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特表2024-535073シリコーン-ポリオレフィンハイブリッドエラストマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】シリコーン-ポリオレフィンハイブリッドエラストマー
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/08 20060101AFI20240918BHJP
   C08L 23/26 20060101ALI20240918BHJP
   C08L 23/02 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
C08L83/08
C08L23/26
C08L23/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518124
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 US2022045139
(87)【国際公開番号】W WO2023055872
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/249,755
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】キーン、ザッカリー
(72)【発明者】
【氏名】アン、ドンチャン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ノエル モウアー
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ジン
(72)【発明者】
【氏名】エンダー、ケイシー ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ウォーラー、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】クルトマンシュ、マルク-アンドレ
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BB03Y
4J002BB05Y
4J002BB21X
4J002CP03Z
4J002CP045
4J002CP09W
4J002DJ016
4J002EK047
4J002EZ008
4J002FD01W
4J002FD01X
4J002FD02Y
4J002GB00
4J002GC00
4J002GF00
4J002GJ00
4J002GQ00
4J002HA09
(57)【要約】
シリコーン-ポリオレフィン組成物が開示される。シリコーン-ポリオレフィン組成物は、(A)ポリシロキサン、(B)官能基化ポリオレフィン、(C)構成成分(A)又は(B)と反応可能ではないポリオレフィン、及び(D)エラストマー構成成分又は液状ゴムのうちの少なくとも1つを含む硬化性シリコーンを含む。ポリシロキサン(A)は、1分子当たり平均して少なくとも1つの官能基Xを含み、官能基化ポリオレフィン(B)は、1分子当たり平均して少なくとも1つの官能基Yを含み、官能基Xと官能基Yとが、それらの間に結合を形成するように反応可能である。シリコーン-ポリオレフィンブレンド、シリコーン-ポリオレフィンブレンドを含む硬化性組成物、硬化性組成物の硬化生成物、並びにシリコーン-ポリオレフィンブレンド、硬化性組成物、及び硬化生成物を調製する方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン-ポリオレフィン組成物であって、
(A)1分子当たり平均して少なくとも1つの官能基Xを含むポリシロキサンと、
(B)1分子当たり平均して少なくとも1つの官能基Yを含む官能基化ポリオレフィンであって、前記官能基Yが、間に結合を形成するように、前記ポリシロキサン(A)の前記官能基Xと反応可能である、官能基化ポリオレフィンと、
(C)構成成分(A)又は(B)と反応可能ではないポリオレフィンと、
(D)エラストマー構成成分又は液状ゴムのうちの少なくとも1つを含む硬化性シリコーンと、を含む、シリコーン-ポリオレフィン組成物。
【請求項2】
前記ポリシロキサン(A)が、以下の平均単位式を有し、
[X 3-mSiO1/2[X 2-nSiO2/2b、
式中、Xは、上記で定義された官能基であり、各Rは、独立して選択されるヒドロカルビル基であり、下付き文字mは、下付き文字aによって示される各部分において独立して1又は0であり、下付き文字nは、下付き文字bによって示される各部分において独立して1又は0であり、下付き文字a及びbは各々、a+b=1となるようなモル分率であり、ただし、0<a<1、0<b<1であり、かつ前記ポリシロキサン(A)は、少なくとも1つの官能基Xを含む、請求項1に記載のシリコーン-ポリオレフィン組成物。
【請求項3】
(i)各官能基Xが、アミノアルキル基、メタクリルオキシ基、ケイ素結合ヒドロキシル基、無水物基、ケイ素結合水素原子、オレフィン性不飽和基、若しくはカルビノール基を含むか、(ii)前記ポリシロキサン(A)が、25℃で少なくとも3,000cPの粘度を有するか、(iv)前記ポリシロキサン(A)が、20~1,200の重合度(DP)を有するか、(iv)前記ポリシロキサン(A)が、前記シリコーン-ポリオレフィン組成物の総重量に基づいて、0.5~15重量%の量で前記シリコーン-ポリオレフィン組成物中に存在するか、又は(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせである、請求項1又は2に記載のシリコーン-ポリオレフィン組成物。
【請求項4】
(i)前記官能基化ポリオレフィン(B)が、官能基化ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、若しくはポリエチレン-アルファオレフィンコポリマーを含むか、(ii)各官能基Yが、エポキシド基、アミノアルキル基、トリメトキシシリル基、ヒドリドシリル基、若しくは無水物基を含むか、(iii)前記官能基化ポリオレフィン(B)が、0.86~0.96g/cmの密度を有するか、(iv)前記官能基化ポリオレフィン(B)が、前記官能基化ポリオレフィン(B)の総重量に基づいて、0.05~10重量%の前記官能基Yを含む官能性部分で官能基化されているか、(v)前記官能基化ポリオレフィン(B)が、前記シリコーン-ポリオレフィン組成物の前記総重量に基づいて、1~40重量%の量で前記シリコーン-ポリオレフィン組成物中に存在するか、又は(vi)(i)~(v)の任意の組み合わせである、請求項1~3のいずれか一項に記載のシリコーン-ポリオレフィン組成物。
【請求項5】
前記硬化性シリコーン(D)が、前記エラストマー構成成分を含み、前記エラストマー構成成分が、(i)反応硬化性オルガノシロキサンを含むか、(ii)充填剤を含むか、(iii)ポリジオルガノシロキサンガムとして更に定義されるか、(iv)オレフィン性不飽和を含むか、(v)前記シリコーン-ポリオレフィン組成物の前記総重量に基づいて、55~99重量%の量で前記シリコーン-ポリオレフィン組成物中に存在するか、(vi)前記官能基化ポリオレフィン(B)と非混和性であるか、又は(vii)(i)~(vi)の任意の組み合わせである、請求項1~4のいずれか一項に記載のシリコーン-ポリオレフィン組成物。
【請求項6】
前記ポリオレフィン(C)が、(i)未使用のポリオレフィンを含むか、(ii)再生ポリオレフィンを含むか、(iii)ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、若しくはポリエチレン-アルファオレフィンコポリマーを含むか、(iv)前記シリコーン-ポリオレフィン組成物の総重量に基づいて、1~40重量%の量で前記シリコーン-ポリオレフィン組成物中に存在するか、又は(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせである、請求項1~5のいずれか一項に記載のシリコーン-ポリオレフィン組成物。
【請求項7】
(i)前記ポリシロキサン(A)の前記官能基Xと前記官能基化ポリオレフィン(B)の前記官能基Yとの間のカップリング反応を促進することができる(E)触媒、(ii)反応抑制剤、又は(iii)(i)及び(ii)の両方を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のシリコーン-ポリオレフィン組成物。
【請求項8】
前記シリコーン-ポリオレフィン組成物が、(i)担体ビヒクルを含まないか、(ii)反応触媒若しくは促進剤を含まないか、(iii)シリコーン中ポリオレフィン分散体として更に定義されるか、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、請求項1~7のいずれか一項に記載のシリコーン-ポリオレフィン組成物。
【請求項9】
シリコーン-ポリオレフィンブレンドを調製する方法であって、前記方法が、
前記ポリシロキサン(A)、前記官能基化ポリオレフィン(B)、前記ポリオレフィン(C)、及び前記硬化性シリコーン(D)を組み合わせて、請求項1~8のいずれか一項に記載のシリコーン-ポリオレフィン組成物を調製することと、
前記ポリオレフィン(C)及び前記硬化性シリコーン(D)の存在下で前記ポリシロキサン(A)と前記官能基化ポリオレフィン(B)とを反応させ、それによって前記シリコーン-ポリオレフィンブレンドを調製することと、を含む、方法。
【請求項10】
前記ポリオレフィン(C)及び前記硬化性シリコーン(D)の存在下で前記ポリシロキサン(A)と前記官能基化ポリオレフィン(B)とを反応させることが、(i)前記シリコーン-ポリオレフィン組成物を、前記官能基化ポリオレフィン(B)の融点よりも高く、かつ前記ポリオレフィン(C)の融点よりも高い温度で溶融ブレンドすることを含むか、(ii)前記シリコーン-ポリオレフィン組成物を押出することを含むか、(iii)実質的に溶媒を含まない条件下で行われるか、(iv)前記ポリシロキサン(A)の前記官能基Xと前記官能基化ポリオレフィン(B)の前記官能基Yとの間のカップリング反応を促進することができる(E)触媒の存在下で行われるか、又は(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の方法に準拠して調製された、シリコーン-ポリオレフィンブレンド。
【請求項12】
請求項11に記載のシリコーン-ポリオレフィンブレンドと、硬化剤と、を含む、硬化性組成物。
【請求項13】
(i)前記硬化剤が、ラジカル開始剤及び/又は光開始剤を含むか、(ii)前記硬化性組成物が、担体ビヒクルを含まないか、又は(iii)(i)及び(ii)の両方である、請求項12に記載の硬化性組成物。
【請求項14】
硬化生成物を調製する方法であって、前記方法が、請求項12又は13に記載の硬化性組成物を硬化させ、それによって前記硬化生成物を調製することを含む、方法。
【請求項15】
請求項12又は13に記載の硬化性組成物の、又は請求項14に記載の方法に準拠して調製された、硬化生成物。
【請求項16】
請求項1~8のいずれか一項に記載のシリコーン-ポリオレフィン組成物、請求項11に記載のシリコーン-ポリオレフィンブレンド、請求項12若しくは13に記載の硬化性組成物、又は請求項15に記載の硬化生成物の、消費者向けウェアラブル電子機器、消費者向けパッケージ若しくは分配材物品及び/若しくは製品、振動絶縁構成要素、ワイヤ及びケーブル用途における電気的保護、及び/又は基材上へのコーティング若しくは共成形における、使用。
【請求項17】
表面を有する物品の触覚特性を改善する方法であって、前記方法が、前記物品の前記表面上に、請求項1~8のいずれか一項に記載のシリコーン-ポリオレフィン組成物、請求項11に記載のシリコーン-ポリオレフィンブレンド、請求項12若しくは13に記載の硬化性組成物、又は請求項15に記載の硬化生成物で層を形成することを含む、方法。
【請求項18】
請求項15に記載の硬化生成物を含む物品であって、前記物品が、消費者向けウェアラブル電子機器、消費者向けパッケージ若しくは分配材物品及び/若しくは製品、振動絶縁構成要素、ワイヤ若しくはケーブル、又は消費者向けインターフェース構成要素として更に定義されている、物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月29日に出願された米国仮特許出願第63/249,755号の優先権及び全ての利点を主張するものであり、その内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、シリコーン組成物に関し、より詳細には、ハイブリッドシリコーン-ポリオレフィン組成物、関連する硬化性組成物、及びそれによって形成されたシリコーン-ポリオレフィンハイブリッドエラストマーに関する。
【背景技術】
【0003】
シリコーンは、主にそれらの有する利点がそれらの炭素系類似体に対して顕著であるため、多くの市販用途に使用されるポリマー材料である。より厳密には重合シロキサン又はポリシロキサンと呼ばれるシリコーンは、無機ケイ素-酸素骨格鎖(...-Si-O-Si-O-Si-O-...)を含み、有機側基がケイ素原子に結合している。有機側基を用いて、これらの骨格のうちの2つ以上を一緒に連結することができる。-Si-O-鎖長、側基及び架橋を変化させることにより、多種多様な特性及び組成を有するシリコーンを合成することができ、シリコーン網目構造では、液体からゲル、ゴム、硬質プラスチックまで稠度が変化する。シリコーン及びシロキサン系材料は、多種多様な工業用、ホームケア、及びパーソナルケア配合物中の構成成分としてなど、無数の最終用途及び環境において利用されている。
【0004】
最も一般的なシリコーン材料は、線状オルガノポリシロキサンポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane、PDMS)、シリコーン油をベースとし、続いて分岐状及びかご状オリゴシロキサンで形成されたシリコーン樹脂をベースとするものである。これらの材料の多くは、低損失で安定した光透過能、高い熱安定性及び酸化安定性、並びに生体適合性を含む、オルガノポリシロキサンの固有の属性に起因する向上した性能及び利点を提供することによって、独自の技術を可能にする。
【0005】
残念なことに、多くの技術において広く成功しているにもかかわらず、特定の用途におけるシリコーン材料の使用は、多くの従来のシロキサンの望ましくない属性、例えば、低い引張強度、低い引裂強度などの不十分又は不適切な特徴を有する材料で明らかになり得るそれらの弱い機械的特性に起因して、実行可能であっても制限されたままである。したがって、ポリオレフィン、ポリアクリレート、及びポリウレタン樹脂をベースとするものなどの炭素系ポリマーが、シリコーンの特定の固有の属性から利点を得ることができる用途で頻繁に用いられる。更に問題を複雑にしているのは、従来のシロキサンは、典型的には非混和性及び/又は互いに拮抗する特性を示すために、ほとんどの炭素系ポリマーと非相溶性であることである。
【発明の概要】
【0006】
シリコーン-ポリオレフィン組成物(「組成物」)が提供される。この組成物は、(A)1分子当たり平均して少なくとも1つの官能基Xを含むポリシロキサン、(B)1分子当たり平均して少なくとも1つの官能基Yを含む官能基化ポリオレフィン、(C)構成成分(A)又は(B)と反応可能ではないポリオレフィン、及び(D)エラストマー構成成分又は液状ゴムのうちの少なくとも1つを含む硬化性シリコーンを含む。ポリシロキサン(A)の官能基Xと官能基化ポリオレフィン(B)の官能基Yとが、それらの間に結合を形成するように反応可能である。
【0007】
シリコーン-ポリオレフィンブレンドを調製する方法(「調製方法」)も提供される。この調製方法は、ポリシロキサン(A)、官能基化ポリオレフィン(B)、ポリオレフィン(C)、及び硬化性シリコーン(D)を組み合わせて、シリコーン-ポリオレフィン組成物を調製することと、ポリオレフィン(C)及び硬化性シリコーン(D)の存在下で、ポリシロキサン(A)と無水物官能性ポリオレフィン(B)とを反応させ、それによってシリコーン-ポリオレフィンブレンドを調製することと、を含む。
【0008】
この調製方法に準拠して調製されたシリコーン-ポリオレフィンブレンドも提供される。
【0009】
硬化性組成物が更に提供される。硬化性組成物は、シリコーン-ポリオレフィンブレンド及び硬化剤を含む。
【0010】
硬化性組成物の硬化生成物、及び硬化生成物を調製する方法も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
シリコーン-ポリオレフィン組成物(「組成物」)が本明細書で提供される。本明細書の説明から理解されるように、組成物は、シリコーン構成成分及びポリオレフィン構成成分の両方を含有するハイブリッド組成物を提供し、溶媒を用いずに調製及び使用され得る。シリコーン及びポリオレフィン構成成分は、互いに非混和性であるか、そうでなければ非相溶性であると一般に理解されているので、利用される特定の化合物及び条件は、従来の方法及び材料では得ることができない場合がある所望の特徴及び特性を示す独自のハイブリッド材料を提供する。同様に、組成物は、多くの機能性組成物及びその構成成分の効率的かつ経済的な調製のためのプラットフォームとして利用されてもよく、これには、従来の材料での使用には、たとえ実用的であったとしてもあまり適していないいくつかの用途が含まれる。実際、相溶化されたシリコーン-ポリオレフィンブレンド、それによって調製された硬化性組成物、及びそれから調製された硬化生成物、並びにそれらの各々を作製する方法も本明細書で提供され、以下の実施例において例示される。
【0012】
この開示を考慮して、当業者であれば、本発明の組成物の独自の構造的及び物理的特徴が、溶融ブレンド及び反応押出などの有用な製造技術と適合性があり、かかる技術を従来の材料とともに使用することに固有の特定の欠点がないことを容易に理解するであろう。追加的に、本明細書に記載及び例示されるように、本発明の組成物は、改善された靭性(例えば、増加した引裂強度)及び耐薬品性(例えば、増加した溶媒膨潤耐性)、満足のいく伸び及び引張強度、並びに望ましい触覚を有する射出成形可能な物品を含む、向上した性能特徴を有する製品の調製を可能にする。かかる物品は、従来の材料によって提供される特定の性能特徴が相互に排他的であることが多く、いずれか1つの特性を向上させることがユーザの肯定的な触覚体験を低下させる可能性がある消費者物品において特に用いられ得る。
【0013】
「エチレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント(重量%)超の重合エチレンモノマーを含有し、任意選択的に少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。エチレン系ポリマーは、エチレンホモポリマー、及びエチレンコポリマー(エチレン及び1つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。「エチレン系ポリマー」及び「ポリエチレン」という用語は、同義的に使用されてもよい。エチレン系ポリマー(ポリエチレン)の非限定的な例としては、低密度ポリエチレン(low density polyethylene、LDPE)及び線状ポリエチレンが挙げられる。線状ポリエチレンの非限定的な例としては、線状低密度ポリエチレン(linear low density polyethylene、LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ultra low density polyethylene、ULDPE)、超低密度ポリエチレン(very low density polyethylene、VLDPE)、多構成成分エチレン系コポリマー(multi-component ethylene-based copolymer、EPE)、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー(オレフィンブロックコポリマー(olefin block copolymer、OBC)とも呼ばれる)、実質的に線状又は線状のプラストマー/エラストマー、及び高密度ポリエチレン(high density polyethylene、HDPE)が挙げられる。
【0014】
高密度ポリエチレン(又は「HDPE」)は、少なくとも1つのC4~C10α-オレフィンコモノマー若しくはC4~C8α-オレフィンコモノマーを有するエチレンホモポリマー又はエチレン/α-オレフィンコポリマーであり、少なくとも0.940g/cm、又は少なくとも0.945g/cm、又は少なくとも0.950g/cm、例えば、0.953g/cm~0.955g/cm、又は少なくとも0.960g/cm、又は少なくとも0.965g/cm、又は少なくとも0.970g/cm、又は少なくとも0.975g/cm、又は少なくとも0.980g/cmの密度である。HDPEは、単峰性コポリマー又は多峰性コポリマーであってもよい。「単峰性エチレンコポリマー」は、分子量分布を示すゲル浸透クロマトグラフィ(gel permeation chromatography、GPC)において1つの明確なピークを有するエチレン/C4~C10α-オレフィンコポリマーである。「多峰性エチレンコポリマー」は、分子量分布を示すGPC中に少なくとも2つの異なるピークを有するエチレン/C4~C10α-オレフィンコポリマーである。多峰性としては、2つのピークを有するコポリマー(二峰性)、並びに3つ以上のピークを有するコポリマーが挙げられる。
【0015】
「低密度ポリエチレン」(又は「LDPE」)は、エチレンホモポリマー、又は、0.915g/cm~0.940g/cmの密度を有し、幅広いMWDを有する長鎖分岐を含有する少なくとも1つのC3~C10α-オレフィンを含むエチレン/α-オレフィンコポリマーからなる。
【0016】
「線状低密度ポリエチレン」(又は「LLDPE」)は、エチレンに由来する単位及び少なくとも1つのC3~C10α-オレフィンコモノマーに由来する単位を含む不均一な短鎖分岐分布を含有する線状エチレン/α-オレフィンコポリマーである。LLDPEは、従来のLDPEとは対照的に、長鎖分岐が、あるとしてもわずかしか存在しないことを特徴とする。LLDPEは、0.910g/cm~0.940g/cm未満の密度を有する。
【0017】
「オレフィン系ポリマー」又は「ポリオレフィン」は、(ポリマーの重量に基づいて)、例えば、エチレン又はプロピレンなどの、過半量又は50重量%を超える重合オレフィンモノマーを含有するポリマーであり、任意選択的に、少なくとも1つのコモノマーを含有し得る。オレフィン系ポリマーの非限定的な例は、エチレン系ポリマー及びプロピレン系ポリマーである。
【0018】
「プロピレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量%超の重合プロピレンモノマーを含有し、任意選択的に少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。「プロピレン系ポリマー」及び「ポリプロピレン」という用語は、交換可能に使用され得る。
【0019】
「超低密度ポリエチレン」(又は「ULDPE」)及び「超低密度ポリエチレン」(又は「VLDPE」)は各々、エチレンに由来する単位と少なくとも1つのC3~C10α-オレフィンコモノマーに由来する単位とを含む不均一な短鎖分岐分布を含む線状エチレン/α-オレフィンコポリマーである。ULDPE及びVLDPEは各々、0.885g/cm~0.915g/cmの密度を有する。
【0020】
