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特表2024-534936銅代謝関連疾患又は障害を治療する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】銅代謝関連疾患又は障害を治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/24 20190101AFI20240918BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 39/04 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
A61K33/24
A61P3/00
A61P39/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514662
(86)(22)【出願日】2022-09-06
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 US2022042664
(87)【国際公開番号】W WO2023038909
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/241,441
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503102674
【氏名又は名称】アレクシオン ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】スウェンソン, ユージーン スコット
(72)【発明者】
【氏名】パン, ウェイ-ジアン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA10
4C086GA13
4C086HA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA23
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA60
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZC21
4C086ZC37
(57)【要約】
対象における、特に約3歳~約18歳未満の対象におけるウィルソン病(WD)などの銅代謝関連疾患又は障害を治療する方法が開示される。また、対象における、特に約3歳~約18歳未満の対象におけるウィルソン病(WD)などの銅代謝関連疾患又は障害の治療における使用のための、テトラチオモリブデン酸ビスコリンを含む組成物が開示される。また、対象における、特に約3歳~約18歳未満の対象におけるウィルソン病(WD)などの銅代謝関連疾患又は障害を治療するための薬剤の製造における、テトラチオモリブデン酸ビスコリンを含む組成物の使用が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における銅代謝関連疾患又は障害を治療するための方法であって、治療有効量のテトラチオモリブデン酸ビスコリンを前記対象に投与するステップを含み、前記対象は、約3歳~約18歳未満である、方法。
【請求項2】
前記銅代謝関連疾患又は障害は、ウィルソン病(WD)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象は、約3歳~約12歳未満である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
テトラチオモリブデン酸ビスコリンの前記治療有効量は、1日当たり約2.5mg~約15mgの範囲である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
テトラチオモリブデン酸ビスコリンの前記治療有効量は、1日当たり約2.5mgである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
テトラチオモリブデン酸ビスコリンの前記治療有効量は、1日当たり約5mgである、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
テトラチオモリブデン酸ビスコリンの前記治療有効量は、1日当たり約5mg~約15mgの範囲である、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
テトラチオモリブデン酸ビスコリンの1日当たり約2.5mgの前記治療有効量は、少なくとも4週間維持される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも4週後、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの1日当たり約2.5mgの前記治療有効量は、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの第2の治療有効量に増加される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
テトラチオモリブデン酸ビスコリンの前記第2の治療有効量への前記増加は、1日当たり2.5mgの1回以上の増量であり、各増量は少なくとも4週空けてなされる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記対象は、約12歳~約18歳未満である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項12】
テトラチオモリブデン酸ビスコリンの前記治療有効量は、1日おきに約15mg~1日当たり約15mgの範囲である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
テトラチオモリブデン酸ビスコリンの前記治療有効量は、1日おきに約15mgである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
テトラチオモリブデン酸ビスコリンの前記治療有効量は、1日当たり約15mgである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
テトラチオモリブデン酸ビスコリンの1日おきに約15mgの前記治療有効量は、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも24週間、少なくとも48週間、少なくとも72週間、若しくは少なくとも96週間、又は約2年間、若しくは約3年間、若しくは約4年間、若しくは約5年間、若しくは約6年間、若しくは約7年間、若しくは約8年間、若しくは約9年間、若しくは約10年間又はそれ以上、維持される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
テトラチオモリブデン酸ビスコリンの1日当たり約15mgの前記治療有効量は、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも24週間、少なくとも48週間、少なくとも72週間、若しくは少なくとも96週間、又は約2年間、若しくは約3年間、若しくは約4年間、若しくは約5年間、若しくは約6年間、若しくは約7年間、若しくは約8年間、若しくは約9年間、若しくは約10年間又はそれ以上、維持される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記対象は、以前に前記銅代謝関連疾患又は障害に対する、例えばウィルソン病に対する治療を受けていない(すなわち、未治療の対象)、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記対象は、以前に前記銅代謝関連疾患又は障害に対する、例えばウィルソン病に対する標準治療を受けた、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記対象は、以前に28日未満の標準治療を受けた、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記対象は、以前に少なくとも28日間、又は少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも12週間、少なくとも24週間、又は少なくとも48週間の標準治療を受けた、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記対象は、以前に治療を受けていない、又は前記対象は、以前に前記銅代謝関連疾患又は障害に対する、例えばウィルソン病に対する28日未満の標準治療を受けた、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記標準治療は、トリエンチン、D-ペニシラミン、及び/又は亜鉛を含む、請求項18~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記標準治療は、トリエンチン及び/又はD-ペニシラミンを含む、請求項18~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記対象は、テトラチオモリブデン酸ビスコリンを投与する少なくとも2週間前に前記標準治療の最終投与を受けた、請求項18~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記対象の血漿中の、総銅、セルロプラスミン、セルロプラスミン結合銅(CpC)、非セルロプラスミン結合銅(計算されたcNCC、又は直接測定されたdNCCなど)、及び不安定結合銅(LBC)の1つ以上の濃度を測定するステップをさらに含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
NCCcorrectedの濃度を測定するステップ;又は直接測定された非セルロプラスミン結合銅(dNCC)の効果時間曲線下面積(AUEC)の1日平均(例えば、ベースラインから48週まで)を決定するステップをさらに含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記対象のNCCcorrectedがNCCcorrectedの基準範囲外である場合、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの前記治療有効量を調節するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
NCCcorrectedの前記基準範囲は、0.8~2.3μMである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記対象の血漿中の総モリブデン及び/又は血漿限外濾過液(PUF)モリブデンの濃度を測定するステップをさらに含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
測定は、ベースラインで、投与の6週目若しくは6週後、投与の24週目若しくは24週後、及び/又は投与の48週目若しくは48週後、実施される、請求項25~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
測定は、ベースラインで、及び投与の6週まで、又は投与の24週まで、又は投与の48週まで、又は投与の少なくとも48週以上まで実施される、請求項25~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
統一ウィルソン病評価尺度(UWDRS)、パートII、及び/又はパートIIIに従って測定する場合、能力障害及び神経学的症状の改善について前記患者を評価するステップをさらに含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
能力障害状態、精神症状、臨床症状、治療満足度、又はそれらの組み合わせの改善について前記患者を評価するステップをさらに含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
約3歳~約18歳未満の対象における銅代謝関連疾患又は障害の治療における使用のためのテトラチオモリブデン酸ビスコリンを含む組成物。
【請求項35】
前記銅代謝関連疾患又は障害は、ウィルソン病(WD)である、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記対象は、約3歳~約12歳未満である、請求項34又は請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
1日当たり約2.5mg~約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが前記対象に投与される、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
1日当たり約2.5mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが前記対象に投与される、請求項36に記載の組成物。
【請求項39】
1日当たり約5mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが前記対象に投与される、請求項36に記載の組成物。
【請求項40】
1日当たり約5mg~約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが前記対象に投与される、請求項36に記載の組成物。
【請求項41】
1日当たり約2.5mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンは、前記対象に少なくとも4週間投与される、請求項38に記載の組成物。
【請求項42】
前記対象に投与されるテトラチオモリブデン酸ビスコリンの量は、少なくとも4週後増加する、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
テトラチオモリブデン酸ビスコリンの前記量は、1日当たり2.5mgの1回以上の増量によって増加する、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
前記対象は、約12歳~約18歳未満である、請求項34又は請求項35に記載の組成物。
【請求項45】
1日おきに約15mg~1日当たり約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが前記対象に投与される、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンは、1日おきに前記対象に投与される、請求項44に記載の組成物。
【請求項47】
1日当たり約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが前記対象に投与される、請求項44に記載の組成物。
【請求項48】
約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンは、1日おきに、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも24週間、少なくとも48週間、少なくとも72週間、若しくは少なくとも96週間、又は約2年間、若しくは約3年間、若しくは約4年間、若しくは約5年間、若しくは約6年間、若しくは約7年間、若しくは約8年間、若しくは約9年間、若しくは約10年間又はそれ以上、前記対象に投与される、請求項46に記載の組成物。
【請求項49】
1日当たり約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンは、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも24週間、少なくとも48週間、少なくとも72週間、若しくは少なくとも96週間、又は約2年間、若しくは約3年間、若しくは約4年間、若しくは約5年間、若しくは約6年間、若しくは約7年間、若しくは約8年間、若しくは約9年間、若しくは約10年間又はそれ以上、前記対象に投与される、請求項47に記載の組成物。
