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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】貫流エアダクト及び送風装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20240918BHJP
   F04D 17/04 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
F04D29/44 D
F04D17/04 D
F04D29/44 K
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519460
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 CN2022089930
(87)【国際公開番号】W WO2023050796
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111168578.4
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516164151
【氏名又は名称】珠海格力▲電▼器股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GREE ELECTRIC APPLIANCES, INC. OF ZHUHAI
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張 弛
(72)【発明者】
【氏名】柳 洲
(72)【発明者】
【氏名】梁 浩
(72)【発明者】
【氏名】梁 文龍
(72)【発明者】
【氏名】饒 長健
(72)【発明者】
【氏名】田 伶
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB02
3H130AB26
3H130AB54
3H130AC25
3H130BA61A
3H130CA06
3H130CB00
3H130EA07A
3H130EA07C
3H130EA08A
3H130EA08C
3H130EB01A
(57)【要約】
貫流エアダクト及び送風装置を開示する。貫流エアダクトは、ボリュート(1)及びボリュート舌部(2)を備える。ボリュート(1)は第1本体(101)を備え、第1本体(101)の第1側は吸気側であり、第2側は送風側である。ボリュート舌部(2)は第2本体(201)を備え、第2本体(201)の第1側は吸気側であり、第2側は送風側であり、第1側同士の間には吸気口が形成され、第2側同士の間には送風口が形成される。第1送風開口と第2送風開口はボリュート(1)の軸方向に沿って離隔するように交互に配置される。該貫流エアダクトにおいては複数の互いに方向が異なる送風エリアが形成されて、送風の幅を全体的に拡大して、送風範囲を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫流エアダクトであって、ボリュート(1)及びボリュート舌部(2)を備え、
前記ボリュート(1)は第1本体(101)を備え、前記第1本体(101)の第1側は吸気側であり、前記第1本体(101)の第2側は送風側であり、
前記ボリュート舌部(2)は前記ボリュート(1)と離隔して配置され、前記ボリュート舌部(2)は第2本体(201)を備え、前記第2本体(201)の第1側は吸気側であり、前記第2本体(201)の第2側は送風側であり、前記第1本体(101)と前記第2本体(201)の間には羽根車(3)が取り付けられるための取付スペースが形成され、前記第1本体(101)の第1側と前記第2本体(201)の第1側の間には吸気口が形成され、前記第1本体(101)の第2側と前記第2本体(201)の第2側の間には送風口が形成され、
前記送風口は複数の第1送風開口及び複数の第2送風開口を含み、前記第1送風開口と前記第2送風開口は前記ボリュート(1)の軸方向に沿って離隔するように交互に配置される
ことを特徴とする貫流エアダクト。
【請求項2】
前記第1本体(101)の第2側には、前記ボリュート(1)の軸方向に沿って離隔して配置された複数の第1導風板(102)が設けられ、前記第1導風板(102)と前記第2本体(201)の間において前記第1送風開口が成型され、
前記第2本体(201)の第2側には、前記ボリュート(1)の軸方向に沿って離隔して配置された複数の第2導風板(202)が設けられ、前記第2導風板(202)と前記第1本体(101)の間において前記第2送風開口が成型され、前記第1導風板(102)と前記第2導風板(202)は前記ボリュート(1)の軸方向に沿って交互に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の貫流エアダクト。
【請求項3】
前記第1導風板(102)は第1板本体(1021)と、前記第1板本体(1021)の端部に設けられ且つ前記取付スペースの外側へ延びる第1導風面(1022)とを備え、
前記第1板本体(1021)の第2側には前記取付スペースの外側へ延びる第2導風面(103)が設けられ、
前記第2導風板(202)は第2板本体(2021)と、前記第2板本体(2021)の端部に設けられ且つ前記取付スペースの外側へ延びる第3導風面(2022)とを備え、
前記第2板本体(2021)の第2側には前記取付スペースの外側へ延びる第4導風面(203)が設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の貫流エアダクト。
【請求項4】
前記第1導風面(1022)と前記第2導風面(103)との中心対称面を第1面(6)と定義し、前記第3導風面(2022)と前記第4導風面(203)との中心対称面を第2面(7)と定義し、前記第1面(6)と前記第2面(7)の間の夾角はθであり、0<θ≦40°である
ことを特徴とする請求項3に記載の貫流エアダクト。
【請求項5】
前記第1本体(101)の第2側と前記第2本体(201)の第2側との中心対称面を転位基準面(5)と定義し、前記第1面(6)と前記第2面(7)は前記転位基準面(5)の両側に位置し、前記第1面(6)と前記転位基準面(5)の間の夾角はθ1であり、0<θ1≦20°である
ことを特徴とする請求項4に記載の貫流エアダクト。
【請求項6】
