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特表2024-535106識別構造体における不正な介入の検出を支援するように設計された識別構造体における不正な介入の検出方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】識別構造体における不正な介入の検出を支援するように設計された識別構造体における不正な介入の検出方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/08 20060101AFI20240918BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20240918BHJP
   G09F 3/03 20060101ALI20240918BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20240918BHJP
   G06K 19/073 20060101ALI20240918BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
G06K19/08 030
G09F3/00 M
G09F3/03 Z
G06K19/06 037
G06K19/073 090
G06K19/077 144
G06K19/077 304
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519075
(86)(22)【出願日】2022-09-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 US2022077009
(87)【国際公開番号】W WO2023049891
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/248,758
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518000176
【氏名又は名称】エイヴェリー デニソン リテール インフォメーション サービシズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】AVERY DENNISON RETAIL INFORMATION SERVICES LLC
【住所又は居所原語表記】8080 Norton Parkway, Mentor, Ohio 44060 Uni-ted States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【弁理士】
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【弁理士】
【氏名又は名称】北 倫子
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】デ バッカー,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】トニー,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ミチェク,レネー
(72)【発明者】
【氏名】キャラハン,キャロル,エル.
(57)【要約】
識別構造体への不正な介入の検出方法を提供する。前記方法は、識別構造体が物理的介入、機械的介入、又は電気的介入等の介入と相互作用するように識別構造体を構成するステップを含む。また、前記方法は、物理的属性、機械的属性、電気的属性及び光学的属性を含む識別構造体と関連する任意の所定の属性で検出可能な変更をもたらすような制御で識別構造体に沿って介入を伝播するステップを含む。最終的に、属性の変更は、視覚的評価、電気的評価、光学的評価、又はこれらの評価の組み合わせによって検出される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別構造体への不正な介入を検出する方法において、
1つ以上の識別要素が介入と相互作用するように、複数の識別要素で識別構造体を構成するステップと、
不正な介入が任意の1つ以上の識別要素の該当する属性で検出可能な変更のシグネチャを残すように制御されたやり方で、また識別要素の少なくとも1つが損傷することなく保持されるようにするやり方で、介入の伝播をもたらすようなやり方で識別要素の1つ以上により、且つ識別構造体の異なる層に沿って、介入を伝播するステップと、