シリコーン-ポリオレフィン組成物は、概して、(A)ポリシロキサン、(B)官能基化ポリオレフィン、(C)構成成分(A)又は(B)と反応可能ではないポリオレフィン、及び(D)エラストマー構成成分又は液状ゴムのうちの少なくとも1つを含む硬化性シリコーンを含む。ポリシロキサン(A)は、1分子当たり平均して少なくとも1つの官能基Xを含み、官能基化ポリオレフィン(B)は、1分子当たり平均して少なくとも1つの官能基Yを含む。いくつかの実施形態では、ポリシロキサン(A)は、1分子当たり平均して少なくとも2つの官能基Xを含む。これらの又は他の実施形態では、官能基化ポリオレフィン(B)は、1分子当たり平均して少なくとも2つの官能基Yを含む。本明細書の説明及び実施例を考慮して理解されるように、ポリシロキサン(A)の官能基Xと官能基化ポリオレフィン(B)の官能基Yとが、それらの間に結合を形成する、すなわち、ポリシロキサン(A)及び官能基化ポリオレフィン(B)をカップリングするように、反応可能である(例えば、付加官能性反応を介して)。
【0021】
ポリシロキサン(A)、官能基化ポリオレフィン(B)、ポリオレフィン(C)、及び硬化性シリコーン(D)は、本明細書ではシリコーン-ポリオレフィン組成物の「構成成分」(すなわち、それぞれ「構成成分(A)」、「構成成分(B)」、「構成成分(C)」、「構成成分(D)」など)又は同様に「化合物」及び/又は「試薬」(A)、(B)、(C)、及び/又は(D)などと総称され得るシリコーン-ポリオレフィン組成物中に存在し得る追加の化合物とともに以下に順次記載される。
【0022】
上記で紹介したように、シリコーン-ポリオレフィン組成物は、ポリシロキサン(A)を含む。当業者によって理解されるように、ポリシロキサンは、シロキサン骨格、すなわち、無機ケイ素-酸素-ケイ素基(すなわち、-Si-O-Si-)から構成される少なくとも半連続鎖を含み、有機ケイ素及び/又は有機側基がケイ素原子に結合しているケイ素系化合物である。かかるシロキサンは、典型的には、[M]、[D]、[T]、及び/又は[Q]単位/シロキシ基の数、種類、及び/又は割合に関して特徴付けられ、これらは各々、オルガノシロキサン及びオルガノポリシロキサンなどのポリシロキサン中に存在する個々の官能基の構造単位を表す。具体的には、[M]は、一般式R’’SiO1/2の、単官能性単位を表し、[D]は、一般式R’’SiO2/2の二官能性単位を表し、[T]は、一般式R’’SiO3/2の三官能性単位を表し、かつ[Q]は、一般式SiO4/2の四官能性単位を表し、以下の一般的な構造部分で示される:
【0023】
【化1】
【0024】
これらの一般的な構造部分において、各R’’は、独立して、一価又は多価の置換基である。当該技術分野で理解されるように、各R’’に好適な具体的な置換基は、特に限定されるものではない(例えば、単原子又は多原子、有機又は無機、線状又は分岐状、置換又は非置換、芳香族、脂肪族、飽和又は不飽和など、及びそれらの様々な組み合わせであり得る)。典型的な例では、各R’’は、ヒドロカルビル基、アルコキシ基及び/又はアリールオキシ基、並びにシロキシ基から独立して選択される。R’’に好適なヒドロカルビル基に関して、例としては、概して、一価の炭化水素部分、並びにその誘導体及び修飾体が挙げられ、これらは独立して、置換又は非置換であり、線状、分岐状、環状、又はそれらの組み合わせ、かつ飽和又は不飽和であり得る。かかるヒドロカルビル基に関して、「非置換」という用語は、炭素及び水素原子から構成される、すなわち、ヘテロ原子置換基を含まない炭化水素部分を表す。「置換」という用語は、少なくとも1つの水素原子が水素以外の原子若しくは基で置き換えられる(例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アミン基など)(すなわち、ペンダント又は末端置換基として)、炭化水素の鎖/骨格内の炭素原子が炭素以外の原子で置き換えられる(例えば、酸素、硫黄、窒素などのヘテロ原子)(つまり、鎖/骨格の一部として)、又はその両方である炭化水素部分を表す。そのようなものとして、好適なヒドロカルビル基は、炭化水素部分がエーテル、エステルなどを含み得るか、又はそうでなければエーテル、エステルなどと呼ばれ得るように、その炭素鎖/骨格の中及び/又は上(すなわち、付加及び/又は一体)に1つ以上の置換基を有する炭化水素部分を含むか、又はその炭化水素部分であり得る。線状及び分岐状ヒドロカルビル基は、独立して、飽和又は不飽和であり得、不飽和の場合、共役又は非共役であり得る。環状ヒドロカルビル基は、独立して、単環式又は多環式であり得、シクロアルキル基、アリール基、及び複素環を含み、これらは、芳香族、飽和及び非芳香族及び/又は非共役などであり得る。線状及び環状ヒドロカルビル基の組み合わせの例としては、アルカリル基、アラルキル基などが挙げられる。ヒドロカルビル基において又はそれとして使用するのに好適な炭化水素部分の一般的な例としては、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ハロカーボン基など、並びにそれらの誘導体、修飾体、及び組み合わせが挙げられる。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル、及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシルなど(すなわち、他の線状又は分岐状飽和炭化水素基、例えば、6個を超える炭素原子を有する)が挙げられる。アリール基の例としては、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、ベンジル、ジメチルフェニルなど、並びにそれらの誘導体及び修飾体が挙げられ、これらは、アルカリル基(例えば、ベンジル)及びアラルキル基(例えば、トリル、ジメチルフェニルなど)と重複し得る。アルケニル基の例としては、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、ヘプテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル基など、並びにそれらの誘導体及び修飾体が挙げられる。ハロカーボン基の一般的な例としては、ハロゲン化アルキル基(例えば、1つ以上の水素原子がF又はClなどのハロゲン原子で置き換えられている上記のアルキル基のうちのいずれか)、アリール基(例えば、1つ以上の水素原子がF又はClなどのハロゲン原子で置き換えられている上記のアリール基のうちのいずれか)、及びそれらの組み合わせなどの上記の炭化水素部分のハロゲン化誘導体が挙げられる。ハロゲン化アルキル基の例としては、フルオロメチル、2-フルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、4,4,4,3,3-ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフルオロヘキシル、8,8,8,7,7-ペンタフルオロオクチル、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロブチル、3,4-ジフルオロシクロヘキシル、及び3,4-ジフルオロ-5-メチルシクロヘプチル、クロロメチル、クロロプロピル、2-ジクロロシクロプロピル、2,3-ジクロロシクロペンチルなど、並びにそれらの誘導体及び修飾体が挙げられる。ハロゲン化アリール基の例としては、クロロベンジル、ペンタフルオロフェニル、フルオロベンジル基など、並びにそれらの誘導体及び修飾体が挙げられる。R’’に好適なアルコキシ及び/又はアリールオキシ基に関して、例としては、概して、酸素原子を介してケイ素原子に結合した(すなわち、シリルエーテルを形成する)ヒドロカルビル(例えば、アルキル、アリールなど)基が挙げられる。これらの例におけるヒドロカルビル基は、上記のヒドロカルビル基のうちのいずれかを含み得る。R’’に好適なシロキシ基に関して、例としては、概して、上記の[M]、[D]、[T]、及び/又は[Q]単位のいずれか1つ又は組み合わせによって表されるシロキシ基が挙げられる。
【0025】
当業者であれば、[M]、[D]、[T]及び[Q]単位、並びにそれらの相対的割合(すなわち、モル分率)がシロキサンの構造にどのように影響し制御するかを理解しており、ポリシロキサンは、一般に、その中の[M]、[D]、[T]及び/又は[Q]単位の選択に応じて、モノマー、ポリマー、オリゴマー、線状、分岐状、環状、及び/又は樹脂状であり得る。例えば、[T]単位及び/又は[Q]単位は、典型的にはシロキサン樹脂中に存在するが、シロキサンポリマー(例えば、シリコーン)は、典型的にはそのような[T]単位及び/又は[Q]単位を含まない。[D]単位は、典型的には、シロキサン樹脂及びポリマーの両方に存在する。当業者であれば、かかるシロキシ単位の種類及び割合に基づいてシロキサンが命名され得ることも理解するであろう。例えば、上で言及したシロキサン樹脂は、DT樹脂、MQ樹脂、MDQ樹脂などとして特徴付けられ得る。同様に、[T]単位及び/又は[Q]単位に起因する分岐を実質的に含まないシロキサンは、典型的には「線状」と呼ばれる。しかしながら、線状(すなわち、MDM型)シロキサンは、T単位及び/又はQ単位を有する個々の分子を含んでもよく、それでも全体としてのシロキサンの平均単位式に基づいて「線状」とみなされることが理解されるであろう。
【0026】
一般に、ポリシロキサン(A)は、1分子当たり少なくとも1つの官能基Xを有するポリジオルガノシロキサン含有骨格を含む。典型的には、ポリシロキサン(A)は実質的に線状であり、代替的には線状である。かかる場合、当業者であれば、ポリシロキサン(A)が、典型的には、上記のような[T]シロキシ単位及び/又は[Q]シロキシ単位を含まないことを理解するであろう。
【0027】
いくつかの実施形態では、ポリシロキサン(A)は、以下の一般平均単位式を有し、
[X 3-mSiO1/2[X 2-nSiO2/2b、
式中、Xは、上記で定義された官能基であり、各Rは、独立して選択されるヒドロカルビル基であり、下付き文字mは、下付き文字aによって示される各部分において独立して1又は0であり、下付き文字nは、下付き文字bによって示される各部分において独立して1又は0であり、下付き文字a及びbは各々、a+b=1となるようなモル分率であり、ただし、0<a<1、0<b<1であり、かつポリシロキサン(A)は、少なくとも1つの官能基Xを含む。
【0028】
上記のポリシロキサン(A)の一般単位式に関して、Rに好適なヒドロカルビル基は、概して、上記のものによって例示される。典型的には、各Rは、1~30個の炭素原子を有する置換又は非置換ヒドロカルビル基である。例えば、いくつかの実施形態では、各Rは、1~12個、代替的には1~8個、代替的には1~6個の炭素原子を有する独立して選択されるヒドロカルビル基である。いくつかのかかる実施形態では、各Rは、アルキル基、アリール基、又はそれらの組み合わせとして更に定義される。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、独立して選択される置換又は非置換アルキル基を表す。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基(例えば、n-プロピル及びイソ-プロピル基)、ブチル基(例えば、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、及びtert-ブチル基)、ペンチル基、ヘキシル基など、並びにそれらの誘導体及び/又は修飾体が挙げられる。かかるアルキル基の誘導体及び/又は修飾体の例としては、それらの置換型が挙げられ、例えば、ヒドロキシエチル基は、上記のエチル基の誘導体及び/又は修飾体であると理解される。
【0029】
各Rは、ポリシロキサン(A)の他のRと同じであっても異なっていてもよい。ある特定の実施形態では、各Rは、ポリシロキサン(A)の各他のRと同じである。例えば、いくつかの実施形態では、各Rはメチルである。他の実施形態では、少なくとも1つのRは、ポリシロキサン(A)の少なくとも1つの他のRとは異なる。例えば、ある特定の実施形態では、Rは、ポリシロキサン(A)全体にわたって主にメチルであり、1つ以上の他の基がポリジオルガノシロキサン骨格から少量(例えば、ポリシロキサン(A)の調製、環境反応又は不純物などから)ぶら下がっている。いくつかの実施形態では、各Rは、フルオロアルキル基であり、すなわち、その結果、ポリシロキサン(A)は、フルオロシリコーン又はフルオロポリシロキサンとして更に定義され得るか、又はそのように称され得る。
【0030】
上記で紹介したように、ポリシロキサン(A)は、上記のポリシロキサン(A)の一般式中の部分Xによって表されるように、1分子当たり平均して、少なくとも1つの官能基を含む。しかしながら、いくつかの実施形態では、ポリシロキサン(A)は、1分子当たり平均して少なくとも2つの官能基Xを含む。
【0031】
本明細書に記載されるように、ポリシロキサン(A)の官能基Xは、間に結合を形成するように、官能基化ポリオレフィン(B)の官能基Yと反応可能である。換言すれば、1つの官能基X及び1つの官能基Yは、ポリシロキサン(A)及び官能基化ポリオレフィン(B)を一緒に共有結合させるために、一緒に反応することができる(すなわち、カップリング反応、架橋反応などを介して)。本明細書で使用される「カップリング」、「カップリング可能」、「反応可能」、「架橋」、及び「架橋可能」などの用語は、反応に対する任意の方向性を暗示することを意図するものではなく、代わりに、基X及びYによって促進されるカップリングを、それらの間の反応における特定の反応性又は役割に関して推論することなく指すために、慣習的な意味で理解されることを理解されたい。本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、構成成分(A)及び/又は(B)の平均分子は、ポリシロキサン(A)の単一分子が、平均して、官能基化ポリオレフィン(B)の2つ以上の分子に少なくとも1回、又は同様に、官能基化ポリオレフィン(B)の単一分子に少なくとも2回カップリングすることができるように、カップリング反応に関与することができる少なくとも2つの基を有する。
【0032】
一般に、各官能基Xは、上述のカップリング/架橋反応に関与し得る官能基を含み、代替的にはそのような官能基である。かかる官能基の例は、典型的には、置換反応、付加反応、カップリング反応、又はそれらの組み合わせを介して反応性である。かかる反応の具体例としては、求核置換、開環付加、アルコキシル化及び/又はトランスアルコキシル化、ヒドロシリル化、オレフィンメタセシス、縮合、ラジカルカップリング及び/又は重合など、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。したがって、官能基Xは、ヒドロシリル化可能な官能基(例えば、ケイ素結合水素原子、オレフィン性(すなわち、エチレン性)不飽和基、例えばアルケニル基、アルキニル基など)、縮合可能な官能基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルビノール基、アルコキシシリル基、シラノール基、アミド基、無水物基など、又は加水分解可能でその後縮合可能な基)、置換可能な官能基(例えば、当該技術分野で理解されるような「脱離基」、例えばハロゲン原子、又は一旦置換されるとイオン形態で安定な他の基、又はかかる脱離基を含む官能基、例えばエステル、無水物、アミド、エポキシドなど)、求核性の官能基(例えば、孤立電子対を有するヘテロ原子、アニオン性又はアニオン化可能な基など、例えばヒドロキシル基(例えば、カルビノール)、アミン基、チオール基、シラノール基、カルボン酸基など)、求電子的な官能基(例えば、イソシアネート、エポキシドなど)、又はそれらの様々な組み合わせを含み得るか、又はそれらであり得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つ、代替的には少なくとも2つ、代替的には各々の官能基Xは、ヒドロシリル化可能な基であり、したがって、オレフィン性不飽和基(例えば、エチレン性不飽和基)及びHから選択される。いくつかのかかる実施形態では、Xによって表される各ヒドロシリル化可能な基は、ポリシロキサン(A)が水素化ケイ素官能性であるように、Hである。他のかかる実施形態では、Xで表される各ヒドロシリル化可能な基は、エチレン性不飽和基である。
【0034】
エチレン性不飽和基の例としては、概して、少なくとも1つのアルケン官能基又はアルキン官能基を有する置換又は非置換炭化水素基が挙げられる。例えば、ある特定の実施形態では、各官能基Xは、アルケニル基又はアルキニル基を含み、代替的にはアルケニル基又はアルキニル基である。その具体例としては、HC=CH-、HC=CHCH-、HC=CHCHCH-、HC=CH(CH-、HC=CH(CH-、HC=C(CH)-、HC=C(CH)CH-、HC=C(CH)CHCH-、HC=C(CH)CHCH(CH)-、HC=C(CH)CH(CH)CH-、HC=C(CH)C(CH-、HC≡C-、HC≡CCH-、HC≡CCH(CH)-、HC≡CC(CH-、及びHC≡CC(CHCH-が挙げられる。具体的な実施形態では、各官能基Xは、ビニル基を含み、代替的にはビニル基である。
【0035】
官能基Xが上記エチレン性不飽和基のうちの1つを含む実施形態では、官能基Xは、エチレン性不飽和基とポリシロキサン(A)のケイ素原子との間に二価の連結基を含み得ることが理解されるであろう。かかる二価の連結基の例としては、アルキル基などの上記のヒドロカルビル基の二価型が挙げられる。例えば、官能基Xは、式HC=CH-(CH-を有してもよく、これは、ブチレン連結基を有するアルケニル基HC=CHCH-、メチレン連結基を有するアルケニル基HC=CH(CH-などを表すと考えられ得る。ある特定の実施形態では、各官能基Xは、ケイ素結合メタクリルオキシアルキル基などのメタクリルオキシ基を含み、代替的にはそのメタクリルオキシ基である。
【0036】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つ、代替的には少なくとも2つ、代替的には各々の官能基Xは、縮合可能な基、すなわち、縮合反応に関与することができる基を含み、代替的にはその基である。具体的な実施形態では、各官能基Xは、無水物基、アミン基、シラノール基、カルビノール基、及びアルコキシシリル基から選択される縮合可能な基を含む。
【0037】
官能基Xに好適な無水物の例としては、概して、モノカルボン酸(例えば、酢酸、乳酸、プロパン酸、ペンタン酸、メタクリル酸など)の無水物(これは、ホモアニドリド(homoanydride)又は混合無水物であってもよい)の他に、ポリカルボン酸、例えば、スクシネート(すなわち、コハク酸無水物)、マレエート(すなわち、マレイン酸無水物)、フタレートなども挙げられる。当業者であれば、ポリシロキサン(A)のケイ素原子への無水物の結合に関して、かかる無水物を用いて様々な置換パターンが可能であることを理解するであろう。典型的には、かかる無水物は、ポリシロキサン(A)を調製するためにシロキサンポリマー上にグラフト化されてもよく、したがって、当業者であれば、例えば、ポリシロキサン(A)への直接グラフト化を介して、又は代わりに、無水物を調製するための最初のグラフト化及び後続の反応を介して同じく利用され得る他の無水物、及びカルボン酸/カルボキシレートの適用性を理解するであろう。例えば、少なくとも1つのオレフィン性不飽和基を含有する無水物、例えばアルケニルコハク酸無水物、ブロモマレイン酸無水物、クロロマレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、メチルナジック酸無水物、ナジック酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物などが、シロキサン上に(例えば、ヒドロシリル化を介して)グラフト化され得る。フリーラジカルベースのグラフトスキームを使用して、無水マレイン酸及びビニルシロキサンなどの試薬から無水物官能性シロキサンを生成することもできる。
【0038】
官能基Xに好適なアミンの例としては、概して、上記のヒドロカルビル基の一級アミノ置換誘導体が挙げられる。例えば、官能基Xは、アミノアルキル基、例えば1~20個の炭素原子を有するアミノ置換アルキル基(例えば、アミノメチル、2-アミノエチル、3-アミノプロピル、6-アミノヘキシル、アミノアリール基(例えば、4-アミノフェニル、3-(4-アミノフェニル)プロピルなど)、又はアミノアルキルアミノ基(例えば、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル、N-(2-アミノエチル)-3-アミノイソブチルなど)を含み得、代替的にはそれらであり得る。具体的な実施形態では、ポリシロキサン(A)は、官能基Xとしてアミノ官能基のみを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つ、代替的には少なくとも2つ、代替的には各々の官能基Xは、シラノール基を含むみ、代替的にはシラノール基である。少なくとも1つの官能基Xがシラノール基を含むある特定の実施形態では、シラノール基のケイ素原子は、ポリシロキサン(A)の骨格のケイ素原子である。他の実施形態では、少なくとも1つのXは、式-D-SiR 3-c(OH)の部分を含み、代替的にはそれであり、式中、各Dは、共有結合、酸素原子、又は二価炭化水素基であり、Rは、独立して選択され、上記で定義され、下付き文字cは、1、2、又は3である。下付き文字cが3である場合、シラノール基のケイ素原子は、3つのケイ素結合ヒドロキシル基を含み、下付き文字cが2である場合、シラノール基のケイ素原子は、2つのケイ素結合ヒドロキシル基を含み、下付き文字cが1である場合、シラノール基のケイ素原子は、2つのケイ素結合ヒドロキシル基を含む。ある特定の実施形態では、Dは、酸素原子である。他の実施形態では、Dは、2~18個、代替的には2~16個、代替的には2~14個、代替的には2~16個、代替的には2~12個、代替的には2~10個、代替的には2~8個、代替的には2~6個、代替的には2~4個の炭素原子を有する二価炭化水素基である。
【0040】
いくつかの実施形態では、各官能基Xは、ケイ素結合ヒドロキル基を含み、代替的にはケイ素結合ヒドロキル基である。
【0041】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つ、代替的には少なくとも2つ、代替的には各々の官能基Xは、カルビノール基を含み、代替的にはカルビノール基である。オルガノポリシロキサン中のケイ素原子に結合したカルビノール官能基は、シラノール基とは区別される。具体的には、カルビノール官能基は、炭素結合ヒドロキシル基を含み、シラノール官能基は、ケイ素結合ヒドロキシル基を含む。別の言い方をすると、カルビノール官能基は、少なくとも1つの式-COHの部分を含み、一方で、シラノール官能基は、式-SiOHの部分である。これらの官能基は、異なって機能し、例えば、シラノール官能基は、容易に凝縮し得るが、概して、カルビノール官能基では(少なくともシラノール官能基の加水分解/縮合と同じ触媒作用下では)起こらない。カルビノール官能基は、互いに同じであり得るか、又は異なり得る。
【0042】
ある特定の実施形態では、カルビノール官能基は、独立して、一般式-D-O-(C2eO)-Hを有する部分を含み、式中、Dは、共有結合又は2~18個の炭素原子を有する二価炭化水素連結基であり、下付き文字dは、0又は1であり、下付き文字eは、下付き文字fによって示される各部分において独立して2~4から選択され、下付き文字fは、0~500であり、ただし、下付き文字d及びfが同時に0ではない。
【0043】
いくつかのかかる実施形態では、下付き文字fは、少なくとも1であり、その結果、カルビノール官能基のうちの少なくとも1つは、一般式を有する部分を含み、
-D-O-[CO][CO][CO]-H、
