(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】テトラフルオロプロペン、テトラフルオロエタン及びペンタフルオロプロペンを含有する組成物、並びにその使用
(51)【国際特許分類】
C09K 5/04 20060101AFI20240918BHJP
C10M 107/34 20060101ALI20240918BHJP
C10M 105/38 20060101ALI20240918BHJP
C10M 107/24 20060101ALI20240918BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240918BHJP
C10N 40/30 20060101ALN20240918BHJP
【FI】
C09K5/04 F
C09K5/04 E
C10M107/34
C10M105/38
C10M107/24
F25B1/00 396Z
C10N40:30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515417
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 US2022042675
(87)【国際公開番号】W WO2023038913
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515269383
【氏名又は名称】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア ヒューズ
(72)【発明者】
【氏名】ルーク デイビッド シモーニ
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BA04A
4H104BA07A
4H104BB34A
4H104BB41A
4H104CB02A
4H104CB14A
4H104DA02A
4H104PA20
(57)【要約】
HFO-1225yeE、HFO-1234zeE、及び任意選択的にHFC-134から本質的になる冷媒を含む冷却及び加熱のための組成物が本明細書に開示される。これらの組成物は、冷却及び加熱のための方法において、冷却及び加熱のためのシステムにおいて、並びにHFO-1234zeE、R-515A又はR-515Bを代替するための方法において有用である。本発明の組成物は、HFO-1234zeEの性能に匹敵し得る不燃性の低GWPの冷媒を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約10~98重量パーセントのHFO-1225yeE、約1~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約1~27重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む、組成物。
【請求項2】
前記冷媒が、約23~98重量パーセントのHFO-1225yeE、約1~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約1~13重量パーセントのHFC-134を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記冷媒が、約33~98重量パーセントのHFO-1225yeE、約1~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約1~4重量パーセントのHFC-134を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記冷媒が、約10~78重量パーセントのHFO-1225yeE、約11~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約11~27重量パーセントのHFC-134を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記冷媒が、約23~78重量パーセントのHFO-1225yeE、約11~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約11~13重量パーセントのHFC-134を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記冷媒が、約23~59重量パーセントのHFO-1225yeE、約30~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約11~13重量パーセントのHFC-134を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記冷媒が、約23~59重量パーセントのHFO-1225yeE、約12~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約12~13重量パーセントのHFC-134を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記冷媒が、約23~39重量パーセントのHFO-1225yeE、約50~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約11~13重量パーセントのHFC-134を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記冷媒が、約23~39重量パーセントのHFO-1225yeE、約12~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約12~13重量パーセントのHFC-134を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
約30重量パーセントのHFO-1225yeE、約58重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約12重量パーセントのHFC-134から本質的になる冷媒を含む、組成物。
【請求項11】
約26重量パーセントのHFO-1225yeE、約62重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約12重量パーセントのHFC-134から本質的になる冷媒を含む、組成物。
【請求項12】
36重量パーセント以上のHFO-1225yeE及び64重量パーセント以下のHFO-1234zeEから本質的になる冷媒を含む、組成物。
【請求項13】
前記冷媒が、36~39重量パーセントのHFO-1225yeE及び61~64重量パーセントのHFO-1234zeE、又は36~40重量パーセントのHFO-1225yeE及び60~64重量パーセントのHFO-1234zeEから本質的になる、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記冷媒が、ASTM E681によって不燃性である、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記冷媒が、300未満、好ましくは150未満のGWPを有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
0.25K以下、好ましくは0.15K以下、より好ましくは0.1K以下の平均温度勾配を提供する、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
同じ動作条件下でHFO-1234zeEの10%以内、好ましくは8%以内、より好ましくは5%以内の体積冷却能力を提供する、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも1つの潤滑剤を更に含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記潤滑剤が、ポリアルキレングリコール、ポリオールエステル、及びポリビニルエーテル、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
少なくとも1つの安定剤を更に含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記安定剤が、ニトロメタン、アスコルビン酸、テレフタル酸、アゾール、フェノール化合物、環状モノテルペン、テルペン、ホスファイト、ホスフェート、ホスホネート、チオール、ラクトン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記安定剤が、トルトリアゾール、ベンゾトリアゾール、トコフェロール、ヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、2,6-ジ-ter-ブチル-4-メチルフェノール、フッ素化エポキシド、n-ブチルグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、d-リモネン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、α-ピネン、β-ピネン、ブチル化ヒドロキシトルエン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
少なくとも1つのトレーサーを更に含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記トレーサーが、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロカーボン、ヒドロクロロオレフィン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロクロロカーボン、ヒドロクロロオレフィン、クロロフルオロカーボン、クロロフルオロオレフィン、炭化水素、ペルフルオロカーボン、ペルフルオロオレフィン、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記トレーサーが、HFC-23、HCFC-31、HFC-41、HFC-161、HFC-152a、HFC-143a、HFC-125、HFC-227ca、HFC-227ea、HFC-236fa、HFC-236cb、HFC-236ea、HFC-245cb、HFC-245fa、HFC-245eb、HFC-254eb、HFC-263fb、HFC-272ca、HFC-281ea、HFC-281fa、HFC-329p、HFC-329mmz、HFC338mf、HFC-338pcc、CFC-12、CFC-11、CFC-114、CFC-114a、HCFC-22、HCFC-123、HCFC-124、HCFC-124a、HCFC-141b、HCFC-142b、HCFC-151a、HCFC-244bb、HCC-40、HFO-1141、HCFO-1130、HCFO-1130a、HCFO-1131、HCFO-1122、HFO-1123、HFO-1234ye、HFO-1243zf、HFO-1225yeZ、HFO-1225zc、PFC-116、PFC-C216、PFC-218、PFC-C318、PFC-1216、PFC-31-10mc、PFC-31-10my、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項23又は24に記載の組成物。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物を含有する冷媒用の貯蔵容器であって、前記冷媒が、気相及び液相を含む、冷媒用の貯蔵容器。