前記第1本体(101)の第2側と前記第2本体(201)の第2側との中心対称面を転位基準面(5)と定義し、前記第1面(6)と前記第2面(7)は前記転位基準面(5)の両側に位置し、前記第2面(7)と前記転位基準面(5)の間の夾角はθ2であり、0<θ2≦20°である
ことを特徴とする請求項4に記載の貫流エアダクト。
【請求項7】
前記第1本体(101)の第2側と前記第2本体(201)の第2側との中心対称面を転位基準面(5)と定義し、前記第1面(6)と前記第2面(7)は前記転位基準面(5)の両側に位置し、前記第1面(6)と前記転位基準面(5)の間の夾角はθ1であり、前記第2面(7)と前記転位基準面(5)の間の夾角はθ2であり、0<θ1≦20°であり、0<θ2≦20°である
ことを特徴とする請求項4に記載の貫流エアダクト。
【請求項8】
前記第1本体(101)の第1側には、前記ボリュート(1)の軸方向に沿って離隔して配置される複数の第3導風板(104)が設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の貫流エアダクト。
【請求項9】
前記第2本体(201)の第1側には吸気導風面(204)が設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の貫流エアダクト。
【請求項10】
前記送風口に設けられる送風グリッド(4)を更に備え、
前記送風グリッド(4)は、前記ボリュート(1)の軸方向に沿って交互に設けられる第1グリッドセグメント(401)と第2グリッドセグメント(402)を含み、前記第1グリッドセグメント(401)と前記第2グリッドセグメント(402)はそれぞれ複数設けられており、
前記第1グリッドセグメント(401)は前記第1送風開口に対応するように設けられ、前記第2グリッドセグメント(402)は前記第2送風口に対応するように設けられ、前記第1グリッドセグメント(401)の縦方向中心対称面は前記第1本体(101)の第2側に近接し、前記第2グリッドセグメント(402)の縦方向中心対称面は前記第2本体(201)の第2側に近接する
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の貫流エアダクト。
【請求項11】
前記第1グリッドセグメント(401)の縦方向中心対称面を第1中心対称面(4011)と定義し、前記第2グリッドセグメント(402)の縦方向中心対称面を第2中心対称面(4021)と定義し、前記第1中心対称面(4011)と前記第2中心対称面(4021)の間の夾角はβであり、0<β≦50°である
ことを特徴とする請求項10に記載の貫流エアダクト。
【請求項12】
前記第1本体(101)の第2側と前記第2本体(201)の第2側との中心対称面を転位基準面(5)と定義し、前記第1中心対称面(4011)と前記転位基準面(5)の間の夾角はβ1であり、0<β1≦25°である
ことを特徴とする請求項11に記載の貫流エアダクト。
【請求項13】
前記第1本体(101)の第2側と前記第2本体(201)の第2側との中心対称面を転位基準面(5)と定義し、前記第2中心対称面(4021)と前記転位基準面(5)の間の夾角はβ2であり、0<β2≦25°である
ことを特徴とする請求項11に記載の貫流エアダクト。
【請求項14】
前記第1本体(101)の第2側と前記第2本体(201)の第2側との中心対称面を転位基準面(5)と定義し、前記第1中心対称面(4011)と前記転位基準面(5)の間の夾角はβ1であり、前記第2中心対称面(4021)と前記転位基準面(5)の間の夾角はβ2であり、0<β1≦25°であり、0<β2≦25°である
ことを特徴とする請求項11に記載の貫流エアダクト。
【請求項15】
前記貫流エアダクトは、前記取付スペース内に設けられる羽根車(3)を更に備え、前記羽根車(3)の直径はDである
ことを特徴とする請求項1ないし9、11ないし14のいずれか一項に記載の貫流エアダクト。
【請求項16】
前記第2本体(201)の横断面は円弧であり、前記第2本体(201)の軸線と前記羽根車(3)の軸線とは同一線である
ことを特徴とする請求項15に記載の貫流エアダクト。
【請求項17】
前記第2本体(201)と前記羽根車(3)の間の、径方向における最小距離はAであり、1D/28≦A≦1D/10である
ことを特徴とする請求項16に記載の貫流エアダクト。
【請求項18】
前記第1本体(101)と前記羽根車(3)の間の距離が最小になる位置がボリュート喉部(105)であり、前記ボリュート喉部(105)と前記羽根車(3)の間の距離はBであり、1D/22≦B≦1D/11である
ことを特徴とする請求項15に記載の貫流エアダクト。
【請求項19】
前記第1グリッドセグメント(401)及び/又は前記第2グリッドセグメント(402)の長さはCであり、1D/9≦C≦1D/4である
ことを特徴とする請求項15に記載の貫流エアダクト。
【請求項20】
送風グリッド(4)と前記羽根車(3)の間の、径方向における距離はFであり、1D/6≦F≦1D/3である
ことを特徴とする請求項15に記載の貫流エアダクト。
【請求項21】
前記羽根車(3)は複数の羽根車セグメント(301)を含み、隣り合う2つの第1導風板(102)、或いは、隣り合う2つの第2導風板(202)、或いは、隣り合う2つの第1グリッドセグメント(401)、或いは、隣り合う2つの第2グリッドセグメント(402)の間の距離は、N個の羽根車セグメント(301)の長さであり、1≦N≦3である
ことを特徴とする請求項15に記載の貫流エアダクト。
【請求項22】
請求項1ないし21のいずれか一項に記載の貫流エアダクトを備える
ことを特徴とする送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本発明は、2021年9月30日に中国特許庁に出願された、出願番号が202111168578.4であって発明の名称が「貫流エアダクト及び送風装置」である中国特許出願の優先権を主張し、そのすべての内容を引用により本発明に組み込む。
【0002】
本発明は扇風機技術分野に関し、具体的には貫流エアダクト及び送風装置に関する。
【背景技術】
【0003】
