(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】電子錠、電気自動車充電インレット及び自動車
(51)【国際特許分類】
B60L 53/16 20190101AFI20240918BHJP
E05B 83/34 20140101ALI20240918BHJP
【FI】
B60L53/16
E05B83/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514054
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 CN2022116696
(87)【国際公開番号】W WO2023030482
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】202111028847.7
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522388383
【氏名又は名称】長春捷翼汽車科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Changchun JETTY Automotive Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 957, Shunda Road, High-tech Development Zone, Chaoyang District Changchun City, Jilin Province, 130000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 超
【テーマコード(参考)】
2E250
5H125
【Fターム(参考)】
2E250HH01
2E250KK02
2E250LL13
2E250RR12
2E250RR33
2E250RR43
5H125AA01
5H125AC23
5H125FF12
(57)【要約】
電子錠、電気自動車充電インレット及び自動車において、回転運動を生成する駆動装置と、第一伝達機構を介して駆動装置に接続されている第一ロッキングロッドであって、第一伝達機構は駆動装置の回転運動を第一ロッキングロッドの運動に変換するように構成される前記第一ロッキングロッドと、第二伝達機構を介して駆動装置に接続されている第二ロッキングロッドであって、第二伝達機構は駆動装置の回転運動を第二ロッキングロッドの運動に変換するように構成される前記第二ロッキングロッドと、を備える。本出願の実施例は、二つの伝達機構を設けることで駆動装置に接続され、一つの駆動装置で二つのロッキングロッドを同時に移動できて、電子錠は直流充電ガンと交流充電ガンとについてそれぞれロック可能にし、電子錠の制造コストを増加させることなく、電子錠の構造を簡単化すると共に使用上便利である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子錠であって、
回転運動を生成する駆動装置と、
第一伝達機構を介して前記駆動装置に接続されている第一ロッキングロッドであって、前記第一伝達機構は、前記駆動装置の回転運動を前記第一ロッキングロッドの運動に変換するように配置されている第一ロッキングロッドと、
第二伝達機構を介して前記駆動装置に接続されている第二ロッキングロッドであって、前記第二伝達機構は、前記駆動装置の回転運動を前記第二ロッキングロッドの運動に変換するように配置されている第二ロッキングロッドと、を含む電子錠。
【請求項2】
前記第一ロッキングロッドの運動形態は、伸縮、平行移動、回動、揺動、屈曲又は捩じれである、請求項1に記載の電子錠。
【請求項3】
前記第二ロッキングロッドの運動形態は、伸縮、平行移動、回動、揺動、屈曲又は捩じれである、請求項1に記載の電子錠。
【請求項4】
前記第一ロッキングロッドと前記第二ロッキングロッドは、充電ガンのロック穴に挿着されて前記充電ガンを固定する、請求項1に記載の電子錠。
【請求項5】
前記第一ロッキングロッドの形状は、円柱、円台、円錐、楕円柱、楕円台、楕円錐、多角柱、多角台及び多角錐のうちの一つ又は複数である、請求項1に記載の電子錠。
【請求項6】
前記第二ロッキングロッドの形状は、円柱、円台、円錐、楕円柱、楕円台、楕円錐、多角柱、多角台及び多角錐のうちの一つ又は複数である、請求項1に記載の電子錠。
【請求項7】
前記第一ロッキングロッドの長さは、5mm~55mmであり、前記第二ロッキングロッドの長さは、5mm~55mmである、請求項1に記載の電子錠。
【請求項8】
前記第一ロッキングロッドのストロークは、5mm~36mmであり、前記第二ロッキングロッドのストロークは、5mm~36mmである、請求項1に記載の電子錠。
【請求項9】
前記第一伝達機構は、ラックアンドピニオン機構、リンク機構、カム機構又はクランクスライダ機構である、請求項1に記載の電子錠。
【請求項10】
前記第二伝達機構は、ラックアンドピニオン機構、リンク機構、カム機構又はクランクスライダ機構である、請求項1に記載の電子錠。
【請求項11】
前記駆動装置、前記第一伝達機構及び前記第二伝達機構にそれぞれ接続されて、前記駆動装置の回転運動を前記第一伝達機構と前記第二伝達機構とに伝達する回転ロッドをさらに含む、請求項1に記載の電子錠。
【請求項12】
減速機構をさらに含み、前記回転ロッドは、前記減速機構によって前記駆動装置に接続される、請求項11に記載の電子錠。
【請求項13】
前記減速機構は二段減速機構であり、
前記二段減速機構は、
前記駆動装置の出力軸に接続される第一ウォームと、
前記第一ウォームに噛み合う第一歯車と、
前記第一歯車の出力軸に接続される第二ウォームと、
前記第二ウォームに噛み合う第二歯車と、を含み、
前記第二歯車は、前記回転ロッドと同軸に接続される、請求項12に記載の電子錠。
【請求項14】
前記駆動装置と前記回転ロッドの伝達比は、5/1~90/1である、請求項12に記載の電子錠。
【請求項15】
前記第一伝達機構は、ラックアンドピニオン機構であり、前記ラックアンドピニオン機構は、噛み合う駆動歯車と被動ラックとを含み、前記被動ラックは、前記第一ロッキングロッドに接続され、前記回転ロッドは、前記駆動装置の回転運動を前記駆動歯車に伝達し、前記駆動歯車は、前記被動ラックを回転駆動することで前記第一ロッキングロッドを直線的に移動させる、請求項11に記載の電子錠。
【請求項16】
前記ラックアンドピニオン機構は、リバースアセンブリによって前記回転ロッドに接続され、
前記リバースアセンブリは、
前記回転ロッドと同軸に接続される第一リバース歯車と、
前記第一リバース歯車に垂直に設けられ、前記第一リバース歯車と噛み合う第二リバース歯車と、を含み、
