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特表2024-535102研削盤および研削盤を操作するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】研削盤および研削盤を操作するための方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 5/18 20060101AFI20240918BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20240918BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
B24B5/18 A
B24B49/10
B23Q17/00 A
B23Q17/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518873
(86)(22)【出願日】2022-10-12
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 DE2022100754
(87)【国際公開番号】W WO2023072330
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】102021127805.8
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クラウス クラマー
(72)【発明者】
【氏名】トビアス クラマー
【テーマコード(参考)】
3C029
3C034
3C043
【Fターム(参考)】
3C029EE00
3C029FF03
3C034AA01
3C034BB92
3C034CA09
3C034CA24
3C034CB13
3C034CB14
3C034DD18
3C043AA08
3C043CC03
3C043CC12
3C043DD02
3C043DD05
3C043DD06
(57)【要約】
センタレス研削のための研削盤(1)は、研削ディスク(2)および調整ディスク(3)を含み、研削ディスク(2)と調整ディスク(3)との間に研削ギャップ(4)が形成されている。さらに、研削ギャップ(4)の下方に位置する被加工物支持アセンブリ(6)と、被加工物カバーレール(9)と、が存在し、複数の固体音センサ(14)は、被加工物カバーレール(9)の長さにわたって配分され、表示装置(20)と連結されており、表示装置(20)は、個々の固体音センサ(14)によって得られた情報を配列で表示するために形成されており、その配列は、固体音センサ(14)の配列を反映する。これにより操作中に、センタレス研削において研削ギャップ(4)の可視化が可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削ディスク(2)および調整ディスク(3)を備える、センタレス研削のための研削盤(1)であって、前記研削ディスク(2)と前記調整ディスク(3)との間に研削ギャップ(4)が形成されており、前記研削ギャップ(4)の下方に位置する被加工物支持アセンブリ(6)と、被加工物カバーレール(9)と、を備え、複数の固体音センサ(14)は、前記被加工物カバーレール(9)の長さにわたって配分され、表示装置(20)と連結されており、前記表示装置(20)は、個々の前記固体音センサ(14)によって得られた情報を配列で表示するために形成されており、前記配列は、前記固体音センサ(14)の配列を反映する、研削盤(1)。
【請求項2】
前記固体音センサ(14)は、前記被加工物カバーレール(9)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の研削盤(1)。
【請求項3】
少なくとも6個の固体音センサ(14)は、一列に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の研削盤(1)。
【請求項4】
前記固体音センサ(14)は、周波数決定のために設けられた少なくとも1つの信号処理ユニット(17)に接続されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の研削盤(1)。
【請求項5】
1つは前記固体音センサ(14)および前記信号処理ユニット(17)を使用して決定された周波数と、もう1つは設定周波数と、の間の比較を実施するためのデータ処理ユニット(19)が装備されていることを特徴とする、請求項4に記載の研削盤(1)。
【請求項6】
