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特表2024-534926寛容性を誘導するための方法及び組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】寛容性を誘導するための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240918BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20240918BHJP
   A61K 31/7076 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 41/00 20200101ALI20240918BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 31/706 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 31/436 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20240918BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20240918BHJP
   C12N 5/078 20100101ALN20240918BHJP
【FI】
A61K39/395 D ZNA
A61K39/395 N
A61P37/06
A61K35/28
A61K31/7076
A61P43/00 121
A61K39/395 G
A61K39/395 U
A61K45/00
A61K31/675
A61K41/00
A61K31/573
A61K31/706
A61K31/5377
A61K31/436
A61K38/17 100
C07K16/28
C12N5/078
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514495
(86)(22)【出願日】2022-09-05
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 EP2022074646
(87)【国際公開番号】W WO2023036745
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/241,358
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522497560
【氏名又は名称】ゼラリオン マルタ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】デビッド ベルグランド
(72)【発明者】
【氏名】エリック ベルグランド
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AC20
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA11
4C084AA22
4C084BA02
4C084DA39
4C084MA02
4C084MA13
4C084MA16
4C084MA52
4C084MA56
4C084MA58
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB08
4C084ZC75
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG06
4C085GG08
4C085GG10
4C086AA01
4C086BC73
4C086CB22
4C086DA10
4C086DA35
4C086EA04
4C086EA18
4C086GA02
4C086GA12
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA16
4C086MA52
4C086MA56
4C086MA58
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZB08
4C086ZC75
4C087AA01
4C087BB44
4C087MA02
4C087MA13
4C087MA16
4C087MA52
4C087MA56
4C087MA58
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB08
4C087ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
(57)【要約】
患者における臓器または組織移植に対する寛容性を誘導するための方法が本明細書に提供される。具体的には、移植適格な患者において一時的な混合キメリズムを誘導するための方法が本明細書に提供され、本方法は、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを患者に投与すること、ドナー由来の骨髄を患者に移植すること、及び移植の前及び/または後に、少なくとも1つの他の剤を患者に投与することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドナーから対象に臓器または組織を移植する方法であって、
a)B細胞枯渇抗体を前記対象に投与することと、
b)抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを前記対象に投与することと、
c)フルダラビンを前記対象に投与することと、
d)前記臓器または前記組織を前記対象に移植することと、
e)前記ドナー由来の骨髄細胞を前記対象に注入することと、を含む、前記方法。
【請求項2】
ドナーから対象に臓器または組織を移植する方法であって、
a)B細胞枯渇抗体を前記対象に投与することと、
b)抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを前記対象に投与することと、
c)前記臓器または前記組織を前記対象に移植することと、
d)前記ドナー由来の骨髄細胞を前記対象に注入することと、を含み、
前記B細胞枯渇抗体は、前記移植の7日超前に前記対象に投与される、前記方法。
【請求項3】
ドナーから対象に臓器または組織を移植する方法であって、
a)B細胞枯渇抗体を前記対象に投与することと、
b)抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを前記対象に投与することと、
c)前記臓器または前記組織を前記対象に移植することと、
d)前記ドナー由来の骨髄細胞を前記対象に注入することと、を含み、
前記抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの第1の投与は、前記移植の1日前である、前記方法。
【請求項4】
ドナーから対象に臓器または組織を移植する方法であって、
a)B細胞枯渇抗体を前記対象に投与することと、
b)抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを前記対象に投与することと、
c)前記臓器または前記組織を前記対象に移植することと、
d)前記ドナー由来の骨髄細胞を前記対象に注入することと、を含み、
前記抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記移植の2日超前に前記対象に投与される、前記方法。
【請求項5】
臓器移植または組織移植を必要とする対象におけるキメラ移行症候群を最小限に抑える方法であって、
a)B細胞枯渇抗体を前記対象に投与することと、
b)抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを前記対象に投与することと、
c)フルダラビンを前記対象に投与することと、
d)前記臓器または前記組織を前記対象に移植することと、
e)前記ドナー由来の骨髄細胞を前記対象に注入することと、を含む、前記方法。
【請求項6】
臓器移植または組織移植を必要とする対象におけるキメラ移行症候群を最小限に抑える方法であって、
a)B細胞枯渇抗体を前記対象に投与することと、
b)抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを前記対象に投与することと、
c)前記臓器または前記組織を前記対象に移植することと、
d)前記ドナー由来の骨髄細胞を前記対象に注入することと、を含み、
前記B細胞枯渇抗体は、前記移植の7日超前に前記対象に投与される、前記方法。
【請求項7】
臓器移植または組織移植を必要とする対象におけるキメラ移行症候群を最小限に抑える方法であって、
a)B細胞枯渇抗体を前記対象に投与することと、
b)抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを前記対象に投与することと、
c)前記臓器または前記組織を前記対象に移植することと、
d)前記ドナー由来の骨髄細胞を前記対象に注入することと、を含み、
前記抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの第1の投与は、前記移植の1日前である、前記方法。
【請求項8】
臓器移植または組織移植を必要とする対象におけるキメラ移行症候群を最小限に抑える方法であって、
a)B細胞枯渇抗体を前記対象に投与することと、
b)抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを前記対象に投与することと、
c)前記臓器または前記組織を前記対象に移植することと、
d)前記ドナー由来の骨髄細胞を前記対象に注入することと、を含み、
前記抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、前記移植の2日超前に前記対象に投与される、前記方法。
【請求項9】
前記B細胞枯渇抗体が、前記移植の9日前に前記対象に投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記B細胞枯渇抗体が、前記移植の9日前及び2日前に前記対象に投与される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記B細胞枯渇抗体が、前記移植の9日前及び2日前ならびに前記移植の5日後及び12日後に前記対象に投与される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記B細胞枯渇抗体が、リツキシマブである、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記B細胞枯渇抗体が、約375mg/mの用量で対象に投与される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントが、前記移植の1日前、前記移植の当日、及び前記移植の1日後に前記対象に投与される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントが、前記移植の6日前、前記移植の1日前、前記移植の当日、及び前記移植の1日後に前記対象に投与される、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントが、前記移植の6日前、前記移植の1日前、前記移植の当日、前記移植の1日後、及び前記移植の6日後に前記対象に投与される、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントが、シプリズマブである、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントが、約0.6mg/kgの用量で前記対象に投与される、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記臓器または前記組織が、腎臓である、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記対象が、ヒトである、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記ドナーが、ヒトである、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、骨髄非破壊的前処置剤を前記対象に投与することをさらに含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記骨髄非破壊的前処置剤が、免疫抑制剤を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記免疫抑制剤が、シクロホスファミドである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記免疫抑制剤が、前記移植の5日前及び4日前に前記対象に投与される、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
前記免疫抑制剤が、約60mg/kgの用量で前記対象に投与される、請求項23~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記免疫抑制剤が、約22.5mg/kgの用量で前記対象に投与される、請求項23~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記骨髄非破壊的前処置剤が、抗腫瘍剤を含む、請求項22~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記抗腫瘍剤が、フルダラビンである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記抗腫瘍剤が、前記移植の6日前、5日前、4日前、及び3日前に前記対象に投与される、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
前記フルダラビンが、前記移植の6日前、5日前、4日前、及び3日前に前記対象に投与される、請求項1、5、及び29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記抗腫瘍剤が、約10mg/mの用量で前記対象に投与される、請求項28~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記フルダラビンが、約10mg/mの用量で前記対象に投与される、請求項1、5、29、及び31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記骨髄細胞を注入することが、前記移植と同じ日である、請求項1~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記方法が、胸腺照射を前記対象に提供することをさらに含む、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記胸腺照射が、前記移植の1日前に前記対象に提供される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記胸腺照射が、約7Gyで前記対象に提供される、請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
抗IL6R抗体を前記対象に投与することをさらに含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記抗IL6R抗体が、トシリズマブである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記抗IL6R抗体が、約8mg/kgの用量で前記対象に投与される、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
前記抗IL6R抗体が、前記移植の7日後及び14日後に前記対象に投与される、請求項38~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
ステロイドを前記対象に投与することをさらに含む、請求項1~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記ステロイドが、前記移植の当日に前記対象に投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記ステロイドが、前記移植後約20日間、前記対象に投与される、請求項42または43に記載の方法。
【請求項45】
前記ステロイドが、前記移植後約6か月間、前記対象に投与される、請求項42~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記ステロイドが、コルチコステロイドである、請求項42課~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
タクロリムスを前記対象に投与することをさらに含む、請求項1~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記タクロリムスが、約4~11ng/mLの用量で前記対象に投与される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記タクロリムスが、約8~10ng/mLの用量で前記対象に投与される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記タクロリムスが、前記移植の当日に前記対象に投与される、請求項47~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記タクロリムスが、前記移植後約9~12か月間、前記対象に投与される、請求項47~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記タクロリムスが、前記移植後約1か月間、前記対象に投与される、請求項47~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
ミコフェノール酸モフェチルを前記対象に投与することをさらに含む、請求項1~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記ミコフェノール酸モフェチルが、約2g/日の用量で前記対象に投与される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記ミコフェノール酸モフェチルが、前記移植の当日に前記対象に投与される、請求項53または54に記載の方法。
【請求項56】
前記ミコフェノール酸モフェチルが、前記移植後約2か月間、前記対象に投与される、請求項53~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
シロリムスを前記対象に投与することをさらに含む、請求項1~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記シロリムスが、約5~8ng/mLの用量で前記対象に投与される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記シロリムスが、前記移植後約1か月で、または前記移植後約1か月後に前記対象に投与される、請求項57または58に記載の方法。
【請求項60】
前記タクロリムスが、前記移植後最大約12か月間、前記対象に投与される、請求項57~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記B細胞枯渇抗体が、前記移植の7日前に投与されない、請求項1~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記対象において混合キメリズムを誘導する、請求項1~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記混合キメリズムが、前記対象のリンパ造血系中のドナー細胞の割合が、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、または少なくとも約90%であることを特徴とする、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記混合キメリズムが、約または最大約1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、または最大12か月間持続する、請求項62または63に記載の方法。
【請求項65】
FoxP3+T細胞のCD4+T細胞に対する比が、前記抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの非存在下でのFoxP3+T細胞のCD4+T細胞に対する比と比較して、前記対象において増加する、請求項1~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記FoxP3+発現は、前記抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの最後の投与後に、活発に増殖するT細胞において持続する、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記対象における移植片対宿主病のリスクを低減する、請求項1~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントが、
a.配列番号3の重鎖可変領域CDR1と、
b.配列番号4の重鎖可変領域CDR2と、
c.配列番号5の重鎖可変領域CDR3と、
d.配列番号6の軽鎖可変領域CDR1と、
e.配列番号7の軽鎖可変領域CDR2と、
f.配列番号8の軽鎖可変領域CDR3と、を含む、請求項1~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントが、ヒト化抗体である、請求項1~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントが、約0.1mg/kg超の用量で前記対象に投与される、請求項1~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントが、約0.6mg/kgの用量で前記対象に投与される、請求項1~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記対象に投与される前記抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの各用量が、同じ用量を含む、請求項1~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記対象における前記移植された臓器または組織に対する寛容を誘導する、請求項1~72のいずれか1つに記載の方法。
【請求項74】
前記タクロリムスが、前記移植の後に前記対象に投与される、請求項47~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記タクロリムスが、前記移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後に前記対象に投与される、請求項47~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記タクロリムスが、前記移植後の約3~4か月後に前記対象に投与される、請求項47~75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記ミコフェノール酸モフェチルが、前記移植後に前記対象に投与される、請求項53~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記ミコフェノール酸モフェチルが、前記移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後に前記対象に投与される、請求項53~77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記ミコフェノール酸モフェチルが、前記移植後の約3~4か月後に前記対象に投与される、請求項53~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記ステロイドが、前記移植後に前記対象に投与される、請求項42~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記コルチコステロイドが、前記移植後に前記対象に投与される、請求項46~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記ステロイドが、前記移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後に前記対象に投与される、請求項42~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記コルチコステロイドが、前記移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後に前記対象に投与される、請求項46~82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記ステロイドが、前記移植後の約3~4か月後に、前記対象に投与される、請求項42~83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記コルチコステロイドが、前記移植後の約3~4か月後に、前記対象に投与される、請求項46~84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記抗IL6R抗体が、前記移植後に前記対象に投与される、請求項38~85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記抗IL6R抗体が、前記移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後に前記対象に投与される、請求項38~86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記抗IL6R抗体が、前記移植後の約3~4か月後に、前記対象に投与される、請求項38~87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記シロリムスが、前記移植後に前記対象に投与される、請求項57~88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記シロリムスが、前記移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後に前記対象に投与される、請求項57~89のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記シロリムスが、前記移植後の約3~4か月後に前記対象に投与される、請求項57~90のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年9月7日に出願された米国特許出願第63/241,358号の優先権の利益を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
配列表
本願は、本願とともにXMLファイルフォーマットで提出されたコンピュータ可読配列表を含み、その内容全体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。この出願で提出された配列表XMLファイルは、「14526-007-228_SEQ_LISTING.xml」という名称であり、2022年8月31日に作成され、サイズは、36,184バイトである。
【0002】
1.序文
患者における臓器または組織移植に対する寛容性を誘導するための方法が本明細書に提供される。これらの方法及びキットと共に使用するための組成物も開示される。
【背景技術】
【0003】
2.背景技術
臓器移植の長期結果は、依然として思わしくない。ドナー移植片の慢性拒絶反応及び長期免疫抑制剤使用に関連する健康問題は、変わらず処置の深刻な合併症となっている。しかしながら、これらの合併症は、レシピエントの免疫系によってドナー移植片に対する寛容性を誘導することによって克服することができる。寛容性は、全身性免疫抑制剤を必要とせずに、移植後の破壊的な免疫反応を回避する。
【0004】
腎骨髄同時移植が記載されている。例えば、Kawai et al.2014,American Journal of Transplantation14:1599-1611を参照のこと。この研究は、維持免疫抑制剤を伴わない長期安定腎臓同種移植片生着を示した。しかしながら、最適化された臨床転帰のためには、前処置レジメンの見直しが必要である。本明細書に開示される方法は、臓器または組織移植に対する一貫した寛容性を提供するための改良された治療レジメンを記載する。
【0005】
シプリズマブは、ヒトCD2糖タンパク質に対するヒト化IgG1κモノクローナル抗体であり、実質的に全ての成熟ヒトT細胞及び胸腺細胞の大多数で発現される受容体である(Bierer BE,Burakoff SJ.,Immunol Rev.1989;111:267-294)。CD2は、リガンドLFA-3(CD58)との相互作用を介して、抗原提示細胞へのT細胞の接着を促進する(van der Merwe PA,Barclay AN,Mason DW,et al.Biochemistry.1994;33(33):10149-10160)。LFA-3へのCD2の結合はまた、T細胞活性化に必要な細胞内シグナルのカスケードを導き、この分子に重要な共刺激機能を付与する(Bockenstedt LK.et al.,J Immunol.1988;141(6):1904-1911;Binder,Christian,et al.,(2020).CD2 Immunobiology.Front.Immunol.11:1090.doi:10.3389/fimmu.2020.01090)。
【0006】
ヒトCD2に対するシプリズマブまたはその親抗体(BTI-322/Lo-CD2a)のいずれかのライゲーションは、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を介してT細胞枯渇を促進し、これは、活性化T細胞に対して特に顕著な効果である(Branco L.et al.,Transplantation.1999;68(10):1588-1596;Nizet Y,et al.Transplantation.2000;69(7):1420-1428)。加えて、これらの薬剤は、in vitro同種異系混合リンパ球反応(MLR)を効率的に阻害し、非特異的刺激に対する反応性を維持しながらその後の同種異系再刺激時の反応性を低下させる。この効果は、少なくとも部分的に、特異的活性化関連T細胞枯渇によって媒介されることが見出された(Latinne D.et al.,Int Immunol.1996;8(7):1113-1119;Xu Y.et al.,Clin Exp Immunol.2004;138(3):476-483;Podesta MA,Binder C,Sellberg F,et al.Siplizumab selectively depletes effector memory T cells and promotes a relative expansion of alloreactive regulatory T cells in vitro.Am J Transplant.2019;20:88-100.https://doi.org/10.1111/ajt.15533;Binder Christian,et al.(2020)Siplizumab,an Anti-CD2 Monoclonal Antibody, Induces a Unique Set of Immune Modulatory Effects Compared to Alemtuzumab and Rabbit AntiThymocyte Globulin In Vitro.Front. Immunol.11:592553.doi:10.3389/fimmu.2020.592553)。
【0007】
シプリズマブは、造血細胞移植及び腎骨髄同時移植を伴う寛容誘導のための前処置レジメンにおいて使用されている(Dey,Bimalangshu,et al. Anti-tumour response despite loss of donor chimaerism in patients treated with non-myeloablative conditioning and allogeneic stem cell transplantation.British Journal of Haematology,2005,128,351-359,doi:10.1111/j.1365-2141.2004.05328.x;Shaffer,Juanita,et al.Regulatory T-cell recovery in recipients of haploidentical nonmyeloablative hematopoietic cell transplantation with a humanized anti-CD2 mAb, MEDI-507, with or without fludarabine.Exp Hematol.2007Jul;35(7):1140-52.doi:10.1016/j.exphem.2007.03.018)。
【0008】
シプリズマブは、T細胞を全体的に枯渇させる一方で、移植後の初期に制御性T細胞(Treg)を濃縮する。悪性腫瘍を治療するための造血細胞移植のレシピエント(Shaffer J.et al.,Exp Hematol.2007;35(7):1140-1152)及びCKBMTレシピエント(Andreola G.et al.,Am J Transplant.2011;11(6):1236-1247)において、T細胞再構成期の間に、制御性T細胞(Treg)の顕著な初期濃縮が観察された(Savage,Thomas,et al.,Early expansion of donor-specific Tregs in tolerant kidney transplant recipients.JCI Insight.2018Nov15;3(22):e124086.doi:10.1172/jci.insight.124086;Sprangers,Ben,et al.Origin of Enriched regulatory t cells in patients receiving combined kidney/bone marrow transplantation to induce transplantation tolerance.Am J Transplant.2017Aug;17(8):2020-2032.doi:10.1111/ajt.14251;LoCascio,Samuel,et al.Mixed Chimerism,Lymphocyte Recovery and Evidence for Early Donor-Specific Unresponsiveness in Patients Receiving CKBMT to Induce Tolerance. Transplantation.2010December27;90(12):1607-1615.doi:10.1097/TP.0b013e3181ffbaff)。
【0009】
以前の研究において、抗IL6R治療は、ヒト化IL6R抗体を投与した場合に関節リウマチを有する患者において、臨床反応に重要であり得る生理学的Treg/Th17バランスを回復させることが観察されたことが示されている(Schinnerling,et al.,Clin Exp Immunol.2017 189(1):12-20)。抗IL6R治療は、保護Treg細胞の増殖を促進することが示されている;Tada,BMC Musculoskelet Disord.2016 17:290). さらに、抗IL6R遮断の使用は、サイトカイン放出症候群(CRS)の治療において有効である(Brudno JN.and Kochenderfer JN.Blood.2016 127(26):3321-30;Hay,K.Br J Haematol.183(3):364-374.2018)。IL6シグナル伝達を遮断するための抗IL6R抗体の使用は、CAR-T細胞患者におけるCRSに対する治療薬としてFDAに認可されている(Le,et al.,Oncologist.2018(8):943-947.2018;Highlights of Prescribing Information;ACTEMRA(登録商標)(tocilizumab) injection, for intravenous or subcutaneous use. Genentech,Inc.2017).
【発明の概要】
【0010】
3.発明の概要
本明細書では、移植適格な患者において一過性混合キメリズムを誘導するための方法が提供され、本方法は、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを患者に投与することと、患者を臓器または組織移植に供することと、ドナーから患者に骨髄細胞を注入することと、1つまたは複数の剤を、移植の前及び/または後に対象に投与することとを含む。特定の実施形態では、キメリズムは、移植手術の後、数週間~数か月間持続することができる。特定の実施形態では、本方法は、前処置レジメン及び術後レジメンを含む。特定の実施形態では、本方法は、レシピエントにおいて、移植された臓器または組織に対する寛容性を誘導する。この寛容性は長期持続または永続的であり得、移植片対宿主病のリスクが最小限に抑えられる。
【0011】
理論に束縛されるものではないが、ドナーの骨髄から得られた造血細胞をレシピエントに注入して、ドナーとレシピエントの造血細胞が共存する状態を作り出すことができる。骨髄非破壊的前処置と組み合わせて、骨髄移植は、レシピエントのキメリズムをもたらし、ドナー特異的寛容性の誘導をもたらす。このアプローチの利点には、レシピエントの免疫系のアブレーションを回避すること、及び長期全身性免疫抑制剤の使用を必要とせずに移植片対宿主病の発症を阻害することが挙げられる。
【0012】
本明細書の一態様では、ドナーから対象に臓器または組織を移植する方法が提供され、本方法は、a)B細胞枯渇抗体を対象に投与すること、b)抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与すること、c)フルダラビンを対象に投与すること、d)臓器または組織を対象に移植すること、及びe)ドナーからの骨髄細胞を対象に注入することを含む。
【0013】
本明細書の一態様では、ドナーから対象に臓器または組織を移植する方法が提供され、本方法は、a)B細胞枯渇抗体を対象に投与すること、b)抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与すること、c)臓器または組織を対象に移植すること、及びd)ドナーからの骨髄細胞を対象に注入することを含み、B細胞枯渇抗体は、移植の7日超前に対象に投与される。
【0014】
本明細書の一態様では、ドナーから対象に臓器または組織を移植する方法が提供され、本方法は、a)B細胞枯渇抗体を対象に投与すること、b)抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与すること、c)臓器または組織を対象に移植すること、及びd)ドナーからの骨髄細胞を対象に注入することを含み、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの第1の投与は移植の1日前に投与される。
【0015】
本明細書の一態様では、ドナーから対象に臓器または組織を移植する方法が提供され、本方法は、a)B細胞枯渇抗体を対象に投与すること、b)抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与すること、c)臓器または組織を対象に移植すること、及びd)ドナーからの骨髄細胞を対象に注入することを含み、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、移植の2日超前に対象に投与される。
【0016】
本明細書の一態様では、臓器または組織の移植を必要とする対象において、キメラ移行症候群を最小限に抑えるための方法が提供され、本方法は、a)B細胞枯渇抗体を対象に投与すること、b)抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与すること、c)フルダラビンを対象に投与すること、d)臓器または組織を対象に移植すること、及びe)ドナーからの骨髄細胞を対象に注入することを含む。
【0017】
本明細書の一態様では、臓器または組織の移植を必要とする対象において、キメラ移行症候群を最小限に抑えるための方法が提供され、本方法は、a)B細胞枯渇抗体を対象に投与すること、b)抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与すること、c)臓器または組織を対象に移植すること、及びd)ドナーからの骨髄細胞を対象に注入することを含み、B細胞枯渇抗体は、移植の7日超前に対象に投与される。
【0018】
本明細書の一態様では、臓器または組織の移植を必要とする対象において、キメラ移行症候群を最小限に抑えるための方法が提供され、本方法は、a)B細胞枯渇抗体を対象に投与すること、b)抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与すること、c)臓器または組織を対象に移植すること、及びd)ドナーからの骨髄細胞を対象に注入することを含み、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの第1の投与は移植の1日前に投与される。
【0019】
本明細書の一態様では、臓器または組織の移植を必要とする対象において、キメラ移行症候群を最小限に抑えるための方法が提供され、本方法は、a)B細胞枯渇抗体を対象に投与すること、b)抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与すること、c)臓器または組織を対象に移植すること、及びd)ドナーからの骨髄細胞を対象に注入することを含み、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、移植の2日超前に対象に投与される。
【0020】
いくつかの態様では、B細胞枯渇抗体は、移植の9日前に対象に投与される。いくつかの態様では、B細胞枯渇抗体は、移植の9日前及び2日前に対象に投与される。いくつかの態様では、B細胞枯渇抗体は、移植の9日前及び2日前ならびに移植の5日後及び12日後に対象に投与される。いくつかの態様では、B細胞枯渇抗体は、リツキシマブである。いくつかの態様では、B細胞枯渇抗体は、約375mg/mの用量で対象に投与される。いくつかの態様では、B細胞枯渇抗体は、移植の7日前に投与されない。
いくつかの態様では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、移植の1日前、移植当日、及び移植の1日後に対象に投与される。いくつかの態様では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、移植の6日前、移植の1日前、移植当日、及び移植の1日後に対象に投与される。いくつかの態様では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、移植の6日前、移植の1日前、移植当日、移植の1日後、及び移植の6日後に対象に投与される。いくつかの態様では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブである。いくつかの態様では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、約0.6mg/kgの用量で対象に投与される。いくつかの態様では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、a)配列番号3の重鎖可変領域CDR1、b)配列番号4の重鎖可変領域CDR2、c)配列番号5の重鎖可変領域CDR3、d)配列番号6の軽鎖可変領域CDR1、e)配列番号7の軽鎖可変領域CDR2、f)配列番号8の軽鎖可変領域CDR3を含む。いくつかの態様では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化抗体である。いくつかの態様では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、約0.1mg/kg超の用量で対象に投与される。いくつかの態様では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、約0.6mg/kgの用量で対象に投与される。いくつかの態様では、対象に投与される抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの各用量は、同じ用量を含む。
【0021】
いくつかの態様では、本明細書に提供される方法は、骨髄非破壊的前処置剤を対象に投与することをさらに含む。いくつかの態様では、骨髄非破壊的前処置剤は、免疫抑制剤を含む。いくつかの態様では、免疫抑制剤はシクロホスファミドである。いくつかの態様では、免疫抑制剤は、移植の5日前及び4日前に対象に投与される。いくつかの態様では、免疫抑制剤は、約60mg/kgの用量で対象に投与される。いくつかの態様では、免疫抑制剤は、約22.5mg/kgの用量で対象に投与される。いくつかの態様では、骨髄非破壊的前処置剤は、抗悪性腫瘍剤を含む。いくつかの態様では、抗悪性腫瘍剤は、化学療法剤である。いくつかの態様では、抗悪性腫瘍剤は、フルダラビンである。いくつかの態様では、抗悪性腫瘍剤は、移植の6日前、5日前、4日前、及び3日前に対象に投与される。いくつかの態様では、フルダラビンは、移植の6日前、5日前、4日前、及び3日前に対象に投与される。いくつかの態様では、抗悪性腫瘍剤は、約10mg/mの用量で対象に投与される。いくつかの態様では、フルダラビンは、約10mg/mの用量で対象に投与される。
【0022】
いくつかの態様では、骨髄細胞を注入すること、移植と同じ日に行われる。いくつかの態様では、本方法は、対象に胸腺照射を提供するステップをさらに含む。いくつかの態様では、胸腺照射は、移植の1日前に対象に提供される。いくつかの態様では、胸腺照射は、約7Gyで対象に提供される。
【0023】
いくつかの態様では、本明細書に提供される方法は、抗IL6R抗体を対象に投与することをさらに含む。いくつかの態様では、抗IL6R抗体は、トシリズマブである。いくつかの態様では、抗IL6R抗体は、約8mg/kgの用量で対象に投与される。いくつかの態様では、抗IL6R抗体は、移植の7日後及び14日後に対象に投与される。いくつかの態様では、抗IL6R抗体は、移植後に対象に投与される。いくつかの態様では、抗IL6R抗体は、移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後に対象に投与される。いくつかの態様では、抗IL6R抗体は、移植の約3~4か月後に対象に投与される。
【0024】
いくつかの態様では、本明細書に提供される方法は、ステロイドを対象に投与することをさらに含む。いくつかの態様では、ステロイドは、移植当日に対象に投与される。いくつかの態様では、ステロイドは、移植後約20日、間対象に投与される。いくつかの態様では、ステロイドは、移植後約6か月間、対象に投与される。いくつかの態様では、ステロイドはコルチコステロイドである。いくつかの態様では、ステロイドは、移植後に対象に投与される。いくつかの態様では、コルチコステロイドは、移植後に対象に投与される。いくつかの態様では、テロイドは、移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後に対象に投与される。いくつかの態様では、コルチコステロイドは、移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後に対象に投与される。いくつかの態様では、ステロイドは、移植後の約3~4か月後に対象に投与される。いくつかの態様では、コルチコステロイドは、移植後の約3~4か月後に対象に投与される。
【0025】
いくつかの態様では、本明細書に提供される方法は、タクロリムスを対象に投与することをさらに含む。いくつかの態様では、タクロリムスは、約4~11ng/mLの用量で対象に投与される。いくつかの態様では、タクロリムスは、約8~10ng/mLの用量で対象に投与される。いくつかの態様では、タクロリムスは、移植当日に対象に投与される。いくつかの態様では、タクロリムスは、移植後約9~12か月間、対象に投与される。いくつかの態様では、タクロリムスは、移植後約1か月間、対象に投与される。いくつかの態様では、タクロリムスは、移植後に対象に投与される。いくつかの態様では、タクロリムスは、移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後に対象に投与される。いくつかの態様では、タクロリムスは、移植後の約3~4か月後に対象に投与される。
【0026】
いくつかの態様では、本明細書に提供される方法は、ミコフェノール酸モフェチルを対象に投与することをさらに含む。いくつかの態様では、ミコフェノール酸モフェチルは、約2g/日の用量で対象に投与される。いくつかの態様では、ミコフェノール酸モフェチルは、移植当日に対象に投与される。いくつかの態様では、ミコフェノール酸モフェチルは、移植後約2か月間、対象に投与される。いくつかの態様では、ミコフェノール酸モフェチルは、移植後に対象に投与される。いくつかの態様では、ミコフェノール酸モフェチルは、移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後に対象に投与される。いくつかの態様では、ミコフェノール酸モフェチルは、移植後の約3~4か月後に対象に投与される。
【0027】
いくつかの態様では、本明細書に提供される方法は、シロリムスを対象に投与することをさらに含む。いくつかの態様では、シロリムスは、約5~8ng/mLの用量で対象に投与される。いくつかの態様では、シロリムスは、移植後約1か月で、または移植後約1か月後に対象に投与される。いくつかの態様では、シロリムスは、移植後最大12か月間、対象に投与される。いくつかの態様では、シロリムスは、移植後に対象に投与される。いくつかの態様では、シロリムスは、移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後に対象に投与される。いくつかの態様では、シロリムスは、移植後の約3~4か月後に対象に投与される。
【0028】
いくつかの態様では、本明細書で提供される方法は、対象において混合キメリズムを誘導する。いくつかの態様では、混合キメリズムは、対象のリンパ造血系中のドナー細胞の割合が、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、または少なくとも約90%であることを特徴とする。いくつかの態様では、混合キメリズムは、約または最大約1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、または最大12か月間持続する。いくつかの態様では、FoxP3+T細胞のCD4+T細胞に対する比は、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの非存在下でのFoxP3+T細胞のCD4+T細胞に対する比と比較して、対象において増加する。いくつかの態様では、FoxP3+発現は、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの最後の投与後に、活発に増殖するT細胞において持続する。
【0029】
いくつかの態様では、本明細書に提供される方法は、対象における移植片対宿主病のリスクを低減する。いくつかの態様では、臓器または組織は腎臓である。いくつかの態様では、対象はヒトである。いくつかの態様では、ドナーはヒトである。いくつかの態様では、本明細書に提供される方法は、対象における移植された臓器または組織に対する寛容を誘導する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
4.図面の簡単な説明
上記及びその他の目的、特徴及び利点は、添付の図面に例示されているように、本発明の特定の実施形態の下記の説明から明らかであろう。図面は、必ずしも原寸に比例するとは限らず、代わりに、本発明の多様な実施形態の原理を示すことに重点が置かれている。
【0031】
図1】寛容の概要を示す図。
【0032】
図2】評価のスケジュールを示す表。
【0033】
図3】寛容性研究の概要を示すグラフ。
【0034】
図4】評価のスケジュールを示す表。
【0035】
図5】キメラ移行症候群(CTS)に対するIL-6 mAb(例えば、トシリズマブ)処置を示すグラフ。グラフは、-6、-1、0、及び1日目(0日目は移植当日である)の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)の投与、及びキメラ移行症候群(CTS)が生じる場合にのみIL-6 mAb(例えば、トシリズマブ)の投与を示す。
【0036】
図6】7日目及び14日目の予防的IL-6 mAb(例えば、トシリズマブ)処置、及び-6、-1、0、及び1日目(0日目は移植当日である)の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)の投与を示すグラフ。
【0037】
図7】移植の6日前、移植の1日前、移植当日、移植の1日後、及び移植の6日後に投与された抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)、ならびに7日目及び14日目の予防的抗IL-6R mAb(例えば、トブリズマブ)処置を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0038】
5.発明を実施するための形態
本明細書には、進行中の免疫抑制療法を必要とせずに、移植された臓器または組織に対する臓器または組織移植レシピエントの免疫系の寛容を誘導するための方法が記載される。本明細書では、特定の前処置治療レジメンが前に行われ、特定の術後治療レジメンが後に行われる、臓器/組織及び骨髄同時移植のための方法が提供される。このレジメンは、抗体、免疫抑制剤、及びレシピエントの免疫細胞を枯渇させる放射線の投与を含む骨髄非破壊的手順であり得る。特定の実施形態では、レジメンの成分は、レシピエントにおいて混合キメリズムを達成するために、本明細書に記載されるように変更され得る。特定の実施形態では、レジメンの成分は、進行中の免疫抑制療法を必要とせずに、移植された臓器/組織に対する臓器/組織移植レシピエントの免疫系の寛容性の誘導を達成するために、本明細書に記載されるように変更され得る。
【0039】
本明細書に提供される方法とともに使用するための臓器または組織移植及び骨髄の注入は、セクション5.2に記載されている。現在の方法とともに使用するための初期前処置レジメン及び/または術後治療は、セクション5.3に記載されている。移植及び骨髄注入は、セクション5.4及びセクション5.5に記載されている。臨床転帰の評価方法は、セクション5.6に記載されている。医薬組成物は、セクション5.7に記載されている。キットは、セクション5.8に記載されている。本明細書に提供される方法の実施例は、セクション6に記載されている。
【0040】
特定の実施形態では、臓器または組織移植の受け入れに選択されたか、または受け入れた個体が、本明細書に記載の方法を用いて治療され得る。理論に束縛されるものではないが、治療レジメンに続いて、一過性混合キメリズムの状態を誘導する。特定の実施形態では、治療レジメンは、
a.移植手術の9日前、2日前、5日後及び12日後に、リツキシマブ(375mg/m)をレシピエントに投与することと、
b.抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、約0.6mg/kgのシプリズマブ)を、移植手術の6日前、1日前、当日、及び1日後に投与すること、または、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、約0.6mg/kgのシプリズマブ)を、移植手術の6日前、1日前、当日、1日後、及び6日後に投与することと、
