(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】新規な糖誘導体、及び新規な老化細胞除去剤を製造するためのその使用
(51)【国際特許分類】
C07H 13/08 20060101AFI20240918BHJP
C07H 5/02 20060101ALI20240918BHJP
C07H 3/02 20060101ALI20240918BHJP
C07H 15/04 20060101ALI20240918BHJP
C07H 15/203 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
C07H13/08
C07H5/02 CSP
C07H3/02
C07H15/04 E
C07H15/04 A
C07H15/203
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515578
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 US2022043370
(87)【国際公開番号】W WO2023039292
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520512328
【氏名又は名称】ルベド ライフ サイエンシズ, インク.
【氏名又は名称原語表記】RUBEDO LIFE SCIENCES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100154449
【氏名又は名称】谷 征史
(72)【発明者】
【氏名】キーツ, ポール
(72)【発明者】
【氏名】バーグネス, ガス
(72)【発明者】
【氏名】ギャロップ, マーク エイ.
(72)【発明者】
【氏名】クアルタ, マルコ
【テーマコード(参考)】
4C057
【Fターム(参考)】
4C057AA18
4C057AA30
4C057BB02
4C057CC02
4C057DD02
4C057DD03
4C057HH03
4C057HH04
4C057JJ03
(57)【要約】
加齢性病態及び疾患などの、多くの病態及び疾患と関連する老化細胞を選択的に死滅させる老化細胞除去剤を製造するための中間体である、新規な糖誘導体が本明細書において提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)又は式(II):
【化1】
(上記式中、R
1は、-H、-R
15、-C(O)R
16又は-NH
2であり;
R
2は、-H、-F、-OH、-OC(O)R
9又は-OC(O)OR
10であり;
R
3は、-H、-F、-OH、-OC(O)R
11又は-OC(O)OR
12であり;
R
4は、-H、-F、-OH、-OC(O)R
13又は-OC(O)OR
14であり;
その代わりとしては、R
3及びR
4の両方が、それらが結合される原子と共に、5員環状アセタールを形成し、それが、アセタール炭素にてR
19によって置換され;
その代わりとしては、R
3及びR
4の両方が、それらが結合される原子と共に、5員環状カーボネートを形成し;
R
5は、-CH
3、-CH
2OH、-OC(O)R
17又は-OC(O)OR
18であり;
R
6は-H又は-Fであり;
R
7は-H又は-Fであり;
R
8は-H又は-Fであり;且つ
R
9~R
18は独立して、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、置換シクロヘテロアルケニル、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり;R
19は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり;
但し、R
2、R
3又はR
4のうちの1つ又は2つが-Fであることを条件とし;
但し、R
4が-Fである場合のみ、R
6が-Fであり、R
3が-Fである場合のみ、R
7が-Fであり;且つR
2が-Fである場合のみ、R
8が-Fであることを条件とし;
但し、R
1がHであり、且つR
5が-CH
3であり、且つR
3及びR
4が-OHである場合に、次いでR
2は-H又は-Fではないことを条件とし;
但し、R
1がHであり、且つR
5が-CH
3であり、且つR
2及びR
4が-OHである場合に、次いでR
3は-H又は-Fではないことを条件とし;
但し、R
1がHであり、且つR
5が-CH
3であり、且つR
4が-Hである場合に、次いでR
2及びR
3がどちらも-OHではないことを条件とし;
但し、R
1が-CH
3又は-C(O)CH
3であり、R
2が-Fであり、且つR
5が-CH
3である場合に、次いでR
3は-Fではないことを条件とし;
但し、R
1が-CH
3又は-C(O)CH
3であり、R
2が-Fであり、且つR
5が-CH
3である場合に、次いでR
3及びR
4の両方が-OH、-OC(O)Ph又は-OC(O)CH
3ではないことを条件とし;
但し、R
1が-CH
3であり、R
2が-Fであり、且つR
5が-CH
3である場合に、次いで、R
3は-OC(O)CH
3ではなく、且つR
4は-OC(O)Phではないことを条件とし;
但し、R
1が-C(O)Phであり、R
2が-Fであり、且つR
5が-CH
3である場合に、次いでR
3及びR
4はどちらも-C(O)Phではないことを条件とし;
但し、R
1が-C(O)Phであり、R
4が-Fであり、且つR
5が-CH
3である場合に、次いでR
2及びR
3はどちらも-C(O)Phではないことを条件とし;
但し、R
1が-C(O)CH
3であり、R
4が-Fであり、且つR
5が-CH
3である場合に、次いでR
2及びR
3はどちらも-C(O)CH
3ではないことを条件とし;
但し、R
1が-CH(CH
3)
2又は-(CH
3)
3であり、R
2が-Fであり、且つR
5が-CH
3である場合に、次いでR
3及びR
4はどちらも-C(O)CH
3ではないことを条件とし;
但し、R
1が-CH
3であり、R
2が-Hであり、且つR
5が-CH
3である場合、次いでR
3及びR
4はどちらも-C(O)CH
3ではないことを条件とし;
但し、R
1が-CH
3、-C
2H
5であり、R
3が-Fであり、且つR
5が-CH
3である場合、次いでR
2及びR
4はどちらも、-OHではないことを条件とし;
但し、R
1が-CH
3であり、R
4が-Fであり、且つR
5が-CH
3である場合、次いでR
3及びR
4はどちらも-OH又は-C(O)CH
3ではないことを条件とし;
但し、R
1が-CH
3、-C(O)CH
3、-C
2H
5、アリル、オクチル又はドデシルであり、R
2が-Fであり、且つR
5が-CH
2OH又は-OC(O)R
17である場合、次いでR
3及びR
4はどちらも-OHではないことを条件とし;
但し、R
1が-CH
3であり、R
2が-Fであり、且つR
5が-CH
2OH又は-OC(O)R
17である場合、次いでR
3及びR
4はどちらも-C(O)Ph又は-C(O)CH
3ではないことを条件とし;
但し、R
1が-CH
3、オクチル、ドデシルであり、R
3が-Fであり、且つR
5が-CH
2OH又は-OC(O)R
17である場合、次いでR
2及びR
4はどちらも-OHではないことを条件とし;
但し、R
1が-CH
3であり、R
3が-Fであり、且つR
5が-CH
2OH又は-OC(O)R
17である場合に、次いでR
2及びR
4はどちらも-OC(O)CH
3又は-C(O)Phではないことを条件とし;
但し、R
1が-CH
3であり、R
4が-Fであり、且つR
5が-CH
2OH又は-OC(O)R
17である場合、次いでR
2及びR
3はどちらも-OHではないことを条件とする)
の化合物、又はその薬学的に利用可能な塩、水和物及び溶媒和物。
【請求項2】
R
1が、-CH
3、アリル、-C(O)CH
3、-C(O)Ph、-C
2H
5、オクチル、-CH(CH
3)
2、-(CH
3)
3、又はドデシルではない、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
1が-Hではない、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R
2は-H又は-Fであり、且つR
3は-H又は-Fである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R
2は-H又は-Fであり、且つR
4は-H又は-Fである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
R
3は-H又は-Fであり、且つR
4は-H又は-Fである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R
2は-H又は-Fであり、R
3は-Fであり、且つR
7は-Fである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
R
2は-H又は-Fであり、R
4は-Fであり、且つR
6は-Fである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
R
3は-H又は-Fであり、R
4は-Fであり、且つR
6は-Fである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
R
2は-Fであり、R
8は-Fであり、且つR
3は-H又は-Fである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
R
2は-Fであり、R
8は-Fであり、且つR
4は-H又は-Fである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
R
3は-Fであり、R
7は-Fであり、且つR
4は-H又は-Fである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
R
2は-Fであり、且つR
8は-Fである、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
R
3は-Fであり、且つR
7は-Fである、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
R
4は-Fであり、且つR
6は-Fである、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
R
2は-H又は-Fである、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
R
3は-H又は-Fである、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
R
4は-H又は-Fである、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
R
9~R
19が独立して、アルキル、アルケニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル又はシクロヘテロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
R
9~R
19が独立して、(C
1~C
4)アルキル、(C
1~C
4)アルケニル、フェニル、置換フェニル、(C
5~C
7)シクロアルキル又は(C
5~C
7)シクロヘテロアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により組み込まれる、35U.S.C.§119(e)下で2021年9月13日出願の米国仮特許出願第63/243,542号への優先権を主張する。
【0002】
加齢性病態及び疾患などの、多くの病態及び疾患と関連する老化細胞を選択的に死滅させる老化細胞除去剤を製造するための中間体である、新規な糖誘導体が本明細書において提供される。
【背景技術】
【0003】
老化は、大部分の慢性疾患、障害、及び健康の衰えの危険因子である。分裂停止における細胞である老化細胞は、老化個体において蓄積し、且つ老化及び加齢性疾患の根底にある細胞及び組織の劣化に一部又は有意に寄与し得る(例えば、Childs et al.,Nat.Rev.Drug Discov.16(2017)718-735参照)。細胞は、環境的、化学的、若しくは生物学的な損傷(insult)に曝露された後に、又は疾患の結果として老化する場合もある(例えば、Demaria et al.,Cancer Discovery7(2017)165-176;Schafer et al.,Nat.Commun.8(2017)doi:10.1038/ncomms14532参照)。
【0004】
多種多様な範囲の薬理学的メカニズムを有する老化細胞除去剤が、当技術分野において以前に記述されている。老化細胞除去剤は、1つ又は複数のBcl-2抗アポトーシスタンパク質ファミリーメンバーの特異的阻害剤であり得て、その阻害剤は、少なくともBcl-xL(例えば、Bcl-2/Bcl-xL/Bcl-w阻害剤;選択的Bcl-xL阻害剤;Bcl-xL/Bcl-w阻害剤(例えば、ナビトクラックス(navitoclax)、ABT-737,A1331852、A1155463);例えば、Childs et al.,上記文献;Zhu et al.,Aging9(2017)955-965;Yosef et al.,Nature Commun.(2016)doi:10.1038参照);Aktキナーゼ特異的阻害剤(例えば、MK-2206);受容体型チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、ダサチニブ,Zhu et al.,Aging Cell 14(2015)654-658参照);CDK4/6阻害剤(例えば、パルボシクリブ(palbociclib),Whittaker et al.,Pharmacol.Ther.173(2017)83-105参照);mTOR阻害剤(例えば、ラパマイシン,Laberge et al.,Nat.Cell Biol.17(2015)1049-1061参照);MDM2阻害剤(例えば、Nutlin-3、RG-7112、米国特許出願第2016/0339019号明細書参照);Hsp90阻害剤(例えば、17-DMAG、ガネテスピブ(ganetespib),Fuhrmann-Stroissnigg et al.,Nat.Commun.8(2017)doi:10.1038/s41467-017-00314-z参照);フラボン(例えば、ケルセチン、フィセチン(fisetin),Zhu et al.,Aging Cell 14(2015)654-658;Zhu et al.,Aging9(2017)955-965参照);又はヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、パノビノスタット(panobinostat),例えばSamaraweera et al.,Sci.Rep.7(2017)1900.doi:10.1038/s41598-017-01964-1参照)を阻害する。
【0005】
非老化細胞を残すと同時に、老化細胞を選択的に死滅させる老化細胞除去剤の同定が重要な難題であった(例えば、Gallopらの米国特許第11,026,963号明細書参照)。したがって、必要とされるのは、非老化細胞に対する毒性は最小限でありながら、老化細胞を死滅させる向上した選択性を有する新規な老化細胞除去剤を製造するための新規な化合物である。新規な化合物は、新規な老化細胞除去剤に組み込まれ得る、新規な糖及びその誘導体を同定する診断剤へと変換もされ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
老化細胞内に優先的に蓄積する、ヒドロラーゼ酵素によって活性化される老化細胞除去剤の非毒性プロドラッグを製造するための新規な中間体を提供することによって、これら及び他のニーズが満たされる。
【0007】
一態様において、式(I)又は式(II):
【化1】
の化合物、又はその薬学的に利用可能な塩、水和物及び溶媒和物が提供され、
上記式中、R
1は、-H、-R
15、-C(O)R
16又は-NH
2であり;R
2は、-H、-F、-OH、-OC(O)R
9又は-OC(O)OR
10であり;R
3は、-H、-F、-OH、-OC(O)R
11又は-OC(O)OR
12であり;R
4は、-H、-F、-OH、-OC(O)R
13又は-OC(O)OR
14であり;その代わりとしては、R
3及びR
4の両方が、それらが結合される原子と共に、5員環状アセタールを形成し、それが、アセタール炭素にてR
19によって置換され;その代わりとして、R
3及びR
4の両方が、それらが結合される原子と共に、5員環状カーボネートを形成し;R
5は、-CH
3、-CH
2OH、-OC(O)R
17又は-OC(O)OR
18であり;R
6は-H又は-Fであり;R
7は-H又は-Fであり;R
8は-H又は-Fであり;R
9~R
