(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】ニルセビマブによる呼吸器合胞体ウイルス下気道感染の予防
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240918BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240918BHJP
C07K 16/10 20060101ALN20240918BHJP
【FI】
A61K39/395 S ZNA
A61P31/14
C07K16/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515936
(86)(22)【出願日】2022-09-12
(85)【翻訳文提出日】2024-05-08
(86)【国際出願番号】 US2022076311
(87)【国際公開番号】W WO2023039584
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508098350
【氏名又は名称】メドイミューン・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MedImmune Limited
【住所又は居所原語表記】1 Francis Crick Avenue, Cambridge Biomedical Campus, Cambridge CB2 0AA, UNITED KINGDOM
(71)【出願人】
【識別番号】503263001
【氏名又は名称】サノフィ パストゥール インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ビリャファナ,トーニャ ルアナ
(72)【発明者】
【氏名】リーチ,アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】エッサー,マーク トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ウィルキンス,デアドル エレイン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェールビー ハムレン,ウルリーカ
【テーマコード(参考)】
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C085AA14
4C085BA51
4C085CC08
4C085CC23
4C085EE01
4C085GG03
4C085GG04
4H045AA11
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、ニルセビマブを投与することにより、RSV下気道感染を予防するか、そのリスクを低減するか又はそれを軽減する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳児又は小児対象における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)下気道感染(LRTI)を予防する方法であって、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を前記対象に投与することを含み、前記単回用量は、5ヶ月超にわたってRSV LRTIを予防するのに有効である、方法。
【請求項2】
前記対象は、前記RSV流行期の始まりの約2週間前、約3週間前、約4週間前、約1ヶ月前、約2ヶ月前又は約3ヶ月前に前記ニルセビマブの単回用量を投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
RSV流行期の始まりは、2週間の期間にわたるRSV検査の平均陽性率が閾値を超える最初の連続する2週間によって定義され、前記閾値は、3%~13%であり、任意選択的に、(i)前記RSV検査は、PCR検査であり、及び前記閾値は、3%であるか、又は(ii)前記RSV検査は、抗原検査であり、及び前記閾値は、10%である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
乳児又は小児対象における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)下気道感染(LRTI)を予防する方法であって、直前のRSV流行期の終わり後、ニルセビマブの単回用量を前記対象に投与することを含み、前記単回用量は、次のRSV流行期全体を通してRSV LRTIを予防するのに有効である、方法。
【請求項5】
前記対象は、前記直前のRSV流行期の終わりの約1週間後、約2週間後、約3週間後、約4週間後、約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後又は約7ヶ月後に前記ニルセビマブの単回用量を投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記直前のRSV流行期の終わりは、1週間の期間にわたるRSV検査の平均陽性率が閾値を下回る最初の1週間によって定義され、前記閾値は、3%~13%であり、任意選択的に、(i)前記RSV検査は、PCR検査であり、及び前記閾値は、3%であるか、又は(ii)前記RSV検査は、抗原検査であり、及び前記閾値は、10%である、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記対象は、RSV感染を発症するリスクが高い、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記対象は、29週未満の在胎期間で出生しており;且つ/又は慢性肺疾患(CLD)、先天性心疾患(CHD)、免疫系の抑制、免疫系の低下、免疫不全、神経筋障害、ダウン症候群、先天性気道異常及び/若しくは嚢胞性線維症を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記単回用量中のニルセビマブの量は、前記対象において、12.8日・mg/mLを超える血清AUC
0-∞をもたらすのに有効である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
a)前記単回用量中のニルセビマブの量は、投与時での前記対象のRSV中和抗体(Nab)レベルと比較して、投与後の約12ヶ月で前記対象においてRSV Nabレベルの上昇(例えば、5倍超高い、7倍超高い)をもたらすのに有効であり;及び/又は
b)前記単回用量中のニルセビマブの量は、RSV感染が確認されており、且つニルセビマブを投与されなかった対象のRSV Nabレベルと比較して、投与後の約12ヶ月で前記対象においてRSV Nabレベルの上昇(例えば、3倍超高い)をもたらすのに有効である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記単回用量中のニルセビマブの量は、
前記対象が、投与時に体重が5kg超である乳児である場合、50mgであるか、
前記対象が、投与時に体重が5kg以上である乳児である場合、100mgであるか、又は
前記対象が、その2回目のRSV流行期に入っている小児対象である場合、200mgである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
RSV LRTIを予防することは、
a)診察を要するRSV LRTI、任意選択的に細気管支炎若しくは肺炎;
b)RSVに関連する入院;
c)重度のRSV感染;及び/又は
d)極めて重度のRSV感染
を予防することを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
乳児又は小児対象における極めて重度の呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染を予防する方法であって、ニルセビマブの単回用量を前記対象に投与することを含み、前記単回用量は、5ヶ月超にわたって極めて重度のRSV感染を予防するのに有効である、方法。
【請求項14】
乳児又は小児対象における原因を問わない下気道感染(LRTI)又は原因を問わないLRTIによる入院を予防する方法であって、ニルセビマブの単回用量を前記対象に投与することを含み、前記単回用量は、5ヶ月超にわたって原因を問わないLRTI又は原因を問わない入院を予防するのに有効である、方法。
【請求項15】
前記単回用量中のニルセビマブの量は、ニルセビマブを投与されなかった対象の抗生物質使用と比較して、前記対象の抗生物質使用を減少させるのに有効である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ニルセビマブの単回用量は、筋肉内又は皮下投与される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
RSV感染を発症するリスクが高い対象におけるRSV LRTIを予防する方法であって、前記対象の1回目のRSV流行期前にニルセビマブの第1の用量を、且つ前記対象の2回目のRSV流行期前にニルセビマブの第2の用量を前記対象に投与することを含み、前記第1の用量中のニルセビマブの量は、
前記対象が、投与時に体重が5kg未満である場合、50mgであり、及び
前記対象が、投与時に体重が5kg以上である場合、100mgであり;
前記第2の用量中のニルセビマブの量は、200mgである、方法。
【請求項18】
心臓手術を受けている対象におけるRSV LRTIを予防する方法であって、
a)前記対象の1回目のRSV流行期前にニルセビマブの第1の用量を前記対象に投与することであって、
i)前記第1の用量中のニルセビマブの量は、前記対象が、前記第1の用量の投与時に体重が5kg未満である場合、50mgであるか;又は
ii)前記第1の用量中のニルセビマブの量は、前記対象が、前記第1の用量の投与時に体重が5kg以上である場合、100mgである、投与すること;及び
b)前記心臓手術後にニルセビマブの第2の用量を前記対象に投与することであって、
i)前記第2の用量中のニルセビマブの量は、前記対象が、前記第2の用量の投与時に体重が5kg未満であり、及び前記第2の用量が前記第1の用量の投与から90日以内に投与される場合、50mgであるか;又は
ii)前記第2の用量中のニルセビマブの量は、前記対象が、前記第2の用量の投与時に体重が5kg以上であり、及び前記第2の用量が前記第1の用量の投与から90日以内に投与される場合、100mgであるか;又は
iii)前記第2の用量中のニルセビマブの量は、前記第2の用量が前記第1の用量の投与後の90日超で投与される場合、50mgである、投与すること
を含み、任意選択的に、前記第2の用量は、前記対象が前記手術後に安定すると直ちに投与され、任意選択的に、前記心臓手術は、心肺バイパスを伴う心臓手術である、方法。
【請求項19】
ニルセビマブの用量は、出生時に投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の方法での使用のための、ニルセビマブを含む医薬組成物。
【請求項21】
請求項1~19のいずれか一項に記載の方法のための医薬品の製造におけるニルセビマブの使用。
【請求項22】
請求項1~19のいずれか一項に記載の方法での使用のための、ニルセビマブを含む製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年5月11日出願の米国仮出願第63/364,554号明細書、2022年4月26日出願の米国仮出願第63/363,633号明細書、2022年1月10日出願の米国仮出願第63/266,594号明細書及び2021年9月13日出願の米国仮出願第63/261,117号明細書の利益を主張し、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)と関連する感染又は他の疾患の予防に関する。
【背景技術】
【0003】
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)は、パラミクソウイルス科に属する感冒ウイルスである。RSVは、病原性が強く、容易に伝播する。RSVは、乳児及び幼児での下気道感染(LRTI)の最も一般的な原因であり、世界中で毎年流行している。全ての子供は、重度のRSV LRTIのリスクがある。子供の90%が生後2年以内にRSVに感染し、そのうちの最大40%がLRTIを患って症状を初めて呈する。主に細気管支炎又は肺炎を特徴とするRSV LRTIは、これらの幼児の発育中の肺に急性の影響を及ぼし、さらに長期にわたる影響も及ぼす重篤な病気である(Blanken et al.,N Engl J Med.(2013)368(19):1791-9)。
【0004】
重度のLRTIの発症は、入院に至ることが多い。RSVによる入院の主な危険因子は、早産、慢性肺疾患(CLD)、先天性心疾患、免疫不全及び他に健康な6週齢未満の乳児である。しかしながら、RSV感染による医療負担の大部分は、特に健康な乳児において、外来受診及び救急診療部受診として病院外で発生している。
【0005】
全ての乳児におけるRSV疾患の予防は、公衆衛生上での主要な優先事項である。しかし、50年超にわたるワクチン開発の試みにもかかわらず、認可されたワクチンはない。現在承認されている唯一のRSV予防薬は、RSVの融合(F)タンパク質を標的とするヒト化モノクローナル抗体であるパリビズマブ(Synagis(登録商標))である。パリビズマブは、下記の高リスクの子供での使用にのみ適応されている:在胎期間(GA)が35週間以下の早産児、未熟児のCLDを患っている子供、血行動態的に重要な先天性心疾患(CHD)を患っている子供。加えて、パリビズマブの使用に関して、地方又は国の推奨機関により、さららなる制限が課されている。例えば、米国では、米国小児科学会(AAP)のガイドラインにより、パリビズマブは、GAが29週間以上の健康な早産児に推奨されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
健康な早産児及び正期産児をRSVから保護するという医療上重大な必要性は、満たされていない。RSV融合(F)タンパク質ナノ粒子を使用する母体免疫化を評価する試験から、第3相データが入手可能である。しかしながら、この試験は、一次評価項目を十分な精度で満たしておらず、医療上重大なRSV LRTIに対する有効性は、39.4%(97.52%CI、-1.0~63.7)と報告された。(Madhi et al.,N Engl J Med.(2020)383:426-39)。健康な乳児のより広範な集団に対して承認されたRSV予防薬がなく、且つRSVの処置薬もないことから、これらの患者が重篤なRSV疾患に罹患した場合の現在の管理は、対処療法に過ぎない。そのため、RSV感染を予防又は軽減するために全ての乳児の受動的免疫化を行うという緊急の必要性が依然として残っている。乳児におけるRSV感染の予防又は軽減での別の検討事項は、RSV流行期の持続期間である。例えば、RSV流行期は、5ヶ月以上(例えば、6、7、8、9又は10ヶ月)持続する場合がある。RSV流行期全体を通して毎月パリビズマブを投与しなければならず、そのため、利便性が制限される場合がある。IMpact-RSV Study Group.“Palivizumab,a humanized respiratory syncytial virus monoclonal antibody, reduces hospitalization from respiratory syncytial virus infection in high-risk infants.”Pediatrics 102.3(1998):531-537を参照されたい。そのため、単回用量で乳児におけるRSV感染を予防又は軽減するのに有効である受動免疫化の緊急の必要性も依然として残っている。同様に、RSV流行期以外でも投与し得る単回用量による有効な受動免疫化も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、特に、RSV下気道感染の予防を、それを必要とする乳児又は小児対象において行う方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を対象に投与することを含み、この単回用量は、5ヶ月超にわたってRSV LRTIを予防するのに有効である。いくつかの実施形態では、この方法は、直前のRSV流行期の終わり後、ニルセビマブの単回用量を対象に投与することを含み、この単回用量は、次のRSV流行期全体を通してRSV LRTIを予防するのに有効である。
【0008】
いくつかの実施形態では、この方法は、ニルセビマブの単回用量を対象に投与することを含み、この投与をRSV流行期毎に1回のみ行う。いくつかの実施形態では、この方法は、ニルセビマブの単回用量を対象に投与することを含み、この投与を1年に1回のみ行う。いくつかの実施形態では、この方法は、RSV流行期以外の時点でニルセビマブの単回用量を乳児又は小児対象に投与することを含み、この投与を1年に1回のみ行う。いくつかの実施形態では、ニルセビマブの単回用量を筋肉内投与する。
【0009】
いくつかの実施形態では、この方法は、RSV流行期毎にニルセビマブの単回用量を乳児又は小児対象に投与することを含み、この投与は、この流行期の始まり前(例えば、1ヶ月前、2ヶ月前、3ヶ月又はより多い月数前)である。いくつかの実施形態では、この方法は、5ヶ月超(例えば、少なくとも6、7、8、9又は10ヶ月)にわたって保護をもたらすのに有効である、RSV流行期毎のニルセビマブの単回用量を乳児又は小児対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、ニルセビマブの単回用量は、少なくとも11又は12ヶ月にわたって保護をもたらすのに有効である。
【0010】
いくつかの実施形態では、この方法は、RSV流行期の始まり又はRSV流行期中にRSV流行期毎のニルセビマブの単回用量を乳児又は小児対象に投与することを含み、このRSV流行期は、約5ヶ月超であり、任意選択的に、このRSV流行期は、約6、約7、約8、約9又は約10ヶ月である。いくつかの実施形態では、ニルセビマブの単回用量は、5ヶ月超(好ましくは少なくとも6、7、8、9、10、11又は12ヶ月)にわたってRSV感染及び/又はRSV疾患に対する保護をもたらす。いくつかの実施形態では、ニルセビマブの単回用量を筋肉内投与する。
【0011】
いくつかの実施形態では、この方法は、極めて重度のRSV感染の予防を、それを必要とする乳児又は小児対象において行うことを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、ニルセビマブの単回用量を対象に投与することを含み、この単回用量は、5ヶ月超にわたって極めて重度のRSV感染を予防するのに有効である。
【0012】
いくつかの実施形態では、この方法は、原因を問わない下気道感染(LRTI)又は原因を問わないLRTIによる入院の予防を、それを必要とする乳児又は小児対象において行うことを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、ニルセビマブの単回用量を対象に投与することを含み、この単回用量は、5ヶ月超にわたって原因を問わないLRTI又は原因を問わない入院を予防するのに有効である。
【0013】
いくつかの実施形態では、この方法は、RSV感染を発症するリスクが高い(例えば、RSV LRTIを発症するリスクが高い)対象におけるRSV LRTIを予防することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、対象の1回目のRSV流行期前又はその間にニルセビマブの第1の用量を、且つ対象の2回目のRSV流行期前又はその間にニルセビマブの第2の用量を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、第1の用量中のニルセビマブの量は、対象が、投与時に体重が5kg未満である場合、50mgであり、及び対象が、投与時に体重が5kg以上である場合、100mgである。いくつかの実施形態では、第2の用量中のニルセビマブの量は、200mgである。
【0014】
いくつかの実施形態では、この方法は、心臓手術を受けている対象におけるRSV LRTIを予防することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、対象の1回目のRSV流行期前にニルセビマブの第1の用量を対象に投与することであって、第1の用量中のニルセビマブの量は、対象が、第1の用量の投与時に体重が5kg未満である場合、50mgであるか、又は第1の用量中のニルセビマブの量は、対象が、第1の用量の投与時に体重が5kg以上である場合、100mgである、投与することと;心臓手術後にニルセビマブの第2の用量を対象に投与することであって、第2の用量中のニルセビマブの量は、対象が、第2の用量の投与時に体重が5kg未満であり、及び第2の用量が第1の用量の投与から90日以内に投与される場合、50mgであるか、又は第2の用量中のニルセビマブの量は、対象が、第2の用量の投与時に体重が5kg以上であり、及び第2の用量が第1の用量の投与から90日以内に投与される場合、100mgであるか、又は第2の用量中のニルセビマブの量は、第2の用量が第1の用量の投与後の90日超で投与される場合、50mgである、投与することとを含む。いくつかの実施形態では、第2の用量は、対象が手術後に安定すると直ちに投与される。いくつかの実施形態では、心臓手術は、心肺バイパスを伴う心臓手術である。
【0015】
いくつかの実施形態では、この方法は、心臓手術を受けている対象におけるRSV LRTIを予防することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、対象の2回目のRSV流行期前にニルセビマブの第1の用量を対象に投与することであって、第1の用量中のニルセビマブの量は、200mgである、投与することと;心臓手術後にニルセビマブの第2の用量を対象に投与することであって、第2の用量中のニルセビマブの量は、第2の用量が第1の用量の投与から90日以内で投与される場合、200mgであるか、又は第2の用量中のニルセビマブの量は、第2の用量が第1の用量の投与後の90日超で投与される場合、100mgである、投与することとを含む。いくつかの実施形態では、第2の用量は、対象が手術後に安定すると直ちに投与される。いくつかの実施形態では、心臓手術は、心肺バイパスを伴う心臓手術である。
【0016】
いくつかの実施形態では、ニルセビマブの用量は、出生時に投与される。
【0017】
本発明の他の特徴、目的及び利点は、下記の詳細な説明で明らかである。しかしながら、この詳細な説明は、本発明の実施形態及び態様を示すものではあるが、限定ではなく、例示のためにのみ与えられるものであることを理解すべきである。この詳細な説明から、本発明の範囲内での様々な変更形態及び改変形態が当業者に明らかになるであろう。
【0018】
本明細書に全体が組み込まれる参考文献の内容は、本開示と矛盾しない範囲で組み込まれる。矛盾する場合、本開示が優先する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施例2で説明されている試験のデザインを示す図である。薬物動態解析のための血液サンプルを、スクリーニング時又は用量前1日目、31日目、151日目及び361日目に且つ361日目まで呼吸器感染で入院している参加者から採取した。安全性評価を361日目まで実施した。a:用量レベルを投与時の体重により層別化した。ニルセビマブ群では、参加者に、5kg未満の場合にはニルセビマブ50mg(0.5mL)を投与し、5kg以上の場合にはニルセビマブ100mg(1.0mL)を投与した。プラセボ群の参加者に、対応する量の生理食塩水を投与し、即ち5kg未満の場合には0.5mLを投与し、5kgn以上の場合には1.0mLを投与した。b:日本では、15日目の受診を血液サンプル採取のための8日目の受診に置き換えた(検査室パラメータ)。日本では、血液サンプルを31日目及び151日目の受診時にも採取した。欧州では、RSV血清検査に関する31日目の評価を除外して、採血量を制限した。薬物動態解析のための血液サンプルを31日目の代わりに15日目に採取した。IM、筋肉内;LRTI、下気道感染。
【
図2】intent-to-treat(ITT)集団における、初めての診察を要するRSV関連のLRTIまでの時間を示すグラフである。time-to-event解析からのKaplan-Meier曲線は、診察を要するRSV関連のLRTIを患っていなかった参加者の割合の推定値を示す。ハザード比及び対応する95%CIを層別化比例ハザードモデルから得た。チェックマークは、打ち切りデータを示す。
【
図3】南アフリカからのITT集団における、初めての診察を要するRSV関連のLRTIまでの時間を示すグラフである。time-to-event解析からのKaplan-Meier曲線は、診察を要するRSV関連のLRTIを患っていなかった参加者の割合の推定値を示す。ハザード比及び対応する95%CIを層別化比例ハザードモデルから得た。チェックマークは、打ち切りデータを示す。
【
図4】ITT集団に関する用量後150日目までの診察を要するRSV関連のLRTIの発生率に関するサブグループ解析を示す表である。a:相対リスク減少及びその95%CI(mi-P調整済)を、階層なしのPROC GENMODを使用する正確な条件法に基づいて推定した。RRR:相対リスク減少。
【
図5】最初の150日に診察を要するLRTIを発症した参加者のニルセビマブ血清中濃度を含む、経時的な個々のニルセビマブ血清中濃度を示すグラフのパネルである。濃い線は、151日目前に診察を要するRSV LRTIの破綻的な症例を有する参加者を表す。151日目を灰色の垂直破線で示す。
【
図6】様々な重症度の診察を要する下気道感染及び原因を問わない呼吸器疾患に起因する入院に対するニルセビマブの有効性を実証する、さらにプールされた有効性データを示す。
†=ロバスト分散を伴うポアソン回帰に基づく推定(共変数としての試験を含む);多重度に関して補正されていない;
‡=欠損データのインピュテーションを含む;
#=酸素補給又は静脈内輸液を必要とする症例として定義されている(探索的評価項目);CI=信頼区間。
【
図7】サブグループ全体にわたる診察を要するLRTIに対するニルセビマブの有効性を実証する、さらにプールされた有効性データを示す。CI=信頼区間;RRR=相対リスク減少。
【
図8】150日にわたる診察を要する下気道感染(LRTI)に対するニルセビマブの有効性を実証する、さらにプールされた有効性データを示す。CI=信頼区間。
【
図9】プラセボと比較して、ニルセビマブを投与した対象に関する入院患者の医療資源利用に関するプールされた有効性データを示す。CPAP=持続的気道陽圧;HFNC=高流量鼻カニューレ;ICU=集中治療室。
【
図10】プラセボと比較して、ニルセビマブを投与した対象に関する外来患者の受診及び抗生物質使用に関するプールされた有効性データを示す。
†=オフセットとして対数追跡期間を伴うポアソン回帰に基づく推定;
‡=100×総事象数/総追跡期間(5ヶ月)として算出:CI=信頼区間;RRR=相対リスク減少。
【
図11A】第IIb相におけるニルセビマブ又はプラセボによる免疫付与後のRSV中和抗体レベル及びベースラインからの上昇倍率を示す。CI=信頼区間;LLOQ=定量下限;RSV=呼吸器合胞体ウイルス;RSV+=RSV感染陽性と確認されている;RSV-=RSV感染が確認されていないか又は検査されていない。
【
図11B】第III相(MELODY)におけるニルセビマブ又はプラセボによる免疫付与後のRSV中和抗体レベル及びベースラインからの上昇倍率を示す。CI=信頼区間;LLOQ=定量下限;RSV=呼吸器合胞体ウイルス;RSV+=RSV感染陽性と確認されている;RSV-=RSV感染が確認されていないか又は検査されていない。
