(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】車両のレーダシステムのための指向性アンテナ
(51)【国際特許分類】
G01S 7/03 20060101AFI20240918BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20240918BHJP
H01Q 1/32 20060101ALI20240918BHJP
H01Q 19/10 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
G01S7/03 230
H05K9/00 P
H01Q1/32 Z
H01Q19/10
G01S7/03 246
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513925
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 EP2022074495
(87)【国際公開番号】W WO2023031420
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520365252
【氏名又は名称】コンパニー プラスチック オムニウム エスウ
【氏名又は名称原語表記】COMPAGNIE PLASTIC OMNIUM SE
【住所又は居所原語表記】19 boulevard Jules Carteret, 69007 Lyon, France
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【氏名又は名称】玉井 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100228175
【氏名又は名称】近藤 充紀
(72)【発明者】
【氏名】バンスラン マチュー
(72)【発明者】
【氏名】クレティエ ロマン
(72)【発明者】
【氏名】ロシュブラーヴ ロラン
(72)【発明者】
【氏名】スタブロ フレデリック
【テーマコード(参考)】
5E321
5J020
5J046
5J070
【Fターム(参考)】
5E321BB53
5E321CC11
5E321GG05
5E321GH10
5J020AA03
5J020BA00
5J020BA16
5J020CA01
5J020DA02
5J046AA04
5J046MA09
5J070AF03
5J070BE01
(57)【要約】
本発明は、電磁波反射空洞400を形成する内部容積を備えた反射シェルを有するハウジング350を含む、自動車1のレーダシステム200のための指向性アンテナ300に関し、反射シェルが、ハウジング350の内部と外部の間に電磁波伝送領域426を含む第1の壁360と、第1の壁361に対向し、好ましい方向に電磁波を案内可能な第2の壁362と、第1の壁361および第2の壁362を接続し、各側壁が反射空洞400の内部で電磁波を反射可能である、反射側壁のセット363-366と、を含む壁のセット360により画定されることを特徴とする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波反射空洞(400)を形成する内部容積を備えた反射シェルを有するハウジング(350)を含む、自動車(1)のレーダシステム(200)のための指向性アンテナ(300)において、前記反射シェルは、
-ハウジング(350)の内部と外部の間に電磁波伝送領域(426)を含む第1の壁(361)と、
-前記第1の壁(361)に対向し、好ましい方向に電磁波を案内可能な第2の壁(362)と、
-前記第1の壁(361)および前記第2の壁(362)を接続し、各側壁は反射空洞(400)の内部で電磁波を反射可能である、側壁のセット(363-366)と、
を含む壁のセット(360)により画定される、指向性アンテナ。
【請求項2】
前記壁(361-366)の少なくとも一つが、前記反射空洞(400)に対して外側の壁面に、導波管(700)のためのコネクタ(370)を含む、請求項1に記載の指向性アンテナ(300)。
【請求項3】
前記第2の壁(362)の、前記反射空洞(400)に対して外側の面(362e)または内側の面(362i)が、前記反射空洞(400)に存在する電磁波の反射面を構成する、請求項2に記載の指向性アンテナ(300)。
【請求項4】