18は独立して、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、置換シクロヘテロアルケニル、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり;且つR
19は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり;但し、R
2、R
3又はR
4のうちの1つ又は2つが-Fであることを条件とし;但し、R
4が-Fである場合のみ、R
6が-Fであり、R
3が-Fである場合のみ、R
7が-Fであり;且つR
2が-Fである場合のみ、R
8が-Fであることを条件とし;但し、R
1がHであり、且つR
5が-CH
3であり、且つR
3及びR
4が-OHである場合に、次いでR
2は-H又は-Fではないことを条件とし;但し、R
1がHであり、且つR
5が-CH
3であり、且つR
3及びR
4が-OHである場合に、次いでR
3は-H又は-Fではないことを条件とし;但し、R
1がHであり、且つR
5が-CH
3であり、且つR
4が-Hである場合に、次いでR
2及びR
3がどちらも-OHではないことを条件とし;但し、R
1が-CH
3又は-C(O)CH
3であり、R
2が-Fであり、且つR
5が-CH
3である場合には、次いでR
3は-Fではないことを条件とし;但し、R
1が-CH
3又は-C(O)CH
3であり、R
2が-Fであり、且つR
5が-CH
3である場合には、次いでR
3及びR
4の両方が-OH、-OC(O)Ph又は-OC(O)CH
3ではないことを条件とし;但し、R
1が-CH
3であり、R
2が-Fであり、且つR
5が-CH
3である場合には、次いで、R
3は-OC(O)CH
3ではなく、且つR
4は-OC(O)Phではないことを条件とし;但し、R
1が-C(O)Phであり、R
2が-Fであり、且つR
5が-CH
3である場合、次いでR
3及びR
4はどちらも-C(O)Phではないことを条件とし;但し、R
1が-C(O)Phであり、R
4が-Fであり、且つR
5が-CH
3である場合、次いでR
2及びR
3はどちらも-C(O)Phではないことを条件とし;但し、R
1が-C(O)CH
3であり、R
4が-Fであり、且つR
5が-CH
3である場合、次いでR
2及びR
3はどちらも-C(O)CH
3ではないことを条件とし;但し、R
1が-CH(CH
3)
2又は-(CH
3)
3であり、R
2が-Fであり、且つR
5が-CH
3である場合には、次いでR
3及びR
4はどちらも-C(O)CH
3ではないことを条件とし;但し、R
1が-CH
3であり、R
2が-Hであり、且つR
5が-CH
3である場合、次いでR
3及びR
4はどちらも-C(O)CH
3ではないことを条件とし;但し、R
1が-CH
3、-C
2H
5であり、R
3が-Fであり、且つR
5が-CH
3である場合、次いでR
2及びR
4はどちらも、-OHではないことを条件とし;但し、R
1が-CH
3であり、R
4が-Fであり、且つR
5が-CH
3である場合、次いでR
3及びR
4はどちらも-OH又は-C(O)CH
3ではないことを条件とし;但し、R
1が-CH
3、-C(O)CH
3、-C
2H
5、アリル、オクチル又はドデシルであり、R
2が-Fであり、且つR
5が-CH
2OH又は-OC(O)R
17である場合、次いでR
3及びR
4はどちらも-OHではないことを条件とし;但し、R
1が-CH
3であり、R
2が-Fであり、且つR
5が-CH
2OH又は-OC(O)R
17である場合、次いでR
3及びR
4はどちらも-C(O)Ph又は-C(O)CH
3ではないことを条件とし;但し、R
1が-CH
3、オクチル、ドデシルであり、R
3が-Fであり、且つR
5が-CH
2OH又は-OC(O)R
17である場合、次いでR
2及びR
4はどちらも-OHではないことを条件とし;但し、R
1が-CH
3であり、R
3が-Fであり、且つR
5が-CH
2OH又は-OC(O)R
17である場合に、次いでR
2及びR
4はどちらも-OC(O)CH
3又は-C(O)Phではないことを条件とし;但し、R
1が-CH
3であり、R
4が-Fであり、且つR
5が-CH
2OH又は-OC(O)R
17である場合、次いでR
2及びR
3はどちらも-OHではないことを条件とする。
【0008】
別の態様において、式(III)又は式(IV):
【化2】
の化合物、又はその薬学的に利用可能な塩、水和物及び溶媒和物が提供され、
上記式中、R
1は-H、-R
15、-NH
2又は-C(O)R
16であり;R
2は、-H、-F、-OH、-OC(O)R
9又は-OC(O)OR
10であり;R
3は-H、-F、-OH、-OC(O)R
11又は-OC(O)OR
12であり;R
4は-H、-F、-OH、-OC(O)R
13又は-OC(O)OR
14であり;その代わりとして、R
3及びR
4の両方が、それらが結合される原子と共に、5員環状アセタールを形成し、それが、アセタール炭素にてR
19によって置換され;その代わりとして、R
3及びR
4の両方が、それらが結合される原子と共に、5員環状カーボネートを形成し;R
5は、-CH
2F、-CHF
2又は-CF
3であり;R
6は-H又は-Fであり;R
7は-H又は-Fであり;R
8は-H又は-Fであり;R
9~R
16は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、置換シクロヘテロアルケニル、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり;R
19は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、置換シクロヘテロアルケニル、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり;任意に、R
2、R
3又はR
4のうちの1つが-Fであり;但し、R
4が-Fである場合のみ、R
6が-Fであり;R
3が-Fである場合のみ、R
7が-Fであり;R
2が-Fである場合のみ、R
8が-Fであることを条件とし;但し、R
1がHである場合、次いでR
2、R
3及びR
4はすべて-OHではないことを条件とし;但し、R
1がH又はフェニルであり、R
5が-CH
2Fであり、且つR
4が-Fである場合、次いでR
2及びR
3はどちらも-OHではないことを条件とし;但し、R
1が-CH
3、-C
2H
5、アリル、オクチル、ドデシル又は置換フェニルであり、且つR
5が-CH
2Fである場合、次いでR
2、R
3及びR
4は-OHではないことを条件とし;但し、R
1が-CH
3又はアリルであり、R
5が-CH
2Fであり、且つR
4が-OHである場合、次いでR
2及びR
3は-C(O)Phではないことを条件とし;但し、R
1が-CH
3、アリル、-C(O)CH
3、ドデシル、置換フェニルであり、且つR
5が-CH
2Fである場合、次いでR
2、R
3及びR
4は-C(O)CH
3ではないことを条件とし;但し、R
1が-C(O)CH
3であり、且つR
5が-CHF
2である場合、次いでR
2、R
3及びR
4は-C(O)CH
3ではないことを条件とし;但し、R
1が-C(O)CH
3であり、且つR
5が-CF
3である場合、次いでR
2、R
3及びR
4は-C(O)CH
3ではないことを条件とし;但し、R
1が-CH
3、-C(O)Ph、又はアリルであり、且つR
5が-CH
2Fである場合、次いでR
2、R
3及びR
4は-C(O)Phではないことを条件とし;但し、R
1が-CH
3又はアリルであり、R
5が-CH
2Fであり、且つR
4が-OHである場合、次いでR
2及びR
3はどちらも-C(O)Phではないことを条件とし;但し、R
1が置換フェニルであり、R
5が-CH
2Fであり、R
3及びR
4が-Fである場合、次いでR
2は-OHではないことを条件とし;但し、R
1がH、-C(O)CH
3又は-CH
2CH
2OHであり、且つR
5が-CH
2Fであり、且つR
4が-Fである場合、次いでR
2及びR
3は-C(O)CH
3ではないことを条件とし;但し、R
1が-C(O)CH
3であり、且つR
5が-CH
2Fである場合、次いでR
2、R
3及びR
4がすべて-C(O)Phではないことを条件とし;但し、R
1及びR
4が-C(O)CH
3であり、且つR
5が-CH
2Fである場合、次いでR
2及びR
3は-C(O)Phではないことを条件とし;但し、R
1が-C(O)Phであり、且つR
5が-CH
2Fである場合、次いでR
2、R
3及びR
4は-C(O)Phではないことを条件とし;但し、R
1が-C(O)Phであり、そのフェニルが-CO
2CH
3で置換されており、且つR
5が-CH
2Fである場合に、次いでR
2、R
3及びR
4は-C(O)CH
3ではないことを条件とする。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
別段の指定がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。用語に複数の定義が本明細書において存在する場合、別段の指定がない限り、このセクションにおける定義が支配する。
【0010】
本明細書で使用され、且つ別段の指定がない限り、数値又は値の範囲を有する特性(property)と関連して使用される場合に「約」及び「およそ」という用語は、その数値又は値の範囲が、特定の特性を依然として説明しながら、当業者にとって妥当であると考えられる程度までずれ得ることを示す。具体的には、この文脈で使用される場合に、「約」及び「およそ」という用語は、記載の値又は値の範囲の5%、4%、3%、2%、1%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%又は0.1%変動し得ることを示す。また、単数形「1つ(a)」及び「その(the)」は、明確に示されていない限り、複数の言及を含む。したがって、例えば「その化合物」という言及は、複数のかかる化合物を包含し、「そのアッセイ」という言及は、1つ又は複数のアッセイ、及び当業者に公知のその相当物の言及を包含する。
【0011】
2つの文字及び記号の間にないダッシュ(「-」)は、置換基の結合箇所を示すために使用される。例えば、-C(O)NH2は、炭素原子を通じて結合される。化学基の前部又は末端部のダッシュは、便宜上であり;化学基は、その通常の意味を失うことなく、1つ若しくは複数のダッシュを用いて、又はダッシュなしで表され得る。構造における線によって引かれる波線は、基の結合箇所を示す。化学的又は構造的に必要とされない限り、化学基が書かれる、又は名付けられる順によって、方向性は示されない、又は意味されない。
【0012】
接頭辞「Cu~v」は、以下の基が炭素原子u~v個を有することを示す。炭素u~v個は、u+1~v、u+2~v、u+3+v個などの炭素、u+1~u+3~v、u+1~u+4~v、u+2~u+4~v個などの炭素を包含し、u及びvの可能性のあるすべての並べ換えを包含すると理解すべきである。
【0013】
それ自体での、又は別の置換基の一部としての「アルキル」とは、親アルカンの単一原子から水素原子1個を除去することによって誘導される、飽和若しくは不飽和、分枝鎖、直鎖若しくは環状一価炭化水素ラジカルを意味する。一般的なアルキル基としては、限定されないが、メチル;エチル;プロパン-1-イル、プロパン-2-イル等のプロピル;ブタン-1-イル、ブタン-2-イル、2-メチル-プロパン-1-イル、2-メチル-プロパン-2-イル等のブチルが挙げられる。一部の実施形態において、アルキル基は炭素原子1~20個を含む(C1~C20アルキル)。他の実施形態において、アルキル基は、炭素原子1~10個を含む(C1~C10アルキル)。さらに他の実施形態において、アルキル基は、炭素原子1~6個を含む(C1~C6アルキル)。
【0014】
それ自体での、又は別の置換基の一部としての「アルケニル」とは、親アルケンの単一原子から水素原子1個を除去することによって誘導される、少なくとも1つの炭素間二重結合を有する不飽和分枝鎖、直鎖又は環状アルキルラジカルを意味する。その基は、二重結合近くのシス又はトランス立体配置であり得る。一般的なアルケニル基としては、限定されないが、エテニル;プロペニル、例えばプロプ-1-エン-1-イル、プロプ-1-エン-2-イル、プロプ-2-エン-1-イル(アリル)、プロプ-2-エン-2-イル、シクロプロプ-1-エン-1-イル;シクロプロプ-2-エン-1-イル;ブテニル、例えばブト-1-エン-1-イル、ブト-1-エン-2-イル、2-メチル-プロプ-1-エン-1-イル、ブト-2-エン-1-イル、ブト-2-エン-1-イル、ブト-2-エン-2-イル、ブタ-1,3-ジエン-1-イル、ブタ-1,3-ジエン-2-イル、シクロブト-1-エン-1-イル、シクロブト-1-エン-3-イル、シクロブタ-1,3-ジエン-1-イル等が挙げられる。一部の実施形態において、アルケニル基は、炭素原子1~20個を含む(C1~C20アルケニル)。他の実施形態において、アルケニル基は、炭素原子1~10個を含む(C1~C10アルケニル)。さらに他の実施形態において、アルケニル基は、炭素原子1~6個を含む(C1~C6アルケニル)。
【0015】
それ自体での、又は別の置換基の一部としての「アルキニル」とは、親アルキンの単一原子から水素原子1個を除去することによって誘導される、少なくとも1つの炭素間三重結合を有する不飽和分枝鎖、直鎖又は環状アルキルラジカルを意味する。一般的なアルキニル基としては、限定されないが、エチニル;プロピニル、例えばプロプ-1-イン-1-イル、プロプ-2-イン-1-イ等;ブチニル、例えばブト-1-イン-1-イル、ブト-1-イン-3-イル、ブト-3-イン-1-イル等が挙げられる。一部の実施形態において、アルキニル基は、炭素原子1~20個を含む(C1~C20アルキニル)。他の実施形態において、アルキニル基は、炭素原子1~10個を含む(C1~C10アルキニル)。さらに他の実施形態において、アルキニル基は、炭素原子1~6個を含む(C1~C6アルキニル)。
【0016】
それ自体での、又は別の置換基の一部としての「アリール」とは、本明細において定義される親芳香族環構造の単一炭素原子から水素原子1個を除去することによって誘導される、一価芳香族炭化水素基を意味する。一般的なアリール基としては、限定されないが、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ-2,4-ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレン等から誘導される基が挙げられる。一部の実施形態において、アリール基は、炭素原子6~20個を含む(C6~C20アリール)。他の実施形態において、アリール基は、炭素原子6~15個を含む(C6~C15アリール)。さらに他の実施形態において、アリール基は、炭素原子6~10個を含む(C6~C10アリール)。
【0017】
それ自体での、又は別の置換基の一部としての「アリールアルキル」とは、本明細書で定義されるように、通常、末端若しくはsp3炭素原子にて炭素原子に結合された水素原子のうちの1つが、本明細書で定義されるように、アリール基と置き換えられる非環式アルキル基を意味する。一般的なアリールアルキル基としては、限定されないが、ベンジル、2-フェニルエタン-1-イル、2-フェニルエテン-1-イル、ナフチルメチル、2-ナフチルエタン-1-イル、2-ナフチルエテン-1-イル、ナフトベンジル、2-ナフトフェニルエタン-1-イル等が挙げられる。一部の実施形態において、アリールアルキル基は、(C6~C30)アリールアルキル、例えば、アリールアルキル基のアルキル部位が、(C1~C10)アルキルであり、アリール部位が(C6~C20)アリールである。他の実施形態において、アリールアルキル基は(C6~C20)アリールアルキル、例えば、アリールアルキル基のアルキル部位は(C1~C8)アルキルであり、アリール部位は(C6~C12)アリールである。また他の実施形態において、アリールアルキル基は(C6~C15)アリールアルキルであり、例えば、アリールアルキル基のアルキル部位は(C1~C5)アルキルであり、アリール部位は(C6~C10)アリールである。
【0018】
それ自体での、又は別の置換基の一部としての「アリールアルケニル」とは、本明細書で定義されるように、炭素原子に結合された水素原子のうちの1つが、アリール基と置き換えられる、非環式アルケニル基を意味する。一部の実施形態において、アリールアルケニル基は、(C6~C30)アリールアルケニルであり、例えば、アリールアルケニル基のアルケニル部位は、(C1~C10)アルケニルであり、アリール部位は(C6~C20)アリールである。他の実施形態において、アリールアルケニル基は、(C6~C20)アリールアルケニルであり、例えば、アリールアルケニル基のアルケニル部位は、(C1~C8)アルケニルであり、アリール部位は(C6~C12)アリールである。さらに他の実施形態において、アリールアルケニル基は(C6~C15)アリールアルケニルであり、例えば、アリールアルケニル基のアルケニル部位は(C1~C5)アルケニルであり、アリール部位は(C6~C10)アリールである。
【0019】
