(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】PD-L1抗原結合断片を含む組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240918BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240918BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240918BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240918BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240918BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240918BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240918BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240918BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20240918BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240918BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240918BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20240918BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20240918BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20240918BHJP
【FI】
A61K39/395 U ZNA
A61K47/18
A61K47/26
A61K9/08
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/02
A61P35/00
A61P31/00
A61P31/12
A61P31/04
A61P31/10
A61P33/00
C07K16/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516809
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 CN2022119187
(87)【国際公開番号】W WO2023040999
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】202111112052.4
(32)【優先日】2021-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524007033
【氏名又は名称】チャンスー アルファマブ バイオファーマシューティカルズ カンパニー,リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】524098709
【氏名又は名称】ソシュウ アルファマブ カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュウ,ティン
(72)【発明者】
【氏名】グオ,カンピン
(72)【発明者】
【氏名】ユン,リホン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ユアンリ
(72)【発明者】
【氏名】フアン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】フー,ホンキン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB11
4C076CC27
4C076CC31
4C076CC32
4C076CC34
4C076CC35
4C076DD09
4C076DD26Z
4C076DD38
4C076DD41Z
4C076DD51
4C076DD51Z
4C076DD67
4C076EE23
4C076FF11
4C076FF61
4C085AA14
4C085BB12
4C085BB31
4C085EE01
4C085GG01
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、PD-L1に特異的に結合することができる免疫グロブリン単一可変ドメインを含む抗原結合断片であって、上記免疫グロブリン単一可変ドメインはCDR1~3を含み、上記CDR3は、配列番号47に示されるアミノ酸配列を含む抗原結合断片と、プロリンを含み得る賦形剤とを含む組成物に関する。上記組成物は、安定性が高く、粘度が適切であり、皮下注射に用いることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PD-L1に特異的に結合することができる免疫グロブリン単一可変ドメインを含む抗原結合断片であって、前記免疫グロブリン単一可変ドメインはCDR1~3を含み、前記CDR3は、配列番号47に示されるアミノ酸配列を含む抗原結合断片と、
プロリン、マンニトール、スクロース、グリシン及びL-アルギニン塩酸塩からなる群から選択される1種又は複数種であり、
又は、プロリン、スクロース、マンニトール、ソルビトール及びグリセロールからなる群から選択される1種又は複数種の賦形剤と、を含む、
組成物。
【請求項2】
前記CDR2は、配列番号46に示されるアミノ酸配列を含む、
請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記CDR1は、配列番号45又は48に示されるアミノ酸配列を含む、
請求項1又は2の何れか1項に記載の組成物。
【請求項4】
前記免疫グロブリン単一可変ドメインは、配列番号1~6の何れか1つに示されるアミノ酸配列を含む、
請求項1~3の何れか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記PD-L1はヒトPD-L1である、
請求項1~4の何れか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記抗原結合断片は、免疫グロブリンのFc領域を含む、
請求項1~5の何れか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記免疫グロブリンのFc領域のN末端は、前記免疫グロブリン単一可変ドメインのC末端に直接又は間接的に連結される、
請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記免疫グロブリンのFc領域のN末端は、リンカーによって、前記免疫グロブリン単一可変ドメインのC末端に連結される、
請求項6又は7の何れか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記リンカーは、配列番号42~44の何れか1つに示されるアミノ酸配列を含む、
請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記免疫グロブリンのFc領域は、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4からなる群から選択される免疫グロブリンに由来するFc領域を含む、
請求項6~9の何れか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記免疫グロブリンのFc領域はADCC活性を有さず、及び/又は、前記免疫グロブリンのFc領域はCDC活性を有しない、
請求項6~10の何れか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記免疫グロブリンのFc領域は、ヒトに由来する、
請求項6~11の何れか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記免疫グロブリンのFc領域は、ヒトIgGに由来する、
請求項6~12の何れか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記免疫グロブリンFc領域は、配列番号7~9の何れか1つに示されるアミノ酸配列を含む、
請求項6~13の何れか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記抗原結合断片は、配列番号14~31の何れか1つに示されるアミノ酸配列を含む、
請求項1~14の何れか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記抗原結合断片は、約1 mg/mL~約220 mg/mLの濃度を有する、
請求項1~15の何れか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記抗原結合断片は、約20 mg/mL~約220 mg/mLの濃度を有する、
請求項1~16の何れか1項に記載の組成物。
【請求項18】
前記抗原結合断片は、約50 mg/mL~約200 mg/mLの濃度を有する、
請求項1~17の何れか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記抗原結合断片は、約180 mg/mL~約220 mg/mLの濃度を有する、
請求項1~17の何れか1項に記載の組成物。
【請求項20】
抗原結合断片は、約100 mg/mL~約280 mg/mLの濃度を有する、
請求項1~15の何れか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記抗原結合断片は、約150 mg/mL~約250 mg/mLの濃度を有する、
請求項1~15の何れか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記賦形剤は、約50 mM~約500 mMの濃度を有する、
請求項1~21の何れか1項に記載の組成物。
【請求項23】
前記賦形剤は、濃度が約50 mM~約390 mMのプロリンを含む、
請求項1~22の何れか1項に記載の組成物。
【請求項24】
前記賦形剤は、濃度が約150 mM~約250 mMのプロリンを含む、
請求項1~23の何れか1項に記載の組成物。
【請求項25】
前記賦形剤は、濃度が約150 mM~約220 mMのプロリンを含む、
請求項1~24の何れか1項に記載の組成物。
【請求項26】
前記賦形剤は、濃度が約150 mM~約220 mMのL-プロリンを含む、
請求項1~25の何れか1項に記載の組成物。
【請求項27】
前記賦形剤は、濃度が約165 mM~約275 mMのL-プロリンを含む、
請求項1~26の何れか1項に記載の組成物。
【請求項28】
前記賦形剤は、濃度が約50 mM~約500 mMのマンニトールを含む、
請求項1~27の何れか1項に記載の組成物。
【請求項29】
前記賦形剤は、濃度が約50 mM~約500 mMのスクロースを含む、
請求項1~28の何れか1項に記載の組成物。
【請求項30】
前記賦形剤は、濃度が約90 mM~約500 mMのスクロースを含む、
請求項1~29の何れか1項に記載の組成物。
【請求項31】
前記賦形剤は、濃度が約50 mM~約500 mMのグリシンを含む、
請求項1~30の何れか1項に記載の組成物。
【請求項32】
前記賦形剤は、濃度が約150 mM~約250 mMのグリシンを含む、
請求項1~31の何れか1項に記載の組成物。
【請求項33】
前記賦形剤は、濃度が約50 mM~約500 mMのL-アルギニン塩酸塩を含む、
請求項1~32の何れか1項に記載の組成物。
【請求項34】
前記賦形剤は、濃度が約150 mM~約500 mMのL-アルギニン塩酸塩を含む、
請求項1~33の何れか1項に記載の組成物。
【請求項35】
前記賦形剤は、濃度が約50 mM~約500 mMのソルビトールを含む、
請求項1~34の何れか1項に記載の組成物。
【請求項36】
前記賦形剤は、濃度が約100 mM~約300 mMのソルビトールを含む、
請求項1~35の何れか1項に記載の組成物。
【請求項37】
前記賦形剤は、濃度が50 mM~約500 mMのグリセロールを含む、
請求項1~36の何れか1項に記載の組成物。
【請求項38】
前記賦形剤は、濃度が100 mM~約300 mMのグリセロールを含む、
請求項1~37の何れか1項に記載の組成物。
【請求項39】
pHが約5.0~約7.5である、
請求項1~38の何れか1項に記載の組成物。
【請求項40】
pHが約5.9~約6.9である、
請求項1~39の何れか1項に記載の組成物。
【請求項41】
pHが約6.3~約6.5である、
請求項1~40の何れか1項に記載の組成物。
【請求項42】
pHが約6.4である、
請求項1~41の何れか1項に記載の組成物。
【請求項43】
酢酸ナトリウム-酢酸、ヒスチジン-酢酸、L-ヒスチジン-L-ヒスチジン塩酸塩、リン酸ナトリウム、及びクエン酸-水酸化ナトリウムからなる群から選択される1種又は複数種の緩衝成分を含む、
請求項1~42の何れか1項に記載の組成物。
【請求項44】
前記緩衝成分は、約5 mM~約50 mMの濃度を有する、
請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記緩衝成分は、濃度が約5 mM~約35 mMの酢酸ナトリウム-酢酸を含む、
請求項43又は44の何れか1項に記載の組成物。
【請求項46】
前記緩衝成分は、濃度が約10 mM~約30 mMの酢酸ナトリウム-酢酸を含む、
請求項43~45の何れか1項に記載の組成物。
【請求項47】
前記緩衝成分は、濃度が約20 mMの酢酸ナトリウム-酢酸を含む、
請求項43~46の何れか1項に記載の組成物。
【請求項48】
ポリソルベート20、ポリソルベート80、及びポロキサマー188からなる群から選択される1種又は複数種の界面活性剤を含む、
請求項1~47の何れか1項に記載の組成物。
【請求項49】
前記界面活性剤は、約0 mg/mL~約0.8 mg/mLの濃度を有する、
請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
前記界面活性剤は、濃度が約0 mg/mL~約0.4 mg/mLのポリソルベート20を含む、
請求項48又は49の何れか1項に記載の組成物。
【請求項51】
前記界面活性剤は、濃度が約0.2 mg/mL~約0.4 mg/mLのポリソルベート20を含む、
請求項48~50の何れか1項に記載の組成物。
【請求項52】
前記界面活性剤は、濃度が約0.1 mg/mL~約0.3 mg/mLのポリソルベート20を含む、
請求項48~50の何れか1項に記載の組成物。
【請求項53】
前記界面活性剤は、濃度が約0.2 mg/mLのポリソルベート20を含む、
請求項48~52の何れか1項に記載の組成物。
【請求項54】
1)約20 mg/mL~約220 mg/mLの請求項1~15の何れか1項に記載の抗原結合断片と、
2)約5 mM~約35 mMの酢酸ナトリウム-酢酸と、
3)約50 mM~約390 mMのプロリンと、
4)約0 mg/mL~約0.4 mg/mLのポリソルベート20とを含み、
且つpHが約5.9~約6.9である、
請求項1~53の何れか1項に記載の組成物。