前記第2の壁(362)は、プリント回路(510)を構成する、請求項1から3までのいずれか一項に記載の指向性アンテナ(300)。
【請求項5】
前記プリント回路(510)は、前記反射空洞(400)の内側に向いた内面を含み、この内面にメタサーフェス(500)がプリントされる、請求項4に記載の指向性アンテナ(300)。
【請求項6】
前記メタサーフェス(500)は、被制御面とダイオードとを含み、前記プリント回路(510)は、その外面に前記被制御面の補助電子制御装置(550)を含むか、または前記被制御面の補助電子制御装置に接続される、請求項4および5のいずれか一項に記載の指向性アンテナ(300)。
【請求項7】
前記電磁波伝送領域(426)は、電磁波を部分的に反射する層により被覆されている、請求項1から6までのいずれか一項に記載の指向性アンテナ(300)。
【請求項8】
前記側壁のセット(363-366)は、前記反射空洞(400)内に電磁波を反射可能な反射層で被覆された、アルミニウムまたはプラスチック材料で構成される、請求項1から7までのいずれか一項に記載の指向性アンテナ(300)。
【請求項9】
前記側壁のセット(363-366)は、一体的に構成される、請求項1から8までのいずれか一項に記載の指向性アンテナ(300)。
【請求項10】
前記側壁のセット(363-366)は、対置する第1組の側壁(363-364)と、前記第1組の側壁(363-364)にほぼ垂直な、対置する第2組の側壁(365-366)とを含む、請求項1から9までのいずれか一項に記載の指向性アンテナ(300)。
【請求項11】
前記ハウジング(350)は、ほぼ平行六面体の形状を有する、請求項10に記載の指向性アンテナ(300)。
【請求項12】
前記第1組の側壁(363-364)は、前記第2組の側壁(365-366)に封止式に嵌め込み可能である、請求項10および11のいずれか一項に記載の指向性アンテナ(300)。
【請求項13】
前記ハウジング(350)は、プラスチック材料からなるカバー(350A)と容器(350B)を含む、請求項1から12までのいずれか一項に記載の指向性アンテナ(300)。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか一項に記載の少なくとも1つの指向性アンテナ(300)を含むレーダシステム(200)。
【請求項15】
-電磁波の第1の送信機(931)および第1の受信機(932)を含んで前記ハウジング(350)の外に離れて配置される電子ユニット(900)と、
-前記第1の送信機(931)と前記反射空洞(400)との間および前記反射空洞(400)と前記第1の受信機(932)との間で電磁波を伝播するための少なくとも1つの導波管(700)と、
を含む請求項14に記載のレーダシステム(200)。
【請求項16】
前記電子ユニット(900)が、60GHzを上回る周波数、特に75~80GHz、好ましくは77Gzで操作するように構成される、請求項15に記載のレーダシステム(200)。
【請求項17】
請求項1から13までのいずれか一項に記載の指向性アンテナ(300)を含むことを特徴とする車体部品(100)。
【請求項18】
請求項17に記載の車体部品(100)を含む自動車(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に障害物を検知するために所望の方向に電磁波を送信および/または受信するためのレーダシステムを備えた、自動車、たとえば自動車両の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のフロントバンパおよびリヤバンパに一般に配置されるレーダタイプの装置を備えた自動車が知られている。これらのレーダ装置は、駐車アシストに用いられる一方で、運転アシスト、たとえば、英語の略号ACC(「Adaptative Cruise Control」(追従型クルーズコントロール))としてよく知られた、交通量に応じて車両の速度を調整する用途で使用されており、こうした用途では、レーダ装置が、このレーダ搭載車両の前にいる車両の速度と距離を検知する。このようなレーダは特に、交通量および/または道路上の障害物に応じて車両の速度を調整する役割を果たしている。レーダは、レーダ搭載車両に先行する物体の速度と距離を検知し、特に安全な車間距離を維持する。
【0003】
