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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】光学的厚さ測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/06 20060101AFI20240918BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
G01B11/06 G
H01L21/66 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516753
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2022075768
(87)【国際公開番号】W WO2023041707
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】102021124048.4
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507119836
【氏名又は名称】プレシテク オプトロニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイス シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ニムチュ フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ベック トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ディーツ クリストフ
【テーマコード(参考)】
2F065
4M106
【Fターム(参考)】
2F065AA30
2F065BB01
2F065CC19
2F065DD02
2F065FF41
2F065FF52
2F065GG07
2F065GG23
2F065HH13
2F065JJ09
2F065LL02
2F065LL34
2F065LL67
2F065QQ28
2F065QQ42
4M106AA01
4M106BA04
4M106CA21
4M106CA48
4M106DH12
4M106DH31
4M106DH40
(57)【要約】
本発明は、光源、測定ヘッド、入力光を分光するための光学部品と検出器とを有する光学分光計、および評価装置を有する光学的厚さ測定装置に関する。光源は測定ヘッドに接続され、少なくとも低コヒーレンス測定光を生成し、それを測定ヘッドに導き、測定ヘッドは分光計に接続され、測定光を測定対象上に導き、測定対象の2つの異なる表面から生じた反射光を入力光として分光計に導き、分光計は評価装置に接続され、反射光のスペクトルを生成し、スペクトルを電気信号として評価装置に送り、評価装置は2つの表面間の距離、つまり測定対象の厚さを測定するように構成される。本発明によれば、測定光は第1および第2の波長範囲を有し、分光計は反射光の2つの光入力を有し、これらの光入力は互いに空間的に離間され、反射光の両方の波長範囲は、光入力間の距離に起因して共通の光学部品によって分光され、検出器上に結像される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源(112)と、測定ヘッド(114)と、入力光を分光する光学部品(148)と検出器(150)とを有する光学分光計(116)と、評価装置(118)とを有する光学的厚さ測定装置(100)であって、
a) 光源(112)は、測定ヘッド(114)に光学的に接続され、測定光を生成し、それを測定ヘッド(114)に導くように構成され、
b) 測定ヘッド(114)は、分光計(116)に光学的に接続され、測定光を測定対象(130)上に導き、2つの異なる境界面(132、134)から生じる反射光をそこから収集し、反射光を入力光として分光計(116)に導くように構成され、
c) 分光計(116)は、評価装置(118)に電気的に接続され、測定対象(130)の2つの異なる境界面から生じ、互いに干渉する反射光のスペクトルを生成し、スペクトルを電気信号として評価装置(118)に送信するように構成され、
d) 評価装置(118)は、2つの境界面(132、134)間の距離を測定するように構成され、
さらに、
e) 測定光は、少なくとも第1および第2の波長範囲を有し、
f) 分光計は、反射光に対する2つの光入力(140、142、240、242、340、342)を有し、第1の波長範囲の反射光は第1の光入力(140、240、340)から出射し、第2の波長範囲の反射光は第2の光入力(142、242、342)から出射し、
g) 光入力(140、142、240、242、340、342)は、両方の波長範囲が共通部品(26)によって分光され、検出器(28)上の画像化領域が分光方向に少なくとも部分的に重なるように、空間的に離間される、
光学的厚さ測定装置。
【請求項2】
光源(112)は、第1の光源ユニット(120)および第2の光源ユニット(122)を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第1の光源ユニット(120)の帯域幅は、第2の光源ユニット(122)の帯域幅とは異なる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
第1の光源ユニット(120)は、第2の光源ユニット(122)とは独立して切り替え可能である、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
光源(112)は、第1の波長範囲の測定光を第2の波長範囲の測定光と交互に、好ましくは固定クロックで、生成することができるように構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
スペクトルが、光源回路のクロックに同期して評価装置(118)によって読み出される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
検出器(451)は、別々に読み出すことができる2つのライン(453、455)を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記ラインが、分光を横切る空間方向に、好ましくは互いに真上にシフトされる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
参照アーム(570)を備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
光源(112)と測定ヘッド(114)との間、および/または測定ヘッド(114)と分光計(116)との間の接続が、それぞれ2つの光ファイバ(124、126、136、138)を備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
