(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】自動車の発光装置
(51)【国際特許分類】
F21S 41/663 20180101AFI20240918BHJP
F21S 41/148 20180101ALI20240918BHJP
F21S 41/37 20180101ALI20240918BHJP
F21S 41/43 20180101ALI20240918BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20240918BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240918BHJP
【FI】
F21S41/663
F21S41/148
F21S41/37
F21S41/43
F21W102:13
F21Y115:10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513984
(86)(22)【出願日】2022-09-01
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 EP2022074357
(87)【国際公開番号】W WO2023031341
(87)【国際公開日】2023-03-09
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】シルバイン、ジロー
(57)【要約】
本発明は、第1の発光モジュール(21,22)および第2の発光モジュール(31,32,33)を備える発光装置(1)であって、第1の発光モジュールが、第1の光ビーム(F11,F12)を形成するように構成された第1の光源(41)および第1の光学装置(42)を備え、第2の発光モジュールが、第2の光ビーム(F21,F22,F23)を形成するように構成された第2の光源(51)および第2の光学装置(52)を備え、第2の発光モジュールが、第3の光源(71)と、偏向部材(73)および散乱面(11,14,16)を備える第3の光学装置(72)とを備え、偏向部材が、第3の光源によって放射された光を前記散乱面に向けて偏向させるように構成され、発光装置が、第1の光源がオンにされたときに第3の光源をオンにするように構成された制御ユニットを備える、発光装置(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の発光装置(1)であって、第1の発光モジュール(21,22)と、第2の発光モジュール(31,32,33)とを備え、前記第1の発光モジュールが、第1の光源(41)と、前記第1の光源によって放射された光を受け取り、この光から第1の光ビーム(F11,F12)を形成するように構成された第1の光学装置(42)とを備え、前記第2の発光モジュールが、第2の光源(51)と、前記第2の光源によって放射された光を受け取り、この光から前記第1のビームとは異なる第2の光ビーム(F21,F22,F23)を形成するように構成された第2の光学装置(52)とを備える、発光装置(1)において、前記第2の発光モジュールが、第3の光源(71)と、偏向部材(73)および少なくとも1つの散乱面(11,14,16)を備える第3の光学装置(72)とを備え、前記偏向部材が、前記第3の光源によって放射された光を受け取り、その光を前記散乱面に向かって偏向させるように構成され、前記発光装置が、前記光源の各々を制御し、前記第1の光源がオンにされたときに前記第3の光源をオンにするように構成された制御ユニットを備えることを特徴とする、発光装置(1)。
【請求項2】
前記第2の光学装置(52)が、前記第2の光源(51)によって放射された光を収集して反射するように構成された反射面を有する収集器(53)と、前記収集器によって反射された光を投影するように構成されたレンズ(54)とを備え、前記第2の光ビーム(F21,F22,F23)が、前記レンズによって形成された前記収集器の前記反射面の像によって形成され、前記第3の光学装置(72)の前記偏向部材(73)が、前記第2の光学装置の前記収集器の下流かつ前記第2の光学装置の前記レンズの上流に配置された反射面を有する収集器(73)を備える、請求項1に記載の発光装置(1)。
【請求項3】
前記偏向部材(73)の前記収集器(73)が散乱要素を備える、請求項2に記載の発光装置(1)。
【請求項4】
前記第3の光学装置(72)が、前記第2の光学装置(52)の前記収集器(53)の前記反射面によって反射された光が前記第2の光学装置の前記レンズ(54)に伝播することが意図される前記第2の発光モジュール(31,32,33)のボリュームを共に画定する複数の散乱面(11,14,16)を備える、請求項2または3に記載の発光装置(1)。
