(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】狭いラインカットマスクプロセス
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20240918BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20240918BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20240918BHJP
B05D 1/36 20060101ALI20240918BHJP
B05D 1/32 20060101ALI20240918BHJP
B05D 3/10 20060101ALN20240918BHJP
【FI】
H01L21/30 570
G03F7/20 501
G03F7/20 521
B05D7/24 303Z
B05D1/36 Z
B05D1/32 A
B05D3/10 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537796
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 US2022041545
(87)【国際公開番号】W WO2023028243
(87)【国際公開日】2023-03-02
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524073142
【氏名又は名称】ジェミナティオ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン, ブレナン
(72)【発明者】
【氏名】ハスタッド, フィリップ, ディー.
【テーマコード(参考)】
2H197
4D075
5F146
【Fターム(参考)】
2H197AA50
2H197AB07
2H197CA01
2H197CE01
2H197CE10
2H197HA03
4D075AD02
4D075AD03
4D075AE04
4D075AE16
4D075BB20Z
4D075BB28Z
4D075BB44Z
4D075BB45Z
4D075DC21
4D075EA21
4D075EA45
4D075EB19
4D075EB23
4D075EC07
4D075EC60
5F146LA18
(57)【要約】
基板をパターニングする方法は、第1のレリーフパターンを基板上に提供することであって、第1のレリーフパターンが第1のレジストを含む、ことと、第1のレリーフパターンを溶解性変更剤でコーティングすることと、第2のレジストを第1のレジストパターン上に堆積し、第2のレジストが第1のレリーフパターンと接触した状態となることと、溶解性変更剤を第2のレジスト中に所定の距離だけ拡散させて、第2のレジストの溶解性が変化した領域を提供することと、を含む。第2のレジストの溶解性が変化した領域は、第1のレリーフパターンに隣接している。次いで、本方法は、第2のレジストを現像し、溶解性が変化した領域が溶解され、第1のレリーフパターンと第2のレジストとの間に、基板の一部が露出されているギャップを提供することと、組み合わせられたエッチングマスクとして第1のレリーフパターン及び第2のレジストを使用して基板をエッチングすることと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をパターニングする方法であって、
第1のレリーフパターンを基板上に提供することであって、前記第1のレリーフパターンが、第1のレジストを含む、ことと、
前記第1のレリーフパターンを溶解性変更剤でコーティングすることと、
第2のレジストを前記第1のレリーフパターン上に堆積し、前記第2のレジストが、前記第1のレリーフパターンと接触した状態となる、ことと、
前記溶解性変更剤を前記第2のレジスト中に所定の距離だけ拡散させて、前記第2のレジストの溶解性が変化した領域を提供することであって、前記第2のレジストの溶解性が変化した領域が、前記第1のレリーフパターンに隣接する、ことと、
前記第2のレジストを現像し、前記溶解性が変化した領域が溶解され、前記第1のレリーフパターンと前記第2のレジストとの間に、前記基板の一部が露出されているギャップを提供することと、
組み合わせられたエッチングマスクとして、前記第1のレリーフパターンと前記第2のレジストとを使用して前記基板をエッチングすることと、を含む、方法。
【請求項2】
基板をパターニングする方法であって、
第1のレリーフパターンを基板上に提供することであって、前記第1のレリーフパターンが、第1のレジストを含む、ことと、
前記第1のレリーフパターンを溶解性変更剤でコーティングすることと、
第2のレジストを前記第1のレリーフパターン上に堆積し、前記第2のレジストが、前記第1のレリーフパターンと接触した状態となる、ことと、
前記溶解性変更剤を前記第1のレジスト中に所定の距離だけ拡散させて、前記第1のレジストの溶解性が変化した領域を提供することであって、前記第1のレジストの溶解性が変化した領域が、前記第2のレジストに隣接する、ことと、
前記第1のレジストを現像し、前記溶解性が変化した領域が溶解され、前記第1のレリーフパターンと前記第2のレジストとの間に、前記基板の一部が露出されているギャップを提供することと、
組み合わせられたエッチングマスクとして、前記第1のレリーフパターンと前記第2のレジストとを使用して前記基板をエッチングすることと、を含む、方法。
【請求項3】
前記第1のレリーフパターンが、フィーチャ間のギャップによって分離されたフィーチャを含み、前記フィーチャが前記第1のレジストを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のレジストが、前記第1のレリーフパターンの前記ギャップを充填する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記基板をエッチングすることが、異方性エッチングを実施することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
前記基板上の前記第1のレリーフパターンを提供することが、
ラインの第1のパターンを前記基板上に形成することと、
前記第1のレジストの層を前記ラインの第1のパターン上に堆積することと、
前記第1のレジストを化学線放射のパターンに暴露することと、前記第1のレジストを現像して、前記第1のレリーフパターンが前記ラインの第1のパターン上に形成される、ことと、を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記溶解性変更剤が酸発生剤を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記酸発生剤がフッ素を含まない、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記酸発生剤が、ピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、3-フルオロピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウムペルフルオロ-1-ブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム4,4,5,5,6,6-ヘキサフルオロジヒドロ-4H-1,3,2-ジチアジン1,1,3,3-テトラオキシド、トリフェニルスルホニウムアンチオメート及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記溶解性変更剤が酸を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
前記酸発生剤がフッ素を含まない、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記酸が、トリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロ-1-ブタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸、2-トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記溶解性変更剤が、(メタ)アクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸;スチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルナフタレン及びアセナフチレンなどの芳香族ビニルモノマー;ビニルアルコール;塩化ビニル;ビニルピロリドン;ビニルピリジン;ビニルアミン;ビニルアセタール;無水マレイン酸;マレイミド;ノルボルネン;及びこれらの組合せを含む、エチレン性不飽和重合性二重結合を有するモノマーを含むマトリックスポリマーを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項14】
前記溶解性変更剤が、ヒドロキシ、カルボキシル、スルホン酸、スルホンアミド、シラノール、フルオロアルコール、無水物、ラクトン、エステル、エーテル、アリルアミン、ピロリドン及びこれらの組合せから選択される1つ以上の官能基を含むモノマーを含むマトリックスポリマーを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のレリーフパターンを前記溶解性変更剤でコーティングした直後に、前記溶解性変更剤を前記第1のレリーフパターン中に拡散させることを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項16】
前記溶解性変更剤を前記第1のレリーフパターン中に拡散させることが、ベークを実施することによって達成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のレジストが、ポジトーン現像レジストであり、前記第2のレジストが、極性溶媒に可溶であるポリマーを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のレジストが、ネガトーン現像レジストであり、前記第2のレジストが、非極性有機溶媒に可溶であるポリマーを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項19】
前記溶解性変更剤が溶媒を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項20】
前記溶媒が、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)、デカン、イソブチルイソブチレート、イソアミルエーテル及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のレジストが、前記溶媒に不溶である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のレジストが、スチレン、p-ヒドロキシスチレン、アクリレート、メタクリレート、ノルボルネン及びこれらの組合せからなる群から選択されるモノマーから作製されたポリマーを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項23】