【請求項27】
冷却を生じさせるためのプロセスであって、冷却される物体の近傍で請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物を蒸発させ、その後、前記組成物を凝縮させることを含む、プロセス。
【請求項28】
加熱を生じさせるためのプロセスであって、加熱される物体の近傍で請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物を凝縮させ、その後、前記組成物を蒸発させることを含む、プロセス。
【請求項29】
冷却のためのシステムであって、蒸発器、圧縮機、凝縮器、及び膨張装置を含み、前記システムが、請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物を含有する、システム。
【請求項30】
チラーである、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
直接膨張又は満液式蒸発チラーである、請求項29又は30に記載のシステム。
【請求項32】
前記圧縮機が、遠心、スクリュー、スクロール、又は往復動圧縮機から選択される、請求項29、30、又は31に記載のシステム。
【請求項33】
前記システムが、遠心圧縮機を含む、請求項29、30、又は31に記載のシステム。
【請求項34】
前記システムが、スクリュー圧縮機を含む、請求項29、30、又は31に記載のシステム。
【請求項35】
前記システムが、スクロール圧縮機を含む、請求項29、30、又は31に記載のシステム。
【請求項36】
加熱のためのシステムであって、蒸発器、圧縮機、凝縮器、及び膨張装置を含み、前記システムが、請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物を含有する、システム。
【請求項37】
ヒートポンプである、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
高温ヒートポンプである、請求項36又は37に記載のシステム。
【請求項39】
水加熱ヒートポンプである、請求項36、37、又は38に記載のシステム。
【請求項40】
前記システムが、遠心圧縮機を含む、請求項36、37、又は38に記載のシステム。
【請求項41】
前記システムが、スクリュー圧縮機を含む、請求項36、37、又は38に記載のシステム。
【請求項42】
前記システムが、スクロール圧縮機を含む、請求項36、37、又は38に記載のシステム。
【請求項43】
冷却又は加熱のためのシステムにおいてHFO-1234zeEを代替する方法であって、請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物を前記システムに提供することを含む、方法。
【請求項44】
冷却又は加熱のための前記システムが、チラーである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
冷却又は加熱のための前記システムが、ヒートポンプである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
冷却又は加熱のための前記システムが、水加熱ヒートポンプである、請求項43、44、又は45に記載の方法。
【請求項47】
冷却又は加熱のための前記システムが、高温ヒートポンプである、請求項43、44、又は45に記載の方法。
【請求項48】
冷却又は加熱のためのシステムにおいてHFO-1234zeE又はR-515A又はR-515Bを代替する方法であって、請求項1~25のいずれか一項に記載の組成物を前記システムに提供することを含み、前記システムが、遠心圧縮機を含む、方法。
【請求項49】
前記組成物が、HFO-1234zeE又はR-515A又はR-515Bの先端速度の5%以内、又は好ましくは2%以内の先端速度を提供する、請求項48に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒組成物並びに当該組成物を使用する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
冷媒業界は、モントリオール議定書の結果として、段階的に廃止されるオゾン層破壊性のクロロフルオロカーボン(chlorofluorocarbon、CFC)及びヒドロクロロフルオロカーボン(hydrochlorofluorocarbon、HCFC)の代替冷媒を見出すことに取り組んできた。ヒドロフルオロカーボン(Hydrofluorocarbon、HFC)は、過去数十年にわたってこの目的に役立ってきた。現在、地球温暖化係数(global warming potential、GWP)に関する新たな規制のために、HFCも代替を必要としている。
【0003】
ヒドロフルオロオレフィン1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234zeE)は、低いGWPを有し、現在、チラー及び他の中圧用途において使用されている。しかし、HFO-1234zeEは、American Society of Heating,Refrigerating,and Air-Conditioning Engineers(米国加熱、冷蔵及び空調工学会)(ASHRAE)によって2L可燃性冷媒として分類される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、これらの同じ用途のための不燃性(クラス1)冷媒が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、HFO-1225yeE、HFO-1234zeE、及び任意選択的にHFC-134から本質的になる冷媒を含む組成物を提供する。これらの組成物は、驚くべきことに、HFO-1234zeE単独の冷却能力及びCOPに匹敵し得る不燃性の低GWP冷媒を提供することが見出された。
【0006】
本発明は、以下の態様及び実施形態を含む。
本発明の一態様では、組成物は、約10~98重量パーセントのHFO-1225yeE、約1~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約1~27重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む。本発明の別の態様では、組成物は、約23~98重量パーセントのHFO-1225yeE、約1~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約1~13重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む。本発明の別の態様では、組成物は、約33~98重量パーセントのHFO-1225yeE、約1~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約1~4重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む。本発明の別の態様では、組成物は、約10~78重量パーセントのHFO-1225yeE、約11~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約11~27重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む。本発明の別の態様では、組成物は、約23~78重量パーセントのHFO-1225yeE、約11~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約11~13重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む。本発明の別の態様では、組成物は、約10~78重量パーセントのHFO-1225yeE、約11~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約11~27重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む。本発明の別の態様では、組成物は、約23~59重量パーセントのHFO-1225yeE、約30~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約11~13重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む。本発明の別の態様では、組成物は、約23~59重量パーセントのHFO-1225yeE、約12~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約12~13重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む。本発明の別の態様では、組成物は、約23~39重量パーセントのHFO-1225yeE、約50~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約11~13重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む。本発明の別の態様では、組成物は、約23~39重量パーセントのHFO-1225yeE、約12~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約12~13重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む。本発明の別の態様では、組成物は、約30重量パーセントのHFO-1225yeE、約58重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約12重量パーセントのHFC-134から本質的になる冷媒を含む。本発明の別の態様では、組成物は、約26重量パーセントのHFO-1225yeE、約62重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約12重量パーセントのHFC-134から本質的になる冷媒を含む。
【0007】
本発明の別の態様では、組成物は、36重量パーセント以上のHFO-1225yeE及び64重量パーセント以下のHFO-1234zeEから本質的になる冷媒を含む。本発明の別の態様では、組成物は、36~39重量パーセントのHFO-1225yeE及び61~64重量パーセントのHFO-1234zeEから本質的になる冷媒を含む。
【0008】
前述の実施形態のいずれかによれば、組成物は、約36~40重量パーセントのHFO-1225yeE及び約60~64重量パーセントのHFO-1234zeEから本質的になる冷媒を含む。
【0009】
前述の実施形態のいずれかによれば、HFO-1234zeE及びHFO-1225yeEを含有する組成物は、60重量パーセント以下のHFO-1234zeE及び40重量パーセント以上のHFO-1225yeEを有するASHRAE規格34に従って不燃性であるクラス1としてASHRAEによって分類される。