c.移植手術の5日前及び4日前にシクロホスファミド(60mg/kg)を投与することと、
d.移植手術の1日前に胸腺照射(例えば、7Gy)を投与することと、
e.キメラ移行症候群が生じる場合、または移植手術後7日目及び14日目にトシリズマブ(例えば、8mg/kg)を投与することと、を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、治療レジメンは、タクロリムスを投与することをさらに含む(例えば、移植後(例えば、約4~11ng/mLの用量で)、移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後、及び/または4~11ng/mLを移植当日及び移植後9~12か月間)。いくつかの実施形態では、治療レジメンは、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)を投与することをさらに含む(例えば、移植後(例えば、約2g/日の用量で)、移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後、及び/または約2g/日を移植当日及び移植後2か月間)。いくつかの実施形態では、治療レジメンは、ステロイドまたはコルチコステロイドを投与することをさらに含む(例えば、移植後、移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後、及び/または移植当日及び移植後20日間)。
【0042】
特定の実施形態では、治療レジメンは、
a.移植手術の9日前、2日前、5日後及び12日後に、リツキシマブ(375mg/m)をレシピエントに投与することと、
b.移植手術の6日前、1日前、当日、及び1日後に、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、約0.6mg/kgのシプリズマブ)を投与することと、
c.移植手術の5日前及び4日前にシクロホスファミド(60mg/kg)を投与することと、
d.移植手術の1日前に胸腺照射(例えば、7Gy)を投与することと、
e.患者を臓器または組織(例えば、腎臓)移植及び骨髄細胞注入に供することと、
f.CTSが生じる場合にのみ、トシリズマブ(例えば、8mg/kg)を投与することと、
g.タクロリムス(例えば、4~11ng/mL)を、移植当日及び移植後9~12か月間、投与することと、
h.MMF(例えば、2g/日)を移植当日及び移植後2か月間投与することと、
i.移植当日及び移植後20日間、コルチコステロイドを投与することと、を含む。
【0043】
特定の実施形態では、治療レジメンは、
a.移植手術の9日前、2日前、5日後及び12日後に、リツキシマブ(375mg/m)をレシピエントに投与することと、
b.移植手術の6日前、1日前、当日、及び1日後に、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、約0.6mg/kgのシプリズマブ)を投与することと、
c.移植手術の5日前及び4日前にシクロホスファミド(60mg/kg)を投与することと、
d.移植手術の1日前に胸腺照射(例えば、7Gy)を投与することと、
e.患者を臓器または組織(例えば、腎臓)移植及び骨髄細胞注入に供することと、を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、トシリズマブ(例えば、8mg/kg)は、臓器または組織移植後に投与される。いくつかの実施形態では、タクロリムス(例えば、4~11ng/mL)は、臓器または組織移植後に投与される。いくつかの実施形態では、MMF(例えば、2g/日)は、臓器または組織移植後に投与される。いくつかの実施形態では、ステロイドまたはコルチコステロイドは、臓器または組織移植後に投与される。いくつかの実施形態では、トシリズマブ、タクロリムス、MMF、ステロイド及び/またはコルチコステロイドは、移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後に対象に投与される。
【0045】
特定の実施形態では、治療レジメンは、
a.移植手術の9日前、2日前、5日後及び12日後に、リツキシマブ(375mg/m)をレシピエントに投与することと、
b.移植手術の6日前、1日前、当日、及び1日後に、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、約0.6mg/kgのシプリズマブ)を投与することと、
c.移植手術の5日前及び4日前にシクロホスファミド(60mg/kg)を投与することと、
d.移植手術の1日前に胸腺照射(例えば、7Gy)を投与することと、
e.患者を臓器または組織(例えば、腎臓)移植及び骨髄細胞注入に供することと、
f.移植の7日後及び14日後にトシリズマブ(例えば、8mg/kg)を投与することと、
g.タクロリムス(例えば、4~11ng/mL)を、移植当日及び移植後9~12か月間、投与することと、
h.MMF(例えば、2g/日)を移植当日及び移植後2か月間投与することと、
i.移植当日及び移植後20日間、コルチコステロイドを投与することと、を含む。
【0046】
特定の実施形態では、治療レジメンは、
a.移植手術の9日前、2日前、5日後及び12日後に、リツキシマブ(375mg/m)をレシピエントに投与することと、
b.移植手術の6日前、1日前、当日、1日後及び6日後に、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、約0.6mg/kgのシプリズマブ)を投与することと、
c.移植手術の5日前及び4日前にシクロホスファミド(60mg/kg)を投与することと、
d.移植手術の1日前に胸腺照射(例えば、7Gy)を投与することと、
e.患者を臓器または組織(例えば、腎臓)移植及び骨髄細胞注入に供することと、
f.移植の7日後及び14日後にトシリズマブ(例えば、8mg/kg)を投与することと、
g.タクロリムス(例えば、4~11ng/mL)を、移植当日及び移植後9~12か月間、投与することと、
h.MMF(例えば、2g/日)を移植当日及び移植後2か月間投与することと、
i.移植当日及び移植後20日間、コルチコステロイドを投与することと、を含む。
【0047】
特定の実施形態では、治療レジメンは、
a.移植手術の9日前及び2日前に、リツキシマブ(375mg/m)をレシピエントに投与することと、
b.移植手術の1日前、当日、及び1日後に、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、約0.6mg/kgのシプリズマブ)を投与することと、
c.移植手術の5日前及び4日前にシクロホスファミド(22.5mg/kg)を投与することと、
d.移植手術の6日前、5日前、4日前、及び3日前にフルダラビン(例えば、10mg/m)を投与することと、
e.移植手術の1日前に胸腺照射(例えば、7Gy)を投与することと、を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、治療レジメンは、タクロリムスを投与することをさらに含む(例えば、移植後(例えば、約8~10ng/mLの用量で)、移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後、及び/または8~10ng/mLを移植当日及び移植後1か月間)。いくつかの実施形態では、治療レジメンは、シロリムスまたはmTOR阻害剤を投与することをさらに含む(例えば、移植後(例えば、約5~8ng/mLの用量で)、移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後、及び/または5~8ng/mLを移植1か月後及び移植後12か月まで)。いくつかの実施形態では、治療レジメンは、コルチコステロイドを投与することをさらに含む(例えば、移植後、移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後、及び/または移植当日及び移植後6か月間)。
【0049】
特定の実施形態では、治療レジメンは、
a.移植手術の9日前及び2日前に、リツキシマブ(375mg/m)をレシピエントに投与することと、
b.移植手術の1日前、当日、及び1日後に、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、約0.6mg/kgのシプリズマブ)を投与することと、
c.移植手術の5日前及び4日前にシクロホスファミド(22.5mg/kg)を投与することと、
d.移植手術の6日前、5日前、4日前、及び3日前にフルダラビン(例えば、10mg/m)を投与することと、
e.移植手術の1日前に胸腺照射(例えば、7Gy)を投与することと、
f.患者を臓器または組織(例えば、腎臓)移植及び骨髄細胞注入に供することと、
g.タクロリムス(例えば、8~10ng/mL)を、移植当日及び移植後1か月間、投与することと、
h.シロリムス(例えば、5~8ng/mL)またはmTOR阻害剤を、移植後1か月間及び移植後12か月まで投与することと、
i.移植当日及び移植後6か月間、コルチコステロイドを投与することと、を含む。
【0050】
特定の実施形態では、治療レジメンは、
a.移植手術の9日前及び2日前に、リツキシマブ(375mg/m)をレシピエントに投与することと、
b.移植手術の1日前、当日、及び1日後に、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、約0.6mg/kgのシプリズマブ)を投与することと、
c.移植手術の5日前及び4日前にシクロホスファミド(22.5mg/kg)を投与することと、
d.移植手術の6日前、5日前、4日前、及び3日前にフルダラビン(例えば、10mg/m)を投与することと、
e.移植手術の1日前に胸腺照射(例えば、7Gy)を投与することと、
f.患者を臓器または組織(例えば、腎臓)移植及び骨髄細胞注入に供することと、を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、タクロリムス(例えば、8~10ng/mL)は、移植後に対象に投与される(例えば、移植後、移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後)。いくつかの実施形態では、シロリムス(例えば、5~8ng/mL)またはmTOR阻害剤は、移植後に対象に投与される(例えば、移植後、移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後)。いくつかの実施形態では、ステロイドまたはコルチコステロイドは、移植後に対象に投与される(例えば、移植後、移植の約、または少なくとも約1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後)。
【0052】
いくつかの実施形態では、ドナーからの臓器及び/または組織を対象に移植する方法、または、臓器または組織の移植を必要とする対象において、キメラ移行症候群を最小限に抑えるための方法が本明細書に提供され、本方法は、a)B細胞枯渇抗体を対象に投与すること、b)抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与すること、c)臓器または組織を対象に移植すること、及びd)ドナーからの骨髄細胞を対象に注入することを含む。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、臓器及び/または組織移植の2日超前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、臓器及び/または組織移植の2日前に対象に投与されない。いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体は、臓器及び/または組織移植の7日超前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの第1の投与は、臓器及び/または組織移植の1日前である。
【0053】
いくつかの実施形態では、ドナーからの臓器及び/または組織を対象に移植する方法、または、臓器または組織の移植を必要とする対象において、キメラ移行症候群を最小限に抑えるための方法が本明細書に提供され、本方法は、a)B細胞枯渇抗体を対象に投与すること、b)抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを対象に投与すること、c)フルダラビンを対象に投与すること、d)臓器または組織を対象に移植すること、及びe)ドナーからの骨髄細胞を対象に注入することを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療レジメンは変更することができる。具体的には、種々の活性医薬成分の投与経路、用量、及び正確なタイミングを変更して、移植の特定の状況に合わせて、進行中の免疫抑制療法を必要とせずに、移植された臓器に対する臓器移植レシピエントの免疫系の寛容の誘導を達成することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の治療レジメンは変更することができ、例えば、本明細書に記載の剤の代わりに、またはそれに加えて比較可能な剤を投与するように変更することができる(例えば、いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体が、リツキシマブの代わりに、またはそれに加えて対象に投与される;抗IL-6R抗体が、トシリズマブの代わりに、またはそれに加えて対象に投与される;抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントが、シプリズマブの代わりに、またはそれに加えて対象に投与される;抗悪性腫瘍剤が、フルダラビンの代わりに、またはそれに加えて対象に投与される;抗増殖剤が、MMFの代わりに、またはそれに加えて対象に投与される;免疫抑制剤が、シクロホスファミドの代わりに、またはそれに加えて対象に投与される;免疫抑制剤が、タクロリムスの代わりに、またはそれに加えて対象に投与される;mTOR阻害剤が、シロリムスの代わりに、またはそれに加えて対象に投与される;及び/またはステロイドが、コルチコステロイドの代わりに、またはそれに加えて、対象に投与される)。理論に束縛されるものではないが、治療レジメンは、一過性混合キメリズムを依然として生じるように変更される。特定の実施形態では、一過性混合キメリズムは、リンパ造血系中のドナー細胞の割合が、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、または少なくとも約90%であることを特徴とする。特定の実施形態では、一過性混合キメリズムは、最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または最大12か月持続する。FoxP3+T細胞のCD4+T細胞に対する比は、抗CD2抗体の非存在下でのFoxP3+T細胞のCD4+T細胞に対する比と比較して、移植レシピエントにおいて増加し得る。FoxP3+発現は、抗CD2抗体の最後の投与後に、活発に増殖するT細胞において持続し得る。混合キメリズムは、例えば、セクション5.6及び6に記載された通りにアッセイされ得る。
【0055】
5.1 レシピエント
本明細書では、用語「対象」、「レシピエント」及び「患者」は、同義的に使用される。いくつかの実施形態では、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態では、対象または必要とする対象は、免疫関連障害または疾患を有するか、または発症すると予測される対象である。いくつかの実施形態では、対象または必要とする対象は、移植手術を有するか、または受ける対象である。いくつかの実施形態では、対象または必要とする対象は、免疫系の慢性または急性の炎症性障害を有する対象である。いくつかの実施形態では、対象は、霊長類である。ある特定の実施形態では、該対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、成人である。いくつかの実施形態では、対象は、小児である。いくつかの実施形態では、対象は、小児患者である。いくつかの実施形態では、対象は若いヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも5歳、10歳、15歳、18歳、21歳、50歳、60歳、65歳、70歳、または70歳超である。いくつかの実施形態では、対象は、最大で5歳、10歳、15歳、18歳、または21歳である。いくつかの実施形態では、対象は、臓器移植に関連する、または免疫関連障害もしくは疾患に関する前治療を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、治療ナイーブ対象である。いくつかの実施形態では、対象は、免疫関連障害または疾患の治療に対して治療ナイーブである。いくつかの実施形態では、対象は、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント及び/または本明細書に記載の剤による前治療を受けていない。
【0056】
臓器移植を受けるように選択された個体は、レシピエント及びドナー造血細胞がレシピエント中に共存する混合キメリズム状態を誘導することを目的として、本明細書に記載のこれらの方法に従うことができる。混合キメリズム状態が達成されると、長期免疫抑制療法の必要性が低減する。
【0057】
臓器移植及び/または組織移植を受けたまたは受ける対象が、本明細書に提供される方法による治療に適し得る。本明細書に記載の方法は、任意の臓器及び/または組織移植(例えば、肺、心臓、腎臓、肝臓、胃、腸、膵臓、皮膚、または脾臓)を受けたまたは受ける対象に使用することができる。損傷、疾患、または先天性欠損を含む手段によって臓器が損傷を受けた個体は、臓器(例えば、肝臓または腎臓)移植を受ける基準を満たし得、本明細書に記載の方法に従って治療することができる。本明細書に記載の方法に従って治療されたレシピエントは、何らかの理由で臓器移植を必要とし得る。一般に、臓器移植を伴わない平均寿命を超えて臓器移植によって延長されると予測される平均余命を有する末期臓器疾患に罹患している患者が、臓器移植について考慮され得る。
【0058】
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療されたレシピエントは、遺伝疾患が必要とする臓器移植を受けた。特定の実施形態では、臓器移植は、生体ドナー臓器移植である。特定の実施形態では、臓器移植は、死亡ドナー臓器移植である。いくつかの実施形態では、臓器移植は、ABO(主要ヒト血液型系A型、B型、O型)適合移植であり得る。いくつかの実施形態では、臓器移植は、ABO不適合移植であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療されたレシピエントは、30未満、20未満、または10未満の末期肝疾患(MELD)スコアを有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法に従って治療されたレシピエントは、エプスタインバールウイルス(EBV)に対して血清陽性であり得る。いくつかの実施形態では、レシピエントは、移植を受ける前に脾摘出術を受けている。いくつかの実施形態では、レシピエントは、移植を受ける前に脾摘出術を受けていない。いくつかの実施形態では、対象は、肝臓移植を必要としているか、または受けている。肝臓移植の適応症の例は、例えば、EASL Clinical Practice Guidelines:Liver transplantation(J Hepatol.2016Feb;64(2):433-485.doi:10.1016/j.jhep.2015.10.006)に記載されている。
【0059】
いくつかの実施形態では、レシピエントは、非常に感作な免疫系を有し得る。非常に感作な免疫系の発生は、外来組織に対する以前の曝露及びこれらの組織に対する抗体の発生によって引き起こされる。この曝露の原因は、血液輸血、以前の移植、または妊娠を含み得る。感作状態では、免疫系は過覚醒であり、移植された臓器を攻撃する抗体を産生する。特定の実施形態において、本明細書に記載のレシピエントは、感作または非感作免疫系を有し得る。一部のレシピエントは、リツキシマブに対して感作であり得る。かかるレシピエントにおいて、IdeSがリツキシマブとともに投与され得る。IgGの重鎖を切断する酵素であるIdeSは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞傷害(CDC)を阻害する。特定の実施形態では、IdeSは、リツキシマブまたは抗CD19形質細胞指向性処置と組み合わせて投与される。特定の実施形態では、プラスマフェレーシスは、IdeS処置及びリツキシマブと組み合わせて使用され得る。
【0060】
5.2 移植及びドナー
5.2.1 臓器または組織移植
本明細書で使用される場合、ドナーは、移植される器官または組織が採取される個体である。いくつかの実施形態では、ドナーはレシピエントと同じ種であり、ドナーは生存または死亡であり得る。ドナーは、レシピエントに関連し得るか、またはレシピエントに関連し得ない。本明細書で使用される場合、レシピエントは、移植された臓器または組織を受け入れるか、または受け入れた個体である。レシピエントは、ドナーに関連し得るか、またはドナーに関連し得ない。レシピエントは、ドナーとHLA一致またはHLA不一致であり得る。いくつかの実施形態では、移植される臓器または組織は、人工的に作製される(例えば、哺乳動物由来ではない)、またはin vitroで作製される、または体外で作製される。いくつかの実施形態では、移植される臓器または組織は、レシピエントとは異なる種(例えば、異なる動物/哺乳動物由来の臓器または組織)に由来する。いくつかの実施形態では、移植される臓器または組織は、ヒト由来ではない。
【0061】
本明細書に提供される方法を利用して移植され得る臓器は、任意の固体臓器であり得る。いくつかの実施形態では、臓器または組織は、腎臓、心臓、腸、肝臓、肺、膵臓、または本明細書に提供される方法を使用して移植され得る他の臓器または組織であり得るか、またはそれらに由来し得る。いくつかの実施形態では、臓器または組織は、手、足、他の肢、顔、または本明細書に提供される方法を使用して移植され得る他の身体部分を含む、血管複合同種移植片であり得る。いくつかの実施形態では、移植された臓器または組織は、全臓器、臓器の一部、または臓器に由来する細胞であり得る。
【0062】
5.2.2 骨髄
造血幹細胞は、ドナーの骨髄に由来し得る。いくつかの実施形態では、臓器または組織ドナーから得た骨髄細胞は、レシピエントとHLA一致であり得る。特定の実施形態において、臓器または組織ドナーから得た骨髄細胞は、HLA不一致であり得る。特定の実施形態では、骨髄細胞移植は、臓器または組織移植と組み合わせることができ、臓器もしくは組織移植の後に起こり得るか、または臓器もしくは組織移植の前に起こり得る。
【0063】
特定の実施形態では、所望の転帰は、レシピエントにおいてキメラ状態を誘導することであり得る。非骨髄破壊性条件付けと組み合わせて、固形臓器または組織の同時移植と、未処理ドナー骨髄からの造血細胞の注入とを、骨髄非破壊的前処置と組み合わせて行うことによって、レシピエントは持続的な混合キメリズムを発症し得る。本明細書で使用される場合、「キメリズム」は、ドナー造血細胞及びレシピエント造血細胞の両方が共存する状態を指す。特定の実施形態では、レシピエントは、混合キメリズムの存在を評価するためにモニターされ得る。特定の実施形態では、レシピエントは、少なくとも1%の循環ドナー造血細胞を有するか、または有するであろう。特定の実施形態では、レシピエントは、約または少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の循環ドナー造血細胞を有するであろう。特定の実施形態では、レシピエントは、約1~10%、5~15%、10~20%、15~25%、20~30%、25~35%、30~40%、35~45%、40~50%、45~55%、50~60%、55~65%、60~70%、65~75%、70~80%、75~85%、80~90%、または85~95%の循環ドナー造血細胞を有するか、または有するであろう。特定の実施形態では、このキメラ状態は、造血細胞及び/または免疫細胞に対して、一定期間、例えば、5日間、10日間、15日間、25日間、30日間、1が月間、2が月間、3か月間、4か月間、5が月間、6が月間、または6か月間より長い間継続し得る。特定の実施形態では、キメリズムは、レシピエント中で少なくとも6か月間持続する。特定の実施形態では、骨髄移植の成分は、本明細書に記載されるようにレシピエントにおいて混合キメリズムを達成及び/または維持するために、本明細書に記載されるように変更され得る。
【0064】
5.3 前処置レジメン及び術後レジメン
本明細書に提供される方法での前処置レジメンまたは使用は、以下の治療の1つ以上の投与を含み得る。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントが、対象に提供される。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)が、移植または細胞注入(例えば、骨髄細胞注入)の前に対象に提供される。
【0065】
本明細書に提供される方法での前処置レジメンまたは使用は、本明細書に記載される1種または複数の剤(例えば、リツキシマブ、シクロホスファミド、トシリズマブ、コルチコステロイド、タクロリムス、MMF、抗増殖剤、ステロイド、シロリムス、ポリクローナルウサギ抗胸腺細胞グロブリン(rATG)、フルダラビン、Bまたは形質細胞枯渇抗体、免疫抑制剤、化学療法剤、抗増殖剤、抗新生物剤、抗IL6R抗体、及び/または照射)の投与を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つの剤または複数の剤が、胸腺(thymic)(または胸腺(thymus))照射、移植、及び/または細胞(例えば、骨髄)注入とともに、その前に、またはその後に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤が予防的に投与される(例えば、トシリズマブ)。
【0066】
いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤が、移植前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント及び/または骨髄非破骨髄非破壊的薬剤であるか、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、骨髄非破壊的薬剤と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、骨髄非破壊的薬剤の前、同日、または後に投与される。いくつかの実施形態では、骨髄非破壊的薬剤は、B細胞枯渇抗体、リツキシマブ、フルダラビン、シクロホスファミド、化学療法薬、及び/または照射(例えば、胸腺照射)のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、骨髄非破壊的薬剤は、フルダラビン及びシクロホスファミドを含む。いくつかの実施形態では、骨髄非破壊的薬剤は、フルダラビン(または同等/交換可能な剤またはフルダラビンと同じクラスの剤)を含む。いくつかの実施形態では、骨髄非破壊的薬剤は、約10mg/mのフルダラビンを含む。いくつかの実施形態では、骨髄非破壊的薬剤は、シクロホスファミド(または同等/交換可能な剤またはシクロホスファミドと同じクラスの剤)を含む。いくつかの実施形態では、骨髄非破壊的薬剤は、約22.5mg/kgのシクロホスファミドを含む。いくつかの実施形態では、骨髄非破壊的薬剤は、約60mg/kgのシクロホスファミドを含む。いくつかの実施形態では、骨髄非破壊的薬剤は、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ(例えば、約375mg/m))を含む。いくつかの実施形態では、骨髄非破壊的薬剤は、低線量フルダラビン及びシクロホスファミドを含む。いくつかの実施形態では、骨髄非破壊的薬剤は、10mg/mのフルダラビン及び約22.5mg/kgのシクロホスファミドを含む。いくつかの実施形態では、骨髄非破壊的薬剤は、細胞注入(例えば、骨髄細胞注入)を含む。いくつかの実施形態では、骨髄非破壊的薬剤は、胸腺照射を含む。いくつかの実施形態では、骨髄非破壊的薬剤は、リツキシマブ、シクロホスファミド、及び/または胸腺照射を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤が、細胞注入(例えば、骨髄細胞注入)前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤が、移植後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤が、細胞注入(例えば、骨髄細胞注入)後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤が、移植日と同じ日に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤が、細胞注入日(例えば、骨髄細胞注入)と同じ日に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、移植の約または少なくとも約20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、及び/または1日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、細胞注入の約または少なくとも約20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、及び/または1日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、移植の約または少なくとも約20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、及び/または1日後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、細胞注入の約または少なくとも約20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、及び/または1日後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、移植の9日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、細胞注入の9日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、移植の6日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、細胞注入の6日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、移植の5日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、細胞注入の5日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、移植の4日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、細胞注入の4日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、移植の3日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、細胞注入の3日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、移植の2日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、細胞注入の2日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、移植の1日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、細胞注入の1日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、移植の1日後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、細胞注入の1日後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、移植前に少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、または少なくとも10回超対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、移細胞注入前に少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、または少なくとも10回超対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、移植の少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、または少なくとも10日超前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、細胞注入の少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、または少なくとも10日超前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、移植後に少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、または少なくとも10回超対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、移細胞注入後に少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、または少なくとも10回超対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、移植の少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、または少なくとも10日超後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、細胞注入の少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、または少なくとも10日超後に対象に投与される。
【0068】
いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤(例えば、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント、または剤もしくは骨髄非破壊的薬剤)は、移植及び/または細胞注入前に、約、少なくとも約、または最大約1回(または1日)、2回(または2つの異なる日)、3回(または3つの異なる日)、4回(または4つの異なる日)、5回(または5つの異なる日)、6回(または6つの異なる日)、7回(または7つの異なる日)、8回(または8つの異なる日)、9回(または9つの異なる日)、10回(または10個の異なる日)、または10回超(または10個の異なる日)レシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤(例えば、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント、または剤もしくは骨髄非破壊的薬剤)は、移植及び/または細胞注入後に、約、少なくとも約、または最大約1回(または1日)、2回(または2つの異なる日)、3回(または3つの異なる日)、4回(または4つの異なる日)、5回(または5つの異なる日)、6回(または6つの異なる日)、7回(または7つの異なる日)、8回(または8つの異なる日)、9回(または9つの異なる日)、10回(または10個の異なる日)、または10回超(または10個超の異なる日)レシピエントに投与される。
【0069】
いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、移植前の連続した時間/日数の間、対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、細胞注入前の連続した時間/日数の間、対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、移植後の連続した時間/日数の間、対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、細胞注入後の連続した時間/日数の間、対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、移植後約、少なくとも約、または最大約1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、12か月間、13か月間、14か月間、15か月間、16か月間、17か月間、18か月間、20か月間、21か月間、22か月間、23か月間、24か月間、または24か月超の間対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、約または最大約12か月間、対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、約または最大約18か月間、対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤が、細胞注入後約、少なくとも約、または最大約1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、12か月間、または12か月超の間対象に投与される。
【0070】
いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤が、移植の9日及び/または2日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤が、細胞注入の9日及び/または2日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤が、移植の6日、5日、4日及び/または3日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤が、細胞注入の6日、5日、4日及び/または3日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤が、移植の1日前、移植と同じ日、及び/または移植後の日に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤が、細胞注入の1日前、細胞注入と同じ日、及び/または細胞注入後の日に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤が、移植の6日前、移植の1日前、移植と同じ日、移植後の日、及び/または移植の6日後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤が、細胞注入の6日前、細胞注入の1日前、細胞注入と同じ日、細胞注入の1日後、及び/または、細胞注入の6日後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤が、移植と同じ日に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、細胞注入と同じ日に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、移植の1日後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、細胞注入の1日後に対象に投与される。
【0071】
いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、B細胞枯渇抗体(例えば、375mg/mのリツキシマブ)であるか、またはそれを含み、対象に投与される(例えば、移植/細胞注入前-9日目及び/または-2日目)。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、B細胞枯渇抗体(例えば、375mg/mのリツキシマブ)であるか、またはそれを含み、対象に投与される(例えば、移植/細胞注入前-9日目及び/または-2日目、及び/または移植/細胞注入の5日後、及び/または、移植/細胞注入の12日後)。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、抗悪性腫瘍剤(例えば、10mg/mのフルダラビン)であるか、またはそれを含み、対象に投与される(例えば、移植/細胞注入前-6日目、-5日目、-4日目及び/または-3日目)。いくつかの実施形態において、1つの剤または複数の剤は、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、0.6mg/kgのシプリズマブ)であるか、またはそれを含み、対象に投与される(例えば、移植/細胞注入の前日(-1日目)、移植/細胞注入の当日(0日目)、及び/または移植/細胞注入の1日後(1日目))。いくつかの実施形態において、1つの剤または複数の剤は、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、0.6mg/kgのシプリズマブ)であるか、またはそれを含み、対象に投与される(例えば、移植/細胞注入の6日前、移植/細胞注入の前日(-1日目)、移植/細胞注入の当日(0日目)、及び/または移植/細胞注入の1日後(1日目))。いくつかの実施形態において、1つの剤または複数の剤は、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、0.6mg/kgのシプリズマブ)であるか、またはそれを含み、対象に投与される(例えば、移植/細胞注入の6日前、移植/細胞注入の前日(-1日目)、移植/細胞注入の当日(0日目)、移植/細胞注入の1日後(1日目)及び/または移植の6日後(6日目))。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、化学療法剤または免疫抑制剤(例えば、シクロホスファミド、例えば、22.5mg/kg)であるか、またはそれを含み、対象に投与される(例えば、移植前-5日目及び/または-4日目)。いくつかの実施形態では、照射(例えば、胸腺照射、7Gy)は、移植の日の前に対象に与えられる。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、免疫抑制剤(例えば、タクロリムス、例えば、8~10ng/mL)であるか、またはそれを含み、対象に投与される(例えば、移植当日及び/または約1か月間)。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、免疫抑制剤(例えば、タクロリムス、例えば、4~11ng/mL)であるか、またはそれを含み、対象に投与される(例えば、移植当日及び/または約9~12か月間)。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、抗増殖剤(例えば、MMF、例えば、1g/日)であるか、またはそれを含み、対象に投与される(例えば、移植の当日及び/または約1~2か月間)。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、化学療法剤または免疫抑制剤(例えば、コルチコステロイド)であるか、またはそれを含み、対象に投与される(例えば、移植当日及び/または6か月間)。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、化学療法剤または免疫抑制剤(例えば、コルチコステロイド)であるか、またはそれを含み、対象に投与される(例えば、移植当日及び/または20日間)。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、免疫抑制剤(例えば、シロリムス、初回トラフ5~8ng/mL)であるか、またはそれを含み、対象に投与される(例えば、移植の日の1か月後及び/または約1~12か月間)。いくつかの実施形態では、1つの剤または複数の剤は、抗IL6R抗体(例えば、トシリズマブ)であるか、またはそれを含み、対象に投与される(例えば、CTSが生じる場合、移植または細胞注入の7日後、及び/または移植または細胞注入の14日後)。
【0072】
5.3.1 移植物の処置
特定の実施形態では、前処置レジメンは、臓器への抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)の直接注入を含み得る。特定の実施形態では、移植物は、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントが直接注入され得る。この注入は、移植物上の1つの部位で投与され得るか、または移植物上の複数の部位で投与され得る。特定の実施形態では、移植物は、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを含む浴中でインキュベートされ得る。このインキュベーションは、手術への輸送中または手術場所で起こり得る。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントが移植物へ十分に取り込まれる時間、インキュベーションを続ける。このインキュベーションは、約、少なくとも約、または最大約15分、30分、45分、1時間、1.25時間、1.5時間、1.75時間、2時間、2.25時間、2.5時間、2.75時間、3時間、3.25時間、3.5時間、3.75時間、4時間、4.25時間、4.5時間、4.75時間、5時間、5.25時間、5.5時間、5.75時間、6時間、6.5時間、7時間、7.5時間、8時間、8.5時間、9時間、9.5時間、10時間、10.5時間、11時間、11.5時間、12時間、12.5時間、13時間、13.5時間、14時間、14.5時間、15時間、15.5時間、16時間、16.5時間、17時間、17.5時間、18時間、18.5時間、19時間、19.5時間、20時間、20.5時間、21時間、21.5時間、22時間、22.5時間、23時間、23.5時間、または24時間行われ得る。特定の実施形態では、注射用の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの用量は、約、少なくとも約、または最大約0.01mg/kg、0.05mg/kg、0.1mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、または50mg/kgである。
【0073】
特定の実施形態では、臓器または組織は、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)を含む浴中でインキュベートされ得る。いくつかの実施形態では、臓器または組織は、ドナーから臓器または組織を除去してからレシピエントへ移植するまで、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを含む浴中に維持される。特定の実施形態では、臓器または組織浴中の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの濃度は、約または少なくとも約0.01mg/リットル、約または少なくとも約0.05mg/リットル、約または少なくとも約0.1mg/リットル、約または少なくとも約0.5mg/リットル、約または少なくとも約0.6mg/リットル、約または少なくとも約1mg/リットル、約または少なくとも約5mg/リットル、約または少なくとも約10mg/リットル、または約または少なくとも約50mg/リットルである。
【0074】
特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、循環系を介して臓器または組織に投与され得る。いくつかの実施形態では、カテーテルは、隣接する血管に挿入され、ポンプに取り付けられ得る。抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、血管を通してポンプ輸送され、臓器に送達され得る。特定の実施形態では、移植の処置は、レシピエントにおいて混合キメリズムを達成及び/または維持するために、本明細書に記載されるように変更され得る。
【0075】
5.3.2 抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを対象(例えば、レシピエント)に投与することを含む。本明細書で定義されるように、抗体とは、IgG、IgM、IgE、IgA、及びIgDを含む免疫グロブリンを指す。本明細書に記載の抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、キメラ抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト化抗体であり得る。ある特定の実施形態では、抗体は、組換え抗体である。ある特定の実施形態では、抗体は、ヒト化抗体である。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgGである。ある特定の実施形態では、IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4であり得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1、IgG2、またはIgG4である。本明細書に記載されるように、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗原結合フラグメントであり得る。特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、Fab、F(ab’)2、scFv(VLに融合したVH)、またはsdAbであるか、またはそれを含むことができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、本発明の方法及び組成物とともに使用するための抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、ラット抗CD2モノクローナル抗体BTI-322のCDR配列を有する。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、BTI-322(シプリズマブ;MEDI-507)のヒト化IgG1型であり得る。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、Fcサイレント抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、BTI-322またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、CB.219またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、LO-CD2bまたはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブまたはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗CD2抗体1またはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、本の抗CD2抗体1は、シプリズマブまたはその抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも3つ超の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、1つまたは複数の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを、別の剤と組み合わせて対象に投与することを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを、別の剤の前、同時、及び/または後に、対象に投与することを含む。
【0077】
本明細書に記載の抗体は、ジスルフィド結合によって連結された2つの重鎖及び2つの軽鎖からなり得る。各重鎖は、可変領域(VH)及び定常領域を含み得る。各軽鎖は、可変領域(VL)及び定常領域を含み得る。重鎖及び軽鎖の両方の可変領域は、抗原への抗体の結合を決定する。相補性決定領域は、重鎖及び軽鎖の可変領域上の可変ループである。各重鎖上に3つのCDRがあり、各軽鎖上に3つのCDRがある。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、CD2に結合する。
【0078】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの投与は、標的細胞枯渇を生じない。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、免疫調節活性を示す。ある特定の実施形態では、免疫調節活性を保持しながら標的細胞の枯渇を抑制する本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの能力は、Fc領域のグリコシル化を除去することによって達成される。
【0079】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、CD2(T11、SRBC(ヒツジ赤血球受容体)及びLFA-2とも呼ばれる)に特異的に結合する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトCD2(GenBank Accession No.NM_001328609.1(アイソフォーム1);NM_001767.5(アイソフォーム2))に結合する。特定の実施形態、本明細書に提供される抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブ(Medlmmune Inc.;国際公開第WO02/098370号)と競合的に結合し得る。シプリズマブ(MEDI-507)は、CD2特異的ラット抗体BTI-322(Medlmmune Inc.;国際公開第WO02/098370号)のヒト化型である。シプリズマブは、IgG1カッパクラスモノクローナル抗体であり、ヒトT細胞及びヒトNK細胞上に見られるCD2に結合する。シプリズマブは、2つの重鎖(約50kDa)及び2つの軽鎖(約25kDa)から構成される。
【0080】
本明細書で定義されるように、エピトープは、抗体または抗原結合フラグメントが結合する抗原の領域である。いくつかの実施形態では、エピトープは、線状である。他の実施形態では、エピトープは、立体配座であり得る。いくつかの実施形態では、エピトープは、連続アミノ酸によって形成され得る。他の実施形態では、エピトープは、非連続アミノ酸によって形成され得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、CD2上のエピトープに結合する。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブと同じCD2のエピトープに結合する。特定の実施形態では、本明細書に提供される抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、Clark et al.,J Exp Med.1988Jun 1;167(6):1861-72に詳述されるような適切なin vitro競合結合アッセイにおいてシプリズマブと競合的に結合することができる。特定の実施形態では、本明細書に提供される抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブと同じIC50値、約1nMを有する(Branco et al.,Transplantation.1999Nov27;68(10):1588-96)。特定の実施形態では、本明細書に提供される抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブよりも低いIC50値を有する。特定の実施形態では、本明細書に提供される抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブよりも高いIC50値を有する。特定の実施形態では、本明細書に提供される抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、約、少なくとも約、または最大約0.5nM、0.6nM、0.7nM、0.8nM、0.9nM、1.0nM、1.1nM、1.2nM、1.3nM、1.4nM、1.5nM、0.5nM~0.8nM、0.6nM~0.9nM、0.7nM~1.0nM、0.8nM~1.1nM、0.9nM~1.2nM、1.0nM~1.3nM、1.1nM~1.4nM、または1.2nM~1.5nMのIC50値を有する。
