(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】頭部保護パッド
(51)【国際特許分類】
A42B 3/12 20060101AFI20240918BHJP
【FI】
A42B3/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521207
(86)(22)【出願日】2022-09-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 EP2022077049
(87)【国際公開番号】W WO2023057288
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】102021125701.8
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021125697.6
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】524129519
【氏名又は名称】オーデーエム、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ODM GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100210790
【氏名又は名称】石川 大策
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー、キューン
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107AA03
3B107AA05
3B107BA02
3B107BA05
3B107CA03
3B107DA03
3B107DA04
3B107EA14
(57)【要約】
本発明は、パッド材料製のベース体2と、前記ベース体2を少なくとも部分的に囲むカバー3と、を有する、ヘルメット8に挿入する頭部保護パッド1において、前記カバー3は、外層4と、少なくとも1つの内層5と、を有し、前記外層4は、冷却層として設計され、前記外層4に統合された冷却媒体4.1を有する、頭部保護パッド1に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッド材料製のベース体(2)と、前記ベース体(2)を少なくとも部分的に囲むカバー(3)と、を有する、ヘルメット(8)に挿入する頭部保護パッド(1)において、
前記カバー(3)は、外層(4)と、少なくとも1つの内層(5)と、を有し、
前記外層(4)は、冷却層として設計され、前記外層(4)に統合された冷却媒体(4.1)を有する、
ことを特徴とする頭部保護パッド(1)。
【請求項2】
前記外層(4)および/または前記内層(5)は、布地材料から形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の頭部保護パッド(1)。
【請求項3】
パラフィンが前記冷却媒体(4.1)として提供され、
前記パラフィンは、マイクロカプセルの形態で前記外層(4)に統合される、または前記外層(4)の中に取り込まれる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の頭部保護パッド(1)。
【請求項4】
前記内層(5)と前記外層(4)との間に配置されたスペーサ層(7)が提供される、
ことを特徴とする請求項1~3の一項に記載の頭部保護パッド(1)。
【請求項5】
前記スペーサ層(7)は、前記外層(4)に直接隣接する、
ことを特徴とする請求項4に記載の頭部保護パッド(1)。
【請求項6】
前記スペーサ層(7)は前記外層(4)に織り込まれる、および/または、前記スペーサ層(7)は前記内層(4)に織り込まれる、
ことを特徴とする請求項4~5の一項に記載の頭部保護パッド(1)。
【請求項7】
前記スペーサ層(7)は、互いに対して平行にまたは互いに対して鋭角αをなして配置された、複数のスティック(7.1)または毛髪状物であって、前記外層(4)に対して横方向に整列した複数のスティック(7.1)または毛髪状物から形成される、
ことを特徴とする請求項4~6の一項に記載の頭部保護パッド(1)。
【請求項8】
1cm
2当たりのスティック(7.1)が2500個となる表面密度が提供される、
ことを特徴とする請求項7に記載の頭部保護パッド(1)。
【請求項9】
前記スペーサ層(7)は、少なくとも5mmの厚さを有する、
ことを特徴とする請求項4~8のいずれか一項に記載の頭部保護パッド(1)。
