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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】心臓弁ホルダー及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517167
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 SG2022050686
(87)【国際公開番号】W WO2023048648
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】10202110635Q
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ゴアテックス
(71)【出願人】
【識別番号】507335687
【氏名又は名称】ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール
(71)【出願人】
【識別番号】511002216
【氏名又は名称】ナショナル ユニバーシティー ホスピタル (シンガポール) ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】コフィディス テオドロス
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC05
4C097DD01
4C097EE02
4C097SB09
(57)【要約】
人工心臓弁を保持する心臓弁ホルダー及び人工心臓弁を移植する方法が開示されている。前記心臓弁ホルダーは、前記人工心臓弁の弁輪の形状を模倣する断面を有し、上面を含む中空構造と、前記中空構造の少なくとも1つの壁から延在し、第1接続要素を含むプラットフォームと、前記中空構造の上面に形成され、前記人工心臓弁を前記心臓弁ホルダーに縫合するための少なくとも1つの固定孔を含む少なくとも1つの固定要素とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工心臓弁を保持する心臓弁ホルダーであって、
前記人工心臓弁の弁輪の形状を模倣する断面を有し、上面を含む中空構造と、
前記中空構造の少なくとも1つの壁から延在し、第1接続要素を含むプラットフォームと、
前記中空構造の上面に形成され、前記人工心臓弁を前記心臓弁ホルダーに縫合するための少なくとも1つの固定孔を含む、少なくとも1つの固定要素とを含む、心臓弁ホルダー。
【請求項2】
前記断面は、前記人工心臓弁の弁輪の形状を模倣するためにD字形であり、前記人工心臓弁の弁輪は、僧帽弁輪の形状を模倣する、請求項1に記載の心臓弁ホルダー。
【請求項3】
前記心臓弁ホルダーは、前記人工心臓弁内に嵌合するように寸法付けられる、請求項1又は2に記載の心臓弁ホルダー。
【請求項4】
前記中空構造は、前記中空構造の頂部から前記中空構造の底部に向かって先細になる先細管である、請求項1~3のいずれか一項に記載の心臓弁ホルダー。
【請求項5】
前記少なくとも1つの固定要素は、前交連、後交連、後尖の中点又は前尖の中点に対応するように位置決めされる、請求項1~4のいずれか一項に記載の心臓弁ホルダー。
【請求項6】
前記中空構造の底部にある少なくとも1つの脚部を更に含み、前記少なくとも1つの脚部は、前記人工心臓弁を前記心臓弁ホルダーに縫合するための少なくとも1つの固定孔を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の心臓弁ホルダー。
【請求項7】
前記少なくとも1つの脚部は、心臓の左心室の乳頭筋に対応するように位置決めされる、請求項6に記載の心臓弁ホルダー。
【請求項8】
前記第1接続要素に接続される第2接続要素を含むハンドルを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の心臓弁ホルダー。
【請求項9】
前記ハンドルは、ロッドを含む、請求項8に記載の心臓弁ホルダー。
【請求項10】
前記ハンドルは、可撓性部分を含む、請求項8又は9に記載の心臓弁ホルダー。
【請求項11】
前記ハンドルは、定規部を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の心臓弁ホルダー。
【請求項12】
前記第2接続要素は、前記第1接続要素に取り付けるためのねじ付き部分を含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の心臓弁ホルダー。
【請求項13】
前記プラットフォームは、第3接続要素を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の心臓弁ホルダー。
【請求項14】
前記第3接続要素に接続される第4接続要素を含む支持構造を更に含む、請求項13に記載の心臓弁ホルダー。
【請求項15】
前記第4接続要素は、前記第3接続要素に取り付けるためのねじ付き頂部を含む、請求項14に記載の心臓弁ホルダー。
【請求項16】
前記第4接続要素は、前記第3接続要素を受け入れるための凹みを含む、請求項14に記載の心臓弁ホルダー。
【請求項17】
前記第3接続要素は、前記第4接続要素を固定するための延長アームを含む、請求項14に記載の心臓弁ホルダー。
【請求項18】
人工心臓弁を移植する方法であって、
(i)前記人工心臓弁を保持する心臓弁ホルダーを設置するステップであって、前記心臓弁ホルダーは、
前記人工心臓弁の弁輪の形状を模倣する断面を有し、上面を含む中空構造と、
前記中空構造の少なくとも1つの壁から延在し、第1接続要素を含むプラットフォームと、
前記中空構造の上面に形成され、前記人工心臓弁を前記心臓弁ホルダーに縫合するための少なくとも1つの固定孔を含む、少なくとも1つの固定要素とを含む、ステップと、
(ii)第2接続要素を含むハンドルを設置するステップと、
(iii)前記ハンドルを前記心臓弁ホルダーに接続するステップと、
(iv)前記人工心臓弁を前記心臓弁ホルダーに装着するステップと、
(v)心臓と前記人工心臓弁との間に少なくとも1つの縫合ワイヤを取り付けるステップと、
(vi)前記少なくとも1つの縫合ワイヤに沿って前記人工心臓弁を前記心臓内にスライドさせるステップとを含む、方法。
【請求項19】
前記人工心臓弁を装着するステップは、1本の縫合糸を使用して前記人工心臓弁を前記心臓弁ホルダーに取り付けるステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ハンドル上の定規部を使用して前記心臓を測定するステップを更に含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
(vii)本来の弁輪上のマークされた目印を使用して前記人工心臓弁を前記心臓内に位置決めするステップと、
(viii)前記少なくとも1つの縫合ワイヤを結んで前記人工心臓弁を心臓に取り付けるステップとを更に含む、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年9月24日に提出されたシンガポール出願第10202110635Q号の優先権を主張するものであり、その開示内容全体は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、人工心臓弁を保持する医療装置に関する。特に、本開示は、人工心臓弁を保持する心臓弁ホルダー及び心臓弁ホルダーの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
心臓弁置換手術では、人工心臓弁としても知られている人工弁は、ヒトの心臓の弁輪に取り付けられて、正しく機能していないヒトの心臓の本来の弁と置き換えられる。心臓弁ホルダーは、手術中に新しい人工心臓弁を導入又は移植する際に、汚染を防止して、患者の安全を確保するために使用される。心臓弁ホルダーは、移植のために人工心臓弁をその包装から運んで心臓内に装着するために使用される。心臓弁ホルダーはまた、外科医が本来の心臓弁を置き換える際に人工心臓弁を正しい位置に保持するための支持を提供する。
