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特表2024-534908NIR及びラマン分光測光法のための付加製造反射サンプルホルダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】NIR及びラマン分光測光法のための付加製造反射サンプルホルダ
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/03 20060101AFI20240918BHJP
   G01N 21/359 20140101ALI20240918BHJP
   G01N 21/65 20060101ALI20240918BHJP
   G01N 15/0205 20240101ALI20240918BHJP
【FI】
G01N21/03 Z
G01N21/359
G01N21/65
G01N15/0205
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514088
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 EP2022069161
(87)【国際公開番号】W WO2023281090
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/069213
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524078815
【氏名又は名称】アイナ アナリティクス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス ガルシア、ローラ
(72)【発明者】
【氏名】マインカ、デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
2G043
2G057
2G059
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043BA10
2G043BA16
2G043CA03
2G043CA05
2G043CA06
2G043DA06
2G043EA03
2G043EA13
2G043HA02
2G043JA01
2G043KA01
2G057AA01
2G057AA02
2G057AB02
2G057AC01
2G057AC05
2G057AC06
2G057BA01
2G057BB06
2G057BB08
2G057BC02
2G057BD05
2G057BD08
2G057CB03
2G057DA03
2G057DA10
2G057DA15
2G057DB05
2G059AA01
2G059BB04
2G059BB08
2G059BB09
2G059BB11
2G059BB12
2G059CC09
2G059CC20
2G059DD13
2G059EE01
2G059EE03
2G059HH01
2G059JJ13
2G059LL01
(57)【要約】
半透過半反射技法を使用するサンプル(S)の分光測光測定のためのサンプルホルダ(100、110、120、140、150)が提案され、サンプルホルダは、拡散ミラー(M)を有するサンプル受け取りチャンバ(SRC)を備え、拡散ミラー(M)の曲率は、サンプル(S)の表面の曲率に適応されており、及び/又は、サンプル(S)を含む容器(C)の表面の曲率に適応されている。さらに、透過技法を使用するサンプル(S)の分光測光測定のためのサンプルホルダ(160)が提案され、サンプルホルダは、中空導光チャネル(G)を備え、中空導光チャネル(G)の内壁は、平滑反射コーティング(R)によって覆われ、サンプル(S)又は容器(C)の管状部の周方向に沿って、サンプル(S)又はサンプル(S)を含む容器(C)の管状部を少なくとも部分的に取り囲こむように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半透過半反射技法を使用するサンプルの分光測光測定のためのサンプルホルダであって、前記サンプルホルダは、拡散ミラーを有するサンプル受け取りチャンバを備え、前記拡散ミラーの曲率は、前記サンプルの表面の曲率に適応されており、及び/又は、前記サンプルを含む容器の表面の曲率に適応されている、サンプルホルダ。
【請求項2】
前記サンプルホルダは、中空導光チャネルを備え、前記中空導光チャネルの内壁は、平滑反射コーティングによって覆われ、前記サンプル又は容器の管状部の周方向に沿って、前記サンプル又は前記サンプルを収容する前記容器の一部を少なくとも部分的に取り囲こむように構成されている、請求項1に記載のサンプルホルダ。
【請求項3】
透過技法を使用するサンプルの分光測光測定のためのサンプルホルダであって、前記サンプルホルダは、中空導光チャネルを備え、前記中空導光チャネルの内壁は、平滑反射コーティングによって覆われ、前記サンプル又は容器の管状部の周方向に沿って、前記サンプル又は前記サンプルを収容する前記容器の一部を少なくとも部分的に取り囲こむように構成されている、サンプルホルダ。
【請求項4】
前記サンプル受け取りチャンバの形状は、前記サンプルを備える前記容器を受け取るように構成されており、前記容器は、一次容器及び前記サンプルの単一の格納容器のいずれかを表し、すなわち、一次容器であり、又は前記容器は、一次容器を取り囲む二次容器を表し、前記サンプルは、前記一次容器内に配置される、請求項1に記載のサンプルホルダ。
【請求項5】
前記容器は:プラスチック、紙、ガラス、金属及びテキスタイルのうちの少なくとも1つを含み、前記紙及び前記テキスタイルは、任意選択で、ポリマーでコーティングされてよく、前記プラスチックは、熱成形されたポリマーフィルム、ポリマー収縮性フィルム、及びプラスチックフィルム袋から選択される、請求項1または3に記載のサンプルホルダ。
【請求項6】
前記サンプル受け取りチャンバは、前記サンプルを、完全に、又は少なくとも、前記サンプルの管状部の周方向に沿って取り囲む、請求項1に記載のサンプルホルダ。
【請求項7】
前記中空導光チャネルは、反射コーティングで覆われ、前記反射コーティングは、測定光ビームにおいて使用される光について反射性である、請求項2に記載のサンプルホルダ。
【請求項8】
前記サンプルは、作物、果物、花芽、花序、植物抽出物、植物油、錠剤等の固体に形成され得る粉末又は粉末混合物、次のものから選択される医薬剤形:錠剤、コーティング錠剤、坐剤、コーティング坐剤、硬質ゼラチンカプセル、軟質ゼラチンカプセル、キャンディ、ドロップ、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、分散体、顆粒、溶液、注射液、輸液、流動食、特に経腸投与のために意図される流動食から選択される、請求項1または3に記載のサンプルホルダ。
【請求項9】
前記容器は:シリンジ、輸液バッグ、バイアル、ボトル、キュベット、ブリスタ、硬質又は軟質ゼラチンカプセル、フィルムコーティング錠剤のフィルム、ドラジェ、坐剤、及びフィルムコーティング坐剤から選択される、請求項1または3に記載のサンプルホルダ。
【請求項10】
前記サンプル受け取りチャンバの少なくとも一部分は:
円筒、管、球形、半球形、長球、偏球面、楕円面、楕円形、放物面、立方体、直方体、プリズム、錐体、円錐、円錐台、双曲面、放物線、螺旋、トーラス、パラメトリック幾何形状、及び微分幾何形状
のうちの1つを含む、請求項1に記載のサンプルホルダ。
【請求項11】
前記拡散ミラーの表面構造は、複数の幾何学体又はその一部を含み、前記幾何学体は:円筒、管、球形、半球形、長球、偏球面、楕円面、楕円形、放物面、立方体、直方体、プリズム、錐体、円錐、円錐台、双曲面、放物線、螺旋、及びトーラスから選択される、請求項1に記載のサンプルホルダ。
【請求項12】
請求項1または3に記載のサンプルホルダを生成する製造技法の組み合わせであって、前記組み合わせは:
前記サンプルホルダの少なくとも一部のワックスモデルの3D印刷;及び
ロストワックス鋳造を適用すること
を含む付加製造を備え、前記ロストワックス鋳造は、溶融金属、溶融金属合金及び/又は溶融IR反射ポリマーを鋳造することを含む、組み合わせ。
【請求項13】
前記ロストワックス鋳造は、
前記3D印刷されたワックスモデルを埋め込むことによって前記サンプルホルダの前記一部のための鋳造鋳型を生成すること;
前記ワックスモデルを鋳型形成材料で覆って鋳型を生成すること、ここで、前記鋳型形成材料は、シリカスラリー、セラミックスリップ、及びスタッコから選択される;及び結果として得られるグリーンシェルの乾燥;
ワックスが溶融し、前記グリーンシェル及び/又は前記鋳型から取り除かれる間の、前記グリーンシェルの燃え尽き及び前記鋳型への焼結;
溶融金属又は溶融合金を前記鋳型に注ぐことによって鋳造すること;
鋳造物を放出すること;
前記鋳造物を仕上げ加工すること、ここで、仕上げは、反射層、特に金層を研削、研磨、めっき加工、電解めっき加工、及び/又は堆積することのうちの少なくとも1つを含む、
を含む、請求項12に記載の製造技法の組み合わせ。
【請求項14】
前記付加製造は、前記サンプルホルダのプラスチック部品のための熱溶解積層法を含み、前記プラスチック部品は、サーモプラスチック、例えば、ポリ乳酸、アクリロニトリルブタジエンスチレンを含む、請求項12に記載の製造技法の組み合わせ。
【請求項15】
検体を含むサンプルを解析する方法であって、前記方法は:
請求項1に記載のサンプルのためのサンプルホルダを提供する段階;
前記サンプルを前記サンプルホルダの前記サンプル受け取りチャンバに配置する段階;
測定光ビームを前記サンプル受け取りチャンバに方向付ける段階;及び
透過した及び/又は半透過半反射した光を前記サンプル受け取りチャンバから収集する段階
を備える、方法。
【請求項16】
前記収集された透過した及び/又は半透過半反射した光のスペクトルを生成及び解析する段階;及び
前記サンプルのパラメータを判定する段階、例えば、前記検体の存在及び/又は前記サンプル中の前記検体の含有量、粒子サイズ、含水量を識別する段階
を更に備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
透過した又は半透過半反射した光を定量する段階
