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特表2024-534969ラクトフェリンを含む腸溶性コーティング粒子
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  • 特表-ラクトフェリンを含む腸溶性コーティング粒子 図1
  • 特表-ラクトフェリンを含む腸溶性コーティング粒子 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】ラクトフェリンを含む腸溶性コーティング粒子
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/48 20060101AFI20240918BHJP
   A61K 38/40 20060101ALI20240918BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240918BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240918BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240918BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240918BHJP
   A23L 33/19 20160101ALI20240918BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240918BHJP
【FI】
A61K9/48
A61K38/40
A61P1/00
A61K47/38
A61K47/10
A61K47/32
A61K47/14
A61K47/26
A61K47/04
A23L33/19
A23L5/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024515450
(86)(22)【出願日】2022-09-12
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 EP2022075283
(87)【国際公開番号】W WO2023036981
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】LU500645
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.Pharmacoat
(71)【出願人】
【識別番号】512114774
【氏名又は名称】ユニヴェルザ ヴィ リュブリャナ
【氏名又は名称原語表記】Univerza v Ljubljani
【住所又は居所原語表記】Kongresni trg 12, 1000 Ljubljana, Slovenia
(71)【出願人】
【識別番号】524088283
【氏名又は名称】アーヘル プロイェクティラニィエ イン インジェニリング デ.オ.オ.
【氏名又は名称原語表記】ARHEL projektiranje in inzeniring d.o.o.
【住所又は居所原語表記】Pustovrhova ulica 15, 1210 Ljubljana-Sentvid, Slovenia
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ブラジュ グリルツ
(72)【発明者】
【氏名】マヤ ビェロシェビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ロシュカー
(72)【発明者】
【氏名】ニカ オセル
(72)【発明者】
【氏名】アルビン クリストル
(72)【発明者】
【氏名】ミリャナ ガシュペルリン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4B018LE02
4B018MD07
4B018MD08
4B018MD15
4B018MD20
4B018MD27
4B018MD32
4B018MD34
4B018MD35
4B018MD37
4B018MD38
4B018MD71
4B018ME14
4B018MF08
4B035LC06
4B035LE11
4B035LG04
4B035LG08
4B035LG12
4B035LG15
4B035LG17
4B035LG19
4B035LG21
4B035LG25
4B035LG26
4B035LG28
4B035LG44
4B035LK13
4B035LP21
4B035LP36
4C076AA31
4C076AA53
4C076AA54
4C076BB01
4C076CC16
4C076DD07F
4C076DD09
4C076DD09F
4C076DD28
4C076DD46
4C076DD47
4C076EE09J
4C076EE10J
4C076EE23
4C076EE23F
4C076EE31J
4C076EE31Q
4C076EE32J
4C076EE32Q
4C076FF05
4C076FF07
4C076FF25
4C076FF36
4C076FF43
4C076FF63
4C076GG32
4C076GG33
4C084AA01
4C084AA02
4C084DC50
4C084MA05
4C084MA37
4C084MA52
4C084NA03
4C084ZA661
4C084ZA662
(57)【要約】
本発明は、総じて、ラクトフェリンを含む腸溶性コーティング粒子に関する。より具体的には、本発明は、以下:a)セルロースポリマー、糖、糖アルコール、デンプンおよびカルナウバワックスから選択される不活性コア形成材料を含む(または実質的にそれからなる)コア;b)コアを実質的に覆い、b-1)ラクトフェリン、b-2)薬学的に許容される結合剤、および任意にb-3)可塑剤などの1つ以上の他の適切な賦形剤を含む(または実質的にそれからなる)第1のコーティング層;ならびにc)第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)腸溶性コーティング材料、および任意にc-2)可塑剤および/または粘着防止剤などの1つ以上の適切な賦形剤を含む(または実質的にそれからなる)第2のコーティング層を含む(または実質的にそれからなる)腸溶性コーティング粒子を提供する。本発明はさらに、本発明による1つ以上の粒子を含む医薬組成物および経口剤形を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:a)セルロースポリマー、糖、糖アルコール、デンプンおよびカルナウバワックスから選択される不活性コア形成材料を含むコア;b)前記コアを実質的に覆い、b-1)ラクトフェリン、b-2)薬学的に許容される結合剤、および任意にb-3)可塑剤などの1つ以上の他の適切な賦形剤を含む第1のコーティング層;ならびにc)前記第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)腸溶性コーティング材料、および任意にc-2)可塑剤および/または粘着防止剤などの1つ以上の適切な賦形剤を含む第2のコーティング層を含む、腸溶性コーティング粒子。
【請求項2】
前記不活性コア形成材料が、セルロースポリマーである、請求項1記載の粒子。
【請求項3】
前記セルロースポリマーが、微結晶セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される、請求項2記載の粒子。
【請求項4】
前記セルロースポリマーが、微結晶セルロースである、請求項2記載の粒子。
【請求項5】
前記第1のコーティング層に含まれる前記薬学的に許容される結合剤が、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース、ポビドン、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、コポビドン、アガー、ゼラチン、アラビアガム、アルギン酸塩、例えば、アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、糖、糖アルコール、デンプンおよび加工デンプン、例えば、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、米デンプンおよびα化デンプンからなる群から選択される、請求項1から4までのいずれか1項記載の粒子。
【請求項6】
前記第1のコーティング層に含まれる前記薬学的に許容される結合剤が、非ポリビニルピロリドン(PVP)結合剤である、請求項1から5までのいずれか1項記載の粒子。
【請求項7】
前記第1のコーティング層に含まれる前記薬学的に許容される結合剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項1から6までのいずれか1項記載の粒子。
【請求項8】
前記第1のコーティング層が、可塑剤を含む、請求項1から7までのいずれか1項記載の粒子。
【請求項9】
前記可塑剤が、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、ソルビトール-ソルビタン溶液、グリセリン、脱アセチル化モノグリセリド、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ヒマシ油、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチルおよびトリアセチンからなる群から選択される、請求項8記載の粒子。
【請求項10】
前記可塑剤が、ポリエチレングリコールである、請求項8記載の粒子。
【請求項11】
前記ポリエチレングリコールが、6000g/molの平均分子量を有する、請求項10記載の粒子。
【請求項12】
前記第2のコーティング層に含まれる前記腸溶性コーティング材料が、アニオン性側基(好ましくはカルボン酸側基)を含むポリマーまたはコポリマーから選択される、請求項1から11までのいずれか1項記載の粒子。
【請求項13】
前記第2のコーティング層に含まれる前記腸溶性コーティング材料が、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーおよびアニオン性ポリビニルポリマーまたはコポリマーからなる群から選択される、請求項1から12までのいずれか1項記載の粒子。
【請求項14】
前記第2のコーティング層に含まれる前記腸溶性コーティング材料が、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーである、請求項1から13までのいずれか1項記載の粒子。
【請求項15】
前記第2のコーティング層に含まれる前記腸溶性コーティング材料が、メタクリル酸およびメチルメタクリレートもしくはエチルアクリレートから構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、またはエチルアクリレートおよびメチルメタクリレートから構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーである、請求項1から14までのいずれか1項記載の粒子。
【請求項16】
前記第2のコーティング層に含まれる前記腸溶性コーティング材料が、メタクリル酸およびエチルメタクリレートから構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー(例えば、EUDRAGIT(登録商標)L)と、エチルアクリレートおよびメチルメタクリレートから構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー(例えば、EUDRAGIT(登録商標)NM)とを好ましくは25:75の割合で含むポリマー組み合わせである、請求項1から14までのいずれか1項記載の粒子。
【請求項17】
前記第2のコーティング層が、可塑剤をさらに含む、請求項1から16までのいずれか1項記載の粒子。
【請求項18】
前記可塑剤が、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、ソルビトール-ソルビタン溶液、グリセリン、脱アセチル化モノグリセリド、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ヒマシ油、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチルおよびトリアセチンからなる群から選択される、請求項17記載の粒子。
【請求項19】
前記可塑剤が、クエン酸トリエチル(TEC)である、請求項17または18記載の粒子。
【請求項20】
前記第2のコーティング層が、粘着防止剤をさらに含む、請求項1から19までのいずれか1項記載の粒子。
【請求項21】
前記粘着防止剤が、タルクまたはモノステアリン酸グリセリンである、請求項20記載の粒子。
【請求項22】
前記第2のコーティング層が、乳化剤をさらに含む、請求項1から21までのいずれか1項記載の粒子。
【請求項23】
前記乳化剤が、非イオン性乳化剤である、請求項22記載の粒子。
【請求項24】
前記非イオン性乳化剤が、ポリソルベートである、請求項23記載の粒子。
【請求項25】
前記ポリソルベートが、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンである、請求項24記載の粒子。
【請求項26】
以下:a)微結晶セルロースを含むコア;b)前記コアを実質的に覆い、b-1)ラクトフェリン、b-2)ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびb-3)ポリエチレングリコールを含む第1のコーティング層;ならびにc)前記第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、c-2)クエン酸トリエチル(TEC)、c-3)モノステアリン酸グリセリン、およびc-4)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンを含む第2のコーティング層を含む、請求項1記載の粒子。
【請求項27】
以下:a)微結晶セルロースを含むコア;b)前記コアを実質的に覆い、b-1)ラクトフェリン、b-2)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびb-3)ポリエチレングリコールを含む第1のコーティング層;ならびにc)前記第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、c-2)クエン酸トリエチル(TEC)、およびc-3)タルクを含む第2のコーティング層を含む、請求項1記載の粒子。
【請求項28】