評価装置(118)が、第1および第2の波長範囲のそれぞれの測定光を用いて、第1および第2の反射光のそれぞれの第1および第2のスペクトルを生成し、それぞれのスペクトルからそれぞれの厚さを測定し、厚さについて2つの値を互いに計算するように構成される、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
光源(112)、測定ヘッド(114)、入力光の分光のための光学部品(148)と検出器(150)とを有する光学分光計(116)、および評価装置(118)を有する光学的厚さ測定装置(100)であって、
a) 光源(112)は、測定ヘッド(114)に光学的に接続され、測定光を生成し、それを測定ヘッド(114)に導くように構成され、
b) 測定ヘッド(114)は、分光計(116)に光学的に接続され、測定光を測定対象(130)上に導き、2つの異なる境界面(132、134)から生じる反射光をそこから収集し、反射光を入力光として分光計(116)に導くように構成され、
c) 分光計(116)は、評価装置(118)に電気的に接続され、測定対象(130)の2つの異なる境界面(132、134)から生じ、互いに干渉する反射光のスペクトルを生成し、スペクトルを電気信号として評価装置(118)に送信するように構成され、
d) 評価装置(118)は、2つの境界面(132、134)間の距離を測定するように構成され、
さらに
e) 測定光は、少なくとも第1および第2の波長範囲を有し、
f) 光源(112)は、第1の波長範囲の測定光を第2の波長範囲の測定光と交互に、好ましくは固定クロックで、生成することができるように構成され、
g) スペクトルは、光源回路のクロックに同期して評価装置(118)によって読み出される、
光学的厚さ測定装置。
【請求項13】
各場合において、検出器(150)の、読出しのために同時に生成された波長範囲が結像された領域のみが読み出される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
測定対象の2つの境界面間の距離を測定する方法であって、
a) 第1の波長範囲を有する少なくとも低コヒーレンス測定光を生成すること、
b) 測定光を測定対象に導くこと、
c) 反射光を収集し、異なる境界面で反射され、互いに干渉する反射光のスペクトルを生成すること、
d) 第2の波長範囲の測定光を用いてステップa~cを繰り返すこと、
e) 第1の波長範囲の測定光を用いて第1の界面距離値を測定すること、
f) 第2の波長範囲の測定光を用いて第2の界面距離値を測定すること、
g) 第1および/または第2の界面距離値を用いて界面距離を計算すること、
を含む測定方法。
【請求項15】
反射光の干渉が、測定対象の界面の反射光と参照光との間、および/または、測定対象の第1の界面の反射光と測定対象の第2の界面の反射光との間のいずれかで生じたものである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
界面距離の計算において、第1および第2の界面距離値の平均化、好ましくは重み付け平均化が実行される、請求項14または15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源、測定ヘッド、入力光のスペクトル分割のための光学部品を備えた光学分光計、検出器および評価装置を備えた光学的厚さ測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造用ウェハの製造において、切断後の研削工程によって、ウェハは、正確な絶対合計厚さおよびウェハ内の必要最小限の厚さ分布を有するものとされる必要がある。研削プロセスをチェックするために、研削中にウェハの厚さが測定される。厚さは研削中に著しく減少し得るので、測定プロセスによってカバーされる測定範囲はかなり大きい。
【0003】
ウェハの厚さを測定するためのシステムは、研削プロセス中にウェハの厚さをスペクトル干渉法で測定することが知られている。そのようなシステムは一般に、光源、測定ヘッドおよび光学分光計を備える。測定ヘッドは、光源からの光を、測定されるべきウェハ上に導き、それから反射された光を受け取る。反射光は分光計に供給され、そこで分光計はその波長成分に従って分割される。これにより、反射光の光スペクトルを測定することができる。測定結果は、評価ユニットにおいて分析され、ウェハの厚さが測定される。
【0004】
既存のシステムでは、通常、初期の厚いウェハまたは研削プロセス後に作製された薄いウェハのいずれかを測定することしかできない。これは、主に、ウェハの初期厚さにおいて、光源からの光が赤外線範囲の波長を有していなければならないという事実による。ウェハ(例えば、ケイ素)は、可視スペクトルにおいてほとんど不透明であるか、または可視スペクトルは低い侵入深さしか有さない。同時に、このスペクトルの光を放射する光源は充分に広帯域ではなく、可視範囲の測定光によって著しく高い精度が提供されるより薄い層に対しては、充分に良好な精度が得られない。
【0005】
これにより、通常、2つの別個の干渉計システムの使用が必要となり、それに関連して、装置の較正および同期の観点からより高いコストおよびより大きな労力が伴う。
【0006】
例えば、評価ユニットまたは測定ヘッドを部分的に統合したとしても、依然としてほとんどの構成要素が2つずつ必要とされるので、上述の問題を部分的にしか解決しない。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、上述の欠点を少なくとも軽減し、特に大きな測定範囲をカバーし、同時にコンパクトかつ安価な設計でコーティング厚さの広範囲を測定するための光学的厚さ測定装置を提供することである。
【0008】
この目的は、独立請求項1に記載の光学的厚さ測定装置によって解決される。本発明のさらなる実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明による光学的厚さ測定装置は、光源と、測定ヘッドと、光学分光計とを有する。光学分光計は、入力光を分光するための光学部品と、検出器とを有する。さらに、光学的厚さ測定装置は、評価ユニットを有する。
【0010】
光源は、例えば光導波路によって測定ヘッドに光学的に接続され、少なくとも低コヒーレンスの測定光を生成し、これを例えば上述の光導波路を介して測定ヘッドに送信するように構成される。「光学的に接続された」という用語は、本明細書および以下では、例えばファイバを介した光の光導波路ベースの伝送と、自由ビームベースの伝送との両方を含むものとする。
【0011】
測定ヘッドは、測定光を測定対象、例えばウェハ上に導くように構成される。これは、例えば、空気、またはウェハ処理に使用される水、油、酸または他の液体などの対応する媒体を通る自由ビームで行うことができる。さらに、測定ヘッドは、測定対象の少なくとも2つの異なる表面から生じる測定対象から反射された光を収集し、例えば光導波路を介して入力光として分光計に伝送するように構成される。異なる表面は例えば、ウェハの前面および後面、または一般に異なる光学界面であり得る。