【請求項55】
1)約50 mg/mL~約220 mg/mLの請求項1~15の何れか1項に記載の抗原結合断片と、
2)約10 mM~約30 mMの酢酸ナトリウム-酢酸と、
3)約150 mM~約250 mMのプロリンと、
4)約0.2 mg/mL~約0.4 mg/mLのポリソルベート20とを含み、
且つpHが約6.3~約6.5である、
請求項1~54の何れか1項に記載の組成物。
【請求項56】
1)約200 mg/mLの請求項1~15の何れか1項に記載の抗原結合断片と、
2)約20 mMの酢酸ナトリウム-酢酸と、
3)約220 mMのL-プロリンと、
4)約0.2 mg/mLのポリソルベート20とを含み、
且つpHが約6.4である、
請求項1~55の何れか1項に記載の組成物。
【請求項57】
注射に用いられる、
請求項1~56の何れか1項に記載の組成物。
【請求項58】
皮下注射に用いられる、
請求項1~57の何れか1項に記載の組成物。
【請求項59】
製剤である、
請求項1~58の何れか1項に記載の組成物。
【請求項60】
液体製剤である、
請求項1~59の何れか1項に記載の組成物。
【請求項61】
請求項1~60の何れか1項に記載の組成物と、請求項1~60の何れか1項に記載の組成物を収容する容器とを含む、
試薬キット。
【請求項62】
前記容器は、ガラス瓶を含む、
請求項61に記載の試薬キット。
【請求項63】
前記容器中の前記組成物は、約0.5 mL~約5.0 mLの体積を有する、
請求項61~62の何れか1項に記載の試薬キット。
【請求項64】
前記容器中の前記組成物は、約0.5 mL~約1.5 mLの体積を有する、
請求項61~63の何れか1項に記載の試薬キット。
【請求項65】
腫瘍を予防、緩和及び/又は治療する薬物の製造における、請求項1~60の何れか1項に記載の組成物、及び/又は請求項61~64の何れか1項に記載の試薬キットの、
使用。
【請求項66】
前記腫瘍は、PD-L1陽性腫瘍を含む、
請求項65に記載の使用。
【請求項67】
前記腫瘍は、悪性固形腫瘍を含む、
請求項65~66の何れか1項に記載の使用。
【請求項68】
感染性疾患を予防、緩和及び/又は治療する薬物の製造における、請求項1~60の何れか1項に記載の組成物、及び/又は請求項61~64の何れか1項に記載の試薬キットの、
使用。
【請求項69】
前記感染性疾患は、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、及び/又は寄生虫感染に起因する疾患を含む、
請求項68に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、バイオ医薬品分野に関し、具体的には、PD-L1抗原結合断片を含む組成物及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
PD-L1の発現は、ヒト肺癌、卵巣癌、結腸癌、黒色腫、及び種々の骨髄腫を含む、いくつかのマウス及びヒト癌において見出されている。既存の結果から、腫瘍細胞によって高発現されるPD-L1は、T細胞のアポトーシスを増加させることによって、腫瘍の免疫回避において重要な役割を果たすことが示されている。
【0003】
抗体薬物製剤には、注射用製剤又は凍結乾燥製剤などが含まれる。頻繁に使用される製品及び慢性投与には、皮下投与経路がより好ましい。これにより、患者が自己管理できるようにし、治療の利便性、迅速性及びコンプライアンスを向上させ、医療部門のために大きなコストを節約し、患者の生活の質を向上させる。
【0004】
従って、高濃度のPD-L1抗体製剤の開発が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本願は、PD-L1に特異的に結合する抗原結合断片及び賦形剤を含む組成物を提供する。上記組成物は、1)高濃度(例えば、200 mg/mL)の抗原結合断片を含むこと、2)粘度が適切であること、3)皮下注射に適しており、被験者の疼痛感を低減することができること、4)安定性(例えば、加速安定性及び/又は長期安定性)が良好であること、5)輸液による副作用を回避すること、6)成分が簡単であり、製造が容易であり、コストが低いことという有益な効果の少なくとも1つを含む。
【0006】
本発明は、PD-L1に特異的に結合することができる免疫グロブリン単一可変ドメインを含む抗原結合断片であって、上記免疫グロブリン単一可変ドメインはCDR1~3を含み、上記CDR3は、配列番号47に示されるアミノ酸配列を含む抗原結合断片と、プロリン、マンニトール、スクロース、グリシン及びL-アルギニン塩酸塩からなる群から選択される1種又は複数種の賦形剤と、を含む組成物を提供する。
【0007】
別の実施形態において、上記賦形剤は、プロリン、スクロース、マンニトール、ソルビトール、グリセロール及びL-アルギニン塩酸塩からなる群から選択される1種又は複数種であってもよい。
【0008】
一部の実施形態において、上記賦形剤は、好ましくは、プロリン、スクロース、マンニトール、ソルビトール及びグリセロールからなる群から選択される1種又は複数種であり、より好ましくは、プロリン、スクロース、マンニトール及びソルビトールの1種又は複数種である。
【0009】
一部の実施形態において、上記賦形剤はL-プロリンであるか、又は上記賦形剤はスクロースであるか、又は上記賦形剤はマンニトールであるか、又は上記賦形剤はソルビトールである。
【0010】
一部の実施形態において、上記CDR2は、配列番号46に示されるアミノ酸配列を含む。
【0011】
一部の実施形態において、上記CDR1は、配列番号45又は48に示されるアミノ酸配列を含む。
【0012】
一部の実施形態において、上記免疫グロブリン単一可変ドメインは、配列番号1~6の何れか1つに示されるアミノ酸配列を含む。
【0013】
一部の実施形態において、上記PD-L1はヒトPD-L1である。
【0014】
一部の実施形態において、上記抗原結合断片は、免疫グロブリンのFc領域を含む。
【0015】
一部の実施形態において、上記免疫グロブリンのFc領域のN末端は、上記免疫グロブリン単一可変ドメインのC末端に直接又は間接的に連結される。
【0016】
一部の実施形態において、上記免疫グロブリンのFc領域のN末端は、リンカーによって、上記免疫グロブリン単一可変ドメインのC末端に連結される。
【0017】
一部の実施形態において、上記リンカーは、配列番号42~44の何れか1つで示されるアミノ酸配列を含む。
【0018】
一部の実施形態において、上記免疫グロブリンのFc領域は、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4からなる群から選択される免疫グロブリンに由来するFc領域を含む。
【0019】
一部の実施形態において、上記免疫グロブリンのFc領域はADCC活性を有さず、及び/又は、上記免疫グロブリンのFc領域はCDC活性を有しない。
【0020】
一部の実施形態において、上記免疫グロブリンのFc領域は、ヒトに由来する。
【0021】
一部の実施形態において、上記免疫グロブリンのFc領域は、ヒトIgGに由来する。
【0022】
一部の実施形態において、上記免疫グロブリンFc領域は、配列番号7~9の何れか1つに示されるアミノ酸配列を含む。
【0023】
一部の実施形態において、上記抗原結合断片は、配列番号14~31の何れか1つに示されるアミノ酸配列を含む。
【0024】
一部の実施形態において、上記抗原結合断片は、約1 mg/mL~約300 mg/mLの濃度を有する。
【0025】
一部の実施形態において、上記抗原結合断片は、約5 mg/mL~約250 mg/mLの濃度を有する。
【0026】
一部の実施形態において、上記抗原結合断片は、約1 mg/mL~約220 mg/mLの濃度を有する。
【0027】
一部の実施形態において、上記抗原結合断片は、約20 mg/mL~約220 mg/mLの濃度を有する。
【0028】
一部の実施形態において、上記抗原結合断片は、約50 mg/mL~約200 mg/mLの濃度を有する。
【0029】
一部の実施形態において、上記抗原結合断片は、約100 mg/mL~約280 mg/mLの濃度を有する。
【0030】
一部の実施形態において、上記抗原結合断片は、約150 mg/mL~約250 mg/mLの濃度を有する。
【0031】
一部の実施形態において、上記抗原結合断片は、約180 mg/mL~約250 mg/mLの濃度を有する。
【0032】
一部の実施形態において、上記抗原結合断片は、約180 mg/mL~約220 mg/mLの濃度を有する。
【0033】
一部の実施形態において、上記賦形剤は、約50 mM~約500 mMの濃度を有する。
【0034】
一部の実施形態において、上記賦形剤は、濃度が約50 mM~約390 mMのプロリンを含む。
【0035】
一部の実施形態において、上記賦形剤は、濃度が約150 mM~約250 mMのプロリンを含む。
【0036】
一部の実施形態において、上記賦形剤は、濃度が約150 mM~約220 mMのプロリンを含む。
【0037】
一部の実施形態において、上記賦形剤は、濃度が約150 mM~約220 mMのL-プロリンを含む。
【0038】
一部の実施形態において、上記賦形剤は、濃度が約165 mM~約275 mMのL-プロリンを含む。
【0039】
一部の実施形態において、上記賦形剤は、濃度が約50 mM~約500 mMのマンニトールを含む。
【0040】
一部の実施形態において、上記賦形剤は、濃度が約50 mM~約500 mMのスクロースを含む。
【0041】
一部の実施形態において、上記賦形剤は、濃度が約90 mM~約500 mMのスクロースを含む。
【0042】
一部の実施形態において、上記賦形剤は、濃度が約50 mM~約500 mMのグリシンを含む。
【0043】
一部の実施形態において、上記賦形剤は、濃度が約150 mM~約250 mMのグリシンを含む。
【0044】
一部の実施形態において、上記賦形剤は、濃度が約50 mM~約500 mMのL-アルギニン塩酸塩を含む。
【0045】
一部の実施形態において、上記賦形剤は、濃度が約150 mM~約500 mMのL-アルギニン塩酸塩を含む。
【0046】
一部の実施形態において、上記賦形剤は、濃度が約50 mM~約500 mMのソルビトールを含む。
【0047】
一部の実施形態において、上記賦形剤は、濃度が約100 mM~約300 mMのソルビトールを含む。
【0048】
一部の実施形態において、上記賦形剤は、濃度が50 mM~約500 mMのグリセロールを含む。
【0049】
一部の実施形態において、上記賦形剤は、濃度が約100 mM~約300 mMのグリセロールを含む。
【0050】
一部の実施形態において、上記組成物は、約5.0~約7.5のpHを有する。
【0051】
一部の実施形態において、上記組成物は、約5.9~約6.9のpHを有する。
【0052】
一部の実施形態において、上記組成物は、約6.3~約6.5のpHを有する。
【0053】
一部の実施形態において、上記組成物は、約6.4のpHを有する。
【0054】
一部の実施形態において、上記組成物は、酢酸ナトリウム-酢酸、ヒスチジン-酢酸、L-ヒスチジン-L-ヒスチジン塩酸塩、リン酸ナトリウム、及びクエン酸-水酸化ナトリウムからなる群から選択される1種又は複数種の緩衝成分を含む。
【0055】
一部の実施形態において、上記緩衝成分は、酢酸ナトリウム-酢酸、L-ヒスチジン-L-ヒスチジン塩酸塩、及びクエン酸-水酸化ナトリウムからなる群から選択される1種又は複数種であり、好ましくは、上記緩衝成分は、酢酸ナトリウム-酢酸又はL-ヒスチジン-L-ヒスチジン塩酸塩である。
【0056】
一部の実施形態において、上記緩衝成分は、約5 mM~約50 mMの濃度を有する。
【0057】
一部の実施形態において、上記緩衝成分は、濃度が約5 mM~約35 mMの酢酸ナトリウム-酢酸を含む。
【0058】
一部の実施形態において、上記緩衝成分は、濃度が約10 mM~約30 mMの酢酸ナトリウム-酢酸を含む。
【0059】
一部の実施形態において、上記緩衝成分は、濃度が約20 mMの酢酸ナトリウム-酢酸を含む。
【0060】
一部の実施形態において、上記緩衝成分は、濃度が約5 mM~約35 mM、好ましくは約10 mM~約30 mM、更により好ましくは20 mMのL-ヒスチジン-L-ヒスチジン塩酸塩を含む。一部の実施形態において、上記組成物は、ポリソルベート20、ポリソルベート80、及びポロキサマー188からなる群から選択される1種又は複数種の界面活性剤を含む。
【0061】
一部の実施形態において、上記界面活性剤は、約0 mg/mL~約0.8 mg/mLの濃度を有する。
【0062】
一部の実施形態において、上記界面活性剤は、濃度が約0 mg/mL~約0.4 mg/mLのポリソルベート20を含む。
【0063】
一部の実施形態において、上記界面活性剤は、濃度が約0.2 mg/mL~約0.4 mg/mLのポリソルベート20を含む。
一部の実施形態において、上記界面活性剤は、濃度が約0.1 mg/mL~約0.3 mg/mLのポリソルベート20を含む。
【0064】
一部の実施形態において、上記界面活性剤は、濃度が約0.2 mg/mLのポリソルベート20を含む。
【0065】
一部の実施形態において、上記界面活性剤は、濃度が約0.05 mg/mL~約1 mg/mL、好ましくは0.1 mg/mL~0.5 mg/mL、より好ましくは0.1 mg/mL~0.3 mg/mL、更により好ましくは0.2 mg/mLのポリソルベート80を含む。
一部の実施形態において、上記界面活性剤は、濃度が約0.05 mg/mL~約5 mg/mL、好ましくは0.1 mg/mL~約3 mg/mL、より好ましくは0.2 mg/mL~約2 mg/mLのポロキサマー188を含む。
【0066】
一部の実施形態において、上記組成物は、1)約20 mg/mL~約220 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約5 mM~約35 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、3)約50 mM~約390 mMのプロリン、4)約0 mg/mL~約0.4 mg/mLのポリソルベート20を含み、且つpHが約5.9~約6.9である。
【0067】
一部の実施形態において、上記組成物は、1)約50 mg/mL~約220 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約10 mM~約30 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、3)約150 mM~約250 mMのプロリン、4)約0.2mg/mL~約0.4 mg/mLのポリソルベート20を含み、且つpHが約6.3~約6.5である。
【0068】
一部の実施形態において、上記組成物は、1)約150 mg/mL~約250 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約10 mM~約30 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、3)約150 mM~約250 mMのプロリン、4)約0.2 mg/mL~約0.4 mg/mLのポリソルベート20を含み、且つpHが約6.3~約6.5である。
【0069】
