(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】電池セル、電池、電力消費機器、電池セルの製造方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/15 20210101AFI20240918BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20240918BHJP
H01M 50/133 20210101ALI20240918BHJP
H01M 50/164 20210101ALI20240918BHJP
H01M 50/166 20210101ALI20240918BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20240918BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20240918BHJP
【FI】
H01M50/15
H01M50/103
H01M50/133
H01M50/164
H01M50/166
H01M50/342 101
H01M50/55 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516554
(86)(22)【出願日】2022-01-14
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 CN2022071936
(87)【国際公開番号】W WO2023133788
(87)【国際公開日】2023-07-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】肖俊
(72)【発明者】
【氏名】段松
(72)【発明者】
【氏名】孫彩影
【テーマコード(参考)】
5H011
5H012
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011BB04
5H011CC10
5H011DD06
5H011DD11
5H011DD14
5H011DD21
5H011KK01
5H012AA07
5H012BB02
5H043AA19
5H043BA07
5H043BA17
5H043CA04
5H043DA08
(57)【要約】
本願は、電池セル、電池、電力消費機器、電池セルの製造方法及び装置を提供する。電池セルは、電池セルの電極組立体を収容する第1の開口を有するハウジングと、第1の開口を覆うエンドキャップと、エンドキャップを絶縁保護する第1の絶縁膜であって、エンドキャップのハウジングから離れた表面を被覆する本体部と、本体部を取り囲み、それぞれ本体部の一辺に接続され、且つ本体部の中心から離れるように延伸し、ハウジングへ折り曲げられてハウジングの外側壁の少なくとも一部を被覆することができる複数の延伸部と、を含む第1の絶縁膜と、を含む。延伸部を有する第1の絶縁膜で電池セルのエンドキャップを被覆することにより、第1の絶縁膜を電池セルのエンドキャップに密着させることができ、絶縁膜が電池セルのエンドキャップに設けられた部材によって干渉されることでフランジが反るという問題を回避し、絶縁膜の電池セルに対する絶縁保護を保証する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルの電極組立体を収容するための第1の開口を有するハウジングと、
前記第1の開口を覆うためのエンドキャップと、
前記エンドキャップを絶縁保護するための第1の絶縁膜と、
を備え、
前記第1の絶縁膜は、
前記エンドキャップの前記ハウジングから離れた表面を被覆するための本体部と、
前記本体部を取り囲み、前記本体部の一辺にそれぞれ接続され、且つ前記本体部の中心から離れるように延伸し、前記ハウジングへ折り曲げられて前記ハウジングの外側壁の少なくとも一部を被覆する複数の延伸部と、
を含む、ことを特徴とする電池セル。
【請求項2】
前記延伸部の厚さは、前記本体部の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記延伸部と前記本体部との接続箇所に補強リブが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記第1の絶縁膜は、前記電池セルの電極端子及び減圧機構を避けるための第2の開口を有することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の電池セル。
【請求項5】
前記本体部は、凸部を有し、当該凸部は、キャビティ構造を形成するように、前記本体部の前記電池セルから離れた側に前記本体部から突出し、前記電池セルに向かう側に前記本体部に窪み、前記キャビティ構造は、前記エンドキャップの前記電池セルの内部から離れるように突出した部分を収容するために用いられることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の電池セル。
【請求項6】
前記電池セルの前記エンドキャップから突出した部分の縁は、面取り構造を有し、前記キャビティ構造の縁は、前記面取り構造に適合する遷移構造を有することを特徴とする請求項5に記載の電池セル。
【請求項7】
前記本体部と前記延伸部は、同じ材料であり、且つ一体成形構造であることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の電池セル。
【請求項8】
前記第1の絶縁膜の前記電池セルに向かう側には、前記第1の絶縁膜を前記電池セルに接着するための接着材が設けられていることを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の電池セル。
【請求項9】
前記本体部の厚さは0.3mm~0.5mmであり、前記延伸部の厚さは0.1mmであることを特徴とする請求項1~8の何れか1項に記載の電池セル。
【請求項10】
前記本体部は四角形であり、前記複数の延伸部の数は4つであることを特徴とする請求項1~9の何れか1項に記載の電池セル。
【請求項11】
前記電池セルは、
前記ハウジングを包み、その前記延伸部に向かう縁が、前記ハウジングと前記エンドキャップが交差する縁を超えず、前記電池セルのハウジングを絶縁保護するための第2の絶縁膜を更に含むことを特徴とする請求項1~10の何れか1項に記載の電池セル。
【請求項12】
第2の絶縁膜の前記延伸部に向かう縁は、前記延伸部の縁に接続されることを特徴とする請求項1~11の何れか1項に記載の電池セル。
【請求項13】
請求項1~12の何れか1項に記載の電池セルと、
前記電池セルを収容するための筐体と、
を含むことを特徴とする電池。
【請求項14】
電気エネルギーを提供するための請求項13に記載の電池を含むことを特徴とする電力消費機器。
【請求項15】
電池セルの電極組立体を収容するための第1の開口を有するハウジングを提供するステップと、
前記第1の開口を覆うためのエンドキャップを提供するステップと、
前記エンドキャップを絶縁保護するための第1の絶縁膜を提供するステップと、
を含み、
前記第1の絶縁膜は、
前記エンドキャップの前記ハウジングから離れた表面を被覆するための本体部と、
前記本体部を取り囲み、前記本体部の一辺にそれぞれ接続され、且つ前記本体部の中心から離れるように延伸し、前記ハウジングへ折り曲げられて前記ハウジングの外側壁の少なくとも一部を被覆する複数の延伸部と、
を含む、ことを特徴とする電池セルの製造方法。
【請求項16】
電池セルの電極組立体を収容するための第1の開口を有するハウジングを提供するための第1の提供モジュールと、
前記第1の開口を覆うためのエンドキャップを提供するための第2の提供モジュールと、
前記エンドキャップを絶縁保護するための第1の絶縁膜を提供するための第3の提供モジュールと、
を備え、
前記第1の絶縁膜は、
前記エンドキャップの前記ハウジングから離れた表面を被覆するための本体部と、
前記本体部を取り囲み、前記本体部の一辺にそれぞれ接続され、且つ前記本体部の中心から離れるように延伸し、前記ハウジングへ折り曲げられて前記ハウジングの外側壁の少なくとも一部を被覆する複数の延伸部と、