前記特定の現像剤が、塩基性現像剤である、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記塩基性現像剤が、水酸化テトラメチルアンモニウムである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記特定の現像剤が、n-ブチルアセテート(NBA)、2-ヘプタノン及びこれらの組合せからなる群から選択される非極性有機溶媒である、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記第2のレジストが、スチレン、p-ヒドロキシスチレン、アクリレート、メタクリレート、ノルボルネン及びこれらの組合せからなる群から選択されるモノマーから作製されたポリマーを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体デバイスの微細加工は、膜形成、パターン形成及びパターン転写などの様々な工程を含む。材料及び膜は、スピンコーティング、蒸着及び他の堆積プロセスによって基板上に堆積される。パターン形成は、典型的には248nmのKrFエキシマレーザ、193nmのArFエキシマレーザ又は13.5nmの極端紫外線(extreme ultraviolet、EUV)暴露ツールを使用して、フォトレジストとしても公知である感光性フィルムを化学線放射のパターンに暴露し、その後フォトレジストを現像してレリーフパターンを形成することで実施される。次いでレリーフパターンは、1つ以上のエッチングプロセスが基板に施されると、エッチングされない基板の一部を覆うエッチングマスクとして作用する。ラインカットは、かかるフォトリソグラフィ工程を使用して基板上にて達成されるが、この場合、各カットは、別個のリソグラフィ暴露を用いて独立して配置されている。これは、特にカットが互いの近くに配置されなければならないときにはライン幅が減少することから、困難である。
【0002】
典型的には、パターン形成前に、パターンは例えばハードマスク層又は底部反射防止コーティング(bottom antireflective coating、BARC)層といった1つ以上の転写層上へとまずエッチングされ、次いで基板層へと転写される。そのため、現行の微細加工技術は多くの工程を必要としており、実施には非常に高額である場合が多い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本概要は、以下の詳細な説明にて更に説明される概念の選択を紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の重要又は本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、かつ特許請求される主題の範囲を限定する一助として使用されることも意図していない。
【0004】
一態様では、本明細書に開示された実施形態は、基板をパターニングする方法に関し、第1のレリーフパターンを基板上に提供することであって、第1のレリーフパターンが第1のレジストを含む、ことと、第1のレリーフパターンを溶解性変更剤でコーティングすることと、第2のレジストを第1のレジストパターン上に堆積し、第2のレジストが第1のレリーフパターンと接触した状態となることと、溶解性変更剤を第2のレジスト中に所定の距離だけ拡散させて、第2のレジストの溶解性が変化した領域を提供することであって、第2のレジストの溶解性が変化した領域が第1のレリーフパターンに隣接する、ことと、を含む。次いで、本方法は、第2のレジストを現像し、溶解性が変化した領域が溶解され、第1のレリーフパターンと第2のレジストとの間に、基板の一部が露出されているギャップを提供することと、組み合わせられたエッチングマスクとして第1のレリーフパターン及び第2のレジストを使用して基板をエッチングすることと、を含む。
【0005】
別の態様では、本明細書に開示された実施形態は、基板をパターニングする方法に関し、第1のレリーフパターンを基板上に提供することであって、第1のレリーフパターンが第1のレジストを含む、ことと、第1のレリーフパターンを溶解性変更剤でコーティングすることと、第2のレジストを第1のレジストパターン上に堆積し、第2のレジストが第1のレリーフパターンと接触した状態となることと、溶解性変更剤を第1のレジスト中に所定の距離だけ拡散させて、第1のレジストの溶解性が変化した領域を提供することであって、第1のレジストの溶解性が変化した領域が第2のレジストに隣接する、ことと、を含む。次いで、本方法は、第1のレジストを現像し、溶解性が変化した領域が溶解され、第1のレリーフパターンと第2のレジストとの間に、基板の一部が露出されているギャップを提供することと、組み合わせられたエッチングマスクとして第1のレリーフパターン及び第2のレジストを使用して基板をエッチングすることと、を含む。更に別の態様では、本明細書に開示された実施形態は、コアポリマー及びシェルポリマーを含む第1のフォトレジスト層を含むコーティングされた基板に関し、コアポリマー及びシェルポリマーは、異なる溶解特性を有し、第1のフォトレジスト層の表面上及びその周りにコーティングされた第2のフォトレジスト層を有し、第2のフォトレジスト層はポリマーを含む。
【0006】
特許請求される主題のその他の態様及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のブロックフロー図である。
【0008】
【
図2A】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図2B】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図2C】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図2D】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図2E】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図2F】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図2G】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【0009】
【
図3A】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の例示的な概略図である。
【
図3B】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の例示的な概略図である。
【
図3C】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の例示的な概略図である。
【
図3D】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の例示的な概略図である。
【
図3E】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の例示的な概略図である。
【
図3F】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の例示的な概略図である。
【0010】
【
図4A】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図4B】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図4C】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図4D】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図4E】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図4F】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【
図4G】本開示の1つ以上の実施形態における、方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、一般的に、半導体基板をパターニングする方法に関する。1つ以上の実施形態では、本方法は、制御された狭いカットを基板上に形成することを含む。本明細書では、「半導体基板」及び「基板」といった用語は互換的に使用され、半導体ウェハ、半導体材料層及びこれらの組合せを含むがこれらに限定されない任意の半導体材料であり得る。本開示では、「フォトレジスト」という用語は、光酸生成を含み、光を使用してパターニングされるレジスト材料を指すために使用され得るが、その一方で「レジスト」という用語は、光を使用してパターニングされないレジスト材料を説明するために使用され得る。本明細書で定義される場合、狭いは、約5nm~約30nmの幅を意味することが理解されるだろう。そのため、本開示における方法は、約5nm~約30nmの幅を有するカットを提供し得る。従来のリソグラフィパターニングと異なり、本明細書に開示された方法は、一つのフォトリソグラフィ工程による複数のカットを達成するが、従来のプロセスは、複数のフォトリソグラフィ工程を必要とする。更には、方法は、狭いラインを基板上へと直接切断することを含み得る。
【0012】
図1に本開示における方法100を示し、
図1を参照して説明する。最初に、方法100は、ブロック102では第1のレリーフパターンを基板に提供することを含む。第1のレリーフパターンは、フォトリソグラフィプロセスを使用して形成され得、第1のレジストから作製され得る。方法100では、ブロック104では、第1のレリーフパターンは、溶解性変更剤でコーティングされる。溶解性変更剤は、第1のレジストの極性に基づいて可溶化剤又は硬化剤であることができる。次いで、ブロック106では、第2のレジストは第1のレリーフパターン上に積層され、その結果、基板及び第1のフォトレジストの任意の暴露部分は、第2のレジストで完全に覆われる。ブロック108では、溶解性変更剤は、次いで第2のレジスト中に拡散され、ブロック110では、第2のレジストが現像される。溶解性変更剤の拡散によって、第2のレジストにて選択的に現像され得る溶解性が変化した領域を形成し得、基板が露出されるトレンチを形成する。第2のレジストを現像した後、基板はエッチングされ、ブロック112では第2のレジストのフィーチャの自己整合によって形成された狭いカットラインのパターンを形成し得る。
【0013】
上記方法の間の様々な時点でのコーティングされた基板の概略図を、
図2A、
図2B、
図2C、
図2D、
