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特表2024-534954導波路式アイウェアディスプレイにおける液晶アイボックス誘導
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】導波路式アイウェアディスプレイにおける液晶アイボックス誘導
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20240918BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20240918BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20240918BHJP
   G02F 1/1347 20060101ALI20240918BHJP
   G02C 11/00 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02B27/02 Z
G02F1/1343
G02F1/1347
G02C11/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515125
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 US2022042694
(87)【国際公開番号】W WO2023038928
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/241,642
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カクマクシ,オザン
(72)【発明者】
【氏名】ボディヤ,ティモシー・ポール
【テーマコード(参考)】
2H006
2H088
2H092
2H189
2H199
【Fターム(参考)】
2H006CA00
2H088EA45
2H088EA47
2H088GA02
2H088HA02
2H088MA20
2H092GA03
2H092GA13
2H092HA03
2H092NA25
2H092RA10
2H189AA22
2H189HA16
2H189LA03
2H189MA15
2H199CA02
2H199CA06
2H199CA12
2H199CA27
2H199CA29
2H199CA30
2H199CA34
2H199CA42
2H199CA44
2H199CA53
2H199CA66
2H199CA67
2H199CA68
2H199CA92
2H199CA94
(57)【要約】
本明細書における開示は、ウェアラブル頭部装着型ディスプレイのためのアイボックスエキスパンダを提示する。アイボックスエキスパンダは、第1の液晶層と、第1の液晶層に関連した配向を変化させるために第1の液晶層に電圧を印加するための電極配列と、第1の液晶層に関連した配向の変化に基づき、アイボックスエキスパンダを通過する光を方向転換するための補償層と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェアラブル頭部装着型ディスプレイ(WHMD)のためのアイボックスエキスパンダであって、
第1の液晶層と、
前記第1の液晶層に関連した配向を変化させるために前記第1の液晶層に第1の電圧を印加するための電極配列と、
前記第1の液晶層に関連した前記配向の前記変化に基づき、前記アイボックスエキスパンダを通過する光を方向転換するための補償層と、を備える、アイボックスエキスパンダ。
【請求項2】
前記電極配列は、パターン付けされた電極を含む、請求項1に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項3】
前記パターン付けされた電極は、第1の電極と第2の電極との間に配置されている、請求項2に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項4】
前記第1の液晶層は、前記パターン付けされた電極と前記第2の電極との間に配置されている、請求項3に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項5】
前記第2の電極は、前記第1の液晶層から光を受け取り、前記第1の液晶層に関連した前記配向の前記変化に基づき、前記WHMDに関連したアイボックスに向かって光を送信する、請求項3または請求項4に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項6】
前記パターン付けされた電極は、開口を形成するように配置された複数の電極セクションを含む、請求項2~請求項5のいずれか1項に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項7】
前記電極配列は、前記パターン付けされた電極の前記複数の電極セクションを横断して前記第1の電圧を複数の電圧として印加する、請求項6に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項8】
前記電極配列は、前記第2の電極と前記パターン付けされた電極との間に前記第1の電圧を印加するように構成されている、請求項3~請求項6のいずれか1項に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項9】
前記補償層は、前記第1の電極と前記パターン付けされた電極との間に配置されている、請求項3~請求項8のいずれか1項に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項10】
前記補償層は、第2の液晶層である、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項11】
前記電極配列は、前記第1の液晶層に印加された前記第1の電圧に基づき、前記第2の液晶層に第2の電圧を印加するように構成されている、請求項10に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項12】
前記第1の液晶層に関連した前記配向の前記変化は、前記WHMDのアイボックスに関連した条件に基づく、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項13】
前記アイボックスに関連した前記条件は、前記WMHDのユーザの瞳孔間距離のばらつき、前記WHMDと前記ユーザとの間のアイレリーフのばらつき、または前記ユーザの目の動きのうちの少なくとも1つに基づく、請求項12に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項14】
前記WHMDの外から前記アイボックスエキスパンダに入力される光と、前記アイボックスエキスパンダからユーザの方向に出力される光とは、所定の差のマージン内の同じ角度を有する、請求項1~請求項13のいずれか1項に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項15】
ウェアラブル頭部装着型ディスプレイ(WHMD)のためのレンズであって、
第1の基板と、
第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間のアイボックスエキスパンダと、を備え、
前記アイボックスエキスパンダは、
第1の液晶層と、
前記第1の液晶層に関連した配向を変化させるために前記第1の液晶層に電圧を印加するための電極配列と、
前記第1の液晶層に関連した前記配向の前記変化に基づき、前記アイボックスエキスパンダを通過する光を方向転換するための補償層と、を含む、レンズ。
【請求項16】
インカプラと、射出瞳エキスパンダと、アウトカプラとを含む導波路をさらに備え、前記導波路は、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置されている、請求項15に記載のレンズ。
【請求項17】
前記アイボックスエキスパンダは、前記インカプラ、前記射出瞳エキスパンダおよび前記アウトカプラの各々に一体化されているかまたは各々の上に部分的に配置されている、請求項16に記載のレンズ。
【請求項18】
ウェアラブル頭部装着型ディスプレイ(WHMD)のアイボックスにおいて光線を誘導する方法であって、前記方法は、
第1の液晶層に第1の電圧を印加し、前記第1の液晶層に関連した配向を変化させ、前記WHMDのアイボックスにおいて光線を誘導することと、
第2の液晶層に第2の電圧を印加し、前記第1の液晶層に関連した前記配向の前記変化に基づき、前記WHMDのレンズを通過する光を方向転換することと、を含む、方法。
【請求項19】