一般に、自動車産業のレーダ用途における重要な一分野は、たとえば駐車操作アシストシステム、後退アシストシステム等の装備品、または歩行者保護設備、もしくはこの種の他のシステムのために、車両の周りの周辺全体を検知可能にするレーダモジュールの組み込みがますます進んでいる車両の車体の分野である。しかしながら、これらの様々なレーダは、検知フィールド(距離の長短、正面検知か側面検知か...)や、それらの用途(駐車、自動運転...)、またメーカーによってもタイプが異なるので、レーダを利用可能にする車両の各種装備品(ブレーキ、ステアリング、ヘッドライト、音響または視覚的警報装置...)とは無関係に各々により提供されるデータを、最適に連結することができない。
【0004】
そのため、車両の周辺環境をよりよく特徴づけるために、自動車メーカーは、一方では車両の周囲のモニタリング容積の大きさを改善し、他方では、装置から送られる情報の処理解像度を改善可能にする装置を必要としている。これは、車両が最適に、すなわち、より高い精度でより迅速に車両環境と相互作用し、それによって特に事故を回避し、運転を容易にし、自動で走行するようにするためである。
【0005】
車両を中心とする周辺の容積検知(3D)を増すために、自動車メーカーは所与の面積に割り当てるレーダ数をふやそうとしている。
【0006】
しかし、使用するレーダ数をふやせばコストが上がる。
【0007】
さらに、レーダ数をふやすと多数の無線周波数エリアを連続供給する必要があり、多大なエネルギーを消費するので、特に自動運転車および/または電気自動車にとっては非常にマイナスである。
【0008】
また、レーダを多少小型化できるといっても、利用可能な面積が限られていることや(車体部品のサイズを大きくすることはできない)他の装備品の存在が原因で、所与の面積に割り当てるレーダ数をふやすことは実現が困難でありうるが、これは、互いに干渉し合わないようにするために各レーダ間の最低距離を保つ必要があるだけになおさらである。
【0009】
レーダにより障害物の所与の位置および速度に関する追加情報を得るには、たとえば車両を囲む物体(環境または障害物)を認識してそれらの軌道を追跡し、そこから、できる限り完全な画像を構成可能にする高い空間分解能を特に有する装置が求められる。
【0010】
そのため、車両は、LIDARやカメラ等のレーダを補う相補的な装置をますます装備されるようになっている。
【0011】
空間分解能は、細部を識別するための観察装置の能力を表すものである。空間分解能は、隣接する2地点を、それらが正確に識別されるように分離すべき最短距離によって特に特徴づけられる。
【0012】
あるレーダの場合、この解像距離は、観察のために使用される電波の波長と観察装置の開口部の大きさとの比に応じて決定される。したがって、空間分解能を高める、すなわち解像距離を短縮するには、波長を短くすること(電波の周波数を高くすること)および/または観察装置の開口部を大きくすることが必要である。実際、空間分解能Rは次の式により特徴づけられる。
【0013】
【0014】
ここで、cは光の速度、Lは観察装置とターゲットとの間の距離、fはレーダの周波数、0は観察装置の開口部である。
【0015】
今日、たとえば24GHzではなく77GHzのより高い周波数で動作するレーダの使用が求められているのはそうした理由からである。
【0016】
また、その反対に、現在のレーダは小型化されているので、それらの開口部が小さくされ、したがって解像度が低くなっている。
【0017】
加えて、車体部品により支持されるレーダが直面する一つの問題は、レーダの配置に関する。なぜなら、レーダを支持する車体部品が変形した場合でも(衝撃、熱膨張...)、レーダがその機能を正確に果たすようにするために、レーダの完全さを確保することが重要であるからである。したがって、レーダ機能の使用期間全体にわたってレーダの適切な配置(送信/受信方向の保持)を保証しなければならない。
【0018】
したがって、検知装置のコストやエネルギー消費を制限しながら、車両の周囲にある物体の位置と速度を提供するとともに、より適切な到達域と空間分解能を得られる解決方法を提供しなければならない。これによって、車両の周囲の物体または人の検知を改善し、自動運転車、特に、消費を最大限制限することが必要な電気車両への当該システムの設置を容易にすることができる。
【0019】