を含むことを特徴とする電池セルの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池の技術分野に関し、特に電池セル、電池、電力消費機器、電池セルの製造方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池技術の発展に伴い、電池の様々な性能が向上しつつある。電池の性能を向上させることに加え、安全上の問題も無視できない問題となっている。電池セルのケースを外部から絶縁隔離するために、通常、電池セルのケースに絶縁膜を包む必要がある。しかしながら、電池セルのエンドキャップに電極端子などの部材が設けられている場合が多いため、絶縁膜の包みに干渉しやすく、絶縁膜のフランジが反ることになる。
【0003】
従って、絶縁膜の電池セルに対する絶縁保護を如何に保証するかは、依然として解決すべき問題となっている。
【発明の概要】
【0004】
上記問題に鑑み、本願は、絶縁膜の電池セルに対する絶縁保護を保証することができる電池セル、電池、電力消費機器、電池セルの製造方法及び装置を提供する。
【0005】
第1の態様において、本願は、電池セルの電極組立体を収容するための第1の開口を有するハウジングと、前記第1の開口を覆うためのエンドキャップと、前記エンドキャップを絶縁保護するための第1の絶縁膜であって、前記エンドキャップの前記ハウジングから離れた表面を被覆するための本体部と、前記本体部を取り囲み、それぞれ前記本体部の一辺に接続され、且つ前記本体部の中心から離れるように延伸し、前記ハウジングへ折り曲げられて前記ハウジングの外側壁の少なくとも一部を被覆することができる複数の延伸部と、を含む第1の絶縁膜と、を備える電池セルを提供する。
【0006】
延伸部を有する第1の絶縁膜で電池セルのエンドキャップを被覆することにより、第1の絶縁膜を電池セルのエンドキャップに密着させることができ、絶縁膜が電池セルのエンドキャップに設けられた部材によって干渉されることでフランジが反るという問題を回避し、絶縁膜の電池セルに対する絶縁保護を保証することができる。
【0007】
また、第1の絶縁膜は、電池セルのエンドキャップを被覆する前に、その延伸部と本体部が同一の平面にあり、組み立てる時に積み重ね空間を節約することができ、即ち、組み立て機械において一度に数多くの第1の絶縁膜を積み重ねることができ、生産効率を向上させる。延伸部と本体部が同一の平面にあるため、組み立てプロセスにおいて変形しにくく、微細な変形があっても、第1の絶縁膜をエンドキャップに圧着するプロセスにおいてこの変形による影響を解消し、組み立て機械の位置決め精度に対する要求を下げることができ、電池セルに対する絶縁保護を保証しながら生産効率を向上させることができる。
【0008】
幾つかの実施例において、前記延伸部の厚さは、前記本体部の厚さよりも小さい。
【0009】
本体部が一定の厚さを有することにより、第1の絶縁膜の剛性を保証することができ、組み立て機械によって電池セルのエンドキャップに組み立てられるプロセスにおいて変形することなくその本来の形状を維持し、第1の絶縁膜の正確な取り付けを保証することができる。延伸部の厚さが本体部の厚さよりも小さいため、外側壁を絶縁保護すると同時に、電池の空間をできる限り少なく占めることができ、電池のエネルギー密度の向上に役立つ。
【0010】
幾つかの実施例において、前記延伸部と前記本体部との接続箇所に補強リブが設けられている。
【0011】
延伸部と本体部との接続箇所に補強リブを設けることにより、第1の絶縁膜の強度を向上させ、第1の絶縁膜が損傷されて絶縁故障を引き起こすことを回避し、第1の絶縁膜の電池セルに対する絶縁保護を保証することができる。
【0012】
幾つかの実施例において、前記第1の絶縁膜は、前記電池セルの電極端子及び減圧機構を避けるための第2の開口を有する。
【0013】
第1の絶縁膜に第2の開口を設けることにより、例えば電極端子や減圧機構などの、電池セルのエンドキャップに設けられた部材を正常に使用することができる。エンドキャップの部材が設けられていない部分が第1の絶縁膜によって被覆されることができ、絶縁膜の電池セルに対する絶縁保護が保証される。
【0014】
幾つかの実施例において、前記本体部は、凸部を有し、前記凸部は、キャビティ構造を形成するように、前記本体部の前記電池セルから離れた側に前記本体部から突出し、前記電池セルに向かう側に前記本体部に窪み、前記キャビティ構造は、前記エンドキャップの前記電池セルの内部から離れるように突出した部分を収容するために用いられる。
【0015】
第1の絶縁膜が凸部を有することにより、エンドキャップに凸包を有する電池セルを適応的に絶縁保護し、エンドキャップの前記電池セルの内部から離れるように突出した部分が絶縁膜に干渉することを回避し、絶縁膜の接着不良による絶縁故障の問題を回避し、絶縁膜の電池セルに対する絶縁保護を保証し、電池セルの安全性能を向上させることができる。
【0016】
幾つかの実施例において、前記電池セルの前記エンドキャップから突出した部分の縁は、面取り構造を有し、前記キャビティ構造の縁は、前記面取り構造に適合する遷移構造を有する。
【0017】
電池セルのエンドキャップから突出した部分の縁に面取り構造を設けることにより、エンドキャップの交差する2つの面の間の遷移をより自然にすることができ、第1の絶縁膜の組み立てプロセスにおいて、組み立て機械が第1の絶縁膜と電池セルのエンドキャップを位置合わせする時の精度要求を下げることができ、僅かな差があっても、面取り構造によって正確な位置に案内することができる。また、第1の絶縁膜のキャビティ構造は、面取り構造に適合する遷移構造を有するため、第1の絶縁膜を電池セルのエンドキャップから突出した部分に密着させ、角部における絶縁膜の緩みを回避し、絶縁膜の電池セルに対する絶縁保護を保証することができる。
【0018】
幾つかの実施例において、前記本体部と前記延伸部は、同じ材料であり、且つ一体成形構造である。
【0019】
本体部と延伸部が、同じ材料であり、且つ一体成形構造であることにより、本体部と延伸部の間を一貫して接続することができ、別途の方法で接続する必要がなく、このように第1の絶縁膜自体に欠陥が発生する可能性を低減させ、本体部と延伸部の電池セルに対する絶縁保護を保証することができる。
【0020】
幾つかの実施例において、前記第1の絶縁膜の前記電池セルに向かう側には、前記第1の絶縁膜を前記電池セルに接着するための接着材が設けられている。
【0021】
第1の絶縁膜の電池セルに向かう側に接着材を設けることにより、第1の絶縁膜が電池セルに密着して脱落しにくく、第1の絶縁膜が電池セルのエンドキャップに対して絶縁保護の役割を果たすことを保証することができる。
【0022】
幾つかの実施例において、前記本体部の厚さは0.3mm~0.5mmであり、前記延伸部の厚さは0.1mmである。
【0023】
本体部の厚さの値が大き過ぎると、第1の絶縁膜のエンドキャップでの被覆高さを増加させ、エンドキャップに設けられた部材の正常な使用に影響を与えると同時に、第1の絶縁膜の重量を増加させ、自動組み立てプロセスにおいて落ちるリスクがある。本体部の厚さの値が小さ過ぎると、第1の絶縁膜の剛性が足りず、組み立てプロセスにおいて変形しやすく、組み立ての難易度を増加させる。従って、本体部の厚さの値が0.3mm~0.5mmに設定されることにより、エンドキャップにおける部材の正常な使用を保証することができるだけでなく、組み立てやすくなる。
【0024】
延伸部の厚さの値が大き過ぎると、電池の空間を占め、電池のエネルギー密度の向上に不利である。値が小さ過ぎると、第1の絶縁膜の生産に不利であり、また、電池セルに対する絶縁保護を保証しにくい。従って、延伸部の厚さが0.1mmに設定されることにより、電池セルに対する絶縁保護を実現することができるだけでなく、空間を過度に占めることを回避することもでき、電池のエネルギー密度の向上に役立つ。
【0025】
幾つかの実施例において、前記本体部は四角形であり、前記複数の延伸部の数は4つである。
【0026】
本体部が四角形であり、複数の延伸部の数が4つであることにより、本体部が電池セルのエンドキャップを完全に被覆することを保証することができ、また、延伸部が折り曲げられた後に各外側壁の少なくとも一部を被覆することができ、それにより、エンドキャップと側壁の接続箇所が全て第1の絶縁膜によって被覆されることができ、絶縁膜の電池セルに対する絶縁保護を保証する。
【0027】
幾つかの実施例において、前記電池セルは、前記ハウジングを包み、その前記延伸部に向かう縁が、前記ハウジングと前記エンドキャップが交差する縁を超えず、前記電池セルのハウジングを絶縁保護するための第2の絶縁膜を更に含む。
【0028】