【請求項5】
前記第2の発光モジュール(31,32,33)が、上部散乱面(11)を形成するカバー(10)を備え、前記散乱面(11)が、前記偏向部材(73)の前記収集器(73)の延在部に配置され、前記第2の光学装置(52)の前記レンズ(54)まで延在する、請求項4に記載の発光装置(1)。
【請求項6】
前記第2の発光モジュール(31,32,33)が、前記第2の光学装置(52)および前記偏向部材(73)の前記収集器(53,73)の両側に配置された、各々が側方散乱面を形成する2つの側壁(16)を有する、請求項4および5のいずれかに記載の発光装置(1)。
【請求項7】
前記第2の発光モジュール(31,32,33)が、前記第2の光源(51)および前記第3の光源(71)を支持するプレート(13)を備え、前記プレートが、前記第2の光学装置(52)の前記レンズ(54)まで延在する、下部散乱面(14)を形成する壁(14)を有する、請求項4~6のいずれか一項に記載の発光装置(1)。
【請求項8】
前記プレート(13)が、前記プレートから突出する、前記第3の光源(71)と前記第2の光学装置(52)の前記レンズ(54)との間に配置された遮蔽要素(74)を備える、請求項7に記載の発光装置(1)。
【請求項9】
各散乱面(11,14,16)が散乱要素を備える、請求項4~8のいずれか一項に記載の発光装置(1)。
【請求項10】
前記第1の光学装置(42)が、前記第1の光源(41)によって放射された光を収集して反射するように構成された反射面を備える収集器(43)と、前記収集器によって反射された光を投影するように構成されたレンズ(44)とを備え、前記第1の光ビーム(F11,F12)が、前記レンズによって形成された前記収集器の前記反射面の像によって形成される、請求項2~9のいずれか一項に記載の発光装置(1)。
【請求項11】
前記第1の光学装置(42)が、前記第1の光学装置の前記収集器(43)の前記反射面から反射された光が前記第1の光学装置の前記レンズ(44)に伝播することが意図される前記第1の発光モジュール(21,22)のボリュームを共に画定する複数の散乱面(11,14,16)を備える、請求項10に記載の発光装置(1)。
【請求項12】
前記第1の光ビーム(F11,F12)が、調整ロービームの全部または一部を形成することが意図されており、前記第2の光ビーム(F21,F22,F23)が、調整ハイビームの全部または一部を形成することが意図されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の発光装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車照明の分野に関する。より正確には、本発明は、自動車の発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
同じ投影光学装置を共有する複数の発光モジュールを備え、したがってこの投影光学装置を介して複数の機能を選択的に実行することができる、いわゆる二重機能発光装置が知られている。複数の光源を備える発光装置が特に知られており、各光源は、この光源によって放射された光を収集して反射するように構成された反射面を備える収集器に関連付けられ、発光装置は、各収集器によって反射された光をこの収集器の反射面の像によって形成される光ビームに投影するように構成されたレンズを備える。
【発明の概要】
【0003】
したがって、これらの発光装置は、ハイビームおよびロービーム照明機能などの様々な照明機能を実行することを可能にする。しかしながら、これらの2つの機能は別個の光源を必要とし、光源のいくつかは両方の機能に対して作動させることができず、一般に、ロービーム機能が発光装置の他の光源によって補完されて、ハイビーム機能が形成される。したがって、ロービーム機能が作動されるとき、投影光学装置の一部のみが照明され、一方、ハイビーム機能が作動されるとき、投影光学装置全体が照明される。
【0004】
作動された照明機能に応じて発光装置の照明外観が異なるという事実は問題であり、このように、その動作モードに関係なく一定で均一な照明外観を有する発光装置を達成する再三の必要性は満たされていない。ロービームおよびDRL機能、またはDRLおよび方向指示器機能(DRLは昼間走行灯を表す)などの他の排他的な発光機能でも同じ問題が生じることに留意されたい。
【0005】
この必要性を満たすことを可能にする解決策があるが、それらは満足のいくものではない。
【0006】