を更に備え、前記半透過半反射した光は、NIR分光測光器又はラマン分光測光器から発され、前記サンプル受け取りチャンバの拡散ミラーにおいて反射された透過した光を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
検体の識別、適合性、半定量及び定量のためにサンプルを特性評価する方法であって、前記方法は、請求項1または3に記載のサンプルホルダを使用するNIR分光測光法による及び/又はラマン分光測光法による半透過半反射した及び/又は透過した光の測定を備える、方法。
【請求項19】
前記検体は:カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール酸(CBDA)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビゲロール酸(CBGA)、カンナビジバール(CBCV)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビシクロ―ル(CBL)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビノジオール(CBND)、カンナビトリオール(CBTL)、カンナビジバリン(CBDV)及びテトラヒドロカンナビバリン(THCV)から選択されるカンナビノイドを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記カンナビノイドは、シリンジ内、輸液バッグ内、バイアル内、ボトル内又はキュベット内、軟質又は硬質ゼラチンカプセル内、坐剤内又は大麻花序内の大麻抽出物内に収容され、前記シリンジ、前記輸液バッグ、前記バイアル、前記ボトル、前記キュベット、前記軟質又は硬質ゼラチンカプセル、前記坐剤及び前記大麻花序は、前記カンナビノイドを含有する油、溶液又は樹脂を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記検体は、カフェインを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記検体は、溶液中に溶解し、及び/又は前記検体は、シリンジ、輸液バッグ、バイアル、ボトル、キュベット、ドラジェ、軟質又は硬質ゼラチンカプセル、錠剤又はフィルムコーティング錠剤内、又は坐剤内に収容される、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記シリンジ、前記輸液バッグ、前記バイアル、前記ボトル、前記キュベット、前記ドラジェ、前記軟質又は硬質ゼラチンカプセル、前記錠剤又は前記フィルムコーティング錠剤、及び前記坐剤は、二次容器によって包囲される、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の半透過半反射(transflection)に基づく分光測定を対象とする任意のセットアップに関し、特に、そのようなセットアップのために構成された反射又はミラー表面を含むサンプル受け取りチャンバに関する。
【0002】
半透過半反射は、透過技法の一拡張である。ミラーがサンプルの後方に配置される場合、サンプルを通って透過した光は、サンプルを通って反射して戻されて、検出器として使用される拡散反射プローブに入る。それゆえ、半透過半反射は、透過及び反射の組み合わせを測定する。この技法は、例えば、エマルジョン、懸濁液、ゲル、混濁液に、ひいては様々な医薬中間体、製剤、及び製品、並びに農作物、食品、飼料に適用可能であり、したがって、関連技術において有用である。
【0003】
特に、半透過半反射近赤外線分光法は、医薬品有効成分(API)、賦形剤の識別及び/又は定量、及び/又は製品の偽造及び/又は標準品質又はAPIの不純物の検出、並びにこれらの成分の物理的特性(凝集、粒子サイズ等)の定量/検出/検証を、それらが無菌パッケージ内で液体状態であるのか、又は更には多量の乾燥粒子、例えば、乾燥した医療用植物であるのかを問わず、可能にする。一方、果物、例えば、ベリー、チェリー、又は他の植物又は食品も、それらの完全性を損なうことなく解析することができる。それゆえ、提案されるサンプルホルダは、含有成分又は収穫日を判定するのにも使用することができる。全体として、提案されるサンプルホルダ及びそれを使用する提案される方法は、ひいては、非破壊試験にも当てはめることができる。
【0004】
医薬品の不適切な生産又は不適切な保管は、意図された効果の喪失をもたらし得、又は更には医薬品が投与される生体に害を及ぼし得る。
【0005】
したがって、更なる使用の前、例えば、患者への適用の直前又は中間体製剤への混和への直前の医薬品の品質及び/又は同定管理が最も重要である。
【0006】
典型的には、医薬品のバッチのサンプルが取得及び解析され、その結果、サンプル/バッチの破壊がもたらされる。個々に生成された輸液バッグ、ポンプ又はシリンジに関するバッチ数は多くの場合にn=1であるので、バッチリリースの前に調剤の品質を評価することは可能ではない。その上、それらの手法は、多くの場合、解析結果、例えば、スペクトル又はクロマトグラムを評価するために、解析研究室、及び習熟した非常に専門に通じた人材を要求する。
【発明の概要】
【0007】
上記に鑑みて、元の溶液及び/又はその容器の完全性、及びひいては無菌状態を損なわないようにするために、反射サンプルホルダ、その製造の方法、及びその使用の方法が提案される。
【0008】
特に、サンプルを通して方向付けられるNIR分光測光器又はラマン分光測光器の測定光ビーム(サンプルビーム)の半透過半反射を測定することによって、収集された情報を使用して、サンプル中の化学成分を識別又は更には定量し、及び/又はサンプルの物理的特性を解析することができる。そのような測定は、異なる検体、それらのパラメータ及び/又は特性に関して同時に行うことができる。
【0009】
本実施形態によれば、半透過半反射を介して又は更には透過を介してNIR分光法又はラマン分光法によってサンプル、例えば、医薬品を特性評価するために、サンプルホルダのサンプル受け取りチャンバの形状、サンプル受け取りチャンバの拡散ミラー表面の表面構造、及び拡散ミラー表面の反射率によって具体的に構成されるサンプルホルダが提供される。サンプルホルダは、より高い全体品質及び測定結果のより高い全体再現性を可能にする。
【0010】
NIR又はラマン機器、サンプル、及び拡散ミラーを備える提案されるサンプル受け取りチャンバは、高品質の測定結果が達成されることを確保するために互いに対して位置決めされる。
【0011】
驚くべきことに、付加製造技法は、医薬品、製剤又は他のサンプルのためのサンプル受け取りチャンバを備える異なるサンプルホルダの製造のために適応させることができ、各サンプルホルダは、サンプルの半透過半反射測定のために使用される拡散ミラー表面で部分的に又は完全にいずれかで覆われている反射表面を少なくとも備える。
【0012】
さらに、拡散ミラー及び/又は反射コーティングを含むサンプル受け取りチャンバを備える提案されるサンプルホルダを使用することによって、医療用カフェイン含有溶液の、それらのカフェイン又は他のAPIの含有量に対する、特性評価、例えば識別、適合性の検証、半定量及び定量のための新たな方法が開発された。カフェイン溶液は、無菌又は非無菌とすることができる。典型的には、カフェイン溶液の一次包装としてシリンジが使用される。これらの医療用カフェイン溶液は、例えば、早産児の無呼吸の治療において使用される。提案されるサンプルホルダを使用することにより、従前で使用されていた方法と同じ程度高信頼度である、様々なAPIのより簡単な、より高速の、かつより安価な特性評価が可能になる。さらに、サンプル受け取りチャンバの使用は、拡散ミラーがサンプルに対する直接接触を有さず、したがって洗浄を要求しない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】例えば、透明容器、例えば石英ガラスビーカ内に保持された乾燥した薬草又は花芽を含むサンプルを測定するように構成されている一体型円筒形状サンプルホルダの一実施形態の鉛直方向断面を示す図である。
【0014】
図2】例えば、キュベット、例えば石英ガラスビーカ内に保持された液体サンプルを測定するように構成されている二部品型サンプルホルダの一実施形態の鉛直方向断面を示す図である。
【0015】
図3】例えば、キュベット内に保持された液体サンプルを測定するように適応された二部品型サンプルホルダの別の実施形態の断面を示す図である。
【0016】
図4】カプセル又はドラジェを用いた半透過半反射測定のために構成されたサンプルホルダの一実施形態の断面を示す図である。
【0017】
図5】拡散ミラーの表面構造の生成のために使用されるセクションを示す図である。
【0018】
図6図5に示されたセクションから生成することができる拡散ミラーの幾つかの平坦表面構造を示す図である。
【0019】
図7】拡散ミラーの湾曲表面構造及びそのような表面構造を伴わない反射表面を示す図である。
【0020】
図8】半透過半反射技法を用いてシリンジを測定するための反射サンプルホルダの断面を示す図である。
【0021】
図9】透過技法を用いてシリンジを測定するための反射サンプルホルダの断面を示す図である。
【0022】
図10】半透過半反射技法を用いて取得された、医療用カフェイン溶液を保持するシリンジの測定値を含むNIRスペクトルを示す図である。
【0023】
図11図10に示された、半透過半反射技法を用いて取得された、医療用カフェイン溶液を保持するシリンジの測定値を含むNIRスペクトルのセクションの一次微分を示す図である。
【0024】
図12】透過技法を用いて取得された、医療用カフェイン溶液を保持するシリンジの測定値を含むNIRスペクトルを示す図である。
【0025】
図13図12に示された、透過技法を用いて取得された、医療用カフェイン溶液を保持するシリンジの測定値を含むNIRスペクトルのセクションの一次微分を示す図である。
【0026】
本発明の最良の形態を含む、本発明の完全かつ当業者にとって実施可能な程度の開示が、添付図面への参照を含む明細書の別の部分でより具体的に記載されている。
【0027】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部をなす添付図面に対して参照がなされ、当該添付図面において、発明の具体的な実施形態及び特徴が例示として示されている。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用されてよく、構造的又は論理的変更が加えられてよいことが理解されるべきである。