【0004】
既存の人工心臓弁ホルダーは、既存の生物学的及び機械的心臓弁プロテーゼと組み合わせて使用されるように設計されている。既存の生物学的及び機械的心臓弁プロテーゼは、剛性の円形弁輪を有しており、索状物を含んでいない。一方、自然の(natural)ヒトの心臓弁は、非対称の形状を有し、剛性ではなく、弁の尖を乳頭筋に接続する腱索を有する。
【0005】
本出願人の、2020年7月14日に特許権が付与された米国特許第10,709,560号、及び2019年10月24日に公開された米国特許公開第2019/0321168号には、自然に設計された人工僧帽心臓弁が記載されており、それらの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。この自然に設計された人工僧帽心臓弁は、自然の僧帽心臓弁を模倣するように設計されており、2つの柔軟な尖と、非対称で柔軟なフレキシブルリング(flexible ring)とを含み、それらは、心周期中に心筋の自然の歪みに合わせて動くことができる。患者の本来の腱索と同様の索状物は、人工僧帽心臓弁に組み込まれて、心房への血液の逆流に対する自然の防止を模倣し、収縮期に左心室に支持を提供する。しかしながら、既存の人工心臓弁ホルダーは、その形状が自然ではなく、かつ索状物を収容できないため、自然の僧帽心臓弁を模倣するように設計された、このような自然に設計された人工僧帽心臓弁と共に使用するのには適していない。また、自然に設計された人工僧帽心臓弁は、いかなる外部製品との物理的接続を最小限にする必要があり、プロテーゼが移植される箇所にはいかなる接触もあってはならない。
【0006】
したがって、自然の心臓弁を模倣するように設計された人工心臓弁と共に使用するための改良された心臓弁ホルダー及び弁展開システムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、心臓弁ホルダー、及び心臓弁ホルダーを保管する容器を開示する。心臓弁ホルダー及び容器は、既存の心臓弁ホルダー及び容器に比べていくつかの利点がある。まず、開示された心臓弁ホルダーは、安定した支持を提供し、輸送中の損傷を防止するために移動せずに容器内に配置され得る。開示された心臓弁ホルダー及び容器は、製造業者にとって組み立てが容易であり、外科医にとって手術中に分解が容易である。更に、開示された心臓弁ホルダーは、人工僧帽心臓弁が取り付けられる心臓の部分と物理的に接触しない。
【0008】
本開示の一実施形態によれば、人工心臓弁を保持する心臓弁ホルダーが提供される。心臓弁ホルダーは、前記人工心臓弁の弁輪の形状を模倣する断面を有し、上面を含む中空構造と、前記中空構造の少なくとも1つの壁から延在し、第1接続要素を含むプラットフォームと、前記中空構造の上面に形成され、前記人工心臓弁を前記心臓弁ホルダーに縫合するための少なくとも1つの固定孔を含む、少なくとも1つの固定要素とを含む。任意に、前記断面は、前記人工心臓弁の弁輪の形状を模倣するためにD字形であってもよく、前記人工心臓弁の弁輪は、僧帽弁輪の形状を模倣する。任意に、前記心臓弁ホルダーは、前記人工心臓弁内に嵌合するように寸法付けられてもよい。任意に、前記中空構造は、前記中空構造の頂部から前記中空構造の底部に向かって先細になる先細管であってもよい。任意に、前記少なくとも1つの固定要素は、前交連、後交連、後尖の中点又は前尖の中点に対応するように位置決めされてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、前記心臓弁ホルダーは、前記中空構造の底部にある少なくとも1つの脚部を更に含んでもよく、前記少なくとも1つの脚部は、前記人工心臓弁を前記心臓弁ホルダーに縫合するための少なくとも1つの固定孔を含む。任意に、前記少なくとも1つの脚部は、心臓の左心室の乳頭筋に対応するように位置決めされてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、前記心臓弁ホルダーは、前記第1接続要素に接続される第2接続要素を含むハンドルを更に含んでもよい。任意に、前記ハンドルは、ロッドを含んでもよい。任意に、前記ハンドルは、可撓性部分(flexible section)を含んでもよい。任意に、前記ハンドルは、定規部を含んでもよい。任意に、前記第2接続要素は、前記第1接続要素に取り付けるためのねじ付き部分を含んでもよい。任意に、前記プラットフォームは、第3接続要素を更に含んでもよい。任意に、前記心臓弁ホルダーは、前記第3接続要素に接続される第4接続要素を含む支持構造を更に含んでもよい。任意に、前記第4接続要素は、前記第3接続要素に取り付けるためのねじ付き頂部を含んでもよい。任意に、前記第4接続要素は、前記第3接続要素を受け入れるための凹みを含んでもよい。任意に、前記第3接続要素は、前記第4接続要素を固定するための延長アームを含んでもよい。
【0011】
本開示の一実施形態によれば、人工心臓弁を移植する方法が提供される。前記方法は、前記人工心臓弁を保持する心臓弁ホルダーを設置するステップであって、前記心臓弁ホルダーは、前記人工心臓弁の弁輪の形状を模倣する断面を有し、上面を含む中空構造と、前記中空構造の少なくとも1つの壁から延在し、第1接続要素を含むプラットフォームと、前記中空構造の上面に形成され、前記人工心臓弁を前記心臓弁ホルダーに縫合するための少なくとも1つの固定孔を含む、少なくとも1つの固定要素とを含む、ステップと、第2接続要素を含むハンドルを設置するステップと、前記ハンドルを前記心臓弁ホルダーに接続するステップと、前記人工心臓弁を前記心臓弁ホルダーに装着するステップと、心臓と前記人工心臓弁との間に少なくとも1つの縫合ワイヤを取り付けるステップと、前記少なくとも1つの縫合ワイヤに沿って前記人工心臓弁を前記心臓内にスライドさせるステップとを含む。任意に、前記人工心臓弁を装着するステップは、1本の縫合糸を使用して前記人工心臓弁を前記心臓弁ホルダーに取り付けるステップを含んでもよい。任意に、前記ハンドル上の定規部を使用して前記心臓を測定するステップを更に含んでもよい。任意に、前記方法は、本来の弁輪上のマークされた目印を使用して前記人工心臓弁を前記心臓内に位置決めするステップと、前記少なくとも1つの縫合ワイヤを結んで前記人工心臓弁を心臓に取り付けるステップとを更に含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示をよりよく理解し、その実際の用途を理解するために、以下の図面を提供し、以下で参照する。これらの図面は、単なる例として提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【0013】
図1】本開示のいくつかの実施形態に係る人工心臓弁を保持して輸送する装置を概略的に示す図である。
図2A】本開示のいくつかの実施形態に係る心臓弁ホルダーの正面斜視図の概略図である。
図2B】本開示のいくつかの実施形態に係る心臓弁ホルダーの底面斜視図である。
図3A】本開示のいくつかの実施形態に係る心臓弁ホルダーに装着された人工心臓弁の上面図の概略図である。
図3B】本開示のいくつかの実施形態に係る心臓弁ホルダーに装着された人工心臓弁の正面斜視図の概略図である。
図4】本開示のいくつかの実施形態に係る心臓弁ホルダーの先細部の概略図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態に係る第1代替心臓弁ホルダーの垂直断面の概略図である。
図6】本開示のいくつかの実施形態に係る第2代替心臓弁ホルダーの上面斜視図の概略図である。
図7A】本開示のいくつかの実施形態に係る第3代替心臓弁ホルダーの正面斜視図の概略図である。
図7B】第3代替心臓弁ホルダーの上面図の概略図である。
図7C】本開示のいくつかの実施形態に係る第3代替心臓弁ホルダーの垂直断面図(断面D-D)の概略図である。