前記データ処理ユニット(19)に接続された表示ユニット(20)は、前記設定周波数を下回ることおよび上回ることを個々の表示列(21、22、…28)にグラフィック表示するために設けられており、各表示列(21、22、…28)は、前記固体音センサ(14)のうちの1つに割り当てられていることを特徴とする、請求項5に記載の研削盤(1)。
【請求項7】
個々の前記固体音センサ(14)それぞれに割り当てられ、前記設定周波数の表示位置を設定するために設けられ、関連する前記表示列(21、22、…28)の延長部分にそれぞれ位置する設定要素(32)であって、前記設定要素(32)は、一列に配置されており、前記一列は、前記固体音センサ(14)の列を反映する、設定要素(32)を特徴とする、請求項6に記載の研削盤(1)。
【請求項8】
研削盤(1)を操作するための方法であって、複数の被加工物(5)は、研削ディスク(2)と調整ディスク(3)との間に形成された研削ギャップ(4)を通して供給され、研削中、前記研削ギャップ(4)に沿って一緒に一列に形成された複数の位置(15)で、音響信号が取得されて光学信号に変換され、前記光学信号の配置は、上述の前記位置(15)の列を再現する、方法。
【請求項9】
目的に応じた研削加工を承認する前に、参照部品が前記研削ギャップ(4)において加工され、前記参照部品の前記加工中、一緒に一列に形成された前記位置(15)で取得された振動信号は、参照信号として感知され、少なくとも間接的に記憶される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記参照部品の後に被加工物(5)が加工され、前記被加工物(5)の形状寸法は、前記参照部品の形状寸法に少なくとも近似的に対応し、前記被加工物(5)の前記加工中、音響信号は、フーリエ変換され、実際の周波数の形式で出力されるこのフーリエ変換の結果は、前記参照信号から同様にフーリエ変換により決定された設定周波数と比較され、表示マトリクス(33)としてグラフィック的に描写されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物がスルーフィード法において研削される、センタレス研削のための研削盤に関する。さらに、本発明は、そのような研削盤を操作するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2018/162002号は、センタレス外周研削のためのプランジ研削盤用のローディング装置およびセンタレス外周研削のための方法を開示している。プランジ研削盤は、研削ディスクと調整ディスクとの間に案内される未加工被加工物を加工するために企図されている。
【0003】
西独国特許第1402590号明細書に記載されたセンタレス研削盤は、研削ディスクおよび対置して回転する調整ディスクを備え、研削ディスクおよび調整ディスクは、互いに対して移動可能である。さらに、西独国特許第1402590号明細書によるセンタレス研削盤は、段階的に回転可能な被加工物キャリアディスクを備え、被加工物キャリアディスクは、被加工物を供給ステーションから研削ディスクと調整ディスクとの間の研削位置に搬送し、その研削位置から排出ステーションに搬送する。
【0004】
西独国特許第860468号明細書は、円筒面のセンタレス研削のための装置を開示しており、研削加工中に駆動する調整ディスクおよびサポートガイドによって被加工物が案内される、外側研削のための配置が保証されていることが想定され、サポートガイドは、原理的にはサポートローラにより置換可能である。
【0005】
様々な種類の機械での加工プロセスは、とりわけ音響信号を感知することによって監視することができる。例えば、スイス国特許発明第702248号明細書に記載された、皿形の研削ツールを用いて加工する表面加工装置は、ノイズを感知するためのセンサを備える。ノイズ感知により、スイス国特許発明第702248号明細書の場合では、スピンドルホルダの位置は、研削ツールが被加工物に接触した瞬間に確定されることになる。これにより、研削ツールのプランジ深さに関する情報が提供されることになる。
【0006】
音響センサと組み合わせたさらなる研削盤は、例えば、中国実用新案第2928386号明細書および中国特許第105215852号明細書に記載されている。
【0007】
旧東ドイツ国経済特許第263489号明細書に開示された、円筒研削におけるツール摩耗検知のための方法の範囲内では、切削位置の近くでの固体音の感知が企図されている。摩耗検知のために使用される信号処理は、特に、1kHz未満の周波数を有する信号に関する。固体音センサを備えるさらなる研削装置は、例えば、独国特許出願公開第102007063200号明細書に記載されている。