【0081】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのVH領域の配列は、配列番号1と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのVL領域の配列は、配列番号2と80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのVH CDR1の配列は、配列番号3であり得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのVH CDR2の配列は、配列番号4であり得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのVH CDR3の配列は、配列番号5であり得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのVL CDR1の配列は、配列番号6であり得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのVL CDR2の配列は、配列番号7であり得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのVL CDR3の配列は、配列番号8であり得る。これらの配列を、表1に示す。
【0082】
特定の実施形態では、本明細書に提供される方法とともに使用するための抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号3~5のVH CDR及び配列番号2のVLを含む重鎖可変領域を有する。特定の実施形態では、本明細書に提供される方法とともに使用するための抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号6~8のVL CDR及び配列番号1のVHを含む重鎖可変領域を有する。
【0083】
特定の実施形態では、本明細書に提供される方法とともに使用するための抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号3の重鎖可変領域CDR1;配列番号4の重鎖可変領域CDR2;配列番号5の重鎖可変領域CDR3;配列番号6の軽鎖可変領域CDR1;配列番号7の軽鎖可変領域CDR2;及び、配列番号8の軽鎖可変領域CDR3を有する。特定の実施形態では、本明細書に提供される方法とともに使用するための抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号3と少なくとも約または約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号4と少なくとも約または約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である配列を含む重鎖可変領域CDR2;配列番号5と少なくとも約または約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である配列を含む重鎖可変領域CDR3;配列番号6と少なくとも約または約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号7と少なくとも約または約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である配列を含む軽鎖可変領域CDR2;及び/または、配列番号8と少なくとも約または約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である配列を含む軽鎖可変領域CDR3を有する。
【0084】
特定の実施形態では、本明細書に提供される方法とともに使用するための抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号3に対して約または少なくとも約1個のアミノ酸置換、約または少なくとも約2個のアミノ酸置換、約または少なくとも約3個のアミノ酸置換、約または少なくとも約4個のアミノ酸置換、または、少なくとも約4個超のアミノ酸置換を有する配列を含む重鎖可変領域CDR1;配列番号4に対して約または少なくとも約1個のアミノ酸置換、約または少なくとも約2個のアミノ酸置換、約または少なくとも約3個のアミノ酸置換、約または少なくとも約4個のアミノ酸置換、または、少なくとも約4個超のアミノ酸置換を有する配列を含む重鎖可変領域CDR2;配列番号5に対して約または少なくとも約1個のアミノ酸置換、約または少なくとも約2個のアミノ酸置換、約または少なくとも約3個のアミノ酸置換、約または少なくとも約4個のアミノ酸置換、または、少なくとも約4個超のアミノ酸置換を有する配列を含む重鎖可変領域CDR3;配列番号6に対して約または少なくとも約1個のアミノ酸置換、約または少なくとも約2個のアミノ酸置換、約または少なくとも約3個のアミノ酸置換、約または少なくとも約4個のアミノ酸置換、または、少なくとも約4個超のアミノ酸置換を有する配列を含む軽鎖可変領域CDR1;配列番号7に対して約または少なくとも約1個のアミノ酸置換、約または少なくとも約2個のアミノ酸置換、約または少なくとも約3個のアミノ酸置換、約または少なくとも約4個のアミノ酸置換、または、少なくとも約4個超のアミノ酸置換を有する配列を含む軽鎖可変領域CDR2;及び/または、配列番号8に対して約または少なくとも約1個のアミノ酸置換、約または少なくとも約2個のアミノ酸置換、約または少なくとも約3個のアミノ酸置換、約または少なくとも約4個のアミノ酸置換、または、少なくとも約4個超のアミノ酸置換を有する配列を含む軽鎖可変領域CDR3を有する。
【0085】
いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、保存的置換である。保存アミノ酸交換の例示的な例は、アミノ酸の側鎖の構造及び/または機能的特性を維持するアミノ酸置換であり、例えば、芳香族アミノ酸は別の芳香族アミノ酸に置換され、酸性アミノ酸は別の酸性アミノ酸に置換され、塩基性アミノ酸は別の塩基性アミノ酸に置換され、脂肪族アミノ酸は別の脂肪族アミノ酸に置換される。いくつかの実施形態では、保存的アミノ酸置換は、類似の電荷を持つ側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられるものである。上記のように、類似の電荷を持つ側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を持つアミノ酸が含まれる。対照的に、非保存アミノ酸交換の例は、アミノ酸の側鎖の構造及び/または機能的特性を維持しないアミノ酸置換であり、例えば、芳香族アミノ酸は、塩基性、酸性、または脂肪族アミノ酸に置換され、酸性アミノ酸は、芳香族、塩基性、または脂肪族アミノ酸に置換され、塩基性アミノ酸は、酸性、芳香族、または脂肪族アミノ酸に置換され、脂肪族アミノ酸は、芳香族、酸性、または塩基性アミノ酸に置換される。
【0086】
特定の実施形態では、本発明の方法及び組成物とともに使用するための抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、BTI-322またはシプリズマブの重鎖CDR1、2、または3を含む。特定の実施形態では、本発明の方法及び組成物とともに使用するための抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、BTI-322またはシプリズマブの軽鎖CDR1、2、または3を含む。特定の実施形態では、本発明の方法及び組成物とともに使用するための抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、BTI-322またはシプリズマブの1、2、3、4、5、または6つ全てのCDRを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法とともに使用するための抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、本開示に記載の1、2、3、4、5または6つ全てのCDRを含む(例えば、表1及び/または表15)。特定の実施形態では、BTI-322またはシプリズマブの1、2、3、4、5、及び/または6つ全てのCDRが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸置換を有する。あるより特定の実施形態では、かかるアミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。
【表1】
【0087】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブと同じ6つのCDR配列を有する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブの6つのCDR配列のうちの5つを共有することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのCDRのうちの1つが、シプリズマブの対応するCDRとは異なり、そのCDR配列は1つのアミノ酸だけが異なる。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのCDR配列と、シプリズマブの対応するCDRとの差は、保存的アミノ酸置換である。例えば、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブの6つのCDRのセットに対して、またはシプリズマブの重鎖における3つのCDRのセットに対して、またはシプリズマブの軽鎖における3つのCDRのセットに対して、1、2、3、4、5、または6つの保存的アミノ酸置換を有し得る。
【0088】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのVL CDR1、VL CDR2、またはVL CDR3は、そのシプリズマブ対応物とは異なるCDRである。別の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのVH CDR1、VH CDR2、またはVH CDR3は、そのシプリズマブ対応物とは異なるCDRである。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの異なるCDRは、そのシプリズマブ対応物の配列よりも長い。別の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの異なるCDRは、そのシプリズマブ対応物の配列よりも短い。
【0089】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖定常領域(CH)の配列は、配列番号9と約または少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖定常領域の配列は、配列番号10と約または少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖定常領域の配列は、配列番号11と約または少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖定常領域の配列は、配列番号12と約または少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖定常領域の配列は、配列番号13と約または少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの軽鎖定常領域(CL)の配列は、配列番号14と約または少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの軽鎖定常領域の配列は、配列番号15と約または少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。
【0090】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、T11、T11、及びT11として当該技術分野で周知のヒトCD2の3つの領域に向けられ得る(Peterson,A.,Seed,B.,1987.Nature329,842-846;Branco et al.,1999.Transplantation68,1588-1596;Arulanandam,A.R.,et al.,1993.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90,11613-11617;Damschroder et al.,2004.Molecular Immunology41,985-1000)。シプリズマブへの結合に重要であるヒトCD2の接着ドメイン中の3つの残基は、N18、K55、及びT5である(Damschroder et al.,2004.Molecular Immunology41,985-1000)。特定の実施形態では、細胞外CD2ドメイン中の残基N18、K55、及びT59は、ヒトCD2に対する本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの結合親和性における重要な残基である。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブと同じエピトープに結合する。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブと競合的にヒトCD2に結合する。
【0091】
特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのDNA配列は、製造中に産物収量を最適化するように変更され得る。生成されるアミノ酸配列は、表1に記載されるものと同じであり得るため、配列最適化は、生産中の分子の産物品質分泌に影響を与えずに、産物収量を増加させることができる。抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント重鎖及び軽鎖の最適化されたDNA配列は、表2に示される。
【表2】
【0092】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの重鎖配列は、配列番号16と約または少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの軽鎖定常領域の配列は、配列番号17と約または少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。
【0093】
特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、CD58/CD2シグナル伝達カスケードを妨害する。特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、CD58を遮断する。CD58/CD2経路を阻害する化合物の例は、アレファセプトである。
【0094】
特定の実施形態では、シプリズマブの枯渇型は、自己免疫疾患(例えば、臓器または組織移植の結果として発生する)の治療のために使用されるか、または臓器または組織移植を有するか、または受けるであろう対象において使用され得る。
【0095】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体依存性細胞傷害(「ADCC」)を有しないか、またはそれが低減している。特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、限定されないが、Fcサイレンシング、サブクラス切り替え、脱グリコシル化、及びFc領域の他の変異または改変を含む方法を使用して、ADCCの低減または非存在を示すように生成することができる。これらの方法は、例えば、米国仮出願第63/135,381に記載されており、これは、本明細書に記載の方法において使用され得る抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの非限定的な例に関して、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0096】
ADCC活性は、任意の市販のキット(例えば、Promega ADCC Reporter Bioassay,Core Kit(Cat.#G7010,G7018)を参照)、または任意の適切なアッセイにより決定することができる。そのようなアッセイには、フローサイトメトリーに基づくアッセイ、蛍光定量アッセイ、または生物発光レポーターアッセイが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0097】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、in vitroアッセイにおいてシプリズマブのADCC活性の最大90%を示す。このようなアッセイの例は、Golay et al.,Haematologica. January2003;88:1002-1012の方法に記載されている。具体的には、本明細書において提供される抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブと比較して、最大で0%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または最大90%のADCC活性を示す。
【0098】
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのin vivo投与は、臨床状態のヒト化マウスモデルまたはヒト対象におけるシプリズマブのin vivo投与と比較して、最大で90%のADCC活性を示す。具体的には、本明細書に提供されるCD2結合分子(または抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント)のin vivo投与は、臨床状態のヒト化マウスモデルまたはヒト対象におけるシプリズマブのin vivo投与と同様に、最大で0%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または最大で90%のADCC活性を示す。
【0099】
本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントによって示される免疫調節活性には、限定されるものではないが、CD4+/CD25+T細胞の活性化及び増殖の阻害、増加したFOXP3制御性T細胞の割合、及びCD69+NK細胞の抑制が挙げられ得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブと同じ免疫調節活性(例えば、同じタイプ及び同じレベル)を示す。免疫調節活性の決定は、当該技術分野で周知の任意の適切な方法により達成することができる。これらの方法には、細胞増殖アッセイ、T細胞活性化機能アッセイ、ELISPOTアッセイ、細胞内染色、サイトカイン捕捉、四量体染色、スペクトル型決定アッセイ、及びバイオセンサーアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。一例として、T細胞活性化は、任意の市販のアッセイキット(例えば、Promega T Cell Activation Bioassay(NFATまたはIL-2)(Cat.#J1621またはJ1651)を参照)、または任意の適切なアッセイによって決定することが可能であり、簡単にアッセイプレートを抗CD3抗体でコーティングし、ヒトPBMCまたはマウス末梢標的細胞を添加し、抗CD28を細胞に添加し、増殖を定量するアッセイである。
【0100】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合は、in vitroアッセイにおいてシプリズマブによって達成されるレベルの約、または少なくとも約50%のレベルまで、CD4+/CD25+T細胞の活性化及び増殖を阻害することができる。このようなアッセイの例は、Ng et al.,Blood2001;98:2736-2744の方法に記載されている。具体的には、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブによって達成されるレベルの約または少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%のレベルまで、in vitroでCD4+/CD25+T細胞の活性化及び増殖を阻害することができる。
【0101】
特定の実施形態では、本明細書に提供される抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのin vivo投与は、臨床状態のヒト化マウスモデルまたはヒト対象におけるシプリズマブのin vivo投与と比較して、約または少なくとも約50%のレベルのCD4+/CD25+T細胞の活性化/増殖を示す。具体的には、本明細書に提供される抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのin vivo投与は、臨床状態のヒト化マウスモデルまたはヒト対象におけるシプリズマブのin vivo投与と比較して、約または少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%のレベルのCD4+/CD25+T細胞の活性化/増殖を示す。
【0102】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブと比較して、FOXP3制御性T細胞の量を増加させることができる。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、in vitroアッセイにおいてシプリズマブによって達成される量の約または少なくとも約50%のレベルまで、FOXP3制御性T細胞の量を増加させることができる。そのようなアッセイの例は、Sambucci et al.,Scientific Reports.8:3674(2018)の方法に記載されている。具体的には、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブによって達成されるFOXP3制御性T細胞の量の約または少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%のレベルまで、in vitroでFOXP3制御性T細胞の量を増加させることができる。
【0103】
特定の実施形態では、本明細書に提供される抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのin vivo投与は、臨床状態のヒト化マウスモデルまたはヒト対象におけるシプリズマブのin vivo投与と比較して、約または少なくとも約50%のレベルのFOXP3制御性T細胞を示す。具体的には、本明細書に提供される抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのin vivo投与は、臨床状態のヒト化マウスモデルまたはヒト対象におけるシプリズマブのin vivo投与と比較して、約または少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%のレベルのFOXP3制御性T細胞を示す。
【0104】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブと比較して、CD69+NK細胞の発現を阻害することができる。特定の実施形態では、本明細書において提供される抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、in vitroアッセイにおけるシプリズマブと比較して、約または最大約50%まのCD69+NK細胞の発現を示す。このようなアッセイの例は、Thum et el.,Human Reproduction.19:10,pp.2395-2400,2004の方法に記載されている。具体的には、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブと比較して、in vitroで最大10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または最大90%のCD69+NK細胞の発現を示す。
【0105】
特定の実施形態では、本明細書に提供される抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのin vivo投与は、臨床状態のヒト化マウスモデルまたはヒト対象におけるシプリズマブのin vivo投与と比較して、約または最大約50%のCD69+NK細胞の発現を示す。具体的には、特定の実施形態では、本明細書に提供される抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのin vivo投与は、臨床状態のヒト化マウスモデルまたはヒト対象におけるシプリズマブのin vivo投与と比較して、約または最大約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または最大約90%のCD69+NK細胞の発現を示す。
【0106】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの投与は、免疫調節活性を保持しながら、レシピエントにおけるADCC活性を完全に排除する。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1抗体であり、Fc領域に改変を有する。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG2抗体であり、Fc領域に改変を有する。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG3抗体であり、Fc領域に改変を有する。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4抗体であり、Fc領域に改変を有する。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブと比較して、少なくとも1つの変異(例えば、約または少なくとも1つの、約または少なくとも2つの、約または少なくとも3つの、約または少なくとも4つの、約または少なくとも5つの、約または少なくとも6つの、約または少なくとも7つの、約または少なくとも8つの、約または少なくとも9つの、約または少なくとも10個の、または約10個超の変異)を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブに関して、約1つの変異、約2つの変異、約3つの変異、約4つの変異、約5つの変異、約6つの変異、約7つの変異、約8つの変異、約9つの変異、約10個の変異、または約10個超の変異(例えば、シプリズマブのFc領域における変異)を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1重鎖中にシプリズマブCDR、及び、少なくとも1つの変異(例えば、約または少なくとも1つの、約または少なくとも2つの、約または少なくとも3つの、約または少なくとも4つの、約または少なくとも5つの、約または少なくとも6つの、約または少なくとも7つの、約または少なくとも8つの、約または少なくとも9つの、約または少なくとも10個の、または約10個超の変異)を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG2重鎖中にシプリズマブCDR、及び、少なくとも1つの変異(例えば、約または少なくとも1つの、約または少なくとも2つの、約または少なくとも3つの、約または少なくとも4つの、約または少なくとも5つの、約または少なくとも6つの、約または少なくとも7つの、約または少なくとも8つの、約または少なくとも9つの、約または少なくとも10個の、または約10個超の変異)を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG3重鎖中にシプリズマブCDR、及び、少なくとも1つの変異(例えば、約または少なくとも1つの、約または少なくとも2つの、約または少なくとも3つの、約または少なくとも4つの、約または少なくとも5つの、約または少なくとも6つの、約または少なくとも7つの、約または少なくとも8つの、約または少なくとも9つの、約または少なくとも10個の、または約10個超の変異)を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4重鎖中にシプリズマブCDR、及び、少なくとも1つの変異(例えば、約または少なくとも1つの、約または少なくとも2つの、約または少なくとも3つの、約または少なくとも4つの、約または少なくとも5つの、約または少なくとも6つの、約または少なくとも7つの、約または少なくとも8つの、約または少なくとも9つの、約または少なくとも10個の、または約10個超の変異)を含む。変異は、野生型対応物と比較して、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのアミノ酸配列における少なくとも1つの変化を含むことができ、この変化は、Fc領域のその同族受容体への結合の低減または排除をもたらす。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、アミノ酸位置L234、L235、P329、V234、G237、P238、H268、V309、A330、P331、及び/またはS228における変異を含む(例えば、Edelman(EU)番号付けに基づく)。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、アミノ酸位置L234及び/またはL235における変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、アミノ酸位置L234、L235及び/またはP329における変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、アミノ酸位置V234、G237、P238、H268、V309、A330、及び/またはP331における変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、アミノ酸位置S228における変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、アミノ酸位置S228、P329及び/またはL235における変異を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、L234A(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、L235A(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、P329G(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、V234A(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、G237A(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、P238S(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、H268A(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、V309L(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、A330S(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、P331S(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、S228P(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、L235E(または別の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、L234A及びL235A(または他の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、P329G、L234A及びL235A(または他の保存的アミノ酸変異)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、V234A、G237A、P238S、H268A、V309L、A330S、及びP331S(または他の保存的アミノ酸変異)(例えば、IgG2について)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、S228P(または別の保存的アミノ酸変異)(例えば、IgG4について)を含む。いくつかの実施形態では、変異は、1つ以上の変異であり、P329G、S228P及びL235E(または別の保存的アミノ酸変異)(例えば、IgG4について)を含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸位置は、任意の抗体番号付けスキーム(例えば、Edelman(EU)番号付け)に基づく位置である。いくつかの実施形態では、アミノ酸位置は、Edelman(EU)番号付けに基づく位置である。いくつかの実施形態では、アミノ酸位置は、Kabat番号付けスキームに基づく位置である。いくつかの実施形態では、アミノ酸位置は、Clothia番号付けスキームに基づく位置である。いくつかの実施形態では、アミノ酸位置は、IMGT番号付けスキームに基づく位置である。
【0107】
改変は、野生型Fc領域と比較して、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントFc領域のアミノ酸配列における少なくとも1つの変化を含むことができ、この変化は、Fc領域のその同族受容体への結合の低減または排除をもたらす。Fc受容体は、B細胞、NK細胞、マクロファージ、及び好中球を含む免疫エフェクター細胞上に位置する。理論に束縛されるものではないが、野生型IgGにおいて、Fc受容体(FcR)とのFc相互作用は、免疫細胞の食作用活性または細胞傷害活性を刺激することを含む下流のエフェクター細胞機能をもたらす。Fc/FcR相互作用の低減または排除は、エフェクター機能の排除をもたらす。
【0108】
特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブと比較して、FcγRIIIA受容体に対する結合の低下を示す。特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブと比較して、FcγRIIA受容体に対する結合の低下を示す。特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブと比較して、FcγRI受容体に対する結合の低下を示す。特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブと比較して、FcγRIIIA受容体に対する結合の増加を示す。特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブと比較して、FcγRIIA受容体に対する結合の増加を示す。特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブと比較して、FcγRI受容体に対する結合の増加を示す。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブによって示される結合能の約、少なくとも約、または最大約0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%で結合する。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体または抗原結合フラグメントは、シプリズマブによって示される結合能(例えば、FcγRIIA、FcγRIIIA、及び/またはFcγRIに対する)と比較して、約または少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%高い結合能(例えば、FcγRIIA、FcγRIIIA、及び/またはFcγRIに対する)を有する。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体または抗原結合フラグメントは、シプリズマブによって示される結合能(例えば、FcγRIIA、FcγRIIIA、及び/またはFcγRIに対する)と比較して、約または少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%低い結合能(例えば、FcγRIIA、FcγRIIIA、及び/またはFcγRIに対する)を有する。結合事象を検出するためのアッセイには、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)及び/またはBiacore系など表面プラズモン共鳴(SPR)法が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0109】
特定の実施形態では、Fc領域は、該技術分野で周知の任意の適切な方法によって改変され得る。特定の実施形態では、改変は、Fcサイレンシングをもたらし得る。特定の実施形態では、改変は、IgG Fcのアミノ酸配列の変異を含み得る。特定の実施形態では、改変は、グリコシル化部位(N297)またはN297を含むコンセンサス配列の変異を含み得る。特定の実施形態では、改変は、FcγR及びC1q結合を阻害する変異を含み得る。特定の実施形態では、これらの変異は、変異K322A、L234A及びL235Aのいずれかまたはすべてを含み得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、Fcが存在しないFabであり得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG4抗体である。理論に束縛されるものではないが、IgG4サブクラスは、ADCCを含むエフェクター機能が欠如していることから治療目的に望ましい(Davies and Sutton,Immunol Rev.2015Nov;268(1):139-15)。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG2抗体である。理論に束縛されるものではないが、IgG2サブクラスの治療的に有益な特徴には、IgG2が胎盤を横切らないこと(Einarsdottir et al.,PLoS One.2014Sep24;9(9):e108319)、及びIgG2はFc受容体結合能力が低い/有さないこと(Vidarsson et al.,Front Immunol.2014;5:520)ことが挙げられる。
【0110】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗原結合可変領域及びFc領域を有し得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのFc領域は、抗体の重鎖の各々にグリコシル化コンセンサス配列を含む。特定の実施形態では、グリコシル化コンセンサス配列は、Asn-X-Serである。特定の実施形態では、グリコシル化コンセンサス配列は、Asn-X-Thrである。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、Asn297においてグリコシル化される。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントはグリコシル化されている。特定の実施形態では、アスパラギン残基に結合したグリカンは、N結合型グリカンであり得る。特定の実施形態では、アスパラギン残基に結合したグリカンは、O結合型グリカンであり得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖のAsn297上に単一のN結合グリコシル化部位を含み得る。
【0111】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、Fcグリコシル化コンセンサス配列においてグリコシル化され得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、グリコシル化されている。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの脱グリコシル化は、Fc領域を改変することによって、具体的にはN297位に点変異を導入することによって達成される。特定の実施形態では、297位(N297)に導入される変異は、N297G、N297Q、またはN297Aであり得るが、これらに限定されない。理論に束縛されるものではないが、N297点変異は、Fcシグナル伝達のグリコシル化及びサイレンシングの欠如をもたらし得る。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの脱グリコシル化は、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのグリカン構造の化学的または酵素的分解によって達成される。ある特定の実施形態では、グリカン分解の化学的または酵素的方法は、Fcアミノ酸配列を保存する。
【0112】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの定常領域は、異なるサブクラスの抗体の定常領域と交換することができる。理論に束縛されるものではないが、可変領域は変化しないが、サブクラス交換抗体は、異なるエフェクター分子と相互作用しながら、その特異的親和性を保持する(Valenzuela and Schaub,Transplantation.2018Jan;102(1S Suppl 1):S7-S13)。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの定常領域は、異なる抗体の定常領域と交換することができる。ある特定の実施形態では、この交換により、抗CD2抗体またはその抗原結合性フラグメントは、本来のものとは異なるサブクラスの抗体となる。特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの定常領域は、可変領域の特異的結合を維持しながら、異なる抗体と交換することができる。特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの定常領域は、異なる抗体と交換し、特異的可変領域は保存することができ、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのVH領域は、配列番号1と約または少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのVL領域の配列は、配列番号2と約または少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である。
【0113】
特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブと同じヒトCD2のエピトープに特異的に結合する。特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、動物特異的抗体、ヒト特異的抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、全長抗体、抗体フラグメント、一本鎖可変フラグメント(scFv)、天然に存在する抗体、合成抗体、操作された抗体、追加的成分がFc領域に付加される拡大抗CD2変異体(例えば、成分は、scFv、CH2ドメイン、及び/またはCH3ドメインを含むことができる)、またはそれらの組み合わせであり得る。特定の実施形態では、抗体Fc領域は、Fcサイレンシングをもたらす点変異(例えば、N297における)を有する。特定の実施形態では、抗体は、IgG1である。特定の実施形態では、抗体は、IgG2である。特定の実施形態では、抗体は、IgG4である。特定の実施形態では、抗体は、シプリズマブとは異なる天然定常領域を有する。特定の実施形態では、抗体は、シプリズマブとは異なる天然定常領域、及びFc領域にFcサイレンシングをもたらす点変異を有する。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化抗CD2モノクローナル抗体である。特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブである。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、改変されたFc領域を有し得、この改変は、Fcサイレンシングをもたらす点変異、交換された天然定常領域、またはFcサイレンシングされ交換された新しい天然定常領域を含むことができるが、これらに限定されない。これらの異なる抗体サブクラス及び改変は異なるバージョンの抗CD2抗体またはそれらの抗原結合フラグメントを産生し、これらは表3に概説される。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗体のIgG1、IgG2、またはIgG4サブクラスであり得る。
【表3】
【0114】
抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの比較を表4に概説する。
【表4】
【0115】
特定の実施形態では、上記の例を含む本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブと比較してADCC活性をほとんどまたは全く有さないが、シプリズマブによって示される免疫調節効果を保持する。特定の実施形態では、本明細書において提供される抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、非改変IgG1抗体の分子量よりも高い分子量を有し得る。特定の実施形態では、この分子量の増加は、分子の重複領域の追加によって達成され得る。特定の実施形態では、領域は、限定されないが、化学的共役、組換え融合、及び共有結合などの当技術分野において周知のそのような手段を介して、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントに結合され得る。
【0116】
特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントに結合される追加の領域には、限定されないが、追加の可変重鎖(VH)、追加の可変軽鎖(VL)、追加のVHと追加のVLとの融合を含むscFv、追加のCH2ドメイン、または追加のCH3ドメインなどの分子の重複領域が挙げられる。特定の実施形態では、追加の領域は、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのFc領域に結合され得る。
【0117】
特定の実施形態では、scFvは、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのFc領域に結合され得る。特定の実施形態では、scFvは、シプリズマブのVHとVLとの融合を含み得る。特定の実施形態では、scFvは、VHとVLとの融合を含み得、VHは、配列番号1のアミノ酸配列を含み得、VLは、配列番号2のアミノ酸配列を含み得る。特定の実施形態では、scFvはCD2に結合する。ある特定の実施形態では、scFvのCDRは、シプリズマブのCDRと同じである。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのFc領域に結合したscFvは、CD2上のエピトープに結合する。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのFc領域に結合したscFvは、シプリズマブと同じCD2のエピトープに結合する。特定の実施形態では、scFvは、IgG2抗体またはIgG4抗体から生成され得る。
【0118】
特定の実施形態では、追加のCH2ドメインをFcに結合させることができる。特定の実施形態では、CH2ドメインは、配列番号18または19のアミノ酸配列と、約または少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、追加のCH2ドメインは、IgG2抗体またはIgG4抗体から生成され得る。特定の実施形態では、追加のCH3ドメインをFcに結合させることができる。特定の実施形態では、CH3ドメインは、配列番号20または21のアミノ酸配列と、約または少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、追加のCH3ドメインは、IgG2抗体またはIgG4抗体から生成され得る。特定の実施形態では、追加のドメインは、FcのC末端に結合させることができる。特定の実施形態では、ドメインは、限定されないが、化学的共役、組換え融合、及び共有結合などの当技術分野において周知のそのような手段を介して、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントに結合され得る。特定の実施形態では、ドメインは、限定されないが、化学的共役、組換え融合、及び共有結合などの当技術分野において周知のそのような手段を介して、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントに結合され得る。開示及びその産生において使用され得るCD2抗体またはその抗原結合フラグメントの例は、例えば、米国特許仮出願第63/042,844号に記載され、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0119】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1のVH、配列番号2のVL、配列番号9のCH、及び配列番号14のCL;配列番号1のVH、配列番号2のVL、配列番号10のCH、及び配列番号14のCL;配列番号1のVH、配列番号2のVL、配列番号11のCH、及び配列番号14のCL;配列番号1のVH、配列番号2のVL、配列番号12のCH、及び配列番号14のCL;または、配列番号1のVH、配列番号2のVL、配列番号13のCH、及び配列番号14のCLを含み得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1のVH、配列番号2のVL、配列番号9のCH、及び配列番号15のCL;配列番号1のVH、配列番号2のVL、配列番号10のCH、及び配列番号15のCL;配列番号1のVH、配列番号2のVL、配列番号11のCH、及び配列番号15のCL;配列番号1のVH、配列番号2のVL、配列番号12のCH、及び配列番号15のCL;または、配列番号1のVH、配列番号2のVL、配列番号13のCH、及び配列番号15のCLを含み得る。
【0120】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号16の重鎖;配列番号2のVL、及び配列番号14のCL;配列番号16の重鎖;配列番号2のVL、及び配列番号15のCL;配列番号1のVH;配列番号9のCH;及び配列番号17の軽鎖;配列番号1のVH;配列番号10のCH;及び配列番号17の軽鎖;配列番号1のVH;配列番号11のCH;及び配列番号17の軽鎖;配列番号1のVH;配列番号12のCH;及び配列番号17の軽鎖;配列番号1のVH;配列番号13のCH;及び配列番号17の軽鎖;または配列番号16の重鎖及び配列番号17の軽鎖を含み得る。
【0121】
特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、拡大変異体を含み得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのFcは、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの分子量が10kDa、11kDa、12kDa、13kDa、14kDa、15kDa、16kDa、17kDa、18kDa、19kDa、20kDa、21kDa、22kDa、23kDa、24kDa、25kDa、26kDa、27kDa、28kDa、29kDa、30kDa、31kDa、32kDa、33kDa、34kDa、35kDa、36kDa、37kDa、38kDa、39kDa、40kDa、41kDa、42kDa、43kDa、44kDa、45kDa、46kDa、47kDa、48kDa、49kDa、50kDa、51kDa、52kDa、53kDa、54kDa、55kDa、56kDa、57kDa、58kDa、59kDa、または60kDa増加するような追加の領域を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのFcは、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの分子量が、10kDa~15kDa、11kDa~16kDa、12kDa~17kDa、13kDa~18kDa、14kDa~19kDa、15kDa~20kDa、16kDa~21kDa、17kDa~22kDa、18kDa~23kDa、19kDa~24kDa、20kDa~25kDa、21kDa~26kDa、22kDa~27kDa、23kDa~28kDa、24kDa~29kDa、25kDa~30kDa、26kDa~31kDa、27kDa~32kDa、28kDa~33kDa、29kDa~34kDa、30kDa~35kDa、31kDa~36kDa、32kDa~37kDa、33kDa~38kDa、34kDa~39kDa、35kDa~40kDa、36kDa~41kDa、37kDa~42kDa、38kDa~43kDa、39kDa~44kDa、40kDa~45kDa、41kDa~46kDa、42kDa~47kDa、43kDa~48kDa、44kDa~49kDa、45kDa~50kDa、46kDa~51kDa、47kDa~52kDa、48kDa~53kDa、49kDa~54kDa、50kDa~55kDa、51kDa~56kDa、52kDa~57kDa、53kDa~58kDa、54kDa~59kDa、または55kDa~60kDaの範囲で増加するような追加の領域を含む。
【0122】
特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの重複領域を分子に結合させて、拡大変異体を生成することができる。特定の実施形態では、これらの領域は、限定されないが、化学的共役、組換え融合、及び共有結合などの当技術分野において周知のそのような手段を介して、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのFc領域に結合され得る。
【0123】
