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特表2024-534984再生可能ベースの電気駆動用フルード
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】再生可能ベースの電気駆動用フルード
(51)【国際特許分類】
   C10M 107/02 20060101AFI20240918BHJP
   C10M 105/32 20060101ALI20240918BHJP
   C10M 105/36 20060101ALI20240918BHJP
   C10N 20/00 20060101ALN20240918BHJP
   C10N 20/02 20060101ALN20240918BHJP
   C10N 40/04 20060101ALN20240918BHJP
   C10N 30/02 20060101ALN20240918BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20240918BHJP
【FI】
C10M107/02
C10M105/32
C10M105/36
C10N20:00 C
C10N20:02
C10N20:00 A
C10N40:04
C10N30:02
C10N30:00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515530
(86)(22)【出願日】2022-08-10
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 IB2022057438
(87)【国際公開番号】W WO2023037180
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】63/242,455
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/875,316
(32)【優先日】2022-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホン、ヒョン - ス
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BA07A
4H104BB31A
4H104BB33C
4H104EA02A
4H104EA04A
4H104EA06A
4H104EB04
4H104EB05
4H104EB06
4H104EB07
4H104EB08
4H104EB09
4H104EB10
4H104EB13
4H104EB14
4H104EB15
4H104LA01
4H104LA20
4H104PA03
(57)【要約】
本明細書で提供されるのは、電動トランスミッション内の膜厚及び効率に関する性能要件に対処する制御された構造特徴を有する、PAO 2.5と、エステルと、炭化水素混合物と、を含有する電気駆動用フルードである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素混合物と、ポリアルアルファオレフィンと、エステルと、を含むフルード組成物であって、前記炭化水素混合物が、
a.FIMSにより偶数の炭素数を有する分子のパーセンテージが≧80%である;
b.BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分枝)+2.0
c.平均で分子あたり0.3~1.5個の5+メチルが存在する、
d.b.ポリアルファオレフィン及びエステルの添加後に3.0~6.0cStの範囲のKV100;
e.PAO cSt2.5ならびにエステル
からなる、前記フルード組成物。
【請求項2】
前記2.5cStのPAOが、密度、lb/gal.:6.723;引火点(COC)、℃(°F):180°(355°);流動点、℃(°F):-52°(-62°);比重:0.8064;粘度、動粘度、100℃、cSt:2.4;粘度、動粘度、40℃、cSt:8.3からなる、請求項1に記載のフルード組成物。
【請求項3】
4cStで、前記炭化水素混合物が最大75%、エステルが最大25%、及びPAOが最大25%であり得る、請求項1に記載のフルード組成物。
【請求項4】
前記エステルが、アジピン酸エステル、ネオポリオールエステル、フタル酸エステル、及びトリメリット酸エステルからなる群から選択される、請求項3に記載のフルード組成物。
【請求項5】
前記混合物が更に、Noack揮発性が2750(-35℃でのCCS)(-0.8)±2の間である、Noack揮発性と-35℃でのコールドクランクシミュレート粘度との関係性を有する、請求項2に記載の混合物。
【請求項6】
前記混合物が更に、Noack揮発性が2750(-35℃でのCCS)(-0.8)+0.5~2740(-35℃でのCCS)(-0.8)-2である、Noack揮発性と-35℃でのコールドクランクシミュレート粘度との関係性を有する、請求項2に記載の混合物。
【請求項7】
以下の特徴:
a.FIMSにより決定した場合に少なくとも80%の分子が偶数の炭素数を有する;
b.3.0~13.5cStの範囲のKV100;
c.-20~-55℃の範囲の流動点;
d.Noackが2750(-35℃でのCCS)(-0.8)±2の間である、Noackと-35℃でのCCSとの関係性;
e.≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分枝)+2.0の範囲のBP/BI;及び
f.平均で分子あたり0.3~1.5個の5+メチル
を含む、請求項2に記載の炭化水素混合物。
【請求項8】
前記炭化水素混合物の炭素数が、28~40の範囲にあり、前記炭化水素混合物が、更に以下の特徴:
a.3.0~6.0cStの範囲のKV100;
b.11ln(BP/BI)+135~11ln(BP/BI)+145の範囲のVI;及び
c.33ln(BP/BI)-45~33ln(BP/BI)-35の範囲の流動点
を呈す、請求項5に記載の炭化水素混合物。
【請求項9】
ASTM D2887により測定した沸点範囲が、125℃(95%でのTBP-5%でのTBP)以下である、請求項5に記載の炭化水素混合物。
【請求項10】
ASTM D2887により測定した沸点範囲が、50℃(95%でのTBP-5%でのTBP)以下である、請求項5に記載の炭化水素混合物。
【請求項11】
分枝近接度が14~30の範囲にあり、分枝指数が15~25の範囲にある、請求項5に記載の炭化水素混合物。
【請求項12】
KV100が3.2~5.5cStの範囲にある、請求項5に記載の炭化水素混合物。
【請求項13】
VIが135~145の範囲にある、請求項5に記載の炭化水素混合物。
【請求項14】
流動点が-25~-55℃の範囲にある、請求項5に記載の炭化水素混合物。
【請求項15】
Noack揮発性が16重量%未満である、請求項5に記載の炭化水素混合物。
【請求項16】
-35℃でのCCS粘度が2,000cP未満である、請求項4に記載の炭化水素混合物。
【請求項17】
前記炭化水素混合物が、炭素数≧42及び以下の特徴:
a.6.0~13.5cStの範囲のKV100;
b.11ln(BP/BI)+145~11ln(BP/BI)+160の範囲のVI;及び