【請求項50】
前記対象は、以前に前記銅代謝関連疾患又は障害に対する、例えばウィルソン病に対する治療を受けていない(すなわち、未治療の対象)、請求項34~49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
前記対象は、以前に前記銅代謝関連疾患又は障害に対する、例えばウィルソン病に対する標準治療を受けた、請求項34~49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項52】
前記対象は、以前に28日未満の標準治療を受けた、請求項51に記載の組成物。
【請求項53】
前記対象は、以前に少なくとも28日間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも12週間、少なくとも24週間、又は少なくとも48週間の標準治療を受けた、請求項51に記載の組成物。
【請求項54】
前記対象は、以前に治療を受けていない、又は前記対象は、以前に前記銅代謝関連疾患又は障害に対する、例えばウィルソン病に対する28日未満の標準治療を受けた、請求項34~49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項55】
前記標準治療は、トリエンチン、D-ペニシラミン、及び/又は亜鉛を含む、請求項51~54のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項56】
前記標準治療は、トリエンチン及び/又はD-ペニシラミンを含む、請求項51~54のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項57】
前記対象は、テトラチオモリブデン酸ビスコリンを摂取する少なくとも2週間前に前記標準治療の最終投与を受けた、請求項51~56のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項58】
前記対象の血漿中の総銅、セルロプラスミン、セルロプラスミン結合銅(CpC)、非セルロプラスミン結合銅(計算されたcNCC、又は直接測定されたdNCCなど)、及び不安定結合銅(LBC)の1つ以上の濃度が測定される、請求項34~57のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項59】
NCCcorrectedの濃度又は直接測定された非セルロプラスミン結合銅(dNCC)の効果時間曲線下面積(AUEC)の1日平均(例えば、ベースラインから48週まで)が決定される、請求項34~58のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項60】
テトラチオモリブデン酸ビスコリンの量は、前記対象のNCCcorrectedがNCCcorrectedの基準範囲外である場合、調節される、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
NCCcorrectedの前記基準範囲は、0.8~2.3μMである、請求項60に記載の組成物。
【請求項62】
前記対象の血漿中の総モリブデン及び/又は血漿限外濾過液(PUF)モリブデンの濃度が測定される、請求項34~61のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項63】
前記対象の血漿中の総銅、セルロプラスミン、セルロプラスミン結合銅(CpC)、非セルロプラスミン結合銅、及び不安定結合銅(LBC)の1つ以上の濃度は、ベースラインで、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の6週目若しくは6週後、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の24週目若しくは24週後、及び/又はテトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の48週目若しくは48週後、測定される、請求項58~62のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項64】
前記対象の血漿中の総銅、セルロプラスミン、セルロプラスミン結合銅(CpC)、非セルロプラスミン結合銅、及び不安定結合銅(LBC)の1つ以上の濃度は、ベースラインで、及びテトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の6週まで、又はテトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の24週まで、又は投与の48週まで、又はテトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の少なくとも48週以上まで測定される、請求項58~62のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項65】
前記対象は、統一ウィルソン病評価尺度(UWDRS)、パートII、及び/又はパートIIIに従って測定する場合、能力障害及び神経学的症状の改善について評価される、請求項34~64のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項66】
前記対象は、能力障害状態、精神症状、臨床症状、治療満足度、又はそれらの組み合わせの改善について評価される、請求項34~65のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項67】
約3歳~約18歳未満の対象における、銅代謝関連疾患又は障害を治療するための薬剤の製造におけるテトラチオモリブデン酸ビスコリンを含む組成物の使用。
【請求項68】
前記銅代謝関連疾患又は障害は、ウィルソン病(WD)である、請求項67に記載の使用。
【請求項69】
前記対象は、約3歳~約12歳未満である、請求項67又は請求項68に記載の使用。
【請求項70】
1日当たり約2.5mg~約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが前記対象に投与される、請求項69に記載の使用。
【請求項71】
1日当たり約2.5mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが前記対象に投与される、請求項69に記載の使用。
【請求項72】
1日当たり約5mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが前記対象に投与される、請求項69に記載の使用。
【請求項73】
1日当たり約5mg~約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが前記対象に投与される、請求項69に記載の使用。
【請求項74】
1日当たり約2.5mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンは、前記対象に少なくとも4週間投与される、請求項71に記載の使用。
【請求項75】
前記対象に投与されるテトラチオモリブデン酸ビスコリンの量は、少なくとも4週後増加される、請求項74に記載の使用。
【請求項76】
テトラチオモリブデン酸ビスコリンの量は、1日当たり2.5mgの1回以上の増量で増加する、請求項75に記載の使用。
【請求項77】
前記対象は、約12歳~約18歳未満である、請求項67又は請求項68に記載の使用。
【請求項78】
1日おきに約15mg~1日当たり約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが前記対象に投与される、請求項77に記載の使用。
【請求項79】
約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンは、1日おきに前記対象に投与される、請求項77に記載の使用。
【請求項80】
1日当たり約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが前記対象に投与される、請求項77に記載の使用。
【請求項81】
約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンは、1日おきに、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも24週間、少なくとも48週間、少なくとも72週間、若しくは少なくとも96週間、又は約2年間、若しくは約3年間、若しくは約4年間、若しくは約5年間、若しくは約6年間、若しくは約7年間、若しくは約8年間、若しくは約9年間、若しくは約10年間又はそれ以上、前記対象に投与される、請求項79に記載の使用。
【請求項82】
1日当たり約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンは、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも24週間、少なくとも48週間、少なくとも72週間、若しくは少なくとも96週間、又は約2年間、若しくは約3年間、若しくは約4年間、若しくは約5年間、若しくは約6年間、若しくは約7年間、若しくは約8年間、若しくは約9年間、若しくは約10年間又はそれ以上、前記対象に投与される、請求項80に記載の使用。
【請求項83】
前記対象は、以前に前記銅代謝関連疾患又は障害に対する、例えばウィルソン病に対する治療を受けていない(すなわち、未治療の対象)、請求項67~82のいずれか一項に記載の使用。
【請求項84】
前記対象は、以前に前記銅代謝関連疾患又は障害に対する、例えばウィルソン病に対する標準治療を受けた、請求項67~82のいずれか一項に記載の使用。
【請求項85】
前記対象は、以前に28日未満の標準治療を受けた、請求項84に記載の使用。
【請求項86】
前記対象は、以前に少なくとも28日間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも12週間、少なくとも24週間、又は少なくとも48週間の標準治療を受けた、請求項84に記載の使用。
【請求項87】
前記対象は、以前に治療を受けていない、又は前記対象は、以前に前記銅代謝関連疾患又は障害に対する、例えばウィルソン病に対する28日未満の標準治療を受けた、請求項67~82のいずれか一項に記載の使用。
【請求項88】
前記標準治療は、トリエンチン、D-ペニシラミン、及び/又は亜鉛を含む、請求項84~87のいずれか一項に記載の使用。
【請求項89】
前記標準治療は、トリエンチン及び/又はD-ペニシラミンを含む、請求項84~87のいずれか一項に記載の使用。
【請求項90】
前記対象は、テトラチオモリブデン酸ビスコリンを摂取する少なくとも2週間前に前記標準治療の最終投与を受けた、請求項84~89のいずれか一項に記載の使用。
【請求項91】
前記対象の血漿中の総銅、セルロプラスミン、セルロプラスミン結合銅(CpC)、非セルロプラスミン結合銅(計算されたcNCC、又は直接測定されたdNCCなど)、及び不安定結合銅(LBC)の1つ以上の濃度が測定される、請求項67~90のいずれか一項に記載の使用。
【請求項92】
NCCcorrectedの濃度又は直接測定された非セルロプラスミン結合銅(dNCC)の効果時間曲線下面積(AUEC)の1日平均(例えば、ベースラインから48週まで)が決定される、請求項67~91のいずれか一項に記載の使用。
【請求項93】
テトラチオモリブデン酸ビスコリンの量は、前記対象のNCCcorrectedがNCCcorrectedの基準範囲外である場合、調節される、請求項92に記載の使用。
【請求項94】
NCCcorrectedの前記基準範囲は、0.8~2.3μMである、請求項93に記載の使用。
【請求項95】
前記対象の血漿中の総モリブデン及び/又は血漿限外濾過液(PUF)モリブデンの濃度が測定される、請求項67~94のいずれか一項に記載の使用。
【請求項96】
前記対象の血漿中の総銅、セルロプラスミン、セルロプラスミン結合銅(CpC)、非セルロプラスミン結合銅、及び不安定結合銅(LBC)の1つ以上の濃度は、ベースラインで、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の6週目若しくは6週後、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の24週目若しくは24週後、及び/又はテトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の48週目若しくは48週後、測定される、請求項91~95のいずれか一項に記載の使用。
【請求項97】
前記対象の血漿中の総銅、セルロプラスミン、セルロプラスミン結合銅(CpC)、非セルロプラスミン結合銅、及び不安定結合銅(LBC)の1つ以上の濃度は、ベースラインで、及びテトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の6週まで、又はテトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の24週まで、又は投与の48週まで、又はテトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の少なくとも48週以上まで測定される、請求項91~95のいずれか一項に記載の使用。
【請求項98】
前記対象は、統一ウィルソン病評価尺度(UWDRS)、パートII、及び/又はパートIIIに従って測定する場合、能力障害及び神経学的症状の改善について評価される、請求項67~97のいずれか一項に記載の使用。
【請求項99】
前記対象は、能力障害状態、精神症状、臨床症状、治療満足度、又はそれらの組み合わせの改善について評価される、請求項67~98のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に援用される、2021年9月7日に出願された米国仮特許出願第63/241,441号の明細書の利益を主張する。
【0002】
本開示は、対象における、特に約3歳~約18歳未満の対象における、ウィルソン病(WD)などの銅代謝関連疾患又は障害を治療する方法に関する。本開示はまた、対象における、特に約3歳~約18歳未満の対象における、ウィルソン病(WD)などの銅代謝関連疾患又は障害の治療における使用のためのテトラチオモリブデン酸ビスコリンを含む組成物に関する。本開示はさらに、対象における、特に約3歳~約18歳未満の対象における、ウィルソン病(WD)などの銅代謝関連疾患又は障害を治療するための薬剤を製造するためのテトラチオモリブデン酸ビスコリンを含む組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ウィルソン病(WD)は、銅の輸送障害の常染色体劣性遺伝疾患である。ATP7B遺伝子の変異が銅-トランスポーターATPase2の不十分な産生をもたらし、それは、セルロプラスミン(Cp)中への銅の取り込み障害、銅の胆汁中排泄障害、交換可能銅の増加、並びに肝臓、脳、及びその他の組織への銅蓄積をもたらし、結果として臓器障害及び機能障害をもたらす。セルロプラスミンは、血清フェロキシダーゼであり、健常人において、それは血漿中に見出される銅の95%超を含有する。
【0004】
WDに関連する遺伝子マーカーの有病率は、世界中で30,000人の集団当たり約1名である。同定された突然変異を有する人々の内、疾患兆候は、約50%に認められる。フランスを基本とする最近の全国的な集団ベースの疫学研究によると、WDの診断有病率が100,000人の集団当たり1.5人であることが見出された。
【0005】
WDの典型的な臨床症状は、青年期から早期成人期に生じる。遺伝子スクリーニング及び遺伝子型-表現型相関は、多数(500超)の関連するATP7B突然変異によって複雑であり;大部分のWDを有する個人は、複合ヘテロ接合体である。WDの初期の徴候及び症状は、主に肝臓(約40%)、神経(約40%)又は精神(約20%)疾患であるが、患者は、多くの場合、肝臓疾患と神経精神疾患との複合疾患を発症する。未治療の又は不十分な治療を受けた患者は、罹患率が進行し、通常、肝硬変に続発して死亡する。肝移植は、WD関連急性肝不全に対する唯一の有効な治療法であり;WDに関連する他の死因としては、肝悪性腫瘍及び重度の飢餓衰弱を伴う神経学的悪化が挙げられる。
