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特表2024-534976MHCタンパク質に基づくヘテロ二量体を含む二重特異性抗体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】MHCタンパク質に基づくヘテロ二量体を含む二重特異性抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/46 20060101AFI20240918BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240918BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240918BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240918BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240918BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240918BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240918BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240918BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240918BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240918BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20240918BHJP
   C07K 16/22 20060101ALN20240918BHJP
   C07K 16/18 20060101ALN20240918BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240918BHJP
【FI】
C07K16/46 ZNA
C07K19/00
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12P21/02 C
C12P21/08
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K16/28
C07K16/22
C07K16/18
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515483
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 RU2022050281
(87)【国際公開番号】W WO2023038548
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】2021126369
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】516261966
【氏名又は名称】ジョイント・ストック・カンパニー “バイオキャド”
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【弁理士】
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】レゴツキー,セルゲイ・アレクサドロビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ナザレンコ,オルガ・フィクトロウナ
(72)【発明者】
【氏名】ダニロフ,マクシム・アンドリービッチ
(72)【発明者】
【氏名】バラノウスカイア,マリアンナ・ドミトリエウナ
(72)【発明者】
【氏名】ポリアコフ,ドミトリー・ニコラエビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ワリアクメトワ,エルイラ・ライソウナ
(72)【発明者】
【氏名】トポルコワ,クセニーア・アレクサンドロウナ
(72)【発明者】
【氏名】マチウキーナ,ナタリア・ミクハイロウナ
(72)【発明者】
【氏名】クラト,セルゲイ・ミクハイロビッチ
(72)【発明者】
【氏名】グリナ,ナタリア・ニコラエウナ
(72)【発明者】
【氏名】イアコウレフ,パベル・アンドリービッチ
(72)【発明者】
【氏名】モロゾフ,ドミトリー・バレンチノビッチ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA01
4B065AA91X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4H045AA11
4H045BA41
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、バイオテクノロジーの分野、特に、MHC(主要組織適合複合体)またはMHC様分子(CD1(分化抗原群1)もしくはHFE(ヘモクロマトーシスタンパク質))の膜近位ドメインに基づくヘテロ二量体を含む二価二重特異性キメラ抗体、ならびに前記二重特異性抗体を生産するための技術に関する。本発明はさらに、前記二重特異性抗体をコードする核酸、発現ベクター、前記二価キメラ二重特異性抗体を生産するための宿主細胞および前記細胞を生産するための方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二価二重特異性キメラ抗体であって、当該抗体は、
a)第1の抗原に特異的に結合する抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖;
ここにおいて、前記第1の軽鎖が、軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常ドメインを含み、
ここにおいて、前記第1の重鎖が、重鎖可変ドメイン、ならびに、第1(CH1)の重鎖定常ドメイン、ならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体の重鎖定常ドメイン、を含む;
b)第2の抗原に特異的に結合する抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖;
ここにおいて、前記第2の軽鎖が、軽鎖可変ドメインおよび定常ドメインを含み、
前記定常ドメインは、MHC(主要組織適合複合体)の第1の膜近位ドメイン、もしくは、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインの群から選択される、
ここにおいて、前記第2の重鎖が、
重鎖可変ドメイン、
MHC(主要組織適合複合体)の第2の膜近位ドメイン、もしくは、MHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインの群から選択される定常ドメイン、
ならびに、第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体
を含む;
ここにおいて、MHCまたはMHC様タンパク質の前記第1の膜近位ドメインおよびMHCまたはMHC様タンパク質の前記第2の膜近位ドメインが、ジスルフィド結合によって安定化されるヘテロ二量体をそれらの間で形成し;
ここにおいて、一方の重鎖のCH3ドメインおよび他方の重鎖のCH3ドメインが、その表面と互いに接触し、二価二重特異性キメラ抗体を形成するように修飾され、重鎖CH3ドメイン中の前記修飾が、ヘテロ二量体化を容易にする置換である、
を含む、前記二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項2】
MHCの前記第1の膜近位ドメインが、
MHCクラスI(主要組織適合複合体クラスI)の第1の膜近位ドメイン、
MHCクラスII(主要組織適合複合体クラスII)の第1の膜近位ドメイン、
MHCクラスIの第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアント、または
MHCクラスIIの第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアント
を含む群から選択され得る、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項3】
MHCの前記第2の膜近位ドメインが、
MHCクラスI(主要組織適合複合体クラスI)の第2の膜近位ドメイン、
MHCクラスII(主要組織適合複合体クラスII)の第2の膜近位ドメイン、
MHCクラスIの第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアント、または
MHCクラスIIの第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアント
を含む群から選択され得る、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項4】
前記MHCクラスIIが、HLA-DM、HLA-DO、HLA-DP、HLA-DQまたはHLA-DRの群から選択される、請求項2または3に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項5】
前記MHCクラスIが、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-FまたはHLA-Gの群から選択される、請求項2または3に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項6】
MHC様タンパク質の前記第1の膜近位ドメインが、
CD1(分化抗原群1)の第1の膜近位ドメイン、
HFE(ヘモクロマトーシスタンパク質)の第1の膜近位ドメイン、
CD1の第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアント、または
HFEの第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアント
を含む群から選択され得る、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項7】
MHC様タンパク質の前記第2の膜近位ドメインが、
CD1(分化抗原群1)の第2の膜近位ドメイン、
HFE(ヘモクロマトーシスタンパク質)の第2の膜近位ドメイン、
CD1の第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアント、または
HFEの第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアント
を含む群から選択され得る、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項8】
前記CD1が、CD1a、CD1b、CD1c、CD1dまたはCD1eの群から選択される、請求項6または7に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項9】
前記第2の軽鎖の可変断片(VL)が、1~25アミノ酸長のリンカーによってMHCもしくはMHC様タンパク質の前記第1の膜近位ドメインから分離されている、および/または前記第2の重鎖の可変断片(VH)が、1~25アミノ酸長のリンカーによってMHCもしくはMHC様タンパク質の前記第2の膜近位ドメインから分離されている、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項10】
a)一方の重鎖のCH3ドメインが、前記二価二重特異性抗体中の他方の重鎖のCH3ドメインの表面と接触する一方の重鎖のCH3ドメインの表面上で、アミノ酸残基が、より大きい側鎖体積を有するアミノ酸残基に置換されており、他方の重鎖のCH3ドメインの表面上のホールに適合することができる一方の重鎖のCH3ドメインの表面上でノブの形成をもたらすように修飾されている、
および
b)他方の重鎖のCH3ドメインが、前記二価二重特異性抗体中の第1の重鎖のCH3ドメインの表面と接触する第2の重鎖のCH3ドメインの表面上で、アミノ酸残基が、より小さい側鎖体積を有するアミノ酸残基に置換されており、前記第1の重鎖のCH3ドメインの境界面上のノブを受容することができる第2の重鎖のCH3ドメインの表面上でホールの形成をもたらすように修飾されており;
ここにおいて、より大きい側鎖体積を有する前記アミノ酸残基が、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)を含む群から選択され、
そして、ここにおいて、より小さい側鎖体積を有する前記アミノ酸残基が、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)を含む群から選択される、
請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項11】
抗体の前記第1の軽鎖の定常ドメインが、CKまたはCLから選択される、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項12】
抗体の前記CH3ドメインが、ジスルフィド架橋が両方のCH3ドメインの間で形成し得るように、それぞれのCH3ドメインの対応する位置へのアミノ酸としてのシステイン(C)の導入によってさらに修飾されている、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項13】
一方の重鎖の前記CH3ドメインがノブを形成するように修飾されている、および他方の重鎖の前記CH3ドメインがホールを形成するように修飾されている、またはその逆である、請求項10に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項14】
一方の重鎖の前記CH3ドメインがアミノ酸置換S354C/T366Wを有する、および他方の重鎖のCH3ドメインがアミノ酸置換Y349C/T366S/L368A/Y407Vを有する;あるいは
一方の重鎖の前記CH3ドメインがアミノ酸置換Y349C/T366S/L368A/Y407を有する、および他方の重鎖の前記CH3ドメインがアミノ酸置換S354C/T366Wを有する、
請求項13に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項15】
MHCの前記第1の膜近位ドメインおよびMHCの前記第2の膜近位ドメインが、それぞれ、MHC IIのα2ドメインおよびMHC IIのβ2ドメインであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項16】
MHC IIの前記α2ドメインが、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36または配列番号38の群から選択されるアミノ酸配列を有し、MHC IIの前記β2ドメインが、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37または配列番号39の群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項15に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項17】
MHCの前記第1の膜近位ドメインおよびMHCの前記第2の膜近位ドメインが、それぞれ、MHC IIのβ2ドメインおよびMHC IIのα2ドメインであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項18】
MHC IIの前記β2ドメインが、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37または配列番号39の群から選択されるアミノ酸配列を有し、MHC IIの前記α2ドメインが、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36または配列番号38の群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項17に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項19】
MHCの前記第1の膜近位ドメインおよびMHCの前記第2の膜近位ドメインが、それぞれ、MHC IIのα2ドメインの修飾されたバリアントおよびMHC IIのβ2ドメインの修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成するか、あるいは、
MHCの前記第1の膜近位ドメインおよびMHCの前記第2の膜近位ドメインが、それぞれ、MHC IIのβ2ドメインの修飾されたバリアントおよびMHC IIのα2ドメインの修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成するか、あるいは、
MHCの前記第1の膜近位ドメインおよびMHCの前記第2の膜近位ドメインが、それぞれ、MHC Iのα3ドメインおよびβ2ミクログロブリン(β2M)であり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、
請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項20】
MHC Iの前記α3ドメインが配列番号1~29の群から選択されるアミノ酸配列を有し、β2ミクログロブリン(β2M)が配列番号46のアミノ酸配列を有する、請求項19に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項21】
MHCの前記第1の膜近位ドメインおよびMHCの前記第2の膜近位ドメインが、それぞれ、β2ミクログロブリン(β2M)およびMHC Iの前記α3ドメインであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項22】
前記β2ミクログロブリン(β2M)が配列番号46のアミノ酸配列を有し、MHC Iの前記α3ドメインが配列番号1~29の群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項21に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項23】
MHCの前記第1の膜近位ドメインおよびMHCの前記第2の膜近位ドメインが、それぞれ、MHC Iの前記α3ドメインの修飾されたバリアントおよびβ2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成するか、あるいは、
MHCの前記第1の膜近位ドメインおよびMHCの前記第2の膜近位ドメインが、それぞれβ2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントおよびMHC Iの前記α3ドメインの修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、
請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項24】
β2ミクログロブリン(β2M)の前記修飾されたバリアントが、配列番号47または配列番号48から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項23に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項25】
MHC様タンパク質の前記第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の前記第2の膜近位ドメインが、それぞれ、CD1の前記α3ドメインおよびβ2ミクログロブリン(β2M)であり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項26】
CD1の前記α3ドメインが配列番号40~44の群から選択されるアミノ酸配列を有し、β2ミクログロブリン(β2M)が配列番号46のアミノ酸配列を有する、請求項25に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項27】
MHC様タンパク質の前記第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の前記第2の膜近位ドメインが、それぞれ、β2ミクログロブリン(β2M)およびCD1の前記α3ドメインであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項28】
前記β2ミクログロブリン(β2M)が配列番号46のアミノ酸配列を有し、CD1の前記α3ドメインが配列番号40~44の群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項27に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項29】
MHC様タンパク質の前記第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の前記第2の膜近位ドメインが、それぞれ、CD1の前記α3ドメインの修飾されたバリアントおよびβ2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項30】
CD1の前記α3ドメインの修飾されたバリアントが配列番号49~56の群から選択されるアミノ酸配列を有し、β2ミクログロブリン(β2M)の前記修飾されたバリアントが配列番号47または配列番号48から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項29に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項31】
MHC様タンパク質の前記第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の前記第2の膜近位ドメインが、それぞれ、β2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントおよびCD1の前記α3ドメインの修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項32】
β2ミクログロブリン(β2M)の前記修飾されたバリアントが配列番号47または配列番号48から選択されるアミノ酸配列を有し、CD1の前記α3ドメインの修飾されたバリアントが配列番号49~56または配列番号109の群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項31に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項33】
MHC様タンパク質の前記第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の前記第2の膜近位ドメインが、それぞれ、HFEの前記α3ドメインおよびβ2ミクログロブリン(β2M)であり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項34】
HFEの前記α3ドメインが配列番号45のアミノ酸配列を有し、前記β2ミクログロブリン(β2M)が配列番号46のアミノ酸配列を有する、請求項33に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項35】
MHC様タンパク質の前記第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の前記第2の膜近位ドメインが、それぞれ、β2ミクログロブリン(β2M)およびHFEの前記α3ドメインであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項36】
前記β2ミクログロブリン(β2M)が配列番号46のアミノ酸配列を有し、HFEの前記α3ドメインが配列番号45のアミノ酸配列を有する、請求項35に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項37】
MHC様タンパク質の前記第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の前記第2の膜近位ドメインが、それぞれ、HFEの前記α3ドメインの修飾されたバリアントおよびβ2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成するか、あるいは、
MHC様タンパク質の前記第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の前記第2の膜近位ドメインが、それぞれβ2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントおよびHFEの前記α3ドメインの修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、
請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項38】
β2ミクログロブリン(β2M)の前記修飾されたバリアントが、配列番号47または配列番号48から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項37に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項39】
修飾されたバリアントが、MHCまたはMHC様タンパク質の前記第1および第2の膜近位ドメインから産生されるヘテロ二量体の鎖の間でジスルフィド架橋を形成するシステイン(C)への置換を含むバリアントを指すか;あるいは、
修飾されたバリアントが、MHCまたはMHC様タンパク質の膜近位ドメインの様々な位置に1つまたは複数の置換を含み、それぞれ、MHCまたはMHC様タンパク質の野生型膜近位ドメインと比較して、熱力学的安定性Tmの1℃より高い増大をもたらすバリアントを指すか;あるいは、
修飾されたバリアントが、MHCまたはMHC様タンパク質の膜近位ドメインの様々な位置に1つまたは複数の置換を含み、それぞれ、MHCまたはMHC様タンパク質の野生型膜近位ドメインと比較して、10mg/mlより高い濃度で5%を超える凝集体の量の減少をもたらすバリアントを指すか;あるいは、
修飾されたバリアントが、MHCまたはMHC様タンパク質の膜近位ドメインの様々な位置に1つまたは複数の置換を含み、それぞれ、MHCまたはMHC様タンパク質の野生型膜近位ドメインと比較して、グリコシル化部位の除去をもたらすバリアントを指す、
請求項2、3、6、7、19、23、29、31および37のいずれか一項に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項40】
前記第1の軽鎖の可変ドメインおよび前記第2の軽鎖の可変ドメインが同一である、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項41】
前記Fc断片がIgGに属する、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項42】
前記Fc断片アイソタイプが、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4の群から選択される、請求項41に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項43】
置換が前記Fc断片単量体中にさらに導入され、二価二重特異性抗体におけるADCC、CDCおよび/またはADCP特性の非存在をもたらす、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項44】
LALA置換(L234AおよびL235A)が前記Fc断片単量体中にさらに導入されている、請求項43に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項45】
抗体活性の延長をもたらす置換が前記Fc断片単量体中にさらに導入されている、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項46】
YTE置換(M252Y、S254TおよびT256E)が前記Fc断片単量体中にさらに導入されている、請求項45に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項47】
置換E345Rが前記Fc断片単量体中にさらに導入されている、請求項43に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項48】
CD20およびCD3に特異的に結合する;または
BCMAおよびCD3に特異的に結合する;または
PD-L1およびCD47に特異的に結合する;または
凝固因子9(FIX)および凝固因子10(FX)に特異的に結合する;または
GD2およびCD3に特異的に結合する;または
AXLおよびCD3に特異的に結合する;または
PD-L1およびTGFベータに特異的に結合する、
請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項49】
MHCまたはMHC様タンパク質の前記第1の膜近位ドメインおよびMHCまたはMHC様タンパク質の前記第2の膜近位ドメインが、MHCまたはMHC様タンパク質の第1および第2の膜近位ドメイン間でS-S結合(ジスルフィドシステイン架橋)を形成する第1および/または第2の膜近位ドメイン中の1個の突然変異または複数の突然変異によるジスルフィド結合によって安定化されるヘテロ二量体をその間で形成する、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項50】
MHCまたはMHC様タンパク質の前記第1の膜近位ドメインおよびMHCまたはMHC様タンパク質の前記第2の膜近位ドメインが、MHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインとヒンジとの間でS-S結合(ジスルフィド結合、システイン架橋)を形成するC末端の1つまたは複数(1~10個)のアミノ酸およびC末端の末端CysによるMHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインの伸長によるジスルフィド結合によって安定化される、ヘテロ二量体をその間で形成する、請求項1に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項51】
MHCまたはMHC様タンパク質の前記第1の膜近位ドメインの伸長がGSCである、請求項50に記載の二価二重特異性キメラ抗体。
【請求項52】
請求項1から51のいずれか一項に記載の二価二重特異性キメラ抗体をコードする、単離された核酸。
【請求項53】
前記核酸がDNAである、請求項52に記載の単離された核酸。
【請求項54】
請求項52または53に記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項55】
細胞を請求項54に記載のベクターで形質転換するステップを含む、請求項1から51のいずれか一項に記載の二価二重特異性キメラ抗体を生産するための宿主細胞を生産する方法。
【請求項56】
請求項52または53に記載の核酸を含む、請求項1から51のいずれか一項に記載の二価二重特異性キメラ抗体を生産するための宿主細胞。
【請求項57】
a)前記宿主細胞を、
- 前記二重特異性キメラ抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖をコードする核酸分子を含む発現ベクター、
- 前記二重特異性キメラ抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖をコードする核酸分子を含む発現ベクター
で形質転換するステップ、
b)前記二価二重特異性キメラ抗体の合成にとって好適な条件下で前記宿主細胞を培養するステップ、ならびに
c)細胞培養物から前記二価二重特異性抗体を単離するステップ
を含む、請求項1から51のいずれか一項に記載の二価二重特異性キメラ抗体を生産する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオテクノロジーの分野、特に、MHC(主要組織適合複合体)またはMHC様タンパク質(CD1(分化抗原群1)もしくはHFE(ヘモクロマトーシスタンパク質))の膜近位ドメインに基づくヘテロ二量体を含む二価二重特異性キメラ抗体、ならびに前記二重特異性抗体を生産するための技術に関する。本発明はさらに、前記二重特異性抗体をコードする核酸、発現ベクター、前記二価キメラ二重特異性抗体を生産するための宿主細胞および前記細胞を生産するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キメラ、ヒト化または完全ヒト分子の形態のモノクローナル抗体は、いくつかの障害および疾患を処置するための有効な医薬として有用であることが証明されている。
天然に存在するヒト抗体分子は、それぞれ2個の同一の軽鎖分子と組んでヘテロ二量体を形成する、2個の重鎖ホモ二量体からなる。全分子の形態にある従来のモノクローナル抗体は、重鎖および軽鎖の二価(「2アーム」)ヘテロ二量体からなる。
【0003】
疾患は、いくつかの病理の結果として引き起こされることが多く、多くの合併症を伴う。二重特異性抗体は、抗体分子あたり2つ以上の異なる抗原に結合し、それにより、これを中和することができる。モノクローナル抗体と比較した、医薬品の治療特性(および価値)における有意な改善の可能性は、二重特異性抗体を、活発な研究領域にしてきた。過去20年にわたって、文献は、Brinkmann,UおよびRE Kontermann、2017、The Making of Bispecific Antibodies,MAbs;209 Feb/Mar;9(2):182~212、doi:10.1080/19420862.2016.1268307に記載されたような、二重特異性抗体の操作されたバージョンに関する多くの解決法を記載してきた。