c.33ln(BP/BI)-40~33ln(BP/BI)-25の範囲の流動点
を有する、請求項4に記載の混合物。
【請求項18】
BPが16~30の範囲にあり、BIが15~25の範囲にある、請求項14に記載の炭化水素混合物。
【請求項19】
KV100が8.0~10.0cStの範囲にある、請求項14に記載の炭化水素混合物。
【請求項20】
VIが140~170の範囲にある、請求項14に記載の炭化水素混合物。
【請求項21】
流動点が-15~-50℃の範囲にある、請求項14に記載の炭化水素混合物。
【請求項22】
ベースストック成分として1~75重量%の請求項1に記載の炭化水素混合物と、酸化防止剤、粘度調整剤、流動点降下剤、発泡防止剤、界面活性剤、分散剤、染料、マーカー、防錆剤または他の腐食防止剤、乳化剤、脱乳化剤、難燃剤、耐摩耗剤、摩擦調整剤、熱安定性向上剤、または多機能添加剤から選択される1つ以上の添加剤と、を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【請求項23】
電気自動車用のトランスミッションフルードまたはアクスルフルードとして使用するために配合される、請求項1~19のいずれか1項に記載の潤滑剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
独自の組成特徴を有し、電気駆動効率の向上を示す高性能の炭化水素混合物を含む、電気自動車用の再生可能ベースのフルード。
【背景技術】
【0002】
世界の電気自動車(EV)市場は急速に成長している。この世界的な電化は、CO2排出要件が増え続けていることにある程度起因する。現在のところ、従来のオートマチックトランスミッションフルード(ATF)が電気駆動に使用されている。しかしながら、OEMは従来のATFが必要な性能をもたらすとは考えておらず、またATFが電気駆動用に設計されていないと考えているため、電気駆動の効率を向上させる、電動トランスミッションフルード及び電動アクスルフルードを含めた専用の電気駆動用フルードを使用することを計画している。しかしながら、業界全体で受け入れられている性能要件は存在しない。また、市場では様々な設計が利用可能であり、このことが電気駆動用フルードの開発を非常に複雑にしている。EVの極めて重要なフルード性能指標には、耐久性、酸化制御、エアレーション、熱伝達、材料適合性、導電率、及び効率が含まれる。
【0003】
既に多くのEVフルードが市場に出回っているが、性能の向上は報告されておらず、銅腐食及び導電率などの選択されたベンチテストのみが報告されていた。エステルを使用すると、最終自動車用ギアオイルのトラクション値がよい方向に低下するが、膜厚が悪い方向に低下することが知られている(“Film Forming Tendencies of Some Base Fluids and Viscosity Modifiers”,Journal of Synthetic Lubricants,16,pp.233-245,1999を参照されたい)。
【0004】
ベースストックは、自動車用潤滑油、工業用油、タービンオイル、グリース、金属加工用フルードなどを含む種々の潤滑剤の生成に一般に使用される。また、ベースストックは、プロセスオイル、ホワイトオイル、及び熱伝導流体としても使用される。最終潤滑剤は、一般にベースオイル及び添加剤という2種の成分からなる。ベースオイルは、1種のベースストックまたはベースストックの混合物であり得、これらの最終潤滑剤の主要構成成分であり、粘度及び粘度指数、揮発性、安定性、ならびに低温性能などの潤滑剤の性能に大きく寄与する。一般に、いくつかのベースストックを使用して、個々のベースストック及び個々の添加剤の混合を変更することにより多種多様な最終潤滑剤が製造される。
【0005】
アメリカ石油協会(API)は、飽和炭化水素含有量、硫黄レベル、及び粘度指数に基づいてベースストックを5つのグループに分類している(以下の表1)。グループI、II、及びIIIのベースストックは、大半が原油から、グループIについては溶剤精製、グループII及びグループIIIについては水素化処理などの大規模な処理を介して得られる。ある特定のグループIIIのベースストックは、ガス・ツー・リキッドプロセス(GTL)を介して合成炭化水素液体から生成することもでき、天然ガス、石炭、または他の化石資源から得られる。グループIVのベースストックであるポリアルファオレフィン(PAO)は、1-デセンなどのアルファオレフィンのオリゴマー化により生成される。グループVのベースストックには、ナフテン系ベースストック、ポリアルキレングリコール(PAG)、及びエステルなど、グループI~IVに属さない全てのものが含まれる。大規模なベースストック製造用の原材料の大半は再生不可能である。
【表1】
【0006】
同様に、C14~C20の範囲の直鎖アルファオレフィンを使用する以前の取り組みでは、許容できないほど高い流動点を有するポリアルファオレフィンが作製され、これは0Wエンジンオイルを含む多様な潤滑剤での使用には不適である。
【0007】
自動車産業の技術的要求に加えて、環境意識及び環境規制により、製造業者はベースストック及び潤滑剤の生成に再生可能な原材料及び原料を使用するように促されている。再生可能かつ生物由来のエステル及び一部のグループIII炭化水素ベースストック(US9862906B2)は、冷凍圧縮機潤滑剤、作動油、及び金属加工用フルードなどの用途に使用されており、より近年では自動車用及び工業用潤滑剤(US20170240832A1)にも使用されていることが知られている。炭化水素の一般的な生物源は、キャノーラ油、ヒマシ油、ヒマワリ種子油、ナタネ油、落花生油、大豆油、及びトール油、またはパーム油などの植物源から得ることができる天然油である。他の商業的な炭化水素源には、藻類または酵母などの操作された微生物が含まれる。
【0008】
従来の潤滑特性を満たすことができ、かつ実際の電気駆動系及び/または車両で検証される効率を向上させることができる、電気駆動用フルードが業界内で必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、(1)本明細書に記載のベースオイル、(2)ASTM D7042またはD445により決定した場合に100℃、212°Fで約2.5cStの動粘度を呈す高度に分枝したイソパラフィン系ポリアルファオレフィン、及び(3)エステル、をベースとする再生可能かつ効率的な電気駆動用フルードであって、トラクション特性の向上を示すフルードに関する。本明細書に記載されるオレフィン原材料中の炭素原子は、再生可能炭素源に由来し得る。
【0010】
本発明の一実施形態は、自動車用エンジンオイルに対するより厳格な環境規制及び燃費規制によって推進される性能要件に対処する十分に制御された構造特徴を有する、飽和炭化水素混合物を有するベースオイルを含有するフルード組成物に関する。炭化水素分子の分枝特徴は、驚異的な-35℃でのCCS粘度(ASTM D5329)とNoack揮発性(ASTM D5800)との関係性を有する組成物を一貫して提供するように制御されている。
【0011】