請求項1から27までのいずれか1項記載の1つ以上の粒子と、任意に薬学的に許容される1つ以上の賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項29】
請求項1から27までのいずれか1項記載の1つ以上の粒子を含む、経口剤形。
【請求項30】
硬カプセルである、請求項29記載の経口剤形。
【請求項31】
200mg以上のラクトフェリンを含む、請求項29または30記載の経口剤形。
【請求項32】
約400mg~約600mgの前記粒子を含む、請求項29から31までのいずれか1項記載の経口剤形。
【請求項33】
医薬品として使用するための、好ましくは腸疾患の予防および/または治療に使用するための、請求項1から27までのいずれか1項記載の粒子、請求項28記載の医薬組成物、または請求項29から32までのいずれか1項記載の経口剤形。
【請求項34】
請求項1から27までのいずれか1項記載の1つ以上の粒子を含む、食品または食品サプリメント。
【請求項35】
請求項1から27までのいずれか1項記載の粒子の製造方法であって、コーティング水溶液、コーティング水性懸濁液またはコーティング水性分散液の形態の第1のコーティング層を、噴霧法または流動層噴霧造粒によってコアに施与する工程と、コーティング水溶液、コーティング水性懸濁液またはコーティング水性分散液の形態の第2のコーティング層を、噴霧法または流動層噴霧造粒によって前記第1のコーティング層に施与する工程とを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総じて、ラクトフェリンを含む腸溶性コーティング粒子に関する。より具体的には、本発明は、以下:a)セルロースポリマー、糖、糖アルコール、デンプンおよびカルナウバワックスから選択される不活性コア形成材料を含む(または実質的にそれからなる)コア;b)コアを実質的に覆い、b-1)ラクトフェリン、b-2)薬学的に許容される結合剤、および任意にb-3)可塑剤などの1つ以上の他の適切な賦形剤を含む(または実質的にそれからなる)第1のコーティング層;ならびにc)第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)腸溶性コーティング材料、および任意にc-2)可塑剤および/または粘着防止剤などの1つ以上の適切な賦形剤を含む(または実質的にそれからなる)第2のコーティング層を含む(または実質的にそれからなる)腸溶性コーティング粒子を提供する。本発明はさらに、本発明による1つ以上の粒子を含む医薬組成物および経口剤形を提供する。
【0002】
本発明の背景
食中毒は、抗生物質および/または薬用活性炭で治療されることがほとんどである。これらのアプローチの欠点は、選択性が低いことである。抗生物質は、消化管の適切な機能にとって重要な微生物に対しても有効である。その結果、抗生物質の過剰使用は便秘を引き起こす可能性があり、同時に微生物がより耐性の高い株に変異する可能性も高くなる。したがって、患者の脱水を防ぐためにどうしても必要な場合を除き、消化器系の合併症に抗生物質が処方されることはあまりない。活性炭は消化管内の毒素を結合させる効果があり、通常は微生物の増殖には影響を与えない。したがって、食中毒や水中毒の治療におけるその有効性を測定することは困難である。
【0003】
上記の課題に対する解決策は、腸への選択的微生物増殖抑制剤の使用である。この点で、ラクトフェリンは細菌の増殖を抑制するタンパク質として認識されており、病原微生物のみに選択的に作用することがわかっている。ラクトフェリン(LF)またはラクトトランスフェリンは、トランスフェリンファミリーに属する80kDaの非ヘム鉄結合球状糖タンパク質であり、様々な分泌液中に存在する。これは、乳汁中の主要な鉄結合タンパク質であり、抗菌、免疫調節、抗酸化、抗がん、その他多くの生物学的機能を持つ。いわゆる旅行者病を含む様々な疾患の治療への可能性から、LFを含む製品への関心が高まっている。
【0004】
一方、ラクトフェリンは一般に、消化管でのタンパク質分解と腸管上皮を通過する透過性の悪さにより、経口投与後の生物学的利用能が低い。模擬腸液中のLFの半減期は、模擬胃液中の約3倍である。したがって、経口投与後のLFの安定性を高めるには、酵素分解や胃内の強酸性環境からLFを保護することが重要である。上部消化管を通してLFを無傷のまま送達するための最も一般的な方法は、LFの鉄飽和度を高めること(ホロラクトフェリンの調製)、LFの(マイクロ)カプセル化、およびPEG化である。しかし、これらの方法には、LFの活性を低下させ、微生物に対するLFの有効性に影響を与えるという欠点がある。
【0005】
したがって、経口投与後のラクトフェリンの高投与量や安定性のような有利な特性を提供するラクトフェリンの新たな製剤の提供が、依然として常に求められている。
【0006】
発明の概要
本発明は、以下:a)不活性コア形成材料を含むコア;b)コアを実質的に覆い、b-1)ラクトフェリンを含む第1のコーティング層;ならびにc)第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)腸溶性コーティング材料を含む第2のコーティング層を含む腸溶性コーティング粒子を提供することによって、この必要性に対処するものである。
【0007】
したがって、より具体的には、本発明は、以下:a)セルロースポリマー、糖、糖アルコール、デンプンおよびカルナウバワックスから選択される不活性コア形成材料を含むコア;b)コアを実質的に覆い、b-1)ラクトフェリン、b-2)薬学的に許容される結合剤、および任意にb-3)可塑剤などの1つ以上の他の適切な賦形剤を含む第1のコーティング層;ならびにc)第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)腸溶性コーティング材料、および任意にc-2)可塑剤および/または粘着防止剤などの1つ以上の適切な賦形剤を含む第2のコーティング層を含む腸溶性コーティング粒子を提供する。
【0008】
本発明の粒子の1つの利点は、非常に純粋なラクトフェリンを1回の投与で高用量で提供できることである。例えば、本発明の粒子を用いると、1回の投与で200mg以上のラクトフェリンを含む製品を提供することができる。さらに、本発明の粒子によって、消化管内で認められる条件に対する改善された耐性が提供され、したがって、経口投与後のラクトフェリンの全体的な安定性が増大する。本発明による実質的に球状の粒子の使用によって、流動特性を向上させることができ、したがって、ばらつきが少ない状態でカプセルにより均一に充填され、必要となる腸溶性コーティングが少なくなる。
【0009】
本発明は、以下の項目をさらに特徴とすることができる:
1.以下:a)セルロースポリマー、糖、糖アルコール、デンプンおよびカルナウバワックスから選択される不活性コア形成材料を含む(または実質的にそれからなる)コア;b)コアを実質的に覆い、b-1)ラクトフェリン、b-2)薬学的に許容される結合剤、および任意にb-3)可塑剤などの1つ以上の他の適切な賦形剤を含む(または実質的にそれからなる)第1のコーティング層;ならびにc)第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)腸溶性コーティング材料、および任意にc-2)可塑剤および/または粘着防止剤などの1つ以上の適切な賦形剤を含む(または実質的にそれからなる)第2のコーティング層を含む(または実質的にそれからなる)腸溶性コーティング粒子。
【0010】
2.不活性コア形成材料が、セルロースポリマーである、項目1記載の粒子。
【0011】
3.セルロースポリマーが、微結晶セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される、項目2記載の粒子。
【0012】
4.セルロースポリマーが、微結晶セルロースである、項目2記載の粒子。
【0013】
5.不活性コア形成材料が、糖または糖アルコールである、項目1記載の粒子。
【0014】
6.糖が、グルコース、スクロースおよびラクトースからなる群から選択される、項目5記載の粒子。
【0015】
7.糖アルコールが、イソマルト、マルチトール、マンニトール、キシリトールおよびソルビトールからなる群から選択される、項目5記載の粒子。
【0016】
8.第1のコーティング層に含まれる薬学的に許容される結合剤が、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース、ポビドン、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、コポビドン、アガー、ゼラチン、アラビアガム、アルギン酸塩、例えば、アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、糖、糖アルコール、デンプンおよび加工デンプン、例えば、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、米デンプンおよびα化デンプンからなる群から選択される、項目1から7までのいずれか1項記載の粒子。
【0017】
9.第1のコーティング層に含まれる薬学的に許容される結合剤が、非ポリビニルピロリドン(PVP)結合剤である、項目1から8までのいずれか1項記載の粒子。
【0018】
10.第1のコーティング層に含まれる薬学的に許容される結合剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、項目1から9までのいずれか1項記載の粒子。
【0019】
11.第1のコーティング層が、可塑剤などの1つ以上の他の適切な賦形剤を含む、項目1から10までのいずれか1項記載の粒子。
【0020】
12.第1のコーティング層が、可塑剤を含む、項目1から11までのいずれか1項記載の粒子。
【0021】
13.可塑剤が、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、ソルビトール-ソルビタン溶液、グリセリン、脱アセチル化モノグリセリド、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ヒマシ油、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチルおよびトリアセチンからなる群から選択される、項目11または12記載の粒子。
【0022】
14.可塑剤が、ポリエチレングリコールである、項目11または12記載の粒子。
【0023】
15.ポリエチレングリコールが、1000g/mol~20000g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールから選択される、項目14記載の粒子。
【0024】
16.ポリエチレングリコールが、6000g/molの平均分子量を有する、項目14記載の粒子。
【0025】
17.第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料が、アニオン性側基(好ましくはカルボン酸側基)を含むポリマーまたはコポリマーから選択される、項目1から16までのいずれか1項記載の粒子。
【0026】
18.第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料が、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーおよびアニオン性ポリビニルポリマーまたはコポリマーからなる群から選択される、項目1から16までのいずれか1項記載の粒子。
【0027】
19.第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料が、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーである、項目1から18までのいずれか1項記載の粒子。
【0028】
20.第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料が、メタクリル酸およびメチルメタクリレートもしくはエチルアクリレートから構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、またはエチルアクリレートおよびメチルメタクリレートから構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーである、項目1から19までのいずれか1項記載の粒子。
【0029】
21.第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料が、メタクリル酸40~60重量%およびメチルメタクリレート60~40重量%またはエチルアクリレート60~40重量%から構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー(例えば、EUDRAGIT(登録商標)L)である、項目1から20までのいずれか1項記載の粒子。
【0030】
22.第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料が、メタクリル酸およびエチルメタクリレートから構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー(例えば、EUDRAGIT(登録商標)L)と、エチルアクリレートおよびメチルメタクリレートから構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー(例えば、EUDRAGIT(登録商標)NM)とを好ましくは25:75の割合で含むポリマー組み合わせである、項目1から20までのいずれか1項記載の粒子。
【0031】
23.第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料が、アニオン性ポリビニルポリマーまたはコポリマーである、項目1から18までのいずれか1項記載の粒子。
【0032】
24.アニオン性ポリビニルポリマーまたはコポリマーが、アクリル酸またはメタクリル酸以外の不飽和カルボン酸から誘導される構造単位、例えば、ポリビニルアセテートフタレート、酢酸ビニルとクロトン酸との9:1のコポリマー、またはポリ酢酸コハク酸ビニルを含むことができる、項目23記載の粒子。
【0033】
25.第2のコーティング層が、可塑剤をさらに含む、項目1から24までのいずれか1項記載の粒子。
【0034】
26.可塑剤が、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、ソルビトール-ソルビタン溶液、グリセリン、脱アセチル化モノグリセリド、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ヒマシ油、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチルおよびトリアセチンからなる群から選択される、項目25記載の粒子。