【
図12A】第IIb相におけるニルセビマブ又はプラセボによる免疫付与後の361日目までのベースラインからのRSV中和抗体レベルの幾何平均上昇倍率(GMFR)を示す。CI=信頼区間;RSVあり=RSV感染が確認されている;RSVなし=RSV感染が確認されていない。
【
図12B】第III相(MELODY)におけるニルセビマブ又はプラセボによる免疫付与後の361日目までのベースラインからのRSV中和抗体レベルの幾何平均上昇倍率(GMFR)を示す。CI=信頼区間;RSV=呼吸器合胞体ウイルス;RSVあり=RSV感染が確認されている;RSVなし=RSV感染が確認されていない。
【
図13A】第IIb相試験及び第III相(MELODY)試験における患者のベースラインRSV中和抗体レベルを示す。CI=信頼区間;GMC=幾何平均濃度;NH=北半球;SH=南半球;LLOQ=定量下限。
【
図13B】第IIb相試験及び第III相(MELODY)試験において、年齢群全体にわたりベースラインRSV中和抗体レベルを比較する。CI=信頼区間;GMC=幾何平均濃度;LLOQ=定量下限。
【
図14】第IIb相試験(試験3)及び第III相MELODY試験全体にわたるRSV LRTIの減少におけるニルセビマブの有効性のプール解析を示す。CI=信頼区間;LRTI=下気道感染;MA=診察を要する;RRR=相対リスク減少;RSV=呼吸器合胞体ウイルス;wkGA=在胎期間の週数。
【
図15A】暴露四分位ビンによる、試験により初めての診察を要するRSV VRTIまでの時間に関するKaplan-Meier推定値を示す。MA RSV LRTI=診察を要するRSV下気道感染;Q=四分位。
【
図15B】151日目までの、暴露四分位ビンによる、プールされた最終暴露反応モデルにおける予測因子のフォレストプロットを示す。AUC=濃度時間曲線下面積;CI=信頼区間;HR=ハザード比。
【
図16】MELODY試験における全対象に関する用量後150日(ITT集団)にわたる様々な重症度の診察を要するRSV LRTIの発生率を示す。ITT集団=無作為化を受けた全ての乳児;MA RSV LRTI=診察を要するRSV下気道感染;CI=信頼区間。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は、流行期毎に単回用量を使用する、ニルセビマブを使用するRSV感染の予防であって、この用量をRSV流行期以外で投与し得る、予防を提供する。いくつかの実施形態では、この予防方法は、RSV関連のLRTIを予防する。いくつかの実施形態では、本明細書の予防方法は、RSV関連の入院を予防する。この方法を使用して、初めてのRSV流行期に入っている全ての乳児及び初めての又は2回目のRSV流行期に入っている、RSV感染を発症するリスクが高い小児(例えば、CLR又はCHDを発症している小児)の受動免疫化をもたらし得る。本方法により、5ヶ月以上(例えば、6、7、8、9、10ヶ月)にわたってRSV感染を効果的に軽減するか又は予防する、RSV流行期毎又はRSV流行期前の1回の投与により、RSV疾患から全ての乳児を保護する費用効果が高い機会が提供され得る。
【0021】
本開示は、ニルセビマブによる処置の予防効果の予想外に長い持続期間を明らかにしており、この効果は、RSV流行期の長さを超えて持続し得る(典型的には特定の地理的領域では5ヶ月であるが、他の場所(例えば、より熱帯の場所)ではより長い可能性がある)。予想外にも、ニルセビマブの予防的保護効果は、本明細書の方法に従って投与された場合、プラセボと比較して投与後150日を超えて(例えば、最大少なくとも8ヶ月)持続することが本明細書で示されている。この驚くべき利点に起因して、本発明者らは、ニルセビマブの単回用量を使用して、5ヶ月のRSV流行期(温帯気候での典型的な長さのRSV流行期)を超えて保護(例えば、LRTIに対する保護又はRSVと関連する入院に対する保護)をもたらし得ることと、ニルセビマブの単回用量が、いくつかの熱帯気候で観察されるようなさらに長い流行期(例えば、少なくとも8ヶ月もの長さ又は12ヶ月もの長さ)であっても全体を通して保護をもたらし得ることとを発見した。この予期しない保護期間に基づいて、本発明者らは、ニルセビマブを流行期の始まり前(例えば、数週間から数ヶ月前)に投与して、より多くの適格患者をより効果的にカバーし得、且つ/又は流行期がより長い領域(例えば、熱帯気候又は亜熱帯気候)におけるRSV流行期全体を通して保護が可能となると決定している。そのため、ニルセビマブの単回用量処置を、地域のRSV流行期の長さにかかわらず、RSV流行期の始まり前(即ち少なくとも2、3又はより多くの週間前)に施し得る。いくつかの実施形態では、ニルセビマブの単回用量処置をRSV流行期の始まりの1、2、3又はより多くの月数前に施し得る。いくつかの実施形態では、ニルセビマブの単回用量処置をRSV流行期の内外に関わりなく一年中いつでも施し得る。
【0022】
RSV流行期の始まり及び終わりを、例えば、数ある監視方法の中でも、熟練した開業医に既知の過去の傾向又はRSVに関して陽性と検査されている患者の割合に関する報告書を評価することにより、それぞれの地理的領域に関して医療従事者及び疫学者によって決定し得る。温帯気候での典型的なRSV流行期は、最高約5ヶ月(例えば、3、4又は5ヶ月)持続する。一部の状況では、地域的な気候又は地域的な免学者の傾向に起因して、RSV流行期がより長い可能性がある(例えば、約6、7若しくは8ヶ月又はより多い月数の長さ)。一部の状況では、RSV流行期は、様々な因子(例えば、COVID-19パンデミック中に起こるような手の消毒、マスクの着用及び社会的距離の確保に起因する衛生状態及び社会的行動の変化)により引き起こされた中断に起因して、継続期間が変更され得る。北半球及び南半球の両方において、RSV流行期は、典型的には、秋(秋季)に始まり、春に終わる。米国では、米国疾病管理予防センターは、National Respiratory and Enteric Virus Surveillance System(NREVSS)と呼ばれる監視システムにより収集された国レベル、地域レベル及び州レベルでのRSC活動に関するデータを分析する。欧州では、欧州疾病予防管理センター(ECDC)は、European Surveillance System(TESSy)を通してウイルス学的データを分析する。一般に、米国で発生するRSV流行期は、9月中旬~11月中旬の範囲であり、12月下旬~2月中旬に流行期のピークとなり、フロリダを除く米国保健社会福祉省(HHS)の10箇所全ての領域では、4月中旬~5月中旬に流行期の終わりとなる。フロリダでは、国内のほとんどの地域よりも早くRSV流行期が始まり、且つ持続期間がより長い。南半球の大部分では、RSV流行期は、典型的には、5月~9月に発生する。熱帯気候又は亜熱帯気候では、RSV流行期は、雨季と関連していることが多い。
【0023】
RSV予防レジメンの疾患から最大数の対象を保護する能力は、RSV流行期の始まりに対する予防薬送達のタイミングに部分的に依存する。RSV流行期の始まりは、地理及び気候等の複数の因子に依存する場合がある。従って、RSV流行期の始まりは、地方レベル、州レベル、地域レベル又は国レベルでのRSV検査の陽性率によって決定されることが多い。本明細書で使用される場合、「RSV検査陽性」は、対象がRSV感染を患っていることを示す。
【0024】
RSV感染(例えば、RSV検査陽性)は、当技術分野で既知の診断方法によって決定され得る。例えば、Midgley et.al.,Determining the Seasonality of Respiratory Syncytial Virus in the United States:The Impact of Increased Molecular Testing.J Infect Dis.2017 Aug 1を参照されたい。いくつかの実施形態では、RSV検査を上気道サンプルで実施し得る。いくつかの実施形態では、RSV検査を下気道サンプルで実施し得る。いくつかの実施形態では、RSV感染をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ベースの方法によって決定する。いくつかの実施形態では、RSV感染を抗原ベースの方法によって決定する。いくつかの実施形態では、RSV感染を培養によるウイルス単離によって決定する。いくつかの実施形態では、RSV感染を血清検査によって決定する。
【0025】
いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まりは、2週間中にRSV検査の陽性率が閾値を超える最初の連続する2週間によって定義される。いくつかの実施形態では、この閾値は、3%~13%であり、例えば3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%又は13%である。
【0026】
いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まりは、2週間中にRSVに関するPCR検査の陽性率が閾値を超える最初の連続する2週間によって定義される。いくつかの実施形態では、PCR検査陽性の閾値は、3%~13%であり、例えば3%、5%、7%、10%又は13%である。いくつかの実施形態では、PCR検査陽性の閾値は、3%である。いくつかの実施形態では、PCR検査陽性の閾値は、5%である。いくつかの実施形態では、PCR検査陽性の閾値は、7%である。いくつかの実施形態では、PCR検査陽性の閾値は、10%である。いくつかの実施形態では、PCR検査陽性の閾値は、13%である。
【0027】
いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まりは、2週間中にRSVに関する抗原検査の陽性率が閾値を超える最初の連続する2週間によって定義される。いくつかの実施形態では、抗原検査陽性の閾値は、3%~13%であり、例えば3%、5%、7%、10%又は13%である。いくつかの実施形態では、抗原検査陽性の閾値は、3%である。いくつかの実施形態では、抗原検査陽性の閾値は、5%である。いくつかの実施形態では、抗原検査陽性の閾値は、7%である。いくつかの実施形態では、抗原検査陽性の閾値は、10%である。いくつかの実施形態では、抗原検査陽性の閾値は、13%である。
【0028】
閾値の陽性率を測定するための追加の正規化プロセスは、当技術分野で既知である(例えば、移動流行モデル(MEM)、遡及的スロープ10(RS10)、10倍ベースライン(10FB))。いくつかの実施形態では、週単位の検査陽性の移動平均が使用される。いくつかの実施形態では、週単位の検査陽性の5週移動平均が使用される。いくつかの実施形態では、移動平均は、1000例のRSV検査陽性の流行期ピークに対して正規化される。いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まりは、後続の週間の正規化された5週移動平均が、1週間当たり少なくとも10例の正規化されたRSV検査陽性だけ増加する場合、連続する2週間のうちの2週目であるが、但し、前週もこの閾値を満たすことを条件とする。いくつかの実施形態では、4週移動平均は、過去2週間、今週及び翌週での検査陽性の平均数として定義される。いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まりは、流行期前のベースラインと比較した4週移動平均によって定義される。いくつかの実施形態では、流行期前のベースラインは、29週目の4週移動平均として定義される。いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まりは、RSV検査陽性の4週移動平均が流行期前のベースラインでの4週移動平均と比べて約8倍~約13倍大きい場合、連続する2週間のうちの最初の週と定義される。
【0029】
いくつかの実施形態では、対象に、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与し、RSV流行期の始まりは、2週間の期間にわたるRSV検査の平均陽性率が3~13%の範囲の閾値を超える最初の連続する2週間によって定義される。いくつかの実施形態では、対象に、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与し、RSV流行期の始まりは、2週間の期間にわたるRSV検査の平均陽性率が3%を超える最初の連続する2週間によって定義される。いくつかの実施形態では、対象に、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与し、RSV流行期の始まりは、2週間の期間にわたるRSV検査の平均陽性率が5%を超える最初の連続する2週間によって定義される。いくつかの実施形態では、対象に、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与し、RSV流行期の始まりは、2週間の期間にわたるRSV検査の平均陽性率が7%を超える最初の連続する2週間によって定義される。いくつかの実施形態では、対象に、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与し、RSV流行期の始まりは、2週間の期間にわたるRSV検査の平均陽性率が10%を超える最初の連続する2週間によって定義される。いくつかの実施形態では、対象に、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与し、RSV流行期の始まりは、2週間の期間にわたるRSV検査の平均陽性率が13%を超える最初の連続する2週間によって定義される。この段落の実施形態のいずれかでは、RSV検査の陽性率は、PCR検査によって決定され得る。この段落の実施形態のいずれかでは、RSV検査の陽性率は、抗原検査によって決定され得る。いくつかの実施形態では、抗原検査は、直接免疫蛍光法を含む。いくつかの実施形態では、抗原検査は、迅速抗原検出検査であり、例えばID NOW(商標)RSV、Directigen(商標)RSV、Directigen(商標)EZ RSV、BinaxNOW(商標)RSV、BD Veritor(商標)RSV、Sofia(登録商標)RSVである。
【0030】
いくつかの実施形態では、対象に、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与し、RSV流行期の始まりは、2週間の期間にわたるPCR検査の平均陽性率が3%等の閾値を超える最初の連続する2週間によって定義される。いくつかの実施形態では、対象に、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与し、RSV流行期の始まりは、2週間の期間にわたる抗原検査の平均陽性率が10%を超える最初の連続する2週間によって定義される。この段落の実施形態のいずれかでは、RSV検査の陽性率は、抗原検査によって決定され得る。
【0031】
本明細書で使用される場合、RSV流行期の始まりの「前」に対象にニルセビマブを投与することは、例えば、本明細書で説明されているか又は当技術分野で既知の方法に従って決定されるRSV流行期の始まりの少なくとも2週間前に対象にニルセビマブを投与することを意味する。いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、RSV流行期の始まりの約2週間前にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、RSV流行期の始まりの約3週間前にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、RSV流行期の始まりの約4週間前にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、RSV流行期の始まりの約1ヶ月前にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、RSV流行期の始まりの約2ヶ月前にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、RSV流行期の始まりの約3ヶ月前にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、RSV流行期の始まりの約4ヶ月前にニルセビマブを投与する。そのため、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、RSV流行期の始まりの約4ヶ月~2週間前にニルセビマブを投与し得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まりは、例えば、3~10%(例えば3%)を下回る陽性率(例えば、PCRにより測定される)によって決定される場合、直前のRSV流行期の終わり後の期間(例えば、直前のRSV流行期の終わりの約16~28週間前)に従って予測される。いくつかの実施形態では、次のRSV流行期は、直前のRSV流行期の終わりの約16週間後に始まると予測される。
【0033】
いくつかの実施形態では、対象に、直前のRSV流行期の終わり後、次のRSV流行期の始まり前と予測される時点(例えば、直前のRSV流行期の終わりの約16~28週間後)でニルセビマブの単回用量を投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約16週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約17週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約18週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約19週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約20週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約21週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約22週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約23週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約24週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約25週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約26週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約27週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約28週間後にニルセビマブを投与する。
【0034】
いくつかの実施形態では、RSV流行期の終わりは、1週間の期間にわたるRSV検査の平均陽性率が閾値を下回る最初の1週間によって定義される。いくつかの実施形態では、この閾値は、3%~13%であり、例えば3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%又は13%である。いくつかの実施形態では、週単位のRSV検査陽性の閾値は、3%である。いくつかの実施形態では、週単位のRSV検査陽性の閾値は、5%である。いくつかの実施形態では、週単位のRSV検査陽性の閾値は、7%である。いくつかの実施形態では、週単位のRSV検査陽性の閾値は、10%である。いくつかの実施形態では、週単位のRSV検査陽性の閾値は、13%である。
【0035】
いくつかの実施形態では、RSV流行期の終わりは、1週間の期間にわたるRSVに関するPCR検査の平均陽性率が閾値を下回る最初の1週間によって定義される。いくつかの実施形態では、この閾値は、3%~13%である。いくつかの実施形態では、PCR検査陽性の閾値は、3%である。いくつかの実施形態では、PCR検査陽性の閾値は、5%である。いくつかの実施形態では、PCR検査陽性の閾値は、7%である。いくつかの実施形態では、PCR検査陽性の閾値は、10%である。いくつかの実施形態では、PCR検査陽性の閾値は、13%である。
【0036】
いくつかの実施形態では、RSV流行期の終わりは、1週間の期間にわたるRSVに関する抗原検査の平均陽性率が閾値を下回る最初の1週間によって定義される。いくつかの実施形態では、抗原検査陽性の閾値は、3%である。いくつかの実施形態では、抗原検査陽性の閾値は、5%である。いくつかの実施形態では、抗原検査陽性の閾値は、7%である。いくつかの実施形態では、抗原検査陽性の閾値は、10%である。いくつかの実施形態では、抗原検査陽性の閾値は、13%である。
【0037】
RSV流行期の終わりを決定するためのさらなる方法は、当技術分野で既知である(遡及的スロープ10(RS10)、10倍ベースライン(10FB))。いくつかの実施形態では、週単位の検査陽性の移動平均が使用される。いくつかの実施形態では、週単位の検査陽性の5週移動平均が使用される。いくつかの実施形態では、移動平均は、1000例のRSV検査陽性の流行期ピークに対して正規化される。いくつかの実施形態では、RSV流行期の終わりは、正規化された5週移動平均が1週間当たり10例の正規化されたRSV検査陽性の増加を超える直前の週である。いくつかの実施形態では、4週移動平均は、過去2週間、今週及び翌週での検査陽性の平均数として定義される。いくつかの実施形態では、RSV流行期の終わりは、流行期前のベースラインと比較した4週移動平均によって定義される。いくつかの実施形態では、流行期前のベースラインは、29週目の4週移動平均として定義される。いくつかの実施形態では、RSV流行期の終わりは、RSV検査陽性の4週移動平均が流行期前のベースラインでの4週移動平均と比べて約8倍~約13倍大きい場合、直前の週と定義される。
【0038】
いくつかの実施形態では、対象に、直前のRSV流行期の終わり後、次のRSV流行期の始まり前と予測される時点でニルセビマブの単回用量を投与する。いくつかの実施形態では、対象に、次のRSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与し、次のRSV流行期は、直前のRSV流行期の終わり後の一定期間によって定義され、直前のRSV流行期の終わりは、1週間の期間にわたるRSV検査の平均陽性率が閾値を下回る最初の1週間によって定義される。いくつかの実施形態では、この閾値は、3%~13%であり、例えば3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%又は13%である。いくつかの実施形態では、対象に、次のRSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与し、次のRSV流行期の始まりは、直前のRSV流行期の終わりによって定義され、直前のRSV流行期の終わりは、1週間の期間にわたるPCR検査の平均陽性率が3%を下回る最初の1週間によって定義される。いくつかの実施形態では、対象に、次のRSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与し、次のRSV流行期の始まりは、直前のRSV流行期の終わりによって定義され、直前のRSV流行期の終わりは、1週間の期間にわたる抗原検査の平均陽性率が10%を下回る最初の1週間によって定義される。いくつかの実施形態では、対象に、直前のRSV流行期の終わりの約1週間後にニルセビマブの単回用量を投与する。いくつかの実施形態では、対象に、直前のRSV流行期の終わりの約2週間後にニルセビマブの単回用量を投与する。いくつかの実施形態では、対象に、直前のRSV流行期の終わりの約3週間後にニルセビマブの単回用量を投与する。いくつかの実施形態では、対象に、直前のRSV流行期の終わりの約4週間後にニルセビマブの単回用量を投与する。いくつかの実施形態では、対象に、直前のRSV流行期の終わりの約1ヶ月後にニルセビマブの単回用量を投与する。いくつかの実施形態では、対象に、直前のRSV流行期の終わりの約2ヶ月後にニルセビマブの単回用量を投与する。いくつかの実施形態では、対象に、直前のRSV流行期の終わりの約3ヶ月後にニルセビマブの単回用量を投与する。いくつかの実施形態では、対象に、直前のRSV流行期の終わりの約4ヶ月後にニルセビマブの単回用量を投与する。いくつかの実施形態では、対象に、直前のRSV流行期の終わりの約5ヶ月後にニルセビマブの単回用量を投与する。いくつかの実施形態では、対象に、直前のRSV流行期の終わりの約6ヶ月後にニルセビマブの単回用量を投与する。いくつかの実施形態では、対象に、直前のRSV流行期の終わりの約7ヶ月後にニルセビマブの単回用量を投与する。
【0039】
いくつかの実施形態では、RAV流行期の始まりは、気象学上での季節によって決定される。気象学上での季節は、地域の温度サイクルに依存する。例えば、北半球では、気象学上での秋(秋季)は、9月、10月及び11月を含み、気象学上での春は、3月、4月及び5月を含む。南半球では、気象学上での秋(秋季)は、3月、4月及び5月を含み、気象学上での春は、9月、10月及び11月を含む。いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まりは、秋(秋季)である。いくつかの実施形態では、RSV流行期の終わりは、気象学上での季節によって定義される。いくつかの実施形態では、RSV流行期の終わりは、春である。いくつかの実施形態では、対象に、気象学上での季節によって決定されるRSV流行期の終わり後又は次のRSV流行期の始まり前にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、春に対象にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、晩春に対象にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、夏又は秋(秋季)に対象にニルセビマブを投与する。
【0040】
いくつかの実施形態では、対象に、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与し、RSV流行期の始まりは、地方、州、地域又は国の保健局(例えば、ECDC、CDC)によって予測される。いくつかの実施形態では、対象に、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与し、RSV流行期の終わりは、地方、州、地域又は国の保健局によって宣言される。
【0041】
いくつかの実施形態では、対象に、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与し、RSV流行期の始まりは、NREVSSによって予測される。いくつかの実施形態では、対象に、直前のRSV流行期の終わり後、ニルセビマブの単回用量を投与し、RSV流行期の終わりは、NREVSSによって宣言される。
【0042】
いくつかの実施形態では、対象に、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与し、RSV流行期の始まりは、TESSyによって予測される。いくつかの実施形態では、対象に、直前のRSV流行期の終わり後、ニルセビマブの単回用量を投与し、RSV流行期の終わりは、TESSyによって宣言される。
【0043】
