(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】ライティング・デバイスを含む乗り物用窓
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240918BHJP
B60Q 3/208 20170101ALI20240918BHJP
B60Q 3/62 20170101ALI20240918BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240918BHJP
【FI】
F21S2/00 441
F21S2/00 443
B60Q3/208
B60Q3/62
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514391
(86)(22)【出願日】2022-09-05
(85)【翻訳文提出日】2024-04-30
(86)【国際出願番号】 EP2022074621
(87)【国際公開番号】W WO2023031460
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】102021122986.3
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591018763
【氏名又は名称】ベバスト エスエー
【氏名又は名称原語表記】Webasto SE
【住所又は居所原語表記】Kraillinger Strasse 5,82131 Stockdorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【氏名又は名称】松浦 憲政
(74)【代理人】
【識別番号】100153822
【氏名又は名称】増田 重之
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルグ ロスマイヤー
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ホフナー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル シュタイグターラー
【テーマコード(参考)】
3K040
3K244
【Fターム(参考)】
3K040CA05
3K040EB02
3K040GC01
3K244AA05
3K244BA20
3K244BA31
3K244CA03
3K244DA01
3K244KA03
3K244KA07
3K244KA16
3K244KA18
3K244LA01
(57)【要約】
窓の内側におけるライトガイド層(10)を含み、光入射結合デバイスによりライトガイド層(10)内に光を導入するライティング・デバイス(4)を含む乗り物用窓(3)であって、ライティング・デバイス(4)が少なくとも二つのLED(11)を含むこと、及び、各LED(11)が光カップリング・イン要素(12)を割り当てられており、光カップリング・イン要素(12)を介して、それぞれのLED(11)からの光が、ライトガイド層(10)内に導入されることを特徴とする、乗り物用窓(3)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓内側にライトガイド層(10)を含み、光カップリング・イン・デバイスにより前記ライトガイド層(10)内に光を入射させるライティング・デバイス(4)を含む、乗り物用窓(3)であって、
前記ライティング・デバイス(4)が、少なくとも二つのLED(11)を含むこと、及び、各前記LED(11)が光カップリング・イン要素(12)を割り当てられており、前記光カップリング・イン要素(12)を介して、それぞれの前記LED(11)からの光が前記ライトガイド層(10)内に入射されることを特徴とする、
乗り物用窓(3)。
【請求項2】
前記光カップリング・イン要素(12)が、
- 特に接着接合により、埋め込み材料により、接着テープにより、又は保持若しくはクランピング・デバイスにより前記ライトガイド層(10)に独立したコンポーネントとして装着されている、又は、
- 前記ライトガイド層(10)上に発泡成形されている、及び/又は、射出成形されている、又は、
- 前記ライトガイド層(10)と一体的に形成されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の乗り物用窓(3)。
【請求項3】
各前記光カップリング・イン要素(12)が、ベース面(14)を有し、及び、乗り物の内側を向いた前記ライトガイド層(10)の内面(17)に、前記光カップリング・イン要素(12)の前記ベース面(14)を介して、光学的に接続されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の乗り物用窓(3)。
【請求項4】
各前記光カップリング・イン要素(12)が、隣接した窓縁部(6)を向いたLED面(15)を有し、それぞれの前記LED(11)が前記LED面(15)に配置されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の乗り物用窓(3)。
【請求項5】
特にくさび形又はプリズム状の前記光カップリング・イン要素(12)の各々が、前記ベース面(14)の縁部において、LED面(15)に向かって集束する相互に反対側にある傾斜した側縁部(38)を含むことを特徴とする、請求項3又は4に記載の乗り物用窓(3)。
【請求項6】
特にくさび形又はプリズム状の前記光カップリング・イン要素(12)の各々が、前記傾斜した側縁部(38)の各々において、
- 前記傾斜した側縁部(38)から始まり、前記ベース面(14)に垂直に配置された、傾斜した反射面(36)、又は、
- 前記傾斜した側縁部(38)から始まり、前記ベース面(14)に対して鋭角(β)で配置された、傾斜した側部反射面(39)
を有することを特徴とする、請求項5に記載の乗り物用窓(3)。
【請求項7】
前記LED(11)が、キャリア(16)に装着されており、前記光カップリング・イン要素(12)が、それぞれの前記LED(11)に割り当てられた前記キャリア(16)上に位置し、それぞれの前記LED(11)に割り当てられた前記キャリア(16)に装着されていることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の乗り物用窓(3)。
【請求項8】
前記LED(11)を伴う前記キャリア(16)と前記光カップリング・イン要素(12)とを備えるライティング・モジュール(21)が、前記光カップリング・イン要素(12)により前記ライトガイド層(10)に装着されていることを特徴とする、請求項7に記載の乗り物用窓(3)。
【請求項9】
各前記光カップリング・イン要素(12)が、前記キャリア(16)に搭載されるための少なくとも一つの装着要素(18)を含むことを特徴とする、請求項7又は8に記載の乗り物用窓(3)。
【請求項10】