第2の絶縁膜は、電池セルのハウジングに対して絶縁保護の役割を果たすことができ、また、第2の絶縁膜をエンドキャップへ折り返す必要がなく、エンドキャップにおける電極端子などの部材、又はエンドキャップにおける突出構造によるフランジへの干渉を効果的に回避しながら、絶縁膜の脱落を回避することができ、絶縁膜の電池セルに対する絶縁保護を保証することができる。
【0029】
幾つかの実施例において、前記第2の絶縁膜の前記延伸部に向かう縁は、前記延伸部の縁に接続される。
【0030】
第2の絶縁膜の延伸部に向かう縁が延伸部の縁に接続されることにより、電池セルのハウジングに、絶縁膜の重なり部分も、絶縁膜によって被覆されていない部分もないようにすることができる。このように電池セルを絶縁保護すると同時に、防水作用をある程度果たすことができ、また、電池セルのケースにおける空間が重なり部分によって占められないようにすることができ、電池密度の向上に役立つ。
【0031】
第2の態様において、本願は、上記実施例における電池セルと、前記電池セルを収容するための筐体と、を含む電池を提供する。
【0032】
第3の態様において、本願は、電気エネルギーを提供するための上記実施例における電池を含む電力消費機器を提供する。
【0033】
第4の態様において、本願は、電池セルの電極組立体を収容するための第1の開口を有するハウジングを提供するステップと、前記第1の開口を覆うためのエンドキャップを提供するステップと、前記エンドキャップを絶縁保護するための第1の絶縁膜であって、前記エンドキャップの前記ハウジングから離れた表面を被覆するための本体部と、前記本体部を取り囲み、それぞれ前記本体部の一辺に接続され、且つ前記本体部の中心から離れるように延伸し、前記ハウジングへ折り曲げられて前記ハウジングの外側壁の少なくとも一部を被覆することができる複数の延伸部と、を含む第1の絶縁膜を提供するステップと、を含む電池セルの製造方法を提供する。
【0034】
第5の態様において、本願は、電池セルの電極組立体を収容するための第1の開口を有するハウジングを提供するための第1の提供モジュールと、前記第1の開口を覆うためのエンドキャップを提供するための第2の提供モジュールと、前記エンドキャップを絶縁保護するための第1の絶縁膜であって、前記エンドキャップの前記ハウジングから離れた表面を被覆するための本体部と、前記本体部を取り囲み、それぞれ前記本体部の一辺に接続され、且つ前記本体部の中心から離れるように延伸し、前記ハウジングへ折り曲げられて前記ハウジングの外側壁の少なくとも一部を被覆することができる複数の延伸部と、を含む第1の絶縁膜を提供するための第3の提供モジュールと、を備える電池セルの製造装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、本願の実施例で使用する必要のある図面を簡単に説明するが、明らかに、以下に説明される図面は、本願の幾つかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労働をすることなく、更に図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【
図1】本願の幾つかの実施例により提供される車両の構造模式図である。
【
図2】本願の幾つかの実施例により提供される電池の分解構造模式図である。
【
図3】本願の幾つかの実施例により提供される電池セルの構造模式図である。
【
図4】本願の幾つかの実施例により提供される電池セルの模式図である。
【
図5】本願の幾つかの実施例により提供される第1の絶縁膜の構造模式図である。
【
図6】本願の幾つかの実施例により提供される第1の絶縁膜で電池セルを被覆する場合の模式図である。
【
図7】
図5におけるM部分を拡大した構造模式図である。
【
図8】本願の幾つかの実施例により提供される別の電池セルの構造模式図である。
【
図9】本願の幾つかの実施例により提供される別の第1の絶縁膜の構造模式図である。
【
図10】本願の幾つかの実施例により提供される別の電池セルの構造模式図である。
【
図11】本願の幾つかの実施例により提供される電池セルの製造方法の模式的なフローチャートである。
【
図12】本願の幾つかの実施例により提供される電池セルの製造装置の模式的なブロック図である。
【0036】
図面部分において、図面は、実際の縮尺通りに描かれたものではない。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面及び実施例を参照しながら本願の実施形態を更に詳しく説明する。以下の実施例の詳細な説明及び図面は、本願の原理を例示的に説明するために用いられるが、本願の範囲を限定するためのものではなく、即ち、本願は、説明される実施例に限定されない。
【0038】
本願の説明において、説明すべきこととして、特に断らない限り、「複数」は、2つ以上を意味する。「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語で指示される方向又は位置関係は、単に本願を説明したり説明を簡略化したりしやすくするためであり、指される装置又は素子が必ず特定の方向を有し、特定の方向で構成・操作されることを指示又は示唆するものではないため、本願を限定するものとして理解すべきではない。また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、単に説明のためのものであり、相対的な重要性を指示又は示唆するものとして理解すべきではない。「垂直」は、厳しい意味での垂直ではなく、誤差許容範囲内にあるものである。「平行」は、厳しい意味での平行ではなく、誤差許容範囲内にあるものである。
【0039】
下記の説明における方向を示す用語は、いずれも図に示される方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。本願の説明において、更に説明すべきこととして、別途明確な規定及び限定がない限り、「取り付ける」、「繋がる」、「接続」という用語は、広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接接続であってもよく、中間媒体による間接接続であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて、本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0040】
本願の実施例において、同一の図面符号は、同一の部材を表し、また、簡潔のために、異なる実施例において、同一の部材に対する詳細な説明を省略する。図面に示される本願の実施例における各部材の厚さ、長さや幅などの寸法、及び集積装置の全体的な厚さ、長さや幅などの寸法は、例示的なものに過ぎず、本願に対して何らかの限定を加えるものではないことを理解されたい。
【0041】
本願において、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池などを含んでもよいが、本願の実施例では、これに対して限定しない。電池セルは、円柱体、扁平体、直方体又は他の形状などを呈してもよいが、本願の実施例では、これに対しても限定しない。電池セルは、一般的にパッケージング手法に従って、円筒形電池セル、角形電池セル及びソフトパック電池セルという3種類に分けられ、本願示の実施例では、これに対しても限定しない。
【0042】
本願の実施例において言及される電池は、より高い電圧と容量を提供するために1つ又は複数の電池セルを含む単一の物理的モジュールを指す。例えば、本願において言及される電池は、電池モジュール又は電池パックなどを含んでもよい。電池は、一般的に、1つ又は複数の電池セルをパッケージングするための筐体を含む。筐体によって、液体又はその他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えることを回避することができる。
【0043】