さらに、車体部品により支持されるレーダタイプがどのようなものであっても遭遇する問題は、電子コンポーネントが衝撃に脆弱であることに関する。実際、レーダを支持する壁を変形する衝撃の際は、特にレーダ波の送受信機を支持する電子ユニットとそれらの電子制御装置等のコンポーネントが損傷してレーダが機能不全に陥るリスクがある。ところで、これらのコンポーネントの交換費用は高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、(車体部品自体の寸法との関連で)大型面積から所与の方向に電磁波を伝送(送信および/または受信)可能な、自動車の車体部品のための指向性アンテナを提供することにより、上記の不都合を解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
このため、本発明は、電磁波反射空洞を形成する内部容積を備えた反射シェルを有するハウジングを含む、自動車のレーダシステムのための指向性アンテナを目的とし、反射シェルが、
-ハウジングの内部と外部の間に電磁波伝送領域を含む第1の壁と、
-第1の壁に対向し、好ましい方向に電磁波を案内可能な第2の壁と、
-第1および第2の壁を接続し、各側壁が反射空洞の内部で電磁波を反射可能である、側壁のセットと、
を含む壁のセットにより画定される。
【0022】
こうしたアンテナのおかげで、レーダ数をふやさずに、また電子コンポーネントをふやすことなく、このようなアンテナを備えたレーダシステムの開口部を大きくすることができる。
【0023】
さらに、電子ユニットと指向性アンテナとを切り離すおかげで、被る衝撃が少ない領域に電子ユニットを位置づけることにより、車両環境を正確にイメージできる車両領域に指向性アンテナを配置することができる。
【0024】
被る衝撃が少ない領域は専門家にとって明らかであり、レーダシステムが搭載される車体部品に依存する。たとえば、バンパの場合、被る衝撃が少ない領域は外皮から引っ込んだ領域、および/または、車両に対して横方向(フェンダ側)にオフセットされた領域、および/または垂直方向(たとえば指向性アンテナよりも下方)にオフセットされた領域とすることができる。
【0025】
単独または組み合わせて選択されるレーダシステムの他の任意の特徴によれば、
-壁の少なくとも一つが、空洞に対して外側の壁面に、導波管のためのコネクタを含む。
【0026】
-第2の壁の、空洞に対して外側の面または内側の面が、反射空洞に存在する電磁波の反射面を構成する。
【0027】
-第2の壁がプリント回路を構成する。
【0028】
-プリント回路が、反射空洞の内側に向いた内面を含み、この内面にメタサーフェスがプリントされる。
【0029】
-メタサーフェスが被制御面とダイオードとを含み、プリント回路が、その外面に被制御面の補助電子制御装置を含み、あるいは被制御面の補助電子制御装置に接続される。
【0030】
-電磁波伝送領域が、電磁波を部分的に反射する層により被覆されている。
【0031】
-側壁のセットが、反射空洞に電磁波を反射可能な反射層で被覆された、アルミニウムまたはプラスチック材料で構成される。
【0032】
-側壁のセットが一体的に構成される。
【0033】
-側壁のセットが、対置する第1組の側壁と、第1組の側壁にほぼ垂直な、対置する第2組の側壁とを含む。
【0034】
-ハウジングが、ほぼ平行六面体の形状を有する。
【0035】
-第1組の側壁が、第2組の側壁に封止式に嵌め込み可能である。
【0036】
-ハウジングが、プラスチック材料からなるカバーと容器を含む。
【0037】
本発明は、また、先行請求項のいずれか一項に記載の少なくとも1つの指向性アンテナを含むレーダシステムに関する。
【0038】
1つの実施形態によれば、レーダシステムは:
-電磁波の第1の送信機および第1の受信機を含んでハウジングの外に離れて配置される電子ユニットと、
-第1の送信機と空洞との間および空洞と第1の受信機との間で電磁波を伝播するための少なくとも1つの導波管と、
を含む。
【0039】
1つの変形実施形態によれば、電子ユニットが、60GHzを上回る周波数、特に75~80GHz、好ましくは77Gzで操作されるように構成される。
【0040】
本発明は、また、本発明による指向性アンテナを含む車体部品に関する。
【0041】
本発明は、また、本発明による車体部品を含む自動車に関する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本発明は、もっぱら例として挙げられ、添付図面に関してなされた以下の説明を読めば、いっそう理解されるであろう。
【
図1】本発明による指向性アンテナを備えるレーダシステムを搭載された自動車両の1つの実施例を示す図である。