前記光カップリング・イン要素(12)が、前記ライトガイド層(10)の内面(17)に対して実質的に平行に前記キャリア(16)を保持すること、及び、前記LED(11)が、前記LED(11)の側部から出射された光を、LED面(15)を介して、前記光カップリング・イン要素(12)内に放射することを特徴とする、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の乗り物用窓(3)。
【請求項11】
前記LED(11)が、前記キャリア(16)と前記ライトガイド層(10)との間において、及び、前記ライトガイド層(10)に隣接して、又は、前記ライトガイド層(10)に直接的に配置されていることを特徴とする、請求項7乃至10のいずれか一項に記載の乗り物用窓(3)。
【請求項12】
前記光カップリング・イン要素(12)が、前記ライトガイド層(10)の内面(17)に実質的に直交する前記キャリア(16’)を保持していること、及び、前記LED(11’)が、前記LED(11’)の上側から出射された光を、前記LED面(15)を介して、前記光カップリング・イン要素(12)内に放射することを特徴とする、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の乗り物用窓(3)。
【請求項13】
カバー(25、25’)が、前記キャリア(16、16’)に接続されていることを特徴とする、請求項7乃至12のいずれか一項に記載の乗り物用窓(3)。
【請求項14】
前記カバー(25、25’)が、前記ライトガイド層(10)に保持されており、又は、前記ライトガイド層(10)に装着され、前記ライトガイド層(10)における適所に、前記光カップリング・イン要素(12)と共に前記キャリア(16、16’)を保持すること、又は、
前記カバー(25、25’)が、前記キャリア(16、16’)に装着されており、及び、前記キャリア(16、16’)により前記ライトガイド層(10)における適所に保持されており、前記キャリア(16、16’)が、前記光カップリング・イン要素(12)により前記ライトガイド層(10)に装着されていること
を特徴とする、請求項13に記載の乗り物用窓(3)。
【請求項15】
発泡オン成形され、射出成形され、接着により接合された前記光カップリング・イン要素(12)、又は、前記ライトガイド層(10)と一体的に形成された前記光カップリング・イン要素(12)の各々が、保持部(49)を含み、前記保持部(49)が、前記光カップリング・イン要素(12)に、前記LED(11)を支持するキャリア(16)を配置することを特徴とする、請求項2乃至8のいずれか一項に記載の乗り物用窓(3)。
【請求項16】
請求項1乃至14のいずれか一項に記載のライティング・デバイス(4)を含む乗り物用窓(3)を製造するための方法であって、
キャリア(16、16’)に装着された前記LED(11)を伴う前記キャリア(16、16’)が提供されること、及び、
前記光カップリング・イン要素(12)が、各場合に前記LED(11)のうちの一つに割り当てられた前記キャリア(16、16’)に固定して接続されていること、及び、
前記LED(11)を伴う前記キャリア(16、16’)と前記光カップリング・イン要素(12)とを備える前記ライティング・モジュール(21)が、
- 前記光カップリング・イン要素(12)が、前記ライトガイド層(10)に装着されることにより、又は、
- 前記キャリア(16、16’)に接続され、ライティング・モジュール(21)をカバーするカバー(25、25’)が、前記ライトガイド層(10)に装着され、以て、前記キャリア(16、16’)を配置し固定することにより、
前記ライトガイド層(10)への前記光カップリング・イン要素(12)の光結合を伴って前記ライトガイド層(10)に装着されていること
を特徴とする、方法。
【請求項17】
請求項1乃至8及び15のいずれか一項に記載のライティング・デバイス(4)を含む乗り物用窓(3)を製造するための方法であって、
前記ライトガイド層(10)が、一体的にモールド・オン成形された前記光カップリング・イン要素(12)と共に形成されること、又は、
前記光カップリング・イン要素(12)が、前記ライトガイド層(10)上に発泡成形されること、
前記光カップリング・イン要素(12)が、前記LED(11)を支持するキャリア(16)に対する保持部(49)を備えること、及び、
前記キャリア(16)が、前記保持部(49)に装着され、前記LED(11)が、前記光カップリング・イン要素(12)に配置されること
を特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓内側にライトガイド層を含む、及び、光カップリング・イン・デバイスによりライトガイド層内に光を入射させるライティング・デバイスを含む乗り物用窓に関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ特許明細書第DE102020109338B3号は、一般的な乗り物用窓を開示している。乗り物用窓のライティング・デバイスは、例えばPMMA又はPCから作られた長尺ロッド形ライトガイドの端部側に配置された光源を含む。ライティング・デバイスは、断面がくさび形であるボディを含むストリップ型光カップリング・イン要素を更に備える。PMMAなどのプラスチック材料から作られた光カップリング・イン要素、及び、ライトガイドはライティング・デバイスの長さ範囲にわたって延びており、ライトガイドは光カップリング・イン要素の横方向長手端面の直前に配置される。光カップリング・イン要素は、多層乗り物用窓の内側窓により形成されたライトガイド層の内側に接着接合材を介して装着される。しかし、このような長い光カップリング・イン要素では、接着接合材に大きい応力が発生し得、このことが、温度変化及びライトガイド層のガラス材料と光カップリング・イン要素のプラスチック材料との異なる熱膨張係数に起因して、接着接合材が剥がれることも起こり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の基礎にある目的は、ライティング・デバイスに関連して改善された、導入部分において言及されている乗り物用窓を提供すること、及び、このような乗り物用窓を製造するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
導入部分において言及されている乗り物用窓では、ライティング・デバイスが少なくとも二つのLEDを含み、各LEDがLED自体の光カップリング・イン要素を割り当てられており、光カップリング・イン要素を介してそれぞれのLEDからの光がライトガイド層内に入射されるという点で、本発明によりこの目的が実現される。
【0005】
本目的は、請求項16の特徴を有する方法により、及び請求項17の特徴を有する方法により更に実現される。
【0006】
本発明の有益な構成が従属請求項により規定される。
【0007】