【0008】
研削ディスクの摩耗状態を監視するための方法は、西独国特許出願公開第4106053号明細書に記載されている。この場合、研削時に発生するノイズだけではなく、駆動モータの出力もまた感知される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、上述の先行技術に対してさらに開発された、センタレス外周研削における音響監視の、特にユーザフレンドリーな方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本課題は、本発明によれば、請求項1の特徴を有するセンタレス研削のために形成された研削盤によって解決される。同様に、本課題は、請求項8に記載の、研削盤を操作するための方法によって解決される。操作方法に関連して以下に説明する本発明の実施形態および利点は、装置、すなわち、センタレス研削盤にも当てはまり、かつその逆も当てはまる。
【0011】
研削盤の構成要素は、研削ディスクおよび調整ディスクであり、これらのディスクの間にそれ自体既知の様式で、研削ギャップが形成されている。さらに、研削盤は、研削ギャップの下方に位置する被加工物支持アセンブリと、被加工物の上を覆う被加工物カバーレールと、を備える。複数の固体音センサ、例えば、少なくとも6個、特に8個またはそれ以上は、被加工物カバーレールの長さにわたって配分して配置されて、表示装置とデータ技術的にリンクされており、表示装置は、個々の固体音センサによって得られた情報を配列で表示するために形成されており、その配列は、固体音センサの所与の線形配列を反映する。
【0012】
研削盤における固体音センサの配置のパターンに対応するパターンに、固体音センサを使用して得られた情報を位置付けることによって、操作員による情報の特に単純で直感的な感知が可能である。
【0013】
一般的に研削盤を操作するとき、複数の被加工物は、研削ディスクと調整ディスクとの間に形成された研削ギャップを通して供給され、研削中、研削ギャップに沿って一緒に一列に形成された複数の位置で、音響信号が取得されて光学信号に変換され、信号の配置は、上述の位置、すなわち検出位置を再現する。このようにして、センタレス外径研削において研削ギャップの可視化が行われる。
【0014】
ハイドロホンとも称される固体音センサに分類することができる音響検出装置を設定するために、連続して製造されることとなる部品の加工前に、最初に参照部品を、可能な限り正確に既知の構成および形状寸法に加工してもよく、この参照加工時に振動信号が発生し、振動信号は、一緒に一列に形成された検出位置で取得されて参照信号として感知され、少なくとも間接的に、特にデジタル形式で記憶される。
【0015】
参照加工の完了後、連続して製造されることとなる部品の加工を開始することができ、目的に応じた操作において加工されることとなる部品、すなわち連続生産部品は、少なくとも近似的に、参照部品の形状寸法に対応することになる。参照部品の研削の過程で既に、取得された音響信号は、フーリエ変換されており、これにより設定周波数が得られている。対応する様式で、連続生産部品の生産時にもまた、取得された音響信号は、フーリエ変換され、この場合、実際の周波数を結果として決定することができる。実際の周波数の設定周波数との比較は、最終的にグラフィック的に表示マトリクスの形式で描写可能である。表示マトリクスでは、水平軸は、被加工物カバーレールの長さ方向の固体音センサの列を示し、一方で垂直軸では、設定周波数と実際の周波数との間の変位が個々の固体音センサに対して表示される。
【0016】
固体音センサは、被加工物カバーレールに直接取り付けることができる。この場合、5個以上の固体音センサが単一の列に配置されている。複数の固体音センサの代わりに、振動信号を感知するためのその他の方法、例えば、レーザ支援法を使用することができる。固体音センサの正確な配置および種類に関わらず、周波数決定のために設けられた、すなわちフーリエ変換を実施する信号処理ユニットが、センサ系に接続可能であり、それぞれの固体音センサに別個の信号処理ユニットを割り当てることができる。同様に、全ての固体音センサまたはその他の振動センサ系のための共通の信号処理ユニットを設けることができる。
【0017】
1つは目的に応じた操作において決定された実際の周波数と、もう1つは事前に決定された設定周波数と、の間の比較を実施するために、別個のユニットとしてまたは信号処理ユニットの一体構成部品としてのいずれかで実現することができるデータ処理ユニットが適している。
【0018】