第1の電極、パターン付けされた電極および第2の電極を含む電極配列を介して前記第1の液晶層に前記第1の電圧を一連のセグメント化された電圧で印加することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の液晶層は、前記パターン付けされた電極と前記第2の電極との間に配置されており、前記第2の液晶層は、前記第1の電極と前記パターン付けされた電極との間に配置されており、前記第1の液晶層は、前記第2の液晶層よりも前記WHMDのユーザの方向により近く配置されている、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
ユーザの広い集団のための満足できる体験を提供するために、ウェアラブル頭部装着型ディスプレイ(WHMD)装置に関連したアイボックスは、ユーザ頭部形状のばらつきに対応するために十分に大きくなければならない。例えば、WHMDの設計は、一般的集団における目の間の距離(瞳孔間距離またはIPDと呼ばれる)、頭部幅、耳頂点、および鼻の幅の、異なる潜在的ユーザの中での違いを考慮する必要がある。一般的に、WHMDのアイボックスの幅は、これらの異なる頭部形状に対応するために少なくとも約10mmのオーダにあり、IPD分布自体は、例えば、平均IPDの約2つの標準偏差内の±8mmの範囲にあることができる。従来の導波路式WHMDは、一般的に、異なるユーザ頭部サイズに対応するためにWHMDの導波路のアウトカプラ格子をサイズ決めすることによりこのような分布を考慮する。例えば、より広い範囲のユーザ頭部形状に対応するために、より大きなアウトカプラサイズが使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
しかしながら、広い範囲のユーザ頭部形状のために1つのアウトカプラサイズを有することにより、製造の課題およびコスト増大に加え、ユーザにアウトカップルされる投影された光における効率および色均一性が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
本開示は、ウェアラブル頭部装着型ディスプレイ(WHMD)のためのアイボックスエキスパンダの実施形態を説明する。
【0004】
1つの例示的な実施形態では、WHMDのためのアイボックスエキスパンダは、第1の液晶層と、第1の液晶層に関連した配向を変化させるために第1の液晶層に電圧を印加するための電極配列と、第1の液晶層に関連した配向の変化に基づき、アイボックスエキスパンダを通過する光を方向転換するための補償層と、を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、アイボックスエキスパンダは、電極配列が、パターン付けされた電極を含むことを含む。いくつかの実施形態では、パターン付けされた電極は、第1の電極と第2の電極との間に配置されている。いくつかの実施形態では、第1の液晶層は、パターン付けされた電極と第2の電極との間に配置されている。いくつかの実施形態では、第2の電極は、第1の液晶層から光を受け取り、第1の液晶層に関連した配向の変化に基づき、WHMDに関連したアイボックスに向かって光を送信する。いくつかの実施形態では、パターン付けされた電極は、開口を形成するように配置された複数の電極セクションを含む。いくつかの実施形態では、電極配列は、パターン付けされた電極の複数の電極セクションを横断して第1の電圧を複数の電圧として印加する。いくつかの実施形態では、電極配列は、第2の電極とパターン付けされた電極との間に第1の電圧を印加するように構成されている。いくつかの実施形態では、補償層は、第1の電極とパターン付けされた電極との間に配置されている。いくつかの実施形態では、補償層は、第2の液晶層である。いくつかの実施形態では、電極配列は、第1の液晶層に印加された第1の電圧に基づき、第2の液晶層に第2の電圧を印加するように構成されている。いくつかの実施形態では、第1の液晶層に関連した配向の変化は、WHMDのアイボックスに関連した条件に基づく。例えば、アイボックスに関連した条件は、WHMDのユーザの瞳孔間距離のばらつき、WHMDとユーザとの間のアイレリーフのばらつき、またはユーザの目の動きのうちの少なくとも1つに基づく。いくつかの実施形態では、WHMDの外からアイボックスエキスパンダに入力される光(例えば、周囲光)と、アイボックスエキスパンダからユーザの方向に出力される光とは、所定の差のマージン内の同じ角度を有する。
【0006】
別の例示的な実施形態では、WHMDのためのレンズは、第1の基板と、第2の基板と、第1の基板と第2の基板との間のアイボックスエキスパンダとを含む。アイボックスエキスパンダは、第1の液晶層と、第1の液晶層に関連した配向を変化させるために第1の液晶層に電圧を印加するための電極配列と、第1の液晶層に関連した配向の変化に基づき、アイボックスエキスパンダを通過する光を方向転換するための補償層と、を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、WHMDのためのレンズは、インカプラと、射出瞳エキスパンダと、アウトカプラとを含む導波路を含み、導波路は、第1の基板と第2の基板との間に配置されている。例えば、アイボックスエキスパンダは、インカプラ、射出瞳エキスパンダおよびアウトカプラの各々に一体化されているかまたは各々の上に部分的に配置されている。
【0008】
別の例示的な実施形態は、ウェアラブル頭部装着型ディスプレイ(WHMD)のアイボックスにおいて光線を誘導する方法を説明する。方法は、第1の液晶層に第1の電圧を印加し、第1の液晶層に関連した配向を変化させ、WHMDのアイボックスにおいて光線を誘導することと、第2の液晶層に第2の電圧を印加し、第1の液晶層に関連した配向の変化に基づき、WHMDのレンズを通過する光を方向転換することと、を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の電極、パターン付けされた電極および第2の電極を含む電極配列を介して第1の液晶層に第1の電圧を一連のセグメント化された電圧で印加することをさらに含む。いくつかの実施形態では、第1の液晶層は、パターン付けされた電極と第2の電極との間に配置されており、第2の液晶層は、第1の電極とパターン付けされた電極との間に配置されており、第1の液晶層は、第2の液晶層よりもWHMDのユーザの方向により近く配置されている。
【0010】
添付の図面を参照することにより、本開示がより理解され、多数の特徴および利点が当業者に明らかになり得る。異なる図面における同じ参照符号の使用は、類似または同一のアイテムを指す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】いくつかの実施形態による、ユーザの目に向かって画像を投影するように構成された投影システムを収容する支持構造を有する例示的なディスプレイシステムを示す図である。
図2】いくつかの実施形態による、図1のディスプレイシステムなどのディスプレイシステムを介してユーザの目に画像を表す光を投影する投影システムのブロック図の一例を示す図である。
図3】いくつかの実施形態による、アイボックスエキスパンダを備えるWHMDの一例を示す図である。
図4】いくつかの実施形態による、液晶ビーム誘導のためのアイボックス考察を実証する図の一例を示す図である。
図5】いくつかの実施形態による、アイボックスエキスパンダを示す概略図の一例を示す図である。
図6】いくつかの実施形態による、アイボックスエキスパンダの電極配列におけるパターン付けされた電極の一例を示す図である。
図7】いくつかの実施形態による、導波路に一体化されたアイボックスエキスパンダのワールドサイド図および斜視図の例を示す図である。
図8】いくつかの実施形態による、現実世界からのシースルー光に対する補償層の補償効果の一例を示す図である。
図9】いくつかの実施形態による、WHMDのアイボックスへ光線を誘導するためのアイボックスエキスパンダのための方法を示すフローチャートである。
図10】いくつかの実施形態による、第1の液晶層および/または補償層にそれぞれ印加するための第1の電圧および/または第2の電圧を決定するためのアイボックスエキスパンダのための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
拡張現実(AR)用途のためのWHMD設計において、課題は、異なるユーザ頭部形状の広いばらつきに対応するようにアイボックスをサイズ決めし、ユーザの視点からの現実世界の光景のひずみを最小限にしながら投影された画像をユーザへ有効に案内するように光学シースルーディスプレイを設計することを含む。図1図10は、光線を目標位置、例えば、ユーザの瞳孔へ誘導することによるWHMDにおけるアイボックス拡張のための技術を示す。加えて、図1図10は、光線をさらに誘導するための液晶層の使用によるなど、アイボックス拡張による現実世界のシースルー光景に対するひずみ効果を弱めるための技術を示す。したがって、本明細書に説明された技術は、現実世界の光景のひずみを最小限にしながら、改善された投影画像品質を提供するWHMD装置を提供し、これにより、全体的なユーザ体験を改善する。
【0013】