電池セルは、電極組立体及び電解液を含み、電極組立体は、正極板、負極板及びセパレータで構成される。電池セルは、主に金属イオンが正極板と負極板の間で移動することにより作動する。正極板は、正極集電体及び正極活物質層を含み、正極活物質層は、正極集電体の表面に塗布され、正極活物質層が塗布されていない正極集電体は、正極活物質層が塗布された正極集電体から突出し、正極活物質層が塗布されていない正極集電体を正極タブとする。リチウムイオン電池を例とし、正極集電体の材料は、アルミニウムであってもよく、正極活物質は、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極板は、負極集電体及び負極活物質層を含み、負極活物質層は、負極集電体の表面に塗布され、負極活物質層が塗布されていない負極集電体は、負極活物質層が塗布された負極集電体から突出し、負極活物質層が塗布されていない負極集電体を負極タブとする。負極集電体の材料は、銅であってもよく、負極活物質は、炭素又はシリコンなどであってもよい。溶断が発生することなく大電流を流すことを保証するために、正極タブの数は、複数であり、且つ積み重ねられ、負極タブの数は、複数であり、且つ積み重ねられる。セパレータの材質は、ポリプロピレン(polypropylene,PP)又はポリエチレン(polyethylene,PE)などであってもよい。また、電極組立体は、巻回型構造であってもよく、積層型構造であってもよく、本願の実施例は、これらに限定されない。
【0044】
電力に対する異なるニーズを満たすために、電池は、複数の電池セルを含むことができ、複数の電池セル同士は、直列接続又は並列接続又は直並列接続することができ、直並列接続は、直列接続と並列接続の混合を指す。選択的に、複数の電池セルがまず直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池モジュールを構成してから、複数の電池モジュールが直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池を構成することができる。つまり、複数の電池セルは、電池を直接構成してもよく、まず電池モジュールを構成してから、電池モジュールより電池を構成してもよい。電池は、電力消費機器に電気エネルギーを提供するために、更に電力消費機器に設けられる。
【0045】
電池技術の発展に際して、エネルギー密度、サイクル寿命、放電容量、充放電倍率などの性能パラメータなどの様々な設計要因を同時に考慮する必要があり、更に電池の安全性を考慮する必要もある。電池セルの安全性を向上させるために、通常、電池セルのケースに絶縁膜を包む必要がある。
【0046】
現在、電池セルのケースに絶縁膜を包む解決案としては、一般的に電池セルの外側壁を包む絶縁膜を電池セルのエンドキャップへ折り返し、更にエンドキャップを保護する絶縁膜を当該折り返された部分に接着し、エンドキャップを保護する絶縁膜を固定する。しかしながら、幅が狭い電池セル、又はエンドキャップに凸包を有する電池セルの場合、エンドキャップにおける電極端子又は凸包の縁が電池セルの縁に近いため、電池セルの外側壁の絶縁膜は、電池セルのエンドキャップへ折り返される時、エンドキャップに設けられた電極端子や防爆弁などの部材によって受け止められ、絶縁膜のフランジが反ることになる。同時に、絶縁膜が電池セルのエンドキャップへ折り返される時にエンドキャップに設けられた電極端子や防爆弁などの部材によって受け止められるため、エンドキャップにおける絶縁膜との接着に使用できる部分が比較的少なくなり、このようにエンドキャップにおける絶縁膜の脱落を引き起こしやすく、安全上のリスクをもたらす。
【0047】
以上に鑑み、本発明は、電池セルを提供し、当該電池セルのエンドキャップ上の第1の絶縁膜は、ハウジングの外側壁の一部を被覆するように電池セルのハウジングへ折り曲げ可能な延伸部を有する。本願により提供される実施例において、電池セルの外側壁における絶縁膜は、エンドキャップに折り返す必要がなく、電池セルのエンドキャップに設けられた電極端子や防爆弁などの部材によって干渉されず、良好な絶縁効果を実現し、絶縁膜の電池セルに対する絶縁保護を保証することができる。
【0048】
本願の実施例に記載の技術的解決手段は、いずれも電池を使用する様々な電力消費機器に適用される。電力消費機器は、車両、携帯電話、携帯型機器、ノートパソコン、船、宇宙航空機、電気玩具や電動工具などであってもよい。車両は、ガソリン自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、二次電池式電気自動車、ハイブリッド電気自動車や航続距離延長型電気自動車などであってもよく、宇宙航空機は、飛行機、ロケット、スペースシャトルや宇宙船などを含み、電気玩具は、ゲーム機、電気自動車玩具、電気推進船玩具や電気飛行機玩具などの固定型又は移動型の電気玩具を含み、電動工具は、電動ドリル、電動グラインダ、電動レンチ、電動ドライバ、電動ハンマー、電動インパクトドリル、コンクリート振動機や電動カンナなどの金属切削電動工具、研磨電動工具、装着電動工具及び鉄道用電動工具を含む。本願の実施例は、上記電力消費機器について特に限定しない。
【0049】
以下の実施例において、説明しやすくするために、電力消費機器が車両である場合を例として説明する。
【0050】
例えば、
図1に示すように、本願の一実施例の車両1の構造模式図であり、車両1は、ガソリン自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、二次電池式電気自動車、ハイブリッド電気自動車又は航続距離延長型電気自動車などであってもよい。車両1の内部には、モータ40、コントローラ30及び電池10を設けることができ、コントローラ30は、電池10がモータ40に給電するように制御するために用いられる。例えば、車両1の底部又は前部又は尾部に電池10を設けることができる。電池10は、車両1に給電するために用いることができ、例えば、電池10は、車両1の動作電源として、車両1の回路システムに用い、例えば、車両1の起動、ナビゲーション及び運転時の作動電力のニーズに用いることができる。本願の別の実施例において、電池10は、車両1の動作電源として用いることができるだけでなく、車両1の駆動電源として、燃料油又は天然ガスの代わりに、又はその一部の代わりに車両1に駆動動力を提供することもできる。
【0051】
電力使用時の異なるニーズを満たすために、電池は、複数の電池セルを含むことができ、複数の電池セルの間は、直列接続又は並列接続又は直並列接続することができ、直並列接続は、直列接続と並列接続の混合を指す。電池は、電池パックと呼ばれてもよい。選択的に、複数の電池セルがまず直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池モジュールを構成してから、複数の電池モジュールが直列接続又は並列接続又は直並列接続されて電池を構成することができる。つまり、複数の電池セルは、電池を直接構成してもよく、まず電池モジュールを構成してから、電池モジュールより電池を構成してもよい。
【0052】
例えば、
図2は、本願の一実施例の電池10の構造模式図を示し、電池10は、少なくとも1つの電池モジュール200を含むことができる。電池モジュール200は、複数の電池セル20を含む。電池10は、筐体11を更に含み、筐体11の内部は中空構造であり、複数の電池セル20は、筐体11内に収容される。
図2は、本願の実施例の筐体11の可能な実現形態を示し、
図2に示すように、筐体11は、2つの部分を含むことができ、ここでそれぞれ第1の部分111及び第2の部分112と呼び、第1の部分111と第2の部分112は、互いに係合される。第1の部分111及び第2の部分112の形状は、電池モジュール200を組み合わせた後の形状に応じて決定することができ、第1の部分111及び第2の部分112のうちの少なくとも1つは、1つの開口を有する。例えば、
図2に示すように、この第1の部分111及び第2の部分112は、いずれも中空直方体であってもよく、且つそれぞれ1つの面のみが開口面であり、第1の部分111の開口と第2の部分112の開口は、対向して設けられ、第1の部分111と第2の部分112は、互いに係合されて密閉チャンバを有する筐体11を形成する。
【0053】
また例えば、
図2に示すものと異なり、第1の部分111及び第2の部分112のうちの一方のみが開口を有する中空直方体であり、他方が、開口を覆うように板状であってもよい。例えば、ここで、第2の部分112が中空直方体であり、且つ1つの面のみが開口面であり、第1の部分111が板状である場合を例とすると、第1の部分111は、密閉チャンバを有する筐体11を形成するように第2の部分112の開口部を覆い、当該チャンバは、複数の電池セル20を収容するために用いることができる。複数の電池セル20は、互いに並列接続又は直列接続又は直並列接続されて組み合わせられた後に第1の部分111と第2の部分112が係合されて形成した筐体11内に置かれる。
【0054】
