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特表2024-535103生理学的プロパティを測定するためのデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】生理学的プロパティを測定するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0537 20210101AFI20240918BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
A61B5/0537 200
G01N33/50 X
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024518927
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 AU2022051158
(87)【国際公開番号】W WO2023049959
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】2021903103
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】521470940
【氏名又は名称】オムニバス 157 プロプリエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】ケネス グラハム
(72)【発明者】
【氏名】ブロディ ペイン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド メンジーズ
(72)【発明者】
【氏名】カロリーナ ペトコビッチ
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ ムサヘ
(72)【発明者】
【氏名】リッキー チュン
【テーマコード(参考)】
2G045
4C127
【Fターム(参考)】
2G045AA40
2G045CB12
2G045DB07
2G045DB08
2G045DB09
2G045DB10
2G045DB16
2G045FA34
2G045GC16
2G045JA07
4C127AA07
4C127BB03
(57)【要約】
1つまたは複数の汗プロパティの指標を提供するように構成された感知デバイス(10)であって、デバイスは、汗がデバイス(10)に進入することを可能とするように構成されている、入口(15)と、入口(15)またはその近くに配置された1つまたは複数のセンサ(20)であって、それぞれの1つまたは複数の汗プロパティを感知するように構成されている、1つまたは複数のセンサ(20)とを含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の汗プロパティの指標を提供するように構成された感知デバイスであって、
汗が前記デバイスに進入することを可能とするように構成されている、入口と、
前記入口またはその近くに配置された1つまたは複数のセンサであって、それぞれの1つまたは複数の汗プロパティを感知するように構成されている、1つまたは複数のセンサと、を含む、感知デバイス。
【請求項2】
前記入口またはその近くに配置された2つ以上のセンサを有し、前記センサは、2つの汗電解質をそれぞれ感知するように構成されている、請求項1に記載の感知デバイス。
【請求項3】
前記入口またはその近くに配置された少なくとも5つのセンサを有し、前記センサは、5つのそれぞれの汗電解質を感知するように構成されている、請求項2に記載の感知デバイス。
【請求項4】
前記汗電解質は、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、塩化物イオン(Cl-)、カルシウムイオン(Ca++)、およびマグネシウムイオン(Mg++)を含む、請求項3に記載の感知デバイス。
【請求項5】
発汗体積および/または発汗速度を感知するための二次感知機構を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の感知デバイス。
【請求項6】
前記二次感知機構は、前記入口の近くにまたはその隣に配置される、請求項5に記載の感知デバイス。
【請求項7】
前記二次感知機構は、微小流体チャンネルを含む、請求項6に記載の感知デバイス。
【請求項8】
前記微小流体チャンネルは、前記入口から出口ポートまで蛇行形状に配置される、請求項7に記載の感知デバイス。
【請求項9】
前記二次感知機構は、電気インピーダンス・センサを更に含む、請求項7または8に記載の感知デバイス。
【請求項10】
前記電気インピーダンス・センサは、前記微小流体チャンネルと整列された本体部と、入口端部において前記本体部に接続されるとともに前記感知デバイス上のそれぞれの電気パッドに接続された2つの導体とを有する、請求項9に記載の感知デバイス。
【請求項11】
前記2つの導体は、前記デバイスの前記1つまたは複数のセンサをそれぞれの電気パッドに結合する導体から離間されるようにまたは電気的に絶縁されるように形成される、請求項10に記載の感知デバイス。
【請求項12】
前記ワイヤは、前記電気パッドにおいて実質的に平行であるように離間される、請求項11に記載の感知デバイス。
【請求項13】
前記電気パッドは、前記感知デバイスの縁部またはその近くに配置される、請求項12に記載の感知デバイス。
【請求項14】
1つまたは複数のレイヤまたはマスクから形成され、前記1つまたは複数のレイヤまたはマスクの各々は、その上に配置された個別の感知構成部品を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の感知デバイス。
【請求項15】
前記1つまたは複数のレイヤまたはマスクは、
a.前記入口を有する第1のレイヤと、
b.前記入口との流体連通のための1つまたは複数の開口を有し、それぞれの1つまたは複数の汗電解質を感知するための1つまたは複数のセンサを含む第2のレイヤと、
c.発汗体積および/または発汗速度を感知するための1つまたは複数の二次電極を有する第3のレイヤと、
d.微小流体チャンネルを有する第4のレイヤと
のうちのいずれか1つまたはこれらの組み合わせを含む、請求項14に記載の感知デバイス。
【請求項16】
前記出口ポートは、廃棄物チャンバおよび/または疎水性ベントである、請求項8に記載の感知デバイス。
【請求項17】
ウェアラブル・デバイスに接続するように構成される、請求項1から16のいずれか一項に記載の感知デバイス。
【請求項18】
使い捨てデバイスであり、別の感知デバイスと交換可能である、請求項17に記載の感知デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデバイスに関し、特には、本発明は、汗の1つまたは複数のプロパティなどの1つまたは複数の生理学的プロパティを測定するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
先行の提案または製品への以下の言及および説明は、当技術分野における共通の一般的な知識の記述または容認を意図されるものではなく、そのように解釈されるべきではない。特には、以下の先行技術の議論は、当業者によって一般に知られた、またはよく知られた事柄に関するものではなく、本発明の進歩性の理解を助けるものであって、本発明に関連する従来技術の提案の特定はその一部にすぎない。
【0003】
非常に競争の激しいスポーツのための訓練または一般的な任意の身体的な訓練において、例えば、心拍数および体温などの生理学的プロパティの知識は、しばしば訓練プログラムの微調整および競争のパフォーマンスの向上を助け得る。しかしながら、訓練方法のカスタマイズまたは向上を更に助け得る内的な生理学的プロパティの正確な測定値または指標を得ることは、しばしば困難である。例として、個々のアスリートの内的な生理学的信号に基づいて彼らが脱水状態にあるか否かが判定できたならば、アスリートがパフォーマンスを向上させるように彼らを助けるために、リアルタイムで特定のアクションが行われ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、1つまたは複数の汗プロパティなどの生理学的プロパティを測定するためのデバイスを提供しようとするものであり、これは前述の欠点および不都合を改善し得、または、これは少なくとも有益な代替手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様によると、本明細書において、1つまたは複数の汗プロパティの指標を提供するように構成された感知デバイスが提供され、デバイスは、汗がデバイスに進入することを可能とするように構成されている入口と、入口またはその近くに配置された1つまたは複数のセンサであって、それぞれの1つまたは複数の汗プロパティを感知するように構成されている、1つまたは複数のセンサとを含む。
【0006】
1つの実施例によると、感知デバイスは、入口またはその近くに配置された2つ以上のセンサを有し、センサは、2つの汗電解質をそれぞれ感知するように構成されている。
【0007】
別の実施例において、感知デバイスは、入口またはその近くに配置された少なくとも5つのセンサを有し、センサは、5つのそれぞれの汗電解質を感知するように構成されている。
【0008】
更なる実施例において、汗電解質は、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、塩化物イオン(Cl-)、カルシウムイオン(Ca++)、およびマグネシウムイオン(Mg++)を含む。
【0009】
なおも別の実施例において、感知デバイスは、発汗体積および/または発汗速度を感知するための二次感知機構を含む。
【0010】
更なる実施例によると、二次感知機構は、入口の近くにまたはその隣に配置される。
【0011】
更なる実施例において、二次感知機構は、微小流体チャンネルを含む。
【0012】
別の形態によると、微小流体チャンネルは、入口から出口ポートまで蛇行形状に配置される。
【0013】
なおも別の実施例において、二次感知機構は、電気インピーダンス・センサを更に含む。
【0014】
別の実施例によると、電気インピーダンス・センサは、微小流体チャンネルと整列された本体部と、入口端部において本体部に接続されるとともに感知デバイス上のそれぞれの電気パッドに接続された2つの導体とを有する。
【0015】
別の形態において、2つの導体は、デバイスの1つまたは複数のセンサをそれぞれの電気パッドに結合する導体から離間されるようにまたは電気的に絶縁されるように形成される。
【0016】
なおも別の実施例において、ワイヤは、電気パッドにおいて実質的に平行であるように離間される。
【0017】