それ自体での、又は別の置換基の一部としての「アリールアルキニル」とは、本明細書で定義されるように、炭素原子に結合された水素原子のうちの1つが、アリール基と置き換えられる、非環式アルキニル基を意味する。一部の実施形態において、アリールアルキニル基は(C6~C30)アリールアルキニルであり、例えば、アリールアルキニル基のアルキニル部位は(C1~C10)アルキニルであり、アリール部位は(C6~C20)アリールである。他の実施形態において、アリールアルキニル基は(C6~C20)アリールアルキニルであり、例えば、アリールアルキニル基のアルキニル部位は(C1~C8)アルキニルであり、アリール部位は(C6~C12)アリールである。また他の実施形態において、アリールアルキニル基は(C6~C15)アリールアルキニルであり、例えば、アリールアルキニル基のアルキニル部位は(C1~C5)アルキニルであり、アリール部位は(C6~C10)アリールである。
【0020】
それ自体での、又は別の置換基の一部としての「シクロアルキル」とは、親シクロアルカンの単一炭素原子から水素原子1個を除去することによって誘導される、飽和環状一価炭化水素ラジカルを意味する。一般的なシクロアルキル基としては、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルシクロペンテニル等が挙げられる。一部の実施形態において、シクロアルキニル基は、炭素原子3~20個を含む(C1~C15シクロアルキル)。他の実施形態において、シクロアルキル基は、炭素原子3~10個を含む(C1~C10シクロアルキル)。さらに他の実施形態において、シクロアルキル基は、炭素原子3~8個を含む(C1~C8シクロアルキル)。「環状一価炭化水素ラジカル」という用語は、単一のラジカル及び3~12個の炭素原子を有する多環式炭化水素環構造も含む。例示的な多環式シクロアルキル環としては、例えば、ノルボルニル、ピニル、及びアダマンチルが挙げられる。
【0021】
それ自体での、又は別の置換基の一部としての「シクロアルケニル」とは、親シクロアルケンの単一炭素原子から水素原子1個を除去することによって誘導される、飽和環状一価炭化水素ラジカルを意味する。一般的なシクロアルケニル基としては、限定されないが、シクロプロペン、シクロブテンシクロペンテン等が挙げられる。一部の実施形態において、シクロアルケニル基は、炭素原子3~20個を含む(C1~C20シクロアルケニル)。他の実施形態において、シクロアルケニル基は、炭素原子3~10個を含む(C1~C10シクロアルケニル)。さらに他の実施形態において、シクロアルケニル基は、炭素原子3~8個を含む(C1~C8シクロアルケニル)。「環状一価炭化水素ラジカル」という用語は、単一のラジカル及び3~12個の炭素原子を有する多環式炭化水素環構造も含む。
【0022】
それ自体での、又は別の置換基の一部としての「シクロヘテロアルキル」とは、本明細書で定義されるシクロアルキル基を意味し、その炭素原子のうち1つ又は複数(及び任意に、いずれかの関連する水素原子)はそれぞれ、互いに独立して、以下の「ヘテロアルキル」において定義される、同一若しくは異なるヘテロ原子又は複素芳香族基で置換される。一部の実施形態において、シクロヘテロアルキル基は、炭素を3~20個及びヘテロ原子を含む(1~20シクロヘテロアルキル)。他の実施形態において、シクロヘテロアルキル基は、炭素を3~10個及びヘテロ原子を含む(1~10シクロヘテロアルキル)。さらに他の実施形態において、シクロヘテロアルキル基は、炭素を3~8個及びヘテロ原子を含む(1~8シクロヘテロアルキル)。「環状一価ヘテロアルキルラジカル」という用語は、単一のラジカル及び3~12個の炭素原子、及び少なくとも1つのヘテロ原子を有する多環式ヘテロアルキル環構造も含む。
【0023】
それ自体での、又は別の置換基の一部としての「シクロヘテロアルケニル」とは、本明細書で定義されるシクロアルケニル基を意味し、その炭素原子のうち1つ又は複数(及び任意に、いずれかの関連する水素原子)はそれぞれ、互いに独立して、以下の「ヘテロアルケニル」において定義される、同一若しくは異なるヘテロ原子又は複素芳香族基で置換されている。一部の実施形態において、シクロヘテロアルケニル基は、炭素を3~20個及びヘテロ原子を含む(1~20シクロヘテロアルケニル)。他の実施形態において、シクロヘテロアルケニル基は、炭素を3~10個及びヘテロ原子を含む(1~10シクロヘテロアルケニル)。さらに他の実施形態において、シクロヘテロアルケニル基は、炭素を3~8個及びヘテロ原子を含む(1~8シクロヘテロアルケニル)。「環状一価ヘテロアルキルラジカル」という用語は、単一のラジカル及び3~12個の炭素原子、及び少なくとも1つのヘテロ原子を有する多環式ヘテロアルキル環構造も含む。
【0024】
「化合物」とは、本明細書に開示される構造式によって包含される化合物を意味し、その構造が本明細書に開示されるこれらの式内のいずれかの具体的な化合物を含む。化合物は、その化学構造及び/又は化学名によって同定され得る。化学構造は、化合物の同一性の決定因である。本明細書に記載の化合物は、1つ若しくは複数のキラル中心及び/又は二重結合を含有し得て、したがって、二重結合異性体(つまり、幾何異性体)、鏡像異性体又はジアステレオマーなどの立体異性体として存在し得る。したがって、本明細書に示される化学構造は、構造で示される立体異性体として純粋な形(例えば、幾何的に純粋な、鏡像異性的に純粋な、又はジアステレオマーとして純粋な)を包含する。本明細書に示す化学構造は、示す化合物の鏡像異性及び立体異性誘導体も包含する。鏡像異性及び立体異性混合物は、当業者に良く知られ得る分離技術及びキラル合成技術を用いて、その鏡像異性体又は立体異性体成分に分解され得る。化合物は、エノール形、ケト形及びその混合物などの、いくつかの互変異性型でも存在し得る。したがって、本明細書に示す化学構造は、例証される化合物の可能性のあるすべての互変異性型を包含する。記載の化合物は、1つ又は複数の原子が、天然に従来から見出される原子質量と異なる原子質量を有する同位体標識化合物も含む。本明細書に開示される化合物に組み込まれ得る同位元素の例としては、限定されないが、2H、3H、11C、13C、14C、15N、18O、17O等が挙げられる。化合物は、非溶媒和形態、並びに水和形態を含む溶媒和形態で存在し得る。一般に、化合物は、水和又は溶媒和物であり得る。特定の化合物は、複数の結晶質又は非晶質形態で存在し得る。一般に、すべての物理的形態が、本明細書で企図される使用に相当し、本開示の範囲内であることが意図される。さらに、化合物の部分的構造が図示される場合、括弧は、分子の残りへの部分構造の結合箇所を示すと理解すべきである。
【0025】
それ自体での、又は別の置換基の一部としての「ハロ」とは、-F、-Cl、-Br又は-Iラジカルを意味する。
【0026】
「ヘテロアルキル」とは、その炭素原子のうち1つ又は複数(及び任意に、いずれかの関連する水素原子)はそれぞれ、互いに独立して、同一若しくは異なるヘテロ原子又は複素芳香族基で置換されている、アルキルを意味する。炭素原子と置き換えることができる一般的なヘテロ原子又は複素芳香族基としては、限定されないが、-O-、-S-、-N-、-Si-、-NH-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)NH-、-S(O)2NH-等、及びその組み合わせが挙げられる。ヘテロ原子又は複素芳香族基は、アルキル、アルケニル又はアルキニル基のいずれかの内部位置に位置し得る。これらの基に含まれ得る一般的な複素芳香族基としては、限定されないが、-O-、-S-、-O-O-、-S-S-、-O-S-、-NR501R502、=N-N=、-N=N-、-N=N-NR503R404、-PR505-、-P(O)2-、-POR506-、-O-P(O)2-、-SO-、-SO2-、-SnR507R508等が挙げられ、R501、R502、R503、R504、R505、R506、R507及びR508は独立して、水素、アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールである。一部の実施形態において、ヘテロアルキル基は、炭素を1~20個及びヘテロ原子を含む(1~20ヘテロアルキル)。他の実施形態において、ヘテロアルキル基は、炭素を1~10個及びヘテロ原子を含む(1~10ヘテロアルキル)。さらに他の実施形態において、ヘテロアルキル基は、炭素を1~6個及びヘテロ原子を含む(1~6ヘテロアルキル)。
【0027】
「ヘテロアルケニル」とは、その炭素原子のうち1つ又は複数(及び任意に、いずれかの関連する水素原子)はそれぞれ、互いに独立して、同一若しくは異なるヘテロ原子又は複素芳香族基で置換されている、アルケニルを意味する。炭素原子と置き換えることができる一般的なヘテロ原子又は複素芳香族基としては、限定されないが、-O-、-S-、-N-、-Si-、-NH-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)NH-、-S(O)2NH-等、及びその組み合わせが挙げられる。ヘテロ原子又は複素芳香族基は、アルキル、アルケニル又はアルキニル基のいずれかの内部位置に位置し得る。これらの基に含まれ得る一般的な複素芳香族基としては、限定されないが-O-、-S-、-O-O-、-S-S-、-O-S-、-NR501R502、=N-N=、-N=N-、-N=N-NR503R404、-PR505-、-P(O)2-、-POR506-、-O-P(O)2-、-SO-、-SO2-、-SnR507R508等が挙げられ、R501、R502、R503、R504、R505、R506、R507及びR508は独立して、水素、アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールである。一部の実施形態において、ヘテロアルケニル基は、炭素を1~20個及びヘテロ原子を含む(1~20ヘテロアルケニル)。他の実施形態において、ヘテロアルケニル基は、炭素を1~10個及びヘテロ原子を含む(1~10ヘテロアルケニル)。さらに他の実施形態において、ヘテロアルケニル基は、炭素を1~6個及びヘテロ原子を含む(1~6ヘテロアルケニル)。
【0028】
それ自体での、又は別の置換基の一部としての「ヘテロアリール」とは、本明細書に定義されるように、親複素芳香族環構造の単一炭素原子から水素原子1個を除去することによって誘導される、一価複素環式芳香族ラジカルを意味する。一般的なヘテロアリール基としては、限定されないが、アクリジン、β-カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテン等から誘導される基が挙げられる。一部の実施形態において、ヘテロアリール基は、5~20個の環原子を含む(5~20員ヘテロアリール)。他の実施形態において、ヘテロアリール基は、5~10個の環原子を含む(5~10員ヘテロアリール)。例示的なヘテロアリール基としては、フラン、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンズイミダゾール、インドール、ピリジン、ピラゾール、キノリン、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール及びピラジンから誘導される基が挙げられる。
【0029】
それ自体での、又は別の置換基の一部としての「ヘテロアリールアルキル」とは、炭素原子に結合された水素原子、通常は末端又はsp3炭素原子のうちの1つが、ヘテロアリール基と置き換えられる、非環式アルキル基を意味する。一部の実施形態において、ヘテロアリールアルキル基は、6~21員ヘテロアリールアルキルであり、例えば、ヘテロアリールアルキルのアルキル部位は(C1~C6)アルキルであり、ヘテロアリール部位は5~15員ヘテロアリールである。他の実施形態において、ヘテロアリールアルキルは、6~13員ヘテロアリールアルキルであり、例えば、アルキル部位は(C1~C3)アルキルであり、ヘテロアリール部位は5~10員ヘテロアリールである。
【0030】
それ自体での、又は別の置換基の一部としての「ヘテロアリールアルケニル」とは、炭素原子に結合された水素原子のうちの1つが、ヘテロアリール基と置き換えられる、非環式アルケニル基を意味する。一部の実施形態において、ヘテロアリールアルケニル基は、6~21員ヘテロアリールアルキルであり、例えば、ヘテロアリールアルケニルのアルケニル部位は(C1~C6)アルケニルであり、ヘテロアリール部位は5~15員ヘテロアリールである。他の実施形態において、ヘテロアリールアルケニルは、6~13員ヘテロアリールアルケニルであり、例えば、アルケニル部位は(C1~C3)アルキルであり、ヘテロアリール部位は5~10員ヘテロアリールである。
【0031】
それ自体での、又は別の置換基の一部としての「ヘテロアリールアルキニル」とは、炭素原子に結合された水素原子のうちの1つが、ヘテロアリール基と置き換えられる、非環式アルケニル基を意味する。一部の実施形態において、ヘテロアリールアルキニル基は、6~21員ヘテロアリールアルキルであり、例えば、ヘテロアリールアルキニルのアルキニル部位は(C1~C6)アルキニルであり、ヘテロアリール部位は5~15員ヘテロアリールである。他の実施形態において、ヘテロアリールアルキニルは、6~13員ヘテロアリールアルキニルであり、例えば、アルキニル部位は(C1~C3)アルキルであり、ヘテロアリール部位は5~10員ヘテロアリールである。
【0032】
「水和物」とは、化学量論的比率での、本明細書に記載の化合物の結晶格子中への水の取込みであって、その結果、付加物の形成が生じる水の取込みを意味する。水和物を製造する方法としては、限定されないが、水蒸気を含有する雰囲気中での貯蔵、水を含む剤形又は通常の薬剤処理工程、例えば結晶化(つまり、水又は混合水性溶媒からの)、凍結乾燥、湿式造粒、水性フィルムコーティング又は噴霧乾燥が挙げられる。水和物はまた、水蒸気に曝露されると、又は水中で無水材料を懸濁すると、結晶質溶媒和物から特定の状況下にて形成され得る。水和物はまた、複数の形態で結晶化し得て、その結果、水和物多形が生じる。例えば、(Guillory,K.,Chapter5,pp.202205 in Polymorphism in Pharmaceutical Solids,(Brittain,H.ed.),Marcel Dekker,Inc.,New York,NY,1999)を参照のこと。水和物を調製する上記の方法は、当業者の範囲内に十分あり、完全に従来通りであり、且つ当技術分野で一般的であることを超える実験は全く必要ない。水和物は、例えば単結晶X線回折、X線粉末回折、偏光顕微鏡法、サーマル顕微鏡法、熱重量測定法、示差熱分析、示差走査熱量測定、IR分光法、ラマン分光法及びNMR分光法などの当業者によく知られている方法によって特徴付けられ得て、且つ/又は分析され得る(Brittain,H.,Chapter6,pp.205208 in Polymorphism in Pharmaceutical Solids,(Brittain,H.ed.),Marcel Dekker,Inc.New York,1999)。さらに、多くの営利会社が、例えば、HOLODIAG,Pharmaparc II,Voie de l’Innovation,27100 Val de Reuil,France(http://www.holodiag.com)など、水和物の製造及び/又は特徴付けを含むサービスを常に提供している。
【0033】
「親芳香族環構造」とは、p電子共役系を有する不飽和環状又は多環式環構造を意味する。具体的には、例えば、フルオレン、インダン、インデン、フェナレン等の、その環のうち1つ又は複数が芳香族であり、且つその環のうち1つ又は複数が、飽和又は不飽和である縮合環構造が、「親芳香族環構造」の定義内に含まれる。一般的な親芳香族環構造としては、限定されないが、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ-2,4-ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレン等が挙げられる。
【0034】
「親複素芳香族環構造」とは、1つ又は複数の炭素原子(及び任意に、いずれかの関連する水素原子)がそれぞれ、互いに独立して、同一若しくは異なるヘテロ原子で置換されている、親芳香族環構造を意味する。炭素原子を置き換える一般的なヘテロ原子としては、限定されないが、N、P、O、S、Si等が挙げられる。具体的には、例えば、ベンゾジオキサン、ベンゾフラン、クロマン、クロメン、インドール、インドリン、キサンテンなど、その環のうち1つ又は複数が芳香族であり、且つその環のうち1つ又は複数が飽和又は不飽和である縮合環構造が、「親複素芳香族環構造」の定義内に含まれる。一般的な親複素芳香族環構造としては、限定されないが、arsインドール、カルバゾール、b-カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテン等が挙げられる。
【0035】