したがって、本発明による乗り物用窓では、LEDと割り当てられた光カップリング・イン要素とを備える複数のユニットがライティング・デバイスの長手方向に並べて配置されている。特に例えば約10個から40個の光カップリング・イン要素などの複数の光カップリング・イン要素が、一列に並べて配置され、互いにある距離を置いて配置されていることが好ましい。複数の個々の光カップリング・イン要素の配置は、長手方向における、又は長手方向に延びたライティング・デバイスの方向における乗り物用窓の湾曲に対する改善された適応を可能にする。硬質ガラス材料から作られ、ライティング・デバイスの長さ範囲内に形成されたストリップ型光カップリング・イン要素は、低い柔軟性に起因して、又は、湾曲した長いガラス光カップリング・イン要素若しくはガラス・プリズムの困難な製造に起因して、湾曲に対するこのような適応にあまり適さないので、この改善された適応はガラスから作られた光カップリング・イン要素の場合に特に有益である。
【0008】
加えて、個々の光カップリング・イン要素の各々は、ライトガイド層内への最適化された導光のために、個々の光カップリング・イン要素の設計及び光反射面の観点から設計され得る。
【0009】
第1の実施形態によると、光カップリング・イン要素が独立したコンポーネントとしてライトガイド層に装着されることが説明される。独立したコンポーネントとして製造された光カップリング・イン要素は、特に接着接合により、埋め込み材料により、接着テープにより、又は、保持又はクランピング・デバイスによりライトガイド層に装着される。
【0010】
光カップリング・イン要素は特に、くさび形であり、又は、プリズム・ボディとして形成される。光カップリング・イン要素は、ガラス、又はプラスチック材料、例えばPMMA、PC、PU、又はCOP(環状オレフィン・ポリマ)若しくはCOC(環状オレフィン・コポリマ)から作られ得る。
【0011】
感圧接着剤、光学的に透明な液状接着剤、EVA、PVB、TPU、エポキシ接着剤、又はアクリレート接着剤が、接着接合材のための材料として使用され得る。例えば、保持又はクランピング・デバイスは例えば乗り物用窓の縁部発泡体により乗り物用窓に装着される。保持又はクランピング・デバイスは、光カップリング・イン要素の直接的な又は間接的な搭載のための固定された装着ベースを形成する。
【0012】
したがって、接着接合材の接着面のサイズは、光カップリング・イン要素のベース面のサイズに制限される。特に、ライトガイド層が乗り物用窓のガラス内側窓であり、光カップリング・イン要素がプラスチック材料から作られている場合、個々の接着接合材における材料の異なる熱膨張係数の影響が、個々の光カップリング・イン要素の接着接合材の剥がれが回避され得る程度まで低減される。光カップリング・イン要素のベース面は特に、更に光カップリング・アウト面であり、光カップリング・アウト面を介して、LEDにより放射された光が入射され、又はライトガイド層内にカップリングされる。
【0013】
光カップリング・イン要素及びライトガイド層の材料は、一致した又は同様の屈折率を有し得る。屈折率が一致している場合、例えば接着接合材、埋め込み材料、又は接着テープといった装着手段の屈折率は、前者に適応されるか、又は実質的に対応している。光カップリング・イン要素及びライトガイド層の屈折率が異なる場合、装着手段の屈折率は、光カップリング・イン要素の値、又はライトガイド層の値、又は二つの間の値を有し得る。光カップリング・イン要素の屈折率は、例えば1.48から1.59の範囲内にある。ライトガイド層の屈折率は、例えば1.52である。
【0014】
光カップリング・イン要素は、一つの実施形態では、例えば射出発泡、接着接合、及び/又は射出モールド成形によりライトガイド層に配置される。以下の文章が発泡又は射出発泡について言及している場合でも、射出モールド成形及び/又は接着接合が技術的に除外されない限り、又は何か他のことが説明されていない限り、これは射出モールド成形及び/又は接着接合として読まれなければならない。しかし、より読みやすくするために、これらの二つの更なる工程は以下で明示的には言及されない。
【0015】
更なる実施形態によると、光カップリング・イン要素がライトガイド層上に発泡成形されることが説明される。PUなどの透明な発泡体材料は、高光屈折であることが好ましい光カップリング・イン要素上に、射出モールド成形される。UVにより安定化したTPU、高透過性のための脂肪族TPU、又はポリイソシアナートも、発泡体材料として使用され得る。
【0016】
例えばガラスから作られたライトガイド層に対する発泡体材料及び/又は射出モールド成形材料の接着は、接着促進剤の使用により確実なものとされる。耐光性及び耐UV性プライマを接着促進剤として使用することが好ましい。例えば、色堅牢度を確実なものとし色ずれを防ぐ透明な耐老化性プライマが、接着促進剤として使用される。
【0017】
例えばUVへの曝露に起因した、例えば光カップリング・イン要素の老化から光カップリング・イン要素を保護するために、又は機械的保護などとして、保護層が光カップリング・イン要素上に付加され得る。特に、優れたUV耐性を理由として例えば脂肪族材料といった、光カップリング・イン要素の製造のために指定された材料がこの点について考慮される。
【0018】
このような発泡オン成形された光カップリング・イン要素は個別に設計され得る。発泡オン成形された光カップリング・イン要素は、例えばLEDを支持するキャリアを介してLEDを搭載するために提供される、例えば切り込み又はホルダを含んで形成され得る。LEDを搭載するための追加のコンポーネントは、大部分において、又は完全に不要となり得る。
【0019】
光カップリング・イン要素は、例えば黒色PUといった縁部発泡体がガラス窓上において発泡される発泡工程と並行して射出発泡成形されることが有益である。これは、サイクル期間の最適化を可能にする。追加の洗浄工程は必要とされない。独立して装着されるコンポーネントとしての光カップリング・イン要素などの複雑なコンポーネント、又は、更なる装着コンポーネントなどの追加のコンポーネントなどの取り扱いは必要ない。
【0020】
更なる実施形態によると、光カップリング・イン要素がライトガイド層と一体的に形成されることが説明される。したがって、例えば透明ガラスにより作られたライトガイド層は、製造中に同じガラス材料からモールド・オン成形された光カップリング・イン要素を含む。
【0021】
ライトガイド層と光カップリング・イン要素とのこの一体的な又は組み込みによる形成に起因して、別の手法によれば必要とされるライトガイド層に対する個々の光カップリング・イン要素の各々の結合又は装着が不要となる。これは、ライトガイド層上に発泡成形された光カップリング・イン要素にも適用される。
【0022】
特に光カップリング・イン要素に関連して上記のように特定されるプラスチック材料から作られたライトガイド層は、同じプラスチック材料の、又は、ライトガイド層の光屈折率と等しい又は同様の光屈折率を有するプラスチック材料のモールド・オン成形された、発泡オン成形された、又は射出成形された光カップリング・イン要素を含む。
【0023】
