(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】モーションアーチファクト低減を伴うDVTのための再構成方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/51 20240101AFI20240918BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
A61B6/51 500
A61B6/03 540
A61B6/03 550A
A61B6/03 550Y
A61B6/03 550P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516415
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2022075350
(87)【国際公開番号】W WO2023041504
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515304558
【氏名又は名称】デンツプライ・シロナ・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】519410367
【氏名又は名称】シロナ・デンタル・システムズ・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒュルスブッシュ、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】モール、スザンヌ
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA02
4C093CA04
4C093CA06
4C093CA13
4C093DA05
4C093FA34
4C093FA52
4C093FC24
4C093FC25
4C093FC26
(57)【要約】
本発明は、歯科DVT画像を再構成するためのコンピュータ実施方法に関し、本方法は、(S1)患者の頭部の周りの少なくとも180度の回転中に口腔外歯科X線デバイスにより取得されたサイノグラムと、初期投影ジオメトリとを提供することと、(S2)最初の再構成方法において、投影ジオメトリを変化させ、変化された投影ジオメトリを使用してサイノグラムから生成された最初のボリュームから導出されたデータ整合性制約を使用して変化された投影ジオメトリを評価することにより、ジオメトリ較正を行うことと、ここにおいて、最初の再構成方法は、最初の再構成パラメータを使用し、(S3)変化された投影ジオメトリ及び最終の再構成パラメータを使用して、サイノグラムから、最終の再構成方法により最終のボリュームを生成することと、を行うステップを備え、ここにおいて、最初の再構成方法の最初の再構成パラメータ及び最終の再構成方法の最終の再構成パラメータは、少なくとも1つの再構成パラメータが異なる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科DVT画像を再構成するためのコンピュータ実施方法であって、
(S1)患者の頭部の周りの少なくとも180度の回転中に口腔外歯科X線デバイスにより取得されたサイノグラムと、初期投影ジオメトリとを提供することと、
(S2)最初の再構成方法において、前記投影ジオメトリを変化させ、前記変化された投影ジオメトリを使用して前記サイノグラムから生成された最初のボリュームから導出されたデータ整合性制約を使用して前記変化された投影ジオメトリを評価することにより、ジオメトリ較正を行うことと、ここにおいて、前記最初の再構成方法は、最初の再構成パラメータを使用し、
(S3)前記変化された投影ジオメトリ及び最終の再構成パラメータを使用して、前記サイノグラムから、最終の再構成方法により最終のボリュームを生成することと、ここにおいて、前記最初の再構成方法の前記最初の再構成パラメータ及び前記最終の再構成方法の前記最終の再構成パラメータは、少なくとも1つの再構成パラメータが異なる、
を行うステップを備える、方法。
【請求項2】
前記最初の再構成方法及び前記最終の再構成方法の各々が、異なる前記少なくとも1つの再構成パラメータによって構成された再構成ステップを含み、前記最初の再構成方法の前記再構成ステップが、前記最終の再構成方法の前記再構成ステップとは異なり、前記最初の再構成方法の前記再構成ステップが、比較的低い計算速度若しくは比較的より低いリソース消費を可能にし、又は前記最終の再構成方法の前記再構成ステップが、診断のための比較的改善された画像品質を可能にすることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最初の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記最初のボリュームの解像度を記述し、前記最終の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記最終のボリュームの解像度を記述し、前記最初のボリュームの解像度が、前記最終のボリュームの解像度とは異なることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記最初の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記サイノグラムの第1の時間的サブサンプリングを記述し、前記最終の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記サイノグラムの第2の時間的サブサンプリングを記述し、前記サイノグラムの前記第1の時間的サブサンプリングが、前記サイノグラムの前記第2の時間的サブサンプリングとは異なることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記最初の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記サイノグラムの第1の局所サブサンプリングを記述し、前記最終の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記サイノグラムの第2の局所サブサンプリングを記述し、前記サイノグラムの前記第1の局所サブサンプリングが、前記サイノグラムの前記第2の局所サブサンプリングとは異なることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記最初の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記最初のボリュームのサイズ及び/又は位置を記述し、前記最終の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記最終のボリュームのサイズ及び/又は位置を記述し、前記最初のボリュームのサイズ及び/又は位置が、前記最終のボリュームのサイズ及び/又は位置とは異なることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記最初の再構成方法が、画像アーチファクトを補正するためのステップを含み、前記最終の再構成方法が、前記