生活品質の向上に伴って、扇風機の機能や性能の多様性が求められており、快適な体験を提供できる扇風機がもっと人気になる。現在、市場中のタワーファンは、細長い外見をして占有面積が小さく、羽が露出せず安全性がより高く、その多翼羽貫流羽根車と長ストロークのエアダクトによって、風力の上下切り替えが均一で送風の連続性が高い。しかし、市場中のタワーファンは、タワーの形及び羽根の小さい直径により制限されて送風口が狭く、それに、貫流エアダクトのボリュートがほとんどアルキメデスの螺旋ラインあるいは対数螺旋ラインで設計されるため、流体が螺旋ラインの接線方向に沿って送り出される一方、ボリュート形ライン近傍の風圧はボリュートから離れた位置の風圧より高いため、送風口においてボリュートに近い位置の風速と、ボリュートから離れた位置の風速とは差異があり、すなわち送風口の左右両側の風速が不均一になる。また、送風面積が限られるため、送風範囲が狭くて、ユーザーの体表面温度は均一にならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、関連技術において貫流エアダクトの送風範囲が狭い技術問題を解決して、送風範囲を向上できる貫流エアダクト及び送風装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、貫流エアダクトを提供する。該貫流エアダクトはボリュート及びボリュート舌部を備え、前記ボリュートは第1本体を備え、前記第1本体の第1側は吸気側であり、前記第1本体の第2側は送風側であり、前記ボリュート舌部は前記ボリュートと離隔するように設置され、前記ボリュート舌部は第2本体を備え、前記第2本体の第1側は吸気側であり、前記第2本体の第2側は送風側である。前記第1本体と前記第2本体の間には、羽根車が取り付けられるための取付スペースが形成され、前記第1本体の第1側と前記第2本体の第1側の間には吸気口が形成され、前記第1本体の第2側と前記第2本体の第2側の間には送風口が形成される。前記送風口は複数の第1送風開口と複数の第2送風開口とを含み、前記第1送風開口と前記第2送風開口は前記ボリュートの軸方向に沿って離隔するように交互に設置される。
【0006】
前記第1本体の第2側には、前記ボリュートの軸方向に沿って離隔して配置された複数の第1導風板が設けられ、前記第1導風板と前記第2本体の間において前記第1送風開口が成型される。
【0007】
前記第2本体の第2側には、前記ボリュートの軸方向に沿って離隔して配置された複数の第2導風板が設けられ、前記第2導風板と前記第1本体の間には前記第2送風開口が成型されており、前記第1導風板と前記第2導風板は前記ボリュートの軸方向において交互に設置される。
【0008】
前記第1導風板は第1板本体と、前記第1板本体の端部に設けられ且つ前記取付スペースの外側へ延びる第1導風面とを備える。前記第1板本体の第2側には第2導風面が設けられており、前記第2導風面は前記取付スペースの外側へ延びる。
【0009】
前記第2導風板は第2板本体と、前記第2板本体の端部に設けられ且つ前記取付スペースの外側へ延びる第3導風面とを備える。前記第2板本体の第2側には第4導風面が設けられており、前記第4導風面は前記取付スペースの外側へ延びる。
【0010】
前記第1導風面と前記第2導風面との中心対称面を第1面と定義し、前記第3導風面と前記第4導風面との中心対称面を第2面と定義する。前記第1面と前記第2面の間の夾角はθであり、0<θ≦40°である。
【0011】
前記第1本体の第2側と前記第2本体の第2側との中心対称面を転位基準面と定義し、前記第1面と前記第2面は前記転位基準面の両側に位置し、前記第1面と前記転位基準面の間の夾角はθ1であり、前記第2面と前記転位基準面の間の夾角はθ2であり、ここで、0<θ1≦20°であり、及び/又は、0<θ2≦20°である。
【0012】
前記第1本体の第1側には前記ボリュートの軸方向に沿って離隔して配置される複数の第3導風板が設けられる。
【0013】
第2本体の第1側には吸気導風面が設けられる。
【0014】
貫流エアダクトは、送風口に設けられる送風グリッドを更に備え、前記送風グリッドは、ボリュートの軸方向に沿って交互に設けられる第1グリッドセグメントと第2グリッドセグメントを備える。前記第1グリッドセグメントと前記第2グリッドセグメントはそれぞれ複数設けられており、前記第1グリッドセグメントは前記第1送風開口に対応するように設けられ、前記第2グリッドセグメントは前記第2送風開口に対応するように設けられる。それに、前記第1グリッドセグメントの縦方向中心対称面は前記第1本体の第2側に近接し、前記第2グリッドセグメントの縦方向中心対称面は前記第2本体の第2側に近接する。
【0015】
前記第1グリッドセグメントの縦方向中心対称面を第1中心対称面と定義し、前記第2グリッドセグメントの縦方向中心対称面を第2中心対称面と定義する。第1中心対称面と第2中心対称面の間の夾角はβであり、0<β≦50°である。
【0016】
前記第1本体の第2側と前記第2本体の第2側との中心対称面を転位基準面と定義する。前記第1中心対称面と前記転位基準面の間の夾角はβ1であり、前記第2中心対称面と前記転位基準面の間の夾角はβ2であり、ここで、0<β1≦25°であり、及び/又は、0<β2≦25°である。
【0017】
貫流エアダクトは、前記取付スペース中に設置される羽根車を更に備え、前記羽根車の直径がDである。
【0018】
第2本体の横断面は円弧であり、前記第2本体の軸線と前記羽根車の軸線は同一線にある。
【0019】
第2本体と前記羽根車の間の径方向における最小距離はAであり、1D/28≦A≦1D/10である。
【0020】
第1本体と前記羽根車の間の距離が最小になる位置がボリュート喉部であり、前記ボリュート喉部と前記羽根車の間の距離がBであり、1D/22≦B≦1D/11である。
【0021】
第1グリッドセグメント及び/又は前記第2グリッドセグメントの長さはCであり、1D/9≦C≦1D/4である。
【0022】
送風グリッドと前記羽根車の間の径方向における距離はFであり、1D/6≦F≦1D/3である。
【0023】
羽根車は複数の羽根車セグメントを備え、隣り合う2つの第1導風板、或いは、隣り合う2つの第2導風板、或いは、隣り合う2つの第1グリッドセグメント、或いは、隣り合う2つの第2グリッドセグメントの間の距離は、N個の羽根車セグメントの長さであり、ここで、1≦N≦3である。
【0024】
本実施例は送風装置を更に提供し、該送風装置は上述した貫流エアダクトを備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明の技術案は以下のメリットがある。