前記第二リバース歯車は、リンクによって前記駆動歯車と同軸に接続されており、前記リンク、前記回転ロッド及び前記第一ロッキングロッドは、互いに垂直である、請求項15に記載の電子錠。
【請求項17】
前記第二伝達機構は、カム機構であり、前記カム機構は、前記回転ロッドに固定されるカムと前記第二ロッキングロッドに設けられるスライド溝とを含み、前記カムは、前記スライド溝内に位置し、前記スライド溝の内壁面は、所定形状を有し、且つ前記カムの外郭にスライド接触するスキッドウェイに構成され、前記回転ロッドは、前記駆動装置の回転運動を前記カムに伝達し、前記カムは、旋回して前記スキッドウェイと摺動嵌合され、前記第二ロッキングロッドを直線的に移動させる、請求項11に記載の電子錠。
【請求項18】
前記スキッドウェイは、二つの平面を含み、二つの前記平面は、前記第二ロッキングロッドの線形運動方向において前記カムの対向する両側に位置し、二つの前記平面は、それぞれ前記第二ロッキングロッドの線形運動方向に垂直である、請求項17に記載の電子錠。
【請求項19】
前記所定形状は、U形、矩形、平行四辺形、多角形、台形、菱形又は長円形である、請求項17に記載の電子錠。
【請求項20】
ハウジングを含み、前記ハウジングは、前記第一ロッキングロッドの運動方向に沿って設けられる第一ガイド穴と前記第二ロッキングロッドの運動方向に沿って設けられる第二ガイド穴とを含み、前記第一ロッキングロッドは、前記第一ガイド穴を貫通し、前記第二ロッキングロッドは、前記第二ガイド穴を貫通する、請求項1に記載の電子錠。
【請求項21】
前記回転ロッドの両端は、それぞれ前記第一伝達機構と前記第二伝達機構とに接続され、前記回転ロッドの両端間の部分が、前記駆動装置に接続される、請求項11に記載の電子錠。
【請求項22】
前記回転ロッド、前記第一ロッキングロッド及び前記第二ロッキングロッドは、互いに垂直である、請求項11に記載の電子錠。
【請求項23】
前記駆動装置は、モーターである、請求項1に記載の電子錠。
【請求項24】
前記駆動装置の出力パワーは、0.35W~5.56Wである、請求項1に記載の電子錠。
【請求項25】
前記駆動装置は、出力軸を備え、前記出力軸の出力トルクは、2.25N・mm~9.85N・mmである、請求項1に記載の電子錠。
【請求項26】
前記回転ロッドの回動角度は、15°~92°である、請求項11に記載の電子錠。
【請求項27】
前記回転ロッドの材料には、金属又は非金属が含まれる、請求項11に記載の電子錠。
【請求項28】
前記回転ロッドの材料には、炭素鋼、全銅、純銅、アルミニウムクラッド亜鉛、アルミニウムクラッド銅又は亜鉛合金が含まれる、請求項27に記載の電子錠。
【請求項29】
前記回転ロッドの材料には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリテレフタル酸、ポリウレタンエラストマー、スチレンブロック共重合体、パーフルオロアルコキシアルカン、塩素化ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、架橋ポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、架橋ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド、スチレン-アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリレート、ポリオキシメチレン樹脂のうちの一つ又は複数が含まれる、請求項11に記載の電子錠。
【請求項30】
前記回転ロッドの材料には、ガラス繊維が含まれる、請求項27に記載の電子錠。
【請求項31】
前記第一ロッキングロッドと前記第二ロッキングロッドの材料は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリテレフタル酸、ポリウレタンエラストマー、スチレンブロック共重合体、パーフルオロアルコキシアルカン、塩素化ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、架橋ポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、架橋ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリレート、ポリオキシメチレン樹脂のうちの一つ又は複数が含まれる、請求項1に記載の電子錠。
【請求項32】
前記スライド溝は、耐摩耗メッキ層を備える、請求項17に記載の電子錠。
【請求項33】
前記耐摩耗メッキ層の材料には、セラミック、合金、酸化物又はフッ素プラスチックが含まれる、請求項32に記載の電子錠。
【請求項34】
前記耐摩耗メッキ層は、金、銀、ニッケル、錫、錫鉛合金、亜鉛、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、硬銀、グラフェン銀及び銀金ジルコニウム合金のうちの一つ又は複数が含まれる、請求項32に記載の電子錠。
【請求項35】
電気自動車充電インレットであって、請求項1乃至34のうちのいずれか1項に記載の電子錠を含み、前記第一ロッキングロッドと前記第二ロッキングロッドのうちの一方は直流充電ガンをロックし、他方は交流充電ガンをロックする、電気自動車充電インレット。
【請求項36】
自動車であって、請求項1乃至34のうちのいずれか1項に記載の電子錠を含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は電気自動車の技術分野に関し、特に、電子錠、電気自動車充電インレット及び自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願)
本出願は、2021年09月02日に提出された出願番号が202111028847.7の中国特許出願の優先権を主張し、該特許出願に開示された内容を本出願の一部として引用する。
【0003】
新エネルギー車における純電気自動車とは、単一なバッテリをエネルギー貯蔵動力源とする自動車を指し、電池によってモーターに電気エネルギーを供給し、モーターを駆動して、自動車を走行させる。純電気自動車の充電式電池として、主に鉛酸電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池及びリチウムイオン電池などがあり、これらの電池は電気自動車に動力を供給し、且つ純電気自動車は電池によって電気エネルギーを貯蔵し、モーターの運行を駆動して、車両を正常に走行させており、純電気自動車の電池は主に新エネルギー車の充電ガンによって充電される。
【0004】