更なる形態において、電気パッドは、感知デバイスの縁部またはその近くに配置される。
【0018】
こうして、感知デバイスは、汗電解質を感知するための1つまたは複数のセンサを含む一次感知機構と、発汗体積および/または発汗速度を感知するための二次感知機構とを含み得る。二次感知機構は微小流体チャンネルを含み得、インピーダンスを測定し、それに従って発汗速度を計算するように電極/配線/導体が微小流体チャンネルに平行に配置されている。更に、デバイスは、一次および二次感知機構に接続するためにデバイスの長さ/縁部/外周に沿って配置された一連の電気パッドを含み得る。1つの特定の実施例において、一次および二次機構からの導体の交差は限定的である。
【0019】
なおも別の実施例において、感知デバイスは、1つまたは複数のレイヤまたはマスクから形成され、1つまたは複数のレイヤまたはマスクの各々は、その上に配置された個別の感知構成部品を有する。
【0020】
更なる実施例によると、1つまたは複数のレイヤまたはマスクは、入口を有する第1のレイヤと、入口との流体連通のための1つまたは複数の開口を有し、それぞれの1つまたは複数の汗電解質を感知するための1つまたは複数のセンサを含む第2のレイヤと、発汗体積および/または発汗速度を感知するための1つまたは複数の二次電極を有する第3のレイヤと、微小流体チャンネルを有する第4のレイヤとのうちのいずれか1つまたはこれらの組み合わせを含む。
【0021】
なおも別の実施例において、出口ポートは、廃棄物チャンバおよび/または疎水性ベントである。
【0022】
更なる実施例において、感知デバイスは、ウェアラブル・デバイスに接続するように構成される。
【0023】
なおも別の実施例によると、感知デバイスは、使い捨てデバイスであり、別の感知デバイスと交換可能である。
【0024】
別の態様によると、感知デバイスと通信するように構成されたウェアラブル・デバイスが提供され、感知デバイスは汗プロパティに関する情報を提供する。
【0025】
なおも別の態様によると、感知デバイスとウェアラブル・デバイスとを含む測定デバイスが提供される。
【0026】
なおも別の実施例において、感知デバイスは、使い捨てデバイスであり、別の感知デバイスと交換可能である。
【0027】
ウェアラブル・デバイスとは別個のまたはウェアラブル・デバイスと統合された感知デバイスは、リアルタイムの連続的汗感知を通じてリアルタイムの汗データを提供し得ることは理解されよう。
【0028】
本明細書のセクションのうちの任意のものにおいて説明される特徴のうちの任意のものが組み合わされ得ることは理解されよう。
【0029】
本発明は、好ましい実施形態の以下の非限定的な説明から、より良好に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1A】例示的な感知デバイスの上面図である。
図1B】別の例示的な感知デバイスの上面図である。
図1C】感知デバイスの実施例の上部斜視図を示す図である。
図2A】例示的な感知デバイスの例示的な電気化学的構成部品の概略図である。
図2B図2Aの例示的な感知デバイスの電気パッドの実施例の概略図である。
図3A】別の例示的な感知デバイスの概略図である。
図3B】例示的なイオン・センサの概略図である。
図3C】イオン感知電極の上部を示す図3Bのイオン・センサを示す概略図である。
図3D】二次電極の先端部の実施例の概略図である。
図3E】二次電極の先端部の実施例の概略図である。
図3F】二次電極の概略図である。
図3G】二次電極の概略図である。
図3H】互いに対して平行な2つの二次電極の実施例の概略図である。
図3I図3Hのそれぞれの電極に接続された例示的な電気パッドの概略図である。
図3J】例示的な微小流体チャンネルの概略図である。
図3K】例示的な微小流体チャンネルの概略図である。
図4A】本発明の態様による例示的な汗感知デバイスの断面図の概略図である。
図4B図4Aの例示的な汗感知デバイスの上部斜視図である。
図4C図4Aの感知デバイスを上からみた図である。
図4D図4Aの感知デバイスを下からみた図である。
図4E図4Aの感知デバイスの断面図である。
図5A】本発明の別の態様による例示的な汗感知デバイスの断面図の概略図である。
図5B】ウェアラブル・デバイスからアンロックされている/取り外されている図5Aの例示的なデバイスの断面図である。
図5C図5Aの感知デバイスを上からみた図である。
図5D図5Aの感知デバイスを下からみた図である。
図5E図5Aの感知デバイスの断面図である。
図6A】本発明の別の態様による例示的な汗感知デバイスの断面図の概略図である。
図6B図6Aの感知デバイスを上からみた図である。
図6C図6Aの感知デバイスを下からみた図である。
図6D図6Aの感知デバイスの断面図である。
図7】他のデバイスと通信する汗デバイスの実施例の概略図である。
図8A】マスクの上にイオン・センサを配置する方法の実施例の概略図である。
図8B】インピーダンス電極を配置する実施例の概略図である。
図8C】フォトレジストの例示的な除去の概略図である。
図8D】絶縁レイヤの蒸着の実施例の概略図である。
図8E】必要に応じて図8Dの絶縁レイヤを開口させるためのフォトリソグラフィおよびエッチングの実施例の概略図である。
図8F】Ag電極の配置の実施例の概略図である。
図8G】フォトレジストの除去の実施例の概略図である。
図8H】上部に配置されたシリコーンのレイヤを有する完成した感知デバイスの実施例の概略図である。
図8I図8Aから図8Hのステップによって形成された感知デバイスを通って汗がどのように移動し得るかの例を示す図である。
図9】基板上に形成された2つの感知デバイスの実施例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書において説明される感知デバイス10の実施例が、図1Aから図7において、更に図8Aから図9において図示される。
【0032】
特定の実施例によると、図1Aにおいて図示されるように、感知デバイス10は、汗を受け入れるための入口15を含み、または、入口は、汗がデバイス10内に進入し得る場所である。入口15またはその近くに1つまたは複数のセンサ20があり、これは、1つまたは複数の関連するまたは対応する汗プロパティを感知するように構成される。汗プロパティは、電解質、ホルモン、代謝物などの生理化学的プロパティのうちの任意の1つまたはそれらの組み合わせであってよいことは理解されよう。
【0033】
図1Aおよび図1Bにおいて図示される実施例において、入口15は円形状のチャンバであり、入口15の周りに配置されているが入口15内で互いから離間された5つから6つのセンサ20がある。この実施例において、入口15は円形状であり、故に、センサ20は入口15の周りに同心状に配置される。この特定の実施例において、センサ20の各々は、例えばナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、塩化物イオン(Cl-)、カルシウムイオン(Ca++)、およびマグネシウムイオン(Mg++)などの特定のイオンを感知するための電気化学的センサであり、基準センサ/電極も含んでよい。必要に応じて追加的な電極/センサによって1つから5つのうちの任意の数のイオンまたは5つよりも多くのイオンが感知され得ることは理解されよう。
【0034】
1つまたは複数のセンサ20は、典型的には、対応する1つまたは複数の電気配線またはパッド22に接続され、これらは、感知デバイス10と、以下において更に説明されるウェアラブル・デバイス100との間の電気接続を提供する。複数のセンサ20は、それらのそれぞれの電極/ワイヤとともに、一次またはイオン感知機構を形成する。
【0035】
図1Aおよび図1Bは、デバイス10が二次感知機構を含み得ることを更に図示し、二次感知機構は、汗を入口15から離間するように出口ポート30へと搬送/輸送するように構成された微小流体チャンネル25を含む。故に、例えば、汗が入口15を充満すると、次いで、典型的には、汗はチャンネル25に沿って輸送され、連続的な汗の分泌は、典型的には、入口15における汗が連続的に補充されることを意味する。
【0036】
特には、微小流体チャンネル25は、入口15またはその近くまたはその周りに任意のやり方で配置され得る。図1Aおよび図1Cは、チャンネル25が入口15に隣接してまたは近接して蛇行状/蛇行形状に配置される実施例を図示する。図1Bは、入口15の周りに螺旋状に配置されているチャンネル25を図示し、チャンネル25は、入口15から外向きに出口ポート30へと螺旋状になっている。
【0037】
出口ポート30は、典型的には、廃棄物チャンバおよび/または疎水性ベントであり、微小流体チャンネル25を通る流体運動を減速または停止させる後方空気圧を防止し得ることは理解されよう。
【0038】
微小流体チャンネル25には更に、発汗速度センサ(すなわち、電気インピーダンス・センサ)35が、典型的には、微小流体チャンネル25と平行に、またはこれと整列されて配置される。発汗速度センサは、典型的には、微小流体チャンネルが汗の体積を収集すると発汗速度センサ35がセンサ35のチャンネルを横断するインピーダンスの変化(流体体積が増えるとインピーダンスは減少する)によってこの体積を測定するように、微小流体チャンネルのどちらかの側に配置された2つの平行な電気ワイヤまたは導体50(以下において更に説明される)を含む。すなわち、この特定の実施例において、測定された電流は体積流量または発汗速度の関数である。センサ35は、典型的には、チャンネル25の長さと整列され、またはこれに沿って配置され、チャンネル25内の流体/汗と接触している。しかしながら、チャンネル25およびセンサ35の幾何学的形状または形状は、(例えば、図1A図1Bおよび図1Cにおいて図示されるように)変更され得ることは理解されよう。
【0039】
故に、感知デバイス10は、電気化学的センサ20を通じて汗の成分(この実施例においては、少なくとも5つの汗イオンNa+、K+、Cl-、Ca++、およびMg++など)の監視を可能とし得、微小流体チャンネル25と電気インピーダンス・センサ35とを含む二次感知機構を通じて発汗速度の監視を可能とし得ることは理解されよう。
【0040】
図1Aおよび図1Cをより具体的に参照すると、微小流体チャンネル25は、蛇行状または蛇行形状に形成され、微小流体チャンネルは、入口15から出口ポート30へと蛇行形状に配置され、電気インピーダンス・センサ35は、典型的には、微小流体チャンネル25と実質的に整列され、チャンネルのどちらかの側に配置される本体部23を各々が有する2つの電極/導体(本明細書において二次電極50と呼ばれる)を含む。インピーダンス・センサ35は、微小流体チャンネル24が終端する入口においてそれぞれの本体部23に接続された2つのワイヤ脚部21Bも含み、2つのワイヤ脚部21Bは、感知デバイス10上のそれぞれの電気パッド22に接続する。