図8】本開示のいくつかの実施形態に係るハンドルの概略図である。
図9】本開示のいくつかの実施形態に係る第1代替ハンドルの概略図である。
図10】本開示のいくつかの実施形態に係る第2代替ハンドルの概略図である。
図11】本開示のいくつかの実施形態に係る第3代替ハンドルの概略図である。
図12】本開示のいくつかの実施形態に係る心臓弁ホルダーを支持する支持構造の概略図である。
図13】本開示のいくつかの実施形態に係る心臓弁ホルダーを支持する支持構造の概略図である。
図14】本開示のいくつかの実施形態に係る輸送のために容器に挿入された支持構造及び心臓弁ホルダーの概略図である。
図15A】本開示のいくつかの実施形態に係る心臓弁ホルダーを支持する第1代替支持構造の概略図である。
図15B】本開示のいくつかの実施形態に係る第1代替支持構造の概略図である。
図16A】本開示のいくつかの実施形態に係る心臓弁ホルダーを支持する第2代替支持構造の正面斜視図の概略図である。
図16B】心臓弁ホルダーが第2代替支持構造によって保持される状態を示す、第2代替支持構造の垂直断面の概略図である。
図16C】心臓弁ホルダーをハンドルの先端と共に示す、第2代替支持構造の垂直断面の概略図である。
図16D】本開示のいくつかの実施形態に係る心臓弁ホルダーが第2代替支持構造から係合解除される延長アームを有する状態を示す、第2代替支持構造の垂直断面の概略図である。
図16E】本開示のいくつかの実施形態に係る心臓弁ホルダーが第2代替支持構造から取り外された状態を示す、第2代替支持構造の垂直断面の概略図である。
図17】本開示のいくつかの実施形態に係る心臓弁ホルダーを使用して患者の心臓に人工心臓弁を移植するプロセスの概略図である。
【0014】
1つ以上の図面に現れる同一又は重複又は同等又は類似の構造、要素又は部品は、一般的に同じ参照番号でラベル付けされ、同様の実体又は実体の変形を区別するために任意に追加の文字でラベル付けされ、繰り返しラベル付けられたり説明されたりしない可能性がある。以前に提示された要素への参照は、それらが現れる図面又は説明を必ずしも更に引用せずに暗示されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載されている。しかしながら、当業者は、これらの具体的な内容なしに本発明を実施してもよいことが理解できるであろう。また、本発明を不明瞭にしないように、周知の方法、手順、構成要素、モジュール、ユニット及び/又はサーキットについては、詳細な説明を省略する。
【0016】
図面に示されている構成要素及び特徴の寸法は、表示の便宜又は明確にするために選択されており、必ずしも縮尺通り又は実際の遠近感に従って示されているわけではない。便宜又は明確にするために、一部の要素又は構造は、図示されていないか又は部分的にのみ、及び/又は異なる視点又は異なる観点から示されている。
【0017】
本発明の実施形態は、これらに限定されないが、本明細書で使用される用語「複数(plurality)」及び「複数(a plurality)」は、例えば、「多数」又は「2つ以上」を含んでもよい。用語「複数(plurality)」及び「複数(a plurality)」は、本明細書全体を通して、2つ以上の構成要素、装置、要素、ユニット、パラメータなどを説明するために使用されてもよい。明示的に述べられない限り、本明細書に記載された方法の実施形態は、特定の順序又は順番に限定されない。更に、記載された方法の実施形態又はその要素のいくつかは、同時に、同じ時点に又は同期に発生又は実行されてもよい。特に断らない限り、本明細書で使用される接続詞「又は」は、(記述された選択肢のいずれか又は全て)包含的であるように理解される。
【0018】
特に図面を詳細に参照すると、示される詳細は、例として示されるものであり、本開示の実施形態の例示的な議論を目的としたものであることが強調される。この点に関して、図面を伴う説明により、本開示の実施形態がどのように実施され得るかが当業者には明らかになる。
【0019】
図1は、本開示のいくつかの実施形態に係る人工心臓弁を保持して輸送する装置100を概略的に示す図である。操作者は、装置100を使用して人工心臓弁を装着して運ぶ。装置100は、移植のために人工心臓弁をその包装から運んで心臓内に装着するために使用され得る。装置100は、心臓弁ホルダー200及びハンドル700を含んでもよい。心臓弁ホルダー200及びハンドル700は、螺合機構又は任意の他の適切な機構を使用して互いに取り外し可能に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態では、本開示において開示される心臓弁ホルダー、例えば心臓弁ホルダー200は、生体心臓弁及び機械心臓弁を含む任意の人工心臓弁を保持するのに適し得るように設計され得る。いくつかの実施形態では、人工心臓弁は、本来の僧帽弁を模倣する僧帽弁プロテーゼであってもよく、僧帽弁プロテーゼは、本来の僧帽弁輪の形状を模倣する弁輪を有する。いくつかの実施形態では、人工心臓弁は、1本の安全縫合糸320などの縫合糸を使用して心臓弁ホルダー200に装着されてもよい(図3A及び3Bを参照)。いくつかの実施形態では、操作者は、ハンドル700を心臓弁ホルダー200に取り付け、ハンドル700を保持して、人工心臓弁が装着された心臓弁ホルダー200を輸送することができる。ハンドル700により、外科医又は使用者は、人工心臓弁を正確に送達し、取り扱い、移植するように心臓弁ホルダー200を制御することができる。
【0020】
図2Aは、本開示のいくつかの実施形態に係る心臓弁ホルダー200の正面斜視図の概略図であり、図2Bは、本開示のいくつかの実施形態に係る心臓弁ホルダー200の底面斜視図である。心臓弁ホルダー200は、心臓弁置換手術中に移植のために心臓に輸送するように人工心臓弁を保持する。心臓弁ホルダー200は、ポリプロピレン、ポリエーテルケトンケトン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン又はABS及びデルリン(デュポン社からの合成ポリマー又はポリオキシメチレン)などの材料で作られてもよい。いくつかの実施形態では、上記ポリプロピレン、ポリエーテルケトンケトン、ABS及びデルリン(ポリオキシメチレン)は、医療用のポリプロピレン、ポリエーテルケトンケトン、ABS及びデルリン(ポリオキシメチレン)であってもよい。いくつかの実施形態では、上記ポリプロピレン、ポリエーテルケトンケトン、ABS及びデルリン(ポリオキシメチレン)は、生体適合性ポリプロピレン、ポリエーテルケトンケトン、ABS及びデルリン(ポリオキシメチレン)であってもよい。いくつかの実施形態では、上記生体適合性材料は、米国薬局方(USP)クラスVI又はISO 10993-1に適合し得る。心臓弁ホルダー200は、人工心臓弁304の弁輪308の形状を模倣する断面を有する中空構造である(図3A及び3Bを参照)。いくつかの実施形態では、心臓弁ホルダー200は、人工心臓弁の弁輪の形状を模倣する断面を有してもよく、人工心臓弁の弁輪は本来の心臓弁の弁輪の形状を模倣する。いくつかの実施形態では、心臓弁ホルダー200が僧帽弁プロテーゼを保持するように構成される場合、心臓弁ホルダー200は、本来の僧帽弁輪の形状を模倣する僧帽弁プロテーゼの弁輪の形状を模倣するD字形の断面を有してもよい。いくつかの実施形態では、心臓弁ホルダー200は、異形の断面を有してもよい。いくつかの実施形態では、心臓弁ホルダー200は、本来の心臓弁の弁輪の形状を模倣する弁輪を有する人工心臓弁の弁輪の一般的な形状を模倣する水平断面を有する中空の先細管であってもよい。いくつかの実施形態では、心臓弁ホルダー200は、本来の僧帽弁輪の形状を模倣する弁輪を有する僧帽弁プロテーゼの前輪(anterior annulus)を模倣する前側204と、本来の僧帽弁輪の形状を模倣する弁輪を有する僧帽弁プロテーゼの後輪(posterior annulus)を模倣する後側208とを含んでもよく、心臓弁ホルダー200の頂部212から心臓弁ホルダー200の底部216まで先細(taper)になる。