【0028】
したがって、以下の詳細な説明は、限定の意味で解釈されるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
「一(a)」又は「一(an)」という単語の使用は、特許請求の範囲及び/又は本明細書において「備える/有する/含む(comprising)」という用語と組み合わせて使用される場合、「1つ(one)」を意味し得るが、「1つ又は複数(one or more)」、「少なくとも1つ(at least one)」、及び「1つ又は1つよりも多くの(one or more than one)」の意味とも一貫する。
【0030】
特許請求の範囲における「又は(or)」という用語の使用は、二者択一のみを指すことが明示的に示されないか又は二者択一が相互排他的ではない限り「及び/又は」を意味するように使用されるが、本開示は、二者択一のみ及び「及び/又は」を指す定義をサポートする。
【0031】
本明細書(上記及び下記)及び特許請求の範囲において使用される場合、「備える/有する/含む(comprising)」(及び「comprise」及び「comprises」等のcomprisingの任意の形態)、「有する(having)」(及び「have」及び「has」等のhavingの任意の形態)、「備える/有する/含む(including)」「及び「includes」及び「include」等のincludingの任意の形態」又は「含む/収容する/含有する(containing)」(及び「contains」及び「contain」等のcontainingの任意の形態)という単語は、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素又は方法段階を排除しない。
【0032】
「付加製造」という用語は、本明細書において使用される場合、除去技法と異なり、熱溶解積層法(fused deposition modeling:FDM)、粉末床溶融結合法(powder bed fusion:LPBF)技法又はこれらの変形、例えば、典型的には金属、セラミック及び/又はポリマーを含む別個の粒子又は粉末を含む層又は床に適用される選択的レーザ溶融法(Selective Laser Melting:SLM)、選択的レーザ焼結法(Selective Laser Sintering:SLS)、電子ビーム溶融法(Electron Beam Melting:EBM)及び直接金属レーザ焼結法(Direct Metal Laser Sintering:DMLS);ポリマー、セラミック、又は金属又は合金を含む粒子を用いて使用されるバインダ噴射又は材料噴射技法;押し出された材料の連続堆積を含む、材料が任意選択で加熱されたノズルを通して引き出される材料押し出し技法;及び電気アークにおける金属溶融を含むワイヤアーク溶融技法としても知られる技法を包含する技術を説明している。さらに、ロストワックス鋳造も、付加製造技法とみなされる。さらに、射出成形も、本明細書において、付加製造技法であるとみなされる。したがって、サンプル受け取りチャンバを備える提案される反射サンプルホルダを生成する技法は、言及された付加製造技法のうちの少なくとも1つ又は言及された技法の組み合わせを含む。有利には、付加製造は、通常非常に融通性があり、例えば、提案されるサンプルホルダのコンポーネント、特に当該サンプルホルダが備えるサンプル受け取りチャンバ及び/又は当該サンプル受け取りチャンバの又はその中のミラー表面のサイズ、形状、及び表面構造の容易な適応を可能にする。
【0033】
サンプル受け取りチャンバの少なくとも表面は、反射表面によって部分的に又は完全にのいずれかで覆われ、言及される拡散ミラー及び/又は反射コーティングを含む。反射材料及び対応する堆積技法は、幾つか挙げると、化学気相堆積技法(CVD)、物理気相堆積技法(PVD)、真空堆積技法、めっき加工(無電解及びガルバニック)、及び原子層堆積(ALD)から選択されてよい。
【0034】
有利には、反射材料は、金、鋼、アルミニウム又は他の任意のNIR反射材料、例えば、Teflon(登録商標)、又はこれらの材料のうちの少なくとも1つを含有する合金である。測定光ビーム、すなわち、サンプルビームの好ましい波数範囲は、800nm~2.5μmの波長範囲に対応する4,000cm-1~12,500cm-1である。
【0035】
典型的な実施形態によれば、サンプルに向かって方向付けられるサンプルホルダの表面は、NIRについて反射性である。サンプルホルダ、特にそのサンプル受け取りチャンバは、サンプルを、全体として、又はサンプル又は汚染に対してサンプルを保護する容器の管状部の円周方向に少なくとも沿って取り囲む。
【0036】
説明される反射表面は、積分球をもたらしてよく、サンプル受け取りチャンバの形状は理想球とは異なり得るが、それは、積分球(Ulbricht sphere)と称され得る。
【0037】
提案される反射サンプルホルダ、特にそのサンプル受け取りチャンバは、半透過半反射NIR分光測光法及び/又は半透過半反射ラマン分光測光法を使用した上記で言及されたサンプル、例えば、医薬製剤、それらの成分、及び製品の、それらの形状、サイズ、又は稠度、例えば、粘度に関わらない分光測光測定のために、その形状、そのサイズ、その反射表面、反射表面のために使用される材料、反射表面を部分的に又は完全に覆うことができる拡散ミラー、及び拡散ミラーのための表面の幾何形状及び/又は形状によって構成される。
【0038】
拡散ミラーの表面の幾何形状及び/又は形状は、平坦表面、湾曲表面、又は、錐体等の幾何学体、又は(例えばこれらの錐体のケースにおける)三角形等の傾斜付きの別個の表面を含む他の任意の表面によって構成される。これらの幾何学体は、互いに隣接して、すなわち、横並びで、又は互いに対して距離を空けて、配置することができ、横並びで、又は互いに対して等しい又は徐々に変動する距離を空けてのいずれかで配置される幾つかの隣接した列を形成することができる。その結果は、例えば、パラメトリック幾何形状とすることができる。それらの表面は、研磨、部分研磨、又は非研磨とすることができる。説明される構成は、拡散ミラーの反射率、したがって、反射サンプルホルダ、特にそのサンプル受け取りチャンバ(SRC)の全体反射率を判定する。典型的には、結果として得られる凹凸表面は、反射層、例えば金層でコーティングされる。
【0039】
実用上の理由で、本明細書において説明される反射サンプルホルダは、測定実験によって、同様の高反射率を有する一般的な市販の反射金ミラーと比較される。重要なことに、一般的に入手可能な反射金ミラーは、フラットな、すなわち平坦な表面に限定される。これらの及び他の理由で、本明細書において提案される反射サンプルホルダは、より高い全体品質及び測定結果のより高い全体再現性を可能にする。特に、達成される測定結果に関する達成される技術的効果は、同様の反射率の一般的に入手可能な反射金ミラーと比較して、より低い信号対雑音比、より高いスペクトル分解能、及びしたがって、改善された検出限界(検出の限界(limit of detection)/LOD)及び感度、及びさらに、改善された再現性である。
【0040】
サンプルという用語は、本明細書において使用される場合、容器によって部分的に又は完全に包囲されている又はされていない任意の天然物(植物抽出物、乾燥植物等のような)、任意の医薬製剤、任意の液体、任意の溶液、任意の分散体、任意の固体(粉末、凍結乾燥物等)、任意の二相系を含む。そのような容器の例は、シリンジ、輸液バッグ、バイアル、ボトル、キュベット、ブリスタ又は他の任意の容器である。一次容器は、第2の容器によって部分的に又は完全に包囲することができる。
【0041】
「半固体」という用語は、本明細書において使用される場合、(通常の生理学的(水性)溶液と比較してより高い粘度である、したがって、大抵は二相系、すなわち固体/液体又は液体/液体である)ゲル、ヒドロゲル、ペースト又はローションを含む。この用語は、医薬技術及び/又は食品技術における当業者によるその一般的な理解と対応して使用される。
【0042】
さらに、「溶液」という用語は、本明細書において使用される場合、水性溶液に制限されるのではなく、他の溶媒、例えば油にも関することに留意されたい。したがって、提案される反射サンプルホルダを使用して測定することができる液体組成は、溶液及び分散体を含み、例えば、多成分/多相系(発泡体、エマルジョン、エアロゾル)からなってよい。溶液は、無菌又は非無菌とすることができる。
【0043】
反射サンプルホルダを使用して特性評価される軟質又は硬質ゼラチンカプセル、ドラジェ、坐剤、錠剤、又はフィルムコーティング錠剤を含む医薬製剤については、それらは、液体媒体、及びその中に溶解又は分散した有効医薬品成分(API)を含んでよい。それゆえ、それらは、API及び液体賦形剤を含んでよい。しかしながら、賦形剤は、固体であってもよいし、又は固体粒子を含んでもよい。
【0044】
本願の目的で、「医薬製剤」という用語は、その所望の治療的及び/又は診断的効果を達成するために、医薬的に有効な化合物をヒト又は動物の身体に輸送するための当業者に既知の任意の医薬剤形を説明することを意図している。典型的には、医薬剤形は、薬剤成分、すなわち、有効医薬品成分、及び非薬剤成分(すなわち、賦形剤)の混合物を含む。一般に、これらの医薬剤形は、異なる態様、例えば、それらの投与経路(例えば、経口、吸入、非経口、局所投与、及びより具体的には、眼薬投与)又はそれらの物理的外見(例えば、固体、半固体、液体、気体)によって分類することができる。本願の目的で、特にそれらの固体、半固体又は液体剤形が使用され、これらは、局所的に、非経口注射を介して、又は経口的に投与することができる。例えば、そのような剤形は、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、分散体、顆粒、溶液又は無菌溶液又は注射液又は輸液、軟質又は硬質ゼラチンカプセル、ドラジェ、坐剤、錠剤、又はフィルムコーティング錠剤を含み、これは、可能な剤形の非網羅的なリストであることが意図される。
【0045】