選択的に、電池10は、他の構造を更に含んでもよく、ここでは繰り返して説明しない。例えば、この電池10は、複数の電池セル20の間の電気的接続、例えば、並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現するためのバスバー部材を更に含んでもよい。具体的には、バスバー部材は、電池セル20の電極端子を接続することで電池セル20の間の電気的接続を実現することができる。更に、バスバー部材は、溶接によって電池セル20の電極端子に固定することができる。複数の電池セル20の電気エネルギーは、更に導電機構によって筐体11を通過して引き出すことができる。
【0055】
電力に対する異なるニーズに応じて、電池モジュール200における電池セル20の数は、任意の数値に設定されてもよい。複数の電池セル20は、直列接続、並列接続又は直並列接続されることにより、大きな容量又はパワーを実現することができる。各電池10に含まれる電池セル20の数が多い可能性があるため、取り付けを容易にするために、電池セル20をグループ分けして設け、各グループの電池セル20は、電池モジュール200を構成する。電池モジュール200に含まれる電池セル20の数は限られず、必要に応じて設定することができる。
【0056】
電池10は、複数の電池モジュール200を含むことができ、これらの電池モジュール200は、直列接続、並列接続又は直並列接続によって接続することができる。
【0057】
図3に示すように、本願の一実施例の電池セル20の構造模式図であり、電池セル20は、1つ又は複数の電極組立体22、ハウジング211及びエンドキャップ212を含む。ハウジング211及びエンドキャップ212は、ケース又は電池ボックス21を形成する。
【0058】
ハウジング211は、電極組立体22を収容するための部材であり、ハウジング211は、一端に開口が形成された中空構造であってもよく、ハウジング211は、対向する両端に開口が形成された中空構造であってもよい。ハウジング211が、一端に開口が形成された中空構造である場合、エンドキャップ212は、1つ設けることができ、ハウジング211が、対向する両端に開口が形成された中空構造である場合、エンドキャップ212は、2つ設けることができ、2つのエンドキャップ212は、それぞれハウジング211の両端の開口を覆う。ハウジング211は、例えば、銅、鉄、アルミニウム、鋼、アルミニウム合金などの様々な材質であってもよい。ハウジング211は、円柱体、直方体などの様々な形状であってもよい。ハウジング211は、1つ又は複数の電極組立体22を組み合わせた後の形状に応じて決定され、例えば、ハウジング211は、中空の直方体又は立方体又は円柱体であってもよく、且つハウジング211の一方の面は、1つ又は複数の電極組立体22をハウジング211内に置くことができるように開口を有する。例えば、ハウジング211が中空の直方体又は立方体である場合、ハウジング211の一方の平面は、開口面であり、即ち、当該平面は、壁体を有さないことでハウジング211の内外を連通させる。ハウジング211が中空の円柱体であり得る場合、ハウジング211の端面は、開口面であり、即ち、当該端面は、壁体を有さないことでハウジング211の内外を連通させる。エンドキャップ212は、電極組立体22を置くための密閉チャンバを形成するように、開口を覆うとともに、ハウジング211に接続される。例示的に、
図3において、ハウジング211は、直方体構造であり、ハウジング211は、一端に開口が形成された中空構造である。ハウジング211の壁及びエンドキャップ212は、いずれも電池セル20の壁と呼ばれ、直方体の電池セル20の場合、ハウジング211の壁は、底壁及び4つの側壁を含む。ハウジング211内に、電解質、例えば電解液が充填されている。
【0059】
エンドキャップ212は、電池セル20の内部環境を外部環境から隔離するようにハウジング211の開口を覆う部材である。エンドキャップ212の形状は、ハウジング211の形状に適合することができ、
図3に示すように、ハウジング211は、直方体構造であり、エンドキャップ212は、ハウジング211に適合する矩形板状構造である。エンドキャップ212は、例えば銅、鉄、アルミニウム、鋼、アルミニウム合金などの様々な材質であってもよく、エンドキャップ212の材質とハウジング211の材質は同じであってもよく、異なってもよい。
【0060】
当該電池セル20は、2つの電極端子214を更に含んでもよく、2つの電極端子214は、エンドキャップ212に設けられてもよい。2つの電極端子214は、エンドキャップ212の位置する平面に固定され、2つの電極端子214は、それぞれ正電極端子214a及び負電極端子214bである。各電極端子214にそれぞれ1つの接続部材23が対応して設けられ、この接続部材23は、集電部材23と呼ばれてもよく、エンドキャップ212と電極組立体22の間に位置し、電極組立体22と電極端子214の電気的接続を実現するために用いられる。
【0061】
電極組立体は、電池セル20において電気化学反応が発生する部材である。電極組立体22は、円柱体、直方体などであってもよく、電極組立体22が円柱体構造である場合、ハウジング211は、円柱体構造であってもよく、電極組立体22が直方体構造である場合、ハウジング211は、直方体構造であってもよい。
図3に示すように、各電極組立体22は、第1のタブ221a及び第2のタブ222aを有する。第1のタブ221aと第2のタブ222aの極性は反対である。例えば、第1のタブ221aが正極タブである場合、第2のタブ222aは負極タブである。正極タブは、正極板の正極活物質層が塗布されていない部分を積層することで形成することができ、負極タブは、負極板の負極活物質層が塗布されていない部分を積層することで形成することができる。1つ又は複数の電極組立体22の第1のタブ221aは、1つの接続部材23を介して1つの電極端子に接続され、1つ又は複数の電極組立体22の第2のタブ222aは、別の接続部材23を介して別の電極端子に接続される。例えば、正極端子214aは、1つの接続部材23を介して正極タブに接続され、負極端子214bは、別の接続部材23を介して負極タブに接続される。
【0062】
この電池セル20において、実際の使用上のニーズに応じて、ハウジング211内の電極組立体22は、1つ設けられてもよく、複数設けられてもよい。例示的に、
図3に示すように、電池セル20内に4つの独立した電極組立体22が設けられている。
【0063】
電池セル20には、減圧機構213が更に設けられてもよい。減圧機構213は、電池セルの内部圧力又は温度が閾値に達した時に作動して内部圧力又は温度を放出するために用いられる。
【0064】
減圧機構213は、様々な可能な減圧構造であってもよく、本願の実施例では、これに対して限定しない。例えば、減圧機構213は、減圧機構213が設けられた電池セル20の内部温度が閾値に達した時に溶融できるように配置される感温減圧機構であってもよく、及び/又は、減圧機構213は、減圧機構213が設けられた電池セル20の内部気圧が閾値に達した時に破裂できるように配置される感圧減圧機構であってもよい。
【0065】
図3に示す電池セル20は、一例に過ぎず、実際の製造において、異なるニーズに応じて電池セル20の外形を変更することができる。
【0066】
電池セル20を絶縁保護するために、
図4に示すように、電池セル20の外部に絶縁膜25を設けることができる。
図4は、本願の幾つかの実施例により提供される電池セル20の模式図であり、
図4に示す電池セル20は、ハウジング211、エンドキャップ212及び第1の絶縁膜251を含む。ハウジング211は、電池セル20の電極組立体を収容するための第1の開口(図示せず)を有し、エンドキャップ212は、第1の開口を覆うために用いられ、第1の絶縁膜251は、エンドキャップ212を絶縁保護するために用いられ、第1の絶縁膜251は、エンドキャップ212のハウジング211から離れた表面を被覆するための本体部2511と、本体部2511を取り囲み、それぞれ本体部2511の一辺に接続され、且つ本体部2511の中心から離れるように延伸し、ハウジング211へ折り曲げられてハウジング211の外側壁の少なくとも一部を被覆することができる複数の延伸部2512と、を含む。
【0067】
理解と説明を容易にするために、本願の実施例において、直方体形状の電池セル20のみを例として説明し、本願の実施例は、多角柱形状の電池セル20にも適用され、エンドキャップ212の位置する平面が側壁に垂直でない電池セル20にも適用されることを理解されたい。
