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特表2024-535033歯切り加工する装置、工具ヘッド及び歯切盤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】歯切り加工する装置、工具ヘッド及び歯切盤
(51)【国際特許分類】
   B23F 23/12 20060101AFI20240918BHJP
   B23F 21/02 20060101ALI20240918BHJP
   B23B 31/40 20060101ALI20240918BHJP
   B23B 31/30 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
B23F23/12
B23F21/02
B23B31/40
B23B31/30 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516574
(86)(22)【出願日】2022-09-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 EP2022074477
(87)【国際公開番号】W WO2023041352
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】070280/2021
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599172531
【氏名又は名称】ライシャウァー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムラー,ミヒェル
【テーマコード(参考)】
3C025
3C032
【Fターム(参考)】
3C025HH10
3C032KK12
3C032MM02
(57)【要約】
回転加工工具150を使用して歯切り加工する装置100が開示されている。本装置は、駆動モーター134と、駆動モーター134によって駆動可能であり、加工工具150を駆動することができるモータースピンドルシャフト133とを有するモータースピンドル130を有する。本装置は、工具ヘッドのワークスピンドルに本装置を解放可能に取り付けるための、取り付け構造120を更に有する。取り付け構造120は、本装置が工具ヘッドのワークスピンドルに取り付けられたときに、工具軸Bがワークスピンドル軸と平行になるように設計されている。加工工具150をシンプルな態様でカウンター軸受140に接続することを可能にする装置も開示されている。この目的のため、カウンター軸受は中空シャフト143を有する。クランプマンドレル160は、クランプマンドレルの長軸に沿って異なる位置に配置された、第1のクランプ領域及び第2のクランプ領域を有する。クランプマンドレルは、工具軸に沿って中空シャフトを通って加工工具150の長手方向ボア156に導入される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部と第2の端部とを有する回転加工工具(150)を使用して歯車を加工する装置(100)であって、前記装置(100)は、
駆動モーター(134)と、前記駆動モーター(134)によって駆動可能なモータースピンドルシャフト(133)とを有する、モータースピンドル(130)を備え、前記モータースピンドル(130)は、工具軸(B)周りに前記モータースピンドルシャフト(133)の回転を発生させるように構成され、前記モータースピンドルシャフト(133)は、前記工具軸(B)周りに回転するように前記加工工具(150)を駆動するために、前記加工工具(150)にその前記第1の端部において接続されるように構成され、
前記装置は、工具ヘッド(200)のワークスピンドル(230)への解放可能な取り付けのための補助スピンドルユニットとして構成され、前記ワークスピンドル(230)は、ワークスピンドル軸(B´)周りにワークスピンドルシャフト(233)の回転を発生させて、前記加工工具(150)又は別の工具を前記ワークスピンドル軸周りに回転させるように駆動するように構成され、
前記装置(100)は、前記ワークスピンドル(230)に前記装置(100)を解放可能に取り付けるために構成された、取り付け構造(120)を備え、
前記モータースピンドル(130)は、前記取り付け構造(120)に接続され、
前記取り付け構造(120)は、前記装置(100)が前記工具ヘッド(200)の前記ワークスピンドル(230)に取り付けられたときに、前記工具軸(B)が前記ワークスピンドル軸(B´)と平行になるように構成されている
ことを特徴とする、前記装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置(100)であって、前記取り付け構造(120)は、前記ワークスピンドル(230)を包囲するように構成された、少なくとも部分的に環状の領域を備え、前記少なくとも部分的に環状の領域は、環軸(R)を画定し、前記環軸(R)は、前記工具軸(B)と平行である、前記装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置(100)であって、前記工具軸(B)周りの前記モータースピンドルシャフト(133)の回転位置を検出するための、回転測定システム(136)を更に備える、前記装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の装置(100)であって、前記加工工具(150)をその前記第2の端部において回転可能に支持するように構成されたカウンター軸受(140)を更に備える、前記装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置(100)であって、前記モータースピンドル(130)及び前記カウンター軸受(140)は、前記取り付け構造(120)に堅固に接続されている、前記装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の装置(100)であって、
前記カウンター軸受(140)は、前記工具軸(B)周りに回転可能な中空シャフト(143)を備え、