本明細書において説明される他の実施形態のうちの任意のものと組み合わせることができる一実施形態によれば、医薬製剤は、中間組成を含む。中間組成の濃度は、医薬製剤の総重量に基づいて、0.1%w/w~99.9%w/w、特に1%w/w~99%w/w、特に2.5%w/w~90%w/w、特に5%w/w~80%w/w、更に特に10%w/w~60%w/w、更に特に15%w/w~40%w/wであってよい。
【0046】
さらに、中間組成の濃度は、医薬製剤の総重量に基づいて、10%w/w~45%w/w、特に20%w/w~40%w/w、更に特に30%w/w~38%w/wとすることができる。また、中間組成の濃度は、医薬製剤の総重量に基づいて、1%w/w~30%w/w、特に5%w/w~25%w/w、更に特に10%w/w~20%w/wとすることができる。また、中間組成の濃度は、医薬製剤の総重量に基づいて、0.1%w/w~15%w/w、特に1%w/w~10%w/w、更に特に2%w/w~5%w/wであってよい。
【0047】
本明細書において説明される他の実施形態のうちの任意のものと組み合わせることができる一実施形態によれば、医薬品組成は、液体媒体を更に含む。
【0048】
本明細書において説明される他の実施形態のうちの任意のものと組み合わせることができる一実施形態によれば、サンプル中の液体媒体は、水性溶液、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(Phosphate buffer saline:PBS)、水、例えば、純水(aqua ad injectabilia)、グリセロール、又は、油、例えば、大麻油、ヒマシ油、チョウジ油、カシア油、アーモンド油、コーン油、落花生油、ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、トウモロコシ油、アマニ油、菜種油、大豆油、キャラウェイ油、ローズマリー油、ピーナッツ油、ペパーミント油、ヒマワリ油、ユーカリ油、オリーブ油、ハッカ油、ペパーミント油、ユーカリ油、ベルガモット油、アニス油、フェンネル油、又はバラ油から選択される。これらの液体媒体は、単独で、又は2種又はそれよりも多くのこれらのものの任意の組み合わせで使用することができる。液体媒体の濃度は、医薬製剤の総重量に基づいて、1%w/w~99.9%w/w、特に5%w/w~95%w/w、特に10%w/w~90%w/w、特に20%w/w~80%w/w、更に特に30%w/w~70%w/wであってよい。
【0049】
特定の実施形態によれば、提案されるサンプル受け取りチャンバを使用してその医薬的に重要な成分について特性評価される医薬成分は、医療用カフェイン溶液である。医療用カフェイン溶液は、早産児の無呼吸の治療において使用される。しかしながら、そのような溶液は、無菌でなければならず、製造又は保管された医療用カフェイン溶液の品質を検証することができる非破壊解析方法は、今のところ利用可能ではない。全ての一般的に入手可能な解析方法は、サンプルを破壊するか、又はサンプルの汚染のリスクがあり、したがってサンプルの無菌状態の喪失のリスクがあるかのいずれかである。この主要な困難は、医療用カフェイン溶液が一次包装内、例えばシリンジ内に依然として収容されながら、それを解析することである。しかしながら、シリンジは、その形状、それが構成される材料、及び材料の厚さに起因して、保持された溶液の現在利用可能な方法を使用する解析を不可能にする。医療用カフェイン溶液中のカフェインの特性評価、例えば、識別、適合性の検証、半定量及び定量は、サンプル受け取りチャンバを含む提案される反射サンプルホルダを使用することにより可能である。
【0050】
また、医療用カフェイン溶液の濃度は、医薬製剤の総重量に基づいて、0.05%w/w~30%w/w、特に0.25%w/w~15%w/w、更に特に0.5%w/w~1.5%w/wの液体媒体とすることができる。
【0051】
特定の実施形態によれば、提案されるサンプル受け取りチャンバを使用するその医薬的に重要な成分について特性評価される医薬成分は、大麻抽出物である。大麻草からの抽出物は、任意の容器内、より具体的には、バイアル又はシリンジ内に収容することができる。今のところ、単純かつ高速な方法で、医療用大麻調製において、例えば、大麻草からの抽出物内のカンナビジオール(CBD)及びテトラヒドロカンナビノール(THC)の含有量を識別又は定量することは可能ではない。現在使用される1つの技法は、HPLCであり、これは、専用の研究室環境及び高度な技能を有する人材を要求する。主要カンナビノイドとしてのCBD及びTHCに加えて、例えば、NIR分光法を使用して提案される反射サンプルホルダを用いて高信頼度で検出することができる他の物質は:カンナビジオール酸(CBDA)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビゲロール酸(CBGA)、カンナビジバリン(CBCV)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビシクロ―ル(CBL)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビノジオール(CBND)、カンナビトリオール(CBTL)、カンナビジバリン(CBDV)及びテトラヒドロカンナビバリン(THCV)である。
【0052】
また、液体媒体の濃度は、医薬製剤の総重量に基づいて、0.05%w/w~99.9%w/w、特に0.5%w/w~50%w/w、更に特に0.75%w/w~20%w/wの液体媒体、更に特に1%w/w~10%w/wの液体媒体とすることができる。
【0053】
本明細書において説明される他の実施形態のうちの任意のものと組み合わせることができる一実施形態によれば、上記で言及された医薬製剤は、分散相としての医薬製剤、及び分散剤としての液体媒体を含む分散体である。さらに、分散相は、コロイド分散相であってよい。本願の目的で、医薬製剤に関係した「コロイド分散相」という用語は、分散相が、1μm~500μm、特に10μm~300μm、更に特に50μm~200μmの粒子サイズを有することを意味する。
【0054】
本明細書において説明される他の実施形態のうちの任意のものと組み合わせることができる一実施形態によれば、分散体は、ゲル、懸濁液、発泡体又はエマルジョンである。
【0055】
概して、半透過半反射による及び/又は透過によるサンプルの分光測光測定のための反射サンプルホルダが提案される。それは、その形状、そのサイズ、その反射表面、及び/又は反射表面の少なくとも一部分の表面構造、及び反射表面のために使用される材料、特に反射表面を部分的に又は完全に覆うその拡散ミラー表面、及び異なるサンプル及びサンプル幾何形状に対する拡散ミラーの表面の幾何形状及び/又は形状によって構成されるサンプル受け取りチャンバを含む。本明細書において説明される反射サンプルホルダは、測定実験によって、同様の高反射率を有する一般的に入手可能な反射金ミラーと比較される。重要なことに、一般的に入手可能な反射金ミラーは、平坦な表面に限定される。
【0056】
特に、一実施形態によれば、半透過半反射技法を使用するサンプルの分光測光測定のためのサンプルホルダが提案される。当該サンプルホルダは、拡散ミラーを有するサンプル受け取りチャンバを備える。拡散ミラーの曲率は、サンプルの表面の曲率に適応され、及び/又はサンプルを備える容器の表面の曲率に適応される。
【0057】
有利には、本明細書において説明される反射サンプルホルダは、より高い全体品質及び測定結果のより高い全体再現性を可能にする。より具体的には、反射サンプルホルダを使用すると、より低い信号対雑音比、より高いスペクトル分解能、したがって、改善された検出限界及び感度が達成される。さらに、測定の再現性は、大幅に改善される。
【0058】
一実施形態によれば、提案されるサンプルホルダは、中空導光チャネルを備える。中空チャネルでは、チャネルの内側の流体は、典型的に導光ファイバ又は導波路において使用されるような液体又は固体ではなく、典型的には、周辺空気又は気体である。導光ファイバ及び光導波路とは異なり、断面の形状及び/又はその直径は、導光チャネルの長さにわたって変動し、サンプルの形状に適応される。導光チャネルは、サンプル及び/又は容器を部分的に又は完全に包囲する。さらに、導光チャネルは、分光測光器の測定窓又は分光測光器の検出器、例えば、分光測光器の内側の積分球にも光学的に接続されるように適応されてよい。
【0059】
有利には、信号喪失を大幅に最小化することができ、サンプルのラマン及び/又はNIR測定の感度を高めることができる。
【0060】
一実施形態によれば、サンプルホルダは、サンプル受け取りチャンバと光学的に接続されている中空導光チャネルによる透過技法及び/又は半透過半反射技法を使用するサンプルの分光測光測定のために構成されており、中空導光チャネルの内壁は、平滑反射コーティングによって覆われる。導光チャネルは、少なくとも部分的に、サンプルの一部又はサンプルを収容する容器の一部を取り囲むように構成されている。典型的には、導光チャネルの一部分は、サンプル又は容器の一部の表面を覆うか又はこれに沿って、より好ましくはサンプル又は容器の湾曲表面の周方向に沿って、隣接して位置決めされる。さらに、導光チャネルは、分光測光器の測定窓又は分光測光器の検出器、例えば、分光測光器の内側又は更には外側の積分球にも光学的に接続されるように適応されてよい。
【0061】
その中で、サンプル及び/又は容器の一部は、管状(例えば、円形断面を有する)であってよい。
【0062】
有利には、サンプルホルダは、そのサンプル受け取りチャンバのサイズ及び形状によって、検体を収容する可撓性又は非可撓性容器の任意のサイズ又は形状に適応される。
【0063】
一実施形態によれば、サンプル受け取りチャンバの形状は、サンプルを備える容器を受け取るように構成されており、容器は、一次容器及びサンプルの単一の格納容器のいずれかを表し、すなわち、一次容器であり、又は容器は、一次容器を取り囲む二次容器を表し、サンプルは、当該一次容器内に配置される。典型的には、容器は、閉鎖されかつ耐菌性の容器であり、サンプルの任意の汚染、例えば、液体、塵埃、ウイルス、及び微生物又はこれらの胞子による汚染に対するバリアを提供する。
【0064】
本願の導入部において利点が言及された。
【0065】