【
図2】本発明による指向性アンテナの第1の実施形態を示す斜視図である。
【
図4】本発明による指向性アンテナの第2の実施形態を上から見た斜視図である。
【
図5】
図4の指向性アンテナを下から見た斜視図である。
【
図7】本発明による指向性アンテナの第3の実施形態を示す分解組立図である。
【
図9】本発明による指向性アンテナを備えたレーダシステムの1つの実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図では、同じ要素には同じ参照符号を付している。以下の実施形態は例である。この説明では1つまたは複数の実施形態を参照しているが、これは必ずしも、各参照符号が同じ実施形態に関与することや、あるいは、単一の実施形態だけに特徴が適用されることを意味するものではない。各実施形態の単純な特徴を組み合わせたり互いに入れ替えたりして別の実施形態を提供することが同様に可能である。
【0044】
図1を参照すると、本発明による指向性アンテナ300を備えたレーダシステム200が装備される自動車両1の1つの実施例が示されている。
【0045】
図2から
図8までに示したように、このような指向性アンテナ300はハウジング350を含む。ハウジング350は、電磁波反射空洞400を形成する内部容積を備えた反射シェルを含む。反射シェルは、以下を含む壁のセット360により画定される:
-ハウジング350の内部と外部の間に少なくとも1つの電磁波伝送領域426を含むことから、伝送壁361とも呼ばれる第1の壁361。さらに、この伝送領域の外では、伝送壁361が反射空洞400の内部で電磁波を反射可能である。
【0046】
-好ましい方向に(伝送壁361に向けて、または導波管700に向けて)電磁波を案内するように構成されたメタサーフェス500を備えていることから、案内壁とも呼ばれる第2の壁362。この案内壁は伝送壁361に対向する。案内壁362は、反射シェルの底部を形成する。
-第1の壁361および第2の壁を連続して(電磁波の漏洩なしに)接続する反射側壁のセット363-366。各側壁は、反射空洞400の内部で電磁波を反射可能である。
【0047】
ハウジング350は、各種要素への固定手段および接続手段を含む。
【0048】
特に、ハウジングは、車体部品100への固定手段390を含む(たとえば
図4と
図5)。これらの固定手段は、車体部品における損失または反射リスクを制限するように、車体部品100の内面(車両を基準として)のできるだけ近くにアンテナ300を配置できるように構成される。
【0049】
さらに、セット360の壁の少なくとも1つは、空洞400に対して外側のその壁面に導波管700のためのコネクタ370を含む(
図2および
図4~
図7)。ハウジング350は、導波管700が反射空洞400内に通じるように、導波管700がハウジング350と反射壁とを通れるようにするための開口部を含む。
【0050】
好ましくは、ハウジング350が、このハウジング350を環境に対して封止するように構成された封止要素381と382を含む(
図6と
図7)。
【0051】
ハウジング350は、また、メタサーフェス500の補助電子制御装置550を含むことができる。この補助電子制御装置550により、たとえば、被制御面の制御に必要なオフセットレジスタを統合し、あるいは別の実施例によれば、指向性アンテナがアンテナセットに属している場合にはこの指向性アンテナ300を特殊化することができる。好ましい1つの実施形態によれば、この補助電子制御装置は、好ましくは空洞に対して外側の面(362e)で案内壁362に直接組み込まれる。
案内壁362
案内壁362は、反射空洞400に対して外側の面362eと、この空洞400に対して内側の面362iとを含む。案内壁362は、導波管700により空洞400に送信された電波を伝送壁361に向けて案内することができる。その逆に、案内壁362は、障害物で跳ね返った後にハウジング350の外部から空洞400内で受信した電波を導波管700に向けて案内することができる。
【0052】
メタサーフェス500は、被制御面とダイオードとを含む。案内壁362はプリント回路510を構成する。プリント回路510は、反射空洞400の内側に向いた内面510iを含み、この内面に被制御面が特にプリントされ、好ましくはダイオードが溶接される。
【0053】
プリント回路510は、また、被制御面の主要電子制御装置(たとえば電子ユニット900の内部)にメタフェースを接続可能な制御コネクタ要素556(