【請求項10】
前記スペーサ層(7)は、200g/m
2の比重を有する、
ことを特徴とする請求項4~9の一項に記載の頭部保護パッド(1)。
【請求項11】
前記ベース体(2)は、発泡体および/またはゲルから形成される、
ことを特徴とする請求項1~10の一項に記載の頭部保護パッド(1)。
【請求項12】
少なくとも1つの請求項1~11の一項に記載の頭部保護パッド(1)と、ヘルメットカバー(8)と、を備えるシステムにおいて、
少なくとも1つの前記頭部保護パッド(1)は、前記ヘルメットカバー(8)の内側面(8.1)に取り付けられる、
システム。
【請求項13】
請求項1~11の一項に記載の頭部保護パッド(1)の、ヘルメットカバー(8)における頭部に対する当接部としての使用。
【請求項14】
請求項1~11の一項に記載の頭部保護パッド(1)の、腕部または脚部または胴体部用のアタッチメントとしての衝撃保護ベストおよび衝撃保護ズボンに対する使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、ヘルメットまたはヘルメットカバーに挿入する頭部保護パッドに関する。頭部保護パッドは、パッド材料製のベース体と、ベース体を少なくとも部分的に囲むカバーと、を有する。
【背景技術】
【0002】
ヘルメットまたはヘルメットカバーに挿入する頭部保護パッドは、既に一般に知られている。頭部保護パッドは、布地(織物)製のカバーに囲まれた発泡体製のベース体を有している。
【0003】
本発明は、ヘルメットカバーに挿入する頭部保護パッドを、有利な効果が得られるように形成し配置するという課題に基づいている。
【発明の概要】
【0004】
本発明によれば、この問題は、カバーが外層と少なくとも1つの内層とを有し、外層は、冷却層として設計され、外層に統合された冷却媒体を有するという点で解決される。冷却媒体は、いわゆるpcm(相変化材料)である。PCMは、体温を吸収することができ、これにより少なくとも部分的に固体から液体へとその凝集状態を変化させる。こうして、布地の内層と頭皮との温度の均一化が確保される。この結果、より快適に着用することができる。冷却層として設計された外層は、頭部に直接接触し、相応の冷却効果を奏する。
【0005】
また、外層および/または内層は布地から形成される場合、有利であり得る。それぞれの層は、有利には、布地繊維の対応する製織構造を有する布地層として設計され得る。使用する材料に応じて、布地は有利な物理的特性を有する。例えば、布地は、より高い強度を有する、またはより高い耐性を有する。不織布材料は、より低い密度を有し得るため、より軽量であろう。
【0006】
また、パラフィンが冷却媒体として使用される場合、有利であり得る。パラフィンは、安定性を有し、およそ30℃の所定の融点を有する。布地層の場合、パラフィンは布地層に統合される、または布地層の中に取り込まれる。パラフィンは、マイクロカプセルの形態で外層に統合され得る。熱が加わると、パラフィンは、固体から液体へとその凝集状態を変化させて、頭部から余分な熱を吸収する。
【0007】
また、内層と外層との間に配置されたスペーサ層が提供される場合、有利であり得る。スペーサ層は、冷却層の冷却効果を保証または支持する。スペーサ層は、4.5mm~7mm、または5.5mm~6mmの厚さを有する。外層の冷却効果は、スペーサ層および付随するエアクッションにより向上する。また、外層の乾燥、ひいては汗の吸収も向上する。
【0008】
また、スペーサ層が外層に直接隣接する場合、有利であり得る。これにより、冷却層の冷却効果が確実に支持される。
【0009】
本発明では、スペーサ層が外層に織り込まれる、および/または、スペーサ層が内層に織り込まれることが、特に重要であり得る。これにより安定した構造が確保される。
【0010】
本発明による設計および配置に関して、スペーサ層が、互いに対して平行にまたは互いに対して鋭角αをなして配置された、多数のスティックまたは毛髪状物であって、外層に対して横方向に整列した多数のスティックまたは毛髪状物から形成される場合、有利であり得る。1cm2当たりのスティックが2,500個、または2,000~1,0000個となる表面密度が提供される場合、有利であり得る。これにより、背面は通気するが、安定性は確保される。
【0011】
また、スペーサ層が少なくとも5mmの厚さを有する場合、有利であり得る。厚さは、無負荷状態で測定される。
【0012】
スペーサ層が200g/m2、または150g/m2から300g/m2の比重を有する場合、有利であり得る。
【0013】