式中、D及び下付き文字dは、上記で定義され、0≦g≦500、0≦h≦500、及び0≦i≦500であり、ただし、1≦g+h+i≦500である。これらの実施形態では、カルビノール官能基は、代替的にはポリエーテル基又は部分と称され得るが、ポリエーテル基又は部分は、-CORではなく、-COHで終端し、Rは、一価炭化水素基であり、これは、ある特定の従来のポリエーテル基又は部分の場合である。当該技術分野で理解されるように、下付き文字gによって示される部分は、エチレンオキサイド(ethylene oxide、EO)単位であり、下付き文字hによって示される部分は、プロピレンオキサイド(propylene oxide、PO)単位であり、下付き文字iによって示される部分は、ブチレンオキサイド(butylene oxide、BO)単位である。EO、PO、及びBO単位は、存在する場合、ポリエーテル基又は部分中のブロック又はランダム化された形態であり得る。EO単位、PO単位、及びBO単位の相対量は、存在する場合、所望の特性、例えば、親水性及び他の特性に基づいて選択的に制御され得る。
【0044】
他の実施形態では、下付き文字fは、0であり、下付き文字dは、1であり、その結果、カルビノール官能基のうちの少なくとも1つは、一般式:-D-OHを有する部分を含み、式中、Dは、上述されている。これらの実施形態では、この一般式を有するカルビノール官能基は、ポリエーテル基又は部分ではない。
【0045】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つ、代替的には少なくとも2つ、代替的には各々の官能基Xは、アルコキシシリル基を含み、代替的にはアルコキシシリル基である。
【0046】
少なくとも1つのXがアルコキシシリル基である実施形態では、各アルコキシシリル基は、独立して、それぞれ、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、若しくはトリアルコキシシリル基を含み得るか、又はそれらであり得る。特定の実施形態では、アルコキシシリル基は、モノアルコキシシリル基を含み、代替的にはモノアルコキシシリル基である。他の実施形態では、アルコキシ基は、ジアルコキシシリル基を含み、代替的にはジアルコキシシリル基である。更に他の実施形態では、アルコキシシリル基は、トリアルコキシシリル基を含み、代替的にはトリアルコキシシリル基である。
【0047】
ある特定の実施形態では、アルコキシシリル基のケイ素原子は、ポリシロキサン(A)の骨格のケイ素原子である。他の実施形態では、少なくとも1つのXは、式-D-SiR 3-j(ORの部分を含み、代替的にはそれであり、式中、各Dは、共有結合、酸素原子、又は二価炭化水素基であり、Rは、独立して選択され、上記で定義され、下付き文字jは、1、2、又は3であり、各Rは、1~12個の炭素原子を有する、独立して選択されたアルキル基である。典型的には、各Rは、独立して、1~10個、代替的には1~8個、代替的には1~6個、代替的には1~4個、代替的には1~3個、代替的には1個又は2個、代替的には1個の炭素原子を有する、独立して選択されたアルキル基である。
【0048】
アルコキシシリル基の具体例としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシエトキシシリル基、ジメトキシメチル基、ジエトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、ジメチルメトキシ基、ジメチルエトキシ基などを含むものが挙げられる。
【0049】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つ、代替的には少なくとも2つ、代替的には各々の官能基Xは、エポキシ基を含み、代替的にはエポキシ基である。好適なエポキシ基の例としては、3-グリシドキシプロピル基、4-グリシドキシブチル基、又は同様のグリシドキシアルキル(すなわち、グリシジルオキシアルキル)基、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル基、又は同様のエポキシシクロヘキシルアルキル基、4-オキシラニルブチル基、及び8-オキシラニルオクチル基が挙げられる。かかるエポキシ基は、ポリシロキサン(A)に直接結合され得る。代替的には、二価炭化水素基は、エポキシド基と、Xが結合しているケイ素原子との間のX中に存在し得る。これらの実施形態のうちのいくつかのでは、二価炭化水素基は、一般式-(CH-を有するアルキレン基を含み、代替的にはアルキレン基であり、式中、下付き文字kは、2~10である。他の実施形態では、二価炭化水素基は、2~10個の炭素原子を含み、少なくとも1つのエーテル部分、すなわち、少なくとも1つの酸素ヘテロ原子を含む。かかる二価炭化水素基は、本明細書に記載される二価連結基(例えば、D、D、Dなど)としての使用にも好適であり得る。
【0050】
上記のポリシロキサン(A)の一般単位式に関して、下付き文字mは、下付き文字aによって示される各部分において独立して1又は0であり、下付き文字nは、下付き文字bによって示される各部分において独立して1又は0である。したがって、下付き文字m及びnは、任意の特定の[M]単位(すなわち、下付き文字aによって示される)又は[D]単位(すなわち、下付き文字bによって示される)における官能基Xの存在を単に示す。各下付き文字mが0である(すなわち、下付き文字mが、下付き文字aによって示される各部分において0である)場合、ポリシロキサン(A)は、少なくとも1つのペンダント官能基X(すなわち、[D]単位に結合されている)を含む。各下付き文字nが0である(すなわち、下付き文字nが、下付き文字bによって示される各部分において0である)場合、ポリシロキサン(A)は、少なくとも1つの末端官能基X(すなわち、[M]単位に結合されている)を含む。いくつかの実施形態では、ポリシロキサン(A)は、官能基Xに関して末端官能性のみであり、下付き文字nは、下付き文字bによって示される各部分において0である。いくつかのかかる実施形態では、ポリシロキサン(A)は、下付き文字aによって示される少なくとも2つの部分を含み、下付き文字mは、下付き文字aによって示される少なくとも2つの部分において1である。他の実施形態では、ポリシロキサン(A)は、少なくとも1つの末端官能基Xを含む。更に他の実施形態では、ポリシロキサン(A)は、官能基Xに関してペンダント官能基のみを含み、下付き文字mは、下付き文字aによって示される各部分において0であり、ポリシロキサン(A)は、下付き文字bによって示される少なくとも2つの部分を含み、下付き文字nは、下付き文字bによって示される少なくとも2つの部分において1である。
【0051】
上記のポリシロキサン(A)の一般単位式を引き続き参照すると、下付き文字a及びbは各々、a+b=1となるようなモル分率であり、ただし、0<a<1及び0<b<1である。下付き文字a及びbによって示される部分は、概してそれぞれ[M]及び[D]シロキシ単位であることが理解されるであろう。したがって、ある特定の実施形態では、ポリシロキサン(A)は、MDM型ポリシロキサンとして定義され得る。したがって、かかる実施形態では、ポリシロキサン(A)は、線状ポリシロキサン(又は、より単純には「線状シロキサン」)として定義され得る。それにもかかわらず、上記の一般式は、平均単位式、すなわちポリシロキサン(A)中の全ての分子に基づく平均式であり得ることを理解されたい。したがって、シロキサンに関して一般的に上述したように、ポリシロキサン(A)は、当業者によって理解される直鎖性の範囲から逸脱することなく、限られた量の分岐(例えば、[T]及び/又は[Q]単位に起因する)を含み得るが、かかる単位は上記の一般単位式に含まれない。典型的には、ポリシロキサン(A)は、[T]及び/又は[Q]単位を実質的に含まず、代替的には含まない。
【0052】
いくつかの実施形態では、下付き文字a及びbによって表される単位の各々は、独立して選択され、ポリシロキサン(A)の少なくとも2つの単位は、官能基Xを含む。かかる実施形態では、ポリシロキサン(A)の前出の一般式は、以下の拡張平均単位式で書き換えることができ、
[XR SiO1/2a’[XRSiO2/2b’[R SiO2/2b’’[R SiO1/2a’’
式中、各X及びRは、上記で定義されたとおりであり、下付き文字a’、a’’、b’、及びb’’は各々、ポリシロキサン(A)中に存在する対応する部分の数を示す。このように、a’+a’’は、上記の一般式中の下付き文字aによって表されるモル分率に存在する[M]シロキシ単位の数に等しく、b’+b’’は、上記の一般式中の下付き文字bによって表されるモル分率に存在する[D]シロキシ単位の数に等しい。例えば、一般に、a’+a’’≧2、a’+b’’≧2、及びb’+b’’≧1である。ポリシロキサン(A)が末端官能性のみである上記の具体的な実施形態では、a’=2、b’=0、b’’≧1、及びa’’=0である。
【0053】
一般に、ポリシロキサン(A)は、10~10,000の数平均重合度(DP)を有し得る。したがって、ポリシロキサン(A)の前出の拡張式に関して、a’+a’’+b’+b’’は、概して10~10,000である。いくつかの実施形態では、ポリシロキサン(A)は、10~1200、代替的には50~1200のDPを有する。同様に、これらの実施形態では、a’+a’’+b’+b’’は、概して、10~1200、代替的には20~1200、代替的には50~1200である。例えば、いくつかの実施形態では、ポリシロキサン(A)は、50~1100、代替的には50~1000、代替的には100~1000のDPを有する。具体的な実施形態では、a’及びa’’は、各々0~2であり、典型的にはa’+a’’=2である。下付き文字b’’は、0~10,000、例えば5~5,000、代替的には50~1200、代替的には50~1100、代替的には50~1000、代替的には100~1000であり得る。これらの又は他の実施形態では、下付き文字b’は、0~200、例えば0~10、代替的には1~10、代替的には1~8である。
【0054】
ある特定の実施形態では、ポリシロキサン(A)は、1~200の置換度(degree of substitution、DS)を有する。ポリシロキサン(A)のDSは、上記の拡張式における下付き文字a’及びb’の合計によって表すことができ、すなわち、これは官能基Xの数を示すことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、ポリシロキサン(A)は、1~100、代替的には1~50、代替的には1~20、代替的には1~10、代替的には2~10のDSを有する。
【0055】
いくつかの実施形態では、ポリシロキサン(A)は、多分散指数(polydispersity index、PDI)(すなわち、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn))によって表される分子量分布が3未満、代替的には2.5未満、代替的には2.25未満であり、同時に1以上である。例えば、ポリシロキサン(A)は、1~3、例えば1~2.5、代替的には1.5~2.5、代替的には1.5~2.2、代替的には1.8~2.2、代替的には約2のPDIを含み得る。ポリシロキサン(A)のPDIを決定する方法は、当該技術分野で公知であり、概して、レオロジー、溶液粘度、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)などによる重量決定を含み、標準及び手順は容易に理解され利用可能である。
【0056】
典型的には、シリコーン-ポリオレフィン組成物に利用されるポリシロキサン(A)は、流動性であり、すなわち、周囲条件下(例えば、25℃)で流動を示すのに十分低い粘度を含む。いくつかの実施形態では、ポリシロキサン(A)は、室温で液体である。ある特定の実施形態では、ポリシロキサン(A)は、25℃で少なくとも1000cP、代替的には少なくとも3500cPの粘度を示す(例えば、適切なスピンドルを備えたBrookfield LV DV-E粘度計などの粘度計を介して決定される)。
【0057】
ある特定の実施形態では、ポリシロキサン(A)は、官能基化ポリジメチルシロキサン(PDMS)、すなわち、各Rがメチルであるものとして更に定義される。いくつかのかかる実施形態では、ポリシロキサン(A)は、アミン官能性PDMS(すなわち、各官能基Xが一級アミノアルキル基などのアミンを含む場合)及びビニル官能性PDMS(すなわち、各官能基Xがビニル基を含み、代替的にはビニル基である場合)から選択される。
【0058】
上記の説明を考慮して、ポリシロキサン(A)において又はポリシロキサン(A)として使用するのに好適なかかるアミン官能基化PDMSの例は、末端及び/又はペンダントアミン官能性PDMSオリゴマー及びポリマーを含むと理解されるであろう。しかしながら、ある特定の実施形態では、ポリシロキサン(A)は、PDMS及び非反応性シロキサン(例えば、ポリフェニルメチルシロキサン、トリス(トリフルオロプロピル)メチルシロキサンなど)の末端及び/又はペンダントアミン官能性ランダム、グラフト、又はブロックコポリマー又はコオリゴマーを含み得、代替的にはそれらであり得ることも理解されるであろう。同様に、ポリシロキサン(A)において又はポリシロキサン(A)として使用するのに好適なビニル官能基化PDMSの例としては、末端及び/又はペンダントビニル官能性PDMSオリゴマー及びポリマー、並びにPDMS及び非反応性のランダム、グラフト、又はブロックコポリマー又はコオリゴマーが挙げられる。具体的な実施形態では、ポリシロキサン(A)は、α,ω-アミノプロピル末端PDMSなどのアミノアルキル末端PDMSを含み、代替的にはそれである。ある特定の実施形態では、ポリシロキサン(A)は、α,ω-ビニル末端PDMSなどのビニル末端PDMSを含み、代替的にはそれである。いくつかの実施形態では、ポリシロキサン(A)は、メタクリロイルプロピル末端PDMS、シラノール末端PDMS、コハク酸無水物末端PDMS、SiH末端PDMS、ビニル末端PDMS、モノカルビノール官能性PDMS、又はアミノプロピル末端PDMSを含み、代替的にはそれらであり、それらである。
【0059】
上記で紹介したように、シリコーン-ポリオレフィン組成物は、官能基化ポリオレフィン(B)も含む。官能基化ポリオレフィン(B)は、例えばポリオレフィン骨格の置換基として、1分子当たり平均して少なくとも1つの官能基Yを含む。いくつかの実施形態では、官能基化ポリオレフィン(B)は、1分子当たり平均して少なくとも2つの官能基Yを含む。本明細書に記載されるように、官能基Yは、間に結合を形成するように、ポリシロキサン(A)の官能基Xと反応可能である。したがって、シリコーン-ポリオレフィン組成物の構成成分(B)は、概して、官能基Yを置換基として含むように、官能基Yを用いて調製されるか、官能基Yを用いて得られるか、又は他の方法で官能基化されるポリオレフィンを含むことが理解されるであろう。したがって、官能基化ポリオレフィン(B)は、末端置換(すなわち、官能基末端)ポリオレフィン、ペンダント置換ポリオレフィン、又はそれらの組み合わせを含み得、代替的にはそれらであり得る。
【0060】
一般に、官能基化ポリオレフィン(B)に好適なポリオレフィンは、オレフィンモノマー、オレフィンマクロモノマー及びオリゴマー、並びにそれらの組み合わせから調製されるポリマーによって例示される。官能基化ポリオレフィン(B)が調製される実際の合成経路にかかわらず、当業者であれば、官能基化ポリオレフィン(B)のポリオレフィン構成成分の範囲を、その構成部分(又は理論的構成部分)、すなわちポリオレフィンを調製するために重合されるオレフィン性ベースモノマーに関して容易に理解するであろう。官能基化ポリオレフィン(B)を含むベースモノマーの文脈において使用される「オレフィン性」という用語は、エチレン性不飽和末端基の存在、すなわち、ポリオレフィンを提供するために他のオレフィン性モノマーのエチレン性不飽和基と重合可能であることを指す。このように、「ポリエチレン」は、最小のエチレン性不飽和化合物であるモノマーエテン(エチレン)から誘導された、又は理論的に誘導可能なポリオレフィンであることが理解されるであろう。同様に、ポリエチレン-メタクリレートコポリマーは、コモノマーエチレン及びメタクリレートから誘導されるか、又は理論的に誘導可能なポリオレフィンであり、後者のモノマーは、末端エチレン性不飽和基、すなわち、アルファ-オレフィン(例えば、-C=CH)を含む。したがって、典型的な実施形態では、官能基化ポリオレフィン(B)はポリ-アルファ-オレフィン骨格を含むことが理解されるであろう。
【0061】
官能基化ポリオレフィン(B)のポリ-アルファ-オレフィン骨格は特に限定されず、概して、一般式R C=CHを有するアルファオレフィンから誘導されるか、又は少なくとも理論的に誘導可能なモノマー単位を含み、式中、各Rは、水素又はヒドロカルビル基(すなわち、置換又は非置換ヒドロカルビル基)、例えば、上記のもののうちのいずれかである。例えば、ある特定の実施形態では、アルファオレフィンがメタクリレート(例えば、他のRがそれぞれメチルエステル又はエチルエステルである、メチル又はエチルメタクリレート)であるように、一方のRはメチルであり、他方のRはエステル炭素である。いくつかの実施形態は、少なくとも1つのRは水素であり、アルファオレフィンは、一般式RCH=CHを有し、式中、Rは、水素、及び1~12個、代替的には1~8個、代替的には1~6個、代替的には1又は2個の炭素原子を有する線状又は分岐状ヒドロカルビル基から選択される。かかるヒドロカルビル基は、置換されていても非置換であってもよく、R’’及びRについてのヒドロカルビル基の適切な説明に関して上記に例示されている。しかしながら、かかるアルファオレフィンのオリゴマーもポリ-アルファ-オレフィン骨格の調製に利用できることが理解されるであろう。例えば、ポリエチレン(PE)オリゴマーを利用してポリエチレンポリマーを調製することができ、これはまた、エテンを唯一のモノマーとして使用して調製することができる。同様に、ポリエチレン(polyethylene、PE)及びポリプロピレン(polypropylene、PP)オリゴマーを共重合させて、PE-PPブロックコポリマーなどのポリエチレン-ポリプロピレン(PE-PP)コポリマーを調製することができる。官能基化ポリオレフィン(B)のポリ-アルファ-オレフィン骨格を調製するために使用され得る他のオリゴマーの例としては、ポリプロピレンオリゴマー、ポリブチレンオリゴマー、ポリイソブチレンオリゴマー、ポリイソプレンオリゴマー、ポリブタジエンオリゴマー、並びにそれらの組み合わせ、例えばポリエチレン/ポリプロピレンオリゴマー及びコポリマー、ポリエチレン/ポリブチレンオリゴマー及びコポリマー、ポリ(エチレン/ブチレン)-ポリイソプレンオリゴマー及びコポリマーなどが挙げられる。
【0062】
ある特定の実施形態では、官能基化ポリオレフィン(B)は、エチレン、プロピレン、ブチレン、及び2-メチル-プロピレン(すなわち、イソブチレン)から選択されるモノマー単位を含むポリ-アルファ-オレフィン骨格を含む。これら又は他の実施形態では、ポリ-アルファ-オレフィン骨格は、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、スチレン、アクリレート又はメタクリレート化合物(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸又はメタクリル酸エステル、例えばアクリル酸又はメタクリル酸のC~C12アルキルエステル)、ジエン、例えばブタジエンなど、又はそれらの組み合わせによって例示されるアルファ-オレフィンから誘導される(又は理論的に誘導可能な)モノマー単位を含む。したがって、官能基化ポリオレフィン(B)は、ホモポリマー(すなわち、1つの種類のモノマー単位のみを有するか、又は1つのモノマー若しくは1つのモノマーのみのオリゴマーから調製される)又はインターポリマー(すなわち、少なくとも2つの異なるモノマーサブユニットを有し、典型的には2つ以上のモノマーサブユニットを含む少なくとも2つのモノマー又はオリゴマーから調製される)を含み得、代替的にはそれらであり得ることが理解されるであろう。「インターポリマー」という用語は、コポリマー及びターポリマー、すなわち、それぞれ2つ又は3つの異なるモノマー単位を含むポリマー、並びに4つ、5つ、6つ、又はそれを超えるモノマーから調製されたポリマーを包含することが理解されるであろう。
【0063】
特定の実施形態では、官能基化ポリオレフィン(B)は、官能基化ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリエチレン-アルファオレフィンコポリマーを含む。いくつかのかかる実施形態では、ポリエチレン-アルファオレフィンコポリマーは、ポリエチレンと、ポリプロピレン及びポリブチレンのうちの少なくとも1つとを含むコポリマー及びターポリマーから選択される。かかるポリオレフィンの様々な形態も利用することができる。例えば、ポリエチレンは、高密度(HDPE、ρ≧0.941g/cm)、中密度(MDPE、ρ=0.926~0.940g/cm)、低密度(LDPE、ρ=0.910~0.940g/cm)又は超低密度(ULDPE、ρ≦0.880g/cm)、及びそれらの変形例、例えば線状低密度ポリエチレン(LLDPE、ρ=0.915~0.925g/cm)であり得る。かかるポリエチレンは密度によって互いに区別されるが、当業者であれば、かかる変形の様々な他の物理的特徴も同様に異なり、シリコーン-ポリオレフィン組成物、並びにそれから調製され得る硬化性組成物及び硬化生成物に特定の特性を付与するように選択され得ることを理解するであろう。
【0064】
上記で紹介したように、官能基化ポリオレフィン(B)は、1分子当たり平均して少なくとも1つ、代替的には少なくとも2つの官能基Yを含む。例示の目的で、官能基化ポリオレフィン(B)は、一般式L(-Y)によって表すことができ、式中、Lは、ポリオレフィン骨格であり、各Yは、上記で紹介したような官能基であり、下付き文字l≧1である。各官能基Yは、少なくとも1つ、代替的には少なくとも2つである、下付き文字Iによって示される各部分において独立して選択され得るが、官能基化ポリオレフィン(Bの置換度の説明を考慮して理解されるように、理論的にははるかに大きくてもよいことが理解されるであろう。更に、ポリオレフィン骨格Lに沿った各官能基Yの位置は、任意の官能基Yが末端基又はペンダント基を表し得るように、特に限定されない。
【0065】
いくつかの実施形態では、官能基化ポリオレフィン(B)は、以下の一般単位式を含み、
[CHC(R)(Y)][CHCH(R)]
式中、各Yは、上記で紹介したような独立して選択される官能基であり、各Rは、H並びに置換及び非置換ヒドロカルビル基から独立して選択され、各Rは、独立して選択される末端基であり、下付き文字o及びpは各々、o+p=1となるモル分率であり、ただし、0<o<1、0<p<1であり、官能基化ポリオレフィン(B)は、少なくとも1つ、代替的には少なくとも2つの官能基Yを含み、下付き文字o及びpによって示される部分は官能基化ポリオレフィン(B)中で任意の順序であってもよい。
【0066】
上記の官能基化ポリオレフィン(B)の一般単位式に関して、当業者であれば、基Rが、概して、官能基化ポリオレフィン(B)、又は少なくともその骨格を調製するために使用される特定のアルファ-オレフィンモノマーに基づいて選択されるか、又は他の方法で制御されることを理解するであろう。例えば、官能基化ポリオレフィン(B)が官能基化ポリプロピレンである場合、Rは、下付き文字kによって示される各部分においてメチルである。かかる場合、下付き文字jによって示される部分におけるRの性質は、官能基化ポリオレフィン(B)がどのように調製されたかに依存する。具体的には、かかる官能基化ポリエチレンが、ポリプロピレンと、基Yを含むアルファオレフィンとから調製されるコポリマーである場合、Rは、(下付き文字pによって示される部分におけるメチル基Rとは対照的に)下付き文字oによって示される各部分においてHとなる。一方、かかる官能基化ポリプロピレンが官能基Yでグラフト化された(例えば、ラジカル媒介グラフト化によって)ポリプロピレンホモポリマーである場合、Rは、典型的には官能基化ポリオレフィン(B)全体にわたってメチル基となる。したがって、任意のRは、下付き文字pによって示される任意の1つの部分が、本明細書に記載されるアルファ-オレフィンモノマーのうちのいずれかの重合生成物、又は代替的には、かかるアルファ-オレフィンから調製されるポリマー上へのグラフト官能基化を反映し得るように選択され得ることが理解されるであろう。