図5~
図7)を含み、あるいはこれらの要素に接続される。
【0054】
プリント回路510の反対面、プリント回路の外面510eには、メタサーフェス以外の機能を有するエリアや電子コンポーネントを設置することができる。たとえば、被制御面の制御に必要なオフセットレジスタを組み込む場合がある。
【0055】
1つの実施形態によれば、プリント回路510の外面510eは、反射空洞400内に存在する電磁波の反射面を構成する。この外面は、たとえば銅層などの反射層を含むことができる。そのとき、案内壁362は反射シェルの底壁を形成する。反射シェルの底壁はまた、別の壁とすることもできる。たとえば、容器350Bの底壁である(後述する)。すなわち、このような壁は、電磁波の反射材料から構成され、または反射層により被覆される。
【0056】
1つの実施形態によれば、案内壁362は、好ましくは空洞に対して外側の面(362e)に第2の電子制御部品(たとえばオフセットレジスタ)を組み込まれる。
伝送壁361
第1の壁、伝送壁361は、ハウジング350の内部と外部の間で電磁波を伝送する少なくとも1つ伝送領域426を含む。さらに、伝送領域426が伝送壁361の全体を被覆しない場合、この伝送領域426の外では、伝送壁361が反射空洞400の内部の電磁波を反射可能である。
【0057】
伝送領域426の伝送特性を得るために、この伝送領域は:
-壁361の残りの部分における反射領域とは異なる材料で構成され、異なるこの材料が、少なくとも部分的に電磁波を通すことができ、
-電磁波を部分的に反射する層で被覆された、非反射材料で構成され、
-透過率を変えるように制御される領域を形成する。
【0058】
反射空洞400における反射特性を得るには、領域426の正面を除いて以下から壁361を構成可能である:
-金属等の反射材料。この場合、伝送領域426は別の材料で構成され、あるいは、たとえば薄く構成される。
【0059】
-非反射材料または、部分的に電磁波を透過するが伝送領域426の外では反射層により被覆された材料。伝送壁361は、反射空洞400に対して内側の面と、この同じ反射空洞400に対して外側の面とを有する。これらの面のいずれかは、このような層により部分的に被覆可能である(伝送領域426の位置を除く)。反射層は、たとえば、クロムまたはアルミニウム等の金属を用いて物理的気相成長法(英語の略号PVD)により蒸着されたコーティングまたはメッキ(「coating/plating」)とすることができる。
反射壁のセット(363-366)
反射側壁のセット363-366の側壁は、たとえばアルミニウム等の、電磁波を反射可能な材料から構成することができる。これらの側壁は、たとえば成形または鋳造(または焼結、3Dプリント)により構成可能であり、任意で反射空洞400に対して内側の面を加工/研削して反射特性を得る。
【0060】
あるいは(
図4、
図5、
図6参照)、反射側壁のセットの側壁363-366は、プラスチック材料から構成可能である。これらの側壁は、成形、特に射出成形により構成できる。この場合、側壁は、反射空洞400内の電磁波を反射可能な反射層で被覆される。この反射層は、クロムまたはアルミニウム等の金属を用いた物理的気相成長法(英語の略号PVD)により蒸着されるコーティングまたはメッキ(「coating/plating」)とすることができる。この反射層は、また、吹付けにより塗布される金属パウダー、あるいは挿入または接着されて一体成形されるメタリックフィルム、もしくは一体成形される金属ケージとすることができる。
【0061】
好ましくは、反射側壁363-366は、対置する第1組の反射側壁363-364と、第1組の反射側壁363-364にほぼ垂直な、対置する第2組の反射側壁365-366とを含む。同様に好ましくは、反射側壁のセット363-366の側壁が、第1の壁361と第2の壁362とにほぼ垂直である。さらに好ましくは、反射シェルを画定する壁のセット360の壁が、空洞400内の電磁波の反射を最適化するようにほぼ平面である。したがって、ハウジング350は、ほぼ平行六面体の形状を有する。
【0062】
次に、
図2と
図3を参照しながら第1の実施形態について説明する。
【0063】
この実施形態によれば、反射側壁のセット363-366の壁は、対置する第1組の反射側壁363-364と、第1組の側壁363-364にほぼ垂直な、対置する第2組の反射側壁365-366とを含む。さらに、反射側壁のセット363-366の壁は、第1の壁361と第2の壁362とにほぼ垂直である。