【0010】
前述の実施形態のいずれかによれば、ASTM E681によって不燃性である冷媒を含む組成物も本明細書に開示される。
【0011】
前述の実施形態のいずれかによれば、300未満、好ましくは150未満のGWPを有する冷媒を含む組成物も本明細書に開示される。
【0012】
前述の実施形態のいずれかによれば、0.25K以下、好ましくは0.15K以下、より好ましくは0.1K以下の平均温度勾配を有する冷媒を含む組成物も本明細書に開示される。
【0013】
前述の実施形態のいずれかによれば、少なくとも1つの潤滑剤を更に含む組成物も本明細書に開示される。
【0014】
前述の実施形態のいずれかによれば、冷媒を含む組成物であって、当該潤滑剤が、ポリアルキレングリコール、ポリオールエステル、及びポリビニルエーテル、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される組成物も本明細書に開示される。
【0015】
前述の実施形態のいずれかによれば、0.1~200重量ppmの水を更に含む組成物も本明細書に開示される。
【0016】
前述の実施形態のいずれかによれば、約10体積ppm~約0.35体積パーセントの酸素を更に含む組成物も本明細書に開示される。
【0017】
前述の実施形態のいずれかによれば、約100体積ppm~約1.5体積パーセントの空気を更に含む組成物も本明細書に開示される。
【0018】
前述の実施形態のいずれかによれば、少なくとも1つの安定剤を更に含む冷媒を含む組成物も本明細書に開示される。
【0019】
前述の実施形態のいずれかによれば、冷媒を含む組成物であって、当該安定剤が、ニトロメタン、アスコルビン酸、テレフタル酸、アゾール、フェノール化合物、環状モノテルペン、テルペン、ホスファイト、ホスフェート、ホスホネート、チオール、ラクトン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される組成物も本明細書に開示される。
【0020】
前述の実施形態のいずれかによれば、冷媒を含む組成物であって、当該安定剤が、トルトリアゾール、ベンゾトリアゾール、トコフェロール、ヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、2,6-ジ-ter-ブチル-4-メチルフェノール、フッ素化エポキシド、n-ブチルグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、d-リモネン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、α-ピネン、β-ピネン、ブチル化ヒドロキシトルエン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される組成物も本明細書に開示される。
【0021】
前述の実施形態のいずれかによれば、少なくとも1つのトレーサーを更に含む冷媒を含む組成物も本明細書に開示される。
【0022】
前述の実施形態のいずれかによれば、冷媒を含む組成物であって、当該トレーサーが、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロカーボン、ヒドロクロロオレフィン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロクロロカーボン、ヒドロクロロオレフィン、クロロフルオロカーボン、クロロフルオロオレフィン、炭化水素、ペルフルオロカーボン、ペルフルオロオレフィン、及びこれらの組み合わせから選択される組成物も本明細書に開示される。
【0023】
前述の実施形態のいずれかによれば、冷媒を含む組成物であって、当該トレーサーが、HFC-23、HCFC-31、HFC-41、HFC-161、HFC-152a、HFC-143a、HFC-125、HFC-227ca、HFC-227ea、HFC-236fa、HFC-236cb、HFC-236ea、HFC-245cb、HFC-245fa、HFC-245eb、HFC-254eb、HFC-263fb、HFC-272ca、HFC-281ea、HFC-281fa、HFC-329p、HFC-329mmz、HFC338mf、HFC-338pcc、CFC-12、CFC-11、CFC-114、CFC-114a、HCFC-22、HCFC-123、HCFC-124、HCFC-124a、HCFC-141b、HCFC-142b、HCFC-151a、HCFC-244bb、HCC-40、HFO-1141、HCFO-1130、HCFO-1130a、HCFO-1131、HCFO-1122、HFO-1123、HFO-1234ye、HFO-1243zf、HFO-1225yeZ、HFO-1225zc、PFC-116、PFC-C216、PFC-218、PFC-C318、PFC-1216、PFC-31-10mc、PFC-31-10my、及びこれらの組み合わせから選択される組成物も本明細書に開示される。
【0024】
別の実施形態では、当該冷媒が気相及び液相を含む、前述の実施形態のいずれかによる組成物を含有する冷媒貯蔵容器が本明細書に開示される。
【0025】
別の実施形態では、冷却を生じさせるためのプロセスであって、冷却される物体の近傍で前述の実施形態のいずれかによる組成物を蒸発させ、その後、当該組成物を凝縮させることを含むプロセスが本明細書に開示される。
【0026】
いくつかの実施形態では、加熱を生じさせるためのプロセスであって、加熱される物体の近傍で前述の実施形態のいずれかによる組成物を凝縮させ、その後、当該組成物を蒸発させることを含むプロセスが本明細書に開示される。
【0027】
別の実施形態では、蒸発器、圧縮機、凝縮器、及び膨張装置を含む冷却のためのシステムであって、当該システムが、前述の実施形態のいずれかの組成物を含有する、システムが本明細書に開示される。
【0028】
別の実施形態では、冷却及び/又は加熱のためのシステムは、チラーである。別の実施形態では、冷却及び/又は加熱のためのシステムは、直接膨張又は満液式蒸発チラーである。別の実施形態では、冷却及び/又は加熱のためのシステムは、遠心、スクリュー、スクロール、又は往復動圧縮機から選択される圧縮機を含む。別の実施形態では、冷却及び/又は加熱のためのシステムは、遠心圧縮機を含む。別の実施形態では、冷却及び/又は加熱のためのシステムは、スクリュー圧縮機を含む。別の実施形態では、冷却及び/又は加熱のためのシステムは、スクロール圧縮機を含む。別の実施形態では、冷却及び/又は加熱のためのシステムは、往復動圧縮機を含む。
【0029】
別の実施形態では、蒸発器、圧縮機、凝縮器、及び膨張装置を含む加熱のためのシステムであって、当該システムが、前述の実施形態のいずれかによる組成物を含有する。別の実施形態では、冷却及び加熱のためのシステムは、ヒートポンプである。別の実施形態では、システムは、高温ヒートポンプである。別の実施形態では、システムは、水加熱ヒートポンプである。別の実施形態では、システムは、空気加熱ヒートポンプである。
【0030】
別の実施形態では、冷却又は加熱のためのシステムにおいてHFO-1234zeEを代替するための方法であって、前述の実施形態のいずれかの組成物をシステムに提供することを含む方法が本明細書に開示される。別の実施形態では、本方法は、チラーにおいてHFO-1234zeEを代替する。別の実施形態では、本方法は、ヒートポンプにおいてHFO-1234zeEを代替する。別の実施形態では、本方法は、水加熱ヒートポンプにおいてHFO-1234zeEを代替する。別の実施形態では、本方法は、空気加熱ヒートポンプにおいてHFO-1234zeEを代替する。別の実施形態では、本方法は、高温ヒートポンプにおいてHFO-1234zeを代替する。
【0031】
別の実施形態では、冷却又は加熱のためのシステムにおいてHFO-1234zeE又はR-515A又はR-515Bを代替するための方法であって、前述の実施形態のいずれかの組成物を当該システムに提供することを含み、システムが遠心圧縮機を含む方法が本明細書に開示される。
【0032】
別の実施形態では、冷却又は加熱のためのシステムにおいてHFO-1234zeE又はR-515A又はR-515Bを代替するための方法であって、前述の実施形態のいずれかの組成物を当該システムに提供することを含み、システムが、遠心圧縮機を含み、当該組成物が、HFO-1234zeE又はR-515A又はR-515Bの先端速度の5%以内、又は好ましくは2%以内の先端速度を提供する方法が本明細書に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】HFO-1225yeE、HFO-1234zeE、及びHFC-134を含有する組成物の可燃性境界を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
定義
本明細書で使用するとき、伝熱流体(伝熱媒体とも称される)という用語は、熱源からヒートシンクへ熱を運ぶために使用される組成物を意味する。
【0035】
熱源は、熱を加える、伝達する、移動させる又は除去することが望ましい任意の空間、場所、物又は物体として定義される。熱源の例としては、スーパーマーケットの冷蔵庫又は冷凍ケース、輸送用の冷蔵コンテナ、空調を必要とする建物空間、工業用水冷器又は空調を必要とする自動車の客室などの冷蔵又は冷却を必要とする空間(開放されているか又は囲われている)である。いくつかの実施形態では、伝熱組成物は、伝達プロセスを通して、一定の状態を維持していてもよい(すなわち、蒸発又は凝縮しない)。他の実施形態では、蒸気冷却プロセスにも伝熱組成物を用いてもよい。
【0036】
ヒートシンクは、熱を吸収することができる任意の空間、場所、物又は物体として定義される。蒸気圧縮冷却システムは、そのようなヒートシンクの一例である。
【0037】
冷媒は、液体から気体への相変化が行われ、熱の伝達に使用されるサイクル中に再び戻る伝熱流体として定義される。
【0038】
伝熱システムは、特定の空間において加熱又は冷却効果を生じるために使用されるシステム(又は装置)である。伝熱システムは、可搬式システム又は固定式システムであり得る。
【0039】
伝熱システムの例としては、これらに限定されないが、固定伝熱システム、エアコン、冷凍庫、冷蔵庫、ヒートポンプ、高温ヒートポンプ、水加熱ヒートポンプ、チラー、冷水機、満液式蒸発チラー、直接膨張式チラー、ウォークインクーラー、移動冷蔵庫、移動伝熱システム、移動空調ユニット、除湿器、及びこれらの組み合わせを含む、任意の型の冷却システム及び空調システムである。
【0040】
冷蔵能力(冷却能力とも称される)は、循環している冷媒1ポンド当たりの蒸発器内の冷媒のエンタルピーの変化、又は蒸発器から出る冷媒蒸気の単位体積(容積)当たりの蒸発器内の冷媒によって除去される熱、を定義する用語である。冷蔵能力は、冷媒又は伝熱組成物が、冷却を生じる能力の尺度である。したがって、この能力が高ければ高いほど、より高程度の冷却を生じる。冷却速度は、蒸発器内の冷媒によって除去される単位時間当たりの熱を指す。
【0041】
性能係数(Coefficient of performance、COP)は、除去された熱量を、そのサイクルを運転するのに必要であったエネルギー入力で割ったものである。COPが高ければ高いほど、エネルギー効率がより高いということである。COPは、内部温度と外部温度との特定の組み合わせでの冷却設備又は空調設備の効率評価であるエネルギー効率比(energy efficiency ratio、EER)と直接関連がある。
