(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】乾燥対象の板を搬送するためのコンベアシステムを備える乾燥機
(51)【国際特許分類】
F26B 15/12 20060101AFI20240918BHJP
B65G 23/34 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
F26B15/12 C
B65G23/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515055
(86)(22)【出願日】2022-09-11
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2022025423
(87)【国際公開番号】W WO2023036469
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】102021004585.8
(32)【優先日】2021-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520344556
【氏名又は名称】グレンツェバッハ ビーエスエイチ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレス、ヴォルカー
(72)【発明者】
【氏名】グレブ、ファビアン
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA08
3L113AB02
3L113AC05
3L113AC31
3L113AC42
3L113AC69
3L113BA29
3L113CA04
3L113CA09
3L113CB21
3L113DA01
(57)【要約】
各チェーン(3)が少なくとも1つの駆動部を割り当てられている複数のエンドレスチェーン(3)を備える駆動システムを有するローラコンベア(1)の形でレベルに配置されている搬送デバイスを用いて区域(2)毎の複数のレベル内で乾燥対象の通過する板を搬送するための、搬送方向に並んで延在する複数の区域(2)を有するコンベアシステムを有する乾燥機は、それぞれの区域(2)の全てのレベルのローラコンベア(1)がいずれの場合にもそれぞれの区域(2)のレベル上で係合する少なくとも1つの単一のチェーン(3)によって駆動され得ることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの駆動部が各チェーンに割り当てられている複数のエンドレスチェーンを備える駆動システムを有するローラコンベアの形で複数のレベルに配置されている搬送デバイスを用いて区域毎の前記複数のレベル内で乾燥対象の通過する板を搬送するための、搬送方向に並んで延在する複数の区域を有するコンベアシステムを有する乾燥機であって、それぞれの区域の全ての前記レベルの前記ローラコンベアが前記それぞれの区域の前記レベル上で係合する少なくとも1つの単一のチェーンによって駆動され得る、乾燥機。
【請求項2】
区域毎に又は複数の区域に対して単一のチェーンが存在する場合において、このチェーンは前記それぞれの区域又は前記複数の区域の前記レベル上で、ジグザグ又は蛇行様式で係合する、請求項1に記載の乾燥機。
【請求項3】
前記チェーンは、少なくとも1つの駆動モータを備える、請求項2に記載の乾燥機。
【請求項4】
区域毎に複数のチェーンが存在する場合において、あるレベル上で互いに隣り合って存在する2つの支持ローラは、いずれの場合にも前記レベルにまたがる単一のチェーンによって駆動され得る、請求項1に記載の乾燥機。
【請求項5】
区域毎の前記チェーンが無線通信によって互いと同期され得ること、又は前記チェーンがマスタチェーンを介して一体に駆動され得る、請求項3に記載の乾燥機。
【請求項6】
前記マスタチェーンが少なくとも1つの駆動モータを介して駆動される、請求項5に記載の乾燥機。
【請求項7】
前記チェーンがチェーンスライドレールを介して誘導される、請求項1~6のいずれか一項に記載の乾燥機。
【請求項8】
前記乾燥機は、150℃未満の温度で低温乾燥機として使用され得ること、及び支持ローラがころ軸受を介して設置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の乾燥機。
【請求項9】
前記ころ軸受は、玉軸受、深溝玉軸受、又は保持器付き針状ころ軸受として設計されている、請求項8に記載の乾燥機。
【請求項10】