前記装置(100)は、長軸(L)を画定するマンドレル(160)を備え、
前記マンドレル(160)は、前記マンドレル(160)の前記長軸(L)に沿って異なる位置に配置された、第1のクランプ領域(160a)及び第2のクランプ領域(160b)を備え、
前記マンドレル(160)は、前記第1のクランプ領域(160a)が前記カウンター軸受(140)の前記中空シャフト(143)とクランプ接続することが可能であるとともに、前記第2のクランプ領域(160b)が前記カウンター軸受(140)内で前記加工工具(150)を支持するように前記加工工具(150)とクランプ接続することが可能であるように、前記工具軸(B)に沿って前記中空シャフト(143)を通って前記加工工具(150)の長手方向ボア(156)に挿入可能である、
前記装置。
【請求項7】
第1の端部と第2の端部とを有する回転加工工具(150)を使用して歯車を加工する装置(100;200)であって、前記装置(100;200)は、
駆動モーター(134;234)と、前記駆動モーター(134;234)によって駆動可能なモータースピンドルシャフト(133;233)とを有するモータースピンドル(130;230)であって、前記モータースピンドルシャフト(133;233)は、工具軸(B)周りに回転するように前記加工工具(150)を駆動するために、前記加工工具(150)にその前記第1の端部において接続されるように構成された、モータースピンドル(130;230)と、
前記加工工具(150)をその第2の端部において回転可能に支持するように構成された、カウンター軸受(140;240)と、
を備え、
前記カウンター軸受(140;240)は、前記工具軸(B)周りに回転可能な中空シャフト(143;243)を備え、
前記装置(100;200)は、長軸(L)を画定するマンドレル(160)を備え、
前記マンドレル(160)は、前記マンドレル(160)の前記長軸(L)に沿って異なる位置に配置された、第1のクランプ領域(160a)及び第2のクランプ領域(160b)を備え、
前記マンドレル(160)は、前記第1のクランプ領域(160a)が前記カウンター軸受(140;240)の前記中空シャフト(143;243)とクランプ接続することが可能であるとともに、前記第2のクランプ領域(160b)が前記カウンター軸受(140;240)内で前記加工工具(150)を支持するように前記加工工具(150)とクランプ接続することが可能であるように、前記工具軸(B)に沿って前記中空シャフト(143;243)を通って前記加工工具(150)の長手方向ボア(156)に挿入可能である、
ことを特徴とする、前記装置。
【請求項8】
前記第1のクランプ領域(160a)及び/又は前記第2のクランプ領域(160b)は、径方向外側に配向されたクランプ接続を確立するように構成されている、請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のクランプ領域(160a)及び/又は前記第2のクランプ領域(160b)における前記マンドレル(160)は、油圧拡張式マンドレルとして構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、前記油圧拡張式マンドレルに外部油圧を加えるために、前記カウンター軸受(140;240)の領域において油圧転回入口(245)を備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のクランプ接続及び前記第2のクランプ接続が解放された状態で、前記工具軸(B)に沿って前記加工工具(150)の前記長手方向ボアに前記マンドレル(160)を自動的に挿入し、前記マンドレル(160)を再び前記長手方向ボアから取り外すように構成された、アクチュエータ(250)を更に備える、請求項6~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の装置(100)であって、前記加工工具(150)を更に備え、前記加工工具(150)の前記第1の端部は、前記工具軸(B)周りの回転のために前記加工工具(150)を駆動するために、前記モータースピンドルシャフト(133)に接続されている、前記装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置(100)であって、前記加工工具(150)は、創成法による加工のための工具、特に研削ウォームを含む、前記装置。
【請求項14】
工具ヘッド(200)であって、
ワークスピンドル(230)と、
請求項1~6のいずれか一項に記載の装置と、
を備え、
前記取り付け構造(120)は、前記工具軸(B)が前記ワークスピンドル軸(B´)と平行になるように前記ワークスピンドル(230)に接続されている、
前記工具ヘッド。
【請求項15】
基体(210)と、
前記基体(210)に対してシフト方向(Y)に沿って変位可能な、シフトスライド(220)と、
を更に備え、
前記ワークスピンドル(230)は、前記シフトスライド(220)に配設されている、請求項14に記載の工具ヘッド。
【請求項16】
歯切盤であって、
請求項1~13のいずれか一項に記載の装置と、
ワークピース軸(C)周りに回転するようにワークピース(41)を駆動するための、少なくとも1つのワークピーススピンドル(40)と、
機械コントローラー(50)と、
を備え、
前記機械コントローラー(50)は好ましくは、前記加工工具(150)の回転と前記ワークピース(41)の回転との間に転動結合を確立するように構成されている、
前記歯切盤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転加工工具を使用して歯車を加工する装置、これを装備した工具ヘッド、及びこれを装備した歯切盤に関する。
【背景技術】
【0002】
連続創成歯車研削においては、歯付きワークピースが回転する研削ウォームと創成係合(転動係合としても知られている)しながら加工される。研削ウォームは、ワークスピンドルを含む工具ヘッドに保持されている。一方の端部において、研削ウォームは、研削ウォームを回転するよう駆動するワークスピンドルに接続される。研削ウォームの他方の端部においては、カウンター軸受が設けられてもよい。しかしながら、特に直径に対して比較的短い研削ウォームの場合、カウンター軸受は省かれることが多い。このことは、研削ウォームを交換することをより容易かつ迅速にする。
