(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】PI-ベースのコスタスループを用いたキャリア同期化を有する50Gb/s PAM4双方向プラスチックウェーブガイドリンク
(51)【国際特許分類】
H04L 7/033 20060101AFI20240918BHJP
H04L 27/227 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
H04L7/033
H04L27/227 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515691
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-11
(86)【国際出願番号】 KR2022013990
(87)【国際公開番号】W WO2023043295
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0124453
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520208591
【氏名又は名称】ポインツ テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】POINT2 TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100210251
【氏名又は名称】大古場 ゆう子
(72)【発明者】
【氏名】ウォン ヒョソプ
(72)【発明者】
【氏名】ソン ハイル
【テーマコード(参考)】
5K047
【Fターム(参考)】
5K047GG11
5K047GG45
(57)【要約】
本開示内容によれば、双方向プラスチックウェーブガイドリンクを用いたRF通信システムが提示される。前記システムは、送信信号を搬送波周波数にアップコンバートして送信するように構成されるRF送信機と、前記搬送波周波数で受信される受信信号をダウンコンバートして受信するように構成されるRF受信機と、前記送信信号の送信のためのチャネルおよび前記受信信号の受信のためのチャネルを提供するように構成される双方向プラスチックウェーブガイド装置と、前記RF送信機または前記RF受信機と前記双方向プラスチックウェーブガイド装置との間で信号を伝達するように構成されるマイクロストリップ対ウェーブガイドトランジション(MWT)とを含むことができる。前記RF受信機は、クロック信号を用いて前記ダウンコンバートされた受信信号の位相を検出するように構成される位相検出器と、前記検出された位相に基づいて前記クロック信号の位相を調整するように構成される位相同期化装置とを含むことができる。このような構成により、本開示内容は、従来技術と比較して、スループット-距離およびエネルギー効率性の観点から非常に優れた性能を示すPI-ベースのコスタスループを用いたキャリア同期化を有する50Gb/s PAM4双方向プラスチックウェーブガイドリンクを提示することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RF受信機であって、
クロック信号を用いてダウンコンバートされた受信信号の位相を検出するように構成される位相検出器と、
前記検出された位相に基づいて前記クロック信号の位相を調整するように構成される位相同期化装置とを含む、
RF受信機。
【請求項2】
前記位相同期化装置は、
前記位相検出器の出力信号に基づいて位相制御値を決定するように構成されるループフィルタと、
前記決定された位相制御値に応じて前記クロック信号の位相を調整するように構成される位相調整器とを含む、
請求項1に記載のRF受信機。
【請求項3】
前記ループフィルタは、デジタルループフィルタ(DLF)であり、
前記位相同期化装置は、前記位相検出器の出力信号を予め決定された電圧基準値に基づいてサンプリングするように構成されるサンプラを含み、
前記デジタルループフィルタは、前記サンプラによって出力されたサンプリング値を累積させることにより、位相制御値を決定するように構成される、
請求項2に記載のRF受信機。
【請求項4】
前記デジタルループフィルタは、2次デジタルループフィルタであり、現在のサンプリング値および前のサンプリング値の合計を累積させることにより、前記位相制御値を決定するように構成される、
請求項3に記載のRF受信機。
【請求項5】
前記ループフィルタは、アナログループフィルタであり、前記位相調整器は、アナログドメインで前記クロック信号の位相を調整するように構成される、
請求項2に記載のRF受信機。
【請求項6】
前記位相同期化装置は、多重位相フィルタをさらに含み、
前記多重位相フィルタは、クロックソースの信号から同位相(I)クロック信号および直交位相(Q)クロック信号を生成して前記位相調整器に提供するように構成される、
請求項2に記載のRF受信機。
【請求項7】
前記RF受信機は、
同位相(I)ダウンコンバートミキサおよび直交位相(Q)ダウンコンバートミキサと、
逓倍器とをさらに含み、
前記同位相(I)ダウンコンバートミキサは、前記位相調整器によって位相調整され、逓倍器によって搬送波周波数に変換された前記同位相(I)クロック信号を用いて前記受信信号をダウンコンバートさせるように構成され、前記直交位相(Q)ダウンコンバートミキサは、前記位相調整器によって位相調整され、前記逓倍器によって搬送波周波数に変換された前記直交位相(Q)クロック信号を用いて前記受信信号をダウンコンバートさせるように構成される、
請求項6に記載のRF受信機。
【請求項8】
前記位相検出器は、前記同位相(I)ダウンコンバートミキサからのダウンコンバートされた受信信号、および前記直交位相(Q)ダウンコンバートミキサからのダウンコンバートされた受信信号に基づいて、前記受信信号および前記同位相(I)クロック信号の間の位相オフセット(θ)の2倍(2θ)の正弦波に比例する出力信号を生成するように構成される、