【0042】
用語「過冷却」は、所定の圧力で、その液体の飽和点を下回るまで液体の温度を低下させることを指す。飽和点とは蒸気が完全に液体に凝縮される温度であるが、過冷却では、液体を所与の圧力でより低い温度に冷却し続ける。飽和温度(又は沸点温度)を下回る温度まで液体を冷却することで、正味の冷蔵能力を増大させ得る。それにより、過冷却は、システムの冷蔵能力及びエネルギー効率を向上させる。過冷却量は、飽和温度(度)を下回る冷却量である。
【0043】
過熱は、蒸気組成物がその飽和蒸気温度(組成物が冷却される場合に液体の最初の一滴が形成される温度、「露点」とも称される)をどの程度上回って加熱されるかを定義する用語である。
【0044】
温度勾配(単に「勾配」と称されることもある)は、任意の過冷却又は過熱を除く、冷媒システムの構成要素内の冷媒による相変化プロセスの開始温度と終了温度との間の差異の絶対値である。この用語は、近共沸混合物又は非共沸組成物の、凝縮又は蒸発について説明するために使用され得る。冷却、空調又はヒートポンプシステムの温度勾配を指す場合、蒸発器の温度勾配と凝縮器の温度勾配との平均値である平均温度勾配を提供することが一般的である。
【0045】
正味冷却効果とは、有用な冷却を生み出すために冷媒1kgが蒸発器内で吸収する熱量である。
【0046】
質量流量は、所定の時間に、冷蔵、ヒートポンプ又は空調システムを介して循環する冷媒の量(キログラム)である。
【0047】
本明細書で使用するとき、用語「潤滑剤」とは、部品の焼付き防止を補助するために圧縮機に潤滑を提供する、組成物又は圧縮機に添加される(及び任意の伝熱システム内で使用中の任意の伝熱組成物と接触する)任意の材料を意味する。
【0048】
可燃性は、発火する及び/又は炎を伝播させる組成物の能力を意味するために使用される用語である。冷媒及び他の伝熱組成物について、可燃性下限(lower flammability limit、「LFL」)とは、ASTM(American Society of Testing and Material、米国材料検査協会)E681に指定されている試験条件下で組成物の均質混合物及び空気を介して火炎伝播することができる、空気中における伝熱組成物の最低濃度である。可燃性上限(upper flammability limit、「UFL」)とは、同じ試験条件下で組成物の均質混合物及び空気を介して火炎伝播することができる、空気中における伝熱組成物の最高濃度である。また、ASTM E-681の条件下で試験することによって、冷媒化合物又は混合物が可燃性であるか不燃性であるかが判定される。
【0049】
冷媒が漏れる際には、混合物の低沸点成分が優先的に漏れ得る。これにより、システム内並びに蒸気漏れの組成は、漏れる時間にわたって変化する場合がある。これにより、不燃性の混合物は、漏れが想定される状況下で可燃性になり得る。また、ASHRAE(American Society of Heating, Refrigeration and Air-conditioning Engineers、米国加熱、冷蔵及び空調工学会)によって不燃性として分類されるためには、冷媒又は伝熱組成物は、配合時のみならず漏れ状態下でも、不燃性でなければならない。
【0050】
地球温暖化係数(GWP)は、1キログラムの二酸化炭素の排出と比較して、1キログラムの特定の温室効果ガスの大気排出に起因する相対的な地球温暖化への寄与を推定するための指数である。GWPは、様々な対象期間について計算することができ、所与のガスの大気寿命の影響を示す。100年間を対象期間とするGWPが、一般的に参照される値である。混合物については、各成分に関する個々のGWPに基づいて加重平均を計算することができる。
【0051】
オゾン破壊係数(ozone depletion potential、ODP)は、物質によって生じるオゾン破壊の程度を指す数値である。ODPは、化学物質がオゾンに及ぼす影響を、類似の質量のCFC-11(フルオロトリクロロメタン)による影響と比較した比率である。このため、CFC-11のODPが1.0と定義される。他のCFC及びHCFCは、0.01~1.0の範囲のODPを有する。HFC及びHFOは、塩素又は他のオゾン破壊性ハロゲンを含有しないので、ODPはゼロである。
【0052】
本明細書で使用するとき、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、又はこれらの他の任意の変化形は、非排他的な包含を網羅することを意図する。例えば、列挙する要素を含む、組成物、プロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されない他の要素、又はそのような組成物、プロセス、方法、物品、若しくは装置などに内在する他の要素を含み得る。
【0053】
移行句「からなる(consisting of)」は、特定されていないあらゆる要素、工程、又は構成要素を除外する。特許請求の範囲における場合、このような句は、材料に通常付随する不純物を除き、列挙された材料以外の材料を含むことに対して特許請求の範囲を閉ざすことになる。語句「からなる」がプリアンブルの直後ではなく、ある請求項の本文の節内で現れる場合、この語句はその節内に示される要素のみを限定するものであり、その他の要素が、当該請求項全体から除外されるわけではない。
【0054】
移行句「~から本質的になる」は、文字どおり開示されているものに加えて、材料、工程、特徴、構成成分、又は要素を含む、組成物、方法、又は装置を定義するために使用されるが、ただし、これらの追加的に含まれる材料、工程、特徴、構成成分、又は要素は、請求される発明の基本的及び新規の特性に実質的に影響を及ぼさない。「から本質的になる」という用語は、「~を含む」と「~からなる」との間の中間の意味をもつ。典型的には、冷媒混合物の成分及び冷媒混合物自体は、冷媒混合物の新規及び基本的特性に実質的に影響を及ぼすことのない少量(例えば、総計約0.5重量%未満)の不純物及び/又は副生成物(例えば、冷媒成分の産生又は他のシステムからの冷媒成分の再利用)を含有してもよい。
【0055】
出願人らが、発明又はその一部分を、「含む」などの非限定的な用語で定義した場合、(特に明記しない限り)その記載は用語「から本質的になる」又は「からなる」を用いる発明も記載するように解釈されるべきであることが容易に理解されるはずである。
【0056】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載された要素及び構成要素を説明するために用いられる。これは、単に便宜上なされるものであり、本発明の範囲の全般的な意味を与えるためのものである。この記載は、1つ又は少なくとも1つを含むものと解釈されるべきであり、単数形は、別の意味を有することが明白でない限り、複数形も含む。
【0057】
別途定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明の属する当該技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料を、開示された組成物の実施形態の実践又は試験において使用することができるが、好適な方法及び材料を下に記載する。本明細書において言及する全ての刊行物、特許出願、特許、及びその他の参照文献は、特定の一節を引用するものでない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾が生じた場合には、定義を含め、本明細書が優先される。更に、材料、方法、及び実施例は、単なる例証であり、限定することを意図するものではない。
【0058】
組成物
本発明者らは、HFO-1234zeEと匹敵する又は類似の冷却及び加熱性能を有する不燃性の低GWP冷媒を提供する冷媒組成物を発見した。組成物は、HFO-1225yeE(E-1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン)、HFO-1234zeE(E-1,3,3,3-テトラフルオロプロペン)、及び任意選択的にHFC-134(1,1,2,2-テトラフルオロエタン)からなる冷媒を含む。代替的に、組成物は、HFO-1225yeE、HFO-1234zeE、及び任意選択的にHFC-134から本質的になってもよい。
【0059】
HFO-1225yeEは、国際公開第2008/030439号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているような、HFC-236ea(1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン)の脱フッ化水素化などの当該技術分野で公知の方法によって作製することができる。HFO-1225yeEはまた、例えば、Synquest Laboratories,Inc.(Alachua,FL,USA)を含む特殊フルオロケミカル製造業者から入手可能であり得る。
【0060】
HFO-1234zeEは、欧州特許第974,571号(これも参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているような、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)を気相中でクロム系触媒と高温で接触させること、又は液相中でKOH、NaOH、Ca(OH)2又はMg(OH)2のアルコール溶液で接触させることによってなどの当該技術分野で公知の方法によって作製することができる。HFO-1234zeEも市販されている。
【0061】
HFC-134は、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン(CFC-114)の水素化などの当該技術分野で公知の方法によって作製することができる。
【0062】
一実施形態では、組成物は、HFO-1225yeE及びHFO-1234zeEから本質的になる冷媒を含む。HFO-1234zeEへのHFO-1225yeEの添加は、HFO-1234zeE単独と比較して可燃性が低減された冷媒を提供する。産業における多くの用途は、不燃性冷媒を好むか又は必要とする。約35.5重量パーセント以上のHFO-1225yeE(約35.5重量パーセント超~約99重量パーセントのHFO-1225yeE)から本質的になる不燃性冷媒を含む組成物は、ASTM E-681によって不燃性である。一実施形態では、組成物は、60℃で不燃性である。別の実施形態では、組成物は、100℃で不燃性である。
【0063】
好ましい実施形態では、組成物は、ASHRAE規格34に従って、不燃性であるクラス1として、American Society of Heating,Refrigeration and Air-Conditioning Engineers(米国加熱、冷蔵及び空調工学会)(ASHRAE)によって分類される。
【0064】
別の実施形態では、HFO-1225yeE及びHFC-1234zeEを含有する組成物は、10未満又は5未満を意味する超低GWPを有する。
【0065】