心臓弁ホルダー200を配向するとき、前側204の中点は、心臓弁ホルダー200の12時の位置として定義されてもよく、後側208の中点は、心臓弁ホルダー200の6時の位置として定義されてもよい。いくつかの実施形態では、心臓弁ホルダー200の断面は、頂部212と底部216との間で均一に先細になってもよい。他の実施形態では、心臓弁ホルダー200の断面は、頂部212と底部216との間で様々な勾配で先細になってもよい(図4を参照)。いくつかの実施形態では、心臓弁ホルダー200は、人工心臓弁304が心臓弁ホルダー200に固定されたときに心臓弁ホルダー200の外側に吊り下げられ得るように、人工心臓弁304内に嵌合するように寸法付けられてもよい(図3A及び図3Bを参照)。いくつかの実施形態では、心臓弁ホルダー200は、頂部212から底部216まで、高さが20~30mmの間、好ましくは28mmであってもよい。いくつかの実施形態では、心臓弁ホルダー200は、壁厚が0.5~2mmの間、好ましくは1mmであってもよい。いくつかの実施形態では、本来の僧帽弁を模倣する僧帽弁プロテーゼのための心臓弁ホルダー200の頂部212の断面は、僧帽弁の前外側後内側直径距離を模倣する幅と、僧帽弁輪の前後直径を模倣する長さとを有してもよい。いくつかの実施形態では、頂部212は、幅が18~30mmの間、好ましくは25mmであってもよい。いくつかの実施形態では、心臓弁ホルダー200は、頂部212で、CC36サイズの心臓弁に関しては、幅が28mmであってもよく、CC32サイズの心臓弁に関しては、幅が25mmであってもよい。いくつかの実施形態では、心臓弁ホルダー200は、長さが20~35mmの間、好ましくは26mmであってもよい。
【0021】
本開示のいくつかの実施形態では、心臓弁ホルダー200の頂部212は、中空の心臓弁ホルダー200の少なくとも1つの壁から中空の心臓弁ホルダー200内に延在するプラットフォーム220を含んでもよい。いくつかの実施形態では、プラットフォーム220は、心臓弁ホルダー200の前側204から始まってもよい。他の実施形態では、プラットフォーム220は、心臓弁ホルダー200の後側208から始まってもよい。他の実施形態では、プラットフォーム220は、心臓弁ホルダーの前側204から後側208まで延在してもよい。代替的に、プラットフォーム220は、心臓弁ホルダー200に横方向に位置決めされてもよい。好ましくは、プラットフォーム220は、心臓弁ホルダー200の頂部212と同じ高さ(level)であり、心臓弁ホルダー200の頂部212の上に突出せず、しかし、いくつかの実施形態では、プラットフォーム220は、また、心臓弁ホルダー200の頂部212の上に突出してもよい。いくつかの実施形態では、プラットフォーム220は、ハンドル700の第2接続要素728に接続するための第1接続要素224を含んでもよい(図7~10を参照)。いくつかの実施形態では、第1接続要素224は、ねじ孔224であってもよく、第2接続要素728は、ねじ付き部分728であってもよく、ねじ孔224は、ハンドル700のねじ付き部分728を受け入れるように適合する(図7~10を参照)。ねじ孔224は、ねじ付き部分728の雄ねじを受け入れるように適合する雌ねじを有してもよく、ハンドル700を時計回りに回転させることによりハンドル700を心臓弁ホルダー200に接続及び締結するように形状付けられてもよい。いくつかの実施形態では、プラットフォーム220は、長さが12~23mmの間、好ましくは16.5mmであってもよい。いくつかの実施形態では、プラットフォーム220は、厚さが5~10mmの間、好ましくは6.5mmであってもよい。いくつかの実施形態では、プラットフォーム220は、幅が5~15mmの間、好ましくは8mmのであってもよい。いくつかの実施形態では、ねじ孔224は、プラットフォーム220の厚さを貫通して延在してもよく、しかし、他の実施形態では、ねじ孔224は、また、プラットフォーム220内で終端してもよい(図5を参照)。いくつかの実施形態では、ねじ孔224は、直径が3~8mmの間、好ましくは4mmであってもよい。いくつかの実施形態では、プラットフォーム220は、プラットフォーム220の下に延在する隆起部232を有してもよく、隆起部232は、支持構造1100の第4接続要素1108に接続するための第3接続要素236を含む(図11及び12を参照)。いくつかの実施形態では、第3接続要素236は、第1接続要素224と位置合わせされてもよい。いくつかの実施形態では、第3接続要素236は、螺合孔236であってもよく、第4接続要素1108は、柱1104上のねじ付き頂部1108であってもよく、螺合孔236は、支持構造1100の柱1104のねじ付き頂部1108を受け入れるように適合する(図11及び12を参照)。好ましくは、螺合孔236は、ねじ付き頂部1108の雄ねじを受け入れるように適合する雌ねじを有する。いくつかの実施形態では、螺合孔236は、ねじ孔224の直径に対応する直径を有してもよい。代替的に、螺合孔236は、ねじ孔224の直径とは異なる直径を有してもよい。螺合孔236は、ねじ孔224の直径よりも大きく又は小さい直径を有してもよい。いくつかの実施形態では、ねじ孔224は、直径が4.7mmであってもよく、螺合孔236は、直径が4.7mmであってもよい。いくつかの実施形態では、第3接続要素は、第1接続要素と第2接続要素との間の接続を締結するときに外側に偏向できる延長アームを含んでもよい(図16B~16Eを参照)。このような実施形態では、第3接続要素のアームが第3接続要素を第4接続要素から係合解除することにより、弁ホルダー又は弁ホルダー及び人工弁を支持構造から持ち上げて取り外すことができる。このような実施形態では、第3接続要素は、上述したような偏向を可能にする可撓性材料で作られてもよく、上述したような偏向を可能にするように形状付けられてもよいことを理解されたい。いくつかの実施形態では、本明細書で定義される支持構造は、「キャリア」と呼ばれることもある。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態では、心臓弁ホルダー200の頂部212は、頂部212の上面238に形成された少なくとも1つの固定要素240を更に含んでもよい。固定要素240は、ブロック又は他の適切な形状に形状付けられてもよい。いくつかの実施形態では、3つの固定要素240a、240b及び240cがあってもよい。いくつかの実施形態では、第4固定要素240dがあってもよい。いくつかの実施形態では、固定要素240は、心臓弁ホルダー200の上面238の上に1~3mm、好ましくは2mm延在してもよい。他の実施形態では、固定要素240は、心臓弁ホルダー200の頂部212又は本体内に埋め込まれてもよい。固定要素240はそれぞれ、少なくとも1つの固定孔244を含んでもよい。いくつかの実施形態では、固定要素240a及び固定要素240bは、それぞれ2つの固定孔244を有してもよく、固定要素240cは、4つの固定孔244を有してもよい。他の実施形態では、固定要素240a、固定要素240b及び固定要素240cは、それぞれ4つの固定孔244を有してもよい。好ましくは、固定要素240に複数の固定孔244がある場合、固定要素240の固定孔244は、心臓弁ホルダー200の頂部212に対して平行に配置される。いくつかの実施形態では、心臓弁ホルダー200上の10時の位置に第1固定要素240aがあってもよく、心臓弁ホルダー200上の2時の位置に第2固定要素240bがあってもよく、心臓弁ホルダー200上の6時の位置に第3固定要素240cがあってもよい。いくつかの実施形態では、第1固定要素240aは、本来の僧帽弁の前交連(anterolateral commissure)に対応する位置にあってもよく、第2固定要素240bは、本来の僧帽弁の後交連(posteromedial commissure)に対応する位置にあってもよく、第3固定要素240cは、本来の僧帽弁の後尖(posterior leaflet)の中点に対応する位置にあってもよい。他の実施形態では、本来の僧帽弁の前尖(anterior leaflet)の中点に対応する位置に第4固定要素240dがあってもよい。好ましくは、固定要素240の固定孔244は、人工心臓弁304の弁輪308を心臓弁ホルダー200に装着するために使用される安全縫合糸320を受け入れるように適合し、これにより、人工心臓弁304を心臓弁ホルダー200にしっかりと固定する(図3A及び3Bを参照)。