従来の充電技術において、充電インレットに複数の充電インタフェースが分布された場合、例えば、同時に直流充電インタフェースと交流充電インタフェースが分布された場合、異なる充電ガンを用いて充電することができる。現在の技術案によると、いずれも複数の駆動装置を用いて複数の充電インタフェースと充電ガンのロック接続をそれぞれ制御し、各駆動装置は対応するロッキングロッドを駆動し、充電ガンを対応する充電インレットにロック接続して充電するため、駆動装置の部品数が多く、製造コストが高いなどの問題が存在する。
【0005】
従って、新エネルギー車の技術分野では複数のロッキングロッドの連動装置を同期に制御し、一つの駆動装置によって同時に複数のロッキングロッドを制御して充電ガンにロック接続することで、従来技術における欠点を克服し、駆動装置の部品数が多く、生産コストが高いなどの問題を解決できる技術が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願の実施例は電子錠、電気自動車充電インレット及び自動車を提供することで、既存の電子錠は単に交流充電ガン又は直流充電ガンしかロックできない問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願の第一の実施例によると、回転運動を生成する駆動装置と、第一伝達機構を介して前記駆動装置に接続されている第一ロッキングロッドであって、前記第一伝達機構は、前記駆動装置の回転運動を前記第一ロッキングロッドの運動に変換するように構成される前記第一ロッキングロッドと、第二伝達機構を介して前記駆動装置に接続されている第二ロッキングロッドであって、前記第二伝達機構は、前記駆動装置の回転運動を前記第二ロッキングロッドの運動に変換するように構成される前記第二ロッキングロッドと、を備える電子錠を提供する。
【0008】
本出願の第二の実施例によると、第一の実施例の電子錠を備え、前記第一ロッキングロッドと前記第二ロッキングロッドのうちの一方は直流充電ガンをロックし、且つ他方は交流充電ガンをロックする電気自動車充電インレットを提供する。
【0009】
本出願の第三の実施例によると、第一の実施例の電子錠を備える自動車を提供する。
【0010】
本出願の実施例による電子錠、電気自動車充電インレット及び自動車は以下の特徴と利点を有する。
1、本出願による実施例は、二つの伝達機構で駆動装置に接続され、ただ一つの駆動装置だけで二つのロッキングロッドを駆動して同時に線形移動させることができ、電子錠は直流充電ガンと交流充電ガンとをいずれもロックし、電子錠の製造コストを増加させることなく、電子錠の構造を簡単化すると共に使用上便利にする。
2、本出願による実施例は、減速機構を設けることでトルクを増加させ、十分な駆動力で第一ロッキングロッドと第二ロッキングロッドとを駆動して線形運動させることができる。
3、本出願による実施例は、第一伝達機構にラックアンドピニオン機構を設け、第二伝達機構にカム機構を設けることで、構造を簡単化し、滑らかな伝達を実行することができる。
4、本出願による実施例は、リバースアセンブリによって第一伝達機構と回転ロッドとに接続され、第一ロッキングロッドを回転ロッドに垂直に配置でき、且つ第一ロッキングロッドと回転ロッドとが空間位置上、隔てられ、部材間の干渉を免れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面は本出願の実施例に対する理解を助けるためのもので、明細書の一部を構成し、本出願の実施形態を例示し、文字部分と一緒に本出願の原理を陳述する。明らかに、以下に説明する図面は、ただ本出願の幾つかの実施例に過ぎず、当業者にとって、進歩的な工夫を要らずにこれらの図面からその他の図面を獲得することができる。
【0012】
【
図1】
図1は、本出願の一実施例の電子錠の内部構造の一方の面を示す模式図である。
【
図2】
図2は、
図1における電子錠の内部構造の他方の面を示す模式図である。
【
図3】
図3は、
図1において回転ロッドが第二歯車、カム、及び第一リバース歯車に接続されることを示す模式図である。
【
図4】
図4は、
図1においてスライド溝が第二ロッキングロッドに設けられることを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本出願による実施例の目的、技術案及び利点がより明瞭になるように、以下に図面を参照して本出願の実施例についてさらに詳細に説明する。ここで、本出願の概略性実施例及びその説明は本出願を解釈するためのもので、本出願はこれらに限定されない。
【0014】
そのうち、形容詞又は副詞の修飾的な用語「上」と「下」、「頂部」と「ベース」、「内」と「外」は、ただ複数のグループ間で相対的な参考を提供するためのもので、その修飾的用語によって特定の方向を限定することはない。一方、用語「第一」、「第二」などは、ただ目的を陳述するためのもので、その相対的な重要性を指示又は暗示するか、或いは指示の構成要件の数を暗示的に表すのではないため、「第一」、「第二」などが限定された特徴は、明示又は暗示的に、そのような特徴を一つ又は複数備えることができる。
【0015】
本出願の実施例において、特別な説明がない限り、用語「接続」について広く理解されるべきであり、例えば、固定接続されてもよく、着脱可能に接続されてもよく、直接に接続されてもよく、その間に媒体を介して接続されてもよく、当業者にとって、上記用語は具体的な状況に応じて本発明における具体的な意味が理解されるべきである。
【0016】
図1に示すように、本出願の第一の実施例は、電子錠を提供し、該電子錠は、駆動装置1、第一ロッキングロッド2及び第二ロッキングロッド3を備えており、例えば、第一ロッキングロッド2は直流充電ガンをロックし、第二ロッキングロッド3は交流充電ガンをロックし、駆動装置1は回転運動を生成し、第一ロッキングロッド2は第一伝達機構4によって駆動装置1に接続され、第一伝達機構4は駆動装置1の回転運動を第一ロッキングロッド2の運動(例えば、線形運動)に変換するように構成されることで、第一ロッキングロッド2によって直流充電ガンへのロック設定又はロック解除動作が行われており、第二ロッキングロッド3は第二伝達機構5によって駆動装置1に接続され、第二伝達機構5は駆動装置1の回転運動を第二ロッキングロッド3の運動(例えば、線形運動)に変換するように構成されることで、第二ロッキングロッド3によって交流充電ガンへのロック設定又はロック解除動作が行われる。
【0017】
本出願の実施例は二つの伝達機構によって駆動装置に接続されるため、一つの駆動装置だけで二つのロッキングロッドを駆動して同時に線形移動させることができ、電子錠は直流充電ガンと交流充電ガンについていずれもロック可能になるとともに、電子錠の製造コストを増加させることなく、電子錠の構造を簡単化し、使用上便利である。
【0018】
