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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】耐侵入性携帯型スピーカ
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/02 20060101AFI20240918BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20240918BHJP
   H04R 1/28 20060101ALI20240918BHJP
   H04R 1/06 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
H04R1/02 101F
H04R1/00 318A
H04R1/02 104Z
H04R1/28 310E
H04R1/06 310
H04R1/00 318Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516674
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 US2022044065
(87)【国際公開番号】W WO2023049091
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】17/481,820
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブレントン・ハリー・エヴァ
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ジェー・ファスティノ
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・エー・シルヴァースタイン
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ロバート・サマーソン
(72)【発明者】
【氏名】アヌー・クリアコセ
【テーマコード(参考)】
5D017
5D018
【Fターム(参考)】
5D017AC01
5D017AC20
5D017AD32
5D017AD34
5D017AF04
5D017AH06
5D018AD02
5D018AD04
(57)【要約】
様々な実装形態は、携帯型ラウドスピーカを含む。いくつかの実装形態は、湿気、微粒子、及び他の汚染物質の侵入を軽減する携帯型ラウドスピーカを含む。特定の実装形態では、携帯型ラウドスピーカは、耐侵入性のための共成形構造を有するエンクロージャを備えたハウジングを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型ラウドスピーカであって、
ハウジングであって、
前部グリルと、
前記前部グリルに結合された後部エンクロージャであって、前記後部エンクロージャは、剛性コアと前記剛性コアを覆うコンプライアントカバーとを有する共成形構造を備え、前記後部エンクロージャは、前記前部グリルに対向する後部グリルを画定する、後部エンクロージャと、を含む、ハウジングと、
音響出力を提供するために前記ハウジング内に収容された電気音響変換器と、
を備える、携帯型ラウドスピーカ。
【請求項2】
前記後部エンクロージャは、前記携帯型ラウドスピーカを表面上で安定させるための脚部のセットを更に備える、請求項1に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項3】
前記後部エンクロージャは、表面上に直立して配置されたときに、輪郭が前記表面上に載置される接触領域を画定するように輪郭形成され、前記接触領域及び前記脚部のセットは、前記音響出力を提供しながら前記携帯型ラウドスピーカを安定させるために、前記表面との少なくとも4つの接触点を提供する、請求項2に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項4】
前記脚部のセットは、台形形状に配置された少なくとも4つの脚部を含む、請求項2に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項5】
前記電気音響変換器は、前記ハウジングの横方向中心線に対して偏心して配置され、前記脚部のセットは、前記電気音響変換器が前記オーディオ出力を提供する間、前記携帯型ラウドスピーカの揺動を軽減する、請求項2に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項6】