図2Eに示す。本明細書では、「コーティングされた基板」は、第1のフォトレジスト層及び第2のレジスト層などの1つ以上の層でコーティングされている基板を指す。
図2Aは、第1のレリーフパターンを含む基板を示す。
図2Bは、溶解性変更剤でコーティングされた第1のレリーフパターンを含む基板を示す。
図2Cでは、第2のレジストは、基板及び第1のレリーフパターン上に積層される。
図2Dは、溶解性変更剤が第2のレジスト中に拡散された後のコーティングされた基板を示す。最終的に、
図2Eは、第2のレジストが現像された後のコーティングされた基板を示し、基板の一部は露出され、エッチング可能である。
図1の方法及び
図2A~
図2Eに示されるコーティングされた基板は、以下に詳細に論じられる。
【0014】
方法100のブロック102では、第1のレリーフパターンが提供される。
図2Aは、基板202上の第1のレリーフパターン204の一例を示す。
図2Aに示されるように、第1のレリーフパターンは、ギャップで分離されたフィーチャを含み得る。基板の一部は、第1のレリーフパターンのギャップが存在することで暴露され得る。第1のレリーフパターンのフィーチャは、第1のレジスト203から作製され得る。第1のレジストは、フォトレジストであり得る。一般的に、フォトレジストは、ポリマー、光酸発生剤及び溶媒を含む、化学増幅感光性組成物である。1つ以上の実施形態では、第1のレジストはポリマーを含む。ポリマーは、フォトレジスト材料に典型的には使用される任意の標準的なポリマーであり得、特に酸不安定基を有するポリマーであり得る。例えば、ポリマーは、スチレン及びp-ヒドロキシスチレンなどの芳香族ビニルモノマー、アクリレート、メタクリレート、ノルボルネン及びこれらの組合せを含むモノマーから作製されたポリマーであり得る。反応性官能基を含むモノマーは、保護された形態のポリマー中に存在し得る。例えば、p-ヒドロキシスチレンの-OH基は、tert-ブチルオキシカルボニル保護基で保護され得る。かかる保護基は、第1のフォトレジストに含まれるポリマーの反応性及び溶解性を変性させ得る。当業者に理解されるように、様々な保護基は、この理由のために使用され得る。酸不安定基としては、例えば、第三級アルキルエステル基、第二級又は第三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組合せを有する第二級又は第三級エステル基、第三級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基が挙げられる。酸不安定基は、当技術分野では一般的に、「酸分解性基」、「酸解離性基」、「酸解離性保護基」、「酸不安定保護基」、「酸脱離基」及び「酸感受性基」としても称される。
【0015】
分解時に、ポリマーにカルボン酸を形成する酸不安定基は、好ましくは、式-C(O)OC(R1)3の第三級エステル基、又は式-C(O)OC(R2)2OR3のアセタール基であり、式中、R1は、それぞれ独立して、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは、直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、そのそれぞれは、置換又は非置換であり、各R1は、その構造の一部として、任意選択的には-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、任意の2つのR1基はともに、任意選択的には環を形成し、R2は、独立して、水素、フッ素、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは水素、直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、そのそれぞれは、置換又は非置換であり、各R2は、その構造の一部として、任意選択的には-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、R2基はともに、任意選択的には環を形成し、R3は、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、そのそれぞれは、置換又は非置換であり、R3は、その構造の一部として、任意選択的には-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、1つのR2は、R3とともに任意選択的には環を形成する。かかるモノマーは、典型的には芳香族ビニル、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。ポリマーにカルボン酸基を形成する酸分解性基を含む重合単位の総含量は、ポリマーの総重合単位に基づいて、典型的には、10~100モル%であり、より典型的には10~90モル%、又は30~70モル%である。
【0016】
ポリマーは、重合時に、酸不安定基を含むモノマーを更に含むことができ、この基の分解は、ポリマーでのアルコール基又はフルオロアルコール基を形成する。好適なかかる基としては、例えば、式-COC(R2)2OR3-のアセタール基、又は式-OC(O)O-の炭酸エステル基が挙げられ、Rは上に定義されている通りである。かかるモノマーは、典型的には芳香族ビニル、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。ポリマーに存在する場合、分解によりポリマーにアルコール基又はフルオロアルコール基を形成する酸分解性基を含む重合単位の総含量は、ポリマーの総重合単位に基づいて、典型的には、10~90モル%であり、より典型的には30~70モル%である。
【0017】
第1のレジストがフォトレジストである実施形態では、第1のレジストは、光酸発生剤を含む。光酸発生剤は、化学線又は化学線放射を用いた照射時に酸を発生することが可能である化合物である。光酸発生剤は、カチオン光重合用の光重合開始剤、ラジカル光重合用の光重合開始剤、色素用の光脱色剤、光変色剤、マイクロレジストなどに使用される化学線又は放射線を用いた照射時に酸を発生することが可能である公知の化合物から選択されることができ、これらの混合物を使用することができる。光酸発生剤の例としては、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン及びo-ニトロベンジルスルホネートが挙げられる。
【0018】
好適な光酸としては、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート;ジ-t-ブチフェニルヨードニウムペルフルオロブタンスルホネート、及びジ-t-ブチフェニルヨードニウムカンファースルホネートといったオニウム塩が挙げられる。非イオン性スルホネート及びスルホニル化合物は、光酸発生剤(photoacid generator)として機能することも知られており、例えば、2-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート、2,6-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネート及び2,4-ジニトロベンジル-p-トルエンスルホネートといったニトロベンジル誘導体、例えば、1,2,3-トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3-トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン及び1,2,3-トリス(p-トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンといったスルホン酸エステル、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタンといったジアゾメタン誘導体、例えば、ビス-O-(p-トルエンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシム及びビス-O-(n-ブタンスルホニル)-α-ジメチルグリオキシムといったグリオキシム誘導体、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N-ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステルといったN-ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、並びに例えば、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン及び2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンといったハロゲン含有トリアジン化合物が挙げられる。好適な非重合性光酸発生剤は、Hashimotoらによる米国特許第8,431,325号(欄37、11~47行目及び欄41~91)にて更に説明される。その他の好適なスルホネートPAGとしては、米国特許第4,189,323号及び同8,431,325号に説明されるように、スルホン化エステル及びスルホニルオキシケトン、ニトロベンジルエステル、s-トリアジン誘導体、ベンゾイントシレート、t-ブチルフェニルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテート及びt-ブチルα-(p-トルエンスルホニルオキシ)-アセテートが挙げられる。オニウム塩であるPAGは、典型的には、スルホンアミデート基、スルホンイミデート基、メチド基又はボレート基といった、スルホネート基又は非スルホネート型基を有するアニオンを含む。
【0019】
レジスト組成物は、任意選択的には複数のPAGを含み得る。複数のPAGは、重合性、非重合性であり得、又は重合性PAG及び非重合性PAGの両方を含み得る。好ましくは、複数のPAGのそれぞれは、非重合性である。好ましくは、複数のPAGが使用されると、第1のPAGは、アニオンにスルホネート基を含み、第2のPAGは、スルホネート基を含まないアニオンを含み、かかるアニオンは、例えば、上記のスルホンアミデート基、スルホンイミデート基、メチド基又はボレート基を含有する。
【0020】
第1のレリーフパターンは、第1のレジストを基板上へと積層し、第1のレジストを現像することによって形成され得る。第1のレジストは、例えば、化学線放射への暴露、続いて第1のフォトレジスト現像剤を用いたリンスなどの当技術分野で知られている手順に従って現像される。現像されたレジストに形状又はレリーフパターンを施すために、マスクを使用することで化学線放射からレジストの一部が遮断され得る。化学線放射が照射された後、レジストの暴露されていない部分は、レジストの暴露部分とは異なる溶解性を有し得る。第1のレジスト現像剤を用いたその後のリンスによって、暴露されていない部分又は暴露部分のいずれかが溶解する。レジストの暴露されていない部分が現像剤を用いたリンス後に残存しているとき、提供されたレリーフパターンは、ポジトーン現像レジストである。対照的に、レジストの暴露部分が現像剤を用いたリンス後に残存しているとき、提供されたレリーフパターンは、ネガトーン現像レジストである。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1のレジストは、ポジトーン現像(positive tone developed、PTD)レジストである。かかる実施形態では、第1のレリーフパターンは、上記モノマーから作製されたポリマーを含み得、反応性官能基を含む任意のモノマーが保護される。このように、第1のPTDレジストは、有機可溶であり得、それによってレリーフパターンは、塩基性である第1のレジスト現像剤を用いてリンスすることによって提供され得る。好適な塩基性の第1のレジスト現像剤としては、水酸化テトラメチルアンモニウム(tetramethylammonium hydroxide、TMAH)などの第四級水酸化アンモニウムが挙げられる。