請求項7に記載のRF受信機。
【請求項9】
前記逓倍器は、前記同位相(I)ダウンコンバートミキサおよび前記直交位相(Q)ダウンコンバートミキサと前記位相同期化装置との間に配置されるか、または前記クロックソースと前記位相同期化装置との間に配置される、
請求項7に記載のRF受信機。
【請求項10】
RF通信システムであって、
送信信号を搬送波周波数にアップコンバートして送信するように構成されるRF送信機と、
前記搬送波周波数で受信される受信信号をダウンコンバートして受信するように構成されるRF受信機と、
前記送信信号の送信のためのチャネルおよび前記受信信号の受信のためのチャネルを提供するように構成される双方向プラスチックウェーブガイド装置と、
前記RF送信機または前記RF受信機と前記双方向プラスチックウェーブガイド装置との間で信号を伝達するように構成されるマイクロストリップ対ウェーブガイドトランジション(MWT)とを含み、
前記RF受信機は、
クロック信号を用いて前記ダウンコンバートされた受信信号の位相を検出するように構成される位相検出器と、
前記検出された位相に基づいて前記クロック信号の位相を調整するように構成される位相同期化装置とを含む、
RF通信システム。
【請求項11】
前記位相同期化装置は、
前記位相検出器の出力信号に基づいて位相制御値を決定するように構成されるループフィルタと、
前記決定された位相制御値に応じて前記クロック信号の位相を調整するように構成される位相調整器とを含む、
請求項10に記載のRF通信システム。
【請求項12】
前記ループフィルタは、デジタルループフィルタ(DLF)であり、
前記位相同期化装置は、前記位相検出器の出力信号を予め決定された電圧基準値に基づいてサンプリングするように構成されるサンプラを含み、
前記デジタルループフィルタは、前記サンプラによって出力されたサンプリング値を累積させることにより、位相制御値を決定するように構成される、
請求項11に記載のRF通信システム。
【請求項13】
前記デジタルループフィルタは、2次デジタルループフィルタであり、現在のサンプリング値および前のサンプリング値の合計を累積させることにより、前記位相制御値を決定するように構成される、
請求項12に記載のRF通信システム。
【請求項14】
前記ループフィルタは、アナログループフィルタであり、前記位相調整器は、アナログドメインで前記クロック信号の位相を調整するように構成される、
請求項11に記載のRF通信システム。
【請求項15】
前記位相同期化装置は、多重位相フィルタをさらに含み、
前記多重位相フィルタは、クロックソースの信号から同位相(I)クロック信号および直交位相(Q)クロック信号を生成して前記位相調整器に提供するように構成される、
請求項11に記載のRF通信システム。
【請求項16】
前記RF受信機は、
同位相(I)ダウンコンバートミキサおよび直交位相(Q)ダウンコンバートミキサと、
逓倍器とをさらに含み、
前記同位相(I)ダウンコンバートミキサは、前記位相調整器によって位相調整され、逓倍器によって前記搬送波周波数に変換された前記同位相(I)クロック信号を用いて前記受信信号をダウンコンバートさせるように構成され、前記直交位相(Q)ダウンコンバートミキサは、前記位相調整器によって位相調整され、前記逓倍器によって搬送波周波数に変換された前記直交位相(Q)クロック信号を用いて前記受信信号をダウンコンバートさせるように構成される、
請求項15に記載のRF通信システム。
【請求項17】
前記位相検出器は、前記同位相(I)ダウンコンバートミキサからのダウンコンバートされた受信信号、および前記直交位相(Q)ダウンコンバートミキサからのダウンコンバートされた受信信号に基づいて、前記受信信号および前記同位相(I)クロック信号の間の位相オフセット(θ)の2倍(2θ)の正弦波に比例する出力信号を生成するように構成される、
請求項16に記載のRF通信システム。
【請求項18】
前記逓倍器は、前記同位相(I)ダウンコンバートミキサおよび前記直交位相(Q)ダウンコンバートミキサと前記位相同期化装置との間に配置されるか、または前記クロックソースと前記位相同期化装置との間に配置される、
請求項16に記載のRF通信システム。
【請求項19】
前記双方向プラスチックウェーブガイド装置は、
それぞれプラスチックウェーブガイドおよび前記プラスチックウェーブガイドを取り囲む金属クラッディングを含む第1プラスチックウェーブガイドユニットおよび第2プラスチックウェーブガイドユニットを含み、
前記MWTは、
前記RF送信機から前記送信信号を前記第1プラスチックウェーブガイドユニットに伝達するための第1MWTユニットと、
前記第2プラスチックウェーブガイドユニットから前記受信信号を前記RF受信機に伝達するための第2MWTユニットとを含む、
請求項10に記載のRF通信システム。
【請求項20】
前記双方向プラスチックウェーブガイド装置は、
前記第1および第2プラスチックウェーブガイドユニットの間に配置される金属シールドを含む、
請求項19に記載のRF通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容は、ウェーブガイドリンクに関し、より詳しくは、PI-ベースのコスタスループを用いたキャリア同期化を有する50Gb/s PAM4双方向プラスチックウェーブガイドリンクに関する。
【背景技術】
【0002】
データセンサにおけるより大きな入力/出力(I/O)帯域幅のための要求がネットワークトラフィックの爆発的な成長に起因して増加している。しかし、従来の高速インターコネクト(interconnect)は、機能的そして経済的な方向における課題に当面している。銅-ベースの電気的リンクは、表面損失(skin loss)によって引き起こされる臨界的な帯域幅の制限を示している。光学的リンクは、ショートリーチ(short-reach)高容量リンクにおけるチップ対ファイバー(chip-to-fiber)アセンブルおよびE/O(Electrical/Optical)およびO/E変換デバイスに対する相当な設備費用を必要とする。