【0003】
近年、電気駆動装置において使用される等の、小さいモジュールを有する歯車を加工する目的が、ますます頻繁に生じている。この目的のためには、比較的小さいが長い研削ウォームを使用することが有用となり得る。また、干渉形状が歯車の軸方向に隣接する歯車の加工のためには、小さな研削ウォームの直径が必要とされ得る。小さくて長い研削ウォームについては、片側軸受は不利であり、それゆえ研削ウォームは両方の端部で支持されるべきである。他の小さいが長い加工工具についても同様である。
【0004】
従来技術においては、加工工具が両方の端部で支持される工具ヘッドの多くの例がある。加工工具が両方の端部において支持されているという事実にもかかわらず、加工工具を交換することを可能とするために、従来技術においては、永続的に取り付けられた駆動スピンドルと、取り外し可能又は移動可能なカウンター軸受とを設けることが提案されている。移動可能なカウンター軸受を有する例は、特許文献1に記載されている。しかしながら、かかる解決方法は、カウンター軸受の位置決め精度及び工具ヘッドの剛性に関して、不利になる可能性がある。
【0005】
元々かなり大きな直径の、対応して大きなワークスピンドルを有し、適用可能である場合には同等に大きなカウンター軸受を有する、研削ウォーム専用に設計された歯切盤において、比較的小さな研削ウォームが使用されるべき場合には、更なる問題が生じる。このとき、ワークスピンドル又はカウンター軸受とワークピースとの衝突が生じ得る。また、かかる大型のワークスピンドルの工具インターフェースが小型の加工工具への接続に適していないこと、又はワークスピンドルが所望の速度に到達しないことが起こり得る。
【0006】
特許文献2は、ホビング工具用の工具ホルダーと、少なくとも5本の軸を有する万能ミリング装置のミリングヘッドに取り付けるための締結具とを含む装置を開示している。ギアボックスが、工作機械のワークスピンドルの回転運動をホビング工具に伝達して、ホビング工具を駆動する。このようにして、それ自体はホビング加工用に設計されたものではない既存の万能ミリング装置を、ホビング加工を実行するために使用することができる。しかしながら、この装置はいくつかの欠点を有する。例えば、ホビングは、ワークピースの回転との工具の回転の非常に正確な同調を必要とする。この要求は、ギアボックスでは満たすことが困難である。第2に、ホビング工具の回転軸は、ミリングヘッドの回転軸に対して垂直である。それゆえ、この配置は、従来の歯切盤における使用には適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願第0516596号
【特許文献2】欧州特許出願第2216118号
【発明の概要】
【0008】
第1の態様においては、本発明の目的は、比較的小型の加工工具、特に、研削ウォーム等の創成法(転動加工工具としても知られている)における使用のための加工工具が、工具ヘッドがかかる小型の加工工具を直接に受容するように設計されていない歯切盤において使用されることを可能とする装置を提供することにある。
【0009】
この目的は、請求項1の特徴を有する装置によって解決される。更なる実施形態は、従属請求項に定義されている。
【0010】
かくして、第1の端部と第2の端部とを有する回転加工工具を使用して歯車を加工する装置が開示される。本装置は、
駆動モーターと、駆動モーターによって駆動可能なモータースピンドルシャフトとを含むモータースピンドルであって、モータースピンドルは、工具軸周りにモータースピンドルシャフトの回転を発生させるように構成され、
モータースピンドルシャフトは、駆動モーターを使用して、工具軸周りに回転させるように加工工具を駆動するために、加工工具にその第1の端部において接続されるように構成される、モータースピンドルと、
工具ヘッドのワークスピンドルに本装置を解放可能に取り付けるための取り付け構造であって、ワークスピンドルは、ワークスピンドル軸周りにワークスピンドルシャフトの回転を発生させて、ワークスピンドル軸周りに回転するように工具を駆動するように構成され、
モータースピンドルは、取り付け構造に接続され、
取り付け構造は、本装置が工具ヘッドのワークスピンドルに取り付けられたときに、工具軸がワークスピンドル軸と平行になるように構成されている、取り付け構造と
を備える。
【0011】
工具ヘッドのワークスピンドルに接続されるのに適しており、加工工具を駆動するためにワークスピンドルとは別個に形成された従動シャフトを有する装置は、以下では「補助スピンドルユニット」とも呼ばれる。本発明による補助スピンドルユニットは、工具軸がワークスピンドル軸と平行になるように、工具ヘッドのワークスピンドルに接続されるように構成されるので、ワークピースの加工のために、加工工具がワークスピンドルに直接にクランプされる場合と本質的に同じ加工キネマティクスを使用することができる。独立したモータースピンドルを補助スピンドルユニットに備えることによって、ワークスピンドルの制限にかかわらず、加工工具を適切な速度で駆動することができる。これに加えて、加工工具が創成法による加工のための加工工具である場合、モータースピンドルの存在が、ギアボックス又は歯付きベルト駆動装置を介してワークスピンドルから駆動が提供される場合よりも、加工工具の回転運動とワークピースの回転運動との間の、より正確な同調を可能にする。
【0012】
ワークスピンドルへの補助スピンドルユニットの取り付けの後、工具軸がワークスピンドル軸と平行に延びることを確実にするために、取り付け構造が、ワークスピンドル(特に、ワークスピンドルのハウジング領域であって、このハウジング領域は、ワークスピンドルの工具インターフェースに隣接して配置されてもよい)を包囲するように構成された、少なくとも部分的に環状(すなわち部分的に環状又は完全に環状)の領域を有し、少なくとも部分的に環状の領域が、環軸(リング軸)を画定し、この環軸が、工具軸と平行に延びる場合、有利である。しかしながら、工具軸がワークスピンドル軸と平行であることを確実にする取り付け構造の他の設計、例えばハースセレーション、円弧歯、ゼロ点クランプシステム、又は補助スピンドルユニットとワークスピンドルとの間の円錐接続も可能である。したがって、補助スピンドルユニットがワークスピンドルに取り付けられた後に、工具軸がワークスピンドル軸と平行であることを確実にするための、取り付け構造の多くの様々な設計が可能である。