第1の解決策は、これらの機能の一方を実行する光源によって生成された光の一部を、これらの機能の他方を実行する発光モジュールに偏向させることにある。一方で、この解決策は、2つの発光モジュールが互いに近接していることを必要とし、したがって、例えば、これらのモジュールの収集器が上下に配置されるときに実施することができる。しかしながら、この解決策は、例えば、光源を同じ支持体に取り付けることができるように収集器が隣接して配置された発光装置と互換性がない。一方、この解決策は、光の一部が偏向される発光機能の効率損失を意味し、これは望ましくない。
【0007】
別の解決策は、一方が発光機能の1つを実行するための公称輝度を有し、他方がはるかに低い輝度を有する2つの光源を同時にオンにすることにある。この解決策は、発光機能の一方がハイビームである場合には満足のいくものではなく、このように形成された光ビームが不快なグレアを生成するのを防止しながら許容可能な照明外観を得るために必要な最小輝度レベルは、現在の電子工学的解決策では達成することが困難である。
【0008】
したがって、これが、様々な列挙された解決策の欠点を克服しながら前述の必要性を満たすことを目的とする本発明の状況である。
【0009】
これらの目的のために、本発明は、自動車の発光装置であって、第1の発光モジュールと第2の発光モジュールとを備え、第1の発光モジュールが、第1の光源と、第1の光源によって放射された光を受け取り、この光から第1の光ビームを形成するように構成された第1の光学装置とを備え、第2の発光モジュールが、第2の光源と、第2の光源によって放射された光を受け取り、この光から第1のビームとは異なる第2の光ビームを形成するように構成された第2の光学装置とを備える、発光装置において、第2の発光モジュールが、第3の光源と、偏向部材および少なくとも1つの散乱面を備える第3の光学装置とを備え、偏向部材が、第3の光源によって放射された光を受け取り、その光を前記散乱面に向かって偏向させるように構成され、発光装置が、光源の各々を制御し、第1の光源がオンにされたときに第3の光源をオンにするように構成された制御ユニットを備えることを特徴とする、発光装置に関する。
【0010】
したがって、本発明によれば、発光機能の一方を実行することが意図された発光モジュールに第3の光源が追加され、この第3の光源は、発光機能の他方を実行することが意図された発光モジュールが作動されたときにこの発光モジュールに照明外観を与えるために専用される。この第3の光源によって放射された光は、この光の大部分またはさらには全部が偏向部材によってこの光を分散させる1つまたは複数の散乱面に適切に偏向される限り、不快なグレアを生成するほど明るくはない。したがって、実行される発光機能にかかわらず、発光モジュールの各々が均一で一定の照明外観を有することが保証される。さらに、第1および第2の光源によって放射される光は、全体的に、第1および第2の光ビームの生成に専用であり、したがって効率の損失は観察されない。最後に、本発明は、発光モジュールが互いに対してどのように配置されているかにかかわらず実施することができる。特に、各々がモジュールの光学装置の1つに関与する複数のセグメントを画定する単一の投影要素を備えた単一の発光装置内に、発光モジュールのすべてを配置することが想定され得る。したがって、発光装置の照明外観は、連続的であり得る。変形例として、これらの発光モジュールが互いに完全に分離され、それらが発光装置内の異なる、必ずしも連続していない位置に配置されることが想定され得る。したがって、この装置の照明外観は、不連続であり得る。
【0011】
有利には、第1の光学装置は、第1の光ビームが上部カットオフ、特にロービームタイプの上部カットオフを有するように構成され、第2の光学装置は、第2の光ビームが前記上部カットオフの上方に少なくとも部分的に延在するように構成される。適切な場合には、第1の光ビームは、調整ロービームの全部または一部を形成することが意図されてもよく、第2の光ビームは、調整ハイビームの全部または一部を形成することが意図されてもよい。
【0012】
有利には、第2の光学装置は、第2の光源によって放射された光を収集して反射するように構成された反射面を備える収集器と、収集器によって反射された光を投影するように構成されたレンズとを備え、前記第2の光ビームは、前記レンズによって形成された収集器の反射面の像によって形成される。適切な場合には、第3の光学装置の偏向部材は、第2の光学装置の収集器の下流かつ第2の光学装置のレンズの上流に配置された反射面を備える収集器を備える。
【0013】
例えば、第2の光学装置の収集器の反射面は、放物状または楕円形の輪郭を有してもよい。好ましくは、それは、前記輪郭の回転面である。回転は、有利には前記レンズの光学軸に平行な軸を中心とする。一変形例によれば、反射面は、自由曲面または掃引面または非対称面である。また、複数のセクタを備えてもよい。