【0003】
従来の高速インターコネクトの問題点を解決するための代案として、最近の研究は、固有の低損失および広帯域チャネル特性を示すプラスチックウェーブガイドリンクが電力-/費用-効率的な高速インターコネクトを提供するための有望なソリューションになり得ることを提示している。しかし、従来技術は、ウェーブガイドの低いコンファインメント(confinement)に起因する単一ウェーブガイド伝送および外部ローカルオシレータ(LO)の位相チューニングを必要とする制限されたキャリア同期化のみを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような問題点を解決するための本開示内容は、PI-ベースのコスタスループを用いたキャリア同期化を有する50Gb/s PAM4双方向プラスチックウェーブガイドリンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示内容の一実施例によれば、RF受信機が提示される。前記RF受信機は、クロック信号を用いてダウンコンバートされた受信信号の位相を検出するように構成される位相検出器と、前記検出された位相に基づいて前記クロック信号の位相を調整するように構成される位相同期化装置とを含むことができる。
【0006】
また、前記位相同期化装置は、前記位相検出器の出力信号に基づいて位相制御値を決定するように構成されるループフィルタと、前記決定された位相制御値に応じて前記クロック信号の位相を調整するように構成される位相調整器とを含むことができる。
【0007】
また、前記ループフィルタは、デジタルループフィルタ(DLF)であってもよく、前記位相同期化装置は、前記位相検出器の出力信号を予め決定された電圧基準値に基づいてサンプリングするように構成されるサンプラを含むことができる。前記デジタルループフィルタは、前記サンプラによって出力されたサンプリング値を累積させることにより、位相制御値を決定するように構成される。
【0008】
また、前記デジタルループフィルタは、2次デジタルループフィルタであってもよいし、現在のサンプリング値および前のサンプリング値の合計を累積させることにより、前記位相制御値を決定するように構成される。
【0009】
また、前記ループフィルタは、アナログループフィルタであってもよいし、前記位相調整器は、アナログドメインで前記クロック信号の位相を調整するように構成される。
【0010】
また、前記位相同期化装置は、多重位相フィルタをさらに含むことができる。前記多重位相フィルタは、クロックソースの信号から同位相(I)クロック信号および直交位相(Q)クロック信号を生成して前記位相調整器に提供するように構成される。
【0011】
また、前記RF受信機は、同位相(I)ダウンコンバートミキサおよび直交位相(Q)ダウンコンバートミキサと、逓倍器とをさらに含むことができる。前記同位相(I)ダウンコンバートミキサは、前記位相調整器によって位相調整され、逓倍器によって搬送波周波数に変換された前記同位相(I)クロック信号を用いて前記受信信号をダウンコンバートさせるように構成される。前記直交位相(Q)ダウンコンバートミキサは、前記位相調整器によって位相調整され、前記逓倍器によって搬送波周波数に変換された前記直交位相(Q)クロック信号を用いて前記受信信号をダウンコンバートさせるように構成される。
【0012】
また、前記位相検出器は、前記同位相(I)ダウンコンバートミキサからのダウンコンバートされた受信信号、および前記直交位相(Q)ダウンコンバートミキサからのダウンコンバートされた受信信号に基づいて、前記受信信号および前記同位相(I)クロック信号の間の位相オフセット(θ)の2倍(2θ)の正弦波に比例する出力信号を生成するように構成される。
【0013】
また、前記逓倍器は、前記同位相(I)ダウンコンバートミキサおよび前記直交位相(Q)ダウンコンバートミキサと前記位相同期化装置との間に配置されるか、または前記クロックソースと前記位相同期化装置との間に配置される。
【0014】
本開示内容の一実施例によれば、RF通信システムが提示される。前記RF通信システムは、送信信号を搬送波周波数にアップコンバートして送信するように構成されるRF送信機と、前記搬送波周波数で受信される受信信号をダウンコンバートして受信するように構成されるRF受信機と、前記送信信号の送信のためのチャネルおよび前記受信信号の受信のためのチャネルを提供するように構成される双方向プラスチックウェーブガイド装置と、前記RF送信機または前記RF受信機と前記双方向プラスチックウェーブガイド装置との間で信号を伝達するように構成されるマイクロストリップ対ウェーブガイドトランジション(MWT)とを含むことができる。前記RF受信機は、クロック信号を用いて前記ダウンコンバートされた受信信号の位相を検出するように構成される位相検出器と、前記検出された位相に基づいて前記クロック信号の位相を調整するように構成される位相同期化装置とを含むことができる。
【0015】
また、前記双方向プラスチックウェーブガイド装置は、それぞれプラスチックウェーブガイドおよび前記プラスチックウェーブガイドを取り囲む金属クラッディングを含む第1プラスチックウェーブガイドユニットおよび第2プラスチックウェーブガイドユニットを含むことができる。
【0016】
また、前記MWTは、前記RF送信機から前記送信信号を前記第1プラスチックウェーブガイドユニットに伝達するための第1MWTユニットと、前記第2プラスチックウェーブガイドユニットから前記受信信号を前記RF受信機に伝達するための第2MWTユニットとを含むことができる。
【0017】