【0064】
壁360は、空洞400内の電磁波の反射を最適化するように、空洞400に対置する部分では少なくともほぼ平面である(
図3参照)。
【0065】
第1組の反射側壁363-364は、たとえば成形加加工されるアルミニウム製のフランジのペアを形成し(
図2参照)、第2組の反射側壁365-366の端部に封止式に嵌め込むことが可能である。
【0066】
第2組の反射側壁365-366は、たとえば、押出成形されたアルミニウム製の形鋼を所望の長さにカットした区間とすることができる。第1組の反射側壁363-364は、第1の壁361と第2の壁362を配置して所定の位置に保持するための溝/レールを含む。第1組の反射側壁363-364は、また、いっそう衝撃に耐え、および/または熱膨張の作用を制限するように、変形防止補剛材を含む。第1組の反射側壁363-364と第2組の反射側壁365-366との嵌合の深さと形状によって、電磁波の伝播を封止するバッフル効果ならびに面と面の間の垂直性を実現する。
【0067】
次に、
図4~
図6を参照しながら第2の実施形態について説明する。
【0068】
この実施形態によれば、ハウジング350は、2つの部分、カバー350Aと容器350Bとから構成される。各部分350A、350Bは、1個の底壁および/または複数の側壁を含む凹部を好ましくは形成する。
図4と
図5に示した1つの実施例によれば、各部分の側壁は、互いに2個の部分の固定周辺縁を形成するリムを備える。好ましくは、この周辺縁の全周にシール材が配置される。
【0069】
図示されていない変形実施形態によれば、カバー350Aをほぼ平面にし、すなわち側壁をなくすことができる。カバー350Aは、そのとき、この平面部分の延長線上に、容器350Bのリムに当接するリムを有する。この変形実施形態によれば、反射側壁のセット363-366は、容器350Bにより支持される。その逆に、容器を準平面とし、反射側壁のセット363-366をカバー350Aにより支持してもよい。
【0070】
図4は、上から見たハウジング350を示し、
図5は、下から見たハウジング350を示している。
【0071】
次に、アンテナ300の分解組立図である
図6を参照する。ハウジング350の第1の部分350Aはカバーを形成し、第1の壁361を収容する。好ましくは、このカバー350Aがその底壁に、ハウジング350の内部と外部の間で電磁波を伝送する領域426の正面に穴を含む。カバー350Aは、また、好ましくは側壁(穴を支持する壁以外の)に、導波管用のコネクタ370を含む。1つの別の変形実施形態によれば、特にカバー350Aが準平面であるとき、容器350Bは、好ましくは側壁に導波管用のコネクタ370を含む。
【0072】
ハウジング350の容器350Bは第2の壁362を収容する。この容器350Bは、その底壁に、コネクタ制御要素556を挿入可能なコネクタインターフェース353を含み、それが、メタサーフェス500を制御ハーネス800(図示せず)に接続する役割を果たす。
【0073】
この実施例によれば、ハウジング350がまた、被制御面の補助電子制御装置550を同様に含む。この補助電子制御装置550は、この実施例によれば、コネクタインターフェース353の正面で容器350Bの底壁と案内壁362との間に配置される。図示されていないが、好ましい1つの変形実施形態によれば、この補助電子制御装置が、好ましくは空洞に対して外側の面(362e)で案内壁362に直接組み込まれる。
【0074】
2個の部分350A、350Bの少なくとも一方の部分の側壁(底壁以外の壁)は、ハウジング350の反射側壁のセット363-366を形成する。
【0075】
この第2の実施形態の1つの変形実施形態によれば、カバー350Aと第1の壁361との間に第1のシール材381が配置される。第2の実施形態の1つの変形実施形態によれば、容器350Bと第2の壁362との間に第2のシール材382が配置される。
【0076】
次に、
図7と
図8を参照しながら第3の実施形態について説明する。
【0077】
まず、アンテナ300の分解組立図である
図7を参照する。この実施形態によれば、反射側壁のセット363-366は一体的に構成されており、第1の壁361で被覆されて第2の壁362の上に載せられるフレーム367を形成する。
【0078】
好ましくは、反射側壁363-366は、第2の壁362にフレーム367を固定可能にする縁をなすリムを含む。
【0079】