例示するために、WHMDのレンズエレメントは、アイボックスエキスパンダを含む。アイボックスエキスパンダは、第1の複数の結晶を有する第1の液晶層を含む。アイボックスエキスパンダは、WHMDのアイボックスに関連した条件に基づき、第1の液晶層に関連した配向を変化させるために第1の液晶層に第1の電圧を印加するための電極配列をさらに含む。例えば、これは、第1の複数の液晶の配向を変化させることを含む。いくつかの実施形態では、印加された電圧は、第1の複数の結晶の配向を変化させ、WHMDの光源において発生された光線を誘導する。いくつかの実施形態では、アイボックスに関連した条件は、WHMDのユーザの検出された瞳孔位置に対応する目標位置である。したがって、第1の複数の液晶の配向の変化は、第1の液晶層の電気的に調節可能な特性に基づき光線を目標位置へ誘導する。いくつかの場合、第1の複数の結晶の配向の変化は、WHMDのレンズを通過する現実世界からのシースルー光(入射光または周囲光とも呼ばれる)をひずませる可能性がある。このひずみ効果を弱めるために、アイボックスエキスパンダは、補償層も含む。補償層は、例えば、第2の複数の液晶を有する第2の液晶層を含む。いくつかの実施形態では、電極配列は、第1の液晶層に印加された第1の電圧に基づき、第2の液晶層に第2の電圧を印加し、これは、アイボックスエキスパンダを通過する現実世界からの光に対するひずみ効果を弱めるように第2の複数の結晶を変化させる。このように、アイボックスエキスパンダは、光線を目標位置へ誘導し、光線の誘導に起因する現実世界からの光に対するひずみ効果を弱める。その結果、より高い投影画像品質および現実世界の光景のより現実的な描写が得られ、これにより、複数レベルにおける全体的なユーザ体験を改善する。
【0014】
図1図10は、液晶層を利用するアイボックス誘導のための例示的なアイボックスエキスパンダおよび対応する技術の実施形態を示し、これにより、異なるユーザ頭部形状に適合するようにアウトカプラ格子のサイズを変化または増大させる必要なく、WHMDのための拡張可能なアイボックスを提供する。しかしながら、本開示の装置および技術は、この特定のディスプレイシステムにおける実施に限定されず、その代わりに、本明細書に提供されたガイドラインを使用して様々なディスプレイシステムのうちのいずれかにおいて実施され得ることが認められるであろう。
【0015】
図1は、アーム104を含む支持構造102を有する例示的なディスプレイシステム100を示し、アーム104は、ユーザの目に向かって画像を投影するように構成された投影システムを収容しており、これにより、ユーザは、レンズエレメント108、110のうちの一方または両方におけるディスプレイの視野(FOV)に表示されるものとして、投影された画像を認識する。示された実施形態において、ディスプレイシステム100は、ユーザの頭部に装着されるように構成された支持構造102を含みかつ眼鏡(例えば、サングラス)フレームの全体的形状および外観を有するWHMDである。レンズエレメント108、110を含む支持構造102は、レーザプロジェクタ、光学スキャナ、導波路、およびアイボックスエキスパンダなどの、使用者の目に向かってこのような画像の投影を容易にするための様々な構成要素を包含するまたはさもなければ含む。いくつかの実施形態では、支持構造102は、1つまたは複数の前面カメラ、後面カメラ、その他の光センサ、運動センサ、加速度計などの、様々なセンサをさらに含む。いくつかの実施形態では、支持構造102は、Bluetooth(商標)インターフェース、WiFiインターフェースなどの、1つまたは複数の無線周波数(RF)インターフェースまたはその他のインターフェースをさらに含む。さらに、いくつかの実施形態では、支持構造102は、ディスプレイシステム100の電気部品に電力を供給するための1つまたは複数の電池またはその他のポータブル電源をさらに含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム100のこれらの構成要素のうちのいくつかまたは全ては、支持構造102の領域112におけるアーム104内など、支持構造102の内部容積内に完全にまたは部分的に収容されている。例示的なフォームファクタが示されているが、その他の実施形態では、ディスプレイシステム100は、図1に示された眼鏡フレームとは異なる形状および外観を有し得ることが認められるであろうことに留意すべきである。
【0016】
レンズエレメント108、110のうちの一方または両方は、拡張現実(AR)ディスプレイを提供するためにディスプレイシステム100によって使用され、拡張現実ディスプレイでは、レンダリングされたグラフィックコンテンツが、レンズエレメント108、110を通してユーザによって認識された現実世界の光景上に重ね合わされるまたはさもなければ現実世界の形式に関連して提供され得る。例えば、認識可能な画像または一連の画像を形成するために使用される投影される光線は、対応するレンズエレメントにおいて少なくとも部分的に形成された導波路、1つまたは複数のスキャンミラー、1つまたは複数の光リレー、およびアイボックスエキスパンダなどの、一連の光学素子を介してユーザの目にディスプレイシステム100のレーザプロジェクタによって投影されてよい。したがって、レンズエレメント108、110のうちの一方または両方は、導波路のインカプラによって受け取られたディスプレイ光を導波路のアウトカプラへ送る導波路の少なくとも一部を含み、導波路のアウトカプラは、ディスプレイ光をディスプレイシステム100のユーザの目に向かって出力する。ディスプレイ光は、ユーザがディスプレイ光を画像として認識するように、ユーザの目に向かって変調およびスキャンされる。加えて、レンズエレメント108、110の各々は、ユーザがレンズエレメントを通して見ることができるように十分に透明であるため、ユーザの現実世界環境の視野を提供し、これにより、画像は、現実世界環境の少なくとも一部の上に重ね合わされて見える。いくつかの実施形態では、レンズエレメント108、110は、プロジェクタからの投影された光線を目標位置、例えば、ユーザの瞳孔へ方向転換するためのアイボックスエキスパンダを含む。さらに、いくつかの実施形態では、アイボックスエキスパンダは、本明細書でさらに説明されるように、投影された光線の方向転換に起因する現実世界の光景のひずみ効果を弱めるように構成されている。
【0017】
いくつかの実施形態では、プロジェクタは、デジタルライトプロセッシング式プロジェクタ、スキャニングレーザプロジェクタ、あるいはレーザまたは1つもしくは複数のLEDなどの変調性光源と、1つまたは複数のダイナミックスキャナまたはデジタルライトプロセッサなどのダイナミックリフレクタメカニズムとのあらゆる組合せである。いくつかの実施形態では、プロジェクタは、多数のレーザダイオード(例えば、赤色レーザダイオード、緑色レーザダイオードおよび/または青色レーザダイオード)および少なくとも1つのスキャンミラー(例えば、微小電気機械システム(MEMS)式または圧電式であってよい2つの一次元スキャンミラー)を含む。プロジェクタは、制御装置と、制御装置によって実行されると制御装置にプロジェクタの動作を制御させるプロセッサ実行可能命令およびその他のデータを記憶する非一時的プロセッサ可読記憶媒体またはメモリとに通信可能に結合されている。いくつかの実施形態では、制御装置は、プロジェクタのためのスキャンエリアサイズおよびスキャンエリア位置を制御し、ディスプレイシステム100に表示されるコンテンツを生成するプロセッサ(図示せず)に通信可能に結合されている。プロジェクタは、ディスプレイシステム100の可変エリア、指定されたFOVエリア106上で光をスキャンする。スキャンエリアサイズは、FOVエリア106のサイズに対応し、スキャンエリア位置は、FOVエリア106がユーザに見えるレンズエレメント108、110のうちの一方の領域に対応する。一般的に、広い角度範囲にわたる光のアウトカップリングに対応するためにディスプレイが広いFOVを有することが望ましい。本明細書では、ディスプレイを見ることができる異なるユーザの目の位置の範囲が、ディスプレイのアイボックスと呼ばれる。
【0018】
いくつかの実施形態では、プロジェクタは、第1および第2のスキャンミラー、第1および第2のスキャンミラーの間に配置された光リレー、および第2のスキャンミラーの出力部に配置された導波路を介して光を導く。いくつかの実施形態では、導波路のアウトカプラの少なくとも一部は、FOVエリア106に重なっていてよい。
【0019】
図2は、レーザ光を介して画像をユーザの目に直接投影する投影システム200の簡略されたブロック図を示す。投影システム200は、光学エンジン202、光学スキャナ204および導波路205を含む。示したように、光学スキャナ204は、第1のスキャンミラー206、第2のスキャンミラー208および光リレー210を含む。導波路205は、インカプラ212およびアウトカプラ214を含み、アウトカプラ214は、この例ではユーザの目216と光学的に整列させられている。いくつかの実施形態では、投影システム200は、図1のディスプレイシステム100などの、WHMDまたはその他のディスプレイにおいて実施される。
