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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】自己整合型ビルドアップ加工
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20240918BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20240918BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20240918BHJP
   B05D 3/10 20060101ALI20240918BHJP
   B05D 1/32 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
G03F7/20 501
G03F7/20 521
B05D7/24 303Z
B05D7/00 N
B05D3/10 N
B05D1/32 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024537798
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 US2022041548
(87)【国際公開番号】W WO2023028245
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】63/236,844
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524073142
【氏名又は名称】ジェミナティオ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン, ブレナン
(72)【発明者】
【氏名】ハスタッド, フィリップ, ディー.
【テーマコード(参考)】
2H197
4D075
【Fターム(参考)】
2H197CA01
2H197CE01
2H197CE10
2H197HA03
4D075AD02
4D075AD03
4D075BB20Z
4D075BB28Z
4D075BB42Z
4D075BB44Z
4D075DA31
4D075DB01
4D075DB06
4D075DC21
4D075EA21
4D075EA45
4D075EB19
4D075EB23
4D075EC07
4D075EC60
(57)【要約】
微細加工方法は、既存パターンを有する基板を提供することであって、覆われていないフィーチャを上記基板の上面が有し、ベース層が覆われていないように、ベース層内に形成されたフィーチャを上記既存パターンが含む、ことと、選択的結合剤を上記基板上に堆積することであって、上記選択的結合剤は溶解性変更剤を含む、ことと、第1のレジストを上記基板上に堆積することと、上記第1のレジストの一部が第1の現像剤に不溶となるように上記溶解性変更剤を活性化することと、開口を含むレリーフパターンが形成されるように上記第1の現像剤を使用して上記第1のレジストを現像することであって、上記開口は上記既存の層の上記フィーチャを露出する、ことと、上記フィーチャ上でかつ上記レリーフパターンの上記開口内で選択的堆積材料を成長させる選択的成長プロセスを実行して、自己整合選択的堆積フィーチャを提供することとを含む。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存パターンを有する基板を提供することであって、覆われていないフィーチャを上記基板の上面が有し、第1の層が覆われていないように、第1の層内に形成されたフィーチャを上記既存パターンが含む、ことと、
選択的結合剤を上記基板上に堆積することであって、上記選択的結合剤が溶解性変更剤を含む、ことと、
第1のレジストを上記基板上に堆積することと、
上記第1のレジストの一部が第1の現像剤に不溶となるように上記溶解性変更剤を活性化することと、
開口を含むレリーフパターンが形成されるように上記第1の現像剤を使用して上記第1のレジストを現像することであって、上記開口が上記既存の層の上記フィーチャを露出する、ことと、
上記フィーチャ上でかつ上記レリーフパターンの上記開口内で選択的堆積材料を成長させる選択的成長プロセスを実行して、自己整合選択的堆積フィーチャを提供することと
を含む微細加工方法。
【請求項2】
上記選択的結合剤が、上記第1の層の表面よりも上記フィーチャの表面に接着しやすい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記第1の層内に形成された上記フィーチャが、大きなアレイを形成する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
上記選択的結合剤が、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスフィン、スルホン酸、スルフィン酸、カルボン酸、トリアゾール、チオール又はこれらの組合せを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
上記溶解性変更剤が酸発生剤を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
上記酸発生剤がフッ素を含まない、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
上記酸発生剤が、トリフェニルスルホニウムアンチモネート、ピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、3-フルオロピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウムペルフルオロ-1-ブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム4,4,5,5,6,6-ヘキサフルオロジヒドロ-4H-1,3,2-ジチアジン1,1,3,3-テトラオキシド及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
上記溶解性変更剤が酸を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
上記酸がフッ素を含まない、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
上記酸が、トリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロ-1-ブタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸、2-トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
上記第1のレジストを上記基板上に堆積する前に、上記基板を前処理することを更に含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
上記フィーチャが、シリコン、ポリシリコン、銅、コバルト、タングステン及びこれらの組合せからなる群から選択される金属又は半金属を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項13】
上記ベース層が誘電体を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項14】
覆われていないフィーチャと覆われていない第1の層とを基板の上面が有するように第1の層内に形成されたフィーチャを有する基板を受け入れることと、
第1の溶解性変更剤を上記基板上に堆積することであって、上記第1の溶解性変更剤が、上記第1の層の覆われていない表面に接着することなく、上記フィーチャの覆われていない表面に接着するように選択される、ことと、
第2の溶解性変更剤を上記基板上に堆積することであって、上記第2の溶解性変更剤が、上記フィーチャの覆われていない表面に接着することなく、上記第1の層の上記覆われていない表面に接着するように選択される、ことと、
第1のフォトレジストを上記基板上に堆積することと、
上記フィーチャの上の上記第1のフォトレジストの領域が特定の現像剤に可溶となるように十分に上記第1の溶解性変更剤を活性化することと、