【0012】
分光計は、評価装置に電気的に接続され、光学部品によって、少なくとも2つの異なった光学界面から生じる反射光の干渉の光学スペクトルを生成し、それを検出器によって電気信号に変換し、電気信号を評価装置に送信するように構成される。
【0013】
評価装置は、少なくとも2つの界面の間の距離(例えば、測定対象または測定対象の層の厚さ)を測定するように構成される。厚さは、例えばフーリエ変換を使用して、界面間の光路の差によって引き起こされる干渉の変調を評価することによって決定される。このようにして決定された光学的厚さは、材料の既知の屈折率を用いて幾何学的厚さに戻って計算される。
【0014】
本発明によれば、第1および第2の波長範囲を有する測定光と、反射光のための2つの光入力を有する分光計とが提供され、第1の波長範囲の反射光は第1の光入力を通過し、第2の波長範囲の反射光は第2の光入力を通過するようにされている。光入力は、両方の波長範囲が共通の構成によって分光され、検出器上の撮像範囲が分光の方向に重なるように空間的に離間される。
【0015】
波長範囲は好ましくは低コヒーレントであり、すなわち、多色光である。
【0016】
第1および第2の波長範囲に加えて、第3またはそれ以上の波長範囲を使用することもできる。したがって、界面距離を測定するための最も適切な波長範囲を、それぞれの場合に使用することができる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、波長範囲を切り替えること、特に、固定サイクルで前後に切り替えることが提供される。
【0018】
個々の波長範囲間の切り替えは、例えば、kHz範囲、例えば0.5kHzと100kHzとの間の切替速度で行うことができる。そのような高速切替速度は、いくつかの波長範囲での準同時測定を可能にし、特に、ウェハ厚さなどの層間の2つの測定時間にわたる距離の変化は、測定精度と比較して小さい。
【0019】
光を分光する共通の光学部品は例えば、分散光学素子であってもよい。分散光学素子とは、機能にとって重要な光学特性、例えば屈折率や回折角が顕著な分散を示し、その分散が機能にとって望まれる光学素子である。したがって、通常のガラスレンズは、屈折力が波長に多少依存するとしても、分散光学素子ではない。これは、強い分散を示し、異なる波長の光を異なる程度に屈折または回折するように設計された分散プリズムまたは回折格子を用いる場合とは異なる。
【0020】
光学部品によるスペクトル分割の間、回折/反射/屈折光を集束した後の入射点が波長に依存するように、回折、反射、または屈折が波長に依存して起こる。逆に、適切な入射点を選択することによって、2つの異なる波長範囲によって引き起こされる空間シフトを少なくとも部分的に補償することができ、単一の光学構成要素および単一の検出器を2つの異なる波長範囲に使用することができる。
【0021】
好ましくは、1つの波長範囲が光入力の各々に割り当てられる。すでに述べたように、これにより、異なる波長範囲によって生じる異なる回折/反射/屈折角を少なくとも部分的に補償し、分光ビーム経路の少なくとも部分的な重複を生成することが可能になる。
【0022】
これは、特にコンパクトな分光計のデザインを可能にし、一方ではコストを節約し、特に厳しい設置スペース要件を満たすことを可能にする。一方、そのようなコンパクトな設計は分光計の精度にも有益であり、分光計の光学素子の寸法(例えば、レンズの直径)が小さいほど、両方の波長のスペクトル範囲全体にわたって事実上誤差のない画像を達成することが容易になる。結像品質が良ければ良いほど、変調コントラストが高くなり、したがって測定結果の品質も高くなる。このようにして、結合および分離の光学系の必要な場所は、可能な限り類似しており、したがって最小限である。加えて、スペクトルが重なり合うことで、必要な検出器長さが最小限に抑えられ、またはより多くの検出器ピクセルにわたって分割を行うことができ、これは分解能を改善する。
【0023】
光入力という用語は、ここでは外部ハウジングに取り付けられた入力として必ずしも理解されるべきではなく、分光計のビーム経路へのそれぞれの光の入射点として理解されるべきである。
【0024】
好ましい実施形態では、光源は、少なくとも第1の光源ユニットおよび第2の光源ユニットを備える。
【0025】
好ましくは、2つの光源ユニットによって生成された測定光は、光接続、例えば光ファイバを介して測定ヘッドに結合される。各光源ユニットの測定光は、それ自体の光ファイバを介して結合されることが特に好ましい。2つの波長範囲に対して異なる種類のファイバを使用することが特に好ましい。ファイバのタイプは、その伝送特性の点で波長範囲、例えば、シングルモードまたはマルチモードファイバに適合させることができる。2つの光ファイバは、共通のクラッド内に封入することができる。あるいは、両方の光源ユニットからの測定光は、共通の光ファイバを介して結合される。
【0026】
あるいは、波長範囲ごとに別々の測定ヘッドを設け、それぞれの測定ヘッドを、例えばそれぞれ1つの光導波路を介して1つの光源ユニットに別々に接続することができる。
【0027】
別個の光源ユニットとしてのデザインにかかわらず、波長範囲は、可視および近赤外の範囲(VISおよびNIR)、特に400nm~1600nmとすることができる。例えば、第1の波長範囲は、430nm~700nmであり得る。第2の波長範囲は例えば、700nm~1600nmの範囲、特に約830nm~約930nm、約870nm~約970nm、または約950nm~約1100nmのサブ範囲であり得る。
【0028】
上記波長範囲で測定される距離は、例えばVIS範囲(可視範囲)で0.5μm~10μmであり得、NIR範囲では例えば150μmのケイ素厚さまでであり得る。
【0029】
好ましくは、第1の光源ユニットの帯域幅は、第2の光源ユニットの帯域幅とは異なる。特に、第1の波長範囲は広帯域であり、第2の波長範囲は比較的狭い。より狭い波長範囲はより厚いウェハの測定を可能にし、一方、広帯域波長範囲は、薄いウェハに対してより良好な精度を提供する。
【0030】
好ましい実施形態では、第1の光源ユニットは発光ダイオード(LED)であり、第2の光源ユニットはスーパールミネッセントダイオード(SLD)である。
【0031】
狭帯域波長範囲は長波波長範囲が特に好ましく、広帯域波長範囲は短波波長範囲がよい。
【0032】
光源ユニットとして2つの別個の光源を使用する代わりに、スペクトル範囲が両方の波長範囲に及ぶ単一の光源を使用し、フィルタまたはダイクロイックビームスプリッタによって波長範囲を分離することもできる。
【0033】
一実施形態では、光源は、第1の波長範囲の測定光を第2の波長範囲の測定光と交互に生成することができるように構成されてもよい。このようにして、2つの測定範囲を迅速に切り替えることが可能である。したがって、分光計の読み出しまたは評価装置による電気信号の評価は、例えば固定サイクルで同期して行うことができる。
【0034】