本明細書で使用される場合、「陽性率」は、定義された期間にわたるRSV検査の陽性率を意味する。本明細書で使用される場合、「RSVステータス」又は「事象ステータス」は、RSV検査からの対象の検査結果を指す。本明細書で使用される場合、「RSV検査陽性」は、対象がRSVに感染していることを意味する。
【0044】
本明細書で使用される場合、「重篤なRSV疾患」又は「重篤なRSV感染」は、RSV感染により引き起こされた下気道感染(RSV LRTI)又はRSV関連の入院を含む。いくつかの実施形態では、RSV LRTIは、細気管支炎又は肺炎を特徴とする。本明細書で使用される場合、「重篤なRSV」は、「重度のRSV」と同義であり、「極めて重篤なRSV」は、「極めて重度のRSV」と同義である。
【0045】
いくつかの実施形態では、「重度のRSV感染」は、下記の少なくとも1つを特徴とする:呼吸数の増加(生後2ヶ月未満の場合、60回以上の呼吸/分;生後2ヶ月~6ヶ月の場合、50回以上の呼吸/分、生後6ヶ月~24ヶ月の場合、40回以上の呼吸/分);室内空気での低酸素血症(1800m以下でO2<95%;1800m超でO2<92%);初発の無呼吸;陥凹;うなり声;鼻翼呼吸;急性の低酸素又は換気不全;静脈内水分補給を必要とする呼吸困難に起因する脱水;肋間収縮、肋骨下収縮又は上室収縮。いくつかの実施形態では、重度のRSV感染は、診察を要するRSV LRTIによる入院を特徴とする。
【0046】
本明細書で使用される場合、「極めて重度のRSV感染」は、診察を要するRSV LRTIによる入院並びに酸素補給及び/又は静脈内輸液を必要とすることを特徴とする。いくつかの実施形態では、「極めて重度のRSV感染」は、90%未満の酸素飽和度(SaO2)を特徴とする。
【0047】
本明細書で使用される場合、「予防」、「保護」及び「保護をもたらす」は、同義で使用される。いくつかの実施形態では、RSVからの保護は、RSV疾患の阻害又は軽減を意味する。本明細書で使用される場合、「阻害」は、部分的な阻害と完全な阻害との両方を含み、例えば、RSV疾患の1つ若しくは複数の症状の軽減及び/又はRSV疾患のリスクの軽減を含む。いくつかの実施形態では、RSVからの保護は、RSV感染により引き起こされた症状の重症度の軽減を意味する。いくつかの実施形態では、保護をもらすことは、RSV感染により引き起こされた下気道感染(RSV関連のLRTI、特に診察を要するRSV関連のLRTI)の阻害又は軽減を意味する。いくつかの実施形態では、保護をもたらすことは、RSV関連の入院の抑制又は軽減を意味する。いくつかの実施形態では、保護をもたらすことは、RSV疾患(例えば、RSV LRTI)の発症の阻害又は軽減を意味する。いくつかの実施形態では、保護は、重度のRSV感染(例えば、重度のRSV LRTI、特に診察を要する重度のRSV LRTI)の阻害又は軽減を意味する。いくつかの実施形態では、保護は、極めて重度のRSV感染(例えば、極めて重度のRSV LRTI、特に診察を要する極めて重度のRSV LRTI)の阻害又は軽減を意味する。いくつかの実施形態では、保護は、RSV疾患のリスクの軽減を意味する。いくつかの実施形態では、保護は、RSV感染により引き起こされた下気道感染(RSV関連のLRTI、特に診察を要するRSV関連のLRTI)のリスクの軽減を意味する。いくつかの実施形態では、保護は、RSV関連の入院のリスクの軽減を意味する。いくつかの実施形態では、保護は、RSVの発症のリスクの軽減を意味する。いくつかの実施形態では、保護は、重度のRSV(例えば、重度のRSV LRTI、特に診察を要する重度のRSV LRTI)のリスクの軽減を意味する。いくつかの実施形態では、保護は、極めて重度のRSV(例えば、極めて重度のRSV LRTI、特に診察を要する極めて重度のRSV LRTI)のリスクの軽減を意味する。
【0048】
いくつかの実施形態では、保護は、原因を問わないLRTI(特に診察を要する原因を問わないLRTI)のリスクの軽減を意味する。いくつかの実施形態では、保護は、原因を問わないLRTIによる入院のリスクの軽減を意味する。
【0049】
保護は、ニルセビマブを投与されなかった対象との比較として理解され得る。いくつかの実施形態では、RSVからの保護は、ニルセビマブを投与されなかった対象と比較したRSV疾患の阻害又は軽減を意味する。いくつかの実施形態では、RSVからの保護は、ニルセビマブを投与されなかった対象と比較した、RSV感染により引き起こされた下気道感染(RSV関連のLRTI、特に診察を要するRSV関連のLRTI)の阻害又は軽減を意味する。いくつかの実施形態では、RSVからの保護は、ニルセビマブを投与されなかった対象と比較した、RSV関連の入院の抑制又は軽減を意味する。いくつかの実施形態では、RSVからの保護は、ニルセビマブを投与されなかった対象と比較した、RSVの発症の阻害又は軽減を意味する。いくつかの実施形態では、RSVからの保護は、ニルセビマブを投与されなかった対象と比較した、重度のRSV(例えば、重度のRSV LRTI、特に診察を要する重度のRSV LRTI)の阻害又は軽減を意味する。いくつかの実施形態では、RSVからの保護は、ニルセビマブを投与されなかった対象と比較した、極めて重度のRSV感染(例えば、極めて重度のRSV LRTI、特に診察を要する極めて重度のRSV LRTI)の阻害又は軽減を意味する。
【0050】
いくつかの実施形態では、RSVからの保護は、ニルセビマブを投与されなかった対象と比較した、RSV疾患のリスクの軽減を意味する。いくつかの実施形態では、RSVからの保護は、ニルセビマブを投与されなかった対象と比較した、RSV感染により引き起こされた下気道感染(RSV関連のLRTI、特に診察を要するRSV関連のLRTI)のリスクの軽減を意味する。いくつかの実施形態では、RSVからの保護は、ニルセビマブを投与されなかった対象と比較した、RSV関連の入院のリスクの軽減を意味する。いくつかの実施形態では、RSVからの保護は、ニルセビマブを投与されなかった対象と比較した、RSVの発症のリスクの軽減を意味する。いくつかの実施形態では、RSVからの保護は、ニルセビマブを投与されなかった対象と比較した、重度のRSV(例えば、重度のRSV LRTI、特に診察を要する重度のRSV LRTI)のリスクの軽減を意味する。いくつかの実施形態では、RSVからの保護は、ニルセビマブを投与されなかった対象と比較した、極めて重度のRSV感染(例えば、極めて重度のRSV LRTI、特に診察を要する極めて重度のRSV LRTI)のリスクの軽減を意味する。
【0051】
本明細書で使用される場合、ニルセビマブの投与に関する「免疫化される」又は「免疫化」という用語は、受動免疫化を包含する。
【0052】
本明細書で使用される場合、「RSV関連のLRTI」、「RSVが確認されたLRTI」及び「RSV LRTI」は、同義で使用される。いくつかの実施形態では、RSV LRTIは、診察を要するRSV LRTI(MA RSV LRTI又はRSV MALRTI)である。
【0053】
本明細書で使用される場合、RSV下気道疾患(RSV LRTD)は、RSV LRTIと同義である。同様に、診察を要するRSV LRTDは、診察を要するRSV LRTIと同義である。LRTD及びLRTIは、RSV感染の文脈以外では必ずしも同義ではない。
【0054】
本明細書で使用される場合、「原因を問わないLRTI」及び「原因を問わない診察を要するLRTI」は、それぞれLRTI又は診察を要するLRTIの全症例を指し、RSV LRTI(原因を問わないLRTIの場合)又はMA RSV LRTI(原因を問わないMA LRTIの場合)を含むが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「原因を問わない呼吸器疾患」は、呼吸器疾患のあらゆる症例を包含し、RSV感染により引き起こされた呼吸器疾患を含むが、これに限定されない。本明細書で使用される場合、「原因を問わないLRTIによる入院」は、あらゆるLRTIによる入院を包含し、RSV LRTIに起因する入院を含むが、これに限定されない。
【0055】
本明細書で使用される場合、「RSV流行期以外」の時点は、RSV流行期内ではない時点を指し、最初の2週間(即ち連続する2週間)であって、陽性率が、この流行期の始まりを決定するために設定された閾値を超える、2週間を含む。いくつかの実施形態では、RSV流行期以外の期間は、RSV流行期の始まり前の約2、3若しくは4週間を超える期間又は約1、2、3、4、5、6、若しくは7ヶ月を超える期間である。本明細書で使用される場合、RSV流行期に関する「始まり」は、この流行期の「開始」又は「始まり」を意味し、これらの用語は、本明細書では同義に使用される。いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まりは、2週間の期間(例えば、陽性率が閾値を超える2週間の期間)によって定義される。いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まりは、開始日によって定義される。本明細書で使用される場合、「RSV流行期」は、RSV-A、RSV-B又は両方の流行期を指し得る。
【0056】
本明細書で使用される場合、「亜熱帯(subtropical)」及び「亜熱帯(semitropical)」は、同義で使用される。
【0057】
本明細書で使用される場合、「乳児」対象とは、1歳(生後12ヶ月)以下のヒト対象のことである。本明細書で使用される場合、「小児」対象とは、1歳超のヒトの子供対象のことである。いくつかの実施形態では、小児対象とは、1歳(生後12ヶ月)超、生後24ヶ月以下のヒト対象のことである。
【0058】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈が明らかに別の意味を示さない限り、複数の指示対象形を含む。
【0059】
「及び/又は」という語句は、本明細書で使用される場合、そのように結合された要素の「いずれか又は両方」を意味し、即ちある場合には結合的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素を意味する。そのため、非限定的な例として、「A及び/又はB」は、「含む」等のオープンエンドの言語と組み合わせて使用される場合、例えば、いくつかの実施形態では、Aのみを指し得(任意選択的に、B以外の要素を含む);他の実施形態では、Bのみを指し得(任意選択的に、A以外の要素を含む);さらに他の実施形態では、A及びBの両方を指し得る(任意選択的に、他の要素を含む)。
【0060】
本明細書で使用される場合、「少なくとも1つ」は、要素のリスト中の複数の要素の1つ又は複数を意味するが、要素のリスト内で具体的に列挙されている各々の要素の少なくとも1つを必ずしも含むものではなく、且つ要素のリスト中の要素の任意の組み合わせを除外するものではない。この定義は、「少なくとも1つ」という語句が指す要素のリスト内で具体的に特定されている要素以外の要素が、具体的に特定されている要素に関連するか関連しないかにかかわらず、任意選択的に存在し得ることも可能にする。そのため、非限定的な例として、「A及びBの少なくとも1つ」(又は均等に「A又はBの少なくとも1つ」若しくは均等に「A及び/又はBの少なくとも1つ」は、例えば、一実施形態では、Bが存在しない少なくとも1つ(任意選択的に複数)のAを指し得(任意選択的に、B以外の要素を含む);別の実施形態では、Aが存在しない少なくとも1つ(任意選択的に複数)のBを指し得(任意選択的に、A以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、少なくとも1つ(任意選択的に複数)のA及び少なくとも1つ(任意選択的に複数)のBを指し得る(任意選択的に、他の要素を含む)。
【0061】
数値が、単独で又は数値範囲の一部として列挙されている場合、この数値は、当業者により認識されるように、説明されている値に対して適切な分散により、記載されている値の上下に変動し得ることを理解すべきである。本明細書で使用される場合、「およそ」又は「約」という語は、目的の1つ又は複数の値に適用される場合、記載されている参照値に類似する値を指す。特定の実施形態では、この用語は、別途言及されない限り又は文脈から明らかでない限り、記載されている参照値のいずれかの方向で(より大きいか又はより小さい)10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%又はそれ未満内に入る値の範囲を指す。本明細書で使用される場合、週の数に適用される「およそ」又は「約」という用語は、±3日を意味する。本明細書で使用される場合、月の数に適用される「およそ」又は「約」という用語は、±2週間を意味する。
【0062】
さらに、別途文脈上必要でない限り、単数形の用語は、複数を含むものとし、複数形の用語は、単数を含むものとする。本明細書及び実施形態の全体を通して、「有する」及び「含む」という用語又は「有する」、「有している」、「含む」若しくは「含んでいる」等の変形は、記載されている整数又は整数群を含むこと意味するが、あらゆる他の整数又は整数群を排除することを意味するものでないと理解される。本明細書では多数の文献が引用されているが、この引用は、これらの文献のいずれもが当技術分野における一般知識の一部を形成することを認めるものではない。本明細書で言及される全ての刊行物及び他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。
【0063】
I.ニルセビマブ及びその医薬組成物
様々な実施形態では、本明細書で開示されている方法及び使用に従って投与される抗体は、ニルセビマブである。ニルセビマブ(別名MEDI8897)は、RSV Fタンパク質の融合前高次構造に対する組換えヒト免疫グロブリンG
1カッパ(IgG
1κ)モノクローナル抗体(mAb)である。例えば、米国特許第10,689,437号明細書(この明細書は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。この抗体は、高度に保存されたエピトープでFタンパク質のF1サブユニット及びF2サブユニットの両方に結合し、融合前高次構造のRSV Fをロックして、融合及び宿主細胞へのウイルス侵入をブロックする。ニルセビマブの重鎖は、下記の配列を有し、相補性決定領域(CDR)を囲み、可変ドメイン(V
H)をイタリック体で示す。
【化1】
いくつかの実施形態では、ニルセビマブは、配列番号1の重鎖配列を有する。いくつかの実施形態では、ニルセビマブは、C末端リシン(K456)を欠いている配列番号1の重鎖配列(配列番号11)を有する。いくつかの実施形態では、ニルセビマブは、重鎖配列配列番号1を含む抗体と、重鎖配列配列番号11を含む抗体との混合物を含む。上記の配列では、V
Hのアミノ酸配列は、配列番号2で表され、重鎖CDR(HCDR)のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号3~5で表される。重鎖は、下線及び太字により上記で示されている3重アミノ酸置換(YTE)を含む。このYTE三重変異(M252Y/S254T/T256E;EUナンバリング)は、フラグメント結晶化可能(Fc)領域中の野生型ヒトIgG
1に対してなされた。ニルセビマブの重鎖は、三重アミノ酸置換(「YTE」)を含み、これにより抗体半減期が数週間延びていることが示されているが、5ヶ月を超える有効期間の延長は、予測されなかった。
【0064】
ニルセビマブの軽鎖は、下記の配列を有し、CDRを囲み、可変ドメイン(V
L)をイタリック体で示す。
【化2】
上記の配列では、V
Lのアミノ酸配列は、配列番号7で表され、軽鎖CDR(LCDR)のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号8~10で表される。
【0065】
ニルセビマブは、パリビズマブが結合する部位とは異なる部位でRSV Fタンパク質の融合前高次構造に結合することにより、RSVを中和する。前臨床試験では、ニルセビマブは、インビトロでパリビズマブと比べて150倍超の効力であり、コットンラットモデルにおけるインビボでパリビズマブと比べて約9倍の効力を示した(Zhu et al.,Sci Transl Med.(2017)9:eaaj.1928)。
【0066】
この抗体は、医薬組成物として、それを必要とする対象に提供される。この医薬組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤及び/又は賦形剤を含み得、筋肉内注射用に製剤化されている。いくつかの実施形態では、この組成物は、緩衝剤(例えば、ヒスチジン)、アミノ酸(例えば、アルギニン又はメチオニン)、ポリオール(例えば、スクロース)及び界面活性剤(例えば、ポリソルベート80又はポリソルベート20)を含む無菌の保存料フリー液体溶液である。さらなる実施形態では、この組成物は、100mg/mLのニルセビマブ、30mMのヒスチジン/ヒスチジン-HCl、80mMのアルギニン-HCl、120mMのスクロース及び0.02%~0.04%(w/v)のポリソルベート80(pH6.0)を含む。ニルセビマブを含む組成物のさらなる実施形態は、国際出願第PCT/US2018/020264号明細書(全体が参照により本明細書に組み込まれる)で説明されている。
【0067】
医薬組成物のいくつかの実施形態では、ニルセビマブは、約25mg/ml以上(例えば、約25mg/ml~約250mg/ml)の濃度で存在する。医薬組成物のいくつかの実施形態では、ニルセビマブは、約50mg/ml以上(例えば、約50mg/ml~約250mg/ml)の濃度で存在する。医薬組成物のいくつかの実施形態では、ニルセビマブは、約50mg/ml~約200mg/mlの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、ニルセビマブは、約75mg/ml以上(例えば、約75mg/ml~約250mg/ml)の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、ニルセビマブは、約100mg/ml以上の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、ニルセビマブは、約100mg/ml~約165mg/mlの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、ニルセビマブは、約100mg/mlの濃度で存在する。
【0068】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、pHが約pH5.5~約pH6.5の範囲である。いくつかの実施形態では、pHは、約pH5.7~約pH6.3の範囲である。いくつかの実施形態では、pHは、約pH5.7~約pH6.1の範囲である。いくつかの実施形態では、pHは、約pH5.8である。いくつかの実施形態では、pHは、約pH6.0である。
【0069】
医薬組成物のいくつかの実施形態では、塩は、約75mM~約100mMの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、塩は、約75mM~約80mMの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、塩は、例えば約75mM~約100mMの濃度(任意選択的に約80mMの濃度)のアルギニン塩酸塩である。医薬組成物のいくつかの実施形態では、糖(例えば、スクロース)は、約100mM~約140mMの濃度(任意選択的に約120mMの濃度)で存在する。
【0070】
医薬組成物のいくつかの実施形態では、組成物は、1種又は複数種の緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、この緩衝剤は、ヒスチジン塩酸塩を含む。いくつかの実施形態では、緩衝剤の濃度は、約10mM~約50mMであり、任意選択的に約30mMである。
【0071】
医薬組成物のいくつかの実施形態では、組成物は、界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、この界面活性剤は、例えば、ポリソルベート-80等のポリソルベートである。いくつかの実施形態では、この界面活性剤は、約0.02%~0.04%(w/v)の濃度で存在する。ある実施形態では、この界面活性剤は、約0.02%の濃度で存在する。別の実施形態では、この界面活性剤は、約0.04%の濃度で存在する。
【0072】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、単一ユニットのバイアル又は複数ユニットのバイアルで提供される。それぞれのユニットは、ニルセビマブ50、100又は200mgを含み得る。いくつかの実施形態では、単一ユニットの容器(例えば、バイアル又はプレフィルド型の注射器若しくはシリンジ)において、この容器には、上述した100mg/mLの医薬組成物0.5mLの公称充填体積が入っている。他の実施形態では、単一ユニットの容器(例えば、バイアル又はプレフィルド型の注射器若しくはシリンジ)において、この容器には、上述した100mg/mLの医薬組成物1mLの公称充填体積が入っている。複数ユニットの容器において、この容器には、上述した100mg/mLの医薬組成物0.5mLの公称充填体積が複数入っている場合がある。他の実施形態では、複数ユニットの容器には、上述した100mg/mLの医薬組成物0.5mL及び/又は1mLの公称充填体積が複数入っている場合がある。
【0073】
いくつかの実施形態では、ニルセビマブの医薬組成物(例えば、上述した100mg/mLの組成物)を含む単一ユニットの容器又は複数ユニットの容器を含む製品(例えば、キット)が提供される。いくつかの実施形態では、製品は、使用説明書をさらに含み得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、ニルセビマブを含む医薬組成物は、本明細書で説明されている任意の方法で使用するためのものである。いくつかの実施形態では、ニルセビマブは、本明細書で使用されている任意の方法での使用のための医薬品の製造で使用される。いくつかの実施形態では、ニルセビマブを含む製品は、本明細書で説明されている任意の方法で使用される。
【0075】
対象に、その体重に応じて本組成物の1つ又は複数のユニットを筋肉内注射又は皮下注射し得る。筋肉内又は皮下投与は、特定の小柄の対象(例えば、乳児)の場合には不可分であり得るか、又は区別が困難であり得、そのような対象では筋肉内投与及び/又は皮下投与が許容され得る。例えば、体重が5kg未満である乳児に、そのような医薬組成物で提供されるニルセビマブの1ユニット(1ユニット当たり50mg)を筋肉内注射又は皮下注射し得、体重が5kg以上である乳児に、そのような医薬組成物で提供されるニルセビマブ100mg(例えば、2つの50mgユニット、1つの100mgユニット)を筋肉内注射又は皮下注射し得る。1歳超及び/又は2回目のRSV流行期に入っている小児対象に、ニルセビマブ200mg(例えば、4つの50mgユニット、2つの100mgユニット又は1つの200mgユニット)を筋肉内注射又は皮下注射し得る。いくつかの実施形態では、ニルセビマブ200mgを筋肉内注射するか又は皮下注射する小児対象は、RSV LRTI等のRSV感染を発症するリスクが高い。
【0076】
II.使用方法
ニルセビマブをヒト対象に注射して(例えば、皮下注射又は好ましくは筋肉内注射して)、RSV感染(特にRSV LRTI)を予防し得る。いくつかの実施形態では、ニルセビマブを乳児又は小児対象に注射して(例えば、皮下注射又は好ましくは筋肉内注射して)、RSV感染(特にRSV LRTI)を予防し得る。いくつかの実施形態では、例えば予防レジメンにおいて、ニルセビマブを乳児又は小児対象に注射して、この対象におけるLRTI(例えば、気管支炎又は肺炎)のリスクを低減し得る。いくつかの実施形態では、ニルセビマブを乳児又は小児対象に注射して、診察を要するLRTIのリスクを低減し得る。いくつかの実施形態では、ニルセビマブを乳児又は小児対象に注射して、重度のRSV感染(特に重度のRSV LRTI)のリスクを低減し得る。いくつかの実施形態では、ニルセビマブを乳児又は小児対象に注射して、極めて重度のRSV感染(特に極めて重度のRSV LRTI)のリスクを低減し得る。いくつかの実施形態では、例えば予防レジメンにおいて、ニルセビマブを乳児又は小児対象に注射して、入院のリスクを低減し得る。いくつかの実施形態では、ニルセビマブを乳児又は小児対象に注射して、LRTIの発生率を低減させ得る。いくつかの実施形態では、ニルセビマブを乳児又は小児対象に注射して、診察を要するLRTIの発生率を低減させ得る。いくつかの実施形態では、ニルセビマブを乳児又は小児対象に注射して、重度のRSV感染(特に重度のRSV LRTI)の発生率を低減させ得る。いくつかの実施形態では、ニルセビマブを乳児又は小児対象に注射して、極めて重度のRSV感染(特に極めて重度のRSV LRTI)の発生率を低減させ得る。いくつかの実施形態では、ニルセビマブを乳児又は小児対象に注射して、入院の発生率を低減させ得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、ニルセビマブを、5ヶ月超にわたり呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染及び/又はRSV疾患からの保護を得る方法において、乳児又は小児対象に注射し得る。いくつかの実施形態では、ニルセビマブを、少なくとも8ヶ月(任意選択的に約12ヶ月)にわたり呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染及び/又はRSV疾患からの保護を得る方法において、乳児又は小児対象に注射し得る。いくつかの実施形態では、ニルセビマブを、少なくとも1回のRSV流行期にわたり呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染及び/又はRSV疾患からの保護を得る方法において、乳児又は小児対象に注射し得る。いくつかの実施形態では、RSV感染及び/又はRSV疾患は、RSV LRTIを含む。いくつかの実施形態では、RSV感染及び/又はRSV疾患は、診察を要するRSV LRTIを含む。いくつかの実施形態では、RSV感染及び/又はRSV疾患は、RSV LRTIによる入院を含む。
【0078】
様々な実施形態では、対象に、RSV流行期前にニルセビマブの単回用量(例えば、50、100又は200mg)を注射し得る。いくつかの実施形態は、RSV注射を、一年中いつでも行い得る。いくつかの実施形態では、注射を出生時又は出生直後に行い得る。いくつかの実施形態では、注射をRSV流行期の始まり前に行い得る。いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、RSV流行期の始まりの約2週間前にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、RSV流行期の始まりの約3週間前にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、RSV流行期の始まりの約4週間前にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、RSV流行期の始まりの約1ヶ月前にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、RSV流行期の始まりの約2ヶ月前にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、RSV流行期の始まりの約3ヶ月前にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、RSV流行期の始まりの約4ヶ月前にニルセビマブを投与する。そのため、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、RSV流行期の始まりの約4ヶ月~約2週間前にニルセビマブを投与する。