【0067】
上記を考慮して、各Rは、官能基化ポリオレフィン(B)の任意の他のRと同じであっても異なっていてもよいことが理解されるであろう。ある特定の実施形態では、各Rは、官能基化ポリオレフィン(B)の各他のRと同じである。例えば、いくつかの実施形態では、各Rは、メチルである。他の実施形態では、少なくとも1つのRは、官能基化ポリオレフィン(B)の少なくとも1つの他のRとは異なる。例えば、ある特定の実施形態では、Rは、官能基化ポリオレフィン(B)全体にわたって(すなわち、エテンモノマーから)主に水素であり、Rの少ない割合は、アルキル基から(すなわち、プロペン又はより高次のアルファ-オレフィンモノマーから)選択される。
【0068】
上記で紹介したように、各Rは、独立して選択される末端基である。より具体的には、各Rは、概して、官能基化ポリオレフィン(B)の重合からの末端反応モノマー、重合の副生成物(すなわち、ラジカル開始、成長、及び/又は停止ステップなどから)、又は単に水素原子を表す。したがって、当業者であれば、Rが特に限定されず、概して官能基化ポリオレフィン(B)の経路によって選択され、典型的には下付き文字o及びpによって示される平均単位式に実質的に影響を与えないような少量で官能基化ポリオレフィン(B)中に存在することを理解するであろう。したがって、Rは、概して、本明細書で提供される組成物及び方法に関して非反応性基を表すことを理解されたい。
【0069】
上記で紹介したように、官能基化ポリオレフィン(B)は、1分子当たり少なくとも1つ、代替的には少なくとも2つの官能基を含み、官能基は、上記の官能基化ポリオレフィン(B)の一般単位式中の部分Yによって表される。一般に、官能基Yは、官能基化ポリオレフィン(B)が官能基X及び官能基Yを伴うカップリング反応においてポリシロキサン(A)と反応性であるように、ポリシロキサン(A)の官能基Xに基づいて選択される。より具体的には、上記で紹介したように、官能基化ポリオレフィン(B)の官能基Yは、間に結合を形成するように、ポリシロキサン(A)の官能基Xと反応可能である。換言すれば、1つの官能基Y及び1つの官能基Xは、官能基化ポリオレフィン(B)及びポリシロキサン(A)を一緒に共有結合させるために、(すなわち、付加カップリング/架橋反応を介して)一緒に反応することができる。
【0070】
したがって、各官能基Yは、上記のカップリング/架橋反応に関与し得る官能基、例えば、置換反応、付加反応、カップリング反応、又はそれらの組み合わせを介して反応性である官能基、並びに官能基Xに関して上記の特定の変形のうちのいずれかを含む。かかる反応の具体例としては、求核置換、開環付加、アルコキシル化及び/又はトランスアルコキシル化、ヒドロシリル化、オレフィンメタセシス、縮合、ラジカルカップリング及び/又は重合など、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0071】
したがって、官能基Yは、官能基Xと、ヒドロシリル化可能な、縮合可能な、置換可能な、求核性の、若しくはそうでなければ反応可能な(例えば、グラフト可能な、連結可能ななど)官能基、又はそれらの様々な組み合わせを含むか、又はそれらであり得る。したがって、官能基Yは、ヒドロシリル化可能な官能基(例えば、ケイ素結合水素原子、エチレン性不飽和基、例えばアルケニル基、アルキニル基など)、縮合可能な官能基(例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、シラノール基、カルビノール基、アミド基など、又は加水分解可能でその後縮合可能な基)、置換可能な官能基(例えば、当該技術分野で理解されている「脱離基」、例えばハロゲン原子、又は一旦置換されるとイオン形態で安定な他の基、又はかかる脱離基を含む官能基、例えばエステル、無水物、アミド、エポキシドなど)、求核性の官能基(例えば、孤立電子対を有するヘテロ原子、アニオン性又はアニオン化可能な基など、例えばヒドロキシル基、アミン基、チオール基、シラノール基、カルボン酸基、基など)、求電子的な官能基(例えば、イソシアネート、エポキシドなど)、又はそれらの様々な組み合わせを含み得るか、又はそれらであり得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、各官能基Yは、ヒドロシリル化可能な基である。かかるヒドロシリル化可能な基の例としては、官能基Xに好適なヒドロシリル化可能な基に関して上述したオレフィン性不飽和基(例えば、エチレン性不飽和基)が挙げられる。具体的な実施形態では、各官能基Yは、ビニル置換有機ケイ素基(例えば、ビニルシリル基を含む)を含み、代替的にはビニル置換有機ケイ素基である。
【0073】
官能基Yが上記エチレン性不飽和基のうちの1つを含む実施形態では、官能基Yは、エチレン性不飽和基と官能基化ポリオレフィン(B)のポリオレフィン骨格の炭素原子との間に二価の連結基も含み得ることが理解されるであろう。ある特定の実施形態では、各官能基Yは、メタクリロイル基、メタクリルオキシ基、又はメタクリレート基を含み、代替的にはそれらである。
【0074】
官能基Yに好適なヒドロシリル化可能な基の他の例としては、ヒドリドシリル基が挙げられる。かかるヒドリドシリル基の例は、概して、部分式-[D-Si(RHによって表すことができ、式中、Dは二価の連結基であり、下付き文字qは0又は1であり、各Rは、独立してH又はヒドロカルビル基である。かかる部分は、官能基化ポリオレフィン(B)の調製において重合される特定のアルファ-オレフィン官能性有機ケイ素化合物に基づいて選択され得るか、又は他の方法で提供され得る。例えば、いくつかの実施形態では、官能基化ポリオレフィン(B)は、エチレンと7-オクテニルジメチルシランとのコポリマーを含み、官能基化ポリオレフィン(B)の前出の一般単位式及び官能基Yの部分式に関して、各Rは、Hであり、各下付き文字qは、1であり、各連結基Dは、-(CH-であり、各Rは、メチルである。具体的な実施形態では、官能基化ポリオレフィン(B)は、エチレン、アルケニル官能性シラン化合物、及び任意選択的に1つ以上の追加のアルファ-オレフィン(例えば、プロペン、ブテンなど)の重合反応生成物を含む。かかる実施形態では、好適なアルケニル官能性シラン化合物の例としては、7-オクテニルジメチルシラン(ODMS)、5-ヘキセニルジメチルシラン(HDMS)、アリルジメチルシラン(ADMS)など、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。かかるアルケニル官能性シラン化合物はまた、ポリオレフィンポリマー上にグラフト化されて官能基化ポリオレフィン(B)を調製できることが理解されるであろう。官能基化ポリオレフィン(B)を調製するために使用される特定の方法は特に限定されず、かかる方法の多数の例が当該技術分野において公知である。
【0075】
前出の例に加えて、当業者であれば、他のアルファ-オレフィン官能性有機ケイ素化合物を同様に使用して官能基化ポリオレフィン(B)を調製し、官能基Yに好適なヒドリドシリル基を得られることを理解するであろう。より具体的には、かかる有機ケイ素化合物は、式HC=C(H)-[D-Si(RHによって表すことができ、式中、各R、D、及び下付き文字qは、上記で定義されたとおりである。場合によっては、二価の連結基Dは、シリル基又はシロキシ基であり得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、各官能基Yは縮合可能な基、すなわち、縮合反応に関与することができる基である。具体的な実施形態では、各官能基Yは、無水物基、アミン基、シラノール基、カルビノール基、及びアルコキシシリル基から選択される縮合可能な基を含む。
【0077】
官能基Yに好適な無水物及びアミンの例としては、概して、官能基Xに好適な縮合可能な基に関して上述したものが挙げられる。しかしながら、官能基化ポリオレフィン(B)の前出の実施例及び説明を考慮して、当業者であれば、オレフィン性不飽和を有する無水物官能性化合物から入手可能な無水物が、いくつかの実施形態では、例えば無水物官能性化合物がアルファ-オレフィンモノマー(例えば、エテン)と容易に共重合され得るか、又はアルファ-オレフィンホモポリマー上にグラフト化(例えば、ラジカルグラフト化、メタセシスなどを介して)され得る場合での使用に特に好適であることを理解するであろう。
【0078】
官能基Yに好適なアミンの例としては、概して、官能基Xに関して上述したアミノアルキル基として、上述のヒドロカルビル基の一級アミノ置換誘導体が挙げられる。
【0079】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つ、代替的には少なくとも2つ、代替的には官能基Yは、シラノール基を含み、代替的にはシラノール基である。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの官能基Yは、式-D-SiR 3-c(OH)の部分を含み、代替的にはそれであり、式中、各D、R、及び下付き文字cは、独立して選択され、上記で定義されている。ある特定の実施形態では、Dは、酸素原子である。他の実施形態では、Dは、2~18個、代替的には2~16個、代替的には2~14個、代替的には2~16個、代替的には2~12個、代替的には2~10個、代替的には2~8個、代替的には2~6個、代替的には2~4個の炭素原子を有する二価炭化水素基である。
【0080】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つ、代替的には少なくとも2つ、代替的には各々の官能基Yは、カルビノール基を含み、代替的にはカルビノール基である。カルビノール官能基は、互いに同じであり得るか、又は異なり得る。
【0081】
ある特定の実施形態では、カルビノール官能基は、独立して、一般式-D-O-(C2eO)-Hを有する部分を含み、式中、D並びに下付き文字d、e、及びfは、独立して選択され、上記で定義されている。例えば、いくつかの実施形態では、下付き文字fは、少なくとも1であり、その結果、カルビノール官能基のうちの少なくとも1つは、次の一般式を有する部分を含み、
-D-O-[CO][CO][CO]-H、
式中、D並びに下付き文字d、g、h、及びiは、独立して選択され、上記で定義されている。
【0082】
別の実施形態では、下付き文字fは、0であり、下付き文字dは、1であり、その結果、カルビノール官能基のうちの少なくとも1つは、一般式:-D-OHを有する部分を含み、式中、Dは、上記で記載されている。これらの実施形態では、この一般式を有するカルビノール官能基は、ポリエーテル基又は部分ではない。
【0083】
官能基Yが官能基化ポリオレフィン(B)中の炭素原子に直接結合している場合、Dは、共有結合であり得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つ、代替的には少なくとも2つ、代替的には各々の官能基Yは、アルコキシシリル基を含み、代替的にはアルコキシシリル基である。
【0085】
少なくとも1つの官能基Yがアルコキシシリル基である実施形態では、各アルコキシシリル基は、独立して、それぞれ、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、若しくはトリアルコキシシリル基を含み得るか、又はそれらであり得る。特定の実施形態では、アルコキシシリル基は、モノアルコキシシリル基を含み、代替的にはモノアルコキシシリル基である。他の実施形態では、アルコキシ基は、ジアルコキシシリル基を含み、代替的にはジアルコキシシリル基である。更に他の実施形態では、アルコキシシリル基は、トリアルコキシシリル基を含み、代替的にはトリアルコキシシリル基である。
【0086】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの官能基Yは、式-D-SiR 3-j(ORの部分を含み、代替的にはそれであり、式中、各D、R、R、及び下付き文字qは、独立して選択され、上記で定義されている。典型的には、各Rは、独立して、1~10個、代替的には1~8個、代替的には1~6個、代替的には1~4個、代替的には1~3個、代替的には1個又は2個、代替的には1個の炭素原子を有する、独立して選択されたアルキル基である。
【0087】
好適なアルコキシシリル基の具体例としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシエトキシシリル基、ジメトキシメチル基、ジエトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、ジメチルメトキシ基、ジメチルエトキシ基などを含むものが挙げられる。
【0088】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つ、代替的には少なくとも2つ、代替的には各々の官能基Yは、エポキシ基を含み、代替的にはエポキシ基である。好適なエポキシ基の例としては、3-グリシドキシプロピル基、4-グリシドキシブチル基、又は同様のグリシドキシアルキル(すなわち、グリシジルオキシアルキル)基、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル基、又は同様のエポキシシクロヘキシルアルキル基、4-オキシラニルブチル基、及び8-オキシラニルオクチル基が挙げられる。かかるエポキシ基は、官能基化ポリオレフィン(B)に直接結合し得る。代替的には、二価炭化水素基は、エポキシド基と、官能基Yが結合している原子との間の官能基Y中に存在し得る。これらの実施形態のうちのいくつかでは、二価炭化水素基は、一般式-(CH-を有するアルキレン基を含み、代替的にはアルキレン基であり、式中、下付き文字kは、上記で定義されたとおりである。他の実施形態では、二価炭化水素基は、2~10個の炭素原子を含み、少なくとも1つのエーテル部分、すなわち、少なくとも1つの酸素ヘテロ原子を含む。
【0089】
官能基化ポリオレフィン(B)の一般単位式を更に参照すると、上記で紹介したように、下付き文字o及びpは各々、o+p=1となるようなモル分率である。一般に、0<o<1及び0<p<1であり、したがって、官能基化ポリオレフィン(B)は、少なくとも1つの官能基Y、理論的には多くのかかる基を含み得るが、官能基化ポリオレフィン(B)中に存在する各オレフィンサブユニットに関して完全に置換されていない(例えば、下付き文字p>0によって示される)。いくつかの実施形態では、下付き文字oによって示される部分は、官能基化ポリオレフィン(B)中のオレフィンサブユニットの総数(例えば、o+p)の0.01~5%、代替的には0.01~2.5%を含む。他の実施形態のこれらでは、下付き文字oによって示される部分は、0.05~10重量%の官能基化ポリオレフィン(B)(例えば、総重量による)を含み得る。
【0090】
官能基化ポリオレフィン(B)の特定の特性及び物理的特徴は、変化し得る。いくつかの実施形態では、官能基化ポリオレフィン(B)は、10~100kDa、例えば10~90、代替的には15~90、代替的には15~80、代替的には20~80、代替的には20~70、代替的には20~65kDaの数平均分子量を含む。これら又は他の実施形態では、官能基化ポリオレフィン(B)は、多分散指数(PDI)(例えば、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって決定される)によって表される、1~12、例えば1~10の分子量分布を含む。いくつかの実施形態では、官能基化ポリオレフィン(B)は、1~5、例えば1~4、代替的には1.5~3.5、1.75~3.25、代替的には2~3のPDIを示す。いくつかの実施形態では、官能基化ポリオレフィン(B)は、3~6、例えば3.5~5.5、代替的には4~5のPDIを示す。
【0091】
ある特定の実施形態では、官能基化ポリオレフィン(B)は、無水物官能性である。これらの又は他の実施形態では、官能基化ポリオレフィン(B)は、0.5~2.0重量%の量で官能基Yを含む。
【0092】
官能基化ポリオレフィン(B)は、典型的には、1~49g/10分のメルトフローインデックス(melt flow index、MFI)を有する。MFIは、ASTM D1238-86に従って測定することができる。
【0093】
上記で紹介したように、シリコーン-ポリオレフィン組成物は、ポリオレフィン(C)も含む。ポリオレフィン(C)は、構成成分(A)又は(B)と反応可能ではない。別の言い方をすると、ポリオレフィン(C)は、構成成分(A)の官能基X又は構成成分(B)の官能基Yと反応可能である官能基を含まない。ある特定の実施形態では、ポリオレフィン(C)は、官能基が構成成分(A)の官能基X又は構成成分(B)の官能基Yと反応可能でない限り、官能基を含むことができる。当業者であれば、官能基X及びYの選択に基づくかかる官能基を容易に理解する。しかしながら、典型的には、ポリオレフィン(C)は、任意の官能基、すなわち、他の官能基と反応可能である基を含まない。
【0094】
ポリオレフィン(C)は、官能基化ポリオレフィン(B)について上述したもののうちのいずれかから選択することができ、ポリオレフィン(C)が構成成分(B)中に存在する官能基Yを含まないことのみが異なる。
【0095】
1つの実施形態では、ポリオレフィン(C)は、ポストコンシューマー再生樹脂である。別の実施形態では、ポリオレフィン(C)は、未使用の材料である。ポリオレフィン(C)は、ポストコンシューマー再生樹脂と未使用の材料との組み合わせも含み得る。
【0096】
「ポストコンシューマー再生樹脂」又は「post-consumer recycle resin、PCR」という用語は、以前は消費者向けパッケージ又は工業用パッケージとして使用されてきたポリマー材料である。言い換えれば、PCRは廃棄プラスチックである。PCRは、典型的には、再生プログラム及び再生工場から収集される。PCRは、典型的には、製造ラインに再導入され得る前に、追加の洗浄及び処理を必要とする。PCRは、PCR多層フィルムが最初の使用を完了した後のPCR多層フィルムであり、すなわち、既にその最初の目的を果たしている。PCRが、ポストインダストリー再生(postindustrial recycle、PIR)樹脂を含むことが理解される。一実施形態では、PCR多層フィルムは、消費者向け食用油を保持するか、又は他の方法で貯蔵するために使用された廃棄物バリアフィルムである。
【0097】
PCRは、未使用のポリマー材料とは異なる。PCRは、初期加熱及び成形プロセスを経ているので、PCRは、「未使用の」ポリマー材料ではない。「未使用のポリマー材料」は、加熱プロセス又は成形プロセスを受けていないか、又は施されていないポリマー材料である。PCR樹脂は、未使用のポリマー樹脂と比較すると、物理的特性、化学的特性、及び流動特性が異なる。
【0098】
PCRは、廃棄プラスチックとみなすことができる。PCRは、例えば、ボトル(ミルクポット、ジュース容器)などのHDPEパッケージ、フィルムなどのLDPE/LLDPEパッケージを含み得る。PCRは、その本来の使用からの残留物、紙、接着剤、インク、着色剤、染料、ナイロン、エチレンビニルアルコール(ethylene vinyl alcohol、EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、他の臭気を生じさせる薬剤などの残留物も含み得る。PCRがHDPEを含む場合、PCRは、最大40%のポリプロピレン汚染を含み得る。
【0099】
非限定的な例の市販のPCRのとしては、Envision Plastics,North Carloina,USAによって、商標名EcoPrime(商標)、PRISMA(商標)、Natural HDPE PCR Resins、Mixed Color and Black HDPE PCR Resinsで販売されるPCR、KW Plastics、Alabama,USAによって、以下の商標KWR101-150、KWR101-150-M5-BLK、KWR101-150-M10 BLK、KWR102-8812 BLK、KWR102、KWR102LVW、KWR105、KW620、KWR102-M4、KWR-105M2、KWR105M4、KWR621 FDA、KWR621-20-FDA、KW308A、KW621、KW621-T10、KW621-T20、KW622-20、KW622-35、KW627C、KW1250G、及びKWBK10-NBによって販売されるPCRが挙げられる。
【0100】
一実施形態では、ポリオレフィン(C)は、PCRではないオレフィン系ポリマーとブレンドされたPCRを含む。換言すれば、この実施形態では、PCRを「未使用のオレフィン系ポリマー」とブレンドして、ポリオレフィン(C)を得る。
【0101】
ポリオレフィン(C)は、典型的には、0.5~35g/10分のメルトフローインデックス(MFI)を有する。MFIは、ASTM D1238-86に従って測定することができる。
【0102】
上記で紹介したように、シリコーン-ポリオレフィン組成物は、硬化性シリコーン(D)も含む。硬化性シリコーン(D)は、エラストマー構成成分及び液状ゴムのうちの少なくとも1つを含む。1つの実施形態では、硬化性シリコーン(D)は、エラストマー構成成分を含み、代替的にはエラストマー構成成分である。別の実施形態では、硬化性シリコーン(D)は、液状ゴムを含み、代替的には液状ゴムである。更に別の実施形態では、硬化性シリコーン(D)は、エラストマー構成成分と液状ゴムとの組み合わせを含む。エラストマー構成成分及び液状ゴムは、以下に記載される。
【0103】
本明細書における説明及び実施例を考慮して当業者によって理解されるように、硬化性シリコーン(D)は、典型的には、シリコーン-ポリオレフィン組成物の主構成成分を表し、それからの硬化性組成物及び硬化組成物の形成を促進するように適合される。
【0104】
一般に、硬化性シリコーン(D)のエラストマー構成成分は、任意選択的に追加の構成成分(例えば、以下に記載されるような充填剤など)を有する、官能性又は硬化性オルガノシロキサン、すなわち、反応硬化性シリコーンを含む。このように、構成成分(D)は、これらの実施形態では、「シリコーンエラストマーベース」、「硬化性シリコーンベース」、「硬化性シリコーンエラストマーベース」、及び/又は当該技術分野において公知の他のかかる用語として称されるか、又は他の方法で記載され得ることが当業者によって理解されるであろう。したがって、構成成分(D)は、概して、硬化されて、シリコーンエラストマーを調製することができ、典型的には、かかる硬化までそれ自体がエラストマーを含まないことが理解されるであろう。
【0105】
硬化性シリコーン(D)のエラストマー構成成分において又はエラストマー構成成分として使用するのに好適な官能性オルガノシロキサンは、その中のポリマーの[M]、[D]、[T]、及び/又は[Q]単位/シロキシ基に関して記載され得る。より具体的には、上記のように、硬化性シリコーン(D)のエラストマー構成成分は、典型的には、官能性オルガノシロキサンを含み、これは、上記のような環状、線状、分岐状、及び/又は樹脂状構造を形成するように様々な様式で組み合わされた任意の数及び/又は組み合わせのM、D、T、及び/又はQシロキシ単位を含み得る。しかしながら、典型的には、構成成分(D)の官能性オルガノシロキサンは、樹脂状セグメントを実質的に含まず、代替的には樹脂状セグメントを含まない。これら又は他の実施形態では、構成成分(D)のオルガノシロキサンは、[T]及び/又は[Q]単位を実質的に含まず、代替的には[T]及び/又は[Q]単位を含まない。
【0106】