1つ以上の評価によって該当する属性の変更を検出するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記介入は、物理的介入、電気的介入、又はこれらの任意の組み合わせの何れか1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記該当する属性は、識別構造体に選択的に位置する識別要素の1つ以上の特性であり、前記識別要素は、光学的要素、電気的要素、物理的要素、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記属性は、識別構造体の構成又は識別要素の1つ以上の構成から発生する物理的特性、機械的特性、材料特性と関連する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記識別構造体を構成するステップは、識別構造体の異なる層上に光学的要素、物理的要素及び電気的要素を選択的に位置させるステップを含む、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項6】
前記識別構造体を構成するステップは、識別構造体のトップ層に沿って前記光学的要素及び前記物理的要素を選択的に位置させるステップを含む、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項7】
前記識別構造体を構成するステップは、識別構造体のトップ層の下部の1つ以上の層に電気的要素を選択的に位置させるステップを含む、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項8】
前記物理的介入は、識別構造体の層の除去、交換、被覆、機械的力の引っ張り、引き裂き、ねじり、無効化、延伸、破壊、崩壊、移動、加熱又は剥離の1つ以上の行為と関連する、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記電気的介入は、電圧の印加又は電磁放射線への露出と関連する、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記識別構造体に沿って介入を伝播するステップは、識別構造体の表面又は異なる層にわたって選択された位置に所定の深さの切開を含む物理的要素の1つ以上の配置と関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記物理的介入又は電気的介入は、識別要素の共振周波数又は音響機能を含む電気的属性で感知可能な変更をもたらす、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記検出可能な変更を検出するための1つ以上の評価は、視覚的評価、光学的評価又は電気的評価を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
物理的介入、電気的介入、又はこれらの組み合わせである不正な介入を検出するための識別構造体であって、
共に積層された複数の層と、
物理的要素、電気的要素、光学的要素、及びこれらの組み合わせを含む群より選択された複数の識別要素と、を含み、前記複数の識別要素は、前記複数の層の異なる層上に選択的に位置して介入と相互作用を行い、
前記不正な介入が前記識別要素の任意の1つ以上の該当する属性で検出可能な変更のシグネチャを残すように制御されたやり方で、また識別要素の少なくとも1つが損傷することなく保持されるようにするやり方で、介入の伝播をもたらすようなやり方で複数の層のトップ層が所定の深さを有する物理的要素を備えて識別構造体の異なる層に沿って介入を伝播する、識別構造体。
【請求項14】
前記複数の層は、トップ層と、前記トップ層の下部の1つ以上の層と、を含む、請求項13に記載の識別構造体。
【請求項15】
前記電気的要素は、無線周波数識別装置(RFID)、RF-EAS、AM-EAS、ブルートゥース、ブルートゥースLE又はこれらの組み合わせを含む群から選択される、請求項13に記載の識別構造体。
【請求項16】
前記電気的要素は、トップ層の下部の1つ以上の層に選択的に位置する、請求項13又は14に記載の識別構造体。
【請求項17】
前記光学的要素は、光学走査装置によってスキャニングされるように適合化したシンボル又はパターンを含む、請求項13に記載の識別構造体。
【請求項18】
前記物理的要素は、所定の深さを有し、前記トップ層から前記トップ層の下部の1つ以上の層に延びる切開を含む、請求項13に記載の識別構造体。
【請求項19】
前記物理的要素は、前記トップ層のみに沿って延びる所定の深さを有する切開を含む、請求項13に記載の識別構造体。
【請求項20】
前記物理的要素は、穿孔、弱化したスコアリング、スリット、及びエンボス加工の少なくとも1つ又はこれらの組み合わせから選択される、請求項13に記載の識別構造体。
【請求項21】
前記トップ層は、紙からなる、請求項13に記載の識別構造体。