【0023】
本開示のいくつかの実施形態では、心臓弁ホルダー200の底部216は、少なくとも1つの脚部248を含んでもよい。少なくとも1つの脚部248は、長さが5~10mmの間、好ましくは8mmであってもよい。少なくとも1つの脚部248は、心臓弁ホルダー200の総重量を有利に低減するために孔を含んでもよい。好ましくは、2つの脚部248がある場合、脚部248は、脚部248の先端252が心臓の乳頭筋の位置と位置合わせされるように、心臓弁ホルダー200の底部216の幅の両側に位置する。いくつかの実施形態では、脚部248の間の距離は、12~24mmの間、好ましくは20mmであってもよい。いくつかの実施形態では、脚部248のそれぞれは、心臓の左心室の乳頭筋の位置と位置合わせされてもよい。いくつかの実施形態では、第1脚部248aは、左心室の後乳頭筋と位置合わせされてもよく、第2脚部248bは、左心室の前乳頭筋と位置合わせされてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの脚部248のそれぞれは、2つの固定孔244を含んでもよく、少なくとも1つの脚部248の固定孔244は、人工心臓弁304の索状物316を脚部248に装着するために使用される安全縫合糸320を受け入れるように適合し、これにより、人工心臓弁304の索状物316を心臓弁ホルダー200にしっかりと固定することができる(図3A及び3Bを参照)。
【0024】
図3Aは、本開示のいくつかの実施形態に係る心臓弁ホルダー200に装着された人工心臓弁304の上面図の概略図であり、図3Bは、本開示のいくつかの実施形態に係る心臓弁ホルダー200に装着された人工心臓弁304の正面斜視図の概略図である。人工心臓弁304は、弁輪308、尖312及び索状物316を含んでもよい。人工心臓弁304は、人工心臓弁304及び心臓弁ホルダー200の様々な固定孔244を通る安全縫合糸320を介して心臓弁ホルダー200に取り付けられてもよい。安全縫合糸320は、人工心臓弁304を心臓弁ホルダー200に取り付けるループであってもよい。いくつかの実施形態では、安全縫合糸320は、第1固定要素240aから、第1脚部248a、第3固定要素240c、第2脚部248b、第2固定要素240b、第3固定要素240cを通って、第1固定要素240aにループバックされてもよい。いくつかの実施形態では、安全縫合糸320は、まず、第1固定要素240aの固定孔244aを通って人工心臓弁304の弁輪308に入り、第1脚部248aの固定孔244bに向かって内向きに進み、かつそこから出て、人工心臓弁304の索状物316を固定し、第1脚部248aの固定孔244kを通って内向きに入り、第3固定要素240cの固定孔244iを通って外向きに進んで、人工心臓弁304の弁輪308を固定し、第3固定要素240cの固定孔244hを通って内向きに入り、第2脚部248bの固定孔244fを通って外向きに進んで、人工心臓弁304の索状物316を固定し、第2脚部248bの固定孔244cを通って内向きに入り、第2固定要素240bの固定孔244dを通って外向きに進んで、人工心臓弁304の弁輪308を固定し、第2固定要素240bの固定孔244eを通って内向きに入り、第3固定要素240cの固定孔244gを通って外向きに進んで、人工心臓弁304の弁輪308を固定し、第3固定要素240cの固定孔244jを通って内向きに入り、第1固定要素240aの固定孔2441を通って外向きに進んで、第1固定要素240aの固定孔244aにある安全縫合糸320の始点に接続されてもよい。好ましくは、安全縫合糸320は、人工心臓弁304を心臓弁ホルダー200に固定し、動きを防止するために真っ直ぐにしてピンと張った状態にすべきである。人工心臓弁304が既に患者の心臓に移植されると(transplanted)、外科医は、安全縫合糸320を切断することにより安全縫合糸320に沿って装置100全体を後退させることができる。
【0025】
図4は、本開示のいくつかの実施形態に係る心臓弁ホルダー200の先細部の概略図である。心臓弁ホルダー200は、頂部212と、脚部248が心臓弁ホルダー200に接続される心臓弁ホルダー200の中点404との間で第1勾配Xで先細になってもよい。心臓弁ホルダー200は、中点404と、少なくとも1つの脚部248の先端252が位置する心臓弁ホルダーの底部216との間で第2勾配Yで更に先細になってもよい。いくつかの実施形態では、第1勾配Xは、心臓弁ホルダー200の前側204と後側208との間で異なってもよい。いくつかの実施形態では、第1勾配Xは、心臓弁ホルダー200の前側204において約5°~約15°の間、好ましくは10.47°であってもよいが、心臓弁ホルダー200の後側208において約5°~約15°の間、好ましくは10.78°であってもよい。いくつかの実施形態では、第2勾配Yは、心臓弁ホルダー200の前側204と後側208との間で異なってもよい。いくつかの実施形態では、第2勾配Yは、心臓弁ホルダー200の前側204において約5°~約25°の間、好ましくは21.52°であってもよいが、心臓弁ホルダー200の後側208において約10°~約30°の間、好ましくは26.99°であってもよい。他の実施形態では、第1勾配Xは、心臓弁ホルダー200の前側204と後側208で同じであってもよい。更に他の実施形態では、第2勾配Yは、心臓弁ホルダー200の前側204と後側208で同じであってもよい。
【0026】
図5は、本開示のいくつかの実施形態に係る第1代替心臓弁ホルダー200aの垂直断面の概略図である。このような実施形態は、第1代替心臓弁ホルダー200aがプラットフォーム220a内で終端しプラットフォーム220aの厚さ全体にわたって延在しないねじ孔224aを含むこと、第1代替心臓弁ホルダー200aが隆起部又は螺合孔を含まないことを除いて、図2A及び2Bの実施形態と同様である。いくつかの実施形態では、プラットフォーム220aは、厚さが7mmで、幅が7mmであってもよいが、ねじ孔224aは、深さが5mmであり、「M3×0.5」タイプの構造を有してもよい。
【0027】
図6は、本開示のいくつかの実施形態に係る第2代替心臓弁ホルダー200bの上面斜視図の概略図である。このような実施形態は、第2代替心臓弁ホルダー200bが心臓弁ホルダー200bの前側204bから後側208bまで延在するプラットフォーム220bを含むこと、第2代替心臓弁ホルダー200bが隆起部又は螺合孔を含まないことを除いて、図2A及び2Bの実施形態と同様である。いくつかの実施形態では、プラットフォーム220bは、厚さが5mmで、幅が12mmであってもよい。
【0028】
図7Aは、本開示のいくつかの実施形態に係る第3代替心臓弁ホルダー200cの正面斜視図の概略図である。図7Bは、第3代替弁ホルダー200cの上面図の概略図を示す。このような実施形態は、第3代替心臓弁ホルダー200cのプラットフォーム220cがプラットフォーム220cの下に延在する隆起部232cを有してもよいことを除いて、図2A及び2Bの実施形態と同様である(図7Cを参照)。図7Cから分かるように、隆起部232cは、支持構造1100bの第4接続要素1108bに接続するための第3接続要素236cを含む(図16A~16Bを参照)。図7Bから分かるように、第3接続要素236cは、延長アームの形態で設置されてもよい。隆起部232c及び延長アーム(extending arm)236cが可撓性材料を含み得るため、そのようなアームは、スナップフィット機構を介して第4接続要素1108bを係合させることができる。第4接続要素1108bを係合させる前に、延長アームは、第4接続要素1108bを受け入れるために、2つのアームの先端の間の距離を広げるように曲がるか又は偏向してもよい(図16Dを参照)。いくつかの実施形態では、第3接続要素に取り付けるためのねじ付き頂部などの他の適切な締結機構も使用されてもよい。いくつかの実施形態では、第3接続要素236cは、第1接続要素224cと位置合わせされてもよい。いくつかの実施形態では、プラットフォーム220cは、開口部を含んでもよい。本開示のいくつかの実施形態に係る弁ホルダー200cは、プロテーゼを所定の位置に保持するために弁プロテーゼの輪郭を模倣するように設計されてもよい。この独特で独創的な設計により、弁ホルダー200cは、弁の移植中に弁ホルダーのD字形の断面から弁プロテーゼが滑り落ちるリスクを有利に最小化又は回避することができる。