一部の実施形態において、上記組成物は、1)約200 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約20 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、3)約220 mMのプロリン、4)約0.2 mg/mLのポリソルベート20を含み、且つpHが約6.4である。
【0070】
一部の実施形態において、上記組成物は、1)約100 mg/mL~約280 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約5 mM~約35 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、3)約50 mM~約500 mMのスクロース、4)約0.05 mg/mL~約0.4 mg/mLのポリソルベート20を含み、且つpHが約5.9~約6.9である。
【0071】
一部の実施形態において、上記組成物は、1)約150 mg/mL~約250 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約10 mM~約30 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、3)約50 mM~約300 mMのスクロース、4)約0.1mg/mL~約0.3 mg/mLのポリソルベート20を含み、且つpHが約6.3~約6.5である。
【0072】
一部の実施形態において、上記組成物は、1)約100 mg/mL~約280 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約5 mM~約35 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、3)約50 mM~約500 mMのマンニトール、4)約0.05 mg/mL~約0.4 mg/mLのポリソルベート20を含み、且つpHが約5.9~約6.9である。
【0073】
一部の実施形態において、上記組成物は、1)約150 mg/mL~約250 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約10 mM~約30 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、3)約100 mM~約300 mMのマンニトール、4)約0.1mg/mL~約0.3 mg/mLのポリソルベート20を含み、且つpHが約6.3~約6.5である。
【0074】
一部の実施形態において、上記組成物は、1)約100 mg/mL~約280 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約5 mM~約35 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、3)約50 mM~約500 mMのソルビトール、4)約0.05 mg/mL~約0.4 mg/mLのポリソルベート20を含み、且つpHが約5.9~約6.9である。
【0075】
一部の実施形態において、上記組成物は、1)約150 mg/mL~約250 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約10 mM~約30 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、3)約100 mM~約300 mMのソルビトール、4)約0.1 mg/mL~約0.3 mg/mLのポリソルベート20を含み、且つpHが約6.3~約6.5である。
【0076】
一部の実施形態において、上記組成物は、1)約100 mg/mL~約280 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約5 mM~約35 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、3)約50 mM~約500 mMのグリセロール、4)約0.05 mg/mL~約0.4 mg/mLのポリソルベート20を含み、且つpHが約5.9~約6.9である。
【0077】
一部の実施形態において、上記組成物は、1)約150 mg/mL~約250 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約10 mM~約30 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、3)約100 mM~約300 mMのグリセロール、4)約0.1 mg/mL~約0.3 mg/mLのポリソルベート20を含み、且つpHが約6.3~約6.5である。
【0078】
一部の実施形態において、上記組成物は、1)約150 mg/mL~約250 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約10 mM~約30 mMのL-ヒスチジン-L-ヒスチジン塩酸塩、3)約150 mM~約250 mMのプロリン、4)約0.2 mg/mL~約0.4 mg/mLのポリソルベート20、且つpHが約6.3~約6.5である。
【0079】
一部の実施形態において、上記組成物は、1)約150 mg/mL~約250 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約10 mM~約30 mMのL-ヒスチジン-L-ヒスチジン塩酸塩、3)約50 mM~約300 mMのスクロース、4)約0.1 mg/mL~約0.3 mg/mLのポリソルベート20を含み、且つpHが約6.3~約6.5である。
【0080】
一部の実施形態において、上記組成物は、1)約150 mg/mL~約250 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約10 mM~約30 mMのL-ヒスチジン-L-ヒスチジン塩酸塩、3)約100 mM~約300 mMのマンニトール、4)約0.1 mg/mL~約0.3 mg/mLのポリソルベート20を含み、且つpHが約6.3~約6.5である。
【0081】
一部の実施形態において、上記組成物は、1)約150 mg/mL~約250 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約10 mM~約30 mMのL-ヒスチジン-L-ヒスチジン塩酸塩、3)約100 mM~約300 mMのソルビトール、4)約0.1 mg/mL~約0.3 mg/mLのポリソルベート20を含み、且つpHが約6.3~約6.5である。
【0082】
一部の実施形態において、上記組成物は、1)約150 mg/mL~約250 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約10 mM~約30 mMのL-ヒスチジン-L-ヒスチジン塩酸塩、3)約100 mM~約300 mMのグリセロール、4)約0.1 mg/mL~約0.3 mg/mLのポリソルベート20を含み、且つpHが約6.3~約6.5である。
【0083】
一部の実施形態において、上記組成物は、注射に用いられる。
【0084】
一部の実施形態において、上記組成物は、皮下注射に用いられる。
【0085】
一部の実施形態において、上記組成物は製剤である。
【0086】
一部の実施形態において、上記組成物は液体製剤である。
【0087】
別の態様において、本願は、本願に記載の組成物と、本願に記載の組成物を収容する容器とを含む試薬キットを提供する。
【0088】
一部の実施形態において、上記容器はガラス瓶を含む。
【0089】
一部の実施形態において、上記容器中の上記組成物は、約0.5 mL~約5.0 mLの体積を有する。
【0090】
一部の実施形態において、上記容器中の上記組成物は、約0.5 mL~約1.5 mLの体積を有する。
【0091】
別の態様において、本願は、腫瘍を予防、緩和及び/又は治療する薬物の製造における、本願に記載の組成物、及び/又は本願に記載の試薬キットの使用を提供する。
【0092】
一部の実施形態において、上記腫瘍は、PD-L1陽性腫瘍を含む。
【0093】
一部の実施形態において、上記腫瘍は、悪性固形腫瘍を含む。
【0094】
別の態様において、本願は、感染性疾患を予防、緩和及び/又は治療する薬物の製造における、本願に記載の組成物、及び/又は本願に記載の試薬キットの使用を提供する。
【0095】
一部の実施形態において、上記感染性疾患は、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、及び/又は寄生虫感染に起因する疾患を含む。
【0096】
当業者は、以下の詳細な説明から本願の他の態様及び利点を容易に洞察することができる。以下の詳細な説明には、本願の例示的な実施形態のみを示して説明する。当業者に明らかなように、本願の内容により、当業者は、本願にかかる発明の精神及び範囲から逸脱することなく、開示された具体的な実施形態を変更することができる。従って、本願の図面及び明細書における説明は、限定的なものではなく、単に例示的なものである。
【0097】
本願にかかる発明の具体的な特徴は、添付される特許請求の範囲に記載される通りである。以下に詳細に説明する例示的な実施形態及び図面を参照することで、本願にかかる発明の特徴及び利点をよりよく理解することができる。図面の簡単な説明は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【
図1】本願に記載の抗原結合断片を含む製剤処方のTm値の結果を示す。
【
図2】本願に記載の抗原結合断片を含む製剤処方のポリマー傾向の検出結果を示す。
【
図3】本願に記載の抗原結合断片を含む製剤処方のSEC-HPLCによるメインピーク含有量の検出結果を示す。
【
図4】本願に記載の抗原結合断片を含む製剤処方のSEC-HPLCによるポリマー含有量の検出結果を示す。
【
図5】本願に記載の抗原結合断片を含む製剤処方のWCX-HPLCによる酸性成分の検出結果を示す。
【
図6】本願に記載の抗原結合断片を含む製剤処方の粘度検出結果を示す。
【
図7】本願に記載の抗原結合断片を含む製剤処方の結合活性結果を示す。
【
図8】本願に記載の抗原結合断片を含む製剤処方の遮断活性結果を示す。
【
図9】本願に記載の抗原結合断片を含む製剤処方のSEC-HPLCによるメインピーク含有量の検出結果を示す。
【
図10】本願に記載の抗原結合断片の製剤処方のSEC-HPLCによるポリマー含有量の検出結果を示す。
【
図11】本願に記載の抗原結合断片の製剤処方のWCX-HPLCによる酸性成分の検出結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0099】
以下、特定の具体的な実施例により、本願の発明の実施形態を説明し、当業者は、本明細書に開示された内容から本願の発明の他の利点及び効果を容易に理解することができる。
【0100】
用語の定義
本願において、「抗原結合断片」という用語は、一般に、抗原のエピトープと特異的に相互作用する能力(例えば、結合又は立体障害などによる)を保持する抗体の1つ以上の部分を指す。抗体の抗原結合機能は、Fv、scFv、dsFv、Fab、Fab'若しくはF(ab')2の断片を含む重鎖、又はFv、scFv、dsFv、Fab、Fab'若しくはF(ab')2の断片を含む軽鎖によって達成することもできる。(1)VL、VH、CL及びCHドメインからなる一価断片であるFab断片、(2)ヒンジ領域でのジスルフィド結合により連結された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab')2断片、(3)VH及びCHドメインからなるFd断片、(4)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFv断片、(5)VHドメインからなるdAb断片(Wardら、(1989)Nature 341:544-546)、(6)単離された相補性決定領域(CDR)、及び(7)任意選択的にリンカーによって連結された2つ以上の単離されたCDRの組み合わせである。例えば、VLとVHの対から形成される一価一本鎖分子Fv (scFv)も含まれ得る(Birdら、(1988)Science 242:423-426、及びHustonら(1988) Proc. Natl. Acad. Sci. 85:5879-5883を参照)。例えば、抗体軽鎖を欠失して重鎖可変領域のみを有する抗体VHHのクラスも含まれ得る(例えば、康曉センら、生物工程学報、2018、34(12):1974~1984を参照)。上記「抗原結合部分」は、(1)免疫グロブリンヒンジ領域ポリペプチドに融合した結合ドメインポリペプチド、(2)ヒンジ領域に融合した免疫グロブリン重鎖CH2定常領域、及び(3)CH2定常領域に融合した免疫グロブリン重鎖CH3定常領域から選択される、結合ドメインを含む免疫グロブリン融合タンパク質を更に含んでもよい。
【0101】
本願において、「賦形剤」という用語は、一般に、上記組成物が所望する任意のタイプ又は製品形態に合わせて選択される任意の材料を意味する。例えば、上記製品形態は、液体、顆粒、粉末、ペースト、スプレー、錠剤、又はゲルを含んでもよい。上記賦形剤は、上記抗原結合断片の存在形態又は安定性に影響を与えなくてもよく、上記抗原結合断片のいかなる生物学的活性(例えば、対応する抗原への特異的結合)に影響を与えなくてもよい。本願において、上記賦形剤は、安定剤として機能し、上記組成物の安定性、及び/又は上記組成物における上記抗原結合断片の安定性を向上させることができる。
【0102】
本願において、「PD-L1」という用語は、一般に、CD274又はB7H1とも呼ばれ得るプログラム細胞死タンパク質1リガンド1を指す。本願において、上記PD-L1は、哺乳動物由来のPD-L1であってもよく、例えば、上記PD-L1は、霊長類に由来してもよく、げっ歯類(例えば、マウス又はラット)に由来してもよい。ヒトPD-L1は、NCBI受託番号NP_054862.1で示されるアミノ酸配列を有してもよい。上記PD-L1は、天然のPD-L1を含んでもよく、PD-L1の変異体、アイソタイプ、種ホモログ、及びPD-L1と少なくとも1つの共通エピトープを有する類似体を含んでもよい。
【0103】
本願において、「免疫グロブリン可変ドメイン」という用語は、一般に、「フレームワーク領域1」又は「FR1」、「フレームワーク領域2」又は「FR2」、「フレームワーク領域3」又は「FR3」、及び「フレームワーク領域4」又は「FR4」の4つの「フレームワーク領域」と、「相補性決定領域1」又は「CDR1」、「相補性決定領域2」又は「CDR2」、及び「相補性決定領域3」又は「CDR3」の3つの「相補性決定領域」又は「CDR」とを含むポリペプチド分子を指す。上記免疫グロブリン可変ドメインは、タンパク質の3次構造を有することができる。本願において、上記免疫グロブリン可変ドメインは、抗原(例えば、PD-L1)に特異的に結合する機能を有することができる。上記免疫グロブリン可変ドメインは、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4の構造を含むことができる。
【0104】