【0022】
他の実施形態では、第1のレジストは、ネガ型レジストである。かかる実施形態では、第1のレリーフパターンは、上記モノマーから作製されたポリマーを含み得、反応性官能基を含む任意のモノマーは保護されない。化学線放射への暴露によって、暴露エリアでのポリマーの架橋が生じ、現像剤に対してポリマーを不溶性にする。次いで、暴露されておらず、その結果架橋されていないエリアは、適切な現像剤を使用して除去され、レリーフパターンを形成することができる。
【0023】
他の実施形態では、第1のレジストは、ネガトーン現像(negative tone developed、NTD)レジストである。PTDレジストと同様に、NTDレジストは、上記モノマーから作製されたポリマーを含み得、反応性官能基を含む任意のモノマーは保護される。このように、第1のNTDレジストは、有機可溶であり得るが、塩基性である第1のレジスト現像剤を用いて暴露エリアを現像する代わりに、第1のレリーフパターンは、有機溶媒を含む第1のレジスト現像剤を用いて第1のレジストをリンスすることで提供され得る。第1のレジスト現像剤として使用され得る好適な有機溶媒としては、n-ブチルアセテート(n-butyl acetate、NBA)及び2-ヘプタノンが挙げられる。レジストのトーン(すなわち、PTD対ネガ型対NTD)は、第1のレリーフパターンに適用されたその後の化学的性質に影響を及ぼし得る。
【0024】
他の実施形態では、第1のレジストは、任意選択的には他の添加剤を含有し、他の添加剤は、フッ素原子又はケイ素原子のいずれかを少なくとも有する樹脂、塩基性化合物、界面活性剤、オニウムカルボキシレート、色素、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、アルカリ可溶性樹脂、溶解抑制剤及び現像剤中での溶解を加速させるための化合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0025】
前述されるように、第1のレリーフパターンは、ギャップによって分離されるフィーチャを含み得る。1つ以上の実施形態では、第1のレリーフパターンのフィーチャは、約300~3000Åの厚さを有し得る。フィーチャを分離するギャップは、基板の一部を露出状態のままにし得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1のレリーフパターンは、溶解性変更剤でのコーティング前に安定化される。様々なレジスト安定化技術は、凍結プロセスとしても知られているが、イオン注入、UV硬化、加熱硬化、熱硬化及び化学硬化などのレジスト安定化技術が提案されている。技術は、例えば米国特許出願公開第2008/0063985号、米国特許出願公開第2008/0199814号及び米国特許出願公開第2010/0330503号において説明されている。
【0027】
方法100のブロック104では、第1のレリーフパターンは、溶解性変更剤でコーティングされる。ブロック104によるコーティングされた基板を
図2Bに示す。溶解性変更剤205は、第1のレリーフパターン204上の薄いコーティングとして示されている。溶解性変更剤コーティングの厚さは、特に限定されておらず、望ましいライン切断幅に基づいて変更され得る。溶解性変更剤は、ベークによって第1のフォトレジストに吸収される材料であり得、いくつかの場合では、本明細書では「吸収材料」と称され得る。溶解性変更剤を第1のフォトレジストに吸収するプロセスは、以下に詳細に説明される。
【0028】
溶解性変更剤の組成は、第1のフォトレジストのトーンに依存し得る。一般的に、溶解性変更剤は、光又は熱を用いて活性化する任意の化学薬品であり得る。例えば、第1のフォトレジストがPTDフォトレジストであるとき、溶解性変更剤は、酸又は熱酸発生剤を含み得る。酸、又はTAGの場合には発生した酸は、熱によって、塗布される特定の現像剤中の第1のフォトレジストポリマーの溶解性を増大させるために、第1のフォトレジストパターンの表面領域におけるポリマー酸分解性基の結合の分解を生じさせるのに十分でなければならない。酸又はTAGは、典型的には、溶解性変更剤の全固形分に基づいて約0.01~20重量%の量で組成物中に存在する。
【0029】
好ましい酸は、非芳香族酸又は芳香族酸を含む有機酸であり、それらのそれぞれは、任意選択的にはフッ素置換を有することができる。好適な有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ペルフルオロ酢酸、ペルフルオロオクタン酸、シュウ酸、マロン酸及びコハク酸を含むアルカン酸などのカルボン酸、クエン酸などのヒドロキシアルカン酸、安息香酸、フルオロ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸及びナフトエ酸などの芳香族カルボン酸、ジメチルリン酸及びジメチルホスフィン酸などの有機リン酸、並びにメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1-ブタンスルホン酸、1-ペルフルオロブタンスルホン酸、1,1,2,2-テトラフルオロブタン-1-スルホン酸、1,1,2,2-テトラフルオロ-4-ヒドロキシブタン-1-スルホン酸、1-ペンタンスルホン酸、1-ヘキサンスルホン酸及び1-ヘプタンスルホン酸を含む、任意選択的にはフッ素化されたアルキルスルホン酸などのスルホン酸が挙げられる。
【0030】
フッ素を含まない例示的な芳香族酸としては、以下の一般式(I)の芳香族酸が挙げられる。
【0031】
【0032】
[式中、R1は、独立して、置換若しくは非置換C1-C20アルキル基、置換若しくは非置換C5-C20アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換アルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z1は、独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、a及びbは、独立して、0~5の整数であり、a+bが5以下である]
【0033】
例示的な芳香族酸は、以下の一般式(II)であり得る。
【0034】
【0035】
[式中、R2及びR3は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1-C20アルキル基、置換若しくは非置換C5-C16アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換アルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z2及びZ3は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、c及びdは、独立して0~4の整数であり、c+dが4以下であり、e及びfは、独立して0~3の整数であり、e+fが3以下である]
【0036】
溶解性変更剤中に含有され得る追加の芳香族酸としては、以下の一般式(III)又は(IV)のものが挙げられる。
【0037】
【0038】
[式中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1-C20アルキル基、置換若しくは非置換C5-C12アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換アルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z4、Z5及びZ6は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、g及びhは、独立して0~4の整数であり、g+hが4以下であり、i及びjは、独立して0~2の整数であり、i+jが2以下であり、k及び1は、独立して0~3の整数であり、k+lが3以下である]
【0039】
【0040】
[式中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1-C20アルキル基、置換若しくは非置換C5-C12アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換アルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z4、Z5及びZ6は、独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、g及びhは、独立して0~4の整数であり、g+hが4以下であり、i及びjは、独立して0~1の整数であり、i+jが1以下であり、k及びlは、独立して0~4の整数であり、k+lが4以下である]
【0041】
好適な芳香族酸は、代替的には、以下の一般式(V)であり得る。
【0042】
【0043】
[式中、R7及びR8は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換C1-C20アルキル基、置換若しくは非置換C5-C14アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボキシル、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換アルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z7及びZ8は、それぞれ独立して、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、m及びnは、独立して0~5の整数であり、m+nが5以下であり、o及びpは、独立して0~4の整数であり、o+pが4以下である]
【0044】
更には、例示的な芳香族酸は、以下の一般式(VI)を有し得る。
【0045】
【0046】
[式中、Xは、O又はSであり、R9は、独立して、置換若しくは非置換C1-C20アルキル基、置換若しくは非置換C5-C20アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換アルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z9は、独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、q及びrは、独立して、0~3の整数であり、q+rが3以下である]