【請求項22】
前記トップ層の下部の1つ以上の層は、紙からなる、請求項13に記載の識別構造体。
【請求項23】
前記複数の層は、層間の接着コーティングによって共に積層され、前記接着コーティングは、層に沿って選択的に弱まる、請求項13に記載の識別構造体。
【請求項24】
前記光学的要素は、前記トップ層に選択的に位置する、請求項13に記載の識別構造体。
【請求項25】
前記光学的要素は、クイックレスポンスコード(QRコード)、2次元バーコードを含むバーコード、表面テクスチャ、色相、ホログラム、カプセル化インク、シンボル、外観、及び印、又はこれらの組み合わせの何れか1つを含む、請求項13又は24に記載の識別構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年9月27日に出願された米国仮特許出願第63/248,758号の利益を主張し、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、識別構造体内の又は識別構造体内への不正な介入又は干渉を検出する方法に関する。特に、本発明は、識別構造体内の又は識別構造体内への物理的及び電気的介入又は干渉の検出に関する。特に、本発明は、供給網で商業アイテム(例えば、商取引物品又は製品)を追跡及び監視し、商業アイテムを識別して、商業アイテムを確保する等に有用である。
【背景技術】
【0003】
偽造品の発生増加は、企業(例えば、ブランド)だけでなく、不法で且つ規格外の商品により被害を受け得る消費者にとっても深刻な損失をもたらす。一般に、合法的で真正な製品及び商品の流通において、偽造品を導入するために多様な介入が用いられる。これらの介入の一部が、真正品を偽造品に物理的に差し替えること、並びに、供給及び物流網内での不法な介入に対する証拠をほとんど又は全く残さない包装を開封することを含む一種の改ざん又は贋作によるものが含まれる。
【0004】
一般に、偽造を減少させるために、各種形態のラベル、タグ及びチケットが物品に取り付けられ、製品を識別して商品と製品を認証する。ラベル及び包装に偽造防止属性及び/又は改ざん防止のソリューションを導入するために、複製が困難な様々な機能が使用されている。また、RFIDタグは、偽造を防止してエンドユーザー/受信者に認証を提供するために、このような脈絡で使用されている。
【0005】
1次元及び2次元のバーコードタグ、レーザータグ、偽造防止ボトルキャップ、偽造防止インキ印刷等の偽造防止技術が知られているが、贋作と偽造は依然として減らない。これは、かかる偽造防止対策の一部が贋作の困難性を著しく高めないせいで、犯罪者はそれらの対策を打ち破ることができる。最近、RFIDに基づいた電子偽造防止技術の発展により、多くの製品メーカーがRFID技術に目を向けている。しかし、改ざんや贋作のための電子的又は電気的介入によって、RFID技術を侵害する事例が報告されている。また、RFIDタグは、常に使いやすいわけではなく、特にリーダーが故障した場合はそうである。例えば、携帯電話はRFIDタグのスキャンに使用できないため、リーダーが故障した場合、バックアップとして使用できない。
【0006】
偽造の外にも、小売店から盗難、転用、万引き、又は供給及び流通経路やアウトレットからの商品の窃盗も増加している。通常、電子商品監視(EAS:Electronic Article Surveillance)システム(RF:無線周波数(Radio Frequency)又はAM:音響磁気式(Acousto-Magnetic type))は、資産保護及び/又は盗難、転用又は万引きの防止或いは検出に使用される。このようなシステムの例としては、物品を固定させるEASタグ、物品タグに取り付けられたラベル、及び物品に取り付けられたワイヤループを含む。このような各システムでは、全ての物品は、売場で受領したときにEASセキュリティタグが付いているため、購入時に解除しなければならない。EAS対応売場には、当該地域の周りのフィールドを生成する入口/出口地点にゲートリーダーを持って解除されていないEASトランスポンダを検出する。しかし、EASには制限があり、メモリが足らず関連物品を識別することができないので、盗難後の仲裁/インベントリの正確性を達成することが困難である。
【0007】
上述した観点から、供給地から目的地まで商品の移動をリアルタイムで監視し、環境に与える影響を減少させるというさらなる利点を有すると共に、偽造を減少し、改ざんを防止し、窃盗及び万引きを減らす、広範囲な用途及びコスト効率の高いソリューションが要求される。前記ソリューションは、紛失防止、物品レベルの追跡、インベントリの正確性及び顧客にとっての満足できるショッピング体験のために、セキュリティを含む統合されたブランディング機能を提供すると共に、デジタルの互換性を備えるべきである。