また、前記双方向プラスチックウェーブガイド装置は、前記第1および第2プラスチックウェーブガイドユニットの間に配置される金属シールドを含むことができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示内容によれば、従来技術と比較して、スループット-距離およびエネルギー効率性の観点から非常に優れた性能を示すPI-ベースのコスタスループを用いたキャリア同期化を有する50Gb/s PAM4双方向プラスチックウェーブガイドリンクを提示することができる。
【0019】
また、本開示内容によれば、ADCまたはDSPのようなモジュールを用いることなく、受信機での位相同期化を行えるようにすることにより、電力消耗が少なく、受信機の設計を容易にする技術的効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】本開示内容の一実施例による双方向プラスチックウェーブガイドリンクを適用したRF通信システムを示すブロックダイアグラムである。
【
図1B】本開示内容の一実施例による双方向プラスチックウェーブガイドリンクのリンクバジェットを示す例示図である。
【
図2A】ボード対ウェーブガイドの連結を印刷回路基板の上側から眺めた例示図である。
【
図2B】ボード対ウェーブガイドの連結を印刷回路基板の下側から眺めた例示図である。
【
図2C】ボード対ウェーブガイドの連結構造を示す例示図である。
【
図2D】双方向プラスチックウェーブガイドケーブルの構造を示す例示図である。
【
図2E】双方向プラスチックウェーブガイドケーブルの1mチャネル特性およびチャネルクロストークを示す例示的なグラフである。
【
図2F】双方向プラスチックウェーブガイドケーブルの1mチャネル特性およびチャネルクロストークを示す例示的なグラフである。
【
図3A】本開示内容の一実施例によるPI-ベースのコスタスループのブロックダイアグラムである。
【
図3B】本開示内容の一実施例による位相検出器の伝達関数を示す例示的なグラフである。
【
図3C】本開示内容の一実施例による2次DLFのブロックダイアグラムである。
【
図3D】
図3AのPI-ベースのコスタスループのA、BおよびC地点での位相同期化の様子を示す例示図である。
【
図4A】本開示内容の一実施例によるRF送信機を示すブロックダイアグラムである。
【
図4B】本開示内容の一実施例によるRF受信機を示すブロックダイアグラムである。
【
図5A】本開示内容の一実施例による双方向プラスチックウェーブガイドリンクにおけるデータ伝送テストのための構成を示すブロックダイアグラムである。
【
図5B】
図5Aのテストで測定された受信端(Rx)出力のアイダイアグラムを示す図である。
【
図5C】
図5Aのテストで測定されたBER曲線を示すグラフである。
【
図6A】本開示内容の一実施例によるRF送信機のチップマイクログラフを示す図である。
【
図6B】本開示内容の一実施例によるRF受信機のチップマイクログラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明する。まず、各図面の構成要素に参照符号を付すにあたり、同一の構成要素については、たとえ他の図面上に表示されてもできるだけ同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明を説明するにあたり、かかる公知の構成または機能に関する具体的な説明が本発明の要旨をあいまいにしうると判断された場合、その詳細な説明は省略する。
【0022】
本開示内容の多様な態様が以下に説明される。ここで提示される発明は幅広い多様な形態で実現可能であり、ここで提示される任意の特定の構造、機能またはこれらのすべては単に例示的であることを理解するようにする。ここで提示される発明に基づいて、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、ここで提示される一つの態様が任意の他の態様と独立して実現可能であり、2以上のこのような態様が多様な方式で結合できることを理解するであろう。例えば、ここで説明される任意の数の態様を用いて装置が実現できるか、または方法が実施できる。また、ここで説明される1つ以上の態様に加えて、またはこれらの態様ではない他の構造、機能、または構造および機能を用いてこのような装置が実現できるか、またはこのような方法が実施できる。
【0023】
本開示内容によれば、PI-ベースのコスタスループを用いたキャリア同期化を有する50Gb/s PAM4双方向プラスチックウェーブガイドリンクが提示される。一実施形態において、このようなリンクは、28nm CMOS工程で製造されるFOWLP(Fan-Out Wafer Level Packaging)で70GHz送信機(Tx)および受信機(Rx)ICを用いてキャリア同期化を有する50Gb/s PAM4双方向プラスチックウェーブガイドリンクとして実現できる。このようなリンクは、スループット-距離およびエネルギー効率性の観点から最新の性能を示す2.8pJ/b/mのFoM(Figure of Merit)を達成することができる。
【0024】
図1Aは、本開示内容の一実施例による双方向プラスチックウェーブガイドリンクを適用したRF通信システムを示すブロックダイアグラムである。
【0025】
図1に示されているように、RF通信システムは、RFチップ100、100-2と、マイクロストリップ対ウェーブガイドトランジション(MWT)140、141と、双方向プラスチックウェーブガイド(以下、「E-TUBE」と称する)装置150とを含むことができる。
【0026】