【0013】
特に、補助スピンドルユニットが創成法による加工のために使用される場合には、補助スピンドルユニットが、工具軸周りのスピンドルシャフトの回転位置(回転角度)を検出するための回転測定システムも有している場合、有利である。このようにして検出されたスピンドルシャフトの回転位置は、回転測定システムによって機械コントローラーに伝達されてもよく、該機械コントローラーは、転動結合を維持するために加工工具の回転運動とワークピースの回転運動との間の必要な同調を確立する。
【0014】
補助スピンドルユニットは、バランシングシステム、例えば単一平面又は二平面バランシングシステムを装備してもよい。しかしながら、補助スピンドルはまた、バランシングシステムなしで動作させられてもよい。
【0015】
補助スピンドルユニットは、その第2の端部において加工工具を回転可能に取り付けるように構成された、カウンター軸受を更に含んでもよい。このことは、補助スピンドルユニットを、直径に対して長い加工工具に特に適したものとする。
【0016】
補助スピンドルユニットの良好な剛性を確実にするために、モータースピンドル及びカウンター軸受が取り付け構造に堅固に接続されている場合、有利である。
【0017】
それにもかかわらず加工工具を容易に交換することを可能にするために、
カウンター軸受は、工具軸周りに回転させることができる中空シャフトを有し、
本装置は、長軸を画定するマンドレル(アーバーとも称される)を有し、
マンドレルは、マンドレルの長軸に沿って異なる位置に配置された、第1のクランプ領域及び第2のクランプ領域を有し、
マンドレルは、第1のクランプ領域がカウンター軸受の中空シャフトとクランプ接続することが可能であるとともに、第2のクランプ領域が加工工具とクランプ接続して、それによりカウンター軸受において加工工具を支持することが可能であるように、工具軸に沿って中空シャフトを通って加工工具の長手方向ボアに挿入可能である
設計が、特に有利である。
【0018】
この設計によれば、クランプ接続を緩め、カウンター軸受の中空シャフト中のマンドレルを加工工具から後退させ、かくして加工工具の容易な取り外しを可能とすることによって、加工工具を容易に交換することができる。同時に、マンドレルの使用は、加工工具とカウンター軸受との間の特に曲げに強い接続を可能とする。
【0019】
かかる設計は、補助スピンドルユニットにおいて有利であるのみならず、補助スピンドルユニットのない工具ヘッドにおいても採用することができる。この点に関して、本発明はまた、より概括的な用語では、第1の端部と第2の端部とを有する回転加工工具を使用して歯車を加工する装置であって、
駆動モーターと、駆動モーターによって駆動可能なモータースピンドルシャフトとを有し、工具軸周りに回転するように加工工具を駆動するために、加工工具にその第1の端部において接続されるように構成されている、モータースピンドルと、
転動工具をその第2の端部で回転可能に取り付けるように構成されたカウンター軸受であって、カウンター軸受は、工具軸周りに回転可能な中空シャフトを含む、カウンター軸受と、
長軸を画定するマンドレルと、
を備え、
マンドレルは、マンドレルの長軸に沿って異なる位置に配置された、第1のクランプ領域及び第2のクランプ領域を有し、
マンドレルは、第1のクランプ領域がカウンター軸受の中空シャフトとクランプ接続することが可能であるとともに、第2のクランプ部分が加工工具とクランプ接続して、それによって加工工具をカウンター軸受において支持することが可能であるように、工具軸に沿って中空シャフトを通って加工工具の長手方向ボアに挿入可能である
装置を提供する。
【0020】
この装置は、実際の工具ヘッドとして設計することができ、又は以上に説明されたように、補助スピンドルユニットとして設計することもできる。本装置が工具ヘッドとして設計されている場合、前述したモータースピンドルは、工具ヘッドのワークスピンドルである。該スピンドルはこのとき、カウンター軸受と共にキャリアに取り付けられてもよい。特に、ワークスピンドル及びカウンター軸受の両方が、キャリアに堅固に取り付けられてもよい。特に、キャリアはシフトスライドとして設計されてもよく、このときシフトスライドは基体において変位可能に配設される。基体は、旋回するように歯切盤の工具キャリアに取り付けられる旋回体として設計されてもよい。
【0021】
装置が実際の工具ヘッドとして構成されているか、補助スピンドルユニットとして構成されているかにかかわらず、マンドレルは、径方向外向きに作用するクランプ力によって、2つのクランプ領域のうちの少なくとも一方において圧力嵌めでクランプ接続を行うように構成されてもよい。圧力嵌めされた径方向に作用する接続は、全ての部品の長さ公差を補償する。異なる加工工具が取り付けられた場合、これらの加工工具のマウントフランジの間の長さの違いは、このシステムでは重要とはならない。純粋に径方向に作用する圧力嵌め接続は、軸方向及び径方向に接続を確実にし、望ましくない軸方向の歪みを導かない。
【0022】
2つのクランプ領域は、同一の外径を有してもよいし、又は異なる外径を有してもよい。特に、カウンター軸受の中空シャフトへの接続のための第1のクランプ領域の外径は、加工工具への接続のための第2のクランプ領域の外径よりも大きくてもよい。
【0023】
カウンター軸受は、駆動部を有さなくてもよいし、又は、第2のモータースピンドルの一部であってもよく、これによって加工工具を両方の側において駆動することができてもよい。
【0024】
有利な実施形態においては、マンドレルは、2つのクランプ領域のうちの少なくとも一方において、油圧拡張式マンドレルとして作用する。油圧拡張式マンドレルとしてのクランプ領域のうちの少なくとも一方における設計は、特にシンプルな態様で、加工工具とカウンター軸受との間の安定した接続を可能とする。油圧拡張式マンドレルの機能原理は、それ自体が従来技術から知られている。特に、油圧拡張式マンドレルは、少なくとも1つのクランプチャンバ、好ましくは長手方向及び/又は円周方向に径方向外側に分散させられた複数のクランプチャンバを画成する、少なくとも1つの拡張スリーブを含む。クランプチャンバは油圧的に加圧することができ、これによって拡張スリーブは関連するクランプ領域において径方向外向きに拡張させられ、径方向外向きに作用するクランプ力を発生させる。好ましくは、関連するクランプ領域は、軸方向に離隔された2つのクランプ点を有し、そのそれぞれにおいて、少なくとも1つのクランプチャンバが配設される。このようにして、最適な曲げ剛性を達成することができる。