本発明に係る貫流エアダクトは、第1本体と第2本体の間において送風口及び吸気口が成型されており、送風口を、ボリュートの軸方向に沿って交互に設けられる第1送風開口と複数の第2送風開口に分けることによって、複数の互いに方向が異なる送風エリアを形成する。ボリュートの所在側を左側と定義し、ボリュート舌部の所在側を右側と定義すると、第1送風開口が位置する左側は第2送風開口が位置する左側に対して左にあり、第2送風開口の右側は第1送風開口の右側に対して右にある。これによって、送風の幅を全体的に拡大して、送風範囲を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の具体的な実施形態又は関連技術による技術手段をより明確に説明するために、以下、具体的な実施形態又は関連技術に対する説明に用いる図面を簡単に紹介する。明らかに、以下説明される図面は本発明の一部の実施形態に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働を行わずにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
図1】本発明の実施例1に係る貫流エアダクトの構造模式図である。
図2図1に示す羽根車の構造模式図である。
図3図1の上面図である。
図4図1に示す貫流エアダクトの、送風グリッドが設けられていない場合の構造模式図である。
図5図4による吸気側部分の構造模式図である。
図6図5に示す貫流エアダクトの、羽根車が設けられていない場合の構造模式図である。
図7】ボリュートの構造模式図である。
図8】ボリュート舌部の、1つの角度の構造模式図である。
図9】ボリュート舌部の、もう一つの角度の構造模式図である。
図10図4の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の技術手段を明確、完全に説明する。明らかに、説明される実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。当業者が本発明の実施例を基づいて創造的な労働を行わずに得られる他の実施例はすべて本発明の保護範囲に属する。
【0028】
なお、本発明の記述において、「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」等の用語により指示される方位或いは位置関係は、図面に示した方位或いは位置関係であり、本発明に対する説明と、説明を簡潔化するために用いるものに過ぎず、示される装置や素子が必ず特定な方位を有するか、特定な方位で構成、操作されることを指示或いは暗示するものではなく、したがって本発明に対する制限として理解されてはならない。また、用語の「第1」、「第2」、「第3」は、記述するために用いられるものに過ぎず、相対的な重要性を指示或いは暗示することとして理解されてはならない。
【0029】
なお、本発明の記述において、別途で明確に規定や限定されていない以上、用語の「取付」、「連結」、「接続」は広義で理解されるべきである。例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、或いは一体的な接続であってもよく、また、機械的な接続であってもよく、電気的な接続であってもよく、また、直接接続であってもよく、中間媒体を介する間接接続であってもよく、2つの素子の内部での接続であってもよい。当業者であれば、具体的な状況によって上述の用語の、本発明での具体的な意味を理解することができる。
【0030】
また、以下で記述される本発明のそれぞれ異なる実施形態に係る技術構成は、互いに矛盾しない以上、組合せられることができる。
【0031】
<実施例1>
生活品質の向上に伴って、扇風機の機能や性能の多様性が求められており、快適な体験を提供できる扇風機がもっと人気になる。現在、市場中のタワーファンは、細長い外見をして占有面積が小さく、羽が露出せず安全性がより高く、その多翼羽貫流羽根車と長ストロークのエアダクトによって、風力の上下切り替えが均一で送風の連続性が高い。しかし、市場中のタワーファンは、タワーの形及び羽根の小さい直径により制限されて送風口が狭く、それに、貫流エアダクトのボリュートがほとんどアルキメデスの螺旋ラインあるいは対数螺旋ラインで設計されるため、流体が螺旋ラインの接線方向に沿って送り出される一方、ボリュート形ライン近傍の風圧はボリュートから離れた位置の風圧より高いため、送風口においてボリュートに近い位置の風速とボリュートから離れた位置の風速とは差異があり、すなわち送風口の左右両側の風速が不均一になる。また、送風面積が限られるため、送風範囲が狭くて、ユーザーの体表面温度が均一にならない。
【0032】
これに鑑みて、図1ないし図10に示すように、本実施例は、送風範囲を向上できる貫流エアダクトを提供する。
【0033】
1つの実施形態において、貫流エアダクトはボリュート1とボリュート舌部2を備える。ボリュート1は第1本体101を備え、第1本体101の第1側は吸気側であり、第1本体101の第2側は送風側である。ボリュート舌部2はボリュート1から離隔するように設けられ、ボリュート舌部2は第2本体201を備え、第2本体201の第1側は吸気側であり、第2本体201の第2側は送風側である。第1本体101と第2本体201の間において、羽根車3を取り付けるための取付スペースが形成される。第1本体101の第1側と第2本体201の第1側の間において吸気口が形成される。第1本体101の第2側と第2本体201の第2側の間において送風口が形成される。送風口は複数の第1送風開口と複数の第2送風開口を含み、第1送風開口と第2送風開口は前記ボリュートの軸方向に沿って離隔するように交互に設けられる。
【0034】
第1本体101と第2本体201の間において送風口及び吸気口が成型されており、送風口を、ボリュート1の軸方向に沿って交互に設けられる第1送風開口と複数の第2送風開口に分けることによって、複数の互いに方向が異なる送風エリアを形成する。第1本体101の第2側には、ボリュート1の軸方向に沿って離隔して配置された複数の第1導風板102が設けられ、第1導風板102と前記第2本体の間において前記第1送風開口が成型される。第2本体201の第2側には、ボリュート1の軸方向に沿って離隔して配置された複数の第2導風板202が設けられ、第2導風板202と前記第1本体101の間には前記第2送風開口が成型されており、第1導風板102と第2導風板202はボリュート1の軸方向において交互に設けられる。ボリュート1の所在側を左側と定義し、ボリュート舌部2の所在側を右側と定義すると、第1送風開口が位置する左側は第2送風開口が位置する左側に対して左にあり、第2送風開口の右側は第1送風開口の右側に対して右にある。これによって、送風の幅を全体的に拡大して、送風範囲を向上させる。