RFチップ100およびMWT140、141は、印刷回路基板(PCB)180上に実現される。RFチップ100は、RF送信機110と、RF受信機120と、位相固定ループ(PLL)130とを含むことができる。RF送信機(Tx)110は、送信信号を搬送波(carrier)周波数にアップコンバートして送信するように構成される。RF受信機(Rx)120は、搬送波周波数で受信される受信信号をダウンコンバートして受信するように構成される。E-TUBE装置150は、送信信号の送信のためのチャネルおよび受信信号の受信のためのチャネルを提供することができ、このために、送信のための第1プラスチックウェーブガイドユニット151および受信のための第2プラスチックウェーブガイドユニット152を含むことができる。MWTは、RF送信機110またはRF受信機120とE-TUBE装置150との間で信号を伝達するように構成され、このために、RF送信機110から送信信号を第1E-TUBEユニット151に伝達するための第1MWTユニット140と、第2E-TUBEユニット152から受信信号をRF受信機120に伝達するための第2MWTユニット141とを含むことができる。また、別の図面符号で表してはいないが、RFチップ100-2は、
図1Aに示されているように、E-TUBE装置150によるRFチップ100との送受信のために相応する構成要素を含むことができる。
【0027】
一実施形態において、搬送波周波数は70GHzの周波数帯域であってもよいし、入力信号はE-TUBE装置150を介して70GHzを基準として~25GHzの帯域幅で送受信される(160)。PLL130は、クロックソースからクロック信号をRF送信機110およびRF受信機120に提供することができ、このような実施形態において、17.5GHzの外部クロック信号を提供することができる。RF送信機110およびRF受信機120は、それぞれ提供されたクロック信号を搬送波周波数に変換させることができる逓倍器113、123を含むことができる。このような実施形態において、逓倍器113、123は、17.5GHzのクロック信号から70GHzのローカル発振(LO)信号を生成するために周波数クワドラプラ(x4)として実現できる。RF受信機120にある位相同期化装置124は、独立したクロックソースから生成される搬送波信号の位相オフセットをトラッキングすることができ、これについては後述する。
【0028】
このようなウェーブガイドチャネルおよびトランシーバ(TxおよびRx)の性能は、目標ビットエラーレート(BER)を満足させるためのリンクバジェット(link budget)によって決定可能である。例示的な本開示内容の双方向プラスチックウェーブガイドリンクのリンクバジェットは、
図1Bに示された通りである。
【0029】
図2Aおよび2Bは、ボード対ウェーブガイド(Board-to-Wg)の連結を印刷回路基板(PCB)の上側および下側からそれぞれ眺めた例示図であり、
図2Cは、ボード対ウェーブガイドの連結構造を示す例示図である。
【0030】
前述のように、MWT140、141は、伝送ラインからウェーブガイドに、そしてウェーブガイドから伝送ラインにエネルギーを効率的に伝達することができる。このために、
図2Aおよび2Cに示されているように、MWT140、141から放射された信号は、例えば、アルミニウムで製造されたボード対ウェーブガイドコネクタ170を用いてPCB180上にマウントされたE-TUBE150に直接連結可能であり、これは隣接チャネルへの電磁漏洩およびカップリングを防止可能にする。一実施形態において、TxおよびRxのMWT(すなわち、第1MWTユニット140および第2MWTユニット141)は、ボード上から8mm離れて配置される。
【0031】
図2Dは、双方向プラスチックウェーブガイドケーブルの構造を示す例示図である。
【0032】
図2Dに示されているように、E-TUBE装置150は、RFチップ100および他のRFチップ100-2の間の双方向チャネル(送信チャネルおよび受信チャネル)を提供可能なケーブルとして実現できる。E-TUBE装置150は、双方向通信可能にそれぞれプラスチックウェーブガイド153およびプラスチックウェーブガイドを取り囲む金属クラッディング(metal cladding)154を含む第1E-TUBEユニット151および第2E-TUBEユニット152と、第1および第2E-TUBEユニット151、152の間に配置される金属シールド(metal shield)155とを含むことができる。
【0033】
一実施形態において、E-TUBEユニット151、152は、金属フィルムがラミネートされた(すなわち、金属クラッディング154に取り囲まれた)長方形の誘電体ウェーブガイドであってもよいし、周波数-独立した5dB/mの挿入損失、4ns/mのグループ遅延を示すことができる。金属クラッディング154は、電波ウェーブをコンファインし、電磁漏洩を防止することができる。
図2Dに示されているように、2つのE-TUBEユニット151、152は、2つのユニット151、152の間に置かれた金属シールド155と平行に配置される。金属シールド155は、2つのユニット151、152間の電磁カップリングを防止しながら、各ユニットによる単一E-TUBEチャネルの本来の特性を保全させることができる。
【0034】
図2Eおよび2Fは、双方向プラスチックウェーブガイドケーブルの1mチャネル特性およびチャネルクロストークを示す例示的なグラフである。
【0035】
図2Eは、ウェーブガイドチャネルのSパラメータであるS11およびS12の波形を示し、
図2Fは、ウェーブガイドチャネルのNEXT(Near End Cross-talk)波形およびFEXT(Far End Cross-talk)波形を示す。チャネル特性は、1mチャネルの到達に対して70GHzで13dBの挿入損失を示し、通過帯域にわたって-55dBより低いシミュレーションされたNEXTおよびFEXTを示す。ハイ-カットオフチャネル応答は、従来のRF通信と比較する時、2x以上の帯域幅-効率的な単一側波帯域伝送を可能にする。
【0036】