本願において、「免疫グロブリン単一可変ドメイン」という用語は、一般に、抗原(例えば、PD-L1)に特異的に結合する独立した機能を有する上記免疫グロブリン可変ドメインを指す。例えば、上記免疫グロブリン単一可変ドメインは、他の免疫グロブリン可変ドメインと対合することなく、抗原又はそのエピトープに特異的に結合することができる。例えば、上記免疫グロブリン単一可変ドメインは、重鎖可変領域VH及び/又は軽鎖可変領域VLであってもよい。本願において、上記免疫グロブリン単一可変ドメインはVHHであってもよい。本願において、上記VHHは、重鎖抗体、ナノ抗体、又は単一ドメイン抗体と呼ぶことができる。上記VHHのCDRは、Kabat法に従って分けることができ(「Sequence of proteins of immunological interest」、US Public Health Services、NIH Bethesda、MDを参照)、例えば、VHHアミノ酸配列の1~30番目のアミノ酸がFR1であり、31~35番目のアミノ酸がCDR1であり、36~49番目のアミノ酸がFR2であり、50~65番目のアミノ酸がCDR2であり、66~94番目のアミノ酸がFR3であり、95~102番目のアミノ酸がCDR3であり、103~113番目のアミノ酸がFR4である。しかし、各CDRのアミノ酸残基の総数は、異なる可能性があり、且つKabat番号付けによって示されるアミノ酸残基の総数に対応しない可能性がある(即ち、Kabat番号付けによる1つ以上の位置が実際の配列において占有されていないか、又は実際の配列がKabat番号付けによって許容される数よりも多くのアミノ酸残基を含む可能性がある)ため、Kabatによる番号付けは、実際の配列におけるアミノ酸残基の実際の番号付けに対応しても、対応しなくてもよいことに注意すべきである。
【0105】
本願において、「組成物」という用語は、一般に、本願に記載の抗原結合断片を含む混合物を指す。上記組成物は、本願に記載の賦形剤などの少なくとも1つの薬学的に許容される成分を含んでもよい。
【0106】
本願において、「製剤」という用語は、一般に、本願に記載の抗原結合断片を所定量又は割合で含む製品、及び直接又は間接的に本願に記載の抗原結合断片の所定量を組み合わせることによって生成される任意の製品を指す。本願に記載の製剤の意味は、薬物製剤、即ち、本願に記載の抗原結合断片及び上記賦形剤、並びに任意の2つ以上の成分の組み合わせ、複合体化、又は凝集から直接又は間接的に生じる任意の生成物を含むことができる。上記製剤は、液体形態で存在してもよい。
【0107】
本願において、「緩衝成分」という用語は、一般に、緩衝効果(例えば、pH変化に対する抵抗)を提供する機能を有する試薬を意味する。例えば、上記緩衝成分は、酸性又は塩基性物質の添加及び/又は放出によるpHの変化を調節することができる。例えば、上記緩衝成分は、弱酸及びその共役塩基を含んでもよく、弱塩基及びその共役酸を含んでもよい。
本願において、「界面活性剤」という用語は、一般に、タンパク質(例えば、本願に記載の抗原結合断片)を、空気/溶液界面によって誘導される応力、溶液/表面によって誘導される応力の影響から保護し、このタンパク質の凝集を減少させるか、又は上記組成物中の粒子状物質の形成を最小限に抑えることができる試薬を指す。上記界面活性剤は、疎水性基及び親水性基の両方を含んでもよい。上記界面活性剤は、1つ又は複数の界面活性剤の混合物又は組み合わせを含んでもよい。上記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0108】
本願において、「PD-L1陽性」という用語は、一般に、腫瘍細胞及び腫瘍浸潤性炎症性細胞を含む被験組織試料中のPD-L1発現細胞割合が、この試料を細胞表面PD-L1発現と評価したレベルに対応する細胞割合よりも高いことを意味する。例えば、上記細胞割合は、免疫組織化学(IHC)によって測定することができる。本願において、上記PD-L1陽性は、ある試料中の総数の少なくとも約0.01%、少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、又は少なくとも約30%のPD-L1発現細胞であってもよい。
【0109】
本願において、「腫瘍」という用語は、一般に、異常な細胞成長によって引き起こされる損傷を指す。例えば、上記腫瘍は、迅速で制御されない細胞増殖によって個々の組織塊を形成することができる。上記組織塊は、良性、前悪性、又は悪性であってもよい。上記腫瘍は、無制限に成長し、及び/又は正常組織を攻撃する構造及び/又は機能を有する場合、悪性と見なすことができる。上記悪性腫瘍は、癌と交換して使用されてもよい。
本願において、「悪性固形腫瘍」という用語は、一般に、転移可能性を有する任意のタイプの形態を有する腫瘍を指す。
【0110】
本願において、「感染性疾患」という用語は、一般に、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫などの病原体及び特定の毒素が人体に侵入することによる局所組織及び全身性炎症反応を意味する。
【0111】
本願において、「約」という用語は、一般に、対応する値の通常の誤差範囲を意味する。ここで言及される「約」ある値又はパラメータは、この値又はパラメータ自体に対する解決策を含む(且つ記述する)。疑問があると、又は特定の値もしくはパラメータの誤差範囲が当該分野によって認められていないという一般的な理解があると、「約」は、この値もしくはパラメータの±5%を意味する。
【0112】
一態様において、本願は、PD-L1に特異的に結合することができる免疫グロブリン単一可変ドメインを含むことができる上記抗原結合断片であって、上記免疫グロブリン単一可変ドメインは、配列番号1~6の何れか1つに示されるアミノ酸配列を含むことができる上記抗原結合断片と、プロリン、マンニトール、スクロース、グリシン及びL-アルギニン塩酸塩からなる群から選択される1種又は複数種の上記賦形剤と、を含むことができる組成物を提供する。
【0113】
抗原結合断片
本願において、上記抗原結合断片は、PD-L1に特異的に結合することができる。例えば、上記PD-L1は、ヒトPD-L1であってもよい。
本願において、上記抗原結合断片は、免疫グロブリンのFc領域を含むことができる。例えば、上記抗原結合断片は、式A-L-Bのアミノ酸配列で構成されてもよく、そのうち、Aは、免疫グロブリン単一可変ドメインを表し、Lは、アミノ酸リンカー又は非存在を表し、Bは、ヒト免疫グロブリンFc領域を表す。
【0114】
例えば、上記免疫グロブリンのFc領域のN末端は、上記免疫グロブリン単一可変ドメインのC末端に直接又は間接的に連結されてもよい。
【0115】
例えば、上記免疫グロブリンのFc領域のN末端は、リンカーによって、上記免疫グロブリン単一可変ドメインのC末端に連結されてもよい。
【0116】
本願において、上記免疫グロブリン単一可変ドメインは、抗原相補性決定領域CDR1-3を含むことができる。例えば、上記CDR1は、配列番号45又は48に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、上記CDR2は、配列番号46に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、上記CDR3は、配列番号47に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、上記CDR1は、配列番号45に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、上記CDR2は、配列番号46に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、上記CDR3は、配列番号47に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、上記CDR1は、配列番号48に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、上記CDR2は、配列番号46に示されるアミノ酸配列を含んでもよく、上記CDR3は、配列番号47に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0117】
本願において、上記リンカーは、約1~約20のアミノ酸残基の長さを有することができる。例えば、上記リンカーは、2次以上の構造を有しなくてもよい。例えば、上記リンカーは、可撓性リンカーであってもよい。例えば、上記リンカーは、GGGGS、GS又はGAPであってもよい。例えば、上記リンカーは、配列番号42~44の何れか1つに示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0118】
例えば、上記免疫グロブリンのFc領域は、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4からなる群から選択される免疫グロブリンに由来するFc領域を含むことができる。上記ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4の定常領域は、それぞれwww.uniprot.orgタンパク質データベース中のエントリーP01857、P01859、P01860、P01861に示されるアミノ酸配列を有することができる。
【0119】
例えば、上記免疫グロブリンのFc領域は、ヒトに由来してもよい。例えば、上記免疫グロブリンのFc領域は、ヒトIgGに由来してもよい。例えば、上記免疫グロブリンのFc領域は、ヒトIgG1に由来してもよい。
【0120】
本願において、上記免疫グロブリンのFc領域は、ADCC活性を有しなくてもよく、及び/又は、上記免疫グロブリンのFc領域は、CDC活性を有しなくてもよい。例えば、上記免疫グロブリンのFc領域は、突然変異によってADCC活性及び/又はCDC活性を喪失することができる。例えば、上記免疫グロブリンのFc領域は、配列番号7~9の何れか1つに示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0121】
本願において、上記抗原結合断片は、ホモ二量体を有してもよい。上記ホモ二量体は、上記免疫グロブリンのFc領域の相互作用によって形成することができる。
【0122】
本願において、上記抗原結合断片は、1×10-7 M未満、1×10-8 M未満、1×10-9 M未満、1×10-10 M未満、1×10-11 M未満のKD値でPD-L1に特異的に結合することができる。
【0123】
本願において、上記抗原結合断片は、ヒトPD-L1に特異的に結合すると共に、PD-L1とPD-1との相互作用を遮断することができる。本願において、上記抗原結合断片は、ヒトPD-L1に特異的に結合すると共に、PD-L1とCD80との相互作用を遮断することができる。
【0124】
本願において、上記抗原結合断片は、上記腫瘍の増殖を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%又はそれ以上阻害することができる。
【0125】
本願において、上記抗原結合断片は、塩基処理及び/又は酸化処理に対して耐性を有することができる。例えば、強塩基(例えば、重炭酸アンモニウム)で上記抗原結合断片を少なくとも8時間処理した後、抗原結合断片は、PD-L1に特異的に結合する能力を依然として保持する。別の例として、酸化剤(例えば、1%過酸化水素水)で上記抗原結合断片を少なくとも2時間処理した後、抗原結合断片は、PD-L1に特異的に結合する能力を依然として保持する。
【0126】
本願において、上記抗原結合断片は、配列番号14~31の何れか1つに示されるアミノ酸配列を含んでもよい。
【0127】
本願において、上記抗原結合断片は、上記抗原結合断片の機能的変異体及びその断片、誘導体及びその断片、類似体及びその断片及び/又は相同体及びその断片を含むことができる。
【0128】
上記機能的変異体は、天然に存在する配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するか、又は実質的に同一のヌクレオチド配列によってコードされ、天然に存在する配列の1つ以上の活性を有することができるポリペプチドであってもよい。例えば、上記機能的変異体は、配列番号14~31の何れか1つに示されるアミノ酸配列に基づき、その中の残基を修飾し、且つ少なくとも1つの内因性機能を保持する配列であってもよい(例えば、ヒトPD-L1に特異的に結合することができる)。例えば、上記修飾は、少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失、置換、修飾、交換、及び/又は変異を含んでもよい。
【0129】
上記誘導体は、配列番号14~31の何れか1つに示されるアミノ酸配列の1つ(又は複数)のアミノ酸残基に任意の置換、変異、修飾、交換、欠失及び/又は付加を含み、少なくとも1つの内因性機能を保持する配列を含んでもよい。
【0130】
上記相同体は、配列番号14~31の何れか1つに示されるアミノ酸配列と比べ、少なくとも80%、85%、90%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%又は99.9%同一であるアミノ酸配列であってもよい。配列同一性を決定するために、配列アラインメントを行うことができ、これは、当業者に知られている様々な方法によって行うことができ、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、NEEDLE、Megalign(DNASTAR)ソフトウェアなどが用いられる。当業者は、比較される全長配列において最適なアラインメントを達成するのに必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントのための適切なパラメータを決定することができる。上記アナログは、本願に記載の抗原結合断片に関する少なくとも1つの内因性機能を保持するポリペプチドの模倣体を含んでもよい。
【0131】
本願に記載の抗原結合断片は、サイレントな変化が生じ、機能的に同等なタンパク質をもたらすアミノ酸残基の欠失、挿入又は置換を有することができる。意図的なアミノ酸置換は、内因性機能が保持される限り、残基の極性、電荷、溶解性、疎水性、親水性、及び/又は両性特性の類似性に応じて行うことができる。
【0132】
本願に記載の組成物において、上記抗原結合断片の濃度は、約1 mg/mL~約220 mg/mLであってもよい。例えば、上記抗原結合断片の濃度は、約20 mg/mL~約220 mg/mLであってもよい。例えば、上記抗原結合断片の濃度は、約30 mg/mL~約220 mg/mL、約40 mg/mL~約220 mg/mL、約50 mg/mL~約220 mg/mL、約30 mg/mL~約200 mg/mL、約40 mg/mL~約200 mg/mL、又は約50 mg/mL~約200 mg/mLであってもよい。例えば、上記抗原結合断片の濃度は、約1 mg/mL~約300 mg/mLであってもよく、例えば、上記抗原結合断片の濃度は、具体的には、約5 mg/mL、10 mg/mL、20 mg/mL、30 mg/mL、40 mg/mL、50 mg/mL、60 mg/mL、70 mg/mL、80 mg/mL、90 mg/mL、100 mg/mL、110 mg/mL、120 mg/mL、130 mg/mL、140 mg/mL、150 mg/mL、160 mg/mL、170 mg/mL、180 mg/mL、190 mg/mL、200 mg/mL、210 mg/mL、220 mg/mL、230 mg/mL、240 mg/mL、250 mg/mL、260 mg/mL、270 mg/mL、280 mg/mL、290 mg/mL、300 mg/mLであってもよく、例えば、上記抗原結合断片の濃度は、約5 mg/mL~約250 mg/mL、約10 mg/mL~約290 mg/mL、約20 mg/mL~約290 mg/mL、約30 mg/mL~約290 mg/mL、約50 mg/mL~約290 mg/mL、約60 mg/mL~約280 mg/mL、約70 mg/mL~約280 mg/mL、約80 mg/mL~約280 mg/mL、約100 mg/mL~約280 mg/mL、約110 mg/mL~約250 mg/mL、約130 mg/mL~約250 mg/mL、約150 mg/mL~約250 mg/mL、約160 mg/mL~約250 mg/mL、約170 mg/mL~約250 mg/mL、約180 mg/mL~約250 mg/mL、約120 mg/mL~約220 mg/mL、約140 mg/mL~約220 mg/mL、約150 mg/mL~約220 mg/mL、約175 mg/mL~約220 mg/mL、約190 mg/mL~約220 mg/mLであってもよい。