本発明の更なる実施形態は、FIMSにより偶数の炭素数を有する分子を80%超有する飽和炭化水素混合物からなるフルードであって、この混合物が、BP/BI≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分枝)+2.0の分枝特徴を呈し、炭化水素混合物を全体として炭素NMRにより分析した場合、平均で分子あたり少なくとも0.3~1.5個の5+メチル分枝を有する、フルードである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】1-デセン及び1-ドデセンから製造された低粘度PAO、GTLベースオイル、及び水素異性化ヘキサデセンオリゴマーを含む、種々の炭化水素のBP/BIと分子あたりの内部アルキル分枝との関係性を示す。プロット中の直線は、BP/BI=-0.6037(分子あたりの内部アルキル分枝)+2.0という式を表している。
【0013】
図2】1-デセン及び1-ドデセンから製造された低粘度PAO、GTLベースオイル、及び水素異性化ヘキサデセンオリゴマーを含む、種々の炭化水素のBP/BIと分子あたりの5+メチル分枝との関係性を示す。これは、本特許に開示されている炭化水素混合物の分子あたりの5+メチル分枝が、0.3~1.5個の独自の範囲に収まっていることを実証している。
【0014】
図3】1-デセン及び1-ドデセンから製造された低粘度PAO、GTLベースオイル、グループIIIのベースオイル、及び水素異性化ヘキサデセンオリゴマーを含む、種々の炭化水素のNOACK揮発性と-35℃でのCCSとの関係性を示す。実線及び点線は、本発明の独自の炭化水素混合物によって呈されたNoack対-35℃でのCCSの上限及び下限を表しており、この上限と下限はそれぞれ、NOACK=2,750(-35℃でのCCS)(-0.8)+2及びNOACK=2,750(-35℃でのCCS)(-0.8)-2である。
【0015】
図4】-35℃でのCCSが800~2,800cPの範囲の図3の拡大図である。
【0016】
図5】Hub-Dyno車両試験における市販のATF(6.0cSt)に対する3つの候補の効率の差異に関するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に記載されるのは、本明細書に記載の再生可能ベースオイルと、PAO 2.5と、エステルと、を含む電気自動車用のフルード組成物である。PAO 2.5を使用してベースオイルの粘度を低下させ、100℃でおよそ4.5cStの最終フルード粘度を達成できるようにした。より良好な摩擦性能を達成するために、エステルを添加してトラクション値の低下を達成し、それにより電気駆動の効率を向上させた。本明細書で炭化水素混合物と称されるフルード組成物のベースオイル成分は、4cStである。炭化水素混合物は、本明細書に記載の他の非エステル添加剤によって4cStに調整される。
【0018】
本明細書で使用される電気駆動(Electric drive)または電気駆動(E-drive)系は、減速装置、モータ、電子制御システム、及びインバーターコンポーネントを指す。
【0019】
トラクション係数は、フルードが負荷帯にあるときのフルードの効率に関連するフルード特性である。トラクション係数が低いフルードは、集中接触帯での付着力及び粘着力に打ち勝つための必要なエネルギーが少なくなるため、効率を向上させ、それにより油温を低減させる。
【0020】
得られた組成物は、実際の車両試験でin situで実証されたように、トラクション低下特性をもたらすと同時により良好なフィルム形成を呈す。
【0021】
本開示における全ての粘度指数(「VI」)値は、ASTM D2270に従って決定される。
【0022】
本開示における全てのNoack揮発性(「NV」)値は、別段の指定がない限り、ASTM D5800に従って決定される。全てのNV値の単位は、別段の指定がない限り重量%である。
【0023】
炭化水素混合物は最大75%、エステルは最大25%、PAO 2.5cStは最大25%であり得、得られる炭化水素混合物は4cStである。
【0024】
本明細書に記載の2.5cStのPAOは、密度、lb/gal.:6.723;引火点(COC)、℃(°F):180°(355°);流動点、℃(°F):-52°(-62°);比重:0.8064;粘度、動粘度、100℃、cSt:2.4;粘度、動粘度、40℃、cSt:8.3の特性を有する。
【表2】
【0025】
本明細書に記載のフルード組成物は、電動モータ用転がり軸受、ブラシ/スリップリング;トランスミッションギア、動的シール;等速ジョイント;サスペンションボールジョイント、ショックアブソーバ;車輪軸受を含む、電気駆動コンポーネントに使用され得る。好ましい実施形態は、本明細書に記載のフルードを電動モータまたはバッテリパック用の冷却フルードとして使用することである。高電流の状況では、適切に冷却されない場合、電動車またはハイブリッド車の電動モータ及びバッテリパックが高温に達する可能性がある。本明細書に記載のフルードの低粘度、高熱伝導率は、電動モータ及び/またはバッテリパックに優れた冷却効果をもたらし得る。
【0026】
本明細書に開示される再生可能ベースは、NMRによって特徴付けられる独自の分枝構造を有する飽和炭化水素混合物であり、これにより、この再生可能ベースは高品質の合成ベースストックとして使用するのに好適となる。好適なベースストックは、U.S.10,961,167及びU.S.11,041,133に提示されており、参照により本明細書に組み込まれる。この炭化水素混合物は、極めて低い揮発性、良好な低温特性などを含む卓越した特性を有しており、これらは高品質のベースストックの重要な性能特質である。具体的には、混合物は、FIMSにより偶数の炭素数を有する分子を80%超含む。NMRによる炭化水素混合物の分枝特徴は、≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分枝)+2.0の範囲のBP/BIを含む。更に、平均で少なくとも0.3~1.5個の内部メチル分枝が、末端炭素から炭素4個を超えて離れて位置している。この独自の分枝構造を有する飽和炭化水素は、低粘度の自動車用エンジンオイルのブレンドに有益である、驚異的なコールドクランクシミュレート粘度(CCS)対Noack揮発性の関係性を呈す。
【0027】
一実施形態では、本明細書に記載の炭化水素混合物は、オレフィンのオリゴマー化及び後続の水素異性化の生成物である。C14~C20のオレフィンがオリゴマー化されて、未反応の単量体、二量体(C28~C40)、ならびに三量体及びそれ以上のオリゴマー(≧C42)からなるオリゴマー分布が形成される。未反応の単量体は、後続のオリゴマー化における再利用の可能性のために留去される。次いで、残りのオリゴマーを水素異性化して、本明細書に記載の最終分枝構造を達成することにより、驚異的なコールドクランクシミュレート粘度(CCS)対Noack揮発性の関係性が一貫して付与される。
【0028】
本明細書では再生可能ベースオイルと称される、炭化水素特性の定義:
粘度は、ベースストックの流動性を測定する物理的特性である。粘度は温度の強力な関数である。一般的に使用される2つの粘度測定は、絶対粘度(dynamic viscosity)及び動粘度である。絶対粘度は、流れに対するフルードの内部抵抗を測定する。エンジンオイルの-35℃でのコールドクランキングシミュレーター(CCS)粘度は、絶対粘度測定の一例である。絶対粘度のSI単位はPa・sである。使用される従来の単位はセンチポアズ(cP)であり、これは0.001Pa・s(または1mPa・s)に等しい。業界は徐々にSI単位へと移行しつつある。動粘度は、密度に対する絶対粘度の比である。動粘度のSI単位はmm/sである。業界で一般的に使用される他の単位は、40℃(KV40)及び100℃(KV100)でのセンチストークス(cSt)、ならびに100°F及び210°Fでのセイボルトユニバーサル秒(SUS)である。好都合なことに、1mm/sは1cStに等しい。ASTM D5293及びD445は、それぞれCCS測定及び動粘度測定のための方法である。
【0029】
粘度指数(VI)は、温度の関数としてのベースストックの動粘度の変化を測定するために使用される経験的数値である。VIが高くなるほど、温度による粘度の相対的変化は小さくなる。高VIのベースストックは、大半の潤滑剤用途、特にマルチグレードの自動車用エンジンオイル及び作動温度の変動を大きく受ける他の自動車用潤滑剤で望まれる。ASTM D2270は、VIを決定するために一般的に受け入れられている方法である。
【0030】
流動点は、試験片の移動が観察される最低温度である。大半の潤滑剤は液相で作動するように設計されているため、これはベースストックにとって最も重要な特性の1つである。低い流動点は、特に寒冷気候における潤滑では通常望ましいものである。ASTM D97は、流動点を測定するための標準的な手動方法である。これは、ASTM D5950及びASTM D6749などの自動方法に徐々に置き換えられている。本特許の実施例の流動点測定には、ASTM D5950が試験間隔1℃で使用されている。
【0031】
沸点分布は、5%及び95%の材料が蒸発する真沸点(TBP)によって定義される沸点範囲である。これは、本明細書ではASTM D2887により測定される。
【0032】
NMR分枝分析
炭化水素の特徴付けのためにNMR分光法により測定される分枝パラメータには、以下が含まれる。
【0033】
分枝指数(BI):イソパラフィン系炭化水素中、1H NMR化学範囲0.5~2.1ppmに現れる全水素中、化学シフト範囲0.5~1.05ppmに現れるメチル水素のパーセンテージ。
【0034】
分枝近接度(Branching Proximity)(BP):13C NMR化学シフト29.8ppmで現れる、末端基または分枝から4個以上の炭素原子で離隔している反復メチレン炭素のパーセンテージ。
【0035】
内部アルキル炭素:末端メチル炭素から3個以上の炭素で離隔しているメチル炭素、エチル炭素、またはプロピル炭素の数であり、3-メチル、4-メチル、5+メチル、隣接メチル、内部エチル、n-プロピル、及び13C NMR化学シフト0.5ppm~22.0ppmに現れる未知のメチルが含まれる(13.8ppmに現れる末端メチル炭素を除く)。
【0036】
5+メチル炭素:平均的イソパラフィン系分子において13C NMR化学シフト19.6ppmに現れる、末端炭素から炭素4個を超えて離れているメチン炭素に付着したメチル炭素の数である。
【0037】
NMRスペクトルは、5mmのBBIプローブを使用するBruker AVANCE 500分光計を使用して取得した。各試料をCDClと1:1(重量:重量)で混合した。H NMRは、500.11MHzで、4秒間隔で適用される9.0μs(30°)パルスを使用し、各スペクトルにつき64回のスキャンを足し合わせて(co-added)記録した。13C NMRは、125.75MHzで、逆ゲート付きデカップリングを用いて、6秒間隔で適用される7.0μsパルスを使用し、各スペクトルにつき4096回のスキャンを足し合わせて記録した。少量の0.1M Cr(acac)を緩和剤として添加し、TMSを内部標準物質として使用した。
【0038】
本発明の潤滑剤ベースストック試料の分枝特性は、以下の6段階のプロセスに従って決定される。手順は、全体が本明細書に組み込まれるUS20050077208A1に詳細に提供されている。以下の手順は、今回の試料セットを特徴付けるためにわずかに修正されている:
1)DEPTパルスシーケンスを使用してCH分枝中心及びCH分枝終端点を特定する(Doddrell,D.T.;D.T.Pegg;M.R.Bendall,Journal of Magnetic Resonance 1982,48,323ff.)。
2)APTパルスシーケンスを使用して、複数の分枝を開始する炭素(四級炭素)が存在しないことを検証する(Patt,S.L.;J.N.Shoolery,Journal of Magnetic Resonance 1982,46,535ff.)。
3)作表及び算出した値を使用して、種々の分枝炭素共鳴を指定の分枝位置及び長さに割り当てる(Lindeman,L.P.,Journal of Qualitative Analytical Chemistry 43,1971 1245ff;Netzel,D.A.,et.al.,Fuel,60,1981,307ff.)。
分枝NMR化学シフト(ppm)
【表3】

4)末端メチル炭素の積分強度を単一炭素の強度と比較することにより、異なる炭素位置での分枝発生の相対頻度を定量化する(混合物中の分子あたりの総積分/炭素数)。例えば、分子あたりの5+メチル分枝の数は、単一炭素の強度に対する化学シフト19.6ppmでのシグナル強度から算出される。
末端メチルと分枝メチルの両方が同じ共鳴位置に存在するという2-メチル分枝の独特の場合では、分枝発生頻度の算出を行う前に強度を2で除した。
4-メチル分枝の割合を算出及び作表する場合、二重カウントを避けるために5+メチルに対するその寄与を差し引く必要がある。
未知のメチル分枝は、5.0ppm~22.5ppmに現れるシグナルの寄与から算出されるが、表2に報告されたいずれかの分枝を含んでいない。
5)米国特許第6,090,989号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている計算を使用して、分枝指数(BI)及び分枝近接度(BP)を算出する。
6)工程3及び工程4で見出された分枝(2-メチル分枝を除く)を加算することにより、分子あたりの内部アルキル分枝の合計を算出する。これらの分枝には、3-メチル、4-メチル、5+メチル、内部エチル、n-プロピル、隣接メチル、及び未知のメチルが含まれる。
【0039】
FIMS分析:本発明の炭化水素分布は、FIMS(電界イオン化質量分析)によって決定される。FIMSスペクトルをWaters GCT-TOF質量分析計で得た。試料を固体プローブを介して導入し、毎分50℃の速度で約40℃から500℃まで加熱した。質量分析計は、ディケードあたり5秒の速度で40m/zから1000m/zまでスキャンした。取得した質量スペクトルを合計し、パラフィン及び最大6つの環を含有するシクロパラフィンの炭素数分布を提供する平均化したスペクトルを1つ作製した。
【0040】
炭化水素の構造及び特性
本明細書に開示される炭化水素混合物の構造は、FIMS及びNMRによって特徴付けられる。FIMS分析により、炭化水素混合物中の分子の80%超が偶数の炭素数を有していることが実証される。
【0041】
本明細書に開示される炭化水素混合物の独自の分枝構造は、BP、BI、内部アルキル分枝、及び5+メチルなどのNMRパラメータによって特徴付けられる。炭化水素混合物のBP/BIは、≧-0.6037(分子あたりの内部アルキル分枝)+2.0の範囲にある。炭化水素混合物の5+メチルは、分子あたり平均0.3~1.5個である。