有利な実施形態では、第1の光源ユニットが第2の光源ユニットとは独立して切り替えることができる。
【0035】
第1の期間において第1の波長範囲を使用し、第2の期間において第1および第2の波長範囲を交互に使用し、第3の期間において第2の波長範囲を使用することも考えられる。これは、ある波長範囲によってすでに最適にカバーされている厚さを測定するとき、その対応する波長範囲のみが放出される可能性を提供する。
【0036】
両方の波長範囲によって同様にカバーされる測定範囲では、2つの波長範囲の発光と関連する評価とを交互に記録することができる。これは、例えば重み付けされた、互いに得られる厚さ値を計算して、値を形成し、ひいては単一の波長範囲を用いる場合よりも高い測定精度を達成する可能性を提供する。
【0037】
測定中に1つの厚さ値に対して2つのスペクトルが生成される場合、厚さ値は、2つの部分スペクトルから計算することができる。異なる帯域幅を有する2つの測定スペクトルが使用される場合、より厚いウェハのためのより狭帯域のスペクトルは、より高い精度を提供し、かつより広帯域のスペクトルは薄いウェハ用となる。
【0038】
厚さ値の計算は例えば、2つの部分スペクトルの統計的重み付けを提供することができる。狭帯域スペクトルは、厚いウェハのためのより高い精度を提供し、広帯域スペクトルは薄いウェハ用となる。計算可能な厚さ値は常に、現在の厚さに最も適した部分スペクトルに基づいている。
【0039】
好ましくは、この計算が固定閾値に基づくのではなく、例えば、加重平均値に基づく。移行範囲を定義することができ、その範囲内で、重み付けは、測定される現在の厚さが位置する移行範囲内のおおよその位置に依存するか、および/または重み付けは、最後に計算された値に依存するか、および/またはその2つの測定値に依存することができる。
【0040】
代替的にまたは追加的に、同じ厚さに対する2つの測定値の重み付けは、決定された個々の測定値の品質に基づいて実行することもできる。測定ピーク高さ(干渉変調の振幅に対応する)または値の統計的ノイズの任意の尺度(例えば、ある期間にわたる変更)を、品質の尺度として使用することができる。
【0041】
この目的は、独立請求項に記載の方法によっても解決される。
【0042】
本発明による方法は、測定対象の2つの境界面間の距離を測定するために使用され、以下のステップを有する:
第1の波長範囲を有する測定光を生成すること、測定光を測定対象上に導くこと、測定対象によって反射された光を収集し、干渉変調を用いて反射光のスペクトルを生成すること、第1および第2の波長範囲が少なくとも部分的に異なる第2の波長範囲の測定光を用いて上記ステップを繰り返すこと、第1の波長範囲の測定光のスペクトルを用いて第1の界面距離値を測定すること、第2の波長範囲の測定光のスペクトルを用いて第2の界面距離値を測定すること、第1および/または第2の界面距離値を用いて界面距離を計算すること。界面距離値は、2つの光学界面間の距離、特に2つの光学界面間の層の厚さの測定値である。第1および第2の波長範囲は、交互にまたは同時に、次々に評価することができる。
【0043】
このようにして、測定対象の2つの界面間の距離を、広い範囲にわたって高精度に連続的に測定することができる。一方または両方の発光光源の強度または品質がより低い距離範囲においても高い精度を達成することができるが、両方の測定光範囲の測定結果を使用することができる。
【0044】
本方法の好ましい実施形態では、反射光の干渉が、測定対象の境界面の反射光と参照光との間、および/または測定対象の第1の境界面の反射光と測定対象の第2の境界面の反射光との間のいずれかで生じる。界面の反射光と、既知のまたは少なくとも時間的に一定の経路長を移動した参照光との間の干渉が起きている間に、絶対距離値を計算することができる。2つの境界面の反射光間の干渉の場合、2つの境界面間の距離値を計算することができる。
【0045】
平均化は、界面距離を計算するときに実行される。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。これらは次のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】従来技術による厚さを測定するための装置の概略図。
図2】光学的厚さ測定装置の第1の実施形態。
図3図2による光学的厚さ測定装置の様々な動作状態。
図4図2による光学的厚さ測定装置の様々な動作状態。
図5】共通の測定スポットを有する光学的厚さ測定装置の第2の実施形態。
図6】専らファイバベースの光ガイドを有する光学的厚さ測定装置の第3の実施形態。
図7】2ライン検出器を有する光学的厚さ測定装置の第4の実施形態。
図8】参照アームを有する光学的厚さ測定装置の第5の実施形態。
図9】本発明による方法の実施形態。
【発明を実施するための形態】
【0047】
測定原理と問題定義
図1は、従来技術による測定装置10を概略的に示している。測定光源12は測定光14を生成し、この測定光は、光分割装置16、例えばビームスプリッタキューブまたはファイバカプラを介して、および測定ヘッド18を介して、測定対象19上に向けられる。図1において、測定対象19の第1の境界面20または第2の境界面22によって反射された測定光14の一部は、黒い矢印によって示され、参照番号14’が与えられる。反射された測定光14’は、測定ヘッド18によってピックアップされ、光分割装置16によって分光計24上に向けられる。分光計24は例えば、回折格子または分散プリズムであってもよい分散光学素子26を含む。
【0048】
さらに、分光計24は、複数の感光性セル30を含む検出器28を含む。感光セル30は、直線または曲線に沿って配置され、以下、画素と称する。画素によって生成されたシグナルは2つの表面20、22間の距離値を計算するために、評価装置32によって評価される。
【0049】
測定中、反射された測定光14’は分散光学素子26によって偏向され、偏向角は反射された測定光14’の波長に依存する。1つの界面20からの反射測定光14’が別の界面22から反射された測定光と干渉する測定装置では、広いスペクトルが、スペクトル変調される検出器28上で得られる。次いで、検出器28は多数の強度最大値を記録し、変調周波数は、第1および第2の界面20、22間の各距離に割り当てられる。所望距離は、従来技術においてそれ自体知られているように、フーリエ変換によって検出器28によって生成されたシグナルから計算することができる。
【0050】
第1実施形態
図2は、光学的厚さ測定装置100の第1の実施形態の概略図を示す。厚さ測定装置100は、光源112と、測定ヘッド114と、光学分光計116と、評価装置118とを有する。
【0051】
光源112は、少なくとも2つの異なる波長範囲または周波数帯域の低コヒーレンス光を生成するように構成される。2つの波長範囲のうちの少なくとも1つは、有利には広帯域であり、すなわち、放射された光は波長の全連続範囲、例えば100nm以上の範囲を含む。この光を生成するために、図2に示される実施形態における光源112は、2つの光源ユニット120、122を備える。図示の実施形態では、一方の光源ユニット120は、放射線源として発光ダイオードを備え、他方の光源ユニット122は放射線源としてスーパールミネセント(SLD)ダイオードを備える。例示的な波長範囲は、430nm~700nm、830nm~930nm、870nm~970nmまたは950nm~1100nmである。