【0047】
1つ以上の実施形態では、酸は、フッ素置換を有する遊離酸である。フッ素置換を有する好適な遊離酸は、芳香族又は非芳香族であり得る。例えば、溶解性変更剤として使用され得るフッ素置換を有する遊離酸としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
【0049】
【0050】
好適なTAGとしては、上記のように非重合性酸を発生可能であるものが挙げられる。TAGは、非イオン性又はイオン性であることができる。好適な非イオン性熱酸発生剤としては、例えば、シクロヘキシルトリフルオロメチルスルホネート、メチルトリフルオロメチルスルホネート、シクロヘキシルp-トルエンスルホネート、メチルpートルエンスルホネート、シクロヘキシル2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホネート、ニトロベンジルエステル、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、有機スルホン酸のアルキルエステル、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、リン酸、カンファースルホン酸、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5-ニトロ-o-トルエンスルホン酸、5-スルホサリチル酸、2,5-ジメチルベンゼンスルホン酸、2-ニトロベンゼンスルホン酸、3-クロロベンゼンスルホン酸、3-ブロモベンゼンスルホン酸、2-フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1-ナフトール-5-スルホン酸、2-メトキシ-4-ヒドロキシ-5-ベンゾイル-ベンゼンスルホン酸及びそれらの塩、並びにこれらの組合せが挙げられる。好適なイオン性熱酸発生剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩、ドデシルベンゼンジスルホン酸トリエチルアミン塩、p-トルエンスルホン酸-アンモニウム塩、p-トルエンスルホン酸-ピリジニウム塩、炭素環式アリール及びヘテロアリ―ルスルホン酸塩などのスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、並びにベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。活性化時にスルホン酸を発生する化合物は、一般的には好適である。好ましい熱酸発生剤としては、p-トルエンスルホン酸アンモニウム塩及びヘテロアリールスルホン酸塩が挙げられる。
【0051】
好ましくは、以下に示されるようなスルホン酸を発生させるための反応スキームではTAGはイオン性である。
【0052】
【0053】
式中、RSO3
-は、TAGアニオンであり、X+は、TAGカチオンであり、好ましくは有機カチオンである。カチオンは、以下の一般式(I)の窒素含有カチオンであることができる。
【0054】
(BH)+ (I)
【0055】
これは窒素含有塩基Bのモノプロトン化形態である。好適な窒素含有塩基Bとしては、例えば、アンモニア、ジフルオロメチルアンモニア、C1-20アルキルアミン及びC3-30アリールアミンなどの任意選択的に置換されたアミン、例えばピリジン又は置換ピリジン(例えば、3-フルオロピリジン)、ピリミジン及びピラジンなどの窒素含有ヘテロ芳香族塩基、例えば、オキサゾール、オキサゾリン又はチアゾリンといった窒素含有複素環基が挙げられる。前述の窒素含有塩基Bは、例えば、アルキル、アリール、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素)、シアノ、ニトロ及びアルコキシから選択される1つ以上の基で任意選択的には置換され得る。これらのうち、塩基Bは、好ましくはヘテロ芳香族塩基である。
【0056】
塩基Bは、典型的には、0~5.0、0~4.0、0~3.0又は1.0~3.0のpKaを有する。本明細書で使用される場合、「pKa」といった用語は、当技術分野で認識されている意味に従って使用される。すなわち、pKaは、ほぼ室温の水溶液における塩基性部分(B)の共役酸(BH)+の解離定数の(底10に対する)負の対数である。特定の実施形態では、塩基Bは、約170℃未満、約160℃未満、150℃未満、140℃未満、130℃未満、120℃未満、110℃未満、100℃未満又は90℃未満の沸点を有する。
【0057】
好適な例示的窒素含有カチオン(BH)+としては、NH4
+、CF2HNH2
+、CF3CH2NH3
+、(CH3)3NH+、(C2H5)3NH+、(CH3)2(C2H5)NH+及び以下のものが挙げられる。
【0058】
【0059】
[式中、Yはアルキルであり、好ましくはメチル又はエチルである]
【0060】
特定の実施形態では、溶解性変更剤は、トリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロ-1ーブタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸及び2-トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸などの酸、トリフェニルスルホニウムアンチモネート、ピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、3-フルオロピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウムペルフルオロ-1-ブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート及び4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム4,4,5,5,6,6-ヘキサフルオロジヒドロ-4H-1,3,2-ジチアジン1,1,3,3-テトラオキシドなどの酸発生剤又はこれらの組合せであり得る。
【0061】
代替的には、第1のフォトレジストがNTDフォトレジストであるとき、溶解性変更剤は、塩基又は塩基発生剤を含み得る。かかる実施形態では、好適な溶解性変更剤としては、水酸化物、カルボキシレート、アミン、イミン、アミド及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。塩基の具体例としては、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、リン酸水素テトラメチルアンモニウム、リン酸テトラメチルアンモニウム、炭酸テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、リン酸水素テトラエチルアンモニウム、リン酸テトラエチルアンモニウム及びこれらの組合せが挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン及び複素環式アミンが挙げられる。アミンは、第一級アミン、第二級アミン又は第三級アミンであり得る。アミンは、モノアミン、ジアミン又はポリアミンであり得る。好適なアミンとしては、C1-30有機アミン、イミン若しくはアミドが挙げられ得る、又は強塩基(例えば、水酸化物若しくはアルコキシド)若しくは弱塩基(例えば、カルボキシレート)のC1-30の第四級アンモニウム塩であり得る。例示的な塩基としては、トリプロピルアミン、ドデシルアミン、トリス(2-ヒドロキシプロピル)アミン、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンなどのアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、アミノフェノール及び2-(4-アミノフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパンなどのアリールアミン、トレーガー塩基、ジアザビシクロウンデセン(diazabicycloundecene、DBU)若しくはジアザビシクロノネン(diazabicyclononene、DBN)などのヒンダードアミン、tert-ブチル 1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イルカルバメート及びtert-ブチル 4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレータなどのアミド、又は水酸化テトラブチルアンモニウム(tetrabutylammonium hydroxide、TBAH)若しくはテトラブチルアンモニウムラクテートなどの第四級アルキルアンモニウム塩を含むイオン性クエンチャ―が挙げられる。別の実施形態では、アミンはヒドロキシアミンである。ヒドロキシアミンの例としては、それぞれ1~約8個の炭素原子、好ましくは、1~約5個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシブチル基)を1つ以上有するヒドロキシアミンが挙げられる。ヒドロキシアミンの具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N-メチルエタノールアミン、2-ジエチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール及びトリエタノールアミンが挙げられる。
【0062】
好適な塩基発生剤は、熱塩基発生剤であり得る。熱塩基発生剤は、第1の温度より高い、典型的には約140℃以上で加熱すると塩基を形成する。熱塩基発生剤は、アミド、スルホンアミド、イミド、イミン、O-アシルオキシム、ベンゾイルオキシカルボニル誘導体、第四級アンモニウム塩、ニフェジピン、カルバメート及びこれらの組合せといった官能基を含み得る。例示的な熱塩基発生剤としては、o-{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}安息香酸、o-{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}安息香酸、2,5-ビス{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}テレフタル酸、2,5-ビス{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}テレフタル酸、2,4-ビス{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}イソフタル酸、2,4-ビス{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}イソフタル酸及びこれらの組合せが挙げられる。
【0063】