【0079】
いくつかの実施形態では、対象に、直前のRSV流行期の終わり後、次のRSV流行期の始まり前と予測される時点(例えば、直前のRSV流行期の終わりの約16~28週間後)でニルセビマブの単回用量を投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約16週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約17週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約18週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約19週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約20週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約21週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約22週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約23週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約24週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約25週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約26週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約27週間後にニルセビマブを投与する。いくつかの実施形態では、直前のRSV流行期の終わり後にニルセビマブの単回用量を投与する対象に、直前のRSV流行期の終わりの約28週間後にニルセビマブを投与する。
【0080】
別の実施形態では、RSV流行期が長い場合(例えば、5ヶ月超、例えば、6、7、8、9又は10ヶ月)には、注射をRSV流行期の始まり又はその間に行い得る。さらなる実施形態では、RSV流行期が長い(例えば、5ヶ月超、例えば、6、7、8、9又は10ヶ月)場合、注射をRSV流行期の始まり又はRSV流行期中に限定する必要はない。いくつかの実施形態では、RSV流行期が5ヶ月超(例えば、6、7、8、9又は10ヶ月)であっても、RSV流行期以外又はRSV流行期内(例えば、RSV流行期中又は始まり)に投与したニルセビマブの単回用量により、少なくともRSV流行期全体にわたり、対象におけるRSV感染に対する保護がもたらされる。特定の実施形態では、RSV流行期痛い又はRSV流行期内(例えば、RSV流行期中又は始まり)に投与したニルセビマブの単回用量により、複数回のRSV流行期(例えば、2回のRSV流行期)又は中断により延びている少なくとも1回のRSV流行期にわたり、対象におけるRSVに対する保護がもたらされる。いくつかの実施形態では、保護は、RSV感染を予防することを含む。いくつかの実施形態では、保護は、RSV感染のリスクを低減することを含む。いくつかの実施形態では、保護は、RSV関連のLRTIを予防することを含む。いくつかの実施形態では、保護は、RSV関連のLRTIのリスクを低減することを含む。いくつかの実施形態では、保護は、RSV関連の入院を予防することを含む。いくつかの実施形態では、保護は、RSV関連の入院のリスクを低減することを含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、ニルセビマブを、乳児又は小児対象に、この対象の1回目のRSV流行期前に投与し得る。いくつかの実施形態では、ニルセビマブを対象の2回目以降のRSV流行期前に対象に初めて投与し得る。いくつかの実施形態では、ニルセビマブを対象の2回目以降のRSV流行期前に対象に投与し得る。そのような実施形態では、ニルセビマブを初めて投与し得る。いくつかの実施形態では、ニルセビマブを対象の2回目以降のRSV流行期前に対象に再度投与し得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、対象に、この対象の1回目のRSV流行期前又はその間にニルセビマブ50mg又は100mgの第1の用量を投与する。いくつかの実施形態では、対象が、投与時に体重が5kg未満である場合、対象に50mg用量を投与し、対象が、投与時に体重が5kg以上である場合、対象に100mg用量を投与する。いくつかの実施形態では、対象に、この対象の2回目のRSV流行期前又はその間にニルセビマブ200mgの第2の用量を投与する。
【0083】
いくつかの実施形態では、RSV感染(例えば、RSV LRTI)を発症するリスクが高い対象(「高リスク対象」又は「重度のRSV疾患に罹りやすい対象」)に、初めてのRSV流行期前又はその間にニルセビマブ50mg又は100mgの第1の用量を投与する。いくつかの実施形態では、高リスク対象に、初めてのRSV流行期前又はその間に、この対象が、投与時に体重が5kg未満である場合、50mg用量を投与し、この対象が、投与時に体重が5kg以上である場合、100mg用量を投与する。いくつかの実施形態では、高リスク対象に、この対象の2回目のRSV流行期前又はその間にニルセビマブ200mgの第2の用量を投与する。いくつかの実施形態では、高リスク対象は、早産、慢性肺疾患(CLD)、先天性心疾患(CHD)、免疫系の抑制又は低下、免疫不全、神経筋障害、ダウン症候群、先天性気道異常及び/若しくは嚢胞性線維症を有する。
【0084】
いくつかの実施形態では、ニルセビマブの単回用量を1回のRSV流行期当たり1回のみ乳児又は小児対象に投与し得る。そのような実施形態では、ニルセビマブの単回用量をRSV流行期の始まり又はRSV流行期中に投与し得る。いくつかの実施形態では、ニルセビマブの単回用量を1年に1回のみ乳児又は小児対象に投与し得る。そのような実施形態では、ニルセビマブの単回用量をRSV流行期の始まり又はRSV流行期中に投与し得る。従って、いくつかの実施形態では、ニルセビマブを、RSV流行期以外で出生した対象に投与し得る。別の実施形態では、ニルセビマブを、中断しているRSV流行期を経験している対象に投与し得る。例えば、RSV流行期は、例えば、COVID-19パンデミック中に起こるようなより頻繁な手の消毒、マスクの着用及び社会的距離の確保に起因する衛生状態又は社会的行動の変化により中断される場合がある。そのような実施形態では、中断しているRSV流行期は、例えば衛生状態又は社会的行動が終わる場合に再開する。いくつかの実施形態では、ニルセビマブを対象の1回目のRSV流行期前に対象に投与し得、この対象の1回目のRSV流行期は、対象が生後2年目(即ち少なくとも1歳)に入った後に起こる。例えば、対象の1回目のRSV流行期は、例えば、世界的なパンデミック、RSV流行期の中断又は別の気候への対象の移転に起因して、対象が生後2年目に入るまで発生しない場合がある。そのような実施形態では、初めてのRSV流行期は、対象の生後1年中に発生する場合があるか、又は生後1年を過ぎて遅れる場合がある。さらなる実施形態では、ニルセビマブを、5ヶ月超(例えば、6、7、8、9又は10ヶ月)のRSV流行期を経験している対象に投与し得る。そのような実施形態では、ニルセビマブの単回用量(例えば、50、100又は200mg)は、少なくとも1回のRSV流行期又は中断により延びている少なくとも1回のRSV流行期にわたり、免疫化された個体におけるRSV感染(例えば、RSV関連のLRTI、入院)に対する保護をもたらすのに十分である。
【0085】
いくつかの実施形態では、ニルセビマブを、10日・mg/mL、11日・mg/mL、12日・mg/mL、13日・mg/mL又は14日・mg/mLを超える血清AUC0-∞をもたらすのに有効な量で対象に投与する。いくつかの実施形態では、ニルセビマブを、12.8日・mg/mL超の血清AUC0-∞をもたらすのに有効な量で対象に投与する。
【0086】
いくつかの実施形態では、対象は、10日・mg/mL、11日・mg/mL、12日・mg/mL、13日・mg/mL又は14日・mg/mLを超える血清AUC0-∞を示す。いくつかの実施形態では、対象は、12.8日・mg/mL超の血清AUC0-∞を示す。
【0087】
いくつかの実施形態では、ニルセビマブの単回用量を対象に投与し、この単回用量中のニルセビマブの量は、投与時での対象のRSV中和抗体(Nab)レベルと比較して、投与後の対象におけるRSV Nabレベルの上昇をもたらすのに有効である。いくつかの実施形態では、単回用量中のニルセビマブは、投与時での対象のRSV Nabレベルと比較して、投与後21、31、41、51、61、71、81、91、101、111、121、131、141、151、161、171、181、191、201、211、221、231、241、251、261、271、281、291、301、311、321、331、341、351又は361日での対象におけるRSV Nabレベルの上昇をもたらすのに有効な量で存在する。いくつかの実施形態では、単回用量中のニルセビマブは、投与時での対象のRSV Nabレベルと比較して、投与後31、91、151又は361日での対象におけるRSV Nabレベルの上昇をもたらすのに有効な量で存在する。いくつかの実施形態では、単回用量中のニルセビマブは、投与時での対象のRSV Nabレベルと比較して、投与後の約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11又は約12ヶ月で対象においてRSV Nabレベルの上昇をもたらすのに有効な量で存在する。いくつかの実施形態では、単回用量中のニルセビマブは、投与時での対象のRSV Nabレベルと比べて3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25倍を超えて高い、投与後の約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11又は約12ヶ月での対象におけるRSV Nabレベルをもたらすのに有効な量で存在する。いくつかの実施形態では、単回用量中のニルセビマブは、投与時での対象のRSV Nabレベルと比べて5倍超高い、投与後の約12ヶ月での対象におけるRSV Nabレベルもたらすのに有効な量で存在する。いくつかの実施形態では、単回用量中のニルセビマブは、投与時での対象のRSV Nabレベルと比べて7倍超高い、投与後の約12ヶ月での対象におけるRSV Nabレベルもたらすのに有効な量で存在する。
【0088】
いくつかの実施形態では、単回用量中のニルセビマブは、RSV感染が確認されており、且つニルセビマブを投与されなかった対象におけるRSV Nabレベルと比較して、投与後の約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11又は約12ヶ月で対象においてRSV Nabレベルの上昇をもたらすのに有効な量で存在する。いくつかの実施形態では、単回用量中のニルセビマブは、RSV感染が確認されており、且つニルセビマブを投与されなかった対象におけるRSV Nabレベルと比べて1、2、3、4又は5倍を超えて高い、投与後の約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11又は約12ヶ月での対象におけるRSV Nabレベルをもたらすのに有効な量で存在する。いくつかの実施形態では、単回用量中のニルセビマブは、RSV感染が確認されており、且つニルセビマブを投与されなかった対象におけるRSV Nabレベルと比べて3倍超高い、投与後の約12ヶ月での対象におけるRSV Nabレベルをもたらすのに有効な量で存在する。
【0089】
いくつかの実施形態では、対象に、ニルセビマブ50mg、100mg又は200mgを含むニルセビマブの単回用量を投与する。いくつかの実施形態では、対象は、投与時での対象のRSV Nabレベルと比較して、ニルセビマブの単回用量の投与後のRSV Nabレベルの上昇を示す。いくつかの実施形態では、対象は、投与時での対象のRSV Nabレベルと比較して、ニルセビマブの単回用量の投与後21、31、41、51、61、71、81、91、101、111、121、131、141、151、161、171、181、191、201、211、221、231、241、251、261、271、281、291、301、311、321、331、341、351又は361日でのRSV Nabレベルの上昇を示す。いくつかの実施形態では、対象は、投与時での対象のRSV Nabレベルと比較して、ニルセビマブの単回用量の投与後31、91、151又は361日でのRSV Nabレベルの上昇を示す。いくつかの実施形態では、対象は、投与時での対象のRSV Nabレベルと比較して、ニルセビマブの単回用量の投与後の約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11又は約12ヶ月でRSV Nabレベルの上昇を示す。いくつかの実施形態では、ニルセビマブの単回用量の投与後の約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11又は約12ヶ月での対象のRSV Nabレベルは、投与時での対象のRSV Nabレベルと比べて3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25倍を超えて高い。いくつかの実施形態では、ニルセビマブの単回用量の投与後の約12ヶ月での対象のRSV Nabレベルは、投与時での対象のRSV Nabレベルと比べて5倍超高い。いくつかの実施形態では、対象は、投与時での対象のRSV Nabレベルと比べて7倍超高い、ニルセビマブの単回用量の投与後の約12ヶ月でのRSV Nabレベルの上昇を示す。いくつかの実施形態では、対象は、RSV感染が確認されており、且つニルセビマブを投与されなかった対象におけるRSV Nabレベルと比較して、ニルセビマブの単回用量の投与後の約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11又は約12ヶ月でRSV Nabレベルの上昇を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ニルセビマブを投与されなかった、RSV感染が確認されている対象と比べて1、2、3、4又は5倍を超えて高い、ニルセビマブの単回用量の投与後の約5、6、7、8、9、10、11又は12ヶ月でのRSV Nabレベルの上昇を示す。いくつかの実施形態では、対象は、ニルセビマブを投与されなかった、RSV感染が確認されている対象と比べて3倍超高い、ニルセビマブの単回用量の投与後の約12ヶ月でのRSV Nabレベルの上昇を示す。
【0090】
ニルセビマブ処置が必要な対象は、RSV感染に罹りやすいあらゆる対象であり得る。いくつかの実施形態では、対象は、乳児であり、例えば生後3ヶ月以下、生後3ヶ月超6ヶ月以下又は生後6ヶ月超(例えば、6ヶ月超及び12ヶ月以下)の乳児である。いくつかの実施形態では、乳児は、後期早産児又は満期産児(「正期」産児)(例えば、35週間以上の在胎期間で出生)であり、任意選択的に、この乳児は健康である。いくつかの実施形態では、乳児は、29週間以上の在胎期間で出生した早産児であり、任意選択的に、この乳児は健康である。いくつかの実施形態では、乳児は、29週間未満の在胎期間で出生している。
【0091】
いくつかの実施形態では、対象は、生後1若しくは2年の早産児又は生後2年を過ぎてもRSV感染のリスクが依然としてある子供である。いくつかの実施形態では、対象は、5kg未満である。いくつかの実施形態では、対象は、5kg以上である。
【0092】
いくつかの実施形態では、対象は、RSV感染(例えば、RSV関連のLRTI)を発症するリスクが高い。リスクのレベルは、医療従事者によって決定され得る。例えば、米国小児科学会により提供されるガイドラインを参照されたい。例えば、下記の基礎疾患のいずれかを患っている子供は、リスクが高いと考えられる:
- 慢性肺疾患(CLD)又は先天性心疾患(CHD)を患っている2歳未満の子供;
- 免疫系が抑制されている子供;及び
- 神経筋障害を患っている子供、例えば、粘液分泌物の嚥下又は除去が困難であり、且つ在胎期間が35週間以下である子供。
【0093】
早産児は、出生時の肺の未熟さと、人工呼吸器の使用及び/又は高濃度酸素の使用等の処置に起因する肺の損傷とに起因して、CLDのリスクが高い。CLDを患っている乳児は、RSV感染に起因して罹患するリスクが特に高い。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、CLDを患っている可能性がある。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、CLDを患っている子供(例えば、乳児又は小児対象)の可能性がある。
【0094】
CHDを患っている子供として、肺血流に悪影響を及ぼす可能性がある血行動態学的に有意なCHDを患っているものが挙げられる。血行動態的に有意なCHDを患っている子供は、RSV関連の入院率がより高い。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、CHDを患っている可能性がある。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、CHDを患っている子供(例えば、乳児又は小児対象)の可能性がある。
【0095】
いくつかの対象では、免疫化される対象は、ダウン症候群を患っている可能性がある。ダウン症候群を患っている子供は、ダウン症候群ではない子供と比べて、重度のRSV感染のリスクが有意に高いことが報告されている(Beckhaus et al.,Pediatrics(2018)142(3):e20180225)。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、ダウン症候群を患っている子供(例えば、乳児又は小児対象)の可能性がある。
【0096】
いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、嚢胞性線維症を有する可能性がある。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、嚢胞性線維症を有する子供(例えば、乳児又は小児対象)の可能性がある。
【0097】
いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、免疫無防備状態の可能性がある。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、免疫無防備状態の子供(例えば、乳児又は小児対象)の可能性がある。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、免疫不全(例えば、免疫不全の複合病因、抗体病因又は他の病因)の可能性がある。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、免疫不全の子供(例えば、乳児又は小児対象)の可能性がある。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、原発性免疫不全を患っている可能性がある。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、原発性免疫不全を患っている子供(例えば、乳児又は小児対象)の可能性がある。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、ヒト免疫不全ウイルス感染を患っている可能性がある。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、ヒト免疫不全ウイルス感染を患っている子供(例えば、乳児又は小児対象)の可能性がある。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、臓器移植又は骨髄移植の既往歴を有する可能性がある。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、臓器移植又は骨髄移植の既往歴を有する子供(例えば、乳児又は小児対象)の可能性がある。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、免疫抑制化学療法を施されている。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、免疫抑制化学療法を施されている子供(例えば、乳児又は小児対象)の可能性がある。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、全身性の高用量副腎皮質ステロイド療法を施されている。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、全身性の高用量副腎皮質ステロイド療法を施されている子供(例えば、乳児又は小児対象)の可能性がある。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、他の免疫抑制療法を施されている。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、他の免疫抑制療法を施されている子供(例えば、乳児又は小児対象)の可能性がある。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、先天性気道異常を患っている可能性がる。いくつかの実施形態では、免疫化される対象は、先天性気道異常を患っている子供(例えば、乳児又は小児対象)の可能性がある。
【0098】
いくつかの実施形態では、対象は、初めてのRSV流行期前又はその間にニルセビマブの第1の用量を投与された後に心臓手術を受けており、且つこの手術後にニルセビマブの第2の用量を投与されている対象である。いくつかの実施形態では、この心臓手術は、心肺バイパスを伴う心臓手術である。いくつかの実施形態では、この対象に、ニルセビマブの第1の用量を投与してから90日以内にニルセビマブの第2の用量を投与しており、ニルセビマブの第2の用量は、この対象が第2の用量の投与時に5kg未満である場合、50mgであり、この対象が第2の用量の投与時に5kg以上である場合、100mgである。いくつかの実施形態では、この対象に、ニルセビマブの第1の用量の投与後の90日超でニルセビマブの第2の用量を投与しており、ニルセビマブの第2の用量は、対象の体重に関係なく)50mgである。いくつかの実施形態では、対象に、この対象が手術後に安定すると直ちにニルセビマブの第2の用量を投与する。
【0099】
いくつかの実施形態では、対象は、2回目のRSV流行期前又はその間にニルセビマブの第1の用量を投与した後に心臓手術を受けた対象であり、この対象に、この手術後にニルセビマブの第2の用量を投与する。いくつかの実施形態では、この心臓手術は、心肺バイパスを伴う心臓手術である。いくつかの実施形態では、この対象に、ニルセビマブの第1の用量を投与してから90日以内にニルセビマブの第2の用量を投与しており、ニルセビマブの第2の用量は、200mgである。いくつかの実施形態では、この対象に、ニルセビマブの第1の用量の投与後の90日超でニルセビマブの第2の用量を投与しており、ニルセビマブの第2の用量は、100mgである。いくつかの実施形態では、この対象に、この対象が手術後に安定すると直ちにニルセビマブの第2の用量を投与する。
【0100】
RSV感染を、様々な既知の検査により診断してモニタリングし得る。この検査を、上気道検体及び下気道検体に対して実施し得、この検査として、例えば、リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(rRT-PCR)、抗原検査、ウイルス培養、血清検査が挙げられる。いくつかの検査は、RSV亜型(A及びB)を区別し得る。
【0101】
別途本明細書で定義されない限り、本開示に関連して使用される科学用語及び技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。例示的な方法及び材料を下記で説明するが、本明細書で説明されているものと類似の又は均等な方法及び材料も本開示の実施又は試験で使用し得る。矛盾が生じた場合、定義を含めて本明細書が優先する。一般に、本明細書で説明されている神経学、医学、医薬化学及び細胞生物学に関連して使用される命名法及びこれらの技術は、当技術分野で公知であり、且つ一般に使用されるものである。酵素反応及び精製技術は、当技術分野で一般的に遂行されるように又は本明細書で説明されているように、製造者の仕様に従い実施される。
【0102】
本発明をよりよく理解し得るために、下記の代表的な実施形態及び実施例を示す。これらの代表的な実施形態及び実施例は、例示を目的とするのみであり、決して本発明の範囲を限定すると解釈してはならない。
【0103】
本開示の代表的な実施形態
1.呼吸器合胞体ウイルス(RSV)下気道感染(LRTI)の予防を、それを必要とする乳児又は小児対象において行う方法であって、RSV流行期以外の時点でニルセビマブの単回用量を対象に投与することを含み、投与を1年に1回のみ行う、方法。
【0104】
2.対象にニルセビマブを筋肉内投与する、実施形態1、91又は94に記載の方法。
【0105】
3.対象にニルセビマブを皮下投与する、実施形態1、91又は94に記載の方法。
【0106】
4.対象は、RSV流行期以外で出生した乳児であり、ニルセビマブ投与の時点は、出生から乳児の初めてのRSV流行期の始まり前の時点である、実施形態1~3又は91のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
5.RSV流行期は、約5ヶ月である、実施形態1~4又は91のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
6.RSV流行期は、約5ヶ月超である、実施形態1~4又は91のいずれか1つに記載の方法。
【0109】
7.対象に、RSV流行期の始まりの約2週間前にニルセビマブの単回用量を投与する、実施形態1~6又は91のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
8.対象に、RSV流行期の始まりの約3週間前にニルセビマブの単回用量を投与する、実施形態1~6又は91のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
9.対象に、RSV流行期の始まりの約4週間前にニルセビマブの単回用量を投与する、実施形態1~6又は91のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
10.対象に、RSV流行期の始まりの約1ヶ月前にニルセビマブの単回用量を投与する、実施形態1~6又は91のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
11.対象に、RSV流行期の始まりの約2ヶ月前にニルセビマブの単回用量を投与する、実施形態1~6又は91のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
12.対象に、RSV流行期の始まりの約3ヶ月前にニルセビマブの単回用量を投与する、実施形態1~6又は91のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
13.対象に、直前のRSV流行期の終わりの約1週間後にニルセビマブの単回用量を投与し、直前のRSV流行期は、約9ヶ月超である、実施形態1~6又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
