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特表2024-534893エラストマと充填剤とを有する複合材料を調製する方法
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  • 特表-エラストマと充填剤とを有する複合材料を調製する方法 図1
  • 特表-エラストマと充填剤とを有する複合材料を調製する方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】エラストマと充填剤とを有する複合材料を調製する方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/28 20060101AFI20240918BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20240918BHJP
   B29B 7/82 20060101ALI20240918BHJP
   B29K 19/00 20060101ALN20240918BHJP
   B29K 507/04 20060101ALN20240918BHJP
【FI】
B29B7/28
C08J3/20 B CEQ
B29B7/82
B29K19:00
B29K507:04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513950
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 US2022042465
(87)【国際公開番号】W WO2023034575
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】63/240,414
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521529592
【氏名又は名称】ビヨンド ロータス リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】マーティン シー.グリーン
(72)【発明者】
【氏名】カルロス アンドレ エチャバリア イエペス
【テーマコード(参考)】
4F070
4F201
【Fターム(参考)】
4F070AA04
4F070AA05
4F070AA06
4F070AA07
4F070AA08
4F070AA09
4F070AA16
4F070AA32
4F070AA33
4F070AA60
4F070AB10
4F070AB16
4F070AC04
4F070AC12
4F070AC13
4F070AC16
4F070AC23
4F070AC27
4F070AC72
4F070AC96
4F070AE01
4F070FA03
4F070FA14
4F070FB06
4F070FC03
4F201AA45
4F201AA46
4F201AA47
4F201AB11
4F201AB16
4F201AB17
4F201AB18
4F201AJ08
4F201AP15
4F201AR06
4F201AR09
4F201AR11
4F201BC01
4F201BC12
4F201BC13
4F201BC33
4F201BC37
4F201BK01
4F201BK14
4F201BK25
4F201BK26
4F201BK52
4F201BK74
(57)【要約】
少なくとも固体エラストマ及び湿潤充填剤から複合材料を調製する方法が本明細書に開示される。1つ以上の混合工程において、本方法は、少なくとも固体エラストマと湿潤充填剤とを混合して混合物を形成する工程と、蒸発によって混合物から液体の少なくとも一部分を除去する工程とを含む。ミキサの1つ以上のロータは、ミキサモータに機械的に結合され、工程(b)における混合の少なくとも一部分は、1つ以上のロータの回転速度が、(i)測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を計算し、(ii)測定されたミキサモータ出力が出力設定点から逸脱する場合に1つ以上のロータの回転速度を調整する、コントローラによって制御される出力制御下で実行される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料を調製する方法であって、
(a)1つ以上のロータを有するミキサに、少なくとも1つの固体エラストマと、湿潤充填剤であって、充填剤と、湿潤充填剤の総重量に基づいて少なくとも15重量%の量で存在する液体とを含む湿潤充填剤とを充填する工程と、
(b)1つ以上の混合工程において、前記少なくとも1つの固体エラストマと前記湿潤充填剤とを混合して混合物を形成し、蒸発によって前記混合物から前記液体の少なくとも一部分を除去し、前記混合工程の少なくとも1つにおいて、前記混合を行う工程であって、以下:
(i)前記ミキサが、65℃以上の温度Tzに設定される少なくとも1つの温度制御手段を有すること、及び
(ii)前記1つ以上のロータが、混合時間の少なくとも50%の間、少なくとも0.6m/sの先端速度で動作すること、のうちの少なくとも1つが適用される、工程と、
(c)前記ミキサから、少なくとも20phrの装填量で前記エラストマ中に分散された前記充填剤を含む前記複合材料を放出する工程であって、前記複合材料が、前記複合材料の総重量に基づいて10重量%以下の液体含有量を有する、工程とを含み、
前記1つ以上のロータが、ミキサモータに機械的に結合され、前記工程(b)における混合の少なくとも一部分が、コントローラであって、(i)測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を計算し、(ii)前記測定されたミキサモータ出力が前記出力設定点から逸脱する場合に前記1つ以上のロータの回転速度を調整するコントローラによって、前記1つ以上のロータの前記回転速度が制御される出力制御下で実行される、方法。
【請求項2】
工程(b)における前記混合の少なくとも一部分が、PID出力制御下で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記出力設定点が、比出力として表された場合に1~10kW/kgの範囲である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
(i)について、前記コントローラが、前記測定されたミキサモータ出力と前記出力設定点との間の差を連続的に計算する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記コントローラが、0.05秒~5秒の範囲の設定時間間隔で、前記測定されたミキサモータ出力と前記出力設定点との間の差を計算する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記コントローラが、0.05秒~1秒の範囲の設定時間間隔で、前記測定されたミキサモータ出力と前記出力設定点との間の差を計算する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
(ii)について、前記コントローラが、前記測定されたミキサモータ出力が前記出力設定点から逸脱する場合に前記1つ以上のロータの前記回転速度を連続的に調整する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記コントローラが、前記測定されたミキサモータ出力と前記出力設定点との間の差を自動的に計算し、前記測定されたミキサモータ出力が前記出力設定点から逸脱する場合に前記1つ以上のロータの前記回転速度を調整する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ミキサが、前記固体エラストマで充填され、前記混合が、前記湿潤充填剤を前記ミキサに充填した後に出力制御下で実行される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、前記ミキサに前記湿潤充填剤の少なくとも2つの部分を充填することを含み、前記混合が、前記湿潤充填剤の第1の部分を前記ミキサに充填した後に、出力制御下で実行される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記混合が、前記湿潤充填剤の各部分を前記ミキサに充填した後に、出力制御下で実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記湿潤充填剤の前記少なくとも2つの部分のうちの前記第1の部分が、前記ミキサに充填される前記湿潤充填剤の総量の少なくとも50重量%である、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記固体エラストマが、前記ミキサに前記湿潤充填剤の少なくとも一部分を充填する前に素練りされる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記固体エラストマが、前記ミキサに前記湿潤充填剤の少なくとも一部分を充填する前に素練りされない、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記充填剤が、炭素質材料、カーボンブラック、シリカ、ナノセルロース、リグニン、粘土、ナノ粘土、金属酸化物、金属炭酸塩、熱分解炭素、グラフェン、酸化グラフェン、還元酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、及びこれらの組み合わせ、並びにこれらのコーティング及び処理された材料から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記充填剤が、籾殻シリカ、リグニン、ナノセルロース、水熱炭素、及び改変多糖類、並びにこれらの組み合わせ、並びにこれらのコーティング及び処理された材料から選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記充填剤が、カーボンナノ構造体から選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記充填剤が、カーボンブラック、シリカ、ケイ素処理カーボンブラック、及びこれらのブレンドから選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記充填剤が、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、及びこれらのブレンドから選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記充填剤の少なくとも50%が、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、及びこれらのブレンドから選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記固体エラストマが、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、官能化スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、イソブチレン系エラストマ、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、ポリスルフィドゴム、ポリアクリレートエラストマ、フルオロエラストマ、パーフルオロエラストマ、シリコーンエラストマ、及びこれらのブレンドから選択される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記1つ以上のロータが、2翼ロータ、4翼ロータ、6翼ロータ、8翼ロータ、及び1つ以上のスクリューロータから選択される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記1つ以上のロータが、4翼ロータ、6翼ロータ、及び8翼ロータから選択される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記1つ以上のロータが、交差反転式ロータから選択される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
(c)における放出の時間までの(a)における充填の時間として定義される前記混合時間が、1分~9分の範囲である、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
(c)における放出の時間までの(a)における充填の時間として定義される前記混合時間が、3分~6分の範囲である、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記湿潤充填剤が、湿潤充填剤の総重量に基づいて少なくとも20重量%の量で存在する液体を有する、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記湿潤充填剤が、湿潤充填剤の総重量に基づいて40重量%~65重量%の範囲の量で存在する液体を有する、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記混合が2つ以上の混合工程で実行される、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
(a)における前記ミキサが第1のミキサであり、前記方法が、(c)からの前記複合材料の少なくとも一部分を第2のミキサ中で混合することを更に含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
(a)における前記ミキサが第1のミキサであり、前記方法が、
(d)(c)からの前記複合材料の少なくとも一部分を第2のミキサ中で混合する工程であって、前記第2のミキサが、以下の条件:
(i)5psi以下のラム圧;
(ii)ラムがその最高レベルの少なくとも75%まで上昇する;
(iii)ラムがフローティングモードで動作する;
(iv)ラムが前記混合物に実質的に接触しないように配置される;
(v)前記ミキサがラムレスである;及び
(vi)前記混合物の充填率が25%~70%の範囲である;のうちの少なくとも1つの下で動作する工程と、
(e)前記複合材料の総重量に基づいて3重量%未満の液体含有量を有する前記複合材料を前記第2のミキサから放出する工程と、を更に含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第1のミキサ及び前記第2のミキサが、同じである、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
前記第1のミキサ及び前記第2のミキサが、異なるミキサである、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項34】
前記第1のミキサ及び前記第2のミキサが、まとめてタンデムミキサである、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項35】
前記第2のミキサが、ラムレスである、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項36】
(d)における前記混合について、前記第2のミキサが、前記混合時間の少なくとも50%の間、前記条件(i)~(vi)のうちの少なくとも1つの下で動作する、請求項31~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記第2のミキサが、ミキサモータに機械的に結合された1つ以上のロータを有し、前記第2のミキサにおける前記混合の少なくとも一部分が、コントローラであって、(i)測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を計算し、(ii)前記測定されたミキサモータ出力が前記出力設定点から逸脱する場合に前記1つ以上のロータの回転速度を調整する、コントローラによって、前記1つ以上のロータの前記回転速度が制御される出力制御下で実行される、請求項30~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記第2のミキサにおける出力制御下での前記混合の少なくとも一部分が、前記ラムをその最高レベルの少なくとも75%まで上昇させた状態で実行される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第2のミキサにおける出力制御下での前記混合が、少なくとも1つの添加剤の添加後に実行される、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
複合材料を調製する方法であって、
(a)1つ以上のロータを有する第1のミキサに、少なくとも1つの固体エラストマと、湿潤充填剤であって、充填剤と、湿潤充填剤の総重量に基づいて少なくとも15重量%の量で存在する液体とを含む湿潤充填剤とを充填する工程と、
(b)1つ以上の混合工程において、前記少なくとも1つの固体エラストマと前記湿潤充填剤とを混合して混合物を形成し、蒸発によって前記混合物から前記液体の少なくとも一部分を除去し、前記混合工程の少なくとも1つにおいて、前記混合を行う工程であって、以下:
(i)前記ミキサが、65℃以上の温度Tzに設定される少なくとも1つの温度制御手段を有すること、及び
(ii)前記1つ以上のロータが、混合時間の少なくとも50%の間、少なくとも0.6m/sの先端速度で動作すること、のうちの少なくとも1つが適用され、
前記1つ以上のロータが、ミキサモータに機械的に結合され、工程(b)における前記混合の少なくとも一部分が、コントローラであって、(i)測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を計算し、(ii)前記測定されたミキサモータ出力が前記出力設定点から逸脱する場合に前記1つ以上のロータの回転速度を調整するコントローラによって、前記1つ以上のロータの前記回転速度が制御される出力制御下で実行される、工程と、
(c)前記第1のミキサから、少なくとも20phrの装填量で前記エラストマ中に分散された前記充填剤を含む前記混合物を放出する工程であって、前記混合物が、工程(b)の開始時の液体含有量未満の量に低減された液体含有量を有する、工程と、
(d)(c)からの前記混合物を第2のミキサ中で混合して、前記複合材料を得る工程と、を含む、方法。
【請求項41】