【0014】
好ましくは、第2の光源は、第2の光学装置の収集器の前記反射面の焦点に配置される。適切な場合には、後縁に沿って反射面によって反射された光線は、前記レンズの光学軸に平行であるか、または垂直平面内で前記光学軸に対して25°以下、好ましくは10°以下の傾斜角を有する。
【0015】
好ましくは、レンズは、第2の光ビームが反射面に対するこの焦点領域の位置に対応する最大輝度のスポットを含むように、第2の光学装置の収集器の反射面上に位置する焦点領域を有する。
【0016】
有利には、第3の光源は、第2の光源から幾分離れており、例えば第2の光源の下流に配置される。適切な場合には、偏向部材は、第3の光源によって放射された光を第2の光学装置の前記レンズに直接向けて偏向させない、または実質的に偏向させないように構成される。
【0017】
本発明の一実施形態では、第2および第3の光源、ならびに任意選択で第1の光源は、同じ支持体、特に同じプリント回路基板に取り付けられ、同じ方向に光線を放射することができる。適切な場合には、第3の光学装置の収集器は、第2の光学装置の収集器の下流かつ上方に配置され、これらの収集器の各々は、第2の光源および第3の光源の一方または他方に向かって配向されたキャビティを画定する。例えば、第2および第3の光源、ならびに任意選択的に第1の光源は、発光半導体チップ、特に発光ダイオードである。
【0018】
有利には、偏向部材の収集器は、散乱要素を備える。前記散乱要素は、以下の散乱要素の1つ、または以下の散乱要素の組み合わせを潜在的に備える:シボ加工、ガラスビーズブラスト加工によって製造されたテクスチャ、サンドブラスト加工によって製造されたテクスチャ、縞、溝、またはこの反射面の物理的もしくは化学的修飾を介して、もしくはさらにはこの反射面に散乱材料を追加することによって製造され、この局所的な変形と相互作用する光線を散乱させることができる、偏向部材の収集器の反射面の任意のタイプの局所的な変形。本発明の実施形態の一例によれば、偏向部材の収集器の反射面は、この反射面に対してレーザビームを発射することによってシボ加工されてもよい。
【0019】
本発明の一実施形態では、第3の光学装置は、第2の光学装置の収集器の反射面によって反射された光が第2の光学装置のレンズに伝播することが意図される第2の発光モジュールのボリュームを共に画定する複数の散乱面を備える。適切な場合には、前記ボリュームは、第2の装置のレンズによって塞がれる。この特徴によれば、第3の光源によって放射され、偏向部材によって偏向された光は、例えば第2の光学装置のレンズに到達するまで、このボリューム内の散乱面によって散乱される。
【0020】
有利には、第2の発光モジュールは、上部散乱面を形成するカバーを備え、上部散乱面は、偏向部材の収集器の延在部に配置され、第2の光学装置のレンズまで延在する。
【0021】
また有利には、第2の発光モジュールは、第2の光学装置および偏向部材の収集器の両側に配置された、各々が側方散乱面を形成する2つの側壁を有する。これらの側壁は、例えば、この第2の発光モジュールの両側に配置された発光装置の他の発光モジュール、例えば第1の発光モジュールまたは第2の発光モジュールと同様の別の発光モジュールなどのモジュールに第2の発光モジュールを分配するスプリッタを形成する。適切な場合には、各側壁は、第2の光学装置のレンズまで延在する。
【0022】
また有利には、第2の発光モジュールは、第2および第3の光源を特に直接的または間接的に支持するプレートを備え、プレートは、第2の光学装置のレンズまで延在する、下部散乱面を形成する壁を備える。プレートは、例えば、第2および第3の光源が取り付けられたプリント回路基板を支持するヒートシンクであってもよい。
【0023】
好ましくは、前記プレートは、プレートから突出する、第3の光源と第2の光学装置のレンズとの間に配置された遮蔽要素を備える。この遮蔽要素は、とりわけ、第3の光源によって前記レンズの方向に直接放射された光線、すなわち前記レンズに到達する前に反射または散乱されず、不快なグレアを生成しやすい光線を遮ることを可能にする。
【0024】
有利には、各散乱面は、散乱要素を備える。本発明の実施形態の一例によれば、偏向部材の収集器の各散乱面は、シボ加工またはサンドブラスト加工されてもよく、縞を有してもよい。これらの縞は、特に、第3の光源によって放射された光線が、散乱面によって画定されたボリューム内に反射され、したがって、第2の光学装置のレンズに到達する前に散乱される回数を乗じるという利点を有する。
【0025】
本発明の一実施形態では、第1の光学装置は、第1の光源によって放射された光を収集して反射するように構成された反射面を備える収集器と、前記収集器によって反射された光を投影するように構成されたレンズとを備え、前記第1の光ビームは、前記レンズによって形成された前記収集器の反射面の像によって形成される。
