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特表2024-535062アナログ・コンピューティング用の抵抗変化型メモリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】アナログ・コンピューティング用の抵抗変化型メモリ
(51)【国際特許分類】
   H10B 63/00 20230101AFI20240918BHJP
   H10N 70/20 20230101ALI20240918BHJP
【FI】
H10B63/00
H10N70/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517109
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2022075615
(87)【国際公開番号】W WO2023046564
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】17/482,493
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】チョン、カングオ
【テーマコード(参考)】
5F083
【Fターム(参考)】
5F083FZ10
5F083GA11
5F083HA02
5F083HA06
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA38
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA60
5F083LA12
5F083LA16
5F083PR21
5F083ZA21
(57)【要約】
メモリ・デバイスが提供され、プログラミング時に抵抗が急激に変化するのではなく、漸進的に変化することにより、アナログ・コンピューティングに適したものとなる抵抗変化型メモリ(RRAM)を形成するための方法および構造体を含む。第1の実施形態では、本発明のRRAMの1つの電極が、金属成分(例えばチタン)の濃度が漸進的に変化する金属窒化物材料(例えば窒化チタン(TiN))を含む。電極内でTi濃度が異なる結果、RRAMの対応するセクションの酸素空孔の濃度が異なるため、印加電圧に応じた抵抗変化は漸進的なものとなる。RRAMの全コンダクタンスは、RRAMのセクションそれぞれのコンダクタンスの和である。第2の実施形態では、RRAMの1つの電極が、成分濃度が異なり、したがって異なるスイッチング挙動を示すように多数に分岐している。これにより、本発明のRRAMでは、コンダクタンスが急激に変化せず、漸進的に変化する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗変化型メモリ・デバイスであって、
金属材料を含む組成が変動する第1の電極層と、
前記第1の電極の側壁表面の上の抵抗スイッチング材料層と、
前記抵抗スイッチング材料層の上の第2の電極と
を備える抵抗変化型メモリ・デバイス。
【請求項2】
前記抵抗スイッチング材料層が遷移金属酸化物材料製である、請求項1に記載のメモリ・デバイス。
【請求項3】
前記第1の電極層が金属窒化物材料を含み、前記金属材料を含む組成が変動することは、前記第1の電極層での前記金属材料のパーセント濃度が漸増することを含む、請求項1に記載のメモリ・デバイス。
【請求項4】
前記第1の電極層の表面の上に形成されたハードマスク絶縁層をさらに備え、前記抵抗スイッチング材料層がさらに、前記ハードマスク絶縁層の頂部表面および側壁表面の上に配置されている、
請求項1に記載のメモリ・デバイス。
【請求項5】
選択可能なワード線導体およびビット線導体を有し、アドレス指定可能な抵抗変化型メモリ・セルのアレイ状に接続された、メモリ・デバイスであって、前記選択可能なワード線導体およびビット線導体が、前記アレイ内の抵抗変化型メモリ・セルをプログラムするための回路に接続されており、前記第1の電極層がワード線導体に電気的に接続しており、前記第2の電極がビット線導体に電気的に接続している、請求項3に記載のメモリ・デバイス。
【請求項6】
前記金属材料のパーセント濃度が前記第1の電極層の底部から頂部へ垂直方向に漸増して変動しており、その結果、前記メモリ・デバイスの対応するセクションの酸素空孔の濃度が異なるので、前記RRAMの全コンダクタンスは前記RRAMのセクションそれぞれのコンダクタンスの和であり、前記メモリ・デバイスでは接続されたワード線/ビット線を介して印加されたパルスの数または電圧のレベルに応答する抵抗変化の非一様性が実現される、請求項5に記載のメモリ・デバイス。
【請求項7】
抵抗変化型メモリ・デバイスであって、
第1の電極材料層と前記第1の電極材料層間の絶縁材料層が互層を成すスタックであり、前記スタックの相次ぐ第1の電極材料層それぞれの金属材料を含む組成が異なる、前記スタックと、
前記スタックの頂部表面および側壁表面の上の抵抗スイッチング材料層と、
前記抵抗スイッチング材料層の上の第2の電極と
を備え、前記互層を構成する第1の電極材料層の前記スタックと前記第2の電極との間で電圧が印加される際に、前記抵抗変化型メモリ・デバイスのコンダクタンスが漸進的に変化する、
抵抗変化型メモリ・デバイス。
【請求項8】
前記スタックの互層を構成する第1の電極材料層のそれぞれが金属窒化物材料を含み、前記金属材料を含む組成が異なることは、前記互層を構成する相次ぐ第1の金属電極層毎に前記金属材料のパーセント濃度が変化して異なることを含む、請求項7に記載のメモリ・デバイス。
【請求項9】
前記互層を構成する相次ぐ第1の電極層毎に前記金属材料の固定されたパーセント濃度が増大する、請求項8に記載のメモリ・デバイス。
【請求項10】
前記金属材料のパーセント濃度が最初の電極層では15%に固定されており、最後の電極層では85%に固定されている、請求項9に記載のメモリ・デバイス。
【請求項11】
前記互層を構成する相次ぐ第1の電極層のそれぞれで、前記金属材料のパーセント濃度が漸増する、請求項8に記載のメモリ・デバイス。
【請求項12】
選択可能なワード線導体およびビット線導体を有し、アドレス指定可能な抵抗変化型メモリ・セルのアレイ状に接続された、メモリ・デバイスであって、前記選択可能なワード線導体およびビット線導体が、前記アレイ内の抵抗変化型メモリ・セルをプログラムするための回路に接続されており、前記スタックの互層を構成する第1の電極材料層のそれぞれがワード線導体に電気的に接続しており、前記第2の電極がビット線導体に電気的に接続している、請求項7に記載のメモリ・デバイス。
【請求項13】
メモリ・デバイスを形成する方法であって、
基板上に、金属材料を含む組成が変動する第1の電極層を形成すること、
前記第1の電極をパターニングして側壁を露出させること、
前記第1の電極の前記側壁に抵抗スイッチング材料層を付着させること、および
前記抵抗スイッチング材料層の上に第2の電極を形成すること
を含む方法。
【請求項14】
前記基板上に第1の電極層を形成することが前記第1の電極層の表面の上に側壁が露出したハードマスク絶縁層を形成することをさらに含み、前記抵抗スイッチング材料層がさらに、前記ハードマスク絶縁層の頂部表面および側壁表面の上に配置されている、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記基板上に第1の電極層を形成することが第1の電極材料層と前記第1の電極材料層間のハードマスク絶縁材料層とが互層を成すスタックを形成することを含み、前記スタックの相次ぐ第1の電極材料層のそれぞれの金属材料を含む組成が異なる、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記スタックの互層を構成する第1の電極材料層それぞれが金属窒化物材料を含み、前記金属材料を含む組成が異なることは、前記互層を構成する相次ぐ第1の金属電極層毎に前記金属材料のパーセント濃度が変化して異なることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記互層を構成する相次ぐ第1の電極層を、前記第1の電極層毎に固定された前記金属材料のパーセント濃度が増大するか、または前記第1の電極層のそれぞれで前記金属材料のパーセント濃度が漸増するものとして形成すること