1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤は溶媒を含む。上記のように、いくつかの実施形態では、溶解性変更剤は、第1のレリーフパターンに吸収される。したがって、溶媒は、第1のフォトレジストを溶解しない限り、第1のレリーフパターンへの吸収を促進し得る任意の好適な溶媒であり得る。溶媒は、典型的には、水、有機溶媒及びこれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、溶媒は、1つ以上の有機溶媒を含む有機系溶媒系を含み得る。「有機系」といった用語は、溶媒系が溶解性変更剤組成物の総溶媒に基づいて50重量%超の有機溶媒を含み、より典型的には、溶解性変更剤組成物の総溶媒に基づいて90重量%超、95重量%超、99重量%超又は100重量%の有機溶媒を含むことを意味している。溶媒成分は、典型的には、溶解性変更剤組成物に基づいて90~99重量%の量で存在する。
【0064】
溶解性変更剤組成物にとって好適な有機溶媒としては、例えば、n-ブチルプロピオネート、n-ペンチルプロピオネート、n-ヘキシルプロピオネート及びn-ヘプチルプロピオネートなどのアルキルプロピオネート、並びにn-ブチルブチレート、イソブチルブチレート及びイソブチルイソブチレートなどのアルキルブチレートなどのアルキルエステル;2,5-ジメチル-4-ヘキサノン及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノンなどのケトン;n-ヘプタン、n-ノナン、n-オクタン、n-デカン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、3,3-ジメチルヘキサン及び2,3,4-トリメチルペンタンなどの脂肪族炭化水素、並びにペルフルオロヘプタンなどのフッ素化脂肪族炭化水素;1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール及び4-オクタノールなどの直鎖、分岐又は環状C4-C9一価アルコール、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロ-1-ヘキサノールといったアルコール、並びに2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1,5-ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロ-1,8-オクタンジオールなどのC5-C9フッ素化ジオール、イソペンチルエーテル及びジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、並びにこれらの溶媒のうち、1つ以上を含有する混合物が挙げられる。
【0065】
吸収材料中に含有された溶媒は、第1のレジストの組成物及びトーンに依存し得る。ArFレジストに典型的であるように第1のレジストが(メタ)アクリレートポリマーから形成され、レジストがPTDレジストとして現像されるとき、溶媒系は、好ましくは1つ以上の極性有機溶媒を含む。例えば、PTD第1のレジストへと吸収されることが意図されている溶解性変更剤は、メチルイソブチルカルビノール(methyl isobutyl carbinol、MIBC)などの極性溶媒を含み得る。溶解性変更剤はまた、例えば、デカン、イソブチルイソブチレート、イソアミルエーテル及びこれらの組合せなど、共溶媒として脂肪族炭化水素、エステル及びエーテルを含み得る。特定の実施形態では、溶媒は、MIBC及び共溶媒を含む。かかる実施形態では、MIBCは、溶媒の総体積に基づいて、60~99%の範囲の量で溶媒中に含有され得る。したがって、共溶媒は、溶媒の総体積に基づいて、1~40%の範囲の量で含有され得る。
【0066】
KrF及びEUVフォトレジストに典型的であるように第1のレジストが芳香族ビニル系ポリマーから形成され、レジストがPTDレジストとして現像されるとき、溶媒系は、好ましくは1つ以上の非極性有機溶媒を含む。「非極性有機系」といった用語は、溶媒系が溶解性変更剤組成物の総溶媒に基づいて50重量%超の総非極性有機溶媒を含み、より典型的には、溶解性変更剤組成物の総溶媒に基づいて70重量%超、85重量%超又は100重量%の総非極性有機溶媒を含むことを意味している。非極性有機溶媒は、典型的には、溶媒系に基づいて70~98重量%、好ましくは80~95重量%、より好ましくは85~98重量%の合計量で溶媒系中に存在する。
【0067】
好適な非極性溶媒としては、例えば、エーテル、炭化水素及びこれらの組合せが挙げられるが、エーテルが好ましい。好適なエーテル溶媒としては、例えば、アルキルモノエーテル及び芳香族モノエーテルが挙げられ、6~16個の総炭素数を有するものが特に好ましい。好適なアルキルモノエーテルとしては、例えば、1,4-シネオール、1,8-シネオール、酸化ピネン、ジ-n-プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、ジ-n-ペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル及びジオクチルエーテルが挙げられるが、ジイソアミルエーテルが好ましい。好適な芳香族モノエーテルとしては、例えば、アニソール、エチルベンジルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル及びフェネトールが挙げられるが、アニソールが好ましい。好適な脂肪族炭化水素としては、例えば、n-ヘプタン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、3,3-ジメチルヘキサン、2,3,4-トリメチルペンタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン及びペルフルオロヘプタンなどのフッ素化化合物が挙げられる。好適な芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン及びキシレンが挙げられる。
【0068】
いくつかの実施形態では、溶媒系は、1つ以上のアルコール及び/又はエステル溶媒を更に含む。特定の組成物については、アルコール及び/又はエステル溶媒は、組成物の固形成分に対して向上した溶解性を提供し得る。好適なアルコール溶媒としては、例えば、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール、4-オクタノール、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロ-1-ヘキサノールなどの直鎖、分岐又は環状C4-9一価アルコール、並びに2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1,5-ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロ-1,8-オクタンジオールなどのC5-9フッ素化ジオールが挙げられる。アルコール溶媒は、好ましくはC4-9一価アルコールであり、4-メチル-2-ペンタノールが好ましい。好適なエステル溶媒としては、例えば、4~10の総炭素数を有するアルキルエステルが挙げられ、例えば、n-ブチルプロピオネート、n-ペンチルプロピオネート、n-ヘキシルプロピオネート及びn-ヘプチルプロピオネートなどのアルキルプロピオネート、並びにn-ブチルブチレート、イソブチルブチレート及びイソブチルイソブチレートなどのアルキルブチレートが挙げられる。1つ以上のアルコール溶媒及び/又はエステル溶媒は、溶媒系で使用される場合、典型的には、溶媒系に基づいて2~50重量%の合計量、より典型的には2~30重量%の量で存在する。
【0069】
溶媒系はまた、例えば、2,5-ジメチル-4-ヘキサノン及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノンなどのケトン、並びにジプロピレングリコールモノメチルエーテル及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのポリエーテルのうちの1つ以上から選択された1つ以上の追加の溶媒を含むことができる。かかる追加の溶媒は、使用される場合、典型的には、溶媒系に基づいて1~20重量%の合計量で存在する。
【0070】
第1のレジストが芳香族ビニル系ポリマーから形成されるときには、特に好ましい有機系溶媒系は、溶媒系に基づいて70~98重量%の合計量の1つ以上のモノエーテル溶媒、並びに溶媒系に基づいて2~30重量%の合計量の1つ以上のアルコール溶媒及び/又はエステル溶媒を含む。溶媒系は、典型的には、上塗り組成物に基づいて、90~99重量%、好ましくは95~99重量%の量で上塗り組成物中に存在する。
【0071】
第1のレジストがNTDレジストである実施形態では、好適な有機溶媒としては、n-ブチルアセテート、2-ヘプタノン、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
いくつかの実施形態では、溶解性変更剤は、第1のレリーフパターン上にコーティングされる。適切に第1のレリーフパターンをコーティングするためには、溶解性変更剤は、マトリックスポリマーを含み得る。当技術分野で一般に使用される任意のマトリックスポリマーは、溶解性変更物質中に含有され得る。マトリックスポリマーは、第1のレジストを溶解しない溶媒中で良好な溶解性を有しなければならない。マトリックスポリマーは、例えば、イソプロピル(メタ)アクリレート及びn-ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレートモノマー;(メタ)アクリル酸、スチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルナフタレン及びアセナフチレンなどの芳香族ビニルモノマー;ビニルアルコール、塩化ビニル;ビニルピロリドン;ビニルピリジン;ビニルアミン;ビニルアセタール;無水マレイン酸;マレイミド;ノルボルネン;並びにこれらの組合せといったエチレン性不飽和重合性二重結合を有するモノマーから選択される1つ以上のモノマーから形成され得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、例えばヒドロキシ、カルボキシル、スルホン酸及びスルホンアミドなどの酸基、シラノール、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール[-C(CF3)2OH]などのフルオロアルコール、無水物、ラクトン、エステル、エーテル、アリルアミン、ピロリドン及びこれらの組合せから選択される1つ以上の官能基を含有する。ポリマーは、ホモポリマー、又は例えば、2個、3個、4個以上の複数の繰り返し単位といった別個の繰り返し単位を有するコポリマーであり得る。一態様では、ポリマーの繰り返し単位は、(メタ)アクリレートモノマーからすべて形成され、芳香族(ビニル)モノマーからすべて形成され、又は(メタ)アクリレートモノマー及び芳香族(ビニル)モノマーからすべて形成される。ポリマーは1種類より多い繰り返し単位を含むとき、典型的には、ランダムコポリマーの形態をとる。
【0074】