【0042】
炭化水素混合物は、炭素数分布に基づいて、C28~C40炭素とC42以上という2つの炭素範囲に分類され得る。一般に、各炭化水素混合物に存在する分子の約95%以上が、指定範囲内の炭素数を有する。C28~C40の範囲の代表的分子構造は、NMR分析及びFIMS分析に基づいて提案され得る。特定の理論のいずれか1つに縛られることを望むものではないが、オレフィンのオリゴマー化及び水素異性化により作製された構造は、構造全体にわたって分布しているメチル分枝、エチル分枝、ブチル分枝を有しており、分枝指数及び分枝近接度は、生成物の驚くほど良好な低温特性に寄与すると考えられている。本発明の炭化水素混合物中の例示的な構造は以下のとおりである。
【化1】
【0043】
炭化水素混合物の独自の分枝構造及び狭い炭素分布により、炭化水素混合物は高品質の合成ベースオイル(特に低粘度のエンジンオイル用途)として使用するのに好適となる。炭化水素混合物は、
・3.0~10.0cStの範囲のKV100;ポリアルファオレフィン及びエステルの添加後に3.0~5.0cStの範囲のKV100;
・-20~-55℃の範囲の流動点;
・Noackが2750(-35℃でのCCS)(-0.8)±2の間にあるような、Noackと-35℃でのCCSとの関係性を呈す。
【0044】
炭化水素混合物のNoackとCCSとの関係性を図3及び4に示す。各図において、上部の線は、Noack=2750(-35℃でのCCS)(-0.8)+2を表し、下のグラフの線は、Noack=2750(-35℃でのCCS)(-0.8)-2を表す。より好ましくは、炭化水素混合物は、Noackが、Noack=2750(-35℃でのCCS)(-0.8)+0.5~Noack=2750(-35℃でのCCS)(-0.8)-2となるようなNoackと-35℃でのCCSとの関係性を有する。図3及び4において、開始点により近い炭化水素混合物は、-35℃での揮発性の低さ及び粘度の減少に起因して、低粘度エンジンオイルにとってより有利であることが見出されている。
【0045】
C28~C40の範囲の炭素数を有する本発明による炭化水素混合物、及び別の実施形態におけるC28~C36の範囲の炭素数、または別の実施形態におけるC32の炭素数を有する分子は、一般に、上記のBP/BI、分子あたりの内部アルキル分枝、分子あたりの5+メチル分枝、及びNoack/CCS関係性の特徴に加えて、以下の特徴:
・3.0~6.0cStの範囲のKV100;
・11ln(BP/BI)+135~11ln(BP/BI)+145の範囲のVI;及び
・33ln(BP/BI)-45~33ln(BP/BI)-35の範囲の流動点を呈す。
【0046】
一実施形態では、C28~C40炭化水素混合物のKV100は、3.2~5.5cStの範囲であり、別の実施形態では、KV100は4.0~5.2cSt、別の実施形態では4.1~4.5cStの範囲である。
【0047】
C28~C40炭化水素混合物のVIは、一実施形態では125~155、別の実施形態では135~145の範囲である。
【0048】
炭化水素混合物の流動点は、一実施形態では25~-55℃、別の実施形態では35~-45℃の範囲である。
【0049】
一実施形態におけるC28~C40炭化水素混合物の沸点範囲は、ASTM D2887により測定した場合に125℃以下(95%でのTBP-5%でのTBP)であり、別の実施形態では100℃以下、一実施形態では75℃以下、別の実施形態では50℃以下、一実施形態では30℃以下である。好ましい実施形態では、50℃以下、更により好ましくは30℃以下の沸点範囲を有するものは、所与のKV100に対して驚くほど低いNoack揮発性(ASTM D5800)を示す。
【0050】
一実施形態におけるC28~C40炭化水素混合物は、15~25の範囲の分枝指数(BI)を伴う14~30の範囲の分枝近接度(BP)を有し、別の実施形態では、BPは15~28の範囲にあり、BIは16~24の範囲にある。
【0051】
C28~C40炭化水素混合物のNoack揮発性(ASTM D5800)は、一実施形態では16重量%未満、一実施形態では12重量%未満、一実施形態では10重量%未満、一実施形態では8重量%未満、一実施形態では7重量%未満である。一実施形態におけるC28~C40炭化水素混合物はまた、2700cP未満の-35℃でのCCS粘度を有し、別の実施形態では2000cP未満、一実施形態では1700cP未満、一実施形態では1500cP未満のCCS粘度を有する。
【0052】
C42以上の範囲の炭素数を有する炭化水素混合物は、一般に、上記のBP/BI、分子あたりの内部アルキル分枝、分子あたりの5+メチル分枝、及びNoackと-35℃でのCCSとの関係性の特徴に加えて、以下の特徴:
・6.0~10.0cStの範囲のKV100;
・11ln(BP/BI)+145~11ln(BP/BI)+160の範囲のVI;及び
・33ln(BP/BI)-40~33ln(BP/BI)-25の範囲の流動点を呈す。
【0053】
C42以上の炭素を含む炭化水素混合物は、一実施形態では8.0~10.0cSt、別の実施形態では8.5~9.5cStの範囲のKV100を有する。
【0054】
≧42個の炭素を有する炭化水素混合物のVIは、一実施形態では140~170、別の実施形態では150~160である。
【0055】
一実施形態における流動点は、-15~-50℃、別の実施形態では-20~-40℃の範囲である。
【0056】
一実施形態では、≧42個の炭素を含む炭化水素混合物は、17~23の範囲のBIを伴う18~28の範囲のBPを有する。別の実施形態では、炭化水素混合物は、18~28の範囲のBP及び17~23の範囲のBIを有する。
【0057】
一般に、上記に開示された両方の炭化水素混合物は、以下の特徴:
・FIMSにより、少なくとも80%の分子が偶数の炭素数を有する;
・3.0~10.0cStの範囲のKV100;
・-20~-55℃の範囲の流動点;
・Noackが2750(-35℃でのCCS)(-0.8)±2の間にあるような、Noackと-35℃でのCCSとの関係性;
・分子あたり≧-0.6037(内部アルキル分枝)+2.0の範囲のBP/BI;及び
・平均で分子あたり0.3~1.5個の5+メチル分枝を呈す。
PAO添加剤
ポリアルファオレフィン(PAO)、またはグループIVのベースオイルは、AlCl3、BF3、またはBF3錯体などのフリーデル・クラフツ触媒の存在下でのアルファオレフィンの重合により生成される。例えば、1-オクテン、1-デセン、及び1-ドデセンは、低分子量かつ100℃で約2cStの低粘度から100℃での粘度が100cStを超える高分子量の粘性物質まで様々な、幅広い粘度を有するPAOを製造するために使用されている。重合反応は、典型的には水素の非存在下で行われる。潤滑剤範囲の生成物は、その後精錬または水素化されて、残留不飽和物が低減される。
本発明の好ましい実施形態は、ASTM D7042またはD445により決定した場合に100℃、212°Fで約2.5cStの動粘度を呈す高度に分枝したイソパラフィン系ポリアルファオレフィン(SYNFLUID PAO 2.5など)の使用である。