【0004】
上記のように、組み合わせた抗原-結合ドメインを有する、すなわち、互いに異なる抗原結合性ドメインを有する分子を作出するための多くの手法が存在する。しかしながら、これらの方法はそれぞれ、その欠点を有する。
【0005】
ホモ二量体および他の望ましくない副産物を対応する部分から除去するべきであるため、化学的方法による架橋は時間消費的なプロセスである。さらに、化学的修飾のステップは、タンパク質の完全性を変化させ、かくして、その安定性を損なうことがある。かくして、上記方法は、典型的には無効であり、抗体活性の喪失をもたらし得る。
【0006】
細胞融合に基づく方法(例えば、ハイブリドーマの生産)は、2個の重鎖および2個の軽鎖の任意のアセンブリーであり、抗体の10個の組合せをもたらす。標的ヘテロ多量体抗体は、この様式で生産される抗体の一部分に過ぎない。標的ヘテロ多量体タンパク質の単離は、生成物の収率を有意に低下させ、生産コストを増大させる。
【0007】
組換えDNA技術は、様々なヘテロ多量体抗体、例えば、Fc断片を含まない、単鎖Fv断片、ダイアボディなどを作出するために用いられている。この型の抗体分子の主な欠点は、Fcドメインが存在しないことであり、エフェクター機能(例えば、補体活性化、Fc受容体への結合など)を誘発することができない抗体をもたらす。かくして、機能的なFcドメインを含む二重特異性抗体が必要である。
【0008】
組換えDNA技術は、ノブイントゥーホール(Knob-into-Holes)技術を使用して二重特異性抗体を設計するためにさらに使用されている。国際出願WO9627011およびWO9850431、ならびにMerchant AM ET ALL.,An efficient route to human bispecific IgG,Nat Biotechnol.1998 Jul;16(7):677~81を参照されたい。上記方法の使用を制限する1つの因子は、単一細胞中で発現された場合、望ましくないおよび/または不活性な分子の誤対合および形成を防止するためには、2つの初期抗体の軽鎖が同一であるべきであるという事実である。
【0009】
二重特異性抗体生成物の純度は、以下のような2つの因子に依存する:
a)細胞中で同時発現される2つの異なる重鎖のヘテロ二量体アセンブリー、および
b)2個の異なる軽鎖の、対応する重鎖との正確な対合。
【0010】
二重特異性抗体を設計するための「ノブイントゥーホール技術」技術は、細胞中で同時発現される2個の異なる重鎖の正確なヘテロ二量体アセンブリーの問題を解決する。しかしながら、二重特異性抗体を設計するためのノブイントゥーホール技術の使用は、2個の異なる軽鎖の対応する重鎖との正確な対合の問題が依然として解消されていないため、わずか約25%の収率の適切にアセンブリーされた二重特異性生成物の達成を可能にするに過ぎない。
【0011】
2個の異なる軽鎖の、対応する重鎖との正確な対合の問題は、様々な様式で解決される:
1.抗体の第1および第2の抗原結合性部分における(同一の)軽鎖の使用(Van Blarcom T ET AL.,Productive common light chain libraries yield diverse panels of high affinity bispecific antibodies,Mabs.2018 Feb/Mar;10(2):256~268.doi:10.1080/19420862.2017.1406570)。
【0012】
両方の価数にとって好適な軽鎖を選択することは問題が多い場合があるため、上記解決法の欠点は、その非普遍性である。さらに抗原結合性断片の特性を最適化するための軽鎖におけるアミノ酸置換は、両方の価数に影響し得る。さらに、抗体の第2の抗原に対する結合は破壊され得る。
【0013】
2.単鎖形式、すなわち、第1の抗原に特異的な抗原結合性断片の軽鎖および重鎖がいくつかのアミノ酸のリンカーを介して相互接続される形式の使用。
この形式は抗体コア(IgA、IgD、IgE、IgGもしくはIgM)をさらなる結合タンパク質(例えば、scFvもしくはscFab)に融合させるか、または例えば、scFv内の軽鎖および重鎖可変ドメイン(VHおよびVL)もしくは軽鎖(VL-CK(もしくはCL))を、scFab内のVH-CH1に融合させるリンカーを使用するため、技術的な欠点を有する。リンカーは、治療設定において問題を引き起こし得る。事実、これらの外来ペプチドは、リンカー自体またはタンパク質とリンカーとの間の結合領域に対する免疫応答を惹起し得る。さらに、これらのペプチドの可撓性およびその移動性は、それらを、タンパク質分解的切断をより受けやすくし、潜在的には、低い抗体安定性、凝集および免疫原性の増大をもたらす。
【0014】
3.軽鎖の不正確な会合を排除するための、二重特異性抗体発現技術における相互作用境界面を変更させる二重特異性抗体中のCH1-CKドメインの修飾。例えば、国際出願WO2017059551は、所望の重鎖と所望の軽鎖との間の好ましい対合を容易にするCH1および/またはCK中の様々なアミノ酸置換を提供する。
【0015】
上記の様々な二重特異性抗体発現技術にも拘わらず、二重特異性抗体生成物の純度の改善、ならびに正確にアセンブリーされた二重特異性抗体を生産するための拡大可能な生産ソリューションが当業界で依然として必要である。
【発明の概要】
【0016】
本発明の著者らによって開発された、MHCまたはMHC様タンパク質、例えば、CD1(分化抗原群1)もしくはHFE(ヒト恒常性鉄調節タンパク質)の膜近位ドメインに基づくヘテロ二量体を含む新しい形式の二重特異性キメラ抗体、ならびに前記二重特異性キメラ抗体を生産するための技術は驚くべきことに、細胞中で同時発現される2つの異なる重鎖の正確なヘテロ二量体アセンブリーおよび2つの異なる軽鎖と対応する重鎖との間の正確な対合を有する高収率の生成物の生産を可能にする。
【0017】
本発明の著者らによって開発された、MHCまたはMHC様タンパク質の膜近位ドメインに基づくヘテロ二量体を含む新しい形式の二重特異性キメラ抗体、ならびに前記二重特異性抗体を生産するための技術は驚くべきことに、高純度で正確にアセンブリーされた二重特異性キメラ抗体生成物の生産を可能にする。
【0018】
結果として、上記結果は、正確にアセンブリーされた二重特異性抗体を生産するための生産コストを低減させ、拡大可能な生産ソリューションをもたらす。
一側面では、本発明は、二価二重特異性キメラ抗体であって、前記抗体が、
a)第1の抗原に特異的に結合する抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖;
ここにおいて、前記第1の軽鎖が、軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常ドメインを含み、
ここにおいて、前記第1の重鎖が、重鎖可変ドメイン、ならびに、第1(CH1)の重鎖定常ドメイン、ならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体の重鎖定常ドメイン、を含む;
b)第2の抗原に特異的に結合する抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖;
第2の軽鎖が、軽鎖可変ドメインおよび定常ドメインを含み、
前記定常ドメインは、MHC(主要組織適合複合体)の第1の膜近位ドメイン、もしくは、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインの群から選択される、
ここにおいて、第2の重鎖が、
重鎖可変ドメイン、
MHC(主要組織適合複合体)の第2の膜近位ドメイン、もしくは、MHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインの群から選択される定常ドメイン、
ならびに、第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体
を含む;
ここにおいて、MHCまたはMHC様タンパク質の前記第1の膜近位ドメインおよびMHCまたはMHC様タンパク質の前記第2の膜近位ドメインが、ジスルフィド結合によって安定化されるヘテロ二量体をそれらの間で形成し;
ここにおいて、一方の重鎖のCH3ドメインおよび他方の重鎖のCH3ドメインが、その表面と互いに接触し、二価二重特異性キメラ抗体を形成するように修飾され、重鎖CH3ドメイン中の前記修飾が、ヘテロ二量体化を容易にする置換である、
を含む、二価二重特異性キメラ抗体に関する。
【0019】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、MHCまたはMHC様タンパク質の第1および第2の膜近位ドメイン間でS-S結合(ジスルフィドシステイン架橋)を形成する第1および/または第2の定常ドメイン中の1個の突然変異または複数の突然変異によるジスルフィド結合によって安定化されるヘテロ二量体をその間で形成する、MHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHCまたはMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0020】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、MHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインとヒンジとの間でS-S結合(ジスルフィド結合、システイン架橋)を形成するC末端の1つまたは複数(1~10個)のアミノ酸およびC末端の末端CysによってMHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインの伸長によるジスルフィド結合によって安定化される、ヘテロ二量体をその間で形成する、MHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHCまたはMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0021】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、MHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインの伸長であって、3個のアミノ酸GSCの配列である、伸長を含む。
【0022】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
軽鎖可変ドメイン(VL1)および軽鎖定常ドメインを含む第1の軽鎖;
重鎖可変ドメイン(VH1)および第1(CH1)の重鎖定常ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体の重鎖定常ドメインを含む、第1の重鎖;
軽鎖可変ドメイン(VL2)およびMHCの第1の膜近位ドメインまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインを含む第2の軽鎖;
重鎖可変ドメイン(VH2)、MHCの第2の膜近位ドメインまたはMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む第2の重鎖
を含み、
ここにおいて、MHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHCまたはMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインは、MHCまたはMHC様タンパク質の第1および第2の膜近位ドメイン間でS-S結合(ジスルフィドシステイン架橋)を形成する第1および/または第2の定常ドメイン中の1個の突然変異または複数の突然変異によるジスルフィド結合によって安定化されるヘテロ二量体をその間で形成し;
ここにおいて、CH3ドメイン中の第1のFcバリアントと第2のFcバリアントとの間で、ノブイントゥーホール構造が形成される。
【0023】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
軽鎖可変ドメイン(VL1)および軽鎖定常ドメインを含む第1の軽鎖;
重鎖可変ドメイン(VH1)および第1(CH1)の重鎖定常ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体の重鎖定常ドメインを含む、第1の重鎖;
軽鎖可変ドメイン(VL2)およびMHCの第1の膜近位ドメインまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインを含む第2の軽鎖;
重鎖可変ドメイン(VH2)、MHCの第2の膜近位ドメインまたはMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む第2の重鎖
を含み、
ここにおいて、CH3ドメイン中の第1のFcバリアントと第2のFcバリアントとの間で、ノブイントゥーホール構造が形成され、
ここにおいて、MHCの第1の膜近位ドメインまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインは、MHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインとヒンジとの間でS-S結合(ジスルフィド結合、システイン架橋)を形成するC末端の1つまたは複数(1~10個)のアミノ酸およびC末端の末端CysによってMHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインの伸長をさらに含む。
【0024】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
軽鎖可変ドメイン(VL1)および軽鎖定常ドメインを含む第1の軽鎖;
重鎖可変ドメイン(VH1)および第1(CH1)の重鎖定常ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体の重鎖定常ドメインを含む、第1の重鎖;
軽鎖可変ドメイン(VL2)およびMHCの第1の膜近位ドメインまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインを含む第2の軽鎖;
重鎖可変ドメイン(VH2)、MHCの第2の膜近位ドメインまたはMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む第2の重鎖
を含み、
ここにおいて、CH3ドメイン中の第1のFcバリアントと第2のFcバリアントとの間で、ノブイントゥーホール構造が形成され、
ここにおいて、MHCの第1の膜近位ドメインまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインは、MHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインとヒンジとの間でS-S結合(ジスルフィド結合、システイン架橋)を形成するアミノ酸配列GSCによってMHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインの伸長をさらに含む。
【0025】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
MHCクラスI(主要組織適合複合体クラスI)の第1の膜近位ドメイン、
MHCクラスII(主要組織適合複合体クラスII)の第1の膜近位ドメイン、
MHCクラスIの第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアント、または
MHCクラスIIの第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアント
を含む群から選択することができる、MHCの第1の膜近位ドメインを含む。
【0026】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
MHCクラスI(主要組織適合複合体クラスI)の第2の膜近位ドメイン、
MHCクラスII(主要組織適合複合体クラスII)の第2の膜近位ドメイン、
MHCクラスIの第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアント、または
MHCクラスIIの第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアント
を含む群から選択することができる、MHCの第2の膜近位ドメインを含む。
【0027】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、ヒトMHCクラスIの膜近位ドメインを含む。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、ヒトMHCクラスIIの膜近位ドメインを含む。
【0028】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、HLA-DM、HLA-DO、HLA-DP、HLA-DQまたはHLA-DRの群から選択されるMHCクラスIIの膜近位ドメインを含む。
【0029】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-FまたはHLA-Gの群から選択されるMHCクラスIの膜近位ドメインを含む。
【0030】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、ヒトMHC様タンパク質の膜近位ドメインを含む。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
CD1(分化抗原群1)の第1の膜近位ドメイン、
HFE(ヘモクロマトーシスタンパク質)の第1の膜近位ドメイン、
CD1の第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアント、または
HFEの第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアント
を含む群から選択することができる、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインを含む。
【0031】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
CD1(分化抗原群1)の第2の膜近位ドメイン、
HFE(ヘモクロマトーシスタンパク質)の第2の膜近位ドメイン、
CD1の第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアント、または
HFEの第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアント
を含む群から選択することができる、MHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0032】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、CD1a、CD1b、CD1c、CD1dまたはCD1eの群から選択されるCD1の膜近位ドメインを含む。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、1~25アミノ酸長のリンカーによってMHCもしくはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインから分離されている、第2の軽鎖の可変断片(VL)、および/または1~25アミノ酸長のリンカーによってMHCもしくはMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインから分離されている、第2の重鎖の可変断片(VH)を含む。
【0033】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
a)二価二重特異性抗体中の他方の重鎖のCH3ドメインの表面と接触する一方の重鎖のCH3ドメインの表面上で、アミノ酸残基が、より大きい側鎖体積を有するアミノ酸残基に置換されており、他方の重鎖のCH3ドメインの表面上のホールに適合することができる一方の重鎖のCH3ドメインの表面上でノブの形成をもたらすように修飾されている、一方の重鎖のCH3ドメイン、
および
b)二価二重特異性抗体中の第1の重鎖のCH3ドメインの表面と接触する第2の重鎖のCH3ドメインの表面上で、アミノ酸残基が、より小さい側鎖体積を有するアミノ酸残基に置換されており、第1の重鎖のCH3ドメインの境界面上のノブを受容することができる第2の重鎖のCH3ドメインの表面上でホールの形成をもたらすように修飾されている、他方の重鎖のCH3ドメイン
を含み;
ここにおいて、より大きい側鎖体積を有する前記アミノ酸残基は、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)を含む群から選択され、
そして、ここにおいて、より小さい側鎖体積を有する前記アミノ酸残基は、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)を含む群から選択される。
【0034】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、CKまたはCLから選択される、抗体の第1の軽鎖の定常ドメインを含む。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、ジスルフィド架橋がCH3ドメインの間で形成し得るように、それぞれのCH3ドメインの対応する位置へのアミノ酸としてのシステイン(C)の導入によってさらに修飾される抗体のCH3ドメインを含む。
【0035】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性抗体は、ノブを形成するように修飾されている、一方の重鎖のCH3ドメイン、およびホールを形成するように修飾されている、他方の重鎖のCH3ドメイン、またはその逆を含む。
【0036】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、アミノ酸置換S354C/T366Wを有する、一方の重鎖のCH3ドメイン、およびアミノ酸置換Y349C/T366S/L368A/Y407Vを有する、他方の重鎖のCH3ドメインを含む。
【0037】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、アミノ酸置換Y349C/T366S/L368A/Y407を有する、一方の重鎖のCH3ドメイン、およびアミノ酸置換S354C/T366Wを有する、他方の重鎖のCH3ドメインを含む。
【0038】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、MHCIのα2ドメインおよびMHC IIのβ2ドメインであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHCの第1の膜近位ドメインおよびMHCの第2の膜近位ドメインを含む。
【0039】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、MHC IIのβ2ドメインおよびMHC IIのα2ドメインであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHCの第1の膜近位ドメインおよびMHCの第2の膜近位ドメインを含む。
【0040】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36または配列番号38の群から選択されるアミノ酸配列を有するMHC IIのα2ドメイン、および配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37または配列番号39の群から選択されるアミノ酸配列を有するMHC IIのβ2ドメインを含む。
【0041】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、MHC IIのα2ドメインの修飾されたバリアントおよびMHC IIのβ2ドメインの修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHCの第1の膜近位ドメインおよびMHCの第2の膜近位ドメインを含む。
【0042】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、MHC IIのβ2ドメインの修飾されたバリアントおよびMHC IIのα2ドメインの修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHCの第1の膜近位ドメインおよびMHCの第2の膜近位ドメインを含む。
【0043】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、MHC Iのα3ドメインおよびβ2ミクログロブリン(β2M)であり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHCの第1の膜近位ドメインおよびMHCの第2の膜近位ドメインを含む。
【0044】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、β2ミクログロブリン(β2M)およびMHC Iのα3ドメインであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHCの第1の膜近位ドメインおよびMHCの第2の膜近位ドメインを含む。
【0045】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、配列番号1~29を含む群から選択されるアミノ酸配列を有するMHC Iのα3ドメインおよび配列番号46のアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリン(β2M)を含む。
【0046】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、MHC Iのα3ドメインの修飾されたバリアントおよびβ2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHCの第1の膜近位ドメインおよびMHCの第2の膜近位ドメインを含む。
【0047】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、β2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントおよびMHC IIのα3ドメインの修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHCの第1の膜近位ドメインおよびMHCの第2の膜近位ドメインを含む。
【0048】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、配列番号47または配列番号48から選択されるアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントを含む。
【0049】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、CD1のα3ドメインおよびβ2ミクログロブリン(β2M)であり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0050】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、β2ミクログロブリン(β2M)およびCD1のα3ドメインであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0051】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、配列番号40~44を含む群から選択されるアミノ酸配列を有するCD1のα3ドメインおよび配列番号46のアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリン(β2M)を含む。
【0052】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、CD1のα3ドメインの修飾されたバリアントおよびβ2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0053】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、β2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントおよびCD1のα3ドメインの修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0054】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、配列番号49~56および/または配列番号109を含む群から選択されるアミノ酸配列を有するCD1のα3ドメインの修飾されたバリアントおよび配列番号47または配列番号48から選択されるアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントを含む。
【0055】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、HFEのα3ドメインおよびβ2ミクログロブリン(β2M)であり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0056】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、β2ミクログロブリン(β2M)およびHFEのα3ドメインであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0057】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、配列番号45のアミノ酸配列を有するHFEのα3ドメインおよび配列番号46のアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリン(β2M)を含む。
【0058】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、HFEのα3ドメインの修飾されたバリアントおよびβ2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0059】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、β2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントおよびHFEのα3ドメインの修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0060】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、配列番号47または配列番号48から選択されるアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントを含む。
【0061】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、MHCまたはMHC様タンパク質の修飾されたバリアントを含み、ここで、修飾されたバリアントとは、MHCまたはMHC様タンパク質の第1および第2の膜近位ドメインから産生されるヘテロ二量体の鎖の間でジスルフィド架橋を形成するシステイン(C)への置換を含むバリアントを指す。
【0062】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、MHCまたはMHC様タンパク質の修飾されたバリアントを含み、ここで、修飾されたバリアントとは、MHCまたはMHC様タンパク質の膜近位ドメインの様々な位置に1つまたは複数の置換を含み、それぞれ、MHCまたはMHC様タンパク質の野生型膜近位ドメインと比較して、熱力学的安定性Tmの1℃より高い増大をもたらすバリアントを指す。
【0063】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、MHCまたはMHC様タンパク質の修飾されたバリアントを含み、ここで、修飾されたバリアントとは、MHCまたはMHC様タンパク質の膜近位ドメインの様々な位置に1つまたは複数の置換を含み、それぞれ、MHCまたはMHC様タンパク質の野生型膜近位ドメインと比較して、10mg/mlより高い濃度で5%を超える凝集体の量の減少をもたらすバリアントを指す。
【0064】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、MHCまたはMHC様タンパク質の修飾されたバリアントを含み、ここで、修飾されたバリアントとは、MHCまたはMHC様タンパク質の膜近位ドメインの様々な位置に1つまたは複数の置換を含み、それぞれ、MHCまたはMHC様タンパク質の野生型膜近位ドメインと比較して、グリコシル化部位の除去をもたらすバリアントを指す。
【0065】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、同一である、第1の軽鎖の可変ドメインおよび第2の軽鎖の可変ドメインを含む。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、IgGに属するFc断片を含む。
【0066】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4を含む群から選択されるFc断片を含む。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、置換がさらに導入されており、二価二重特異性抗体におけるADCC、CDCおよび/またはADCP特性の非存在をもたらす、Fc断片単量体を含む。