特定の実施形態では、マトリックスポリマーは、t-ブチルアクリレート(t-butyl acrylate、TBA)/p-ヒドロキシスチレン(p-hydroxystyrene、PHS)コポリマー、ブチルアクリレート(butyl acrylate、BA)/PHSコポリマー、TBA/メタクリル酸(methacrylic acid、MAA)コポリマー、BA/MAAコポリマー、PHS/メタクリレート(methacrylate、MA)コポリマー、及びこれらの組合せであり得る。
【0075】
溶解性変更剤組成物は、典型的には、単一ポリマーを含むが、任意選択的には1つ以上の更なるポリマーを含むことができる。組成物中のポリマーの含量は、例えば、層の標的厚さに依存し、より厚い層が望ましいときには、より高いポリマー含量が使用される。ポリマーは、典型的には、溶解性変更剤組成物の全固形分に基づいて、80~99.9重量%、より典型的には90~99重量%、又は95~99重量%の量でパターン溶解性変更剤組成物中に存在する。ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、典型的には、ポリスチレン標準試料を基準としてGPCによって測定した場合、400,000未満、好ましくは3000~50,000、より好ましくは3000~25,000である。典型的には、ポリマーは、ポリスチレン標準試料を基準としてGPCによって測定した場合、3以下、好ましくは2以下の多分散性指数(PDI=Mw/Mn)を有する。
【0076】
溶解性変更剤組成物で使用するのに好適なポリマーは、市販されており、かつ/又は当業者によって容易に作製されることができる。例えば、ポリマーは、ポリマーの単位に対応する選択されたモノマーを有機溶媒に溶解させること、ラジカル重合開始剤を添加すること、及び熱重合を行ってポリマーを形成することによって合成され得る。ポリマーの重合に使用されることができる好適な有機溶媒の例としては、例えば、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、乳酸エチル及びメチルイソブチルカルビノールが挙げられる。好適な重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル 2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、過酸化ベンゾイル及び過酸化ラウロイルが挙げられる。
【0077】
マトリックスポリマーを含む溶解性変更剤は、当技術分野で知られている方法に従って第1のレリーフパターン上にコーティングされ得る。典型的には、マトリックスポリマーを含む溶解性変更剤は、スピンコーティングによって第1のレリーフパターン上にコーティングされ得る。溶解性剤の固形含量は、第1のレリーフパターン上に溶解性変更剤の望ましい厚さの膜を提供するように調整され得る。例えば、溶解性変更剤溶液の固形含量は、利用される特定のコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度及びスピン可能である時間に基づく望ましい膜厚を提供するために調整されることができる。組成物の典型的な厚さは、約200Å~約1500Åである。
【0078】
1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤は、前述されるように、活性物質(すなわち、酸、酸発生剤、塩基又は塩基発生剤)、溶媒及びマトリックスポリマーを含む。かかる溶解性変更剤の典型的な配合物は、溶解性変更剤の総重量に基づいて約1~10重量%の固形分及び90~99.9重量%の溶媒を含み得、固形分は活性物質及びマトリックスポリマーを含む。固形含量内では、活性物質は、約1~約5重量%の範囲の量で含有され得る。
【0079】
溶解性変更剤は、使用される特定の化学反応に応じて、様々な目的を有する添加剤を含み得る。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、溶解性変更剤中に含有され得る。界面活性剤は、特に第1のフォトレジストのフィーチャ間の薄ギャップを充填する必要があるときに、コーティング品質の一助となるように溶解性変更剤中に含有され得る。当技術分野で知られている好適な界面活性剤は、溶解性変更剤中に含有され得る。
【0080】
上記のように、1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤は、第1のレリーフパターンに吸収される。第1のレリーフパターンへの溶解性変更剤の吸収は、ベークなどの熱前処理を行うことによって達成され得る。ベークは、ソフトベークであり得る。ソフトベークの温度及び時間は、第1のレジストの特性及び第1のレジストへの溶解性変更剤の望ましい拡散量に依存し得る。典型的には、ソフトベークは、約50~約150℃の範囲の温度で約30秒~約90秒間実施され得る。
【0081】
第1のレジスト中への拡散後、有効な溶解性変更物質を一切含まないコーティング層は第1のレジスト上に残存し得る。1つ以上の実施形態では、コーティング層は、リンスによって除去され得る。リンスは、コーティング層を溶解するが、第1のレジストを溶解しない溶媒でコーティングされた基板をリンスすることによって達成され得る。リンスは、好適な方法を使用して、例えば一定時間にわたって溶媒を充填した浴に基板を浸漬すること(浸漬方法)によって、表面張力の作用により基板表面上に溶媒を上昇させて、一定時間にわたってこれを静置させ、これによってコーティング層を溶解させること(パドル方法)によって、基板表面上に溶媒を噴霧すること(噴霧方法)によって、又は一定速度で溶媒噴出ノズルを走査しながら、一定速度で回転する基板上に溶媒を連続噴出すること(ダイナミックディスペンス方法)によって実施され得る。
【0082】
方法100のブロック106では、第2のレジストは、基板上に堆積される。第1のレリーフパターン204、溶解性変更剤205及び第2のレジスト206で積層されたコーティングされた基板を
図2Cに示す。第2のレジストは基板上に堆積されるが、第1のレリーフパターンのギャップを充填し、第1のレリーフパターン又は溶解性変更剤と接触した状態になる。1つ以上の実施形態では、第2のレジストは、基板、第1のレリーフパターン及び溶解性変更剤を完全に覆う。第2のレジストは、例えばスピンオン堆積又は気相処理といった当技術分野で知られている任意の好適な方法に従って基板上に堆積され得る。
【0083】
1つ以上の実施形態では、第2のレジストはポリマーを含む。好適なポリマーは、第1のレジストポリマー及び/又はマトリックスポリマーとして定義されたポリマーに関して前述される通りであり得る。特定の実施形態では、好適なポリマーは、p-ヒドロキシスチレン、スチレン、t-ブチルアクリレート及びこれらの組合せを含むモノマーから作製され得る。特定の実施形態では、ポリマーは、p-ヒドロキシスチレン、スチレン及びt-ブチルアクリレートのうちの3つすべてから作製され得る。かかるポリマーは、約50~約80%のp-ヒドロキシスチレン、約10~約30%のスチレン、及び約10~約30%のt-ブチルアクリレートを含む重合反応から調製され得る。例えば、第2のレジスト中に含まれるポリマーを生成するための重合反応は、50%、55%、60%及び65%のうちの1つの下限から65%、70%、75%及び80%のうちの1つの上限までの範囲の量のp-ヒドロキシスチレンであって、任意の下限が、任意の数学的に適合する上限と対にされ得る、p-ヒドロキシスチレンと、10%、12%、14%、16%、18%及び20%のうちの1つの下限から、20%、22%、24%、26%、28%及び30%のうちの1つの上限までの範囲の個々の量のスチレン及びt-ブチルアクリレートであって、任意の下限が、任意の数学的に適合する上限と対にされ得る、スチレン及びt-ブチルアクリレートと、を含み得る。
【0084】
第2のレジスト中に含有されたポリマーは、1~100kg/molの範囲で重量平均分子量(Mw)を有し得る。例えば、1つ以上の実施形態では、第2のレジストは、任意の下限が、任意の数学的に適合する上限と対にされ得る場合、1kg/mol、2kg/mol、5kg/mol、10kg/mol、15kg/mol、20kg/mol及び25kg/molの下限から、25kg/mol、50kg/mol、75kg/mol、80kg/mol、90kg/mol及び100kg/molの上限までのMw範囲を有するポリマーを含み得る。かかるMwを有するポリマーは、特に溶解速度といった望ましい溶解特性を呈し得る。
【0085】
1つ以上の実施形態では、第2のレジストは光酸発生剤を含む。光酸発生剤は、第1のレジスト中に含有された光酸発生剤に関して前述される通りである。
【0086】
1つ以上の実施形態では、第2のレジストは溶媒を含む。溶媒は、溶解性変更剤中に含有された溶媒に関して前述される通りである。特定の実施形態では、第2のレジスト中の溶媒は、溶解性変更剤中の溶媒と同じである。
【0087】
第2のレジストは、使用される特定の化学的性質に応じて、様々な目的を有する添加剤を含み得る。いくつかの実施形態では、クエンチャ―は、第2のレジスト中に含まれる。クエンチャ―は、溶解性変更剤中の活性物質の拡散を制御するのに役立つように、第2のレジスト中に含まれ得る。好適なクエンチャ―は、溶解性変更物質に関して既に列挙された塩基のうちのいずれかを含む。
【0088】
第2のレジストは、PTDレジスト又はNTDレジストであり得る。PTDレジストとNTDレジストとの両方は、上記のようなポリマー及び溶媒を含み得る。第2のレジストがNTDレジストである実施形態では、これはまた、酸又は酸発生剤を含み得る。酸又は酸発生剤は、溶解性変更物質に関して前述される通りである。
【0089】
方法100のブロック108では、溶解性変更剤は、第2のレジスト中に拡散される。1つ以上の実施形態では、第2のレジスト中への溶解性変更剤の拡散は、ベークを実施することによって達成される。ベークは、ホットプレート又はオーブンで実施され得る。ベークの温度及び時間は、第2のレジストの特性及び第2のレジスト中への溶解性変更剤の望ましい拡散量に依存し得る。ベークに好適な条件は、50℃~160℃の範囲の温度及び約30~90秒間の範囲の時間を含み得る。1つ以上の実施形態では、ベーク後、溶解性が変化した領域は、第2のレジストの縁部の周囲に存在し得る。溶解性変更剤の拡散量は、溶解性が変化した領域の厚さに対応し得る。いくつかの実施形態では、溶解性が変化した領域は、第2のレジストへと延在し、約5~約60nmの厚さを有する。例えば、溶解性が変化した領域の厚さは、5nm、10nm、15nm、20nm及び25nmのうちの1つの下限から、40nm、45nm、50nm、55nm及び60nmのうちの1つの上限までの範囲であり得、任意の下限は、任意の数学的に適合する上限と対になり得る。1つ以上の実施形態では、溶解性が変化した領域の厚さは、基板へと切断される、望ましいライン幅に対応し得る。
【0090】
溶解性が変化した領域を含むコーティングされた基板を、
図2Dに示す。