前記剛性コアは、プラスチック又はポリカーボネート樹脂を含み、前記コンプライアントカバーはシリコーンを含む、請求項1に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項7】
前記剛性コア又は前記コンプライアントカバーのうちの少なくとも1つは、材料の複数の副層から形成される、請求項1に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項8】
前記後部グリルは、前記剛性コアによって画定される、請求項1に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項9】
前記後部グリルは、前記コンプライアントカバーによって覆われていない前記剛性コアの一部である、請求項8に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項10】
前記後部エンクロージャと前記前部グリルとの間に配置されたバッフルを更に備える、請求項1に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項11】
前記バッフルは、前記電気音響変換器のための開口部を備え、前記電気音響変換器は、前記バッフルに取り付けられる、請求項10に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項12】
前記バッフルと前記後部エンクロージャとの間に配置されたパッシブラジエータのセットを更に備え、前記バッフルは、前記パッシブラジエータのうちの1つの第1の側と位置合わせされた開口部を備え、前記後部グリルは、前記パッシブラジエータのうちの別の1つの第2の側と位置合わせされる、請求項10に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項13】
前記パッシブラジエータは、前記開口部に近接して前記バッフルに取り付けられる、請求項12に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項14】
前記後部エンクロージャは、前記パッシブラジエータのためのハウジングを備える、請求項12に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項15】
バッテリと、前記バッテリを直接覆う外装部材とを更に備え、前記外装部材は、前記携帯型ラウドスピーカの防火定格を高める、請求項1に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項16】
前記後部エンクロージャの前記共成形構造は、少なくともIP67の侵入保護(IP)定格を前記携帯型ラウドスピーカに提供する、請求項1に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項17】
前記電気音響変換器の最大偏位は、前記ハウジングの深さの約90パーセント以上を占める、請求項1に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項18】
前記電気音響変換器の前記最大偏位は、前記ハウジングの前記深さの約95パーセント以上を占める、請求項17に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項19】
前記ハウジングを通してアクセス可能なUSB-Cコネクタを更に備え、前記ハウジングの前記共成形構造は、前記USB-Cコネクタを環境的にシールする、請求項1に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項20】
前記後部エンクロージャ内に単一のプリント回路基板(PCB)を更に備え、前記単一のPCBは、前記ハウジング上に配置された前記電気音響変換器及びインターフェースボタンの動作を制御する、請求項1に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項21】
前記単一のPCBは、前記電気音響変換器を収容するための開口部を備える、請求項20に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項22】
前記PCBは、前記ハウジングの最長寸法の少なくとも約75パーセントにわたる長手方向寸法を有する、請求項20に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項23】