【0026】
例えば、第1の光学装置の収集器は、後縁を有してもよく、第1の光学装置のレンズは、第1の光ビームが、前記レンズによって形成されるこの収集器の後縁の像によって形成される上部カットオフを含むように、収集器の前記後縁の近傍に位置する焦点領域を有してもよい。適切な場合には、第1および第2の発光モジュールは、第2のビームが前記上部カットオフの上方に少なくとも部分的に延在するように構成されてもよい。
【0027】
好ましくは、第1の光学装置のレンズおよび第2の光学装置のレンズは各々、同じレンズ、特にトーリックレンズのセグメントによって形成される。
【0028】
有利には、第1の光学装置は、第1の光学装置の収集器の反射面によって反射された光が第1の光学装置のレンズに伝播することが意図される第1の発光モジュールのボリュームを共に画定する複数の散乱面を備える。これらの散乱面は、特に、第1の光源によって放射され、これらの面に到達しやすい迷光と呼ばれる光線が、不快なグレアを引き起こすような様式で、特に前記上部カットオフの上方への投影によって投影されるように、反射されて第1の光学装置のレンズに向かうのを防止することを可能にする。
【0029】
有利には、制御ユニットは、所与の測光機能を発する命令を受け取ることができ、第1の光源のオンならびに第2および第3の光源のいずれかのオンを同時に制御するように構成される。
【0030】
ここで、本発明を、本発明の単なる例示であり、その範囲を決して限定するものではない実施例を用いて、添付の図面を参照して説明し、添付の図面では、様々な図が以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態による発光装置の上面図を概略的かつ部分的に示す。
【
図2】
図1の装置の第1の発光モジュールの断面図を概略的かつ部分的に示す。
【
図3】
図1の装置の第2の発光モジュールの断面図を概略的かつ部分的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の説明では、構造または機能が同一であり、2つ以上の図に現れる要素は、特に指示しない限り、同じ参照符号で示されている。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態による照明装置1の底面図を示す。
【0034】
照明装置1は、第1の発光モジュール21,22および第2の発光モジュール31,32,33を含む複数の発光モジュールを備える。
【0035】
記載された例では、第1の発光モジュール21は、各々が、発光ダイオードによって形成された第1の光源41と、反射面が設けられた収集器43およびレンズ44を備える光学装置42とが各々に設けられた、3つのサブモジュール4を備える。レンズ44は、同じ発光モジュール21のすべてのサブモジュール4に共通であることに留意されたい。
【0036】
図2は、第1の発光モジュール21の1つのサブモジュール4を垂直平面で切断した断面図を示す。
【0037】
収集器43は、垂直平面で、発光ダイオード41が配置されたキャビティを画定する切頭放物線輪郭を有する。より正確には、発光ダイオード41は、この収集器43の焦点に配置され、その結果、この発光ダイオード41によって放射された光線は、レンズ44の光学軸X-Xに対して25°以下、好ましくは10°未満の傾斜角で収集器43の反射面によって反射される。
【0038】
収集器43の反射面は、発光ダイオード41によって放射された光を収集し、この光を、それを道路上に投影するように構成されたレンズ44に向けて反射する。したがって、第1の発光モジュール21は、第1の光ビームF11を形成する。
【0039】
したがって、収集器43は、後縁43aを有する。レンズ44は、この後縁43aを通過する焦点領域、例えば焦点線44aを有し、その結果、このレンズ44は、収集器43の像を道路に投影し、この投影から生じる光ビームF11は、この後縁43aによって形成される無照明領域から照明領域を画定する上部カットオフを有する。
【0040】
サブモジュール4の場合、後縁43aは略楕円形の輪郭を有し、したがって、第1の光ビームF11の上部カットオフは略平坦である。
【0041】
レンズ44の焦点線44aは湾曲しており、したがって、同じ発光モジュール21のサブモジュール4の収集器43の後縁43aのすべてを通過することに留意されたい。
【0042】