別の実施形態では、HFO-1225yeE及びHFC-1234zeEを含有する組成物は、同じ動作条件下でHFO-1234zeE単独と類似の容積を提供する。一実施形態では、本明細書に開示される組成物は、同じ条件下でHFO-1234zeE単独の容積の10%以内の容積を提供する。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、同じ条件下でHFO-1234zeE単独の容積の8%以内の容積を提供する。好ましい実施形態では、本明細書に開示される組成物は、同じ条件下でHFO-1234zeE単独の容積の5%以内の容積を提供する。
【0066】
別の実施形態では、本明細書に開示されるHFO-1225yeE及びHFC-1234zeEを含有する組成物は、対象の動作範囲にわたって0.5K未満、又は代替的に、対象の動作範囲にわたって0.1K未満の平均温度勾配を提供する。満液式蒸発チラーなどのいくつかの用途では、適切な性能を保証するために非常に低い温度勾配が必要とされる。
【0067】
本開示はまた、HFO-1225yeE、HFC-1234zeE、及びHFC-134を含む冷媒を含む組成物を提供する。代替的に、本開示は、HFO-1225yeE、HFC-1234zeE、及びHFC-134から本質的になる冷媒を含む組成物を提供する。一実施形態では、組成物は、約10~98重量パーセントのHFO-1225yeE、約1~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約1~27重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む。別の実施形態では、組成物は、約23~98重量パーセントのHFO-1225yeE、約1~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約1~13重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む。別の実施形態では、組成物は、約33~98重量パーセントのHFO-1225yeE、約1~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約1~4重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む。別の実施形態では、組成物は、約10~78重量パーセントのHFO-1225yeE、約11~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約11~27重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む。別の実施形態では、組成物は、約23~78重量パーセントのHFO-1225yeE、約11~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約11~13重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む。別の実施形態では、組成物は、約10~78重量パーセントのHFO-1225yeE、約11~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約11~27重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む。別の実施形態では、組成物は、約23~59重量パーセントのHFO-1225yeE、約30~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約11~13重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む。別の実施形態では、組成物は、約23~59重量パーセントのHFO-1225yeE、約12~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約12~13重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む。別の実施形態では、組成物は、約23~39重量パーセントのHFO-1225yeE、約50~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約11~13重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む。別の実施形態では、組成物は、約23~39重量パーセントのHFO-1225yeE、約12~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約12~13重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む。別の実施形態では、組成物は、約30重量パーセントのHFO-1225yeE、約58重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約12重量パーセントのHFC-134から本質的になる冷媒を含む。
【0068】
別の実施形態では、組成物は、36重量パーセント以上のHFO-1225yeE及び64重量パーセント以下のHFO-1234zeEから本質的になる冷媒を含む。別の実施形態では、組成物は、36~39重量パーセントのHFO-1225yeE及び61~64重量パーセントのHFO-1234zeEから本質的になる冷媒を含む。これらの二元組成物は、ASTM E681に従って不燃性である。別の実施形態では、これらの二元組成物は、10以下のGWP、又は好ましくは5以下のGWPを有する。
【0069】
本発明の組成物の冷媒へのHFC-134の添加は、増大した能力及び更なる可燃性抑制の両方を提供する。一実施形態では、HFO-1225yeE、HFC-1234zeE、及びHFC-134から本質的になる冷媒を含む組成物は、ASTM E681に従って不燃性であり得る。別の実施形態では、本明細書に開示される冷媒は、60℃で不燃性である。別の実施形態では、これらの冷媒は、100℃で不燃性である。
【0070】
図1を参照すると、不燃性冷媒を含む組成物は、三元組成物の図における可燃性境界の不燃性側の組成物から本質的になる。境界は、HFO-1234zeE及びHFO-1225yeEの二元混合物、並びにHFO-1234ze及びHFC-134の二元混合物の可燃性の測定によって判定された(実施例1参照)。HFO-1234zeE及びHFO-1225yeEを含有する組成物は、64.5重量%以下(例えば、64重量%)のHFO-1234zeE(及び35.5重量%以上(例えば、36重量%)のHFO-1225yeE)で不燃性であることが見出された。
【0071】
好ましい実施形態では、HFO-1225yeE、HFC-1234zeE、及びHFC-134から本質的になる冷媒は、ASHRAE規格34に従って、不燃性であるクラス1として、American Society of Heating,Refrigeration and Air-Conditioning Engineers(米国加熱、冷蔵及び空調工学会)(ASHRAE)によって分類される。これは、公称配合物が不燃性であるだけでなく、漏出状況の間に生成される組成物も不燃性のままであることを意味する。
【0072】
更なる実施形態では、HFO-1234zeE及びHFO-1225yeEを含有する組成物は、60重量パーセント以下のHFO-1234zeE及び40重量パーセント以上のHFO-1225yeEを有するASHRAE規格34に従って不燃性であるクラス1としてASHRAEによって分類されることが見出された。
【0073】
別の実施形態では、HFO-1225yeE、HFC-1234zeE、及びHFC-134を含有する冷媒は、低いGWPを有する。一実施形態では、冷媒は、300未満のGWP、又は好ましくは150未満のGWPを有する。
【0074】
別の実施形態では、HFO-1225yeE、HFC-1234zeE、及び任意選択的にHFC-134を含有する組成物は、同じ動作条件下でHFO-1234zeE単独と類似の容積を提供する。一実施形態では、本明細書に開示される組成物は、同じ条件下でHFO-1234zeE単独の容積の10%以内の容積を提供する。別の実施形態では、本明細書に開示される組成物は、同じ条件下でHFO-1234zeE単独の容積の5%以内の容積を提供する。好ましい実施形態では、本明細書に開示される組成物は、同じ条件下でHFO-1234zeE単独の容積の2%以内の容積を提供する。
【0075】
別の実施形態では、本明細書に開示されるHFO-1225yeE、HFO-1234zeE、及びHFC-134を含有する組成物は、対象の動作範囲にわたって0.5K未満、又は代替的に、対象の動作範囲にわたって0.25K未満、又は好ましくは対象の動作領域にわたって0.15K未満の平均温度勾配を提供する。満液式蒸発チラーなどのいくつかの用途では、適切な性能を保証するために非常に低い温度勾配が必要とされる。
【0076】
冷媒に加えて、本発明の組成物は、他の追加の化合物を含有してもよい。これらの追加の化合物は、とりわけ、潤滑剤、安定剤、トレーサー、UV染料から選択することができる。
【0077】
一実施形態では、HFO-1225yeE、HFO-1234zeE、及び任意選択的にHFC-134を含む冷媒を含有する本明細書に開示される組成物は、少なくとも1つの冷凍潤滑剤を更に含んでもよい。一実施形態では、少なくとも1つの潤滑剤は、ポリアルキレングリコール(polyalkylene glycol、PAG)、ポリオールエステル(polyol ester、POE)、及びポリビニルエーテル(polyvinyl ether、PVE)、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0078】
更に、本発明の組成物には、とりわけ鉱油、アルキルベンゼン、ポリアルファオレフィンなどの他の潤滑剤が含まれてもよい。本発明の組成物中に含まれる潤滑剤の量は、広い範囲にわたって変化し得る。冷媒が冷却又は加熱のためのシステムに充填されると、システム内の場所に応じて、冷媒と混合される潤滑剤の量が変化する。一実施形態では、潤滑剤は、POEを含む。別の実施形態では、潤滑剤は、PVEを含む。別の実施形態では、潤滑剤は、PAGを含む。
【0079】
本発明の組成物と組み合わせるための本明細書に開示される潤滑剤は、20℃で1010Ω-mを超える体積抵抗率、20℃で約0.02N/m~0.04N/mの表面張力、40℃で約20cSt~約500cStの動粘度、少なくとも25kVの絶縁破壊電圧、及び最大0.1mg KOH/gのヒドロキシ価を有する。
【0080】
別の実施形態では、安定剤を、HFO-1225yeE、HFO-1234zeE、及び任意選択的にHFC-134を含有する冷媒に添加することができる。安定剤は、システム内の水又は酸素の存在による冷媒分子の分解を阻害する働きをする。更に、安定剤は、冷媒混合物のHFO成分の重合を防止することができる。したがって、HFO-1225yeE、HFO-1234zeE、及び任意選択的に少なくとも1つの安定剤を更に含むHFC-134を含むか、又はそれから本質的になる冷媒を含む組成物が本明細書に提供される。一実施形態では、少なくとも1つの安定剤は、ニトロメタン、アスコルビン酸、テレフタル酸、アゾール、フェノール化合物、環状モノテルペン、テルペン、ホスファイト、ホスフェート、ホスホネート、チオール、ラクトン、及びこれらの組み合わせから選択され得る。別の実施形態では、安定剤は、トルトリアゾール、ベンゾトリアゾール、トコフェロール、ヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、2,6-ジ-ter-ブチル-4-メチルフェノール、フッ素化エポキシド、n-ブチルグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、d-リモネン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、α-ピネン、β-ピネン、ブチル化ヒドロキシトルエン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0081】