「薬剤として許容される塩」とは、親化合物の目的の薬理活性を保有する化合物の塩を意味する。かかる塩としては:(1)塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸で形成された酸付加塩;又は酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-二スルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクト-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、t-ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸等の有機酸で形成された酸付加塩;或いは(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、若しくはアルミニウムイオンによって置換された場合;又はエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミン等の有機塩基と配位する場合に形成される塩;が挙げられる。
【0036】
本明細書で使用される「プロドラッグ」とは、作用薬を体内に放出するために変換を必要とする薬物分子の誘導体を意味する。必ずしもそうではないが、プロドラッグはしばしば、親薬物に変換されるまで薬理学的に不活性である。
【0037】
本明細書で使用される「プロモイエティ(Promoiety)」とは、薬物分子内の官能基をマスクするために使用される場合に、薬物をプロドラッグへと変換する、保護基の形態を意味する。通常、プロモイエティは、生体内で酵素的又は非酵素的手段によって切断される結合を介して薬物に結合される。
【0038】
「保護基」とは、分子マスクにおける反応性官能基に結合された場合に、化学合成中に官能基の反応性を低減する、又は妨げる、原子のグループ化を意味する。保護基の例は、Green et al.,“Protective Groups in Organic Chemistry”,(Wiley,2nd ed.1991)及びHarrison et al.,“Compendium of Synthetic Organic Methods”,Vols.1-8(John Wiley and Sons,1971-1996)に記載されている。代表的なアミノ保護基としては、限定されないが、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(「CBZ」)、t-ブトキシカルボニル(「Boc」)、トリメチルシリル(「TMS」)、2-トリメチルシリル-エタンスルホニル(「SES」)、トリチル及び置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(「FMOC」)、ニトロベラトリルオキシカルボニル(「NVOC」)等が挙げられる。代表的なヒドロキシ保護基としては、限定されないが、ベンジル、及びトリチルエーテル並びにアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル及びアリルエーテルなど、ヒドロキシ基がアシル化又はアルキル化されている保護基が挙げられる。
【0039】
本明細書で使用される「老化」又は「老化細胞」とは、一部の細胞ストレスに応答して、老化に対する1つ又は複数のマーカーを細胞が獲得している状態を意味する。かかるマーカーは通常、細胞周期からの永久的停止、炎症性因子の生理活性セクレトームの発現、メチル化の変化、老化関連ヘテロクロマチン病巣(SAHF)、酸化ストレスの発現マーカー、DNA損傷のマーカーの発現、タンパク質及び脂質修飾、老化の形態学的特徴、リソソーム/液胞の変化及び老化関連βガラクトシダーゼの発現を含む(Lorenzo Galluzzi et al.(eds.),Cell Senescence:Methods and Protocols,Methods in Molecular Biology,vol.965,DOI 10.1007/978-1-62703-239-1_4,(著作権)Springer Science+Business Media,LLC2013参照)。
【0040】
本明細書で使用される「老化細胞除去剤」とは、老化細胞を「選択的に」(優先的に、又はより大きな程度に)破壊、死滅、除去する、又は老化細胞の選択的破壊を促進する、作用剤(agent)を意味する。言い換えると、非老化細胞を破壊若しくは死滅させるその能力と比較して、生物学的、臨床的、及び/又は統計学的に有意な手法で、老化細胞除去剤は老化細胞を破壊又は死滅させる。老化細胞除去剤は、確立された老化細胞を選択的に死滅させるのに十分な量及び時間で使用されるが、臨床的に有意な、又は生物学的に有意な手法で非老化細胞を死滅させるには不十分である。特定の実施形態において、本明細書に記載の老化細胞除去剤は、老化細胞の死を誘発する(つまり、開始し、刺激し、引き金となり、活性化し、促進する)手法で少なくとも1つのシグナル伝達経路を改変し、その結果、老化細胞死が起こる。
【0041】
「溶媒和物」とは、化学量論的比率での、本明細書に記載の化合物の結晶格子中への溶媒の取込みであって、その結果、付加物の形成が生じる溶媒の取込みを意味する。溶媒和物を製造する方法としては、限定されないが、溶媒を含有する雰囲気中での貯蔵、溶媒を含む剤形又は通常の薬剤処理工程、例えば結晶化(つまり、溶媒又は混合溶媒からの)、蒸気拡散法等が挙げられる。溶媒和物はまた、溶媒に曝露されると、又は溶媒中で材料を懸濁すると、他の結晶質溶媒和物又は水和物から特定の状況下にて形成され得る。溶媒和物はまた、複数の形態で結晶化し得て、その結果、溶媒和物多形が生じる。例えば、(Guillory,K.,Chapter5,pp.202205 in Polymorphism in Pharmaceutical Solids,(Brittain,H.ed.),Marcel Dekker,Inc.,New York,NY,1999)を参照のこと。溶媒和物を調製する上記の方法は、当業者の範囲内に十分あり、完全に従来通りであり、且つ当技術分野で一般的であることを超える実験は全く必要ない。溶媒和物は、例えば、単結晶X線回折、X線粉末回折、偏光顕微鏡法、サーマル顕微鏡法、熱重量測定法、示差熱分析、示差走査熱量測定、IR分光法、ラマン分光法及びNMR分光法などの当業者によく知られている方法によって特徴付けられ得て、且つ/又は分析され得る(Brittain,H.,Chapter6,pp.205208 in Polymorphism in Pharmaceutical Solids,(Brittain,H.ed.),Marcel Dekker,Inc.NewYork,1999)。さらに、多くの営利会社が、例えば、HOLODIAG,Pharmaparc II,Voie de l’Innovation,27100 Val de Reuil,France(http://www.holodiag.com)など、水和物の製造及び/又は特徴付けを含むサービスを常に提供している。
【0042】
指定の基又はラジカルを修飾するために使用される場合に、「置換」とは、指定の基又はラジカルの1つ又は複数の水素原子が互いに無関係に、同じ又は異なる置換基で置換されていることを意味する。指摘の基又はラジカルにおける飽和炭素原子の置換に有用な置換基としては、Ra、ハロ、-O-、=O、-ORb、-SRb、-S-、=S、-NRcRc、=NRb、=N-ORb、トリハロメチル、-CF3、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、-N-ORb、-N-NRcRc、-NRbS(O)2Rb、=N2、-N3、-S(O)2Rb、-S(O)2NRbRb、-S(O)2O-、-S(O)2ORb、-OS(O)2Rb、-OS(O)2O-、-OS(O)2ORb、-OS(O)2NRcNRc、-P(O)(O)2、-P(O)(ORb)(O-)、-P(O)(ORb)(ORb)、-C(O)Rb、-C(O)NRb-ORb-C(S)Rb、-C(NRb)Rb、-C(O)-OC(O)ORb、-C(S)ORb、-C(O)NRcRc、-C(NRb)NRcRc、-OC(O)Rb、-OC(S)Rb、-OC(O)O-、-OC(O)ORb、-OC(O)NRcRc、-OC(NCN)NRcRc-OC(S)ORb、-NRbC(O)Rb、-NRbC(S)Rb、-NRbC(O)O-、-NRbC(O)ORb、-NRbC(NCN)ORb、-NRbS(O)2NRcRc、-NRbC(S)ORb、-NRbC(O)NRcRc、-NRbC(S)NRcRc、-NRbC(S)NRbC(O)Ra、-NRbS(O)2ORb、-NRbS(O)2Rb、-NRbC(NCN)NRcRc、-NRbC(NRb)Rb及び-NRbC(NRb)NRcRcが挙げられ、Raはそれぞれ独立して、アリール、置換アリール、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり;Rbはそれぞれ独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル又は置換ヘテロアリールアルキルであり;且つRcはそれぞれ独立して、Rbであるか、又はその代わりとして、それらが結合される窒素原子と一体となった2つのRcが4員、5員、6員又は7員シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル又はアリール基と縮合されたシクロヘテロアルキルであって、任意に、O、N及びSからなる群から選択される同じ又は異なる追加のヘテロ原子を1~4個含み得る、シクロヘテロアルキルを形成する。具体的な例として、-NRcRcは、-NH2、-NH-アルキル、N-ピロリジニル及びN-モルホリニルを含むことを意味する。他の実施形態において、指定の基又はラジカルにおける飽和炭素原子の置換に有用な置換基としては、Ra、ハロ、-ORb、-NRcRc、トリハロメチル、-CN、-NRbS(O)2Rb、-C(O)Rb、-C(O)NRb-ORb、-C(O)ORb、-C(O)NRcRc、-OC(O)Rb、-OC(O)ORb、-OS(O)2NRcNRc、-OC(O)NRcRc、及び-NRbC(O)ORbが挙げられ、Raはそれぞれ独立して、アルキル、アリール、ヘテロアリールであり、Rbはそれぞれ独立して、水素、Ra、ヘテロアルキル、アリールアルキルヘテロアリールアルキルであり;且つRcはそれぞれ独立して、Rbであるか、又はその代わりとして、それらが結合される窒素原子と一体となった2つのRcが4員、5員、6員又は7員シクロヘテロアルキル環を形成する。
【0043】
指定の基又はラジカルにおける不飽和炭素原子の置換に有用な置換基としては、-Ra、ハロ、-O-、-ORb、-SRb、-S-、-NRcRc、トリハロメチル、-CF3、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、-N3、-S(O)2O-、-S(O)2ORb、-OS(O)2Rb、-OS(O)2ORb、-OS(O)2O-、-P(O)(O)2、-P(O)(ORb)(O-)、-P(O)(ORb)(ORb)、-C(O)Rb、-C(S)Rb、-C(NRb)Rb、-C(O)-OC(O)ORb、-C(S)ORb、-C(O)NRcRc、-C(NRb)NRcRc、-OC(O)Rb、-OC(S)Rb、-OC(O)O-、-OC(O)ORb、-OC(S)ORb、-OC(O)NRcRc、-OS(O)2NRCNRc、-NRbC(O)Rb、-NRbC(S)Rb、-NRbC(O)O-、-NRbC(O)ORb、-NRbS(O)2ORa、-NRbS(O)2Ra、-NRbC(S)ORb、-NRbC(O)NRcRc、-NRbC(NRb)Rb及び-NRbC(NRb)NRcRcが挙げられ、Ra、Rb及びRcは上記で定義される通りである。他の実施形態において、指定の基又はラジカルにおける不飽和炭素原子の置換に有用な置換基としては、-Ra、ハロ、-ORb、-SRb、-NRcRc、トリハロメチル、-CN、-S(O)2ORb、-C(O)Rb、-C(O)ORb、-C(O)NRcRc、-OC(O)Rb、-OC(O)ORb、-OS(O)2NRcNRc、-NRbC(O)Rb及び-NRbC(O)ORbが挙げられ、Ra、Rb及びRcは上記で定義される通りである。
【0044】
ヘテロアルキル及びシクロヘテロアルキル基における窒素原子の置換に有用な置換基としては、限定されないが、-Ra、-O-、-ORb、-SRb、-S-、-NRcRc、トリハロメチル、-CF3、-CN、-NO、-NO2、-S(O)2Rb、-S(O)2O-、-S(O)2ORb、-OS(O)2Rb、-OS(O)2O-、-OS(O)2ORb、-P(O)(O)2、-P(O)(ORb)(O-)、-P(O)(ORb)(ORb)、-C(O)Rb、-C(S)Rb、-C(NRb)Rb、-C(O)ORb、-C(S)ORb、-C(O)NRcRc、-C(NRb)NRcRc、-OC(O)Rb、-OC(S)Rb、-OC(O)ORb、-OC(S)ORb、-NRbC(O)Rb、-NRbC(S)Rb、-NRbC(O)ORb、-NRbC(S)ORb、-NRbC(O)NRcRc、-NRbC(NRb)Rb及び-NRbC(NRb)NRcRcが挙げられ、Ra、Rb及びRcは上記で定義される通りである。一部の実施形態において、ヘテロアルキル及びシクロヘテロアルキル基における窒素原子の置換に有用な置換基としては、Ra、ハロ、-ORb、-NRcRc、トリハロメチル、-CN、-S(O)2ORb、-OS(O)2Rb、-OS(O)2ORb、-C(O)Rb、-C(NRb)Rb、-C(O)ORb、-C(O)NRcRc、-OC(O)Rb、-OC(O)ORb、-OS(O)2NRcNRc、-NRbC(O)Rb及び-NRbC(O)ORbが挙げられ、Ra、Rb及びRcは上記で定義される通りである。
【0045】
指定の基又は原子の置換に有用な上記のリストからの置換基は、当業者には明らかであるだろう。
【0046】
指定の基の置換に使用される置換基はさらに、通常、上記で指定される種々の基から選択される同一又は異なる基の1つ若しくは複数でさらに置換され得る。
【0047】
本明細書で使用される「老化細胞除去剤」とは、老化細胞を「選択的に」(優先的に、又はより大きな程度に)破壊、死滅、除去する、又は老化細胞の選択的破壊を促進する、作用剤を意味する。言い換えると、非老化細胞を破壊若しくは死滅させるその能力と比較して、生物学的、臨床的、及び/又は統計学的に有意な手法で、老化細胞除去剤は老化細胞を破壊又は死滅させる。老化細胞除去剤は、確立された老化細胞を選択的に死滅させるのに十分な量及び時間で使用されるが、臨床的に有意な、又は生物学的に有意な手法で非老化細胞を死滅させるには不十分である。特定の実施形態において、本明細書に記載の老化細胞除去剤は、老化細胞の死を誘発する(つまり、開始し、刺激し、引き金となり、活性化し、促進する)手法で少なくとも1つのシグナル伝達経路を改変し、その結果、老化細胞死が生じる。
【0048】
化合物及び方法の特定の実施形態がここで詳細に参照される。開示の実施形態は、特許請求の範囲を制限することを意図しない。それと反対に、特許請求の範囲は、すべての代替物、修正形態及び均等物を包含することが意図される。
【0049】
新規な合成中間体
新規な老化細胞除去剤(同時係属中の米国特許出願第17/943824号明細書参照)及び新規な診断剤(同時係属中の米国特許出願第17/943836号明細書参照)に組み込まれ得る、新規な化合物が本明細書で提供される。新規な老化細胞除去剤は、非老化細胞に対する毒性が最小限であると同時に、老化細胞を死滅させる向上した選択性を有し得る。新規な診断剤は、新規な老化細胞除去剤に組み込まれ得る、新規な糖を同定し得る。
【0050】
一態様において、式(I)又は式(II):
【化3】
の化合物、又はその薬学的に利用可能な塩、水和物及び溶媒和物が提供され、
上記式中、R
1は、-H、-R
15、-C(O)R
16又は-NH
2であり;R
2は、-H、-F、-OH、-OC(O)R
9又は-OC(O)OR
10であり;R
3は、-H、-F、-OH、-OC(O)R
11又は-OC(O)OR
12であり;R
4は、-H、-F、-OH、-OC(O)R
13又は-OC(O)OR
14であり;その代わりとして、R
3及びR
4の両方が、それらが結合される原子と共に、5員環状アセタールを形成し、それが、アセタール炭素にてR
19によって置換され;その代わりとして、R
3及びR
4の両方が、それらが結合される原子と共に、5員環状カーボネートを形成し;R
5は、-CH
3、-CH
2OH、-OC(O)R
17又は-OC(O)OR
18であり;R
6は-H又は-Fであり;R
7は-H又は-Fであり;R
8は-H又は-Fであり;R
9~R
18は独立して、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、置換シクロヘテロアルケニル、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり;R
19は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、置換シクロヘテロアルケニル、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり、但し、R
2、R
3又はR
4のうちの1つ又は2つのみが-Fであることを条件とし;但し、R
4が-Fである場合のみ、R
6が-Fであり、R