【0035】
27.可塑剤が、クエン酸トリエチル(TEC)である、項目25または26記載の粒子。
【0036】
28.第2のコーティング層が、粘着防止剤をさらに含む、項目1から27までのいずれか1項記載の粒子。
【0037】
29.粘着防止剤が、タルクまたはモノステアリン酸グリセリンである、項目28記載の粒子。
【0038】
30.粘着防止剤が、タルクである、項目28記載の粒子。
【0039】
31.粘着防止剤が、モノステアリン酸グリセリンである、項目28記載の粒子。
【0040】
32.第2のコーティング層が、乳化剤をさらに含む、項目1から31までのいずれか1項記載の粒子。
【0041】
33.乳化剤が、非イオン性乳化剤である、項目32記載の粒子。
【0042】
34.非イオン性乳化剤が、ポリソルベートである、項目33記載の粒子。
【0043】
35.ポリソルベートが、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンおよびモノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンからなる群から選択される、項目34記載の粒子。
【0044】
36.ポリソルベートが、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンである、項目34記載の粒子。
【0045】
37.以下:a)微結晶セルロースを含むコア;b)コアを実質的に覆い、b-1)ラクトフェリン、b-2)ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびb-3)ポリエチレングリコールを含む第1のコーティング層;ならびにc)第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、c-2)クエン酸トリエチル(TEC)、c-3)モノステアリン酸グリセリン、およびc-4)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンを含む第2のコーティング層を含む、項目1記載の粒子。
【0046】
38.以下:a)微結晶セルロースからなるコア;b)コアを実質的に覆い、a-1)ラクトフェリン、a-2)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、a-3)ポリエチレングリコール、好ましくは6000g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコール、および任意にa-4)夾雑物からなる第1のコーティング層;ならびにc)第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、c-2)クエン酸トリエチル(TEC)、c-3)モノステアリン酸グリセリン、およびc-4)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンからなる第2のコーティング層を含む、項目1記載の粒子。
【0047】
39.以下:a)微結晶セルロースを含むコア;b)コアを実質的に覆い、b-1)ラクトフェリン、b-2)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびb-3)ポリエチレングリコールを含む第1のコーティング層;ならびにc)第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、c-2)クエン酸トリエチル(TEC)、およびc-3)タルクを含む第2のコーティング層を含む、項目1記載の粒子。
【0048】
40.以下:a)微結晶セルロースからなるコア;b)コアを実質的に覆い、b-1)ラクトフェリン、b-2)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、b-3)ポリエチレングリコール、好ましくは6000g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコール、および任意にb-4)夾雑物からなる第1のコーティング層;ならびにc)第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、c-2)クエン酸トリエチル(TEC)、およびc-3)タルクからなる第2のコーティング層を含む、項目1記載の粒子。
【0049】
41.コアが、粒子の総重量の約10%~約50%を占める、項目1から40までのいずれか1項記載の粒子。
【0050】
42.コアが、粒子の総重量の約20%~約40%を占める、項目1から40までのいずれか1項記載の粒子。
【0051】
43.コアが、粒子の総重量の約25%~約35%を占める、項目1から42までのいずれか1項記載の粒子。
【0052】
44.コアが、粒子の総重量の約29%~約31%を占める、項目1から43までのいずれか1項記載の粒子。
【0053】
45.第1のコーティング層が、粒子の総重量の約40%~約60%を占める、項目1から44までのいずれか1項記載の粒子。
【0054】
46.第1のコーティング層が、粒子の総重量の約45%~約55%を占める、項目1から45までのいずれか1項記載の粒子。
【0055】
47.第1のコーティング層が、粒子の総重量の約48%~約52%を占める、項目1から46までのいずれか1項記載の粒子。
【0056】
48.第2のコーティング層が、粒子の総重量の約10%~約30%を占める、項目1から47までのいずれか1項記載の粒子。
【0057】
49.第2のコーティング層が、粒子の総重量の約15%~約25%を占める、項目1から48までのいずれか1項記載の粒子。
【0058】
50.第2のコーティング層が、粒子の総重量の約18%~約22%を占める、項目1から49までのいずれか1項記載の粒子。
【0059】
51.第1のコーティング層が、第1のコーティング層の総重量の約70%~約90%の量のラクトフェリンを含む、項目1から50までのいずれか1項記載の粒子。
【0060】
52.第1のコーティング層が、第1のコーティング層の総重量の約75%~約85%の量のラクトフェリンを含む、項目1から51までのいずれか1項記載の粒子。
【0061】
53.第1のコーティング層が、第1のコーティング層の総重量の約76%~約80%の量のラクトフェリンを含む、項目1から52までのいずれか1項記載の粒子。
【0062】
54.第1のコーティング層が、第1のコーティング層の総重量の約7%~約30%の量の薬学的に許容される結合剤を含む、項目1から53までのいずれか1項記載の粒子。
【0063】
55.第1のコーティング層が、第1のコーティング層の総重量の約10%~約25%の量の薬学的に許容される結合剤を含む、項目1から54までのいずれか1項記載の粒子。
【0064】
56.第1のコーティング層が、第1のコーティング層の総重量の約10%~約20%の量の薬学的に許容される結合剤を含む、項目1から55までのいずれか1項記載の粒子。
【0065】
57.第1のコーティング層が、第1のコーティング層の総重量の約10%~約15%の量のポリマー結合剤を含む、項目1から56までのいずれか1項記載の粒子。
【0066】
58.第1のコーティング層が、第1のコーティング層の総重量の約0.1%~約5%の量の可塑剤などの1つ以上の他の適切な賦形剤を含む、項目1から57までのいずれか1項記載の粒子。
【0067】
59.第1のコーティング層が、第1のコーティング層の総重量の約1%~約5%の量の可塑剤を含む、項目1から58までのいずれか1項記載の粒子。
【0068】
60.第1のコーティング層が、第1のコーティング層の総重量の約2%~約4%の量の可塑剤を含む、項目1から59までのいずれか1項記載の粒子。
【0069】
61.第2のコーティング層が、第2のコーティング層の総重量の約50%~約90%の量の腸溶性コーティング材料を含む、項目1から60までのいずれか1項記載の粒子。
【0070】
62.第2のコーティング層が、第2のコーティング層の総重量の約60%~約90%の量の腸溶性コーティング材料を含む、項目1から61までのいずれか1項記載の粒子。
【0071】
63.第2のコーティング層が、第2のコーティング層の総重量の約60%~約70%の量の腸溶性コーティング材料を含む、項目1から62までのいずれか1項記載の粒子。
【0072】
64.第2のコーティング層が、第2のコーティング層の総重量の約60%~約65%の量の腸溶性コーティング材料を含む、項目1から62までのいずれか1項記載の粒子。
【0073】
65.第2のコーティング層が、第2のコーティング層の総重量の約70%~約90%の量の腸溶性コーティング材料を含む、項目1から62までのいずれか1項記載の粒子。
【0074】
66.第2のコーティング層が、第2のコーティング層の総重量の約80%~約90%の量の腸溶性コーティング材料を含む、項目1から62までのいずれか1項記載の粒子。
【0075】
67.第2のコーティング層が、第2のコーティング層の総重量の約5%~約20%の総量の可塑剤などの1つ以上の他の適切な賦形剤を含む、項目1から66までのいずれか1項記載の粒子。
【0076】
68.第2のコーティング層が、第2のコーティング層の総重量の約10%~約20%の総量の可塑剤などの1つ以上の他の適切な賦形剤を含む、項目1から67までのいずれか1項記載の粒子。
【0077】
69.第2のコーティング層が、第2のコーティング層の総重量の約5%~約10%の量の可塑剤を含む、項目1から68までのいずれか1項記載の粒子。
【0078】
70.第2のコーティング層が、第2のコーティング層の総重量の約2%~約35%の量の粘着防止剤を含む、項目1から69までのいずれか1項記載の粒子。
【0079】
71.第2のコーティング層が、第2のコーティング層の総重量の約3%~約5%の量、例えば、第2のコーティング層の総重量の約4%~約4.5%の量の、粘着防止剤としてのモノステアリン酸グリセリンを含む、項目1から70までのいずれか1項記載の粒子。
【0080】
72.第2のコーティング層が、第2のコーティング層の総重量の約25%~約35%の量、例えば、第2のコーティング層の総重量の約28%~約32%の量の、粘着防止剤としてのタルクを含む、項目1から71までのいずれか1項記載の粒子。
【0081】
73.第2のコーティング層が、第2のコーティング層の総重量の約1%~約3%の量の乳化剤を含む、項目1から72までのいずれか1項記載の粒子。
【0082】
74.ラクトフェリンが、粒子の総重量の約30%~約50%の量で存在する、項目1から73までのいずれか1項記載の粒子。
【0083】
75.ラクトフェリンが、粒子の総重量の約35%~約45%の量で存在する、項目1から74までのいずれか1項記載の粒子。
【0084】
76.ラクトフェリンが、粒子の総重量の約35%~約40%の量で存在する、項目1から75までのいずれか1項記載の粒子。
【0085】
77.第1のコーティング層に含まれる薬学的に許容される結合剤が、粒子の総重量の約5%~約10%の量で存在する、項目1から76までのいずれか1項記載の粒子。
【0086】
78.第1のコーティング層に含まれる薬学的に許容される結合剤が、粒子の総重量の約5%~約8%の量で存在する、項目1から77までのいずれか1項記載の粒子。
【0087】
79.第1のコーティング層に含まれる薬学的に許容される結合剤が、粒子の総重量の約6%~約7%の量で存在する、項目1から77までのいずれか1項記載の粒子。
【0088】
80.可塑剤が、第1のコーティング層に含まれる場合、粒子の総重量の約1%~約2%の量で存在する、項目1から79までのいずれか1項記載の粒子。
【0089】
81.可塑剤が、第1のコーティング層に含まれる場合、粒子の総重量の約1%~約1.5%の量で存在する、項目1から80までのいずれか1項記載の粒子。
【0090】
82.第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料が、粒子の総重量の約15%~約20%の量で存在する、項目1から81までのいずれか1項記載の粒子。
【0091】
83.第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料が、粒子の総重量の約16%~約18%の量で存在する、項目1から82までのいずれか1項記載の粒子。
【0092】
84.可塑剤が、第2のコーティング層に含まれる場合、粒子の総重量の約1%~約2%の量で存在する、項目1から83までのいずれか1項記載の粒子。
【0093】
85.粘着防止剤が、第2のコーティング層に含まれる場合、粒子の総重量の約0.5%~約10%の量で存在する、項目1から84までのいずれか1項記載の粒子。
【0094】
86.モノステアリン酸グリセリンが、粘着防止剤として第2のコーティング層に含まれる場合、粒子の総重量の約0.5%~約1%の量で存在する、項目1から85までのいずれか1項記載の粒子。
【0095】
87.乳化剤が、第2のコーティング層に含まれる場合、粒子の総重量の約0.1%~約1%の量で存在する、項目1から86までのいずれか1項記載の粒子。
【0096】
88.乳化剤が、第2のコーティング層に含まれる場合、粒子の総重量の約0.1%~約0.5%の量で存在する、項目1から87までのいずれか1項記載の粒子。
【0097】
89.ペレット、スフェロイドまたはビーズの形態である、項目1から88までのいずれか1項記載の粒子。
【0098】
90.ペレットの形態である、項目1から88までのいずれか1項記載の粒子。
【0099】
91.前記粒子が、約450μm~約650μmの平均粒径d50を有する、項目1から90までのいずれか1項記載の粒子。
【0100】
92.前記粒子が、約0.7g/ml~約0.8g/ml、例えば、約0.740g/mLのかさ密度を有する、項目1から91までのいずれか1項記載の粒子。
【0101】
93.前記粒子が、約0.75g/ml~約0.85g/ml、例えば、約0.802g/mLのタップ密度を有する、項目1から92までのいずれか1項記載の粒子。
【0102】
94.前記粒子が、実質的に球状である、項目1から93までのいずれか1項記載の粒子。
【0103】
95.欧州薬局方2.9.3.に準拠したイン・ビトロ溶出試験により測定した場合に、120分以内に最大で10%のラクトフェリンが粒子から放出される、項目1から94までのいずれか1項記載の粒子。
【0104】
96.項目1から95までのいずれか1項記載の1つ以上の粒子と、任意に薬学的に許容される1つ以上の賦形剤とを含む、医薬組成物。
【0105】
97.項目1から95までのいずれか1項記載の1つ以上の粒子を含む、経口剤形。
【0106】
98.カプセルまたは錠剤などの固体剤形である、項目97記載の経口剤形。
【0107】
99.カプセルである、項目97または98記載の経口剤形。
【0108】