【0035】
上述した実施形態を基礎とし、一部の実施形態において、第1導風板102は第1板本体1021と、第1板本体1021の端部に設けられ且つ取付スペースの外側へ延びる第1導風面1022とを備える。第1板本体1021の第2側には第2導風面103が設けられており、第2導風面103は取付スペースの外側へ延びる。第2導風板202は第2板本体2021と、第2板本体2021の端部に設けられ且つ取付スペースの外側へ延びる第3導風面2022とを備える。第2板本体2021の第2側には第4導風面203が設けられており、第4導風面203は取付スペースの外側へ延びる。該実施形態においては、第1導風面1022、第2導風面103、第3導風面2022、第4導風面203を設けることにより、送風方向を誘導することができ、風が外側へ送られるように確保して、送風箇所における気流の乱れを避ける。1つの交替可能な実施形態として、第1板本体1021の端面、第2板本体2021の端面、第1本体101の第2側、第2本体201の第2側においてそれぞれ誘導斜面を設けて、誘導斜面によって送風方向を誘導することができる。
【0036】
具体的に、1つの実施形態においては、第1導風面1022、第2導風面103、第3導風面2022、第4導風面203がそれぞれ羽根車3の径方向に沿って外部へ延びるように設けることができる。
【0037】
上述した実施形態を基礎とし、一部の実施形態においては、図7に示すように、第1導風面1022と第2導風面103との中心対称面を第1面6と定義し、第3導風面2022と第4導風面203との中心対称面を第2面7と定義する。第1面6と第2面7の間の夾角はθであり、0<θ≦40°である。該実施形態において、第1面6と第2面7の間の夾角はすなわち第1送風エリアと第2送風エリアの間の転位角度である。該実施形態では、第1送風エリアと第2送風エリアの転位角度を制限することによって、転位角度過大に起因して貫流エアダクト内部の気流速度及び圧力分布がより不均一になることを避けることができる。なお、このような不均一な気流がボリュート舌部2、ボリュート1及び羽根車3に作用した場合、時間に従う気流圧力のパルセーションが形成され、羽根車3のブレードの回転により発生した気流パルセーションは継続して周期的にボリュート舌部2、ボリュート1等のエアダクト本体を衝撃して回転騒音のピーク値を増大し、気流の不均一性が大きいほど騒音が強くなる。ずれが過大になる場合、羽根車3内部の貫流連続性が破壊され、明らかな左右偏差のある風感が生じて、エアダクトの風量及び送風効果を影響してしまう。よって、該実施形態では第1送風エリアと第2送風エリアの転位角度を制限することによって、送風幅を拡大して送風範囲を向上させるとともに、騒音の増大を抑え、エアダクトの風量を影響しない。
【0038】
具体的に、1つの実施形態において、θは40°である。一部の交替可能な実施形態において、θは20°或いは30°である。
【0039】
上述した実施形態を基礎とし、一部の実施形態においては、第1本体101の第2側と第2本体201の第2側との中心対称面を転位基準面5と定義し、第1面6と第2面7は転位基準面5の両側に位置し、第1面6と転位基準面5の間の夾角はθ1であり、第2面7と転位基準面5の間の夾角はθ2であり、0<θ1≦20°であり、0<θ2≦20°である。交替可能な実施形態としては、0<θ1≦20°であり且つθ2が20°より大きいか、又は、θ1が20°より大きく且つ0<θ2≦20°である。貫流エアダクトのボリュート1の弦線は螺旋状に設けられ、出口における流体は本来のボリュート1のコード線接線方向に沿って送り出されるため、螺旋ラインの延長部の、ボリュート1の背板に近接する箇所の風速はボリュート1から離れた箇所の風速より高い。第1送風エリアと第2送風エリアの転位角度が大きすぎる場合、隣り合うエアダクトセグメントの間の風圧勾配が大きくなって、隣り合う第1送風エリア、第2送風エリアの送風風速が不均一になるとともに、騒音及び音質も影響される。したがって、該実施形態では第1面6と転位基準面5の間の夾角、第2面7と転位基準面5の間の夾角を限定し、すなわち第1送風エリアの中心と転位基準面5の間の夾角、第2送風エリアの中心と転位基準面5の間の夾角を限定することによって、隣り合う第1送風エリア、第2送風エリアの送風風速の不均一さを避けるとともに、騒音の増大を防ぎ、音質も保証することができる。
【0040】
上述した実施形態を基礎とし、一部の実施形態において、第1本体101の第1側にはボリュート1の軸方向に沿って離隔して配置された複数の第3導風板104が設けられる。該実施形態では、第3導風板104を配置することによって貫流エアダクトの安定性を保証できる。
【0041】
上述した実施形態を基礎とし、一部の実施形態において、第2本体201の第1側には吸気導風面204が設けられる。該実施形態では、吸気導風面204とボリュート1の協同作用によって、外部の空気は貫流エアダクトの中に順調に進入できる。吸気導風面204は羽根車3の径方向に沿って延びる斜面である。
【0042】
貫流エアダクトは、送風口に設けられる送風グリッド4を更に備え、送風グリッド4は、ボリュート1の軸方向に沿って交互に設けられる第1グリッドセグメント401と第2グリッドセグメント402を含む。第1グリッドセグメント401と前記第2グリッドセグメント402はそれぞれ複数設けられており、第1グリッドセグメント401の縦方向中心対称面は第1本体101の第2側に近接し、第2グリッドセグメント402の縦方向中心対称面は第2本体201の第2側に近接する。なお、縦方向中心対称面は羽根車3の軸線と同一平面にある。
【0043】
該実施形態では、第1グリッドセグメント401と第2グリッドセグメント402を交互に設け、且つ第1グリッドセグメント401の縦方向中心対称面が第1本体101の第2側に近接し、第2グリッドセグメント402の縦方向中心対称面が第2本体201の第2側に近接し、第1グリッドセグメント401が前記第1送風開口に対応するように設けられ、前記第2グリッドセグメント402が前記第2送風口に対応するように設けられ、第1本体101の第2側が左側に位置し、第2本体201の第2側が右側に位置する。これによって、従来のエアダクトの送風範囲が狭い問題を効果的に改善でき、タワーファンの貫流エアダクトの上下送風の切り替え動作の連続性を保証する同時に、より広い範囲への送風を実現して、機器全体の風感を向上させて、ユーザーの快適な体験を向上させる。