補正ステップを含まないか、又は前記最終の再構成方法が、画像アーチファクトを補正するためのステップを含み、前記最初の再構成方法が、前記補正ステップを含まないか、又は前記最初の再構成方法及び前記最終の再構成方法の両方が、画像アーチファクトを補正するためのステップであって異なるステップを各々含むか、又は各々が画像アーチファクトを補正するための同じステップであって異なってパラメータ化されるステップを含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記画像アーチファクトを補正するためのステップが、金属アーチファクト又はコーンビームアーチファクト又は散乱ビームアーチファクトを低減することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記最終の再構成方法が、前記最終のボリュームを後処理するためのステップを含み、前記最初の再構成方法が、前記後処理ステップを含まないか、又は前記最初の再構成方法及び前記最終の再構成方法の両方が、前記最初のボリューム及び前記最終のボリュームをそれぞれ後処理するためのステップであって異なるステップを各々含むか、又は各々が同じ後処理ステップであって異なってパラメータ化されるステップを含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記最初の再構成方法が、前記サイノグラムを前処理するステップ又は前記最初のボリュームを後処理するステップを含み、前記最終の再構成方法が、前記前処理ステップ若しくは後処理ステップを含まないか、又は前記最初の再構成方法及び前記最終の再構成方法の両方が、前記サイノグラムを前処理するステップ若しくは前記最初のボリューム及び前記最終のボリュームをそれぞれ後処理するステップであって異なるステップを各々含むか、又は各々が同じ前処理ステップ若しくは後処理ステップであって異なってパラメータ化されるステップを含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記後処理ステップが、グレー値調整又はエッジ保存平滑化又はノイズ低減に役立つことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記前処理ステップ及び前記後処理ステップが、ノイズ低減又はエッジ保存ノイズ低減又はエッジ強調又はトランケーションアーチファクト抑制のためのものであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記幾何学的較正が反復法であり、前記画像アーチファクトを補正するためのステップ又はそのパラメータ化が反復中に変更されることを特徴とする、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項14】
前記幾何学的較正が反復法であり、前記前処理ステップ及び後処理ステップ又はそのパラメータ化が反復中に変更されることを特徴とする、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記幾何学的較正が反復法であり、前記最初の再構成パラメータが反復中に変更されることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
コンピュータ支援DVTシステム(1)によって実行されると、前記コンピュータ支援DVTシステム(1)に、方法の請求項1~15のいずれか一項に記載の方法ステップを行わせるコンピュータ可読コードを備えるコンピュータプログラム。
【請求項17】
請求項16に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
X線デバイス(2)と、請求項16に記載のコンピュータプログラムを実行するように構成されたコンピューティングユニット(8)とを備えるコンピュータ化されたDVTシステム(1)。
【請求項19】
請求項1~15のいずれか一項によって提供される視覚化のためのデータセットの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願EP21196486.1の内容全体が、PCTの規定に基づき、参照により本国際出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、システム及び方法に関し、具体的には、とりわけ、再構成されたボリュームにおけるモーションアーチファクトの補償のための歯科分野におけるデジタルボリュームトモグラフィ(DVT)画像の幾何学的較正のための再構成方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、コーンビーム(CB)CTスキャンのようなDVTスキャンでは、X線デバイス、X線源、及びX線検出器の撮像構成要素は、互いに面し、患者の周りを回転する。これにより、取得時間及び投影角度が変化するX線投影のシーケンスが作り出される。これらはサイノグラムを形成する。通常、再構成方法によれば、投影ジオメトリを知ると、サイノグラムからボリュームが再構成され、これは診断のために表示される。投影ジオメトリは、X線デバイスの幾何学的特性及び照射中のその軌道を記述する。これは、投影行列によって表され得る。代替として、他の既知の表現形式を使用することができる。
【0004】
DVTスキャン中に患者が動いた場合、又はX線ユニットの較正が古くなった場合、再構成プロセスにおいて不適切な投影ジオメトリが使用される。これにより、整合性のないデータを考慮することに起因して、再構成されたボリュームにモーションアーチファクトが生じる。対策として、モーションアーチファクト補償(MAC)法、すなわちスキャンの幾何学的較正が一般に使用され、これは、データ整合性(data consistency)を評価することによって所与の患者スキャンから投影ジオメトリを推定する。
【0005】
最も知られているMAC法は、再構成されたボリュームを使用してデータ整合性を評価するために内部で再構成手順も使用する。ここで、診断のためのボリュームの再構成に使用されるのと同じ再構成パラメータを有する同じ再構成方法を使用することが一般的である。いくつかの既知のMAC法は、出力としてボリュームも生成し、これを代替として診断のために直接使用することもできる。
【0006】
一般に、MAC法は、計算集約的であり、したがって計算時間が長くなる。また、画像アーチファクトが結果に影響を及ぼす可能性があるので、それらの結果がロバストでないことが多い。
【発明の概要】
【0007】
本発明者らは、幾何学的較正と最終のボリュームの生成とのための別個の再構成方法であってこれらの異なる目的に個々に適応されたものをそれぞれ使用し、それゆえに全体のプロセスが速度/リソース消費及び画像品質の点で柔軟に独立して最適化されることができる、先行技術のいかなる撮像技法も認識していない。
【0008】
本発明の目的は、モーションアーチファクト補償法を使用して歯科分野におけるDVT画像を再構成するための方法を提供することである。
【0009】
この目的は、請求項1に記載の方法によって達成される。従属請求項の主題は、好ましい実施形態及び更なる展開形態に関する。
【0010】