前記後部エンクロージャは、前記携帯型ラウドスピーカの後部と、前記携帯型ラウドスピーカの側壁のほぼ全体とを画定する、請求項1に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【請求項24】
前記後部エンクロージャを通って延在する取り付けストラップを更に備え、前記コンプライアントカバーは、前記取り付けストラップの周囲に環境シールを提供する、請求項1に記載の携帯型ラウドスピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2021年9月22日付けで出願された米国特許出願第17/481,820号の優先権を主張し、その全体が、参照によって組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、オーディオデバイスに関する。より詳細には、本開示は、固体粒子及び液体の侵入に対して耐性を有する携帯型スピーカに関する。
【背景技術】
【0003】
携帯型オーディオデバイスなどのオーディオデバイスに対して、増大した能力及び耐久性を有する需要が増大している。しかしながら、頑丈でコンパクトな携帯型オーディオデバイス内に高性能音響構成要素を収容することは困難であり得る。更に、1つ以上の性能能力を犠牲にすることなく、多くの携帯型デバイスのための環境保護を設計することは困難である。
【発明の概要】
【0004】
下記で言及される全ての実施例及び特徴は、任意の技術的に可能な方式で組み合わせることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
様々な実装形態は、携帯型ラウドスピーカを含む。いくつかの実装形態は、湿気、微粒子、及び他の汚染物質の侵入に対して耐性がある携帯型ラウドスピーカを含む。特定の実装形態では、携帯型ラウドスピーカは、耐侵入性のための共成形構造を有するエンクロージャを備えたハウジングを含む。
【0006】
特定の態様では、携帯型ラウドスピーカは、ハウジングであって、前部グリルと、前部グリルに結合された後部エンクロージャであって、後部エンクロージャは、剛性コアと剛性コアを覆うコンプライアントカバーとを有する共成形構造を含み、後部エンクロージャは、前部グリルに対向する後部グリルを画定する、後部エンクロージャと、を含む、ハウジングと、音響出力を提供するためにハウジング内に収容された電気音響変換器と、を含む。
【0007】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つ、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0008】
ある実施例では、剛性コアは、第1の硬度を有し、コンプライアントカバーは、第1の硬度未満である第2の硬度を有する。
【0009】
場合によっては、後部エンクロージャは、携帯型ラウドスピーカを表面上で安定させるための脚部のセットを更に含む。
【0010】
特定の態様では、後部エンクロージャは、表面上に直立して配置されたときに、輪郭が表面上に載置される接触領域を画定するように輪郭形成され、接触領域及び脚部のセットは、音響出力を提供しながら携帯型ラウドスピーカを安定させるために、表面との少なくとも4つの接触点を提供する。
【0011】
特定の実装形態では、脚部のセットは、台形形状に配置された少なくとも4つの脚部を含む。
【0012】
特定の態様では、電気音響変換器は、ハウジングの横方向中心線に対して偏心して配置され、脚部のセットは、電気音響変換器がオーディオ出力を提供する間、携帯型ラウドスピーカの揺動を軽減する。
【0013】
場合によっては、剛性コアは、プラスチック又はポリカーボネート樹脂を含み、コンプライアントカバーは、シリコーンを含む。
【0014】
いくつかの実装形態では、剛性コア又はコンプライアントカバーのうちの少なくとも1つは、材料の複数の副層から形成される。
【0015】
特定の態様では、後部グリルは剛性コアによって画定される。
【0016】
ある場合には、後部グリルは、コンプライアントカバーによって覆われていない剛性コアの一部である。
【0017】
いくつかの実装形態では、ラウドスピーカは、後部エンクロージャと前部グリルとの間に配置されたバッフルを更に含む。
【0018】
特定の態様では、バッフルは、電気音響変換器のための開口部を含み、電気音響変換器は、バッフルに取り付けられる。特定の場合には、ガスケットが、変換器をバッフルにシールするように配置される。
【0019】
特定の場合には、ラウドスピーカは、バッフルと後部エンクロージャとの間に配置された少なくとも1つのパッシブラジエータを更に含み、バッフルは、パッシブラジエータの第1の側と位置合わせされた開口部を含み、後部グリルは、パッシブラジエータの第2の側と位置合わせされる。