【0025】
好ましくは、マンドレルは、両方のクランプ領域において油圧拡張式マンドレルとして作用する。この目的のために、好ましくは、1つ以上の加圧可能なクランプチャンバが、2つのクランプ領域のそれぞれに備えられる。
【0026】
しかしながら、油圧拡張式マンドレルの代わりに、マンドレルを機械式マンドレルとして設計することもできる。また、第1のクランプ領域においては油圧拡張式マンドレルとして設計され、第2のクランプ領域においては機械式マンドレルとして設計される、又はその逆のマンドレルを使用することも可能である。
【0027】
マンドレルが2つのクランプ領域のうちの少なくとも一方において機械式マンドレルとして設計されている場合、マンドレルは、油圧拡張式マンドレルと同様に、機械的作用によって径方向に拡張させることができるクランプスリーブを、2つのクランプ領域のうちの少なくとも一方に有してもよい。しかしながら、機械式マンドレルが、別の方法で、例えば中空シャンクテーパー接続のためのそれ自体が知られているクランプ設定によって、対象となるクランプ領域においてクランプ接続を発生させるように設計されることも可能である。このようにして発生させられるクランプ力は、必ずしも径方向外向きに作用する必要はない。
【0028】
マンドレルが少なくとも一方のクランプ領域において油圧拡張式マンドレルとして設計されている場合、クランプ接続が生成される油圧を油圧拡張式マンドレルに発生させるために、油圧拡張式マンドレルは、機械的又は油圧的に作動させられてもよい。油圧拡張式マンドレルが油圧的に作動させられる場合、本装置は、油圧拡張式マンドレルに外部油圧を加えるために、カウンター軸受の領域において油圧転回入口を含んでもよい。このようにして、クランプ接続は、外部的に制御された態様で行うこと及び解放することができる。特に、このことは自動化された工具交換を容易化する。
【0029】
工具交換を更に容易化するために、本装置は、第1のクランプ接続及び第2のクランプ接続が解放された状態で、工具軸に沿って加工工具の長手方向ボアにマンドレルを自動的に挿入し、該マンドレルを再び長手方向ボアから取り外すように構成された、アクチュエータを有してもよい。アクチュエータは、例えば油圧アクチュエータ、空気圧アクチュエータ又は電気アクチュエータであってもよい。
【0030】
当然ながら、本装置は、加工工具を更に備えてもよい。特に、加工工具は、創成法による加工のための加工工具、特に研削ウォーム又は歯車ホブを含んでもよい。このとき、加工工具は好ましくは、ワークスピンドルの代わりにモータースピンドルに取り付けられ、すなわちこのとき、加工工具の第1の端部は、加工工具を駆動して工具軸周りに回転させるために、モータースピンドルシャフトに接続される。
【0031】
本発明は、ワークスピンドルと、以上に説明されたタイプの補助スピンドルユニットとを含む工具ヘッドを更に提供し、補助スピンドルユニットの取り付け構造は、工具軸がワークスピンドル軸と平行になるようにワークスピンドルに接続される。
【0032】
以上で既に説明されたように、かかる工具ヘッドはまた、基体と、基体に対してシフト方向に沿って変位可能なシフトスライドとを含んでもよく、このときワークスピンドルは、シフトスライドに配設される。
【0033】
最後に、本発明はまた、以上に説明されたタイプの装置と、ワークピース軸周りに回転するようにワークピースを駆動するための少なくとも1つのワークピーススピンドルと、機械コントローラーとを備える歯切盤を提供する。このとき、機械コントローラーは、加工工具の回転とワークピースの回転との間に転動結合を確立するように構成されてもよい。
【0034】
本発明の好ましい実施形態が、図面を参照しながら以下に説明されるが、図面は単に説明の目的のためのものであり、限定的に解釈されるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、一実施形態による補助スピンドルの斜視図である。
図2図2は、図1の補助スピンドルを示す垂直な長手方向断面図であり、切断面は、工具軸を含む。
図3図3は、転動工具の中央長手方向断面図である。
図4図4は、油圧拡張式マンドレルの中央長手方向断面図である。
図5図5は、図1の補助スピンドルを有する第1の実施形態による工具ヘッドを示す図である。
図6図6は、図5の工具ヘッドを備えた工作機械を示す図である。
図7図7は、第2の実施形態による工具ヘッドを示す斜視図である。
図8図8は、図7の工具ヘッドを示す水平な長手方向断面図であり、切断面は工具軸を含む。
【発明を実施するための形態】
【0036】
<補助スピンドルユニット>
図1及び図2は、本発明の一実施形態による補助スピンドルユニット100を示す。
【0037】
補助スピンドルユニット100は、取り付け構造120が堅固に接続されたキャリア110を含む。取り付け構造120は、以下に更に詳細に説明されるように、補助スピンドルユニット100を工具ヘッドのワークスピンドルに取り付けるために使用される。取り付け構造120は環状の形状であり、それにより環状体の中心を通って延在する環軸(リング軸)Rを画定する。
【0038】
補助スピンドルユニット100は、モータースピンドル130及びカウンター軸受140を更に備える。モータースピンドル130及びカウンター軸受140は、それぞれキャリア110に堅固に接続されている。モータースピンドル130とカウンター軸受140との間には、研削ウォームの形をとる工具150が配設されている。工具150は、一方の端部においてモータースピンドル130によって駆動されて、工具軸B周りに回転する。他方の端部において、該工具は、カウンター軸受140によって回転可能に支持されている。工具軸Bは、リング軸Rと平行に延びている。
【0039】