さらに、前記第一ロッキングロッド2の運動形態は、伸縮、平行移動、回動、揺動、屈曲又は捩じれである。前記第二ロッキングロッド3の運動形態は、伸縮、平行移動、回動、揺動、屈曲又は捩じれである。駆動装置1は二つのロッキングロッドを駆動して運動させ、運動の形態は、二つのロッキングロッドを同時に制御できれば、実際の使用環境に応じて任意に選択できる。
【0019】
さらに、前記第一ロッキングロッド2と第二ロッキングロッド3とは、充電ガンのロック穴に挿着されて該充電ガンを固定する。本出願による実施例の一つの重要な目的は、充電ガンをロックアップすることであり、各ロッキングロッドを異なる充電ガンのロック穴に挿入してロックアップ可能であって、充電ガンが充電中に充電ソケットから脱落して充電が行えないのを防止し、さらに、脱落された充電ガンによる感電死傷のリスクも未然に防ぐことができる。
【0020】
より更に、前記第一ロッキングロッド2は、円柱、円台、円錐、楕円柱、楕円台、楕円錐、多角柱、多角台及び多角錐のうちの一つ又は複数の形状である。前記第二ロッキングロッド3は、円柱、円台、円錐、楕円柱、楕円台、楕円錐、多角柱、多角台及び多角錐のうちの一つ又は複数の形状である。実際に使用時に充電ガンのロック穴の形状によって選択すればよい。
【0021】
さらに、第一ロッキングロッド2の長さは5mm~55mmで、第二ロッキングロッド3の長さは5mm~55mmであってよい。
第一ロッキングロッド2と第二ロッキングロッド3とが短すぎるとロック動作を完了できず、長すぎると充電ガンと干渉して異音が出るため、発明者は長さが異なる第一ロッキングロッド2と第二ロッキングロッド3とを選択してテストし、ロックアップを実行できない場合及び異音が出る場合を不良であると判断した。テスト結果は表1に示すとおりである。表1は、異なるロッキングロッドの長さによるロックアップ動作への影響を示す。
【0022】
【0023】
表1から分かるように、ロッキングロッドの長さが5mm未満である場合、ロッキングロッドは充電ガンをロックアップすることができず、ロッキングロッドの長さが55mmを超える場合、ロッキングロッドは充電ガンと干渉して異音を生成するため、第一ロッキングロッド2の長さは5mm~55mmであり、第二ロッキングロッド3の長さは5mm~55mmであるのが望ましい。
【0024】
さらに、第一ロッキングロッド2の最大ストロークは5mm~36mmであり、第二ロッキングロッド3のストロークは5mm~36mmである。
【0025】
同様に、第一ロッキングロッド2と第二ロッキングロッド3との最大ストロークが短すぎても充電ガンに対するロック動作を完了できず、長すぎても充電ガンが干渉して異音を生成するため、発明者は最大ストロークが異なる第一ロッキングロッド2と第二ロッキングロッド3とを選択してテストし、ロックアップできない場合及び異音が出る場合を不良であると判断した。テスト結果は表2に示すとおりである。表2は、異なるロッキングロッドの最大ストロークによるロックアップ動作への影響を示す。
【0026】
【0027】
表2から分かるように、ロッキングロッドの最大ストロークが5mm未満である場合、ロックアップできず、ロッキングロッドの最大ストロークが36mmを超える場合、異音が出るため、第一ロッキングロッド2の最大ストロークは5mm~36mmで、第二ロッキングロッド3の最大ストロークは5mm~36mmであるのが望ましい。
【0028】
一部の実施例において、第一伝達機構4はラックアンドピニオン機構、リンク機構、カム機構又はクランクスライダ機構であって、駆動装置1の回転運動を第一ロッキングロッド2の線形運動に変換する。即ち本実施例において第一ロッキングロッド2の運動は線形運動である。
【0029】
一部の実施例において、第二伝達機構5はラックアンドピニオン機構、リンク機構、カム機構又はクランクスライダ機構であって、駆動装置1の回転運動を第二ロッキングロッド3の線形運動に変換する。即ち本実施例において第二ロッキングロッド3の運動は線形運動である。
【0030】
一部の実施例において、
図1に示すように、電子錠は回転ロッド6をさらに備え、回転ロッド6は駆動装置1、第一伝達機構4、第二伝達機構5にそれぞれ接続され、駆動装置1の回転運動を第一伝達機構4と第二伝達機構5とに伝達し、構造が簡単であり、取付け易い。
【0031】
具体的に、例えば、
図1に示すように、回転ロッド6の両端はそれぞれ第一伝達機構4と第二伝達機構5とに接続され、回転ロッド6の両端の間の部分は駆動装置1に接続される。
【0032】
具体的な一実施例において、
図1に示すように、電子錠は減速機構7をさらに備え、回転ロッド6は減速機構7によって駆動装置1に接続される。本実施例は減速機構7を設けることでトルクを増加し、十分な駆動力で第一ロッキングロッド2と第二ロッキングロッド3とを駆動して線形運動させる。
【0033】
望ましい一技術案において、
図1に示すように、減速機構7は二段減速機構であり、二段減速機構は駆動装置1の出力軸に接続される第一ウォーム71、第一ウォーム71に噛み合う第一歯車72、第一歯車72の出力軸に接続される第二ウォーム73、及び第二ウォーム73に噛み合う第二歯車74を備え、第二歯車74と回転ロッド6は同軸に接続される。本技術案において、二段減速によりトルクをさらに増えることができる。
【0034】
本出願はこれらに限られず、その他の実施例において、二段減速機構は四つの歯車が次第に噛み合う歯車減速機構であってもよい。
【0035】
図1の例において、第二歯車74の円周方向において、全ての外周面に歯が設けられるのではなく、ただ一部の連続する側面に歯が設けられ、このように設けることで、第一ロッキングロッド2と第二ロッキングロッド3が、ただ限られた長さだけ移動すればよいので、第二歯車74は360°回転する必要がなく、正方向又は反方向に限られた角度だけ回転させればよく、第二歯車74の全ての外周面に歯を設ける必要がないことで、第二歯車74の構造を簡単化し、加工し易く、加工コストを低減させることができる。
【0036】
一部の実施例において、前記駆動装置1と前記回転ロッド6の伝達比は5/1~90/1である。伝達比があまりにも大きい場合、多くの相応時間が要り、正確に制御できず、異音が発生し易い。
【0037】
従って、発明者は異なる伝達比によってテストを行い、1分間にロックアップ又はオープン動作が完了される回数を観察し、40回未満である場合及び異音が出る場合を不良であると判断した。結果は表3に示すとおりである。表3は、異なる伝達比による電子錠のスピードへの影響を示す。
【0038】
【0039】
表3から分かるように、伝達比が小さすぎると、電子錠が1分間で完了するロックアップ又はオープン動作が40回未満であるため不良であり、同時に伝達比が90/1を超える場合、電子錠に異音が出て不良であるため、駆動装置1と前記回転ロッド6の伝達比は5/1~90/1であるのが望ましい。
