(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】コンパニオンアニマルにおけるバイオマーカー検出方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20240918BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
G01N33/53 L
G01N33/48 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518808
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 US2022043687
(87)【国際公開番号】W WO2023055577
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524113932
【氏名又は名称】ユニ ファーマ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ユ-シャン
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA13
2G045AA26
2G045BA13
2G045BB10
2G045CA26
2G045CB17
2G045DA39
2G045DA40
2G045FA37
2G045FB01
2G045FB03
2G045FB12
(57)【要約】
血液試料中のフィブリン/フィブリノーゲン分解産物(「FDP」)を定量化するための2つの方法。第1の方法は、非ヒト動物から血液試料を得る工程、この血液試料を遠心分離して第1の上澄みを得、かつ第1の上澄みを回収する工程、第1の上澄みを遠心分離して第2の上澄みを得、かつ第2の上澄みを回収する工程、第2の上澄みを希釈する工程、希釈した第2の上澄みをFDPに特異的に結合する抗体を含む試薬と接触させる工程、およびFDPに特異的に結合している抗体の量を検出し、それにより血液試料中のFDPを定量化する工程を特徴とする。第2の方法は、希釈した第2の上澄みを、FDPを特異的に検出して非ヒト血液試料中のFDPの量を定量化する定量的免疫測定法に供する工程を必要とする。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液試料中のフィブリン/フィブリノーゲン分解産物(FDP)を定量化するための方法であって、
非ヒト動物から血液試料を得る工程、
前記血液試料を10×g~2,000×gで遠心分離して第1の上澄みを得る工程、
前記第1の上澄みを回収する工程、
前記第1の上澄みを1,000×g~50,000×gで遠心分離して第2の上澄みを得る工程、
前記第2の上澄みを回収する工程、
前記第2の上澄みを1:5~1:10,000で希釈する工程、
前記希釈した第2の上澄みをFDPに特異的に結合する抗体を含む試薬と接触させる工程、
FDPに結合していない抗体を除去する工程、および
FDPに特異的に結合している抗体の量を検出し、それにより前記血液試料中のFDPを定量化する工程、
を含む、方法。
【請求項2】
前記血液試料を抗凝固処理する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非ヒト動物は、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、フェレットまたはブタである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記抗凝固処理した血液試料を30秒間~30分間遠心分離する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の上澄みを30秒間~30分間遠心分離する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記接触させる工程の前に前記第2の上澄みを1:50~1:5,000で希釈する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記接触させる工程の前に前記第2の上澄みを1:100~1:1,000で希釈する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
血液試料中のフィブリン/フィブリノーゲン分解産物(FDP)を定量化するための方法であって、
非ヒト動物から血液試料を得る工程、
前記血液試料を10×g~2,000×gで遠心分離して第1の上澄みを得る工程、
前記第1の上澄みを回収する工程、
前記第1の上澄みを1,000×g~50,000×gで遠心分離して第2の上澄みを得る工程、
前記第2の上澄みを回収する工程、
前記第2の上澄みを1:5~1:10,000で希釈する工程、
前記希釈した第2の上澄みを、FDPを特異的に検出する定量的免疫測定法に供し、それにより前記血液試料中のFDPの量を定量化する工程、
を含む、方法。
【請求項9】