データ処理ユニットを使用して得られた、出力されることとなる情報は、表示ユニット上に描写可能であり、表示ユニットは、例えば、それぞれ固体音センサに割り当てられている複数の表示列を有する。それぞれの表示列において、例えば、中央の表示ポイントは、設定周波数と実際の周波数との間の完全な一致を信号通知する。表示は、設定周波数を上回る場合に上方へと移り、下回る場合には下方に移る。この場合、固体音信号が最大である当該周波数のみが考慮される。改良実施形態では、より複雑な設定信号および実際の信号もまた比較可能である。この場合、それぞれの信号は、信号パターンの形式で提示され、設定パターンおよび実際のパターンは、特に人工知能を使用して比較される。信号評価が複雑な場合でもまた、設定信号と実際の信号との間の変位の度合は、明快な様式でグラフィック的に描写することができる。
【0019】
較正目的のために、それぞれの個々の固体音センサに別個の設定要素を割り当てることができる。設定要素は、設定周波数の表示位置を決めるために設けられており、対応する表示列の延長部分にそれぞれ位置してもよい。全体として、設定要素は、一列に配置されており、その列は、研削盤にもたらされた固体音センサの列を反映する。
【0020】
例えば、回転ノブまたはタッチパネル面の操作フィールドの形式の設定要素の、個々の固体音センサへの割り当ては、固体音センサを表す表示列の下方また上方に直接それぞれの設定要素を配置することによって自明である。
【0021】
以下で図面を参照して本発明の実施例をより詳細に説明する。図面では一部大まかに図示している。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】センタレス研削のための研削盤の簡略図である。
図2】研削盤の構成要素の正面図である。
図3】研削盤のセンサを用いて取得された理想固体音信号の図である。
図4図3による信号のフーリエ変換の図である。
図5】研削盤の音響センサによって取得された実際の信号の周波数スペクトルの図である。
図6】設定周波数と、研削盤の様々な位置で測定された実際の周波数と、の間の比較の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
全体として参照番号1が付与された研削盤は、それ自体既知の基本概念において、研削ディスク2および調整ディスク3を備え、研削ディスク2と調整ディスク3との間に研削ギャップ4が形成されている。被加工物5は、センタレススルーフィード法で研削され、研削中は、全体として6で表示された被加工物支持アセンブリ上に位置する。被加工物支持アセンブリは、高さ調節可能なベアリングレール7および旋回可能なガイドクランプ8を含む。ベアリングレール7の高さ調節機構は、13で表示されており、ガイドクランプ8の旋回機構は、11で表示されている。さらに、被加工物5の上に置かれた被加工物カバーレール9が存在する。
【0024】
研削盤1には、固体音測定により研削プロセスを監視するために形成されている評価装置10をさらに組み込むことができる。評価装置10は、被加工物カバーレール9の上に位置する、図示した場合では8個の、複数の固体音センサ14と共に動作する。固体音センサ14によって、被加工物カバーレール9の長さにわたって均等に配分された8箇所の検出位置15が形成されている。全体としてそれにより、検出位置15の列16が形成され、列16は、研削盤1の長さ方向に、すなわち被加工物5の供給方向に、したがって、研削ディスク2および調整ディスク3の回転軸の軸線方向に延在する。
【0025】
固体音センサ14に加えて、評価装置10は、信号処理ユニット17を含み、信号処理ユニット17への固体音センサ14の配線および評価装置10の内部のさらなる配線は、18で表示されている。図示した実施例では、それぞれの固体音センサ14に別個の信号処理ユニット17が割り当てられており、全ての信号処理ユニット17は、データ処理ユニット19に接続されている。評価装置10の内部では無線信号伝送、特にデジタル信号の無線伝送もまた可能である。本明細書の場合、信号処理ユニット17を使用して、固体音センサ14によって取得された固体音信号KSは、デジタル化される。図3では、サインカーブの形状の理想固体音信号KSiを見ることができる。一般的に、固体音信号をKSと表示する。固体音信号KS、KSiの振幅は、Aで表示されている。
【0026】
データ処理ユニット19は、固体音信号センサ14によって提供される固体音信号KSから、フーリエ変換を使用して対応する信号の周波数スペクトルを生成する。図4では、図3による信号形状に関連するフーリエ変換された固体音信号KSFiを見ることができる。
【0027】