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
形成された前記メモリ・デバイスが、選択可能なワード線導体およびビット線導体を有し、アドレス指定可能な抵抗変化型メモリ・セルのアレイ状に接続されており、前記選択可能なワード線導体およびビット線導体が、前記アレイ内の抵抗変化型メモリ・セルをプログラムするための回路に接続されており、前記方法が、
前記第1の電極層をワード線導体に接続すること、および
前記第2の電極をビット線導体に接続すること
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の電極層が金属窒化物材料を含み、金属材料のパーセント濃度が前記第1の電極層の底部から頂部へ垂直方向に変動しており、その結果、前記メモリ・デバイスの対応するセクションの酸素空孔の濃度が異なるので、前記RRAMの全コンダクタンスは前記RRAMのセクションそれぞれのコンダクタンスの和であり、形成された前記メモリ・デバイスでは接続されたワード線/ビット線を介して印加されたパルスの数または電圧のレベルに応答する抵抗変化の非一様性が実現される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
形成された前記メモリ・デバイスが、選択可能なワード線導体およびビット線導体を有し、アドレス指定可能な抵抗変化型メモリ・セルのアレイ状に接続されており、前記選択可能なワード線導体およびビット線導体が、前記アレイ内の抵抗変化型メモリ・セルをプログラムするための回路に接続されており、前記方法が、
前記スタックの互層を構成する第1の電極材料層のそれぞれを単一のワード線導体に接続すること、および
前記第2の電極をビット線導体に接続すること
をさらに含む、請求項17に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、半導体メモリ・デバイスおよび該半導体メモリ・デバイスを形成する方法に関する。より詳細には、本出願は、アナログ抵抗変化型メモリ・デバイス構造体またはアナログ抵抗変化型メモリを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
RRAMは、ニューロモーフィック・コンピューティングおよび高密度高速不揮発性メモリ用途の電子シナプス・デバイスまたはメモリスタ用の有望な技術と考えられている。RRAMは、誘電体固体材料の両端間の抵抗を変化させることによって機能するタイプの不揮発性ランダム・アクセス・メモリである。基本的着想は、通常は絶縁性である誘電体固体材料に十分に高い電圧を印加してフィラメントまたは伝導経路を形成することによって伝導性にできるというものである。伝導経路は、空孔(vacancy)または金属欠陥の移動を含む様々なメカニズムによって生じ得る。形成されたフィラメントは、別の電圧によってresetされる(破壊される、その結果、高抵抗になる)か、またはsetされる(再形成される、その結果、低抵抗になる)ことが可能である。単一のフィラメントではなく多くの電流経路が関与し得る。
【0003】
ニューロモーフィック・コンピューティング用途において、抵抗変化型メモリ・デバイスは、デバイス抵抗の形態の接続重みを表す、前ニューロン(pre-neuron)と後ニューロン(post-neuron)との間の接続(すなわちシナプス)として使用可能である。RRAMのクロスバー・アレイを通して多数の前ニューロンおよび後ニューロンを接続することにより、完全接続のニューラル・ネットワークを自然に表現することができる。
【0004】
さらに、例えば、特にCMOS論理処理に対するその適合性故に、記憶およびアナログ・コンピューティング用の実現性のあるデバイスとして、不揮発性のRRAMメモリが出現している。
【0005】
しかしながら、現在設計されているRRAMデバイスの抵抗は、電気パルスに応答して急激な変化を示すので、かかるRRAMデバイスは人工知能(AI)用途でのアナログ・コンピューティングには適していない。
【発明の概要】
【0006】
本出願の発明は、RRAMの抵抗が漸進的に変化するように少なくとも1つの電極の組成が変動するアナログ抵抗変化型メモリ・デバイス、すなわち抵抗変化型ランダム・アクセス・メモリ(RRAM)セルを提供する。
【0007】
一態様では、RRAM構造体が抵抗の漸進的変化、例えば電気パルス/電圧レベルに応じた抵抗の漸進的変化を示すことにより、当該RRAM構造体をAI用途に適したものにすることができる。
【0008】
抵抗動作の漸進的変化を示すことができる本願のRRAM構造体は2端子RRAMセルとして形成され、当該RRAM構造体は組成が漸進的に変動する電極を含むことにより、その抵抗を電気パルス/電圧レベルに応じて漸進的に変化させることができる。
【0009】
本出願は、電気パルス/電圧レベルに応じた抵抗の漸進的変化を示すことができることによってAI用途に適したものになれるRRAM構造体を形成するための方法を提供する。
【0010】
第1の態様によれば、抵抗変化型メモリ・デバイスが提供される。この抵抗変化型メモリ・デバイスは、金属材料を含む組成が変動する第1の金属電極層と、第1の電極の頂部表面および側壁表面の上の抵抗誘電体材料層と、抵抗誘電体材料層の上の第2の金属電極とを備える。
【0011】
さらなる態様によれば、抵抗変化型メモリ・デバイスが提供される。この抵抗変化型メモリ・デバイスは、第1の金属電極材料層と第1の電極材料層間の絶縁材料層が互層を成すスタックであり、スタックの相次ぐ第1の金属電極材料層のそれぞれの金属材料を含む組成が異なる、スタックと、スタックの頂部表面および側壁表面の上の抵抗誘電体材料層と、抵抗誘電体材料層の上の第2の金属電極とを備え、互層を構成する第1の金属電極材料層のスタックと第2の金属電極との間に電圧が印加される際、抵抗変化型メモリ・デバイスのコンダクタンスが漸進的に変化する。
【0012】
別の態様によれば、メモリ・デバイスを形成する方法が提供される。この方法は、基板上に、金属材料を含む組成が変動する第1の電極層を形成すること、第1の電極をパターニングして側壁を露出させること、第1の電極の側壁に抵抗素子を付着させること、および抵抗素子の上に第2の電極を形成することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態による、RRAM記憶デバイスの抵抗(メモリ記憶)素子を示す図である。
図2】(A)~(C)は、これらの図のRRAMセルに示されているRRAMセルの抵抗スイッチングにおいて酸素空孔が果たす役割を示す図である。
図3】第1の実施形態に従って形成された抵抗変化型メモリ・セルを示す図である。
図4】RRAMセルの全コンダクタンス「G」の計算を、RRAMセルのセクションR1、R2、...、Rnそれぞれのコンダクタンスの和として示す図である。
図5】(A)~(C)は、第1の実施形態による図3の半導体RRAM構造体を形成するための方法ステップを示す図である。
図6】それぞれのRRAMセルが図3に示された実施形態の抵抗変化型メモリ・セルを含む複数のRRAMセルを有するRRAMアレイの概略図である。
図7】第2の実施形態による抵抗変化型メモリ・セル構造体を示す図である。
図8】(A)~(C)は、第2の実施形態による図7の抵抗変化型メモリ・セル構造体を形成するための方法ステップを示す図である。
図9】それぞれのRRAMセルが図7に示された実施形態の抵抗変化型メモリ・セルを含む複数のRRAMセルを有するRRAMアレイの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、以下の議論および本出願に添付された図面を参照することによって本出願をより詳細に説明する。本出願の図面は例示のためだけに提供されたものであること、および、そのため、図面は一定の比率では描かれていないことに留意されたい。同じ要素および対応する要素は同じ参照符号によって指示されることにも留意されたい。
【0015】