【0020】
いくつかの実施形態では、光学エンジン202は、レーザ光218(例えば、赤色、青色および緑色のレーザ光などの可視レーザ光および/または赤外レーザ光などの非可視レーザ光)を生成および出力するように構成された1つまたは複数のレーザ光源を含む。いくつかの実施形態では、光学エンジン202は、ドライバまたはその他の制御装置(図示せず)に結合されており、このドライバまたは制御装置は、ユーザの目216の網膜へ出力されたときに画像として認識されるようにレーザ光218を変調するために、制御装置またはドライバに結合されたコンピュータプロセッサから制御装置またはドライバによって受信された命令に従って光学エンジン202のレーザ光源からのレーザ光の放出のタイミングを制御する。
【0021】
例えば、投影システム200の動作中、それぞれ異なる波長を有する多数のレーザ光線が、光学エンジン202のレーザ光源によって出力され、次いで、ユーザの目216に向けられる前に、ビーム結合器(図示せず)を介して結合される。光学エンジン202は、結合されたレーザ光が画像の一連の画素を反映するようにレーザ光線のそれぞれの強度を変調し、あらゆる所与の時点における各々のレーザ光線の特定の強度が、その時点に結合されたレーザ光によって表される画素における対応する色内容および輝度の量に寄与する。
【0022】
光学スキャナ204のスキャンミラー206および208のうちの一方または両方は、いくつかの実施形態では、MEMSミラーである。例えば、スキャンミラー206およびスキャンミラー208は、レーザ投影システム200の能動的動作中に振動するようにそれぞれの作動電圧によって駆動されるMEMSミラーであり、スキャンミラー206および208にレーザ光218をスキャンさせる。スキャンミラー206の振動により、光学エンジン202によって出力されたレーザ光218が光リレー210を通過しかつ第2のスキャンミラー208の表面を横切ってスキャンされる。第2のスキャンミラー208は、スキャンミラー206から受け取られたレーザ光218を導波路205のインカプラ212に向かってスキャンする。いくつかの実施形態では、スキャンミラー206は第1のスキャニング軸線219に沿って振動し、これにより、レーザ光218は、第2のスキャンミラー208の表面を横切って一次元でのみ(即ち、一列に)スキャンされる。いくつかの実施形態では、スキャンミラー208は、第2のスキャニング軸線221に沿って振動またはさもなければ回転する。いくつかの実施形態では、第1のスキャニング軸線219は、第2のスキャニング軸線221に対して垂直である。
【0023】
いくつかの実施形態では、インカプラ212は、実質的に矩形の輪郭を有し、レーザ光218を受け取り、レーザ光218を導波路205内へ向けるように構成されている。インカプラ212は、より小さな寸法(即ち、幅)およびより大きな直交寸法(即ち、長さ)によって画定される。一実施形態では、光リレー210は、第1のスキャンミラー206によって第1の寸法においてスキャンされたレーザ光218を受け取り(例えば、第1の寸法はインカプラ212の小さな寸法に対応する)、レーザ光218を第2のスキャンミラー208へ送り、第2のスキャンミラー208を越えて射出瞳へ第1の寸法においてレーザ光218に収束を取り入れるライン-スキャン光リレーである。ここで、光学系における「射出瞳」は、光線が交差する光路に沿った位置を意味する。例えば、第1のスキャンミラー206による反射に続く、レーザ光218の可能な光路は、最初は第1のスキャニング軸線に沿って広がるが、後にこれらの経路は、光リレー210によって取り入れられた収束により第2のスキャンミラー208を越えて射出瞳において交差する。例えば、所与の射出瞳の幅(即ち、最も小さい寸法)は、その射出瞳に対応するレーザ光の直径にほぼ対応する。したがって、射出瞳は、「仮想開口」と考えることができる。様々な実施形態によれば、光リレー210は、第2のスキャンミラー208においてレーザ光218を成形および収束させる1つまたは複数のコリメーションレンズを含むか、または第2のスキャンミラー208へレーザ光218を成形しかつ向ける2つ以上の球面、非球面、放物線および/または自由形状レンズを含む成形反射リレーを含む。第2のスキャンミラー208は、レーザ光218を受け取り、第2の寸法においてレーザ光218をスキャンし、第2の寸法は、導波路205のインカプラ212の長い寸法に対応する。いくつかの実施形態では、第2のスキャンミラー208により、レーザ光218の射出瞳は第2の寸法に沿った線に沿ってスイープされる。いくつかの実施形態では、インカプラ212は、第2のスキャンミラー208の下流のスイープされる線またはその近くに位置決めされ、これにより、第2のスキャンミラー208は、レーザ光218をインカプラ212上で線または列としてスキャンする。
【0024】
いくつかの実施形態では、光学エンジン202は、端面発光レーザ(EEL)を含み、端面発光レーザ(EEL)は、実質的に楕円形の、非円形断面を有するレーザ光218を放出し、光リレー210は、その軌道長半径または軌道短半径に沿ってレーザ光218を拡大または最小化し、第2のスキャンミラー208におけるレーザ光218の収束の前にレーザ光218を円形にする。いくつかのこのような実施形態では、スキャンミラー206のミラープレートの表面は、楕円形でかつ非円形である(例えば、レーザ光218の断面積に形状およびサイズが類似する)。その他のこのような実施形態では、スキャンミラー206のミラープレートの表面は円形である。
【0025】
レーザ投影システム200の導波路205は、インカプラ212およびアウトカプラ214を含む。本明細書において使用されるように、「導波路」という用語は、光をインカプラ(インカプラ212など)からアウトカプラ(アウトカプラ214など)へ伝送するために、全反射(TIR)、特殊フィルタおよび/または反射面のうちの1つまたは複数を使用する結合器を意味すると理解される。いくつかのディスプレイ用途において、光はコリメートされた画像であり、導波路は、コリメートされた画像を目に伝送し、複製する。一般的に、「インカプラ」および「アウトカプラ」という用語は、回折格子、ホログラム、ホログラフィック光学素子(例えば、1つまたは複数のホログラムを使用する光学素子)、容量回折格子、容量ホログラム、表面レリーフ回折格子、および/または表面レリーフホログラムを含むが、これらに限定されない、あらゆるタイプの光学格子構造を意味すると理解される。いくつかの実施形態では、所与のインカプラまたはアウトカプラは、インカプラまたはアウトカプラに光を送信させかつ設計された光学機能を伝送中に光に適用させる透過型格子(例えば、透過型回折格子または透過型ホログラフィック格子)として構成される。いくつかの実施形態では、所与のインカプラまたはアウトカプラは、インカプラまたはアウトカプラに光を反射させかつ設計された光学機能を反射中に光に適用させる反射型格子(例えば、反射型回折格子または反射型ホログラフィック格子)である。この例では、インカプラ212において受け取られたレーザ光218は、TIRを使用する導波路205を介してアウトカプラ214へリレーされる。次いで、レーザ光218は、アウトカプラ214を介してユーザの目216へ出力される。上記で説明されているように、いくつかの実施形態では、導波路205は、眼鏡フォームファクタを有しかつレーザ投影システム200を採用するディスプレイシステムのレンズ108またはレンズ110(図1)などの、眼鏡レンズの一部として実施される。
【0026】
図2の例には示されていないが、いくつかの実施形態では、追加的な光学部品が、光学エンジン202とスキャンミラー206との間、スキャンミラー206と光リレー210との間、光リレー210とスキャンミラー208との間、スキャンミラー208とインカプラ212との間、インカプラ212とアウトカプラ214との間、および/またはアウトカプラ214と目216との間(例えば、ユーザの目216によって見るためにレーザ光を成形するために)の光路のうちのいずれかに含まれている。いくつかの実施形態では、光をスキャンミラー208からインカプラ212へ誘導するためにプリズムが使用され、これにより、光は適切な角度でインカプラ212に結合され、TIRによる導波路205における光の伝播を促進する。また、いくつかの実施形態では、フォールド格子などの射出瞳エキスパンダ(EPE)が、インカプラ212とアウトカプラ214との間の中間段階に配置されており、これにより、インカプラ212によって導波路205内に結合された光を受け取り、光を拡張し、光をアウトカプラ214に向かって方向転換し、次いで、アウトカプラ214は、導波路205からのレーザ光を(例えば、ユーザの目216に向かって)結合する。
【0027】