【0041】
故に、この実施例において、2つのワイヤ脚部21Bは、デバイス10の1つまたは複数のセンサ20をそれぞれの電気パッド22に結合するワイヤ(または電気接続/導体)21Aから離間されるようにまたは電気的に絶縁されるように形成されることは理解されよう。それ故、ワイヤ(または電気接続)21Aおよび21Bは、電気パッドにおいて実質的に平行であるように離間される。
【0042】
図1Aおよび図1Cにおいて図示された実施例において、二次感知機構は蛇行状に形成されることは理解されよう。しかしながら、二次感知機構からの2つのワイヤ脚部21Bが一次感知機構のセンサ20からのワイヤ21Aと交差しないような、または、ワイヤ間の交差が限定的であるような他の形状も同様に可能であり得る。
【0043】
典型的には、電気パッド22は、感知デバイス10の縁部またはその近くに配置され、デバイス10の縁部または外周に沿って一連となって配置され得る。これらの実施例において、感知デバイス10は、異なる構成部品のそれぞれの電極に接続する一連の電気パッド22が存在するように形成される。デバイス10上に一次および二次感知機構が形成されるやり方は、電気パッド22に接続する電極が交差しないようにまたは交差が限定的であるようにして、複数の電極間の任意の干渉またはノイズを最小化するようなやり方である。
【0044】
故に、一次および二次機構からの導体/ワイヤの交差を限定的なものとするこのような形状が、一次および二次感知機構がデバイス10の同一の基板レイヤ上に配置されることを可能とし得ることまたは構成部品間の層化を最小化し得ることは理解されよう。更に、この形状は、複数個以上の感知電極(例えば、図1Cにおいて図示されるように、5つのセンサと基準電極)が基板上に配置されることを可能とし得る。
【0045】
イオン・センサ20および発汗速度センサ35および微小流体チャンネル25が、以下において更に説明される。
【0046】
感知デバイス10の更なる実施例が、図2から図3Kにおいて図示される。これらの実施例において、図2Aおよび図3Aは、感知デバイス10の構成要素の異なる実施例を図示する。特には、図2Aおよび図3Aにおける感知デバイス10の実施例は、2つのイオンを感知するように構成されている感知デバイス10の実施例を図示し、2つのイオン・センサ20A、20Bが対応するパッド22A、22Bに電気的に接続されている。
【0047】
図2Bは、使用され得る電気パッド22A/22Bの実施例を図示する。この特定の実施例において、電気パッド22A/22Bは、例えばPCB(プリント回路基板)などの縁部に装着/差し入れられ得るコネクタである。
【0048】
図3Aから図3Kは、図2Aにおいて図示される感知デバイス10を形成するためにレイヤ/マスクとして典型的に配置されまたは重ね合わされる感知デバイス10の異なるレイヤまたはマスクおよび構成要素の実施例である。
【0049】
図3Bをより具体的に参照すると、図3Bは、感知デバイス10の第1のレイヤを図示し、その上には、イオン・センサ20A、20Bを対応するパッド22A、22Bにそれぞれ接続する電気接続40A、40Bが位置している。図3Cは、電気接続40A、40Bの先端部42A、42Bを図示する。イオン・センサ20A、20Bは、典型的には、特定のイオンの存在に基づいて電気信号を生成し得る電気化学的センサであり、次いで、電気信号は、典型的には、パッド22A、22Bにおいてピックアップされる。特には、電気接続40A、40Bは、電気化学的センサと発汗速度センサとの間の任意の交差汚染を最小化するために微小流体チャンネル25を通過するブリッジなどとしても形成され得るバイア・ホールであり得る。
【0050】
図3Dおよび図3Eは、1つまたは複数の開口45A、45Bを有する第2のマスクの実施例を図示する。典型的には、開口45A、45Bは、入口15と流体連通し、それぞれの電気コネクタ40A、40Bの先端部42A、42Bはそれぞれの開口45A、45B内に配置される。故に、入口15に進入した汗は、入口15と流体連通するそれぞれの開口42A、42Bを有する特定のイオン・センサ20A、20Bによって感知され得、それに従って、電気信号が電気コネクタ40A、40Bによって検知され得る。
【0051】
図3Fおよび図3Gは、1つまたは複数の配線または二次電極50から構成される第3のレイヤを図示する。これらは、二次パッド52A、52B(これらはパッド22として上述された)にそれぞれ接続される。図3Hは、配線50の例示的なセクションを図示し、図3Iは、二次パッド52Aおよび52Bの実施例を図示する。
【0052】
特には、図示された実施例において、図3Bは、位置22Aおよび22B(典型的には、ウェアラブル・デバイス100と通信するように配置された電気パッド)において終端する2つのイオン用電極20A、20Bを図示する。すなわち、20Aおよび20Bは、電極または配線40A、40Bをそれぞれ介して22Aおよび22Bに電気的に接続する。2つの平行なインピーダンス電極50は、52Aおよび52Bにおいて終端する。微小流体チャンネル25は、インピーダンス電極50を効果的にまたは含み、これは52Aおよび52Bにおいて終端し、これはウェアラブル・デバイス100との電気通信を提供する。
【0053】
1つの特定の実施例によると、電極50は、典型的には、銀(Ag)、金(Au)および/またはクロム(Cr)平行電極であり、2つの電極50の間のインピーダンスの大きさを測定することによって発汗速度が測定され得る。更に、汗収集チューブまたは微小流体チャンネルは既知の直径のものであり、故に、収集された汗の体積はπr×長さである。それ故、2つの電極50の間で測定されたインピーダンスは、典型的には、抵抗の減少および静電容量の増加に起因して流体体積の増加に伴って減少する。
【0054】
図3Jおよび図3Kは、典型的には第4のレイヤまたはマスクに配置される微小流体チャンネル25の更なる実施例を図示する。マスク/レイヤは、感知デバイス10を形成するように重ね合わされる。
【0055】
本明細書において4つのマスク/レイヤが説明されているが、感知デバイスの実行のために任意の数のマスク/レイヤが使用されてよいことは理解されよう。例として、機能性を向上させるとともに、感知されている異なる信号間での任意の交差汚染を減少させまたは限定するために、異なる感知レイヤの間に絶縁レイヤまたはマスクが存在してよい。代替的に、電気化学的センサ20およびインピーダンス・センサ35の両方が同一のレイヤ/マスク上に提供されてもよい。
【0056】
特には、感知デバイス10は、ウェアラブル・デバイス100の一部であり得、これに接続され得、またはこれと一体化され得る。それとともに、感知デバイス10およびウェアラブル・デバイス100は、測定デバイス90を形成し得る。1つの特定の実施例において、感知デバイス10は、ウェアラブル・デバイス100の使い捨て部分である。故に、1つの特定の実施例によると、感知デバイス10は、必要に応じて特定の汗プロパティを測定し得、そのための信号が処理、表示などのためにウェアラブル・デバイス100に送信され得る。それ故、ユーザがウェアラブル・デバイス100を使用するとき、デバイス10が使い捨て部分であるならば、ユーザは必要に応じて感知デバイス10を交換し得る。
【0057】
ウェアラブル・デバイス100の実施例が感知デバイス10とともに図4Aから図7において図示される。
【0058】
1つの実施例によると、図4Aから図4Eは、どのように感知デバイス10がウェアラブル・デバイス100に接続され得るか、または受け入れられ得るかを図示する。この特定の実施例において、感知デバイス10は、パッド22が関連する電気信号を分析のためにデバイス100に転送するように構成されたときにパッド22が位置する部分においてウェアラブル・デバイス100に接続される。図4Aから図4Eの実施例において、パッド22は、デバイス10の隆起部分110に形成/配置される。この実施例における隆起部分110は、ウェアラブル・デバイス100の対応するメス部分内に滑り込むように構成されたT字状の断面を有し、メス部分内にクリック止めされ、または係止/保持される。故に、例えば、隆起部分110は、ウェアラブル・デバイス100へのデバイス10のTスロット機械的インタフェースであってよい。しかしながら、隆起部分110はデバイス10の表面115の一部であってもよい(すなわち、同一平面上にあってもよい)ことは理解されよう。
【0059】
図4Aをより詳細に参照すると、これは、ウェアラブル・デバイス100内に挿入された感知デバイス10の例示的な断面を図示し、図4Aは、どのように測定デバイス90の異なるレイヤが、感知デバイス10からの電気信号がウェアラブル・デバイス100によって受信されて、それに従って分析され得るように形成されるかを図示する。この実施例において、ベース・レイヤ105は、典型的には、デバイス10をユーザに接着するための接着剤などを含む。次に、典型的には、入口15を通って汗がデバイス10に進入し、センサ20によって感知され、これは、電気的/化学的接続40を通じてパッド22によってピックアップされ、これは、Tスロット機械的インタフェース110を介してウェアラブル・デバイス100に電気的に接続される。デバイス10は、本明細書において説明されるマスク/レイヤを含み得、出口ポート30を含み得、これは、典型的には、廃棄物チャンバ/疎水性テントである。特には、120において、ウェアラブル・デバイス100は、バッテリ、PCB、アンテナなどの電子部品/構成部品を含む。
【0060】
図4Aから図4Eにおいて図示される実施例は、使い捨てデバイス10とウェアラブル・デバイス100との間に、典型的には良好な使い勝手とフィードバック(クリック音などによる)とを有するクリック止めなどの単純な接続によって堅牢な接続を提供し得ることは理解されよう。
【0061】
図5Aから図5Eは、ウェアラブル・デバイス100の更なる実施例を感知デバイス10とともに図示する。この特定の実施例において、感知デバイス10は、ウェアラブル・デバイス100内にスナップ係止され、係止機構125によって所定の位置に保持される。この特定の実施例において、係止機構125は、ばね負荷のかけられた機構であり、感知デバイス10をウェアラブル・デバイス100内の所定の位置にスナップ係止することができる。感知デバイス10は、1つまたは複数の縁部またはフランジ126を有し、これは、2つのデバイス100と10との間の電気接続を可能とするように感知デバイス10が所定の位置に保持され得るように係止機構125と係合し得る。次いで、感知デバイス10は、ウェアラブル・デバイス100から容易に取り出され得/分離され得、その後廃棄され得る。この特定の実施例において、ウェアラブル・デバイス100は、ウェアラブル・デバイス100と感知デバイス10との間に電気接続を提供するためにパッド22に接続され得る電気接点130も含む。故に、この特定の実施例において、電気接点コンプライアンスが感知デバイス10内に構築され得、デバイス10とデバイス100との間のより単純化された防水を可能とし得る。更に、デバイス100は、洗浄が容易であり得、感知デバイス10はウェアラブル・デバイス100に簡単に搭載され得、およびウェアラブル・デバイス100から簡単に取り出され(したがって廃棄され)得る。