100.硬カプセルである、項目97から99までのいずれか1項記載の経口剤形。
【0109】
101.200mg以上のラクトフェリンを含む、項目97から100までのいずれか1項記載の経口剤形。
【0110】
102.約400mg~約600mgの前記粒子を含む、項目97から101までのいずれか1項記載の経口剤形。
【0111】
103.少なくとも500mgの前記粒子を含む、項目97から102までのいずれか1項記載の経口剤形。
【0112】
104.医薬品として使用するための、項目1から95までのいずれか1項記載の粒子、項目96記載の医薬組成物、または項目97から103までのいずれか1項記載の経口剤形。
【0113】
105.腸疾患の予防および/または治療に使用するための、項目1から95までのいずれか1項記載の粒子、項目96記載の医薬組成物、または項目97から103までのいずれか1項記載の経口剤形。
【0114】
106.旅行者下痢症の予防および/または治療に使用するための、項目1から95までのいずれか1項記載の粒子、項目96記載の医薬組成物、または項目97から103までのいずれか1項記載の経口剤形。
【0115】
107.ヒト腸内微生物叢の健全なバランスの調節に使用するための、項目1から95までのいずれか1項記載の粒子、項目96記載の医薬組成物、または項目97から103までのいずれか1項記載の経口剤形。
【0116】
108.ヒト腸内微生物の増殖抑制に使用するための、項目1から95までのいずれか1項記載の粒子、項目96記載の医薬組成物、または項目97から103までのいずれか1項記載の経口剤形。
【0117】
109.項目1から95までのいずれか1項記載の1つ以上の粒子を含む、食品または食品サプリメント。
【0118】
110.ヒト腸内の病原体と有益な微生物との間の比率のバランスをとるための、項目109記載の食品または食品サプリメント。
【0119】
111.項目1から95までのいずれか1項記載の粒子の製造方法であって、コーティング水溶液、コーティング水性懸濁液またはコーティング水性分散液の形態の第1のコーティング層を、噴霧法または流動層噴霧造粒によってコアに施与する工程と、コーティング水溶液、コーティング水性懸濁液またはコーティング水性分散液の形態の第2のコーティング層を、噴霧法または流動層噴霧造粒によって第1のコーティング層に施与する工程とを含む、方法。
【0120】
112.コア形成材料の直接圧縮、湿式もしくは乾式造粒、または直接ペレット化によってコアを形成する工程を含む、項目111記載の方法。
【0121】
113.項目97から103までのいずれか1項記載の経口剤形の製造方法であって、請求項1から93までのいずれか1項記載の1つ以上の粒子をカプセルに充填する工程を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0122】
図1】最終生成物の溶出プロファイル(USP II)を示す図である。
図2】最終生成物の粒径分布を示す図である。
【0123】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0124】
発明の詳細な説明
上述のように、本発明は、多層腸溶性コーティング粒子としてラクトフェリンを配合することにより、1回の投与での非常に純粋なラクトフェリンの高用量が可能となるという知見に基づいている。例えば、本発明の粒子を用いると、1回の投与で200mg以上のラクトフェリンを含む製品を提供することができる。さらに、本発明の粒子によって、消化管内で認められる条件に対する改善された耐性が提供され、したがって、経口投与後のラクトフェリンの全体的な安定性が増大する。
【0125】
したがって、本発明は、以下:a)セルロースポリマー、糖、糖アルコール、デンプンおよびカルナウバワックスを含む(または実質的にそれからなる)コア;b)コアを実質的に覆い、b-1)ラクトフェリン、b-2)薬学的に許容される結合剤、および任意にb-3)可塑剤などの1つ以上の他の適切な賦形剤を含む(または実質的にそれからなる)第1のコーティング層;ならびにc)第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)腸溶性コーティング材料、および任意にc-2)可塑剤および/または粘着防止剤などの1つ以上の適切な賦形剤を含む(または実質的にそれからなる)第2のコーティング層を含む(または実質的にそれからなる)腸溶性コーティング粒子を提供する。
【0126】
いくつかの実施形態によれば、不活性コア形成材料は、セルロースポリマーであり、例えば、微結晶セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースからなる群から選択されるセルロースポリマーである。いくつかの実施形態によれば、セルロースポリマーは、微結晶セルロースである。
【0127】
いくつかの実施形態によれば、不活性コア形成材料は、糖または糖アルコールである。
【0128】
いくつかの実施形態によれば、不活性コア形成材料は、糖であり、例えば、グルコース、スクロースおよびラクトースからなる群から選択される糖である。
【0129】
いくつかの実施形態によれば、不活性コア形成材料は、糖アルコールであり、例えば、イソマルト、マルチトール、マンニトール、キシリトールおよびソルビトールからなる群から選択される糖アルコールである。
【0130】
いくつかの実施形態によれば、不活性コア形成材料は、デンプンである。
【0131】
いくつかの実施形態によれば、不活性コア形成材料は、カルナウバワックスである。
【0132】
不活性コアは商業的に入手することができる。本明細書に開示される粒子のコアとして使用される市販のビーズまたはペレットの非限定的な例としては、糖球(例えば、Paular球)、Cellets(登録商標)コア、例えば、Cellets(登録商標)100、Cellets(登録商標)200、Cellets(登録商標)350、Cellets(登録商標)500、Cellets(登録商標)700、またはCellets(登録商標)1000(HARKE Group、ミュールハイム・アン・デア・ルール、ドイツ)、カルナウバワックスコア、例えば、C-Wax Pellets(登録商標)、またはマンニトールコア、例えば、M-Cell(登録商標)が挙げられる。あるいはコアは、高剪断湿式造粒、噴霧乾燥、流動層造粒(回転流動層造粒を含む)、またはコア形成材料の直接圧縮もしくは直接ペレット化を含む様々な周知の造粒方法を使用して新たに調製することもできる。
【0133】
いくつかの実施形態によれば、コアは、粒子の総重量の約10%~約50%を占める。いくつかの実施形態によれば、コアは、粒子の総重量の約20%~約40%を占める。いくつかの実施形態によれば、コアは、粒子の総重量の約25%~約35%を占める。いくつかの実施形態によれば、コアは、粒子の総重量の約29%~約31%を占める。
【0134】
コアを実質的に覆う第1のコーティング層は、総じて、(有効成分としての)ラクトフェリン、薬学的に許容される結合剤、および任意に1つ以上の他の適切な賦形剤を含む。
【0135】
いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層は、粒子の総重量の約40%~約60%を占める。いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層は、粒子の総重量の約45%~約55%を占める。いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層は、粒子の総重量の約48%~約52%を占める。いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層は、粒子の総重量の約10%~約30%を占める。いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層は、粒子の総重量の約15%~約25%を占める。いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層は、粒子の総重量の約18%~約22%を占める。
【0136】
ラクトフェリン(LF)は、ラクトトランスフェリン(LTF)としても知られ、本発明の文脈において有効成分として使用される。上述したように、これはトランスフェリンファミリーに属する80kDaの非ヘム鉄結合球状糖タンパク質であり、乳汁、唾液、涙液、鼻汁などの様々な分泌液中に認められる。これは、乳汁中の主要な鉄結合タンパク質であり、抗菌、免疫調節、抗酸化、抗がん、その他多くの生物学的機能を持つ。ヒトの最初の乳汁(「初乳」)で最も濃度が高く、次いでヒトの乳汁、そして牛乳(150mg/L)の順である。ラクトフェリンの遺伝子配列は、11種の哺乳類で少なくとも60個確認されている。ラクトフェリンは市販されている。あるいは、乳汁(特に牛乳)から精製することも、組み換え技術により生成することもできる。ラクトフェリンは、純粋な形態で使用することも、少なくとも90重量%(少なくとも93重量%など)のラクトフェリンを含む調製物(例えば、抽出物)として使用することもできる。調製方法によっては、得られたラクトフェリン含有調製物は、いくつかの残留夾雑物を含むことがあり、これらの夾雑物は、最終的に第1のコーティング層中に存在する可能性もあるが、本発明の粒子の基本的かつ新規な特徴には重大な影響を及ぼさない。
【0137】
いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層は、第1のコーティング層の総重量の約70%~約90%の量のラクトフェリンを含む。いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層は、第1のコーティング層の総重量の約75%~約85%の量のラクトフェリンを含む。いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層は、第1のコーティング層の総重量の約75%~約82%の量のラクトフェリンを含む。いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層は、第1のコーティング層の総重量の約76%~約80%、例えば、第1のコーティング層の総重量の約78%の量のラクトフェリンを含む。
【0138】
いくつかの実施形態によれば、ラクトフェリンは、粒子の総重量の約30%~約50%の量で存在する。いくつかの実施形態によれば、ラクトフェリンは、粒子の総重量の約35%~約45%の量で存在する。いくつかの実施形態によれば、ラクトフェリンは、粒子の総重量の約35%~約40%の量で存在する。
【0139】
薬学的に許容される結合剤は、例えば、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース、ポビドン、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、コポビドン、アガー、ゼラチン、アラビアガム、アルギン酸塩、例えば、アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、糖、糖アルコール、デンプンまたは加工デンプン、例えば、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、または米デンプン、またはα化デンプンであってよい。
【0140】
いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層に含まれる薬学的に許容される結合剤は、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース、ポビドン、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、コポビドン、アガー、ゼラチン、アラビアガム、アルギン酸塩、例えば、アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、糖、糖アルコール、デンプンおよび加工デンプン、例えば、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、米デンプンおよびα化デンプンからなる群から選択される。
【0141】
いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層に含まれる薬学的に許容される結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0142】
いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層は、第1のコーティング層の総重量の約7%~約30%の量の薬学的に許容される結合剤を含む。いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層は、第1のコーティング層の総重量の約10%~約25%の量の薬学的に許容される結合剤を含む。いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層は、第1のコーティング層の総重量の約10%~約20%の量の薬学的に許容される結合剤を含む。いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層は、第1のコーティング層の総重量の約10%~約15%の量の薬学的に許容される結合剤を含む。
【0143】
いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層に含まれる薬学的に許容される結合剤は、粒子の総重量の約5%~約10%の量で存在する。いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層に含まれる薬学的に許容される結合剤は、粒子の総重量の約5%~約8%の量で存在する。いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層に含まれる薬学的に許容される結合剤は、粒子の総重量の約6%~約7%の量で存在する。
【0144】
いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層は、可塑剤などの1つ以上の他の適切な賦形剤を含む。
【0145】
いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層は、可塑剤を含む。
【0146】
可塑剤は、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、ソルビトール-ソルビタン溶液、グリセリン、脱アセチル化モノグリセリド、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ヒマシ油、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチルまたはトリアセチンであってよい。
【0147】
いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層は、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、ソルビトール-ソルビタン溶液、グリセリン、脱アセチル化モノグリセリド、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ヒマシ油、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチルおよびトリアセチンからなる群から選択される可塑剤を含む。
【0148】
いくつかの実施形態によれば、可塑剤は、ポリエチレングリコールであり、例えば、1000g/mol~20000g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールから選択されるポリエチレングリコールである。
【0149】
いくつかの実施形態によれば、可塑剤は、1000g/mol~10000g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールである。
【0150】
いくつかの実施形態によれば、可塑剤は、4000g/mol~8000g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールである。
【0151】
いくつかの実施形態によれば、可塑剤は、6000g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールである。
【0152】
いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層は、第1のコーティング層の総重量の約0.1%~約5%の量の、可塑剤などの1つ以上の他の適切な賦形剤を含む。いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層は、第1のコーティング層の総重量の約1%~約5%の量の可塑剤を含む。いくつかの実施形態によれば、第1のコーティング層は、第1のコーティング層の総重量の約2%~約4%の量の可塑剤を含む。
【0153】
いくつかの実施形態によれば、可塑剤は、第1のコーティング層に含まれる場合、粒子の総重量の約1%~約2%の量で存在する。いくつかの実施形態によれば、可塑剤は、第1のコーティング層に含まれる場合、粒子の総重量の約1%~約1.5%の量で存在する。
【0154】
第1のコーティング層を実質的に覆う第2のコーティング層は、総じて腸溶性コーティングとして機能し、これは、第2のコーティング層が、胃環境における粒子の溶出または崩壊を防止し、それによってラクトフェリンを胃の酸性から保護することを意味する。この目的のために、第2のコーティング層は、腸溶性コーティング材料を含む。
【0155】
適切な腸溶性コーティング材料は当業者に周知であり、これらに限定されるものではないが、メチルメタクリレート-メタクリル酸コポリマーのようなアニオン性側基(好ましくはカルボン酸側基)を含むポリマーまたはコポリマーが挙げられる。腸溶性コーティング材料の他の非限定的な例は、セルロースアセテートフタレート(CAP)、セルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(ヒプロメロースアセテートサクシネート)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、シェラック、セルロースアセテートトリメリテート、アルギン酸ナトリウムまたはゼインである。
【0156】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料は、アニオン性側基(好ましくはカルボン酸側基)を含むポリマーまたはコポリマーから選択される。
【0157】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料は、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーおよびアニオン性ポリビニルポリマーまたはコポリマーからなる群から選択される。
【0158】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料は、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーである。
【0159】
アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーの非限定的な例としては、アンモニオメタクリレートコポリマー、塩基性ブチル化メタクリレートコポリマー、メタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー(1:1)、メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー(1:1)、メタクリル酸-エチルアクリレートコポリマー(1:1)、メタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー(1:2)、ポリアクリレート分散液30%、メタクリル酸コポリマー、アミノメタクリレートコポリマー、アンモニオメタクリレートコポリマー、アンモニオメタクリレートコポリマー分散液、エチルアクリレートおよびメチルメタクリレートコポリマー、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。いくつかのアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、Eudragit(登録商標)E 12.5、Eudragit(登録商標)E 100、Eudragit(登録商標)E PO、Eudragit(登録商標)L 12.5 P、Eudragit(登録商標)L 12.5、Eudragit(登録商標)L 100、Eudragit(登録商標)L 100-55、Eudragit(登録商標)L 30 D-55、Eudragit(登録商標)S 12.5 P、Eudragit(登録商標)S 12.5、Eudragit(登録商標)S 100、Eudragit(登録商標)FS 30 D、Eudragit(登録商標)RL 12.5、Eudragit(登録商標)RL 100、Eudragit(登録商標)RL PO、Eudragit(登録商標)RL 30 D、Eudragit(登録商標)RS 12.5、Eudragit(登録商標)RS 100、Eudragit(登録商標)RS PO、Eudragit(登録商標)RS 30 D、Eudragit(登録商標)NE 30 D、Eudragit(登録商標)NE 40 D、Eudragit(登録商標)NM 30 D、Eastacryl(商標)30 D、Kollicoat(登録商標)MAE 30 DP、Kollicoat(登録商標)MAE 100 P、Acryl-EZE(登録商標)、Acryl-EZE(登録商標)93 A、およびAcryl-EZE(登録商標)MPとして市販されている。
【0160】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料は、メタクリル酸およびメチルメタクリレートまたはエチルアクリレートから構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーである。
【0161】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料は、メタクリル酸およびメチルメタクリレートから構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーである。
【0162】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料は、メタクリル酸およびエチルアクリレートから構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーである。
【0163】
アニオン性基を有する(メタ)アクリレートモノマーは、例えばアクリル酸であり、メタクリル酸が好ましい。適切なアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、メタクリル酸40~60重量%およびメチルメタクリレート60~40重量%またはエチルアクリレート60~40重量%から構成されるものである(例えば、EUDRAGIT(登録商標)LまたはEUDRAGIT(登録商標)L 100-55タイプ)。EUDRAGIT(登録商標)Lは、メチルメタクリレート50重量%およびメタクリル酸50重量%のコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標)L 100-55は、エチルアクリレート50重量%およびメタクリル酸50重量%のコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55は、30重量%のEUDRAGIT(登録商標)L 100-55を含む分散液である。同様に、メタクリル酸20~40重量%およびメチルメタクリレート80~60重量%から構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)Sタイプ)も適している。適切な(メタ)アクリレートコポリマーは、メチルメタクリレート10~30重量%、メチルアクリレート50~70重量%およびメタクリル酸5~15重量%からなるものである(例えば、EUDRAGIT(登録商標)FSタイプ)。EUDRAGIT(登録商標)FSは、メチルメタクリレート25重量%、メチルアクリレート65重量%およびメタクリル酸10重量%のコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標)FS 30 Dは、30重量%のEUDRAGIT(登録商標)FSを含む分散液である。
【0164】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料は、メタクリル酸40~60重量%およびメチルメタクリレート60~40重量%またはエチルアクリレート60~40重量%から構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーである。
【0165】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料は、メタクリル酸50重量%およびメチルメタクリレート50重量%から構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーである。
【0166】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料は、エチルアクリレートおよびメチルメタクリレートから構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーである。
【0167】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料は、エチルアクリレート40~60重量%およびメチルメタクリレート60~40重量%から構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーである(例えば、EUDRAGIT(登録商標)NM)。
【0168】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料は、メタクリル酸およびエチルメタクリレートから構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー(例えば、EUDRAGIT(登録商標)L)と、エチルアクリレートおよびメチルメタクリレートから構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー(例えば、EUDRAGIT(登録商標)NM)とを好ましくは25:75の割合で含むポリマー組み合わせである。
【0169】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料は、メタクリル酸40~60重量%およびエチルメタクリレート60~40重量%から構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー(例えば、EUDRAGIT(登録商標)L)と、エチルアクリレート40~60重量%およびメチルメタクリレート60~40重量%から構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー(例えば、EUDRAGIT(登録商標)NM)とを好ましくは25:75の割合で含むポリマー組み合わせである。
【0170】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料は、アニオン性ポリビニルポリマーまたはコポリマーである。このようなアニオン性ポリビニルポリマーまたはコポリマーは、アクリル酸またはメタクリル酸以外の不飽和カルボン酸から誘導される構造単位、例えば、ポリビニルアセテートフタレート、酢酸ビニルとクロトン酸との9:1のコポリマー、またはポリ酢酸コハク酸ビニルを含むことができる。
【0171】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層は、第2のコーティング層の総重量の約50%~約90%の量の腸溶性コーティング材料を含む。いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層は、第2のコーティング層の総重量の約60%~約90%の量の腸溶性コーティング材料を含む。いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層は、第2のコーティング層の総重量の約60%~約70%の量の腸溶性コーティング材料を含む。いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層は、第2のコーティング層の総重量の約60%~約65%の量の腸溶性コーティング材料を含む。いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層は、第2のコーティング層の総重量の約70%~約90%の量の腸溶性コーティング材料を含む。いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層は、第2のコーティング層の総重量の約80%~約90%の量の腸溶性コーティング材料を含む。