【0052】
光源ユニット120、122によって放射された光は、2つの別個の導波路(図2では第1の光ファイバ124および第2の光ファイバ126)を介して測定ヘッド114に導かれる。測定ヘッド114に結合された測定光は、適切な光学系128を介して測定対象130の表面に向けられる。1つの波長範囲または1つの光源ユニットの光は、ファイバの各々に導かれる。したがって、その波長範囲は、別々のファイバを通して導かれる。
【0053】
測定光の一部は測定対象130の第1の表面132で反射され、第2の部分は第2の表面134で反射される。図2では図を明確に保つために、反射方法は第1の表面132上の例として示されているに過ぎない。別々の測定スポットが、別々のファイバ内で導かれた波長範囲ごとに測定対象130の表面上に生成される。
【0054】
2つの表面132、134から反射された光の一部は、次に測定ヘッド114に結合され、そこでファイバ136、138のうちの1つに結合され、したがって分光計116に到達する。
【0055】
それによって、第1のファイバ124から生じ、測定対象130の表面132、134のうちの1つによって反射された測定光は、第1のファイバ124のファイバ端部において光学系128により再び結像される。有利には、感知ヘッド114はビームスプリッタキューブ129を備え、これにより、感知対象130から反射された戻り光が少なくとも部分的に偏向され、第1のファイバ124の端部に共役に配置された別のファイバ136の端部上に結像される。したがって、この光は、ファイバ136内にのみ結合される。同じことが、第2のファイバ126から生じ、測定対象130によって反射された測定光にも当てはまり、その端部が第2のファイバ126の端部と共役に配置されたファイバ138に結合される。
【0056】
ファイバ124、126は異なる波長範囲を搬送するので、ファイバ136、138に結合される波長範囲も、追加のフィルタリングまたはスイッチングを必要とすることなく、異なる。光ファイバ136、138は、2つの空間的に離間された光入力140、142がファイバ136、138に提供されるように、分光計116に接続される。特定の実施形態では、光入力は、例えば1~30mm、好ましくは15mmの間隔をあけて配置することができる。分光計116では、2つの光入力140、142を介して分光計116に結合された反射光は、本明細書では光学系144、146によって示されている同じ分光計光学系、および一例として反射格子148を通過する。
【0057】
反射格子148の代わりに、透過で動作する格子、またはプリズムを設けることもできる。
【0058】
反射格子148は、反射光を分光する。分光の結果は、検出器150上に結像される。検出器150は、強度分布の位置依存検出を可能にし、例えば上述したようなセルまたはピクセルを有する例えばライン形態であり得る。
【0059】
明確にするために図示されていない例示的な実施形態では、回折格子は、回折格子への光入力の結像と回折格子から検出器への結像とが同じ光学系によって行われるように、すなわち、光学系144および146が一致するように配置されてもよい。
【0060】
検出器150は、位置の関数として、したがって、反射格子148などの光学部品による分割に起因する波長の関数として、測定された光の強度を検出する。
【0061】
上述のように、2つの異なる光導波路136、138からの光は、分光計116の同じ光学系を通過する。光源120、122は、単一の波長範囲からの光のみが検出器150の活性表面上に到達するように、交互にオンおよびオフに切り換えられる。検出器150は、光源120、122のオン/オフの切り替えと同期して読み出すことができ、その結果、このようにして検出されたスペクトルは、光源120、122に明確に割り当てることができる。
【0062】
検出器150またはその検出器ラインは、評価装置118を介して読み出される光スペクトルから対応する信号を生成する。評価装置118は、電気接続152を介して検出器150に接続されている。
【0063】
図3および図4は様々な動作状態を示すために、図2の一部分の概略図を示す。図3において、第1の波長範囲(ここでは、例えば430nm~700nm)に割り当てられた反射光は、導波路138を介して光入力142に向けられる。入力位置142から開始して、反射光は、第1の光学系144を介してコリメートされ、反射格子148上に向けられる。そこから、それは、第2の光学系146上に分光され、すなわち、波長に依存する反射角を付けられて、検出器150のライン上に結像される。図3に示されるように、反射光の波長に応じて、検出器150上に局所的に異なる強度が存在する。ビーム経路は、第1の波長範囲の2つの異なる波長について(概略的に)示され、より長い波長は破線として示されている。検出器150に当たる光は、検出器150の活性表面の特定の領域を覆う。したがって、反射光の局所的に分解されたスペクトルが、検出器ライン150上に現れる。
【0064】
一方、図4に示すように、第2の波長範囲(ここでは、例えば830nm~930nm)の光がファイバ136を介して光入力140に供給される場合、この反射光はまた、光学系144に結合し、そこからコリメートされて反射格子148上に結像される。光入力142の放射位置から離れた光入力140の異なる放射位置により、反射格子148への異なる入射角が生じる。反射格子148へのこの入射角は、格子148によって分光された光に対して、反射光の異なる波長範囲に起因する異なる放射角を補償するように選択され、検出器150は、反射光の波長分布の関数として、光学系146を介して検出器ラインの位置にわたって強度分布を表示することができる。
【0065】
図4において、830nm~930nmの範囲の光は、第2の入力140を介して分光計116に結合される。より長い波長のために、光は、430nm~700nmの範囲の光よりも、光学格子148によってより強く回折される。この効果を補償するために、第2の入力140は第1の入力142に対して横方向にオフセットされ、その結果、反射光はより急な角度で光学格子148に当たる。適切な横方向オフセットを選択することによって、それぞれのスペクトルからの光が到達する検出器150の活性表面上の領域が少なくとも部分的に重なることを確実にすることが可能である。これは、特にコンパクトな設計を可能にする。
【0066】
第2の実施形態
図5は、本発明の厚さ測定装置200の代替の実施形態を示す。以下に記載されるすべての特徴について、図2の参照符号を参照して、100のみが付加された同じ参照符号が使用される。必要がない限り、これらは再び説明されない。
【0067】