【0040】
一部の実施例において、
図1に示すように、第一伝達機構4はラックアンドピニオン機構であり、ラックアンドピニオン機構は噛み合う駆動歯車41と被動ラック42を備え、被動ラック42は第一ロッキングロッド2に接続され、回転ロッド6は駆動装置1の回転運動を駆動歯車41に伝達し、駆動歯車41は被動ラック42を回転駆動することで第一ロッキングロッド2を直線的に移動させる。本実施例はラックアンドピニオン機構によって動力を伝達し、構造が簡単であり、伝達が滑らかである。
【0041】
さらに、本実施例において、
図1に示すように、ラックアンドピニオン機構はリバースアセンブリ8によって回転ロッド6に接続され、リバースアセンブリ8は第一リバース歯車81、第二リバース歯車82及びリンク83を備え、第一リバース歯車81は回転ロッド6と同軸に接続されており、第二リバース歯車82は第一リバース歯車81に垂直して設けられて第一リバース歯車81に噛み合い、例えば第一リバース歯車81と第二リバース歯車82は、いずれもベベルギアであり、第二リバース歯車82はリンク83によって駆動歯車41に同軸に接続され、リンク83、回転ロッド6及び第一ロッキングロッド2はそれぞれ互いに垂直されることで、第一ロッキングロッド2は回転ロッド6に垂直に配置され、第一ロッキングロッド2と回転ロッド6とを空間位置上、隔てられて、部材間の干渉を免れることができる。
【0042】
図1の例示において、回転ロッド6は左右方向に沿って設けられ、リンク83は上下方向に沿って設けられ、第一ロッキングロッド2は前後方向に沿って設けられ、二段減速機構7は前後方向に沿って配置され、駆動装置1は左右方向に沿って設けられており、各部材の空間を妥当に配置している。駆動装置1が正方向又は反方向に回転する際に、第一ロッキングロッド2は前後に移動される。
【0043】
一部の実施例において、
図1と
図2に示すように、第二伝達機構5はカム機構であり、カム機構は回転ロッド6に固定されるカム51(
図3を参照)と第二ロッキングロッド3に設けられるスライド溝52(
図4を参照)とを備え、カム51はスライド溝52内に位置し、スライド溝52の内壁面はカム51の外郭にスライド接触し、且つ所定形状のスキッドウェイを有するように構成されており、回転ロッド6は駆動装置1の回転運動をカム51に伝達し、カム51は旋回によってスキッドウェイに摺動嵌合されて第二ロッキングロッド3を直線的に移動させる。本実施例はカム機構によって動力を伝達し、構造を簡単化し、取付け易い。
【0044】
さらに、本実施例において、スキッドウェイは二つの平面を備え、二つの平面は第二ロッキングロッド3の線形運動方向においてカム51の対向する両側に設けられ、二つの平面はそれぞれ第二ロッキングロッド3の線形運動方向に垂直であり、即ち二つの平面は互いに平行であり、カム51がそのうちの一方の平面まで回転してスライド接触すると、第二ロッキングロッド3を第一方向に向かって線形運動させ、カム51が他方の平面まで回転してスライド接触すると、第二ロッキングロッド3を第一方向と相反する第二方向に向かって線形運動させる。
【0045】
図1の例示において、カム51は回転ロッド6の外壁に被覆され、第二ロッキングロッド3上のスライド溝52は、カム51に向けて設けられてカム51を収納し、第二ロッキングロッド3は上下方向に沿って設けられる。駆動装置1が正方向又は反方向に回転する時、第二ロッキングロッド3は上下に移動する。
【0046】
さらに、本実施例において、前記所定形状はU形、矩形、平行四辺形、多角形、台形、菱形又は長円形である。U型を例にすると、即ちスキッドウェイは二つの平面と一つの円弧面を備え、円弧面は遷移面として二つの平面を接続する役割をし、カム51を二つの平面の間で連続的にスライドさせる。
【0047】
本出願はこれに限られず、前記所定形状はその他の形状であってよく、例えば、
図4に示すように、スキッドウェイは次第に接続する一つの平面、一つの円弧面及び一つの斜面を具備し、該平面は第二ロッキングロッド3の線形運動方向に垂直であり、該斜面は第二ロッキングロッド3の線形運動方向と該平面に対して一定の角度(例えば、鋭角)で傾斜する。
【0048】
さらに、本実施例中、電子錠はハウジングを備え(未図示)、前記ハウジングは前記第一ロッキングロッド2の線形運動方向に沿って設けられる第一ガイド穴と前記第二ロッキングロッド3の線形運動方向に沿って設けられる第二ガイド穴を備え、前記第一ロッキングロッド2は前記第一ガイド穴を貫通し、前記第二ロッキングロッド3は前記第二ガイド穴を貫通する。第一ガイド穴は第一ロッキングロッド2のオフセットを制限でき、第二ガイド穴は第二ロッキングロッド3のオフセットを制限できる。
【0049】
本実施例において、前記回転ロッド6の両端はそれぞれ前記第一伝達機構4と前記第二伝達機構5に接続され、前記回転ロッド6の両端の間の部分は前記駆動装置1に接続される。駆動装置の出力端は回転ロッド6の回転を駆動して前記第一伝達機構4と前記第二伝達機構5の運動を駆動する。
【0050】
一部の実施例において、
図1に示すように、回転ロッド6、第一ロッキングロッド2及び第二ロッキングロッド3はそれぞれ互いに垂直であり、二つのロッキングロッドが運動する際に干渉するのを免れる。
【0051】
一部の実施例において、
図1に示すように、駆動装置1は回転モーターである。
一部の実施例において、前記駆動装置1の出力パワーは0.35W~5.56Wである。
【0052】
駆動装置1の出力パワーは連動装置の動作スピードを決定し、パワーが高いほど、連動装置が動作を完了するスピードが速く、パワーが低いほど、連動装置が動作を完了するスピードが遅く、更には伝達軸20の回転トルクが不足して第一ロッキングロッド2と第二ロッキングロッド3とのロックアップ動作を完了できなくなる。出力パワーによる連動装置の動作への影響をテストするために、発明者は次のように関連テストを行った。異なる出力パワーの駆動装置1を用い、同じ構造の連動装置を使用して、各駆動装置1を連続的に1分間動作させ、連動装置が動作を完了する回数を記録し、回数が40回以上であると合格であると判断し、40回未満であると不良と判断した。連動装置が動作時に異音が出る場合、やはり不良であると判断した。結果は表4に示すとおりである。表4は、異なる出力パワーによる連動装置のスピードと異音への影響を示す。
【0053】
【0054】
表4に示すように、駆動装置1の出力パワーが0.35W未満である場合、1分間に連動装置が完了する開閉回数は40回未満であり、スピードが遅すぎて不良であるため、駆動装置1の最小パワーは0.35Wであるのが望ましく、駆動装置1の出力パワーが5.56Wを超える場合、連動装置が全体的設計の影響を受けてスピードが平穏期に入り、明らかな上昇が無く、同時に異音も出るため、駆動装置1の出力パワーは0.35W~5.56Wであるのが望ましい。具体的に、駆動装置1の出力パワーは0.9W、0.96W、1W、1.08Wなどであるのが望ましい。