複合材料を調製する方法であって、
(a)1つ以上のロータを有する第1のミキサに、少なくとも1つの固体エラストマと、湿潤充填剤であって、充填剤と、湿潤充填剤の総重量に基づいて少なくとも15重量%の量で存在する液体とを含む湿潤充填剤とを充填する工程と、
(b)1つ以上の混合工程において、前記少なくとも1つの固体エラストマと前記湿潤充填剤とを混合して混合物を形成し、蒸発によって前記混合物から前記液体の少なくとも一部分を除去し、前記混合工程の少なくとも1つにおいて、前記混合を行う工程であって、以下:
(i)前記ミキサが、65℃以上の温度Tzに設定される少なくとも1つの温度制御手段を有すること、及び
(ii)前記1つ以上のロータが、混合時間の少なくとも50%の間、少なくとも0.6m/sの先端速度で動作すること、のうちの少なくとも1つが適用される、工程と、
(c)前記第1のミキサから、少なくとも20phrの装填量で前記エラストマ中に分散された前記充填剤を含む前記混合物を放出する工程であって、前記混合物が、工程(b)の開始時の液体含有量未満の量に低減された液体含有量を有する、工程と、
(d)(c)からの前記混合物を第2のミキサ中で混合して、複合材料を得る工程であって、
前記第2のミキサが、ミキサモータに機械的に結合される1つ以上のロータを有し、工程(b)における前記混合の少なくとも一部分が、コントローラであって、(i)測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を計算し、(ii)前記測定されたミキサモータ出力が前記出力設定点から逸脱する場合に前記1つ以上のロータの回転速度を調整するコントローラによって、前記1つ以上のロータの前記回転速度が制御される出力制御下で実行される、工程とを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
少なくとも固体エラストマと湿潤充填剤とを混合することによって複合材料を調製する方法であって、混合の一部分が出力制御下で実行される、方法が本明細書に開示される。また、本発明の方法によって製造された複合材料及びこれらの複合材料から誘導される対応する加硫物も開示される。
【背景技術】
【0002】
エラストマ中に充填剤を分散させる方法を開発することがゴム産業において常に望まれており、充填剤分散品質、時間、労力、及び/又はコストに関して効率的にそれを行うことができる方法を開発することが特に望ましい。
【0003】
商業的に重要な多数の製品は、補強充填剤が種々の合成エラストマ、天然ゴム、又はエラストマブレンドのいずれかに分散されているエラストマ組成物から形成されている。例えば、カーボンブラック及びシリカは、天然ゴム及び他のエラストマを強化するために広く使用されている。マスターバッチ、すなわち、補強充填剤、エラストマ、及びエキステンダ油などの様々な任意選択の添加剤の予備混合物を製造することが一般的である。次いで、このようなマスターバッチは、加工及び硬化添加剤と配合され、硬化すると、商業的に重要な多数の製品を生成する。
【0004】
ゴム配合物中の補強充填剤の良好な分散は、機械的強度並びに一貫したエラストマ複合材料及びゴム配合物の性能を達成する際の要因として認識されている。分散品質を改善する方法の開発に多大な努力が払われており、この課題に対処するために様々な解決策が提案されている。例えば、より激しい混合は、強化充填剤の分散を改善することができるが、充填剤が分散されているエラストマを劣化させる可能性がある。これは、特に乾式混合条件下で機械的/熱的劣化を非常に受けやすい天然ゴムの場合に、特に問題となる。
【0005】
したがって、対応する加硫ゴム配合物及びゴム物品における許容可能な又は向上した特性に変換することができる、エラストマ複合材料マスターバッチからの許容可能な又は向上したエラストマ複合材料分散品質及び機能を達成するために、固体エラストマに充填剤を組み込む方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
一態様は、複合材料を調製する方法であって、
(a)1つ以上のロータを有するミキサに、少なくとも固体エラストマと、湿潤充填剤であって、充填剤と湿潤充填剤の総重量に基づいて少なくとも15重量%の量で存在する液体とを含む、湿潤充填剤とを充填する工程と、
(b)1つ以上の混合工程において、少なくとも固体エラストマと湿潤充填剤とを混合して混合物を形成し、蒸発によって混合物から液体の少なくとも一部分を除去し、当該混合工程の少なくとも1つにおいて、当該混合を行う工程であって、以下のうちの少なくとも1つ:
(i)ミキサが、65℃以上の温度Tzに設定される少なくとも1つの温度制御手段を有すること、及び
(ii)1つ以上のロータが、混合時間の少なくとも50%の間、少なくとも0.6m/sの先端速度で動作すること、が適用される、工程と、
(c)ミキサから、エラストマ中に少なくとも20phrの装填量で分散された充填剤を含む複合材料を放出することであって、複合材料が、当該複合材料の総重量に基づいて10重量%以下の液体含有量を有する、工程とを含み、
1つ以上のロータが、ミキサモータに機械的に結合され、工程(b)における混合の少なくとも一部分が、1つ以上のロータの回転速度が、(i)測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を計算し、(ii)測定されたミキサモータ出力が出力設定点から逸脱する場合に1つ以上のロータの回転速度を調整する、コントローラによって制御される出力制御下で実行される、方法を提供する。
【0007】
別の態様は、複合材料を調製する方法であって、
(a)1つ以上のロータを有する第1のミキサに、少なくとも固体エラストマと、湿潤充填剤であって、充填剤と湿潤充填剤の総重量に基づいて少なくとも15重量%の量で存在する液体とを含む、湿潤充填剤とを充填する工程と、
(b)1つ以上の混合工程において、少なくとも固体エラストマと湿潤充填剤とを混合して混合物を形成し、蒸発によって混合物から液体の少なくとも一部分を除去し、当該混合工程の少なくとも1つにおいて、当該混合を行う工程であって、以下のうちの少なくとも1つ:
(i)ミキサが、65℃以上の温度Tzに設定される少なくとも1つの温度制御手段を有すること、及び
(ii)1つ以上のロータが、混合時間の少なくとも50%の間、少なくとも0.6m/sの先端速度で動作すること、が適用され、
1つ以上のロータが、ミキサモータに機械的に結合され、工程(b)における混合の少なくとも一部分が、1つ以上のロータの回転速度が、(i)測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を計算し、(ii)測定されたミキサモータ出力が出力設定点から逸脱する場合に1つ以上のロータの回転速度を調整する、コントローラによって制御される出力制御下で実行される、工程と、
(c)第1のミキサから、少なくとも20phrの装填量でエラストマ中に分散された充填剤を含む混合物を放出する工程であって、混合物が、工程(b)の開始時の液体含有量未満の量に低減された液体含有量を有する、工程と、
(d)(c)からの混合物を第2のミキサ中で混合して、複合材料を得る工程とを含む、方法を提供する。
【0008】
別の態様は、複合材料を調製する方法であって、
(a)1つ以上のロータを有する第1のミキサに、少なくとも固体エラストマと、湿潤充填剤であって、充填剤と湿潤充填剤の総重量に基づいて少なくとも15重量%の量で存在する液体とを含む、湿潤充填剤とを充填する工程と、
(b)1つ以上の混合工程において、少なくとも固体エラストマと湿潤充填剤とを混合して混合物を形成し、蒸発によって混合物から液体の少なくとも一部分を除去し、当該混合工程の少なくとも1つにおいて、当該混合を行う工程であって、以下のうちの少なくとも1つ:
(i)ミキサが、65℃以上の温度Tzに設定される少なくとも1つの温度制御手段を有すること、及び
(ii)1つ以上のロータが、混合時間の少なくとも50%の間、少なくとも0.6m/sの先端速度で動作すること、が適用される、工程と、
(c)第1のミキサから、少なくとも20phrの装填量でエラストマ中に分散された充填剤を含む混合物を放出する工程であって、混合物が、工程(b)の開始時の液体含有量未満の量に低減された液体含有量を有する、工程と、
(d)(c)からの混合物を第2のミキサ中で混合して、複合材料を得る工程であって、
第2のミキサが、ミキサモータに機械的に結合される1つ以上のロータを有し、工程(b)における混合の少なくとも一部分が、1つ以上のロータの回転速度が、(i)測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を計算し、(ii)測定されたミキサモー
タ出力が出力設定点から逸脱する場合に1つ以上のロータの回転速度を調整する、コントローラによって制御される出力制御下で実行される、工程とを含む、方法を提供する。
【0009】
本明細書に開示される任意の態様又は方法又は実施形態に関して、適用可能な場合、本方法は、以下の実施形態のうちの任意の1つ以上を更に含むことができる:工程(b)における混合の少なくとも一部分が、PID出力制御下で実行される;比出力として表される出力設定点が、1~10kW/kgの範囲である;(i)の場合、コントローラは、測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を連続的に計算する;コントローラは、0.05秒~5秒、例えば、0.05秒~1秒の範囲の設定時間間隔で、測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を計算する;(ii)の場合、コントローラは、測定されたミキサモータ出力が出力設定点から逸脱する場合に1つ以上のロータの回転速度を連続的に調整する;(ii)の場合、コントローラは、測定されたミキサモータ出力が出力設定点から逸脱する場合に1つ以上のロータの回転速度を連続的に調整する;コントローラは、測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を自動的に計算し、測定されたミキサモータ出力が出力設定点から逸脱する場合に1つ以上のロータの回転速度を調整する。
【0010】
本明細書に開示される任意の態様又は方法又は実施形態に関して、適用可能な場合、本方法は、以下の実施形態のうちの任意の1つ以上を更に含むことができる:ミキサに固体エラストマを充填し、ミキサに湿潤充填剤を充填した後、出力制御下で混合が実行される。本方法は、ミキサに湿潤充填剤の少なくとも2つの部分を充填することを含み、混合は、湿潤充填剤の第1の部分をミキサに充填した後に出力制御下で実行される;混合は、湿潤充填剤の各部分をミキサに充填した後に、出力制御下で実行される;湿潤充填剤の少なくとも2つの部分のうちの第1の部分は、ミキサに充填される湿潤充填剤の総量の少なくとも50重量%である;固体エラストマは、ミキサに湿潤充填剤の少なくとも一部分を充填する前に素練りされる;固体エラストマは、ミキサに湿潤充填剤の少なくとも一部分を充填する前に素練りされない。
【0011】
本明細書に開示される任意の態様又は方法又は実施形態に関して、適用可能な場合、本方法は、以下の実施形態のうちの任意の1つ以上を更に含むことができる。湿潤充填剤は、湿潤充填剤の総重量に基づいて少なくとも20重量%、例えば、40重量%~65重量%の範囲の量で存在する液体を有する;充填剤は、炭素質材料、カーボンブラック、シリカ、ナノセルロース、リグニン、粘土、ナノ粘土、金属酸化物、金属炭酸塩、熱分解炭素、グラフェン、酸化グラフェン、還元酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、及びこれらの組み合わせ、並びにこれらのコーティング及び処理された材料から選択される少なくとも1つの材料を含む;充填剤は、籾殻シリカ、リグニン、ナノセルロース、水熱炭素、人工多糖類、及びこれらの組み合わせ、並びにこれらのコーティング及び処理された材料から選択される;充填剤は、カーボンナノ構造体から選択される;充填剤は、カーボンブラック、シリカ、ケイ素処理カーボンブラック、及びこれらのブレンドから選択される;充填剤は、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、及びこれらのブレンドから選択される;充填剤の少なくとも50%は、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、及びこれらのブレンドから選択される;固体エラストマは、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、官能化スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、イソブチレン系エラストマ、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、ポリスルフィドゴム、ポリアクリレートエラストマ、フルオロエラストマ、パーフルオロエラストマ、シリコーンエラストマ、及びこれらのブレンドから選択される。
【0012】
本明細書に開示される任意の態様又は方法又は実施形態に関して、適用可能な場合、本方法は、以下の実施形態のうちの任意の1つ以上を更に含むことができる:1つ以上のロータは、2翼ロータ、4翼ロータ、6翼ロータ、8翼ロータ、及び1つ以上のスクリューロータから選択される;1つ以上のロータは、4翼ロータ、6翼ロータ、及び8翼ロータから選択される;1つ以上のロータは、交差反転式ロータから選択される;(c)における放出時間までの(a)における充填時間として定義される混合時間は、1分~9分、例えば、3分~6分の範囲である。
【0013】
本明細書に開示される任意の態様又は方法又は実施形態に関して、適用可能な場合、本方法は、以下の実施形態のうちの任意の1つ以上を更に含むことができる:混合は、2つ以上の混合工程で実行される;(a)におけるミキサは第1のミキサであり、本方法は、(c)からの複合材料の少なくとも一部分を第2のミキサ中で混合することを更に含む;(a)におけるミキサは第1のミキサであり、本方法は、(d)(c)からの複合材料の少なくとも一部分を第2のミキサ中で混合する工程であって、第2のミキサが、以下の条件:(i)5psi以下のラム圧;(ii)ラムがその最高レベルの少なくとも75%まで上昇する;(iii)ラムがフローティングモードで動作する;(iv)ラムが混合物に実質的に接触しないように配置される;(v)ミキサが、ラムレスである;及び(vi)混合物の充填率が25%~70%の範囲である;のうちの少なくとも1つの下で動作する、工程と、(e)当該複合材料の総重量に基づいて3重量%未満の液体含有量を有する複合材料を、第2のミキサから放出する工程であって;第1のミキサと第2のミキサは、同一である;第1のミキサと第2のミキサは、異なるミキサである;第1のミキサと第2のミキサは、まとめてタンデムミキサである;第2のミキサは、ラムレスである、工程;(d)における混合の場合、第2のミキサは、混合時間の少なくとも50%の間、以下の条件(i)~(vi)の少なくとも1つの下で動作する。
【0014】
本明細書に開示される任意の態様又は方法又は実施形態に関して、適用可能な場合、本方法は、以下の実施形態のうちの任意の1つ以上を更に含むことができる:(a)におけるミキサは、第1のミキサであり、本方法は、(c)からの複合材料の少なくとも一部分を第2のミキサ中で混合することを更に含み、第2のミキサは、ミキサモータに機械的に結合された1つ以上のロータを有し、第2のミキサにおける混合の少なくとも一部分は、1つ以上のロータの回転速度が、(i)測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を計算し、(ii)測定されたミキサモータ出力が出力設定点から逸脱する場合に1つ以上のロータの回転速度を調整する、コントローラによって制御される出力制御下で実行される;第2のミキサにおける出力制御下での混合の少なくとも一部分は、ラムがその最高レベルの少なくとも75%まで上昇した状態で実行され;第2のミキサにおける出力制御下での混合は、少なくとも1つの添加剤の添加後に実行される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】比較例の第1段階の混合の混合曲線を示す。
【0016】
図2】実施例1の第1段階の混合の混合曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
国際公開第2020/247663(A1)号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)は、固体エラストマと、充填剤及び液体を含む湿潤充填剤との混合プロセスを記載している。バッチプロセスに適用される場合、液体(例えば、水)の存在は、乾燥混合プロセスと比較して滞留時間を増加させ、これは、エラストマの実質的な分解なしに充填剤分散の改善を可能にすることができる。特定の条件下では、例えば、スケールアップする場合、かなりの量の液体を除去する必要があり、それによってバッチ時間が増加する。バッチ時間は、従来の乾式混合プロセスよりも最大2~5倍長くなることがある。
【0018】
バッチ時間は、ミキサロータの回転速度を最大にすることによって短縮することができ、これにより入力出力が最大化される。ミキサへの出力入力は発生する熱の量に比例するので、出力入力を増加させると水の蒸発速度が上昇する。しかしながら、回転速度を上昇させることができる程度は、以下の要因のうちの1つ以上によって制限される:
ミキサロータの速度能力、及び/又は
成分添加後の過剰な出力ピーク(成分添加後に回転速度が高すぎる場合、結果として生じる出力ピークはミキサの能力を超える可能性がある)、及び/又は
過剰な蒸気生成(回転速度が高すぎる場合、ミキサは、ミキサ換気システムのために過剰な蒸気を生成する可能性があり、これにより、更なる成分を添加するためにミキサラムがその後上昇したときに安全性の問題を引き起こす可能性がある)。
【0019】
本明細書に開示されるのは、少なくとも湿潤充填剤及び固体エラストマから形成される混合物の混合の少なくとも一部分のためのミキサ出力制御を通じて、ロータの回転速度(ロータ速度)を制御することによって混合時間を短縮する方法である。混合時間は、単一段階又は第1段階のバッチ時間であり得る。したがって、本明細書に開示される一態様は、複合材料を調製する方法であって、
(a)1つ以上のロータを有するミキサに、少なくとも固体エラストマと、湿潤充填剤であって、充填剤と湿潤充填剤の総重量に基づいて少なくとも15重量%の量で存在する液体とを含む、湿潤充填剤とを充填する工程と、