【0029】
図8は、本開示のいくつかの実施形態に係るハンドル700の概略図である。ハンドル700は、本体を備える中実の円形ロッド704と、外科医によって保持されるように適合する近位端708と、第1接続要素224(図2Aを参照)を介して心臓弁ホルダー200に接続されるように適合する第2接続要素728を含む遠位端712とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ハンドル700は、本体を備える中空の円形ロッド704と、外科医によって保持されるように適合する近位端708と、第1接続要素224(図2Aを参照)を介して心臓弁ホルダー200に接続されるように適合する第2接続要素728を含む遠位端712とを含んでもよい。ハンドル700は、ステンレス鋼、ポリプロピレン、ポリエーテルケトンケトン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、デルリン(又はポリオキシメチレン)、或いは他の同様の又は適切な材料で作られてもよい。ハンドル700は、直径が約5~約15mmの間、好ましくは8mmであってもよい。ハンドル700は、長さが約5~約20cmの間、好ましくは15cmであってもよい。本開示のいくつかの実施形態では、第2接続要素728は、遠位端712にあるねじ付き部分728であってもよく、ねじ付き部分728は、心臓弁ホルダー200の第1接続要素又はねじ孔224に相補的であり、心臓弁ホルダー200のねじ孔224に挿入されるように適合する。ねじ付き部分728は、プラットフォーム220の厚さ及び幅に応じて任意の寸法を有してもよい。
【0030】
図9は、本開示のいくつかの実施形態に係る第1代替ハンドル700aの概略図である。このような実施形態は、第1代替ハンドル700aが可撓性部分(flexible portion)716及び粗面部分720を更に含むことを除いて、図8の実施形態と同様である。可撓性部分716は、第1代替ハンドル700aの遠位端712aに近接する、第1代替ハンドル700aに沿った部分であってもよく、第1代替ハンドル700aの遠位端712a及び近位端708aと比較して狭い直径を有する。いくつかの実施形態では、第1代替ハンドル700aの遠位端712a及び近位端708aは、直径が約6.2mmであってもよいが、可撓性部分716は、直径が約3.1mmであってもよい。いくつかの実施形態では、ハンドル700は、近位端708aから遠位端712aまで、長さが約240mmであってもよく、可撓性部分716aは、長さが約60mmであり、遠位端712aから約30mmの箇所に位置してもよい。可撓性部分716は、第1代替ハンドル700aが曲げられることに有利であり、これにより、外科医は、自分の好みに合わせて第1代替ハンドル700aを曲げ、外科手術中に困難な角度に届けることができる。本開示のいくつかの実施形態では、第1代替ハンドル700aは、遠位端712aにあるねじ付き部分728aであり得る第2接続要素728aを更に含み、ねじ付き部分728aは、心臓弁ホルダー200の第1接続要素又はねじ孔224に相補的であり、心臓弁ホルダー200のねじ孔224に挿入されるように適合する。ねじ付き部分728aは、プラットフォーム220の厚さ及び幅に応じて任意の寸法を有してもよい。
【0031】
本開示のいくつかの実施形態では、第1代替ハンドル700aは、近位端708aに近接する粗面部分720を更に含んでもよい。粗面部分720は、摩擦を提供し、第1代替ハンドル700aに対する外科医のグリップを強化するために、ローレット加工又はチェック模様を含んでもよい。いくつかの実施形態では、粗面部分720は、第1代替ハンドル700aの近位端708aから約6.9mmの箇所に位置してもよく、長さが約80mmであってもよい。
【0032】
図10は、本開示のいくつかの実施形態に係る第2代替ハンドル700bの概略図である。このような実施形態は、第2代替ハンドル700bが定規部(ruler portion)724を含むため、外科医が測定を実行するために別の測定ツール(別個の追加のツール)を使用する必要がなくなることに有利であることを除いて、図9の実施形態と同様である。定規部724は、弁輪と乳頭筋の正中線との間の距離を含む、外科医に要求される任意の距離を測定するために使用されてもよい。定規部724は、第2代替ハンドル700bの遠位端712b上に位置し、かつ可撓性部分716bと遠位端712bとの間に位置してもよい。定規部724は、ねじ付き部分728bの先端から始まり、長さが約40mmであってもよい。定規部724は、測定単位(例えば、センチメートル又はインチ)の直線目盛りを表す線の形態のマークを含んでもよく、数字「0」に関連付けられるマークは、遠位端712bの近くに位置する。いくつかの実施形態では、マークは、ねじ付き部分728bの距離を示し、ねじ付き部分728bの先端732から始まってもよい。マークは、約2~約8mmの間、好ましくは4mmの距離を示してもよい。使用の場合、外科医は、測定の開始点となる患者の心臓の乳頭筋に接触するように先端732を有利にガイドすることができる。先端732が患者の心臓の乳頭筋に接触すると、ハンドル700bを動かすべきではない。また、外科医は、移植を進める前にハンドル700bの定規部724を使用して必要な測定を行ってもよい。
【0033】
図11は、本開示のいくつかの実施形態に係る第3代替ハンドル700cの概略図である。このような実施形態は、第3代替ハンドル700cが粗面部分を有さないこと、内側ロッド736を受け入れるために第3ハンドル700c内にチャネル(図示せず)を有することを除いて、図9の実施形態と同様である。第3代替ハンドル700cは、長さが約300~約360mmの間、好ましくは330mmであってもよい。チャネル(図示せず)は、近位端708cから可撓性部分716c、遠位端712c及びねじ付き部分728cを通って延びてもよい。近位端708cは、幅が約10~約30mmの間、好ましくは20mmであり、長さが約10~約50mmの間、好ましくは30mmであり、厚さが約1~5mm、好ましくは3mmである平坦な直方体の形状として形状付けられてもよい。近位端708cは、測定単位(例えば、センチメートル又はインチ)の線形目盛りを表す線の形態のマークを含む定規部(ruler section)724cを含んでもよく、数字「0」に関連付けられる最小のマークは、近位端708cに近接して位置する。マークは、約2~約8mmの間、好ましくは6mmの距離を示してもよい。いくつかの実施形態では、内側ロッド736は、近位端708c上の定規部724cを取り囲むスライド部分740に接続されてもよい。スライド部分740は、近位端708cの定規部724c上のマークに対応し、内側ロッド736の端部744からねじ付き部分728cの先端732cまでの距離を外科医に示すように有利に適合する。例えば、近位端708cの定規部724c上のマークは、内側ロッド736の端部744がねじ付き部分728の先端732cと位置合わせされるとき、スライド部分740が番号「0」に関連付けられた定規部724c上のマークと位置合わせされるようなものであってもよい。スライド部分740が第3代替ハンドル700cの遠位端712cに向かって移動する場合、内側ロッド736は、ねじ付き部分728の先端732cから突出する。スライド部分740に対応する近位端708cの定規部724c上のマークは、内側ロッド736の端部744がねじ付き部分728cの先端732cから突出した距離を表す。例えば、外科医は、ハンドル700cの先端732cを患者の僧帽弁輪と位置合わせすることができる。また、外科医は、内側ロッド736の端部744が患者の乳頭筋と位置合わせされるまで、第3代替ハンドル700cのスライド部分740をスライドさせてもよい。これにより、外科医が患者の乳頭筋と弁輪との間の距離を直観的に測定することができることに有利である。