【0008】
従って、本開示の目的は、供給地から目的地への商品の移動をリアルタイムで監視し、環境に与える影響を減少させるというさらなる利点を有すると共に、偽造を減少し、改ざんを防止し、窃盗及び万引きを減らす、広範囲な用途及びコスト効率の高いソリューション、並びにその製造及び使用方法を提供することである。
【0009】
本開示の他の目的は、紛失防止、物品レベルの追跡、インベントリの正確性及び顧客満足/顧客エンゲージメントのためのセキュリティを含む統合されたブランディング機能を備える上述のソリューションを提供することであり、前記ソリューションはデジタルの互換性、その製作及び使用方法である。
【発明の概要】
【0010】
本明細書は、識別構造体への不正な介入を検出するためのソリューションと、その製作及び使用方法を記載している。一部の実施形態において、前記ソリューション及び方法は、識別構造体が介入と相互作用するように識別構造体を構成することを含み、前記介入は物理的介入、電気的介入又はこれらの任意の組み合わせの何れか1つである。一部の実施形態において、前記介入は、識別構造体と関連する1つ以上の所定の属性で検出可能な変更をもたらすように識別構造体に沿って伝播される。一部の実施形態において、属性は、物理的属性、機械的属性、電気的属性、光学的属性、又はこれらの任意の組み合わせである。一部の実施形態において、前記ソリューション及び方法は、物理的、機械的、電気的若しくは光学的評価によって、又は前記評価の組み合わせによって、所定の属性変更の検出で決定される。
【0011】
一部の実施形態において、介入は、物理的介入、機械的介入、電気的介入、又はこれらの組み合わせであり得、検出は、視覚的評価、電気的評価、光学的評価又はその評価の組み合わせの1つ以上によって行われることができる。
【0012】
一部の実施形態において、識別構造体は、例えば、共に積層された複数の層、介入と相互作用するための構造体の異なる層に沿って選択的に位置する物理的要素、電気的要素、又は光学的要素を含む複数の介入要素、及びそれぞれの識別要素の所定の属性の任意の組み合わせで検出可能な変更をもたらすように識別構造体の異なる層に沿って介入を伝播するための1つ以上の伝播要素であるか、これを含む。
【0013】
以下に記載の実施形態は、以下の詳細な説明に開示する正確な形態で本開示の範囲を網羅したり限定することを意図するものではない。むしろ、実施形態は、当業者が本開示の原理及び実施を認識し理解できるように選択され説明している。
【0014】
これに関して本開示の範囲は、以下の説明に明示される又は図面に例示される構成の詳細な適用及び構成要素の配列に限定されないことを理解すべきである。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な形で実施し行うことができる。また、本明細書で使用する表現及び用語は、説明の目的のためのものであり、限定すると見なすべきではないことを理解すべきである。
【0015】
本開示の他の目的及び利点だけでなく、これらは添付の図面と共に現在の好ましい例示的な実施形態における以下のより詳細な説明を参照することによって、より完全に理解され認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】様々な種類の介入が識別構造体の異なる要素にどのように影響を及ぼすかを説明する識別構造体のブロック図である。
図2A】内部の異なる識別要素の位置を示す識別構造体の第1実施形態を示す。
図2B】内部の異なる識別要素の位置を示す識別構造体の第2実施形態を示す。
図2C】内部の異なる識別要素の位置を示す識別構造体の第3実施形態を示す。
図3A】本発明の一実施形態による識別構造体の異なる層を示す識別構造体の詳細図を示す。
図3B】本発明の一実施形態による識別構造体のトップ層を詳細に示す識別構造体の上部斜視図を示す。
図4A】本発明の実施形態による識別構造体の分解図を示す。
図4B】本発明の実施形態による識別構造体の分解図を示す。
図5】改ざんを試みる間構造体の一部がどのように破壊されるかを示す識別構造体の詳細図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
I.定義
本明細書で使用される「介入」は、一般に、盗難、不良又は劣悪な製品を正品に偽造したり、窃盗又は万引きが可能なように任意の製品、物品、用品、包装、容器及び/又は任意の種類の商品への不正な改ざん、詐欺行為又は任意のセキュリティ手段を無力化する全ての行為を意味する。
【0018】