モータースピンドル130は、それ自体が知られている態様で直接駆動部として設計されている。該モータースピンドルは、合計4つの転がり軸受132が収容されたハウジング131を有する。工具インターフェース135を有するスピンドルシャフト133は、転がり軸受132内に回転可能に取り付けられている。電気駆動モーター134は、スピンドルシャフト133を直接に駆動するように機能する。転がり軸受132は、それ自体が知られている態様で駆動モーター134の両側に配設されている。駆動モーター134と工具インターフェース135との間に位置する2つの転がり軸受は、それ自体が知られている態様で軸方向に固定された軸受を形成し、すなわち、これらの軸受内に位置し、工具インターフェース135に近接するスピンドルシャフト133の領域は、工具軸Bに対してこれらの転がり軸受内で軸方向に固定される。他の2つの転がり軸受は、軸方向に固定された軸受を形成する。他の2つの転がり軸受は、軸方向に浮動的な軸受を形成し、すなわち、これらの軸受内に位置するスピンドルシャフト133の領域は、これらの軸受に対して軸方向に或る程度移動可能である。このことは特に、スピンドルシャフトの熱膨張を許容にするよう機能する。回転測定システム136は、工具軸B周りのスピンドルシャフト133の回転位置を検出するよう機能する。
【0040】
カウンター軸受140はハウジング141を有し、該ハウジングの中に2つの転がり軸受142が受容されている。中空シャフト143は、転がり軸受142内に回転可能に支持されている。2つの転がり軸受142は、中空シャフト143のための軸方向に浮動的な軸受を形成し、すなわち、中空シャフト143は、2つの転がり軸受142の軸方向の遊びにより、工具軸Bに沿って或る程度移動可能である。
【0041】
図3には、工具150が単独で示されている。該工具は、ウォーム形状プロファイルとされた研削砥石153を支持する、マウントフランジ151を有する。精密シャフトナット152が、研削砥石153をマウントフランジ151に固定している。マウントフランジ151は、そのモータースピンドル130に面する方の端部において、マウントフランジ151をモータースピンドル130の工具インターフェース135の中心に接続するために、面接触を有する既知の短いテーパー装着部155を有する。工具インターフェース135には、面接触を有する相補的な外側テーパーが対応して形成されている。ねじ154は、マウントフランジ151を工具インターフェース135に軸方向に固定するよう機能する。マウントフランジ151は、そのカウンター軸受140に面する方の端部において、中心に位置する円筒形の長手方向ボア156を有する。
【0042】
ねじを用いて固定された短いテーパー接続の代わりに、従来技術から十分に知られているように、マウントフランジ151と工具インターフェース135との間の他のタイプの接続も可能である。特に、機械工学において広く使用されているような中空テーパーシャフト(HSK)接続又はCapto(商標)接続を備えることが可能である。それ自体が知られている態様で、工具インターフェース135は、加工工具150の交換を容易化するために制御された態様で固定及び解放することができる、図示されていないクランプ装置を更に含んでもよい。このとき、ねじ135は、それに応じて省略することができる。
【0043】
図4において単独で示されている油圧拡張式マンドレル160は、マウントフランジ151をカウンター軸受140に接続するように機能する。油圧拡張式マンドレル160は、円筒形の基体161を有し、該基体中に、概略的にのみ示されている、油圧流体用のラインシステム164が形成されている。油圧拡張式マンドレルは、その長軸Lに沿って2つのクランプ領域160a、160bを有する。これらのクランプ領域のそれぞれにおいて、基体161は、薄壁の拡張スリーブ162a、162bによって取り囲まれている。各拡張スリーブ162a、162bは、径方向外側に複数のクランプチャンバ163a、163bを画成する。クランプねじ166によって軸方向に変位可能であるクランプピストン165は、ラインシステム164を介してクランプチャンバ163a、163bに伝達される油圧を発生させるために使用される。その結果、拡張スリーブ162a、162bは、クランプチャンバ163a、163bのエリアにおいて径方向に拡張し、かくして、カウンター軸受140の中空シャフト143との、及び加工工具150のマウントフランジ151との、径方向のクランプ接続を確立する。
【0044】
クランプチャンバ163a、163bが位置する軸方向位置は、クランプ点とも称される。本実施例においては、油圧拡張式マンドレル160は、2つのクランプ領域160a、160bのそれぞれにおいて2つのクランプ点を有し、合計で4つのクランプ点を有する。このことは、高い曲げ剛性を実現するのに役立つ。しかしながら、例えば、2つのクランプ領域160a、160bのそれぞれにおいて1つのクランプ点のみを備えることも想到可能である。
【0045】
図4の実施形態における2つのクランプ領域160a、160bは同じ外径を有しているが、これらの外径は異なっていてもよい。具体的には、第1のクランプ領域160aの外径は、第2のクランプ領域160bの外径よりも大きく選択されてもよい。このことは、マウントフランジが特に小さい孔径の長手方向ボアを有する工具を使用する場合に、特に有利であり得る。クランプ領域内においては、外径は原則としてクランプ点毎に変化してもよく、特に挿入方向に段階的に小さくなってもよい。
【0046】
一方の端部において、油圧拡張式マンドレル160は、カウンター軸受140から軸方向に突出している。この端部において、油圧拡張式マンドレル160は、外周部の環状溝168を有する端部部品167を有し、該端部部品167の機能は、工具スピンドルの第2の実施形態に関連して以下に更に詳細に説明される。
【0047】