【0006】
肝臓は、ヒトにおける主要な銅貯蔵臓器の1つを表す。健常人において、細胞内銅ホメオスタシスは、厳密に調節される。銅は、銅トランスポーター1(CTR1)によって細胞内に輸送され、次に抗酸化剤1、シトクロムcオキシダーゼ、及びスーパーオキシドジスムターゼに対する銅シャペロンなどの銅シャペロンへ移される。シャペロンに伴う銅は、特定の銅を必要とする酵素に送達される。過剰量の銅が生じる場合、過剰な銅は、MTにおける大量のシステイン残基による銅のチオラート架橋を介して、一価銅(Cu+)としてメタロチオネイン(MT)に結合され、それにより銅のその酸化還元電位の低下を通した無毒化が引き起こされる。
【0007】
WDを有する患者において、銅は、ATPase2のその不在又は機能低下による欠損活性に起因し、組織区画から排出されない。これは、主に、タンパク質が肝細胞内で高度に発現される肝臓、次いで脳だけでなく、その他の臓器における銅の蓄積をもたらす。MTの生合成能の範囲内で、MTは銅に密接に結合することから、銅の毒性は明白には認められない。しかし、MTの銅の緩衝能を超えて、遊離銅イオンが認められ、この過剰な量の遊離細胞内銅は、プロオキシダント特性を誘起し、組織/臓器障害のリスク増加とともに、結果としての臨床症状を引き起こす。歴史的に、WDにおける銅の肝毒性がセルロプラスミン又はMTに結合されない銅によって媒介されることが仮定されている。次に、肝臓からの増加した非セルロプラスミン結合銅(NCC)は、大部分はアルブミンに結合されず、それが損傷を引き起こし得る他の臓器への取り込みに利用可能である形態で循環に入る。したがって、血漿NCC(NCC)濃度は、組織銅の過負荷についての重要なバイオマーカーとして役立ち得る。しかし、正常化された血漿NCC濃度の達成は、特に、脳などの、銅交換が比較的遅い臓器において、必ずしも正常化された組織銅レベルを反映しない。
【0008】
WDの有効な治療法の最適な治療目標は、組織から過剰な銅を排出することか、または銅を安全に分離することである。WDの現行の治療は、銅を非特異的にキレート化し、尿銅排泄を促進する、一般的なキレート剤療法のD-ペニシラミン(Cuprimine,Depen)及びトリエンチン(Syprine)である。さらに、銅の食餌取り込みをブロックする亜鉛は、主に維持治療に使用される。亜鉛は、胃腸(GI)管の腸細胞において、MTの誘導によって銅の吸収を損なわせる。組織銅濃縮物が容易には採取されないことから、治療的な銅の制御の妥当性は、現在、24時間尿銅排泄の定期的評価を通してモニターされる。1日尿銅排泄率及び血漿NCC濃度は、いずれも高度に可変であり、治療的な銅の制御のモニタリングにとっていずれも理想的でない。
【0009】
現在利用可能な薬物は、有害事象(AE)及び治療失敗による高い治療中止率を有する。それらは、1日当たり2~5回の投与も必要であり、絶食状態で服用しなければならない。そのAEプロファイル及び複雑な投薬レジメンは、低い治療服薬遵守及び高い治療失敗率をもたらし、これは、WDなどの生涯治療を必要とする疾患では大きい懸案事項である。
【0010】
テトラチオモリブデン酸ビスコリン(「BC-TTM」)(ALXN1840、チオモリブデン酸コリン、及びチオモリブデン酸としても公知;以前にはWTX101として知られていた)は、WDの治療のために開発されている、研究中である経口のファーストインクラスの銅タンパク質結合分子である。BC-TTMは、以下の構造を有する。
【化1】
【0011】
以前の研究は、BC-TTMが、Cu-テトラチオモリブデン酸-アルブミン三者複合体(TPC)の迅速且つ不可逆的な形成によってCuの制御を改善し、神経学的悪化をはじめとする組織毒性を引き起こし得る遊離Cuの動員なしに、過剰なCuの迅速な隔離をもたらすことを示唆している。現在の治療の選択肢と比較した忍容性の向上及び簡略化された1日1回(QD)投薬レジメンの利便性を通して、BC-TTM治療の長期服薬遵守の向上が達成され得ることが期待されている。
【0012】
WDは、ティーンエイジャー及び若年成人において最も一般的に診断され、5歳以前に症候を呈することはまれである。1357人の患者の欧州コホートでは、WD診断時の平均年齢は19.8歳(±10歳)であり、全患者の半数が18歳までに診断された。WDの発症年齢は、一般に5歳を超える。WDを有する小児患者を管理する主導的な欧州及び米国の関連臨床施設からの文献及びフィードバックに基づくと、6歳未満の小児においてWDの症例が診断されることは例外的でまれである。これらの例外的に早期に新規に診断された患者は、早くも3歳で症状を呈することがある同胞又は患者を含んでもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
WDを有する成人において承認及び使用された標準治療(ペニシラミン、トリエンチン、亜鉛)は、小児及び青年における使用についても承認されている。しかし、投与計画の有効性、安全性、忍容性、単純性及び頻度、特に、若年参加者における治療法への適切なコンプライアンスに関して、有意なアンメットニーズが依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示は、一般に、約3歳~約18歳未満の対象、例えば、約3歳~約12歳未満の対象などにおける、ウィルソン病などの銅代謝関連疾患又は障害を治療するために有用な方法を提供する。こうした方法は、治療有効量のテトラチオモリブデン酸ビスコリンを対象に投与するステップを含む。
【0015】
本開示はまた、約3歳~約18歳未満の対象における銅代謝関連疾患又は障害の治療における使用のための治療有効量のテトラチオモリブデン酸ビスコリンを提供する。例えば、特定の実施形態では、対象は、約3歳~約12歳未満である。
【0016】
ある態様では、本開示は、約3歳~約18歳未満の対象における銅代謝関連疾患又は障害を治療するための方法であって、治療有効量のテトラチオモリブデン酸ビスコリンを対象に投与するステップを含む、方法を提供する。
【0017】
本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態では、銅代謝関連疾患又は障害は、ウィルソン病(WD)である。
【0018】
本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態では、対象は、約3歳~約12歳未満である。
【0019】
本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態では、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの治療有効量は、1日当たり約2.5mg~約15mgの範囲である。特定の実施形態では、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの治療有効量は、1日当たり約2.5mgである。特定の実施形態では、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの治療有効量は、1日当たり約5mgである。特定の実施形態では、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの治療有効量は、1日当たり約5mg~約15mgの範囲である。特定の実施形態では、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの1日当たり約2.5mgの治療有効量は、少なくとも4週間維持される。特定の実施形態では、少なくとも4週後、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの1日当たり約2.5mgの治療有効量は、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの第2の治療有効量に増加される。特定の実施形態では、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの第2の治療有効量への増加は、1日当たり2.5mgの1回以上の増量であり、各増量は少なくとも4週空けてなされる。
【0020】
本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態では、対象は、約12歳~約18歳未満である。特定の実施形態では、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの治療有効量は、1日おきに約15mg~1日当たり約15mgの範囲である。特定の実施形態では、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの治療有効量は、1日おきに約15mgである。特定の実施形態では、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの治療有効量は、1日当たり約15mgである。特定の実施形態では、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの1日おきに約15mgの治療有効量は、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも24週間、少なくとも48週間、少なくとも72週間、若しくは少なくとも96週間、又は約2年、約3年、約4年、約5年、約6年、約7年、約8年、約9年、若しくは約10年又はそれ以上維持される。特定の実施形態では、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの1日当たり約15mgの治療有効量は、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも24週間、少なくとも48週間、少なくとも72週間、若しくは少なくとも96週間、又は約2年、約3年、約4年、約5年、約6年、約7年、約8年、約9年、若しくは約10年又はそれ以上維持される。
【0021】
本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態では、対象は、以前に銅代謝関連疾患又は障害に対する、例えばウィルソン病に対する治療を受けていない(すなわち、未治療の対象)。
【0022】
本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態では、対象は、以前に銅代謝関連疾患又は障害に対する、例えばウィルソン病に対する標準治療を受けた。特定の実施形態では、対象は、以前に28日未満の標準治療を受けた。特定の実施形態では、対象は、以前に少なくとも28日間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも12週間、少なくとも24週間、又は少なくとも48週間の標準治療を受けた。
【0023】
本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態では、対象は以前に治療を受けていない、又は対象は以前に銅代謝関連疾患又は障害に対する、例えばウィルソン病に対する28日未満の標準治療を受けた。特定の実施形態では、標準治療は、トリエンチン、D-ペニシラミン、及び/又は亜鉛を含む。特定の実施形態では、標準治療は、トリエンチン及び/又はD-ペニシラミンを含む。特定の実施形態では、対象は、テトラチオモリブデン酸ビスコリンを投与する少なくとも2週間前に標準治療の最終投与を受けた。
【0024】
本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態では、方法は、対象の血漿中の総銅、セルロプラスミン、セルロプラスミン結合銅(CpC)、非セルロプラスミン結合銅(計算されたcNCC、又は直接測定されたdNCCなど)、及び不安定結合銅(LBC)の1つ以上の濃度を測定するステップをさらに含む。
【0025】
本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態では、方法は、NCCcorrectedの濃度を測定するステップ;又は直接測定された非セルロプラスミン結合銅(dNCC)の効果時間曲線下面積(AUEC)の1日平均(例えば、ベースラインから48週まで)を決定するステップをさらに含む。特定の実施形態では、方法は、対象のNCCcorrectedがNCCcorrectedの基準範囲外である場合、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの治療有効量を調節するステップをさらに含む。特定の実施形態では、NCCcorrectedの基準範囲は、0.8~2.3μMである。
【0026】
本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態では、方法は、対象の血漿中の総モリブデン及び/又は血漿限外濾過液(PUF)モリブデンの濃度を測定するステップをさらに含む。特定の実施形態では、測定は、ベースラインで、投与の6週目若しくは6週後、投与の24週目若しくは24週後、及び/又は投与の48週目若しくは48週後、実施される。特定の実施形態では、測定は、ベースラインで、及び投与の6週まで、又は投与の24週まで、又は投与の48週まで、又は投与の少なくとも48週以上まで実施される。
【0027】
本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態では、方法は、統一ウィルソン病評価尺度(UWDRS)、パートII、及び/又はパートIIIに従って測定する場合、能力障害及び神経学的症状の改善について患者を評価するステップをさらに含む。
【0028】
本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態では、方法は、能力障害状態、精神症状、臨床症状、治療満足度、又はそれらの組み合わせの改善について患者を評価するステップをさらに含む。
【0029】
別の態様では、本開示は、約3歳~約18歳未満の対象における銅代謝関連疾患又は障害の治療における使用のためのテトラチオモリブデン酸ビスコリンを含む組成物を提供する。
【0030】
本明細書で開示される組成物のいくつかの実施形態では、銅代謝関連疾患又は障害は、ウィルソン病(WD)である。特定の実施形態では、対象は、約3歳~約12歳未満である。特定の実施形態では、1日当たり約2.5mg~約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが対象に投与される。特定の実施形態では、1日当たり約2.5mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが対象に投与される。特定の実施形態では、1日当たり約5mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが対象に投与される。特定の実施形態では、1日当たり約5mg~約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが対象に投与される。特定の実施形態では、1日当たり約2.5mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンは、対象に少なくとも4週間投与される。特定の実施形態では、対象に投与されるテトラチオモリブデン酸ビスコリンの量は、少なくとも4週後増加する。特定の実施形態では、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの量は、1日当たり2.5mgの1回以上の増量によって増加する。特定の実施形態では、対象は、約12歳~約18歳未満である。特定の実施形態では、1日おきに約15mg~1日当たり約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが対象に投与される。特定の実施形態では、約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンは、1日おきに対象に投与される。特定の実施形態では、1日当たり約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが対象に投与される。特定の実施形態では、約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンは、1日おきに、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも24週間、少なくとも48週間、少なくとも72週間、若しくは少なくとも96週間、又は約2年、約3年、約4年、約5年、約6年、約7年、約8年、約9年、若しくは約10年又はそれ以上、対象に投与される。特定の実施形態では、1日当たり約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンは、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも24週間、少なくとも48週間、少なくとも72週間、若しくは少なくとも96週間、又は約2年、約3年、約4年、約5年、約6年、約7年、約8年、約9年、若しくは約10年又はそれ以上、対象に投与される。