【0133】
例えば、上記抗原結合断片の濃度は、約50 mg/mL~約200 mg/mLであってもよい。例えば、上記抗原結合断片の濃度は、約50 mg/mLであってもよく、例えば、上記抗原結合断片の濃度は、約200 mg/mLであってもよい。
【0134】
賦形剤及びその他の成分
例えば、上記賦形剤の濃度は、約50 mM~約500 mMであってもよい。例えば、上記賦形剤の濃度は、約50 mM~約500 mM、約100 mM~約500 mM、約150 mM~約500 mM、約160 mM~約500 mM、約165 mM~約500 mM、約170 mM~約500 mM、約100 mM~約300 mM、約150 mM~約300 mM、約160 mM~約300 mM、約165 mM~約300 mM、約170 mM~約300 mM、約100 mM~約275 mM、約150 mM~約275 mM、約160 mM~約275 mM、約165 mM~約275 mM、約170 mM~約275 mM、約100 mM~約220 mM、約150 mM~約220 mM、約160 mM~約220 mM、約165 mM~約220 mM、約170 mM~約220 mMであってもよい。
【0135】
例えば、上記賦形剤は、濃度が約50 mM~約500 mMであり得るプロリンを含んでもよい。例えば、上記プロリンの濃度は、約50 mM~約500 mM、約100 mM~約500 mM、約150 mM~約500 mM、約160 mM~約500 mM、約165 mM~約500 mM、約170 mM~約500 mM、50 mM~約390 mM、約100 mM~約390 mM、約150 mM~約390 mM、約160 mM~約390 mM、約165 mM~約390 mM、約170 mM~約390 mM、約100 mM~約300 mM、約150 mM~約300 mM、約160 mM~約300 mM、約165 mM~約300 mM、約170 mM~約300 mM、約100 mM~約275 mM、約150 mM~約275 mM、約160 mM~約275 mM、約165 mM~約275 mM、約170 mM~約275 mM、約100 mM~約250 mM、約150 mM~約250 mM、約160 mM~約250 mM、約165 mM~約250 mM、約170 mM~約250 mM、約100 mM~約220 mM、約150 mM~約220 mM、約160 mM~約220 mM、約165 mM~約220 mM、約170 mM~約220 mMであってもよい。例えば、上記賦形剤は、濃度が約165 mM~約275 mMであり得るプロリンを含んでもよい。例えば、上記賦形剤は、濃度が約150 mM~約250 mMであり得るプロリンを含んでもよい。例えば、上記賦形剤は、濃度が約220 mMの濃度であり得るプロリンを含んでもよい。例えば、上記賦形剤は、濃度が約50 mM~約500 mMであり得るL-プロリンを含んでもよい。例えば、上記L-プロリンの濃度は、約50 mM~約500 mM、約100 mM~約500 mM、約150 mM~約500 mM、約160 mM~約500 mM、約165 mM~約500 mM、約170 mM~約500 mM、50 mM~約390 mM、約100 mM~約390 mM、約150 mM~約390 mM、約160 mM~約390 mM、約165 mM~約390 mM、約170 mM~約390 mM、約100 mM~約300 mM、約150 mM~約300 mM、約160 mM~約300 mM、約165 mM~約300 mM、約170 mM~約300 mM、約100 mM~約275 mM、約150 mM~約275 mM、約160 mM~約275 mM、約165 mM~約275 mM、約170 mM~約275 mM、約100 mM~約250 mM、約150 mM~約250 mM、約160 mM~約250 mM、約165 mM~約250 mM、約170 mM~約250 mM、約100 mM~約220 mM、約150 mM~約220 mM、約160 mM~約220 mM、約165 mM~約220 mM、約170 mM~約220 mMであってもよい。例えば、上記賦形剤は、濃度が約165 mM~約275 mMであり得るL-プロリンを含んでもよい。例えば、上記賦形剤は、濃度が約150 mM~約250 mMであり得るL-プロリンを含んでもよい。例えば、上記賦形剤は、濃度が約220 mMであり得るL-プロリンを含んでもよい。
【0136】
例えば、上記賦形剤は、濃度が約50 mM~約500 mMであり得るマンニトールを含んでもよい。例えば、上記マンニトールの濃度は、約50 mM~約500 mM、約100 mM~約500 mM、約150 mM~約500 mM、約160 mM~約500 mM、約165 mM~約500 mM、約170 mM~約500 mM、50 mM~約390 mM、約100 mM~約390 mM、約150 mM~約390 mM、約160 mM~約390 mM、約165 mM~約390 mM、約170 mM~約390 mM、約100 mM~約300 mM、約150 mM~約300 mM、約160 mM~約300 mM、約165 mM~約300 mM、約170 mM~約300 mM、約100 mM~約275 mM、約150 mM~約275 mM、約160 mM~約275 mM、約165 mM~約275 mM、約170 mM~約275 mM、約100 mM~約250 mM、約150 mM~約250 mM、約160 mM~約250 mM、約165 mM~約250 mM、約170 mM~約250 mM、約100 mM~約220 mM、約150 mM~約220 mM、約160 mM~約220 mM、約165 mM~約220 mM、約170 mM~約220 mMであってもよい。
【0137】
例えば、上記賦形剤は、濃度が約50 mM~約500 mMであり得るスクロースを含んでもよい。例えば、上記スクロースの濃度は、約50 mM~約500 mM、約90 mM~約500 mM、約100 mM~約500 mM、約150 mM~約500 mM、約160 mM~約500 mM、約165 mM~約500 mM、約170 mM~約500 mM、50 mM~約390 mM、約100 mM~約390 mM、約150 mM~約390 mM、約160 mM~約390 mM、約165 mM~約390 mM、約170 mM~約390 mM、約100 mM~約300 mM、約150 mM~約300 mM、約160 mM~約300 mM、約165 mM~約300 mM、約170 mM~約300 mM、約100 mM~約275 mM、約150 mM~約275 mM、約160 mM~約275 mM、約165 mM~約275 mM、約170 mM~約275 mM、約100 mM~約250 mM、約150 mM~約250 mM、約160 mM~約250 mM、約165 mM~約250 mM、約170 mM~約250 mM、約100 mM~約220 mM、約150 mM~約220 mM、約160 mM~約220 mM、約165 mM~約220 mM、約170 mM~約220 mM、約30 mM~約300 mM、約40 mM~約300 mM、約50 mM~約300 mM、約60 mM~約300 mM、約80 mM~約300 mM、約30 mM~約275 mM、約40 mM~約275 mM、約50 mM~約275 mM、約30 mM~約250 mM、約40 mM~約250 mM、約50 mM~約250 mM、約30 mM~約220 mM、約40 mM~約220 mM、約50 mM~約220 mMであってもよい。
【0138】
例えば、上記賦形剤は、グリシンの濃度が約50 mM~約500 mMであり得るグリシンを含んでもよい。例えば、上記グリシンの濃度は、約50 mM~約500 mM、約100 mM~約500 mM、約150 mM~約500 mM、約160 mM~約500 mM、約165 mM~約500 mM、約170 mM~約500 mM、50 mM~約390 mM、約100 mM~約390 mM、約150 mM~約390 mM、約160 mM~約390 mM、約165 mM~約390 mM、約170 mM~約390 mM、約100 mM~約300 mM、約150 mM~約300 mM、約160 mM~約300 mM、約165 mM~約300 mM、約170 mM~約300 mM、約100 mM~約275 mM、約150 mM~約275 mM、約160 mM~約275 mM、約165 mM~約275 mM、約170 mM~約275 mM、約100 mM~約250 mM、約150 mM~約250 mM、約160 mM~約250 mM、約165 mM~約250 mM、約170 mM~約250 mM、約100 mM~約220 mM、約150 mM~約220 mM、約160 mM~約220 mM、約165 mM~約220 mM、約170 mM~約220 mMであってもよい。
【0139】
例えば、上記賦形剤は、濃度が約50 mM~約500 mMの濃度であり得るL-アルギニン塩酸塩を含んでもよい。例えば、上記L-アルギニン塩酸塩の濃度は、約50 mM~約500 mM、約100 mM~約500 mM、約150 mM~約500 mM、約160 mM~約500 mM、約165 mM~約500 mM、約170 mM~約500 mM、50 mM~約390 mM、約100 mM~約390 mM、約150 mM~約390 mM、約160 mM~約390 mM、約165 mM~約390 mM、約170 mM~約390 mM、約100 mM~約300 mM、約150 mM~約300 mM、約160 mM~約300 mM、約165 mM~約300 mM、約170 mM~約300 mM、約100 mM~約275 mM、約150 mM~約275 mM、約160 mM~約275 mM、約165 mM~約275 mM、約170 mM~約275 mM、約100 mM~約250 mM、約150 mM~約250 mM、約160 mM~約250 mM、約165 mM~約250 mM、約170 mM~約250 mM、約100 mM~約220 mM、約150 mM~約220 mM、約160 mM~約220 mM、約165 mM~約220 mM、約170 mM~約220 mMであってもよい。
【0140】
例えば、上記賦形剤は、濃度が約50 mM~約500 mMであり得るソルビトールを含んでもよい。例えば、上記ソルビトールの濃度は、約100 mM~約500 mM、約130 mM~約500 mM、約150 mM~約500 mM、約200 mM~約500 mM、約80 mM~約400 mM、約100 mM~約400 mM、約150 mM~約400 mM、約180 mM~約400 mM、約100 mM~約350 mM、約130 mM~約350 mM、約150 mM~約350 mM、約170 mM~約350 mM、約190 mM~約350 mM、約75 mM~約300 mM、約100 mM~約300 mM、約120 mM~約300 mM、約150 mM~約300 mM、約170 mM~約300 mM、約180 mM~約300 mM、約200 mM~約300 mM、約100 mM~約275 mM、約120 mM~約275 mM、約150 mM~約275 mM、約180 mM~約275 mM、約100 mM~約250 mM、約130 mM~約250 mM、約150 mM~約250 mM、約160 mM~約250 mM、約170 mM~約250 mM、約180 mM~約250 mM、約100 mM~約220 mM、約120 mM~約220 mM、約140 mM~約220 mM、約160 mM~約220 mM、約180 mM~約220 mMであってもよい。
【0141】
例えば、上記賦形剤は、濃度が約50 mM~約500 mMの濃度であり得るグリセロールを含んでもよい。例えば、上記ソルビトールの濃度は、約100 mM~約500 mM、約130 mM~約500 mM、約150 mM~約500 mM、約200 mM~約500 mM、約80 mM~約400 mM、約100 mM~約400 mM、約150 mM~約400 mM、約180 mM~約400 mM、約100 mM~約350 mM、約130 mM~約350 mM、約150 mM~約350 mM、約170 mM~約350 mM、約190 mM~約350 mM、約75 mM~約300 mM、約100 mM~約300 mM、約120 mM~約300 mM、約150 mM~約300 mM、約170 mM~約300 mM、約180 mM~約300 mM、約200 mM~約300 mM、約100 mM~約275 mM、約120 mM~約275 mM、約150 mM~約275 mM、約180 mM~約275 mM、約100 mM~約250 mM、約130 mM~約250 mM、約150 mM~約250 mM、約160 mM~約250 mM、約170 mM~約250 mM、約180 mM~約250 mM、約100 mM~約220 mM、約120 mM~約220 mM、約140 mM~約220 mM、約160 mM~約220 mM、約180 mM~約220 mMであってもよい。
【0142】
本願において、上記賦形剤は、安定剤を含んでもよい。上記安定剤は、上記組成物の構造的完全性を維持するのに役立つ成分であってもよい。例えば、上記安定剤は、凍結、凍結乾燥及び/又は保存中に上記組成物の構造的完全性を維持するのに役立つことができる。例えば、上記安定剤は、タンパク質(例えば、本願に記載の抗原結合断片)の変性を軽減する浸透剤として機能することができる。
【0143】
本願に記載の賦形剤は、メチオニン、フェノール、ベンゾフェノール、アスコルビン酸、グルタチオン、チオ硫酸ナトリウム、クエン酸及びニコチンアミドの1種又は複数種から選択され得る酸化防止剤を更に含むことができる。例えば、本願に記載の賦形剤は、濃度が約0.1 mM~約100 mM、約0.5 mM~約100 mM、約1 mM~約100 mM、約2 mM~約100 mM、約5 mM~約100 mM、約0.2 mM~約50 mM、約1 mM~約50 mM、約3 mM~約50 mM、約4 mM~約50 mM、約5 mM~約50 mM、約0.1 mM~約30 mM、約0.3 mM~約30 mM、約0.6 mM~約30 mM、約1 mM~約30 mM、約2 mM~約30 mM、約5 mM~約30 mM、約0.1 mM~約20 mM、約0.5 mM~約20 mM、約1 mM~約20 mM、約2 mM~約20 mM、約0.1 mM~約10 mM、約0.2 mM~約10 mM、約0.5 mM~約10 mM、約0.8 mM~約10 mM、約1 mM~約10 mM、約1.5 mM~約10 mM、約2 mM~約10 mM、約2.5 mM~約10 mM、約3 mM~約10 mM、約4 mM~約10 mM、約5 mM~約10 mMであり得るL-メチオニンを更に含んでもよい。