【0067】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、LALA置換(L234AおよびL235A)がさらに導入されているFc断片単量体を含む。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、置換がさらに導入されており、抗体の作用の延長をもたらす、Fc断片単量体を含む。
【0068】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、YTE置換(M252Y、S254TおよびT256E)がさらに導入されているFc断片単量体を含む。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、置換がさらに導入されており、二価二重特異性抗体におけるADCC、CDCおよび/またはADCP特性の増強をもたらす、Fc断片単量体を含む。
【0069】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、置換E345Rがさらに導入されているFc断片単量体を含む。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、CD20およびCD3に特異的に結合する。
【0070】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、BCMAおよびCD3に特異的に結合する。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、PD-L1およびCD47に特異的に結合する。
【0071】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、凝固因子9(FIX)および凝固因子10(FX)に特異的に結合する。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、GD2およびCD3に特異的に結合する。
【0072】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、AXLおよびCD3に特異的に結合する。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、PD-L1およびTGFベータに特異的に結合する。
【0073】
一側面では、本発明は、上記の二価二重特異性キメラ抗体のいずれかをコードする単離された核酸に関する。
本発明の一部の態様では、核酸はDNAである。
【0074】
一側面では、本発明は、上記核酸のいずれかを含む発現ベクターに関する。
一側面では、本発明は、上記の二価二重特異性キメラ抗体のいずれかを生産するための宿主細胞を生産する方法に関し、細胞の上記発現ベクターによる形質転換を含む。
【0075】
一側面では、本発明は、上記核酸のいずれかを含む上記の二価二重特異性キメラ抗体のいずれかを生産するための宿主細胞に関する。
一側面では、本発明は、上記の二価二重特異性キメラ抗体のいずれかを生産するための方法であって、
a)宿主細胞を、
- 二重特異性キメラ抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖をコードする核酸分子を含む発現ベクター、
- 二重特異性キメラ抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖をコードする核酸分子を含む発現ベクター
で形質転換するステップ、
b)前記二価二重特異性キメラ抗体の合成にとって好適な条件下で宿主細胞を培養するステップ、ならびに
c)細胞培養物から前記二価二重特異性抗体を単離するステップ
を含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1図1は、二価二重特異性キメラ抗体の形式の略図である。Aは二量体化ユニットの「フォワード」方向であり、Bは二量体化ユニットの「リバース」方向である。VH1、VL1は、抗原1への結合を担う、それぞれ重鎖および軽鎖可変ドメインである;VH2、VL2は、抗原2への結合を担う可変ドメインである。CH1、CKは、それぞれ、重鎖および軽鎖定常ドメインである;b2Mはβミクログロブリンであり、CD1bはCD1bタンパク質のα3ドメインである。ノブ、ホールは、重鎖のヘテロ二量体化を可能にする、抗体のCH3ドメイン中の突然変異である。
図2図2は、CH1およびCKドメインがβ2ミクログロブリンおよびCD1bタンパク質の膜近位ドメインα3に置換されたキメラ抗体の重鎖および軽鎖複合体の略図である。Aは二量体化ユニットのドメインの「直接」方向である;Bは二量体化ユニットの「リバース」方向である。VH、VLは抗体の可変ドメインであり、b2Mはβミクログロブリンであり、CD1bはCD1bタンパク質の膜近位ドメインα3であり、ヒンジは抗体のヒンジ領域であり、最初の5アミノ酸が明示的に示され、Fcは抗体のFc断片である;b2M、CD1bのα3ドメインのC末端およびヒンジ領域のN末端に由来するアミノ酸が明示的に示される;SS結合は点線として示されている。
図3図3は、7.5%ポリアクリルアミドゲル、非還元条件での、重鎖と軽鎖との間に追加のジスルフィド結合を含む、および含まないキメラ抗体の電気泳動図である。レーン:Mは、Precision Plus Protein(商標)Dual Color Standards(BIO-RAD)の標準マーカーであり、対応するレーンの分子量は、ゲルに左側の列にkDaとして示されている。1-対照プロルゴリマブ-IgG1;2-プロルゴリマブの可変ドメインおよびさらなるジスルフィド架橋を有する、CH1-CKを置換するMHC様タンパク質のドメインに基づく単一特異性キメラ抗体;3-プロルゴリマブの可変ドメインおよびさらなるジスルフィド架橋を有する、CH1-CKを置換するMHC様タンパク質のドメインに基づく単一特異性キメラ抗体;4-プロルゴリマブの可変ドメインおよびさらなるジスルフィド架橋を有する、「リバース」方向の、CH1-CKを置換するMHC様タンパク質のドメインに基づく単一特異性キメラ抗体。
図4図4は、重鎖と軽鎖との間の不正確な対合に対する、MHC二量体化ユニットの効果を試験するための実験の図である。楕円形は、MHC様タンパク質に由来するCH1およびCKを置換するドメインを示す。第1群:試料01-001~01-003は、VHとVLとの「正確な」組合せおよび定常ドメインの「不正確な」ペアを有する抗体である。第2群:試料01-004~01-007は、VHとVLとの「不正確な」組合せおよび定常ドメインの「正確な」ペアを有する抗体である。第3群:試料01-008~01-010は、VHとVLとの「不正確な」組合せおよび定常ドメインの「不正確な」ペアを有する抗体である。第4群:試料01-011および01-012は、定常ドメインが、それぞれ、MHC二量体化ユニットおよびIgG1形式の古典的抗体に置換されているキメラ抗体である対照抗体である。VHとVLとの「正確な」組合せとは、単一抗体に由来するVHとVLとのペアを意味する。VHとVLとの「不正確な」組合せとは、異なる抗体に由来するVHおよびVLを意味する。定常ドメインの「正確な」ペアとは、CH1-CKのペアまたはMHC様タンパク質に由来するドメインのペア(この場合、β2ミクログロブリンおよびCD1bタンパク質のα3ドメイン)を意味する。定常ドメインの「不正確な」ペアとは、CH1-CD1bまたはβ2ミクログロブリン-CKのペアを意味する。
図5図5は、鎖の不正確な対合を含む実験において生産された試料の電気泳動図である。7.5%ポリアクリルアミドゲル、非還元条件である。A-レーン:Mは、Precision Plus Protein(商標)Dual Color Standards(BIO-RAD)の標準マーカーであり、対応するレーンの分子量は、ゲルに左側の列にkDaとして示されている。1-01-001:2-01-002;3-01-007;4-01-008;5-01-009;6-01-012;B-レーン:M-Precision Plus Protein(商標)Dual Color Standards(BIO-RAD)の標準マーカー;1-01-003;2-01-004;3-01-005;4-01-006;5-01-007;6-01-012;C-レーン:M-Precision Plus Protein(商標)Dual Color Standards(BIO-RAD)の標準マーカー;1-01-010;2-01-011。
図6図6は、二重特異性キメラ抗体の電気泳動図である。A-7.5%ポリアクリルアミドゲル、非還元条件であり、B-12.5%ポリアクリルアミドゲル、還元条件である。レーン:Mは、Precision Plus Protein(商標)Dual Color Standards(BIO-RAD)の標準マーカーであり、対応するレーンの分子量は、ゲルに左側の列にkDaとして示されている。1-02-004、2-02-005、3-02-006、4-02-007、5-02-008、6-02-009。
図7図7は、抗体02-006および02-007と、2つの異なる抗原(hPD1ex-H6FおよびhCSF1R_His)との同時的相互作用を含む実験のセンサーグラム(sensogram)である。ステージ(実験のステップ)は、画像の上部に番号付けられており、縦線で隔てられている。ステップ8でhCSF1R_Hisとの相互作用(シグナルレベルの増大が観察される)およびステップ8でhCSF1R_Hisを含まない1xKB緩衝液中での参照シグナル(シグナルレベルの増大がない)を示す各抗体に関する2センサーグラムが与えられる。
図8図8は、試料02-004に関する全イオン電流クロマトグラムの解析された質量スペクトルである。A-ピーク4、B-ピーク5、C-ピーク6。
図9-1】図9は、GingisKHANプロテアーゼによるタンパク質分解後の二重特異性キメラ抗体のSDSゲル電気泳動の電気泳動図である。7.5%ポリアクリルアミドゲル、非還元条件である。A-レーン:Mは、Precision Plus Protein(商標)Dual Color Standards(BIO-RAD)の標準マーカーであり、対応するレーンの分子量は、ゲルに左側の列にkDaとして示されている。1-GingisKHANによってプロセシングされていない02-004、2-GingisKHANによってプロセシングされていない02-009、3-GingisKHANによってプロセシングされていないオクレリズマブ、4-GingisKHANによってプロセシングされていない01-011、5-GingisKHANによってプロセシングされていないプロルゴリマブ、6-100mM重炭酸アンモニウム緩衝液pH7.2中、GingisKHANによってプロセシングされていない02-004;B-レーン:M-Precision Plus Protein(商標)Dual Color Standards(BIO-RAD)の標準マーカー;1-GingisKHANによるタンパク質分解後の02-004、2-GingisKHANによるタンパク質分解後の02-009、3-GingisKHANによるタンパク質分解後のオクレリズマブ、4-GingisKHANによるタンパク質分解後の01-011、5-GingisKHANによるタンパク質分解後のプロルゴリマブ、6-100mM重炭酸アンモニウム緩衝液pH7.2中、GingisKHANによるタンパク質分解後の02-004、C-レーン:M-Precision Plus Protein(商標)Dual Color Standards(BIO-RAD)の標準マーカー;1-GingisKHANによってプロセシングされていない02-005、2-GingisKHANによるタンパク質分解後の02-005、3-GingisKHANによってプロセシングされていない02-006、4-GingisKHANによるタンパク質分解後の02-006、5-GingisKHANによってプロセシングされていない02-007、6-GingisKHANによるタンパク質分解後の02-007、D-レーン:M-Precision Plus Protein(商標)Dual Color Standards(BIO-RAD)の標準マーカー;1-GingisKHANによってプロセシングされていない02-008、2-GingisKHANによるタンパク質分解後の02-008、3-GingisKHANによってプロセシングされていない02-004、4-GingisKHANによるタンパク質分解後の02-004。
図9-2】図9は、GingisKHANプロテアーゼによるタンパク質分解後の二重特異性キメラ抗体のSDSゲル電気泳動の電気泳動図である。7.5%ポリアクリルアミドゲル、非還元条件である。A-レーン:Mは、Precision Plus Protein(商標)Dual Color Standards(BIO-RAD)の標準マーカーであり、対応するレーンの分子量は、ゲルに左側の列にkDaとして示されている。1-GingisKHANによってプロセシングされていない02-004、2-GingisKHANによってプロセシングされていない02-009、3-GingisKHANによってプロセシングされていないオクレリズマブ、4-GingisKHANによってプロセシングされていない01-011、5-GingisKHANによってプロセシングされていないプロルゴリマブ、6-100mM重炭酸アンモニウム緩衝液pH7.2中、GingisKHANによってプロセシングされていない02-004;B-レーン:M-Precision Plus Protein(商標)Dual Color Standards(BIO-RAD)の標準マーカー;1-GingisKHANによるタンパク質分解後の02-004、2-GingisKHANによるタンパク質分解後の02-009、3-GingisKHANによるタンパク質分解後のオクレリズマブ、4-GingisKHANによるタンパク質分解後の01-011、5-GingisKHANによるタンパク質分解後のプロルゴリマブ、6-100mM重炭酸アンモニウム緩衝液pH7.2中、GingisKHANによるタンパク質分解後の02-004、C-レーン:M-Precision Plus Protein(商標)Dual Color Standards(BIO-RAD)の標準マーカー;1-GingisKHANによってプロセシングされていない02-005、2-GingisKHANによるタンパク質分解後の02-005、3-GingisKHANによってプロセシングされていない02-006、4-GingisKHANによるタンパク質分解後の02-006、5-GingisKHANによってプロセシングされていない02-007、6-GingisKHANによるタンパク質分解後の02-007、D-レーン:M-Precision Plus Protein(商標)Dual Color Standards(BIO-RAD)の標準マーカー;1-GingisKHANによってプロセシングされていない02-008、2-GingisKHANによるタンパク質分解後の02-008、3-GingisKHANによってプロセシングされていない02-004、4-GingisKHANによるタンパク質分解後の02-004。
図10図10は、MHC様タンパク質の膜近位ドメインに基づく二量体化ユニット中に導入された修飾を有する試料の電気泳動図である。7.5%ポリアクリルアミドゲル、非還元条件である。A-レーン:Mは、Precision Plus Protein(商標)Dual Color Standards(BIO-RAD)の標準マーカーであり、対応するレーンの分子量は、ゲルに左側の列にkDaとして示されている。1-プロルゴリマブ;2-01-011;3-03-003;4-03-004;5-03-005;6-03-006;7-03-007;8-03-008。B-レーン:M-Precision Plus Protein(商標)Dual Color Standards(BIO-RAD)の標準マーカー;1-プロルゴリマブ;2-01-011;3-03-001;4-03-002。
【発明を実施するための形態】
【0077】
一般的定義および一般的方法
本明細書で別途定義されない限り、本発明に関連して使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0078】
さらに、文脈によって別途要求されない限り、単数形の用語は、複数を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。典型的には、本発明の分類および細胞培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、分析化学、有機合成化学、医化学および薬化学の方法、ならびに本明細書に記載のタンパク質および核酸のハイブリダイゼーションおよび化学は、当業者には周知であり、当業界で広く使用されている。酵素反応および精製方法は、製造業者の指針に従って、当業界で一般的に達成されるように、または本明細書に記載のように実施される。
【0079】
本明細書における用語「KD」は、KdのKaに対する比(すなわち、Kd/Ka)から算出され、モル濃度(M)として表される親和性定数(または平衡定数)を指す。
「結合親和性」とは、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位と、その結合パートナー(例えば、抗原)との非共有相互作用の合計の強度を一般的に指す。別途指摘されない限り、「結合親和性」とは、結合ペア(例えば、抗体と抗原)のメンバー間の1:1の相互作用を反映する固有の(特徴的な、真の)結合親和性を指す。分子Xのその結合パートナーYに対する親和性は、一般に、親和性定数(KD)によって表すことができる。好ましいKd値は、約200nM、150nM、100nM、60nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、8nM、6nM、4nM、2nM、1nM、またはそれ未満である。親和性を、本明細書に記載のものを含む、当業界で公知の一般的方法によって測定することができる。低親和性抗体は一般に、抗原にゆっくりと結合し、容易に解離する傾向があるが、高親和性抗体は一般に、より速く抗原に結合し、より長く結合したままになる傾向がある。結合親和性を測定する様々な方法が当業界で公知であり、それらのいずれかを本発明の目的のために使用することができる。
【0080】
用語「Kd」、「koff」または「kdis」とは、結合分子と抗原との間の特定の相互作用の解離速度(off rate)定数を指す。解離速度定数koffを、バイオレイヤー干渉法を使用して、例えば、Octet(商標)システムを使用して測定することができる。
【0081】
用語「Ka」、「kon」または「結合速度(on-rate)」とは、結合速度定数を指す。
用語「R」とは、決定係数を指す。
【0082】
用語「応答」とは、抗体-抗原結合シグナルを指す。
本明細書および以下の特許請求の範囲において使用される場合、本文によって別途指示しない限り、単語「含む(include)」および「含む(comprise)」または「含む(includes)」、「含むこと(including)」、「含む(comprises)」、もしくは「含むこと(comprising)」などのその変形は、述べた整数または整数の群を含めることを意味するが、任意の他の整数または整数の群の除外を意味しないことが理解されるであろう。
【0083】
発明の詳細な説明
二価二重特異性キメラ抗体
本発明は、二価二重特異性キメラ抗体に関する。
【0084】
本発明による抗体は、モノクローナル抗体である。
用語「モノクローナル抗体」または「mAb」とは、別々のクローン細胞集団によって合成および単離される抗体を指す。
【0085】
本発明の抗体は、組換え抗体である。
用語「組換え抗体」とは、抗体をコードするヌクレオチド配列であって、天然では細胞と関連しない前記ヌクレオチド配列を含む、細胞または細胞系中で発現される抗体を指す。
【0086】
本発明による二価二重特異性キメラ抗体は、単離された抗体である。
本明細書に記載の様々な抗体を記載するために使用される用語「単離された」とは、抗体が発現される、細胞または細胞培養物から同定および分離および/または再生された抗体を指す。天然の環境に由来する不純物(夾雑成分)は、典型的には、ポリペプチドの診断的または治療的使用を妨げる材料であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を含み得る。単離されたポリペプチドは、典型的には、少なくとも1つの精製ステップによって調製される。
【0087】
一側面では、本発明は、二価二重特異性キメラ抗体であって、前記抗体は、
a)第1の抗原に特異的に結合する抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖;
ここにおいて、前記第1の軽鎖が、軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常ドメインを含み、
ここにおいて、前記第1の重鎖が、重鎖可変ドメイン、ならびに、第1(CH1)の重鎖定常ドメイン、ならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体の重鎖定常ドメイン、を含む;
b)第2の抗原に特異的に結合する抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖;
ここにおいて、前記第2の軽鎖が、軽鎖可変ドメインおよび定常ドメインを含み、
前記定常ドメインは、MHC(主要組織適合複合体)の第1の膜近位ドメイン、もしくは、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインの群から選択される、
ここにおいて、前記第2の重鎖が、
重鎖可変ドメイン、
MHC(主要組織適合複合体)の第2の膜近位ドメイン、もしくは、MHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインの群から選択される定常ドメイン、
ならびに、第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体
を含む;
ここにおいて、MHCまたはMHC様タンパク質の前記第1の膜近位ドメインおよびMHCまたはMHC様タンパク質の前記第2の膜近位ドメインが、ジスルフィド結合によって安定化されるヘテロ二量体をそれらの間で形成し;
ここにおいて、一方の重鎖のCH3ドメインおよび他方の重鎖のCH3ドメインが、その表面と互いに接触し、二価二重特異性キメラ抗体を形成するように修飾され、重鎖CH3ドメイン中の前記修飾が、ヘテロ二量体化を容易にする置換である、
を含む、前記二価二重特異性キメラ抗体に関する。
【0088】
MHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHCまたはMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインによって形成され、ジスルフィド結合によって安定化されるヘテロ二量体とは、
1)MHCもしくはMHC様タンパク質の第1および第2の膜近位ドメイン間でS-S結合(ジスルフィド結合、システイン架橋)を形成するための、MHCもしくはMHC様タンパク質の第1および/もしくは第2の膜近位ドメイン中に突然変異もしくは複数の突然変異を含むヘテロ二量体;
あるいは、
2)MHCもしくはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインと、ヒンジとの間でS-S結合(ジスルフィド結合、システイン架橋)を形成するための、C末端の1つもしくは複数(1~10個)のアミノ酸およびC末端の末端CysによるMHCもしくはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインの伸長
を意味する。
【0089】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、MHCまたはMHC様タンパク質の第1および第2の膜近位ドメイン間でS-S結合(ジスルフィドシステイン架橋)を形成する、MHCまたはMHC様タンパク質の第1および/または第2の膜近位ドメイン中の1個の突然変異または複数の突然変異によるジスルフィド結合によって安定化される、ヘテロ二量体をその間で形成する、MHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHCまたはMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0090】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、MHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインとヒンジとの間でS-S結合(ジスルフィド結合、システイン架橋)を形成するC末端の1つまたは複数(1~10個)のアミノ酸およびC末端の末端CysによるMHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインの伸長によるジスルフィド結合によって安定化される、ヘテロ二量体をその間で形成する、MHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHCまたはMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0091】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、MHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインの伸長であって、3個のアミノ酸GSCの配列である、伸長を含む。
【0092】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
軽鎖可変ドメイン(VL1)および軽鎖定常ドメインを含む第1の軽鎖;
重鎖可変ドメイン(VH1)および第1(CH1)の重鎖定常ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体の重鎖定常ドメインを含む、第1の重鎖;
軽鎖可変ドメイン(VL2)およびMHCの第1の膜近位ドメインまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインを含む第2の軽鎖;
重鎖可変ドメイン(VH2)、MHCの第2の膜近位ドメインまたはMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む第2の重鎖
を含み、
MHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHCまたはMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインは、MHCまたはMHC様タンパク質の第1および第2の膜近位ドメイン間でS-S結合(ジスルフィドシステイン架橋)を形成するMHCまたはMHC様タンパク質の第1および/または第2の膜近位ドメイン中の1個の突然変異または複数の突然変異によるジスルフィド結合によって安定化されるヘテロ二量体をその間で形成し;
CH3ドメイン中の第1のFcバリアントと第2のFcバリアントとの間で、ノブイントゥーホール構造が形成される。
【0093】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
軽鎖可変ドメイン(VL1)および軽鎖定常ドメインを含む第1の軽鎖;
重鎖可変ドメイン(VH1)および第1(CH1)の重鎖定常ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体の重鎖定常ドメインを含む、第1の重鎖;
軽鎖可変ドメイン(VL2)およびMHCの第1の膜近位ドメインまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインを含む第2の軽鎖;
重鎖可変ドメイン(VH2)、MHCの第2の膜近位ドメインまたはMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む第2の重鎖
を含み、
CH3ドメイン中の第1のFcバリアントと第2のFcバリアントとの間で、ノブイントゥーホール構造が形成され、
MHCの第1の膜近位ドメインまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインは、MHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインとヒンジとの間でS-S結合(ジスルフィド結合、システイン架橋)を形成するC末端の1つまたは複数(1~10個)のアミノ酸およびC末端の末端CysによるMHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインの伸長をさらに含む。
【0094】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
軽鎖可変ドメイン(VL1)および軽鎖定常ドメインを含む第1の軽鎖;
重鎖可変ドメイン(VH1)および第1(CH1)の重鎖定常ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体の重鎖定常ドメインを含む、第1の重鎖;
軽鎖可変ドメイン(VL2)およびMHCの第1の膜近位ドメインまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインを含む第2の軽鎖;
重鎖可変ドメイン(VH2)、MHCの第2の膜近位ドメインまたはMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む第2の重鎖
を含み、
CH3ドメイン中の第1のFcバリアントと第2のFcバリアントとの間で、ノブイントゥーホール構造が形成され、
MHCの第1の膜近位ドメインまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインは、MHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインとヒンジとの間でS-S結合(ジスルフィド結合、システイン架橋)を形成するGSCによってMHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインの伸長をさらに含む。
【0095】
上記の二価二重特異性キメラ抗体において、可変および定常ドメインは、以下の順序で重鎖および軽鎖中に配置される:
第1の軽鎖:
1)軽鎖可変ドメイン、
2)軽鎖定常ドメイン;
抗体の第1の重鎖:
1)重鎖可変ドメイン、
2)第1(CH1)の重鎖定常ドメイン、
3)第2(CH2)の重鎖定常ドメインおよび
4)第3(CH3)の重鎖定常ドメイン;
第2の軽鎖:
1)軽鎖可変ドメイン、
2)MHCの第1の膜近位ドメインまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメイン;
抗体の第2の重鎖:
1)重鎖可変ドメイン、
2)MHCの第2の膜近位ドメインまたはMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメイン、
3)第2(CH2)の重鎖定常ドメインおよび
4)第3(CH3)の重鎖定常ドメイン。
【0096】
図1は、上記の二価二重特異性キメラ抗体の形式のいくつかのバリアントを示す。
本明細書で使用される場合、用語「抗体」または「免疫グロブリン」(Ig)は、全抗体を含む。用語「抗体」とは、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2個の重(H)鎖および2個の軽(L)鎖、または抗原結合性部分を含む糖タンパク質を指す。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと省略される)と重鎖定常領域とを含む。ギリシャ文字:α、δ、ε、γおよびμによって示される5つの型の哺乳動物抗体重鎖が公知である(Janeway C.A.,Jr.ら、Immunobiology、第5版、Garland Publishingによる出版、2001)。存在する重鎖の型は、抗体のクラスを定義する;これらの鎖は、それぞれ、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM抗体中に見出される(Rhoades R.A.、Pflanzer R.G.、Human Physiology、第4版、Thomson Learningによる出版、2002)。異なる重鎖は、サイズおよび組成において異なる;αおよびγは約450個のアミノ酸を含有するが、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。定常領域は、同じアイソタイプの全ての抗体において同一であるが、異なるアイソタイプの抗体においては異なる。重鎖γ、αおよびδは、3個の定常ドメインCH1、CH2およびCH3(一列に)から構成される定常領域、ならびに可撓性の付加のためのヒンジ領域を有する(Woof J.、Burton D.、Nat Rev Immunol 4、2004、cc.89~99);重鎖μおよびεは、4個の定常ドメインCH1、CH2、CH3およびCH4から構成される定常領域を有する(Janeway C.A.,Jr.ら、Immunolobiology、第5版、Garland Publishingによる出版、2001)。哺乳動物では、ラムダ(λ)およびカッパ(κ)によって示されるわずか2つの型の軽鎖が公知である。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと省略される)と軽鎖定常領域とを含む。軽鎖のおよその長さは、211~217アミノ酸である。好ましくは、軽鎖はカッパ(κ)軽鎖であり、定常ドメインCLは好ましくはCカッパ(κ)である。
【0097】
本発明による「抗体」は、任意のクラス(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM、好ましくは、IgG)、またはサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2、好ましくは、IgG1)のものであってもよい。