本発明に係るコンピュータ実施方法は、歯科領域におけるDVT画像を再構成するために使用される。本方法は、患者の頭部の周りの少なくとも180度の回転中に口腔外歯科X線デバイスにより取得されたサイノグラムと、初期投影ジオメトリとを提供することと、最初の再構成方法において、投影ジオメトリを変化させ、変化された投影ジオメトリを使用してサイノグラムから生成された最初のボリュームから導出されたデータ整合性制約を使用して変化された投影ジオメトリを評価することにより、幾何学的較正を行うことと、ここにおいて、最初の再構成方法は、最初の再構成パラメータを使用し、変化された投影ジオメトリ及び最終の再構成パラメータを使用して、サイノグラムから、最終の再構成方法により最終のボリュームを生成することと、を行うステップを備え、最初の再構成方法の最初の再構成パラメータ及び最終の再構成方法の最終の再構成パラメータは、少なくとも1つの再構成パラメータが異なる。
【0011】
本発明の主な有利な特徴は、2つの異なる再構成方法を使用することである。本発明の重要な有利な効果は、再構成方法を特定の用途のために最適化することができることである。
【0012】
最初の再構成方法は、MAC法の計算時間の短縮及び/又はロバストな結果のために適応される。特に、これは、最初のボリュームのより低い解像度又はより小さいサイズによって、又はサイノグラムのより粗い時間的又は空間的サブサンプリングによって達成することができる。特に、最初のボリュームのサイズ及び場所は、好適な解剖学的構造に限定されてもよいし、又は最初のボリュームのサイズ及び場所は、完全に撮像された領域の外側の構造に拡張されてもよい。特に、上述の目標は、データ処理ステップ又は補正ステップを追加若しくは省略すること、又は異なって実装若しくはパラメータ化することによって達成することもできる。
【0013】
最終の再構成手順は、診断のための最適な、通常の、及び/又はユーザが構成可能な画像印象を有するボリュームの算出のために適応される。特に、これは、DVT取得中の投影ジオメトリ及びX線投影の互換性のある解像度によって条件付けられる、最初のボリュームの解像度、サイズ、及び場所の適切な選択によって達成することができる。特に、サイノグラムのすべての適切な情報が使用される。特に、画像印象は、データ処理ステップ又は補正ステップを追加若しくは省略すること、又は異なって実装若しくはパラメータ化することによって達成することもできる。
【0014】
以下の説明において、本発明について図面を参照して例示的な実施形態を用いて詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】1つの実施形態に係る口腔外X線システムの概略図を示す。
【
図2】本発明の1つの実施形態に係るフロー図を示す。
【
図3】本発明の別の実施形態に係るフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面に示される参照番号は、例示的な実施形態の下記の説明で参照される、以下に挙げる要素を示す。
1…口腔外X線システム
2…X線デバイス
3…X線管
4…X線検出器
5…操作(制御)ユニット
6…頭部固定具
7…咬合ブロック
8…コンピュータ
9…ディスプレイ
【0017】
コンピュータ実施方法は、歯科領域におけるDVT画像を再構成するためのものである。本方法は、(S1)患者の頭部の周りの少なくとも180度の回転中に口腔外歯科X線デバイス(2)により取得されたサイノグラムと、初期投影ジオメトリとを提供することと、(S2)最初(初期)の再構成方法において、初期投影ジオメトリを変化させ、変化された投影ジオメトリを使用してサイノグラムから生成された最初(初期)のボリュームから導出されたデータ整合性制約を使用して変化された投影ジオメトリを評価することにより、幾何学的較正を行うことと、ここにおいて、最初の再構成方法は、最初の再構成パラメータを使用し、(S3)変化された投影ジオメトリ及び最終の再構成パラメータを使用して、最終の再構成方法によってサイノグラムから最終のボリュームを生成することと、を行うステップを備え、最初の再構成方法の最初の再構成パラメータ及び最終の再構成方法の最終の再構成パラメータは、少なくとも1つの再構成パラメータが異なる。
【0018】
好ましい実施形態では、最初の再構成パラメータの少なくとも1つは、最初のボリュームの解像度を記述する。そして最終の再構成パラメータの少なくとも1つは、最終のボリュームの解像度を記述する。最初のボリュームの解像度は、最終のボリュームの解像度とは異なり、好ましくはより低い。最初のボリュームのより低い解像度は、最初の再構成方法の計算時間と、MACプロセスにおける起こり得る後続の計算動作とを低減する。したがって、全体のMACプロセスの計算時間が著しく低減される。最初のボリュームのより低い解像度により、個々のX線投影からの情報の平均化が多くなり、その結果、DVT撮像の信号ノイズ及び他の典型的な画像アーチファクトが減衰される。これは、画像アーチファクトに対するMACプロセスのロバストネスを高める。最初のボリュームの解像度は、多くの場合MACプロセスの精度に影響を及ぼすために使用されることもできる。より低い解像度により、大きい動きの誤差の補正が可能になるのに対して、高い解像度により、小さい動きの補正が可能になる。この目的のために、最初のボリュームの解像度を、最終のボリュームの解像度よりも高く選択することもできる。最終のボリュームの最適な解像度は、通常、X線管及びX線検出器などの撮像構成要素の技術的特性並びにX線デバイスのジオメトリ及び軌道によって定義される、X線デバイスの互換性のあるシステム解像度からもたらされる。
【0019】
別の好ましい実施形態では、最初の再構成パラメータの少なくとも1つは、サイノグラムの第1の時間的サブサンプリングを記述する。そして最終の再構成パラメータの少なくとも1つは、サイノグラムの第2の時間的サブサンプリングを記述する。サイノグラムの第1の時間的サブサンプリングは、サイノグラムの第2の時間的サブサンプリングとは異なり、好ましくはより粗い。サイノグラムのより粗い第1の時間的サブサンプリングは、最初の再構成方法の計算時間を短縮し、したがって、MACプロセスの計算時間を短縮する。より粗い第1の時間的サブサンプリングから生じる可能性のある画像アーチファクトは、MAC法のロバストネスを損なわないようにするために、好適な画像処理方法によって、例えば、平滑化フィルタによって軽減されることができる。サイノグラムの時間的サブサンプリングは、使用された投影角度を選択することによって行われ得る。時間的サブサンプリングは、例えば、1つおきの投影画像を選択することによる規則的なサンプリングであってもよいし、又は角度範囲、例えば、特に動きが多い又は少ない角度範囲の選択であってもよい。第2の時間的サブサンプリングは、通常、すべての投影画像を使用し、その結果、最終のボリュームは、診断のための最良の画像印象を提供し、取得された情報を完全に表現する。
【0020】