第1の発光モジュール22は、サブモジュールの収集器の形状、特に、窪みが形成された略楕円形の輪郭であるその後縁の輪郭を除いて、第1の発光モジュール21のサブモジュール4と同じである単一のサブモジュール4を備える。したがって、このサブモジュール4の収集器の像のレンズによる投影から生じる第1の光ビームF12の上部カットオフは、第1の光ビームF11の略平坦な上部カットオフの上方に延在することが意図された突出部を含む。
【0043】
したがって、2つの第1の光ビームF11と第1の光ビームF12との組み合わせは、調整ロービームを形成する。
【0044】
第2の発光モジュール31は、発光ダイオードによって形成された第2の光源51を備える単一のサブモジュール5と、反射面が設けられた収集器53およびレンズ54を備える第2の光学装置52とを備える。
【0045】
図3は、この第2の発光モジュール31のサブモジュール5を垂直平面で切断した断面図を示す。
【0046】
収集器53は、垂直平面で、発光ダイオード51が配置されたキャビティを画定する切頭放物線輪郭を有する。より正確には、発光ダイオード51は、この収集器53の焦点に配置され、その結果、この発光ダイオード51によって放射された光線は、レンズ54の光学軸X-Xに対して25°以下、好ましくは10°未満の傾斜角で収集器53の反射面によって反射される。
【0047】
収集器53の反射面は、発光ダイオード51によって放射された光を収集し、この光を、それを道路上に投影するように構成されたレンズ54に向けて反射する。したがって、第2の発光モジュール31は、第2の光ビームF21を形成する。
【0048】
レンズ54は、収集器53の反射面上の所与の点に位置する焦点領域、例えば焦点54aを有し、その結果、このレンズは、収集器53の像を道路に投影し、この投影から生じる光ビームF21は、その位置がこの反射面に対するこの焦点54aの位置、特にその外形に対応する最大輝度のスポットを有する。
【0049】
したがって、レンズ54は、この第2の光ビームF21を、第1の光ビームF11およびF12の上部カットオフの上方に少なくとも部分的に延在するように投影する。
【0050】
第2の発光モジュール32は、第2の光ビームF21よりも水平方向および垂直方向の両方で大きい第2の光ビームF22を得ることを可能にするサブモジュールの収集器の形状を除いて、各々が第2の発光モジュール31のサブモジュール5と同じである2つのサブモジュール5を備える。レンズは、同じ発光モジュール32のすべてのサブモジュール5に共通であることに留意されたい。
【0051】
最後に、第2の発光モジュール33は、第2の光ビームF22よりも水平方向および垂直方向の両方で大きい第2の光ビームF23を得ることを可能にするサブモジュールの収集器の形状を除いて、各々が第2の発光モジュール31のサブモジュール5と同じである2つのサブモジュール5と、第2の光ビームF23の両側に延在するビームを形成することが意図された2つのサブモジュール6とを備える。レンズは、この発光モジュール33のすべてのサブモジュール5,6に共通であることに留意されたい。
【0052】
したがって、第1の光ビームF11,F12と、第2の光ビームF21,F22,F23との組み合わせは、調整ハイビームを形成する。
【0053】
記載された例では、発光モジュール21,22,31,32,33のサブモジュール4,5,6の収集器43,53のすべては、これらの収集器の反射面を形成する金属化キャビティを備えた単一の部品10を形成する。単一の部品10は、照明装置1のカバーを形成し、このカバーの壁11はしたがって、収集器からレンズまで延在する。
【0054】
さらに、発光モジュール21,22,31,32,33のサブモジュール4,5,6の発光ダイオード41,51は、特にこれらの発光ダイオードによって生成される熱のためのヒートシンクを形成する、したがってこの目的のためにフィンが設けられた金属プレート13に取り付けられた、共通の支持体12、特に共通のプリント回路基板に取り付けられる。このプレートの壁14は、これらのフィンからレンズまで延在する。単一の部品10は、発光装置1のハウジングを形成するようにこのプレート13に取り付けられ、したがって自動車のヘッドランプに組み込むことができる。
【0055】
発光モジュール21,22,31,32,33のサブモジュール4,5,6のレンズ44,54は、単一の部品15、すなわちトーリックレンズを形成し、これは、単一の部品10とプレート13との間に固定されて発光装置1からの光の出射面を形成する。
【0056】
最後に、発光装置1は、各々が2つの隣接する発光モジュールのためのスプリッタを画定する複数の側壁16を備える。
【0057】
各発光モジュールについて、上壁11、下壁14、および側壁16は、1つまたは複数の収集器43,53によって反射された光がレンズ44,54に伝播するこの発光モジュールのボリュームを画定することに留意されたい。