【0172】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料は、粒子の総重量の約15%~約20%の量で存在する。いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層に含まれる腸溶性コーティング材料は、粒子の総重量の約16%~約18%の量で存在する。
【0173】
第2のコーティング層は、可塑剤および/または粘着防止剤などの1つ以上の適切な賦形剤をさらに含むことができる。
【0174】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層は、可塑剤をさらに含み、例えば、可塑剤は、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、ソルビトール-ソルビタン溶液、グリセリン、脱アセチル化モノグリセリド、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ヒマシ油、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチルおよびトリアセチンからなる群から選択される。
【0175】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層に含まれる可塑剤は、クエン酸トリエチル(TEC)である。
【0176】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層に含まれる可塑剤は、ポリエチレングリコール、例えば、200g/mol~15000g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールから選択されるポリエチレングリコールである。
【0177】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層に含まれる可塑剤は、200g/mol~6000g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールである。
【0178】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層に含まれる可塑剤は、200g/mol~800g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールである。
【0179】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層に含まれる可塑剤は、400g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコールである。
【0180】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層は、第2のコーティング層の総重量の約5%~約20%の総量の可塑剤などの1つ以上の他の適切な賦形剤を含む。いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層は、第2のコーティング層の総重量の約10%~約20%の総量の可塑剤などの1つ以上の他の適切な賦形剤を含む。
【0181】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層は、第2のコーティング層の総重量の約5%~約10%の量の可塑剤を含む。
【0182】
いくつかの実施形態によれば、可塑剤は、第2のコーティング層に含まれる場合、粒子の総重量の約1%~約2%の量で存在する。
【0183】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層は、タルクまたはモノステアリン酸グリセリンなどの粘着防止剤をさらに含む。
【0184】
いくつかの実施形態によれば、粘着防止剤は、タルクである。
【0185】
いくつかの実施形態によれば、粘着防止剤は、モノステアリン酸グリセリンである。
【0186】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層は、第2のコーティング層の総重量の約2%~約35%の量の粘着防止剤を含む。
【0187】
いくつかの実施形態によれば、粘着防止剤は、第2のコーティング層に含まれる場合、粒子の総重量の約0.5%~約10%の量で存在する。
【0188】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層は、第2のコーティング層の総重量の約3%~約5%の量の、例えば、第2のコーティング層の総重量の約4%~約4.5%の量の、粘着防止剤としてのモノステアリン酸グリセリンを含む。
【0189】
いくつかの実施形態によれば、モノステアリン酸グリセリンは、粘着防止剤として第2のコーティング層に含まれる場合、粒子の総重量の約0.5%~約1%の量で存在する。
【0190】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層は、第2のコーティング層の総重量の約25%~約35%の量、例えば、第2のコーティング層の総重量の約28%~約32%の量の、粘着防止剤としてのタルクを含む。
【0191】
いくつかの実施形態によれば、タルクは、粘着防止剤として第2のコーティング層に含まれる場合、粒子の総重量の約8%~約12%の量で存在する。
【0192】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層は、乳化剤をさらに含む。
【0193】
いくつかの実施形態によれば、乳化剤は、ポリソルベートなどの非イオン性乳化剤である。
【0194】
いくつかの実施形態によれば、非イオン性乳化剤は、モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンおよびモノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンからなる群から選択されるポリソルベートである。いくつかの実施形態によれば、非イオン性乳化剤は、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンである。
【0195】
いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層は、第2のコーティング層の総重量の約1%~約3%の量の乳化剤を含む。いくつかの実施形態によれば、第2のコーティング層は、第2のコーティング層の総重量の約1%~約2%の量の乳化剤を含む。
【0196】
いくつかの実施形態によれば、乳化剤は、第2のコーティング層に含まれる場合、粒子の総重量の約0.1%~約1%の量で存在する。いくつかの実施形態によれば、乳化剤は、第2のコーティング層に含まれる場合、粒子の総重量の約0.1%~約0.5%の量で存在する。
【0197】
粒子の調製において使用される材料および方法に応じて、本発明の粒子またはその層のいずれかは、夾雑物および/または例えば湿分の形態の水を含むことができるが、これらは本発明の粒子の基本的かつ新規な特徴に重大な影響を及ぼさない。総じて、夾雑物は、存在する場合、粒子の総重量の約5%を超えず、好ましくは粒子の総重量の約3%を超えない。具体的には、夾雑物は、存在する場合、第1のコーティング層の総重量の約10%を超えず、好ましくは粒子の総重量の約8.5%を超えない。同様に、例えば湿分の形態の水は、存在する場合、粒子の総重量の約7%を超えず、好ましくは粒子の総重量の約5%を超えない。具体的には、例えば湿分の形態の水は、存在する場合、第1のコーティング層および/または第2のコーティング層の総重量の約7%を超えず、好ましくは第1のコーティング層および/または第2のコーティング層の約5%を超えない。
【0198】
特定の実施形態によれば、粒子は、以下:a)微結晶セルロースを含むコア;b)コアを実質的に覆い、b-1)ラクトフェリン、b-2)ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびb-3)ポリエチレングリコールを含む第1のコーティング層;ならびにc)第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、c-2)クエン酸トリエチル(TEC)、c-3)モノステアリン酸グリセリン、およびc-4)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンを含む第2のコーティング層を含む。
【0199】
特定の実施形態によれば、粒子は、以下:a)微結晶セルロースから実質的になるコア;b)コアを実質的に覆い、b-1)ラクトフェリン、b-2)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびb-3)ポリエチレングリコールから実質的になる第1のコーティング層;ならびにc)第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、c-2)クエン酸トリエチル(TEC)、c-3)モノステアリン酸グリセリン、およびc-4)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンから実質的になる第2のコーティング層を含む(または実質的にそれからなる)。
【0200】
特定の実施形態によれば、粒子は、以下:a)微結晶セルロースを含むコア;b)コアを実質的に覆い、b-1)ラクトフェリン、b-2)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびb-3)ポリエチレングリコールを含む第1のコーティング層;ならびにc)第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、c-2)クエン酸トリエチル(TEC)、およびc-3)タルクを含む第2のコーティング層を含む。
【0201】
特定の実施形態によれば、粒子は、以下:a)微結晶セルロースから実質的になるコア;b)コアを実質的に覆い、b-1)ラクトフェリン、b-2)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびb-3)ポリエチレングリコールから実質的になる第1のコーティング層;ならびにc)第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、c-2)クエン酸トリエチル(TEC)、およびc-3)タルクから実質的になる第2のコーティング層を含む(または実質的にそれからなる)。
【0202】
特定の実施形態によれば、粒子は、以下:a)微結晶セルロースを含むコアであって、前記コアは、粒子の総重量の約25%~約35%を占めるものとする、コア;b)コアを実質的に覆い、b-1)粒子の総重量の約30%~約50%の量、例えば、粒子の総重量の約35%~約45%の量のラクトフェリン、b-2)粒子の総重量の約5%~約10%の量、例えば粒子の総重量の約5%~約8%の量のヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびb-3)粒子の総重量の約1%~約2%の量、例えば粒子の総重量の約1%~約1.5%の量のポリエチレングリコール(例えば、6000g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコール)を含む第1のコーティング層;ならびにc)第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)粒子の総重量の約15%~約20%の量、例えば、粒子の総重量の約16%~約18%の量のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、c-2)粒子の総重量の約1%~約2%の量のクエン酸トリエチル(TEC)、c-3)粒子の総重量の約0.5%~約1%の量のモノステアリン酸グリセリン、およびc-4)粒子の総重量の約0.1%~約1%の量のモノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンを含む第2のコーティング層を含み(または実質的にそれからなり)、ここで、全成分の合計は、粒子の総重量の100%である。
【0203】
特定の実施形態によれば、粒子は、以下:a)微結晶セルロースから実質的になるコアであって、前記コアは、粒子の総重量の約25%~約35%を占めるものとする、コア;b)コアを実質的に覆い、b-1)粒子の総重量の約30%~約50%の量、例えば、粒子の総重量の約35%~約45%の量のラクトフェリン、b-2)粒子の総重量の約5%~約10%の量、例えば粒子の総重量の約5%~約8%の量のヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびb-3)粒子の総重量の約1%~約2%の量、例えば粒子の総重量の約1%~約1.5%の量のポリエチレングリコール(例えば、6000g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコール)から実質的になる第1のコーティング層;ならびにc)第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)粒子の総重量の約15%~約20%の量、例えば、粒子の総重量の約16%~約18%の量のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、c-2)粒子の総重量の約1%~約2%の量のクエン酸トリエチル(TEC)、c-3)粒子の総重量の約0.5%~約1%の量のモノステアリン酸グリセリン、およびc-4)粒子の総重量の約0.1%~約1%の量のモノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンから実質的になる第2のコーティング層を含み(または実質的にそれからなり)、ここで、全成分の合計は、粒子の総重量の100%である。
【0204】