(b)1つ以上の混合工程において、少なくとも固体エラストマと湿潤充填剤とを混合して混合物を形成し、蒸発によって混合物から液体の少なくとも一部分を除去し、当該混合工程の少なくとも1つにおいて、当該混合を行う工程であって、以下のうちの少なくとも1つ:
(i)ミキサが、65℃以上の温度Tzに設定される少なくとも1つの温度制御手段を有すること、及び
(ii)1つ以上のロータが、混合時間の少なくとも50%の間、少なくとも0.6m/sの先端速度で動作すること、が適用される、工程と、
(c)ミキサから、エラストマ中に少なくとも20phrの装填量で分散された充填剤を含む複合材料を放出することであって、複合材料が、当該複合材料の総重量に基づいて10重量%以下の液体含有量を有する、工程とを含み、
1つ以上のロータが、ミキサモータに機械的に結合され、工程(b)における混合の少なくとも一部分は、1つ以上のロータの回転速度が、(i)測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を計算し、(ii)測定されたミキサモータ出力が出力設定点から逸脱する場合に1つ以上のロータの回転速度を調整する、コントローラによって制御される出力制御下で実行される、方法である。
【0020】
複合材料を調製する方法は、少なくとも固体エラストマ及び湿潤充填剤をミキサに充填又は導入する工程を含む。固体エラストマと湿潤充填剤とを組み合わせることにより、混合工程中に混合物が形成される。本方法は、1つ以上の混合工程(例えば、1つの混合工程)において、液体の少なくとも一部分が蒸発又は混合中に行われる蒸発プロセスによって除去される、当該混合を行うことを更に含む。湿潤充填剤の液体は、蒸発によって除去することができ(少なくとも一部分は、特許請求された混合条件下で除去することができ)、揮発性液体であることができ、例えば、バルク混合物温度で揮発性であることができる。例えば、揮発性液体は、混合の少なくとも一部分の際に存在し得る油(例えば、エキステンダ油、プロセス油)と区別することができ、そのようなものとして油は、放出される複合材料中に存在することを意味し、したがって、混合時間の大部分の際に蒸発しない。
【0021】
本発明の湿潤充填剤では、液体又は追加の液体を、充填剤に添加することができ、この液体又は追加の液体は、充填剤の表面の大部分又は実質的に全ての表面に存在し、当該表面は、液体にアクセス可能な内面又は細孔を含むことができる。したがって、固体エラストマと混合する前に、充填剤の表面の大部分又は実質的に全てを湿潤させるのに十分な液体が提供される。混合中、液体の少なくとも一部分は、湿潤充填剤が固体エラストマ中に分散されているときに蒸発によって除去することもでき、次いで、充填剤の表面は、固体エラストマと相互作用するのに利用可能になり得る。
【0022】
充填剤を湿潤させるために使用される液体は、限定されないが、水等の水性液体であり得るか、又はそれを含み得る。液体は、少なくとも1つの他の成分、例えば、限定されないが、塩基、酸、塩、溶媒、界面活性剤、及び/若しくは加工助剤、並びに/又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。液体は、使用されるエラストマと不混和性である溶媒(例えば、エタノールなどのアルコール)であり得るか、又はそれを含み得る。あるいは、液体は、液体の総重量に基づいて約80重量%~100重量%の水又は90重量%~99重量%の水からなる。
【0023】
固体エラストマ及び/又は湿潤充填剤の充填は、1つの工程若しくは添加で、又は複数の工程若しくは添加で行うことができる。固体エラストマの充填及び湿潤充填剤の充填は、全て一度に、又は逐次的に(単一又は複数部分として)行うことができ、任意の順序で行うことができる。一選択肢として、湿潤充填剤は、2つ以上の部分に分けてミキサに充填される。別の選択肢として、固体エラストマの少なくとも一部分又は実質的に全て(例えば、少なくとも90%)がミキサに充填された後に、湿潤充填剤がミキサに充填される。例えば、充填は、実質的に全て又は全ての固体エラストマをミキサに充填し、続いて湿潤充填剤の2つ以上の部分をミキサに充填することを含むことができる。湿潤充填剤の第1の部分は、任意選択で、ミキサに充填される湿潤充填剤の総量の少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%に相当する。別の選択肢として、湿潤充填剤の第1の部分は、任意選択で、ミキサに充填される湿潤充填剤の総量の50~95重量%(例えば、60~95重量%、70~95重量%、80~95重量%、90~95重量%、又は90~99重量%)に相当する。固体エラストマ又は湿潤充填剤の充填は、当技術分野で知られているような搬送、計量、投入、及び/又は供給を含むが、これらに限定されない任意の様式で行うことができる。
【0024】
混合に関して、混合は、1つ以上の混合工程で実行することができる。混合は、少なくとも固体エラストマ及び湿潤充填剤がミキサに充填され、ミキサの1つ以上のロータを駆動するモータにエネルギーが加えられると開始される。1つ以上の混合工程は、充填工程が完了した後に行い得るか、又は任意の長さの時間にわたって充填工程と重複し得る。例えば、固体エラストマ及び/又は湿潤充填剤のうちの1つ以上の一部分を、混合が開始される前又は後にミキサに充填することができる。次いで、ミキサに、湿潤充填剤及び/又は固体エラストマの1つ以上の追加部分を充填することができる。バッチ混合の場合、充填工程は混合工程が完了する前に完了する。
【0025】
湿潤充填剤を固体エラストマと混合する場合、特定の混合条件を適用することができる。例えば、ミキサは、ミキサの少なくとも1つの表面の温度を制御するための温度制御手段を有することができる。一選択肢として、ミキサ温度は、充填工程及び少なくとも1つの混合工程の両方の際に制御することができる。温度制御手段は、ミキサの少なくとも1つの表面及び/又は1つ以上の部分を加熱又は冷却する、ミキサ上及び/又はミキサ内の、あるいはミキサに付随した(例えば、ミキサに接続された)温度制御デバイスであり得る。温度制御手段は、限定されるものではないが、ミキサの1つ以上の部分におけるチャネルを通る伝熱流体の流れ又は循環であり得る。例えば、伝熱流体は、水又は伝熱油であり得る。例えば、伝熱流体は、ロータ、混合チャンバ壁、ラム、及びドロップドアを通って流れることができる。他の実施形態では、伝熱流体は、ジャケット(例えば、流体流手段を有するジャケット)又はミキサの1つ以上の部分の周りのコイル内を流れることができる。別の選択肢として、温度制御手段(例えば、熱を供給する)は、ミキサに埋め込まれた電気素子であり得る。温度制御手段を提供するシステムは、伝熱流体の温度又はミキサの1つ以上の部分の温度のいずれかを測定する手段を更に含むことができる。温度測定値は、伝熱流体の加熱及び冷却を制御するために使用されるシステムに供給することができる。例えば、ミキサの少なくとも1つの表面の所望の温度は、ミキサの1つ以上の部分、例えば、壁、ドア、ロータなどに隣接するチャネル内に位置する伝熱流体の温度を設定することによって制御することができる。
【0026】
少なくとも1つの温度制御手段の温度は、一例として、1つ以上の温度制御ユニット(「TCU」)によって設定及び維持することができる。この設定温度又はTCU温度は、本明細書では「Tz」とも呼ばれる。伝熱流体を組み込む温度制御手段の場合、Tzは、流体自体の温度の指標である。
【0027】
一選択肢として、温度制御手段は、少なくとも65℃、例えば、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも90℃、又は65℃~140℃、若しくは65℃~130℃、65℃~120℃、65℃~110℃、65℃~100℃、65℃~95℃、70℃~140℃、70℃~130℃、70℃~120℃、70℃~110℃、70℃~100℃、80℃~140℃、80℃~130℃、80℃~120℃、80℃~110℃、80℃~100℃の範囲、又はおおよそこれらの範囲の他の温度の温度Tzに設定することができる。
【0028】
温度制御手段及びTzの更なる特徴は、国際公開第2020/247663(A1)号に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
一選択肢として、プロセスは、混合工程の少なくとも1つにおいて、1つ以上のロータが混合時間の少なくとも50%にわたって少なくとも0.5m/sの先端速度で、又は混合時間の少なくとも50%にわたって少なくとも0.6m/sの先端速度で動作するように混合を行うことを含む。ミキサモータに入力される出力は、少なくとも部分的に、少なくとも1つのロータ及びロータタイプの速度の関数である。ロータ直径及びロータ速度を考慮に入れた先端速度は、以下の式に従って計算することができる。
先端速度、m/s=π×(ロータ直径、m)×(回転速度、rpm)/60
【0030】
先端速度は混合の過程にわたって変化し得るので、任意選択で、少なくとも0.5m/s又は少なくとも0.6m/sの先端速度が、混合時間の少なくとも50%、例えば、混合時間の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は実質的に全てにわたって得られる。先端速度は、混合時間の少なくとも50%又は上に列挙した混合の他の部分にわたって、少なくとも0.6m/s、少なくとも0.7m/s、少なくとも0.8m/s、少なくとも0.9m/s、少なくとも1.0m/s、少なくとも1.1m/s、少なくとも1.2m/s、少なくとも1.5m/s、又は少なくとも2m/sであり得る。先端速度は、混合時間を最小化するように選択され得るか、又は(例えば、混合時間の少なくとも50%又は本明細書に記載される他の混合時間にわたって)0.6m/s~10m/s、0.6m/s~8m/s、0.6~6m/s、0.6m/s~4m/s、0.6m/s~3m/s、0.6m/s~2m/s、0.7m/s~4m/s、0.7m/s~3m/s、0.7m/s~2m/s、0.7m/s~10m/s、0.7m/s~8m/s、0.7~6m/s、1m/s~10m/s、1m/s~8m/s、1m/s~6m/s、1m/s~4m/s、1m/s~3m/s、又は1m/s~2m/sであり得る。代替的又は追加的に、先端速度は、スループットを最大化するように選択することができる。時間/スループットは、混合時間が減少するにつれて、放出された複合材料中の液体レベルが増加し得ることを考慮に入れることができる。特定の状況では、放出される複合材料の所望の液体含有量とバランスのとれたより高いスループットのために、高い先端速度で混合を実行することが有益であり得る(例えば、過度に速い先端速度は、より短い滞留時間又は混合時間を引き起こして、十分な充填剤分散も複合材料からの液体の十分な除去も可能にし得ない)。
【0031】
先端速度を制御するための追加の特徴は、国際公開第2020/247663(A1)号に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
混合時には、回転速度(rpm)を固定値に設定することが一般的である。しかしながら、回転速度が固定されている一方、ミキサによって使用される出力は可変であり得る。例えば、出力ピークは、1つ以上の成分、例えば、特定の追加の充填剤及び特定のエラストマの添加中に生じ得る。他の例では、出力低減は、他の成分、例えば、劣化防止剤などの添加剤の添加で生じ得る。一態様は、可変出力問題に対処する混合方法を提供する。
【0033】
ミキサは、バッチミキサ、例えば密閉された混合チャンバを有する密閉式ミキサであり得る。密閉式ミキサの例としては、接線ミキサ及び交差反転式ミキサが挙げられる。ミキサのチャンバ容量は、少なくとも1L、少なくとも10L、少なくとも20L、少なくとも30L、少なくとも50L、少なくとも100L、又は少なくとも1000L、例えば1L~1500L、10L~1500L、20L~1500L、30L~1500L、10L~1000L、20L~1000L、30L~1000L、10L~100L、20L~100L、又は30L~100Lであり得る。混合は、モータに機械的に結合されたチャンバ内に配置された少なくとも1つのロータを用いて実行される。例えば、少なくとも1つのロータ又は1つ以上のロータは、スクリュー型ロータ、交差反転式ロータ、接線ロータ、混練ロータ、及び押出機に使用されるロータであり得る。概して、1つ以上のロータがミキサ内で利用され、例えば、ミキサは、1つのロータ(例えば、スクリュー型ロータ)、2つ、4つ、6つ、8つ、又はそれ以上のロータを組み込むことができる。ロータのセットは、所与のミキサ構成内で平行の配向及び/又は順次の配向で配置することができる。一選択肢として、少なくとも1つのロータは、2翼ロータ、4翼ロータ、6翼ロータ、8翼ロータ、又は当技術分野で知られている他のロータ(例えば、交差反転式ロータ)から選択することができる。別の選択肢として、少なくとも1つのロータは、4翼ロータ、6翼ロータ、8翼ロータから選択することができる。
【0034】
一態様は、ロータの回転速度を制御するように構成されたコントローラを提供する。コントローラは、産業用制御システム(プログラマブルロジックコントローラ、PLCなど)で提供されるソフトウェアであってもよく、又はスタンドアロンコントローラであってもよい。一選択肢として、コントローラは、ミキサのロータの回転速度の比例積分微分制御を実行するという点で、比例積分微分(PID)コントローラである。一選択肢として、混合は、微分を用いない(又は微分が0に設定される)比例及び積分制御下で実行することができる。
【0035】
コントローラは、(i)測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を計算し、(ii)測定されたミキサモータ出力が出力設定点から逸脱する場合に1つ以上のロータの回転速度を調整する。コントローラ(制御ループを有する)は、モータを駆動するシステム(1つ以上のモータを駆動するモータ駆動システム)に信号を中継するように構成され、信号は、ロータの速度を示す。モータは、1つ以上のロータに機械的に結合され、モータは、電気的又は油圧的に動力を供給され得る。モータは、ロータに結合されたギアボックスに結合することができる。センサは、(消費された電力を測定するために)モータへの電源上に位置することができ、又は、モータによって生成された出力を計算することができる回転速度及び力を測定するために、シャフトに配置する、又は他の方法で取り付ける若しくは結合することができる。当技術分野で知られている他の機械的結合も使用することができる。
【0036】
出力制御(例えば、PID出力制御)又は出力制御ループは、ミキサモータ出力を測定して、測定されたモータ出力を得ることを含むことができ、例えば、コントローラは、モータから出力消費信号を受信し、出力消費信号は、モータによって生成された出力レベルを表す。モータのための出力設定点は、事前定義され(目標とされ)、出力を設定値内に制約する役割を果たす。一選択肢として、出力設定点(比出力として表される)は、1~10kW/kg、例えば、1~9kW/kg、1~8.5kW/kg、1~8kW/kg、1~7kW/kg、1~6kW/kg、1~5kW/kg、1~4kW/kg、2~10kW/kg、2~9kW/kg、2~8.5kW/kg、2~8kW/kg、2~7kW/kg、3~10kW/kg、3~9kW/kg、3~8.5kW/kg、3~8kW/kg、3~7kW/kg、4~10kW/kg,例えば、4~9kW/kg、4~8.5kW/kg、4~8kW/kg、4~7kW/kg、5~10kW/kg、5~9kW/kg、5~8.5kW/kg、5~8kW/kg、5~7kW/kg、又は4.3~8.5kW/kgの範囲である。一選択肢として、第1段階又は単一段階の混合の比出力として表される出力設定点は、1~10kW/kgの範囲、及び本明細書に開示されるようなその間の他の範囲である。別の選択肢として、第1段階又は単一段階の混合の比出力として表される出力設定点は、4~10kW/kgの範囲、及び本明細書に開示されるようなその間の他の範囲である。コントローラ(例えば、PIDコントローラ)は、例えば、出力消費信号と出力設定点との間の差に基づいて入力信号を決定することによって、測定されたモータ出力と出力設定点との間の差を計算するように構成することができる。この差を使用して、測定されたミキサモータ出力が出力設定点から逸脱する場合、1つ以上のロータの回転速度(rpm)を計算及び調整する(又は回転速度に補正を適用する)。
【0037】
典型的には、コントローラは、測定されたモータ出力と出力設定点との間の差を連続的に計算する。「連続的に」とは、計算が設定時間間隔で繰り返し実行されることを意味する。設定時間間隔は、数秒又は数分の一秒の程度(例えば、5秒毎、4秒毎、3秒毎、2秒毎、1秒毎、0.5秒毎、0.2秒毎、0.1秒毎、0.05秒、又は当技術分野で公知の他の間隔)であり得、例えば、0.05秒~5秒、0.05秒~4秒、0.05秒~3秒、0.05秒~2秒、0.05秒~1秒、0.05秒~0.75秒、0.05秒~0.5秒、0.05秒~0.4秒、0.05秒~0.3秒、0.05秒~0.2秒、又は0.05秒~0.1秒の範囲であり得る。したがって、測定されたモータ出力と出力設定点との間の差は、連続的に計算され、コントローラは、測定された出力が出力設定点から逸脱する場合、回転速度を調整する。多くの場合、測定された出力はほとんど常に出力設定点から逸脱し、コントローラは回転速度を連続的に調整する。一選択肢として、コントローラプロセスは自動化される。コントローラは、モータ出力を自動的に測定し、測定されたモータ出力と出力設定点との間の差を計算し、ロータの回転速度(rpm)を調整し、それによって制御する。
【0038】
出力制御(例えば、PID出力制御)下での混合は、コントローラが、測定された出力と出力設定点との間の差を計算し、(必要な場合)所定の出力制約、すなわち、出力設定点内で回転速度を調整するので、混合時間(バッチ時間)を低減することができる。例えば、ゴム混合では、充填剤を添加した後、充填剤がエラストマに組み込まれる際、通常、大きな出力ピークを有する。この状況において、出力制御ループ(例えば、PID出力制御ループ)は、過剰な出力使用を回避するために回転速度を緩やかにする。出力設定点を超えた場合、コントローラは、この差を検出し、ロータの回転速度を調整する(この場合、低下させる)。充填剤の組み込みが進むにつれて、出力使用量は概して低下する(モータからの出力消費信号が減少する)。出力が出力設定点未満に低下した場合、出力制御ループは、出力設定点を達成するために回転速度を(自動的に)調整する(この場合、上昇させる)。出力使用量(出力消費信号)の高い極値及び低い極値を排除し、可能な場合に回転速度を増加させることによって、過剰な出力使用量に関連する安全上の問題を回避しながら、バッチ時間を最小化することができる。