【0031】
本明細書で開示される組成物のいくつかの実施形態では、対象は、以前に銅代謝関連疾患又は障害に対する、例えばウィルソン病に対する治療を受けていない(すなわち、未治療の対象)。
【0032】
本明細書で開示される組成物のいくつかの実施形態では、対象は、以前に銅代謝関連疾患又は障害に対する、例えばウィルソン病に対する標準治療を受けた。特定の実施形態では、対象は、以前に28日未満の標準治療を受けた。特定の実施形態では、対象は、以前に少なくとも28日間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも12週間、少なくとも24週間、又は少なくとも48週間の標準治療を受けた。
【0033】
本明細書で開示される組成物のいくつかの実施形態では、対象は、以前に治療を受けていない、又は対象は、以前に銅代謝関連疾患又は障害に対する、例えばウィルソン病に対する28日未満の標準治療を受けた。特定の実施形態では、標準治療は、トリエンチン、D-ペニシラミン、及び/又は亜鉛を含む。特定の実施形態では、標準治療は、トリエンチン及び/又はD-ペニシラミンを含む。特定の実施形態では、対象は、テトラチオモリブデン酸ビスコリンを摂取する少なくとも2週間前に標準治療の最終投与を受けた。
【0034】
本明細書で開示される組成物のいくつかの実施形態では、対象の血漿中の総銅、セルロプラスミン、セルロプラスミン結合銅(CpC)、非セルロプラスミン結合銅(計算されたcNCC、又は直接測定されたdNCCなど)、及び不安定結合銅(LBC)の1つ以上の濃度が測定される。
【0035】
本明細書で開示される組成物のいくつかの実施形態では、NCCcorrectedの濃度又は直接測定された非セルロプラスミン結合銅(dNCC)の効果時間曲線下面積(AUEC)の1日平均(例えば、ベースラインから48週まで)が決定される。特定の実施形態では、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの量は、対象のNCCcorrectedがNCCcorrectedの基準範囲外である場合、調節される。特定の実施形態では、NCCcorrectedの基準範囲は、0.8~2.3μMである。
【0036】
本明細書で開示される組成物のいくつかの実施形態では、対象の血漿中の総モリブデン及び/又は血漿限外濾過液(PUF)モリブデンの濃度が測定される。特定の実施形態では、対象の血漿中の総銅、セルロプラスミン、セルロプラスミン結合銅(CpC)、非セルロプラスミン結合銅、及び不安定結合銅(LBC)の1つ以上の濃度は、ベースラインで、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の6週目若しくは6週後、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の24週目若しくは24週後、及び/又はテトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の48週目若しくは48週後、測定される。特定の実施形態では、対象の血漿中の総銅、セルロプラスミン、セルロプラスミン結合銅(CpC)、非セルロプラスミン結合銅、及び不安定結合銅(LBC)の1つ以上の濃度は、ベースラインで、及びテトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の6週まで、又はテトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の24週まで、又は投与の48週まで、又はテトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の少なくとも48週以上まで測定される。
【0037】
本明細書で開示される組成物のいくつかの実施形態では、対象は、統一ウィルソン病評価尺度(UWDRS)、パートII、及び/又はパートIIIに従って測定する場合、能力障害及び神経学的症状の改善について評価される。
【0038】
本明細書で開示される組成物のいくつかの実施形態では、対象は、能力障害状態、精神症状、臨床症状、治療満足度、又はそれらの組み合わせの改善について評価される。
【0039】
別の態様では、本開示は、約3歳~約18歳未満の対象における、銅代謝関連疾患又は障害を治療するための薬剤の製造におけるテトラチオモリブデン酸ビスコリンを含む組成物の使用を提供する。
【0040】
本明細書で開示される組成物の使用のいくつかの実施形態では、銅代謝関連疾患又は障害は、ウィルソン病(WD)である。特定の実施形態では、対象は、約3歳~約12歳未満である。特定の実施形態では、1日当たり約2.5mg~約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが対象に投与される。特定の実施形態では、1日当たり約2.5mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが対象に投与される。特定の実施形態では、1日当たり約5mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが対象に投与される。特定の実施形態では、1日当たり約5mg~約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが対象に投与される。特定の実施形態では、1日当たり約2.5mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンは、対象に少なくとも4週間投与される。特定の実施形態では、対象に投与されるテトラチオモリブデン酸ビスコリンの量は、少なくとも4週後増加される。特定の実施形態では、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの量は、1日当たり2.5mgの1回以上の増量で増加する。特定の実施形態では、対象は、約12歳~約18歳未満である。特定の実施形態では、1日おきに約15mg~1日当たり約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが対象に投与される。特定の実施形態では、約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンは、1日おきに対象に投与される。特定の実施形態では、1日当たり約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンが対象に投与される。特定の実施形態では、約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンは、1日おきに、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも24週間、少なくとも48週間、少なくとも72週間、若しくは少なくとも96週間、又は約2年、約3年、約4年、約5年、約6年、約7年、約8年、約9年、若しくは約10年又はそれ以上、対象に投与される。特定の実施形態では、1日当たり約15mgのテトラチオモリブデン酸ビスコリンは、少なくとも4週間、少なくとも8週間、少なくとも12週間、少なくとも24週間、少なくとも48週間、少なくとも72週間、若しくは少なくとも96週間、又は約2年、約3年、約4年、約5年、約6年、約7年、約8年、約9年、若しくは約10年又はそれ以上、対象に投与される。
【0041】
本明細書で開示される組成物の使用のいくつかの実施形態では、対象は、以前に銅代謝関連疾患又は障害に対する、例えばウィルソン病に対する治療を受けていない(すなわち、未治療の対象)。
【0042】
本明細書で開示される組成物の使用のいくつかの実施形態では、対象は、以前に銅代謝関連疾患又は障害に対する、例えばウィルソン病に対する標準治療を受けた。特定の実施形態では、対象は、以前に28日未満の標準治療を受けた。特定の実施形態では、対象は、以前に少なくとも28日間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも12週間、少なくとも24週間、又は少なくとも48週間の標準治療を受けた。
【0043】
本明細書で開示される組成物の使用のいくつかの実施形態では、対象は、以前に治療を受けていない、又は対象は、以前に銅代謝関連疾患又は障害に対する、例えばウィルソン病に対する28日未満の標準治療を受けた。特定の実施形態では、標準治療は、トリエンチン、D-ペニシラミン、及び/又は亜鉛を含む。特定の実施形態では、標準治療は、トリエンチン及び/又はD-ペニシラミンを含む。特定の実施形態では、対象は、テトラチオモリブデン酸ビスコリンを摂取する少なくとも2週間前に標準治療の最終投与を受けた。
【0044】
本明細書で開示される組成物の使用のいくつかの実施形態では、対象の血漿中の総銅、セルロプラスミン、セルロプラスミン結合銅(CpC)、非セルロプラスミン結合銅(計算されたcNCC、又は直接測定されたdNCCなど)、及び不安定結合銅(LBC)の1つ以上の濃度が測定される。
【0045】
本明細書で開示される組成物の使用のいくつかの実施形態では、NCCcorrectedの濃度又は直接測定された非セルロプラスミン結合銅(dNCC)の効果時間曲線下面積(AUEC)の1日平均(例えば、ベースラインから48週まで)が決定される。特定の実施形態では、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの量は、対象のNCCcorrectedがNCCcorrectedの基準範囲外である場合、調節される。特定の実施形態では、NCCcorrectedにおける基準範囲は、0.8~2.3μMである。
【0046】
本明細書で開示される組成物の使用のいくつかの実施形態では、対象の血漿中の総モリブデン及び/又は血漿限外濾過液(PUF)モリブデンの濃度が測定される。特定の実施形態では、対象の血漿中の総銅、セルロプラスミン、セルロプラスミン結合銅(CpC)、非セルロプラスミン結合銅、及び不安定結合銅(LBC)の1つ以上の濃度は、ベースラインで、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の6週目若しくは6週後、テトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の24週目若しくは24週後、及び/又はテトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の48週目若しくは48週後、測定される。特定の実施形態では、対象の血漿中の総銅、セルロプラスミン、セルロプラスミン結合銅(CpC)、非セルロプラスミン結合銅、及び不安定結合銅(LBC)の1つ以上の濃度は、ベースラインで、及びテトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の6週まで、又はテトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の24週まで、又は投与の48週まで、又はテトラチオモリブデン酸ビスコリンの投与の少なくとも48週以上まで測定される。
【0047】
本明細書で開示される組成物の使用のいくつかの実施形態では、対象は、統一ウィルソン病評価尺度(UWDRS)、パートII、及び/又はパートIIIに従って測定する場合、能力障害及び神経学的症状の改善について評価される。
【0048】
本明細書で開示される組成物の使用のいくつかの実施形態では、対象は、能力障害状態、精神症状、臨床症状、治療満足度、又はそれらの組み合わせの改善について評価される。
【0049】
特許請求される本発明のこれら及び他の特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲と合わせて以下の詳細な説明からより詳細に理解されるであろう。特許請求の範囲は、その中の詳述によって定義され、本明細書に記載される特徴及び利点の具体的な考察によって定義されないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1図1は、研究設計の概略図を提供する。
図2】12歳~<18歳の参加者における計画された薬物動態曝露範囲。シミュレーションは、WDを有する参加者における研究201からの1日目PKデータ及び健常ボランティアにおける研究102からの関連PKデータを用いる、現在開発中の成人集団-PKモデルの相対スケーリングに基づく、小児参加者についての2区画集団-PKモデルに基づく。シミュレーション結果は、一旦最終データが研究201から入手可能であると更新される。略称:hr=時間;Mo=モリブデン;PK=薬物動態;WD=ウィルソン病;yrs=歳。
図3-1】3歳~<12歳の患者における計画された薬物動態曝露範囲。シミュレーションは、WDを有する参加者における研究201からの1日目PKデータ及び健常ボランティアにおける研究102からの関連PKデータを用いる、現在開発中の成人集団-PKモデルの相対スケーリングに基づく、小児参加者についての2区画集団-PKモデルに基づく。シミュレーション結果は、一旦最終データが研究201から入手可能であると更新される。略称:hr=時間;PK=薬物動態;yrs=歳;QD=1日1回;QOD=1日おき。
図3-2】同上。
図4】3歳~<6歳の参加者における計画された薬物動態曝露範囲。
【発明を実施するための形態】
【0051】
開示されるプロセス及び材料を説明する前に、本明細書に記載される態様は、特定の実施形態に限定されず、当然のことながら、変化し得ることが理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的とし、本明細書で特に定義されない限り、限定を意図されないことも理解されるべきである。
【0052】
本開示を詳細に説明する前に、いくつかの用語が定義される。文脈上別途必要な場合を除き、単数形の用語は、複数形を含み、複数形の用語は、単数形を含むものとする。例えば、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上そうでないとする明確な指示がない限り、複数の参照対象を含む。「a」及び「an」という用語は、本明細書で使用する場合、その文脈による別段の表示又は指示がない限り、列挙した構成要素の「1つ以上」を指すことは理解されるべきである。選択肢(例えば、「又は」)の使用は、別段の表示がない限り、選択肢の一方、両方、又はその任意の組み合わせのいずれかを意味するように理解されるべきである。
【0053】
本開示では、任意の濃度範囲、百分率範囲、比の範囲、又は整数範囲は、別段の表示がない限り、列挙された範囲内の任意の整数の値と、適宜、それらの分数(整数の10分の1及び百分の1など)とを含むように理解されるべきである。
【0054】