前記血液試料を抗凝固処理する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記定量的免疫測定法は、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、免疫組織化学染色、免疫蛍光染色法、フローサイトメトリー法またはマイクロ流体免疫測定法である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記定量的免疫測定法は、FDPに特異的に結合する抗体を含むポリクローナルウサギ血清を用いるELISAである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記定量的免疫測定法は、FDPに特異的に結合するモノクローナル抗体を用いるELISAである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記非ヒト動物は、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、フェレットまたはブタである、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記抗凝固処理した血液試料を30秒間~30分間遠心分離する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の上澄みを30秒間~30分間遠心分離する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記供する工程の前に前記第2の上澄みを1:50~1:5000で希釈する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記供する工程の前に前記第2の上澄みを1:100~1:1000で希釈する、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
コンパニオンアニマルはヒトのように、医学における進歩ならびに予防ケアおよび栄養の向上により長生きしている。より長い寿命を有するペットは加齢に伴う疾患、特に癌を発症する可能性が高い。推定600万匹のイヌおよび約600万匹のネコが毎年癌と診断されている。
【0002】
約100種類の動物の癌が存在する。ペットの癌は皮膚、骨、乳房、頭頸部、リンパ系、腹部および精巣において見つけることができる。白血病はネコにおいて最も一般的な種類の癌であり、リンパ腫および乳腺癌はイヌにおいて最も一般的な種類の癌である。
【0003】
イヌは他のコンパニオンアニマルと比較してより多くの形態の癌に罹患する。米国獣医癌学会によれば、癌はイヌ、特に10歳を超えるイヌの47%における主な死因である。
【0004】
ヒトの血清中に存在する多くのバイオマーカーは癌、例えば癌胎児抗原およびフィブリン/フィブリノーゲン分解産物に関連していることが知られている。特定のバイオマーカーがヒトの癌の進行を予測するものであることが決定されている。しかし非ヒト動物の癌に関する研究は散発的なままである。
【0005】
癌のより早期の段階で適切な治療を与え、それにより生存を高めることができるように、動物の癌に関連するバイオマーカーを検出するための方法を開発することが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
この必要性を満たすために、血液試料中のフィブリン/フィブリノーゲン分解産物(「FDP」)を定量化するための方法が提供される。本方法は、非ヒト動物から血液試料を得る工程、この血液試料を遠心分離して第1の上澄みを得、かつその上澄みを回収する工程、第1の上澄みを遠心分離して第2の上澄みを得、かつ第2の上澄みを回収する工程、第2の上澄みを希釈する工程、希釈した第2の上澄みをFDPに特異的に結合する抗体を含む試薬と接触させる工程、FDPに結合していない抗体を除去する工程、およびFDPに特異的に結合している抗体の量を検出し、それにより血液試料中のFDPを定量化する工程により行う。
【0007】
血液試料中のFDPを定量化するための第2の方法も提供される。この方法は、非ヒト動物から血液試料を得る工程、この血液試料を遠心分離して第1の上澄みを得、かつその上澄みを回収する工程、第1の上澄みを遠心分離して第2の上澄みを得、かつ第2の上澄みを回収する工程、第2の上澄みを希釈する工程、および希釈した第2の上澄みを、FDPを特異的に検出して血液試料中のFDPの量を定量化する定量的免疫測定法に供する工程により達成する。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態の詳細は以下の「発明を実施するための形態」に記載されている。本発明の他の特徴、目的および利点は「発明を実施するための形態」および図面から明らかになり、特許請求の範囲からも明らかになるであろう。
【0009】
以下の「発明を実施するための形態」では添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】
図1Aは、対照のイヌおよび腫瘍を有するイヌにおけるDR-70抗原の発現レベルのプロットを示す。
【
図1B】
図1Bは、
図1Aに示されているデータから計算され、かつ様々なカットオフ値から構築された受信者動作特性曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上に要約されているように、血液試料中のFDPを定量化するための第1の方法を開示する。本方法は、非ヒト血液試料を遠心分離して第1の上澄みを得る工程を特徴とする。
【0012】
好ましくは、非ヒト血液試料は哺乳類、例えばイヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、フェレットまたはブタからのものである。血液は当該技術分野で知られている任意の方法により得ることができる。
【0013】
特定の第1の方法では、抗凝固処理した血液を使用することができる。例えば新鮮血は、エチレンジアミン四酢酸またはクエン酸ナトリウムで処理して凝固を防止することができる。凝固した全血も使用することができるため、非ヒト血液試料の抗凝固は請求項に係る発明を実施するために必要ではない。