硬化性シリコーン(D)のエラストマー構成成分において又はエラストマー構成成分として使用するのに好適な特定の化合物及び組成物は、市販されており、その特定の特性に基づいて選択され得る。例えば、いくつかの実施形態では、硬化性シリコーン(D)のエラストマー構成成分は、シリコーン高稠度ゴム(high-consistency rubber、HCR)ベースを含み、代替的にはシリコーン高稠度ゴム(HCR)ベースである。具体的な実施形態では、構成成分(D)は、40デュロメータのシリコーンゴムベースとして特徴付けられ得る。
【0107】
具体的な実施形態では、硬化性シリコーン(D)のエラストマー構成成分の官能性オルガノシロキサンは、ポリジオルガノシロキサンガム、すなわち、主にDシロキシ単位を含み、室温で流体又は液体とみなされないほど十分に高い分子量を有するオルガノポリシロキサンを含み、代替的にはそれである。いくつかの実施形態では、ポリジオルガノシロキサンガムは、少なくとも40のウイリアムス可塑度(例えば、米国試験材料協会(American Society for Testing and Materials、ASTM)試験方法926によって決定される)、例えば40~200の可塑度を示し得るが、他の又はより狭い範囲(例えば、50~150)が、シリコーン-ポリオレフィン組成物の特定の所望の用途に基づいて選択されてもよい。これらの又は他の実施形態では、ポリジオルガノシロキサンガムは、25℃で少なくとも1,000,000mPa・sの粘度を有する。いくつかの実施形態では、ポリジオルガノシロキサンガムは、少なくとも600,000ダルトンの数平均分子量、例えば、1,000,000ダルトン以上、代替的には2,000,000ダルトン以上の分子量を含む。
【0108】
硬化性シリコーン(D)のエラストマー構成成分の官能性オルガノシロキサンは、典型的には、反応硬化性である。かかる実施形態では、オルガノシロキサンは、典型的には、1分子当たり平均して少なくとも2つの官能基を含み、官能基は、以下に更に詳細に記載されるように、硬化プロセス中に1つ以上の他の構成成分と反応性である。典型的には、かかる官能性オルガノシロキサンの特定の官能基は、シリコーン-ポリオレフィン組成物及び/又はそれによって調製された組成物の他の構成成分に基づいて選択される。例えば、いくつかの実施形態では、官能性オルガノシロキサンは、例えば、それらの間に結合を形成する(すなわち、付加架橋反応を介して)ように、ポリシロキサン(A)の官能基Xに相補的であり、かつそれと反応性である官能基を含む。具体的な実施形態では、構成成分(D)は、ヒドロシリル化可能又は縮合可能な官能基を含む官能性オルガノシロキサンを含む。いくつかのかかる実施形態では、構成成分(D)は、オレフィン性不飽和を、例えば、ヒドロシリル化反応に活用することができるエチレン性不飽和基の形態で含む。他の実施形態では、構成成分(D)の官能性オルガノシロキサンは、それぞれ構成成分(A)及び(B)の官能基X及びYのものとは異なる架橋可能な官能基を含む。例えば、いくつかの実施形態では、官能基X及びYは付加反応可能であり、構成成分(D)はラジカル硬化性オルガノシロキサンを含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、硬化性シリコーン(D)のエラストマー構成成分は、例えば、直接的に又はその表面処理/改質において、充填剤と反応性の1つ以上の官能基を含む官能性オルガノシロキサンを含む。例えば、いくつかの実施形態では、構成成分(D)は、シリカ(例えば、処理されたヒュームドシリカ)を更に含み、これは、シリコーン-ポリオレフィン組成物及び/又はそれによって形成された硬化性組成物の反応硬化性性質に影響を及ぼすように、官能性オルガノシロキサンと相互に選択され得る。硬化性シリコーン(D)のエラストマー構成成分は、上記のものの代わりに、シリカのようなある特定の構成成分に加えて、又はそれに関して、他の構成成分を含み得る。例えば、硬化性シリコーン(D)のエラストマー構成成分は、本明細書に記載されるものなどの1つ以上の充填剤又は添加剤を含み得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、硬化性シリコーン(D)のエラストマー構成成分は、フルオロシリコーンベースとして更に定義され得る。例えば、具体的な実施形態では、構成成分(D)の官能性オルガノシロキサンは、トリフルオロメチルシリコーンなどのフルオロアルキルシリコーンを含み得る。
【0111】
これら又は他の実施形態では、構成成分(D)は、液状ゴムを含む。液状ゴムは、当該技術分野において公知であり、典型的には、25℃で液体又は流動性である。概して、液状ゴムは、任意の溶媒(例えば、有機溶媒)又は担体ビヒクルの非存在下で、25℃で液体又は流動性である。「流動性」とは、液状ゴムが25℃で流動性であり、かつ/又は25℃で測定可能である粘度を有することを意味する。液状ゴムは、様々な供給業者から市販されている。液状ゴムは、硬化すると、硬化生成物としてシリコーンゴムを与える硬化性シリコーン組成物である。液状ゴムは、それらの選択及び硬化メカニズムに応じて、1部、2部、又は複数部の組成物であり得る。
【0112】
ある特定の実施形態では、液状ゴムは、(a)ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物、(b)縮合硬化性シリコーン組成物、(c)チオール-エン反応硬化性シリコーン組成物、(d)フリーラジカル硬化性シリコーン組成物、及び(e)開環反応硬化性(ring-opening reaction-curable)シリコーン組成物、から選択される。液状ゴムは、ヒドロシリル化又は付加硬化性液状ゴムに限定されない。当該技術分野で理解されるように、これらの液状ゴムは、水分への曝露、熱への曝露、照射への曝露などの異なる硬化条件を介して硬化され得るが、5つのシリコーンゴムに全て硬化することができる。更に、これらの液状ゴムは、異なる種類の硬化条件、例えば、一緒に利用され得るか、又は1つのみとして利用され得る熱及び照射の両方への曝露時に硬化性であり得る。加えて、特定の効果条件、例えば熱は、縮合硬化性シリコーン組成物、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物、及びフリーラジカル硬化性シリコーン組成物の硬化又は硬化開始に利用することができる。
【0113】
ある特定の実施形態では、液状ゴムは、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物を含む。これらの実施形態では、ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、典型的には、1分子当たり平均して少なくとも2つのケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン、オルガノポリシロキサン中のケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合水素原子と反応することができる、1分子当たり平均して少なくとも2つのケイ素結合水素原子又はケイ素結合アルケニル基を有する有機ケイ素化合物、及びヒドロシリル化触媒を含む。オルガノポリシロキサンがケイ素結合アルケニル基を含む場合、有機ケイ素化合物は1分子当たり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を含み、オルガノポリシロキサンがケイ素結合水素原子を含む場合、有機ケイ素化合物は1分子当たり少なくとも2つのケイ素結合アルケニル基を含む。有機ケイ素化合物は、クロスリンカ又は架橋剤と称されてもよい。
【0114】
オルガノポリシロキサン及び有機ケイ素化合物は、独立して、線状、分岐状、環状、又は樹脂状であり得るが、典型的には、独立して、線状又は部分的に分岐状である。例えば、オルガノポリシロキサン及び/又は有機ケイ素化合物は、繰り返しD単位を含むオルガノポリシロキサンであり得る。かかるオルガノポリシロキサンは実質的に線状であるが、T単位及び/又はQ単位に起因するいくつかの分岐を含んでもよい。代替的には、このようなオルガノポリシロキサンは線状である。
【0115】
オルガノポリシロキサン及び有機ケイ素化合物のケイ素結合アルケニル基及びケイ素結合水素原子は、それぞれ、独立して側枝、末端、又は両方の位置に存在し得る。好適なアルケニル基は、ポリシロキサン(A)に関して上述している。
【0116】
ヒドロシリル化触媒は、白金族金属(すなわち、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、及びイリジウム)又は白金族金属を含有する化合物を含む、公知のヒドロシリル化触媒のうちのいずれかであってよい。典型的には、白金族金属は、ヒドロシリル化反応における高い活性に基づいて白金である。ヒドロシリル化触媒の例は、以下である。
【0117】
ヒドロシリル化触媒は、また又は代替的には、照射及び/又は加熱により硬化を開始し得る、光で活性化可能なヒドロシリル化触媒であってもよい。光活性化可能なヒドロシリル化触媒は、特に、150~800ナノメートル(nanometer、nm)の波長を有する放射線への曝露時にヒドロシリル化反応を触媒できる、任意のヒドロシリル化触媒であり得る。
【0118】
ヒドロシリル化触媒の濃度は、オルガノポリシロキサンと有機ケイ素化合物との間の付加反応を触媒するのに十分なものである。ある特定の実施形態では、ヒドロシリル化触媒の濃度は、オルガノポリシロキサンと有機ケイ素化合物とを合わせた重量に基づいて、典型的には、0.1~1000ppmの白金族金属、代替的には0.5~100ppmの白金族金属、代替的には1~25ppmの白金族金属を提供するのに十分なものである。
【0119】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、2部の組成物であってもよく、オルガノポリシロキサン及び有機ケイ素化合物は、別個の部の中にある。これらの実施形態では、ヒドロシリル化触媒は、オルガノポリシロキサン及び有機ケイ素化合物の片方又は両方とともに存在していてもよい。代替的には更に、ヒドロシリル化触媒は、オルガノポリシロキサン及び有機ケイ素化合物とは別個のものであり、第3の部の中にあってもよく、それによると、ヒドロシリル化反応硬化性シリコーン組成物は3部の組成物である。
【0120】
ヒドロシリル化硬化性シリコーン組成物は、概して、利用されるヒドロシリル化触媒に応じて、照射及び/又は熱への曝露時に固化又は硬化され得る。当業者は、ヒドロシリル化触媒の選択が、固化及び硬化のための技術にどのように影響を及ぼすかを理解している。具体的には、光活性化可能なヒドロシリル化触媒は、典型的には、照射による硬化が望まれる場合に利用される。
【0121】
ある特定の実施形態では、液状ゴムは、縮合硬化性シリコーン組成物を含む。これらの実施形態では、縮合硬化性シリコーン組成物は、典型的には、1分子当たり平均して少なくとも2つのケイ素結合ヒドロキシル基又は加水分解性基を有するオルガノポリシロキサン、任意選択的に、1分子当たり平均して少なくとも2つのケイ素結合水素原子、ヒドロキシル基、又は加水分解性基を有する有機ケイ素化合物、及び縮合触媒を含む。本発明の方法又はその任意の個々の工程中、任意のパラメータ又は条件を選択的に制御すことができるが、周囲条件の相対湿度及び水分含有量を選択的に制御して、縮合硬化性シリコーン組成物の硬化速度に更なる影響を及ぼすことができる。
【0122】
オルガノポリシロキサン及び有機ケイ素化合物は、独立して、線状、分岐状、環状、又は樹脂状であり得るが、典型的には、独立して、線状又は部分的に分岐状である。例えば、オルガノポリシロキサン及び/又は有機ケイ素化合物は、繰り返しD単位を含むオルガノポリシロキサンであり得る。かかるオルガノポリシロキサンは実質的に線状であるが、T単位及び/又はQ単位に起因するいくつかの分岐を含んでもよい。代替的には、このようなオルガノポリシロキサンは線状である。
【0123】
オルガノポリシロキサン及び有機ケイ素化合物のケイ素結合ヒドロキシル基及びケイ素結合水素原子、ヒドロキシル基、又は加水分解性基はそれぞれ、独立して側枝、末端、又は両方の位置にあり得る。
【0124】
当該技術分野において知られているとおり、ケイ素結合ヒドロキシル基は、ケイ素結合加水分解性基を加水分解することから得られる。これらのケイ素結合ヒドロキシル基が縮合し、シロキサン結合を、副生成物としての水とともに形成し得る。
【0125】
加水分解性基の例としては、以下のケイ素結合基、すなわち、H、ハライド基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、カルボキシ基、アルキルイミノオキシ基、アルケニルオキシ基、又はN-アルキルアミド基が挙げられる。アルキルアミノ基は、環状アミノ基であってもよい。
【0126】
上記のように、縮合硬化性シリコーン組成物は、有機ケイ素化合物を更に含む。有機ケイ素化合物の具体例としては、アルコキシシラン[MeSi(OCH、CHSi(OCHCH、CHSi(OCHCHCH、CHSi[O(CHCH、CHCHSi(OCHCH、CSi(OCH、CCHSi(OCH、CSi(OCHCH、CH=CHSi(OCH、CH=CHCHSi(OCH、CFCHCHSi(OCH、CHSi(OCHCHOCH、CFCHCHSi(OCHCHOCH、CH=CHSi(OCHCHOCH、CH=CHCHSi(OCHCHOCH、CSi(OCHCHOCH、Si(OCH、Si(OC、及びSi(OCなど]、オルガノアセトキシシラン[CHSi(OCOCH、CHCHSi(OCOCH、及びCH=CHSi(OCOCHなど]、オルガノイミノオキシシラン[CHSi[O-N=C(CH)CHCH、Si[O-N=C(CH)CHCH、及びCH=CHSi[O-N=C(CH)CHCHなど]、オルガノアセトアミドシラン[CHSi[NHC(=O)CH、及びCSi[NHC(=O)CHなど]、アミノシラン[CHSi[NH(s-C)]、及びCHSi(NHC11など]、並びにオルガノアミノオキシシランが挙げられる。
【0127】
有機ケイ素化合物は、各々が上記のとおりの、単一のシラン、又は2つ以上の異なるシランの混合物であり得る。また、3官能性及び4官能性シランを調製する方法は、当該技術分野において周知であり、これらのシランのうちの多くのものが市販されている。
【0128】
存在する場合、縮合硬化性シリコーン組成物中の有機ケイ素化合物の濃度は、オルガノポリシロキサンを硬化(架橋)するのに十分なものである。利用される有機ケイ素化合物の具体的な量は、所望の硬化度に応じて異なり、概して、有機ケイ素化合物中のケイ素結合加水分解性基のモル数の、オルガノポリシロキサン中のケイ素結合ヒドロキシ基のモル数に対する比が増大するにつれて増大する。有機ケイ素化合物の最適の量は、通常の実験によって容易に求めることができる。
【0129】
縮合触媒は、典型的にはケイ素結合ヒドロキシ(シラノール)基の縮合を促進してSi-O-Si結合を形成するために使用される、任意の縮合触媒であってもよい。縮合触媒の例としては、アミン、並びに鉛、スズ、亜鉛、及び鉄とカルボン酸との錯体が挙げられるが、これらに限定されない。具体的には、縮合触媒(C)は、スズ(II)及びスズ(IV)化合物(スズジラウレート、スズジオクトエート、及びテトラブチルスズなど)、並びにチタン化合物(チタンテトラブトキサイド等)から選択されるものであってよい。
【0130】
存在する場合、縮合触媒の濃度は、縮合硬化性シリコーン組成物中のオルガノポリシロキサンの総重量に基づいて、典型的には、0.1~10重量%、代替的には0.5~5重量%、代替的には1~3重量%である。
【0131】
縮合硬化性シリコーン組成物が縮合触媒を含む場合、縮合硬化性シリコーン組成物は、典型的には2部の組成物であり、オルガノポリシロキサン及び縮合触媒は、別個の部の中にある。この実施形態では、有機ケイ素化合物は、典型的には、縮合触媒とともに存在する。代替的には更に、縮合硬化性シリコーン組成物は、3部の組成物であってもよく、オルガノポリシロキサン、有機ケイ素化合物、及び縮合触媒が、別個の部の中にある。
【0132】
ある特定の実施形態では、液状ゴムは、フリーラジカル硬化性シリコーン組成物を含む。これらの実施形態では、フリーラジカル硬化性シリコーン組成物は、平均して少なくとも2つのケイ素結合不飽和基を有するオルガノポリシロキサン、及び有機パーオキサイドを含み得る。
【0133】
オルガノポリシロキサンは、線状、分岐状、環状、又は樹脂状であってもよいが、典型的には、線状又は部分的に分岐状である。例えば、オルガノポリシロキサンは、繰り返しD単位を含み得る。かかるオルガノポリシロキサンは実質的に線状であるが、T単位及び/又はQ単位に起因するいくつかの分岐を含んでもよい。代替的には、このようなオルガノポリシロキサンは線状である。
【0134】
オルガノポリシロキサンのケイ素結合不飽和基は、側枝、末端、又は両方の位置に存在し得る。ケイ素結合不飽和基は、二重結合及び/又は三重結合の形態でのエチレン性不飽和を含み得る。ケイ素結合不飽和基の例示的な例としては、ケイ素結合アルケニル基及びケイ素結合アルキニル基が挙げられ、これらの例は、ポリシロキサン(A)に関して上記で開示されている。
【0135】
フリーラジカル硬化性シリコーン組成物は、(i)1分子当たり少なくとも1つのケイ素結合アルケニル基を有する少なくとも1種の有機ケイ素化合物、(ii)1分子当たり少なくとも1つの脂肪族炭素-炭素二重結合を有する少なくとも1種の有機化合物、(iii)1分子当たり少なくとも1つのケイ素結合アクリロイル基を有する少なくとも1種の有機ケイ素化合物;(iv)1分子当たり少なくとも1つのアクリロイル基を有する少なくとも1種の有機化合物;並びに(v)(i)、(ii)、(iii)及び(iv)を含む混合物、から選択される不飽和化合物を更に含むことができる。不飽和化合物は、線状、分岐状、又は環状構造を有し得る。
【0136】
有機ケイ素化合物(i)は、オルガノシラン又はオルガノシロキサンであり得る。オルガノシランは、モノシラン、ジシラン、トリシラン、又はポリシランであり得る。同様に、オルガノシロキサンは、ジシロキサン、トリシロキサン、又はポリシロキサンであってよい。シクロシラン及びシクロシロキサンは、典型的には、3~12個のケイ素原子、代替的に3~10個のケイ素原子、代替的には3~4個のケイ素原子を有する。非環状ポリシラン及びポリシロキサンにおいて、ケイ素結合アルケニル基は、末端、ペンダント、又は末端及びペンダントの両方の位置に位置し得る。
【0137】
オルガノシランの具体例としては、以下の式:ViSi、PhSiVi、MeSiVi、PhMeSiVi、PhSiVi、及びPhSi(CHCH=CH[式中、Meは、メチルであり、Phは、フェニルであり、Viは、ビニルである]を有するシランが挙げられるが、これらに限定されない。
【0138】
オルガノシロキサンの具体例としては、以下の式:PhSi(OSiMeVi)、Si(OSiMeVi)、MeSi(OSiMeVi)、及びPhSi(OSiMeVi)[式中、Meは、メチルであり、Phは、フェニルである]を有するシロキサンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
有機化合物は、1分子当たり少なくとも1個の脂肪族炭素-炭素二重結合を含む任意の有機化合物であってもよく、ただし、その化合物は、オルガノポリシロキサンが硬化してシリコーン樹脂フィルムを形成するのを妨げないものとする。有機化合物は、アルケン、ジエン、トリエン、又はポリエンであり得る。更に、非環状有機化合物において、炭素-炭素二重結合は、末端、ペンダント、又は末端及びペンダントの両方の位置に位置し得る。
【0140】
有機化合物は、脂肪族炭素-炭素二重結合以外の、1つ以上の官能基を含んでいてもよい。好適な官能基の例としては、-O-、>C=O、-CHO、-CO-、-C≡N、-NO、>C=C<、-C≡-、-F、-Cl、-Br、及び-Iが挙げられるが、これらに限定されない。本発明のフリーラジカル硬化性シリコーン組成物において使用する特定の不飽和有機化合物の好適性は、通常の実験によって容易に求めることができる。
【0141】
脂肪族炭素-炭素二重結合を含む有機化合物の例としては、1,4-ジビニルベンゼン、1,3-ヘキサジエニルベンゼン、及び1,2-ジエテニルシクロブタンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
不飽和化合物は、各々が上記のとおりの、単一の不飽和化合物であっても、2つ以上の異なる不飽和化合物を含む混合物であってもよい。例えば、不飽和化合物は、単一のオルガノシラン、2つの異なるオルガノシランの混合物、単一のオルガノシロキサン、2つの異なるオルガノシロキサンの混合物、オルガノシランとオルガノシロキサンとの混合物、単一の有機化合物、2つの異なる有機化合物の混合物、オルガノシランと有機化合物との混合物、又はオルガノシロキサンと有機化合物との混合物であってよい。
【0143】
有機パーオキサイドをフリーラジカル開始剤として利用して、オルガノポリシロキサンの重合を開始する。有機パーオキサイドの例としては、ジアロイルパーオキサイド(ジベンゾイルパーオキサイド、ジ-p-クロロベンゾイルパーオキサイド、及びビス-2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイドなど)、ジアルキルパーオキサイド[ジ-t-ブチルパーオキサイド、及び2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンなど]、ジアラルキルパーオキサイド(ジクミルパーオキサイドなど)、アルキルアラルキルパーオキサイド[t-ブチルクミルパーオキサイド、及び1,4-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンなど];並びにアルキルアリールパーオキサイド[t-ブチルパーベンゾエート、t-ブチルパーアセテート、及びt-ブチルパーオクトエート等]が挙げられる。
【0144】
有機パーオキサイドは、単一のパーオキサイドであっても、2つ以上の異なる有機パーオキサイドを含む混合物であってもよい。有機パーオキサイドの濃度は、オルガノポリシロキサンの重量に基づいて、典型的には0.1~5重量%、代替的には0.2~2重量%である。
【0145】
フリーラジカル硬化性シリコーン組成物は2部の組成物であってもよく、オルガノポリシロキサン及び有機パーオキサイドが、別個の部の中にある。
【0146】
ある特定の実施形態では、液状ゴムは、開環反応硬化性シリコーン組成物を含む。これらの実施形態では、開環反応硬化性シリコーン組成物は、1分子当たり平均して少なくとも2つのエポキシ置換基を有するオルガノポリシロキサン、及び硬化剤を含むことができる。しかしながら、開環反応硬化性シリコーン組成物は、エポキシ官能性オルガノポリシロキサンに特に限定されない。開環反応硬化性シリコーン組成物の他の例としては、シラシクロブタン及び/又はベンゾシクロブテンを含むものが挙げられる。
【0147】
オルガノポリシロキサンは、線状、分岐状、環状、又は樹脂状であってもよいが、典型的には、線状又は部分的に分岐状である。
【0148】
オルガノポリシロキサンのエポキシ置換基は、側枝、末端、又は両方の位置にあり得る。「エポキシ置換された基」は、概して、酸素原子が炭素鎖又は環系の2個の隣接する炭素原子に直接結合した、1価の有機基、すなわちエポキシ置換基である。エポキシ置換有機基の例としては、2,3-エポキシプロピル基、3,4-エポキシブチル基、4,5-エポキシペンチル基、2-グリシドキシエチル基、3-グリシドキシプロピル基、4-グリシドキシブチル基、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル基、2-(3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシル)-2-メチルエチル基、2-(2,3-エポキシシクロペンチル)エチル基、及び3-(2,3-エポキシシクロペンチル)プロピル基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0149】