以下の説明では、本出願のさまざまな実施形態の理解を提供するために、特定の構造体、構成要素、材料、寸法、処理ステップおよび技術など数多くの特定の詳細が示される。しかしながら、これらの特定の詳細がなくても本出願のさまざまな実施形態を実施することができることを当業者は理解するであろう。他の事例として、本出願を不明瞭にすることを避けるために、よく知られた構造体または処理ステップについては詳細には説明しなかった。
【0016】
層、領域または基板などの要素が別の要素「の上に」または別の要素「の上方に」あるとして言及されているとき、その要素はその別の要素上にじかにあることができ、または介在要素が存在することもあることが理解される。反対に、1つの要素が別の要素「の上方にじかに」ある、または別の要素「の上にじかに」あるとして言及されているときには介在要素は存在しない。1つの要素が別の要素「の下方に」または別の要素「の下に」あるとして言及されているとき、その要素はその別の要素の下方にまたはその別の要素の下にじかにあることができ、または介在要素が存在することがあることも理解される。反対に、1つの要素が別の要素「の下方にじかに」ある、または別の要素「の下にじかに」あるとして言及されているときには介在要素は存在しない。
【0017】
最初に図1を参照すると、抵抗変化型RAM(RRAM)記憶デバイスの例示的な抵抗素子R 102が示されている。このような抵抗素子102は、頂部電極172と底部電極170との間に形成された「高k」誘電体材料、例えば遷移金属酸化物を含む、単純な金属-絶縁体-金属(MIM)構造体である。中間層は1つの材料、例えばHfOとすることができる。実施形態では、この記憶セルの金属電極が、物理蒸着(PVD)プロセスによって付着させたPt、TiN、Ti、Ru、Ni、TaN、Wなどの材料を含むことができ、一方、HfO、TiO、NiO、WO、TaO、VO、CuOなどの遷移金属酸化物材料の中間層171は、原子層堆積(ALD)プロセスによって付着させることができる。
【0018】
RRAMデバイス102の頂部電極172(例えばアノード)と底部電極(例えばカソード)との間に形成された遷移金属酸化物は、2つの電極間に位置するHfOxスイッチング媒体を含む。電極間に導電性フィラメントを形成することにより、これらの2つの電極間に導電経路が設けられる。RRAMデバイスに適切な値の電圧を印加してフィラメントを形成することによって、高抵抗セル状態、低抵抗セル状態または他の抵抗状態のいずれかに対応する論理または重み値を記憶するように抵抗素子102をプログラムすることが可能である。
【0019】
H.-L. Changの「PhysicalMechanism of HfO2-based Bipolar Resistive Random Access Memory」、Symp. VLSI-TSA, 2011を参照すると分かるように、HfOベースのRRAMの高抵抗状態(HRS)と低抵抗状態(LRS)との間の抵抗スイッチングは、金属端子(すなわちアノード)の近くの数nmの領域における電気化学的な酸化還元過程を介したHfフィラメントの形成および破断に基づく。
【0020】
例えば、図2(A)~2(C)には、示されているRRAMセルの抵抗スイッチングにおいて酸素空孔が果たす役割が示されている。詳細には、HfOには2タイプの酸素空孔、すなわち(1)1つの酸素原子が失われている場合のHfO2+(V 2+)と、(2)2つの酸素原子が所定の位置にない場合のHf4+とがある。正電荷を有する酸素空孔は高電場下で移動性であり、HfOベースのRRAMをn形半導体にするドナー・ドーパントのような働きをする。知られているとおり、形成過程(forming process)が、HfO内に、抵抗スイッチングを開始するのに十分な量の酸素空孔を生み出す。図2(B)および2(C)に示されているように、高い正電圧下で、O2-イオンは、高電場下での拡散もしくはドリフトまたはその両方によってTi層内に移動し、次いでアノードにおいて下式による酸化動作で酸化し、
2O2-→2O+4e
一方で、Hf4+イオン(酸素空孔の一タイプ)は、カソードにおいて下式による還元動作で還元する。
Hf4++4e→Hf
【0021】
図2(B)に示されているように、1つのまたは多くのHfフィラメントがカソードからアノードまで成長し、形成後にRRAMはLRSを示す。負電圧下では、アノードの近くで逆の酸化還元過程が起こる。下式による還元動作でTi層中のOが還元され、O2-イオンを放出してHfOに戻し、
2O+4e→2O2-
一方で、Hfフィラメントは、下式による酸化動作で酸化して、Hf4+イオンを有するようになる。
Hf→Hf4++4e
下式によるHf4+とO2-の再結合
Hf4++2O2-→HfO
によって、フィラメントは、アノードの近くで部分的に(数nm)破断し、RESET後にRRAMはHRSを示すようになる。正電圧(<形成電圧)が印加されるとフィラメントは破断領域で再形成し、SET後にRRAMをLRSに戻す。RRAMの高速(<5ナノ秒)スイッチングは、Hfフィラメントの破断および再形成がアノードの近くの数nmで起こることによる。
【0022】
したがって、大部分のRRAMデバイスの初期状態は高抵抗状態(HRS)であり、この状態においてRRAM抵抗は特定の値よりも高いと考えられる。RRAMデバイスを低抵抗状態(LRS)にする最初の動作が「形成(フォーミング)」動作である。LRS抵抗は、HRS抵抗よりも、支援回路がRRAMの状態を明確に見分けることができる十分な量だけ小さいことが好ましい。デバイス両端の印加電圧があるレベルを超える、すなわち形成電圧を超える「形成」動作において、RRAMセルは、これに応答して、セルの状態をHRSからLRSに変化させ始める。或る回路では、RRAMデバイスの最大電流を電流リミッタ、例えばトランジスタ(図示せず)によって抑制可能である。
【0023】
RRAMデバイスをLRSにする形成動作の後、低抵抗状態と高抵抗状態との間でRRAMデバイス動作を遷移させるため、デバイス両端の印加電圧が負にスイープするreset動作が実行され、ある「reset」電圧限界を超えると、RRAMデバイスは状態を変化させて状態をLRSからHRSに戻す。この過程はRESET動作と呼ばれる。電圧が再び正に変化し、別の「set」電圧限界を超えると、RRAMは状態をHRSからLRSに変化させる。この過程はSET動作と呼ばれる。対応するそれぞれのRESETおよびSET動作によって、RRAMデバイスを、HRSとLRSとの間で行ったり来たり作動させることができ、ここで、十分に低い負電圧でデバイスをRESETし、十分に高い正電圧でデバイスをSETすることができる。
【0024】
本実施形態は、抵抗変化型メモリ(RRAM)セルを形成するための方法および構造体を提供する。HfOxベースのRRAMに関して、HfOxの抵抗変化は、HfOx内に酸素空孔を加えることまたはHfOx内の酸素空孔を引き抜くことによる。
【0025】
本明細書の一実施形態では、TiN(窒化チタン)電極のTi%(Ti%はチタンの濃度である)が漸進的に変化するRRAMセルが形成される。一般に、本明細書の原理は、金属窒化物材料電極を有し、金属濃度が漸進的に変化するRRAMセルに適用可能である。TiN材料電極の場合には、電極中でチタン(Ti)濃度が異なる結果、RRAMの対応するセクションの酸素空孔の濃度が異なる。本発明のRRAMの全抵抗は、酸素空孔の濃度が異なる(したがって、パルスの数または電圧に対する応答としての抵抗変化が異なる(非一様である))RRAMが多数ある場合と等価である。
【0026】
一実施形態では、半導体製造方法が、Ti%が漸進的に変化するTiN底部電極を付着させ、このTiN底部電極をパターニングし、次いで、TiN側壁にHfOxを、HfOxが異なる高さでTiN底部電極のTi%が異なるセクションと接するように形成する第1のステップを提供する。
【0027】
第1の実施形態に従って形成された抵抗変化型メモリ・セルが図3に示されている。図3の抵抗変化型メモリ・セル200は、金属濃度が漸進的に変化する金属窒化物材料、すなわちTi%濃度が漸進的に変化する窒化チタン(TiN)の第1の電極270と、TiN濃度が均一である第2の電極272とを有する構造体を示している。このセルは、酸化物材料、例えばHfOの中間層を含む。図3の抵抗変化型メモリ・セル200は平面デバイスとして示されているが、このメモリ・セルを、Ti濃度が漸進的に変化する第1の底部電極TiN層と、第1の電極の上方に配置された中間抵抗スイッチング層と、この中間層上に形成された均一な濃度の頂部電極とを有する垂直に配置された材料スタックとすることが可能であることが理解される。この第1の実施形態では、このメモリ・セルを逆の構成、例えば、濃度が均一な底部金属窒化物電極(例えばTiN層)およびTi濃度が漸進的に変化する頂部電極TiN層とすることができることが理解される。
