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特表2024-535075二重ドーム容器を形成するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】二重ドーム容器を形成するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 51/26 20060101AFI20240918BHJP
   B21D 22/30 20060101ALI20240918BHJP
   B21D 22/28 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
B21D51/26 R
B21D22/30 B
B21D22/28 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518137
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 US2022073494
(87)【国際公開番号】W WO2023056114
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/250,806
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506110243
【氏名又は名称】ノベリス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NOVELIS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】チェソク パク
(72)【発明者】
【氏名】イヘ シ
(72)【発明者】
【氏名】ビシュワナス ヘガデカッテ
(72)【発明者】
【氏名】セバスティジャン ジュレンディック
【テーマコード(参考)】
4E137
【Fターム(参考)】
4E137AA02
4E137AA17
4E137AA19
4E137BA05
4E137BB04
4E137CA11
4E137EA08
4E137GA02
4E137GB15
4E137HA06
(57)【要約】
金属容器のための底部形成システムは、底部形成工程中に金属容器の底部に二重ドームを形成するドーマーアセンブリを含む。ドーマーアセンブリは、第1のドーマーと、第1のドーマーに対して移動可能な第2のドーマーとを含む。金属容器の底部を形成する方法は、ドーマーアセンブリの第1のドーマー及び第2のドーマーを使用して金属容器の底部に第1のドーム輪郭を形成することを含む。この方法は、第2のドーマーを第1のドーマーに対して移動させることによって、金属容器の底部に第2のドーム輪郭を形成することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部形成システム用のドーマーアセンブリであって、
底部形成工程中に金属容器の底部に係合するように構成された第1の表面を備える第1のドーマーと、
前記底部形成工程中に前記金属容器の前記底部に係合するように構成された第2の表面を備える第2のドーマーであって、前記第1のドーマーに対して移動可能である前記第2のドーマーと、
を備える、前記ドーマーアセンブリ。
【請求項2】
前記第2のドーマーが前記第1のドーマー内で移動可能である、請求項1に記載のドーマーアセンブリ。
【請求項3】
前記第1のドーマーがスリーブであり、前記第2のドーマーが前記スリーブ内で移動可能なインサートである、請求項1に記載のドーマーアセンブリ。
【請求項4】
前記第2のドーマーが前記第1のドーマーに対して軸方向に移動可能である、請求項1に記載のドーマーアセンブリ。
【請求項5】
前記ドーマーアセンブリが、第1の構成及び第2の構成に配置可能であり、
前記第1の構成では、前記第1の表面が前記第2の表面と連続しており、第1のドーム輪郭を一緒に形成し、
前記第2の構成では、前記第2の表面が前記第1の表面からオフセットされ、前記第2の表面が第2のドーム輪郭を形成する、請求項1に記載のドーマーアセンブリ。
【請求項6】
前記第1のドーマー及び前記第2のドーマーが、底部形成工程の第1の段階中に金属容器の底部に第1のドームを一緒に形成するように構成されており、
前記第2のドーマーは、前記底部形成工程の第2の段階中に前記金属容器の前記底部に第2のドームを形成するように構成されている、請求項1に記載のドーマーアセンブリ。
【請求項7】