硬化剤は、オルガノポリシロキサンを硬化するのに好適な任意の硬化剤であり得る。その目的に好適な硬化剤の例としては、フェノール化合物、カルボン酸化合物、酸無水物、アミン化合物、アルコキシ基含有化合物、ヒドロキシル基含有化合物、又はそれらの混合物若しくはそれらの部分的反応生成物が挙げられる。より具体的には、硬化剤の例としては、イミダゾールなどの三級アミン化合物、四級アミン化合物、リン化合物(ホスフィンなど)、アルミニウム化合物(有機アルミニウム化合物など)、及びジルコニウム化合物(有機ジルコニウム化合物など)が挙げられる。更には、硬化剤若しくは硬化触媒のいずれか、又は硬化剤と硬化触媒との組み合わせは、硬化剤として使用され得る。硬化剤はまた、光酸又は光酸発生化合物であってもよい。
【0150】
硬化剤のオルガノポリシロキサンに対する比は、限定されない。ある特定の実施形態では、この比は、100重量部のオルガノポリシロキサン当たり、0.1~500重量部の硬化剤である。
【0151】
ある特定の実施形態では、液状ゴムは、チオレン硬化性シリコーン組成物を含む。これらの実施形態では、チオール-エン硬化性シリコーン組成物は、典型的には、1分子当たり平均して少なくとも2つのケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合メルカプトアルキル基を有するオルガノポリシロキサン、オルガノポリシロキサン中のケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合メルカプト-アルキル基と反応することができる、1分子当たり平均して少なくとも2つのケイ素結合メルカプト-アルキル基又はケイ素結合アルケニル基を有する有機ケイ素化合物、触媒、及び任意選択的に2つ以上のメルカプト基を含有する有機化合物を含む。オルガノポリシロキサンがケイ素結合アルケニル基を含む場合、有機ケイ素化合物及び/又は有機化合物は、ケイ素に結合した、かつ/又は有機化合物中に、1分子当たり少なくとも2つのメルカプト基を含み、オルガノポリシロキサンがケイ素結合メルカプト基を含む場合、有機ケイ素化合物は1分子当たり少なくとも2つのケイ素結合アルケニル基を含む。有機ケイ素化合物及び/又は有機化合物は、クロスリンカ又は架橋剤と称されてもよい。
【0152】
触媒は、オルガノポリシロキサンと有機ケイ素化合物及び/又は有機化合物との間の反応を触媒するのに好適な任意の触媒であり得る。典型的には、触媒は、i)フリーラジカル触媒、ii)求核試薬、及びiii)i)及びii)の組み合わせから選択される。触媒として使用するのに好適なフリーラジカル触媒としては、光活性フリーラジカル触媒、熱活性フリーラジカル触媒、室温フリーラジカル触媒、例えばレドックス触媒及びアルキルボラン触媒、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。触媒としての使用に好適な求核試薬としては、アミン、ホスフィン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0153】
特に、これらの成分又は構成成分が組成物の任意の特定の構成成分の硬化を妨げない場合には、液状ゴムのうちのいずれかは、任意選択的にかつ独立して、追加の成分又は構成成分を更に含んでもよい。追加の成分の例としては、充填剤、抑制剤、接着促進剤、染料、顔料、抗酸化剤、担体ビヒクル、熱安定剤、難燃剤、チキソトロープ剤、流動制御剤、増量充填剤及び補強充填剤をはじめとする充填剤、並びに架橋剤が挙げられるが、これらに限定されない。様々な実施形態では、組成物は、セラミック粉末を更に含む。セラミック粉末の量は変化させることができ、利用される3Dプリンティングプロセスに応じたものでもよい。
【0154】
添加剤のうちの1つ以上は、特定の組成物の任意の好適な重量%、例えば、組成物の約0.1重量%~約15重量%、約0.5重量%~約5重量%、又は約0.1重量%以下、約1重量%、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は約15重量%以上で存在することができる。
【0155】
上記の組成物のうちのいずれかは、ある特定の組成物に関して上記のとおり、単一の部の組成物であっても、複数部の組成物であってもよい。ある特定の組成物は反応性が高いため、複数部の組成物により、構成成分の尚早な混合及び硬化が防止される。複数部の組成物は、組成物及びその構成成分の選択次第で、例えば、2部の系、3部の系などであってもよい。組成物の任意の構成成分が別個になっていて、残りの構成成分に関して個々に制御されてもよい。
【0156】
液状ゴムは、様々な粘度のものであり得る。ある特定の実施形態では、液状ゴムは、25℃で、500センチストークス未満、250センチストークス未満、又は100センチストークス未満、代替的には、25℃で1~1,000,000センチストークス、代替的には25℃で1~100,000センチストークス、代替的には25℃で1~10,000センチストークスの粘度を有する。当該技術分野において容易に理解されるとおり、動粘度は、ASTM D-445(2011)、表題「Standard Test Method for Kinematic Viscosity of Transparent and Opaque Liquids(and Calculation of Dynamic Viscosity)」に従い測定することができる。
【0157】
シリコーン-ポリオレフィン組成物中の構成成分(A)、(B)、(C)、及び(D)の量は、以下の追加の説明を考慮して最もよく理解されるように、変化し得る。
【0158】
典型的には、ポリシロキサン(A)は、シリコーン-ポリオレフィン組成物の総重量に基づいて、0.5~15重量%、例えば1~12、代替的には1.5~10、代替的には2~7重量%の量でシリコーン-ポリオレフィン組成物中に存在する。官能基化ポリオレフィン(B)は、典型的には、シリコーン-ポリオレフィン組成物の総重量に基づいて、1~40重量%、代替的には1~30重量%の量でシリコーン-ポリオレフィン組成物中に存在する。ポリオレフィン(C)は、典型的には、シリコーン-ポリオレフィン組成物の総重量に基づいて、1~40、代替的には1~35、代替的には2~30、代替的には3~25、代替的には4~20、代替的には5~25重量%の量でシリコーン-ポリオレフィン組成物中に存在する。構成成分(D)は、典型的には、シリコーン-ポリオレフィン組成物の総重量に基づいて、55~99、代替的には60~99、代替的には70~98重量%の量シリコーン-ポリオレフィン組成物中に存在する。
【0159】
いくつかの実施形態では、構成成分(A)、(B)、(C)、及び/又は(D)の量は、上記の範囲に対応し、重量%は、構成成分(A)、(B)、(C)、及び(D)の合計重量を基準として決定される(すなわち、シリコーン-ポリオレフィン組成物全体としてではなく、追加の構成成分が存在するべきである)。
【0160】
前出の実施形態及び構成成分量に関して、シリコーン-ポリオレフィン組成物の残りは、存在する場合、シリコーン-ポリオレフィン組成物の1つ以上の追加の構成成分を含んでもよいことを理解されたい。例えば、本明細書に記載される追加の説明及び方法を考慮してよりよく理解されるように、シリコーン-ポリオレフィン組成物は、触媒、溶媒若しくは担体ビヒクル、又は反応促進剤を含んでもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、シリコーン-ポリオレフィン組成物は、反応触媒又は促進剤を含まず、代替的には実質的に含まない。これら又は他の実施形態では、シリコーン-ポリオレフィン組成物は、シリコーン-ポリオレフィン組成物の総重量に基づいて、1重量%未満の溶媒を含む。他の実施形態では、シリコーン-ポリオレフィン組成物は、溶媒又は担体ビヒクルを実質的に含まず、代替的には含まない。
【0161】
上記の範囲及び比の範囲外の量も利用できることも理解されるであろう。しかしながら、本明細書に記載される追加の説明及び方法も考慮してよりよく理解されるように、ポリシロキサン(A)の添加量の減少及び/又は官能基化ポリオレフィン(B)の添加量の増加は、不十分な相溶化に起因するマクロ相分離をもたらし得る。
【0162】
いくつかの実施形態では、シリコーン-ポリオレフィン組成物は、ポリシロキサン(A)の官能基Xと官能基化ポリオレフィン(B)の官能基Yとの間のカップリング反応を促進するように適合された(E)触媒を含む。
【0163】
触媒(E)の使用も、触媒(E)中又は触媒(E)としての使用のために選択された特定の種類又は特定の化合物の使用も、選択された特定のポリシロキサン(A)及び官能基化ポリオレフィン(B)に基づいて当業者によって選択されるであろう。より具体的には、触媒(E)は、特に限定されないが、代わりに構成成分(A)及び(B)のカップリングを触媒するように選択され、したがって、本明細書の説明を考慮して当業者によって理解されるように、ポリシロキサン(A)と官能基化ポリオレフィン(B)との反応(例えば、官能基X及び官能基Yの反応を介する/それらの反応を含む)を促進するのに好適な任意の化合物を含み得るか、又はその化合物であり得る。例えば、ある特定の実施形態では、触媒(E)は、ヒドロシリル化、縮合、置換、開環、求核置換など、及びかかる反応の組み合わせを含む反応を促進するものから選択される。触媒(E)自体が2種以上の触媒を含んでもよく、かつ/又は反応が2種以上の触媒(E)、例えば2種、3種、又はそれを超える異なる触媒(E)を利用してもよいことを理解されたい。
【0164】
具体的な実施形態では、触媒(E)は、ヒドロシリル化触媒を含み、代替的にはヒドロシリル化触媒である。かかる実施形態では、官能基X及び官能基Yは、相補的なカップリング可能なヒドロシリル化可能な基である。
【0165】
シリコーン-ポリオレフィン組成物において使用するのに好適なヒドロシリル化触媒は、特に限定されず、ヒドロシリル化反応を触媒するための任意の公知の触媒であってもよい。異なるヒドロシリル化触媒の組み合わせを利用してもよい。
【0166】
ある特定の実施形態では、ヒドロシリル化触媒は、第VIII族~第XI族遷移金属を含む。第VIII族~第XI族遷移金属には、最新のIUPAC命名法を参照する。第VIII族遷移金属は、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、及びハシウム(Hs)であり、第IX族遷移金属は、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、及びイリジウム(Ir)であり、第X族遷移金属は、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、及び白金(Pt)であり、第XI族遷移金属は、銅(Cu)、銀(Ag)、及び金(Au)である。ヒドロシリル化触媒に好適な触媒の更なる例としては、レニウム(Re)、モリブデン(Mo)、第IV族遷移金属(すなわち、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及び/又はハフニウム(Hf))、ランタニド、アクチニド、並びに第I族及び第II族金属錯体(例えば、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、ストロンチウム(Sr)などを含むもの)が挙げられる。組み合わせ、錯体(例えば、有機金属錯体)、及びかかる金属の他の形態を、ヒドロシリル化触媒として利用してもよい。
【0167】
ヒドロシリル化触媒は、任意の好適な形態であってもよい。例えば、ヒドロシリル化触媒は固体であってもよく、又は代わりに固体担体中若しくは固体担体上に配置されてもよい。固体触媒の例としては、典型的には、白金系触媒、パラジウム系触媒、及び同様の貴金属系触媒、並びにニッケル系触媒が挙げられる。その具体例としては、元素ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、コバルト、及び類似の金属、並びに白金-パラジウム、ニッケル-銅-クロム、ニッケル-銅-亜鉛、ニッケル-タングステン、ニッケル-モリブデンなどの元素混合物/組み合わせ、並びにCu-Cr、Cu-Zn、Cu-Si、Cu-Fe-Al、Cu-Zn-Ti、及び類似の銅含有触媒が挙げられる。担体の例としては、活性炭、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、ゼオライト、及びその他の無機粉末/粒子(例えば硫酸ナトリウム)などが挙げられる。ヒドロシリル化触媒はまた、例えば、ヒドロシリル化触媒を可溶化する溶媒、代替的には単にヒドロシリル化触媒を担持しているが可溶化しないビヒクルにおいて付着させてもよい。かかるビヒクルは、当該技術分野において公知である。
【0168】
具体的な実施形態では、ヒドロシリル化触媒は、白金を含む。これらの実施形態では、ヒドロシリル化触媒は、白金黒、塩化白金酸(例えば、塩化白金酸六水和物、塩化白金酸と一価アルコールとの反応生成物、又は脂肪族不飽和有機ケイ素化合物、例えばジビニルテトラメチルジシロキサンなど)、白金ビス(エチルアセトアセテート)、白金ビス(アセチルアセトネート)、塩化白金、任意のかかる化合物とオレフィン又はオルガノポリシロキサンとの錯体、及びマイクロカプセル化白金化合物(例えば、マトリックス又はコア-シェル型)によって例示される。例えば、白金とオルガノポリシロキサンとの好適な錯体、例えば白金との1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体は、直接使用されてもよく、代替的にはマイクロカプセル化形態(例えば、樹脂マトリックス中)で使用されてもよい。
【0169】
ヒドロシリル化触媒は、光活性化可能なヒドロシリル化触媒であってもよく、これは、照射(例えば、150~800nmの波長を有する放射線への曝露時)及び/又は熱を介して硬化を開始し得る。
【0170】
触媒(E)に好適な光活性化可能なヒドロシリル化反応触媒の具体例としては、白金(II)β-ジケトネート錯体、例えば白金(II)ビス(2,4-ペンタンジオエート)、白金(II)ビス(2,4-ヘキサンジオエート)、白金(II)ビス(2,4-ヘプタンジオエート)、白金(II)ビス(1-フェニル-1,3-ブタンジオエート)、白金(II)ビス(1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオエート)、白金(II)ビス(1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-2,4-ペンタンジオエート)、(η-シクロペンタジエニル)トリアルキル白金錯体、例えば(Cp)トリメチル白金、(Cp)エチルジメチル白金、(Cp)トリエチル白金、(クロロ-Cp)トリメチル白金、及び(トリメチルシリル-Cp)トリメチル白金[式中、Cpがシクロペンタジエニルを表す];トリアゼンオキサイド-遷移金属錯体、例えば[Pt[CNNNOCH、Pt[p-CN-CNNNOC11、Pt[p-HCOCNNNOC11、Pt[p-CH(CH-CNNNOCH、1,5-シクロオクタジエンPt[p-CN-CNNNOC11、1,5-シクロオクタジエンPt[p-CHO-CNNNOCH、[(CP]Rh[p-CN-CNNNOC11]、及びPd[p-CH(CH-CNNNOCH[式中、xは1、3、5、11、又は17である];(σ-ジオレフィン)(-アリール)白金錯体、例えば(η-1,5-シクロオクタジエニル)ジフェニル白金、(η-1,3,5,7-シクロオクタテトラエニル)ジフェニル白金、(η-2,5-ノルボラジエニル)ジフェニル白金、(η-1,5-シクロオクタジエニル)ビス-(4-ジメチルアミノフェニル)白金、(η-1,5-シクロオクタジエニル)ビス-(4-アセチルフェニル)白金、及び(η-1,5-シクロオクタジエニル)ビス-(4-トリフルオロメチルフェニル)白金などの、(η-ジオレフィン)(-アリール)白金錯体が挙げられる。具体的な実施形態では、触媒(E)の光活性化可能なヒドロシリル化反応触媒は、Pt(II)β-ジケトネート錯体、例えば白金(II)ビス(2,4-ペンタンジオエート)である。
【0171】
上記の触媒(E)に関して上述した化合物は、すなわち、ヒドロシリル化触媒を含むか、又はヒドロシリル化触媒である場合、概して、室温であっても、シリコーン-ポリオレフィン組成物の構成成分(A)及び(B)の急速な反応(すなわち、カップリング、架橋など)を促進し得る(すなわち、上述のようなヒドロシリル化を介して反応可能である場合)ことが理解されるであろう。したがって、ある特定の実施形態では、シリコーン-ポリオレフィン組成物は、架橋反応抑制剤、ヒドロシリル化反応抑制剤、又は安定剤として更に定義され得る反応抑制剤を更に含む。好適な抑制剤は、当該技術分野において公知であり、概して、触媒作用を停止させるが、揮発性であるか、又は熱若しくは光(例えば、UV)によって容易に分解する化合物を含む。かかる抑制剤の例としては、典型的には、触媒金属と錯体を形成し、それによって熱が加えられるまでその活性を遮断する、電子吸引基を有する比較的低沸点のアルキン系及びアルケン系化合物が挙げられる。抑制剤の一般的な例としては、250℃未満の沸点を有するアセチレンアルコール(例えば、2-メチル-3-ブチン-2-オール、1-エチニルシクロヘキサノール(ethynylcyclohexanol、ETCH))、並びに様々なフマレート、マレエート(例えば、ジアリルマレエート)、小ビニル官能性シロキサン(例えば、テトラビニル-テトラメチルテトラシロキサン)、エチニルアルケン(例えば、3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3-メチル-3-ヘキセン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン、3-エチル-3-ブテン-1-イン、3-フェニル-3-ブテン-1-インなど)、アセチレンジカルボン酸のジアルキルエステル(例えば、ジメチルアセチレンジカルボキシレート(dimethyl acetylenedicarboxylate、DMAD))など、並びにそれらの様々な誘導体が挙げられる。当業者であれば、シリコーン-ポリオレフィン組成物のために利用される特定の他の構成成分、並びに本明細書に開示される使用及びプロセスを含むその意図される用途を考慮して、反応抑制剤中での使用又は反応抑制剤としての使用のためのかかる抑制剤を選択したであろう。例えば、特定のヒドロシリル化反応抑制剤/安定剤は、異なる適合性及び動作ウィンドウ(例えば、感光性及び/又は感熱性、必要な添加量などの点で)を示し、そのため当業者であれば、本明細書で提供される組成物及び方法の説明に基づいて、必要に応じて反応抑制剤として使用するための適切な抑制剤を容易に選択することが十分に理解される。
【0172】
具体的な実施形態では、触媒(E)は、縮合触媒を含み、代替的には縮合触媒である。かかる実施形態では、官能基X及び官能基Yは、相補的な縮合可能な基(例えば、アミン(X)+無水物(Y))である。
【0173】
シリコーン-ポリオレフィン組成物において使用するのに好適な縮合触媒は、構成成分(A)及び(B)と相溶性であり、官能基X及びYの縮合反応を触媒するか、又は他の方法で促進することができる任意の公知の化合物(又は組み合わせ)であり得る。異なるヒドロシリル化触媒の組み合わせを利用してもよい。
【0174】
縮合触媒の例は、概して、無機及び有機塩基及び酸(すなわち、酸型又は塩基型触媒)であり、これらは金属原子を含んでいてもよく、代替的には金属原子を実質的に含まなくてもよく、代替的には金属原子を含まなくてもよい。かかる触媒の例としては、概して、鉱酸及び塩基(例えば、HSO、LiOH、NaOH、KOH、CsOHなど)、有機塩基及びアミン(例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム((CHNOH)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU))、有機及び無機酸(例えば、カルボン酸、スルファミン酸など)、並びにチタンアルコキシドなどの特定の金属錯体(例えば、Ti(OiPr)(acac))など、並びにそれらの誘導体、修飾体、及び組み合わせが挙げられる。かかる縮合触媒は、当該技術分野において周知であり、市販されている。
【0175】
利用される場合、特定の縮合触媒は、シリコーン-ポリオレフィン組成物において利用される特定の構成成分及び条件、並びにそれらを伴うプロセスを考慮して、当業者によって選択されるであろう。特定の制限は、以下の説明を考慮して理解されるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、触媒の残留量は、シリコーン-ポリオレフィン組成物から、ある特定の種類の縮合触媒と適合しない可能性がある他の組成物及び/又はプロセスに繰り越されてもよい。したがって、ある特定の実施形態では、触媒(E)、任意選択的にシリコーン-ポリオレフィン組成物は全体として、1つ以上の金属系縮合触媒、強酸及び強塩基、酸化化合物などを実質的に含まず、代替的には含まない。
【0176】
本明細書の一般の説明のうちの1つに収まるどうかにかかわらず、他の触媒も利用することができることを理解されたい。例えば、本明細書に記載されるある特定のカップリング反応は、様々なルイス酸触媒、例えば、ホウ素、アルミニウム、鉄、スズ、及びチタンに基づくもの、例えば、三価又は四価のハロゲン化物及びそれらのアルコキシドによって促進され得ることが理解されるであろう。同様に、ある特定の実施形態では、触媒(E)は、Piers-Rubinsztajn型触媒(例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン)を含み、代替的にはそれであり、これは、本明細書に記載されるヒドリドシリル基(例えば、官能基X)のうちの1つとアルコキシシリル基又はヒドロキシシリル基(例えば、官能基Y)との間のカップリングを促進するために利用され得る。
【0177】
触媒(E)は、例えば、選択される特定の触媒(E)(例えば、その活性構成成分の濃度/量、利用されている触媒の種類、実施されるカップリング反応の種類など)、利用される規模(例えば、構成成分(A)及び(B)の総量、官能基X及び官能基Yの相対量など)などに依存して、当業者によって選択される任意の量で利用されてもよい。以下の説明を考慮して最もよく理解されるように、反応に利用される構成成分(A)及び/又は(B)に対する触媒(E)のモル比は、所望される場合、カップリング/架橋の速度及び/又は量に影響を及ぼし得る。したがって、構成成分(A)及び/又は(B)と比較した触媒(E)の量、並びにそれらの間のモル比は、変化し得る。典型的には、これらの相対量及びモル比は、(例えば、反応の経済的効率の向上、形成される反応生成物の精製の容易性の向上などのために)触媒(E)の添加量を最小限に抑えながら、構成成分(A)及び(B)の反応(例えば、官能基XYを介して)を最大化するように選択される。
【0178】
例えば、最小閾値を超えて、触媒添加量を減少させると反応性が悪くなる場合があり、ひいては本明細書で実証及び説明される特性及び効果を達成できない場合があることが理解されるであろう。本実施形態に関して、かかる最小閾値は、本明細書に記載される構成成分(A)及び(B)のヒドロシリル化媒介カップリング反応に概して適用可能である。したがって、官能基X及び官能基Yが相補的なカップリング可能なヒドロシリル化可能な基である典型的な実施形態では、シリコーン-ポリオレフィン組成物は、触媒(E)のヒドロシリル化触媒を1~100ppm、代替的には5~100ppmの量で含む。しかしながら、これらの範囲外の添加量を利用して本明細書に記載される利点を実現してもよく、当業者であれば、本明細書の記載及び実施例を考慮して適切な触媒添加量(例えば、反応速度、構成成分(A)及び(B)の相溶化などに基づいて)を決定できることも理解されるであろう。例えば、触媒(E)のかかる最小閾値量は、構成成分(A)及び(B)のエポキシ-アミンカップリング反応が利用される場合などの、他の実施形態では必要とされない場合がある。