【0020】
特定の場合において、少なくとも1つのパッシブラジエータは、互いに対して中心に置かれた2つのパッシブラジエータのセットを含む。
【0021】
いくつかの実装形態では、パッシブラジエータのうちの少なくとも1つは、開口部に近接してバッフルに取り付けられる。
【0022】
特定の態様では、後部エンクロージャは、パッシブラジエータ用のハウジングを含む。ある場合には、パッシブラジエータは、一体化されたシールを有する。
【0023】
ある場合には、ラウドスピーカは、バッテリと、バッテリを直接覆う外装部材とを更に含み、外装部材は、携帯型ラウドスピーカの防火定格を高める。
【0024】
いくつかの態様では、後部エンクロージャの共成形構造は、少なくともIP67の侵入保護(IP)定格を携帯型ラウドスピーカに提供する。
【0025】
特定の場合には、電気音響変換器の最大偏位は、ハウジングの深さの約90パーセント以上を占める。
【0026】
ある実装形態では、電気音響変換器の最大偏位は、ハウジングの深さの約95パーセント以上を占める。
【0027】
いくつかの態様では、ラウドスピーカは、ハウジングを通してアクセス可能なUSB-Cコネクタを更に含み、ハウジングの共成形構造は、USB-Cコネクタを環境的にシールする。
【0028】
特定の場合には、ラウドスピーカは、後部エンクロージャ内に単一のプリント回路基板(PCB)を更に含み、単一のPCBは、ハウジング上に配置された電気音響変換器及びインターフェースボタンの動作を制御する。
【0029】
いくつかの態様では、単一のPCBは、電気音響変換器を収容するための開口部を含む。
【0030】
いくつかの実装形態では、PCBは、ハウジングの最長寸法の少なくとも約75パーセントにわたる長手方向寸法を有する。
【0031】
特定の場合には、後部エンクロージャは、携帯型ラウドスピーカの後部と、携帯型ラウドスピーカの側壁のほぼ全体とを画定する。
【0032】
いくつかの態様では、ラウドスピーカは、後部エンクロージャを通って延在する取り付けストラップを更に含み、コンプライアントカバーは、取り付けストラップの周囲に環境シールを提供する。
【0033】
特定の実装形態では、後部エンクロージャは、取り付けストラップを環境的にシールするのを助けるためにキャップ及び接着剤でポッティングされた内部ウェルを含む。
【0034】
本概要の項に記載される特徴を含む、本開示に記載される2つ以上の特徴は、本明細書に具体的に記載されていない実装形態を形成するために組み合わされ得る。
【0035】
1つ以上の実装形態の詳細が、添付図面及び以下の説明において記載される。他の特徴、目的、及び利点は、本説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】様々な実装形態による、前方発射配向におけるオーディオデバイスの正面図を示す。
図2】種々の実装形態による、前方発射配向における図1のオーディオデバイスの側面図を示す。
図3】様々な実装形態による、図1及び図2のオーディオデバイスの上面図を示す。
図4】様々な実装形態による、上向き発射(又は上方発射)位置にあるオーディオデバイスの側面図を示す。
図5】様々な実装形態による、前方発射位置にあるオーディオデバイスの後面図を示す。
図6】様々な実装形態による、上向き発射位置にある図4のオーディオデバイスの3次元斜視図を示す。
図7】様々な実装形態によるオーディオデバイスの一部の分解斜視図である。
図8】様々な実装形態によるオーディオデバイスの一部の前面断面図である。
【0037】
様々な実装形態の図面は、必ずしも縮尺どおりではないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様のみを示すことを意図するものであり、したがって、実装形態の範囲を限定するものとみなされるべきではない。図面において、同様の番号付けは、図面間の同様の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本開示は、少なくとも部分的に、製造性を向上させ、耐久性(又は丈夫さ)を改善し、侵入に対する耐性を向上させるために、共成形構造を有する後部エンクロージャを有利に組み込む携帯型ラウドスピーカを提供する。本開示はまた、少なくとも部分的に、共成形構造が、剛性コアと、剛性コアを覆うコンプライアントカバーとを含むことができ、携帯型ラウドスピーカ内の内部構成要素を覆う耐久性のある効果的なシールを提供するという認識に基づく。剛性コアは第1の硬度を有し、コンプライアントカバーは第2の硬度を有し、第1の硬度は第2の硬度よりも大きい。ある場合には、携帯型ラウドスピーカは、耐久性及び耐侵入性であることに加えてコンパクトである。例えば、携帯型ラウドスピーカ内の電気音響変換器は、スピーカハウジングの深さの約90パーセント以上を占める最大偏位を有することができる。携帯型ラウドスピーカはまた、単一のプリント回路基板(PCB)を用いて、電気音響変換器及びインターフェースボタンの両方を動作させることができる。