一実施形態によれば、容器は:プラスチック、紙、ガラス、金属、及びテキスタイル、例えば、不織布のうちの少なくとも1つを含み;紙及びテキスタイルは、任意選択で、容器によって取り囲まれた容積の無菌状態を確保するためにポリマーでコーティングされてよい。任意選択で、プラスチックは、熱成形されたポリマーフィルム、ポリマー収縮性フィルム、及びプラスチックフィルム袋から選択される。
【0066】
有利には、当該容器及びその材料によって生成される測定信号は、検体から取得された信号と干渉しない。これらの容器は、サンプルの無菌状態、例えば、医薬製剤の無菌状態を確保する。
【0067】
一実施形態によれば、サンプル受け取りチャンバは、サンプルを、全体として完全に、又は少なくとも、サンプル又は容器の湾曲した又は更には円形の表面、又はサンプル又は当該サンプルを含む容器の管状部の周方向に沿って取り囲む。
【0068】
有利には、信号喪失を最小化することができ、信号強度を高めて、検体、例えば有効医薬品物質のための検出方法の感度を改良することができる。
【0069】
一実施形態によれば、導光チャネルのチャネル壁の内側は、反射コーティングで少なくとも部分的に覆われ、反射コーティングは、分光測光測定において使用される測定光ビームにおいて使用される光について反射性である。その中で、反射コーティングとして使用される材料は、金属、ガラス、セラミック、及びポリマー、例えば、Teflon(登録商標)から選択される。典型的には、反射コーティング材料は、使用される波長範囲内のNIRについて反射性である。
【0070】
一実施形態によれば、サンプルホルダがそのために適応されるか又はそのために使用されるサンプルは、作物、果物、花芽、花序、植物抽出物、植物油、錠剤等の固体に形成され得る粉末又は粉末混合物、次のものから選択される医薬剤形:錠剤、コーティング錠剤、坐剤、コーティング坐剤、硬質ゼラチンカプセル、軟質ゼラチンカプセル、キャンディ、ドロップ、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、分散体、顆粒、溶液、注射液、輸液、流動食、特に経腸投与のために意図される流動食から選択される。
【0071】
有利には、これらは、患者に投与される有効医薬品成分のための典型的な剤形である。
【0072】
一実施形態によれば、容器は:シリンジ、輸液バッグ、バイアル、ボトル、キュベット、ブリスタ、硬質又は軟質ゼラチンカプセル、フィルムコーティング錠剤のフィルム、ドラジェ、坐剤、及びフィルムコーティング坐剤から選択される。
【0073】
一実施形態によれば、サンプル受け取りチャンバの少なくとも一部分は:円筒、管、球形、半球形、長球、偏球面、楕円面、楕円形、放物面、立方体、直方体、プリズム、錐体、円錐、円錐台、双曲面、放物線、螺旋、トーラス、パラメトリック幾何形状、及び微分幾何形状のうちの1つを含む。
【0074】
有利には、サンプル受け取りチャンバの対応する形状又はその少なくとも一部分は、サンプルのサンプル受け取りチャンバへの最適な嵌合のために適応され、それゆえ、より高い全体品質及び測定のより高い全体再現性が達成される。
【0075】
一実施形態によれば、拡散ミラーの表面構造は、複数の幾何学体又はその一部を含み、幾何学体は:円筒;管;球形;半球形;長球;偏球面;楕円面;楕円形;放物面;立方体;直方体;プリズムから、特に斜角柱から、更に特に三角形又は四角形又は五角形又は六角形の斜角柱から、特に斜三角柱から選択される。幾何学体は:錐体、更に特に斜角及び/又は直角錐から、また更に特に三角形、四角形、五角形又は六角形の斜角及び/又は直角錐から選択することもできる。それらは、円錐、円錐台、双曲面、放物線、螺旋(又は複数の螺旋)、及びトーラス(又は複数のトーラス)から選択することができる。典型的な実施形態によれば、これらの幾何学体は、横並びで、すなわち、互いに直接隣接して、又は互いに対して特定の距離を空けて、配置される。その中で、当該距離は、そのような幾何学体及び/又はこれらの一部の列に沿って徐々に変動することができ、当該列は、横並びで、又は互いに対して距離を空けてのいずれかで配置される。
【0076】
一実施形態によれば、サンプルホルダは、識別要素を更に備え、識別要素は、光学的に又は電子的に可読であり、収容されるサンプルタイプ(例えば、シリンジ又は輸液バッグ)、サンプルホルダID、光路の長さ、拡散ミラー(M)の表面構造のタイプ、測定可能サンプルの直径;及び/又は測定可能サンプルの形状から選択される情報を提供するように構成されている。
【0077】
一実施形態によれば、識別要素は、例えば、バーコード又はQRコード(登録商標)等の2Dコード;RFID及び/又はホログラムを含む。
【0078】
一実施形態によれば、提案されるサンプルホルダを生成する製造技法が開示され、製造技法は、少なくとも:サンプルホルダの少なくとも一部のワックスモデルの3D印刷;及びロストワックス鋳造を適用することから選択される付加製造技法を含み;ロストワックス鋳造は、溶融金属、溶融金属合金及び/又は溶融IR反射ポリマー、例えば、Teflon(登録商標)を鋳造することを含む。
【0079】
一実施形態によれば、ロストワックス鋳造は:3D印刷されたワックスモデルを埋め込むことによってサンプルホルダの一部のための鋳造鋳型を生成することを含み、埋め込みは、溶融ワックスが流れるための経路及び空気が鋳造鋳型から出るための経路を提供することを含んでよい。ロストワックス鋳造は、ワックスモデルを鋳型形成材料で覆って鋳型を生成することを更に含み、鋳型形成材料は、典型的には、シリカスラリー、セラミックスリップ、及びスタッコから選択される。これらの技法及び取得されたグリーン体の乾燥の適用の結果、グリーンシェルを取得する。グリーン体/グリーンシェルは、加熱され、燃え尽き、典型的には焼結されて固体、すなわち、硬質かつ安定した鋳型になり、その一方で、ワックスは溶融し、シェル及び/又は鋳型から取り除かれる。その後、鋳型は、溶融金属又は溶融金属合金を鋳型に注ぐことによる鋳造のために使用される。鋳型は、例えば溶融ポリマーを用いる射出成形のためにも使用することができる。最後に、鋳造物が鋳型から解放されるか、又は放出される。放出は、シェル/鋳型の破壊を含んでよい。放出された(未加工の)鋳造物は、更に仕上げ加工され、仕上げは、反射層、特に金層を研削、研磨、めっき加工、電解めっき加工、及び/又は堆積することのうちの少なくとも1つを含む。
【0080】
有利には、溶融ワックス技法は、十分に確立され、提案されるサンプルホルダの要素の任意の形状又は表面構造に適応され得る。さらに、前述されたように、金は、700nm超の波長において入射放射の95パーセントよりも多くを反射する。したがって、半透過半反射中に失われる元の光ビームの強度が弱くなる。
【0081】
一実施形態によれば、付加製造は、サンプルホルダのプラスチック部品のための熱溶解積層法を含み、プラスチック部品は、サーモプラスチック、例えば、ポリ乳酸(PLA)又は例えばアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)を含む。
【0082】
有利には、これらのポリマーは、市販されており、加工が容易である。
【0083】
一実施形態によれば、検体を含むサンプルを解析する方法が提案される。当該方法は:上記で、及び以下で更に説明される実施形態のうちのいずれかに係るサンプルのためのサンプルホルダを提供すること;当該サンプルをサンプルホルダのサンプル受け取りチャンバに配置すること;測定光ビームをサンプル受け取りチャンバに方向付けること;及び透過した及び/又は半透過半反射した光をサンプル受け取りチャンバから収集することを備える。
【0084】
有利には、方法は、無菌状態、容積、組成、色;粘度及び/又は貯蔵寿命等のサンプルの完全性パラメータが変化しないままであるように実行されてよい。典型的には、検体は、生物学的活性物質、より典型的には有効医薬品物質及び/又はその混入物質から選択される。
【0085】
さらに、検体は、典型的には、液体又は固体サンプル中に分散又は溶解し、及び/又は、サンプルは、典型的には、例えば注射のための無菌医療/医薬製剤を含む。
【0086】
好ましくは、検体は、NIR光ビームと干渉することが可能である化学結合(例えば、C-H、O-H、N-H結合)を含む化合物であり、及び/又は、ラマン散乱体(例えば、C-C、C=C、C-O結合)として機能し得る。
【0087】
さらに、検体は、典型的には、液体中に溶解し、及び/又は、サンプルは、典型的には、例えば注射のための無菌医療/医薬溶液を含む。
【0088】
一実施形態によれば、提案される方法は:収集された透過した及び/又は半透過半反射した光のスペクトルを生成及び解析する段階;及びサンプルのパラメータを判定する段階、例えば、検体の存在及び/又はサンプル中の検体の含有量、粒子サイズ、含水量を識別する段階を更に備える。
【0089】
一実施形態によれば、提案される上記方法は:透過した又は半透過半反射した光を定量する段階を更に備え、半透過半反射した光は、NIR分光測光器又はラマン分光測光器から発され、サンプル受け取りチャンバの拡散ミラーにおいて反射された透過した光を含む。
【0090】
一実施形態によれば、検体の識別、検出又は適合性の検証、半定量又は定量のためにサンプルを特性評価する方法が提案され、当該方法は、上記及び以下で更に説明される実施形態のうちのいずれかに従ってサンプルホルダを使用してNIR分光測光法及び/又はラマン分光測光法による半透過半反射した及び/又は透過した光の測定を包含する。
【0091】
提案される方法の一実施形態によれば、検体は:カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール酸(CBDA)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビゲロール酸(CBGA)、カンナビジバリン(CBCV)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビシクロ―ル(CBL)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビノジオール(CBND)、カンナビトリオール(CBTL)、カンナビジバリン(CBDV)及びテトラヒドロカンナビバリン(THCV)から選択されるカンナビノイドを含む。
【0092】