【0055】
一部の実施例において、前記の電子錠、前記駆動装置1の出力トルクは2.25N・mm~9.85N・mmである。
【0056】
駆動装置1のトルクはロッキングロッドに施される力の強さを決定し、回転モーターを例示すると、トルクが足りないと、ロッキングロッドを駆動して電子錠の開閉動作を完了できず、異なるトルクの回転モーターによる電子錠の開閉への影響を検証するために、発明者は次のように関連テストを行った。異なるトルクの回転モーターを用いて、電子錠のその他の構造は同じに形成して、第一伝達機構4を正常に駆動して動作する回転モーターを合格であると判断し、そうでない場合は不良であると判断した。同時に、電子錠の動作中に異音が出ると、同様に不良であると判断した。テスト結果は表5に示すとおりである。表5は、異なるトルクの回転モーターが正常に第一伝達機構4を駆動して動作できるかどうかを示す。
【0057】
【0058】
表5に示すように、異なる回転モーターのトルクが2.25N・mm未満である場合、第一伝達機構4を駆動して動作できないため、回転モーターの最小トルクは2.25N・mmであるのが望ましい。トルクが9.85N・mmを超える場合、第一伝達機構4を駆動して動作できるが、トルクが大きすぎて電子錠が動作する時に異音が出るため、駆動装置のトルクは2.25N・mm~9.85N・mmであるのが望ましい。
具体的に、3.50N・mm又は4.00N・mmなどであってよい。
【0059】
一部の実施例において、前記駆動装置1は出力軸を備え、前記回転ロッド6の回動角度は15°~92°である。
【0060】
回転ロッド6の回動角度も第一ロッキングロッド2と第二ロッキングロッド3とのストロークを決定できる。回転ロッド6の回動角度があまりにも小さい場合、第一ロッキングロッド2と第二ロッキングロッド3とのストロークが足りないため、ロックアップ動作を完了できない。回転ロッド6の回動角度が大きすぎる場合、第一ロッキングロッド2と第二ロッキングロッド3とが動作位置に伸びた後、回転ロッド6は依然として回転の力を出力するため、連動装置の損害を引き起こし易い。回転ロッド6の回動角度による連動装置への影響を検証するために、発明者は次のようなテストを行った。回転ロッド6の回動角度が異なる駆動装置1を用意し、連動装置のその他の構造は同じに形成し、第一ロッキングロッド2と第二ロッキングロッド3とのストロークがロックアップ動作を完了できれば合格であると判断し、そうでない場合は不良であると判断した。もっと大きい回転角度はもっと大きい第一ロッキングロッド2と第二ロッキングロッド3とのストロークを意味し、相応にそれぞれの接続部材のサイズを増加する必要があり、これにより連動装置におけるその他の部材とぶつかって連動装置の使用に影響し易い。この状況の回転ロッド6の回動角度も不良であると判断した。テスト結果は表6に示すとおりである。表6は、異なる回転ロッドの回転角度範囲による連動装置機能への影響及びその他の機器とぶつかるかどうかについて示す。
【0061】
【0062】
表6から分かるように、回転ロッド6の回転角度が15°未満である場合、第一ロッキングロッド2と第二ロッキングロッド3とのストロークが足りず、ロックアップ動作を完了できない。回転ロッド6の回動角度が92°を超える場合、連動装置の機器間に無駄な接触が発生して、不良であると判断される。従って、回転ロッド6の出力端の回動角度は15°~92°であるのが望ましい。具体的に、回転ロッド6の出力端の回動角度は50°、60°、70°又は80°などであるのが望ましい。
【0063】
一部の実施例において、前記回転ロッドの材料は金属又は非金属が含まれる。
【0064】
さらに、前記伝達軸の材料は、炭素鋼、全銅、純銅、アルミニウムクラッド亜鉛、アルミニウムクラッド銅又は亜鉛合金が含まれる。これらの合金は強さと靱性がより良好であるため、伝達軸の要求により良好に合致される。
【0065】
より更に、前記伝達軸の材料は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリテレフタル酸、ポリウレタンエラストマー、スチレンブロック共重合体、パーフルオロアルコキシアルカン、塩素化ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、架橋ポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、架橋ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド、スチレン-アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリレート、ポリオキシメチレン樹脂のうちの一つ又は複数が含まれる。
【0066】
ポリオキシメチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド及びポリテトラフルオロエチレンを例にすると、ポリオキシメチレンは表面が滑らかであり、光沢があり硬く、緻密な材料であり、薄黄又は白色で、-40℃~100℃の温度範囲内で長期的に用いられる。その耐摩耗性と自己潤滑性もほとんどのエンジニアリングプラスチックより素晴らしく、良好な耐油性、耐過酸化物の性能も有する。
【0067】
ポリエステルは一般的にテレフタル酸ジメチル、1,4-ブチレングリコールとポリブタノールが重合してなり、チェーン部はハードセグメント部分とソフトセグメント部分とを備え、熱可塑性弾性体である。
【0068】
ポリカーボネートは、高い強さ及び弾性係数、衝撃強さを具備し、耐疲労性と寸法安定性が良好であり、クリープも小さく、高い透明性と自由染色性を具備する。
【0069】
ポリアミドは無毒で、軽量であり、優れた機械的強さ、耐摩耗性及び良好な耐腐食性を具備するため、銅などの金属にかえて広く使用される。
【0070】
ポリフェニレンサルファイドは、新型高性能の熱可塑性樹脂であり、機械的強さが高く、高温に耐え、耐化学薬品性を具備し、難燃性、熱安定性、電気的性能に優れるなどの利点がある。
【0071】
ポリテトラフルオロエチレンは、耐酸耐アルカリ性、各有機溶媒に耐える特徴があり、全ての溶媒に対してほとんど溶解しない。同時に、ポリテトラフルオロエチレンは高温に耐える特徴がある。
【0072】
前記伝達軸の材料はガラス繊維が含まれる。
【0073】