特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの拡大変異体は、IgG1、IgG2、またはIgG4に由来し得る。特定の実施形態では、追加のscFvを抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのFcに結合させて、拡大変異体を生成することができる。特定の実施形態では、scFvは、VH及びVLを含むことができ、VHは、配列番号1のアミノ酸配列と約または少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含むことができ、VLは、配列番号2のアミノ酸配列と約または少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を含むことができる。
【0124】
特定の実施形態では、追加のCH2ドメインを抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのFcに結合させて、拡大変異体を生成することができる。特定の実施形態では、追加のCH2ドメインは、配列番号18または19のアミノ酸配列と、約または少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。特定の実施形態では、追加のCH3ドメインを抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのFcに結合させて、拡大変異体を生成することができる。特定の実施形態では、追加のCH3ドメインは、配列番号20または21のアミノ酸配列と、約または少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態では、追加のフラグメントまたはドメインは、FcのC末端に結合させることができる。特定の実施形態では、拡大された抗CD2変異体はIgG2抗体であり得る。特定の実施形態では、拡大された抗CD2変異体はIgG4抗体であり得る。拡大された抗CD2変異体の詳細を表5に示す。
【0125】
特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントに結合する追加の領域は、無関係または人工のアミノ酸配列を含み得る。特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントに結合する追加の領域は、別のヒトタンパク質由来の、構造ドメインなどのフラグメントを含むことができる。特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントに結合する追加の領域は、別のヒトタンパク質由来のドメインのフラグメントを含むことができる。特定の実施形態ではて、このような追加の領域の付加は、ヒトにおける親抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの結合活性を妨害せず、及び/または親抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントと比較して、得られる抗CD2結合剤の免疫原性を増加させない。
【表5】
【0126】
特定の実施形態では、本明細書に提供される前処置レジメンは、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを、移植及び/または細胞注入の前に移植レシピエントに投与することを含む。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、移植及び/または細胞注入の1日前、移植及び/または細胞注入の2日前、移植及び/または細胞注入の3日前、移植及び/または細胞注入の4日前、移植及び/または細胞注入の5日前、移植及び/または細胞注入の6日前、移植及び/または細胞注入の7日前、移植及び/または細胞注入の8日前、移植及び/または細胞注入の9日前、移植及び/または細胞注入の10日前、または移植及び/または細胞注入の10日超前にレシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、移植及び/または細胞注入の1日後、移植及び/または細胞注入の2日後、移植及び/または細胞注入の3日後、移植及び/または細胞注入の4日後、移植及び/または細胞注入の5日後、移植及び/または細胞注入の6日後、移植及び/または細胞注入の7日後、移植及び/または細胞注入の8日後、移植及び/または細胞注入の9日後、移植及び/または細胞注入の10日後、または移植及び/または細胞注入の10日超後にレシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、移植及び/または細胞注入と同じ日にレシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、移植及び/または細胞注入の6日前、移植及び/または細胞注入の1日前、移植及び/または細胞注入と同じ日、ならびに移植及び/または細胞注入の1日後;移植及び/または細胞注入の6日前、移植及び/または細胞注入の1日前、移植及び/または細胞注入と同じ日、移植及び/または細胞注入の1日後、及び移植及び/または細胞注入の6日後;移植及び/または細胞注入の1日前;移植及び/または細胞注入の1日後;移植及び/または細胞注入と同じ日;移植及び/または細胞注入の6日前;移植及び/または細胞注入の6日後;移植及び/または細胞注入の1日前ならびに移植及び/または細胞注入と同じ日;移植及び/または細胞注入の1日後ならびに移植及び/または細胞注入と同じ日;移植及び/または細胞注入の1日前ならびに移植及び/または細胞注入の1日後;移植及び/または細胞注入の1日及び/または2日前;移植及び/または細胞注入の2日及び/または3日前;移植及び/または細胞注入の3日及び/または4日前;移植及び/または細胞注入の1日及び/または2日及び/または3日前;移植及び/または細胞注入の1日及び/または2日及び/または3日及び/または4日前;移植及び/または細胞注入の1日及び/または2日及び/または3日及び/または4日前、及び/または移植及び/または細胞注入の5日及び/または6日前;移植及び/または細胞注入の1日及び/または2日後;移植及び/または細胞注入の2日及び/または3日後;移植及び/または細胞注入の3日及び/または4日後;移植及び/または細胞注入の1日及び/または2日及び/または3日後;移植及び/または細胞注入の1日及び/または2日及び/または3日及び/または4日後;移植及び/または細胞注入の1日及び/または2日及び/または3日及び/または4日及び/または5日及び/または6日後にレシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、移植及び/または細胞注入の2日前にレシピエントに投与されない。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、移植及び/または細胞注入前に、約、少なくとも約、または最大約1回(または1日)、2回(または2つの異なる日)、3回(または3つの異なる日)、4回(または4つの異なる日)、5回(または5つの異なる日)、6回(または6つの異なる日)、7回(または7つの異なる日)、8回(または8つの異なる日)、9回(または9つの異なる日)、10回(または10個の異なる日)、または10回超(または10個超の異なる日)レシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、移植及び/または細胞注入後に、約、少なくとも約、または最大約1回(または1日)、2回(または2つの異なる日)、3回(または3つの異なる日)、4回(または4つの異なる日)、5回(または5つの異なる日)、6回(または6つの異なる日)、7回(または7つの異なる日)、8回(または8つの異なる日)、9回(または9つの異なる日)、10回(または10個の異なる日)、または10回超(または10個超の異なる日)レシピエントに投与される。ある特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、移植及び/または細胞注入の1日前及び6日前にレシピエントに投与される。ある特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、移植及び/または細胞注入の1日前、6日前、移植及び/または細胞注入の当日、移植及び/または細胞注入の1日後及び/または6日後にレシピエントに投与される。特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの試験用量が投与され得る。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、移植後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、移植後約または少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、21日、30日、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、または12か月超後に対象に投与される。特定の実施形態では、試験用量の投与は任意選択である。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントが、1回超または1日超移植レシピエントに投与される場合、投与量は、全日で同じ及び/または投与当たり同じである。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントが、1回超または1日超移植レシピエントに投与される場合、投与量は、全日で同じ及び/または投与当たり同じではない。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、0.6mg/kgの用量で移植レシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、0.1mg/kgの用量で移植レシピエントに投与されない。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、移植及び/または細胞注入の2日前に0.1mg/kgの用量で移植レシピエントに投与されない。
【0127】
特定の実施形態では、術後レジメンにおいてレシピエントに投与される抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの用量は、前処置レジメンにおいて投与される用量と同じである。特定の実施形態では、術後レジメンにおいてレシピエントに投与される抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの用量は、前処置レジメンにおいて投与される用量と異なる。
【0128】
特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、約、少なくとも約、または最大約0.05mg/kg/用量、0.1mg/kg/用量、0.15mg/kg/用量、0.2mg/kg/用量、0.25mg/kg/用量、0.3mg/kg/用量、0.35mg/kg/用量、0.4mg/kg/用量、0.45mg/kg/用量、0.5mg/kg/用量、0.55mg/kg/用量、0.6mg/kg/用量、0.65mg/kg/用量、0.7mg/kg/用量、0.75mg/kg/用量、0.8mg/kg/用量、0.85mg/kg/用量、0.9mg/kg/用量、0.95mg/kg/用量、または1.0mg/kg/用量の用量で移植レシピエントに投与される。特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、約0.6mg/kgの用量で移植レシピエントに投与される。特定の実施形態では、抗CD2抗体は、約、少なくとも約、または最大約0.1~0.3mg/用量、0.2~0.4mg/用量、0.3~0.5mg/用量、0.4~0.6mg/用量、0.45~0.65mg/用量、0.5~0.7mg/用量、0.55~0.75mg/用量、0.6~0.8mg/用量、0.65~0.85mg/用量、0.7~0.9mg/用量、または0.8~1.0mg/用量の用量範囲で移植レシピエントに投与される。特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、0.1mg/kg/用量の用量で移植レシピエントに投与される。特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、0.6mg/kg/用量の用量で移植レシピエントに投与される。
【0129】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、必要とする対象に、約、少なくとも約、または最大約0.01mg/kg/用量、0.02mg/kg/用量、0.03mg/kg/用量、0.04mg/kg/用量、0.05mg/kg/用量、0.1mg/kg/用量、0.15mg/kg/用量、0.2mg/kg/用量、0.25mg/kg/用量、0.3mg/kg/用量、0.35mg/kg/用量、0.4mg/kg/用量、0.45mg/kg/用量、0.5mg/kg/用量、0.55mg/kg/用量、0.6mg/kg/用量、0.65mg/kg/用量、0.7mg/kg/用量、0.75mg/kg/用量、0.8mg/kg/用量、0.85mg/kg/用量、0.9mg/kg/用量、0.95mg/kg/用量、1.0mg/kg/用量、2.0mg/kg/用量、3.0mg/kg/用量、4.0mg/kg/用量、5.0mg/kg/用量、6.0mg/kg/用量、7.0mg/kg/用量、8.0mg/kg/用量、9.0mg/kg/用量、10mg/kg/用量、11mg/kg/用量、12mg/kg/用量、13mg/kg/用量、14mg/kg/用量、15mg/kg/用量、16mg/kg/用量、17mg/kg/用量、18mg/kg/用量、19mg/kg/用量、20mg/kg/用量、21mg/kg/用量、22mg/kg/用量、23mg/kg/用量、24mg/kg/用量、25mg/kg/用量、26mg/kg/用量、27mg/kg/用量、28mg/kg/用量、29mg/kg/用量、30mg/kg/用量、31mg/kg/用量、32mg/kg/用量、33mg/kg/用量、34mg/kg/用量、35mg/kg/用量、36mg/kg/用量、37mg/kg/用量、38mg/kg/用量、39mg/kg/用量、40mg/kg/用量、41mg/kg/用量、42mg/kg/用量、43mg/kg/用量、44mg/kg/用量、45mg/kg/用量、46mg/kg/用量、47mg/kg/用量、48mg/kg/用量、49mg/kg/用量、または50mg/kg/用量の用量で、必要とする対象に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは0.1~0.3mg/kg/用量、0.2~0.4mg/kg/用量、0.3~0.5mg/kg/用量、0.4~0.6mg/kg/用量、0.45~0.65mg/kg/用量、0.5~0.7mg/kg、0.55~0.75mg/kg/用量、0.6~0.8mg/kg/用量、0.65~0.85mg/kg/用量、0.7~0.9mg/kg/用量、0.8~1.0mg/kg/用量、1.0mg/kg/用量~6.0mg/kg/用量、5.0mg/kg/用量~10mg/kg/用量、9.0mg/kg/用量~15mg/kg/用量、14mg/kg/用量~20mg/kg/用量、19mg/kg/用量~25mg/kg/用量、24mg/kg/用量~30mg/kg/用量、29mg/kg/用量~35mg/kg/用量、34mg/kg/用量~40mg/kg/用量、39mg/kg/用量~45mg/kg/用量、または44mg/kg/用量~50mg/kg/用量の用量で、必要とする対象に投与される。
【0130】
いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、約、少なくとも約、または最大約1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、2000mg、2100mg、2200mg、2300mg、2400mg、2500mg、2600mg、2700mg、2800mg、2900mg、3000mg、3100mg、3200mg、3300mg、3400mg、3500mg、3600mg、3700mg、3800mg、3900mg、4000mg、4100mg、4200mg、4300mg、4400mg、4500mg、4600mg、4700mg、4800mg、4900mg、5000mg、1000mg~1600mg、1500mg~2100mg、2000mg~2600mg、2500mg~3100mg、3000mg~3600mg、3500mg~4100mg、4000mg~4600mg、または4500mg~5000mgの量で移植レシピエントに投与される。いくつか実施形態では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、それを必要とする対象に2400mgの量で投与され得る。
【0131】
特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、皮下、静脈内、血管内、局所、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口、眼窩内、吸入による、経皮的、腹腔内、またはレシピエントにおけるT細胞の枯渇を可能にする投与経路を含む、当技術分野で周知の簡便な方法で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、静脈内投与される。
【0132】
特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化モノクローナル抗体である。ある特定の実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、シプリズマブ(MEDI-507)であり得る。特定の実施形態、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの投与は、混合キメリズムを達成及び/または維持するために、本明細書に記載されるように改変され得る。
【0133】
理論に束縛されるものではないが、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、レシピエントにおける制御性T細胞のレベルを増加させる。具体的には、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントは、レシピエントにおけるFOXP3制御性T細胞のレベルを、例えば、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントによる処置を伴わないFOXP3制御性T細胞と比較して、約または少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、125%、150%、175%、200%、または少なくとも250%増加させ得る。
【0134】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント、及び1つ以上の免疫抑制剤の投与を含む。理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの投与と組み合わせることができる免疫抑制剤には、タクロリムス、シクロスポリン、ベラタセプト、抗CD40抗体、抗CD40L(CD154)、抗OX40、抗OX40L抗体、抗CD28抗体、抗CD27抗体、抗ICOS抗体、抗またはアゴニスト性4-1BB(CD137)抗体、BCL-2阻害剤、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸誘導体、例えばMyfortic(腸溶コーティングされたミコフェノールナトリウム)、シロリムス、エベロリムス、抗チモグロブリン、バシリキシマブ、プレドニゾン、シクロホスファミド、フルダラビン、及びリツキシマブが挙げられるが、これらに限定されない(Adams et al.,J Immunol,2016,197(6)2045-2050;Kinnear et al.,Transplantation.2013Feb27;95(4):527-535;Zhang and Vignali,Immunity.2016May17;44(5):1034-51)。
【0135】
5.3.3 シクロホスファミド
シクロホスファミドは、本明細書で使用する場合、免疫系を抑制するためにレシピエントに投与される化合物である。シクロホスファミド(2-[ビス(2-クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ-2H-1,3,2-オキシアザホスホリン2-オキシドー水和物)を投与して、移植臓器に対する耐性を誘導し、シクロホスファミドの商標名は、Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、及びEndoxan(登録商標)を含む。
【0136】
特定の実施形態、本明細書に提供される前処置レジメンは、移植の前にシクロホスファミドを移植レシピエントに投与することを含む。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、移植の3日前、移植の4日前、移植の5日前、移植の6日前、移植の3日及び4日前、移植の4日及び5日前、移植の5日及び6日前、移植の3日及び4日及び5日前、または移植の4日及び5日及び6日前にレシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、シクロホスファミドは、移植の5日及び6日前にレシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、シクロホスファミドは、移植の4日及び5日前にレシピエントに投与され得る。
【0137】
特定の実施形態では、本明細書に提供される前処置レジメンは、移植及び/または細胞注入の前にシクロホスファミドを移植レシピエントに投与することを含む。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、移植及び/または細胞注入の1日前、移植及び/または細胞注入の2日前、移植及び/または細胞注入の3日前、移植及び/または細胞注入の4日前、移植及び/または細胞注入の5日前、移植及び/または細胞注入の6日前、移植及び/または細胞注入の7日前、移植及び/または細胞注入の8日前、移植及び/または細胞注入の9日前、移植及び/または細胞注入の10日前、または移植及び/または細胞注入の10日超前にレシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、移植及び/または細胞注入の1日後、移植及び/または細胞注入の2日後、移植及び/または細胞注入の3日後、移植及び/または細胞注入の4日後、移植及び/または細胞注入の5日後、移植及び/または細胞注入の6日後、移植及び/または細胞注入の7日後、移植及び/または細胞注入の8日後、移植及び/または細胞注入の9日後、移植及び/または細胞注入の10日後、または移植及び/または細胞注入の10日超後にレシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、移植及び/または細胞注入と同じ日にレシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、移植及び/または細胞注入の4日前及び/または移植及び/または細胞注入の5日前;移植及び/または細胞注入と同じ日;移植及び/または細胞注入の4日前;移植及び/または細胞注入の5日前;移植及び/または細胞注入の1日前;移植及び/または細胞注入の1日後;移植及び/または細胞注入と同じ日;移植及び/または細胞注入の1日及び/または2日前;移植及び/または細胞注入の2日及び/または3日前;移植及び/または細胞注入の3日及び/または4日前;移植及び/または細胞注入の4日及び/または5日前;移植及び/または細胞注入の1日前及び/または2日前及び/または3日前;移植及び/または細胞注入の1日前及び/または2日前及び/または3日前及び/または4日前;移植及び/または細胞注入の1日前及び/または2日前及び/または3日前及び/または4日前及び/または5日前;移植及び/または細胞注入の1日前及び/または2日前及び/または3日前及び/または4日前及び/または5日前及び/または6日前;移植及び/または細胞注入の1日及び/または2日後;移植及び/または細胞注入の2日及び/または3日後;移植及び/または細胞注入の3日及び/または4日後;移植及び/または細胞注入の1日後及び/または2日後及び/または3日後;移植及び/または細胞注入の1日後及び/または2日後及び/または3日後及び/または4日後;移植及び/または細胞注入の1日後及び/または2日後及び/または3日後及び/または4日後及び/または5日後;移植及び/または細胞注入の1日後及び/または2日後及び/または3日後及び/または4日後及び/または5日後及び/または6日後にレシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、移植及び/または細胞注入前に、約、少なくとも約、または最大約1回(または1日)、2回(または2つの異なる日)、3回(または3つの異なる日)、4回(または4つの異なる日)、5回(または5つの異なる日)、6回(または6つの異なる日)、7回(または7つの異なる日)、8回(または8つの異なる日)、9回(または9つの異なる日)、10回(または10個の異なる日)、または10回超(または10個超の異なる日)レシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、移植及び/または細胞注入後に、約、少なくとも約、または最大約1回(または1日)、2回(または2つの異なる日)、3回(または3つの異なる日)、4回(または4つの異なる日)、5回(または5つの異なる日)、6回(または6つの異なる日)、7回(または7つの異なる日)、8回(または8つの異なる日)、9回(または9つの異なる日)、10回(または10個の異なる日)、または10回超(または10個超の異なる日)レシピエントに投与される。ある特定の実施形態では、シクロホスファミドは、移植及び/または細胞注入の4日前及び5日前にレシピエントに投与される。特定の実施形態では、試験用量のシクロホスファミドが投与され得る。特定の実施形態では、試験用量の投与は任意選択である。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドが、1回超または1日超移植レシピエントに投与される場合、投与量は、全日で同じ及び/または投与当たり同じである。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドが、1回超または1日超移植レシピエントに投与される場合、投与量は、全日で同じ及び/または投与当たり同じではない。特定の実施形態では、術後レジメンにおいてレシピエントに投与されるシクロホスファミドの用量は、前処置レジメンにおいて投与される用量と同じである。特定の実施形態では、術後レジメンにおいてレシピエントに投与されるシクロホスファミドの用量は、前処置レジメンにおいて投与される用量と異なる。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、予防的に投与される。
【0138】
特定の実施形態では、本明細書に提供される術後治療レジメンは、シクロホスファミドを移植レシピエントに投与することを含む。特定の実施形態では、シクロホスファミドは、移植当日、移植手術の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、または10日後に投与され得る。特定の実施形態では、シクロホスファミドは、移植手術当日から手術の2日後まで、植手術当日から手術の4日後まで、移植手術当日から手術の6日後まで、移植手術当日から手術の7日後まで、移植手術当日から手術の8日後まで、移植手術当日から手術の9日後まで、または、移植手術当から手術の10日後まで投与され得る。特定の実施形態では、シクロホスファミドは、移植手術当日から手術の7日後まで投与され得る。
【0139】
特定の実施形態では、シクロホスファミドは、約、少なくとも約、または最大約5mg/kg/用量、10mg/kg/用量、11mg/kg/用量、12mg/kg/用量、13mg/kg/用量、13.5mg/kg/用量、14mg/kg/用量、14.5mg/kg/用量、15mg/kg/用量、15.5mg/kg/用量、16mg/kg/用量、17mg/kg/用量、18mg/kg/用量、19mg/kg/用量、20mg/kg/用量、22.5mg/kg/用量、25mg/kg/用量、30mg/kg/用量、35mg/kg/用量、40mg/kg/用量、45mg/kg/用量、50mg/kg/用量、55mg/kg/用量、56mg/kg/用量、57mg/kg/用量、58mg/kg/用量、59mg/kg/用量、60mg/kg/用量、61mg/kg/用量、62mg/kg/用量、63mg/kg/用量、64mg/kg/用量、65mg/kg/用量、70mg/kg/用量、75mg/kg/用量、80mg/kg/用量、85mg/kg/用量、または90mg/kg/用量の用量で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、シクロホスファミドは、約60mg/kgの用量で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、シクロホスファミドは、約22.5mg/kgの用量で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、シクロホスファミドは、少なくとも約、または最大約60mg/kgの用量で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、シクロホスファミドは、少なくとも約、または最大約約22.5mg/kgの用量で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、シクロホスファミドは、5~15mg/kg/用量、10~20mg/kg/用量、15~25mg/kg/用量、15~65mg/kg/用量、20~30mg/kg/用量、25~35mg/kg/用量、30~40mg/kg/用量、35~45mg/kg/用量、40~50mg/kg/用量、45~55mg/kg/用量、50~60mg/kg、55~65mg/kg/用量、60~70mg/kg/用量、65~75mg/kg/用量、70~80mg/kg/用量、75~85mg/kg/用量、または80~90mg/kg/用量の用量範囲で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、シクロホスファミドは、約60mg/kg/用量の用量で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、シクロホスファミドは、約50mg/kg/用量の用量で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、シクロホスファミドは、約22.5mg/kg/用量の用量で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、シクロホスファミドは、約14.5mg/kg/用量の用量で移植レシピエントに投与され得る。
【0140】
ある特定の実施形態では、前処置レジメンは、患者へのシクロホスファミド及びフルダラビン投与を含み得る。特定の実施形態では、フルダラビンが患者に投与される場合、理論に束縛されないが、シクロホスファミドは、患者がフルダラビンを受けていない場合よりも低い用量で投与され得る。フルダラビンが前処置レジメンの成分として投与される場合、シクロホスファミド投与の濃度は、5~15mg/kg/用量、10~20mg/kg/用量、15~25mg/kg/用量、20~30mg/kg/用量、25~35mg/kg/用量、30~40mg/kg/用量、35~45mg/kg/用量、及び40~50mg/kg/用量を含み得る。いくつかの実施形態では、フルダラビンは10mg/mで投与され、シクロホスファミドは22.5mg/kgで対象に投与される。
【0141】
特定の実施形態では、シクロホスファミドは、皮下、静脈内、血管内、局所、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口、眼窩内、吸入による、経皮的、腹腔内、またはレシピエントによるシクロホスファミドの適切な活性を可能にする投与経路を含む、当技術分野で周知の簡便な方法で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、シクロホスファミドは静脈内投与される。
【0142】
特定の実施形態では、全身照射がシクロホスファミドの代わりに使用され得る。特定の実施形態では、シクロホスファミドの投与は、レシピエントにおいて混合キメリズムを達成及び/または維持するために、本明細書に記載されるように変更され得る。
【0143】
5.3.4 B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)
リツキシマブは、本明細書で使用される場合、免疫系を抑制するためにレシピエントに投与される抗CD20キメラモノクローナル抗体である。リツキシマブは、マウス可変領域及びヒト定常領域及びFc領域を有する。Fc領域は、ヒト補体に結合し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、及び補体依存性細胞傷害(CDC)を開始することができる。リツキシマブの投与は、B細胞の枯渇をもたらす。
【0144】
特定の実施形態では、本明細書に提供される前処置レジメンは、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)を移植レシピエントに投与することを含む。いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)の1用量を移植前に投与することができる。いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)の2用量を移植前に投与することができる。いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)の2用量超を移植前に投与することができる。
【0145】
いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)は、移植の1日前、移植の2日前、移植の3日前、移植の4日前、移植の5日前、移植の6日前、移植の7日前、移植の8日前、移植の9日前、移植の10日前、移植の9日及び2日前、移植の1日及び4日前、移植の1日及び5日前、移植の1日及び6日前、移植の2日及び5日前、移植の2日及び6日前、移植の2日及び7日前、移植の3日及び6日前、移植の3日及び7日前、移植の3日及び8日前、移植の1日及び3日及び5日前、移植の2日及び4日及び6日前、移植の3日及び5日及び7日前、または移植の4日及び6日及び8日前にレシピエントに投与され得る。ある特定の実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)は、移植の2日前及び7日前にレシピエントに投与され得る。ある特定の実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)は、移植の7日前にレシピエントに投与されない。
【0146】
特定の実施形態では、本明細書に提供される前処置レジメンは、移植及び/または細胞注入の前にB細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)を移植レシピエントに投与することを含む。いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)は、移植及び/または細胞注入の1日前、移植及び/または細胞注入の2日前、移植及び/または細胞注入の3日前、移植及び/または細胞注入の4日前、移植及び/または細胞注入の5日前、移植及び/または細胞注入の6日前、移植及び/または細胞注入の7日前、移植及び/または細胞注入の8日前、移植及び/または細胞注入の9日前、移植及び/または細胞注入の10日前、または移植及び/または細胞注入の10日超前にレシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)は、移植及び/または細胞注入後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)は、移植及び/または細胞注入の1日後、移植及び/または細胞注入の2日後、移植及び/または細胞注入の3日後、移植及び/または細胞注入の4日後、移植及び/または細胞注入の5日後、移植及び/または細胞注入の6日後、移植及び/または細胞注入の7日後、移植及び/または細胞注入の8日後、移植及び/または細胞注入の9日後、移植及び/または細胞注入の10日後、移植及び/または細胞注入の11日後、移植及び/または細胞注入の12日後、または移植及び/または細胞注入の12日超後にレシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)は、移植及び/または細胞注入と同じ日にレシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)は、移植及び/または細胞注入の9日前及び/または移植及び/または細胞注入の2日前;移植及び/または細胞注入の9日前、及び/または移植及び/または細胞注入の2日前、及び/または移植及び/または細胞注入の5日後、及び/または移植及び/または細胞注入の12日後;移植及び/または細胞注入の9日前;移植及び/または細胞注入の2日前;移植及び/または細胞注入の1日前;移植及び/または細胞注入の1日後;移植及び/または細胞注入の当日;移植及び/または細胞注入の5日後;移植及び/または細胞注入の12日後;移植及び/または細胞注入の1日及び/または2日前;移植及び/または細胞注入の2日及び/または3日前;移植及び/または細胞注入の3日及び/または4日前;移植及び/または細胞注入の9日前及び/または2日前;移植及び/または細胞注入の1日前及び/または2日前及び/または3日前;移植及び/または細胞注入の1日前及び/または2日前及び/または3日前及び/または4日前;移植及び/または細胞注入の1日前及び/または2日前及び/または3日前及び/または4日前及び/または5日前;移植及び/または細胞注入の1日前及び/または2日前及び/または3日前及び/または4日前及び/または5日前及び/または6日前;移植及び/または細胞注入の1日前及び/または2日前及び/または3日前及び/または4日前及び/または5日前及び/または6日前及び/または7日前及び/または8日前及び/または9日前;移植及び/または細胞注入の1日及び/または2日後;移植及び/または細胞注入の2日及び/または3日後;移植及び/または細胞注入の3日及び/または4日後;移植及び/または細胞注入の1日後及び/または2日後及び/または3日後;移植及び/または細胞注入の1日後及び/または2日後及び/または3日後及び/または4日後;移植及び/または細胞注入の1日後及び/または2日後及び/または3日後及び/または4日後及び/または5日後;移植及び/または細胞注入の1日後及び/または2日後及び/または3日後及び/または4日後及び/または5日後及び/または6日後;移植及び/または細胞注入の1日後及び/または2日後及び/または3日後及び/または4日後及び/または5日後及び/または6日後及び/または7日後;移植及び/または細胞注入の1日後及び/または2日後及び/または3日後及び/または4日後及び/または5日後及び/または6日後及び/または7日後及び/または8日後及び/または9日後及び/または10日後及び/または11日後及び/または12日後にレシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)は、移植及び/または細胞注入前に、約、少なくとも約、または最大約1回(または1日)、2回(または2つの異なる日)、3回(または3つの異なる日)、4回(または4つの異なる日)、5回(または5つの異なる日)、6回(または6つの異なる日)、7回(または7つの異なる日)、8回(または8つの異なる日)、9回(または9つの異なる日)、10回(または10個の異なる日)、または10回超(または10個超の異なる日)レシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)は、移植及び/または細胞注入後に、約、少なくとも約、または最大約1回(または1日)、2回(または2つの異なる日)、3回(または3つの異なる日)、4回(または4つの異なる日)、5回(または5つの異なる日)、6回(または6つの異なる日)、7回(または7つの異なる日)、8回(または8つの異なる日)、9回(または9つの異なる日)、10回(または10個の異なる日)、または10回超(または10個超の異なる日)レシピエントに投与される。ある特定の実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)は、移植及び/または細胞注入の9日前及び2日前にレシピエントに投与される。ある特定の実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)は、移植及び/または細胞注入の5日後及び12日後にレシピエントに投与される。ある特定の実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)は、移植及び/または細胞注入の9日前及び2日前、及び/または移植及び/または細胞注入の5日後及び12日後にレシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)は、移植後約または少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、21日、30日、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、または12か月超後に対象に投与される。特定の実施形態では、試験用量のB細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)が投与され得る。特定の実施形態では、試験用量の投与は任意選択である。いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)が、1回超または1日超移植レシピエントに投与される場合、投与量は、全日で同じ及び/または投与当たり同じである。いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)が、1回超または1日超移植レシピエントに投与される場合、投与量は、全日で同じ及び/または投与当たり同じではない。特定の実施形態では、術後レジメンにおいてレシピエントに投与されるB細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)の用量は、前処置レジメンにおいて投与される用量と同じである。特定の実施形態では、術後レジメンにおいてレシピエントに投与されるB細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)の用量は、前処置レジメンにおいて投与される用量と異なる。いくつかの実施形態では、シクロホスファミドは、予防的に投与される。
【0147】
特定の実施形態では、本明細書に提供される術後治療レジメンは、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)を移植レシピエントに投与することを含む。いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)の1用量を術後に投与することができる。いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)の2用量を術後に投与することができる。いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)の2用量超を術後に投与することができる。
【0148】
いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)は、移植の3日後、移植の4日後、移植の5日後、移植の6日後、移植の7日後、移植の8日後、移植の9日後、移植の10日後、移植の11日後、移植の12日後、移植の13日後、移植の3日後及び9日後、移植の3日後及び10日後、移植の4日後及び10日後、移植の4日後及び11日後、移植の5日後及び11日後、移植の5日後及び12日後、移植の6日後及び12日後、移植の6日後及び13日後、移植の3日後及び6日後及び9日後、移植の4日後及び7日後及び10日後、移植の5日後及び8日後及び12日後、移植の6日後及び9日後及び12日後、または移植の7日後及び10日後及び12日後にレシピエントに投与され得る。ある特定の実施形態では、リツキシマブは、移植の5日後及び12日後にレシピエントに投与され得る。
【0149】
特定の実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)は、約、少なくとも約、または最大約200mg/m/用量、225mg/m/用量、250mg/m/用量、275mg/m/用量、300mg/m/用量、325mg/m/用量、350mg/m/用量、355mg/m/用量、360mg/m/用量、365mg/m/用量、366mg/m/用量、367mg/m/用量、368mg/m/用量、369mg/m/用量、370mg/m/用量、371mg/m/用量、372mg/m/用量、373mg/m/用量、374mg/m/用量、375mg/m/用量、380mg/m/用量、385mg/m/用量、390mg/m/用量、395mg/m/用量、400mg/m/用量、425mg/m/用量、450mg/m/用量、475mg/m/用量、500mg/m/用量または500mg/m/用量超の用量で移植レシピエントに投与され得る。ある特定の実施形態では、リツキシマブは、375mg/m/用量の用量でレシピエントに投与され得る。
【0150】
特定の実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)は、約、少なくとも約、または最大約200~250mg/m/用量、225~275mg/m/用量、250~300mg/m/用量、275~325mg/m/用量、300~350mg/m/用量、325~375mg/m/用量、350~400mg/m/用量、375~425mg/m/用量、400~450mg/m/用量、425~475mg/m/用量、または450~500mg/m/用量の用量で移植レシピエントに投与され得る。
【0151】
特定の実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)は、皮下、静脈内、血管内、局所、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口、眼窩内、吸入による、経皮的、または腹腔内、またはレシピエントによるB細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)の適切な活性を可能にする投与経路を含む、当技術分野で周知の簡便な方法で移植レシピエントに投与され得る。ある特定の実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)は静脈内投与される。特定の実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、リツキシマブ)の投与は、レシピエントにおいて混合キメリズムを達成及び/または維持するために、本明細書に記載されるように変更され得る。
【0152】
特定の実施形態において、リツキシマブの代わりに置換化合物が使用され得る。これらの化合物は、プラスマフェレーシス、アレムツズマブ(Lemtrada(登録商標))、IdeS(Imflidase(登録商標))、及び抗CD19指向性治療を含み得る。
【0153】
5.3.5 フルダラビン
フルダラビンは、本明細書で使用する場合、免疫系を抑制するためにレシピエントに投与されるプリンアナログである。フルダラビン(9H-プリン-6-アミン、2-フルオロ-9-(5-0-ホスホノ-0-D-アラビノ-フラノシル)(2-フルオロ-ara-AMP)は、Oforta(登録商標)及びFludara(登録商標)の商標名によっても認識される。いくつかの実施形態では、比較可能な剤または別の(例えば、同等の)抗悪性腫瘍剤が、フルダラビンの代わりに、またはフルダラビンに加えて対象に投与され得る。いくつかの実施形態では、比較可能な剤または別の(例えば、同等の)抗悪性腫瘍剤は、フルダラビンについて本明細書で提供されるものと同じ用量及び/または同じ日(複数可)に投与される。いくつかの実施形態では、比較可能な剤または別の(例えば、同等の)抗悪性腫瘍剤は、抗悪性腫瘍剤の製品ラベルに従った用量を用いて投与されるか、または当業者に周知である/当業者により決定される。
【0154】
特定の実施形態では、本明細書に提供される前処置レジメンは、移植及び/または細胞注入の前にフルダラビンを移植レシピエントに投与することを含む。いくつかの実施形態では、フルダラビンは、移植及び/または細胞注入の1日前、移植及び/または細胞注入の2日前、移植及び/または細胞注入の3日前、移植及び/または細胞注入の4日前、移植及び/または細胞注入の5日前、移植及び/または細胞注入の6日前、移植及び/または細胞注入の7日前、移植及び/または細胞注入の8日前、移植及び/または細胞注入の9日前、移植及び/または細胞注入の10日前、または移植及び/または細胞注入の10日超前にレシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、フルダラビンは、移植及び/または細胞注入の1日後、移植及び/または細胞注入の2日後、移植及び/または細胞注入の3日後、移植及び/または細胞注入の4日後、移植及び/または細胞注入の5日後、移植及び/または細胞注入の6日後、移植及び/または細胞注入の7日後、移植及び/または細胞注入の8日後、移植及び/または細胞注入の9日後、移植及び/または細胞注入の10日後、移植及び/または細胞注入の11日後、移植及び/または細胞注入の12日後、または移植及び/または細胞注入の12日超後にレシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、フルダラビンは、移植及び/または細胞注入と同じ日にレシピエントに投与される。Iいくつかの実施形態では、フルダラビンは、移植及び/または細胞注入の3日前、及び/または移植及び/または細胞注入の4日前、及び/または移植及び/または細胞注入の5日前、及び/または移植及び/または細胞注入の6日前;移植及び/または細胞注入の2日前、及び/または移植及び/または細胞注入の3日前、及び/または移植及び/または細胞注入の4日前、及び/または移植及び/または細胞注入の5日前、及び/または移植及び/または細胞注入の6日前;移植及び/または細胞注入の6日前;移植及び/または細胞注入の5日前;移植及び/または細胞注入の4日前;移植及び/または細胞注入の3日前;移植及び/または細胞注入の1日前;移植及び/または細胞注入と同じ日;移植及び/または細胞注入の2日後;移植及び/または細胞注入の3日後;移植及び/または細胞注入の4日後;移植及び/または細胞注入の5日後;移植及び/または細胞注入の12日後;移植及び/または細胞注入の1日及び/または2日前;移植及び/または細胞注入の2日及び/または3日前;移植及び/または細胞注入の3日及び/または4日前;移植及び/または細胞注入の9日及び/または2日前;移植及び/または細胞注入の1日前及び/または2日前及び/または3日前;移植及び/または細胞注入の1日前及び/または2日前及び/または3日前及び/または4日前;移植及び/または細胞注入の1日前及び/または2日前及び/または3日前及び/または4日前及び/または5日前;移植及び/または細胞注入の1日前及び/または2日前及び/または3日前及び/または4日前及び/または5日前及び/または6日前;移植及び/または細胞注入の1日前及び/または2日前及び/または3日前及び/または4日前及び/または5日前及び/または6日前及び/または7日前及び/または8日前及び/または9日前;移植及び/または細胞注入の1日及び/または2日後;移植及び/または細胞注入の2日及び/または3日後;移植及び/または細胞注入の3日及び/または4日後;移植及び/または細胞注入の1日後及び/または2日後及び/または3日後;移植及び/または細胞注入の1日後及び/または2日後及び/または3日後及び/または4日後;移植及び/または細胞注入の1日後及び/または2日後及び/または3日後及び/または4日後及び/または5日後;移植及び/または細胞注入の1日後及び/または2日後及び/または3日後及び/または4日後及び/または5日後及び/または6日後;移植及び/または細胞注入の1日後及び/または2日後及び/または3日後及び/または4日後及び/または5日後及び/または6日後及び/または7日後;移植及び/または細胞注入の1日後及び/または2日後及び/または3日後及び/または4日後及び/または5日後及び/または6日後及び/または7日後及び/または8日後及び/または9日後及び/または10日後及び/または11日後及び/または12日後にレシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、フルダラビンは、移植及び/または細胞注入前に、約、少なくとも約、または最大約1回(または1日)、2回(または2つの異なる日)、3回(または3つの異なる日)、4回(または4つの異なる日)、5回(または5つの異なる日)、6回(または6つの異なる日)、7回(または7つの異なる日)、8回(または8つの異なる日)、9回(または9つの異なる日)、10回(または10個の異なる日)、または10回超(または10個超の異なる日)レシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、フルダラビンは、移植及び/または細胞注入後に、約、少なくとも約、または最大約1回(または1日)、2回(または2つの異なる日)、3回(または3つの異なる日)、4回(または4つの異なる日)、5回(または5つの異なる日)、6回(または6つの異なる日)、7回(または7つの異なる日)、8回(または8つの異なる日)、9回(または9つの異なる日)、10回(または10個の異なる日)、または10回超(または10個超の異なる日)レシピエントに投与される。ある特定の実施形態では、フルダラビンは、移植及び/または細胞注入の3日前、4日前、5日前、及び6日前にレシピエントに投与される。特定の実施形態では、試験用量のフルダラビンが投与され得る。特定の実施形態では、試験用量の投与は任意選択である。いくつかの実施形態では、フルダラビンが、1回超または1日超移植レシピエントに投与される場合、投与量は、全日で同じ及び/または投与当たり同じである。いくつかの実施形態では、フルダラビンが、1回超または1日超移植レシピエントに投与される場合、投与量は、全日で同じ及び/または投与当たり同じではない。特定の実施形態では、術後レジメンにおいてレシピエントに投与されるフルダラビンの用量は、前処置レジメンにおいて投与される用量と同じである。特定の実施形態では、術後レジメンにおいてレシピエントに投与されるフルダラビンの用量は、前処置レジメンにおいて投与される用量と異なる。いくつかの実施形態では、フルダラビンは、予防的に投与される。
【0155】
特定の実施形態では、本明細書に提供される術後治療レジメンは、タクロリムスを移植レシピエントに投与することを含む。いくつかの実施形態では、フルダラビンの1用量を術後に投与することができる。いくつかの実施形態では、フルダラビンの2用量を術後に投与することができる。いくつかの実施形態では、フルダラビンの2用量超を術後に投与することができる。
【0156】
特定の実施形態では、本明細書に提供される前処置レジメンは、移植の前にフルダラビンを移植レシピエントに投与することを含む。特定の実施形態では、前処置レジメンは、フルダラビン投与及びシクロホスファミド投与を含む。特定の実施形態では、前処置レジメンは、フルダラビン投与及び低用量シクロホスファミド投与を含み、シクロホスファミドの用量は、5~15mg/kg/用量、10~20mg/kg/用量、15~25mg/kg/用量、20~30mg/kg/用量、25~35mg/kg/用量、30~40mg/kg/用量、35~45mg/kg/用量、及び40~50mg/kg/用量を含み得る。
【0157】