本明細書で使用される「物理的介入」は、一般に、識別構造体の層の除去、変更、交換、被覆、機械的力の引っ張り、引き裂き、ねじり、無効化、延伸、破壊、崩壊、移動、加熱又は剥離の1つ以上の行為を意味する。また、これは、製品、用品、商品、物品、包装及び/又は容器等と関連する又は使用可能なあらゆる種類のセキュリティ手段を無力化することを含み得る。また、これは、識別構造体を有する包装を弱めることを含み得る。
【0019】
本明細書で使用される「電気的介入」は、一般に、識別構造体に対するセキュリティ手段を無力化又は変更するために、任意の電場及び/又は磁場を配置又は使用することを意味する。
【0020】
本明細書で使用される「伝播」は、一般に、介入が識別要素の1つ又はその組み合わせに影響を及ぼし/与え、属性を有する異なる識別要素の何れか1つ又はその組み合わせの所定の属性のうち任意の1つ以上の変更を生成するように、特定の経路に沿って1つ以上の所定の方式又は特定の方式で介入を伝える方法への介入の分配/普及を意味する。
【0021】
本明細書で使用される「制御」は、一般に、識別構造体と関連する所定の属性に対する一連の変更を生成する介入の影響だけでなく、介入の伝播を管理及び/又は操作することを意味する。また、制御は、異なる要素の特性及び異なる層に沿ったそれらの相対的な配置に関する場合もある。「制御」のために、異なる形態の改ざん又は介入と相互作用するように設計され得、且つ識別構造体の異なる要素と相互作用し得る、1つ以上の経路が存在し得る。
【0022】
本明細書で使用される「検出可能な変更」は、一般に、1つ以上の方法によって検出及び測定できる所定の属性の何れかでの任意の変更を意味する。前記変更は、パラメータを無効化又は変更したり、又は介入が行われた関連要素の属性を変更することに関連し得る。
【0023】
II.方法及び装置
本明細書に開示されたソリューション、装置及び方法は、図を参照して実施例を通じて説明される。特に明示しない限り、図中の同様の数字は、図全体で同一の、類似する、又は対応する要素に対する参照番号を示す。開示説明された実施例、配列、構成、構成成分、要素、装置、方法、材料等に対する修正を行うことができ、特定の適用に好ましい場合があることが理解されよう。
【0024】
本開示において、特定の形状、材料、技術、配列等の任意の識別は、示された特定の実施例に関するものであるか、単にこのような形状、材料、技術、配列等の一般的な説明に過ぎない。特定の詳細や実施例の識別は、特に明示されていない限り、義務的又は限定的であることを意図しておらず、そのように解釈すべきではない。以下、装置及び方法の選択的な実施例を開示し、図を参照して詳細に説明する。
【0025】
本発明は、一般に、ラベル、チケット、又はタグ等の識別構造体に関する。識別構造体は、製品の識別、製品のインベントリ作成、盗難の感知及び/又は改ざんの証拠を含む多様な目的で提供し得る。一般に、上述のそれぞれの機能と関連する異なる独立したマーカーが製品に別途使用される。しかし、このようなマーカーのそれぞれの設置により、作製中に組立時間を順次増加させ、このようなマーカーを組立てながらエラーが発生する可能性が高くなり得る。従って、一部の実施形態においては、所望の全てのマーカーが同時に設置される。また、大半の既存の識別構造体は、タンパーエビデント(tamper evident)、 不正開封防止(tamper resistant)又は改ざん防止(tamper proof)ラベルのみから構成されるが、他はタンパーエビデント及び改ざん防止機能を全て行うように構成され得る。また、既存の改ざん防止構造体は複雑であり、RFID、RFID-EAS等の他の識別又は盗難防止機能と結合せず単独で改ざん防止機能を行うように構成される。
【0026】
一実施形態において、識別構造体は、適切な方法によって共に積層/維持される複数の層である、又はこれを含む。一部の実施形態において、複数の層はトップ層と、トップ層の下部の1つ以上の層と、を含む。例示的な実施形態において、トップ層は、機能性接着剤を使用して、1つ以上の下部層に直接固定される。他の実施形態において、トップ層は、防水層又は防水コーティングによって下部層から分離され得る。一部の実施形態において、トップ層は、不正な改ざんの識別を支援するために1つ以上の識別要素が設けられる。一部の他の実施形態において、識別構造体の1つ以上の層は、上述の機能を行い、任意の不正な改ざんの識別を支援するために2つ以上の識別要素の組み合わせが設けられる。一実施形態において、2つ以上の識別要素は、光学的要素、物理的要素、及び電気的要素の組み合わせから選択される。一部の実施形態において、識別要素の各々は、それぞれの機能を行い、任意の不正な介入の検出/識別にさらに寄与するために、複数の層の識別構造体の異なる層にわたって選択的に配置される。一実施形態において、1つ以上の光学的要素及び1つ以上の物理的要素は、識別構造体のトップ層上に互いに近接して配置され得、1つ以上の電気的要素は、トップ層の下部の層上に配置され得る。一部の実施形態において、2つ以上の識別要素を含む層が互いに接着固定され、識別構造体の上部層の下方に離型ライナーが設けられる。