【0058】
記載された例では、第2の発光モジュール31,32,33の各々は、発光ダイオードによって形成された第3の光源71と、反射面が設けられた収集器73ならびにこれらの上壁11、下壁14および側壁16を備える第3の光学装置72とを備える。
【0059】
これらの上壁11、下壁14および側壁16は、散乱要素を備える。例えば、これらの上壁11、下壁14および側壁16の各々は、その全長にわたってシボ加工またはサンドブラスト加工されており、発光モジュールの横手軸に沿って延在する縞がさらに設けられている。
【0060】
各第3の光源71は、1つまたは複数の第2の光源51の下流で支持体12に取り付けられているため、第1の光源41および第2の光源51と同じ方向に光を放射する。したがって、各第2の発光モジュール31,32,33について、収集器73は、この第2のモジュールの1つまたは複数の収集器53の下流かつ上方で、この第2のモジュールのレンズ54の上流に配置される。収集器73は、単一の部品10に形成されたキャビティによって形成されることにも留意されたい。
【0061】
各第2の発光モジュール31,32,33について、収集器73の反射面は、発光ダイオード71によって放射された光を上壁11、下壁14および側壁16の1つに向けて反射し、壁は、この光をレンズ54またはこれらの壁の別の壁に向けて散乱させる。
【0062】
したがって、第3の光源71によって放射された光は、レンズ54の表面全体に向かって均一に散乱され、したがって、この第3の光源71がオンにされたときに均一な照明外観を呈する。さらに、この光が上壁11、下壁14および側壁16によって散乱されるという事実は、この光の輝度を低減することを可能にし、他の道路利用者に不快なグレアを引き起こすことを防止する。
【0063】
第3の光源によって放射されたこの光の散乱を増大させるために、収集器73の反射面にはまた、例えばシボ加工などの散乱要素が設けられてもよい。
【0064】
各第2の発光モジュール31,32,33は、第3の光源71の下流でプレート13から突出する遮蔽要素74を備え、この遮蔽要素は、この第3の光源71によってレンズ54に向かって直接放射され、したがって不快なグレアを生成しやすい光線を遮ることに留意されたい。
【0065】
最後に、第1の発光モジュール21,22に関して、上壁11、下壁14および側壁16も散乱要素を備え、この場合、散乱要素は、第1の光源41によって放射される迷光を散乱することが意図される。
【0066】
発光装置は、所与の測光機能を発する命令を受け取ることができ、この命令に応答して、第1の光源41、第2の光源51および第3の光源71が光を放射するようにそれらを制御するように構成された制御ユニット(図示せず)を備える。
【0067】
例えば、ロービーム機能を発する命令を受け取ると、制御ユニットは、第1の光ビームF11,F12の放射を目的として第1の光源41を作動させ、発光装置は、その後、前記ロービーム機能を実行する。制御ユニットはまた、第2の光源51をオフにしたままで第3の光源71を作動させ、レンズ44および54、したがってレンズ15は、その結果、均一な照明外観を有する。
【0068】
ハイビーム機能を発する命令を受け取ると、制御ユニットは、第1の光ビームF11,F12の放射を目的として第1の光源41を作動させ、第2の光ビームF21,F22,F23の放射を目的として第2の光源51を作動させる。その後、発光装置は、前記ハイビーム機能を実行し、レンズ44および54、したがってレンズ15は、依然として同じ均一な照明外観を有する。
【0069】
上記の説明は、本発明が、そのために設定された目的、すなわち、その構成要素である発光モジュールに関して効率を損なうことなく、その動作モードにかかわらずその照明外観が均一で一定である発光装置を得ることを、これらの発光モジュールの1つに、この照明外観に専用の光源および光学装置を追加することを提供することによって、どのようにして達成することを可能にするかを明確に説明している。
【0070】