上記第2の溶解性変更剤が上記第1の層の上の上記第1のフォトレジストの不溶性を増加させるように上記第2の溶解性変更剤を活性化することと、
上記第1のフォトレジストを現像して、上記フィーチャを露出する開口を画定するレリーフパターンが生じることと、
上記フィーチャ上でかつ上記レリーフパターンの上記画定された開口内で選択的堆積材料を成長させる選択的成長プロセスを実行して、自己整合選択的堆積フィーチャが生じることと
を含む微細加工方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体デバイスの微細加工は、膜堆積、パターン形成及びパターン転写などの様々な工程を含む。材料及び膜は、スピンコーティング、蒸着及び他の堆積プロセスによって基板上に堆積される。パターン形成は典型的には、フォトレジストとして公知である感光性膜をあるパターンの化学線放射に暴露し、その後フォトレジストを現像してレリーフパターンを形成することで実施される。次いで、レリーフパターンは、1つ以上のエッチングプロセスが基板に施される場合に、基板のエッチングされない部分を覆うエッチングマスクとして作用する。第1のエッチング後、次いで加工は、材料の堆積、エッチング、アニーリング、フォトリソグラフィなどの追加工程を継続することができ、トランジスタ又は集積回路が製造されるまで様々な工程が繰り返される。
【0002】
重要なフィーチャが下層に正確にアライメントされなければならない半導体加工には、複数の工程が存在する。従来、各種のプロセスは、各種のマスク層をアライメントし、それらの位置決めを補正し、次いで各層を適所にエッチングすることによってアライメントされ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本概要は、以下の詳細な説明にて更に説明される概念の選択物を紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の重要又は本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求される主題の範囲を限定する一助として使用されることも意図していない。
【0004】
一態様では、本明細書に開示された実施形態は、既存パターンを有する基板を提供することであって、覆われていないフィーチャを基板の上面が有し、ベース層が覆われていないように、ベース層内に形成されたフィーチャを既存パターンが含む、ことと、選択的結合剤を基板上に堆積することであって、選択的結合剤が溶解性変更剤を含む、ことと、第1のレジストを基板上に堆積することと、第1のレジストの一部が第1の現像剤に不溶となるように溶解性変更剤を活性化することと、開口を含むレリーフパターンが形成されるように第1の現像剤を使用して第1のレジストを現像することであって、開口が既存の層のフィーチャを露出する、ことと、フィーチャ上でかつレリーフパターンの開口内で選択的堆積材料を成長させる選択的成長プロセスを実行して、自己整合選択的堆積フィーチャを提供することとを含む微細加工方法に関する。
【0005】
特許請求される主題の他の態様及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のブロックフロー図である。
【0007】
図2A】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
図2B】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
図2C】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
図2D】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
図2E】本開示の1つ以上の実施形態に係る方法のそれぞれの時点でのコーティングされた基板の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
デバイス及びノードの微細加工では、いくつかのフィーチャが選択的加工を用いて完全にアライメントされることが望ましい。典型的な一例は、金属の上のビアである。すなわち、ビアは、酸化物まで延在することなく、精密に配置されることが望ましい。ビアは、デバイスの各金属層間の電気接続である。選択的堆積プロセスでは、規定の場所で規定の方向にて欠陥のない状態で予め選択された材料を成長させることが望ましい。ただし、選択的原子層堆積法などの現在の方向性成長技術は、大きな欠陥を抱えている。更には、かかる技術は、スペーサの側壁まで延在する選択された成長エリアなど、より複雑な場合での使用には不十分であることが多い。現在の自己整合成長は、一般的にあらゆる方向に成長する傾向がある。あらゆる(可能な)方法に成長した材料では、特定のフィーチャの成長は難しい。多くの場合、非常に薄いフィーチャしか思い通りに成長させることができない。また、自己整合成長は多くの場合、高い欠陥率を有する。少量の意図しない堆積であっても、デバイスに問題を生じさせる可能性がある。
【0009】
本開示は概して、半導体基板上での選択的成長方法に関する。本明細書では、「半導体基板」及び「基板」という用語は互換的に使用され、半導体ウェハ、半導体材料層及びこれらの組合せを含むが、これらに限定されない任意の半導体材料であり得る。本明細書に開示された方法は、完全自己整合フィーチャ又は部分的自己整合フィーチャを生成するために使用されるコア自己整合フィーチャを提供する。1つ以上の実施形態では、上記方法は、選択的フィーチャ配置と選択的成長とを組み合わせる。上記方法によって、様々なフィーチャ及び開口の充填が可能となり、シャロートレンチアイソレーション堆積が容易となり得る。
【0010】
本明細書に開示された方法によって、堆積物を受けない領域を本質的に保護する自己整合堆積方法が提供される。かかる方法によって、選択的堆積のためのより低い選択性要件がもたらされ得る。1つ以上の実施形態では、部分的にアライメントされたフィーチャ又は明確な開口が存在しないフィーチャは、例えば金属コンタクトとして、依然として接触可能である。更に、本方法を用いて、空間密度が低いフィーチャがコーティング及び充填され得るので、微細加工プロセスの大部分を通じてより単純なインテグレーションが得られ得る。
【0011】
1つ以上の実施形態の方法は、化学プロセスと拡散特性との両方に依拠して、入力した化学反応自体に制御機能を加える固有の能力及びかかる化学反応を測定するプロセスを提供する。
【0012】
当業者によって理解されるように、本明細書に開示された方法は、例えば自己整合ユニバーサル、選択された自己整合及び自己整合したフィーチャなどの様々な自己整合フィーチャを提供するために使用され得る。そのため、本明細書に記載の特定の実施形態は、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。1つ以上の特定の実施形態では、ユニバーサル自己整合ビアのための方法が提供される。
【0013】
図1に本開示に係るユニバーサル自己整合の方法100を示し、図1を参照して考察する。最初に、ブロック102では、ベース層内にフィーチャを含む既存パターンが基板上に提供される。ブロック104では、基板又はその一部は、選択的結合剤でコーティングされる。選択的結合剤は、溶解性変更剤を含み得る。次いで、ブロック106では、基板は、第1のレジストでコーティングされる。ブロック108では、溶解性変更剤が活性化されて、第1の現像剤に可溶である第1のレジストの領域を提供し得る。次いで、ブロック110で第1のレジストが現像されて、第1のレジストにギャップを提供し、基板の既存パターンのフィーチャを露出する。最後に、ブロック112では、フィーチャ上の選択的成長が実行される。いくつかの実施形態では、選択的成長後に基板がエッチングされて、選択的結合剤及び第1のレジストなどの残留コーティングを除去する。
【0014】
上述した方法中の様々な時点でのコーティングされた基板の概略図を、図2A図2Eに示す。本明細書では、「コーティングされた基板」は、第1のレジスト層及び第2のレジスト層などの1つ以上の層でコーティングされている基板を指す。図2Aは、既存パターンを含む基板を示す。図2Bは、選択的結合剤を含むオーバーコートを含む基板を示す。図2Cは、第1のレジストで積層された選択的結合剤オーバーコートを含む基板を示す。図2Dは、第1のレジストが現像され、その結果、基板のフィーチャが露出された後のコーティングされた基板を示す。最後に、図2Eは、基板のフィーチャの上に第1のレジスト及び選択的成長層を含む基板を示す。図1の方法及び図2A図2Eに示されるコーティングされた基板は、以下に詳細に考察される。