【0098】
VLおよびVH領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、より保存された領域の間に位置する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域にさらに細分することができる。それぞれのVHおよびVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、以下の順序で配置された3個のCDRと4個のFRとから構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1の成分(C1q)を含む、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介することができる。
【0099】
本明細書で使用される場合、抗体の「抗原結合性部分」または「抗原結合性断片」(または単に「抗体部分」もしくは「抗体断片」)という用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つまたは複数の断片を指す。抗体の「抗原結合性部分」という用語に含まれる結合断片の例は、Fab断片、すなわち、VL、VH、CLおよびCH1ドメインまたはFab様断片からなる一価断片、すなわち、VL、VHドメイン、MHCまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHCまたはMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインからなる一価断片を含む。
【0100】
好ましくは、抗原結合性部分のCDR、または本発明の抗体の全抗原結合性部分は、マウス、ラマもしくはヒトドナーライブラリーに由来するか、またはある特定のアミノ酸残基が変更された、例えば、抗体の特定の特性、例えば、KD、koff、IC50、EC50、ED50を最適化するために異なるアミノ酸残基で置換された、実質的にヒト起源のものである。好ましくは、本発明の抗体のフレームワーク領域は、ヒト起源のものであるか、または実質的にヒト起源(少なくとも80、85、90、95、96、97、98または99%のヒト起源)のものである。
【0101】
他の態様では、本発明の抗原結合性部分は、限定されるものではないが、マウス、ラマ、ウサギ、ラットまたはハムスターを含む他の非ヒト種に由来してもよい。あるいは、抗原結合領域は、ヒト種に由来してもよい。
【0102】
用語「可変」とは、可変ドメインのある特定の部分が抗体間で配列において大きく異なるという事実を指す。Vドメインは、抗原結合を媒介し、その特定の抗原に対するそれぞれ特定の抗体の特異性を決定する。しかしながら、可変性は、可変ドメインの110個のアミノ酸の広がりにわたって均等に分布しているわけではない。その代わりに、V領域は、「超可変領域」またはCDRと呼ばれる極端な可変性のより短い領域によって隔てられた15~30アミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる不変性断片からなる。天然の重鎖および軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、ベータシート構造を接続し、一部の場合、その一部を形成するループを形成する、3個の超可変領域によって接続された、ベータシート構成を採用することが多い、4個のFRを含む。それぞれの鎖の中の超可変領域は、FRによってごく近くに一緒に保持されると共に、他の鎖に由来する超可変領域は、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD.(1991)を参照されたい)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、抗体依存性細胞傷害(ADCC)への抗体の参加などの様々なエフェクター機能を示す。
【0103】
本明細書に記載の用語「超可変領域」とは、抗原結合を担う抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は典型的には、「相補性決定領域」もしくは「CDR」に由来するアミノ酸残基および/または「超可変ループ」に由来する残基を含む。
【0104】
本出願において使用される場合、「Kabatのナンバリングスキーム」または「Kabatによるナンバリング」とは、抗体の重鎖および軽鎖の可変領域中の他のアミノ酸残基よりも可変性が高い(すなわち、超可変性である)アミノ酸残基のナンバリングのためのシステムを指す(Kabatら、Ann.N.Y.Acad.Sci.、190:382~93(1971);Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S.Department of Health and Human Services、NIH Publication No.91-3242(1991))。
【0105】
標的抗原「に結合する」本発明の抗体とは、タンパク質または抗原を発現する細胞もしくは組織を標的とする診断剤および/または治療剤として抗体を使用することができるような十分な親和性で抗原に結合し、他のタンパク質とはわずかに交差反応する抗体を指す。そのような態様では、分析方法:蛍光活性化細胞選別(FACS)、ライジオイムノアッセイ(RIA)またはELISAによる、非標的タンパク質に対する抗体結合の程度は、特定の標的タンパク質に対する抗体結合の10%未満である。抗体の標的分子への結合に関して、特定のポリペプチドまたは特定の標的ポリペプチド上のエピトープに対する「特異的結合」または「に特異的に結合する」または「に特異的である」という用語は、非特異的相互作用とは有意に(測定可能に)異なる結合を意味する。
【0106】
特異的結合を、例えば、対照分子の結合と比較した、ある分子の結合を決定することによって測定することができる。例えば、特異的結合を、標的、例えば、過剰の標識されていない標的と類似する別の分子との競合によって決定することができる。この場合、標識された標的のプローブへの結合が過剰の未標識の標的によって競合的に阻害される場合、特異的結合が示される。本明細書で使用される場合、特定のポリペプチドまたは特定の標的ポリペプチド上のエピトープに対する用語「特異的結合」または語句「に特異的に結合する」は、少なくとも約200nM、または少なくとも約150nM、または少なくとも約100nM、または少なくとも約60nM、または少なくとも約50nM、または少なくとも約40nM、または少なくとも約30nM、または少なくとも約20nM、または少なくとも約10nM、または少なくとも約8nM、または少なくとも約6nM、または少なくとも約4nM、または少なくとも約2nM、または少なくとも約1nM、またはそれより高い、標的に対するKdを有する分子の例によって記載され得る。一態様では、用語「特異的結合」とは、ある分子が、他の任意のポリペプチドまたはポリペプチド上のエピトープに実質的に結合することなく、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド上のエピトープに結合する結合を指す。
【0107】
用語「二重特異性抗体」とは、単一の生体分子上の2つの異なるエピトープに特異的に結合することができる、または2つの異なる生体分子上のエピトープに特異的に結合することができる抗原結合性ドメインを有する抗体を指す。二重特異性抗体はまた、本明細書では「デュアル特異性」を有する、または「デュアル特異性」抗体であるとも称される。
【0108】
免疫グロブリンの断片結晶化可能領域(「Fc領域、Fc」)は、細胞表面Fc受容体、ならびに補体系の一部のタンパク質と相互作用する免疫グロブリン分子の「尾部」領域である。この特性は、抗体が免疫系を活性化することを可能にする。IgG、IgAおよびIgDアイソタイプでは、Fc領域は、それぞれ、2個の重鎖の第2および第3の定常ドメインに由来する2個の同一のタンパク質断片から構成される;IgMおよびIgEアイソタイプでは、Fcは、それぞれのポリペプチド鎖中に3個の重鎖定常ドメイン(CH2、CH3、およびCH4ドメイン)を含有する。
【0109】
「Fc断片単量体」は、2個の重鎖のいずれか一方の第2および第3の定常ドメインに由来するFc領域(IgG、IgAおよびIgDアイソタイプについて)を意味すると理解される;IgMおよびIgEアイソタイプについては、Fc単量体は、2個の重鎖のうちの一方の3個の定常ドメイン(CH2、CH3およびCH4ドメイン)を含む。
【0110】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
軽鎖可変ドメイン(VL1)および軽鎖定常ドメインを含む第1の軽鎖;
重鎖可変ドメイン(VH1)および第1(CH1)の重鎖定常ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体の重鎖定常ドメインを含む、第1の重鎖;
軽鎖可変ドメイン(VL2)およびMHCの第1の膜近位ドメインまたはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインを含む第2の軽鎖;
重鎖可変ドメイン(VH2)、MHCの第2の膜近位ドメインまたはMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む第2の重鎖
を含み、
CH3ドメイン中の第1のFcバリアントと第2のFcバリアントとの間で、ノブイントゥーホール構造が形成され、
MHCの第2の膜近位ドメインおよび/またはMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインと、ヒンジとの間に、さらなるペプチドリンカーが挿入されている。
【0111】
本明細書で使用される場合、用語「ペプチドリンカー」は、互いに結合するドメインに応じた長さを有するドメインを組み合わせる能力を有し、任意のアミノ酸配列を含む任意のペプチドを意味することが意図される。好ましくは、ペプチドリンカーは、4アミノ酸以上の長さを有し、G、A、S、P、E、T、D、Kから選択されるアミノ酸の任意のセットからなる。
【0112】
MHC(主要組織適合複合体)とは、全ての有核細胞の表面上に存在する脊椎動物の免疫系の中心成分である主要組織適合複合体分子を指す。2つの主な形態のMHC、特に、MHCクラスIおよびIIが存在する。
【0113】
MHC様タンパク質とは、MHCクラスI分子またはMHCクラスII分子の細胞外部分との構造的類似性を有するタンパク質を指す。特に、MHC様タンパク質は、例えば、CD1(分化抗原群1)タンパク質またはHFEタンパク質(遺伝性ヘモクロマトーシスタンパク質)を意味する。
【0114】
MHC I、II、CD1およびHFE分子間の一般的な構造類似性は明らかである。この分子は、全分子の空間的構成の均一性、ドメインの数(4個)、MHCおよびMHC様タンパク質の膜近位ドメインの構造類似性、ならびに抗原結合部位、類似する分子量を含む。
【0115】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
MHCクラスI(主要組織適合複合体クラスI)の第1の膜近位ドメイン、
MHCクラスII(主要組織適合複合体クラスII)の第1の膜近位ドメイン、
MHCクラスIの第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアント、または
MHCクラスIIの第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアント
を含む群から選択することができる、MHCの第1の膜近位ドメインを含む。
【0116】
ヒトにおいては、古典的なMHC I遺伝子は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-FまたはHLA-Gと称される。クラスI分子は、2個のポリペプチド鎖:多型性のα鎖(重鎖と称されることもある)および一般的には多型性ではない、β2ミクログロブリンと呼ばれるより小さい鎖(軽鎖としても知られる)からなる。これらの2個の鎖は、細胞表面上で非共有的ヘテロ二量体を形成する。α鎖は、3つのドメイン(α1、α2、およびα3)を含有する。α鎖遺伝子のエクソン1はリーダー配列をコードし、エクソン2および3はα1およびα2ドメインをコードし、エクソン4はα3ドメインをコードし、エクソン5は膜貫通ドメインをコードし、エクソン6および7は細胞質尾部をコードする。α鎖は、α1およびα2ドメインを含むペプチド結合領域を形成する。
【0117】
α2ドメインに次いで、α3ドメインがMHC Iのα鎖の細胞外部分のC末端に位置し、β2ミクログロブリンと一緒になってヘテロ二量体非共有複合体を形成する。MHC Iのα3ドメインおよびβ2ミクログロブリンから構成される前記ヘテロ二量体非共有複合体は、本発明の明細書では、MHC Iの膜近位ドメインに基づくヘテロ二量体と称される。
【0118】
MHCクラスI分子は、腫瘍細胞を含む全ての有核細胞上で発現される。それらは特に、TおよびBリンパ球、マクロファージ、樹状細胞ならびに好中球上で特異的に発現され、CD8+細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の表面上にペプチド断片(典型的には、8~10アミノ酸長)を提示するように機能する。
【0119】
ヒトにおいては、古典的なMHC II遺伝子は、HLA-DM、HLA-DO、HLA-DP、HLA-DQまたはHLA-DRと称される。MHCクラスII分子は、非共有的に連結されたアルファおよびベータ鎖から構成されるヘテロ二量体である。それぞれの鎖の細胞外部分は、2個のドメイン(それぞれ、α1(アルファ1)、α2(アルファ2)およびβ1(ベータ1)、β2(ベータ2))からなり、膜貫通セグメントを有する短いペプチド(約30アミノ酸残基の長さ)によって接続される。膜貫通セグメントに次いで、約10~15残基を含有する細胞質ドメインが存在する。
【0120】
MHCクラスII分子の抗原結合領域は、MHCクラスII分子の抗原結合溝が単一のアルファ鎖の2個のドメインではなく、異なる鎖の2個のドメイン、α1およびβ1ドメインによって形成されることを除いて、クラスI分子と同様に相互作用する鎖のアルファヘリックスセクションによって形成される。
【0121】
α1ドメインに次いで、β2ドメインとのヘテロ二量体非共有複合体を形成するα2ドメインが存在する。MHC IIのα2ドメインおよびMHC IIのβ2ドメインから構成される前記ヘテロ二量体非共有複合体は、本発明の明細書では、MHC IIの膜近位ドメインに基づくヘテロ二量体と称される。
【0122】
MHCクラスII分子の構造において、抗原結合溝は、MHCクラスI分子のものよりも開いており、かくして、より長いペプチドを受け入れる。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
MHCクラスI(主要組織適合複合体クラスI)の第2の膜近位ドメイン、
MHCクラスII(主要組織適合複合体クラスII)の第2の膜近位ドメイン、
MHCクラスIの第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアント、または
MHCクラスIIの第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアント
を含む群から選択することができる、MHCの第2の膜近位ドメインを含む。
【0123】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、ヒトMHCクラスIの膜近位ドメインを含む。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、ヒトMHCクラスIIの膜近位ドメインを含む。
【0124】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
MHCクラスI(主要組織適合複合体クラスI)の第1の膜近位ドメイン、
MHCクラスII(主要組織適合複合体クラスII)の第1の膜近位ドメイン、
MHCクラスIの第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアント、または
MHCクラスIIの第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアント
を含む群から選択することができる、MHCの第1の膜近位ドメイン、
ならびに、
MHCクラスI(主要組織適合複合体クラスI)の第2の膜近位ドメイン、
MHCクラスII(主要組織適合複合体クラスII)の第2の膜近位ドメイン、
MHCクラスIの第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアント、または
MHCクラスIIの第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアント
を含む群から選択することができる、MHCの第2の膜近位ドメインを含む。
【0125】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
MHCクラスI(主要組織適合複合体クラスI)の第1の膜近位ドメインであるMHCの第1の膜近位ドメイン、
および
MHCクラスI(主要組織適合複合体クラスI)の第2の膜近位ドメインであるMHCの第2の膜近位ドメイン
を含む。
【0126】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
MHCクラスII(主要組織適合複合体クラスII)の第1の膜近位ドメインであるMHCの第1の膜近位ドメイン、
および
MHCクラスII(主要組織適合複合体クラスII)の第2の膜近位ドメインであるMHCの第2の膜近位ドメイン
を含む。
【0127】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
MHCクラスIの第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアントであるMHCの第1の膜近位ドメイン、
および
MHCクラスIの第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアントであるMHCの第2の膜近位ドメイン
を含む。
【0128】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
MHCクラスIIの第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアントであるMHCの第1の膜近位ドメイン、
および
MHCクラスIIの第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアントであるMHCの第2の膜近位ドメイン
を含む。
【0129】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
MHCクラスI(主要組織適合複合体クラスI)の第1の膜近位ドメインであるMHCの第1の膜近位ドメイン、
および
MHCクラスIの第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアントであるMHCの第2の膜近位ドメイン
を含む。
【0130】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
MHCクラスIの第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアントであるMHCの第1の膜近位ドメイン、
および
MHCクラスI(主要組織適合複合体クラスI)の第2の膜近位ドメインであるMHCの第2の膜近位ドメイン
を含む。
【0131】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
MHCクラスII(主要組織適合複合体クラスII)の第1の膜近位ドメインであるMHCの第1の膜近位ドメイン、
および
MHCクラスIIの第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアントであるMHCの第2の膜近位ドメイン
を含む。
【0132】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
MHCクラスIIの第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアントであるMHCの第1の膜近位ドメイン、
および
MHCクラスII(主要組織適合複合体クラスII)の第2の膜近位ドメインであるMHCの第2の膜近位ドメイン
を含む。
【0133】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、HLA-DM、HLA-DO、HLA-DP、HLA-DQまたはHLA-DRの群から選択されるMHCクラスIIの膜近位ドメインを含む。
【0134】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、HLA-A、HLA-B、HLA-C、HLA-E、HLA-FまたはHLA-Gの群から選択されるMHCクラスIの膜近位ドメインを含む。
【0135】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、ヒトMHC様タンパク質の膜近位ドメインを含む。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
CD1(分化抗原群1)の第1の膜近位ドメイン、
HFE(ヘモクロマトーシスタンパク質)の第1の膜近位ドメイン、
CD1の第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアント、または
HFEの第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアント
を含む群から選択することができる、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインを含む。
【0136】
CD1(分化抗原群1)とは、樹状細胞、マクロファージおよび他の細胞などの、様々な抗原提示細胞の表面上に位置する免疫系の成分である分化抗原群1分子を指す。MHCクラスI、IIと同じ様式で、CD1はT細胞受容体との相互作用を介したT細胞による認識のために抗原を提示する。MHCクラスI、IIと違って、CD1タンパク質は、ペプチドよりもむしろ、脂質およびその誘導体を提示する。
【0137】
ヒトにおいて見出される複数のCD1バリアントは、5群に分割される:抗原結合性断片の構造、結果として、異なる構造の脂質に対する特異性において異なる、CD1a、CD1b、CD1c、CD1d、CD1e。CD1e群のタンパク質は、他の群のタンパク質と違って、細胞表面上に発現されないが、可溶性であり、脂質輸送を担う(Kaczmarek,R.、Pasciak,M.、Szymczak-Kulus,K.、& Czerwinski,M.(2017)、CD1:A Singed Cat of the Three Antigen Presentation Systems.Archivum Immunologiae et Therapiae Experimentalis、65(3)、201~214)。
【0138】
CD1分子は、MHCクラスIと構造において類似している。同様の様式で、1個のCD1分子は、2個のポリペプチド鎖:多型性のα鎖(重鎖と称されることもある)および一般的には多型性ではない、β2ミクログロブリンと呼ばれるより小さい鎖(軽鎖としても知られる)からなる非共有複合体である。
【0139】
α鎖は、α1およびα2ドメインを含む抗原結合領域を形成する。α2ドメインに次いで、α3ドメインがCD1のα鎖の細胞外部分のC末端に位置し、β2ミクログロブリンと一緒になってヘテロ二量体非共有複合体を形成する。CD1のα3ドメインおよびβ2ミクログロブリンから構成される前記ヘテロ二量体非共有複合体は、本発明の明細書では、MHC様タンパク質の膜近位ドメインに基づくヘテロ二量体と称される。
【0140】
HFE(遺伝性ヘモクロマトーシスタンパク質)とは、ヘモクロマトーシスタンパク質分子を指す。ヒトHFE遺伝子座は、第6染色体上に位置し、5個のエクソンおよび4個のイントロンからなる。ヘモクロマトーシスタンパク質は、β2ミクログロブリンと関連する膜タンパク質であり、トランスフェリン-トランスフェリン受容体相互作用の調節によって鉄吸収の調節を担う。HFE遺伝子中の突然変異は、様々な臓器における鉄蓄積と関連する鉄代謝関連潜性病理であるヘモクロマトーシスをもたらす。HFE分子は、MHC Iと構造において同一である。1個のHFE分子は、2個のポリペプチド鎖:多型性のα鎖(重鎖と称されることもある)および一般的には多型性ではない、β2ミクログロブリンと呼ばれるより小さい鎖(軽鎖としても知られる)からなる非共有複合体である。
【0141】
α鎖は、α1、α2およびα3ドメインを含む。α3ドメインに次いで、α2ドメインが存在し、HFEのα鎖の細胞外部分のC末端に位置し、β2ミクログロブリンと共にヘテロ二量体非共有複合体を形成する。HFEのα3ドメインおよびβ2ミクログロブリンから構成される前記ヘテロ二量体非共有複合体は、本発明の明細書では、MHC様タンパク質の膜近位ドメインに基づくヘテロ二量体と称される。
【0142】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
CD1(分化抗原群1)の第2の膜近位ドメイン、
HFE(ヘモクロマトーシスタンパク質)の第2の膜近位ドメイン、
CD1の第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアント、または
HFEの第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアント
を含む群から選択することができる、MHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0143】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
CD1(分化抗原群1)の第1の膜近位ドメイン、
HFE(ヘモクロマトーシスタンパク質)の第1の膜近位ドメイン、
CD1の第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアント、または
HFEの第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアント
を含む群から選択することができる、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメイン、
ならびに
CD1(分化抗原群1)の第2の膜近位ドメイン、
HFE(ヘモクロマトーシスタンパク質)の第2の膜近位ドメイン、
CD1の第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアント、または
HFEの第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアント
を含む群から選択することができる、MHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0144】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
CD1の第1の膜近位ドメインである、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメイン、
および
CD1の第2の膜近位ドメインである、MHC様タンパク質の第2の膜近位ドメイン
を含む。
【0145】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
HFEの第1の膜近位ドメインである、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメイン、
および
HFEの第2の膜近位ドメインである、MHC様タンパク質の第2の膜近位ドメイン
を含む。
【0146】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
CD1の第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアントである、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメイン、
および
CD1の第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアントである、MHC様タンパク質の第2の膜近位ドメイン
を含む。
【0147】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
HFEの第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアントである、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメイン、
および
HFEの第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアントである、MHC様タンパク質の第2の膜近位ドメイン
を含む。
【0148】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
CD1の第1の膜近位ドメインである、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメイン、
および
CD1の第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアントである、MHC様タンパク質の第2の膜近位ドメイン
を含む。
【0149】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
CD1の第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアントである、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメイン、
および
CD1の第2の膜近位ドメインである、MHC様タンパク質の第2の膜近位ドメイン
を含む。
【0150】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
HFEの第1の膜近位ドメインである、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメイン、
および
HFEの第2の膜近位ドメインの修飾されたバリアントである、MHC様タンパク質の第2の膜近位ドメイン
を含む。
【0151】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
HFEの第1の膜近位ドメインの修飾されたバリアントである、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメイン、
および
HFEの第2の膜近位ドメインである。MHC様タンパク質の第2の膜近位ドメイン
を含む。
【0152】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、CD1a、CD1b、CD1c、CD1dまたはCD1eの群から選択されるCD1の膜近位ドメインを含む。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、1~25アミノ酸長のリンカーによってMHCもしくはMHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインから分離されている、第2の軽鎖の可変断片(VL)、および/または1~25アミノ酸長のリンカーによってMHCもしくはMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインから分離されている、第2の重鎖の可変断片(VH)を含む。
【0153】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、
a)二価二重特異性抗体中の他方の重鎖のCH3ドメインの表面と接触する一方の重鎖のCH3ドメインの表面上で、アミノ酸残基が、より大きい側鎖体積を有するアミノ酸残基に置換されており、他方の重鎖のCH3ドメインの表面上のホールに適合することができる一方の重鎖のCH3ドメインの表面上でノブの形成をもたらすように修飾されている、一方の重鎖のCH3ドメイン、
および
b)二価二重特異性抗体中の第1の重鎖のCH3ドメインの表面と接触する第2の重鎖のCH3ドメインの表面上で、アミノ酸残基が、より小さい側鎖体積を有するアミノ酸残基に置換されており、第1の重鎖のCH3ドメインの境界面上のノブを受容することができる第2の重鎖のCH3ドメインの表面上でホールの形成をもたらすように修飾されている、他方の重鎖のCH3ドメイン
を含み;
ここにおいて、より大きい側鎖体積を有する前記アミノ酸残基は、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)を含む群から選択され、
そして、ここにおいて、より小さい側鎖体積を有する前記アミノ酸残基は、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、バリン(V)を含む群から選択される。
【0154】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、CKまたはCLから選択される、抗体の第1の軽鎖の定常ドメインを含む。
哺乳動物では、ラムダ(λ)およびカッパ(κ)によって示されるわずか2つの型の軽鎖が公知である。ラムダ軽鎖の定常ドメインはCLと指定され、カッパ軽鎖のそれはCKと指定されている。
【0155】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、ジスルフィド架橋が両方のCH3ドメインの間で形成し得るように、それぞれのCH3ドメインの対応する位置へのアミノ酸としてのシステイン(C)の導入によってさらに修飾される抗体のCH3ドメインを含む。