実際には、それぞれの固体音信号KSは、異なる周波数の信号成分を含む。図3および図4による理想シナリオと比較して、考えられる実際の固体音信号KSFrは、図5に図示されている。任意選択的に、固体音信号KSFrは、データ処理ユニット19においてフィルタリング、特にローパスフィルタリングを受ける。さらなるデータ処理のために、合計8箇所の検出位置15で取得された固体音信号KSFrに、それぞれ、F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、F8が割り当てられる。この場合、F1は、第1の検出位置15を指し、F2は、その次の隣接する検出位置15を指し、以下同様である。異なる周波数F1、F2、…F8は、研削盤1の操作時に互いに大幅に相違してもよい。
【0028】
評価装置10を較正するために、研削盤1は、最初に試験的に、形状寸法上ほぼ理想的な被加工物5を用いて運転開始してもよい。較正運転では、図6において点線で示されている設定周波数FSが決定される。設定周波数FSは、周波数範囲FBの範囲内にあるが、すべての検出位置15について同一である必要はない。較正運転の完了後、研削盤1は、連続生産で加工されることとなる、すなわちその外径で回転対称で研削されることとなる被加工物5を用いて運転される。この場合に決定された実際の周波数F1、F2、F3、F4、F5、F6、F7、F8は、図6において可視化されているように、設定周波数FSと比較され、この図では、SQは、信号品質を指し、最も単純な場合、値は、0および1のみであると仮定してもよい。
【0029】
データ処理ユニット19を使用して行われた比較の結果は、表示ユニット20上に描写され、表示ユニット20は、典型的には、研削盤1にまたは研削盤1の近くに位置付けられている。表示ユニット20上には、本明細書の場合、個々の検出位置15を表す8個の表示列21、22、23、24、25、26、27、28が見られる。それぞれの表示列21、22、…28には、割り当てられた検出位置15において設定周波数FSが維持されていること、上回ること、または下回ることが表示される。表示フィールド29は、全体として列21、22、…28によって形成される表示マトリクス33を、基準線として解釈できる水平方向ラインの形式で横断し、許容可能な周波数範囲FBで維持されていることを示す。それに対して、割り当てられた設定周波数FSよりも高い周波数F1、F2、…F8が測定された場合、グラフィック描写のために、表示フィールド29の上方に位置する表示フィールド30が使用される。その逆の場合、すなわち、設定周波数FSを下回る場合、グラフィック信号は、表示フィールド29の下方に位置する表示フィールド31に出力される。
【0030】
設定周波数FSは、評価装置10の起動時に既知である必要はない。むしろ、参照部品として利用される被加工物5の加工時に、インタクトな研削盤1を用いて純粋な固体音信号KSが測定されるという情報で十分である。この純粋な固体音信号の周波数は、設定周波数FSとなり、列21~28の下方に位置する設定要素32を用いて、表示フィールド29の高さに、すなわち中央の高さに設定される。
【0031】
固体音信号KSFrが連続運転時に表示フィールド29から離れる場合、このことはすぐに、所定の操作からの変位が存在しているということにまで解釈可能である。そのような変位の原因は、例えば、研削ディスク2および/または被加工物5の性状であり得る。いずれの場合も、表示列21、22、…28の列が固体音センサ14の列に対応することにより、評価装置10によって、目的に応じた操作からの変位の発生が信号通知されるだけではなく、検出された障害の局所性もまた信号通知される。簡略化された様式で、表示マトリクス33は、センタレス外周研削において研削盤1によりもたらされている、研削ギャップ4を、実行中の操作において可視化する。この場合、理想的な場合に表示フィールド29のみを横断して延び、研削ギャップ4の設定形状を示す、表示された曲線のゼロ点状態を較正することができるだけではなく、任意選択的に、表示の感度を設定することもできる。
【符号の説明】
【0032】
1 研削盤
2 研削ディスク
3 調整ディスク
4 研削ギャップ
5 被加工物
6 被加工物支持アセンブリ
7 ベアリングレール
8 ガイドクランプ
9 被加工物カバーレール
10 評価装置
11 旋回機構
12 センサ配列
13 高さ調整機構
14 固体音センサ
15 検出位置
16 検出位置の列
17 信号処理ユニット
18 配線
19 データ処理ユニット
20 表示装置
21 第1の表示列
22 第2の表示列
23 第3の表示列
24 第4の表示列
25 第5の表示列
26 第6の表示列
27 第7の表示列