【0015】
図1において、ブロック102では、既存パターンが基板上に提供される。図2Aは、既存パターンを含む基板を示す。図2Aにおいて、既存パターンは、ベース層201に形成されたフィーチャ202を含む。ベース層は、当技術分野で公知である好適な基板であり得る。1つ以上の実施形態では、ベース層に形成されたフィーチャは、大きなアレイとして存在する。例えば、正方形のベース層上では、フィーチャは、4×4アレイ、5×5アレイ、6×6アレイなどとして等間隔で配置され得る。アレイの形状及びサイズは、特に限定されておらず、フォトリソグラフィトラック上での使用に好適な任意の形状及びサイズであり得る。
【0016】
フィーチャは、当技術分野で一般に使用される任意の材料から作製され得る。1つ以上の実施形態では、フィーチャは、金属、半金属又は他の導電性構造を含む。本明細書で使用される場合、金属という用語は、合金、積層体及び他の複数の金属の組合せを含む。例えば、金属相互接続ラインは、バリア層、各種の金属又は合金の積層体などを含み得る。フィーチャを構成し得る好適な金属及び半金属としては、シリコン、ポリシリコン、銅、コバルト及びタングステンが挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態では、ベース層は層間誘電体である。好適な層間誘電体は、シリコンの酸化物(例えば、二酸化ケイ素(SiO))、ドープされたシリコンの酸化物、フッ素化されたシリコンの酸化物、炭素ドープされたシリコンの酸化物、当技術分野で知られている様々な低k誘電体材料及びこれらの組合せを含み得る。既存パターンは、パターニングプロセスにおける最終フィーチャ又は中間フィーチャであり得る。基板は、ベース層内の既存パターンのフィーチャが覆われず、アクセス可能となるように平坦化され得る。1つ以上の実施形態では、基板は、金属ラインの上のエッチング停止層、又はグラフェンコーティングを含む。
【0017】
次いで、ブロック104では、選択的結合剤が、基板又はその一部の上にコーティングされる。図2Bは、選択的結合剤203でコーティングされる既存パターンを含む基板を示す。選択的結合剤は、当技術分野で公知の任意のコーティング方法によって基板上にコーティングされ得る。好適なコーティング方法としては、気相成長法、液相堆積、気相堆積、スピンオンコーティング及びラングミュアブロジェット単層コーティングが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
選択的結合剤は、既存パターンの1つの材料に優先的に接着し得る。1つ以上の実施形態では、選択的結合剤は、基板の既存パターンのフィーチャに接着する。かかる実施形態では、選択的結合剤は、フィーチャと第1の層との比が1:1を超えるパターンのフィーチャに接着し得る。限定するものではなく例として、選択的結合剤は、フィーチャと第1の層との比が約2:1~約10:1以上の範囲であるパターンのフィーチャに接着し得る。
【0019】
1つ以上の実施形態では、選択的結合剤は、更に官能化され得る化学官能基である。例示的な選択的結合剤としては、アルコール、シラノール、アミン、ホスフィン、ホスホン酸及びカルボン酸が挙げられるが、これらに限定されない。既存パターン上にコーティングされた特定の選択的結合剤は、方法100の他の構成要素で使用される特定の化学反応に依存し得る。例えば、様々なホスホン酸及びエステルは、未処理の又は酸化された金属表面と選択的又は少なくとも優先的に反応して、優先的又は更には選択的に誘電体材料(例えば、シリコンの酸化物)の表面上に強く結合した金属ホスホネートを形成することが可能であり、それにより、ベース層ではなくフィーチャに対する選択的結合剤として使用され得る。好適なホスホン酸の具体例は、オクタデシルホスホン酸(octadecylphosphonic acid、ODPA)である。かかる表面コーティングは一般には、多くの有機溶媒中で安定である傾向があるが、弱酸性及び弱塩基性水溶液を使用して除去され得る。ホスフィン(例えば、有機ホスフィン)はまた、任意選択的に使用され得る。スルホン酸、スルフィン酸及びカルボン酸などの他の一般的な酸もまた、任意選択的に使用され得る。
【0020】
誘電体材料又は有機高分子材料又は他の材料と比較して金属材料に対して選択的又は少なくとも優先的である反応の別の例は、例えば相互接続構造を保護するために化学的機械研磨中に使用されるものなど、様々な金属腐食防止剤である。具体例としては、ベンゾトリアゾール、他のトリアゾール官能基、他の好適な複素環基(例えば、複素環系腐食防止剤)及び当技術分野で公知の他の金属腐食防止剤が挙げられる。トリアゾール基に加えて、他の官能基が、金属に対する所望の引力又は反応性を提供するために使用され得る。様々な金属キレート剤もまた、潜在的に好適である。様々なアミン(例えば、有機アミン)もまた、潜在的に好適である。
【0021】
誘電体材料又は有機高分子材料又は他の材料と比較して金属材料に対して選択的又は少なくとも優先的である反応の更に別の例は、様々なチオールである。別の例として、1,2,4-トリアゾール又は同様の芳香族複素環化合物は、誘電体及び特定の他の材料と比較して金属と選択的に反応させるために使用され得る。選択的結合剤はまた、ポリマーを表面に結合させるためにポリマーの官能基と反応可能な官能基を含み得る。当技術分野で公知の様々な他の金属被毒化合物もまた、潜在的に使用され得る。これらは、いくつかの例示的な例に過ぎず、更に他の例が本開示の利益を有する当業者にとって明らかであることを理解されたい。選択的結合剤はまた、選択的結合が可能な上述の官能基のいずれかを含有するポリマーを含み得るが、このポリマーは、主鎖に沿って又は末端基として官能基を有し、ターゲット材料に結合されたポリマー鎖の層を形成する。
【0022】
1つ以上の実施形態では、選択的結合剤は、溶解性変更剤を含み得る。溶解性変更剤の組成は、選択的結合剤に依存し得る。当業者によって理解されるように、両材料が互いに反応しない限り、任意の好適な溶解性変更剤が選択的結合剤に含まれ得る。一般的に、溶解性変更剤は、光又は熱で活性化する任意の化学物質であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、溶解性変更剤は、酸又は酸発生剤を含む。酸、又はTAGの場合には発生した酸は、熱によって、第1のレジストパターンの表面領域におけるポリマーの酸分解性基の結合を分解させて、適用される特定の現像剤中の第1のレジストポリマーの溶解性を増大させるのに十分であるべきである。酸又はTAGは典型的には、トリミング組成物の全固形分に基づいて約0.01~20重量%の量で組成物中に存在する。
【0023】
好ましい酸としては、非芳香族酸及び芳香族酸を含む有機酸が挙げられ、それらのそれぞれは、任意選択的にはフッ素置換を有することができる。好適な有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ペルフルオロ酢酸、ペルフルオロオクタン酸、シュウ酸、マロン酸及びコハク酸を含むアルカン酸などのカルボン酸、クエン酸などのヒドロキシアルカン酸、安息香酸、フルオロ安息香酸、ヒドロキシ安息香酸及びナフトエ酸などの芳香族カルボン酸、ジメチルリン酸及びジメチルホスフィン酸などの有機リン酸、並びにメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1-ブタンスルホン酸、1-ペルフルオロブタンスルホン酸、1,1,2,2-テトラフルオロブタン-1-スルホン酸、1,1,2,2-テトラフルオロ-4-ヒドロキシブタン-1-スルホン酸、1-ペンタンスルホン酸、1-ヘキサンスルホン酸及び1-ヘプタンスルホン酸を含む任意選択的にフッ素化されたアルキルスルホン酸などのスルホン酸が挙げられる。
【0024】
フッ素を含まない例示的な芳香族酸としては、以下の一般式(I)の芳香族酸が挙げられる。
【0025】
【化1】
【0026】
[式中、R1は、独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C20アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z1は、独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、a及びbは、独立して、0~5の整数であり、a+bが5以下である]