本明細書で使用する場合、「約」及び「およそ」という用語は、数値又は数値範囲を修飾するために使用する場合、値又は範囲からの合理的な偏差、典型的に、値又は範囲の上位5%又は10%及び下位5%又は10%が、列挙される値又は範囲の意図された意味の範囲内に留まることを示す。特定の実施形態では、値が、先行詞「約」を使用して近似値として表される場合、特定の値が1つの考えられる実体を形成し、所与の値の変動があり得ることが理解されるであろう(例えば、約80は80±10%を含み得る)。さらに、範囲のそれぞれの端点は、他方の端点との関係においても、他方の端点と独立であっても有意であることが理解されるであろう。
【0055】
「好ましくは」、「一般に」及び「典型的に」のような用語は、本明細書中で、主張される主題の範囲を限定する、又は特定の特徴が主張される主題の構造若しくは機能にとって決定的であり、本質的であり、若しくはさらに重要であることを意味するように使用されないことは注目される。むしろ、これらの用語は、本開示の特定の実施形態において使用することが可能又は不可である、代替的又は追加的特徴を単に強調することは意図されない。
【0056】
本明細書で使用する場合、対象に対する治療薬の投与との関連における「予防する(prevent)」、「予防する(preventing)」及び「予防」という用語は、対象における疾患又は障害の発症又は再発の阻害を指す
【0057】
本明細書で使用する場合、対象に対する治療薬の投与との関連における「管理する(manage)」、「管理する(managing)」及び「管理」という用語は、対象が疾患又は障害の治癒をもたらさない治療薬から得る有益な効果を指す。特定の実施形態では、疾患又は障害を「管理する」ための1つ以上の治療薬が対象に投与されることで、疾患又は障害に関連する症状の進行又は悪化が予防される。
【0058】
本開示を説明及び定義することを目的として、「実質的に」という用語は、任意の定量的な比較、値、測定、又は他の表現に起因し得る固有の不確定度を表すために本明細書で使用される。「実質的に」という用語は、定量的表現が、未解決の主題の基本的機能の変化をもたらすことなく、記述された参照から変化し得る程度を表すためにも本明細書で使用する。
【0059】
特に明示的に規定されていない限り、「含む(comprising)」という用語は、任意選択的に「含む(comprising)」によって導入されたリストのメンバに加えてさらなるメンバが存在してもよいことを示すため、本開示との関連で使用される。しかし、「含む(comprising)」という用語がさらなるメンバが存在しない可能性を包含する、すなわち、この実施形態の目的として、「含む(comprising)」が「からなる(consisting of)」の意味を有するとして理解されるべきであることは、本開示の具体的な実施形態として企図される。
【0060】
本開示に従って使用する場合、別段の表示がない限り、全ての科学技術用語が、当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有することが理解されるものとする。
【0061】
本開示に鑑みて、本明細書に記載される方法及び組成物は、所望の必要性を満たすように当業者によって構成され得る。本開示は、銅代謝関連疾患又は障害の治療における改善を提供する。
【0062】
本明細書に記載される本開示の方法又はBC-TTMの特定の実施形態では、銅代謝関連疾患又は障害は、ウィルソン病である。
【0063】
特定の実施形態では、銅代謝関連疾患又は障害は、銅毒性である(例えば、硫酸銅殺真菌剤への大量曝露、銅を多く含む飲料水の摂取、銅補給剤の過使用などによる)。特定の実施形態では、銅代謝関連する疾患又は障害は、銅欠乏症、メンケス病又は無セルロプラスミン血症である。特定の実施形態では、銅代謝関連疾患又は障害は、学業不振、座瘡、注意力欠陥/多動性障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アテローム性動脈硬化症、自閉症、アルツハイマー病、カンジダ菌の過剰繁殖、慢性疲労、肝硬変、鬱病、アドレナリン活性上昇、銅タンパク質上昇、ノルエピネフリン活性上昇、感情的メルトダウン線維筋痛症、頻繁な怒り、老人性の銅排泄障害、強い不安、脱毛、肝疾患、活動亢進、甲状腺機能低下症、エストロゲンに対する不耐性、避妊薬に対する不耐性、カイザー・フライシャー環、学習障害、ドーパミン活性低下、多発性硬化症、神経学的問題、酸化ストレス、パーキンソン病、集中力低下(poor concentration)、集中力低下(poor focus)、免疫機能低下耳鳴り、アレルギー、食用色素に対する過敏症、甲殻類に対する過敏症、皮膚金属不耐症、皮膚過敏症、睡眠障害、爪の白斑から選択される少なくとも1つである。
【0064】
本明細書の用法では、「治療」及び「治療する」という用語は、(i)言及された疾病状態、病状又は障害(又はその症状)を改善し、例えば疾患、病状又は障害の病態又は総体症状を経験しているか又は示している個人における疾患、病状又は障害を改善し(すなわち病態及び/又は総体症状を逆転させるか又は改善し)、例えば疾患又はその症状の重症度を軽減するか、又は疾患の進行を抑制するなど、又は(ii)言及された生物学的効果を引き出すことを指す。
【0065】
本明細書に記載のように、テトラチオモリブデン酸ビスコリン(BC-TTM、ALXN1840、コリンチオモリブデン酸、チオモリブデン酸及びWTX101としても知られている)が本開示の方法において投与される。
【0066】
BC-TTMは、WDの治療のために開発中のファーストインクラスのCu-タンパク質結合剤であり、全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2019/110619号パンフレットに詳細に説明されている。BC-TTM単独療法は、28人のWDを有する患者において評価されており、そこでは、BC-TTMが平均血清非セルロプラスミン結合Cu(NCC)を24週目にベースラインと比較して72%低減することが示された。BC-TTMによる治療は、一般に十分に耐容性があり、軽度(グレード1)~中等度(グレード2)である副作用(AE)が最も多く報告された。最も頻繁に報告された薬剤関連AEは、血液学的パラメータの変化、疲労、硫黄げっぷ、及びその他の消化器症状であった。患者の39%において可逆的な肝機能検査上昇が認められ;これらの上昇は、軽度~中等度であり、無症候性であり、ビリルビンの顕著でない増加に関連し、用量減少又は治療中断とともに正常化した。BC-TTMによる治療開始時、奇異性の神経学的悪化は認められなかった。
【0067】
特定の実施形態では、12歳~<18歳の参加者の場合、15mg/日のBC-TTM用量が投与され、用量漸増は許可されない。いくつかの実施形態では、BC-TTM用量は、1日おきに15mg~15mg/日の範囲であり得、1日おきに15mg未満の用量を考慮してもよい。特定の実施形態では、BC-TTMは、15mgの総用量に対する12×1.25mgの用量として投与することができる。いくつかの実施形態では、BC-TTMは、1×15mgの用量として投与することができる。いくつかの実施形態では、用量として、1mg、1.25mg、2mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、7.5mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、又は15mgを、毎日又は1日おきに投与することができる。特定の実施形態では、12歳~<18歳の参加者における最大用量は、15mg/日である。特定の実施形態では、BC-TTM用量は、変更し、低減し、一時的に中断することが可能であり、又は必要に応じて、1つ以上の臨床検査からの結果のレビューに従い、用量増加の制限が可能である。例えば、用量は、ALT、トリグリセリド、コレステロール、ヘモグロビン、血小板、好中球、又はビリルビンについての1つ以上の臨床検査に従い、増加又は減少させてもよい。BC-TTMの用量低減、投与の一時的中断、又は用量増加の制限についての具体的基準が、表3に詳しく説明される。
【0068】
特定の実施形態では、3歳~<12歳の参加者の場合、2.5mg/日のBC-TTM用量が投与され、用量漸増は、許可されるが、必要とされない。用量は、Alexionメディカルモニターの承認下で、参加者の臨床状態、NCCcorrected濃度、及び安全性の検査結果に応じて、1日2.5mgの増量で増加させてもよい。用量増加は、少なくとも4週空けて行うことができ、他の用量変更(低減又は中断)基準を適用しない場合に限り、行ってもよい。特定の実施形態では、BC-TTMは、15mgの総用量に対する12×1.25mgの用量として投与することができる。いくつかの実施形態では、BC-TTMは、1×15mgの用量として投与することができる。いくつかの実施形態では、用量として、1mg、1.25mg、2mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、7.5mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、又は15mgを、毎日又は1日おきに投与することができる。特定の実施形態では、3歳~<12歳の参加者における最大用量は、15mg/日である。特定の実施形態では、BC-TTM用量は、変更し、低減し、一時的に中断することが可能であり、又は必要に応じて、1つ以上の臨床検査からの結果のレビューに従い、用量増加の制限が可能である。例えば、用量は、ALT、トリグリセリド、コレステロール、ヘモグロビン、血小板、好中球、又はビリルビンについての1つ以上の臨床検査に従い、増加又は減少させてもよい。BC-TTMの用量低減、投与の一時的中断、又は用量増加の制限についての具体的基準が、表4に詳しく説明される。
【0069】
特定の実施形態では、ある用量のBC-TTMは、経口、非経口、直腸又は経皮剤形で投与することができる。経口投与の場合、用量は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセル剤、粉末などの形態をとり得る。例えば、錠剤は、1mg、1.25mg、2mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、7.5mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、又は15mgの用量を含んでもよい。特定の実施形態では、複数回用量のBC-TTMは、例えば、毎日、1日おき、週2回、毎週、月2回、毎月、又は多かれ少なかれ頻繁に、必要に応じて、所望の応答を達成するのに十分な期間にわたり、投与することができる。特定の実施形態では、患者には、BC-TTMを、約4週、約8週、約12週、約24週、約48週、約72週、約96週、又は約2年、約3年、約4年、約5年、約6年、約7年、約8年、約9年、約10年又はそれ以上かけて投与することができる。特定の実施形態では、全ての対象における最大用量は、15mg/日である。いくつかの実施形態では、BC-TTM用量は、少量の食品(例えば、アップルソース又はヨーグルト)とともに投与してもよい。特定の実施形態では、用量は、腸溶コーティング錠の形態であってもよい。
【0070】
本明細書の用法では、「個人」、「参加者」又は「対象」という用語は、同義的に使用され、哺乳類をはじめとする任意の動物を指し、少なくとも1つの実施形態ではヒトを指す。特定の実施形態では、対象は、健常対象である。特定の実施形態では、対象は、WDに罹患している。本明細書に記載される本開示の方法又はBC-TTMの特定の実施形態では、対象は、肝硬変を有する。特定の他の実施形態では、対象は、肝硬変を有しない。
【0071】
本開示の方法又はBC-TTMは、第一選択治療として有用である。したがって、本開示の方法又はBC-TTMの特定の実施形態では、対象は、以前にウィルソン病の治療を受けていない(すなわち未治療の対象)。
【0072】
本開示の方法又はBC-TTMは、WDの第二選択治療及び/又は第一選択維持治療としても有用である。したがって、本開示の方法又はBC-TTMの特定の実施形態では、対象は、以前にWDの標準治療(SoC)治療を受けている。例えば、特定の実施形態では、対象は、以前にトリエンチン(トリエチレンテトラミン(triethylenetatramine);N’-[2-(2-アミノエチルアミノ)エチル]エタン-1,2-ジアミンとしても公知)を服用している。トリエンチンは、CUPRIOR(登録商標)(GMP-Orphan United Kingdom Ltd)、SYPRINE(登録商標)(Aton Pharma,Inc.)、又はCufence(Univar,Inc.)という名称で販売可能である。特定の他の実施形態では、対象は、以前にトリエンチン及び亜鉛を服用している。特定の実施形態では、対象は、以前にD-ペニシラミン(ペニシラミン;(2S)-2-アミノ-3-メチル-3-スルファニルブタン酸としても公知)を服用している。D-ペニシラミンは、CUPRIMINE(登録商標)(Valeant Pharmaceuticals)又はDEPEN(登録商標)(Meda Pharmaceuticals)という名称で販売可能である。特定の他の実施形態では、対象は、以前にD-ペニシラミン及び亜鉛を服用している。特定の実施形態では、対象は、以前に亜鉛を服用している。特定の実施形態では、対象は、以前にトリエンチン、D-ペニシラミン、及び/又は亜鉛を服用している。特定の他の実施形態では、対象は、以前にトリエンチン及び/又はD-ペニシラミンを服用している。
【0073】
本開示の方法又はBC-TTMの特定の実施形態では、対象は、4週間以下のWDの標準治療を受けている。
【0074】
本開示の方法又はBC-TTMの特定の実施形態では、対象は、少なくとも4週間のWDの標準治療を受けている。特定の実施形態では、標準治療は、少なくとも6週間、又は少なくとも12週間、又は少なくとも24週間、又は少なくとも36週間、又は少なくとも48週間、又は少なくとも52週間の長さであった。特定の実施形態では、標準治療は、少なくとも41か月であった。特定の実施形態では、標準治療は、約41か月~約228か月であった。特定の実施形態では、標準治療は、少なくとも116か月であった。特定の実施形態では、標準治療は、少なくとも155か月であった。
【0075】
標準治療は、持続的である必要はない。例えば、対象は、断続的治療、全体として、少なくとも4週(例えば、少なくとも6週、又は少なくとも12週、若しくは少なくとも24週、又は少なくとも36週、又は少なくとも48週、又は少なくとも50週若しくは少なくとも52週若しくは少なくとも103週、又は少なくとも41か月、又は約41か月~約228か月、又は少なくとも116か月、又は少なくとも155か月)の治療を受けてもよい。しかし、特定の実施形態では、標準治療は、持続的である。
【0076】
本開示の方法又はBC-TTMの特定の実施形態では、対象は、ウィルソン病などの銅代謝関連疾患又は障害に関して以前に治療を受けていないか、又は4週間以下の標準治療を受けている。
【0077】
本明細書に記載される本開示の方法又はBC-TTMにおいて、対象は、テトラチオモリブデン酸ビスコリンを投与する少なくとも2週間前に標準治療を完了していた。特定の実施形態では、対象は、テトラチオモリブデン酸ビスコリンを投与する少なくとも3週間前、少なくとも4週間又は少なくとも6週間前に標準治療を完了していた。
【0078】
本明細書の用法では、「総銅」とは、血液(例えば、血清又は血漿)中の全ての銅種の合計を指す。総銅には、セルロプラスミン(Cp)結合銅及び全種の非セルロプラスミン結合銅の両方が含まれる。一般に、総銅は、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)などの質量分析法により、高い感度及び特異性で直接測定され得る。
【0079】
「NCC」という用語は、セルロプラスミンに結合していない総銅の割合(すなわち「非セルロプラスミン結合銅」)を指す。通常使用されている推定方法の下では、NCCは、血液(例えば、血清又は血漿など)中の総銅及びCpの直接測定並びに以下の式(式I)を使用して推定される。
【数1】
【0080】