【0156】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性抗体は、ノブを形成するように修飾されている、一方の重鎖のCH3ドメイン、およびホールを形成するように修飾されている、他方の重鎖のCH3ドメイン、またはその逆を含む。
【0157】
「ノブイントゥーホール」(「ノブイントゥーホール」型の相互作用)は、誤対合の副生成物と関連する問題を回避することができる手法である。この手法は、接触境界面を修飾するためにCH3ドメイン中に突然変異を導入することによって2つの異なる抗体重鎖を強制的に対合させることを目的とするものである。一方の鎖上で、嵩高いアミノ酸を、短い側鎖を有するアミノ酸で置き換えて、「ホール」を作出した。逆に、大きい側鎖を有するアミノ酸を他方のCH3ドメイン中に導入して、「ノブ」を作出した。これらの2つの重鎖の同時発現は、ホモ二量体形成(「ホール・ホール」または「ノブ・ノブ」)と比較して、高収率のヘテロ二量体形成(「ノブ・ホール」)をもたらした(WO9627011およびWO9850431、ならびにMerchant AM ET ALL.,An efficient route to human bispecific IgG、Nat Biotechnol.1998 Jul;16(7):677~81)。
【0158】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、アミノ酸置換S354C/T366Wを有する、一方の重鎖のCH3ドメイン、およびアミノ酸置換Y349C/T366S/L368A/Y407Vを有する、他方の重鎖のCH3ドメインを含む。
【0159】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、アミノ酸置換Y349C/T366S/L368A/Y407を有する、一方の重鎖のCH3ドメイン、およびアミノ酸置換S354C/T366Wを有する、他方の重鎖のCH3ドメインを含む。
【0160】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、MHC Iのα2ドメインおよびMHC IIのβ2ドメインであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHCの第1の膜近位ドメインおよびMHCの第2の膜近位ドメインを含む。
【0161】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、MHC IIのβ2ドメインおよびMHC IIのα2ドメインであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHCの第1の膜近位ドメインおよびMHCの第2の膜近位ドメインを含む。
【0162】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36または配列番号38の群から選択されるアミノ酸配列を有するMHC IIのα2ドメイン、および配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37または配列番号39の群から選択されるアミノ酸配列を有するMHC IIのβ2ドメインを含む。
【0163】
配列番号30は、MHCクラスII HLA-DMのα2膜近位ドメイン(HLA-DMA01:01:01:01)のアミノ酸配列である。
配列番号31は、MHCクラスII HLA-DMのβ2膜近位ドメイン(HLA-DMB01:01:01:01)のアミノ酸配列である。
【0164】
配列番号32は、MHCクラスII HLA-DOのα2膜近位ドメイン(HLA-DOA01:01:01)のアミノ酸配列である。
配列番号33は、MHCクラスII HLA-DOのβ2膜近位ドメイン(HLA-DOB01:01:01:01)のアミノ酸配列である。
【0165】
配列番号34は、MHCクラスII HLA-DPのα2膜近位ドメイン(HLA-DPA101:03:01:01)のアミノ酸配列である。
配列番号35は、MHCクラスII HLA-DPのβ2膜近位ドメイン(HLA-DPB101:01:01:01)のアミノ酸配列である。
【0166】
配列番号36は、MHCクラスII HLA-DQのα2膜近位ドメイン(HLA-DQA101:01:01:01)のアミノ酸配列である。
配列番号37は、MHCクラスII HLA-DQのβ2膜近位ドメイン(HLA-DQB105:01:01:01)のアミノ酸配列である。
【0167】
配列番号38は、MHCクラスII HLA-DRのα2膜近位ドメイン(HLA-DRA01:01:01:01)のアミノ酸配列である。
配列番号39は、MHCクラスHLA-DRのβ2膜近位ドメイン(HLA-DRB101:01:01:01)のアミノ酸配列である。
【0168】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、MHC IIのα2ドメインの修飾されたバリアントおよびMHC IIのβ2ドメインの修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHCの第1の膜近位ドメインおよびMHCの第2の膜近位ドメインを含む。
【0169】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、MHC IIのβ2ドメインの修飾されたバリアントおよびMHC IIのα2ドメインの修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHCの第1の膜近位ドメインおよびMHCの第2の膜近位ドメインを含む。
【0170】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、MHC Iのα3ドメインおよびβ2ミクログロブリン(β2M)であり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHCの第1の膜近位ドメインおよびMHCの第2の膜近位ドメインを含む。
【0171】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、β2ミクログロブリン(β2M)およびMHC Iのα3ドメインであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHCの第1の膜近位ドメインおよびMHCの第2の膜近位ドメインを含む。
【0172】
β2ミクログロブリンは、12kDaの非グリコシル化タンパク質である;その機能の1つは、MHCクラスIのα鎖、ならびにCD1およびHFEタンパク質を安定化することである。上記タンパク質内のヒトβ2ミクログロブリンは実質的に同一の構造を有し、したがって、本発明の明細書では、ヒトβ2ミクログロブリンは、そのタンパク質がその一部であることを示すことなく記載される。
【0173】
α鎖と違って、β2ミクログロブリンは膜を通過しない。ヒトβ2ミクログロブリンの遺伝子座は、第15染色体上に位置する。β2ミクログロブリン遺伝子は、4個のエクソンおよび3個のイントロンからなる。
【0174】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、配列番号1~29を含む群から選択されるアミノ酸配列を有するMHC Iのα3ドメインおよび配列番号46のアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリン(β2M)を含む。
【0175】
配列番号1は、MHCクラスI HLA-Aのα3膜近位ドメイン(アレルA01:01:01:01)のアミノ酸配列である。
配列番号2は、MHCクラスI HLA-Aのα3膜近位ドメイン(A02:01:01:01)のアミノ酸配列である。
【0176】
配列番号3は、MHCクラスI HLA-Aのα3膜近位ドメイン(A03:01:01:01)のアミノ酸配列である。
配列番号4は、MHCクラスI HLA-Aのα3膜近位ドメイン(A11:01:01:01)のアミノ酸配列である。
【0177】
配列番号5は、MHCクラスI HLA-Aのα3膜近位ドメイン(A23:01:01:01)のアミノ酸配列である。
配列番号6は、MHCクラスI HLA-Bのα3膜近位ドメイン(B07:02:01:01)のアミノ酸配列である。
【0178】
配列番号7は、MHCクラスI HLA-Bのα3膜近位ドメイン(B08:01:01:01)のアミノ酸配列である。
配列番号8は、MHCクラスI HLA-Bのα3膜近位ドメイン(B13:01:01:01)のアミノ酸配列である。
【0179】
配列番号9は、MHCクラスI HLA-Bのα3膜近位ドメイン(B14:01:01:01)のアミノ酸配列である。
配列番号10は、MHCクラスI HLA-Bのα3膜近位ドメイン(B15:01:01:01)のアミノ酸配列である。
【0180】
配列番号11は、MHCクラスI HLA-Cのα3膜近位ドメイン(C01:02:01:01)のアミノ酸配列である。
配列番号12は、MHCクラスI HLA-Cのα3膜近位ドメイン(C03:02:01)のアミノ酸配列である。
【0181】
配列番号13は、MHCクラスI HLA-Cのα3膜近位ドメイン(C04:01:01:01)のアミノ酸配列である。
配列番号14は、MHCクラスI HLA-Cのα3膜近位ドメイン(C05:01:01:01)のアミノ酸配列である。
【0182】
配列番号15は、MHCクラスI HLA-Cのα3膜近位ドメイン(C06:02:01:01)のアミノ酸配列である。
配列番号16は、MHCクラスI HLA-Eのα3膜近位ドメイン(E01:01:01:01)のアミノ酸配列である。
【0183】
配列番号17は、MHCクラスI HLA-Eのα3膜近位ドメイン(E01:03:01:01)のアミノ酸配列である。
配列番号18は、MHCクラスI HLA-Eのα3膜近位ドメイン(E01:05)のアミノ酸配列である。
【0184】
配列番号19は、MHCクラスI HLA-Eのα3膜近位ドメイン(E01:06)のアミノ酸配列である。
配列番号20は、MHCクラスI HLA-Eのα3膜近位ドメイン(E01:09)のアミノ酸配列である。
【0185】
配列番号21は、MHCクラスI HLA-Fのα3膜近位ドメイン(F01:01:01:01)のアミノ酸配列である。
配列番号22は、MHCクラスI HLA-Fのα3膜近位ドメイン(F01:02)のアミノ酸配列である。
【0186】
配列番号23は、MHCクラスI HLA-Fのα3膜近位ドメイン(F01:03:01:01)のアミノ酸配列である。
配列番号24は、MHCクラスI HLA-Fのα3膜近位ドメイン(F01:04:01:01)のアミノ酸配列である。
【0187】
配列番号25は、MHCクラスI HLA-Fのα3膜近位ドメイン(F01:05)のアミノ酸配列である。
配列番号26は、MHCクラスI HLA-Gのα3膜近位ドメイン(G01:01:01:01)のアミノ酸配列である。
【0188】
配列番号27は、MHCクラスI HLA-Gのα3膜近位ドメイン(G01:03:01:01)のアミノ酸配列である。
配列番号28は、MHCクラスI HLA-Gのα3膜近位ドメイン(G01:04:01:01)のアミノ酸配列である。
【0189】
配列番号29は、MHCクラスI HLA-Gのα3膜近位ドメイン(G01:06)のアミノ酸配列である。
配列番号46は、MHCクラスIまたはMHC様タンパク質(CD1、HFE)のユニバーサルβ2ミクログロブリン(β2M)のアミノ酸配列である。
【0190】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、MHC Iのα3ドメインの修飾されたバリアントおよびβ2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHCの第1の膜近位ドメインおよびMHCの第2の膜近位ドメインを含む。
【0191】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、β2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントおよびMHC Iのα3ドメインの修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHCの第1の膜近位ドメインおよびMHCの第2の膜近位ドメインを含む。
【0192】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、配列番号47または配列番号48から選択されるアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントを含む。
【0193】
配列番号47は、突然変異R12Cを有するMHCクラスIまたはMHC様タンパク質(CD1、HFE)のユニバーサルβ2ミクログロブリン(β2M)(SS架橋がユニット内にある)のアミノ酸配列である。
【0194】
配列番号48は、突然変異R12Cを有するMHCクラスIまたはMHC様タンパク質(CD1、HFE)のユニバーサルβ2ミクログロブリン(β2M)(SS架橋がユニット内にある)+突然変異C220Aを有するヒンジ(SS架橋がユニットのC末端から除去されており、ユニット内に移動している)のアミノ酸配列である。
【0195】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、CD1のα3ドメインおよびβ2ミクログロブリン(β2M)であり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0196】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、β2ミクログロブリン(β2M)およびCD1のα3ドメインであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0197】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、配列番号40~44を含む群から選択されるアミノ酸配列を有するCD1のα3ドメインおよび配列番号46のアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリン(β2M)を含む。
【0198】
配列番号40は、CD1aのα3膜近位ドメインのアミノ酸配列である。
配列番号41は、CD1bのα3膜近位ドメインのアミノ酸配列である。
配列番号42は、CD1cのα3膜近位ドメインのアミノ酸配列である。
【0199】
配列番号43は、CD1dのα3膜近位ドメインのアミノ酸配列である。
配列番号44は、CD1eのα3膜近位ドメインのアミノ酸配列である。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、CD1のα3ドメインの修飾されたバリアントおよびβ2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0200】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、β2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントおよびCD1のα3ドメインの修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0201】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、配列番号49~56または配列番号109を含む群から選択されるアミノ酸配列を有するCD1のα3ドメインの修飾されたバリアント、および配列番号47または配列番号48から選択されるアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントを含む。
【0202】
配列番号49は、突然変異N57C(追加のSS架橋がユニット内にある)およびC末端の3個のアミノ酸GSCによる伸長を有するCD1bのα3膜近位ドメインのアミノ酸配列である。
【0203】
配列番号50は、突然変異N57C(SS架橋がユニット内にある)およびC末端の2個のアミノ酸GSによる伸長(SS架橋がユニットのC末端から除去されており、ユニット内に移動している)を有するCD1bのα3膜近位ドメインのアミノ酸配列である。
【0204】
配列番号51は、突然変異N59A(予測されたNグリコシル化部位での置換)およびC末端の3個のアミノ酸GSCによる伸長を有するCD1bのα3膜近位ドメインのアミノ酸配列である。
【0205】
配列番号52は、突然変異N59D(予測されたNグリコシル化部位での置換)およびC末端の3個のアミノ酸GSCによる伸長を有するCD1bのα3膜近位ドメインのアミノ酸配列である。
【0206】
配列番号53は、突然変異N57C、N59AおよびC末端の3個のアミノ酸GSCによる伸長を有するCD1bのα3膜近位ドメイン(追加のSS架橋がユニット内にある+予測されたNグリコシル化部位が除去されている)のアミノ酸配列である。
【0207】
配列番号54は、突然変異N57C、N59DおよびC末端の3個のアミノ酸GSCによる伸長を有するCD1bのα3膜近位ドメイン(追加のSS架橋がユニット内にある+予測されたNグリコシル化部位が除去されている)のアミノ酸配列である。
【0208】
配列番号55は、突然変異N57C、N59AおよびC末端の2個のアミノ酸GSによる伸長を有するCD1bのα3膜近位ドメイン(SS架橋がユニット内に移動している+予測されたNグリコシル化部位が除去されている)のアミノ酸配列である。
【0209】
配列番号56は、突然変異N57C、N59DおよびC末端の2個のアミノ酸GSによる伸長を有するCD1bのα3膜近位ドメイン(SS架橋がユニット内に移動している+予測されたNグリコシル化部位が除去されている)のアミノ酸配列である。
【0210】
配列番号109は、C末端の3個のアミノ酸GSCによる伸長を有するCD1bのα3膜近位ドメインのアミノ酸配列である。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、HFEのα3ドメインおよびβ2ミクログロブリン(β2M)であり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0211】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、β2ミクログロブリン(β2M)およびHFEのα3ドメインであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0212】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、配列番号45のアミノ酸配列を有するHFEのα3ドメインおよび配列番号46のアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリン(β2M)を含む。
【0213】
配列番号45は、HFEのα3膜近位ドメインのアミノ酸配列である。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、HFEのα3ドメインの修飾されたバリアントおよびβ2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0214】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、それぞれ、β2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントおよびHFEのα3ドメインの修飾されたバリアントであり、それらの間でヘテロ二量体を形成する、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインおよびMHC様タンパク質の第2の膜近位ドメインを含む。
【0215】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、配列番号47または配列番号48から選択されるアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリン(β2M)の修飾されたバリアントを含む。
【0216】
MHC、CD1およびHFEの1,000を超える特徴付けられた構造が公知である。上記構造はいずれも、本発明による二重特異性抗体において使用することができる。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、MHCまたはMHC様タンパク質の修飾されたバリアントを含み、ここで、修飾されたバリアントとは、MHCまたはMHC様タンパク質の第1および第2の膜近位ドメインから産生されるヘテロ二量体の鎖の間でジスルフィド架橋を形成するシステイン(C)への置換を含むバリアントを指す。
【0217】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、MHCまたはMHC様タンパク質の修飾されたバリアントを含み、ここで、修飾されたバリアントとは、MHCまたはMHC様タンパク質の膜近位ドメインの様々な位置に1つまたは複数の置換を含み、それぞれ、MHCまたはMHC様タンパク質の野生型膜近位ドメインと比較して、熱力学的安定性Tmの1℃より高い増大をもたらすバリアントを指す。
【0218】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、MHCまたはMHC様タンパク質の修飾されたバリアントを含み、ここで、修飾されたバリアントとは、MHCまたはMHC様タンパク質の膜近位ドメインの様々な位置に1つまたは複数の置換を含み、それぞれ、MHCまたはMHC様タンパク質の野生型膜近位ドメインと比較して、10mg/mlより高い濃度で5%を超える凝集体の量の減少をもたらすバリアントを指す。
【0219】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、MHCまたはMHC様タンパク質の修飾されたバリアントを含み、ここで、修飾されたバリアントとは、MHCまたはMHC様タンパク質の膜近位ドメインの様々な位置に1つまたは複数の置換を含み、それぞれ、MHCまたはMHC様タンパク質の野生型膜近位ドメインと比較して、グリコシル化部位の除去をもたらすバリアントを指す。
【0220】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、同一である、第1の軽鎖の可変ドメインおよび第2の軽鎖の可変ドメインを含む。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、IgGに属するFc断片を含む。
【0221】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、ヒトIgG1、IgG2、またはIgG4を含む群から選択されるFc断片を含む。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、置換がさらに導入されており、二価二重特異性抗体におけるADCC、CDCおよび/またはADCP特性の非存在をもたらす、Fc断片単量体を含む。
【0222】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、LALA置換(L234AおよびL235A)がさらに導入されているFc断片単量体を含む。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、置換がさらに導入されており、抗体の作用の延長をもたらす、Fc断片単量体を含む。
【0223】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、YTE置換(M252Y、S254TおよびT256E)がさらに導入されているFc断片単量体を含む。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、置換がさらに導入されており、二価二重特異性抗体におけるADCC、CDCおよび/またはADCP特性の増強をもたらす、Fc断片単量体を含む。
【0224】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、置換E345Rがさらに導入されているFc断片単量体を含む。
Fc断片における上記突然変異は、抗体のアミノ酸鎖に関するEUナンバリングに従って番号付けられる(Edelman,G.M.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 63(1969)、78~85頁;Kabat,E.A.ら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD(1991))。
【0225】
Fc断片における突然変異は、本出願に記載された抗体のアミノ酸配列の修飾を意味すると理解される。抗体のアミノ酸配列バリアントは、適切なヌクレオチド変化を抗体核酸中に導入すること、またはペプチド合成によって調製される。そのような修飾としては、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基の欠失および/または挿入および/または置換が挙げられる。最終構築物が所望の特徴を有するという条件で、最終構築物に到達するために、任意の組合せの欠失、挿入、および置換が作製される。
【0226】
アミノ酸置換を使用する抗体のアミノ酸配列の修飾物のバリアントは、抗体分子中の少なくとも1個のアミノ酸残基の、別の残基による置換である。
保存的置換は、「好ましい置換」の下で表Aに示される。
【0227】
【表1】
【0228】
抗体「エフェクター機能」という用語は、抗体のFc領域(天然Fc領域配列またはFc領域アミノ酸バリアント)に起因する生物活性を指し、抗体アイソタイプと共に変化する。抗体エフェクター機能の例としては、C1結合および補体依存性細胞傷害;Fc受容体結合;抗体依存性細胞傷害(ADCC);食作用;細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体、BCR)の下方調節;およびB細胞活性化が挙げられる。
【0229】
「抗体依存性細胞傷害」または「ADCC」は、Fc受容体(FcR)を発現する非特異的な細胞傷害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)が標的細胞上の結合抗体を認識し、次いで、標的細胞の溶解または食作用を引き起こす、細胞媒介性の応答を指す。ADCCを媒介するための一次細胞、NK細胞は、FcγRIIIのみを発現するが、単球は、FcγRI、FcγRIIIおよびFcγRIIIを発現する。造血細胞上でのFcR発現は、RavetchおよびKinet、Annu.Rev.Immunol 9:457~92(1991)の464頁の表3にまとめられている。目的の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号または第5,821,337号に記載されたものなどのin vitro ADCCアッセイを実施することができる。そのようなアッセイにとって有用なエフェクター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。あるいは、またはさらに、目的の分子のADCC活性を、in vivoで、例えば、Clynesら、PNAS(USA)、95:652~656(1998)に開示されたものなどの動物モデルにおいて、評価することができる。
【0230】
「ヒトエフェクター細胞」は、1つまたは複数のFcRを発現し、エフェクター機能を実行する白血球である。好ましくは、細胞は、少なくともFcγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を実行する。ADCCを媒介するヒト白血球の例としては、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞および好中球が挙げられ、PBMCおよびNK細胞が好ましい。エフェクター細胞を、本明細書に記載のようにその天然の供給源、例えば、血液またはPBMCから単離することができる。
【0231】
「補体依存性細胞傷害」および「CDC」は、補体の存在下で標的を溶解する分子の能力を指す。補体活性化経路は、同族抗原と複合体を形成した分子(例えば、抗体)への補体系の第1成分(C1q)の結合によって開始される。補体活性化を評価するために、例えば、Gazzano-Santoroら、J.Immunol.Methods、202:163(1996)に記載されたような、CDCアッセイを行うことができる。
【0232】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、CD20およびCD3に特異的に結合する。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、BCMAおよびCD3に特異的に結合する。
【0233】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、PD-L1およびCD47に特異的に結合する。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、凝固因子9(FIX)および凝固因子10(FX)に特異的に結合する。
【0234】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、GD2およびCD3に特異的に結合する。
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、AXLおよびCD3に特異的に結合する。
【0235】
本発明の一部の態様では、二価二重特異性キメラ抗体は、PD-L1およびTGFベータに特異的に結合する。
本出願の材料は、以下の抗体および抗体様分子を提供する:01-001、01-002、01-003、01-004、01-005、01-006、01-007、01-008、01-009、01-010、01-011、01-012、02-004、02-005、02-006、02-007、02-008、02-009、03-001、03-002、03-003、03-004、03-005、03-006、03-007、03-008。
【0236】
01-001は、VHおよびCH1に基づく重鎖、ならびにVLおよびCD1bに基づく軽鎖を含むモデル単一特異性抗体様分子であって、VHが配列番号103を有する抗体プロルゴリマブの重鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VH)のアミノ酸配列であり、VLが配列番号104を有する抗体プロルゴリマブの軽鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VL)のアミノ酸配列であり、CD1bが配列番号109のアミノ酸配列を有するCD1bのα3ドメインである、モデル単一特異性抗体様分子である。
【0237】
01-002は、VHおよびb2Mに基づく重鎖ならびにVLおよびCKに基づく軽鎖を含むモデル単一特異性抗体様分子であって、VHが配列番号103を有する抗体プロルゴリマブの重鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VH)のアミノ酸配列であり、b2Mが配列番号46のアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリンであり、VLが配列番号104を有する抗体プロルゴリマブの軽鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VL)のアミノ酸配列である、モデル単一特異性抗体様分子である。
【0238】
01-003は、VHおよびCH1に基づく重鎖ならびにVLおよびCD1bに基づく軽鎖を含むモデル単一特異性抗体様分子であって、VHが配列番号105を有する抗体オクレリズマブの重鎖可変ドメイン(オクレリズマブ_VH)のアミノ酸配列であり、VLが配列番号106を有する抗体オクレリズマブの軽鎖可変ドメイン(オクレリズマブ_VH)のアミノ酸配列であり、CD1bが配列番号109のアミノ酸配列を有するCD1bのα3ドメインである、モデル単一特異性抗体様分子である。
【0239】
01-004は、VHおよびCH1に基づく重鎖ならびにVLおよびCKに基づく軽鎖を含むモデル単一特異性抗体様分子であって、VHが配列番号103を有する抗体プロルゴリマブの重鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VH)のアミノ酸配列であり、VLが配列番号106を有する抗体オクレリズマブの軽鎖可変ドメイン(オクレリズマブ_VL)のアミノ酸配列である、モデル単一特異性抗体様分子である。
【0240】
01-005は、VHおよびCH1に基づく重鎖ならびにVLおよびb2Mに基づく軽鎖を含むモデル単一特異性抗体様分子であって、VHが配列番号103を有する抗体プロルゴリマブの重鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VH)のアミノ酸配列であり、b2Mが配列番号46のアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリンであり、VLが配列番号106を有する抗体オクレリズマブの軽鎖可変ドメイン(オクレリズマブ_VL)のアミノ酸配列であり、CD1bが配列番号109のアミノ酸配列を有するCD1bのα3ドメインである、モデル単一特異性抗体様分子である。
【0241】
01-006は、VHおよびCH1に基づく重鎖ならびにVLおよびCKに基づく軽鎖を含むモデル単一特異性抗体様分子であって、VHが配列番号105を有する抗体オクレリズマブの重鎖可変ドメイン(オクレリズマブ_VH)のアミノ酸配列であり、VLが配列番号104を有する抗体プロルゴリマブの軽鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VL)のアミノ酸配列である、モデル単一特異性抗体様分子である。
【0242】