3が-Fである場合のみ、R
7が-Fであり;R
2が-Fである場合のみ、R
8が-Fであることを条件とし;但し、R
1がHであり、且つR
5が-CH
3であり、且つR
3及びR
4が-OHである場合、次いでR
2は-H又は-Fでないことを条件とし;但し、R
1がHであり、且つR
5が-CH
3であり、且つR
2及びR
4が-OHである場合、次いでR
3は-H又は-Fではないことを条件とし;但し、R
1がHであり、且つR
5が-CH
3であり、且つR
4が-Hである場合、次いでR
2及びR
3がどちらも-OHではないことを条件とし;但し、R
1が-CH
3又は-C(O)CH
3であり、R
2は-Fであり、且つR
5は-CH
3である場合、次いでR
3は-Fではないことを条件とし;但し、R
1は-CH
3又は-C(O)CH
3であり、R
2は-Fであり、且つR
5は-CH
3である場合、次いでR
3及びR
4はどちらも-OH、-OC(O)Ph又は-OC(O)CH
3ではないことを条件とし;但し、R
1は-CH
3であり、R
2は-Fであり、且つR
5は-CH
3である場合、次いでR
3は-OC(O)CH
3ではなく、且つR
4は-OC(O)Phではないことを条件とし;但し、R
1は-C(O)Phであり、R
2は-Fであり、且つR
5は-CH
3である場合、次いでR
3及びR
4はどちらも-C(O)Phではないことを条件とし;但し、R
1は-C(O)Phであり、R
4は-Fであり、且つR
5は-CH
3である場合、次いでR
2及びR
3はどちらも-C(O)Phではないことを条件とし;但し、R
1は-C(O)CH
3であり、R
4は-Fであり、且つR
5は-CH
3である場合、次いでR
2及びR
3はどちらも-C(O)CH
3ではないことを条件とし;但し、R
1は-CH(CH
3)
2又は-(CH
3)
3であり、R
2は-Fであり、且つR
5は-CH
3である場合、次いでR
3及びR
4はどちらも-C(O)CH
3ではないことを条件とし;但し、R
1は-CH
3であり、R
2は-Hであり、且つR
5は-CH
3である場合、次いでR
3及びR
4はどちらも-C(O)CH
3ではないことを条件とし;但し、R
1は-CH
3、-C
2H
5であり、R
3は-Fであり、且つR
5は-CH
3である場合、次いでR
2及びR
4はどちらも-OHではないことを条件とし;但し、R
1は-CH
3であり、R
4は-Fであり、且つR
5は-CH
3である場合、次いでR
3及びR
4はどちらも-OH又は-C(O)CH
3ではないことを条件とし;但し、R
1は、-CH
3、-C(O)CH
3、-C
2H
5、アリル、オクチル又はドデシルであり、R
2は-Fであり、且つR
5は、-CH
2OH又は-OC(O)R
17である場合、次いでR
3及びR
4はどちらも-OHではないことを条件とし;但し、R
1は-CH
3であり、R
2は-Fであり、且つR
5は-CH
2OH又は-OC(O)R
17である場合、次いでR
3及びR
4はどちらも-C(O)Ph又は-C(O)CH
3であることを条件とし;但し、R
1は-CH
3、オクチル、ドデシルであり、R
3は-Fであり、且つR
5は-CH
2OH又は-OC(O)R
17である場合、次いでR
2及びR
4はどちらも-OHではないことを条件とし;但し、R
1は-CH
3であり、R
3は-Fであり、且つR
5は-CH
2OH又は-OC(O)R
17である場合、次いでR
2及びR
4はどちらも-OC(O)CH
3又は-C(O)Phではないことを条件とし;但し、R
1は-CH
3であり、R
4は-Fであり、且つR
5は-CH
2OH又は-OC(O)R
17である場合、次いでR
2及びR
3はどちらも-OHではないことを条件とする。
【0051】
一部の実施形態において、R1は、-CH3、アリル、-C(O)CH3、-C(O)Ph、-C2H5、オクチル、-CH(CH3)2、-(CH3)3、又はドデシルではない。他の実施形態において、R1は-Hではない。
【0052】
一部の実施形態において、R2は-H又は-Fであり、R3は-H又は-Fである。他の実施形態において、R2は-H又は-Fであり、R4は-H又は-Fである。
【0053】
一部の実施形態において、R3は-H又は-Fであり、R4は-H又は-Fである。他の実施形態において、R2は-H又は-Fであり、R3は-Fであり、且つR7は-Fである。他の実施形態において、R2は-H又は-Fであり、R4は-Fであり、且つR6は-Fである。さらに他の実施形態において、R3は-H又は-Fであり、R4は-Fであり、且つR6は-Fである。さらに他の実施形態において、R2は-Fであり、R8は-Fであり、且つR3は-H又は-Fである。さらに他の実施形態において、R2は-Fであり、R8は-Fであり、且つR4は-H又は-Fである。さらに他の実施形態において、R3は-Fであり、R7は-Fであり、且つR4は-H又は-Fである。
【0054】
一部の実施形態において、R2は-Fであり、且つR8は-Fである。他の実施形態において、R3は-Fであり、且つR7は-Fである。さらに他の実施形態において、R4は-Fであり、且つR6は-Fである。
【0055】
一部の実施形態において、R2は-H又は-Fである。他の実施形態において、R3は-H又は-Fである。さらに他の実施形態において、R4は-H又は-Fである。
【0056】
一部の実施形態において、R9~R19は独立して、アルキル、アルケニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、又はシクロヘテロアルキルである。他の実施形態において、R9~R19は独立して、(C1~C4)アルキル、(C1~C4)アルケニル、フェニル、置換フェニル、(C5~C7)シクロアルキル又は(C5~C7)シクロヘテロアルキルである。
【0057】
上記の実施形態の一部において、R1は-Hである。上記の実施形態の一部において、R1は-CH3である。上記の実施形態の他の一部において、R1は-C(O)CH3又は-C(O)Phである。
【0058】
別の態様において、式(III)又は式(IV):
【化4】
の化合物、又はその薬学的に利用可能な塩、水和物及び溶媒和物が提供され、
上記式中、R
1は-H、-R
15、-NH
2又は-C(O)R
16であり;R
2は、-H、-F、-OH、-OC(O)R
9又は-OC(O)OR
10であり;R
3は、-H、-F、-OH、-OC(O)R
11又は-OC(O)OR
12であり;R
4は、-H、-F、-OH、-OC(O)R
13又は-OC(O)OR
14であり;その代わりとして、R
3及びR
4が、それらが結合される原子と共に、5員環状アセタールを形成し、それが、アセタール炭素にてR
19によって置換され;その代わりとして、R
3及びR
4の両方が、それらが結合される原子と共に、5員環状カーボネートを形成し;R
5は-CH
2F、-CHF
2又は-CF
3であり;R
6は-H又は-Fであり;R
7は-H又は-Fであり;R
8は-H又は-Fであり;R
9~R
16は独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、置換シクロヘテロアルケニル、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり;R
19は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、シクロヘテロアルケニル、置換シクロヘテロアルケニル、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり、任意に、R
2、R
3又はR
4のうちの1つが-H又は-Fであり;但し、R
4が-Fである場合のみ、R
6が-Fであり;R
3が-Fである場合のみ、R
7が-Fであり;R
2が-Fである場合のみ、R
8が-Fであることを条件とし;但し、R
1がHである場合、次いでR
2、R
3及びR
4はすべて-OHではないことを条件とし;但し、R
1がH又はフェニルであり、R
5が-CH
2Fであり、且つR
4が-Fである場合、次いでR
2及びR
3はどちらも-OHではないことを条件とし;但し、R
1が-CH
3、-C
2H
5、アリル、オクチル、ドデシル又は置換フェニルであり、且つR
5が-CH
2Fである場合、次いでR
2、R
3及びR
4が-OHではないことを条件とし;但し、R
1が-CH
3又はアリルであり、R
5が-CH
2Fであり、且つR
4が-OHである場合、次いでR
2及びR
3は-C(O)Phではないことを条件とし;但し、R
1が-CH
3、アリル、-C(O)CH
3、ドデシル、置換フェニルであり、且つR
5が-CH
2Fである場合、次いでR
2、R
3及びR
4は-C(O)CH
3ではないことを条件とし;但し、R
1が-C(O)CH
3であり、且つR
5が-CHF
2である場合、次いでR
2、R
3及びR
4は-C(O)CH
3ではないことを条件とし;但し、R
1が-C(O)CH
3であり、且つR
5が-CF
3である場合、次いでR
2、R
3及びR
4は-C(O)CH
3ではないことを条件とし;但し、R
1が、-CH
3、-C(O)Ph、又はアリルであり、且つR
5が-CH
2Fである場合、次いでR
2、R
3及びR
4は-C(O)Phではないことを条件とし;但し、R
1が-CH
3又はアリルであり、R
5が-CH
2Fであり、且つR
4が-OHである場合、次いでR
2及びR
3はどちらも-C(O)Phではないことを条件とし;但し、R
1が置換フェニルであり、R
5が-CH
2Fであり、R
3及びR
4が-Fである場合、次いでR
2は-OHではないことを条件とし;但し、R
1が、H、-C(O)CH
3又は-CH
2CH
2OHであり、且つR
5が-CH
2Fであり、且つR
4が-Fである場合、次いでR
2及びR
3は-C(O)CH
3ではないことを条件とし;但し、R
1が-C(O)CH
3であり、且つR
5が-CH
2Fである場合、次いでR
2、R
3及びR
4はすべて-C(O)Phではないことを条件とし;但し、R
1及びR
4が-C(O)CH
3であり、且つR
5が-CH
2Fである場合、次いでR
2及びR
3は-C(O)Phではないことを条件とし;但し、R
1が-C(O)Phであり、且つR
5が-CH
2Fである場合、次いでR
2、R
3及びR
4は-C(O)Phではないことを条件とし;但し、R
1が-C(O)Ph(フェニルが、-CO
2CH
3で置換されている)であり、且つR
5が-CH
2Fである場合、次いでR
2、R
3及びR
4は-C(O)CH
3ではないことを条件とする。
【0059】
一部の実施形態において、R5が-CH2Fである場合、R1は、-CH3、-C(O)CH3、アリル、オクチル、ドデシル又は置換フェニルではない。他の実施形態において、R1は、-CH3、-C(O)Ph、-C(O)CH3、アリル、オクチル、ドデシル又は置換フェニルではない。さらに他の実施形態において、R1は-Hではない。
【0060】
一部の実施形態において、R2は-H又は-Fであり、且つR3は-H又は-Fである。他の実施形態において、R2は-H又は-Fであり、且つR4は-H又は-Fである。さらに他の実施形態において、R3は-H又は-Fであり、且つR4は-H又は-Fである。
【0061】
一部の実施形態において、R2は-H又は-Fであり、R3は-Fであり、且つR7は-Fである。他の実形態において、R2は-H又は-Fであり、R4は-Fであり、且つR6は-Fである。さらに他の実施形態において、R3は-H又は-Fであり、R4は-Fであり、且つR6は-Fである。
【0062】
一部の実施形態において、R2は-Fであり、R8は-Fであり、且つR3は-H又は-Fである。他の実形態において、R2は-Fであり、R8は-Fであり、且つR4は-H又は-Fである。さらに他の実施形態において、R3は-Fであり、R7は-Fであり、且つR4は-H又は-Fである。
【0063】
一部の実施形態において、R2は-Fであり、且つR8は-Fである。他の実形態において、R3は-Fであり、且つR7は-Fである。さらに他の実施形態において、R4は-Fであり、且つR6は-Fである。
【0064】
一部の実施形態において、R2は-H又は-Fである。他の実施形態において、R3は-H又は-Fである。さらに他の実施形態において、R4は-H又は-Fである。
【0065】
一部の実施形態において、R9~R16及びR19は独立して、アルキル、アルケニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル又はシクロヘテロアルキルである。他の実施形態において、R9~R16及びR19は独立して、(C1~C4)アルキル、(C1~C4)アルケニル、フェニル、置換フェニル、(C5~C7)シクロアルキル又は(C5~C7)シクロヘテロアルキルである。
【0066】
上記の実施形態の一部において、R1は-Hである。上記の実施形態の一部において、R1は-CH3である。上記の実施形態のさらに他の一部において、R1は-C(O)CH3又は-C(O)Phである。
【0067】
例示的な化合物を以下の表1に示す。
【0068】
【0069】
式(I)及び(II)の化合物は、炭水化物化学の当業者によく知られた従来の方法によって製造され得る。本明細書に記載の化合物を合成する例示的な方法は、実験セクションのスキーム1~8に記載されている。
【0070】
以下の実施例は、説明的な目的で提供されており、本発明の範囲を制限することを意図しない。
【実施例】
【0071】
【0072】
スキーム1は、化合物211の製造を例示する。
1,2,3,4-テトラ-O-アセチル-L-フコース(205)
【化6】
【0073】
無水酢酸(400mL、4.23mol)とピリジン(800mL、9.9mol)の溶液に、L-フコース(204)(50g,0.3mol)を溶解した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、減圧下にて濃縮し、残留物をEtOAc(2000mL)で希釈し、水(1000mL)、10%クエン酸水溶液(3×700mL)、水(1000mL)及びブライン(1000mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させて、濾過し、減圧下にて濃縮した。残留物をトルエン(200mL)との共沸混合物とし、高真空下にて乾燥させて、粗生成物1,2,3,4-テトラ-O-アセチル-L-フコース(205)(100g,定量的)を得て、さらに精製することなく、次の工程に使用した。
【0074】
(2S,3R,4R,5S)-4,5-ビス(アセチルオキシ)-6-ブロモ-2-メチルオキサン-3-イルアセテート(206)
【化7】
1,2,3,4-テトラ-O-アセチル-L-フコース(205)(101g,0.3mol)を無水ジクロロメタン(500mL)に溶解し、0℃に冷却した。次いで、HBr(AcOH中に33%,135mL)を添加し、2時間攪拌しながら、反応混合物を室温に温めた。反応混合物を氷/水混合物に注ぎ、有機層を分離した。水相をCH
2Cl
2(200mL)で抽出し、飽和NaHCO
3(100mL)、ブライン(150mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下にて濃縮して(2S,3R,4R,5S)-4,5-ビス(アセチルオキシ)-6-ブロモ-2-メチルオキサン-3-イルアセテート化合物(206)(115g,定量的)を黄色のオイルとして得た。さらに精製することなく、粗製材料を次の工程に使用した。
【0075】
(2S,3R,4S)-4-(アセチルオキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-3-イルアセテート(207)
【化8】
還流での、無水酢酸エチル(1200mL)中のZn(111g,1.7mol)及び1-メチル-イミダゾール(25mL,0.31mol)の攪拌溶液に、無水酢酸エチル(200mL)中の(2S,3R,4R,5S)-4,5-ビス(アセチルオキシ)-6-ブロモ-2-メチルオキサン-3-イルアセテート(206)(100g,0.28mol)の溶液を一滴ずつ40分間にわたって添加した。TLC分析によって、反応が完了したと示されるまで、反応混合物を還流にて3時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、さらに30分間攪拌し、次いで、セライトのパッドを通して濾過した。減圧下での濃縮によって、粗生成物が得られ、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の0~10%EtOAc)によって精製して、(2S,3R,4S)-4-(アセチルオキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-3-イルアセテート,化合物(207)(38g,収率63%)を得た。
【0076】
(2S,3R,4S)-4,6-ビス(アセチルオキシ)-2-メチルオキサン-3-イルアセテート(208)
【化9】