14.対象に、直前のRSV流行期の終わりの約2週間後にニルセビマブの単回用量を投与し、直前のRSV流行期は、約9ヶ月超である、実施形態1~6又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
15.対象に、直前のRSV流行期の終わりの約3週間後にニルセビマブの単回用量を投与し、直前のRSV流行期は、約9ヶ月超である、実施形態1~6又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0118】
16.対象に、直前のRSV流行期の終わりの約4週間後にニルセビマブの単回用量を投与し、直前のRSV流行期は、約8ヶ月超である、実施形態1~6又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
17.対象に、直前のRSV流行期の終わりの約1ヶ月後にニルセビマブの単回用量を投与し、直前のRSV流行期は、約8ヶ月超である、実施形態1~6又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0120】
18.対象に、直前のRSV流行期の終わりの約2ヶ月後にニルセビマブの単回用量を投与し、直前のRSV流行期は、約7ヶ月超である、実施形態1~6又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0121】
19.対象に、直前のRSV流行期の終わりの約3ヶ月後にニルセビマブの単回用量を投与し、直前のRSV流行期は、約6ヶ月超である、実施形態1~6又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
20.対象に、直前のRSV流行期の終わりの約4ヶ月後にニルセビマブの単回用量を投与し、直前のRSV流行期は、約5ヶ月超である、実施形態1~6又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
21.対象に、直前のRSV流行期の終わりの約5ヶ月後にニルセビマブの単回用量を投与し、直前のRSV流行期は、約4ヶ月超である、実施形態1~6又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0124】
22.対象に、直前のRSV流行期の終わりの約6ヶ月後にニルセビマブの単回用量を投与し、直前のRSV流行期は、約3ヶ月超である、実施形態1~6又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
23.対象に、直前のRSV流行期の終わりの約7ヶ月後にニルセビマブの単回用量を投与し、直前のRSV流行期は、約2ヶ月超である、実施形態1~6又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0126】
24.RSV流行期の始まりは、2週間の期間にわたるRSV検査の平均陽性率が閾値を超える最初の連続する2週間によって定義され、閾値は、3%~13%である、実施形態1~12又は91のいずれか1つに記載の方法。
【0127】
25.閾値は、3%である、実施形態24に記載の方法。
【0128】
26.閾値は、5%である、実施形態24に記載の方法。
【0129】
27.閾値は、7%である、実施形態24に記載の方法。
【0130】
28.閾値は、10%である、実施形態24に記載の方法。
【0131】
29.閾値は、13%である、実施形態24に記載の方法。
【0132】
30.直前のRSV流行期の終わりは、1週間の期間全体を通して、1週間の期間にわたるRSV検査の平均陽性率が閾値を下回る最初の1週間によって定義され、閾値は、3%~13%である、実施形態13~23又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0133】
31.閾値は、3%である、実施形態30に記載の方法。
【0134】
32.閾値は、5%である、実施形態30に記載の方法。
【0135】
33.閾値は、7%である、実施形態30に記載の方法。
【0136】
34.閾値は、10%である、実施形態30に記載の方法。
【0137】
35.閾値は、13%である、実施形態30に記載の方法。
【0138】
36.検査は、PCR検査である、実施形態24~35のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
37.検査は、抗原検査である、実施形態24~35のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
38.RSV流行期の始まりは、2週間の期間全体を通して、PCR RSV検査の平均陽性率が3%を超える最初の連続する2週間によって定義される、実施形態1~12又は91のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
39.RSV流行期の始まりは、2週間の期間全体を通して、抗原検査の平均陽性率が10%を超える最初の連続する2週間によって定義される、実施形態1~12又は91のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
40.直前のRSV流行期の終わりは、1週間の期間全体を通して、PCR検査の平均陽性率が3%未満である最初の1週間によって定義される、実施形態13~23又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
41.直前のRSV流行期の終わりは、1週間の期間全体を通して、抗原検査の平均陽性率が10%未満である最初の1週間によって定義される、実施形態13~23又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
42.RSV流行期の始まりは、気象学上での季節によって定義され、気象学上での季節は、秋(秋季)である、実施形態1~12又は91のいずれか1つに記載の方法。
【0145】
43.RSV流行期の始まりは、地方、州、地域又は国の保健局によって予測される、実施形態1~12又は91のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
44.RSV流行期の終わりは、地方、州、地域又は国の保健局によって宣言される、実施形態13~23又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
45.呼吸器合胞体ウイルス(RSV)下気道感染(LRTI)の予防を、それを必要とする乳児又は小児対象において行うする方法であって、RSV流行期の始まり前、RSV流行期の始まり又はRSV流行期中にRSV流行期毎にニルセビマブの単回用量を対象に筋肉内投与することを含み、RSV流行期は、約5ヶ月超であり、任意選択的に、RSV流行期は、約6、約7、約8、約9又は約10ヶ月である、方法。
【0148】
46.呼吸器合胞体ウイルス(RSV)下気道感染(LRTI)の予防を、それを必要とする乳児又は小児対象において行う方法であって、ニルセビマブの単回用量を対象に筋肉内投与することを含み、単回用量により、5ヶ月超、好ましくは少なくとも6、7、8、9、10、11又は12ヶ月にわたってRSV感染及び/又はRSV疾患に対する保護がもたらされる、方法。
【0149】
47.対象は、35週0日以上の在胎期間(GA)で出生した健康な後期早産児又は正期産児であり、且つ1歳以下である、実施形態1~46、91又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
48.対象は、5kg未満であり、且つ50mg用量のニルセビマブを投与する、実施形態47に記載の方法。
【0151】
49.対象は、5kg以上であり、且つ100mg用量のニルセビマブを投与する、実施形態47に記載の方法。
【0152】
50.対象は、29週間0日~34週間6日の在胎期間で出生した健康な早産児であり、且つ1歳以下である、実施形態1~46、91又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0153】
51.対象は、5kg未満であり、且つ50mg用量のニルセビマブを投与する、実施形態50に記載の方法。
【0154】
52.対象は、5kg以上であり、且つ100mg用量のニルセビマブを投与する、実施形態50に記載の方法。
【0155】
53.対象は、RSV LRTIを発症するリスクが高い、実施形態1~46、91又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0156】
54.対象は、RSV感染を発症するリスクが高い、実施形態1~46、91又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
55.対象は、小児対象である、実施形態53又は54に記載の方法。
【0158】
56.対象は、29週間未満の在胎期間で出生しており;且つ/又は慢性肺疾患(CLD)、先天性心疾患(CHD)、免疫系の抑制、免疫系の低下、免疫不全、神経筋障害、ダウン症候群、先天性気道異常及び/若しくは嚢胞性線維症を有する、実施形態53~55のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
57.対象は、5kg未満であり、対象は、1歳以下であり、且つ50mg用量のニルセビマブを投与する、実施形態56に記載の方法。
【0160】
58.対象は、5kg以上であり、対象は、1歳以下であり、且つ100mg用量のニルセビマブを投与する、実施形態56に記載の方法。
【0161】
59.対象は、5kg以上であり、対象は、生後2年目以降に入っており、且つ200mg用量のニルセビマブを投与する、実施形態56に記載の方法。
【0162】
60.対象は、29週間未満の在胎期間で出生した小児患者であり;及び/又は慢性肺疾患若しくは先天性心疾患を患っている、実施形態56に記載の方法。
【0163】
61.対象は、5kg以上であり、対象は、生後2年目以降に入っており、且つ200mg用量のニルセビマブを投与する、実施形態60に記載の方法。
【0164】
62.対象は、初めての又は2回目のRSV流行期に入っている小児患者である、実施形態53~61のいずれか1つに記載の方法。
【0165】
63.投与は、対象の1回目のRSV流行期前に行われる、実施形態1~62、91又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0166】
64.乳児又は小児対象における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)下気道感染(LRTI)を予防する方法であって、ニルセビマブの単回用量を対象に筋肉内投与することを含み、投与を1年に1回のみ行う、方法。
【0167】
65.呼吸器合胞体ウイルス(RSV)下気道感染(LRTI)の予防を、それを必要とする乳児又は小児対象において行うする方法であって、ニルセビマブの単回用量を対象に筋肉内投与することを含み、投与を流行期毎に1回のみ行う、方法。
【0168】
66.投与をRSV流行期以外で行う、実施形態64又は65に記載の方法。
【0169】
67.投与をRSV流行期中に行う、実施形態64又は65に記載の方法。
【0170】
68.乳児又は小児対象における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)下気道感染(LRTI)及び/又はRSV疾患からの保護を得る方法であって、ニルセビマブの単回用量を対象に筋肉内投与することを含み、単回用量により、5ヶ月超~少なくとも8ヶ月、任意選択的に約12ヶ月にわたって保護がもたらされる、方法。
【0171】
69.乳児又は小児対象における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)下気道感染(LRTI)及び/又はRSV疾患からの保護を得る方法であって、ニルセビマブの単回用量を対象に筋肉内投与することを含み、単回用量により、少なくとも1回のRSV流行期にわたって保護がもたらされる、方法。
【0172】
70.単回用量は、50~200mgのニルセビマブを含む、実施形態1~69、91又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0173】
71.単回用量中のニルセビマブの量は、
対象が、投与時に体重が5kg未満である乳児である場合、50mgであるか、
対象が、投与時に体重が5kg以上である乳児である場合、100mgであるか、又は
対象が、その2回目のRSV流行期に入っている小児対象である場合、200mgである、実施形態1~70、91又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0174】
72.2回目のRSV流行期に入っている小児患者は、RSV感染のリスクが高い、実施形態71に記載の方法。
【0175】
73.RSV LRTIを予防することは、診察を要するRSV LRTI、任意選択的に細気管支炎又は肺炎を予防することを含む、実施形態1~72、91又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0176】
74.RSV LRTIを予防することは、RSVに関連する入院を予防することを含む、実施形態1~73、91又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0177】
75.RSV LRTIを予防することは、重度のRSV LRTIを予防することを含む、実施形態1~73、91又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0178】
76.RSV LRTIを予防することは、極めて重度のRSV LRTIを予防することを含む、実施形態1~73、91又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0179】
77.RSV LRTIを予防することは、原因を問わないLRTIを予防することを含む、実施形態1~73、91又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0180】
78.RSV LRTIを予防することは、原因を問わないLRTIによる入院を予防することを含む、実施形態1~77、91又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0181】
79.乳児又は小児対象における極めて重度の呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染を予防する方法であって、ニルセビマブの単回用量を対象に投与することを含み、単回用量は、5ヶ月超にわたって極めて重度のRSV感染を予防するのに有効である、方法。
【0182】
80.乳児又は小児対象における原因を問わない下気道感染(LRTI)又は原因を問わないLRTIによる入院を予防する方法であって、ニルセビマブの単回用量を対象に投与することを含み、単回用量は、5ヶ月超にわたって原因を問わないLRTI又は原因を問わない入院を予防するのに有効である、方法。
【0183】
81.極めて重度のRSV LRTIの予防を、それを必要とする乳児又は小児対象において行う方法であって、RSV流行期以外の時点でニルセビマブの単回用量を対象に投与することを含み、投与を1年に1回のみ行う、方法。
【0184】
82.ニルセビマブの単回用量は、
100mg/mLのニルセビマブ、
30mMのヒスチジン/ヒスチジン-HCl
80mMのアルギニン-HCl、
120mMのスクロース、及び
0.02%~0.04%(w/v)のポリソルベート80(pH6.0)
を含む医薬組成物で提供される、実施形態1~81、91又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0185】
83.単回用量中のニルセビマブの量は、対象において、12.8日・mg/mLを超える血清AUC0-∞をもたらすのに有効である、実施形態1~82、91又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
84.単回用量中のニルセビマブの量は、投与時での対象のRSV中和抗体(Nab)レベルと比較して、投与後の約12ヶ月で対象においてRSV Nabレベルの上昇(例えば、5倍超高い、7倍超高い)をもたらすのに有効である、実施形態1~83、91又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0187】
85.単回用量中のニルセビマブの量は、RSV感染が確認されており、且つニルセビマブを投与されなかった対象のRSV Nabレベルと比較して、投与後の約12ヶ月で対象においてRSV Nabレベルの上昇(例えば、3倍超高い)をもたらすのに有効である、実施形態1~84、91又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0188】
86.単回用量中のニルセビマブの量は、ニルセビマブを投与されなかった対象の抗生物質の使用と比較して、対象の抗生物質の使用を減少させるのに有効である、実施形態1~85、91又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0189】
87.ニルセビマブの単回用量を筋肉内又は皮下投与する、請求項1~86、91又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0190】
88.RSV感染を発症するリスクが高い対象におけるRSV LRTIを予防する方法であって、対象の1回目のRSV流行期前にニルセビマブの第1の用量を、且つ対象の2回目のRSV流行期前にニルセビマブの第2の用量を対象に投与することを含み、第1の用量中のニルセビマブの量は、
対象が、投与時に体重が5kg未満である場合、50mgであり、及び
対象が、投与時に体重が5kg以上である場合、100mgであり;
第2の用量中のニルセビマブの量は、200mgである、方法。
【0191】
89.心臓手術を受けている対象におけるRSV LRTIを予防する方法であって、
a)対象の1回目のRSV流行期前にニルセビマブの第1の用量を対象に投与することであって、
i)第1の用量中のニルセビマブの量は、対象が、第1の用量の投与時に体重が5kg未満である場合、50mgであるか;又は
ii)第1の用量中のニルセビマブの量は、対象が、第1の用量の投与時に体重が5kg以上である場合、100mgである、投与すること;及び
b)心臓手術後にニルセビマブの第2の用量を対象に投与することであって、
i)第2の用量中のニルセビマブの量は、対象が、第2の用量の投与時に体重が5kg未満であり、及び第2の用量が第1の用量の投与から90日以内に投与される場合、50mgであるか;又は
ii)第2の用量中のニルセビマブの量は、対象が、第2の用量の投与時に体重が5kg以上であり、及び第2の用量が第1の用量の投与から90日以内に投与される場合、100mgであるか;又は
iii)第2の用量中のニルセビマブの量は、第2の用量が第1の用量の投与後の90日超で投与される場合、50mgである、投与すること
を含み、任意選択的に、第2の用量を、対象が手術後に安定すると直ちに投与し、任意選択的に、心臓手術は、心肺バイパスを伴う心臓手術である、方法。
【0192】
90.ニルセビマブの用量を出生時に投与する、実施形態1~89、91又は94のいずれか1つに記載の方法。
【0193】
91.乳児又は小児対象における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)下気道感染(LRTI)を予防する方法であって、RSV流行期の始まり前にニルセビマブの単回用量を対象に投与することを含み、単回用量は、5ヶ月超にわたってRSV LRTIを予防するのに有効である、方法。
【0194】
92.対象に、RSV流行期の始まりの約2週間前、約3週間前、約4週間前、約1ヶ月前、約2ヶ月前又は約3ヶ月前にニルセビマブの単回用量を投与する、実施形態91に記載の方法。
【0195】
93.RSV流行期の始まりは、2週間の期間にわたるRSV検査の平均陽性率が閾値を超える最初の連続する2週間によって定義され、閾値は、3%~13%であり、任意選択的に、(i)RSV検査は、PCR検査であり、及び閾値は、3%であるか、又は(ii)RSV検査は、抗原検査であり、及び閾値は、10%である、実施形態91又は92に記載の方法。
【0196】
94.乳児又は小児対象における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)下気道感染(LRTI)を予防する方法であって、直前のRSV流行期の終わり後、ニルセビマブの単回用量を対象に投与することを含み、単回用量は、次のRSV流行期全体を通してRSV LRTIを予防するのに有効である、方法。
【0197】
95.対象に、直前のRSV流行期の終わりの約1週間後、約2週間後、約3週間後、約4週間後、約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後又は約7ヶ月後にニルセビマブの単回用量を投与する、実施形態94に記載の方法。
【0198】
96.直前のRSV流行期の終わりは、1週間の期間にわたるRSV検査の平均陽性率が閾値を下回る最初の1週間によって定義され、閾値は、3%~13%であり、任意選択的に、(i)RSV検査は、PCR検査であり、及び閾値は、3%であるか、又は(ii)RSV検査は、抗原検査であり、及び閾値は、10%である、実施形態94又は95に記載の方法。
【0199】
97.実施形態1~96のいずれか1つに記載の方法での使用のための、ニルセビマブを含む医薬組成物。
【0200】
98.実施形態1~96のいずれか1つに記載の方法での使用のための医薬品の製造におけるニルセビマブの使用。
【0201】
99.実施形態1~96のいずれか1つに記載の方法での使用のための、ニルセビマブを含む製品。
【0202】
100.単一ユニットの容器又は複数ユニットの容器を含み、それぞれのユニットは、ニルセビマブ約50、100又は200mgである、実施形態99に記載の製品。
【0203】
101.容器は、バイアル又はプレフィルド型のシリンジ若しくは注射器である、実施形態99又は100に記載の製品。
【0204】
102.乳児又は小児対象における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)下気道感染(LRTI)の予防での使用のための、ニルセビマブの単回用量を含む医薬組成物であって、RSV流行期の始まり前に対象に投与されるものであり、且つ5ヶ月超にわたってRSV LRTIを予防するのに有効である医薬組成物。
【0205】
103.医薬組成物は、RSV流行期の始まりの約2週間前、約3週間前、約4週間前、約1ヶ月前、約2ヶ月前又は約3ヶ月前に、対象に投与されるものである、実施形態102に記載の医薬組成物。
【0206】
104.RSV流行期の始まりは、2週間の期間にわたるRSV検査の平均陽性率が閾値を超える最初の連続する2週間によって定義され、閾値は、3%~13%であり、任意選択的に、(i)RSV検査は、PCR検査であり、及び閾値は、3%であるか、又は(ii)RSV検査は、抗原検査であり、及び閾値は、10%である、実施形態102又は103の記載の医薬組成物。
【0207】
105.乳児又は小児対象における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)下気道感染(LRTI)の予防での使用のための、ニルセビマブの単回用量を含む医薬組成物であって、直前のRSV流行期の終わり後に対象に投与されるものであり、且つ次のRSV流行期全体を通してRSV LRTIを予防するのに有効である医薬組成物。
【0208】
106.医薬組成物は、直前のRSV流行期の終わりの約1週間後、約2週間後、約3週間後、約4週間後、約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後又は約7ヶ月後に対象に投与されるものである、実施形態105に記載の医薬組成物。
【0209】
107.直前のRSV流行期の終わりは、1週間の期間にわたるRSV検査の平均陽性率が閾値を下回る最初の1週間によって定義され、閾値は、3%~13%であり、任意選択的に、(i)RSV検査は、PCR検査であり、及び閾値は、3%であるか、又は(ii)RSV検査は、抗原検査であり、及び閾値は、10%である、実施形態105又は106に記載の医薬組成物。
【0210】
108.対象は、RSV感染を発症するリスクが高い、実施形態102~107のいずれか1つに記載の医薬組成物。
【0211】
109.対象は、29週間未満の在胎期間で出生しており;且つ/又は慢性肺疾患(CLD)、先天性心疾患(CHD)、免疫系の抑制、免疫系の低下、免疫不全、神経筋障害、ダウン症候群、先天性気道異常及び/若しくは嚢胞性線維症を有する、実施形態108に記載の医薬組成物。
【0212】
110.乳児又は小児対象における極めて重度の呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染の予防での使用のための、ニルセビマブの単回用量を含む医薬組成物であって、5ヶ月超にわたって極めて重度のRSV感染を予防するのに有効である医薬組成物。
【0213】
111.乳児又は小児対象における原因を問わない下気道感染(LRTI)又は原因を問わないLRTIによる入院の予防での使用のための、ニルセビマブの単回用量を含む医薬組成物であって、5ヶ月超にわたって原因を問わないLRTI又は原因を問わない入院を予防するのに有効である医薬組成物。
【0214】
112.乳児又は小児対象における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)下気道感染(LRTI)の予防のための医薬品の製造におけるニルセビマブの使用であって、医薬品は、RSV流行期の始まり前に単回用量で対象に投与されるものであり、且つ5ヶ月超にわたってRSV LRTIを予防するのに有効である、使用。
【0215】
113.医薬品は、RSV流行期の始まりの約2週間前、約3週間前、約4週間前、約1ヶ月前、約2ヶ月前又は約3ヶ月前に、対象に投与されるものである、実施形態112に記載の使用。
【0216】
114.RSV流行期の始まりは、2週間の期間にわたるRSV検査の平均陽性率が閾値を超える最初の連続する2週間によって定義され、閾値は、3%~13%であり、任意選択的に、(i)RSV検査は、PCR検査であり、及び閾値は、3%であるか、又は(ii)RSV検査は、抗原検査であり、及び閾値は、10%である、実施形態112又は113に記載の使用。
【0217】
115.乳児又は小児対象における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)下気道感染(LRTI)の予防のための医薬品の製造におけるニルセビマブの使用であって、医薬品は、直前のRSV流行期の終わり後に単回用量で対象に投与されるものであり、且つ次のRSV流行期全体を通してRSV LRTIを予防するのに有効である、使用。
【0218】
116.医薬品は、直前のRSV流行期の終わりの約1週間後、約2週間後、約3週間後、約4週間後、約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後又は約7ヶ月後に対象に投与されるものである、実施形態115に記載の使用。
【0219】