別の好ましい実施形態では、最初の再構成パラメータの少なくとも1つは、サイノグラムの第1の局所サブサンプリングを記述する。そして最終の再構成パラメータの少なくとも1つは、サイノグラムの第2の局所サブサンプリングを記述する。サイノグラムの第1の局所サブサンプリングは、サイノグラムの第2の局所サブサンプリングとは異なり、好ましくはより粗い。サイノグラムのより粗い第1の局所サブサンプリングは、最初の再構成方法の計算時間を短縮し、したがって、MACプロセスの計算時間を短縮する。サイノグラムの局所サブサンプリングは、それぞれのボリュームの解像度に一致されるべきである。サイノグラムの局所サブサンプリングは、使用されたピクセル情報を選択又は補間することによって行われ得る。第2の局所サブサンプリングは、通常、すべてのピクセル情報を使用し、その結果、最終のボリュームは、診断のための最良の画像印象を提供し、取得された情報を完全に表現する。
【0021】
別の好ましい実施形態では、最初の再構成パラメータの少なくとも1つは、最初のボリュームのサイズ及び/又は場所を記述する。そして最終の再構成パラメータの少なくとも1つは、最終のボリュームのサイズ及び/又は場所を記述する。最初のボリュームのサイズ及び/又は場所は、最終のボリュームのサイズ及び/又は場所とは異なる。第1の代替形態によれば、好ましくは、最初のボリュームのサイズはより小さくてよく、これには、計算時間の短縮という利点がある。更に、最初のボリュームは、動きが多い又は少ない1つ又は複数の領域、又はMACプロセスに好適な解剖学的構造を含んでいる領域に限定され得る。これは、ロバストネスを高め、及び/又はMACプロセスの収束を改善する。第2の代替形態によれば、最初のボリュームのサイズは、最終のボリュームのサイズよりも大きくてもよい。これにより、MACプロセスにおいて完全に取得された領域の外側の好適な解剖学的構造を考慮することが可能になる。これは、MACプロセスの収束がより良好になるか又はその結果がよりロバストになるという利点を提供する。計算時間の増加という欠点は、サイノグラムのボリューム解像度又はサブサンプリングを低減することによって補償されることができる。最終のボリュームのサイズ及び/又は場所は、診断に適するように選択することができる。ほとんどの場合、最終のボリュームは、十分な角度範囲、例えば、少なくとも180°の回転の角度範囲で取得された、完全に取得された領域全体を備える。最終のボリュームは通常、完全に取得された領域の外側の領域には拡張されず、これは、角度依存の画像アーチファクトがそこで発生するからである。MACプロセスは、最初のボリュームを評価するときに、角度依存の画像アーチファクトを部分的に補償することができる。好ましくは、最初のボリュームの場所は、少なくとも1つの部分的に歯のある領域を備える。該ボリュームの場所は、並進及び/又は回転によって決定され得る。
【0022】
患者のDVT画像が撮影されるとき、再構成されたボリュームに多種多様な画像アーチファクトが発生する可能性がある。これらの画像アーチファクトには、主にMACプロセスのロバストネスに影響を及ぼすものもあれば、主に診断に影響を及ぼすものもある。MACプロセスの実行時間及びロバストネスの理由により、以下の実施形態では、画像アーチファクト及び画像コンテンツは、最初の再構成方法及び最終の再構成方法において異なって扱われる。ここで、関連する画像アーチファクトとしては、ビームハードニングに起因するカッピングアーチファクト、高吸収材料に起因する金属アーチファクト、サンプリング下の角度に起因する風車状アーチファクト、低線量に起因するノイズ、高吸収材料又は散乱放射線又は様々な他の原因に起因するストリークアーチファクト、取得ボリュームの制限されたサイズに起因するトランケーションアーチファクト、DVTスキャンのためのX線デバイスの取得ジオメトリに起因するコーンビームアーチファクト、患者の動き又はX線デバイスの不正確な較正に起因するモーションアーチファクト、が含まれる。
【0023】
別の好ましい実施形態では、最初の再構成方法は、画像アーチファクトを補正するためのステップを含むが、最終の再構成手順は、該補正ステップを含まない。画像アーチファクトを補正するための追加のステップは、MACプロセスの収束を改善する。例えば、最初のボリュームを平滑化することによって画像アーチファクトを抑制することができ、したがって、最初のボリュームのデータ整合性の評価を単純化する。画像アーチファクトを補正する該ステップは、最終の再構成手順では適用されず、これは、最終のボリュームにおいて診断のための最良の画像印象を達成し、取得された情報を可能な限り変えずに提示するためである。代替として、最終の再構成方法は、画像アーチファクト補正ステップを含み、最初の再構成方法は、該補正ステップを含まない。最初の再構成方法における補正ステップを省略することにより、最初の再構成方法の計算時間が短縮される。最終の再構成方法では、計算時間が最初の再構成方法ほど重要ではない場合が多いので、診断のための画像印象を改善する任意の補正ステップが行われ得る。代替として、最初の再構成方法及び最終の再構成方法の両方が、画像アーチファクトを補正するためのステップであって異なるものを各々含むか、又は各々が画像アーチファクトを補正するための同じステップだが異なってパラメータ化されるものを含む。同じ画像アーチファクトを補正するために異なるステップが使用される場合、最初の再構成方法における補正ステップは、MACプロセスの計算時間又は収束のために最適化されることができ、最終の再構成方法における補正ステップは、最良の画像印象のために最適化されることができる。異なるパラメータ化を用いた同じ補正ステップが両方の再構成方法において使用される場合、最初の再構成方法におけるパラメータ化は、MACプロセスの計算時間又は収束のために最適化されることができ、最終の再構成方法におけるパラメータ化は、画像印象のために最適化されることができる。
【0024】
別の好ましい実施形態では、画像アーチファクト補正ステップは、金属アーチファクト又はコーンビームアーチファクト又は散乱ビームアーチファクトを低減するために使用される。これらの補正ステップには、通常、良好な補正結果を達成するために長い計算時間が必要になる。そのため、好ましくは、最初の再構成方法では、補正ステップは、短い実行時間を有するように選択又はパラメータ化される。代替として、補正ステップの強度又は品質が、MACプロセスの短い計算時間又は良好な収束をもたらすように調整される。代替として、補正ステップは、MACプロセスの計算時間を短縮するために、最初の再構成手順では全く使用されない。好ましくは、最終の再構成方法では、補正ステップは、診断のための画像印象を改善するように選択又はパラメータ化される。
【0025】
別の好ましい実施形態では、最終の再構成方法は、最終のボリュームを後処理するためのステップを含むのに対して、最初の再構成方法は、該後処理ステップを含まない。これは、最初の再構成方法では、該ステップの省略により計算時間が短縮するのに対して、最終の再構成方法では、該ステップが診断のための画像印象を改善するという利点を提供する。最終のボリュームのための後処理ステップの一例としては、ディスプレイにおける提示及び比較可能性のためのグレーレベル調整又はノイズ低減又はコントラスト強調がある。これらは、MACプロセスにおける最初のボリュームの意図された使用には本質的に必要ではない。代替として、最初の再構成方法及び最終の再構成方法の両方が、最初のボリューム及び最終のボリュームのための後処理ステップであって異なるものを各々含むか、又は各々が同じ後処理ステップだが異なってパラメータ化されるものを含む。好ましくは、最初の再構成方法において、後処理ステップは、短い実行時間を有するように選択又はパラメータ化されるべきである。好ましくは、最終の再構成方法において、後処理ステップは、診断のための画像印象を改善するように選択又はパラメータ化されるべきである。