金属容器を形成するための底部形成システムであって、第1のドーム輪郭を有する第1のドーム及び第2のドーム輪郭を有する第2のドームを備える、底部形成工程中に前記金属容器の底部に二重ドームを形成するように構成されたドーマーアセンブリを備える、前記底部形成システム。
【請求項8】
前記ドーマーアセンブリが第1のドーマー及び第2のドーマーを備え、
前記第2のドーマーは前記第1のドーマーに対して選択的に移動可能である、請求項7に記載の底部形成システム。
【請求項9】
前記ドーマーアセンブリが第1の構成及び第2の構成を備え、
前記第1の構成では、前記第2のドーマーは、前記第1のドーマー及び前記第2のドーマーが一緒に前記第1のドームを形成するように構成されるように前記第1のドーマーに対して第1の位置にあり、
前記第2の構成では、前記第2のドーマーは、前記第2のドーマーが前記第2のドームを形成するように構成されるように前記第1のドーマーに対して第2の位置にある、請求項8に記載の底部形成システム。
【請求項10】
前記第1のドーマーがスリーブであり、
前記第2のドーマーが前記スリーブ内で移動可能なインサートである、請求項8に記載の底部形成システム。
【請求項11】
前記第2のドーマーが前記第1のドーマーに対して軸方向に移動可能である、請求項8に記載の底部形成システム。
【請求項12】
前記第1のドーマーが第1の表面を備え、前記第2のドーマーが第2の表面を備え、
前記第2のドーマーは、前記第1のドーマーに対する前記第2のドーマーの第1の位置では、前記第1の表面が前記第2の表面と連続し、前記第1のドーマーに対する前記第2のドーマーの第2の位置では、前記第2の表面が前記第1の表面からオフセットされるように、前記第1のドーマーに対して移動可能である、請求項8に記載の底部形成システム。
【請求項13】
パンチと、
金属容器用の受容領域を備えるリテーナと、をさらに備え、
前記ドーマーアセンブリは前記受容領域内で移動可能である、
請求項7に記載の底部形成システム。
【請求項14】
金属容器の底部を形成する方法であって、
ドーマーアセンブリの第1のドーマー及び第2のドーマーを使用して前記金属容器の前記底部に第1のドーム輪郭を形成することと、
前記第2のドーマーを前記第1のドーマーに対して移動させることによって前記金属容器の前記底部に第2のドーム輪郭を形成することと、
を含む、前記方法。
【請求項15】
前記第2のドーム輪郭を形成することが、前記第2のドーマーを前記第1のドーマーに対して軸方向に移動させることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のドーム輪郭を形成することが、前記第1のドーマー及び前記第2のドーマーを一緒に第1の方向に軸方向に移動させて前記金属容器の前記底部に係合することを含み、
前記第2のドーム輪郭を形成することが、前記第2のドーマーを前記第1のドーマーに対して前記第1の方向に移動させることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のドーム輪郭を形成することが、パンチを使用して前記金属容器の前記底部に前記第1のドーム輪郭をさらに形成することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のドーマーがスリーブであり、前記第2のドーマーが前記スリーブ内のインサートであり、
前記第2のドーム輪郭を形成することが、前記第2のドーマーが少なくとも部分的に前記スリーブ内にある間に前記第2のドーマーを移動させることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のドーム輪郭を形成することが、前記第1のドーマーの第1の表面及び前記第2のドーマーの第2の表面を、前記金属容器の前記底部と係合させることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記第2のドーム輪郭を形成することが、前記金属容器の前記底部の少なくとも一部が前記第1の表面または前記第2の表面に接触しないように、前記第2のドーマーを前記第1のドーマーに対して移動させることを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項14に記載の方法によって形成された底部を備える、金属容器。
【請求項22】
前記金属容器がアルミニウムまたはアルミニウム合金を含む、請求項21に記載の金属容器。
【請求項23】