無水ジクロロメタン(500mL)中の(2S,3R,4S)-4-(アセチルオキシ)-2-メチル-3,4-ジヒドロ-2H-ピラン-3-イルアセテート、化合物(207)(75g,0.35mol)の冷溶液(氷/水浴)に、酢酸(190mL,3.3mol)及び無水酢酸(290mL,3mol)を添加した。反応混合物を15分間攪拌し、AcOH(19mL)中の33%HBr溶液を添加した。反応混合物をさらに30分間攪拌し、その時点で、溶液が淡黄色に変化した。TLC分析から、出発原料の完全な消費が示された(下のスポット,25%EtOAc/ヘキサン)。氷/水混合物を添加して、反応を停止した。有機層を水(2×1L)に続いて、冷たい飽和NaHCO
3水溶液(1L)、水(1L)及びブライン(1L)で徹底的に洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、真空内で濃縮して、粗生成物を得て、それをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の0~20%EtOAc)によって精製し、白色の固体として、目的の生成物(2S,3R,4S)-4,6-ビス(アセチルオキシ)-2-メチルオキサン-3-イルアセテート、化合物(208)(83g,収率86.2%)を得た。
【0077】
(2S,3R,4S,6S)-4-(アセチルオキシ)-6-ブロモ-2-メチルオキサン-3-イルアセテート(209)
【化10】
無水ジクロロメタン(700mL)中の(2S,3R,4S)-4,6-ビス(アセチルオキシ)-2-メチルオキサン-3-イルアセテート(208)(82g,0.3mol)の溶液に、0℃のAcOH(80mL)中の33%HBrを添加した。反応混合物を15分間攪拌し、次いで氷冷水(300mL)を添加して、反応を停止した。水相をジクロロメタン(3×700mL)で抽出し、合わせた有機層をブライン(2×500mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空内で濃縮して、(2S,3R,4S,6S)-4-(アセチルオキシ)-6-ブロモ-2-メチルオキサン-3-イルアセテート、化合物(209)を粘着性のオイルとして得た。次いで、可能な限り早く、さらに精製することなく、粗製材料を次の工程に取り入れた。
【0078】
(2S,3R,4S,6S)-4-(アセチルオキシ)-6-[(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-2-イル)オキシ]-2-メチルオキサン-3-イルアセテート(210)
【化11】
【0079】
無水ジクロロメタン(600mL)中の粗製(2S,3R,4S,6S)-4-(アセチルオキシ)-6-ブロモ-2-メチルオキサン-3-イルアセテート(209)及びN-ヒドロキシフタルイミド(54g,0.33mol)の溶液に、トリエチルアミン(55mL,0.33mol)を添加し、続いて0℃でBF3OEt2(92mL,0.75mol)を添加した。反応混合物を室温にし、緑がかった灰色に変わるまで、1時間攪拌した。冷たい飽和NaHCO3溶液(500mL)を添加し、有機層を分離した。水層をジクロロメタン(3×500mL)で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下にて濃縮して、粗製材料を得た。シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の10%~60%EtOAc)によって、(2S,3R,4S,6S)-4-(アセチルオキシ)-6-[(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-2-イル)オキシ]-2-メチルオキサン-3-イルアセテート(210)が白色の泡沫状固体として得られた(75g,2工程にわたって収率66%)。LC/MS(方法B):RT=4.32分;m/z=377.1,実測=378.2[M+H]+.合計時間=12分。1H NMR(500MHz,CDCl3):δ7.85(ddd,J=5.5,3.3,0.6Hz,2H),7.76(ddd,J=5.9,2.9,0.8Hz,2H),5.62-5.52(m,1H),5.43(ddd,J=12.5,5.3,3.0Hz,1H),5.38-5.23(m,1H),4.97(td,J=6.7,6.7,5.6Hz,1H),2.35-2.18(m,2H),2.17(s,3H),2.03(d,J=0.6Hz,3H),1.14(dd,J=6.5,0.6Hz,3H).
【0080】
実施例1:(2S,3R,4S,6S)-4-(アセチルオキシ)-6-(アミノオキシ)-2-メチルオキサン-3-イルアセテート(211)
【化12】
メタノール(500mL)中の(2S,3R,4S,6S)-4-(アセチルオキシ)-6-[(1,3-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-2-イル)オキシ]-2-メチルオキサン-3-イルアセテート(210)(25g,0.066mol)の溶液を氷/水浴下で0℃に冷却した。ヒドラジン水和物(5.5mL,0.066mol)をゆっくりと添加し、得られた反応混合物を0℃でさらに30分間攪拌した。沈殿物を濾過し、濾液をジクロロメタン(500mL)で希釈し、冷たいNaHCO
3水溶液(2×350mL)、水(350mL)及びブライン(350mL)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下にて濃縮して、粗製(2S,3R,4S,6S)-4-(アセチルオキシ)-6-(アミノオキシ)-2-メチルオキサン-3-イルアセテート、化合物(211)(12g,収率78%)をオフホワイトの泡沫状固体として得た。LC/MS(方法A):RT=1.22分;m/z=247.2,実測=248.3[M
+H]
+.合計時間=6分。
【0081】
スキーム2は、化合物217の製造を例示する。
【化13】
【0082】
(1R,2R,6S,7R,8R)-4,4-ジブチル-3,5,10,11-テトラオキサ-4-スタンナトリシクロ[6.2.1.02,6]ウンデカン-7-オール(213)
【化14】
水を共沸除去するために備えられた装置で、トルエン(150mL)中の1,6-アンヒドロ-β-D-グルコース(212)(5.00g,30.8mmol,1.00当量)と酸化ジブチルスズ(IV)(7.68g,30.8mmol,1.00当量)の混合物を12時間還流した(Grindley et al.,Carbohydrate Res.1988,172,311参照)。冷却された混合物を減圧下にて蒸発させ、粗製スタニレン誘導体(213)を白色の半固体として得て、それを精製することなく使用した。
【0083】
1,6-アンヒドロ-4-O-p-トリルスルホニル-β-D-グルコピラノース(214)
【化15】
テトラヒドロフラン(300mL)中の(1R,2R,6S,7R,8R)-4,4-ジブチル-3,5,10,11-テトラオキサ-4-スタンナトリシクロ[6.2.1.02,6]ウンデカン-7-オール(213)(12.54g,31.9mmol,1.00当量)の溶液に、トリエチルアミン(4.9mL,35.1mmol,1.10当量)及び粉末状4A分子ふるい(3g)を添加した。p-トルエンスルホニルクロリド(6.69g,35.1mmol,1.10当量)を添加し、混合物を力強く2日間攪拌し、次いでセライトを通して濾過した。濾液を蒸発させて、残留物をジクロロメタン(150mL)で希釈した。有機溶液を水(2×50mL)で洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、蒸発させた。溶離剤としてジクロロメタン:2-メチルテトラヒドロフラン(7:3)を用いて、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって粗製材料を精製した。溶出する第1成分は、1,6-アンヒドロ-2,4-ジ-O-p-トリルスルホニル-β-D-グルコピラノースであり、容易に分離した。第2成分は目的の生成物(214)(無色のオイル約8g)であり、分離するのが難しい、他の位置異性体1,6-アンヒドロ-2-O-p-トリルスルホニル-β-D-グルコピラノースが混入した。アセトン、エーテル、及び石油エーテルの混合物(沸点30~60℃)から、混合物を再結晶化して、白色の針状晶(needles)として目的の生成物を得た。第2の再結晶化によって、単一の位置異性体として純粋な生成物(2.2g,22%)が得られた。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):d7.83(d,J=8.3Hz,2H),7.38(d,J=8.1Hz,2H),5.48(s,1H),4.65(d,J=5.4Hz,1H),4.42(s,1H),4.13(d,J=8.1Hz,1H),3.79-3.71(m,2H),3.49(dd,J=0.9,11.3Hz,1H),2.50(d,J=7.5Hz,1H),2.47(s,3H),2.32(d,J=11.4Hz,1H).
【0084】
1,6-アンヒドロ-2,3-ビス(O-メトキシメチル)-4-O-(4-トルエンスルホニル)-β-D-グルコピラノース(215)
【化16】
ジクロロメタン(50mL)中の[(1R,2S,3R,4R,5R)-3,4-ジヒドロキシ-6,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン-2-イル]4-メチルベンゼンスルホネート(214)(2.20g,6.95mmol,1.00当量)の攪拌溶液に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(13mL,76.5mmol,11.0当量)及びクロロメチルメチルエーテル(5.3mL,69.5mmol,10.0当量)を添加した。混合物を40℃で4時間攪拌した結果、茶色の溶液が形成された。その溶液を冷却し、次いで水(50mL)でクエンチした。混合物をジクロロメタン(2×50mL)で抽出し、合わせた有機相をブライン(100mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下にて濃縮した。粗製残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル40g,酢酸エチル/ヘキサン,5~50%)によって精製し、[(1R,2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス(メトキシメトキシ)-6,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン-2-イル]4-メチルベンゼンスルホネート(215)(2.10g,5.19mmol,75%)を無色のオイルとして得た。Rf=0.5(シリカ,酢酸エチル/シクロヘキサン1:1)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):d7.84(d,J=8.3Hz,2H),7.36(d,J=8.1Hz,2H),5.46(s,1H),4.68-4.63(m,2H),4.59(s,2H),4.58-4.53(m,1H),4.44(s,1H),4.04(d,J=7.7Hz,1H),3.86-3.84(m,1H),3.71(dd,J=6.0,7.5Hz,1H),3.52-3.50(m,1H),3.37(s,3H),3.32(s,3H),2.45(s,3H).
【0085】
1,6-アンヒドロ-4-デオキシ-4-フルオロ-2,3-ビス(O-メトキシメチル)-β-D-ガラクトピラノース)(216)
【化17】
フッ化テトラブチルアンモニウム(THF中に1M,55mL,10当量)中で[(1R,2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス[3.2.1]オクタン-2-イル]4-メチルベンゼンスルホネート(215)(2.10g,5.19mmol,1.00当量)を、還流下にて5日間攪拌した。黒色の混合物を冷却し、蒸発させた。残留物を水(100mL)で希釈し、混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下にて濃縮した。粗製材料をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,酢酸エチル/シクロヘキサン,0~30%)によって精製し、(1R,2S,3R,4R,5R)-2-フルオロ-3,4-ビス(メトキシメトキシ)-6,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン(216)を淡黄色のオイル(470mg,収率25%,純度70%)として得た。目的のフルオロ生成物及び未知の他の生成物を含有する、分離できないこの混合物を、さらに精製することなく次の工程に使用した。Rf=0.51(シリカ,酢酸エチル/シクロヘキサン2:3)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3)は、主要な成分としての生成物(215)(純度約70%)と一致した。
【0086】
実施例2:1,2,3,6-テトラ-O-アセチル-4-デオキシ-4-フルオロ-α/β-D-ガラクトピラノース(217)
【化18】
0℃の無水酢酸(5.3mL,55.9mmol,30.0当量)中の化合物(1R,2S,3R,4R,5R)-2-フルオロ-3,4-ビス(メトキシメトキシ)-6,8-ジオキサビシクロ[3.2.1]オクタン(216)(470mg,1.86mmol,1.00当量)(純度70%)を含有する混合物の攪拌溶液に、硫酸(0.99mL,18.6mmol,10.0当量)を一滴ずつ添加した。混合物を室温で72時間攪拌した。次いで、混合物を0℃に冷却し、酢酸ナトリウム(3.06g,37.3mmol,20.0当量)を添加し、さらに20分間攪拌し、次いで水(20mL)でクエンチした。混合物をジクロロメタン(3×15mL)で抽出した。合わせた有機相を連続して、水(3×30mL)及びブライン(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下にて濃縮した。粗製残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,12g 15μm,シクロヘキサン中の酢酸エチル,1~40%)によって精製し、無色のオイル(360mg,純度90%,収率約50%)として生成物[(2R,3S,4R,5R)-4,5,6-トリアセトキシ-3-フルオロ-テトラヒドロピラン-2-イル]酢酸メチル(217)(360mg,0.925mmol,50%)のアノマー混合物(α/β=4:1)を得た。Rf=0.4(シリカ,AcOEt/ヘキサン,1:1)。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):δ6.39(d,J=3.5Hz,1H),5.43-5.39(m,1H),5.32-5.21(m,1H),4.97(dd,J=2.7,50.2Hz,1H),4.32-4.16(m,3H),2.16(s,3H),2.14(s,3H),2.09(s,3H),2.03(s,3H).
【0087】
スキーム3は、化合物222及び223の製造を例示する。
【化19】
【0088】
[(3aR,5R,6S,6aR)-5-[(4R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル]-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソl-6-イル]4-メチルベンゼンスルホネート(219)
【化20】
1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グルコフラノース(218)(5000mg,19.2mmol,1.00当量)をピリジン(30mL)に溶解し、4-(ジメチルアミノ)ピリジン(235mg,1.92mmol,0.1000当量)を添加し、続いてp-トルエンスルホニルクロリド(7.32g,38.4mmol,2.00当量)を添加した。淡黄色の反応混合物を室温で一晩攪拌した。TLC分析(EtOAc/シクロヘキサン1:2)から、出発原料:生成物が約1:1であることが分かった。追加の4-(ジメチルアミノ)ピリジン(235mg,1.92mmol,0.1000当量)を添加し、混合物を72時間攪拌し、溶媒を真空内で除去した。残留物をEtOAcに溶解し、溶液を水(残留ピリジンを除去するため3×)、ブラインで洗浄し、乾燥させ、蒸発させた。粗製材料をシリカクロマトグラフィー(シリカ120g,シクロヘキサン中の0~20%EtOAc)によって精製し、未反応TsClが除去され、生成物が溶出された。生成物の画分を合わせ、蒸発させ、白色の結晶質物質として標題化合物(219)(7g,88%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):d7.84(d,J=8.3Hz,2H),7.34(d,J=8.1Hz,2H),5.92(d,J=3.7Hz,1H),4.84(d,J=3.8Hz,1H),4.79(d,J=2.4Hz,1H),4.06-3.89(m,4H),2.46(s,3H),1.48(s,3H),1.31(s,3H),1.20(s,3H),1.15(s,3H).