【0026】
図2は、最初の再構成方法がサイノグラムを前処理するステップ又は最初のボリュームを後処理するステップを含むが、最終の再構成方法が該前処理ステップ又は最終のボリュームに関する後処理ステップを含まない別の好ましい実施形態を示す。平滑化又はエッジ保存平滑化などのサイノグラムの前処理により、最初のボリュームにおけるノイズが低減し、小さい画像アーチファクトが低減する。同様の効果を、最初のボリュームを直接後処理することによって達成することができる。これらの前処理ステップ及び後処理ステップは、MACプロセスのロバストネスを高めるので、最初の再構成方法において有益である。最終の再構成手順におけるこれらの前処理ステップ及び後処理ステップを省略することにより、診断のための最終のボリュームの画像印象がより良好になり、関連情報の表現がより完全になる。
【0027】
代替として、最初の再構成方法及び最終の再構成方法の両方は、サイノグラムを前処理するためのステップ又は最初のボリューム及び最終のボリュームをそれぞれ後処理するためのステップを各々含み、ここで、これらのステップは異なるか、又は同一であるが異なってパラメータ化される。好ましくは、最初の再構成方法において、前処理ステップ及び後処理ステップは、MACプロセスのロバストネスを高めるように選択又はパラメータ化される。好ましくは、最終の再構成手順において、前処理するためのステップ及び後処理するためのステップは、診断のための画像印象が改善され、関連情報の完全な表現が達成されるように選択又はパラメータ化されるべきである。
【0028】
別の好ましい実施形態では、後処理ステップは、グレーレベル調整、又はエッジ保存平滑化若しくはノイズ低減のために使用される。
【0029】
別の好ましい実施形態では、前処理ステップ及び後処理ステップは、ノイズ低減又はエッジ保存ノイズ低減又はエッジ強調又はトランケーションアーチファクト抑制のためのものである。
【0030】
別の好ましい実施形態では、幾何学的較正は反復プロセスであり、画像アーチファクト補正ステップ又はそのパラメータ化は反復中に変更される。画像アーチファクトを補正するためのいくつかのステップには、良好な補正結果を達成するために投影ジオメトリの知識が必要となる。投影ジオメトリに誤差がある場合、それらは、より悪い又は不確かな補正結果を提供する。また、画像アーチファクトを補正するためのいくつかのステップの結果は、投影ジオメトリに小さい誤差があるときにのみ関連する。反復MACプロセスにおいて、投影ジオメトリの誤差が各反復で低減されると想定することができる。したがって、反復中に画像アーチファクト補正ステップ又はそのパラメータ化を調整することは有利である。例えば、補正の強度又は安全距離(例えば、補正された領域から解剖学的領域までの距離)のサイズを調整することができる。したがって、MACプロセスのロバストネス及び精度が高められるか、又は計算時間が短縮される。前半の反復では、画像アーチファクトを補正するためのステップは、投影ジオメトリのより大きい誤差を補正することに焦点を当てることができ、後半の反復では、画像アーチファクトを補正するためのステップは、投影ジオメトリのより小さい誤差を補正することに焦点を当てることができる。
【0031】
別の好ましい実施形態では、幾何学的較正は反復プロセスであり、前処理ステップ及び後処理ステップ又はそのパラメータ化は反復中に変更される。反復MACプロセスにおいて、投影ジオメトリの誤差が各反復で低減されると想定することができる。したがって、最初のボリュームの精度は、各反復で高められる。これにより、最初のボリュームにおける解剖学的構造及び起こり得る画像アーチファクトの変更された表現が生じる。反復中に前処理ステップ及び後処理ステップ又はそのパラメータ化を調整することには、MACプロセスのロバストネス及び精度を高めるという利点がある。前半の反復では、前処理ステップ及び後処理ステップは、投影ジオメトリのより大きい誤差を補正することに焦点を当てることができ、後半の反復では、前処理ステップ及び後処理ステップは、投影ジオメトリのより小さい誤差を補正することに焦点を当てることができる。
【0032】
図3は、幾何学的較正が反復手順であり、初期再構成パラメータが反復中に変更される別の好ましい実施形態を示す。反復MACプロセスにおいて、投影ジオメトリの誤差が各反復で低減されると想定することができる。したがって、後半の反復において、最初の再構成パラメータを調整することによって、最初のボリュームにおける詳細表現を高めることができ、したがって、MACプロセスの精度を改善する。一方、前半の反復において、MACプロセスの投影ジオメトリに大きい誤差が存在するときに、計算時間の短縮又はロバストネスのために最初の再構成パラメータを調整することは有益である。これらの目標を達成するために、最初のボリュームの解像度は、好ましくは、反復中に増加され、サイノグラムの時間的及び空間的サブサンプリングは、好ましくは、反復中に低減され、ボリュームのサイズ及び場所は、好ましくは、反復中に粗い解剖学的構造から微細な構造に調整される。要約すると、反復中に詳細表現を高める反復MACプロセスは、異なるサイズの運動に関してMACプロセスのロバストネスを高めることを可能にし、その計算時間を短縮する。
【0033】
本発明に係る方法は、コンピュータ実施方法であり、コンピュータ支援DVTシステム(1)上で実行され得る。
図1は、DVTシステム(1)の実装例を示す。この点に関して、本発明は、コンピュータ可読コードを有するコンピュータプログラムも含む。コンピュータプログラムは、記憶媒体上に提供されていてよい。コンピュータ化されたDVTシステム(1)は、患者の撮像を行い、2DのX線画像又はサイノグラムを生成するためのX線デバイス(2)を備える。X線デバイス(2)は、X線管(3)及びX線検出器(4)を有し、これらは、照射中に患者の頭部の周りを回転する。照射中のX線管(3)及びX線検出器(4)の軌道は、円形経路を描き得る。代替として、これから外れる形状をとることもできる。いくつかのアクチュエータが同時に制御される場合、純粋な円形経路から外れる、患者の頭部の周りのデバイス軌道を達成することができる。患者の頭部は、咬合ブロック(7)及び頭部固定具(6)を用いてX線デバイス内に位置付けられる。コンピュータ化されたDVTシステム(1)は、操作ユニット(5)と、好ましくはX線デバイス(2)に接続することができるコンピュータ(8)又はコンピューティングユニットと、好ましくはとりわけデータセットを視覚化するためのディスプレイ(9)とを備える。コンピュータ(8)は、ローカルネットワーク(図示せず)を介して、又は代替としてインターネットを介してX線デバイス(2)に接続され得る。コンピュータ(8)は、クラウドの一部であり得る。代替として、コンピュータ(8)は、X線デバイス(2)内に一体化されていてもよい。算出は、代替としてクラウドで行われてもよい。コンピュータ(8)は、コンピュータプログラムを実行し、ディスプレイ(9)上での視覚化のための含むデータセットを提供する。ディスプレイ(9)は、X線デバイス(2)から空間的に分離され得る。好ましくは、コンピュータ(8)は、X線デバイス(2)を制御することもできる。代替として、制御及び再構成のために別個のコンピュータを使用することができる。