01-007は、VHおよびCH1に基づく重鎖ならびにVLおよびb2Mに基づく軽鎖を含むモデル単一特異性抗体様分子であって、VHが配列番号105を有する抗体オクレリズマブの重鎖可変ドメイン(オクレリズマブ_VH)のアミノ酸配列であり、b2Mが配列番号46のアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリンであり、VLが配列番号104を有する抗体プロルゴリマブの軽鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VL)のアミノ酸配列であり、CD1bが配列番号109のアミノ酸配列を有するCD1bのα3ドメインである、モデル単一特異性抗体様分子である。
【0243】
01-008は、VHおよびCH1に基づく重鎖ならびにVLおよびCD1bに基づく軽鎖を含むモデル単一特異性抗体様分子であって、VHが配列番号103を有する抗体プロルゴリマブの重鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VH)のアミノ酸配列であり、VLが配列番号106を有する抗体オクレリズマブの軽鎖可変ドメイン(オクレリズマブ_VH)のアミノ酸配列であり、CD1bが配列番号109のアミノ酸配列を有するCD1bのα3ドメインである、モデル単一特異性抗体様分子である。
【0244】
01-009は、VHおよびb2Mに基づく重鎖ならびにVLおよびCKに基づく軽鎖を含むモデル単一特異性抗体様分子であって、VHが配列番号103を有する抗体プロルゴリマブの重鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VH)のアミノ酸配列であり、b2Mが配列番号46のアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリンであり、VLが配列番号106を有する抗体オクレリズマブの軽鎖可変ドメイン(オクレリズマブ_VL)のアミノ酸配列である、モデル単一特異性抗体様分子である。
【0245】
01-010は、VHおよびCH1に基づく重鎖ならびにVLおよびCD1bに基づく軽鎖を含むモデル単一特異性抗体様分子であって、VHが配列番号105を有する抗体オクレリズマブの重鎖可変ドメイン(オクレリズマブ_VH)のアミノ酸配列であり、VLが配列番号104を有する抗体プロルゴリマブの軽鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VL)のアミノ酸配列であり、CD1bが配列番号109のアミノ酸配列を有するCD1bのα3ドメインである、モデル単一特異性抗体様分子である。
【0246】
01-011は、VHおよびCH1に基づく重鎖ならびにVLおよびb2Mに基づく軽鎖を含むモデル単一特異性抗体様分子であって、VHが配列番号103を有する抗体プロルゴリマブの重鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VH)のアミノ酸配列であり、b2Mが配列番号46のアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリンであり、VLが配列番号104を有する抗体プロルゴリマブの軽鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VL)のアミノ酸配列であり、CD1bが配列番号109のアミノ酸配列を有するCD1bのα3ドメインである、モデル単一特異性抗体様分子である。
【0247】
01-012は、VHおよびCH1に基づく重鎖ならびにVLおよびCKに基づく軽鎖を含むモデル単一特異性抗体様分子であって、VHが配列番号103を有する抗体プロルゴリマブの重鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VH)のアミノ酸配列であり、VLが配列番号104を有する抗体プロルゴリマブの軽鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VL)のアミノ酸配列である、モデル単一特異性抗体様分子である。
【0248】
02-004は、PD1およびCD20に特異的に結合し、
a)PD1に特異的に結合する抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖;
ここにおいて、第1の軽鎖が、配列番号104を有する抗体プロルゴリマブの軽鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VL)および軽鎖定常ドメインを含み、
ここにおいて、第1の重鎖が、配列番号103を有する抗体プロルゴリマブの重鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VH)、ならびに、および第1(CH1)の重鎖定常ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体、を含む抗体の重鎖定常ドメインを含み、CH3がホールを形成するアミノ酸置換を含む;
b)CD20に特異的に結合する抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖;
ここにおいて、第2の軽鎖が、配列番号106を有する抗体オクレリズマブの軽鎖可変ドメイン(オクレリズマブ_VL)および配列番号109のアミノ酸配列を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含み、
ここにおいて、第2の重鎖が、配列番号105を有する抗体オクレリズマブの重鎖可変ドメイン(オクレリズマブ_VH)、配列番号46のアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリンの膜近位ドメイン、ならびに、第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含み、CH3がノブを形成するアミノ酸置換を含む、
を含む、二価二重特異性キメラ抗体である。
【0249】
02-004は、PD1およびCD20に特異的に結合し、
a)PD1に特異的に結合する抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖;
ここにおいて、第1の軽鎖が配列番号58(プロルゴリマブ_VL_CK)のアミノ酸配列を含み、
ここにおいて、第1の重鎖が配列番号57(プロルゴリマブ_VH_HC_ホール)のアミノ酸配列を含む;
b)CD20に特異的に結合する抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖;
ここにおいて、第2の軽鎖が配列番号60(オクレリズマブ_VL_CD1b)のアミノ酸配列を含み、
ここにおいて、第2の重鎖が配列番号59(オクレリズマブ_VH_b2m_Fc_ノブ)のアミノ酸配列を含む、
を含む、二価二重特異性キメラ抗体である。
【0250】
02-005は、PD1およびCD20に特異的に結合し、
a)CD20に特異的に結合する抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖;
ここにおいて、第1の軽鎖が、配列番号106を有する抗体オクレリズマブの軽鎖可変ドメイン(オクレリズマブ_VL)および軽鎖定常ドメインを含み、
ここにおいて、第1の重鎖が、配列番号105を有する抗体オクレリズマブの重鎖可変ドメイン(オクレリズマブ_VH)、ならびに、および第1(CH1)の重鎖定常ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体の重鎖定常ドメインを含み、CH3がホールを形成するアミノ酸置換を含む;
b)PD1に特異的に結合する抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖;
ここにおいて、第2の軽鎖が、配列番号104を有する抗体プロルゴリマブの軽鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VL)および配列番号109のアミノ酸配列を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含み、
ここにおいて、第2の重鎖が、配列番号103を有する抗体プロルゴリマブの重鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VH)、配列番号46のアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリンの膜近位ドメイン、ならびに、第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含み、CH3がノブを形成するアミノ酸置換を含む、
を含む、二価二重特異性キメラ抗体である。
【0251】
02-005は、PD1およびCD20に特異的に結合し、
a)CD20に特異的に結合する抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖;
ここにおいて、第1の軽鎖が配列番号62(オクレリズマブ_VL_CK)のアミノ酸配列を含み、
ここにおいて、第1の重鎖が配列番号61(オクレリズマブ_VH_HC_ホール)のアミノ酸配列を含む;
b)PD1に特異的に結合する抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖;
ここにおいて、第2の軽鎖が配列番号64(プロルゴリマブ_VL_CD1b)のアミノ酸配列を含み、
ここにおいて、第2の重鎖が配列番号63(プロルゴリマブ_VH_b2m_Fc_ノブ)のアミノ酸配列を含む、
を含む、二価二重特異性キメラ抗体である。
【0252】
02-006は、PD1およびCSF1Rに特異的に結合し、
a)PD1に特異的に結合する抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖;
ここにおいて、第1の軽鎖が、配列番号104を有する抗体プロルゴリマブの軽鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VL)および軽鎖定常ドメインを含み、
ここにおいて、第1の重鎖が、配列番号103を有する抗体プロルゴリマブの重鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VH)、ならびに、び第1(CH1)の重鎖定常ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体、を含む抗体の重鎖定常ドメインを含み、CH3がホールを形成するアミノ酸置換を含む;
b)CSF1Rに特異的に結合する抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖;
ここにおいて、第2の軽鎖が、配列番号108を有するCSF1Rに対する抗体の軽鎖可変ドメインおよび配列番号109のアミノ酸配列を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含み、
ここにおいて、第2の重鎖が、配列番号107を有するCSF1Rに対する抗体の重鎖可変ドメイン、配列番号46のアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリンの膜近位ドメイン、ならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含み、CH3がノブを形成するアミノ酸置換を含む、
を含む、二価二重特異性キメラ抗体である。
【0253】
02-006は、PD1およびCSF1Rに特異的に結合し、
a)PD1に特異的に結合する抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖;
ここにおいて、第1の軽鎖が配列番号58(プロルゴリマブ_VL_CK)のアミノ酸配列を含み、
第1の重鎖が配列番号57(プロルゴリマブ_VH_HC_ホール)のアミノ酸配列を含む;
b)CSF1Rに特異的に結合する抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖;
ここにおいて、第2の軽鎖が配列番号66(抗CSF1R_VL_CD1b)のアミノ酸配列を含み、
ここにおいて、第2の重鎖が配列番号65(抗CSF1R_VH_b2m_Fc_ノブ)のアミノ酸配列を含む、
を含む、二価二重特異性キメラ抗体である。
【0254】
02-007は、PD1およびCSF1Rに特異的に結合し、
a)CSF1Rに特異的に結合する抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖;
ここにおいて、第1の軽鎖が、配列番号108を有するCSF1Rに対する抗体の軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常ドメインを含み、
ここにおいて、第1の重鎖が、配列番号107を有するCSF1Rに対する抗体の重鎖可変ドメイン、ならびに、第1(CH1)の重鎖定常ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む、抗体の重鎖定常ドメインを含み、CH3がホールを形成するアミノ酸置換を含む;
b)PD1に特異的に結合する抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖;
ここにおいて、第2の軽鎖が、配列番号104を有する抗体プロルゴリマブの軽鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VL)および配列番号109のアミノ酸配列を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含み、
ここにおいて、第2の重鎖が、配列番号103を有する抗体プロルゴリマブの重鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VH)、配列番号46のアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリンの膜近位ドメイン、ならびに、第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含み、CH3がノブを形成するアミノ酸置換を含む、
を含む、二価二重特異性キメラ抗体である。
【0255】
02-007は、PD1およびCSF1Rに特異的に結合し、
a)CSF1Rに特異的に結合する抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖;
ここにおいて、第1の軽鎖が配列番号68(抗CSF1R_VL_CK)のアミノ酸配列を含み、
ここにおいて、第1の重鎖が配列番号67(抗CSF1R_VH_HC_ホール)のアミノ酸配列を含む;
b)PD1に特異的に結合する抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖;
ここにおいて、第2の軽鎖が配列番号64(プロルゴリマブ_VL_CD1b)のアミノ酸配列を含み、
ここにおいて、第2の重鎖が配列番号63(プロルゴリマブ_VH_b2m_Fc_ノブ)のアミノ酸配列を含む、
を含む、二価二重特異性キメラ抗体である。
【0256】
02-008は、CD20およびCSF1Rに特異的に結合し、
a)CD20に特異的に結合する抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖;
ここにおいて、第1の軽鎖が、配列番号106を有する抗体オクレリズマブの軽鎖可変ドメイン(オクレリズマブ_VL)および軽鎖定常ドメインを含み、
ここにおいて、第1の重鎖が、配列番号105を有する抗体オクレリズマブの重鎖可変ドメイン(オクレリズマブ_VH)、ならびに、第1(CH1)の重鎖定常ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体の重鎖定常ドメインを含み、CH3がホールを形成するアミノ酸置換を含む;
b)CSF1Rに特異的に結合する抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖;
ここにおいて、第2の軽鎖が、配列番号108を有するCSF1Rに対する抗体の軽鎖可変ドメインおよび配列番号109のアミノ酸配列を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含み、
ここにおいて、第2の重鎖が、配列番号107を有するCSF1Rに対する抗体の重鎖可変ドメイン、配列番号46のアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリンの膜近位ドメイン、ならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含み、CH3がノブを形成するアミノ酸置換を含む、
を含む、二価二重特異性キメラ抗体である。
【0257】
02-008は、CD20およびCSF1Rに特異的に結合し、
a)CD20に特異的に結合する抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖;
ここにおいて、第1の軽鎖が配列番号62(オクレリズマブ_VL_CK)のアミノ酸配列を含み、
ここにおいて、第1の重鎖が配列番号61(オクレリズマブ_VH_HC_ホール)のアミノ酸配列を含む;
b)CSF1Rに特異的に結合する抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖;
ここにおいて、第2の軽鎖が配列番号66(抗CSF1R_VL_CD1b)のアミノ酸配列を含み、
ここにおいて、第2の重鎖が配列番号65(抗CSF1R_VH_b2m_Fc_ノブ)のアミノ酸配列を含む、
を含む、二価二重特異性キメラ抗体である。
【0258】
02-009は、CD20およびCSF1Rに特異的に結合し、
a)CSF1Rに特異的に結合する抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖;
ここにおいて、第1の軽鎖が、配列番号108を有するCSF1Rに対する抗体の軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常ドメインを含み、
ここにおいて、第1の重鎖が、配列番号107を有するCSF1Rに対する抗体の重鎖可変ドメイン、ならびに、第1(CH1)の重鎖定常ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体の重鎖定常ドメインを含み、CH3がホールを形成するアミノ酸置換を含む;
b)CD20に特異的に結合する抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖;
ここにおいて、第2の軽鎖が、配列番号106を有する抗体オクレリズマブの軽鎖可変ドメイン(オクレリズマブ_VL)および配列番号109のアミノ酸配列を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含み、
ここにおいて、第2の重鎖が、配列番号105を有する抗体オクレリズマブの重鎖可変ドメイン(オクレリズマブ_VH)、配列番号46のアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリンの膜近位ドメイン、ならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含み、CH3がノブを形成するアミノ酸置換を含む、
を含む、二価二重特異性キメラ抗体である。
【0259】
02-009は、CD20およびCSF1Rに特異的に結合し、
a)CSF1Rに特異的に結合する抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖;
ここにおいて、第1の軽鎖が配列番号68(抗CSF1R_VL_CK)のアミノ酸配列を含み、
ここにおいて、第1の重鎖が配列番号67(抗CSF1R_VH_HC_ホール)のアミノ酸配列を含む;
b)CD20に特異的に結合する抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖;
ここにおいて、第2の軽鎖が配列番号60(オクレリズマブ_VL_CD1b)のアミノ酸配列を含み、
ここにおいて、第2の重鎖が配列番号59(オクレリズマブ_VH_b2m_Fc_ノブ)のアミノ酸配列を含む
を含む、二価二重特異性キメラ抗体である。
【0260】
03-001は、PD1に特異的に結合し、
配列番号104を有する抗体プロルゴリマブの軽鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VL)ならびに突然変異N57C(追加のSS架橋がユニット内にある)および配列番号49のアミノ酸配列を有する、C末端の3個のアミノ酸GSCによる伸長を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含む軽鎖;
配列番号103を有する抗体プロルゴリマブの重鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VH)、配列番号47のアミノ酸配列を有する、突然変異R12Cを有するβ2ミクログロブリンの膜近位ドメイン、ならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む重鎖
を含む、二価単一特異性キメラ抗体である。
【0261】
03-001は、PD1に特異的に結合し、
配列番号72のアミノ酸配列を含む軽鎖、および
配列番号69のアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、二価単一特異性キメラ抗体である。
【0262】
03-002は、PD1に特異的に結合し、
配列番号104を有する抗体プロルゴリマブの軽鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VL)ならびに突然変異N57C(追加のSS架橋がユニット内にある)および配列番号50のアミノ酸配列を有する、C末端の2個のアミノ酸GSによる伸長(SS架橋がユニットのC末端から除去されており、ユニット内に移動している)を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含む軽鎖;
配列番号103を有する抗体プロルゴリマブの重鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VH)、突然変異R12Cを有するβ2ミクログロブリンの膜近位ドメインおよび配列番号48のアミノ酸配列を有する、突然変異C220Aを有するヒンジならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む重鎖
を含む、二価単一特異性キメラ抗体である。
【0263】
03-002は、PD1に特異的に結合し、
配列番号73のアミノ酸配列を含む軽鎖、および
配列番号71のアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、二価単一特異性キメラ抗体である。
【0264】
03-003は、PD1に特異的に結合し、
配列番号104を有する抗体プロルゴリマブの軽鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VL)ならびに突然変異N59A(軽鎖上の予測Nグリコシル化部位における置換)および配列番号51のアミノ酸配列を有する、C末端の3個のアミノ酸GSCによる伸長を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含む軽鎖;
配列番号103を有する抗体プロルゴリマブの重鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VH)、配列番号46のアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリンの膜近位ドメイン、ならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む重鎖
を含む、二価単一特異性キメラ抗体である。
【0265】
03-003は、PD1に特異的に結合し、
配列番号74のアミノ酸配列を含む軽鎖、および
配列番号70のアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、二価単一特異性キメラ抗体である。
【0266】
03-004は、PD1に特異的に結合し、
配列番号104を有する抗体プロルゴリマブの軽鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VL)ならびに突然変異N59D(軽鎖上の予測Nグリコシル化部位における置換)および配列番号52のアミノ酸配列を有する、C末端の3個のアミノ酸GSCによる伸長を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含む軽鎖;
配列番号103を有する抗体プロルゴリマブの重鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VH)、配列番号46のアミノ酸配列を有するβ2ミクログロブリンの膜近位ドメイン、ならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む重鎖
を含む、二価単一特異性キメラ抗体である。
【0267】
03-004は、PD1に特異的に結合し、
配列番号75のアミノ酸配列を含む軽鎖、および
配列番号70のアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、二価単一特異性キメラ抗体である。
【0268】
03-005は、PD1に特異的に結合し、
配列番号104を有する抗体プロルゴリマブの軽鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VL)ならびに突然変異N57C、N59Aおよび配列番号53のアミノ酸配列を有する、C末端の3個のアミノ酸GSCによる伸長(さらなるSS架橋がユニット内にある+予測Nグリコシル化部位が除去されている)を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含む軽鎖;
配列番号103を有する抗体プロルゴリマブの重鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VH)、配列番号47のアミノ酸配列を有する、突然変異R12Cを有するβ2ミクログロブリンの膜近位ドメイン、ならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む重鎖
を含む、二価単一特異性キメラ抗体である。
【0269】
03-005は、PD1に特異的に結合し、
配列番号76のアミノ酸配列を含む軽鎖、および
配列番号69のアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、二価単一特異性キメラ抗体である。
【0270】
03-006は、PD1に特異的に結合し、
配列番号104を有する抗体プロルゴリマブの軽鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VL)ならびに突然変異N57C、N59Dおよび配列番号54のアミノ酸配列を有する、C末端の3個のアミノ酸GSCによる伸長(さらなるSS架橋がユニット内にある+予測Nグリコシル化部位が除去されている)を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含む軽鎖;
配列番号103を有する抗体プロルゴリマブの重鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VH)、配列番号47のアミノ酸配列を有する、突然変異R12Cを有するβ2ミクログロブリンの膜近位ドメイン、ならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む重鎖
を含む、二価単一特異性キメラ抗体である。
【0271】
03-006は、PD1に特異的に結合し、
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖、および
配列番号69のアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、二価単一特異性キメラ抗体である。
【0272】
03-007は、PD1に特異的に結合し、
配列番号104を有する抗体プロルゴリマブの軽鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VL)ならびに突然変異N57C、N59Aおよび配列番号55のアミノ酸配列を有する、C末端の2個のアミノ酸GSによる伸長(SS架橋がユニット内に移動している+予測Nグリコシル化部位が除去されている)を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含む軽鎖;
配列番号103を有する抗体プロルゴリマブの重鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VH)、突然変異R12Cを有するβ2ミクログロブリンの膜近位ドメインおよび配列番号48のアミノ酸配列を有する、突然変異C220Aを有するヒンジならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む重鎖
を含む、二価単一特異性キメラ抗体である。
【0273】
03-007は、PD1に特異的に結合し、
配列番号78のアミノ酸配列を含む軽鎖、および
配列番号71のアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、二価単一特異性キメラ抗体である。
【0274】
03-008は、PD1に特異的に結合し、
配列番号104を有する抗体プロルゴリマブの軽鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VL)ならびに突然変異N57C、N59Dおよび配列番号56のアミノ酸配列を有する、C末端の2個のアミノ酸GSによる伸長(SS架橋がユニット内に移動している+予測Nグリコシル化部位が除去されている)を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含む軽鎖;
配列番号103を有する抗体プロルゴリマブの重鎖可変ドメイン(プロルゴリマブ_VH)、突然変異R12Cを有するβ2ミクログロブリンの膜近位ドメインおよび配列番号48のアミノ酸配列を有する、突然変異C220Aを有するヒンジならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む重鎖
を含む、二価単一特異性キメラ抗体である。
【0275】
03-008は、PD1に特異的に結合し、
配列番号79のアミノ酸配列を含む軽鎖、および
配列番号71のアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、二価単一特異性キメラ抗体である。
【0276】
これらの抗体は、本発明による二価二重特異性キメラ抗体の操作性を確認する、ならびにその驚くべき特性を確認するための例示目的で与えられるものである。これらの抗体は、本発明による二価二重特異性キメラ抗体を何らかの形で制限すると解釈されるべきではない。
【0277】
2つの異なる重鎖の正確なヘテロ二量体アセンブリーおよび2つの異なる軽鎖と対応する重鎖との間の正確な対合を示す生成物の収率パラメーターは、二重特異性キメラ抗体の重鎖および軽鎖可変断片ならびに抗原に対するその特異性に依存しない。
【0278】
本発明による二価二重特異性キメラ抗体を使用して、様々な疾患、特に、腫瘍疾患、自己免疫疾患または血液凝固(凝固)障害と関連する疾患を処置することができる。
核酸
一側面では、本発明は、上記の二価二重特異性キメラ抗体のいずれかまたはその断片をコードする単離された核酸に関する。
【0279】
本明細書において互換的に使用される、用語「核酸」、「核酸配列(nucleic sequence)」、「核酸配列(nucleic acid sequence)」、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド配列」および「ヌクレオチド配列」は、非天然ヌクレオチドを含有する、または含有しない、二本鎖DNAもしくはRNA、一本鎖DNAもしくはRNA、または前記DNAの転写産物のいずれかである、核酸の断片または領域を決定する、修飾された、または修飾されていない、ヌクレオチドの正確な配列を意味する。
【0280】
また、本発明がその天然の染色体環境、すなわち、天然状態にあるヌクレオチド配列に関するものではないことも、本明細書に含まれるべきである。本発明の配列は、単離および/または精製されている、すなわち、それらは、例えば、少なくとも部分的に修飾されているその環境をコピーすることによって、直接的または間接的に試料化された。かくして、例えば、宿主細胞を用いた組換え遺伝学によって得られた、または化学合成によって得られた単離された核酸も、本明細書に記載されるべきである。
【0281】
ヌクレオチド配列に対する参照は、別途特定しない限り、その相補体を包含する。かくして、特定の配列を有する核酸に対する参照は、その相補配列を有するその相補鎖を包含するものと理解されるべきである。
【0282】
上記態様のいずれかにおいて、核酸分子は単離されていてもよい。
「単離された」核酸分子は、少なくとも1つの核酸分子-不純物から同定および分離されているものであり、前者は抗体核酸の天然の供給源に結合している。単離された核酸分子は、それが天然条件下で見出される形態またはセットとは異なる。かくして、単離された核酸分子は、天然条件下で細胞中に存在する核酸分子とは異なる。
【0283】
一側面では、本発明は、配列番号1~79または配列番号109から選択されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子に関する。核酸分子はまた、前記ヌクレオチド配列の任意の組合せを含んでもよい。
【0284】
一部の態様では、核酸は、DNAである。