117.直前のRSV流行期の終わりは、1週間の期間にわたるRSV検査の平均陽性率が閾値を下回る最初の1週間によって定義され、閾値は、3%~13%であり、任意選択的に、(i)RSV検査は、PCR検査であり、及び閾値は、3%であるか、又は(ii)RSV検査は、抗原検査であり、及び閾値は、10%である、実施形態115又は116に記載の使用。
【0220】
118.対象は、RSV感染を発症するリスクが高い、実施形態112~117のいずれか1つに記載の使用。
【0221】
119.対象は、29週未満の在胎期間で出生しており;且つ/又は慢性肺疾患(CLD)、先天性心疾患(CHD)、免疫系の抑制、免疫系の低下、免疫不全、神経筋障害、ダウン症候群、先天性気道異常及び/若しくは嚢胞性線維症を有する、実施形態118に記載の医薬組成物。
【0222】
120.乳児又は小児対象における極めて重度の呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染を予防するための医薬品の製造におけるニルセビマブの使用であって、医薬品は、単回用量で対象に投与されるものであり、且つ5ヶ月超にわたって極めて重度のRSV感染を予防するのに有効である、使用。
【0223】
121.乳児又は小児対象における原因を問わない下気道感染(LRTI)又は原因を問わないLRTIによる入院の予防のための医薬品の製造におけるニルセビマブの使用であって、医薬品は、単回用量で対象に投与されるものであり、且つ5ヶ月超にわたって原因を問わないLRTI又は原因を問わない入院を予防するのに有効である、使用。
【0224】
122.乳児又は小児対象における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)下気道感染(LRTI)の予防での使用のための、ニルセビマブの単回用量を含む製品であって、単回用量は、RSV流行期の始まり前に対象に投与されるものであり、且つ5ヶ月超にわたってRSV LRTIを予防するのに有効である、製品。
【0225】
123.単回用量は、RSV流行期の始まりの約2週間前、約3週間前、約4週間前、約1ヶ月前、約2ヶ月前又は約3ヶ月前に前記対象に投与されるものである、実施形態122に記載の製品。
【0226】
124.RSV流行期の始まりは、2週間の期間にわたるRSV検査の平均陽性率が閾値を超える最初の連続する2週間によって定義され、閾値は、3%~13%であり、任意選択的に、(i)RSV検査は、PCR検査であり、及び閾値は、3%であるか、又は(ii)RSV検査は、抗原検査であり、及び閾値は、10%である、実施形態122又は123に記載の製品。
【0227】
125.乳児又は小児対象における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)下気道感染(LRTI)の予防での使用のための、ニルセビマブの単回用量を含む製品であって、単回用量は、直前のRSV流行期の終わり後に対象に投与されるものであり、且つ次のRSV流行期全体を通してRSV LRTIを予防するのに有効である、製品。
【0228】
126.単回用量は、直前のRSV流行期の終わりの約1週間後、約2週間後、約3週間後、約4週間後、約1ヶ月後、約2ヶ月後、約3ヶ月後、約4ヶ月後、約5ヶ月後、約6ヶ月後又は約7ヶ月後に対象に投与されるものである、実施形態125に記載の製品。
【0229】
127.直前のRSV流行期の終わりは、1週間の期間にわたるRSV検査の平均陽性率が閾値を下回る最初の1週間によって定義され、閾値は、3%~13%であり、任意選択的に、(i)RSV検査は、PCR検査であり、及び閾値は、3%であるか、又は(ii)RSV検査は、抗原検査であり、及び閾値は、10%である、実施形態125又は126に記載の製品。
【0230】
128.対象は、RSV感染を発症するリスクが高い、実施形態122~127のいずれか1つに記載の製品。
【0231】
129.対象は、29週間未満の在胎期間で出生しており;且つ/又は慢性肺疾患(CLD)、先天性心疾患(CHD)、免疫系の抑制、免疫系の低下、免疫不全、神経筋障害、ダウン症候群、先天性気道異常及び/若しくは嚢胞性線維症を有する、実施形態128に記載の製品。
【0232】
130.乳児又は小児対象における極めて重度の呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染の予防での使用のための、ニルセビマブの単回用量を含む製品であって、単回用量は、5ヶ月超にわたって極めて重度のRSV感染を予防するのに有効である、製品。
【0233】
131.乳児又は小児対象における原因を問わない下気道感染(LRTI)又は原因を問わないLRTIによる入院の予防での使用のための、ニルセビマブの単回用量を含む製品であって、単回用量は、5ヶ月超にわたって原因を問わないLRTI又は原因を問わない入院を予防するのに有効である、製品。
【実施例】
【0234】
実施例1:健康な後期早産児及び正期産児における呼吸器合胞体ウイルスに対するニルセビマブの安全性及び有効性
この実施例は、健康な後期早産児及び正期産児におけるRSVに対するニルセビマブの安全性及び有効性を評価するための第3相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の臨床試験プロトコルを説明する。これは、初めてのRSV流行期に入っている健康な乳児において、診察を要するRSVが確認されたLRTIをニルセビマブが予防するかどうかを決定するための単回用量試験である(
図1)。
【0235】
一次的な目的及び関連する評価項目
一次目的は、生後35週0日以上のGAであり、且つ初めてのRSV流行期に入っている乳児に、単回固定の筋肉内(IM)用量として投与した場合の投与後150日までプラセボと比較して、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PC)により確認されたRSVに起因する診察を要するLRTIの減少におけるニルセビマブの有効性を評価することである。一次的な有効性の評価項目は、投与後150日にわたるRT-PCRにより確認されたRSV(即ち5ヶ月間のRSV流行期)に起因する診察を要するLRTI(入院患者及び外来患者)の発生率である。RT-PCRによるRSV検出後、RSV A亜型及びRSV B亜型を、同時代のRSV A及びRSV B参照株と比較した、全てのRSV陽性単離株/サンプルからの成熟Fタンパク質の配列変化の遺伝子型分析によって決定する。一次評価項目に関する診察を要するRSV LRTIの症例定義を、下記の表1に示す(RSV LRTIの症例定義を満たすためには、各列から1項目が必要である)。一次評価項目のサブグループ分析を、半球、無作為化時の年齢、性別、人種、体重及び在胎期間に従って事前に規定した。
【0236】
【0237】
副次的な目的及び評価項目
有効性
副次的な目的は、プラセボと比較して、RT-PCRにより確認されたRSVに起因する入院の減少におけるニルセビマブの有効性を評価することである。副次的な有効性の関連する評価項目は、同期間中でのこの症状に起因する入院の発生率である。全ての症例を、リアルタイムRT-PCRを使用する中央検査室でのRSV検査により確認した。
【0238】
安全性
別の副次的な目的は、プラセボと比較した、単回固定IM用量として投与した場合のニルセビマブの安全死及び忍容性を評価することである。関連する評価項目は、処置中に発生した有害事象(TEAE)、処置中に発生した重度の有害事象(TESAE)、特別の関心の有害事象(AESI)及び初発の慢性疾患(NOCD)の発生により評価されるニルセビマブの安全性及び忍容性である。
【0239】
薬物動態(PK)
別の副次的な目的は、ニルセビマブの単回用量血清中濃度を評価することである。関連する評価項目は、ニルセビマブの血清中濃度及び推定PKパラメータ(見かけ上のクリアランス及びAUC0-∞)の概要である。ニルセビマブの薬物動態を、既に説明されているように決定した(Domachowske et al.,Pediatr Infect Dis J.(2018)37:886-92)。
【0240】
抗薬物抗体
別の副次的な目的は、血清中におけるニルセビマブに対する抗薬物抗体(ADA)反応を評価することである。関連する評価項目は、血清中におけるニルセビマブに対するADAの発生率である。抗ニルセビマブ抗体反応陽性を、既に説明されているように、50以上の力価として定義した(Griffin et al.,N Engl J Med.(2020)383:415-25;Domachowske,上記を参照されたい)。
【0241】
探索的な目的及び評価項目
医療資源利用及び介護者負担
探索的な目的は、プラセボレシピエントと比較した、ニルセビマブレシピエントに関する医療資源利用及び介護者負担を評価することである。関連する評価項目は、下記である:
- 医療資源利用の規模:例えば、病院及び集中治療室への入院数及び入院期間;呼吸補助及び酸素補給を必要とする対象の数及び使用期間;外来患者の受診の数及び種類(例えば、救急治療室、緊急治療、外来診療);並びに処方薬及び市販薬の数及び使用期間;及び
- RT-PCRにより確認されたRSVにより引き起こされた診察を要するLRTIを患っている対象の介護者負担:介護者の欠勤日数;及びデイケアに欠席する対象。
【0242】
RSV中和抗体力
別の探索的な目的は、母性RSV中和抗体レベル及びプラセボ群において感染後に誘発されるRSV中和抗体レベルと比較して、ニルセビマブの単回用量により得られる血清中での抗RSV中和抗体レベルを決定することである。関連する評価項目は、プラセボレシピエントと比較した、ニルセビマブレシピエントに関する血清中の抗RSV中和抗体レベル(IU/mL)である。
【0243】
RSV血清検査
別の探索的な目的は、様々なRSVタンパク質に対する血清反応を測定することによりRSVへの暴露を評価することである。関連する評価項目は、下記である:
- 様々な時点でのRSV F前、F後、Ga、Gb及びNに対する抗体レベル。
- RSVへの暴露を示す抗体レベル(血清反応)の変化。
【0244】
RSV耐性のモニタリング
別の探索的な目的は、遺伝子型分析及び表現型分析により、ニルセビマブに対する耐性の特性を明らかにすることである。関連する評価項目は、遺伝子型分析及びニルセビマブよる中和に対するRSVバリアントの感受性である。
【0245】
151日目後のRSV LRTI
別の探索的な目的は、151日目後のプラセボと比較して、RT-PCRにより確認されたRSVに起因する診察を要するLRTIの発生率を評価することである。関連する評価項目は、152日目~361日目のRT-PCRにより確認されたRSVに起因する診察を要するLRTI(入院患者及び外来患者)の発生率である。
【0246】
試験デザイン
この試験は、初めてのRSV流行期に入っている健康な乳児における診察を要するRSVが確認されたLRTIをニルセビマブが予防するかどうかを決定するためのものである。登録される集団は、米国小児科学会(AAP)又は他の地域若しくは国のガイドラインに基づいてRSV予防薬を投与されなかった、初めてのRSV流行期に入っている生後35週0日以上のGAの健康な後期早産児及び正期産児である。簡潔に説明すると、合計約3,000例の乳児が登録される。対象を、ニルセビマブ(N=2,000)又はプラセボ(N=1,000)の単回IM用量を投与するために、2:1の比で無作為に割り当てる。ニルセビマブ用量レベルを、投与時の体重により層別化する。体重5kg未満の乳児の場合にはニルセビマブ50mg又は体重5kg以上の乳児の場合にはニルセビマブ100mg。プラセボ群の対象に、対応する量の生理食塩水を投与し、即ち体重5kg未満の場合には0.5mL又は体重5kg以上の場合には1.0mLである。無作為化を、半球(北半球(NH)、南半球(NH))及び無作為化時の対象の年齢(3ヶ月以下、3ヶ月超6ヶ月以下、6ヶ月超)により層別化する。生後6ヶ月超の乳児の登録は、約500例に限定される。
【0247】
この試験は、下記の2つのコホートを含む:合計約3,000異例の対象に関する一次コホート(N=約1,500例)及び補完的安全性コホート(以降、安全性コホートと称される;N=約1,500例)。一次コホートには、NHでは2019年に150箇所の場所(20カ国)及びSHでは2020年に10箇所の場所(1カ国)から登録された参加者が含まれていた。安全性コホートには、NH2020登録シーズン後に登録された対象が含まれる。2019年のコロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック関連対策に起因してRSVの循環が大幅に減少していることを考慮すると、一次コホートの一次解析で実施された有効性解析は、ニルセビマブの有効性を評価する目的に役立つであろう。
【0248】
全ての対象を、投与後の約510日にわたり追跡する。LRTIに対する試験期間を通して、対象をモニタリングする。(入院施設又は外来診療のいずれかで)呼吸器疾患の治療を求めている全ての対象をLRTIの発症に関して評価する。LRTIを患っていることが分かった全ての対象及びLRTIと診断されていなくても呼吸器感染で入院を必要とする全ての対象から呼吸器サンプルを採取して呼吸器評価フォームに記入すべきである。これらの事象の全て(LRTIのプロトコル定義に合致しないものであっても)に関して、サンプルを採取すべきである。主に呼吸器感染(即ち上気道若しくは下気道)又は入院中での呼吸悪化で入院している対象又は下気道疾患のために外来診療(ER訪問を含む)を求めている対象をLRTIの存在に関して臨床的に評価し、呼吸器分泌物の中央検査室での診断検査によりRSVに関して評価する。
【0249】
LRTIの臨床的評価に加えて、医学的に関与されたプロトコルで定義されたLRTIの判定のために客観的基準を使用したプロトコル定義が存在する(表1)。
【0250】
RSVの検査を、米国食品医薬品局の認可を受けており、且つ欧州適合(European Conformity)マークを取得しているインビトロ診断用リアルタイムRT-PCRアッセイ(Lyra RSV+ヒトメタニューモウイルス[hMPV]アッセイ;Quidel Corporation,San Diego,CA)を使用して、一元的に実施する。RSV LRTIの診断には、中央検査室でのRT-PCRによるRSV陽性の呼吸器サンプルを有することが必要である。
【0251】
この試験を、5つの呼吸器ウイルス流行期(北半球(NH)での3回の流行期及び南半球(SH)での2回の流行期)にわたり実行して、複数回の流行期にわたるRSV症例の特徴をより明確にする。
【0252】
薬物動態(PK)及び抗薬物抗体(ADA)に関する血液サンプルを、スクリーニング時又は用量前1日目、31日目、151日目及び361日目に且つ361日目まで呼吸器感染で入院している対象から採取する。日本では、15日目の受診は、血液サンプル採取(検査室パラメータ)のための8日目の受診に置き換えられる。日本では、31日目及び151日目での受診時にも、血液サンプルを採取する。欧州では、RSV血清検査に関する31日目の評価を除外して、採血量を制限する。安全性評価を、361日目まで実施する。用量レベルを、投与時の体重により層別化する。
【0253】
組入れ基準
対象は、下記の基準の全てを満たさなければならない:
- 生後35週0日以上のGAで出生した生後1年目の健康な乳児(嚢胞性線維症又はダウン症候群等の基礎疾患を有し、且つ他の危険因子がない乳児);
- スクリーニング時に初めてのRSV流行期に入っている乳児;及び
- 対象は、試験薬の投与後17ヶ月となる追跡期間を完了可能である。
【0254】
除外基準
下記のいずれかに該当する場合、対象は、この試験の参加から除外されることになる:
- 市販のパリビズマブを投与するための国又は他の地域の基準を満たしている;
- 無作為化前7日以内でのあらゆる発熱(100.4°F以上(38℃以上)、経路に関係なく)又は急性疾患;
- 無作為化前又は無作為化時でのLRTI又は活動性LRTIのあらゆる既往歴;
- 無作為化前又は無作為時でのRSV感染又は活動性RSV感染の既知の既往歴;
- 下記を除く、無作為化前7日以内での又は試験中に投与されると予想されるあらゆる薬物療法(慢性又はその他):a)マルチビタミン及び鉄分;並びにb)治験責任医師の判断に従って許可され得る、小児期の一般的な症状の全身的処置のための市販(OTC)薬(例えば、鎮痛剤)の稀な使用;
- ステロイド等の免疫抑制剤の現在又は将来の投与(治験責任医師の判断に従う局所ステロイドの使用を除く);
- 血液、血液製剤又は免疫グロブリン製剤の投与歴又は試験期間中の投与の予定;
- あらゆる治験薬の投与;
- 既知の腎機能障害;
- 既知の又は疑わしい活動性又は慢性の肝炎感染を含む既知の肝機能障害;
- CLD/気管支肺異形成症の既往歴;
- 呼吸器の臨床的に重要な先天性異常;
- 慢性の発作又は進行中の若しくは不安定な神経障害;
- CHD、但し、合併症のないCHD(例えば、動脈管開存、小さい中隔欠損)を患っている子供を除く;
- 疑わしい又は実際に生命を脅かす急性事象の過去の既往歴;
- 既知の免疫不全、例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV);
- HIV感染を患っている母親(子供が感染していないことが証明されている場合を除く);
- あらゆる既知のアレルギー(例えば、免疫グロブリン製剤に対するもの)又はアレルギー反応の既往歴;
- パリビズマブ又は他のRSV mAb若しくはあらゆるRSVワクチンの投与(母親のRSVワクチン接種を含む);
- あらゆるモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体(例えば、B型肝炎免疫グロブリン、IV免疫グロブリン)の投与;
- 治験責任医師の意見において、治験薬の評価又は対象の安全性若しくは試験結果の解釈を妨げると考えられるあらゆる状態;又は
- 別の介入試験への同時登録。
【0255】
統計的手法
一般的要件。
下記の2つの試験コホートが存在する:一次コホート及び安全性コホート。一次コホートは、NH2019、SH2020及びNH2020登録シーズンからの対象を含む(COVID-19パンデミックの影響に起因して、NH2020からの1例の対象が登録された後、登録を中断した)。安全性コホートは、NH2020登録シーズン後に登録された対象を含む。Intent-to-treat(ITT)集団は、無作為化される全ての対象と定義される。対象は、無作為化された処置に対応する処置群に含まれる。安全性を除く全ての解析を、別途指定されない限りITT集団で実施する。ITT集団及び一次コホートの対象は、ITT集団1(ITT1)となる。ITT集団及び安全性コホートの対象は、ITT集団2(ITT2)となる。
【0256】
As-treated集団は、無作為化され、且つ任意の量の治験薬を投与された全ての対象を含む。対象は、実際に施された処置に対応する処置群に含まれる。全ての安全性解析を、As-treated集団に実施する。As-treated集団及び一次コホートの対象は、As-treated集団1(AT1)となる。As-treated集団及び安全性コホートの対象は、As-treated集団2(AT2)となる。
【0257】
統計解析
この試験に関して、下記の3種の分析が計画されている:一次解析、安全性解析及び最終解析。有効性解析を、intent-to-treat集団(全ての無作為化された参加者)で実施し、安全性解析を、as-treated集団(いずれかの治験薬を投与された参加者)をベースとする。3000例の参加者のサンプルサイズは、安全性データベースを考慮して選択され、一次有効性評価項目に関して99%超の検出力を示した。一次有効性解析に関する約1,500例の参加者のサンプルサイズは、プラセボ群における8%事象率の仮定の下、両側有意水準0.05において70%の相対リスク減少を検出するために99%以上の検出力を有する。
【0258】
一次解析を、一次コホートからの全ての無作為化された対象(NH2020シーズンで登録された1例の対象を除く)を361日目まで追跡した後に実行し、有効性を評価するために設計された、この試験の一次解析となる。一次解析に関して、少なくとも361日目までに一次コホートのために収集された全ての有効性データ、薬物動態(PK)データ、ADAデータ及び安全性データを解析する。安全性解析を、安全性コホートの全ての対象を151日目まで追跡した後に実行する。安全性解析に関して、一次コホートに基づく一次解析中に行った解析に加えて、安全性コホートに関して収集した全ての入手可能な有効性データ、PKデータ、ADAデータ、RSV中和抗体データ、RSV血清検査データ及び安全性データを解析する(安全性コホートに関して収集した有効性データに関しては、記述的概要のみを示す)。最終解析を、全ての対象が試験の最終受診(即ち511日目)を完了した際に実行する。COVID-19パンデミック関連対策に起因してRSVの循環が大幅に減少していることを考慮して、一次コホートに関する一次解析で実施した有効性解析は、試験集団におけるニルセビマブの有効性を評価する目的に役立つであろう。
【0259】
安全性コホートに関して有効性データも収集するが、記述的概要のみが提供され、安全性コホートの有効性データを一次コホートのものと共にプールする意図はない。一次コホート及び安全性コホートの両方は、単独でも組み合わせてもニルセビマブの安全性を評価する目的に役立つであろう。
【0260】
RSV LRTIを発症しておらず、且つ投与後150日目まで追跡されていない参加者に関しては、その事象ステータスが欠落しているとみなし、プラセボ群で観察された事象率で入力し、インピュテーションを繰り返す。
【0261】
一次有効性解析
5ヶ月のRSV流行期中のRSV LRTI(入院患者及び外来患者)の発生率は、RSV検査結果(RT-PCRにより一元的に実施)及び客観的な臨床的LRTI基準に基づき、且つ処置群毎に提示される。複数の診察を要するRSV LRTI事象を有する対象に関して、一次解析では最初の事象のみを使用する。
【0262】
一次評価項目の一次有効性解析を、ITT1で行う。用量後150日にわたり発症するRSV LRTIは、一次有効性解析に寄与する。診察を要するRSV LRTIに罹っておらず、且つ用量後150日にわたり追跡されていない対象に関して、この対象の事象ステータスを、多重代入技術を使用して層別化因子を条件として観察されたプラセボRSV LRTI率を仮定して帰属させ、SAPで説明する。ロバスト分散を伴うポアソン回帰モデルを一次有効性解析モデルとして使用して、共変数として処置群、無作為化時の年齢(即ち3ヶ月以下、3ヶ月超6ヶ月以下、6ヶ月超)及び二分の温度半球(NH及びSH)を含む、ニルセビマブとプラセボとの間において、診察を要するRSV LRTIの発生率を比較する。加えて、このモデルから、相対リスクに関する両側p値及び対応する両側95%信頼区間(CI)が提供される。RRRは、(1-Pn/Ps)と定義され、式中、Pnは、ニルセビマブ群における用量後150日にわたるRSV LRTIの発生率であり、Psは、このモデルにより生成されたプラセボ群における用量後150日にわたるRSV LRTIの発生率である。統計的有意性は、両側p値が0.05以下である場合に達成される。
【0263】
一次解析のためのデーベースロック前の盲検データレビュー中、既知の収束問題又は推定問題を引き起こすであろう一次コホートにおけるSHに関する用量後150日にわたる診察を要するRSV LRTI事象が発生しなかったことから、完全モデルから層別化因子半球を削除することを決定した。同様の考慮は、一次有効性評価項目の他の解析にも適用され、半球は、対応するモデルから除外される。
【0264】
一次評価項目のさらなる解析
無作為化時の年齢群により層別化されたCochran-Mantel-Haenszelアプローチ(即ち3ヶ月以下、3ヶ月超~6ヶ月以下、6ヶ月超)を使用して、一次評価項目の二次分析として、処置群間の用量後150日にわたるRSV LRTIの発生率を比較する。このさらなる解析を、ITT1で実行する。加えて、初めてのRSV LRTIまでの時間を評価するtime-to-event解析を補足解析として実施し得る。解析は、中央検査室又は現地の検査室のいずれかの結果を使用して、全てのRSV陽性LRTI評価項目も含み得る。欠損データ(即ち早期中止又は中止前にRSV LRTIなし)を扱うための様々なアプローチが補足解析のために考慮され得る。さらなる解析を実施して、有効性追跡調査の期間を調整し得、且つサブグループ内で有効性を評価し得る。これらの解析を、SAPで説明する。用量後150日にわたる診察を要するRSV LRTIの発生率の概要もITT2での処置群毎にまとめる。
【0265】
二次評価項目解析
有効性解析に関して、用量後150日にわたるRSV LRTIによる入院の発生率を、処置群毎に表す。一次有効性評価項目に関して上記で説明したのと同様の方法を使用して、ITT1でのRSV LRTIによる入院に対する有効性を評価する。用量後150日にわたるRSV LRTIによる入院の発生率の概要もITT2での処置群毎にまとめる。
【0266】
上記で説明したように、一次評価項目の解析を、ロバスト分散を伴うポアソン回帰モデルを使用して実施する。全体的なタイプIエラーを制御するために、階層的アプローチを使用する。一次評価項目に関する統計的有意性が示された場合にのみ、二次評価項目を検証する。即ち、一次有効性評価項目に対する処置効果が両側0.05の有意水準で示された場合にのみ、二次仮説を0.05の有意水準で検証する。これにより、全体的なタイプIエラーは、0.05で制御される。従って、さらなる多重度調整は不要である。
【0267】
安全性解析に関して、この解析を、As-treated集団全体、AT1及びAT2に対して実行する。ニルセビマブの安全性を、主に、TEAE及びTESAEの発生により評価する。有害事象を、小児評価に適用される場合、国立がん研究所有害事象共通用語規準(National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events)の最新版に従って等級分けする。有害事象を、国際医薬用語集によりコード化し、種類、発生率、重症度及び治験薬との関係の概要を、処置群毎にまとめる。他の安全性評価は、下記を含む:(1)治験薬投与後の過敏症(アナフィラキシーを含む)、血小板減少症及び免疫複合体病(例えば、血管炎、心内膜炎、神経炎、糸球体腎炎)の標的AEを含むAESIの発生;並び(2)治験薬投与後のNOCDの発生。
【0268】
PK解析に関して、ニルセビマブの単回用量後、個々のニルセビマブ血清中濃度データを、記述統計と共に処置群毎に表にする。PKパラメータ(例えば、Cmax、AUC、見かけ上のクリアランス及び終末半減期)を、データが許せば、非コンパートメント解析を使用して推定する。
【0269】
ADA解析に関して、ニルセビマブに対するADAの発生率を評価し、処置群毎にADA陽性の対象の数及び割合の概要をまとめる。ADA力価を様々な時点で対象毎に列挙する。PK、有効性並びにTEAE及びTESAEとの関連に対するADAの影響を、評価する。これらの概要を、別途指定されない限り、As-treated集団全体、AT1及びAT2に対して実行する。
【0270】
探索的な評価項目解析
医療資源利用(HRU)及び介護者負担の解析に関して、HRUの規模(例えば、病院及びICUへの入院数及び入院期間;呼吸補助及び酸素補給を必要とする対象の数及び使用期間;外来患者の受診の数及び種類、例えばER、緊急治療、外来診療;並びに処方薬及び市販薬の数及び使用期間)の概要を処置群毎に全体的にまとめ、且つ下記のサブグループに関してまとめる:RT-PCRにより確認されたRSVにより引き起こされた少なくとも1例の診察を要するLRTIを患っている対象、RSVにより引き起こされていない診察を要するLRTIを患っている対象及びRSVステータスでさらに分類され得る、プロトコルで定義されていないLRTIを患っている対象。これらの概要を、ITT1及びITT2(データが許す場合)に対して実行する。
【0271】