いずれにせよ、本発明は、本明細書に具体的に記載された実施形態に限定されず、特に、任意の同等の手段およびこれらの手段の任意の技術的に動作可能な組み合わせに及ぶ。例えば、記載されたもの以外のタイプの光学装置、特に、以下の光学要素:反射器、レンズ、コリメータ、光導波路、シールドの1つ、またはそれらの複数の組み合わせを備える任意の光学装置を想定することが可能である。他の輪郭および/または他の寸法を有する、および/または他の方法で構成される光ビームを想定することも可能である。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の発光装置(1)であって、第1の発光モジュール(21,22)と、第2の発光モジュール(31,32,33)とを備え、前記第1の発光モジュールが、第1の光源(41)と、前記第1の光源によって放射された光を受け取り、この光から第1の光ビーム(F11,F12)を形成するように構成された第1の光学装置(42)とを備え、前記第2の発光モジュールが、第2の光源(51)と、前記第2の光源によって放射された光を受け取り、この光から前記第1のビームとは異なる第2の光ビーム(F21,F22,F23)を形成するように構成された第2の光学装置(52)とを備える、発光装置(1)において、前記第2の発光モジュールが、第3の光源(71)と、偏向部材(73)および少なくとも1つの散乱面(11,14,16)を備える第3の光学装置(72)とを備え、前記偏向部材が、前記第3の光源によって放射された光を受け取り、その光を前記散乱面に向かって偏向させるように構成され、前記発光装置が、前記光源の各々を制御し、前記第1の光源がオンにされたときに前記第3の光源をオンにするように構成された制御ユニットを備えることを特徴とする、発光装置(1)。
【請求項2】
前記第2の光学装置(52)が、前記第2の光源(51)によって放射された光を収集して反射するように構成された反射面を有する収集器(53)と、前記収集器によって反射された光を投影するように構成されたレンズ(54)とを備え、前記第2の光ビーム(F21,F22,F23)が、前記レンズによって形成された前記収集器の前記反射面の像によって形成され、前記第3の光学装置(72)の前記偏向部材(73)が、前記第2の光学装置の前記収集器の下流かつ前記第2の光学装置の前記レンズの上流に配置された反射面を有する収集器(73)を備える、請求項1に記載の発光装置(1)。
【請求項3】
前記偏向部材(73)の前記収集器(73)が散乱要素を備える、請求項2に記載の発光装置(1)。
【請求項4】
前記第3の光学装置(72)が、前記第2の光学装置(52)の前記収集器(53)の前記反射面によって反射された光が前記第2の光学装置の前記レンズ(54)に伝播することが意図される前記第2の発光モジュール(31,32,33)のボリュームを共に画定する複数の散乱面(11,14,16)を備える、請求項2または3に記載の発光装置(1)。
【請求項5】
前記第2の発光モジュール(31,32,33)が、上部散乱面(11)を形成するカバー(10)を備え、前記散乱面(11)が、前記偏向部材(73)の前記収集器(73)の延在部に配置され、前記第2の光学装置(52)の前記レンズ(54)まで延在する、請求項4に記載の発光装置(1)。
【請求項6】
前記第2の発光モジュール(31,32,33)が、前記第2の光学装置(52)および前記偏向部材(73)の前記収集器(53,73)の両側に配置された、各々が側方散乱面を形成する2つの側壁(16)を有する、請求項
4に記載の発光装置(1)。
【請求項7】
前記第2の発光モジュール(31,32,33)が、前記第2の光源(51)および前記第3の光源(71)を支持するプレート(13)を備え、前記プレートが、前記第2の光学装置(52)の前記レンズ(54)まで延在する、下部散乱面(14)を形成する壁(14)を有する、請求項
4に記載の発光装置(1)。
【請求項8】
前記プレート(13)が、前記プレートから突出する、前記第3の光源(71)と前記第2の光学装置(52)の前記レンズ(54)との間に配置された遮蔽要素(74)を備える、請求項7に記載の発光装置(1)。
【請求項9】
各散乱面(11,14,16)が散乱要素を備える、請求項
4に記載の発光装置(1)。
【請求項10】
前記第1の光学装置(42)が、前記第1の光源(41)によって放射された光を収集して反射するように構成された反射面を備える収集器(43)と、前記収集器によって反射された光を投影するように構成されたレンズ(44)とを備え、前記第1の光ビーム(F11,F12)が、前記レンズによって形成された前記収集器の前記反射面の像によって形成される、請求項2
または3に記載の発光装置(1)。
【請求項11】
前記第1の光学装置(42)が、前記第1の光学装置の前記収集器(43)の前記反射面から反射された光が前記第1の光学装置の前記レンズ(44)に伝播することが意図される前記第1の発光モジュール(21,22)のボリュームを共に画定する複数の散乱面(11,14,16)を備える、請求項10に記載の発光装置(1)。
【請求項12】
前記第1の光ビーム(F11,F12)が、調整ロービームの全部または一部を形成することが意図されており、前記第2の光ビーム(F21,F22,F23)が、調整ハイビームの全部または一部を形成することが意図されている、請求項1~
3のいずれか一項に記載の発光装置(1)。
【国際調査報告】