【0027】
一実施形態において、1つ以上の光学要素は、光学スキャニング装置(例えば、機械可読要素又は人間可読要素)によってスキャニングされるように適合化したシンボル又はパターンである、又はこれを含み得る。その例として、クイックレスポンスコード(QRコード(登録商標))、バーコード(例えば、2次元バーコード)、表面テクスチャ、色相、ホログラム、カプセル化インク、印、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。光学的要素は、識別構造体が固定された製品が正品又は真正品であるかを消費者が確認できるようにする認証部材としての役割をする。一実施形態において、1つ以上の光学的要素は識別構造体のトップ層上に設けられる。
【0028】
一実施形態において、識別構造体に形成された1つ以上の物理的要素は、切開、穿孔、弱化したスコアリング、スリット、及びエンボス加工の1つ以上から選択される。一実施形態において、識別構造体のトップ面にわたって所定の位置に1つ以上の切開が形成される。他の実施形態において、1つ以上の切開は、識別構造体の2層以上にわたって形成される。一部の実施形態において、1つ以上の切開のそれぞれの切開は、所定の深さを有するように形成される。一実施形態において、1つ以上の切開は穿孔で規定される。他の実施形態において、1つ以上の切開はスリットで形成される。他の実施形態において、1つ以上の切開は、弱化したスコアリングで形成される。複数の物理的要素は、任意の不正な物理的、光学的又は電気的介入の制御された伝播を支援して、かかる介入の1つ以上が各要素の該当する属性で検出可能な変更をもたらすようにする。例えば、物理的介入は、識別構造体の層の剥離、除去、交換、被覆、引っ張り、引き裂き、ねじり、延伸、移動、加熱の1つ以上の行為であり得る。
【0029】
一実施形態において、2つ以上の電気的要素が識別構造体に設けられ得る。一部の実施形態において、識別構造体に設けられる2つ以上の電気的要素は、無線周波数識別装置(RFID:Radio Frequency Identification Device)、RF-EAS、AM-EAS、ブルートゥース(登録商標)、ブルートゥースLE等の組み合わせから選択される。一実施形態において、1つの電気的要素は、超高周波(UHF)要素であり、第2電気的要素は、電子商品監視(EAS)要素である。一実施形態において、UHF要素は、トップ層の真下の第1層に直接ダイカットされ、EAS要素は第1層に同時に組立てられる。一実施形態において、EAS要素は、トップ層の下部の層に設けられた中間プラスチック層に挿入される。UHF要素は、製品を追跡して監視することを支援し、EAS要素は盗難防止機能を提供する。
【0030】
図1は、識別構造体100の代表的な例示を示す。識別構造体100は、1つ以上の層に適用された介入に基づいて性能が変更されるように構成された1つ以上の層に配置された複数の識別要素を含有する。例えば、図1は、識別構造体100の異なる要素に影響を及し得る様々な種類の介入を示す例示的なブロック図である。図1Aは、製品上に固定された識別構造体の剥離等の物理的介入がEAS要素をどのように変更できるかを示し、例えば、EAS要素のアンテナが引き裂かれて作動しなかったり、周波数が変更され得る。
【0031】
図1Bは、識別構造体100の層の剥離等のまた他の物理的介入が、RFID構成要素等の電気的要素の機能をどのように変更できるかを示し、例えば、識別構造体のRFID構成要素が読み取れないようにアンテナを引き裂くことができる。
【0032】
図1C及び図1Dは、介入によってラベルを変更又は交換しようとする試みによって光学的要素がどのように変更され得るかを示す。例えば、2次元バーコード又はQRコードが破れたり、引き裂かれたり、又は延伸することがあり、これら全てが視覚的及び機械読取性を全て変えることができる。他の影響としては、光学的要素が損傷したマイクロカプセル化インクや染料を使用した色相の変更、又はホログラムのステッカーの交換を含むことができる。変更された要素は、例えば、印刷されたUV蛍光インク又は近赤外線吸収インクを正常な光学周波数では見えない可能性があるため、ラベルを変更又は除去しようとする人がその存在を認識できないことを理解されよう。
【0033】
図1は、識別構造体100の異なる要素が物理的、電気的若しくは光学的介入、又はその介入の組み合わせによってそれらの各々の属性又は属性の組み合わせが変更できる様々な可能な方式を示す。
【0034】