有利には、これらの検体は、通常、医療用大麻調製においてそれらの抽出の後に、HPLC及び/又は質量分析法によって、検出することができる。しかしながら、HPLC及びMSは、特別な(及び高価な)研究室機器、及び非常に有能な専門家を要求し、一方、提案される方法は、より安価で、かつ少なくとも感度/信頼性が劣ることはない。
【0093】
一実施形態によれば、カンナビノイドは、シリンジ内、輸液バッグ内、バイアル内、ボトル内又はキュベット内、軟質又は硬質ゼラチンカプセル内、坐剤内又は大麻花序内の大麻抽出物として提供され、シリンジ、輸液バッグ、バイアル、ボトル、キュベット、軟質又は硬質ゼラチンカプセル、坐剤及び大麻花序は、カンナビノイドを含有する油、溶液又は樹脂を含む。
【0094】
有利には、これらのAPIは、欧州薬局方に従って、モニタリングされる必要がある。
【0095】
一実施形態によれば、前述で説明された方法を用いて検出される検体は、カフェインを含む。
【0096】
有利には、提案される方法は、確立された方法と比較して、単純、頑丈、高信頼度かつ安価である。
【0097】
一実施形態によれば、検体は、溶液中に溶解し、及び/又は検体は、シリンジ、輸液バッグ、バイアル、ボトル、キュベット、ドラジェ、軟質又は硬質ゼラチンカプセル、錠剤又はフィルムコーティング錠剤内、又は坐剤内に収容される。
【0098】
有利には、これらは、多くの有効医薬品物質のための典型的な剤形である。
【0099】
一実施形態によれば、シリンジ、輸液バッグ、バイアル、ボトル、キュベット、ドラジェ、軟質又は硬質ゼラチンカプセル、錠剤又はフィルムコーティング錠剤、及び坐剤は、二次容器によって包囲される。
【0100】
そのような場合では、サンプル受け取りチャンバの形状は、二次容器の形状に適応されている。しかしながら、典型的には、二次容器は、サンプルを保持する一次容器を平滑に覆う可撓性材料から製作される。
【0101】
上記で説明された各実施形態は、別段の明確な指示がない限り、他の任意の単数又は複数の実施形態と組み合わされ得る。
【0102】
図示について、図1における図面は、例えば、透明容器C内に保持された、例えば、乾燥した薬草又は花芽及び/又は花序を含むサンプルSを測定するように構成されている一体型円筒サンプルホルダ10の一実施形態100を表す。サンプルホルダ10は、拡散ミラーMを備える。容器Cは、分光測光器の測定窓W上に配置される。サンプルSを有する容器Cは、釣鐘型サンプルホルダ10によって覆われる。例えば、容器Cを覆うサンプルホルダ10を、分光測光器の光源LSによって発される測定ビームの真上に中心合わせするようにシーム(図示せず)が成形される。サンプルSを通過して透過した光TLは、拡散ミラーMによる、及び円筒サンプルホルダ10の反射表面による反射光RLとして反射され、最後に、分光測光器の測定チャンバ内の対応する検出器、例えば光素子又はアバランシェフォトダイオードにおいて、半透過半反射した光として到達する。
【0103】
図2は、より小さい容積のサンプルS、例えば、液体、溶液、懸濁液、分散体又はゲルに適した別の実施形態を示している。このタイプのサンプルホルダは、容器C内の医療用植物材料、例えば、乾燥した薬草又は花芽を圧縮するために使用することもできる。容器Cは、内側拡散ミラー表面を有する管状要素11の内側に配置される。内側表面の反射率は、プラグ形状要素12の前面における拡散ミラーMの反射率とは異なってよい。中心プラグ形状要素12の重量下で、容器C内のサンプル材料Sを圧縮することができる。その目的で、プラグ形状要素12は、サンプルSを収容する容器Cに挿入される。それは、その前面上に拡散ミラーMを含む。プラグ形状要素は、容器Cに嵌合し、これは、内側反射表面を有するサンプルホルダ110の外管によって密に包囲される。それゆえ、有利には、測定窓W上に載置する容器Cの壁及び拡散ミラーMの間の画定された距離Dを、自己調整方式で設定することができる。
【0104】
図3は、直前の実施形態110の変形である一実施形態120を示している。有利には、外管11と、中空であるピストン状内側要素12との組み合わせは、材料の節約を可能にする。
【0105】
図4に示されている実施形態に係るサンプルホルダ140は、サンプルS、例えば、個々の軟質又は硬質ゼラチンカプセル、ドラジェ、坐剤、錠剤又はフィルムコーティング錠剤を保持するように適応されているサンプル受け取りチャンバSRCを提供する。サンプル受け取りチャンバSRCは、外側バリア11を提供する第1の要素及び拡散ミラーMを含む第2の要素12によって形成される。第2の要素12の外側輪郭は、第1の要素11の内側輪郭と最適に嵌合し/又は逆も然りである。有利には、第2の要素の外側リムは、遮光方式で、サンプル受け取りチャンバを、分光測光器から遠い側で閉鎖するように成形されてよい。第1の要素11及び第2の要素12は、上記で説明された実施形態100に係るサンプルホルダに似た釣鐘状構造をともに形成する。
【0106】
図5は、拡散ミラーの表面構造の生成のために使用されるセクションを示している。典型的には、セクションは、軸、例えばx軸に沿った多角形ユニット/モジュールの反復によって作成される。示されている図では、多角形は、高さB、底辺の長さC並びに角度α、β、及びγを有する三角形である。第1のセクション(セクション1)のコピーは、軸Y上の寸法Aにわたってオフセットされ、さらに、第1のセクション(セクション1)の三角形の上部頂点に、第2のセクション(セクション2)の三角形の下部頂点と同じ、軸X上の座標を共有させるために、軸X上でオフセットされる。別のセクションを追加する説明されるプロセスは、拡散ミラーのための要求されるエリアが覆われるまで繰り返される。拡散ミラーの要求されるエリアは、具体的な要件、例えば、サンプルの幾何形状によって画定される。図5は、2回の周期的に配置される繰り返し、したがって、4つの示されているセクションの一例を示しているにすぎない。結果として得られる凹凸拡散ミラーを、容器及び/又はサンプルの曲率に、又はサンプル受け取りチャンバの中心及び/又はサンプルビームの中心軸からの距離のいずれかに適応させるために、A、B及び/又はC及びα、β及びγについての異なる値を含むより多くのセクションの他の組み合わせを使用することができる。
【0107】
換言して表現すると、反射表面は、その曲率及び形状がサンプルの外側輪郭又は形状に適応される平坦、湾曲又はより複雑な表面を含む。当該適応の主要な目的は、再現可能でかつ最適な測定条件を確保するとともに、測定光ビームの強度の喪失がサンプルによる吸収に起因して主に生じることを確保することである。反射表面は、表面に拡散ミラーとして機能する窪み付きテクスチャを提供する3Dパターン又は3Dマイクロパターンを含む。3Dパターンは、セクションをロフティングすることによって生成される。セクションは、軸に沿った多角形ユニット/モジュール、更に特に三角形ユニット/モジュール、更に特に二等辺三角形ユニット/モジュールの反復によって作成される。この軸は、直線、湾曲線又はポリライン又はスプライン又は不規則線(2D又は3Dにおける)とすることができる。例えば、単一の三角形は、0.01mm~2mm内の範囲における底辺(C)及び高さ(B)、例えば2mm底辺(C)及び1mm高さ(B)、並びに1度~175度の範囲における角度α、β及びγについての度数、例えば、α=45°、β=45°及びγ=90°を有してよい。この三角形は、必要とされる反射エリアの位置及びサイズによって画定される経線にわたって一列(軸X)に沿って繰り返され、その総長さは、典型的には、具体的なサンプル又はそのセクションに適応される。ユニット又はモジュールがこの距離に沿って繰り返されると、セクションが画定される。この説明されたセクションのコピーは、例えば軸Yの方向において寸法Aだけオフセットされ、その後、このコピーは、セクション1の三角形の上部頂点に、セクション2の三角形の下部頂点と同じ、軸X上の座標を共有させるために、軸Xにおいて移動される。これは、3Dにおける斜三角柱であるモジュールをもたらす。そのような斜三角柱の容積は、0.0005mm及び8mmの間、更に特に0.005mm及び1mmの間で変動することができる。したがって、斜三角柱の結果として得られる表面は、測定光ビームに向けて89度~1度の間、更に特に60度~20度の間の角度において配置される。三角形セクションが例えば半円形列に適応されるケースについて、三角形ユニット/モジュール並びに結果として得られる斜三角柱及びそれらの角度は歪む。
【0108】
この文脈では、説明された幾何形状が通常の方式で3D製造のために使用される3Dプリンタの適した制御プログラムにおいて実装及び記憶され、それにより直線、傾斜、斜め、湾曲及び/又は波状及び少なくとも部分的に繰り返される表面構造の厳密に説明された配置を、選択された3D印刷技法によって生成することができることは、3D製造に精通した当業者であれば自明である。
【0109】
図6は、図5に示されたセクションから生成することができる拡散ミラーの幾つかの平坦表面構造を示している。拡散ミラーの異なる平坦表面構造は、異なる手順を用いて表面をロフティングすること及びパラメトリックに適応させることによって生成され、2つの点を無数の方法で1つにすることができ、これにより、表面及び/又はパターンの結果は影響を受ける。特に、図6のAは、スムースフィット(smooth fit)を含む一実施形態を示し;図6のBは、ルールドフィット(ruled fit)を用いる一実施形態を示し;図6のCは、全てのセクションに対する法線を含む一実施形態を示し;図6のDは、開始セクションに対する法線の一例を示し;図6のEは、終了セクションに対する法線の一例を示し;図6のFは、開始セクションに対する法線及び終了セクションに対する法線の一例を示し;図6のGは、ドラフト角度を含む凹凸ミラー表面の一実施形態の一例を示している。反射表面に沿ったユニットとしてのこの容積の繰り返し及びミラーリングは、拡散特性を有する3Dパターンを生成する。これは、拡散ミラーの表面上で1cm当たり500,000及び10の間、更に特に1cm当たり50,000及び25の間の密度をもたらす。
【0110】
図7は、拡散ミラーMの湾曲表面構造、並びにそのような表面構造を伴うことなくミラーの平滑部分上で反射コーティングRによって取得された反射表面を示している。拡散ミラーの示されている湾曲表面構造は、非平坦形状、例えば、円筒形状を有するサンプルを保持する反射サンプルホルダのために使用することができる。示されているように、湾曲凹凸ミラーは、サンプル受け取りチャンバSRCの少なくとも一部分を包含する。