前記底部が低減された金属ゲージを含む、請求項21に記載の金属容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月30日に出願された米国仮特許出願第63/250,806号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、成形容器を形成するシステム及び方法に関し、より具体的には、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属から成形金属容器を形成するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
飲食物缶、消火器、ガス缶、オイルフィルターケーシング、ダンパーケーシングなどの多くの容器や各種製品は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、真鍮、低炭素鋼、及び他の様々な適切な材料などの金属材料から作られている。金属材料から容器を形成する加工には、一般に、絞り及び壁しごき加工、一連のフルボディネッキングステップまたはその他の機械的成形などの成形加工、ならびに必要に応じて金属ブランクを所望の形状を有する容器に成形するその他の加工などの多くの加工が含まれる。多くの場合、圧力下で内容物(例えば、炭酸飲料)を保持するように構成された金属容器には、圧力下での変形に耐えるために、容器の底壁に上向きに延びるドームが設けられている。しかしながら、既存のドームの幾何学的形状には容器の壁の金属ゲージの下限があり、言い換えれば、下限を下回る金属ゲージを有するドームは圧力下で破損及び/または変形することになる。
【発明の概要】
【0004】
本特許の適用を受ける実施形態は、この発明の概要ではなく、下記の特許請求の範囲によって規定される。この発明の概要は、様々な実施形態の高レベルの概要であり、下記の発明を実施するための形態のセクションでさらに説明される概念の一部を紹介する。この発明の概要は、特許を請求する主題の重要または必須の特徴を特定することを意図しておらず、また、特許を請求する主題の範囲を決定するために単独で使用されることも意図していない。この主題は、本特許の明細書全体、いずれかまたはすべての図面、及び各請求項の適切な部分を参照することによって理解されるべきである。
【0005】
特定の実施形態によれば、底部形成システム用のドーマーアセンブリは、第1のドーマーと第2のドーマーとを含む。第1のドーマーは、底部形成工程中に金属容器の底部に係合し得る第1の表面を含む。第2のドーマーは、底部形成工程中に金属容器の底部に係合し得る第2の表面を含む。第2のドーマーは、第1のドーマーに対して移動可能である。
【0006】
いくつかの実施形態によれば、金属容器を形成するための底部形成システムは、底部形成工程中に金属容器の底部に二重ドームを形成するドーマーアセンブリを含む。金属容器の底部に形成された二重ドームは、第1のドーム輪郭を有する第1のドームと、第2のドーム輪郭を有する第2のドームとを含むことができる。
【0007】
様々な実施形態によれば、金属容器の底部を形成する方法は、ドーマーアセンブリの第1のドーマー及び第2のドーマーを使用して金属容器の底部に第1のドーム輪郭を形成することを含む。この方法は、第2のドーマーを第1のドーマーに対して移動させることによって、金属容器の底部に第2のドーム輪郭を形成することを含む。
【0008】
本明細書に説明される様々な実施態様は、追加のシステム、方法、特徴、及び利点を含み得、これらは、必ずしも本明細書で明示的に開示できないが、以下の詳細な説明及び添付の図面を検討すれば、当業者にとって明らかであろう。すべてのこのようなシステム、方法、特徴、及び利点が、本開示の中に含まれ、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【0009】
本明細書は、以下の添付の図を参照しており、異なる図中での同様の参照番号の使用は、同様のまたは類似の構成要素を例示することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態によるドーマーアセンブリを備えた底部形成システムを示す。
図2図1のドーマーアセンブリの第1のドーマーの上面図である。
図3図1のドーマーアセンブリの上面図である。
図4】第1の構成にあるドーマーアセンブリを備えた、図1のドーマーアセンブリの側面図である。
図5】第2の構成にあるドーマーアセンブリを備えた、図1のドーマーアセンブリの側面図である。
図6】実施形態による底部形成工程の第1の段階中の、図1の底部形成システムを示す。