【0068】
ハウジング211は、中空構造であり、一端に第1の開口を有し、電池セル20の電極組立体を収容するための部材である。エンドキャップ212は、電池セル20の内部環境を外部環境から隔離するように第1の開口を覆うために用いられる。これに基づき、本願の実施例により提供される電池セル20は、第1の絶縁膜251を更に含む。
【0069】
第1の絶縁膜251は、本体部2511及び延伸部2512を含む。本体部2511とは、第1の絶縁膜251の、電池セル20のエンドキャップ212のハウジング211から離れた表面を被覆する部分を指し、延伸部2512とは、第1の絶縁膜251の、ハウジング211の外側壁を被覆する部分を指す。本体部2511の各辺のいずれにも1つの延伸部2512が接続されており、複数の延伸部2512は、本体部2511を取り囲む。
【0070】
本体部2511と複数の延伸部2512との接続箇所は、電池セル20のエンドキャップ212とハウジング211との接続箇所を被覆する。外側壁の異なる面を被覆する延伸部2512の間は、異なる面における延伸部2512が外側壁の異なる面の接続箇所で密に接続され、隙間のない絶縁膜を形成するように、互いに接触することができる。延伸部2512の間の相互接触とは、例えば、1つの延伸部2512の一辺がもう1つの延伸部2512の一辺に接続されることを指し、2つの延伸部2512の接続箇所は、2つの延伸部2512がそれぞれ被覆する外側壁の面の接続箇所であってもよい。
【0071】
図4において、幅の狭い電池セル20を例として説明し、幅の狭い電池セル20は、エンドキャップ212に設けられた電極端子214などの部材の縁と電池セル20の縁との距離が近いことを特徴とする。第1の絶縁膜251が電池セル20のエンドキャップ212及び外側壁の一部を同時に被覆することができるため、エンドキャップ212へ折り返された絶縁膜によって接着する必要がなく、電極端子214と電池セル20の縁の間の距離が近くても、絶縁膜のフランジに干渉する問題がなく、同時に接着面積が小さいことでエンドキャップ212における絶縁膜が脱落するという問題を回避することもできる。
【0072】
以下、幅の狭い電池セル20における第1の絶縁膜251を例とし、
図5を参照しながらエンドキャップ212を被覆していない場合の第1の絶縁膜251の構造を説明する。
図5は、本願の幾つかの実施例により提供される第1の絶縁膜251の構造模式図である。
図5は、電池セル20が直方体形状である場合の第1の絶縁膜251の構造のみを示し、他の構造の電池セル20の第1の絶縁膜251は、電池セル20の具体的な形状に応じて柔軟に設けることができる。
【0073】
図5から分かるように、第1の絶縁膜251は、それぞれ本体部2511の一辺に接続される複数の延伸部2512を含む。各延伸部2512は、本体部2511に平行な方向に沿って本体部2511の中心から離れるように延伸する。例えば、
図5に示すように、各延伸部2512の延伸方向は、それと本体部2511の接続辺に垂直であってもよい。第1の絶縁膜251は、電池セル20を被覆する前に平面状態であり、即ち、本体部2511と延伸部2512とが位置する平面は、互いに平行である。組み立てプロセスにおいて、組み立て機械は、平面状態にある第1の絶縁膜251を電池セル20のエンドキャップ212に置き、
図6に示すように、更に延伸部2512を押し下げ、延伸部2512をハウジング211へ折り曲げることで、電池セル20の外側壁を被覆する。
図5及び
図6から分かるように、第1の絶縁膜251が電池セル20のエンドキャップ212を絶縁保護する前に、複数の延伸部2512の間は、互いに分離している。
【0074】
第1の絶縁膜251は、電池セル20のエンドキャップ212を絶縁保護するために用いられるため、延伸部2512が本体部2511の中心から離れるように延伸する距離は、実際のニーズに応じて設定することができる。例えば、延伸部2512は、折り曲げられた後に電池セル20の外側壁の一部のみを被覆してもよく、外側壁全体を被覆してもよい。
【0075】
延伸部2512を有する第1の絶縁膜251で電池セル20のエンドキャップ212を被覆することにより、第1の絶縁膜251を電池セル20のエンドキャップ212に密着させることができ、絶縁膜が電池セル20のエンドキャップ212に設けられた部材によって干渉されることでフランジが反るという問題を回避し、絶縁膜の電池セル20に対する絶縁保護を保証することができる。また、第1の絶縁膜251は、電池セル20のエンドキャップ212を被覆する前に、その延伸部2512と本体部2511が同一の平面にあり、組み立てる時に組み立て機械の積み重ね空間を節約することができ、即ち、組み立て機械において一度に数多くの第1の絶縁膜251を積み重ねることができ、生産効率を向上させる。延伸部2512と本体部2511が同一の平面にあるため、組立プロセスにおいて変形しにくく、微細な変形があっても、第1の絶縁膜251を押し下げるプロセスにおいてこの変形による影響を解消し、組み立て機械の位置決め精度に対する要求を下げることができ、電池セル20に対する絶縁保護を保証しながら生産効率を向上させることができる。
【0076】
本願の幾つかの実施例によれば、選択的に、第1の絶縁膜251は、電池セル20の電極端子214及び減圧機構213を避けるための第2の開口253を有する。
【0077】
第2の開口253は、第1の絶縁膜251の本体部2511における開口であり、第1の絶縁膜251の本体部2511を貫通する。第2の開口253の数と形状は、限定されず、エンドキャップ212における避ける必要のある部材に応じて設定することができる。例えば、エンドキャップ212に電極端子214及び減圧機構213が設けられた場合、第2の開口253を介して外部と接触できるように、各々の電極端子214及び減圧構造のために1つの第2の開口253を設けることができる。また、電極端子214及び減圧機構213がエンドキャップ212を占める形状と面積に応じて、第2の開口253の形状と大きさを適応的に設計することもできる。
図5及び
図6に示す第2の開口253は、一例に過ぎず、これに限定されない。
図6において、電池セル20のエンドキャップ212を被覆するプロセスにおける第1の絶縁膜251の状態を比較的直感的に示すために、第2の開口253のみを示しており、第2の開口253に対応する電極端子214及び減圧機構213を示していない。
【0078】
第1の絶縁膜251に第2の開口253を設けることにより、例えば電極端子214及び減圧機構213などの、電池セル20のエンドキャップ212に設けられた部材を正常に使用することができる。エンドキャップ212の部材が設けられていない部分が第1の絶縁膜251によって被覆されることができ、電池セル20に対する絶縁膜の絶縁保護が保証される。
【0079】
本願の幾つかの実施例によれば、選択的に、延伸部2512の厚さは、本体部2511の厚さよりも小さい。
【0080】
本体部2511の厚さ及び延伸部2512の厚さとは、対応する部分における膜自体の厚さを指す。
図7に示すように、
図7は、
図5におけるM部分を拡大した構造模式図であり、即ち、本願の実施例の第1の絶縁膜251におけるM部分である。
図7に示す本体部2511の厚さはL1であり、延伸部2512の厚さはL2である。
図7から分かるように、本体部2511の厚さL1は、延伸部2512の厚さL2よりも大きく、且つ本体部2511と延伸部2512との両者の接続箇所に段差構造が形成されている。延伸部2512がハウジング211へ折り曲げられた後、厚さの小さい延伸部2512は、ハウジング211の外側壁を被覆し、厚さの大きい本体部2511は、電池セル20のエンドキャップ212を被覆する。
【0081】
図7には、幅の狭い電池セル20における第1の絶縁膜251の本体部2511と延伸部2512の間の厚さの差のみが示され、他のタイプの電池セル20、例えばエンドキャップ212に電池セル20の内部から離れるように突出した部分を有する電池セル20では、本体部2511の厚さは、依然として膜自体の厚さを指し、第1の絶縁膜251において対応して設けられた凸部255が本体部2511から突出した高さを含まないことを理解されたい。
【0082】
本体部2511が一定の厚さを有することにより、第1の絶縁膜251の剛性を保証することができ、組み立て機械によって電池セル20のエンドキャップ212に組み立てられるプロセスにおいて変形することなくその本来の形状を維持し、第1の絶縁膜251の正確な取り付けを保証することができる。延伸部2512の厚さが本体部2511の厚さよりも小さいため、外側壁を絶縁保護すると同時に、電池の空間をできる限り少なく占めることができ、電池のエネルギー密度の向上に役立つ。
