使用することもできるが、Z平均粒径及び粒径分布スパンの低減は、より長い粉砕時間及びより高い表面を有するより小さなビーズを必要とする場合がある。したがって、請求項に記載のZ平均粒径及び粒径分布スパンを達成するために、粉砕用樹脂を含有せず、分散剤のみ、又は少量の粉砕剤のみを含有するこのような水性コロイド状二酸化チタン分散液を使用することが非常に好ましい。
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-05-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i.
a.動的光散乱によって決定される、30nm~220nmの範囲のZ平均粒径、及び
b.0.7~1.5の範囲の粒径分布スパン[(D90-D10)/(D50)]
を有する二酸化チタン粒子、
ii.前記二酸化チタン粒子に結合する基を含む1種以上の分散剤;及び
iii.必要に応じて、1種以上のpH値調整化合物
を含む水性コロイド状二酸化チタン分散液であって、
前記1種以上の分散剤が、少なくとも部分的に中和されたカルボン酸基を含有することを特徴とする、水性コロイド状二酸化チタン分散液。
【請求項2】
前記二酸化チタン粒子が、150nm未満の体積ベースのD10値、220nm未満の体積ベースのD50値、及び350nm未満の体積ベースのD90値を有し、但し、D90値がD50値より高く、D50値はD10値より高いことを特徴とする、請求項1に記載の水性コロイド状二酸化チタン分散液。
【請求項3】
動的光散乱によって決定されたZ平均粒径が80nm~190nmの範囲であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の水性コロイド状二酸化チタン分散液。
【請求項4】
粒径分布スパン[(D90-D10)/(D50)]が0.8~1.2の範囲であることを特徴とする、請求項1または2に記載の水性コロイド状二酸化チタン分散液。
【請求項5】
前記1種以上の分散剤が、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカルボキシレートエーテル、及びエチレン性不飽和モノマーから形成されるポリマーからなる群から選択されるポリマー分散剤であることを特徴とする、請求項1または2に記載の水性コロイド状二酸化チタン分散液。
【請求項6】
前記1種以上の分散剤が、少なくとも部分的に中和された(マレイン酸)/(ビニルポリエーテル)コポリマーであることを特徴とする、請求項1または2に記載の水性コロイド状二酸化チタン分散液。
【請求項7】
前記分散液が、好ましくはアルカノール、グリコール、ジグリコール、グリコールエーテル、ジグリコールエーテル、グリコールエステル、ジグリコールエステル、グリコールエーテルエステル及びジグリコールエーテルエステルからなる群から選択される1種以上の有機溶媒をさらに含有することを特徴とする、請求項1に記載の水性コロイド状二酸化チタン分散液。
【請求項8】
前記分散液のpH値が6.2~7.8の範囲であることを特徴とする、請求項1または2に記載の水性コロイド状二酸化チタン分散液。
【請求項9】
A.以下の成分
a.
i.動的光散乱によって決定される、220nmを超えるZ平均粒径、及び/又は
ii.1.5を超える粒径分布スパン[(D90-D10)/(D50)]
を有する、1種以上の二酸化チタン顔料、
b.前記1種以上の二酸化チタン顔料に結合する基を含む1種以上の分散剤;及び
c.必要に応じて、1種以上のpH値調整化合物
を含むプレミックスを形成する工程と、
B.動的光散乱によって決定される30nm~220nmの範囲のZ平均粒径、及び0.7~1.5の範囲の粒径分布スパン[(D90-D10)/(D50)]を有する二酸化チタン粒子が得られるまで、工程Aで得られた前記プレミックスをビーズミル又はシェーカーミルで粉砕する工程と、
C.必要に応じて、1種以上のpH値調整化合物を使用してpH値を調整する工程と
を含む、請求項1に記載の水性コロイド状二酸化チタン分散液を製造する方法。
【請求項10】
前記プレミックスが、請求項7に定義される1種以上の有機溶媒をさらに含む、請求項9に記載の水性コロイド状二酸化チタン分散物を製造する方法。
【請求項11】
A)少なくとも1種のフィルム形成ポリマー(A1)、及び(A1)が外部架橋性である場合には、少なくとも1種の架橋剤(A2);
(B)請求項1で定義した水性コロイド状二酸化チタン分散液の成分;
(C)好ましくは、少なくとも1種の着色剤及び/又は充填剤であって、前記着色剤が染料及び顔料からなる群から選択され、前記顔料が着色顔料及び/又は効果顔料から選択される少なくとも1種の着色剤及び/又は充填剤
を含む、二酸化チタン含有コーティング組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の二酸化チタン含有コーティング組成物から形成された乾燥及び/又は硬化したコーティング層を含むコーティングされた基材。
【請求項13】
請求項11で定義した二酸化チタン含有コーティング組成物を基材上に適用して、コーティング層を形成し、その後コーティング層を乾燥及び/又は硬化させる工程を含む、請求項12で定義したコーティングされた基材を調製する方法。
【請求項14】
多層コーティングされた基材であり、少なくとも1つのコーティング層が、請求項11に記載の二酸化チタン含有コーティング組成物から形成された乾燥及び/又は硬化したコーティング層である、請求項12で定義したコーティングされた基材。
【請求項15】
請求項14で定義した多層コーティングされた基材を調製する方法であって、請求項11で定義した二酸化チタン含有コーティング組成物を基材に適用し、コーティング層を乾燥及び/又は硬化する工程を含み、前記基材が、少なくとも1つのコーティング組成物でプレコーティングされた基材であり、及び/又は請求項11で定義した二酸化チタン含有コーティング組成物を適用し、乾燥及び/又は硬化させることによって形成されたコーティング層が、少なくとも1つのコーティング組成物によってポストコーティングされた基材である、方法。
【請求項16】
コーティング組成物、好ましくは自動車用コーティング組成物の製造における、請求項1または2に記載のコロイド状二酸化チタン分散液の使用方法。
【国際調査報告】