【0027】
例示的な芳香族酸は、以下の一般式(II)であり得る。
【0028】
【化2】
【0029】
[式中、R2及びR3は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C16アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z2及びZ3は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、c及びdは、独立して、0~4の整数であり、c+dが4以下であり、e及びfは、独立して、0~3の整数であり、e+fが3以下である]
【0030】
溶解性変更剤に含まれ得る追加の芳香族酸としては、以下の一般式(III)又は(IV)のものが挙げられる。
【0031】
【化3】
【0032】
[式中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C12アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z4、Z5及びZ6は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、g及びhは、独立して、0~4の整数であり、g+hが4以下であり、i及びjは、独立して、0~2の整数であり、i+jが2以下であり、k及び1は、独立して、0~3の整数であり、k+lが3以下である]
【0033】
【化4】
【0034】
[式中、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C12アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z4、Z5及びZ6は、それぞれ独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、g及びhは、独立して、0~4の整数であり、g+hが4以下であり、i及びjは、独立して、0~1の整数であり、i+jが1以下であり、k及びlは、独立して、0~4の整数であり、k+lが4以下である]
【0035】
好適な芳香族酸は、代替的には、以下の一般式(V)であり得る。
【0036】
【化5】
【0037】
[式中、R7及びR8は、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C14アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボキシル、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z7及びZ8は、それぞれ独立して、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、m及びnは、独立して、0~5の整数であり、m+nが5以下であり、o及びpは、独立して、0~4の整数であり、o+pが4以下である]
【0038】
更には、例示的な芳香族酸は、以下の一般式(VI)を有し得る。
【0039】
【化6】
【0040】
[式中、Xは、O又はSであり、R9は、独立して、置換若しくは非置換のC1-C20アルキル基、置換若しくは非置換のC5-C20アリール基、又はこれらの組合せを表し、任意選択的には、カルボニル、カルボニルオキシ、スルホンアミド、エーテル、チオエーテル、置換若しくは非置換のアルキレン基、又はこれらの組合せから選択される1つ以上の基を含有し、Z9は、独立して、カルボキシル、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、C1-C5アルコキシ、ホルミル及びスルホン酸から選択される基を表し、q及びrは、独立して、0~3の整数であり、q+rが3以下である]
【0041】
1つ以上の実施形態では、酸は、フッ素置換を有する遊離酸である。好適なフッ素置換を有する遊離酸は芳香族又は非芳香族であり得る。例えば、溶解性変更剤として使用され得るフッ素置換を有する遊離酸としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
【化7】
【0043】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【0044】
好適なTAGとしては、上述したように非重合性酸を発生可能であるものが挙げられる。TAGは非イオン性又はイオン性であることができる。好適な非イオン性熱酸発生剤としては、例えば、シクロヘキシルトリフルオロメチルスルホネート、メチルトリフルオロメチルスルホネート、シクロヘキシルp-トルエンスルホネート、メチルpートルエンスルホネート、シクロヘキシル2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホネート、ニトロベンジルエステル、ベンゾイントシレート、2-ニトロベンジルトシレート、トリス(2,3-ジブロモプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、有機スルホン酸のアルキルエステル、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、リン酸、カンファースルホン酸、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5-ニトロ-o-トルエンスルホン酸、5-スルホサリチル酸、2,5-ジメチルベンゼンスルホン酸、2-ニトロベンゼンスルホン酸、3-クロロベンゼンスルホン酸、3-ブロモベンゼンスルホン酸、2-フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1-ナフトール-5-スルホン酸、2-メトキシ-4-ヒドロキシ-5-ベンゾイル-ベンゼンスルホン酸及びそれらの塩、並びにこれらの組合せが挙げられる。好適なイオン性熱酸発生剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエチルアミン塩、ドデシルベンゼンジスルホン酸トリエチルアミン塩、p-トルエンスルホン酸-アンモニウム塩、p-トルエンスルホン酸-ピリジニウム塩、炭素環式アリール及びヘテロアリールスルホン酸塩などのスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、並びにベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。活性化時にスルホン酸を発生する化合物が、一般的に好適である。好ましい熱酸発生剤としては、p-トルエンスルホン酸アンモニウム塩及びヘテロアリールスルホン酸塩が挙げられる。
【0045】
好ましくは、以下に示されるようなスルホン酸を発生させるための反応スキームではTAGはイオン性である。
【0046】
【化12】
【0047】
式中、RSO はTAGアニオンであり、XはTAGカチオンであり、好ましくは有機カチオンである。カチオンは、以下の一般式(I)の窒素含有カチオンであることができる。
【0048】
(BH) (I)
【0049】
これは、窒素含有塩基Bのモノプロトン化形態である。好適な窒素含有塩基Bとしては、例えば、アンモニア、ジフルオロメチルアンモニア、C1-20アルキルアミン及びC3-30アリールアミンなどの任意選択的に置換されたアミン、例えば、ピリジン又は置換ピリジン(例えば、3-フルオロピリジン)、ピリミジン及びピラジンなどの窒素含有ヘテロ芳香族塩基、窒素含有複素環基、例えば、オキサゾール、オキサゾリン又はチアゾリンが挙げられる。前述の窒素含有塩基Bは、アルキル、アリール、ハロゲン原子(好ましくはフッ素)、シアノ、ニトロ及びアルコキシから選択される1つ以上の基などで任意選択的に置換され得る。これらのうち、塩基Bは、好ましくはヘテロ芳香族塩基である。
【0050】
塩基Bは典型的には、0~5.0、0~4.0、0~3.0、又は1.0~3.0のpKaを有する。本明細書で使用される場合、「pKa」という用語は、当技術分野で認識されている意味に従って使用される。すなわち、pKaは、ほぼ室温の水溶液における塩基性部分(B)の共役酸(BH)の解離定数の(底を10とする)負の対数である。特定の実施形態では、塩基Bは、約170℃未満、約160℃未満、150℃、140℃、130℃、120℃、110℃、100℃又は90℃未満の沸点を有する。