いくつかの実施形態では、投影システム200は、少なくとも部分的に導波路205に重なるまたは導波路205内に統合されたアイボックスエキスパンダ(図示せず)も含む。例えば、アイボックスエキスパンダは、第1の液晶層と、電極配列と、インカプラ212、アウトカプラ214、および導波路205のEPEの各々に少なくとも部分的に重なる補償層とを含む。アイボックスエキスパンダは、投影システム200によって生成された光線を、ユーザの目216などの目標位置へ誘導する。さらに、アイボックスエキスパンダは、導波路205を通過する現実世界からの光線を、ユーザの目216などの目標位置へ誘導する。
【0028】
図3は、図2において上記で説明された投影システム200などの投影システムを含むWHMD300の一部を示す。いくつかの実施形態では、WHMD300は、図1のディスプレイシステム100を表す。光学エンジン202、光学スキャナ204、インカプラ212、および導波路205の一部は、この例では、WHMD300のアーム302に含まれている。
【0029】
WHMD300は、第1の基板306と、第2の基板308と、導波路205とを含む光学結合器レンズ304を含み、導波路205は、第1の基板306と第2の基板308との間に配置されている。アウトカプラ214を通じて出てくる投影された光318は、第2の基板308(例えば、ディスプレイシステム100のレンズエレメント100に対応する)を通過する。使用時、第2の基板308から出てくる投影された光318は、WHMD300を装着するユーザの目216の瞳孔に入り、光学エンジン202によって出力されたレーザ光によって伝達される表示される画像をユーザに認識させる。光学結合器レンズ304は、実質的に透明であるため、WHMD300の周囲の環境に対応する現実世界シーンからの光320(入射光または周囲光とも呼ばれる)が、第1の基板306と、第2の基板308と、導波路205を通過して、ユーザの目216まで届く。このように、投影システム200によって出力される画像またはその他のグラフィカルコンテンツは、ユーザにAP体験を提供するために、ユーザの目216へ投影されるときにユーザの環境の現実世界画像と組み合わされる(例えば、重ね合わされる)。
【0030】
いくつかの実施形態では、アイボックスエキスパンダ330(以下でさらに詳細に説明される)は、導波路205と少なくとも部分的に重なっているまたは導波路205に統合されている。例えば、一般的に、アイボックスエキスパンダ330は、光学結合器レンズ304の第1の基板306と第2の基板308との間に配置されている。アイボックスエキスパンダ330は、第1の液晶層を含み、この第1の液晶層は、オンデマンドで、例えば、ユーザの目216の瞳孔の検出された位置に基づいて、WHMD300に対応するアイボックスへ光線を誘導するために第1の印加された電圧に基づいて「プリズム状の」相を実現する。第1の印加された電圧は、言い換えれば、第1の液晶層における第1の複数の液晶の配向を変化させ、配向の変化は、光線を目標位置へ誘導する。いくつかの実施形態では、アイボックスエキスパンダ330は、さらに、補償層を含み、補償層は、第1の液晶層における第1の複数の液晶の配向の変化によって生じた現実世界シーンからの光320に対するひずみ効果を弱める。例えば、補償層は、第2の液晶層に配置された第2の複数の液晶の配向を変化させるために第2の電圧が印加される第2の液晶層である。したがって、アイボックスエキスパンダ330は、第1の液晶層および補償層にそれぞれ第1および第2の電圧を印加するための電極配列をさらに含む。
【0031】
図4は、液晶ビーム誘導のためのアイボックス考慮を実証する図400の一例を示す。いくつかの実施形態では、投影システム402は、前の図面に示されたWHMDの投影システム200に対応する。2つのアイボックス404が示されており、各アイボックスは、投影システム402がユーザに画像を表示することができる体積に対応する。加えて、2つの例示的な瞳孔位置406が示されている。
【0032】
図400に示されているように、投影システム402は、光を、例えばアウトカプラから、放射円錐の形式でアイボックス404へ投影する。一般的に言えば、アイボックスは、ディスプレイコンテンツが比較的小さい量のひずみまたはその他の視覚的アーチファクトで観察され得るディスプレイの前方における体積である。例えば、アイボックスの外側で、ディスプレイコンテンツはゆがめられる場合があるか、または色が不正確に表示される場合がある。分かりやすくするために二次元ボックスとして示されているが、アイボックスは、投影システム402に対する距離が増大するにつれて薄くなる円錐型三次元体積として説明することもできる。いくつかの実施形態では、放射円錐のエタンデュは、例えば、10mm瞳孔および10×10度フィールドに一致させられる。さらに、いくつかの実施形態では、例えば、±15度の範囲の誘導角度で、投影システム402の連続的な数の誘導状態が存在する。アイレリーフ412(投影システム402から瞳孔位置402までの距離)およびIPD距離414も図400に示されている。したがって、WHMDディスプレイのためのアイボックス404は、アイレリーフ412、IPD距離414、その他のユーザ頭部形状変数(例えば、耳頂点、鼻幅)、および投影システム402におけるアウトカプラの面積を含む、多数の変数の関数として規定され得る。
【0033】
本明細書において説明された技術は、前の図面に示されたものなどのWHMDの投影システムが、WHMDに関連したアイボックスのサイズを拡張させるように光線を誘導し、それにより、WHMDがユーザのより広い範囲に画像を有効に表示することができるようにする。したがって、より広いアイボックス範囲に光を表示するように画像をアウトカップルするために、より小さなアウトカプラサイズを使用することができ、これにより、製造コストを減じながら、広いユーザベースのための増大した効率および色均一性を可能にする。
【0034】
図5は、いくつかの実施形態によるアイボックスエキスパンダ500の概略図の断面図を示す。いくつかの実施形態では、アイボックスエキスパンダ500は、図3のアイボックスエキスパンダ330に対応する。図5に示されているように、正のz方向は、ユーザの目216に対応するアイボックスの方向を指す。
【0035】
いくつかの実施形態では、アイボックスエキスパンダ500は、第1の液晶層502および補償層504を含む。第1の液晶層502は、第1の複数の液晶を含む。例えば、第1の複数の液晶は、ネマチック液晶の第1のセットである。補償層504は、いくつかの実施形態では、第2の複数の液晶、例えば、ネマチック液晶の第2のセットを含む第2の液晶層である。いくつかの実施形態では、第1の複数の液晶における液晶は、第2の複数の液晶におけるものと同じタイプのものである。その他の実施形態では、液晶のタイプは異なる。いくつかの実施形態では、第1の液晶層502および補償層504の各々は、少なくとも部分的に光学的に透明であり、光線を通過させる。
【0036】
いくつかの実施形態では、アイボックスエキスパンダ500は、第1の電極512、パターン付けされた電極514および第2の電極516を含む電極配列510を含む。電極配列510における電極の各々は、光を通過させるために少なくとも部分的に光学的に透明な材料から形成されている。加えて、電極配列510における電極の各々は、第1の電圧を第1の液晶層504に印加するおよび/または第2の電圧を補償層504に印加するために少なくとも部分的に導電性の材料から形成されている。例えば、いくつかの実施形態では、電極配列における第1の電極512、パターン付けされた電極514および第2の電極516の各々は、透明な伝導性酸化物膜などの少なくとも部分的に光学的に透明な金属酸化物からなる。
【0037】
図5に示されているように、第1の液晶層502は、いくつかの実施形態では、パターン付けされた電極514と第2の電極516との間に配置されている。補償層504は、いくつかの実施形態では、第1の電極512とパターン付けされた電極514との間に配置されている。
【0038】