図7】底部形成工程の第2の段階中の、図1の底部形成システムを示す。
図8】実施形態による二重ドームを備えた金属容器の底部の一例を示す。
図9】実施形態による二重ドームを備えた金属容器の底部の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態の主題は、法定要件を満たすために特異性をもって本明細書に説明されているが、この説明は、必ずしも特許請求の範囲を限定することを意図していない。特許を請求する主題は、他の方法で具現化されてよく、異なる要素またはステップを含んでよく、他の既存のまたは将来の技術と併せて使用されてよい。この説明は、個々のステップの順序または要素の配置が明示的に記載されるときを除き、様々なステップまたは要素の間の特定の順序または配置を暗示するとして解釈するべきではない。「上」、「下」、「上部」、「底部」、「左」、「右」、「前部」、及び「後部」などの方向の参照は、とりわけ構成要素及び方向が参照している1つの図(または複数の図)中に示され、説明される向きを参照することを意図している。本明細書で説明されるシステム及び方法は、いずれの金属にも使用できるが、これらは特にアルミニウムまたはアルミニウム合金に有用であり得る。
【0012】
本明細書では、金属容器の底部を形成するシステム及び方法について説明する。様々な実施形態において、本明細書で提供されるシステム及び方法は、二重ドームを備えた金属容器を形成することができる。特定の実施形態では、ドーマーアセンブリは、第1のドーマーと、第1のドーマーに対して選択的に移動可能な第2のドーマーとを含む。底部形成工程の第1の段階中に、第1のドーマーと第2のドーマーは、一緒にドーム輪郭を形成し、第1のドーム輪郭を形成するために金属容器の底部に係合することができる。底部形成工程の第2の段階中に、第2のドーマーが第1のドーマーに対して移動して金属容器の底部とさらに係合することができ、これにより第1のドーム輪郭の幾何学的形状を変化させて、金属容器に二重ドームが含まれように第2のドーム輪郭を作成することができる。
【0013】
二重ドームの幾何学的形状は、従来のドームと比較してドーム反転圧力に耐え、改善することができ、二重ドームにより、ドーム反転圧力に耐えながら、従来のドームを有する容器と比較してより低い金属ゲージを有する金属から容器を形成することが可能になり得る。より低い金属ゲージを有する金属を使用できることにより、缶の重量を軽減することができ(例えば、材料が減るため)、缶メーカーのコスト削減につなげることができる。特定の態様では、本明細書に記載のシステム及び方法は、従来のドームと比較してドームの深さ/高さを増加させ、従来のドームと比較してドーム輪郭の幾何学的形状を変更し、加工硬化及び残留応力を増加させ、及び/または容器のドーム反転圧力を改善することができる。本明細書で提供されるシステム及び方法により、他の様々な利益及び利点が実現され得、上述の利点は限定的であると見なされるべきではない。
【0014】
図1図7は、様々な実施形態による金属容器を形成するための底部形成システム100を示す。底部形成システム100は、飲料容器を含むがこれに限定されない、必要に応じた様々な金属容器を少なくとも部分的に形成するために使用され得る。底部形成システム100は、一般に、金属容器の底部104を成形するためのドーマーアセンブリ102を含む。底部形成システム100はまた、底部形成工程中に底部104の成形を補助することができるリテーナ106及びパンチ108を含むことができる。
【0015】
ドーマーアセンブリ102は、少なくとも第1のドーマー110及び第2のドーマー112を含む。いくつかの実施形態では、図2に最も良く示されているように、第1のドーマー110は、任意選択で、中央開口部114を有するスリーブであってもよい。これらの実施形態では、第2のドーマー112は第1のドーマー110用のインサートであってもよく、ドーマーアセンブリ102が組み立てられるときに中央開口部114内に少なくとも部分的に配置されてもよい。第1のドーマー110は第2のドーマー112を取り囲むように図示されているが、他の実施形態ではその必要はなく、ドーマーアセンブリ102は少なくとも第1のドーマーと第2のドーマーの様々な他の構成を有し得る。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、ドーマーアセンブリ102は、それぞれがドーマーアセンブリ102全体の半分を形成し、互いに隣接して配置される2つのドーマーを含むことができる。この実施形態では、ドーマーは互いに隣接して配置されてもよいが、必ずしも互いの中に配置される必要はなく、及び/または一方が他方によって囲まれる必要はない。所望に応じて、ドーマーの他の構成をドーマーアセンブリ102とともに利用することができる。いくつかの実施形態では、ドーマーアセンブリ102は、3つのドーマーなど、3つ以上のドーマーを含んでもよい。3つ以上のドーマーを有する実施形態では、ドーマーの1つまたは複数は、第1のドーマーに対して、及び/または相互に対して移動可能であり得る。