チェーン張力デバイスがチェーン毎に、又は少なくともマスタチェーン毎に配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の乾燥機。
【請求項11】
前記チェーン張力デバイスは吊り下げ様式で設置されている、請求項10に記載の乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の一般用語(Oberbegriff)に係る、乾燥対象の板を搬送するためのコンベアシステムを備える乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
コンベアシステムによって、乾燥対象の板、例えば、石こう板、ベニヤ板、木質繊維、ミネラルウール、ロックウール、又はグラスウールの板が、乾燥機を通して搬送される。石こう板は本質的に、表面及び側面がボール紙で覆われたジプサムコアからなる。ジプサムコアの頂部及び底部に取り付けられたボール紙表面(頂部及び底部ボール紙)は、一体に接着されている。
【0003】
EP 1 232 371 B1は、請求項1の一般用語による乾燥機を開示している。この乾燥機は、レベルに配置されている搬送デバイスを有し、各搬送デバイスはローラコンベアとして設計されている。駆動システムは、複数のエンドレスチェーンからなる。
【0004】
乾燥機は、例えば、同じ長さの乾燥チャンバ、フィールド、又は区域からなり、これらは平板のスループット方向に、同様の又は同一の様式で乾燥機内に繰り返される。乾燥機は、板、特に石こう板が、それを通過した後に、乾燥した板として去る連続的な乾燥機である。
【0005】
DE 10 2009 059 822 B4は、板がレベルにおいて乾燥チャンバを通して誘導される、板を乾燥させるための乾燥機を開示しており、板は衝突ジェット換気によって乾燥用空気と接触させられ、衝突ジェット換気は通風ノズルボックスによって確実にされる。
【0006】
低温範囲、すなわち150℃以下の温度、特に100℃未満の温度において、不均一な乾燥のリスクが存在せずこれらの温度では不均一な乾燥によって板が損傷され得ないので、目的の衝突ジェット換気のためのノズルボックスは必要ない。この理由から、低温乾燥機におけるノズルボックスの使用は必要ではなく;長手方向又は横断方向に暖気で乾燥対象の板に通気すれば十分である。
【0007】
低温乾燥の利点は、それが好ましくは熱交換器又は暖気を活用するための他の概念と組み合わせ得ることである。低温乾燥は多くの場合、環境にやさしい又はエネルギーを節約する方策と併せて実装される。この理由は、低温は低発熱熱源がエネルギーを産出するために使用され得るということを意味するからである。この例は、太陽熱収集器、又は他の工場構成要素からのプロセス排気であり、これらはこの領域において非常に効率的に使用される。
【0008】
壁板は特に、低温乾燥に好適である。本願において、乾燥機は標準として通風される。平坦な板、例えば、石こう板は、水平に乾燥される。
【0009】
本発明のタスクは、低温乾燥機のためのコンパクトなコンベアシステムを作成することである。
【0010】
本発明に係り、このタスクは特許請求項1において述べられているように解決されている。
【0011】
乾燥対象の板、特にジプサム石こう板の乾燥時間が数倍長くなることに起因して、本発明は、それによって従来技術と比較してルームユニット毎により多い数のジプサム石こう板が乾燥及び移送され得るジプサム石こう板を乾燥させるためのシステムを作成する。
【0012】
この目的のために、低温で動作する乾燥機に適合し、多数の棚状部、例えば40~60個の棚状部にわたって低温乾燥機内で同時に加工される多数の板、特に石こう板に適合する駆動システムが作成される。
【0013】
本発明に係る駆動システムと併せて多数の棚状部を使用することによって、板、特に石こう板のより長い滞在時間が、高温乾燥機内と同じ乾燥機の長さを有する低温乾燥機内で実現され得る。
【0014】
本発明の有利な更なる実施形態は、従属請求項及び明細書から、特に図面と併せて、理解され得る。
【0015】
乾燥機の有利な実施形態は、単一のチェーンの場合において、このチェーンがそれぞれの区域の棚状部に、ジグザグ又は蛇行様式で重複するものである。
【0016】
各チェーンは、少なくとも1つの駆動モータを備え;長いチェーン長の場合において、EP 1 232 371 B1から公知のように、2つ又はそれより多い駆動モータが設けられ得る。
【0017】