一方、出力信号対雑音比(SNR)を最大化するために、コヒーレント復調(coherent demodulation)は搬送波同期化を必要とする。しかし、搬送波信号の位相オフセットがTx/Rxの独立したLO生成から発生し、E-TUBEチャネルを介した位相遅延はSNRの低下を引き起こす。従来、DSP-ベースの基底帯域回路はこのような低下を克服するために用いられたが、高速においてこのような回路の大きな電力消費は一般的な使用に制限を与えるようになる。
【0037】
そのため、本開示内容は、コスタスループ(Costas Loop)に基づく低電力同期化方式を提示しようとする。
【0038】
図3Aは、本開示内容の一実施例によるPI-ベースのコスタスループのブロックダイアグラムである。
【0039】
このようなコスタスループは、RF受信機120内に実現され、
図3に示されているように、ダウンコンバートミキサ122と、位相同期化装置124と、逓倍器123とを含むことができる。ダウンコンバートミキサ122は、同位相(I)ダウンコンバートミキサ210と、直交位相(Q)ダウンコンバートミキサ211と、位相検出器(PD)220とを含むことができる。位相同期化装置124は、サンプラ240と、ループフィルタ250と、位相調整器(PI)260と、多重位相フィルタ(PPF)270とを含むことができる。位相検出器220は、クロック信号を用いてダウンコンバートされた受信信号の位相を検出するように構成され、位相同期化装置124は、検出された位相に基づいてクロック信号の位相を調整するように構成される。
【0040】
具体的には、逓倍器123は、位相同期化装置124から出力される位相調整された同位相(I)クロック信号および位相調整された直交位相(Q)クロック信号を搬送波周波数(ω0)に変換してそれぞれ同位相(I)ダウンコンバートミキサ210および直交位相(Q)ダウンコンバートミキサ211に伝達することができる。あるいは、逓倍器123は、クロックソースからのクロック信号を搬送波周波数(ω0)に変換して位相同期化装置124に伝達することができ、位相同期化装置124は、搬送波周波数に変換されたクロック信号に対して位相調整を行うことができる。言い換えれば、実施形態により、逓倍器123は、同位相(I)ダウンコンバートミキサ210および直交位相(Q)ダウンコンバートミキサ211と位相同期化装置124との間に配置されるか、またはクロックソースと位相同期化装置124との間に配置される。
【0041】
同位相(I)ダウンコンバートミキサ210は、同位相(I)クロック信号(LO
I)を用いて入力信号(D
in)をダウンコンバートしてcos(θ)に比例する復調された出力を生成することができ、直交位相(Q)ダウンコンバートミキサ211は、直交位相(Q)クロック信号(LO
Q)を用いて入力信号(D
in)をダウンコンバートしてsin(θ)に比例する復調された出力を生成することができる。ここで、θは、RF受信信号および同位相(I)クロック信号(LO
I)の間の位相オフセットである。位相検出器220は、同位相(I)ダウンコンバートミキサ210からのダウンコンバートされた受信信号(すなわち、復調された出力)および直交位相(Q)ダウンコンバートミキサ211からのダウンコンバートされた受信信号(すなわち、復調された出力)に基づいて、電圧ドメインでRF受信信号および同位相(I)クロック信号の間の位相オフセット(θ)の2倍(2θ)の正弦波(すなわち、sin(2θ))に比例する出力信号(V
PD)を生成するように構成される。これによる、位相検出器220の伝達関数は、
図3Bに例示された通りである。
【0042】
ループフィルタ250は、位相検出器220の出力信号(VPD)に基づいて位相制御値を決定することができる。位相調整器(PI)260は、決定された位相制御値に応じてクロック信号(すなわち、同位相(I)クロック信号および直交位相(Q)クロック信号)の位相を調整することができる。
【0043】
一実施形態において、ループフィルタ250は、デジタルループフィルタ(DLF)であってもよいし、この場合、位相同期化装置124は、サンプラ240を含むことができる。サンプラ240は、位相検出器220の出力信号(V
PD)を予め決定された電圧基準値(Vref)に基づいてサンプリングするように構成される。一実施形態において、サンプラ240は、1-ビットサンプラであってもよいし、非同期低周波数クロック(Async clk)を用いて電圧基準値(Vref)で位相検出器220の出力をサンプリングして、1ビットの大きさを有するサンプリング値、すなわち0または1を出力することができる。デジタルループフィルタ(DLF)250は、サンプラ240によって出力されたサンプリング値を累積させることにより、位相制御値を決定するように構成される。一実施形態において、デジタルループフィルタ250は、2次デジタルループフィルタ(DLF)であってもよいし、2次DLFは、
図3Cに例示された通りである。
図3Cに示されているように、2次DLF250は、現在のサンプリング値および前のサンプリング値の合計を累積させることにより、例えば、10-ビット([9:0])の位相制御値を決定することができる。TxおよびRx搬送波信号の間の周波数オフセットは、
図3Cに例示されたような簡単なデジタルロジッグを用いて2次DLFを実現することにより除去可能である。
【0044】
他の実施形態において、ループフィルタ250は、アナログループフィルタであってもよい。この場合、位相同期化装置124は、サンプラ240を含まず、位相調整器260は、アナログループフィルタ250で決定された位相制御値に応じてアナログドメインでクロック信号の位相を調整するように構成される。言い換えれば、このような実施形態において、位相同期化装置124は、アナログドメインで位相調整を行うように実現できる。
【0045】