【0016】
図2図5に最も良く示されているように、第1のドーマー110は第1の表面116を含み、第2のドーマー112は第2の表面118を含む。図示の実施形態では、第1の表面116及び第2の表面118は非線形の曲率を有する。しかしながら、第1の表面116及び第2の表面118は、底部形成工程中に金属容器の底部にドーム輪郭を形成するために必要に応じて、様々な形状または輪郭を有し得る。非限定的な例として、他の実施形態では、第1の表面116及び/または第2の表面118の曲率は、図1図7に示されるものと比較して増加または減少し得る。底部形成工程中に、第1の表面116及び第2の表面118は、底部104を形成するために、底部104に選択的に係合し得る。
【0017】
様々な実施形態において、第2のドーマー112は、第1のドーマー110に対して選択的に移動可能である。特定の態様では、第2のドーマー112は第1のドーマー110に対して軸方向に移動可能であるが、他の実施形態では第2のドーマー112は第1のドーマー110に対して追加の移動を含み得る。第2のドーマー112が第1のドーマー110の中央開口部114内に配置可能である実施形態では、第2のドーマー112は中央開口部114内で移動可能であり得る。第2のドーマー112が第1のドーマーに対して可動であるように、様々な機械システム、空気圧システム、油圧システム、磁気システム、それらの組み合わせ、及び/または他のデバイスまたは必要に応じたシステムを含むがこれらに限定されない様々な機構、デバイス、または特徴を利用することができる。
【0018】
図4及び図5を参照すると、特定の実施形態では、ドーマーアセンブリ102は、第1のドーマー110及び第2のドーマー112の少なくとも第1の構成及び第2の構成を含む。第1のドーマー110に対する第2のドーマー112の移動により、ドーマーアセンブリ102が第1の構成または第2の構成になるように調整することができる。いくつかの実施形態では、第1の構成において、第2のドーマー112は第1のドーマー110に対して第1の位置にあり、第2の構成においては、第2のドーマー112は第1の位置からオフセットされた第1のドーマー110に対して第2の位置にあり得る。様々な実施形態において、以下に詳細に説明するように、第2のドーマー112は、底部形成工程の第1の段階中に第1の位置にあってもよく、底部形成工程の第2の段階中に第2の位置にあってもよい。
【0019】
図4は、第2のドーマー112が第1のドーマー110に対して第1の位置にある第1の構成のドーマーアセンブリ102を示す。図4に示されるように、第1の位置では、第2の表面118は、第1の表面116と第2の表面118が一緒に第1のドーム輪郭を形成するように、第1の表面116と連続または面一であり得る。
【0020】
図5は、第2のドーマー112が第1のドーマー110に対して第2の位置にある第2の構成のドーマーアセンブリ102を示す。図5に示されるように、第2の位置では、第2のドーマー112は、第2の表面118が第1の表面116ともはや連続的または同一面ではなくなるように、第1のドーマー110に対して移動される。特に、第2のドーマー112の側面120は、任意選択で、第1の表面116の上に延在してもよい。第1の表面116からオフセットされた第2の表面118は、第2のドーム輪郭を形成する。図5において、第1のドーマー110に対する第2のドーマー112のオフセット位置は、図を明瞭にするために誇張されているが、底部形成工程中に、第2のドーマー112を図5に示す程度に移動またはオフセットする必要はない。
【0021】
上述したように、ドーマーアセンブリ102に加えて、底部形成システム100は、リテーナ106及びパンチ108を任意選択で含んでもよい。特定の実施形態では、リテーナ106は受容領域122を含み、ドーマーアセンブリ102は、底部形成工程中に受容領域122内で位置決め可能かつ移動可能であり得る。パンチ108及びリテーナ106は、底部形成工程中に金属容器の底部104をさらに成形するために使用され得る。しかしながら、図示された特定のパンチ108及びリテーナ106は限定と考えられるべきではなく、他の実施形態では、他の形状、輪郭、特徴などを有するパンチ及び/またはリテーナが必要に応じて使用され得る。さらなる実施形態では、底部形成システム100は、必要に応じて、より少ない、または追加の特徴を含んでもよい。