【0044】
上述した実施形態を基礎とし、一部の実施形態においては、第1グリッドセグメント401の縦方向中心対称面を第1中心対称面4011と定義し、第2グリッドセグメント402の縦方向中心対称面を第2中心対称面4021と定義し、第1中心対称面4011と第2中心対称面4021の間の夾角がβであり、0<β≦50°とする。第1中心対称面4011と第2中心対称面4021の間の夾角はすなわち第1グリッドセグメント401と第2グリッドセグメント402の転位角度である。第1グリッドセグメント401と第2グリッドセグメント402の転位角度が過大になると、騒音及び風量は異常になる。これに鑑みて、該実施形態では、第1グリッドセグメント401と第2グリッドセグメント402の転位角度を制限することによって、送風範囲を確保する前提で、騒音の増大を抑え、風量を保証する。
【0045】
上述した実施形態を基礎とし、一部の実施形態では、第1本体101の第2側と第2本体201の第2側との中心対称面を転位基準面5と定義し、第1中心対称面4011と転位基準面5の間の夾角がβ1であり、第2中心対称面4021と転位基準面5の間の夾角がβ2であり、0<β1≦25°且つ0<β2≦25°とする。交替可能な実施形態においては、0<β1≦25°且つβ2が25°より大きいか、或いは0<β2≦25°且つβ1が25°より大きい。該実施形態において、第1中心対称面4011と転位基準面5の間の夾角は第1グリッドセグメント401の、左へ偏向する角度であり、第2中心対称面4021と転位基準面5の間の夾角は第2グリッドセグメント402の、右へ偏向する角度である。該実施形態ではさらに第1グリッドセグメント401、第2グリッドセグメント402の偏向角度に対して制限することによって、送風範囲を確保する前提で、騒音の増大を抑え、風量を保証する。
【0046】
上述した実施形態を基礎とし、一部の実施形態において、第1グリッドセグメント401及び/又は第2グリッドセグメント402の長さはCであり、1D/9≦C≦1D/4である。第1グリッドセグメント401、第2グリッドセグメント402の長さが短すぎると、導風効果が弱くなるだけでなく、送風口の風圧が足りなくて風速が低下して、エアダクトの送風効果が影響される。一方で、第1グリッドセグメント401、第2グリッドセグメント402の長さが長すぎると、グリッドと送風流体の間の動静干渉が増大して、騒音のピーク値が高くなる。そこで、該実施形態では、第1グリッドセグメント401、第2グリッドセグメント402の長さを制限することによって、送風効果を確保する上で騒音の増強を抑えることができる。なお、第1グリッドセグメント401と第2グリッドセグメント402の長さは送風方向における長さである。
【0047】
1つの実施形態において、第1グリッドセグメント401と第2グリッドセグメント402は長さが等しい。他の交替可能な実施形態において、第1グリッドセグメント401の長さと第2グリッドセグメント402の長さは等しくない。
【0048】
上述した実施形態を基礎とし、一部の実施形態において、貫流エアダクトは、取付スペース内に設けられる羽根車3を更に備え、羽根車3の直径はDである。該実施形態では、ボリュート1、ボリュート舌部2、羽根車3、送風グリッド4が共同で貫流エアダクトを形成する。
【0049】
上述した実施形態を基礎とし、一部の実施形態において、第2本体201の横断面は円弧であり、第2本体201の軸線と羽根車3の軸線とは同一線である。該実施形態において、ボリュート舌部2は上手く気流を導いて、分流錐の役割を果たすことができる。
【0050】
上述した実施形態を基礎とし、一部の実施形態において、第2本体201と羽根車3の間の、径方向における最小距離はAであり、1D/28≦A≦1D/10である。第2本体201と羽根車3の間の、径方向における距離はボリュート舌部2と羽根車3の間の隙間であり、ボリュート舌部2と羽根車3の間の隙間と、羽根車3の直径との比の値は、流量及び効率を大きく影響するとともに、貫流エアダクトの圧力にもある程度影響を与える。隙間が大きい場合、ファンの圧力が降下して流量が低下する。隙間が小さい場合、圧力が上昇して流量が増加するが、騒音のピーク値及び音質が悪くなり、加えて貫流エアダクトの組み立てと羽根車3の安全規則等にも影響を与える。そこで、該実施形態では、第2本体201と羽根車3との間の、径方向における最小距離を制限することによって、ある程度の圧力及び流量を確保するとともに、騒音の増大及び音質への影響を避けることができる。
【0051】
上述した実施形態を基礎とし、一部の実施形態において、第1本体101と羽根車3の間の距離が最小になる位置がボリュート喉部105であり、ボリュート喉部105と羽根車3の間の距離はBであり、1D/22≦B≦1D/11である。羽根車3とボリュート1の間の距離が大きくなると、風量が降下するとともに、ボリュート1の第1側における渦流エリアが漸次大きくなって、空気案内の乱流による騒音が大きくなる。一方、ボリュート喉部105と羽根車3の間の距離が小さすぎると、羽根車3の内部気流の風速及び圧力の不均一さが増大し、ボリュート1周辺エリアのパルセーション力が強くなって、回転騒音が大きくなる。そこで、該実施形態では、ボリュート喉部105と羽根車3の間の距離を限定することによって、羽根車3の内部風速及び圧力の均一さを確保するとともに騒音を減少することができる。
【0052】
上述した実施形態を基礎とし、一部の実施形態において、送風グリッド4と羽根車3の間の、径方向における距離はFであり、1D/6≦F≦1D/3である。送風グリッド4と羽根車3の間の距離が短すぎると、エアダクト出口の圧力パルセーションが激しくなって、流体場内の広帯域騒音が大きくなる。また、出口隙間が過小になると、流体場内の流体の流れが不均一になって風量が損失して、出口の風速が低下する。そこで、該実施形態では、送風グリッド4と羽根車3の間の、径方向における距離を限定することによって、エアダクト出口の騒音が大きくなることを防止し、風量の損失を減少して、出口の風速の大きさを保証することができる。
【0053】
上述した実施形態を基礎とし、一部の実施形態においては、図2に示すように、羽根車3は複数の羽根車セグメント301を含み、隣り合う2つの第1グリッドセグメント401又は隣り合う2つの第2グリッドセグメント402、隣り合う2つの第1導風板102又は隣り合う2つの第2導風板202の間距離はN個の羽根車セグメント301の長さとなる。ここで、1≦N≦3である。