【0179】
同様に、更に他の実施形態では、シリコーン-ポリオレフィン組成物は、触媒(E)に関して上述したものを含む反応触媒又は促進剤を実質的に含まず、代替的には含まない。本明細書の追加の説明を考慮して理解されるように、シリコーン-ポリオレフィン組成物並びに関連する方法及び組成物のある特定の特徴は、触媒又は促進剤を使用せずに実現及び/又は達成され得る。例えば、具体的な実施形態では、官能基X及び官能基Yは、相補的な縮合可能な基(例えば、アミン(X)+無水物(Y))であり、シリコーン-ポリオレフィン組成物は、縮合触媒又は促進剤を実質的に含まず、代替的には含まない。本明細書で提供されるアミン-メタクリレート、シラノール-アルコキシシラン、及びカルビノール-無水物カップリングなどの他の架橋化学反応も、控えめな触媒添加量なしで使用することができる。
【0180】
ある特定の実施形態では、触媒(E)は、利用される構成成分(A)の総量に基づいて、0.000001~5重量%の量(すなわち、重量/重量)でシリコーン-ポリオレフィン組成物において利用される。例えば、触媒(E)は、利用される構成成分(A)の総量に基づいて、0.00001~5重量%、例えば0.00001~4重量%、代替的には0.00001~3重量%、代替的には0.00001~2重量%、代替的には0.0001~2重量%、代替的には0.0001~1重量%、代替的には0.0001~0.5重量%、代替的には0.001~0.5重量%、代替的には0.005~0.5重量%の量で使用され得る。同様に又は代替的には、触媒(E)は、利用される構成成分(B)の総量に基づいて、0.000001~5重量%の量(すなわち、重量/重量)でシリコーン-ポリオレフィン組成物において利用され得る。例えば、触媒(E)は、利用される構成成分(B)の総量に基づいて、0.00001~5重量%、例えば0.00001~4重量%、代替的には0.00001~3重量%、代替的には0.00001~2重量%、代替的には0.0001~2重量%、代替的には0.0001~1重量%、代替的には0.0001~0.5重量%、代替的には0.001~0.5重量%、代替的には0.005~0.5重量%の量で使用され得る。
【0181】
いくつかの実施形態では(例えば、反応の種類が化学量論的添加量を決定付ける場合)、利用される触媒(E)の量は、当業者によって理解されるように、シリコーン-ポリオレフィン組成物の1つ以上の構成成分に基づくモル比で選択及び/又は決定され得る。かかる実施形態では、触媒(E)は、利用される構成成分(A)及び/又は構成成分(B)の総量に基づいて、0.0001~5モル%の量でシリコーン-ポリオレフィン組成物において利用され得る。例えば、触媒(E)は、利用される構成成分(A)の総量に基づいて、0.0005~5モル%、代替的には0.0005~3モル%、代替的には0.0005~1モル%、代替的には0.001~1モル%の量で使用され得る。
【0182】
官能基化ポリオレフィン(B)及びポリオレフィン(C)は、典型的には、硬化性シリコーンエラストマー構成成分(D)と非混和性であるか、又は実質的に非混和性である。したがって、上記で紹介したように、シリコーン-ポリオレフィン組成物からハイブリッドシリコーン-ポリオレフィンブレンドを調製する方法(「調製方法」)も提供され、概して、シリコーン-ポリオレフィン組成物中で官能基化ポリオレフィン(B)及びポリオレフィン(C)をポリシロキサン(A)と相溶化させることを含む。
【0183】
より具体的には、調製方法は、構成成分(D)中の官能基化ポリオレフィン(B)及びポリオレフィン(C)の均一な分散体(すなわち、シリコーン中ポリオレフィン分散体として)の調製を可能にし、これらの構成成分は、そうでなければ相溶性ではない化学物質(すなわち、ポリシロキサン及びポリオレフィン)に基づく。更に、調製方法は、小さいドメイン(例えば、ポリオレフィンドメイン)と、硬化性組成物へのシリコーン-ポリオレフィンブレンドの適用を支持する有用な特徴と、を有する均一な組成物としてのシリコーン-ポリオレフィンブレンドを提供する。
【0184】
ポリシロキサン(A)は、例えば、官能基Xと官能基Yとの間のそれぞれの付加カップリング/架橋反応を介して、官能基化ポリオレフィン(B)を相溶化することができる。したがって、調製方法は、ポリシロキサン(A)と官能基化ポリオレフィン(B)とを反応させることを含む。典型的には、構成成分(A)及び(B)は、構成成分(C)及び(D)の存在中に反応する。したがって、この調製方法は、予め作製された形態のシリコーン-ポリオレフィン組成物に対して行われてもよく、又はシリコーン-ポリオレフィン組成物を調製すること(例えば、ポリシロキサン(A)、官能基化ポリオレフィン(B)、ポリオレフィン(C)、及び構成成分(D)を、任意選択的に触媒(E)などの本明細書に記載の追加の構成成分及び/又は任意選択的構成成分のうちのいずれかと組み合わせることによって)を含み得ることが理解されるであろう。このように、シリコーン-ポリオレフィン組成物は、少なくとも構成成分(A)、(B)、(C)、及び(D)、又はシリコーン-ポリオレフィン組成物を含む反応性プレミックス又は相溶化混合物と称されるか、又はそれらとして特徴付けられ得る。
【0185】
方法の構成成分に関して、ポリシロキサン(A)、官能基化ポリオレフィン(B)、ポリオレフィン(C)、及び硬化性シリコーン(D)は、各々調製することができるか(すなわち、調製方法の一部として)、又はそうでなければ、例えば、調製された試薬/供給原料として得ることができる。これらの構成成分(例えば、反応可能/架橋可能なポリジオルガノシロキサン、官能基化ポリ-アルファオレフィン-アルケニルコポリマー、反応硬化性ポリジオルガノシロキサンガムなど)の各々を調製する方法は、当該技術分野において公知であり、好適な前駆体及び出発材料は、様々な供給業者から市販されている。
【0186】
構成成分(A)、(B)、(C)、及び(D)は、上述のポリシロキサン(A)による相溶化に関する官能基化ポリオレフィン(B)の上限/比を考慮して、任意の量で利用することができる。したがって、当業者によって選択される好適な量は、例えば、選択される特定の構成成分、相溶化に用いられる反応パラメータ、相溶化の規模(例えば、利用されるシリコーン-ポリオレフィン組成物中の構成成分(A)、(B)、(C)、及び(D)の総量などに依存する。
【0187】
一般に、構成成分(A)、(B)、(C)、及び(D)は、任意の形態、例えば無溶媒(すなわち、溶媒、担体ビヒクル、希釈剤などが存在しない)で独立して利用されてもよく、又は溶媒若しくは分散剤などの担体ビヒクル中に配置されてもよく、これについては、以下で更に詳しく記載される。しかしながら、ある特定の実施形態では、(A)、(B)、(C)、及び(D)の各々は、無溶媒で、又はそうでなければ担体ビヒクルを実質的に含まない形態で、代替的には担体ビヒクルを含まない形態で利用される。担体ビヒクルを実質的に含まない場合、構成成分((A)、(B)、(C)、及び(D)は、典型的には、以下に記載されるように、水及び相溶化に関与する任意の構成成分と反応性の担体ビヒクル/揮発性物質、又は相溶化後反応物を含まない(又は、実質的に含まない)であろう。したがって、いくつかの実施形態では、相溶化、又は全体としての調製方法は、ポリシロキサン(A)(すなわち、ポリシロキサン骨格又は官能基Xにおいて)、官能基化ポリオレフィン(B)(例えば、官能基Yにおいて)、又はシリコーン-ポリオレフィン組成物を調製するために利用される任意の1つ以上の他の構成成分(例えば、触媒(E)、存在する場合)と反応性である担体ビヒクル/揮発性物質の非存在下で行われる。例えば、ある特定の実施形態では、調製方法は、構成成分(A)、(B)、(C)、及び(D)、並びに任意選択的に揮発性物質、溶媒などの(E)(すなわち、「相溶化構成成分」)のうちの1つ以上を含む混合物を、調製方法において利用される任意の1つ又は他の構成成分と組み合わせる前に、ストリッピングすることを含み得る。かかるシロキサン、ポリオレフィン、及び反応触媒をストリッピングする技術は、概して、当該技術分野において公知であり、官能基X又は官能基Yとの早期反応を開始しないように注意しながらの、加熱、乾燥、減圧/真空の適用、溶媒との共沸、モレキュラーシーブなどの乾燥剤の利用、及びそれらの組み合わせを含み得る。
【0188】
いくつかの実施形態では、相溶化構成成分のうちの1つ以上は、例えば、構成成分(B)の相溶化の前及び/又は間に、担体ビヒクルと組み合わされてもよい。相溶化の前に、例えば、かかる構成成分の調製の一部として、又は他の方法で相溶化混合物への構成成分の提供及び/又は計量供給を容易にするために組み合わせる場合、上記のストリッピングプロセスを行ってもよい。相溶化中に担体ビヒクルが存在する場合、相溶化プロセスの構成成分及び条件との適合性に基づいて適切な選択が制限されることが理解されるであろう。
【0189】
担体ビヒクルに関して、概して、例としては、典型的には、油(例えば、有機油及び/又はシリコーン油)、流体、溶媒など、及びそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、いくつかの実施形態では、相溶化の構成成分のうちの1つ以上は、相溶化の他の構成成分と組み合わされる前に担体流体中に配置される。いくつかの実施形態では、担体流体は、シリコーン流体を含み、代替的にはシリコーン流体から本質的になる。シリコーン流体は、典型的には、低粘度及び/又は揮発性シロキサンである。いくつかの実施形態では、シリコーン流体は、低粘度オルガノポリシロキサン、揮発性メチルシロキサン、揮発性エチルシロキサン、揮発性メチルエチルシロキサンなど、又はそれらの組み合わせである。典型的には、シリコーン流体は、25℃で1~1,000mPa・sの範囲の粘度を有する。好適なシリコーン流体の具体例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデメチルヘプタシロキサン、ヘプタメチル-3-{(トリメチルシリル)オキシ)}トリシロキサン、ヘキサメチル-3,3、ビス{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサンペンタメチル{(トリメチルシリル)オキシ}シクロトリシロキサン、並びにポリジメチルシロキサン、ポリエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、カプリリルメチコン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキシルトリメチコンなど、並びにそれらの誘導体、修飾体、及びそれらの組み合わせが挙げられる。好適なシリコーン流体の追加の例としては、5×10-7~1.5×10-6/秒などの好適な蒸気圧のポリオルガノシロキサン、例えばDOWSIL(商標)200 Fluids及びDOWSIL(商標)OS FLUIDSが挙げられ、これらは、Dow Silicones Corporation(Midland,Mich.,U.S.A.)から市販されている。
【0190】
他のかかる実施形態では、担体流体は、揮発性及び/又は半揮発性炭化水素、エステル、及び/又はエーテルを含む有機油を典型的に含む有機流体を含み、代替的にはその有機流体から本質的になる。かかる有機流体の一般の例としては、C~C16アルカン、C~C16イソアルカン(例えば、イソデカン、イソドデカン、イソヘキサデカンなど)、C~C16分岐状エステル(例えば、イソヘキシルネオペンタノエート、イソデシルネオペンタノエートなど)などの揮発性炭化水素油、並びに誘導体、修飾体、及びそれらの組み合わせが挙げられる。適切な有機流体の更なる例としては、芳香族炭化水素及び脂肪族炭化水素が挙げられる。炭化水素には、イソドデカン、イソヘキサデカン、Isopar L(C11~C13)、Isopar H(C11~C12)、水素化ポリデセンが含まれる。エーテル及びエステルには、イソデシルネオペンタノエート、ネオペンチルグリコールヘプタノエート、グリコールジステアレート、ジカプリリルカーボネート、ジエチルヘキシルカーボネート、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、エチル-3エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、トリデシルネオペンタノエート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(propylene glycol methylether acetate、PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(propylene glycol methylether、PGME)、オクチルドデシルネオペンタノエート、ジイソブチルアジペート、ジイソプロピルアジペート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、オクチルエーテル、オクチルパルミテート、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0191】
更に他のかかる実施形態では、担体流体は、有機溶媒を含み、代替的には有機溶媒から本質的になる。有機溶媒の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンなどのケトン;ベンゼン、トルエン、及びキシレンなどの芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン、及びオクタンなどの脂肪族炭化水素;プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、及びエチレングリコールn-ブチルエーテルなどのグリコールエーテル;ジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン及び塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素;クロロホルム;ジメチルスルホキシド;ジメチルホルムアミド、アセトニトリル;テトラヒドロフラン、ホワイトスピリット;ミネラルスピリット、ナフサ、n-メチルピロリドンなど、並びにこれらの誘導体、修飾体、及び組み合わせを含むものが挙げられる。
【0192】
上記で紹介したように、そして前出の項にもかかわらず、相溶化反応(すなわち、構成成分(C)及び(D)の存在下での構成成分(A)及び(B)の反応)は、担体ビヒクル又は溶媒を実質的に含まない条件下で行うことができる。実際、本明細書の実施例及び追加の説明から理解されるように、調製方法の特定の特徴は、シリコーン構成成分(例えば、構成成分(A)及び(D))並びに官能基化ポリオレフィン(B)及びポリオレフィン(C)の相溶化されたブレンドの無溶媒調製を可能にする。
【0193】
また上記で紹介したように、相溶化混合物は、構成成分(A)及び(B)以外の構成成分を含んでもよい。例えば、ある特定の実施形態では、反応(すなわち、相溶化)は、ヒドロシリル化反応として更に定義され、官能基(X)及び官能基(Y)は、相補的ヒドロシリル化可能な基(例えば、各Xはケイ素結合オレフィン性エチレン性不飽和基であり、各Yはヒドリドシリル基を含む)から選択される。かかる実施形態では、相溶化混合物は、典型的には、ヒドロシリル化触媒(E)を含む。しかしながら、他の実施形態では、相溶化は、縮合反応として更に定義され、官能基(X)及び官能基(Y)は、相補的な縮合可能な基(例えば、各Xはアミノアルキル基であり、各Yは無水物基を含む)から選択される。いくつかのかかる実施形態では、相溶化は、触媒(例えば、縮合触媒(E))を含まない。
【0194】
シリコーン-ポリオレフィン組成物の構成成分は、典型的には、相溶化を行い、構成成分(B)及び(C)を構成成分(D)中に分散させ、それによってシリコーン-ポリオレフィンブレンドを調製するために、容器又は反応器中で混合される。相溶化構成成分は、相溶化混合物(すなわち、シリコーン-ポリオレフィン組成物)を調製するために、容器に一緒に若しくは別個に供給されてもよく、又は任意の添加順序で、かつ任意の組み合わせで容器中に配置されてもよい。同様に、相溶化混合物は、本明細書で特に断りのない限り、バッチ、半バッチ、半連続、又は連続プロセスで調製され得る。
【0195】
典型的には、シリコーン-ポリオレフィンブレンドは、カップリング/架橋が行われる際に、シリコーン-ポリオレフィンブレンドの動的反応/架橋を介して、すなわち、構成成分(A)、(B)、(D)、及び任意選択的に(E)を一緒に混合することを介して調製される。この意味において、「動的」という用語は、シリコーン-ポリオレフィン組成物が架橋/相溶化工程中に剪断力を受けることを示し、ポリマーがかかる架橋中に相対的に固定化される「静的架橋」とは対照的である。
【0196】
相溶化は、典型的には、混合しながら(例えば、剪断下で)高温で行われる。したがって、容器又は反応器は、典型的には、例えばジャケット、マントル、交換器、浴、コイルなどを介して加熱され、相溶化混合物をブレンド及び/又は剪断するための混合手段を備える。一般に、相溶化のための高められた温度は100~200℃である。具体的な実施形態では、高められた温度は、典型的には、100~180、代替的には100~170、代替的には100~160、代替的には100~150、代替的には110~150、代替的には110~140℃である。
【0197】
混合/剪断に関して、シリコーン-ポリオレフィン組成物は、典型的には、シリコーン-ポリオレフィンブレンドを調製するために、高められた温度でシリコーン-ポリオレフィン組成物を溶融ブレンド又は押出することによって均質化される。したがって、他の反応器及び混合/ブレンド技術(例えば、ツインローターミキサ、リボンブレンダ、溶液ブレンダ、コニーダ、スクリュー押出機、スタティックミキサ、バンバリー型ミキサなどを使用する)を利用してもよいが、ある特定の実施形態では、反応器/容器は押出機又は溶融ブレンダである。しかしながら、当業者であれば、他のミキサも利用できることを理解するであろう。混合するプロセスは、構成成分(D)の選択の関数でもある。例えば、構成成分(D)が液状ゴムである場合、混合は、液体又は粘性材料で典型的に利用される任意の方法を含み得る。
【0198】
相溶化が進行し、構成成分が混合され、反応するにつれて、官能基化ポリオレフィン(B)及びポリオレフィン(C)が構成成分(D)中に取り込まれ、構成成分(D)全体にわたって均一に分散され、それによってシリコーン中ポリオレフィン分散体としてシリコーン-ポリオレフィンブレンドを調製する。
【0199】
上記で紹介したように、シリコーン-ポリオレフィンブレンドは、ポリシロキサン(A)と硬化性シリコーンエラストマー構成成分(D)との組み合わせ中に分散された官能基化ポリオレフィン(B)及びポリオレフィン(C)を含む。シリコーン-ポリオレフィンブレンドは、構成成分(D)及びポリシロキサン(A)を含む連続相中に均一に分散された、官能基化ポリオレフィン(B)及びポリオレフィン(C)を含む不連続相を含む、粘度が高いが塗布可能な混合物として存在する。別の言い方をすると、シリコーン-ポリオレフィンブレンドは、構成成分(D)によって提示されるシリコーンマトリックス中に分散された官能基化ポリオレフィン(B)及びポリオレフィン(C)のドメイン(すなわち、「ポリオレフィンドメイン」)を含む。ある特定の実施形態では、ポリオレフィンドメインは、構成成分(D)を含む連続相を通して均一に分散している。
【0200】
硬化性組成物も本明細書で提供される。上述のシリコーン-ポリオレフィン組成物及びブレンドと同じ性質において、硬化性組成物は、典型的な状況下で担体ビヒクル又は溶媒を必要としない。したがって、硬化性組成物は、溶媒を含まなくてもよい(すなわち、担体ビヒクル又は溶媒を含まず、代替的には実質的に含まない)。
【0201】
硬化性組成物は、シリコーン-ポリオレフィンブレンド及び硬化剤を含むが、他の構成成分も利用することができる。硬化剤は、典型的には、フリーラジカル開始剤及び/又は光開始剤を含み、代替的にはそれらである。
【0202】
好適なフリーラジカル開始剤の例としては、典型的には、ベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、過酢酸、シクロヘキサノンパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、tert-ブチルパーオキサイド、tert-ブチルヒドロパーオキサイド、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(azobisisobutyronitril、AIBN)、2,2’-アゾジ(2-メチルブチロニトリル)(AMBN)、tert-アミルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルアセテート、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド及び過硫酸カリウムが挙げられる。任意の量のフリーラジカル開始剤が硬化性組成物中で使用されてもよいが、典型的には触媒量のみが必要である。例えば、ある特定の実施形態では、硬化性組成物は、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.01~10重量%の量でフリーラジカル開始剤を含む。いくつかの実施形態では、フリーラジカル開始剤は、硬化性組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.15、代替的には少なくとも0.2重量%、同時に、10、代替的には7、代替的には5、代替的には3重量%以下、好ましくは5重量%以下の量で用いられ、3重量%以下であってもよい。これらの範囲外の量も利用することができ、過剰なフリーラジカル開始剤が硬化プロセスの時間又は効率を著しく増加させない場合があり、硬化プロセスは、典型的には、30分未満、代替的には20分未満、代替的には15分未満、代替的には15分未満、同時に、典型的には、1分超、代替的には5分超で完了することを認識する。
【0203】
好適な光開始剤の例としては、オニウム塩、ニトロベンジルスルホネートエステル、スルホン酸のジアリールヨードニウム塩、スルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、ボロン酸のジアリールヨードニウム塩、ボロン酸のトリアリールスルホニウム塩、ビス-ジアリールヨードニウム塩(ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセナート及びビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなど)、ジアルキルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、スルホン酸のジアリールヨードニウム塩、スルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、ボロン酸のジアリールヨードニウム塩、及びボロン酸のトリアリールスルホニウム塩が挙げられる。
【0204】