【0028】
第1の電極270Ti濃度が異なる結果、RRAMセルの対応するセクションの酸素空孔の濃度は異なる。形成されたRRAMの全抵抗は、酸素空孔の濃度が異なる(したがって、印加されたパルスの数または電圧に対する応答としての抵抗変化が異なる(非一様である))並列のRRAMが多数ある場合と等価である。
【0029】
このようなRRAMは、単純な2項抵抗(高抵抗/低抵抗)状態の代わりにRRAM抵抗が漸進的に変化することが望まれるいくつかの用途(例えばアナログ・コンピューティングまたはニューロモーフィック用途)で可用である。
【0030】
図4に概念的に示されているとおり、RRAMセル300の全コンダクタンス「G」は、RRAMセルのそれぞれのセクションR1、R2、...、Rnのコンダクタンス(G1、G2、...、Gn)の和である。すなわち、全コンダクタンスは、
total=G+G+...+G
として計算される。
【0031】
図3の第1の実施形態を踏まえると、図4の回路図に関して、各ミニ導体R1、R2などのコンダクタンスは無限に小さく、ミニ導体が無数にある。図4の同じ回路図が図7の第2の実施形態にもあてはまるが、第2の実施形態に関しては、導体R1、R2などが、異なる底部電極層を有するRRAMのコンダクタンスにそれぞれ対応するという微細な差がある。
【0032】
RESET動作中、Ti%(酸素空孔濃度、したがってRESET特性)が非一様であるためにコンダクタンス「G」は急激には下がらない。
【0033】
図5(A)~5(C)は、第1の実施形態による図3の半導体RRAM構造体200を形成するための方法ステップ500を示している。
【0034】
最初に、半導体基板505を、例えば、半導体基板の表面に形成された1つまたは複数の半導体デバイス(図示せず)を含むフロント・エンド・オブ・ザ・ライン(FEOL)レベルで提供する。この1つまたは複数の半導体デバイスは、限定はされないが、トランジスタ、抵抗器、分離構造体、コンタクトもしくはダイオードまたはこれらの組合せを含みうる。このFEOLレベルは、当業者によく知られている技術を利用して形成されたものとすることができる。
【0035】
本出願の他の実施形態では、基板505が、1つまたは複数の相互接続誘電体材料に埋め込まれた1つまたは複数の導電性構造体を含む下部バック・エンド・オブ・ザ・ライン(BEOL)レベルである。このような実施形態では通常、下部相互接続レベルの下にFEOLレベルが置かれている。
【0036】
半導体基板505は、例えばSi、Ge、SiGe、SiC、SiGeC、Ge合金、GaAs、InAs、InPおよび他のIII/VまたはII/VI化合物半導体などの半導体材料または半導体材料のスタックを含んでいてもよいバルク半導体基板を含む。一実施形態では、このバルク半導体基板が、例えば単結晶シリコンなどの単結晶半導体材料を含む。バルク半導体基板の厚さは30μmから約2mmとすることができるが、これよりも小さな厚さおよび大きな厚さを使用することもできる。バルク半導体基板はp型またはn型のドーパントでドープされていてもよい。用語「p型」は、価電子の欠損を生み出す不純物の真性半導体に対する添加を指す。p型ドーパント、すなわち不純物の例には、限定はされないが、ホウ素、アルミニウム、ガリウムおよびインジウムが含まれる。「n型」は、自由電子に寄与する不純物の真性半導体に対する添加を指す。n型ドーパント、すなわち不純物の例には、限定はされないが、アンチモン、ヒ素およびリンが含まれる。バルク半導体基板のドーパント濃度は、1×1014原子/cm乃至3×1017原子/cmの範囲とすることができる。
【0037】
あるいは、図5(A)に示されたバルク半導体基板の代わりにセミコンダクタ・オン・インシュレータ基板を使用することもできる。
【0038】
上で説明したとおりに半導体基板を提供した後、半導体基板の表面に底部電極材料層510を形成する。一実施形態では、RRAMメモリ・デバイスの底部電極の役目を果たす電極材料層510を水平方向に向けて配置することができる。それぞれの電極材料層(例えば電極材料層510)は、例えば窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)もしくは窒化タングステン(WN)などの第1の電極材料、または、限定はされないが、炭化タンタル(TaC)、炭化チタン(TiC)および炭化チタンアルミニウム(TiAlC)を含む他の材料からなる。図3に示された例示的な実施形態に関しては、第1の電極材料が、Tiのパーセント(%)濃度が漸進的に変化するTiNである。例えば、511に示されているように、TiN層のTiの%濃度は、層510の高さにつれて増大する。層510の高さの関数としてのTi%の増分は、線形、劣線形(sublinear)、超線形(superlinear)または他の適当な形態とすることができる。
【0039】
電極材料層510は、例えばCVD、PECVD、原子層堆積(ALD)、スパッタリングまたはめっきを含む付着プロセスを利用して形成することができる。一実施形態では、TiN層510を垂直方向に成長させるにつれてTiの%濃度が時間単位当たりで増大する。形成されたとき、底部電極材料層510は、30nm乃至300nm、より好ましくは50nm乃至200nm、最も好ましくは60nm乃至100nmの範囲の厚さ(すなわち高さ)を有することができるが、これよりも大きな厚さおよび小さな厚さを企図してもよい。
【0040】
一実施形態では、例示的なCVDプロセスで、テトラキスジメチルアミノチタン(TDMAT)前駆体を窒素(N)環境で熱分解し、反応チャンバ内でTiN膜を付着させることにより、金属、例えばTiN材料のTiの漸進的変化を実現することができる。TDMATとNのガス流量比を漸進的に調整することによってさまざまなTi%を実現することができる。一実施形態では、処理によって、底部(第1の)電極材料層510が垂直に形成されるが、15%(原子濃度)から85%まで、より好ましくは30%から70%まで変動するようなTi%濃度の変化が実現される。
【0041】
垂直に形成されたTaN底部電極510の場合に関して、このプロセスでは、25%から75%まで変動するようなTa%濃度の変化が実現される。
【0042】
底部電極は、(1)電極であることと、(2)酸素スカベンジング(scavenging)層であることの2重の目的を果たし、つまり、底部電極が誘電体層(例えばHfOx)と相互作用することにより、底部電極とHfOxとの間の界面で酸素空孔を生み出す。
【0043】
一実施形態では、底部電極510の上方にハードマスク層515を形成する。このハードマスク層515はSiNからなるものとすることができるが、炭化シリコン(SiC)、酸窒化シリコン(SiON)、炭素ドープ酸化シリコン(SiOC)、フッ素ドープ酸化シリコン(SiO:F)、シリコン-炭素-窒化物(SiCN)、窒化ホウ素(BN)、窒化シリコンホウ素(SiBN)、炭窒化シリコンホウ素(SiBCN)、酸炭窒化シリコン(SiOCN)、酸化シリコンおよびこれらの組合せなどの他の適当なハードマスク誘電体材料を使用することもできる。ハードマスク層515は、例えばCVD、PECVD、ALD、PVD、スパッタリング、化学溶液付着またはめっきを含む付着プロセスを利用して形成することができる。ハードマスク層515は、20nmから100nmの厚さを有することができ、本出願では、ハードマスク層の厚さとして他の厚さが可能で、且つ可用である。
【0044】