光学的厚さ測定装置200は、2つの光源ユニット220、222を有する光源212を備える。図2の実施形態とは対照的に、光源212の異なる波長範囲は、測定ヘッド214を介して共通の測定スポット231に供給される。
【0068】
光源ユニット220、222から出射する光は、2つのファイバ224、226を介してダイクロイックビームスプリッタ229に供給される。光源ユニット220の第1の波長範囲の光は第1のファイバ224からビームスプリッタ229に入射し、透過され、測定対象230(または2つの界面232、234のうちの1つ)に当たり、そこから反射され、ファイバ224に再び入射する。ファイバ238は、ファイバカプラを介してファイバ224に接続されている。この反射光は、このファイバカプラを介してファイバ238に導かれ、ファイバは光を光入力242に導く。同様に、光源ユニット222の他の波長範囲の光は第2のファイバ226に入り、図示の実施形態では横方向にビームスプリッタ229に入り、そこで測定ヘッド/測定対象の方向に反射され、測定対象230で反射した後、再びファイバ226に入り、ファイバカプラを介してそこから分光計226または関連する光入力240に導かれる。ダイクロイックビームスプリッタ229は、ファイバ224を介して供給される波長範囲の光が可能な限り完全に透過し、ファイバ226を介して供給される波長範囲の光が可能な限り完全に反射するように選択される。
【0069】
この実施形態の代替として、ビームスプリッタ229は、測定ヘッド214に直接接続されなくてもよく、別個の要素として存在してもよい。この場合、光源212からの測定光は、単一のファイバを介して測定ヘッド214に導かれ、分光計の直前にのみ分離され得る。
【0070】
第3の実施形態
図6は、厚さ測定装置300のさらなる実施形態を示す。図2および図5の前述の実施形態とは対照的に、この実施形態における光ガイドは、測定ヘッド314および分光計316の外側で完全にファイバベースである。図2の実施形態のように、異なる波長範囲は、異なる位置で別々のファイバ324、326によって測定ヘッドに結合され、したがって、戻り光もまた、対応するファイバの端部で再び結像され、そこでのみ結合される。ファイバカプラを介して、ファイバ324および326内の戻り光は、ファイバ338および336内に導かれ、そこから分光計に導かれる。
【0071】
第3の実施形態は主に第1の実施形態に対応し、ビームスプリッタはファイバカプラに置き換えられる。
【0072】
逆に、自由ビーム内で完全にビーム誘導を実行することも可能である。
【0073】
前述の実施形態のすべてにおいて、分光計116、216、316への空間的に分離された結合は、互いに別々に隣接して配置され得るフェルールを介して行われ得ることが提供され得る。あるいは、結合はダブルフェルールを介して行うこともできる。検出器平面内の部分スペクトルの位置は、フェルールの位置またはダブルフェルール内のファイバ間の距離に基づいて設定することができる。
【0074】
一方では、検出器上の部分スペクトルの分離は、前述したように、両方の波長範囲について検出器上に大きな空間的重複があるように設定することができ、分離は、光源または光源ユニットのタイミングをとることによって達成される。
【0075】
あるいは、格子によって分割された反射光の部分スペクトルが2つの異なる検出器ライン上に位置するように、分光計上の入力の空間間隔を選択することによって、検出器上の部分スペクトルの空間分離を達成することもできる。これにより、タイミングを省略することができる。
【0076】
分光計上の入力点の間隔はまた、検出器列が互いに真上にあるように選択または組み合わせることができ、したがって、特にコンパクトな構成を達成する。
【0077】
さらなる代替例では、分光計上の入力の空間間隔は、スペクトルが検出器上で重ならないようにすることができる。この場合、読み出し速度を高めるために、光源の切り替えに同期して検出器の一部の領域のみを読み出すことができる。例えば、スペクトルは、ライン構成を有する検出器上のラインにおいて互いに隣接して配置することができる。回折/屈折/反射条件によって実際に測定されるスペクトル間の距離は、光入力の空間的な配置および配列によって低減することができ、その結果、利用可能な検出器領域を使用して最適な効果を得ることができる。
【0078】
第4の実施形態
これは図7に示されており、図7は分光計116の一部を概略的に示している。分散光学素子は認識可能であり、これは、主に、より良好な可視化の理由から、ここでは透過格子449として設計されている。透過格子449は、図2図5および図6に示された反射格子148、248、348の場合と同様に、コリメートされたビーム経路内に配置される。他の実施形態と同様に、集束レンズ444は、回折光を検出器451上に集束させる。
【0079】
上述の実施形態とは対照的に、検出器451は、1つだけではなく、2つの画素ライン453、455を有する。図示の実施形態において軸Aが通る第1の画素ライン453に沿って、第1の波長範囲の光のみを対象とする第1の画素457が配置される。x方向に沿ってオフセットされているが、第1の画素ライン453と平行に延びる第2の画素ライン455に沿って、第2の波長範囲の光のみを対象とする第2の画素459が配置される。2つのピクセルラインに分割することにより、光源を切り替える必要がなくなる。
【0080】
図7に実線のビーム束460として示される第1の波長範囲の光は、軸Aに沿って分散光学素子(透過格子449)上に落ちる。軸Aは例えば、z軸に対して第1の角度αだけ傾斜している。透過格子449の回折構造はx方向に沿って延在するので、光460は、波長に応じて、軸Aおよびy軸で張られる平面内で偏向され、集束レンズ444によって第1の画素ライン453の第1の画素457の1つに向けられる。
【0081】
コリメートビーム束462(図7に破線で示す)は、第2の波長範囲の光であり、この実施形態では軸Aに対して傾斜した第2の軸に沿って透過格子449に当たる。その結果、集束レンズ444は、yz平面で回折された光を第1の画素ライン453の画素457に集束せず、x方向にオフセットして配置された第2の画素ライン455の第2の画素459の1つに集束させる。したがって、異なる入射方向の結果として、第1の波長範囲の光460と第2の波長範囲の光462は、同じ画素に集束され得ない。
【0082】
同時に、z軸に対する2つのビーム束460、462のうちの少なくとも1つの入射方向は、波長依存回折の少なくとも部分的な補償が行われるように選択され、これにより、異なる波長範囲の光が、同じ分散素子によって偏向され、それが検出器451上にも到達するようになる。具体的には、この実施形態では光ビーム462の入射方向は、分散素子449への入射方向がxz平面との角度を含むように選択される。この角度は、他の波長範囲によって生じるyz平面におけるより強いまたはより弱い偏向が「補正される」ように選択される。したがって、分散された光は、検出器451にも衝突するが、上述のように第2の検出器ライン455またはピクセル459のうちの1つに衝突する。
【0083】