PAOは、二量体、三量体、四量体、または1つ以上のアルファオレフィン単量体(複数可)に由来する2つ以上の構造単位を含む任意の他のオリゴマーもしくはポリマーであり得る。PAO分子は位置規則性が高い場合があり、その結果Sup13/SupC NMRにより測定した場合に、バルク材料がアイソタクティシティまたはシンジオタクティシティを呈す。PAO分子は位置不規則性が高い場合があり、その結果Sup13/SupC NMRにより測定した場合に、バルク材料は実質的にアタクチックである。メタロセン系の触媒系を使用して作製されたPAO材料は、典型的にはメタロセン-PAO(「mPAO」)と呼ばれ、従来の非メタロセン系触媒(例えば、ルイス酸、担持酸化クロムなど)を使用して作製されたPAO材料は、典型的には従来型PAO(「cPAO」)と呼ばれる。
PAO系潤滑剤を生成するプロセスは、例えば、米国特許第3,382,291号、同第4,172,855号、同第3,742,082号、同第3,780,128号、同第3,149178号、同第4,956,122号、同第5,082,986号、同第7,456,329号、同第7,544,850号、及び米国特許出願公開第2014/0323665号に開示されている。
エステル添加剤
複合エステルを含む当業者に公知の中~高極性のエステルが、本明細書に記載の組成物中に用いられ得る。好ましい実施形態は、アジピン酸エステル、ネオポリオールエステル、フタル酸エステル、及びトリメリット酸エステルからなる群から選択されるエステルである。エステルは、フルード組成物の最大25重量%を構成し得る。
【0058】
ベースオイルの合成
本明細書では、開示された炭化水素混合物を作製するための可能なプロセスまたは方法が提供される。本明細書に開示される新規炭化水素混合物は、所望の炭素鎖長を達成するためのオレフィンオリゴマー化、それに続く流動点及びCCSなどのコールドフロー特性を向上させるための水素異性化を介して合成され得る。一実施形態では、長さC14~C20のオレフィンは酸触媒を使用してオリゴマー化され、オリゴマー混合物が形成される。オレフィンは、原油もしくはガスベースのオレフィンなどの天然に存在する分子から、またはエチレン重合から供給され得る。いくつかの変形例では、本明細書に記載されるオレフィン原材料中の炭素原子の約100%が再生可能炭素源に由来し得る。例えば、アルファ-オレフィンコモノマーは、再生可能炭素源から生成されるエタノールの脱水に由来するエチレンのオリゴマー化によって生成され得る。いくつかの変形例では、アルファ-オレフィンコモノマーは、再生可能炭素源から生成されるエタノール以外の第一級アルコールの脱水によって生成され得る。当該再生可能アルコールは、ガンマアルミナまたは硫酸を使用して脱水してオレフィンにすることができる。いくつかの実施形態では、再生可能資源に由来する修飾されたまたは部分的に水素化されたテルペン原材料は、再生可能資源に由来する1つ以上のオレフィンと連結される。
【0059】
一実施形態では、C14~C20のオレフィン単量体は、連続撹拌タンクリアクタ(CSTR)を平均滞留時間60~400分で使用して、BF、及び/またはアルコール及び/またはエステル(例えば、直鎖アルコール及び酢酸アルキルエステル)の混合物で促進されたBFの存在下でオリゴマー化される。別の実施形態では、C14~C20オレフィン単量体は、連続撹拌タンクリアクタを平均滞留時間90~300分で使用して、BF及び/または促進されたBFの存在下でオリゴマー化される。更に別の実施形態では、C14~C20オレフィン単量体は、連続撹拌タンクリアクタを平均滞留時間120~240分で使用して、BF及び/または促進されたBFの存在下でオリゴマー化される。オリゴマー化反応の温度は、10℃~90℃の範囲にあり得る。しかしながら、好ましい一実施形態では、反応期間中、温度は15~75℃、最も好ましくは20℃~40℃の範囲に維持される。
【0060】
オリゴマー化プロセスに好適なルイス酸触媒には、典型的にはフリーデル・クラフツ触媒として使用される半金属ハロゲン化物及び金属ハロゲン化物、例えば、AlCl、BF、BF錯体、BCl、AlBr、TiCl、TiCl、SnCl、及びSbClが含まれる。半金属ハロゲン化物触媒または金属ハロゲン化物触媒のいずれも、共触媒プロトン性促進剤(例えば、水、アルコール、酸、またはエステル)の有無にかかわらず使用され得る。一実施形態では、オリゴマー化触媒は、ゼオライト、フリーデル・クラフツ触媒、ブレンステッド酸、ルイス酸、酸性樹脂、酸性固体酸化物、酸性シリカアルミノリン酸塩、IVB族金属酸化物、VB族金属酸化物、VIB族金属酸化物、VIII族金属の水酸化物形態または遊離金属形態、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0061】
二量体部分が異性化されることなく100mg Br/100g未満のBr指数(ASTM D2710)に飽和されている場合、オリゴマー化生成物の二量体部分(C28~C40)が、25~35、好ましくは27~35、より好ましくは27~33、最も好ましくは28~32の分枝近接度(BP)を確実に有しているようにするには、CSTR内のオリゴマー化反応温度及び滞留時間を適切に制御する必要がある。水素異性化前に分枝近接度が低すぎると、図1の実線より下に収まる異性化炭化水素混合物がもたらされ、これにより、所与のNoack揮発性に対する-35℃の値のCCS粘度が、図3及び4に示される範囲内に適合させるにはそれほど望ましくないほど高くなる。逆に、分枝近接度が高すぎると、許容可能な流動点に到達するためにより多くの異性化が必要となり、これによりNoack揮発性及び-35℃でのCCSが同時に増加する。一実施形態では、不飽和オリゴマー生成物を蒸留して未反応の単量体を除去する。例えば、未反応の単量体を、蒸留などを介してオリゴマー生成物から分離することができ、そのオリゴマー化のために、未反応の単量体を再循環させて第1及び/または第2の原材料の混合物へと戻すことができる。
【0062】
次いで、オリゴマー生成物を水素異性化し、理想的な分枝特徴を達成するために必要な追加の内部アルキル分枝を得る。一実施形態では、二量体(C28~C40)及びそれより重いオリゴマー(≧C42)の両方を含むオリゴマー生成物全体が、蒸留による分離の前に水素異性化される。次いで、水素異性化生成物は、蒸留により最終炭化水素生成物に分離される。別の実施形態では、二量体及びそれより重いオリゴマーは、別々に分留され、水素異性化される。
【0063】
本発明において有用な水素異性化触媒は、通常、形状選択性モレキュラーシーブ、水素化に対して触媒活性を有する金属または金属混合物、及び耐熱性酸化物支持体を含む。水素化成分の存在は、生成物の向上、特にVI及び安定性の向上につながる。触媒活性を有する典型的な水素化金属には、クロム、モリブデン、ニッケル、バナジウム、コバルト、タングステン、亜鉛、白金、及びパラジウムが含まれる。白金及びパラジウムが特に好ましく、白金が最も好ましい。白金及び/またはパラジウムが使用される場合、金属含有量は典型的には全触媒の0.1~5重量パーセント、通常は0.1~2重量パーセントの範囲にあり、10重量パーセントを超えることはない。水素異性化触媒は、例えば、米国特許第7,390,763号及び同第9,616,419号、ならびに米国特許出願公開第2011/0192766号及び同第2017/0183583号で論じられている。
【0064】