【0039】
一選択肢として、(b)における混合(混合時間又はバッチ時間)の少なくとも10%を出力制御下で実行することができ、例えば、混合の少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、例えば、混合の25%~100%、25%~75%、又は25%~50%が出力制御下で実行される。混合の1つ以上の部分は、出力制御下で実行することができ、混合の2つ以上の部分が出力制御下で実行される場合、それらの部分の各々に対する出力設定点は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、混合は、各成分(例えば、湿潤充填剤の1つ以上の部分及び/又はエラストマの1つ以上の部分及び/又は本明細書に記載される少なくとも1つの添加剤の1つ以上の部分)を混合に添加(充填)した後に、出力制御下で実行することができる。
【0040】
固体エラストマの充填及び湿潤充填剤の充填は、全て一度に、又は逐次的に行うことができ、任意の順序で行うことができる。固体エラストマ及び湿潤充填剤の1つ以上の部分をミキサに充填することができる。例えば、(a)全ての固体エラストマが最初に添加され、続いて全ての湿潤充填剤が添加される、(b)全ての湿潤充填剤が最初に添加され、続いて全ての固体エラストマが添加される、(c)全ての固体エラストマが最初に添加され、湿潤充填剤の一部分が添加され、続いて湿潤充填剤の1つ以上の残りの部分が添加される、(d)固体エラストマの一部分が最初に添加され、続いて湿潤充填剤の一部分が添加され、固体エラストマ及び湿潤充填剤の残りの部分が任意の順序で同時に又は逐次的に添加される、(e)湿潤充填剤の一部分が最初に添加され、続いて固体エラストマの一部分が添加され、固体エラストマ及び湿潤充填材の残りの部分が任意の順序で同時に又は逐次的に添加される、又は(f)同時に又はほぼ同時に、固体エラストマの一部分及び湿潤充填剤の一部分が別個の充填物としてミキサに添加され、固体エラストマ及び湿潤充填剤の残りの部分が任意の順序で同時に又は逐次的に添加される。工程(a)~(f)はまた、少なくとも1つの添加剤をミキサに充填する工程を含むことができる。混合は、湿潤充填剤の少なくとも一部分及び固体エラストマの少なくとも一部分がミキサに充填されている任意のシナリオ下で、出力制御下で実行することができる。
【0041】
充填工程の一選択肢として、湿潤充填剤の少なくとも一部分を充填する前に固体エラストマをミキサに充填することができ、固体エラストマは、湿潤充填剤をミキサに充填する前に、固体エラストマが所定の温度、例えば約90℃又は100℃以上の温度に達するまで素練りされる。この温度は、90℃~180℃、100℃~180℃、110℃~170℃、120℃~160℃、又は130℃~160℃であり得る。エラストマは、同じミキサ又は異なるミキサ、例えば、バンバリーミキサ若しくはブラベンダーミキサなどの密閉式ミキサ、押出機、ロールミル、連続配合機、又は他のゴム混合装置を使用して素練りすることができる。別の選択肢として、ミキサに充填される固体エラストマは、ミキサに湿潤充填剤の少なくとも一部分を充填する前に素練りされない。
【0042】
一選択肢として、混合は、ミキサに湿潤充填剤を充填した後、又は複数部分の湿潤充填剤が使用される場合には湿潤充填剤の各充填後に、出力制御下で実行される。特定の例として、ミキサに最初に固体エラストマの少なくとも一部分を充填し、続いて湿潤充填剤の1つ以上の部分をミキサに充填することができる。次いで、湿式充填剤の添加又は充填の後に、出力制御下で混合を実行することができる。固体エラストマの追加部分は、湿潤充填剤の少なくとも一部分がミキサに充填された後にミキサに充填することができる。
【0043】
別の例として、湿潤充填剤の少なくとも一部分を最初にミキサに充填し、続いて少なくとも1つのエラストマを充填する。一選択肢として、湿潤充填剤の少なくとも一部分が最初にミキサに充填されるとき、実質的に全ての混合が出力制御下で実行される。湿潤充填剤は、ミキサに充填する前に調製することができ、又はミキサ内で、その場(in situ)で、例えば、ミキサに乾燥充填剤及び液体を充填することによって調製することができる。湿潤充填剤の1つ以上の部分(例えば、少なくとも2つの部分)をミキサに充填することができ、混合は、湿潤充填剤の部分のいずれか又は全てをミキサに充填した後に、出力制御下で実行することができる。一選択肢として、混合は、湿潤充填剤の各部分をミキサに充填した後に、出力制御下で実行される。一選択肢として、ミキサに充填される湿潤充填剤の第1の部分は、ミキサに充填される湿潤充填剤の総量の少なくとも50重量%、又は本明細書に開示される他の量である。別の選択肢として、ミキサに少なくとも固体エラストマを充填し、少なくとも1つの添加剤、例えば少なくとも1つの劣化防止剤をミキサに充填した後に、出力制御下で混合を行う。出力制御は、ミキサに湿潤充填剤(又は湿潤充填剤の一部分)を充填した直後、又はミキサ内の圧力がラムを(実質的に)降下させるのに十分に低いことを確実にするために混合物がある時間混合された後のいずれかで開始することができる。
【0044】
混合における出力制御(例えば、PID出力制御)の使用は、過剰/不十分な出力使用に対する追加の保護層を提供することができる。例えば、コントローラアウトプットに対する制限を設定することができ、例えば、制御ループの最大及び最小アウトプット(rpm)制限を事前定義することによって最大及び/又は最小回転速度を設定することができる。最大限度は、ミキサの最大rpm能力に設定することができ、又はより低い値に設定することができる。出力設定点は、任意の数の要因を考慮することによって選択することができる。一例として、設定点は、混合工程における任意の時点での成分添加及び/又は蒸気生成から生じ得る過剰な出力使用を回避するように選択することができる。設定点はまた、例えば、出力ピークが予期されないときに、ロータの回転速度能力を最大化するように選択することができる。一例として、より速い回転速度を適用して、湿潤充填剤からミキサに導入された液体の蒸発速度の上昇を支援することができる。
【0045】
そのようなより速い回転速度の使用は、システムから水を急速に蒸発させる及び/又は別様に除去する必要があり得るため、湿潤充填剤との混合に固有であり得る。これは、バッチ時間がより短く、実質的にエラストマを劣化させることなくエラストマ中の充填剤分散を改善するためにバッチ時間を増加させることが課題である、典型的な乾式混合プロセスとは対照的である。
【0046】
本明細書に開示される任意の態様では、コントローラは、モータを駆動するように構成された制御ループを有することができる。初期制御信号が制御ループに中継され、それによってモータがロータを回転させる。出力消費信号がモータから受信され、出力消費信号は、モータによって生成される出力レベルを表す。本方法は、測定されたモータ出力(出力消費信号)とモータの出力設定点との間の差に基づいて入力信号を決定することを更に含むことができる。次に、入力信号は、制御ループに中継される。それによって、コントローラは(制御ループを介して)ロータの回転を修正又は調整することができる。
【0047】
出力制御ループ(例えば、PID出力制御ループ)への(測定されたモータ出力と出力設定点との間の差に基づく)入力信号が、プロセスにおける変動及び/又は他のランダム変動により可変であることは珍しくなく、特定の事例において、(例えば、出力の)安定した制御を達成することを困難にし得る。一選択肢として、変動を低減するために入力信号に信号処理を適用することができる。あるクラスの信号処理は、フィルタを含む。入力信号を中継する前にフィルタを適用して、測定されたモータ出力と出力設定点との間の差を計算することができる。フィルタは、当技術分野でよく知られており、そのようなフィルタの例は、カルマンフィルタである。入力信号は、信号対雑音比を有する。フィルタを用いて、コントローラは、入力信号をフィルタリングして、入力信号と比較して増加した信号対雑音比を有するフィルタリングされた入力信号を生成するように構成することができる。並行して、コントローラは(出力制御ループを介して)、フィルタリングされた入力信号に基づいて制御信号を生成するように構成することができる。
【0048】
国際公開第2020/247663(A1)号に開示されているものなど、1つ以上のロータ、温度制御手段、及び他の構成要素を有する市販のミキサ、並びにゴム配合物を生成するための関連する混合方法のいずれか1つ又は組み合わせを、本方法において使用することができ、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
「1つ以上の混合工程」とは、本明細書に開示される工程が、第1の混合工程と、それに続く放出前の更なる混合工程とであってもよいことが理解される。あるいは、1つ以上の混合工程は、単一混合工程、例えば、1段階又は単一段階混合工程又はプロセスであってもよく、混合は、以下の条件の1つ以上の下で実行される:ミキサ温度の少なくとも1つは、混合時間の少なくとも50%にわたって少なくとも0.6m/sの先端速度で動作する1つ以上のロータを有する温度制御手段によって制御される、及び/又は少なくとも1つの温度制御手段は、65℃以上の温度Tzに設定されるものである。ある特定の場合には、単一段階又は単一混合工程において、複合材料は、10重量%以下の液体含有量で放出することができる。他の実施形態では、2つ以上の混合工程又は混合段階は、混合工程のうちの1つが、述べられたTz又は先端速度条件のうちの1つ以上の下で実行される限り、実行することができる。
【0050】
示されるように、1つ以上の混合工程中に、本明細書に開示される方法のいずれかにおいて、混合物中に存在する少なくともいくらかの液体及び/又は導入される湿潤充填剤は、蒸発によって少なくとも部分的に除去される。一選択肢として、1つ以上の混合工程又は段階は、圧搾、圧縮、排出、及び/若しくは絞り、又はこれらの任意の組み合わせによって、混合物から液体の一部分を更に除去することができる。あるいは、複合材料が放出された後又は放出されている間に、液体の一部分をミキサから排出することができる。
【0051】
一選択肢として、複合材料は、単一段階(単一混合工程)プロセスとして調製される。別の選択肢として、複合材料は、2つ(又はそれ以上)の混合工程で調製され、これは、第1の混合工程又は段階及び少なくとも第2の混合工程又は段階を有する多工程又は多段階混合とみなすことができる。1つ以上の多段階混合プロセスは、湿潤充填剤を固体エラストマと混合することを含む段階(例えば、第1段階)が、本明細書に開示されるように、1つ以上のロータの回転速度が混合の少なくとも一部分にわたってコントローラによって自動的に制御されるバッチ混合プロセスである限り、バッチ、連続、半連続、及びこれらの組み合わせであり得る。ある特定の場合には、2つの混合段階が効率を改善することができる。第1段階では、一次混合及び充填剤分散プロセスが行われる。第2段階の混合は、実質的な過熱を回避する条件下で複合材料を更に乾燥させるために実行される。
【0052】
多段階混合の場合、第1の工程は、湿潤充填剤を固体エラストマと混合することを含む(例えば、第1段階)。次いで、本方法は、同じミキサ(すなわち、第1のミキサ)を利用して、及び/又は第1のミキサとは異なる第2のミキサを利用して、少なくとも第2の混合工程又は段階において混合物を混合又は更に混合することを含む。ミキサ及びプロセスの組み合わせは、本明細書に開示される方法のいずれかにおいて利用することができ、ミキサは、逐次的に、並行して、及び/又は他の処理装置と統合して使用することができる。例えば、第1のミキサは、接線ミキサ又は交差反転式ミキサであってもよく、第2のミキサは、接線ミキサ、交差反転式ミキサ、押出機、混練機、又はロールミルであってもよい。例えば、第1のミキサは第1の接線ミキサであってもよく、第2のミキサは第2の(異なる)接線ミキサであってもよい。別の選択肢として、第1及び第2のミキサは同じであってもよく、複合材料はミキサ(第1のミキサ)から放出され、次いで複合材料の少なくとも一部分が同じミキサ(第2のミキサ)に充填される。2つ以上の混合工程(段階)は、2つ以上のミキサを用いて実行することができる。あるいは、第1及び第2のミキサは、まとめてタンデムミキサであり得る。タンデムミキサにおいて、典型的には、第2段階の混合(第2の混合工程)は、ラムレスミキサを用いて実行される。本方法による多段階混合(2つ以上の混合工程)は、液体を蒸発させ、充填剤を分散させるために実行される。
【0053】
別の態様は、複合材料を調製する方法であって、
(a)1つ以上のロータを有する第1のミキサに、少なくとも固体エラストマと、湿潤充填剤であって、充填剤と湿潤充填剤の総重量に基づいて少なくとも15重量%の量で存在する液体とを含む、湿潤充填剤とを充填する工程と、
(b)1つ以上の混合工程において、少なくとも固体エラストマと湿潤充填剤とを混合して混合物を形成し、蒸発によって混合物から液体の少なくとも一部分を除去し、当該混合工程の少なくとも1つにおいて、当該混合を行う工程であって、以下のうちの少なくとも1つ:
(i)ミキサが、65℃以上の温度Tzに設定される少なくとも1つの温度制御手段を有すること、及び
(ii)1つ以上のロータが、混合時間の少なくとも50%の間、少なくとも0.6m/sの先端速度で動作すること、が適用され、
1つ以上のロータは、ミキサモータに機械的に結合され、工程(b)における混合の少なくとも一部分について、1つ以上のロータの回転速度が、測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を計算することによって、コントローラによって制御され、コントローラが、測定されたミキサモータ出力が出力設定点から逸脱する場合に1つ以上のロータの回転速度を調整する、工程と、
(c)第1のミキサから、少なくとも20phrの装填量でエラストマ中に分散された充填剤を含む混合物を放出する工程であって、混合物が、工程(b)の開始時の液体含有量未満の量に低減された液体含有量を有する、工程と、
(d)(c)からの混合物を第2のミキサ中で混合して、複合材料を得る工程と、を含む、方法を提供する。
【0054】
第1のミキサ(又は第1段階の混合)における混合時間の制御は、充填剤のエラストマへのある程度の分散を可能にすることができ、その後、天然ゴム又は天然ゴムを含むブレンドなどの固体エラストマの実質的な劣化又は任意の劣化を最小限に抑える条件下で、第2のミキサ(又は第2段階の混合)において混合する。したがって、第1のミキサ内で混合する1つ以上の工程は、第1のミキサから放出される混合物が、工程(b)の開始時の液体含有量、例えば、湿潤充填剤内に存在する液体よりも少ない量に低減される液体含有量を有するように、液体の少なくとも一部の蒸発を伴う。液体含有量は、50重量%、60重量%、70重量%、又はそれ以上低減することができる。放出されたミキサ内に残っている液体含有量は、充填剤の種類、エラストマの種類、充填剤の装填量などに応じて変わり得る。特定の実施形態では、第2のミキサ内で行われる混合において、湿式混合プロセス及びその利点を用いるために、混合物内に残っている特定の量の水分を有することが望ましい場合がある。あるいは、他の充填剤及び/又はエラストマタイプでは、第1のミキサにおける1つ以上の混合工程中に液体の大部分を除去することが望ましい場合がある。したがって、放出された混合物は、例えば、混合物の重量に対して0.5重量%~20重量%の範囲の液体含有量(部分的に、湿潤充填剤の液体含有量に応じて変わる)、又はその開示が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2020/247663(A1)号に開示されるような他の量を有することができる。
【0055】
第2のミキサによる混合は、第2のミキサ又は第2の混合が以下の条件:(i)5psi以下のラム圧;(ii)ラムがラムの最高レベルの少なくとも75%(例えば、ラムの最高レベルの少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%若しくは100%)まで上昇した;(iii)ラムがフローティングモードで動作する;(iv)ラムが混合物に実質的に接触しないように配置される;(v)ラムレスミキサである;及び(vi)混合物(少なくとも固体エラストマ及び湿潤充填剤)の充填率が、25%~70%の範囲である、のうちの少なくとも1つの下で動作する。一選択肢として、第2のミキサは、乾燥重量に基づいて、25重量%~70重量%、25重量%~60重量%、25重量%~50重量%、又は30重量%~50重量%の範囲の混合物の充填率で動作することができる。選択肢として、第2のミキサによる混合は、混合時間の0%~100%、例えば、混合時間の10%~100%、20%~100%、30%~100%、40%~100%、50%~100%、60%~100%、70%~100%、80%~100%、又は90%~100%のどれであっても、これらの条件下で実行することができる。
【0056】
第2のミキサにおける混合は、出力制御なしで実行することができる。あるいは、混合の少なくとも一部分は、出力制御下で実行される。例えば、第2のミキサは、ミキサモータに機械的に結合された1つ以上のロータを有するバッチミキサであり、第2のミキサにおける混合の少なくとも一部分は、1つ以上のロータの回転速度が、(i)測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を計算し、(ii)測定されたミキサモータ出力が出力設定点から逸脱する場合に1つ以上のロータの回転速度を調整する、コントローラによって制御される出力制御下で実行される。
【0057】
一選択肢として、第2段階の混合の出力設定点(比出力として表される)は、1~10kW/kg、例えば、1~9kW/kg、1~8.5kW/kg、1~8kW/kg、1~7kW/kg、1~6kW/kg、1~5kW/kg、1~4kW/kg、1.5~10kW/kg、1.5~9kW/kg、1.5~8.5kW/kg、1.5~8kW/kg、1.5~7kW/kg、1.5~6kW/kg、1.5~5kW/kg、1.5~4kW/kg、2~10kW/kg、2~9kW/kg、2~8.5kW/kg、2~8kW/kg、2~7kW/kg、2~6kW/kg、2~5kW/kg、2~4kW/kgの範囲、又は本明細書に開示される任意の他の範囲、例えば、第1段階の混合と同じ範囲である。一選択肢として、第1段階又は単一段階の混合の比出力として表される出力設定点は、1~10kW/kgの範囲、及び本明細書に開示されるようなその間の他の範囲である。別の選択肢として、第1段階又は単一段階の混合の比出力として表される出力設定点は、4~10kW/kgの範囲、及び本明細書に開示されるようなその間の他の範囲である。