「cNCC」という用語は、上記の式Iを用いて計算されたNCCを指す。計算は、6個の銅原子が常に単一のCp分子に結合され、且つNCC及びセルロプラスミン濃度が直接的に相関するという仮定を前提とする。実際には、Cpは、1個のCp分子当たりに会合された銅原子の数において著しい異質性を示し得る。この式は、6個の銅原子が1個のCp分子当たり結合するが、銅/Cp比が病態とともに変化することを仮定する。実際に、6~8個の銅原子が実際にCpに結合することができ、WDでは、通常は6個未満の銅原子が1個のCp分子当たり会合される。
【0081】
BC-TTMで治療された対象では、非セルロプラスミン結合銅としては、アルブミン、トランスキュプレイン及び他の量が少ない血漿タンパク質に結合している(集合的に、不安定結合銅(labile-bound copper)又はLBCと称される)か、又はテトラチオモリブデン酸-Cu-アルブミン三者複合体(TPC)中にある総銅の画分が挙げられる。TPCの濃度は、直接測定され得ないが、特定の実施形態ではモリブデン濃度をサロゲートとして使用し、TPCの濃度を推定し得る。
【0082】
「NCCcorrected」という用語は、セルロプラスミンと結合していないか又はTPC中にない総銅(すなわちLBC)の画分を指し、血液(例えば、血清又は血漿など)中のモリブデンの直接測定値を推定NCC(又はcNCC)から差し引くことによって計算される。したがって、「NCCcorrected」は、BC-TTMで治療された対象の血液中のモリブデン-銅-アルブミン三者複合体の存在を考慮したcNCC値の補正である。
【0083】
「dNCC」という用語は、NCCアッセイを使用して直接的に計算されるNCCを指す。例えば、特定の実施形態では、dNCCは、その全体が参照により本明細書に援用される、2020年9月11日に出願されたPCT特許出願公開番号の国際公開第2021/050850号パンフレットに開示されたNCCアッセイを使用して直接的に測定される。
【0084】
「LBC」又は「不安定結合銅」という用語は、アルブミン、トランスキュプレイン、及びその他の大して豊富でない血漿タンパク質に結合される総銅の画分を指す。それ故、LBCは、セルロプラスミン又はTPCのいずれにも結合されない総銅の画分を含む。特定の実施形態では、LBC画分は、LBCアッセイを使用して直接的に測定される。例えば、特定の実施形態では、LBCアッセイは、その全体が参照により本明細書に援用される、2020年9月11日に出願されたPCT特許出願公開番号の国際公開第2021/050850号パンフレットに開示されたとおりである。TPCが存在しない生体サンプル中で、NCC及びLBC画分は同じである。
【0085】
本開示の方法及び使用は、以下の実施例によってさらに例示され、実施例は、範囲又は精神において、本開示を、それらの中で説明される具体的な手順及び化合物に対して限定するものとして解釈されるべきでない。
【実施例
【0086】
実施例1:ウィルソン病(WD)を有する小児参加者における、テトラチオモリブデン酸ビスコリン(BC-TTM)対標準治療(SoC)の有効性、安全性、薬物動態(PK)、及び薬力学(PD)を評価するための、多施設、無作為化、対照、非盲検、評価者盲検試験
全体設計
これは、予め規定された検査室パラメータを満たす、WDの確定診断を有し、且つ非代償性肝硬変を有しない、3歳~<18歳の小児参加者における、BC-TTM対SoCの有効性、安全性、PK、及びPDを評価するように設計された無作為化、対照、非盲検、評価者盲検試験である。BC-TTMの、総モリブデン及び血漿限外濾過液(PUF)モリブデンによって測定された血漿中のPK、並びに血漿総銅及びLBCによって測定されたPDを決定する。図1は、試験設計の概略図を提示する。
【0087】
試験は、2つの期間を含む;48週期間1は、有効性、安全性、及びPDに対するBC-TTM対SoCの効果を評価するのに役立つ。48週期間1を完了している参加者には、BC-TTMの安全性及び有効性を評価するため、24週の非盲検期間2(すなわち、合計で最大72週)に参加する機会を提供する。
【0088】
約48人の参加者は、48週目に40人の評価可能な参加者を得ることを目標に、BC-TTM又はSoC治療のいずれかに1:1に無作為化する。主要評価期間における参加者を、齢群(3~<12歳、12~<18歳)により、2つのコホートの1つに層別化する:
・コホート1:試験への登録前に28日を超えるSoC療法(すなわち、ペニシラミン又はトリエンチンによるキレート化療法、亜鉛による治療、又はキレート化及び亜鉛療法の両方の組み合わせ)を受けていた患者
・コホート2:試験への登録前に治療歴なしであったか、又は28日以下のSoC療法を受けていた患者
【0089】
一次登録及び無作為化の目的は、各齢群中に少なくとも12人の参加者を有し、全体及び各齢群中の両方でバランスのよい治療割当を達成することである。二次目標は、各齢群の各コホート内に、各治療に割り当てられた少なくとも3人の参加者を有することである。
【0090】
この目標を達成するため、参加者を、コホート層当たり以下の4つの齢群の1つの中の治療に無作為化する:
・層1:無作為化及びコホート1(以前のSoC治療>28日)で3~<12歳(最低6人の参加者)
・層2:無作為化及びコホート2(以前のSoC治療≦28日)で3~<12歳(最低6人の参加者)
・層3:無作為化及びコホート1(以前のSoC治療>28日)で12~<18歳(最低6人の参加者)
・層4:無作為化及びコホート2(以前のSoC治療≦28日)で12~<18歳(最低6人の参加者)
【0091】
期間1全体を通じて、BC-TTMを受けるために無作為化された参加者には、BC-TTMを以下の用量で経口的に毎日投与する:
・12歳~<18歳の参加者は、成人及び青年において実施された進行中の第3相研究301の場合と同じ投与パラダイムに従う。BC-TTMは、15mg/日の開始用量で投与する。用量漸増は許可されない。1日おきに15mg/日~15mg/日の範囲の個別化用量が許可される。1日おきに15mg未満の用量を、Alexionメディカルモニターの承認下で考慮することができる。
・3歳~<12歳の参加者の場合、進行中の研究301における15mg/日の開始用量のスケーリングに基づき、2.5mg/日のより低い開始用量を少なくとも4週間投与する。用量漸増は、許容されるが、必要でない。用量は、参加者の臨床状態、NCCcorrected濃度、及び安全性の検査結果に応じて、Alexionメディカルモニターの承認下で、1日2.5mgの増量で増加させてもよい。用量増加は、少なくとも4週空けて行わなければならず、他の用量変更(減少又は中断)基準を適用しない場合に限って行ってもよい。1日15mgの用量を必要とする参加者は、15mgの成人用錠剤を使用してもよい。12歳未満の小児における最大用量は、15mg/日である。
【0092】
個別化されたBC-TTM投与は、研究全体を通じて以下のパラメータに基づいて利用する:
・臨床基準:肝臓及び神経学的状態に基づく用量滴定
・NCCcorrected:NCCcorrected濃度に基づく用量滴定。NCCcorrectedの基準範囲は、0.8~2.3μMである。
・安全性モニタリング:用量変更基準は、銅低減、肝検査、及び神経学的検査の認識された血液学的効果についての定期的に予定された評価に基づく。
【0093】
SoC治療を受けるために無作為化された参加者は、彼らの現行療法を継続する、又は研究開始時、彼らがSoCを現在受けていない場合、SoC、すなわち、ペニシラミン又はトリエンチンによるキレート化療法、亜鉛療法、又はキレート化及び亜鉛療法両方の組み合わせを開始する。
【0094】
研究目的及びエンドポイントを表1に提示する。
【0095】
【表1-1】
【0096】
【表1-2】
【0097】
【表1-3】
【0098】
【表1-4】
【0099】
研究設計の科学的根拠
研究は、無作為化、非盲検、探索的研究として設計する。投与方法は、集団PKシミュレーションに基づく小児患者の用量に対する調節を伴う、現在の第3相研究301において用いられる場合と類似する。
【0100】
BC-TTM投与後、活性薬物部分、すなわち、テトラチオモリブデン酸アニオンは、多くは肝臓及び血液において、銅に迅速に結合してTPCを形成し、全身循環中でそのまま存在する。TPCが迅速に形成されない場合、テトラチオモリブデン酸塩は、自発的に連続加水分解を経て、栄養素モリブデンの最も一般的な形態であるモリブデン酸塩を形成し、尿中に排泄される。血漿中の内因性モリブデンの濃度は非常に低く、それ故、バックグラウンドサブトラクションは必要でなく、血漿モリブデンは、全体的にBC-TTMに帰することができる。総モリブデン濃度では、モリブデンが、タンパク質結合物(多くはTPCとして)、BC-TTMとしての遊離活性薬物、中間加水分解生成物、又はモリブデン酸塩のいずれかであることを識別することができない。非TPC結合薬物及びその非結合分解生成物の量をより十分に特徴づけるため、テトラチオモリブデン酸又は微量栄養素としての食物摂取物に由来しているかもしれない、遊離親薬物(BC-TTM)、短寿命の中間加水分解生成物、及びモリブデン酸塩を表す、血漿PUFモリブデンも測定している。BC-TTMの吸収、分布、代謝、及び排泄をより十分に特徴づけるため、総モリブデン及びPUFモリブデンの両方のPKを特徴づけ、記載する。
【0101】
この研究において、WDを有する小児及び青年におけるBC-TTMのPK及びPDを評価する。SoCのPDを小児及び青年において評価する。BC-TTMのPK及びPDパラメータは、小児におけるより高い血流速度が薬物クリアランスに対する影響を有し得ることから、相対規則に従い、体重とともに調整されることが期待される。さらに、参加者の肝臓内の銅含有量、ひいては肝臓体積は、肝臓における薬物結合の範囲及びクリアランスに対する影響を有し得る。BC-TTMの作用機構に基づき、体重及び肝臓体積の要素を考慮した後、薬物-銅結合及び化学分解が小児集団において成人と比較して異ならないことが予測される。
【0102】
参加者を、全ての組み入れを満たし、除外基準を一つも満たさない上で無作為化する。自動音声/ウェブ応答システムを介して、参加者を、無作為化し、コホート1におけるBC-TTMによる治療若しくはSoCによる継続治療に、又はコホート2における継続若しくは初期療法として、コホートによる1:1の比で層別化する。
【0103】
この研究は、あくまでUWDRS評価のために評価者盲検である。評価者は、盲検となり、参加者の治療割当を認識することなく、治療割当の潜在的な非盲検をもたらし得るシステムへのアクセスを有しない。評価者及び参加者の両方は、潜在的に彼らの非盲検をもたらし得る一連の問診、質問、及び応答を回避するように指示される。評価者の評価は、プロトコルで規定された装置及び評価の実施に厳密に制限される。
【0104】
薬物投与
研究101、102、104、106、107、108、109、201、及び進行中の研究301からの結果によると、成人及び青年におけるBC-TTMのPKに影響し得る年齢、性別、又は体重が有意な共変数でないことが示されている。
【0105】
進行中の第3相研究301では、参加者には、BC-TTMを最初に15mg/日の用量で投与した。漸増用量の増加は許容されるが、最大60mg/日までは必要でない。研究301の完了した48週の主要評価期間では、BC-TTMの1日用量の全体平均が15.6mgであり、最小1日用量が12.6mg、最大1日用量が19.8mgであった。主要評価期間からの結果によると、BC-TTMによる治療中、銅の組織から血液への動員は、1日平均dNCC AUEC0-48週(μmol/L)によって測定する場合、SoCと比較して約3倍大きいことが示された。
【0106】
15~60mg/日の単回又は反復1日用量が、許容できる安全性プロファイルを有し、健常成人及びWDを有する成人参加者の両方における第1相~第3相臨床研究全体を通じて一般に十分な忍容性であることが示されているが、研究301における参加者の約15%が、BC-TTMによる治療中にグレード2以上のALT上昇を経験した。要するに、この研究(研究302)において許容される最大1日用量は、15mg/日と設定している。
【0107】
3歳~<12歳の小児集団における研究302における開始及び最大用量の選択は、標準体重に基づく相対規則の組み合わせに基づき、肝臓体積の年齢に基づく変化によって駆動される小児参加者における肝臓の銅含有量の潜在的変化を説明するための手法に基づく。
【0108】
15mgの用量を必要とする、1.25mgのミニ錠剤を摂取している参加者は、15mgの錠剤製剤に変更してもよい。参加者は、1日おきに15mg、又は適宜、より低い若しくはより少ない頻度の用量に下方滴定してもよい。
【0109】
用量選択を支持するため、BC-TTMについての集団PKモデルを、健常ボランティア及びWDを有する患者からのデータに基づいて開発した。成人投与についてのモデル構築のため、18人の健常ボランティア(研究102)及び27人の患者(研究201)からの単回用量PKデータを利用した。小児医学についてシミュレーションは、可変成分を含めることなく、典型的なパラメータ推定値に基づいた。各シミュレーションにおいては、開始用量及び濃度範囲は、体重範囲の極値で調査された年齢コホートの範囲内の典型的な参加者から得られた。
【0110】
モデリング結果に基づき、追加的な小児PK/PD研究は、EMA決定P/0234/2020による同意された小児研究プラン(PIP)における推奨として不必要とみなした。ここで用いられる小児研究のための用量選択の一般的手法は、EMAガイダンス(ICH E11(R1),2017)に一致する。
【0111】
開始及び最大用量は、スケーリング方法から得られた範囲の低い方の端の考察、及び3歳~<12歳の小児集団における安全性を保証するためのより低い用量へのさらなる下方調節を含む保存的手法を用いて選択した。3歳~<12歳の参加者についての開始及び最大用量の選択に対するこの慎重な手法(すなわち、計画された用量範囲の低い方の端への下方調節)は、BC-TTMが他の治療と比較して銅に対するより大きい結合親和性を有するという事実によって支持される。
【0112】
BC-TTMのPK及びPDプロセスは、小児におけるより高い血流速度が薬物クリアランスに対する影響を有し得ることから、相対規則当たりの体重によって調整することが期待される。さらに、参加者の肝臓内の銅含有量、ひいては肝臓体積は、肝臓における薬物結合の範囲及びクリアランスに対する影響を有し得る。BC-TTMの作用機構に基づき、体重及び肝臓体積の要素を考慮した後、薬物-銅結合及び化学分解が小児集団において成人と比較して異ならないことが期待される。
【0113】
BC-TTMは、絶食状態(食事の1時間前又は2時間後)で投与し、約240mLの水とともに摂取する。
【0114】
集団組み入れ基準
参加者は、インフォームドコンセント/アセントに署名する時点で3歳~<18歳でなければならない。さらに、参加者は、2012 European Association for the Study of Liver WD Clinical Practice Guidelinesにおいて概説されたとおりに検査することによって文書化された)4以上のライプツィヒスコアによるWDの確立された診断を有しなければならない。注:適切とみなされる場合、以下の一部又は全部を含むWDについての歴史的な検査結果:KF環の存在、神経学的症状、基準範囲を下回る血清セルロプラスミン、クームス陰性の溶血性貧血、肝銅若しくは尿銅の増加、ATP7B遺伝子における突然変異の存在、又はその他を代わりに使用して、ウィルソン病の診断を確認してもよい。参加者の親/代理者は、書面のインフォームドコンセントを進んで提出し、また提出可能でなければならず、参加者は、インフォームドアセントを進んで提出し、また提出可能でなければならない(中央又は地方機関審査委員会[IRB]/機関[又は独立]倫理委員会[IEC]による決定として適用可能である場合)。地方条例に従って許容可能である場合、参加者の法的に認可された代表者(LAR)がインフォームドコンセントを提供してもよいが、それは参加者がそうすることができない場合である。さらに、参加者は、必要な血液サンプルの収集を可能にするための適切な静脈アクセスを有し、無傷のBC-TTM錠剤又はミニ錠剤を嚥下可能でなければならない。摂食又は薬物療法のために胃瘻造設装置を必要とする参加者は、チューブの内径が無傷の錠剤又はミニ錠剤を通過障害なく適応可能である場合に登録することができる。さらに、患者は、研究期間全体を通して、高含有量の銅を有する食料及び飲料の摂取を進んで回避する必要がある。妊娠の可能性がある女性参加者及び男性参加者は、プロトコルで規定された避妊ガイダンスに従わなければならない。インフォームドコンセント又はアセントフォーム及びこのプロトコルに列記された要件及び制限のコンプライアンスを含む、署名されたインフォームドコンセント又はアセントを提出することができる。