【0039】
図中の共通にラベル付けされた構成要素は、例示目的のために実質的に同等の構成要素であるとみなされ、それらの構成要素の重複する説明は、明確化のために省略する。
【0040】
ユーザが自分の携帯型電子デバイスにますます多くの機能を要求するにつれて、携帯性、耐久性、バッテリ寿命、及び要素からの保護(例えば、侵入保護)を維持しながら、音響出力規格を満たすようにそのようなデバイスを設計及び製造することがより困難になる。更に、本明細書で述べるように、1つ以上の性能能力を犠牲にすることなく、多くの携帯型デバイスのための環境及び衝撃保護を設計することは困難である。従来のオーディオデバイスとは対照的に、様々な実装形態は、剛性コア及びコンプライアントカバーを有する共成形された後部エンクロージャを含むハウジングを有する携帯型ラウドスピーカを含む。後部エンクロージャは、内部電子機器の大部分を収容し、共成形構造は、耐久性及び侵入保護の両方を提供する。加えて、従来のオーディオデバイスとは対照的に、様々な実装形態は、ハウジングの深さの約90パーセント以上を占める最大偏位を有する電気音響変換器を備えた携帯型ラウドスピーカを含み、コンパクトなフォームファクタで高品質オーディオ出力を可能にする。
【0041】
図1は、様々な実装形態による、直立位置(前方発射位置とも呼ばれる)にあるオーディオデバイス10の正面図を示す。図2は、直立位置にあるオーディオデバイス10の側面図を示す。図3は、直立位置にあるオーディオデバイス10の上面図を示し、図4は、横たわり位置(上向き発射位置とも呼ばれる)にあるオーディオデバイス10の側面図を示す。図5は、前方発射位置にあるオーディオデバイス10の背面図を示す。図6は、上向き発射(例えば、横たわり)位置にあるオーディオデバイス10の斜視図である。図7は、図1図6のオーディオデバイス10の分解図であり、装置の様々な内部特徴を示す。図1図7は、特に言及される場合を除いて集合的に参照され、図7は、以下の説明を通して最も頻繁に参照される。場合によっては、オーディオデバイス10は、卓上、取り付けられた(又は吊り下げられた)、又はハンドヘルドスピーカなどの携帯型ラウドスピーカを含む。本明細書で説明され、オーディオデバイス10の別個の図に示されるように、携帯型ラウドスピーカは、別個の向き及び/又は物理的構成で動作する(すなわち、オーディオを出力する)ように構成され得、例えば、横に置かれる、背後に置かれる、1つ以上の脚部に置かれる、取り付けストラップを介して装着又は他の方法で保持される、などである。
【0042】
図を参照すると、特に図7に注目すると、オーディオデバイス10は、前部グリル30と、前部グリル30に結合された後部エンクロージャ40とを有するハウジング20を含む。様々な実装形態では、後部エンクロージャ40は、図8の後部エンクロージャ40の正面図(グリル30が取り外されている)に示されるように、共成形構造を有する。すなわち、後部エンクロージャ40は、剛性(又は半剛性)コア50と、剛性(又は半剛性)コア50を覆うコンプライアントカバー60とを有する。様々な実装形態において、「剛性」及び「コンプライアント」という用語は、コア50が第1の硬度を有し、カバー60が第1の硬度よりも低い第2の硬度を有するように、硬度の相対的な区別を伝えることを意図している。ある場合には、第1の硬度は絶対的な剛性を必要とせず、むしろ第2の硬度との有意な差を必要とする。例えば、コンプライアントカバー60は、約50以下のショアA硬度を有することができ、コア50は、コンプライアントカバー60よりも著しく硬い。特定の場合において、コア50は、カバー60よりも(例えば、ショアスケール又は任意の他の従来の硬度スケールで)少なくとも15パーセント、少なくとも20パーセント、少なくとも25パーセント、少なくとも30パーセント、少なくとも35パーセント、少なくとも40パーセント、少なくとも45パーセント、又は少なくとも50パーセント硬い。特定の場合では、コア50は、カバー60よりも少なくとも60パーセント、70パーセント、又は80パーセント硬い。本明細書に記載されるように、カバー60は、例えば、コア50の全ての接触面に対してシールするなど、コンプライアントな方法でコア50の上に嵌合するように構成される。加えて、カバー60は、ハウジング20内の構成要素、例えば、1つ以上の変換器、マイクロホン、パッシブラジエータ、制御回路(例えば、プリント回路基板、又はPCB)などに対する衝撃保護を提供することができる。