代替的に、本発明の組成物中に含まれる安定剤は、ヒンダードフェノール、チオホスフェート、ブチル化トリフェニルホスホロチオネート、オルガノホスフェート、又はホスフィット、アリールアルキルエーテル、テルペン、テルペノイド、エポキシド、フッ素化エポキシド、オキセタン、アスコルビン酸、チオール、ラクトン、チオエーテル、アミン、ニトロメタン、アルキルシラン、ベンゾフェノン誘導体、アリールスルフィド、ジビニルテレフタル酸、ジフェニルテレフタル酸、イオン性液体、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0082】
更に、本組成物は、少なくとも1つのトレーサー化合物又はトレーサー化合物の混合物を更に含んでもよい。冷媒又は冷媒混合物が生成されるプロセスを識別するために、トレーサーを使用することができる。トレーサー化合物は、生成方法に特異的であってもよいし、単一のトレーサー又はトレーサーの混合物として、希釈、不純物混入、汚染、又は他の許可されていない行為を検出するために特定の量で添加されてもよい。
【0083】
トレーサーは、単一の化合物であってもよいが、同一のクラスの化合物又は異なるクラスの化合物の2つ以上のトレーサー化合物であってもよい。いくつかの実施形態では、トレーサーは、全組成物の重量に基づいて、約1重量百万分率(part per million、ppm)~約5000ppmの合計濃度で組成物中に存在する。他の実施形態では、トレーサーは、約1ppm~約1000ppmの合計濃度で存在する。他の実施形態では、トレーサーは、約2ppm~約500ppmの合計濃度で存在する。代替的に、トレーサーは、約10ppm~約300ppmの合計濃度で存在する。
【0084】
トレーサー化合物は、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロカーボン、ヒドロクロロオレフィン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、ヒドロクロロカーボン、ヒドロクロロオレフィン、クロロフルオロカーボン、クロロフルオロオレフィン、炭化水素、ペルフルオロカーボン、ペルフルオロオレフィン、及びこれらの組み合わせから選択されてもよい。特に、トレーサーの例としては、HFC-23(トリフルオロメタン)、HCFC-31(クロロフルオロメタン)、HFC-41(フルオロメタン)、HFC-161(フルオロエタン)、HFC-152a(1,1-ジフルオロメタン)、HFC-143a(1,1,1-トリフルオロエタン)、HFC-125(ペンタフルオロエタン)、HFC-227ca(1,1,1,2,2,3,3-ヘプタフルオロプロパン)、HFC-227ea(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)、HFC-236fa(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン)、HFC-236cb(1,1,1,2,2,3-ヘキサフルオロプロパン)、HFC-236ea(1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン)、HFC-245cb(1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン)、HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)HFC-245eb(1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-254eb(1,1,1,2-テトラフルオロプロパン)、HFC-263fb(1,1,1-トリフルオロプロパン)、HFC-272ca(2,2-ジフルオロプロパン)、HFC-281ea(2-フルオロプロパン)、HFC-281fa(1-フルオロプロパン)、HFC-329p(1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロブタン)、HFC-329mmz(2-トリフルオロメチル-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン)、HFC-338mf(1,1,1,2,2,4,4,4-オクタフルオロブタン)、HFC-338pcc(1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロブタン)、CFC-12(ジクロロジフルオロメタン)、CFC-11(トリクロロフルオロメタン)、CFC-114(1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン)、CFC-114a(2,2-ジクロロ-1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、HCFC-22(クロロジフルオロメタン)、HCFC-123(2,2-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロエタン)、HCFC-124(2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、HCFC-124a(1-クロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン)、HCFC-141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン)、HCFC-142b(1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン)、HCFC-151a(1-クロロ-1-フルオロエタン)、HCFC-244bb(2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン)、HCC-40(クロロメタン)、HFO-1141(フルオロエチレン)、HCFO-1130(1,2-ジクロロエチレン、E-及び/又はZ-異性体)、HCFO-1130a(1,1-ジクロロエチレン)、HCFO-1131(1-クロロ-2-フルオロエチレン、E-及び/又はZ-異性体)、HCFO-1131a(1-クロロ-1-フルオロエチレン)、HCFO-1122(2-クロロ-1,1-ジフルオロエチレン)、HFO-1123(トリフルオロエチレン)、HFO-1234ye(1,2,3,3-テトラフルオロプロペン)、HFO-1243zf(3,3,3-トリフルオロプロペン)、HFO-1225yeZ(1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン)、HFO-1225zc(1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロペン)、PFC-116(ヘキサフルオロエタン)、PFC-C216(ヘキサフルオロシクロプロパン)、PFC-218(オクタフルオロプロパン)、PFC-C318(オクタフルオロサイクルブタン)、PFC-1216(ヘキサフルオロプロペン)、PFC-31-10mc(デカフルオロブタン)、PFC-31-10my(2-トリフルオロメチル-1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)、2-クロロ-1,1,2-トリフルオロエチレン(CFC-1113)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)、1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロペンタン(HFC-43-10mee)、1,1,1,2,2,3,4,5,5,6,6,7,7,7-テトラデカフルオロヘプタン、ヘキサフルオロブタジエン、3,3,3-トリフルオロプロピン、重水素化炭化水素、重水素化ヒドロフルオロカーボン、ペルフルオロカーボン、フルオロエーテル、及びこれらの混合物から選択される化合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、トレーサーは、2つ以上のヒドロフルオロカーボン、又は1つ以上のペルフルオロカーボンと組み合わされた1つのヒドロフルオロカーボンを含有するブレンドである。他の実施形態では、トレーサーは、少なくとも1つのCFCと、少なくとも1つのHCFC、HFC、又はPFCとのブレンドである。
【0085】
別の実施形態では、本明細書に記載されるような、HFO-1225yeE、HFO-1234zeE、及び任意選択的にHFC-134を含む組成物を含有する冷媒用の貯蔵容器であって、冷媒が気相及び液相を含む貯蔵容器が本明細書に提供される。
【0086】
貯蔵容器は、容器内の組成物の冷媒部分の反応又は分解を防止するために水及び/又は酸素の量に制限があるように、排気及び加熱によって本組成物を充填するために適切に調製される。一実施形態では、水は、0.1~200重量ppm、又は0.1~100重量ppm、又は0.1~50重量ppm、又は0.1~10重量ppmに制限される。別の実施形態では、酸素は、0.35体積パーセント以下に制限される。別の実施形態では、酸素は、約0.01~0.35体積パーセントで存在する。更に別の実施形態では、酸素は、0.01~0.25体積パーセントに制限される。更に別の実施形態では、酸素は、0.01~0.15体積パーセントに制限される。
【0087】
前述の組成物を保管するための容器は、気相及び液相を維持しながら組成物を密封することができる任意の好適な材料及び設計で構築することができる。好適な容器の例は、タンク、充填シリンダー、及び二次充填シリンダーなどの耐圧容器を含む。容器は、様々な低合金鋼、ステンレス鋼、場合によってはアルミニウム合金の中でも、例えば炭素鋼、マンガン鋼、クロム-モリブデン鋼などの任意の好適な材料から構築することができる。
【0088】
本発明の組成物は、所望の量の個々の成分を合わせるための任意の簡便な方法によって調製することができる。好ましい方法は、所望の成分量を計量し、その後、適切な槽内で成分を組み合わせることである。所望の場合、撹拌を使用してもよい。別の実施形態では、前述の冷媒組成物のいずれかは、HFO-1225yeE、HFO-1234zeE、及び任意選択的にHFC-134をブレンドすることによって調製することができる。
【0089】
方法、プロセス及び装置
蒸気圧縮冷却、空調又はヒートポンプシステムは、蒸発機、圧縮機、凝縮機及び膨張装置を含む。蒸気圧縮サイクルは、複数の工程において冷媒を再使用し、ある工程においては冷却効果、異なる工程においては加熱効果を生じさせる。上記のサイクルは、以下のように簡単に説明することができる。液体冷媒が膨張装置を通って蒸発器に入り、液体冷媒が蒸発器で沸騰して、環境から熱を奪うことによって、低温の気体が形成され、冷却を生み出す。低圧の気体は、圧縮機に入り、そこで気体は圧縮され、その圧力及び温度が上昇する。次いで、高圧の(圧縮された)気体状の冷媒は、凝縮器に入り、そこで冷媒は凝縮され、その熱を環境に放出する。冷媒は膨張装置に戻り、それを通じて液体は凝縮器におけるより高圧レベルから蒸発器における低圧レベルに膨張し、このようにして、サイクルを繰り返す。