特定の実施形態によれば、粒子は、以下:a)微結晶セルロースを含むコアであって、前記コアは、粒子の総重量の約25%~約35%を占めるものとする、コア;b)コアを実質的に覆い、b-1)粒子の総重量の約30%~約50%の量、例えば、粒子の総重量の約35%~約45%の量のラクトフェリン、b-2)粒子の総重量の約5%~約10%の量、例えば粒子の総重量の約5%~約8%の量のヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびb-3)粒子の総重量の約1%~約2%の量、例えば粒子の総重量の約1%~約1.5%の量のポリエチレングリコール(例えば、6000g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコール)を含む第1のコーティング層;ならびにc)第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)粒子の総重量の約15%~約20%の量、例えば、粒子の総重量の約16%~約18%の量のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、c-2)粒子の総重量の約1%~約2%の量のクエン酸トリエチル(TEC)、およびc-3)粒子の総重量の約3%~約12%の量のタルクを含む第2のコーティング層を含み(または実質的にそれからなり)、ここで、全成分の合計は、粒子の総重量の100%である。
【0205】
特定の実施形態によれば、粒子は、以下:a)微結晶セルロースから実質的になるコアであって、前記コアは、粒子の総重量の約25%~約35%を占めるものとする、コア;b)コアを実質的に覆い、b-1)粒子の総重量の約30%~約50%の量、例えば、粒子の総重量の約35%~約45%の量のラクトフェリン、b-2)粒子の総重量の約5%~約10%の量、例えば粒子の総重量の約5%~約8%の量のヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびb-3)粒子の総重量の約1%~約2%の量、例えば粒子の総重量の約1%~約1.5%の量のポリエチレングリコール(例えば、6000g/molの平均分子量を有するポリエチレングリコール)から実質的になる第1のコーティング層;ならびにc)第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)粒子の総重量の約15%~約20%の量、例えば、粒子の総重量の約16%~約18%の量のアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、c-2)粒子の総重量の約1%~約2%の量のクエン酸トリエチル(TEC)、およびc-3)粒子の総重量の約3%~約12%の量のタルクから実質的になる第2のコーティング層を含み(または実質的にそれからなり)、ここで、全成分の合計は、粒子の総重量の100%である。
【0206】
本発明の粒子は、任意の適切な形態を有することができる。例えば、本発明の粒子は、ペレット、スフェロイドまたはビーズの形態であってよい。いくつかの実施形態によれば、粒子は、ペレットの形態である。
【0207】
本発明の粒子は、以下の特徴の1つ以上(例えば、すべて)を有することができる:
a)約450μm~約650μmの平均粒径d50;
b)約0.7g/ml~約0.8g/ml、例えば、約0.740g/mLのかさ密度;
c)約0.75g/ml~約0.85g/ml、例えば、約0.802g/mLのタップ密度;および
d)欧州薬局方2.9.3.に準拠したイン・ビトロ溶出試験により測定した場合に、120分以内に最大で10%のラクトフェリンが粒子から放出される溶出プロファイル。
【0208】
平均粒径d50は、欧州薬局方10.0、2.9.31. PARTICLE SIZE ANALYSIS BY LASER LIGHT DIFFRACTIONに準拠して決定することができる。
【0209】
かさ密度は、欧州薬局方10.0、2.9.34. BULK DENSITY AND TAPPED DENSITY OF POWDERSに準拠して決定することができる。
【0210】
タップ密度は、欧州薬局方10.0、2.9.34. BULK DENSITY AND TAPPED DENSITY OF POWDERSに準拠して決定することができる。
【0211】
関連する態様において、本発明は、本発明による1つ以上の(例えば、複数の)粒子と、任意に薬学的に許容される1つ以上の賦形剤とを含む、医薬組成物を提供する。
【0212】
薬学的に許容される適切な賦形剤は当業者に周知であり、Remington’s Pharmaceutical Sciences、the Handbook of Pharmaceutical Additives、またはthe Handbook of Pharmaceutical Excipientsなどの文献に記載されている。薬学的に許容される適切な賦形剤の非限定的な例としては、希釈剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動化剤、造粒剤、コーティング剤、湿潤剤、溶媒、補助溶媒、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、香味剤、臭気マスキング剤、着色剤、固結防止剤、キレート剤、可塑剤、粘稠剤、抗酸化剤、防腐剤、安定化剤、界面活性剤および緩衝剤が挙げられる。
【0213】
関連するさらなる態様において、本発明は、本発明による1つ以上の(例えば、複数の)粒子を含む経口剤形を提供する。
【0214】
経口剤形は、カプセルまたは錠剤などの固体剤形であってよい。いくつかの実施形態によれば、経口剤形は、硬カプセルなどのカプセルである。
【0215】
本発明による医薬組成物または本発明による経口剤形は、医薬品として、例えば、旅行者下痢症などの腸疾患の予防および/または治療に使用することができる。
【0216】
本発明による医薬組成物または本発明による経口剤形は、ヒト腸内微生物叢の健全なバランスの調節に使用することができる。
【0217】
関連するさらなる態様において、本発明は、本発明による1つ以上の(例えば、複数の)粒子を含む、食品または食品サプリメントを提供する。本発明による食品または食品サプリメントは、ヒト腸内の病原体と有益な微生物との間の比率のバランスをとるために使用することができる。
【0218】
上記から導かれるように、本発明の多層粒子は「タマネギ様」構造を有し、特に、溶液層状化または懸濁液層状化のような層状化技術のような、当業者に周知の1つまたはいくつかのコーティング技術を用いた段階的または連続的コーティング工程により調製される。水および/または有機溶媒を使用するコーティングパン、コーティング装置、造粒装置または流動層コーティング装置などの適切な装置を使用することができる。
【0219】
したがって、関連するさらなる態様において、本発明は、本発明による粒子の製造方法であって、コーティング水溶液、コーティング水性懸濁液またはコーティング水性分散液の形態の第1のコーティング層を、噴霧法または流動層噴霧造粒によってコアに施与する工程と、コーティング水溶液、コーティング水性懸濁液またはコーティング水性分散液の形態の第2のコーティング層を、噴霧法または流動層噴霧造粒によって第1のコーティング層に施与する工程とを含む、方法を提供する。
【0220】
第1のコーティング層は、例えば、ウースターコーティングやローターコーティングなどの流動層技術を用いて、コーティング水溶液、コーティング水性懸濁液またはコーティング水性分散液の形態で粒子コアに適用することができる。
【0221】
同様に、第2のコーティング層も、例えば、ウースターコーティングやローターコーティングなどの流動層技術を用いて、コーティング水溶液、コーティング水性懸濁液またはコーティング水性分散液の形態で第1のコーティング層に適用することができる。
【0222】
当業者であれば、液体コーティング溶液の施与速度と溶媒の蒸発速度との間の平衡を達成するために、溶液噴霧速度、乾燥空気温度および流量などのコーティング条件を調整しなければならず、その結果、第1および第2のコーティングを粒子上に均一に堆積させて、粒子表面を過度に濡らすことなく連続膜を形成することができることを容易に理解するであろう。これらの方法の詳細は当技術分野で周知であり、例えば、Lieberman et al., “Pharmaceutical Dosage Forms - Tablets: Volume 3”, Chapter 3: Particle Coating Methods (1990)に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0223】
前工程として、本方法は、コア形成材料の直接圧縮、湿式もしくは乾式造粒、または直接ペレット化によってコアを形成する工程を含むことができる。
【0224】
次いで、本発明により得られた粒子を、医薬組成物として製剤化することも、食品または食品サプリメントの調製に使用することもできる。本発明による経口剤形を得るために、例えば、本発明により得られた粒子を、硬カプセルのようなカプセルに充填することも、圧縮して錠剤にすることもできる。
【0225】
本明細書で使用する場合に、「約」という用語は、それが使用されている数値プラス10%またはマイナス10%を意味する。本明細書において数値限界または数値範囲が記載される場合、端点が含まれる。また、数値限界または数値範囲内のすべての値および部分範囲は、明示的に記載されているものとして明確に含まれる。
【0226】
本明細書で使用される場合、不定冠詞「a」および「an」は、文脈上明らかに指示がない限り、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味する。
【0227】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語およびそれらの文法的変形は、記載された特徴、工程または構成要素を特定するものとみなされるが、1つ以上の追加の特徴、工程、構成要素またはそれらのグループの追加を排除するものではない。本明細書で使用される「含む(comprising)」および「含む(comprises)」の使用は、それぞれ、「~から実質的になる(consisting essentially of)」および「~から実質的になる(consists essentially of)」に加え、「~からなる(consisting of)」および「~からなる(consists of)」も開示するものと理解される。
【0228】
本明細書で使用される場合、「~から実質的になる」という用語(およびその文法的変形)は、総じて、特許請求される本発明の基本的かつ新規な特徴には重大な影響を及ぼさない追加の材料、特徴、構成要素、要素または工程が含まれ得ることを意味する。例えば、本発明の粒子およびその層のうちの1つの文脈で使用される場合、この用語は、粒子または層が、文字通り開示されたものに加えて、追加の特徴、構成要素または要素を含んでもよいが、ただし、これらの追加の特徴、構成要素または要素が、特許請求された粒子の基本的かつ新規な特徴には重大な影響を及ぼさないことを意味する。例えば、粒子または層は、(例えば、湿分の形態の)水および/または夾雑物のような追加の必須でない要素を含むことができる。
【0229】
本明細書で使用される場合、「実質的に覆う」という用語(およびその文法的変形)は、コーティングが概ね連続的であり、コアまたは下層の表面全体を概ね被覆し、コアまたは下層がほとんどまたは全く露出しないことを意味する。
【0230】
さらに、粒子またはその層のいずれかを構成する全成分の総量の合計は、通常、粒子または層の総重量の100%になることが当業者には理解されよう。換言すれば、全成分の総量が、粒子または層の総重量の100%を超えることはない。
【0231】
本発明につき全般的に説明したが、特定の具体例を参照することにより、さらなる理解を得ることができる。これらの具体例は、本明細書において例示の目的のみのために提供され、別段の指定がない限り、限定を意図するものではない。
【0232】
実施例
1. 製剤組成物
製剤は、サイズ0の硬カプセルである。カプセル本体の容量は0.67mLである。カプセルにはペレットが充填されている。ペレットは、微結晶セルロースでできたコアで構成されている。100%微結晶セルロースからなる高球状のスターターペレットであるCellets 200を、その目的に使用した。
【0233】
ラクトフェリンコーティング層
このペレットコアを、2層のコーティングで被覆した。第1の層は、ラクトフェリン、HPMC(Pharmacoat 606)、およびポリエチレングリコール(PEG6000)を含む。
【0234】
ラクトフェリンは、少なくとも85%のラクトフェリンを含む乾燥粉末の形で使用した。この粉末を、コーティング工程の開始前に精製水に溶解させる。あるいはラクトフェリンを含むクロマトグラフィー溶離液を、この溶離液を乾燥させてラクトフェリン粉末を得る必要なく、コーティングに直接使用することもできる。コーティング工程に使用可能な溶離液は、4~25%のラクトフェリンを含む。本発明者らは、7~16%の濃度を使用した。ラクトフェリン濃度は一定ではなく、バッチごとに異なり、ラクトフェリンの総質量に応じてHPMCおよびPEG 6000を添加する。
【0235】
HPMC(Pharmacoat 606)は、医薬品のコーティング工程で使用される周知のポリマーである。606とはポリマーのタイプの1つであり、重合度(ポリマー鎖長)によってHPMC溶液の粘度が決定される。
【0236】
PEG 6000は、HPMCのガラス転移温度を低下させ、コーティングを室温で壊れにくくするポリマーである。PEG 6000は可塑剤である。あるいは同じ目的で別のタイプのPEGを使用することもできる。
【0237】
ラクトフェリン層の主な組成は、以下のものを含む:
【表1】
【0238】
腸溶性コーティング層
腸溶性層を、ポリマーの製造業者の処方にしたがって製造する。第2のコーティングは、保護ポリマー(EUDRAGIT(登録商標)L)、モノステアリン酸グリセリン(GMS)、クエン酸トリエチル(TEC)、およびポリソルベート(Tween 80)を含む。腸溶性コーティング層は、ペレットの20%を占める。
【0239】
【表2】
【0240】
【表3】
【0241】
ペレットの全組成
製剤全体の組成を表4に示す。組成は、純度93%のラクトフェリンについて定めたものである。組成は変化する可能性があり、ラクトフェリンの純度に依存する。したがって、Pharmacoat 606、PEG 6000、夾雑物、およびCellets 200の量は変化する。
【0242】
【表4】
【0243】
2. 粉末の形態の固体ラクトフェリンを用いたラクトフェリンコーティング
本例は、本発明者らが使用した平均純度である純度93%のラクトフェリンについて定めたものである。
1. ラクトフェリン含有粉末417gを精製水3120gに溶解させ、濁った暗赤色のラクトフェリン分散液を得る。
2. 別個に精製水370gを70℃に温め、高速撹拌中に11.9gのPEG 6000および67.5gのPharmacoat 606を加える。Pharmacoat 606の凝集物がすべてなくなるまで撹拌し、分散液を室温で30℃まで冷却する。
3. 溶解した結合剤溶液をラクトフェリン溶液に加え、撹拌して均質なコーティング分散液を得る。
【0244】
3. ラクトフェリンのクロマトグラフィー溶離液を用いたラクトフェリンコーティング