1つのバリアントでは、本発明は、本発明による上記二重特異性抗体の軽鎖または重鎖アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子に関し、前記アミノ酸配列は、
軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常ドメインを含む第1の軽鎖アミノ酸配列;
重鎖可変ドメインおよび第1(CH1)の重鎖定常ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体の重鎖定常ドメインを含む、第1の重鎖アミノ酸配列;
軽鎖可変ドメイン、ならびに、MHC(主要組織適合複合体)の第1の膜近位ドメインまたは、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインの群から選択される定常ドメインを含む、第2の軽鎖アミノ酸配列;
重鎖可変ドメイン、ならびに、MHC(主要組織適合複合体)の第2の膜近位ドメインまたは、MHC様タンパク質の第2の膜近位ドメイン、
ならびに、第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体の群から選択される定常ドメインを含む第2の重鎖アミノ酸配列、
から選択される。
【0285】
核酸分子はまた、上記ヌクレオチド配列の任意の組合せを含んでもよい。
当業者であれば、
軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常ドメインを含む第1の軽鎖アミノ酸配列;
重鎖可変ドメインおよび第1(CH1)の重鎖定常ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体の重鎖定常ドメインを含む、第1の重鎖アミノ酸配列;
軽鎖可変ドメイン、ならびに、MHC(主要組織適合複合体)の第1の膜近位ドメインまたは、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインの群から選択される定常ドメインを含む、第2の軽鎖アミノ酸配列;
重鎖可変ドメイン、ならびに、MHC(主要組織適合複合体)の第2の膜近位ドメインまたは、MHC様タンパク質の第2の膜近位ドメイン、
ならびに、第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体の群から選択される定常ドメインを含む第2の重鎖アミノ酸配列、
から選択される、本発明による上記二重特異性抗体の軽鎖または重鎖のアミノ酸配列を含むペプチドが、遺伝子コードの縮重性に起因して、様々な異なるDNA配列によってコードされ得ることを理解するであろう。同じアミノ酸配列をコードするこれらの代替的なDNA配列を作出することは、当業界で訓練された当業者の技術の範囲内にある。そのようなバリアントDNA配列は、本発明の範囲内にある。
【0286】
本発明による核酸分子は、本発明による二重特異性抗体を産生する任意の供給源から単離され得る。本発明のある特定の態様では、本発明の核酸分子は、単離されるよりもむしろ合成され得る。
【0287】
本発明の一部の態様では、核酸は、候補02-004および02-006の第1の重鎖(プロルゴリマブ_VH_HC_ホール)のアミノ酸配列をコードし、配列番号80を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0288】
本発明の一部の態様では、核酸は、候補02-004および02-006の第1の軽鎖(プロルゴリマブ_VL_CK)のアミノ酸配列をコードし、配列番号81を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0289】
本発明の一部の態様では、核酸は、候補02-004および02-009の第2の重鎖(オクレリズマブ_VH_b2m_Fc_ノブ)のアミノ酸配列をコードし、配列番号82を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0290】
本発明の一部の態様では、核酸は、候補02-004および02-009の第2の軽鎖(オクレリズマブ_VL_CD1b)のアミノ酸配列をコードし、配列番号83を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0291】
本発明の一部の態様では、核酸は、候補02-005および02-008の第1の重鎖(オクレリズマブ_VH_HC_ホール)のアミノ酸配列をコードし、配列番号84を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0292】
本発明の一部の態様では、核酸は、候補02-005および02-008の第1の軽鎖(オクレリズマブ_VL_CK)のアミノ酸配列をコードし、配列番号85を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0293】
本発明の一部の態様では、核酸は、候補02-005および02-007の第2の重鎖(プロルゴリマブ_VH_b2m_Fc_ノブ)のアミノ酸配列をコードし、配列番号86を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0294】
本発明の一部の態様では、核酸は、候補02-005および02-007の第2の軽鎖(プロルゴリマブ_VL_CD1b)のアミノ酸配列をコードし、配列番号87を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0295】
本発明の一部の態様では、核酸は、候補02-006および02-008の第2の重鎖(抗CSF1R_VH_b2m_Fc_ノブ)のアミノ酸配列をコードし、配列番号88を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0296】
本発明の一部の態様では、核酸は、候補02-006および02-008の第2の軽鎖(抗CSF1R_VL_CD1b)のアミノ酸配列をコードし、配列番号89を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0297】
本発明の一部の態様では、核酸は、候補02-007および02-009の第1の重鎖(抗CSF1R_VH_HC_ホール)のアミノ酸配列をコードし、配列番号90を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0298】
本発明の一部の態様では、核酸は、候補02-007および02-009の第1の軽鎖(抗CSF1R_VL_CK)のアミノ酸配列をコードし、配列番号91を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0299】
本発明の一部の態様では、核酸は、突然変異R12Cを有するユニバーサルβ2ミクログロブリン(β2M)を含む、候補03-001および03-005の重鎖のアミノ酸配列をコードし、配列番号92を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0300】
本発明の一部の態様では、核酸は、ユニバーサルβ2ミクログロブリン(β2M)を含む、候補03-003および03-004の重鎖のアミノ酸配列をコードし、配列番号93を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0301】
本発明の一部の態様では、核酸は、突然変異R12Cを有するユニバーサルβ2ミクログロブリン(β2M)および突然変異C220Aを有するヒンジを含む、候補03-002、03-007および03-008の重鎖のアミノ酸配列をコードし、配列番号94を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0302】
本発明の一部の態様では、核酸は、突然変異N57CおよびC末端の3個のアミノ酸GSCによる伸長を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含む、候補03-001の軽鎖のアミノ酸配列をコードし、配列番号95を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0303】
本発明の一部の態様では、核酸は、突然変異N57CおよびC末端の2個のアミノ酸GSによる伸長を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含む、候補03-002の軽鎖のアミノ酸配列をコードし、配列番号96を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0304】
本発明の一部の態様では、核酸は、突然変異N59AおよびC末端の3個のアミノ酸GSCによる伸長を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含む、候補03-003の軽鎖のアミノ酸配列をコードし、配列番号97を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0305】
本発明の一部の態様では、核酸は、突然変異N59DおよびC末端の3個のアミノ酸GSCによる伸長を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含む、候補03-004の軽鎖のアミノ酸配列をコードし、配列番号98を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0306】
本発明の一部の態様では、核酸は、突然変異N57C、N59AおよびC末端の3個のアミノ酸GSCによる伸長を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含む、候補03-005の軽鎖のアミノ酸配列をコードし、配列番号99を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0307】
本発明の一部の態様では、核酸は、突然変異N57C、N59DおよびC末端の3個のアミノ酸GSCによる伸長を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含む、候補03-006の軽鎖のアミノ酸配列をコードし、配列番号100を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0308】
本発明の一部の態様では、核酸は、突然変異N57C、N59AおよびC末端の2個のアミノ酸GSによる伸長を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含む、候補03-007の軽鎖のアミノ酸配列をコードし、配列番号101を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0309】
本発明の一部の態様では、核酸は、突然変異N57C、N59DおよびC末端の2個のアミノ酸GSによる伸長を有するCD1bのα3膜近位ドメインを含む、候補03-008の軽鎖のアミノ酸配列をコードし、配列番号102を有するヌクレオチド配列を含む核酸である。
【0310】
核酸分子を使用して、本発明による二価二重特異性キメラ抗体を発現させることができる。
発現ベクター
一側面では、本発明は、上記の単離された核酸を含む発現ベクターに関する。本発明は、本明細書に記載のヌクレオチド配列のいずれかの発現にとって好適なベクターに関する。
【0311】
本明細書で使用される場合、用語「ベクター」は、それが連結された別の核酸を輸送することができる核酸分子を意味する。本発明の一部の態様では、ベクターは、プラスミド、すなわち、追加のDNAセグメントがライゲーションされていてもよいDNAの環状二本鎖片である。本発明の一部の態様では、ベクターは、追加のDNAセグメントがウイルスゲノム中にライゲーションされていてもよい、ウイルスベクターである。本発明の一部の態様では、ベクターは、それらが導入される宿主細胞中で自己複製することができる(例えば、複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム性哺乳動物ベクター)。本発明のさらなる態様では、ベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞に導入されると宿主細胞のゲノムに組み込まれ、それにより、宿主遺伝子と一緒に複製される。さらに、ある特定のベクターは、それらが作動可能に連結される遺伝子の発現を指令することができる。そのようなベクターは、本明細書では「組換え発現ベクター」(または単に、「発現ベクター」)と称される。
【0312】
本発明は、本明細書に記載されるような、
軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常ドメインを含む第1の軽鎖アミノ酸配列;
重鎖可変ドメインおよび第1(CH1)の重鎖定常ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体の重鎖定常ドメインを含む、第1の重鎖アミノ酸配列;
軽鎖可変ドメイン、ならびに、MHC(主要組織適合複合体)の第1の膜近位ドメインまたは、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインの群から選択される定常ドメインを含む、第2の軽鎖アミノ酸配列;
重鎖可変ドメイン、ならびに、MHC(主要組織適合複合体)の第2の膜近位ドメインまたは、MHC様タンパク質の第2の膜近位ドメイン、
ならびに、第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体の群から選択される定常ドメインを含む第2の重鎖アミノ酸配列、
から選択される、上記二価二重特異性抗体のいずれかまたはその構造部分をコードする上記核酸分子を含むベクターに関する。
【0313】
発現ベクターとしては、プラスミド、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、カリフラワーモザイクウイルス、タバコモザイクウイルスなどの植物ウイルス、コスミド、YAC、EBV由来エピソームなどが挙げられる。ベクター内の転写および翻訳制御配列がDNAの転写および翻訳を調節するというそれらの意図された機能を果たすように、DNA分子をベクター中にライゲーションすることができる。発現ベクターおよび発現制御配列は、使用される発現宿主細胞に適合するように選択され得る。第1および第2の結合ドメインの配列を部分的または完全にコードするDNA分子(例えば、結合ドメインが重鎖および軽鎖配列を含む場合の重鎖および軽鎖配列)を、個々のベクター中に導入することができる。一態様では、前記DNA分子の任意の組合せが、同じ発現ベクター中に導入される。標準的な方法(例えば、抗体遺伝子断片およびベクター上での相補的制限部位のライゲーション、または制限部位が存在しない場合、平滑末端ライゲーション)によって、DNA分子を発現ベクター中に挿入することができる。
【0314】
本発明の一部の態様では、好適なベクターは、上記のように、任意のVHまたはVL配列を容易に挿入し、発現させることができるような制限部位を含むものである。ポリアデニル化および転写終結は、コード領域の下流の天然の染色体部位で起こってもよい。組換え発現ベクターは、宿主細胞からの抗体鎖の分泌を容易にするシグナルペプチドをコードしてもよい。シグナルペプチドが免疫グロブリン鎖のアミノ末端にインフレームに連結されるように、抗体鎖遺伝子をベクター中にクローニングすることができる。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチドまたは異種シグナルペプチド(すなわち、非免疫グロブリンタンパク質に由来するシグナルペプチド)であってもよい。
【0315】
本発明の一部の態様では、抗体鎖遺伝子に加えて、本発明の組換えベクター発現は、宿主細胞中での抗体鎖遺伝子の発現を制御する調節配列を担持してもよい。当業者であれば、調節配列の選択を含む発現ベクターの設計が、形質転換しようとする宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどの因子に依存し得ることを理解するであろう。哺乳動物における発現宿主細胞のための好ましい制御配列としては、例えば、哺乳動物細胞における高レベルのタンパク質発現を確保するウイルスエレメント、例えば、レトロウイルスLTR、サイトメガロウイルス(CMV)(例えば、CMVプロモーター/エンハンサー)、サルウイルス40(SV40)(例えば、SV40プロモーター/エンハンサー)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))、ポリオーマウイルスに由来するプロモーターおよび/またはエンハンサーならびに天然の免疫グロブリンプロモーターおよびアクチンプロモーターなどの強力な哺乳動物プロモーターが挙げられる。ポリペプチドを細菌細胞または真菌細胞、例えば酵母細胞において発現させる方法も、当業界で周知である。
【0316】
本発明の一部の態様では、抗体鎖遺伝子および調節配列に加えて、本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞におけるベクターの複製を調節する配列(例えば、複製起点)および選択マーカー遺伝子などの追加の配列を担持してもよい。選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞の選択を容易にする。
【0317】
本発明の一部の態様では、ベクターは発現制御配列を含んでもよい。本明細書で使用される場合、用語「発現制御配列」とは、それらがライゲーションされるコード配列の発現およびプロセシングを行うのに必要であるポリヌクレオチド配列を指す。発現制御配列としては、適切な転写開始、終結、プロモーターおよびエンハンサー配列;スプライシングおよびポリアデニル化シグナルなどの効率的なRNAプロセシングシグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を増強する配列(すなわち、Kozakコンセンサス配列);タンパク質安定性を増強する配列;ならびに必要に応じて、タンパク質分泌を増強する配列が挙げられる。そのような制御配列の性質は、宿主生物に応じて異なる;原核生物では、そのような制御配列は一般に、リボソーム結合部位のプロモーター、および転写終結配列を含む;真核生物では、典型的には、そのような制御配列は、プロモーターおよび転写終結配列を含む。用語「制御配列」は、その存在が発現およびプロセシングにとって必須である少なくとも全部の成分を含み、また、その存在が有利である追加の成分、例えば、リーダー配列および融合パートナー配列を含んでもよい。
【0318】
宿主細胞およびその生産のための方法
一側面では、本発明は、上記の二価二重特異性キメラ抗体のいずれかを生産するための宿主細胞を生産する方法に関し、細胞の上記発現ベクターによる形質転換を含む。
【0319】
一側面では、本発明は、上記核酸のいずれかを含む上記の二価二重特異性キメラ抗体のいずれかを生産するための宿主細胞に関する。
本明細書で使用される場合、用語「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)は、組換え発現ベクターが導入された細胞を指す。本発明は、例えば、上記の本発明によるベクターを含んでもよい、宿主細胞に関する。
【0320】
本発明はさらに、例えば、本発明による二価二重特異性キメラ抗体の第1の重鎖をコードするヌクレオチド配列、本発明による二価二重特異性キメラ抗体の第1の軽鎖をコードするヌクレオチド配列、本発明による二価二重特異性キメラ抗体の第2の重鎖をコードするヌクレオチド配列、または本発明による二価二重特異性キメラ抗体の第2の軽鎖をコードするヌクレオチド配列または上記4つの配列の全部を含む宿主細胞に関する。「組換え宿主細胞」および「宿主細胞」は、特定の対象の細胞だけでなく、同様にそのような細胞の子孫も指すことが理解されるべきである。修飾は突然変異または環境的影響に起因して後の世代で生じ得るため、そのような子孫は、事実、親細胞と同一でなくてもよいが、そのような細胞は、本明細書で使用される場合の用語「宿主細胞」の範囲内に依然として含まれる。
【0321】
軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常ドメインを含む第1の軽鎖アミノ酸配列;
重鎖可変ドメインおよび第1(CH1)の重鎖定常ドメインならびに第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体を含む抗体の重鎖定常ドメインを含む、第1の重鎖アミノ酸配列;
軽鎖可変ドメイン、ならびに、MHC(主要組織適合複合体)の第1の膜近位ドメインまたは、MHC様タンパク質の第1の膜近位ドメインの群から選択される定常ドメインを含む、第2の軽鎖アミノ酸配列;
重鎖可変ドメイン、ならびに、MHC(主要組織適合複合体)の第2の膜近位ドメインまたは、MHC様タンパク質の第2の膜近位ドメイン、
ならびに、第2(CH2)および第3(CH3)の重鎖定常ドメインを含むFc断片単量体の群から選択される定常ドメインを含む第2の重鎖アミノ酸配列、
から選択される、上記の二重特異性抗体の軽鎖または重鎖のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子、ならびにこれらの核酸分子を含むベクターを、好適な哺乳動物またはその細胞、植物またはその細胞、細菌または酵母宿主細胞をトランスフェクトするために使用することができる。形質転換を、ポリヌクレオチドを宿主細胞中に導入するための任意の公知の技術によって実行することができる。異種ポリヌクレオチドを哺乳動物細胞中に導入するための方法は、当業界で周知であり、デキストラン媒介性トランスフェクション、カチオン性ポリマー-核酸複合体トランスフェクション、リン酸カルシウム沈降、ポリブレン媒介性トランスフェクション、プロトプラスト融合、リポソームへのポリヌクレオチドの封入、および核へのDNAの直接マイクロインジェクションが挙げられる。さらに、核酸分子を、ウイルスベクターによって哺乳動物細胞中に導入することができる。
【0322】
形質転換のための宿主として使用される哺乳動物細胞系は当業界で周知であり、利用可能な複数の不死化細胞系を含む。これらのものとしては、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0細胞、SP2細胞、HEK-293T細胞、FreeStyle 293細胞(Invitrogen)、NIH-3T3細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、アフリカミドリザル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、HepG2)、A549細胞、およびいくつかの他の細胞系が挙げられる。細胞系は、細胞系が高い発現レベルを有し、産生されるタンパク質の必要な特徴を提供することを決定することによって選択される。使用することができる他の細胞系は、Sf9またはSf21細胞などの昆虫細胞系である。上記の二重特異性抗体またはその一部をコードする組換え発現ベクターが哺乳動物宿主細胞中に導入される場合、上記の二重特異性抗体は、宿主細胞中で本発明による上記の二重特異性抗体またはその一部を発現させる、または、より好ましくは、上記の二重特異性抗体を、宿主細胞が培養される培養培地中に分泌させるのに十分な期間にわたって、宿主細胞を培養することによって生産される。上記の二重特異性抗体を、標準的なタンパク質精製技術を使用して培養培地から単離することができる。植物宿主細胞としては、例えば、タバコ(Nicotiana)、シロイヌナズナ(Arabidopsis)、ウキクサ、トウモロコシ、コムギ、ジャガイモなどが挙げられる。細菌宿主細胞としては、エシェリキア(Escherichia)種およびストレプトミセス(Streptomyces)種が挙げられる。酵母宿主細胞としては、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、サッカロミセス・セレビジア(Saccharomyces cerevisiae)およびピチア・パストリス(Pichia pastoris)が挙げられる。
【0323】
さらに、産生細胞系からの本発明の二重特異性抗体の産生レベルを、いくつかの公知の技術を使用して増強させることができる。例えば、グルタミンシンテターゼ遺伝子発現系(GS系)は、ある特定の条件下で発現を増強するための一般的手法である。GS系は、欧州特許第0216846号、第0256055号、第0323997号および第0338841号と関連して全体的または部分的に考察されている。
【0324】
異なる細胞系または宿主細胞中の本発明の二重特異性キメラ抗体は互いに異なるグリコシル化パターンを有する可能性が高い。しかしながら、本明細書に開示される二重特異性抗体は、結合分子のグリコシル化の状態に関係なく、また、一般的には、翻訳後修飾の存在または非存在に関係なく、本発明の一部である。
【0325】
上記宿主細胞は、ヒト胚を使用して生産された宿主細胞を指さない。
上記宿主細胞は、ヒト生殖系列細胞の遺伝的完全性を修飾することによって生産された宿主細胞を指さない。
【0326】
抗体を生産する方法
一側面では、本発明は、上記の二価二重特異性キメラ抗体のいずれかを生産するための方法であって、
a)宿主細胞を、
- 本発明による二価二重特異性キメラ抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖をコードする核酸分子を含む発現ベクター、
- 本発明による二価二重特異性キメラ抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖をコードする核酸分子を含む発現ベクター
で形質転換するステップ、
b)前記二価二重特異性抗体の合成にとって好適な条件下で宿主細胞を培養するステップ、ならびに
c)細胞培養物から前記二価二重特異性抗体を単離するステップ
を含む方法に関する。
【0327】
本発明は、本発明による二価二重特異性キメラ抗体を生産するための方法に関する。本発明の一態様は、本明細書で定義される二価二重特異性キメラ抗体を生産するための方法であって、二価二重特異性キメラ抗体を発現することができる組換え宿主細胞を生産するステップ、二価二重特異性キメラ抗体の発現にとって好適な条件下で前記宿主細胞を培養するステップ、および得られる二価二重特異性キメラ抗体を単離するステップを含む方法に関する。そのような組換え宿主細胞中でのそのような発現によって産生される二価二重特異性キメラ抗体は、本明細書では「二価二重特異性キメラ抗体」と称される。
【実施例
【0328】
以下の実施例は、本発明のより良い理解のために提供される。これらの実施例は、例示に過ぎず、いかなる様式でも本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
本明細書で引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる。前記発明は明確な理解のための実例および例としていくらか詳細に説明されてきたが、添付の態様の精神または範囲から逸脱することなく、ある特定の変化および修飾を、それに対して行うことができることが、本発明の教示に照らせば、当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0329】
材料および一般的方法
組換えDNA技術
Sambrook,J.ら、Molecular cloning:A laboratory manual;Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York、1989に記載されたような標準的な方法を使用して、DNAを操作した。分子生物学的試薬を、製造業者のプロトコールに従って使用した。
【0330】
遺伝子合成
所望の遺伝子セグメントを、化学合成によって作製されたオリゴヌクレオチドから調製した。単一の制限部位によって挟まれた、300~4,000bpの長さの遺伝子セグメントを、PCR増幅を含むオリゴヌクレオチドのアニーリングおよびライゲーションによってアセンブリーさせた後、特殊な制限部位を介してクローニングした。サブクローニングされた遺伝子断片のDNA配列を、DNA配列決定によって確認した。
【0331】
DNA配列決定
DNA配列を、Sanger配列決定によって決定した。
DNAおよびタンパク質の配列分析および配列データの管理
Ylab2(Biocad)ソフトウェアパッケージを、配列作出、マッピング、分析、注釈および実例のために使用した。
【0332】
発現ベクター
発現プラスミドバリアントを、真核細胞(例えば、CHO細胞)中での対象抗体、抗体様タンパク質および抗原の一過的発現に適用した。標的タンパク質のための発現カセットの他に、(プラスミド)ベクターは、大腸菌中での前記プラスミドの複製を可能にする複製起点、様々な抗生物質(例えば、アンピシリンおよびカナマイシン)に対する大腸菌(E.coli)中での耐性を付与する遺伝子を含有していた。
【0333】
上記の抗体鎖を含む融合遺伝子を、PCRおよび/または遺伝子合成によって生成し、例えば、対応するベクター中のユニークな制限部位を使用する、対応する核酸セグメントの接続による公知の方法および技術を用いてアセンブリーさせた。サブクローニングされた核酸配列を、DNA配列決定によって検証した。一過的トランスフェクションのためのプラスミドの必要量を、大腸菌細胞培養物中で生成し、公知の技術を使用して単離した。
【0334】
哺乳動物細胞の懸濁培養中での組換え抗原の生成および精製
組換えタンパク質を、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO系)から得られた確立された細胞系の細胞中で産生させた。8mMのL-グルタミンおよび1g/lのプルロニック(登録商標)68を添加した無血清培地を使用して、オービタルインキュベーター振とう器上のフラスコ中で懸濁培養を行った。一過的発現のために、細胞(2~2.2x10個の細胞/ml)を、直鎖状ポリエチレンイミンを使用してトランスフェクトした。トランスフェクションの9日後、0.5/0.22μmの深層フィルターを介する濾過によって培養液を細胞から分離した。
【0335】
ヒスチジンタグ付きタンパク質を、金属キレートクロマトグラフィーによって精製した。精製されたタンパク質を、0.22μmを介して濾過し、-70℃で保存した。
得られたタンパク質溶液の純度を、SDSゲル電気泳動を使用して評価し、電気泳動を、メルカプトエタノールを添加した変性12%ポリアクリルアミドゲルおよび天然8%ポリアクリルアミドゲル中で実施した。
【0336】
哺乳動物細胞の懸濁培養中での抗体および抗体様タンパク質の生産
対照抗体、本発明による二重特異性キメラ抗体および抗体様タンパク質を、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO系)から得られた永続細胞系の細胞中で産生させた。8mMのL-グルタミンおよび1g/lのプルロニック(登録商標)68を添加した無血清培地を使用して、オービタルインキュベーター振とう器上のフラスコ中で懸濁培養を行った。一過的発現のために、細胞(2~2.2x10個の細胞/ml)を、直鎖状ポリエチレンイミンを使用してトランスフェクトした。DNA/PEI比は、1:3/1:10であった。トランスフェクションの9日後、0.5/0.22μmの深層フィルターを介する濾過によって細胞から培養液を分離した後、標準的な方法を使用してForteBio上でタンパク質力価を測定した。明澄化された培養液を、吸着剤1mlあたり10~20mgのプロテインA親和性吸着剤カラムに通過させ、カラムをリン酸緩衝食塩水(PBS、pH7.4)で平衡化させた。次いで、カラムを、5倍カラム体積のPBSで洗浄して、非特異的に結合する成分を除去した。結合したタンパク質を、0.1Mグリシン緩衝液(pH3)を使用して溶出させた。主たるタンパク質溶出ピークを収集し、1M Tris-HCl緩衝液(pH8)を使用してpH6.8~7.0にした。全ての段階を、110cm/hの流量で行った。次いで、タンパク質を透析によってPBS(pH7.4)中で透析し、濾過(0.22μm)し、チューブに移し、-70℃で保存した。
【0337】
得られたタンパク質溶液の純度を、還元および非還元条件下でSDSゲル電気泳動を使用して、ならびにサイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE HPLC)を使用して評価した。
【0338】
SE HPLCを、TSK-Gel G3000SWXLカラム、7.8x300mm、粒径:5μm、孔径:250Å、およびTSK-Gel Guard SWxlプレカラム上で実施した。
【0339】
実施例1
二重特異性抗体中のCH1/CKドメイン置換の選択
二重特異性抗体中の重鎖および軽鎖の正確なヘテロ二量体化のために、CH1/CKドメインの2つのペアのうちの一方を、他のタンパク質に由来する構造的に同一のドメインに置換した(図1)。好適な置換ドメインを、3つのステップで選択した:
1)CH1/CKドメインの三次元モデルの予備生成;
2)抗体およびT細胞受容体を除く、Protein Data Bank(www.rcsb.org)の全ての対象物との、CH1/CKドメインの三次元モデルの構造アラインメント;
3)RMSD測定基準および同一の二次構造エレメントを形成するアミノ酸の数に基づく構造アラインメントの結果に従う好適な置換の選択。
【0340】
第1のステップ、CH1/CKドメインの三次元モデルの予備生成は、Schrodinger SuiteからのPrepwizardユーティリティを使用した、PDBid 4nyl構造からのCH1/CKドメイン中の欠けている原子の付加である。第2のステップで、得られたモデルを、Schrodinger SuiteからのProtein Structure Alignmentユーティリティを使用して、Protein Data Bankからの全ての構造(抗体およびT細胞受容体を除く)に対して交互に整列させた。任意の構造とCH1/CKドメインモデルとの間の類似性の程度を、以下のような2つの測定基準を使用して評価した:1)一方の構造と他方の構造との間の原子に関する二乗平均平方根偏差を反映するRMSD(ポリペプチド鎖骨格原子を計算のために使用した)、2)アラインメントの結果に従って同一の二次タンパク質構造エレメントを形成するアミノ酸の数。表1は、RMSD測定基準を使用したアラインメントの最良の結果を示す。