好ましい実施形態によると、各光カップリング・イン要素がベース面を有すること、及び、各光カップリング・イン要素が乗り物の内側を向いたライトガイド層の内面に光カップリング・イン要素のベース面を介して光学的に接続されることが説明される。別個のコンポーネントとして形成された光カップリング・イン要素では、ベース面は光カップリング・イン要素の実際の外面である。ライトガイド層上に発泡成形された光カップリング・イン要素の場合、ベース面は発泡オン成形された光カップリング・イン要素の接触面である。ライトガイド層と一体的に形成された光カップリング・イン要素の場合、ベース面は光カップリング・イン要素からライトガイド層に移行する場所にある仮想面であり、仮想面はライトガイド層の隣接した面に対して実質的に平行である。
【0024】
したがって、個々の光カップリング・イン要素の列をなす配置の長手方向に小さい長さを有して各々が形成された多数の個々の光カップリング・イン要素の使用は、個々の形成、個々の形状、又はライトガイド層に対する個々の装着に起因した乗り物用窓の湾曲に対する改善された適応を可能にする。
【0025】
それらのベース面を介して独立したコンポーネントとして光結合されたライトガイド要素では、浸漬油又は毛細管浸透油が、光学的に不備のない結合を確実なものとするために使用され得ることが有益である。
【0026】
乗り物用窓は、外側窓と、例えば熱溶融接着薄膜といった接続層により外側窓に接続された例えば透明ガラス窓といった内側窓とを乗り物用窓が含む手法により形成され得る。内側窓がライトガイド層を形成することが有益である。しかし、ライトガイド層は、シートなどの別の層により形成されてもよい。
【0027】
内側窓は、内側窓内に光が放射されたとき光学的に突出した構造を含むことが有益である。本構造は、例えばスクリーン印刷又は内側窓における印刷により製造される。例えば、本構造は、パターン、エンブレム、又はレタリング、又はそれらの組み合わせを表し得る。
【0028】
各光カップリング・イン要素が隣接した窓縁部を向いたLED面を含むことが有益である。それぞれのLEDは、LED面の前に、又はLED面に配置されている。LED面がベース面に垂直にアライメントされており、ベース面を介して光カップリング・イン要素がライトガイド層に結合され、装着され、又は接着接合されていることが好ましい。
【0029】
特にくさび形又はプリズム状の光カップリング・イン要素の各々が、-光カップリング・イン要素のくさび先端部から始まる-LED面に向かって集束する、相互に反対側にある傾斜した側縁部を光カップリング・イン要素のベース面の縁部に含むことが好ましい。傾斜した側縁部の各々がLED面の延長に対して鋭角に配置されている。鋭角の大きさは、例えば10°から70°の範囲内、及び特に30°から45°の範囲内である。
【0030】
更なる好ましい実施形態によると、傾斜した側縁部の各々において、特にくさび形又はプリズム状の光カップリング・イン要素の各々が、傾斜した側縁部から始まる傾斜した反射面であって、傾斜した反射面がベース面に垂直に配置された、傾斜した反射面を含むことが説明される。
【0031】
更なる代替的な実施形態によると、傾斜した側縁部の各々において、特にくさび形又はプリズム状の光カップリング・イン要素の各々が、傾斜した側縁部から始まる傾斜した反射面であって、傾斜した反射面が、傾斜した側縁部から始まる傾斜した側部反射面を含み、傾斜した側部反射面が、ベース面に対して鋭角に配置された、傾斜した反射面を含むことが説明される。鋭角の大きさは例えば35°から70°の範囲内である。
【0032】
光カップリング・イン要素における光反射、ひいては照明の品質は、傾斜した側縁部の角度の設計により、及び、更なる側部反射面の傾斜により要求通りに調節され得る。
【0033】
このような例えばファセット様側部反射面及び傾斜した反射面を含むように光カップリング・イン要素を設計することにより、他の手法によればこれらの領域に存在するはずの材料が削減される。材料の削減に加えて、光カップリング・イン要素に発生し得る熱膨張応力が、より少ない量の材料に起因して低減される。
【0034】
ライトガイド層に独立したコンポーネントとして装着されたこのような光カップリング・イン要素では、好ましい実施形態により、LEDがキャリアに装着されることと、光カップリング・イン要素がそれぞれのLEDに割り当てられたキャリアに配置されること、及び、それぞれのLEDに割り当てられたキャリアに装着されることとが説明される。キャリアはPCB(プリント回路基板)であることが好ましい。キャリアは、LEDに電力を供給するために、及びLEDを制御するために更に使用され得る。
【0035】
LEDを伴うキャリアと光カップリング・イン要素とを備えるライティング・モジュールが、光カップリング・イン要素によりライトガイド層に装着されていることが好ましい。キャリアは、ライトガイド層に対するそれ自体の装着又は接着接合材を必要としない。装着は、ライトガイド層に対するライトガイド要素の上述の装着により、特に、ライトガイド層にライトガイド要素を接着により接合することにより実現されることが好ましい。したがって、光カップリング・イン要素を接着接合するための接着接合工程のみが必要とされる。
【0036】
各光カップリング・イン要素が少なくとも一つの装着要素を含み、装着要素により光カップリング・イン要素がキャリアに装着され得ることが有利である。プラスチックの射出モールド成形されたパーツとして製造された光カップリング・イン要素では、装着要素は、モールド・オン成形されたコンポーネントであることが有益である。しかし、装着要素は、光カップリング・イン要素の異なる部分、又はそれに装着された部分でもあってもよい。
【0037】
好ましい実施形態によると、光カップリング・イン要素がライトガイド層の内面に対して実質的に平行にキャリアを保持することが説明される。LEDは、それらの側部(いわゆる「側部LED」)から出射された光をLED面を介して光カップリング・イン要素内に出射する。この設計では、LEDとライトガイド層との間の保持部が不要であるので、LEDがライトガイド層の近くに位置し得る。キャリアの平行配置は、厳密に数学的な意味での平行性を意味すると理解されてはならない。むしろ、キャリアの平行配置は、例えば最大15°又は20°の角度でライトガイド層に対する幾らかの傾斜を伴った配置であると理解されなければならない。
【0038】
したがって、それは、LEDがキャリアとライトガイド層との間に、及びライトガイド層に隣接して、又はライトガイド層に直接的に配置されている場合に特に好ましい。これは必要な設置高さを低減する。更に、より低い高さの光カップリング・イン要素が使用され得る。
【0039】
キャリアが下方から少なくとも部分的に光カップリング・イン要素をカバーすることが有益である。これは、光カップリング・イン要素がキャリアに簡単かつしっかりと装着され得ることを意味する。これは更に、LED又は光カップリング・イン要素の領域において光の望ましくないカップリング・アウトを低減する。
【0040】