いくつかの実施形態では、電極配列510は、制御装置560に結合されている。制御装置560は、電極配列510における異なる電極を横断して電圧を制御するように構成されている。例えば、第1の電源532が、パターン付けされた電極514と第2の電極516との間に配置されている。いくつかの実施形態では、第2の電源534が、第1の電極512と第2の電極516との間に配置されている。制御装置560は、第1の液晶502および/または補償層504に印加される電圧をそれぞれ変化させるために、第1の電源532および第2の電源534のうちの一方または両方を制御するように構成されている。このように、制御装置560は、光がそれぞれの層を通過する形式に影響するようにそれぞれの構造を変化させるために、第1の液晶層502および補償層504の各々に印加される電圧を制御する。例えば、第1の電圧が第1の電源532を介して印加され、第1の液晶層502における第1の複数の結晶の配向を変化させ、光線、例えば、出力光554を、ユーザの目216の検出された瞳孔などの目標位置へ向ける。第1の電圧に基づき、制御装置560は、いくつかの実施形態では、第2の電圧を第2の電源534を介して補償層504に印加し、補償層504の構造を変化させ、補償層504を通過する光を方向転換するようにさらに構成されている。例えば、補償層504が第2の液晶層である場合、これは、第2の液晶層における結晶の配向を変化させることを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、第2の電圧は、制御装置560によって印加される第1の電圧に依存する。例えば、第1の電圧は、アイボックスエキスパンダ500に対応するアイボックスに関連した条件に基づく。この条件は、例えば、ユーザの目216の瞳孔の検出された位置である。制御装置506は、いくつかの実施形態では、処理回路を含み、この処理回路は、異なる位置のためのエントリを有するルックアップテーブル(LUT)および異なる位置の各々に対応する第1の電圧を記憶したメモリを含むまたはメモリに通信可能に結合されている。例えば、異なる位置は、ユーザの目216の検出された瞳孔の位置に対応する(x,y)座標を含む。したがって、LUTは、アイボックスエキスパンダ500に関連したアイボックス内の瞳孔の位置の異なる可能性のためのエントリを記憶している。LUTにおける各々の位置エントリは、光線をそれぞれの位置へ向けるために第1の液晶層502における第1の複数の液晶の配向を変化させるための対応する第1の電圧を含む。いくつかの実施形態では、LUTは、第1の電圧に依存する第2の電圧のための情報も含む。例えば、第1の電圧がゼロである場合、第2の電圧もゼロであってよい。第1の電圧が第1の電圧値である場合、第2の電圧は、第1の電圧値とは異なる第2の電圧値であってよい。いくつかの実施形態では、第2の電圧は、アイボックスエキスパンダ500(図9においてさらに詳細に説明される)を通過する光に対する第1の液晶層502の効果を弱めるように補償層504の構造を変化させるための第1の電圧に基づく所定の量である。例示的なLUTが以下に表1に示されている。いくつかの実施形態では、エントリの数は、アイボックスエキスパンダ500に対応するアイボックスにおける広範囲な可能な目標位置をカバーする完全なカバー範囲をアイボックスエキスパンダ500に提供するように拡張可能である。
【0040】
【表1】
【0041】
いくつかの実施形態では、アイボックスエキスパンダ500は、ユーザの目216の瞳孔などの目標位置へ光線を誘導するための以下の技術を実施する。第1に、目標位置が決定される。例えば、目標位置は、WHMD、例えば、WHMD300におけるアイトラッキングハードウェアおよび/またはソフトウェアを利用して決定される。目標位置は、次いで、制御装置560に送られ、制御装置560は、表1において上に示されたものなどのLUTから目標位置座標を調べる。検出された目標位置と最も良く相互に関連するLUTにおける目標位置座標のセットに基づき、第1の電圧が、対応するLUTエントリから回収される。この第1の電圧は、第1の電源532を介して第1の液晶層502に印加され、第1の液晶層502における第1の複数の液晶の配向を変化させる。次に、対応する第2の電圧が、LUTから回収される。第2の電圧は、第2の電源534を介して補償層504に印加され、例えば、補償層504における液晶の配向を変化させることにより、補償層504の構造を変化させる。
【0042】
したがって、入射(または周囲)光552がアイボックスエキスパンダ500に進入すると、光552は、第1の電極512を通過し、第2の電源534によって補償層504に印加される第2の電圧に基づいて補償層504によって方向転換され、パターン付けされた電極514を通過し、次いで、最後に第2の電極516を通ってアイボックスエキスパンダ500から出る前に、第1の電源532によって印加された第1の電圧に基づいて第1の液晶層502によって目標位置の方向へ方向転換される。
【0043】
いくつかの実施形態では、電極配列510によって第1の液晶層502に印加される第1の電圧は、パターン付けされた電極514によって印加される複数の電圧を含む。複数の電圧を第1の液晶層502に印加することにより、第1の複数の液晶は配向を変化させ、これにより、第1の液晶層502を通過する光を変調し、光を出力光554の波面に変換する。言い換えれば、出力光554は、変調され、電気的に調節可能な収束特性およびビーム誘導特性を示す。
【0044】
図6は、パターン付けされた電極514のワードサイド図を示す。示されているように、パターン付けされた電極514は、中央に開口604を形成した複数の幾何学的セグメント602(明確にするために1つが示されている)を含み、複数の異なる幾何学的セグメント602の各々に個々に電圧を印加することができる。開口604のサイズは、例えば、直径が約5mm~20mmの範囲、例えば、約10mmである。この例において、パターン付けされた電極514は、円形の開口604を形成する4つの幾何学的セグメント602を含む。しかしながら、図4に示された4つの幾何学的セグメント602は例示的な構成であり、幾何学的セグメント602のためのその他の量(例えば、5つ以上)およびその他の形状が同様に考えられる。複数の幾何学的セグメント602を介して第1の液晶層に電圧(例えば、V~V)を印加することにより、パターン付けされた電極514は、第1の液晶層における複数の第1の液晶の配向を変化させ、出力光線を有効に誘導する。したがって、パターン付けされた電極514を含むアイボックスエキスパンダは、ユーザの検出された瞳に対応する位置などの目標位置へビームを誘導することによりアイボックスを拡張させることができる。
【0045】
図7は、いくつかの実施形態による一体化されたアイボックスエキスパンダを備える導波路702の第1の図700および第2の図750を示す。第1の図700は、ワールドサイド図に対応し、第2の図750は、ユーザの目752の部分図を備える斜視図に対応する。
【0046】
いくつかの実施形態では、アイボックスエキスパンダは、3つの格子のセット、即ちインカプラ(IC)714、射出瞳エキスパンダ(EPE)712、およびアウトカプラ(OC)710とともに導波路702に完全に一体化されている。これらの3つの格子の配向および期間は、光子Kベクトルが合計でゼロになるように設計されている。図8に示されているように導波路全体を横断するアイボックスエキスパンダを適用することは、WHMDのレンズを通過する現実世界からの入射(または周囲)光に均一性を提供し、これにより、より正確な現実世界の光景を提供し、全体的なユーザ体験を高める。
【0047】
図8は、いくつかの実施形態による現実世界の光景からのシースルー光に対する補償効果を実証するアイボックスエキスパンダ800の概略的な平面図を示す。いくつかの実施形態では、アイボックスエキスパンダ800は、図3におけるアイボックスエキスパンダ300、図5におけるアイボックスエキスパンダ500および/または図7に関して説明された一体化されたアイボックスエキスパンダに対応する。明確さおよびこの説明のために、第1の液晶層802および補償層804が、下記の説明においてフィーチャされるが、いくつかの実施形態では、アイボックスエキスパンダは、図5において説明された電極配列などのその他の構成要素を含むことが認められる。
【0048】
いくつかの実施形態では、第1の液晶層802は、第1の複数の結晶802a(明確さのために1つが示されている)を含み、補償層804は、第2の複数の結晶804a(明確さのための1つが示されている)を含む。第1の液晶層802における複数の結晶802aの配向は、電極配列(図示せず)を介した第1の電圧(V1)822の印加によって変化させられる。第1の液晶層802への第1の電圧(V1)822の印加に基づき、電極配列は、第2の電圧(V2)824を補償層804に加え、第2の複数の結晶804aの配向を変化させる。このように、アイボックスエキスパンダは、アイボックスエキスパンダを通過する光に対するひずみ効果を改善しながら、ユーザの検出された瞳などの目標位置830へ光線を誘導することができる。
【0049】
例示するために、入力ビーム810は、アイボックスエキスパンダ800によって受け取られる外部現実世界の光景からの光線を表す。入力ビーム810はまず、第2の複数の液晶804aを含む補償層804を通過する。補償層804を通過するとき、入力光線810は、光線812に対応する方向へ誘導される。次いで、この光線は、第1の複数の液晶802aを含むダイ1の液晶層802に衝突する。第1の液晶層802を通過するとき、光線812は、光線814に対応する方向へ方向転換される。第1の液晶層802から出るとき、光線は、出力光線820に対応する方向へ方向転換される。このように、補償層804は、出力光線820の角度および入力光線810の角度が、アイボックスエキスパンダ800が補償層804を含まない場合と比較して、同じであるかまたは所定の差のマージン内にあることを保証する。この差のマージンは、例えば、現実世界の光景から生じるシースルー光に対するアイボックスエキスパンダ800の効果がユーザにとって明らかでないような許容できる差のマージンである。例えば、入力光線810と出力光線820との間のこの許容できる差のマージンは、約0.33ジオプターである。