位相調整器(PI)260は、前述のように、ループフィルタ250で決定された位相制御値に応じてクロック信号(この例において、17.5GHzのクロック信号)の位相を調整するように構成される。本開示内容によるPI-ベースのコスタスループは、VCO-ベースのコスタスループと比較して低い-ジッタLO信号を取得可能にし、これはマルチ-チャネル通信のVCOカップリングから発生する追加的なジッタを引き起こさない。位相調整器260によって位相調整された17.5GHzのクロック信号は、搬送波周波数に変換されたクロック信号(この例において、70GHzのLO信号)を生成するために、逓倍器123によって(この例において、周波数クワドラプラ(x4)によって4倍だけ)周波数が掛けられるか、または逓倍器123によって搬送波周波数に変換されたクロック信号(すなわち、70GHzのLO信号)に対して位相調整器260によって位相調整が行われる。
【0046】
多重位相フィルタ(PPF)270は、受信される信号からいくつかの位相を有する多重位相信号を生成することができる。一実施形態において、多重位相フィルタ270は、クロックソースからのクロック信号(この例において、17.5GHzのクロック信号)から2つの異なる位相(この例において、同位相(I)および直交位相(Q))をそれぞれ有する同位相(I)クロック信号および直交位相(Q)クロック信号を生成して位相調整器260に提供するように構成される。この場合、位相調整器260は、位相調整された同位相(I)クロック信号および位相調整された直交位相(Q)クロック信号を生成することができ、これらの信号は、逓倍器123を介して搬送波周波数に変換されてそれぞれ同位相(I)ダウンコンバートミキサ210および直交位相(Q)ダウンコンバートミキサ211に再度入力される。
【0047】
あるいは、前述のように、他の実施形態において、逓倍器123(すなわち、周波数クワドラプラ)は、PLL130および位相同期化装置124の間に配置されてもよい。この場合、PLL130からのクロック信号(この例において、17.5GHzのクロック信号)は、逓倍器123によって搬送波周波数(この例において、70GHz)に変換された後、位相同期化装置124の多重位相フィルタ270に提供される。また、この場合、多重位相フィルタ270は、搬送波周波数に変換されたクロック信号から同位相(I)クロック信号および直交位相(Q)クロック信号を生成して位相調整器260に提供するように構成される。これによって、位相同期化装置124は、搬送波周波数帯域においてクロック信号の位相を調整し、位相調整されたクロック信号はダウンコンバートミキサ122に直に伝達される。
【0048】
図3Dは、
図3AのPI-ベースのコスタスループのA、BおよびC地点での位相同期化の様子を示す例示図である。
【0049】
図3Aに示されているように、地点Aは、同位相(I)ダウンコンバートミキサ210の出力地点であり、地点Bは、直交位相(Q)ダウンコンバートミキサ211の出力地点であり、地点Cは、位相検出器220の出力地点である。-π/2≦θ≦π/2の位相領域において、位相オフセットは原点(origin)に固定(lock)され、ここで、位相検出器(PD)の出力における差は減少する。同位相(I)ダウンコンバートミキサ210の出力スイングは最終的に最大レベルに収束するのに対し、直交位相(Q)ダウンコンバートミキサ211の出力スイングは最小に収束する。前記と異なる位相領域において、位相オフセットは±πに固定され、ここで、同位相(I)ダウンコンバートミキサ210の出力スイングは最大に収束するが、出力極性(polarity)が反転する。極性の反転に対する訂正は初期化する時に行われ、初期化後に後続する位相オフセットは前記コスタスループによって原点に強制される。PI-ベースのコスタスループの電力-効率的な実現は、このようなループの簡単なアーキテクチャおよび帯域幅上の余裕のある要求事項によって可能になる。
【0050】
70GHzのトランシーバ(RxおよびTx)は、E-TUBEチャネルの広帯域特性を利用するために、ダイレクトコンバーション(direct-conversion)のアーキテクチャを採用することができる。
【0051】
図4Aは、本開示内容の一実施例によるRF送信機を示すブロックダイアグラムである。
【0052】
図4Aに示されているように、RF送信機(Tx)110は、アップコンバートミキサ(UCM)111と、電力増幅器(PA)112と、周波数クワドラプラ113とを含むことができる。一実施形態において、UCM111は、1GHzの正弦波入力で2dBの変換利得を示し、1.1Vのパワーサプライから9mAの電流を流れるようにする。また、一実施形態において、PA112は、3-ステージ差動PAであってもよいし、UCM111でアップコンバートされた信号がこのような差動PAに伝達される。差動PA112のアクティブステージは、高い利得および線形性を達成するために、各ステージの共通-ソース対に依存することができる。電力効率性を増加させるために容量性中立化が実現可能であり、これはより低いバイアス電流を用いて同一レベルの利得を維持できるようにする。出力マッチングネットワークは、差動PAからのPA出力を単一-エンドMWTを駆動させるための単一-エンド信号に変換することができる。45GHzから70GHzの帯域幅にわたって14dBの利得が3dB未満の変動性で達成できる。PA112は、0.9Vのサプライ電圧で90mAを消費することができ、RF送信機110の測定されたP1dBは7dBmであってもよい。
【0053】
図4Bは、本開示内容の一実施例によるRF受信機を示すブロックダイアグラムである。
【0054】