いくつかの実施形態では、フルダラビンは、移植の1日前、移植の2日前、移植の3日前、移植の4日前、移植の5日前、移植の6日前、移植の1日及び2日前、移植の2日及び3日前、移植の3日及び4日前、移植の4日及び5日前、移植の1日及び2日及び3日前、移植の2日及び3日及び4日前、移植の3日及び4日及び5日前、または移植の3日及び移植の4日及び5日及び6日前にレシピエントに投与され得る。ある特定の実施形態では、シクロホスファミドは、移植の5日及び4日前にレシピエントに投与され得、フルダラビンは、移植の3日、4日、5日、及び6日前にレシピエントに投与され得る。ある特定の実施形態では、フルダラビンは、移植の2日、3日、及び4日前にレシピエントに投与され得る。ある特定の実施で形態は、シクロホスファミドは、移植の5日及び6日前にレシピエントに投与され得、フルダラビンは、移植の2日、3日、及び4日前にレシピエントに投与され得る。ある特定の実施形態では、シクロホスファミドは、移植の3日前にレシピエントに投与され得、フルダラビンは、移植の2日、3日、及び4日前にレシピエントに投与され得る。
【0158】
特定の実施形態では、フルダラビンは、約、少なくとも約、または最大約5mg/m/用量、6mg/m/用量、7mg/m/用量、8mg/m/用量、9mg/m/用量、10mg/m/用量、11mg/m/用量、12mg/m/用量、13mg/m/用量、14mg/m/用量、15mg/m/用量、20mg/m/用量、21mg/m/用量、22mg/m/用量、23mg/m/用量、24mg/m/用量、25mg/m/用量、26mg/m/用量、27mg/m/用量、28mg/m/用量、29mg/m/用量、30mg/m/用量、31mg/m/用量、32mg/m/用量、33mg/m/用量、34mg/m/用量、35mg/m/用量、40mg/m/用量、45mg/m/用量、または50mg/m/用量の用量で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、フルダラビンは、約10mg/m/用量の用量で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、フルダラビンは、約、少なくとも約、または最大約5~15mg/m/用量、10~15mg/m/用量、20~30mg/m/用量、25~35mg/m/用量、30~40mg/m/用量、35~45mg/m/用量、または40-50mg/m/用量の範囲の用量で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、フルダラビンは、約、少なくとも約、または最大約24mg/m/用量の用量で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、フルダラビンは、約10mg/m/用量の用量で移植レシピエントに投与され得、シクロホスファミドは、5~15mg/kg/用量、10~20mg/kg/用量、15~25mg/kg/用量、20~30mg/kg/用量、または25~35mg/kg/用量の範囲で投与され得る。特定の実施形態では、フルダラビンは、約24mg/m/用量の用量で移植レシピエントに投与され得、シクロホスファミドは、5~15mg/kg/用量、10~20mg/kg/用量、15~25mg/kg/用量、20~30mg/kg/用量、または25~35mg/kg/用量の範囲で投与され得る。特定の実施形態では、フルダラビンは、約24mg/m/用量の用量で移植レシピエントに投与され得、シクロホスファミドは、14.5mg/kg/用量の用量で投与され得る。
【0159】
特定の実施形態では、フルダラビンは、5mg/sqm、10mg/sqm、15mg/sqm、20mg/sqm、21mg/sqm、22mg/sqm、23mg/sqm、24mg/sqm、25mg/sqm、26mg/sqm、27mg/sqm、28mg/sqm、29mg/sqm、30mg/sqm、31mg/sqm、32mg/sqm、33mg/sqm、34mg/sqm、35mg/sqm、40mg/sqm、45mg/sqm、または50mg/sqmの用量で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、フルダラビンは、約、少なくとも約、または最大約5~15mg/sqm、10~15mg/sqm、20~30mg/sqm、25~35mg/sqm、30~40mg/sqm、35~45mg/sqm、または40~50mg/sqmの範囲の用量で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、フルダラビンは、約10mg/sqmの用量で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、フルダラビンは、約、少なくとも約、または最大約30mg/sqmの用量で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、フルダラビンは、約10mg/sqmの用量で移植レシピエントに投与され得、シクロホスファミドは、15~25mg/kg/用量、20~25mg/kg/用量、20~30mg/kg/用量、40~50mg/kg/用量、45~55mg/kg/用量、50~60mg/kg/用量、または55~65mg/kg/用量の範囲で投与され得る。特定の実施形態では、フルダラビンは、30mg/sqmの用量で移植レシピエントに投与され得、シクロホスファミドは、15~25mg/kg/用量、20~25mg/kg/用量、20~30mg/kg/用量、40~50mg/kg/用量、45~55mg/kg/用量、50~60mg/kg/用量、または55~65mg/kg/用量の範囲で投与され得る。特定の実施形態では、フルダラビンは、10mg/sqmの用量で移植レシピエントに投与され得、シクロホスファミドは、22.5mg/kg/用量の用量で投与され得る。特定の実施形態では、フルダラビンは、30mg/sqmの用量で移植レシピエントに投与され得、シクロホスファミドは、50mg/kg/用量の用量で投与され得る。
【0160】
特定の実施形態では、フルダラビンは、皮下、静脈内、血管内、局所、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口、眼窩内、吸入による、経皮的、腹腔内、またはレシピエントによるフルダラビンの適切な活性を可能にする投与経路を含む、当技術分野で周知の簡便な方法で移植レシピエントに投与され得る。ある特定の実施形態では、フルダラビンは、静脈内投与される。ある特定の実施形態では、フルダラビンは、経口投与される。
【0161】
5.3.6 胸腺照射
特定の実施形態では、本明細書で提供される前処置レジメンは、レシピエントが移植手術の前に胸腺照射を受けることを含む。いくつかの実施形態では、胸腺照射は、移植手術の1日前、2日前、2日前超、または1日前及び2日前に実施され得る。特定の実施形態では、胸腺照射の線量、胸腺内T細胞を枯渇させるのに十分なものである。特定の実施形態では、胸腺照射の線量は、100~1000cGy(センチグレー)であり得る。特定の実施形態では、胸腺照射の線量は、約、少なくとも約、または最大約100cGy、200cGy、300cGy、400cGy、500cGy、600cGy、700cGy、800cGy、900cGy、または1000cGyである。特定の実施形態では、胸腺照射の線量は、約、少なくとも約、または最大約7Gyである。ある特定の実施形態では、レシピエントは、当日移植手術前に約7Gyの胸腺照射を受けることができる。ある特定の実施形態では、レシピエントは、当日移植手術前に約700cGyの胸腺照射を受けることができる。特定の実施形態では、胸腺照射のタイミング及び線量は、レシピエントにおいて混合キメリズムを達成及び/または維持するために、本明細書に記載されるように変更され得る。
【0162】
5.3.7 全身照射
特定の実施形態では、本明細書で提供される前処置レジメンは、レシピエントが移植手術の前に全身照射を受けることを含む。いくつかの実施形態では、全身照射は、移植の3日前、移植の4日前、移植の5日前、移植の6日前、移植の7日前、移植の3日及び4日前、移植の3日及び5日前、移植の4日及び5日前、移植の4日及び6日前、移植の5日及び6日前、移植の5日及び7日前、移植の6日及び7日前に実施され得る。特定の実施形態では、全身照射の線量は、0.5~2.5Gyであり得る。特定の実施形態では、全身照射の線量は、約、少なくとも約、または最大約0.5Gy、0.75Gy、1.0Gy、1.25Gy、1.50Gy、1.75Gy、2.0Gy、2.25Gy、2.50Gy、0.5~1.5Gy、0.75~1.25Gy、1.0~2.0Gy、1.25~2.25Gy、または1.50~2.50Gyであり得る。特定の実施形態では、レシピエントは、1日1回、全身照射を受け得る。特定の実施形態では、レシピエントは、1日2回、全身照射を受け得る。特定の実施形態では、レシピエントは、1日2回、移植手術の5日及び4日前に1.5Gyの全身照射を受け得る。特定の実施形態では、レシピエントは、1日2回、移植手術の6日及び5日前に1.5Gyの全身照射を受け得る。特定の実施形態では、全身照射のタイミング及び線量は、レシピエントにおいて混合キメリズムを達成及び/または維持するために、本明細書に記載されるように変更され得る。
【0163】
5.3.8 タクロリムス
タクロリムスは、本明細書で使用される場合、免疫系を抑制するためにレシピエントに投与されるマクロライド系抗生物質である。タクロリムスは、CyA(カルシニューリン阻害剤)と同様の作用様式を有し、タクロリムスの商標名は、Prograf(登録商標)、Adport(登録商標)、Advagraf(登録商標)、Protopic(登録商標)、Astagraf XL(登録商標)、Modigraf(登録商標)、及びEnvarsus XR(登録商標)を含む。
【0164】
特定の実施形態では、本明細書に提供される前処置レジメンは、タクロリムスを移植レシピエントに投与することを含む。特定の実施形態では、タクロリムスは、移植の1日前、移植の2日前、移植の3日前、移植の1日及び2日前、移植の1日及び3日前、または移植の1日及び2日及び3日前に投与され得る。特定の実施形態において、タクロリムスは、移植の1日前にレシピエントに投与され得る。いくつかの実施形態では、タクロリムスは、移植と同じ日に投与される。
【0165】
タクロリムスは、免疫系を抑制し、レシピエントにおける移植片対宿主病の発生を阻害するために、術後治療レジメンに含まれ得る。術後治療レジメンは、レシピエントへ投与される、タクロリムスの一定のコース、続く漸減コースを含み得る。
【0166】
特定の実施形態では、本明細書に提供される術後治療レジメンは、フルダラビンを移植レシピエントに投与することを含む。特定の実施形態では、タクロリムスは、移植の当日、移植手術の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後、15日後、16日後、17日後、18日後、19日後、20日後、21日後、22日後、23日後、24日後、25日後、26日後、27日後、28日後、29日後、30日後、1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、13か月後、14か月後、15か月後、16か月後、17か月後、または18か月後に投与され得る。いくつかの実施形態では、タクロリムスは、移植後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、タクロリムスは、移植後約または少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、21日、30日、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、18か月、20か月、24か月、または24か月超後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、タクロリムスは、移植後約または少なくとも約1~2か月、2~3か月、3~4か月、4~5か月、5~6か月、6~7か月、7~8か月、8~9か月、9~10か月、11~12か月、1~6か月、2~6か月、3~6か月、4~6か月、6~12か月、または6~12か月超後に投与される。いくつかの実施形態では、タクロリムスは、連続した時間(例えば、移植の当日から移植後または治療の開始後の約1か月、または約9か月、または約12か月)投与される。いくつかの実施形態では、タクロリムスは、約8~10ng/mlの量で投与される。いくつかの実施形態では、タクロリムスは、約4~11ng/mlの量で投与される。
【0167】
特定の実施形態では、タクロリムスの単回用量が投与され得る。特定の実施形態では、タクロリムスの複数回用量が投与され得る。特定の実施形態では、タクロリムスの一定用量が投与され得る。特定の実施形態では、タクロリムスの漸減コースが投与され得る。特定の実施形態では、タクロリムスの一定用量に続いてタクロリムスの漸減コースが術後に投与され得る。
【0168】
特定の実施形態では、タクロリムスは、1日1回または1日2回の頻度で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、タクロリムスは、約、少なくとも約、または最大約0.01mg/kg/用量、0.02mg/kg/用量、0.03mg/kg/用量、0.04mg/kg/用量、0.05mg/kg/用量、0.06mg/kg/用量、0.07mg/kg/用量、0.08mg/kg/用量、0.09mg/kg/用量、0.1mg/kg/用量、0.01~0.05mg/g/用量、0.05~0.1mg/kg/用量、0.02~0.06mg/kg/用量、0.03~0.07mg/kg/用量、0.04~0.08mg/kg/用量、または0.01~0.1mg/kg/用量の用量で1日2回投与され得る。特定の実施形態では、タクロリムスは、0.05mg/kg/用量の用量で1日2回、移植レシピエントに投与され得る。
【0169】
特定の実施形態では、タクロリムスは、1~5ng/ml、5~10ng/ml、8~10ng/ml、4~11ng/ml、10~15ng/ml、1~11ng/ml、2~12ng/ml、3~13ng/ml、4~14ng/ml、5~15ng/ml、6~16ng/ml、7~17ng/ml、8~18ng/ml、9~19ng/ml、10~20ng/ml、または15~20ng/mlの標的トラフ血中レベルを得るのに十分な用量でレシピエントに術後に投与され得る。特定の実施形態では、標的トラフ血中レベルは、10~15ng/mlであり得る。
【0170】
いくつかの実施形態では、タクロリムスは、約、少なくとも約、または最大約1~5ng/ml、5~10ng/ml、8~10ng/ml、4~11ng/ml、10~15ng/ml、1~11ng/ml、2~12ng/ml、3~13ng/ml、4~14ng/ml、5~15ng/ml、6~16ng/ml、7~17ng/ml、8~18ng/ml、9~19ng/ml、10~20ng/ml、または15~20ng/mlの用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、タクロリムスは、約、少なくとも約、または最大約1ng/ml、2ng/ml、3ng/ml、4ng/ml、5ng/ml、6ng/ml、7ng/ml、8ng/ml、9ng/ml、10ng/ml、11ng/ml、12ng/ml、13ng/ml、14ng/ml、15ng/ml、16ng/ml、17ng/ml、18ng/ml、19ng/ml、20ng/ml、22ng/ml、25ng/ml、30ng/ml、または30ng/ml超の用量で対象に投与される。
【0171】
特定の実施形態では、タクロリムスは、一定の用量で移植レシピエントに投与され得る。一定用量が投与される期間は、移植後、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、60日、90日、120日、150日、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、または12か月超後であり得る。特定の実施形態では、移植レシピエントに投与されるタクロリムスは、中止するために用量が漸減され得る。特定の実施形態では、この漸減コースは、移植後1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、13か月、14か月、15か月、16か月、17か月、または18か月にわたって行われ得る。
【0172】
特定の実施形態では、タクロリムスは、皮下、静脈内、血管内、局所、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口、眼窩内、吸入による、経皮的、または腹腔内、またはレシピエントによるタクロリムスの適切な活性を可能にする投与経路を含む、当技術分野で周知の簡便な方法で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、タクロリムスは、経口投与され得る。特定の実施形態では、タクロリムスは、静脈内投与され得る。特定の実施形態では、タクロリムスの投与は、レシピエントにおいて混合キメリズムを達成及び/または維持するために、本明細書に記載されるように変更され得る。
【0173】
特定の実施形態では、タクロリムスの潜在等価物は、術後治療レジメンにおいて置換され得る。これらの代替物には、シクロスポリン(Gengraf(登録商標)、Neoral(登録商標)、及びSandimmune(登録商標))、ベラタセプト(Nulojix)、シロリムス、及びエベロリムスが挙げられる。特定の実施形態では、ベラタセプトは、レシピエントにおける免疫系を抑制するために使用され得る。
【0174】
特定の実施形態では、本明細書に提供される術後治療レジメンは、ベラタセプトを移植レシピエントに投与することを含む。特定の実施形態において、ベラタセプトは、移植の当日、移植手術の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後、15日後、16日後、17日後、18日後、19日後、20日後、21日後、22日後、23日後、24日後、25日後、26日後、27日後、28日後、29日後、30日後、31日後、32日後、33日後、34日後、35日後、36日後、37日後、38日後、39日後、40日後、60日後、90日後、120日後、150日後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、または12か月超後に投与され得る。特定の実施形態では、ベラタセプトは、単回投与され得る。特定の実施形態では、ベラタセプトは、複数回投与され得る。特定の実施形態では、ベラタセプトは、移植手術後に5回投与され得る。特定の実施形態において、ベラタセプトは、移植手術の1日後に投与され得る。特定の実施形態では、ベラタセプトは、移植手術の5日後に投与され得る。特定の実施形態では、ベラタセプトは、移植手術の12日後に投与され得る。特定の実施形態では、ベラタセプトは、移植手術の19日後に投与され得る。特定の実施形態では、ベラタセプトは、移植手術の33日後に投与され得る。特定の実施形態では、ベラタセプトは、移植手術の1日後及び5日後及び12日後及び19日後及び33日後に投与され得る。
【0175】
特定の実施形態では、ベラタセプトまたはタクロリムスは、約、少なくとも約、または最大約2mg/kg/日、2.5mg/kg/日、3mg/kg/日、3.5mg/kg/日、4mg/kg/日、4.5mg/kg/日、5mg/kg/日、5.5mg/kg/日、6mg/kg/日、6.5mg/kg/日、7mg/kg/日、7.5mg/kg/日、8mg/kg/日、8.5mg/kg/日、9mg/kg/日、9.5mg/kg/日、10mg/kg/日、10.5mg/kg/日、11mg/kg/日、11.5mg/kg/日、12mg/kg/日、12.5mg/kg/日、13mg/kg/日、13.5mg/kg/日、14mg/kg/日、14.5mg/kg/日、15mg/kg/日、15.5mg/kg/日、16mg/kg/日、16.5mg/kg/日、17mg/kg/日、17.5mg/kg/日、18mg/kg/日、2~6mg/kg/日、3~7mg/kg/日、4~8mg/kg/日、5~9mg/kg/日、6~10mg/kg/日、7~11mg/kg/日、8~12mg/kg/日、9~13mg/kg/日、10~14mg/kg/日、11~15mg/kg/日、12~16mg/kg/日、13~17mg/kg/日、または14~18mg/kg/日の用量で移植レシピエントに投与される。特定の実施形態では、ベラタセプトまたはタクロリムスは、10mg/kg/日の用量で移植レシピエントに投与され得る。
【0176】
特定の実施形態では、タクロリムスの単回用量が投与され得る。特定の実施形態では、タクロリムスの複数回用量が投与され得る。特定の実施形態では、タクロリムスの一定用量が投与され得る。特定の実施形態では、タクロリムスの漸減コースが投与され得る。特定の実施形態では、タクロリムスの一定用量に続いてタクロリムスの漸減コースが投与され得る。
【0177】
特定の実施形態では、タクロリムスは、皮下、静脈内、血管内、局所、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口、眼窩内、吸入による、経皮的、または腹腔内、またはレシピエントによるタクロリムスの適切な活性を可能にする投与経路を含む、当技術分野で周知の簡便な方法で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、タクロリムスは、経口投与され得る。特定の実施形態では、タクロリムスは、静脈内投与され得る。特定の実施形態では、タクロリムスの投与は、レシピエントにおいて混合キメリズムを達成及び/または維持するために、本明細書に記載されるように変更され得る。
【0178】
特定の実施形態では、本明細書に提供される前処置レジメンは、移植及び/または細胞注入の前にタクロリムスを移植レシピエントに投与することを含む。いくつかの実施形態では、タクロリムスは、移植及び/または細胞注入の1日前、移植及び/または細胞注入の2日前、移植及び/または細胞注入の3日前、移植及び/または細胞注入の4日前、移植及び/または細胞注入の5日前、移植及び/または細胞注入の6日前、移植及び/または細胞注入の7日前、移植及び/または細胞注入の8日前、移植及び/または細胞注入の9日前、移植及び/または細胞注入の10日前、または移植及び/または細胞注入の10日超前にレシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、タクロリムスは、移植及び/または細胞注入の1日後、移植及び/または細胞注入の2日後、移植及び/または細胞注入の3日後、移植及び/または細胞注入の4日後、移植及び/または細胞注入の5日後、移植及び/または細胞注入の6日後、移植及び/または細胞注入の7日後、移植及び/または細胞注入の8日後、移植及び/または細胞注入の9日後、移植及び/または細胞注入の10日後、移植及び/または細胞注入の11日後、移植及び/または細胞注入の12日後、または移植及び/または細胞注入の12日超後にレシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、タクロリムスは、移植及び/または細胞注入と同じ日に(例えば、その後のある期間(例えば、1か月、または9~12か月))レシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、タクロリムスは、移植及び/または細胞注入前に、約、少なくとも約、または最大約1回(または1日)、2回(または2つの異なる日)、3回(または3つの異なる日)、4回(または4つの異なる日)、5回(または5つの異なる日)、6回(または6つの異なる日)、7回(または7つの異なる日)、8回(または8つの異なる日)、9回(または9つの異なる日)、10回(または10個の異なる日)、または10回超(または10個超の異なる日)レシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、タクロリムスは、移植及び/または細胞注入後に、約、少なくとも約、または最大約1回(または1日)、2回(または2つの異なる日)、3回(または3つの異なる日)、4回(または4つの異なる日)、5回(または5つの異なる日)、6回(または6つの異なる日)、7回(または7つの異なる日)、8回(または8つの異なる日)、9回(または9つの異なる日)、10回(または10個の異なる日)、または10回超(または10個超の異なる日)レシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、タクロリムスは、移植後約1日、10日間、15日間、20日間、25日間、30日間、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、12か月間、または12か月超間レシピエントに投与される。いくつかの実施形態では、タクロリムスが、1回超または1日超移植レシピエントに投与される場合、投与量は、全日で同じ及び/または投与当たり同じである。いくつかの実施形態では、タクロリムスが、1回超または1日超移植レシピエントに投与される場合、投与量は、全日で同じ及び/または投与当たり同じではない。特定の実施形態では、術後レジメンにおいてレシピエントに投与されるタクロリムスの用量は、前処置レジメンにおいて投与される用量と同じである。特定の実施形態では、術後レジメンにおいてレシピエントに投与されるタクロリムスの用量は、前処置レジメンにおいて投与される用量と異なる。いくつかの実施形態では、タクロリムスは、予防的に投与される。
【0179】
特定の実施形態では、本明細書に提供される術後治療レジメンは、タクロリムスを移植レシピエントに投与することを含む。いくつかの実施形態では、タクロリムスの1用量を術後に投与することができる。いくつかの実施形態では、タクロリムスの2用量を術後に投与することができる。いくつかの実施形態では、タクロリムスの2用量超を術後に投与することができる。
【0180】
5.3.9 抗IL6R抗体
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、IL-6サイトカインシグナル伝達の治療的遮断を含み得る。特定の実施形態では、IL-6シグナル伝達は、IL-6を標的にすることによって遮断され得る。特定の実施形態では、IL-6シグナル伝達は、IL6Rを標的にすることによって遮断され得る。特定の実施形態では、IL6Rは、小分子阻害剤によって標的化され得る(Hong et al.,Immunol.2015,195(1)237-245)。特定の実施形態では、IL6Rは、抗体によって標的化され得る。特定の実施形態では、抗IL6R治療は、ヒト化モノクローナル抗体であり得る。ある特定の実施形態では、抗IL6R受容体はトシリズマブであり得る。特定の実施形態では、急性腎損傷(AKI、生着症候群としても知られる)を軽減する一方で、同時にTregレベルをさらに増加させる可能性が高くなるように、治療を移植レシピエントに行い得る。
【0181】
特定の実施形態では、本発明の方法及び組成物とともに使用するための抗IL6R抗体は、トシリズマブの重鎖CDR1、2、または3を含む。特定の実施形態では、本発明の方法及び組成物とともに使用するための抗IL6R抗体は、トシリズマブの軽鎖CDR1、2、または3を含む。特定の実施形態では、本発明の方法及び組成物とともに使用するための抗IL6R抗体は、トシリズマブの1、2、3、4、5または6つ全てのCDRを含む。
【表6】
【0182】
特定の実施形態では、本発明の方法及び組成物とともに使用するための抗IL6R抗体は、表6に記載の1、2、3、4、5または6つ全てのCDRを含む。ある特定の実施形態では、1、2、3、4、5または6つ全ては、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸置換を有する。あるより特定の実施形態では、かかるアミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換である。
【0183】
特定の実施形態では、本明細書に提供される方法及び組成物とともに使用するための抗IL6R抗体は、配列番号28と約または少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%、少なくとも99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を有する。特定の実施形態では、本明細書に提供される方法及び組成物とともに使用するための抗IL6R抗体は、配列番号29と約または少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%、少なくとも99%または100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を有する。
【0184】
特定の実施形態では、抗IL6R抗体は、ヒトIL6R中のトシリズマブと同じエピトープに免疫特異的に結合する。
【0185】
特定の実施形態では、抗IL6R抗体は、動物特異的抗体、ヒト特異的抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、全長抗体、抗体フラグメント、一本鎖可変フラグメント(scFv)、天然に存在する抗体、合成抗体、操作された抗体、またはそれらの組み合わせであり得る。ある特定の実施形態では、抗IL6R抗体は、ヒト化抗IL6Rモノクローナル抗体であり得る。
【0186】
特定の実施形態では、本明細書に提供される術後治療レジメンは、抗IL6R抗体またはトシリズマブを移植レシピエントに投与することを含む。特定の実施形態では、抗IL6R抗体またはトシリズマブは、移植当日、移植手術の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後、15日後、16日後、17日後、18日後、19日後、20日後、7日及び14日後、当日及び1日後、当日及び1日後及び2日後、当日及び1日後及び2日後及び3日後、当日及び1日後及び2日後及び3日後及び4日後、移植手術日の1日後及び2日後及び3日後、2日後及び3日後及び4日後、3日後及び4日後及び5日後、4日後及び5日後及び6日後、5日後及び6日後及び7日後、6日後及び7日後及び8日後、7日後及び8日後及び9日後、8日後及び9日後及び10日後9日後及び10日後及び11日後、10日後及び11日後及び12日後、12日後及び13日後及び14日後、13日後及び14日後及び15日後、8日後及び9日後及び10日後、8日後及び9日後及び10日後、16日後及び17日後及び18日後、17日後及び18日後及び19日後、または18日後及び19日後及び20日後に投与され得る。いくつかの実施形態では、抗IL6R抗体またはトシリズマブは、移植後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL6R抗体またはトシリズマブは、移植後約または少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、21日、30日、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、18か月、20か月、24か月、または24か月超後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗IL6R抗体またはトシリズマブ、移植後約または少なくとも約1~2か月、2~3か月、3~4か月、4~5か月、5~6か月、6~7か月、7~8か月、8~9か月、9~10か月、11~12か月、1~6か月、2~6か月、3~6か月、4~6か月、6~12か月、または6~12か月超後に投与される。
【0187】
ある特定の実施形態では、本方法は、移植手術後の患者へのトシリズマブの投与をさらに含む。ある特定の実施形態では、患者が早期に移植後キメラ移行症候群(CTS)を呈する場合、トシリズマブが投与され得る。ある特定の実施形態では、CTSが生じる場合、トシリズマブが対象に投与され得る。ある特定の実施形態では、トシリズマブは、約8mg/kgの用量で対象に投与される。
【0188】
特定の実施形態では、トシリズマブは、約、少なくとも約、または最大約2.0mg/kg/用量、3.0mg/kg/用量、4.0mg/kg/用量、5.0mg/kg/用量、6.0mg/kg/用量、6.25mg/kg/用量、6.5mg/kg/用量、6.75mg/kg/用量、7.0mg/kg/用量、7.25mg/kg/用量、7.5mg/kg/用量、7.75mg/kg/用量、8.0mg/kg/用量、8.25mg/kg/用量、8.5mg/kg/用量、8.75mg/kg/用量、9.0mg/kg/用量、9.25mg/kg/用量、9.5mg/kg/用量、9.75mg/kg/用量、10.0mg/kg/用量、10.25mg/kg/用量、10.5mg/kg/用量、10.75mg/kg/用量、11.0mg/kg/用量、11.25mg/kg/用量、11.5mg/kg/用量、11.75mg/kg/用量、12.0mg/kg/用量、12.25mg/kg/用量、12.5mg/kg/用量、12.75mg/kg/用量、13.0mg/kg/用量、14.0mg/kg/用量、15.0mg/kg/用量、16.0mg/kg/用量、17.0mg/kg/用量、18.0mg/kg/用量、6.0~10.0mg/kg/用量、6.25~10.25mg/kg/用量、6.5~10.5mg/kg/用量、6.75~10.75mg/kg/用量、7.0~11.0mg/kg/用量、7.25~11.25mg/kg/用量、7.5~11.5mg/kg/用量、7.75~11.75mg/kg/用量、8.0~12.0mg/kg/用量、8.25~12.25mg/kg/用量、8.5~12.5mg/kg/用量、8.75~12.75mg/kg/用量、または9.0~13.0mg/kg/用量の用量で患者に投与され得る。ある特定の実施形態では、トシリズマブは、8.0mg/kg/用量の用量で患者に投与され得る。ある特定の実施形態では、トシリズマブは、12.0mg/kg/用量の用量で患者に投与され得る。ある特定の実施形態では、患者が30mg/kgを超える体重を有する場合、トシリズマブは8.0mg/kgの濃度で投与される。ある特定の実施形態では、患者が30mg/kg未満の体重を有する場合、トシリズマブは12.0mg/kgの濃度で投与される。ある特定の実施形態では、トシリズマブの投与は、1時間の長さに渡って、投与の間隔を少なくとも8時間開けて、最大合計4回の投与(第1の用量に対する反応が不十分であった場合)で行われるであろう。
【0189】
特定の実施形態では、患者が早期に移植後急性腎損傷(AKI)を呈する場合、トシリズマブが投与され得る。特定の実施形態では、クレアチニンレベルを用いてAKIを決定し得る。特定の実施形態では、トシリズマブが、単独で投与され得る。ある特定の実施形態では、トシリズマブが、コルチコステロイドと組み合わせて投与され得る。AKIの徴候及び症状における不十分な臨床的改善が第1の投与後に起こる場合、追加の用量のトシリズマブが投与され得る。いくつかの実施形態では、患者は、1回の追加的用量のトシリズマブ、2回の追加的用量のトシリズマブ、または3回の追加的用量のトシリズマブが投与され得る。追加的用量のトシリズマブが投与される場合、特定の実施形態では、少なくとも8時間が、連続用量間に経過しなければならない。
【0190】
いくつかの実施形態では、患者は、1用量のトシリズマブが毎日投与され得る。いくつかの実施形態では、患者は、複数の用量のトシリズマブが毎日投与され得る。いくつかの実施形態では、患者は、1用量のトシリズマブが投与され得る。いくつかの実施形態では、患者は、2用量のトシリズマブが投与され得る。いくつかの実施形態では、患者は、3用量のトシリズマブが投与され得る。いくつかの実施形態では、患者は、4用量のトシリズマブが投与され得る。ある特定の実施形態では、1用量のトシリズマブが投与され、続いてAKIの臨床徴候及び症状が改善するまで追加の用量が投与される。
【0191】
ある特定の実施形態では、トシリズマブは、静脈内または皮下に投与され得る。
【0192】
特定の実施形態では、IL6シグナル伝達の代替アンタゴニストが投与され得る。特定の実施形態では、これらのIL6シグナル伝達の代替アンタゴニストには、可溶性gp130、CS-IVa-Be、バゼドキシフェン、及びLMT-28が挙げられ得るが、これらに限定されない。特定の実施形態では、IL6シグナル伝達の代替アンタゴニストは、移植手語の患者に投与され得る。特定の実施形態では、患者が早期に移植後急性腎損傷(AKI)を呈する場合、IL6シグナル伝達の代替アンタゴニストが投与され得る。
【0193】
特定の実施形態では、抗IL-6治療は、限定されないが、ACTEMRA(登録商標)、RoActemra(登録商標)、サリルマブ、及びALX-0061などの抗IL6Rであり得る。特定の実施形態では、抗IL-6治療は、限定されないが、シルツキシマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、MEDI5117、及びオロキズマブなどの抗IL6 mAbであり得る。
【0194】
5.3.10 ステロイド
ステロイドは、本明細書で使用する場合、免疫系を抑制するために臓器移植のレシピエントに投与される化合物である。プレドニゾンは、コルチコステロイド、化学名17,21-ジヒドロキシプレグナ-1,4-ジエニン-3,11,20-トリオンである(C2126)。プレドニゾンの商標名は、Deltasone(登録商標)、Sterapred(登録商標)、Rayos(登録商標)、Prednicot(登録商標)、及びMeticorten(登録商標)を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ステロイドはコルチコステロイドである。
【0195】
特定の実施形態では、本明細書に提供される術後治療レジメンは、ステロイドを移植レシピエントに投与することを含む。特定の実施形態において、ステロイドは、移植の当日、移植手術の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後、15日後、16日後、17日後、18日後、19日後、20日後、21日後、22日後、23日後、24日後、25日後、26日後、27日後、28日後、29日後、または30日後に投与され得る。いくつかの実施形態では、ステロイドは、移植後約10日間、15日間、20日間、30日間、1か月間、2か月間、3が月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、12か月間、または12か月超の間レシピエントに投与され得る。いくつかの実施形態では、ステロイドは、移植後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、ステロイドは、移植後約または少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、21日、30日、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、18か月、20か月、24か月、または24か月超後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、ステロイドは、移植後約または少なくとも約1~2か月、2~3か月、3~4か月、4~5か月、5~6か月、6~7か月、7~8か月、8~9か月、9~10か月、11~12か月、1~6か月、2~6か月、3~6か月、4~6か月、6~12か月、または6~12か月超後に投与される。
【0196】
特定の実施形態では、ステロイドは、移植手術当日から手術の5日後まで、植手術当日から手術の10日後まで、移植手術当日から手術の15日後まで、移植手術当日から手術の20日後まで、移植手術当日から手術の25日後まで、または、移植手術当日から手術の30日後まで、移植手術当から手術の6か月後まで投与され得る。
【0197】
特定の実施形態では、ステロイドの単回用量が投与され得る。特定の実施形態では、ステロイドの複数回用量が投与され得る。特定の実施形態では、ステロイドの一定用量が投与され得る。特定の実施形態では、ステロイドパルスが投与され得る。特定の実施形態では、ステロイドの漸減コースが投与され得る。特定の実施形態では、ステロイドの一定用量に続いてステロイドの漸減コースが投与され得る。特定の実施形態では、ステロイドパルスを伴うステロイドの一定用量に続いてステロイドの漸減コースが投与され得る。
【0198】
特定の実施形態では、ステロイドは、約、少なくとも約、または最大約0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2.0mg/kg、2.1mg/kg、2.2mg/kg、2.3mg/kg、2.4mg/kg、2.5mg/kg、2.6mg/kg、2.7mg/kg、2.8mg/kg、2.9mg/kg、または3.0mg/kgの用量で移植レシピエントに投与され得る。ある特定の実施形態では、ステロイドは、2mg/kgの用量で移植レシピエントに投与され得る。
【0199】
特定の実施形態では、ステロイドは、100mg/用量、200mg/用量、250mg/用量、300mg/用量、400mg/用量、500mg/用量、600mg/用量、700mg/用量、800mg/用量、900mg/用量、または1000mg/用量のパルス用量で移植レシピエントに投与される。特定の実施形態では、ステロイドは、約250mg/用量の用量で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、ステロイドは、500mg/用量のパルス用量で投与され得る。特定の実施形態において、ステロイドパルスは、移植の当日、移植の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後、15日後、移植の当日及び約20日間、移植の当日及び約6か月間、移植の当日及び移植の1日及び2日後、3日及び4日及び5日後、6日及び7日及び8日後、9日及び10日及び11日後、10日後及び11日及び12日後、11日及び12日及び13日後、または13日及び14日及び15日後に投与され得る。ある特定の実施形態では、ステロイドパルスは、移植の当日に投与される。ある特定の実施形態では、ステロイドパルスは、移植の10日及び11日及び12日後に投与される。
【0200】
特定の実施形態では、ステロイドは、一定の用量で移植レシピエントに投与され得る。一定の用量が投与される期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、15日、20日、30日、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、または9か月超であり得る。特定の実施形態では、移植レシピエントに投与されるステロイドは、中止するために用量が漸減され得る。特定の実施形態では、この漸減コースは、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、または9か月超にわたって実施され得る。ある特定の実施形態では、漸減コースは、10日にわたって実施され得る。ある特定の実施形態では、漸減コースは、20日にわたって実施され得る。ある特定の実施形態では、漸減コースは、6日か月にわたって実施され得る。
【0201】
特定の実施形態では、漸減コースについて、レシピエントに投与されるステロイドは、約、少なくとも約、または最大約1日あたり0.01mg/kg、1日あたり0.02mg/kg、1日あたり0.03mg/kg、1日あたり0.04mg/kg、1日あたり0.05mg/kg、1日あたり0.06mg/kg、1日あたり0.07mg/kg、1日あたり0.08mg/kg、1日あたり0.09mg/kg、1日あたり0.1mg/kg、1日あたり0.2mg/kg、1日あたり0.3mg/kg、1日あたり0.4mg/kg、1日あたり0.5mg/kg、1日あたり0.6mg/kg、1日あたり0.7mg/kg、1日あたり0.8mg/kg、1日あたり0.9mg/kg、1日あたり1.0mg/kg、1日あたり1.1mg/kg、1日あたり1.2mg/kg、1日あたり1.3mg/kg、1日あたり1.4mg/kg、1日あたり1.5mg/kg、1日あたり1.6mg/kg、1日あたり1.7mg/kg、1日あたり1.8mg/kg、1日あたり1.9mg/kg、1日あたり2.0mg/kg、または1日あたり2.0mg/kg超低減され得る。
【0202】
特定の実施形態では、ステロイドは、皮下、静脈内、血管内、局所、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口、眼窩内、吸入による、経皮的、または腹腔内、またはレシピエントによるステロイドの適切な活性を可能にする投与経路を含む、当技術分野で周知の簡便な方法で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、ステロイドは、経口投与され得る。特定の実施形態では、ステロイドは、静脈内投与され得る。
【0203】
特定の実施形態では、術後治療レジメンにおいて投与されるステロイドは、プレドニゾンであり得る。特定の実施形態では、術後治療レジメンにおいて投与されるパルスステロイドは、メチルプレドニゾンであり得る。特定の実施形態では、ステロイドの投与は、レシピエントにおいて混合キメリズムを達成及び/または維持するために、本明細書に記載されるように変更され得る。
【0204】
5.3.11 シクロスポリン
シクロスポリンA(CyA)は、本明細書で使用される場合、T細胞に対する特定の作用を有する、免疫系を抑制するためにレシピエントに投与される化合物である。CyA(C621111112)を移植レシピエントに投与して、移植片対宿主病の発生を阻害することができる。CyAの商標名は、Gengraf(登録商標)、Neoral(登録商標)、及びSandimmune(登録商標)を含む。
【0205】
特定の実施形態では、本明細書に提供される前処置レジメンは、CyAを移植レシピエントに投与することを含む。特定の実施形態では、CyAは、移植の1日前、移植の2日前、移植の3日前、移植の1日及び2日前、移植の1日及び3日前、または移植の1日及び2日及び3日前に投与され得る。特定の実施形態において、CyAは、移植の1日前にレシピエントに投与され得る。
【0206】
シクロスポリン(CyA)は、免疫系を抑制し、レシピエントにおける移植片対宿主病の発生を阻害するために、術後治療レジメンに含まれ得る。術後治療レジメンは、レシピエントへ投与される、CyAの一定のコース、続く漸減コースを含み得る。
【0207】
特定の実施形態では、本明細書に提供される術後治療レジメンは、CyAを移植レシピエントに投与することを含む。特定の実施形態では、CyAは、移植の当日、移植手術の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後、15日後、16日後、17日後、18日後、19日後、20日後、21日後、22日後、23日後、24日後、25日後、26日後、27日後、28日後、29日後、30日後、1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、13か月後、14か月後、15か月後、16か月後、17か月後、または18か月後に投与され得る。いくつかの実施形態では、CyAは、移植後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、CyAは、移植後約または少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、21日、30日、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、18か月、20か月、24か月、または24か月超後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、CyAは、移植後約または少なくとも約1~2か月、2~3か月、3~4か月、4~5か月、5~6か月、6~7か月、7~8か月、8~9か月、9~10か月、11~12か月、1~6か月、2~6か月、3~6か月、4~6か月、6~12か月、または6~12か月超後に投与される。
【0208】
特定の実施形態では、CyAの単回用量が投与され得る。特定の実施形態では、CyAの複数回用量が投与され得る。特定の実施形態では、CyAの一定用量が投与され得る。特定の実施形態では、CyAの漸減コースが投与され得る。特定の実施形態では、CyAの一定用量に続いてCyAの漸減コースが術後に投与され得る。
【0209】
特定の実施形態では、CyAは、2mg/kg/日、2.5mg/kg/日、3mg/kg/日、3.5mg/kg/日、4mg/kg/日、4.5mg/kg/日、5mg/kg/日、5.5mg/kg/日、6mg/kg/日、6.5mg/kg/日、7mg/kg/日、7.5mg/kg/日、8mg/kg/日、8.5mg/kg/日、9mg/kg/日、9.5mg/kg/日、10mg/kg/日、10.5mg/kg/日、11mg/kg/日、11.5mg/kg/日、12mg/kg/日、12.5mg/kg/日、13mg/kg/日、13.5mg/kg/日、14mg/kg/日、14.5mg/kg/日、15mg/kg/日、15.5mg/kg/日、16mg/kg/日、16.5mg/kg/日、17mg/kg/日、17.5mg/kg/日、18mg/kg/日、2~6mg/kg/日、3~7mg/kg/日、4~8mg/kg/日、5~9mg/kg/日、6~10mg/kg/日、7~11mg/kg/日、8~12mg/kg/日、9~13mg/kg/日、10~14mg/kg/日、11~15mg/kg/日、12~16mg/kg/日、13~17mg/kg/日、または14~18mg/kg/日の用量で移植レシピエントに投与される。ある特定の実施形態では、CyAは、8mg/kg/日の用量で移植レシピエントに投与され得る。ある特定の実施形態では、CyAは、9mg/kg/日の用量で移植レシピエントに投与され得る。ある特定の実施形態では、CyAは、10mg/kg/日の用量で移植レシピエントに投与され得る。ある特定の実施形態では、CyAは、11mg/kg/日の用量で移植レシピエントに投与され得る。ある特定の実施形態では、CyAは、12mg/kg/日の用量で移植レシピエントに投与され得る。ある特定の実施形態では、CyAは、8~12mg/kg/日の範囲の用量で移植レシピエントに投与され得る。
【0210】
特定の実施形態では、CyAは、100~200ng/ml、125~225ng/ml、150~250ng/ml、175~275ng/ml、200~300ng/ml、225~325ng/ml、250~350ng/ml、275~375ng/ml、300~400ng/ml、325~425ng/ml、350~450ng/ml、375~475ng/ml、または400~500ng/mlの標的トラフ血中レベルを得るために十分な用量でレシピエントに術後投与され得る。特定の実施形態では、標的トラフ血中レベルは、250~350ng/mlであり得る。
【0211】
特定の実施形態では、CyAは、一定の用量で移植レシピエントに投与され得る。一定の用量が投与される期間は、移植後1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、または30日であり得る。特定の実施形態では、移植レシピエントに投与されるCyAは、中止するために用量が漸減され得る。特定の実施形態では、この漸減コースは、移植後1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、13か月、14か月、15か月、16か月、17か月、または18か月にわたって行われ得る。
【0212】
特定の実施形態では、CyAは、皮下、静脈内、血管内、局所、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口、眼窩内、吸入による、経皮的、または腹腔内、またはレシピエントによるCyAの適切な活性を可能にする投与経路を含む、当技術分野で周知の簡便な方法で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、CyAは、経口投与され得る。特定の実施形態では、CyAは、静脈内投与され得る。特定の実施形態では、CyAの投与は、レシピエントにおいて混合キメリズムを達成及び/または維持するために、本明細書に記載されるように変更され得る。
【0213】
特定の実施形態において、CyAの代わりに置換化合物が使用され得る。これらの化合物は、タクロリムス(Prograf(登録商標)、Adport(登録商標)、Advagraf(登録商標)、Envarsus(登録商標)、Modigraf(登録商標)、Astagraf(登録商標))、ベラタセプト(Nulojix(登録商標))、シロリムス、及びエベロリムスを含み得る。特定の実施形態では、ベラタセプトは、レシピエントにおける免疫系を抑制するために使用され得る。
【0214】
特定の実施形態では、本明細書に提供される術後治療レジメンは、ベラタセプトを移植レシピエントに投与することを含む。特定の実施形態において、ベラタセプトは、移植の当日、移植手術の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後、15日後、16日後、17日後、18日後、19日後、20日後、21日後、22日後、23日後、24日後、25日後、26日後、27日後、28日後、29日後、30日後、31日後、32日後、33日後、34日後、35日後、36日後、37日後、38日後、39日後、または40日後に投与され得る。特定の実施形態では、ベラタセプトは、単回投与され得る。特定の実施形態では、ベラタセプトは、複数回投与され得る。特定の実施形態では、ベラタセプトは、移植手術後に5回投与され得る。特定の実施形態において、ベラタセプトは、移植手術の1日後に投与され得る。特定の実施形態では、ベラタセプトは、移植手術の5日後に投与され得る。特定の実施形態では、ベラタセプトは、移植手術の12日後に投与され得る。特定の実施形態では、ベラタセプトは、移植手術の19日後に投与され得る。特定の実施形態では、ベラタセプトは、移植手術の33日後に投与され得る。特定の実施形態では、ベラタセプトは、移植手術の1日後及び5日後及び12日後及び19日後及び33日後に投与され得る。
【0215】
特定の実施形態では、ベラタセプトは、2mg/kg/日、2.5mg/kg/日、3mg/kg/日、3.5mg/kg/日、4mg/kg/日、4.5mg/kg/日、5mg/kg/日、5.5mg/kg/日、6mg/kg/日、6.5mg/kg/日、7mg/kg/日、7.5mg/kg/日、8mg/kg/日、8.5mg/kg/日、9mg/kg/日、9.5mg/kg/日、10mg/kg/日、10.5mg/kg/日、11mg/kg/日、11.5mg/kg/日、12mg/kg/日、12.5mg/kg/日、13mg/kg/日、13.5mg/kg/日、14mg/kg/日、14.5mg/kg/日、15mg/kg/日、15.5mg/kg/日、16mg/kg/日、16.5mg/kg/日、17mg/kg/日、17.5mg/kg/日、18mg/kg/日、2~6mg/kg/日、3~7mg/kg/日、4~8mg/kg/日、5~9mg/kg/日、6~10mg/kg/日、7~11mg/kg/日、8~12mg/kg/日、9~13mg/kg/日、10~14mg/kg/日、11~15mg/kg/日、12~16mg/kg/日、13~17mg/kg/日、または14~18mg/kg/日の用量で移植レシピエントに投与される。特定の実施形態では、ベラタセプトは、10mg/kg/日の用量で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、ベラタセプトの投与は、レシピエントにおいて混合キメリズムを達成及び/または維持するために、本明細書に記載されるように変更され得る。
【0216】
5.3.12 ミコフェノール酸モフェチル
ミコフェノール酸モフェチル(MMF)は、本明細書で使用される場合、免疫系を抑制し、レシピエントにおける移植片対宿主病の発生を阻害するために、術後治療レジメンに含まれ得る。MMFの商標名は、CellCept(登録商標)及びMyfortic(登録商標)を含み得る。術後治療レジメンは、レシピエントへ投与される、MMFの一定のコース、続く漸減コースを含み得る。
【0217】