【0051】
好適な例示的窒素含有カチオン(BH)としては、NH 、CFHNH 、CFCHNH 、(CHNH、(CNH、(CH(C)NH及び以下のものが挙げられる。
【0052】
【化13】
【0053】
[式中、Yはアルキルであり、好ましくはメチル又はエチルである]
【0054】
特定の実施形態では、溶解性変更剤は、トリフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロ-1-ブタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸及び2-トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸などの酸;トリフェニルスルホニウムアンチモネート、ピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、3-フルオロピリジニウムペルフルオロブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウムペルフルオロ-1-ブタンスルホネート、4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート及び4-t-ブチルフェニルテトラメチレンスルホニウム4,4,5,5,6,6-ヘキサフルオロジヒドロ-4H-1,3,2-ジチアジン1,1,3,3-テトラオキシドなどの酸発生剤;又はこれらの組合せであり得る。
【0055】
代替的には、溶解性変更剤は、塩基又は塩基発生剤を含み得る。かかる実施形態では、好適な溶解性変更剤としては、水酸化物、カルボキシレート、アミン、イミン、アミド及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。塩基の具体例としては、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、リン酸水素テトラメチルアンモニウム、リン酸テトラメチルアンモニウム、炭酸テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、リン酸水素テトラエチルアンモニウム、リン酸テトラエチルアンモニウム及びこれらの組合せが挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン、脂環式アミン、芳香族アミン及び複素環式アミンが挙げられる。アミンは、第一級アミン、第二級アミン又は第三級アミンであり得る。アミンは、モノアミン、ジアミン又はポリアミンであり得る。好適なアミンは、C1-30有機アミン、イミン若しくはアミドを含み得るか、又は強塩基(例えば、水酸化物若しくはアルコキシド)若しくは弱塩基(例えば、カルボキシレート)のC1-30第四級アンモニウム塩であり得る。例示的な塩基としては、トリプロピルアミン、ドデシルアミン、トリス(2-ヒドロキシプロピル)アミン、テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンなどのアミン;ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、アミノフェノール及び2-(4-アミノフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパンなどのアリールアミン、トレーガー塩基、ジアザビシクロウンデセン(diazabicycloundecene、DBU)若しくはジアザビシクロノネン(diazabicyclononene、DBN)などのヒンダードアミン、tert-ブチル1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-2-イルカルバメート及びtert-ブチル4-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレートなどのアミド;又は水酸化テトラブチルアンモニウム(tetrabutylammonium hydroxide、TBAH)若しくはテトラブチルアンモニウムラクテートなどの第四級アルキルアンモニウム塩を含むイオン性消光剤が挙げられる。別の実施形態では、アミンはヒドロキシアミンである。ヒドロキシアミンの例としては、1~約8個の炭素原子、好ましくは1~約5個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基及びヒドロキシブチル基)を1つ以上有するヒドロキシアミンが挙げられる。ヒドロキシアミンの具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N-メチルエタノールアミン、2-ジエチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール及びトリエタノールアミンが挙げられる。
【0056】
好適な塩基発生剤は熱塩基発生剤であり得る。熱塩基発生剤は、第1の温度超、典型的には約140℃以上で加熱すると塩基を形成する。熱塩基発生剤は、アミド、スルホンアミド、イミド、イミン、O-アシルオキシム、ベンゾイルオキシカルボニル誘導体、第四級アンモニウム塩、ニフェジピン、カルバメート及びこれらの組合せなどの官能基を含み得る。例示的な熱塩基発生剤としては、o-{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}安息香酸、o-{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}安息香酸、2,5-ビス{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}テレフタル酸、2,5-ビス{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}テレフタル酸、2,4-ビス{(β-(ジメチルアミノ)エチル)アミノカルボニル}イソフタル酸、2,4-ビス{(γ-(ジメチルアミノ)プロピル)アミノカルボニル}イソフタル酸及びこれらの組合せが挙げられる。
【0057】
代替的には、1つ以上の実施形態では、溶解性変更剤は架橋剤を含む。溶解性変更剤として使用され得る好適な架橋剤としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどのビスエポキシドを硬化するために使用される架橋剤、2,5-ビス[(2-オキシラニルメトキシ)-メチル]-フラン、2,5-ビス[(2-オキシラニルメトキシ)メチル]-ベンゼン、メラミン、テトラメトキシメチルグリコールウリル及びテトラブトキシメチルグリコールウリルなどのグリクウリル、ベンゾグアナミン、ヒドロキシメチルベンゾグアナミン、メチル化ヒドロキシメチルベンゾグアナミン、エチル化ヒドロキシメチルベンゾグアナミンなどのベンゾグアナミン系材料、並びに尿素系材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
1つ以上の実施形態では、選択的結合剤は溶媒を含む。溶媒は典型的には、水、有機溶媒及びこれらの混合物から選択される。いくつかの実施形態では、溶媒は、1つ以上の有機溶媒を含む有機系溶媒系を含み得る。「有機系」という用語は、溶媒系が、溶解性変更剤組成物の全溶媒に基づいて50重量%超の有機溶媒を含み、より典型的には、溶解性変更剤組成物の全溶媒に基づいて90重量%超、95重量%超、99重量%超又は100重量%の有機溶媒を含むことを意味している。溶媒成分は典型的には、溶解性変更剤組成物に基づいて90~99重量%の量で存在する。
【0059】