更なる代替的な実施形態によると、光カップリング・イン要素がライトガイド層の内面に実質的に垂直にキャリアを保持すること、及び、LEDがそれらの上側(いわゆる「上側LED」)から放射された光をLED面を介して光カップリング・イン要素内に出射することが説明される。この実施形態でも、LEDとライトガイド層との間の保持部が不要であるので、LEDはライトガイド層の近くに、又はライトガイド層に直接的に位置し得る。LEDは、例えばライトガイド層に隣接したキャリアの上縁部に配置され得る。ライトガイド層に垂直なキャリアの配置は、正確な直角での配置に限定されない。むしろ、キャリアの垂直配置は更に、例えば最大15°又は20°の角度での直角からの幾らかのずれを伴う配置であると理解されなければならない。
【0041】
カバーはキャリアに接続されることが有益である。ライティング・モジュールをカバーしているカバーは、例えば光カップリング・イン要素から来る迷光を遮蔽し得るシールドを更に表す。
【0042】
好ましい実施形態によると、カバーはライトガイド層において保持されるか、又はライトガイド層に装着される。カバーは、キャリア上に配置された光カップリング・イン要素がライトガイド層上に正しく配置された状態で、キャリアを保持する。ライトガイド層上のカバーの位置においてカバーが、ライトガイド層に対して弾性的に予め搭載されたキャリアを保持する手法により、弾性的に接続されたキャリアをカバーが保持し得る。これは、ライトガイド層に対する光カップリング・イン要素の光学的に正しい配置をサポートする。
【0043】
代替的な実施形態によると、カバーはキャリアに装着されており、ライトガイド層においてキャリアにより適所に保持される。キャリアは、この場合、光カップリング・イン要素によりライトガイド層に装着される。カバーがキャリアに装着されているので、カバーに対する他の装着部材が必要とされない。
【0044】
カバーがライトガイド層又は乗り物用窓の湾曲に適応された長手方向の湾曲を伴って形成され、特にライトガイド層又は乗り物用窓の湾曲に一致することが好ましい。カバーが十分に硬質である場合、キャリアがカバーと一緒にライトガイド層に装着されたとき、カバーが光カップリング・イン要素を支持するキャリアを相応に外に膨らませ得る。
【0045】
カバーとライトガイド層との間の封止材が提供されることが有益である。封止材は、2K射出モールド成形工程においてカバーと一緒に製造されることが好ましい。しかし、封止材は、独立した封止要素を更に備え得る。
【0046】
好ましい実施形態によると、ライトガイド層と共に配置された(例えば発泡オン成形された)又はライトガイド層と一体的に形成された各光カップリング・イン要素が保持部を含むこと、及び、保持部が光カップリング・イン要素においてLEDを支持するキャリアを配置させることが説明される。保持部は、ベース面の反対側にある光カップリング・イン要素の上側において光カップリング・イン要素に形成されることが有益である。例えば、保持部は、例えばPCBにより形成されたキャリアに対するプラグ・オン・ユニットとして形成され、複数のLEDを含む。
【0047】
発泡体材料が一つの光カップリング・イン要素の空洞から、分散経路セグメントを介して、隣接した光カップリング・イン要素の最も近い空洞に流れるとき、発泡オン成形された光カップリング・イン要素が、発泡中に形成された接続ブリッジを介して互いに接続されることが有利である。
【0048】
ライティング・デバイスを含むこのような乗り物用窓を製造するための本発明による方法では、装着されたLEDを伴うキャリアが説明される。更に、光カップリング・イン要素は、各場合にLEDのうちの一つに割り当てられたキャリアに固定して接続される。最後に、LEDを伴うキャリアと光カップリング・イン要素とを備えるライティング・モジュールは、光カップリング・イン要素をライトガイド層に装着することにより、又は、キャリアに接続されてライティング・モジュールをカバーするカバーをライトガイド層に装着してキャリアを配置すること及び固定することにより、ライトガイド層への光カップリング・イン要素の光結合を伴ってライトガイド層に装着される。ライトガイド要素がライトガイド層に装着されること、又は接着接合されることしか必要とされず、キャリア自体がライトガイド層への更なる独立した又は直接的な装着を必要としないので、この方法は設置を簡略化する。ライトガイド要素又はプリズムは、ピック・アンド・プレース・ロボットによりキャリアに搭載され得る。
【0049】
修正された代替的な方法では、個々のライトガイド要素又はプリズムは、まずピック・アンド・プレース・ロボットによりライトガイド層に装着されるか、又は接着接合され得る。次に、LEDを伴うキャリアがライトガイド要素又はプリズムに配置され、それに対して固く接続される。
【0050】
ライティング・デバイスを含むこのような乗り物用窓を製造する更に好ましい方法では、ライトガイド層が、一体的にモールド成形された光カップリング・イン要素と共に形成されること、又は、光カップリング・イン要素がライトガイド層上に発泡成形されることが説明される。光カップリング・イン要素がLEDを支持するためのキャリアに対する保持部を備えることが更に説明される。最後に、キャリアが保持部に装着される。LEDは、ここでは光カップリング・イン要素に配置される。
【0051】
本発明による乗り物用窓は、例えば屋根開口に固定して又は可動に配置された蓋、屋根モジュール又はパノラマ屋根のグレージング、又は、側部窓、後部窓若しくは前部窓といった、乗り物用グレージングの任意の窓であり得る。
【0052】
以下で、本発明による乗り物用窓の例示的な実施形態を使用した図面を参照しながら本発明がより詳細に説明される。図において以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本発明による乗り物用窓を含む乗り物の屋根の等角図である。
【
図2】LEDと割り当てられた光カップリング・イン要素とを含むライティング・デバイスを含む乗り物用窓の縁部領域の断面図である。
【
図3】複数のLEDと割り当てられた光カップリング・イン要素とを含むライティング・デバイスの平面図である。
【
図4】
図2のLEDと割り当てられた光カップリング・イン要素とを含むライティング・デバイスの側面図である。
【
図5】ライティング・デバイスの第2の実施形態の断面図である。
【
図6】複数のLEDと割り当てられた光カップリング・イン要素とを含む
図5のライティング・デバイスの平面図である。
【
図7】
図5のライティング・デバイスの側面図である。
【
図8】光カップリング・イン要素の実施形態の等角図である。
【
図9】列をなす配置で
図8に示されている複数の光カップリング・イン要素の等角図である。
【
図10】4列の異なる形態で設計された光カップリング・イン要素の平面図である。
【
図11】発泡オン成形された光カップリング・イン要素を含む乗り物用窓の断面図である。
【
図12】乗り物用窓上に発泡成形された複数の光カップリング・イン要素の等角図である。
【
図13】平面図において、複数の光カップリング・イン要素と、縁部発泡体と、発泡ツールの関連するスプルー経路部とを伴う乗り物用窓の概略図である。
【