特定の実施形態では、本明細書に提供される術後治療レジメンは、MMFを移植レシピエントに投与することを含む。特定の実施形態では、MMFは、移植の当日、移植の当日かつ約2か月間、移植手術の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後、15日後、16日後、17日後、18日後、19日後、20日後、21日後、22日後、23日後、24日後、25日後、26日後、27日後、28日後、29日後、30日後、1か月後、2か月後、3か月後、4か月後、5か月後、6か月後、7か月後、8か月後、9か月後、10か月後、11か月後、12か月後、13か月後、14か月後、15か月後、16か月後、17か月後、または18か月後に投与され得る。いくつかの実施形態では、MMFは、移植後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、MMFは、移植後約または少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、21日、30日、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、18か月、20か月、24か月、または24か月超後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、MMFは、移植後約または少なくとも約1~2か月、2~3か月、3~4か月、4~5か月、5~6か月、6~7か月、7~8か月、8~9か月、9~10か月、11~12か月、1~6か月、2~6か月、3~6か月、4~6か月、6~12か月、または6~12か月超後に投与される。
【0218】
特定の実施形態では、MMFの単回用量が投与され得る。特定の実施形態では、MMFの複数回用量が投与され得る。特定の実施形態では、MMFの一定用量が投与され得る。特定の実施形態では、MMFの漸減コースが投与され得る。特定の実施形態では、MMFの一定用量に続いてMMFの漸減コースが術後に投与され得る。
【0219】
特定の実施形態では、MMFは、約、少なくとも約、または最大約100mg/用量、200mg/用量、300mg/用量、400mg/用量、500mg/用量、600mg/用量、700mg/用量、800mg/用量、900mg/用量、1000mg/用量、1100mg/用量、1200mg/用量、1300mg/用量、1400mg/用量、1500mg/day,1600mg/用量、1700mg/用量、1800mg/用量、1900mg/用量、2000mg/用量、100-1000mg/用量、200-1200mg/用量、300-1300mg/用量、400-1400mg/用量、500-1500mg/用量、600-1600mg/用量、700-1700mg/用量、800-1800mg/用量、900-1900mg/用量、または1000-2000mg/用量の用量で移植レシピエントに投与され得る。ある特定の実施形態では、MMFは、約2g/日の用量で移植レシピエントに投与され得る。ある特定の実施形態では、MMFは、500~1500mg/用量の範囲の用量で移植レシピエントに投与され得る。ある特定の実施形態では、MMFは、1日1回500~1500mg/日の範囲の用量で移植レシピエントに投与され得る。ある特定の実施形態では、MMFは、1日2回500~1500mg/日の範囲の用量で移植レシピエントに投与され得る。
【0220】
特定の実施形態では、MMFは、一定の用量で移植レシピエントに投与され得る。一定の用量が投与される期間は、移植後、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、1か月、2か月、3か月、4か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、または10か月超後であり得る。特定の実施形態では、移植レシピエントに投与されるMMFは、中止するために用量が漸減され得る。特定の実施形態では、この漸減コースは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、または10か月超にわたって実施され得る。
【0221】
特定の実施形態では、MMFは、皮下、静脈内、血管内、局所、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口、眼窩内、吸入による、経皮的、または腹腔内、またはレシピエントによるMMFの適切な活性を可能にする投与経路を含む、当技術分野で周知の簡便な方法で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、MMFは、経口投与され得る。特定の実施形態では、MMFは、静脈内投与され得る。特定の実施形態では、MMFの投与は、レシピエントにおいて混合キメリズムを達成及び/または維持するために、本明細書に記載されるように変更され得る。
【0222】
5.3.13 mTOR阻害剤
特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、mTOR阻害剤をレシピエントに投与することを含む。理論に束縛されるものではないが、mTOR阻害剤をレシピエントに投与して、T細胞及びB細胞の活性化を阻害し、移植拒絶を防止することができる。特定の実施形態では、mTOR阻害剤は、タクロリムスと組み合わせて使用され得るか、またはタクロリムスの代わりに使用され得る。特定の実施形態では、本明細書に提示される方法に記載されるmTOR阻害剤は、ラパマイシン(例えば、シロリムス)またはエベロリムスであり得る。
【0223】
いくつかの実施形態では、mTOR阻害剤は、移植後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、mTOR阻害剤は、移植後約または少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、21日、30日、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、18か月、20か月、24か月、または24か月超後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、mTOR阻害剤は、移植後約または少なくとも約1~2か月、2~3か月、3~4か月、4~5か月、5~6か月、6~7か月、7~8か月、8~9か月、9~10か月、11~12か月、1~6か月、2~6か月、3~6か月、4~6か月、6~12か月、または6~12か月超後に投与される。
【0224】
特定の実施形態では、本明細書で提供される術後レジメンは、ラパマイシン(またはmTOR阻害剤)を移植後に移植レシピエントに投与することを含む。特定の実施形態では、ラパマイシンまたはmTOR阻害剤は、毎日投与される。特定の実施形態では、ラパマイシンまたはmTOR阻害剤の投与は、移植の直後、移植手術の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後、15日後、16日後、17日後、18日後、19日後、20日後、21日後、22日後、23日後、24日後、25日後、26日後、27日後、28日後、29日後、30日後、または30日超後に開始され得る。特定の実施形態では、ラパマイシンまたはmTOR阻害剤の投与は、移植の約1か月後~移植の約12が月後から開始される。特定の実施形態では、ラパマイシンは、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、または少なくとも12か月間投与される。特定の実施形態では、ラパマイシンは、1、2、3、4、または5日用量で投与される。
【0225】
特定の実施形態では、ラパマイシンまたはmTOR阻害剤の第1の用量は、初期量であり、その後の1日用量よりも高い場合がある。特定の実施形態では、ラパマイシンまたはmTOR阻害剤の用量は約5~8ng/mLである。特定の実施形態では、第1の用量は、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、11mg/kg、12mg/kg、1~4mg/kg、2~6mg/kg、4~8mg/kg、6~10mg/kg、または8~12mg/kgであり得る。特定の実施形態では、1日用量は、0.5mg/kg、1mg/kg、1.5mg/kg、2mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、3.5mg/kg、4mg/kg、1~3mg/kg、または1.5~2.5mg/kgであり得る。特定の実施形態では、ラパマイシンは、6mg/kgの初回用量で投与され、続いて2mg/kgの1日用量で投与される。特定の実施形態では、ラパマイシン(またはmTOR阻害剤)は、経口投与される。
【0226】
特定の実施形態では、ラパマイシンまたはmTOR阻害剤は、1~5ng/ml、2~10ng/ml、5~8ng/ml、4~12ng/ml、6~14ng/ml、8~16ng/ml、10~18ng/ml、12~20ng/ml、14~22ng/ml、または16~24ng/mlの標的全血レベルを得るのに十分な用量でレシピエントに術後に投与され得る。特定の実施形態では、標的全血レベルは4~12ng/mlであり得る。
【0227】
いくつかの実施形態では、mTOR阻害剤は、約、少なくとも約、または最大約1~5ng/ml、5~10ng/ml、8~10ng/ml、4~11ng/ml、10~15ng/ml、1~11ng/ml、2~12ng/ml、3~13ng/ml、4~14ng/ml、5~15ng/ml、6~16ng/ml、7~17ng/ml、8~18ng/ml、9~19ng/ml、10~20ng/ml、または15~20ng/mlの用量で対象に投与される。いくつかの実施形態では、タクロリムスは、約、少なくとも約、または最大約1ng/ml、2ng/ml、3ng/ml、4ng/ml、5ng/ml、6ng/ml、7ng/ml、8ng/ml、9ng/ml、10ng/ml、11ng/ml、12ng/ml、13ng/ml、14ng/ml、15ng/ml、16ng/ml、17ng/ml、18ng/ml、19ng/ml、20ng/ml、22ng/ml、25ng/ml、30ng/ml、または30ng/ml超の用量で対象に投与される。
【0228】
特定の実施形態では、ラパマイシンまたはmTOR阻害剤は、皮下、静脈内、血管内、局所、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口、眼窩内、吸入による、経皮的、腹腔内、またはレシピエントによるラパマイシンまたはmTOR阻害剤の好適な活性を可能にする投与経路を含む、当技術分野で周知の簡便な方法で移植レシピエントに投与され得る。特定の実施形態では、ラパマイシンまたはmTOR阻害剤は、経口投与される。特定の実施形態では、ラパマイシンまたはmTOR阻害剤の投与は、レシピエントにおいて混合キメリズムを達成及び/または維持するために、本明細書に記載されるように変更され得る。
【0229】
特定の実施形態において、mTOR阻害剤は、エベロリムスである。特定の実施形態において、エベロリムスまたはmTOR阻害剤は、1日2回投与される。特定の実施形態では、エベロリムスまたはmTOR阻害剤の投与は、移植の直後、移植手術の1日後、2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後、15日後、16日後、17日後、18日後、19日後、20日後、21日後、22日後、23日後、24日後、25日後、26日後、27日後、28日後、29日後、または30日後に開始され得る。特定の実施形態では、エベロリムスまたはmTOR阻害剤は、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、または少なくとも12か月間投与される。
【0230】
特定の実施形態ではて、投与されるエベロリムスまたはmTOR阻害剤の用量範囲は、0.25mg/kg/用量、0.5mg/kg/用量、0.75mg/kg/用量、1.0mg/kg/用量、1.25mg/kg/用量、1.5mg/kg/用量、1.75mg/kg/用量、2.0mg/kg/用量、0.25~0.5mg/kg/用量、0.5~0.75mg/kg/用量、0.75~1.0mg/kg/用量、1.0~1.25mg/kg/用量、1.25~1.50mg/kg/用量、1.50~1.75mg/kg/用量、または1.75~2.0mg/kg/用量であり得る。特定の実施形態では、エベロリムスまたはmTOR阻害剤は、0.75~1.0mg/kg/用量の用量範囲で1日2回投与される。特定の実施形態では、エベロリムスまたはmTOR阻害剤経口投与される。
【0231】
特定の実施形態では、エベロリムスまたはmTOR阻害剤は、0.1~5ng/ml、1~6ng/ml、2~7ng/ml、3~8ng/ml、4~9ng/ml、5~10ng/ml、6~11ng/ml、7~12ng/ml、または8~13ng/mlの標的全血レベルを得るのに十分な用量でレシピエントに術後に投与され得る。特定の実施形態では、標的全血レベルは3~8ng/mlであり得る。特定の実施形態では、エベロリムスまたはmTOR阻害剤の投与は、レシピエントにおいて混合キメリズムを達成及び/または維持するために、本明細書に記載されるように変更され得る。
【0232】
特定の実施形態では、mTOR阻害剤は、テムシロリムス、エベロリムス、シロリムス(ラパマイシン)、リダフォロリムス、非ラパマイシン類似体mTOR阻害化合物(例えばLY294002であるが、これに限定されない)ウォルトマンニン、ケルセチン、ミリセチン、スタウロスポリン、またはATP競合阻害剤であり得る。
【0233】
5.4 移植
臓器または組織を取得し移植する手順は、当業者には周知である。ドナーからの外科的除去及びレシピエントにおける外科的移植のためのいずれかの手順が、本明細書に提供される方法とともに使用され得る。特定の実施形態では、臓器または組織は、除去から移植までの間に治療することができる。特定の実施形態では、臓器または組織は、セクション5.3.1に記載されるように、除去から移植までの間に治療される。
【0234】
5.5 骨髄注入
骨髄を取得し注入する手順は、当業者に周知である。特定の実施形態では、ドナー骨髄は未処理である。特定の実施形態では、少なくとも1×、2×、3×、4×、5×、6×、7×、8×、または少なくとも9×10細胞/kgが注入される。特定の実施形態では、少なくとも1×、2×、3×、4×、5×、6×、7×、8×、または少なくとも9×10細胞/kgが注入される。特定のより具体的な実施形態では、2~3×10細胞/kgが注入される。特定の実施形態では、骨髄注入の手順及び量は、レシピエントにおいて混合キメリズムを達成し及び/または延長するために、本明細書に記載されるように変更され得る。
【0235】
5.6 転帰評価
特定の実施形態では、キメリズムを達成するための前処置レジメンの有効性が評価され得る。フローサイトメトリー表現型決定を用いて、混合キメリズム(リンパ造血系におけるドナー細胞の割合)の達成及び混合キメリズムの持続時間を決定することができる。キメリズムは、ドナー及びレシピエント白血球を検出するためのクラスI、HLA特異的モノクローナル抗体を用いて、及び可変短いタンデム反復のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイを用いて評価することができる。
【0236】
特定の実施形態では、理論に束縛されるものではないが、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント、トシリズマブ(例えば、CTSが特定の日に発生または投与される場合)、シクロホスファミド(例えば、60mg/kg)、リツキシマブ、及び/または胸腺の照射の組み合わせは、CTSのリスク、持続時間、または重症度を最小限に抑える。特定の実施形態では、理論に束縛されるものではないが、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント、シクロホスファミド(例えば、22.5mg/kg)、リツキシマブ、フルダラビン(例えば、10mg/m)及び/または胸腺の照射の組み合わせは、CTSのリスク、期間、または重症度を最小限に抑える。特定の実施形態において、理論に束縛されるものではないが、低用量シクロホスファミド(例えば、22mg/kg)及びフルダラビン(例えば、10mg/m)の組み合わせは、CTSのリスク、期間、または重症度を最小限に抑える。特定の実施形態では、CTSの期間または重症度は、臨床転帰評価として測定され得る。特定の実施形態にでは、本明細書に記載のアッセイまたは実験のいずれか(例えば、実施例セクション6)
【0237】
特定の実施形態では、機能的アッセイを使用して、循環ドナー特異的抗体(DSA)の存在及びELISAにより決定され得るレシピエントの血清中のB細胞活性化因子(BAFF)のレベルを含む、移植拒絶を予測するバイオマーカーを検出することができる。特定の実施形態では、循環リンパ球に対するフローサイトメトリー分析を実施して、レシピエントの免疫系再構成の状態を決定することができる。特定の実施形態では、レシピエントの末梢血単核細胞の混合リンパ球反応(MLR)を実施して、ドナー細胞に対するレシピエント細胞の反応、その反応が移植手術後に変化するかどうかを評価することができる。特定の実施形態では、機能的アッセイを使用して、移植臓器に対する寛容性の誘導が達成されたかどうかを決定することができる。これらのアッセイには、制御性T細胞の存在の指標として、FoxP3+T細胞:CD4+T細胞の比を決定するためのフローサイトメトリー分析が含まれる。
【0238】
特定の実施形態では、移植された移植片の生検を実施し、移植された臓器の健康を調べ、寛容性の誘導または移植片拒絶の証拠を決定することができる。生検によって可視化されたそのような証拠には、タンパク尿、浸潤単核細胞、赤血球断片、動脈フィブリノイド壊死、またはC4dの沈着が挙げられ得る。組織生検は、ルーチンの顕微鏡検査、免疫蛍光検査、及び電子顕微鏡法治療(パネルB)を用いて調べることができる。特定の実施形態では、生検から全RNAを単離することができ、目的のマーカーのmRNAレベルを決定することができる。これらの目的のマーカーには転写因子FOXP3及びグランザイムBが挙げられる。移植の生検は、移植手術の6が月後、12が月後、2年後、3年後、4年後、5年後、6年後、7年後、8年後、9年後、または年後に起こり得る。
【0239】
特定の実施形態では、移植手術の転帰評価には、レシピエントに移植された臓器の機能のモニタリングが挙げられる。例えば、腎臓が移植された臓器である場合、移植手術の転帰評価として、腎臓の糸球体濾過速度(GFR)をモニタリングすることができる。特定の実施形態では、移植手術の転帰の他の評価には、感染の発生率、日和見感染の発生率、治療関連有害事象の発症、及び患者の移植後の生活の質をモニタリングが含まれる。
【0240】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法の有効性は、移植された移植片(例えば、肝臓または腎臓)の生存率を決定することによって評価され得る。特定の実施形態では、移植された移植片(例えば、肝臓または腎臓)の生検を実施し、移植された臓器(例えば、肝臓または腎臓)の健康を調べ、寛容性の誘導または移植片拒絶の証拠を決定することができる。組織生検は、ルーチンの顕微鏡検査、免疫蛍光検査、及び電子顕微鏡法を用いて調べることができる。
【0241】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法の有効性は、レシピエントにおける治療を要した生検で証明された急性拒絶反応(tBPAR)を検出することによって決定することができる。特定の実施形態では、tBPARは、移植後10か月、12か月、15か月、18か月、20か月、25か月、30か月、35か月、40か月、45か月、50か月、55か月、または60か月でレシピエントにおいて検出されなかった。
【0242】
特定の実施形態では、移植手術の転帰評価には、レシピエントに移植された臓器(例えば、肝臓または腎臓)の機能のモニタリングが挙げられる。例えば、本明細書に記載の治療方法の有効性は、移植後1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7.5か月、9か月、10.5か月、12か月、13.5か月、15か月、16.5か月、18か月、19.5か月、21か月、22.5か月、24か月、27か月、30か月、36か月、42か月、48か月、または54か月、または移植後1~5か月、5~10か月、10~15か月、15~20か月、20~25か月、25~30か月、30~35か月、35~40か月、40~45か月、45~50か月、50~55か月、または55~60か月で臓器機能を測定することによって評価することができる。肝臓機能は、例えば、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、アルカリホスファターゼ(ALP)、ガンマーンスフェラーゼ(GGT)、血清ビリルビン、プロトロンビン時間(PT)、国際正規化比(INR)及び/またはアルブミンの測定などの肝臓機能試験を行うことによって決定され得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、レシピエントが、移植後、少なくとも10か月、少なくとも15か月、少なくとも20か月、少なくとも25か月、少なくとも30か月、少なくとも35か月、少なくとも40か月、少なくとも45か月、少なくとも50か月、少なくとも55か月、または少なくとも60か月の間、正常な臓器機能(臓器機能試験によって決定される)を有することをもたらす。特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、レシピエントが、移植後、標準の臓器移植後ケア療法を受ける患者と比較して、少なくとも10か月、少なくとも15か月、少なくとも20か月、少なくとも25か月、少なくとも30か月、少なくとも35か月、少なくとも40か月、少なくとも45か月、少なくとも50か月、少なくとも55か月、または少なくとも60か月の間、より良好な臓器機能(臓器機能試験によって決定される)を有することをもたらす。
【0243】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、レシピエントが、移植後、少なくとも10か月、少なくとも15か月、少なくとも20か月、少なくとも25か月、少なくとも30か月、少なくとも35か月、少なくとも40か月、少なくとも45か月、少なくとも50か月、少なくとも55か月、または少なくとも60か月の間、5~60U/L、7~55U/L、10~55U/L、15~50U/L、20~40U/L、または25~35U/LのALT値を有することをもたらす。
【0244】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、レシピエントが、移植後、少なくとも10か月、少なくとも15か月、少なくとも20か月、少なくとも25か月、少なくとも30か月、少なくとも35か月、少なくとも40か月、少なくとも45か月、少なくとも50か月、少なくとも55か月、または少なくとも60か月の間、5~50U/L、8~48U/L、10~45U/L、15~40U/L、または20~30U/LのAST値を有することをもたらす。
【0245】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、レシピエントが、移植後、少なくとも10か月、少なくとも15か月、少なくとも20か月、少なくとも25か月、少なくとも30か月、少なくとも35か月、少なくとも40か月、少なくとも45か月、少なくとも50か月、少なくとも55か月、または少なくとも60か月の間、30~150U/L、40~129U/L、50~120U/L、60~110U/L、70~100U/L、または80~90U/LのALP値を有することをもたらす。
【0246】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、レシピエントが、移植後、少なくとも10か月、少なくとも15か月、少なくとも20か月、少なくとも25か月、少なくとも30か月、少なくとも35か月、少なくとも40か月、少なくとも45か月、少なくとも50か月、少なくとも55か月、または少なくとも60か月の間、5~70U/L、8~61U/L、10~50U/L、15~45U/L、20~40U/L、または25~35U/LのGGT値を有することをもたらす。
【0247】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、レシピエントが、移植後、少なくとも10か月、少なくとも15か月、少なくとも20か月、少なくとも25か月、少なくとも30か月、少なくとも35か月、少なくとも40か月、少なくとも45か月、少なくとも50か月、少なくとも55か月、または少なくとも60か月の間、0.05~2mg/dL、0.1~1.5mg/dL、0.1~1.2mg/dL、0.5~1mg/dLまたは0.7~1mg/dLの血清ビリルビン値を有することをもたらす。
【0248】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、レシピエントが、移植後、少なくとも10か月、少なくとも15か月、少なくとも20か月、少なくとも25か月、少なくとも30か月、少なくとも35か月、少なくとも40か月、少なくとも45か月、少なくとも50か月、少なくとも55か月、または少なくとも60か月の間、7~15秒、8~14秒、9~13秒、9.4~12.5秒、または10~12秒のPTを有することをもたらす。
【0249】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、レシピエントが、移植後、少なくとも10か月、少なくとも15か月、少なくとも20か月、少なくとも25か月、少なくとも30か月、少なくとも35か月、少なくとも40か月、少なくとも45か月、少なくとも50か月、少なくとも55か月、または少なくとも60か月の間、2~6g/dL、2.5~5.5g/dL、3~5g/dL、3.5~5g/dL、または4~4.5g/dLのアルブミン値を有することをもたらす。
【0250】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、レシピエントが、移植後、少なくとも10か月、少なくとも15か月、少なくとも20か月、少なくとも25か月、少なくとも30か月、少なくとも35か月、少なくとも40か月、少なくとも45か月、少なくとも50か月、少なくとも55か月、または少なくとも60か月の間、1~3、1.5~2.5、1.5~2または1.1より下のINRを有することをもたらす。
【0251】
例えば、本明細書に記載の治療方法の有効性は、移植の10か月、15か月、20か月、25か月、30か月、35か月、40か月、45か月、50か月、55か月、または60か月後に腎機能を測定することによって評価され得る。腎機能は、例えば、血清クレアチニン及び/または糸球体濾過速度を測定することによって決定され得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、レシピエントが、正常な腎機能(血清クレアチニン及び/または糸球体濾過速度(GFR)によって決定される)を有することをもたらす。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、レシピエントが、標準の肝臓移植後ケア療法を受ける患者と比較して、より良好な腎機能(血清クレアチニン及び/または糸球体濾過速度によって決定される)を有することをもたらす。
【0252】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、レシピエントが、移植後、少なくとも10か月、少なくとも15か月、少なくとも20か月、少なくとも25か月、少なくとも30か月、少なくとも35か月、少なくとも40か月、少なくとも45か月、少なくとも50か月、少なくとも55か月、または少なくとも60か月の間、0.5~1.5mg/mL、0.6~1.4mg/mL、0.7~1.3mg/mL、0.8~1.2mg/mL、または0.9~1.1mg/mLの血清クレアチニン値を有することをもたらす。
【0253】
特定の実施形態では、本明細書に記載の治療方法は、レシピエントが、移植後、少なくとも10か月、少なくとも15か月、少なくとも20か月、少なくとも25か月、少なくとも30か月、少なくとも35か月、少なくとも40か月、少なくとも45か月、少なくとも50か月、少なくとも55か月、または少なくとも60か月の間、40~90、45~85、50~80、55~75、60~70、または90より上のGFR有することをもたらす。
【0254】
5.7 医薬組成物
本明細書には、薬学的に有効な量の本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物が提供される。また、本明細書に記載の第2の剤(例えば、リツキシマブ、シクロホスファミド、トシリズマブ、コルチコステロイド、タクロリムス、MMF、抗増殖剤、ステロイド、シロリムス、ポリクローナルウサギ抗胸腺細胞グロブリン(rATG)、フルダラビン、B細胞枯渇抗体、免疫抑制剤、化学療法剤、抗増殖剤、抗IL6R抗体、抗新生物剤、及び/または照射剤)の1つまたは複数を含む医薬組成物も本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、医薬組成物が、胸腺(thymic)(または胸腺(thymus))照射、移植、及び/または細胞(例えば、骨髄)注入とともに、その前に、またはその後に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、予防的に投与される(例えば、トシリズマブ)。
【0255】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入(例えば、骨髄細胞注入)の前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入(例えば、骨髄細胞注入)の後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の日と同じ日に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入(例えば、骨髄細胞注入)の日と同じ日に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、及び/または1日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入の20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、及び/または1日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、及び/または1日後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入の20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、及び/または1日後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の9日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入の9日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の6日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入の6日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の5日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入の5日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の4日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入の4日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の3日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入の3日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の2日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入の2日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の1日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入の1日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の1日後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入の1日後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植前に少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、または少なくとも10回超対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入前に少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、または少なくとも10回超対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、または少なくとも10日超前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入の少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、または少なくとも10日超前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植後に少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、または少なくとも10回超対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入後に少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少なくとも10回、または少なくとも10回超対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、または少なくとも10日超後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入の少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、または少なくとも10日超後に対象に投与される。
【0256】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植前の連続した時間/日の間投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入前の連続した時間/日の間投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植後の連続した時間/日の間投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入後の連続した時間/日の間投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植後約、少なくとも約、または最大約1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、12か月間、または12か月超の間対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入後約、少なくとも約、または最大約1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、12か月間、または12か月超の間対象に投与される。
【0257】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の9日及び/または2日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入の9日及び/または2日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の6日、5日、4日及び/または3日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入の6日、5日、4日及び/または3日前に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の1日前、移植と同じ日、及び/または移植後の日に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入の1日前、細胞注入と同じ日、及び/または細胞注入後の日に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の6日前、移植の1日前、移植と同じ日、移植後の日、及び/または移植の6日後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入の6日前、細胞注入の1日前、細胞注入と同じ日、細胞注入後の日、及び/または、細胞注入の6日後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の日と同じ日に対象に投与される いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入の日と同じ日に対象に投与される いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の1日後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、細胞注入の1日後に対象に投与される。
【0258】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植の後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植後約または少なくとも約1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、21日、30日、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、18か月、20か月、24か月、または24か月超後に対象に投与される。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、移植後約または少なくとも約1~2か月、2~3か月、3~4か月、4~5か月、5~6か月、6~7か月、7~8か月、8~9か月、9~10か月、11~12か月、1~6か月、2~6か月、3~6か月、4~6か月、6~12か月、または6~12か月超後に投与される。
【0259】
いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、375mg/mのリツキシマブ)を含む医薬組成物が、対象に投与される(例えば、移植/細胞注入前-9日目及び/または-2日目)。いくつかの実施形態では、B細胞枯渇抗体(例えば、375mg/mのリツキシマブ)を含む医薬組成物が、対象に投与される(例えば、移植/細胞注入前-9日目及び/または-2日目、及び/または移植/細胞注入の5日後、及び/または、移植/細胞注入の12日後)。いくつかの実施形態では、抗悪性腫瘍剤(例えば、10mg/mのフルダラビン)を含む医薬組成物が、対象に投与される(例えば、移植/細胞注入前-6日目、-5日目、-4日目及び/または-3日目)。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、0.6mg/kgのシプリズマブ)を含む医薬組成物が、対象に投与される(例えば、移植/細胞注入の前日(-1日目)、移植/細胞注入の当日(0日目)、及び/または移植/細胞注入の1日後(1日目))。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、0.6mg/kgのシプリズマブ)を含む医薬組成物が、対象に投与される(例えば、移植/細胞注入の6日前、移植/細胞注入の前日(-1日目)、移植/細胞注入の当日(0日目)、及び/または移植/細胞注入の1日後(1日目))。いくつかの実施形態では、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、0.6mg/kgのシプリズマブ)を含む医薬組成物が、対象に投与される(例えば、移植/細胞注入の6日前、移植/細胞注入の前日(-1日目)、移植/細胞注入の当日(0日目)、移植/細胞注入の1日後(1日目)、及び/または移植/細胞注入の6日後(6日目))。いくつかの実施形態では、化学療法剤(例えば、シクロホスファミド、例えば、22.5mg/kg)を含む医薬組成物が、対象に投与される(例えば、移植前-5日目及び/または-4日目)。いくつかの実施形態では、照射(例えば、胸腺照射、7Gy)は、移植の日の前に対象に与えられる。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤(例えば、タクロリムス、例えば、8~10ng/mL)を含む医薬組成物が、対象に投与される(例えば、移植当日及び/または約1か月間)。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤(例えば、タクロリムス、例えば、4~11ng/mL)を含む医薬組成物が、対象に投与される(例えば、移植当日及び/または約9~12か月間)。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤(例えば、タクロリムス、例えば、4~11ng/mL)を含む薬学的組成物が、移植後(例えば、移植後約1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、18か月、24か月、または24か月超後)に対象に投与される。いくつかの実施形態では、抗増殖剤(例えば、MMF、例えば、約1g/日)を含む医薬組成物が、対象に投与される(例えば、移植当日及び/または約1~2か月間)。いくつかの実施形態では、抗増殖剤(例えば、MMF、例えば、約1g/日)を含む薬学的組成物が、移植後(例えば、移植後約1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、18か月、24か月、または24か月超後)に対象に投与される。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤(例えば、コルチコステロイド)を含む医薬組成物が、対象に投与される(例えば、移植当日及び/または約6か月間)。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤(例えば、コルチコステロイド)を含む医薬組成物が、対象に投与される(例えば、移植当日及び/または約20日間)。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤(例えば、コルチコステロイド)を含む医薬組成物が、移植後(例えば、移植後約1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、18か月、24か月、または24か月超後)に対象に投与される。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤(例えば、シロリムス、例えば、初回トラフ5~8ng/mL)を含む医薬組成物が、対象に投与される(例えば、移植後(例えば、移植の約1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、18か月、24か月、または24か月超後、及び/または移植の日の1か月後及び/または12か月間)。いくつかの実施形態では、抗IL6R抗体(例えば、トシリズマブ)を含む医薬組成物が、対象に投与される(例えば、CTSが発生する場合、移植または細胞注入の7日後、及び/または移植または細胞注入の14日後)。いくつかの実施形態では、抗IL6R抗体(例えば、トシリズマブ)を含む医薬組成物が、移植後(例えば、移植後約1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、12か月、18か月、24か月、または24か月超後)に対象に投与される。
【0260】
特定の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、皮下、静脈内、血管内、局所、動脈内、頭蓋内、筋肉内、経口、眼窩内、吸入、腹腔内、骨内、気管内、舌下、頬側、直腸、皮内、髄腔内、髄内、または経皮投与経路のために調合され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、静脈内投与用に製剤化される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、皮下投与用に製剤化される。
【0261】
特定の実施形態では、静脈内または皮下投与用に製剤化されている組成物は、溶液、懸濁液は乳剤であり得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の剤(例えば、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント)は、剤を薬学的に適切なビヒクルと組み合わせることにより、静脈内または皮下投与のために製剤化される。特定の実施形態では、使用されるビヒクルは、水、生理食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液、グリセロール、エタノール、1~10%ヒト血清アルブミン、水中5%デキストロース、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール400、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、TWEEN80、TWEEN20、ポリオキシル-35ヒマシ油、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、カプリロカプロイルマクロゴール-8グリセリド、大豆油、ポリオキシエチル化オレイン酸グリセリド、及び中鎖モノ-及びジグリセリドであり得るが、これらに限定されない。特定の実施形態では、リポソーム及び非水性ビヒクル(例えば、固定油)はまた、本明細書に記載の剤(例えば、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント)を投与するために使用され得る。
【0262】
特定の実施形態では、ビヒクルは、等張性(例えば、塩化ナトリウム、マンニトール)を維持する添加剤を含有し得る。特定の実施形態では、ビヒクルは、化学安定性を維持するために添加剤を含有し得る。これらの添加剤は、緩衝剤(例えば、マレイン酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、酢酸、重炭酸ナトリウム、及びリン酸ナトリウム)、及び保存剤(例えば、洗浄剤、酸化剤、及びイオン性緩衝剤)を含み得るが、これらに限定されない。得られた医薬製剤は、周知のまたは適切な技術によって滅菌される。
【0263】
特定の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物の静脈内投与は、ボーラス注射、緩徐静脈内注射、または連続静脈内注射として投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物の皮下投与は、ボーラス注射として投与され得る。
【0264】
5.8 キット
本明細書では、1つ以上の容器に入った、本明細書に記載の医薬組成物を含むキットが提供される。本明細書では、本明細書に記載の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント及び/または1種または複数の第2の剤(例えば、リツキシマブ、シクロホスファミド、トシリズマブ、コルチコステロイド、タクロリムス、MMF、抗増殖剤、ステロイド、シロリムス、フルダラビン、化学療法剤、抗IL6R抗体、B細胞枯渇抗体、免疫抑制剤、抗腫瘍剤、及び/または抗増殖剤)を含むキットが提供される。いくつかの実施形態では、キットは、1つ以上の容器に入った、本明細書に記載の医薬組成物を含む。いくつかの実施形態では、キットは、同じまたは異なる容器中に入った、1つ以上の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント及び/または本開示の第2の剤またはその組成物を含む。いくつかの実施形態では、キットは、同じまたは異なる容器中に入った、少なくとも1つの抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、キットは、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントのライブラリーを含む。いくつかの実施形態では、キットは、別の活性剤/第2の剤を含む。いくつかの実施形態では、キットは、対照及び/または参照(例えば、参照抗体)を含む。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の化合物及び/または組成物を作製及び/または合成するための試薬及び/または説明書をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、1つ以上の緩衝液も含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、同じまたは異なる容器中に別の剤(例えば、別の活性剤)を含む。いくつかの実施形態では、剤(例えば、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント)を含む容器は、単回投与または複数回投与のために提供される。いくつかの実施形態では、剤(例えば、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント)は、複数用量、複数使用、または複数投与に十分な量でキット中の容器中に存在する。いくつかの実施形態では、キットは、剤の投与に必要な他の成分(例えば、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント)を含む(例えば、キットは、注射器、カテーテル、カニューレ、ポンプ、または任意の注射装置を含む)。特定の実施形態では、キットは、本明細書に記載の医薬組成物を投与するのに使用できる器具を含み、その器具としては、シリンジ、無針注射器、点滴バッグ、注入ポンプ、ポンプ、パッチ及び吸入器が挙げられるが、これらに限らない。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載の1つ以上の剤を保持する容器と同じまたは別個の容器中に、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、及び/または緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、キットは、胸腺照射のための成分及び/または説明書を含む。
【0265】
キットの成分は、別個の容器に入っていても単一の容器に組み合わせて入っていてもよい。いくつかの実施形態では、キット成分は、水性媒体、粉末形態、結晶形態、または凍結乾燥形態のいずれかで包装され得る。医薬組成物が包装され得る容器としては、ボトル、袋、アンプル、チューブ、吸入器、バッグ、バイアル及び容器が挙げられるが、これらに限らない。キットの容器手段は、バイアル、試験管、フラスコ、ボトル、無針注射器、点滴バッグ、注入ポンプ、ポンプ、パッチ、吸入器、アンプル、注射器、または他の容器手段のうちの少なくとも1つを含むことができ、その中に成分が配置され得る。いくつかの実施形態では、成分は適切にアリコートされる。いくつかの実施形態では、1つ超のキット成分がある場合、試薬及び対応するラベルを一緒に包装することができる。いくつかの実施形態では、キットは、第2、第3、または他の追加の容器を含み、その中に追加の成分が別個に配置され得る。いくつかの実施形態では、キットは、滅菌、薬学的に許容される緩衝液、及び/または他の希釈剤を含有するための第2の容器手段を含む。いくつかの実施形態では、成分の様々な組み合わせが、1つ以上のバイアルに含まれる。いくつかの実施形態では、キットは、市販のために、本開示の抗体及び/または化合物及び/または組成物を厳重に封じて含有するための手段を含む。そのような容器は、所望のバイアルが保持される注入またはブロー成形プラスチック容器を含み得る。
【0266】
いくつかの実施形態では、キット成分は、1種及び/または複数種の液体溶液中に提供される。いくつかの実施形態では、液体溶液は、水溶液または滅菌水溶液である。いくつかの実施形態では、キット成分は、乾燥粉末(複数可)として提供される。試薬及び/または成分が乾燥粉末として提供される場合、そのような粉末は、適切な体積の溶媒の添加によって再構成され得る。いくつかの実施形態では、溶媒は、別の容器手段で提供される。いくつかの実施形態では、標識色素が乾燥粉末として提供される。いくつかの実施形態では、標識色素は、約、少なくとも約、または最大約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、400、500、600、700、800、900、1000マイクログラムの量で提供される。いくつかの実施形態では、色素は、DMSOなどの任意の適切な溶媒に再懸濁することができる。
【0267】
いくつかの実施形態では、キットは、キットの成分を使用するための説明書を含む。いくつかの実施形態では、キットは、用量、投与、用途、貯蔵条件、1つ以上のキットを使用することによって治療または予防することができる疾患のリスト、及び/または構成要素の使用に関連する説明書を含有する。いくつかの実施形態では、説明書は、適切な記録媒体に記録される。例えば、説明書は、紙、タグ(例えば、接着剤タグ)、またはプラスチックなどの基材に印刷され得る。いくつかの実施形態では、説明書は、パッケージ挿入物としてキット中に、または容器またはキットの成分に取り付けられたラベル上に存在する。いくつかの実施形態では、説明書は、適切なコンピュータ可読記憶媒体、例えば、CD-ROM、ディスケット、USB記憶デバイス、またはフラッシュドライブ上に存在する電子記憶データファイルとして提供される。いくつかの実施形態では、説明書は、キットには存在しないが、例えば、インターネットを介して遠隔ソースに存在する。
【0268】
5.9 等価物及び参照による援用
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲を限定されるものではない。実際、説明されるものに加えて、本発明の様々な修正が、上記の説明及び添付の図面から当業者に明らかとなるだろう。そのような修正は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0269】
様々な刊行物、特許、及び特許出願が本明細書に引用されており、これらの開示は、参照することによりそれらの全体が組み込まれる。
【実施例
【0270】
6.実施例
6.1 実施例1.de novo生体ドナー腎移植における寛容誘導のための、ドナー骨髄細胞注入及び骨髄非破壊的前処置(フルダラビン及びシクロホスファミドを含む)と組み合わせた、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)の安全性及び寛容性試験
この研究では、de novo生体ドナー腎移植レシピエントにおいて、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)を、ドナー骨髄細胞及びフルダラビン及びシクロホスファミドを用いた骨髄非破壊的前処置と組み合わせ、同種寛容性を決定する。
【0271】
一次目的:腎同種移植片寛容性を誘導すること(移植後24か月目で良好な腎機能を維持しつつ免疫抑制剤を中止したレシピエントの割合)。
【0272】
主要な二次目的:移植後24か月での生検で証明された急性拒絶反応(BPAR)、死及び移植片損失(追跡するため損失を伴うもの、及び伴わないもの)複合発生率を決定すること、及び、移植後24か月でのde novoDSA(ドナー特異的抗体)の発生率及び平均蛍光強度(MFI)を決定すること。
【0273】
二次目的
・抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)、及びフルダラビンベースの前処置レジメンの安全性、寛容性及び活性を経時的に評価すること