図5(B)は、底部電極510およびハードマスク層515を含む垂直スタック・メモリ・セル構造体を形づくるためのさらなる処理ステップを示している。示されてはいないが、図5(B)に示された構造体に帰結するこのような処理ステップには、ハードマスク層515の上方のフォトレジスト層(図示せず)をパターニングして、RRAMメモリ・セルの底部電極の垂直な側壁560を露出させることを含められる。このパターニングされたフォトレジストは、本出願のこのステップの際にエッチング・マスクとして使用可能であり、従来のフォトレジスト材料製とすることができる。一実施形態では、このエッチング・マスクを、フォトレジスト材料の層の付着およびフォトリソグラフィによって形成することができる。次いで、一実施形態では、異方性エッチング・プロセスを実行することにより、フォトレジスト層によって保護されていない構造体の物理的に露出した部分を選択的に除去し、底部電極の側壁560を形成し、基板表面の部分507を露出させることができる。一例では、反応性イオン・エッチングを使用することにより、パターニングされたフォトレジスト層(図示せず)によって保護されていないハードマスク510の物理的に露出した部分およびその下の底部電極層505を除去することができる。本明細書では、パターニングされたフォトレジストの下に残るパターニングされたRRAMセル・スタックの部分をパターニングされた底部電極部分525と呼ぶことがある。残ったパターニングされたフォトレジスト層は、例えばアッシングなどのストリッピング・プロセスを利用して除去することができる。
【0045】
図5(C)は、ハードマスク層の頂部表面530、ならびに位置合わせされて露出したハードマスク層の側壁および底部電極の側壁560に高k誘電体材料層(例えば酸化ハフニウム(HfOx))540を付着させることを含む、さまざまな材料層のさらなる付着、リソグラフィおよびエッチングの結果として形成されたRRAM構造体575を示している。高k誘電体材料中間層540の付着は、先行する異方性エッチング後に残った基板の露出表面部分507の上に薄層部分541を付着させることを含む。次いで、さらに、高k誘電体材料中間層540、541の外側表面の上にRRAMセルの頂部電極層550を形成する。
【0046】
実施形態では、RRAMセル誘電体中間層540、541を高kゲート誘電体からなるものとすることができる。誘電体層540、541に言及しているとき、用語「高k」は、HfO、TiO、NiO、WO、TaO、VO、CuOなどの遷移金属酸化物材料を意味し、原子層堆積(ALD)プロセス、または、限定はされないが、熱酸化、化学酸化、熱窒化物形成、プラズマ酸化、プラズマ窒化、原子層堆積(ALD)、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、分子線堆積(MBD)、パルス・レーザ堆積(PLD)、液体ソース・ミスト化学堆積(LSMCD)および他の同様の付着プロセスなどを含む、他の適当なプロセスもしくは多数のプロセスの任意の適当な組合せによって付着させることができる。いくつかの実施形態ではこのHfOx誘電体材料層が共形層である。「共形層」は、全ての表面で層の厚さが実質的に同じ(すなわち+/-10%の範囲内)であること、または変動が公称厚さの15%よりも小さいことを意味する。一実施形態では、酸化ハフニウム誘電体層540、541が、2nm乃至20nm、より好ましくは3nm乃至10nm、よりいっそう好ましくは4nm乃至6nmの範囲の厚さを有するが、これよりも小さな厚さおよび大きな厚さも可能である。
【0047】
図5(C)にはまた、さらに頂部電極550を付着させ、パターニングした結果として形成されたRRAM構造体575が示されている。一実施形態では、頂部電極が「不活性」導体であること、すなわち、導体であることであるという唯一の目的を果たすものであることが好ましい。頂部電極550は、高k誘電体中間層540、541の上方に導体材料または多数の導体層を付着させ、続いてパターニングすることによって形成することができる。
【0048】
一実施形態では、頂部電極550が、限定はされないが、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)または他の適当な導電性材料を含む材料を含むことができる。この金属コンタクトはさらにバリア層を含むことができる。このバリア層は、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、窒化ハフニウム(HfN)、窒化ニオブ(NbN)、窒化タングステン(WN)、窒化タングステン炭素(WCN)またはこれらの組合せとすることができる。さまざまな実施形態において、このバリア層を、ALD、CVD、MOCVD、PECVDまたはこれらの組合せによってトレンチの中に堆積させることができる。さまざまな実施形態において、ALD、CVD、PVDもしくはめっきまたはこれらの組合せによって金属充填物を形成することにより、電気コンタクトを形成することができる。
【0049】
頂部電極550の形成に関しては、さらに、頂部電極をパターニングするパターニング・ステップがある。パターニングは、限定はされないが、リソグラフィおよびその後のエッチング(例えば反応性イオン・エッチング)、側壁イメージ転写(SIT)、自己整合2重パターニング(SADP)、自己整合4重パターニング(SAQP)、自己整合多重パターニング(SAMP)などを含む適当なパターニング技術によって実行することができる。
【0050】
一実施形態では、誘電体層540を付着させる前にハードマスク層515を除去することができる。ハードマスク層が除去された場合、底部電極の頂部表面と頂部電極との間にミニRRAMが形成される。この場合、ミニRRAMの底部電極のTi%は均一である。
【0051】
図6は、複数のRRAMセル575を有するRRAMアレイ600の概略図を示しており、それぞれのRRAMセル575は、Ti%濃度が漸進するTiN底部電極と、均一な頂部TiN電極と、底部電極と頂部電極との間の中間HfOx層とを含む。このアレイでは、それぞれのRRAMセルが、列選択回路125に接続されたワード線列WL1、WL2、...、WLnと行選択回路126に接続されたビット線行導体BL1、BL2、...、BLnとの交点にある。図6に示されているように、単一の行に沿ったメモリ・セル575の頂部電極は、例えばセルをプログラムするときまたはプログラムされた値をセルから読み出すときに、アレイのその行のビット線(BL)に電気的に接続する。同様に、単一の列に沿ったメモリ・セル575の底部電極は、例えばセルをプログラムするときまたはプログラムされた値をセルから読み出すときに、アレイのその列のワード線(WL)に電気的に接続する。RRAMメモリ・セル575は、列選択回路125および行選択回路126によってアドレス指定されたアレイ位置に抵抗(またはコンダクタンス)値を記憶するようにプログラム可能である。アドレス指定されたRRAMセル575にプログラムされた電圧または抵抗値を読み出すために、RRAMメモリ・アレイ内にさらなるセンス回路(図示せず)を実装することができる。詳細には、セル575の底部電極の組成が異なるため、RRAMの対応するセクションの酸素空孔の濃度が異なり、RRAMセルの全コンダクタンスは、RRAMセルのそれぞれのセクションのコンダクタンスの和であり、RRAMセルの全抵抗は、酸素空孔の濃度が異なる(したがって、接続されたワード線/ビット線を介して印加されたパルスの数または電圧のレベルに対する応答として一様でない抵抗変化が実現される)RRAMセクションが多数あるのと等価である。底部電極内の異なるTi%を有する異なるRRAMセクションの酸素空孔の濃度が異なることにより、印加された電気パルスまたは電圧の振幅および持続時間に応じて、異なるRRAMセクションにおいて導電性フィラメントが漸進的に形成されうるような態様で、RRAMセル575をプログラムすることができる。その結果、RRAMセル575の全コンダクタンスを異なる値に漸進的に合わせることができる。セル575をAI用途に使うと、セルのコンダクタンスによってニューラル・ネットワークの重みを表すことができる。セル575の漸進的なコンダクタンス変化によりニューラル・ネットワークの重みの漸進的な調整が可能になるので、有利である。
【0052】
図7は、第2の実施形態による抵抗変化型メモリ・セル構造体700を示している。
【0053】