【0083】
本願の幾つかの実施例によれば、選択的に、本体部2511の厚さは0.3mm~0.5mmであり、延伸部2512の厚さは0.1mmである。
【0084】
本体部2511の厚さ及び延伸部2512の厚さとは、第1の絶縁膜251の異なる部分なりの厚さを指し、
図7に示すように、本体部2511の厚さはL1であり、延伸部2512の厚さはL2であり、即ち、L1の値は0.3mm~0.5mmであり、L2の値は0.1mmである。
【0085】
本体部2511の厚さの値が大き過ぎると、第1の絶縁膜251のエンドキャップ212での被覆高さを増加させ、エンドキャップ212に設けられた部材の正常な使用に影響を与えると同時に、第1の絶縁膜251の重量を増加させ、自動組み立てプロセスにおいて落ちるリスクがある。本体部2511の厚さの値が小さ過ぎると、第1の絶縁膜251の剛性が足りず、組み立てプロセスにおいて変形しやすく、組み立ての難易度を増加させる。従って、本体部の厚さの値が0.3mm~0.5mmに設定されることにより、エンドキャップ212における部材の正常な使用を保証することができるだけでなく、組み立てやすくなる。
【0086】
延伸部2512の厚さの値が大き過ぎると、電池の空間を占め、電池のエネルギー密度の向上に不利である。値が小さ過ぎると、第1の絶縁膜251の生産に不利であり、また、電池セル20に対する絶縁保護を保証しにくい。従って、延伸部2512の厚さが0.1mmに設定されることにより、電池セル20に対する絶縁保護を実現することができるだけでなく、空間を過度に占めることを回避することもでき、電池のエネルギー密度の向上に役立つ。
【0087】
本願の幾つかの実施例によれば、選択的に、延伸部2512と本体部2511との接続箇所に補強リブ254が設けられている。
【0088】
第1の絶縁膜251自体は、厚さが小さい膜であるため、過大な外力を受けるか又はエンドキャップ212と溶接箇所に溶融ビード、バリなどが存在する場合、破壊されて絶縁故障を引き起こしやすい。また、本体部2511と延伸部2512の間に厚さの差がある場合、延伸部2512も折り曲げプロセスにおいて本体部2511との接続箇所から破断しやすく、第1の絶縁膜251のエンドキャップ212に対する絶縁保護を保証することができない。従って、
図7に示すように、延伸部2512と本体部2511との接続箇所に補強リブ254を設けることができ、その形状と数は、必要に応じて設定することができる。延伸部2512と本体部2511の間に厚さの差がある場合、補強リブ254は、延伸部2512と本体部2511の間に形成された段差構造に設けられてもよい。補強リブ254が設けられた第1の絶縁膜251の延伸部2512は、折り曲げられる時、補強リブ254の縁に沿って電池セル20のハウジング211へ折り曲げられることができる。
【0089】
延伸部2512と本体部2511との接続箇所に補強リブ254を設けることにより、第1の絶縁膜251の強度を向上させ、第1の絶縁膜251が損傷されて絶縁故障を引き起こすことを回避し、第1の絶縁膜251の電池セル20に対する絶縁保護を保証することができる。
【0090】
本願の幾つかの実施例によれば、選択的に、本体部2511は、凸部255を有し、凸部255は、キャビティ構造を形成するように、本体部2511の電池セル20から離れた側に本体部2511から突出し、電池セル20に向かう側に本体部2511に窪み、キャビティ構造は、エンドキャップ212の電池セル20の内部から離れるように突出した部分を収容するために用いられる。
【0091】
図8は、本願の幾つかの実施例により提供される別の電池セル20の構造模式図であり、エンドキャップ212に凸包を有する電池セル20を示す。
【0092】
エンドキャップ212に凸包を有する電池セル20では、第1の絶縁膜251の本体部2511は、形状と大きさが電池セル20における凸包の形状と大きさに適合する凸部255を有してもよい。具体的には、凸部255は、本体部2511の電池セル20から離れた側に本体部2511から突出し、電池セル20に向かう側に本体部2511に窪み、即ち、本体部2511にある凸部255は、電池セル20に向かう側にキャビティ構造を形成することができ、当該キャビティ構造は、電池セル20にある凸包を収容するために用いることができる。凸包に電極端子214や防爆弁などの部材が設けられてもよく、それに応じて、凸部255には、エンドキャップ212にある電極端子214や防爆弁などの部材を避けるために、第2の開口253を有してもよい。
【0093】
図9は、本願の幾つかの実施例により提供される別の第1の絶縁膜251の構造模式図であり、エンドキャップ212を被覆していない場合の当該第1の絶縁膜251の構造を示す。
図9に示す第1の絶縁膜251の各延伸部2512は、それぞれ本体部2511の一辺に接続され、電池セル20のエンドキャップ212及び外側壁の少なくとも一部を被覆していない時、各延伸部2512の間は、互いに分離している。
【0094】
第1の絶縁膜251が凸部255を有することにより、エンドキャップ212に凸包を有する電池セル20を適応的に絶縁保護し、エンドキャップ212の電池セル20の内部から離れるように突出した部分が絶縁膜に干渉することを回避し、絶縁膜の接着不良による絶縁故障の問題を回避し、絶縁膜の電池セル20に対する絶縁保護を保証し、電池セル20の安全性能を向上させることができる。
【0095】
本願の幾つかの実施例によれば、選択的に、電池セル20のエンドキャップ212から突出した部分の縁は、面取り構造を有し、キャビティ構造の縁は、面取り構造に適合する遷移構造を有する。
【0096】
図8及び
図9を例として説明する。
図8及び
図9に示す電池セル20のエンドキャップ212から突出した部分は、直方体形状であり、当該直方体の縁は、面取り構造を有することができる。それに応じて、電池セル20のエンドキャップ212から突出した部分に適合するために、第1の絶縁膜251の凸部255も直方体状であり、且つキャビティ構造の縁には、面取り構造に適合する遷移構造を有することができる。例えば、キャビティ構造における面取り構造の縁を被覆する部分は、遷移構造を有する。
【0097】
電池セル20のエンドキャップ212から突出した部分の縁に面取り構造を設けることにより、エンドキャップ212の交差する2つの面の間の遷移をより自然にすることができ、第1の絶縁膜251の組み立てプロセスにおいて、組み立て機械が第1の絶縁膜251と電池セル20のエンドキャップ212を位置合わせする時の精度要求を下げることができ、僅かな差があっても、面取り構造によって正確な位置に案内することができる。また、第1の絶縁膜251のキャビティ構造は、面取り構造に適合する遷移構造を有するため、第1の絶縁膜251を電池セル20のエンドキャップ212から突出した部分に密着させ、角部における絶縁膜の緩みを回避し、絶縁膜の電池セル20に対する絶縁保護を保証することができる。
【0098】
本願の幾つかの実施例によれば、選択的に、本体部2511と延伸部2512は、同じ材料であり、且つ一体成形構造である。
【0099】
本体部2511と延伸部2512は、例えばポリプロピレン(Polypropylene,PP)材質などの同じ材料であってもよいため、一体成形により第1の絶縁膜251を製造することができる。第1の絶縁膜251の製造プロセスにおいて、金型に対応する構造を設けることにより、一体成形により本体部2511と延伸部2512を同時に形成することができる。また、延伸部2512と本体部2511との接続箇所に補強リブ254が設けられている場合、補強リブ254は、同じ材料であってもよく、金型に補強リブ254に対応する構造を設け、同様に一体成形により第1の絶縁膜251全体を形成してもよい。
【0100】
本体部2511と延伸部2512が、同じ材料であり、且つ一体成形構造であることにより、本体部2511と延伸部2512の間を一貫して接続することができ、別途の方法で接続する必要がなく、このように第1の絶縁膜251自体に欠陥が発生する可能性を低減させ、本体部2511と延伸部2512の電池セル20に対する絶縁保護を保証することができる。
【0101】
本願の幾つかの実施例によれば、選択的に、第1の絶縁膜251の電池セル20に向かう側には、第1の絶縁膜251を電池セル20に接着するための接着材が設けられている。