・CTSの発生率及びグレード
・死及び移植片喪失の発生率
・生検で証明された急性拒絶反応(BPAR)及び治療を要したBPARの発生率(Banff分類による)
・腎機能(推定糸球体濾過率(eGFR))及び経時的な腎機能の変化(例えば、3、6、12、24か月で評価され、次いで60か月後まで毎年評価される)
・重篤な有害事象及び有害事象の発生率
・重症または臨床的に有意な日和見感染の発生率
・BKウイルス血症、感染及び腎症の発生率
・悪性腫瘍の発生率
・GvHDの発生率及び重症度
・移植後の新たな糖尿病の発症率(NODAT)
・慢性拒絶反応の発生率
【表7】
【0274】
試験目的:
・フローサイトメトリーによるTreg及びTエフェクター/メモリー細胞を含むリンパ球枯渇及び回復の評価
・移植後の好中球回復までの時間(ANC>500/mm3)
・移植後の血小板回復までの時間(血小板>20,000/mm3及び輸血非依存)
・抗CD2抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、シプリズマブ)の薬物動態の特徴付け
・ドナー特異的リンパ及び骨髄キメリズムの評価:
〇フローサイトメトリーによる
〇可変ショートタンデムリピート(VNTR)PCRベースのDNAマイクロサテライト分析による
・細胞または抗体媒介拒絶反応の異常な組織学的知見の発生率または進行(すなわち、TG、IF/TA、C4d、BK/ポリオーマウイルス腎症)
・血液学的及び腎機能、ならびに生体ドナーの他の合併症に関するドナーの追跡評価及び安全性モニタリング
・寛容性のバイオマーカー(例えば、生検におけるFoxP3)の評価
・経時的サイトカインパネルの評価
・HLAエプレットミスマッチ負荷の評価及び転帰に対する関係
【表8】
【0275】
研究デザイン:約12人の対象がこの研究に登録
一次目的を24か月目に評価し、レシピエントは、フォローアップのために移植後最大5年研究に留まる(図1参照)。この研究は、12人の患者における抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)に基づく治療レジメンを評価する。一次目的転帰(すなわち、良好な腎機能を有し免疫抑制を中止した患者の割合及び24月目における許容される安全性プロファイル)に基づいて、プロトコルは、追加の患者の登録を可能にするように修正が可能。
【0276】
スクリーニング期間中(-37日目~-10日目)及びインフォームドコンセントが署名された後、出生日、年齢、性別、人種及び民族性を含む、ベースライン対象情報をドナー及びレシピエントから得る。さらに、現在の医学的状態、末期腎疾患の原因(ESRD)、透析及び薬歴を含む、関連する病歴をレビューする。完全身体検査、バイタルサイン、研究所評価、及び妊娠検査を実施する。
【0277】
移植前スクリーニング手順は、ドナー/レシピエントHLA型決定(分子)、補体依存性細胞障害(CDC)リンパ球クロスマッチ(またはバーチャルクロスマッチ)、単一抗原ビーズ(SAB)アッセイによる定性的DSA、及びドナー/レシピエントウイルス血清学を含む。同意の前に行う標準的なケア手順は、対象の適格性(例えば、HLA/ABO型決定、特定の研究所結果)の決定において考慮され得る。スクリーニング期間を完了し、全ての包含基準を満たすレシピエント及びそれぞれのドナーを研究に登録する。
【0278】
-9日目は、研究治療期間(前処置レジメン)の開始として定義され、0日目は、移植手術の日として定義される。第1の研究治療来院(-9日目)を外来患者ベースで実施する。レシピエントは、次の研究治療の実施前に、-6日目の時点で病院に入院し、移植後に病院から退院するまで、入院患者として研究が続けられる。病院からの退院は、ドナー及びレシピエントの臨床状態に基づいて変化し、臨床チーム及び医師の裁量及び判断で決定される。病院からの退院に続いて、対象は、11週目まで週1回の来院、3か月目から12か月まで月1回の来院、最大24か月目まで四半月の来院、次いで、研究の終わり(EOS)/60か月目まで6か月ごとに来院するために、クリニックに戻る。これらの訪問を通して、安全性及びPK/PD評価を図2に従って収集する。
【0279】
レシピエントは、-9日目にリツキシマブ(375mg/m2)の注入による移植前処置を開始する。フルダラビン(10mg/m2)を、-6日目、-5日目、-4日目、-3日目に、-5日目及び-4日目にはシクロホスファミド(22.5mg/kg)とともに投与する。第2の用量のリツキシマブを、-2日目に投与し、胸腺照射700cGyを、-1日目に施行する。抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)を、-1日目、0日目及び1日目に0.6mg/kgの用量で投与する。0日目には、腎移植及びドナー骨髄細胞注入を施行する。
【0280】
IVステロイドを、用量及び寛容性に基づいて、移植当日及び術後およそ4日目まで投与する。移植後第1週の間に、対象を、IVから経口ステロイドに移行させ、ゆっくり漸減させながら6か月目にかけて、ステロイドを中止する。
【0281】
濃度制御されたバックグラウンドの免疫抑制剤を、周術期0日目にタクロリムス(標的トラフ8~10ng/mL)で開始し、次いで、4週目にシロリムス(SRL)に切り替える。シロリムス(初回目標トラフ5~8ng/mL)を6か月まで継続する。いくつかの場合では、この研究においては、ミコフェノール酸は使用されない。プロトコル毎の生検を6か月目に施行し、先験的に定義された免疫抑制離脱基準が満たされる場合、SRL用量を減少させる(例えば、3~5ng/mLの目標トラフ濃度を達成するために)。移植後12か月目に、1年プロトコル生検及び同種移植機能または腎機能の評価に基づいて、SRLを完全に離脱する。
【0282】
標準的な安全性評価は、バイタルサイン、身体検査、ECG、臨床研究所評価(血液学、血液化学及び尿検査)、AE及びSAEモニタリングを含む。標準的な臨床研究所評価に加えて、対象を、凝固障害ならびに炎症、血液学的または腎毒性/拒絶の徴候及び症状について定期的にモニタリングする。対象の血清クレアチニン、血清サイトカイン及び腎損傷マーカーを、移植後最初の数週間で頻繁に測定し、その後、腎損傷、機能不全または急性拒絶反応に焦点を置く。腎機能の変化を、Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration(CKD-EPI)及びModification of Diet in Renal Disease(MDRD)方式を用いて、血清クレアチニン及び推定糸球体濾過率(eGFR)を介して評価する。訓練された腎病理学者による腎同種移植片病理ガイドラインのBanff分類に基づいて、全ての生検を組織病理学的に評価し、リアルタイムで分類する。腎障害、すなわち、糸球体または尿管の種類及び大まかな位置を評価するのに役立ち得る将来の分析のために、調査用尿障害バイオマーカーサンプルを収集する。蛍光活性化セルソーティング(FACS)分析による広範な免疫表現型決定を、ドナーキメリズム並びに前処置及びドナー骨髄細胞注入後の白血球サブセット及び回復の変化を評価するための研究中に実施する。
【0283】
レシピエント対象の包含基準:
1.研究要件を理解し、任意の研究評価が実行される前に、書面インフォームドコンセントを提供することができる。
2.18~60歳の男性または女性レシピエント
3.第1の腎移植を受ける
4.非HLA同一であるが少なくともハプロタイプ一致、ABO適合性生体ドナーからの腎移植レシピエント
5.特に免疫抑制を中止した後に、研究来院のスケジュールに従うことができる。
6.治験責任医師の判断による安定した心肺状態は、移植3か月以内の駆出率は>40%であり、移植に適格である。
7.スクリーニングの6か月以内でEBV血清陽性である。
8.-9日目(治療期間の開始)から72時間以内に行われるSARS-CoV-2核酸増幅試験(NAAT)で陰性である。
9.レシピエントは、適用可能なガイドラインに従って固形臓器またはBMT/HSCT移植に対して禁忌であり得る他の局所的に流行性の感染がない。
10.男性研究の対象は、バリア避妊法(コンドーム)を維持することをいとわず、フルダラビンの最後の投与から180日後まで子供をもうけないことに同意する。
【0284】
レシピエント:組織適合性試験(HLA/ABO型決定):移植前の高精度HLA型決定ならびにHLAクラスI及びクラスII抗原(HLA A、B、C、DR、DP及びDQを含む)を実施する。さらに、血液群の血清学的試験、ならびにB及びT細胞フローサイトメトリーのクロスマッチ試験を実施する。マッチの質に関する情報を提供することに加えて、高精度HLA結果は、FACS及び免疫組織化学によるドナー起源の造血細胞を検出する能力を確実にする。エプレットミスマッチロードの試験評価を計算する。
【0285】
レシピエント:感作(PRA、DSA)履歴:対象となり得る者の血清を、移植の前に、提案されたドナーに対する反応性に関して、ならびにHLA特異性のパネルに対してスクリーニングする(PRA)。抗ドナーHLA抗体(DSA)のスクリーニングは、単一抗原ビーズアッセイ(例えば、Luminex)を利用する。
【0286】
レシピエント:感染性スクリーニング
・サイトメガロウイルスIgG抗体
・サイトメガロウイルスIgM抗体
・エプスタインバーウイルスウイルス核抗原IgG抗体
・B型肝炎コア抗体
・B型肝炎表面抗体
・B型肝炎表面抗原
・C型肝炎抗体
・TB QuantiFERON
・HIV I/IIスクリーン
・HTLV1抗体
・梅毒血清学
・SARS-CoV-2核酸増幅試験(-9日目の72時間以内に試験)
【0287】
レシピエント:臨床研究所試験
・全血球計算diff(CBC)
・凝固パネル
・包括的代謝パネル(化学)
・脂質パネル
・T3/T4/TSH
・尿検査
・血清妊娠試験(妊娠の可能性のある女性に対して)
・CMV DNA NAAT(ベースライン評価;移植の72時間以内に試験)
【0288】
ドナー対象の包含基準:
1.ドナー対象は、何らかの試験評価が行われる前に、インフォームドコンセントを提供することができる。
2.18歳以上または65歳以下の男性または女性
3.従来のドナー前歴(健康診断、研究所評価、及び心理社会的評価)に従い健康である。
4.HBsAg、HIV、HCV(RNA)及びHTLV-1に関して陰性である。試験0日目(手術当日)の28日以内のウイルス試験結果が認められる。
5.試験-9日目(レシピエントの前処置レジメンの開始)の72時間以内にSARS-CoV-2 NAATが陰性である。
6.-9日目から手術当日まで、COVIDプロトコル(例えば、社会的距離、マスク使用)及び施設ガイドラインに準拠する意思がある。
7.Quantiferon Gold Plus IGRA(またはTBに関する現在の標準インターフェロンガンマ放出アッセイ)によって検出される潜伏性TB感染に関して陰性である。
8.適用可能なガイドラインに従って固形臓器またはBMT/HSCT移植に対して禁忌である他の局所的に流行性の感染がない。
【0289】
レシピエント対象の除外基準:
1.スクリーニングの30日以内または薬剤の5半減期内、いずれか長い方の他の治験薬の使用(または別の治験薬研究への登録)。
2.研究治療またはその賦形剤のいずれかに対する、または類似の化学分類の剤(例えば、MEDI-507、タクロリムス、シロリムス、シクロホスファミドまたはリツキシマブ)に対する過敏性の病歴。
3.巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)または膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN/C3糸球体症)に起因する末期腎疾患を有するレシピエント。
4.移植前28日以内に単一抗原ビーズ(例えば、Luminex)アッセイ(複数可)によって測定されるドナー特異的抗HLA抗体(DSA)を有するレシピエント。
5.移植の28日以内にドナークロスマッチ陽性結果(各実施医療機関に従ってアッセイされる)を有するレシピエント。
6.移植の2か月以内にパネル反応性抗体(PRA>20%)を有するレシピエント。
7.白血球減少症(2,000/mm3未満のWBC)または血小板減少症(血小板数<100,000/mm3)のベースラインを有する対象。
8.HIV-1またはHBsAgに対して血清陽性。C型肝炎ウイルスに対して血清陽性である対象は、抗HCV治療後の持続的ウイルス反応(SVR)の証明なしに除外される。移植の6か月以内の結果が認められる。
9.Quantiferon Gold Plus IGRA(またはTBに関する現在の標準インターフェロンガンマ放出アッセイ)によって検出される潜伏性TB感染している。
10.皮膚の基底細胞癌腫または子宮頸部のin situ癌以外の癌の病歴を有する対象。
11.研究への参加を妨げる臨床的に有意な研究所異常を有する対象(例えば、(a)肝臓化学[(ALT、AST、ALP)、(b)ビリルビン、(c)凝固研究(PT、aPTT)]に対する>2.5×ULN値)。
12.治験責任医師の意見において、研究にインフォームドコンセントを与えることができないか、またはプロトコルに概説される研究要件に従うことができない、または従わない対象。
13.治験責任医師の判断において、対象の研究に参加する能力を妨害する任意の他の臨床的に有意な健康状態または研究所異常を有する対象。
14.計画された移植の2か月以内に任意の生弱毒化ワクチンを受けた対象。
15.妊娠または授乳(授乳中)女性であって、妊娠とは、受胎後から懐胎終了までの女性の状態を定義し、陽性ヒト絨毛性ゴナドトロピン (hCG)研究所検査が陽性であることによって確認される。
【0290】
治験薬:抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ(TCD601))を、1回の投与あたり0.6mg/kgの用量で適用する。抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)を、60mgを含む6mLバイアル中に供給し、10mg/mLの濃度で供給する。対象の体重を各注入投与の24時間以内に測定し、この体重が、最終用量計算及び配合の基礎となる。用量は、以下の式によって計算される:用量(mg)=(患者体重(kg)×用量レベル(mg/kg))。例えば、0.6mg/kgの用量を投与された体重が70kgの対象は、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)を42mg(70kg×0.6mg/kg=42mg)を受けることができ、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)を1バイアル必要とするであろう。次いで、シリンジポンプを用いてIV注入を介して製品を対象に投与する。
【0291】
前処置レジメン
・抗CD2抗体(例えば、シプリズマブ、0.6mg/kg):-1日目、0日目、+1日目
・リツキシマブ、375mg/m2;-9日目、-2日目
・フルダラビン、10mg/m2:-6日目、-5日目、-4日目、-3日目
・シクロホスファミド、22.5mg/kg:-5日目、-4日目。
・胸腺照射、700cGy:-1日目
【0292】
レシピエントは、-9日目及び-2日目のリツキシマブから始まる、-1日目、0日目、1日目に抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)、-6日目、-5日目、-4日目、-3日目にフルダラビン(10mg/m2)、-5日目及び-4日目にシクロホスファミド(22.5mg/kg)、及び-1日目に胸腺照射700cGyの前処置レジメンを受ける。メチルプレドニゾロン500mgIVボーラスを0日目及び1日目に与え、ゆっくりと漸減させながら術後1週目の間にIVから経口ステロイドへ切り替え、次いで6か月目で経口ステロイドを中止する。
【0293】
シクロホスファミドによる出血性膀胱炎及び血尿のリスクを予防するために、MESNA(2-メルカプトエタンスルホン酸塩ナトリウム)を与え、シクロホスファミド投与の前後で患者を血液透析する。腎ドナー骨髄同時移植を0日目に施行する。タクロリムス(トラフ8~10ng/mL)を、移植時に開始し、患者がシロリムス(初回目標トラフ5~8ng/mL)に切り替えられる第4週まで与える。
【0294】
抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント前投薬:抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)の各注入の前に、対象は、650~1000mgのアセトアミノフェン(またはパラセタモール)及びH1アンタゴニスト(抗ヒスタミン剤、例えば、25mgのジフェンヒドラミンまたは4mgのクロルフェニラミン)を含む前投薬を受けて、注入反応の徴候及び症状を最小限に抑えることができる。さらに、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)(-1日目)の第1の用量について、8mg/kgのメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを、注入を開始する前に投与することができる。必要な前投薬の投与は、注入の開始の30分間以上前及び3時間以下で起こり得る。
【0295】
抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの投与(-1日目、0日目及び1日目):抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメントの第1の用量(例えば、シプリズマブ;0.6mg/kg)を-1日目に投与する。抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)の用量を、約20~24時間の間隔で投与することができる。抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)溶液を、約1時間にわたってシリンジポンプを介して静脈内に注入する。前投薬は、-1日目及び1日目に抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)の投与に先行する。
【0296】
0日目に、注入を術前または術中に投与し、注入は、完了が、同種移植片の血行再建及び灌流の4時間前でないように時間調整され得る。麻酔医との診察において、治療的重複を回避するために、前投薬は任意の術前薬剤と調整することができる。術中に投与する場合は、注入は、血管再生及び骨髄細胞注入(BMCI)の投与の前に完了させる必要がある。これは、ドナー及びアロ反応性Tリンパ球の両方が抑制され、枯渇が移植の数時間後及び数日後に開始されることを確実にする。各投与後は、対象の注入反応を注意深くモニターする(最低2時間)。
【0297】
注入は、末梢静脈または留置マルチルーメン中央カテーテル内の別個のルーメン内に直接与えることができる(及び、例えば、他のIV薬剤との適合性は知られていないため、他の薬剤と同時に投与しない)。抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)の投与の日付、開始時間、完了時間よび総用量を記録する。
【0298】
効能喪失及び/または関連する薬物動態(PK)/薬力学(PD)データを含む、注目に値するAE及び/またはSAEが研究中に収集された場合、研究を通して計画された次の用量レベルを変更することを検討し、実施することができる。
【0299】
リツキシマブ前投薬:アセトアミノフェン(650-1000mgPO)、H1-アンタゴニスト(抗ヒスタミン剤、例えば25~50mgジフェンヒドラミン、4mgクロルフェニラミン)、及びヒドロコルチゾンコハク酸ナトリウム(例えばSolu-Cortef;100mgIV)を、リツキシマブの各用量の2時間前に対象に投与することができる。
【0300】
リツキシマブ投与(-9日目及び-2日目):リツキシマブ(375mg/m/用量)を-9日目及び-2日目に投与する。進行中の腎置換療法を受ける対象においては、リツキシマブは、血液透析の数時間後に投与され得る。注入のための第1のリツキシマブ溶液は、50ミリグラム/時間(mg/hr)の初期速度で静脈内投与することができる。速度は、30分毎に50mg/hrずつ最大400mg/hrまで上昇させることができる。第2のリツキシマブ用量を-2日目に投与する。対象が第1の注入を許容する場合、第2の注入を、100ミリグラム/時間(mg/hr)で開始し、30分毎に100mg/hr、最大400mg/hrまで用量設定することができる。
【0301】
対象の注入反応を注意深くモニターする(最低1時間)。対象が第1の注入を許容しない場合、初期注入ガイドラインに従うことができる。過敏症または注入関連事象が生じる場合、注入を一時的に遅くするか、または中断することができる。次いで、注入を、症状の改善時に以前の速度の半分で継続させることができる。リツキシマブ投与の開始及び停止時間ならびに総用量を記録することができる。
【0302】
フルダラビン前投薬/治療血液透析:移植の前に透析を受けなかった対象は、フルダラビン毒性に対する予防として、フルダラビンの最初及び最後の投与の後に血液透析治療を必要とする。既存の血管アクセスを有さないレシピエントは、前処置中の血液透析の準備のために、血管アクセス及びカテーテルの挿入に備えて-6日目またはその前に腎臓専門医に診察される。血液透析は、-6日目にフルダラビンの最初の投与の5~7時間後、及び-3日目にフルダラビンの最後の投与の5~7時間後に施行され得る。透析の持続時間(または用量)は、持続時間が4時間に近いか、またはローカルの腎臓専門医の推奨に従うことができる。
【0303】
透析日、日付及び持続時間を記録することができる。対象のeGFRが10mL/分未満であり、かつ対象が研究登録時に血液透析または持続携行式腹膜透析(CAPD)を受けている場合、追加の血液透析を-1日目に施行する。
【0304】
フルダラビン投与(-6日目、-5日目、-4日目、及び-3日目):フルダラビン(10mg/m)は、-6日目、-5日目、-4日目、-3日目に約30分間かけて静脈内投与することができる。ローカル治験実施医療機関の基準に従い、フルダラビンの表示及び予防的処置に従う一方で、吐き気及び嘔吐を防止するための制吐療法(例えば、グラニセトロンまたは代替物の使用)が推奨される。
【0305】
シクロホスファミド前投薬/治療:-5日目及び-4日目にシクロホスファミドの投与前に、レシピエントは、吐き気、嘔吐、及び注入反応の予防のための前治療(例えば、グルココルチコイド、抗ヒスタミン、抗不安緩解及び制吐薬)を受けることができる。対象は、以下の通り、MESNAによる出血性膀胱炎に対する予防を受けることができる:
・乏尿対象:MESNA、15mg/kgを、シクロホスファミド投与の15分前、ならびに3、6及び9時間後に、4回のボーラス静脈内注射を介して投与する。
・非乏尿対象:MESNA、15mg/kgを、シクロホスファミド投与の15分前、ならびに3、6及び9時間後に4回のボーラス静脈内注射を介して投与し、シクロホスファミドの4時間前にIV水分補給(例えば、5%デキストロース、許容される1500mL/M2/24時間で)を開始する。対象が乏尿である場合、膀胱洗浄も実施され得る。
【0306】
シクロホスファミド投与(-5日目及び-4日目):対象は、シクロホスファミド、22.5mg/kg/日(理想的なまたは実際の体重の少ない方に基づく)を受ける。シクロホスファミドを250mL 5%デキストロースに溶解し、静脈内注入により1時間かけて注入する。シクロホスファミドの投与は、血液透析の少なくとも20時間後に起こり得る。
【0307】
胸腺照射(-1日目):7Gyの胸腺照射を、-1日目に単回投与する。照射野及び線量率は、治験実施医療機関の基準に従って行われる。
【0308】
ドナー腎摘出及び骨髄調達:ドナーは、0日目(移植当日)に全身麻酔の下で腎摘出及び骨髄細胞の調達を受ける。非分画ドナー骨髄細胞(レシピエント体重の最低2×10TNC/kgの予定)を以下に従って注入するために調製する:
・調達の前に、レシピエントの体重を使用して、ドナー収集について2×10TNC/kgに基づいて細胞の目標数を計算する。収集されたTNCの数の中点収集評価もまた、収集の進行を評価するために実施され得る。
・針/トロカールセットを使用して各後腸骨稜から骨髄を採取し、1回の吸引当たり最大5-10mLの骨髄でヘパリン化シリンジに骨髄を吸引する。次いで、意図された体積の約20~33%が収集されるまで、同じ皮膚穿刺部位を通して異なる骨部位に針を再挿入することによって、反復吸引が行われる。次に、皮膚穿刺部位を変更し、吸引を繰り返す。この方法では、各腸骨稜を覆う3~5個の皮膚穿刺部位が利用される。
・骨髄調達の完了の前に、TNCカウントが実施され得る;追加の細胞が必要とされる場合、それらは、BM体積に対する施設のガイドラインを超えない限り、得ることができる。
・十分な細胞が得られたら、骨髄を濾過して、脂肪、骨及び凝血塊を除去する。
・凝固を防止するために、抗凝固剤が骨髄抽出物に添加され得る(例えば、ヘパリンまたは抗凝固剤クエン酸-デキストロース、または各実施医療機関に従う)。(術中及び術後の出血のリスクを考慮して)注入時の抗凝固剤の効果を最小限にするために、骨髄は血漿が枯渇し、部分的に生理食塩水に再懸濁される。
・血漿は、骨髄産物を標準的な血液移送パック容器に移し、遠心分離し、そして上清血漿を血漿抽出器で別の移送パック容器に発現させることによって除去する。
・次いで、発現した血漿の体積の約1/2に相当する体積の静脈内0.9%塩化ナトリウムを骨髄細胞に添加する。これはまた、注入の容量を低下させる。
・骨髄細胞サンプルは、総体積、総有核細胞含量、総CD3+T細胞含量、及び総CD34+細胞含量に関して特徴付けられる。
・最終骨髄サンプルは、クーラーに保存するか、または手術室に送り戻してレシピエントに注入するのに適切な方法で保存することができる。
【0309】
レシピエント移植及び骨髄細胞注入:研究0日目に、移植レシピエントは同種移植片を受ける。楔状または針ベースライン生検を、同種移植片の前移植から得る。同種移植片の血管再生に続き、血管吻合からの出血または漏出が存在しないことを確認すると、レシピエントは骨髄細胞注入を受ける。細胞を約300~500mL/hrの速度で静脈内注入する。注入は、再灌流後4時間以内に開始され得る。
【0310】
部分的トロンボプラスチン時間を、注入の途中(または出血が過剰に見える場合)、及び注入の完了後に測定する。プロタミン25mgを、>60秒のPTTまたは上昇したPTTに対して、もしそれが出血の原因であると考えられる場合に静脈内投与することができる。
【0311】
併用免疫抑制剤は、以下を含むことができる:即時放出タクロリムス(TAC):0.5mg、1.0mg、または5.0mgカプセルまたはIV;シロリムス(SRL):0.5、1.0または2.0mg錠剤または経口溶液;及びコルチコステロイド(CS):経口及びIV投与。
【0312】
タクロリムス投与(0日目~4週目):TACは、カプセルまたは錠剤として1日2回(BID)経口(p.o.)投与され、血清トラフ(C0)濃度を8~10ng/mL標的範囲内に維持するように調整される。4週目にTACを中止し、対象をSRLに切り替え、SRLトラフレベルは、5~8ng/mLの範囲にある。スイッチは、必要に応じて(例えば、BK感染)、より早く行うことができる。経口投与が実行可能でないまたは実用的でない場合、連続静脈内注入により投与される、5mg/mLタクロリムスの等価物を含むIV TACに標識に従い置換することができる。1日に1回のTACは許可されない。
【0313】
TACは、移植周囲期間において可能な限り早く開始することができ、同種移植片の再灌流後24時間以内に開始される。本研究におけるTACの最低許容用量は0.5mgBIDまたはIV当量である。研究レジメンを中止する対象は、12か月目までローカルケア標準の研究に留まることが予想される。
【0314】
TAC投与は、必要に応じて改変される。TAC不耐性(例えば、腎毒性、神経毒性)の場合、TACの用量を減少させる必要が有り得る。
【0315】
シロリムス投与(4週目~12か月目):タクロリムスに代わってシロリムスを4週目から1日1回p.o.投与し、3mg/日の開始用量で、用量調整及び5~8ng/mLの初回目標トラフ濃度での治療薬モニタリングを行う。この期間中、TAC及びSRLについて毎日トラフを測定することができ、SRL目標に到達すると、TACを停止することができる。
【0316】
重篤なSRL副作用(例えば、重篤な好中球減少症、血小板減少症、経口潰瘍)の場合、免疫抑制剤をTACに戻すことができ、目標濃度範囲はTAC及びSRLの両方に対して同じであるため、以下のスケジュールに従って離脱を実行することができる。
【0317】
シロリムス離脱(6か月目から開始):シロリムス離脱基準
1.クレアチニンの一時的な上昇が腎機能不全の別の原因に関連しない限り、免疫抑制剤下での安定な腎機能(sCr<2.0mg/dL)。
2.初期移植後期間における検出可能な多系統白血球キメリズム(任意のレベル)。
3.現在または以前にDSAが認められない。
4.GvHDの在現の証拠が認められない。
5.6か月目(またはより最近)の腎生検における抗体媒介拒絶(ABMR)またはBanffグレードIA以上のT細胞媒介拒絶(TCMR)の証拠は認められない。境界変化の履歴は、生検結果が12か月目に正常である場合、完全な免疫抑制剤からの離脱に対して参加者を不適合としない。
【0318】
12か月目に生検を繰り返し、離脱基準が満たされ続け、拒絶の証拠が見られない場合に、SRLを完全に停止させることができる。
【0319】
シロリムス離脱スケジュール:以下のスケジュールはガイドラインであり、用量低減は、全体的な臨床的考慮事項に基づいて遅延または休止され得る;SRL用量低減期間のトラフ濃度測定。
・6~9か月目:SRLトラフレベル目標は3~5ng/mL
・9~12か月目:SRLトラフレベル目標は1~3ng/mL
【0320】
CYP3A4/P-gpを強力に阻害または誘導することが知られている薬剤の同時投与は、SRL濃度を減少または増加させることが知られており、可能であれば回避すべきである。これらの薬剤を必要とする場合、担当医師は、SRLトラフ濃度を注意深くモニターし、相互作用する処置の使用中及び後に、それに応じて調節しなければならない。
【0321】
コルチコステロイド投与:コルチコステロイド(CS)を、研究中数回与える:
・前投薬:リツキシマブの前の前投薬としてリツキシマブ-ヒドロコルチゾンコハク酸ナトリウム(SoluCortef;100mgIV)(9日目及び-2日目)
・前投薬:抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)-メチルプレドニゾロンコハク酸ナトリウム(SoluMedrol;8mg/kgIV)を、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)の前投薬第1の用量として(-1日目)
・移植免疫抑制剤:
〇IVメチルプレドニゾロンコハク酸ナトリウム(SoluMedrol):500mgを0日目及び+1日目に、次いで、2日目から漸減させる;250mg、3日目;125mg、4日目;75mg、5~7日目;60mg。
〇ステロイド投与経路は、4日目またはその前後でIVから経口に切り替えられ得る。
〇14日目16mg経口
〇28日目8mg経口
〇2か月目4mg経口
〇ステロイドが停止する6か月目まで4mg経口
【0322】
CTSが観察される場合、第一選択療法においてステロイドが考慮され得る。拒絶が観察される場合、第一選択療法としてステロイドが使用され得る。
【0323】
バックグラウンドIS
・免疫抑制剤
・タクロリムス、周術期開始0日目~30日目;(目標トラフ8~10ng/mL)。
・シロリムス:移植後30日目~12か月(初回目標トラフ5~8ng/mL)(注:移行は、BKウイルス負荷及び/または血清クレアチニンに基づいて早期に起こり得る)
・ステロイド:移植当日(0日目)及び術後1日目にIVボーラス:経口ステロイドで6か月にわたって漸減させながら離脱する。
【0324】
安全性評価:
・AE及びSAE
・臨床化学、血液学、バイタルサイン、及び血清学
・腎機能
【0325】
データ解析:発生率に基づいて一次目的を計算する。他の効能目的も同様に分析する。AE/SAEデータは、SoC及び好ましい用語によってコード化され、発生率とともに示される。ラボデータを、要約統計及びベースラインからの変化を用いた訪問によって分析する。
【0326】
サンプルサイズ決定:約12人の対象/患者が登録される。追加の患者は、一次目的及び安全性プロファイルに応じて登録することができる。
【0327】
研究期間:一次エンドポイントを、24か月目に評価し、登録されたすべてのレシピエントを60か月目までフォローした。
【0328】
追加の手順:移植の前に、外植された同種移植片に楔状または針生検を施行する。全ての後続の生検は、6か月目及び12か月目に超音波ガイドの下で経皮的に施行し、拒絶が疑われる場合は必要に応じて施行する。生検は、血小板数>50,000mLの対象に施行する。
【0329】
追加の手順:血液透析:血液透析を、フルダラビン及びシクロホスファミド毒性のリスクを緩和するために、2回、例えば、-6日目及び-3日目に施行する
【0330】
感染性予防:
【0331】
CMV予防:サイトメガロウイルス(CMV)予防は、BMCI及び臓器移植の成功に重要であり、CMV抗ウイルス予防は、各対象のウイルス活性化の予想されるリスクに対して調整される。全てのドナー及びレシピエント対象は、スクリーニング時に得たそれぞれの移植前CMV血清学的ステータスを有する。全ての対象は、血清陰性またはCMV「安全」血液(白血球濾過)を受けることができる。固形臓器移植におけるCMV感染の最大のリスクは、レシピエント血清陰性(R-)対するドナー血清陽性(D+)の組み合わせである。CMV陽性組み合わせ(D+/R-、D-R+及びD+/R+)対象について:
・好中球減少性中及び生着後に、定量的CMV DNA NAATアッセイによる毎週モニタリングを行った
・ガンシクロビル、または各実施機関で承認されたCMV予防レジメンを受ける。これは、腎移植の前(-1日目)から開始し、移植後6か月まで行われる。好中球減少の間、CMV+レシピエントにおいて、ガンシクロビルは使用すべきではなく、最大100日間レターモビルの使用を利用可能な限り考慮すべきである。
【0332】
CMV家族血液製品が利用される場合、性的接触を介する以外に、D-R-集団におけるCMV疾患のリスクは本質的に存在せず、追加の予防または治療は必要としない。
【0333】
ヒトヘルペスウイルス(HHV):全ての対象は、HHV感染予防のためのアシクロビルまたはファムシクロビルを少なくとも3か月間受けるか、または標準的なガイドライン及び各実施医療機関に従う。
【0334】
ニューモシスチスジロベシ(ニューモシスチスカリニ)肺炎(PCP):移植レシピエントは、1日500mgのレボフロキサシンを受ける、-9日目に開始。この予防は、0日目(移植の日)から中断をはじめ、好中球数が500細胞/μlを超えるまで継続する。この予防は、参加者が経口薬を服用できない場合に、周術期で一時的に中断され得る。
【0335】
第1の月の後、血液学的状態の正常化後、対象をスルファメトキサゾール及びトリメトプリム(SMZ-TMP)、1日1回の単一強度の錠剤に切り替え、移植後6か月まで続けることができる。推奨される場合、追加の6か月間の予防期間を延長することを考慮する。SMZ-TMPの成分に対してアレルギーまたは不耐性の場合、アトバクオン及び/または吸入ペンタミジンを、PCP予防のためのそれらの代替とし使用することができる。
【0336】
B型肝炎ウイルス(HBV):この研究の過程の間のHBV再活性化の予防(例えば、B型肝炎イムノグロブリン;HBIg)は、担当医師の裁量で投与される。
【0337】
真菌/酵母感染予防:真菌/酵母予防が続く。例えば、イトラコナゾールまたはフルコナゾールを、移植1日目に開始し、2か月間または少なくとも好中球減少症が解消するまで継続する。口腔カンジダ症(Candida)の場合、ナイスタチンを含銜レジメンで使用することができる、または、クロトリマゾール(Mycelex(登録商標))トローチ(lozenges/troches)を用いることができる。TAC及びSRLの血中濃度を増加させ得るアゾール抗真菌薬の相互作用に注目すべきである。
【0338】
免疫化:ワクチン予防可能な疾患のための移植候補の免疫化を、移植の2週間超前、または移植の1~6か月後に開始することが推奨される。移植の前に与える場合、一連の免疫化全てを、移植手順の前に完了させるべきである。特定の状況では、ワクチン接種を、TまたはB細胞枯渇療法の後など移植の3か月以上後まで待つことが適切であり得る。
【0339】
急性拒絶反応エピソードの治療:全ての疑わしい急性拒絶反応エピソードにおいては、抗拒絶反応療法の開始に関係なく、腎生検を48時間以内に施行する。急性拒絶反応は、ボーラスメチルプレドニゾロンで処置する(他のCSは同等の用量で許容される)。推奨される処置は、最小用量250mg/ボーラスのIVメチルプレドニゾロンを少なくとも3ボーラス、または最小総用量750mgのIVメチルプレドニゾロンを少なくとも2ボーラスである。
【0340】
ステロイド耐性拒絶、血管拒絶、またはBanffグレード2’2Bでの拒絶を経験する対象は、他の抗拒絶療法(すなわち、抗体療法)で治療することができる。
【0341】
診断、キメラ移行症候群(CTS)の処置:CTSの診断は、流体保持、発熱、キメリズムの喪失または減少、及び血清クレアチニンの増加を含み得る対象の全体的な臨床症状に基づいて、担当医師によって行われる。
【0342】
CTSの診断は、生検確認及び腎機能不全に対する代替の因果性の除外に続いて行われる。CTSは、重篤有害事象として報告され、以下に概説される重症度基準に従って指定される:
【0343】
軽度:最大2×ベースラインsCrの上昇
【0344】
中度:>2及び<4×ベースラインsCr
【0345】
重度:>4×ベースラインsCrまたは透析が必要
【0346】
疑わしいCTSは、>2×ベースラインsCrの増加であり、ベースラインは、移植後に観察される最低のsCrである。腎機能が回復していない場合(例えば、臓器移植後臓器機能障害(DGF))、超音波を最初に使用して、任意のDGFで治療した移植片への血流を評価する。
【0347】
CTSの治療は、医師による判断に従って生検なしで開始され、パルスステロイド及び透析を含み得る。CTS症状(腎機能)によっては、500mgで2~3日間のIVメチルプレドニゾロンコハク酸ナトリウムを、第一選択療法として考慮することができる。第二線療法が必要とされる場合、細胞療法及び幹細胞移植の設定において使用される場合、8mg/kgのトシリズマブは、IL-6によって引き起こされる炎症反応を緩和すると考えられ得る。腎血流の減少を組み合わせた腎機能の急速な低下の場合、血漿交換が考慮され得る。
【0348】
CMVの管理:症候性CMV疾患を治療するための標準的なケアは、最低2~3週間の静脈内ガンシクロビル(表9による腎機能不全に推奨される用量調整を行う)、経口バルガンシクロビル、または各実施医療機関に従った他の承認された抗ウイルス薬である。CMV IgGを、ウイルス活性化を有する血清陰性対象のために添加することができる。CMV抗原血症アッセイ(または定量的アッセイ)によって実証されるように、血液からウイルスが除去されたら静脈内療法を中止する。
【0349】
再発感染を有する対象において、CMV IgGを、血清陰性レシピエントにおいて静脈内ガンシクロビル療法と組み合わせて投与することができる。処置は、活性GvHDの設定で維持される。
【表9】
【0350】
BKウイルス血症の管理:BKポリオーマウイルス(BKV)スクリーニングは、血漿(または全血)ウイルス負荷(VL)分子アッセイを利用する。BKVについての尿検査(デコイ細胞の細胞学または7-log geq/mLを超える尿BKV負荷)が、スクリーニングに適している;陰性の場合、ポリオーマウイルス関連腎症(PVAN)のリスクは低い。
【0351】
BKV腎症の推定診断のための定量的カットオフは、血漿DNA VL>10,000コピー/mL(全血ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)VL>1500~3500コピー/mL)、尿VP1 mRNA負荷>6.5×10コピー/ng全RNA、または尿DNA負荷>10e7コピー/mLを含む;より高いウイルス負荷は、PVANの予測がより高くなる。クレアチニンが上昇している場合の確認のために生検が提案される。腎組織病理学は、PVANの確定診断を提供する。
【0352】
臓器移植後臓器機能障害(DGF)の管理:この試験においてのDGFは、移植の7日以内に透析を行う必要性があることとして定義される。対象がDGFを経験する場合、DGFは、定義によれば、移植手順後の再灌流から始まったものである。治験責任医師により移植片機能不全が後で始まったものとされると、この状態は二次移植片機能不全と考えられる。DGF処置は、移植片に対する十分な免疫学的適用範囲を維持し、研究治療の用量及びATGの使用を維持、中断、または低減することを含み得る。ポリクローナル抗体またはATGを4日目の前に使用する場合、治験薬を中止し、対象をSocに置く。
【0353】
一次移植片非機能(PGNF):PGNFは、移植後に開始する透析として定義され、移植後の透析の連続記録を、トランスプランテクトミー、再移植、または死のいずれかまで行う。
【0354】
EBV-PTLD:EBV-PLTDと診断された患者では、治療は個別化する。この試験のために計画された抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)用量は、T細胞及びNK細胞枯渇を生じ得、それぞれのB細胞区画の調節は最小限であるかまったくない。しかしながら、B細胞区画の範囲は、併用、移植周囲リツキシマブに由来し得る。臨床医は、EBV-PTLDを治療するための治療の選択肢を考慮する場合、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)IBを参照することができる。
【0355】
GvHD(急性または慢性)の治療:急性GvHDは、骨髄細胞注入後の深刻な起こり得る合併症である。急性GvHDの場合、典型的には第一選択療法として高用量ステロイドを使用する、適用可能な治療ガイドラインに従うことができる。カルシニューリン阻害剤治療は、患者が既にそれを受けている場合に継続することができる。第2選択療法は可変であり、関与するGvHD及び臓器(複数可)の重症度に依存するが、ルキソリチニブ、ミコフェノール酸モフェチル及び/またはシロリムスが挙げられ得る。慢性GvHDの治療も可変であるが、一般に、第2選択、イブルチニブまたはルキソリチニブなどのグルココルチコイド節約剤が添加され得るステロイドに基づく。
【0356】
前処置レジメン(-9日目~1日目)-9日目(外来患者)
【0357】
-9日目の72時間以内に実施された陰性SARS-CoV-2試験を含む(レシピエント及びドナー)、スクリーニング中の全ての適格性基準の確認に続き、ドナー/レシピエント対を研究に登録し、レシピエント対象については、最初前処置レジメン投与の前に以下を完了させる:
・バイタルサイン
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・ローカルラボキメリズム評価のための採血
・免疫表現型決定(FACS)及び血清サイトカインのためのセントラルラボ採血
・レボフロキサシンの開始(感染予防)
【0358】
前処置レジメンは、レシピエントが-9日目にリツキシマブ(+前投薬)の第1の用量を受けることにより開始される。バイタルサインを、投与前、注入直後、及び注入の終了から1時間後に捕捉する。
【0359】
-6日目:-6日目から、レシピエント対象は入院を開始し、移植後の退院まで、残りの前処置レジメンの間も入院を続ける。以下の手順を-6日目に収集及び/または実施する:
・バイタルサイン
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・CBC及び化学のための採血
・血液透析のための血管アクセスの確認及び/または配置
・フルダラビン投与
・フルダラビン注入の完了後5~7時間、及び-5日目のシクロホスファミド投与の前の血液透析。
【0360】
-5日目:
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・CBC、化学、及び凝固パネルのための採血
・PCP予防治療開始
・フルダラビン投与
・出血性膀胱炎の予防(prn)のためのMESNA
・シクロホスファミド前投薬の投与
・シクロホスファミド投与
【0361】
-4日目:
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・CBC及び化学のための採血
・フルダラビン投与
・出血性膀胱炎の予防(prn)のためのMESNA
・シクロホスファミド前投薬の投与
・シクロホスファミド投与
【0362】
-3日目:
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・CBC及び化学のための採血
・フルダラビン投与
〇フルダラビン注入の完了から5~7時間後に血液透析
【0363】
-2日目:
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・リンパ球/CDCクロスマッチ(移植前に完了)
・CBC及び化学のための採血
・免疫原性(抗CD2抗体)及びCD2ROについてのセントラルラボ採血
・リツキシマブ前投薬
・リツキシマブ注入
〇投与前、注入直後、及び注入の終了から1時間後にバイタルサインの捕捉
【0364】
-1日目:
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・リンパ球/CDCクロスマッチ
・CBC及び化学のための採血
・血清サイトカイン及び抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)濃縮物(PK)のセントラルラボ採血
・胸腺照射
・抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)投与
〇注入の30分~3時間前に前投薬
〇PKサンプルは、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)の投与前及び投与の1時間後に収集
〇バイタルサインを、投与前、注入直後、及び注入の終了から1時間後に捕捉
【0365】
0日目(移植当日):
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・0日目のPCP予防を中断
・CBC及び化学のための採血(入院している間は毎日;臨床的に示された他のタイムポイント)
・凝固パネル用の採血
・CMV DNA NAAT(好中球減少の間は毎週モニタリング)
・手術前の予防的抗菌処理
・タクロリムス投与(移植後24時間以内に開始)
・コルチコステロイド投与
・ドナー外科手術手順
〇腎摘出
〇骨髄調達
〇ドナー細胞の調製
・レシピエント外科手術手順
〇同種移植片楔状/針生検
〇PKサンプルを、投与前に採取
〇抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)前投薬の投与(麻酔医と相談)
〇抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)注入
〇投与前、注入直後、及び抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)注入の終了から1時間後にバイタルサインを捕捉
〇腎移植
〇ドナー骨髄細胞の注入
〇PKサンプル(抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)の投与前及び投与の1時間後に収集)
〇PTT(細胞の注入が50%完了した時点)
【0366】
1日目:
・薬物の新規及び変更ならびに有害事象を検討
・バイタルサイン
・CBC、化学、及び凝固パネルのための採血
・コルチコステロイド投与
・抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)投与(最終用量)
〇注入の30分~3時間前に前投薬
〇PKサンプルを抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)の投与前及び投与の1時間後に収集
〇投与前、注入直後、及び注入の終了から1時間後にバイタルサインの捕捉
【0367】
免疫抑制期間(1日目~12か月目):
【0368】
前処置機関は、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)の最終投与で有効に終了し、対象がタクロリムス(0日目)及びコルチコステロイド(2日目)を用いた免疫抑制治療を開始または継続する場合に終了する。
【0369】
上記の手順に加えて、また1日目に開始して、対象は、真菌/酵母、CMV及びHSV感染に対する広範な感染予防を開始する。また、この期間中、及び入院している間、対象は、毎日のCBC及び包括的代謝パネル(化学)評価、毎週のCMV DNA NAAT監視、ならびに移植片喪失、拒絶、及びGvHDについての評価を行う。
【0370】
対象に、タクロリムスが停止され、シロリムスが12時間後に始まる1か月目を通してタクロリムスを投与する。シロリムス及びコルチコステロイドは、免疫抑制剤の離脱が始まる6か月目まで続ける。コルチコステロイドを6か月目で停止し、シロリムスを6か月にわたって漸減させ、移植の12か月後に完全に離脱する。
【0371】
対象は、入院したままであり、治療を受け、その後退院する。退院した後は、レシピエント対象は、12週目(3か月目)まで毎週クリニックに来院し、次いで12か月目まで毎月来院する。全てのドナー対象は、腎摘出術の4週間後にテレヘルス評価を行い、一般的な健康状態を評価し、任意の有害事象を評価した。
【0372】
免疫抑制剤フリー期間(12か月目~60か月目):12か月目の来院後、対象は、総括的な健康及び研究所評価のため、及び有害事象の評価のために、24か月目まで四半期ごとに診療来院のために戻る。24か月目は、研究エンドポイントであり、重要な訪問である。24か月目の訪問の完了後、対象は、より長い期間の追跡期間に入り、60か月目の最終試験に戻るまで1年おきに来院する。
【0373】
有効性評価:一次エンドポイントとしての免疫抑制剤の離脱の成功の評価は、経時的な血清クレアチニン及びeGFR(MDRD及びCKD-EPI)の変化ならびにプロトコルごとの急性拒絶及び原因生検の発生率及び重症度によって測定される腎機能の複合に依拠する。標準的な安全性評価に加えて、移植片喪失の発生率、死亡、及び追跡不能例が、重要な二次複合評価項目として含まれる。
【0374】
心電図(ECG):標準的な12誘導ECGを、スクリーニング時、24か月目及び研究終了時に仰臥位の対象に対して施行する。ECGを、スクリーニング時の移植の潜在的な禁忌及び/または24か月目及び60か月目の来院時のベースラインからの変化について評価する。Fridericia QT補正式(QTcF)が、臨床判断に使用され得る。
【0375】
研究所評価
【0376】
以下の研究所評価を実施する:
【表10】
【0377】
CMV DNA NAAT:全ての対象は、NAATベースの方法によって各実施場所で測定された、好ましくはIU/mLで較正された定量的CMVウイルス負荷を有する。抗ウイルス療法を開始するための、特定のウイルス負荷カットオフは提案されていない。しかし、持続性の低レベルのウイルス血症(<2500IU)は、他の感染またはプロセスによる過剰な免疫抑制剤または刺激(例えば、拒絶)を示唆する。
【0378】
EBV DNA PCR:全ての対象は、標準化PCRベースの方法によって血清(または全血)中で測定された定量的EBVウイルス負荷を有する。全ての測定は、世界保健機関(WHO)EBV国際参照標準を利用する研究所によって行われる。成体腎移植レシピエントにおけるEBV DNAemiaまたはウイルス負荷の閾値に関するコンセンサスガイドラインは現在のところ存在しない;したがって、ベースラインまたは以前の評価から増加する任意のPCR陽性結果は、肝臓、脾臓、同種移植及びリンパ節に対する注意深い注意を伴う完全な物理的及び神経学的検査を含む、プロトコルごとの各実施場所でのフォローアップのために研究者にフラグ付けされるべきである。加えて、潜在的なPTLD病変の徴候及び症状をスクリーニングするためのアドホック腹部及び同種移植片の超音波を施行する。
【0379】
EBV-PTLD監視:EBV感染の臨床症状の範囲は、無症候性感染から移植レシピエントにおける臨床的に有意で潜在的に生命にかかわる疾患におよぶ。EBV感染は、免疫抑制の圧力下での移植レシピエントにおける潜伏性EBVの再活性化または新たなEBV株による再感染のいずれかによる一次(免疫学的にナイーブな対象において生じる新たな感染)または二次のいずれかであり得る。一般に、二次感染は、軽度または無症候性である傾向がある。組織学的評価は、疑われるPTLDを有する対象の疾患状態を定義する際に重要である;個々の対象において症状が進行する場合がある。世界保健機関は、固形臓器移植レシピエントにおけるEBVに関連する病変の病理学的評価のための標準化された基準を提供している。
【0380】
以下の徴候及び症状は、EBV-PTLDのリスク及びそれらを評価する臨床医の指標となる。
【表11】
【表12】
【0381】
イメージング:PTLD監視:身体検査所見及び/またはEBV監視に基づいて保証される場合、対象は、腹腔及び同種移植片の超音波を行って、節性及び/または節外EBV-LPD病変を除外することができる。CT、MRI及び/またはPETイメージングは、生検確認されたPTLDのステージング及びモニタリングに関して考慮することができる。
【0382】
腎生検:0日目ならびに6か月及び12か月の来院時に、腎生検を行う。生検は、各実施医療機関及び2018Banff基準に従って、ローカルの病理学者によって読み取られる。
【0383】
加えて、全ての疑わしい拒絶反応エピソードにおいては、抗拒絶反応療法の開始に関係なく、腎生検を48時間以内に施行しなくてはならない。結果は、急性拒絶反応についての対象管理に使用される。
【0384】
治療を要した生検で証明された急性拒絶反応(BPAR):治療を要した生検で証明された急性拒絶反応(tBPAR)は、対象が抗拒絶反応治療を受け、境界線拒絶反応を含む2018Banff基準に従って急性拒絶反応と組織学的に診断されるいずれかの状態である。
【0385】
移植片対宿主病(GvHD):GvHD評価は、来院スケジュール及び急性GvHD評価に従って定期的に行われる。持続的なキメリズムを有する患者における急性GvHDの監視のために(3か月目より先)、LFT(肝臓GvHDの場合)、皮膚GvHDの場合の発疹、及び下痢がある場合、GI GvHDの場合の大便の量をチェックするために、追加の週1回の訪問が行われるべきである。GvHDの診断を確認するために、臨床的に示されるように、皮膚、腸及び/または肝臓の生検を行う。急性GvHDは、現在の血液学/腫瘍学の実践ガイドラインに従って、診断され、ステージ及びグレード分類(I-IV)される。同様に、慢性GvHDは、慢性GvHDの診断及びグレード分類のための適用可能なコンセンサスガイドラインに従って評価される。
【表13】
【表14】
【0386】
移植片損失:同種移植片は、対象が透析を開始した日に失われ、その後に透析から取り除くことができないと推定される。永久透析を開始する前に対象が同種移植片腎摘出術を受けた場合、腎摘出術の日が移植片損失の日である。
【0387】
薬力学(PD)評価:全てのPD血液サンプルは、直接静脈穿刺または留置カニューレのいずれかによって採取される。
【0388】
免疫表現型決定(FACS):抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)の効果及び循環白血球及びT細胞に対する前処置を、フローサイトメトリーFACSを用いて決定する。ナイーブ型及びメモリー型CD4及びCD8細胞及び他のサブセット、ならびにB細胞サブセット、NK細胞、樹状細胞サブセットを含むT細胞回収をモニターする。分析される細胞亜集団は、CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD19、CD25、CD27、CD38、CD45RA、CD45RO、CD59、CD127、CD138、CD154、FoxP3及びHLA-DRなどの細胞表面または細胞内マーカーの1つ以上を有するものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0389】
CD2受容体占有率:抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)による末梢CD2受容体占有率は、フローサイトメトリー分析によって決定され、T細胞上の遊離または総CD2受容体を測定する。