【0111】
図8は、半透過半反射技法を使用して典型的な一方向シリンジ内のサンプルを測定するための一実施形態に係る反射サンプルホルダ150の断面を示している。示されている反射サンプルホルダ150は、2つの要素:本体、及びその湾曲壁上に反射コーティングRを含む導光チャネルGに接続されている凹凸ミラーMからなる。当該導光チャネルは、分光測光器の光源に向けて方向付けられ、かつサンプルビームに対して中心合わせされているその底部において円形断面を有する。換言して表現すると:実施形態に係る反射サンプルホルダ150は、その本体のサイズ及び形状によって、円筒形状のサンプルS、例えば、無菌医療用カフェイン溶液を保持する閉鎖(例えば、キャップ付き)シリンジを保持するように構成されているサンプル受け取りチャンバSRCを提供する。サンプル受け取りチャンバSRCは、反射コーティング表面Rを提供する第1の機能要素及び第2の機能要素、すなわち、拡散凹凸ミラーMによって形成される。反射コーティングを含む第1の機能要素の外側輪郭は、第2の機能要素の内側輪郭と最適に嵌合し、逆も然りである。有利には、反射コーティングRの湾曲表面(その曲率)及び拡散ミラーMは、光強度の最小損失及びサンプルからの情報の最大利得を可能にするためにサンプルSの円筒形状に適応される。
【0112】
図9は、透過モードを介してシリンジ内に収容される液体を測定するための別の実施形態に係る反射サンプルホルダ160の断面を示している。示されている反射サンプルホルダ160は、2つの要素からなり、円筒形状のサンプルS、例えば、医療用カフェイン溶液を保持するシリンジを保持するように適応されているサンプル受け取りチャンバSRCを提供する。サンプル受け取りチャンバSRCは、湾曲している反射コーティング表面Rを提供する、到来するサンプルビームをガイドするための第1の機能要素によって形成される。さらに、この実施形態のサンプル受け取りチャンバは、同様に反射コーティング表面を含む、発信測定ビームをガイドするための第2の機能要素を包含し、反射コーティングRは、導光チャネルGの平坦かつフラットなチャネル壁を覆う。発信サンプルビーム(本体の上)は、例えば、サンプル成分によって引き起こされる(到来)測定ビームの特定の吸収及び特定の散乱によって主に変調される強度によって、特徴付けられる信号を「搬送する」か又はこれを含む。一緒になって、両方の反射表面が反射サンプルホルダの片側から、サンプルを通り、反射サンプルホルダのもう片側を通る測定光ビーム(サンプルビーム)を方向付けるとともにガイドする導光チャネルGを表す。第2の要素の外側輪郭は、第1の要素の内側輪郭と最適に嵌合し、又は逆も然りである。有利には、反射導光チャネルGは、光強度の最小損失及びサンプルSからの情報の最大利得を可能にするためにサンプルSの円筒形状に適応される。
【0113】
図10は、医療用カフェイン溶液を保持するシリンジの測定値を含むNIRスペクトルを示している。これらの測定値は、半透過半反射技法を用いて生成された。青色線は、本明細書において説明される反射サンプルホルダ150を使用して行われた10個の測定値を示しており、一方、赤色線は、反射サンプルホルダを用いるのではなく一般的に入手可能な反射金ミラーを用いて行われた10個の測定値を示している。この結果は、提案される反射サンプルホルダがより高い全体品質及び測定結果のより高い全体再現性を可能にすることを証明している。横軸(x軸)は、波数単位で表される波長を示し、y軸(縦軸)は、対応する信号強度(吸光度)を示している。
【0114】
図11は、図10に示された、医療用カフェイン溶液を保持するシリンジの測定値を含むNIRスペクトルのセクションの一次微分を示している。これらの測定値は、半透過半反射技法を用いて生成された。青色線は、本明細書において説明される反射サンプルホルダ150を使用して行われた10個の測定値を示しており、一方、赤色線は、反射サンプルホルダを用いるのではなく一般的に入手可能な反射金ミラーを用いて行われた10個の測定値を示している。この結果は、反射サンプルホルダがより高い全体品質及び測定のより高い全体再現性を可能にすることを証明している。
【0115】
図12は、医療用カフェイン溶液を保持するシリンジの測定値を含むNIRスペクトルを示している。これらの測定値は、透過技法を用いて生成された。青色線は、透過技法の使用を可能にする反射サンプルホルダ160を使用して行われた10個の測定値を示し、一方、赤色線は、いずれの追加のツールも伴わずに行われた10個の測定値を示す。この結果は、そのような反射サンプルホルダがより高い全体品質及び測定結果のより高い全体再現性を可能にすることを証明している。
【0116】
図13は、図12に示された、医療用カフェイン溶液を保持するシリンジの測定値を含むNIRスペクトルのセクションの一次微分を示している。これらの測定値は、透過技法を用いて生成された。青色線は、透過技法の使用を可能にする反射サンプルホルダ160を使用して行われた10個の測定値を示し、一方、赤色線は、いずれの追加のツールも伴わずに行われた10個の測定値を示す。この結果は、そのような反射サンプルホルダがより高い全体品質及び測定結果のより高い全体再現性を可能にすることを証明している。
【0117】
要約すると、半透過半反射技法を使用するサンプル(S)の分光測光測定のためのサンプルホルダ(100、110、120、140、150)が提案され、サンプルホルダは、拡散ミラー(M)を有するサンプル受け取りチャンバ(SRC)を備え、拡散ミラー(M)の曲率は、サンプル(S)の表面の曲率に適応されており、及び/又は、サンプル(S)を含む容器(C)の表面の曲率に適応されている。さらに、透過技法を使用するサンプル(S)の分光測光測定のためのサンプルホルダ(160)が提案され、サンプルホルダは、中空導光チャネル(G)を備え、中空導光チャネル(G)の内壁は、平滑反射コーティング(R)によって覆われ、サンプル(S)又は容器(C)の管状部の周方向に沿って、サンプル(S)又はサンプル(S)を収容する容器(C)の管状部を少なくとも部分的に取り囲こむように構成されている。さらに、サンプルホルダを生成する製造技法の組み合わせが開示され、組み合わせは、サンプルホルダの少なくとも一部のワックスモデルの3D印刷;及びロストワックス鋳造を適用することを含む付加製造を含み、ロストワックス鋳造は、溶融金属、溶融金属合金及び/又は溶融IR反射ポリマーを鋳造することを含む。さらに、検体を含むサンプルを解析する方法が提案され、方法は:サンプルのためのサンプルホルダを提供する段階;サンプルをサンプルホルダのサンプル受け取りチャンバ(SRC)に配置する段階;測定光ビームをサンプル受け取りチャンバ(SRC)に方向付ける段階;及び透過した及び/又は半透過半反射した光をサンプル受け取りチャンバ(SRC)から収集する段階を備える。最後に、検体の識別、適合性、半定量及び定量のためにサンプルを特性評価する方法が開示され、方法は、サンプルホルダを使用するNIR分光測光法による及び/又はラマン分光測光法による半透過半反射した及び/又は透過した光の測定を含む。
【0118】
説明された実施形態は、医薬物質、その起こり得る混入物質及び/又は混入物、又は、例えば、生物学的活性物質の医薬、医療、獣医又は生化学応用の分野における、ただし同様に食品、例えば、食品添加物、濃縮物等、及び日用品における不適切な保管条件の結果としてのそれらの劣化した製品の検出のための多様な応用分野を有する。提案される実施形態の実行可能性を証明する目的で、使用される装置及び方法を説明する幾つかの例が提供され、添付図面によって示されている。
【0119】
本発明は、様々な例示的な実施形態及び例を参照して説明された。これらの実施形態及び例は、特許請求の範囲及びその均等物によって定義される本発明の範囲を制限するようには意図されていない。当業者にとって明らかであるように、本明細書において説明される実施形態は、発明されたものの範囲から逸脱することなく様々な方式で実装され得る。実施形態において説明された様々な特徴、態様、及び機能は、他の実施形態と組み合わせることができる。
[参照符号]
10 一体型円筒形状反射サンプルホルダ
11 反射サンプルホルダの第1の要素
12 反射サンプルホルダの第2の要素
100 反射サンプルホルダの実施形態
110 反射サンプルホルダの実施形態
120 反射サンプルホルダの実施形態
140 反射サンプルホルダの実施形態
150 反射サンプルホルダの実施形態
160 反射サンプルホルダの実施形態
C 容器
D 厚さ
F (例えば、カプセルの)フィルム又はコーティング
G 導光チャネル
LS 光源
M 拡散ミラー
R 反射コーティング
RL 反射光
S サンプル
SRC サンプル受け取りチャンバ
TL 透過した光
W 分光測光器の測定窓
【0120】
以下に添付される項目では、以下の参照符号が、優先権出願PCT/EP2021/069213の図に従って使用され、この出願の開示は、その全体が本願における参照によって組み込まれる。
1 分光測光器(NIR又はラマン分光測光器)
2 液体、例えば、生物学的活性物質、薬剤、ワクチン、食品添加物
3 ポリマー容器(輸液バッグ、ポンプ又は使い捨てプラスチックシリンジ、任意選択でパッケージングされる)
3a ポリマー容器の管状セクション
3b ポリマー容器の、特に輸液バッグの、コーナー
4 無菌パッケージ(典型的にはポリマーフォイルから作製される)
5 光学素子、例えば、ミラー又は光ガイド
6 チャネル、例えば、導光チャネル
66 当接部、ホルダ13の舌部
7 容器ホルダ
8 蓋
87 リップ部、チャネルフランジ
88 遮光ボックス内の開口
9 遮光ボックス
10 測定チャンバ延在部
11 アダプタ
11' アダプタ開口
13 レセプタクル、管状部のための保持部材
15 ミラー固定部材
20 測定チャンバ
40 バッグ配向部材
41 バッグ配向部材の外側輪郭
[項目]
[項目1]
ポリマー容器(3)内の液体(2)のNIR分光測光器(1)又はラマン分光測光器(1)を用いた分光測光特性評価のための測定チャンバ延在部(10)であって、前記測定チャンバ延在部(10)は:
アダプタ開口(11')を有するアダプタプレート(11);
容器ホルダ(7);及び
ミラー及び導波路から選択される光学素子(5)