【0102】
接着材は、粘性を有する材料であってもよく、第1の絶縁膜251の電池セル20に向かう側の表面に塗布される。例えば、接着材は、裏打ちゴムであってもよい。組み立てプロセスにおいて、組み立て機械は、第1の絶縁膜251の本体部2511を押し下げ、接着材によってそれを電池セル20のエンドキャップ212に密着させることができる。同様に、延伸部2512は、押し下げられてから電池セル20のハウジング211へ折り曲げられ、延伸部2512の電池セル20に向かう側の接着材は、折り曲げられてから電池セル20の外側壁に接着され、このように第1の絶縁膜251を電池セル20に接着することができる。
【0103】
第1の絶縁膜251の電池セル20に向かう側に接着材を設けることにより、第1の絶縁膜251が電池セル20に密着して脱落しにくく、第1の絶縁膜251が電池セル20のエンドキャップ212に対して絶縁保護の役割を果たすことを保証することができる。
【0104】
本願の幾つかの実施例によれば、選択的に、本体部2511は四角形であり、複数の延伸部2512の数は4つである。
【0105】
絶縁保護を必要とする電池セル20の形状が四角柱である場合、第1の絶縁膜251の本体部2511の形状は、四角形であってもよく、四角形の各辺のいずれにも1つの延伸部2512が接続されているため、複数の延伸部2512の数は4つである。
【0106】
本体部2511が四角形であり、複数の延伸部2512の数が4つであることにより、本体部2511が電池セル20のエンドキャップ212を完全に被覆することを保証することができ、また、延伸部2512が折り曲げられた後に各外側壁の少なくとも一部を被覆することができ、それにより、エンドキャップ212と側壁の接続箇所が全て第1の絶縁膜251によって被覆することができ、絶縁膜の電池セル20に対する絶縁保護を保証する。
【0107】
本願の幾つかの実施例によれば、選択的に、電池セル20は、ハウジング211を包み、その延伸部2512に向かう縁が、ハウジング211とエンドキャップ212が交差する縁を超えず、電池セル20のハウジング211を絶縁保護するための第2の絶縁膜252を更に含む。
【0108】
図10に示す電池セル20を例として説明する。
図10は、本願の幾つかの実施例により提供される別の電池セル20の構造模式図である。
図10における電池セル20は、電池セル20のハウジング211の外面を包み、電池セル20のハウジング211を絶縁保護するための第2の絶縁膜252を更に含む。第1の絶縁膜251が電池セル20のエンドキャップ212を絶縁保護する時に、第1の絶縁膜251の延伸部2512は、ハウジング211へ折り曲げられてハウジング211の外側壁の少なくとも一部を被覆することができるため、第2の絶縁膜252は、ハウジング211を被覆する時にハウジング211の外側壁全体を被覆する必要がない。また、本願の実施例において、側壁上の第2の絶縁膜252をエンドキャップ212へ折り返す必要もなく、第2の絶縁膜252の延伸部2512に向かう縁は、ハウジング211とエンドキャップ212が交差する縁を超える必要もない。従って、本願の実施例により提供される電池セル20において、第2の絶縁膜252は、第1の絶縁膜251の延伸部2512と重なり合ってもよく、第1の絶縁膜251の延伸部2512との間に一定の間隔を有してもよく、第2の絶縁膜252の延伸部2512に向かう縁が延伸部2512のエッジと重なり合ってもよい。
【0109】
説明の便宜上、
図10に示す第2の絶縁膜252と電池セル20のハウジング211の間に一定の隙間を有し、実際には、第2の絶縁膜252は、ハウジング211に密着し、例えば、接着材によって第2の絶縁膜252を電池セル20のハウジング211に接着することができる。
【0110】
第2の絶縁膜252は、電池セル20のハウジング211に対して絶縁保護の役割を果たすことができ、また、第2の絶縁膜252をエンドキャップ212へ折り返す必要がなく、エンドキャップ212における電極端子214などの部材、又はエンドキャップ212における突出構造によるフランジへの干渉を効果的に回避しながら、絶縁膜の脱落を回避することができ、絶縁膜の電池セル20に対する絶縁保護を保証することができる。
【0111】
本願の幾つかの実施例によれば、選択的に、第2の絶縁膜252の延伸部2512に向かう縁は、延伸部2512の縁に接続される。
【0112】
可能な実施例において、第2の絶縁膜252と第1の絶縁膜251の延伸部2512との間には、重なりも隙間もなく、即ち、第2の絶縁膜252の延伸部2512に向かう縁は、第1の絶縁膜251の延伸部2512の縁に接続することができる。第1の絶縁膜251の延伸部2512は、電池セル20のハウジング211の一部を被覆し、第2の絶縁膜252は、ハウジング211の残りの部分を被覆し、即ち、第1の絶縁膜251の延伸部2512及び第2の絶縁膜252は、ちょうど電池セル20のハウジング211全体を被覆することができる。
【0113】
第2の絶縁膜252の延伸部2512に向かう縁が延伸部2512の縁に接続されることにより、電池セル20のハウジング211に、絶縁膜の重なり部分も、絶縁膜によって被覆されていない部分もないようにすることができる。このように電池セル20を絶縁保護すると同時に、防水作用をある程度果たすことができ、また、電池セル20のケースにおける空間が重なり部分によって占められないようにすることができ、電池密度の向上に役立つ。
【0114】
本願の幾つかの実施例によれば、本願は、上記実施例における電池セル20と、電池セル20を収容する筐体と、を含む電池を提供する。
【0115】
本願の幾つかの実施例によれば、本願は、電気エネルギーを提供するための以上のいずれか一項に記載の電池を含む電力消費機器を更に提供する。
【0116】
以上、本願の実施例により提供される電池セル20、電池及び電力消費機器を説明したが、以下、
図11及び
図12を参照しながら本願の実施例により提供される電池セル20の製造方法及び装置を説明し、詳細に説明されない部分は、前述した各実施例を参照することができる。
【0117】
図11は、本願の幾つかの実施例により提供される電池セル20の製造方法1100の模式的フローチャートである。
図11に示すように、当該方法1100は、以下のステップ1101~1103を含むことができる。
1101において、電池セル20の電極組立体を収容するための第1の開口を有するハウジング211を提供する。
1102において、第1の開口を覆うためのエンドキャップ212を提供する。
1103において、エンドキャップ212を絶縁保護するための第1の絶縁膜251であって、エンドキャップ212のハウジング211から離れた表面を被覆するための本体部2511と、本体部2511を取り囲み、それぞれ本体部2511の一辺に接続され、且つ本体部2511の中心から離れるように延伸し、ハウジング211へ折り曲げられてハウジング211の外側壁の少なくとも一部を被覆することができる複数の延伸部2512と、を含む第1の絶縁膜251を提供する。
【0118】
図12は、本願の幾つかの実施例により提供される電池セル20の製造装置の模式的ブロック図である。
図12に示すように、当該装置1200は、
電池セル20の電極組立体を収容するための第1の開口を有するハウジング211を提供するための第1の提供モジュール1201と、
第1の開口を覆うためのエンドキャップ212を提供するための第2の提供モジュール1202と、
エンドキャップ212を絶縁保護するための第1の絶縁膜251であって、エンドキャップ212のハウジング211から離れた表面を被覆するための本体部2511と、本体部2511を取り囲み、それぞれ本体部2511の一辺に接続され、且つ本体部2511の中心から離れるように延伸し、ハウジング211へ折り曲げられてハウジング211の外側壁の少なくとも一部を被覆することができる複数の延伸部2512と、を含む第1の絶縁膜251を提供するための第3の提供モジュール1203と、を備えることができる。
【0119】
好ましい実施例を参照しながら本願を説明したが、本願の範囲から逸脱することなく、それに対して様々な改良を行うことができ、且つ等価物でその中の部材を置換することができる。特に、構造が衝突しない限り、各実施例において言及された各技術的特徴は、いずれも任意の形で組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲内にある全ての技術的解決手段を含むものとする。
【国際調査報告】