【0062】
図6Aから図6Cは、感知デバイス10に接続されたウェアラブル・デバイス100の別の実施例を図示する。この特定の実施例において、ウェアラブル・デバイスは、例えば、ユーザの手首、胸、脚など、ユーザにウェアラブル・デバイス100を接続し得る1つまたは複数のバンドまたはストラップ135を有する。故に、デバイス90は、接着パッチならびに/またはデバイスおよび四肢の周りに巻き付けられるストラップによってユーザの皮膚に取り付けられるように設計され得る。
【0063】
更に、図6Aから図6Cにおける実施例は、電気接点130を介してウェアラブル・デバイス100に接続されている感知デバイス10を図示し、電気接点130は、感知デバイス10がウェアラブル・デバイス100の隣に置かれた際のリード線である。故に、例えば、感知デバイス10は、ウェアラブル・デバイス100がユーザに取り付けられた場所に隣接してまたは近接してユーザの皮膚の一部分に接着され得る接着ベース・レイヤ105を有し得る使い捨てパッチまたはチップであり得る。リード線130は、ウェアラブル・デバイス100と感知デバイス10との間に延在し、典型的には、縁部コネクタ132などを介して接続する。この実施例において、電気パッド22は、ウェアラブル・デバイス100に直接的に接続するリード線(リボンまたはケーブル)130の端部にあってよい。典型的には、リード線130および縁部コネクタ132は防水されている。
【0064】
図6Aから図6Cにおいて図示される特定の実施例は、バイア・ホールの使用を必要としないので、感知デバイス10を単純化し得る。更に、感知デバイス10とウェアラブル・デバイス100とが重ねられないので、デバイス90全体への下側物理または垂直プロファイルが存在する。加えて、感知デバイス10は露出されているので、ウェアラブル・デバイス100を外す必要なしに、より容易に交換可能である。感知デバイス10とウェアラブル・デバイス100との間の接続130は、柔軟なプリント回路から作られ得、これは接続間の張力緩和も可能とし得る。
【0065】
本明細書において、皮膚の既知のエリアから汗を収集してその体積および組成を分析するように構成された、ユーザによって着用され得る測定デバイス90が提供されることは理解されよう。デバイス90は、デバイス90によって受信/生成されたデータを処理システムに無線で送信し得、身体全体の流体および電解質の損失の計算を可能とするように測定場所について発汗速度、電解質の損失の速度の計算を可能とし得る。
【0066】
図7は、典型的にはウェアラブル・デバイス100と感知デバイス10とから構成される汗デバイス90の実施例を図示し、これは、コンピュータまたは処理システム140などの遠隔デバイスと通信可能であり、1つの実施例において、これはタブレットまたは遠隔通信デバイス/フォンであってよい。
【0067】
図7において図示された実施例において、イオン用センサが目標のアノード液(Na+、K+、および感知されている任意の他のイオン)と接触するとイオン用センサによって(1において)アナログ電圧信号が生成される。次いで、アナログ信号は、典型的には、ウェアラブル・デバイス100によって(2において)記録され、フィルタリングされ、および場合によっては増幅される。次いで、ウェアラブル・デバイスの電子部品システムは、(3において)このアナログ信号をデジタルに変換し得る。特には、ウェアラブル・デバイスは、何らかのデータ処理または分析をオンボードで実施し得、次いで、ウェアラブル・デバイスは、(4において)Bluetoothまたは任意の他の無線信号通信手段を介してデジタル・データをフォン、タブレットなどに送信し得る。フォン/タブレットのソフトウェア・アプリケーションは、データを操作および分析し得、それに応じてユーザにフィードバックを提供し得る。
【0068】
このように、デバイス90は、典型的には、
1.皮膚に接着するための接着面を有し、インピーダンス・センサ35およびウェアラブル構成要素への電気コネクタ/パッドとともに収集オリフィス15、イオン用電極(20、22)および較正された微小流体チャンネル25も含む使い捨て構成要素10と、
2.データフローを制御する処理システム、データ記憶装置、較正データ、皮膚温度測定モジュール、無線通信モジュール、および動作のための電源を含む、使い捨てでない防水性のウェアラブル構成要素100と
から構成され得る。
【0069】
特には、使い捨て構成要素は、典型的には、一回限りで使用される構成要素であり、というのは、犠牲的性質、および既に測定された汗からの残余の塩分および流体を微小流体チャンネルから除去するための洗浄の問題に起因して、測定の動作が、典型的には、電子部品の劣化を招き得るからである。しかしながら、感知デバイス10およびウェアラブル・デバイス100は、互いに一体化され、デバイス10が使い捨てでない、またはデバイス10の全体が使い捨てではないように形成され得ることは理解されよう。
【0070】
1つの実施例によると、汗収集要素は使い捨て構成要素10上に位置し、汗収集は、リップなどを有して皮膚収集エリアが封止され得、リップのエリア内の汗腺からの流体だけが収集されるようになっている円形状オリフィス15を介して行われる。特には、デバイス10は、汗収集エリアの指定/決定を可能とするために、リップに一体的にまたはリップとは別個にベース部に圧力感知接着剤も含み得る。
【0071】
本明細書において説明されるように、オリフィス/入口15の中心は、例えば600マイクロメートルの幅および200マイクロメートルの深さなど特定の直径の微小流体チャンネル25も有し、これは、遠位端部に開口して入口15から離れる方向に伸びて出口ポート30において終了し、毛管作用と低圧水力学との組み合わせによって汗を収集する。故に、例えば、汗は、典型的には、流体と空気との境界の面の毛管作用によって微小流体チャンネルに沿って移動し、この汗は汗腺から外に微小流体チャンネル(水力学)に沿って活発に押し出される。
【0072】
微小流体チャンネルの近位開口は、入口15において、汗流体のオリフィス15への進入時における電解質の濃度を測定し得るイオン用電極20のアレイを有する。
【0073】
微小流体チャンネル25は、二次電極50を介してその長さに沿って流速電極も有し、流体がこれに到達したときに、流体体積、したがって流速が計算されることを可能とするように信号を提供する。
【0074】
特には、使い捨て構成要素10は、使い捨てでない構成要素へのおよび使い捨てでない構成要素からの電力およびデータの流れを可能とするコネクタ22も有し得る。
【0075】
ウェアラブル・デバイス100は、
使い捨て構成要素の下の皮膚の温度を測定するための皮膚サーミスタまたは赤外線温度計と、
後のダウンロードまたはリアルタイム送信のためのデータ保管を可能とするためのメモリ・チップと、
較正データおよびシステム・アップグレードを受信するため、ならびに基地局、タブレット、または携帯フォンにデータをストリーミングするための無線通信モジュールと、
再充電可能システム電源と、
処理電子部品と
も含み得る。
【0076】
感知デバイスは、必要に応じて異なるマスク/レイヤを生成することによって作られ得ることは理解されよう。1つの特定の実施例によると、異なるマスク/レイヤは、以下のことを通じたナノ加工によって製造され得る。
1.Au/Ag開口を有するNa+センサの加工
・マスク1(Na+センサ)およびマスク2(Au/Ag開口)の設計および加工
・Au/Ag開口を有するNa+センサの微細加工
・ダイシングなし、ガラス・ウェハごとに2つのデバイス、作業は4つのウェハに対して行われる。
・絶縁レイヤとしてのSiO2の使用
・単一の(穿孔された)穴開口を有する空きPDMSとの接合
2.Au/Ag開口を有するNa+センサの加工
・ガラス・ウェハごとに2つのデバイス
・絶縁レイヤとしてのSiO2の使用
3.汗センサ螺旋の加工
・マスク3(汗センサ螺旋)の設計および加工
・汗センサ螺旋の微細加工、上記の作業の継続
・個々のデバイスへのダイシング
4.微小流体チャンネルの加工
・マスク4微小流体チャンネルの設計および加工
・シリコン・ウェハに対するSU-8を使用したマスター・モールド加工
・PDMS(ポリジメチルシロキサン)レプリカ加工
・個々のデバイスへの接合
【0077】
本明細書において説明される様々な電気化学的構成部品を各レイヤ/マスク上に配置するためのナノ加工ステップの更なる実施例が、図8Aから図8Hにおいて図示される。これらの実施例において、必要に応じた絶縁レイヤなどの配置を含むセンサおよび電極の配置の様々なステップが図示される。例えば、
1.図8Aにおいて図示されるように、イオン・センサNaおよびKをマスク上に配置するためにフォトリソグラフィが使用される。
2.図8Bにおいて図示されるように、インピーダンス電極(Cr/Au)を配置するために電子ビーム蒸着が使用される。
3.図8Cは、フォトレジストの除去を図示する。
4.図8Dは、SiO2絶縁レイヤの蒸着の実施例を図示する。
5.図8Eは、必要に応じてSiO2レイヤを開口させてセンサを露出させるためのフォトリソグラフィおよびエッチングの実施例を図示する。
6.図8Fは、Ag電極を配置するためのフォトリソグラフィの実施例を図示する。
7.図8Gは、フォトレジストの除去の実施例を図示する。
8.図8Hは、上部に配置されたシリコーンのレイヤを有する完成した感知デバイスの実施例を図示する。
【0078】
図8Iは、図8Aから図8Hのステップによって形成された感知デバイス10を通って汗がどのように移動し得るかの例を示す。典型的には、汗は、ユーザの外側の身体(例えば、皮膚)からデバイス10の入口において微小流体チャンネルの周りに形成されたチャンバ内に移動し、ベント/出口ポートにおいてデバイスを出る。特には、図8Iにおいて図示されるレイヤは、異なって配置されてよく、または、デバイス10の全ての特徴が、1つのレイヤもしくはマスク上に形成されてよい。
【0079】
特には、図1Aおよび図1Cにおいて図示されるデバイスの実施形態は、センサからのワイヤが、典型的には、二次感知機構からのワイヤと交差しないので、最小化されたレイヤ形成を可能とし得ることは理解されよう。
【0080】
図9は、感知デバイス10の実施例の図を示す。この特定の実施例において、図は基板上に形成された2つの感知デバイスを示す。
【0081】