【0058】
一選択肢として、第2のミキサにおける出力制御下での混合の少なくとも一部分は、ラムがその最高レベルの少なくとも75%まで上昇した状態で実行される。一選択肢として、第2のミキサにおける出力制御下での混合の少なくとも一部分は、ラムレスミキサを用いて実行される。更に別の選択肢として、第2のミキサにおける出力制御下での混合は、ラムダウンで実行することができる。次いで、本方法は、複合材料が複合材料の総重量に基づいて10重量%以下(又は5重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、若しくは1重量%以下、又は本明細書に開示される他の量)の液体含有量を有するように、最後に使用されたミキサから、形成された複合材料を放出することを含む。典型的には、複合材料を更に乾燥させるために第2段階の混合が実行される。本明細書に開示される多段階プロセスのいずれかにおいて、最終放出複合材料(例えば、第2又は第3、又はそれ以降の混合工程後に放出される複合材料)は、5%以下の液体含有量を有することができる。いかなる理論にも束縛されるものではないが、第2段階における出力PID制御の使用は、乾燥の最終段階中の乾燥速度のより大きな制御を可能にすることができる。例えば、そのような制御により、マスターバッチは、目標プローブ温度範囲を超えることなく乾燥させることができ、例えば、複合材料が過度に急速に乾燥することを防止する。
【0059】
別の選択肢として、多段階混合は、出力制御下で実行されない第1段階の混合と、それに続く、混合の少なくとも一部分が出力制御下で実行される少なくとも1つの後続段階の混合(例えば、第2段階の混合)とを含む。したがって、別の態様は、複合材料を調製する方法であって、
(a)1つ以上のロータを有する第1のミキサに、少なくとも固体エラストマと、湿潤充填剤であって、充填剤と湿潤充填剤の総重量に基づいて少なくとも15重量%の量で存在する液体とを含む、湿潤充填剤とを充填する工程と、
(b)1つ以上の混合工程において、少なくとも固体エラストマと湿潤充填剤とを混合して混合物を形成し、蒸発によって混合物から液体の少なくとも一部分を除去し、当該混合工程の少なくとも1つにおいて、当該混合を行う工程であって、以下のうちの少なくとも1つ:
(i)ミキサが、65℃以上の温度Tzに設定される少なくとも1つの温度制御手段を有すること、及び
(ii)1つ以上のロータが、混合時間の少なくとも50%の間、少なくとも0.6m/sの先端速度で動作すること、が適用される、工程と、
(c)第1のミキサから、少なくとも20phrの装填量でエラストマ中に分散された充填剤を含む混合物を放出する工程であって、混合物が、工程(b)の開始時の液体含有量未満の量に低減された液体含有量を有する、工程と、
(d)(c)からの混合物を第2のミキサ中で混合して、複合材料を得る工程であって、
第2のミキサが、ミキサモータに機械的に結合される1つ以上のロータを有し、工程(b)における混合の少なくとも一部分が、1つ以上のロータの回転速度が、(i)測定されたミキサモータ電力と電力設定点との間の差を計算し、(ii)測定されたミキサモータ電力が電力設定点から逸脱する場合に1つ以上のロータの回転速度を調整する、コントローラによって制御される出力制御下で実行される、工程とを含む、方法を提供する。
【0060】
混合の更なる特徴は、単一段階混合であろうと多段階混合であろうと、国際公開第2020/247663(A1)号に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0061】
本明細書に開示される任意の方法において、ミキサからの放出工程が行われ、少なくとも20phr、例えば20~250phrの総装填量、又は本明細書に開示される他の装填量で天然ゴム中に分散された充填剤を含む複合材料が得られる。ミキサに充填された充填剤の実質的に全てが、放出された複合材料に組み込まれる(充填剤の収率損失は、10%以下、5%以下、3%以下、2%以下、又は1%以下である)。
【0062】
混合時間は、充填時間(例えば、第1の成分を充填する時間又は充填の開始)から複合材料の放出時間まで、すなわち、総混合時間又はバッチ時間で決定することができる。バッチ密閉式ミキサの場合、混合時間は、代替パラメータとしてのラムダウン時間、例えば、ラムがその最下位置、例えば完全着座位置にある状態で、又は(その開示が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2020/247663(A1)号に記載されるような)ラムが偏向している状態で、ミキサが動作する時間から決定することができる。(例えば、単一段階の混合又は第1段階の混合のための)本開示の方法は、総混合時間であろうとラムダウン時間であろうと、出力制御なしで行われる混合プロセスと比較して、例えば、出力制御なしの総混合時間の少なくとも5%又は少なくとも10%だけ、混合時間の短縮をもたらすことができる。混合時間は、10分未満、9分未満、8分未満、7分未満、6分未満、又は1分~10分、例えば、1分~9分、1分~8分、3分~10分、3分~9分、3分~8分、3分~7分、3分~6分、5分~10分、5分~9分、5分~8分、又は5分~7分であり得る。ラムダウン時間は、総混合時間未満であり得、9分未満、8分未満、7分未満、6分未満、又は1分~9分、1分~8分、3分~9分、3分~8分、3分~7分、3分~6分、3分~5分、5分~9分、5分~8分、又は5分~7分であり得る。
【0063】
本方法は、形成された複合材料をミキサから放出することを更に含む。放出された複合材料は、以下の式に概説されるように、複合材料の総重量に基づいて10重量%以下の液体含有量を有することができる。
複合材料の液体含有量(%)=100*[液体の質量]/[液体の質量+乾燥複合材料の質量]
【0064】
本明細書に開示される方法のいずれかにおいて、放出された複合材料は、複合材料の総重量に基づいて、10重量%以下、例えば、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、又は1重量%以下の液体含有量を有することができる。この量は、プロセスの終わりにミキサから放出される複合材料の総重量に基づいて、0.1重量%~10重量%、0.5重量%~9重量%、0.5重量%~7重量%、0.5重量%~5重量%、0.5重量%~3重量%、0.5重量%~2重量%の範囲であり得る。あるいは、2つ以上の混合段階が使用される場合、第1段階の混合(少なくとも固体エラストマ及び湿潤充填剤がミキサに充填される)から放出される液体含有量は、10重量%超(例えば、20重量%未満)であってもよく、第2段階又は後続の段階が、複合材料が本明細書に開示されるように10重量%以下の液体含有量を有するように更なる乾燥をもたらす。本明細書に開示される方法のいずれかにおいて、液体含有量(例えば、「水分含有量」)は、複合材料の総重量に基づいて複合材料中に存在する液体の測定された重量%であり得る。
【0065】
本明細書に開示される方法のいずれかにおいて、複合材料中の液体含有量は、複合材料の総重量に基づいて複合材料中に存在する液体の重量%として測定することができる。ゴム材料中の液体(例えば、水)含有量を測定するための任意の数の機器、例えば、Mettler(ToledoInternational,Inc.、オハイオ州コロンバス)製の電量カールフィッシャー滴定システム又は水分天秤が当技術分野において公知である。
【0066】
混合物に装填される充填剤の量は、(乾燥重量基準で)少なくとも20phr、少なくとも30phr、少なくとも40phr、若しくは20phr~250phr、20phr~200phr、20phr~180phr、20phr~150phr、20phr~100phr、20phr~90phr、20phr~80phr、30phr~200phr、30phr~180phr、30phr~150phr、30phr~100phr、30phr~80phr、30phr~70phr、40phr~200phr、40phr~180phr、40phr~150phr、40phr~100phr、40phr~80phr、35phr~65phr、若しくは30phr~55phr、又はこれらの範囲の1つ以上の範囲内若しくは範囲外の他の量であることを目標とすることができる。上記phr量は、エラストマ中に分散された充填剤(充填剤の装填量)にも適用することができる。国際公開第2020/247663(A1)号に開示されているものなど、他の充填剤タイプ、ブレンド、組み合わせなどを使用することができ、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0067】
本明細書に開示される方法のいずれかにおいて使用される湿潤充填剤は、固体材料、例えば、粉末、ペースト、ペレット、ケーキ、又はスラリーの形態の固体バルク材料、例えば、粉末、ペースト、ペレット、又はケーキの形態の固体バルク材料であり得る。湿潤充填剤は、湿潤充填剤の総重量に対して少なくとも15重量%、例えば、湿潤充填剤の総重量に対して少なくとも20重量%、少なくとも25重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、又は20重量%~99重量%、20重量%~95重量%、20重量%~90重量%、20重量%~80重量%、20重量%~70重量%、20重量%~60重量%、30重量%~99重量%、30重量%~95重量%、30重量%~90重量%、30重量%~80重量%、30重量%~70重量%、30重量%~60重量%、40重量%~99重量%、40重量%~95重量%、40重量%~90重量%、40重量%~80重量%、40重量%~70重量%、40重量%~60重量%、45重量%~99重量%、45重量%~95重量%、45重量%~90重量%、45重量%~80重量%、45重量%~70重量%、45重量%~60重量%、50重量%~99重量%、50重量%~95重量%、50重量%~90重量%、50重量%~80重量%、50重量%~70重量%、又は50重量%~60重量%の液体含有量を有することができる。液体含有量の他の量は、国際公開第2020/247663(A1)号に開示されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
充填剤は、補強充填剤などのエラストマで使用される任意の従来の充填剤であってよい。充填剤は、粒子状、繊維状、又は板状であり得る。例えば、粒子状充填剤は、離散体から作製される。このような充填剤は、多くの場合、3:1以下、又は2:1以下、又は1.5:1以下のアスペクト比(例えば、長さ対直径)を有することができる。繊維状充填剤は、例えば、2:1以上、3:1以上、4:1以上、又はそれ以上のアスペクト比を有することができる。典型的には、エラストマを強化するために使用される充填剤は、微視的(例えば、数百ミクロン以下)又はナノスケール(例えば、1ミクロン未満)である寸法を有する。カーボンブラックの場合、粒子状カーボンブラックの離散体は、一次粒子から形成された凝集体又は集塊を指し、一次粒子自体を指すものではない。他の実施形態では、充填剤は、グラフェン及び還元酸化グラフェンなどの板状構造を有することができる。
【0069】
充填剤は、炭素質材料、カーボンブラック、シリカ、ナノセルロース、リグニン、粘土、ナノ粘土、金属酸化物、金属炭酸塩、熱分解炭素、グラフェン、酸化グラフェン、還元酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、又はこれらの組み合わせ、並びにこれらのコーティング及び処理された材料から選択される少なくとも1つの材料を含む;充填剤は、カーボンブラック、シリカ、及びこれらのコーティング及び処理された材料(例えば、カーボンブラック及び/又はシリカ及び/又はケイ素処理カーボンブラック)から選択される少なくとも1つの材料を含み、充填剤の少なくとも50重量%が、カーボンブラック、及びこれらのコーティング及び処理された材料から選択され、充填剤の少なくとも90重量%が、カーボンブラック及びこれらのコーティング及び処理された材料から選択される。
【0070】
本明細書に開示される方法のいずれかにおいて使用されるカーボンブラックは、任意のグレードの強化カーボンブラック及び半強化カーボンブラックであり得る。ASTMグレードの強化グレードの例は、N110、N121、N134、N220、N231、N234、N299、N326、N330、N339、N347、N351、N358、及びN375カーボンブラックである。ASTMグレードの半強化グレードの例は、N539、N550、N650、N660、N683、N762、N765、N774、N787、N990カーボンブラック及び/又はN990グレードのサーマルブラックである。
【0071】
カーボンブラックは、20m2/g~250m2/g以上の範囲などの任意の統計的厚さ比表面積(STSA)を有することができる。STSA(統計的厚さ比表面積)は、ASTM試験手順D-5816に基づいて決定される(窒素吸着によって測定される)。カーボンブラックは、約30mL/100g~約150mL/100gの範囲の圧縮油吸収量(COAN)を有することができる。圧縮油吸収量(COAN)は、ASTMD3493に従って決定される。一選択肢として、カーボンブラックは、60m2/g~150m2/gの範囲のSTSAと、70mL/100g~115mL/100gのCOANとを有することができる。
【0072】
上述したように、カーボンブラックは、ゴムブラック、特に強化グレードのカーボンブラック又は半強化グレードのカーボンブラックであり得る。Cabot Corporationから入手可能なRegal(登録商標)、Black Pearls(登録商標)、Spheron(登録商標)、Sterling(登録商標)、Propel(登録商標)、Endure(登録商標)、及びVulcan(登録商標)の商標で販売されているカーボンブラック、Birla Carbonから入手可能な(以前はColumbian Chemicalsから入手可能な)Raven(登録商標)、Statex(登録商標)、Furnex(登録商標)、及びNeotex(登録商標)の商標で販売されているカーボンブラック、並びにOrion Engineered Carbons(以前はEvonik及びDegussa Industries)から入手可能なCorax(登録商標)、Durax(登録商標)、Ecorax(登録商標)、及びPurex(登録商標)の商標で販売されているカーボンブラック、並びにゴム又はタイヤ用途での使用に適した他の充填剤もまた、様々な実施態様での使用に利用され得る。好適な化学官能化カーボンブラックとしては、国際公開第96/18688号及び米国特許出願公開第2013/0165560号に開示されているものが挙げられ、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。これらのカーボンブラックのいずれかの混合物を使用してもよい。ゴムと混合するために選択されたASTMグレード及び典型的な値を超える表面積及び構造を有するカーボンブラック、例えば、その開示が照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2018/0282523号に記載されているものを、本明細書に開示されている方法のいずれかによって作製された湿潤充填剤及び複合材料に使用することができる。
【0073】
カーボンブラックは、ファーネスブラック、ガスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、又はランプブラック、プラズマブラック、回収カーボンブラック(例えば、ASTMD8178-19に定義される)、又はケイ素含有種及び/又は金属含有種を含有する炭素生成物などであり得る。カーボンブラックは、少なくとも1つの炭素相及び少なくとも1つの金属含有種相又はケイ素含有種相を含む多相凝集体、すなわち、ケイ素処理カーボンブラックであり得る。ケイ素処理カーボンブラックでは、ケイ素の酸化物又は炭化物などのケイ素含有種が、カーボンブラックの固有部分としてカーボンブラック凝集体の少なくとも一部分にわたって分布している。ケイ素処理カーボンブラックは、コーティングされた又は他の方法で改変されたカーボンブラック凝集体ではなく、実際には二相凝集体粒子に相当する。1つの相は炭素であり、依然として黒鉛微結晶及び/又は非晶質炭素として存在する一方、第2の相はシリカ、場合によっては他のケイ素含有種である。したがって、ケイ素処理カーボンブラックのケイ素含有種相は、凝集体の少なくとも一部分にわたって分布した凝集体の固有部分である。Ecoblack(商標)ケイ素処理カーボンブラックは、Cabot Corporationから入手可能である。これらのケイ素処理カーボンブラックの製造及び特性は、米国特許第6、028,137号に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0074】