【0034】
いくつかの実施形態では、第3代替ハンドル700cの可撓性部分716cは、第3代替ハンドル700cの遠位端712cと比較して、狭い直径を有してもよい。例えば、第3代替ハンドル700cの遠位端712cは、直径が約4mmであってもよいが、可撓性部分716cは、直径が約2mmであってもよい。可撓性部分716cは、長さが約20~約50mm、好ましくは30mmであってもよく、遠位端712cから約10~約20mm、好ましくは15mmの箇所に位置してもよい。
【0035】
図12は、本開示のいくつかの実施形態に係る心臓弁ホルダー200を支持する支持構造1100の概略図である。いくつかの実施形態では、支持構造1100は、部分的又は全体的に、本開示で説明される弁ホルダー200と同じ材料で作られてもよい。いくつかの実施形態では、支持構造1100は、ポリプロピレン、ポリエーテルケトンケトン、ABS及びデルリン(ポリオキシメチレン)で作られてもよい。いくつかの実施形態では、上記ポリプロピレン、ポリエーテルケトンケトン、ABS及びデルリン(ポリオキシメチレン)は、医療用のポリプロピレン、ポリエーテルケトンケトン、ABS及びデルリン(ポリオキシメチレン)であってもよい。いくつかの実施形態では、上記ポリプロピレン、ポリエーテルケトンケトン、ABS及びデルリン(ポリオキシメチレン)は、生体適合性ポリプロピレン、ポリエーテルケトンケトン、ABS及びデルリン(ポリオキシメチレン)であってもよい。いくつかの実施形態では、上記生体適合性材料は、米国薬局方(USP)クラスVI又はISO 10993-1に適合し得る。図13は、本開示のいくつかの実施形態に係る心臓弁ホルダー200を支持する支持構造1100の概略図である。図14は、本開示のいくつかの実施形態に係る輸送のために容器1304に挿入された支持構造1100及び心臓弁ホルダー200の概略図である。支持構造1100は、心臓弁ホルダー200を容器1304内で支持して、輸送中の任意の損傷及び偶発的な落下を防止する。支持構造1100は、内径が約40~約70mmの間、好ましくは50mmのであり、壁厚が約1~約4mmの間、好ましくは1mmであり、高さが約40~約70mmの間、好ましくは59mmである中空円筒として形状付けられてもよい。代替的に、支持構造1100は、弁ホルダー200を容器1304内に適切に支持する限り、任意の形状の構造であってもよい(例えば、図16Aを参照)。いくつかの実施形態では、支持構造1100は、任意の形状の中空構造であってもよい。好ましくは、支持構造1100は、その壁が心臓弁ホルダー200に接触しないように十分な幅を有する。いくつかの実施形態では、支持構造1100は、支持構造1100の重量を低減するために、その壁に沿って少なくとも1つの開口部1112を有してもよい。
【0036】
本開示のいくつかの実施形態では、支持構造1100は、支持構造1100の底部にベース構造1116を含んでもよく、ベース構造1116は、支持構造1100の直径に対応する長さを有する。いくつかの実施形態では、ベース構造1116は、幅が5~20mmの間、好ましくは8mmで、厚さが2~5mmの間、好ましくは3mmであってもよい。ベース構造1116は、第4接続要素1108を更に含んでもよい。第4接続要素1108は、支持構造1100の中心から延在する垂直柱1104のねじ付き頂部1108であってもよく、ねじ付き頂部1108は、心臓弁ホルダー200の螺合孔236及び/又はねじ孔224と相補的であるように形状付けられる。したがって、垂直柱1104は、心臓弁ホルダー200を受け入れ、心臓弁ホルダー200を支持する(図13を参照)。好ましくは、ねじ付き頂部1108は、螺合孔236及び/又はねじ孔224の雌ねじに対応する雄ねじを含み、心臓弁ホルダー200を反時計回りに回転させることにより心臓弁ホルダー200を支持構造1100に接続及び締結するように形状付けられる。
【0037】
本開示のいくつかの実施形態では、心臓弁ホルダー200を備えた支持構造1100は、レセプタクル1308及び蓋1312を含む容器1304内に保持されてもよい(図14を参照)。レセプタクル1308及び蓋1312は、ラベルを貼るための表面を提供してもよい。このようなラベルには、製品名、著作権及び設計が含まれてもよい。このようなラベルには、患者名及び識別番号などの患者情報と、サイズ及び製造日などの製品の詳細とを含むクイックレスポンスコード(QRコード(登録商標))が更に含まれてもよく、QRコードは、製品の簡単な追跡に役立つ。含まれる可能性のある他のラベルは、製品仕様及び製造業者情報である。容器1304内で支持構造1100及び心臓弁ホルダー200を組み立てるために、使用者は、容器1304の蓋1312を取り外してもよい。その後に、使用者は、ねじ付き部分728をねじ孔224に挿入し、ハンドル700を時計回りに回転させることにより、ハンドル700を心臓弁ホルダー200に固定してもよい。その後に、使用者は、螺合孔236及び/又はねじ孔224をねじ付き頂部1108に挿入すること、ハンドル700を保持しながら心臓弁ホルダー200を反時計回りに回転させることにより、心臓弁ホルダー200を支持構造1100に固定してもよい。使用者は、ハンドル700を反時計回りに回転させることにより、心臓弁ホルダー200をハンドル700から取り外してもよい。その後に、使用者は、蓋1312をレセプタクル1308の上に固定することにより、容器1304を閉じてもよい。
【0038】
図15Aは、本開示のいくつかの実施形態に係る心臓弁ホルダー200を支持する第1代替支持構造1100aの概略図であり、図15Bは、本開示のいくつかの実施形態に係るキャップ1404が支持構造1100aを閉じて弁ホルダー200を支持する場合の第1代替支持構造1100aの概略図である。このような実施形態は、第4接続要素1108aが心臓弁ホルダー200のプラットフォーム220を受け入れるように適合する柱1104a上の凹み1108aであることを除いて、図12の実施形態と同様である。第1代替支持構造1100aは、キャップ1404を更に含んでもよい。キャップ1404は、キャップ1404の底縁と支持構造1100aの上縁が互いに面一になるように、支持構造1100a上に嵌合してもよい。キャップ1404は、心臓弁ホルダー200のねじ孔224に嵌合するピン(図示せず)を含む延長部1408を含んでもよい。
【0039】