【0034】
本発明によれば、上記実施形態によって生成されたデータセットは、視覚化のために、特に診断目的で、好ましくはディスプレイ(9)又はプリントアウトによって医師に提示され得る。
【0035】
[再構成方法]
最初の再構成方法及び最終の再構成方法は、サイノグラムから3Dボリュームを生成するための同じ又は異なる再構成ステップを含み得る。再構成ステップは、異なる再構成パラメータによって構成され得る。最初の再構成方法の再構成ステップは、比較的低い計算速度又は比較的より低いリソース消費を提供することができる。最終の再構成方法の再構成ステップは、診断のための比較的改善された画像品質を可能にすることができる。好ましい実施形態では、両方の再構成方法は、フェルドカンプ再構成ステップを備える。更なる実施形態では、最初の再構成方法は、フェルドカンプ再構成ステップを備え、最終の再構成方法は、SART(連立代数再構成技法)などの代数再構成ステップ又は反復再構成ステップを備える。再構成ステップは、算術演算のシーケンスによって記述され得る。再構成方法は、通常、サイノグラムを前処理するためのステップ、ボリュームを後処理するためのステップ、及びボリュームを再構成するためのステップなどのいくつかのステップを含む。
【0036】
[ユーザ対話]
更なる実施形態では、最終の再構成手順のための再構成パラメータ、又は補正ステップ若しくはそれらのパラメータ化、又は前処理ステップ或いは後処理ステップ若しくはそれらのパラメータ化は、ユーザによって、例えばユーザインターフェースを介して調整可能である。これには、ユーザが診断のための所望の画像印象を設定することができるという利点がある。同じ設定は、最初の再構成方法の場合ユーザによって直接変更されることはできず、これは、それらがMACプロセスの結果に極めて重要であるからである。しかしながら、それらは、最大補正精度、最大補正可能患者運動のサイズ、又はMACプロセスの最大計算時間など、MACプロセスの可能な設定に依存し、したがって、間接的に変更され得る。ユーザは、診断を行う医師、又は患者と共にX線デバイス上でDVT撮像を行う人であり得る。
【0037】
[コンピュータ実施方法]
初期再構成方法及び最終の再構成方法は、同じハードウェア上で又は異なるハードウェア上で実行され得る。ハードウェアは、その計算能力、メモリのサイズ、又は設置場所が異なっていてもよい。ハードウェアは、X線デバイス内に若しくはその近くにローカルに、又はクラウドに位置し得る。これは、ハードウェアが2つの再構成方法のそれぞれの異なる要件に適応されることができるという利点を提供する。これは、計算時間と、ハードウェアを購入又は動作させるコストとを節約する。最初の再構成方法及び最終の再構成方法の両方は、1つ又は複数のCPU及び/又は1つ又は複数のGPU上で行われ得る。
【0038】
[データセットの視覚化/診断]
ステップS3の算出の時間は、ステップS2の算出の時間より著しく遅くなってよく、又は両方のステップが直接交互に実行される。最終の再構成方法を、複数回実行することもできる。ステップS3の著しくより遅い実行は、最終のボリュームをその後に調整することができるという利点を提供する。調整は、最終の再構成手順のための再構成パラメータ、又は補正ステップ若しくはそれらのパラメータ化、又は前処理ステップ或いは後処理ステップ若しくはそれらのパラメータ化を設定することによって行われる。これは、ユーザによって手動で、又はソフトウェアによって自動的に行われることができ、特別な診断又は特別なデータエクスポートのために最終のボリュームの表示を改善するのに役立つ。
【0039】
[データ整合性条件]
1つの実施形態では、幾何学的較正が、ステップS2において、投影ジオメトリを変化させ、最初のボリュームのシミュレートされたサイノグラムとサイノグラムとの間の類似性尺度を使用して投影ジオメトリを評価することによって行われ、ここにおいて、シミュレートされたサイノグラムは、変化された投影ジオメトリを使用して再構成された最初のボリュームから算出され、最初のボリュームは、最初の再構成方法により変化された投影ジオメトリを使用してサイノグラムから算出される。データ整合性は、類似性尺度を使用することによって達成される。可能な類似性尺度又は逆誤差尺度としては、平均二乗誤差、平均絶対差、正規化相互相関、勾配相関、勾配情報、線形スケーリングを有する勾配情報、勾配配向、相互情報、がある。
【0040】
別の実施形態では、幾何学的較正は、投影ジオメトリを変化させ、最初のボリュームに関する画像品質メトリックに対して投影ジオメトリを評価することによって行われる。可能な画像品質メトリックは、ボリューム鮮鋭度又はボリュームコントラストを評価する。それらは、勾配分散又は勾配ノルムなどの最初のボリュームに関する鮮鋭度メトリックとして定義されてもよいし、又はグレーレベルエントロピー、グレーレベル分散、又は全変動などの最初のボリュームに関する平滑度制約によって定義されてもよい。
【0041】
別の実施形態では、幾何学的較正は、該類似性尺度又は誤差尺度のうちの1つを使用して再構成された最初のボリュームのシミュレートされたサイノグラムとサイノグラムとの差を反復して評価及び低減する反復再構成プロセスを使用して投影ジオメトリを変化させることによって行われる。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科DVT画像を再構成するためのコンピュータ実施方法であって、
(S1)患者の頭部の周りの少なくとも180度の回転中に口腔外歯科X線デバイスにより取得されたサイノグラムと、初期投影ジオメトリとを提供することと、
(S2)最初の再構成方法において、前記投影ジオメトリを変化させ、前記変化された投影ジオメトリを使用して前記サイノグラムから生成された最初のボリュームから導出されたデータ整合性制約を使用して前記変化された投影ジオメトリを評価することにより、ジオメトリ較正を行うことと、ここにおいて、前記最初の再構成方法は、最初の再構成パラメータを使用し、
(S3)前記変化された投影ジオメトリ及び最終の再構成パラメータを使用して、前記サイノグラムから、最終の再構成方法により最終のボリュームを生成することと、ここにおいて、前記最初の再構成方法の前記最初の再構成パラメータ及び前記最終の再構成方法の前記最終の再構成パラメータは、少なくとも1つの再構成パラメータが異なる、
を行うステップを備える、方法。
【請求項2】