28 第8の表示列
29 表示フィールド:設定信号との一致
30 表示フィールド:設定信号を上回る変位
31 表示フィールド:設定信号を下回る変位
32 設定要素
33 表示マトリクス
A 振幅
f 周波数
F1…F8 測定された実際の周波数
FB 周波数範囲
FS 設定周波数
KS 固体音信号
KSi 理想固体音信号
KSF 固体音信号(周波数領域)
KSFi 理想固体音信号(周波数領域)
KSFr 実際の固体音信号(周波数領域)
SF 信号強度
SQ 信号品質(バイナリ)
t 時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-03-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削ディスク(2)および調整ディスク(3)を備える、センタレス研削のための研削盤(1)であって、前記研削ディスク(2)と前記調整ディスク(3)との間に研削ギャップ(4)が形成されており、前記研削ギャップ(4)の下方に位置する被加工物支持アセンブリ(6)と、被加工物カバーレール(9)と、を備え、複数の固体音センサ(14)は、前記被加工物カバーレール(9)の長さにわたって配分され、表示装置(20)と連結されており、前記表示装置(20)は、個々の前記固体音センサ(14)によって得られた情報を配列で表示するために形成されており、前記配列は、前記固体音センサ(14)の配列を反映する、研削盤(1)。
【請求項2】
前記固体音センサ(14)は、前記被加工物カバーレール(9)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の研削盤(1)。
【請求項3】
少なくとも6個の固体音センサ(14)は、一列に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の研削盤(1)。
【請求項4】
前記固体音センサ(14)は、周波数決定のために設けられた少なくとも1つの信号処理ユニット(17)に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の研削盤(1)。
【請求項5】
1つは前記固体音センサ(14)および前記信号処理ユニット(17)を使用して決定された周波数と、もう1つは設定周波数と、の間の比較を実施するためのデータ処理ユニット(19)が装備されていることを特徴とする、請求項4に記載の研削盤(1)。
【請求項6】
前記データ処理ユニット(19)に接続された表示ユニット(20)は、前記設定周波数を下回ることおよび上回ることを個々の表示列(21、22、…28)にグラフィック表示するために設けられており、各表示列(21、22、…28)は、前記固体音センサ(14)のうちの1つに割り当てられていることを特徴とする、請求項5に記載の研削盤(1)。
【請求項7】
個々の前記固体音センサ(14)それぞれに割り当てられ、前記設定周波数の表示位置を設定するために設けられ、関連する前記表示列(21、22、…28)の延長部分にそれぞれ位置する設定要素(32)であって、前記設定要素(32)は、一列に配置されており、前記一列は、前記固体音センサ(14)の列を反映する、設定要素(32)を特徴とする、請求項6に記載の研削盤(1)。
【請求項8】
研削盤(1)を操作するための方法であって、複数の被加工物(5)は、研削ディスク(2)と調整ディスク(3)との間に形成された研削ギャップ(4)を通して供給され、研削中、前記研削ギャップ(4)に沿って一緒に一列に形成された複数の位置(15)で、音響信号が取得されて光学信号に変換され、前記光学信号の配置は、上述の前記位置(15)の列を再現する、方法。
【請求項9】
目的に応じた研削加工を承認する前に、参照部品が前記研削ギャップ(4)において加工され、前記参照部品の前記加工中、一緒に一列に形成された前記位置(15)で取得された振動信号は、参照信号として感知され、少なくとも間接的に記憶される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記参照部品の後に被加工物(5)が加工され、前記被加工物(5)の形状寸法は、前記参照部品の形状寸法に少なくとも近似的に対応し、前記被加工物(5)の前記加工中、音響信号は、フーリエ変換され、実際の周波数の形式で出力されるこのフーリエ変換の結果は、前記参照信号から同様にフーリエ変換により決定された設定周波数と比較され、表示マトリクス(33)としてグラフィック的に描写されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【国際調査報告】