図4Bに示されているように、RF受信機(Rx)120は、低雑音増幅器(LNA)121と、同位相(I)および直交位相(Q)ダウンコンバートミキサ(DCM)210、211と、位相同期化装置124と、周波数クワドラプラ123とを含むことができる。一実施形態において、LNA121は、2-ステージ差動LNAであってもよいし、入力マッチングネットワークは、単一-エンドRxの入力を変換して差動LNAに伝達することができる。2-ステージ差動LNA121は、受信された入力の電力を増加させながらSNRの低下を最小化させることができる。LNAは、46GHzから70GHzの周波数帯域にわたって16dBの測定された利得を示すことができ、0.9Vのサプライ電圧で15mAを消費することができる。一実施形態において、ダウンコンバートミキサ210、211は、2つの共振インダクタとともに電流ブリーダ(bleeder)を用いるギルバートタイプ(Gilbert-type)構造を採用することができ、1.1Vのサプライ電圧で15mAを消費することができる。Rxの測定された利得および雑音指数(noise figure)は20dBおよび8dBであってもよい。レプリカDCM(すなわち、直交位相(Q)DCM)211は、90度のアウトオブフェーズLOを用いて直交-位相変調信号を生成するように用いられる。一実施形態において、位相検出器(PD)220はさらに、ギルバートセルを採用し、IおよびQ DCM210、211から生成された直交データ入力を用いることにより、出力を生成することができる。
【0055】
一実施形態において、周波数クワドラプラ113、123は、2つの周波数ダブラ(2x)チェーンで実現され、プッシュ-プッシュ周波数ダブラチェーンの2つのステージは、70GHzのクロック信号を生成することができ、バッファは、LCフィルタを用いて所望しないハーモニック周波数を抑制することができる。その後、最終的にLO出力はTxおよびRxのミキサ111、210および211に分配される。LOの直交位相シフトは、分配ラインの物理的遅延を利用することにより実現可能であり、これはPVT変動に鈍感である。
【0056】
図5Aは、本開示内容の一実施例による双方向プラスチックウェーブガイドリンクにおけるデータ伝送テストのための構成を示すブロックダイアグラムである。
【0057】
図5Aに示されているように、17.5GHzのクロック信号は、それぞれのボード100、100-2上でPLL130によって個別的に生成され、RF Tx110およびRF Rx120に分配される。パルスパターン発生器(PPG)320、320-2は、入力信号を生成してボード100、100-2に伝達することができ、ビットエラーレートテスト器(BERT)330、330-2は、データ伝送テストでBERを測定することができる。
【0058】
図5Bは、1m E-TUBEチャネルを介して行われた2
31-1のPRBS(Pseudo Random Binary Sequence)パターンで50Gb/s PAM4におけるRx出力のアイダイアグラム(eye diagram)を示す。
図5Cは、
図5Aのテストで測定されたBER曲線を示すグラフである。ここで、PRBS31で50Gb/sで測定されたBERは1e
-9である。PRBS31パターンで3m 25Gb/s NRZデータ伝送に対しては10
-12未満のBERが観測される。TxおよびRxの全体DC電力は212mWである。
【0059】
従来技術と本開示内容によるE-TUBEリンクの性能の比較は、下記の表の通りであ る。
【0060】
【0061】
表1に示されているように、本開示内容のE-TUBEリンクは、従来技術と比較して、スループット-距離の結果およびエネルギー効率性の観点から類を見ないレベルの性能を示す2.8pJ/b/mのFoMを達成することができる。追加的に、400/800Gb/s通信を含む高いスループットリンクにおける既存のインターコネクトを代替するために、E-TUBEリンクは50GBASE-CR、50Gb/sスタンダードオーバーツイステッドペア(50Gbps standard over twisted pair)を遵守する高速I/Oインターフェースを提示することができる。
【0062】
図6Aおよび6Bは、本開示内容の一実施例によるRF送信機およびRF受信機のチップマイクログラフを示す図である。一実施形態において、RF送信機110およびRF受信機120は、
図6Aおよび
図6Bに示されているような寸法および配置でPCB180上に実現できるが、これに限定されず、回路集積度および工程などによって異なる寸法および配置で設計可能である。
【0063】
提示された実施例に関する説明は、任意の本発明の技術分野における通常の知識を有する者が本発明を用いるか、または実施できるように提供される。このような実施例に対する多様な変形は、本発明の技術分野における通常の知識を有する者に明らかであり、ここに定義された一般的な原理は本発明の範囲を逸脱しない範囲で他の実施例に適用可能である。そのため、本発明はここに提示された実施例に限定されるものではなく、ここに提示された原理および新規な特徴と一貫する最広義の範囲で解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0064】
100、100-2:RFチップ
110:RF送信機
111:アップコンバートミキサ
112:電力増幅器(PA)
113:逓倍器
120:RF受信機
121:低雑音増幅器(LNA)
122:ダウンコンバートミキサ
123:逓倍器
124:位相同期化装置
130:位相固定ループ(PLL)
140、141:マイクロストリップ対ウェーブガイドトランジション(MWT)ユニット
150:双方向プラスチックウェーブガイド装置
151、152:プラスチックウェーブガイドユニット
153:プラスチックウェーブガイド
154:金属クラッディング
155:金属シールド
170:ボード対ウェーブガイドコネクタ
180:印刷回路基板(PCB)
210:同位相(I)ダウンコンバートミキサ
211:直交位相(Q)ダウンコンバートミキサ
220:位相検出器(PD)
230、280、290:バッファ
240:サンプラ
250:ループフィルタ
260:位相調整器(PI)
270:多重位相フィルタ(PPF)
310:発振器
320、320-2:パルスパターン発生器(PPG)
330、330-2:ビットエラーレートテスト器(BERT)
【国際調査報告】