水素異性化の条件は、上述したように、指定の分枝特性を有する異性化炭化水素混合物を達成するように調整されるため、使用する供給原料の特徴に依存する。反応温度は、一般に約0.5hr-1~約20hr-1である液空間速度(LHSV)で、一般に約200℃~400℃、好ましくは260℃~370℃、最も好ましくは288℃~345℃である。圧力は、典型的には約15psig~約2500psig、好ましくは約50psig~約2000psig、より好ましくは約100psig~約1500psigである。低圧により異性化選択性が増強され、その結果、異性化がより行われるようになり、供給原料の分解が減少し、したがって収率の増加につながる。
【0065】
水素は、水素異性化プロセス中に反応帯に存在し、典型的には、水素対供給原料比が約0.1~10MSCF/bbl(バレルあたり千標準立方フィート)、好ましくは約0.3~約5MSCF/bblで存在する。水素は、生成物から分離され、反応帯へと再循環され得る。
【0066】
一実施形態では、下流の水素異性化触媒を保護するために、水素異性化の前に追加の水素化工程が追加される。別の実施形態では、炭化水素混合物の飽和及び安定性を更に向上させるために、水素異性化の後に水素化または水素仕上げの追加の工程が追加される。
【0067】
水素異性化炭化水素混合物は、C28~C40の範囲の炭素数を有する二量体、及びC42以上の炭素数を有する三量体+の混合物から構成される。各炭化水素混合物は、分子あたり≧-0.6037(内部アルキル分枝)±2.0の範囲のBP/BI、及び5番目以上の位置に平均で分子あたり0.3~1.5個のメチル分枝を呈す。重要なことは、各組成物中の分子の少なくとも80%がまた、FIMSにより決定される偶数の炭素数を有することである。別の実施形態では、各炭化水素組成物は、Noackが2750(-35℃でのCCS)(-0.8)±2の間にあるような、Noackと-35℃でのCCSとの関係性も呈す。これらの特徴により、低粘度のエンジンオイル及び他の多くの高性能潤滑剤生成物の配合が可能になる。
【0068】
一実施形態では、C16オレフィンは、オリゴマー化反応の供給原料として使用される。C16オレフィンを供給原料として使用する場合、水素異性化二量体生成物は、一般に、<8%のNoack損失を伴う4.3cStのKV100、及びおよそ1,700cPの-35℃でのCCSを呈す。極めて低いNoack揮発性は、他の3.9~4.4cStの合成ベースストックと比較した場合、開始沸点が高く、かつ沸点分布が狭いことに起因する。これにより、厳格な揮発性要件を有する低粘度エンジンオイルでの使用に理想的となる。優れたCCS及び流動点の特徴は、上述した分枝特徴に起因する。一実施形態では、材料は、≦-40℃の流動点を有する。これは、ミニロータリー粘度基準(ASTM D4684)及びスキャンニングブルックフィールド粘度基準(ASTM D2983)を含む、0W配合物に対する極めて重要なエンジンオイル配合要件に合格するのに必要である。
【0069】
追加の添加物
本明細書には、本明細書に記載の炭化水素混合物を含む潤滑剤組成物も開示される。いくつかの変形例では、潤滑剤組成物は、本明細書に記載の方法のいずれかによって生成される炭化水素混合物の少なくとも一部を含むベースオイルと、酸化防止剤、粘度調整剤、流動点降下剤、発泡防止剤、界面活性剤、分散剤、染料、マーカー、防錆剤または他の腐食防止剤、耐摩耗剤、摩擦調整剤、熱安定性向上剤、多機能添加剤(例えば、酸化防止剤と分散剤の両方として機能する添加剤)、またはそれらの任意の組み合わせの群から選択される1つ以上の添加剤と、を含む。潤滑剤組成物は、本明細書に記載の炭化水素混合物及び任意の潤滑剤添加剤、潤滑剤添加剤の組み合わせ、または入手可能な添加剤パッケージを含み得る。
【0070】
ベースストックとして使用される本明細書に記載の組成物のいずれも、最終潤滑剤組成物の総重量に基づいて約1%超で存在し得る。ある特定の実施形態では、配合物中のベースストックの量は、配合物の総重量に基づいて約2、5、15、または20重量%超である。いくつかの実施形態では、組成物中のベースオイルの量は、組成物の総重量に基づいて、約1~99%、約1~80%、約1~70%、約1~60%、約1~50%、約1~40%、約1~30%、約1~20%、または約1~10%である。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される配合物中のベースストックの量は、配合物の総重量に基づいて、約1%、5%、7%、10%、13%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または99%である。
【0071】
当該技術分野で公知のように、潤滑剤添加剤のタイプ及び量は、最終潤滑剤組成物が指定の用途に対するある特定の業界基準または規定を満たすように、ベースオイルと組み合わせて選択される。一般に、組成物中の添加剤の各々の濃度は、使用される場合、組成物の総重量に基づいて、約0.001重量%~約20重量%、約0.01重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、または約0.1重量%~約2.5重量%の範囲であり得る。更に、組成物中の添加剤の総量は、組成物の総重量に基づいて、約0.001重量%~約50重量%、約0.01重量%~約40重量%、約0.01重量%~約30重量%、約0.01重量%~約20重量%、約0.1重量%~約10重量%、または約0.1重量%~約5重量%の範囲であり得る。
【0072】
本発明を以下の実施例により更に説明するが、これらは限定を意図するものではない。
【実施例
【0073】
実施例1~6(C28~C40炭化水素混合物)
実施例1
分枝オレフィン及び内部オレフィンが8%未満の1-ヘキサデセンを、ブタノールと酢酸ブチルとの共触媒組成物を用いてBF下でオリゴマー化した。オレフィン及び共触媒を半連続的に添加している間、反応を20℃で保持した。滞留時間は90分であった。次いで、未反応の単量体を留去し、0.1%未満の単量体蒸留残留物が残った。後続の蒸留を実施して、三量体+から二量体を分離し、二量体留分中に残留する三量体を5%未満にした。
【0074】
次いで、二量体を、アルミナと結合したMRE構造型触媒の貴金属含浸アルミノケイ酸塩を用いて水素異性化した。反応を固定床リアクタ内で500psig及び307℃で行った。オンラインストリッパー(online stripper)を使用して、分解された分子を水素異性化されたC16二量体から分離した。
【0075】
実施例2
オリゴマー化及び後続の蒸留を、実施例1と同様に実施した。次いで、二量体を、アルミナと結合したMRE構造型触媒の貴金属含浸アルミノケイ酸塩を用いて水素異性化した。反応を固定床リアクタ内で500psig及び313℃で行った。オンラインストリッパーを使用して、分解された分子を水素異性化されたC16二量体から分離した。
【0076】
実施例3
オリゴマー化及び後続の蒸留を、実施例1と同様に実施した。次いで、二量体を、アルミナと結合したMRE構造型触媒の貴金属含浸アルミノケイ酸塩を用いて水素異性化した。反応を固定床リアクタ内で500psig及び324℃で行った。オンラインストリッパーを使用して、分解された分子を水素異性化されたC16二量体から分離した。
【0077】
実施例4