【0050】
したがって、補償層804は、第1の液晶層802における第1の複数の結晶802aの変化に基づき、第2の複数の液晶804aの配向を変化させることによって第1の液晶層802がシースルー光に対して有するその後の効果を弱める。例えば、アイボックスエキスパンダは、第1の液晶層802に印加される第1の電圧(V1)822に基づき、補償層804に第2の電圧(V2)824を印加する。したがって、入力ビーム810および出力ビーム820は実質的に同じ角度(即ち、同じ方向におけるポイント)を有するため、現実世界のより正確な描写がユーザへ提供され、これにより、全体的なユーザ体験を改善する。
【0051】
図9は、アイボックスエキスパンダを収容するWHMDのアイボックスにおいて光線を誘導するためのアイボックスエキスパンダのための方法を詳述するフローチャート900を示す。902において、方法は、アイボックスエキスパンダの第1の液晶層に第1の電圧を印加し、第1の液晶層に関連した配向を変化させ、WHMDのアイボックスにおいて光線を誘導することを含む。例えば、第1の液晶層に関連した変化は、第1の液晶層における第1の複数の結晶の配向を変化させることを含む。1004において、方法は、第1の液晶層に関連した配向の変化に基づき、アイボックスエキスパンダの第2の液晶層に第2の電圧を印加し、アイボックスエキスパンダを通過する光を方向転換することを含む。
【0052】
例えば、WHMDにおけるアイボックスエキスパンダは、ユーザの目の瞳孔が第1の位置から第2の位置へ移動したことを決定することに応答してステップ902を行う。アイボックスエキスパンダは、電極配列を介して第1の液晶層に電圧を印加し、第1の液晶層内の液晶の配向を変化させ、光を第1の位置から第2の位置へ誘導する。したがって、WHMDは、ユーザの目の動きおよび/または回転に基づき調整された画像を表示する。加えて、アイボックスエキスパンダは、ステップ902における第1の複数の結晶の配向の変化に基づき、ステップ904を行い、アイボックスエキスパンダを通過する光(例えば、WHMDの外の現実世界の光景から生じる光)を方向転換する。
【0053】
図10は、第1の液晶層および/または補償層にそれぞれ印加するための第1の電圧および/または第2の電圧を決定するためのアイボックスエキスパンダのための方法を詳述するフローチャート1000を示す。1002において、方法は、目標位置を特定することを含む。目標位置は、例えば、アイボックスエキスパンダが光線をそこへ向けて動的に誘導する検出された瞳孔位置に対応する。いくつかの実施形態では、目標位置は、WHMDにおけるアイトラッキングハードウェアおよび/またはソフトウェアを利用して検出される。いくつかの実施形態では、目標位置は、アイボックスエキスパンダとは別個の構成要素(例えば、アイトラッキングフィーチャがWHMDの別個の処理構成要素の一部である場合)によって検出され、次いで、アイボックスエキスパンダへ通信される。1004において、方法は、特定された目標位置に対応する目標位置座標を調べる。例えば、目標位置座標の複数のエントリを記憶したLUTテーブルが利用され、特定された目標位置に最も近い目標位置座標を有するエントリが使用される。いくつかの実施形態では、特定された目標位置のためのデータを線形に補間するために、2つの目標位置座標が使用される。1006において、方法は、第1の電圧および/または第2の電圧を回収することを含む。例えば、第1の電圧および/または第2の電圧は、1004からのそれぞれの目標位置座標に対応するエントリにおいてLUTから回収される。第1の電圧は、第1の液晶層に印加される電圧であり、第2の電圧は、第1の液晶層に印加される第1の電圧に基づいて補償層に印加される電圧である。1008において、方法は、図5における電極配列510などの電極配列を介して第1の液晶層および/または補償層に第1の電圧または第2の電圧の一方または両方を印加することを含む。いくつかの実施形態では、第1の電圧および/または第2の電圧がゼロである場合、これは、第1の液晶層および/または補償層に印加されるあらゆる電圧を除去することを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、上記で説明された技術のある態様は、ソフトウェアを実行する処理システムの1つまたは複数のプロセッサによって実施されてよい。ソフトウェアは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶またはさもなければ有形的に具体化された実行可能な命令の1つまたは複数のセットを含む。ソフトウェアは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、上記で説明された技術の1つまたは複数の態様を実行するように1つまたは複数のプロセッサを操作する、命令およびデータを含むことができる。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気または光学ディスク記憶装置、ソリッドステート記憶装置、例えば、フラッシュメモリ、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM)または1つもしくは複数のその他の不揮発性メモリ装置などを含むことができる。非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶された実行可能な命令は、ソースコード、アセンブリ言語コード、オブジェクトコード、または1つもしくは複数のプロセッサによって解釈されるもしくはさもなければ実行可能なその他の命令フォーマットであってよい。
【0055】
コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータシステムに命令および/またはデータを提供するために使用中にコンピュータシステムによってアクセス可能な、あらゆる記憶媒体、または記憶媒体の組合せを含んでよい。このような記憶媒体は、光媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、ブルーレイディスク)、磁気媒体(例えば、フロッピーディスク、磁気テープ、または磁気ハードドライブ)、揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)またはキャッシュ)、不揮発性メモリ(読み出し専用メモリ(ROM)またはフラッシュメモリ)、または微小電気機械システム(MEMS)方式記憶媒体を含むことができるが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピューティングシステム(例えば、システムRAMまたはROM)に埋め込まれるか、コンピューティングシステム(例えば、磁気ハードドライブ)に固定して取り付けられるか、コンピューティングシステム(例えば、光ディスクまたはユニバーサルシリアルバス(USB)式フラッシュメモリ)に取外し可能に取り付けられるか、有線または無線ネットワーク(例えば、ネットワークアクセシブルストレージ(NAS))を介してコンピュータシステムに結合されてよい。
【0056】
概要において上記で説明された動作または要素の全てが必要とされるわけではなく、特定の動作または装置の一部は必要とされない場合があり、説明されたものに加えて、1つまたは複数のさらなる動作が行われても、または要素が含まれてもよいことに留意されたい。さらに、動作が列挙された順序は、必ずしもそれらが実行される順序ではない。また、概念は、特定の実施形態を参照して説明されている。しかしながら、当業者は、添付の特許請求の範囲に示される本開示の範囲から逸脱することなく様々な修正および変更をなすことができることを認める。したがって、明細書および図面は、制限的な意味ではなく例示的な意味で見なされるべきであり、全てのこのような修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【0057】
利益、その他の利点、および問題に対する解決手段は、特定の実施形態に関して上記で説明されている。しかしながら、利益、利点、問題に対する解決手段、あらゆる利益、および利点または解決手段を生じさせ得るまたはより顕著なものにし得るあらゆる特徴は、あらゆるまたは全ての請求項の決定的な、必要な、または必須の特徴として解釈されるべきではない。さらに、上記に開示された特定の実施形態は、例示的でしかない。なぜならば、開示された主題は、本明細書における教示の利益を有する当業者に明らかな、異なるが同等の形式で、修正および実施され得るからである。添付の特許請求の範囲に記載されているもの以外は、本明細書に示された構造または設計の詳細に対する限定は意図されていない。したがって、上記で開示された特定の実施形態は変更または修正されてよく、全てのこのような変化態様は、開示された主題の範囲内であると考えられることが明白である。したがって、本明細書において求められる保護は、添付の特許請求の範囲に示されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェアラブル頭部装着型ディスプレイ(WHMD)のためのアイボックスエキスパンダであって、