【0115】
参加者は、以下の基準のいずれかが適用される場合、研究から除外される:
1.非代償性肝硬変
2.MELDスコア>13(12歳~<18歳)又はPELDスコア>13(3歳~<12歳)
3.修正Nazerスコア>7
4.過去3か月以内の臨床的に有意な胃腸(GI)出血
5.WD療法による28日を超える治療を受けた参加者(コホート1)におけるアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)>2×正常上限(ULN)
6.治療歴のない参加者又は28日以下の治療を受けている参加者(コホート2)におけるALT>5×ULN
7.経鼻胃栄養チューブ又は入院患者の集中診療のいずれかを必要とする顕著な神経学的疾患
8.年齢及び性別における基準範囲の下限未満のヘモグロビン
9.インフォームドコンセント/アセント前6か月以内のてんかん発作活性の病歴
10.BC-TTM又はテトラチオモリブデン酸アンモニウムの以前の使用
11.研究介入の初回投与の開始前30日以内の治験薬の使用
12.透析時の末期腎疾患(慢性腎疾患ステージ5[CKD5])状態又は推定糸球体濾過量<30mL/分/1.73m2と定義される腎不全状態の参加者
13.B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus)(陽性B型肝炎表面抗原)若しくはC型肝炎ウイルス(hepatitis C virus)(C型肝炎抗体結果が陽性の参加者であれば、C型肝炎ポリメラーゼ連鎖反応検査陽性である活動性疾患の確認を必要とする)、又はHIVの血清陽性による活動性感染
14.治験責任医師の意見においてWDに起因する能力障害の評価に干渉し得る、外傷又は別の疾病から得られた任意の能力障害
15.治験責任医師の意見において、参加者の安全性を損なうか又は研究結果の収集若しくは解釈に干渉するであろうと、再検査時に治験責任医師によって臨床的に有意であることが確認されている、全身性疾患若しくは他の疾病、又は臨床検査値におけるあらゆる逸脱
16.妊娠中(又は妊娠予定である女性)又は母乳栄養女性
17.BC-TTM、BC-TTM賦形剤(無水リン酸水素カルシウム、無水炭酸ナトリウム)、又はBC-TTM中に含有される成分若しくは関連化合物のいずれかに対する既知の感受性
18.1週当たり男性における14単位超又は女性における7単位超と定義される、研究前6か月以内の定期的なアルコール消費。1単位は、アルコールの14g:ビールの半パイント(約240mL)、ワインの1グラス(125mL)又はスピリッツの1(25mL)メジャーに等しい
19.違法又は処方薬物の乱用
20.治験責任医師の意見において、参加者及び/又は彼らの親/代理人は、研究中、非協力的又は非協同的である可能性が高い
【0116】
研究介入
研究介入は、研究プロトコルに従う研究参加者への投与が意図される、任意の研究介入、市販製品、プラセボ、又は医療装置と定義される。
【0117】
SoC治療を受けるために無作為化された参加者は、研究開始時に彼らがSoCを現在受けていない場合、彼らの現在の治療法を継続する、又はペニシラミン若しくはトリエンチンによるキレート化療法、亜鉛、若しくはキレート化及び亜鉛療法両方の組み合わせを開始する。
【0118】
標準治療薬は、パッケージラベルにおける詳細に従って保管する必要がある。
【0119】
研究において投与されるBC-TTMの詳細を表2に提示する。
【0120】
【表2】
【0121】
以前の併用療法
参加者が登録前30日以内に摂取している、又は研究中に摂取する任意の薬物療法(店頭薬又は処方薬、ビタミン、及び/又はハーブサプリメントを含む)、又はワクチン、又は目的の他の特定カテゴリ)は、使用の理由、開始日及び終了日を含む投与日、並びに用量及び頻度を含む用量情報と併せて記録しなければならない。
【0122】
研究前に随時摂取される、WDにおける銅制御に特異的な薬物療法(すなわち、WDに対してかつて摂取された全てのペニシラミン、トリエンチン又は亜鉛)は、以前のWD治療に対する特定のCRFにて記録する。
【0123】
許容される薬剤及び治療法
治験責任医師は、チトクロム2C9及び2B6の基質(CYP2C9及びCYP2B6)であることが公知である薬剤の同時投与において注意を払う必要がある。
【0124】
許容されない薬剤及び治療法
ペニシラミン、トリエンチン又は亜鉛の併用は、無作為化された主要評価期間(期間1)中又は非盲検延長期間(期間2)中にBC-TTMで治療される参加者に対して禁止される。標準治療の薬物療法は、期間1中にSoCに無作為化された参加者に限って摂取されてもよい。1日目~研究終了の投与後の、ハーブ療法薬、栄養補助剤、又は銅、亜鉛、鉄、若しくはモリブデンを含有するミネラル補給剤を含む非処方/店頭薬の使用も許容されない。ビタミンE及びエストロゲンは、研究中に開始するべきでないが、既に摂取されている場合、継続することができる。
【0125】
用量変更
BC-TTM用量は、関連する用量変更基準のいずれかが満たされる場合、低減又は中断する必要がある。用量変更ガイドラインからの逸脱は、Alexionメディカルモニターの同意がなければならない。
【0126】
青年参加者
期間1におけるBC-TTMに無作為化される青年参加者(12歳~<18歳)では、BC-TTMについて15mg/日で開始される。BC-TTMの投与の用量低減又は一時的中断についての具体的基準を表3に詳述する。用量変更基準をもたらす検査室パラメータの反復検査は、表3における指示に従う必要がある。臨床検査は、可能であれば中央検査室を通じて実施する必要がある。予定されない、地方検査室で実施された安全性の検査室評価からの結果は、CRFに記録しなければならない。
【0127】
小児参加者
小児参加者(3歳~<12歳)では、BC-TTMについて2.5mg/日で開始される。最初から4週後、用量は、Alexionメディカルモニターの同意の下、少なくとも4週空けて2.5mgの増量で最大15mg/日まで増加させてもよい。漸増用量増加は、許可されるが、必要でない。BC-TTMの用量低減、投与の一時的中断、又は用量増加の制限についての具体的基準を表4に詳述する。用量変更基準をもたらす検査室パラメータの反復検査は、表4における指示に従う必要がある。臨床検査は、可能であれば中央検査室を通じて実施する必要がある。予定されない、地方検査室によって実施された安全性の検査室評価からの結果は、CRFに記録しなければならない。
【0128】
【表3-1】
【0129】
【表3-2】
【0130】
【表3-3】
【0131】
【表4-1】
【0132】
【表4-2】
【0133】
【表4-3】
【0134】
【表4-4】
【0135】
研究の終了後の介入:研究の期間2の完了後、参加者は、登録前に中断された治療法に移行するか、又は全ての研究評価を十分に完了しており、中止が早すぎることがなかった参加者は、研究後のアクセスにとって、治療医師によって最高に興味深い患者にあるとみなされる場合、適格であり得る。参加者は、最大で2年間、又は1)研究薬が登録若しくは承認され、処方箋によって利用可能である、若しくは2)研究薬が地方の法律及び規制によって許容されるようなAlexion研究後/早期アクセスプログラムを介して提供できる、のいずれかの早い事象まで、研究薬を摂取する。治験薬のみが、研究後/早期アクセスに利用可能になる。全ての参加者は、期間2の197日目(+/-7日)に、EOS訪問の場所に戻る必要がある。
【0136】
研究介入の中断
まれな場合には、参加者が研究介入を永久的に中断すること(確定的中断)が必要であり得る。研究介入が確定的に中断される場合、参加者は、早期終了訪問を有し、4週以内に戻り、安全性フォローアップについて評価される必要がある。
【0137】
参加者は、以下のいずれかが研究中に生じる場合、研究介入からの中断について検討しなければならない:
・治療に応答しない代償不全肝硬変事象の発生
・代償不全肝硬変事象は、急性の食道又は胃静脈瘤出血、新しい顕性肝性脳症の発現、又は実質的な新規の腹水形成と定義される
・重篤な過敏症反応
・重度の制御不能な感染
・許容されない薬物の使用
・妊娠若しくは予定された妊娠;又は
・Alexion又は治験責任医師はそれが参加者にとって必要であるとみなす
【0138】
研究評価及び手順
銅の評価:血液中の非セルロプラスミン結合銅制御の尺度がBC-TTMによる治療の有効性についての主要評価であることから、血漿サンプルを収集し、血液中の総銅、セルロプラスミン、セルロプラスミン結合銅(CpC)、NCC、及びLBCを測定する。BC-TTM治療患者では、BC-TTM三者複合体に結合された銅の量に対してNCCレベルを補正する追加的計算(NCCcorrected)を実施する。
【0139】
経時的な血漿総銅濃度におけるAUECは、動的組織の動員及びBC-TTMの脱銅効果を定量することを目的とする。この評価は、SoC治療にも適用可能である。AUECでは、直接的なNCC及び血漿総銅について計算する。
【0140】
TPC銅を直接的に測定するための新しい技術での進行中の生体分析方法の開発は、銅制御の追加的分析を実施可能にし得る。NCC濃度を間接的に推定するための方法では、サンプルの約20%が健常参加者から得られ、NCCについての生理学的に不可能な負の値が得られることから、直接的なNCC及びLBCアッセイを開発している。LBC法では、セルロプラスミン又はBC-TTM TPCのいずれにも結合しない交換可能な血漿銅を測定する。
【0141】
末期肝疾患及び小児末期肝疾患スコアのモデル:末期肝疾患のモデル(MELD)は、成人及び12歳以上の青年における慢性肝疾患の重症度を評価するためのスコアリングシステムである。MELDスコア(6~40の範囲で、より高い値はより進行した疾患を示す)では、血清ビリルビン、血清クレアチニン、及びプロトロンビン時間の国際標準化比(INR)についての参加者の値を使用して、生存率を予測する。MELDスコア>11を有する参加者では、血清ナトリウムも考慮する。
【0142】
小児末期肝疾患(PELD)スコアを使用して、肝移植の不在下での90日生存率を推定する。PELDスコアの構成要素は、総ビリルビン、INR、アルブミン、年齢、及び発育不全である。13を超えるPELDカットオフを選択し、MELDスコア>13又は修正Nazerスコア>7と同等である進行性肝不全を有する参加者を除外した。
【0143】
【0144】
UWDRSパートI及びパートIIIは、治療無作為化に対して盲検である神経学者によって評価される一方、UWDRSパートIIは、参加者、家族員、又は介護者により、研究チームの非盲検メンバに報告され得る。UWDRSは、小児において公式には評価されていない。しかし、パートI(意識のレベル)、パートII(参加者又は介護者により報告された能力障害)及びパートIII(神経学的検査知見)の構成要素は、成人と小児との間で基本的に異ならない。12歳以上の参加者は、修正のないUWDRS評価に従うことができることが期待される。UWDRS評価は、12歳未満の小児において実行可能な最大範囲まで実施する必要がある。
【0145】
臨床全体印象-重症度スケール及び臨床全体印象-改善スケール:臨床全体印象(CGI)評価尺度は、精神障害を有する成人及び小児参加者の治療研究における症状の重症度、治療応答、及び治療の有効性の一般に使用される尺度である。
【0146】
臨床全体印象-重症度スケール:臨床全体印象-重症度スケール(CGI-S)は、臨床医が、評価時に参加者の疾病の重症度を、同じ診断を有する参加者との臨床医の過去の経験と比較して評定するのに必要とする7ポイントスケールである。臨床経験全体を考慮し、参加者は、疾病の重症度に対して、1,正常で全く疾病が認められない;2,境界病;3,軽度疾病;4,中程度疾病;5,顕著な疾病;6,重度疾病;又は7,極度の疾病として評定する時点で評価される。
【0147】
臨床全体印象-改善スケール:臨床全体印象-改善スケール(CGI-I)は、臨床医が、参加者の疾病が介入開始時にベースライン状態と比較してどの程度改善又は悪化しているかを評価するのに必要とし、1,非常に改善した;2,大変改善した;3,最小限改善した;4,変化なし;5,最小限悪化した;6,大変悪化した;又は7,非常に悪化した、として評定される7ポイントスケールである。
【0148】
線維症-4指数及び一過性エラストグラフィー:FIB-4指数は、標準生化学値(ALT、AST、及び血小板数)及び年齢に基づき、肝線維症を予測するために使用される式である。FIB-4指数は、中央検査室によって計算される。一過性エラストグラフィーは、肝臓における肝線維症又は脂肪沈着の程度を、超音波画像を利用して肝臓を通じた音波の速度を測定することによって評価する非侵襲的イメージング法である。
【0149】
修正Nazerスコア:修正Nazerスコアは、肝臓状態の評価であり、5つの検査室パラメータ:AST、INR、ビリルビン、アルブミン、及び白血球数の複合からなる。スコアは、0~20の全範囲を有し、より低い値はより健康な肝臓状態を示す。
【0150】
簡易精神症状評価尺度24:簡易精神症状評価尺度24(BPRS-24)は、評価者が精神病理学的重症度を測定することを可能にする、12歳~<18歳の青年についての24項目の道具である。精神症状の存在及び重症度は、1(存在しない)~7(極度に重症)の範囲のリッカート尺度で評定される。BPRS-24は、その道具を施すのに必要とされる訓練を完了している認定者(例えば、神経学者、精神科医、心理学者、認可されたメンタルヘルス施術者、ソーシャルワーカーなど)によって実施することができる。BPRS-C9は、3歳~<12歳の小児についての9項目の道具である。症状の存在及び重症度は、1(存在しない)~6(極度に重症)の範囲の尺度で評定される。BPRS-24と同様、BPRS-C9は、適切に訓練を受けている認定者によって実施することができる。
【0151】
EuroQoL 5次元:EuroQoL 5次元(EQ-5D)は、2つの異なる評価-EQ-5D-5L記述システム及びEQビジュアルアナログスケール(VAS)からなる。記述システムは、健康に関連した生活の質の状態の尺度を含み、5次元:運動、セルフケア、日常の活動、疼痛/不快感、及び不安/抑うつからなる。各次元は、5つの重症度レベル:問題なし、わずかな問題、中程度の問題、重度の問題、又は極度の問題からなる。EQ VASでは、垂直VAS上に参加者の自己評定した健康について記録する。まとめると、これは、参加者自身の判断を反映する健康転帰の定量的尺度として使用することができる。EQ-5Dは16歳以上の参加者における使用のために設計されているが、EQ-5Dは12歳~15歳の参加者において使用することもでき、これらの参加者が数年間その研究に従うと仮定すれば適切であることに注意されたい。
【0152】
EQ-5D若年者:小児用EQ-5Dバージョン(EQ-5D-Y)を、小児及び青年に適するより理解可能な道具として導入した。小児及び青年により適するように言葉遣いを変更し、運動次元について最も重症であることの表示を、運動次元の適応性及び感受性を増加させるため、「ベッドに制限されている」から「歩き回るのに多くの問題がある」に変更し、EQ VASタスクについての指示を簡素化することで、タスクをより容易に完了させ、スコア化させた(https://euroqol.org/eq-5d-instruments/eq-5d-y-about/)。
【0153】
投薬に対する治療満足度質問票9(TSQM-9)を使用して、参加者が摂取している薬物による満足又は不満足の全体レベルを評価する。この複合スケールは、TSQM-9調査に対する3つの項目からなる:
・全体として、この薬物を摂取することがあなたにとって良いことであることに、あなたどの程度の自信があるか?
・この薬物についての良いことが悪いことを上回ることにあなたはどの程度満足しているか?
・全ての事柄を考慮すると、あなたはこの薬物にどの程度満足又は不満足であるか?