オリゴマー化及び後続の蒸留を、実施例1と同様に実施した。次いで、二量体を、アルミナと結合したMTT構造型触媒の貴金属含浸アルミノケイ酸塩を用いて水素異性化した。反応を固定床リアクタ内で500psig及び316℃で行った。オンラインストリッパーを使用して、分解された分子を水素異性化されたC16二量体から分離した。
【0078】
実施例5
オリゴマー化及び後続の蒸留を、実施例1と同様に実施した。次いで、二量体を、アルミナと結合したMTT構造型触媒の貴金属含浸アルミノケイ酸塩を用いて水素異性化した。反応を固定床リアクタ内で500psig及び321℃で行った。オンラインストリッパーを使用して、分解された分子を水素異性化されたC16二量体から分離した。
【0079】
実施例6
オリゴマー化及び後続の蒸留を、実施例1と同様に実施した。次いで、二量体を、アルミナと結合したMTT構造型触媒の貴金属含浸アルミノケイ酸塩を用いて水素異性化した。反応を固定床リアクタ内で500psig及び332℃で行った。オンラインストリッパーを使用して、分解された分子を水素異性化されたC16二量体から分離した。
【0080】
実施例7~12(C≧42炭化水素混合物)
実施例7
分枝オレフィン及び内部オレフィンが8%未満の1-ヘキサデセンを、ブタノールと酢酸ブチルとの共触媒組成物を用いてBF下でオリゴマー化した。オレフィン及び共触媒を半連続的に添加している間、反応を20℃で保持した。滞留時間は90分であった。次いで、未反応の単量体を留去し、0.1%未満の単量体蒸留残留物が残った。後続の蒸留を実施して、三量体及びそれ以上のオリゴマーから二量体を分離した。得られた二量体は5%未満の三量体を有する。
【0081】
次いで、三量体及びそれ以上のオリゴマー(三量体+)留分を、アルミナと結合したMRE構造型触媒の貴金属含浸アルミノケイ酸塩を用いて水素異性化した。反応を固定床リアクタ内で500psig及び313℃で行った。オンラインストリッパーを使用して、分解された分子を水素異性化されたC16三量体+から分離した。
【0082】
実施例8
オリゴマー化及び後続の蒸留を、実施例7と同様に実施した。次いで、三量体+留分を、アルミナと結合したMRE構造型触媒の貴金属含浸アルミノケイ酸塩を用いて水素異性化した。反応を固定床リアクタ内で500psig及び318℃で行った。オンラインストリッパーを使用して、分解された分子を水素異性化されたC16三量体+から分離した。
【0083】
実施例9
オリゴマー化及び後続の蒸留を、実施例7と同様に実施した。次いで、三量体+留分を、アルミナと結合したMRE構造型触媒の貴金属含浸アルミノケイ酸塩を用いて水素異性化した。反応を固定床リアクタ内で500psig及び324℃で行った。オンラインストリッパーを使用して、分解された分子を水素異性化されたC16三量体+から分離した。
【0084】
実施例10
オリゴマー化及び後続の蒸留を、実施例7と同様に実施した。次いで、三量体+留分を、アルミナと結合したMTT構造型触媒の貴金属含浸アルミノケイ酸塩を用いて水素異性化した。反応を固定床リアクタ内で500psig及び321℃で行った。オンラインストリッパーを使用して、分解された分子を水素異性化されたC16三量体+から分離した。
【0085】
実施例11
オリゴマー化及び後続の蒸留を、実施例7と同様に実施した。次いで、三量体+留分を、アルミナと結合したMTT構造型触媒の貴金属含浸アルミノケイ酸塩を用いて水素異性化した。反応を固定床リアクタ内で500psig及び327℃で行った。オンラインストリッパーを使用して、分解された分子を水素異性化されたC16三量体+から分離した。
【0086】
実施例12
オリゴマー化及び後続の蒸留を、実施例7と同様に実施した。次いで、三量体+留分を、アルミナと結合したMTT構造型触媒の貴金属含浸アルミノケイ酸塩を用いて水素異性化した。反応を固定床リアクタ内で500psig及び332℃で行った。オンラインストリッパーを使用して、分解された分子を水素異性化されたC16三量体+から分離した。
実施例1~12で得た炭化水素混合物の調査結果を以下の表4に要約する。
【表4】
【0087】
比較によるGTLベースストック及びPAOベースストック
図1~4で使用した比較可能なGTL試料及びPAO試料の特徴付けの結果を表4に要約する。GTLの比較実施例は、以下の刊行物に示されている:GTL#1 WO2007068795、GTL#2 WO2007068795、GTL#3 US2005007720。PAOの比較実施例は、市販試料に対して上記の技法を使用して測定した。
【表5】
【0088】
前述のデータを図表で表すと、従来技術の炭化水素混合物と比較した本発明の炭化水素混合物の重要な構造及び特性の差異が明確に見られ、本発明の炭化水素混合物の驚くほど向上した特性が裏付けられる。図1~4は、上記の特徴のいくつかを図表で表している。
【0089】
図1は、種々の炭化水素混合物について、BP/BIと分子あたりの内部アルキル分枝との関係性を示している。プロット中の直線は、BP/BI -0.6037(分子あたりの内部アルキル分枝)+2.0という式を表している。本発明の炭化水素混合物は全て、線より上にある。従来技術の炭化水素混合物のいくつかも線より上にあるが、図2~4に示すように、それらは本発明の炭化水素混合物の他の重要な特徴を満たしていない。
【0090】
図2は、種々の炭化水素混合物について、BP/BIと分子あたりの5+メチル分枝との関係性を示している。これは、本発明の炭化水素混合物の分子あたりの5+メチル分枝が、0.3~1.5個の独自の範囲に収まっていることを実証している。従来技術の混合物は全て範囲外である。
【0091】
図3及び4は、種々の炭化水素混合物について、NOACK揮発性と-35℃でのCCSとの関係性を示している。FIMSによる偶数炭素数が80%という要件を満たさないいくつかの市販のグループIIIのベースオイルが、追加で含まれる。実線及び点線は、本発明の独自の炭化水素混合物によって呈されたNoack対-35℃でのCCSの上限及び下限を表しており、この上限と下限はそれぞれ、NOACK=2,750(-35℃でのCCS)(-0.8)+2及びNOACK=2,750(-35℃でのCCS)(-0.8)-2である。本発明の炭化水素混合物は全てこの範囲内に収まっているが、他方、本質的に全ての従来技術の試料は、図1及び図2に見られるような望ましい分枝を有さない高粘度のPAOを除いて、範囲外にあることを確認することができる。図4は、-35℃でのCCSが800~2,800cPの範囲の図3の拡大図である。一般に、エンジンオイル配合物の場合、-35℃での所与のCCS粘度に対してNoack揮発性がより低いことが0W-20~0W-8配合物などの現代のエンジンオイル配合物にとって理想的であるため、好ましいベースストックは、図3及び図4の開始点に対してできる限り近接した範囲に収まっている。
【0092】
前述のデータ及び図は、NMRにより特徴付けられる本発明の炭化水素混合物の独自の分枝特徴、及び結果として得られる独自の特性を実証している。構造特徴の新規組み合わせにより、高品質のベースストックの重要な性能特質である、極めて低い揮発性及び良好な低温特性を含む卓越した特性がもたらされることが見出された。
種々の電気駆動用フルードの試験
【表6】

【表7】

【表8】

【表10】

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】