前記最初の再構成方法及び前記最終の再構成方法の各々が、異なる前記少なくとも1つの再構成パラメータによって構成された再構成ステップを含み、前記最初の再構成方法の前記再構成ステップが、前記最終の再構成方法の前記再構成ステップとは異なり、前記最初の再構成方法の前記再構成ステップが、比較的低い計算速度若しくは比較的より低いリソース消費を可能にし、又は前記最終の再構成方法の前記再構成ステップが、診断のための比較的改善された画像品質を可能にすることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最初の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記最初のボリュームの解像度を記述し、前記最終の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記最終のボリュームの解像度を記述し、前記最初のボリュームの解像度が、前記最終のボリュームの解像度とは異なることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記最初の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記サイノグラムの第1の時間的サブサンプリングを記述し、前記最終の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記サイノグラムの第2の時間的サブサンプリングを記述し、前記サイノグラムの前記第1の時間的サブサンプリングが、前記サイノグラムの前記第2の時間的サブサンプリングとは異なることを特徴とする、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記最初の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記サイノグラムの第1の局所サブサンプリングを記述し、前記最終の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記サイノグラムの第2の局所サブサンプリングを記述し、前記サイノグラムの前記第1の局所サブサンプリングが、前記サイノグラムの前記第2の局所サブサンプリングとは異なることを特徴とする、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記最初の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記最初のボリュームのサイズ及び/又は位置を記述し、前記最終の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記最終のボリュームのサイズ及び/又は位置を記述し、前記最初のボリュームのサイズ及び/又は位置が、前記最終のボリュームのサイズ及び/又は位置とは異なることを特徴とする、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記最初の再構成方法が、画像アーチファクトを補正するためのステップを含み、前記最終の再構成方法が、前記補正ステップを含まないか、又は前記最終の再構成方法が、画像アーチファクトを補正するためのステップを含み、前記最初の再構成方法が、前記補正ステップを含まないか、又は前記最初の再構成方法及び前記最終の再構成方法の両方が、画像アーチファクトを補正するためのステップであって異なるステップを各々含むか、又は各々が画像アーチファクトを補正するための同じステップであって異なってパラメータ化されるステップを含むことを特徴とする請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記画像アーチファクトを補正するためのステップが、金属アーチファクト又はコーンビームアーチファクト又は散乱ビームアーチファクトを低減することを特徴とする、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
前記最終の再構成方法が、前記最終のボリュームを後処理するためのステップを含み、前記最初の再構成方法が、前記後処理ステップを含まないか、又は前記最初の再構成方法及び前記最終の再構成方法の両方が、前記最初のボリューム及び前記最終のボリュームをそれぞれ後処理するためのステップであって異なるステップを各々含むか、又は各々が同じ後処理ステップであって異なってパラメータ化されるステップを含むことを特徴とする、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項10】
前記最初の再構成方法が、前記サイノグラムを前処理するステップ又は前記最初のボリュームを後処理するステップを含み、前記最終の再構成方法が、前記前処理ステップ若しくは後処理ステップを含まないか、又は前記最初の再構成方法及び前記最終の再構成方法の両方が、前記サイノグラムを前処理するステップ若しくは前記最初のボリューム及び前記最終のボリュームをそれぞれ後処理するステップであって異なるステップを各々含むか、又は各々が同じ前処理ステップ若しくは後処理ステップであって異なってパラメータ化されるステップを含むことを特徴とする、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項11】
前記後処理ステップが、グレー値調整又はエッジ保存平滑化又はノイズ低減に役立つことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記前処理ステップ及び前記後処理ステップが、ノイズ低減又はエッジ保存ノイズ低減又はエッジ強調又はトランケーションアーチファクト抑制のためのものであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記幾何学的較正が反復法であり、前記画像アーチファクトを補正するためのステップ又はそのパラメータ化が反復中に変更されることを特徴とする、請求項
7に記載の方法。
【請求項14】
前記幾何学的較正が反復法であり、前記前処理ステップ及び後処理ステップ又はそのパラメータ化が反復中に変更されることを特徴とする、請求項
9に記載の方法。
【請求項15】
前記幾何学的較正が反復法であり、前記最初の再構成パラメータが反復中に変更されることを特徴とする、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項16】
コンピュータ支援DVTシステム(1)によって実行されると、前記コンピュータ支援DVTシステム(1)に、方法の請求項
1又は2に記載の方法ステップを行わせるコンピュータ可読コードを備えるコンピュータプログラム。
【請求項17】
請求項16に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
X線デバイス(2)と、請求項16に記載のコンピュータプログラムを実行するように構成されたコンピューティングユニット(8)とを備えるコンピュータ化されたDVTシステム(1)。
【請求項19】
請求項
1又は2によって提供される視覚化のためのデータセットの使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
別の実施形態では、幾何学的較正は、該類似性尺度又は誤差尺度のうちの1つを使用して再構成された最初のボリュームのシミュレートされたサイノグラムとサイノグラムとの差を反復して評価及び低減する反復再構成プロセスを使用して投影ジオメトリを変化させることによって行われる。
以下に本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
歯科DVT画像を再構成するためのコンピュータ実施方法であって、