図7のRRAMセル構造体700は底部電極を含み、この底部電極は、平行に配向された3つの底部電極部分または層、例えば示された金属窒化物層702A、702B、702Cを含む底部電極部分のスタック770を含む。この第2の実施形態は、金属材料濃度は均一である(固定されている)が、値は、相次ぐレベル毎に増大するか、または相次ぐレベルのそれぞれで金属材料濃度が漸増する、多数の層、例えば金属窒化物材料層のスタック770を含むことができる。第2の実施形態のRRAM構造体700は、示された3つの層だけに限定されず、多数の層が存在可能である。図示の実施形態では、それぞれの層が金属窒化物材料、例えばTiN材料層を含むことができる。それぞれの層は、図3の実施形態の第1のRRAMセル構造体と同様に、Tiの濃度が異なる。すなわち、一番下の層702Aは、Ti元素パーセント濃度の値が固定されているか、または層702Aの高さが増すにつれて連続的に増大する。2番目の層702BのTi元素パーセント濃度の固定値または連続的に増大する値は、直前の最初の層702AのTi金属濃度よりも大きく、層702BのTi金属元素パーセント濃度は、層702Bの高さが増すにつれて増大させることができる。一番上の底部電極層702CのTi元素パーセント濃度の固定値または連続的に増大する値は、直前のレベルの層702BのTi金属濃度よりも大きく、層702CのTi金属元素パーセント濃度は、層702Cの高さが増すにつれて増大させることができる。
【0054】
隣り合うRRAM部分間で金属材料(例えばTi)が相互作用する可能性を防ぐために、相次ぐ金属窒化物材料層間のそれぞれに、絶縁体層704、例えば絶縁材料の絶縁体層704が形成される。一実施形態において、各絶縁体層はSiNなどの金属窒化物絶縁体であるが、Ti%が変動する底部電極770の隣り合うセクション間に他の絶縁体を挿入することもできる。
【0055】
底部電極層702A、702B、702Cのそれぞれの横に、底部電極スタック770の各底部電極層側壁を接続するように、抵抗スイッチング誘電体材料の中間層771、例えばHfOなどの遷移金属酸化物の中間層771が形成される。中間層771の上方に、金属窒化物(例えばTiN)の濃度が均一な第2の(頂部)電極772が形成される。一実施形態では、第2の(頂部)電極772層が高窒化物濃度を有する。第2の実施形態では、このメモリ・セルを逆の構成、例えば、濃度が均一な底部金属窒化物電極(例えばTiN層)およびTi濃度が漸進的に変化することになる多数のセクションを有する頂部電極TiN層とすることができることが理解される。
【0056】
RRAM底部電極構造体770に示されているように、第1の底部電極770セクションTi濃度が異なる結果、RRAMセルの対応するセクションの酸素空孔の濃度が異なるため、Ti%が変動するTiN材料層のそれぞれが呈する酸素空孔は変動する。すなわち、図7に示されているように、漸進的Ti%濃度が最小の底部電極層702Aは、酸素空孔712Aの量が最小であり、次に漸進的Ti%濃度が大きな後続の底部電極層702Bは酸素空孔712Bの量が増大し、前のレベルの酸素空孔712Aの量よりも大きい。次に漸進的Ti%濃度が大きい後続の底部電極層702Cは酸素空孔712Cの量が増大し、前のレベルの酸素空孔712Bの量よりも大きい。
【0057】
第1の底部電極スタック構造体770のTi濃度が異なる結果、RRAMセルの対応する層702A、702B、702Cの酸素空孔濃度が異なることを踏まえると、形成されたRRAMの全抵抗は、図4の等価コンダクタンス回路構成に示されているように、酸素空孔濃度が異なる(したがって、印加されたパルスの数または電圧に対する応答としての抵抗変化が異なる)並列のRRAMが多数あるのと等価である。RRAMセル700の全コンダクタンス「G」は、RRAMセルのそれぞれのセクションR1、R2、...、Rnのコンダクタンス(G1、G2、...、Gn)の和である。
【0058】
互層を構成する底部電極層のそれぞれは、(1)電極であることと、(2)酸素スカベンジング層であることの2重の目的を果たし、つまり、底部電極が誘電体層(例えばHfOx)と相互作用することにより、底部電極とHfOxとの間の界面で酸素空孔を生み出す。
【0059】
このようなRRAMは、単純な2項抵抗(高抵抗/低抵抗)状態の代わりにRRAM抵抗が漸進的に変化することが望まれるいくつかの用途(例えばアナログ・コンピューティングまたはニューロモーフィック用途)で使用可能である。
【0060】
図8(A)~8(C)は、第2の実施形態による図7の半導体RRAM構造体700を形成するための方法ステップ800を示している。
【0061】
図8(A)は、基板801上に置かれた底部電極材料層(例えば底部金属窒化物電極材料層802、804、806。各層の対応する金属材料濃度は増大する)とハードマスク誘電体材料層(例えば誘電体材料層803、805)とが互層(alternating layers)を成す材料スタック800を形成する初期のステップによって形成された例示的な構造体を示している。
【0062】
基板801上に存在する材料スタック800はBEOLに形成される。上述のとおり、材料スタック800は、底部電極材料層(例えば底部金属窒化物電極材料層802、804、806。各層の対応する金属材料濃度は増大する)とハードマスク誘電体材料層(例えば誘電体材料層803、805)との互層からなる。本出願では、各ハードマスク絶縁材料層が相次ぐ底部電極材料層間に挟み込まれている限りにおいて、材料スタック800の底部電極材料層および誘電体ハードマスク材料層の数は変わり得る。図示の第2の実施形態では、一番上の底部電極材料層806の上方に頂部絶縁材料層807が形成される。
【0063】
それぞれのハードマスク絶縁材料層は、例えば窒化シリコンなどの誘電体材料からなるものとすることができ、限定はされないが、炭化シリコン(SiC)、酸窒化シリコン(SiON)、炭素ドープ酸化シリコン(SiOC)、フッ素ドープ酸化シリコン(SiO:F)、シリコン-炭素-窒化物(SiCN)、窒化ホウ素(BN)、窒化シリコンホウ素(SiBN)、炭窒化シリコンホウ素(SiBCN)、酸炭窒化シリコン(SiOCN)、酸化シリコンおよびこれらの組合せを含む、他の適当な誘電体材料とすることもできる。それぞれのハードマスク層803、805、807は、20nm乃至100nmの厚さを有することができるが、本出願では、ハードマスク層の厚さとして他の厚さが可能であり、他の厚さを用いることができる。
【0064】
それぞれの底部電極材料層(例えば電極材料層802、804、806)は、例えばタングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)または他の適当な導電性材料などの第1の電極材料からなる。この金属コンタクトはさらにバリア層を含むことができる。このバリア層は、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、窒化ハフニウム(HfN)、窒化ニオブ(NbN)、窒化タングステン(WN)、窒化タングステン炭素(WCN)またはこれらの組合せとすることができる。図7に示された例示的な第2の実施形態に関しては、互層を構成する電極材料層802、804、806はTiのパーセント(%)濃度が変化するTiNであり、相次ぐ層802、804、806毎にTi材料濃度が漸増する。例えば、相次ぐ層それぞれのTi%を固定することができる。例えば、一番下の層802が30%のTi%濃度を有し、中間層804が50%のTi%濃度を有し、一番上の層806が70%のTi%濃度を有する。代替実施形態では、層802、804、806のそれぞれの内部でTi%をさらに変化させることができる。例えば、層510の高さの関数としてのTi%の増分は、線形、劣線形、超線形または他の適当な形態とすることができる。
【0065】
底部電極材料層802、804、806のそれぞれは、例えばCVD、PECVD、原子層堆積(ALD)、スパッタリングまたはめっきを含む付着プロセスを利用して形成することができる。一実施形態では、TiN層802、804、806のそれぞれが垂直方向に成長するにつれてTiの%濃度を時間単位当たりで増大させる。形成された個々の底部電極材料層802、804、806は、5nm乃至60nm、より好ましくは10nm乃至30nm、最も好ましくは20nm乃至30nmの範囲の厚さ(高さ)を有することができる。TiN電極材料層802、804、806それぞれの厚さは、同じであっても異なっていてもよい。