【0054】
隣り合う2つの第1グリッドセグメント401の間の距離は第2グリッドセグメント402の高さであり、隣り合う2つの第2グリッドセグメント402の間の距離は第1グリッドセグメント401の高さである。該実施形態では、第1グリッドセグメント401の高さ、第2グリッドセグメント402の高さを制限し、すなわちグリッドの離散的な転位周波数を制限する。貫流エアダクトはボリュート1及びボリュート舌部2の作用により羽根車3の流体場内部で渦巻を形成し、渦巻が羽の回転軸線の中心から外れると、貫流が発生する。第1グリッドセグメント401、第2グリッドセグメント402の高さが小さすぎると、出口の流体場の離散周波数が増大してエアダクトの内部風圧が影響されて、単一セグメントの偏心渦巻位置が不安定で羽の内部で安定な貫流エリアを形成できず、隣り合うセグメントの間の流体場が乱れて、機器全体の騒音、音質、出口風速及び流量へ大きな影響を与えてしまう。第1グリッドセグメント401、第2グリッドセグメント402の高さが大きすぎると、流体場の転位幅が増大して、隣り合うエアダクトセグメントが転位して送り出した風が遠い箇所で集まらず、明らかに左右偏差がある風感が生じて、ユーザー体験が影響されてしまう。そこで、該実施形態では、第1グリッドセグメント401の高さ、第2グリッドセグメント402の高さを制限することによって、羽の内部で安定な貫流エリアを形成することを確保して、機器全体の騒音、音質、出口風速及び流量を影響せず、左右の風速が均一になる。
【0055】
<実施例2>
本発明は送風装置を提供し、具体的にはファン構造であって、エアコン、冷風機等の送風装置であってもよく、上述した実施例に係る貫流エアダクトを備える。
【0056】
明らかに、以上の実施例は明確に説明するために挙げた例に過ぎず、実施形態に対する制限ではない。当業者であれば、以上の説明に基づいて他の形の変化や変形を得ることができる。ここではすべての実施形態を列挙することが不可能であるし、その必要もない。本文の記載から拡張し得た明らかな変化や変形は本発明の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0057】
1、ボリュート
101、第1本体
102、第1導風板
1021、第1板本体
1022、第1導風面
103、第2導風面
104、第3導風板
105、ボリュート喉部
2、ボリュート舌部
201、第2本体
202、第2導風板
2021、第2板本体
2022、第3導風面
203、第4導風面
204、吸気導風面
3、羽根車
301、羽根車セグメント
4、送風グリッド
401、第1グリッドセグメント
4011、第1中心対称面
402、第2グリッドセグメント
4021、第2中心対称面
5、転位基準面
6、第1面
7、第2面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-03-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫流エアダクトであって、ボリュート(1)及びボリュート舌部(2)を備え、
前記ボリュート(1)は第1本体(101)を備え、前記第1本体(101)の第1側は吸気側であり、前記第1本体(101)の第2側は送風側であり、
前記ボリュート舌部(2)は前記ボリュート(1)と離隔して配置され、前記ボリュート舌部(2)は第2本体(201)を備え、前記第2本体(201)の第1側は吸気側であり、前記第2本体(201)の第2側は送風側であり、前記第1本体(101)と前記第2本体(201)の間には羽根車(3)が取り付けられるための取付スペースが形成され、前記第1本体(101)の第1側と前記第2本体(201)の第1側の間には吸気口が形成され、前記第1本体(101)の第2側と前記第2本体(201)の第2側の間には送風口が形成され、
前記送風口は複数の第1送風開口及び複数の第2送風開口を含み、前記第1送風開口と前記第2送風開口は前記ボリュート(1)の軸方向に沿って離隔するように交互に配置される
ことを特徴とする貫流エアダクト。
【請求項2】
前記第1本体(101)の第2側には、前記ボリュート(1)の軸方向に沿って離隔して配置された複数の第1導風板(102)が設けられ、前記第1導風板(102)と前記第2本体(201)の間において前記第1送風開口が成型され、
前記第2本体(201)の第2側には、前記ボリュート(1)の軸方向に沿って離隔して配置された複数の第2導風板(202)が設けられ、前記第2導風板(202)と前記第1本体(101)の間において前記第2送風開口が成型され、前記第1導風板(102)と前記第2導風板(202)は前記ボリュート(1)の軸方向に沿って交互に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の貫流エアダクト。
【請求項3】
前記第1導風板(102)は第1板本体(1021)と、前記第1板本体(1021)の端部に設けられ且つ前記取付スペースの外側へ延びる第1導風面(1022)とを備え、
前記第1本体(101)の第2側には前記取付スペースの外側へ延びる第2導風面(103)が設けられ、
前記第2導風板(202)は第2板本体(2021)と、前記第2板本体(2021)の端部に設けられ且つ前記取付スペースの外側へ延びる第3導風面(2022)とを備え、
前記第2本体(201)の第2側には前記取付スペースの外側へ延びる第4導風面(203)が設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の貫流エアダクト。
【請求項4】
前記第1導風面(1022)と前記第2導風面(103)との中心対称面を第1面(6)と定義し、前記第3導風面(2022)と前記第4導風面(203)との中心対称面を第2面(7)と定義し、前記第1面(6)と前記第2面(7)の間の夾角はθであり、0<θ≦40°である
ことを特徴とする請求項3に記載の貫流エアダクト。
【請求項5】
前記第1本体(101)の第2側と前記第2本体(201)の第2側との中心対称面を転位基準面(5)と定義し、前記第1面(6)と前記第2面(7)は前記転位基準面(5)の両側に位置し、前記第1面(6)と前記転位基準面(5)の間の夾角はθ1であり、前記第2面(7)と前記転位基準面(5)の間の夾角はθ2であり、
ここで、0<θ1≦20°であり、及び/又は、0<θ2≦20°である
ことを特徴とする請求項4に記載の貫流エアダクト。
【請求項6】