【0022】
以下、底部形成システム100を用いた底部形成工程について詳細に説明する。図1を参照すると、底部を形成する前に、金属容器の底部104は、任意選択でリテーナ106及び/またはパンチ108を使用して、ドーマーアセンブリ102に対して支持され得る。いくつかの実施形態では、パンチ108は、ドーマーアセンブリ102を形成する前に、底部104を移動させてリテーナ106を係合させることができる。
【0023】
図6を参照すると、底部形成工程の第1の段階中に、ドーマーアセンブリ102は、ドーマーアセンブリが第1の構成にある間に底部104に係合することができる。特定の実施形態では、ドーマーアセンブリ102は、ドーマーアセンブリ102を移動させること、底部104を移動させること(例えばパンチ108を使用して)、またはそれらの組み合わせによって底部104に係合する。図6に示されるように、第1の構成のドーマーアセンブリ102は、第1のドーム輪郭を有する第1のドームを底部104に形成する。任意選択で、底部形成工程の第1の段階において、パンチ108は、リテーナ106に向かってさらに前進して、底部104をさらに成形することができる。
【0024】
図7を参照すると、底部形成工程の第2の段階中に、ドーマーアセンブリ102が第2の構成になるように、第2のドーマー112が第1のドーマー110に対して移動する。第1のドーマー110に対する第2のドーマー112の移動により、底部104が持ち上げられ、第2のドームを含むように再形成され、底部104が二重ドーム状になる(すなわち、第1の段階中に形成された第1のドーム126と、第2の段階中に形成された第2のドーム128とを含む)。任意選択で、図7に示されるように、第2の位置に移動する第2のドーマー112は、底部104の少なくとも一部が第1の表面116または第2の表面118に接触しないように底部104を再形成し、ドーマーアセンブリ102と底部104の一部との間にギャップ124が少なくとも部分的に形成され得る。特定の態様では、底部104を持ち上げるための底部104に対する第2のドーマー112の移動は、最大ドーム高さ/深さを増加させ、底部104上のドーム輪郭の幾何学的形状を変化させ、底部104の加工硬化及び残留応力を増加させることになる。特定の態様では、底部形成工程の第2の段階における第2のドーマー112の移動は、ドーム反転圧力を改善することができ、これにより、従来の底部形成工程と比較して、より低いゲージの金属を底部104として使用することが可能になり得る。
【0025】
図8及び図9は、本明細書に記載のドーマーアセンブリで形成された金属容器の底部の2つの非限定的な例を示す。図8及び9に示される底部は例として提供されており、他の底部は、使用されるドーマーアセンブリに応じて、必要に応じて様々な他の輪郭を有することができる。
【0026】
図8は、ドーマーアセンブリ102と同様であってもよく、第1のドーマー及び第2のドーマーを含むドーマーアセンブリによって形成された金属容器の、底部804の非限定的な例を示す。底部804は、第1のドーム826及び第2のドーム828を有する端部838を含む。図示されるように、第1のドーム826は第1のドーム深さ830を有し、第2のドーム828は第2のドーム深さ832を有する。図示の実施形態では、第1のドーム深さ830は0.1638インチであり、第2のドーム深さ832は0.430インチである。特定の実施形態では、第2のドーム深さ832は、二重ドームの最大ドーム深さである。図示の実施形態では、第2のドーム828は、直径834及び曲率半径836も含む。図示の実施形態では、直径834は1.550インチであり、曲率半径836は0.050インチである。他の実施形態では、第1のドーム深さ830、第2のドーム深さ832、直径834、及び曲率半径836は、必要に応じて、ドーマーアセンブリに応じて他の値であってもよい。
【0027】