充填剤に関して、一選択肢として、少なくともシリカ(例えば、少なくとも50重量%のシリカ)、1つ以上の種類のシリカ、又はシリカの任意の組み合わせである充填剤を、本明細書に開示される任意の実施形態において使用することができる。シリカは、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、シリカゲル、及び/又はコロイドシリカを含み得る、又はそれらであり得る。シリカは、未処理シリカ及び/又は化学的に処理されたシリカであってもよく、又はそれらを含んでもよい。シリカは、エラストマ複合材料を強化するのに好適であり得、約20m2/g~約450m2/g;約30m2/g~約450m2/g;約30m2/g~約400m2/g;又は約60m2/g~約250m2/g、約60m2/g~約250m2/g、約80m2/g~約200m2/gのブルナウアー・エメット・テラー(Brunaur Emmett Teller)表面積(BET、多点BET窒素吸着、ASTM D1993によって決定される)によって特徴付けられ得る。シリカは、約80m2/g~250m2/g、例えば約80m2/g~200m2/g又は90m2/g~200m2/g、80m2/g~175m2/g、又は80m2/g~150m2/gの範囲のSTSAを有することができる。高分散性沈降シリカは、本方法において充填剤として使用することができる。高分散性沈降シリカ(「HDS」)は、エラストママトリックス中で解凝集及び分散する実質的な能力を有する任意のシリカを意味すると理解される。このような分散測定は、エラストマ複合材料の薄片上での電子顕微鏡又は光学顕微鏡による既知の方法で観察されてもよい。市販グレードのHDSの例としては、WR Grace&Co製のPerkasil(登録商標)GT3000GRANシリカ、Evonik Industries製のUltrasil(登録商標)7000シリカ、Solvay S.A.製のZeosil(登録商標)1165MP、1115MP、Premium、及び1200MPシリカ、PPG Industries,Inc.製のHi-Sil(登録商標)EZ 160Gシリカ、並びにEvonik Industries製のZeopol(登録商標)8741又は8745シリカが挙げられる。従来の非HDS沈降シリカも同様に使用され得る。市販グレードの従来の沈降シリカの例としては、WR Grace&Co製のPerkasil(登録商標)KS 408シリカ、Solvay S.A.製のZeosil(登録商標)175 GRシリカ、Evonik Industries製のUltrasil(登録商標)VN3シリカ、及びPPG Industries,Inc.製のHi-Sil(登録商標)243シリカが挙げられる。表面結合シランカップリング剤を用いた沈降シリカも使用され得る。市販グレードの化学的に処理された沈降シリカの例としては、PPG Industries,Inc.製のAgilon(登録商標)400、454、又は458シリカ、及びEvonik Industries製のCoupsilシリカ、例えばCoupsil(登録商標)6109シリカが挙げられる。
【0075】
他の好適な充填剤としては、カーボンナノ構造体(CNS、単一CNS)、複数のカーボンナノチューブ(CNT)、例えば、樹枝状に分岐すること、互いに絡み合うこと、絡むこと、及び/又は互いに共通の壁を共有することによってポリマー構造に架橋された複数のCNTが挙げられる。CNS充填剤は、米国特許第9447259号及び国際公開第2021/247153号に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。他の好適な充填剤としては、バイオ由来若しくはバイオ系材料(生物源に由来する)、再生材料が挙げられ、又は再生可能若しくは持続可能であるとみなされる他の充填剤としては、水熱炭素(HTC、充填剤が、米国特許第10035957号及び同第10428218号に記載されるような水熱炭化によって処理されたリグニンを含み、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)、籾殻シリカ、メタン熱分解からの炭素、改変多糖粒子、デンプン、珪質土、クラムラバー、及び官能化クラムラバーが挙げられる。例示的な改変多糖類としては、米国特許出願公開第2020/0181370号及び同第2020/0190270号に記載されているものが挙げられ、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。例えば、多糖類は、ポリα-1,3-グルカン;ポリα-1,3-1,6-グルカン;90%以上のα-1,3-グリコシド結合、1重量%未満のα-1,3,6-グリコシド分岐点、及び55~10,000の範囲の数平均重合度を有する水不溶性α-(1,3-グルカン)ポリマー;デキストラン;ポリα-1,3-グルカンエステル化合物と、約10~約1000の重量平均重合度(DPw)及びセルロースII結晶構造を有する水不溶性セルロースとを含む組成物から選択することができる。一選択肢として、少なくとも1つの充填剤は、籾殻シリカ、リグニン、ナノセルロース、水熱炭素、及び改変多糖類から選択される。
【0076】
好適な充填剤はまた、国際公開第2020/247663(A1)号に開示されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0077】
使用され湿潤充填剤と混合される固体エラストマに関して、固体エラストマは、乾燥エラストマ又は実質的に乾燥エラストマと考えることができる。固体エラストマは、固体エラストマの総重量に基づいて、5重量%以下、例えば4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、1重量%以下、又は0.1重量%~5重量%、0.5重量%~5重量%、1重量%~5重量%、0.5重量%~4重量%などの液体含有量(例えば、溶媒又は水含有量)を有することができる。固体エラストマ(例えば、出発固体エラストマ)は、完全にエラストマ(出発液体、例えば、水の含有量が5重量%以下)であってもよく、又は1つ以上の充填剤及び/又は他の成分も含むエラストマであってもよい。
【0078】
任意の固体エラストマを本方法で使用することができる。例示的なエラストマとしては、天然ゴム(NR)、官能化天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム(SBR、例えば、溶液SBR(SSBR)、エマルジョンSBR(ESBR)、又は油展SSBR(OESSB+R))などの合成エラストマ、官能化スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム(IR)、エチレン-プロピレンゴム(EPDM)、イソブチレン系エラストマ(例えば、ブチルゴム)、ハロゲン化ブチルゴム、ポリクロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、フルオロエラストマ、パーフルオロエラストマ、及びシリコーンゴム、例えば、天然ゴム、及びこれらのブレンド、例えば、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、及びこれらのブレンド、例えば、第1及び第2の固体エラストマのブレンドが挙げられる。本方法で使用することができる他の合成ポリマー(単独又はブレンドとしてのいずれであっても)としては、水素化SBR、及び熱可塑性ブロックコポリマー(例えば、再生可能なものなど)が挙げられる。合成ポリマーとしては、エチレン、プロピレン、スチレン、ブタジエン、及びイソプレンのコポリマーが挙げられる。他の合成エラストマとしては、金属がCe、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Tm、Yb、Lu、Co、Ni、及びTiから選択される、メタロセン化学で合成されたものが挙げられる。ASTM D6866によって定義される現代炭素を含有するモノマーなどのバイオ系モノマーから作製されるポリマー、例えば、米国特許第9868853号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるバイオ系スチレンモノマーから作製されるポリマー、又はブタジエン、イソプレン、エチレン、プロピレン、ファルネセン、及びこれらのコモノマーなどのバイオ系モノマーから作製されるポリマーも使用することができる。2種以上のエラストマを使用する場合、2種以上のエラストマをブレンドとして同時に(1回の充填又は2回以上の充填として)ミキサに充填することができ、又はエラストマを任意の順序及び量で別個に添加することができる。例えば、固体エラストマは、本明細書に開示されるエラストマのうちの1つ以上とブレンドされた天然ゴム、例えば、ブタジエンゴム及び/若しくはスチレン-ブタジエンゴム、又はBRとブレンドされたSBRなどを含むことができる。例えば、追加の固体エラストマをミキサに別個に添加することができ、また天然ゴムをミキサに別個に添加することができる。
【0079】
固体エラストマは、天然ゴムであり得るか、又は天然ゴムを含み得る。固体エラストマがブレンドである場合、少なくとも50重量%又は少なくとも70重量%又は少なくとも90重量%の天然ゴムを含むことができる。ブレンドは、スチレン-ブタジエンゴム、官能化スチレン-ブタジエンゴム、及びポリブタジエンゴム、並びに/又は本明細書に開示される任意の他のエラストマのうちの1つ以上などの合成エラストマを更に含むことができる。
【0080】
添加剤もまた、混合工程(例えば、単段階混合であれ、多段階混合のうちの第2段階又は第3段階であれ)に組み込むことができ、添加剤は、劣化防止剤、及びエラストマへの充填剤の分散を可能にする1つ以上のゴム化学物質を含むことができる。本明細書で定義されるゴム化学物質は、加工助剤(ゴムの混合及び加工を容易にするための、例えば、様々な油及び可塑剤、ワックス)、活性剤(加硫プロセスを活性化するための、例えば、酸化亜鉛及び脂肪酸)、促進剤(加硫プロセスを促進するための、例えば、スルフェンアミド及びチアゾール)、加硫剤(又はゴムを架橋するための硬化剤、例えば、硫黄、過酸化物)、及び他のゴム添加剤、例えば、これらに限定されないが、遅延剤、助剤、素練り促進剤、接着促進剤(例えば、ゴム系エラストマへのスチールコードの接着を促進するためのコバルト塩の使用(例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5221559号及び米国特許出願公開第2020/0361242号に記載されているようなもの)、樹脂(例えば、粘着付与剤、トラクション樹脂)、難燃剤、着色剤、発泡剤、及び熱の蓄積(HBU)を低減するための添加剤のうちの1つ以上を含む。一選択肢として、ゴム化学物質は、加工助剤及び活性化剤を含むことができる。別の選択肢として、1つ以上の他のゴム化学物質は、酸化亜鉛、脂肪酸、脂肪酸の亜鉛塩、ワックス、促進剤、樹脂、及びプロセス油から選択される。
【0081】
一選択肢として、第2のミキサにおける出力制御下での混合の少なくとも一部分は、少なくとも1つの添加剤(1つ以上の添加剤)、例えば、本明細書に開示される添加剤のいずれか、例えば、少なくとも1つの劣化防止剤及び/又は加工助剤(例えば、様々な油及び可塑剤、ワックス)及び/又は活性剤(例えば、酸化亜鉛及び/又は脂肪酸)及び/又は促進剤及び/又は樹脂及び/又は加工油の添加後に実行される。
【0082】
開示される方法を使用して、その開示が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2020/247663(A1)号に記載されるように、様々な湿潤充填剤、固体エラストマ、並びに任意選択で追加の乾燥充填剤及び他の添加剤を混合することができる。
【0083】
本明細書に開示される複合材料を生成する任意の方法において、本方法は、複合材料の形成後に、以下の工程のうちの1つ以上を更に含むことができる。
1つ以上の保持工程、
複合材料を更に乾燥させて乾燥複合材料を得るために使用することができる、1つ以上の乾燥工程、
1つ以上の押出工程、
1つ以上のカレンダー加工工程、
粉砕された複合材料を得るための1つ以上の粉砕工程、
1つ以上の造粒工程、
1つ以上の切断工程、
梱包された製品又は混合物を得るための1つ以上の梱包工程、
梱包された混合物又は製品をばらばらにして、造粒した混合物を形成することができる、及び/又は
1つ以上の混合又は配合工程、及び/又は
1つ以上のシート化工程。
【0084】
更なる例として、以下の一連の工程を行うことができ、複合材料の形成後に、各工程を任意の回数(同じ設定又は異なる設定で)繰り返すことができる。
更なる弾性を発現させる1つ以上の保持工程、
1つ以上の冷却工程、
複合材料を更に乾燥させて、更なる乾燥複合材料を得る工程、
複合材料を混合又は配合して、配合混合物を得る工程、
配合された混合物を粉砕して、粉砕混合物を得る工程(例えば、ロールミル)、
粉砕された混合物を造粒する工程、
任意選択で、造粒後に混合物を梱包して、梱包混合物を得る工程、
任意選択で、梱包された混合物をばらばらにして混合する工程。
【0085】
追加的に又は代替的に、複合材料は、本明細書に開示される1つ以上の添加剤、例えば、劣化防止剤、酸化亜鉛、脂肪酸、脂肪酸の亜鉛塩、ワックス、促進剤、樹脂、加工油、及び/又は硬化剤と配合され、加硫されて加硫物を形成することができる。そのような加硫配合物は、1つ以上の改善された特性、例えば、1つ以上の改善されたゴム特性、例えば、これらに限定されないが、例えば、タイヤにおける改善されたヒステリシス、耐摩耗性及び/若しくは転がり抵抗、又は改善された機械強度及び/若しくは引張強度、又は改善されたtanδ及び/若しくは改善された引張応力比などを有することができる。
【0086】
1つ以上の物品は、本明細書に開示される複合材料又は加硫物から作製される材料を含むことができる。複合材料は、エラストマ又はゴム含有製品を製造するために使用することができる。一選択肢として、エラストマ複合材料は、例えば、タイヤの様々な部品、例えば、キャップ及びベースを含むタイヤトレッド(オンロード又はオフロードタイヤトレッドなど)、アンダートレッド、インナーライナー、タイヤサイドウォール、タイヤカーカス、タイヤサイドウォールインサート、タイヤ用ワイヤスキム、及びリトレッドタイヤ用クッションゴム、空気式タイヤ並びに非空気式又はソリッドタイヤに組み込まれる加硫物を形成するために使用されてもよく、又は使用のために製造されてもよい。代替的又は追加的に、エラストマ複合材料(及びその後の加硫物)は、ホース、シール、ガスケット、ウェザーストリップ、フロントガラスワイパー、自動車部品、ライナー、パッド、ハウジング、ホイール及びトラック要素、タイヤサイドウォールインサート、タイヤ用のワイヤスキム、及びリトレッドタイヤ用のクッションゴムに、空気式タイヤ並びに非空気式又はソリッドタイヤにおいて使用され得る。代替的に又は追加的に、エラストマ複合材料(及びその後の加硫物)は、ホース、シール、ガスケット、防振物品、トラック、ブルドーザなどのトラック推進装置用のトラックパッド、エンジンマウント、耐震装置、スクリーンなどの採掘装置、採掘装置ライニング、コンベヤベルト、シュートライナー、スラリーポンプライナー、インペラなどのマッドポンプ部品、バルブシート、バルブ本体、ピストンハブ、ピストンロッド、プランジャ、混合スラリー及びスラリーポンプインペラなどの様々な用途のインペラ、粉砕ミルライナー、サイクロン及び液体サイクロン、伸縮継手、ポンプ(例えば、浚渫ポンプ及び船外モータポンプ)用のライニングなどの船舶装置、ホース(例えば、浚渫ホース及び船外モータホース)、及び他の船舶装置、船舶、油、航空宇宙、及び他の用途のシャフトシール、プロペラシャフト、例えばオイルサンド及び/又はタールサンドを搬送するための配管用のライニング、並びに耐摩耗性及び/又は向上した動的特性が望まれる他の用途に使用することができる。更に、エラストマ複合材料は、加硫エラストマ複合材料を介して、ローラー、カム、シャフト、パイプ、車両用ブッシング、又は耐摩耗性及び/若しくは向上した動的特性が望まれる他の用途において使用することができる。
【0087】
したがって、物品としては、キャップ及びベースを含む車両タイヤトレッド、サイドウォール、アンダートレッド、インナーライナー、ワイヤスキム部品、タイヤカーカス、エンジンマウント、ブッシング、コンベヤベルト、防振装置、ウェザーストリップ、フロントガラスワイパー、自動車部品、シール、ガスケット、ホース、ライナー、パッド、ハウジング、並びにホイール又はトラック要素が挙げられる。例えば、物品は、米国特許第9,713,541号、同第9,713,542号、同第9,718,313号、及び同第10,308,073号に開示されているような多構成要素トレッドであってもよく、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0088】
放出された複合材料中の水含有量を、水分天秤(モデル:HE53、製造業者:Mettler Toledo NA、オハイオ州)を使用して測定した。複合材料を小片(サイズ:長さ、幅、高さ<5mm)にスライスし、2~2.5gの材料を使い捨てアルミニウムディスク/プレート上に置き、これを水分天秤の内側に置いた。重量損失を125℃で30分間記録した。30分の終わりに、複合材料の水分含有量を以下のように記録した。
【数1】
【0089】
少量の有機揮発性物質含有量(<0.1重量%)が水分試験値に含まれることがある。
【0090】
以下の試験を使用して、各加硫物についての性能データを得た。
100%伸び時の引張応力(M100)及び300%伸び時の引張応力(M300)を、ASTM D412(試験方法A、ダイC)により、23℃、相対湿度50%及び500mm/分のクロスヘッド速度で評価した。伸び計を用いて引張歪みを測定した。M300/M100の比は、引張応力比(又は弾性率比)と呼ばれる。破断点伸び及び引張強度もASTM D412に従って測定した。
最大tanδは、ARES-G2レオメータ(製造業者:TA Instruments)を用いて、ねじれモードで直径8mmの平行板形状を使用して測定した。加硫物試験片の直径サイズは直径8mm、厚さ約2mmであった。レオメータを、60℃の一定温度及び10Hzの一定振動数で動作させた。歪み掃引は、0.1~68%歪み振幅で行った。測定は十進ごとに10点で行われ、測定された最大tanδ(「最大tanδ」)が報告され、別段の指定がない限り「tanδ」とも呼ばれる。G’(10%)(MPa)は、10%歪みでの動的貯蔵弾性率G’である。配合物のPayne差は、0.1%歪みでの動的貯蔵弾性率G’と50%歪みでのG’との差、すなわち、G’(0.1%)-G’(50%)から計算した。
ムーニー値は、ML(1+4)@100Cムーニープロファイル(大型ロータ、1分予熱、4分試験)に設定したMontech VMV3000装置(Montech USA LLC、インディアナ州コロンビアシティ)で測定した。
ショアA硬度は、ASTM D2240(1997)に従って、23℃で6mm以上の厚さを有する加硫ゴム試料について測定した。
【0091】
実施例1
実施例1は、天然ゴム(RSS3)とブタジエンゴムとの80/20ブレンドを含み、湿潤カーボンブラック充填剤を51phrの装填量を目標として含む複合材料及び加硫物の調製を記載し、混合は、混合の一部分についてPID出力制御を用いて実行した。
【0092】
実施例2及び3
実施例2及び3は、実施例1と同様に(混合の一部分についてPID出力制御を用いて)、天然ゴム(RSS3)とブタジエンゴムとの80/20ブレンドを含む複合材料及び加硫物の調製を記載し、バッチ時間を更に短縮するために追加のプロセス修正を加えている。
【0093】
比較例
比較例では、実施例1と同じ処方で混合を行ったが、混合の第1段階でPID出力制御を全く行わなかった。
【0094】