選択的結合剤組成物にとって好適な有機溶媒としては、例えば、n-ブチルプロピオネート、n-ペンチルプロピオネート、n-ヘキシルプロピオネート及びn-ヘプチルプロピオネートなどのアルキルプロピオネート、並びにn-ブチルブチレート、イソブチルブチレート及びイソブチルイソブチレートなどのアルキルブチレートなどのアルキルエステル;2,5-ジメチル-4-ヘキサノン及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノンなどのケトン;n-ヘプタン、n-ノナン、n-オクタン、n-デカン、2-メチルヘプタン、3-メチルヘプタン、3,3-ジメチルヘキサン及び2,3,4-トリメチルペンタンなどの脂肪族炭化水素、並びにペルフルオロヘプタンなどのフッ素化脂肪族炭化水素;1-ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-ヘプタノール、1-オクタノール、2-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-オクタノール、3-ヘキサノール、3-ヘプタノール、3-オクタノール及び4-オクタノールなどの直鎖、分岐又は環状C-C一価アルコールなどのアルコール;2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブタノール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロ-1-ヘキサノール、並びに2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1,5-ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1,6-ヘキサンジオール及び2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロ-1,8-オクタンジオールなどのC-Cフッ素化ジオール;イソペンチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル;4~10の総炭素数を有するアルキルエステル、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、n-ブチルプロピオネート、n-ペンチルプロピオネート、n-ヘキシルプロピオネート及びn-ヘプチルプロピオネートなどのアルキルプロピオネート、並びにn-ブチルブチレート、イソブチルブチレート及びイソブチルイソブチレートなどのアルキルブチレートなどのエステル;2,5-ジメチル-4-ヘキサノン及び2,6-ジメチル-4-ヘプタノンなどのケトン;並びにジプロピレングリコールモノメチルエーテル及びトリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのポリエーテル;並びにこれらの溶媒のうち1つ以上を含む混合物が挙げられる。
【0060】
いくつかの実施形態では、選択的結合剤で基板をコーティングした後、基板が前処理される。基板は、フィーチャの表面に選択的結合剤を確実に結合するように前処理され得る。前処理は、50~150℃の範囲の温度で約30~90秒間実施されるソフトベークであり得る。
【0061】
選択的結合材料がフィーチャに結合された後、余分な材料が除去され得る。このように、1つ以上の実施形態では、基板に選択的結合剤を塗布し、任意選択的に前処理した後、基板はリンスされて未使用材料を除去する。
【0062】
次いで、方法100のブロック106では、第1のレジストは、基板上に堆積される。図2Cは、選択的結合剤203及び第1のレジスト204でコーティングされた基板201を示す。一般的に、レジストは、ポリマー、光酸発生剤及び溶媒を含む化学増幅感光性組成物である。1つ以上の実施形態では、第1のレジストはポリマーを含む。ポリマーは、レジスト材料に典型的に使用される任意の標準的なポリマーであり得るが、特に酸不安定基を有するポリマーであり得る。ポリマーは、スチレン及びp-ヒドロキシスチレンなどの芳香族ビニルモノマー、アクリレート、メタクリレート、ノルボルネン及びこれらの組合せを含むモノマーから作製されたポリマーであり得る。例えば、ポリマーは、スチレン、p-ヒドロキシスチレン、アクリレート、メタクリレート、ノルボルネン及びこれらの組合せを含むモノマーから作製されたポリマーであり得る。反応性官能基を含むモノマーは、保護された形態でポリマー中に存在し得る。例えば、p-ヒドロキシスチレンの-OH基は、tert-ブチルオキシカルボニル保護基で保護され得る。かかる保護基は、第1のレジストに含まれるポリマーの反応性及び溶解性を変更し得る。当業者に理解されるように、様々な保護基が、この理由のために使用され得る。酸不安定基としては、例えば、第三級アルキルエステル基、第二級又は第三級アリールエステル基、アルキル基とアリール基との組合せを有する第二級又は第三級エステル基、第三級アルコキシ基、アセタール基又はケタール基が挙げられる。酸不安定基は、当技術分野では一般的に、「酸分解性基」、「酸解離性基」、「酸解離性保護基」、「酸不安定保護基」、「酸脱離基」及び「酸感受性基」とも称される。
【0063】
分解時に、ポリマーにカルボン酸を形成する酸不安定基は、好ましくは、式-C(O)OC(Rの第三級エステル基、又は式-C(O)OC(RORのアセタール基であり、式中、Rは、それぞれ独立して、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは置換又は非置換であり、各Rは、任意選択的にはその構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、任意の2つのR基はともに、任意選択的には環を形成し、Rは、独立して、水素、フッ素、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは水素、直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは置換又は非置換であり、各Rは、任意選択的にはその構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、R基はともに、任意選択的には環を形成し、Rは、直鎖C1-20アルキル、分岐C3-20アルキル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルキル、直鎖C2-20アルケニル、分岐C3-20アルケニル、単環式若しくは多環式C3-20シクロアルケニル、単環式若しくは多環式C6-20アリール、又は単環式若しくは多環式C2-20ヘテロアリールであり、好ましくは直鎖C1-6アルキル、分岐C3-6アルキル、又は単環式若しくは多環式C3-10シクロアルキルであり、それらのそれぞれは置換又は非置換であり、Rは、任意選択的にはその構造の一部として-O-、-C(O)-、-C(O)-O-若しくは-S-から選択される1つ以上の基を含み、1つのRはRとともに、任意選択的には環を形成する。かかるモノマーは、典型的には芳香族ビニル、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。ポリマーにカルボン酸基を形成する酸分解性基を含む重合単位の総含量は、ポリマーの総重合単位に基づいて、典型的には10~100モル%であり、より典型的には10~90モル%又は30~70モル%である。
【0064】
ポリマーは、重合時に、分解によりポリマーにアルコール基又はフルオロアルコール基を形成する酸不安定基を含むモノマーを更に含むことができる。好適なかかる基としては、例えば、式-COC(ROR-のアセタール基、又は式-OC(O)O-の炭酸エステル基が挙げられ、式中、Rは上に定義されている通りである。かかるモノマーは、典型的には芳香族ビニル、(メタ)アクリレート又はノルボルニルモノマーである。ポリマーに存在する場合、分解によりポリマーにアルコール基又はフルオロアルコール基を形成する酸分解性基を含む重合単位の総含量は、ポリマーの総重合単位に基づいて、典型的には10~90モル%であり、より典型的には30~70モル%である。
【0065】
いくつかの実施形態では、第1のレジストは、ポジトーン現像(positive tone developed、PTD)レジストと類似した組成を有する。かかる実施形態では、第1のレジストは、上述したモノマーから作製されたポリマーであって、反応性官能基を含む1つ以上のモノマーが保護されるポリマーを含み得る。このように、PTD様の第1のレジストは、有機可溶であり得る。
【0066】
溶解性変更剤が架橋剤である他の実施形態では、第1のレジストはネガ型レジストである。かかる実施形態では、第1のレジストは、上述したモノマーから作製されたポリマーであって、反応性官能基を含む任意のモノマーが保護されないポリマーを含み得る。好適な反応性官能基としては、アルコール、カルボン酸、アミン及びエポキシドが挙げられるが、これらに限定されない。架橋剤への暴露によってポリマーの架橋が生じ、ポリマーが現像剤に対して不溶となる。次いで、未架橋エリアは、適当な現像剤を使用して除去することができる。
【0067】