本例では、ラクトフェリンを含む溶離液が、溶解または未溶解の全固形分10%を含み、そのうち93%がラクトフェリンであり、7%が夾雑物であると仮定する。
1. ラクトフェリンを含む溶離液4170gを秤量する。
2. 別個に精製水370gを70℃に温め、高速撹拌中に11.9gのPEG 6000および67.5gのPharmacoat 606を加える。Pharmacoat 606の凝集物がすべてなくなるまで撹拌し、分散液を室温で30℃まで冷却する。
3. 溶解した結合剤溶液をラクトフェリン溶液に加え、撹拌して均質なコーティング分散液を得る。
【0245】
4. コーティング工程のパラメーター
ペレットを、底部噴霧流動層コーター(Glatt GPCG1)でウースターチャンバーを用いてコーティングする。303gのCellets 200を処理チャンバーに入れる。流動化工程を開始し、入口温度を70℃に設定し、ペレットを38℃まで加熱する。この温度に達したら噴霧工程を開始し、以下の条件でコーティングを管理する:
【表5】
【0246】
噴霧ノズルの直径は、1.2mmとし、ウースターシリンダーの位置は、ディストリビューションプレートから15mm上方とする。コーティング分散液を、上記2.および3.の節にしたがって調製する。
【0247】
5. 腸溶性コーティング
腸溶性コーティングを、第1の層のコーティングの完了後に施与する。実施例3と同じ構成のウースターチャンバーを準備する。800gのラクトフェリンコーティングペレットを秤量し、流動化工程を開始する。ペレットを35℃に温め、噴霧工程を開始する。以下の条件でコーティングを管理する:
【表6】
【0248】
コーティング分散液を200g施与する。コーティング分散液を、製造業者の提示(https://corporate.evonik.com/en)にしたがって調製する。
【0249】
6. カプセル充填
カプセル充填の前に、完成品をメッシュサイズ710μmのふるいでふるい分けし、凝集物をすべて取り除く。次いで、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのシェルを有するサイズ0の硬カプセルに、使用して得られた粒子を充填した。しかし、ゼラチンカプセルや他の種類のシェルも使用できる。
【0250】
7. 試験
7.1 溶出プロファイル
ペレットの溶出プロフィールを、薬学分野で一般的に使用されている標準溶出法である「USP II装置」を用いて試験した。溶出試験を、腸溶性コーティング製剤の薬局方ガイドラインにしたがって実施した。2つの溶出媒体を用いた。まず、0.1MのHCl溶液を用いて胃の中の状態を2時間シミュレートし、次にNaPO溶液を加えて媒体のpHをpH6.8に上昇させた。酸性媒体の体積は750mLであり、0.2MのNaPO×12HOの体積は250mLであった。各試験で10gのペレットを試験した。媒体の温度を37℃、パドルの回転を100rpmに設定した。溶出試料を、5分、30分、60分、120分、125分、150分、180分、240分、および300分に採取した。サンプリング量(2.3mL)を、pH6.8の新鮮なリン酸緩衝液で置換した。すべての試料をPVDF 0.2μmメンブランフィルターでろ過し、HPLCで分析した。溶出プロファイル(図1)は、酸性媒体中での2時間後の有効成分の溶出が10%未満であることを定めた規制基準に適合している。また、pHを6.8に上昇させると、総投与量の80%超が30分以内に放出された。
【0251】
7.2 粒径分布
粒径分布を、Malvern Mastersizer 3000レーザー回折分析装置を用いて測定した。Aero S乾燥試料分散ユニットを使用した。ギャップ位置を3.0の値に設定した分散ユニットのコーンにペレットを移した。空気圧は1.2bar、供給率は25%とした。測定時間は4秒で、バックグラウンド測定も4秒に設定した。測定を5回繰り返し行い、平均値を図2に示す。
【0252】
7.3 かさ密度
ペレットを慎重にメスシリンダーに移した。その質量を秤量し、メスシリンダーからペレットの体積を読み取った。得られた結果に基づいてかさ密度を算出した。この操作を3回繰り返し、密度を平均結果で表した。
【0253】
【表7】
【0254】
7.4 結論
これらの結果は、各種コーティング分散液の層が適合することを示している。さらに、本方法は非常に効率的であり、比較的小規模で90%超の効率を達成できる。含水率7%未満の生成物が、たった1台の処理装置で生成される。保護層は、製剤の保存期間の延長に不可欠であることが証明された。また、LFと過酷な胃内環境との接触を防ぐことで、LFの安全な腸内送達が促進される。本明細書で提示される製剤は、高用量のLFを含んでおり、これは、病原性微生物に対する選択的静菌作用を通じて、ヒト腸内の微生物叢に有益な効果をもたらす。本製剤は、ペレット充填カプセルの形態であり、患者は時間帯に関係なく、食事の有無にかかわらずカプセルを摂取することができる。保護層は、LFを効果的に保護し、環境のpHが上昇しても放出速度に大きな影響を与えない。図1に示すように、120分後の放出は、即放性製剤と一致する。その結果、本発明の製剤は、旅行者下痢症のような様々な腸疾患の治療または予防に適した用量のLFを含む徐放性製剤である。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
請求項4から30までのいずれか1項記載の1つ以上の粒子と、200mg以上のラクトフェリンとを含む、経口剤形。
【請求項2】
硬カプセルである、請求項1記載の経口剤形。
【請求項3】
約400mg~約600mgの前記粒子を含む、請求項1または2記載の経口剤形。
【請求項4】
以下:a)セルロースポリマー、糖、糖アルコール、デンプンおよびカルナウバワックスから選択される不活性コア形成材料を含むコア;b)前記コアを実質的に覆い、b-1)ラクトフェリン、b-2)非ポリビニルピロリドン(PVP)結合剤である、薬学的に許容される結合剤、および任意にb-3)可塑剤などの1つ以上の他の適切な賦形剤を含む第1のコーティング層;ならびにc)前記第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)腸溶性コーティング材料、および任意にc-2)可塑剤および/または粘着防止剤などの1つ以上の適切な賦形剤を含む第2のコーティング層を含む、腸溶性コーティング粒子。
【請求項5】
前記不活性コア形成材料が、セルロースポリマーである、請求項記載の粒子。
【請求項6】
前記セルロースポリマーが、微結晶セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースからなる群から選択される、請求項記載の粒子。
【請求項7】
前記セルロースポリマーが、微結晶セルロースである、請求項記載の粒子。
【請求項8】
前記第1のコーティング層に含まれる前記薬学的に許容される結合剤が、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース、アガー、ゼラチン、アラビアガム、アルギン酸塩、例えば、アルギン酸ナトリウムおよびアルギン酸ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、糖、糖アルコール、デンプンおよび加工デンプン、例えば、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、米デンプンおよびα化デンプンからなる群から選択される、請求項からまでのいずれか1項記載の粒子。
【請求項9】
前記第1のコーティング層に含まれる前記薬学的に許容される結合剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、請求項からまでのいずれか1項記載の粒子。
【請求項10】
前記第1のコーティング層が、可塑剤を含む、請求項からまでのいずれか1項記載の粒子。
【請求項11】
前記可塑剤が、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、ソルビトール-ソルビタン溶液、グリセリン、脱アセチル化モノグリセリド、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ヒマシ油、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチルおよびトリアセチンからなる群から選択される、請求項10記載の粒子。
【請求項12】
前記可塑剤が、ポリエチレングリコールである、請求項10記載の粒子。
【請求項13】
前記ポリエチレングリコールが、6000g/molの平均分子量を有する、請求項12記載の粒子。
【請求項14】
前記第2のコーティング層に含まれる前記腸溶性コーティング材料が、アニオン性側基(好ましくはカルボン酸側基)を含むポリマーまたはコポリマーから選択される、請求項から13までのいずれか1項記載の粒子。
【請求項15】
前記第2のコーティング層に含まれる前記腸溶性コーティング材料が、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーおよびアニオン性ポリビニルポリマーまたはコポリマーからなる群から選択される、請求項から14までのいずれか1項記載の粒子。
【請求項16】
前記第2のコーティング層に含まれる前記腸溶性コーティング材料が、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーである、請求項から15までのいずれか1項記載の粒子。
【請求項17】
前記第2のコーティング層に含まれる前記腸溶性コーティング材料が、メタクリル酸およびメチルメタクリレートもしくはエチルアクリレートから構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、またはエチルアクリレートおよびメチルメタクリレートから構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーである、請求項から16までのいずれか1項記載の粒子。
【請求項18】
前記第2のコーティング層に含まれる前記腸溶性コーティング材料が、メタクリル酸およびエチルメタクリレートから構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー(例えば、EUDRAGIT(登録商標)L)と、エチルアクリレートおよびメチルメタクリレートから構成されるアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー(例えば、EUDRAGIT(登録商標)NM)とを好ましくは25:75の割合で含むポリマー組み合わせである、請求項から16までのいずれか1項記載の粒子。
【請求項19】
前記第2のコーティング層が、可塑剤をさらに含む、請求項から18までのいずれか1項記載の粒子。
【請求項20】
前記可塑剤が、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、ソルビトール-ソルビタン溶液、グリセリン、脱アセチル化モノグリセリド、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ヒマシ油、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチルおよびトリアセチンからなる群から選択される、請求項19記載の粒子。
【請求項21】
前記可塑剤が、クエン酸トリエチル(TEC)である、請求項19または20記載の粒子。
【請求項22】
前記第2のコーティング層が、粘着防止剤をさらに含む、請求項から21までのいずれか1項記載の粒子。
【請求項23】
前記粘着防止剤が、タルクまたはモノステアリン酸グリセリンである、請求項22記載の粒子。
【請求項24】
前記第2のコーティング層が、乳化剤をさらに含む、請求項1から23までのいずれか1項記載の粒子。
【請求項25】
前記乳化剤が、非イオン性乳化剤である、請求項24記載の粒子。
【請求項26】
前記非イオン性乳化剤が、ポリソルベートである、請求項25記載の粒子。
【請求項27】
前記ポリソルベートが、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンである、請求項26記載の粒子。
【請求項28】
以下:a)微結晶セルロースを含むコア;b)前記コアを実質的に覆い、b-1)ラクトフェリン、b-2)ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびb-3)ポリエチレングリコールを含む第1のコーティング層;ならびにc)前記第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、c-2)クエン酸トリエチル(TEC)、c-3)モノステアリン酸グリセリン、およびc-4)モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンを含む第2のコーティング層を含む、請求項記載の粒子。
【請求項29】
以下:a)微結晶セルロースを含むコア;b)前記コアを実質的に覆い、b-1)ラクトフェリン、b-2)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびb-3)ポリエチレングリコールを含む第1のコーティング層;ならびにc)前記第1のコーティング層を実質的に覆い、c-1)アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、c-2)クエン酸トリエチル(TEC)、およびc-3)タルクを含む第2のコーティング層を含む、請求項記載の粒子。
【請求項30】
ラクトフェリンが、前記粒子の総重量の約30%~約50%の量で存在する、請求項4から29までのいずれか1項記載の粒子。
【請求項31】
請求項から30までのいずれか1項記載の1つ以上の粒子と、200mg以上のラクトフェリンと、任意に薬学的に許容される1つ以上の賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項32】
医薬品として使用するための、好ましくは腸疾患の予防および/または治療に使用するための、請求項から30までのいずれか1項記載の粒子、請求項31記載の医薬組成物、または請求項からまでのいずれか1項記載の経口剤形。
【請求項33】
請求項から30までのいずれか1項記載の1つ以上の粒子を含む、食品または食品サプリメント。
【請求項34】
請求項から30までのいずれか1項記載の粒子の製造方法であって、コーティング水溶液、コーティング水性懸濁液またはコーティング水性分散液の形態の第1のコーティング層を、噴霧法または流動層噴霧造粒によってコアに施与する工程と、コーティング水溶液、コーティング水性懸濁液またはコーティング水性分散液の形態の第2のコーティング層を、噴霧法または流動層噴霧造粒によって前記第1のコーティング層に施与する工程とを含む、方法。
【国際調査報告】