【0090】
一実施形態では、冷却を生じさせるためのプロセスであって、冷却される物体の近傍で本明細書に記載される組成物のいずれかを蒸発させ、その後、当該組成物を凝縮させることを含むプロセスが本明細書に提供される。
【0091】
別の実施形態では、加熱を生じさせるためのプロセスであって、加熱される物体の近傍で本明細書に記載される組成物のいずれかを凝縮させ、その後、当該組成物を蒸発させることを含むプロセスが本明細書に提供される。
【0092】
冷却される又は加熱される物体は、冷却又は加熱を提供することが望ましい任意の空間、場所、対象物、又は物体として定義され得る。例としては、これらに限定されないが、共同住宅、総合大学の寮、タウンハウス、若しくは他の長屋若しくは一戸建て住宅、病院、オフィスビル、スーパーマーケット、単科大学若しくは総合大学の教室若しくは管理棟、及び自動車若しくはトラックのパッセンジャコンパートメントなどの、部屋、アパート、又は建物などの、空調、冷却、又は加熱を必要とする(開放された若しくは閉鎖された)空間が挙げられる。更に、冷却される物体としては、とりわけ、コンピュータ設備、中央処理ユニット(central processing unit、CPU)、データセンタ、サーババンク、及びパーソナルコンピュータ機器などの電子機器を挙げることができる。
【0093】
チラーなどの場合によっては、冷却される物体は、冷却を提供することが望ましい空間、場所、対象物又は物体に移送される2次流体である。2次流体は、非限定的な例として、水、ブライン水溶液(製造プロセスにおける冷却装置用CaCl2、MgCl2など)、又はグリコール水溶液若しくはアルコール水溶液であり得る。同じことが、水加熱ヒートポンプにも当てはまり、加熱される物体は、例えば、加熱のために家庭に移送される水、又は電化製品で使用するために水を加熱するための水である。
【0094】
「近傍」とは、蒸発器を介して移動する空気が、冷却される物体内又は周囲を移動するように、本発明の冷媒ブレンドを含有するシステムの蒸発器が、冷却される物体内又は物体に近接してのいずれかに位置されていることを意味する。加熱を生じさせるためのプロセスでは、「近傍」とは、凝縮器を介して移動する空気が、加熱される物体内又は周囲を移動するように、冷媒を含有するシステムの凝縮器が、加熱される物体内又は物体に近接してのいずれかに位置していることを意味する。いくつかの実施形態では、伝熱に関して、「近傍」とは、例えば、冷却される物体が、冷媒に直接浸漬されるか、又は冷媒を含有する管が、電子設備の中に入って内部で流動し、電子設備から出ることを意味し得る。
【0095】
別の実施形態では、冷却のためのシステムが提供され、当該システムは、蒸発器、圧縮機、凝縮器、及び膨張装置を含み、当該システムは、本明細書に開示される組成物のいずれかを含有する。
【0096】
一実施形態では、冷却のためのシステムは、チラーであってもよい。いくつかの実施形態では、チラーは、直接膨張蒸発器チラー又は満液式蒸発チラーである。追加の実施形態では、チラーは、流下膜式蒸発器を使用することができる。いくつかの実施形態では、チラーのための熱交換器は、向流モードで動作し、システムの効率を増加させる。いくつかの実施形態では、チラーは、遠心圧縮機、スクリュー、スクロール、又は往復動圧縮機から選択される圧縮機を含む。
【0097】
チラーは、液体を冷却(又は冷却(chilling))し、次いでその液体を2次的な場所を冷却又は加熱するために使用する熱伝達装置である。例えば、オフィスビル、マンション、病院などの建物の空調に使用されることが多い。チラーは、製造プロセスにおいて、蒸留塔などの機器を冷却するために使用され得る。更に、チラーは、スーパーマーケットの陳列ケースの冷却に使用され得る。
【0098】
別の実施形態では、加熱のためのシステムが提供され、当該システムは、蒸発器、圧縮機、凝縮器、及び膨張装置を含み、当該システムは、本明細書に開示される組成物のいずれかを含有する。一実施形態では、加熱のためのシステムは、ヒートポンプであってもよい。一実施形態では、ヒートポンプは、空気を加熱するための住宅用ヒートポンプであってもよい。別の実施形態では、ヒートポンプは、高温ヒートポンプであってもよい。別の実施形態では、ヒートポンプは、水を加熱するための高温ヒートポンプであってもよい。
【0099】
ヒートポンプは、チラーと同様に、満液式蒸発器又は直接膨張蒸発器を含むことができる。熱ポンプは、容積式圧縮機又は動的圧縮機(例えば、遠心圧縮機)を用い得る。容積式圧縮機としては、往復動、スクリュー、又はスクロール圧縮機が挙げられる。注目すべきは、スクリュー圧縮機を使用する熱ポンプである。また、注目すべきは、遠心圧縮機を使用する熱ポンプである。
【0100】
住居用熱ポンプは、住居又は住宅(一戸建て又は集合住宅など)を温める加熱空気を生み出し、約30℃~約50℃の凝縮器最大動作温度を生み出すのに使用される。
【0101】
注目すべきは、空気、水、別の伝熱媒体、又は設備、保存領域又はプロセス流の一部などの工業プロセスのいくつかの部分を加熱するのに使用され得る高温熱ポンプである。一実施形態では、これらの高温ヒートポンプは、約55℃超の凝縮器動作温度を使用する。一実施形態では、高温ヒートポンプの凝縮器動作温度は、約55℃~約150℃である。一実施形態では、加熱のためのシステムは、水加熱ヒートポンプであってもよい。
【0102】
チラー及びヒートポンプは、その中で使用される圧縮機によって特徴付けることができる。圧縮機は、一般に、流体を圧縮する機械的手段に応じて、往復動、回転式、ジェット、遠心、スクロール、スクリュー、若しくは軸流式として分類することができ、又は機械要素が圧縮される流体にどのように作用するかに応じて、容積式(例えば、往復動、スクロール、又はスクリュー)若しくは動的(例えば、遠心又はジェット)として分類することができる。一実施形態では、本発明の装置は、遠心型圧縮機を利用する。
【0103】
遠心圧縮器は、回転要素を使用して冷媒を放射状に加速し、典型的には、ケーシング中に収容された羽根車及びディフューザを備える。遠心圧縮器は通常、流体を羽根車目玉、又は円運動をする羽根車の中央入口で取り込み、半径方向外側に流体を加速させる。いくらかの静圧上昇が羽根車内で起こるが、圧力上昇の大部分は、速度が静圧に変換されるケーシングのディフューザ部分で起こる。羽根車-ディフューザの各組は、1段の圧縮器である。遠心圧縮器は、所望される最終圧力及び扱われる冷媒の体積に応じて、1~12以上の段で構築される。
【0104】
圧縮器の圧力比又は圧縮比は、絶対吐出圧の絶対吸入圧に対する比率である。遠心圧縮器によって送達される圧力は、相対的に広範な容積にわたって事実上一定である。
【0105】
正の変位式圧縮器は、蒸気をチャンバ中へ引き入れ、チャンバの体積が減少して蒸気を圧縮する。圧縮された後、チャンバの体積をゼロ又はほぼゼロまで更に減少させることによって、蒸気はチャンバより押し出される。容積式圧縮機は圧力を増大させることができるが、この圧力は、体積効率及び圧力に耐える部品の強度によってのみ制限される。
【0106】
容積式圧縮機とは異なり、遠心圧縮機は、羽根車を通過する蒸気を圧縮するために高速羽根車の遠心力に完全に依存する。容積式はなく、むしろ動的圧縮と呼ばれるものがある。
【0107】
多段羽根車システムは、圧縮機効率を改善するために遠心圧縮機において使用されてもよく、したがって、使用時に必要とされる動力がより少なくて済む。2段システムの場合、動作中、1段羽根車の吐出は、第2の羽根車の吸込口に進む。両方の羽根車は、単一のシャフト(又は軸)の使用によって動作してもよい。各段は、約4対1の圧縮比を構築することができる:すなわち、絶対吐出圧を絶対吸入圧の4倍とすることができる。特に自動車用途向けの2段遠心圧縮機システムのいくつかの例が、米国特許第5,065,990号及び同第5,363,674号に記載されている。
【0108】
遠心圧縮器が展開できる圧力は、羽根車の先端速度に依存する。先端速度は、羽根車のその先端にて測定される速度であり、羽根車の直径及びその毎分回転数に関係する。先端速度及び羽根車直径は、遠心圧縮機を使用する冷却装置の基本的な関係を展開することによって推定することができる。羽根車がガスに理想的に与えるトルクは、以下のように定義され、
T=m*(v2
*r2-v1
*r1) 式1
式中、
T=トルク、ニュートン-メートル
m=質量流量、kg/秒
v2=羽根車を出る冷媒の接線速度(先端速度)、メートル/秒
r2=出口羽根車の半径、メートル
v1=羽根車に入る冷媒の接線速度、メートル/秒
r1=羽根車の入口の半径、メートル
【0109】
冷媒が本質的に軸方向に羽根車に入ると仮定すると、速度の接線成分はv1=0であり、したがって
T=m*v2
*r2 式2
【0110】
シャフトで必要とされる動力は、トルクと回転速度との積であり、
P=T*w 式3
式中、
P=電力、W
w=回転速度、回転数/秒
したがって
P=T*w=m*v2
*r2
*w 式4
【0111】
低冷媒流量では、羽根車の先端速度及び冷媒の接線速度は、ほぼ同一であり、したがって
r2
*w=v2 式5
及び
P=m*v2
*v2 式6
【0112】
理想動力の別の表現は、質量流量と等エントロピー圧縮仕事との積であり、
P=m*Hi
*(1000J/kJ) 式7
式中、
Hi=蒸発条件における飽和蒸気から飽和凝縮条件までの冷媒のエンタルピーの差、kJ/kgである。
【0113】
式6及び式7の2つの式を組み合わせると、以下の式が得られ、
v2
*v2=1000*Hi 式8
【0114】
式8は、いくつかの基本的な仮定に基づいているが、羽根車の先端速度の良好な推定値を提供する。
【0115】
遠心圧縮器の容積を、羽根車を通る流路のサイズによって定める。これによって、圧縮器のサイズは、容積よりも必要な圧力により依存するものとなる。大型遠心圧縮機は、典型的には、3000~7000回転/分(revolutions per minute、rpm)で動作する。小規模遠心圧縮機(ミニ遠心分離機)は、約20,000RPM~約75,000RPMの高速用に設計され、典型的には約0.15メートル(約6インチ)未満の小さい羽根車直径を有する。別の実施形態では、ミニ遠心圧縮機は、30,000~50,000RPMの羽根車速度で動作し、0.10メートル(約4インチ)未満の羽根車直径を有する。
【0116】
別の実施形態では、冷却又は加熱のためのシステムにおいてHFO-1234zeEを代替するための方法であって、前述の実施形態のいずれかの組成物をシステムに提供することを含む方法が本明細書に開示される。別の実施形態では、本方法は、チラーにおいてHFO-1234zeEを代替する。別の実施形態では、本方法は、ヒートポンプにおいてHFO-1234zeEを代替する。別の実施形態では、本方法は、水加熱ヒートポンプにおいてHFO-1234zeEを代替する。別の実施形態では、本方法は、空気加熱ヒートポンプにおいてHFO-1234zeEを代替する。別の実施形態では、本方法は、高温ヒートポンプにおいてHFO-1234zeを代替する。
【0117】