【0043】
特定の例では、コア50は、プラスチック又はポリカーボネート樹脂を含む。特定の例では、カバー60はシリコーンを含む。カバー60がシリコーンを含む特定の例では、シリコーンは、液体シリコーンゴム(LSR)を含むことができる。特定の実装形態では、コア50及び/又はカバー60は、材料の複数の副層から形成される。例えば、カバー60は、特定の実装形態では材料の2つ以上の副層から形成され、例えば、成形プロセス後にカバー60のシリコーンの一次層に仕上げを施すことができる。仕上げは、レーザエッチングを助けることができ、及び/又はカバー60の外観を向上させることができる。
【0044】
本明細書に記載されるように、後部エンクロージャ40の共成形構造は、少なくともIP67(国際電気標準会議(IEC)によって示される国際保護マーキング規格によって定義される)の侵入保護(IP)定格を有するオーディオデバイス10を提供することができる。ある場合には、後部エンクロージャ40のこの共成形構造は、少なくともIP68のIP定格を提供することができる。
【0045】
引き続き図7及び図8を参照すると、電気音響変換器(又は「変換器」)70が、音響出力を提供するためにハウジング20内に収容されている。本明細書で説明されるように、変換器70は、携帯可能であり、ユーザによって容易に再配置されるハウジング20内の音響出力を向上させるように位置付けられることができる。
【0046】
いくつかの実装形態では、図7に示され、図2及び図6でも明らかなように、後部エンクロージャ40は、オーディオデバイス10(又は携帯型ラウドスピーカ)の後部80と、オーディオデバイス10の側壁90のほぼ全体とを画定する。すなわち、後部エンクロージャ40は、上向き発射配向(例えば、図6)において、ハウジング20内の電子機器の大部分が、後部エンクロージャ40の後部80及び側壁90によって少なくとも部分的に取り囲まれるように、ハウジング20内のいくつかの電子機器の周囲を包む。
【0047】
様々な実装形態において、後部エンクロージャ40は、前部グリル30に対向する後部グリル100(図4図7)を画定する。すなわち、様々な実装形態において、後部グリル100は、コア50によって画定され、したがって、後部グリル100は、コンプライアントカバー60によって覆われていないコア50の一部である。これらの場合、後部グリル100は、そこを通るオーディオ出力を可能にする開口部のセットを含み、コンプライアントカバー60に包まれたコア50によって囲まれる。
【0048】
ある場合には、後部エンクロージャ40は、オーディオデバイス10を表面(例えば、図1図2、及び図6)、例えば、テーブルトップ、ステップ、床、トラックの荷台などの上で安定させるために、側壁90aのうちの1つに沿って脚部110のセットを含む。側壁という用語は、側壁90aを説明するために使用されているが、オーディオデバイス10のこの側は、図1及び図2に示されている前方発射の向きにおいて、その底部又は基部と考えることもできることが理解される。特定の実装形態では、脚部110は、後部エンクロージャ40の長さに沿って配置された少なくとも2つの脚部110aを含む。図2図4及び図7を参照すると、場合によっては、例えば側壁90aに沿った後部エンクロージャ40の外面120は、表面(例えば、テーブルトップ、床など)上に直立して配置されたときに、輪郭が表面上に載置される接触領域130を画定するように輪郭形成される。これらの場合のいくつかにおいて、接触領域130及び脚部110のセットは、音響出力を提供しながら携帯型ラウドスピーカを安定させるために、表面との少なくとも4つの接触点を提供する。特定の態様では、脚部110のセットは、2つの脚部110a、110b(図2図4図6)の2つの別個のセットを含み、側壁90aに沿って合計4つの脚部を含む。ある例では、図4に示すように、脚部110a、110bは、側壁90aに沿って台形形状に配置される。
【0049】
図7及び図8を参照すると、様々な実装形態において、オーディオデバイス10は、ハウジング20の横方向中心線(LCL)に対して偏心して配置された変換器70を含む。すなわち、変換器70は、LCLと位置合わせされず、LCLに対して横方向にオフセットされた発射軸(Af)を有する。場合によっては、脚部110のセットは、変換器70がオーディオ出力を提供する間、オーディオデバイス10の揺動を軽減する。側壁90aに沿った脚部110は、オーディオデバイス10が前方発射配向(例えば、図1図2、及び図8)にある間の揺動を軽減するのに特によく適し得る。これらの場合、脚部110は、静止面に対して、変換器70の動きからの力に対抗するのに十分な(例えば、摩擦)力を提供することができる。