を備え、前記アダプタ(11)は、遮光方式で前記NIR分光測光器(1)又は前記ラマン分光測光器(1)の前記測定チャンバ(20)を覆うように構成されており、前記アダプタ開口(11')は、前記NIR分光測光器(1)又はラマン分光測光器(1)の測定窓を包含して、前記測定窓を通した前記NIR分光測光器(1)又はラマン分光測光器(1)の前記測定チャンバ(20)から発された測定光ビームへの前記液体(2)の露出を提供するように配置されており;
前記容器ホルダ(7)は、前記液体(2)を収容する前記ポリマー容器(3)に隣接した前記光学素子(5)の近接配置を可能にするように構成されており、前記光学素子(5)からの前記測定光ビームの損失のない透過又は半透過半反射が前記NIR分光測光器(1)又はラマン分光測光器(1)の検出器に提供され、
前記容器ホルダ(7)は、再現可能な測定条件を可能にするように前記ポリマー容器(3)の管状セクション(3a)を保持するように構成されているクランプ(13)を有する、測定チャンバ延在部。
[項目2]
前記容器ホルダ(7)は、チャネル(6)を含む光学素子支持構造を有し、前記チャネル(6)の幅は、前記NIR分光測光器(1)又はラマン分光測光器(1)の前記測定窓の幅と嵌合するように適応されている、項目1に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目3]
前記光学素子(5)は、金層を含むミラー又は少なくとも1つの光ファイバ又は導波路を含む、項目2に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目4]
前記光学素子(5)は、ミラー(5)を含み、前記容器ホルダ(7)は、前記ミラー(5)とともに前記チャネル(6)によって形成されたレセプタクル(13)を有する、項目3に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目5]
前記チャネル(6)の表面(66)は、金層で覆われている、項目4に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目6]
前記容器ホルダ(7)は、任意選択で蓋(8)を含む遮光ボックス(9)によって取り囲こまれ、前記蓋(8)は、遮光方式で前記遮光ボックス(9)に近接するように適応されている、項目4又は5に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目7]
前記光学素子(5)は、前記蓋(8)に固定される、項目6に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目8]
前記チャネル(6)の前記表面(66)上の前記金層は、前記ミラー(5)の前記金層とマージし、前記ミラー(5)は、前記チャネル(6)と統合される、項目5に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目9]
前記ミラー(5)は、拡散ミラー(5)である、前述の項目のいずれか1項に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目10]
前記金層は、複数のミラー(55)を包含し、各ミラー(55)は、フラットな多角形面を含み、前記ミラー(55)は、前記ミラー(5)の凹凸表面として配置される、項目9に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目11]
前記ミラー(5)の前記表面は、粗い又は平滑な表面を含む、項目10に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目12]
前記ミラー(5)の前記凹凸表面は、20μm~1000μmの範囲の粗さを有する、項目10又は11に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目13]
前記光学素子(5)は、導波路である、項目1~3のいずれか1項に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目14]
前記分光測光器(1)の前記測定窓上に、第1の導波路が位置決めされ、前記分光測光器(1)の光源からの測定光を前記ポリマー容器(3)内の前記液体(2)及び前記光学素子(5)、すなわち、第2の導波路(5)にガイドされ、前記第2の導波路(5)は、前記ポリマー容器(3)から前記分光測光器(1)の光検出器への前記ポリマー容器(3)内の前記液体(2)の層のその通過の後に測定光をガイドするように構成されている、項目13に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目15]
前記ポリマー容器は、使い捨てシリンジ(3)である、前述の項目のいずれか1項に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目16]
前記光ガイド(6)は、チャネル(6)を含み、前記チャネル(6)の端部は、前記シリンジ(3)の管状セクション(3a)を前記チャネル(6)の中心軸に対して直交な配向で嵌合及び保持するレセプタクル(13)を形成する舌部(66)に成形され、実質的に前記チャネル(6)に向かって配向される舌部(66)の表面は、前記ミラー(5)を含む凹凸表面(55)を含み、前記シリンジ(3)の前記円形セクション(3a)は、前記サンプルビームの光経路内の前記レセプタクルに配置可能である、項目15に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目17]
前記シリンジ(3)は、無菌パッケージ(4)によって包囲される、項目15又は16のいずれか1項に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目18]
前記アダプタ開口(11')は、輸液バッグ(3)のコーナー(3b)を収容するように適応されている、項目1~5のいずれか1項に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目19]
バッグ配向部材(40)を更に備え、前記バッグ配向部材(40)の外側輪郭(41)は、前記バッグ配向部材(40)が前記アダプタ開口(11')に少なくとも部分的に挿入される場合、外側輪郭長さの大部分にわたって、前記アダプタ開口(11')の内側輪郭と嵌合するように構成されている、項目18に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目20]
永久磁石の対応するペアは、前記アダプタ開口(11')及び前記バッグ配向部材(40)の嵌合エッジにおいて、又は前記嵌合エッジ付近に配置されている、項目19に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目21]
前記バッグ(3)内の前記液体(2)の層の厚さは、0.2mm~5.1mmの間で調整可能であり、好ましくは0.5mm~2.1mmにおいて調整可能である、項目18~20のいずれか1項に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目22]
前記ミラー(5)は、ミラー固定部材(15)によって固定可能である、項目18~21のいずれか1項に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目23]
前記ミラー固定部材(15)及び前記バッグ配向部材(40)は、前記チャネル(6)内の前記ミラーの安定化のための一対の永久磁石のうちの少なくとも1つの磁石を含み、前記チャネル(6)は、前記ミラー(5)を包含するように寸法決めされる、項目22に記載の測定チャンバ延在部(10)。
[項目24]
項目1~23のいずれか1項に記載の測定チャンバ延在部(10)を使用することによって、輸液バッグ(3)、シリンジ(3)、又は無菌パッケージ(4)内に包囲されたシリンジ(3)から選択されるポリマー容器(3)内の液体(2)をNIR分光測光器(1)又はラマン分光測光器(1)を用いて解析する方法であって、前記方法は:
レセプタクル(13)によって前記ポリマー容器(3)の円形部分(3a)を保持する段階;
前記ポリマー容器(3)の表面に隣接して前記測定チャンバ延在部(10)の前記光学素子(5)を配置する段階;
前記光学素子(5)に向けて測定光ビームを方向付け、NIR分光測光器(1)及びラマン分光測光器(1)から選択される分光測光器(1)を用いて透過した又は半透過半反射した光を解析する段階;
前記透過した又は半透過半反射した光によって生成された信号を、類似又は同一のサンプルのNIRスペクトル又はラマンスペクトルを含むデータベースに記憶されたデータセットと比較する段階;
溶解した溶質又は前記液体(2)内で分散した粒子/液体のアイデンティティを判定し、及び/又は前記液体(2)内の混入物又は混入物質を検出する段階;又は
溶解した溶質又は前記液体(2)内で分散した粒子/容積の量を判定し、及び/又は前記液体(2)内の混入物又は混入物質を検出する段階;及び/又は
前記液体(2)内に溶解した溶質又は分散した粒子/液体(2)の容積の物理的特性(例えば、粒子サイズ、凝集)を判定し、及び/又は前記液体(2)内の混入物又は混入物質を検出する段階
を備える、方法。
[項目25]
前記測定光ビームは、4,000cm-1~12,500cm-1の波数範囲内の光を含む、項目24に記載の方法。
[項目26]
連続測定において、異なる波長のサンプルビームは、前記光学素子(5)に向けて方向付けられ、及び/又は測定光ビームは、前記光学素子(5)に向けて異なる角度下で方向付けられる、項目24又は25に記載の方法。
[項目27]
前記データベースは、前記ポリマー容器及び/又は前記シリンジ(3)の前記無菌パッケージ(4)内の材料の典型的な製品範囲を含む異なるサンプルタイプに属するデータセットを含む、項目26~28のいずれか1項に記載の方法。
[項目28]前記NIR分光測光器(1)又は前記ラマン分光測光器(1)の、又はその制御ユニットにおけるソフトウェアは、測定されるNIR又はラマンスペクトルから、前記ポリマー容器(3)又は前記シリンジ(3)の前記無菌パッケージ(4)を含む前記材料に属する前記対応するスペクトルを抽出するように適応されている、項目27に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】