様々な介入に対応するために、識別構造体100は、如何なる要素も完全に損なわず、各要素の該当する属性で検出可能な変更のシグネチャが識別構造体に残存するように介入が特定され、制御された方法で伝播するように構成される。従って、不正な介入を容易に検出できるだけでなく、真正品の情報も収集できる。
【0035】
一実施形態において、識別構造体への不正な介入を検出する方法が記載されている。一部の実施形態において、前記方法は、識別構造体が介入と相互作用するように識別構造体を構成することを含む。例えば、図2A図2Cは、光学的要素201、電気的要素202、及び物理的要素301(図3A及び図3Bに示す)等の要素が介入と相互作用のために識別構造体100の同じ層又は異なる層にどのように配置できるかを示す。
【0036】
図2Aは、識別構造体100の単一層に1つの光学的要素201と2つの電気的要素202の配置を示す識別構造体の第1実施形態を示す。例えば、光学要素201と2つの電気要素202は、識別構造体100のトップ層204上に配置され得る。図2B及び図2Cは、識別構造体のトップ層204上に配置される1つの要素、及びトップ層204の真下の第1層205に配置される2つの要素を示す識別構造体の第2実施形態及び第3実施形態を示す。例えば、一実施形態において、図2Bに示すように、EAS構成要素202a等の1つの電気的要素がトップ層204上に設けられ、RFID構成要素202b等の他の電気的要素及びQRコード等の光学的要素201が、トップ層204の真下の層205上に設けられ得る。また他の実施形態において、図2Cに示すように、2次元バーコード等の1つの光学的要素201がトップ層204上に設けられ、RFID構成要素202b及びEAS構成要素202a等の2つの電気要素202がトップ層204の真下の第1層205上に設けられ得る。
【0037】
また、図3A及び図3Bに示すように、識別構造体100は、識別構造体100の異なる層の表面にわたって選択位置又は特定の位置に配置された複数の物理的要素301を含む。一部の実施形態において、複数の物理的要素301は、切開、穿孔、弱化したスコアリング、スリット、エンボス加工等の1つ以上から選択される。一実施形態(図3Aに示す)において、複数の物理的要素301は、識別構造体のトップ層204全体にわたって延びる穿孔301aとして規定される。他の実施形態(図3Bに示す)において、複数の物理的要素301は、識別構造体のトップ層に形成されたスリット301bとして規定される。好ましくは、穿孔301a及びスリット301bは、識別構造体100のトップ層204に設けられた1つ以上の要素の周囲に形成又は位置する。例えば、図3Bは、QRコード等の光学要素201の周囲のスリット301bを示す。具体的に、物理的要素301は、所定の深さを有する。一部の実施形態において、物理的要素301は、トップ層204の下部の層に延びるために十分に深い。一部の実施形態において、切開又は穿孔のそれぞれの深さは、切開/穿孔が形成された基板材料及び切開や穿孔の近くに配置された要素の種類に基づいて決定される。
【0038】
図4A及び図4Bは、光学的要素、電気的要素等の他の要素に対する物理的要素の位置を含む識別構造体100の構成を示す。具体的に、図4Aは、例示的な識別構造体100の分解図を示す。この実施形態において、識別構造体100のトップ層204は紙からなり、切開等の物理的要素301はQRコード等の光学的要素201の周囲に形成される(図4B参照)。また、2つ以上の電気的要素202の第2電気的要素は、識別構造体のトップ層の真下の第1層205に設けられる。例えば、本実施形態において、図4Aに示すように、UHFアンテナ(例えば、ダイポールアンテナ)401のようなRFID構成要素は、識別構造体の第1層205上に設けられる。一部の実施形態において、第1層205は、天然(例えば、セルロース)又は合成紙等の紙であるか、紙を含む。他の実施形態において、トップ層及びトップ層の真下の第1層は、ポリプロピレン、ポリエステル等の材料で構成できることを理解すべきである。
【0039】
図4Aは、例示的な識別構造体の分解図を示す。紙からなるトップ層204の下面は、機能性接着剤402で塗布される。トップ層204は、機能性接着剤402で第1層205に固定される。一実施形態において、RFID UHFアンテナ401を含むRFID構成要素等の1つの電気的要素は、トップ層の真下の層205の第1表面に配置される。また、RFID-EASアンテナ404等の第2電気的要素は、第1層205の第2表面上に形成される。他の実施形態において、RFID UHFアンテナ401及びRFID-EASアンテナ404は、いずれも第1層205の同じ面上に同時に形成され得もする。また、持続可能な材料からなり、上面に機能性接着剤403が設けられたライナー405が第1層205に固定される。印刷された接着剤及び弱化した接着剤は識別構造体の異なる層に選択的に位置することができる。
【0040】