スルホン酸の好適なジアリイオアドニウム(diaryioadonium)塩の例としては、ペルフルオロアルキルスルホン酸のジアリールヨードニウム塩及びアリールスルホン酸のジアリールヨードニウム塩が挙げられる。ペルフルオロアルキルスルホン酸の好適なジアリールヨードニウム塩の例としては、ペルフルオロブタンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、ペルフルオロエタンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、ペルフルオロオクタンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、及びトリフルオロメタンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩が挙げられる。アリールスルホン酸の好適なジアリールヨードニウム塩の例としては、パラトルエンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、ベンゼンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、及び3-ニトロベンゼンスルホン酸のジアリールヨードニウム塩が挙げられる。スルホン酸の好適なトリアリールスルホニウム塩の例としては、ペルフルオロアルキルスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩及びアリールスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩が挙げられる。ペルフルオロアルキルスルホン酸の好適なトリアリールスルホニウム塩の例としては、ペルフルオロブタンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、ペルフルオロエタンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、ペルフルオロオクタンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、及びトリフルオロメタンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩が挙げられる。アリールスルホン酸の好適なトリアリールスルホニウム塩の例としては、パラトルエンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、ベンゼンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩、及び3-ニトロベンゼンスルホン酸のトリアリールスルホニウム塩が挙げられる。ボロン酸の好適なジアリールヨードニウム塩の例としては、ペルハロアリールボロン酸のジアリールヨードニウム塩が挙げられ、ボロン酸の好ましいトリアリールスルホニウム塩は、ペルハロアリールボロン酸のトリアリールスルホニウム塩である。
【0205】
光開始剤は、典型的には、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.001~5重量%の範囲で使用される。例えば、光開始剤は、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.01重量%以上の量、例えば、0.1重量%以上、代替的には0.15重量%以上、代替的には0.2重量%以上、代替的には0.4重量%以上、代替的には0.6重量%以上、代替的には0.8重量%以上、代替的には更には1.0重量%以上、同時に、典型的には、5重量%以下、代替的には4重量%以下の量で用いられてもよい。
【0206】
硬化性組成物は、典型的には、硬化剤とシリコーン-ポリオレフィンブレンドとを組み合わせることによって調製される。組み合わせるためのプロセスは特に限定されず、上述の混合デバイスのうちのいずれかを使用して実施することができる。同様に、硬化性組成物は、シリコーン-ポリオレフィンブレンドと連続して調製されてもよい(例えば、シリコーン-ポリオレフィンブレンドの形成時又は形成直後にシリコーン-ポリオレフィンブレンドに硬化剤を添加することによって)。しかしながら、別個の及び/又は異なるミキサ、又は混合プロセスを使用して、硬化性組成物を調製することができることが理解されるであろう。例えば、いくつかの実施形態では、シリコーン-ポリオレフィンブレンドは、ホットメルト押出を介したシリコーン-ポリオレフィン組成物の動的架橋によって上述のように調製され、次いで、硬化剤は、ローラーミルを使用して、押出されたシリコーン-ポリオレフィンブレンド中に粉砕され、それによって硬化性組成物を調製する。当業者であれば、硬化剤とシリコーン-ポリオレフィンとを組み合わせて、硬化性組成物を調製するために、本明細書に記載されるもののうちのいずれか、及びこれらの組み合わせを含む様々な混合プロセス並びに装置が利用され得ることを理解するであろう。
【0207】
したがって、ある特定の実施形態では、硬化性組成物は、1つ以上の添加剤などの1つ以上の追加の構成成分を更に含む。例えば、ある特定の実施形態では、硬化性組成物は、充填剤、結合剤、増粘剤、粘着付与剤、接着促進剤、相溶化剤、増量剤、可塑剤、末端遮断剤、乾燥剤、着色剤(例えば、顔料、染料など)、劣化防止添加剤、殺生物剤、難燃剤、腐食防止剤、UV吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、触媒(例えば、触媒(D)以外)、前駆触媒、又は触媒発生剤、開始剤(例えば、熱活性化開始剤、電磁活性化開始剤など)、光酸発生剤、熱安定剤、並びに誘導体、修飾体、及びそれらの組み合わせを含み、代替的にはそれから本質的になり、代替的にはそれからなる1つ以上の添加剤を含み得る。かかる添加剤は、異なる技術用語の下で分類されてもよく、添加剤が特定の用語の下で分類され、かつ/又は特定の機能に従って特徴付けられるからといって、それらがその機能にそのように限定されることを意味しないことを理解されたい。更に、いくつかの添加剤は、硬化性組成物の特定の構成成分中に存在し得るか、又は代わりに、硬化性組成物を形成するときに組み込まれ得る。理論的には、硬化性組成物は、例えば、硬化性組成物中の特定の種類及び/又は機能に応じて、任意の数の追加の構成成分及び添加剤を含み得る。
【0208】
存在する場合、1つ以上の添加剤は、硬化剤とシリコーン-ポリオレフィンブレンドとの組み合わせ前、組み合わせ中、又は組み合わせ後に、硬化剤又はシリコーン-ポリオレフィンブレンドと組み合わされ得る。別の言い方をすると、添加剤のうちの1つ以上をシリコーン-ポリオレフィンブレンド(又は硬化剤)と組み合わせて、中間組成物を形成し、次いでこれを硬化剤(又はシリコーン-ポリオレフィンブレンド)と組み合わせて、硬化性組成物を得ることができる。代替的には、シリコーン-ポリオレフィンブレンド、硬化剤、及び好適な添加剤のうちの多くは、同時工程で一緒に組み合わせることができる。当業者であれば、所与の添加剤に好適な特定の添加順序及び/又は組み合わせが、添加剤及び硬化性組成物の他の構成成分の性質に応じたものであり、したがって、用いられる特定の構成成分及びパラメータに基づいて独立して選択されることを容易に理解するであろう。同様に、ある特定の添加剤(例えば、硬化性組成物の調製中に構成成分(A)、(B)、(C)、及び(D)と反応しないもの)が構成成分(B)及び(C)の相溶化中又は相溶化前にシリコーン-ポリオレフィンブレンドに導入され得ることが理解されるであろう。
【0209】
硬化性組成物の硬化生成物、及び硬化生成物を調製する方法も提供される。具体的には、硬化性配合物を硬化して、硬化生成物を得ることができる。当業者によって理解されるように、かかる硬化は、典型的には、例えば、ラジカル開始剤を活性化する(例えば、熱分解を介して)のに十分な温度まで組成物を加熱すること、光開始剤を照射することなどを介して、硬化剤を活性化することを含む。かかる活性化プロセスは、当該技術分野において公知であり、利用される特定の硬化剤に基づいて選択されるであろう。
【0210】
硬化生成物は、硬化性組成物のラジカル硬化を介して、すなわち、ラジカル開始剤の活性化時に形成される。硬化性組成物の硬化は、概して、構成成分(D)の官能性オルガノシロキサンなどのその架橋構成成分を含むことが理解されるであろう。硬化生成物は、シリコーン-ポリオレフィンエラストマー又はハイブリッドエラストマーと称され得る。
【0211】
したがって、硬化生成物を調製する方法は、概して、硬化性組成物を、高められた温度、例えば、90~300、代替的には100~300、代替的には100~250、代替的には100~200℃の温度に、硬化性組成物を硬化させるのに十分な時間加熱することを含む。いくつかの実施形態では、硬化性組成物は、150~220℃の温度で、1~20分間、代替的には5~20分間、代替的には5~15分間硬化される。
【0212】
上記の説明及び以下の実施例を考慮して、本明細書で提供される方法及び組成物は、安価な前駆体及び無溶媒調製に起因して、独自のシリコーン-ポリオレフィンハイブリッド材料を得るための費用効果の高い経路を提供することが理解されるであろう。更に、官能基化ポリオレフィン(B)の反応性相溶化は、その場で、相溶化されたグラフトコポリマーを発生させ、これが相溶化剤を界面に局在化させ、溶媒膨潤耐性及び引裂強度の増加をもたらす。更に、硬化生成物は、満足のいく伸び及び引張強度を維持し、改善された取り扱い及び外観特徴を示し、望ましい触覚を提示する。硬化生成物のこれら及び他の特徴は、以下の実施例を考慮して理解されるであろう。
【0213】
本発明の組成物は、有機組成物、シリコーン組成物、又は従来のハイブリッドシリコーン-有機組成物を介して形成された製品及び物品と比較して、向上した性能特徴を有する製品及び物品の調製を可能にする。例えば、射出成形可能な物品及び圧縮成形可能な物品は、典型的なシリコーンゴムエラストマーと比較した場合、改善された靭性(例えば、増加した引裂強度)、耐薬品性(例えば、増加した溶媒膨潤耐性)、優れた伸び及び引張強度、並びに遅延された弾性回復を有する本発明の組成物から作製され得る。本発明の組成物で作製された物品はまた、典型的なシリコーンゴムエラストマーと比較した場合、同等の硬度値でより高い弾性率を有し、望ましい触覚を有する。例えば、物品の触覚特性は、本発明の組成物で物品の表面上に層を形成することによって改善することができる。
【0214】
かかる製品及び物品は、広範囲の用途において、又は広範囲の用途のために、並びに広範囲の消費者製品及び物品の生成において用いることができる。例としては、消費者向けウェアラブル電子機器内又はそのための製品及び物品、食品、パーソナルケア、及び美容ケア物品並びに/又は製品などのための消費者向けパッケージ及び分配材、振動絶縁構成要素、ワイヤ及びケーブル用途における電気的保護、並びにボタン、ノブ、及びユーザインターフェース制御部若しくは構成要素などの基材上へのコーティング又は共成形が挙げられる。
【0215】
本開示の実施形態を示す以下の実施例は、本発明を説明することを意図するものであり、本発明を限定するものではない。特に明記しない限り、全ての反応は、空気下で実行され、全ての溶媒、基質、及び試薬は、様々な商業的供給業者(例えば、Gelest、Acros Organics、Sigma-Aldrichなど)から購入されるか、又は他の方法で様々な商業的供給業者から得られ、受け取ったままの状態で利用される。
【0216】
機器及び特性評価パラメータ
以下の機器及び特性評価手順/パラメータを使用して、以下の実施例で調製された化合物及び組成物の様々な物理的特性を評価する。
【0217】
硬化特性:硬化速度パラメータ(S’max、TC90、TS2)を、ASTM D5289に明記された方法を使用して、115℃で10分間、ムービングダイレオメータ(Moving Die Rheometer)を使用して測定した。
【0218】
可塑性:未硬化組成物の可塑性を、ASTM D926に準拠して、粉砕後3時間静置して測定した。
【0219】
硬度:硬化生成物のデュロメータ硬度をASTM D2240に準拠して測定した。
【0220】
粘度:粘度を、ASTM E3116に従って、適切なスピンドルを備えたBrookfield LV DV-E粘度計で測定した。
【0221】
エラストマー特性:引張強度、伸び、及び弾性率を、ASTM D412に記載の方法を使用して測定し、このようにして作成された同じ応力-歪み曲線から靭性値を計算した。引裂強度は、ASTM D624,Die Bに準拠して測定した。
【0222】
耐溶媒性:溶媒浸漬試料を、ダイカット引張試験片(ASTM D412に記載されている)を明記された溶媒中に室温で72時間完全に浸漬することによって生成した。体積変化を、溶媒浸漬の前後で、ASTM D792に記載されているような比重測定値から計算した。溶媒浸漬後の試料の硬度、引張強度、及び伸びを、上述と同じASTM法を使用して測定した。
【0223】
メルトフローインデックス(MFI):MFIをASTM D1238-86に従って測定し、値を典型的には190℃及び21.6kgでg/10分として報告した。
【0224】
材料
以下の表1に簡単な要約を示し、ある特定の略語、簡略表記、及び実施例で使用される構成成分に関する情報を記載する。粘度は、典型的には、25℃で測定されるゼロ剪断粘度として報告される。重合度(DP)は、典型的には、例えば、NMR、IR、及び/又はGPC(例えば、ポリスチレンなどの標準に対する)からの数平均DPとして報告される。
【0225】
【表1】
【0226】
ハイブリッドエラストマーベースを調製するための一般手順
装置:ハイブリッドエラストマーベース(又はシリコーン-ポリオレフィン組成物)を、PolyoLab OSシステムによって駆動及び制御されるローラーローターを有する50cc Haake Rheomix OSシステム(Haakeボウル)内で調製した。
【0227】
合成:ボウルを180℃に加熱し、ローターを75rpmに設定した。シリコーンベース(D)をNの流れ下でボウルに少しずつ添加し、続いてポリオレフィン(B)及びポリオレフィン(C)を添加した。およそ1分間ブレンドした後、滑らかな白色混合物を得た。ポリシロキサン(A)を添加し、ブレンドを5分間続け、次いで生成物を鋼トレイ上に出し、冷却した。
【0228】
硬化エラストマー:6インチ×6インチ×2mmの内部空洞寸法を有する研磨したステンレス鋼型を、テフロン離型コーティングスプレーで内表面を覆うことによって調整した。ハイブリッドエラストマーベースを硬化剤(100重量部のハイブリッドエラストマーベース当たり、1重量部(part per one hundred、pph))と、得られた質量が視覚的に均質になるまで2本ロールミル上で直接ブレンドすることによって、硬化性組成物を調製し、次いで、これを6インチ×6インチ×2mmの内部空洞寸法を有する型の110%を充填するように分割した。配合された化合物の個々の部分を、6インチ×6インチよりもわずかに小さい平坦なシートに予備成形し、室温で型に入れた。化合物を115℃及び1500psiの加熱した油圧プレスで10分間圧縮成形し、硬化直後に型から取り出した。硬化したハイブリッドエラストマーシートを、特性評価の前に室温で24時間静置した。
【0229】
実施例1~6及び比較例1~4
実施例1~6及び比較例1の調製:ハイブリッドエラストマーベースの合成を、上記の一般手順に準拠して実施した。この手順を繰り返して、所与の試験に十分な材料を生成した。次いで、各ハイブリッドエラストマーベースを上述の手順に従って硬化させ、物理的特性を測定した。実施例1~6及び比較例1~4について得られた材料の特定の構成成分、パラメータ、及び特性を、それぞれ、以下の表2~3に示す。
【0230】
【表2】
【0231】
【表3】
【0232】
実施例7~15及び比較例5~8
実施例7~15及び比較例5~8の調製:ハイブリッドエラストマーベースの合成を、上記の一般手順に従って実施した。加えて、各ハイブリッドエラストマーベースの硬化を、上記の一般手順に従って実施した。
【0233】
実施例7~15及び比較例5~8について得られた材料の特定の構成成分、パラメータ、及び特性を、それぞれ、以下の表4及び5に示す。
【0234】
【表4】
【0235】
【表5】
【0236】
実施例16~19及び比較例9~23
実施例16~19及び比較例9~23の調製:ハイブリッドエラストマーベースの合成を、上記の一般手順に従って実施した。加えて、各ハイブリッドエラストマーベースの硬化を、上記の一般手順に従って実施した。
【0237】
実施例16~19及び比較例9~23について得られた材料の特定の構成成分、パラメータ、及び特性を、それぞれ、以下の表6~8に示す。
【0238】
【表6】
【0239】
【表7】
【0240】
【表8】
【0241】
実施例20
実施例20の調製
実施例20では、マスターバッチを、PolyoLab OSシステムによって駆動及び制御されるローラーローターを有する50cc Haake Rheomix OSシステム(Haakeボウル)内で調製した。ボウルを180℃に加熱し、ローターを100rpmに設定した。実施例20では、液状ゴムを利用し、液状ゴムのオルガノポリシロキサンをNの流れ下でボウルに少しずつ添加し、続いてポリオレフィン(B)及びポリオレフィン(C)を添加した。およそ5分間ブレンドした後、滑らかな白色混合物を得た。ポリシロキサン(A)を添加し、ブレンドを10分間続け、次いで生成物を鋼トレイ上に出し、冷却した。
【0242】
実施例20のハイブリッドマスターバッチで利用される特定の構成成分を以下の表9に示す。
【0243】
【表9】
【0244】
次いで、ハイブリッドマスターバッチを、2部配合物の形態のシリコーン-ポリオレフィン組成物中で利用した。2部配合物の各部についての構成成分及びそれらの量は、以下の表10にある。2部配合物の各部を、構成成分を混合することによって調製する。
【0245】
【表10】
【0246】
A部を、A部の構成成分をスピードミキサ内で組み合わせて混合する(1800rpmで20秒間を3回、混合する間に掻き落とした)ことによって調製した。B部を、シリコーンベース(D)-10に抑制剤を組み込んで、プレミックスを得、プレミックスをB部の他の構成成分と組み合わせ、スピードミキサ内で混合する(1800rpmで20秒間を3回、混合する間に掻き落とした)ことによって調製した。
【0247】
A部及びB部を、スピードミキサを使用して1:1.1の重量比で混合し(1800rpmで20秒間を3回、混合する間に掻き落とした)、視覚的に均質な混合物を得た。視覚的に均質な混合物を10インチ×10インチ×2mmの型に投入し、1500psi及び115℃で10分間プレス硬化させた。型を、室温に達するまで室温油圧プレス内で冷却し、この後、硬化したゴムプラークを特性試験のために取り出した。結果は以下の表11である。
【0248】
【表11】
【0249】
実施例20では、硬化性シリコーン(D)は、液状ゴムである。対照的に、実施例1~19では、硬化性シリコーン(D)は、エラストマー構成成分である。
【0250】
ある特定のシリコーン-ポリオレフィンハイブリッドエラストマーを、上述のような耐溶媒性試験に供する。これらのある特定のエラストマーについての耐溶媒性試験の結果を以下の表12に示す。表12において、h/RTは室温での時間を示す。
【0251】
【表12】
【0252】
本発明は例示的な様式で記載されており、使用されている用語は、限定というよりむしろ説明の用語の性質であることが意図されることを理解されたい。明らかに、本発明の多くの修正及び変更が上記教示から可能である。本発明は、具体的に記載した方法のとおり以外の方法でも実施され得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーン-ポリオレフィン組成物であって、
(A)1分子当たり平均して少なくとも1つの官能基Xを含むポリシロキサンと、
(B)1分子当たり平均して少なくとも1つの官能基Yを含む官能基化ポリオレフィンであって、前記官能基Yが、間に結合を形成するように、前記ポリシロキサン(A)の前記官能基Xと反応可能である、官能基化ポリオレフィンと、
(C)構成成分(A)又は(B)と反応可能ではないポリオレフィンと、
(D)エラストマー構成成分又は液状ゴムのうちの少なくとも1つを含む硬化性シリコーンと、を含む、シリコーン-ポリオレフィン組成物。
【請求項2】
前記ポリシロキサン(A)が、以下の平均単位式を有し、
[X 3-mSiO1/2[X 2-nSiO2/2b、
式中、Xは、上記で定義された官能基であり、各Rは、独立して選択されるヒドロカルビル基であり、下付き文字mは、下付き文字aによって示される各部分において独立して1又は0であり、下付き文字nは、下付き文字bによって示される各部分において独立して1又は0であり、下付き文字a及びbは各々、a+b=1となるようなモル分率であり、ただし、0<a<1、0<b<1であり、かつ前記ポリシロキサン(A)は、少なくとも1つの官能基Xを含むか、又は(i)各官能基Xが、アミノアルキル基、メタクリルオキシ基、ケイ素結合ヒドロキシル基、無水物基、ケイ素結合水素原子、オレフィン性不飽和基、若しくはカルビノール基を含むか、(ii)前記ポリシロキサン(A)が、25℃で少なくとも3,000cPの粘度を有するか、(iv)前記ポリシロキサン(A)が、20~1,200の重合度(DP)を有するか、(iv)前記ポリシロキサン(A)が、前記シリコーン-ポリオレフィン組成物の総重量に基づいて、0.5~15重量%の量で前記シリコーン-ポリオレフィン組成物中に存在するか、若しくは(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせである、請求項1に記載のシリコーン-ポリオレフィン組成物。
【請求項3】
(i)前記官能基化ポリオレフィン(B)が、官能基化ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、若しくはポリエチレン-アルファオレフィンコポリマーを含むか、(ii)各官能基Yが、エポキシド基、アミノアルキル基、トリメトキシシリル基、ヒドリドシリル基、若しくは無水物基を含むか、(iii)前記官能基化ポリオレフィン(B)が、0.86~0.96g/cmの密度を有するか、(iv)前記官能基化ポリオレフィン(B)が、前記官能基化ポリオレフィン(B)の総重量に基づいて、0.05~10重量%の前記官能基Yを含む官能性部分で官能基化されているか、(v)前記官能基化ポリオレフィン(B)が、前記シリコーン-ポリオレフィン組成物の前記総重量に基づいて、1~40重量%の量で前記シリコーン-ポリオレフィン組成物中に存在するか、又は(vi)(i)~(v)の任意の組み合わせである、請求項1又は2に記載のシリコーン-ポリオレフィン組成物。
【請求項4】
シリコーン-ポリオレフィンブレンドを調製する方法であって、前記方法が、
前記ポリシロキサン(A)、前記官能基化ポリオレフィン(B)、前記ポリオレフィン(C)、及び前記硬化性シリコーン(D)を組み合わせて、請求項1~3のいずれか一項に記載のシリコーン-ポリオレフィン組成物を調製することと、
前記ポリオレフィン(C)及び前記硬化性シリコーン(D)の存在下で前記ポリシロキサン(A)と前記官能基化ポリオレフィン(B)とを反応させ、それによって前記シリコーン-ポリオレフィンブレンドを調製することと、を含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法に準拠して調製された、シリコーン-ポリオレフィンブレンド。
【請求項6】
請求項5に記載のシリコーン-ポリオレフィンブレンドと、硬化剤と、を含む、硬化性組成物。
【請求項7】
硬化生成物を調製する方法であって、前記方法が、請求項6に記載の硬化性組成物を硬化させ、それによって前記硬化生成物を調製することを含む、方法。
【請求項8】
請求項6に記載の硬化性組成物の、又は請求項7に記載の方法に準拠して調製された、硬化生成物。
【請求項9】
表面を有する物品の触覚特性を改善する方法であって、前記方法が、前記物品の前記表面上に、請求項1~3のいずれか一項に記載のシリコーン-ポリオレフィン組成物、請求項5に記載のシリコーン-ポリオレフィンブレンド、請求項6に記載の硬化性組成物、又は請求項8に記載の硬化生成物で層を形成することを含む、方法。
【請求項10】
請求項8に記載の硬化生成物を含む物品であって、前記物品が、消費者向けウェアラブル電子機器、消費者向けパッケージ若しくは分配材物品及び/若しくは製品、振動絶縁構成要素、ワイヤ若しくはケーブル、又は消費者向けインターフェース構成要素として更に定義されている、物品。
【国際調査報告】