実施例1~3及び比較例については、カーボンブラックは、Propel(登録商標)X25カーボンブラック(Cabot Corporation)を粉砕し、ピンペレタイザー中で再湿潤させて、約56%の水分含有量を得ることによって調製した。使用した天然ゴムは、標準グレードの天然ゴムRSS3(Sri Trang Group, Thailand)であった。これらの天然ゴムの技術的説明は、Lippincott and Peto,Inc.(米国オハイオ州アクロン)によって出版されたRubber World Magazine’s Blue Bookなどで広く入手可能である。使用したブタジエンゴムは、Buna(登録商標)CB22ブタジエンゴム(「CB22」)であった。
【0095】
全ての複合材料は、2段階混合プロセスによって調製した。実施例1及び2並びに比較例については、第1段階を、16.2L容量を提供する、2つの接線4翼ロータ(4WN型)を備えたBB-16接線ミキサ(「BB-16」;Kobelco Kobe Steel Group)で行った。実施例3の第1段階の混合及び全ての第2段階の混合は、14.4L容量を提供する、2つの6翼接線ロータ(6WI型)を備えたBB-16ミキサを用いて行った。
【0096】
実施例1~3については、第1段階の混合は、充填剤の各添加後にPID出力制御を用いて実行した。比例定数は200%であり、積分定数は5秒であり、微分対照は使用しなかった。出力設定点は75kW(6.4kW/kg、乾燥基準)であり、出力PID制御ループの最大アウトプットは100rpmに設定した。出力PID制御ループによって使用される出力入力信号は、0.005のK2定数でカルマンフィルタを使用することによってフィルタリングされた(付録1参照)。制御システムは、これらの計算を約0.2秒毎に実行した。各充填剤添加後及び劣化防止剤(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン「6PPD」)の添加後にロータ速度を80rpmに固定した、出力PID制御なしの第1段階の混合も実行した(比較例)。実施例1、2及び比較例において、6PPDを第1の混合段階中に添加した。6PPD添加後、実施例1及び実施例2の混合を、100rpmで完了前に出力PID制御を用いて実行した。実施例3では、第2の混合段階中に6PPDを添加した。
【0097】
表1は、比較例及び実施例1~3の試料についての第1段階及び第2段階の混合条件を提供する。
【表1】
【0098】
表2は、比較例の試料の第1段階の混合プロトコルを示す。ラム位置(「ラム位置」)は、アップ又はダウンとして示される。「フロート」は、ラム上の油圧がなくなったことを示す。フロート位置では、ラムは自重により大きく下降する。
【表2】
【0099】
表3は、実施例1の試料についての第1段階の混合プロトコルを示す。
【表3】
【0100】
表3は、PID制御下で実行されたバッチシーケンスの特定の部分を示す。図から分かるように、固定rpmモードで動作するシーケンスの部分がある。これは、シーケンスの全ての部分が固定rpmモードで動作することを示す、表2のシーケンスとは対照的である。表1から、PID制御下の実施例1の第1段階の混合のバッチ時間は、PID制御なしで混合された比較例試料と比較して短縮されていることが分かる。
【0101】
図1及び図2は、比較例の第1段階の混合(図1)及び実施例1の第1段階の混合(図2)についての混合曲線を示す。図1は、比較例の第1段階の混合について、バッチ時間(x軸)の関数としての出力曲線12、ロータ速度曲線14、及び温度曲線16(y軸)のプロットを示す。ラム位置(単位なし)は、プロット18によって示され、最大値は、ラムがその最高レベル(例えば、「ラムアップ」)で動作しているときを示し、最小値は、ラムがその最低レベル(例えば、「ラムダウン」)で動作しているときを示す。同様に、実施例1の混合について、図2は、バッチ時間(x軸)の関数としての出力曲線22、ロータ速度曲線24、及び温度曲線26(y軸)のプロットを示す。ラム位置(単位なし)はプロット28によって示されており、最大値はラムがその最高レベルで動作しているときを示し、最小値はラムがその最低レベルで動作しているときを示す。図1及び図2の各々の上部の番号は、それぞれ表2及び表3の工程番号を指す。
【0102】
比較例の第1段階の混合(図1)について、出力曲線12は、第1のカーボンブラック添加(表2の工程3に対応する)、その後のラムの低下、及びその後のミキサ速度の80rpmへの増加(表2の工程4)から生じる出力ピーク12a(バッチ時間約170秒)を含む。出力ピーク12aは、ミキサから高速の蒸気の発生をもたらす。しかしながら、ピーク12aにおける出力は、この特定のミキサを動作させるための最大安全レベルに近い。80rpmより高いロータ速度は、蒸気生成速度を増加させ、潜在的に危険な動作条件をもたらす。
【0103】
図2は、出力制御(実施例1)で操作された第1段階の混合から得られた出力曲線22を示す。出力曲線22は、第1の充填剤添加(表3の工程3に対応する)後に生じるピーク22a(バッチ時間約200秒)を有する。出力ピーク22aは、比較例の混合の出力ピーク12aの値と値が同様である。しかしながら、出力PID制御ループは、出力最大値がより緩やかな速度で達成されるようにロータ速度を自動的に増加させるので、100rpmのより高いロータ速度(ロータ速度曲線24の最大値を参照)が可能である。
【0104】
比較例の混合(図1)では、第2のカーボンブラック添加(表2の工程6)後に、出力曲線12における追加の出力ピーク12b(バッチ時間約300秒)も観察される。出力ピーク12b及びその後の出力使用量は、最初のカーボンブラック添加(工程2)後のピーク12aと比較して低い。これらの低い値は、実施例1の第1段階の混合の出力プロファイルとは異なる。出力曲線22(図2)はまた、第2のカーボンブラック添加(表3の工程7に対応する)後の第2の出力ピーク22b(バッチ時間約315秒)を特徴とする。しかしながら、この第2の出力ピーク22bは、第1のカーボンブラック添加後の出力ピーク22aに値が匹敵する。これは、出力設定点を達成するためにミキサ速度を自動的に増加させる出力PID制御ループの結果である。更に、出力ピーク22bの後、出力PID制御ループの作用によって高出力使用量が維持される。この結果、第2のカーボンブラック添加と次の充填(6PPD添加、表3の工程9)との間の「ラムダウン」混合時間が比較例よりも短くなる。このより短い時間間隔は、比較例の混合よりも短い第1段階のバッチ時間を有する実施例1の混合に大きく関与する。実施例1はまた、組み合わされた第1段階及び第2段階のバッチ時間の場合、により短いバッチ時間を有する(表1参照)。
【0105】
比較例及び実施例1の混合からの出力曲線及びロータ速度曲線の差がある場合であっても、それぞれの温度曲線16及び26は本質的に同様である。
【0106】
表4及び表5は、それぞれ実施例2及び3についての第1段階の混合プロトコルを提供する。
【表4】
【表5】
【0107】
表4及び表5のプロトコルから、実施例2及び3の第1段階の混合は、第1のカーボンブラック添加分が工程1においてゴムと共に添加されたことを除いて、実施例1(表3参照)と同様の方法で行われたことが分かる。これにより、工程1及び2における充填率が上昇し、第2のカーボンブラック添加前のより短いラムダウン混合時間をもたらす。しかしながら、第1カーボンブラック添加と第2のカーボンブラック添加との間の混合が固定速度で実行された場合、初期出力ピークが安全な最大レベル未満であることを確実にするために、低速が利用されるべきである。しかしながら、第1のカーボンブラック添加と第2のカーボンブラック添加との間の混合の大部分が出力PID制御下で行われたので、ミキサ速度は自動的に最適化された。ミキサ速度は、初期出力ピーク中に自動的に減速され、次いでカーボンブラック組み込みが進行するにつれて自動的に加速された。このミキサ速度の自動最適化により、バッチ時間が短縮された。6PPDの添加を第2段階の混合まで先送りすることによって、実施例3の第1段階の混合時間を更に低減した。
【0108】
第1段階の混合の完了の20分以内に、全ての第2段階の混合を、14.4L容量を提供する2つの6翼接線ロータ(6WI型)を備えたBB-16中で行った。全ての第2段階の混合は、ラムをその最高位置まで上昇させ、温度PID制御を用いて実行した、すなわち、ある温度設定点を目標にするために、ミキサロータ速度をPIDコントローラによって自動的に調節した。PIDパラメータは、100%比例、5秒積分、及び微分なしであった。温度制御設定点は135℃であり、温度PID制御ループの最大アウトプットは、実施例1については60rpmに、実施例2及び3については70rpmに設定した。第2段階の混合のプロトコルを、表6(比較例及び実施例1について)、表7(実施例2)、及び表8(実施例3)に提供する。
【表6】
【表7】
【表8】
【0109】
複合材料を、BB-2接線ミキサ(「BB-2」;Kobelco Kobe Steel Group)中で、2段階で配合した。BB-2は、1.5L容量を提供する2つの4翼接線ロータ(タイプ4WN)を備えていた。第1の配合段階において、以下の化学物質を添加した:3.0phrの酸化亜鉛、2.0phrのステアリン酸、0.5phrの6PPD、1.5phrのTMQ(1,2-ジヒドロ-224-トリメチルキノリン)、及び1.5phrのワックスビーズ。第2の配合段階において、1.4phrのTBBS(N-tert-ブチル-2ベンゾチアゾールスルフェンアミド)及び1.2phrの硫黄を硬化剤として添加した。配合後、配合物を60℃で動作する2本ロールミル上で2.4mm厚にシート化した。次いで、試料を150℃で30分間、100kg/cm2の圧力で硬化させた。得られた配合物/加硫物の特性を表9に示す。
【表9】
*Payne差=G’(0.1%)-G’(50%)
【0110】
表1及び表9から、実施例1~3の加硫物の特性は、比較例の配合物の特性と類似していることが分かる。表1は、出力制御を伴う第1段階の混合(実施例1及び2)が、第1段階の混合時間(したがって、複合材料調製のための全時間)を短縮することを示す。対応する実施例1の加硫物は、比較例の複合材料から作製された加硫物と同様のゴム特性を達成した。出力制御により、ゴム特性を全く損なうことなく混合時間の短縮に成功したことが分かる。
【0111】
「a」及び「an」及び「the」という用語の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」という用語は、別段の記載がない限り、オープンエンドの用語(すなわち、「挙げられるが、これらに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指示がない限り、その範囲内に入る各個別の値を個々に言及する省略法としての役割を果たすことが単に意図されており、各個別の値は、本明細書において個々に列挙されているのと同様に本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、任意の好適な順序で実行することができる。本明細書で提供される任意の及び全ての例、又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をよりよく例示することを意図しており、別様に特許請求されない限り本発明の範囲で限定を課すものではない。本明細書中のいかなる言語も、本発明の実施に不可欠な任意の特許請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
付録1:カルマンフィルタの説明
変数:
P=プロセス変数(制御システムによってフィルタリングされる)
E=Pのフィルタリングされた推定値
(xの各時間増分に対して制御システムによって計算される)
R=経時的なPの変化速度
(xの各時間増分について制御システムによって計算される)
t=時間
x=(データ入力、計算及びデータアウトプットのために)制御システムによって使用される時間の増分
K2=ユーザによって制御システムに入力されるフィルタ定数
K1=K2から計算されるフィルタ定数
方程式:
K1=2(K2)**0.5-K2
Et=Et-x+Rt-x+K1(Pt-Et-x-Rt-x)
Rt=Rt-x+K2(Pt-Et)
備考:
E及びRの初期推定が行われるべきである(0の値が多くの場合許容可能である)。
K2は、Pの所望のフィルタリングを得るためにユーザによって経験的に選択される。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-08-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0111
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0111】
「a」及び「an」及び「the」という用語の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、単数形及び複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」という用語は、別段の記載がない限り、オープンエンドの用語(すなわち、「挙げられるが、これらに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指示がない限り、その範囲内に入る各個別の値を個々に言及する省略法としての役割を果たすことが単に意図されており、各個別の値は、本明細書において個々に列挙されているのと同様に本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、任意の好適な順序で実行することができる。本明細書で提供される任意の及び全ての例、又は例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をよりよく例示することを意図しており、別様に特許請求されない限り本発明の範囲で限定を課すものではない。本明細書中のいかなる言語も、本発明の実施に不可欠な任意の特許請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
付録1:カルマンフィルタの説明
変数:
P=プロセス変数(制御システムによってフィルタリングされる)
E=Pのフィルタリングされた推定値
(xの各時間増分に対して制御システムによって計算される)
R=経時的なPの変化速度
(xの各時間増分について制御システムによって計算される)
t=時間
x=(データ入力、計算及びデータアウトプットのために)制御システムによって使用される時間の増分
K2=ユーザによって制御システムに入力されるフィルタ定数
K1=K2から計算されるフィルタ定数
方程式:
K1=2(K2)**0.5-K2
Et=Et-x+Rt-x+K1(Pt-Et-x-Rt-x)
Rt=Rt-x+K2(Pt-Et)
備考:
E及びRの初期推定が行われるべきである(0の値が多くの場合許容可能である)。
K2は、Pの所望のフィルタリングを得るためにユーザによって経験的に選択される。
本発明の実施形態としては、以下の実施形態を挙げることができる。
(付記1)
複合材料を調製する方法であって、
(a)1つ以上のロータを有するミキサに、少なくとも1つの固体エラストマと、湿潤充填剤であって、充填剤と、湿潤充填剤の総重量に基づいて少なくとも15重量%の量で存在する液体とを含む湿潤充填剤とを充填する工程と、
(b)1つ以上の混合工程において、前記少なくとも1つの固体エラストマと前記湿潤充填剤とを混合して混合物を形成し、蒸発によって前記混合物から前記液体の少なくとも一部分を除去し、前記混合工程の少なくとも1つにおいて、前記混合を行う工程であって、以下:
(i)前記ミキサが、65℃以上の温度Tzに設定される少なくとも1つの温度制御手段を有すること、及び
(ii)前記1つ以上のロータが、混合時間の少なくとも50%の間、少なくとも0.6m/sの先端速度で動作すること、のうちの少なくとも1つが適用される、工程と、
(c)前記ミキサから、少なくとも20phrの装填量で前記エラストマ中に分散された前記充填剤を含む前記複合材料を放出する工程であって、前記複合材料が、前記複合材料の総重量に基づいて10重量%以下の液体含有量を有する、工程とを含み、
前記1つ以上のロータが、ミキサモータに機械的に結合され、前記工程(b)における混合の少なくとも一部分が、コントローラであって、(i)測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を計算し、(ii)前記測定されたミキサモータ出力が前記出力設定点から逸脱する場合に前記1つ以上のロータの回転速度を調整するコントローラによって、前記1つ以上のロータの前記回転速度が制御される出力制御下で実行される、方法。
(付記2)
工程(b)における前記混合の少なくとも一部分が、PID出力制御下で実行される、付記1に記載の方法。
(付記3)
前記出力設定点が、比出力として表された場合に1~10kW/kgの範囲である、付記1又は2に記載の方法。
(付記4)
(i)について、前記コントローラが、前記測定されたミキサモータ出力と前記出力設定点との間の差を連続的に計算する、付記1~3のいずれか一項に記載の方法。
(付記5)
前記コントローラが、0.05秒~5秒の範囲の設定時間間隔で、前記測定されたミキサモータ出力と前記出力設定点との間の差を計算する、付記4に記載の方法。
(付記6)
前記コントローラが、0.05秒~1秒の範囲の設定時間間隔で、前記測定されたミキサモータ出力と前記出力設定点との間の差を計算する、付記4に記載の方法。
(付記7)
(ii)について、前記コントローラが、前記測定されたミキサモータ出力が前記出力設定点から逸脱する場合に前記1つ以上のロータの前記回転速度を連続的に調整する、付記1~6のいずれか一項に記載の方法。
(付記8)
前記コントローラが、前記測定されたミキサモータ出力と前記出力設定点との間の差を自動的に計算し、前記測定されたミキサモータ出力が前記出力設定点から逸脱する場合に前記1つ以上のロータの前記回転速度を調整する、付記1~7のいずれか一項に記載の方法。
(付記9)
前記ミキサが、前記固体エラストマで充填され、前記混合が、前記湿潤充填剤を前記ミキサに充填した後に出力制御下で実行される、付記1~8のいずれか一項に記載の方法。
(付記10)
前記方法が、前記ミキサに前記湿潤充填剤の少なくとも2つの部分を充填することを含み、前記混合が、前記湿潤充填剤の第1の部分を前記ミキサに充填した後に、出力制御下で実行される、付記9に記載の方法。
(付記11)
前記混合が、前記湿潤充填剤の各部分を前記ミキサに充填した後に、出力制御下で実行される、付記10に記載の方法。