前記第一ロッキングロッド2と前記第二ロッキングロッド3の材料は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリテレフタル酸、ポリウレタンエラストマー、スチレンブロック共重合体、パーフルオロアルコキシアルカン、塩素化ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、架橋ポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、架橋ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド、スチレン-アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリレート、ポリオキシメチレン樹脂のうちの一つ又は複数が含まれる。
【0074】
ポリカーボネートとポリアミドを例示すると、ポリカーボネートは無色且つ透明であり、耐熱性、耐衝撃性を有し、難燃性がBIレベルであり、一般的な使用温度内で良好な機械的性能を具備する。同じ性能のポリメチルメタクリレートに比べて、ポリカーボネートの耐衝撃性が良好で、屈折率が高く、加工性能が良好であり、添加剤が無くても高い難燃性を具備する。
【0075】
ポリアミドは無毒で、軽量であり、優れた機械的強さ、耐摩耗性を有し、良好な耐腐食性を具備するため、銅などの金属にかえて機械、化学工業、計器、自動車などの産業に広く用いられて軸受、歯車、ポンプブレード及びその他の部品を製造できる。第一ロッキングロッド2と第二ロッキングロッド3は、高い強さを具備し、高温に耐え、耐摩耗性などの特性が要求される。従って、第一ロッキングロッド2と第二ロッキングロッド3の材料としてポリカーボネート又はポリアミドを用いるのが望ましい。
【0076】
前記スライド溝52は耐摩耗メッキ層を有する。さらに、前記耐摩耗メッキ層の材料はセラミック、合金、酸化物又はフッ素プラスチックが含まれる。望ましくは、前記耐摩耗メッキ層は、金、銀、ニッケル、錫、錫鉛合金、亜鉛、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、硬銀、グラフェン銀及び銀金ジルコニウム合金のうちの一つ又は複数が含まれる。
【0077】
次のように以下の表7における耐腐食性時間をテストした。スライド溝52を塩水噴霧試験ボックス内に入れて、スライド溝52の各位置に塩水を噴霧し、20時間置きに取り出し、且つ洗濯して表面腐食状況を観察するのを一つの周期とし、スライド溝52の表面腐食面積が総面積の10%を超えた時にテストを停止してそのときの周期数を記録した。本実施例において、周期数が80回未満であると不良と判断した。表7における抜き差し回数を次のようにテストした。スライド溝52を試験テーブルに固定し、100回の接触抜き差しテスト毎に停止してスライド溝52の耐摩耗メッキ層の破壊状況を観察し、傷がありスライド溝52自体の材料が露出されると実験を停止し、そのときの抜き差し回数を記録した。本実施例において、抜き差し回数が8000回未満であると不良と判断した。表7は、異なるメッキ層の材料のスライド溝による抜き差し回数と耐腐食性への影響を示す。
【0078】
【0079】
表7から分かるように、メッキ層の材料として、金、銀、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、硬銀、グラフェン銀及び銀金ジルコニウム合金を使用した場合、実験結果は基準値を大きく上回り、性能が安定的である。メッキ層の材料としてニッケル、錫、錫鉛合金、亜鉛を用いた場合も、実験結果は要求を満たす。従って、メッキ層の材料として、金、銀、ニッケル、錫、錫鉛合金、亜鉛、硬銀、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、グラファイト銀、グラフェン銀及び銀金ジルコニウム合金のうちの一つ又は複数を用いるのが望ましい。
【0080】
本出願の第二の実施例による電気自動車充電インレットは、第一の実施例による電子錠を備え(
図1を参照)、第一ロッキングロッド2と第二ロッキングロッド3とのうちの一方は直流充電ガンをロックし、他方は交流充電ガンをロックする。そのうち、電子錠は第一の実施例による電子錠と構造、動作原理、有益な効果が同じであるため、ここでは重なる説明を省略する。
【0081】
本出願の第三の実施例による自動車は、第一の実施例による電子錠を備える。そのうち、電子錠は第一の実施例による電子錠と構造、動作原理、有益な効果が同じであるため、ここでは重なる説明を省略する。
【0082】
以上、本出願の具体的な実施形態について説明したが、これは例示な説明に過ぎず、本出願の保護範囲は以下の特許請求の範囲によって限定される。当業者は本出願の原理と実質的精神を脱離しない前提で、これらの実施形態について複数の変更又は補正を行うことができ、これらの変更と補正できるずれも本出願の保護範囲に属すると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0083】
1 駆動装置
2 第一ロッキングロッド
3 第二ロッキングロッド
4 第一伝達機構
5 第二伝達機構
6 回転ロッド
7 減速機構
8 リバースアセンブリ
41 駆動歯車
42 被動ラック
51 カム
52 スライド溝
71 第一ウォーム
72 第一歯車
73 第二ウォーム
74 第二歯車
81 第一リバース歯車
82 第二リバース歯車
83 リンク
【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子錠であって、
回転運動を生成する駆動装置と、
第一伝達機構を介して前記駆動装置に接続されている第一ロッキングロッドであって、前記第一伝達機構は、前記駆動装置の回転運動を前記第一ロッキングロッドの運動に変換するように配置されている第一ロッキングロッドと、
第二伝達機構を介して前記駆動装置に接続されている第二ロッキングロッドであって、前記第二伝達機構は、前記駆動装置の回転運動を前記第二ロッキングロッドの運動に変換するように配置されている第二ロッキングロッドと、を含む電子錠。
【請求項2】
前記第一ロッキングロッドの運動形態は、伸縮、平行移動、回動、揺動、屈曲又は捩じれである、請求項1に記載の電子錠。
【請求項3】
前記第二ロッキングロッドの運動形態は、伸縮、平行移動、回動、揺動、屈曲又は捩じれである、請求項1に記載の電子錠。
【請求項4】
前記第一ロッキングロッドと前記第二ロッキングロッドは、充電ガンのロック穴に挿着されて前記充電ガンを固定する、請求項1に記載の電子錠。
【請求項5】
前記第一ロッキングロッドの形状は、円柱、円台、円錐、楕円柱、楕円台、楕円錐、多角柱、多角台及び多角錐のうちの一つ又は複数である、請求項1に記載の電子錠。
【請求項6】
前記第二ロッキングロッドの形状は、円柱、円台、円錐、楕円柱、楕円台、楕円錐、多角柱、多角台及び多角錐のうちの一つ又は複数である、請求項1に記載の電子錠。
【請求項7】