【0050】
図7及び図8は、様々な実装形態によるオーディオデバイス10の追加の特徴を更に示す。これらの構成では、オーディオデバイス10は、後部エンクロージャ40と前部グリル30との間に配置されたバッフル140を更に含む。特定の場合において、バッフル140は、変換器70のための開口部150を含む。いくつかの実装形態によれば、変換器70は、例えば、締結具160(説明のために4つが示されている)のセットを用いてバッフル140に取り付けられる。ある場合には、締結具160は、ねじ、ボルト、クリップ、ピン、又はオーディオデバイス10の使用中に変換器70をバッフル140内に保持するための任意の他の好適な締結機構などのねじ山付き締結具を含むことができる。特定の場合には、締結具は、バッフル140を通って延び、後部エンクロージャ40内の対応する開口部又はスロットと結合する。ガスケット170は、特定の場合に変換器70をバッフル140に対してシールするために変換器70上に配置される。
【0051】
場合によっては、例えば、図2、5、及び6に見られるように、変換器70は、使用中に、例えば、望ましい範囲のオーディオ出力を提供するために、ハウジング20(図2)の深さ(D)の大部分に及ぶように構成される。いくつかの例示的な場合では、変換器70の最大偏位(例えば、使用中の前後限界)は、ハウジング20の深さ(D)の約90パーセント以上を占める。より具体的な例では、変換器70の最大偏位は、ハウジング20の深さ(D)の約95パーセント以上を占める。
【0052】
引き続き図6及び図7を参照すると、オーディオデバイス10は、バッフル140と後部エンクロージャ40との間に配置された少なくとも1つのパッシブラジエータ180を更に含むことができる。これらの場合のいくつかにおいて、2つのパッシブラジエータ180a、180bのセットが提供され、互いに対して中心に置かれる。特定の態様において、バッフル140は、パッシブラジエータ180aの第1の側200と位置合わせされた開口部190を含む。特定の態様では、パッシブラジエータ180a、180bからの音響出力の一部が後部グリル100を通って外側に向けられるように、後部グリル100は、パッシブラジエータ180bの第2の側210と位置合わせされる。いくつかの実装形態によれば、パッシブラジエータ180aは、開口部190に近接してバッフル140に取り付けられる。特定の態様では、後部エンクロージャ40は、ラジエータ180が後部エンクロージャ40に組み込まれるように、パッシブラジエータ180a、180bのためのハウジング220を含む。これらの場合、ハウジング220は、パッシブラジエータ180a、180bを着座させるための1つ以上の壁、突起、又はタブのセットを含むことができる。特定の実装形態によれば、ハウジング220は環状であり、パッシブラジエータ180a、180bの少なくとも一部を取り囲む。ある場合には、パッシブラジエータ180a、180bのうちの少なくとも1つは、ハウジング220内をシールするための一体型シールを有する。更に、パッシブラジエータ180bを後部エンクロージャ40にシールするために、締結具230のセットをパッシブラジエータ180bの内部に配置することができる。
【0053】
図6に戻ると、場合によっては、オーディオデバイス10は、バッテリ240と、バッテリ240を直接覆う外装部材250とを更に含む。様々な実装形態では、外装部材250は、バッテリ240の誤動作による火災のリスクを制御するのを助け、オーディオデバイス10の防火定格を高める。
【0054】
図5及び図6は、例えば、ハウジング20を通して(例えば、後部エンクロージャ40によって画定される側壁90を介して)アクセス可能なUSB-Cコネクタ260を含む、オーディオデバイス10の追加の態様を示す。様々な実装形態では、後部エンクロージャ40の共成形構造は、USB-Cコネクタ260を環境的にシールし、環境汚染物質の侵入を軽減し、コネクタ260の耐久性及びその関連する機能を高める。
【0055】