【0144】
本願に記載の賦形剤は、キレート剤を更に含んでもよく、上記キレート剤は、濃度が約0.1 mM~約10 mM、約0.5 mM~約10 mM、約1 mM~約10 mM、約0.1 mM~約5 mM、約0.2 mM~約5 mM、約0.3 mM~約5 mM、約0.4 mM~約5 mM、約0.5 mM~約5 mM、約0.1 mM~約3 mM、約0.5 mM~約3 mM、約0.6 mM~約3 mM、約0.7 mM~約3 mM、約0.8 mM~約3 mM、約0.1 mM~約2 mM、約0.2 mM~約2 mM、約0.5 mM~約2 mM、約0.75 mM~約2 mM、約0.9 mM~約2 mM、約1 mM~約2 mMであり得るEDTA二ナトリウムであってもよい。
【0145】
例えば、上記組成物のpHは、約5.0~約7.5であってもよい。例えば、上記組成物のpHは、約5.9~約6.9であってもよい。例えば、上記組成物のpHは、約5.9~約6.8、約5.9~約6.7、約5.9~約6.6、約5.9~約6.5、約5.9~約6.4、約6.0~約6.9、約6.1~約6.9、約6.2~約6.9、約6.3~約6.9、約6.4~約6.9、約6.0~約6.5、約6.1~約6.5、約6.2~約6.5、約6.3~約6.5、又は約6.4~約6.5であってもよい。例えば、上記組成物のpHは、約6.3~約6.5であってもよい。例えば、上記組成物のpHは、約6.4であってもよい。
【0146】
例えば、上記組成物は、酢酸ナトリウム-酢酸、ヒスチジン-酢酸、L-ヒスチジン-L-ヒスチジン塩酸塩、リン酸ナトリウム及びクエン酸-水酸化ナトリウムからなる群から選択される1種又は複数種の緩衝成分を含むことができる。
【0147】
例えば、上記緩衝成分の濃度は、約5 mM~約50 mMであってもよい。例えば、上記緩衝成分の濃度は、約5 mM~約50 mM、約5 mM~約45 mM、約5 mM~約40 mM、約5 mM~約35 mM、約5 mM~約30 mM、約5 mM~約25 mM、約5 mM~約20 mM、約5 mM~約50 mM又は約5 mM~約30 mMであってもよい。例えば、上記緩衝成分の濃度は、約10 mM~50 mMであってもよい。例えば、上記緩衝成分の濃度は、約10 mM~約50 mM、約10 mM~約45 mM、約10 mM~約40 mM、約10 mM~約35 mM、約10 mM~約30 mM、約10 mM~約25 mM、約10 mM~約20 mM、約20 mM~約50 mM又は約20 mM~約30 mMであってもよい。
【0148】
例えば、上記緩衝成分は、濃度が約10 mM~約50 mMであり得る酢酸ナトリウム-酢酸を含んでもよい。例えば、上記酢酸ナトリウム-酢酸の濃度は、約5 mM~50 mM、約5 mM~約45 mM、約5 mM~約40 mM、約5 mM~約35 mM、約5 mM~約30 mM、約5 mM~約25 mM、約5 mM~約20 mM、約10 mM~50 mM、約10 mM~約45 mM、約10 mM~約40 mM、約10 mM~約35 mM、約10 mM~約30 mM、約10 mM~約25 mM、約10 mM~約20 mM、約20 mM~約50 mM又は約20 mM~約30 mMであってもよい。例えば、上記緩衝成分は、濃度が約5 mM~約35 mMであり得る酢酸ナトリウム-酢酸を含んでもよい。例えば、上記緩衝成分は、濃度が約10 mM~約30 mMであり得る酢酸ナトリウム-酢酸を含んでもよい。例えば、上記緩衝成分は、濃度が約20 mMであり得る酢酸ナトリウム-酢酸を含んでもよい。
【0149】
例えば、上記緩衝成分は、濃度が約10 mM~約50 mMであり得るL-ヒスチジン-L-ヒスチジン塩酸塩を含んでもよい。例えば、上記L-ヒスチジン-L-ヒスチジン塩酸塩の濃度は、約5 mM~50 mM、約5 mM~約45 mM、約5 mM~約40 mM、約5 mM~約35 mM、約5 mM~約30 mM、約5 mM~約25 mM、約5 mM~約20 mM、約10 mM~50 mM、約10 mM~約45 mM、約10 mM~約40 mM、約10 mM~約35 mM、約10 mM~約30 mM、約10 mM~約25 mM、約10 mM~約20 mM、約20 mM~約50 mM又は約20 mM~約30 mMであってもよい。例えば、上記緩衝成分は、濃度が約5 mM~約35 mMであり得るL-ヒスチジン-L-ヒスチジン塩酸塩を含んでもよい。例えば、上記緩衝成分は、濃度が約10 mM~約30 mMであり得るL-ヒスチジン-L-ヒスチジン塩酸塩を含んでもよい。例えば、上記緩衝成分は、濃度が約20 mMであり得るL-ヒスチジン-L-ヒスチジン塩酸塩を含んでもよい。
【0150】
例えば、上記組成物は、ポリソルベート20、ポリソルベート80及びポロキサマー188からなる群から選択され得る1種又は複数種の界面活性剤を含んでもよい。本願は、界面活性剤の濃度を表すためにmg/mL又は%(w/v)を使用し、当業者は、両者を換算することができ、例えば、0.02%界面活性剤を0.2 mg/mLに換算することができることを理解すべきである。
【0151】
例えば、上記界面活性剤の濃度は、約0 mg/mL~約0.8 mg/mLであってもよい。例えば、上記界面活性剤の濃度は、約0.05 mg/mL~約0.8 mg/mLであってもよい。例えば、上記界面活性剤の濃度は、約0 mg/mL~約0.8 mg/mL、約0.1 mg/mL~約0.8 mg/mL、約0.2 mg/mL~約0.8 mg/mL、約0.3 mg/mL~約0.8 mg/mL、約0.1 mg/mL~約0.3 mg/mL、約0.1 mg/mL~約0.2 mg/mL、約0.05 mg/mL~約0.3 mg/mL、約0 mg/mL~約0.4 mg/mL、約0.05 mg/mL~約0.4 mg/mL、約0.05 mg/mL~約0.2 mg/mL、約0.2 mg/mL~約0.4 mg/mL又は約0 mg/mL~約0.2 mg/mLであってもよい。
【0152】
例えば、上記界面活性剤は、濃度が約0 mg/mL~約0.8 mg/mLであり得るポリソルベート20を含んでもよい。例えば、上記ポリソルベート20の濃度は、約0.05 mg/mL~約0.8 mg/mLであってもよい。例えば、上記ポリソルベート20の濃度は、約0 mg/mL~約0.8 mg/mL、約0.1 mg/mL~約0.8 mg/mL、約0.2 mg/mL~約0.8 mg/mL、約0.3 mg/mL~約0.8 mg/mL、約0.1 mg/mL~約0.3 mg/mL、約0.1 mg/mL~約0.2 mg/mL、約0.05 mg/mL~約0.3 mg/mL、約0 mg/mL~約0.4 mg/mL、約0.05 mg/mL~約0.4 mg/mL、約0.05 mg/mL~約0.2 mg/mL、約0.2 mg/mL~約0.4 mg/mL又は約0 mg/mL~約0.2 mg/mLであってもよい。例えば、上記界面活性剤は、濃度が約0.2 mg/mL~約0.4 mg/mLであり得るポリソルベート20を含んでもよい。例えば、上記界面活性剤は、濃度が約0.2 mg/mLであり得るポリソルベート20を含んでもよい。例えば、上記界面活性剤は、濃度が約0.4mg/mLであり得るポリソルベート20を含んでもよい。
【0153】
例えば、上記界面活性剤は、濃度が約0 mg/mL~約0.8 mg/mLであり得るポリソルベート80を含んでもよい。例えば、上記ポリソルベート80の濃度は、約0.05 mg/mL~約0.8 mg/mLであってもよい。例えば、上記ポリソルベート80の濃度は、約0 mg/mL~約0.8 mg/mL、約0.1 mg/mL~約0.8 mg/mL、約0.2 mg/mL~約0.8 mg/mL、約0.3 mg/mL~約0.8 mg/mL、約0.1 mg/mL~約0.3 mg/mL、約0.1 mg/mL~約0.2 mg/mL、約0.05 mg/mL~約0.3 mg/mL、約0 mg/mL~約0.4 mg/mL、約0.05 mg/mL~約0.4 mg/mL、約0.05 mg/mL~約0.2 mg/mL、約0.2 mg/mL~約0.4 mg/mL又は約0 mg/mL~約0.2 mg/mLであってもよい。例えば、上記界面活性剤は、濃度が約0.2 mg/mL~約0.4 mg/mLであり得るポリソルベート80を含んでもよい。例えば、上記界面活性剤は、濃度が約0.2 mg/mLであり得るポリソルベート80を含んでもよい。例えば、上記界面活性剤は、濃度が約0.4mg/mLであり得るポリソルベート80を含んでもよい。
【0154】
例えば、上記界面活性剤は、濃度が約0.05 mg/mL~約5 mg/mL、約0.08 mg/mL~約5 mg/mL、約0.1 mg/mL~約5 mg/mL、約0.2 mg/mL~約5 mg/mL、約0.05 mg/mL~約3 mg/mL、約0.1 mg/mL~約3 mg/mL、約0.15 mg/mL~約3 mg/mL、約0.2 mg/mL~約3 mg/mL、約0.05 mg/mL~約2 mg/mL、約0.075 mg/mL~約2 mg/mL、約0.1 mg/mL~約2 mg/mL、約0.15 mg/mL~約2 mg/mL、約0.2 mg/mL~約2 mg/mL、約0.3 mg/mL~約2 mg/mL、約0.5 mg/mL~約2 mg/mLであり得るポロキサマー188を含んでもよい。
【0155】
本願において、上記組成物は、本願に記載の抗原結合断片、本願に記載の賦形剤を含んでもよく、且つpHが約5.9~約6.9であってもよい。例えば、上記組成物は、本願に記載の抗原結合断片、本願に記載の賦形剤及び本願に記載の緩衝成分を含んでもよく、且つpHが約5.9~約6.9であってもよい。例えば、上記組成物は、本願に記載の抗原結合断片、本願に記載の賦形剤、本願に記載の緩衝成分及び本願に記載の界面活性剤を含んでもよく、且つpHが約5.9~約6.9であってもよい。
【0156】
本願において、上記組成物は、本願に記載の抗原結合断片、プロリンを含んでもよく、且つpHが約5.9~約6.9のであってもよい。例えば、上記組成物は、本願に記載の抗原結合断片、プロリン及び酢酸ナトリウム-酢酸を含んでもよく、且つpHが約5.9~約6.9であってもよい。例えば、上記組成物は、本願に記載の抗原結合断片、プロリン、酢酸ナトリウム-酢酸及びポリソルベート20を含んでもよく、且つpHが約5.9~約6.9であってもよい。例えば、上記組成物は、本願に記載の抗原結合断片、プロリン、酢酸ナトリウム-酢酸及びポリソルベート20を含んでもよく、且つpHが約6.3~約6.5であってもよい。
【0157】
例えば、上記組成物は、1)約20 mg/mL~約220 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約10 mM~約50 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、3)約50 mM~約500 mMのプロリン、4)約0.05 mg/mL~約0.8 mg/mLのポリソルベート20を含んでもよく、且つpHが約5.9~約6.9であってもよい。
【0158】
例えば、上記組成物は、1)約20 mg/mL~約220 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約10 mM~約50 mM酢酸ナトリウム-酢酸、3)約50 mM~約500 mMのプロリン、及び4)約0.05 mg/mL~約0.8 mg/mLのポリソルベート20で構成されてもよく、且つ上記組成物のpHは、約5.9~約6.9であってもよい。
【0159】
例えば、上記組成物は、1)約20 mg/mL~約220 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約5 mM~約35 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、3)約50 mM~約390 mMのプロリン、4)約0 mg/mL~約0.4 mg/mLのポリソルベート20を含んでもよく、且つpHが約5.9~約6.9であってもよい。
【0160】
例えば、上記組成物は、1)約20 mg/mL~約220 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約5 mM~約35 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、3)約50 mM~約390 mMのプロリン、4)約0 mg/mL~約0.4 mg/mLのポリソルベート20で構成されてもよく、且つ上記組成物のpHは、約5.9~約6.9であってもよい。
【0161】
例えば、上記組成物は、1)約50 mg/mL~約200 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約10 mM~約30 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、3)約150 mM~約250 mMのプロリン、4)約0.2 mg/mL~約0.4 mg/mLのポリソルベート20を含んでもよく、且つpHが約6.3~約6.5であってもよい。
【0162】
例えば、上記組成物は、1)約50 mg/mL~約200 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約10 mM~約30 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、3)約150 mM~約250 mMのプロリン、及び4)約0.2 mg/mL~約0.4 mg/mLのポリソルベート20で構成されてもよく、且つ上記組成物のpHは、約6.3~約6.5であってもよい。
【0163】
例えば、上記組成物は、1)約200 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約20 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、3)約220 mMのプロリン、4)約0.2 mg/mLのポリソルベート20を含んでもよく、且つpHが約6.4であってもよい。
【0164】
例えば、上記組成物は、1)約200 mg/mLの本願に記載の抗原結合断片、2)約20 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、3)約220 mMのプロリン、及び4)約0.2 mg/mLのポリソルベート20で構成されてもよく、且つpHが約6.4であってもよい。
【0165】
本願において、上記組成物は、注射に用いることができる。本願において、上記組成物は、皮下注射に用いることができる。例えば、上記組成物は、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射、非経口投与又は静脈内注入に用いることもできる。
【0166】
本願において、上記組成物は、製剤であってもよい。例えば、上記組成物は、液体製剤であってもよい。
【0167】
別の態様において、本願は、本願に記載の組成物と、本願に記載の組成物を収容する容器とを含む試薬キットを提供する。
【0168】
例えば、上記容器は、バイアル(例えば、ガラス瓶)、アンプル、シリンジ、注射ペン、及び/又は静脈バッグを含んでもよい。本願において、上記容器は、無菌のものであってもよい。例えば、上記容器は、ガラス瓶を含んでもよい。