したがって、この実施形態では、両方の波長範囲の測定を同時に行うことができる。したがって、このアプローチは、2つの界面の間の測定される実際の距離が波長範囲の間の不利な位置にあり、理想的には、両方の波長範囲を同時に使用して測定が行われる場合に特によく適している。
【0084】
光460、462を異なる方向から分散光学素子449上に導くことができるようにするために、それぞれの波長の光は、ファイバベースの構成における別個のファイバを介して導かれることができる。その場合、ファイバの2つの端部は、分光計光学系の物体面において互いに隣接して配置されなければならない。図7に示される実施形態では、2つの検出器ライン453、455の制御のためのx方向に沿ったファイバ端部のオフセットと、異なる波長範囲のための格子449の分散効果の調整のためのy方向のオフセットとが提供されなければならない。
【0085】
一般に、自由ビーム伝搬を有する構成では、ビーム伝搬の調整は、例えばアパーチャを整列させることによってまたはウェッジプリズムを使用することによって、達成することができる。
【0086】
検出器上の2つの異なる波長範囲を有する光の所望の空間的分離はまた、一般に、分散光学素子上のそれぞれの光の異なる入射方向によって保証され得る。あるいは、光を異なるように偏光させることも可能であり、例えば、直交直線偏光または反対円偏光である。次いで、例えば画素457、459の直前またはその上に配置される適切な偏光フィルタの助けを借りて、一方の波長を有する光が、他方の波長を有する光が落ちることができない画素のみに落ちること、およびその逆を達成することができる。
【0087】
測定中に1つの厚さ値に対して2つのスペクトルが生成される場合、厚さ値は、2つの部分スペクトルから計算することができる。異なる帯域幅を有する2つの測定スペクトルが使用される場合、より厚いウェハのためのより狭帯域のスペクトルは、より高い精度を提供し、かつより広帯域のスペクトルは薄いウェハ用となる。
【0088】
厚さ値の計算は例えば、2つの部分スペクトルの統計的重み付けを提供することができる。狭帯域スペクトルは、厚いウェハのためのより高い精度を提供し、広帯域スペクトルは薄いウェハ用となる。計算可能な厚さ値は常に、現在の厚さに最も適した部分スペクトルに基づいている。
【0089】
好ましくは、この計算が固定閾値に基づくのではなく、例えば、加重平均値に基づく。移行範囲を定義することができ、その範囲内で、重み付けは、測定される現在の厚さが位置する移行範囲内のおおよその位置に依存するか、および/または重み付けは、最後に計算された値に依存するか、および/またはその2つの測定値に依存することができる。
【0090】
代替的にまたは追加的に、同じ厚さに対する2つの測定値の重み付けは、決定された個々の測定値の品質に基づいて実行することもできる。測定ピーク高さ(干渉変調の振幅に対応する)または値の統計的ノイズの任意の尺度(例えば、ある期間にわたる変更)を、品質の尺度として使用することができる。
【0091】
第5の実施形態
前の実施形態のように、2つの界面間の距離を測定することができるだけでなく、絶対距離測定値を得るために、参照光を提供することができる。図8は、測定装置500の実施形態を示しており、図6に示された実施形態に大部分が対応し、端部側ミラー572を有する参照アーム570がファイバカプラ574に追加的に接続されている点が異なる。さらに、明瞭にするために、1つの光波長に対する1つの光路のみが示されている。参照アーム570では、光源512によって生成された測定光がミラー572で反射され、ファイバカプラ574において、測定対象530の表面532、534のうちの1つで反射された測定光と干渉する。干渉は、分光計516によって検出され、検出器550上に変調スペクトルを生成する。高速フーリエ変換(FFT)により、スペクトルから変調周波数を得ることができ、その各周波数は距離値に割り当てられる。さらなる詳細については、本出願人の独国特許出願公開第10 2016005021号A1明細書を参照されたい。
【0092】
FFTを実行できるようにするために、位相依存強度Pint(k)は最初に、個々のピクセルpによって測定された強度値Pint(p)から導出されなければならない。波数kは、次式の関係により波長λに関連付けられる。
k=n(λ)/λ
ここで、n(λ)は、測定対象530を構成し、測定光が透過し得る媒体の分散を示す。そして、波長λは、割り当てテーブルp=p(λ)を介して画素番号pに割り当てられる。結果は、波数kと画素番号pとの間の割り当てであり、これは、画素依存強度Pint(p)を位相依存強度Pint(k)に変換するために必要となる。さらなる詳細については、本出願人の独国特許出願公開第10 2017122689号A1明細書を参照されたい。用途に応じて、いくつかの参照アームおよび/または長さ調節可能な参照アームを使用することができる。
【0093】
第6の実施形態
図9は、本発明による方法の一実施形態を示す。第1(S1)および第2(S2)の工程において、第1の界面距離値(第1および第2の界面間の距離の値)は第1の波長範囲の測定光によって測定され、第2の界面距離値は第2の波長範囲の測定光によって測定される。例えば、測定光はこの目的のために、第1および第2の波長範囲で生成することができる。上述のように、第1の波長範囲は可視範囲、例えば430nm~700nmであり得る。第2の波長範囲は例えば、700nm~1600nmの範囲、特に約830nm~約930nm、約870nm~約970nm、または約950nm~約1100nmのサブ範囲であり得る。好ましくは、第1の光源の帯域幅が第2の光源の帯域幅とは異なる。特に、第1の波長範囲は広帯域であり、第2の波長範囲は比較的狭い。より狭い波長範囲は厚いウェハに対してより高い精度を提供し、一方、広帯域波長範囲は、薄いウェハに対してより高い精度を提供する。好ましい実施形態では、第1の光源ユニットは発光ダイオード(LED)であり、第2の光源ユニットはスーパールミネッセントダイオード(SLD)である。狭帯域波長範囲は長波波長範囲が特に好ましく、広帯域波長範囲は短波波長範囲がよい。
【0094】
界面距離値を測定するとき、測定光は、例えばkHz範囲の周波数、すなわち0.5kHz~100kHzの間で、2つの波長範囲を迅速に切り換えることができる。このようにして、個々の波長の間で、したがって測定範囲の間で、ほぼ連続的な遷移を達成することが可能である。同時に、2つの波長範囲によってカバーはされるが、個々の測定光がより低い品質/強度しか提供しない測定範囲では、2つの測定光結果を平均化することによって、全体的に著しく良好な測定信号を達成することができる。
【0095】
この目的のために、例えば測定信号の品質に基づいて重み付けされた重み付け平均化を実行することができる(S3)。
【符号の説明】
【0096】
100 測定装置
112 光源
114 測定ヘッド
116 光学分光計
118 評価装置
120、122 光源ユニット
124、126 光ファイバ
128 光学系
130 測定対象
132 第1の表面
134 第2の表面