RT-PCRにより確認されたRSVにより引き起こされた診察を要するLRTIを患っている対象の介護者負担(例えば、介護者の欠勤日数;デイケアに欠席する対象)の概要を、ITT1及びITT2(データが許す場合)に対して処置群毎にまとめる。
【0272】
RSV中和抗体及びRSV血清検査
ニルセビマブによりもたらされるRSV中和抗体レベルの解析に関して、ニルセビマブを、母体のRSV中和抗体レベル及びプラセボ群において感染後に誘発されるRSV中和抗体レベルと比較する。RSV血清反応を、プラセボ群及びニルセビマブ群におけるRSV暴露の指標として評価する。
【0273】
ニルセビマブに対するRSV耐性のモニタリング
完全長の成熟Fタンパク質の遺伝子型解析を、Quidel Corporation製のLyra RSV+hMPVリアルタイムRT-PCRアッセイを使用して一元的に確認された全てのRSV陽性単離株で実行する。RSV遺伝子型解析により、同時代のRSV A及びRSV B参照株と比較して、成熟Fタンパク質配列のアミノ酸変化が報告される。表現型解析により、実験室由来の参照ウイルスと比較して、ニルセビマブ及びパリビズマブの中和に対する操作された組換えRSVバリアントの感受性の変化が報告される。
【0274】
152日目~361日目に発症したRSV LRTI
152日目~361日目の診察を要するRSV LRTI(入院患者及び外来患者)の発生率は、RSV検査結果(RT-PCRにより一元的に実施)及び客観的な臨床的LRTI基準に基づき、且つ概要をITT1及びITT2に対する処置群毎にまとめる。
【0275】
実施例2:ニルセビマブは、呼吸器合胞体ウイルスから健康な後期早産児及び正期産児を保護する
この実施例は、初めてのRSV流行期に入っている健康な後期早産児及び正期産児における診察を要するRSVが確認されたLRTIに対するニルセビマブの単回用量の安全性及び有効性を評価するための第3相無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を説明する。
【0276】
この試験では、乳児(35週間以上の在胎期間)を2:1で無作為化して、RSV流行期の始まりにニルセビマブ又はプラセボの単回筋肉内注射を投与した。一次有効性評価項目は、150日にわたる診察を要するRSV LRTIの発生率であり、二次評価項目は、150日にわたるRSV関連の入院の発生率であった。この試験の結果から、RSV流行期前に投与されたニルセビマブの単回用量により、診察を要するRSV LRTIから健康な後期早産児及び正期産児が保護されたことが分かる。重要なことに、この結果から、驚くべきことに、ニルセビマブの単回用量の予防効果が5ヶ月超(最高12ヶ月)にわたり持続したことが分かる。従って、ニルセビマブの単回用量は、RSV流行期の内外にかかわらず、少なくとも1回の5ヶ月間のRSV流行期(例えば、2回のRSV流行期)にわたってRSV感染からの防御をもたらすのに十分である。従って、ニルセビマブの単回用量によりもたらされる保護期間の延長により、RSV流行期以外で出生した対象、RSV流行期の中断を経験している対象及び/又は5ヶ月超(例えば、6、7、8、9又は10ヶ月)のRSV流行期を経験している対象が保護可能である。
【0277】
方法
この臨床試験を、上記の実施例1に記載されているプロトコルに従って実行した。さらなる詳細は、下記の通りである。
【0278】
参加者
後期早産又は正期産(出生時35週0日以上の在胎期間)、1歳以下であり、且つ初めてのRSV流行期に入っている健康な乳児が、参加者の資格があった。潜在的な参加者を、市販のパリビズマブを投与するために国又は他の地域の基準を満たしている場合、無作為化前7日以内に任意の発熱又は急性疾患があった場合又は無作為化前若しくは無作為化時にRSV感染があった場合に除外した。
【0279】
試験デザイン
参加者を2:1で無作為化して、ニルセビマブ又は生理食塩水プラセボ50mg又は100mg(それぞれ投与時の5kg未満又は5kg以上の体重の場合)の1回の筋肉内注射を投与した。無作為化を半球(北又は南)及び年齢(3ヶ月以下、3ヶ月超6ヶ月以下又は6ヶ月超)で層別化した。この試験全体を通して、診察を要する呼吸器疾患を記録した。一次コホートには、北半球では2019年に150箇所の場所(20カ国)及び南半球では2020年に10箇所の場所(1カ国)から登録された参加者が含まれていた。
図1も参照されたい。
【0280】
評価項目
一次有効性評価項目は、ニルセビマブ又はプラセボの投与後150日にわたる診察を要するRSV LRTIの発生率であり;二次有効性評価項目は、同一期間中のこの状態に起因する入院の発生率であった。全ての症例を、リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を使用する中央検査室でのRSV検査により確認した。一次評価項目に関する診察を要するRSV LRTIの症例定義を、表1に示す(上記を参照されたい)。
【0281】
一次評価項目のサブグループ解析を、半球、無作為化時の年齢、性別、人種、体重及び在胎期間に従って事前に規定した。有害事象を、国立がん研究所有害事象共通用語規準に従って重症度毎に等級分けし、国際医薬用語集によりコード化した。過敏症(アナフィラキシーを含む)、免疫複合体病及び血小板減少症を、特に注目すべき有害事象と指定した。
【0282】
ニルセビマブの薬物動態(PK)を、Domachowske et al.,Pediatr Infect Dis J.(2018)37:886-92で説明されているように決定した。血清サンプルを、用量前、用量後15日(場合により8日目に置き換わる)、31、151及び361日目並びに参加者が呼吸器疾患で入院した際に採取した。抗薬物抗体を評価し;抗ニルセビマブ抗体陽性反応を、Griffin et al.,N Engl J Med.(2020)383:415-25及びDomachowske,上記参照で説明されているように、50以上の力価と定義した。
【0283】
統計学的解析
全ての解析は、一次コホートに基づいていた。有効性解析を、intent-to-treat集団(無作為化された全参加者)で実施し;安全性解析は、as-treated集団(いずれかの治験薬を投与した参加者)に基づいていた。3000例の参加者のサンプルサイズは、安全性データベースを考慮して選択され、一次有効性評価項目に関して99%超の検出力を示した。一次有効性解析に関する約1,500例の参加者のサンプルサイズは、プラセボ群における8%事象率の仮定の下、両側有意水準0.05において70%の相対リスク減少を検出するために99%以上の検出力を有した。
【0284】
一次評価項目の解析を、ロバスト分散を伴うポアソン回帰モデルを使用して実施した。全体的なタイプIエラーを制御するために、階層的アプローチを使用し;一次評価項目に関する統計的有意性が示された場合にのみ、二次評価項目を検証した。
【0285】
RSV LRTIを発症しておらず、且つ用量後150日まで追跡されていない参加者に関しては、その事象ステータスが欠落しているとみなし、プラセボ群で観察された事象率で入力し、インピュテーションを繰り返した。
【0286】
一次有効性評価項目及び二次有効性評価項目のさらなる解析
ニルセビマブ又はプラセボ後の追跡調査を電話により行い(用量後150日にわたり2週間毎、用量後150~360日にわたり毎月及び用量後361~510日にわたり2週間毎)、且つ治験施設訪問時(8、15、31、91、151及び361日目)に直接行った。
【0287】
診察を要する下気道事象に関して、RSVステータスを、中央検査室でのリアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によって決定した。RT-PCRによるRSV検出後、RSV A亜型及びRSV B亜型を、同時代のRSV A及びRSV B参照株と比較した、全てのRSV陽性単離株/サンプルからの成熟Fタンパク質の配列変化の遺伝子型分析によって決定した。
【0288】
RSV LRTIによる入院の評価項目のプール解析を、多重性保護階層的検定戦略下で事前に規定した。第2b相試験D5290C00003の全intent-to-treat(ITT)参加者及び本試験の一次コホートのITT参加者からなるプール解析の理論的根拠は、標的集団(早産児及び正期産児)でのRSVによる入院の全体的な有効性を評価することであった。第2b相試験での5kg未満の体重の860例のITT参加者及び本試験の一次コホートのITT参加者からなるプール解析を実行して、薬物動態解析により示唆された臨床的に有効な暴露下での全参加者における有効性を評価した。解析のためにこれらの参加者を組み合わせることを、類似する試験設計と、乳児小児集団間での疾患類似性とに基づいて正当化した。ニルセビマブ群とプラセボ群との間でのRSV LRTIによる入院の発生率が同一であるという帰無仮説の統計的検定を、一次有効性解析でP値≦0.05が達成された場合にのみ実施した。
【0289】
より具体的には、一次有効性評価項目の有意性が証明された後、第2b相試験D5290C00003の全ITT参加者及び本試験の一次コホートのITT参加者をプールすることにより、二次有効性評価項目を最初に検証した。有意性が(両側0.05で)証明された場合、第2b相試験の1日目で5kg未満の体重の860例の参加者(即ちプラセボに無作為化された290例の参加者及びニルセビマブに無作為化された570例の参加者)並びに本試験の一次コホートのITT参加者をプールして、二次有効性評価項目をさらに検証した。有意性が(両側0.05で)再度証明された場合、本試験の一次コホートのITT参加者のみを使用して、二次有効性評価項目を検証した。
【0290】
一次有効性評価項目及び二次有効性評価項目の二次解析モデルとして、観察データに基づくCochran-Mantel-Haenszel検定を使用した。Kaplan-Meier曲線を、初めての診察を要するRSV LRTIまでの期間にわたり作成し、ハザード比及び対応する95%CIを、階層として層別化因子(無作為化時の年齢)を使用する層別化比例ハザードモデルから得た。一次評価項目に関するサブグループ解析に関して、サブグループの各レベル内で、階層なしのPROC GENMODを使用する正確な条件法に基づいて、相対リスク減少及びその95%CI(mid-P調整済)を推定した。
【0291】
影響評価項目のそれぞれ(即ち任意の検査結果でのRSVに起因する全ての診察を要するLRTI、中央検査室での検査結果によるRSVに起因する全ての診察を要するLRTI、任意の原因の全ての診察を要するLRTI、任意の検査結果でのRSVに起因する任意の呼吸器疾患、中央検査室での検査結果によるRSVに起因する任意の呼吸器疾患及び任意の原因の任意の呼吸器疾患)に関して、有効性(ニルセビマブ対プラセボの相対リスク減少)及び95%CIを、処置期間によるロバスト分散を伴うポアソン回帰に基づいて推定した。ニルセビマブとプラセボとの間の推定症例数の流行期の差違から、RSV流行期中に回避された症例数の推定値(及び関連する95%CI)を算出し、ブートストラップを使用して免疫付与された1000例の乳児毎に表した。この解析では、北半球からの参加者のみを含めた。早産児での試験によるRSV入院に対する有効性のプール解析を、多重性保護階層的検定戦略で事前に規定した。
【0292】
結果
1490例の無作為化された参加者のうち、1478例(99.2%)に、ニルセビマブ(n=987)又はプラセボ(n=491)を投与した。診察を要するRSV LRTIの発生率は、ニルセビマブ群において1.2%(n=12)であり、プラセボ群において5.0%(n=25)であり、これは、74.5%(95CI 49.6、87.1;p<0.0001)の有効性に対応する。RSV関連の入院の発生率は、プラセボ群と比較してニルセビマブ群で低かった(0.6%(n=6)対1.6%(n=8)、有効性62.1%(95%CI -8.6、86.8))。極めて重度の診察を要するRSV LRTIの発生率は、プラセボ群と比較してニルセビマブ群で低かった(0.5%(n=5)対1.4%(n=7);有効性64.2%(95%CI -12.1、88.6))。極めて重度のRSV LRTIは、酸素補給又は静脈内輸液を必要とする診察を要するRSV LRTIによる入院の症例として定義される探索的評価項目であった。免疫付与された全1,000例の乳児に関して、原因を問わないLRTIが回避された症例の推定数は、93.6(95%CI 63.0、124.0)であり、原因を問わない呼吸器疾患による入院の回避の推定は、17.7(95%CI 2.0、33.0)であった。有害事象は、試験群間で同様であった。臨床試験結果のさらなる詳細を、下記で説明する。
【0293】
集団
後期早産又は正期産(出生時に35週0日以上の在胎期間)、1歳以下であり、且つ初めてのRSV流行期に入っている健康な乳児が、参加者の資格があった。潜在的な参加者を、市販のパリビズマブを投与するために国又は他の地域の基準を満たしている場合、無作為化前7日以内に任意の発熱又は急性疾患があった場合又は無作為化前若しくは無作為化時にRSV感染があった場合に除外した。2019年7月23から2019年11月30日に1027例の参加者がNHで登録され、2019/20年のRSV流行期まで追跡した。2020年1月8日から2020年3月15日に462例の参加者が南アフリカで登録され、予想される2020年流行期まで追跡した。COVID-19パンデミックに起因して登録を中止する前に、1例の参加者が日本で登録された。合計で、1,490例の参加者を一次コホートで無作為化し、1,478例(99.2%)に注射した(ニルセビマブ:n=987;プラセボ:n=491)。全体として、1,465例及び1,367例の参加者は、それぞれ150日間及び360日間の追跡期間を完了した。
【0294】
試験集団は、主に、正期産の乳児であった(86%)。年齢中央値は、2.60ヶ月(範囲0.03~11.10ヶ月)であった。下記の表に示すように、ベースライン特性は、処置群間で類似していた。
【0295】
【0296】
有効性
診察を要するRSV LRTIは、ニルセビマブを投与するために無作為化された参加者の1.2%(n=12/994)で発生し、プラセボを投与した参加者の5.0%(n=25/496)で発生した。これは、74.5%というニルセビマブに関する有効性(95% CI 49.6、87.1;ポアソン回帰及びCochran-Mantel-Haenszel検定の両方によるp<0.0001;表3)に対応し、そのため、一次評価項目を満たしていた。
【0297】
【0298】
Time-to-event解析により、ニルセビマブを投与した乳児は、プラセボを投与した乳児と比べて診察を要するRSV LRTIのリスクが低いことが確認された(ハザード比、0.23;95%CI 0.12、0.47)(
図2)。発生したRSV LRTIのうち、ニルセビマブ群の12例全てがRSV Aであったが、プラセボ群では、21例がRSV Aであり、4例がRSV Bであった。COVID-19パンデミック中の南アフリカにおけるRSVの減少に起因して、一次有効性推定への南アフリカからの寄与はなかった(Tempia et al.,Eurosurveillance(2021)(印刷中))。しかし、季節外れのRSV伝播は、151日目後に始まり、361日目までに12例の症例が発生した(ニルセビマブ:6例/308例(1.9%)の参加者対プラセボ6例/154例(3.9%)の参加者)。これらのデータのカプラン・マイヤープロットを、
図3に示す。ニルセビマブ群において、151日目後、165日目に、NHで1例の症例が発生した。
図3のデータから、ニルセビマブ50mgの単回用量の予防効果は、典型的なRSV流行期の長さ(約5ヶ月又は150日)を超えて持続したことが分かる。診察を要するRSV関連のLRTIの減少により示される予防効果は、360日間(約12ヶ月)の試験期間の終わりまで、240日(約8ヶ月)超にわたり明らかであった(
図3)。
【0299】
150日間中、RSV LRTIによる入院は、ニルセビマブ群において6例/994例(0.6%)の参加者で発生し、プラセボ群において8例/496例(1.6%)で発生し、これらは、62.1%(95%CI -8.6、86.8;P=0.0708、ポアソン回帰)の有効性の推定値に対応する(表3)。これらの症例に関連する医療利用を、表4に示す。
【0300】
【0301】
半球、無作為化時の年齢、性別、人種、体重及び在胎期間に従うサブグループ解析は、ニルセビマブを指示する一貫した有効性を示した。しかしながら、より低年齢(3.0ヶ月以下対3.0ヶ月超)及びより低体重(5kg未満対5kg以上;
図4)では、有効性が低い傾向が観察された。
【0302】
COVID-19パンデミックが確立される前に典型的なRAV流行期が発生したNHにおいて、影響を評価した。原因を問わないLRTI及びあらゆる呼吸疾患による入院には、明らかな影響が見られた:免疫付与された1,000例の乳児に関して、任意の原因のLRTIを回避した症例数は、93.6例(95%CI.63.0、124.0)と推定され、任意の原因の呼吸器疾患による入院が回避された数は、17.7例(95%CI 2.0、33.0)と推定された。北半球(NH)からのITT集団におけるニルセビマブの影響の概要を、下記の表にまとめる。
【0303】
【0304】
薬物動態
ニルセビマブの血清中濃度は、非線形性の徴候なしに、31日目後に濃度に比例して低下した(
図5)。ニルセビマブの平均(SD)半減期は、66.9(10.9)日であり、両方の体重サブグループ群で同様であった。151日目に、平均(SD)ニルセビマブ血清中濃度は、5kg未満及び5kg以上のサブグループそれぞれにおいて、19.6(7.7)及び31.1(13.7)μg/mLであった。ニルセビマブ群での4例の参加者は、いずれの時点でも血清中濃度を定量することができず;投与エラーは報告されていなかったが発生していた可能性がある。
【0305】
抗薬物抗体
ベースライン後の抗薬物抗体を、ニルセビマブ又はプラセボを投与した、361日まで結果が利用可能な参加者それぞれの951例のうちの58例(6.1%)及び473例のうちの5例(1.1%)で検出した。用量の投与後150日の期間中、診察を要するRSV LRTIに罹った12例のニルセビマブレシピエントのうちの2例では、151及び361日目に、検査室での検査により、400の力価の抗薬物抗体を検出した。ベースライン後に抗薬物抗体に関して陽性であったニルセビマブレシピエントは、抗薬物抗体がないニルセビマブレシピエントと同様の安全性プロファイルを有していた。
【0306】
安全性及び有害事象プロファイル
試験中に発生した有害事象の種類及び頻度は、両方の群で同様であった。as-treated集団において発生した用量後360日での処置中に発生した有害事象(TEAE)の概要を、表6にまとめる。
【0307】
処置中に発生したほとんどの有害事象は、重症度がグレード1又は2であった。グレード3以上の重症度の有害事象は、ニルセビマブを投与したものでは3.6%(36例/987例)で報告され、プラセボを投与したものでは4.3%(21例/491例)で報告された。ニルセビマブ群における用量投与の1日以内での有害事象の発生率は、低かった(ニルセビマブ群では参加者の1.8%及びプラセボ群では参加者の0.6%)。これらの有害事象は、全てグレード1の重症度であり、市販の処置薬を使用して自宅で両親が対処した。用量投与の7日以内での有害事象の発生率は、両方の群で同様であった(ニルセビマブ群では参加者の13.4%及びプラセボ群では参加者の12.8%;表6)。この期間では、全身性障害及び投与部位の状態の器官別大分類における有害事象の発生率は低く、プラセボ群では参加者の0.4%(2例/491例)で発生し、ニルセビマブ群では参加者の0.6%(6例/987例)で発生している。これらは、発熱(3例の参加者)、不快感(2例の参加者)、局所注射部位の痛み又は腫れ(3例の参加者)であった。
【0308】
【0309】
重度の有害事象は、ニルセビマブを投与した参加者の6.8%(67例/987例)で報告され、プラセボを投与した参加者の7.3%(36例/491例)で報告された。治験責任医師は、いずれも治験薬との関連はないと見なした。ニルセビマブ群では、投与後6日で全身性の特徴を伴わない全身性の斑状皮疹を呈した1例の患者において、特に関心のあるただ1つ有害事象が報告され、この事象は、処置に関連しているものであった。アナフィラキシー又は他の重篤な過敏性反応は、報告されなかった。
【0310】
361日目までに、3例の死亡が発生した(全てニルセビマブ群)。140日目に、成長障害の参加者で原因不明の1例の死亡が発生した。再発性の嘔吐、低血糖及び貧血という有害事象の報告に基づいて、死亡前に診断されていなかった基礎的な慢性疾患が疑われた。2例の死亡(143及び338日目)は、この病気に関して医療を受診しなかった参加者での胃腸炎が原因であった。RSVに起因することが分かっている死亡はなく、ニルセビマブに関連すると治験責任医師に見なされた死亡もなかった。上記の試験から、モノクローナル抗体であるニルセビマブの単回用量は、RSV流行期前に健康な後期早産児及び満期産児に投与された場合、診察を要するRSV LRTIに対する実質的な防御をもたらすことが実証される。任意の原因の全ての診察を要するLRTIに対する有効性が、観察されている。さらに、ニルセビマブは、良好な忍容性を示した。参加者の1%のみが、処置に関連する有害事象を報告し、局所的な反応原性及び発熱が稀に発生した。
【0311】
前臨床で決定されたニルセビマブの90%有効濃度は、6.8μg/mLであった(Zhu et al.,上記を参照されたい)。本明細書でのPKデータは、年齢/体重サブグープル全体にわたり防御抗体レベルが用量後150日まで延長することを裏付けている。南アフリカのデータは、RSV流行期の典型的な長さである5ヵ月を超えて防御が持続することを裏付けている。
【0312】
結論として、この試験から、半減期が延長されている、RSVに対するモノクローナル抗体であるニルセビマブが、健康な後期早産児及び正期産児での診察を要するRSV LRTIの予防に有効であることが実証された。ニルセビマブの使用により、疾患の実質的な負担が軽減され得、且つ一般的な乳児集団でのRSV疾患と関連する長期的な影響が潜在的に予防され得た。
【0313】
プールされたデータのさらなる解析
下記の表7は、プラセボ群での786例の対象及びニルセビマブ処置群での1564例の対象による、第IIb相試験及び第III相(MELODY)試験の対象の人口統計及びベースライン特性を示す。これらの試験は、民族的に多様な集団を評価し、対象の年齢中央値は、2ヵ月(生後1日~11ヵ月の範囲)であり、人口統計及びベースライン特性は、処置群間で均衡がとれていた。
【0314】
【0315】
【0316】
ニルセビマブは、様々な重症度の診察を要するRSV下気道感染症全体(
図6及び表8)並びにサブグループ全体(
図7)にわたり、一貫した有効性を示した。さらに、ニルセビマブは、原因を問わない診察に要する下気道感染症及び入院を伴う原因を問わない呼吸器疾患に対する有効性を示した。
図6を参照されたい。原因を問わないLRTIに対する実証可能な有効性は、別の病原体によるRSVの「置き換え」を除外するものではないが、ニルセビマブの全体的な処置効果が「置き換え」の可能性を上回るという安心感がもたらされる。
【0317】
図8に示すように、診察を要する下気道感染症に対するニルセビマブの有効性は、150日(5ヵ月間)にわたり一貫していた。
【0318】
対象の入院患者医療資源利用は、プラセボと比べてニルセビマブの方が低い傾向がありました。入院患者医療利用の尺度には、入院、集中治療室(ICU)への入院、持続的気道陽圧(CPAP)/高流量鼻カニューレ(HFNC)、人工呼吸器及び酸素補給の使用が含まれる。
図9を参照されたい。ニルセビマブ処置は、プラセボ投与と比較した外来受診の減少及び抗生物質使用の減少とも関連していた。
図10を参照されたい。
【0319】
これらの結果は、ニルセビマブが、単回用量で少なくとも1回の流行期にわたりRSVに対する防御を提供する長時間作用型抗体であり、RSV下気道感染の様々な重症度にわたり有効であり、原因を問わない診察を要する下気道感染に対して有効であり、且つ原因を問わない下気道感染に起因する入院に対して有効であるという上記で説明されている結果と一致している。ニルセビマブは、入院治療、外来受診及び抗生物質の使用を減少させるという関連する利点も有する。
【0320】
実施例3:RSVの予防のためのニルセビマブ:単回用量後の中和抗体レベル
2つの国際的なプラセボ対照試験により、ニルセビマブは、RSV流行期中、プラセボと比較して診察を要するRSV LRTIを減少させることが分かった(第III相:MELODY、健康な正期産児及び後期早産児、74.5%;第IIb相:健康な早産児、70.1%(95%CI、52.3~81.2 p<0.001))。RSV中和抗体(RSV Nab)を、この試験から361日目まで測定した。
【0321】
上記で説明されているように、乳児を2:1に無作為化して、初めてのRSV流行期前にニルセビマブ又はプラセボの1回の筋肉内注射を投与した。用量前後に採取した血清サンプルを、検証済みのRSV中和アッセイで検査し;RSV Nabレベルを国際単位(IU)/mLで報告する。
【0322】
RSV Nabレベルを、RSV-NIBSC 16/284に対する抗血清の第1国際標準に校正された段階希釈プール血清参照標準曲線(WHO RSV A参照標準とも呼称される)から内挿することにより定量した。
【0323】
全体として、MELODYの1402例の乳児及び第IIb相の741例の乳児が、利用可能なデータを持っていた。ベースライン幾何平均RSV Nabレベルは、両試験で同様であった(MELODY、134IU/mL;第IIb相、87IU/mL)。151日目に、ニルセビマブレシピエントは、ベースラインと比較して約50倍高いRSV Nabレベルを示し(MELODY、6901IU/mL、第IIb相、4799IU/mL)、最高レベルは、MELODYでは31日目にサンプリングされ(19711IU/mL)、第IIb相では91日目にサンプリングされ(8479IU/mL);レベルは、361日目まで5倍を超えて高いままであった(MELODY、978IU/mL;第IIb相、739IU/mL)。361日目に、試験中にRSV感染が確認されなかったプラセボレシピエントは、RSV Nabレベルが38~48IU/mLであり;ニルセビマブレシピエントは、RSV Nabレベルが757~982IU/mLであり、RSV感染が確認されていないプラセボレシピエントと比べて19倍を超えて高かった。
図11A~11Bを参照されたい。
【0324】
結論として、ニルセビマブによる免疫化後、151日目でのRSV Nabレベルは、ベースラインレベルと比べて約50倍高かった。RSV Nabレベルは、361日目まで高いままであり、このことは、151日目を超える保護を示唆した。
【0325】
Nabデータのさらなる解析
MELODYの1,402例の乳児及び第IIb相の741例の乳児からのデータの最新の解析を実施した。151日目に、ニルセビマブレシピエントは、ベースラインと比較して約50倍高いRSV Nabレベルを示し(MELODY、6901IU/mL、第IIb相、4799IU/mL)、最高レベルは、MELODYでは31日目にサンプリングされ(19737U/mL)、第IIb相では91日目にサンプリングされた(8479IU/mL)。RSV Nabレベルは、361日目までベースラインと比べて7倍を超えて高いままであった(MELODY、978IU/mL;第IIb相、739IU/mL)。361日目に、試験中にRSV感染が確認されなかったプラセボレシピエントは、RSV感染が確認されたレシピエントでの151~162IU/mLと比較して38~48IU/mLという低いRSV Nabレベルであり;ニルセビマブレシピエントは、RSV Nabレベルが757~979IU/mLであり、RSV感染が確認されていないプラセボレシピエントと比べて19倍を超えて高く、且つRSV感染が確認されているプラセボレシピエントと比べて3倍を超えて高かった。