図9は、ドーマーアセンブリ102と同様であってもよく、第1のドーマー及び第2のドーマーを含むドーマーアセンブリによって形成された金属容器の、底部904の非限定的な例を示す。底部904は、第1のドーム926及び第2のドーム928を有する端部938を含む。図示されるように、この例では、第1のドーム926は第1のドーム深さ930を有し、第2のドーム928は第2のドーム深さ932を有する。図示の実施形態では、第1のドーム深さ930は0.245インチであり、第2のドーム深さ932は0.443インチである。特定の実施形態では、第2のドーム深さ932は、二重ドームの最大ドーム深さである。図示の実施形態では、第2のドーム928は、直径934及び曲率半径936も含む。図示の実施形態では、直径934は1.300インチであり、曲率半径936は0.050インチである。他の実施形態では、第1のドーム深さ930、第2のドーム深さ932、直径934、及び曲率半径936は、必要に応じて、ドーマーアセンブリに応じて他の値であってもよい。
【0028】
本明細書に記載された概念による、様々な例示的な実施形態のさらなる説明を提供する「例示」として明示的に列挙された少なくともいくつかを含む、例示的な実施形態の集合体が以下に提供される。これらの例示は、相互に排他的、網羅的、または限定的であることを意図するものではなく、本開示は、これらの例の例示に限定されるのではなく、むしろ発行された特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内のすべての実現可能な修正形態及び変形形態を包含する。
【0029】
例示1.底部形成システム用のドーマーアセンブリであって、底部形成工程中に金属容器の底部に係合するように構成された第1の表面を備える第1のドーマーと、前記底部形成工程中に前記金属容器の前記底部に係合するように構成された第2の表面を備える第2のドーマーであって、前記第1のドーマーに対して移動可能である前記第2のドーマーと、を備える、前記ドーマーアセンブリ。
【0030】
例示2.前記第2のドーマーが前記第1のドーマー内で移動可能である、先行または後続の例示もしくは例示の組み合わせのいずれかに記載のドーマーアセンブリ。
【0031】
例示3.前記第1のドーマーがスリーブであり、前記第2のドーマーが前記スリーブ内で移動可能なインサートである、先行または後続の例示もしくは例示の組み合わせのいずれかに記載のドーマーアセンブリ。
【0032】
例示4.前記第2のドーマーが前記第1のドーマーに対して軸方向に移動可能である、先行または後続の例示もしくは例示の組み合わせのいずれかに記載のドーマーアセンブリ。
【0033】
例示5.前記ドーマーアセンブリが、第1の構成及び第2の構成に配置可能であり、前記第1の構成では、前記第1の表面が前記第2の表面と連続しており、第1のドーム輪郭を一緒に形成し、前記第2の構成では、前記第2の表面が前記第1の表面からオフセットされ、前記第2の表面が第2のドーム輪郭を形成する、先行または後続の例示もしくは例示の組み合わせのいずれかに記載のドーマーアセンブリ。
【0034】
例示6.前記第1のドーマー及び前記第2のドーマーが、底部形成工程の第1の段階中に金属容器の底部に第1のドームを一緒に形成するように構成されており、前記第2のドーマーは、前記底部形成工程の第2の段階中に前記金属容器の前記底部に第2のドームを形成するように構成されている、先行または後続の例示もしくは例示の組み合わせのいずれかに記載のドーマーアセンブリ。
【0035】
例示7.金属容器を形成するための底部形成システムであって、第1のドーム輪郭を有する第1のドーム及び第2のドーム輪郭を有する第2のドームを備える、底部形成工程中に前記金属容器の底部に二重ドームを形成するように構成されたドーマーアセンブリを備える、前記底部形成システム。
【0036】
例示8.前記ドーマーアセンブリが第1のドーマー及び第2のドーマーを備え、前記第2のドーマーは前記第1のドーマーに対して選択的に移動可能である、先行または後続の例示もしくは例示の組み合わせのいずれかに記載の底部形成システム。
【0037】
例示9.前記ドーマーアセンブリが第1の構成及び第2の構成を備え、前記第1の構成では、前記第2のドーマーは、前記第1のドーマー及び前記第2のドーマーが一緒に前記第1のドームを形成するように構成されるように前記第1のドーマーに対して第1の位置にあり、前記第2の構成では、前記第2のドーマーは、前記第2のドーマーが前記第2のドームを形成するように構成されるように前記第1のドーマーに対して第2の位置にある、先行または後続の例示もしくは例示の組み合わせのいずれかに記載の底部形成システム。
【0038】
例示10.前記第1のドーマーがスリーブであり、前記第2のドーマーが前記スリーブ内で移動可能なインサートである、先行または後続の例示もしくは例示の組み合わせのいずれかに記載の底部形成システム。
【0039】