故に、本明細書において説明される汗デバイスは、ユーザの生理学的プロパティの判定を助け得、ユーザがより高いパフォーマンスを達成することを助ける訓練レジームの決定を可能とし得る、汗の組成についてのデータ/解析を提供し得ることは理解されよう。更に、汗デバイス(ウェアラブル・デバイスおよび感知デバイスを含む)は、リアルタイムの汗分析およびパフォーマンス管理を提供し得る動的なシステムを可能とする。
【0082】
本明細書において、「備える(comprise)」という語、および「備える(comprises)」または「備えている(comprising)」などのこの語の変形は、文脈または使用法においてこの語の排他的な解釈が必要とされるのでない限り、述べられた1つまたは複数の整数を含むことを指すために使用されるが、任意の他の1つまたは複数の整数を排除するものではない。
【0083】
当業者は、本明細書において説明された発明は、具体的に説明されたもの以外の変形例および修正例を許容することを理解されよう。全てのこのような変形例および修正例は、その性質が前述の説明から決定される本発明の範囲および趣旨内にあるものと考えられる。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデバイスに関し、特には、本発明は、汗の1つまたは複数のプロパティなどの1つまたは複数の生理学的プロパティを測定するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
先行の提案または製品への以下の言及および説明は、当技術分野における共通の一般的な知識の記述または容認を意図されるものではなく、そのように解釈されるべきではない。特には、以下の先行技術の議論は、当業者によって一般に知られた、またはよく知られた事柄に関するものではなく、本発明の進歩性の理解を助けるものであって、本発明に関連する従来技術の提案の特定はその一部にすぎない。
【0003】
非常に競争の激しいスポーツのための訓練または一般的な任意の身体的な訓練において、例えば、心拍数および体温などの生理学的プロパティの知識は、しばしば訓練プログラムの微調整および競争のパフォーマンスの向上を助け得る。しかしながら、訓練方法のカスタマイズまたは向上を更に助け得る内的な生理学的プロパティの正確な測定値または指標を得ることは、しばしば困難である。例として、個々のアスリートの内的な生理学的信号に基づいて彼らが脱水状態にあるか否かが判定できたならば、アスリートがパフォーマンスを向上させるように彼らを助けるために、リアルタイムで特定のアクションが行われ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、1つまたは複数の汗プロパティなどの生理学的プロパティを測定するためのデバイスを提供しようとするものであり、これは前述の欠点および不都合を改善し得、または、これは少なくとも有益な代替手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様によると、本明細書において、1つまたは複数の汗プロパティの指標を提供するように構成された感知デバイスが提供され、デバイスは、汗がデバイスに進入することを可能とするように構成されている入口と、入口またはその近くに配置された1つまたは複数のセンサであって、それぞれの1つまたは複数の汗プロパティを感知するように構成されている、1つまたは複数のセンサとを含む。
【0006】
1つの実施例によると、感知デバイスは、入口またはその近くに配置された2つ以上のセンサを有し、センサは、2つの汗電解質をそれぞれ感知するように構成されている。
【0007】
別の実施例において、感知デバイスは、入口またはその近くに配置された少なくとも5つのセンサを有し、センサは、5つのそれぞれの汗電解質を感知するように構成されている。
【0008】
更なる実施例において、汗電解質は、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、塩化物イオン(Cl-)、カルシウムイオン(Ca++)、およびマグネシウムイオン(Mg++)を含む。
【0009】
なおも別の実施例において、感知デバイスは、発汗体積および/または発汗速度を感知するための二次感知機構を含む。
【0010】
更なる実施例によると、二次感知機構は、入口の近くにまたはその隣に配置される。
【0011】
更なる実施例において、二次感知機構は、微小流体チャンネルを含む。
【0012】
別の形態によると、微小流体チャンネルは、入口から出口ポートまで蛇行形状に配置される。
【0013】
なおも別の実施例において、二次感知機構は、電気インピーダンス・センサを更に含む。
【0014】
別の実施例によると、電気インピーダンス・センサは、微小流体チャンネルと整列された本体部と、入口端部において本体部に接続されるとともに感知デバイス上のそれぞれの電気パッドに接続された2つの導体とを有する。
【0015】
別の形態において、2つの導体は、デバイスの1つまたは複数のセンサをそれぞれの電気パッドに結合する導体から離間されるようにまたは電気的に絶縁されるように形成される。
【0016】
なおも別の実施例において、ワイヤは、電気パッドにおいて実質的に平行であるように離間される。
【0017】
更なる形態において、電気パッドは、感知デバイスの縁部またはその近くに配置される。
【0018】
こうして、感知デバイスは、汗電解質を感知するための1つまたは複数のセンサを含む一次感知機構と、発汗体積および/または発汗速度を感知するための二次感知機構とを含み得る。二次感知機構は微小流体チャンネルを含み得、インピーダンスを測定し、それに従って発汗速度を計算するように電極/配線/導体が微小流体チャンネルに平行に配置されている。更に、デバイスは、一次および二次感知機構に接続するためにデバイスの長さ/縁部/外周に沿って配置された一連の電気パッドを含み得る。1つの特定の実施例において、一次および二次機構からの導体の交差は限定的である。
【0019】
なおも別の実施例において、感知デバイスは、1つまたは複数のレイヤまたはマスクから形成され、1つまたは複数のレイヤまたはマスクの各々は、その上に配置された個別の感知構成部品を有する。
【0020】
更なる実施例によると、1つまたは複数のレイヤまたはマスクは、入口を有する第1のレイヤと、入口との流体連通のための1つまたは複数の開口を有し、それぞれの1つまたは複数の汗電解質を感知するための1つまたは複数のセンサを含む第2のレイヤと、発汗体積および/または発汗速度を感知するための1つまたは複数の二次電極を有する第3のレイヤと、微小流体チャンネルを有する第4のレイヤとのうちのいずれか1つまたはこれらの組み合わせを含む。
【0021】
なおも別の実施例において、出口ポートは、廃棄物チャンバおよび/または疎水性ベントである。
【0022】
更なる実施例において、感知デバイスは、ウェアラブル・デバイスに接続するように構成される。
【0023】
なおも別の実施例によると、感知デバイスは、使い捨てデバイスであり、別の感知デバイスと交換可能である。
【0024】
別の態様によると、感知デバイスと通信するように構成されたウェアラブル・デバイスが提供され、感知デバイスは汗プロパティに関する情報を提供する。
【0025】
なおも別の態様によると、感知デバイスとウェアラブル・デバイスとを含む測定デバイスが提供される。
【0026】
なおも別の実施例において、感知デバイスは、使い捨てデバイスであり、別の感知デバイスと交換可能である。
【0027】
さらなる態様によると、1つまたは複数の汗プロパティの指標を提供するように構成された測定デバイスが提供され、測定デバイスは、感知デバイスを含む。感知デバイスは、汗がデバイスに進入することを可能とするように構成されている入口と、入口またはその近くに配置された1つまたは複数のセンサであって、それぞれの1つまたは複数の汗プロパティを感知するように構成されている、1つまたは複数のセンサと、感知デバイスと接続され、皮膚温度を測定するように構成されたウェアラブル・デバイスと、を含み、感知デバイスは、使い捨てデバイスであり、別の感知デバイスと交換可能である。ウェアラブル・デバイスとは別個のまたはウェアラブル・デバイスと統合された感知デバイスは、リアルタイムの連続的汗感知を通じてリアルタイムの汗データを提供し得ることは理解されよう。
【0028】
本明細書のセクションのうちの任意のものにおいて説明される特徴のうちの任意のものが組み合わされ得ることは理解されよう。
【0029】
本発明は、好ましい実施形態の以下の非限定的な説明から、より良好に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1A】例示的な感知デバイスの上面図である。
図1B】別の例示的な感知デバイスの上面図である。
図1C】感知デバイスの実施例の上部斜視図を示す図である。
図2A】例示的な感知デバイスの例示的な電気化学的構成部品の概略図である。
図2B図2Aの例示的な感知デバイスの電気パッドの実施例の概略図である。
図3A】別の例示的な感知デバイスの概略図である。
図3B】例示的なイオン・センサの概略図である。
図3C】イオン感知電極の上部を示す図3Bのイオン・センサを示す概略図である。
図3D】二次電極の先端部の実施例の概略図である。
図3E】二次電極の先端部の実施例の概略図である。
図3F】二次電極の概略図である。
図3G】二次電極の概略図である。
図3H】互いに対して平行な2つの二次電極の実施例の概略図である。
図3I図3Hのそれぞれの電極に接続された例示的な電気パッドの概略図である。
図3J】例示的な微小流体チャンネルの概略図である。
図3K】例示的な微小流体チャンネルの概略図である。
図4A】本発明の態様による例示的な汗感知デバイスの断面図の概略図である。
図4B図4Aの例示的な汗感知デバイスの上部斜視図である。
図4C図4Aの感知デバイスを上からみた図である。
図4D図4Aの感知デバイスを下からみた図である。
図4E図4Aの感知デバイスの断面図である。
図5A】本発明の別の態様による例示的な汗感知デバイスの断面図の概略図である。
図5B】ウェアラブル・デバイスからアンロックされている/取り外されている図5Aの例示的なデバイスの断面図である。
図5C図5Aの感知デバイスを上からみた図である。
図5D図5Aの感知デバイスを下からみた図である。
図5E図5Aの感知デバイスの断面図である。
図6A】本発明の別の態様による例示的な汗感知デバイスの断面図の概略図である。
図6B図6Aの感知デバイスを上からみた図である。
図6C図6Aの感知デバイスを下からみた図である。
図6D図6Aの感知デバイスの断面図である。
図7】他のデバイスと通信する汗デバイスの実施例の概略図である。
図8A】マスクの上にイオン・センサを配置する方法の実施例の概略図である。
図8B】インピーダンス電極を配置する実施例の概略図である。