図14】モールド・オン成形された光カップリング・イン要素の列を含む乗り物用窓の横縁部の下側の平面図である。
【
図15】
図14の乗り物用窓を含む蓋の横縁部の下側の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
乗用車などの乗り物は、屋根開口2を含む乗り物屋根1(
図1)を含み、屋根開口2内に、例えば屋根開口2に固定して配置された、又は蓋として形成された乗り物用窓3が配置されており、蓋は、搭載デバイスにより屋根開口2に可動に搭載されており、それ自体知られた手法により閉位置及び換気又は開位置の間で調節可能である。乗り物用窓3は、屋根モジュール又はパノラマ屋根の固定された部分又は一部であってもよい。乗り物用窓3は一つのライティング・デバイス4を含み、ライティング・デバイス4は窓内側5に配置されており、乗り物用窓3のそれぞれの側縁部6に沿って配置されることが好ましい。
【0055】
乗り物用窓3は外側窓7、内側窓8、及び接続層9を備え(
図2及び
図3を参照)、接続層9は外側窓7と内側窓8とを互いに接続しており、例えばラミネート層、ラミネート薄膜、又は熱溶融接着薄膜を含む。例えば、外側窓7は着色ガラス窓である。内側窓8は特にライトガイド層10を形成する透明ガラス窓又は透き通ったガラス窓である。
【0056】
ライティング・デバイス4は複数のLED11と複数の光カップリング・イン要素12とを含み、一つのLED11と一つの光カップリング・イン要素12とがライティング・ユニット13を形成する。複数のこのようなライティング・ユニット13は一列に並べて配置されており、互いにある距離を置いて配置されることが好ましい。例えば、二つの隣接したLED11の間の距離は30mmである。したがって、乗り物用窓4の側縁部6におけるライティング・デバイス4は、例えば約20個から30個のライティング・ユニット13を備える。列をなす配置の長手方向における個々の光カップリング・イン要素12の長さは、例えば、約25mmから28mmである。この長さ仕様は、特にくさび形又はプリズム状の光カップリング・イン要素12の前縁部に関するものであり、くさび形又はプリズム状の光カップリング・イン要素12は、くさび先端部37の形態をとるテーパ状である。
【0057】
光カップリング・イン要素12は光学プリズムを表し、例えば、プラスチックの射出モールド成形されたパーツである。光カップリング・イン要素12はベース面14とLED面15とを有し、LED面15はベース面14に垂直に配置され、LED11に割り当てられることが好ましい。第1の実施形態(
図2から
図4)によると、LED11はキャリア16に固定して装着されており、キャリア16は例えばPCB(プリント回路基板)であり、PCBは二次元ストリップ型コンポーネントとして設計されていることが好ましく、PCBを介してLED11の給電及びLED11の制御が実現される。平らなキャリア16は、窓内側5に、及び内側窓8の内面17に略平行に設置位置に配置され、そこからある距離に配置される。この実施形態では、LED11はそれらの側部から光を出射し、ひいてはキャリア16におけるLED11の位置においてキャリア16に平行な光を放射するLEDであり、この場合において、LED11がライトガイド層10を向いてキャリア16の側部に位置する。
【0058】
光カップリング・イン要素12は装着要素18を含み、装着要素18は、射出モールド成形中にモールド・オン成形され、例えばクリップを含むピンとして形成され、及び、ベース面14の反対側にある光カップリング・イン要素12の上側において光カップリング・イン要素12から突出している。光カップリング・イン要素12は、例えば四つのこれらの装着要素18を含み、各場合に装着要素18のうちの二つが短いアーム19を介して光カップリング・イン要素12の両側の各々にモールド成形される。
【0059】
キャリア16は、各場合に各LED11に、及び四つの装着要素18に割り当てられた四つの穴20を含む。LED面15を含む光カップリング・イン要素12がLED11に直接的に隣接するように、光カップリング・イン要素12が、穴20内に位置し得る装着要素18により、LED11に内側に-横方向又はy方向において乗り物用窓の側縁部に対して内側に-隣接してキャリア16に、及びキャリア16に対して配置され、装着されている。
【0060】
一つのLED11と一つの光カップリング・イン要素12とを各々が含む複数のライティング・ユニット13を伴うキャリア16を備えるライティング・モジュール21が、例えば透明接着剤又は透明接着テープといった接着接合材22(
図2)により、各光カップリング・イン要素12をそのベース面14を介して内側窓8の内面17に装着することによりユニットとしてライトガイド層10に装着されている。各ライトガイド要素12は、下側ベース面14の反対側に位置する少なくとも一つの上側反射面23を介してLED11により放射された光をライトガイド層10内に導き、ライトガイド層10内において光は、例えばライトガイド層10における印刷といった光カップリング・アウト構造24における更なる全反射により反射し、そこから乗り物の内側に放射される。
【0061】
複数の個々の短い又は狭い光カップリング・イン要素12又はプリズムの配置は、温度変化により、及び、ガラス窓、ライトガイド層10、及び光カップリング・イン要素12としての個々のプラスチック・プリズムの異なる熱膨張により発生し得る個々の光カップリング・イン要素12又はプリズムのそれぞれの接着接合材における応力が、この一つの光カップリング・イン要素内にLEDの光を放射する多くのLEDが長さ範囲にわたって配置される長い光カップリング・イン要素の接着接合材における応力に比べて、大幅に低減するという利点を有する。
【0062】
特に、長手方向に湾曲した乗り物用窓3の場合、これらの短い光カップリング・イン要素12又はプリズムは、個々の長い光カップリング・イン要素又はプリズムと比べて、このような湾曲により良く適応し得るので、複数の個々の短い光カップリング・イン要素12又はプリズムの配置は有利である。
【0063】
更に、LED11とライトガイド層10との間の装着要素又はキャリアが必要とされないので、LED11は、キャリア16を介してライトガイド層10の非常に近くに配置され得る。これは、ライトガイド層に垂直な光カップリング・イン要素12又はプリズムの必要な設置高さ、又は、LED面15の高さが低減されることを可能にする。
【0064】
更に、一つのキャリア16におけるLED11及び割り当てられた光カップリング・イン要素12又はプリズムのそれぞれの相互の配置は、位置決め精度を高め、それぞれのキャリア・コンポーネントにおけるLED及び割り当てられた光カップリング・イン要素又はプリズムの別様に独立した組立体において発生するあらゆる公差を低減する。
【0065】
ライトガイド層10にライティング・モジュール21を搭載するとき、ライトガイド層10に対する光カップリング・イン要素12又はプリズムの接着接合材22のみが必要とされる。ライトガイド層10に対するLEDの別様な更なるそれ自体の装着は必要とされない。
【0066】