図2Dに示されるように、コーティングされた基板は、基板層202を含む。基板は、前述される通りである。第1のフォトレジスト203から構成された第1のレリーフパターン204は、基板202の表面上にある。第1のレリーフパターン204は、溶解性変更剤でコーティングされる。第2のレジスト208は、第1のレリーフパターン及び基板上にコーティングされる。1つ以上の実施形態では、第2のレジスト208は、基板202及び第1のレリーフパターン204を完全に覆う。第2のレジストの溶解性が変化した領域206は、第1のレリーフパターンに接して示されている。
【0091】
溶解性が変化した領域は、溶解性変更剤に暴露されなかった第2のレジストの領域とは異なる溶解度を有し得る。このように、第2のレジストの溶解性が変化した領域及び暴露されていない領域は、異なるレジスト現像剤に可溶であり得る。
【0092】
方法100のブロック110では、堆積された第2のレジストの層は、特定の現像剤を使用して現像され得、溶解性が変化した領域又は第2のレジストの暴露されていない領域のいずれかが残存する。1つ以上の実施形態では、第2のレジストの溶解性が変化した領域は、最初に化学線放射に暴露され、次いで特定の現像剤に暴露されることによって現像される。他の実施形態では、第2のレジストの溶解性が変化した領域は、特定の現像剤にのみ暴露される。特定の現像剤は、第2のレジストのトーンに依存し得る。例えば、第2のレジストがポジトーン現像フォトレジストである場合には、特定の現像剤は、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの塩基であり得る。一方、第2のレジストがネガトーン現像レジストである場合、特定の現像剤は、n-ブチルアセテート又は2-ヘプタノンなどの非極性有機溶媒であり得る。
【0093】
前述されるように、溶解性が変化した領域の厚さは、基板へと切断される所望のライン幅に対応し得る。
図2Eは、本開示の実施形態に従って現像されたコーティングされた基板を示す。1つ以上の実施形態では、第2のレジスト208は、溶解度変更領域を溶解するように現像されるが、この溶解性が変化した領域は、第1のレリーフパターンと第2のレジストとの間にある。したがって、溶解性が変化した領域の溶解によって、第1のレリーフパターン204と第2のレジスト208との間に、基板202が露出されているトレンチ210が形成され得る。そのため、方法100は、
図1に戻って参照すると、組み合わせられたエッチングマスクとして第1のレリーフパターン及び第2のレジストを使用して、基板の露出部分をエッチングすることを含む。かかる方法は、狭いラインカットを基板上に提供し得る。エッチングプロセスは、CF、O、HBr又はFといった任意の好適なドライエッチング剤を使用する、等方性又は異方性エッチングプロセスであり得る。一実施形態では、エッチング剤は、CF、O、HBr及びFといったドライエッチング剤であることができる。
【0094】
方法100は、実行可能な一実施形態を表すが、本発明の発明を限定することを意図したものではない。当業者によって理解されるように、本発明は、例えば、溶解性変更剤が第2のレジストではなく、第1のレジストの領域中に拡散され、その溶解性を変更させる方法などの様々な代替的方法を包含し得る。かかる代替的な実施形態では、本方法で使用される構成要素及び技術は、方法100に関して前述される通りであり得る。
【0095】
1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤は、第1のレジスト中に拡散される。かかる実施形態では、方法は、第1のレジストの第1のレリーフパターンを最初に形成することと、次いで第1のレジストを溶解性変更剤でコーティングすることと、を含み得る。ここでは、溶解性変更剤は、第1のレジスト中に所定の距離だけ拡散されて第1のレジストの溶解性が変化した領域を提供し得る。
図2Fは、溶解性が変化した領域206を有する第1のレジスト203を含むコーティングされた基板を示す。溶解性変更剤の拡散は、かかる方法の異なる時点で生じ得、また、異なる成分中に拡散し得るが、溶解度変更剤の拡散は、方法100で上記したように実施され得る。溶解性変更剤が第1のレジスト中に拡散された後、第2のレジストは、基板上に堆積され得る。
図2Gは、第2のレジスト208でコーティングされた基板上に溶解性が変化した領域206を含む第1のレジスト203を示す。次いで、基板は、方法100に関して説明されるように現像され、エッチングされ得るが、この場合、第1のレジストの溶解性が変化した領域は、特定の現像剤に可溶である。
【0096】
1つ以上の実施形態では、方法は、基板上に複数の狭いラインカットを形成することを含み得る。かかる方法は、第1のレジスト、溶解性変更剤及び第2のレジストといった構成成分、並びにとりわけコーティング、拡散及び現像といった加工工程を含み得る。当業者によって理解されるように、かかる構成要素及び加工工程は、方法100に関して前述された通りであり得る。
【0097】
一方で
図3A~
図3Lは、基幹技術を使用して複数の狭いラインを切断するための例示的な方法の概略図を示す。
図3A及び
図3Gでは、ライン405のパターンは、基板404上に形成される。ラインは、ハードマスク材料から形成され得、当技術分野で一般的に知られている方法によって形成され得る。好適なハードマスク材料が当技術分野で公知であり、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、タングステン、チタン、窒化チタン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化ハフニウム及びSOCを含む。次いで、
図3B及び
図3Hに示されるように、リソグラフィ工程を実施し、第1のレジストを使用してカットパターン406を画定する。
図3C及び
図3Iに示されるように、フォトレジストカットパターン406は、次いで第1のレジスト中に所定の距離だけ拡散される溶解性変更剤で処理され、溶解性が変化した領域407を提供する。
【0098】
第2のレジスト408は、次いで
図3D及び
図3Jでは基板上にコーティングされる。次いで、基板が現像されて溶解性が変化した領域407を除去し、その結果、ハードマスクのライン405のパターンの一部及び基板404が
図3E及び
図3Kで露出される。ラインのパターンの露出部分はエッチングされ、
図3F及び
図3Lで改質されたライン405’の新しいパターンを形成する。
【0099】
1つ以上の実施形態では、アンチスペーサオンアンチスペーサプロセスが実施され得る。かかるプロセスでは、方法は、方法100の工程を1回以上実行し得る。例えば、アンチスペーサオンアンチスペーサプロセスは、
図4A~
図4Gでは、かかるプロセスの各工程でのコーティングされた基板の概略図によって示される。
図4Aのコーティングされた基板によって示されるように、アンチスペーサオンアンチスペーサプロセスは、例えば方法100といったアンチスペーサプロセスに従って基板上の一連のアンチスペーサを提供することを最初に含み得る。次いで、第2の溶解性変更剤は、アンチスペーサパターン上にコーティングされ、
図4Bのコーティングされた基板を提供する。第2の溶解性変更剤は、方法100の溶解性変更剤に関して前述される通りであり得る。
図4Cでは、第2の溶解性変更は、アンチスペーサパターンを構成する第1のレジスト及び第2のレジストへと吸収され、次いでコーティングが除去されて
図4Dのコーティングされた基板を提供する。次いで、
図4Eは、アンチスペーサパターン上にコーティングされる第3のレジストを含むコーティングされた基板を示す。第3のレジストは、前述されるようなポリマーを含み得る。次いで、第2の溶解性変更剤は、第3のレジスト中に拡散される。第3のレジストの拡散は、上述のソフトベークなどのベークによって実施され得る。第2の溶解性変更剤を第3のレジスト中に拡散した後、第3のレジストは、
図4Fに示されるように、第1のレジスト及び第2のレジストの縁部の周りに溶解性が変化した領域を含む。最終的に、第3のレジストは現像され、第3のレジストの溶解性が変化した領域が溶解し、
図4Gに示されるように、基板が露出されるトレンチを提供する。そのため、
図4A~
図4Gは、アンチスペーサオンアンチスペーサパターニングプロセスの一実施形態を実証する。
【0100】
代替的には、単一のアンチスペーサパターニングプロセスに関して上に記述されるように、アンチスペーサオンアンチスペーサプロセスでは、第2の溶解性変更剤は、第3のレジストにではなく、初期アンチスペーサパターンの第1のレジスト及び第2のレジスト中に拡散され得る。かかる実施形態では、第2の溶解性変更剤は、アンチスペーサパターンを構成する第1のレジスト及び第2のレジスト上に堆積され、次いで第1のレジスト及び第2のレジスト中に拡散されて、溶解性が変化した領域がパターンの縁部の周りに提供される。次いで、第3のレジストは、アンチスペーサパターン上に積層され、本方法は前述される通りに処理され得る。当業者によって理解されるように、方法ごとに重複されている工程は、前述される通りに実施され得る。
【0101】
1つ以上の実施形態では、細線は、リソ技術に関する非自己整合レジストに従って切断される。かかる実施形態では、ラインはリソグラフィによって画定され、基板は平坦化され得る。この結果、リソグラフィによって画定されたライン間の全てのギャップは、別の材料によって充填されて表面が平坦となり、カットパターンはリソグラフィによって画定され得る。次いで、狭いラインは上記方法に従って切断され得る。
【0102】
そのため、1つ以上の実施形態では、有効な半導体デバイスを作製するためには、異なるセグメントが互いに分離されるが、エンドレスラインは有用ではない傾向がある。ラインを分けるために、ラインは長いラインとして最初に生成される。典型的にはこれは加工に有益であり、次いで有用なセグメントに切断される。半導体基板の加工では、対象の層におけるパターンの生成(パターニング)は、1つ以上の工程を含むことができる。最初に、いくつかの転写層が画定される。次いで、パターンはリソグラフィによって基板上に画定される。これは次いで、方向性エッチングを使用して中間層に転写される。
【0103】
1つ以上の実施形態では、カットを実施するために、第2のリソ層(「カットマスク」)が上に形成される。カット幅は、2つの機能を有することができる。第1の機能としては、機能及び長期間にわたる信頼性にとって望ましい、フィーチャ間の分離距離を設定するというものである。第2の機能としては、任意の追加のエリアは、利益を加えることなくフィーチャを拡張する「空費」というものである。カット層を形成することに関する所望の目的は、絶縁破壊限界(フィーチャに応じて約2~30nm)を超える最小幅を有し、余分な拡張部分を最小化する。
【0104】
1つ以上の実施形態では、本開示による狭いラインカットの幅は、特定の化学技術及び原理を使用してエッチングマスクを作成することで制御され得る。そのため、ラインはリソグラフィによって、すなわちエッチングマスクなどのリソグラフィ技術を使用して配置され得るが、開示された方法は、リソグラフィスキャナなしで実施され得る。更には、ラインは基板へと直接切断され得、そのため中間スペーサ又はハードマスクパターンが不要となり、コストが削減される。
【国際調査報告】