図8C】フォトレジストの例示的な除去の概略図である。
図8D】絶縁レイヤの蒸着の実施例の概略図である。
図8E】必要に応じて図8Dの絶縁レイヤを開口させるためのフォトリソグラフィおよびエッチングの実施例の概略図である。
図8F】Ag電極の配置の実施例の概略図である。
図8G】フォトレジストの除去の実施例の概略図である。
図8H】上部に配置されたシリコーンのレイヤを有する完成した感知デバイスの実施例の概略図である。
図8I図8Aから図8Hのステップによって形成された感知デバイスを通って汗がどのように移動し得るかの例を示す図である。
図9】基板上に形成された2つの感知デバイスの実施例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書において説明される感知デバイス10の実施例が、図1Aから図7において、更に図8Aから図9において図示される。
【0032】
特定の実施例によると、図1Aにおいて図示されるように、感知デバイス10は、汗を受け入れるための入口15を含み、または、入口は、汗がデバイス10内に進入し得る場所である。入口15またはその近くに1つまたは複数のセンサ20があり、これは、1つまたは複数の関連するまたは対応する汗プロパティを感知するように構成される。汗プロパティは、電解質、ホルモン、代謝物などの生理化学的プロパティのうちの任意の1つまたはそれらの組み合わせであってよいことは理解されよう。
【0033】
図1Aおよび図1Bにおいて図示される実施例において、入口15は円形状のチャンバであり、入口15の周りに配置されているが入口15内で互いから離間された5つから6つのセンサ20がある。この実施例において、入口15は円形状であり、故に、センサ20は入口15の周りに同心状に配置される。この特定の実施例において、センサ20の各々は、例えばナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、塩化物イオン(Cl-)、カルシウムイオン(Ca++)、およびマグネシウムイオン(Mg++)などの特定のイオンを感知するための電気化学的センサであり、基準センサ/電極も含んでよい。必要に応じて追加的な電極/センサによって1つから5つのうちの任意の数のイオンまたは5つよりも多くのイオンが感知され得ることは理解されよう。
【0034】
1つまたは複数のセンサ20は、典型的には、対応する1つまたは複数の電気配線またはパッド22に接続され、これらは、感知デバイス10と、以下において更に説明されるウェアラブル・デバイス100との間の電気接続を提供する。複数のセンサ20は、それらのそれぞれの電極/ワイヤとともに、一次またはイオン感知機構を形成する。
【0035】
図1Aおよび図1Bは、デバイス10が二次感知機構を含み得ることを更に図示し、二次感知機構は、汗を入口15から離間するように出口ポート30へと搬送/輸送するように構成された微小流体チャンネル25を含む。故に、例えば、汗が入口15を充満すると、次いで、典型的には、汗はチャンネル25に沿って輸送され、連続的な汗の分泌は、典型的には、入口15における汗が連続的に補充されることを意味する。
【0036】
特には、微小流体チャンネル25は、入口15またはその近くまたはその周りに任意のやり方で配置され得る。図1Aおよび図1Cは、チャンネル25が入口15に隣接してまたは近接して蛇行状/蛇行形状に配置される実施例を図示する。図1Bは、入口15の周りに螺旋状に配置されているチャンネル25を図示し、チャンネル25は、入口15から外向きに出口ポート30へと螺旋状になっている。
【0037】
出口ポート30は、典型的には、廃棄物チャンバおよび/または疎水性ベントであり、微小流体チャンネル25を通る流体運動を減速または停止させる後方空気圧を防止し得ることは理解されよう。
【0038】
微小流体チャンネル25には更に、発汗速度センサ(すなわち、電気インピーダンス・センサ)35が、典型的には、微小流体チャンネル25と平行に、またはこれと整列されて配置される。発汗速度センサは、典型的には、微小流体チャンネルが汗の体積を収集すると発汗速度センサ35がセンサ35のチャンネルを横断するインピーダンスの変化(流体体積が増えるとインピーダンスは減少する)によってこの体積を測定するように、微小流体チャンネルのどちらかの側に配置された2つの平行な電気ワイヤまたは導体50(以下において更に説明される)を含む。すなわち、この特定の実施例において、測定された電流は体積流量または発汗速度の関数である。センサ35は、典型的には、チャンネル25の長さと整列され、またはこれに沿って配置され、チャンネル25内の流体/汗と接触している。しかしながら、チャンネル25およびセンサ35の幾何学的形状または形状は、(例えば、図1A図1Bおよび図1Cにおいて図示されるように)変更され得ることは理解されよう。
【0039】
故に、感知デバイス10は、電気化学的センサ20を通じて汗の成分(この実施例においては、少なくとも5つの汗イオンNa+、K+、Cl-、Ca++、およびMg++など)の監視を可能とし得、微小流体チャンネル25と電気インピーダンス・センサ35とを含む二次感知機構を通じて発汗速度の監視を可能とし得ることは理解されよう。
【0040】
図1Aおよび図1Cをより具体的に参照すると、微小流体チャンネル25は、蛇行状または蛇行形状に形成され、微小流体チャンネルは、入口15から出口ポート30へと蛇行形状に配置され、電気インピーダンス・センサ35は、典型的には、微小流体チャンネル25と実質的に整列され、チャンネルのどちらかの側に配置される本体部23を各々が有する2つの電極/導体(本明細書において二次電極50と呼ばれる)を含む。インピーダンス・センサ35は、微小流体チャンネル24が終端する入口においてそれぞれの本体部23に接続された2つのワイヤ脚部21Bも含み、2つのワイヤ脚部21Bは、感知デバイス10上のそれぞれの電気パッド22に接続する。
【0041】
故に、この実施例において、2つのワイヤ脚部21Bは、デバイス10の1つまたは複数のセンサ20をそれぞれの電気パッド22に結合するワイヤ(または電気接続/導体)21Aから離間されるようにまたは電気的に絶縁されるように形成されることは理解されよう。それ故、ワイヤ(または電気接続)21Aおよび21Bは、電気パッドにおいて実質的に平行であるように離間される。
【0042】
図1Aおよび図1Cにおいて図示された実施例において、二次感知機構は蛇行状に形成されることは理解されよう。しかしながら、二次感知機構からの2つのワイヤ脚部21Bが一次感知機構のセンサ20からのワイヤ21Aと交差しないような、または、ワイヤ間の交差が限定的であるような他の形状も同様に可能であり得る。
【0043】
典型的には、電気パッド22は、感知デバイス10の縁部またはその近くに配置され、デバイス10の縁部または外周に沿って一連となって配置され得る。これらの実施例において、感知デバイス10は、異なる構成部品のそれぞれの電極に接続する一連の電気パッド22が存在するように形成される。デバイス10上に一次および二次感知機構が形成されるやり方は、電気パッド22に接続する電極が交差しないようにまたは交差が限定的であるようにして、複数の電極間の任意の干渉またはノイズを最小化するようなやり方である。
【0044】
故に、一次および二次機構からの導体/ワイヤの交差を限定的なものとするこのような形状が、一次および二次感知機構がデバイス10の同一の基板レイヤ上に配置されることを可能とし得ることまたは構成部品間の層化を最小化し得ることは理解されよう。更に、この形状は、複数個以上の感知電極(例えば、図1Cにおいて図示されるように、5つのセンサと基準電極)が基板上に配置されることを可能とし得る。
【0045】
イオン・センサ20および発汗速度センサ35および微小流体チャンネル25が、以下において更に説明される。
【0046】
感知デバイス10の更なる実施例が、図2から図3Kにおいて図示される。これらの実施例において、図2Aおよび図3Aは、感知デバイス10の構成要素の異なる実施例を図示する。特には、図2Aおよび図3Aにおける感知デバイス10の実施例は、2つのイオンを感知するように構成されている感知デバイス10の実施例を図示し、2つのイオン・センサ20A、20Bが対応するパッド22A、22Bに電気的に接続されている。
【0047】
図2Bは、使用され得る電気パッド22A/22Bの実施例を図示する。この特定の実施例において、電気パッド22A/22Bは、例えばPCB(プリント回路基板)などの縁部に装着/差し入れられ得るコネクタである。
【0048】
図3Aから図3Kは、図2Aにおいて図示される感知デバイス10を形成するためにレイヤ/マスクとして典型的に配置されまたは重ね合わされる感知デバイス10の異なるレイヤまたはマスクおよび構成要素の実施例である。
【0049】
図3Bをより具体的に参照すると、図3Bは、感知デバイス10の第1のレイヤを図示し、その上には、イオン・センサ20A、20Bを対応するパッド22A、22Bにそれぞれ接続する電気接続40A、40Bが位置している。図3Cは、電気接続40A、40Bの先端部42A、42Bを図示する。イオン・センサ20A、20Bは、典型的には、特定のイオンの存在に基づいて電気信号を生成し得る電気化学的センサであり、次いで、電気信号は、典型的には、パッド22A、22Bにおいてピックアップされる。特には、電気接続40A、40Bは、電気化学的センサと発汗速度センサとの間の任意の交差汚染を最小化するために微小流体チャンネル25を通過するブリッジなどとしても形成され得るバイア・ホールであり得る。
【0050】
図3Dおよび図3Eは、1つまたは複数の開口45A、45Bを有する第2のマスクの実施例を図示する。典型的には、開口45A、45Bは、入口15と流体連通し、それぞれの電気コネクタ40A、40Bの先端部42A、42Bはそれぞれの開口45A、45B内に配置される。故に、入口15に進入した汗は、入口15と流体連通するそれぞれの開口42A、42Bを有する特定のイオン・センサ20A、20Bによって感知され得、それに従って、電気信号が電気コネクタ40A、40Bによって検知され得る。
【0051】
図3Fおよび図3Gは、1つまたは複数の配線または二次電極50から構成される第3のレイヤを図示する。これらは、二次パッド52A、52B(これらはパッド22として上述された)にそれぞれ接続される。図3Hは、配線50の例示的なセクションを図示し、図3Iは、二次パッド52Aおよび52Bの実施例を図示する。
【0052】
特には、図示された実施例において、図3Bは、位置22Aおよび22B(典型的には、ウェアラブル・デバイス100と通信するように配置された電気パッド)において終端する2つのイオン用電極20A、20Bを図示する。すなわち、20Aおよび20Bは、電極または配線40A、40Bをそれぞれ介して22Aおよび22Bに電気的に接続する。2つの平行なインピーダンス電極50は、52Aおよび52Bにおいて終端する。微小流体チャンネル25は、インピーダンス電極50を効果的にまたは含み、これは52Aおよび52Bにおいて終端し、これはウェアラブル・デバイス100との電気通信を提供する。