図4Bに示すように、光学的要素201の周囲には、所定の深さを有する切開等の複数の物理的要素301が形成される。一部の実施形態において、切開は、識別構造体のトップ層204のみを貫通するように所定の深さで形成される。一部の他の実施形態において、切開は、識別構造体のトップ層とすぐ隣の層205双方を貫通するように所定の深さで形成される。所定の深さを有する物理的要素301の存在は、物理的又は電気的な介入を含むいかなる介入も、前記要素の何れかも完全には損傷しないようにする。例えば、図5は、剥離等の物理的介入が行われた後の例示的な識別構造体100の一例を示す。本実施形態において、第1層205に配置されたUHFアンテナ401は、物理的要素301の存在により部分的に損傷し完全には損傷しない。また、アンテナによる損傷を検出可能であり、不正な介入が識別される。物理的要素301の選択的な配置及び深さは、識別構造体の層の1つが他の層よりも容易に引き裂かれ、残りの層はそのまま残ることによって、損傷していない層に含まれた識別要素を保護するように介入が伝播されるようにする。また、物理的要素の存在は、物理的介入が視覚的に認識できる改ざんのマークを残すようにする。
【0041】
識別構造体100への不正な介入を検出する方法も本明細書に記載される。本方法は、識別構造体と関連する任意の所定の属性において、検出可能な変更をもたらすように介入を伝播することを更に含む。例えば、識別構造体と関連する所定の属性は、物理的なこと、電気的なこと、光学的なこと等、又はこれらの組み合わせであり得る。また、所定の属性の変更は、物理的評価、電気的評価、若しくは光学的評価によって、又はこのような評価の組み合わせによって検出できる。
【0042】
例えば、識別構造体の剥離等の物理的介入がRFID構成要素の一部(例えば、アンテナ等、ここで、前記アンテナは識別構造体のRFID構成要素が読み取られないように引き裂かれる)が損傷した場合、所定の深さを有する物理的要素301の存在は、アンテナが完全に損傷することなく、アンテナの動作周波数の変化のみ生じるようにする。具体的に、損傷が識別構造体の層を通じて特定の方式で伝播されて、遠距離長距離読み取りは無効になるが、近距離読み取りは維持されるかまたその逆である。アンテナは、検出可能な形で変更された周波数を有し得る。例えば、改ざん前のタグの最大動作周波数は約868MHzであり得、改ざん後の最大動作周波数は約910MHzであり得る。適切に備えられたRFIDリーダーは、感度の差がポジ型なのかネガ型なのか検出して、改ざんイベントが発生したか否かを判断できる。
【0043】
さらなる実施形態において、RFIDチップは、2つの接続の静電容量の変化又は抵抗の変化等のイベントを検出できるポートを備える。詐欺/盗難イベントによる損傷は、例えば、接続を切断したり、キャパシタを形成するライン間の距離を変更したり変化させることによって状態を変更できる。このデータは、製品が展示される際など、POSで、又は売場の出口でリーダーを使用するときに、必要に応じて複数の位置でRFIDタグから読み取ることができる。従って、識別構造体の電気的構成要素の動作変化を容易に検出し、介入を識別できる。
【0044】
同様に、物理的又は電気的介入の間、EAS要素に一部変更が発生した場合、例えば、EAS要素のアンテナが引き裂かれて作動しない可能性があるが、制御された切開の深さを有する物理的要素301の存在は、アンテナが完全に損傷することなく、アンテナの作動周波数の変化のみ発生するようにする。例えば、8.2MHzで共振するように設計された作動状態であるRF-EAS装置について周波数の変更が発生し得るが、機械的な力が加わる前に、周波数が約6MHzであり得、これによりEASが作動しないか、感度が低下し得る。機械的な力が加わった後、EASは8.2MHzに調整されるので、ラベルが改ざんされた後も検出の可能性が最大化する。
【0045】
上述した内容は、請求した発明の対象の実施例を含む。当然のことながら、請求した発明の対象を説明するために、構成要素又は方法論の全ての考えられる組み合わせを説明することは可能ではなく、当業者であれば、請求した発明の対象の多くのさらなる組み合わせ及び並び換えが可能であることを認識することができる。従って、請求した発明の対象は、添付の特許請求の範囲の主旨及び範囲内の全ての変更、修正及び変形を含むものである。さらに、詳細な説明又は特許請求の範囲に「含む(include)」という用語が用いられる場合、かかる用語は、「構成する(comprising)」が請求範囲で暫定の単語として用いられるときに解釈されるように、「構成する(comprising)」という用語と同様の形で包括的に用いられる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
【国際調査報告】