(付記12)
前記湿潤充填剤の前記少なくとも2つの部分のうちの前記第1の部分が、前記ミキサに充填される前記湿潤充填剤の総量の少なくとも50重量%である、付記10又は11に記載の方法。
(付記13)
前記固体エラストマが、前記ミキサに前記湿潤充填剤の少なくとも一部分を充填する前に素練りされる、付記1~12のいずれか一項に記載の方法。
(付記14)
前記固体エラストマが、前記ミキサに前記湿潤充填剤の少なくとも一部分を充填する前に素練りされない、付記1~12のいずれか一項に記載の方法。
(付記15)
前記充填剤が、炭素質材料、カーボンブラック、シリカ、ナノセルロース、リグニン、粘土、ナノ粘土、金属酸化物、金属炭酸塩、熱分解炭素、グラフェン、酸化グラフェン、還元酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、及びこれらの組み合わせ、並びにこれらのコーティング及び処理された材料から選択される少なくとも1つの材料を含む、付記1~14のいずれか一項に記載の方法。
(付記16)
前記充填剤が、籾殻シリカ、リグニン、ナノセルロース、水熱炭素、及び改変多糖類、並びにこれらの組み合わせ、並びにこれらのコーティング及び処理された材料から選択される、付記1~15のいずれか一項に記載の方法。
(付記17)
前記充填剤が、カーボンナノ構造体から選択される、付記1~15のいずれか一項に記載の方法。
(付記18)
前記充填剤が、カーボンブラック、シリカ、ケイ素処理カーボンブラック、及びこれらのブレンドから選択される、付記1~15のいずれか一項に記載の方法。
(付記19)
前記充填剤が、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、及びこれらのブレンドから選択される、付記1~15のいずれか一項に記載の方法。
(付記20)
前記充填剤の少なくとも50%が、カーボンブラック、ケイ素処理カーボンブラック、及びこれらのブレンドから選択される、付記1~15のいずれか一項に記載の方法。
(付記21)
前記固体エラストマが、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、官能化スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、イソブチレン系エラストマ、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、ポリスルフィドゴム、ポリアクリレートエラストマ、フルオロエラストマ、パーフルオロエラストマ、シリコーンエラストマ、及びこれらのブレンドから選択される、付記1~20のいずれか一項に記載の方法。
(付記22)
前記1つ以上のロータが、2翼ロータ、4翼ロータ、6翼ロータ、8翼ロータ、及び1つ以上のスクリューロータから選択される、付記1~21のいずれか一項に記載の方法。
(付記23)
前記1つ以上のロータが、4翼ロータ、6翼ロータ、及び8翼ロータから選択される、付記1~21のいずれか一項に記載の方法。
(付記24)
前記1つ以上のロータが、交差反転式ロータから選択される、付記1~21のいずれか一項に記載の方法。
(付記25)
(c)における放出の時間までの(a)における充填の時間として定義される前記混合時間が、1分~9分の範囲である、付記1~24のいずれか一項に記載の方法。
(付記26)
(c)における放出の時間までの(a)における充填の時間として定義される前記混合時間が、3分~6分の範囲である、付記1~25のいずれか一項に記載の方法。
(付記27)
前記湿潤充填剤が、湿潤充填剤の総重量に基づいて少なくとも20重量%の量で存在する液体を有する、付記1~26のいずれか一項に記載の方法。
(付記28)
前記湿潤充填剤が、湿潤充填剤の総重量に基づいて40重量%~65重量%の範囲の量で存在する液体を有する、付記1~26のいずれか一項に記載の方法。
(付記29)
前記混合が2つ以上の混合工程で実行される、付記1~28のいずれか一項に記載の方法。
(付記30)
(a)における前記ミキサが第1のミキサであり、前記方法が、(c)からの前記複合材料の少なくとも一部分を第2のミキサ中で混合することを更に含む、付記1~29のいずれか一項に記載の方法。
(付記31)
(a)における前記ミキサが第1のミキサであり、前記方法が、
(d)(c)からの前記複合材料の少なくとも一部分を第2のミキサ中で混合する工程であって、前記第2のミキサが、以下の条件:
(i)5psi以下のラム圧;
(ii)ラムがその最高レベルの少なくとも75%まで上昇する;
(iii)ラムがフローティングモードで動作する;
(iv)ラムが前記混合物に実質的に接触しないように配置される;
(v)前記ミキサがラムレスである;及び
(vi)前記混合物の充填率が25%~70%の範囲である;のうちの少なくとも1つの下で動作する工程と、
(e)前記複合材料の総重量に基づいて3重量%未満の液体含有量を有する前記複合材料を前記第2のミキサから放出する工程と、を更に含む、付記1~29のいずれか一項に記載の方法。
(付記32)
前記第1のミキサ及び前記第2のミキサが、同じである、付記30又は31に記載の方法。
(付記33)
前記第1のミキサ及び前記第2のミキサが、異なるミキサである、付記30又は31に記載の方法。
(付記34)
前記第1のミキサ及び前記第2のミキサが、まとめてタンデムミキサである、付記30又は31に記載の方法。
(付記35)
前記第2のミキサが、ラムレスである、付記30又は31に記載の方法。
(付記36)
(d)における前記混合について、前記第2のミキサが、前記混合時間の少なくとも50%の間、前記条件(i)~(vi)のうちの少なくとも1つの下で動作する、付記31~35のいずれか一項に記載の方法。
(付記37)
前記第2のミキサが、ミキサモータに機械的に結合された1つ以上のロータを有し、前記第2のミキサにおける前記混合の少なくとも一部分が、コントローラであって、(i)測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を計算し、(ii)前記測定されたミキサモータ出力が前記出力設定点から逸脱する場合に前記1つ以上のロータの回転速度を調整する、コントローラによって、前記1つ以上のロータの前記回転速度が制御される出力制御下で実行される、付記30~36のいずれか1項に記載の方法。
(付記38)
前記第2のミキサにおける出力制御下での前記混合の少なくとも一部分が、前記ラムをその最高レベルの少なくとも75%まで上昇させた状態で実行される、付記37に記載の方法。
(付記39)
前記第2のミキサにおける出力制御下での前記混合が、少なくとも1つの添加剤の添加後に実行される、付記37又は38に記載の方法。
(付記40)
複合材料を調製する方法であって、
(a)1つ以上のロータを有する第1のミキサに、少なくとも1つの固体エラストマと、湿潤充填剤であって、充填剤と、湿潤充填剤の総重量に基づいて少なくとも15重量%の量で存在する液体とを含む湿潤充填剤とを充填する工程と、
(b)1つ以上の混合工程において、前記少なくとも1つの固体エラストマと前記湿潤充填剤とを混合して混合物を形成し、蒸発によって前記混合物から前記液体の少なくとも一部分を除去し、前記混合工程の少なくとも1つにおいて、前記混合を行う工程であって、以下:
(i)前記ミキサが、65℃以上の温度Tzに設定される少なくとも1つの温度制御手段を有すること、及び
(ii)前記1つ以上のロータが、混合時間の少なくとも50%の間、少なくとも0.6m/sの先端速度で動作すること、のうちの少なくとも1つが適用され、
前記1つ以上のロータが、ミキサモータに機械的に結合され、工程(b)における前記混合の少なくとも一部分が、コントローラであって、(i)測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を計算し、(ii)前記測定されたミキサモータ出力が前記出力設定点から逸脱する場合に前記1つ以上のロータの回転速度を調整するコントローラによって、前記1つ以上のロータの前記回転速度が制御される出力制御下で実行される、工程と、
(c)前記第1のミキサから、少なくとも20phrの装填量で前記エラストマ中に分散された前記充填剤を含む前記混合物を放出する工程であって、前記混合物が、工程(b)の開始時の液体含有量未満の量に低減された液体含有量を有する、工程と、
(d)(c)からの前記混合物を第2のミキサ中で混合して、前記複合材料を得る工程と、を含む、方法。
(付記41)
複合材料を調製する方法であって、
(a)1つ以上のロータを有する第1のミキサに、少なくとも1つの固体エラストマと、湿潤充填剤であって、充填剤と、湿潤充填剤の総重量に基づいて少なくとも15重量%の量で存在する液体とを含む湿潤充填剤とを充填する工程と、
(b)1つ以上の混合工程において、前記少なくとも1つの固体エラストマと前記湿潤充填剤とを混合して混合物を形成し、蒸発によって前記混合物から前記液体の少なくとも一部分を除去し、前記混合工程の少なくとも1つにおいて、前記混合を行う工程であって、以下:
(i)前記ミキサが、65℃以上の温度Tzに設定される少なくとも1つの温度制御手段を有すること、及び
(ii)前記1つ以上のロータが、混合時間の少なくとも50%の間、少なくとも0.6m/sの先端速度で動作すること、のうちの少なくとも1つが適用される、工程と、
(c)前記第1のミキサから、少なくとも20phrの装填量で前記エラストマ中に分散された前記充填剤を含む前記混合物を放出する工程であって、前記混合物が、工程(b)の開始時の液体含有量未満の量に低減された液体含有量を有する、工程と、
(d)(c)からの前記混合物を第2のミキサ中で混合して、複合材料を得る工程であって、
前記第2のミキサが、ミキサモータに機械的に結合される1つ以上のロータを有し、工程(b)における前記混合の少なくとも一部分が、コントローラであって、(i)測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を計算し、(ii)前記測定されたミキサモータ出力が前記出力設定点から逸脱する場合に前記1つ以上のロータの回転速度を調整するコントローラによって、前記1つ以上のロータの前記回転速度が制御される出力制御下で実行される、工程とを含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料を調製する方法であって、
(a)1つ以上のロータを有するミキサに、少なくとも1つの固体エラストマと、湿潤充填剤であって、充填剤と、湿潤充填剤の総重量に基づいて少なくとも15重量%の量で存在する液体とを含む湿潤充填剤とを充填する工程と、
(b)1つ以上の混合工程において、前記少なくとも1つの固体エラストマと前記湿潤充填剤とを混合して混合物を形成し、蒸発によって前記混合物から前記液体の少なくとも一部分を除去し、前記混合工程の少なくとも1つにおいて、前記混合を行う工程であって、以下:
(i)前記ミキサが、65℃以上の温度Tzに設定される少なくとも1つの温度制御手段を有すること、及び
(ii)前記1つ以上のロータが、混合時間の少なくとも50%の間、少なくとも0.6m/sの先端速度で動作すること、のうちの少なくとも1つが適用される、工程と、
(c)前記ミキサから、少なくとも20phrの装填量で前記エラストマ中に分散された前記充填剤を含む前記複合材料を放出する工程であって、前記複合材料が、前記複合材料の総重量に基づいて10重量%以下の液体含有量を有する、工程とを含み、
前記1つ以上のロータが、ミキサモータに機械的に結合され、前記工程(b)における混合の少なくとも一部分が、コントローラであって、(i)測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を計算し、(ii)前記測定されたミキサモータ出力が前記出力設定点から逸脱する場合に前記1つ以上のロータの回転速度を調整するコントローラによって、前記1つ以上のロータの前記回転速度が制御される出力制御下で実行される、方法。
【請求項2】
工程(b)における前記混合の少なくとも一部分が、PID出力制御下で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(i)について、前記コントローラが、0.05秒~5秒の範囲の設定時間間隔で、前記測定されたミキサモータ出力と前記出力設定点との間の差を連続的に計算する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
(ii)について、前記コントローラが、前記測定されたミキサモータ出力が前記出力設定点から逸脱する場合に前記1つ以上のロータの前記回転速度を連続的に調整する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記コントローラが、前記測定されたミキサモータ出力と前記出力設定点との間の差を自動的に計算し、前記測定されたミキサモータ出力が前記出力設定点から逸脱する場合に前記1つ以上のロータの前記回転速度を調整する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記ミキサが、前記固体エラストマで充填され、前記混合が、前記湿潤充填剤を前記ミキサに充填した後に出力制御下で実行される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、前記ミキサに前記湿潤充填剤の少なくとも2つの部分を充填することを含み、前記混合が、前記湿潤充填剤の第1の部分を前記ミキサに充填した後に、出力制御下で実行される、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記混合が、前記湿潤充填剤の各部分を前記ミキサに充填した後に、出力制御下で実行される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記湿潤充填剤の前記少なくとも2つの部分のうちの前記第1の部分が、前記ミキサに充填される前記湿潤充填剤の総量の少なくとも50重量%である、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記充填剤が、炭素質材料、カーボンブラック、シリカ、ナノセルロース、リグニン、粘土、ナノ粘土、金属酸化物、金属炭酸塩、熱分解炭素、グラフェン、酸化グラフェン、還元酸化グラフェン、カーボンナノチューブ、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、及びこれらの組み合わせ、並びにこれらのコーティング及び処理された材料から選択される少なくとも1つの材料を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
前記充填剤が、籾殻シリカ、リグニン、ナノセルロース、水熱炭素、及び改変多糖類、並びにこれらの組み合わせ、カーボンナノ構造体、並びにこれらのコーティング及び処理された材料から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
前記充填剤が、カーボンブラック、シリカ、ケイ素処理カーボンブラック、及びこれらのブレンドから選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項13】
前記固体エラストマが、天然ゴム、官能化天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、官能化スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、官能化ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、イソブチレン系エラストマ、ポリクロロプレンゴム、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、ポリスルフィドゴム、ポリアクリレートエラストマ、フルオロエラストマ、パーフルオロエラストマ、シリコーンエラストマ、及びこれらのブレンドから選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項14】
前記混合が2つ以上の混合工程で実行され、(a)における前記ミキサが第1のミキサであり、前記方法が、(c)からの前記複合材料の少なくとも一部分を第2のミキサ中で混合することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項15】
(a)における前記ミキサが第1のミキサであり、前記方法が、
(d)(c)からの前記複合材料の少なくとも一部分を第2のミキサ中で混合する工程であって、前記第2のミキサが、以下の条件:
(i)5psi以下のラム圧;
(ii)ラムがその最高レベルの少なくとも75%まで上昇する;
(iii)ラムがフローティングモードで動作する;
(iv)ラムが前記混合物に実質的に接触しないように配置される;
(v)前記ミキサがラムレスである;及び
(vi)前記混合物の充填率が25%~70%の範囲である;のうちの少なくとも1つの下で動作する工程と、
(e)前記複合材料の総重量に基づいて3重量%未満の液体含有量を有する前記複合材料を前記第2のミキサから放出する工程と、を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項16】
(d)における前記混合について、前記第2のミキサが、前記混合時間の少なくとも50%の間、前記条件(i)~(vi)のうちの少なくとも1つの下で動作する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のミキサが、ミキサモータに機械的に結合された1つ以上のロータを有し、前記第2のミキサにおける前記混合の少なくとも一部分が、コントローラであって、(i)測定されたミキサモータ出力と出力設定点との間の差を計算し、(ii)前記測定されたミキサモータ出力が前記出力設定点から逸脱する場合に前記1つ以上のロータの回転速度を調整する、コントローラによって、前記1つ以上のロータの前記回転速度が制御される出力制御下で実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のミキサにおける出力制御下での前記混合の少なくとも一部分が、前記ラムをその最高レベルの少なくとも75%まで上昇させた状態で実行される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2のミキサにおける出力制御下での前記混合が、少なくとも1つの添加剤の添加後に実行される、請求項17に記載の方法。
【国際調査報告】