モータースピンドル130とカウンター軸受140との間に加工工具150を収容するために、まず油圧拡張式マンドレル160がカウンター軸受140から完全に引き出され、加工工具150がモータースピンドル130とカウンター軸受140との間に挿入される。次いで、加工工具150が、モータースピンドル130の工具インターフェース135に接続される。この取り付けは、カウンター軸受140を介して行われてもよい。続いて、油圧拡張式マンドレル160が、カウンター軸受140の中空シャフト143を通って、マウントフランジ151の長手方向ボア156に軸方向に挿入され、それにより、油圧拡張式マンドレル160の第1のクランプ領域160aが、カウンター軸受140の中空シャフト143内に静置することとなり、第2のクランプ領域160bが長手方向ボア156内に静置することとなる。油圧拡張式マンドレル160はこのとき、カウンター軸受140の中空シャフト143及びマウントフランジ151に、径方向にクランプされる。加工工具150を再び取り外すためには、この手順が逆にされる。
【0048】
加工工具150をカウンター軸受140に接続するために油圧拡張式マンドレル160を使用することによって、カウンター軸受140がキャリア110に堅固に接続されている場合であっても、すなわち工具交換のためにカウンター軸受を動かすことができない場合であっても、シンプルでありながら同時に曲げ剛性のある接続を実現することができる。キャリア110に堅固に接続されたカウンター軸受140は、移動可能なカウンター軸受と比較して剛性の点で利点を有する。
【0049】
<工具ヘッドの第1の実施形態>
図5において、第1の実施形態による工具ヘッド200が示されている。工具ヘッドは、旋回体として設計された基体210を含む。基体210には、シフト方向Yに沿って変位可能とするために、シフトスライド220が配設されている。シフト方向Yは、工具軸Bと平行に延びている。シフト方向Yは、工具軸Bと平行に延びている。基体210におけるシフトスライド220の制御された変位のために、Y駆動部221が使用される。
【0050】
ワークスピンドル230は、シフトスライド220に堅固に取り付けられている。原理的には、ワークスピンドル軸B´周りに回転するように駆動するために、加工工具をワークスピンドル230に直接に取り付けることが可能である。この目的のため、ワークスピンドル230は、適切な工具インターフェースを有する。しかしながら、工具が小さい直径を有する場合、ワークスピンドル230とのワークピースの衝突が容易に起き得るため、ワークスピンドル230における加工工具の直接のクランプは問題がある。
【0051】
それゆえ、本実施形態においては、以上に説明された補助スピンドルユニット100が、ワークスピンドル230に取り付けられる。この目的のため、補助スピンドルユニット100の取り付け構造120は、ワークスピンドル230の工具インターフェースに隣接して位置するワークスピンドル230のハウジングの前方領域を取り囲み、かくして補助スピンドルユニット100をワークスピンドル230に固定する。その結果、工具軸Bは、ワークスピンドル軸B´と平行に、かつワークスピンドル軸B´から距離をおいて延びている。概略的にのみ示されている媒体インターフェース170は、圧縮空気及び電力等の必要とされる媒体を補助スピンドルユニット100に供給し、測定データを、補助スピンドルユニット100のセンサーと交換することができる。
【0052】
補助スピンドルユニット100のモータースピンドル130は、加工工具150のサイズが小さく、及び関連する取り代率が低いため、シフトスライド220に直接に配設されるワークスピンドル230よりも、かなりコンパクトに作ることができる。補助スピンドルユニット100のモータースピンドル130のかなりコンパクトな設計は、ワークピースとの衝突のリスクを大幅に低減する。同時に、モータースピンドル130及びカウンター軸受140は、小型の加工工具を用いる加工タスクのために特に最適化することができる。例えば、小型の加工工具の工具速度は、大型の加工工具の工具速度よりもかなり大きくてもよく、それに応じて、補助スピンドルユニット100のモータースピンドル130及びカウンター軸受140は、シフトスライド220のワークスピンドル230よりも大きな工具速度に設計されてもよい。
【0053】
図6は、本第1の実施形態の工具ヘッド200を有する歯切盤1の全体の例を示す。歯切盤1は、水平送り込み方向Xに沿って変位可能となるように工具キャリア20が配設された、機械台10を有する。Zスライド30は、鉛直方向Zに沿って変位可能となるように工具キャリア20に配設される。以上に説明された工具ヘッド100は、Zスライド30に配設され、工具ヘッド100は、送り方向Xと平行に延びる水平方向の旋回軸A周りに、Zスライド30に対して旋回することができる。
【0054】
また、ワークピース41がクランプされるワークピーススピンドル40が、機械台10上に配置されている。ワークピーススピンドル40は、Z方向と平行に延びるワークピース軸C周りに回転するように駆動することができる。
【0055】
歯切盤はまた、記号だけで示されている機械コントローラー50を有する。機械コントローラー50は、歯切盤における全ての制御及び監視タスクを引き継ぐ。特に、機械コントローラーは、ワークピース軸C周りのワークピースの回転と、ワークピース41を加工するための工具軸B周りの工具の回転との間の、正しい転動結合を確立する。機械コントローラー50は、この目的のため、モータースピンドル130の回転測定システム136からの、及びワークピーススピンドル40の回転測定システムからの信号を、受信及び評価してもよい。
【0056】
図示された歯切盤は単なる一例として理解されるべきであり、本発明は当然ながらこの例に限定されるものではない。特に、2つ以上のワークピーススピンドルが移動可能なキャリアに配設され、例えば、ワークピーススピンドルのうちの一方でワークピースを加工することが可能であるとともに加工されたワークピースを他方のワークピーススピンドルにおいてブランクと交換し、必要であれば更なる動作が実行される、歯切盤の概念も想到可能である。かかる歯切盤の概念は、従来技術から十分に知られている。
【0057】
<工具ヘッドの第2の実施形態>
図7及び図8は、第2の実施形態による工具ヘッド200を示す。この実施形態においては、工具ヘッド200は、キャリア210と、シフトスライド220と、Y駆動部221と、シフトスライド220に堅固に接続されたワークスピンドル230と、カウンター軸受240とを備える。
【0058】