【0390】
キメリズム評価:移植後のレシピエントの骨髄におけるドナー造血キメリズムの性質及びレベルをモニターする。
【0391】
ドナー細胞注入後の血液のフローサイトメトリー分析を、キメリズム評価のために行う。キメリズム割合の試験は、複数の系列に対して行うことができる。これらの分析は、明確なドナー/レシピエントプロファイルを決定するために行われ得る。レシピエント及びドナー由来の白血球及びそれらのサブセットの頻度は、ドナーキメリズム(ドナーMHCクラスI発現を介して)が検出不可能になるまで、FACSによって測定される。FACSを用いて患者の血中に回収されたレシピエント白血球及びそのサブセットの頻度を、移植後から12か月目まで毎月、次いで24か月目まで四半期に評価する。
【0392】
ドナー/レシピエントプロファイルを区別するために、ショート可変タンデムリピート(VNTR)のPCRに基づくゲノムDNA増幅を用いたレシピエントPBMCのマイクロサテライト分析を用いる。このアッセイは、一般に、約0.1%のドナー型細胞を検出することができる。分離したPBMC細胞画分に関するアッセイ(T細胞:>30細胞/mm3で存在する場合、B細胞:>30mm3で存在する場合、顆粒球及び単球)を使用して、異なる系統におけるキメリズムを評価する。
【0393】
薬物動態(PK)評価:薬物動態(例えば、シプリズマブ及び抗シプリズマブ抗体)サンプルを得て、全ての対象において全ての用量レベルで評価する。PKサンプル収集のタイミングは、緊急データに基づいて変更され得る。
【0394】
抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)濃度を、検証されたELISA法によって決定する。予想される定量下限(LLOQ)は10ng/mLであり、濃度は体積単位当たりの質量で表される。
【0395】
以下のPKパラメータを、実際に記録されたサンプリング時間及び非コンパートメント法(複数可)を用いて決定する:血漿濃度-時間データから、Cmax、Tmax、曲線下面積(AUC)last、AUCinf、T1/2、Vz/F及びCL/F。
【0396】
AUC計算には、線形台形法を使用する。T1/2の決定のための最終血漿排出相の回帰分析は、Cmaxの後に少なくとも3つのデータ点を含む。終末相の回帰分析の調整されたR2値が0.75未満である場合、T1/2、AUCinf及びCLに対する値は報告されない。
【0397】
治療曝露及びコンプライアンスの評価:PKパラメータ(治療曝露の尺度)は、治験薬で治療された全ての対象において決定される。TAC及びSRLトラフ濃度は各実施場所で決定される。ローカルトラフ値は、時間依存性標的濃度を達成するために必要に応じてTAC及びSRL投与を調節するために使用される。
【0398】
診査用バイオマーカー
【0399】
腎損傷バイオマーカー
【0400】
KIM-1、NGAL/リポカリン-2、a-GST、シスタチンC、クラステリン、総タンパク質、アルブミン、及びベータ2-ミクログロブリンを含むがこれらに限定されない腎バイオマーカーの潜在的評価を待って、尿を収集し、凍結し、及びバンクする。
【0401】
サイトカイン分析:サイトカイン評価のための研究の間に、多重サイトカイン(または同様の)プラットフォーム(例えば、IL-1b、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-10、IL-12、IL-13、IL-17、IFN-ガンマ、TGF-ベータ、TNF-アルファ)を介して血清血液サンプルを採取し、分析する。
【0402】
更新版2018Banff分類:
カテゴリ1:正常な生検または非特異的変化
カテゴリ2:抗体媒介変化
・活動性ABMR:診断のためには、3つの特徴の全てが存在しなければならない。組織学的特徴に加えて、血管内皮またはDSA(両方ではない)との現在/最近の抗体相互作用の証拠を示す生検は、急性/活動性ABMRに対して疑わしいと指定され得る。病変は、臨床的に急性またはくすぶり型であり得るか、または無症状であり得る;病変がC4d-陽性であるか、C4d-陰性であるかは、以下の基準に基づくことに留意されたい:
1.以下の1つ以上を含む急性組織損傷の組織学的証拠:
・微小血管炎症(再発性またはde novo糸球体腎炎の非存在下でg>0、及び/またはptc>0)
・内膜または経壁動脈炎(v>0)1
・他の明らかな原因が存在しない場合の急性血栓性微小血管障害
・他の明らかな原因が存在しない場合の急性管状損傷
2.以下の少なくとも1つを含む、血管内皮との現在/最近の抗体相互作用
・傍尿細管毛細血管における線状C4d沈着(凍結切片におけるIFによるC4d2またはC4d3、またはパラフィン切片におけるIHCによるC4d>0)
・急性TCMRの存在下であるが、少なくとも中等度の微小血管炎症([g+ptc]2’2)、境界線浸潤、または感染;ptc2’2単独は十分ではなく、gは2’1でなければならない
・ABMRに強く関連する生検組織における遺伝子転写物の発現の増加
3.DSA(HLAまたは他の抗原)の血清学的証拠
基準2において上記で述べた検証された転写物/分類子のC4d沈着または発現は、DSAの代わりとなり得る;しかし、HLA抗体試験が陰性である場合に非HLA抗体に対する試験を含む、徹底的なDSA試験を、基準1及び2を満たす場合は必ず行うことが強く推奨される。
・慢性活動性ABMR:診断のためには、3つの特徴の全てが存在しなければならない。活動性ABMRと同様に、組織学的特徴に加えて、血管内皮またはDSA(両方ではない)との現在/最近の抗体相互作用の証拠を示す生検は、疑わしいと指定され得、病変がC4d-陽性であるか、C4d-陰性であるかは、以下の基準に基づくことに留意されたい:
1.以下の1つ以上を含む慢性組織損傷の形態学的証拠:
・TG(cg>0):慢性血栓性微小血管症または慢性再発性/de novo糸球体腎炎の証拠がない;電子顕微鏡法(EM)単独(cg1a)により明らかな変化を含む
・重篤な傍尿細管毛細管基底膜多層化(EMを必要とする)
・他の原因を除く、新たな発症の動脈内膜線維症;動脈関与を伴う(必須ではない)生検で証明されたTCMRの以前の病歴が存在しない場合、硬化性内膜内の白血球は慢性ABMRを是認する
2.上記活動性ABMRについての基準3と同一、
3.上記活動性ABMRについての基準3と同一、基準1及び2を満たす場合は、DSA試験を行うことが強く推奨されることを含む
・拒絶反応の証拠のないC4d沈着
診断には、3つの特徴全てが存在しなければならない。
1.傍尿細管毛細血管における線状C4d沈着(凍結切片におけるIFによるC4d2またはC4d3、またはパラフィン切片におけるIHCによるC4d>0)
2.基準1の活動性または慢性、活動性ABMRを満たさない
3.基準2の活性及び慢性、活動性ABMRに分子的なABMRの証拠がない
4.急性または慢性活動性TCMR、または境界変化がない
カテゴリ3:境界変化
・急性TCMRの疑い
・軽度の間質性炎症(i0またはi1)を有する尿細管炎(t>0)、または軽度(t1)尿細管炎を有する間質性炎症(i2、i3)の病巣;t>0を有する境界のi1閾値を保持することは許可されるが、このことは報告及び刊行物では明確にしなくてはならない
・内膜または経壁性動脈炎なし(v=0)
カテゴリ4:TCMR
・急性TCMR
・グレードIA.間質炎(>25%の非硬化性皮質実質、i2またはi3)及び1つ以上の尿細管を含む中等度の尿細管炎の病巣(t2)、高度萎縮である尿細管を含まない。
・グレードIB。>25%の非硬化性皮質実質(i2またはi3)を伴う間質炎、1つ以上の尿細管を含む重度の尿細管炎(t3)、高度萎縮である尿細管を含まない。
・グレードIIA。間質性炎症及び尿細管炎を伴うまたは伴わない、軽度から中等度の内膜動脈炎(v1)
・グレードIIB。間質性炎症及び/または尿細管炎を伴うまたは伴わない、高度の内膜動脈炎(v2)
・グレードIII。間質性炎症及び/または尿細管炎を伴うまたは伴わない、単核細胞内膜動脈炎(v3)を伴う内側平滑筋細胞の経壁性動脈炎及び/または動脈フィブリノイド壊死
・慢性活動性TCMR
・グレードIA:間質性炎症は、>25%の総皮質(tiスコア2または3)及び>25%の硬化性皮質実質(i-IFTAスコア2または3)を含み、1つ以上の尿細管を含む中等度の管状炎(t2)、高度萎縮である尿細管5を含まない;i-IFTAの他の既知の原因は除外されるべきである
・グレードIB:間質性炎症は、>25%の総皮質(tiスコア2または3)及び>25%の硬化性皮質実質(i-IFTAスコア2または3)を含み、1つ以上の尿細管を含む中等度の管状炎(t3)、高度萎縮である尿細管5を含まない;i-IFTAの他の既知の原因は除外されるべきである
・グレードII:慢性同種移植片動脈症(線維化における単核細胞炎症を伴う動脈内膜線維化及び新内膜の形成)
カテゴリ5:IFTA
・グレードI(軽度)Banff病変スコアci1またはBanff病変スコアct1
・グレードIl(中等度)Banff病変スコアci2またはBanff病変スコアct2
・グレードIII(重度)Banff病変スコアci3またはBanff病変スコアct3
カテゴリ6:急性または慢性の拒絶反応によって引き起こされるとは考えられない他の変化
・BK-ウイルス腎症
・移植後リンパ増殖性疾患
・カルシニューリン阻害剤毒性
・急性尿細管傷害
・再発性疾患
・De Novo糸球体症(TG以外)
・腎盂腎炎
・薬物誘導性間質性腎炎
凡例:
ABMR、抗体媒介拒絶;cg、糸球体二重輪郭;DSA、ドナー特異的抗体;EM、電子顕微鏡法;g、糸球体炎;i、炎症;;IF、免疫蛍光;IHC、免疫組織化学;ptc、傍尿細管毛細血管炎;t、尿細管炎;TCMR、T細胞媒介性拒絶;TG、移植糸球体症;TMA、血栓性微小血管症;v、内膜動脈炎
これらの動脈の病変は、ABMR、TCMR、または混合ABMR/TCMRを示し得ることに留意されたい。v病変は、2つ以上の平滑筋層を有する連続培地を有する動脈においてのみ採点される。
慢性、活動性ABMRの病変は、主に、EM(cg1a)によってのみ明らかな初期TGを有する活性な病変から、活性な微小血管炎症に加えて進行したTG及び他の慢性変化を有する病変までの範囲であり得る。内皮との現在/最近の抗体相互作用の証拠が存在しない場合、用語「活性」は省略されるべきである。そのような場合、DSAは、生検時に、または移植後の任意の前の時点で存在し得る。
1つの皮質傍尿細管毛細管中の7つ以上の層、及び2つの追加の毛細血管中の5つ以上の層は、接線方向に切断された部分を回避する。
これらの知見の臨床的意義は、抗血液型抗体(ABO-非相溶性の同種移植片)に曝露された移植片において極めて異なる可能性があり、この場合、それらは移植片に対して有害であるとは思われず、順応を示す可能性がある。しかし、抗HLA抗体では、そのような病変は慢性ABMRに進行し、より多くの転帰データが必要とされる。
高度萎縮である尿細管は、以下の3つの特徴の各々を有するものとして定義される:検材料の影響を受けていないか、または最小限の影響を受けた生尿細管の<25%の直径のもの、未分化に出現する、立方体状または扁平上皮、及び管状基底膜の顕著な皺及び/または肥厚
【0403】
6.2 実施例2.de novo生体ドナー腎移植における寛容誘導のための、ドナー骨髄細胞注入及び骨髄非破壊的前処置と組み合わせた、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)の適応性、レジメン調査、安全性及び寛容性試験
この研究は、完全な免疫抑制剤の離脱の利益を維持しながら、キメラ移行症候群(CTS)の症状を軽減する同種寛容誘導レジメンを同定及び最適化するように設計された。CTSは、血清クレアチニンの上昇及びドナーキメリズムの急速な喪失に関連する一過性腎機能不全を特徴とする初期事象である。
【0404】
一次目的:キメラ移行症候群(CTS)を最小限に抑えながら腎同種移植片寛容性のための最適化されたレジメンを決定すること(移植後24か月目で良好な腎機能を維持しつつ免疫抑制剤を中止したレシピエントの割合)。
【0405】
主要な二次目的:移植後24か月での生検で証明された急性拒絶反応(BPAR)、死及び移植片損失(追跡するため損失を伴うもの、及び伴わないもの)複合発生率を決定すること、及び、移植後24か月でのde novoDSAの発生率及び平均蛍光強度(MFI)を決定すること。
【0406】
二次目的
・キメラ移行症候群(CTS)の発生率、期間、グレード
・CTSを含まない一過性混合キメリズムを有するレシピエントの割合
・少なくとも12か月の間、免疫抑制剤を中止したレシピエントの割合
・BPAR及び治療を要したBPAR(Banff分類)の発生率
・de novoドナー特異的抗体の発生率
・死及び移植片喪失の発生率
・慢性拒絶反応の発生率
・腎機能(eGFR)及び経時的な腎機能の変化率
・治験参加中の重篤な有害事象及び有害事象の発生率
・重症または臨床的に有意な日和見感染の発生率
・BKウイルス血症、感染及び腎症の発生率
・悪性腫瘍の発生率
・GvHDの発生率及び重症度
・移植後の新たな糖尿病の発症率(NODAT)
【表15】
【0407】
試験目的:
・フローサイトメトリーによるTreg及びTエフェクター/メモリー細胞を含むリンパ球枯渇及び回復の評価
・移植後の好中球回復までの時間(ANC>500/mm3)
・移植後の血小板回復までの時間(血小板>20,000/mm3及び輸血非依存)
・抗CD2抗体またはその抗原結合性フラグメント(例えば、シプリズマブ)の薬物動態の特徴付け
・フローサイトメトリー及びVNTR PCRベースのDNAマイクロサテライト分析によるドナー特異的リンパ及び骨髄キメリズムの評価
・細胞または抗体媒介拒絶反応の異常な組織学的知見の発生率または進行(例えば、TG、IF/TA、C4d、BK/ポリオーマウイルス腎症)
・血液学的及び腎機能、ならびに生体ドナーの他の合併症に関するドナーの評価及び安全性モニタリング
・経時的サイトカインパネルの評価
・HLAエプレットミスマッチ負荷の評価及び転帰に対する関係
【表16】
【0408】
研究デザイン:この60か月の適応研究は、最大3つの抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)ベースの治療レジメンを逐次的に評価する。最大6人の移植レシピエントを研究の各アームで計画する(図3)。24か月目に一次エンドポイントを用いて試験を設計する。その後、レシピエントは、移植後5年の研究の終わりまで、6か月毎の来院に従う。5年研究は、24か月目での一次エンドポイント及びその後年2回の評価を用いて設計される。評価スケジュールについては図4を参照のこと。
【0409】
スクリーニング期間を完了し、全ての包含/除外基準を満たすレシピエント及びそれぞれのドナーを研究に登録し、治療期間を開始する。移植前スクリーニング手順は、ドナー/レシピエントHLA型決定(分子)、補体依存性細胞障害(CDC)リンパ球クロスマッチ(またはバーチャルクロスマッチ)、単一抗原ビーズ(SAB)アッセイによる定性的DSA、及びドナー/レシピエントウイルス血清学を含む。レシピエントの前処置を、予定の移植日の-9日目に開始する。前処置レジメンは、-9日目、-2日目、5日目及び12日目にリツキシマブ(375mg/m2)、-5日目及び-4日目にシクロホスファミド(60mg/kg);-1日目に胸腺照射(7Gy);-6日目、-1日目、0日目及び1日目(及びアーム3のみについては+6日目)に抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)(0.6mg/kg);及び、0日目に腎臓及び未分画骨髄細胞同時注入(2~3×10細胞/kg)を行う。ドナーには、同時腎摘出術及び腸骨稜骨髄穿刺が全身麻酔で施行される。レシピエントの1キログラム重量あたり少なくとも2~3×10有核細胞を提供するのに十分な骨髄を得る。
【0410】
コルチコステロイドの短期コースを、最初にIVボーラスとして0日目に投与し、経口投薬まで漸減し、その後20日目に停止する。
【0411】
全ての治療アームにおけるレシピエントは、タクロリムス(4~11ng/mL標的トラフ)及び2g/日でのミコフェノール酸モフェチルを含む、濃度制御されたバックグラウンド免疫抑制剤、移植周囲を受ける。コルチコステロイド(CS)を含むこれらの薬剤は、離脱し、停止する。下方用量設定を行わずに、8週目にMMFを中止する。タクロリムス離脱は、6か月目~9か月目に開始されるが、患者が離脱基準(血清クレアチニン(sCr)<2.0mg/dLの安定した腎機能、6か月目のプロトコル生検で拒絶が無いことを含む)を継続して満たしていることを条件とする。タクロリムス(TAC)の中止は9か月目~12か月目に起こることが企図され、その時点で適格な対象は免疫抑制剤を受けていない。
【0412】
トシリズマブは、CTSに対する治療として、または予防として投与される。3つのアーム全ての対象が、同じバックグラウンド前処置及び免疫抑制剤を受け、CTSが存在する場合にのみトシリズマブがアーム1に投与され、アーム2及びアーム3には予防として投与される。さらに、アーム3における対象は、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)の追加的用量を1回受ける。3つのアーム全てにおけるバックグラウンド免疫抑制剤は、最初の9~12か月は、濃度制御タクロリムス(トラフ目標:4~11ng/mL)、及び8週目まではミコフェノール酸モフェチル(MMF;2g/日)を含む。研究アームは以下の通りであり、全ては、上述されるものと同じ前処置及び免疫抑制剤のバックグラウンドを有する:
アーム1:抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ):-6、-1、0、1;抗IL-6R抗体(例えば、トシリズマブ)治療、CTSが発生する場合のみ(図5
アーム2:抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ):-6、-1、0、1;7日目及び14日目に、予防的抗IL-6R抗体(例えば、トシリズマブ)(図6
アーム3:抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ):-6、-1、0、1、6;7日目及び14日目に、予防的抗IL-6R抗体(例えば、トシリズマブ)(図7
【0413】
対象は、3+3連続アーム設計スキームに従って登録され、本スキームでは、1つのアームにおけるレジメンの安全性及び寛容性が、3人の対象において評価され、そして許容される場合、さらなる3人の対象が登録される。アーム1から開始して、最初の3人の治療患者を逐次的に登録する。CTSのグレードを含む第4週での安全性は、次の対象の登録の前に許容されなければならない。この時間差設計は、所与のアームへ3人目の対象を登録し治療するまで継続する。移植後1か月で安全性が満足のいくものであると評価されると、他の3人の対象を同時に登録することができる:遅延なし。そうでない場合、研究は次の治療アームに進み、ここでは、登録は同様の時間差3+3設計に従う。
【0414】
中等度/重度のCTSを有する患者が所与のアーム中に存在する場合、アームは、さらなる補充はせず、研究は、次のアームに進む。3つ全てのアームが必要となり、各々がすべて登録となった場合、18人のレシピエント及びそれぞれのドナーが登録される。
【0415】
免疫抑制剤をMMFによりプロトコル離脱基準に従い離脱させ、移植後8週目で中止させる。タクロリムス離脱は、対象が離脱基準を満たし続ける場合(すなわち、6月のプロトコル生検でSCr<2.0mg/dLを有し、BPARのない安定した腎機能)、6か月目~9か月目に開始する。対象が、移植後9か月目~12か月目にタクロリムスを完全に中止することが意図される。HLAのミスマッチレベルが初期のアームのものよりも高い患者のさらなるコホート(少なくともハプロタイプ一致であろう)を実施することができる。
【0416】
集団:最大6人の移植レシピエント(及びそれらのそれぞれのドナー)を研究の各アームに登録する。3つ全てのアームが必要となった場合、18人のレシピエント及び18人のそれぞれのドナーが登録される。
【0417】
レシピエントの主要包含基準:
1.研究要件を理解し、任意の研究評価が実行される前に、書面インフォームドコンセントを提供することができる。
2.18~65歳のレシピエント
3.第1の腎移植を受けるレシピエント
4.非HLA同一であるが少なくともハプロタイプ一致、ABO適合性生体ドナーからの腎移植レシピエント
5.特に免疫抑制剤を中止した後に、研究来院のスケジュールに従うことができる
6.治験責任医師の判断による安定した心肺状態であり、移植3か月以内の駆出率は>40%であり、移植に適格である対象。
7.スクリーニングの6か月以内でEBV血清陽性である。
8.-9日目(治療期間の開始)から72時間以内に行われるSARS-CoV-2核酸増幅試験(NAAT)で陰性である。
9.レシピエントは、適用可能なガイドラインに従って固形臓器またはBMT/HSCT(骨髄移植/造血幹細胞移植)移植に対して禁忌であり得る他の局所的に流行性の感染がない。
10.男性研究の対象は、バリア避妊法(コンドーム)を維持することをいとわず、MMFの最後の投与から90日後まで子供をもうけないことに同意する。
【0418】
ドナー対象の主要包含基準:
1.ドナー対象は、何らかの試験評価が行われる前に、インフォームドコンセントを提供することができる
2.18~65歳の対象
3.従来のドナー前歴(健康診断、研究所評価、及び心理社会的評価)に従い健康である
4.B型肝炎表面抗原(HBsAg)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、C型肝炎ウイルス(HCV)(RNA)、及びヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)について陰性である。0日目(計画された手術日)の28日以内のウイルス試験結果が認められる。
5.試験-9日目(レシピエントの前処置レジメンの開始)の72時間以内にSARS-CoV-2 NAATが陰性である。
6.-9日目から手術当日まで、COVIDプロトコル(例えば、社会的距離、マスク使用)及び 施設ガイドラインに準拠する意思がある。
7.Quantiferon Gold Plusインターフェロンガンマ放出アッセイ(IGRA)(またはTBに関する現在の標準インターフェロンガンマ放出アッセイ)によって検出される潜伏性結核症(TB)感染に関して陰性である。
8.適用可能なガイドラインに従って固形臓器またはBMT/HSCT移植に対して禁忌である他の局所的に流行性の感染がない。
【0419】
レシピエント対象の主要除外基準:
1.スクリーニングの30日以内または薬剤の5半減期内、いずれか長い方の他の治験薬の使用(または別の治験薬研究への登録)
2.研究治療またはその賦形剤のいずれかに対する、または類似の化学分類の剤(例えば、MEDI-507、タクロリムス、MMF、シクロホスファミドまたはリツキシマブ)に対する過敏性の病歴
3.原発性巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)または膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN/C3糸球体症)に起因する末期腎疾患を有するレシピエント
4.移植前28日以内に単一抗原ビーズ(SAB)アッセイによって測定されるいずれかのドナー特異的抗HLA抗体(DSA)を有するレシピエント
5.移植の28日以内にドナークロスマッチ陽性結果(各実施医療機関に従ってアッセイされる)を有するレシピエント
6.移植の2か月以内にパネル反応性抗体(PRA>20%)を有するレシピエント。
7.白血球減少症(2,000/mm未満の白血球(WBC))または血小板減少症(血小板数<100,000/mm)のベースラインを有する対象
8.HIV-1またはHBsAgに対して血清陽性。C型肝炎ウイルスに対して血清陽性である対象は、抗HCV治療後の持続的ウイルス反応(SVR)の証明なしに除外される(移植の6か月以内のウイルス試験結果が認められる)
9.Quantiferon Gold Plus IGRA(またはTBに関する現在の標準インターフェロンガンマ放出アッセイ)によって検出される潜伏性TB感染している
10.皮膚の基底細胞癌腫または子宮頸部のin situ癌以外のがんの病歴を有する対象
11.研究では参加が除外されるであろう臨床的有意な研究所異常のある対象[例えば、(a)肝臓化学(アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アルカリホスファターゼ(ALP)、(b)ビリルビン、(c)凝固研究(プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT))について>2.5×上限通常(ULN)値]。
12.治験責任医師/医師の意見において、研究にインフォームドコンセントを与えることができないか、またはプロトコルに概説される研究要件に従うことができない、または従わない対象
13.治験責任医師の判断において、対象の研究に参加する能力を妨害する任意の他の臨床的に有意な健康状態または研究所異常を有する対象
14.計画された移植の2か月以内に任意の生弱毒化ワクチンを受けた対象。
15.妊娠または授乳(授乳中)女性であって、妊娠とは、受胎後から懐胎終了までの女性の状態を定義し、陽性ヒト絨毛性ゴナドトロピン (hCG)研究所検査が陽性であることによって確認される
【0420】
治験薬:抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)
【0421】
前処置レジメン
・抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)
・シクロホスファミド(60mg/kg)
・リツキシマブ(375mg/m/用量)
・胸腺照射(TI、7Gy)
・+/-トシリズマブ(8mg/kgIV)
【0422】
バックグラウンドIS
・タクロリムス(目標トラフ4~11ng/mL)
・ミコフェノール酸モフェチル(1.0g経口投与(po)1日2回(BID))
・コルチコステロイド
【0423】
治療レジメン:抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)を用いた治療の計画された期間は、アーム1または2に割り当てられた対象については8日間にわたって4回の投与、アーム3に割り当てられた対象については13日間にわたって5回の投与である。全ての対象に、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)が、-6日目、-1日目、0日目及び1日目に与えられ、アーム3にイル対象には6日目に追加の投与が提供される。前処置レジメン(-9日目)を開始する前に、資格のある対象は、研究のステータスによって以下の3つの治療群のうちの1つに登録される:
アーム1:抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)(-6日目、-1日目、0日目、1日目)+CTSが発生する場合のみトシリズマブ治療
アーム2:抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)(-6日目、-1日目、0日目、1日目)+予防的トシリズマブd7、d14
アーム3:抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)(-6日目、-1日目、0日目、1日目、6日目)+予防的トシリズマブd7、d14
【0424】
併用治療:本明細書の通り前処置される(MESNA及び透析を伴うTI及びシクロホスファミドを含む)。レシピエントは、-9日目(及び-2日目、5日目、12日目)のリツキシマブから始まる、[-6日目、-1日目、0日目、1日目(アーム3はプラス6日目)]に抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)、-5日目及び-4日目にシクロホスファミド(60mg/kg)、次いで-1日目に局所胸腺照射(7 Gy)の前処置レジメンを受ける。メチルプレドニゾロンが移植時及び3日目まで毎日与えられる。4日目~12日目まで与えられるプレドニゾン2mg/kg/日は、急速に漸減させ20日目に完全に中止する。シクロホスファミドによる出血性膀胱炎及び血尿を予防するために、MESNA(2-メルカプトエタンスルホン酸塩ナトリウム)を与え、シクロホスファミド投与の前後で患者を血液透析する。ドナー骨髄細胞注入との同時腎臓移植を0日目に施行する。MMF(2g/日)を移植時に開始し、8週目に中止する;離脱基準が満たされる場合。同様に、タクロリムス(目標トラフ4~11ng/mL)を移植時に開始し、そして離脱基準が満たされる場合、移植後6か月後に下方用量設定する。ウイルス及び細菌感染の感染予防が、本明細書に記載の通り(例えば、実施例1に記載の通り)、対象に与えられる。本明細書に記載の通り、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)及びリツキシマブの前投薬を、対象に与える。
【0425】
抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)前投薬:抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)の各注入の前に、対象は、650~1000mgのアセトアミノフェン(または当量のパラセタモール)及びH1アンタゴニスト(抗ヒスタミン剤、例えば、25mgのジフェンヒドラミンまたは4mgのクロルフェニラミン)を含む前投薬を受けて、注入反応の徴候及び症状を最小限に抑えることができる。さらに、6日目の抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)の第1の投与の前に、8mg/kgのメチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウムを、注入を開始する前に投与することができる。必要な前投薬の投与は、注入の開始の30分間以上前及び3時間以下で起こるべきである。
【0426】
抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)投与:抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)(0.6mg/kg)の第1の用量を-6日目に投与する。抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)濃縮物を0.9%の生理食塩水で希釈し、約1時間にわたってシリンジポンプを介して静脈内に注入する。前投薬は、抗CD2抗体またはその抗原結合断フラグメント(例えば、シプリズマブ)の投与に先行されなければならない。-6日目、-1日目、0日目及び1日目の4回のシプリズマブ注入の各々に対してこの手順が従われるべきである。-1日目、0日目及び1日目に投与される抗CD2抗体またはその抗原結合断フラグメント(例えば、シプリズマブ)は、約20~24時間の間隔をあけて投与することができる。アーム3に割り当てられた対象については、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)が+6日目に追加投与される。0日目に、注入を術前または術中に投与する。抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)を、術前に投与し、注入は、同種移植片の血行再建及び灌流の4時間よりも前に完了することのないように時間調整する。術中に投与する場合は、注入は、血管再生及び骨髄細胞注入(BMCI)の投与の前に完了させる。これは、ドナー及びレシピエントのアロ反応性Tリンパ球の両方が抑制され、枯渇が移植の数時間後及び数日後に開始されることを確実にする。注入は、末梢静脈または留置マルチルーメン中央カテーテル内の別個のルーメン内に直接与えることができ、他の薬剤と同時に投与しない。
【0427】
リツキシマブ前投薬:アセトアミノフェン(650~1000mgPO)、H1-アンタゴニスト(抗ヒスタミン剤、例えば25~50mgジフェンヒドラミン、または4mgクロルフェニラミン)、及びヒドロコルチゾンコハク酸ナトリウム(例えばSolu-Cortef;100mgIV)を、リツキシマブの各用量の2時間前に対象に投与することができる。
【0428】
リツキシマブ投与(-9日目、-2日目、+5日目及び+12日目):リツキシマブ(375mg/m2/用量)を-9日目、-2日目、+5日目及び+12日目に投与する。進行中の腎置換療法を受ける対象においては、リツキシマブは、血液透析の数時間後に投与され得る。注入のための第1のリツキシマブ溶液は、50ミリグラム/時間(mg/hr)の初期速度で静脈内投与することができる。速度は、30分毎に50mg/hrずつ最大400mg/hrまで上昇させることができる。対象が第1の注入を許容する場合、その後の注入を、100ミリグラム/時間(mg/hr)で開始し、30分毎に100mg/hr、最大400mg/hrまで用量設定することができる。
【0429】
シクロホスファミド(-5日目及び-4日目)前治療(血液透析):毒性に対する予防として血液透析を受ける対象に、シクロホスファミドの第1の投与の24時間以内前。既存の血管アクセスを有さないレシピエントは、前処置中の血液透析の準備のために、血管アクセス及びカテーテルの挿入に備えて-5日目またはその前に腎臓専門医に診察される。血液透析は、-5日目のシクロホスファミドの第1の投与の24時間以内に施行され得る。透析の持続時間(または用量)は、持続時間が4時間に近いか、またはローカルの腎臓専門医の推奨に従うことができる。対象のeGFRが10mL/分未満であり、かつ対象が研究登録時に血液透析または持続携行式腹膜透析(CAPD)を受けている場合、追加の血液透析を-1日目に施行する。
【0430】
シクロホスファミド前投薬:-5日目及び-4日目のシクロホスファミドの投与前に、レシピエントは、治験実施医療機関の基準に従い、吐き気、嘔吐、及び注入反応の予防のための前治療(例えば、グルココルチコイド、抗ヒスタミン、抗不安緩解及び制吐薬)を受けることができる。対象は、以下の通り、MESNAによる出血性膀胱炎に対する予防を受ける:
・乏尿対象:MESNA、15mg/kgを、シクロホスファミド投与の15分前、ならびに3、6及び9時間後に、4回のボーラス静脈内注射を介して投与する。
・非乏尿対象:上記のMESNA、シクロホスファミドの4時間前にIV水分補給(例えば、5%デキストロース、許容される1500mL/M2/24時間で)を開始する。対象が乏尿である場合、膀胱洗浄も実施され得る。
【0431】
シクロホスファミド投与(-5日目及び-4日目):対象は、シクロホスファミド、60mg/kg/日(理想的なまたは実際の体重の少ない方に基づく)を受ける。シクロホスファミドを、250mLの滅菌5%デキストロースを用いたIV注入のために表示に従い調製し、静脈内注入を介して1時間かけて注入する。シクロホスファミドの投与は、-5日目の血液透析の少なくとも20時間後に起こり得る。
【0432】
後治療(血液透析):対象は、シクロホスファミドの各投与の14時間後(+/-2時間後)に血液透析治療を必要とする。透析時間(または投与)は、4時間に近い時間、または標準的な手順に従うことができる。
【0433】
胸腺照射(-1日目):7Gyの胸腺照射を、-1日目に単回投与する。照射野、遮蔽及び線量測定を計算し、標準的な手順に従って投与する。
【0434】
ドナー腎摘出及び骨髄調達:ドナーは、0日目(移植当日)に全身麻酔の下で腎摘出及び骨髄細胞の調達を受ける。非分画ドナー骨髄細胞(レシピエント体重の最低2×10TNC/kgの予定)を標準的な手順に従って注入するために調製する。
【0435】
レシピエント移植及び骨髄細胞注入:研究0日目に、移植レシピエントは同種移植片を受ける。楔状または針ベースライン生検を、同種移植片の前移植から得る。同種移植片の血管再生に続き、血管吻合からの出血または漏出が存在しないことを確認すると、レシピエントは骨髄細胞注入を受ける。細胞を約300~500mL/hrの速度で静脈内注入する。注入は、再灌流後4時間以内に開始され得る。部分的トロンボプラスチン時間を、注入の途中(または出血が過剰に見える場合)、及び注入の完了後に測定することができる。プロタミン25mgを、60秒超のPTTまたは上昇したPTTに対して、もしそれが出血の原因であると考えられる場合に静脈内投与することができる。
【0436】
トシリズマブの調製及び投与:トシリズマブの投与は、研究アームによって異なる。アーム1において、トシリズマブの使用は、CTSが見受けられる治療としてのみ許容される。CTSが生じる場合、トシリズマブは、任意の時点で開始され得、保証される場合、さらなる用量が、約1週間後に与えられる。治療アーム2または3に割り当てられた対象は、CTSに対する予防として、7及び14日目にトシリズマブを受ける。トシリズマブは、適用可能なローカル表示に従って、60分間にわたる8mg/kgIVの用量で調製及び投与することができる。
【0437】
第1の投与(注入)反応の管理:第1の投与または注入反応は、リツキシマブ、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)、またはトシリズマブの初期投与の際に起こり得る。リツキシマブ及び抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)の投与前に予防的に前投薬が与えられるが、治験薬投与後に発熱または悪寒が生じる場合には、更なる用量のアセトアミノフェン及び抗ヒスタミンが投与され得る。コルチコステロイド(例えば、250mgIVメチルプレドニゾロン)が、重篤な反応が起こる場合に投与され得る。
【0438】
併用免疫抑制剤:即時放出性の一般的なタクロリムス(TAC)及びミコフェノール酸モフェチル(MMF)の使用が、本研究において可能である。併用免疫抑制剤は、以下を含み得る:
・0.5mg、1.0mg、または5.0mgカプセルの即時放出性TAC
・MMF250mgまたは500mgフィルムコーティング錠剤、または250mgカプセル、または500mgIV用バイアル
・経口及びIV投与のためのCS
【0439】
MMF投与(0日目~60日目):MMF(2g/日)が、1日に2回(BID)、500mg錠剤2錠または250mgカプセル4錠として経口投与(p.o)される。静脈内投与(1000mg;500mgバイアル2つ)が、経口への移行が可能になるまで、移植から24時間後を超えて挿管されたままであり、及び/または他の方法で経口薬を飲み込むことができない対象について考慮され得る。MMFの第1の用量は、移植の時点で投与され、同種移植片の再灌流の24時間以降には投与されない。
【0440】
MMF中止基準:以下の離脱基準が満たされると、MMFは8週目に中止することができる。
・クレアチニンの一時的な上昇が腎機能不全の別の原因に関連しない限り、免疫抑制剤による安定な腎機能(sCr<2.0mg/dL)。
・抗体媒介拒絶(ABMR)またはBanffグレードIA以上のT細胞媒介拒絶(TCMR)の証拠が認められない。
【0441】
腎機能基準が8週目で代替の原因により満たされない場合、MMF中止は、血清クレアチンにおける偏位が補正され、腎機能が安定であると考えられるまで遅延され得る。
【0442】
MMF用量低減のガイドライン:用量低減の実施は、血小板減少症、白血球減少症、好中球減少症、または治験薬に関連すると疑われる他のAEに基づく。以下のガイドラインは、用量低減ため、事象が解決した後に、MMFの用量を元のレベルに再開始または増加させるための両方に用いるべきである。
【0443】
用量低減ガイドライン:
血小板
・血小板数<100,000/mm量は、治験責任医師/医師の裁量で低減され得る)
・血小板数<75,000/mm(第2の用量低減が考慮され得る)
・血小板数<50,000/mm(強制的に投薬中止)
WBC
・WBC<3500/mm、用量は、治験責任医師/医師の裁量で低減され得る
・WBC<2500/mm第2の用量低減が考慮され得る
・WBC<2000/mm強制的に投薬中止
【0444】
TAC投与(基準が満たされる場合、6か月目後0日目離脱):TACは、カプセルまたは錠剤として1日2回(BID)経口投与(p.o.)され、血清トラフ(C0)濃度を4~11ng/mLの標的範囲内に維持するように調整される。経口投与が実行可能でないまたは実用的でない場合、連続静脈内注入によるTACのIV投与に標識に従い置換することができる。TACは、移植周囲期間において可能な限り早く開始することができ、実施医療機関に従うことができるが、同種移植片の再灌流後24時間以内に開始されるべきである。本研究におけるTACの最低許容用量は0.5mgBIDまたはIV当量である。
【0445】
タクロリムス離脱基準:血清TACトラフ濃縮物(4~11ng/mL)を、6か月目から開始して3~6か月の期間にわたってゆっくりと下方用量設定するが、以下の全ての離脱基準1~5が満たされることを条件とする。
1.クレアチニンの一時的な上昇が腎機能不全の別の原因に関連しない限り、免疫抑制剤による安定な腎機能(sCr<2.0mg/dL)。
2.初期移植後期間における検出可能な多系統白血球キメリズム(任意のレベル)がある。
3.現在(または以前に)DSAが認められない。
4.GvHDの在現の証拠が認められない。
5.6か月目(またはより最近)の腎生検における抗体媒介拒絶(ABMR)またはBanffグレードIA以上のT細胞媒介拒絶(TCMR)の証拠が認められない。境界変化の履歴は、生検結果が52週目までに正常である場合、免疫抑制剤からの離脱に対して参加者を不適合としない。
【0446】
タクロリムス離脱計画(6か月目~9か月目に開始):上記の離脱基準が満たされると、タクロリムス用量は、以下に記載されるように、約6か月にわたって比例的に減少させることができる。
・最初の1か月間(例えば、6か月目~7か月目)については6か月目の用量の75%
・第2の2か月間(例えば、7か月目~9か月目)については6か月目の用量の50%
・第3の2か月間(例えば、9か月目~11か月目)については6か月目の用量の25%
・最後の1か月間(例えば、12か月目の生検の第11か月前)については6か月目の用量の12.5%
【0447】
用量低減が単独でTAC曝露の過剰比例低減を生じる場合、すなわち、トラフ濃度が予想よりも低減する場合、同じ用量設定スキームを曝露の低減に適用することができ、用量はそれに応じて調節することができる。TACトラフ濃度が定量のアッセイ限界を下回って低減する場合、1日用量の低減を使用して漸減を完了することができる。TACは、第2の生検(名目上、12か月目であるが、スケジュール及び対象の臨床提示に応じて、より早くまたは遅くなる可能性がある)が、同種移植片が拒絶を含まない(例えば、上記の基準5に記載されるように)ことを示した後に完全に中止することができる。
【0448】
コルチコステロイド投与:コルチコステロイド(CS)は、異なる目的で研究中数回与えられ、所定の投薬は以下の通りである:
・リツキシマブの前投薬:リツキシマブの前の前投薬としてヒドロコルチゾンコハク酸ナトリウム(SoluCortef;100mgIV)(-9日目、-2日目、5日目及び12日目)
・抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)の前投薬:メチルプレドニゾロンコハク酸ナトリウム(SoluMedrol;8mg/kgIV)を、抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)の前投薬の第1の用量として(-6日目)
・移植免疫抑制剤:
・IVメチルプレドニゾロン:0日目に250mg;1日目に125mg、2日目に100mg、3日目に80mg
・プレドニゾン2mg/kg/日を、4日目から開始し12日目まで、急速漸減し20日目までに完全に中止する。
・投与のステロイド経路は、標準的な手順及び患者の状態に従って、4日目またはその前後に等効力のグルココルチコイド用量でIVから経口投与に切り替えられ得る。
【0449】
CTSまたは拒絶が観察される場合、第一選択療法としてステロイドボーラスが考慮され得る。
【0450】
前処置レジメン:前処置レジメンは、レシピエントが-9日目にリツキシマブ(+前投薬)の第1の用量を受け取ることから始まり、第12日にリツキシマブの最後の用量を受け取った時点で終了する。
【0451】
-9日目(外来患者):-9日目の72時間以内に実施された陰性SARS-CoV-2試験を含む、スクリーニング中の全ての適格性基準の確認に続き、ドナー/レシピエント対を研究に登録し、レシピエント対象については、最初前処置レジメン投与の前に以下を完了させる:
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・ローカルラボキメリズム評価のための採血
・免疫表現型決定(FACS)、CD2R0及び血清サイトカインのためのセントラルラボ採血
・レボフロキサシンの開始(PCP感染予防)
・リツキシマブ前投薬
・リツキシマブ注入
・バイタルサインを、投与前、注入直後、及び注入の終了から1時間後に捕捉
【0452】
-6日目(外来患者)
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・ローカルラボCBC及び化学のための採血
・免疫原性(抗CD2抗体)及びCD2ROについてのセントラルラボ採血
・血液透析のための血管アクセスの確認及び/または配置
・血液透析は-5日目のシクロホスファミド投与前の24時間以内に完了しなければならない
・抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)投与
・注入の30分~3時間前に前投薬
・PKサンプルを、投与前及び注入終了後1時間で採取
・バイタルサインを、投与前、注入直後、及び注入の終了から1時間後に捕捉
【0453】
-5日目
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・ローカルラボCBC、化学、及び凝固パネルのための採血
・出血性膀胱炎の予防(prn)のためのMESNA
・シクロホスファミド前投薬の投与
・シクロホスファミド投与
・シクロホスファミド投与14時間後の血液透析
・PK及びCD2ROのためのセントラルラボでの採血
【0454】
-4日目
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・ローカルラボCBC及び化学のための採血
・出血性膀胱炎の予防(prn)のためのMESNA
・シクロホスファミド前投薬の投与
・シクロホスファミド投与
・シクロホスファミド投与14時間後の血液透析
・PKのためのセントラルラボでの採血
【0455】
-3日目
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・ドナーに対するSARS-CoV-2試験を確実にする(試験は0日目の72時間前に実施)
・ローカルラボCBC及び化学のための採血
・PKのためのセントラルラボでの採血
【0456】
-2日目
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・以前に完了していない場合は、ドナーに対するSARS-CoV-2試験を確実にする(試験は0日目の72時間前に実施)
・リンパ球/CDCクロスマッチ(移植前に完了)
・ローカルラボCBC及び化学のための採血
・リツキシマブ前投薬
・リツキシマブ注入
・投与前、注入直後、及び注入の終了から1時間後にバイタルサインの捕捉
・PKのためのセントラルラボでの採血
【0457】
-1日目
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・以前に完了していない場合は、ドナーに対するSARS-CoV-2試験を確実にする(試験は0日目の72時間前に実施)
・リンパ球/CDCクロスマッチ(以前に完了していない場合;移植前に完了していなければならない)
・ローカルラボCBC及び化学のための採血
・血清サイトカイン及び抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)濃縮物(PK)のセントラルラボ採血
・胸腺照射
・抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)投与
・注入の30分~3時間前に前投薬
・PKサンプルを、投与前及び注入終了後1時間で採取
・バイタルサインを、投与前、注入直後、及び注入の終了から1時間後に捕捉
【0458】
0日目(移植当日)
【0459】
腎同種移植片骨髄細胞同時注入の日に、以下に列挙する手順が生じる。ドナー腎摘出/骨髄調達及びレシピエント腎移植を施行。
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・ドナーレシピエントの陰性SARS-CoV-2結果を確認
・0日目のPCP予防を中断
・ローカルラボCBC及び化学のための採血(入院している間は毎日;臨床的に示された他のタイムポイント)
・ローカルラボ凝固パネル用の採血
・サイトメガロウイルス(CMV) DNA PCR(好中球減少の間は毎週モニタリング)
・手術前の予防的抗菌処理
・ドナー外科手術手順
・腎摘出
・骨髄調達
・ドナー細胞の調製
・レシピエント外科手術手順
・同種移植片楔状/針生検
・腎移植
・ドナー骨髄細胞の注入
・PTT(骨髄細胞の注入が50%完了した時点)
・抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)投与
・注入の30分~3時間前に前投薬(麻酔医と相談)
・PKサンプルを、投与前及び注入終了後1時間で採取
・バイタルサインを、投与前、注入直後、及び注入の終了から1時間後に捕捉
・移植後24時間以内の免疫抑制剤(TAC/MMF)併用の開始
・コルチコステロイド投与
【0460】
1日目
・薬物の新規及び変更ならびに有害事象を検討
・ローカルラボCBC及び化学のための採血
・PCP、真菌/酵母、CMV、及びHHVの予防処置
・抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)投与
・注入の30分~3時間前に前投薬
・PKサンプルを、投与前及び注入終了後1時間で採取
・投与前、注入直後、及び注入の終了から1時間後にバイタルサインの捕捉
・コルチコステロイド投与
・IS(TAC/MMF)及びTACトラフ濃縮物併用
【0461】
3日目
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・CBC及び化学のための採血
・CMV DNA PCR監視
・PCP、真菌/酵母、CMV、及びHHVの予防処置
・コルチコステロイド投与
・IS(TAC/MMF)及びTACトラフ濃縮物併用
・抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)濃縮物(PK)、CD2、及び血清サイトカインのセントラルラボ採血
【0462】
5日目
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・CBC及び化学のための採血
・CMV DNA PCR監視
・PCP、真菌/酵母、CMV、及びHHVの予防処置
・リツキシマブ注入
・投与前、注入直後、及び注入の終了から1時間後にバイタルサインの捕捉
・コルチコステロイド投与
・IS(TAC/MMF)及びTACトラフ濃縮物併用
・抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)濃縮物(PK)のセントラルラボ採血
【0463】
6日目
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・全血球計算(CBC)及び化学のための採血
・CMV DNA PCR監視
・PCP、真菌/酵母、CMV、及びHHVの予防処置
・抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)濃縮物(PK)のセントラルラボ採血
・治療アーム3のみ-抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)投与
・注入の30分~3時間前に前投薬
・PKサンプルを、投与前及び注入終了後1時間で採取
・投与前、注入直後、及び注入の終了から1時間後にバイタルサインの捕捉
・コルチコステロイド投与
・IS(TAC/MMF)及びTACトラフ濃縮物併用
【0464】
7日目
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・バイタルサイン捕捉
・CBC、化学、及び凝固パネルのための採血
・CMV DNA PCR監視
・ローカルラボキメリズム評価のための採血
・PCP、真菌/酵母、CMV、及びHHVの予防処置
・治療アーム2及び3のみ:トシリズマブ投与(7日目及び14日目)
・コルチコステロイド投与
・IS(TAC/MMF)及びTACトラフ濃縮物併用
・抗CD2抗体またはその抗原結合フラグメント(例えば、シプリズマブ)濃縮物(PK)、CD2、及び血清サイトカインのセントラルラボ採血
・腎障害マーカーのためのセントラルラボ尿収集
【0465】
10日目
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・CBC及び化学のための採血
・PCP、真菌/酵母、CMV、及びHHVの予防処置
・コルチコステロイド投与
・IS(TAC/MMF)及びTACトラフ濃縮物併用
・FACS及び血清サイトカインのためのセントラルラボ採血
【0466】
12日目
・既存の薬物及び/または有害事象に対する新規または変更を検討
・CBC及び化学のための採血
・PCP、真菌/酵母、CMV、及びHHVの予防処置
・リツキシマブ前投薬
・リツキシマブ注入
・投与前、注入直後、及び注入の終了から1時間後にバイタルサインの捕捉
・コルチコステロイド投与
・IS(TAC/MMF)及びTACトラフ濃縮物併用
【0467】
追加の評価:上記の評価に加えて、また前処置期間中に、レシピエントは、図4に示すように、拒絶、移植片喪失、GvHD、及びCTSの徴候/症状について評価される。
【0468】
免疫抑制期間(前処置後~12か月目):プロトコルの前処置期間は、12日目のリツキシマブの最終投与で有効的に終了し、対象がタクロリムス、MMF(1日目)及びコルチコステロイドによる免疫抑制治療を開始または継続する期間。タクロリムスは、周術期の0日目に開始され得るが、移植手術の24時間以内に開始されるべきである。
【0469】
対象は、真菌/酵母、CMV及びHSV感染に対する広範な感染予防を開始する(実施例6.1参照)。この期間中、及び入院している間、対象には、毎日のCBC及び包括的代謝パネル(化学)評価、毎週のCMV DNA PCR監視、ならびに移植片喪失、拒絶、及びGvHDについての評価が行われるであろう(実施例6.1参照)。コルチコステロイドは研究20日目まで継続され、MMFは8週目まで継続される。タクロリムスの離脱を、6か月目で開始し、移植後9-12か月目で離脱を完了するために3~6か月にわたって漸減される。
【0470】
免疫抑制剤フリー期間(12か月目~60か月目):12か月目の来院後、対象は、総括的な健康及び研究所評価のため、及び有害事象の評価のために、24か月目まで四半期ごとに診療来院のために戻る。24か月目は、研究エンドポイントである。24か月目の訪問の完了後、対象は、より長い期間の追跡期間に入り、60か月目の最終試験に戻るまで1年おきに来院する。図4は、全ての研究来院で完了させる評価及び手順の包括的なリスを示す。
【0471】
安全性評価
・AE及びSAE
・臨床化学、血液学、バイタルサイン、及び血清学
・腎機能
【0472】
データ解析:発生率に基づいて一次目的を評価する。他の効能目的も同様に分析する。AE/SAEデータは、SoC及び好ましい用語によってコード化され、発生率とともに示される。ラボデータを、要約統計及びベースラインからの変化を用いた訪問によって分析する。
【0473】
サンプルサイズ決定:各アームに対する6人の対象のサンプルサイズを、レジメン発見研究において全体的なリスク利益をバランスさせながら、移植後即時期間におけるCTSの発生率及び重症度を特徴付ける必要性を含む実際的な考慮事項に基づいて選択した。
【0474】
研究期間:一次エンドポイントは、移植後24か月目で評価され、登録されたすべてのレシピエントは、転帰について5年まで追跡される。
【0475】
【表17】
図1
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図2-5】
図2-6】
図2-7】
図3
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図4-5】
図4-6】
図4-7】
図5
図6
図7
【配列表】
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【国際調査報告】