136、138 光ファイバ
140、142 光入力
144、146 光学系
148 反射格子
150 検出器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源(112)と、測定ヘッド(114)と、入力光を分光する光学部品(148)と検出器(150)とを有する光学分光計(116)と、評価装置(118)とを有する光学的厚さ測定装置(100)であって、
a) 光源(112)は、測定ヘッド(114)に光学的に接続され、測定光を生成し、それを測定ヘッド(114)に導くように構成され、
b) 測定ヘッド(114)は、分光計(116)に光学的に接続され、測定光を測定対象(130)上に導き、2つの異なる境界面(132、134)から生じる反射光をそこから収集し、反射光を入力光として分光計(116)に導くように構成され、
c) 分光計(116)は、評価装置(118)に電気的に接続され、測定対象(130)の2つの異なる境界面から生じ、互いに干渉する反射光のスペクトルを生成し、スペクトルを電気信号として評価装置(118)に送信するように構成され、
d) 評価装置(118)は、2つの境界面(132、134)間の距離を測定するように構成され、
さらに、
e) 測定光は、少なくとも第1および第2の波長範囲を有し、
f) 分光計は、反射光に対する2つの光入力(140、142、240、242、340、342)を有し、第1の波長範囲の反射光は第1の光入力(140、240、340)から出射し、第2の波長範囲の反射光は第2の光入力(142、242、342)から出射し、
g) 光入力(140、142、240、242、340、342)は、両方の波長範囲が共通部品(26)によって分光され、検出器(28)上の画像化領域が分光方向に少なくとも部分的に重なるように、空間的に離間される、
光学的厚さ測定装置。
【請求項2】
光源(112)は、第1の光源ユニット(120)および第2の光源ユニット(122)を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第1の光源ユニット(120)の帯域幅は、第2の光源ユニット(122)の帯域幅とは異なる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
第1の光源ユニット(120)は、第2の光源ユニット(122)とは独立して切り替え可能である、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
光源(112)は、第1の波長範囲の測定光を第2の波長範囲の測定光と交互に、好ましくは固定クロックで、生成することができるように構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
スペクトルが、光源回路のクロックに同期して評価装置(118)によって読み出される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
検出器(451)は、別々に読み出すことができる2つのライン(453、455)を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記ラインが、分光を横切る空間方向に、好ましくは互いに真上にシフトされる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
参照アーム(570)を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
光源(112)と測定ヘッド(114)との間、および/または測定ヘッド(114)と分光計(116)との間の接続が、それぞれ2つの光ファイバ(124、126、136、138)を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
評価装置(118)が、第1および第2の波長範囲のそれぞれの測定光を用いて、第1および第2の反射光のそれぞれの第1および第2のスペクトルを生成し、それぞれのスペクトルからそれぞれの厚さを測定し、厚さについて2つの値を互いに計算するように構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
光源(112)、測定ヘッド(114)、入力光の分光のための光学部品(148)と検出器(150)とを有する光学分光計(116)、および評価装置(118)を有する光学的厚さ測定装置(100)であって、
a) 光源(112)は、測定ヘッド(114)に光学的に接続され、測定光を生成し、それを測定ヘッド(114)に導くように構成され、
b) 測定ヘッド(114)は、分光計(116)に光学的に接続され、測定光を測定対象(130)上に導き、2つの異なる境界面(132、134)から生じる反射光をそこから収集し、反射光を入力光として分光計(116)に導くように構成され、
c) 分光計(116)は、評価装置(118)に電気的に接続され、測定対象(130)の2つの異なる境界面(132、134)から生じ、互いに干渉する反射光のスペクトルを生成し、スペクトルを電気信号として評価装置(118)に送信するように構成され、
d) 評価装置(118)は、2つの境界面(132、134)間の距離を測定するように構成され、
さらに
e) 測定光は、少なくとも第1および第2の波長範囲を有し、
f) 光源(112)は、第1の波長範囲の測定光を第2の波長範囲の測定光と交互に、好ましくは固定クロックで、生成することができるように構成され、
g) スペクトルは、光源回路のクロックに同期して評価装置(118)によって読み出される、
光学的厚さ測定装置。
【請求項13】
各場合において、検出器(150)の、読出しのために同時に生成された波長範囲が結像された領域のみが読み出される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
測定対象の2つの境界面間の距離を測定する方法であって、
a) 第1の波長範囲を有する少なくとも低コヒーレンス測定光を生成すること、
b) 測定光を測定対象に導くこと、
c) 反射光を収集し、異なる境界面で反射され、互いに干渉する反射光のスペクトルを生成すること、
d) 第2の波長範囲の測定光を用いてステップa~cを繰り返すこと、
e) 第1の波長範囲の測定光を用いて第1の界面距離値を測定すること、
f) 第2の波長範囲の測定光を用いて第2の界面距離値を測定すること、
g) 第1および/または第2の界面距離値を用いて界面距離を計算すること、
を含む測定方法。
【請求項15】
反射光の干渉が、測定対象の界面の反射光と参照光との間、および/または、測定対象の第1の界面の反射光と測定対象の第2の界面の反射光との間のいずれかで生じたものである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
界面距離の計算において、第1および第2の界面距離値の平均化、好ましくは重み付け平均化が実行される、請求項14または15に記載の方法。
【国際調査報告】