【0089】
(3aR,6aR)-5-[(4R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル]-2,2-ジメチル-3a,6a-ジヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール(220)
【化21】
[(3aR,5R,6S,6aR)-5-[(4R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル]-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソl-6-イル]4-メチルベンゼンスルホネート(219)(7.00g,16.9mmol,1.00当量)をトルエン(250mL)に溶解し、水酸化カリウム(2.94g,52.4mmol,3.10当量)(微細な粉末に粉砕した)を添加した。還流下にて反応を5時間加熱した。TLC(シクロヘキサン中の25%EtOAc)から、以下の出発原料と共に最も非極性のスポットとしての生成物、及びより極性の副生成物(未同定)が示された。すべての出発原料が消費されるまで、加熱を続けた。反応混合物を室温に冷却し、水(250mL)を添加した。層が分離され、有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、溶媒を真空内で除去して、淡黄色のオイルを得て、それをシリカクロマトグラフィー(80g,EtOAc/シクロヘキサン0~30%で溶出)によって精製し、標題化合物(220)を透明なオイル(2.9g,70%)として得て、それを結晶化し、静置すると白色の固体が形成した。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):6.08(d,J=5.2Hz,1H),5.32-5.29(m,1H),5.25-5.24(m,1H),4.60-4.57(m,1H),4.15(dd,J=6.8,8.4Hz,1H),3.97(dd,J=5.7,8.4Hz,1H),1.47(s,6H),1.45(s,3H),1.39(s,3H).
【0090】
(3aR,5R,6aR)-5-[(4R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル]-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール(221)
【化22】
酢酸エチル(100mL)中の(3aR,6aR)-5-[(4R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル]-2,2-ジメチル-3a,6a-ジヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール(220)(2.80g,11.6mmol,1.00当量)の溶液をアルゴン下に置いた。パラジウム(10%,1230mg,1.16mmol,0.100当量)をCO
2下にて酢酸エチルで湿らせ、上記の溶液に添加した。混合物を排気し、アルゴン(3×)でパージし、次いで水素バルーン下にて一晩攪拌した。TLC(シクロヘキサン中の25%EtOAc)から、すべての出発原料が反応しており、1つの主要な生成物(出発原料より極性が高い)及び副生成物が形成したことが示された。粗製混合物をアルゴンでパージし、排気し(3×)、セライトを通した濾過によって触媒を除去した。濾液を濃縮し、溶離剤としてシクロヘキサン中の0~30%酢酸エチルを使用して、カラムクロマトグラフィーによって粗製材料を精製した。生成物画分(Hanessian染色によって位置付けられる)を合わせ、蒸発させ、白色の結晶性固体として標題化合物(221)(1.51g,53%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):5.80(d,J=3.8Hz,1H),4.75-4.71(m,1H),4.47-4.41(m,1H),4.14-4.08(m,1H),4.05(dd,J=6.6,8.2Hz,1H),3.61(dd,J=6.9,8.2Hz,1H),2.21(ddd,J=6.1,8.3,14.3Hz,1H),1.82(ddd,J=1.2,3.9,14.3Hz,1H),1.57(s,3H),1.45-1.44(m,3H),1.37(s,3H),1.33(s,3H).
【0091】
実施例3:(3R,5R,6R)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロピラン-2,3,5-トリオール(221)
【化23】
(3aR,5R,6aR)-5-[(4R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル]-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール(221)(1.48g,6.06mmol,1.00当量)に、酢酸(20.195mL)と水(20.20mL)の混合物を添加し、得られた溶液を70℃で12時間加熱した。溶液を蒸発させ、残留物を真空内で乾燥させて、粘性のオイルとして粗製材料1.2gを得た。
1H NMR(400MHz,CD
3OD,263384)は、3~4の異性体生成物の混合物と一致した。化合物の極性のために、さらに精製することは試みなかった。
【0092】
実施例5:[(2R,3R,5R)-3,5,6-トリアセトキシテトラヒドロピラン-2-イル]酢酸メチル(223)
【化24】
(3R,5R,6R)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロピラン-2,3,5-トリオール(222)(純度90%,1.20g,6.58mmol,1.00当量)をピリジン(21.93mL)に溶解し、無水酢酸(3.7mL,39.5mmol,6.00当量)及び4-(ジメチルアミノ)ピリジン(80mg,0.658mmol,0.100当量)を添加した。DMAPの添加によって、わずかな発熱が起こり、約20分間持続した。淡黄色の溶液を1時間攪拌した。TLC(酢酸エチル-シクロヘキサン1:1)から、1つの主要な生成物が示された。溶液を真空内で濃縮し、残留物を酢酸エチルに溶解し、水(3×)で洗浄し、乾燥させ(ブライン,硫酸ナトリウム)、蒸発させた。シクロヘキサン中の0~50%酢酸エチルを使用して、シリカ上で残留物を精製し、透明なオイルとして生成物(0.62g)を得た。
1H NMRは、3~4の異性体生成物の混合物と一致した。シクロヘキサン中の0~50%TBDMEを使用して、シリカ(40g,15μm)上でオイルを再精製し、:(a)(223)(白色の固体220mg,10%):目的の生成物(アキシアル(axial)セテート,ピラン)と一致する
1H NMR(400MHz,CDCl
3):d,6.29(d,J=3.1Hz,1H),5.24-5.17(m,2H),4.20-4.03(m,3H),2.16(s,3H),2.13(s,3H),2.06(s,3H),2.02(s,3H),2.18-2.04(m,2H,アセテート下に一部隠れている);及びb)(223)(濃縮試料がさらに、エーテルからの結晶化によってさらに精製された)200mg;生成物(エクアトリアル(equatorial)アセテート,ピラン)と10%一致する
1H NMR(400MHz,CDCl
3):d,5.71(d,J=8.3Hz,1H),5.14-5.02(m,2H),4.21-4.00(m,3H),2.45(ddd,J=3.5,5.1,14.2Hz,1H),2.13(s,6H),2.06(s,3H),2.05(s,3H),1.80(ddd,J=3.1,11.3,14.3Hz,1H);を得た。
【0093】
スキーム4は、化合物227、228及び229の製造を例示する。
【化25】
【0094】
[(1R,2S,6S,8S,9R)-4,4,11,11-テトラメチル-3,5,7,10,12-ペンタオキサトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカン-8-イル]メタノール(225)
【化26】
アセトン(185mL)中の(2R,S,4R,5S,6S)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロピラン-2,3,4,5-テトロール(5.00g,27.8mmol,1.00当量)(L-ガラクトース)(224)の混合物を、0℃濃硫酸(5.5mL,0.103mol,3.72当量)で処理した。反応混合物を室温で3時間攪拌した。この時点で、出発原料は溶解しており、混合物は清澄化し、淡黄色の溶液が得られた。TLC(酢酸エチル/シクロヘキサン1:3)から、主に生成物が示されたが、一部のベースライン物質も示された。TLC(ジクロロメタン中の20%メタノール)によって、出発原料は示されなかったが、少量のより極性の生成物が示された(おそらく、モノ-アセトニド)。溶液を一晩攪拌した。水(5mL)及び固体炭酸ナトリウム(約80g)を添加して、薄茶色の溶液を中和した。混合物を約30分間攪拌し、セライトのパッドを通して濾過することによって、沈殿物を除去した。濾液を合わせ、減圧下にて濃縮して、残留物を提供し、溶離剤としてシクロヘキサン中の5~50%酢酸エチルを使用して、シリカ(80g)上でそれを精製した。これによって、無色のオイルとして生成物(225)(6.26g,81%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):d,5.57(d,J=5.1Hz,1H),4.62(dd,J=2.4,7.9Hz,1H),4.34(ddd,J=2.5,2.5,2.5Hz,1H),4.28(dd,J=1.5,7.9Hz,1H),3.91-3.82(m,2H),3.79-3.71(m,1H),1.53(s,3H),1.47(s,3H),1.34(s,6H)).
【0095】
(1R,2S,6S,8R,9S)-8-(フルオロメチル)-4,4,11,11-テトラメチル-3,5,7,10,12-ペンタオキサトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカン(226)
【化27】
ジクロロメタン(6mL)中の1,2,3,4-ジ-O-イソプロピリデン-L-ガラクトピラノース[(1R,2S,6S,8S,9R)-4,4,11,11-テトラメチル-3,5,7,10,12-ペンタオキサトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカン-8-イル]メタノール(225)(1.00g,3.84mmol,1.00当量)の溶液を2,4,6-トリメチルピリジン(1.0mL,7.68mmol,2.00当量)で処理し、溶液を0℃に冷却した。(ジエチルアミノ)硫黄トリフルオリド(1.0mL,7.68mmol,2.00当量)を一滴ずつ5分間にわたって添加し、混合物を0℃で1時間、及び室温で2時間攪拌した。TLC(シクロヘキサン中の20%酢酸エチル)から、出発原料の完全な消費が確認され、その溶液を一晩攪拌した。TLC(酢酸エチル:シクロヘキサン1:1)から、出発原料の消失及び極性の低い化合物の生成が示された。反応混合物をジクロロメタン(20mL)で希釈し、NaHCO
3、1M HCl,ブライン(25mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(シクロヘキサン中の0~20%酢酸エチルで溶出)によって、残留物を精製し、(1R,2S,6S,8R,9S)-8-(フルオロメチル)-4,4,11,11-テトラメチル-3,5,7,10,12-ペンタオキサトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカン(226)(288mg,1.10mmol,29%)を無色のシロップとして得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):d,5.55(d,J=5.0Hz,1H),4.66-4.57(m,2H),4.55-4.45(m,1H),4.35(dd,J=2.5,5.0Hz,1H),4.27(dd,J=2.0,7.9Hz,1H),4.12-4.05(m,1H),1.55(s,3H),1.46(s,3H),1.34(s,6H).
【0096】
実施例6:(3S,4R,5S,6R)-6-(フルオロメチル)テトラヒドロピラン-2,3,4,5-テトロール(227)
【化28】
(1R,2S,6S,8R,9S)-8-(フルオロメチル)-4,4,11,11-テトラメチル-3,5,7,10,12-ペンタオキサトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカン(368mg,1.40mmol,1.00当量)(226)を90%TFA(4mL)に溶解し、混合物を室温で15分間攪拌した。溶媒を真空内で除去し、トルエンで2回共蒸発させ、真空内で乾燥させた。
1H NMR(400MHz,MeOD-d
4)は、アノマーの混合物としての生成物(227)(255mg,1.40mmol,100%)と一致した。この極性材料を、さらに精製することなく次の工程に取り入れた。
【0097】
実施例7:[(2R,3S,4R,5S,6S)-4,5,6-トリアセトキシ-2-(フルオロメチル)テトラヒドロピラン-3-イル]アセテート(228)及び[(2R,3S,4R,5S,6R)-4,5,6-トリアセトキシ-2-(フルオロメチル)テトラヒドロピラン-3-イル]アセテート(229)
【化29】
粗製(3S,4R,5S,6R)-6-(フルオロメチル)テトラヒドロピラン-2,3,4,5-テトロール(227)(255mg,1.40mmol,1.00当量)をピリジン(5mL)に溶解し、窒素下にて氷水中で冷却した。無水酢酸(1.3mL,14.0mmol,10.0当量)を一滴ずつ添加し、得られた混合物を室温で12時間攪拌した。混合物を乾燥状態まで蒸発させ、トルエン(2×)との共沸混合物とした。シクロヘキサン中の0~30%酢酸エチルを用いてシリカ上で、粗製材料を精製し、a)第1溶出生成物α-アノマー[(2R,3S,4R,5S,6S)-4,5,6-トリアセトキシ-2-(フルオロメチル)テトラヒドロピラン-3-イル]アセテート(228)(64mg,0.183mmol,13%):
1H NMR(400MHz,CDCl
3):d6.41(s,1H),5.58-5.55(m,1H),5.37-5.34(m,2H),4.54-4.29(m,3H),2.17(s,3H),2.16(s,3H),2.03(s,3H),2.01(s,3H);及びb)第2溶出生成物β-アノマー[(2R,3S,4R,5S,6R)-4,5,6-トリアセトキシ-2-(フルオロメチル)テトラヒドロピラン-3-イル]アセテート(229)(189mg,0.540mmol,39%):
1H NMR(400MHz,CDCl
3):d,5.73(d,J=8.3Hz,1H),5.50(d,J=3.3Hz,1H),5.36(dd,J=8.3,10.4Hz,1H),5.10(dd,J=3.4,10.4Hz,1H),4.58-4.33(m,2H),4.16-4.03(m,1H),2.18(s,3H),2.13(s,3H),2.05(s,3H),2.01(s,3H);を得た。
【0098】
スキーム5は、化合物230の製造を例示する。
【化30】
【0099】
実施例8:(2R,3R,4S,6S)-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2,3,4-トリイルトリアセテート(230)
【化31】
0℃のピリジン(10mL)中の(3R,4S,6S)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロピラン-2,3,4-トリオール(500mg,3.05mmol,1.00当量)及び4-(ジメチルアミノ)ピリジン(37mg,0.305mmol,0.100当量)の溶液に、無水酢酸(4.3mL,45.7mmol,15.0当量)を10分間にわたって添加し、反応混合物を0℃で2.5時間攪拌した。反応混合物を最小体積に濃縮し、残存するピリジンをトルエンと共蒸発させた。油状残留物をトルエンに再溶解し、1M HCl、水及びブラインで洗浄した。有機相を乾燥させ(Na
2SO
4),濾過し、濃縮し、標題化合物(230)(993mg,98%)を得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):d,5.69-5.65(m,1H),5.09-4.99(m,2H),4.19-4.15(m,2H),3.96-3.87(m,1H),2.23-2.16(m,1H),2.12(s,3H),2.10(s,3H),2.06(s,6H),1.73-1.59(m,1H).