他の実施形態では、第1のレジストは、ネガトーン現像(negative tone developed、NTD)レジストである。PTDレジストと同様に、NTDレジストは、上述したモノマーから作製されたポリマーであって、反応性官能基を含む1つ以上のモノマーが保護されるポリマーを含み得る。このように、NTDの第1のレジストは、有機可溶であり得るが、塩基性である第1のレジスト現像剤で溶解性が変更された領域を現像するのではなく、溶解性が変更された領域は残存するが、保護された官能基を含有する領域が、有機溶媒を含む第1のレジスト現像剤を使用して除去される。第1のレジスト現像剤として使用され得る好適な有機溶媒としては、n-ブチルアセテート(n-butyl acetate、NBA)及び2-ヘプタノンが挙げられる。レジストのトーン(すなわち、PTD対ネガ型対NTD)は、最終パターン配置に影響を及ぼし得る。
【0068】
1つ以上の実施形態では、第1のレジストは、約300Å~約3000Åの厚さを有するように基板上に積層される。
【0069】
方法100のブロック108では、溶解性変更剤が活性化される。溶解性変更剤が酸、酸発生剤、塩基又は塩基発生剤である実施形態では、溶解性変更剤の活性化は、溶解性変更剤を第1のレジストへと拡散させて、第1のレジストの溶解性が変更された領域を提供することを含む。第1のレジストの溶解性が変更された領域は、選択的結合剤の優先的接着によって決定され得る。例えば、既存パターンのフィーチャに優先的に接着する選択的結合剤は、フィーチャの上にある第1のレジストの溶解性が変更された領域を提供し得る。1つ以上の実施形態では、第1のレジストの溶解性が変更された領域は、フィーチャ上にコーティングされた選択的結合剤の表面から第1のレジストの表面へと垂直に延在する。1つ以上の実施形態では、溶解性が変更された領域は、傾斜方向に延在する。溶解性が変更された領域が傾斜方向に延在する場合、各フィーチャが一緒に結合するのを防ぐことが望ましいことがある。これを達成するために、フィーチャの厚さは、十分に薄いものであるように制御され得る。
【0070】
1つ以上の実施形態では、第1のレジストへの溶解性変更剤の拡散は、ベークを実施することによって達成される。ベークは、ホットプレート又はオーブンで実施され得る。ベークの温度及び時間は、第2のレジストの個性及び第2のレジストへの溶解性変更剤の望ましい拡散量に依存し得る。ベークに好適な条件は、約50℃~約160℃の範囲の温度及び約30秒~約90秒の範囲の時間を含み得る。
【0071】
溶解性変更剤が架橋剤である実施形態では、溶解性変更剤の活性化は、第1のレジストへの架橋剤の重合を開始することを含む。架橋剤の活性化によって、第1のレジストの架橋領域が提供され得る。第1のレジストの架橋領域は、選択的結合剤の優先的接着によって決定され得る。例えば、選択的パターニング自己整合のように、選択的結合剤が既存パターンのフィーチャに優先的に接着する場合、第1のレジストの架橋領域は、フィーチャの上にあり得る。
【0072】
次いで、方法100のブロック110では、第1のレジストが、特定の現像剤を使用して現像される。特定の現像剤は、当技術分野で一般に使用される任意の現像剤であり得る。特定の現像剤の組成は、第1のレジストのトーン及び溶解特性に依存し得る。例えば、第1のレジストがポジトーン現像レジストである場合、特定の現像剤は、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの塩基であり得る。一方、第1のレジストがネガトーン現像レジストである場合、特定の現像剤は、n-ブチルアセテート又は2-ヘプタノンなどの非極性有機溶媒であり得る。
【0073】
1つ以上の実施形態では、溶解性が変更された領域又は架橋領域は、第1の現像剤に不溶である。したがって、第1のレジストを現像した後、第1のレジストの溶解性が変更された領域又は架橋領域は、基板上に残存し得る。代替的には、1つ以上の実施形態では、溶解性が変更された領域は、第1の現像剤に可溶となる。かかる実施形態では、第1のレジストを現像した後、第1のレジストの溶解性が変更された領域は、基板から除去される。かかるパターンは、レジストのフィーチャが、選択的結合剤でコーティングされていなかったベース層の上に残存することから、反選択的パターンと称され得る。
【0074】
1つ以上の実施形態では、第1のレジストの溶解性が変更された領域は、第1の現像剤に可溶である。かかる実施形態では、第1のレジストの現像によって、既存パターンのフィーチャを露出するギャップを含む第1のレジストのパターンが生じる。このように、選択的結合剤は、更なるコーティングのために露出され、アクセス可能となる。図2Dは、第1のレジスト204のギャップ205が、既存パターンのフィーチャ202を露出するコーティングされた基板を示す。1つ以上の実施形態では、リンスによって、金属被覆前に残存する選択的結合剤をはぎ取る。
【0075】
最後に、方法100のブロック112では、既存パターンのフィーチャ上での選択的成長が実行される。当技術分野で公知である任意の好適な選択的成長技術が、既存パターンのフィーチャ上に直接第2のセットのフィーチャを提供するために使用され得る。図2Eでは、フィーチャ202、フィーチャからオフセットされた第1のレジスト204、及びフィーチャの上の選択的成長材料206を含む基板を示す。
【0076】
1つ以上の実施形態では、第2のセットのフィーチャは、選択的成長材料を含む。当技術分野で公知である多くの異なる種類の選択的成長堆積材料が、本明細書で開示される様々な実施形態に好適である。いくつかの実施形態では、選択的金属対金属反応堆積が、無電解金属堆積及び/又は電気化学原子層堆積法などの技術を使用して、溶液中で達成され得る。かかる金属対金属反応堆積に好適な金属の例としては、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)及びこれらの様々な合金、積層体又は組合せが挙げられるが、これらに限定されない。無電解金属堆積及び/又は電気化学原子層堆積法を使用する選択的反応によって堆積され得る他の金属もまた、一般的に好適であるはずである。
【0077】
いくつかの実施形態では、選択的金属対金属反応堆積は、ホモレプティック金属ジアザブタジエン錯体[M{N(R)C(H)C(H)N(R’)}2]を用いて実施され得る。この式では、Mは、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)又はクロム(Cr)から選択される金属原子を表し得る。有機官能基R及びR’は、様々な置換又は非置換のアルキル又はアリール官能基のうちのいずれかを表し得る。R及びR’の例としては、置換又は非置換の2~8個の炭素アルキル基、フェニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。異なる錯体(例えば、異なる金属原子を有するもの)の組合せもまた、任意選択的には使用され得る。金属(例えば、純粋な金属、又は複数の金属の合金若しくは積層体)は、共反応物質(例えば、水素(H)、アンモニア(NH)、ヒドラジンなど)を使用するか又は使用しない化学気相成長(chemical vapor deposition、CVD)を用いて出発材料の金属上に及び/又はこれらの錯体から堆積された金属上に堆積され得る。原子層堆積法(Atomic layer deposition、ALD)が、代替的に使用され得る。かかる堆積物は、誘電体材料、半導体材料及び有機高分子材料と比較すると一般的には選択的である。
【0078】