【0169】
例えば、上記試薬キットは、本願に記載の組成物を投与可能な送達装置を含んでもよい。例えば、上記送達装置は、バイアル、アンプル、シリンジ、注射ペン、及び/又は静脈バッグを含んでもよい。
【0170】
本願において、上記容器内の上記組成物の体積は、約0.5 mL~約5.0 mLであってもよい。例えば、上記容器内の上記組成物の体積は、約0.5 mL~約1.5 mLであってもよい。例えば、上記組成物の体積は、1.5 mLであってもよい。例えば、上記組成物の体積は、1.0 mLであってもよい。本願において、上記容器において、上記抗原結合断片の濃度は、約200 mg/1.0 mL/バイアルであってもよく、又は、約300 mg/1.5 mL/バイアルであってもよい。
【0171】
別の態様において、本願は、腫瘍を予防、緩和及び/又は治療する薬物の製造における、本願に記載の組成物、及び/又は本願に記載の試薬キットの使用を提供する。
【0172】
本願は、腫瘍を予防、緩和及び/又は治療するための本願に記載の組成物、及び/又は本願に記載の試薬キットを提供する。
【0173】
本願は、腫瘍を予防、緩和、及び/又は治療する方法であって、それを必要とする被験者に本願に記載の組成物、及び/又は本願に記載の試薬キットを投与するステップを含む方法を提供する。
【0174】
本願において、腫瘍は、PD-L1陽性腫瘍を含んでもよい。例えば、腫瘍は悪性固形腫瘍を含んでもよい。
【0175】
本願において、上記腫瘍は、マイクロサテライト不安定性(MSI-H)/ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)の腫瘍(例えば、MSI-H/dMMR汎腫瘍種固形腫瘍)を含んでもよい。例えば、マイクロサテライト不安定性(MSI-H)/ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)の進行した進行結腸直腸癌又は胃癌を含んでもよい。例えば、上記腫瘍は、外科的に切除又は転移できない胆道癌、及び/又は未治療の切除不能又は転移性の胃もしくは胃食道結合腺癌を含んでもよい。
【0176】
別の態様において、本願は、感染性疾患を予防、緩和及び/又は治療する薬物の製造における、本願に記載の組成物、及び/又は本願に記載の試薬キットの使用を更に提供する。
本願は、感染性疾患を予防、緩和及び/又は治療するための本願に記載の組成物、及び/又は本願に記載の試薬キットを提供する。
【0177】
本願は、感染性疾患を予防、緩和及び/又は治療する方法であって、それを必要とする被験者に本願に記載の組成物、及び/又は本願に記載の試薬キットを投与するステップを含む方法を提供する。
【0178】
本願において、上記感染性疾患は、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染及び/又は寄生虫感染に起因する疾患を含む。
【0179】
本願は、本願に記載の組成物及び/又は本願に記載の試薬キットの製造方法を更に提供する。上記方法は、本願に記載の組成物を製造するのに必要な任意の関連成分を任意の順序で混合することを含むことができる。例えば、上記方法は、上記賦形剤、上記緩衝成分及び/又は上記界面活性剤のプレミックス(又は予混合溶液)を製造することを含むことができる。例えば、上記方法は、緩衝系を形成することを含むことができる。上記緩衝系は、本願に記載の緩衝成分を含んでもよい。本願に記載の方法は、粒子状物質を(例えば、濾過によって)除去することを含むことができる。
【0180】
何れの理論にも限定されることなく、以下の実施例は、本願に係る製剤、製造方法及び用途などを説明するためのものに過ぎず、本願の発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0181】
検出項目及び方法:
(1)内因性蛍光スペクトル:タンパク質分子中の内因性蛍光アミノ酸(トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン)の極性及び非極性環境における蛍光スペクトルを利用する。蛍光スペクトルが赤方偏移すると、即ち最大発光波長が変化すると、タンパク質の高次構造の一致、即ち高次構造の相互変換を間接的に推定する。試料を40 mg/mLに希釈し、ハイスループットの内因性蛍光分光計optim1000(pall社)を利用し、試験温度範囲が20~95℃のであり、試験間隔が1℃である。波長473 nmのSLS(静的散乱光)結果を用いて試料の重合傾向を判断し、変性温度は、BCM(重心波長)で測定した値であり、式からTm値(変性半分の温度)として計算して評価する。
【0182】
(2)SEC-HPLC(分子排除クロマトグラフィー):『中国薬典』2015版の第三部の通則0514分子排除クロマトグラフィーを参照し、製品のモノマー含有量、及びポリマーと断片を検出するために用いられる。カラムは、7.8*300 mM、5 μmのTOSOH G3000であり、移動相は20 mMのNa2HPO4、300 mMのNaClであり、検出波長は280 nmである。
【0183】
(3)WCX-HPLC(弱陽イオン交換クロマトグラフィー):『中国薬典』2015版の第三部の通則0512高速液体クロマトグラフィーを参照し、製品の主成分、酸性成分及び塩基性成分の含有量を検出するために用いられる。カラムは、4×250 mM、10 μmのPropac WCX-10であり、移動相は、10 mMのNa2HPO4、10 mMのNa2HPO4+500 mMのNaClであり、検出波長は280 nmである。
【0184】
(4)結合及び遮断活性:それぞれWO2017/020802A1の実施例5.2及び5.3に記載の試験方法を参照する。
【0185】
(5)粘度:米国rheosense携帯型微量粘度計microVISCを採用し、自動モードでその粘度を測定する。
【0186】
(6)浸透圧:モル浸透圧法により測定する。
【0187】
機器:浸透圧計、試薬:300 mosm/kgのキャリブレーション液、900 mosm/kgのキャリブレーション液、塩化ナトリウム
消耗材:遠心分離管、無塵紙など
【0188】
実験手順:100 μLを取って試料管に加え、試料管に気泡が発生しないことを確保し、試料プローブ及び2次針を無塵紙で拭き取った後、試料管を検出プローブ上に置き、測定プローブを下げ、試料管をコールドトラップに入れ、「Enter」キーを押して測定する。試料を並行して2回測定する。ゼロ較正:±2点の間、300点較正:±4点の間、900点較正:±8点の間。
【0189】
(7)CE-SDS純度:試料を変性(非還元条件)又は変性還元(還元条件)した後、キャピラリー電気泳動装置に入れ、電気泳動分析を行い、面積正規化法により計算する。
【0190】
(8)タンパク質含有量:『中国薬典』2015版の第三部の通則0731タンパク質含有量の測定法第6法を参照し、微量紫外分光光度計Nanodrop 2000を採用し、タンパク質の波長280 nmにおける吸光度及びタンパク質の理論吸光係数に基づき、タンパク質含有量を計算する。
【0191】
(9)濁度測定:Agilent 8453分光光度計で試料の340 nmにおける吸光度を測定する。
【0192】
(10)不溶性粒子:AccuSizer 780SIS不溶性微粒子アナライザーで試料≧10 μm及び≧25 μmの粒子の数を測定する。
【0193】
(11)動的光散乱(DLS):PUNK型粒度計で試料の平均粒径(Z.average.Diameter)及び分布係数(PDI)を測定する。
【0194】
抗原結合タンパク質の製造:
抗原結合タンパク質は、PD-L1に特異的に結合することができる免疫グロブリン単一可変ドメインを含み、上記免疫グロブリン単一可変ドメインは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含んでもよい。以下、この抗原結合タンパク質を単に「PD-L1モノクローナル抗体」と呼ぶ。上記PD-L1モノクローナル抗体は、アミノ酸配列の人工合成方法によって得られる。上記PD-L1モノクローナル抗体は、配列番号14~31の何れか1つに示されるアミノ酸配列、特に配列番号21に示されるアミノ酸配列を含む。
【0195】
実施例に係るプロリンには、L-プロリンが含まれる。
【0196】
実施例1
以下の製剤処方は、表1に従って得られた。
【0197】
【0198】
表1の製剤処方について、表2に従ってスクリーニング検出を行った。
【0199】
【0200】
1)内因性蛍光スペクトルによる検出
処方1~19に対応するTm値及び重合傾向の検出結果をそれぞれ
図1及び
図2に示した。
【0201】
図1の結果は、処方1~4及び12の構造がより安定であることを示し、
図2の結果は、処方1~4及び10がポリマーをより形成しにくいことを示した。この検出において、処方1~4の安定性は非常に良好であり、即ち酢酸ナトリウム-酢酸緩衝系の使用は、安定性の更なる向上につながることが分かった。
【0202】
処方1~2及び処方3~4をそれぞれ比較した結果、比較的低いpHは、安定性の更なる向上につながることが分かった。
【0203】
2)SEC-HPLCによるメインピーク含有量の検出
処方1~19に対応するSEC-HPLCによるメインピーク含有量及びポリマー含有量の検出結果をそれぞれ
図3及び
図4に示した。
【0204】
結果は、28日間の高温条件下で、処方11以外に、他の処方においてPD-L1モノクローナル抗体の純度が97%以上であり、緩衝系が必要であることを示した。
【0205】
処方1、3、5、7及び処方2、4、6、8をそれぞれ比較した結果、比較的低いpHは、処方安定性の更なる向上に関連することが分かった。
【0206】
処方1及び処方3(pH6.5の酢酸ナトリウム-酢酸緩衝系)、処方5及び処方7(pH6.5のリン酸ナトリウム緩衝系)の安定性をそれぞれ比較した。その結果、L-プロリンの含有は、安定性の更なる向上につながることを見出した。
【0207】
処方6及び8、13及び14をそれぞれ比較した結果、L-アルギニンの含有又はL-プロリンの含有が安定性の更なる向上につながることを見出した。
【0208】
処方2、6及び10をそれぞれ比較した結果、酢酸ナトリウム-酢酸緩衝系の使用が安定性の更なる向上につながることを見出した。
【0209】
処方14及び16、処方13及び17、処方6及び18の結果をそれぞれ比較した結果、PD-L1モノクローナル抗体の含有量50 mg/mL及び200 mg/mLは、いずれも処方の安定性に影響を与えないように見えることを見出した。
【0210】
3)WCX-HPLCによる酸性成分含有量の検出
WCX-HPLCによる酸性成分含有量の検出結果を
図5に示し、処方における酸性成分(この酸性成分は、高温条件下でPD-L1モノクローナル抗体の分解から生じる成分を含み得る)の変化傾向を評価することができる。
【0211】
処方1、3、5、7及び処方2、4、6、8をそれぞれ比較した結果、比較的低いpHは、処方の酸性成分の更なる減少につながることが分かった。
【0212】
処方1及び処方5、処方3及び処方7、並びに処方2、処方6、処方10の酸性成分をそれぞれ比較した結果、酢酸ナトリウム-酢酸緩衝系が処方の酸性成分の更なる減少につながることを見出した。
【0213】
処方6、8、13~14の酸性成分を比較した結果、L-プロリンの含有が処方の酸性成分の更なる減少につながることを見出した。
【0214】
処方14及び16、処方13及び17、並びに処方6及び18をそれぞれ比較した結果、PD-L1モノクローナル抗体の含有量50 mg/mL及び200 mg/mLは、いずれも処方の酸性含有量のレベルに影響を与えないように見えることが分かった。
【0215】
4)粘度検出
粘度の検出結果を
図6に示した。処方8以外に、他の処方の粘度は、いずれも皮下注射の粘度要求を満たした。
【0216】
処方14及び16、処方13及び17をそれぞれ比較した結果、PD-L1モノクローナル抗体の含有量200 mg/mLは、含有量50 mg/mLに比べ、粘度が上昇したが、皮下注射投与に影響を与えないことが分かった。
【0217】
5)活性検出
処方1及び処方3を選択してそれぞれ高温処理の活性測定を行った。
【0218】
両者の結合活性及び遮断活性の結果をそれぞれ
図7、
図8及び表3に示した。
図7~8のA~Dは、それぞれ処方1の0日目、処方3の0日目、処方1の28日目、処方3の28日目の結果を示した。処方の結果、処方1及び処方3は、28日間の高温で活性に有意差がなく、0日と比べて有意差がないことが分かった。
【0219】
【0220】
実施例2
実施例1の処方のスクリーニングに基づき、更に各因子の処方性能への影響を考察し、製剤処方の検討を表4に示した。
【0221】
【0222】
高温(40±2℃)で14日間、28日間加速した後、PD-L1モノクローナル抗体のSEC-HPLCの純度及びWCX-HPLCの酸塩基成分の変化を評価し、0日間の試料の粘度を測定した。製剤組成のその他の追加の実験的考察及び評価項目を表5に示した。
【0223】
【0224】
SEC-HPLCによる検出結果を表6に示した。
【0225】
【0226】
WCX-HPLCによる検出結果を表7に示した。
【0227】
【0228】
(1)界面活性剤の種類が製剤安定性に与えた影響への検討
PD-L1モノクローナル抗体の含有量200 mg/mLにおいて、20 mMの酢酸ナトリウム-酢酸が緩衝液であり、220 mMのプロリン(L-プロリン)が安定剤であり、それぞれ0.02%のポリソルベート20、ポリソルベート80、ポロキサマーP188を界面活性剤として選択し、0日間、14日間、28日間加速した後にそれぞれSEC-HPLC、WCX-HPLC法によって目的タンパク質を検出し、界面活性剤の異なる種類が製剤安定性に与えた影響を考察し、製剤処方19A、20A、21Aに示す通りである。検討結果により、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポロキサマーP188は、PD-L1モノクローナル抗体製剤の界面活性剤とすることができることを示した。
【0229】
(2)安定剤の種類が製剤安定性に与えた影響への検討
PD-L1モノクローナル抗体の含有量200 mg/mLにおいて、20 mMの酢酸ナトリウム-酢酸が緩衝液であり、0.02%ポリソルベート20が界面活性剤であり、pHが6.4であり、それぞれ220 mMのL-プロリン、90 mg/mLのスクロース、250 mMのグリシン、150 mMのL-アルギニン塩酸塩、150 mMの塩化ナトリウムを安定剤として選択し、0日間、14日間、28日間加速した後にそれぞれSEC-HPLC、WCX-HPLC法によって目的タンパク質を検出し、安定剤の異なる種類が製剤安定性に与えた影響を考察し、製剤処方19A、26A、27A、28A、29Aに示す通りである。検討結果により、L-プロリン、スクロース、グリシン、L-アルギニン塩酸塩、又は塩化ナトリウムは、PD-L1モノクローナル抗体製剤の安定剤とすることができることを示した。
【0230】
(3)緩衝成分の種類が製剤安定性に与えた影響