【0100】
スキーム6は、化合物236の製造を例示する。
【化32】
【0101】
[(3aR,4S,7S,7aR)-2-エトキシ-6-メトキシ-4-メチル-2-フェニル-4,6,7,7a-テトラヒドロ-3aH-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]ピラン-7-イル]ベンゾエート(232)及び(3aR,4S,7S,7aS)-2-エトキシ-6-メトキシ-4-メチル-2-フェニル-4,6,7,7a-テトラヒドロ-3aH-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]ピラン-7-オール(233)
【化33】
無水ジクロロメタン(100mL)中の(3S,4R,5S,6S)-2-メトキシ-6-メチル-テトラヒドロピラン-3,4,5-トリオール(5.00g,28.1mmol,1.00当量)(231)の溶液に、触媒量のp-トルエンスルホン酸一水和物(534mg,2.81mmol,0.1当量)及びオルト安息香酸トリエチル(7.9mL,35.1mmol,1.25当量)を添加した。反応混合物を室温で30分間攪拌し、次いでピリジン(50mL)中の塩化ベンゾイル(4.1mL,35.1mmol,1.25当量)の溶液にカニューレを介してゆっくりと移した。24時間後、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、次いで飽和NaHCO
3の氷冷水溶液上にゆっくりと注いだ。有機層を分離し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、揮発物を蒸発させて、無色のオイルとして粗生成物を得た(14.3g)。粗製物(crude)の大部分を次の工程に取り入れ、未反応(3aR,4S,7S,7aS)-2-エトキシ-6-メトキシ-4-メチル-2-フェニル-4,6,7,7a-テトラヒドロ-3aH-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]ピラン-7-オール(233)を、目的の[(3aR,4S,7S,7aR)-2-エトキシ-6-メトキシ-4-メチル-2-フェニル-4,6,7,7a-テトラヒドロ-3aH-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]ピラン-7-イル]ベンゾエート(232)にさらに転化した。特徴付けのために、少量の粗生成物(290mg)を、フラッシュクロマトグラフィー(1~100%のシクロヘキサン:酢酸エチルで溶出された4gシリカカートリッジ)による精製のために採取し、2つの分離した化合物:無色のオイルとして[(3aR,4S,7S,7aR)-2-エトキシ-6-メトキシ-4-メチル-2-フェニル-4,6,7,7a-テトラヒドロ-3aH-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]ピラン-7-イル]ベンゾエート(56mg)(232)のエピ異性混合物、及び無色のオイルとして(3aR,4S,7S,7aS)-2-エトキシ-6-メトキシ-4-メチル-2-フェニル-4,6,7,7a-テトラヒドロ-3aH-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]ピラン-7-オール(109mg)(233)のエピ異性混合物を得た。
【0102】
[(3aR,4S,7S,7aR)-2-エトキシ-6-メトキシ-4-メチル-2-フェニル-4,6,7,7a-テトラヒドロ-3aH-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]ピラン-7-イル]ベンゾエート(232)
【化34】
0℃のピリジン(36mL)中の粗製(3aR,4S,7S,7aS)-2-エトキシ-6-メトキシ-4-メチル-2-フェニル-4,6,7,7a-テトラヒドロ-3aH-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]ピラン-7-オール(12.56g,40.5mmol,1.00当量)(233)の溶液に、塩化ベンゾイル(5.2mL,44.5mmol,1.10当量)を添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、濃縮し、酢酸エチルと水性飽和NaHCO
3との間で残留物を分配した。有機層を分離し、水で洗浄し,乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過して、揮発物を蒸発させて、粗生成物を得て、それをフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン:酢酸エチル0~30%で溶出された110gシリカカートリッジ)によって精製して、無色のオイルとして標題化合物(232)(11.70g,70%)を得た。
【0103】
(2S,3S,4R,5S)-5-ベンゾイルオキシ-4-ヒドロキシ-6-メトキシ-2-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル]ベンゾエート(234)
【化35】
[(3aR,4S,7S,7aR)-2-エトキシ-6-メトキシ-4-メチル-2-フェニル-4,6,7,7a-テトラヒドロ-3aH-[1,3]ジオキソロ[4,5-c]ピラン-7-イル]ベンゾエート(232)(11.77g,28.4mmol,1.00当量)を酢酸(56mL)及び水(14.00mL)で処理し、反応混合物を室温で一晩攪拌した。反応混合物を濃縮し、残留物を酢酸エチルに溶解し、飽和NaHCO
3水溶液に注いだ。有機相を分離し、乾燥させ(Na
2SO
4),濾過し、揮発性物を蒸発させて、粗生成物(12.5g)を得た。酢酸エチル/ジクロロメタンからの再結晶化によって、白色の固体として標題化合物(234)(3.3g,30%)を得た。母液さらに酢酸エチル:ジクロロメタンから再結晶化し、白色の固体として目的の生成物(234)(2.46g,22%)の第2収穫物(crop)を得た。第2の母液を濃縮して、油状生成物(4.6g)を得て、それをフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン:酢酸エチル(2~35%)で溶出される80シリカカートリッジ)によって精製し、蒸発後により多くの標題化合物(234)(1g,9%)を白色の固体として得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):d8.19-8.08(m,4H),7.63-7.44(m,6H),5.58(dd,J=1.2,3.6Hz,1H),5.37(dd,J=3.6,10.4Hz,1H),5.13(d,J=3.7Hz,1H),4.54-4.46(m,1H),4.30-4.22(m,1H),3.46(s,3H),2.22(d,J=6.1Hz,1H),1.27(d,J=6.6Hz,3H).
【0104】
[(2S,3R,4R,5S)-5-ベンゾイルオキシ-4-(イミダゾール-1-カルボチオイルオキシ)-6-メトキシ-2-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル]ベンゾエート(235)
【化36】
トルエン(30mL)に[(2S,3S,4R,5S)-5-ベンゾイルオキシ-4-ヒドロキシ-6-メトキシ-2-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル]ベンゾエート(234)(3.30g,8.54mmol,1.00当量)を溶解し、1,1’-チオカルボニルジイミダゾール(1826mg,10.2mmol,1.20当量)で処理した。反応を70℃で加熱し、LCMSによってモニターした。4時間後、反応混合物を濃縮して、粗生成物を得て、それをクロマトグラフィー(シクロヘキサン:酢酸エチル(1~35%)で溶出される40gシリカカートリッジ)で精製し、標題化合物(235)(4.08g,95%)を白色の固体として得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):d8.13-8.09(m,3H),8.02-7.98(m,2H),7.69-7.62(m,1H),7.60-7.49(m,3H),7.46-7.39(m,2H),7.36-7.34(m,1H),6.86-6.84(m,1H),6.41(dd,J=3.3,10.7Hz,1H),5.90-5.88(m,1H),5.79(dd,J=3.8,10.5Hz,1H),5.23(d,J=3.6Hz,1H),4.45-4.38(m,1H),3.52(s,3H),1.32(d,J=6.5Hz,3H).
【0105】
実施例9:(2S,3S,5S,6R)-5-ベンゾイルオキシ-6-メトキシ-2-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル]ベンゾエート(236)
【化37】
55℃の無水トルエン(40mL)中の[(2S,3R,4R,5S,6R)-5-ベンゾイルオキシ-4-(イミダゾール-1-カルボチオイルオキシ)-6-メトキシ-2-メチル-テトラヒドロピラン-3-イル]ベンゾエート(235)(1.00g,2.01mmol,1.00当量)の溶液に、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(0.083g,0.503mmol,0.25当量)及び水素化トリブチルスズ(1.1mL,4.03mmol,2.00当量)を添加した。反応混合物を90℃で24時間加熱し、濃縮し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン:酢酸エチル0~35%で溶出される24gシリカカートリッジ)によって精製し、標題化合物(236)(567mg,72%)を濃いオイルとして得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):d8.17-8.03(m,4H),7.62-7.42(m,6H),5.45-5.34(m,2H),5.08(d,J=3.4Hz,1H),4.21(dq,J=1.3,6.6Hz,1H),3.49(s,3H),2.45(ddd,J=12.9,12.9,3.0Hz,1H),2.32-2.25(m,1H),1.25(d,J=6.6Hz,3H).
【0106】
スキーム7は、化合物239の製造を例示する。
【化38】
【0107】
(3aR,5S,6S,6aS)-5-[(4R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル]-6-フルオロ-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール(238)
【化39】
1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-グルコフラノース(237)(3.00g,11.5mmol,1当量)をジクロロメタン(20mL)に溶解し、その溶液を-10℃に冷却した。4-(ジメチルアミノ)ピリジン(2.82g,23.1mmol,2.00当量)を反応混合物に添加し、続いて(ジエチルエチルアミノ)硫黄トリフルオリド(3.0mL,23.1mmol,2.00当量)をゆっくりと添加した。反応混合物を室温に温め、TLC(7:3シクロヘキサン:酢酸エチル)によってモニターした。24時間後、R
f0.7での新たなスポットが確認され、反応混合物を-20℃に冷却し、温度を-20℃~-10℃に維持しながら、MeOHをゆっくりと添加した。混合物を室温に温め、次いで飽和NaHCO
3水溶液とジクロロメタンの間に分配した。相セパレーターカートリッジに有機層を通して、溶媒を蒸発させて粗生成物(4.1g)を得て、それをシクロヘキサン:酢酸エチル(1~35%)を使用したフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、標題化合物(238)(3.0g,99%)を無色のオイルとして得て、それは後に再結晶化した。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):d,5.94(d,J=3.8Hz,1H),4.85(dd,J=3.6,40.8Hz,1H),4.74(dd,J=3.9,3.9Hz,1H),4.39-4.32(m,1H),4.20-4.06(m,2H),3.84(dd,J=6.6,8.3Hz,1H),1.56(s,3H),1.47(s,3H),1.40(s,3H),1.37(s,3H).
【0108】
実施例10:[(2R,3S,4S,5S)-3,5,6-トリアセトキシ-4-フルオロ-テトラヒドロピラン-2-イル]酢酸メチル(239)
【化40】
3-デオキシ-3-フルオロ-1,2:5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-ガラクトフラノース(3aR,5S,6S,6aS)-5-[(4R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル]-6-フルオロ-2,2-ジメチル-3a,5,6,6a-テトラヒドロフロ[2,3-d][1,3]ジオキソール(238)(380mg,1.45mmol,1.00当量)をエタノール(16mL)及び水(33.00mL)に溶解した。アンバーライトIR-120(H+)(約3mL)を添加し、反応混合物を60~65℃で攪拌し、TLC(1:1酢酸エチル:シクロヘキサン)によってモニターした。4時間後、TLCから、出発原料の消失が示された。反応混合物を濾過し、真空内で濃縮して、予想されるピラノースとして粗生成物(216mg)を得て、それを
1H NMRによって確認した。粗製材料を無水ピリジン(3.00mL)に溶解し、窒素雰囲気下にて0℃に冷却し、無水酢酸(0.68mL,7.24mmol,5.00当量)で処理した。反応混合物を室温に温め、TLC(3:7酢酸エチル:シクロヘキサン)によってモニターした。24時間後、TLCによって、予想される生成物に関してR
f0.5にて主要なスポットが示された。反応混合物を濃縮し、トルエン(5mL)から残留物を蒸発させた。粗製オイルを酢酸エチルと飽和NaHCO
3水溶液の間に分配した。有機層を分離し、乾燥させ(Na
2SO
4),濾過し、揮発性物質を蒸発させて、オイル(385mg)を得て、それをフラッシュクロマトグラフィー(シクロヘキサン:酢酸エチル(2~50%)で溶出される12gシリカカートリッジ)によって精製し、無色の濃いオイルのアノマー混合物(258mg)として標題化合物(239)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl
3):d6.42(t,J=4.2,1H),5.72-5.68(m,1H),5.67(d,J=8.3Hz,1H),5.62(m,1H),5.48-5.39(m,2H),4.97(ddd,J=3.8,10.2,48.4Hz,1H),4.71(ddd,J=3.8,9.7,47.3Hz,1H),4.33-4.29(m,1H),4.25-4.07(m,4H),4.00(tt,J=1.5,6.5Hz,1H),2.21(s,3H),2.20(s,3H),2.18(s,3H),2.16(s,3H),2.13(s,3H),2.10(s,3H),2.09(s,3H),2.08(s,3H).
【0109】
スキーム8は、化合物242及び243の製造を例示する。
【化41】
【0110】
(1S,2R,6R,8S,9R)-8-(フルオロメチル)-4,4,11,11-テトラメチル-3,5,7,10,12-ペンタオキサトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカン(241)
【化42】
ジクロロメタン(20mL)中の1,2:3,4-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-ガラクトピラノース(1.7mL,7.68mmol,1.00当量)(240)の溶液に、2,4,6-トリメチルピリジン(2.4mL,18.4mmol,2.40当量)を添加した。混合物を0℃に冷却し、(ジエチルアミノ)硫黄トリフルオリド(1.2mL,9.22mmol,1.20当量)で処理した。反応混合物を窒素下にて室温で攪拌し、TLC(酢酸エチル:シクロヘキサン1:1)によってモニターした。18時間後、反応混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和NaHCO
3水溶液、ブライン(25mL)で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、揮発性物質を蒸発させた。酢酸エチル:シクロヘキサン(0~20%)で溶出するシリカフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製し、標題化合物(241)(913mg,45%)を無色のシロップとして得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3):d,5.55(d,J=4.9Hz,1H),4.69-4.58(m,2H),4.48(dq,J=6.1,8.9Hz,1H),4.35(ddd,J=2.5,2.5,2.5Hz,1H),4.27(dd,J=2.0,8.0Hz,1H),4.13-4.03(m,1H),1.55(s,3H),1.45(s,3H),1.34(s,6H).
【0111】
実施例12:(3R,4S,5R,6S)-6-(フルオロメチル)テトラヒドロピラン-2,3,4,5-テトロール(242)
【化43】
(1S,2R,6R,8S,9R)-8-(フルオロメチル)-4,4,11,11-テトラメチル-3,5,7,10,12-ペンタオキサトリシクロ[7.3.0.02,6]ドデカン(241)(913mg,3.48mmol,1.00当量)を、トリフルオロ酢酸(8.0mL,0.104mol,30.0当量)と水(0.92mL)の混合物で処理した。反応混合物を室温で希釈し、TLC(酢酸エチル:シクロヘキサン1:1)によってモニターした。0.5時間後、反応をトルエンで希釈し、減圧下にて濃縮して、粗製標題化合物(242)(1.0g)を薄いベージュ色のシロップとして得て、次の合成工程に直接、取り入れた。
【0112】
実施例13:[(2S,3R,4S,5R)-4,5,6-トリアセトキシ-2-(フルオロメチル)テトラヒドロピラン-3-イル]アセテート(243)
【化44】
(3R,4S,5R,6S)-6-(フルオロメチル)テトラヒドロピラン-2,3,4,5-テトロール(634mg,3.48mmol,1.00当量)(242)を無水ピリジン(10mL)に溶解し、0℃に冷却し、無水酢酸(3.3mL,34.8mmol,10.0当量)で処理した。窒素下にて室温で反応混合物を攪拌し、TLC(1:4酢酸エチル:ジクロロメタン)によってモニターした。5時間後、反応をトルエン(3×)で希釈し、減圧下にて濃縮して、余分な試薬を除去した。油状残留物をフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル:ジクロロメタン(1:9)で溶出される12gカートリッジ)によって精製し、標題化合物(243)(960mg,79%)(アノマー混合物)を無色のオイルとして得た。
【0113】
LCMS法:
方法A:クロモリス(Chromlith),C-18,50×4.6mm;流量1.5mL/分,ELSD及び254nm UV検出;移動相A:水中の0.1%TFA;移動相B:アセトニトリル中の0.1%TFA;6分にわたって移動相B5~100%;周囲温度。
【国際調査報告】