【0014】
第1の上澄みが得られるように、非ヒト血液試料を遠心分離して血液細胞を除去する。遠心分離は、10×g~2,000×g(例えば、10×g、50×g、100×g、250×g、500×g、1000×g、1250×g、1500×gおよび2000×g)で30秒間~30分間(例えば、30秒間、1分間、5分間、10分間、15分間、20分間、25分間および30分間)行うことができる。
【0015】
例えば、第1の上澄みを血液細胞ペレットの頂上からピペットで移すことによりそれを回収した後に、第1の上澄みを再度遠心分離して第2の上澄みを得る。この第2の遠心分離工程は、1,000×g~50,000×g(例えば、1,000×g、2,500×g、5,000×g、10,000×g、11,000×g、12,000×g、13,000×g、14,000×g、15,000×g、16,000×g、17,000×g、18,000×g、19,000×g、20,000×g、25,000×g、30,000×g、35,000×g、40,000×g、45,000×gおよび50,000×g)で30秒間~30分間(例えば、30秒間、1分間、5分間、10分間、15分間、20分間、25分間および30分間)行う。
【0016】
第2の上澄みを回収した後に、それを適当な希釈液で希釈することにより免疫検出のために調製する。例えば、リン酸緩衝食塩水(「PBS」)を使用して第2の上澄みを希釈することができる。
【0017】
第2の上澄みは、1:5~1:10,000、好ましくは1:50~1:5,000、より好ましくは1:100~1:1,000で希釈することができる。許容される希釈は、例えば1:5、1:25、1:50、1:100、1:200、1:300、1:400、1:500、1:750、1:1,000、1:1,500、1:2,000、1:2,500、1:3,000、1:3,500、1:4,000、1:4,500、1:5,000、1:7,500および1:10,000であってもよい。
【0018】
次いで、希釈した第2の上澄みをFDPに特異的に結合する抗体を含む試薬と接触させた状態で置く。
【0019】
FDPに特異的に結合する抗体を開発することは、当業者の技量の範囲内である。例えば目的の動物、例えばイヌから単離されたFDPを使用してウサギに接種して、FDPに特異的に結合する抗体を含むポリクローナル血清を得ることができる。陽性反応している動物から単離されたFDPおよび脾細胞をマウスに接種して、FDPに対するモノクローナル抗体を得ることができる。特定の例では、ヒトのFDPに結合する特定の抗体は他の生物種からのFDPと交差反応する。従って、抗ヒトFDPポリクローナルもしくはモノクローナル抗体を試薬として使用することができる。
【0020】
上記方法は、希釈した第2の上澄みを試薬と接触させた状態で置くことを要件とする。これは、例えば希釈した第2の上澄みをプレート表面に吸着させ、かつそのプレート表面を抗FDP抗体を含む試薬に曝露することにより達成することができる。別の例では、希釈した第2の上澄みを試薬を含む管の中で混合する。
【0021】
試薬中の抗FDP抗体が希釈した第2の上澄み中のFDPに結合するのに十分な時間をかけた後に、未結合抗体を除去する。例えば希釈した第2の上澄みをプレートに吸着させる場合、適当な界面活性剤溶液、例えばPBS/ポリソルベート20で洗浄することにより未結合抗FDP抗体を除去することができる。さらに、希釈した第2の上澄みを試薬を含む管の中で混合する場合、FDPにも結合する第2の抗体を添加し、かつ第2の抗体を捕捉することにより未結合抗体を結合している抗体から分離および除去することができる。
【0022】
上述のとおり、本方法は接触させる工程の後に、FDPに特異的に結合している抗体の量を検出する工程を含む。試薬中の抗FDP抗体は蛍光または酵素で標識することができ、FDPに結合している抗FDP抗体の量は、例えば蛍光で標識した抗体を使用する場合には蛍光強度により、酵素で標識した抗体を使用する場合には比色手段により測定することができる。特異的に結合している抗FDP抗体を検出するための当該技術分野で知られている任意の方法を使用することができる。
【0023】
第2の上澄み中のFDPの量は多くの方法で定量化することできる。特定の例では、異なる希釈の精製されたFDPの標準に結合している抗FDP抗体の量を第2の上澄み中で検出された量と比較する。
【0024】
上記方法は、比較のために同じ生物種の何匹かの動物からの血液試料に対して行うことができる。例えば本方法を使用して、癌を有しないイヌからの血液試料中のFDPレベルを決定してベースライン値を確立することができる。同じ方法を使用して癌を有するイヌからの血液試料中のFDPレベルを決定して、これらのレベルが癌を有しない動物のものとは異なるか否かを知ることができる。
【0025】
血液試料中のFDPを定量化するための第2の方法が「発明の概要」の箇所で述べられている。第2の方法は、上に詳細に記載されている第1の方法と特定の工程を共有する。第2の方法は第1の方法のように、(i)非ヒト動物から血液試料を得る工程、(ii)血液試料を遠心分離して第1の上澄みを得る工程、(iii)第1の上澄みを回収する工程、(iv)第1の上澄みを遠心分離して第2の上澄みを得る工程、(v)第2の上澄みを回収する工程、および(vi)第2の上澄みを希釈する工程を必要とする。第2の方法は、希釈した第2の上澄みを、血液試料中のFDPの量を定量化するためにFDPを特異的に検出する定量的免疫測定法に供する工程を特徴とする。
【0026】
第2の方法は上記第1の方法のように、非ヒト血液試料の抗凝固を必要としない。凝固した全血を使用することができる。