いくつかの実施形態では、印加された電圧及び/又は光電効果を用いて、別の材料(例えば、誘電体)と比較して、金属堆積を促進し、かつ/又は金属上の金属堆積の選択性を増加させ得る。いくつかの実施形態では、電圧バイアスが、ウェハチャックとウェハチャック上のウェハの上のコイルとの間など、ウェハ又は他の基板と金属堆積装置の導電性ハードウェアとの間に印加され得る。この電圧バイアスは、直流(DC)又は交流(AC)(例えば高周波AC)のいずれかであり得る。印加された電圧バイアスは、例えば部分的には光電効果に起因して、別の材料(例えば、誘電体)よりも金属(例えば、相互接続ライン、又は相互接続ライン上に形成された金属材料)から比較的多く電子(例えば、二次電子)を放出するか又はそれ以外の方法で提供するのに必要とされるエネルギーを発生させ、低減する傾向があり得る。いくつかの実施形態では、順方向電圧バイアスが、金属から離れた方向に電子を加速させるのを促進させるために印加され得る。DC電圧バイアスが使用される場合、電子の放出は、金属への導電パスが存在しない限り、いくらかの電子が金属から放出されて正味の正電荷を有し始めた後に遅延し得る可能性がある。しかしながら、AC電圧バイアスの印加は、サイクル間で電子を金属に充填してバックアップすることによって、一般的にこれを回避するのに役立ち得る。電子を用いて、別の材料(例えば、誘電体)と比較して、金属堆積を促進し、かつ/又は金属上の金属堆積の選択性を増加させ得る。電子は、例えば金属のALD若しくはCVD堆積、又は発生したかかる電子によって促進され得る他の金属堆積プロセスなどの選択的金属堆積反応を駆動又は促進させるエネルギーを提供するのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、金属近くで光電子を更に発生させる一助とするために、電圧バイアスとともに紫外線光源が使用され得る。これは、金属堆積及び金属堆積選択性を促進させるのに更に役立ち得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、選択的誘電体対誘電体反応堆積は、ゾルゲルプロセスなどの液相技術によって達成され得る。選択的誘電体対誘電体反応堆積はまた、CVD、ALD、MLD又は他の気相技術によって達成され得る。かかる誘電体対誘電体反応堆積に好適な材料の例としては、例示的な例をほんの数例挙げると、シリコンの酸化物(例えば、二酸化ケイ素(SiO))、炭素ドープされたシリコンの酸化物、シリコンの窒化物(例えば、窒化ケイ素(SiN))、シリコンの炭化物(例えば、炭化ケイ素(SiC))、シリコンの炭窒化物(例えば、SiCN)、アルミニウムの酸化物(例えば、酸化アルミニウム(Al))、チタンの酸化物(例えば、酸化チタン(TiO))、ジルコニウムの酸化物(例えば、酸化ジルコニウム(ZrO))、ハフニウムの酸化物(例えば、酸化ハフニウム(HfO))及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。当技術分野で公知である他の誘電体及び低k誘電体材料もまた、潜在的に好適である。カルボシロキサン材料もまた、任意選択的には使用され得る。ゾルゲル、ALD、CVD及びMLDなどの技術を使用する金属と比較して選択的に又は少なくとも優先的にかかる材料を堆積する反応の様々な例が当技術分野で公知である。
【0080】
いくつかの実施形態では、カーボンナノチューブ、グラフェン及びグラファイトのうちの1つ以上が、金属表面材料上に成長又は形成され得る。金属表面材料は、カーボンナノチューブ、グラフェム又はグラファイトの成長にとって触媒作用がある触媒金属表面材料を表し得る。触媒金属表面材料は、当技術分野で公知の技術を使用して、加熱され、好適な炭化水素及び任意の他の共反応物質に曝露され得る。好適な触媒表面及び一連の反応物質の一例は、一酸化炭素及び水素に曝露されるコバルト表面である。上述した電圧バイアスアプローチはまた、かかる反応を促進させる一助とするために潜在的に使用され得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、不動態化材料又は層が、任意選択的には、各種の表面材料のうちの1つの上に塗布又は形成されて、別の表面材料に対する反応の選択性又は優先性を増加させる一助とされ得る。かかる不動態化材料の使用は、一般的に、層を形成するのに利用できる可能な選択的/優先的反応の数を増やすのに役立つ。それにもかかわらず、表面材料のうちの1つに対して、それ以外よりも必ずしも選択的/優先的ではない反応は、不動態化材料と比較して表面材料のうちの1つに対して選択的であり得る。例として、不動態化材料は、不動態化材料と比較して第2の表面材料に対する所与の堆積反応の選択性/優先性を増加させるために、第2の表面材料ではなく第1の表面材料に適用され得る。材料のうちの1つの上に選択的に形成されるように操作可能であり、かつ反応の選択性/優先性を増加させるように操作可能である不動態化材料の大部分は、一般的に好適であるはずである。かかる不動態化剤は、気相又は液相で塗布され得る。かかる不動態化剤は、選択的堆積プロセス中に1回又は複数回塗布され得る。選択的/優先的反応を通して層が形成された後、不動態化材料が除去され得る。例えば、不動態化材料は、熱処理、光分解処理、化学処理又は電気化学処理によって除去され得る。いくつかの実施形態では、別の不動態化材料が、任意選択的には他の表面材料に塗布され得るが、これは必要ではない。重ねて、かかる不動態化材料の使用は、任意ではあるが、本明細書で言及された様々な層を形成するために使用され得る可能な選択的又は少なくとも優先的化学反応の数を増やすのに役立ち得る。
【0082】
1つ以上の実施形態では、選択的成長が既存パターンのフィーチャ上に実行された後、基板はエッチングされて、選択的結合剤、溶解性変更剤及びレジストを含む残留有機材料を除去し得る。次いで、誘電体分離材料が、選択的成長プロセスによって形成された新規フィーチャに充填されるように堆積され得る。かかる誘電体堆積に好適な材料の例としては、例示的な例をほんの数例挙げると、シリコンの酸化物(例えば、二酸化ケイ素(SiO2))、炭素ドープされたシリコンの酸化物、シリコンの窒化物(例えば、窒化ケイ素(SiN))、シリコンの炭化物(例えば、炭化ケイ素(SiC))、シリコンの炭窒化物(例えば、SiCN)、アルミニウムの酸化物(例えば、酸化アルミニウム(Al2O3))、チタンの酸化物(例えば、酸化チタン(TiO2))、ジルコニウムの酸化物(例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2))、ハフニウムの酸化物(例えば、酸化ハフニウム(HfO2))及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。その後、化学的機械研磨プロセスが、表面を平坦化するために用いられ得る。例えば、二酸化ケイ素が堆積され、かかる堆積によってオーバーバーデンが提供される場合、オーバーバーデンは、化学的機械研磨によって除去され得る。
【0083】
したがって、方法100は、周辺の第1のレジストによって適用される制限に起因して略垂直である成長方向を有する自己整合ビア又は金属コンタクトを提供し得る。
【0084】
代替的な実施形態では、フィーチャは、第1の溶解性変更剤を含有する第1の選択的結合剤でコーティングされ、ベース層は、第2の溶解性変更剤を含有する第2の選択的結合剤でコーティングされる。いくつかの実施形態では、第1の溶解性変更剤は、酸又は酸発生剤を含み、第2の溶解性変更剤は、塩基又は塩基発生剤を含む。次いで、レジストが基板上に堆積され、各溶解性変更剤が同時に活性化される。第1の溶解性変更剤は、フィーチャの上から拡散し、第2の溶解性変更剤は、ベース層の上から拡散する。拡散前面の界面では、各溶解性変更剤が互いに相互作用することで、基板に対して垂直であり、かつフィーチャと露出したベース層との界面に位置する垂直面の外側の側面エリアでのレジストの溶解性の変更を防止することができる。このことは、フィーチャの上にあるレジストのエリアに対する溶解性の変更を抑制するのに役立ち、これによって開口の側面成長が制限され、傾斜プロファイルではなくほぼ直線の縁部が作成される。
【0085】
1つ以上の実施形態では、方法はフォトリソグラフィ工程を含む。フォトリソグラフィ工程を使用して、特定のフィーチャ、フィーチャの一部又は他の領域を選択することができる。例えば、選択的配置及び成長は、上述した方法100のように方向性成長プロセスを使用して達成され得る。次いで、第1のレジストが暴露されることで、目的エリアを暴露し、そのエリアで溶解性変更剤を活性化するパターニングされたアレイを形成し得る。次いで、熱処理によって、溶解性変更剤をレジスト層を通して拡散させ、溶解性変更反応が促進される。溶解性変更剤(例えば、酸)によってレジストを可溶にし、その部分が除去される。次いで、金属/基板上の選択的成長が実行され得る。選択的成長は、エッチング工程よりも先に行われて、覆われていないフィーチャの上部から選択的結合剤及び/又は溶解性変更剤の残留コーティングを除去し得る。
【0086】
いくつかの例示的な実施形態のみを上で詳細に記載したが、当業者は、本発明から実質的に逸脱することなく、多くの変更が例示的な実施形態にて可能であることを容易に理解するであろう。したがって、かかるすべての変更は、以下の特許請求の範囲に定義されるように本開示の範囲内に含まれることが意図されている。

図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
【国際調査報告】