【0066】
図8(B)は、底部電極層802、804、806と、中間層810と、ハードマスク層803、805、807との底部電極スタック800を含む垂直スタック・メモリ・セル構造体を形づくるためのさらなる処理ステップを示している。示されてはいないが、図8(B)に示された構造体に帰結するこのような処理ステップには、一番上のハードマスク層807の上方のフォトレジスト層(図示せず)をパターニングして、RRAMメモリ・セルの底部電極の垂直な側壁860を露出させることを含められる。このパターニングされたフォトレジストは、本出願のこのステップの際にエッチング・マスクとして使用可能であり、従来のフォトレジスト材料製することができる。一実施形態では、このエッチング・マスクを、フォトレジスト材料の層の付着およびフォトリソグラフィによって形成可能である。次いで、一実施形態では、異方性エッチング・プロセスを実行することにより、フォトレジスト層によって保護されていない構造体の物理的に露出した部分を選択的に除去し、底部電極の側壁860を形成し、基板表面の部分817を露出させることができる。一例では、反応性イオン・エッチングにより、パターニングされたフォトレジスト層(図示せず)によって保護されていない互層を構成する底部電極層802、804、806の物理的に露出した部分、中間層810、およびハードマスク層803、805、807を除去することができる。本明細書では、パターニングされたフォトレジストの下に残るRRAMセル・スタックのパターニングされた部分をパターニングされた底部電極部分825と呼ぶことがある。残ったパターニングされたフォトレジスト層は、例えばアッシングなどのストリッピング・プロセスを用いて除去することができる。
【0067】
図8(C)は、一番上のハードマスク層807の頂部表面830、ならびに互層を構成するハードマスクおよび底部電極層のエッチングによって形成された、位置合わせされて露出したハードマスク層の側壁および底部電極の側壁860に高k誘電体材料層(例えば酸化ハフニウム(HfOx))840を付着させることを含む、さまざまな材料層のさらなる付着、リソグラフィおよびエッチングの結果として形成されたRRAM構造体875を示している。高k誘電体材料中間層840の付着は、先行する異方性エッチング後に残った基板の露出表面部分817の上に薄層部分841を付着させることを含む。次いで、さらに、高k誘電体材料中間層840、841の外側表面の上にRRAMセル700の頂部電極層850を形成する。
【0068】
実施形態では、RRAMセル誘電体中間層840、841を高kゲート誘電体からなるものとすることができる。誘電体層840、841に言及しているとき、用語「高k」は、HfO、TiO、NiO、WO、TaO、VO、CuOなどの遷移金属酸化物材料を意味し、原子層堆積(ALD)プロセス、または、限定はされないが、熱酸化、化学酸化、熱窒化物形成、プラズマ酸化、プラズマ窒化、原子層堆積(ALD)、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、分子線堆積(MBD)、パルス・レーザ堆積(PLD)、液体ソース・ミスト化学堆積(LSMCD)および他の同様の付着プロセスなどを含む、他の適当なプロセスもしくは多数のプロセスの任意の適当な組合せによって付着させることができる。いくつかの実施形態では、HfOx誘電体材料層840、841が、2nm乃至20nm、より好ましくは3nm乃至10nm、よりいっそう好ましくは4nm乃至6nmの範囲の厚さを有する共形層であるが、これよりも小さな厚さおよび大きな厚さも可能である。
【0069】
図8(C)にはさらに、頂部電極850のさらなる付着およびパターニングの結果として形成された結果として生じるRRAM構造体875が示されている。一実施形態では、頂部電極が「不活性」導体であること、すなわち、頂部電極の唯一の目的が導体であることであることが好ましい。頂部電極850は、高k誘電体中間層840、841の上方に導体材料または多数の導体層を付着させ、続いてパターニングすることによって形成することができる。
【0070】
一実施形態では、頂部電極850は、限定はされないが、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)または他の適当な導電性材料を含む材料を含むことができる。この金属コンタクトはさらにバリア層を含むことができる。このバリア層は、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、窒化ハフニウム(HfN)、窒化ニオブ(NbN)、窒化タングステン(WN)、窒化タングステン炭素(WCN)またはこれらの組合せとすることができる。さまざまな実施形態において、このバリア層を、ALD、CVD、MOCVD、PECVDまたはこれらの組合せによってトレンチの中に堆積させることができる。さまざまな実施形態において、ALD、CVD、PVDもしくはめっきまたはこれらの組合せによって金属充填物を形成することにより、電気コンタクトを形成することができる。
【0071】
図9は、複数のRRAMセル875を有するRRAMアレイ900の概略図を示しており、それぞれのRRAMセル875は、TiN材料の互層のスタックからなり、そのスタックの相次ぐ層のそれぞれが一様でない、固定された(または変動した)Ti%濃度を有する、底部金属窒化物電極と、均一な頂部TiN電極と、底部電極と頂部電極との間の中間HfOx層とを含む。このアレイでは、それぞれのRRAMセルが、列選択回路125に接続されたワード線列WL1、WL2、...、WLnと行選択回路126に接続されたビット線行導体BL1、BL2、...、BLnとの交点にある。図9に示されているように、単一の行に沿ったメモリ・セル875の頂部電極は、例えばセルをプログラムするときまたはプログラムされた値をセルから読み出すときに、アレイのその行のビット線(BL)に電気的に接続する。同様に、単一の列に沿ったメモリ・セル875の底部電極層は、例えばセルをプログラムするときまたはプログラムされた値をセルから読み出すときに、アレイのその列のワード線(WL)に電気的に接続する。一実施形態では、セルのTiN電極層802、804、806の全てを一緒にワード線にそれぞれ電気的に接続する導線網905が形成される。RRAMメモリ・セル875は、例えば列選択回路125および行選択回路126によってアドレス指定されたアレイ位置に抵抗(またはコンダクタンス)値を記憶するようにプログラム可能である。アドレス指定されたRRAMセル875にプログラムされた電圧または抵抗値を読み出すために、RRAMメモリ・アレイ内にさらなるセンス回路(図示せず)を実装することができる。セル875のそれぞれの底部電極層802、804、806の組成が異なるため、RRAMの対応するセクションの酸素空孔の濃度は異なり、RRAMセルの全コンダクタンスはRRAMセルそれぞれのセクションのコンダクタンスの和であり、RRAMセルの全抵抗は、酸素空孔濃度が異なる(したがって、接続されたワード線/ビット線を介して印加されたパルスの数または電圧のレベルに対する応答として一様でない抵抗変化が実現される)RRAMセクションが多数あるのと等価である。底部電極内の異なるTi%を有する異なるRRAMセクションの酸素空孔の濃度が異なることにより、印加された電気パルスまたは電圧の振幅および持続時間に応じて、異なるRRAMセクションにおいて導電性フィラメントが漸進的に形成されうるような態様で、RRAMセル875をプログラムすることができる。その結果、RRAMセル875の全コンダクタンスを異なる値に漸進的に合わせることができる。セル875をAI用途に使うと、セルのコンダクタンスによってニューラル・ネットワークの重みを表すことができる。セル875の漸進的なコンダクタンス変化によりニューラル・ネットワークの重みの漸進的な調整が可能になるので、有利である。
【0072】
有利であることには、図6および9に示されたRRAMアレイ実施形態はニューロモーフィック・コンピューティング用途で使われ、抵抗変化型メモリ・デバイスが前ニューロンと後ニューロンとの間の接続(すなわちシナプス)として用いられて、デバイス抵抗の形態で接続重みを表す。RRAMのクロスバー・アレイを介して多数の前ニューロンおよび後ニューロンを接続することにより、完全接続のニューラル・ネットワークを自然に表現することができる。