キャリア16に対する光カップリング・イン要素12又はプリズムの装着は、装着要素18によるのではなく、例えばガラスから作られた光カップリング・イン要素12において、又はガラス・プリズムにおいて接着接合材又は他の装着手段を介して更に実施され得る。装着は更に、埋め込み材料により、接着テープにより、又は、保持若しくはクランピング・デバイスにより実現され得る。
【0067】
ライティング・モジュール21に対するカバー25は、例えば谷の形状に形成され、底壁26と二つの側壁27及び28とを含む。上を向いた、及び、キャリア16において割り当てられた開口30における係合のために提供された装着要素29が内側において底壁26上に配置され、又は内側において底壁26上にモールド成形される。カバー25の装着のために、例えばクリップを含む装着要素29が開口30に係合し、特にぴたりと合った状態でクランピング又はラッチングによりキャリア16にカバー25を保持する。装着要素29を使用する代わりに、カバー25は更に、クランピング又はラッチング係合によりキャリア16の縁部側部の周囲を把持することにより装着され得る。二つの側壁27及び28は、二つの側壁27及び28の二つの自由縁部に封止材31及び32を含み、封止材31及び32はライトガイド層10に対して高密閉状態で載置されている。カバー25は特にプラスチックの射出モールド成形されたパーツであり、この場合において、封止材31、32が2K射出モールド成形工程においてモールド・オン成形される。
【0068】
カバー25は、関連する乗り物用窓の湾曲に対応した湾曲を伴って、その長手方向の広がりをもって形作られ得ることが有益である。
【0069】
変形例の実施形態によると(
図5から
図7を参照)、更にPCBであることが有益であるキャリア16’は、その設置位置において直立して、及びライトガイド層10に対して実質的に垂直に配置される。LED11’は、キャリア16’の上縁部33の領域においてキャリア16’に搭載され、上縁部33は、蓋に対してライトガイド層10の内側を向いた側部においてライトガイド層10に隣接している。この実施形態では、LED11’はそれらの上側から放射する光を出射するLEDであり、したがってキャリア16’におけるLED11’の位置においてキャリア16’に垂直な、及びライトガイド層10に平行な光を放射する。
【0070】
LED11’からの光放射のための光カップリング・イン要素12のLED面15がLED11’に直接的に隣接するように、各光カップリング・イン要素12が、例えば二つの例えば角度のある装着アーム34を介してキャリア16’に装着される。この実施形態では、装着アーム34は更に、クリップ接続部を介してキャリア16’における開口又は穴20’内に係合し得る。
【0071】
組立て中、ライティング・モジュール21’は、同時に実施されるように、個々の光カップリング・イン要素12の接着接合材22によりライトガイド層10に装着される。
【0072】
カバー25’の装着は装着要素29’を介して実現され、装着要素29’は、例えばクリップを含み、キャリア16’における開口30’内に係合し、特にぴたりと合った状態でクランピング又はラッチングによりキャリア16’に装着されたカバー25’を保持する。装着要素29’は例えば、内側を向くようにカバー25’の外側壁27’に配置されるか、又は外側壁27’上にモールド成形される。前述の実施形態によると、カバー25’は、側壁27’及び28’の縁部に封止材31、32を含む。
【0073】
図5から
図7に示されているこの実施形態の利点は、
図2から
図4に示されている第1の実施形態の利点に実質的に対応している。
【0074】
両方の実施形態において、LEDに隣接したLED面15の領域における光カップリング・イン要素12又はプリズムの高さ、ひいては更に光カップリング・イン要素12又はプリズムの幅又は長さが、ライトガイド層10の近傍における、又はライトガイド層10に直接的に隣接したLED11、11’の配置に起因して低減し得る。したがって、個々の光カップリング・イン要素12の数はライティング・デバイス4の長さを介して多くされ得、結果として照明の品質が改善され得る。
【0075】
光カップリング・イン要素12の以下の説明は、例えば接着接合によりライトガイド層10に独立したコンポーネントとして装着された、又は、ライトガイド層10に発泡要素又は射出モールド成形された要素として発泡オン成形され、射出成形され、若しくは、接着接合された、又は、ライトガイド層10と更に一体的に形成された光カップリング・イン要素に関連しており、この場合において、光カップリング・イン要素12のベース面14は、ライトガイド層10の表面又は窓内側5に平行な仮想面である。
【0076】
各光カップリング・イン要素12(
図8から
図10を参照)は、側面図において(
図2参照)、くさび先端部37がLED面15の反対側に位置する状態で、くさび形に形成されることが好ましい。LED面15は、特にベース面14に対して直角に、光カップリング・イン要素12の照射される側に配置される。光カップリング・イン要素12は、何れの場合にも、両側におけるその側面に一つの側縁部35を含む。光カップリング・イン要素12が結果として長方形のベース面14を有するように、二つの互いに反対側にある側縁部35は例えば、互いに平行である(
図10a)。側縁部35は、二つのくさび形の相互に平行な側面に含まれる。これらの平行な側面は更に、LED11により光カップリング・イン要素12内に放射された光に対する反射面を形成する。LED面15は、光カップリング・イン要素12の全幅にわたって、又は、列をなす配置の方向におけるその長さ範囲にわたって二つの側縁部35間にその幅で延びている。平行な側縁部35を有する個々の光カップリング・イン要素12は、
図10aの列をなす配置で配置され、この場合において、例えば少なくとも1mm又は3mm(
図10d)のそれらの側縁部35間のそれぞれの距離を伴って、個々の光カップリング・イン要素12はキャリア16に接続されるか、又は、ライトガイド層10に配置されるか若しくは接着接合される。
【0077】
ライトガイド要素12は、その幅方向に小さくされたLED面15を含むように形成され得る(
図8、
図9、及び
図10bから
図10d)。この手法により設計されたライトガイド要素12は、この狭いLED面15から始まり、LED面15に対して角度αで各側縁部35に向けて傾斜している。以て、特に平面状の傾斜した反射面36がLED面15の両側に形成される。傾斜した反射面36は、相応に短くなった側縁部35まで、又は短くなったくさび形の平行な側面まで延びている。傾斜した反射面36の各々が、ベース面14への遷移部に傾斜した側縁部38を形成する。角度αは、傾斜した反射面36又は傾斜した側縁部38と、LED面15の平面の仮想的な延長部分15’との間の外角である。角度αは、例えば30°(
図10b及び
図10d)又は45°(
図10c)である。
【0078】
更に、各ライトガイド要素12は、傾斜した側縁部38の領域におけるその二つの横側面に傾斜した側部反射面39を含み得る。側部反射面39は傾斜した側縁部38から始まり、LED面15の平面(