各部分350A、350Bは、1個の底壁と、2個の部分を互いに固定する周辺縁を形成するリムを備えた複数の側壁とを含む、凹部を形成する。好ましくは、この縁に沿って防水性のシール材が配置される。
【0080】
ハウジング350のカバー350Aはカバーを形成し、反射フレーム367を収容し、また、その底壁で第1の壁361を収容する。好ましくは、このカバー350Aが、その底壁においてハウジング350の内部と外部の電磁波伝送領域426の正面に、穴を含む。カバー350Aはまた、好ましくは側壁(穴を支持する壁以外の)に導波管用のコネクタ370を含む。
【0081】
ハウジング350の第2の部分350Bは容器を形成し、第2の壁362を収容する。この容器350Bは、その底壁に、コネクタ制御要素556を挿入可能なコネクタインターフェース353を含んでおり、メタサーフェス500を制御ハーネス800(図示せず)に接続する役割を果たす。
【0082】
この実施例によれば、ハウジング350は、また、被制御面の補助電子制御装置550を含む。この補助電子制御装置550は、この実施例によれば、コネクタインターフェース353の正面で容器350Bの底壁と案内壁362との間に位置する。図示されていないが、好ましい1つの変形実施形態によれば、補助電子制御装置は、好ましくは空洞に対して外側の面(362e)で案内壁362に直接組み込まれる。
【0083】
図8は、組立後の装置をよりよく理解するための
図7の指向性アンテナの斜視断面図である。
【0084】
この第2の実施形態の1つの変形実施形態によれば、第1のシール材381がカバー350Aと第1の壁361との間に配置される。この第2の実施形態の1つの変形実施形態によれば、容器350Bと第2の壁362との間にシール材382が配置される。
【0085】
図示されていない別の変形実施形態によれば、反射フレーム367が容器350Bにより収容され、カバー350Aをほぼ平面とすることができる。
【0086】
本発明は、また、少なくとも1つの本発明による指向性アンテナ300を含むレーダシステム200に関する。特定の1つの実施例を示す
図9を参照すると、レーダシステム200は、
-ハウジング350の外に離れて配置され、電磁波の第1の送信機931と第1の受信機932とを含む電子ユニット900と、
-第1の送信機931と空洞400の間および空洞400と第1の受信機932との間で電磁波を伝播するための少なくとも1つの導波管700と、
を含む。
【0087】
電子ユニット900は、60GHzを上回る周波数、特に75~80GHz、好ましくは77Gzで作用するように構成されている。
【0088】
好ましくは、電子ユニットがまた、第1の送信機931と第1の受信機932との電子制御装置940を含む。
【0089】
本発明は、また、本発明による指向性アンテナ300を含む車体部品100に関する。
【0090】
さらに、本発明は、また、本発明による車体部品100を含む自動車1に関する。
【0091】
本発明は、提示された実施形態に制限されるものではなく、当該技術の専門家にとっては他の実施形態が明らかになるであろう。
【符号の説明】
【0092】
1 自動車両
100 車体部品
200 レーダシステム
300 指向性アンテナ
350 指向性アンテナのハウジング
350A ハウジング350のカバー
350B ハウジング350の容器
360 壁のセット
361 伝送壁と呼ばれる第1の壁
362 案内壁と呼ばれる第2の壁
362e 空洞400に対して外側の壁362の面
362i 空洞400に対して壁362の内側の面
363-366 反射シェルの側壁
367 側壁363-366のセットにより形成される反射フレーム
370 導波管700のためのコネクタ
381 カバー350Aと第1の壁361との間に(伝送穴をまさに囲んで)位置する第1のシール材
382 容器350Bと第2の壁362との間に位置する第2のシール材
390 車体部品100へのハウジング350の固定手段
400 電磁波反射空洞
426 ハウジング350の内部と外部の間の、伝送壁361における電磁波伝送領域
500 メタサーフェス
510 プリント回路
550 被制御面の補助電子制御装置
556 被制御面の主要電子制御装置にメタサーフェスを接続可能な電子制御要素
700 導波管
900 レーダシステム200の電子ユニット
931 第1の電磁波送信機
932 第1の電磁波受信機
940 第1の送信機931および第1の受信機932の電子制御装置
【国際調査報告】