【0073】
本出願を、特に、その好ましい実施形態に関して示し、説明したが、本出願の趣旨および範囲を逸脱することなく、形態および詳細の上記の変更および他の変更を実施することができることを当業者は理解するであろう。したがって、本出願は、記載および図示された正確な形態および詳細だけに限定されないが、添付の請求項の範囲に含まれることが意図されている。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-04-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗変化型メモリ・デバイスであって、
金属材料を含む組成が変動する第1の電極層と、
前記第1の電極の側壁表面の上の抵抗スイッチング材料層と、
前記抵抗スイッチング材料層の上の第2の電極と
を備える抵抗変化型メモリ・デバイス。
【請求項2】
前記抵抗スイッチング材料層が遷移金属酸化物材料製である、請求項1に記載のメモリ・デバイス。
【請求項3】
前記第1の電極層が金属窒化物材料を含み、前記金属材料を含む組成が変動することは、前記第1の電極層での前記金属材料のパーセント濃度が漸増することを含む、請求項1に記載のメモリ・デバイス。
【請求項4】
前記第1の電極層の表面の上に形成されたハードマスク絶縁層をさらに備え、前記抵抗スイッチング材料層がさらに、前記ハードマスク絶縁層の頂部表面および側壁表面の上に配置されている、
請求項1に記載のメモリ・デバイス。
【請求項5】
選択可能なワード線導体およびビット線導体を有し、アドレス指定可能な抵抗変化型メモリ・セルのアレイ状に接続された、メモリ・デバイスであって、前記選択可能なワード線導体およびビット線導体が、前記アレイ内の抵抗変化型メモリ・セルをプログラムするための回路に接続されており、前記第1の電極層がワード線導体に電気的に接続しており、前記第2の電極がビット線導体に電気的に接続している、請求項3に記載のメモリ・デバイス。
【請求項6】
前記金属材料のパーセント濃度が前記第1の電極層の底部から頂部へ垂直方向に漸増して変動しており、その結果、前記メモリ・デバイスの対応するセクションの酸素空孔の濃度が異なるので、前記RRAMの全コンダクタンスは前記RRAMのセクションそれぞれのコンダクタンスの和であり、前記メモリ・デバイスでは接続されたワード線/ビット線を介して印加されたパルスの数または電圧のレベルに応答する抵抗変化の非一様性が実現される、請求項5に記載のメモリ・デバイス。
【請求項7】
抵抗変化型メモリ・デバイスであって、
第1の電極材料層と前記第1の電極材料層間の絶縁材料層が互層を成すスタックであり、前記スタックの相次ぐ第1の電極材料層それぞれの金属材料を含む組成が異なる、前記スタックと、
前記スタックの頂部表面および側壁表面の上の抵抗スイッチング材料層と、
前記抵抗スイッチング材料層の上の第2の電極と
を備え、前記互層を構成する第1の電極材料層を含む前記スタックと前記第2の電極との間で電圧が印加される際に、前記抵抗変化型メモリ・デバイスのコンダクタンスが漸進的に変化する、
抵抗変化型メモリ・デバイス。
【請求項8】
前記スタックの互層を構成する第1の電極材料層のそれぞれが金属窒化物材料を含み、前記金属材料を含む組成が異なることは、前記互層を構成する相次ぐ第1の電極材料層毎に前記金属材料のパーセント濃度が変化して異なることを含む、請求項7に記載のメモリ・デバイス。
【請求項9】
前記互層を構成する相次ぐ第1の電極材料層毎に前記金属材料の固定されたパーセント濃度が増大する、請求項8に記載のメモリ・デバイス。
【請求項10】
前記金属材料のパーセント濃度が最初の電極材料層では15%に固定されており、最後の電極材料層では85%に固定されている、請求項9に記載のメモリ・デバイス。
【請求項11】
前記互層を構成する相次ぐ第1の電極材料層のそれぞれで、前記金属材料のパーセント濃度が漸増する、請求項8に記載のメモリ・デバイス。
【請求項12】
選択可能なワード線導体およびビット線導体を有し、アドレス指定可能な抵抗変化型メモリ・セルのアレイ状に接続された、メモリ・デバイスであって、前記選択可能なワード線導体およびビット線導体が、前記アレイ内の抵抗変化型メモリ・セルをプログラムするための回路に接続されており、前記スタックの互層を構成する第1の電極材料層のそれぞれがワード線導体に電気的に接続しており、前記第2の電極がビット線導体に電気的に接続している、請求項7に記載のメモリ・デバイス。
【請求項13】
メモリ・デバイスを形成する方法であって、
基板上に、金属材料を含む組成が変動する第1の電極層を形成すること、
前記第1の電極をパターニングして側壁を露出させること、
前記第1の電極の前記側壁に抵抗スイッチング材料層を付着させること、および
前記抵抗スイッチング材料層の上に第2の電極を形成すること
を含む方法。
【請求項14】
前記基板上に第1の電極層を形成することが前記第1の電極層の表面の上に側壁が露出したハードマスク絶縁層を形成することをさらに含み、前記抵抗スイッチング材料層がさらに、前記ハードマスク絶縁層の頂部表面および側壁表面の上に配置されている、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記基板上に第1の電極層を形成することが前記第1の電極層と前記第1の電極層間のハードマスク絶縁材料層とが互層を成すスタックを形成することを含み、前記スタックの相次ぐ第1の電極層のそれぞれの金属材料を含む組成が異なる、
請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記スタックの互層を構成する第1の電極層それぞれが金属窒化物材料を含み、前記金属材料を含む組成が異なることは、前記互層を構成する相次ぐ第1の電極層毎に前記金属材料のパーセント濃度が変化して異なることを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記互層を構成する相次ぐ第1の電極層を、前記第1の電極層毎に固定された前記金属材料のパーセント濃度が増大するか、または前記第1の電極層のそれぞれで前記金属材料のパーセント濃度が漸増するものとして形成すること
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
形成された前記メモリ・デバイスが、選択可能なワード線導体およびビット線導体を有し、アドレス指定可能な抵抗変化型メモリ・セルのアレイ状に接続されており、前記選択可能なワード線導体およびビット線導体が、前記アレイ内の抵抗変化型メモリ・セルをプログラムするための回路に接続されており、前記方法が、
前記第1の電極層をワード線導体に接続すること、および
前記第2の電極をビット線導体に接続すること
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の電極層が金属窒化物材料を含み、金属材料のパーセント濃度が前記第1の電極層の底部から頂部へ垂直方向に変動しており、その結果、前記メモリ・デバイスの対応するセクションの酸素空孔の濃度が異なるので、前記RRAMの全コンダクタンスは前記RRAMのセクションそれぞれのコンダクタンスの和であり、形成された前記メモリ・デバイスでは接続されたワード線/ビット線を介して印加されたパルスの数または電圧のレベルに応答する抵抗変化の非一様性が実現される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
形成された前記メモリ・デバイスが、選択可能なワード線導体およびビット線導体を有し、アドレス指定可能な抵抗変化型メモリ・セルのアレイ状に接続されており、前記選択可能なワード線導体およびビット線導体が、前記アレイ内の抵抗変化型メモリ・セルをプログラムするための回路に接続されており、前記方法が、
前記スタックの互層を構成する第1の電極層のそれぞれを単一のワード線導体に接続すること、および
前記第2の電極をビット線導体に接続すること
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【国際調査報告】