図6を参照すると、様々な実装形態において、オーディオデバイス10はまた、後部エンクロージャ40内に単一のプリント回路基板(PCB)270を含む。これらの場合、単一のPCB270は、ハウジング20上に配置された変換器70及びインターフェースボタン280(図3図6)の両方の動作を制御するように構成される。すなわち、単一のPCB270は、インターフェース機能と共にオーディオデバイス10におけるオーディオ出力を制御するためのコンパクトでエネルギー効率の良い機構を提供する。特定の実装形態では、PCB270は、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)と、変換器70のための関連する制御回路とを含む。特定の場合において、PCB270は、変換器70を収容するための開口部290を含む。特定の態様では、PCB270は、オーディオデバイス10にわたって長手方向に(例えば、後部エンクロージャ40内で)広がる。例えば、PCB270は、ハウジング20の最長寸法(LD)の少なくとも約75パーセントにわたる長手方向寸法(ld)を有することができる。更なる例では、PCB270は、ハウジング20のLDの少なくとも85パーセント、90パーセント、又は95パーセントに及ぶことができる。追加の実装形態では、PCB270の高さ(h)は、直立位置(図2)におけるハウジング20の垂直高さ(H)の最大65パーセント、75パーセント、又は85パーセントに及ぶことができる。
【0056】
図1図7は、実装形態によるオーディオデバイス10の追加の特徴を示しており、オーディオデバイス10は、後部エンクロージャ40を通って延びる取り付けストラップ300を含むことができる。図6に示すように、カバー60のコンプライアントな性質は、例えば、環境汚染の侵入を制限するために、取り付けストラップ300の周囲に環境シールを提供することができる。ある場合には、後部エンクロージャ40は、オーディオデバイス10(図6)内の電子機器の残りの部分から取り付けストラップ300を更にシールするために、キャップ及び接着剤を含むことができるポケット310を含む。
【0057】
本明細書で述べたように、様々な実装形態に従って開示されたオーディオデバイス10は、従来のオーディオデバイスに対して多くの利点を提供する。例えば、従来のオーディオデバイスと比較して、後部エンクロージャ40の共成形構造は、より一貫して製造可能である。加えて、後部エンクロージャ40の共成形構造並びに後部及び側壁の一体的性質は、耐久性(又は頑丈さ)を改善し、(例えば、湿気、微粒子などの)侵入に対する抵抗を強化する。様々な実装形態では、本明細書で述べたように、オーディオデバイス10は、耐久性及び耐侵入性に加えてコンパクトである。例えば、オーディオデバイス10は、変換器70が、ハウジング20の深さの大部分、例えば、ある場合にはスピーカハウジングの深さの約90パーセント以上を占める最大偏位を有するように構成される。オーディオデバイス10のコンパクトな性質の少なくとも一部は、電気音響変換器及びインターフェースボタンの両方を動作させることができる単一のPCBによって可能になる。
【0058】
本明細書に含まれる図に示されるように、オーディオデバイス10並びにその構成要素及び特徴の相対的な比率、サイズ、及び形状は、これらの構成要素のそのような物理的属性の単なる例示であり得ることが理解される。すなわち、これらの比率、形状、及びサイズは、様々な製品に適合するように、様々な実装形態によって変更され得る。例えば、特定の実装形態による、実質的にブロック(又は、長方形断面)形状のラウドスピーカが示される場合があるが、ラウドスピーカはまた、本明細書に記載される音響機能を提供するために他の3次元形状を取り得ることが理解される。
【0059】
様々な実装形態では、互いに「連結」されているとして説明される構成要素は、1つ以上のインターフェースに沿って接合することができる。いくつかの実装形態では、これらのインターフェースは、別個の構成要素間の接合部を含むことができ、他の場合には、これらのインターフェースは、強固に及び/又は一体的に形成された相互接続部を含み得る。すなわち、いくつかの場合では、互いに「連結された」構成要素は同時に形成されて、単一の連続部材を画定することができる。しかしながら、他の実装形態では、これらの連結された構成要素は、別個の部材として形成され得、その後、既知のプロセス(例えば、はんだ付け、締結、超音波溶接、接合)によって接合され得る。様々な実装形態では、「連結された」と記載される電子構成要素は、これらの電子構成要素が互いにデータを通信することができるように、従来の有線及び/又は無線手段を介してリンクさせることができる。更に、所与の構成要素内の下位構成要素は、従来の経路を介してリンクされていると考えることができるが、必ずしも図示されない。
【0060】
複数の実装形態を説明してきた。それにもかかわらず、本明細書に記載される本発明の概念の範囲から逸脱することなく追加の改変を行うことができ、したがって、他の実装形態も以下の特許請求の範囲の範疇にあることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】