更なる有利な実施形態において、乾燥機の区域毎に複数のチェーンが存在する場合、あるレベル上で互いに隣り合って存在する2つの支持ローラは各々、レベルにまたがる単一のチェーンによって駆動されている。
【0018】
好ましくは、チェーンは、区域毎に互いと電子機器によって、同じく好ましくは、乾燥機の長さ全体にわたって、例えば、無線通信を介して、例えば、マスタースレーブ原理に従って又はインクリメンタルエンコーダによって同期されており;好ましくは周波数変換器を有するモータが使用され;代替的には、チェーンはマスタチェーンを介して一体に駆動される。
【0019】
マスタチェーンが少なくとも1つの駆動モータによって駆動されている場合、有利である。
【0020】
チェーンがチェーン誘導レールを介して誘導されている場合、同じく有利である。
【0021】
乾燥機が150℃未満の温度で低温乾燥機として使用されている場合、アイドラはころ軸受によって支持される。高温乾燥機のためのグラファイトベース滑り軸受は、必要ない。加えて、ころ軸受は滑り軸受よりも低い摩擦係数を有する。アイドラローラは、好ましくは内部ころ軸受によって支持されている。この場合、軸は動作中に静止しており、ローラシェルのみがスプロケットと共に回転している。代替的に、軸受はアイドラの外側にも設置され得る。この場合、フランジ軸受ユニットが使用されなければならず、シャフトも回転しなければならない。内部軸受が使用される場合、連続的なシャフトが使用されなければならない。別の変形例は、ローラの両端部でのシャフトジャーナルの使用である。この場合、軸受は、例えば外部に配置される。しかしながら、連続的なシャフトを有するアイドラの生産がより簡単であることが示されてきた。連続的なシャフトのために必要とされる材料の量がより多いことは、さほど重要ではない。この理由から、本発明に係り、好ましくは連続的な軸及び内部軸受を有するアイドラが使用される。
【0022】
好ましくは、ころ軸受は玉軸受、深溝玉軸受、又は保持器付き針状ころアセンブリとして設計されている。
【0023】
チェーン張力デバイスが、チェーン毎に、又は少なくともマスタチェーン毎に配置されている場合、同じく有利である。
【0024】
好ましくは、チェーン張力デバイスは吊り下げ様式で設置されている。
【0025】
したがって、本発明に係り、ローラコンベアは非常にコンパクトに構築できるので、それが使用される。結果として、駆動アイドラを使用するローラコンベアを活用した乾燥対象の板の水平移送は、好適である。
【0026】
可能な最小の直径を有するアイドラが、したがって好ましい。内部軸受及び連続的な軸を有する、特に深溝玉軸受を有する軸受を有するアイドラが、特に好ましい。
【0027】
全てのアイドラを均一に回転させるために、動力は中央動力源(モータなど)から全てのアイドラへ伝達されなければならない。チェーン駆動は、アイドラの一方の側に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明は、実施形態の例を使用して、下記でより詳細に説明される。それは以下を示す。
【
図1】区域のローラコンベアが単一のチェーンによって駆動されている、駆動側の乾燥機区域の側面図である。
【
図2】区域のローラコンベアが複数のチェーンによって駆動されており、それらはさらにマスタチェーンによって駆動されている、駆動側の乾燥機区域の側面図である。
【
図3】長手方向区域内のローラコンベアのローラの軸受の図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明に係り、2つの代替例が、チェーン誘導のために実現される。
【0030】
第1の変形例において、乾燥機の完全区域2のローラコンベアとしてのアイドラ1(
図1)は、好ましくはギア付きモータであるモータ4によって区域2の全てのレベルにまたがる単一のチェーン3によって各々駆動されている。またチェーン3は、偏向ホイール5~8によって誘導される。張力デバイス9が区域2の各チェーン3において好ましくは設けられ;チェーン3に潤滑剤を注すための構成も好ましくは設けられる。レベルは、アイドラ1の上方に各々延在し、それらは同じ高さにある。
【0031】
第2の変形例において、区域2のアイドラ1(