【0027】
第2の方法における遠心分離する工程および希釈は第1の方法と同じように行う。繰り返しておくが、非ヒト血液試料を10×g~2,000×gで30秒間~30分間遠心分離して第1の上澄みを得、第1の上澄みを1,000×g~50,000×gで30秒間~30分間遠心分離して第2の上澄みを得、第2の上澄みを定量的免疫測定法に使用するために1:5~1:10,000に希釈する。
【0028】
定量的免疫測定法は限定されるものではないが、酵素結合免疫吸着測定法(「ELISA」)、酵素増幅免疫測定法、定量的免疫組織染色法、放射性免疫測定法、免疫蛍光染色法、フローサイトメトリー法、タンパク質マイクロアレイ測定法、電気化学発光法、マイクロビーズ法、マイクロ流体免疫測定法または表面プラズモン共鳴法による免疫測定法であってもよい。
【0029】
具体例では定量的免疫測定法は、FDPに特異的に結合する抗体を含むポリクローナルウサギ血清を用いるELISAである。別の例では定量的免疫測定法は、FDPに特異的に結合するモノクローナル抗体を用いるELISAである。ELISAは、感度を高めるために第2の抗FDP抗体を用いるサンドイッチELISAであってもよい。
【0030】
最後に第2の方法では、非ヒト血液試料は哺乳類、例えばイヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、フェレットまたはブタからのものである。
【0031】
さらなる詳細がなくとも、当業者であれば本明細書中の開示に基づいて本開示を最大限まで利用することができると考えられる。従って以下の具体例は、単に説明的なものであり、あらゆる点で決して本開示の残りを限定するものではないものと解釈されるべきである。
【実施例】
【0032】
実施例1:血液試料の調製
細胞診および/または組織病理診断によって確認された癌を有する262匹のイヌから血液試料を得た。54匹の健康な動物からも血液試料を得た。全ての場合に、研究のために臨床データを使用するためのインフォームドコンセントをペット所有者から得た。
【0033】
抗凝固処理、すなわちエチレンジアミン四酢酸処理した管に全血を回収した。この管を回収直後に1500RPMで10分間遠心分離し、次いで上澄みを除去し、16,000×gで10分間遠心分離した。得られた上澄みを免疫検出法に使用するために、PBS中で1:200に希釈した。
【0034】
実施例2:酵素結合免疫吸着測定法(「ELISA」)
DR-70抗原、すなわちフィブリンおよびFDPの組み合わせである抗原に対するウサギポリクローナル血清を産生させた。以下に記載するように、サンドイッチELISAにおいて抗DR-70抗原抗体を用いて血液試料中のFDPを定量的に測定した。
【0035】
アフィニティー精製した抗DR-70ウサギ血清を96ウェルプレートのウェルにコーティングし、次いで100μLの希釈した血液試料と共に室温で30分間インキュベートした。ウェルを洗浄した後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(「HRP」)結合抗DR70抗体を各ウェルに添加し、30分間インキュベートし、洗浄した。テトラメチルベンジジン基質を添加し、かつ十分な色が発生した後に0.1NのHClにより反応を停止させることにより、結合しているHRP結合抗DR70抗体の検出を達成した。450nmでマイクロプレートリーダーにより色の強度を測定した。精製したDR-70から得られた標準曲線との比較により、DR-70濃度を計算した。その結果が
図1Aに示されている。
【0036】
健康な動物からの血液試料中のDR-70濃度の中央値は、1.163μg/mL(0.1010~1.775μg/ml;n=54)であった。癌に罹患しているイヌからの血液試料中のDR-70濃度の中央値は、2.132μg/mL(0.3495~4.355μg/ml;n=262)であり、値は健康な動物からのものよりも有意に高かった(p<0.0001;クラスカル・ワリス検定)。
【0037】
実施例3:診断の有用性
イヌにおいて癌を診断するためのDR-70レベルの使用の有用性を、受信者動作特性曲線を準備し、かつ曲線下面積(「AUC」)を計算することにより試験した。その結果が
図1Bに示されている。DR-70のAUCは0.9185(95%信頼区間:0.8876~0.9494;p<0.0001)であり、これはDR-70レベルを使用して、癌を有するイヌと健康な動物とを容易に識別することができることを示している。
【0038】
異なるカットオフ値における感度および特異性を計算することにより、DR-70血中濃度の最適なカットオフ値を決定した。このデータが以下の表1に示されている。
【表1】
【0039】
DR-70の最適なカットオフ濃度は1.513μg/mLであり、84.35%(95%CI:79.46~88.25%)の感度および83.33%(95%CI:71.26~90.98%)の特異性を有していた。
【0040】
他の実施形態
本明細書に開示されている全ての特徴を任意の組み合わせで組み合わせてもよい。本明細書に開示されている各特徴を同じ、同等または同様の目的を果たす他の特徴で置き換えてもよい。特に明示的に記載されていない限り、開示されている各特徴は一般的な一連の同等または同様の特徴の単なる例である。
【0041】
当業者であれば、上記説明から本発明の必須の特性を容易に確認することができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく本発明の各種変形および修正を行い、それを様々な用法および条件に適合させることができる。従って、他の実施形態も以下の特許請求の範囲に含まれる。
【国際調査報告】