図8参照)において測定された鋭角βで反射面23に向かって延びている。角度βは、例えば35°から70°の範囲内にある。したがって、側部反射面39は略三角形である。LED11によりライトガイド要素12内に放射された光は、主反射面としての反射面23を介して、及び、二つの傾斜した反射面36を介して、又は、二つの更なる側部反射面39を介して反射され、及び、ライトガイド層10内にカップリングされる。光カップリング・イン要素12における光反射、ひいては照明の品質は、傾斜又は傾斜した反射面36の角度α、及び、更に側部反射面39の傾斜の角度βの規定により調節され得る。
【0079】
周辺光の照明は、それぞれの乗り物用窓3の側縁部の領域において、屋根の縦の長手方向中央平面に対して対称に配置された二つのライティング・デバイス4により提供され得る。
【0080】
乗り物用窓3の変形例の実施形態(
図11から
図15を参照)では、光カップリング・イン要素12はライトガイド層10上において窓内側5に発泡成形される。光カップリング・イン要素12は一列に並べて配置され(
図14参照)、接続ブリッジ40(
図12)を介して互いに接続されていることが好ましい。各場合に、二つの隣接した光カップリング・イン要素12は、このような接続ブリッジ40を介して互いに接続されている。乗り物用窓3が、乗り物用窓3の縁部発泡体42のための空洞41(
図13)を含む発泡ツールに、光カップリング・イン要素12を発泡オン成形するために配置される。空洞41は、ツールにおいて提供されたスプルー経路部43を介して、例えば黒色の標準的なポリウレタンといった発泡体材料により充填されなければならない。
【0081】
発泡ツールの更なる空洞44は、各光カップリング・イン要素12のためのモールド空洞45を含む。スプルー経路部46は、ツールにおける第1のモールド空洞45につながっている。分散経路部47は更なるモールド空洞45を互いに接続し、各場合に、二つの隣接したモールド空洞45は、分散経路部47のそれぞれの経路部セグメント48を介して互いに接続される。射出された発泡材料は、各モールド空洞45においてライトガイド層10上に発泡成形された光カップリング・イン要素12、及び、経路部セグメント48におけるそれぞれの接続ブリッジ40を形成する。経路部セグメント48は、各接続ブリッジ40が平らなストリップ(
図12)の形態をとることが好ましい形状を有し、平らなストリップはライトガイド層10の内面上に発泡成形される。
【0082】
光カップリング・イン要素12(
図11)は原理的に前述の形状で形成されることが有益である(特に
図8から
図10を参照)。各光カップリング・イン要素12は、ベース面14の反対側に位置する光カップリング・イン要素12の上側、又は、光カップリング・イン要素12の上側反射面23に形成された保持部49を更に含む。保持部49は、複数のLED11を含む例えばPCBといった例えばキャリア16に対するプラグ・オン・ユニットとして形成される。キャリア16が光カップリング・イン要素12の保持部49に差し込まれたときに、LED面15に対するLED11の正しい割り当てが実現されるように、LED11は、キャリア16において光カップリング・イン要素12のLED面15に割り当てられた状態で一列に並べて配置される。保持部49は例えばピン形又はマッシュルーム形の隆起部として形成され、隆起部はキャリア16における開口50内に係合し、及び、解放可能なラッチング係合によりキャリア16を固定することが有益であり、その結果、例えば、欠陥のあるLED11は、キャリア16と一緒に置換され得る。
【0083】
乗り物屋根は多くの場合、上向きの湾曲を含む。対応する湾曲を含む乗り物屋根の乗り物用窓3は、光カップリング・イン要素12の列に沿って長手方向(x方向)に湾曲している。多数のLED11を含む長尺ストリップ型キャリア16は、保持部49を介して光カップリング・イン要素12に装着される。キャリア16は、略弓形の変形を伴って光カップリング・イン要素12の列に沿って乗り物用窓の湾曲3に適応している。この弓形の変形は、少なくとも幾つかのLED11がLED11の相互に平行な並びを崩して、相互の角度オフセットをほとんど伴わずに並べられることをもたらす。したがって、少なくとも幾つかの割り当てられた光カップリング・イン要素12が、互いに対して回転した状態で配置される。
図13は、関連するモールド空洞45に基づいて二つの外側の光カップリング・イン要素12の回転された配置を概略的に、及び例示的に示す。
【0084】
光カップリング・イン要素12の長尺カバー51(
図11)は、例えば接着接合材53により、光カップリング・イン要素12のくさび先端部38の前において窓に対して内向きの関係で長尺カバー51の内縁部52において装着され、及び、例えばクランピング係合により、長尺カバー51の外縁部54において縁部発泡体42における溝55内に装着される。
【0085】
図14は、光カップリング・イン要素12の列を含む乗り物用窓3を示し、光カップリング・イン要素12は、縁部発泡体42の内側で長手方向に、又はx方向において窓内側上に発泡成形され、縁部発泡体42は、例えば黒色ポリウレタンにより形成される。
図15は、乗り物用窓3に接続された蓋フレーム57を含む乗り物屋根の蓋56の下側を示す。
【0086】
光カップリング・イン要素12は、透明ポリウレタンから形成されることが好ましい。光カップリング・イン要素12の発泡材料、及び、ライトガイド層10の材料は同一又は類似の光学特性を有することが有益である。高透過性を有し、老化に起因してほとんど黄変せず、ライトガイド層10に適応された屈折率を有するPUベースの発泡材料が適切であることが好ましい。例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)に対する約1.5の屈折率は、ライトガイド層10のために使用されるガラスの屈折率に非常に類似している。
【符号の説明】
【0087】
1 乗り物屋根
2 屋根開口
3 乗り物用窓
4 ライティング・デバイス
5 窓内側
6 側縁部
7 外側窓
8 内側窓
9 接続層
10 ライトガイド層
11 LED
12 光カップリング・イン要素
13 ライティング・ユニット
14 ベース面
15 LED面
16 キャリア
17 内面
18 装着要素
19 アーム
20 穴
21 ライティング・モジュール
22 接着接合材
23 反射面
24 光カップリング・アウト構造
25 カバー
26 底壁
27 側壁
28 側壁
29 装着要素
30 開口
31 封止材
32 封止材
33 上縁部
34 装着アーム
35 側縁部
36 傾斜した反射面
37 くさび先端部
38 傾斜した側縁部
39 側部反射面
40 接続ブリッジ
41 空洞
42 縁部発泡体
43 スプルー経路部
44 空洞
45 空洞
46 スプルー経路部
47 分散経路部
48 経路部セグメント
49 保持部
50 開口
51 カバー
52 内縁部
53 接着接合材
54 外縁部
55 溝
56 蓋
57 蓋フレーム
【国際調査報告】