【0053】
1つの特定の実施例によると、電極50は、典型的には、銀(Ag)、金(Au)および/またはクロム(Cr)平行電極であり、2つの電極50の間のインピーダンスの大きさを測定することによって発汗速度が測定され得る。更に、汗収集チューブまたは微小流体チャンネルは既知の直径のものであり、故に、収集された汗の体積はπr×長さである。それ故、2つの電極50の間で測定されたインピーダンスは、典型的には、抵抗の減少および静電容量の増加に起因して流体体積の増加に伴って減少する。
【0054】
図3Jおよび図3Kは、典型的には第4のレイヤまたはマスクに配置される微小流体チャンネル25の更なる実施例を図示する。マスク/レイヤは、感知デバイス10を形成するように重ね合わされる。
【0055】
本明細書において4つのマスク/レイヤが説明されているが、感知デバイスの実行のために任意の数のマスク/レイヤが使用されてよいことは理解されよう。例として、機能性を向上させるとともに、感知されている異なる信号間での任意の交差汚染を減少させまたは限定するために、異なる感知レイヤの間に絶縁レイヤまたはマスクが存在してよい。代替的に、電気化学的センサ20およびインピーダンス・センサ35の両方が同一のレイヤ/マスク上に提供されてもよい。
【0056】
特には、感知デバイス10は、ウェアラブル・デバイス100の一部であり得、これに接続され得、またはこれと一体化され得る。それとともに、感知デバイス10およびウェアラブル・デバイス100は、測定デバイス90を形成し得る。1つの特定の実施例において、感知デバイス10は、ウェアラブル・デバイス100の使い捨て部分である。故に、1つの特定の実施例によると、感知デバイス10は、必要に応じて特定の汗プロパティを測定し得、そのための信号が処理、表示などのためにウェアラブル・デバイス100に送信され得る。それ故、ユーザがウェアラブル・デバイス100を使用するとき、デバイス10が使い捨て部分であるならば、ユーザは必要に応じて感知デバイス10を交換し得る。
【0057】
ウェアラブル・デバイス100の実施例が感知デバイス10とともに図4Aから図7において図示される。
【0058】
1つの実施例によると、図4Aから図4Eは、どのように感知デバイス10がウェアラブル・デバイス100に接続され得るか、または受け入れられ得るかを図示する。この特定の実施例において、感知デバイス10は、パッド22が関連する電気信号を分析のためにデバイス100に転送するように構成されたときにパッド22が位置する部分においてウェアラブル・デバイス100に接続される。図4Aから図4Eの実施例において、パッド22は、デバイス10の隆起部分110に形成/配置される。この実施例における隆起部分110は、ウェアラブル・デバイス100の対応するメス部分内に滑り込むように構成されたT字状の断面を有し、メス部分内にクリック止めされ、または係止/保持される。故に、例えば、隆起部分110は、ウェアラブル・デバイス100へのデバイス10のTスロット機械的インタフェースであってよい。しかしながら、隆起部分110はデバイス10の表面115の一部であってもよい(すなわち、同一平面上にあってもよい)ことは理解されよう。
【0059】
図4Aをより詳細に参照すると、これは、ウェアラブル・デバイス100内に挿入された感知デバイス10の例示的な断面を図示し、図4Aは、どのように測定デバイス90の異なるレイヤが、感知デバイス10からの電気信号がウェアラブル・デバイス100によって受信されて、それに従って分析され得るように形成されるかを図示する。この実施例において、ベース・レイヤ105は、典型的には、デバイス10をユーザに接着するための接着剤などを含む。次に、典型的には、入口15を通って汗がデバイス10に進入し、センサ20によって感知され、これは、電気的/化学的接続40を通じてパッド22によってピックアップされ、これは、Tスロット機械的インタフェース110を介してウェアラブル・デバイス100に電気的に接続される。デバイス10は、本明細書において説明されるマスク/レイヤを含み得、出口ポート30を含み得、これは、典型的には、廃棄物チャンバ/疎水性テントである。特には、120において、ウェアラブル・デバイス100は、バッテリ、PCB、アンテナなどの電子部品/構成部品を含む。
【0060】
図4Aから図4Eにおいて図示される実施例は、使い捨てデバイス10とウェアラブル・デバイス100との間に、典型的には良好な使い勝手とフィードバック(クリック音などによる)とを有するクリック止めなどの単純な接続によって堅牢な接続を提供し得ることは理解されよう。
【0061】
図5Aから図5Eは、ウェアラブル・デバイス100の更なる実施例を感知デバイス10とともに図示する。この特定の実施例において、感知デバイス10は、ウェアラブル・デバイス100内にスナップ係止され、係止機構125によって所定の位置に保持される。この特定の実施例において、係止機構125は、ばね負荷のかけられた機構であり、感知デバイス10をウェアラブル・デバイス100内の所定の位置にスナップ係止することができる。感知デバイス10は、1つまたは複数の縁部またはフランジ126を有し、これは、2つのデバイス100と10との間の電気接続を可能とするように感知デバイス10が所定の位置に保持され得るように係止機構125と係合し得る。次いで、感知デバイス10は、ウェアラブル・デバイス100から容易に取り出され得/分離され得、その後廃棄され得る。この特定の実施例において、ウェアラブル・デバイス100は、ウェアラブル・デバイス100と感知デバイス10との間に電気接続を提供するためにパッド22に接続され得る電気接点130も含む。故に、この特定の実施例において、電気接点コンプライアンスが感知デバイス10内に構築され得、デバイス10とデバイス100との間のより単純化された防水を可能とし得る。更に、デバイス100は、洗浄が容易であり得、感知デバイス10はウェアラブル・デバイス100に簡単に搭載され得、およびウェアラブル・デバイス100から簡単に取り出され(したがって廃棄され)得る。
【0062】
図6Aから図6Cは、感知デバイス10に接続されたウェアラブル・デバイス100の別の実施例を図示する。この特定の実施例において、ウェアラブル・デバイスは、例えば、ユーザの手首、胸、脚など、ユーザにウェアラブル・デバイス100を接続し得る1つまたは複数のバンドまたはストラップ135を有する。故に、デバイス90は、接着パッチならびに/またはデバイスおよび四肢の周りに巻き付けられるストラップによってユーザの皮膚に取り付けられるように設計され得る。
【0063】
更に、図6Aから図6Cにおける実施例は、電気接点130を介してウェアラブル・デバイス100に接続されている感知デバイス10を図示し、電気接点130は、感知デバイス10がウェアラブル・デバイス100の隣に置かれた際のリード線である。故に、例えば、感知デバイス10は、ウェアラブル・デバイス100がユーザに取り付けられた場所に隣接してまたは近接してユーザの皮膚の一部分に接着され得る接着ベース・レイヤ105を有し得る使い捨てパッチまたはチップであり得る。リード線130は、ウェアラブル・デバイス100と感知デバイス10との間に延在し、典型的には、縁部コネクタ132などを介して接続する。この実施例において、電気パッド22は、ウェアラブル・デバイス100に直接的に接続するリード線(リボンまたはケーブル)130の端部にあってよい。典型的には、リード線130および縁部コネクタ132は防水されている。
【0064】
図6Aから図6Cにおいて図示される特定の実施例は、バイア・ホールの使用を必要としないので、感知デバイス10を単純化し得る。更に、感知デバイス10とウェアラブル・デバイス100とが重ねられないので、デバイス90全体への下側物理または垂直プロファイルが存在する。加えて、感知デバイス10は露出されているので、ウェアラブル・デバイス100を外す必要なしに、より容易に交換可能である。感知デバイス10とウェアラブル・デバイス100との間の接続130は、柔軟なプリント回路から作られ得、これは接続間の張力緩和も可能とし得る。
【0065】
本明細書において、皮膚の既知のエリアから汗を収集してその体積および組成を分析するように構成された、ユーザによって着用され得る測定デバイス90が提供されることは理解されよう。デバイス90は、デバイス90によって受信/生成されたデータを処理システムに無線で送信し得、身体全体の流体および電解質の損失の計算を可能とするように測定場所について発汗速度、電解質の損失の速度の計算を可能とし得る。
【0066】
図7は、典型的にはウェアラブル・デバイス100と感知デバイス10とから構成される汗デバイス90の実施例を図示し、これは、コンピュータまたは処理システム140などの遠隔デバイスと通信可能であり、1つの実施例において、これはタブレットまたは遠隔通信デバイス/フォンであってよい。
【0067】
図7において図示された実施例において、イオン用センサが目標のアノード液(Na+、K+、および感知されている任意の他のイオン)と接触するとイオン用センサによって(1において)アナログ電圧信号が生成される。次いで、アナログ信号は、典型的には、ウェアラブル・デバイス100によって(2において)記録され、フィルタリングされ、および場合によっては増幅される。次いで、ウェアラブル・デバイスの電子部品システムは、(3において)このアナログ信号をデジタルに変換し得る。特には、ウェアラブル・デバイスは、何らかのデータ処理または分析をオンボードで実施し得、次いで、ウェアラブル・デバイスは、(4において)Bluetoothまたは任意の他の無線信号通信手段を介してデジタル・データをフォン、タブレットなどに送信し得る。フォン/タブレットのソフトウェア・アプリケーションは、データを操作および分析し得、それに応じてユーザにフィードバックを提供し得る。
【0068】
このように、デバイス90は、典型的には、
1.皮膚に接着するための接着面を有し、インピーダンス・センサ35およびウェアラブル構成要素への電気コネクタ/パッドとともに収集オリフィス15、イオン用電極(20、22)および較正された微小流体チャンネル25も含む使い捨て構成要素10と、
2.データフローを制御する処理システム、データ記憶装置、較正データ、皮膚温度測定モジュール、無線通信モジュール、および動作のための電源を含む、使い捨てでない防水性のウェアラブル構成要素100と
から構成され得る。
【0069】