図2)は、複数のチェーン10によって駆動されている。動力は出力チェーンとして機能する複数のチェーン10へマスタチェーン11によって伝達される。チェーン10の各々は、個別に張力をかけられ潤滑剤を注されなければならず;したがって、対応する張力及び潤滑剤デバイス(ここでは図示されない)が設けられる。マスタチェーン11は、単一のモータ、例えばギア付きモータ(ここでは図示されない)によって一元的に駆動されている。チェーン10及びマスタチェーン11の両方が、偏向ホイール5、6;12、13によって偏向される。互いと結合されたスプロケットホイール11aのペアは、マスタチェーン11の駆動力をチェーン10へ伝達する。
【0032】
図2中に示される実施形態において、マスタチェーン11は、乾燥機のただ1つの区域のために、又は複数の区域のために、のいずれかで使用及びスケールされ得る。これは、必要な場合、複数の区域上で出力チェーンを駆動するために、より大きなマスタチェーンが使用され得ることを意味する。この場合、乾燥機毎に必要とされるギア付きモータが少なくなる。出力チェーン及び戻りスプロケットホイール内のチェーン力は相対的に低い。
【0033】
図1及び
図2中に示される両方の変形例において、チェーン誘導レールは、チェーン3、10、11を軌道上に維持するために使用される。
【0034】
チェーン3、10、11に張力をかけるために、それらは各々、例えば、鉛直方向に延在するスロット内を移動され得る軸上にゆるく設置されたチェーンホイール上で走行し、それによってチェーン3、10、11は、軸からチェーンホイールの両側で垂下する重りによって張力をかけられる。例えば、EP 1 232 371 B1において公知であり、
図1中の参照符号12で与えられるもののような張力デバイスが使用される。
【0035】
低温乾燥機の各区域は、コンベアシステムも支持する支持構造として鋼フレームを備える。支持構造は、例えば、メイン梁及び二次梁として複数の鋼プロファイルを備える。支持構造は、さらに基礎へ取り付けられる。
【0036】
本発明に係り、不具合、特に石こう板での乾燥機の閉塞が起きた場合、乾燥機の非駆動側でレベルにおける石こう板を除去することが可能である。
【0037】
好ましくは、支持ローラは、その駆動側に固定軸受を有し、非駆動側にフローティング軸受を有するように、乾燥機の区域の1つのレベル内に設置されている。
【0038】
本発明に係るローラコンベアは、例えば、40個のレベルを有し、例えば、最大100mmまでのレベル間の間隔を有し、乾燥対象の板の2つのウェブが隣り合って搬送されるために設計されているが、相応により幅広の乾燥機において、石こう板のより多くのウェブが同時に隣り合って移送されることもできる。これにより、例えば25区域という最小の乾燥機の長さをもたらし、これは必要とされる生産出力を実現するための60mの長さに対応する。ローラコンベアの1つのレベルは、例えば、1つのレベル上の7つの駆動アイドラからなる。アイドラは、例えば60mmの外径を有し;非駆動アイドラも駆動アイドラの間に存在し得ることも排除しない。アイドラは隣り合って搬送される平板の幅全体を包含する幅を有し、連続的な軸及び内部軸受を有する。加えて、軸支持部は、好ましくは中間で使用される。
【0039】
全てのレベルは、この目的のために設けられる支持部に固定/フローティング軸受構造で取り付けられている。折り畳み板金から構成されている鉛直梁は、駆動側の支持部として使用される。これらは、2つの更なる平板を介して足場のメイン桁に取り付けられている。鍵穴の形の凹部(固定軸受)が鉛直梁内に設けられている。非駆動側に、長手方向梁がレベルにおいて使用されており、これらはスロット付き穴部を介してメイン梁に取り付けられている。凹部は、アイドラの軸が挿入され得る長手方向梁内に設けられている(フローティング軸受)。
【0040】
ローラコンベアは、例えばスパーギアモータによって駆動される。ギア付きモータは、動力をマスタチェーンへ伝達し、それはさらに、動力を例えば2つの出力チェーンへ伝達する。出力チェーンは、例えば、3又は4列のアイドラを駆動するチェーンである。アイドラは接線方向に駆動される。
【0041】
別の実施形態において、複数の区域の駆動部は、マスタチェーンによって駆動される。
【0042】
図3中に図示されるように、アイドラ1はその端部にプラグ14を設けられ、それらはローラキャリア15内に回転可能に設置されている。駆動側で、スプロケットホイール16が、プラグ14の各々の上のローラキャリア15の正面に位置する。エンドレスチェーン3が、それが同時により多い数のレベルのローラ1を駆動するようにこれらのスプロケットホイール16上に誘導される。この目的のために、チェーン3は、チェーン3が例えば、平板17及びそれに固定された誘導レールによって支持されるように関連スプロケット16を介して誘導される。
【国際調査報告】