図12A~12Bを参照されたい。
【0326】
各試験内で、半球、性別又は処置群に関係なく、ベースラインで、同様のレベルのRSV Nabを観察した。2つの試験を比較すると、MELODYの後期早産児及び正期産児と比較して、第IIb相試験の早産児において低いRSV Nabレベルを観察した。ベースライン時で生後6ヶ月超の乳児は、RSV Nabレベルが最も低かった。
図13A~13Bを参照されたい。
【0327】
実施例4:早産児及び正期産児におけるRSV LRTIに対するニルセビマブのプールされた有効性
ニルセビマブは、2つの二重盲検プラセボ対照試験において、診察を要する(MA)呼吸器合胞体ウイルス(RSV)下気道感染(LRTI)の発生を減少させた(第IIb相[NCT02878330]:29週以上から35週未満の在胎期間[wkGA]の超早産児及び中程度早産児、有効性70.1%;第III相:MELODY[NCT03979313]、健康な正期産児及び35wkGA以上の後期早産児、有効性74.5%)。この実施例は、151日目までの29wkGA以上の正期産児及び早産児におけるニルセビマブのプールされた有効性解析を報告する。
【0328】
乳児を2:1に無作為化して、その初めてのRSV流行期前にニルセビマブ(5kg未満、50mg;5kg以上、100mg)又はプラセボの筋肉内注射を投与した。データを、最適化された投与レジメン下での乳児(即ち投与時に5kg未満であり、且つ第IIb相からの50mg用量を投与した乳児及びMELODYでの全ての乳児)に関する第IIb相試験及びMELODY試験からプールして、RSV LRTIに起因する入院を含む、MA RSV LRTIの様々な重症度に対する有効性(プラセボと比較した相対リスク減少)を評価した。
【0329】
5kg未満の乳児のみを第IIb相から含めており、なぜなら、この試験では、年齢及び体重に関係なく乳児に50mgを投与したからである。MA RSV LRTIを、下記と定義した:中央検査室での検査によるRSV PCR陽性、水泡音、ラ音、湿性ラ音若しくは喘鳴の少なくとも1つのLRT関与の兆候及び呼吸数の増加(60回以上の呼吸/分、生後2ヶ月未満;50回以上の呼吸/分、生後2~6ヶ月;40回以上の呼吸/分、生後6ヶ月超)、室内空気での低酸素血症(1800m以下で95%未満のO2飽和度、1800m超で92%未満のO2飽和度)又は呼吸困難の臨床徴候(初発の無呼吸、陥凹、うなり声、鼻翼呼吸、急性の低酸素若しくは換気不全、呼吸困難に起因する脱水)を含む重症度の少なくとも1つの兆候。
【0330】
全体として、第IIb相からの860例の乳児(無作為化時の年齢中央値:1.60[範囲0.1~6.4]ヶ月;女性:47.6%)及びMELODYからの1490例の乳児(無作為化時の年齢中央値:2.60[0.03~11.10]ヶ月;女性:48.4%)が含まれていた。在胎期間(GA)及び無作為化時の年齢を除いて、人口統計は、全試験で同等であった。151日目まで、ニルセビマブの有効性は、MA RSV LRTIに対して79.5%であり、RSV LRTIによる入院に対して77.3%であり、極めて重度のRSV LRTIに対して86.0%であった(
図14)。下記のサブグループ全体にわたり、一貫した有効性を観察した:無作為化時の年齢、性別、祖先、体重及び地域並びに様々な疾患重症度の評価項目間。
【0331】
結論として、2つの無作為化プラセボ対照試験のプール解析において、ニルセビマブによる予防は、151日目までのRSV LRTIの重症度にわたり一貫した有効性を示した。
【0332】
実施例5:重度の疾患のリスクがより高い乳児を含む、乳児における呼吸器合胞体ウイルスに対するニルセビマブの集団薬物動態及び曝露反応
2つの世界的で重要なプラセボ対照試験において、ニルセビマブは、RSV流行期にわたり、プラセボと比較して、RSVが確認された診察を要する下気道感染(LRTI)を減少させた(第III相NCT03979313:MELODY、健康な正期産児又は後期早産児、74.5%;第IIb相NCT02878330:健康な早産児、70.1%)。第3の無作為化された重要なパリビズマブ対照試験(第II/III相NCT03959488:MEDLEY)では、極早産児(29週未満の在胎期間)、早産児の慢性肺疾患(CLD)及び/又は先天性心疾患(CHD)を患っている乳児を含む、重度のRSV疾患のリスクがより高い乳児においてニルセビマブを評価した。MEDLEYの乳児に、ニルセビマブの1回用量(体重が5kg未満の乳児、50mg;5kg以上 100mg)を投与し、次いで、プラセボ用量を月1回で4回投与するか、又はパリビズマブ用量(15mg/kg)を月1回で5回投与した。
【0333】
MEDLEY試験での有効性を、薬物動態外挿に基づいて確立した。外挿は、ニルセビマブの作用機序(ウイルス侵入を防ぐRSVへの結合)、内在性標的がないこと及び同等のウイルス性病因に基づいて正当化される、小児集団にわたる同様の暴露反応という仮定に依存している。下記で説明する解析を実施して、第IIb相及びMELODYからMEDLEY試験への有効性の外相を裏付けた。
【0334】
ニルセビマブを、単回IM注射として投与した。MELODY及びMEDLEY試験では、体重帯投与(5kg未満、50mg;5kg以上、100mg)が適用され;第IIb相では、全ての乳児に50mgを投与した。試験にわたりプールされた薬物動態データを、集団薬物動態アプローチを使用して解析した。有効性曝露目標を、第IIb相試験及びMELODY試験からプールされた一次評価項目(用量後150日にわたるRSV MALRTI)の曝露反応解析に基づいて定義した。MEDLEY対象における個々の曝露量を、暴露目標と比較し、外挿を成功と結論付けるために、乳児の80%超が目標を上回ることを目標とした。
【0335】
体重及び月経後年齢の影響を含むニルセビマブ薬物動態モデルは、データを適切に説明した。CLD又はCHDを患っている乳児では、薬物動態に差違が見られなかった。有効性の曝露目標を、曲線下面積(AUC)>12.8日・mg/mLであると決定した。
【0336】
全MEDLEY集団では、乳児の94.3%(558例/592例)は、目標を上回る暴露を受け、特に関心のあるサブグループでの対応する数は、下記であった:早産児のCLDを患っている乳児94.1%(128例/136例)、CDHを患っている乳児80.3%(53例/66例)及びCLDもCHDも患っていない29週未満のGAの極早産児93.6%(44例/47例)。
【0337】
結論として、ニルセビマブは、重度のRSV疾患のリスクがより高い乳児におけるRSV疾患に対する防御をもたらす。
【0338】
有効性に関する暴露目標を決定する方法
用量後150日にわたる診察を要するRSV LTRIの暴露反応を、第2b相試験及びMELODY(ニルセビマブ又はプラセボで処置された集団)からのプールされたデータに基づいて評価して、有効性に関する暴露目標を定義した。初めての事象までの時間を、暴露測定基準としての濃度-時間曲線下面積(AUC;集団PKモデルからのベースラインでのクリアランスの個々の推定から得られる)により試験及び投与時の年齢群(3.0ヶ月未満、3.0ヶ月以上から6.0ヶ月及び6.0ヶ月超)で層別化されたCox比例ハザードモデルにより評価した。AUCを、第2b相試験から定義された曝露量の四分位値に基づいて4つのビンに分類した。
【0339】
試験及び暴露ビン又はプラセボによる151日目までの初めての診察に要するRSV LRTIまでの時間に関するKaplan-Meier曲線を、
図15Aに示す。暴露反応解析から、第1四分位値を超えるAUC(12.8mg・日/mL超)により、0.3未満のハザード比で、プラセボと比較して診察を要するRSV LRTIからの有意な保護をもたらす(p<0.001)ことが分かった(
図15A及び
図15B)。第1四分位値を下回る暴露に関するハザード比は、より低く(0.48)、このことから、暴露目標としての12.8mg・日/mL超のAUCが裏付けられた(
図15B)。
【0340】
実施例6:1956年以降の世界的RSV株におけるニルセビマブエスケープバリアントの経時的有病率及び地理的分布の欠如
ニルセビマブ結合部位は、歴史的によく保存されているが、最近の有望なゲノムデータが少ないことから、潜在的なエスケープバリアントの経時的進化及び伝播パターンの調査には限界がある。この実施例は、2021年までのニルセビマブ結合部位置換を含む世界的RSV単離株の経時的有病率、地理的多様性及び耐性プロファイルを報告する。
【0341】
進行中のINFORM-RSV(世界)及びOUTSMART-RSV(米国)の分子疫学研究(2015~2021年)の一環として、主に乳児からのRSV陽性サンプルを採取して配列決定した。さらなるRSV Fタンパク質配列が、NCBI GenBank(1956~2016年)から得られた。2013 NLD参照株と比較した、ニルセビマブ結合部位(AA 62~69及びAA 196~212)における同定されたRSV Fタンパク質置換を、組換えRSV中和感受性アッセイで評価した。
【0342】
全体として、37カ国からの2,385個の公開されたRSV F配列(RSV A:N=1,525;RSV B:N=860)及び17か国からの5,675個の有望なRSV F配列(RSV A:N=2,875;RSV B:N=2,800)を、収集して解析した。2016~2021年のニルセビマブ臨床開発期間中、ニルセビマブ結合部位におけるアミノ酸の98%超が、RSV Aでは25箇所全ての位置で高度に保存されたままであり、RSV Bでは25箇所中の23箇所の位置で高度に保存されたままである。2015年に、ニルセビマブ結合部位多型I206M:Q209R(ニルセビマブ中和に対する感受性を維持している)が、循環RSV株間で出現した。ニルセビマブ中和に対する感受性が低下しているRSV B Fバリアントは、低頻度(1.0%未満)においていくつかの異なる国で定期的に検出されており、例えば、L203I(米国、1993年;3005倍)、K65Q:K68N(ケニア、2012年;1239倍)、K68Q:S211N(オランダ及び台湾、2005~2007年;35.7倍)、N201S(南アフリカ共和国、2017年;126.7倍)、K68Q:I206M:Q209R(日本、2018年;46.4倍)、N201T:I206M:Q209R(米国、2018年;417.8倍未満)及びK68N(カナダ、2019年;29.9倍)。ニルセビマブは、北半球及び南半球の両方で同定された結合部位置換を含む他のRSV A及びB Fタンパク質バリアント全てを中和した。
【0343】
結論として、1956年以来、ニルセビマブ結合部位は、循環RSV株間で高度に保存されたままである。ニルセビマブエスケープバリアントは、稀であり、地理的な頻度も増加していない。
【0344】
実施例7.早産児及び正期産児における用量後150日にわたるニルセビマブ耐性のプールされた解析
2つの世界的なプラセボ対照試験では、半減期が延長されたRSV融合前(F)タンパク質に対するモノクローナル抗体であるニルセビマブは、RSV流行期全体を通して、プラセボと比較して、診察を要する(MA)RSV LRTIを減少させた(第III相:MELODY、健康な正期産児及び後期早産児、74.5%;第IIb相:試験3、健康な早産児、70.1%)。この実施例は、用量後150日にわたる対象からのRT-PCRにより確認されたRSV単離株の耐性解析の概要をまとめたものである。
【0345】
乳児を2:1に無作為化して、その初めてのRSV流行期前にニルセビマブ又はプラセボの1回の筋肉内注射を投与した。RT-PCRにより確認されたRSV単離株を、RSV Fの遺伝子型解析及び組換えRSV中和感受性アッセイでの同定された置換の表現型解析のために反転させた。
【0346】
第2b相(試験3;投与時に5kg未満の場合、ニルセビマブ50mg)及びMELODY(投与時に5kg未満又は5kg以上の場合、それぞれニルセビマブ50又は100mg)のプールされた提案されている用量解析では、いずれの処置群においても、MA RSV LRTIを患っている対象は、ニルセビマブ耐性に関連する置換を含むRSV単離株を有していなかった(ニルセビマブ、RSV A:0例/14例及びRSV B:0例/5例;プラセボ、RSV A:0例/35例及びRSV B:0例/16例)。試験3(投与時に5kg以上の場合、ニルセビマブ50m)では、MA RSV LRTIを有するニルセビマブ群での2例/18例の対象及びプラセボ分での0例/20例の対象は、ニルセビマブ中和に対する感受性を低下させるニルセビマブ結合部位置換I64T+K68E+I206M+Q209R(447倍超)又はN208S(387倍超)を有するRSV単離株を有していた(ニルセビマブ、RSV A:0例/9例及びRSV B:2例/9例;プラセボ、RSV A:0例/10例及びRSV B:0例/10例)。ニルセビマブ中和に対する感受性を維持するFタンパク質配列変異を有するRSV単離株を有する対象は、RSV疾患の重症度と関連なく処置群間でバランスが保たれていた。MA RSV LRTI(プロトコル未定義)を患っている対象又はRSV疾患に起因して入院している対象は、ニルセビマブ耐性を付与するRSV単離株を有していなかった。
【0347】
結論として、推奨される用量での免疫化後のニルセビマブ耐性の欠如は、RSV流行期全体を通してRSV A及びB株の両方に対するニルセビマブの有効性及び中和活性を裏付ける。
【0348】
実施例8.免疫無防備状態の子供における呼吸器合胞体ウイルスの予防のためのニルセビマブの安全性:第2相MUSIC試験
この実施例は、生後24ヶ月以下の免疫無防備状態の子供において薬物動態及び抗体薬物抗体の発生と共にニルセビマブの安全性及び忍容性を評価するための12ヶ月第2相非盲検非対照単回用量試験であるMUSIC試験(NCT04484935)の中間安全性解析を報告する。
【0349】
生後12ヵ月未満であり、且つ初めてのRSV流行期に入っている子供に、5kg未満の体重の場合には50mg又は5kg以上の体重の場合には100mgの単回ニルセビマブ筋肉内(IM)注射を投与し、生後12ヶ月超~24ヶ月未満であり、且つ2回目のRSV流行期に入っている子供に、200mgの単回ニルセビマブIM注射を投与した。インフォームド・コンセント時での免疫無防備状態の対象のサブカテゴリーは、下記の通りであった:A)原発性免疫不全;B)ヒト免疫不全ウイルス感染;C)臓器移植又は骨髄移植の既往歴;D)免疫抑制化学療法の投与;E)全身性の高用量副腎皮質ステロイド療法の投与;又はF)他の免疫抑制療法の投与。有害事象(AE)、重篤な有害事象(SAE)、特に関心のあるAE(AESI;アナフィラキシー、免疫複合体病又は血小板減少症を含む即時型過敏症)及び初発の慢性疾患(NOCD)を、12ヶ月の追跡期間中に評価した。有害事象を、国立がん研究所有害事象共通用語規準に従って重症度毎に等級分けした。
【0350】
日本(n=26)、ウクライナ(n=21)、米国(n=19)、南アフリカ(n=14)、スペイン(n=10)、ベルギー(n=6)、ポーランド(n=3)及び英国(n=1)において、2022年2月28日までに合計100例の生後24ヶ月以下の免疫無防備状態の子供が登録された。これらのうち、2021年12月31日までに登録され且つ用量後151日以上(カットオフ日2022年5月16日)にわたる追跡データがあるか又は早期に中止した60例の子供に、計画的な中間解析を実施した。全ての子供は、ベースライン時に重篤で複雑な基礎疾患を抱えていた。28例は、免疫無防備状態サブカテゴリーAに属し、1例は、サブカテゴリーBに属し、12例は、サブカテゴリーCに属し、9例は、サブカテゴリーDに属し、17例は、サブカテゴリーEに属し、9例は、サブカテゴリーFに属していた。1例の子供は、複数の免疫無防備状態サブカテゴリーに属していた。
【0351】
治験責任医師が処置に関連すると評価した全てのAEは、重症度がグレード1又は2であった。SAEもNOCDも、治験責任医師により、ニルセビマブに起因していなかった。アナフィラキシーは、報告されなかった。重篤な過敏性反応は、報告されなかった。用量後124日で1例の死亡(原因不明)が発生しており;これは、治験責任医師により処置とは無関係と決定された。
【0352】
この中間解析から、生後24カ月以下の免疫無防備状態の子供において、単回IM用量のニルセビマブは、忍容性が良好であり、且つ有利な安全性プロファイルを示したことが分かる。ニルセビマブのRSV流行期毎の1回の投与は、高リスクで免疫無防備状態の子供においてRSV感染を予防するという、満たされていない重要な医療上の必要性に対処する可能性を有する。
【0353】
実施例9.健康な後期早産児及び正期産児におけるRSV疾患の予防のためのニルセビマブ:2回目のRSV流行期全体にわたる追跡調査
ニルセビマブは、高中和モノクローナル抗体であり、半減期が約70日と長い。第3相MELODY試験において、正期産児及び後期早産児を、その初めての呼吸器合胞体ウイルス(RSV)流行期にわたり、診察を要する(MA)RSV下気道感染(LRTI)に対して保護することが示されている(35週以上の在胎期間、有効性74.5%;NCT03979313)。
【0354】
抗体依存性増強(ADE)は、理論的には、非中和抗体又は中和未満濃度の抗体が感染をブロックするか又は除去することなくウイルス抗原に結合する場合に発生する可能性がある。この懸念に対処するために、低ニルセビマブ濃度の設定におけるADEの理論的リスクを評価するために、再投与することなく2回目のRSV流行期(用量後510日)まで乳児を追跡した。この実施例は、2回目のRSV流行期中でのMA RSV LRTIの発生率及び疾患重症度を報告する。
【0355】
乳児を2:1に無作為化して、その初めてのRSV流行期前にニルセビマブ(投与時に5kg未満の乳児に50mgを投与し;5kg以上の乳児に100mgを投与した)又はプラセボの1回の筋肉内注射を投与した。乳児を、用量後17ヶ月の期間にわたり、MA RSV LRTIの症例の検出のために追跡した。MA RSV LRTIの症例は、事前に定義された疾患重症度の臨床基準を満たし、リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応により確認された。「原因を問わない」は、あらゆる診察を要するLRTI又は呼吸器疾患を指し、MA RSV LRTIの症例を含む。
【0356】
全体として、1490例の乳児が無作為化されてintent-to-treat集団(994例のニルセビマブ及び496例のプラセボ)に含まれ、そのうちの1446例(964例のニルセビマブ及び482例のプラセボ)を2回目の流行期まで追跡した。初めての流行期では、MA RSV LRTIの発生率は、ニルセビマブレシピエントでは1.2%であり、プラセボレシピエントでは5.0%であった。2回目の流行期では、発生率はより低く、ニルセビマブ群及びプラセボ群のレシピエントに関して、それぞれ0.7%及び0.4%で発生した(表9)。2回目の流行期における入院を必要とするMA RSV LRTIの症例はなかった。同様に、2回目の流行期では、原因を問わないMA LRTIの発生率と、原因を問わない呼吸器疾患による入院の発生率とは、処置群間でバランスが保たれていた。
【0357】
結論として、2回目のRSV流行期における MA RSV LRTIの発生率は低く、処置群全体でバランスが保たれていた。ニルセビマブレシピエントでは、ADEを裏付ける証拠はなかった。
【0358】
【0359】
実施例10.第3相MELODY試験に登録された全乳児における診察を要するRSV下気道感染に対するニルセビマブの安全性及び有効性
第3相MELODY試験(n=1490)において、半減期が延長されている単回用量モノクローナル抗体であるニルセビマブを評価して、後期早産児及び正期産児における診察を要する(MA)呼吸器合胞体ウイルス(RSV)下気道感染(LRTI;一次評価項目)に対する74.5%(95%CI 49.6、87.1;NCT03979313)の有効性を実証した。この実施例は、MELODYで登録された全3012例の乳児の安全性及び有効性のデータの概要をまとめたものである。
【0360】
乳児を2:1に無作為化して、その初めてのRSV流行期前にニルセビマブ(投与時に5kg未満の場合には50mg;投与時に5kg以上の場合には100mg)又はプラセボの1回の筋肉内注射を投与した。登録は、2019年7月23日に始まり、COVID-19パンデミックに起因する休止後、2021年10月22日に終了した。処置された乳児全てにおいて、用量後360日にわたり有害事象(AE)をモニタリングした。無作為化された乳児全てにおいて、用量後150日にわたりMA RSV LRTIの発生率をモニタリングした。症例は、事前に定義された疾患重症度の臨床基準を満たし、検査室で確認した。RSV G遺伝子を配列決定し、RSV A又はB参照株と比較して細分類した。
【0361】
全体として、2994例の乳児に投与した(1998例のニルセビマブ、996例のプラセボ)。ほとんどの乳児(ニルセビマブ93.9%;プラセボ93.5%)は、用量後150日間の追跡調査を完了し、これらのほぼ半数(ニルセビマブ48.0%、プラセボ48.1%)は、この解析時に360日間経過していた。
【0362】
AEの発生率は、処置群間で同様であった(表10)。ニルセビマブレシピエントにおいて、この解析の時点で4例の死亡が発生して処置とは無関係と評価され;プラセボレシピエントでは死亡は発生しなかった。
【0363】
【0364】
ニルセビマブは、プラセボと比較して、MA RSV LRTIに対して76.4%(95%CI:62.3、85.2)の有効性を示し、入院を伴うMA RSV LRTIに対して76.8%(95%CI:49.4、89.4)の有効性を示し、極めて重度のMA RSV LRTIに対して78.6%(95%CI:48.8、91.0)の有効性を示した(
図16)。RSV亜型A及びBの発生率の減少の傾向を観察した(表11)。
【0365】
【0366】
そのため、MELODY試験集団全体において、ニルセビマブの単回用量により、RSV流行期全体にわたり、MA RSV LRTI、関連する入院及び重度の疾患から後期早産児及び正期産児が保護された。
【0367】
実施例11.抗ウイルス耐性
この実施例は、インビトロ及びインビボで測定したニルセビマブエスケープバリアントを説明する。
【0368】
細胞培養において
ニルセビマブの存在下でのRSV A2及びB9320株の細胞培養における3回の継代後、エスケープバリアントを選択した。ニルセビマブに対する感受性の低下を示した組換えRSV Aバリアントには、同定された置換N67I:N208Y(基準と比較して103倍)を有するものが含まれていた。ニルセビマブに対する感受性の低下を示した組換えRSV Bバリアントには、同定された置換N208D(90,000倍超)、N208S(24,000倍超)、K68N:N201S(13,000倍超)又はK68N:N208S(90,000倍超)を有するものが含まれていた。中和エスケープバリアント間で同定された全ての耐性に関連する置換は、ニルセビマブ結合部位(アミノ酸62~69及び196~212)に位置し、RSV Fタンパク質に対する結合親和性を低下させることが分かった。
【0369】
監視試験において
前向きで観察に基づく世界的な分子疫学研究(OUTSMART-RSV及びINFORM-RSV)では、RSV Fタンパク質配列の遺伝子多様性は、低いままであり(RSV A及びRSV Bのほとんどのアミノ酸は、99%超保存されている)、ニルセビマブ耐性に関連する置換を有するバリアントの有病率は、希である(1%未満)。2015年以降、ニルセビマブ結合部位中のほとんどのアミノ酸残基は、RSV Aでは全ての位置において、及びRSV Bでは25箇所の位置のうちの22箇所で高度の保存されたままであった(99%超)。2017以降にRSV Bで蔓延している結合部位中の同時に起こる変異I206M:Q209Rは、ニルセビマブに対する完全な感受性を保持している(I206M:Q209R、0.23倍変化)。有病率が上昇しているS211N置換は、単独(1.2倍変化)及び同時に起こる置換(I206M:Q209R:S211N、0.5倍変化)の両方でニルセビマブに対する感受性も保持している。
【0370】
臨床試験において
MELODY、MEDLEY、MUSIC及びD5290C00003において5kg未満の体重の場合にニルセビマブ50mgの推奨用量を投与した対象では、診察を要するRSV下気道感染(MA RSV LRTI)又はあらゆるRSV症例定義を有する対象は、あらゆる処置群において、コンセンサスニルセビマブ耐性に関連する置換を含むRSV単離株を有していなかった。
【0371】
D5290C00003(ニルセビマブ50mgの単回用量を投与した対象)では、任意の症例定義に対応するRSV感染を患っている40例の対象のうちの2例は、ニルセビマブ耐性に関連する置換を含むバリアントを有していた。RSV Bバリアントは、推奨されるニルセビマブ用量を下回って投与しており、且つニルセビマブに対する感受性の低下(IC50>ULOQ)を示したI64T:K68E:I206M:Q209Rの同時に起こる置換又はN208S置換を有する2例の対象で生じた。耐性に関連する置換は、ニルセビマブ力価が低下した場合には361日目以降を含む、MELODY、MEDLEY又はMUSIC試験での任意のサンプリング時点で主要なバリアントとして同定されなかった。
【0372】
ニルセビマブに対する耐性を示すバリアントが、RSVのFタンパク質を標的とする他のモノクローナル抗体に対する交差耐性を有する可能性があることを示す最小限のデータが入手可能であり;パリビズマブは、D5290C00003において同定された耐性に関連する置換に対する完全な中和能力を保持した。ニルセビマブは、分子疫学研究及びパリビズマブの中和エスケープバリアントで同定されたパリビズマブ耐性に関連する置換を有する組換えRSVに対する活性を保持した。
【0373】
実施例12.免疫原性
この実施例は、第2b相試験、MELODY試験及びMEDLEY試験における抗薬物抗体の測定の概要をまとめたものである。
【0374】
第2b相及びMELODY(一次コホート)では、投与後361日の期間中に推奨される投与レジメンでニルセビマブの単回用量を投与した84例/1498例(5.6%)の乳児において、抗ニルセビマブ抗体を検出し、68例/1423例(4.8%)が、YTEドメインに対する抗薬物抗体(ADA)に関する検査で陽性であった。MELODYでは、14例/896例(1.6%)の対象が、ニルセビマブ中和抗体に関する検査で陽性であった。MEDLEYにおける初めてのRSV流行期中にニルセビマブの単回用量を投与した対象に関して、投与後361日の期間中、32例/587例(5.5%)の乳児において、抗ニルセビマブ抗体を検出した。2例/564例(0.4%)の乳児において、ニルセビマブ中和抗体を検出し、31例/564例(5.5%)の乳児が、YTEドメインに対するADAに関する検査で陽性であった。2回目のRSV流行期中にニルセビマブの第2の用量を投与した180例の対象のうちの8例の対象(4.4%)は、初めてのRSV流行期の用量後360日にわたりADA陽性であり、2回目のRSV有効期の150日にわたり検出可能なADAを有するものはいなかった。2回目のRSV流行期中の10例のADA陽性対象はいずれも、最初のRSV流行期中に陽性ではなかった。2回目のRSV流行期中、8例の対象は抗YTE ADAを有し、これらの対象の1例は、中和抗体も有していた。MUSICにおいて最初の又は2回目のRSV流行期中にニルセビマブを投与した対象に関して、投与後151日の期間中に抗ニルセビマブ抗体が検出された子供は、0例/60例(0.0%)であった。ニルセビマブ中和抗体が検出された子供は、0例/60例(0.0%)であり、2例/60例(3.3%)の子供は、YTEドメインに対するADAに関する検査で陽性であった。
【0375】
ニルセビマブに対するADAの発生は、そのクリアランス(最長5ヵ月)、有効性又は安全性への臨床的に関連する影響はないと思われる。
【0376】
【0377】
【配列表】
【国際調査報告】