頭部保護パッドは、防弾チョッキ、重防護服、衝撃保護要素、バイクウェア、および他の衝撃保護ヘッドギアでも使用される。品質が軽度のものは、レジャージャケット、ズボン、グローブの内側ライナとしても使用される。
【0014】
また、ベース体が発泡体および/またはゲルから形成される場合、有利であり得る。ゲルの場合、ベース体は、ゲルが収容された外側カバー付きのゲルクッションとして設計される。カバーは、発泡体またはゲルクッションに接合され得る。
【0015】
本発明のさらなる利点および詳細は、特許請求の範囲および明細書で説明されるとともに図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2a】
図2aは、ベース体を有する頭部ヘッドパッドの断面図である。
【
図2b】
図2aは、頭部保護パッドのカバーの断面図。
【
図4】
図4は、ヘルメットまたはヘルメットカバーを頭部保護パッドとともに示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示す頭部保護パッド1は、クッション形状であり、カバー3を有している。このように形成された頭部保護パッド1は、
図4に示すように、ヘルメットまたはヘルメットカバー8の内側面8.1に、粘着テープや接着剤等の図示しない保持手段を使用して取り付けられる。
【0018】
図2aによれば、頭部保護パッド1は、通常発泡材料から構成される内部ベース体2を有している。ベース体2は、すべての側においてカバー3に囲まれている。
【0019】
図2bによれば、カバー3は、外層4と内層5とを有している。外層4は、保護すべき頭部に接触する。また、外層4は、冷却媒体4.1を有している。冷却媒体4.1は、マイクロカプセルの形態において外層4に統合されている。
図3aおよび
図3bに示す以下の詳細
図Zによれば、カバー3は、三層構造を有している。外層4は、外面4.2も有している。
【0020】
図3aおよび
図3bによれば、カバー3は、上述の外層4および内層5、ならびに外層4と内層5との間に配置されたスペーサ層7を有している。カバー3は、およそ3~5mmの厚さ、および450~700g/m
2の単位面積当たりの比重を有している。外層4および内層5は布地材料から形成されるのに対し、スペーサ層7はロッド構造または毛髪構造を有している。
図3aの例によれば、毛髪状物またはスティック7.1は、互いに対して角度αをなして配置されている。角度αは、約40°の鋭角である。
図3bの実施形態例によれば、スティックまたは毛髪状物7.1は、互いに対して平行に整列していると同時に、隣接する外層4または内層5に対して垂直である。スペーサ層7は、例えばウィービングにより、外層4および内層5の両方に機械的に接続している。
【0021】
原則として
図3bに示すように、スペーサ層7は、体積Vを有している。体積Vは、内部に配置されたスティック7.1の体積Sと残りの空気体積Lとからなる。総体積Vに対する空気体積Lの比L/Vは、少なくとも0.9、または少なくとも0.95である。1cm
2当たりのスティック7.1が1,500~3,000個となる表面密度が提供される。
【0022】
図3aおよび
図3bに示すように、外層4は、灰色の外面4.2を有している。また、外層4は、マイクロカプセルの形態で外層4に統合された冷却媒体4.1を有している。
【0023】
図4の実施形態例によれば、複数の頭部保護パッド1が、ヘルメット8またはヘルメットカバーの内側面8.1に、ベルクロ留め具等の前記接続手段を介して取り付けられている。これにより、ヘルメット8の装着時に、頭部保護パッド1は頭部に接触することができる。頭部に対する接触は、冷却媒体4.1を設けられた外層4を介して直接的に生じる。
【符号の説明】
【0024】
1 頭部保護パッド
2 ベース体、発泡体
3 カバー
4 外層
4.1 冷却媒体
4.2 外面
5 内層
7 スペーサ層
7.1 スティック、毛髪状物
8 ヘルメットカバー、ヘルメット
8.1 8の内側面
L 空気体積
S 7.1からの体積
V 体積
α 角度
【手続補正書】
【提出日】2024-06-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
ヘルメットまたはヘルメットカバーに挿入する頭部保護パッドは、既に一般に知られている。頭部保護パッドは、布地(織物)製のカバーに囲まれた発泡体製のベース体を有している。
US2018/0242665A1は、保護パッドのカバーのような布地材料について記載している。前記布地材料は、PCMとバインダと水との混合物からなる外層により覆われている。乾燥後、外層は、PCMとバインダとの混合物である。代替的に、冷却媒体が布地キャリア層に統合されることが記載されている。