第1の実施形態とは対照的に、ここでは加工工具150は、ワークスピンドル230に直接にクランプされ、カウンター軸受240に支持されており、すなわち補助スピンドルユニットが使用されていない。しかしながら、加工工具150とカウンター軸受240との間の接続は、第1の実施形態における加工工具150とカウンター軸受140との間の接続と全く同じ方法で、すなわち、油圧拡張式マンドレル160によって行われる。
【0059】
具体的には、カウンター軸受240は、2つの転がり軸受242が保持されるハウジング241を含み、各転がり軸受242には中空シャフト243が取り付けられる。第1の実施形態と同様に、油圧拡張式マンドレル160は、中空シャフト243を通って加工工具150のマウントフランジの長手方向ボア内へと延在し、一方では中空シャフト243との、他方ではマウントフランジとの、径方向のクランプ接続を確立する。
【0060】
油圧拡張式マンドレル160を自動的に移動させてマウントフランジの内に入れること及びマウントフランジから出すことを可能とするために、工具ヘッドはリニアアクチュエータ250を有し、該リニアアクチュエータは、本例においては、その中で変位可能な油圧ピストン252に両側から作用する油圧シリンダ251として設計されている。しかしながら、他のタイプのアクチュエータ、例えば空気圧作動アクチュエータ又は電気作動アクチュエータも当然ながら想到可能である。油圧ピストン252には、油圧拡張式マンドレル160の端部部品167における外周部の環状溝168(図4参照)に係合する作動アーム253が接続されている。アクチュエータ250の作動はかくして、油圧拡張式マンドレル160を軸方向に移動させる。
【0061】
更なる実施形態においては、作動アーム253は、図面には示されていない油圧ラインを更に含むことによって、二重の機能を実行する。このようにして、油圧は、制御された態様でクランプ接続を確立又は解放するために、油圧転回入口245を介して油圧拡張式マンドレル160に加えられ得る。かかる更なる実施形態においては、クランプねじ166及び必要であれば更にはクランプピストン165が、省略されてもよい。全体として、油圧拡張式マンドレル160に対する手動の介入なしで、このようにして完全に自動化された工具交換を実現することができる。
【0062】
完全を期すために、ワークスピンドル230の設計もまた、以下に手短に説明する。該ワークスピンドルは、いくつかの転がり軸受232が配設されたハウジング231を有する。ワークスピンドルシャフト233は、ワークスピンドル軸B´周りに回転することができ、駆動モーター234によって直接に駆動することができるように、転がり軸受232に取り付けられている。工具インターフェース235は、ここでは非常に概略的な態様でのみ示されているが、工具150のマウントフランジとの接続する働きをする。第1の実施形態に関連して既に示されたように、工具インターフェース235は、それ自体が知られている任意の態様で、例えばISO 12164-1:2001-12に準拠したHSK接続として、DIN ISO 7388-1&2:2014-07に準拠した急角度テーパー接続として、又はISO 26623-1:2020に準拠したCapto(商標)接続として、設計することができる。この実施形態においては、工具軸Bはワークスピンドル軸B´と一致する。
【0063】
<変更例>
特許請求の範囲において定義された本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変形が可能であることは、以上から明らかである。
【0064】
特に、本発明は、研削ウォーム又は歯車ホブ等の創成プロセスによる加工のための工具のみならず、少なくとも1つの成形研削砥石との共通の工具マンドレルに少なくとも1つの研削ウォームを含む組み合わせ工具を含む、少なくとも1つの成形研削砥石を備えた加工工具とも使用することができる。工具は特に、研磨工具、例えば研磨研削ウォーム、又は研磨研削エリアを有する組み合わせ工具であってもよい。
【0065】
第2の実施形態におけるもののようなアクチュエータは、当然ながら、第1の実施形態による補助スピンドルユニットにおいても備えることができる。以上に議論された油圧転回入口についても同様である。
【0066】
以上に説明された実施形態においては、工具がそれぞれのカウンター軸受140、240の側で追加的に駆動されることとはされていないが、カウンター軸受は、工具を両側で駆動するため、第2のモータースピンドルの一部であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 歯切盤
10 機械台
20 工具キャリア
30 Zスライド
40 ワークピーススピンドル
41 ワークピース
50 機械コントローラー
100 補助スピンドルユニット
110 キャリア
120 取り付け構造
130 モータースピンドル
131 ハウジング
132 転がり軸受
133 スピンドルシャフト
134 駆動モーター
135 工具インターフェース
136 回転測定システム
140 カウンター軸受
141 ハウジング
142 転がり軸受
143 中空シャフト
150 加工工具
151 マウントフランジ
152 精密シャフトナット
153 研削砥石
154 ねじ
155 短いテーパー装着部
156 長手方向ボア
160 油圧拡張式マンドレル
160a 第1のクランプ領域
160b 第2のクランプ領域
161 基体
162a、162b 拡張スリーブ
163a、163b クランプチャンバ
164 ラインシステム
165 クランプピストン
166 クランプねじ
167 端部部品
168 環状溝
170 媒体インターフェース
200 工具ヘッド
210 基体
220 シフトスライド
221 シフト駆動部
230 ワークスピンドル
231 ハウジング
232 転がり軸受
233 スピンドルシャフト
234 駆動モーター
235 工具インターフェース
240 カウンター軸受
241 ハウジング
242 転がり軸受
243 中空シャフト
245 転回入口
250 アクチュエータ
251 油圧シリンダ
252 油圧ピストン
253 作動アーム
A 旋回軸
B 工具軸
B´ ワークスピンドル軸
C ワークピース軸
R 環軸
X、Y、Z 方向

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】