(S1)患者の頭部の周りの少なくとも180度の回転中に口腔外歯科X線デバイスにより取得されたサイノグラムと、初期投影ジオメトリとを提供することと、
(S2)最初の再構成方法において、前記投影ジオメトリを変化させ、前記変化された投影ジオメトリを使用して前記サイノグラムから生成された最初のボリュームから導出されたデータ整合性制約を使用して前記変化された投影ジオメトリを評価することにより、ジオメトリ較正を行うことと、ここにおいて、前記最初の再構成方法は、最初の再構成パラメータを使用し、
(S3)前記変化された投影ジオメトリ及び最終の再構成パラメータを使用して、前記サイノグラムから、最終の再構成方法により最終のボリュームを生成することと、ここにおいて、前記最初の再構成方法の前記最初の再構成パラメータ及び前記最終の再構成方法の前記最終の再構成パラメータは、少なくとも1つの再構成パラメータが異なる、
を行うステップを備える、方法。
[C2]
前記最初の再構成方法及び前記最終の再構成方法の各々が、異なる前記少なくとも1つの再構成パラメータによって構成された再構成ステップを含み、前記最初の再構成方法の前記再構成ステップが、前記最終の再構成方法の前記再構成ステップとは異なり、前記最初の再構成方法の前記再構成ステップが、比較的低い計算速度若しくは比較的より低いリソース消費を可能にし、又は前記最終の再構成方法の前記再構成ステップが、診断のための比較的改善された画像品質を可能にすることを特徴とする、C1に記載の方法。
[C3]
前記最初の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記最初のボリュームの解像度を記述し、前記最終の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記最終のボリュームの解像度を記述し、前記最初のボリュームの解像度が、前記最終のボリュームの解像度とは異なることを特徴とする、C1又は2に記載の方法。
[C4]
前記最初の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記サイノグラムの第1の時間的サブサンプリングを記述し、前記最終の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記サイノグラムの第2の時間的サブサンプリングを記述し、前記サイノグラムの前記第1の時間的サブサンプリングが、前記サイノグラムの前記第2の時間的サブサンプリングとは異なることを特徴とする、C1~3のいずれか一項に記載の方法。
[C5]
前記最初の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記サイノグラムの第1の局所サブサンプリングを記述し、前記最終の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記サイノグラムの第2の局所サブサンプリングを記述し、前記サイノグラムの前記第1の局所サブサンプリングが、前記サイノグラムの前記第2の局所サブサンプリングとは異なることを特徴とする、C1~4のいずれか一項に記載の方法。
[C6]
前記最初の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記最初のボリュームのサイズ及び/又は位置を記述し、前記最終の再構成パラメータの少なくとも1つが、前記最終のボリュームのサイズ及び/又は位置を記述し、前記最初のボリュームのサイズ及び/又は位置が、前記最終のボリュームのサイズ及び/又は位置とは異なることを特徴とする、C1~5のいずれか一項に記載の方法。
[C7]
前記最初の再構成方法が、画像アーチファクトを補正するためのステップを含み、前記最終の再構成方法が、前記補正ステップを含まないか、又は前記最終の再構成方法が、画像アーチファクトを補正するためのステップを含み、前記最初の再構成方法が、前記補正ステップを含まないか、又は前記最初の再構成方法及び前記最終の再構成方法の両方が、画像アーチファクトを補正するためのステップであって異なるステップを各々含むか、又は各々が画像アーチファクトを補正するための同じステップであって異なってパラメータ化されるステップを含むことを特徴とするC1~6のいずれか一項に記載の方法。
[C8]
前記画像アーチファクトを補正するためのステップが、金属アーチファクト又はコーンビームアーチファクト又は散乱ビームアーチファクトを低減することを特徴とする、C1~7のいずれか一項に記載の方法。
[C9]
前記最終の再構成方法が、前記最終のボリュームを後処理するためのステップを含み、前記最初の再構成方法が、前記後処理ステップを含まないか、又は前記最初の再構成方法及び前記最終の再構成方法の両方が、前記最初のボリューム及び前記最終のボリュームをそれぞれ後処理するためのステップであって異なるステップを各々含むか、又は各々が同じ後処理ステップであって異なってパラメータ化されるステップを含むことを特徴とする、C1~8のいずれか一項に記載の方法。
[C10]
前記最初の再構成方法が、前記サイノグラムを前処理するステップ又は前記最初のボリュームを後処理するステップを含み、前記最終の再構成方法が、前記前処理ステップ若しくは後処理ステップを含まないか、又は前記最初の再構成方法及び前記最終の再構成方法の両方が、前記サイノグラムを前処理するステップ若しくは前記最初のボリューム及び前記最終のボリュームをそれぞれ後処理するステップであって異なるステップを各々含むか、又は各々が同じ前処理ステップ若しくは後処理ステップであって異なってパラメータ化されるステップを含むことを特徴とする、C1~9のいずれか一項に記載の方法。
[C11]
前記後処理ステップが、グレー値調整又はエッジ保存平滑化又はノイズ低減に役立つことを特徴とする、C9に記載の方法。
[C12]
前記前処理ステップ及び前記後処理ステップが、ノイズ低減又はエッジ保存ノイズ低減又はエッジ強調又はトランケーションアーチファクト抑制のためのものであることを特徴とする、C10に記載の方法。
[C13]
前記幾何学的較正が反復法であり、前記画像アーチファクトを補正するためのステップ又はそのパラメータ化が反復中に変更されることを特徴とする、C7又は8に記載の方法。
[C14]
前記幾何学的較正が反復法であり、前記前処理ステップ及び後処理ステップ又はそのパラメータ化が反復中に変更されることを特徴とする、C9~12のいずれか一項に記載の方法。
[C15]
前記幾何学的較正が反復法であり、前記最初の再構成パラメータが反復中に変更されることを特徴とする、C1~14のいずれか一項に記載の方法。
[C16]
コンピュータ支援DVTシステム(1)によって実行されると、前記コンピュータ支援DVTシステム(1)に、方法のC1~15のいずれか一項に記載の方法ステップを行わせるコンピュータ可読コードを備えるコンピュータプログラム。
[C17]
C16に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体。
[C18]
X線デバイス(2)と、C16に記載のコンピュータプログラムを実行するように構成されたコンピューティングユニット(8)とを備えるコンピュータ化されたDVTシステム(1)。
[C19]
C1~15のいずれか一項によって提供される視覚化のためのデータセットの使用。
【国際調査報告】