【0341】
【表2-1】
【0342】
【表2-2】
【0343】
RMSD測定基準によるCH1/CKドメインとの最大の構造類似性を有する構造は、主要組織適合複合体クラスIおよびII(MHC)タンパク質、ならびにその構造アナログ、CD1およびHFEに属する。構造類似性の程度の比較可能な値に基づいて(RMSDおよび同一の二次構造に由来するアミノ酸の数)、上記タンパク質のいずれかを置換のために選択することができる。CH1/CKドメイン置換を含むさらなる研究および例示目的のために、本発明者らは、CD1b、特に、その膜近位ドメインを選択した。
【0344】
実施例2
MHCまたはMHC様タンパク質の膜近位ドメインへの、CH1/CKの置換を有する抗体分子中の重鎖と軽鎖との間のジスルフィド結合の位置の選択
ヒトIgGアイソタイプ抗体分子は、2個の軽鎖および2個の重鎖からなる。抗体の2個の軽鎖はそれぞれ、システイン残基中の硫黄原子間の共有結合であるSS架橋を介して重鎖に接続されている。この結合は、軽鎖のC末端システイン残基および重鎖のヒンジ領域N末端近位システイン残基によって形成される(IgG1アイソタイプの場合)。
【0345】
MHCおよびMHC様タンパク質の膜近位ドメインは、非共有結合によってのみ接続され、それらの間でSS架橋を形成しない;したがって、CH1/CKドメインの、MHCの膜近位ドメインへの置換は、抗体分子の熱安定性および生成中の標的生成物の収率を潜在的に低下させ得る。これを回避するためには、キメラ抗体分子の軽鎖中の、ヒンジ領域のN末端に近いシステイン残基とのSS架橋の形成にとって好適な位置に、点システイン置換が必要であった。
【0346】
MHCまたはMHC様タンパク質の膜近位ドメインへのシステイン残基の導入のための位置を、MHCまたはMHC様タンパク質と、完全長抗体分子との構造アラインメントに基づいて選択した。アラインメントの結果として、システイン残基を、抗体の初期CL(CK)ドメインの部位、天然のIgG1アイソタイプ抗体分子中の軽鎖とSS架橋を形成するヒンジ領域システイン残基に近い位置に位置するMHCまたはMHC様タンパク質膜近位ドメイン中に導入した。天然抗体の軽鎖から類推して、導入されるシステイン残基は末端である。システイン残基間の距離がジスルフィド結合を確立するのに十分なものとするために、軽鎖を2個のアミノ酸GSによって伸長させた。図2は、MHC様タンパク質CD1bの膜近位ドメインに置換されたCH1-CKドメインを有するキメラ抗体中の重鎖と軽鎖との間のSS架橋の位置を図示する。
【0347】
実施例3
二価二重特異性キメラ抗体を生成するための遺伝子構築物の生産
第1の抗原に特異的に結合する抗体の第1の軽鎖および第1の重鎖の配列をコードする構築物を生産するために、抗体の重鎖および軽鎖可変ドメインの遺伝子を含むPCR産物を、制限部位を含むプライマーを使用して生成した。重鎖可変ドメインを、SalI/XbaI制限部位を使用してベクターpSXn-HChole-NR_VH1中にクローニングした。軽鎖可変ドメインを、SalI/XbaI制限部位を使用してベクターpSXn-CL-BR_VL1中にクローニングした。
【0348】
第2の抗原に特異的に結合する抗体の第2の軽鎖および第2の重鎖の配列をコードする構築物を生産するために、本発明者らは、抗体の重鎖および軽鎖可変ドメインならびに様々な修飾を含む、または含まないヒトCD1配列の膜近位ドメイン(http://www.rcsb.org/structure/5wl1)の遺伝子を含む構築物を合成した。
【0349】
制限部位を含むプライマーを使用するPCRによってオリゴヌクレオチドから配列を合成した。修飾を含む、または含まないヒトCD1配列の第1の膜近位ドメインを有する重鎖可変ドメインを、SalI/XbaI制限部位を使用してベクターpSX-FCknob-PR中にクローニングした。修飾を含む、または含まないヒトCD1配列の第2の膜近位ドメインを有する軽鎖可変ドメインを、SalI/XbaI制限部位を使用してベクターpSX-HR中にクローニングした。
【0350】
上記の4つのベクターをトランスフェクションステップで組み合わせて、本発明による二価二重特異性キメラ抗体を生産した。
全ての上記プラスミドの必要量を、大腸菌細胞中で生成し、Maxiprep Qiagenキットを使用して精製した。
【0351】
実施例4
完全長キメラ抗体のアセンブリーに対する導入されたジスルフィド結合の効果
導入されたジスルフィド結合の操作性を試験するために、本発明者らは、モデル単一特異性キメラ抗体を生成した。この形式は、重鎖CH1および軽鎖CKドメインが、それぞれ、β2ミクログロブリンおよびCD1bタンパク質のα3ドメインに置換された、2個の重鎖および2個の軽鎖からなる抗体である。
【0352】
VH(配列番号103)およびVL(配列番号104)可変ドメインの配列を、抗体プロルゴリマブ(CJSC Biocad)から得た。試料の第1のバリアント中の重鎖と軽鎖との間にジスルフィド結合は存在しなかった。第2のバリアント中では、軽鎖C末端にシステインを付加した(実施例2に記載のように);システインは、上側ヒンジ領域のシステインとジスルフィド結合を形成し、それによって、重鎖および軽鎖ヘテロ二量体を安定化すると考えられる。
【0353】
図3は、生成された試料の非還元的SDSゲル電気泳動の結果を示す。プロルゴリマブ試料(古典的IgG1)を、対照としてレーン3に印加した。結果は、完全長分子は、さらなるジスルフィド結合の存在下でのみアセンブリーした(レーン2)が、その非存在下では、本発明者らは移動度が重鎖二量体に一致する断片のみを観察した(レーン3)ことを示す。
【0354】
本発明者らはまた、重鎖および軽鎖と比較して逆向きの二量体化ユニットを有するキメラ抗体も生成した(重鎖CH1ドメインおよび軽鎖CKドメインを、それぞれ、CD1bタンパク質のα3ドメインおよびβ2ミクログロブリンに置換した。図1Bを参照されたい)。図3(レーン4)は、非還元条件下での試料のSDSゲル電気泳動の結果を示す;この結果は、この向きもキメラ抗体をアセンブリーさせることができることを確認する。
【0355】
実施例5
重鎖と軽鎖との正確な対合に対するMHCまたはMHC様タンパク質に基づく二量体化ユニットの効果の検証
MHCまたはMHC様タンパク質に基づく二量体化ユニットの機能を証明するために、特に、軽鎖と、不適切な重鎖との不正確な対合を防止するために、本発明者らは単一特異性分子を含む以下の実験を行った。本発明者らは、以下のような4つの群の分子を生成した:
1.VHとVLとの「正確な」組合せおよび定常ドメインの「不正確な」ペアを有する分子。
2.VHとVLとの「不正確な」組合せおよび定常ドメインの「正確な」ペアを有する分子。
3.VHとVLとの「不正確な」組合せおよび定常ドメインの「不正確な」ペアを有する分子。
4.古典的IgG1形式抗体および定常ドメインがMHCまたはMHC様タンパク質の膜近位ドメイン(この場合、β2ミクログロブリンおよびCD1bタンパク質のα3ドメイン)に置換されたキメラ抗体を含む対照分子。
【0356】
VHとVLとの「正確な」組合せとは、単一抗体から得られるVHとVLとのペアを意味する。VHとVLとの「不正確な」組合せとは、異なる抗体から得られるVHおよびVLを意味する。
【0357】
定常ドメインの「正確な」ペアとは、CH1-CKのペアまたはMHC様タンパク質に由来する相互作用ドメインのペア(この場合、β2ミクログロブリンおよびCD1bタンパク質のα3ドメイン)を意味する。定常ドメインの「不正確な」ペアとは、CH1-CD1bまたはβ2ミクログロブリン-CKのペアを意味する。
【0358】
図4は、実験の一般的スキームを示す。抗体プロルゴリマブの可変ドメイン配列を可変ドメインVH1およびVL1として使用し、抗体オクレリズマブ(Genentech)の対応する可変ドメイン配列をVH2およびVL2可変ドメインとして使用した。
【0359】
表2は、タンパク質生産性データを示す。結果は、その重鎖中にCH1定常ドメインおよびその軽鎖中にCD1bタンパク質の膜近位ドメインを有する候補が低い生産性を示したことを示す(抗体01-001、01-003、01-008、01-010)。これは、小胞体(ER)からの正確なフォールディングおよび輸送がCH1ドメインとCLドメインとの相互作用を必要とするという公知の事実と一致している(Feige MJ、Groscurth S、Marcinowski M、Shimizu Y、Kessler H、Hendershot LM、Buchner J.An unfolded CH1 domain controls the assembly and secretion of IgG antibodies.Mol Cell.2009 Jun 12:34(5):569~79.doi:10.1016/j.molcel.2009.04.028.PMID:19524537;PMCID:PMC2908990)。抗体01-002および01-009は、ERにおけるそのような品質対照を通過せず、200mg/lを超える生産性を示した;しかしながら、高い生産性レベルにも拘わらず、PAGE中のその移動度は、完全長分子のものと一致しなかった(図5A、レーン2、5)。
【0360】
【表3】
【0361】
図5は、非還元条件下でのSDSゲル電気泳動の結果を示す。その結果によれば、第1群(図5Aのレーン1、2、図5Bのレーン1)および第3群(図5Aのレーン4、5、図5Bのレーン1)に由来する抗体の電気泳動移動度は、完全長分子のもの(図5Bのレーン2)よりも高く、その分子がアセンブリーできなかったことを示している。VHおよびVL配列が異なる抗体から得られたにも拘わらず、第2群(図5Bのレーン2、3、4、5(図5Aのレーン3と同じ))に由来する抗体の電気泳動移動度は、完全長分子の移動度(図5Bのレーン2)と一致する。予想通り、対照群に由来する抗体はアセンブリーした(図5Bのレーン2、図5Aのレーン6(図5Bのレーン6と同じ))。
【0362】
得られたデータは、MHCまたはMHC様タンパク質の膜近位ドメインに基づく二量体化ユニットが、鎖が異なる性質の定常ドメインを含む場合、重鎖と軽鎖との間の不正確なペアの形成を防止することを示している。
【0363】
実施例6
MHC様二量体化ユニットを含む二価二重特異性キメラ抗体の生成
抗原結合性断片(本明細書では以後、軽鎖および重鎖可変断片)の任意のペアを使用して二重特異性分子をアセンブリーさせるためのプラットフォームソリューションとしての対象の手法の普遍性を検証するために、本発明者らは、公知の抗体に由来する軽鎖および重鎖可変断片の3つの無作為のペア(表3を参照されたい)を選択し、それらを使用して、6つの二重特異性キメラ抗体を生成した。表3は、生産されたタンパク質の生産性の結果を示す。図6は、非還元的および還元的条件下での生成された試料のSDSゲル電気泳動の結果を示す。6つ全部の試料について、完全長分子に対応する、約150kDaに主要なバンドが存在する。表3はまた、SE HPLCによる試料純度の結果を示す。
【0364】
【表4】
【0365】
実施例7
Forte Bio Octert RED 384上での完全長二重特異性キメラ抗体の親和性の決定
生成された二重特異性キメラ抗体がその抗原結合能力を喪失していないことを検証するために、本発明者らは、Forte Bio Octert RED 384上で親和性分析を行った。抗体02-004および02-005について、本発明者らは、ヒトPD-1タンパク質の細胞外ドメイン(hPD1ex-H6F)およびアミノ酸配列中にヒトCD20配列の断片を含むビオチン化されたペプチド[NH2]CEPANPSEKNSPSTQYCYSIQS[CH2CH2]ビオチンに対する親和性を測定した;抗体02-006および02-007について、本発明者らは、ヒトPD-1タンパク質の細胞外ドメイン(hPD1ex-H6F)およびヒトCSF1Rタンパク質の細胞外ドメイン(hCSF1R_His)に対する親和性を測定した;抗体02-008および02-009については、本発明者らは、ヒトCSF1Rタンパク質の細胞外ドメイン(hCSF1R_His)およびCD20ペプチドに対する親和性を測定した。
【0366】
C末端HisおよびFLAGタグを有するヒトCSF1Rタンパク質のアミノ酸20~512の配列、分子量57.4kDaを、hCSF1R抗原として使用した。C末端HisおよびFLAGタグを有するヒトPD-1タンパク質のアミノ酸21~170の配列、分子量20.6kDaを、hPD-1ex-H6F抗原として使用した(表6を参照されたい)。
【0367】
一般的実施例に記載されたように、抗原をコードする遺伝子配列をde novoで合成し、発現ベクター中にクローニングし、CHO細胞中で生成させ、親和性クロマトグラフィーを使用して精製した。
【0368】
以下の処方:4.3mM NaHPO;136.9mM NaCl、1.5mM KHPO;2.7mM KCl;添加されたTween 20の体積画分は0.1%であった;添加されたBSA(ウシ血清アルブミン)の質量画分は0.1%であった;pH7.4を有する動的緩衝溶液(本明細書では以後、1xKBと称する)を使用して、実験を実行した。測定の前に、ProAセンサーを、50mMグリシンおよび塩酸、pH1.8の溶液を用いて再生させた(再生溶液中で5秒、1xKB中で5秒、3回反復)。
【0369】
hPD-1ex-H6FおよびhCSF1R_His抗原の場合、プロテインA(ProA)バイオセンサー(ForteBio)を、10μg/mlの濃度の抗体を含む溶液中に60秒間浸して、それを固定した。1xKB中で60秒間、ベースラインを記録した。次いで、抗体をロードしたセンサーを、動的緩衝液中の標的抗原(分析物)の溶液を含有するウェル中に90秒間浸した。2.50μg/ml(121.4nM)、1.25μg/ml(60.7nM)、0.625μg/ml(30.35nM)の濃度のhPD1ex-H6F分析物を含む溶液について、測定を実施した。2.50μg/ml(43.6nM)、1.25μg/ml(21.8nM)、0.625μg/ml(10.9nM)の濃度のhCSF1R_His分析物を含む溶液について、測定を実施した。次いで、本発明者らは、hPD1ex-H6Fについては210s、hCSF1R_Hisについては300sにわたって、1xKB中で複合体の解離を検出した。
【0370】
会合ステップを除いて、分析物のセンサーグラムを記録するために使用したセンサーが通過するのと同じように参照センサーも全てのステップを通過した-会合ステップでは、センサーを、分析物を含まない1xKB溶液中に浸した(参照センサーのシグナルを、主要センサーグラムの記録と同時に測定した)。参照シグナルを、センサーグラムのプロセシング中に分析物と相互作用するセンサー上で受け取ったシグナルから差し引いた。
【0371】
分析物とセンサーとの非特異的相互作用をチェックするために、本発明者らは、抗体を含まないセンサーを使用した(ローディングステップで、センサーを1xKB溶液中に浸した;他の全てのステップは、抗体をロードしたセンサーについて使用したものと同一である)。
【0372】
ビオチン化されたCD20ペプチドの場合、5μg/mlの濃度のペプチドを、120秒間にわたってSAXセンサー(High Precision Streptavidin(SAX)バイオセンサー、ForteBio)の表面上に固定した。1xKB溶液中で120秒間、ベースラインを記録した。ロードされたペプチドを含有するセンサーを、1xKB中の抗体溶液(分析物)を含有するウェルに15秒間浸した。150μg/ml、75μg/ml、37.5μg/mlの濃度の分析物(CD20ペプチドの場合の抗体)を含む溶液について、測定を実行した。1xKB中で120秒間、複合体の解離を記録した。
【0373】
全ての測定を30℃で実行し、オービタル混合速度は毎分1,000回の回転であった。
速度定数(konはオン/結合速度定数であり、kdisは解離速度定数であり、KDは平衡解離定数または親和性定数である)の数値を得るために、ForteBio Octet Data Analysis 9.0ソフトウェアのGlobal Fitを使用する1:1相互作用モデル(異なる濃度のいくつかのセンサーグラムを分析するための1セットのkon、kdis、KD定数の選択)に従って、得られたセンサーグラムをプロセシングした。その結果を、表4に示す。
【0374】
【表5】
【0375】
表5は、分析物とロードされていないセンサーとの非特異的相互作用に関する検証結果を示す。表5は、分析物とロードされていないセンサーとの間には非特異的相互作用はなかった。
【0376】
【表6】
【0377】
結果によると、全ての二重特異性キメラ抗体02-004~02-009が、標的抗原への特異的結合を示し、KDの数値は、対応する抗原結合性断片の位置(Fab断片内またはCKおよびCH1ドメインを置換する、β2ミクログロブリンおよびCD1bタンパク質のα3ドメインを含むFab様断片内)に関係なく、同じ1桁分を有する。
【0378】
実施例8
非標的抗原への二重特異性キメラ抗体の非特異的結合の分析
非標的抗原への二重特異性キメラ抗体の非特異的結合の実験研究を、Forte Bio Octert RED 384上で実施した。
【0379】
プロテインA(ProA)バイオセンサー(ForteBio)を、10μg/mlの濃度の抗体を含有する溶液中に150秒間浸して、それを固定した。1xKB溶液中で30秒間、ベースラインを記録した。次いで、抗体をロードしたセンサーを、30μg/mlの濃度の非標的抗原を含油するウェル中に150秒間浸した。次いで、複合体の解離を30秒間記録した。
【0380】
会合ステップを除いて、分析物のセンサーグラムを記録するために使用したセンサーが通過するのと同じように参照センサーも全てのステップを通過した-会合ステップでは、センサーを、分析物を含まない動的緩衝溶液中に浸した(参照センサーのシグナルを、主要センサーグラムの記録と同時に測定した)。参照シグナルを、センサーグラムのプロセシング中に分析物と相互作用するセンサー上で受け取ったシグナルから差し引いた。
【0381】
抗原パネルは、hAng2_H6F、hPD1ex-H6F、hCSF1R_His、IL5R-His、hIL4R-His、hCD38-Avi、C-Avi-His-TEVs-HSA_hBCMA、Her3-H6F、hisOX40、Macaca CSF1R_C-Hisを含んでいた(表6を参照されたい)。抗原パネル中のそれぞれの試験された抗体は、特異的(標的)抗原を有し、標的抗原との相互作用の結果は陽性対照として与えられる。
【0382】
センサーグラムを、ForteBio Octet Data Analysisn 9.0ソフトウェアを使用してプロセシングした。非特異的相互作用がないことを報告するために、記録されたシグナルレベルを、会合ステップの終わりにチェックした(応答パラメーター)。表7は、二重特異性キメラ抗体の結合の検証の結果を示す。実験は、抗体02-004~02-009と、非標的抗原との間に相互作用がないことを示した。
【0383】
【表7】
【0384】
【表8-1】
【0385】
【表8-2】
【0386】
【表8-3】
【0387】
実施例9
2つの抗原への本発明による二重特異性キメラ抗体の同時的結合の分析
抗体02-006および02-007を、Forte Bio Octet RED 384上で2つの異なる標的抗原(hPD1ex-H6FおよびhCSF1R_His)への同時的結合について分析した。実験を、AR2Gセンサー(Amine Reactive Second-Generation(AR2G)バイオセンサー、ForteBio)上で実行した。実験のステップを、表8に示す。
【0388】
【表9】
【0389】
センサーを、20mM EDC(1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩)および10mM sNHS(N-ヒドロキシスルホスクシンイミド)を含有する水性溶液中で300sにわたって活性化した。抗原(hPD1ex-H6F)を、pH5.0の10mM酢酸ナトリウム緩衝液中のバイオセンサーの表面上に300sにわたってロードした。ロードされたタンパク質の濃度は15μg/mlであった。センサー表面上の未反応の活性中心を、pH8.5のエタノールアミンの1M水性溶液中で300sにわたってクエンチした。以下の処方:4.3mM NaHPO;136.9mM NaCl、1.5mM KHPO;2.7mM KCl;添加されたTween 20の体積画分は0.1%であった;添加されたBSAの質量画分は0.1%であった;pH7.4を有する動的緩衝溶液(1xKB)中で、実験の第5のステップおよびその後の全てのステップでのベースラインを実行した。ベースライン(ステップ5)を記録した後、抗体をセンサー上にロードした;ロードされた抗体の濃度は30μg/mlであった(ステップ6)。次いで、第3のベースラインを記録した(ステップ7)。このステップは、速いシグナル減衰の非存在を示し、ロードされた抗体と、センサー上に予め固定されたhPD1ex-H6Fとの特異的相互作用を示している。会合の次のステップ(ステップ8)で、固定されたhPD1ex-H6Fおよび結合した抗体を含有するセンサーを、100μg/mlの濃度のhCSF1R_His抗原溶液中に浸した。このステップでのシグナル増幅は、センサー上にロードされた抗体、hCSF1R_His抗原に対するFAB断片の存在に起因するものである。
【0390】
センサーグラムを、ForteBio Octet Data Analysisn 9.0ソフトウェアを使用して分析した。主な結論を表9に示す。実験のステップ(ステージ)を示すセンサーグラムを、図7に示す。結果によると、試料02-006および02-007は、hPD1ex-H6FおよびhCSF1R_His抗原への同時的結合を示す。
【0391】
【表10】
【0392】
結果によると、抗体02-006および02-007は、hPD1ex-H6FおよびhCSF1R_His抗原への同時的結合を示す。
実施例10
質量分析検出と共に逆相超高速液体クロマトグラフィー(RP-UHPLC)を使用した本発明による二重特異性キメラ抗体の分子量の分析
分子の正確なアセンブリーを確認するために、本発明者らは、本発明による完全長二重特異性キメラ抗体の分子量の分析を実行した。この方法は、4つの異なる鎖からなる本発明による完全長二重特異性キメラ抗体の同定および別のセットの鎖から形成される副生成物からのその識別を可能にする。これらのデータは、実施例5で得られたデータと共に、定常CH1-CKドメインのペアを、MHCまたはMHC様タンパク質に由来する膜近位ドメインのペアに置換することを含む技術的解決策が、本発明による二重特異性キメラ抗体の正確なアセンブリーを提供することを示唆する。
【0393】
分析は、BioResolve Polyphenyl RPカラム(2.1x50mm、粒径2.7μm;BioResolve Polyphenyl RPプレカラム、2.1x5mm、粒径2.7μmも使用した)上のAgilent 1290 Infinity II UPLC-Agilent 6530 Q-Tofクロマトグラフィー-質量分析複合装置を使用して実行した。分析の前に、全ての分子をPNGase F(Promega)酵素で処理して、N-グリカンを除去した。このために、酵素を、1μl中の1ユニットの活性の濃度に水で希釈した。120μgのタンパク質含量を有する試料を緩衝溶液(100mM重炭酸アンモニウムpH7.2)と混合し、PNGase Fの溶液を、1ユニット:50μgの酵素:タンパク質比で添加し、混合物を(37.0±0.1)℃で18時間、サーモスタット中でインキュベートした。
【0394】
分析のために、10μgの試験溶液を、測定されたタンパク質濃度に従って選択し、移動相Aを用いて濃度を0.2mg/mlに調整した。試料入力体積は7μlであった。
分析の前に、クロマトグラフィーシステムを、安定な圧力が達成されるまで少なくとも30minにわたって、移動相A:95%、B:5%の初期比の移動相(相Aは水中の0.1%ギ酸溶液、0.02%トリフルオロ酢酸溶液を含有し、相Bはイソプロピルアルコール中の0.1%ギ酸溶液、30%アセトニトリルを含有する)と平衡化させた。質量分析装置を、製造業者の指針に従って較正基準を使用して較正した。
【0395】
試料を、移動相Bの濃度勾配(試料導入後5~6分まで5%~27%、その後、6~30分まで27%~37%)中、(60±1)℃のカラム温度で0.5ml/minの流量で分離し、280nmの波長でクロマトグラムを得た。
【0396】
データを、PMi Intactソフトウェア中でプロセシングした。
二重特異性キメラ抗体に含まれる鎖の名称を、表10に示す。
【0397】
【表11】
【0398】
抗体02-004、02-006、02-009(最も代表的なものとして)に関する質量分析の結果を、表11に示す。また、図8は、抗体02-004に関する全イオン電流クロマトグラムのピーク4~6の解析された質量スペクトルの画像を示し、残りの抗体に関するピークは同様に見えた。
【0399】
それぞれの抗体について、表は、対応するクロマトグラムピークでの物質の質量を示す;ピークにさらに注釈を付け、ある特定の質量の断片に含まれる鎖の同定を得た。質量分布は全ての試料において類似していた:メジャーピークは146kDaにあり、マイナー質量ピークは約23kDa(単一の軽鎖の質量に対応する)および約74kDa(重鎖および軽鎖のヘテロ二量体に対応する)にあった。メジャーピークに、平均質量の理論値に基づいて注釈を付けた。
【0400】
設定が、全てのN末端グルタミンがピロ型であるという前提を含んでいたため(したがって、ピログルタミンの質量がグルタミンのものよりも18Da小さかった)、抗体02-004のピーク4はソフトウェアによって注釈が付かなかった。かくして、ピーク4で得られた質量は、N末端グルタミンの1つが非ピロ型である、ピーク5において注釈を付けられた分子の質量に対応する。
【0401】
02-004抗体のピーク5および6は、完全長分子および2個のリシンを含まない形態の完全長分子(1個のC末端システインおよび2個のC末端リシンを失っている)に対応する3つの質量を有する。抗体02-006および02-009では、質量分布は類似する様式であった。
【0402】
【表12-1】
【0403】
【表12-2】
【0404】
【表12-3】
【0405】
【表12-4】
【0406】
今までのところをまとめると、これらの結果は、完全長二重特異性キメラ抗体の質量が4個の異なる鎖からなる分子のものと一致することを示している。また、調製物は低分子量断片を含むが、それらは少量である。
【0407】
実施例11
得られた断片のタンパク質分解および質量分析を使用した本発明による二重特異性キメラ抗体の正確なアセンブリーの確認
軽鎖と重鎖との正確な対合を直接検証するために、本発明による二重特異性キメラ抗体を、認識部位が抗体ヒンジ領域中に位置する(...KSCDK/THTCPPCP...)、GingisKHANプロテアーゼ(Genovis)によって切断した。そのようなタンパク質分解は、完全長抗体の、Fc断片、Fab断片、ならびにβ2-ミクログロブリンならびにCKおよびCH1ドメインを置換するCD1bタンパク質のα3ドメインを含むFab様断片への破壊をもたらす。二重特異性分子の断片を、非還元条件下での縦型電気泳動を使用してタンパク質分解後に分析した;また、得られた断片を質量分析にかけた。
【0408】
タンパク質分解反応混合物は、60μlの体積中の100mM Tris-HCl、pH8.0、1mMシステインから構成される緩衝液中に40μgの二重特異性抗体および40ユニットのGingisKHAN酵素(1酵素ユニット:1μgタンパク質の比)を含有していた。反応を、(37.0±0.1)℃のサーモスタット中で1時間実行し、ヨードアセトアミドを10mMの濃度に添加することによって停止させた。電気泳動のために、SDSを含有する緩衝液(1%SDSの濃度まで)を、得られた試料に添加し、SDSゲル電気泳動を非還元条件下で実施した。
【0409】
図9は、SDSゲル電気泳動の結果を示す。GingisKHANプロテアーゼを用いた二重特異性キメラ抗体(02-004~02-009)の処理後、3つの大きな断片が形成され、電気泳動図中、40~50kDaの領域で観察され、ポリアクリルアミドゲル中で異なる移動度を示した。MHC様タンパク質CD1b(プロルゴリマブ、オクレリズマブ)の膜近位ドメインに基づく二量体化ユニットを含有する(01-011)および含有しない単一特異性分子も、GingisKHANプロテアーゼで処理した(図9B、レーン3、4、5)。断片のタンパク質分解の結果として形成された電気泳動移動度を比較する結果として、最も低い移動度レベルを示す断片はFc断片に対応し、中程度の移動度はFab断片に対応し、最も高い移動度レベルを示す断片はβ2ミクログロブリンならびにCKおよびCH1ドメインを置換するCD1bタンパク質のα3ドメインを含むFab様断片に対応すると結論付けられた。抗体02-006~02-009の場合、電気泳動図は、抗CSF1R断片の可変ドメインの非特異的切断の結果として形成されたさらなる断片を示した。タンパク質分解の結果として形成された断片の正確な質量を決定するために、本発明者らは質量分析を行った。
【0410】
質量分析の前に、ヨードアセトアミドを添加した直後に、試料を、製造業者の指針に従って、Zeba(MWCO 7kDa)カラム上、50mM重炭酸アンモニウム、pH(7.6±0.2)に移した;その後、1酵素ユニット:50μgタンパク質の比のPNGase Fを試料に添加し、試料をサーモスタット中、(37.0±0.1)℃で18時間インキュベートした。
【0411】
得られた断片の質量分析を、実施例10に記載された方法に従って実行した。
質量分析検出と共にRP UHPLCの結果を表12に示す。
抗体02-006および02-008は、β2ミクログロブリンならびにCKおよびCH1ドメインを置換するCD1bタンパク質のα3ドメインを含むFab様断片ならびにCSF1Rに対する軽鎖および重鎖の可変断片の質量に対応する合計48,459Da中、11,424Daおよび37,035Daの断片を示した。抗体02-007および02-009は、CSF1Rに対する軽鎖および重鎖の可変断片を含むFab断片の質量に対応する合計47,486Da中、11,424Daおよび36,062Daの断片を示したが、これは、これらの試料のSDSゲル電気泳動後に得られたデータと一致し、CSF1Rに対する可変ドメイン中の推定されるさらなるタンパク質分解の存在を確認する(図9)。
【0412】
【表13-1】
【0413】
【表13-2】
【0414】
【表13-3】
【0415】
【表13-4】
【0416】
【表13-5】
【0417】
【表13-6】
【0418】
試料02-009の場合の97811.8Daおよび97693Daの質量は、1つのトランケートされたFab様断片を有する分子に対応する。
これらの結果は、本発明による全ての二重特異性キメラ抗体が、Fc断片、Fab断片ならびにβ2ミクログロブリンならびにCKおよびCH1ドメインを置換するCD1bタンパク質のα3ドメインを含むFab様断片に質量において対応する断片へのタンパク質分解後に破壊されたことを示し、CH1-CKの定常ドメインのペアの、MHCまたはMHC様タンパク質に由来する膜近位ドメインのペアへの置換に基づく技術的解決法が、本発明による二重特異性キメラ抗体の正確なアセンブリーを提供することを示している。
【0419】
実施例12
キメラ抗体の熱安定性に対する、MHC様タンパク質の膜近位ドメインに基づく二量体化ユニット中のアミノ酸置換の効果の検証
本発明者らは、二量体化ユニット中の様々な置換ならびに得られるキメラ抗体の純度および安定性に対するその効果をさらに試験した。重鎖CH1および軽鎖CKドメインが、それぞれ、β2ミクログロブリンおよびCD1bタンパク質のα3ドメインに置換された、2個の重鎖および2個の軽鎖からなる抗体である、単一特異性形式について、試験を行った(二量体化ユニットのフォワード方向)。VHおよびVL可変ドメインの配列を、抗体プロルゴリマブ(CJSC Biocad)から得た。表13に示される突然変異を、β2ミクログロブリンおよびCD1bタンパク質のα3ドメインの配列中に導入した。CD1bタンパク質のα3ドメインの配列は、表13に示されるC末端伸長をさらに含む。表13は、二量体化ユニットの開始部から突然変異が導入された位置の番号を示し、抗体鎖アミノ酸のEUナンバリングに従って番号付けられた位置の一致性を示す(Edelman G.M.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 63(1969)、78~85頁;Kabat,E.A.ら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD(1991))。以下に示されるのは、二量体化ユニットの開始部から、置換が導入された位置のナンバリングである;ヒンジ領域中の置換の位置は、EUナンバリングに従う。
【0420】
【表14-1】
【0421】
【表14-2】
【0422】
図10は、生成された抗体の非還元的SDSゲル電気泳動の結果を示す。プロルゴリマブ(古典的IgG1)および01-011(MHC様タンパク質の膜近位ドメインに基づく初期二量体化ユニットを有する試料、実施例5を参照されたい)の試料を、それぞれ、レーン1および2上に対照として適用した(図10Aおよび10B)。結果は、全ての修飾された試料の大きな断片の移動度が、完全長分子に対応することを示し(図10Aのレーン3~8、図10Bのレーン3~4を参照されたい)、かくして、導入された修飾が完全長分子のアセンブリーをもたらさないことを示している。SE HPLC(表14)は、一部の修飾が単量体含量の減少および低分子断片数の増加(抗体03-001、03-003、03-005、03-006、03-007)をもたらすことを示す;しかしながら、それらの一部は、単量体パーセンテージの増加を示した(03-002、03-004、03-008)。さらに、本発明者らは、得られる抗体の動的光散乱によって凝集温度を分析した;その結果も表14に示される。
【0423】
【表15】
【0424】
結果は、SE HPLCによって相対単量体含量の増加を示した抗体バリアントが、MHC様タンパク質に基づく二量体化ユニットの非修飾バリアントと比較して、凝集温度の増大をさらに示したことを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9-1】
図9-2】
図10
【配列表】
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【国際調査報告】