US2006/0260026A1は、2つの保護層からなる保護パッドについて記載している。流体の流れに対する抵抗が低いニットスペーサ生地のような圧縮可能(折り畳み可能)で耐衝撃性を有する低性能の材料からなる内側の第1層、ならびに上層および下層としての2つの布地層がある。内側の第1層は、第1の布地層と第2の布地層との間に挟まれている。すべての層は、頭部に適用可能なカバー層で囲まれている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
本発明は、ヘルメットカバーに挿入する頭部保護パッドを、有利な冷却効果が得られるように形成し配置するという課題に基づいている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
本発明によれば、この問題は、カバーが、布地材料から形成される外層と少なくとも1つの内層とを有し、外層は、冷却層として設計され、外層に統合された冷却媒体を有し、内層と外層との間に配置されたスペーサ層が提供されるという点で解決される。冷却媒体は、いわゆるpcm(相変化材料)である。PCMは、体温を吸収することができ、これにより少なくとも部分的に固体から液体へとその凝集状態を変化させる。こうして、布地の内層と頭皮との温度の均一化が確保される。この結果、より快適に着用することができる。冷却層として設計された外層は、頭部に直接接触し、相応の冷却効果を奏する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッド材料製のベース体(2)と、前記ベース体(2)を少なくとも部分的に囲むカバー(3)と、を有する、ヘルメット(8)に挿入する頭部保護パッド(1)において、
前記カバー(3)は、
布地材料から形成される外層(4)と、少なくとも1つの内層(5)と、を有し、
前記外層(4)は、冷却層として設計され、前記外層(4)に統合された冷却媒体(4.1)を有
し、前記内層(5)と前記外層(4)との間に配置されたスペーサ層(7)が提供される、
ことを特徴とする頭部保護パッド(1)。
【請求項2】
前記外層(4)およ
び前記内層(5)は、布地材料から形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の頭部保護パッド(1)。
【請求項3】
パラフィンが前記冷却媒体(4.1)として提供され、
前記パラフィンは、マイクロカプセルの形態で前記外層(4)に統合される、または前記外層(4)の中に取り込まれる、
ことを特徴とする請求項
1に記載の頭部保護パッド(1)。
【請求項4】
前記スペーサ層(7)は、前記外層(4)に直接隣接する、
ことを特徴とする請求項
1に記載の頭部保護パッド(1)。
【請求項5】
前記スペーサ層(7)は前記外層(4)に織り込まれる、および/または、前記スペーサ層(7)は前記内層(4)に織り込まれる、
ことを特徴とする請求項
1に記載の頭部保護パッド(1)。
【請求項6】
前記スペーサ層(7)は、互いに対して平行にまたは互いに対して鋭角αをなして配置された、複数のスティック(7.1)または毛髪状物であって、前記外層(4)に対して横方向に整列した複数のスティック(7.1)または毛髪状物から形成される、
ことを特徴とする請求項
5に記載の頭部保護パッド(1)。
【請求項7】
1cm
2当たりのスティック(7.1)が2500個となる表面密度が提供される、
ことを特徴とする請求項
6に記載の頭部保護パッド(1)。
【請求項8】
前記スペーサ層(7)は、少なくとも5mmの厚さを有する、
ことを特徴とする請求項
5に記載の頭部保護パッド(1)。
【請求項9】
前記スペーサ層(7)は、200g/m
2の比重を有する、
ことを特徴とする請求項
5に記載の頭部保護パッド(1)。
【請求項10】
前記ベース体(2)は、発泡体および/またはゲルから形成される、
ことを特徴とする請求項
1に記載の頭部保護パッド(1)。
【請求項11】
少なくとも1つの請求項1~1
0の一項に記載の頭部保護パッド(1)と、ヘルメットカバー(8)と、を備えるシステムにおいて、
少なくとも1つの前記頭部保護パッド(1)は、前記ヘルメットカバー(8)の内側面(8.1)に取り付けられる、
システム。
【請求項12】
請求項1~1
0の一項に記載の頭部保護パッド(1)の、ヘルメットカバー(8)における頭部に対する当接部としての使用。
【請求項13】
請求項1~1
0の一項に記載の頭部保護パッド(1)の、腕部または脚部または胴体部用のアタッチメントとしての衝撃保護ベストおよび衝撃保護ズボンに対する使用。
【国際調査報告】