第1の液晶層と、
前記第1の液晶層に関連した配向を変化させるために前記第1の液晶層に第1の電圧を印加するための電極配列と、
前記第1の液晶層に関連した前記配向の前記変化に基づき、前記アイボックスエキスパンダを通過する光を方向転換するための補償層と、を備える、アイボックスエキスパンダ。
【請求項2】
前記電極配列は、パターン付けされた電極を含む、請求項1に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項3】
前記電極配列は、第1の電極と第2の電極とを含み、
前記パターン付けされた電極は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置されている、請求項2に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項4】
前記第1の液晶層は、前記パターン付けされた電極と前記第2の電極との間に配置されている、請求項3に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項5】
前記第2の電極は、前記第1の液晶層から光を受け取り、前記第1の液晶層に関連した前記配向の前記変化に基づき、前記WHMDに関連したアイボックスに向かって光を送信する、請求項3に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項6】
前記パターン付けされた電極は、開口を形成するように配置された複数の電極セクションを含む、請求項2に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項7】
前記電極配列は、前記パターン付けされた電極の前記複数の電極セクションを横断して前記第1の電圧を複数の電圧として印加する、請求項6に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項8】
前記電極配列は、前記第2の電極と前記パターン付けされた電極との間に前記第1の電圧を印加するように構成されている、請求項3に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項9】
前記補償層は、前記第1の電極と前記パターン付けされた電極との間に配置されている、請求項3に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項10】
前記補償層は、第2の液晶層である、請求項1に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項11】
前記電極配列は、前記第1の液晶層に印加された前記第1の電圧に基づき、前記第2の液晶層に第2の電圧を印加するように構成されている、請求項10に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項12】
前記第1の液晶層に関連した前記配向の前記変化は、前記WHMDのアイボックスに関連した条件に基づく、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項13】
前記アイボックスに関連した前記条件は、前記WHMDのユーザの瞳孔間距離のばらつき、前記WHMDと前記ユーザとの間のアイレリーフのばらつき、または前記ユーザの目の動きのうちの少なくとも1つに基づく、請求項12に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項14】
前記WHMDの外から前記アイボックスエキスパンダに入力される光と、前記アイボックスエキスパンダからユーザの方向に出力される光とは、所定の差のマージン内の同じ角度を有する、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のアイボックスエキスパンダ。
【請求項15】
ウェアラブル頭部装着型ディスプレイ(WHMD)のためのレンズであって、
第1の基板と、
第2の基板と、
前記第1の基板と前記第2の基板との間のアイボックスエキスパンダと、を備え、
前記アイボックスエキスパンダは、
第1の液晶層と、
前記第1の液晶層に関連した配向を変化させるために前記第1の液晶層に電圧を印加するための電極配列と、
前記第1の液晶層に関連した前記配向の前記変化に基づき、前記アイボックスエキスパンダを通過する光を方向転換するための補償層と、を含む、レンズ。
【請求項16】
インカプラと、射出瞳エキスパンダと、アウトカプラとを含む導波路をさらに備え、前記導波路は、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置されている、請求項15に記載のレンズ。
【請求項17】
前記アイボックスエキスパンダは、前記インカプラ、前記射出瞳エキスパンダおよび前記アウトカプラの各々に一体化されているかまたは各々の上に部分的に配置されている、請求項16に記載のレンズ。
【請求項18】
ウェアラブル頭部装着型ディスプレイ(WHMD)のアイボックスにおいて光線を誘導する方法であって、前記方法は、
第1の液晶層に第1の電圧を印加し、前記第1の液晶層に関連した配向を変化させ、前記WHMDのアイボックスにおいて光線を誘導することと、
第2の液晶層に第2の電圧を印加し、前記第1の液晶層に関連した前記配向の前記変化に基づき、前記WHMDのレンズを通過する光を方向転換することと、を含む、方法。
【請求項19】
第1の電極、パターン付けされた電極および第2の電極を含む電極配列を介して前記第1の液晶層に前記第1の電圧を一連のセグメント化された電圧で印加することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の液晶層は、前記パターン付けされた電極と前記第2の電極との間に配置されており、前記第2の液晶層は、前記第1の電極と前記パターン付けされた電極との間に配置されており、前記第1の液晶層は、前記第2の液晶層よりも前記WHMDのユーザの方向により近く配置されている、請求項19に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
いくつかの実施形態では、第2の電圧は、制御装置560によって印加される第1の電圧に依存する。例えば、第1の電圧は、アイボックスエキスパンダ500に対応するアイボックスに関連した条件に基づく。この条件は、例えば、ユーザの目216の瞳孔の検出された位置である。制御装置560は、いくつかの実施形態では、処理回路を含み、この処理回路は、異なる位置のためのエントリを有するルックアップテーブル(LUT)および異なる位置の各々に対応する第1の電圧を記憶したメモリを含むまたはメモリに通信可能に結合されている。例えば、異なる位置は、ユーザの目216の検出された瞳孔の位置に対応する(x,y)座標を含む。したがって、LUTは、アイボックスエキスパンダ500に関連したアイボックス内の瞳孔の位置の異なる可能性のためのエントリを記憶している。LUTにおける各々の位置エントリは、光線をそれぞれの位置へ向けるために第1の液晶層502における第1の複数の液晶の配向を変化させるための対応する第1の電圧を含む。いくつかの実施形態では、LUTは、第1の電圧に依存する第2の電圧のための情報も含む。例えば、第1の電圧がゼロである場合、第2の電圧もゼロであってよい。第1の電圧が第1の電圧値である場合、第2の電圧は、第1の電圧値とは異なる第2の電圧値であってよい。いくつかの実施形態では、第2の電圧は、アイボックスエキスパンダ500(図9においてさらに詳細に説明される)を通過する光に対する第1の液晶層502の効果を弱めるように補償層504の構造を変化させるための第1の電圧に基づく所定の量である。例示的なLUTが以下に表1に示されている。いくつかの実施形態では、エントリの数は、アイボックスエキスパンダ500に対応するアイボックスにおける広範囲な可能な目標位置をカバーする完全なカバー範囲をアイボックスエキスパンダ500に提供するように拡張可能である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
図9は、アイボックスエキスパンダを収容するWHMDのアイボックスにおいて光線を誘導するためのアイボックスエキスパンダのための方法を詳述するフローチャート900を示す。902において、方法は、アイボックスエキスパンダの第1の液晶層に第1の電圧を印加し、第1の液晶層に関連した配向を変化させ、WHMDのアイボックスにおいて光線を誘導することを含む。例えば、第1の液晶層に関連した変化は、第1の液晶層における第1の複数の結晶の配向を変化させることを含む。904において、方法は、第1の液晶層に関連した配向の変化に基づき、アイボックスエキスパンダの第2の液晶層に第2の電圧を印加し、アイボックスエキスパンダを通過する光を方向転換することを含む。
【国際調査報告】