前記第一ロッキングロッドの長さは、5mm~55mmであり、前記第二ロッキングロッドの長さは、5mm~55mmである、請求項1に記載の電子錠。
【請求項8】
前記第一ロッキングロッドのストロークは、5mm~36mmであり、前記第二ロッキングロッドのストロークは、5mm~36mmである、請求項1に記載の電子錠。
【請求項9】
前記第一伝達機構は、ラックアンドピニオン機構、リンク機構、カム機構又はクランクスライダ機構である、請求項1に記載の電子錠。
【請求項10】
前記第二伝達機構は、ラックアンドピニオン機構、リンク機構、カム機構又はクランクスライダ機構である、請求項1に記載の電子錠。
【請求項11】
前記駆動装置、前記第一伝達機構及び前記第二伝達機構にそれぞれ接続されて、前記駆動装置の回転運動を前記第一伝達機構と前記第二伝達機構とに伝達する回転ロッドをさらに含む、請求項1に記載の電子錠。
【請求項12】
減速機構をさらに含み、前記回転ロッドは、前記減速機構によって前記駆動装置に接続される、請求項11に記載の電子錠。
【請求項13】
前記減速機構は二段減速機構であり、
前記二段減速機構は、
前記駆動装置の出力軸に接続される第一ウォームと、
前記第一ウォームに噛み合う第一歯車と、
前記第一歯車の出力軸に接続される第二ウォームと、
前記第二ウォームに噛み合う第二歯車と、を含み、
前記第二歯車は、前記回転ロッドと同軸に接続される、請求項12に記載の電子錠。
【請求項14】
前記駆動装置と前記回転ロッドの伝達比は、5/1~90/1である、請求項12に記載の電子錠。
【請求項15】
前記第一伝達機構は、ラックアンドピニオン機構であり、前記ラックアンドピニオン機構は、噛み合う駆動歯車と被動ラックとを含み、前記被動ラックは、前記第一ロッキングロッドに接続され、前記回転ロッドは、前記駆動装置の回転運動を前記駆動歯車に伝達し、前記駆動歯車は、前記被動ラックを回転駆動することで前記第一ロッキングロッドを直線的に移動させる、請求項11に記載の電子錠。
【請求項16】
前記ラックアンドピニオン機構は、リバースアセンブリによって前記回転ロッドに接続され、
前記リバースアセンブリは、
前記回転ロッドと同軸に接続される第一リバース歯車と、
前記第一リバース歯車に垂直に設けられ、前記第一リバース歯車と噛み合う第二リバース歯車と、を含み、
前記第二リバース歯車は、リンクによって前記駆動歯車と同軸に接続されており、前記リンク、前記回転ロッド及び前記第一ロッキングロッドは、互いに垂直である、請求項15に記載の電子錠。
【請求項17】
前記第二伝達機構は、カム機構であり、前記カム機構は、前記回転ロッドに固定されるカムと前記第二ロッキングロッドに設けられるスライド溝とを含み、前記カムは、前記スライド溝内に位置し、前記スライド溝の内壁面は、所定形状を有し、且つ前記カムの外郭にスライド接触するスキッドウェイに構成され、前記回転ロッドは、前記駆動装置の回転運動を前記カムに伝達し、前記カムは、旋回して前記スキッドウェイと摺動嵌合され、前記第二ロッキングロッドを直線的に移動させる、請求項11に記載の電子錠。
【請求項18】
前記スキッドウェイは、二つの平面を含み、二つの前記平面は、前記第二ロッキングロッドの線形運動方向において前記カムの対向する両側に位置し、二つの前記平面は、それぞれ前記第二ロッキングロッドの線形運動方向に垂直である、請求項17に記載の電子錠。
【請求項19】
前記所定形状は、U形、矩形、平行四辺形、多角形、台形、菱形又は長円形である、請求項17に記載の電子錠。
【請求項20】
ハウジングを含み、前記ハウジングは、前記第一ロッキングロッドの運動方向に沿って設けられる第一ガイド穴と前記第二ロッキングロッドの運動方向に沿って設けられる第二ガイド穴とを含み、前記第一ロッキングロッドは、前記第一ガイド穴を貫通し、前記第二ロッキングロッドは、前記第二ガイド穴を貫通する、請求項1に記載の電子錠。
【請求項21】
前記回転ロッドの両端は、それぞれ前記第一伝達機構と前記第二伝達機構とに接続され、前記回転ロッドの両端間の部分が、前記駆動装置に接続される、請求項11に記載の電子錠。
【請求項22】
前記回転ロッド、前記第一ロッキングロッド及び前記第二ロッキングロッドは、互いに垂直である、請求項11に記載の電子錠。
【請求項23】
前記駆動装置の出力パワーは、0.35W~5.56Wである、請求項1に記載の電子錠。
【請求項24】
前記駆動装置は、出力軸を備え、前記出力軸の出力トルクは、2.25N・mm~9.85N・mmである、請求項1に記載の電子錠。
【請求項25】
前記回転ロッドの回動角度は、15°~92°である、請求項11に記載の電子錠。
【請求項26】
前記回転ロッドの材料には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリテレフタル酸、ポリウレタンエラストマー、スチレンブロック共重合体、パーフルオロアルコキシアルカン、塩素化ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、架橋ポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、架橋ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド、スチレン-アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリレート、ポリオキシメチレン樹脂のうちの一つ又は複数が含まれる、請求項11に記載の電子錠。
【請求項27】
前記第一ロッキングロッドと前記第二ロッキングロッドの材料は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリテレフタル酸、ポリウレタンエラストマー、スチレンブロック共重合体、パーフルオロアルコキシアルカン、塩素化ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、架橋ポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、架橋ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリレート、ポリオキシメチレン樹脂のうちの一つ又は複数が含まれる、請求項1に記載の電子錠。
【請求項28】
前記スライド溝は、耐摩耗メッキ層を備える、請求項17に記載の電子錠。
【請求項29】
電気自動車充電インレットであって、請求項1乃至
28のうちのいずれか1項に記載の電子錠を含み、前記第一ロッキングロッドと前記第二ロッキングロッドのうちの一方は直流充電ガンをロックし、他方は交流充電ガンをロックする、電気自動車充電インレット。
【請求項30】
自動車であって、請求項1乃至
28のうちのいずれか1項に記載の電子錠を含む、自動車。
【国際調査報告】