前記第1本体(101)の第1側には、前記ボリュート(1)の軸方向に沿って離隔して配置される複数の第3導風板(104)が設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の貫流エアダクト。
【請求項7】
前記第2本体(201)の第1側には吸気導風面(204)が設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の貫流エアダクト。
【請求項8】
前記送風口に設けられる送風グリッド(4)を更に備え、
前記送風グリッド(4)は、前記ボリュート(1)の軸方向に沿って交互に設けられる第1グリッドセグメント(401)と第2グリッドセグメント(402)を含み、前記第1グリッドセグメント(401)と前記第2グリッドセグメント(402)はそれぞれ複数設けられており、
前記第1グリッドセグメント(401)は前記第1送風開口に対応するように設けられ、前記第2グリッドセグメント(402)は前記第2送風口に対応するように設けられ、前記第1グリッドセグメント(401)の縦方向中心対称面は前記第1本体(101)の第2側に近接し、前記第2グリッドセグメント(402)の縦方向中心対称面は前記第2本体(201)の第2側に近接する
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載の貫流エアダクト。
【請求項9】
前記第1グリッドセグメント(401)の縦方向中心対称面を第1中心対称面(4011)と定義し、前記第2グリッドセグメント(402)の縦方向中心対称面を第2中心対称面(4021)と定義し、前記第1中心対称面(4011)と前記第2中心対称面(4021)の間の夾角はβであり、0<β≦50°である
ことを特徴とする請求項に記載の貫流エアダクト。
【請求項10】
前記第1本体(101)の第2側と前記第2本体(201)の第2側との中心対称面を転位基準面(5)と定義し、前記第1中心対称面(4011)と前記転位基準面(5)の間の夾角はβ1であり、前記第2中心対称面(4021)と前記転位基準面(5)の間の夾角はβ2であり、
ここで、0<β1≦25°であり、及び/又は、0<β2≦25°である
ことを特徴とする請求項に記載の貫流エアダクト。
【請求項11】
前記第2本体(201)の横断面は円弧であり、前記第2本体(201)の軸線と前記羽根車(3)の軸線とは同一線である
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の貫流エアダクト。
【請求項12】
前記第2本体(201)と前記羽根車(3)の間の、径方向における最小距離はAであり、前記羽根車(3)の直径はDであり、1D/28≦A≦1D/10である
ことを特徴とする請求項11に記載の貫流エアダクト。
【請求項13】
前記第1本体(101)と前記羽根車(3)の間の距離が最小になる位置がボリュート喉部(105)であり、前記ボリュート喉部(105)と前記羽根車(3)の間の距離はBであり、前記羽根車(3)の直径はDであり、1D/22≦B≦1D/11である
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の貫流エアダクト。
【請求項14】
前記第1グリッドセグメント(401)及び/又は前記第2グリッドセグメント(402)の長さはCであり、前記羽根車(3)の直径はDであり、1D/9≦C≦1D/4である
ことを特徴とする請求項に記載の貫流エアダクト。
【請求項15】
前記送風グリッド(4)と前記羽根車(3)の間の、径方向における距離はFであり、前記羽根車(3)の直径はDであり、1D/6≦F≦1D/3である
ことを特徴とする請求項に記載の貫流エアダクト。
【請求項16】
前記羽根車(3)は複数の羽根車セグメント(301)を含み、隣り合う2つの第1導風板(102)、或いは、隣り合う2つの第2導風板(202)、或いは、隣り合う2つの第1グリッドセグメント(401)、或いは、隣り合う2つの第2グリッドセグメント(402)の間の距離は、N個の羽根車セグメント(301)の長さであり、1≦N≦3である
ことを特徴とする請求項に記載の貫流エアダクト。
【請求項17】
請求項1ないしのいずれか一項に記載の貫流エアダクトを備える
ことを特徴とする送風装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
前記第1導風板は第1板本体と、前記第1板本体の端部に設けられ且つ前記取付スペースの外側へ延びる第1導風面とを備える。前記第1本体の第2側には第2導風面が設けられており、前記第2導風面は前記取付スペースの外側へ延びる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
前記第2導風板は第2板本体と、前記第2板本体の端部に設けられ且つ前記取付スペースの外側へ延びる第3導風面とを備える。前記第2本体の第2側には第4導風面が設けられており、前記第4導風面は前記取付スペースの外側へ延びる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
上述した実施形態を基礎とし、一部の実施形態においては、図10に示すように、第1導風面1022と第2導風面103との中心対称面を第1面6と定義し、第3導風面2022と第4導風面203との中心対称面を第2面7と定義する。第1面6と第2面7の間の夾角はθであり、0<θ≦40°である。該実施形態において、第1面6と第2面7の間の夾角はすなわち第1送風エリアと第2送風エリアの間の転位角度である。該実施形態では、第1送風エリアと第2送風エリアの転位角度を制限することによって、転位角度過大に起因して貫流エアダクト内部の気流速度及び圧力分布がより不均一になることを避けることができる。なお、このような不均一な気流がボリュート舌部2、ボリュート1及び羽根車3に作用した場合、時間に従う気流圧力のパルセーションが形成され、羽根車3のブレードの回転により発生した気流パルセーションは継続して周期的にボリュート舌部2、ボリュート1等のエアダクト本体を衝撃して回転騒音のピーク値を増大し、気流の不均一性が大きいほど騒音が強くなる。ずれが過大になる場合、羽根車3内部の貫流連続性が破壊され、明らかな左右偏差のある風感が生じて、エアダクトの風量及び送風効果を影響してしまう。よって、該実施形態では第1送風エリアと第2送風エリアの転位角度を制限することによって、送風幅を拡大して送風範囲を向上させるとともに、騒音の増大を抑え、エアダクトの風量を影響しない。
【国際調査報告】