図16Aは、心臓弁ホルダー200を支持する第2代替支持構造1100bの概略図である。図16Aから分かるように、第2代替支持構造1100bは、心臓弁ホルダー200を受け入れるための開口部を画定する複数の個別の壁を含む。第2代替支持構造1100bは、弁ホルダー200の第3接続要素に接続される第4接続要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第4接続要素は、複数の壁を接続する第2プラットフォーム1116bに装着される柱1104bであり、これにより、第4接続要素1108bは、開口部の中心に位置決めされる。互いに分離された複数の壁のそれぞれには、支持構造1100bを安定させるための支持体が設置されてもよい。理解されるように、第2プラットフォームによって接続された複数の個別の壁を含む第2代替支持構造1100bは、一体構造を形成してもよい。いくつかの実施形態では、柱は、第3接続要素236cの延長アームと相補的な形状を有する頂部を含んでもよい。図16Bは、柱1104bを備えた第2代替支持構造1100bによって支持されている心臓弁ホルダー200を示している。弁ホルダー200を第2代替支持構造1100bに固定するために、使用者は、第3接続要素236cと第4接続要素1108bを位置合わせしてもよい。その後に、使用者は、第3接続要素のアーム236cが外側に偏向し、その結果として第4接続要素1108bを受け入れるまで、ハンドルと人工弁を保持する弁ホルダーとからなるアセンブリを時計回りに回転させて、弁ホルダー200を第2代替支持構造1100bに固定してもよい。その後に、使用者は、ハンドル700を反時計回りに回転させて、ハンドル700を弁ホルダー200から解放してもよい。弁ホルダー200によって保持されている人工弁を回収するために、使用者は、ハンドル700を使用し、ロッドを完全なねじ込み位置まで時計回りに回転させることによりハンドル700を弁ホルダー200に接続してもよい(図16Cを参照)。ハンドル700を同じ方向に更に回転させることにより、第3接続要素の延長アーム236cが外側に偏向されて(延長アームの先端の間の距離が広がる)、弁ホルダー200を支持構造1100bから係合解除させる。その後に、使用者は、弁ホルダー200を支持構造1100bから持ち上げて外してもよい(図16D~16Eを参照)。延長アーム236cの曲げ又は偏向を容易にするために、このようなアームは、先細状の内面を有してもよい。この内面は、第2接続要素と接触する可能性がある内面である。上述したように、心臓弁ホルダーを支持する支持構造の形状は、図16Aに限定されず、支持構造は、他の適切な形状で提供されてもよい。
【0040】
図17A、17B、17C、17D及び17Eは、本開示のいくつかの実施形態に係る心臓弁ホルダー200を使用して患者の心臓1504に人工心臓弁304を移植するプロセスの概略図である。移植前に、施術者は、定規部724を含む実施形態のハンドル700b又は700cを使用して、患者の心臓弁及び本来の弁輪(native valve annulus)1508の寸法を測定し、移植に適切な弁を選択してもよい。施術者はまた、定規部724を使用して弁輪の高さを測定し、人工心臓弁304上の索状物316の長さを調整してもよい。選択された人工心臓弁を移植する前に、施術者は、人工心臓弁を受け入れる患者の心臓弁の弁輪のサイズを決定することにより、心臓弁ホルダー200を選択してもよい。施術者はまた、プロリーン縫合糸を使用して患者の本来の弁輪1508上の特定の目印をマークし、人工心臓弁304の弁輪308の患者の本来の弁輪1508への配向及びその後の取り付けを支援してもよい。いくつかの実施形態では、僧帽弁輪の目印は、左右の交連及び後輪の中点、即ち、右線維三角に対応する僧帽弁輪上の2時の位置、左線維三角に対応する僧帽弁輪上の10時の位置及び後輪の中点に対応する僧帽弁輪上の6時の位置であってもよい。いくつかの実施形態では、僧帽弁輪の目印は、右線維三角に対応する僧帽弁輪上の2時の位置、後尖の中央及び後側弁帆(scallop)との間の点に対応する僧帽弁輪上の4時の位置、僧帽弁の後尖の前側及び中央弁帆との間の点に対応する僧帽弁輪上の8時の位置、及び左線維三角に対応する僧帽弁輪上の10時の位置であってもよい。
【0041】
図17Aに示すように、蓋1312は、レセプタクル1308から取り外される。施術者は、ハンドル700のねじ付き部分728をねじ孔224に挿入し、ハンドル700を時計回りに回転させることにより、ハンドル700を心臓弁ホルダー200に接続してもよい。施術者は、ハンドル700を時計回りに回転させ続けて心臓弁ホルダー200を回転させて、心臓弁ホルダー200を支持構造1100から取り外してもよい。
【0042】
図17Bに示すように、施術者は、心臓弁ホルダー200及びハンドル700を含む装置100をレセプタクル1308から取り外し、人工心臓弁304を心臓弁ホルダー200に取り付けるか、装着するか又は固定してもよい。人工心臓弁304は、上述したように安全縫合糸320で心臓弁ホルダー200に取り付けられるか又は装着されるか又は固定されてもよい。
【0043】
図17Cに示すように、施術者は、ダブルアーム針を備えたプレジェードゴアテックス縫合糸を使用して、対応する乳頭筋1512の先端から先端の約5mm以内に人工心臓弁304の対応する索状物316まで水平マットレス(horizontal mattress)を配置してもよい。施術者は更に、患者の本来の弁輪1508から人工心臓弁304の弁輪308上の対応する位置まで水平マットレスを配置してもよい。施術者は、少なくとも1つの縫合ワイヤ1520を配置して、患者の心臓1504上の指定された外科的開口部(図示せず)を通して患者の心臓1504を人工心臓弁304に接続してもよい。いくつかの実施形態では、施術者は、4本の縫合ワイヤ1520を配置してもよく、2本の縫合ワイヤ1520は、乳頭筋1512を人工心臓弁304上の対応する索状物316に接続し、2本の縫合ワイヤ1520は、本来の弁輪1508を人工心臓弁304の弁輪308に接続する。好ましくは、本来の弁輪1508を人工心臓弁304の弁輪308に接続する2本の縫合ワイヤ1520は、本来の弁輪1508上の2つの交連点に接続される。
【0044】
図17Dに示すように、施術者は、穏やかな滑走操作(gentle gliding manoeuvre)を使用して人工心臓弁304を少なくとも1つの縫合ワイヤ1520に沿ってスライドさせ、指定された外科的開口部(図示せず)を通して装置100及び人工心臓弁304を心臓1504内に挿入してもよい。施術者は、索状物及び乳頭筋に接続された少なくとも1つの縫合ワイヤ1520を締め、少なくとも1つの縫合ワイヤ1520を細結で結び、人工心臓弁304を所定の位置に固定し、余分な縫合ワイヤ1520を切り取ってもよい。任意に、施術者は、手結びを使用して索状物316を乳頭筋1512に固定してもよい。施術者は、人工心臓弁304の弁輪308を患者の本来の弁輪1508に接続する少なくとも1つの縫合ワイヤ1520を一体に締めて、人工心臓弁304の弁輪308を所定の位置にしっかりと取り付けてもよい。任意に、施術者は、患者の本来の弁輪1508上に特定の目印を作成するプロリーン縫合糸(prolene sutures)を使用して、人工心臓弁の弁輪308を配向し、人工心臓弁304を本来の弁輪1508に固定してもよい。
【0045】
図17Eに示すように、人工心臓弁304を患者の心臓1504に移植した後、施術者は、目に見える任意の位置で安全縫合糸320を切断して、安全縫合糸320を除去してもよい。その後に、施術者は、指定された外科的開口部(図示せず)を通って装置100を患者の心臓1504から引き抜いてもよい。施術者は更に、乳頭筋1512の先端に結び目を作り、索状物316を乳頭筋に固定してもよい。その後に、施術者は、本来の弁輪1508及び人工心臓弁304の弁輪308の全周に交連縫合糸(commissural stitches)を通し、それらが交わる場所で結び合せてもよい。好ましくは、交連縫合糸は、各側から連続的に来る。
【0046】
上述した方法及び装置は、ステップの省略又は追加、ステップの順序位及び使用されるデバイスのタイプの変更を含む多くの方法で変更できることを理解されたい。異なる特徴は異なる方法で組み合わせることができることを理解されたい。特に、特定の実施形態において以上に示した特徴の全ては、本開示の全ての実施形態において必要であるわけではない。上記特徴の更なる組み合わせも、本開示のいくつかの実施形態の範囲内に含まれるとみなされる。
【0047】
当業者は、本発明が以上で特に示され説明されたものに限定されないことを理解されたい。むしろ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定義される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図17A
図17B
図17C
図17D
図17E
【国際調査報告】