【0154】
TSQM-9は、青年参加者により、またより若い参加者に対する親又は介護者により完了されることが期待される。
【0155】
小児の生活の質インベントリー(PedsQL(商標))測定モデルは、健常な小児及び青年並びに急性及び慢性健康状態を有する者における健康に関連した生活の質を測定するためのモジュラー手法である。23項目のPedsQL(商標)Generic Core Scalesは、世界保健機関(World Health Organization)(WHO)によって描写されるような健康の中心的次元、並びに役割(学校)機能を測定するように設計された。4つの多次元尺度及び3つのサマリースコアは、以下のとおりである:
尺度
・身体機能(8項目)
・感情機能(5項目)
・社会機能(5項目)
・学校機能(5項目)
サマリースコア
・総スケールスコア(23項目)
・身体的健康サマリースコア(8項目)
・心理社会的健康サマリースコア(15項目)
【0156】
尿及び糞便銅の排泄:24時間尿銅排泄は、全参加者において、ベースラインで、6週目、24週目、及び48週目に評価される。24時間糞便銅排泄は、全参加者において、ベースラインで、及び6週目に評価される。この評価は、任意選択的である。
【0157】
身体検査:完全な身体検査は、最低限、心血管、呼吸器、GI、及び神経系の評価を含む。略式身体検査は、治験責任医師の判断及び参加者の症状に基づき、身体系関連検査からなる。少なくとも1つの身体系は、略式検査について点検されなければならない。症状を契機とする身体検査は、首席治験医師の裁量で、それ以外の時点で実施することができる。
【0158】
特に興味深い有害事象:研究介入(BC-TTM又はSoC)の開始後の任意の新しい神経学的症状又は進行中の神経学的症状の臨床的に有意な悪化を、重篤か又は非重篤かにかかわらず、特に興味深い有害事象(AESI)と名付ける。参加者が、治験責任医師によって臨床的に関連するとみなされた評価に加えて、AESIを有する場合、以下の評価を、AE及び参加者状態の評価に役立つ可能性がある範囲で実施する必要がある:UWDRSパートIII、並びにCGI-I及びCGI-S。治験責任医師又は治験分担医師は、追加的な評価又は臨床検査を彼らの裁量で実施することができる。特に興味深いSAEは、研究に参加しない3人の独立した神経学者のパネルによって評価される。そのパネルは、臨床的に有意な悪化又は新しい臨床的に有意な神経学的症状が疾患進行に関連するか又は研究介入(BC-TTM又はSoC)によって引き起こされる確率を評価する。彼らは、参加者に与えられた治療に対して盲検となる。全ての利用可能な関連する参加者情報をこのパネルに提供することで、彼らの評価の助けとなる。
【0159】
薬物動態:
・活動スケジュール(SoA)において規定したとおり、総モリブデン及びPUFモリブデンの血漿濃度を分析するため、全血サンプルを収集する。
・生体サンプルの収集及び取扱いのための使用説明書は、Alexionによって提供される。各サンプルの実際の日及び時間(24時間時刻)を記録する。
・余分な/追加的なサンプルを、最大5年間貯蔵し、PD及び/又は診断バイオマーカーの開発及び研究に使用して、BC-TTMの作用機構に関連する経路を理解することができる。これらのサンプルは、遺伝的分析(すなわち、RNA又はDNA分析)に使用しない。
・遺伝的分析は、PK/PD分析のために収集した全血サンプルに対して実施しない。
【0160】
薬力学:
・SoAにおいて規定したとおり、血漿総及びPUF銅、NCC、並びにLBCを測定するため、全血を収集する。
・生体サンプルの収集及び取扱いのための使用説明書は、Alexionによって提供される。各サンプルの実際の日及び時間(24時間時刻)を記録する。
・血漿サンプルを使用して、BC-TTM又はSoCのPDを、総銅、及びNCC及びPUF銅として測定される銅、及び/若しくはLBCの測定を通じて評価する、又はNCC/NCCcorrectedの方法を通じて評価する。BC-TTM及びSoCのPD測定のための収集したサンプルを使用して、研究の間又は後に生じる懸念に関する安全性又は有効性の局面を評価することもできる。
・余分な/追加的なサンプルを、最大5年間貯蔵し、PD及び/又は診断バイオマーカーの開発及び研究に使用して、BC-TTMの作用機構に関連する経路を理解することができる。これらのサンプルは、遺伝的分析(すなわち、RNA又はDNA分析)に使用しない。
【0161】
ジェネティクス:研究の遺伝的分析の構成要素に参加するように同意している参加者から、DNA単離のための血液サンプルを収集する。参加は任意選択的である。遺伝子研究に参加することを望まない参加者であっても、研究に参加してもよい。
・ATP7B遺伝子における遺伝的変異は、研究介入に対する患者の応答、それに対する感受性、並びに疾患の重症度及び進行に影響し得る。したがって、地方条例及びIRB/IECが許容する場合、同意する患者から、DNA分析のための血液サンプルを収集する。
・WDに関する研究のため、DNAサンプルを使用する。それらを使用して、BC-TTM及びWDに関する診断検査を含む検査/アッセイを開発することもできる。
・DNAサンプルは、ATP7B遺伝子及び他の遺伝子(WDに関すると考えられる場合)のコード及び調節配列における変異体について分析する。BC-TTMの代謝に影響し得る遺伝子突然変異を同定するなどの追加的分析は、これが臨床データのさらなる理解に役立ち得ることが仮定される場合、実施することができる。
・研究用疾患又は関連病態を理解するため、サンプルは、BC-TTM又はこのクラスの研究介入に対する応答に関与する遺伝要因の多重研究評価の一部として分析することができる。
【0162】
有効性分析
一次エンドポイントとして、NCC/NCCcorrected濃度におけるベースラインから48週までの百分率変化を、記述的要約統計量を用いて、各コホート内の治療群及び全体治療群によって分析する。分析は、パー・プロトコルセット及び完全分析セットに基づく。セルロプラスミン及びCpCなどのBC-TTMバイオマーカーを、血漿/血清サンプル中で測定する。
【0163】
二次有効性エンドポイントの分析は、完全分析セットに基づく。全ての二次有効性エンドポイントは、記述統計学を用いて、各コホート内の治療群及び全体治療群によって要約する。
【0164】
全ての探索的エンドポイントは、完全分析セットを用いて、記述統計学を用いて、各コホート内の治療群及び全体治療群によって要約する。
【0165】
全ての安全性分析は、安全性セットに対して実施する。安全性分析は、記述統計学を用いる、全てのAE、ECG、臨床検査室データ、身体検査、及びバイタルサイン測定を含む。AEは、医薬品が投与された患者又は臨床研究参加者における任意の有害な医学的事象であり、必ずしもこの治療との因果関係を有する必要がない(ICH E2A)。注:AEは、それ故、一時的に研究介入の使用に関連した、任意の好ましくない、意図されない徴候(異常な検査所見を含む)、症状、又は疾患(新しい又は増悪した)であり得る。
【0166】
ある事象が上の定義に従ってAEでない場合、それは、重篤な状態が満たされる場合(例えば、研究下の疾患の徴候/症状に対する入院、疾患の進行に起因する死亡)であっても、SAEであり得ない。SAEは、任意の用量で:死亡をもたらす、生命を脅かす;入院患者の入院若しくはこれまでの入院の延長を必要とする、持続性の能力障害/無能をもたらす、先天異常/先天性欠損である、及びその他の状況といった任意の有害な医学的事象と定義される。
【0167】
治療中に発生した有害事象(TEAE)は、無作為化された治療の初回投与後に開始するようなAE又は無作為化された治療の初回投与後の重症度を悪化させた既存の事象と定義される。部分的な開始日(例えば、月及び年が報告されるが、その日は欠けている)で報告された事象は、事象開始が研究薬の初回投与前であったことを確認できない場合、可能な日付入力に基づき、治療中に発生したとみなされる。
【0168】
加えて、期間1内にSoCに無作為化され、期間2内にBC-TTMに切り替えられた患者の場合、その切り替え後に開始する任意のAE又は重症度を悪化させる既存の事象は、BC-TTMに起因することになる。
【0169】
事象を経験している参加者の頻度(n)及び相対頻度(n/N100、ここでNは各治療群の安全性セットにおける患者の数である)を含む、TEAEの全体的な要約を治療によって提示する。要約は、TEAEである事象の数、治療中に発生したSAE、及び治療中に発生した非SAEを示すカテゴリを含む。TEAEの中で、以下の下位カテゴリも要約される:
・TEAEの重症度(グレード1~グレード5)
・関連TEAE(関連しない、関連する)
・研究薬の逸脱を引き起こすTEAE
・死亡を引き起こすTEAE
【0170】
AE及びSAEの発生は、各治療及び全体に対する器官別大分類及び基本語によって、また研究介入との関係によって要約される。有害事象は、重症度による治療及び全体によっても要約される。重篤なAE及び研究からの逸脱をもたらすAEを列記する。カテゴリ(例えば、全体、器官別大分類、基本語)内の複数のAEを有する参加者は、そのカテゴリ内で1回計数される。重症度表の場合、カテゴリ内の参加者の最も重度の事象が計数される。
【0171】
バイタルサイン測定及び検査室評価(例えば、化学、血液学、凝固、及び尿検査)におけるベースラインからの変化は、治療によって要約される。検査室パラメータ値は、国立癌研究所(National Cancer Institute)の有害事象の一般用語基準(CTCAE)に従って類別される。治療によるシフト表は、これらの検査室パラメータに対して作成される。これらの表は、各ベースライングレードを有する参加者の数を、研究中の投与後に評価された基準範囲及び最悪・最高グレードへの変化と比較して要約する。
【0172】
心拍数、PR、RR、QRS、QT、及びフリデリシアの式を用いて心拍数について補正されたQT間隔(QTcF間隔)を含む心電図パラメータは、SoAに従い、特定時点で測定される。収集時点での3通りのECG読み取り値の平均が計算され、ベースライン値からの変化が各治療によって評価される。
【0173】
薬物動態(PK)、薬力学的(PD)、及びバイオマーカー分析
PK、PD、及びバイオマーカーエンドポイントの場合、PK/PD分析セットを用いて分析を実施する。
【0174】
総モリブデン及びPUFモリブデン(測定される場合)についての以下の血漿PKパラメータを、該当する場合、Phoenix(登録商標)WinNonlin(登録商標)(Certara USA Inc.,Princeton,New Jersey)バージョン8.0以降又はSASバージョン9.3以降(SAS Institute Inc.,Cary,North Carolina)による非コンパートメント法を用いて計算する。計算は、研究中に記録された実際のサンプリング時間に基づく。
・最大観察濃度(Cmax
・最大濃度までの時間(Tmax
・投与間隔の開始時に観察されたトラフ(前投与)濃度(Ctrough
・投与間隔にわたる血漿濃度対時間曲線下面積(AUC)(AUCtau
【0175】
追加的な血漿PKパラメータは、適切とみなされる場合、計算してもよい。集団PK分析は、適切とみなされる場合、他の臨床研究からのプールデータを用いて形成してもよい。添加モデリング及びシミュレーションを目的として、限定されないかもしれないが、見かけ上の全身クリアランス(CL/F)及び見かけ上の分布容積(V/F)などの集団PKパラメータを評価する。
【0176】
総モリブデン及びPUFモリブデン(測定される場合)の血漿濃度対時間データを、参加者によるデータリストにおいて提示する。血漿濃度データを、1日当たりの各治療における分析物及び時点により、以下の記述統計学を用いて別々に要約する:参加者の数、加算平均、幾何平均(GM)、SD、変動係数(CV)、GMCV、中央値、最小値、及び最大値。平均血漿濃度対予定時間プロファイルを、図面において線形及び片対数スケールの両方で提示する。個別の血漿濃度対実時間プロファイルを同様に提示する。
【0177】
総モリブデン及びPUFモリブデン(測定される場合)の血漿濃度から得られる薬物動態パラメータを、データリストにおいて提示し、以下の記述統計学を用いて別々に要約する:参加者の数、加算平均、GM、SD、算術CV、GMCV、中央値、最小値、及び最大値。
【0178】
時間に対するPD(総及びPUF(測定される場合)銅、NCC、LBC及びNCC/NCCcorrected)及びバイオマーカーエンドポイント(セルロプラスミン、CpC)、濃度のデータをリスト化し、記述統計学を用いて要約し、プロットする。時間に対するこれらの濃度のベースラインからの絶対及びパーセント変化のデータに対して、同じ分析を実施する。
【0179】
データが許容する場合、総銅、NCC、及びLBCについての以下の血漿PDパラメータを、該当する場合、Phoenix(登録商標)WinNonlin(登録商標)バージョン8.0以降又はSASバージョン9.4以降による非コンパートメント法を用いて計算する。
・投与後の最大観測効果(CEmax
・最大効果が観察された投与後の時間(TEmax
・用量投与の開始から最後の観察された定量可能な濃度までの効果対時間曲線下面積(AUEC)(AUEC
【0180】
総銅、NCC、及びLBCの血漿濃度から得られる薬力学的パラメータを提示し、PKパラメータと類似する分析物及び日により要約する。
【0181】
また、暫定的な有効性データを有効性外挿において使用して、小児参加者(3歳~<18歳)におけるBC-TTMの銅制御に対する有効性の証拠を、この研究及び他の第3相研究からの成人/青年参加者データを用いて生じさせる。
【0182】
WDを有する小児参加者における集団PKシミュレーション及び用量選択
12歳~<18歳の参加者:シミュレーションでは、12歳~<18歳の参加者における計画されたPK曝露範囲(図2)が、この研究及び他の第3相研究における15mgの提案された用量で、成人における曝露範囲との重複が予想されることが示された。
【0183】
15mgのEC錠剤製剤は、その用量の投与に加え、プロトコル修正1に従う、12歳以上の参加者を含む進行中の第3相研究301における後の個別化された用量変更に使用されている現在の製剤である。15mg/日の1日用量は、好ましい安全性プロファイルを有し、且つ健常成人及びWDを有する成人参加者の両方における第1相~第3相臨床研究全体を通じて十分な忍容性があることが示されている。
【0184】
注目すべきは、現在進行中の第3相研究301では、BC-TTMを開始用量が15mgで1日1回投与した、体重が39.5kgの参加者を含む、12歳~<18歳の参加者17人を登録しており、許容される安全性プロファイルが示されている。現在まで、青年参加者において観察されたTEAEは、全体研究において報告されたTEAEと類似している。
【0185】
3歳~<12歳の参加者:開始用量が5mgで1日おきでの計画されたPK曝露は、3歳~<12歳の最若年齢群におけるより保守的な投与手法としての、15mgの開始用量を投与する成人における場合より低い。研究302における3歳~<12歳の参加者において許容される、元の最大用量(すなわち、30mgの1日1回)での計画された曝露は、成人及び青年における進行中の第3相研究301において許容される最高用量(すなわち、60mgの1日1回)が投与される場合と類似している(図3)。
【0186】
3歳~<6歳の参加者を詳細に観察すると、モデリング結果では、5mgの用量が成人参加者に投与される15mgと同等の曝露を有し、且つ15mgの用量が30mgより高い曝露を有するが、成人参加者に投与される60mgより低い曝露を有することが示された(図4)。それ故、3歳~<6歳の参加者の予測される用量範囲は、5mg~15mgであり、それは、進行中の第3相研究301において許容される15mg~60mgの用量範囲を有する12歳を上回る青年及び成人参加者における場合と同等の安全性及び有効性転帰を提供することが予測される。
【0187】
2.5mgでのより保存的な開始用量は、3歳~<12歳の参加者についての本研究302において使用する。
【0188】
本明細書に記載の実施例及び実施形態は、あくまで例示目的であり、且つそれらに関する様々な修飾又は変更は、当業者に対して示唆を与えるものであり、本願の精神及び範囲内、並びに添付の特許請求の範囲の範囲内に組み込まれるべきであることが理解される。本明細書で引用される全ての出版物、特許、及び特許出願は、あらゆる目的で、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4
【国際調査報告】