冷却又は加熱のためのシステムが遠心圧縮機を含む一実施形態では、大きな変更なしにシステムを改造するために、代替される冷媒の先端速度(又は羽根車直径)と、代替で使用される先端速度(又は羽根車直径)とが良好に匹敵することが有用である。換言すれば、遠心システムにおけるHFO-1234zeEの良好な代替物は、HFO-1234zeEの先端速度に非常に近似した先端速度を提供する。本明細書に開示される組成物は、HFO-1234zeEの先端速度に対してそのようなほぼ匹敵した先端速度を提供し、したがって、遠心システムにおけるHFO-1234zeEの現場改良のための良好な冷媒を作製する。更に、R-515B(8.9重量%のHFC-227eaと91.1重量%のHFO-1234zeEとの混合物に対するASHRAE指定)及びR-515A(12重量%のHFC-227eaと88重量%のHFO-1234zeEとの混合物に対するASHRAE指定)は、遠心分離システムにおけるHFO-1234zeEの使用に対する不燃性代替物である。R-515A及びR-515Bは、遠心分離システムにおいてHFO-1234zeEと類似の性能を有し、それぞれ389及び289(AR4)のGWPを有する。したがって、HFO-1225yeE、HFO-1234zeE、及び任意選択的にHFC-134を含有する特許請求される本組成物はまた、より低いGWP及び遠心システムについての類似の先端速度を含む類似の性能を有するR-515A又はR-515Bのフィールドレトロフィットに対して良好に匹敵するものとして役立つ。
【0118】
本発明を、具体的な実施例によって、以下により詳細に説明する。以下の実施例は、例示目的のために提供され、いかなる意味でも本発明を限定することを意図するものではない。当業者は、本質的に同じ結果を得るために変更又は修正することができる様々な重要でないパラメータを、容易に認識するであろう。
【実施例】
【0119】
(実施例1)
可燃性
いくつかの組成物の可燃性を、60℃で電子点火源を用いて、ASTM(American Society of Testing and Materials)E-681の下で試験することによって判定した。公称液体組成物及び-40℃で液体上の蒸気の両方を試験した。液体組成物及び蒸気組成物の両方が不燃性であった場合、組成物を、以下の表1に示されるように不燃性であると判定した。
【0120】
【0121】
結果は、HFO-1234zeE及びHFC-134を含有する組成物が、69.9重量パーセント以下のHFO-1234zeEで不燃性であることを示す。また、結果は、HFO-1234zeE及びHFO-1225yeEを含有する組成物が、64.5重量%以下(例えば、64重量%)のHFO-1234zeE(及び35.5重量%以上(例えば、36重量%)のHFO-1225yeE)で不燃性であることを示す。
図1を参照すると、三元組成物についての最も広い特許請求される範囲が、完全に可燃性境界の不燃性側にあることがわかる。したがって、HFO-1225yeE、HFO-1234zeE、及びHFC-134を含有する全ての特許請求される組成物は、60℃で不燃性である。
【0122】
(実施例2)
冷却性能
HFO-1234zeE及びHFO-1225yeEを含有する組成物の空調及びヒートポンプ装置の典型的な条件下における冷却性能を判定し、HFO-1234zeEとの比較として、表2に表示する。GWP値は、Intergovernmental Panel on Climate Change(IPCC)Fourth Assessment Report,Working Group I,2007(AR4)からの値である。平均温度勾配(Average Temp Glide:蒸発器における温度勾配と凝縮器における温度勾配との平均)、1234zeEに対する冷却能力(能力)、1234zeEに対するCOP、及び圧縮機吐出温度(Compr Disch Temp)を、以下の特定の条件における本発明の組成物についての物性測定から算出する。
【0123】
【0124】
【0125】
データは、本発明の全ての組成物が、低いGWP、低い平均温度勾配、HFO-1234zeE単独の10%以内の能力、及びHFO-1234zeEのものと同等のCOPも有する不燃性組成物を提供することを示す。
【0126】
(実施例3)
冷却性能
HFO-1234zeE、HFO-1225yeE、及びHFC-134を含有する組成物の空調及びヒートポンプ装置の典型的な条件下における冷却性能を判定し、HFO-1234zeEとの比較として、表3に表示する。GWP値は、Intergovernmental Panel on Climate Change(IPCC)Fourth Assessment Report,Working Group I,2007(AR4)からの値である。平均温度勾配(Average Temp Glide:蒸発器における温度勾配と凝縮器における温度勾配との平均)、1234zeEに対する冷却能力(能力)、1234zeEに対するCOP、及び圧縮機吐出温度(Compr Disch Temp)を、以下の特定の条件における本発明の組成物についての物性測定から算出する。
【0127】
【0128】
【0129】
データは、HFO-1234zeE、HFO-1225yeE、及びHFC-134を含有する組成物が、HFO-1234zeE単独の冷却能力の10%以内の冷却能力、HFO-1234zeE単独のCOPと同等又はそれよりわずかに改善されたCOP、及び300未満、又は更に150未満のGWPを有する不燃性冷媒を提供することを示す。
【0130】
(実施例4)
加熱性能
HFO-1234zeE、HFO-1225yeE、及びHFC-134を含有する組成物の住居用ヒートポンプ装置の典型的な条件下における加熱性能を判定し、HFO-1234zeEとの比較として、表4に表示する。GWP値は、Intergovernmental Panel on Climate Change(IPCC)Fourth Assessment Report,Working Group I,2007(AR4)からの値である。蒸発器及び凝縮器における温度勾配、1234zeEに対する加熱能力(能力)、及び1234zeEに対するCOPを、以下の特定の条件における本発明の組成物についての物性測定から算出する。
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
データは、HFO-1234zeE、HFO-1225yeE、及びHFC-134を含有する組成物が、HFO-1234zeE単独の加熱能力の10%以内の加熱能力、HFO-1234zeE単独のCOPに非常に近似したCOP、及び150未満のGWPを有する不燃性冷媒を提供することを示す。
【0135】
(実施例5)
遠心圧縮機の先端速度
表5は、HFO-1234zeE単独と比較した、本発明の組成物によって提供される冷却システム、特に遠心チラーの性能、及び推定先端速度を示す。GWP値は、Intergovernmental Panel on Climate Change(IPCC)Fourth Assessment Report,Working Group I,2007(AR4)からの値である。1234zeEに対する冷却能力(能力)、及び1234zeEに対するCOPを、以下の特定の条件における本発明の組成物についての物性測定から算出する。
【0136】
【0137】
【0138】
データは、HFO-1234zeE、HFO-1225yeE、及び任意選択的にHFC-134を含有する組成物が、HFO-1234zeE単独の先端速度の5%以内の先端速度を有する不燃性冷媒を提供し、多くがHFO-1234zeE単独の先端速度の2%以内の先端速度を提供する一方で、類似の又は改善された冷却性能も提供することを示す。したがって、これらの組成物は、HFO-1234zeE又はR-515A又はR-515Bのために設計された遠心システムのためのフィールドレトロフィットシナリオにおいてさえ、不燃性の低GWP代替品として役立つであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約10~98重量パーセントのHFO-1225yeE、約1~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約1~27重量パーセントのHFC-134を含む冷媒を含む、組成物。
【請求項2】
前記冷媒が、約10~78重量パーセントのHFO-1225yeE、約11~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約11~27重量パーセントのHFC-134を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記冷媒が、約23~78重量パーセントのHFO-1225yeE、約11~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約11~13重量パーセントのHFC-134を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記冷媒が、約23~39重量パーセントのHFO-1225yeE、約12~64重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約12~13重量パーセントのHFC-134を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
約26重量パーセントのHFO-1225yeE、約62重量パーセントのHFO-1234zeE、及び約12重量パーセントのHFC-134から本質的になる冷媒を含む、組成物。
【請求項6】
前記冷媒が、ASTM E681によって不燃性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
同じ動作条件でHFO-1234zeEの10%以内、好ましくは8%以内、より好ましくは5%以内の体積冷却能力を提供する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1つの潤滑剤、少なくとも1つの安定剤、又は少なくとも1つのトレーサーを更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
冷却を生じさせるためのプロセスであって、冷却される物体の近傍で請求項1に記載の組成物を蒸発させ、その後、前記組成物を凝縮させることを含む、プロセス。
【請求項10】
加熱を生じさせるためのプロセスであって、加熱される物体の近傍で請求項1に記載の組成物を凝縮させ、その後、前記組成物を蒸発させることを含む、プロセス。
【請求項11】
冷却のためのシステムであって、蒸発器、圧縮機、凝縮器、及び膨張装置を含み、前記システムが、請求項1に記載の組成物を含有する、システム。
【請求項12】
加熱のためのシステムであって、蒸発器、圧縮機、凝縮器、及び膨張装置を含み、前記システムが、請求項1に記載の組成物を含有する、システム。
【請求項13】
冷却又は加熱のためのシステムにおいてHFO-1234zeEを代替する方法であって、請求項1に記載の組成物を前記システムに提供することを含む、方法。
【請求項14】
冷却又は加熱のためのシステムにおいてHFO-1234zeE又はR-515A又はR-515Bを代替する方法であって、請求項1に記載の組成物を前記システムに提供することを含み、前記システムが、遠心圧縮機を含む、方法。
【国際調査報告】