例示11.前記第2のドーマーが前記第1のドーマーに対して軸方向に移動可能である、先行または後続の例示もしくは例示の組み合わせのいずれかに記載の底部形成システム。
【0040】
例示12.前記第1のドーマーが第1の表面を備え、前記第2のドーマーが第2の表面を備え、前記第2のドーマーは、前記第1のドーマーに対する前記第2のドーマーの第1の位置では、前記第1の表面が前記第2の表面と連続し、前記第1のドーマーに対する前記第2のドーマーの第2の位置では、前記第2の表面が前記第1の表面からオフセットされるように、前記第1のドーマーに対して移動可能である、先行または後続の例示もしくは例示の組み合わせのいずれかに記載の底部形成システム。
【0041】
例示13.パンチと、金属容器用の受容領域を備えるリテーナとをさらに備え、前記ドーマーアセンブリは前記受容領域内で移動可能である、先行または後続の例示もしくは例示の組み合わせのいずれかに記載の底部形成システム。
【0042】
例示14.金属容器の底部を形成する方法であって、ドーマーアセンブリの第1のドーマー及び第2のドーマーを使用して前記金属容器の前記底部に第1のドーム輪郭を形成することと、前記第2のドーマーを前記第1のドーマーに対して移動させることによって前記金属容器の前記底部に第2のドーム輪郭を形成することと、を含む、前記方法。
【0043】
例示15.前記第2のドーム輪郭を形成することが、前記第2のドーマーを前記第1のドーマーに対して軸方向に移動させることを含む、先行または後続の例示もしくは例示の組み合わせのいずれかに記載の方法。
【0044】
例示16.前記第1のドーム輪郭を形成することが、前記第1のドーマー及び前記第2のドーマーを一緒に第1の方向に軸方向に移動させて前記金属容器の前記底部に係合することを含み、前記第2のドーム輪郭を形成することが、前記第2のドーマーを前記第1のドーマーに対して前記第1の方向に移動させることを含む、先行または後続の例示もしくは例示の組み合わせのいずれかに記載の方法。
【0045】
例示17.前記第1のドーム輪郭を形成することが、パンチを使用して前記金属容器の前記底部に前記第1のドーム輪郭をさらに形成することを含む、先行または後続の例示もしくは例示の組み合わせのいずれかに記載の方法。
【0046】
例示18.前記第1のドーマーがスリーブであり、前記第2のドーマーが前記スリーブ内のインサートであり、前記第2のドーム輪郭を形成することが、前記第2のドーマーが少なくとも部分的に前記スリーブ内にある間に前記第2のドーマーを移動させることを含む、先行または後続の例示もしくは例示の組み合わせのいずれかに記載の方法。
【0047】
例示19.前記第1のドーム輪郭を形成することが、前記第1のドーマーの第1の表面及び前記第2のドーマーの第2の表面を、前記金属容器の前記底部と係合させることを含む、先行または後続の例示もしくは例示の組み合わせのいずれかに記載の方法。
【0048】
例示20.前記第2のドーム輪郭を形成することが、前記金属容器の前記底部の少なくとも一部が前記第1の表面または前記第2の表面に接触しないように、前記第2のドーマーを前記第1のドーマーに対して移動させることを含む、先行または後続の例示もしくは例示の組み合わせのいずれかに記載の方法。
【0049】
例示21.先行または後続の例示もしくは例示の組み合わせのいずれかに記載の方法によって形成された底部を備える、金属容器。
【0050】
例示22.前記金属容器がアルミニウムまたはアルミニウム合金を含む、先行または後続の例示もしくは例示の組み合わせのいずれかに記載の金属容器。
【0051】
例示23.前記底部が低減された金属ゲージを含む、先行または後続の例示もしくは例示の組み合わせのいずれかに記載の金属容器。
【0052】
上述の態様は、実施態様の可能な例に過ぎず、単に、本開示の原理の明確な理解のために記載されている。本開示の主旨及び原理から実質的に逸脱することなく、上述の実施形態(複数可)に、多くの変形及び修正を加えてもよい。そのようなすべての修正及び変形は、本開示の範囲内で本明細書に含まれることが意図され、要素またはステップの個々の態様または組み合わせに対するすべての可能な特許請求の範囲は、本開示によって裏付けられることが意図される。さらに、特定の用語が本明細書及び以下の特許請求の範囲で使用されているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用されており、説明された実施形態または以下の特許請求の範囲を限定する目的ではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】