PD-L1モノクローナル抗体の含有量200 mg/mLにおいて、220 mMのL-プロリンが安定剤であり、0.02%ポリソルベート20が界面活性剤であり、pHが6.4であり、20 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、L-ヒスチジン-L-ヒスチジン塩酸、リン酸ナトリウム、クエン酸-水酸化ナトリウムの緩衝液をそれぞれ選択し、0日間、14日間、28日間加速した後にそれぞれSEC-HPLC、WCX-HPLC法によって目的タンパク質を検出し、異なる緩衝液成分が製剤安定性に与えた影響を考察し、製剤処方19A、22A、23A、24A、25Aに示す通りである。検討結果により、酢酸ナトリウム-酢酸、L-ヒスチジン-酢酸、L-ヒスチジン-L-ヒスチジン塩酸、リン酸ナトリウム、クエン酸-水酸化ナトリウムの緩衝液などは、いずれもPD-L1モノクローナル抗体製剤の緩衝成分とすることができることを示した。具体的には、各緩衝系の配合のSEC-HPLCによる検出結果に有意差はなく、WCX-HPLCの結果により、高温で28日間加速した後、リン酸ナトリウムとクエン酸-水酸化ナトリウム系の配合の主成分含有量はやや低く、他のいくつかの緩衝系の主成分含有量は近いことが示された。
【0231】
(4)PD-L1モノクローナル抗体の濃度が製剤安定性に与えた影響
製剤処方33A、34A及び19Aの検討結果により、濃度が20 mg/mL~220 mg/mLのPD-L1モノクローナル抗体を含有する製剤は、一定の緩衝液、安定剤、界面活性剤及び/又はpH条件下で製剤安定性の要件を満たすことを示した。
【0232】
0日目の粘度検出結果を表8に示した。結果から分かるように、比較的低い粘度を有するPD-L1モノクローナル抗体の濃度の低い処方33Aを除いて、他の製剤処方の粘度の差は、明らかではなく、全体として許容範囲内にあった。これは、比較的高い濃度(例えば、220 mg/mL)を有するPD-L1モノクローナル抗体を含む製剤が、薬剤形成に適した(例えば、注射に使用するのに適し、例えば、皮下注射に使用するのに適した)粘度特性を有することを意味する。本願に記載の組成物は、適切な粘度を有するため、簡便(例えば、皮下注射)で、迅速(例えば、注射回数を低減し、投与時間を大幅に短縮する)に投与することに役立ち、同時に患者の服薬コンプライアンス及びアクセス性を向上させ、患者の生活の質を向上させる。
【0233】
【0234】
実施例3
処方の配合を実施例1及び2の結果に従って更に最適化し、処方のpH、緩衝系、安定剤及び界面活性剤をそれぞれ更にスクリーニングした。
【0235】
1、pHのスクリーニング
200±12 mg/mLのPD-L1モノクローナル抗体を含有する異なる処方のpH5.0~7.5の範囲で、40±2℃の高温条件下での安定性を考察した。SEC-HPLC及びWCX-HPLCによってタンパク質の純度差を検出し、不溶性微粒子及びDLSによってタンパク質の粒子及び均一性の差を検出した。具体的な処方組成及び検出結果を表9にまとめて示した。
【0236】
【0237】
SEC-HPLCによる検出結果は、pH5.0及びpH7.5の条件でモノマーが明らかに低下したことが示され、WCX-HPLCによる検出結果は、pH7.5の条件で主成分が明らかに低下したことが示された。不溶性微粒子の検出結果は、pHが比較的低い条件で、不溶性微粒子が少なく、pHが高くなるにつれて、不溶性微粒子の数が更に減少した傾向があることが示された。PDI指標は溶液の均一性を反映し、この数値が小さいほど均一性が高くなり、結果により、pHが6.4である場合に溶液の均一性が最も好ましく、pHが上昇するにつれて、溶液のPDI値が先に低下した後に上昇する傾向があることが示された。
【0238】
上記結果に踏まえ、更にPD-L1モノクローナル抗体のpH6.1~6.7の範囲での安定性を考察した。200±12 mg/mLのPD-L1モノクローナル抗体を含有する異なる処方を40±2℃の高温条件下に置き、タンパク質の純度差をSEC-HPLC及びWCX-HPLCによって検出し、340 nmでのOD値を比較して濁度差を検出した。具体的な処方組成及び検出結果を表10にまとめて示した。
【0239】
【0240】
pH6.1~6.7の範囲で、SEC-HPLC結果は、異なる処方間の差が明らかでないことが示され、WCX-HPLC結果は、pH値が上昇するにつれて、主成分の含有量がわずかに減少する傾向があることが示され、OD340 nmで測定した濁度は、pHが上昇するにつれて先に低下した後に上昇する傾向があった。
【0241】
2、安定剤及び緩衝系の選択
酢酸ナトリウム-酢酸、L-ヒスチジン-L-ヒスチジン塩酸塩及びクエン酸緩衝系を選択し、異なる安定剤に合わせ、更に安定剤の作用を考察した。評価される安定剤は、糖類のスクロース、トレハロース及びマルトース、アミノ酸類のL-プロリン、L-アルギニン塩酸塩及びメチオニン、アルコール類のマンニトール、ソルビトール及びグリセロールを含み、塩化ナトリウムを対照として同時比較した。
【0242】
SEC-HPLC及びWCX-HPLCによってタンパク質の純度差を検出し、不溶性微粒子及びDLSによって異なる配合における粒子及び均一性の差を検出した。具体的な処方組成及び検出結果を表11~13に示した。
【0243】
【0244】
高温で28日間加速した後、外観を目視で観察したところ、マルトース組成を含む処方の色が黄変している以外、他の処方の外観に差は明らかでないことが示された。
【0245】
SEC-HPLCによる検出結果は、マルトースを含有する処方において検出されたモノマーの含有量が比較的低く、他の処方の検出されたモノマーに差が明らかではなく、98.3%~98.6%であることが示され、WCX-HPLCによる検出結果は、マルトースを含有する処方において検出されたピーク型が変形した以外、他の配合の検出された主成分に差が明らかではなく、83.3%~85.5%であることが示された。不溶性微粒子の検出結果は、異なる安定剤の間に差が明らかではないことが示された。DLS検出結果から分かるように、平均水和径(Z.Av.Diameter)の結果は、塩化ナトリウムを含有する処方の水和径が比較的大きく、他の処方において平均粒径が比較的小さいことが示され、分布係数(PDI)の結果は、トレハロース、マルトース及び塩化ナトリウムの値>0.3を含有する以外、他の処方に差が明らかではなく、均一性が高いことが示された。粘度の検出結果により、50 mg/mLのスクロース、50 mg/mLのマンニトール及び90 mg/mLのトレハロースを添加した処方は、粘度>20 cpであり、その他の処方は、いずれも<20 cpであり、酸化防止剤としてのメチオニンを添加した処方は、添加しない処方に比べて粘度がやや低下したことが示された。
【0246】
【0247】
高温で28日間加速した後、外観を目視で観察したところ、マルトース組成を含む処方の色が黄変している以外、他の組の外観に差は明らかでないことが示された。
【0248】
SEC-HPLCによる検出結果は、マルトースを含有する処方において検出されたモノマーの含有量が比較的低く、他の処方の検出モノマーに差が明らかではなく、98.6%~98.9%であることが示され、WCX-HPLCによる検出結果は、マルトースを含む処方において検出されたピーク型が変形した以外、他の処方の検出された主成分に差が明らかではなく、83.2%~84.9%であることが示された。不溶性微粒子の検出結果は、異なる安定剤の間に差が明らかではないことが示された。DLS検出におけるZ.Av.Diameterの結果は、塩化ナトリウムを含む処方の水和径が比較的大きく、他の処方において平均粒径が小さいことが示され、PDI値の結果は、トレハロース及びマルトースを含む処方のPDI値>0.3である以外、他の処方に差が明らかではなく、均一性が高いことが示された。
【0249】
【0250】
不溶性微粒子の検出結果は、異なる安定剤の間に差が明らかではないことが示された。DLSによる検出結果から、L-アルギニン塩酸塩を含む処方と他の緩衝系の差が大きくないことを除いて、他の安定剤を用いた処方は、クエン酸緩衝系において、上記した他の2つの緩衝系と比べ、Z.Av.Diameter値によってその水和直径がいずれも大きいことを示し、タンパク質の構造的安定性に不利であり、異なる安定剤で検出されたPDI値は、各処方において大きさが異なり、L-アルギニン塩酸塩及びマンニトールを含む処方のPDI値が比較的小さく、均一性が高いことを示した。
【0251】
3、界面活性剤のスクリーニング
異なる処方におけるPD-L1モノクローナル抗体の安定性、特にタンパク質の安定性に対する異なる界面活性剤の影響を考察した。タンパク質のSEC-HPLC及びWCX-HPLCの純度差を高温40±2℃加速実験によって検出し、25±2℃、150 rpmで7日間振とうすることによって不溶性微粒子を検出し、DLSによって異なる処方における粒子及び均一性の差を検出した。具体的な処方組成及び検出結果を表14に示した。
【0252】
【0253】
40±2℃で28日間加速したところ、SEC-HPLCによる検出結果は、異なる処方に差が明らかでないことが示され、WCX-HPLCによる検出結果は、220 mMのL-プロリンのみを含み、他の処方よりも主成分の減少が明らかであり、他の処方間の比較差が明らかでないことが示された。
【0254】
25±2℃、150 rpmで7日間振とうしたところ、不溶性微粒子の検出結果は、界面活性剤を添加した処方においてその不溶性微粒子が低く、他の処方において比較的高いことが示された。DLSによる検出結果は、異なる界面活性剤であるポリソルベート20、ポリソルベート80、又はポロキサマー188を添加することにより、PDI値を改善することができ、異なる界面活性剤の処方の差が明らかではないことが示された。
【0255】
実施例4
前の実施例の結果に従い、更に処方の賦形剤及びpHを最適化し、以下の製剤処方は表15に従って得られた:
【0256】
【0257】
表15の製剤処方について、表16に従ってスクリーニング検出を行った。
【0258】
【0259】
1)SEC-HPLCによるメインピーク含有量の検出
処方20~31に対応するSEC-HPLCによるメインピーク含有量及びポリマー含有量の検出結果をそれぞれ
図9及び
図10に示した。
【0260】
処方20~23、処方24~27、処方28~31をそれぞれ比較した結果、安定性に対するpH6.1~6.7の影響に差が明らかでなくことが分かった。
【0261】
処方20~23、処方28~31のポリマー含有量をそれぞれ比較した結果、L-プロリンの含有は、安定性の更なる向上につながることを見出した。
【0262】
処方24~27及び処方28~31をそれぞれ比較した結果、安定性に対する220 mMのL-プロリン及び150 mMのL-プロリンの影響に有意差がないことを見出した。
【0263】
2)WCX-HPLCによる酸性成分含有量の検出
高温(40±2℃)加速実験を経て、処方20~31のWCX-HPLCによる酸性成分含有量の検出結果を
図11に示した。
【0264】
処方20~23、処方24~27、及び処方28~31の酸性成分をそれぞれ比較したところ、pH値が高くなるにつれて、pH6.1~6.7の酸性成分の含有量が増加する傾向が認められたが、いずれも許容範囲にあった。
【0265】
処方20~23、処方28~31の酸性成分をそれぞれ比較した結果、L-プロリンの含有は、安定性の更なる向上につながることを見出した。
【0266】
処方24~27及び28~31の酸性成分をそれぞれ比較したところ、安定性に対する220 mMのL-プロリン及び150 mMのL-プロリンの影響に差が明らかでないことを見出した。
【0267】
3)浸透圧の検出
浸透圧の検出結果を表17に示した。
【0268】
【0269】
INS(infusion nurses society)の基準に従い、輸液浸透圧が600 mOsmoL/kg未満であるといずれも安全範囲に属するため、処方20、24、28の浸透圧は安全範囲に属する。
【0270】
実施例5
タンパク質含有量、pH範囲、緩衝液スクリーニング、及び安定剤スクリーニングの一連の実験により、酢酸ナトリウム-酢酸を緩衝系とし、L-プロリンを安定剤とし、ポリソルベート20を界面活性剤とする最適な組み合わせを選択し、DoE実験設計により更にタンパク質の安定性に対する酢酸ナトリウム-酢酸の濃度、L-プロリンの濃度、ポリソルベート20の濃度、PD-L1モノクローナル抗体のタンパク質含有量及びpHの影響を考察し、JMP15.0ソフトウェアの古典的な2レベルスクリーニング設計を採用し、この5つの要因を考察し、2つのレベルと1つの中心点の1回の繰り返し、合計18個の組み合わせであり、実験設計は以下の表18に示す通りである。
【0271】
【0272】
以上の処方を高温(40±2℃)で14日間、28日間加速した後、SEC-HPLCによってモノマー含有量を検出し、WCX-HPLCによって主成分含有量を検出し、結果を表19にまとめた。
【0273】
【0274】
結果により、緩衝系としての酢酸ナトリウムの濃度(5~35 mM)、安定剤としてのL-プロリンの濃度(50~390 mM)、ポリソルベート20の濃度(0~0.04%)は、タンパク質検出用のSEC-HPLCモノマー及びWCX-HPLC主成分に明らかな影響がなく、この範囲内で変動が小さいことが示された。タンパク質含有量及びpHは、タンパク質検出用のSEC-HPLCモノマー及びWCX-HPLC主成分に影響を与え、この範囲内で大きく変化し、28日間の高温で、タンパク質の濃度は50~220 mg/mLであり、SEC-HPLCモノマーの純度は95%以上であり、pHは5.9~6.9の間であり、WCX-HPLC主成分は74%以上であり、いずれも許容範囲内であり、その変化が許容可能であると判断された。
【0275】
実施例6
好ましい処方について加速安定性研究を行う:試料に採用される処方組成は、タンパク質含有量200±20 mg/mLのPD-L1モノクローナル抗体、20 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、220 mMのL-プロリン、0.02%ポリソルベート20であり、pHが6.4±0.1であり、バイアル瓶に分注し、25±2℃の条件で9ヶ月間放置し、それぞれ0、3、6、9か月目の末にサンプリングした。安定性の重点考察項目に従って検出し、試料モノマー純度(SEC-HPLC)、電荷分布主成分純度(WCX-HPLC)、還元及び非還元キャピラリーゲル電気泳動(CE-SDS)、タンパク質含有量などを考察し、結果を表20に示した。
【0276】
【0277】
その結果、25±2℃の条件で9ヶ月間放置し、0日目と比べ、試料の各指標がいずれも許容範囲内であることが示された。本発明の製剤処方は、室温9ヶ月でも安定性を保持していることが示された。
【0278】
実施例7
好ましい処方について長期安定性研究を行う:試料に採用される処方組成は、タンパク質含有量200±20 mg/mLのPD-L1モノクローナル抗体、20 mMの酢酸ナトリウム-酢酸、220 mMのL-プロリン、0.02%ポリソルベート20であり、pHが6.4±0.1であり、バイアル瓶に分注し、5±3℃の条件で18ヶ月間放置し、それぞれ0、6、12、18か月目の末にサンプリングした。安定性の重点考察項目に従って検出し、試料モノマー純度(SEC-HPLC)、電荷分布主成分純度(WCX-HPLC)、還元及び非還元キャピラリーゲル電気泳動(CE-SDS)、タンパク質含有量などを考察し、結果を表21に示した。
【0279】
【0280】
その結果、5±3℃の条件で18ヶ月間放置し、0日目と比べ、試料検出の関連指標がいずれも許容範囲内であることが示された。本願の製剤処方は、5±3℃で18ヶ月間にわたって安定性を保持していることが示された。
【0281】
上記の詳細な説明は、説明及び例示のために提供され、添付される特許請求の範囲を限定するものではない。現在、本願に挙げられた実施形態に対する様々な変更は、当業者にとって明らかであり、添付される特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に留まる。
【配列表】
【国際調査報告】