特には、使い捨て構成要素は、典型的には、一回限りで使用される構成要素であり、というのは、犠牲的性質、および既に測定された汗からの残余の塩分および流体を微小流体チャンネルから除去するための洗浄の問題に起因して、測定の動作が、典型的には、電子部品の劣化を招き得るからである。しかしながら、感知デバイス10およびウェアラブル・デバイス100は、互いに一体化され、デバイス10が使い捨てでない、またはデバイス10の全体が使い捨てではないように形成され得ることは理解されよう。
【0070】
1つの実施例によると、汗収集要素は使い捨て構成要素10上に位置し、汗収集は、リップなどを有して皮膚収集エリアが封止され得、リップのエリア内の汗腺からの流体だけが収集されるようになっている円形状オリフィス15を介して行われる。特には、デバイス10は、汗収集エリアの指定/決定を可能とするために、リップに一体的にまたはリップとは別個にベース部に圧力感知接着剤も含み得る。
【0071】
本明細書において説明されるように、オリフィス/入口15の中心は、例えば600マイクロメートルの幅および200マイクロメートルの深さなど特定の直径の微小流体チャンネル25も有し、これは、遠位端部に開口して入口15から離れる方向に伸びて出口ポート30において終了し、毛管作用と低圧水力学との組み合わせによって汗を収集する。故に、例えば、汗は、典型的には、流体と空気との境界の面の毛管作用によって微小流体チャンネルに沿って移動し、この汗は汗腺から外に微小流体チャンネル(水力学)に沿って活発に押し出される。
【0072】
微小流体チャンネルの近位開口は、入口15において、汗流体のオリフィス15への進入時における電解質の濃度を測定し得るイオン用電極20のアレイを有する。
【0073】
微小流体チャンネル25は、二次電極50を介してその長さに沿って流速電極も有し、流体がこれに到達したときに、流体体積、したがって流速が計算されることを可能とするように信号を提供する。
【0074】
特には、使い捨て構成要素10は、使い捨てでない構成要素へのおよび使い捨てでない構成要素からの電力およびデータの流れを可能とするコネクタ22も有し得る。
【0075】
ウェアラブル・デバイス100は、
使い捨て構成要素の下の皮膚の温度を測定するための皮膚サーミスタまたは赤外線温度計と、
後のダウンロードまたはリアルタイム送信のためのデータ保管を可能とするためのメモリ・チップと、
較正データおよびシステム・アップグレードを受信するため、ならびに基地局、タブレット、または携帯フォンにデータをストリーミングするための無線通信モジュールと、
再充電可能システム電源と、
処理電子部品と
も含み得る。
【0076】
感知デバイスは、必要に応じて異なるマスク/レイヤを生成することによって作られ得ることは理解されよう。1つの特定の実施例によると、異なるマスク/レイヤは、以下のことを通じたナノ加工によって製造され得る。
1.Au/Ag開口を有するNa+センサの加工
・マスク1(Na+センサ)およびマスク2(Au/Ag開口)の設計および加工
・Au/Ag開口を有するNa+センサの微細加工
・ダイシングなし、ガラス・ウェハごとに2つのデバイス、作業は4つのウェハに対して行われる。
・絶縁レイヤとしてのSiO2の使用
・単一の(穿孔された)穴開口を有する空きPDMSとの接合
2.Au/Ag開口を有するNa+センサの加工
・ガラス・ウェハごとに2つのデバイス
・絶縁レイヤとしてのSiO2の使用
3.汗センサ螺旋の加工
・マスク3(汗センサ螺旋)の設計および加工
・汗センサ螺旋の微細加工、上記の作業の継続
・個々のデバイスへのダイシング
4.微小流体チャンネルの加工
・マスク4微小流体チャンネルの設計および加工
・シリコン・ウェハに対するSU-8を使用したマスター・モールド加工
・PDMS(ポリジメチルシロキサン)レプリカ加工
・個々のデバイスへの接合
【0077】
本明細書において説明される様々な電気化学的構成部品を各レイヤ/マスク上に配置するためのナノ加工ステップの更なる実施例が、図8Aから図8Hにおいて図示される。これらの実施例において、必要に応じた絶縁レイヤなどの配置を含むセンサおよび電極の配置の様々なステップが図示される。例えば、
1.図8Aにおいて図示されるように、イオン・センサNaおよびKをマスク上に配置するためにフォトリソグラフィが使用される。
2.図8Bにおいて図示されるように、インピーダンス電極(Cr/Au)を配置するために電子ビーム蒸着が使用される。
3.図8Cは、フォトレジストの除去を図示する。
4.図8Dは、SiO2絶縁レイヤの蒸着の実施例を図示する。
5.図8Eは、必要に応じてSiO2レイヤを開口させてセンサを露出させるためのフォトリソグラフィおよびエッチングの実施例を図示する。
6.図8Fは、Ag電極を配置するためのフォトリソグラフィの実施例を図示する。
7.図8Gは、フォトレジストの除去の実施例を図示する。
8.図8Hは、上部に配置されたシリコーンのレイヤを有する完成した感知デバイスの実施例を図示する。
【0078】
図8Iは、図8Aから図8Hのステップによって形成された感知デバイス10を通って汗がどのように移動し得るかの例を示す。典型的には、汗は、ユーザの外側の身体(例えば、皮膚)からデバイス10の入口において微小流体チャンネルの周りに形成されたチャンバ内に移動し、ベント/出口ポートにおいてデバイスを出る。特には、図8Iにおいて図示されるレイヤは、異なって配置されてよく、または、デバイス10の全ての特徴が、1つのレイヤもしくはマスク上に形成されてよい。
【0079】
特には、図1Aおよび図1Cにおいて図示されるデバイスの実施形態は、センサからのワイヤが、典型的には、二次感知機構からのワイヤと交差しないので、最小化されたレイヤ形成を可能とし得ることは理解されよう。
【0080】
図9は、感知デバイス10の実施例の図を示す。この特定の実施例において、図は基板上に形成された2つの感知デバイスを示す。
【0081】
故に、本明細書において説明される汗デバイスは、ユーザの生理学的プロパティの判定を助け得、ユーザがより高いパフォーマンスを達成することを助ける訓練レジームの決定を可能とし得る、汗の組成についてのデータ/解析を提供し得ることは理解されよう。更に、汗デバイス(ウェアラブル・デバイスおよび感知デバイスを含む)は、リアルタイムの汗分析およびパフォーマンス管理を提供し得る動的なシステムを可能とする。
【0082】
本明細書において、「備える(comprise)」という語、および「備える(comprises)」または「備えている(comprising)」などのこの語の変形は、文脈または使用法においてこの語の排他的な解釈が必要とされるのでない限り、述べられた1つまたは複数の整数を含むことを指すために使用されるが、任意の他の1つまたは複数の整数を排除するものではない。
【0083】
当業者は、本明細書において説明された発明は、具体的に説明されたもの以外の変形例および修正例を許容することを理解されよう。全てのこのような変形例および修正例は、その性質が前述の説明から決定される本発明の範囲および趣旨内にあるものと考えられる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の汗プロパティの指標を提供するように構成された測定デバイスであって、
汗が前記デバイスに進入することを可能とするように構成されている、入口と、
前記入口またはその近くに配置された1つまたは複数のセンサであって、それぞれの1つまたは複数の汗プロパティを感知するように構成されている、1つまたは複数のセンサと、を含む、感知デバイスと、
前記感知デバイスと接続され、皮膚温度を測定するように構成されたウェアラブル・デバイスと、を含み、
前記感知デバイスは、使い捨てデバイスであり、別の感知デバイスと交換可能である、測定デバイス。
【請求項2】
前記入口またはその近くに配置された2つ以上のセンサを有し、前記センサは、2つの汗電解質をそれぞれ感知するように構成されている、請求項1に記載の測定デバイス。
【請求項3】
前記入口またはその近くに配置された少なくとも5つのセンサを有し、前記センサは、5つのそれぞれの汗電解質を感知するように構成されている、請求項2に記載の測定デバイス。
【請求項4】
前記汗電解質は、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、塩化物イオン(Cl-)、カルシウムイオン(Ca++)、およびマグネシウムイオン(Mg++)を含む、請求項3に記載の測定デバイス。
【請求項5】
発汗体積および/または発汗速度を感知するための二次感知機構を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の測定デバイス。
【請求項6】
前記二次感知機構は、前記入口の近くにまたはその隣に配置される、請求項5に記載の測定デバイス。
【請求項7】
前記二次感知機構は、微小流体チャンネルを含む、請求項6に記載の測定デバイス。
【請求項8】
前記微小流体チャンネルは、前記入口から出口ポートまで蛇行形状に配置される、請求項7に記載の測定デバイス。
【請求項9】
前記二次感知機構は、電気インピーダンス・センサを更に含む、請求項7または8に記載の測定デバイス。
【請求項10】
前記電気インピーダンス・センサは、前記微小流体チャンネルと整列された本体部と、入口端部において前記本体部に接続されるとともに前記感知デバイス上のそれぞれの電気パッドに接続された2つの導体とを有する、請求項9に記載の測定デバイス。
【請求項11】
前記2つの導体は、前記デバイスの前記1つまたは複数のセンサをそれぞれの電気パッドに結合する導体から離間されるようにまたは電気的に絶縁されるように形成される、請求項10に記載の測定デバイス。
【請求項12】
前記導体は、前記電気パッドにおいて実質的に平行であるように離間される、請求項11に記載の測定デバイス。
【請求項13】
前記電気パッドは、前記感知デバイスの縁部またはその近くに配置される、請求項12に記載の測定デバイス。
【請求項14】
1つまたは複数のレイヤまたはマスクから形成され、前記1つまたは複数のレイヤまたはマスクの各々は、その上に配置された個別の感知構成部品を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の測定デバイス。
【請求項15】
前記1つまたは複数のレイヤまたはマスクは、
a.前記入口を有する第1のレイヤと、
b.前記入口との流体連通のための1つまたは複数の開口を有し、それぞれの1つまたは複数の汗電解質を感知するための1つまたは複数のセンサを含む第2のレイヤと、
c.発汗体積および/または発汗速度を感知するための1つまたは複数の二次電極を有する第3のレイヤと、
d.微小流体チャンネルを有する第4のレイヤと
のうちのいずれか1つまたはこれらの組み合わせを含む、請求項14に記載の測定デバイス。
【請求項16】
前記出口ポートは、廃棄物チャンバおよび/または疎水性ベントである、請求項8に記載の測定デバイス。
【国際調査報告】